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島田委員 私は、今度の
年金の
改正に当たっての基本的な
認識というのは次のように
考えているのですよ。もしもお
考えを別にするのであれば後はとおっしゃっていただきたいが、
一つは、七十年
年金統合を目指す新たな
出発点でしょう。これはもう位置づけとしては変わっていないと思う。その
一つは、
厚生大臣が言われているように、
基礎年金制度の
導入、
縦割りに
横割りを入れた
基礎年金制度を
導入していく。このね
らいは何かというと、
年金水準を切り下げるということでしょう。それで
保険料負担をふやしていくということですね。そしてまた、
支給開始年齢を六十五歳に引き上げていく、こういうものが明らかに今度の
法改正の中では、
農林年金も含めて出ているんですね。
これは、先ほどから
お話がありますように、急激な
高齢化と
年金成熟化という問題、そこをとらえているようでありますが、しかし、こんなことはきのうきょうわかったのではなくて、もうとうの昔にわかっているわけですね。
我が国はやがて
高齢化社会に向かっていくだろう、それに伴って
年金は急速に成熟化していくであろう、わかっていたわけです。今わかったからやるんじゃないのですね。そして、こうした直接の動機というのは、
国民年金が危機に直面した、これを立て直していかなければならないというところから始まったと見ます。
同時にまた、
国鉄問題が
俎上に上がってきました。膨大な
財政赤字を抱えた
国鉄の
再建が急がれる、これも私は同感であります。ところが、その中には既に成熟化してしまって
抜き差しならない
財政の状態を抱えた
国鉄共済、これをどう
救済していくかというのが
大変緊急課題となっているわけですね。ですから、この
国鉄共済の
救済ができるかできないかが、
厚生大臣がおっしゃっているように
公的年金一元化、
高齢化社会に向かっての
年金制度の新たな
展望をする場合の重要な足がかり、そして解決を図っていかなければならないワンステップなんですね。
これを
抜きにして、今ぼつぼつ出ている
年金を
一つずつ
改正して、来年の四月一日から
実施に移す
段階で
云々などと言われることでは、
年金改正のいわゆる
整合性というものを既に初手から、
出発点から欠いていると私は思うのです。その
考え方の中には欠落していると思うのです。ですから、こういう
認識をきちっと持って進みませんといかぬと思うのです。
そのほかにいろいろありますよ。例えば四十八年の秋に襲いました
狂乱物価の
年金積立金の急激な月減りとか、いろいろなそういう
年金財政の問題なども大きくさま変わりしてきていることも事実であります。
そう
考えてまいりますと、私は、単に
農林年金だけを農林省がお
考えになっているような
考え方で
改正するというだけでは済まない問題がいっぱい出てきている。そしてまた、そこにね
らいを置いて
厚生年金、
国民年金の
改正が行われた、こういうことですね。しかし、
国鉄共済の
救済が急がれると言いながら、この
共済制度を
国家公務員年金、
国公年金に依存して今
再建を図ろうと
考えておられるようですが、現実はそんなたやすくいかないということはもう衆目の認めるところです。このままほっておいては
国鉄共済はどうにもならなくなる。いや、
国鉄共済ばかりではない、
国鉄共済に今
財政調整で協力しているところもおかしくなる。
本家本元もおかしくなるということは識者の一致した指摘でしょう。
そこのところを
抜きにして、単なる
農林年金だけを
改正していってこの
閣議が
決定した目的に達することができるかどうか甚だ疑問なんですが、私の
考え方に対して反論があるならば、この際お伺いをしたいと思うのです。
厚生大臣、いかがですか。