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1985-11-13 第103回国会 衆議院 農林水産委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十年十月十四日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 今井  勇君    理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君       大石 千八君    太田 誠一君       鍵田忠三郎君    菊池福治郎君       佐藤  隆君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    月原 茂皓君       野呂田芳成君    羽田  孜君       保利 耕輔君    松田 九郎君       三池  信君    山崎平八郎君       若林 正俊君    渡辺 省一君       上西 和郎君    串原 義直君       島田 琢郎君    新村 源雄君       日野 市朗君    細谷 昭雄君       松沢 俊昭君    駒谷  明君       斎藤  実君    水谷  弘君       吉浦 忠治君    稲富 稜人君       菅原喜重郎君    津川 武一君       中林 佳子君 ————————————————————— 昭和六十年十一月十三日(水曜日)     午後一時一分開議 出席委員   委員長 今井  勇君    理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君    理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君    理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君       榎本 和平君    大石 千八君       鍵田忠三郎君    菊池福治郎君       北川 正恭君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    月原 茂皓君       羽田  孜君    保利 耕輔君       松田 九郎君    山崎平八郎君       渡辺 省一君    上西 和郎君       島田 琢郎君    新村 源雄君       竹内  猛君    辻  一彦君       日野 市朗君    細谷 昭雄君       駒谷  明君    吉浦 忠治君       菅原喜重郎君    津川 武一君       中林 佳子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 増岡 博之君         農林水産大臣  佐藤 守良君  出席政府委員         厚生大臣官房審         議官      山内 豊徳君         厚生省年金局長 吉原 健二君         社会保険庁年金         保険部長    長尾 立子君         農林水産大臣官         房長      田中 宏尚君         農林水産大臣官         房審議官    吉國  隆君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君  委員外出席者         農林水産委員会         調査室長    門口 良次君     ————————————— 委員の異動 十一月九日  辞任         補欠選任   松沢 俊昭君     山口 鶴男君 同月十三日  辞任         補欠選任   野呂田芳成君     榎本 和平君   若林 正俊君     北川 正恭君   串原 義直君     竹内  猛君   山口 鶴男君     辻  一彦君 同日  辞任         補欠選任   榎本 和平君     野呂田芳成君   北川 正恭君     若林 正俊君   竹内  猛君     串原 義直君     ————————————— 十月十四日  農産物自給促進及び備蓄確保のための農  業生産振興に関する法律案安井吉典君外八  名提出、第百一回国会衆法第二八号)  総合食糧管理法案安井吉典君外八名提出、第  百一回国会衆法第二九号〉  農民組合法案安井吉典君外八名提出、第百一  回国会衆法第三〇号)  流通食品への毒物の混入等防止等に関する特  別措置法案宮崎茂一君外四名提出、第百二回  国会衆法第一八号)  地域林業振興法案島田琢郎君外八名提出、第  百二回国会衆法第二〇号)  鶏卵の需給の安定に関する法律案島田琢郎君  外四名提出、第百二回国会衆法第三八号)  採卵養鶏業への農外企業者等の進出の規制等  に関する法律案津川武一君外一名提出、第百  二回国会衆法第三九号)  農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する  法律案内閣提出、第百二回国会閣法第八三号  ) 同月三十日  昭和六十一年産の良質米奨励金現行確保に関す  る請願佐藤隆紹介)(第一〇九号)  農林水産省家畜衛生試験場北陸支場の存置に関  する請願佐藤隆紹介)(第一一〇号) 十一月十一日  養蚕経営安定等に関する請願津川武一君紹  介)(第一九八号)  農林年金制度改悪反対等に関する請願上西  和郎紹介)(第三二〇号)  同(串原義直紹介)(第三二一号)  同(津川武一紹介)(第三二二号) は本委員会に付託された。 十一月十日  農産物自給促進及び備蓄確保のための農  業生産振興に関する法律案(第百一回国会衆  法第二八号)の提出者安井吉典君外八名」は  「安井吉典君外七名」に訂正された。  総合食糧管理法案(第百一回国会衆法第二九号  )の提出者安井吉典君外八名」は「安井吉典  君外七名」に訂正された。  農民組合法案(第百一回国会衆法第三〇号)の  提出者安井吉典君外八名」は「安井吉典君外  七名」に訂正された。  地域林業振興法案(第百二回国会衆法第二〇号  )の提出者島田琢郎君外八名」は「島田琢郎  君外七名」に訂正された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する  法律案内閣提出、第百二回国会閣法第八三号  )      ————◇—————
  2. 今井勇

