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1985-11-19 第103回国会 衆議院 内閣委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月十九日(火曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 中島源太郎君    理事 石川 要三君 理事 戸塚 進也君    理事 宮下 創平君 理事 小川 仁一君    理事 元信  尭君 理事 市川 雄一君    理事 和田 一仁君       伊藤 公介君    池田 行彦君       内海 英男君    月原 茂皓君       中村喜四郎君    堀内 光雄君       上原 康助君    角屋堅次郎君       新村 勝雄君    山本 政弘君       鈴切 康雄君    日笠 勝之君       田中 慶秋君    柴田 睦夫君       三浦  久君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 増岡 博之君         通商産業大臣  村田敬次郎君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         建 設 大 臣 木部 佳昭君         国 務 大 臣         (総務庁長官) 後藤田正晴君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      金子 一平君  出席政府委員         内閣審議官   海野 恒男君         内閣審議官   平井  清君         内閣法制局長官 茂串  俊君         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         任用局長    仙田 明雄君         総務庁長官官房         審議官     米倉  輝君         総務庁人事局長 手塚 康夫君         総務庁行政管理         局長      古橋源六郎君         総務庁行政監察         局長      竹村  晟君         経済企画庁調整         局長      赤羽 隆夫君         経済企画庁国民         生活局長    横溝 雅夫君         経済企画庁物価         局長      斎藤 成雄君         経済企画庁総合         計画局審議官  勝村 坦郎君         国税庁間税部長 村本 久夫君         厚生省生活衛生         局長      北川 定謙君         農林水産大臣官         房審議官    吉國  隆君         通商産業大臣官         房総務審議官  鎌田 吉郎君         通商産業大臣官         房審議官    松尾 邦彦君         通商産業省通商         政策局長    黒田  真君         資源エネルギー          庁長官     野々内 隆君         中小企業庁計画         部長      広海 正光君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省地域交通         局陸上技術安全         部長      神戸  勉君         運輸省航空局長 西村 康雄君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房総         務審議官    佐藤 和男君         建設省建設経済         局長      清水 達雄君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省住宅局長 渡辺  尚君         自治大臣官房審         議官      石山  努君         消防庁次長   井上 孝男君  委員外出席者         警察庁交通局交         通企画課長   越智 俊典君         法務省民事局参         事官      濱崎 恭生君         大蔵大臣官房秘         書課長     寺村 信行君         大蔵大臣官房地         方課長     竹内  透君         大蔵省主税局税         制第二課長   日高 壮平君         大蔵省主税局税         制第三課長   瀧川 哲男君         大蔵省関税局輸         入課長     剣持 宣揚君         厚生大臣官房審         議官      木戸  脩君         厚生省保健医療         局老人保健部計         画課長     羽毛田信吾君         厚生省生活衛生         局水道環境部長 森下 忠幸君         厚生省保険局医         療課長     谷  修一君         郵政省郵務局次         長       小宮 和夫君         内閣委員会調査         室長      石川 健一君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十九日  辞任         補欠選任   石原健太郎君     伊藤 公介君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 公介君     石原健太郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  許可認可等民間活動に係る規制整理及び合  理化に関する法律案内閣提出第一号)      ――――◇―――――
  2. 中島源太郎

    中島委員長 これより会議を開きます。  内閣提出許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。元信堯君
  3. 元信堯

    元信委員 本日は、大臣の皆さんも大勢御出席をいただきまして、許認可規制緩和一括法案質問をしたいと思うわけでございますが、二十六本にも及ぶ膨大な法案でございまして、これを一括法審議をするというところになかなか難しいところがあるだろうと思うわけであります。  総務庁長官担当大臣でございますからずっと御出席でございますが、各省庁いろいろ質問ある中で、総務庁だけには余り質問がない。まことに異な形になっているわけでございますが、翻って立法府として考えて見ますると、ここへ挙げられましたそれぞれの法律は、いずれもそれぞれ担当委員会審議によって立法されてきた、こういう経過があるわけですね。それを今度一括法でやるということになりますと、きょうは各大臣もそれぞれ最大限都合をつけて出席をいただきましたけれども、時間的にいたしましてもなかなか十分な質問の時間がとれない、こういうことになります。私どもは、本来これは各委員会においてそれぞれ審議をすべきではないか、こういう見解を持っているわけでございます。それは、単に時間的な問題だけではなくて、もはや不合理になったもの、根拠のないものとおっしゃいますけれども、これから個別に見ていきたいと思いますが、検討してみますと、それぞれの行政分野にやはりかなり大きな問題がある、そういたしますと、それぞれの行政分野のエキスパートによって十分審議される必要があるのではないか、ほかの政策との関連も出てくるのではないか、こう思うからであります。  まず総務庁長官にお伺いするわけですが、これらの法律一括法にして横へ並べてすっぱり切ってしまう、こういうことになるわけでございますが、こういうふうにして出されたのは、個別の法のそれぞれの行政分野にさしたる影響はない、こうお考えでお出しになったのか、まずその点から。
  4. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 元信さんおっしゃいますように、個々の委員会単独法として出し審議するのがしかるべきでないか、こういう御議論、これは私も理解はできます。  ただ、今回のこの民間に対する規制緩和法律案というのは、御案内のように、行革審の答申を受けまして閣議決定をして、その際に、世の中どんどん変わっておりますから、過去それなりの重要な意味を持っておったものの中にも、時勢の変化に伴って不合理になっておる、あるいは不必要になっておるというものがある、これらはやはり見直して改廃すべきである、こういう御答申があったわけですね。したがってこの趣旨目的というものは一つなんですね。  もちろんお話しのように、それが他の政策に全く影響ないのかといえば、そうじゃありません。それは関連があるわけでございますけれども、しかし何といいましても、それによって個別の政策について重要な基本的変革を来すというものではない。というのは、不必要になり不合理になっているものをのける、こういう意味合いでございますから、一括して御審議を仰ぐことが全体を把握するという意味においても比較的わかりやすいのではないのか、私はそういうふうに思うのです。  同時に、こういった扱いについては既に昭和五十六年に法制局長官から政府としての考え方を御答弁申した経緯もありますし、私どもとしては、それらを頭に置きながら今回一括法として御審議を仰ぐことが適当であろう、こういう考え方で御審議を仰ごうという取り運びにしたわけでございますから、この点はひとつぜひ御理解を賜りたい、かように思います。
  5. 元信堯

    元信委員 既に不必要になっている法律であるから、それを改廃しても基本的な影響はない、こういうふうにおっしゃるわけですね。逆に申しますと、これからいろいろ議論をしてまいりたいと思いますけれども検討の結果、基本的にどうも影響がありそうだということになると、これは一括法で扱うことは不適当、こういうことになるわけですが、これは審議してみなければわからない、こういう問題ですね。審議の結果、場合によってはそういうことはあり得る、こういうことですか。一遍一括法として出したのを取り下げて個別法として審議し直す、こういう可能性があるわけですか。
  6. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私どもは、個別の政策について基本的な変革を来すというものではない、こういう認識のもとで、同じような性格のある許可認可その他の規制について、不必要となっておるし、あるいは過剰になっておるし、必ずしも存続の理由がないではないかといったような統一的な判断のもとに、一括法として御審議を仰ぐのが適当であろう、こういう考え方でございます。
  7. 元信堯

    元信委員 ちょっと聞いたことと答弁が違うような気がするが、ここのところは蒸し返していても時間のむだですから……。  法制局長官、今総務庁長官から、既に見解の御表明があった、こういうことですが、このごろは法制局長官見解も事によっては随分変わる世の中でございますが、維持されているのかどうか。
  8. 茂串俊

    茂串政府委員 御答弁申し上げます。  ただいま総務庁長官からも御答弁がありましたように、従来から、この法案一括化につきましては私どもとしては一定の基準を定めておりまして、その基準に適合するかどうかということによって判定をいたしておるわけでございまして、委員承知のとおり、従来から、いわゆる一括法案として御提案申し上げている事例というのは枚挙にいとまがないほどたくさんあるわけでございます。  その基準なり方針と申しますのは、これまた委員承知のとおりでございまして、法案に盛られた政策が統一的なものであり、その結果として法案趣旨目的一つであると認められる場合、あるいは内容的に法案の条項が相互に関連して一つの体系を形づくっていると認められるような場合、こういった場合には一本化にふさわしいということで、法案審査段階でそのような処理を了承しているところでございます。  なお、以上の基準とは別に、いわば実際上の配慮といたしまして、この基準を適用する場合に、原則としてできる限りは一つ委員会所管の範囲でまとめるという態度をとっているところでございますが、この点につきましては、法律案具体的内容に即しまして、これを一本化した方がとろうとする政策趣旨目的がかえって明確になるというようなものもあるわけでございます。このようなものにつきましては、同一の委員会所管に属しないものであっても、複数の法律改正案を一本化するということにつきましては、これは従来からしばしば現実にも行われているところでございます。  今回の法案につきましても、先ほど総務庁長官からるる御説明がございましたようなことで、やはり一本化するのが適当であるという判断を下しまして、一括法案として御提案申し上げた次第でございます。
  9. 元信堯

    元信委員 ちょっと承服できぬところもありますが、一応各法案幾つかについてきょうは議論をしてみて、その上で最後に、総務庁長官なり法制局長官に今の見解を維持されるかどうか、もう一遍御意見を聞く機会をつくりたいと思います。  運輸大臣、お急ぎだそうでございますから、運輸大臣所管のところから始めてまいりたいと思います。  まず航空法改正でございますが、先般、後藤田長官から提案理由説明において一、二、三と三つに分けて御説明がございました。今回の改正はこの一、二、三のケースのどれに当たると考えてお出しになったか、まずその点を承ります。
  10. 山下徳夫

    山下国務大臣 第三の技術革新に当てはまる問題でございます。
  11. 元信堯

    元信委員 技術革新ということになりますと、具体的には一体どういうところがどう革新されたから今回要らなくなったのか、その辺をお聞かせください。
  12. 大島士郎

    大島政府委員 お答えいたします。  航空法の六十五条第二項の改正でございますが、この法律規定昭和二十七年に航空法が制定された当時から変わっておりません。その当時の技術航空機状況から見まして、四発の発動機を持ち、三十五トン以上の航空機については、航空機関士乗り組みを義務づけたものが第一号の規定にございます。その後、近年の航空技術進歩あるいは一般参入技術進歩によりまして、航空機にも大幅に電子制御技術あるいはコンピューター制御技術、これが導入されるようになりました。そういたしますと、航空機内の設計におきましても、操縦装置あるいは各種の操作装置、これの簡素化、あるいは計器、スイッチ類の数の減少等々、多くの技術革新による操縦室内の簡素化が可能となってまいりました。そこで、最近では四発のエンジンを持つ航空機でも操縦士二人で安全に運航ができる、こういうような技術時代になってきたことを認識いたしまして、今回、このうちの外形的要素航空機関士搭乗を義務づけた一号の規定を削除しようとするものであります。  安全性の問題につきましては、第二号の規定の適用によって十分確保されるというふうに考えております。
  13. 元信堯

    元信委員 抽象的で余りよくわからぬのですが、この法改正提案理由説明で「時代変化等に伴って不要ないし過剰あるいは不合理となっている規制を」見直した、こういうことだそうでございますが、この三つのどれに当たるのですか。
  14. 大島士郎

    大島政府委員 ただいまお答えいたしましたように、技術革新レベル、これの進歩によって技術的に合理性を欠くに至った、こういうふうに判断しているわけでございます。
  15. 元信堯

    元信委員 そうすると、パイロットのほかに航空機関士を乗せていることは今の技術水準からいうと不合理だ、こういう御見解ですか。
  16. 大島士郎

    大島政府委員 現在使用されております航空機、これはこの航空機が出現した段階技術において航空機関士搭乗が必要、こういうふうに判断されたものでございまして、現在飛んでいる飛行機から航空機関士が不要になる、こういう判断はとっておりません。  今後、現在の技術革新レベルに従って設計され開発されていく航空機、これについては、個別の機種ごと技術審査を行うことによって航空機関士搭乗の要否を決めていく、これが合理的であろうと判断しているわけでございます。
  17. 元信堯

    元信委員 提案がされておりますように、四発かつ三万五千キログラム以上の最大離陸重量を有する、この規制を全部外してしまいますと、その二だけが繰り上がるわけでございまして、構造上、操縦者だけでは完全な取り扱いができない飛行機については三名要る、つまり三名で設計されていれば三名必要だけれども、二名で大丈夫ということで設計されておるならば、構造上そういうふうにつくってあればそれはもう二名でどんなものでも構わない、こういうことになるわけですか。
  18. 大島士郎

    大島政府委員 二名で安全に運航することができるように設計され、かつ、製造国政府において安全性について審査を受け証明を受けた、こういう場合には操縦士二名で運航することが許される、こういうふうに理解しております。
  19. 元信堯

    元信委員 今回のこの航空法改正は、仄聞するところによりますと、イギリスのBAe146という航空機が、比較的小さい飛行機だけれども、四発になっておるものだから二人乗り設計されておるので、これが輸入を考える場合の非関税障壁になっておる、こういう考え方で今回出されてきたというふうに聞いておるわけですが、そういうことで間違いありませんか。
  20. 大島士郎

    大島政府委員 航空機技術革新レベルから申し上げますと、三十五トン以上、四発の二人乗り航空機、こういうものが設計できるという段階に至っていることは私どもも従来から認識しておったところでございますが、直接の具体的な航空機としては、今先生指摘イギリス製のジェット機が出現してきた、こういうことでございます。
  21. 元信堯

    元信委員 そうすると、これは単にそういう輸入障壁の問題だけではなくて、将来において二人乗り時代が来る、旅客機二人乗り時代に対する対応としてこの法改正を出された、こういうことですか。
  22. 大島士郎

    大島政府委員 イギリスからの申し入れ、それからまた私ども技術的検討の中で、航空機関士乗り組みにつきましては外形的な要件で規定するよりも航空機そのもの機種別の詳細な技術審査によることが技術的に合理性がある、こういうふうに判断いたしたわけでございます。
  23. 元信堯

    元信委員 そうすると、将来二人乗り飛行機製造国耐空証明なり何なりを取って出てくるということになりますと、日本の空にも例えば二人乗りジャンボが飛ぶ、こういうことを予測しているわけですか。
  24. 大島士郎

    大島政府委員 二人乗りジャンボが開発されるかどうか、そのような動きは現在ございますが、日本の空を飛ぶかどうか、これはまだわからないわけでございまして、ただ、技術的に判断した場合にそういった新しいジャンボ設計が可能であるということは言えるかと思います。
  25. 元信堯

    元信委員 人ごとみたいなことを言っているけれども、これはもう既にボーイング747-400というのが開発されておる、ノースウエストじゃもう既に十機発注をしている、こういう時代に来ているわけですね。御案内のように、日航完全民営化あるいは全日空国際路線への進出、こういうことを考えますと、ますます民間航空の間で競争激化が進むことは避けられないと思います。そうしますと、やはりコスト面でどうしても三人乗りより二人乗り、こういうことになるわけでありますが、もちろん空の問題はコストだけでは考えられない。安全面で、三人乗りでもこのごろこういう事故が頻発している時代でございますから、五百人から乗る飛行機がたった二人で運航されるなんというようなことは私どもは考えられないと思いますが、技術革新次第では二人乗りがあり得るというのが運輸省見解なんですね。
  26. 大島士郎

    大島政府委員 現在のジャンボジェット、これは約二十年前に開発されたものでございます。依然として第一線で活躍している優秀な航空機であるとは思いますが、何分操縦操作系統等設計が二十年前でございまして、現在ボーイングが考えております、ただいま先生指摘のノースウエスト航空が発注した飛行機というのは、コンピューター化電子制御化をさらに進めたものでございまして、私どももその詳細は承知しておりませんが、二人乗り航空機であるとすれば、これは製造国政府米国の厳しい基準を経て証明されるものでございますので、これが証明を得た時点においては安全性が十分確認されたというふうに私ども理解するわけでございます。
  27. 元信堯

    元信委員 アメリカの厳しい審査があってそれをクリアしていれば日本はそれを信頼する、こういうお話でありますけれどもアメリカの厳しい審査といったって、この前の日航の一二三便の事故を見てみると、ボーイング社テストあるいはそれに基づいて出された耐空証明、言われているところのリベットの打ち損じなどが見逃されていたじゃありませんか。それをあなた、今あなたのお話では、アメリカで厳しい基準耐空証明が出されれば、それに従って我が国でも二人乗り飛行機を飛ばす、こういうことになるわけですか。我が国自身の立場というのはどこにあるのです。
  28. 大島士郎

    大島政府委員 先般の日本航空機事故につきましては現在事故調査中でございますので、事故の原因について明確なことは申し上げられる段階ではございませんが、現在までにわかりましたいろいろの事実の中の一つとして、ボーイング社が、この航空機が七年前に起こしたしりもち事故、このときの修理作業において修理ミスを犯した、こういうようなボーイング社自身の発表がございます。これが事故に直接原因するところかどうかはわからないわけでございますが、かなり事故に関与する可能性は強いというふうに一般に見られております。  そういうことから考えますと、この事故ボーイング747の設計にかかわるものであるかどうか、これについては、私どもの率直な感じとしては、設計の欠陥によるものではないのではないか、こういうふうに考えておりまして、ただいま御指摘米国証明自体信頼性を損なう、こういうものではないというふうに観測いたしておるところでございます。
  29. 元信堯

    元信委員 つくづく情けないことを伺うものでありますけれども、それじゃあの一二三便の747の修理について全然運輸省にも何にも責任はない、こういうことを言っておるわけですか。
  30. 大島士郎

    大島政府委員 ただいまお答えいたしました修理作業につきましては、日本航空ボーイング社に委託して修理させたものでございまして、私ども日本航空受検者として修理改造検査を行っております。私ども検査といたしまして、修理計画あるいは修理過程における作業管理状況あるいはでき上がりの状況、こういうところを検査いたしまして、原状に復したということで合格にいたしたものでございます。しかし、結果的にはボーイング修理ミスがあったということでございますが、日本航空の監督の不十分ということも考えられまして、今後こういうことのないよう……(元信委員運輸省はどうかと聞いているのだ」と呼ぶ)運輸省日本航空検査員の派遣を指示するなど十分なことは尽くしたと思っておりますが、結果として事故が起こりましたことは遺憾と思っております。
  31. 元信堯

    元信委員 十分にやっていれば事故があるわけないのだよ。そういう態度というのが、我々これからの運輸行政航空行政、あなたたちに任せておいて非常に心配だということを言わざるを得ないところなんですね。  一つ、じゃ例を挙げて聞きたいと思いますが、ボーイング767、これは二人乗りだね。これが既にもう十一月一日から日航では二人乗り運航を始めましたし、全日空ではその前から聞いておると思いますけれども、この767を日本で飛ばすことについて運輸省、十分な安全性の確認をやりましたか。
  32. 大島士郎

    大島政府委員 767は、日本には最初の飛行機全日空が購入したものでございますが、第一号機の導入の際、あるいはその後の二号機、三号機等の際に、検査官を派遣して検査を行っております。特に第一号機については、アメリカ航空局がどのような審査を行ったか、こういう点についても詳しく調べたところでございます。
  33. 元信堯

    元信委員 アメリカ日本じゃいろいろなことで事情が違うというのは当然のことですね。アメリカテストをして、それを日本審査官が横で見ておったから、このことによって日本での安全が確保されるということにはならない。いろいろ国情の違いということもあるし、挙げていけば切りのないほど違いというのはあるわけです。  緊急脱出テストというのをしなければならないということになっておりますが、日本で公開緊急脱出テストをやりましたか。
  34. 大島士郎

    大島政府委員 緊急脱出テストにつきましては、日本で行う場合もございますが、767の場合には、アメリカ審査結果を十分調査して、日本でやる必要はないという判断をしております。
  35. 元信堯

    元信委員 アメリカの調査結果はどんなふうでしたか、言ってごらんなさい。
  36. 大島士郎

    大島政府委員 ちょっと手元に具体的な資料がないので記憶ということになりますが、二百五十五人でありましたか、これの乗客に対して緊急脱出テストをやったと記憶しております。
  37. 元信堯

    元信委員 結果はどうかというのだ。
  38. 大島士郎

    大島政府委員 結果は、九十秒で脱出の規定、これを満足したと聞いております。
  39. 元信堯

    元信委員 正確なことを言うと、これはアメリカでも一遍ではクリアできなかったのです。一遍は九十秒以上かかって、これは大変だということで、改めてキャビン・アテンダントをふやして、それでぎりぎりのところでクリアしたというのが事実なんですね。そうじゃありませんか。
  40. 大島士郎

    大島政府委員 二回のテストを行ったということでございまして、二回目八十六秒でクリアしたということを聞いております。
  41. 元信堯

    元信委員 そうでしょう。アメリカ人と日本人じゃ体力だって違うし、ビヘービアだって違うわけですね、そういうときの。こんなにぎりぎりのものを日本でやらないでいいという法がありますか。やるべきじゃないですか。
  42. 大島士郎

    大島政府委員 日本で使われております767は二百三十五人乗りでございまして、これに対して、現在、客室乗務員つまり非常脱出を援助する乗務員でございますが、客室乗務員五名を乗せておりますので、これで安全性は十分確保できておる、こう考えております。
  43. 元信堯

    元信委員 あなたたちは安全性は十分確保できていると思っておるけれども飛行機は現実に墜落をしているわけで、例えば日航の整備にいたしましても、全量オーバーホールするんではなくて、二割程度の抽出の検査をしてみて、ぐあいが悪ければそれについてまた検査の対象を広げる、こういうやり方が安全確保の点から非常に問題があるということは、もう既に指摘をされておることですね。この際、安全についてできることは全部やってみる必要があるのじゃないか。緊急脱出テストなんということはそんなに金がかかることでもない。我が国我が国の国民あるいは航空機の安全を守るためには、アメリカでやっておりますから大丈夫、しかしアメリカも今お話があったようにすれすれのところでしょう、一回目はだめで二回目でようやっとクリアしたというようなものについて、なぜ日本でやらないのですか。やるべきじゃないですか。
  44. 大島士郎

    大島政府委員 アメリカテストは二百五十五人と767人数でやったものでございます。我が国の767につきましては二百三十五名ということで決められておりますので、特に改めてのテストは必要ないと考えております。
  45. 元信堯

    元信委員 基本的な考え方ですから、これはちょっと大臣答弁してください。飛行機の安全についてはアメリカの言っていることをうのみにするんじゃなく、我が国我が国自身のやり方に基づいて安全を国民に証明していく。安全ですよということで、公開脱出テストというのはそういうPRの意味もあるんですよ。できぬことじゃないでしょう。アメリカでやったから大丈夫だなんといことでなくて、日本日本としてやる、こうすべきじゃないですか。どうですか。
  46. 山下徳夫

    山下国務大臣 極めて技術的なことでございまして、内容については私から御説明するだけの知識は持ち合わせておりませんが、いずれにいたしましても、基本的問題として、一般論からいたしまして、今御指摘の点のようなことにつきましては、日本においてもやるべきかどうかという問題について、見直しが必要であるかどうかということを早急に検討いたしたいと思います。
  47. 元信堯

    元信委員 それじゃちょっと見方を変えて質問しますが、この法改正について、我が国航空機の乗務員の間で非常な危惧の念が持たれているということについて御存じですか。
  48. 大島士郎

    大島政府委員 航空機の乗務員が構成しております乗務員組合から私どもにもいろいろ質問がございまして、乗務員の組合団体と話し合いを持ったことがございます。私どもは、法の改正趣旨改正理由説明いたしまして、この一号を削除することによって安全性が低下されるということではないということについて、るる説明理解を求めたところでございます。
  49. 元信堯

    元信委員 あなたが飛行機へ乗っているわけじゃないんだ。実際に飛行機を飛ばしている乗務員の皆さんが、これは非常に心配であると、大勢のお客さんの命を預かって飛ばすことについて非常に心配をしている、こういうふうに言われているのに、あなたたちが、いいえ大丈夫でございます、コンピューターがああでございます、こうでございますというようなことは、僕は話が逆立ちしていやしないかと思うのですね。少なくともこの問題について、BAe146の問題は別としまして、これから我が国が二人乗務の大型機を導入するなどということがもし仮にあるとしても、乗務員の理解と納得が得られなければ、心配で心配でたまらない人を乗せて飛ばすということではならぬでしょう。その辺についてどういう方針を持っているのですか。
  50. 大島士郎

    大島政府委員 先ほどもお答えしたところでございますが、航空機乗り組み基準航空機関士乗り組み基準につきましては、航空機機種ごと技術審査を経ることが合理的であるわけでございますが、特定の機種を導入するかどうか、これは航空会社が決めることでございます。その航空会社が、機種選定の検討段階におきまして、自社の乗組員に不安がないような説得、説明の努力を尽くす、これは必要なことだと考えております。
  51. 元信堯

    元信委員 そうしますと、運輸省として、これからそういう新機種の導入については、各航空会社が自社の乗組員たちと十分に話し合いをして、乗組員が安心して乗れるような飛行機でなければ認可しない、こういう方針なんですね。
  52. 大島士郎

    大島政府委員 これまでにも、航空会社が新しい機種を導入する場合には、乗務員の事前の訓練、教育等を十分行いましてやっているところでございます。乗務員の方々の中には、また安全に対する考え方、これが立場上違う面もあるかと思いますが、会社としても十分説得する努力は尽くしていると考えております。
  53. 元信堯

    元信委員 立場上、安全性に対する考え方が違うというのはどういうことかね。
  54. 大島士郎

    大島政府委員 十分な技術的な説明あるいは教育訓練、こういうことを尽くしていけばそういった不安は解消する、そういったたぐいのものであろう、こう考えております。
  55. 元信堯

    元信委員 立場上安全に対する考え方が違うと言われたのはどういうことかね。立場とは何だ。
  56. 大島士郎

    大島政府委員 それは、航空機乗組員の間にいろいろ安全に対する要求項目がございます。それについて会社としてはいろいろ話し合いを重ねてやっていくところでございますが、やはり航空機そのもの安全性というものは基本的にあるわけでございまして、これに基づいての論議を進めていく中で、最後までなかなか決着ができない問題もあろうかと思います。そういったことを指した、表現は不適当な部分があったかと思いますが、このような趣旨でございます。
  57. 元信堯

    元信委員 立場によって安全性考え方の差があるなんということは到底信じられない。今の発言、ちゃんと取り消しなさいよ、出てきて。
  58. 大島士郎

    大島政府委員 私の舌足らずな表現であったかと思います。安全性技術的な面において同一なものであろうと思います。
  59. 元信堯

    元信委員 舌足らずじゃなくて、舌が多過ぎるんじゃないかと思って心配になるね。安全性については、どんな立場であろうとこれは最優先ということがなければいかぬわけだ。あなたの本心はどうも、安全性は立場によって違う、会社側なら安全性について考え方が違うはずだ、こう言いたいのが腹の上から透けて見えるわけだけれども、まあその点は訂正をしたというんだから、それを根拠に話をしたいと思います。  大臣、お聞きのように、今度の法改正というのが、単なる貿易摩擦の解消ということで話は始まったか知らぬが、実態としては将来の大型機の二人乗務というところへ話はつながっていくわけです。幾らコンピューターが発達したからといって、安全性をすべてコンピューターに任せるということはできない、こういうふうに言わざるを得ない。そうすると、どうしてもこの安全の問題は二人より三人、いろんな人が見ている方が安全に決まっている。特に、ちゃんと普通に飛んでいるときはコンピューターに任せることもできるかもしらぬけれども、この前の123便のようにコンピューターがあらかじめ予測してない事故なんということが起こった場合は、もう機長も副操縦士もそれにかかり切りで、第三の人が、当面の対応じゃなくて、事故原因について考えられるあらゆることに頭をめぐらして、そうして事故からいかに飛行機を救い出すかということについて考える、こういうシステムというのはどうしても必要になってくると思いますね。ですから、今のお話にあるように、気楽に技術進歩だ、コンピューター化が進んだということだけでは、これからの大きな飛行機運航について安全が確保されているとは言いにくいと思うのです。特に、飛行機の日常の乗務に当たっている人から非常に強い不安が示されています。それは立場にかかわらず、恐らくすべての運航乗務員の危惧だと思うのですね。そうだとすると、今回この六十五条の二項の一号を外したということになると、その後何らかの安全に対する歯どめ、これはもう飛行機会社が営利でいきますと、どうしても三人より二人、二人より一人と減らしたいのは、これは経済の動向でありますからいかんともしがたいと思いますけれども運輸省としてそれを野放しにするということにはならないと思う。アメリカで安全だと言っておったから日本でも安全だ、こういうようなアメリカ信仰みたいなことはやはり許されないと思うのですね。我が国独自の立場で、六十五条のこの項目が外れた、こういう事態を想定して、何らかの安全に対する歯どめ措置、乗務員の不安を解消するような歯どめ措置、それは例えば私がさっき申しましたように、一つはやはり乗務員と会社の間で合意ができなければこういうものは導入しないとか、そういう何らかの歯どめが必要になろうかと思います。運輸大臣、いかがお考えでしょうか。
  60. 山下徳夫

    山下国務大臣 八月の十二日に日本航空で未曾有の事故が起きた直後だけに、この事故によって利用者の飛行機に対する信頼感を失墜したことも事実でございます。したがいまして、そういう見地からするならば、安全の上にも安全を確認するような方途でもって飛行機運航されなければならぬことは当然であります。  ただ思いますのに、今御論議いただいております航空法というものは、昭和二十七年の制定でございます。当時の私の記憶からいたしましても、例えばダグラスはたしかDC4というのが主力でございまして、その後いろいろなものが開発される。ボーイングにおいてもしかりでございましょう。まだ世界じゅう商業機ではジェット機が一機も飛んでおらない時代でございました。それから航空機というのはまさに驚異的な日進月歩をずっと遂げてきたわけでございますから、その過程においてやはり改善すべきところは法律の改善もしなければならぬことは私は当然だと思っております。  特に、コンピューター等を導入いたしまして精密化、合理化が進んできておる。これは飛行機だけではなくて船におきましても、何万トンという船が近い将来には機関室に一人も機関士を置かなくていいという時代が来ておる。したがって、そういう時代において、飛行機も当然のことでございますし、さらに飛行機の性能が進んでまいりますと、いわゆる地上からのコントロールによって、コックピットには無人でもって飛ばす時代が来るかもしれない。そんな過程において、たまたま英国のBAe146というのはどうかという引き合いがあった。いろいろ検討してみた結果、これは我が国で十分使える。たまたまこれが今の法律では基準に抵触するというようなことから、これを買うからということではなくて、この機会にひとつ見直しをやるということから始まった問題でございます。  おっしゃるとおり、私も先ほど御答弁申し上げたとおり、だからといって、ただメーカーがこれは要らないよ、それをうのみにしてやるということは決してよいことではございませんから、我が国我が国として十分また検討しながら新規の導入は図っていかなければなりませんし、そのことにつきましては貴重な御意見も拝聴いたしましたし、現状でいいかどうかということはまた検討を進めてまいりたいと思います。
  61. 元信堯

    元信委員 この問題ばかりそういつまでもかかずり合っていると、二十六もあるのだからあれなんですが、今いみじくも大臣が言われたように、私どもそういう心配があるわけなんです、将来、無人機まで考え出すのじゃないかという可能性がある。そうだとすると、この六十五条の二項一号というのか、前段の廃止は、それはそれなりの意味があるかもしれません、そのBAe146に関して言えば。ですけれども、それを外したことが無人機にまで問題を広げていく、こういうことになるわけですね。今の四発・三十五トンという規定があることが、実際問題としてあなたが言うようなその無人機への道をふさいでいるわけですよ、大きい飛行機は三人乗りでやりなさいよという規定があることが。四発・三十五トンということについては確かに時代に合わなくなっているかもしらぬが、これを取っ外してあと向こうまで何にもない、青天井ということになると、どうしても心配でたまらない。こういう気持ち、これはそういう飛行機に乗る国民にもあるし、運航乗務員にも当然あるだろうと思うのですね。これを外すのは外すので仕方がないけれども、それについては代替の新たな、まあ歯どめと言うとまた変な話になりそうですが、安全確保のための施策が必要だという認識にやはり立っておられるということ、そのことだけをもう一遍伺います。
  62. 山下徳夫

    山下国務大臣 あの日航機の事故以後の日本の国内の航空三社の営業の実績を見ましても非常に落ちている。ということからしても、やはり航空機というものは安全性がなければこれは企業としても成り立たないし、これまた当然のことでもありますから、先ほどから申し上げているように、安全の上にも安全ということを十分考慮した航空政策運輸省が責任ある監督官庁として進めていくべきである、これが基本方針であるということを申し上げておきたいと思います。
  63. 元信堯

    元信委員 時間の関係もありますので、次へ参ります。  オートバイの問題ですが、大型オートバイを海外で生産して、日本の国内では七百五十cc以上は生産しないように、こういうように運輸省の行政指導によってなっておるわけですが、海外からの輸入というものは認められているようでございます。  大蔵省、来ていただいていると思いますが、七百五十cc以上のオートバイ、大蔵省の刻みでいきますと九百二cc以上ということになろうかと思いますが、一体一年間に何台くらい輸入されているのか、御報告願います。
  64. 剣持宣揚

    ○剣持説明員 お答えいたします。  ここ数年、大型オートバイの輸入は、台数にしますと大体二千台前後、それから金額にいたしますと二十五億円前後でございます。具体的な数字を申しますと、昭和五十七年、これが千九百八台で金額にしまして二十二億七千万円、昭和五十八年が二千二百五十台で二十五億六千万円、昭和五十九年が二千四百三台で約二十七億円、そういう数字でございます。ちなみに六十年-は九月の数字でございますが千六百六十九台の十九億二千万円、こういう数字でございます。
  65. 元信堯

    元信委員 最近の新聞の報道によりますと、海外で日本のメーカーが生産しているオートバイについて輸入の計画があったところ、警察庁が輸入に難色を示して、結局話がつぶれたというようなことがありましたが、海外のメーカーが生産しているものについては輸入は構わぬけれども日本のメーカーが海外に全額出資をしてそこで生産したオートバイは困るということになりますと、これからの貿易摩擦の解消の一つの手段でありますところの資本進出についても、またそれがネックになりかねない問題だと思いますので、警察庁、こういう報道がされているわけですが、どういうお考えであるのか、事実関係とお考え方について承りたいと存じます。
  66. 越智俊典

    ○越智説明員 米国ホンダが生産しておるゴールドウイングの輸入計画につきましては、警察庁の方には相談を持ちかけられた事実はありませんし、それをまた断わった事実もございません。  ただ、私ども交通安全ないしは暴走族対策の立場から、超大型二輪車の国内での販売につきましては、十数年前に、できるだけ抑えるようにというような意見を関係の方々に申したことはございます。
  67. 元信堯

    元信委員 それでは、新聞の報道では何か警察庁が横やりを入れてということのようでしたけれども、そんな事実はない、生産は余り望ましくないと思っておるけれども、海外でできたものはそれがどこの何であっても別に警察庁としては物を言う立場にない、こういうことを確認しておいてよろしゅうございますね。
  68. 越智俊典

    ○越智説明員 そのとおりでございます。
  69. 元信堯

    元信委員 それでは、運輸大臣がお見えの間にちょっと国鉄問題について伺っておきたいと思うのですが、国鉄の余剰人員の問題について、過日の閣議決定で、政府も応分の引き受けをしなければならぬ、それが六十一年度分でもやるというような方針であると承知をしているわけでございます。六十一年度といいますともう幾らでもございません、四カ月ほどのことでもございますし、これを国家公務員として国鉄職員を採用するということになりますと、任用上の問題等が発生をしてくるわけでありますけれども、その問題、今政府部内でどんな検討状況になっているのか、承りたいと存じます。
  70. 山下徳夫

    山下国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、十月十一日付の閣議で、国鉄改革のための基本方針というものにおいて「国においては、その採用数の一定割合を雇用の場として提供することとし、昭和六十一年度の採用から実施に移す。」こういうことになっておるわけでございます。これを受けて、国鉄余剰人員雇用対策本部においても目下検討中でございまして、案がまとまり次第、本部の決定として政府全体で推進していくことにいたしております。
  71. 元信堯

    元信委員 案がまとまり次第と言いますけれども、さっき言いましたように四月一日からの採用ということになりますと、実際問題として既にことしの国家公務員の試験は終わっているわけでありまして、これと別に採用するということになりますと、採用計画の上でも大きな影響が出てくることにならざるを得ないと思っているのです。  そこで、もうちょっと立ち入って聞きますと、国が引き受けるという場合、国家公務員として新規採用の枠を持っているわけですが、その枠の中で引き受ける、こういうことなんですか。
  72. 平井清

    ○平井政府委員 国鉄余剰人員雇用対策本部の事務局長をいたしておりますので、その立場からお答えいたします。  余剰人員問題は、国鉄改革を円滑に進める上におきましての最重要課題でございますので、その解決に当たりましては、国を初めといたします公的部門が積極的に余剰人員の受け入れを行うことが必要であるということで、当本部を中心に政府関係全省庁の協議を進めておるところでございまして、先ほど御答弁がありましたように、まだ具体的な内容の詰めができ上がっておりませんけれども、できるだけ早くこれからの目標等を決めまして、六十一年度の採用から進めてまいりたいというふうにしておるところでございます。
  73. 元信堯

    元信委員 いや、質問は、国で引き受けるというのが、六十一年度の採用人員というのはみんな枠を持っているわけですね、その中で考えておるのかどうかということを聞いている。
  74. 平井清

    ○平井政府委員 国の機関につきましては、その採用予定数の一定割合を国鉄職員の受け入れのために割いていただくということで、過日の閣議決定におきましてもそのような方針が決められたところでございます。
  75. 元信堯

