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1985-11-26 第103回国会 衆議院 内閣委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十六日(火曜日)     午前十時二十分開議 出席委員   委員長 中島源太郎君    理事 石川 要三君 理事 戸塚 進也君    理事 深谷 隆司君 理事 宮下 創平君    理事 小川 仁一君 理事 元信  堯君    理事 市川 雄一君 理事 和田 一仁君       池田 行彦君    石原健太郎君       糸山英太郎君    内海 英男君       鍵田忠三郎君    菊池福治郎君       塩川正十郎君    月原 茂皓君       中村喜四郎君    二階 俊博君       堀内 光雄君    上原 康助君       角屋堅次郎君    新村 勝雄君       松浦 利尚君    松前  仰君       村山 富市君    山中 末治君       山本 政弘君    鈴切 康雄君       日笠 勝之君    田中 慶秋君       永江 一仁君    柴田 睦夫君       三浦  久君  出席国務大臣         内閣総理大臣  中曽根康弘君         郵 政 大 臣 左藤  恵君         建 設 大 臣 木部 佳昭君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      金子 一平君  出席政府委員         内閣官房内閣審         議室長     的場 順三君         内閣審議官   海野 恒男君         内閣法制局第一         部長      工藤 敦夫君         内閣法制局第二         部長      大森 政輔君         総務庁長官官房         審議官     百崎  英君         総務庁長官官房         審議官     米倉  輝君         総務庁行政管理         局長      古橋源六郎君         総務庁行政監察         局長      竹村  晟君         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁国民         生活局長    横溝 雅夫君         科学技術庁研究         調整局長    内田 勇夫君         沖縄開発庁総務         局長      小谷 宏三君         外務省北米局長 藤井 宏昭君         外務省欧亜局長 西山 健彦君         外務省経済局長 国広 道彦君         外務省経済局次         長       池田 廸彦君         外務省国際連合         局長      中平  立君         外務省情報調査         局長      渡辺 幸治君         大蔵大臣官房総         務審議官    北村 恭二君         大蔵大臣官房審         議官      亀井 敬之君         大蔵省主計局次         長       小粥 正巳君         大蔵省関税局長 佐藤 光夫君         大蔵省国際金融         局長      行天 豊雄君         厚生省生活衛生         局長      北川 定謙君         通商産業大臣官         房審議官    松尾 邦彦君         通商産業省通商         政策局次長   鈴木 直道君         通商産業省機械         情報産業局次長 棚橋 祐治君         資源エネルギー         庁長官官房審議         官       逢坂 国一君         中小企業庁長官 木下 博生君         郵政省電気通信         局長      澤田 茂生君         建設省住宅局長 渡辺  尚君         消防庁次長   井上 孝男君  委員外出席者         経済企画庁調査         局内国調査第一         課長      加藤  雅君         資源エネルギー         庁公益事業部計         画課長     林  昭彦君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君     ————————————— 委員の異動 十一月二十六日  辞任         補欠選任   綿貫 民輔君     糸山英太郎君   嶋崎  譲君     松浦 利尚君   新村 勝雄君     松前  仰君   山本 政弘君     村山 富市君   田中 慶秋君     永江 一仁君 同日  辞任         補欠選任   糸山英太郎君     綿貫 民輔君   松浦 利尚君     嶋崎  譲君   松前  仰君     新村 勝雄君   村山 富市君     山中 末治君   永江 一仁君     田中 慶秋君 同日  辞任         補欠選任   山中 末治君     山本 政弘君     ————————————— 本日の会議に付した案件  許可認可等民間活動に係る規制整理及び合  理化に関する法律案内閣提出第一号)      ————◇—————
  2. 中島源太郎

    ○中島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浦利尚君。
  3. 松浦利尚

    松浦委員 時間が限られておりますから、とんとんと質問をさせていただきます。  実は、ここに昭和六十年度版の経済企画庁調査局が出しました「日本経済現況」という立派な冊子があるわけですが、その中の百四十ページ、これによりますと「昭和五十九年十一月三十日現在で効力を有する法律約千五百十のうち、規制法律は二百二十一(一四・六%)となっている。」それから「政府規制分野GNPに占めるウェイト産業連関表によりみると、五十五年度は五三・三%、さらに政府規制の強い分野ウェイトは二五・〇%となっている。」こう例示されておるわけです。  御承知のように、一九七九年のOECD理事会勧告にもありますように、昭和五十五年代から、この規制は緩和すべきであるというのが世界の趨勢だったわけです。予算委員会で、それでは現在どのような比率になるのかという質問をいたしましたら、政府は答弁ができなかったのですね。幸いここに数字が挙げられていますから、この法律が通りますとこの数字はどのように変化をするのか、具体的に教えていただきたいと思うのです。
  4. 加藤雅

    加藤説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘昭和六十年度日本経済現況」に掲載されております政府規制分野ウエート推移という計算は、産業連関表を用いまして、日本経済全体における政府規制分野ウエートをかなり大まかに、大胆な仮定を置きまして計算したものでございます。したがいまして、この結果というのはかなりの幅を持って解釈していただきたいと思うわけでございまして、御指摘のような形で、今回のこの法律に伴います規制撤廃効果というものは、このような手法でございますとなかなか計算することが難しい、かように考える次第でございます。
  5. 松浦利尚

    松浦委員 結局、肝心かなめのところが抜けて、各省庁が適当に自分の権益を守れるものは守って、そしてぱっと、例えばタクシーの運転者の免許では本籍の届け出をしなくてもいいとか、そういうことをしておる程度でして、具体的なOECD勧告に伴った形というのはこの数字の中にあらわれてこないのですね。今年十月十五日にアクションプログラム経済摩擦を解消するための経済政策を打ち出す、あるいは合理化をして規制を緩和する、そういったことを政策的に打ち出しておきながら、この法案の目的というのは定かでない。この法案を通して一体どれだけの効果があるのか、私は非常に疑問に思うのです。何も通さなくてもいいような法案だという感じがするのですね。肝心かなめのところは省令、政令で皆いってしまうわけですからね。  私は、今から具体的にお尋ねをさせていただくのですが、当面、何といっても最大の焦点は現状進行している円レートの問題だと思うのですね。昨日の東京市場における最高値は一ドル百九十九円八十銭と一度二百円を割り込んだ状況ですね。ですから問題は、我が国経済運営の対応がおくれますと、この法律を通すこと自体では大したことないと思うのですが、それなり効果があるとしても、それ以上にしなければならぬことが今たくさんあると思うのです。その幾つかをお尋ねさせていただきたいと思うのです。  経済企画庁長官お尋ねしますが、この前の委員会でも長官とは時間がなくて議論半ばで終わったわけですが、「世界経済レポート」が六十年八月に調査局から出されておるわけですね。この八十六ページを見ますと「主要国購買力平価」が出ているわけです。ちょうど円が二百六十円の段階においてドルと円との購買力平価がグラフしてあるのですが、これで見ますと大体四十円、ドルが高い。ですから、この二百六十円が二百二十円台におりできますと、この表でいった限り購買力平価はバランスするわけです。ですから、今進行しておる円高が、この調査時点では二百二十円にくることによって購買力平価がバランスするという数字が出されておるわけです。もう一方では、九十ページに「主要国アメリカコスト比較」が出されておるわけです。これも繰り返しになりますが、例えば日本アメリカを対比した場合、一九八〇年のエネルギーコストアメリカ一〇〇に対して二四三、資本コストアメリカ一〇〇に対して九〇、労働コストアメリカ一〇〇に対して日本が七九、製造コストアメリカ一〇〇に対して日本人八となっておったのですが、これが一九八四年になりますと、エネルギーコストアメリカ一〇〇に対して一七八、資本コストアメリカ一〇〇に対して我が国は九六、労働コストアメリカ一〇〇に対して六〇、製造コストアメリカ一〇〇に対して七一。イギリス西ドイツアメリカと対比してみますと、これはほとんど製造コストも類似しておる。我が国だけが製造コストアメリカに比べて三割安いわけです。これをG5前の九月二十二日以前の円レートの二百四十二円に換算いたしますと、大体三割、製造コストが安いわけですから、この二百四十二円で計算いたしますと、円が百七十円になってアメリカ製造コストと見合う。確かに生産性関係もありますからイコールでは計算できないにしても、明らかに、今日の経済摩擦あるいはアメリカと違った内需の不活発、個人消費停滞、こういったところは、この表から見る限り労働コストが余りにも低過ぎるので、内需拡大には少なくとももう少し可処分所得をふやす、平たく言えばもう少し賃金をふやす、そういう政策が伴っていかなければ、ただ円レートを直す、ドル高を直すということだけでは解決しない。逆に言うなら、内需が金利高等もあって停滞をして結果的にデフレという状況を引き起こしてくる。そういった点についてどのようにお考えになるのか、我が国アメリカとの賃金製造コストから見てどのようにお考えになるのか、これでいいのかどうか、その点を長官にもう一遍お聞かせいただきたいと思うのです。
  6. 金子一平

    金子国務大臣 賃金、特に民間賃金の問題につきましては、従来から、労使双方の話し合いで自主的に解決してもらう立場であることは御承知のとおりでございます。  今御指摘になりました経済企画庁調査の結果でございますが、これは為替レートとり方いかんによって変わってくるのですけれども、五十九年の製造業生産労働者の一時間当たりの賃金は、日本を一〇〇としてアメリカは一六九となっております。しかし、この時点でも、西ドイツ日本と大体同じ、イギリスはむしろ日本よりも低い、フランスはさらに大幅に低いというような状況でございまして、賃金だけが経済摩擦の大きな原因と必ずしも決めつけるわけにはいくまいと思うのであります。為替レートとり方いかんによってこの点はまた違ってくることを申し上げておきたいと思うのでありまして、五十九年の為替レートを一ドル二百三十八円程度、まあ二百円で試算いたしますと、この格差はさらに大幅に縮まってきておるということだけを申し上げておきたいと存じます。
  7. 松浦利尚

    松浦委員 今長官がお話しになりましたけれども、この資料をつくったときは現実にG5前ですからね。しかし、一応G5後、二百四十二円で計算したら百七十円になりますよ。数字的なとりようにもよるでしょうが、単純計算をしますと百七十円。そうすると、逆に言うと、今は円がずっと強くなってきています、ですからそのことで計算すれば大体見合ってくるじゃないかという御指摘ですけれども、百七十円近くにいかなければ労働コストアメリカと均衡しないですよ。仮に百七十円という為替レート状況になったら、日本の輸出あるいは日本経済は壊滅的な状況になるので、そういうことは長官も恐らく考えておられぬと思うのです。いずれにしても、今のままでほっておきますとこういう状況になる。  私がなぜそういうことを言うかというと、春闘とか何かが来ますと、稲山さんたちは、賃金を上げるな、賃金を上げるなということを盛んに言うでしょう。しかし、賃金を上げるな、上げるなど言って一方的に賃金を抑え込みますと、貿易摩擦は直らないのです。逆に言うと、余りにも行き過ぎてくると、円レートばかりに力を寄せて為替レートだけで調整しようとすると、内需が不活発になるでしょう。ですから、そういった意味では、どこに均衡を求めるかという調整がもう既に必要じゃないかと私は思う。その重要な分野として賃金というものも当然考えられるべきじゃないか、これを抜きにしては考えられないのじゃないか、そのことを私は申し上げておるのですが、どうでしょうか。
  8. 赤羽隆夫

    赤羽政府委員 私から少し補足して御説明申し上げます。  購買力平価計算をしまして百七十幾らという計算は、私ども調査局でやったものでございますけれども、まず賃金コスト、これは製造工業コストということになりますが、日本貿易構造考えてみますと、加工貿易立国ということになるわけです。つまり資源がない国である。したがって加工貿易によって黒字を稼いでそれを使って資源を輸入する。さらに、サービス貿易においても恒常的な赤字状態ということでございます。したがいまして、工業製品収支においては黒字が稼げなければ全体の国際収支構造赤字になってしまうということでありますから、製造工業コスト比較だけで、このコストアメリカ一緒になる、資源のたくさんある国であります。アメリカ一緒にする、あるいはそうした他の国と一緒にならなければならない、こういうことではむしろ日本経済が成り立っていかない面があろうかと思います。したがいまして、製造工業コスト比較だけですることはそれなりの問題があると考えます。  それともう一つは、先ほど大臣が御説明になりましたけれども賃金コストが七割であるというのは、二百四十円ぐらいの為替レートとの関係でそうなるということは、むしろアメリカ為替レートが高過ぎるからである、ドル経済実力以上、アメリカ産業実力以上の独歩高になっておる、こういう面から考えてそういうことを指摘しているというふうに理解しております。物事は相対的に見なければいけないということではないかと思います。  いずれにいたしましても、そういうことを前提にして考えるべきだと思いますので、その点を補足させていただきたいと思います。
  9. 松浦利尚

    松浦委員 今、私は賃金面からとらえてお話を申し上げたのです。事実、賃金抜きにしては考えられないのです。私が言うのがそれがすべてではないのですが、当然為替という問題も出てくるだろうし、あるいはその他公共事業の問題とか民活の問題とかいろいろあります。しかし、その中の一つであることは事実でしょう。そのことを指摘しておるのです。これをたまたまいただいたから、単純に賃金分野だけから見ておるということなんです。  さらに、ほかの面でお話させていただきたいと思うのです。  野村證券の「ボンド&マネー」の「東京市場」のところで、「円高日本経済への影響」ということで試算をしておるのです。これはいろいろなインプットするデータによって結果が違ってきますけれども現状のようにアメリカ景気はダウンする、アメリカ景気は下落、減速するということを一応前提にいたしまして、G5前と後の試算をしている。この七ページでは、G5後の八六年度平均の円の対ドルレートが仮に二百三円ということで試算しておるのです。そうすると、八六年度名目成長は〇・九%ダウンするというのです。そうしますと、あの「八〇年代の経済の指針と展望」によりますと、一応毎年の経済成長は四%程度というふうに政府はしております。これを単純に計算させていただきますとどうなるかといいますと、今年度が三百十四兆六千億、これに四%成長ですから四%成長を見込みますと約三百二十兆、ですから来年度GNPは三百三十兆という計算になるはずです。ところが、仮にこの野村證券の、野村総研でありますけれども、二百三円で来年度成長が〇・九%ダウンするということになりますと、来年度は当初の見通しよりも三兆円不足するのですよ。ですから、三兆円不足するということになれば、ただ単に民活だけで三兆円のGNPを維持するということ、四%の成長を維持するということは不可能に近いですね。そうすると当然ここで、来年度財政出動ということで少なくとも一兆円の公共投資をやれば、波及効果を見て三兆円程度GNPは見込まれるわけですから、そういった手だてというのは現在政府で具体的に考えられておるのかどうか、この円高という傾向をにらんで。円高が二百円台で定着をする、そういった場合にはこういう計算になるぞということは野村総研から出されているわけですから、そういったものについての長官の感想、そしてこういう状況に対して財政出動はあるのかないのか、その点をひとつお聞かせください。
  10. 金子一平

    金子国務大臣 円高デフレ効果が一体どういうような状況になるのか、これはまだ数字的に、計量的につかめる段階には行っておりません。  野村総研試算一つ試算であろうと思うのでございますが、政府部内として、来年度経済円高がどういう影響を及ぼすかということは、これからしっかりと円高定着状況等を見きわめながら考えていかなければいかぬことでございます。仮にデフレがある程度日本経済を襲うというようなことになりました場合の経済対策につきましては、これは松浦さんと同じように、私ども必要な対策だけは打っていかなければいかぬという気持ちを持っておりますので、どういう具体的な手を打つかなんということはまだ議論できる段階ではございませんけれども、必要な手を打ってまいりたいという気持ちで今検討しておる最中であることだけは申し上げておきたいと思います。
  11. 松浦利尚

    松浦委員 十月十五日に内需拡大プログラムを出されたのですが、この中で住宅等貸付枠を二万戸追加をする、あるいは住宅金融公庫特別割り増し貸付住宅実施、合計で五千億円の需要拡大をねらっておるというふうに出されておるのです。  建設省から住宅局長おいでになっておると思うのですが、昨年度推移はどうなっておるのか、そして現状はどうなのか、それぞれちょっとお聞かせください。簡単で結構です。私がいただいた数字では約一八%程度ダウンしておるという数字なんですが、どうでしょう。
  12. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 住宅金融公庫個人住宅募集状況だと思いますが、今年度の上半期、二回まででございますけれども受け付け戸数は十六万五千戸でございまして、募集戸数十四万三千戸に対して一六%上回っております。いわゆる申し込み辞退というのも発生すると見込まれますが、おおむね計画どおり行っております。
  13. 松浦利尚

    松浦委員 新設住宅着工戸数はどうですか。
  14. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 昨年の、五十九年の新設着工戸数は百二十万七千戸でございます。それに対しまして、ことしの累計はまだ六十三万三千戸ですが、同期に比べまして去年よりは一・八%増という状況になっております。ただ五十五年以降、毎年百十万戸から百二十万戸という程度の水準で推移しておりまして、特に持ち家と分譲住宅の計でございますけれども昭和五十五年度の八十九万戸から昭和五十九年度には七十万戸というふうに減少をしております。
  15. 松浦利尚

    松浦委員 経済企画庁長官お尋ねをしておくのですが、ただ住宅を建てるということ、あるいは融資枠をふやすということだけでは住宅は建たないのですね。やはり内需を喚起するという意味では、私は、住宅減税というのは当然政策の中に織り込まれてしかるべきだと思うのですね。大変失礼な言い方ですが、中曽根総理経済政策研究会に参加をしておる人たちの中で、「日本政策風土の大きな欠陥は、政策目標を掲げることが政策だと理解」している、具体的なものがないのですね。そのことを指摘をしておるわけです。そういった意味では、やはり来年度の目玉として住宅減税というのは当然経済担当大臣としては主張されてしかるべきだと思うのですが、どうなんでしょう。
  16. 金子一平

    金子国務大臣 松浦さん御指摘のとおりでございまして、せっかく融資をやる、何をやるといっても、やはりその裏づけをする住宅減税法案が成立しませんことには意味ございませんので、私どもは、住宅政策効果を万全にするための住宅減税をぜひ明年度実現したい。ちょうど今やっておる減税法は本年度で期限切れになるものですから、あるいはまた相続税関係法もあわせて一本でやりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  17. 松浦利尚

    松浦委員 さらに十月十五日のこれに電気事業ガス事業設備投資追加が約四千億と書いてあるのですね。ところが、これは急いで調べたので数字的に誤りがあるかもしれませんけれども、通産との打ち合わせができておりませんが、レーガン大統領が来られましたときに、昭和五十八年十月二十一日に経済摩擦対策として総合経済対策を打ち出されまして、当初ガス電力等設備投資計画三兆五千七百億円に六千二百億円——千百億円の繰り上げ発注新規追加の五千百億、合わせて六千二百億を組み込んだのでありますが、実際的には当初の計画以下の三兆四千四百億円だったというふうに試算をされて、政府総合経済対策としては、数字は挙げたけれども結果は全くそうでなかったという試算が出ておるのです。課長さんおいでになっているそうですが、どうでしょうか。簡単にお答えください。
  18. 林昭彦

    林説明員 お答え申し上げます。  御指摘のように、五十八年度景気対策追加発注というのが六千二百億程度でございましたが、これを当初の計画に足し合わせましたものに比べて、実績は非常に大幅に当初計画額を下回っていたということでございます。  これは、このときの繰り上げ発注というのは、発注時期につきましてこの景気対策要請を踏まえまして極力前倒しにしたということでございまして、これは景気対策としてそれなりにワークしたというふうに私ども考えております。  ただ、現実設備投資につきましては、電源開発におきます地元調整というような問題もございまして、毎年度、当初の予定値実績値とに相当の乖離がございます。五十八年の場合も、特に電源開発地元調整というのが必ずしも円滑にいかなかったということでございます。  今回の内需拡大策につきましては、送配電線高度化とか保安対策の強化とかいうようなものを中心に、追加的な設備投資ということを要請しているものでございまして、電力業界におきましてもガス業界におきましても、今回の要請の趣旨を踏まえましてその着実な実施に努めるものというふうに私ども期待をしておるところでございます。
  19. 松浦利尚

    松浦委員 期待をするということでは前に進まないのですよね。数字を合わすことはできるけれども、その実現を図るための政策がそれに付随をしていかないのだから。例えば住宅戸数をふやすなら住宅が建つように政策をつくってやらなければならぬ。住宅減税をするとかですね。  これは牧野さん、経済政策研究会の会長さんですけれども、この人が何と言っておるかというと、民間資本というのは適正利潤を前提とするものであり、これが満たされることが課題だ、こう言っておるのですよね。民間資金の導入には利潤の見通しが必要である、民間資金のみで公共的事業を推進することは難しいと言っているのですよ。これは「経団連月報」です。結局、数字を羅列してもこれを実現するための政策というものを出さないものだから、ですからアメリカあたりでは、この数字を見てこれだけ内需が拡大するだろうと思っておったら、結果的にはそのときだけであって、またぞろ日本は言葉だけだ、こういうふうに言って批判が集中してくる。ですから、このことを民活民活と仮に言われるとするなら、その民活が動くような何らかの方法をしてあげなければいかぬ。そういうことについては長官、どのようにお考えになっておられるのですか。ただ民活民活と言っておれば民活は動くものでしょうか。
  20. 金子一平

    金子国務大臣 ただいまの御指摘の電力会社の設備投資につきましては、これは通産省、特にエネ庁が中心になりまして関係電力会社とも話し合いの上、例えば現在街頭に出ておる電柱を全部地下に埋めるというような、そういう具体的な話をしての計算設備投資の額が出ておると私どもは了承しておるわけでございまして、これはもう決して羊頭狗肉のたぐいではないと申し上げていいかと思います。
  21. 松浦利尚

    松浦委員 そういう言葉のやりとりじゃないのですよね。やはり今一番大切なことは、いかにして内需を拡大をするかということが中心の議論でしょう。ですから、羊頭狗肉だとかなんとかという意味じゃなくて、本当にやれるなら結果は数字的に出ますから、しかし五十八年度状況がそういう状況だったのですよ。そういう中でこういうふうに数字を出してみて、本当に内需が進むのでしょうか。その点に非常に疑問を感ずるから実は長官お尋ねをしたのです。  そこで、現実の問題としては、御承知のように、先ほど申し上げましたように円がもう二百円を割るか割らぬかという際どいところに来ておるのですね。これがどのあたりで定着するかというのは非常に大きな問題だと思うのです。ところが、大きな企業は確かに二百円前後で価格競争に耐え得るかもしれませんけれども現実に二百二十円を割り込んでしまったら、もう既に輸出中心の中小零細企業はどうにもならない。政府はそれに対して緊急融資等行うということは言っておられますけれどもね。今政府がとろうとしておる政策は一体どういう方向に進もうとしておるのか。  例えばここに、「野村週報」にこういうことが書いてあるのですね。米のウォールストリート・ジャーナル誌が今回の日銀の市場介入を評して腹切り介入だ、こう言ったというのですね。内需を拡大をしなければならぬときに金利を高いところに誘導する、プライムレートを〇・五引き上げる。確かにアメリカの金利が高いわけですから、金利を引き下げるとアメリカにどんどんと資本が流出してしまう。そういう意味では引き下げのタイミングを考えておるかとも、こう言われておるのですけれども、実質的には円高デフレという問題が何かそこはかとなく不安に感じられるのですね。まさにこれが、指摘しておるように、こういう状況は腹切りであるかもしれぬのです、民間の資金需要を吸い上げておるわけですから。  だから、そういった意味では、一体この円高をどのようにして国内の経済に生かそうとしておるのか。口では内需を拡大をすると言うけれども政策的なものはそれに付随して出てこない。大蔵大臣は、財政出動はないのだ、こう言っておられる。しかし、現実には、もう目の前に危機ラインというのが中小企業では来ておる。そういう点についてトータル的にどのようにこれからの経済運営をされようとするのか、円高をどのようにしようとしておられるのか。その点について、もう時間がありませんけれども長官の方から経済運営についての御見解を承りたいと思うのです。
  22. 金子一平