    今井委員長 これより会議を開きます。  この際、御報告申し上げます。  多年にわたり本委員会委員として御活躍をされておりました松沢俊昭君が、去る十日、逝去されました。まことに痛惜の念にたえません。  ここに、謹んで委員各位とともに哀悼の意を表し、御冥福を祈るため、黙祷をささげたいと存じます。  御起立願います。——黙祷。     〔総員起立黙祷
  3. 今井勇

    今井委員長 黙祷を終わります。御着席を願います。      ————◇—————
  4. 今井勇

    今井委員長 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  農林水産業の実情を調査し、その振興を図るため  農林水産業振興に関する事項  農林水産物に関する事項  農林水産業団体に関する事項  農林水産金融に関する事項  農林漁業災害補償制度に関する事項について、本会期調査をいたしたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 今井勇

    今井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  6. 今井勇

    今井委員長 第百二回国会内閣提出農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案議題といたします。  ただいま議題といたしました本案につきましては、第百二回国会において既に趣旨の説明は聴取いたしておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 今井勇

    今井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————  農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する   法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————
  8. 今井勇

    今井委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。島田琢郎君。
  9. 島田琢郎

    島田委員 今国会の大きな政治課題といいますか、国会論議の重要な問題となっております四つの共済年金制度、この法改正がいよいよ本格的な論議に入ったわけでありますが、昨日の国会論議大蔵地行委員会審議の模様を聞いておりますと、この年金制度改正に当たっての政府側の確固たる姿勢がどうも欠如しているのではないか、こういう印象を強く持つのであります。  その点、きょうは厚生大臣にも、特に年金の大どころはやはり厚生省でございまして、さき成立をいたしました国民年金厚生年金とも厚生省所管にかかわるものであり、そしてまた将来に向けての年金制度というものの方向づけを行おうとする点において大変重要な役所でありまして、そこの所管をいたしております責任ある立場でのお話をぜひこの機会に聞きたい、こういうことで厚生大臣においでをいただきました。  きょうは厚生大臣を中心にしてお話を伺いたい、こう思っておるのでありますが、まず最初に農林大臣の方に、ただいま審議に付されようとしております年金制度改正のねらいというのはどこにあるのですか。
  10. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたします。  今度の改正趣旨というのは、我が国人口構造は、先生御存じのとおりでございますが、今後ますます高齢化が進展し、高齢化社会に移行するものと考えております。農林年金制度についても、このような社会経済情勢変化に対応するために、まず第一番に公的年金制度全般整合性を図るということ、それとともに制度の円滑な運営を図るために適正な給付水準確保すること、とともに負担との均衡を図ること、また世代間の公平に配慮すること、三番目には制度財政の長期的安定を図る必要があること等に配慮して対処すべきものと考えております。  そんなことで、具体的には農林年金組合員及びその被扶養配偶者についても新しい国民年金法による基礎年金制度を適用し、農林年金による給付は、この基礎年金の上乗せの年金として厚生年金相当部分共済グループの独自のものとしての各共済職域に着目した職域年金相当部分給付することといたしております。さらに各種の給付条件内容等につき、公的年金制度整合性を図るための措置を講じておるわけでございます。
  11. 島田琢郎

    島田委員 大臣、お風邪を引いているとの話でありますが、ちょっと聞き取れぬところがあってあれですが、後ほどまたただしてまいりたいと思います。  厚生大臣さき成立をいたしました国民年金厚生年金、この改正のねらいについてここでもう一度明らかにしてほしいと思います。
  12. 増岡博之