    元信委員 そうしますと、国家公務員もいろいろな職種がございますけれども、国鉄職員にもまたいろいろあるわけですが、選考採用を考えているわけですか。
  76. 平井清

    ○平井政府委員 形といたしましては選考採用していただくということになろうかと思います。
  77. 元信堯

    元信委員 選考採用というのは一年間にそう幾らもないわけですね。例えば一番最近でわかるものとすると、五十八年度の選考採用というのは一万九千人程度、そのうち大学の先生とか医者とか看護婦とかこういうのは、国鉄職員の中で大学の先生になる人がそう何千人もおるとは思えないし、お医者さん、看護婦も知れたものです。そうするとあとは行政(二)表ぐらいで、行(二)が五十八年度ですと全部で二千二百人、常々お話があるように万単位で一年当たり考えておいでのようですけれども、とてもそんなような数字にならぬわけですね。そうすると、選考採用というのは、そういう今まで選考採用でやってきた部分じゃなくて、試験で採用してきた部分を選考に切りかえてと、こういう意味なんですか。
  78. 平井清

    ○平井政府委員 御指摘のとおりに、単に行(二)という職種だけということでは間に合いません。できるだけ広い範囲の職種にわたりましての受け入れをお願いしておるところでございますので、従来の運用より若干選考採用によるところがふえることに結果的にはなるかと思いますが、最大限受け入れに御協力をいただきたいということでお願いしておるところでございます。
  79. 元信堯

    元信委員 そうすると、お話の向きでは、今まで例えば新規採用、今度名前が変わってⅢ種というようになったのかな、今までの初級試験ですね。このⅢ種の試験で合格者の中から選抜する部分についても、選考で国鉄職員を入れてもらいたい、こういう意味なんですか。
  80. 平井清

    ○平井政府委員 そういう姿にもなろうかと思います。特に、現行の制度というものがもうございますので、その制度に従いながらできるだけ積極的にということでお願いしております。
  81. 元信堯

    元信委員 これは現行の制度がないと言っておいて、その制度に従いながらというのは何のことやら意味がよくわからぬが、どういうことですか。現行制度はそういうのがないのでしょう。その制度に従いながらとはどういう意味ですか。
  82. 平井清

    ○平井政府委員 一般の職種につきましては、選考による採用ということが不可能というわけでもございません。できるだけ運用の中でやっていただくようにお願いしておるところでございます。
  83. 元信堯

    元信委員 何のことを言っているのかよくわからぬね。制度はないけれども運用によってというのは、制度があったらその制度の運用というのはあり得るけれども、ない制度を運用せよとはどういうことですか。
  84. 平井清

    ○平井政府委員 制度そのものの問題につきましては私ども直接担当ではございませんので、私の方からの御答弁は差し控えたいと思いますが、総務庁を含めまして各関係省庁の間で協議を進めておるところでございます。
  85. 元信堯

    元信委員 総務庁長官、どういうふうな話になっているのですか。
  86. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 元信さんがおっしゃるような、六十一年度に限って言いますとまさにいろいろな制約があることは事実ですね。試験は済んでいるわけですからね、まだ発表はしてないと思いますけれども。いずれにしましても、六十一、二、三、四、五と五カ年間のゆとりがありますね。そうしますと六十一年度もやはり採用していただかなければならぬ、私はそう考える。しかし、その数を幾らにするかといったようなことは今鋭意検討中でございます。それから同時に、六十五年度はこれは瞬間タッチになりますからこれもそんなに過大には見込めたい。やはり六十二、三、四が枠としては一番大きくなる年度ではないかな、こう考えるわけです。  それで、御質問のような点について言いますと、初級について言うと、今は試験はたしか済んでいると思いますが、まだ発表はしていないと思います。そこで、新規採用の中でどの程度中央官庁で採用できるか、この数字を詰めなければならぬということで、今鋭意関係省庁との間で協議を進めて詰めておるわけです。そしてそれが何名くらいになりますか、ひとつできる限り多く採用してもらいたいということで各省にお願いをしておる段階でございます。  なお、試験制度が違いますから、その点は同程度の資格といいますか、それがある者については特別に任用できるという人事院規則がありますから、それを適用して、そして国鉄職員の余剰人員の救済に充てていきたい。  そのいわゆる特別採用とでもいいますか、その数は、元信さんがおっしゃるように、従来は何名だからそうするとそれは極めてわずかではないか、こういう御議論でございますが、それはそのとおりやればそうだけれども、こういう非常緊急の場合ですから、従来のそういった枠にはとらわれないで何とかできる限り協力を願おう、こういう考え方のもとに今詰めておる段階でございます。
  87. 元信堯

    元信委員 人事院規則を大きく運用してというようなお考えのようですが、ちょっと人事院にも伺いたいと思うのです。  数の単位の問題になるかと思いますけれども、これだけ大きな問題を抱えているわけですから運用だけで果たしてできるのかどうかという心配があるわけですね。一方で何千人、何万人という初級試験を受けて合格した人がありながら、それと別枠で国家公務員に入ってくるということになりますと、任用の原則にも影響が出てくると思うのです。ですから、人事院にとっても非常に重大な問題だと思いますが、そのことについて総務庁から御協議があったのか、あったとすれば人事院としてはどういうふうに対応し考えておられるのか、そこを承りたいと思います。
  88. 仙田明雄

    ○仙田政府委員 国鉄の余剰人員対策として国家公務員に国鉄職員を受け入れるという問題につきましては、私どももこれは国鉄改革にかかわる重要な事項ということで多大の関心は持っております。現在、国鉄余剰人員対策本部におきましてるる検討が行われているということも承知はしておりますけれども、その具体的な内容についてはまだ相談を受けておりませんので、現段階でどうこうということを余り明確に申し上げにくいわけでございます。  ただ、人事院といたしましては、そういう形の採用ということになりましても、公務員法上の任用の基本原則、成績主義の原則でありますとかその他、基本的な原則というものがあるわけでございますから、その原則との関係を十分考慮しながら対処していかなければならないというふうに考えております。
  89. 元信堯

    元信委員 先ほどの後藤田さんのお話だと、何かもう人事院の規則について随分いろいろ考えておいでるようで、総務庁だけで考えられる問題じゃないと思うのですね。したがって、ここの問題というのは、一方において国鉄問題ではあるかもしらぬが、しかし同時に、任用全体の公務員制度の問題にも響いてくる、こういう問題だと思います。したがって、ここの協議というのは相当慎重な協議が必要ということになります。一方において、ことしの場合、発表は十二月二十日前後と聞いておりますが、公務員試験の合格者もあるわけですね。合格はしたけれども、国鉄からこらしょと入ってきて、実際には試験に合格した人が採用されないなんということになると、これもまた大問題になるわけでありますから、四月一日から来年度ということになりますが、その四月一日段階で大量に国鉄から国家公務員になるということは恐らく無理じゃないか、そんなふうな見通しを持たざる得ぬと思いますが、その見通しについて後藤田さん、いかがでしょうか。
  90. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 そういう点がありますから、六十一年度は二、三、四のようにはいくまい、こう考えておるわけでございます。しかし、いずれにせよ国政上の重要な課題でございますから、私どもとしてはできる限り、現在の制度のもとで最大限、新規採用の中の一定数はぜひひとつ特別任用でお願いをしたい。  なお、私は最初一番心配をしたのは、試験制度が違うからこれは無理じゃないか、こういう点を心配したわけでございますが、その点だけ私の方の人事局に命じまして人事局で検討した結果、特別任用という人事院の規則もあるから、そこらの運用である程度のものはできるのではないか、こういう回答を得ておりますから私はその線でやっていきたい、かように考えております。
  91. 元信堯

    元信委員 本年度についてはまあ象徴的といいますか何人がやって、準備が整い次第、来年度からは本格的にというような御答弁だと承りました。そのやり方については特別任用という考え方だそうですが、これはおたくの人事局だけがそう言っておっても始まらぬわけであって、人事院の権限に属するところが多いわけですね。  そこで、意見を申し上げますと、この問題を単に特別任用でじゃんじゃんやっていくと、今度は我が国の公務員制度の将来に非常に大きな問題を残しはせぬか、こういう危惧が生ずるわけでありますから、ひとつ慎重に対応していただくように申し上げまして、あと一点だけ運輸大臣に伺って、運輸省関係は終わりたいと思います。  監理委員会の亀井委員長ですね、いろいろなところで発言されているわけですが、高松の地方懇談会で、新会社に働く人は従来どおりの生活給を保障しなければならぬ、こんなふうに発言をしておいでるわけです。ところで一方、自民党の国鉄再建小委員長三塚さんは、ある雑誌のインタビューの中で、四万一千人の旧国鉄に残る人の処遇については現給を保障する、こういうことを言っているケースもあるわけですね。そこで、片一方で現給保障と言い、片一方で失業保険がそれに色をつける程度などというようなことを言っているわけだけれども、それを称して生活給というのですか、そういうものとの間にかなり差があるのですが、今の時点で運輸省として、旧国鉄に残って職業訓練なんかをやる人の生活についてはどういうお考えをお持ちですか。
  92. 山下徳夫

    山下国務大臣 今のお話は実は私は今初めて聞いたのでございまして、よく承知しておりませんが、政府委員がある程度承知しておるようでございますから、政府委員から答弁させます。
  93. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 去る七月二十六日に国鉄再建監理委員会から出ました「国鉄改革に関する意見」におきまして、余剰人員として六十二年度初めに生じます人員が約六万一千名でございまして、そのうちの二万人は分割・民営化以前に希望退職によって再就職を図っていく、残りの四万一千人につきましては、主として清算業務を担当いたしますいわゆる旧国鉄に所属いたしまして、その後、おおむね三年にわたりまして再就職を図っていくということでございまして、その間の給与につきましては、監理委員会の試算によれば一応六〇%程度を支給する。もちろん教育訓練などを受けている期間については全額、こういうことになっておりまして、一応監理委員会ではそういう試算をいたしておりますけれども、この答申を受けまして政府としてどう対応していくかということは、今後検討してまいりたいと思っております。
  94. 元信堯

    元信委員 要するに何もわからぬということだね。今のお話の中でも、訓練中は全額で、それ以外のときは六〇%というようなお話ですが、実際それじゃ食えぬわけだよね。ですから、こういう点についても再建監理委員会の計算というのは随分過酷なといいますか、実行不可能な計画ではないかなという意見を申し上げまして、運輸省関係の質問を終わりたいと思います。運輸大臣、どうも御苦労さまでございました。  次に、地代家賃統制令ですが、時間もかなり超過してしまったので、この地代家賃統制令を廃止した場合といいますか、当然今この対象になっている住宅にお住まいの方は大変困窮されると思うのですね。その中でも、統計によれば低所得者あるいは高齢者、こういう方が多いわけでして、こういう人たちは生活そのものが根底から破壊される可能性が出てくる、こういうふうに思うわけです。これについては、七月三十日の住宅審議会の「新しい住宅事情に対応する住宅政策の基本的体系についての答申」の中でも、「このため、居住者のうち住宅困窮者に対する公共賃貸住宅への入居のあっせん等の体制を整備し」云々と対策が示されているわけですけれども、具体的にどういう対策を今お持ちなのか、承りたいと思います。
  95. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 地代家賃統制令の廃止の影響につきましては、統制の対象となる住宅が限定されていること、あるいは実際の支払い賃料が統制額を超えている事例がかなり見られる、あるいは統制の対象となっている住宅が昭和二十五年以前の建築のものであるということから非常に老朽化している、あるいは統制が撤廃されましてもその当事者間の借地あるいは借家法上の地位は変更はないというようなことから、比較的小さいというふうに考えておるわけでございます。  統制令の廃止に当たりましては、賃貸借当事者間の無用なトラブルがあると思います。そういうことの発生を防止する、あるいは居住者、特に今ございました低所得者の方々が困ることのないようにいろいろな措置を講じていきたいと思っておるわけでございます。  それを挙げてまいりますと、まず第一に、国、公共団体から、統制令の概要でありますとかあるいは廃止の趣旨等、統制令の廃止に伴います正確な情報を広報等により十分提供いたしたいと考えております。  次に、国あるいは公共団体から、経営者団体でありますとかあるいは仲介業者団体、こういうものに対しまして、まあこれはないと思いますけれども、便乗値上げの防止等につきまして指導を行ってまいりたいというふうに考えております。  それから第三に、居住者からの多様な相談が出てくると思いますので、これに的確にこたえられるように、公共団体の住宅相談体制の充実を図ってまいりたいというふうに考えております。  それから第四に、統制令対象住宅の入居者のうち、統制令の廃止に関連いたしまして他の方へ転居を希望される、あるいはそれがやむを得ないと認められるものにつきましては、公営住宅の入居資格を有する場合には特定目的公営住宅制度というのがございますが、これに優先入居を図るように措置したいというふうに考えております。必要によりまして募集枠の拡大でありますとかあるいは、多少時間がかかりますけれども、建設の促進というものを図ってまいりたいというふうに考えております。  それからその次に、公団あるいは公社の住宅があるわけでございますけれども、そういったものの優先入居制度というのがございます。これを活用しまして、公営住宅の収入超過者の例がございますが、それに準じまして優先的に入居することができるように措置したいというふうに考えております。  それからさらに、先ほど申し上げましたように、老朽化している住宅が非常に多いということでございまして、現実問題としてそれが不良住宅といたしまして撤去が行われるというような場合があると思います。これは入居資格等の問題がございますけれども、一定の条件の場合には公営住宅の特定入居制度というのがございます。そういった制度を活用するように公共団体を指導してまいりたいというふうに考えております。  またさらに、統制令の廃止に伴いまして、負担額が大きくなるけれどもそこを動きたくないという方も当然出てこられるというふうに考えられますが、そういう方々につきましては、生活保護担当部局との連携を強化いたしまして的確な住宅扶助措置がとられるように措置してまいりたい、そういうふうに考えております。
  96. 元信堯

    元信委員 公共住宅、公営住宅に対する期待が大きいみたいですけれども、公営住宅の場合は入居制限がかなり厳しいですね。特に入居資格は収入だけでなくて世帯の状況にも関連して、私どもの今までの経験で言うと、こういう極めて低家賃の住宅については、公営住宅の方が安くてきれいでいいと思っても、いろいろな事情があって入れないという人が随分あるわけなんですね。こういうところについては、お役所仕事ではなかなかカバーし切れないところがあると思うのですが、そういうところはどういうようにお考えでしょうか。
  97. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 先ほど申し上げましたように、統制令の廃止そのものが直ちに大きな影響があるというふうには我々は考えておりませんが、それを前提といたしまして、廃止に伴って他へ転居したいとかやむを得ないという場合には、特定目的制度で優先入居を図るように通達によって処理してまいりたいと思います。  参考までに申し上げますと、五十九年度の七大都府県でのいわゆる特定目的公営住宅募集戸数は約六千七百戸でございます。そんなに多くはないと思いますが、統制令の廃止後の公営住宅の需要に対応する必要が出てくるかと思います。そこで、供給量という点でも非常に多い既存住宅の空き家募集を活用して、特定目的公営住宅の募集枠を拡大するように通達したいと考えております。  それから、これはちょっと時間のかかる問題でございますけれども、需要動向によっては、必要に応じて予算の重点配分等を行って建設を促進していくということを考えております。  それからまた、不良住宅ということになって撤去が行われる場合には、特定入居制度というのがございます。これはもちろん一定の資格がありますけれども、そのまま入れるということでございます。そういうことで対応してまいりたいと考えておるわけでございます。
  98. 元信堯

    元信委員 この節は公営住宅も家賃が非常に高くなっておりまして、統制令対象の住宅よりはかなり高家賃というありさまですから、なかなかそううまくはいかぬだろうと思います。ですが、このことばかり言っておるわけにはいきませんので、ひとつ建設大臣に伺っておきたいと思うのです。  この統制令はずっと昔、三十八年ごろに二度ばかり廃止の改正案が建設委員会に出されましたが、廃案になっておるわけですね。その後二十年余もたっておるわけでございますが、そのころに廃止しなければならぬ事情があって、今また廃止しなければならぬ事情がある。この間の運用は一体どういうふうになっておったのか、ちょっと承りたいと思います。
  99. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 ただいま議員お示しのとおり、地代家賃統制令につきましては、昭和三十五年、三十六年に政府提案で、三十七年、三十八年は議員提案により提出されていたところでございます。統制対象につきましては、昭和三十八年当時におきましては借家で二百九十五万戸ございました。借家総数の四割という数でございましたけれども、現在では九十万戸ということで、借家総数の七%という状況になっておるわけでございます。  その間何をしておったかということでございますが、統制の実施を適正にしたいということから、毎年地代家賃に関する実態調査を実施いたしまして、これも予算等の関係がございまして全数調査というわけにいかないわけでございますけれども、運用実態の的確な把握に努めてまいったわけでございます。  それから、地代家賃統制令におきましては、御案内のことかと思いますが、地代家賃停止統制額あるいは認可統制額で公正でないと認められるに至ったものにつきましては、建設大臣がこれにかわるべき額を定めることができるという規定になっておりますが、これに基づきまして、最初にあったのは昭和二十六年でございますけれども、その後二十七年、三十九年、四十六年、四十九年、さらに五十年代に入りましては五十一年、五十二年、五十三年、五十四年、五十五年、五十八年、六回の告示改正を行ってきております。
  100. 元信堯

    元信委員 この問題は、いずれ連合審査でもやれるかと思いますので、終わりたいと思います。建設大臣、どうも御苦労さまでございました。  次に、通産省所管の消費生活用製品安全法あるいはガス事業法、消費生活に直接かかわりのある部分の自己認証への移行でございますけれども、この問題について質問したいと思います。  質問に入る前に、これも貿易の非関税障壁問題という取り上げ方だと思いますが、以前に金属バットが非関税障壁のシンボルのように取り上げられて、何かアメリカのどこかの出先へ行くと、バットすらだめだということで飾ってあったというような話まで聞きますが、それを政令から外した途端に金属バットの事故が続出をいたしまして、やれ飛び過ぎるの、やれ折れるのという騒ぎになったわけであります。このことは貿易摩擦と生活用品の安全を考える上で非常に象徴的なことではないかと思いますので、まず一、二お伺いしたいと思います。  政令から外したことによって一体輸入量がふえたかどうかという点、もう一つ、ネガティブな面として事故が集中したわけですが、事故の原因が政令から外したことと関係があったかどうかということについて承りたいと思います。七月二十三日の参議院の決算委員会で触れられておりますが、その時点では事故原因はさっぱりわかりません、調査中という答弁だったもので、しばらく日がたちましたから恐らくわかったと思いますので、その調査を踏まえて、一体政令から外してどういう効果があったか伺いたいと思います。
  101. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいまお尋ねのございました、金属製バットを特定製品から外しましたのは五十八年でございますけれども、その結果、輸入状況を見ますと、輸入が顕著にふえたという数字にはなっておりません。  ちなみに五十五、六年度には金属バットの輸入が四千数百本あるいは二千数百本のオーダーでございましたが、五十七、八年度は一本も実績がございませんでしたけれども、五十九年度は千六百五十本の輸入が行われております。本数がこのように低位の水準にとどまっておりますのは、実はアメリカ製の金属バットが日本の消費者のニーズに必ずしも合わないような品質のものである。例えば、バットにボールが当たりましたときに音が出ないように、アメリカの製品には消音材が多く入っているのでございますけれども日本人の場合はどちらかというと金属音がした方が好まれるというようなこと、あるいは太さが必ずしも日本人の好みに合っていないというようなこともあるのではないかと存じます。そのようなわけで、輸入は現在さほどふえてはおりませんけれども、一応アメリカ三つのメーカーにつきましては、登録を受けまして、手続的には円滑に入るような仕組みにはなっておるわけでございます。  それから、第二のお尋ねの点は、この夏の事故と特定製品から外したこととの関係についてでございます。先般の七月の参議院決算委員会におきましては、仰せのとおりまだ検討中ということでございましたけれども、私ども、折損事故がこの夏相次いだために、直ちに関係企業から事情を聴取すると同時に、当該企業に早期回収等の指導もいたしました。あわせて、製品安全協会に対しまして立入検査の実施、テストの実施等、原因究明を行うよう指示いたしたわけでございます。  これを受けまして、協会の中に設置されました金属製バット基礎調査委員会におきまして事故の原因について検討が行われましたところ、これまでの結果によりますと、原因といたしましては三つあったというふうになっております。一つは、バットの手で握る部分と球が当たる部分との間の部分、だんだんに口径が細くなってくるその中間部分でございますけれども、その部分の強度が十分でなく弱かった。それから、調べてみますと材料に腐食が見られた。第三に、その折損事故のありましたバットの伸び率が低下していた、つまり弾性が弱まっておったということの三つの要因がふくそうしたものとして出てきたものという一応の結論が得られたわけでございます。  そういうことにかんがみて、本件を特定製品から外したこととの関連について見ますと、安全基準そのものの問題というよりも、そのこととは直接関係はございませんけれども設計面あるいは製造工程面等において至らない点があるいはあったからこういうことになったのではないかというふうに考えまして、私ども早速、事故を起こしたメーカーはもとよりでございますけれども、金属製バットを製造しておりますすべてのメーカーに所要の指導をいたしたところでございまして、私どもといたしましては、このようなことから考えまして、今後は、この検査の結果にも基づきまして、試験方法のあり方とかいろいろさらなる原因の追及を行った上、早急に安全性に関する現在の基準の見直しを行わねばならないと考えているわけでございまして、この点については鋭意進めたいと思っておりますが、特定製品を外したことと直に関係はないものと理解しております。
  102. 元信堯

    元信委員 事故原因についてもまだ十分納得ができるわけじゃない。絞っているところの強度が弱かったから折れたというのだけれども、強度が弱かったというのは原因じゃなくて結果だと思うのですね。何で強度が弱くなかったかということが問題であって、強度が弱うございましたというのは同じことを言っているだけのことなんですね。なぜ強度が弱かったかというと、ここの強度が弱かったからということでは答弁にならぬ、こう思う。そういうわけで、原因究明が必ずしも十分でないということになりますと、そのことは特定製品を外したこととは関係がないというのは、にわかにそうは思えないところもあるわけであります。  しかしながら、このことにそうこだわっている時間はないので、ちょっと整理してみると、要するに金属バットがシンボルとしてやいのやいのと言われてこれを外した。外したけれども、別にそのことによって輸入がふえたことは事実としてない。しかし、事実としては事故が非常にその時期に集中して起こった。これはやはり、そのときに材質の問題とかなんとかに対するメーカーの考え方変化があったのではないかなというふうに見ざるを得ないわけであります。  そこで、今回の法改正によっても幾つかのものが自己認証に移る。これは自己認証で、基準そのものは国が引き続きつくるわけでありますから、金属バットよりは大分よかろうかと思いますが、しかし、自己認証ということになりますとかなり国民の側から見るといろいろ心配もある。そう言っては大変申しわけないが、我が国のメーカーが必ずしも信頼できないという面もあるわけであります。これはまた場所を変えてやらなければいかぬと思っておりますが、例のワイン騒動、マンズワインなんかにしても、言われても言われてもあれくらい性懲りもなく繰り返すというのが大企業という状況でありますから、国民から見れば、やはり政府はふんどしを締めてしっかり生活用品の安全については今後とも監督を強めていただきたい、こういうふうに思うわけであります。  そこで、今後この自己認証へ移行した後、ますますそういう意味では通産省の用品安全に対する監督の責務は大きくなるかと思いますが、この点についてどういう対策をお持ちなのか、承りたいと存じます。
  103. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 お答えを申し上げます。  原則論として、自己認証制度を導入することによって貿易摩擦の緩和に役立てるという基本論に立つわけでございますが、今御指摘の消費生活用製品に対する自己認証制の導入後においても現在と同水準の安全水準を確保しなければならぬ、そして消費者保護上遺漏なきを期さなければならぬ、そういったことで、対応策として次のようなことを考えておるわけであります。  第一に、自己認証品目の製造事業者及び輸入事業者に対する改善命令、回収命令等の厳正かつ機動的な運用に努めていかなければならぬ、これが第一点です。第二は、製造・輸入・販売事業者に対する立入検査、試買テストについては、今後自己認証品目に重点を置いて実施するなど、その充実に努めてまいらなければならない。  これは元信委員指摘になりましたように、安全の確保というのは何よりも大事な問題でございますから、通産省としては、こうした措置の機動的な運用によって、今後とも消費者の安全確保を図ってまいる方針でございます。
  104. 元信堯

    元信委員 今お話のありました試買テストの問題についてちょっと伺いたいと思いますが、大体今まで試買テストというのはどれぐらいの規模でやってみえたのか、これは金額でおっしゃっていただくのが適当かと思いますが、並びにこの自己認証に移行後、これに対して具体的に予算で言えば一体どれぐらいふやしていくようなおつもりがあるのか、そこのところを承りたいと思います。
  105. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 消費生活用製品につきましての試買テストは幾つかのアイテムがございますけれども、特定製品につきましては通産検査所におきまして行っておりまして、検査所におきまして安全基準に適合しているかどうかをチェックするために試買をしてテストを行っているわけでございますけれども、六十年度の予算額は四百万円でございます。  それから、御案内のようにSマークのほかにSGマークという認定製品と言われる製品がございますけれども、これにつきましても試買テストは製品安全協会が実施しておりますが、六十年度の予算は約千四百万円でございます。  なお、このほかに、新しい製品の試買テストという制度がございまして、新製品で安全性に問題があると思われます製品につきまして、広く市場に出回る前に通産検査所が市場から買い上げまして各種試験を行うものがございまして、これが六十年度予算で一千万円計上されておりまして、直接的に製品安全法につながっております安全関係の試買は合計して約二千八百万円でございますが、そのほかに、この法律に直結しておりません関係の試買予算も別途三千二百万円ほどございます。したがいまして、それを合計すれば約六千万円と申しましょうかの予算があるわけでございます。  今後、この予算につきまして、先生仰せのとおりどのように拡充を図っていくかという点になりますと、なかなか財政の厳しい時期でございますので、私どもも精いっぱい努力はいたしますけれども、なかなか増額というようなことは難しく、従来の実績で申しますと、年々マイナスシーリングのもとで減額を強いられてきたのが実情なわけでございます。  したがいまして、私どもといたしましては、減額は強いられておりますけれども、何とか試買テストにつきましては今度自己認証制度を導入するような品物にできるだけ重点的に運用することによりまして、仰せのような問題点が解決できるよう努力してまいりたいと考えている次第でございます。
  106. 元信堯

    元信委員 試買がますます重要な意味を持つようになるときに、毎年予算は減っていっておる、しかもこの先ふえる見込みはなさそうだというのは、消費者としてはまことに心細い事態だと思うのですね。重点的といっても、今までだって重点的に運用していたはずですね、漫然とやっていたわけではないんだから。そうなりますと、自己認証のものに重点的にやっていくということになると、今までやっておりました事故情報だとか苦情だとか一般試買だとか、そういうことがますます手薄になっていくということなんですから、どうかそんなようなことを言っていないで、積極的にこれに対して予算を重点的につける、このことをやっていただきたいと思うのです。  それと同時に、今お話がありましたように、試買の予算が何やらかんやらひっくるめて年間六千万円前後、ますます減りそうというのは、それがカバーしている行政需要に比べていかにも少ないと思うのです。六千万円ぐらいではろくなものは買えないだろう、しかも品目はますますふえていくわけなんです。  そうしますとこういう考え方というのはできないかなと思うのですが、食品衛生法には、食品衛生法上問題がある商品については収去という考え方があって、要するにただでもらってくる、買わぬでもいい、こういうことでちょいと持っていってこれをテストするということが大幅に認められておるわけです。通産関係はそうはいかない。全部、工場での立入検査で持ってきてテストするのも代価を支払わなければならぬということになりますと、行政上甚だ限定されてくると思うのです。何かといえばもう予算がございません、お金がありませんからできませんというようなことになって、そこへ逃げ込まれるのも甚だ不都合だと思いますので、その点について検討する考えがあるかどうか、ちょっと聞かしてください。
  107. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 予算の乏しい折から、先生の御指摘は御示唆に富むところではございますけれども、実は私ども法律では、今先生仰せになられました食品衛生法等の収去制度に類するものといたしまして、立入検査に並びまして特定製品の提出命令という制度があるわけでございますが、この制度を運用するに際しましては、立入検査に参った際には、大方の製造事業者の場合には製造事業者自身が検査設備を保有していることが多いわけでございますので、その製造事業者の検査設備を利用することなどによりまして安全基準の適合性についてかなりの程度のチェックが可能ということになっているわけでございますので、そういう意味で、立ち入りの場所において検査を行うことを私どもとしては原則といたしてまいってきているわけでございます。しかし、それでは著しく困難な場合もないわけではございません。そのような場合につきましては、御指摘にございましたように、製品の提出を命じまして、立ち入りの場所以外の場所におきまして検査を行うという考えをとってまいってきているわけでございます。  そういうわけで、私どもといたしましては、立入検査と提出命令とをうまく活用すると同時に、あわせて先ほど御指摘のございました広く市場に出回っております特定製品についての試買検査とをうまく有機的に活用することによりまして、所要の安全行政の遂行を図ってまいることにいたしたいと考えておる次第でございます。
  108. 元信堯

    元信委員 提出命令も法に基づかないと思うのです。提出命令した場合は金を払わなければならぬわけでしょう。ただでよこせというのは、そんなものは法的にどこに根拠があると言われれば、恐れ入りましたと言うしかないような現況ですから、ちょっとそれだけでは弱いのではないかなという気がいたします。ですから、自己認証制度がどんどんふえていくについては、当然通産省としては予算をふやして消費者の安全に対する期待にこたえるような行政を行ってもらう。それが予算的にどうしてもできないということであれば、これはもう収去を含む積極的な手段を考えないと、メーカーの方の設備などを使わしてもらってやっているから、どうしてもそれは消費者としては大丈夫ですかということになるわけですね。そこのところはぜひ検討してもらいたいと思うのです。  そこで、試買テストを今までもやってこられたわけですが、その結果をどんなふうに公表されているかについて承りたいと思います。
  109. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 試買テスト結果の公表につきましては、私ども昭和五十二年に通達を作成いたしまして、原則として結果は公表するということにいたしておりますけれども、軽微な基準違反あるいは軽微な不適正な表示などの場合には公表しなくてもよいという形にいたしてまいっております。  従来の製品安全法関連のうち、特定製品についての試買テストにおきましては、毎年テスト件数のある部分、通年で見ますとおおむね一割程度、最近はこの一割をちょっと切っていると思いますけれども、一割程度の基準不適合あるいは不適正表示の事例がございますけれども、私どもが見ましたところ、いずれも違反の程度が比較的軽微でございましたものですから、先ほど申し上げましたその通達に従いまして公表は行っておりません。  しかし、今後とも、試買テストの結果、重大な基準違反等発見された場合には、当然原則に立ち戻りまして、一般消費者に対しましてその旨を公表いたしまして、消費者保護の徹底を図る考え方はきちんと守ってまいりたいと考えております。
  110. 元信堯

    元信委員 通達によって公表できるということになっているけれども、実際にはみんな軽微だ、軽微だと言って公表しておらぬ、これが実態ですね。しかし、今度の法改正で消費者行政も転機を迎えるわけですから、これからぜひこういうふうにしていただきたいと思いますのは、原則公表でありますから、どこか公表の場を設けて、軽微であろうが何であろうが違反は違反、これはやはり発表すべきだと思うのです。軽微だということを通産省の内部だけで判断をされて発表しないという姿勢を取り続けていると、これはやはり消費者の行政姿勢に対する批判を招くことになりますから、ひとつこれは公表の原則を確立をして公表する、こんなふうにしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  111. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 基本的には、御趣旨のように進めるように心がけてまいりたいと思います。
  112. 元信堯

    元信委員 それでは、予算をふやすなりなんなりして消費者の不安にこたえるようにということを強く要望いたしまして、本件に関する質問を終わりたいと思います。どうも御苦労さまでした。  最後に、厚生大臣に来ていただきましたので、厚生省から今度出されましたこの法案については軽微なものだというふうに思うわけでございますが、この際、厚生省が行政改革の一環としてかねて進めておいでになるところの国立病院・療養所等の再編成計画について承りたいと思います。  既に一次分が発表されておりますけれども、これは十六の国立病院・療養所を八つに統合するというだけで、問題は、今年度じゅうに発表することになっておりますところの経営移譲の問題ですね。これが地域医療に重大な影響を及ぼすことになろうかというふうに思うわけですが、この作業の進捗状況、いつごろ発表されるのか。今概要わかるところがあればお示しをいただきたいと思います。
  113. 木戸脩

    ○木戸説明員 お尋ねの国立病院・療養所の再編成の問題でございますが、現在、適切かつ効率的な医療供給体制の確立という広い見地から、統廃合、それから経営移譲の両方含めまして、全国的ないわゆる再編成の地図というものを描く作業をやっているわけでございます。現在のところ、本年度じゅうということで作業を進めでございますが、まだいつ発表いたせるという段階には至っていないわけでございます。
  114. 元信堯

    元信委員 そういうのを木で鼻をくくったような答弁というのだが、名前は長かったけれども昭和二十七年に地方移譲に関する法律というのができていますね。地方公共団体に対する移譲だとこれでいけるというようなおつもりなのかもしらぬが、仄聞するところによると、地方公共団体へいろいろ話を持ちかけたけれども、地方団体そのものが今赤字の自治体病院を抱えて四苦八苦、赤字だから、国立病院をおまえのところでやらぬかと言われても、とてもそんなような状況にないというふうに聞いておる。そうすると、それ以外のところをあるいはお考えになっているのではないかと思うわけですが、そういうことになりますと、この法改正というのも当然必要になってくるわけですね。ですから、その経営移譲の対象についてどんなふうに考えているのか、あるいはそれに類する法改正というものを準備されているのかどうか、そこのところを承ります。
  115. 木戸脩

    ○木戸説明員 御指摘のように、昭和二十七年に国立病院をいわゆる経営移譲した場合には地方自治体だけでございましたが、現在の医療供給体制全般を見てみますると、かなり自治体としてやるべきものはやっているという面もございますし、それから先生がおっしゃったような面もございますので、私どもといたしましては、地方自治体以外に日赤、済生会、厚生連等の公的医療機関、そのほかにいわゆる公的性格の強い、いざという場合には厚生大臣なり都道府県知事が指導できるような民間の法人というものも含めて考えたいということで検討をしているわけでございまして、もしそういったような民間を入れるということになりますれば、これは法律改正が必要になってくるわけでございます。
  116. 元信堯

    元信委員 民間に国立病院の経営を移譲するというのはなかなか重大な問題だと思いますが、もう少し詳しく、民間というのはどういうものであるか、例えば医療法人というのはあるわけですが、こんなものを考えているのか、その辺のことをお聞かせください。
  117. 木戸脩

    ○木戸説明員 民間と申しましても、やはり公的性格の強いもの、つまり何かあった場合にはその医療内容について指導ができるとか、もう少し言えば、こういうふうに経営を改善しなさいとか場合によればその理事長等の大事についても配慮しなさいという指導ができるというような範囲を考えておるわけでございまして、そういうふうになりますと、一般の医療法人とか一般の公益法人ではそれには該当しないということでございまして、それは当然限定されるでありましょうけれども、例えば社会福祉法人のようなものは公的性格の強いものというふうに理解しております。
  118. 元信堯

    元信委員 社会福祉法人が医療施設を持つということについて、かねて厚生省の御方針は、その社会福祉法人が本来社会福祉事業としてやっている事業の中でやるならともかく、そうじゃない一般外来等含めて地域に開かれた病院ということになると、これは余りふさわしくないというようなお考えを持っていたやに承りますが、その辺はどんなふうになっているのですか。
  119. 木戸脩

    ○木戸説明員 先生指摘のように、社会福祉法人というのはやはり社会福祉事業ということで、従来で言うならば無料とか低額診療、現代的に言うならばリハビリテーションとか健診事業でありますとか、低所得者あるいは社会福祉サービスに近いような医療というものが主になるわけでございますので無制限ではないと思いますが、しかしながら、その内容等によっては社会福祉事業として適当な医療であると判断されれば、これも経営移譲先として含めることは可能であるというふうに考えております。
  120. 元信堯

    元信委員 もともとの方針は、今審議官か言われた前段の社会福祉法人が医療行為をするのは社会福祉事業の範囲の中でやるのが好ましい、こういうことだったですね。ところが、国立病院の経営を移譲するなんということになると、国立病院は社会福祉事業としてやっているのじゃないんですね。そういうことになりますと、そこに重大な方針の矛盾が出てくる。今までの方針を、苦し紛れに社会福祉法人でも引き受けてくれればそんな今までの指導方針はいいわ、こういうふうに聞こえるわけですが、そうじゃないのですか。
  121. 木戸脩

    ○木戸説明員 先生指摘のような点もあるわけでございます。しかしながら、地域の医療の需要というものを考えますと、最近は、ますます高齢化社会を迎えまして、狭義の治療でないリハビリテーションといったような分野もたくさん出てきているわけでございます。  実は、この国立病院・療養所の再編成のために、自治体病院とか医師会とかあるいは病院の経営者、学者等に集まっていただいて御議論願って意見をいただいたわけでございますが、やはり今後の医療というものは少しそういうふうに広げて考えるべきだという御意見もいただいているわけでございます。私どもも、社会福祉法人に一般的な通常の医療機関がやるような医療というものを決して期待しているわけではございませんが、地域の事情によっては、医療をいわば福祉サービスの方に外延的に延長したといったようなものも非常に今後重要になってくるということも考えられますので、そのような点も含めて考えたいと思っておるわけでございます。
  122. 元信堯

    元信委員 そうすると今までの、社会福祉法人がやる医療については社会福祉の範囲の中でという方針についてはこの際撤回をする、そういう考え方ですか。
  123. 木戸脩