    金子国務大臣 円高がどの程度定着するか、まだ見通しは立っておりませんけれども、今まで通貨当局がとりました円高誘導策は、やはり日米の金利差を極力縮めることによって日本の資金の対米流出を抑える意味において、これは一番大きな黒字減らしの対策になるという意味で強力に推し進めたものと考えておるわけでございます。ただ一遍に、ことし、来年の初めにすぐ黒字が減るわけではございませんけれども円高がある程度定着ドルが下がらないことには、今問題の貿易摩擦の基本的な解消にはなりませんから、これは必要な措置であると我々は考えておるわけでございますが、ただ、急激な円高と申しますか、それが進むことによって中小企業にある程度影響を及ぼしてくる、こういう点を考えますと、円高誘導策は、これからの定着状況を見ながら、恐らく通貨当局といたしましても、微調整というか必要な調整策をとっていくのではないかと思います。これは日銀自体の判断の問題でございまするから、私ども簡単に、こうしたらああしたらと言うわけにはまいりませんけれども、十分そういうことを念頭に置きながら必要な手を打っておると思っております。  それから、我が方といたしましては、円高による中小企業の被害を受けた面に対する救済策でございますが、これからまた年末を控えていろいろな問題も出てまいりまするので、通産省を中心に、年末融資の問題はもちろんでございますけれども円高による被害の救済融資の問題、あるいは場合によっては事業転換の措置、古い債務の措置の問題等についての必要な一連の対策を今検討していただいておる最中とお考えいただいて結構でございます。
  23. 松浦利尚

    松浦委員 それはいつごろ最終的に結論を出されるのですか。もう年末は目の前です。いつごろそれが出るのですか。
  24. 金子一平

    金子国務大臣 それは早急にやっておる。場合によれば、初めは円高の被害がもう少し先になるかというような考え方もあったようでございまするけれども、だんだんと各地の情勢を判断するにつれて、一刻も早くそういった必要な措置をまとめて発表しなきゃいかぬというような状況になりつつございますので、案外に早い時期に必要な対策を発表することになろうかと思います。
  25. 松浦利尚

    松浦委員 確かに金融政策そのものは日銀によって配慮されるでしょうが、経済政策長官でございますので、誤りのないようにぜひお願いをしたい。G5後の人為的につくられた急激な円高ですから、ぜひ政府に御協力をお願いしたいというふうに思っております。  もう時間が来ましたから最後ですが、後藤田長官お尋ねをするのですが、これもいつもいつも予算委員会等で問題になるのですが、実は国家行政組織法によって審議会等が各省庁に二百十四あるわけですよね。ところが、それ以外の私的諮問あるいは懇談会、そういったものが、一月二十五日予算委員会に提出されたときには四十五だったわけですよ。ところが十一月二十六日きょう現在では四十九になっているのですね。逆に四つふえておるわけです。しかもこれが、総理大臣の私的諮問機関やあるいは大蔵省とか厚生省とか郵政省、外務省、労働省、いろいろなところにあるのですね。これはどんなものでしょう。やはり大臣が趣味で、自分の好みで、前あったものを削って新しいものを入れる、また大臣が変わったら削ってまた入れる、自分の趣味がなんかのようにしてこういうものをつくりまして、そして何となくそこに逃げ込んで、これは有識者代表だからこれからの答申は正しいんだというような形で行政の前面にあらわれてくる、こういうのはちょっと改める必要があるのじゃないでしょうか。  そして、一体これはどこの所管になるのですかとお聞きしたら、回り回って、あっちでもない、こっちでもないとわあわあと回って、結局、お気の毒ですが長官のところに戻ってきたのですよ。そして、全部で幾らこれはお金を使われているのですかと聞いたら、どこも把握しておらないですね。各省庁が予備費やなんかで勝手に出しているのですね。これは必死になって各省庁に電話で問い合わせて、恐らくこれよりも多いと思うのですが、四十九件で一億一千五百十六万七千円使われているのですね。それは政府の全体の予算からいえば大したことないと言われるかもしれないけれども、世は行革と言って国民の皆さんに受益者負担を強制している段階ですからね。こういったものについてはある一定の規制が必要じゃないでしょうかね。  お気の毒ですけれども長官、各省庁のことだから余りおれは言えぬとお思いになるでしょうが、長官個人としてはどのようにこういう傾向をお考えになりますでしょうか。それをお聞かせいただいて、ぜひ改めてもらいたいということを申し上げて、ひとつ長官の御見解を承りたいと思います。
  26. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 この問題は、予算委員会初めそれぞれの委員会でしばしば皆様方から御批判を受けているところでございます。そういうことで、政府としましては、国会における御批判を素直に受けとめて、それらを腹に置きながら設置をしたり廃止をしたりあるいは運営をしていくものである、これは基本の考え方でございます。  同時に、私はしばしば申し上げておるのですが、それぞれの省庁で重要な方針を決めたいというときには、役人の立場だけ、つまり役所の窓からだけ世間を見てそういう方針を決めるよりは、やはり学識経験者であるとかいろいろな方から幅広く御意見を拝聴しながら、それを参考にして、そして役所自身としての腹構えを決めていくということは、むしろ行政運営の民主化という立場から見ても必ずしも非難さるべき筋合いのものではない、場合によればやってよろしい、私はこういう考え方を実は持っておるのです。  しかしながら、しばしば御批判があるように、とかく国家行政組織法の第八条機関、つもり審議会、この公的立場において、公の権威を持って一定の意見を出し、政府はそれを尊重義務を負うといった八条機関との混同がありはしないのか、これは厳に区別をして運営していかなければいかぬのではないかということ。それからまた、今御指摘のように世の中が急激に変わっておりますから、それに対応して政府としては重要な政策を時々刻々変えなければならぬということで、私はいわゆる私的研究会、懇談会、これの数が若干ふえることはやむを得ぬと思いますが、しかし同時に、要らざるものもあるわけですから、それらはスクラップ・アンド・ビルドできちんとやるべきであろう。現在の数は五十一でございます。特にまた、御指摘のようにこれが隠れみのになってはいけない、こう思います。したがって、私は、しばしば閣議等においても、これの適切な運用ということについて各省大臣に御意見を申し上げてお考えを願っておる。  私は、今日の状況は、御指摘のような御批判はあろうけれども、必ずしも御批判どおりでもないのではないか、それなりの役割は十分に果たしておる面がある、かように考えます。しかし、いずれにいたしましても、厳しい御意見がときどきあるわけでございますから、政府としてはそれらに十分耳を傾けて間違いのないようにしてまいりたい。なおかつ、また経費が一億そこそこかかっておるではないか、こういう批判でございますが、まさにそのとおりであろうと思いますが、これは既定予算の中の庁費で支弁をしておる。したがって、一つ一つの懇談会に多額の金が使われているということは絶対ございませんので、これはつけ加えて私からお答えをいたしておきたい、かように思うわけでございます。
  27. 松浦利尚

    松浦委員 私はこれで終わりますが、再度申し上げておきますけれども大臣の好みで自分に近い人を入れて、そして勝手に、それがあたかも国民の意見であるごとく行政の前面に出る、これはやめていただきたいと申し上げて、終わります。ありがとうございました。
  28. 中島源太郎

    ○中島委員長 村山富市君。
  29. 村山富市

    村山(富)委員 昨日も質問がありましたけれども、この一括法案というのは、提案者は総務庁長官ですね。それで、内容については各省がそれぞれ分かれておる、これは二十六の法律があるわけですから。一体この法律の責任はだれが持つのですか。何かあったときの法律の責任はだれが持つのですか。
  30. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 今回の一括法案は、社会、経済の活性化を図るという立場から、趣旨、目的が同じもの、そしてまた重要な政策変更、つまり個別の改正立法という形をとらなくてもいいといったようなものを取りまとめて、一覧的にわかりやすいといったようなことで一括法案として御審議を願っておるわけでございますから、ここへ提案をいたしました責任者は私でございます。ただ、これで国会でお認めを願えば、これはやはりそれぞれの所管省において責任を持ってそれによって実施をしていく、こういうことになろうかと思います。
  31. 村山富市

    村山(富)委員 これは昨日は連合審査がありましたけれども、この連合審査で各常任委員会のメンバーが来られて、そしてわずかな時間に質問をするというような形式の問題でなくて、私はやはり各省が責任を持つのなら各省の責任を持った常任委員会で専門的に審議をするというのが当然ではないかというふうに思いますが、時間がありませんからこれは意見だけ申し上げておきます。  そこで、具体的な内容についてお尋ねしたいと思うのですが、特に今度の規制の緩和等々と関連をして、消費者の安全確保と一番関係の深い消費生活用製品安全法、ガス事業法、それから消防法等について若干の質問をしたいと思うのです。  まず最初に、この三つの法律はいずれも自己認証制度を導入するということが改正の柱になっておるわけですね。そこで、自己認証というのは一体何なのか、この定義について御説明をいただきたいと思うのです。
  32. 海野恒男

    ○海野政府委員 自己認証制度の定義でございますけれども、必ずしも画一的な定義はございません。ISOという国際標準化機構の定義によりますと、単数もしくは複数の製造業者が、いかなる認証機関の監督を受けることなく、自己の責任においてその商品が基準に適合しているかどうかを責任を持って判定するのを自己認証制度というふうに、国際的な定義としてでき上がっております。  しかし、もう少し易しく申し上げれば、政府が任意もしくは強制規格をつくって、それを政府もしくは政府の委託する第三者機関が認証するのが政府認証、それから製造業者が自分のつくっている製品が規格に合っているかどうかを認証するのが自己認証制度、こういうふうに言っていいのではないかと思っております。
  33. 村山富市

    村山(富)委員 具体的にお聞きしたいと思うのですけれども、企業が自分のところでつくっている製造物について、その企業の責任において検査するということが一つありますね。それからもう一つは、業界が共同で何らかの検査機関をつくって、そして検査をするというようなことも現実にあると思うのです。それから、アメリカなんかの例を見ますと、営利を目的とした民間の会社が、検査専門にやっているような会社ができてやるといったような事例もありますね。まあ、これからそういうことは日本でも起こるかもしれませんけれども、こういうものをすべて含めて自己認証制度に含まれるのかどうか、そこら辺の解釈はどうですか。
  34. 海野恒男

    ○海野政府委員 政府もしくは政府の委託する第三者機関が認証する場合が政府認証、それから自分の企業内で認証もしくは第三者的民間の研究機関等に委託して、政府のいかなる監督も受けていない状況の中で認証する制度を自己認証ということで我々は解釈しておりますので、営利を目的とするものであっても、政府影響を受けていないものであれば自己認証というふうに私どもは解釈しております。
  35. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、今私が挙げた三つの事例を想定した場合、その三つとも全部自己認証の中に含まれると解釈していいのですか。
  36. 海野恒男

    ○海野政府委員 私どもはそういうふうに考えております。
  37. 村山富市

    村山(富)委員 きょうはもう時間がございませんから、意見を開陳するのではなくて、一応解釈の確認だけをしておきたいと思うのです。  次に、今回の法律の改正は、いずれもアクションプログラムに関連をして改正する事項ですね。そこでお尋ねしたいと思うのですが、製品安全法の特定製品八品目のうちで、特に外国から、現在の検定または工場登録あるいは型式承認等に対して緩和を求められている品目は一体どういう品目なのかということが第一。  それから、ガス事業法に関連をして、政令指定品目についてはどういうふうになっているか。  それから、消防法の検定十六品目がありますが、その十六品目の中で今度緩和を求められている品目はどういうものかということについてはっきりしてもらいたいと思うのです。
  38. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 最初のお尋ねの製品安全法関係で、海外からどのような具体的要求があるかという点でございますけれども、今回アクションプログラムの策定に当たりまして、具体的な品目を明示しての注文があったわけではございませんが、一般的に自己認証制度を広めるべきだ、市場開放を進めるべきだという声に対応して、今回私ども法律も措置することといたした次第でございます。
  39. 逢坂国一

    ○逢坂政府委員 ガス用品につきまして、外国等から基準その他の問題で特に項目を挙げて指摘を受けているものはございません。
  40. 井上孝男

    ○井上(孝)政府委員 消防用機械器具につきまして、特に外国からの要請はございません。今回の私どもの改正は、基準・認証に関する政府規制の緩和というような見地から主として進めておるものでございます。
  41. 村山富市

    村山(富)委員 時間がなくて残念ですけれども、次の質問に移ります。  自己認証制度については、外国の製品もこれは当然でしょうけれども、特に日本の企業の場合非常に閉鎖性が強い。したがって、自主的に行う検査が果たして公正にやれるかどうかということについては、大変消費者の皆さんは疑問に思っておるという節があると思いますね。やはり今まで事例があるわけですから。  特に、最近起こった事例を申し上げますと、皆さんも御案内のように金属バットの問題等がありますね。これをちょっと簡単に経過を振り返ってみますと、一九七五年に金属バットは製品安全法で特定製品になったわけです。ところが一九八三年に、これはアメリカから輸入をされるといったような事情もありまして、特定製品をSGマークに変えたわけですね。そしてこれが高校野球やら社会人野球なんかでどんどん使われるようになった。これはホームランがどんどん出るから歓迎して使うわけでしょう。ところが耐久性について、一万くらい打ったって大丈夫だ、こういったわけだけれども、実際には二千から二千五百打ては折損をする、こういうふうな事故が起きまして、不合格品が続出していく。それでいろいろ指導が行われてSGマークの張りかえをやったわけですね。改めて検査をして大丈夫なものにSGマークを張りかえた。ところが、張りかえたバットにまたやはり折損事故が起こるといったようなことがありまして、これはもう使用禁止にしたわけです。いろいろ調べてみますと、企業の方は、洗浄薬品が残って腐蝕して起こった事故なので、金属素材を変えたことが原因だというふうにも言われているわけですが、安全基準には素材の規制はないわけです。こういったような経過もあって一連のこういう事故が起こっているわけです。  これはやはりSマークからSGマークに変えた、そして今言う自己認証制度に変えたことによってある意味では起こった事故ではないか、こういうふうに思うのですが、こうした事例に対して、通産省ですかどこか知りませんけれども、一体どういう対策を講じていらっしゃったのですか。
  42. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生御指摘のように、金属バットにつきましては、五十八年にいわゆる特定製品の指定を解除して従来のSマークからSGマークに移行したわけでございますけれども、私どもといたしましては、ただいまお話のございましたような新しいSGマークのこともございましたが、特にことしの七月には特定のブランドのバットの折損事故が相次いで発生したものですから、直ちに関係者から事情を聞き、当該企業に早期回収等の指導を行いますとともに、製品安全協会に対しまして、立入検査の実施とかテストの実施等、原因究明を行うよう指示をいたしたわけでございます。これを受けまして、同協会の中に設置されました金属製バット基礎調査委員会におきまして事故原因について検討が行われました結果、折損事故の原因につきましては、先生お話がございましたように腐蝕があったということも一つの原因でございましたが、そのほかバットの握りの部分と球が当たる部分との中間部でございますいわゆるテーパー部というところの強度が弱かった、あるいはバットの伸び率が低下していたことなどの三つの要因が複合したものと考えられる旨の結論が得られたわけでございます。これを受けまして同協会におきましては、私どもの指導に基づき、この結論を踏まえて事故品のメーカーを含む金属製バット全メーカーに対しまして、問題となりましたテーパー部を中心とする強度設計の見直し、製造工程の再チェック、伸び率基準の厳守等の指示をいたしたわけでございます。  その後の対応といたしましては、同協会におきまして、引き続き金属製バットの試験方法のあり方あるいは伸び率低下の原因について検討を行っておりまして、その結果が得られ次第、早急に安全性に関する現行基準の見直しに着手したいということで準備をしているところでございます。
  43. 村山富市

    村山(富)委員 基準の見直しをするわけですね。  次に、同じく安全法の特定製品で、乳幼児用のベッドについても事故が起こっているわけですが、私はこの際聞いておきたいのですが、通産省に報告されている件数、事故の内容、何が原因で事故が起こったのか、この事故の原因等について御説明いただきたいと思うのです。簡単にやってください。
  44. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいまの御指摘の乳幼児用ベッドにつきましては、最近三年間、つまり五十七年から五十九年度で事故の件数は八件ございましたが、その中でも死亡事故が四件発生いたしております。この四件の中では特に、いわゆるネット式という乳幼児用ベッドを使用して、ネットとマットレスあるいは布団の間に乳児が挟まって窒息死するという事故が多かったわけでございます。そこで私どもといたしましては、迅速に事故原因の究明を行い、また製品安全協会におきましては損害賠償の手続も進められましたし、また事業者の方におきましても所要の製品回収、製品設計の改善、取扱説明書の変更なども行ったところでございます。  従来、この種の事故の防止策といたしましては、製品に添付されております取扱説明書におきまして、マットレスの大きさやかたさなどに関し使用上の注意を記載するということを行ってきたわけでございます。このような対応によりまして五十八年度まではこの種の事故はなかったのでございますが、しかしながら、最近のネット式の乳幼児用ベッドの使用状況、事故の原因などから、取扱説明書だけでは十分でないのではないかと考えられますため、現在ネットのたわみに関する基準を安全基準の中に追加するというようなことを含めて、その基準の見直しを検討いたしているところでございます。
  45. 村山富市

    村山(富)委員 これらも当然基準の見直しをすべきだと思うのです。  私は今二つの事例だけを申しましたけれども、こういう事例を踏まえた場合に、さっき答弁がありましたように、別に今特定製品についてアメリカから要請があったわけではない、しかもこういう事例が起こってきている、なのになぜ自己認証に切りかえなければならぬのか、こういう理由がちょっとわかりかねるのですが、それはどういうわけですか。
  46. 海野恒男

    ○海野政府委員 私どもが、今回のアクションプログラムにおきまして自己認証制を導入するということに踏み切りました基本的な考え方でございますが、二つあるかと思います。  一つは、政府日本の自由な市場の中にいろいろ介入し過ぎておるということが諸外国から見ますと日本の市場の閉鎖性もしくは不公平性につながるという観点から、できるだけ政府の干渉を減らす必要があるということがまず第一点。それからもう一つは、政府が介入することによって安全性が必ずしも保障されていない、むしろ自己認証制を導入することによって供給者の責任と義務を自覚させるという方向で進める、あるいは消費者に責任と選択を任せて、消費者にもう少し賢明な消費者になってもらうということを通じてより安全性が確保されるのではないか。今や政府、お上に頼るということよりも、そういう供給者の責任といったものをより自覚させることの方が必要である、そういう時期になっているのではないかという二つの考え方から、今回のアクションプログラムにこの自己認証制というのを導入することに決めたわけでございます。
  47. 村山富市

    村山(富)委員 今度の改正は特定製品を第一種と第二種に分けるわけですね。そうすると、もっと言えば、今Sマークのついている製品を第一種と二種と分ける、その基準は何ですか。  それからもう一つお尋ねしますけれども、これは確認だけすればいいのですが、さっきから説明がありますようにSマークとSGマークがあるわけですね。そして特定製品を第一種と第二種とに分ける。そうすると、第二種の製品についてはどういう表示がされるのですか。
  48. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 現行の特定製品のうちでどの品目を自己認証制が適用される第二種特定製品として指定するかにつきましては、今後、法律の規定に基づきまして製品安全及び家庭用品品質表示審議会に諮りまして決定していくことになるわけでございますけれども、具体的には私どもとしては次のような観点から総合的に勘案して第一種と第二種の区分がなされるものと考えております。  つまり第一には、当該製品につきまして安全性確保を図るために必要な製造技術の水準あるいはその製造技術の普及の度合い、第二には、当該製品につきまして安全性を確認するために必要な検査技術の水準あるいはその普及の度合い、さらには第三、当該製品に係る事故の発生状況推移及び現状というような、以上の三点を基本に、慎重に関係審議会に諮り決定してまいることになると存じております。  なお第二の御質問の、表示のさるべきマークが第一種と第二種でどのような関係になるかということでございますけれども、具体的には手続上、省令で定めることになっているわけでございますが、いずれにいたしましてもこの法律によります表示の目的、これはつまり表示を付された製品が安全基準に適合しているということを製品の流通、消費の各段階、販売事業者、一般消費者に周知することが目的でございますけれども、その目的、それから第一種、第二種の特定製品の確保されるべき安全性のレベルに差がないということなどを考えますと、基本的には第一種、第二種特定製品に付すべき表示の意匠に特別差異を設ける理由はないのではないかと考えますが、いずれにいたしましても、具体的にどのような表示をするのか今後さらによく検討いたしまして、実施の際までに結論を出したいと考えております。
  49. 村山富市

    村山(富)委員 そういう基準やら具体的な中身がわからなければ本当は審議のしようがない。時間がありませんから言いませんけれども、そういう点で一番皆さんが疑問を持ち不安を持っているわけですから、そこらが明確にならないと実際のところは審議のしようがないわけですよ。ですけれども、時間がありませんから次に移らせてもらいます。  政府は、今度のアクションプログラムの中で基準・認証の問題について四つ指摘しておるわけです。簡単に申しますが、「原則自由・例外制限」、「例外制限の内容も必要最小限のものに限定する」、「可能な限り消費者の選択と責任に委ねる」、「生産者の義務と責任についての自覚を促す」。私は、この四点の中で一番大事なのは四番目だと思うのですが、さっきから言っていますように、自覚を促すというだけではなまぬるいのではないか。これはいろいろ事例があるわけです。しかも「消費者の選択と責任に委ねる」という物の考え方は、ある意味から申しますと、安全性の確保に行政の責任がある、その責任を放棄するものではないかと言われても仕方がないのじゃないかと思うのです。行政として基準緩和をする限りにおいては、消費者に対してその責任は持つというぐらいのものが明確になければ行政の姿勢とは言えないと思うのです。  しかも諸外国の例を見ますと、時間がありませんから事例は詳しくは申しませんけれども、例えばアメリカなんかの場合は製造物責任の制度が確立されているわけです。ECにおいても製造物責任に関する指令案というものが採択をされて、そして各国々が三カ年で実行できるように制度を確立していくということも決められております。私は、ある意味からしますと企業が製造物に対して責任を持つというのはもう国際的な趨勢になっておると思うのですけれども日本でこうした制度をつくる意思はあるかないか、それをお尋ねします。
  50. 横溝雅夫

