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後藤田国務大臣 今回の
規制緩和の
法律案の
中身がいかにも乏しいではないか、こういうおしかりでございますが、まさにこの
法律案を見る限り、当面
法律改正を必要とする
事項に限定をして、
法律案の
改正を取りまとめて御
審議を仰ぐということでございますから、そういった御
批判もあろうかと思います。
もちろん、この
規制緩和ということは、かねがねお答えしておりますように直接的には各官庁の
権限に関することである、その
権限の縮小ということになるわけでございますから、
日本の
役人というのは極めて職務に熱心でございまして、熱心の余り、
自分たちの
権限がなくなるということはかえって世の中がよくならないのではないかといったような錯覚にとかく陥りがち、したがって、それだけになかなか抵抗の厳しいものである。
それと同時に、何といいましても、我が国の
国民の物の考え方が、やはり追いつけ追い越せということで、国ないし
地方団体、つまりは平たく言えば、昔流のお上にすべてを依存するといったようなことで今日まで来ておる。これはそれなりに相当の成果が今日まで上がってきたわけで、この過去の評価は認めなければなりません。しかしながら、今日、
日本の国力というものはそうではなくて、
民間はもはや、資本といい人といい
技術といい情報といい、すべての面で非常な力を蓄えてきておる。このときに相変わらずそういった
風潮が、
国民の意識というかそれが変わらない。したがって、何かあるとこれは
役所が悪いといったようなことで、どうしても
役所依存の
風潮が多い。こういうようなことから、いざ
改革ということになるとやはり
既存団体がそれに抵抗するといったようなことで、なかなかこの
仕事は困難であることは事実でございます。
しかし、それを乗り越えてやらなければ、これから先の新しい国の
土台づくりは大変難しい情勢になるのではないか。したがってここらは思い切ってやらなければならない。そういうことで第二臨調以来、
行革審もいろいろとお骨折りいただいて御
答申をいただいておるわけでございますが、それらを逐次
実施をしていく。
したがって、今回のこの
答申も二百五十八
事項に上っておるわけでございまして、その中で当面
法律改正ということになりますと、今回御
提案を申し上げている四十二
事項二十六
法律、その
程度で
中身がいかにも乏しいという御印象を持たれることは当然であろうと思いますが、
政府としては、ただいま申し上げたような
認識のもとに逐次
実施をしていきたい、また、これから先もどんどんやはりこの
仕事は私はやらなければならぬと思っております。
ただ、申し上げておきたいのは、今回の
法律事項の中に入っておりませんが、
指摘をせられて今着手しようとしている
事項は、極めて重要な問題が実はあるのです。一例を申しますと、例えば
金融関係については金利の
自由化の問題、これは大変重要な問題でございます。既に取り組んでいるところでございます。それからまた、
運輸関係等について見ますと、
トラック等についても
参入規制の
関係の問題がございます。それから
航空事業については、いわゆる
航空三社の
事業分野の見直し。あるいは
石油エネルギー等については
石油製品の輸入の問題。こういったような極めて重要な問題にも取り組んでおりまするので、御
批判は私ども謙虚に承らなければなりませんし、おっしゃるように引き続いて
政府としてはやりたいと考えておりますが、今回の
指摘事項だけでも二百五十八
事項という、この全体についての御
認識もひとつぜひお願いをいたしたい。こういったことを考えますと、実際今取り組んでいるこの
改革の
内容は極めて大きな
分野にわたっているのだということもぜひ御
理解をしていただきたい、私はかように思うわけでございます。