    ○木戸説明員 昭和二十七年に先生指摘のようなものを含みました通知が入っているわけでございますが、これは社会福祉法人が病院経営を行うことを一切禁止しているというふうには考えていないわけでございます。それから一方では、無料、低額というのは現在の医療保険制度の発達によってある面ではかなり薄れてきているわけでございますので、逆に、今私が申し上げましたように医療と福祉サービスの中間というようなものが必要になってくるということでございますので、私どもは、社会福祉法人が置かれましたそのときどきの社会に対するニードというものを考えれば、決して方針を転換したということにはならないというふうに考えておるわけでございます。
  124. 元信堯

    元信委員 言っていることがよくわからぬのだけれども。今までの方針は方針としてあるけれども、その方針から大きくはみ出すことをやろうというのだから、今までの方針を撤回するのかと言えば、それはそうじゃないと言う。どっちかにしなければまずいよ、はっきりしないと。どっちかになさいな、どうです。
  125. 木戸脩

    ○木戸説明員 社会福祉法人でもリハビリテーション事業を広くやっている病院というものもあるわけでございます。具体的に、例えば先生の地元でございます浜松におきましても、社会福祉法人の聖隷事業団というのは病院を二つやっております。もちろん一般医療もある程度は基本的にはやっておりますが、やはり社会福祉法人にふさわしいリハビリテーションを中心とした医療というものをやっているように思うわけでございまして、そういう面から広く医療というものをとらえていけば、決して方針の大転換ということはないというふうに理解をしております。
  126. 元信堯

    元信委員 そういう個別のことを言うものだからおかしくなるのです。これ以上言いませんが……。  そうすると、社会福祉にくっつけた医療ということであればいいということになると、今度は逆に、それでは国立病院の移譲を受けてそこで老人ホームをやりましょうとか、そういう話というのは出てくると思うのです。国立病院というのはどこでも非常に敷地が広くていいですから、それに附帯する事業、あれもこれも、学校までやろうなんというような話になると、これは経営移譲の精神と随分違うと思うのです。無償で譲渡を受けて、病院は病院で小ぢんまりやっておって、そのほかの土地であれもやりましょう、これもやりましょうというようなことが一体許されるとお考えですか。
  127. 木戸脩

    ○木戸説明員 先生指摘のように、それは許されることではないわけでございます。  ちなみに、昭和二十七年に地方自治体に国立病院を移譲しました場合には、十五年間は病院事業をやりなさい、こういう条件をつけてございます。当然、今度は移譲する主体も広げようということでございますので、その趣旨を没却するような野方図なことは規制をするつもりでございます。  具体的には、やはり十五年とか相当の期間は病院として経営をしろ、こういうことになるかと思いますが、問題はその病院がやる医療の内容をどこまで認めるか、こういう問題になろうかと思いますので、その点は慎重に検討をいたさなければならないというふうに思っております。
  128. 元信堯

    元信委員 医療はもちろんやってもらわなきゃいけませんね。病院として、やりますと言って移譲を受けて、やめちゃっただなんて、こんなものは詐欺みたいなものでお話にも何にもなりませんが、それは病院は病院でやりましょう、ではほかのことを一緒にやりましょうだなんということになって、その一角だけで言うならば、ほかの事業を始めるなんということはどうなんですか。
  129. 木戸脩

    ○木戸説明員 附帯事業としてどこまで認めるかということでございますが、それは極めて限られた範囲内になるべきものというふうに私は考えておりまして、あくまで医療ということに限定すべきものと考えております。
  130. 元信堯

    元信委員 この問題は別のところでも議論があろうかと思いますので、これで終わります。  最後に、後藤田長官には、ずっと聞いておっていただいて、航空法などに一番時間をかけて議論したわけでございますが、お聞きになっていていかがですか。規制緩和として、航空法改正について言えば、ある一種類の飛行機輸入についでこれがバリアになっておるからこれを外すという法改正であったかと思いますが、それがずっと将来、我が国の空の安全の基本的な問題として大きな影響を持つ法律改正であるということが御理解いただけたかと思うのです。  そういうことになりますと、こういう一括法ということでは法案審議の形にどうもなじまぬのじゃないかと思いますが、最後にその辺の御見解を承って終わりたいと思います。
  131. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 規制緩和は、たびたび申し上げておりますように、世の中変化で不合理になっているものをこの際改良しよう、こういう趣旨でございまして、別段重要な政策変更といったような内容のものは含まれておらぬのではないか。もちろん規制緩和の際にも、国民の生命あるいは健康あるいは安全、こういうような点についての緩和をするというときには、政府としてはそれなりの十分な配慮のもとにやらなきゃならぬ、これは当然のことでございますから、そこらは政府としては十分心得てやらせていただいているつもりでございます。  いずれにいたしましても、航空機の問題等も、何せ昭和二十七年のもので、外形標準でやっておったわけですから、今日ここまで発達をすれば外形標準を外しても、第二号ですかの「構造上、」云云というものの十分な活用によってそういった心配はない、こういう判断のもとに廃止に踏み切らせていただいているわけでございますから、御説の御意見は十分わかりますけれども政府もただいま言ったように安全であるとか健康であるとかということについては十分配慮してやっていきたい、かように考えます。
  132. 元信堯

    元信委員 あれが外れることによって、運輸大臣は将来は無人の旅客機があり得るようなことを言うものだから、これはなかなか重大な問題だと言わざるを得ないわけですね。今まであれがあったばかりにそんなことが言えなかったわけですからね。ですから、そこのところは見解の差にもなりますから、これ以上申し上げません。  最後に厚生大臣民間活力の導入ということが盛んに言われるわけで、私ども非常に心配するわけでございます。先ほど国立病院・療養所の経営移譲の問題をやや長く申し上げたのもその点でございますが、今回のこの国立病院の再編成がそういう民間活力というような観点でやられるということになりますと、これは我が国の医療制度上大変な問題になるかと思いますが、お考え方として一体そういうお考え方があるのかどうか、その点について最後にちょっと承っておきたいと思います。
  133. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 今回の国立病院・療養所の統合再編成につきましては、その目的としては、適切であり、効率的な医療供給体制を確立しよう、そういう課題にこたえるために、国立病院・療養所が果たすべき役割等々、民間の医療機関も含めて役割分担を明らかにしようということでございますので、この統廃合そのものが民間活力を活用しようという趣旨のものではないわけであります。しかし、一部民間に移譲するということがあるといたしますと、結果的にはそういう側面を持つかと思いますけれども目的としては先ほど申し上げたどおりでございます。
  134. 元信堯

    元信委員 この問題については民間活力の導入ということとは根本的に見地が違うだろう、こう思うわけですね。したがって、先ほどの木戸審議官答弁には私はちょっといろいろ不信があるわけでございまして、またこれは別途解明をいたしたいと思いますけれども、あくまで本来の再編成の趣旨というものを踏み外すことのないように強く申し上げて、終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  135. 中島源太郎

    中島委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ――――◇―――――     午後一時二分開議
  136. 中島源太郎

    中島委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。日笠勝之君。
  137. 日笠勝之

    ○日笠委員 既に十二日に本会議場におきまして、中曽根総理以下関係閣僚の皆様方に概略の質疑をいたしまして御答弁いただいておりますけれども、時間の関係上詰めるわけにいきませんでしたので、できれば何点かさらに審議を深めていきたいと思います。  まず一点は、何といいましても一括法案で提出されるということの方式でございます。今回の二十六法案の内容は八省庁にまたがっておりますけれども、中身が乏しい、新鮮味が乏しいと言われて、鳴り物入りであった割にはそのような評価があるわけでございます。  中曽根総理のいわゆる中曽根式政治方法、手腕は、一つはよく言われます私的諮問機関の活用、二つ目が一括法案方式ではなかろうかと思うわけであります。中曽根行管庁長官時代、そして現総理の時代と合わせまして、六回の一括法案としての法案が提出されたわけでございます。この中身をよく見まして私ども考えますのは、例えば今回二十六法案ございますけれども、その中でどうしてもこれだけは反対しなければいけないというものがもしあれば、算数ではありませんがゼロ掛ける二十六はゼロにしなければいけない。ほかのものは通したい、ぜひ通してもらいたい、しかしこれだけはどうしても反対しなければいけないという法案があった場合には一応反対せざるを得ない、そういう審議権といいましょうか、こういうものを縛るということも考えられるわけでございますが、改めて長官に、今回の一括法案方式につきましてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  138. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今回一括法案として御審議を願うようにいたしました理由でございますが、午前中にもお答えを申し上げましたように、行革審の答申を受けまして、時代変化とともに不合理になっている、あるいは過剰になっている、不必要になっているといった規制については、やはり社会、経済の活性化あるいは日本の市場の開放性といった点から合理化すべきである、こういう統一的な政策といいますか御答申があったわけです。つまり趣旨目的が同じであるということで私どもとしては一括法案でお願いをしておるわけでございます。  もちろん、日笠さんがおっしゃるように個別にそれぞれの委員会でやったらいいじゃないかという御議論は十分承知しておりますけれども一括法で扱うについては、五十六年の法制局の見解もあり、その見解のもとで私どもとしては十分検討して一括法にした。また、従来からの同じような趣旨のものが十一回ばかり経験がございます。そういう先例もあり、そしてまた一括法にすることによってかえって総合的な把握が、理解が容易である、こういったようなことで審議をお願いしておるのであって、私どもは国会の委員会審議権をどうこうなんということはいささかも考えていないわけでございますので、こういった点はぜひひとつ御理解をしていただきたい、かように思うわけでございます。
  139. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうしますと、来年いわゆる臨教審の教育改革についての答申が出ますが、教育改革というフレームで包んじゃって、例えば文部省以外にもいろんな省庁が関係してくるわけですね。保育所であれば厚生省も絡みますし、放送大学ということであれば郵政省さんも絡んできますし、青田刈り、就職問題であれば労働省さんもかかわってくるとか、外国人の教員としての採用といえばこれは法務省もかかわってくる。そうすると、来年もまた教育改革ということで一括法案で我が内閣委員会に出されるというようなことが目に見えてあるんじゃないかと心配するわけですね。やはりこれは私が言いますように、一つ一つ法案趣旨、経緯、みんな違うわけですね。そういう意味においては各委員会もあるわけですから、各委員会で慎重に審議してもらう。国民の代表として慎重に審議する権利も我々にあるわけでございますから、そういう意味においては、この一括法案の提出については慎重にセレクトはする、こういうことには考えられぬでしょうか。
  140. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今御質問の中の教育改革の方は、まだ臨教審でどういう結果が出るかわかりません。何とも申し上げかねますけれども、私どもとしては、やはり趣旨目的が同じであるといったようなことで一括してやらなければならぬというものは、ひとつ従来どおりお認めいただきたいと思いますが、日笠さんあるいは先ほど社会党の代表の方の御質疑がありましたように、国会審議権との兼ね合い、こういう点は政府としても十分配慮しなければならぬ課題である、かように考えております。
  141. 日笠勝之

    ○日笠委員 趣旨説明提案説明されるのが長官ですから、ほかの関係大臣も各省庁の方もいなくて、長官一人で一対一でやってもいいような感じになってくるわけですね。先ほどもお話が出ておりましたけれども、労働省から国鉄だって全部絡んでくるわけです。それを全部内閣委員会、内閣委員会ということになっちゃうと、これは専門の方ばかりではありませんので、一括法案形式というものについては今後慎重に検討を加えていかなければいけない、かように要望しておくわけでございます。     〔委員長退席、石川委員長代理着席〕  続きまして、やはり国民の皆さんの関心が高いのは、来年の六月二十七日に、三年間の行革審の設置期限が切れるということであります。行革審の言う進捗状況によればやっと五合目である。その五合目も、長官お話を聞きますと、まだ激励の意味を込めた五合目である、こういうふうな御答弁もあったわけでございます。そういう意味では、来年の六月二十七日、ポスト行革審でございますけれども考え方はいろいろあろうかと思うわけですが、一つは、新たに立法して延長していくということ。二つ目には、長官のもとに総務庁の中に八条機関としての審議会をつくるという考え方三つ目は、行政監察局に引き継いで、バトンタッチを受けてやっていくということ。それから四つ目ぐらいには、もう全く何もつくらない。こういう四つぐらいの考え方があろうかと思いますが、長官はこの四つの中でどれが一番適当か。これは私この前質問しましたら、まだ先の話だとおっしゃいましたけれども、あと六カ月ほどしかないわけでございますので、まずその点のお考えを承りたいと思います。
  142. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 政府は、行革審の累次にわたる御答申を受けて、その都度閣議決定をして、国会の審議を仰ぐべき事項は新規立法として御審議を願って今日に至って、ある程度の成果を上げておると私は思いますが、まだまだこれから先、例えば国鉄の改革の問題であるとかあるいは特殊法人の問題であるとか内閣の総合調整機能の強化の問題であるとか、大変重要な課題が残っておるわけでございます。その中で、まだ行革審で御審議を仰いでおるものもございますし、我々としてはそれをどう消化するかというのがやはり課題としてあるわけでございます。  同時にまた、私が仄聞しているところによりますと、行革審は恐らく来年の年明けぐらいからは、最終の取りまとめといいますか、総合卒業論文とでもいいますか、それの御審議もなさる、こういうことを聞いておりますので、それらを受けて今後どうするかということについては、正直に言って私どもとしてはまだそこまで検討をしておる段階には至っておりません。  しかしながら、行政の改革というのは時代変化への対応ということでございますから、これだけ急激に世の中変化をしていく以上は、行政改革は政府としては絶えざる課題である、私はそういう認識でございますから、そういう認識のもとに、今後どうするかは今日笠さんがおっしゃったようなことも参考にさせていただきまして勉強させていただきたい、かように思います。
  143. 日笠勝之

    ○日笠委員 それでは長官のお考えは第五の概念の未定、こういうことでございますね。今のところは未定である。先ほど言った四つぐらいの概念があるわけでございますが、我々とすれば、いつぐらいまでにどの方向へ持っていくのかということを早く国民の皆さんに周知徹底をして、そして行革はやはり今後も続けていくんだ、こういうアピールも大事じゃないか、かように思いますので質問をした次第でございます。  それで、先ほど長官は、今後国鉄の問題とか内閣総合調整機能の強化とかいろいろ言われましたけれども、三庁統合については言われませんでした。私はいつも、これで三遍目くらいだと思いますが、三庁統合問題、まず率先垂範して中央省庁から見本を示していかなければいけないというのが私の持論でございます。非常に言いにくい言葉でございますが、世間ではつまみ食い行革と言われているそのイの一番に挙がってくるのが、この三庁統合問題なんです。そういう意味で、もうちょっと詳しくお伺いをしたいと思います。  五十八年の七月に国土行政関係三庁連絡会議が設置されまして、もうかれこれ二年四カ月が来ようとしておるわけでございますが、この連絡会議は大体どれくらいのペース、月一遍とか二カ月に二遍とか、どういうペースで現在鋭意会合を持っておられるか。それから、今まで何回くらいやったか。どこまで煮詰まったか。いつをめどにこの連絡会議は結論を出すのか。結論といいましょうか、一応内容的に話し合いを終えるのか。こういう一つのめどがなければ、いつまでもだらだらと、いつになるかわからないということではいかぬと思うわけでございますが、この三庁統合について、今言ったことを踏まえての御答弁をお願いしたいと思います。
  144. 古橋源六郎

    ○古橋政府委員 お答えいたします。  国土開発の行政関係の三庁の連絡会議でございますけれども、五十八年七月二十七日に第一回の会合をやりまして、三庁にかかわりますいろいろな計画の調整であるとか行政の調整という問題を議論するということで発足したわけでございます。  現在まで八回、六十年十月十七日に八回をやっておりまして、五十八年には七月、九月、五十九年二月、五月、十月、六十年になりまして二月、五月、十月、こういうようなペースで進んでおります。  そして、その内容は、現在その三省庁の間において、具体的に行政の問題として問題になっていることをお互いに連絡し合いまして、国土開発の執行がうまく調整されるようにという連絡をしておる、こういうものでございます。
  145. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうすると、いつごろまでにそのめどを出すかということはまだ決定はしてないわけですか。いつまでにめどが出るのかわからない、こういうことでしょうか。
  146. 古橋源六郎

    ○古橋政府委員 この三庁の連絡会議と申しますのは、この統合を図るために議論をしているというものではございませんで、現在の国土行政関係施策及び計画の円滑な調整と総合的実施を図るということで、各々の庁がやっております事業をお互いに連絡し合いまして、そして総合性がとれたものにしていこう、こういうものでございますので、いつまでにその三庁の統合を図るという観点から議論をしているものではないということを御了承いただきたいと思います。
  147. 日笠勝之

    ○日笠委員 確かに臨調答申には統合をしなさいとは書いてないわけですね。各省庁の特性とか経緯をよく勘案してということでございますが、しかしこれは統合するという方向での臨調答申、これには変わりないと思うのですね。検討だけしなさい、こういうのではないと思うのですね。そういう意味におきまして、沖縄開発庁、北海道開発庁、それぞれ設立の経緯はいろいろあるかと思いますけれども、やはり中央省庁の統合ということ、これがもって見本となるわけでございますから、その点も、今後とも鋭意会合を重ねて、成果のある、実りあるものを検討していただきたい、このように思うわけでございます。  と同時に、例えば地方行革大綱については、ことしの一月自治事務次官から通達がされまして、八月までに提出ということで、これなんか七カ月くらいで出せということですね。検討しなさい、こういうことですね。こういうのは早いのですね。よそ様にやれということは早い、自分のやることはなかなか進まない、こういうことではいかぬと思うわけでございますが、この地方行革大綱につきまして、きょう現在、各県、政令都市、市町村、どれくらい報告がされておりますか、まず御報告をお願いしたいと思います。
  148. 石山努

    ○石山(努)政府委員 地方行革につきましては、各地方団体、これに対して積極的な取り組みをいたしておりますが、行革大綱の点について申し上げますと、この策定につきましてはおおむね順調に推移しているものと考えておりまして、十一月十八日現在で、都道府県では三十七団体、指定都市では四団体が策定済みということになっております。市区町村につきましては、最近の調査がございませんで、これは九月二十日現在でございますけれども、その調査時点では一五%の団体で策定済みという報告を受けております。その後、日時も経過をいたしておりますので、さらに相当数の団体で行革大綱の策定がなされているというように考えているわけでございまして、私どもとしては、今後引き続きその策定について適切な指導、助言を進めてまいりたい、このように考えております。
  149. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうすると、これは一応八月末までに提出、市町村の場合は都道府県にですね。これは八月末というと九、十、十一、もう三カ月余りたっているわけでございますが、それでもなおかつ、策定状況をお聞きしますと十一月以降にもなるという都道府県が五つ、市町村に至っては千二百六十二市町村が十一月以降になる、こういう状況だそうでございますけれども、これは督促をするというようなことはやるのですか。どうでしょうか。
  150. 石山努

    ○石山(努)政府委員 この行革大綱についての指導につきましては、先ほどもちょっと触れたところでございますが、私どもとしてはこの行革大綱が速やかに策定されるように今後とも引き続いて必要な助言、指導を進めてまいりたい、かように考えております。
  151. 日笠勝之

    ○日笠委員 済みませんが、そのままいてください、もう一つありますので。  もしもことしいっぱいぐらいまでに出さないところには、ペナルティーみたいなものは考えるのですか。交付金だとか補助金とか、こういうのはどうでしょうか。
  152. 石山努

    ○石山(努)政府委員 行政改革というものは、地方団体の場合、国の場合でも同じでございますけれども、やはりそれぞれの行財政の見直しということで、本来自主的に進められるべき問題であろうかと思います。そういう点で、行革大綱の策定そのものに直接関連をして具体的な行財政措置を講ずるというようなことは考えておりませんけれども、地方行革は地方団体の当面する非常に大きな問題でもございますので、私どもとしては、すべての団体において大綱の策定がなされ、行革の推進が図られるように今後とも指導をしてまいりたい、かように考えております。
  153. 日笠勝之

    ○日笠委員 策定の進捗状況が若干おくれておるようでございますが、やはり自治省といたしましても、この地方行革大綱にのっとりましていろいろ御指導をしていかなければならない点もあると思いますので、鋭意御努力をお願いしたいと思います。  続きまして、「増税なき財政再建」というのは、これはもういわゆる行革の大きな柱でございます。政府の基本方針でもある、私はこのように考えております。五十七年四月二十日、これは当内閣委員会における当時の中曽根国務大臣、行管庁長官の御答弁がございます。それは我が党の鈴切委員からの「増税なき財政再建」というのはどういう意味、増税ということはどういうことかという趣旨質問に対して中曽根国務大臣はこのように答えておりますね。「私は、わりあいにこれを厳しく考えておるものでございまして、たとえば新しい税目を起こすとかあるいは新しく税率を上げるとか、そういうような制度の改革等によりまして税額、税収をふやす、そういうようなやり方はこれは増税と考えております。」こういう御答弁があるわけでございます。  長官は、この増税ということについて、概念について当時の中曽根国務大臣の御意見と一緒でございましょうか。
  154. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私は、第二臨調の御答申の中に「増税なき財政再建」、これは行政改革のてこであり、理念である、かように理解をしております。  あの答申の中にもたしか、新しい税目を課することによって税の負担率の上昇を来すようなことは避けるべきであるけれども、しかしながら税の中にはいわゆるでこぼこといいますか不公平といいますか、こういう問題がある、これらは是正してしかるべきであろう。それからまた、したがって税の中長期課題については、これは多少税負担が上がるかもしれない。しかし、その場合にもどちらかといえば、これは社会保障負担とあわせて考えるべきであって、社会保障負担の方に重点を置いて考えるべきではないのか。さらにはまた、税構造全体の中にひずみがある、こういう問題については是正措置を考えてもよかろう。こういうようなことを書いてありますから、私はそういった限度内においてただいまの御質問の点については考えていくべきもの、かように考えているわけでございます。
  155. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうすると、新しい税目ということに限って、それを起こすということは、この当時の中曽根長官趣旨と考え合わせて、新しい税目を起こした場合はこれは「増税なき財政再建」の趣旨に反する、かようにお考えでしょうか。新しい税目を起こすということだけについてはどうですか。
  156. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私は、中曽根さんの行管庁長官当時どういう御答弁をしたのか知りませんけれども、ただいま申し上げましたように第二臨調からの御答申、これは閣議で決定をいたしておりますから、したがって、新しい税目によって税の負担率の増高を来すような新しい措置は差し控えるべきであろう、かように理解をしております。
  157. 日笠勝之

    ○日笠委員 そうしますと、今農水省の方から、水資源の涵養あるいは森林を整備するということで水源税という構想が出ております。これは創設の税目でございまして、私はこれは新たな税目である、このように思いますし、先ほどからたびたび申し上げております政府の基本方針である「増税なき財政再建」の趣旨に反する、かように考えますが、長官はどうお考えですか、水源税ということについて。
  158. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今度の予算の要求の際に、たしか流水の占用料でしたか、それから今御質問の水源税ですか、これは農林省なり建設省から大蔵当局に対して概算要求の段階で出ておるということは承知いたしておりますが、いずれにせよ、この問題は予算編成の際に関係省の間で煮詰められるべき問題であって、今私の口からどうこうと言うことは差し控えさしていただきたい。
  159. 日笠勝之

    ○日笠委員 ですから、総務庁長官として、行政改革を進めていく上での大きな柱である「増税なき財政再建」、増税ということで新しい税目を起こすことは、先ほどの御答弁でもこれはやはり趣旨に反するのじゃないかという旨の御答弁がありましたね。そういう意味では、何回も言いますが、この水源税というのは新しい税であることには変わりない、これは創設でございます、目的税でございますから。予算編成の審議の中でいろいろとお話はあるかと思いますが、「増税なき財政再建」を見守っていかなければならない、守るように監督していかなければならない総務庁長官として、この水源税についてもう一度、個人的な見解でも結構でございます、どのようにお考えですか。
  160. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 今この段階で私がお答えするのは果たしてどうかな、こう思いますけれども、私が先ほどお答えしたのは、新しい税目を起こすことによって税負担率全体、現在どれくらいになっているか承知しておりませんけれども、恐らくは二五、六%でしょう、それが新しい税目によって、その新税によって税負担率全体が上がったというときにはこれは差し控えるべきである、こういう答申ですから、その線は守らなければならぬな、こう思います。しかし、またほかで減るものもあるかもしれませんから、これは今何とも言えません。     〔石川委員長代理退席、委員長着席〕
  161. 日笠勝之

    ○日笠委員 だんだんと答弁が、初めは新しい税目を起こすことは中曽根行管庁長官時代もこれは増税だと考えるという答弁が、五十七年四月二十日、当内閣委員会であったわけですね。先ほど長官にお伺いすると、やはり新しい税目を起こすことについては、その当時の長官の御答弁と同様の趣旨お話があったと私は今認識しているわけですから、この水源税というのは、税負担は上がる、上がらないは別として、新しい税目ということでは「増税なき財政再建」の増税になるのではないか。そういう意味で、負担云々じゃなく税目を起こす、これはすなわち増税になる。こういう先ほどからの話の一貫性を考えていただいて、総務庁長官でございますから当然予算審議の中に入っていかれるわけですから、どういうふうに思うか。大蔵省も、目的税ということで、財政硬直ということを考えて、どうも賛成じゃないようなお話でございます。新しい税目ということで、もう一度、長官どうですか。
  162. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私が先ほど来お答えしているのは、新しい税目を起こすことによって国民全体の税負担の割合が上がるということは、これは行革審の答申としては避けた方がよかろう、こういうことを言っておるわけですから、そういう理解をしておいていただきたい。
  163. 日笠勝之

    ○日笠委員 お帰りになりましたら五十七年四月二十日の当時の中曽根長官の御答弁をよく読んでいただいて、継続性はあると思いますから、私はたびたび申し上げますが、この水源税は、創設の新しい税目と思います。聞くところによりますと、水道水なんか一世帯月に二十四円とかわずかな金額だ、こういうふうに言われておりますけれども、これで負担率が大幅にアップするわけじゃありませんけれども、国民に「増税なき財政再建」と言っておるこの行革の大きな柱が、どうもこの辺で理解がだんだんと薄まっていくように考えるわけでございますので、この点は、私はあくまでも水源税は新たな税目であり「増税なき財政再建」の趣旨に反する、このように御主張申し上げて、次に移りたいと思うわけでございます。  それから、予算編成の作業が今いろいろと行われておると思います、本格化されておると思います。これも臨調答申にありますように、また政府一つの大きな行財政改革ということでの柱でございますが、六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却、いわゆる赤字体質脱却ということでございます。来年度の予算編成、今大蔵省中心にやっておるわけでございますが、円高ということで輸出産業に相当ダメージ、大きな影響が今後出てくるのではないか、経済成長も予測したより下がるのではないか、そういうことからの税収不足ということから考えまして、明年度の国債発行額の一兆円減額をやらなければ、御承知のとおり六十五年までの特例公債依存体質脱却が非常に厳しくなってくる、困難になってくる、こういうことでございます。もし来年度の予算編成で一兆円、詳しく言えば一兆一千五百億円でございましたか、約一兆円ぐらいの国債を減額していくことができなければ非常に厳しくなってくるということで、六十五年までの赤字国債体質からの脱却ということは一兆円減額できなければ厳しい、こういう認識をお持ちでしょうか、長官。――これは長官に、もし来年度予算編成で一兆円減額できなければ六十五年までの赤字国債体質の脱却は厳しい、こういう認識をお持ちでしょうかどうかと聞いているのです。大蔵省は関係ありません。
  164. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 具体的な財政見通しについて私が今責任を持ってお答えする立場にはありません。いずれにせよ、我が国の財政事情は今厳しい状況に置かれておるわけでございまして、六十五年度までに特例公債依存の体質から脱却するというためのあらゆる施策を予算編成の際にも講じていくべきであろう、かように考えているわけでございます。
  165. 日笠勝之

    ○日笠委員 これはまた、後日大蔵省に質問するときがあればやることにいたしまして、次に移りたいと思います。  金子長官に何点かお伺いをしたいと思います。  いわゆる九月二十四日の行革大綱によりまして、二百五十八項目の規制緩和、こういうことが決定をされたわけでございますが、これも本会議場で質問をいたしました。景気拡大の量的な効果というもの、これは推しはかることができないというふうな御答弁であったかと思いますが、民間の調査機関なんかもそれなりにやっておるようでございます。どうでしょうか、やはり定量的にどういう効果があるかということは予測が難しいでしょうか。
  166. 金子一平

    ○金子国務大臣 せっかくの御質問でございますけれども、正直申しまして、定量的に、何が幾ら輸出をふやす効果があるかとかいう計算がなかなか出ない。ただ、例えば内需拡大方策全体、計画全体で言えば事業規模で三兆一千二百億、あるいはGNP計算で言えば四兆一千億の効果が今後出ますよという概略の数字は出るわけでございまして、それによって輸入増加は二十億ドルぐらいになるであろう、しかしそれは向こう一年間の計算で申し上げているわけでございますので、ごく大づかみな計算であるということは御了承賜りたいと思います。
  167. 日笠勝之

    ○日笠委員 今、日本とECとの貿易摩擦解消のために閣僚会議が行われておりまして、ECの方から、アクションプログラムが三年間でどの程度効果があるのかということで、これは数字を挙げて具体的に教えてもらいたい、見える形で示してもらいたい、こういう要請があったようでございます。これは非常に今後努力をしていきたいということのようでございますが、やはりこれも難しいでしょうかね。
  168. 金子一平

    ○金子国務大臣 昨日、日・ECの閣僚会議がございまして、先方から第一に申し出がございましたことは、一体今度のアクションプログラムの効果としてどれぐらいの黒字減らしができるかということでございましたけれども、これまた、今御答弁申し上げましたような趣旨で、定量的にはなかなか難しゅうございます。それに対して、それでは今後タイムスケジュールをつくってどれぐらいずつ減らすかというようなことを考えてくれぬかと申しましたけれども、これも正直言ってなかなかできないことなので、ただ言えることは、我が国自体がやはり黒字減らしをしなきゃいかぬという気持ちになってきておるし、それから輸入も製品輸入をどんどんふやしたい。輸入傾向が少なくて輸出傾向の方が多いことは万人の認めるところなので、そういう努力をお互いいたしましょうということで、昨日は締めくくったような次第でございます。
  169. 日笠勝之

    ○日笠委員 あわせて長官に、内需拡大について御質問をしてみたいと思います。  先ほど言いましたECとの閣僚会議でも、内需拡大が要請をされたということは新聞報道で相知っておるわけでございますが、これは内需拡大についての経済閣僚会議の決定でも四つの方法があるように出ておりますね。一つは御存じのとおり民間の設備投資であり、二つ目には民間の住宅投資、三つ目にはいわゆる公共事業の拡大、四つ目がいわゆる消費拡大といいましょうか消費の喚起、こうあります。私はやはり内需拡大は、これは経済見通してございますけれども、GNPの六〇%を占めておるのが個人消費でございますね。その個人消費を拡大するということは、やはり何といいましても減税という方法があるのではないかと思うのです。  これは十月一日付の「時の動き」という「政府の窓」のサブタイトルがついております雑誌でございますが、長官、大河原さんと対談されていますね。その中に長官も、「内需振興というと、いつも取り上げられるのは、大幅減税をやったらどうか、公共事業を増やせと言われるんだけれども、財政再建をやっている最中なものだから、なかなか思い切ったことができないんです。しかしこここからですね、「工夫を凝らして、来年度予算では、今の所得税の減税、住宅減税や投資減税」云云とありますが、長官ははっきりと、工夫を凝らして来年度予算では所得税の減税へ持っていきたい、今いろいろ検討している、こうインタビューでおっしゃっておられます。拘束性はないかとは思いますけれども長官の、中でも内需拡大のキーポイントはやはり個人消費の拡大だ、それにはやはり減税が大きな効果がある、こういう意味のインタビューの御答弁だと思うのですが、工夫を凝らして今いろいろ検討しているとおっしゃるのですが、具体的にこの所得減税について来年度どのようにお考えですか。
  170. 金子一平

    ○金子国務大臣 大河原前大使との対談で、今御指摘のありましたような話をしたことは事実でございまして、私も、GNPの一番大きなウエートを占めている消費の促進をいたしますために最大の効果があるのは、やはり所得税の減税だと思うのです。特に、今は、せっかく所得が伸びても累進税率が過度に高いために持っていかれてしまう、あるいは教育費の負担や住宅ローンの負担にあえいでいる中産階級では、所得がふえても手取りが少ないということじゃ消費が伸びませんから、この階層を何とかもう少しゆとりあるものにしてやることが正直言って一番大事なことだと思うのです。  ただ、財政の現状がこれまた御承知のとおり大変難しい段階でございまして、きょうは大蔵省参っておりませんけれども担当者に言わせれば全く手がないと言っておりますから、まあそう言わぬで知恵を出せよ、少しでも知恵はこっちからも出すよということでいろいろ話をしている段階ですが、今ちょうどこれから予算編成に差しかかる際でございますし、最大限の努力を消費者の立場からやってまいりたいと考えておる次第でございます。
  171. 日笠勝之

    ○日笠委員 経企庁を挙げてひとつ知恵を出して、大蔵当局へ具体的に案を示していただければ、国民も拍手喝采じゃないかと思います。よろしくお願いをしたいと思います。  それから、続きまして円高差益の還元について、これもしばしば委員会や本会議でも取り上げられております。特に電力料金につきまして、通産省の公益事業部の方も来ていただいておると思いますが、最近になりまして、これは通産大臣の方は、今後の値上げが想定されるときに備えて、そのために値上げを想定していろいろと積み立てをしておく、こういうことで、消費者に還元ということは今のところ考えてない旨の答弁が、この前の本会議であったように私は承知しておるわけですけれども、去る十五日、小林電事連会長が記者会見で、円高差益還元問題に触れまして、「決算の内容、円高の定着、原油価格の動向などを総合的に判断したうえで、国民経済上好ましい選択をしたい」ということで、いわゆる軌道修正といいましょうか、料金の値下げもあり得るような発言をされておりますが、監督官庁である通産省さんの方はこういう方向でよろしいのでしょうか。
  172. 野々内隆

    ○野々内政府委員 小林会長の発言は中身が二点あるかと思いますが、現段階判断をするというのは、まだ円高の動向の定着が見られないので早いのではないかというのが第一点、もう一点は、しかるべき時期になった場合に判断をするということだと思いますが、その判断の内容としては、国民経済的に好ましい方法ということで、長期的な料金の安定に使うのかあるいは料金値下げという形で使うのか、国民経済的に好ましい方向で判断をするべきであろう、この二点を含んでいると思われます。そういう意味で、やはり私どもとしても考え方は同じであろうというふうに考えております。
  173. 日笠勝之

    ○日笠委員 じゃ軌道修正されて、決算内容によれば国民経済上好ましい方向、値下げということもあり得る、私はこう承知しておきたいと思います。  それから金子長官、同じく八日の閣議の後の記者会見で、いわゆる為替レート・円高ということでの、灯油について引き下げを指導していく方針を明らかにした、こう新聞報道されているわけですね。灯油値下げ指導ということを考えておられるかどうか、金子長官にお聞きしたいと思います。これは長官が記者会見で言われているというのですから、長官どうでしょうか。
  174. 野々内隆

    ○野々内政府委員 石油製品の価格につきましては、電力、ガス等と違いまして政府による規制がございませんので、基本的にはコストあるいは需給状況によって決まるというふうに考えております。現在、石油産業は上期で大体千数百億の赤字になっておりますので、現段階で経理状況が今後どうなるかというのは難しいかと思っておりますが、私どもとしましては、基本的には市場実勢に任せたいと考えておりますが、灯油は国民生活に非常に重要な物資でございますので、今後の動向を見きわめて対応を考えたいと思っております。
  175. 金子一平

    ○金子国務大臣 今エネ庁長官から御発言のありましたとおり、灯油の実態がなかなか難しい段階に来ておるようでございますけれども、私どもといたしましては、ある程度円高が定着いたしまして差益がたまるようになった段階においてなお値下げがされないような場合においては、必要な行政指導はとっていかざるを得ない、今はまだその段階でない、こういうふうに考えておるわけでございます。
  176. 日笠勝之

    ○日笠委員 新聞報道とちょっと違うようでございまして、何か冬が過ぎちゃう、灯油の季節が過ぎちゃうのじゃないかと思うのですけれども、ひとつしっかりとその辺を掌握していただきまして、国民生活に大変重要な灯油でございますので、適宜なときに折を見て、やはり値下げすべきときは値下げの指導といいましょうか勧告といいましょうか、この点はひとつお願いをしておきたいと思います。  さて、市場開放、輸入拡大、内需拡大、こういうようなことで今政府もいろいろと努力をしておられるところでございますが、「市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの骨格」が七月三十日決定を見ておるわけでございます。政府・与党対外経済対策推進本部、本部長中曽根総理でございますが、これで決まりました骨格でございますが、これは拘束性といいましょうか、そういうものはあるのでしょうか。閣議決定とか了解とか了承とかということは……。
  177. 金子一平

    ○金子国務大臣 今の決定は、すぐ持ち回り閣議で閣議決定をいたしております。中身は総理談話という格好ではございましたけれども、実際の閣議決定と同じような効果を持っていると我々は考えております。
  178. 日笠勝之

    ○日笠委員 七月三十日の総理大臣の談話が閣議決定をしておる、こういうことでございますね。ということは拘束性はある、このとおりやっていかなきゃいけない、かように認識をしておきたいと思うわけでございます。それが一点でございます。  それから、市場を開放して輸入を拡大していこう、製品輸入を拡大していこう、こういうことでございますが、先日、四省庁によります輸入品の流通実態調査が出ました。これも既にいろいろと手を打たれているとは思いますが、国民の率直な実感として、特にお酒の場合七百円とか千円の原価のものが一万円ぐらいに最終の小売ではなってしまう、こういうふうなことで、非常に皆さんも驚いておられるのじゃないかと思うのです。そういうことで、お酒だけじゃありませんけれども、この実態調査からどのように具体的に手を打たれたか。輸入を拡大していくわけですから、そういう意味ではいろいろと障害になっておるものもこれではっきりしたと思うのですけれども、具体的にどういう手を打たれたか、お聞かせ願いたいと思います。
  179. 金子一平