    ○横溝政府委員 今回のアクションプログラムに基づきます自己認証制度への移行と申しますのは、一斉に自己認証に移ったわけではございませんで、先生御案内のとおり限定的な事項について自己認証制度に移る方向を決めたわけでございます。その場合の考え方といたしましては、今もお話がございましたが、原則自由、例外制限という考え方のもとに、国民の生命、身体の安全を確保するということはやはり例外に入るということで、国民の安全ということは非常に重視して移行を図っておるわけでございます。そういう中でございますので、自己認証制度への移行に当たりましても、そういう観点で消費者保護に遺漏がないようにやっていきたいと存じております。  そういう中でも、御案内のとおり限定的でありましても、自己認証に移る場合責任が政府から企業の方に移る部分があうわけで、事業者の責任の自覚というのは非常に重要でございます。これは強く求めていきたいと考えております。また、それを担保するためのいろいろな方法をとるつもりでございます。  それから、製造物責任についての御質問でございますが、これは、先生おっしゃいましたようにアメリカでは一般化しておりますし、ECでも最近そういう方針を決めたということでございます。しかし他方、御存じのとおり現在の民法の体系では過失責任主義をとっているものですから、非常に民法の基本にかかわるものですから日本国ではいろいろ議論があるところでございます。方向としてはやはりそういうことも長期的には考えていく必要があると思いますので、製造物責任問題につきましては、そういう大きな問題がございますが、関係省庁と連絡をとりながら検討してまいりたいと存じます。
  51. 村山富市

    村山(富)委員 基準緩和をするためにはやはりその条件を整備する必要がある。その条件整備をする一つの柱として、企業の責任については自覚を促すというだけではなくて、何かあった場合にはちゃんと責任がありますよというぐらいの責任制度というものをきちっと確立する必要がある。これは日本の場合には裁判になじまないのですよ。だから裁判の事例というのは少ないです。アメリカなんかに行くとこういう事件が起こるともう必ず裁判になりますよ。件数が多いです。これは時間がありませんからもう質問しませんけれども日本の自動車がアメリカに行って事故を起こし訴訟になっている件数も大分ありますし、損害賠償を請求されておる額は新聞の報道によると五千億円ぐらいある。それで保険会社がもう再契約はしない、こういう事例も起こっておると聞いておりますけれども、こういう事例が起こるというのは、やはり日本の企業が、何か事故があったって保険が担保しているから心配ないんだ、こういうことで、こうなれば日本の信頼にもかかわる問題だ。だから、日本に製造物の責任をとるような制度があるかないかということは、ある意味からしますと日本の製品に対する信頼度にもかかわると思いますから、今答弁がございましたけれども、これはぜひひとつ前向きに検討してもらいたいと思いますね。  これは総括するのは総務庁長官ですから、この際長官考え方もひとつ聞いておきたいと思います。
  52. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 御指摘の製造物責任の明確化といいますか、これはやはり趨勢であろうと私は思います。したがって政府としては検討課題として受けとめておかなければならない、かように考えておるわけでございます。
  53. 村山富市

    村山(富)委員 今回は第一弾であって、このような規制緩和は次から次に続けられていくと思うのです。政府説明によりますと、要望事項に対応して規制緩和をする件数が二百件ぐらいあると言っていますね。この二百件の内容というのは全然わからぬわけですが、この内容は明らかにできますか。
  54. 竹村晟

    ○竹村政府委員 このたびの規制緩和の推進のために九月に閣議決定をしておりますが、その項目は二百五十八事項でございます。これは、今回御審議をいただいております法案のほか、政省令、通達等を含んだものであります。いずれも公的規制の緩和あるいは時代の変化によりまして不要となったものあるいは不合理となったもの、こういうものを是正するものでございます。
  55. 村山富市

    村山(富)委員 時間がないからあと二つだけ確認しますけれども、これから政令や省令をつくっていくわけですね。これは国民生活審議会の消費者政策部会でも、意見書の中で、規格・基準の作成の段階で消費者や関係者の意見を聞きなさいということが指摘されていますけれども、政令、省令をつくる段階で学識経験者や消費者の意見を聞く意思があるかどうか。この政策部会の意見書に対してどういうふうに対応していく考えかということが一つ。  それからもう一つは、今まではSマークで国が検査をやっておった。それが自己認証になればその分だけ仕事が減るわけですから予算が削減される。その予算は、国民生活センターや日本消費者協会あるいは各地で消費生活センター等が商品テストやら試買テストなんかをやっていますけれども、こうしたモニタリング制度というものをもう少し充実強化していくのに使うということも安全性を確保する一つの施策としてやはり大事なことではないかと思うのですが、こういうものに対して充実強化を図る考えがあるかないかを最後にお聞きします。
  56. 横溝雅夫

    ○横溝政府委員 先生御指摘になりました第一点の規格・基準の見直しに関しましては、「原案作成や審議会等での検討に際して消費者等関係者の意見聴取を行うなど透明性を確保」してくださいということを、国民生活審議会の消費者政策部会で去る七月十二日に御決定いただいておりまして、この決定は関係各省にお伝えいたしまして、その方向でやっていただくようにお願いしておるところでございます。審議会等によりましては消費者がメンバーになっていないところもあろうかと思いますし、審議会の性格上、学識経験者のみというところもあろうかと思いますけれども、審議会のメンバーでなくても、ほかの形ででも、消費者の意見を聞きあるいは消費者の理解を求めるということをやっていただきたいと考えております。  それから、第二点の商品テストをやるとか商品関係のモニターとか情報の提供、これはまさにおっしゃるように、こういう事態になった場合には、確かにマイナスシーリングで予算は厳しい中ではございますけれども、重要な施策の事項として、中央でも地方でもそれを充実していくよう私どもとしては推進していきたいと考えております。
  57. 村山富市

    村山(富)委員 時間ですから、質問を終わります。
  58. 中島源太郎

    ○中島委員長 松前仰君。
  59. 松前仰

    松前委員 私は、一括法案に係ります電波法の一部改正について御質問をさせていただきます。  最初に、細かいところを郵政省にお聞きしたいと思いますけれども、今度の電波法は第三十七条の型式検定、この部分についての改正ということが大きくうたわれておるわけでございます。この中でまずお伺いしたいのは、「郵政大臣が行う検定に相当する型式検定」、これについて既に合格している機器、合格と認められる機器、それと、「その他の機器であって郵政省令で定めるものを施設する場合は、この限りでない。」こういう言葉が書いてあります。この「その他の機器であって」という「その他の機器」というものは一体どういう機器を指すのか、お答えをいただきたい。
  60. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お答え申し上げます。  先生お尋ねの電波法三十七条の改正でございますが、三十七条自体は、郵政大臣の行う型式検定を受けたものでなければ設置してはならないという、義務型式検定の規定でございます。それで、今回改正をしようといたしますのは、外国で郵政大臣が検定を行うと同等以上の検定を既に受けたものについては改めて受けなくてもよろしいよということをしようという内容でございまして、今お尋ねの「その他の機器」につきましては、その基準、条件というものが郵政大臣の行う検定に相当すると認められる型式検定以外のテストがございますが、そういったものに合格したものについても同様に二重の検定を受けなくてもよろしい、こういう措置をとろうというものでございます。例えば運輸大臣がレーダーについて船舶安全法第六条ノ四で型式承認というのを行っておるわけでございますが、これにつきまして、この型式承認を受けたものについては、同じ機器、レーダーについて改めて郵政大臣の型式検定を受けなくてもいいという措置は現在も行っておるわけでございまして、そういったものを省令で規定をしよう、こういうことでございます。
  61. 松前仰

    松前委員 今「その他の機器」につきましてレーダーの例が出されたわけでありますけれども、これは恐らく省令で定めるわけだと思いますが、この省令で定める基準、検定に合格していなくても設置できる設備の基準をはっきりここで教えていただきたいと思います。
  62. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 現在、義務型式検定ということで六機種、法律で規定いたしております。これらにつきましては、そもそもが人命安全というような観点から、例えば海上における人命の安全のための国際条約というような、国際条約によりまして性能基準というようなものが定められておりまして、外国主管庁におきましても、型式検定を行ってそれに合格したものでなければ使ってはいけないというような条約になっているわけであります。したがいまして、今回型式検定をダブらさないようにしようということでございまして、型式検定を要しない基準というのは、その内容といたしましては、外国において、検定規則で定める型式検定に相当する型式検定に合格していると認められるもの、これについては郵政大臣の型式検定を要しないという内容にしようと考えているところでございます。
  63. 松前仰

    松前委員 省令の第四十号に型式検定規則があるわけなんですけれども、その二条の中に十二個の機器が書いてあります。気象援助局用無線設備から始まってテレビジョンに関係するものもありますが、その十二個の機器というのは、この型式検定について対象内なのか対象外なのか、その辺をちょっと……。
  64. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 今先生の御指摘のラジオゾンデ以下十二号までに掲げてございます機器については、これは言うならば委託によりまして、無線設備の性能検査とかその機能の型式承認を受けるという任意的なものでございまして、今回私どもの電波法の改正で対象にしようとしておりますのは、義務型式検定の対象になっているものということでございまして、この型式検定規則の二条の一号から十二号に該当する機器は、今回の措置の対象外であると御理解いただきたいと思います。
  65. 松前仰

    松前委員 先ほど外国で検定、チェックしたものを合格にするというお話がありましたけれども、外国での型式検定を受ける機器の検定合格条件は、今では省令第四十号第二章第三条の検定合格の基準というものがあるわけでありますが、別表というのがあるのですけれども、そういう基準以上ということになるわけですか。
  66. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 おっしゃるとおりでございまして、郵政大臣の型式検定を受けなくてもよいとする場合の基準、条件というのは、我が国の型式検定規則と外国主管庁の技術基準、試験方法、こういったものを定めた規則との比較を行いまして、それが我が国の規則と同等またはそれ以上の場合と郵政大臣が認めた場合にしようと考えております。
  67. 松前仰

    松前委員 外国で型式検定をやるということになると、我が国の方にはそのあかしとして一体どういう格好でその機器が入ってくるのでしょうか。例えば型式検定のマークが合格ということだけなんでしょうか。その辺をお伺いいたしたいと思います。
  68. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 外国で型式検定を受けた機器については、外国でその合格証をつけているとかつけてないとかいろいろなものがあるようでございます。私どもが、外国でその型式検定を受けて、郵政大臣がそれが同等以上のものの基準に合致しているということで認めた場合の証拠と申しましょうか、何か印をつけるということは現在もいたしておりませんが、ただ、どういうものが対象になっているかということについては、それぞれの地方に私どもの出先機関がございますが、そういうところではわかるようになっております。
  69. 松前仰

    松前委員 今のお話ですと、外国での型式検定というものが日本国内でもって本当に大丈夫なものかどうかという、その証拠というのがどうもつかめないような気がするのでありますけれども、外国で型式検定を受けたものについて、取扱説明書とか検査成績図面とか、そういうものは添付されて持ってこられるわけですか。
  70. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 外国でそういう型式検定を受けたものであるということにつきまして、そういう無線局を開設するという場合には、型式検定を受けたものにつきまして、改めて電波法の規定によりまして個別に日本の国で審査、チェックをいたします。そしてまた無線局の落成検査を行うということでございますので、その段階で、外国において受けた検査の合格のものであるというようなことその他の、製品の認定というものは十分できるという形になっているわけでございます。
  71. 松前仰

    松前委員 落成検査とかそういうような検査がもう一回あるということであれば、そこでチェックを受けるということになるのですけれども、もともとの考え方というのは、型式検定というものを外国で受けたものは国内で、日本ではやらないということで、向こうでやったものを信用せいということが一つの大きな思想だったと思うのです。それによってどんどん自由に、日本の国内にこういう無線機器を売り込むということが一つの大きな目的であったと思うのですけれども、そうなると、今のお話だと、日本で無線局を開設するときにまた検査を受けるということになって、そこで不合格になったらどうなりますか。
  72. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 型式検定を条約上も義務づけておる、各国の主管庁に義務づけておるというねらいは、これが船舶とか航空機とかにおける重要な通信を行う機器であるということでございまして、その性能検査と申しましょうか、機器の構造とか性能、それからいろいろな環境条件の検査がございます。振動とか温度変化あるいは防水とか、それから連続の動作試験、例えば五百時間動作をしてみるというようなことにつきましては、無線局の個別の検査の時点ではなかなかチェックできないものでございますので、性能等について型式検定をあらかじめ受けるという指示でございますので、決してこれがダブった形でチェックをするものではない、こういうふうに理解をいたしておりますし、個別の無線局の設置状態いかんによって適正な無線局の運用が確保できるかどうか、こういう点でむしろ落成検査その他の無線局の検査というものが置かれているというふうに御理解いただきたいと思います。
  73. 松前仰

    松前委員 日本国内へ入りまして無線局を開設するようなときにもう一回検査をいろいろやるということでございますので、それでもってチェックができるということでありますけれども、もしそこでもって不合格なものが出たら外国の型式検定はどういうふうに考えるのですか。その検定のやり方はだめだ、こういうことを言えるのでしょうか。
  74. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもは「技術基準等」というのが大体大まかなところは条約によって決められておるということで、国際的な一つの水準がございます。それからまた「試験方法等」についてもいろいろ決めがございますので、そういったものに基づいて行われているであろう。それからまた、現実にいろいろな試験データ等もとり得るわけでございますから、そういったことから見て、十分そういったものが確保されるものであるというふうに私どもは理解いたしております。
  75. 松前仰

    松前委員 現実に外国で型式検定というのがあったかどうかは今までのものはよくわかりませんけれども、コードレステレフォンとか外国のパーソナル無線、こういうものが日本に入ってきてそれが不法電波を出しているというような実態もあるわけでありまして、こういうことになると、外国に型式検定を全部任せてしまうということで日本国内でもってそのチェックの体制がきちっと整っていないということになれば、これはそういう不法電波がたくさん出てくるということになるわけなんですけれども、その辺について郵政省はどういうふうに考えておられますか。
  76. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 私どもが今法律改正でお願いを申し上げていますのは、義務型式検定に該当するものでございまして、そのほかの機器につきましては、外国の検査を受けているかどうかということについての我が国の受けとめというのは、我が国の電波監理と申しますのは、個別の無線局の開設に当たって個別にチェックするというシステムになっております。したがいまして、外国からの輸入品がそのまま免許を受けずに使われるということによるいろいろなトラブルというものを私ども承知をいたしておりますけれども、そういったものにつきましては、それこそ開設の無線局という形でいろいろ取り締まりその他をやらなければならないし、またそういう電波法を十分踏まえた形で対応するというようなPR、あるいは国民に対する周知ということにも努力をしなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
  77. 松前仰

    松前委員 外国で型式検定をやらないものについては国内で厳しくチェックするというのは当然のことでありまして、私いろいろ考えるのですが、今までかなり不法電波が出ておるという事実があるのです。型式検定を外国でやっても、日本国内においてその不法電波が出るということになりかねない。現時点ではそういうのが余りないかもしらぬけれども、これは必ず将来起こってくるのです。向こうのやり方に従ってやるのですから、向こうの基準でやるのですから、日本の国内に合わないようなものがたくさん出てくる。そういうときに、国内において日本においていろいろな問題が起こってくる。そういう場合に外国に型式検定を任せてしまったということの事実、これによって国際的な問題がかなり生じてくる可能性がある。とにかく向こうの責任というようなことも出てくる可能性がある。小さなパーソナル無線とかそういうようなものでは余り大きな問題にならぬと思うけれども、もっと大きな話になってくれば軍備の関係なんかの無線もあると思います。そういうことになってくれば、外国に全部任せてしまうということは大変危険なことだと思うわけでありますけれども、そういうときにこれは外務省としていろいろ対応しなければいかぬと思うのです。それから通産省も、こういうものを輸入したということでいろいろ対応しなければいかぬと思うのだけれども、その辺について外務省、通産省あたりは、一人ごとだと思って考えていないで、どう対処するかをやはり真剣に考えてもらいたい。その辺をちょっと外務省、通産省の方がいたら答えていただきたい。
  78. 国広道彦

    ○国広政府委員 若干重複いたしますが、外国主管官庁の型式検定を受け入れるということは、当該外国主管官庁が定める条件が、我が国の型式検定規則で定める条件及び試験方法と同等またはそれ以上である検定に合格した機械について行うものでありまして、その点は非常に厳しくといいますか正確に把握されているものでございます。  さらに、受け入れた検定の合格機器が施設されるときは、先ほどお話が出ましたように個別に、落成検査によってその性能が我が国の技術基準に合致しているかどうかチェックするので、問題が生じることはまずまずないはずでございます。  しかしながら、現に問題が生じたときは、それはあくまでこの枠の中で行っておることでございますから、技術的に双方で十分協議しまして、この枠組みの中で問題が生じているのかどうか、枠組みを越えるものであるかどうかということを議論すれば必ず解決できるというふうに思います。
  79. 鈴木直道

    ○鈴木(直)政府委員 私ども考え方も今の外務省の経済局長のお考えと同じでございます。基本的には、基準・認証制度そのものの本来の目的、すなわち安全の確保等々あるわけでございますが、それを実現しつつ国際的な要請に対応していく、すなわち市場アクセスの改善を図る、こういうことでございますので、その観点から、例えば外国検査機関そのものを指定いたしまして、そのデータを受け入れるわけでございますが、その際はあくまでも、我が国が独自に設定いたしました安全等の確保の目的を持った基準に適合するかどうか、その辺のチェックは同時にするわけでございます。
  80. 松前仰

    松前委員 我が国の検定基準またはそれ以上の検定というものに合格していればというお話がありました。我が国の検定基準またはそれ以上というようなことは、外国に対してそれをチェックしなければいかぬ。外国でこういう我が国の検定またはそれ以上のものをやっておるかということをチェックしなければいかぬ。それが合っていなければその型式検定はだめということになりますので、今一生懸命国内の作業をなくすということをやっておるけれども、結局は同じことになるわけでありまして、そういう場合に、アクションプログラム関係で、貿易関係でいろいろ問題が起こってくるだろう、私はそういう懸念を持っておるわけでございます。その辺のところについて、検定またはその基準以上ということをどうやって確認するのかということをまずひとつお答えいただきたい。  それから郵政大臣にお答えいただきたいのは、こういうことをやりますと、どうしたって不法電波という問題が出てくる。だから、今度は電波の質のチェックということにもっと重点を置いていかなければならない。その質のチェックについて、郵政大臣、どのようにお考えになっておられるかということ。  この二つをお答えいただきたい。
  81. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 先の方の先生の御質問でございますが、私ども判断する場合に、外国主管庁の技術基準、それから試験方法というようなことを定めた規則、こういったものを私どもは取り寄せます。そして、それと比較をいたしまして判断をしていこうということでございまして、その基準になるものは、国際条約等で決められているところに準拠してそれぞれの国で決めているというものでございますので、私ども我が国で決めたものと同等あるいはそれ以上というものについての基準ならばこれは確信が持てるものであろう、こういうふうに考えているところでございます。
  82. 左藤恵

    左藤国務大臣 今回の改正は、郵政大臣の行います型式検定に相当すると認められる検定に合格した機器についてだけ郵政大臣の行う検定を受けなくてもよい、こういうふうに改正しようとするものでございます。  そういうことでございますので、今先生御指摘のように、電波の利用秩序を維持する、維持を確保するということが一番大切な問題でございますので、御指摘のような電波の質とかあるいは不法電波というものをチェックするということは重要なことでございまして、従来ともこの防止に努力をしてきたわけでございますが、今後一層そういった電波監視体制の確立強化ということに努力をしなければならない、このように考えております。
  83. 松前仰

    松前委員 今郵政大臣にお答えいただいた電波の質のチェックというものについては、ぜひこれからしっかりやっていただきたいと思います。  ちょっと簡単な例を申し上げますと、硫黄島にOTHレーダーがつくられるという話になれば、これは当然五メガから二十八メガあたりの、付近に対しての漁業無線に大変な妨害を与える。ですから、こういうことをきちっとチェックできるような体制を整えてもらわなければ困る。それでなければいつまでたってもああいう議論が煮詰まらないのですね。それはまた別の機会にやらせていただきたいと思います。  それからもう一つ、国際条約で決められた基準に従って、検定基準が合致している、こう認めるものということで、国際条約にのっとったもの、それを今度国内でやる検定から外すということでよろしいわけですね。  それでは検査の問題について、もう時間がありませんので簡単にやらしてもらいたいと思います。  検査の頻度をかなり少なくしたということでございますけれども、これは無線局がどんどん大幅にふえていくという実情に合わせてこういう形をとらざるを得ないということなんですが、それと同時に、外注をするということがあります。外注の基準、どういうところを外注して、どういうところを外注しないんだという基準を、時間がありませんので簡単にお願いしたいと思います。
  84. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 指定検査機関に行わせる対象無線局でございますが、放送局とか国が開設する無線局とか、こういう公共性の高い無線局につきましては国みずからが行うべきであろうというふうに考えておりまして、それ以外の無線局、例えば移動通信を行う基地局とか、陸上移動局あるいは携帯局、こういった局を指定検査機関に検査を行わせたい、こういうふうに考えているところでございます。
  85. 松前仰

    松前委員 ずばり聞きますけれども、これによって郵政省の方は検査をどんどんやめていくということになるのかならないのか、そこのところをお答えいただきたい。
  86. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 定期検査と申しますのは、無線局が開設された目的に沿って常に適法に運用されているかどうかということを確認するためでありまして、通信に障害があった場合、社会的にも特に重要な影響を及ぼすような無線局、こういったものにつきましては、やはりその通信の確保を行うという観点から国が責任を持ってやらなければならない分野であろうというふうに考えておりますので、将来にわたって全部を民間に任せるという考えはございません。
  87. 松前仰

    松前委員 これから無線局が非常にふえていくから、少し頻度を減らしたことによってその作業が減っていくということは絶対ないと私は思います。さっきの話にもありましたように、電波の質のチェックも含めて、これからますます検査というものについては重要な部門になっていきます。こういうことですから、その体制をきちっとやっていっていただきたい、そのように思います。  時間がもうあと数分しかありませんので、最後に総務庁長官にちょっとお答えいただきたいのです。  無線市場開放で十一項目のアメリカの対日要求があるそうでございますが、今やっておるのはほんの一部の話です。それからもう一つ日本製の機器をねらい撃つということで、アメリカの下院の委員会で電通法案、電気通信貿易法案というのが可決されたということですけれども、こういうことになると、今こうやっているものがうまく通ったとしても、またさらにアメリカからいろいろな要求が来るのじゃないか、こういうことに対してはどういうふうに考えておりますでしょうか。これ以上はもうやらぬ、こういうぐあいに考えていいでしょうか。
  88. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 現在、アメリカとの日米通信貿易関係におきまして、専ら電波関係についていろいろ勉強会を進めております。現在も専門家会合等でやっているわけでございますが、やはり私どもも、今後電波を大いに開放していこうという観点から、これからとろうという施策と合致するものについては積極的に対応してまいりたいと思いますし、世界の開かれた電気通信体制というものを確保するために、私どももいま一度見直すということは必要であろうと思うわけでございますが、のめないものはのめない、できるものはできるという対応がこれからも必要であろうと考えて対応しているところでございます。
  89. 松前仰