    増岡国務大臣 国民年金厚生年金並びにすべての公的年金を通じて言えますことは、先ほど農水大臣からもお話がありましたように、本格的な高齢化社会を迎えるに際して、長期的な安定をしたものでなければならぬということと、もう一つは、制度間に不公平があってはならないということでございます。  長期的に安定するという面から考えますと、従来縦割り的でございました年金制度に横断的な、横割り的なものを導入しよう、これがすなわち基礎年金でございまして、これが各年金の間に共通項として取り上げられるわけでございますから、そのようなことを通じて公平な姿に一歩でも近づけたいということでございます。と同時に、公的年金全体の見直しも行わなければ部分的にはなかなか財政状況困難な年金もできておりますので、そういう助け合いを行います際にもやはり基礎年金導入しておいた方がよかろうということで、厚生年金国民年金基礎年金導入をいたしますと同時に、厚生年金国民年金自体につきましても、将来過重な給付から負担が過大にならないように配慮を加えて改正したものでございます。
  13. 島田琢郎

    島田委員 つまり、今両大臣がおっしゃっていることは、高齢化社会に対応した制度改正、それからそれが長期的に安定しなければならない、こういうねらいを持っている、もう一つは、職域年金等も含めて整合性ある発展を遂げていかなければならぬ、こういう趣旨だと私は受けとめました。  そうしますと、農林年金改正案もこれは農林年金単独改正案ではない、厚生年金国民年金単独のこの制度改正にとどまるものではない、こういうふうになるわけですね。御異存ございませんか、私の解説で。
  14. 増岡博之

    増岡国務大臣 先ほど申し上げました制度間の公平化ということは、実は現在の制度改正の問題ではございませんで、この制度改正を行うことによって基礎年金導入する、そのことによって将来の公平化、各制度間のバランスというものをつくりやすくしようというわけでございまして、したがって、そういう作業は来年の四月以降始まるわけでございます。
  15. 島田琢郎

    島田委員 農林大臣も私の解説で御同意でございましょうな。
  16. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えします。  結構でございます。
  17. 島田琢郎

    島田委員 来年四月からの作業に備えて云々というお話でございますが、厚生大臣閣議で皆さんがお決めになっている内容について、先ほど私はそれを確かめたわけでございますが、特にその閣議決定をしております公的年金制度一元化、これを展望しつつ各制度見直しをやるのである。そして特に「給付負担の両面において制度間調整を進める。」こういう項目も載っていますね。これは何を意味するのですか。厚生大臣、ひとつ。
  18. 増岡博之

    増岡国務大臣 給付の面では、今度の改正で、ある程度公平化が一段落すると思います。なおしかし、詳細にわたっては、今後も継続をして行わなければならない面があると思います。  負担の面におきましても一応の改正が行われるわけでありますけれども、これはそれぞれの年金制度の中での改正でございまして、将来一元化をした場合に果たしてどうなるかということは、これから計算をしてみなければわかりませんけれども、その面での手直しというものはあり得る。給付の面でもそうだろうと思いますが、一応の第一段階というふうにお考えいただければ幸せだと思います。
  19. 島田琢郎

    島田委員 果たしてそうでしょうか。閣議決定は今大臣がおっしゃったようなことになっているんでしょうか。私はそうではないと思うのです。  ここに閣議決定内容を私は持っておるのでありますが、冒頭に、「高齢化社会到来等社会経済情勢変化に対応し、公的年金制度全体の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度一元化」を求めていく、こういうねらいを明らかに持っているわけですね。その点は御否定にはなっていないのでありますが、ただ、公的年金ということになりますと、今、制度として改正俎上にのっておりますものはほとんど網羅されている、こう見ていいわけですね。
  20. 吉原健二