    ○金子国務大臣 それぞれ目に余るものにつきましては、適切な行政指導を担当の省を通じてやるようにいたしております。  ただ、簡単にいかないものが一つあるのです。それは外国の輸出業者がソールエージェントを使ってやっておるもの、これはやはり外国の輸出業者からまず態度を考えてもらわなければいけませんので、きのうもECから閣僚が参りましたから、おまえさんの方にこういうものがあるぞ、これがかえって大きなマイナスになっておるぞという話もしまして、だんだんそういう方面の是正もやらせるように努力をしておることを申し上げておきます。
  180. 日笠勝之

    ○日笠委員 それでは自己認証制度、政府認証から自己認証へ改めていくという、これも一種の規制緩和でございますけれども、聞くところによりますと、告示、通達によるいわゆる自己認証制度、十二項目ほどあるわけでございますけれども、これは当初十一月末までに原則廃止について実施、こういうことだったと思うのですけれども、何か来年の三月まで延長する、こういうことで、報道によりますと、各省庁の抵抗で大幅におくれているという報道がなされておりますが、実態はどうなんでしょうか。
  181. 金子一平

    ○金子国務大臣 各省庁の抵抗というよりは、輸出の妨げに直接なってないものが多いので、しばらく時間をかけて一応廃止の方向へ持っていこう、多少時期はずれますけれども、省令じゃなくて告示、通達でやっておるものは、これはもういつでも簡単にできるわけですけれども、なるべく早く整理したいと私どもは考えております。
  182. 日笠勝之

    ○日笠委員 実態を見ますと、例えば通産省管轄の新建材認証制度なんかは昭和五十九年度の検査件数はわずか五件なんですね。それから、優良断熱建材認定制度、これは去年の検査件数は十六件なんですね。妨げはないところか、もう五件とか十六件であれば、十一月末までに原則廃止ということでありましたわけですので、これはすぐにでもできるのじゃないでしょうか。できるものも十二項目の中にはあるのじゃないでしょうか、来年三月まで待たなくても。この点はどうでしょうか。具体的じゃなくても結構ですから、漸次廃止していくのか、一括して廃止していくのか。
  183. 金子一平

    ○金子国務大臣 いろいろ後始末もあるから、漸次廃止の方向へ持っていこうということで、決して放てきしておる次第ではございません。
  184. 日笠勝之

    ○日笠委員 各省庁の抵抗が激しくて、いわゆる検査手数料だとか天下り先はどうだとか、そういうふうなことが云々されておるわけですから、漸次廃止できるものからやっていく。これは原則廃止でございますから、そういうことでひとつ前向きに取り組んでいただければと思うわけでございます。  それから続きまして、各省庁が輸入拡大に一役買おうということで呼びかけられまして、一部の特殊法人とともに具体的にいろいろプロジェクトチームをつくられて、外国製品を購入していこうということでやっておるようでございます。これはどうでしょうか、まとめておられますか。今現在の各省庁の輸入品についての実績といいましょうか。トータルで結構ですよ。
  185. 黒田真

    ○黒田(真)政府委員 通商産業省といたしましては、本年の四月と八月に、我が国の主要企業百三十四社に対して輸入拡大に関する協力要請を行ったところでございます。これらの協力要請に対する各社の対応ぶりにつきましては、九月の時点で説明を受けておりまして、その結果を取りまとめました数字といたしましては、その百三十四社分で去年に比べて七十三億ドル程度の輸入をふやすことができるのではないかというふうな報告を受けているところでございます。
  186. 日笠勝之

    ○日笠委員 じゃ金子長官、私の長官への質問は以上でございますのでありがとうございました。  それでは、さらに先ほど問題も出ましたけれども、ECの委員会の駐日代表部からの対日輸出報告の中に、いわゆるワインとかアルコール飲料に関する要求が六項目出ております。これはそれぞれどういうふうに対応していこうとお考えか。これは国税庁さんでしょうか、お酒ですから。
  187. 村本久夫

    ○村本政府委員 お答えいたします。  ECの方から、特に私どもの方で所管をいたししております酒類につきまして、いわゆる原産地ですとか原料のラベル表示をきちっとやれ、こういうようなことが言われているところでございます。  やや細かくなりまして恐縮でございますが申し上げますと、一つはワインについて、原産国あるいはバルクワイン等を混合しております場合にはその混合割合を表示する、あるいは外国のシンボルですとか名前を使っているようなものは禁止せよ、こういうようなことが第一でございます。  それからウイスキーにつきましては、穀物を原料とするアルコールとそのほかのアルコールのそれぞれの割合といいますか、そういうようなものの表示を義務づけるような法例を導入せよというような話が出ております。  第三番目といたしましてブランデーについて、コニャック地方以外で生産されたブランデーに対し、コニャックの使用を禁止するような法制を導入せよ、そういったことが言われているところでございます。  私どもの方の対応といたしまして、順次申し上げますと、一つはワインの問題でございます。原産国表示、これは現在公正取引委員会が商品の原産国に関する不当な表示についての告示を定めております。したがいまして、これにのっとってやっておるところでございます。  それからバルクワインの混合割合、これにつきましては一つの問題でございますけれども、要するにワインは国産である、さらにさかのぼって、そのもとになったワインの生産国あるいはその割合を詳細に表示するということにつきましては、そのほかの食品等についてもそこまでやっているような事例もない。これは今後の業界の対応待ちでございますけれども、なかなか我が方としてそこまで指導をしていくというような状況にはないものと考えておるところでございます。いずれにいたしましても、その国産ワインの表示につきましては、最近の状況を踏まえまして、業界でワインの表示に関する公正競争規約の設定を鋭意検討しているところでございます。したがいまして、その過程でそういった問題についても今後業界としてどう対応していくか、さらにそれを公正競争規約にどういう形で持っていくかということについては鋭意検討中でございますし、私どもも監督官庁といたしまして積極的に指導していきたい、このように考えておるところでございます。  さらに、ワインの外国シンボル、名称の使用禁止、これについては既に、そういったことが起こらないように、そういったものについては、特に外国語や何かを非常に多く使っている、消費者に誤認をされやすいというようなものについては、きちっと日本語で製造者の名前を明瞭に表示をする、メーンラベルに表示する、そういう指導をしておりまして、この点については既にECの方としても評価を与えておる、こういうような状況になっております。  それからウイスキーの問題につきましては、まあウイスキーの場合はブレンドというのが一つの非常に重要な商品の特性をあらわす、そういうようなものでございまして、そのブレンド割合を明示するというのは、企業秘密といいますかそういうようなことでなかなか難しいところでございますけれども、ただ、穀物以外のアルコールを使用しているウィスキーにつきましては、もう既にブレンド用アルコールとかスピリッツとか、そういうようなことをモルトウイスキー、グレーンウイスキーというようなことと並べまして表示する、そこまではいっているところでございまして、消費者についてもその使用の事実はわかる、こういうような状況になっているものと考えているところでございます。  なお、ブランデーのコニャック名称、これについては既にマドリード協定に我が国としては加盟をしておりまして、こういうような名称はもう使用できないというようなことになっておりますし、現に国産ブランデーでそういうような名称を使っているものはないというようなことでございますので、改めて法制上の措置をとるというような必要はない、そういうような考えでございます。
  188. 日笠勝之

    ○日笠委員 それに関連をするのですが、ことしの三月に予算委員会の第二分科会で、私は焼酎の原料表示とか成分表示についてお尋ねいたしまして、当時の山本関税部長さんは、いわゆるこの焼酎の原料表示とか成分表示について「公正規約を設定すべく鋭意検討中でございます」、あれから八カ月たちましたけれども、現況はどうでしょうか。
  189. 村本久夫

    ○村本政府委員 お尋ねのその焼酎乙類についての公正競争規約設定の作業でございますけれども、現在、原材料等をどういうふうにあらわすか、さらにはいわゆる冠表示と称しておりますけれども、麦しょうちゅうとかソバ焼酎とか、そういうものを冠して言う場合に一体どういう基準、どういうルールでもってやっていくか、そういうようなこと、三月時点からかなり進展をいたしまして議論は煮詰まってきているところでございます。この間、公正取引委員会の御指導等も受けながら、また私どもとしても引き続き今後積極的に指導してまいりたい、このように考えております。そういうことで、かなり事態は進展をいたしておりますけれども、なおそういう業界のコンセンサスを得ていく必要がある、さらにまた、この所管官庁でございます公正取引委員会の方の御指導も得てやっていかなければいけないというところで、かなり煮詰まってきておりますけれどもまだもう少し時間がかかるのではないか、こういうような状況でございます。  それから、焼酎の甲の方につきましても、今検討を始めております。特にそういう非常に商品が多様化しているのは乙類でございますが、そういう乙類がどういうふうに決まるかというような動向を見ながら、いずれ甲類につきましてもそういうような公正競争規約をつくっていくというようなことになろうか、このように考えております。
  190. 日笠勝之

    ○日笠委員 いわゆる規制を緩和し、市場を開放し、輸入を拡大するというこのパターンですけれども、このECの要望なんかは、反対に規制を強化してくれというわけですね、強化することがかえって輸入はしやすいんだという。ですから、輸入緩和イコール市場開放、輸入拡大じゃない場合もある。また、こういう食べ物、飲み物というのは消費者に正しい情報を知らせるということで、これはやはり当然のことのようにも思います。そういう意味では、どうかひとつ鋭意検討していただきまして、消費者の皆さんに正しい情報を提供するという意味も込めまして御検討を今後とも続けていただきたい、かように思うわけでございます。  それでは、時間が大分来ましたので、各省庁の方へいろいろとお伺いをしたいと思います。  まず大蔵省さん、自動車重量税の件でございますが、これは消防ポンプ自動車と積載車、それを積んでいる車の特別措置ということでございますが、この消防車というのは、そんなに年がら年じゅう使用して走っておるわけではございません。そういう特殊性にかんがみて、これは陳情も来ておりますので御存じだと思いますが、消防ポンプ自動車及び積載車の重量税の免税ないしは負担の軽減、こういうことについて特別措置を講じてもらえないか、こういう要請がいろいろと来ておると思いますけれども、この点のお考えはいかがでしょうか。
  191. 日高壮平

    ○日高説明員 消防自動車に対する自動車重量税の軽減要望につきましては、私どももそういう声があるということは十分承知いたしてはおります。  ただ、先生承知のように、自動車重量税は四十六年度税制改正で創設されたわけでございますが、そのときの創設の趣旨は、いわば自動車の走行が道路の建設とかいろいろな社会的費用をもたらしている、そういう現状にかんがみまして、その自動車の使用者に必要最低限の負担を求める、そういうことであったわけでございます。したがいまして、こういう創設の趣旨から見ますと、いわば自動車の用途に基づいた軽減あるいは免税、そういったものは一切設けられていない、そういう事情にございますので、消防自動車がいわば公益用ということではもちろん十分承知いたしてはおるわけでございますけれども、今申し上げたような自動車重量税の趣旨から見まして、なかなか軽減なり免税をするというわけにはまいらない。その点御理解をいただきたいと思います。
  192. 日笠勝之

    ○日笠委員 それの経過はよく知っておるわけでございますが、住民の財産と生命を守る消防車でありますから、これも全部地方自治体の負担ということでもありまして、なかなか地方自治体も補助金カットというようなことで厳しいということでの、当然重量税創設の意義を知った上での陳情、要望だと思いますので、今後ともひとつ検討はお願いをしたいと思うわけでございます。  それから、これは行革絡みでございます、地方支分部局の件でございますが、大蔵省、ブロック数を八ブロックにするということで北陸財務局、これはことしも私は質問いたしましたけれども、六十年度末にということでございますが、そろそろ予算措置も当然講じなければいけない問題でございますが、北陸財務局の今の進捗状況はいかようになっておりますか。
  193. 竹内透

    ○竹内説明員 お答えいたします。  御質問の北陸財務局の件につきましては、五十九年一月の閣議決定、「行政改革に関する当面の実施方針」というのがございまして、それにおきまして「財務局を全国八ブロック制とすることについて、引き続き検討を進め、昭和六十年度末を目途に具体的結論を得る。」とされているところでございます。したがいまして、財務局の統合問題につきましては、六十年度末を目途に具体的結論を得るように引き続き慎重に検討してまいっているところでございます。
  194. 日笠勝之

    ○日笠委員 六十年度末というとこの三月三十一日ということですね。そうすると、来年度予算の概算要求等々の問題があるので、これはもう既に決まっておるのじゃないでしょうか。でないと、概算要求はどうなりますか。二つとも存続で出しておるのですか。末に統合するということははっきりしておるわけですね。その辺はどうなのですか、予算措置。
  195. 竹内透

    ○竹内説明員 ただいまの御質問の概算要求の件につきましては、概算要求の時点で具体的な形で具体的な結論を得るに至っておりませんので、この件につきましては、具体的な形で要求が行われておらないところでございます。
  196. 日笠勝之

    ○日笠委員 はい、わかりました。結構ですよ。  では、続いて厚生省さんの方へ何点かお伺いいたしたいと思います。  これは既に概算要求に盛り込んだということでございますが、いわゆる老人保健法の改正でございます。いわゆる初診料四百円を千円にするという、また入院費三百円を五百円にするというこの件でございますけれども、国庫補助金でございますね、これの削減という観点から老人保健法を改正するのではないか。もう一つは、加入者の按分率を変えるため、拠出金でございますが、これのためという、いわゆる国庫の補助金をカットするために財政事情ということで老人保健法も改正し、老人の方々にさらに負担を、こういうふうに結論的にはなるかと思います。  特に、私どもは何といいましても、日本が今日まで長寿国世界一ということで、その大きな原因というものはいつでも、どこでも、だれでも安い医療が受けられる。安いというのは確かにあったと思います。今後こういうふうに一部負担を増加いたしますと、大体今言われておるのは五%くらいの負担率になる、このように言われておるわけでございますが、この老人保健法改正でございますが、反対の声が非常に多いと思います。国庫補助金を千九百四十億円削る、こういうことでございますけれども、防衛費の方は二千百億円くらいですか上がるのですね。大体防衛費のふやす分、老人保健法を改正して国の補助金をカットする、大体横並びくらいの金額になってくるわけですが、どうもこれは私ども腑に落ちない。これはどうしても慎重に審議をし、国民の、特に老人の方方の健康を守るという立場ではもう反対をせざるを得ない、かように思うわけでございます。  これは後日、社会労働委員会等々で詳しく慎重に審議されることとは思いますけれども、特に私が一点お聞きしたいのは、今度老人保健法を改正し、一部負担を先ほど言いました初診料四百円を千円にするような場合、今までにかかった老人医療費の総額であるとか一部負担の総額であるとかいうことから見まして、大体何%くらいの負担率になるかとお考えでしょうか。一説には五%くらいになるのじゃなかろうかと言われておりますが。
  197. 羽毛田信吾

    ○羽毛田説明員 お答えをさせていただきます。  先生のお尋ねの、今回の一部負担によりましてどの程度の負担率になるかということにつきましてお答えをさせていただく前に、ちょっと今先生お話の中で、今回の老人保健法の見直し、老人保健制度の見直しが財政的な観点からする国庫負担減らしてはないかというような御指摘がございましたので、その点を含めましてお答えをさせていただきたいと思います。  今後、本格化します高齢化社会といいますものは避けられない勢いで来るわけでございまして、このことに備えるために、一面においてこの人口増に伴います高齢者の保健医療費を含めた負担をどのようにしていくか、また中長期的にこの老人医療費というものをいかに歯どめをかけ、また健康に年老いていただくかということが今大変重要な時期になっております。そういった観点から総合的に老人保健制度をこの際見直しをしましょうということから、今回の老人保健制度の見直しを企図いたしておるものでございまして、財政的な負担を軽減をするということを主眼とした改正というふうには私ども考えておりません。  そうした中で、この負担につきましても、一面においてどうしても老人の方々は若い世代、他の世代に比べまして約五倍の一人当たり医療費がかかります。これを国民の間でいかに公平に負担をしていくかという観点から、先ほど御指摘のございました各保険者、医療保険各制度の間の老人保健に要します拠出というものを、公平化を図るということをさらに一歩進めるような形での、加入者按分率と申しておりますが、この加入者按分率の改正と、それから今御指摘のございました、主として老人の方々の老人保健の医療費というものは、若い世代、現役の世代の方々に負担をしていただいております。現状では、医療費で申し上げますと、一・六%を患者負担という形で老人の方方に負担をしていただいておって、残りを現役の方々に負担をしていただいておるというのが現状でございます。そうした中で、今申し上げた今後大変高騰していく医療費ということを考えますと、世代間のバランスということを考え、また適切な受診ということの観点に立ちまして考えますと、今回、先ほどお話しのございました程度の引き上げをお願いをしてよろしいのじゃなかろうか、こういうふうなことで今回御提案を申し上げることにいたしておるわけでございまして、その結果によります効果と申しますか、負担率はどのような形になるかということは、この六十一年度で申し上げますと、これは満年度実施ではなしに九カ月実施でございますので、三・七%の効果があるというふうに見込んでおるわけでございます。  以上でございます。
  198. 日笠勝之

    ○日笠委員 一昨年は同じく老人保健法が改正になりましたですね。去年は退職者医療制度の導入、来年はまだこの老人保健法の改正と同時に高額療養費の自己負担額五万一千円を五万四千円、こういうことで毎年この医療行政というものはカメレオンのごとく変わっていくわけですね。国民の目にも非常にわかりにくい。迫り来るいわゆる政府が言うところの長寿社会、私は高齢化社会と言っておりますけれども、国民の生命と健康を守るという確固たる医療制度のビジョンを掲げて、国民の目の前に示し、国民にそれを判断していただく、こういうことを御一考をお願いをしておきたいと私は思うわけでございます。  それから、同じく厚生省さん、いわゆる診療報酬請求書、レセプトでございますが、これは今どれくらい種類がありますか。私のいただいておるのは相当ありますけれども、お医者さんがこれを書き込んで支払基金の方に回すいわゆるレセプトでございますね、何種類ございますか。それが一つと、これを簡素化するというお考えはないかということ。この二つをあわせてお願いをしたいと思います。
  199. 谷修一

    ○谷説明員 社会保険診療報酬明細書、いわゆるお話のございましたレセプトでございますが、この種類でございますが、医家、いわゆるお医者さんが使われますものについて、非常に細かく分類をいたしますと、現在四十種類というようなことでございます。  このレセプトの様式あるいは記載要領につきましては、今までの医療保険制度のいろいろな変遷ですとかあるいは点数表が複雑になってきたというようなことで、今申し上げたようなかなり多くの種類が現在使われておるわけでございます。この点につきましては、今も御指摘ございましたように、特に医療関係者の方から、この事務にかかる負担が相当あるということで簡素化すべきだというような御意見もいただいているわけでございますので、私どもこのレセプトの簡素化あるいは合理化ということにつきまして現在検討を進めております。今後、医療関係者を初めとした関係者の御意見を伺いながら簡素化をするという方向で検討を進めてまいりたい、このように考えております。
  200. 日笠勝之

    ○日笠委員 ぜひひとつ合理化簡素化をお願い方をしておきたいと思います。  それから、これは筑波の学園都市の国立公害研究所で発表といいましょうか明らかになった件でございますが、水道の水からジベンゾフランという有害物質、これは毒性の強い農薬などに使われており、またタール中に含まれておりまして、発がん性とか催奇性の疑いが持たれている物質でございますが、これが検出をされた、こういうふうな報道がなされております。それについてどのように対応していかれるお考えか。極端に言えば、全国の各都道府県に水質検査をするように通達といいましょうか連絡をする、そういうふうなことも含めまして今後の対応方、これについてひとつお聞きをしたいと思います。
  201. 森下忠幸

    ○森下説明員 御説明申し上げます。  先生指摘の新聞報道は、仰せのとおり、国立公害研究所の職員が分析法の精度を向上させようということで大変研究されまして、今までの二万分の一くらいの精度のものができたということでアメリカの雑誌に発表された、これがニュースのきっかけになったわけでございます。こういうやり方で、今までは検山することができなかったレベルのジベンゾフランなどの微量物質が検出できるということになったわけでございます。  今回検出されましたレベルのジベンゾフランにつきまして検討いたしましたところ、大変微量でございます。現在の知見では健康影響について心配する必要はないと考えております。したがいまして、直ちに新たな行政措置、例えば水質のガイドラインをつくるとかということを講ずる必要はないと思いますけれども、水道水の安全性につきましては今までもいろいろ調査研究してまいりましたし、そういうことで今後関心を持ちまして、こういった関係の情報、つまりこれは研究所の発表でございまして、だれでもこういった高度なレベルの作業ができるかどうか、これからはこの辺から詰めなければならぬわけでございますが、関連の情報、それから知見の集積、こういったものに努めてまいりたいと考えております。
  202. 日笠勝之

    ○日笠委員 この有害物質は体内残留ということも心配されておるようでございますので、国民に命の水でございますから、こういうものが安全に供給されるということで、今後さらに監視をして研究もしていただきたい、かようにお願いをしておきたいと思います。  それから、輸入が拡大されていきますと当然輸入品がどんどん入ってくるわけでございますが、中でも食品でございます。これにつきまして、昨年三十六万四千件輸入件数がございまして、そのうちの四・六%が検査されておるわけでございます。内容的には確かに麦とか大豆とかが圧倒的に多くて云々ということがありますけれども、要は、今度のように規制緩和になって、そしていわゆる消費者団体の皆さんなんかが心配するのは、そういう検査までがおざなりになるのじゃないか、そういう行政の後退ということを心配されて、いろいろと巷間言われておると思うわけでございます。  そこで、食品衛生監視員、現在六十七名でございますが、来年度からは成田、それから大阪でも、土曜日午後、また日曜日もやっていこう、こういうことでございますが、現在のこの六十七人の体制、これは少ないということはもうだれが見てもわかるわけでございますが、この今後の対応について、特に人数の面ではどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。
  203. 北川定謙

    ○北川政府委員 先生指摘のように、輸入食品の監視に関しましては、現在六十七名の食品衛生監視員を配置してその安全確保に努めておるところでありますが、先生指摘のように、大変な輸入食品の件数の増大に対応して、この人数で今後とも対応できるかということについてはなかなかいろいろ問題があるわけでございますが、検査の水準のレベルアップ、これは技術的な水準のレベルアップ、あるいは各種の輸入する食品あるいはその関連する物質の種類によりまして重点的に検査をするとか、いろんな方法で安全の確保が保たれないということのないように努力をしておるところでございます。  なお、監視員の人数の増につきましては、五十七年には十二名、六十年には一名の増を見ているところでございますが、六十一年度においても増員の要求をしているところでございます。
  204. 日笠勝之

    ○日笠委員 五名ほどと一応お聞きしておりますけれども、やはり輸入食品というものについて添加物の問題とかいろいろ言われておりますので、特にその点お願いをしたいと思います。  と同時に、いわゆるワインの有毒物質混入、ジエチレングリコールの件でございますが、これについては各社が安全宣言を、まあ厚生省さんもいわゆる安全宣言と言われているように、それがなされたその後出てきたわけでございますが、ジエチレングリコールが混入しているということが日本の国内で発見されたといいましょうか、発覚したそのそもそもの発端ですね。これは業者が持ち込んだというふうな話もあります。一般消費者が持ち込んだという説もありますが、その発端はどういうところにあったんでしょうか、わかりますか。
  205. 北川定謙

    ○北川政府委員 ワインに混入したジエチレングリコールの問題につきましては、一番最初は七月十日、新聞報道が第一報を報じていただいたわけでございますが、それを受けて厚生省は、各検疫所あるいは都道府県あるいは厚生大臣が指定した検査機関等にこの情報を照会いたしまして、あらゆるそれぞれの部署でこの種の混入の事実があるかどうかをチェックをしておったところでございますが、指定研究機関から、八月二十九日に入りまして、マンズワイン社のワインからジエチレングリコールが検出されたという情報の提供があったことが最初の発端でございます。
  206. 日笠勝之

    ○日笠委員 一般消費者が持ち込んだわけですね。一般消費者が検査所へ持ち込んでわかったということでございますね。そういうことで、もしそういうことがなければ恐らく日本にはなかったということになっておった可能性もあったわけでございます。  そういう意味では、今新聞紙上をにぎわしております有毒シャンパン、都の衛生局で今検査中ということでございますが、シャンパンにもジエチレングリコールが混入をしておったという、これはオーストリアの消費者情報協会の発表でございます。日本の場合これを輸入をしているわけでございますが、現時点でこのジエチレングリコールの検出ということはあったんでしょうか、また検査中でしょうか。シャンパンの件をその辺の状況をあわせてお知らせ願いたいと思います。
  207. 北川定謙

    ○北川政府委員 御指摘のシャンパンからのジエチレングリコールの検出の問題でございますが、厚生省は現在各分野にこの事実の確認を鋭意進めておるところでございますが、我が国への輸入実績が確認されておるフランスのシャンパンは、フランスのG・H・マム社製のコルドン・ベールという商品名のものでございますが、これらについては業者を通しましてその在庫品等についてジエチレングリコール混入の有無を調査をしている段階でございますが、現在の段階ではその方面からも自社検査の結果でも出ていない。また東京都の衛生研究所におきましても検査をしているところでございますが、現段階ではすべてマイナスということでございます。
  208. 日笠勝之

    ○日笠委員 過日そういう事件があるから余計に国民は敏感になっておるわけでございますから、今後とも輸入食料品、飲食品ですね、これについてさらに国民の生命と健康を守るという立場で御健闘をお祈りしたいと思います。  建設大臣がいらっしゃってお忙しいと思いますので、ちょっと建設省のこと、地代家賃統制令のことについて先にお聞きをしておきたいと思います。  まず地代家賃統制令の今回の廃止でございますが、全国に今、これは五十八年現在でございますが、借家が九十万件で借地が三十四万件、こういうふうに言われております。この地代家賃統制令については罰則に懲役刑、罰金とあるわけでございますが、この十年間、罰則適用がございましたでしょうか、あれば何件ほどございましたか、まずお聞かせ願いたいと思います。
  209. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 十年間ということになりますと昭和五十年からということになります。三十七年以降は起訴された件数は皆無でございますので、したがってゼロということでございます。
  210. 日笠勝之

    ○日笠委員 三十七年以降ゼロということは、この罰則規定は適用されてないということで、有名無実になっておる、このようにも一応は言えると思うわけでございます。  問題は、この地代家賃統制令が廃止になったら、本委員会でもたびたびその点が問題になっております、いろいろと質疑がされておるわけでございますが、統制令が廃止になれば、すぐに思い浮かぶのは、我々素人でございますけれども、家賃値上げでございますね。そうなると、確かに老朽家屋で値上げがそうできるようなものじゃないんだ、市場のメカニズムに合わせていけば当然そんなに値上がりすべきものじゃないという御答弁も説得力はあるのですけれども、しかしながら、やはり場所によっては相当上がるということも考えられるわけであります。  そうなると、先ほどからの質疑をお聞きしますと、公営住宅、市営住宅であるとか公団であるとか、そういうところへのあっせんもやる、こういうふうなお話もございました。私がそこで思うのは、公団・公営住宅はともに収入制限、上限があるわけですね。そちらの方からいただいたいわゆるたな子さんといいましょうか、家を借りておられる方々の収入の調査がございますが、確かに低い人も多いわけでございますが、中に三百万以上、四百万以上という方も相当数あるわけでございます。そういう方はそういうところへ入れないわけでしょう。これは収入基準、上限があるわけですが、その点はどうなりますか。あっせんするといっても、実際には条例とかで決まっていて、収入がオーバーしていると入れない、こういう場合の住宅相談というか対応ですね。
  211. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 先生からも御指摘ございましたが、廃止の影響につきましては、幾つかの点からそう多いものではないというふうに考えておるわけでございます。  お示しのように、収入が一定限度以上という場合には公営住宅の対象にならないわけでございますけれども、これは一般民間の借家に住んでおられる方、先ほど九十万件というお話がございましたけれども、全体の百二十四万件といたしましても全体総数の三%でございまして、民営借家に入っておられる方と九十万件の対比を見ますとこれは七%ということになっております。したがいまして、そういった方々とのアンバランスというのも今回の統制の必要性がなくなったということの理由になるわけでございますので、一般と同様な形で対応せざるを得ないというふうに考えます。
  212. 日笠勝之

    ○日笠委員 一年間の猶予期間はあるわけですが、結局、公団・公営住宅に収入がうまいこと合致して入れる人はいいけれども、入れない人はアフターフォローはできない、こういうことになりますね、そういう収入基準をオーバーする方については。  それが一つと、もう一つあわせて。これが廃止になりますと九十万の借家の方がすぐ出ていくわけではありません。値上げ交渉ということがあるかと思いますが、もし値上げということになれば、幾ら老朽家屋といえども、大体どのくらい値上げになる可能性があるか。これは昭和三十六年の委員会審議においては大体二%ぐらい上がるだろうというふうな答弁も出ておるようでありますが、これはどうでございましょうか。
  213. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 まず先ほどの第一点でございますけれども、公営住宅につきましてはこれは収入制限がございます。したがいまして、公営住宅ということに限定して申しますと先ほど私が御説明したとおりになりますが、公団住宅につきましてはむしろ支払い能力という点からのチェックがございますけれども、いわゆる収入制限というものはございません。したがいまして、例えば公団とか公社の優先入居、そういったものも活用することによって御指摘の点は対応できるのではないだろうかと考えております。  それから上昇見込み、どのくらい上がるのだろうかということでございます。これにつきましては、先ほどから申し上げておりますように影響は少ないというふうに我々は考えておりますので、そう急激なものはないと思います。今現在の現実の統制額、それから実際に統制されている家屋でありながら統制額を超えて両者の合意によって支払われている額、実際支払い家賃というふうに言っておりますけれども、その格差を一つの目安、そこまで上がることはないと思いますけれども、最大の格差と考えてみますと、大体二倍ぐらいではないだろうか。この場合にはかなりの修繕が行われているということがございますので、やはり実態的な差はそんなに、ないものと考えております。
  214. 日笠勝之

    ○日笠委員 家賃統制令、それに類するものがまだ残っている国が世界じゅうに何カ国かあると聞いておりますが、そういう国はいろいろと改正をしながら今日まで続いていると思うわけでございます。先進諸国で言いますと何カ国ぐらい残っていますか。
  215. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 先進諸国全体につきましてそういう調査を行っておりませんので、どのくらい残っているかということがわかりませんが、二、三について申し上げますと、例えばイギリスにおきましては、昭和三十二年以前に成立した賃貸契約につきましては民間賃貸市場の実勢に合うようにされつつも規制されている、しかし昭和三十二年以降のものについては統制はありません。それからフランスにつきましては、大正六年に家賃統制というのが行われたそうでございますけれども昭和二十三年に一部を除いて統制が撤廃されております。最後に西ドイツでございますけれども、これも大分古く、昭和十一年に家賃統制というものが始まったそうでございますけれども昭和六十年、ちょうどことしてございますけれども、統制が完全に撤廃されております。
  216. 日笠勝之

    ○日笠委員 大臣、収入階級を見ましても百万円未満の方が二十万戸もあるわけですね。それから、年齢階級を見ましても六十歳以上の方が二十六万戸、これは一口に言えば低所得・高齢化、こういう方が借家に住んでいる方に多いと言えるわけです。これは各市町村の窓口等も通じまして、住宅相談、こういうものにも親身になって乗ってあげないと、撤廃された、一部の地域だけ急激に上がる、出ていきたい、行くところがない、先ほどの公営住宅の方は収入制限もあるというようなことにもなりますが、その辺のアフターフォロー、市町村とどういう連携を持ってやるか、このことを一つだけお聞きしたいと思います。
  217. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 先ほど来先生のいろいろ気配りをした御意見を承りまして、私も非常に感銘いたしておる一人であります。こうした法律を撤廃するという以上は、高齢者であるとかまた弱い方々に対して不安とか不満とか心配とかということを与えてはならないと思っておるわけでございます。これは私どもが行政をこれから実施する場合に一番大きな、大事に取り組んでいかなければならぬことである、またそういう使命を建設省は持っておると思っております。  そういう意味で、先ほど来局長もいろいろ御答弁いたしましたように、公共賃貸住宅への優先的な入居の問題、また生活保護の関係につきましては厚生省その他の省庁との連携等もとりながら、特に都道府県とか市町村、そういうようなところへ今御指摘ありましたような相談コーナーのようなものを設けるというようなことで、できる限り温かみのある、そうした方々に対する最善の配慮を私どもとしてもぜひお願い申し上げなきゃならない、そういう気持ちで撤廃の暁には最善の努力を尽くさしていただきたい、かように考えております。
  218. 日笠勝之

    ○日笠委員 血の通った行政をひとつお願いをして、建設大臣お忙しいでしょうから結構でございます。  あと一、二問、郵政省さんが来られていると思いますが、これは陳情になってしまうのですけれども、速達区域ですね。これは配達受け持ち局から四キロ、一部八キロと聞いておりますが、これは一応速達が届くわけでございますが、それ以外は速達料金の返還を求めてもいいということでございますが、速達としては行かないわけですね。今、全国三千八百四十六万世帯中約五%の二百十万世帯は速達区域外と聞いておりますが、これでよろしいのでしょうか。郵便法六十条に速達の規定がございますが、その第二項に「速達の取扱いは、郵政大臣の定める地域にあてる郵便物につき、これをするものとする。」と、こうあります。先ほど私が言った配達受け持ち局から四キロ、一部八キロ、まずこういう認識が正しいかどうか。それから、全国で速達区域外の世帯がどれぐらいあるのか。この二つについてお答えいただきたいと思います。
  219. 小宮和夫

    ○小宮説明員 お答え申し上げます。  速達の配達をする地域の規定につきましては、先生のお言葉のとおり原則四キロ、それから多少条件はございますけれども、それに合致するところは八キロ以内ということになっております。  なお、昭和六十年三月末の数字で申し上げますと、速達配達区域外にございます世帯は二百十一万世帯ということになっております。ちなみに、年々少しずつ解消しておりますのでこういう数字になっている。わけでございます。
  220. 日笠勝之

    ○日笠委員 私が住んでいるのは岡山市のちょっと外れでございますが、この辺は新興住宅街でございますが速達が来ないのですね。どう見ても岡山市の街の中で、岡山駅からだって車で二十分、夜だと十五分ぐらいのところですね。スピード違反してじゃありませんよ。そういうことで、これは毎年見直しをしていくことが大事だと思います。というのは、信書は独占事業の郵便局、いわゆる郵政省しかできないわけですね。そういう意味におきましても、速達の区域を拡大していくという方向、これを毎年見直していくという方向、こういうお考えがあるかどうか、この点をあわせてお願いします。
  221. 小宮和夫

    ○小宮説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生からお話のありましたような基準の中にも速達の行かない地域がございますので、現在これを、定員あるいは財政「そういったものの許す範囲でできるだけ毎年解消していきたいということでやっておるわけでございます。  さらにもう一つ、あるいは先生の御指摘はこういう部分にも入るのかと思いますが、現在の四キロ、八キロという基準自体も変えていくべきじゃないか、これも方向としてはそのとおりだと思います。ただ、私ども、八キロ以内とかあるいは四キロ以内の現在の規定の中でもやらなくちゃいけないところが残っておりますので、さしあたりの問題は現在の規定内で残っているところを精力的にやってまいりたい。なお、その後も、現在の規定の変更というようなことも将来の問題としては当然考えていかなければいけない問題と考えております。
  222. 日笠勝之

    ○日笠委員 こういうことほど規制を緩和をして、郵政省さんはワールドゆうパックとかふるさと小包便とか、いろいろ民間にまで参入してくるというぐらい今非常に鋭意御努力をされておるわけでございますが、速達も高いわけですから、扱いはそれだけ郵便料金がふえるわけですし、そういう意味では、交通の利便さということも、非常に道はよくなってきた、車の性能がよくなってきた、こういうこともありますので、鋭意ひとつ見直しをして拡大をしていく方向でお願いを申し上げたいと思います。  それから、細かいのですけれども、これはあるお年寄りの方から聞いたのですが、はがきによくスタンプを押したり、書く場合に裏と表を間違って書くのですね。書いたつもりが反対だった、もう一遍書き直す。こういうことで、はがきについて右の肩とか左の隅とか何か印をつければ非常にわかりやすい、こういうふうなお年寄りが何人かいらっしゃるわけでございます。そういうはがき一枚にしても、いわゆる利用者、消費者の利便性を考えて改善していくということは大事なことだと思うのですね。細かいことでございますが、今のはがきの件、どうでしょうか。
  223. 小宮和夫

    ○小宮説明員 そういうお話があるということも実は私も最近聞いたことがございますのですが、郵便の仕事というのは、先生承知のように非常に幅の広いというか全国民が御利用いただくものですから、実はいろいろな御意見、両方あるようなケースが多々ございます。ただ基本的には、できるだけ国民の御利用になる皆様の利便に合うようにということを考えてやっておるつもりでございまして、はがきについていいましても、例えば罫線の入ったものであるとかあるいは印刷の都合上というようなお話で、これも以前御指摘があったことがございますが、折らない往復はがきを発行してくれとかいったようないろいろな御意見を今まで取り入れたケースもございます。  さて、それで先生指摘のこの件でございますが、実は私ども過去に余りそういった御意見、お聞きしてなかったわけでございます。そして、このはがきの裏に印をつけると当然これが目ざわりだという御意見の方もあるいはあろうかと思います。今回いわば新しい御意見として私どもの耳に入りましたことでございますので、十分頭に置きまして、また私ども、今後、いろいろな郵便のモニターなどもたくさんお願いしてございますが、そういった方々の御意見なども含めながら検討してまいりたいと思いますが、今すぐひとつ実現をしてみたいというところまでは正直、今の時点では考えていないというところでございます。
  224. 日笠勝之