    松前委員 総務長官、ちょっとよく聞いていただきたいのですが、電波というのはほかの製品と違って非常に問題の多い、問題といいますか、いろいろな安全とかそういうものにかかわり合いを持つものでありまして、ほかのものと同じように簡単に取り扱って、アメリカの機械を売り込むというようなことのための手段としてやるのは大変間違っておると思うのですね。ですから、これは十分郵政省その他専門家の考えを聞いて、それでこういうアメリカ側の要求に対応するということをやっていかないと、これはとんでもないことになる、電波無法地帯という感じになってしまいますから、それについては十分頭に入れてこれから対処していただきたいと思います。  時間が来てしまいました。本会議があるようですからこれで終わらせていただきますが、残りはまたほかのところでやらせていただきます。どうもありがとうございました。
  90. 中島源太郎

    ○中島委員長 山中末治君。
  91. 山中末治

    山中(末)委員 私は、許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案につきまして、まず率直な疑問を後藤田総務庁長官質問を申し上げたいと思いますが、今読み上げたこの法律には法律の廃止ということはうたわれていないのです。ところが、地代家賃の統制令については廃止するということが書かれていますが、こういう表題の一括提案の中でどうして廃止の法律を一個だけ入れたのか、お聞きしたいと思います。
  92. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 地代家賃もこれは価格統制で、同じようにやはり規制の一種でございますから、必要性がなくなっておる、不合理である、こういうような観点で廃止という言葉を使ったわけでございます。
  93. 山中末治

    山中(末)委員 何か、廃止の部分は余り表に出さなくて何とかいきたいというような感じがいたしましたので、質問しました。  この法律は、昭和十四年の国家総動員法に基づく勅令以来四十六年の歳月を経てきたわけでありますが、その間、日本における政治、経済の大きな変化もくぐり抜けてきたという法律であります。これは振り返ってみますと、国の方では、現在残っております統制対象の借地あるいはまた借家等の数は、全部の住宅総数の三・二%程度だ、こういうことが言われておるわけでありますが、政府の方から出ました資料をちょっと見て計算しましただけでも、借地借家の方々の人数は三百二十万人になんなんとしている。そして、貸す方、貸し主の方も、一筆一件として計算しますと百二十四万件、こういう人が直接影響を受けている。こういう五百万人にも及ぶような非常に大きな人を対象にしたものでありますが、この非常に大きな影響を及ぼす案件の取り扱いについては、一括提案の中に入れずに、所管の常任委員会にもう一回出し直す必要があるのではないか、このように思いますが、この点についても長官のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  94. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 その点は当委員会でもしばしばお答えいたしておるわけでございます。やはり社会経済の活性化を図るという意味合いにおいて、現在不必要になっているものとかあるいは不合理になっているもの、あるいは過剰になっているといったようなおもしを取り外すことによって、風船玉の中の圧力は我が国民間は今相当充実しておりますから、民間の自主的な経済活動によって十分活性化を図っていこう、私どもとしては実はこういう趣旨でこの規制緩和に取り組んでいるわけでございます。  地代家賃等についても同じような趣旨で、客観条件がもうすっかり変わってきておりますから、その客観条件を踏まえながらこの際は廃止をしよう。しかし、もちろんお話のように貧困な家庭の方であるとか母子家庭であるとかいろいろありますから、それらについては政府としては、過渡期における混乱を回避しなければなりませんので、できる限り不安感を除去するという意味政策展開は建設省を中心に地方団体とも協力してやっていこう、こういう趣旨でございます。
  95. 山中末治

    山中(末)委員 不満ですが、御答弁はいただきました。  それでは所管の建設省関係お尋ね申し上げたいのですが、この統制令、国家権力をもってやられた統制令、四十六年もの長きの間続いたわけですが、今廃止をした方がいいとお考えになっておりますけれども、この法律のもとで犠牲者は一体だれであったのか。貸し主さんであったのか。このあたりどのようにお考えになっていますか、お聞かせいただきたいと思います。
  96. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 既に御案内のように、現行の地代家賃統制令は、終戦の混乱に対応する物価対策の二環として、異常な住宅難によります地代家賃の急騰を防止するために、昭和二十一年に制定されたものであります。そういう意味で、当時の状況からすれば必要な措置であったと考えておるわけでございます。  その後、社会経済情勢が安定化いたしまして、住宅事情も改善される中で、逐次統制対象を縮小し、昭和二十五年には事業用建物とか新規に建築する建物あるいはその敷地、それからさらに昭和三十一年には床面積で九十九平方メートルを超える住宅とその敷地、それぞれ適用除外といたしまして統制の適正化を図る、さらに、統制額が公正でないと認められる場合には、物価事情その他の事情を総合的に勘案しつつ、適宜建設大臣告示を改正して統制額の適正化に努めてきたということでございます。  要するに、当時の状況では私は必要な措置であったと考えておりますし、現時点におきましては今まで申し上げておりますような状況からもうその統制の必要性を失っておる、そこで撤廃するというものでありまして、だれが犠牲者であったかとかそういう議論とはちょっと別の問題ではないだろうかと思います。
  97. 山中末治

    山中(末)委員 私は、統制令というもので国家権力が抑えるということは、ある一定限度以上家賃地代等を取ったらいけないということですから、それによる悪い影響を受けているのは地主さんではないか、あるいは貸し主ではないか、こういう判断をしておるわけです。  それが最近、私どもこの法案が出ましてから、余り詳しくは調べてないのですが調べてみますと、今入っているいわゆる借り主の方が、賃貸料以外に水道の布設・導入、下水道の導入、ガスの導入、それから雨漏りの修理、周囲の塀の修理、こういうことを家主さんが、それができるだけの家賃をもらってないのでできませんということで、相当な額の費用を入っている人が負担をしている現状がある。こういうことからすれば、住宅を持っている人が住宅から得た収入で公租公課も済ませ、そしてあとは備蓄をしてそれをまた改築資金に回すということが普通じゃないかと思うのですが、それができていないということになれば、これは一つは貸し主さんが長い間の積もる中で犠牲になってきたのではないか、私はこのように思うのです。もう一つは、借り主さんの方も今申し上げたような状況で、借料以外に居住環境をよくするためにお金を出している、こういう状況があると思うのです。  そこで、その当時から今日まで、あるいはまた今日以後においても、貸し主さんに対して税制面でのいろいろ優遇措置があったのかなかったのか、あるいはまた住宅補修その他建築等に対していわゆる国の助成措置があったのかどうか、地方公共団体も含めてでもいいですが、こういうことを調べてみたのですが、ほとんどないわけです。そして今この法律が廃止されようとしている。一年間の期間はありますけれども、来年の十二月三十一日にこの統制令は廃止をされていく、こういう運命の議案が出されている。  私は、この中で、国はこれを廃止に踏み切るのであれば、廃止に踏み切るまでに何らかの措置が必要じゃないか、特に家を統制令で賃貸料を抑えられてきた人に対して何らかの措置を講ずべきじゃないか、このように思うのですが、いかがなものですか。
  98. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 今、先生おっしゃいましたように、統制令の対象となります借地あるいは借家の貸し主に限っての特別の税制、あるいは財政上の措置は講じられておりません。先ほどお話のございました貸し主が自費で修繕しておるではないかという点でございますけれども、いろいろ細かい数字は申し上げませんが、要するに一般の民間の借家と比べて統制対象の借家の老朽度というのはかなり高いということが言えるわけです。したがって、貸し主が自費で修繕を行っているという例もあると考えられますけれども、全体として見れば維持修繕が不十分であったというふうに考えられるわけでございます。建設省といたしましては、居住水準の向上を目指すという観点からしますと、こういった状態は好ましいとは考えないということで、今回の地代家賃統制令の廃止によりまして、これらの状況が徐々に改善されて、適正な維持修繕が貸し主によって行われるということを期待いたしたい。  それから、何か措置をすべきではないかという点でございますが、我々はむしろ、現在入っておられます高齢者の方々だとかあるいは低所得者の方々、こういう方々が、生活の不安でありますとか心配でありますとかそういうことをお感じにならないように、いろいろな住宅相談体制の整備でありますとか、あるいは場合によって公営住宅へのあっせんでありますとか、公団住宅あるいは公社住宅へのあっせんでありますとか、そういった手だてを十分にとってまいりたいというふうに考えております。
  99. 山中末治

    山中(末)委員 貸し主は、余り例はないかもわからないが多少は修理費を出してやっているだろうということはわかりますけれども、大部分は借り主が家賃のほかに費用を出して、水道の導入、下水道の導入等家賃以外に費用を出してそして今住んでいる、こういうことを申し上げたのですね。それでいいですね。  こういう状況の中で、先ほども総務庁長官がおっしゃったのですけれども、過渡期における対策というものは必要だとおっしゃったのです。所管の建設大臣も、これはもうたびたび所管の委員会で今局長のおっしゃったようなことをおっしゃっているわけです。これは流れとしてはそういう形で来ましたけれども、基本的に住宅というものを考えていくと、低家賃の公営住宅というものをもっともっと建てなければならない責任というものが国にあったのじゃないか。この建てなければならない責任というものを、結果的に、足らないから、不足しているから民間住宅というものがそれを補完してきた、こういうのはあると思うのです。  だから、そういう考え方をしてくると、国は今まで地代家賃の統制をしておいて、そして今これをオープンにしたら、先ほど局長おっしゃったように、老朽の家屋が多いけれどもそれが修理をされる方向に進んでいくだろうということになると、私は貸し主は今まで犠牲であったと思うのですが、今度はその犠牲を入っている人に転嫁をしていこうというだけのテクニックであって、国みずからこれに手を汚してどういうふうな施策を立てていくのかということが、この法案を出してこられた背後には欠如している。幾ら所管の大臣があるいは総務庁長官が、過渡的にはあるいは立場の弱い人に対して何らかの施策をやらなければなりませんとおっしゃるけれども、それは具体的にどうして行うのかということが欠けている。むしろ私は、そういうリフォームあるいはまた修理、こういうことをしなければならない住宅には、今からでも遅くないから、何か国が、あるいは地方公共団体も含めて相談もして、それに手当てをしていくべきじゃないか、まず貸し主側に。そして借り主側の方については、低家賃の公共住宅を建ててそこへ入居させる手だてというものがなかったら、ただ口先だけでは、それは方向はわかるけれども具体的な施策として問題が出てこないのじゃないか、このように思いますが、いかが思いますか。
  100. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 統制対象の住宅によっていわゆる公営住宅をカバーしてきたのではないか、こういう御指摘かと思いますが、先ほども申し上げましたように、この制定された当時の事情を考えますと、やはり必要であり、やむを得ないものであったと考えておるわけでございます。その後、公営住宅あるいは公団住宅、そういった公共賃貸住宅の建設が進展いたしましたり、あるいは公庫融資によります持ち家建設の促進等もあって、住宅事情は大幅に改善されてきていると考えております。  すなわち、三十八年と五十八年の数字を比較いたしますと、公営住宅は現在では百九十一万戸ということで二・五倍にふえておりますし、公団住宅は四・二倍、それから公社住宅は二・六倍、それからいわゆる公的資金を使いました民営借家というのがございますが、これは何種類かあるわけでございますけれども、これは二十九倍というふうに達しておるわけでございます。したがって、現時点においては地代家賃に関する統制を継続する必要性はないと考えておるわけでございます。  それで、そういう老朽化した住宅をどうするのかという問題があるわけでございますけれども、これは先ほど申しましたように、私人間の契約ということで徐々にはいろいろな形で改善されていくと思いますが、国といたしましても、例えば木造賃貸住宅の密集地域に対する事業でありますとかその他、いろいろの事業を実施したりあるいは新たに考えたりしておりまして、そういうものによってそういうところの改善を促進をしていくように持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  101. 山中末治

    山中(末)委員 言葉の意味はわかるのですけれども、それは面で開発を進めていって、民間活力を導入をして面で開発を進めていこうじゃないか、こういうことなんで、家主さんに対してどうこうするということじゃないですな。現実に土地を持ち老朽した家屋を持っている、そして四十六年間もいわゆる国家権力のもとで抑えられてきた、その人に対する報いる道じゃないですな。そのように私には聞こえるのです。私は、この点ちょっとはっきりしておかぬと、家賃を抑えられてきた家主さん、これはオープンになったら今度は、その家主さんの今までの犠牲の肩がわりといいますか、それを今度は入っている者がやらなければならぬ。責任を転嫁させるだけであって、そしてなお、その間随分長い間、家主さんとそれから借り主の人は、家主・借り主という関係で人間関係を長く続けてきた、そういう中で上水道も下水道もガスの導入もリフォームも修理も雨漏りも、そういうものを自分がみずからやってきた、これはいわばその住宅に対して付加価値をつけてきた、こういうものは一体だれがどこでどういう現場で認めるのか。国は一体それをどういう評価をされるのか。その点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  102. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 それはいわゆる借地借家契約という中で、私人間の契約としてそれぞれ適正なものが形成されていくと思います。その中で評価されていくべきものだと思います。  それから、先ほど私が例に申し上げました木造賃貸住宅地区総合整備事業でございますけれども、これはいろいろ中身はございますけれども一つだけ申し上げたいのは、木造賃貸住宅の経営者などが行います建てかえに対する除却費あるいは共同施設整備費等について助成を行っている、そういう制度でございます。
  103. 山中末治

    山中(末)委員 これは今おっしゃるような答えが出てくると思ったのです。私も考えたけれども、もうそれしかないなというふうに思ったのです。結局現場同士の話し合いでしょう。そうすると、これは仲よくそこに住んでいる場合は随分仲間意識がありますから、人間関係もでき上がっていると思うのですが、しかし、事賃貸料を上げるとか、私が投入した資金、これは幾ら今まで投入したとか、これを認めるとか認めないとかいう話で、現場において双方の間で望まないトラブルというものが起こってくる可能性は私は十分に考えられると思うのです。そうなったら、この法律をせっかく枠を外して一年一カ月後にオープンにしようとしても、これはやはり法律ですから、貸し主も借り主もうまく話をしてそしてスムーズに解決してほしいというのが私は法のねらいだと思うのですが、必ずしもそこへいかないんじゃないか、そういうところにうまくいかないんじゃないかということを非常に心配するわけですね。家主さんはもうこれだけ家賃を欲しい、欲しいけれども出せぬなら出ていってくれ、こういう気持ちなんですな。余りそれも口に出して言えない。入っている人の方は、私は今までこれだけ何十万と入れてきた、その評価を一つもしてくれへんやないか、そして家賃だけ上げるのか、こんな殺生なことあらへんということで、これは今までも起こっているのですな。そういう例はほかの住宅では起こっているのですね。そういうものの油に火をかけるようなことにならないかと私は非常に心配するわけです。  ですから、この法律を改正される前にもう少しそのあたりを検討していくべきではないか。少なくとも家主さん、地主さん側には固定資産税の減免とか所得税の減免、過去にもさかのぼって考えて一体幾らぐらいになるのか、それに対して国はどういう施策をその人にしていくべきなのか、そういう平らかなものにしていく必要があるんじゃないか。それから入居していた人についても、今申し上げたように、では資本投下したものについてどう評価するか。それから後の問題として、そこにお住まいになるのか、あるいはまた、先ほどおっしゃったように公営住宅へ優先入居の枠をどれだけ与えるのかという問題、あるいはまた生活保護費の中で住宅扶助をどうするのか、こういう問題が出てくるというふうに私は思うのです。大事な話ですけれどもそれはその後の問題として出てくるというふうに私は思いますので、考えていく必要があるんじゃないかと思います。  それから、私は京都ですのでちょっと近隣だけ調べてみますと、大阪府の場合は今度の対象住宅が約十七万戸、これは全部の民間の貸し家の二〇%を占めているというわけですね。東京の場合もやはり十三万戸あるわけですね。京都の場合も六万ないし七万戸、これは京都市内だけですがそれくらいある。そうすると、全体としては三・二%の対象の住宅かもわかりませんけれども、これは東京あるいは大阪、京都、——名古屋は調べてませんが、そういうところへ集中的に存在をしているということで、ただ三・二%というだけでは言い切れない非常に大きな要素を持っている。そうするとその大都市の中で、この今申し上げたような解決、まだ言葉は足りませんけれども、そういうふうな解決の方法をスムーズに持っていかぬと、これは大阪、東京、名古屋、京都、その他の大都市もあると思いますが、そういうところで非常に大きな問題として出てくる可能性が非常に強い。ですから必ずしもこの統制対象借家戸数は全部の住宅数の三・二%だからということで軽くいなさないように、ひとつ深くお考えいただきたい。関連する人口もさっき申し上げましたように随分多いわけですから、これは建設省の資料で計算したらそういうあれが出てきましたのでお考えいただく必要があるのではないか、このように実は考えているわけであります。  それからあと、私も大分資料をあちこち行ってもらってきたりしたのですが、今の段階では入居者の所得水準等がまだまだきちっとつかめてない。私自身もつかめてませんが、そういう嫌いも実はあるのです、資料が不足しているという点が。こういうものも十分に調査をして調べ上げて、その上で、二人の各大臣がおっしゃったように具体的な対策というものが立てられてしかるべきだ、このように思います。  そうしますと、最後になりますが、この法律の改正は、今から来年の十二月三十一日までは猶予期間のようなものがありましてそこでこの法律を廃止する、こうなっているわけですね。では一年間でそういうものが調査できるのかどうか。それから、大家さんも何かの計画せにゃいけませんでしょうし、借りている人も何か考えをまとめなければならないだろう。家族で会議をして、じゃ住宅金融公庫の金も借りて何とか新しい自分の住宅でも建てようかという気になったとしましても、これから土地を深さにゃならぬ、金の準備もせんならぬということで、円満なる解決を願うためにいろいろ双方が準備をされても、この一年の期間では非常に短い、見切り発車になるおそれがある、私は実際そういうふうに考えているわけですね。  ですから、この法律自身は、先ほど総務庁長官がこれは一括で出したんやからという意味でおっしゃって、民間の活力も導入してやらにゃいかぬのやからとおっしゃった気持ちはわからぬことはないですけれども、実際これは一年一カ月ぐらいの期間では期間が短過ぎる。もう少し余裕を持って、見切り発車じゃなしに、もっとしなやかな対応といいますか柔軟な対応というものを、特に人が住む場所、これについてはお考えになる必要があるのではないかと思いますので、後になりましたが、ひとつ所管の木部大臣にお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  104. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 統制令の廃止に当たりましては、私どもといたしましては、私もたびたび御答弁申し上げておりますが、やはり弱い方々の立場、不安や心配を与えてはいけませんので、本当に親身になっていろいろ御相談にあずかるとか御相談を申し上げるとか、またその体制を、地方団体なんかの協力も得ましたり、また居住者からの多様な相談も的確に親身になって受けられるような、またいろいろな広報の点なんかも十二分に考えながら、そういう点で、今申し上げましたように、とにかく皆さん方に不安や心配を与えないような措置を全力を挙げて、親身になって建設省としても行っていくことが何といっても一番大事な問題だ、そういうふうに、心を新たにして地方自治体や関係者の皆さん方と一体になって努力をし、そして親身になってとにかく皆さん方にこたえていなかければならないというふうに考えておる次第でございます。
  105. 山中末治

    山中(末)委員 もう時間がございませんので、一番最後になりますが、現在、民間賃貸住宅の流通に対する規制あるいはまた誘導、こういうもののための条項を含む住宅基本法的なものも制定されておりません。土地取引規制の抜本的な強化、地価公示の一元化等、打たなければならないいろんな住宅、土地の対策というものがまだ残っているわけですね。こういうものが確立されていないときに、片一方だけ枠を外すということについては、非常にスピードが早過ぎて後に問題を残すのではないか、このように実は私は思いますが、少なくとも先ほど申し上げたように、この一年間の猶予期間といいますか一年一カ月というものを延ばして、このようなものの整備に取りかかっていただきたいというのが私の願いなんです。この法律は別にしても、今申し上げたような土地、家屋等に対する施策というものを今後早急に強力に進める御意思がおありかどうか、最後に大臣にもう一回お聞かせ願って、質問を終わりたいと思います。
  106. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 局長からもいろいろお答え申し上げましたし、私も基本的な考え方をたびたび申し上げておるわけでございますが、何といってもこれだけの、今いろいろ御指摘いただきましたような大事な問題でございます。事が生活に関する基本の問題でございますから、役所といたしましても英知を結集して、そして今までいろいろ御答弁申し上げた枠も乗り越えて、もう少しいい考え方なりまた指導方法があれば、また御相談に乗る方法があれば、そういう点をとにかく万全を期して皆さん方に不安や心配事がないように親身になって努力をしていく、これが私は一番大事であるということを改めて、重ねてまた御答弁を申し上げたい、こういうふうに思っております。  また、先生方におかれましても、どうぞいろいろ御支援、御鞭撻、御教導を賜りますようにぜひお願いを申し上げたいと思います。
  107. 山中末治

    山中(末)委員 終わります。
  108. 中島源太郎

    ○中島委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際休憩いたします。     午後零時四十三分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  109. 中島源太郎

    ○中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。小川仁一君。
  110. 小川仁一

    ○小川(仁)委員 大蔵省に。この法律案において信用金庫及び信用金庫連合会が国債または政府保証債の売買等の証券業務を行うことができるようになりましたが、金融自由化の急速な発展の中で、信用金庫等は危機的な状況を迎えようとしているだけに、今回のこの措置がどの程度効果をねらったものか。また、ただ単に国債を売るための窓口を広げただけのものであったかについて、お考えを伺いたいと思います。
  111. 亀井敬之

    ○亀井政府委員 ただいまお尋ねの、今回の法律によりまして信用金庫が国債のディーリング業務を行うことができるようになるわけでございます。既に先生御承知のように、国債の窓販、ディーリングにつきましては、金融機関の業体、都市銀行、地方銀行、相互銀行等ができるようになっておりますし、また信用金庫も既に窓販が実施できておりますけれども、当初からの国債引受シ団のメンバーであります信用金庫に対しまして、そういう状況を勘案しながら国債のディーリングを行わせる、こういうことが時宜にかなった措置だというふうに考えて、御提案をさせていただいておるわけでございます。  この効果でございますけれども民間の金融機関が、信用金庫でこういった国債のディーリングを行うことになりますと、より国債の安定的な消化等に裨益するところがあるだろうというふうに考えております。  ただ、先生お尋ねの御趣旨の中に、この国債のディーリングというのは一方でリスク等を伴うものであろうかという御指摘があるのではないかと拝察申し上げますけれども、確かにそういったディーリングにつきましては問題も十分ございますけれども、信用金庫それぞれにつきましてディーリングの能力等いろいろ勘案しながら、実際の認可に当たってそういった信用金庫の能力を勘案してやっていく、こういうことで健全な運営が図れていくのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。
  112. 小川仁一