    吉原政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  21. 島田琢郎

    島田委員 私は、今度の年金改正に当たっての基本的な認識というのは次のように考えているのですよ。もしもお考えを別にするのであれば後はとおっしゃっていただきたいが、一つは、七十年年金統合を目指す新たな出発点でしょう。これはもう位置づけとしては変わっていないと思う。その一つは、厚生大臣が言われているように、基礎年金制度導入縦割り横割りを入れた基礎年金制度導入していく。このねらいは何かというと、年金水準を切り下げるということでしょう。それで保険料負担をふやしていくということですね。そしてまた、支給開始年齢を六十五歳に引き上げていく、こういうものが明らかに今度の法改正の中では、農林年金も含めて出ているんですね。  これは、先ほどからお話がありますように、急激な高齢化年金成熟化という問題、そこをとらえているようでありますが、しかし、こんなことはきのうきょうわかったのではなくて、もうとうの昔にわかっているわけですね。我が国はやがて高齢化社会に向かっていくだろう、それに伴って年金は急速に成熟化していくであろう、わかっていたわけです。今わかったからやるんじゃないのですね。そして、こうした直接の動機というのは、国民年金が危機に直面した、これを立て直していかなければならないというところから始まったと見ます。  同時にまた、国鉄問題が俎上に上がってきました。膨大な財政赤字を抱えた国鉄再建が急がれる、これも私は同感であります。ところが、その中には既に成熟化してしまって抜き差しならない財政の状態を抱えた国鉄共済、これをどう救済していくかというのが大変緊急課題となっているわけですね。ですから、この国鉄共済救済ができるかできないかが、厚生大臣がおっしゃっているように公的年金一元化高齢化社会に向かっての年金制度の新たな展望をする場合の重要な足がかり、そして解決を図っていかなければならないワンステップなんですね。  これを抜きにして、今ぼつぼつ出ている年金一つずつ改正して、来年の四月一日から実施に移す段階云々などと言われることでは、年金改正のいわゆる整合性というものを既に初手から、出発点から欠いていると私は思うのです。その考え方の中には欠落していると思うのです。ですから、こういう認識をきちっと持って進みませんといかぬと思うのです。  そのほかにいろいろありますよ。例えば四十八年の秋に襲いました狂乱物価年金積立金の急激な月減りとか、いろいろなそういう年金財政の問題なども大きくさま変わりしてきていることも事実であります。  そう考えてまいりますと、私は、単に農林年金だけを農林省がお考えになっているような考え方改正するというだけでは済まない問題がいっぱい出てきている。そしてまた、そこにねらいを置いて厚生年金国民年金改正が行われた、こういうことですね。しかし、国鉄共済救済が急がれると言いながら、この共済制度国家公務員年金国公年金に依存して今再建を図ろうと考えておられるようですが、現実はそんなたやすくいかないということはもう衆目の認めるところです。このままほっておいては国鉄共済はどうにもならなくなる。いや、国鉄共済ばかりではない、国鉄共済に今財政調整で協力しているところもおかしくなる。本家本元もおかしくなるということは識者の一致した指摘でしょう。  そこのところを抜きにして、単なる農林年金だけを改正していってこの閣議決定した目的に達することができるかどうか甚だ疑問なんですが、私の考え方に対して反論があるならば、この際お伺いをしたいと思うのです。厚生大臣、いかがですか。
  22. 増岡博之

    増岡国務大臣 国鉄の問題につきましては、ただいま国家公務員共済制度その他が支援グループとなっておるわけでありますから、それが今財政調整計画を立てておられますものを再検討しなければならぬということは、国鉄の人員が三十万人体制が二十万人以下になるかもしれないということでございますから、まずその再計算をやっていただかなければならぬと思います。しかし、それはおっしゃるように、再計算をいたしましてもその中で支え得るものであるかどうかということにつきましては大きな疑問があると思います。  したがいまして、私どもといたしましては公的年金全体で国鉄を支えていく方法しかないかなということを考えておりますし、それから公的年金全体を通じて制度の安定を図るという趣旨もございますので、将来そういう方向に向かうであろうということは否めない事実であろうと思います。  ただ、具体的にその手段手法ということになりますと、やはり全公的年金で支えるわけでありますから、全公的年金の間に共通項であります基礎年金というものの導入がどうしても必要であろうということで今お願いを申し上げているわけでございまして、それができました後に早急に国鉄の問題も解決しなければならぬ大きな課題であると思います。
  23. 島田琢郎