    ○日笠委員 郵便事業に関する行政相談は、昨年でございますか、一万七千四百五十一件あったそうでございますが、そういう中にもきらりと光るアイデアもあるかと思いますので、ひとつ鋭意前向きに、利便性を考えてサービスをしていくという方向でいろいろと御検討いただきたい、かように思います。  最後に、食品添加物BHA、ブチルヒドロキシアニソールにつきましてお聞きしたいと思います。これは既に有名な添加物でございますので御案内のとおりだと思いますけれども昭和五十七年にラットの前胃にがんの発生が認められた。名古屋市立大学の方でそういうことが確認されたわけでございます。これを五十八年二月、全面禁止ということで考えておったようでございますが、禁止を予定をしておりましたけれども、五十八年一月にアメリカイギリス、カナダ、日本の四カ国の酸化防止会議、このBHAというのは酸化防止剤でございますが、それによりまして、日本以外の三カ国からBHAの禁止措置に反対ということで一時延期をする。発がん性が弱いだとか、各国では使用している、実験がラットだけの一例であるとか、こういうことで要請がありまして、現在ペンディング中でございます。最近ビーグル犬を使って実験をしたということで中間報告がまとめられたと聞いておりますが、いかようになっておりますでしょうか。
  225. 北川定謙

    ○北川政府委員 先生指摘のとおりビーグル犬を使って今実験を実施し、昨年の暮れ食品衛生調査会毒性部会において中間報告が行われたわけでございますが、それによれば、発がん性を示唆するような積極的な所見が認められなかった。この実験の報告書が提出された段階で、FAO、WHOの専門家会議に提供しまして、我が国以外の試験結果等も含めまして、この専門家委員会の評価を現在持っておるという段階でございます。  先ほど先生指摘のありましたアメリカ、カナダ、デンマーク等各国の試験の進捗状況につきましては、まだ明らかになってない点が多いわけでございますが、WHO、FAOの専門家委員会での評価の目途は、まだ現在のところめどが立っていないという段階でございます。私どもといたしましては、このFAO、WHOの専門家会議での評価が出ることを待っておる、こういう状況にございます。
  226. 日笠勝之

    ○日笠委員 これは昭和四十七年の参議院の社労での附帯決議の中にも、「食品添加物の安全性については、その時点における最高の科学的水準により常時点検を強化するとともに、食品添加物の使用は極力制限する方向で措置することとし」云々とあるわけですね。そういうことでございますので、特にこのBHAについては、日本の名古屋市立大学で、ラットではございますが、前胃にがんの発生が認められたという厳粛なる事実もあるわけでございますので、この点ひとつよく踏まえた上で、日本人には日本人の体質というものがあるでしょう。有用性と毒性ということの絡みからの結論を出すということもあるでしょう。いずれにしても慎重に、何回も言いますように、国民の生命と健康を守るという立場で対処していくということをひとつお願いを申し上げておきたいと思います。
  227. 北川定謙

    ○北川政府委員 厚生省といたしましては、先生指摘のように、食品添加物の安全性の問題につきましては、慎重の上にも慎重に対応してまいりたいということで、現在も、その四十七年の衆参両委員会での附帯決議の趣旨に沿いまして、安全の確保に努力をしておるところでございますし、今後もその路線でやってまいりたいと思っております。
  228. 日笠勝之

    ○日笠委員 予定の時間が参りましたので、質疑は終わりたいと思います。
  229. 中島源太郎

    中島委員長 田中慶秋君。
  230. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は、今般の許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法案、すなわち設置法の緩和等について、民社党の立場から質問をさせていただきたいと存じます。  冒頭に、今政府が行革を推進すると常々言っているわけでありますけれども、幾ら立派な行革を行おうとしても、実際に行うのは公務員の皆さんであり、そのために優秀な人材を確保しようとするのは当然であろうかと思います。そういう観点に立って、大学と企業との間で十、十一紳士協定となっているそれぞれの役所間の問題等も含めて、これらについて現在、十月一日の会社訪問が民間企業における一つの申し合わせになっていることについても有名無実、すなわち青田刈りやあるいは指定校制度等もまだ廃止をされない。逆にこれが一カ月も一カ月半も前に既にそれぞれの企業が行い、そして内定しているというのが実態であります。  こうした環境の中で、各国家公務員の方も優秀な人材を得ようという形の中で、この取り組みが現実には八月五日に二次試験を行い、十月一日発表、十一月一日面接、こういうタイムスケジュールになっているにもかかわらず、長い間の習慣でこのことが守られていない。そういう観点に立って、人事院は各省庁に対して十、十一協定を守るようにということをそれぞれ通達をされているようでありますけれども、これらの一連の考え方について、まず人事院に、これらの試験日程及び通達についてどのようにされているのか、お伺いしたいと思います。
  231. 仙田明雄

    ○仙田政府委員 まず試験の日程でございますが、先生からお話がございましたように、Ⅰ種試験、これは大卒を対象とする試験でございますが、Ⅰ種試験につきましては、七月七日に第一次試験をやりまして、その結果、第一次試験の合格者の決定を七月三十日にいたしまして発表いたしました。八月五日に第二次試験として筆記試験をやりまして、翌六日から二十三日まで順次人物試験ということで面接をやってまいりました。そして、十月一日に最終合格者の発表をいたした、こういう経過でございます。  それから、就職協定に関連する問題でございますが、これもまた先生お話にございましたように、就職協定につきましては、現在のいわゆる十、十一協定、十月一日に会社訪問を開始してよろしい、十一月一日から面接選考に入ってよろしい、こういう十、十一協定の申し合わせになりましたのが昭和五十一年からでございます。その後だんだんに進展してまいりまして、当初は十月一日以降の段階では人事担当の部課長は面接してはいけないということだったのですが、五十五年に面接してもよろしい、こういうふうに変わりました。そういうことで今日に至っておる。これが、中央雇用対策協議会という、いろいろな業種別の経営者団体とそれから労働省がメンバーになっておる組織で決められた申し合わせでございます。  そこで、採用の問題も先生お話しのように、優秀な人材は役所も採りたければ民間の方も採りたい、これは共通の立場で、言うなれば競合関係にあるわけでございますので、民間の方はそのように決めたが役所の方は勝手にやるということではいけないなということで、役所の方としても人事担当課長会議の席で、これは課長会議の自主的な申し合わせということで、民間の協定の趣旨を尊重してやっていこうということを申し合わせをいたしまして、自来この申し合わせを繰り返してきておる。ことしの場合は、四月の初めにそういう申し合わせをいたしまして、さらに六月二十六日だったかと思いますが、いよいよⅠ種試験が始まるという時期でございますので、改めてもう一度御確認をいただいたというような経過でございます。
  232. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今経過については御説明をいただいたわけでありますけれども、とりあえず大蔵、自治、建設、農水、通産、この五省についてどのような形で人事担当課長、きょうお見えになっているのは課長さんですか、これらに対してどのような対応でこの取り組みを行ってきたか、明確に答弁をいただきたいと思います。
  233. 寺村信行

    ○寺村説明員 大蔵省では、ただいまお話がございましたように、人事担当課長会議の申し合わせの趣旨を踏まえまして、十月一日以降志望者との応対を行い、十一月一日に採用面接を行いまして内定者を決定しております。
  234. 石山努

    ○石山(努)政府委員 御指摘の点でございますが、私ども自治省といたしましても、あくまでこの十、十一協定に反しないようにということで採用関係の手続をいたしておりまして、現実の問題として学生が情報を得たいというようなことで来省する場合もございますけれども、このような場合におきましても、あくまで協定に反しないように対応するということに留意して対処してきております。
  235. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 建設省におきましても、採用に当たりましてはいわゆる十、十一協定を遵守して手続をとっておるところでございます。新規採用者の内定はそういう意味で十一月一日以降に行っております。そのほかの点につきましてもこの協定を遵守しております。
  236. 吉國隆

    吉國政府委員 農林水産省におきましても、六十年度のⅠ種試験の合格者に関します採用につきましては、十、十一協定の趣旨に沿いまして、十月一日以降官庁訪問受け付け、十一月一日以降に採用選考を行ったところでございます。
  237. 鎌田吉郎

    ○鎌田政府委員 通産省におきましても、各省庁の申し合わせの線に沿いまして、十月一日以降官庁訪問を受け付け、十一月一日に採用面接を行っております。本年度につきましても、十一月一日に官房長を初めとする関係局長課長から成ります選抜試験委員によりまして面接を行いまして、内定をしたということになっております。
  238. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 そういう答弁があると思っておりましたけれども、現実には全くうその答弁をしている。はっきり申し上げて、十、十一の協定を守っていたら、人事院が何でことしも、毎年繰り返して通達を出さなければいけないかということ、同時に、八月五日のこの第二次試験が行われると、学生は既にそれぞれの省庁の訪問を始め、そしてまたそれぞれの省庁は、それを受けて各面接あるいはまたそれぞれの対応を人事担当者が行っているというのが現実の事実であります。  こういうことをいろいろな形で、当然私もこの問題を調べている間、先ほども人事院の仙田局長が言われているように、民間で青田刈りをやるから、民間が早くやるから役所もいい人材が欲しい、だからこういう問題を含めてそれぞれの省庁がいろいろな動きのあることは承知をしている、こういうことも聞いておりますし、あるいはまたそれぞれの省庁が現実には面接やその取り組みを行っていることは事実だと思うのです。こういう点で、一つの行政が、民間がやるから自分たち役所もやるという、こういう精神であってはいけないのではないかと思うのです。お互いに決めたこと、特に行政指導的な立場である皆さんのところが、優秀な人材を欲しいというのはわかりますけれども、そういう青田刈りをやってはいけないのではないか、私はそんなふうに思うのです。  例えば、こんなことをずっと繰り返しているのならば、それはどこかに問題があるのだから、それをもっと話し合って、現在のやり方がまずければそれを直すとか正していくことであるならいいけれども、みんな答弁、同じでしょう。十、十一協定を守ってそのとおりしております、自治省だけがそれぞれ訪問を受けて事情云々ということを言っておりますけれども、現実にはそうではない。こういうところに、幾ら立派な行政改革をしようとしたって、幾ら物を決めたって抵抗があって守れない、やれない、だからいろいろな形で官僚の壁は厚いということを言われるわけであります。私たちは、この一連の問題を考えても、民間とそれぞれ争って青田刈りをやるならば、それなりに今の制度が悪ければ直せばいい。そういうことをもっと徹底して論議をする、こういうことをしないで、せっかくのそれを、現在のお互いの協定をただ空念仏的にやろうとしているところに大きな問題があるのじゃないかと思う。  もう一回、悪いけれども申しますが、その内示というものは、それぞれの省庁を申し上げるならば、少なくとも私の調べている範囲とは全然違います、はっきり申し上げてもう八月に会社訪問を受け付け、要するにそれぞれの省も訪問を受け付け、あるいはまた九月には、具体的な何回かの訪問の中でAさん、Bさん、Cさんのそれぞれ肩たたきまで始まっているのではないですか。そして、二次試験が優秀な結果であるならば、面接を含めて二次試験に合格をしているならば、うちに来てもらいたいというような話までそれぞれの学生に申し上げているというのが事実じゃないですか。そういうことを含めて、今回のように単なる十、十一協定は守っております、こういう考えでは、幾らこれから行政を刷新しようとしても私はそれは守れないような気がします。特にこれは人事院の制度にすら私は影響してくるんではないかと思います。  例えば今は人事院というのが試験をやって、各省庁がそれぞれに任用云々という問題もあります、そして最終的に発表するのは人事院であります。そんなことをして、その中間における各省庁の任用の取り扱いの問題はみんなばらばらにやっている、そういう点で指導的な役割を果たさなければいけない人事院、すなわち局長、どのようにこの問題を考えられるか、もう一度答弁してください。
  239. 仙田明雄

    ○仙田政府委員 先ほども申し上げましたように、人事院といたしましては、大卒者の採用選考の問題というのは、民間と歩調を合わせて一緒にやっていかなければならない。どっちかが有利なように選考するというようなことがあってはならないわけでございまして、そういう意味で、民間において形骸化したとかいろいろな御批判はありますけれども、十、十一協定というものがある以上、役所としてはその協定を尊重していくという立場をとらざるを得ないというふうに私どもは考えておりまして、そういうことで再三人事担当課長会議で申し合わせもしていただいたということでございます。  先生お話しのように官庁の問題は、五省庁の責任者の方々が自省庁の採用選考の問題について今ほど申し述べられましたので、私からは特にそのことについては申し上げませんけれども一般に、ことしの大卒者の就職について、就職協定が有名無実である、あるいはこんなものならない方がいい、青田買いがことしはどひどいのは最近ないなというようないろいろな報道がなされ、御批判があったということは事実でございます。そこで、私どもも現状でいいというふうには考えておりません。また、この問題は学歴社会問題との関係もございまして、今文部省、労働省あるいは経済団体、さらに大学というような関係者が一体となって、どうしたらもっとうまい取り扱いができるのかということで真剣な検討が進むられておるというふうに承知しております。私どもはそういうものの動きを見ながら、公務部内においても民間とかけ離れたことのないように、そして守られるような協定なり取り扱いの方針が決まれば、これは役所のことでございますから、先生指摘のように率先してこれを遵守していく、こういう体制に持っていきたいというふうに考えております。
  240. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても現実に、それぞれ優秀な人材を欲しいというのはわかりますけれども、遵法精神といいますかお互いに協定が守られていない、有名無実の現在の協定であり、かつまた各省庁においても、特にそれぞれの応募の多いところは、そういうことを含めて、大蔵から自治、建設、農水、通産まで含めて、もう既に十月一日の発表以前に面接その他を具体的に行われていることは事実であります。  そういう点で、例えばAというまじめな何も知らないところの学生がいたとします。その学生は人事院に問い合わせました。人事院は今のように十、十一協定に基づく話を克明にしていただいているわけであります。そうすると、それを信じておりますから会社訪問とかそれぞれの省庁訪問は全然いたしておりません。ところが、十月一日発表されますと、その後は十一月一日でありますから、そこまで待っている間にもうその時点ではすべて決まってしまう、これが現実であります。やはりそういうことを含めてお互いの協定は守る必要があるし、それぞれの人事課長さんが今それぞれの立場上で物を言っていると思いますけれども、やはりそういうことであってはいけないと思います。そういう点で、長い慣行があるならばその長い慣行に従って、現実の申し合わせ、協定を変えるべきであろうし、あるいは問題であるならばその問題をちゃんと明確にして、お互いに守るべきところは守っていかなければいけないんじゃないかと思います。それが真の意味での協定であり、相互信頼につながるのだと思います。  そういう点でもう一度局長、今現実に十、十一協定は率直に言って守られていないと私は思います。あなたも率直に言ってこのことについてどういうふうにお考えになっているか。
  241. 仙田明雄

    ○仙田政府委員 官公庁の問題に限ってのお答えということになろうかと思いますが、重ね重ねの答弁で大変恐縮でございますけれども、繰り返し人事課長会議で守ろうという申し合わせがなされておる。そして、今先生がお呼びになった五省庁の責任者の方々が、私の方は守っております、こういうふうに答弁をしているわけでございますので、私としてもそうであろうというふうに判断をいたしたいと思います。
  242. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 局長の立場もわかります。しかし今お言葉のように、守っていただいていると思いますということでありますから、あなたに対してはもうこれ以上申しませんが、これは大変な問題だと思います。ただ言えることは、現実に各省庁が十、十一協定を守っていないことは事実なんです。こんなことをしていますと、人事院の今後の存続すら私は大変大きな問題になってくるんじゃないかということを心配しておるのです。これは人事院が決めたことです。そうすると、こんなことをしていれば試験制度の問題にまでつながってくるんじゃないかと私は思うのです。  例えば、自治省の人事担当者にもう一度答弁していただきたいと思いますが、あなたのところは少なくとも、都道府県全部にいろんな形で自治省という立場で指導的な立場があるわけです。しかし、自治省はもう既にこれらの任用の問題について十月一日に内定していることは私の調査の結果、事実であります。ですから、私は昨日も申し上げていろいろと調査をさせていただいているわけですけれども、その中で、では各都道府県がこういう採用の問題に関して、二次試験、発表、そしてまた次の合否の発表のときに、それ以前に面接をしているか、全然していないと思うのです。それは国家公務員と違うという話でありますけれども、私は国も地方も精神は全く同じであろう、こんなふうに思うのです。そういう中で、監督官庁である自治省がそういうことを現実に行っていることは事実でありますから、そういう点を含めて、今後、大きな問題点は問題点として、改善すべきところは改善すべきだと私は思う。ただ、今みたいな紋切り型で、十、十一協定を守っておりますということになってまいりますと、それでは今まで現実に皆さんが行っていることは大変な協定違反ではないか、こんなことを申し上げざるを得ないわけです。そういう点でもう一度自治省、それらについて答弁を願いたいと思うのです。
  243. 石山努

    ○石山(努)政府委員 この問題につきましては、先ほどもお答えいたしましたように、あくまで協定の趣旨に反することのないように私どもとしてはこれまで留意をしてきたつもりでございます。御指摘もいただきましたので、その点については今後さらに関係者に趣旨を徹底いたしまして、指摘をされることのないような対処をしてまいりたいと考えております。
  244. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 人事の問題でこれ以上は時間の関係もありますのでやりませんけれども、ただ総務長官、いずれにしてもあなたは行革を推進する立場での総元締めでいらっしゃるわけですね。ですから、いろいろな問題を含めて遵法精神というものはもっとそれぞれの省庁に徹底しなければいけないと思うのです。はっきり申し上げて、人事というのはいろいろな形でそれぞれの思惑はあろうが、しかし原点というものは遵法精神だろう、こういうふうに思うのです。ところが、今申し上げたように、総務長官にこのことについて聞くのは酷かもわかりませんけれども、現実にこういう問題がそれぞれの省庁間で行われている、こういうことが一人だけではなく二人、三人の学生の中で明確にされているわけです。しかし立場上、公式の席だからそういうことは言えないというのならそれは結構です。しかし、問題があるならば問題があるようにそういうことを含めて正していかなければ、あなたが幾ら行革の旗を振ったところで、いろいろなことを含めてやろうとしたところで、これでは抵抗があって私は守れないと思うのです。     〔委係員長退席、宮下委員長代理着席〕  今それぞれの答弁を見たとおり、十、十一協定は守っております、そういう紋切り型の答弁しか出てこないわけです。そうすると、昨年の人事院勧告の問題のときに人事院の権威の問題で論議をされたと思うのです。そんなことを含めて人事院の権威の問題や、あるいはまた今後人事院が本当に必要かどうか、こんなところまでやがて発展しそうな気がいたします。そんなことを考えたときに、これらの問題について、それぞれの省の監督官庁として総務長官、もっとこういう問題について、問題点があるならばあるように、それは人事院の仕事かもわからぬけれども、こういうことを含めて、私は行政改革の遵法精神に基づいて原点に立って考えなければいかぬのではないかと思うのです。この辺について総務長官考え方をちょっとお聞かせいただきたいと思うのです。
  245. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 人事院の御提唱で、各省の人事課長会議で十、十一協定、これができている以上は各省庁とも遵守すべきものであろう、こう思います。  ただ、御質問を聞いておりますと、守っていないではないか。あるいはそうかもしれませんね。これは古くて新しい問題ですから。しかし、これはいろいろな面に弊害を及ぼしております。そういうことでございますので、御趣旨の点も頭に置きまして、守られてないという実態があれば、政府としてはこれは是正をするように各省をさらに一層指導をいたしたい、こう思います。
  246. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 ありがとうございます。  いずれにしてもそういう実態が至るところで出てきておることは事実でありますから、はっきり申し上げて、まじめにやっている学生はかわいそうなんです。ことしもそういう学生が現実にいるわけです。十、十一協定を守っておりますと言うが、守っていたらそういう人は出ないのですから。そうしたら、今まで採用したのを撤回しろ、私はそういうことをここで言わざるを得なくなってくる。しかし、今それを言ったところで、時間の関係もあるし、また今後の大きな問題点を今ここで一挙に解決はできないと思いますから、それは人事院の方で今後そういうことを含めて考え方を明確に正していっていただきたい。要望しておきます。  次に、今回政府が内需拡大策の一つとして出されたそれぞれの規制緩和について、少なくとも自由経済を妨げている産業規制の緩和にかかわる項目は極めて少ないんではないか、私はこういうふうに考えております。そういう前提に立ちながら、例えば貿易摩擦の問題を一つとっても、外国から日本に対する批判も来ていることは事実だと思います。他の国から批判をされている貿易摩擦解消のために、あるいはまた内需拡大についても同じことが言えようかと思いますが、こういう前提に立って、政府はどのような考え方を持たれているのか、冒頭にお伺いしたいと思います。
  247. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 日本の社会経済の活性化あるいは国内市場の開放、そしてまた内需の拡大、こういったような観点から、古くなっておる各種の規制、これはかえって鎖になっていますからこれをできるだけ開放しよう、こういうことで行革審からの御答申もあり、政府としてはそれを真っ正面から受けとめて、各省との調整を図りながら、法案として提出すべきものは御審議を仰ぐ、こういうことでやっているわけでございますが、この中身についていかにも見るべきものがないではないか、こういう石川委員の御指摘も過般ございました。私も率直に、これで十分だなんてちっとも考えておりませんが、ただ今回の指摘は、二百五十八事項に及んでおるそのうち当面法律改正を要する事項は四十二事項の二十六法律である、こういうことで、それ以外の項目について立法措置を要するものは、単独法あるいは今後の立法、これによって処置をしますし、多くのものは政省令の事項がございます。それらの中にも相当重要な問題が実は含まれておるんじゃないか。例えば、金融関係では預金金利の自由化の問題、それから運輸関係ではトラック運送業の参入規制の緩和、航空三社の事業分野の見直し、あるいはまた石油関係では、これは立法を要するのですが、石油製品の輸入自由化、あるいはまた基準・認証、これは立法化措置を今回お願いしておりますが、あるいは輸入プロセスの関係、こういうようなことで、やはり今度の二百五十八事項も実際やってみると相当なる規制緩和になりはせぬか、私はこう考えております。  しかし、しばしばお答えしているように、これでいいのかと言えばそうはまいりません。これはやはり総数把握をしまして、そしてその上でさらにまた引き続いてやるべきものはやるということでなければ、時代変化には行政は対応できないし活性化にもならない。同時にまた、外国からのいろいろな批判も招くであろうと思いますから、これはやはり第一次的には各省庁でこういうものはやるべきだと私は思いますが、さらに政府としても全体を把握した上でやるべきものがあれば取りまとめて、引き続いて努力をしていきたい、かように考えます。
  248. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今長官のそれぞれ意欲のある取り組み、また二百五十八項目といいますか、これを一つのスタートラインにして、今後の大いに突破口になればいいということを私は期待はするわけですけれども長官も何回かそれぞれの本会議でも答弁をされていたように、現実に中身は大変お粗末だと私は思うのです。一生懸命やろうとしている最中にお粗末だと言うのは大変申しわけないのですけれども。  実は私は、九月に民社党の塚本委員長と訪米をさせていただきました。ちょうど貿易摩擦の問題が非常に大きな議題になったわけでありますけれども、このときも、貿易摩擦を何らかの形でお互いに真剣に改善しなければいけないじゃないかという話し合いを向こうの政府の人たちとさせていただきました。しかし、そこで問題になってくるのは、アメリカは何も日本の品物を規制しようとしていない、日本が物を買ってくれればいいんだ、しかし日本にはそれぞれ障害になっている多くの規制がおる、それをまず取り除くように日本内部の努力をしてもらいたい、こういうことが具体的に指摘をされ、そして、日本の官僚というのは力があるからなというような言葉まで出たように、そういう指摘をされているのです。恐らくECの問題だって、今そういう指摘をされているのじゃないかと思います。それぞれの項目で、向こうの政府もあるいは議会も、特に議会の場合においてはヒステリックなくらいにそういう点を具体的に指摘をしてまいりました。そして、それぞれの法案をおれたちは用意しているんだぞ、アンフェアだからだ、不公平だからだということを絶えず私たちはそれぞれの場所で聞いてまいりました。  ドル高の問題もありましたけれども日本のそういう問題を、アクションプログラムと言って、それに基づきながら改善をすると言っても、現実にはまた大きな障害が出てきていることも事実だと思います。内需拡大と言っても、内需拡大にもこれらの問題が影響しているのは事実でございます。その一連の考え方で、今長官が述べられたようなこと、現実に外国から見てこれらに対しての評価というものは非常に少ないのじゃないか。そういう点で、私は向こうの人たちとの話し合いの中で具体的な指摘を相当されてまいりました。  特に製品項目まで設けられまして、極端なことを言えば魚に国籍があるのじゃないかなんというような話まで、いろいろなことが現実にされているわけです。例えば同じ海上で、遠洋航海で日本の船がとってくる魚、それはストレートに来て、外国船で同じようにとって日本に持ってきたとするとそこは検閲がある。それは当然いろいろな形があろうかと思いますけれども、そんなことを含めて一つ一つの問題の指摘をされたわけです。私たちは、日本にいてわからない点、あるいは日本にいても問題点があるというふうにも考えておりましたけれども、外国に行ってそういうことを指摘されると、やはり何とかしなければお互いに自由主義社会は守っていけないのじゃないか、こんな感じを受けてまいりました。長官、もう一度これらについてお考えを述べていただきたいと思います。
  249. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私も田中さんと同じように、アメリカ関係あるいはECの連中からそういう話もしばしば耳にしておりますし、また大変残念なことに、それがアンフェアである、関税だけでなしに、幾ら関税を下げても非関税障壁があるじゃないか、この非関税障壁が今御指摘のようなことだ、日本はいかにも閉鎖的である、こういうことでアンフェアという言葉を使われますね。日本人は、アンフェアと言えばフェアでないくらいに考えておりますが、そうじゃない。これは卑劣だという意味ですから、大変残念に思います。  ただ、私は率直に言いまして、確かに最近のような黒字が重なっておりますから、日本が少々犠牲はありましてもやはり率先をして市場の開放、あらゆる努力をすべきであるということは十分心得ておりますけれども、しかし日本の市場は現実には、アクションプログラムを決めてあれを実行するとした場合、私は、諸外国の市場に比べて特に日本が閉鎖的であるというふうには考えない。ただし、やはり率先してやらなければならない日本の立場ですから、そういうことから考えればやはり外国の批判に対しては率直に耳を傾けてやらなきゃいかぬのではないか、こういうふうに考える。     〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕  なぜ一体外国からこれだけの批判が出るかといえば、黒字が背景にあるわけですけれども、しかしやはり日本と欧米各国との社会制度が違う、言語が違う、習慣が違う、いろいろな悪条件がありますから、誤解に基づく面も相当ありはせぬか、こう思います。したがって、日本としては国益を踏まえましてやるだけのことはやる、しかしながら主張すべきことはきちんと主張するということで、少なくともアンフェアと言われることのないようにだけはこれは対外関係においてはやらなきゃならぬ、かように考えております。
  250. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、今それぞれのニーズが違う、あるいは国が違う、言葉が違う、確かにそのとおりだと思うのです。日本語で言えば大変、特に大臣や役人さんの答弁は、よく検討しますとかよく参考にしてとかいろいろなことが出ますけれども、英語はそういうことはないわけです。イエスかノーか、こういう形で迫ってまいりますから、やはりそういうことを含めて日本語のいいところはいいなりに使い分けをすべきだと思う。しかし、現実にはそういう問題で私は痛切に感じたところがございました。  そういう点、特に私たちが考えなければいけないのは、世界のGNPの一〇%は日本がそれを担当している、こういうことですから、そういう点で、やはり国が違っても、黒字が多い、それだけの問題じゃなく、国際化社会の中における日本の役割というものがその辺から意識革命をしていかなければいけないのではないかと思う。それは民間に求めただけではだめだ。役所そのものが、政府そのものがそういう考え方でやっていかなければいけないのではないか。  そういう前提に立って、次は厚生省、この規制緩和の問題で、規制緩和でも、厚生省の中では特に一括する問題ではなく、安全上の問題の規制あるいは経済関係の問題の規制、それぞれ分ける必要があると思います。  そういう中でも、現在外国から批判の強い中で輸入検査の問題があるわけでありますけれども、諸外国から日本への輸出を阻害している、こういう指摘をされている中で、例えば食品等の輸入では、食品あるいはまた付加物や器具あるいは容器、こん包等の輸入をしようとする業者は、厚生大臣に届けを出して、税関はその検疫に対する輸入届け書の提出がなければ輸入許可しないということでありますけれども、食品にはそのままの状態で飲食できるものやあるいはまた調理によって飲食できるもの、国内において食品製造業者の加工による原料等のものがあるわけであります。器具等においても同様でありますが、しかし、今それがすべて一律の法律によって行われているところに大きな問題があると思います。  私は、目的等々によってはその範囲を縮小したり、あるいはそれぞれの項目によってそれぞれの法の目的規制目的というものを分けるべきではないか、こんなふうに思いますけれども、この辺はいかがでしょう。
  251. 北川定謙

    ○北川政府委員 先生指摘の、食品の輸入の問題についてでございますが、食品というのは、基本的に言えば安全、しかし非常に大勢の人の口に入って直接健康にかかわる、こういう性格を持っておるわけでございます。  法的には、食品及び食品添加物、器具、容器包装等を輸入しようとする場合には食品等輸入届け出書を届け出る必要があって、これはいろいろ食品の種類あるいは食品以外の容器等、それぞれ安全性の問題についていろいろなレベルがあるわけでございますが、届け出というのはその最初の最小要件ではないかと我々は考えておるわけでございまして、この届け出を受けた上で、非常に危険性のあるものあるいは衛生上問題のあるもの、こういうものについては綿密な検査をする、優先的に検査をするというようなことをやっておるわけでございます。  ただいま先生指摘をいただいた点につきましては、制度の上からも、本年七月三十日に決定しました「市場アクセス改善のためのアクション・プログラム」におきまして、一部の食品の製造原料について届け出を不要とする措置をとるほか、器具及び容器包装、缶詰、瓶詰等衛生上の問題の少ない食品については、初回に届け出後一定期間は届け出を必要としないという等の措置を講じて、輸入の手続の迅速化、簡素化を図ることとしておるところでございます。
  252. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、それぞれ継続的な輸入という問題、こういう点については、やはり時々のチェックは必要かもわからないけれども、その都度認証がなければできないということであっては、やはり今指摘をされているような輸入の妨げになるだろう、こういうことも言われますし、極端なことを言えば、そういう害敵に侵されないようなものは一回で後は必要ないんじゃないか、私はこんな気がします。瓶詰あるいは缶詰はそれぞれ最初のチェックをされれば、後はそれぞれ継続的に輸入されてくるものについては、まあワインの事件があるから云々じゃないんですけれども、しかしそういうこととは別にして、開放すべきじゃないかと思うのですけれども、そういう点はどうですか。
  253. 北川定謙

    ○北川政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、一部の食品製造原料については届け出が不要になるとか、あるいは先生今御指摘になられましたが、缶詰、瓶詰等あるいは器具、容器包装等特段の問題のない食品等については、届け出を初回だけは届け出るけれども、その後の一定期間はもう一々届け出なくてよろしい、そういう方向に持っていくこととしておるわけでございます。
  254. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、これからそれぞれ多岐にわたって要請が来ようかと思いますが、これらについてぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。  次に、建設大臣がせっかく来ておりますので、建設省関係について御質問をさせていただきたいと思います。  まず建設省の関係でありますが、特に建設の場合において、例えば一つの都市計画法あるいは最近の俗に言う線引きの見直し等の問題ではそれぞれ検討はされておりますが、私は、建設関係においてはいま少し許認可権限の移譲を各市町村にすべきではないか、こんなふうに考えております。  例えば今の線引き一つとっても。昭和四十三年六月十日、新都市計画法に基づいて線引きをされたわけです。しかし、そのスタートの時点ではみんなアバウトでやっている。おおよそでやって、その届け出というのは行政指導型ではなく、各自がみんな申請をして、ここは市街化にしよう、ここは調整区域にしよう、それは自分の税金対策の中で大体やってしまった。それが今日コンクリートされているために、都市計画上大きな問題が起きているというのが実態であります。その後少しずつ見直しはされようとしておりますけれども、抜本的な方針がない。例えば駅から何キロまではそういう形の中で見直しをしようとか、幹線道路、国道や地方道何メーターについて線引きの見直しをしようとか、そういう具体的な考え、取り組みがされてない。こういうところに大きな問題がある。  今建設省が指導しているのは、例えば調整区域でも五ヘクタール以上あればそこは市街化として認めよう、こんな話でありますけれども、現実にはそういうことはなかなかできない。こういうことでありますから、ただそういう一つの思惑的な、あるいはまたそういう実効のない一つの法的な問題というものをもう少し緩和をしてみたり、あるいは権限の移譲を、それぞれの知事や指定都市の市長くらいであればそういうことをやってもいいんではないか。まずこれらについてお聞かせをいただきたいと思うのですけれども、これは建設省の考え方を聞かしてください。
  255. 牧野徹

    ○牧野政府委員 いろいろお話がございましたが、権限移譲の関係について申し上げますが、お話のとおり、四十三年に新都市計画法になる前は、御承知のとおり都市計画は形式的には全部国が決めることになっておったわけです。ただ、国となっておりましても、実際上は市町村が原案をつくって、都道府県経由でやっておったという実態がございます。そこで、四十三年に新都市計画法を決めます際に、その実態をも踏まえて、だれが都市計画を決定するかということにつきまして、これは都道府県知事、市町村というふうに決めさしていただいたわけでございます。  先生お話しのとおり、当然いい町をつくるというための計画でございますから、市町村が重要な地位を占めるというのはこれは当然だと私は思います。ただやはり、都市計画を一々の町でやるのではなくて、より総合的な観点から決めるものもございますし、あるいは広範に影響を及ぼす事業のものもございます。あるいは国道等、言ってみれば骨格的な施設もございます。そこでそういうものにつきましては、一応知事の都市計画決定権限というふうにしたわけでございます。  ただ、ただいま例示にもなっておりましたが、線引き等につきましても、お決めになるのはもちろん市町村でございますが、知事がお決めになります都市計画も、すべて原案は市町村から起案をしてといいますか、原案を起こして上げていただくということになっておりますし、法律上も知事が都市計画決定をするときには市町村の意見を聞くということを明記しております。そういうことで、御指摘のとおり、市町村の意見というのは大事だと思いますが、十分反映されるようなシステムに一応なっておるというふうに考えておる次第でございます。
  256. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 今答弁いただいたんですが、はっきり申し上げて現実にはそうなってない。ですから、その辺を明確に責任の分担をしなさい、してもらいたいと私は申し上げている。私も都計審のメンバーを少なくとも十年やってきまして、問題になっているんですから。特に首都圏においてそれぞれ線引きの見直しをしてくださいと言っても、建設省は内需拡大のためにしましょう、しかし知事ががっちりしていてできない。かんきつ類がおかしくなってきているから、やっとそこをいま少し線引きの見直しをしたらどうだという話が出てきても、現実にはそういうことができない。そういう点で、それぞれの分野の権限の見直しというのは当然すべきだろうと思います。ですから最終的には、じゃあと言って、それぞれの市町村が県へ上げたところで、そこでまた建設省と農水省の綱引きがあって、現実には線引きの見直しができないんです。現実に総務長官、そうなんですよ。やはりもっとそういう点で、この際だからそういうものも含めて整理をして、権限の移譲できるものはできる、あるいはまた、他省庁間との調整はできるにしても、その主体性を完全にどこに置くかということ。片方は緑を少なくするのは嫌だと言って守る、片方は何とか宅地を開発して安いものを提供していい町をつくろうとしていろいろやろうとする。お互いに縄張り争いを現在していることは事実じゃないですか。こういうことを含めて、やはり見直しをすべきところは見直しをして、権限の移譲を明確にしなさい、私はそういうことを言っているわけです。ですから、そういう点についてもう一度考え方を述べてください。
  257. 牧野徹

    ○牧野政府委員 線引きを例にとってのお話でございますが、ある市町村がここを市街化区域にしたいと言ったときに、県知事さんの方で、いろんな諸般の情勢を踏まえて、それはもう少し待ってもらおうとか、そういうお話があることは確かに事実だと思います。  で、ただいま先生お話のありましたように、この線引き制度というのは、大変恐縮でございますが、大きく言えば、限りある国土を都市的な土地利用を図るかあるいは農業的な土地利用を図るか、もちろんそれ以外にもございますが、そういう二つの土地利用を図る上での指標というか区分けに使っておる制度でございますから、当然それぞれの関係する分野で話し合いなり調整が行われるのは事実でございます。そういう調整をした上でやるわけでございますが、やはり線引き制度のような骨格、根幹にかかわるものは一応権限としては知事、ただこれも、先ほどちょっと簡略に申し上げましたが、私、知事が決定権を持っている都市計画につきましてすべて市町村が発案と申し上げましたが、これも現在はそうでございますが、従前は線引きについては一応原案を知事の方でというふうな指導でございました。ただしこれは、いろいろな実態を踏まえて、線引きについても五十七年から市町村の方で案を上げるということにしてございます。ただ、上げたものを全部するかどうかというのは、やはり決定権限のある知事さんがいろいろ総合的な御判断をするところではないかと考えております。
  258. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 線引きの例で申し上げましたけれども、例えば今度の問題は、内需拡大という前提でこれらの規制法の緩和の問題があるわけですね。そうしますと、じゃ宅地開発要綱はどうですか。各市町村によってみんなばらばらでしょう。開発指導要綱があってみたりあるいは開発規制要綱があってみたり、みんなばらばらにつくっているじゃないですか。一つの大きな団地を開発しようとすると、事前協議から始まり、そして指導、そして申請をされ、認可をされ、それだけで少なくとも着工まで三年から四年かかります。この四年の中で金利もかかっているわけです。一年縮小すれば土地は大体二〇%安くなるのですよ。もっとぜい肉を取ってやるならば、安くていい土地を消費者に渡すことができるのです。それをそういう形でみんな上乗せをしている。これについて建設省、どう思いますか。
  259. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 宅地開発指導要綱、それぞれの市町村がそれぞれつくっておりまして、中には行き過ぎたものもあるというふうな御指摘についてはそのとおりでございまして、従来から建設省といたしましては、自治省と協力して行き過ぎ是正に努めているところでございます。特に昭和五十八年には宅地開発等指導要綱に関する措置方針というようなことで、具体的な施設整備水準の行き過ぎなどの是正を求める通達を出しまして、今努力をしているところでございます。  それから、開発許可の期間が非常に長くかかって金利負担がかさむという御指摘でございますが、正式の事前協議とかあるいは開発許可の申請がなされてからの処分がなされるまでの期間の調査をやっていきますと、そんなに長くかかる事例は多くないわけでございまして、もともとそういうところは公共団体が開発はさせたくないというふうに思っているようなところであるとかあるいは埋蔵文化財の問題があるとか、そういうようなところについてはかなり長期を要しておりますけれども、事前協議等に乗るものについてはそんなに長くかかっておりません。しかしながら、市町村と都道府県と両方にいろいろ協議をして、大変関係部局も多いというようなことで、そういう点でもうちょっと事務処理が迅速にできないかということで従来からも指導いたしておりますけれども、今後はもうちょっと具体的に、こういうふうな手順で審査、協議をやったらどうかというふうなマニュアルをつくって具体的な指導をしたいというように思っております。
  260. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 ただいま少し認識、勉強していただきたいですね。はっきり申し上げて、例えば千葉県でこれらの開発を一つしようとすると、市町村だけで大体十二課、県土木を初め県関係でそれぞれ六課十一部、合わせて千葉県の場合、四十六課でそれぞれのチェックをされる。神奈川県でも同じように約四十課、こういう形になっておる。千葉県と神奈川県の事前協議から着工までの平均が三年半です。事前の相談を受けて着工できるというのが三年半ですよ。あなたは先ほど、そんなにかかっていないと言われたが、平均で三年半ですよ。その辺がやはり認識をしていないからそういう答弁になる。私はこれ全部調べてきたのですからね。そうでしょう、一つのものをつくるのに四十六課がチェックをやって、その間を書類が回っていくのです。だから三年半もかかってしまうのです。ですから、それを何とか一年、二年、こんな形で縮めることをすれば、半分にしたらもっと安いものができるわけです。それが結果的に消費者のところに負担がかかる。内需拡大どころじゃないんです。もう一度答弁してください。
  261. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 具体的な千葉県とか神奈川県とか、今そのデータを持っておりませんが、建設省が各都道府県に照会をしまして調査した結果では、全体としては、例えば事前協議、それから開発許可申請六カ月未満というのが大体六、七割ぐらいというふうな状況になっておりまして、一年を超えるものというのはパーセントとしてはそんなに多くない。ただ、ひどいものは先生おっしゃるようなものもあるのは事実でございまして、先ほど申し上げましたように、できるだけ迅速化を図るように努力をしたいと思います。
  262. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 四十六課をどんな形で六カ月で回れるのですか。ですから問題にしているんですよ。それは役所はそういう答弁をするかもしれない。じゃあそれだったら、あなたの方でそれぞれこの業界にアンケートを出してごらんなさい。こういうことですから、やはりもう少しぜい肉の落とせるものは落とさなければだめなんです、はっきり申し上げて。そうでしょう。  では、都計審を見てごらんなさい。都市計画決定、最終的には建設省に上がってくるでしょう。あなたのところで決定された都市計画決定が、せっかく決定されたものが、現在それをそれぞれの都道府県で着工されているのは四〇%以下ですよ。都計審で審議をして決定された、下手をするとそういうものが、宅地開発もあるでしょう、道路計画もあるでしょう、河川計画もあるでしょう。しかし道路計画なんというのは四割以下ですよ。こういうことを一つ考えても大きなネックになっていることは事実なんですから、もう少し認識を新たにしながらもっとこれらのチェックをされて、そしてもっと回転を速くすることによって内需も拡大できるわけですから、その辺をもう一度述べてください。
  263. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、従来からも指導いたしておりますけれども、なかなか徹底しない、依然として批判が絶えないという実態にございますので、今度は具体的な事務処理のやり方をマニュアルにして第一線に流そう、そういうことによって効果を上げたいというふうに考えております。
  264. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 これはぜひマニュアルをつくってそれでやっていただければ、もっと安い宅地でもっと内需の拡大ができるし、ぜい肉が取れると思いますので、ぜひお願いします。  また、例えば許認可の問題でいろいろな問題があるわけですけれども、こんな話を聞いたことはありますか。五十ヘクタールの宅地開発をしようとすると、許認可の書類だけでもダンボールが二十箱ぐらい要るのですよ、図面から何から全部で、開発許可がおりるまであなたがマニュアルをつくるというんだからもうそれ以上言いません。だけれども、そういうことが現実なんだから、そういう点で今いろいろな問題で指摘を申し上げましたけれども、現実なんですよ。そういうことを含めて徹底してこれをやらない限りできません。例えば建築基準一つあっても、建築基準法というものは全体に全国一括ですけれども、それぞれの市町村によってそこには上積みされているわけです。基準法だけではなく、日照の問題も出てくれば道路斜線、北側斜線、みんなそういう形で全部ぶっつけてきているでしょう。だから、そういうことを含めて指導方をもっと強硬にしなければ、あなたたちがすばらしい考え方を持っていても、それはできないんじゃないかと私は思う。  もう一つ、例えばこんな例があるのですね。千平米くらいの宅地開発、ミニ宅地開発をします。そうすると、その前提条件としてそこには遊水地というか、この表現がいいかどうか、とにかく調整池みたいなものをつくる。そして河川が改修される。これは下水が入るまでということで役所は指導するのですが、全国的に調整池というのは水害防止のために指導していらっしゃると思います。しかし河川が改修されても、下水道がオーケーになっても、一度決めたものは、その調整池は解除しないのです。しかしそれは個人のものなんですよ。税金も払っているのですよ。こういう問題点が幾つもあるわけですから、そういうあらゆる問題点を整理して、この際だからぜひやっていただきたいと思うのですね。そういう例を申し上げるならばまだ幾らでも出てくるのです。  ですから、そういう点で、例えば大きな団地等で考えてみますと、一つの団地を造成するのに、道路をつくるのはしようがないにしても、公園も、学校用地も、さらには代替用地としてそこに公共用地をとるわけです。ですから、宅地をつくるために拠出をするというか、全体的なそういうものが最近非常に多くなってきている。ではそこに住んでいる人たちが現実にどれだけ利用できるのかというと、わずか一〇%くらい。下手をすると、あと九〇%以上のものは、行政がやらなければいけないものをみんな民間が肩がわりしている。ですから最終的には消費者が高い物を買わされている。内需拡大どころではない。こういう問題があるのです。  建設大臣、今一連の話を申し上げましたけれども、この辺についての考え方を述べていただきたいと思います。
  265. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今いろいろ御指摘いただいたわけでございますが、局長からも、マニュアルを策定しまして迅速な処理に努めるということを答弁申し上げました。  こうした一連の指導要綱とか開発に取り組む事務処理の問題につきましては、周囲の環境の問題とか防災問題とか、住民の立場に立ってのいろいろな指導というものをかなりしていかなければならないというようなこと等を考えてみまして、役所は役所なりに一生懸命努力はされていると私は思います。しかし、今御指摘のありましたように、もう少し簡素にして迅速な処理をするということが当然時代の要請であり、行政はそうした方向で取り組んでいかなければならぬ、そういうふうに考えていますので、そうした点等をよく踏まえまして、私ども真剣に検討し、指導してまいりたい、かように考えております。
  266. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 大臣から御答弁いただいたように、ぜひこの問題は、特に直接内需の拡大に影響する問題が相当ありますので、もっともっと本当に、皆さん得意のスクラップ・アンド・ビルドでやってください。私は本当にこれはもう半分以下でいいと思う。私もいろいろなことをチェックさせていただいて、半分以下でいいと思う。ですから、そういう点を含めてぜひお願いしたいと思います。  次は、通産大臣がせっかくお見えいただいておりますので、質問をさせていただきたいと思います。通産大臣には、輸出の規制について、この関連を含めてお伺いをしたいと思うのです。  例えば現在の輸出検査法という法律がありますね。これは昭和三十二年に制定されたものでありますけれども、私はその法律趣旨というものは既にクリアをされているのではないかと思いますが、当時の考え方もまた現在に至っては大きく変わり、そしてその輸出検査法の成果というものはもう十二分に発揮できているのではないかと思いますけれども、これらについて冒頭にお答えをいただきたいと思います。
  267. 黒田真

    ○黒田(真)政府委員 お答えいたします。  輸出検査法は昭和三十二年に、輸出検査を行うことによりまして輸出品の声価の維持及びその向上を図り、もって輸出貿易の健全な発展に寄与するという目的でつくられたものでございます。その当時、安かろう悪かろうといったような批判も一部にございましたので、相当広範囲な品目を指定いたしまして、あらかじめ定めた基準に適合しないものは輸出させないというような措置がとられたわけでございます。一時は日本の輸出の四割を超えるほどのものを対象にしてきたということでございます。  しかし、その後企業の技術水準というものは著しく向上いたしてきておりますし、また日本の輸出品の声価というものも極めて良好であるという評価を世界的に得るに至りましたことは大変喜ばしいことだと思っております。したがいまして、私どもも、そういった業界の実態の進展に応じまして、これらの輸出検査対象品目を逐次緩和するという措置を今日まで講じてきたところでございまして、既に輸出全体に占める輸出検査対象品目のカバレージというものは七%程度というところまで下がっておりますし、品目の数え方というのはいろいろございますけれども、五百ばかりの品目が現在は百四十品目というふうになっているわけでございます。  ただいま一般的に申しまして、ここまで日本技術が上がったのにまだ政府が手を加える必要があるのだろうかという御指摘はあるわけでございまして、日本の経済界等からもそういった御意見があることは私ども十分承知しておるわけでございます。ただ、私ども検査を実際に実施しております立場から申し上げますと、実は相当有名な商品、既に日本における評価が定着したと考えられる商品、しかも比較的私ども承知しているような企業でございましても、この検査におきまして基準に適合していない不合格品というようなものが実際に生じているということがございます。この理由といたしましては、やはり時間がたてば当然のことながら品質管理が徹底して、品質も安定し、そのようなことが起こらないということは当然期待できるわけでございますけれども、新しい製品を開発するような場合には当然少し無理がかかってくる、あるいは部品の点数、工程数が増加するというようなことで、どうも必ずしも、私どもが期待しあるいは一般的に考えているような程度にまで達していない品目も一部にあるわけでございまして、今直ちにこの輸出検査法というものを廃止する、あるいは輸出検査品目というものをなくしてしまうというわけにはいかないのではないかと思っております。  しかし、冒頭申し上げましたように、逐次こういった対象というものを減らしていくべきであるという必要については十分理解しておるところでございまして、行政改革の大綱等におきましても、今後三年間において三十品目を削除しようという計画をつくってこれを推進しているところでございます。
  268. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 努力はわかりますけれども日本の品物というものは国際的に評価をされ、もうここまでいろいろな形で、少なくとも自主検査を含めて独立してやれる段階に来ていると思うのです。日本の品物は、対外的にいつでもその製品、品質というものは高く評価されているでしょう。ですからそういう点では、自由経済の中で国際的に十分に競争のできるそれだけの体質を持った企業であり、製品だと私は思っておるわけです。今おっしゃられていることは、逆に、過剰指導である。ですから輸出が、あるいはまた輸入がというときに問題が出てくるわけです。  例えばカメラや時計等の問題で、同じく輸出検査をやってますでしょう。なぜしなければいけないのか。当時は時計やカメラというとスイスのものが一番いい。今アメリカへ行ってもあるいはまたどこへ行っても、日本の時計、カメラというのは高く評価されている。そして現実、されているじゃないですか。独立できるんですよ。それも抜き取り検査でやって、なおかつそこには、全個にそれぞれの検査料として料金を加算されているわけです。ここに大きな問題が出てきているわけです。極端なことを言えば、抜き取り検査をしているのならばその検査分だけ手数料として払えばいいのでしょう。全個に検査料をかけているじゃないですか。そしてそのお金をちょうだいして、それは先ほどの答弁にもあったように、あるいはまた私どもの和田委員の代表質問答弁にもあったように、別会社に現実には払われている。それは天下りじゃないですか。私は、この制度やあるいはまた輸出検査法そのものが所期の目的を達成されてもそれを廃止できないというのは、天下り先を確保するために廃止できないんじゃないかな、こんな感じを持つ。現実にそういう批評がされているんですよ、現実にそういう評判が立っているんです。そういう点で、これらについてどう考えているか。  まして、これから中小零細企業が物を輸出しようとするときに、ドル高でなくもう円高になっているのですよ。二割高になっているのです。そして、なお検査料金まで出さなければいけない。こういうことであってはいけないと思うのです。むしろみずから品質保証を作成をして、その信頼のもとに、できるだけそういう間接的な経費をかけない意味でもこういうことは廃止すべきじゃないかと思いますけれども答弁を願いたいと思います。
  269. 黒田真

    ○黒田(真)政府委員 天下り先となっているのではないかという御指摘がございましたので、まずその点からお答えいたしますと、御指摘になりました時計及びカメラにつきましては、それぞれ輸出検査品目で検査協会というようなものがございますが、例えば時計検査協会の四十名の常勤役職員のうち、私ども通商産業省を出身した者は二名でございます。カメラ検査協会、百十四名の常勤役職員がおりますが、通商産業省出身の者は一名でございまして、現に私どもの出身者がいるということは事実でございますが、天下り先というにしてはそうたくさん行っているわけではないという事実をちょっと申し上げておきたいと思います。  それから、抽出検査をしていながら全部の商品から検査料を徴収しているではないかという御指摘の点でございますが、これは確かにそういうふうなことだと言うこともできますが、むしろ輸出貨物全体が輸出をする前に検査を受けなければならない。したがって、すべての品目が輸出検査を受ける対象になっているわけでございます。  その検査の仕方として、一番初歩的な段階では全数の検査ということが行われ得るわけでございます。しかし、先ほど来の御議論にございましたように、品質管理が非常に徹底してきておりますので、必ずしも全数検査を行う必要がなくなっている。そこで、その中から抽出を行うことによって全数の推定をするという統計的な手法が導入されていることは御承知のとおりであります。その際、輸出検査の対象は全品目でございますから、そういう意味で全品目からいただくということになるわけでございます。  ただ、一つ申し上げておきたいと思いますのは、会社、企業側自身の品質管理によりまして不合格率が低下する、品質管理が確かめられているものにつきましては、程度に応じてその手数料に対する返戻金というような仕組みを設けて、成績のいい企業、輸出検査の手数がより少なくて済むものについてはいただくお金を減額するという形にしているわけでございます。  先ほど、輸出検査というものが若干余計なことではないかという御指摘もございましたが、今日におきましては、品質を維持するということが輸出におきましては何よりも重要なことでございまして、既に相当長期間にわたってこの輸出検査制度が定着いたしておりますので、企業の検査体制、品質管理体制の中にうまく組み込まれて、第三者によるチェックということで十分活用されているのが実情である、かように理解しているところでございます。
  270. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 限られている時間ですから要領よく答弁してください。  私がお願いしているのは、こういう時勢であり、QC活動がこれだけ徹底してきている中で、この制度はもう不要になってきているのではないか、抜き取りをやっているにもかかわらず全品目に対してその機械の使用料をかけることはおかしいじゃないか、まして円高になってきているときにこういうことをやられること自体がおかしいとはっきり申し上げておるわけです。そしてその機械の使用料はどこに入るのですか。例えばカメラならカメラ、五十万台ロットで輸出しますね。五十万台に対して一台当たり二十三円で一千百五十万円、払っている四〇%が機械の借用料として払っているじゃないですか、あとは協会に対して委託料として払っているじゃないですか。もうこういうことは要らない。そういう時代じゃないのです。まして、自由経済の中でお互いに企業の存続をかけて命をかけてやっているのだから、あなたたちがそういうことをすること自体がおせっかいなんですよ。そういう時代になってきている。ですから、こういうことは廃止すべきじゃないですか。業界もそういうことは迷惑だと言っているのです。何も迷惑なことをしなくたっていいじゃないですか、独自にそれだけ成長してきたのですから。この辺は大臣から答弁してください。
  271. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 輸出検査法が制定されましてから大分年限がたちまして、だんだん縮減をしていっているという方向は黒田局長から申し上げたとおりでございます。  今の田中委員からの御指摘もよくわかるところでございまして、今後そういった趣旨で漸次品目数を減らしていくという観点でございます。例えば五十五年には百六十三ありましたものが、六十年には百十八というわけで、五年間で三割縮減をしておりますし、また今後も、六十年九月の行政改革大綱によって輸出検査品目数について整理・縮小基準が設けられているわけでございますので、これを中心にいたしまして三十品日程度、昭和六十年度以降三年をめどに指定貨物から削除するということで検討を続けてまいります。
  272. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 大臣がそういう答弁をしているのですから、あなた、それぞれの変化に対応するのが行革の精神じゃないですか。昭和三十二年ですよ。何年たっているのですか。何もここで骨とう品をつくれと言っているのじゃないのです。情勢の変化に対応するのが日本の国のためなんですよ。そういう点で、先ほどのような答弁でははっきり申し上げて納得しないのです。天下り云々に対してあなたが言っているけれども、輸出検査法にかかわるところだけでも、例えば日本時計検査協会とか四つあるでしょう。そんなことを指摘すると切りがないわけですけれども、そういう点を随時直していかないと、幾らそういうことをやろうとしたってできませんから、迷惑だと言っているのですから、何も役所がいつまでもそんなことをやる必要がないのですから、このことも含めて随時というよりもできるだけ早くやってください、それだけ言っておきます。  次に、また同じような形になろうかと思いますけれども、今度の規制の中で、やはり同じような安全確保のためにという規制と経済活動の活性化を図るためにという規制と、その規制を分けるべきじゃないかというこういう二種類の中で、SマークとSGマーク、すなわちセーフティーマークとセーフティーグッズマーク、こういうものが安全の一つの目安になっておりますけれども、ここにもやはり大きな問題が出てきているのではないかと思います。例えばSマークは、人体に危害を与えるおそれがある特定品目、八品目につけているわけでありますけれども、実際には四品目、家庭用の圧力なべとか乳児用のベッドとかローラースケートとか登山用ロープ、こういうものになっているわけです。これも安全協会に委託して製品の検査を行っているところであります。すなわち、安全基準は認定基準と全く同一というような感じで受け取らざるを得ないわけであります。消費者は、SマークがいいのかSGマークがいいのかわからない、これが実態ではないかと思います。そういう点で、私はむしろ、Sマーク、SGマークは一本化した方がいいんじゃないかと思うのですけれども、まずその辺についてお聞かせいただきたいと思います。
  273. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいまの御指摘でございますけれども先生もお述べになられましたように、Sマークの方は消費生活用製品の中で、構造、材質、使用状況等から見まして、一般消費者の生命、身体に特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品につきまして、国が審議会にも図りまして特定の製品として指定した製品につきまして、安全基準も国みずから定め、確かに一部検査につきましてはおっしゃいましたように代行業務を安全協会に行わせる等のことはございますけれども、国が検定あるいは登録、型式承認を行いまして、製品の安全についてその確保を図るべく国の立場を明確にして進めている制度でございます。  他方、SGマークの方は、認可法人でございます安全協会が自主的に選定した製品につきまして、また安全基準に相当いたします基準民間側において自主的に定めて、協会がその基準に適合しているものとして認定した製品にマークを貼付するような仕組みになっており、この点については、特にSGの方は消費者が安全な品物を買う際の判断の指標として定着するとともに、製品の欠陥による被害者救済の円滑化に貢献する役割を果たしてきたと思うわけでございますが、翻って、先ほど申し上げましたSマークの方については、消費生活用製品安全法に基づく国の規制、すなわちSマーク制度が安全性の確保に貢献してきたという意味において、危険度の差に応じた規制の対応の差を背景としたものと御理解をいただきたいと思います。
  274. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 私は、その精神なり能書きを聞いているのじゃないのですよ。一緒にしたらどうだと言っているのです。いいですか。それでは、あなたが言っているにもかかわらず、ことしの六月二十五日に、Sマークがついた乳児用のベッドで生後六カ月の赤ちゃんが口と鼻をふさいで死んじゃっているじゃないですか。そうでしょう、現実にそういうことがあるじゃないですか。ですから、私は、そういうことを含めて、そういう決めたものは時代とともに変化をするんだから、ここで一本化したらどうだと言っているのです。あなたがおっしゃる意味はもうわかっている。しかしSマークがついているでしょう、Sマークがついていたって死ぬときは死ぬんですよ、はっきり言って。ですから、Sマーク、SGマークというものはもうぼつぼつ統一をして考えるべきじゃないか、あるいは極端なことを言えば、自己認証制というものをもっと厳しく取り入れて、そこで行うべきじゃないかという私の考え方を申し上げておるのです。何も紋切り型にその精神や生い立ちを述べられたってしようがない、そんなことは知っていて物を申しているのだから、その辺もう一度聞かせてください。
  275. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生の御意見、まことに御示唆に富む御意見とは承りましたけれども、やはりSマークの製品につきましては、国が責任を持って安全基準を定め、危険のある、特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品についての対応を図っていくべき制度でございまして、今回法案を提出して御審議を賜っておりますように、その中にできるだけ自己認証制度を取り入れてまいりたいという考え方は取り入れているわけでございます。  他方、SGマークの方については、先ほど来申し上げましたように民間の自主的な活動として、幅広い品目について消費者の購買選択の判断指標あるいは被害者救済の円滑化という観点から進めているものでございまして、できるだけ民間の自主性を尊重しながら、ただいま申し上げたような目的を達していこう、こういう制度でございます。  ただし、両制度については御指摘のように関連するところも多うございます。したがいまして、両制度については、今後とも関連性についてよく留意しながら適切な運用を図ってまいりたいと思います。
  276. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 最後に大臣答弁いただきますが、いま少しあるので少し待ってください。  いずれにしても、こういう一連の問題、Sマークが国の安全基準で、生命は大切だ、確かにそうかもわからないけれども、それで死んじゃっているんでしょう。ですから、SマークもSGマークもあるいはまた自己認証制度も、そういう事態なんだからもう少しちゃんとしなさいと申し上げているわけです。何もそのものが張ってあるからすべて完全に保証されるというわけじゃないのだから、そういう点では逆に、民間のいいものを、SGマークでもそういうものを含めて取り入れていく、もうそういう時代であろうということを申し上げているわけです。  次に、これは通産と国税に関係する問題でありますけれども、例えば輸入品の問題、特にお酒の問題で、先ほども指摘をされたようにワインやそういう問題、現実には入ってくるときょり日本国内の単価が全然高い、五倍も十倍もする。あるいは高級品と言われているヴィトンのバックとか、何でもそういうものが、輸入業者から入ってくるときには例えば一万円で入るとしますでしょう。一万円で入ったものがデパートに卸すときには一万四千円くらいになるんです。デパートが消費者に売るときは完全に二万円になっていくんです。  ですから、こういうことを含めて、むしろこういうところに流通のめどや行政指導を通産がやらなければ、幾ら片方でアクションプログラムを一生懸命やったところで、そういう問題があったのではならぬと思います。そういう点で、この一連の問題について、今申し上げているような問題について、これは大臣で結構ですから答弁していただきたいと思います。
  277. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 田中委員にお答え申し上げます。  先ほど来の御質問趣旨はまさによくわかるんです。行政合理化そのものが、ここに後藤田長官おいでになりますが、いわゆる小さな政府をつくる、そして民主的な効率を上げるという趣旨でありますから、その趣旨から御提案をされたいろいろの問題については、田中議員の真意は非常によくわかります。こちらで承っておってさすがによく考えていらっしゃる、こう考えておったところでございます。  ただ、行政の合理化という意味では、これを一挙にやってしまいますと、国民の安全に関する問題その他、万一事故等が起こりましたとき非常に大きな問題になる可能性もございますし、政府のサイドから言いますと、自由な発想からおっしゃったことをすぐにキャッチャーとして受けとめかねる点もあるのでございまして、御趣旨はよくわかりますので、そういった御趣旨を体して検討してまいっており、また今後も続けてまいるつもりでございます。
  278. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、これからの日本のそれぞれ貿易やあるいはまた輸入輸出のいろいろな問題を含めて、通産大臣の取り組み方によっては日本の景気もよくなるし悪くもなる、あるいはまた外国の非難もこうむることもあるでしょう。そういう点では、一番本当のキーポイントはあなたの今おっしゃられた一言に尽きると私は思いますので、根強い官僚社会で大変だと思いますけれども、ぜひ頑張ってやっていただくことがあなた自身のためであり、また日本のためでありますから、その辺を含めてお願いしたいと思います。  国税、酒の問題でお酒があんなになぜ高くなるのか、やはりこの辺も批判をこうむっているんで、簡単で結構ですから、こういう問題を含めてお話を、だんだん時間も迫ってきているんで、先ほど分けておりましたけれども、お酒類ということで答弁をいただきたいと思います。
  279. 村本久夫

    ○村本政府委員 今回、輸入酒類の流通実態調査をいたしました結果、御承知のとおりウイスキーにつきましてもいろいろと言われております。輸入業者も流通業者だというふうにとらえてみますと、スタンダード物、四千円程度のウイスキーでございますと、輸入業者のとり分が八ないし二一ということですけれども、一万円程度の高級ウイスキーになると輸入業者のマージンが三五から四五、こういうような実態になっております。  これにつきまして私どもが調査をいたしましたところによりますと、一つは、輸入業者がマーケティングあるいは広告宣伝、販売促進活動、そういった販売活動を海外のメーカーにかわって行っている、これは国産でございますとメーカーが主になってやるものでございます、そういうようなこと。あるいはFOB価格の変動ですとか為替レートの変動等のリスクを負っているというようなこと。さらに、一部のものかもしれませんけれども、商品の差別化あるいはブランドイメージ維持向上、そういうようなことを考えて高価格政策をとっているというようなことによるものと思われております。  卸、小売のマージンについては国産品と比べましてわずかに差がある程度でございますが、これはその取引のロットが小さくて商品の回転率が低い、したがって金利等の販売コストが割高になる、そういうことのために若干の開きがある、こういうことでございます。  いずれにいたしましても、内外の関心が強い物資でもございますので、かねてから輸入業者に対しましては適正な価格を設定するよう指導をいたしているところでございますけれども、今後これが、今度の流通実態調査はアクションプログラムに従ってやったわけでございますが、物価安定政策会議政策部会に輸入品の流通等に関する専門委員会、ここで検討が行われ、本年度末をめどに政策部会の意見または報告が出されるということになっております。そうしたことを踏まえまして、必要に応じ適切な指導をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
  280. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 適切な指導をするというのですからそれ以上のことはないと思いますけれども、いずれにしても、輸入業者だけではなく販売の段階でもそういう問題が出てきているわけですから、例えば今のお酒の問題、小売ですけれども輸入される時点と販売する時点でさらに恐らく三割以上のアップということがよく言われる。ですから、現実には向こうから輸入してきた価格、それでその輸入業者が次に新たに卸して消費者に行く段階までには、三段階から四段階になっていく。そういう点で非常にアップされています。倍倍じゃないですけれども、そういう形になっていますので、いま少しその辺の指導をしていただかないと、特に酒類はいけないのじゃないかと思いますので、よろしくお願いします。積極的にやるということですからなんでありますが、ただ問題は、通産大臣よく聞いておいていただきたいのは、お酒ばかりじゃなく高級品と言われるもの、特に高級品と言われるもの、輸入業者が幾ら一生懸命努力して安く仕入れてきても、その品物を全部吐き出さなければいけないものですから、大手のデパートに売りますでしょう、デパートが四割、五割掛けて売るのですよ、はっきり申し上げて。そのかわり買い取り制だ。ですから、買い取っていただけるからということで売るわけですけれども、四割、五割ですよ。ですから逆に仕入れの時点で調整してしまうわけですね。一万円で入ったものを一万四千円に逆に上げてみたり自分で自己調整をそこでしてしまうところに物が高くなっている。現実に私のところにいろいろこういう資料をちょうだいして私も驚いたわけです。こういうことを含めて通産大臣、一生懸命やられてもこういう問題があるから、ぜひいま少しそういう点をチェックしておいてください。これは要望しておきます。  通産大臣お忙しいでしょうから、あと私はほかのことになりますので結構でございます。  次に航空関係、運輸関係について質問したいと思います。特に、行革の一連で専売公社、電電公社あるいは今国鉄の問題が取りざたされておりますけれども、今般日本航空完全民営化の声が高まっているわけでありますけれども、これらについて見解を伺っておきたいと思います。
  281. 西村康雄

    ○西村政府委員 日本航空株式会社は昭和二十八年、特殊法人として設立されました。この特殊法人として設立された理由は、今日考えますと既に十分にその目的を達してきているという基本的な認識がございます。  これは、当時競争の激しい国際市場の中で本邦企業が各国と伍して発展していくためには、当時の日本としては一社に路線を集中し、そしてその会社を政府が強力に助成をするということで国際的な発展を期してきたわけでございますが、今日の日本航空は、有償の旅客キロ、これの国際線では世界一というところまで達しました。ただ、企業体としてはまだまだ世界的には大きな会社があるわけですが、一応はそこまで成長してまいりました。こういう点から私ども日本航空が本来の設立の目的をまずその点では達してきたのではないだろうかということを基本的に考えております。  また、もう一つの事情として、例えば日米間ではアメリカ側は非常に多数の会社が日本側に乗り入れてまいります。こういった事情に対応して、日本側も複数社でこれに対抗していくということの必要性もまた生じてきておりますし、こういった点は、利用者サービスの向上という点から申しましても、複数社制の採用によるそういった消費者利便の確保という視点が強く要請されてきているわけでございます。  また、日本航空が特殊法人として長い間やってきました場合に、やはり会社全体として巨大化した点もございます。今日、世上いろいろと日本航空の企業体質の問題など論じられておりますが、私どもも、日本航空が自主的な経営を行っていくということが今日の段階において適当なことではないかという基本的な認識がございます。こういった点から、ことしの九月に運輸省では、運輸政策審議会に「航空企業の運営体制の在り方に関する基本方針について」、これを諮問したわけでございますが、この中の一つの柱として日本航空完全民営化ということを諮問しているわけでございます。ただ、日本航空完全民営化を行いますにつきましては、航空企業全体の運営体制の中でどう位置づけるかというような問題もございます。そういった点を含めまして現在審議会で審議中でございます。この御結論をいただきましたら、速やかにその方向で措置をしていくというふうな取り組み姿勢でございます。
  282. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、国鉄も民営化の問題が真剣に問われている時期でありますし、日航だけがこの民営化というものをやはりどうしても避けて通れない、こういう時期に来ていると思います。やはり競争の原理というものをいろいろな角度ですることが、安全の問題やらあるいはまたそれぞれ独立に対する考え方も、甘えではなく、真剣に問われるのではないか、こんなふうに思いますので、真剣にやっていただきたいと思います。  また、最近の航空行政の中で、先般の日航事故原因の問題、先ほども調査中であるということでありますから、それ以上は詰めませんけれども、調査中にしても少し長過ぎる。もっと原因をはっきりして、そういうことを明確にしてやる必要があろうと思います。これは墜落事故の問題を申し上げているのですよ。  また、私は、例えばチェック方法にも問題があると思うのです。今までのプロペラのチェックとジェットのチェック、そしてサンプリングチェック方式をとっていますでしょう。それはやはり自動車だって今までは二年に一回車検があったわけです。今は車検が三年になりましたけれども飛行機はそういう全数点検はないわけです。フライト時間が幾らあっても、そういう点での全数点検はない、そういうところから大きな問題が出てきていると思います。そういう点を含めてやはり管理体制とかチェック体制を万全にする。ある人に聞きますと、全部チェックすると二カ月かかる、ですから一年のうち十カ月しか商売できないから、それでは営業にならぬからという話も聞いたのですけれども、やはり人間の生命というものはそんなものじゃないわけですから、安全輸送確保のためにもそういうことをぜひやっていただきたい、こういうふうに思うのですけれども、これらについてどう考えているか、お伺いしたいと思います。
  283. 大島士郎

    大島政府委員 航空機の整備に関してお尋ねがございますが、航空機の整備につきましては、定時整備とそれから構造の点検整備とございます。  定時整備につきましては、大体航空機が同じであれば同じような方法でやっているわけでございまして、例えば日本航空ジャンボの場合には、飛行三百時間ごとにこれはすべての飛行機について必要な点検を行います。あるいは三千時間ごとにC整備と申しますかなり深い整備を、これも全機について行ってございます。  ただいま先生指摘のサンプリング検査につきましては、機体の構造検査についてサンプリング検査を採用しているところでございまして、これは747の全世界の航空機を対象といたしましてサンプリング検査をする、このサンプリング検査の結果のふぐあいにつきまして、また全世界の航空機にこの対策を適用する、こういうような方式、それからさらに、最近ではボーイング747も大分古い機体になってきましたので、古い機体に対する特別構造検査を設定するなど、十分安全性を考えた整備をやっているところでございます。
  284. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、A、B、C、それはよく存じ上げておりますが、ただサンプリングという問題だけではなく、全世界が云々ということじゃなく、先ほども議論があったように、やはり事故を未然に防ぐという意味では、何もアメリカがこうだからということじゃなくして、それぞれ独自の検査方法をやるべきだと思いますので、今後そうしてください。  時間の関係で次へ移らせてもらいますけれども飛行機の関係で言うならば、これだけは何とかしてもらいたいという通行税の問題です。皆さん飛行機の利用がだんだん多くなっておるし、国鉄の通行税というのは新幹線のグリーン車だけ、船は特等、飛行機は全部なんですね。ファーストクラスだったらわかるのですけれども、もうこれだけパブリックになってきたのですから、一〇%かけること自体がやはり大きな問題ではないかと思うのです。こういう点について、これはどこになりますか。
  285. 瀧川哲男

    ○瀧川説明員 お答え申し上げます。  通行税の性格論からまず申し上げなければならないと思うのですけれども、世上言われますように、通行税は奢侈課税ではございませんで、ことしの四月ですか、私ども大臣から予算委員会においてお答え申し上げましたように、これは通常のものよりも質の高い輸送サービス、そういうものに対する消費に着目しまして負担を求める、こういう種類の租税でございまして、今おっしゃられたとおり、航空機の運賃、それから国鉄のグリーンあるいは船の特等、こういうものに課税しておるわけでございます。航空機による輸送サービスにつきましては、今おっしゃられたファーストクラスといいますか、今度できましたスーパーシート、これに限らないで、要するに近代におきまして最も貴重である時間というものを稼ぐという意味で、他の各種の輸送手段よりは輸送サービスとして質が高いものであるというように我々は考えております。したがって、航空機による輸送サービスにつきまして、ファーストクラスにだけ負担を求めるということにつきましてはむしろ適当ではないと考えておるわけでございます。
  286. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 いずれにしても、こういう問題ももっと真剣に考えていただきたい。それはもう航空機の利用というのは非常に多くなってきておるし、そういうことですから今後よく検討していただきたいと思います。  最後になりますが、総務庁長官及び経企庁の方にまとめとしてお伺いしたいわけですけれども、実は今度の規制緩和は大々的にいろいろと打ち出しておりますけれども、やはり何といっても感じられることは、極端なことを言って中身が余りないのじゃないかな、こんなことを指摘せざるを得ないわけであります。やはりこれからの許可あるいはまた認可検査等々、そういう考え方だけでも二十一の用語があるわけです。あるいはまた、中央省庁の許可だけでも一万件以上あるわけですから、そういう問題を含めて行政指導というものをもっと徹底してやらなければ、本当の意味での行政改革も規制緩和もできないと思います。こういうことを含めて、私は後藤田長官にもっと積極的にやっていただきたいという意味で御答弁をいただきたいし、また経企庁には、現在これだけ大大的に打ち出したのだったら、これだけやればどれだけの効果があるか、こんなことをお聞きしたい。  以上をもちまして、私は、それぞれ限られた時間でありますけれども、最後にそういう皆さんの考え方をお聞きして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。
  287. 後藤田正晴

    後藤田国務大臣 私も田中さんの御意見と同じ認識のもとに将来とも取り組んでいきたい、かように考えております。
  288. 勝村坦郎

    ○勝村政府委員 規制緩和は、一般的に申しまして、長期的並びに短期的に経済成長並びに内需の拡大に大きく寄与するだろうということは、今さら私から申し上げる必要はないことだと思います。特に民間分野におきまして、新規参入等で競争条件が一層促進される、あるいは新しい市場が民間活動の対象になってくるということで、言うまでもなく、今言ったような民間活動の一層の活発化ということが期待されるわけでございます。  ただ、ただいま御質問の、それでは何%ぐらいの経済成長が期待できるのかということになりますと、実はまことに御期待に沿える御答弁を申し上げられなくて申しわけないのですが、これはどういたしましても、計測技術の困難性から、数値的に何%ということをここでお答え申し上げることはちょっと不可能かと存じます。
  289. 田中慶秋

    ○田中(慶)委員 経企庁の問題については、また次回にチャンスがありますのでやらしていただきます。  以上で私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  290. 中島源太郎

    中島委員長 三浦久君。
  291. 三浦久

    ○三浦(久)委員 最初に、金子国務大臣にお尋ねをいたします。  政府は、アメリカなどの対日要求にこたえた市場開放のためのアクションプログラムを発表なさいました。それに基づいて、消費生活用製品安全法やガス事業法、それから消防法、電波法、航空法等の改定を一括法の中に入れて提案をしてきているわけであります。しかし、これは国民の安全にかかわる重大な内容を含んでいると私は思うのですね。  本来、この安全基準制度とか認証制度というのは、輸入規制目的にして設けられたものではございません。製品の安全を保証して一般の消費者を保護する、そういう観点から設けられたものであります。それにもかかわらず、アメリカはいわゆる輸入の障壁だ、こういうことを言ってその緩和を求めてくる、それに対して日本政府は屈服をして、次から次へと譲歩に譲歩を重ねてきているということなんですね。ですから、安全という政策的な目的でつくられたものを全く別の政策的な目的、それによって緩和していくというのは筋違いじゃなかろうか。こういう問題を考えるときには、もっと安全という問題を中心に考えていかなければならない。それを市場開放という全く別の政策目的、そういう目的で緩和をしていくというのはもう考えられないことですね。そういう意味大臣の御見解をお尋ねいたしたいと思うのです。
  292. 金子一平

    ○金子国務大臣 今回のアクションプログラムの検討に当たりましては、原則自由、例外制限というような観点から総点検をいたしましたけれども、三浦さんの御指摘の生命、身体の安全確保につきましては、これを守ることは政府としては一番大事なことでございますから、ぎりぎりの例外として取り扱うことにしておるのでございまして、例えば医薬品につきましても、公の機関でオーソライズをされたものでも人種の別によって日本人にはそのまま適用されないものもありますから、これは十分検査しましょうとか、あるいは航空機の安全保証にいたしましても、向こうの自己認証だけじゃ通しませんぞということで、そういう点は十分配慮して今度のアクションプログラムを決定したような次第でございます。  具体的な事例につきましては、なお御質問があれば政府委員からして答弁させますが、対象となる製品等に係る品質の状況等につきまして十分配慮した上で基準を決めた、こういうふうに御理解いただきたいと存じます。
  293. 三浦久

    ○三浦(久)委員 しかし、この法案が出てくる経過を見ますと、市場開放のためのアクションプログラムということで大々的に宣伝されて出てきているわけです。ですから、安全性を中心にしてこういうものが考えられてきたということは言えないと私は思うのです。これはまた、後で具体的にずっと通産大臣の方にお尋ねをしていきます。  それぞれの国にはそれぞれの歴史があり、文化があるわけです。例えば食事の問題一つとってみても、日本人は米を食うし外国人はパンを食うとか、同じ米を食ってもはしを使うとか手でつかむとかいろいろあるわけです。食品添加物の問題一つとってみても、日本は添加物が一番少ない国ですね。許可しているのが一番少ない。それはそれぞれの歴史的な経過があるからそうなっているわけです。それに対して、いや、それは輸入がどうだから輸出がどうだからもっと添加物を認めろとか、そういうことで外国がどんどんくちばしを入れてきて、それに対してこっちはどんどん屈服していくというようなことは、日本の食生活文化といいますか、これは大変重要な問題ですが、そういうものに対する干渉でもあると思うわけです。  ですから、日本人のことはやはり日本の国が責任を持って決める、ましてやそういう食生活の問題とか安全の問題というのは日本が責任を持って、自主的な立場でもって判断をしていくということが必要なのじゃなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  294. 金子一平

    ○金子国務大臣 お話しの点は十分配慮して決定をいたしたつもりでございます。  ただ、もうはっきりと検査を厳重にする必要のないものについても輸入手続が非常に厄介になっているようなものがたくさんございましたものですから、そういうものはこの際全面的に見直しをして手続を簡単にした。しかし、国民の生命、身体に関するようなものは輸入に際して徹底的に検査をするようにしておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  295. 三浦久

    ○三浦(久)委員 しかし、私は、政府の方針というのはやはり右へならえだと思うのです。右へならえというやり方なんですよ。  例えば、五十八年三月二十六日に基準・認証制度等連絡調整本部というものが「基準・認証制度の改善について」という文書を発表しておりますね。これはアクションプログラムの基礎になったものでございますけれども基準の「国際化の推進」ということを一項目挙げていろいろ書かれております。その中には、国際規格・基準への整合を促進するというふうになっているのですよ。これでは自主的な立場だとは言えないと私は思う。どういうことかというと、例えば登山用ロープの問題を一つとってみても、これは今度第一種と第二種に分けて、そのうちのどっちに入るのかまだわからないわけですけれども、ヨーロッパの山と日本の山では違うわけです。日本の登山用ロープの安全基準が厳し過ぎるという批判が外国からあるようですけれども、外国の高い山というのは全部岩に氷が張りついています。だからロープは直接氷に当たるわけです。ところが日本の山というのはそういう山は余りないのです。やはりロープが岩に直接当たる。ですから、氷に当たる場合と岩に当たる場合じゃ違うわけですから、それぞれの国の事情といいますか、やはりそういうものを基準にして慎重にやっていかなければならない、そうでなければ私ども国民が安心して生活できなのじゃないかと私は思うのですよ。そういう日本の特殊な事情というものを十分に勘案して基準・認証制度の見直しをすべきだと思いますが、いかがでございましょうか。
  296. 金子一平

    ○金子国務大臣 国際的にオーソライズをされた程度のものは日本でもそれはそのまま認めてしかるべきではないか。今の登山用ロープの問題は私は具体的に存じませんからお答えできませんけれども、やはり世界的に一定の規格が認められておるようなものについては、特に日本人として使用に困るというようなものは別として、それはそのまま認めたって一向構わないのじゃないか。かえってそういうことによって、日本自身も手間をかけていることでございますし、外国からの輸入に支障を生ずるというような問題も多うございましょうから、そういう点について今度全面的に見直した、こういうふうに私は考えております。
  297. 三浦久

    ○三浦(久)委員 しかし、それじゃ安全を守るという観点には立っていないということになりはしませんか。国際的に認められていても、その国の特殊事情によってやはりそれでは安全が保てないというものがあるわけですね。何でも国際的に右へならえじゃ安全が守れませんよという具体例として、今私は登山用ロープのことをお話し申し上げたわけですよ。それに対して、いや、国際的に認められているのはもう認めるんだというのじゃ、安全確保という点はどういうふうになるのでしょうか。やはり日本の特殊事情にかんがみて、国際的なそういう安全基準ではとても国民の安全を守れないというものについては、それなりに具体的に検討した上でやらなければいけないのじゃないでしょうか。どうでしょうか。
  298. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 登山用ロープの例示がございましたから、私の方からお答えしたいと思います。  登山用ロープの安全基準につきましては、各国の山岳団体の集まりであるアルピニスト協会国際連合、UIAAという組織がございまして、そこの定める基準を参考としながら、我が国の事情を考慮し、UIAA規格にない、例えば剪断衝撃試験、耐候衝撃試験による強度基準などを盛り込んでおるわけでございます。これは一つ一つのものを見てみますと随分UIAAのものと日本のものと違わしておるわけでございます。  特定製品に係る安全基準を定めるに当たりましては、このように基本的には我が国の実情に即して、当該製品の通常の使用状況において危害が発生しないということを前提として定めることとしておりますが、国際規格との整合性の確保というものにも配慮してまいりたいということで対処をしておるところでございます。
  299. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それじゃ金子国務大臣、御退席願って結構でございます。  通産大臣からせっかく御答弁をいただきましたから、では通産大臣にお尋ねをいたします。  各国が低い安全基準の水準にあるから日本もそれにならって低くするという発想では、国民の安全は守れないというのはもうはっきりしていることですね。ですから、安全という観点からどうするのかということを中心に考えなければならないと思うのです。例えば外国が高い水準にある場合には、日本としては安全の見地からそれを取り入れる、やはりそういうことはしなければならないことでしょう。しかし、何でもかんでも右へならえなんだという態度はとるべきじゃないと私は思うのです。  外国の安全基準は高いものがありますね。例えば今度の消安法の特定製品であるヘルメットなんかそうですね。耐貫通性とかあごひもの強度、これはアメリカや英国の方が高いですね。例えば日本では三キロのやりを一メートルの高さから落として貫通するかどうかということを基準にするが、しかしアメリカではこれは三メートルから落としていますね。イギリスでは二・五メートルから落としている。国際規格は三メートルとなっているようですけれども。ですから、こういうような問題については、そういう国際規格とか外国の例を基準にしながらやはり安全性を確保するという観点から見直していく、そういうことが大事だと私は思うのですね。  ですから認証制度、この認証制度の問題についても私は同じことが言えるんじゃなかろうかと思うのですよ。各国政府では政府認証制度がない、だから政府認証は撤廃して自己認証制度にするんだ、こういうのでは、やはり私は大変国民は安全に不安を抱かれるんじゃないかというふうに思うわけであります。ですから、安全性をより強化するという観点からやはり認証制度も検討をするべきではないかというふうに考えますけれども大臣どういうふうにお考えですか。
  300. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 例えば消費生活用製品に対する自己認証制度の導入ということを考えます場合に、現在と同水準の安全水準を確保して消費者保護上遺漏なきを期していかなければならぬ、これが三浦委員質問趣旨であろうかと思います。  その点は私も同感でありまして、具体的には、安全確保のために、第一に、自己認証品目の製造事業者及び輸入事業者に対して一定事項の届け出義務、それから製品の基準適合義務、自主検査義務等を課すとともに、義務違反に対しましては改善命令であるとか回収命令であるとか、こういったことを発することができるというふうにしておりまして、所要の罰則を科することとしておる。こうした義務の履行を担保するわけですね。  それから第二に、製品が満たすべき安全基準につきましては、今後とも安全性の確保に遺漏なきよう国がこれを定めることとしております。  それから第三に、自己認証品目の具体的な選定に関しましては、当該品目に係る技術水準等を十分勘案した上で、審議会等を通じて広く意見を聴取して決定することとしておるということでございまして、通産省としては、今般の法改正において以上のような点に配慮を行ったところでございます。  今後とも、消費者の安全の確保という問題は、これは何より政府として大事なことでございますから、十分注意し、努めてまいる所存でございます。
  301. 三浦久

    ○三浦(久)委員 今、基準・認証制度を緩和しなければならないというような、そういう状況には私はないと思うのですよ。  ちょっとお尋ねしますけれども、これは消費生活用製品安全法、略して消安法と言っておりますが、この消安法の関係でちょっとお尋ねしますけれども、この消安法制定以後、この消費生活用製品関係でどのくらいの事故が発生をしているのか、お尋ねをいたしたいと思います。四十九年からですね。
  302. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 特定製品に係る事故状況でございますけれども、これにつきましては、私どもが持っております事故情報収集制度というものに基づきまして調査をいたしているわけでございます。  四十九年以降全体で見ますと、特定製品の事故件数は、四十九年から五十九年までの十一年間で三百四件となっておりますが、最近三年間の状況を見ますと三年間で八十三件。ならしてみますと、一年当たり平均二十ないし三十件であろうかと思いますが、ちょっと一言補足させていただきますと、この事故件数の中には利用者が誤って使用したことによるものも含まれておりまして、製品の欠陥によるものと認められます事故件数は、ただいま申し上げた件数の、最近三年間ので申しますと八十三件と申し上げましたが、その三分の一程度ではないかというふうに考えております。
  303. 三浦久

    ○三浦(久)委員 今あなたがおっしゃったのは特定製品についてでしょう。
  304. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 はい。
  305. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そんなに少ないわけだ。SGマークも含めて全体としてどのくらい出ているのかということをお尋ねしたいと思います。
  306. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいまは、仰せのとおり特定製品についての数字を申し上げたわけでございますけれども、いわゆるSGマークの貼付されました製品に係る事故の件数は、実はただいま特定製品のような意味での正確な統計がないのでございますけれども、この制度に伴います損害賠償措置との関係で製品安全協会に届け出のございました事故件数を調べますと、制度発足の四十九年度から五十九年度までの十一年間で三百二十四件ございました。なお、この期間におきます具体的な損害賠償の件数はこのうちの百九十二件ということになっております。
  307. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そんなに少なくないでしょう。  昭和四十九年は八十二件、五十年が百二十六件、五十一年が百四十六件、五十二年が二百五十八件、五十三年が二百六十八件、五十四年が二百三十一、五十五年が二百十六、五十六年が二百六、五十七年が百九十七、五十八年が二百十七件じゃありませんか。
  308. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生の御指摘の数字はちょっと一々照合するいとまがございませんでしたけれども、消費生活用製品安全法にかかわる数字を私の方は申し上げたわけでございますけれども、今先生のおっしゃいました数字は、およそ一般的な意味での消費生活に関係のある製品の事故件数としてお述べになられたものと存じます。そういう意味で、私どもの手元にございます、この消費生活用製品安全法とは直結しませんが、いろいろな種類の消費生活用の製品の事故件数を私ども事故情報収集制度によって見ますと、ただいまちょっと手元に五十九年度の数字がございませんけれども、四十九から五十八年度まで合計いたしまして千九百四十七件という数字が手元にございます。多分、先生の御指摘の数字と照合すべきはこちらの数字であったかと存じます。
  309. 三浦久

    ○三浦(久)委員 これはおたくからもらった資料なんですよ。これは「事故情報通知件数総表」というのでもらっているんです。  それに例えば、一が家庭用電気製品、二が台所・食卓用品、三が燃焼器具、四が家具・住宅用品、五が乗物用品、六が身のまわり品、七が保健衛生用品、八がレジャー用品、九が乳幼児用品、十が繊維製品、十一がその他と、こうなっているのです。  これは消安法の対象外ですか。消安法で言う消費生活用製品じゃありませんか、これは。
  310. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 仰せのとおり消費生活に関係のある製品が対象になっているわけでございますけれども、この中にはほかの法律規制の対象になっておりますもの、例えばガス事業法で対象になっているもの、あるいは電気用品取締法で対象になっているような種類の品物も含め、およそ家庭というか消費生活におきまして使われる製品の事故の件数を総体的に取りまとめた資料でございます。     〔委員長退席、宮下委員長代理着席〕
  311. 三浦久

    ○三浦(久)委員 この法律では、「「消費生活用製品」とは、主として一般消費者の生活の用に供される製品(別表に掲げるものを除く。)をいう。」というふうになっていますね。ですから、今私が言ったのは、ほとんど消安法で言う「生活用製品」だと私は思いますよ。――まあいいでしょう。  それで、あなたは私がさっき言った事故件数を認めましたけれども、それらの事故件数のうち、原因が製品の欠陥に起因しているもの、それはどのくらいありますか。
  312. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいま先生の御指摘のございました分類によります内訳というのは、私ども消費生活用製品安全法の対象品目でございます特定製品の事故原因についてしかわからないのでございますけれども、それによりますと、先ほどちょっと申し上げました五十七ないし五十九年度の三年間の合計八十三件の事故のうち、製品の欠陥、この中には取り扱い説明書不備というようなものも含まれておりますけれども、いずれにしても、広い意味での製品の欠陥による件数は二十八件でございます。
  313. 三浦久

    ○三浦(久)委員 私が通産省に尋ねたら、五十八年に消費生活用製品の事故が二百十七件あった、そしてそのうちの百十二件がいわゆる製品の欠陥に起因するものだというふうにおっしゃったのです。そうするとこれは五〇%以上ということになります。あとの四十数%は使用方法を誤ったからだというけれども、使用方法を誤るようなそういう製品というのは危険なものだということですね。この消安法というのは、使用方法を誤った、だからそれは消費者の責任だ、そういう立場にはなっていないはずですね。ですから、消安法制定以後の消費生活用製品の事故の推移をずっと見てみますと、全然減ってないのですね、横ばいです。  ことしの十月十八日に出された産構審の答申がありますけれども、これにはこう書いてありますよ。「近年、消費生活用製品に関する事故件数は落ち着いた動きをみせており、また、消費生活用製品の安全性に関する苦情件数は大幅に減少してきている。」事故件数は減っているとは書いてないのですね、「落ち着いた動きをみせておりここうなっておるのです。ですから、私は、消費生活用製品安全法に言う行政の目的というのは事故をなくしていく、事故を未然に防止していく、そういうことじゃないかと思うのですよ。その点はいかがですか。
  314. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生仰せのとおり、私どもの産構審消費経済部会での答申にも、特定製品に関する事故の件数は年間二、三十件でありまして、そのうち製品欠陥によるものが半数ということではございますが、件数自体は減っているというような趣旨のことは申し述べておりませんで、落ちついた推移を示している旨を述べているわけでございます。  この点の評価ということでございますけれども一つには、それぞれ指定された商品の生産量あるいは流通量が拡大したということもあるいは一方においてあろうかと思いますし、その点からの評価も別途必要だと思います。あるいは品物によりまして事故が明らかに減ってきている品物、あるいはまだ減ってきていると言えないもの、あるいは最近の情勢ではむしろ注意をしなければならない品物、いろいろ品物によりましてそこの内容は吟味していかなければならない差異を持っているのではないかというふうに考えております。
  315. 三浦久

    ○三浦(久)委員 大臣にお尋ねしますけれども、今言った消費生活用製品の安全行政のあり方としては、事故を未然に防止する、それから今事故が発生しているとすれば、それをゼロにするのは難しくとも極力少なくしていく、そういう方向でなされなければならないだろうと思うのですが、この点はいかがでしょうか。
  316. 村田敬次郎

    ○村田国務大臣 当然おっしゃるとおりだと思います。
  317. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうしますと、この自己認証制度の導入によりまして事故は減少するのでしょうか。減少する可能性があるのでしょうか。
  318. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ただいまの点につきましては、自己認証制度を導入する品物をどういうものにしていくかということにつきましては、これから法案がもし成立した暁には、関係審議会に諮りまして、慎重に検討した上で決定されることになると存じます。そういう意味で、現段階で、自己認証制度を導入することによって全体の事故件数が減るかふえるかということについて、この場で的確なお答えを見通しとして申し上げることは難しゅうございますけれども、私どもといたしましては、自己認証制度を導入し得る製品が何であるか、その点につきましてはいろいろな観点から、例えば製品について安全性を確保するために必要な製造技術の水準ですとか、普及度ですとか、あるいは検査技術の水準ですとか、そのまた検査技術の普及の度合いですとか、あるいは事故率の推移あるいはその現状、こういったことを踏まえて、自己認証制度によることにしても事故がふえるおそれのないものを慎重に選んで決めてまいることにいたしたいということを申し上げさせていただきたいと思います。
  319. 三浦久

    ○三浦(久)委員 だから、自己認証にしても事故の発生がないようなものを選んでやりたいんだ、こういうことでしょう。そうすれば事故は減るということは絶対ないじゃないですか。ふえるということはあっても、事故が減るということは絶対ないですよ、自己認証制度を導入しても。それはどうですか。あなたは今ふえるということも減るということもどっちとも言えないと言ったけれども、減る可能性というのは全くないでしょう。ふえる可能性はあっても、減るという可能性は全くありませんよ。それはどうですか。
  320. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほども申し上げましたような観点から自己認証制度を導入するような製品を選定していくことになると思いますので、そのような自己認証制度を導入いたしましても、事故がふえないような製品を自己認証制度の対象にしていくという限りにおいて、ふえないようなことを目指していくことは少なくとも申し上げられると思います。しかし、それによって必ず減るとか必ずふえるということにつきましては、この段階で明確な展望を申し上げるわけにまいりませんが、私どもといたしましては、先ほど大臣答弁申し上げましたように、自己認証制度の導入によりましても、十分所要の措置を講ずることによりまして、今後とも、自己認証に移さない品物ともども、国それから企業、消費者、みんな関係者の新しい協調関係といいましょうか役割分担のもとに、事故が減るような努力を引き続きあらゆる角度から進めていく、その気持ちだけはちょっと申し上げさせていただきたいと思います。     〔宮下委員長代理退席、委員長着席〕
  321. 三浦久

    ○三浦(久)委員 気持ちじゃだめで、実際にやっていただかなければならないのですよ。  この産構審の答申はどういうことを言っているかといいますと、「自己認証制度の導入」という項がありまして、ここで「消費生活用製品安全法に自己認証制度を導入するに当たっては、政府の関与を可能な限り少なくしつつ、現在と同水準の安全性を確保するとの観点から、次のような内容とすることが望ましい。」こう言って、第一種、第二種となっているのですよ。そうすると、「現在と同水準の安全性を確保するとの観点」だから、よくいったって今と同じということです。最大限うまくいって今と同じということなのですよ。そうなりますと、さっき私が言いましたように、政府認証から自己認証にしてしまうのですから、悪くすれば事故はふえる、減ることは絶対ないということでしょう。そうすると、さっき大臣がおっしゃったように、この行政の目的というのは事故を未然に防止する、事故を減少させていくということでしょう。それが今と同じだと、さっき私が言ったような数字がずっと横ばいで、事故の発生が年々続いておるわけですが、それを減らそうという意欲が全くない。今と同じでいいんです、そんなことで、こういう国民の安全に関する行政を全うしたと言えるのですか。大臣どうですか。
  322. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生仰せのとおり、産構審の答申におきましては、「政府の関与を可能な限り少なくしつつ、現在と同水準の安全性を確保するとの観点から」、新しい自己認証制度を導入する法制度を定めたものでございます。  ただ、この産構審の答申の背景といたしましては、国による措置もさることながら、企業の側におきましても品質管理能力の向上等の技術開発も進んでおりますし、消費者窓口の整備も進んでいる。あるいは個別業界、団体等による自主的な安全マーク制度が運用されておる。あるいはまた消費者サイドにおきましても自己啓発が進んでいる面もある。そのような、消費者が使います国民生活用製品の安全確保につながる面で、産業界も消費者もまたその産業界の自主的な活動を支える製品安全協会の活動につきましても、それなりにこの法律の運用を行ってまいりました十数年の間に進展が見られるわけでございますので、それらの新しい情勢を踏まえて、もとより国としても基本的な点については、法の厳正な運用、情報収集の拡充あるいは産業界に対する適切な指導、消費者に対する啓発活動等重要な国の責務については、今後とも引き続き責任を持って進めてまいるのではございますけれども民間と消費者と国の協調のもとに、新しい安全確保の体制を構築していくということが必要である旨指摘を受けているところでございまして、そのような考え方に基づきまして今般の措置をお願いいたしているわけでございます。
  323. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ですから、その中で、消費者の安全をより強化するというような施策は何にもしないで、下手をすればかえって国民の安全が犠牲になるような自己認証制度を導入しようというのはどういうことなのでしょうか。私は、あなたたちが本当に事故発生を防止しようとか事故を少なくしようという考えがあるのであれば、もっと特定製品を多く指定すべきじゃないかと思うのです。それが一つの方法だと思うのです。  例えば、一九七三年に消安法ができたわけですが、当時中曽根総理が通産大臣だったのですね。この法律について商工委員会で、消費生活用製品についてはできる限り多くの特定製品を指定して消費者の安全を図っていくんだ、こういう附帯決議がなされていますね。できる限り多くの特定製品を指定していくんだ、こういう決議ですよ。それで政府はどういう態度をとってきましたか。一九七五年まで、その後二年間に九品目を指定した。しかし、その後はずっと今まで何ら新しい特定製品の指定はありませんね。それどころか、五十八年にはあの金属バッドを特定製品から外してしまう、こういうような措置をとっているわけです。こういう政府の消費生活用製品の安全に関する行政の態度が、今のような事故がなくならない、いつまでも横ばいで十年間も十一年も続いている原因になっているのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
  324. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生仰せのとおり、特定製品につきましては、法律の定めに従いまして構造、材質、使用状況等から見て一般消費者の生命、身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品を、関係審議会に諮って、政令で定め、御案内のように九品目指定し、金属バットを外して現在八品目適用いたしておるというのは、おっしゃったとおりでございます。  私どもといたしましては、法制定以来現在までのところ、これら以外の消費生活用製品で特定製品の定義に該当せしめるべきものがないということで、現行の特定製品の指定状況で消費者保護上必要、十分であると考えていることによりまして、現在八品目の状態を続けているわけでございますけれども、先ほどお述べになりましたような国会の御審議の経緯あるいは衆議院の商工委員会の附帯決議におきまして、できる限り多く特定製品を指定すべき旨の方向が出ておりますことは私ども承知いたしておりますので、今後とも絶えず新製品の登場等に注視しながら、必要に応じまして特定製品の指定について機を逸することなく実施に移すような心構えで臨んでまいりたいと考えております。
  325. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それじゃ、まだこれから必要があれば特定製品に指定するということなんですけれども、そういうことを先にやらなければいかぬですよ。  例えば、製品安全協会が認定するいわゆるSGマーク製品についてもお尋ねするのですけれども事故によっていろいろ賠償措置がとられますね。その中で、昭和四十九年から昨年五十九年末までの十一年間でどの製品が一番賠償額が高いかといいますと、住宅用アルミニウム合金製脚立というものなんです。これはこの十一年間で二十四件、賠償金額三千六百七十一万円なんです。次に賠償件数が多いのは乳母車、これは三十三件、賠償金額百二十七万円というふうになっているのですけれども、これは間違いありませんか。
  326. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 仰せのとおりでございます。
  327. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうしますと、これらは特定製品に指定されていないのです。ところが、特定製品に指定されている圧力なべ、かま、それからヘルメット、こういうものの賠償金額よりもはるかに上回っている。だから、これは特定製品よりも危険なものだということが言えると思うのです。そうであれば、こういう住宅用アルミニウム合金製脚立てあるとか乳母車であるとか、こういうようなものを特定製品に指定すべきではないかと思うのですが、御検討になられますか。
  328. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 おっしゃいましたような品物につきましては、事故の件数が多いことは御指摘のとおりでございます。ただ、事故の件数につきましても、その発生の状況あるいは製造技術の水準、そのような観点から特定製品にふさわしいかどうか、すべきかどうかということにつきましては、いろいろな角度からの検討も必要かと存じておりまして、現在のところ、これらの製品につきまして特定製品として政令で指定する必要はないと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、今後とも、私どもといたしましては、法の趣旨に照らしましてSマーク、つまり特定製品の指定につきましては適切な対応に心がけてまいりたいと考えております。
  329. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それから、もう一つ安全の問題で重要なのは、特定製品の指定をみだりに解除したらいかぬということだと思うのですね。例えば金属バットの例なんかいい例で、これは指定を解除したら途端にだだあっと事故が発生してますわね。さっきあなたは、これは指定解除とは因果関係はない、こんなことを言われましたけれども、私はそんなことはないと思いますよ。やはり構造とか材質とかそういうものに関係しているでしょう、あなたさっき三つほど理由を挙げられたけれども。それは型式承認の内容になっているでしょう。ですから、それを特定製品の対象から外したこととは因果関係はないというようなことはないと私は思うのです。こういうようにちょっと事故が途絶えたからといって、すぐ企業の要求に応じて指定を取り消す、指定を解除するというようなことは安易にすべきではないというふうに私は思っているのですが、その点についての御見解を承りたい。
  330. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生お述べになりました金属バットにつきましては、私どもといたしましては、S製品からSG製品に移行いたしましたけれども、先般の折損事故につきましては、従来考えておらなかった技術面の要素が生じたことによって起こった事故というふうに認識しておりましたので、先ほど先生仰せになったような趣旨答弁をいたしたわけでございます。  ただ、いずれにいたしましても、特定製品の改廃、特に廃止に当たりましては、消費者利益の保護の観点から慎重な検討を要することは御指摘のとおりだと存じます。  具体的に、私どもといたしましても、製品安全審議会におきまして特定製品を見直しするための基準を定めておりまして、関係審議会に図り、学識経験者、消費者代表等の意見を十分聞くことといたしております。また、検討に当たりましては、事故件数の推移だけではなく、試買テストですとか検定の合格率ですとか、あるいは製造技術進歩状況、業界の競争状況等いろいろ総合的に勘案して判断すべき事柄だと思っておりまして、私どもといたしましては、今後とも、指定を外すような場合はこうした手続にのっとり慎重を期してまいることといたしたいと考えております。
  331. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それから、消安法の特定製品を今度第一種と第二種に区分するということなのですけれども、私これは大体無理があるのじゃないかと思うのですね。法案を見てみますと大変おもしろいのですね。例えば「特定製品」の定義というのは、「消費生活用製品のうち、構造、材質、使用状況等からみて一般消費者の生命又は身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品で政令で定めるものをいう。」こうなっているわけですね。改正法案では、そのうち「第一種特定製品」についてはこういう定義をしておるのですね。「その製造又は輸入の事業を行う者のうちに、一般消費者の生命又は身体に対する危害の発生を防止するため必要な品質の確保が困難である者がいると認められる特定製品で政令で定めるものをいいこそれ以外のものを第二種という、こうなっておるのですね。そうすると、こういう規定というのは珍しいですね。平たく言えば、ある種の業界の中に安全性の確保について余り熱心じゃない悪い業者がおる、そういう製品は第一種だ、こういう規定なのですよね。ガス事業法では製品の性質に基づいて一種、二種を分けていますけれどもね。消安法の特定製品を一種、二種に分ける場合にはそうなっているんですよ。片一方は業界に悪い者がいたらこれは第一種なんだ。何でこうなるのか。  さっき言ったように、「特定製品」というのは「一般消費者の生命又は身体に対して特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる」ものでしょう。これは一種、二種も共通なんですよね。それをまた「特に危害を及ぼす」ものというものを特に分けようとするから、いやあ、業界に悪いやつがいたらそれは第一種だみたいなそういう規定の仕方になっているのだろうと思うのですよ。  そこで、ちょっと私はよくわからないのでお尋ねするのですが、第一種と第二種を現実的に区別する、現実的に認定する基準をお知らせいただきたいと思う。
  332. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 仰せのとおり、「特定製品」は「特に危害を及ぼすおそれが多いと認められる製品」でございますが、その中で第一種、第二種を区分しているわけでございます。この一種、二種の指定につきましては、今後関係審議会に諮りまして政令で具体的に指定されるわけでございますけれども、現在考えておりますところは、いずれにいたしましても、この法律上、第一種特定製品というのはその安全性の確保を企業の自己責任にゆだねることができないと判断される製品であり、第二種はこれをゆだね得ると判断される製品と簡単に申し上げるときには置きかえてよろしいかと思うのでございますが、これを具体的に考えてみる場合には、いずれにいたしましても審議会に諮りまして慎重に検討していただきたいと思っておりますけれども、現行の特定製品につきまして区分する際の視点は、大体次のようなことになるのではないかと考えております。  先ほどもちょっと申し上げましたが、第一には、その製品につきまして安全性を確保するために必要な製造技術の水準や普及度はどうなっておるか。  第二には、その製品につきまして安全性を確認するために必要な検査技術の水準あるいはその検査技術の普及の度合いは業界全体でどうなっておるか。  第三には、当該製品に関します事故率の推移あるいは現在の状況、そのようなことを目安として審議会において審議、決定をしていくことになろうかと思っております。
  333. 三浦久

    ○三浦(久)委員 今あなたの第一種、第二種の定義、選別する基準ですけれども、自己の力によって安全性を確保できない、そういう業界の製品を第一種というわけでしょう。そうすると、それは言葉をかえれば、自己認証にした方がいいものは第二種で、政府認証にした方がいいのが第一種ですというのと何も変わっていないのですね。それは政策的な議論であって、製品の概念としてはもっと別の角度からぴしっと分けなければいけない問題だろうと思うのですよね。それを分けられないというところに、この一種、二種に分けるということについての無理があるのじゃないかというふうに私は思うのです。  それは技術上の問題ですから先に進みますけれども、例えば日本の企業がつくる場合は、今度の改正法によっても、第二種になった場合、事後にではあるけれども一応の立入検査というようなものができますね。そうすると、輸入業者の場合には、立入検査といったって、外国に行って立入検査しなければならないなんということになりますね。そうすると立入検査もできない。そうすると、この輸入製品についてどういうふうに安全性を担保するのでしょうか、その点をお尋ねしたいと思います。
  334. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 第二種の特定製品につきましても、御指摘のように立入検査あるいは改善命令等々の法規制を設けることといたしているわけでございますけれども、海外から輸入されます第二種特定製品につきましては、第一には、輸入事業者に対しましてただいま申し上げたような改善命令、回収命令等を厳正、機動的に発動することを常に心がけてみたいと思いますし、第二番目には、確かに外国のメーカーに立入検査するわけには仰せのとおりいかないわけでございますけれども輸入事業者、販売事業者に対する立入検査あるいは輸入品に対する試買テストにつきましては、今後も必要に応じまして、特に第二種の特定製品に重点を置いて実施することにいたしたいと考えておりまして、そのような方法によりまして安全性の確保に十分な配慮をしてまいりたいと考えております。
  335. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それは、いずれにしてもその製品が市中に出回った後の話ですね。ひょっとすれば、事故があったらやるというようなことになるのじゃないかと思うのですけれども事故が発生してからでは遅いと私は思うのですね。この消安法というのは、事故の発生を防止するというのが目的になっているわけですから。そうするとこういう第二種の問題についても、第二種の輸入製品についてですよ、事故が起こる前に試買テスト、こういうものをやりますかどうですか。
  336. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 もとより私ども事故が起こる前にも試買テストは行うつもりでございますし、輸入事業者の輸入段階でいろいろな規制を加えることにしておりますので、輸入品が販売される前の段階でも、私どもとしては所要の対応が図れるものと考えております。
  337. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、特定製品の第二種製品については、全部事故が発生する前に試買テストをやるというふうに承ってよろしいのでしょうか。
  338. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 どういう品物につきまして第二種特定製品が何品目指定されるかというのは、これから審議会に諮り相談することでもございますし、また予算の制約もあることでもございますから、現段階ですべての品物について試買テストを行うということをお約束するわけにはまいりませんけれども、いずれにいたしましても、自己認証品目には重点を置いて試買テストを実施する等、十分な気配りをいたしてまいりたいと考えております。
  339. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ですから、今の御答弁にもあるように、国民はその製品の安全性についてやはり大きな不安を感ぜざるを得ない状況じゃありませんか。今の制度のままでいいじゃないですか。何で一種、二種なんて分けなければいけないのですか。それによって国民の安全というものが犠牲にされる。これを望んでいるのは輸入業者であるとか日本のメーカーでしょう、メーカーは同じ基準でやるわけですから。やはり財界の要求でしょう。賛成しているのはそういう人たちですね。  それで、じゃ消費者はどうかといえば、消費者団体はこれに反対しているのですよ。技術水準が発達したからとか製品管理能力が向上したからとか、そういうことをおっしゃいますけれども、しかし技術が発達しようと何しようと、それを使用する場合に金がかかるでしょう。そうすると資本家というのは、大企業でも普通の企業でもそうですが、利潤を上げていかなければつぶれてしまうわけです。ですから、技術水準が向上したって、それを使うことによってコストが高くつくと利潤が少なくなるということであれば、やはりもうけの多い方をとるのですね。しかし事故が発生することがはっきりしていればそれによってまた損害をこうむるから、そういうことをいろいろ勘案しながらやっていくでしょう。だから技術水準が向上したからということだけで、ではそれを全部安全性の確保のために導入するかといえば、私はそうはならないと思うのですね。  ですから、そういう観点で、公共性を持った国が利潤追求の必要はないわけでしょうから、ですから利潤追求という立場から離れて、公共性を持った国がやはり責任を持って安全性を確保する。そのために政府認証していくということが私は必要だと思うのですね。だから、技術水準の向上というような問題だけで自己認証制度に移行することはすべきではないというふうに私は思うわけであります。  航空機事故にしても炭鉱の事故にしても、私も副団長をやっておりますがカネミ油症の問題にしても、みんなそういうところから発生しているのですよ。それをぴちっとチェックしている今の体制がありながら、それを緩和していくということは、実際私は情けないという感じがするのです。ですから、この自己認証制度の運用については十分慎重に対処せられるように、私は強く要望をいたしたいと思います。  次に、私は地代家賃統制令の問題について質問をいたしたいと思いますが、建設大臣が急がれておられるようでございますので、最初に建設大臣にお尋ねをいたしたいと思います。  借地・借家法の改定が法制審で審議をされております。この改定作業について建設省はどのような関与をしたのか、お尋ねいたしたいと思います。
  340. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 今、法制審議会の民法部会財産法小委員会でいろいろ議論がなされているところでございますけれども、その幹事会に建設省から幹事として担当官が出ている。これは法務省の要請によるものであると理解しております。
  341. 三浦久

    ○三浦(久)委員 たったそれだけですか。法制審議会はずっと眠っていますね。昭和二十九年に、民法について改正点があれば答申をしてくれということで諮問を受けていますけれども、二十九年から今まで、ずっとこの借地・借家法の改正なんというのは論議されてないのですよ。それが今度、急に六月から始まりましたね。それに対して、例えばあなたの建設省の方から法務省の方に何か働きかけるとか、そういうようなことはないのですか。例えばこういういろいろな陳情がある、だからひとつ法制審を開いていただいて検討してもらえないかとか、そういう連絡調整というのですか、そういうようなアクションはないのですか。
  342. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 借地・借家法につきましては、大正十年に制定されておりまして、その後若干の改正が行われたのみで今日に至っておるわけでございますが、現在の土地、住宅事情等から見れば、必ずしも現状に合わない側面もあると考えられます。  例えば、建設省といたしましては、借地方式による宅地供給の推進を図る必要があるというふうに考えておるわけでございまして、また、良好な賃貸住宅の供給を図るためには、賃貸借関係の合理化あるいは適正化を進める必要があるというふうに考えているわけでございます。したがって、このためには、現在の借地・借家法の改正を含め、幅広い検討が必要であると考えております。
  343. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いや、質問に答えてください。それで法務省に働きかけたかと聞いているのです。
  344. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 私の理解では、特に働きかけたことはないと思います。
  345. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それはうそですよ。そんなことはあり得ないでしょう。  それではお尋ねしますが、中曽根内閣になってから、急に民間活力の導入ということが政策の柱として主張され出してきたわけです。それに勢いづきまして、民間デベロッパーが都市再開発をやるんだ、そのためにはこの借地・借家法が邪魔になる、そういうことで次から次へと借地・借家法見直しの提言をしていますね。  例えばおととしになりますか、五十八年の五月にはJAPIC、日本プロジェクト産業協議会が見直しの提言をしています。五十九年、昨年の四月には不動産協会がしています。五十九年十月には日本経済研究所がしていますね。それから六十年、ことしに入って二月には日本高層住宅協会が見直し提言、それからまたことしの四月、日本ビルヂング協会連合会も見直しの提言をしています。それから、ついこの間の七月十六日、これは地主家主協会というのが急にできたのですが、この地主家主協会が日経新聞の夕刊に見開き二ページにわたって意見広告を出しています。こういうふうに財界が借地・借家法の改正を強く要望しているのは今や明らかであります。  そこで、お尋ねしたいのです。大臣のところにも財界から、財界というのは、今言ったようないろいろな団体がありますが、また団体の構成員でも結構ですが、そういうところから借地・借家法の見直しを推進してほしいという陳情はあるのでしょうか。
  346. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 借地・借家法の問題につきましては、私の方といたしまして、今三浦先生からお話のありましたような業界の皆さん方に、民活についてどういうふうなお考えを持っておられますかということで、借地・借家法に限定しないで、民間活力を充実しまた国民の期待にこたえるにはどうしたらいいでしょうかというような意見を伺ったことはございます。私どもは、常に国民各界各層の意見を承ることは非常に大事なことだ、そういうふうに受けとめて、御意見を承ったことはございます。
  347. 三浦久

    ○三浦(久)委員 建設省は、港区の麻布台に通称狸穴分室という庁舎がございますね。大臣、ここをよく利用されていると報道されておりますが、ここでことしの三月一日ごろに、不動産業界の代表を招いて昼食をとりながら懇談をしたことがございますか。そのときの出席者は、安藤太郎住友不動産の社長さん、西川英夫日本ビルヂング協会連合会副会長さん、横山修二住宅産業開発協会の副会長さん、須藤英男全国住宅宅地経営連合会理事長さん。長谷部平吉日本ハウスビルダー協会理事長さん、こういう人々なんですけれども、ここでは今大臣が言われた民間活力活用の推進策についてというテーマでいろいろお話し合いがなされたと聞いておりますが、いかがでございましょうか。
  348. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 今三浦先生から御出席の皆さん方の代表者のお名前がありましたが、そのとおり、たしか三月の一日に狸穴の庁舎で意見を聞く会を持ったことは事実でございます。
  349. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そのときに出席された不動産業界の方々から、借地・借家法の改正に力を入れてほしい、民間活力を発揮するためにはどうしても借地・借家法の改正が必要なんだ、だからぜひこれを強力に推進してほしいというような要望はあったのでしょうか、なかったのでしょうか。
  350. 木部佳昭

    ○木部国務大臣 別に正式の会議でもございませんので、出席者の皆さん方からそれぞれいろいろな御意見を承ったわけでございますが、私の記憶では、借地・借家法について特別にこうしてほしいというような強い要望はなかったのじゃないかなという感じがいたしております。
  351. 三浦久

    ○三浦(久)委員 今、不動産業界が関心を持っている一番大きなものは借地・借家法の改正なんです。ですから、それが出なかったというのは何となく納得しがたい面がありますが、しかし、私が出席しているわけじゃありませんので、大臣出席されているのですから大臣の記憶をお聞きする以外にないわけですので、その点はそれで結構でございます。  この借地・借家法の改正は、今論議される地代家賃統制令と一緒になりますと、借地借家人の追い立てに物すごい威力を発揮します。今やろうとしているのは、大体明け渡しの正当事由というのを、例えば宅地の有効利用のために使うのだということまで入れようということなんでしょう。だから、いわゆる明け渡しの正当事由の範囲をうんと拡大するわけです。そうするとたまったものじゃありません。五百万人と言われる借地借家人が期限が来たらどんどん追い出されてしまうというような状況になるわけです。その後には何をやるかというと、民間デベロッパーが地主と一緒になって中高層ビルをどんどん建てていくということでしょう。今の局長の方のお話によっても、良好な賃貸住宅を提供するとか土地の有効利用とか言われております。それは土地の有効利用も結構です。しかし、そのためにそこに入っている人々が犠牲になるというのはどういうことでしょうか。木造の家がごたごたたくさんあるのはみっともない、一階建て、二階建てぐらいじゃもったいない、だから全部取っ払って中高層ビルを建てるのだというわけでしょう。もうかるのはだれか、デベロッパーです。三菱地所とか住友不動産、そういう人たちがもうかるのです。そのために住んでいる家を追っ払われてしまうという、これほど露骨な大企業奉仕はないと思うのです。  ですから、民間活力の導入といっても、よく具体的に見れば、我々が今まで批判しておった大企業本位の政治ということを言葉をかえて言ったにすぎないと私は思うのです。ですから、こんな借地・借家法の改正を早急にやるべきではないと思います。新聞の社説なんかを見ましてもかなり批判的です。ですから、この点についての大臣見解を承っておきたいと私は思うのです。
  352. 清水達雄

    ○清水(達)政府委員 借地・借家法の改正問題につきましては、今法制審議会で、各界から意見が出ているいろいろな問題点を整理して、それについてさらに各界から意見を聞こうという段階と承っております。したがって、こういう方向でというものはまだ出ていないと私ども承知しているわけでございます。  ただ、私の方は宅地供給の方を担当しているわけでございますが、地主にいたしましても、今の社会に即したような借地慣行といいますか借地契約関係ができれば借地を出したいという意向があるようでございますし、また土地を取得したい人たちにとりましても、今地価が非常に高いわけですから、権利金などが低い借地が出てくれば住宅建設などにとって非常にいいわけでございますから、そういう両方の接点をうまく探ったような新しい借地契約関係ができれば、宅地対策あるいは住宅建設上非常に望ましいというふうには考えております。  しかし、先ほど申し上げましたように、現在まだそういう問題点の整理段階のようでございますので、私どもとして特定の方向でこうこうというような考えはまだ持っていない段階でございます。
  353. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そんなことはないです。今法制審議会の民法部会ですか、あれが出した問題点は全部JAPICなんかが指摘している問題ばかりじゃないですか。それについて建設省がどういう考え方も持っていない、そんなことは全くうそだと私は思います。――大臣、お急ぎでしょうからもう結構でございます。  次に、一括法案の内容になっております地代家賃統制令の撤廃の問題についてお尋ねいたします。  私は本会議で、この統制令の撤廃は、借地・借家法の改悪と相まって、三井不動産とか三菱地所、住友不動産などの大手民間デベロッパーの利益のために借地借家人の立ち退きを合法化しようとするもので、断じて容認できないということを主張いたしたわけであります。それに対して建設大臣は、住宅事情が改善し統制令の必要性がなくなった、廃止してもその影響は比較的少ない、このように答弁されたわけですね。そこで、私は改めて統制令廃止の理由を詳細にお聞きしたいと思います。
  354. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 今先生お話しになりましたことでございますけれども、地代家賃統制令は戦後の著しい住宅難を背景として制定されたものであります。  まず第一には、今日では住宅事情が大幅に改善されております。統制の必要性が失われているというふうに考えられるわけでございます。例えば終戦直後でございますと四百二十万戸の住宅不足ということもございました。推計によれば不足率というのが二六%程度ということもございました。現在は一世帯当たり一・一というような状況にもなっておるわけでございます。それから、例えば一人当たりの平均の畳数を見てみましても、多少年限が違いますけれども昭和二十三年が三・五畳であったわけでございますが、五十八年の住宅統計調査によりますと八・五五畳という形でかなり改善されております。  それから第二点として、統制の対象が一部の住宅に限定されているわけでございます。御存じのとおり、昭和二十五年七月十日以前に建築された住宅、建築物について、これが対象となっているわけでございます。したがいまして、統制に服している住宅とそれ以外の住宅との間で均衡を失しているという問題があると思います。  それから第三には、統制対象住宅というものの維持修繕というのが十分に行われていないということで、老朽化が進むという弊害も出ている。そういったことから、今回約一年後に失効するということといたしたものでございます。
  355. 三浦久

    ○三浦(久)委員 住宅事情が改善されているということなんですけれども、今あなたは一世帯当たり一・一の住宅があるのだ、こうおっしゃいましたね。しかし、人間の住める家というのはどのくらいあるのですか。あなたたちは空き家が多いということも言われておりますけれども、空き家は確かにあります。しかし、その空き家というのは四畳半一間とか六畳一間のアパートとか、そんなものをみんな入れているのです。それから、便所は共用だとか台所も共用だとかおふろはないとか、今の世の中、今の時代ではちょっと人間が住めるようなものじゃないものもみんな空き家数に入れて、空き家があるから住宅事情が改善されたとか、今言っているように一世帯当たり一・一あるのだから住宅事情は改善された、こう言っているのですけれども、問題は人間が住める家がどのくらいあるかということでしょう。  そうしますと、あなたたちは最低居住水準というものを決めていますね。平均世帯四人家族でもって五十平米ですか、決めていますね。一人は幾ら、二人は幾ら、三人は幾ら、みんな決めていますね。そういう最低居住水準を満たす家屋がどのくらいあるのかということが問題じゃないですか。それは何戸ぐらいありますか。
  356. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 最低居住水準ということで見てみますと、世帯向けと単身向けということになるかと思います。  世帯向けでございますと、それも募集されているもの、つまり流通空き家と言えばいいかと思いますが、それにつきましては七十八万六千戸ということでございます。パーセントにいたしますと総住宅数の二%。それから、単身向けのものといたしましては六十七万四千戸、パーセントで言いますと総住宅数の一・七%。したがいまして両方合わせますと三・七%。そういう形でもって限定して見ました場合には三・七%が空き家になる。全体としては空き家率は八・六%でございますけれども、そういうことになるわけでございます。  しかしながら、そういうことを見てみましても住宅事情は一応量的には充足していると考えられるわけでございまして、また一方、公的住宅施策も往時に比べればかなり充実してきている、そういうことを総合的に勘案しますれば住宅事情はかなり改善されているということが言えると思います。
  357. 三浦久

    ○三浦(久)委員 ちょっと私の質問に答えていませんね。空き家の数を聞いたわけじゃないのですよ。  ことしの六月十二日に、住宅宅地審議会が答申出していますね。ここでは「最低居住水準未満世帯については、大都市地域を中心に解消に遅れがみられ、なお全国で三百九十五万世帯、主世帯総数の一一・四%も残存している。」、こういうふうに書かれているのです。これは本当ですか。
  358. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 五十八年の住宅統計調査によりますと、そういう数字になっております。
  359. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、あなたたちは今住宅事情は改善されていると言っていますけれども、それは前よりはよくなったということでしょう。しかし、四人家族で五十平米なんというのは人間が生きるためのぎりぎりじゃないですか。ぎりぎりですよ。そういうぎりぎりの基準を満たさないものがまだ三百九十五万戸もある。一一%も残っておるのですよ。それでどうして住宅事情が改善したと言うのですか。昔と比べればいいかもしらぬけれども。健康で文化的な生活を営むという観点から見るならば、住宅事情が改善したなんて言えないじゃありませんか。そしてあなたたちは、六十年度までにはそういう水準に満たない家屋はゼロにする、そういう方針を決定していますね。これは閣議決定しています。ところがもう六十年になっていますよ。それでもまだ三百九十五万世帯も残っているというのは、これはどういうことなんですか。
  360. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 第四期の住宅建設五カ年計画におきまして、先生おっしゃる最低居住水準未満の世帯についてはこれを解消するという目標を掲げ、かつ、平均居住水準については半分くらいの世帯についてそれを満たすという目標を掲げたわけでございますが、結果として、先ほども申し上げましたように見込みも入れますと平均居住水準の方はおおむね達成したと言えると思いますが、最低居住水準についてはいまだ達成がなっていないということでございまして、第五期の住宅五カ年計画、これはまだ建設省の案の段階でございますけれども、その中でなるべく早期にその解消を図るという目標を掲げているところでございます。
  361. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすれば、いわゆる全世帯数に比べて人間が住める家、そういう家は足りないということじゃないですか。それで住宅事情が改善した、だから統制令を取っ払ってもいいんだとか借地・借家法の改正をやってもいいんだとか、そんな理屈にはならないと私は思うのです。  それで、統制令の対象の借地借家人というのは百二十四万戸あるというふうに言われていますが、平均して四人世帯とすると五百万ですよ。五百万人の生活に影響する問題ですよ。それを一部の人間の問題なんだからもう構わないのだというような政治というのがありますか。そうでしょう。五百万人というのは大きいですよ、あなた。五百万人の人々の生活に直接影響を及ぼす問題を一部の人間が云々というような発言は、私は慎んでほしいと思うのです。  それからあなたたちは、よく統制令は実際に守られていない、だからもう実効性がなくなっているのだ、だから廃止しても余り影響ないのだ、こういうことを言われますでしょう。そうでしょう。そういうことも一つの原因になっているのでしょう。
  362. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 先ほども申し上げましたような住宅事情の改善と同時に、いわゆる統制対象住宅に入っておられて統制に服している方々とそうじゃない方々、これは全借家件数にいたしますと約七%になりますが、残りの九三%の方々とのバランスの問題もあるかと思います。また現実に、統制対象の建築物といいますか住宅がかなり老朽化しているという弊害もあるということを理由として申し上げているところでございます。
  363. 三浦久

    ○三浦(久)委員 では、何で統制令が守られていないと思われているのですか。それはあなたたち建設省がこれを守ろうとしないからなんです。あなたたち自身が、統制令があるんだよと言って積極的に国民に教えようとしていないでしょう。それどころか、あなたたち自身が統制令に違反したことを次から次へやっているでしょう。  例えば統制令の第十四条に、貸し主は地代家賃の統制額を市町村を通じて都道府県に届け出る、そして市町村は地代家賃の台帳に記載して公衆の閲覧に供しなければならない、こうなっているでしょう。あなたたち、市町村にこういう台帳をつくれということを指導していますか。していないでしょう。どこにもないのですよ、こんな台帳。あなたたち自身が法律に違反をして、そういう指導をしていないのです。どうですか、指導しているのですか。
  364. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 統制令につきましては、午前中も出ておりましたが、廃止のための法案が提出されたことがございますけれども、それが成立しないまま推移する中で、経済の高度成長あるいは所得水準の上昇ということがあったわけでございます。そこで現実問題として統制額と実態との乖離が生じて、先ほど先生もおっしゃいましたが守られていない、いわば遵守率が一割から三割ぐらいあるという実態になったわけでございます。そういうこともありまして統制の徹底を欠いたということだと思います。  このため、建設省といたしましては、社会情勢の変化に対応した公正な統制を実施するよう統制額の見直しを何度か進めてきたところでございますけれども、各種の審議会等でも廃止の答申がなされておりますし、それから実態もございまして、統制の実施あるいは取り締まりに徹底を欠き、統制額を上回る額で賃料を決定するケースが非常に多くなった、そういうことでございます。  現時点では、そういう意味でこれを撤廃することが適当であると考えたわけでございます。
  365. 三浦久

    ○三浦(久)委員 台帳はあるのですか。ないでしょう。
  366. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 地代家賃統制令の第十四条の規定に基づきます貸し主の届け出義務がございますが、それによって市町村が台帳を調製することになっております。しかし現在では、地代または家賃台帳が存在する市町村は三市町村にすぎませんで、これらのものにつきましても内容の更新等はほとんど行われていないというのが実態でございます。
  367. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それから、第十五条に地代家賃審査会というものを設置しなければならないとなっているでしょう。これだってほとんど設置されていないでしょう。どうなんですか。
  368. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 都道府県地代家賃審査会の設置されているところでございますが、一々申し上げませんが十五都府県ございます。ただ、いずれも開催実績がなくて、委員の任免も行われていないというのが実情でございます。
  369. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それじゃ、ないと一緒じゃないですか。そういうように、そういう実態であることを知りながら、あなたたちは、この統制令に基づいて審査会をつくりなさいとか台帳を整備しなさいということをやらないんだ。だから国民は地代家賃統制令があるなんて忘れてしまうわけだ。そうでしょう。そういう広報活動もやらない、指導もしない、何にもしない。それでもって、いや、統制令がもう実効がなくなっているなんて、そんなことを言うのは私はちょっとおこがましいと思うのですよね。  今あなたは、その廃止のための法案が出された、こう言いましたね。だから積極的に指導しなかったのだ、こう言いますけれども、三十五年から三十八年ですかにかけて四回出された。しかし、いずれも廃案になっているんでしょう。廃案になっていたら、地代家賃統制令というのは生きているんじゃないですか。生きている法律を守らないというのはどういうことなんですか。官吏というのは憲法とか法律とか法令とか、そういうものは守る義務があるんじゃありませんか。それを、いや、いずれ廃止になるからまあ守らなくていい、そんなことで、あなた官吏としていいんですか、どうなんですか。
  370. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 先ほども申し上げましたように、地代家賃統制令は、戦後の著しい住宅不足のもとでの地代家賃の高騰を防ぎ、国民生活の安定を図るというために制定されたものでございます。しかるに、今日では、社会情勢も変化しておりまして、統制令が実態と乖離したものとなっているわけでございます。貸し主あるいは借り主双方に統制令遵守の意識が薄れてきているというのが実情だと思います。先ほどの、台帳の作成の実態につきましても、こういった事情を反映したものであり、建設省といたしましても、これを完全に指導し切れないというのが実情でございます。
  371. 三浦久

    ○三浦(久)委員 だから、もう廃止の先取りをやっちゃっているんだよね。国家公務員がそんなことではけしからぬことですよ。法律を遵守する一番責任がある公務員がそういう態度じゃ困るのですよね。  それと、そのほかにいろいろなことを言われましたね。修繕ができないから老朽化する、そういうものはあなたたちが積極的な政策をとればできることなんだ。修繕のためにはやはり国が低利の金を貸すとか、いろんな措置をとればできることですよ。そういう措置をとらないで、もう廃止へ廃止へとどんどん安楽死の方向へ。安楽死でもないんだな、これは五百万人いますから。そういう廃止の方向へ誘導しているとしか言えないのですね。  局長、あなたたちのこの地代家賃統制令廃止の本当のねらいというのは、借地借家人を追い出すというところにあるんじゃありませんか。
  372. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、現在においては統制の必要性がなくなった、そういう判断のもとにこれを行うものでございまして、決して追い出しとかそういうことを目的にするものではございません。
  373. 三浦久

    ○三浦(久)委員 統制令対象の家賃、これは東京、京都、大阪の三大都市では、対象外の平均して三分の一ぐらいになっているんじゃありませんか。あなた調べていますね。
  374. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 家賃でございますが、東京で申し上げますと、例えば公定家賃、これが平方メートル当たりでございますが、二百五十二円でございます。これは平均値でございますけれども、それに対しまして実際に払われている家賃というのは七百五十五円ということで、おっしゃるとおり大体三倍かと思います。  それから京都でございますと、公定家賃が一平方メートル当たり二百三十七円余り、それに対して実際家賃は三百九十六円。  それから大阪に参りますと、公定家賃が三百十円、それに対して四百六十一円という状況でございます。
  375. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、地代家賃統制令が撤廃されれば当然上げてくるだろうと思うのですよね。そういうことは予想いたしておりますか。
  376. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 統制対象は、先ほど申し上げましたが昭和二十五年以前である。つまり一番新しいものでも三十五年たっておるわけでございます。統計的に見ますと、かなり長く住んでおられる方が多いというようなこと、あるいは非常に老朽化しているというようなこと。それからさらに申し上げますれば、少なくとも現時点におきましては借地・借家法上の地位というものはこの統制の撤廃によって何ら変わるものではございません。そういうことを勘案いたしますと、統制の撤廃によって直ちに大幅なものが値上がりといいますか、そういうものがあると我々は考えておりません。
  377. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そんなこと、それを考えないで何で――さっきから聞いていると、追い出された人については公営住宅で措置するとかなんとかいろいろ言っているでしょう。だから結局は、値上げがあってその値上げの負担に耐えられないで出ていくとか、そういうような人が出てくることを当然予想しているから、事後対策として公営住宅云々という話が出てくるんじゃないんですか。値上げを要求されることを予想してないなんて、そんなことで住宅行政ができるんでしょうかね。あなたたちが四十七年のときに告示でもって二倍か三倍ぐらいに上げたね。あのときだってわんわん値上げの要求が出てきたじゃないですか。値上げの要求を予想してないなんてそんなことが言えるんでしょうか。ちょっとまじめに答弁してくださいよ。
  378. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 全般的な状況につきましては、今申し上げたとおりでございます。しかしながら、やはり統制令を撤廃するという際にはいろいろなトラブルも考えられます。それから、便乗的なものも考えられます。また、確かに一部では値上げもあると思います。そういうことも考えまして、いわば万全の策ということで先ほどから申し上げたわけでございます。  まず第一には、国なり地方公共団体が正確な情報を提供することによって、いろいろな誤解等によるトラブルが起こらないようにしたいということでございます。それから、経営者団体でありますとか仲介業者団体、こういったものに対して国あるいは公共団体から指導をすることによりまして、便乗値上げを防止いたしたいということでございます。それから、やはり現実に多少は動きがあると思います。そういう場合に住宅相談の必要性というのが出てくることは十分考えられますので、各市町村あるいは都道府県の住宅相談についての体制を整備してまいりたい。  そういうことをやった上で、なおかつ、例えば公営住宅に入る資格を有する者で非常に困る人が出てくる、そういう場合には、先ほどといいますか、午前中に申し上げたような対応策を講じて万全を期したいということでございます。
  379. 三浦久

    ○三浦(久)委員 あなたは、これが借地借家人の追い出し目的としたものではないとか、それからまた、ほんの一部なんだ、こういうことを言われていますね。しかし、昭和五十七年七月三十日の臨調の第三次答申は、地代家賃統制令の廃止を提言していますよね。そこに何て書いてあるか。「地代、家賃の改定と老朽借家の建替えの円滑化のため、現状と著しく乖離している地代家賃統制令を廃止するとともに、借地、借家に関する制度の合理化等を行い、良質な民間賃貸住宅の供給を促進する。」こうなっているのです。この地代家賃統制令の撤廃の目的、それは地代、家賃の改定と同時に、老朽借家の建てかえの円滑化のためと書いてあるじゃないですか。  これは臨調の答申だけじゃありませんよ。ことしの七月二十二日に臨調行政改革推進審議会、いわゆる行革審と言われているものが答申出しましたね。その中にも地代家賃統制令の廃止が提言されています。その中でも、「地代家賃の改訂と老朽家屋建替えの円滑化のため、現状と著しくかい離している地代家賃統制令は、早期に廃止する。」こうなっていますでしょう。「老朽家屋建替えの円滑化のため、」ということはどういうことですか。入っている人たちを追い出して、そこに新しく中高層かに、それは書いてないけれども建てかえるということでしょう。建てかえたら出ていかなければいかぬでしょう。そういうことを円滑にするために統制令を撤廃するんだと書いてあるんじゃないですか。  あなたたちは臨調の答申、行革審の答申は尊重しなければならない義務を負っているわけだね。それに基づいて今仕事をしているわけだ。そうしたら、この法案目的が、統制令の廃止の目的が住民の追い出しにあるんだと私が言うのは当然じゃないですか。それでもあなたはそうじゃないと言われるのですか。
  380. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 住民の追い出し目的でないことは先ほど申し上げたとおりでございます。  ただ、我が国におきましては、住宅の水準といいますかが非常に低いということはございます。そういう意味で、非常に長期的にはそういったものの質を上げていかなければならないという政策課題もあると思います。それをいかに円滑にやっていくかということが課せられた課題であるというふうに考えておるわけでございます。  したがいまして、地代家賃統制令の廃止につきましては、先ほど幾つか挙げましたけれども、その中にやはり方向としてはそういう考え方も入っている。その考え方といいますのは、それによって、非常に長期的だとは思いますけれども、質の向上を円滑にやっていくということが入っているかと思います。
  381. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、地代家賃統制令を撤廃するとどうして建てかえが円滑にいくんですか。
  382. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 ただいまも申し上げましたように、これは直ちにそういうことになるとは思っておりません。といいますのは、先ほども申しましたような理由で、影響は少ないというふうに考えているからでございます。しかし長期的に見れば、やはりこれは両者の合意によって、立ち退き料とかいろいろな問題はあると思います。しかし、建設省といたしましてもいろいろな、いわゆる木賃住宅地域とか、そういうものに対する助成措置といったようなものをしておりますし、いろいろな事業をやっております。そういうものも使いながら、都市の改善といいますか、という方向に長期的には向かっていくべきであるというふうに考えております。
  383. 三浦久

    ○三浦(久)委員 長期的とか、そんなこと答申には何にも書いてないよ。むしろ、建てかえを円滑化するため早急にやれと書いてあるじゃないですか。そんな長期的な問題だったら、急いでやることないでしょう。長期的って何年。それなら何年か待ったらいいでしょう。あなたたちたった一年しか待たないでしょう。答弁が矛盾していますよ。物を言えばいいっていうわけじゃないのですよ、あなた。  例えば、さっきから聞いていると、あなたは統制令が撤廃されても借地・借家法上の地位には影響ないからということをよく言われますね。これだってまやかしですよ、議論が。それなら、今東京の下町で進んでいますが、大阪なんか底地買いの問題があるでしょう。幾らデベロッパーが底地買いやったって、家屋に入っている人の借地・借家法上の地位は変わらないのですよ。変わらないけれども、現実にはどんどん更地になっていっているじゃないですか。  人間というのは、さあ、建てかえるから出てくださいとか、いや、出ていかなきゃ家賃うんと上げるぞとか、そうやってわんわん、わんわんやられると、ああ、もうこんなところにいてもしようがないという気持ちになって出ていくものなんですよ。今まで長い間ずっと家主とたな子が平穏な状況を保っている、信頼関係があるから毎日住んでいる家でしょう。信頼関係があれば住みやすいですね。しかし、貸している人間と信頼関係がなくなったら、そんな家、毎日毎日、さあ、出ていってくれ出ていってくれと言われれば、借地、借家法上の地位に影響がなくたって出ていかざるを得なくなるのですよ。それはもう現実が証明しているじゃないですか。だから、そんな官僚答弁みたいなことでお茶を濁そうと思ってもだめですよ。もっと実態に目を向けた論を展開してもらわないと私は困ると思うのですよ。  行革審とか臨調はちゃんと、言葉をかえれば追い出しを円滑にするためにこれをやるんだ、早くやれ、こう言っているんだからね。あなたが四の五の言ったって、それはうそを言っているとしか思えませんよ。問題は結局、追い出される人間の身になってみろというのですよ。そうでしょう。長年住みなれているのですよ。あなたたち、今入っている人々の状況についてどういう認識をしていますか。その人たちは出たいと思っていますか。そうじゃないでしょう。所得は低いでしょう。母子世帯でしょう。老人が多いでしょう。それはあなたたちも認めますね。そしてなおかつ、そこに住んでいることに満足感を覚えているという人が多いでしょう、あなたたちの調査によっても。どうですか。
  384. 渡辺尚

    ○渡辺(尚)政府委員 統制対象住宅の居住者の実態でございますけれども、まず世帯の主な働き手の年齢につきましては、一般民営借家と比べた場合でございますけれども、年齢六十歳以上の世帯が一般の民営借家では九・四%である……(三浦(久)委員「概略でいいです、もう資料がありますから」と呼ぶ)おっしゃるとおり、年齢につきましては高齢化の傾向が見られます。それから、世帯収入については低所得者がやや多い傾向がございますけれども、年収一千万円以上の世帯も存するというふうに、全体としては統制対象借家の居住者の所得水準が一般借家に比べて特に低いという状況になっておりません。また、世帯人員につきましては両者にほとんど差がない。また、入居時期でございますけれども、これにつきましては、やはり一般借家につきましては昭和三十五年以前の世帯が四・八%であるというのに対して、三一・七%と非常に多いということになっております。(三浦(久)委員「満足度は」と呼ぶ)満足度につきましては、ちょっと今手元にデータを持っておりません。
  385. 三浦久

    ○三浦(久)委員 いや、あなたたちの資料を読むと、地代家賃統制令の対象家屋に居住している人は、長年そこに住んじゃって本当に満足しておるというふうに書いていますよ。だから私は言っているのですよ。そうするともう出たくないのですよ。死ぬまでそこにいたいと思っている人たち、その人たちを強制的に追い出すというのは非常に非道なことであると私は思うのです。特に借地・借家法の改正と相まったら、これは猛烈な威力を発揮しますね。  先ほども言いましたように、今不動産業界というのは新たな投資先が欲しくてしようがない。ですから都市再開発をやろうとしているのでしょう。そこでいろいろな提言をしていますね。借地方式を利用するとか、それは今までのとおりですが、それからまた等価交換方式をやるとか、土地の信託制度を導入して利用してやるんだとか、いろいろなことを考えて提案していますよね。しかし、そういうものを、例えば借地方式にしても信託方式にしてもまた等価交換方式にしても、それをばっと華々しくやっていく、おれはうんともうける、そのためには地代家賃統制令とか借地・借家法が邪魔になるということなんですよ。そういう一部の民間デベロッパーのもうけのために何百万という人々の生活を犠牲にするなんということは、もう政治じゃない。これは政治じゃない。本当に考え直してもらいたいというふうに私は思うのです。  それで次に、借地・借家法の改正問題について法務省にお尋ねしたいと思います。改正審議に至った経過と現在の到達点をちょっとお知らせいただきたいと思います。
  386. 濱崎恭生

    ○濱崎説明員 先ほど建設省からも御答弁ございましたように、借地法及び借家法といいますのは、大正十年に制定され、昭和十六年にいわゆる正当事由方式というものを導入するという重要な改正がされまして、その後昭和四十一年に若干の改正がされましたけれども、基本的には大正十年及び昭和十六年の法律が現在まで維持されているということでございます。ところが、これに対しまして、住宅宅地問題及びそれをめぐる社会情勢というのは非常に大きな変化を遂げてきているわけでございまして、そういう変化に応じて、これから将来の借地関係、借家関係におきます貸し主と借り主との権利義務関係というものはどういうものであるべきかという観点からやはり見直しをしなければならないという問題は、これはかねてから法制審議会で検討してしかるべき重要な課題であったわけでございます。  先ほどの先生の御質問の中に、昭和二十九年以来法制審議会は休眠状態だったのではないかという御指摘がございましたけれども昭和三十一年の時点におきまして、これは直接法制審議会の民法部会で取り上げられたわけではございませんけれども、そのための準備会、借地法借家法改正準備会というものが設けられまして、そこで今申しましたような立場から、借地法及び借家法の基本的な見直しのための検討がされたわけでございます。その結果といたしまして、いろいろな社会諸情勢がございまして、その際は基本的な見直しというものは一応見送られまして、緊急を要する改正点について昭和四十一年に一部改正がされたことということでございますが、一応棚上げになりましたけれども、引き続き法制審議会民法部会で検討すべき重要な課題の一つであったということでございます。  その後、当時からさらに約二十年の時間を経過しまして、社会情勢の変化というのは一層激しくなっている。そういう情勢の中で、貸し主及び借り主の権利義務関係はどういうものであるべきか、主として、これから将来の借地関係、借家関係というものを長い目で見た場合にどういうものであるべきかという観点から、この際検討をするのが適当ではないかという法制審議会の民法部会財産法小委員会の結論に至ったわけでございます。そういうことで、その決定がありましたのはことしの六月四日でございますけれども、これは国民の権利義務に影響を与える重要な問題でございますので、民法部会の場で本格的な審議をするに先立って、借地借家問題についてどういう問題点があるのか、その問題点についてどういう方向で改正検討すべきであるのかということにつきまして、広く関係各界の意見を聴取して、それを参考にしてこれからの本格的な審議の参考にしたい、そういう趣旨で、つい先般、これまでの小委員会審議に基づきまして、私ども法務省民事局参事官室の名前で、意見を聞くための問題点の整理をいたしまして、それを関係各界に意見をいただくために送付したという段階にあるわけでございます。
  387. 三浦久

    ○三浦(久)委員 法務省としては、ことしの初めまでは借地・借家法の改正は見直ししない、そういうような立場をとっておったのではありませんか。
  388. 濱崎恭生

    ○濱崎説明員 法制審議会の民法の部門を担当しますのは民法部会でございますけれども、民法部会は、民法について改正する必要があるとすればその要綱を示されたいという一般的な包括的な諮問を受けているわけでございます。そういうことで、継続的に民法――民法と申しますのは広い意味の民法でございまして、必ずしも民法典に限らず、借地法、借家法もこれに入るわけでございますが、そういう広い分野についてどういう問題をまず取り上げるべきかということを検討いたしまして……(三浦(久)委員「法務省のことを聞いているのです。法制審のことを聞いているのじゃないですよ。時間がないから簡潔に」と呼ぶ)  結論から申し上げますと、取り上げるべき問題ではないというふうに考えていたわけではございません。いずれは法制審議会にお諮りして検討いただくべき、そしてそれを受けて、当局として検討すべき重要な課題の一つであるというふうに考えておりましたが、法制審議会で御審議をいただく機会がこれまでなかった。現在それを御審議いただける状況になったので、この際御審議をいただくことになったということでございます。
  389. 三浦久

    ○三浦(久)委員 どうも事実関係が違うね。あなたたち、借地借家人組合の人たちとの折衝の中で、法務省としては借地・借家法の見直しはしないということを言明しているのですよ。そういうことはありませんか、最近。ことしじゃないですよ。
  390. 濱崎恭生

    ○濱崎説明員 そういうことを言明したということはないと存じております。
  391. 三浦久

    ○三浦(久)委員 それはあなた、うそだよ。それは借地借家人組合の人が参事官の名前まで挙げて言っているのだから。そんなことはうそだよ、あなた。言っているんだよ。いつから態度が変わったかということを私は聞きたいんだよ。あなたたちはずっと借地・借家法の改正をしなきゃならぬと考えておったんですか。そんなことないでしょう。昭和五十五年に住宅宅地審議会から借地・借家法の見直しを示唆するような答申がなされています。それでいろいろ関係団体が法務省にも行っているのですよ。そのときに法務省としては、これは民法の基本的な問題だと。それはそうでしょう、民法の特別法ですから。賃貸借の中でも最も重要な問題についての特別法なんですから。基本法と同じですよ、実際の効用から言えば。ですから、そういうことを言って、基本的な法律なんだから見直しはしないんだ、そういうことを言明されているというのですよ。それをしていないの。していないならまた後で決着をつけましょう、まだ審議の時間があるからね。まだ二十一日があるから。
  392. 濱崎恭生

    ○濱崎説明員 五十五年の住宅宅地審議会の答申がございました当時に担当者とどういうやりとりがあったかということは、公式のものではございませんので私もつまびらかにしておらないわけでございますが、当時、私ども法務省民事局としましてこの問題についてどういうふうに考えていたか、ということを答えさせていただくことでかえさせていただきたいと思います。  借地・借家法の基本的な見直し、基本的な立場、長期的な立場に立って見直しをするということは、重要な基本的な課題であるということは考えておったわけでございます。  ただ、しかし、先ほどいろいろ御指摘がございましたように、当時、借地方式による宅地供給の促進であるとか土地の有効利用の促進であるとかいう観点から、早急に借地法、借家法を改正すべきであるという意見が直接間接にいろいろございました。そういうことは私どもとして把握しておりました。そういう行為に対してどう対応するかということにつきましては、借地法、借家法といいますのは国民の基本的権利業務に関します重要な法律でございますから、ただ単にそういう観点からのみ早急に改正することができる問題ではない。これを基本的に見直すためには、先ほど来申しておりますように法制審議会の慎重な審議をいただかなきゃいけない。当時、法制審議会の民法部会では、建物の区分所有等に関する法律、いわゆるマンション法という法律でございますが、その法律改正のための審議を集中的にやっておった段階でございます。そういう状況の中で、今すぐその問題、借地借家問題を法制審議会で取り上げていただくことができる状況にはない。そういう状況を踏まえまして、今の段階で直ちにこの問題に法務省として着手することは考えていない、そういう立場であったわけでございます。
  393. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、それはいつまでそういう立場だったのですか。
  394. 濱崎恭生

    ○濱崎説明員 今申しましたように、法制審議会民法部会で審議をしていただける状況になったという段階で、民法の中で重要な課題としてどういうものがあるかという観点から改めていろいろ検討をいたしまして、そして六月四日の小委員会にそういう問題点を掲げまして、その中でどれをまず現段階審議をしていただくかを御検討いただいて、小委員会の決定として、借地借家問題を基本的な立場からじっくり取り上げてみようということになったわけでございます。
  395. 三浦久

    ○三浦(久)委員 そうすると、六月までは基本的に見直すという考えはなかったということですか。
  396. 濱崎恭生

    ○濱崎説明員 御審議いただける機会があればいずれかの時期に御審議いただくべき問題であるというふうには従前から考えていたわけでございます。
  397. 三浦久

    ○三浦(久)委員 時間がありませんから、終わります。     ―――――――――――――
  398. 中島源太郎

    中島委員長 この際、連合審査会開会に関する件についてお諮りいたします。  ただいま本委員会において審査中の許可認可等民間活動に係る規制整理及び合理化に関する法律案について、社会労働委員会、商工委員会及び運輸委員会から連合審査会開会の申し入れがありましたので、これを受諾することといたし、また、他の関係委員会から連合審査会の申し入れがありましたならば、いずれもこれを受諾するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  399. 中島源太郎

    中島委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会の開会日時につきましては、関係委員長間で協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。  次回は、来る二十一日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十七分散会