    ○小川(仁)委員 信用金庫自体の中に、まだこのディーリングの完全な消化といいますか適用が難しい状況もあるわけでございます。またあなたが御指摘の、幾つかのこの業務によるリスクも出てまいります。  今そういうことを考えながらこの日本の金融の自由化について考えてみますと、行動計画が既に今後の自由化のスケジュールを明らかにしておりますが、この金融自由化の具体的な内容とか実施のスピード等は、まだ大蔵省の金融問題研究会の検討の段階でありますが、その結果によっては中小金融機関に与える影響が非常に大きいものがあります。既に金融再編成などという声も聞こえている状況でありますし、特に経営体質の弱い信用金庫等は、小口預金の金利の自由化あるいは経営不安、また貸出金利競争に巻き込まれての経営困難等、不安が高まっているところでございます。こういった弱小な信用金庫について、一体これから倒産か合併かの道をたどらざるを得ないのではないかというふうな危惧の念が持たれますが、これらに関してどのような問題を皆さんがお持ちになり、どのように対策を検討しておられるか明らかにしていただきたい。特に将来性のある対策というものを示してもらわなければいたずらな不安だけが残ると思いますので、その点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
  113. 亀井敬之

    ○亀井政府委員 ただいま御指摘の、金融自由化という大きな流れの中で信用金庫の今後のあり方という、大変難しい御指摘をいただきました。  私どもは、金融自由化は国民経済の効率化にも役立つということで、前向き主体的に、かつ漸進的に進めてまいる、こういうような方針のもとに、アクションプログラム等に基づきましてある程度今後の筋道をお示ししながら、主体的ではありますが漸進的に進めておる、こういう状況でございます。  そこで、先生御指摘のように、しかし、そういう自由化が進展してまいれば競争が激化し、厳しい経営環境になるのではないか、こういう点は確かにあろうかと思っております。そういう意味で、先ほども申し上げましたように経済の効率化のために前向きには進めてまいりますが、いろいろな金融情勢、影響等を見ながら漸進的に進めてまいるということも申し上げておるところでございます。  ただ、そうはいいましても、やはり競争が激化し、厳しい経営環境になってまいる、その際にどう考えるかというのが御質問の御趣旨であろうかと思います。私どもも、そこら辺のところは漸進的に進めながら、状況を見ながら臨機応変に適切に対応はしていきたいというふうに考えておりますが、一つの筋道といいますか考え方といたしまして、中小の例えば信用金庫がそれぞれ、まずは金融機関として自主的な経営の健全性に努めていただくということが何よりも大切でありますし、また信用金庫は、既に先生御承知のように非常に地域社会に密着した金融組織でございますので、こういった地域経済に密着した役割を十分認識されまして、できるだけきめ細かな地域に密着した金融供給をしていただくというようなことで、経営としては十分この自由化の波を乗り切っていけるのではないかというふうに考えております。  ただ、そうは申し上げましても、何分いろいろな影響等があるだろう。そういう場合に、この六月に出ました金融制度調査会の答申等におきましても、自由化の環境整備を考えていく必要もあるという御指摘もいろいろいただいておりまして、抽象的な言い方で申しわけありませんが、環境整備の一つには預金保険とか、先ほど先生が御指摘になりました合併とか業務の提携とか、そういった問題もあり得るのではないか、こういうような御指摘をいただいておるわけでございます。こういう方向に従いまして、これから自由化を漸進的に進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  114. 小川仁一

    ○小川(仁)委員 信用金庫等はかなり必死の努力を今しておりますし、非常に危機的な状態にあるということはおわかりのとおりであろうと思います。特に信用金庫というのは会員が限定されておりますし、それから活動地域も限定されている、そういう特徴を持っております。  私の知っている地方の信用金庫などは、地場産業あるいは中小企業と非常に密接な関係を持っている。しかも、事業計画だけではなしに、その人の生活相談あるいは生活設計まで含めて相談をしながらそれらの企業を支えているという、全く会員、地域に密着した性格を持っているのです。それだけに、こういう信用金庫が大手の金融機関に合併する、あるいは合併して店舗がふえたからといったような形だけでは解決し得ない非常に大きな問題が、特に中小企業等々とともに存在するわけであります。したがって、信用保証の強化といったような面を含めて政府の具体的な対策考えていただいて、いたずらな合併というものは避けるようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  115. 亀井敬之

    ○亀井政府委員 お尋ねの点でございますけれども、先生御指摘のように信用金庫は大変地域に密着をいたしておりまして、また生活設計までしていただいて企業を支えていただいておる。そういうことはまたある意味で大変な強みといいますか、地域に密着した金融としての存立意義を大変持っておるということが言えようかと思います。  先ほど、私ちょっと正確にお答えを申し上げなかったのかと危惧をいたしておりますが、いろいろ環境が厳しくなる中で、しかし信用金庫としては地域密着とか経営効率化で十分やっていけますという方に力点を置いて申し上げたつもりでございます。  いろいろな状況の中でどういうことをこれから考えていくのかという先生のお尋ねもありました中に、金融制度調査会の答申等も引いて御説明を申し上げましたが、私どもは、まず真っ先に合併とかそういうことからやっていこうとか、そんなことを考えておるわけでは決してございません。金融制度調査会の答申でも、業務提携等の問題につきましては非常に慎重な言い回しで、金融機関が自己努力で経営に当たっていかれるのが本来でありますけれども、それが十分にできないような事態の場合には、経営基盤の強化、競争力の確保等、自由化に有効に対処する手段の一つとして合併、提携といったようなことも考えられるという言い方でございます。  御指摘のような点、私どもも十分体しながら、これからも自由化の方針で進めてまいりたいというふうに考えております。
  116. 小川仁一

    ○小川(仁)委員 信用金庫等の地域の産業等とのつながり、存在価値というものを十分お認めをいただいているような発言と受け取って、今後とも、地域の産業を発展させるためにも、非常に力を入れて、この不安感というものをなくしていくような御努力を一層お願いを申し上げたいと思います。  なお、通産省の方としても中小企業発展の立場から信用金庫というものが持つ役割を考えておられると思いますが、通産省としてはこういう危機的状況に対して一体どう考えておられるか、伺いたいと思います。
  117. 木下博生

    ○木下(博)政府委員 中小企業施策は、中小企業の自助努力を助けるという形で進めておりますので、国の予算でいろいろ対応策は講ずるほか、やはり金融というのが非常に重要な役割を占めております。  中小企業金融全体として見ますと、六十年三月末で百九十兆ちょっと、二百兆ぐらいの残高があるわけでございますが、その中で政府系金融機関の比率は九%、それに対して信用金庫からの貸し出しは一七・二%ということで、政府関係金融機関よりもはるかに大きな役割を信用金庫は占めておるわけでございます。それと同時に、信用金庫が融資しますときに、政府関係金融機関の代理店という形での融資もございますし、また、中小企業体質強化資金助成制度の貸し付けの窓口というような形での役割も担っていただいておるわけでございます。  そういうことで、中小企業政策を進めます立場からは、信用金庫が健全な形で今後とも発展する、それによって中小企業への資金の安定的供給が図られるということを強く期待しているものでございます。
  118. 小川仁一

    ○小川(仁)委員 大蔵省、通産省ともお話の趣旨は大変結構でございますが、現実の問題として、資本主義社会の中においては、小さなしかも地方の信用金庫というのはそう簡単にいかない問題があります。特に信用金庫が倒産あるいは吸収合併ということになりますと、地元の産業まで一緒に転げてしまうという結果もありますので、今の両省のお話を本当に実のあるものにしていただきたい。そうしなければ、地方の信用金庫としては安心しておられないと思いますので、この点をお願いしておきます。  さらに、通産省にお伺いします。  中小企業対策の重要性が既に云々されておりますけれども、最近、通産省の政務次官の方が中小企業庁の専任といいますか責任ある担当といいますか、そんな立場をおとりになっているとお聞きをいたしましたが、そのことは一体どうなっているでしょうか。
  119. 木下博生

    ○木下(博)政府委員 中小企業行政は、従来から、通産省設置法あるいは中小企業庁設置法に基づきまして、単に通産省の事業分野のみならず、国の各事業分野における中小企業に関する対策を横割り的に見ながら進めておるわけでございます。そういう意味で、通商産業大臣が中小企業大臣としての役割を同時に担っておるわけでございます。  そういう意味で、私どもとしては、中小企業施策は、乏しい予算の中ではありますが最善の努力をしてその施策を進めていると考えておるわけでございますが、今後の中小企業の難しい情勢下にありまして、中小企業施策を今後ますます充実していくことの必要性にかんがみまして、通産省には政務次官が二人おられますので、そのうちの一人に中小企業担当としてやっていただくというような方針を決めまして、本年の七月、そのうちの与謝野通商産業政務次官をその担当としてやっていただくということで通産大臣より指名をいたしまして、さらに中小企業施策の充実を図ろうということでやっている次第でございます。
  120. 小川仁一

    ○小川(仁)委員 中小企業を大事にしてくださるために、政務次官のお一人を専任にされるということは一歩前進と考えることができます。しかし、日本の産業構造の中における中小企業の存在、圧倒的な事業所、圧倒的な勤労者を持っている中小企業に対する対策としてはまだなまぬるい。あなたの口からも通産大臣が中小企業大臣の役割も担っているということが出ましたが、お二人分の役割を一人の方に担当させてはお気の毒な面もあります。激務でお倒れになっても大変だと思うので、この際、中小企業庁に専任大臣を置いて、今言われている中小企業の金融面の対策あるいは技術の研究、こういったような格好で日本経済の発展に寄与することが非常に大事じゃないか、今こそこの時期だと私は考えているのですが、この考え方はいかがでございましょうか。
  121. 木下博生

    ○木下(博)政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、通産省設置法及び中小企業庁設置法に基づいて、関係各省と横の連絡をとりながら中小企業行政を進める体制が現在でき上がっておるわけでございまして、そのような形で進めております中小企業行政は、通産大臣の指揮のもとで極めて総合的に一応行われてきておるとお考えいただいてよろしいかと思います。  通産大臣が中小企業大臣として二つの資格のもとでやる点についての御指摘がございましたけれども、通産省が所管しております産業、商業、流通、貿易の分野の仕事と中小企業者として数えられる人たち分野は相当ダブっておりまして、もちろん運輸省とか建設省とかというところでも中小企業関係の業者を抱えておられますけれども、産業貿易行政を進めながら同時に中小企業行政を進めていくという形の方が、中小企業行政がより実効ある形で進めやすいというような感じもあるわけでございまして、そういう意味で、通商産業大臣は中小企業大臣としての役割を十分に果たしてきていると私ども考えております。  それに加えまして、最近は行政改革ということで、政府の組織はできるだけ少なく簡素化された形の方がよろしいということになっておりますので、現在特に問題なく進んでおる中小企業行政であるならば、現在の形のままで、専任の大臣を置かなくても十分に進められると私ども考えておる次第でございます。
  122. 小川仁一

    ○小川(仁)委員 中小企業専任大臣を設置しようという中小企業の方々や中小企業の団体からの声が非常に高まっておりまして、この国会にも請願書となって多数参っております。これからどんどん届けられるのではないかとさえ考えられます。各党の議員の皆さんも、どの党を問わず紹介議員になってそのことを推し進めておられるわけでございます。したがって賛意を表しているものと考えられます。また一方、中小企業の仕事の中身を見ましても、とにかく縦割り行政の中に仕組まれている企業が建設とか農林とか大変多いわけであります。これを横の連絡をとりながら企業全体を発展させていくためには、政務次官では役不足、という言い方は失礼になるかもしれませんけれども、無理がある。閣議の中でそれぞれの大臣とお話ししながら、横の連絡をとり横の調整をとりながら発展させていくことが、中小企業専任大臣を置くための非常に大きなポイントだと思います。そういう観点からいくと、私はもう専任大臣を置いていい時期だと思います。  ただいま行革の中でというお話がありましたが、これは総務庁長官にもお願いするのですけれども、何も二十人いる大臣をふやせということではないのです。二十人の中で省庁統合といった問題等もあるとすれば、今第一に大事に考えていただきたいのは、日本産業の本当の基盤を支えている中小企業のために、中小企業専任大臣を置くという方向での検討をお願いしたいわけであります。先進国と言われる国々でも、中小企業専任大臣はもう既に数多くおります。日本にも、これからの低成長時代、これからの技術革新時代に対応するために、大きな力を持ってこの人たちを見ていく大臣が必要な時期と考えます。総務庁長官、行革という中でさらによりよくするという立場からも、専任大臣の設置についての御検討をぜひいただきたい。直ちにお返事いただくのは大変難しいと思いますので、将来の問題を含めてお考えをいただければありがたいと思います。
  123. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 我が国の産業経済の中に占める中小企業の非常に大きな役割、その数においても生産販売量等においても非常な重みを持っておる中小企業であろうと思います。それだけに、専任の大臣を置けというのは相当前からいろいろ聞かされておるわけでございます。  それで、小川さんが御指摘のようなことも一つの検討課題であろうかというふうにも思いますけれども、なるほど、現在の中小企業庁というものは縦割りというよりは横割りといいますか、そういう点で中小企業全般の世話をしておるということで、非常に意味のある存在であろうと思います。ただ、その場合に、我が国の産業あるいは経済、通商その他、全般の主たる役所はやはり私は通産大臣だろうと思うのですね。そうなれば、主たる役割を占めておる通産行政一般との調和の中で、中小企業対策というものを進めた方がより実効が上がるのではないか。なるほど、中小企業専任大臣を置けば政府として中小企業に非常な比重を置いたなという姿勢、形は整うかもしれませんけれども、私は、実態から見まして果たしてそれがベターなのかどうか、この点についてはよほど慎重な検討を要するのではないか、こう考えます。  いずれにいたしましても、御提言もあり、古くて新しい問題でもございますので、これは政府としては当然の勉強すべき課題ではあろう、かように考えているわけでございます。
  124. 小川仁一

    ○小川(仁)委員 この問題は別に新しい問題ではなくて、毎回出たり消えたりという形で存在してきておりましたけれども政府予算を見ましても、中小企業に対する対策の費用等も年々減少しております。一方では一万五千件を超えるような倒産が毎年続いているといったような状況もあるわけでございます。そして今、日本の産業界を見ましても、例えば今大手の企業になっている方々も、もとはというと小さな企業の中で懸命に努力をし、技術を磨いて大企業になっている会社というのも数多くあります。  そういうことを考えますと、私は確かに大臣がおっしゃる一面もあると思いますけれども、思い切って将来性を予測しながら一つの決断をする時期であるのではないかという感じがいたしますだけに、御検討の際には中小企業者の声を十分にお聞きいただいてお進め願いたい、こういうふうにお願いをしておきたいと思います。  さて、次の問題に移らせていただきますが、今度の一括法でございます。後でも私の方から動議は出しますけれども、どう考えても一括法というのはいろいろ無理がある。特に今回の一括法を分析してみますと、行政改革に伴うものとして二十二法律、市場開放につながるものとして四法律一つ法律が重複していますが、こう分けられます。さらに違った角度で分析しますと、政府の許認可の緩和、不要な形式的手続のものの廃止、技術の進歩に伴う自己認証等がありますが、やはりそれらにはどうしてもはまりにくいもの、あるいは異質性といいますか、そういうものがあるわけでございます。その一つは家賃統制令のようなものであって、長い審議期間と重い審議結果とを持った法律、しかもそれが法律を廃止するという形であらわれているものがあります。また国民の身体、生命の安全にかかわるもの、日常生活に響くものといったような形で、やはりそれぞれの委員会で十分審議した方が適当な法案があった、こういう感じを今までの審議過程を通じながらも強く感じたわけでございます。  今回のような一括法のあり方について、提案者である総務庁長官にお聞きするのはいかがかと思いますが、再検討の余地はないものでございましょうか。
  125. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 一括法の形でなぜ法案を取りまとめて国会審議の場に出してくるんだといったようなことにつきましては、政府としての考えは当委員会でるるお答えをしたとおりでございます。この件の可否をめぐって多くの皆さん方から、常任委員会制度の形骸化に通ずるのではないかといったような厳しい御意見がたくさん出されたわけでございます。ただ、私どもとしましては、常任委員会の軽視であるとかといったようなことはさらさら考えておりません。やはり趣旨、目的を同じくし、しかもこれから先の重大な政策の転換をもたらすといったようなものについては、単独立法の形で従来からお願いしておりますし、一括すべき、また一括することのできる対象については、これもお答えいたしましたように、既に昭和五十六年に法制局長官からその政府の基準ということについてお答えをいたしておりますが、そういった基準に照らしながら、政府としては、一括することのできるものは一括をして一覧性のもとで御審議を仰ぐことがいいのではないか、こういうことでやっておるわけでございます。  御意見は重々わかりますけれども政府のこの考え方についてもぜひひとつ御理解をしていただければありがたい、かように思うわけでございます。
  126. 小川仁一

    ○小川(仁)委員 再三にわたってこの問題が指摘されましたので、長官のお考えは今お聞きしたようなことで承りました。  考えてみますと、例えばこの委員会で通った法案、それがその後どのように政省令あるいは行政措置として下に、国民に対して行われているかといったような部分については、実は内閣委員会はそれにタッチすることが不可能な状況のものもあります。あるいは国民の声が今度の一つ法律の改正あるいは廃止によってどう反応してきたかという問題があったとします。仮に家賃統制令をとってみましても、地域にあって非常に大きなトラブルがあったとしても、住宅政策そのものを討議するのは内閣委員会ではなくて建設委員会という形でそっち側に移されてまいります。ですから、討論してみまして、内閣委員会というのは何かいろいろな各省庁が持っている課題の通過委員会みたいな感じ、いわゆるアフターケアといいますか、後までそのことを決めたことに対してのいろいろな国民の反応に対して責任が持てないような感じが合しているわけでございます。そのことは既に長官おわかりのこととは思いますが、そういう問題もあるわけなんです。  そういうのはそれぞれの委員会でやったらいいじゃないかと言っても、やはりそうなりますと、それなら最初からその法案をおれの委員会へ持ってこい、こういう話にもなるわけでございます。したがって、今提案された政府の意見については後刻私たちの方から意見は述べますけれども、今後もなおこういう状況が引き続きますと、国民の政治に対する不信感を招くような要素が出てくると思いますので、十分な今後の御検討をお願いし、私の質問を終わらせていただきます。
  127. 中島源太郎

    ○中島委員長 午後三時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後二時十分休憩      ————◇—————     午後三時三十分開議
  128. 中島源太郎

    ○中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。上原康助君。
  129. 上原康助

    ○上原委員 いわゆる規制緩和一括法案の最終質疑の段階に入ったわけですが、きょうは総理がわざわざおいでをいただいたことを、一応敬意を表したいと思います。  そこで、せっかく首相の御出席をいただきましたので、法案に関連するお尋ねをする前に、せんだって行われました米ソ首脳会談について、若干お尋ねをさせていただきたいと存じます。  もう既に御承知のように、レーガン米大統領とゴルバチョフ・ソ連共産党書記長が、去る十九、二十の両日行った首脳会談の結果を、二十一日、ジュネーブ国際会議場で共同声明並びに記者発表を行いました。  共同声明は、両国間の対話継続のため、両首脳が近い将来に相手国を相互訪問することで合意をしたこと、世界平和維持の重要性を強調し、両国間は、核戦争であれ通常戦争であれ、戦争を防止するとともに、軍事的優位を求めないと、不戦の誓いをする歴史的な内容で、米ソ新時代への幕あけだという評価がございます。  首脳会談の焦点だった軍備管理問題では、軍拡競争を防ぎ、あるいは中止をし、核兵器を削減して戦略的安定を高めるため、ジュネーブ包括軍縮交渉を加速させていく。ただ米戦略防衛構想、いわゆるSDIなどの具体的合意がなかったことは残念でありますけれども、この両首脳の会談において不戦の誓いを宣言したこと、米ソ新時代に踏み出したことは、今後の国際情勢、国際政治に及ぼす影響も極めて大きいと私は考えます。  そこで、今後の日本の対外政策、外交政策にも、相当重要な影響を及ぼすのではないかという感じがいたします。なかんずく、歴代の自民党内閣、特に中曽根内閣は、ややもすると反ソキャンペーンというか、ソ連恐怖論を強調してきたのではないかという懸念を持つものであります。そういう意味で、今後の中曽根外交というか日本の外交にとって、この両首脳会談というものがどのような影響を及ぼすとお考えなのか、まず御見解を明らかにしていただきたいと存じます。
  130. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 レーガン大統領とゴルバチョフ書記長が先般ジュネーブでサミット会談を行いました。その結果に対しましては、私はこれを評価するものであります。もちろん、国際情勢は現に厳しいものでありますから手放しに喜ぶべきものでもないし、何ら幻想を抱くべきものではない、そういう厳しい立場の上に立って評価したい、そう思っておるのであります。  どこを評価するかといいますと、ともかく二人の最高指導者がお互いに触れ合って、お互いの目を見詰め合って、そして恐らく人間として何かを感じたのだろうと私は思うのです。これが、全然会わないで手紙を見るとかあるいはテレビで見るというのとはまるっきり違ったものが生まれるのであります。それが人間の不思議なところであろうと思うのです。そういう意味において、二人が直接会ってお互い目を見詰め合ったということは歴史的なことである、そう考えて、やはり人類的責任というものを両方は何らか感じたと私は思うのであります。  それから、そういうものを基礎にしまして、両者がともかくまた会いましょう、これを一回限りにしないで継続的に何回もやろう、来年はゴルバチョフさんがアメリカへ行く、その次はレーガンさんがモスクワへ行く、そういうふうに継続的にこれと真剣に取り組んでいこうという姿勢が示されたということは、非常に喜ばしい、非常に喜ばしいことだと私、強調したいのであります。  それから、ともかく二人の首脳部が軍縮、特に核軍縮、あるいは二国間の関係改善について、改善しよう、そういうふうに約束したということでございます。その中にいろいろな問題が含まれておりますけれども、例えば、これはまだ抽象的な、カテゴリーの決まらない分野ではありますが、核兵器を五〇%削減しようとか、あるいはINFについては暫定協定を結ぼうとか、そういうようなある程度数字あるいは目鼻立ちについても触れ合って、話の糸口ができたということは、これからの努力に対して希望を持たせるところでありまして、そういうことは恐らく世界じゅうの人が歓迎しているところであるだろうと思うのです。  そういうふうにして、米ソ両国の間で対話のスタートが切られた、フレッシュスタート、こう言っておりますが、言われておりますことは、世界の緊張を緩和する効果を持ってありましょう。またそれは、日ソ関係についても援護射撃的な意味においていい結果をもたらす環境が生まれつつある、私はそう思っておるのであります。いずれシェワルナゼ外務大臣が一月にお見えでございますが、じっくりいろいろと話し合ってみたい、そう思う次第でございます。
  131. 上原康助