    島田委員 あなたもお認めになっているように、国鉄共済はこのままでは早晩破綻する、そのことを十分政府部内も自民党の方でもお考えになっているようでありまして、さる新聞の記事によりますと、金丸幹事長国庫負担考えなければ国鉄共済赤字救済はできない、こう言い切っておられますね。それから、きのうの大蔵地行委員会における厚生大臣の御答弁の中でも、この点については、ニュアンスとして明確に、このままでは国鉄共済赤字救済は早晩行き詰まる、全体で負担するか何かの方法考えなければならぬ、こういう御認識があるとすれば、今度の年金法改正に当たって、もうそんなに先の話じゃないわけですから、金丸幹事長だって一六十四年まで国鉄共済年金はもつという人もいるが、これは三十二万人体制で見たからそういうことが言えるのであって、今大臣がおっしゃっているように十八万、十九万という体制になってきたらこれはもうとてももたない、こうなっているわけですね。  そうしますと、この年金制度そのもの国会にお出しになる時点で既にそのこともわかっていたはずでありますから、そのことを含めて年金制度改正案が出されてこなければいけない筋合いのものではないかと私は思う。小手先だけで改正を図っていく、出たとこ勝負だなどというような不見識な法案では、私は我々の審議の価値がないと思うのです。その点、政府統一見解を求めて大蔵地行委員会がまだ調整中でございましょう。しかし、それに対して政府は統一した見解をお出しになることはできるのですか。  この際、きのうのきょうでございますから、もう二十四時間もたっていますから(政府部内のいわゆる御検討の経過についてひとつお話を伺っておきたい。それがなければ、私は、両委員会同様にこれ以上審議を進めることは、委員会に出されました中身について、私たちは権威あるものとして受け取ることはできない、こういうことになりますが、厚生大臣どうでしょうか。
  24. 増岡博之

    増岡国務大臣 先ほど申し上げました財政調整計画見直しということも、実は国としてどう対処するかということのための資料にもなるわけでございますけれども、それがまた出ていない段階ではございます。  もともと国鉄を三十万人体制から二十万人体制に、切りかえたのは、実はこの法案出しました後でございますので、その点は御理解をいただきたいと思うわけでございますけれども、ともかく、実のところを申しますと、もう既に何回か関係閣僚会議を開きまして統一見解をつくろうということで鋭意作業を進めておるさなかでございまして、できるだけ早く成案を得たいと考えております。
  25. 島田琢郎

    島田委員 じゃ、まだきのうの両委員会における大臣に対する質問内容は依然政府部内において解決されていない、こういうことですね。  ところで農林大臣、先ほど私は、農林年金農林年金そのもの改正ということではなくて、閣議決定に基づいて全体の公的年金一元化高齢化社会に対応する年金、いわゆる将来展望を持った安定した年金制度に持っていくためのものである、こういう御認識では大臣と私の考え方は一致しました。そうすると、農林年金で仮に、厚生大臣がややそういうニュアンスで物を言われましたが、全体的に負担をする、そういう方向考えなければならない。これは総理も我が党の質問に対して本会議で、全被保険者負担国鉄共済赤字の解消を図るということが必要だという趣旨答弁をされていますね。  農林年金としては国鉄共済赤字分について負担するというお考えをお持ちですか。
  26. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  年金制度の改革につきましては、既に今まで答弁しておるとおりですが、国民年金厚生年金保険につき全国民共通基礎年金導入する等の改正を行い、共済年金につきましても昭和六十一年四月の同時実施を大前提として同趣旨改正をお願いしたわけでございます。  昭和六十一年度以降においては、政府としては以上の措置を踏まえまして引き続き制度間調整を進め、昭和七十年度を目途に公的年金制度全体の一元化を完了させることとしております。  農林年金につきましても、このような全体の方向を踏まえつつ、農林年金制度沿革等にも配慮して、農林漁業団体職員人材確保を図るというねらいが損なわれることのないよう万全を期してまいりたいと考えております。  なお、国鉄共済年金につきましては、その年金財政が極めて厳しいものとなることにかんがみ、将来にわたりまして年金支給を維持し得るよう、所要の措置につきましては政府部内において速やかに検討に着手することとしております。
  27. 島田琢郎

    島田委員 何だかえらい遠回しのことを言って。ずばり私は聞いたんですよ。農林年金国鉄共済の赤字負担をされますか、どうですか。
  28. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えいたします。  国鉄共済問題につきましては、公的年金制度一元化方向等の関連にも配慮しつつ、政府全体として対応しなければならない問題と考えております。  そんなことで、農林年金所管する農林水産大臣の立場としては、関係者の意向なり理解に十分に配慮しつつ慎重に対処してまいりたいと考えております。
  29. 島田琢郎

    島田委員 さっぱりわからない。答弁をいただきますとますますわからなくなるというような感じですね、これは。それは何なのか。政府の統一した見解がないからです。この年金改正に当たって国会提出したときのいわゆる政府の責任もどこにあるのかわからない。いわんやこういう重要な問題が出てきたら、もうそのときで言い逃がれして勝負していくというようなやり方のように思えてなりません。前国会からの引き継ぎの議論で、きのうの議論を聞いておりましてもそうであります。  きょうはまさに厚生大臣農林水産委員会に呼んで、お話をする趣旨だって通告しないでも大臣おわかりのとおり、きのうの問題がまた出るなとこれは大臣お感じになったでしょう、厚生大臣農林大臣だってきのうの経過を御承知のはずですから、同じようなことが出るに違いない、ましてやきょうの一番手質問は社会党だ。もっと歯切れよく明確にきょうは答弁していただけると思うから、厚生大臣せっかくおいでになるから、農林水産委員会を開いて我々も質問しましょう、こうやって理事会では応じたわけです。ところが、全然それがなってないではないですか。これじゃどうやってこれから論議をしていけばいいということになるんでしょうか。  重ねて聞きますが、政府統一見解、今ばらばらにお答えになりましたが、それは中曽根内閣の今度の年金改正に臨むに当たっての統一した考え方だと受けとめていいのですか。
  30. 増岡博之

    増岡国務大臣 政府の従来からの統一見解は、昭和六十一年四月以降各公的年金の間の調整をしようという、そうして七十年を目途に一元化するというのが決まった方針でございます。  それではその前の手順を示せというお話、また国鉄問題をどうするのかという新たな御提案がございましたことについて、今鋭意協議中であるわけでございますけれども、その中でも昨日大蔵大臣は、三十万人体制が二十万人体制になった現在でも、昭和六十四年までは御迷惑をおかけしないように政府が責任を持って行いますということを言っておられるわけでございますので、私どもといたしましては、来年四月以降、その間に各関係方面の御理解が得られるようなものを出さなければならぬ。それを出しますにも、やはり何といっても、それじゃ果たして幾ら足りないのかというような計算がまだ出ていないわけでございまして、それを根拠にやらなければならぬということもございますので、いましばらくその具体的手段方法についてお待ちをいただきたい。しかし、政府としては、全共済年金救済をしていく、昭和七十年までに完結をするということには変更ございませんので、御理解をいただきたいと思います。
  31. 島田琢郎

    島田委員 私は、政府統一見解というのは、極めてあいまいなやり方でいこうというのが統一見解ですか、こう聞いたのです。  それなら、厚生大臣お聞きしますが、国鉄共済の赤字については財政でやろうとするのですか、全体で持つという考えなんですか、それだけでも明確にしてください。
  32. 増岡博之

    増岡国務大臣 国鉄共済につきましては、その中の追加費用でありますとか公的経済の負担の問題でありますとか、いろいろの課題がたくさんあるわけでありまして、それをすべて国に持てということもいかがかと思いますし、また一切国が責任を持たないということは許されないことだというふうに思いますから、その個々の問題ごとに今後検討していかなくてはならない課題であろうと思っております。
  33. 島田琢郎

    島田委員 今度の共済年金、これは国民共通基礎年金といいますか、これを導入して、将来七十年を目標に官民格差の是正、公的年金一元化を図るというのがねらいでこの制度改正として国会に持ち出された。この法案が出された。そうしますと、国鉄共済年金だけは別だということにならぬのですね。ところが、今一番問題になっているのは、多大の赤字を抱えている国鉄共済年金、これをどうするかが非常に重要な将来の、今申し上げた七十年をめどにしろ何にしろ、公的年金一元化、官民格差の是正、そしてまた長期安定、制度整合性ある発展、こうした閣議で決めていることの実現が私は危ぶまれるのではないか。今の状態の中ではできないですよ。  それを不問にして、あなた、各個別の年金改正だけやって、終わったら来年四月から悪いところを直したいと言うけれども、こんなでたらめな考え方をもとにして私たちはまじめに国会で議論などできないではないですか。そこのところの政府の統一した見解が示されなければ、私どもはこの法案審議には応ずることができない。  委員長、私は以上の見解に立つのですが、政府から私の期待するような答えが出てくるという可能性は、今この三十分余りの議論の中でも私はないと思うのです。それまで私の質問を保留したいと思いますが、委員長、お取り上げ願いたいと思います。
  34. 増岡博之