    ○上原委員 少しそっけない感じもしますし、何か他人ごとのような御答弁のような気もします。細かいことはいろいろお尋ねしたい面もあるのですが、時間がありませんので割愛します。  要するに総論部分で、多くの重要問題で深刻な相違点が残ったということは、両首脳も言っているわけです。また、共同声明その他の背景説明等でも言っている。ただ、核戦争での勝利者はなく、戦ってはならない、この認識で一致したということと、両国間の紛争は破壊につながるとして、核、通常兵器を問わず、戦争を回避をする重要性を強調し、軍事優位を求めないと宣言したことは、私たちは評価していいのじゃないかという気がいたします。これは当初の予測を上回ったという評価もありますし、第二次世界大戦後の東西の対立構造に変化をもたらし、米ソ関係を新たなデタントの方向に持っていくスタートになると期待したいし、またなさねばいけないと思うのです。  今も総理も、来年一月のシェワルナゼ・ソ連外相の来日を契機に、日ソ関係の改善にも努力をしたいということですが、しからば、この米ソの首脳会談で方向づけられた米ソ関係の改善、あるいは国際政治、国際情勢に及ぼす影響等を、平和国家である日本の立場で、日本の総理として、具体的にそれをどういうふうに改善をするように働きかけていかれるのか。一説には総理御自身の訪ソというものも取りざたされておるわけですが、いま少しそこいらの点を明らかにしていただきたいと存じます。
  132. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 米ソ両首脳部の直接会談によりまして、新しいスタートが切られました。どのように展開していくか、我々は深甚の注意をもってこれから見守ってまいりたいと思います。  ともかく、両方の首脳部が、上原さんがおっしゃいましたように、核戦争に勝利はないし、核戦争はあってはならないということを宣言しました。これは非常に大事なことであると思いますし、この約束は守らなければならぬ、また守らせなければならぬ、そう思うのでございます。  日本は、いわゆる核拡散防止条約に入っておりまして、この義務を忠実に履行しておりますが、核拡散防止条約の条文にもありますように、たしか六条でありましたか、核保有国はおのおのが核兵器については節制を行って、そして、核非保有国に対して安心感を与えるような方向に政策を持っていく責任が課せられておったはずであります。我々は核非保有国といたしまして、核保有国に対してそのようなことを主張する権利もあると思うのであります。  今回、米ソ首脳部が、コミュニケの中でNPT条約にも言及しておりまして、これを拡大しようということと同時に、核について節制し、これを削減していく協力をしようと言ってきたことは、ある意味においては、NPT条約に対してこれを守ろうという意思を示していることでもあり、日本としてもそれを歓迎するし、それをさらに進めさせる協力もしていかなければならない、そう思っておるわけでございます。  日ソ間の問題につきましては、もとより領土問題という避けて通れない基本的な問題があります。私は、先般、ソ連のゴルバチョフ書記長から手紙が来たのに対して返書を送りまして、領土問題を解決して平和条約を締結したい、そういう交渉をやろうじゃありませんかという提起をいたしました。そういう基本的立場を我々は持っておりますが、しかし、日ソ間にはまだいろいろな問題もあります。文化問題もあれば、経済問題もあれば、漁業問題もあり、科学技術の問題もございます。そういう幅広い問題につきましても、両国の親善関係を増すように、お互いが汗をかいて努力し合うべきものであると思っております。  そういう考えに立ちまして、先方がどういう考えで出るかよく聞いてみたいと思いますし、外務大臣同士で長時間話し合いますから、恐らくかなり深い話もやるだろうと思います。  今後の米ソ関係が首脳会談の結果どう展開していくか、あるいはさらに日本とソ連の外務大臣会議、あるいは私のところへ来るシェワルナゼさんの考え方等々もよく聞いた上で、いずれ、日ソの外相の定期協議というものは定期に行えなければならぬのでありまして、これを行う、しかる上に立って、すべての状況を判断した上で、私がモスクワへ行くことがいいということであれば行ってもいい、しかしそれはそういういろいろな条件を検討した上の話である、こういうふうに申し上げる次第であります。
  133. 上原康助

    ○上原委員 これまで首相が記者会見等でおっしゃったことと余りかわりばえいたしませんが、いずれにしても、来年一月のシェワルナゼ・ソ連外相の訪日いかんによっては総理の訪ソもあり得るという感じを受けます。  あと一つ、これの関連で簡単にお尋ねしておきたいのです。  例のSDI、戦略防衛構想ですが、レーガン大統領は、この首脳会談後、SDI計画はあくまでも推進していくのだという強い決意を表明したという報道がなされております。今度の両首脳の会談においても、一番意見のかみ合わなかったのはこのSDI構想だと報じられておるわけです。防衛兵器であるとかいろいろ言われておっても、これは宇宙の核装備であることは間違いないと私たちは思うのです。せっかく核軍拡競争をやめよう、軍縮をしよう、あるいは戦略核を五〇%削減しようということを一つの土台として、これから話し合おうとするやさきに、SDIをあくまで推進していくと言うことは私たちはいかがかと思うのです。アメリカにそれを思いとどまらせると同時に、ソ連側に対しても、それに見合う核軍縮をやれと言うような、デタントを模索するのが日本の外交方針であってしかるべきだと私は思うのですが、この点については、総理はあくまでアメリカに理解を示して、西側陣営の一員という立場でSDI遂行ということでやっていくのか、御見解を聞いておきたいと思います。
  134. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ことしの一月二日にロサンゼルスでレーガン大統領と会談しましたときに、大統領から直接説明を受けまして、SDIは非核兵器である、そして核兵器をなくすための防御兵器である、そういう新しい兵器体系によってICBMや核兵器を地球上からなくそうという理想の考えに立って今これを研究しておるという話を聞きまして、私はそういう考えについて理解を示した、そういうことを申し上げて、現在も同じ立場を持っておる次第でございます。  しかし、SDIは今後どういうふうに内容が肉づけられてくるか等々については、慎重に研究し検討する必要があります。そういう意味におきまして、調査と検討をまだ続けておるという状態でございます。
  135. 上原康助

    ○上原委員 限られた時間ですので次に進みたいと思うのですが、要するに米ソ両超大国で世界を分極化支配していくというようなことにならないことを私たち考えなければいけないということも申し上げておきたいと思うのです。第三世界の立場も十分に考えて、新しいヤルタ体制にならないということを日本としても考えるべきであるということも付言しておきたいと思います。  次に、順序としては、この規制緩和一括法案を含め法案の一括提案問題についてお尋ねしたいわけですが、時間の都合もありますので、八条機関である審議会と私的懇談会のあり方についてお尋ねしていきたいと思います。  この件については、既に国会で多くの論議がなされてきました。昭和三十六年四月十二日付の行管庁管理局長通達あるいは昭和三十八年三月十八日の行管庁見解を引用するまでもなく、国会審議の過程でしばしば問題にされてきたことは多言を要しません。しかし、非常に遺憾なことには、中曽根内閣誕生以来、私的機関というか私的懇談会の設置あるいは運用が非常にひどくなっている感がいたします。  中曽根内閣は、表向きは行政の簡素化とか経費の節減を唱えながら、首相の私的懇談会等を乱造し、首相の意に沿った報告書を出させることによって世論を巧みに操作して誘導しつつ、憲法解釈にかかわる統一見解さえもいわゆる私的懇談会報告を引用して勝手に変更する、あるいは防衛研究会等の報告を参考にして防衛費の大幅突出に利用していくなど、国の重要施策を左右する隠れみのとして悪用されてきているのではないかという懸念を深くするものです。その最たるものが、本委員会、本会議等でも既にしばしば指摘されてまいりました靖国懇であり、平和研究会の報告書であることは指摘するまでもないと私は思うのです。私的な諮問機関をこのような形で活用することは、私はまさに越権脱法行為と言わざるを得ません。  なぜなら、一つには、国会の審議権の否定ないしは軽視であるということ、二つ目は、国家行政組織法を無視している面が多いということ、三点目に、一との関連も深いわけですが、総理を初めとする各関係大臣が国会で答弁したこと、あるいはこれまで行管庁が発出してきた通達などを否定している面が多いからでございます。  総理は、今私が指摘をしたことをどうお考えなのか。また、首相直属の私的諮問機関の活用の仕方を、私はもう少し本当に行政組織法とかあるいは本来のあり方に戻すべきだと思うのですが、その点どのようにお考えなのか、改めて御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  136. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 政府といたしましては、できるだけ国民の皆様方の声をお聞きいたしまして、政治や行政が独善にわならないように、特に官僚独善というようなことが言われます。そういうことを避けるために、幅広く国民の皆さんの声をお聞きするということは民主的なやり方であるだろうと思うのであります。  その場合に、国家行政組織法八条による審議会等々がございますが、それ以外に我々が研究してもらうとか意見を聞かしてもらう、そういう意味で適宜懇談会あるいは研究会をつくって、そして臨時につくって終わればそれで解散をする。これは一人一人に御意見を承るというのを、研究会という形で一人一人に意見を表明していただいて、その報告を聞いて、そしてそれによって我々が判断をしていく、そういう形をとっておるものでございまして、審議会の決議というようなそういう形はとらないのでございます。そういうやり方で政治や行政の独善を避けてやろうとするのでありまして、私はそれが不法不当なやり方であるとは思いません。民主的な念の入ったやり方をやっている、そういうふうに思うのでございます。  今後どうするかということは、問題の提起によって、その場合いろいろ考えていくということであったであろうと思います。  以上でございます。
  137. 上原康助

    ○上原委員 総理は、本会議での御答弁を見ても委員会での御答弁を見ても、おっしゃっていることは大変ソフトでなかなかきれいごとに聞こえるわけですね。今おっしゃったとおりにやっておられれば、これは問題ないのですね、実際は。しかし、現実はそうはなっていないというところに批判があり、疑問が持たれているわけでしょう。私も、懇談会を置くこと、あるいは私的諮問機関を総理や各関係大臣が置かれるということを全面的に否定しているわけじゃないのですよ。そうじゃないのです。今そうおっしゃいますけれども、しかし靖国懇のことは、これは官房長官の私的諮問機関であったといえばそれまでのことかもしらぬが、これとてやはり総理直属のものに最初しようとしたわけでしょう。余り生臭く見えるから官房長官にこれはそっと任せただけだ。——後藤田さん、お笑いですが、後でひとついいことをお尋ねしますから。  靖国懇の場合だって「国民の多数により支持され、受け入れられる何らかの形で、内閣総理大臣その他の国務大臣の靖国神社への公式参拝を実施する方途を検討すべきである」こういうふうに靖国懇は言っているわけでしょう。これはまさに答申じゃありませんか。靖国懇にこのような報告書を提出させておいて、しかもその前に、与党の自民党には小委員会を設けさせて、総理や閣僚が参拝することは憲法違反でないということを世論操作を巧みにやりつつ、ここでこう仕向けていく。あなたはそういう面の天才ですね。まさにある面では、失礼な言い方かもしれないが、詐術師のように本当に天才的な才能を持っておられる。それが今問題になっているわけですよ。それは今議論すると長たらしくなりますのでなんですが、こういうこそくなやり方はまさに脱法行為ですよ、あなたがどういう形で言い繕っても。  ですから、審議会と懇談会の性格の違いというのはこれまでの議論でも明確になっているわけでしょう。参議院の予算委員会でも後藤田長官も藤波官房長官も明らかにしておるのです。これは引用するまでもない、きょうは資料を持ってきていますけれども。すなわち、審議会が国家行政組織法第八条に基づく権威ある公の合議機関であるのに対して、懇談会は今も総理もおっしゃった出席者の意見の表明または意見の交換の場にすぎないわけですよ、簡単に言うと。歴代の行管庁長官もそういうことを言ってこられた。そしてまた、厳格に区別をしていくと国会でもしばしば答弁してこられたわけですね。全くおかしいのじゃないですか。  さらに問題にしたいことは、中曽根行革とは一体何だったかということを改めて私たちは問い直さねばいかぬと思うのですね。小さな政府とか行政の整理統合、簡素化、これは確かに国民向けに聞こえはよい。そういうことでスタートしたはずの中曽根行革は、時がたつにつれて臨調行革に味をしめて、あの種この種の懇談会をたくさんつくって報告書を出さして、それを新聞に大々的に発表して、世論を盛り上げて、支持率を高めて、その間隙でどんどんあなたの好きな行革になってしまっておるのですよ。一、二例挙げましょうか。当初のねらいとは似ても似つかぬものになってきていると私は思うのですね。私的諮問機関の経費面だって、これは公費を使っているわけでしょう。これだって問題ですよ。きょうは議論する時間がありませんが。  ですから、例えば歴代の首相の私的諮問機関も、これは池田内閣時代ですか、私的諮問機関が大変ふえたということで国会で大変問題になって、それ以降自粛をするということになったわけなんだが、大体歴代首相の私的諮問機関は一内閣一機関にほぼ抑えられてきたはずなんですよ。そして、余り政治の前面に出なかったはずなんだ。それをあなたは、今、そういった国家行政組織法とかそういうものにもとるようなことはやっておらない、公平にやっていらっしゃるというのだが、ある新聞では、ブレーンを使ったやらせの批判もありますよ。ブレーンを使ったまさにやらせ行革だ、そういう特集をしておるものもございますね。これは私的の枠を超えた公権の乱用ですよ、総理。さらにある評論家は、テレビ時代が生んだイメージファシストの台頭だ、こういう厳しい批判もあるということを総理はどのように御認識なさるのか。やはりこういった私的諮問機関の乱用ということは私は避けるべきだと思うのですね。それでもう五つつくっているわけでしょう。もう一度御見解をお聞かせいただきたいと思います、私が指摘をしたことも含めて。
  138. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げますように、政治や行政の独善を避けまして、どこに民意があるか、どういうことを国民の皆さんお考えでいらっしゃるか、そういうことを探求する、そういう意味におきましてやらしていただいておるのであります。  靖国懇の場合にいたしましても、いわゆる「社会通念」という言葉が津の判決に出ておりました。社会通念というのは一体どういうものを指すであろうか、そういうような問題についてもいろいろ意見も聞きたい。そういう意味で学識経験者等の御意見も承り、そういうことを行ったのでございまして、それ以外に他意はないのでございます。
  139. 上原康助

    ○上原委員 余り御反省の色はないようですが、社会通念ということで片づけてしまうと、これは何だってそういうふうに包括できないことはなくなるわけですね。きょうは靖国問題を議論する場でありませんので、これ以上私も深追いいたしませんが、少なくとも総理が、こう乱造している私的諮問機関のあり方、防衛費の問題にしても、きょうはこの平和研究会のレポート、報告書も持ってきましたが、これも「大綱」は再検討すべきである、一%は見直すべきであるとどんどん提言をしていますよ。あなたはそれを先取りしたいわけですよ、実際問題として。だから、泥をかぶっても王道を歩むなんて大見えを切ったが、結局内外のプレッシャーでできなくなっている。そういうこと自体は、総理、今は人気あられるからいいかもしらぬけれども、やはり中曽根政治の三カ年有半にわたる私的諮問機関の活用の問題とかその政治姿勢について、御反省はないのですか。
  140. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 誤解がありとしますればこれを解くのに大いに努力しなければならぬと思っております。しかし、ただいま申し上げましたように、幅広く国民の皆さんの御意見を承るのが民主的なやり方である、そういう謙虚な考えに立ってやっているということをぜひ御理解願いたいと思うのであります。
  141. 上原康助

    ○上原委員 幅広くとおっしゃいますけれども、懇談会での委員のメンバーの指名というのはあなた御自身がなさるわけでしょう。あなたの好みによって全部を任命しているのじゃありませんか。それこそあなた、独善じゃないですか、ある意味じゃ。審議会となると、それは国民各界各層の、いわゆる国会承認の人事案件になりますから、そのことを私は問題にしているわけですよ。  それともう一つは、国会の審議権の問題ですね。少なくとも政府が法制局長官も入れて統一見解を国会で明らかにしておきながら、それを、私的の懇談会の報告書をよりどころに、国会でも議論をしないで変更するなんというのは、やはり議会制民主主義の重大問題ですよ。そのことを私たちは問題にしているということを、私は改めて、今の御見解には私の意見を申し上げておきたいと思うのですね。時間がありませんからきょうこの問題は余り深く触れられませんが、そういった厳しい批判があるということはひとつ受けとめていただいて、これからのこういった行革問題にも取り組んでいただきたいと思うのですよ。  次に進みます。  これも行革問題と関連いたしますが、政府は、今年度六十年度予算の編成に当たっても、各地方自治体の高率補助を一律一〇%、一割カットしたわけですね。これは私も全面的に否定はいたしません。そういった補助金制度の見直しというか、あるいは不要不急というか、比較的、大所高所から検討して、どうしても行財政改革の中で改善をしていかなければいかないことはあろうと思うので、全部は否定いたしませんが、しかし、二千六百億円も地方自治体の財政を圧迫したことはこれは間違いないわけですね。ことしも予算委員会その他大蔵委員会等でいろいろ問題になりましたが、六十一年度、次年度公共事業費のカット幅の拡大はもとより非公共部門にも手をつけるというのが、財政当局の基本町な態度だと聞かされております。その削減目標は約四千億程度だと言われておるわけですが、私は先ほど言いましたように全面否定はいたしませんが、地方の時代に逆行するようなこういった国による補助金の強制カットというか、それには強く反対する立場をとりたいと思うのですね。  なぜならば、このような大幅カットは政府の言う内需拡大にも逆行するものじゃないですか。したがって、大蔵省の自治体切り捨て政策には納得がいかない面が多いわけですが、次年度のこの全般的な補助金カットということに対して総理はどのようなお考えでやろうとするのか、お聞かせをいただきたいと存じます。
  142. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 本年度におきましてもかなりの補助金に対する調整措置をやりまして、地方団体、各団体にもいろいろ御協力もお願いし、御迷惑をおかけしたところでございます。  現在の財政状況が国と地方ともども非常に苦しい状況にございまして、どちらかといえば国の方が国債の発行率というのは非常に大きいわけでございます。したがって、利子そのほかの経費もかなり大きいという状況でもございます。しかし、地方もまた各団体によって千差万別で、非常に苦しいところもまたあるわけでございます。そういう状況下にありまして、両方とも車の両輪のようなものでございますから、協調し合って、助け合うときは助け合う、そういう考えで、地方が困っているときは国がお助けする、国が困っているときは地方がお助け願う、そういう考えで、円滑に国政全体が推移するというのが理想であると思っております。  補助金の問題につきましてはいろいろ党内でも御議論もございまして、ことしの処理とそれを来年どうするかという問題につきましては、閣僚協によって今いろいろ議論もしてもらっておりますし、学識経験者によってもまた御議論をやってもらっております。それらの結論を見まして、十二月の予算編成を機に我々の考えをまとめていきたい、そう考えておるところであります。
  143. 上原康助

    ○上原委員 なかなかわかりにくいのですが、もう少し進めてみましょう。  それで、時間がだんだん迫りますので、せっかくですから、これとのかかわりで、総理の沖縄に対する御認識を伺いたいわけですが、政府のこのような補助金カットのあおりを受けて、要するに沖振法で規定されている高率補助についても、今年度から切り込まれたことは御承知のとおりですね。六十一年度も、先ほど言いましたように、地方自治体への国の補助率の上限を原則五〇%とする、これは確定したものなのかどうか、お答えいただきたいと思うのです。こういうのが大蔵当局の方針のようですが、これを聞いて、これは全国的なことでもありますが、特に県財源の七六・九%、約七七%を、これは五十九年度ベースですが、依存財源に頼っておる沖縄にとっては、予算総額の確保もさることながら、また補助率カットを今年度に引き続きやられた場合は大変な影響を受けるということで、関係者非常に心配をしているわけです。軍事基地は専用基地で全国の七五%、あるいはきょうは議論する時間ありませんが、軍用地の一部もさらに二十年間も強制収用するというような、一方においてはこういった非常な犠牲を強いながら、やるということに私たちは納得がいきません。  したがって、私は、沖縄の現状に即して政府全体としての政治的配慮がなされるものと期待をいたしますが、総理の沖縄に対する現状認識と、あわせて、この沖振法で保障されているというか規定されている高率補助、少なくとも二次振計期間中は、それは振興開発を進めていくという上で継続をしていくべきだという強い要望も含めてですが、このことについての御見解をお聞かせいただきたいと存じます。
  144. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 沖縄につきましては、本土復帰後本土にできるだけ早く追いつくようにというので、振興開発計画をつくり、特別立法も行って御協力もしておるところでございまして、たしか延長になったことと思います。沖縄の場合はそういう状況でもありますから、本土に比べて高率補助の場面がかなり広いと思います。しかし、それはそういう立法趣旨で行われたことで、それで沖縄ができるだけ早く本土に近づくようにという配慮のもとに行ってきておることで、正しいと思っておるのでございます。  将来の問題につきましては、先ほど来申し上げましたように、今閣僚協あるいは学識経験者の意見を聞きまして、来年のことは来年度予算編成のときに決めよう、こういう考えで今研究しておるところでございます。
  145. 上原康助

    ○上原委員 時間のようですので、ぜひその面は、立法措置がなされておるのでそれは正しいと思うということは、そこで規定された高率補助についても、その間は少なくとも継続維持をするという理解ができると思うのですが、そのことでいいですね。一言……。
  146. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ただいま御答弁申し上げたとおりでございます。
  147. 上原康助

    ○上原委員 終わります。
  148. 中島源太郎

    ○中島委員長 鈴切康雄君。
  149. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 公明党・国民会議を代表いたしまして、総理にお伺いいたします。  十一月十九日、二十日の両日にわたってジュネーブで開かれました米ソ首脳会談は、前文と共同声明十三項目から成る共同声明を発表して終了いたしました。  今回の米ソ両首脳会談は、一九七九年ウィーン会談以来六年間という空白が大きかっただけに、冷却した東西関係をいかに改善できるかと、全世界が核軍縮を初めとする平和への熱い期待を抱いて見守られてきましたけれども、米ソの両首脳が率直に意見を交換し、米ソ間の対話を再開させ、信頼関係を深めたということは、有意義であり、また評価できると思います。しかも米ソは、核不戦で合意し、核軍縮促進で一致したこと、また双方とも軍事的優位を追求しないということを明言したことは、まことに重要であると私は思います。  これが、核兵器を含めた軍縮交渉の基本原則として、名実ともに履行されることがさらに重要なことと思いますが、両首脳の相互訪問というところまで信頼関係を取り戻したことは、今回の米ソ両首脳会談の成果について総理はどのように評価されますか。また、この会談が緊張緩和と世界平和の進展に肯定的な成果があったと認められるかどうか。もしそうだとするならば、具体的にどういう点においてか。総理の認識をお伺いいたします。
  150. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 米ソ両首脳部、両首脳の会談は成果があったと思います。そういう意味におきまして、両首脳の今回の会談については敬意を表するものであります。また評価をいたしておるものでございます。やはり六年ぶりに氷が解けまして、新しいスタートに立ったということを言明したという点は非常に貴重である、この日を全世界の人類、国民が待っていたのではないかという感じもするのでございます。  ただ、しかし、現実を見ると非常に厳しい現実の上に立っておるのでございまして、日本の周りを見ても厳しい現実は変わってはいないと私は思うのです。そういう意味において幻想は抱いてはならない、そう思いますが、しかし、ともかくフレッシュスタートと言われるように新しい世界へ突っ込んでいこう、やれなかったことをやるように努力していこう、両方がそういうふうに誓い合ったということは非常に評価していいし、それがさらにはずみがつくように私たちは協力もし、努力もしていきたい、そう思うのでございます。  今おっしゃいましたように核不戦の誓いといいますか、核戦争はあってはならない、また勝者はない、そういうことをはっきり言っておるということ。それから核軍縮あるいは一般軍縮あるいは二国間の関係について改善に向かって進む、そういうことも言明している。それの対象項目といたしまして、例えば核について五〇%に下げるとか、あるいはいわゆるINFについては暫定協定で進むとか、あるいは化学兵器禁止に向かって進むとか、そういう具体的なことも列挙されております。そのほか、いろいろな二国間の問題につきましても言及がなされておりまして、大まかに見まして、世界をほっとさせたという効果を伴いまして、これが実るようにさらに我々も協力してまいりたい、そう思っておる次第であります。
  151. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今総理が言われましたことを踏まえて、実は中曽根総理は二十一日に米ソの首脳会談の結果についての記者団の質問にお答えになっておられますが、そのところで、米ソ両国が今後約束をどう実行していくか、我々にも責任があり、一緒になって平和、軍縮に努力したいというふうに述べられたことが報道されておりますけれども、私もまさにそのとおりだと思います。  そこで、今回の会談を今後の国際政治にどう反映させ、発展さしていくか、そのことによって国際平和に寄与されていくことは我々の最大の関心事であり、責任であると私ども思っております。しからば総理としては、今後日本として果たすべき責任をどう認識し、実行されていかれるのか、その点についてお伺いいたします。
  152. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 米ソ首脳会談につきましては、我々はその前に先月ニューヨークに集まりまして、そしてレーガン大統領からその考えも聞き、我々の考えも申し述べまして、レーガン大統領も非常に喜んで、そういう考えを大変参考にして臨んでくれたと思っております。またその結果も、我々が要望した線に沿ってかなり忠実にレーガン大統領は努力されたと考えており、高く評価しておるものでございます。これからも、日本は自由主義陣営の一員にございますが、よく話し合いをし、そしてこの結束のもとに事態をよりよい方向へ、前進させる方向へ努力していくということは大事であるだろうと思います。  それにはやはり世界全体の情勢把握、あるいは情報を余すことなく収集して、そして的確な判断を我々もしていくということが大事である、そう思いまして、今後、この米ソ会談後の米ソが具体的にどういうふうに動いて出てきているであろうか、あるいはジュネーブにおいてあるいはその他の地域において、それらに対する情報把握というものを厳密に行って、そして的確な判断を持って我々も推進していきたい、そう思う次第でございます。
  153. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回、米ソの両首脳は、軍事問題では両国の主張と考え方には大きな不一致点があることを率直に認め合った、その上で十二項目の共同声明に調印し、さらに解決策を見出す作業をジュネーブで粘り強く続けるということで、両国間の対話は継続、拡大することは保証された、相互理解が達成されたことにより、両国は国際情勢全般を改善することで合意されたとなっているが、確かに積み残された問題の具体的解決になるとなかなか困難な問題があることもよくわかります。  私が総理に直言したいことは、今回の話し合いが、両国の最高首脳の間で率直な話し合いの場が持たれ、両国の平和、軍縮に対する熱意と信頼関係が大きな前進をしたことが一番大きな成果であると私は思います。そのことから、日ソ関係においても、まず両国間の信頼関係を取り戻すためには両首脳の話し合いによる以外ない、私はそのように思うのです。今回の米ソ首脳会談の成果は我が国の日ソ改善にも少なからずよい影響を与え、それなりの首脳会談の成果というものには示唆を与えられたというふうに私は思っております。そこで、総理にその率直な御意見を伺いたいということが一つ。  また、十月中旬ゴルバチョフ書記長に送った親書の中で日ソ平和条約締結を呼びかけ、その後訪米されました際に、みずからの訪ソも検討する考えを示唆されたと報道されておりますけれども、訪ソによる首脳会談について総理としてはどうされるのか、その点についてお伺いします。
  154. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私は、現在のゴルバチョフ書記長が書記長になられましたときに、チェルネンコさんのお葬式のときお会いして、書記長になった早々既にお会いをいたしまして、そのとき自分で得た実感を国会でも委員会で御報告した記憶がございます。前の人とちょっと違うところがありますよ、非常に幅広く西欧社会も知っておられるし、対話を好まれる、そういうようなタイプの方ではないかと思う、そういうようなことも申し上げた記憶があります。余り褒め過ぎだと言われた向きもありますが、私は最初の印象としては評価して帰ってきたのでございます。そのときにゴルバチョフさんは、あなたとは会いたかった、何回も会おう、そういうようなことを言っておられました。私も、人間が会うことはいいことだ、特にトップの人たちが物が停滞しているときこそ会うことはいいことだ、そういう考えを持っております。手ごわい相手とはできるだけコミュニケーションを通ずることは外交の要請である、そういうふうに考えております。  ただ、総理とか書記長とか大統領とかという方が会うときには、やはりそれなりの準備というものが必要であり、機が熟することもまた必要であります。そういう意味におきまして、私はニューヨークにおきましては、今回の米ソ首脳会談の結果、成り行きもよく見るし、またシェワルナゼ外務大臣日本にもおいでになるからよく話も聞いてみて、ソ連の考え方というものもよく分析してみたその上に立って、まず外相の定期会談を確実に再開して実行する、その上に立って、もし私が行くことが必要であれば私はモスクワへ参っても結構であります、そういうふうに幾つかの条件を置きまして、慎重な言い回してこれを申し上げておるのでございます。  しかし、そういう意欲を持っておる、日本の首相がソ連とのいろいろな関係の打開につきまして意欲を持っているということは明らかにしておきたい、そういう意味で申し上げた次第なのであります。
  155. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 日ソ関係を進展させるネックは、何といっても領土問題だというふうに思います。日ソ平和条約を結ぶにしても、それは領土問題を避けては通れないと私は思います。ソ連は、日ソ間には未解決問題は存在しないと、領土問題を外すことを主張し、日本は、固有の領土であるから北方領土は当然日本に返還されるべきであると主張すれば、日ソ関係は一向に進展をいたしません。今までに何回もこの問題でデッドロックに乗り上げているということを見てもわかります。今回の米ソ関係改善により大きく世界が軍縮、平和に向かっているときに、日本の隣国であるところのソ連を全く度外視してしまうということはできないわけでございまして、言うならば、これについて私どもが硬直した姿勢をとっていくということになれば、置いてきぼりにされるおそれもあります。  そこで、外相は、日ソ関係にも好影響を期待したいと二十二日の閣議で報告されましたが、私は、ただ期待したいというだけではなく、日ソ関係を進展させるために総理としてはどういう知恵を絞っていくのか。対ソ政策の展望をぜひ明らかにしていただきたい。
  156. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 領土問題は、避けて通れない基本的な日本にとっては重大な問題であるだろうと思います。したがって、この態度は一貫して変わるものではありません。領土問題を避けて通ったら日本国民からしかられてしまいます。日本の各政党は、鈴切さんの公明党だって同じように、国民からしかられるのは嫌だろうと思われます。これはやはり国家としての基本的な大きな問題であるからであります。  しかし、さりながら、また一方において日本とソ連は隣同士でありまして、地球上における隣同士という位置は、地球が壊れない限り続いていく間柄でもあります。そういうような点からいたしましても、できるだけ善隣友好で親善関係を拡大していくということが望ましい関係にあります。そういうような考えも片っ方で持ちまして、そして、いろいろな問題について、基本的な懸案問題あるいはそのほかの経済や文化や科学やあるいは芸術やらスポーツやら、そういう諸般の関係もございますから、そういう部面につきましての対話の糸口を広げて、そして友好関係を深めるという方向に進めることは適当である、そう考えておるわけであります。
  157. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 ソ連のゴルバチョフ書記長は、宇宙の軍事化への扉を開いてはいけない、もしアメリカがSDIを具体化するならばソ連は対抗措置をとるとまで言い切っておりますし、机をたたいたというぐらいまで報道されております。  今回の両首脳の対立点の一つは、宇宙の軍事化という問題であったことは疑う余地はございません。この問題についてレーガン大統領は、かねがね先進諸国に、非核であり、防御兵器であるSDIの研究について、理解と参加を呼びかけていました。日本の国はSDIの研究については理解を示したところ、アメリカから研究参加の要請が来ているわけでございます。  今回の米ソ両首脳の軍縮に対する話し合いによって、少なくとも従来から見ると国際情勢が変化する傾向も見えてきているわけでございます。今まで日本は参加については慎重に検討しているという域を出ていませんけれども、もし研究の直接参加に踏み切るということになりますと、米ソ両首脳の軍縮に向けての熱意に大きく水を差すようなことにもなりかねないと私は思います。総理としては慎重な態度が今まで以上に必要になったというふうに判断されているのか。その点はどうお考えでしょうか。
  158. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 私は、元来核廃絶論者でありまして、特に広島、長崎の惨劇を受けた日本としては、核兵器を一日も早く地上から追放したいと申し上げてきておるのであります。  レーガン大統領が言っておるSDIというのは、核兵器を地上からなくすために、言いかえれば核兵器というものを不必要にしてしまう新しい防御体系の兵器を生み出す、それがSDIである、そういう意味においていわゆるスターウォーズという名前には値しない、スターウォーズという名前は適当でない、そういうようなことも言っておりますが、私は、レーガン大統領が、ICBMのような攻撃的兵器によらないで、防御的兵器によって攻撃的兵器を無効にしてしまうというやり方で、新しい兵器体系をつくり上げて地上から核兵器あるいは長距離弾道弾というものを抹殺していこうという、それを理解する、非核兵器としてそれが存在してくるならばそれは理解する、そういうふうに申し上げておるのであります。  問題は、そのSDIの内容が一体どういう実態を持って今後発展していくであろうか、あるいは今研究している段階がどういう段階にあるかという中身を見きわめることがまず大事でございまして、今その問題に懸命に取りかかっておるというところで、結論を申し上げる段階には至っていないのであります。
  159. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 今回のSDIの研究参加は、アメリカ要請によるものでありますけれども、開発するまでは研究あるいはまた試作、実験、実用化という過程をずっと経ることになると思いますが、今回のアメリカの研究要請は、日本だけではなくNATOの先進諸国にも呼びかけているわけでございます。もし研究されたものが開発されるということになりますと、これは日・米・NATO諸国の協力によることにもなり、これが実戦に配備されるとSDIシステムは共同開発ということになります。日本にはSDIの研究課題は識別とか追尾部分というふうに伝えられておりますけれども、しかしそれはSDIシステムの重要な部分の研究参加ということにもなります。となると、まさに日・米・NATOという関係による防衛体制が確立することにもなります。  憲法第九条の許容するものは個別自衛権であり、集団自衛権に踏み込むおそれのあるSDIの研究参加にはやはり問題があるのではないだろうか、もっと慎重にしなければならないのじゃないだろうかということと、また、防御兵器だといっても宇宙戦争ということになれば、我が国の参加ということが宇宙軍事化反対の国会決議の精神にも違反することはもう明白であるわけでございますから、非核だからといってよいという単純なものではないと思うが、この点について総理はどうお考えでしょうか。
  160. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 もちろん、我々が外国といろいろ関係を結ぶという場合には、憲法を守り、個別的自衛権の範囲内においてやるということは第一前提でありまして、それは堅持していくつもりであります。でありますから、NATO諸国と集団防衛体系に入るようなことは起こさない、あってはならないことである、そういうふうに考えて、もちろん注意深く注意しつつ我々は物事を処していかなければならない、そう思っておる次第でございます。  ただ、SDIの内容はどういうものであるか、またどういうものに発展するかという点はもう少し見きわめる必要もありますので、我々は今慎重な態度を持しておるということなのでございまして、結論を申し上げる段階には至っていない、先ほど来申し上げているとおりであります。
  161. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 これは企画庁長官中小企業庁長官のお二人にあわせて二問、お聞きします。そうなりますとちょうど私の時間が終わるわけであります。  政府は去る七月三十日、貿易摩擦を解消し、世界経済が保護主義に落ちかねない危険性から脱却するために、市場アクセス改善のためのアクションプログラムを発表されました。それによると、関税、基準・認証、輸入プロセス等、六分野を対象とした骨格になっております。今回の一括法案の中にも許可、認可の見直しと規制緩和ということで自己認証制を取り入れております。外国の関心はアクションプログラムがいつ実施されるのか、実際上どれだけ効果が期待できるのか、また目に見える効果としては輸入がどれだけふえるかということであり、市場のメカニズムは必ずしも簡単なものではないということはわかります。  アクションプログラムを作成したが、現在の経常収支は年間四百八十億ドル黒字で、黒字基調は必ずしも縮小していません。基準の緩和、自己認証制度の法案を現在審議中であり、関税の引き下げも来年の一月に法案提出ということであるが、たとえ通っても、商売となると最低は三、四カ月はかかるということになりましょう。このアクションプログラムによる効果政府としてはどのように見通しておられるか、いつごろこういう効果が出てくるかということが一つ。  もう一つは、対外経済対策の一環として、市場アクセス改善のためのアクションプログラムを策定し、スケジュールを早め実行に移すことと、九月二十二日の先進五カ国蔵相会議による為替レートの適正化のための協力を図るということが合意され、円高定着するよう、ドル売りによる日銀介入があり、ドル高の是正とか、経済の拡大均衡を図るための内需拡大という、三本柱を立ててやることが決まりました。  内需拡大を図るために個人消費の喚起を促すことが重要な柱となりますが、そのための諸施策をどう進めていくのか。また、円高傾向の維持が輸出業者、なかんずく中小企業にドライブがかかって倒産寸前までに追い込まれているのが現状でございますが、その実情を政府はどのように把握し、輸出関連中小零細企業をどう救済していくのか。  それらについて企画庁長官中小企業庁長官にお伺いいたします。
  162. 金子一平

    金子国務大臣 今回のアクションプログラム実施することによりまして、我が国の市場アクセスは格段に改善されまして、輸入は大幅に増進するものと期待しております。  ただ、おっしゃるとおりいろいろな法律改正等の手続の関係もございますし、また、各国の輸出の努力いかんという問題やら為替レートあるいは内外の景気の動向等の関係もございますので、特に制度面の改正を含んでおる関係で、いつから幾ら黒字是正の具体的な効果が出るかということは、正直言って計算が難しいということを言わざるを得ないと思うのであります。ただ、我が国としては、経済の拡大均衡を通じまして対外不均衡の是正にこれからも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  それから、個人消費の促進の問題でございますが、内需拡大の基本方針にも幾つかの消費拡大の具体策を提示いたしております。例えば民間金融の機関による新商品の開発でございますとか、あるいは週休二日制の促進でございますとか、いろいろなことを取り上げております。割賦販売等につきましても相当な改善を加えるような措置を講じておりますので、こういった問題を着実に実行することによって消費の拡大を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  なお、円高の結果による輸出関連中小企業への影響につきましては、後ほど通産省からもお話があろうかと思うのでございまするが、年末を控えて特に急激に円が上がりましたものですから、大きなショックを与えておる地域に対する金融措置その他のいろいろな救済策につきましては、目下政府部内において早急に具体案を策定中であるということを申し上げておきたいと存じます。
  163. 木下博生

    ○木下(博)政府委員 急速な円高の進展によりまして輸出関連中小企業産地に相当の影響が出ているのではないかということで、中小企業庁といたしましてもいろいろ調査をいたしておりますが、その結果、新たな契約が非常にしにくいという産地が非常にたくさん出てきております。そういうことの関係で、そういう産地におきましては年末を控えまして資金繰りが非常に苦しくなるというような声も出てきておりますので、今企画庁長官からお答えもございましたように、政府部内で検討いたしまして、年末の緊急金融措置等も考えていきたいというふうに考えております。  それと同時に、今後そういう産地が新たな内需分野へ転換する、それからまた別の商品の開発を行うというような形での転換を図っていくということもより重要かと考えておりまして、現在そういう対策についても政府部内で検討を行っているところでございます。
  164. 鈴切康雄

    ○鈴切委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
  165. 中島源太郎

    ○中島委員長 和田一仁君。
  166. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私にいただきました時間は大変少ないので、率直に総理にお尋ねしたいと思います。  先般のジュネーブにおける米ソ・サミット会談、これは東西両陣営はもちろん、全世界の注目の的の中で行われた、そしてそれが共同声明あるいは個別声明という形で公にされました。私は、このサミット会談の結果が新しい歴史の一ページを開くものであってほしい、こう考えておりますし、また、そうなるのではないかという期待も持っておるわけでございます。  総理は、先ほど来の御答弁の中で、国際情勢は極めて厳しい上に、しかしながらこの会談は評価する、幻想を抱いてはいけないがしかし新しい時代が来るのではないか、こういう評価をされました。私は、これが新しいデタント、いわゆる新ジュネーブ精神というものにつながっていくと考えておりますが、総理も恐らくそうお考えではないかと思うのです。  そこで、そのことと、そうであるならば、ゴ政権がこの新しい流れの中でその期待されている責任を果たし得るような現実行動のとれる政権とお考えであるかどうか、その点をひとつお聞きしたいと思います。
  167. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ジュネーブで米ソ両首脳部が会ったという、そういう大きな現実自体が一つの大きな成果であると思います。  それと同時に、例えばキエフとニューヨークに総領事館をおのおの設置するとか、あるいは来年、再来年にわたって交互に訪問をしてまた討議を継続するとか、そういうような具体的な幾つかの合意及び対話の継続の意思というものが明らかに確認されたわけであります。そういう意味において大きく前進したと思いますし、確かにフレッシュスタートということで、フレッシュスタートというものが行われるにはある程度相手を信用しなければできないわけですから、全然頭から不信状態でできる話じゃないのですから、やはり信用して話し合いをやってみよう、模索するということであります。しかし、両方とも非常に大きな部分で合わないところもあったとも正直に言っておるわけであります。そういうことを認め合った上で、さらに打開に向かって努力しようと言っておる。こういう現実をそのまま冷静に認識して、その水準から我々は判断をしていかなければ過つ、そう思うのであります。  私の評価は先ほど来申し上げたとおりでありまして、また今後につきましても、今後の進展をよく見守りながら日本としてのあるべき姿をこちらも模索していきたい、そう思う次第であります。
  168. 和田一仁

    ○和田(一)委員 この流れの中で、先ほど総理も、日ソ関係にも好影響を与えるであろう、こういう御答弁がございました。私もそうあってほしい、こう願っております。  そこで、最近のソ連の対日政策を見ておりますと若干変化があるのではないか、こういう感じがいたします。いわゆる柔軟な姿勢に変わってきているのではないかという感じがいたしますけれども、この感じは、この流れの中で基本的にそう変わったのだという認識を持ってよろしいのかどうか、総理はその点についてどういうふうに考えておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  169. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 少なくとも前政権時代よりは対話に向かって一歩前進する、そういう方向で歩み出したと感じております。
  170. 和田一仁

    ○和田(一)委員 最初の印象が前の人とはちょっと違う、こういうお話もございました。その違いが、対日政策についてもぜひ前向きの姿勢で、これが単なる微笑外交というか上面だけの変化であってほしくない、私はこう思っておるわけでございます。  そこで、今度のこのサミット、米ソ首脳会談の中で、軍縮の問題やらあるいはINFの問題等が議論をされております。先ほども総理おっしゃっていましたけれども、ジュネーブ会談に先立ってレーガン大統領とお会いになって、いろいろとこの首脳会談に対処するための打ち合わせをやった、我々の意見も十分に聞いてもらって、そしてそれが率直に表明されていることを大変高く評価する、こういう意味の御答弁がございました。そこで、その事前のニューヨークでのレーガン・中曽根会談の中で、今回の米ソ首脳会談に対して、極東におけるSS20の配備の問題について言及してほしいというお願いを当然しておられると思うのですが、残念ながら、今度の共同声明、個別の声明を見ましてもこのことには触れられておりません。この問題について総理はどのような御報告を受けておるのか、その点をひとつお聞かせいただきたい。同時に、当然事前にお願いしてあると思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  171. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ニューヨークにおきましていわゆるサミット構成国、フランスを除く、この首脳会議をやり、また日米会談もやりましたが、私がレーガンさんに申し上げたのは、ともかくソ連側の出方も微妙なものがあると思う、ついてはゴルバチョフ書記長も二月の党大会を控えていることであるし、ジュネーブから持って帰る材料を与える方がよろしい、だからアメリカ側も何か提案をすべきである、ソ連は既にある提案を出してきた、それに対するアメリカ側の提案をなすべきである、ゴルバチョフさんはそれを持って帰ってソ連の内部で検討して、そういう形で次の会談が行われる、そういうような材料を与えるということが必要である、そういうことを私は強調いたしました。  その後のいろいろな情報を見ますと、ほかの首脳もそれに似たようなことも言ったりいたしまして、アメリカ筋のある筋の情報では、それはかなりアメリカの外交筋を動かして、それで至急いろいろ案をまとめたという話を、それは未確認情報でありますが聞いておるところであります。レーガン大統領は割合正直な性格の人ですから、我々との間でいろいろ話したことについてはやはり責任を持って聞いてもおるし、また実行もしていると私たちは評価しておるわけなのでございます。  日本との関係につきましてはこれからの問題でありまして、相手がどう出てくるかということはまだ未知でありますが、少なくとも米ソ首脳会談が背景的にはいい結果を及ぼす方向に動いてきているということは言えると思います。またシェワルナゼ外相が、グロムイコさん時代には来なかったのを今度は来るということ自体も、さっき申し上げたような対話に向かって一歩前進してくる姿勢を持ってきている政権である、そう私たちは見ておるわけでありますから、お会いしたときの情勢に応じて私たちもしかるべく対応すべきである、そのように考えております。
  172. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私は、総理がそういう米ソのサミット全体に対する効果的なあり方を御提言された、そのことはよくわかります。しかし、その中で具体的に、極東におけるSS20の配備が今非常に増強されている。もう百七十基のSS20の配備があるという安倍外務大臣の御答弁が先般参議院で行われています。ついこの間までは百五十三とか百六十二とかいう数字であったにもかかわらず、ここへきて急速にふえている。こういう情勢の中で、この問題に触れられなかったということは大変残念だと私は思うのです。  INFにおけるように、欧州においてはそういう核軍縮の協議の場があるけれども、アジアにおける核軍縮の協議をする場がない、こういうことも含めまして、こういうことを材料に積極的にこの問題を提言していただきだかった、こう思うのですが、最近の極東情勢について総理はどういう御認識でございましょうか。
  173. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 ニューヨークにおきまする首脳会談の席上では、私からINFの問題に宣言及しまして、特にSS20の極東配備の問題について重大な関心を言いまして、ウィリアムズバーグ・サミットのとき以来、アジアの犠牲においてこれが解決されてはならないと自分は言っておる、今後のこの問題に対する扱いも同じような扱いでいってもらいたい、そういうことははっきり発言しておりまして、レーガンさんもそれにこたえる、そういうような趣旨の発言もしております。  ただ、今度のジュネーブにおいてどの程度そういう問題について込み入った話が行われたか、そういう深い細かいところはまだ我々のところには情報としては入ってきておりませんが、しかし、INFについて暫定的な協定を結ぼうというようなコミュニケが出ておりますから、これは恐らくINFの問題についてもある程度の話があり、それに基づいて暫定協定を結ぼうという話にもなったのだろうと私は思います。そういう意味において、今後どういうものが出てくるか、よく注意深く見守ってまいりたい。  いずれにせよ、ヨーロッパの問題がアジアの犠牲において解決するということは我々は絶対容認できないところで、依然として同じ主張を我々は続けていきたい、また貫徹したいと思っておる次第でございます。  また、最近におきまする極東におけるSS20の増強ぶりについてはいろいろな情報がございますが、確かに増強されておることは間違いないという感じでございます。数が百四十四から百七十になったかどうか、正確な数値は私は記憶しておりませんが、ともかく増強されておることは間違いない、そのように考えております。
  174. 和田一仁

    ○和田(一)委員 私は、国連総会に総理が出発される前に、この四十年という記念すべき総会で日本の代表として演説される、その演説の中に、アジアの安定が世界平和へ寄与するために非常に大事だ、そのアジア安定の一つの条件として北方領土問題は早急に解決してもらわなければいけない、北方領土問題は国際世論を喚起するということが非常に大事であるという立場から、ぜひひとつ国連総会での演説の中で言及してほしい、こういう申し入れを沖縄及び北方問題特別委員会の名と民社党の名前で、それぞれ別の機会ですが御要請を申し上げました。原稿にはあらかじめ書いてはおかないが、それに言及するかの御回答をいただいておったのですが、国連の演説を拝見いたしましたが、これは触れられておりませんでした。そのかわりに、恐らく総理はレーガン大統領にはこのこともきっと言及していたのではないか。というのは、この北方領土問題について、米ソ首脳会談でレーガン大統領の方から言及されるのではないかという情報が報道されました。もしそうであるならば、これはやはり総理からのそういう強い話があった上でだな、こう思って期待をしておりましたが、この報道はその後何もフォローはされておりません。  それで、今度の米ソ会談の後の駐米大使からの報告の中に、こういう問題について触れていたかどうかの御報告、これはどういうふうに御報告をお受けになっているのでしょうか。
  175. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 北方領土問題に関して民社党からそういうお話があったことはよく記憶もしておりますし、そのお話も頭の中によくとどめておったところでございます。最終的にどういう演説構成にするかという判断をしましたときに、やはり二国間の問題はあの四十周年という祝典の場合には余りふさわしくない。これが通常総会という場合には、二国間の問題やら国際紛争の問題やらいろいろ具体的に取り出されるというのが例でありますが、四十周年という記念のお祝いの行事でありますから、むしろ日本の国際政治に対する基本的考え方、あるいは日本的な哲学なり世界観というものを中心に我々の考えを言って、もし誤解があれば根本的に払拭しておこう、そういう考えてやった次第でございます。  それから、北方領土問題については、アメリカは強力にこれを支援していてくれまして、恐らくそういう機会もあったんだろうと思いますが、恐らく他国の間の問題について発言する余裕はなかったんではないか。SDIとか、そういう両方の軍縮の一番近接なクライマックスの問題とか、あるいは二国間の問題、あるいはアフガニスタンのような国際大紛争の問題、そういうような問題について時間がとられたのではないか、そういうように解釈しております。
  176. 和田一仁

    ○和田(一)委員 もっといろいろとお聞きしたいのですが、与えられた時間が来てしまいました。  最後に総理、規制緩和につきましては、これから民間活力を伸展させるためにも、サンセット方式の導入、これは本会議での代表質問でも申しましたが、総理の非常に前向きな御答弁がありましたが、サンセット方式についてどうぞよろしく御検討をいただきたいとお願いを申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
  177. 中島源太郎

    ○中島委員長 三浦久君。
  178. 三浦久

    ○三浦(久)委員 総理にお尋ねをいたします。  昨日、円相場は遂に一ドル二百円にまで達しました。今回の円高は、九月の五カ国蔵相会議、いわゆるG5の合意に基づいて、円買いなどの介入政策によってもたらされたものでございます。急激な円高は、一方では電力、ガス、石油会社などに巨額の円高差益をもたらしており、これがスムーズに国民に還元されるならば非常によいことであります。ところが他方では、産地など輸出中小企業や下請中小企業は早くも円高不況という大きな打撃を受けているのであります。  政府がみずから選んだそういう政策、みずから選び実行した政策、これが今の事態を必然的に生み出しているわけでありますから、中小企業対策に対して一〇〇%の万全の態勢をとらなきゃならぬ、政府はこれに対して全面的な責任を持たなきゃならないというふうに私は思いますけれども、その用意があるのかどうか、総理大臣お尋ねをいたしたいと思います。
  179. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 かなりスピードを持って円高が出現をいたしました。私は、円高が適当な円高であるという場合には好ましい現象であると考えております。それはまず物価を安定させる、生活をますます。ある意味において、一般庶民については、特に消費者については安定させるという効果を持ちますし、経済摩擦を解消するという効果も持つからであります。  しかし、行き過ぎたものが長期間続きますと、これは中小企業に非常に大きな打撃等を与えます。輸出関連産業にも打撃を与えてまいります。したがって、その辺の勘どころを読んでいくということは政治としては非常に大事なところで、現在の状態をよく深甚な注意をもって見守っておるというところでございます。  通産省においては、既にいろいろな聞き取り調査等もやり、産地の事情調査等もやっております。まだ二百円前後にきたばかりで、これがどういうふうに推移していくか、その先もよく見た上で考えなきゃなりません。しかし、中小企業に打撃がくるような状態であるならばこれはすぐ手を打つ必要もある、そのように考えまして、政策当局におきましてはそういう政策を今いろいろ検討しておるという状態にあります。
  180. 三浦久

    ○三浦(久)委員 今総理がお話しになりました通産省の調査は十一月の十八日に中小企業庁が行っておるわけですが、この調査によりますと、輸出比率二〇%以上の産地、いわゆる繊維、陶器、金属食器、これらはすべて新規契約がストップしている、また値下げ要求など深刻な状況にあるということが報告されております。そして、採算レートは大体二百二十円から二百三十円という産地がほとんどで、二百円はおろか二百十円でもやっていけないという産地が圧倒的であります。政府が二百円水準への定着を図ろうとしているのであれば、これは私は産地中小企業に死ねと言うのと等しいというふうに言わざるを得ないと思うのであります。  ともあれ、二百円に達しておる現在、当面の緊急対策をとらなければならないと思うのですね。特に御承知のとおり年末に向かう折でもありまして、特別融資というものを早急に実施する必要があるだろうというふうに思うのであります。単に融資枠を拡大するというだけでは、これは担保力のない中小企業を見捨ててしまうということになるわけでありますかう、いわゆる特別融資枠を設けること、そしてまた特別の長期低利の融資を行うなど万全の体制をとるべきだと思います。中曽根内閣の円高政策によってつぶされる中小企業、そういうものが一つもあってはならない、そういう対策をとるべきだと思いますけれども、重ねて総理の御見解を伺いたいと思います。
  181. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 急激にやってきたものでございますから、政府といたしましても用意おさおさ怠りない、そういうことで今いろいろ検討しておるところであります。年末にかけての問題等については言うまでもないことでありまして、それらにつきましても我々としては万全の対策を講ずる考えでおります。もし御要望がございますれば、状況につきましては政府委員から御説明申し上げます。
  182. 木下博生

    ○木下(博)政府委員 中小企業庁として輸出産地の状況を調べましたところ、模様眺め等の原因もありまして、輸出契約がストップしているという産地も確かにおっしゃるようにございます。したがいまして、そういう産地の中では年末を控えて金融措置等を希望しているところもございますので、今総理から御答弁もございましたように、政府の中で十分に相談いたしまして金融対策等を検討している段階でございます。
  183. 三浦久

    ○三浦(久)委員 公正取引委員会と中小企業庁の連名で「下請取引の適正化について」という通達を出しておりますね。これは我が党が早くから要求した問題でありまして、大変結構なことだというふうに思うわけであります。ただ、下請に対する大企業による単価の切り下げ、また発注減らしといったしわ寄せというのは、一層進む様相を示しておりますね。  三和銀行の調査報告書でもこんなことが報告されているのです。多くの大企業が「下請や部品業者等への単価引き下げ要請を行わざるを得ない」、こういうふうに言っているのですね。そうしますと、ただ単に通達を出したというだけでは不十分ですから、大企業がこういう通達を実際に守るような行政指導をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  184. 木下博生

    ○木下(博)政府委員 お話がございましたように、通産大臣と公正取引委員長の連名で六千の親企業に対して通達を出しておりまして、特にこういう円高の情勢下において下請代金の切り下げ等を行うことのないようにという通達を出しております。当然のことでございますが、下請代金支払遅延等防止法という法律がございますので、そういう法律をもとにいたしましてやっております下請状況調査等で、十分に今後の情勢をウォッチしていきたいというふうに考えております。
  185. 三浦久

    ○三浦(久)委員 総理大臣にお伺いいたしますけれども、この前、衆議院に参考人として出てこられました「野村週報」編集長の青山浩一郎氏、この方の試算によりますと、電力会社九社の円高と原油価格値下がりによる差益の合計は八千六百億円に上っており、このうち三〇%を家庭に還元するとすれば平均二戸当たり年五千四百円電気料金を値下げできるというふうに述べておられるわけであります。内需拡大ということを総理も言われておるわけですから、この内需拡大のためにも電力、ガス料金、石油価格の値下げを図るべきだと思いますけれども、御見解を承りたいと思います。
  186. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 それは契約内容がどういうふうに、油にせよ石炭にせよやっているかということが問題なので、もう既にお金が入ってきているわけじゃないのです。なるほど円は高くなり強くなりました。しかし、今までの値段のものが今入ってきておるわけですから、これから契約する分について円が強くなったから非常に有利になるということが行われるのであって、あるいは今までの分についてそういういろいろな国際平価の関係等から見てスライド条項でもあるのかどうか、つまり契約内容によってどの程度の収益が生まれるかということは一つ一つチェックしてみなければわからない。一般的にまず申し上げられることは、それは今までのものは今までの値段で入っているので、これから契約するものについてそういう有利な地位に電力会社やその他がつくので、そういうことであるならば、実際利益が生まれるのは半年後それらの品物が入ってきたときから利益が始まる、そう考えなくちゃいけない。  三浦さんのお話を聞くと、もうごそごそ入ったような印象を与えると思うのです。実際はそうじゃないのですから、したがって、今後の円相場がどういうふうに変動していくであろうかその実態も見きわめ、それから契約内容がどういうふうな状態であるか、実際利益は幾ら出たか、半年後なり一年後、それを見てから考えるべきものである、そう考えるのが妥当であると思うのであります。
  187. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、実際にじゃ総理が言われましたそういう利益が上がった場合には、消費者に還元するのですかどうですか。
  188. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 これはそのときの政策によって、どういうふうにやったら一番適当であるかということがあるのです。今までの例で、若干の利益が出たというので消費者に還元して、二戸当たり一円とか二円とかあるいは十円とか二十円とか還元された。そういう例がありまして、そんなものだったら雀の涙で、むしろ還元しないで、もっと景気回復の方にこっそり事業を起こして使ってもらった方がいい、そういう議論が当時こうごうと起きたこともございます。したがいまして、どの程度の利益がいつ出てくるか、それをよく見た上でなければ判断はできない。それで、この前やったような、そういう薄いものをみんなに均てんしたためにかえって効果的にはそれほどなくて、経費ばかり余計かかった、そういうようなことを繰り返すのもどうかな、そう私は思うのであります。
  189. 三浦久

    ○三浦(久)委員 大分消極的な御意見のようですけれども、時間がありませんからもう一問だけお尋ねいたします。  私の本会議質問に対しまして、総理は、外国並みの市場開放をやらなくてどうして日本の将来があり得るか、共産党はこの点について目を開かれるように希望する。例によって、まるで共産党が外国並みの市場開放に反対しているかのような印象を与える答弁をなさったわけであります。しかし、今政府がやろうとしている措置というのは外国並みの市場開放ではありません。外国以上の水準を国民を犠牲にしてやろうというもので、ここが問題なんです。  ですから総理は、六十年、ことしの七月三十日に、アクションプログラムの骨格決定に際して談話を発表されておりますね。そこではどう言われているのかというと、今回の決定の目標は、関税面においてはもとより、基準・認証等非関税面においても日本の市場が国際水準を上回る開放度を達成することであります。こういうように明白に談話で言われているわけであります。続いて関税の分野では、既に先進諸国中最低の関税水準となっておりますが、さらに各国の要望も配慮しつつもっと引き下げとか撤廃を行うのだ、こう言われていますし、基準・認証の分野についてもいろいろ言われております。  ですから、総理の本会議での御答弁というのは、いわゆる外国並みの市場開放をやらなくては云々というこの答弁は、私は事実誤認に基づいた答弁であると思うのですが、いかがでしょう。
  190. 中曽根康弘

    ○中曽根内閣総理大臣 アクションプログラムを七月三十日にやりましたときには、これをやれば外国水準以上になる、そういうことでこれをやるのだ、そういうことを示したわけでございます。現在、今それを実行中でございまして、今も基準・認証の問題ではお世話になっているわけでございます。一つ一つ着実に実行してまいりたい、そう思っておるわけでございます。
  191. 三浦久

    ○三浦(久)委員 事実に基づいて正確な答弁をしていただかなければ困るということを強く指摘して、質問を終わります。
  192. 中島源太郎

    ○中島委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  193. 中島源太郎

    ○中島委員長 この際、日本社会党・護憲共同の小川仁一君外六名から、許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案を撤回のうえ、再提出を求めるの動議が提出されております。  これより本動議についてその趣旨弁明を求めます。小川仁一君。
  194. 小川仁一

    ○小川(仁)委員 ただいま提出いたしました動議につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  まず、動議を朗読いたします。     「許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案」を撤回のうえ、再提出を求めるの動議   国政と国民生活などに広範多大な影響を及ぼ十六の法律を一本の法案で一括処理しようとする今回の法案提出のやり方は、国会審議権を著しく制約するものであり誠に遺憾である。   よって、政府は「許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案」を撤回のうえ、各法律ごとに原案を作成し、再提出  すべきである。   右の動議を提出する。  以上でありますが、以下本動議の趣旨を簡単に御説明申し上げます。  私どもは、今日まで、一括法に対してこの趣旨の要求を行ってまいりました。  今回提出されました許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案は、御承知のように二十六の法律及び四十二の事項を含んで一括提案され、関係省庁は八省庁にわたっております。行政改革関係二十二法律、市場開放の行動計画関係は四法律、重複一法律説明されておりますが、法律一つ一つを検討してみますと、それぞれに、常任委員会において、政策的課題として審議決定された歴史的経過を持っており、部分的変更であったとしても、それにかかわる政省令の問題、行政効果の問題等、慎重に審議されるべきものであります。また、地代家賃統制令のごときは法律を廃止するという、他の二十五法律とは違った性格を持っております。したがって、一括して審議するには適切を欠く性格の法律であります。  と同時に、一括法は国会の審議権を無視するもの、あるいは制限するものとの批判は免れ得ないものと思います。  特に国民の生活の安定、身体、生命の安全にかかわるものとして、地代家賃統制令の廃止や航空法六十五条の一項目の削除、自己認証制度の導入は、法案のそれぞれの常任委員会において審議されるべきものであります。  統制令対象家屋入居者の不安の声は切実なものがあります。巨大な人命を奪った航空機事故の涙の乾かぬうちの航空機関士の廃止措置は、航空機に対する国民の不安を一層増大し、行政に対する不信となってあらわれております。  一括法としての短期間の審議では、内容の掘り下げの不足と、国民の声が反映し得ないもどかしさもあって、国会の審議を著しく拘束する結果になりました。国民の負託にこたえて十分な審議を行うことが国会のあり方の本旨と考え政府は、この法案を撤回して、各法律ごとに原案を作成し、再提出すべきことを求めるものであります。  これが本動議を提出する趣旨であります。委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
  195. 中島源太郎

    ○中島委員長 これにて本動議の趣旨弁明は終わりました。  採決いたします。  小川仁一君外六名提出の許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案を撤回のうえ、再提出を求めるの動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  196. 中島源太郎

    ○中島委員長 起立少数。よって、小川仁一君外六名提出の動議は否決されました。     —————————————
  197. 中島源太郎

    ○中島委員長 これより討論に入ります。  討論の申し出がありますので、これを許します。柴田睦夫君。
  198. 柴田睦夫

    ○柴田(睦)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案について、反対の討論を行います。  最初に、法案の提出方法と議会制民主主義についてです。  本法案は、二十六法律、四十二事項の手直しを一括したものであり、部分的に賛成できるものもありますが、その多くが国民の生活と生命を脅かすもので、本法案の基本的立場をいささかも変えるものではありません。このような重大な法案を一括して提出するという態度は、議会制民主主義をじゅうりんする暴挙であります。  しかも、本法案の審議について我が党は、十分な質疑時間の保障、参考人質疑及び現地調査など国民各層の意見を反映させる機会の場も設けることを主張してきました。これらは認められず、広範多岐にわたる本法案の内容からして、審議が極めて不十分であることを強く指摘しておきます。  本法案は、貿易摩擦対策の市場開放と称して、国民の生命、身体の安全にかかわる基準・認証制度を緩和し、日米大企業の利益拡大に奉仕しようというものであります。あわせて、民間活力の推進を理由に、公的規制を緩和して国民を犠牲に大企業に一層の利益を保障するという対米従属、大企業本位の中曽根政治の基本姿勢が貫かれているのであります。  その事例を挙げますと、その一つは、航空機の安全確保に関してであります。市場開放を理由に、航空機関士を乗務させなくても運航できる航空機の範囲を拡大しようとする今回の措置は、航空機関士の重要性を改めて明らかにしたあの日航機墜落事故の一片の反省すら見られない、航空機の安全確保に逆行するものです。これは、国民の安全を犠牲に外国の航空機メーカーと国内航空会社への奉仕を最優先させるもので、断じて容認できません。  その二は、消費生活用製品等への自己認証制度の導入です。消費者の生命、身体に危害を及ぼすおそれのある消費生活用製品などの公的検査を緩和して、製造企業や輸入業者が安全基準に適合していることを届け出るだけで製造、販売ができる自己認証制度の導入は、消費者の安全を確保する国の安全行政の大幅後退です。しかも、消費生活用製品の事故件数が十年来減っていないことが審議の中で明らかにされました。これは、企業の品質管理が向上したから導入するという政府の理由が成り立たないことを事実で裏づけたものです。にもかかわらず政府は導入を強行しようとしていますが、これは、アメリカなど西側諸国の市場開放と日本の大企業の要求にこたえるためには、国民の安全など全く顧みないという中曽根政治を如実に示したものにほかなりません。  その三は、大企業本位の内需拡大を図るために、国民を犠牲にする地代家賃統制令の廃止問題です。統制令の廃止が、大企業の都市再開発を促進し、借地借家人の追い立てを企図したものであることは、審議の中で政府自身認めたところです。これによって、全国の統制令対象世帯百二十四万戸、とりわけ住みかえ困難な高齢者や母子世帯が多い居住者を路頭に迷わすことになるのは明白です。また統制令の廃止は、対象以外の地代家賃や地価の高騰をももたらすもので、到底認められません。  日米貿易摩擦の解消のためには、アメリカの大軍拡と財政赤字ドル高日本の側の大企業による低賃金、長時間労働、下請中小業者への締めつけによって保障されている異常に強い国際競争力、この根本原因を取り除き、国民生活の立場に立った国内市場の拡大策をとることこそ、政府の責任であることを強く指摘し、反対の討論を終わります。
  199. 中島源太郎

    ○中島委員長 これにて討論は終局いたしました。     —————————————
  200. 中島源太郎

    ○中島委員長 これより採決に入ります。  許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  201. 中島源太郎

    ○中島委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  202. 中島源太郎

    ○中島委員長 ただいま議決いたしました本案に対し、戸塚進也君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。戸塚進也君。
  203. 戸塚進也

    ○戸塚委員 ただいま議題となりました自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の各派共同提案にかかわる許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案に対する附帯決議案につきまして、提案者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、検討の上、善処するよう要望する。  一 地代家賃等制令の廃止にあたっては、その対象土地家屋の借地借家人に与える社会的、経済影響を考慮し、公共住宅への入居あっせん等を含め借地借家人の生活の激変緩和に努めるとともに、周辺の地代、家賃に影響が及ばないよう配慮すること。  一 本年九月二十四日の閣議決定(「当面の行政改革の具体化方策について」)に基づく都市開発規制緩和等にあたっては、都市開発の促進、宅地開発の円滑化等を図る一方で、地方自治体の自主性を尊重するとともに、良好な居住環境を確保するよう十分配慮すること。  一 前項の閣議決定に基づく運輸関係規制緩和にあたっては、今後とも安全の確保に努めるとともに、過当競争による輸送秩序の混乱や労働環境の悪化をきたさないよう十分配慮すること。  一 自己認証制の適用品目の選定にあたっては、国民生活の安全性確保に十分配慮するとともに、その運用にあたっては、安全基準、技術基準等に対する適合状況、事業者の品質管理能力や検査能力を的確に把握して、災害の発生を防止し、国民の生命及び身体の安全に対して危害が及ぶことのないよう万全を期すこと。  一 民間活力の促進と行政の簡素・効率化を図るため、許認可等を定期的に見直すとともに、規制緩和措置の有効性の確保を図るなど、引き続きその整理合理化を検討すること。  一 経済摩擦問題の解消と自由貿易の促進を図るため、輸入検査手続きの一層の改善等の措置を講ずること。   右決議する。  本案の趣旨につきましては、先般来の当委員会及び連合審査会における質疑を通じて既に明らかになっていることと存じます。  よろしく御賛成くださいますようお願い申し上げます。(拍手)
  204. 中島源太郎

    ○中島委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  205. 中島源太郎

    ○中島委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。  この際、総務庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。後藤田総務庁長官
  206. 後藤田正晴

    ○後藤田国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を踏まえて、今後検討してまいりたいと存じます。     —————————————
  207. 中島源太郎

    ○中島委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  208. 中島源太郎

    ○中島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  209. 中島源太郎

    ○中島委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十五分散会