    増岡国務大臣 先ほど申しましたように、昭和六十四年までは政府が責任を持って支払いに支障のないようにするという約束をしておるわけでございますし、また、救済策を考える際にも、各年金間の共通項であります基礎年金というものが導入できていなければなかなか救済策そのものも考えにくいという事情にあるわけでございまして、この年金法案成立することによっていよいよ本格的に国鉄問題に取りかかることができる、そういう状況になると思いますので、御理解を願いたいと思います。
  35. 島田琢郎

    島田委員 私は、国鉄共済赤字財政措置するのか年金でするのか、その点がこの審議のポイントだと思っているから再三聞くわけです。そうでないと、今厚生大臣は全的統一、そういうニュアンスお話をされた。ところが農林大臣は、よくはわからぬが、農林年金としては国鉄の赤字までしょうのは嫌だという趣旨の御答弁をされたと僕は受け取った。これ全然ばらばらでしょう。この重要な共済年金法の改正を議論するのには極めて政府考え方があいまいでよくわからない。ここを解明をしてくれる、そういう姿勢がない限り私はこれ以上審議を続けることができませんから、これを保留したいと思います。
  36. 増岡博之

    増岡国務大臣 私個人の考え方でございますけれども、(発言する者あり)私個人ということはもちろん厚生大臣としてお答えしておるわけでございます。政府統一見解までになっていないという趣旨のものでございますけれども、国鉄の赤字を支えるといいましても、その赤字の中にいろいろな種類の問題がございます。その中の一番大きい金額については、分割後の旧国鉄負担するという、そういう追加費用の問題がございます。これが一番大きな課題であろうと思います。よく言われておりますことに、国鉄共済を助けるならば身ぎれいにしてこなければいかぬよということをよく言われますけれども、それはそういう意味のことであろうと思います。旧国鉄負担をするということは、それができる財源があるかないかということも含めて、旧国鉄に付与されます財産、そういうものも検討してみないとはっきり負担ができると言うことができないと思います。  ただ、一般的に言いまして、そういう古い傷は国民全部でその負担を行って、今後の問題としてはお互いに助け合うことを公的年金全体の中でやっていこう、そういう考え方で今私はおるわけでございます。
  37. 島田琢郎

    島田委員 そうしたら、今の、全部で負担をしていこうという考えだ、これは厚生大臣のお考えですか、それとも政府の統一した考え方ですか。  その前に農林大臣、今の農林年金でお引き受けになりますか。
  38. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 お答えを、いたします。  先ほどと同じようなことでございますが、大臣とすれば、結局、関係者の意向とか理解に十分配慮しつつ慎重に対処してまいりたい、こういうことでございます。
  39. 島田琢郎

    島田委員 大臣は、おれは嫌だと言ったんですよ。厚生大臣の個人的な見解、こう私は受けとめたとしても、ほら、隣に座っている農林大臣だって、おれは嫌だと言っている。政府部内は統一されていないということでしょう。統一するまで私の質問はここで保留にしたい。
  40. 増岡博之

    増岡国務大臣 農水大臣が慎重に対処するとおっしゃったのは、国鉄共済年金におきましての過去のいろいろな債務状況がどうなるか、あるいはまたこれからお互いに助け合う場合のお互いの条件はどうかということがまだ明らかでありませんから慎重に対処なさるとおっしゃったわけでありまして、私どもも、そういうことの点についての合意ができるように、そういう姿で全年金で支えていこうということでありますので、別段差異はないというふうに思っております。(発言する者あり)
  41. 今井勇

    今井委員長 速記をとめて。     〔速記中止〕
  42. 今井勇

    今井委員長 速記を起こして。  この際、暫時休憩いたします。午後一時五十分休憩      ————◇—————〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕      ————◇—————