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1985-12-04 第103回国会 衆議院 逓信委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十年十月十四日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 渡辺 紘三君    理事 加藤常太郎君 理事 関谷 勝嗣君    理事 野中 広務君 理事 吹田  愰君    理事 鈴木  強君 理事 武部  文君    理事 竹内 勝彦君 理事 西村 章三君       足立 篤郎君    江藤 隆美君       亀岡 高夫君    近藤 鉄雄君       志賀  節君    谷垣 禎一君       額賀福志郎君    長谷川四郎君       原 健三郎君    森  美秀君       森  喜朗君    阿部喜男君       伊藤 忠治君    中村 正男君       松前  仰君    森中 守義君       中川 嘉美君    山田 英介君       中井  洽君    永江 一仁君       佐藤 祐弘君 ――――――――――――――――――――― 昭和六十年十二月四日(水曜日)委員長の指名で 、次のとおり小委員及び小委員長選任した。  電気通信並びに電波放送に関する小委員       加藤常太郎君   亀岡 高夫君       近藤 鉄雄君   関谷 勝嗣君       野中 広務君   吹田  愰君       渡辺 紘三君   阿部喜男君       鈴木  強君   武部  文君       竹内 勝彦君   西村 章三君       佐藤 祐弘君  電気通信並びに電波放送に関する小委員長                加藤常太郎君 ――――――――――――――――――――― 昭和六十年十二月四日(水曜日)     午前十時三十一分開議 出席委員   委員長 渡辺 紘三君    理事 関谷 勝嗣君 理事 野中 広務君    理事 吹田  愰君 理事 鈴木  強君    理事 武部  文君 理事 竹内 勝彦君    理事 西村 章三君       足立 篤郎君    近藤 鉄雄君       志賀  節君    谷垣 禎一君       額賀福志郎君    長谷川四郎君       森  喜朗君    阿部喜男君       中村 正男君    松前  仰君       森中 守義君    伊藤 昌弘君       中井  洽君    永江 一仁君       佐藤 祐弘君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 左藤  恵君  出席政府委員         科学技術庁長官         官房審議官   川崎 雅弘君         郵政大臣官房長 中村 泰三君         郵政省郵務局長 高橋 幸男君         郵政省貯金局長 塩谷  稔君         郵政省簡易保険         局長      二木  實君         郵政省通信政策         局長      奥山 雄材君         郵政省電気通信         局長      澤田 茂生君         郵政省放送行政         局長      森島 展一君  委員外出席者         警察庁刑事局保         安部少年課長  根本 芳雄君         防衛庁防衛局運         用課長     大森 敬治君         外務省欧亜局ソ         ヴィエト連邦課         長       野村 一成君         大倉大臣官房参         事官      松川 隆志君         大蔵省主計局主         計企画官    田谷 廣明君         大蔵省理財局資         金第一課長   石坂 匡身君         運輸省航空局技         術部運航課長  赤尾 旺之君         運輸省航空局管         制保安部管制課         長       松田 政雄君         郵政大臣官房人         事部長     櫻井 國臣君         参  考  人         (日本放送協会         会長)     川原 正人君         参  考  人         (日本放送協会         技師長専務理         事)      矢橋 幸一君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   川口 幹夫君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   林  乙也君         参  考  人         (日本放送協会         理事)     松本 幸夫君         参  考  人         (宇宙開発事業         団副理事長)  園山 重道君         参  考  人         (宇宙開発事業         団理事)    船川 謙司君         参  考  人         (通信放送衛         星機構理事)  廣瀬  弘君         参  考  人         (通信放送衛         星機構理事)  大竹 利男君         通信委員会調査         室長      古田 和也君     ――――――――――――― 委員の異動 十月二十二日  辞任         補欠選任   江藤 隆美君     田村  元君 同月二十九日  辞任         補欠選任   中井  洽君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   小平  忠君     中井  洽君 十一月十二日  辞任         補欠選任   中井  洽君     藤原哲太郎君 同日  辞任         補欠選任   藤原哲太郎君     中井  洽君 同月十八日  辞任         補欠選任   田村  元君     江藤 隆美君 同月二十二日  辞任         補欠選任   伊藤 忠治君     渡辺 嘉藏君   中井  洽君     伊藤 英成君 同日  辞任         補欠選任   渡辺 嘉藏君     伊藤 忠治君   伊藤 英成君     中井  洽君 同月二十六日  辞任         補欠選任   永江 一仁君     田中 慶秋君 同日  辞任         補欠選任   田中 慶秋君     永江 一仁君 同月二十九日  辞任         補欠選任   伊藤 忠治君     五十嵐広三君   中井  洽君     玉置 一弥君 同日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     伊藤 忠治君   玉置 一弥君     中井  洽君 十二月四日  辞任         補欠選任   中井  洽君     伊藤 晶弘君 同日  辞任         補欠選任   伊藤 昌弘君     中井  洽君     ――――――――――――― 十月十四日  日本放送協会昭和五十八年度財産目録、貸借対  照表及び損益計算書 は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  小委員会設置に関する件  参考人出頭要求に関する件  小委員会における参考人出頭要求に関する件  逓信行政に関する件      ――――◇―――――
  2. 渡辺紘三

    渡辺委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  逓信行政に関する事項  郵政事業に関する事項  郵政監察に関する事項  電気通信に関する事項  電波監理及び放送に関する事項以上の各事項につきまして、衆議院規則第九十四条により、議長に対し、国政調査承認を求めることにいたし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 渡辺紘三

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 渡辺紘三

    渡辺委員長 この際、小委員会設置の件についてお諮りいたします。  電気通信並びに電波放送に関する問題等について調査するため小委員十三名からなる電気通信並びに電波放送に関する小委員会設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 渡辺紘三

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長選任並びにその辞任及びその補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 渡辺紘三

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、追って指名し、公報をもってお知らせいたします。  次に、小委員会において参考人出席を求め、意見を聴取する必要が生じた場合の諸手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 渡辺紘三

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  8. 渡辺紘三

    渡辺委員長 逓信行政に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件調査のため、本日、参考人として日本放送協会通信放送衛星機構及び宇宙開発事業団当局出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 渡辺紘三

    渡辺委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  10. 渡辺紘三

    渡辺委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。谷垣禎一君。
  11. 谷垣禎一

    谷垣委員 まず最初に、電気通信政策分野についてお伺いをしたいと存じます。  高度情報社会準備ということが、これからの日本にとりまして最も重要な課題であるということは、当委員会でもさんざん議論をされてきたところでございます。しかし、この分野大変技術先導性の強い分野でございまして、基礎的な研究開発あるいは先端的な研究開発を推し進めていくということが極めて重要でございますし、我が国がそういう研究を推し進めて自主技術を蓄積して、そして国際社会応分貢献をしていくということも、今や国際社会において強く求められているところではないかと考えるわけでございますが、大臣は、この電気通信分野基礎技術推進に関してどのような方針で臨まれるのか、まずお伺いをいたしたいと存じます。
  12. 左藤恵

    左藤国務大臣 御承知のとおり、電気通信分野研究開発は、来るべき高度情報社会を実現する上で必要不可欠なものであるわけでございます。とりわけ、我が国におきましては、従来からこの基礎的分野研究の立ちおくれが指摘されております。将来とも技術立国ということで、経済的繁栄を維持発展させるとともに、国際社会応分貢献をしていく、そういう点からも、この基礎的な分野研究推進ということが肝要である、このように考えております。基礎的分野研究産学官が密接な連携を保ちながら、その着分野において研究活動活発化推進することによりまして、国全体としての研究開発能力強化を図っていくことが重要であると考えます。  こうした観点から、本年十月に設立されました基盤技術研究促進センター民間におきます研究開発に対する出融資事業、それから共同研究事業、こういったものを十分活用して研究開発推進していきたい、このように考えておるところでございます。
  13. 谷垣禎一

    谷垣委員 今大臣から、十月にできました基盤技術研究促進センターを通じて大いに施策を推し進めていきたいというお考えを伺ったわけでございますが、電気通信改革法成立時に、この衆議院におきましても附帯決議をいたしまして、「政府は、高度情報社会に向けて情報通信の果たす役割重要性にかんがみ、情報通信産業育成振興を図るため、情報通信基盤整備のための法制度を早期に確立すること。」という決議をいたしました。また、参議院におきましては、「情報通信をめぐる国際競争が激化する情勢にあって、国際電気通信条約等国際約束を遵守して、我が国通信主権を守り、基礎的先端的技術研究開発等有効適切な施策を一層推進し、電気通信発展基盤強化に努めること。」という決議をされておりまして、極めて適切な指摘であると思うわけでございます。もう少し具体的に郵政省のお考えになっているところを、施策伺いたいと存じます。
  14. 奥山雄材

    奥山政府委員 電電改革三法の当委員会における審議の過程で、基礎的先端的技術開発重要性につきまして大変貴重な御意見を各先生方から賜りました。また、ただいま御指摘がございましたように、衆参両院逓信委員会におきまして、三法が可決成立する際に、貴重な附帯決議をもいただいたところでございます。郵政省といたしましては、そうした御議論並びに附帯決議を受けまして、六十年四月一日から電電改革が行われまして民営化以降、電気通信基礎的基盤的技術開発研究というものを、省の最重要施策の一つに位置づけております。  具体的に申し上げますと、税制面財政面予算面におきまして、乏しい財政事情の中ではございますけれども、ニューメディアの振興あるいは技術研究に対する投資促進、あるいは先ほど大臣が申し上げました基盤技術研究促進センター活用等を通じまして、今後なお一層電気通信にかかわる基礎的先端技術研究開発努力をしてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  15. 谷垣禎一

    谷垣委員 この分野施策振興基盤技術研究促進センターというものを活用していくというお話先ほどから出ておりますが、このセンター出融資プロジェクトとして来年度どのようなものをお考えいただいているのか、もう少し具体的にお話しをいただきたいと存じます。
  16. 奥山雄材

    奥山政府委員 前国会におきまして基盤技術研究円滑化法成立をお認めいただきました。おかげさまをもちまして十月一日、基盤技術研究促進センター郵政通産両省の共管のもとに無事発足いたしましたことを厚く御礼申し上げたいと思います。-  さて、そのセンターにおけ合プロジェクトでございますが、電気通信分野といたしましては、まず出資に関しましては、主として基礎的分野または応用分野からの試験研究開発に資するということで、電気通信基礎技術研究所を設けることを最大プロジェクト考えております。またそのほかテレトピア事業推進等々、合わせまして全部で十五件の案件を、現在大蔵当局に六十一年度概算要求に際して折衝項目として持ち出しているところでございます。  また、融資案件につきましては、応用段階からの事業に資する見地から、例えて申し上げますと、二十一世紀に実用化が予想されております次世代のテレビ会議あるいはテレビ電話等における帯域の圧縮技術、現在でも相当進んでおるようでございますが、これはまだNTTでも手がついてないようでございますので、そういった民間の一社だけでは手がつかないような応用開発分野に向かってのリスクマネーの供給といったようなものを含めまして、二十六件の案件を現在財投要求として出しているところでございます。
  17. 谷垣禎一

    谷垣委員 今、二十六件財投要求をお出しいただいていると伺いましたが、先ほどもちょっとお話がありましたように、応用開発面では我が国世界トップレベルにあると言われているわけでございますが、基礎研究ではまだ立ちおくれがあると指摘されている。そしてこの電気通信分野での基礎技術というのは、今まで大体欧米先進国開発をされてきて、我が国はそれをもとにしていろいろな応用をやってきた。これが貿易摩擦の中で、ある意味では日本は成果ばかりを使っているじゃないかというような非難を招く原因にもなっているのではないかと思うわけでございますが、今いろいろ御指摘プロジェクトの中で、基礎研究という点ではどのような対応をとっておられるのか。基礎研究に焦点を当てて、もう少しお話伺いたいと思います。
  18. 奥山雄材

    奥山政府委員 ただいま先生が御指摘になりましたとおり、日本電気通信にかかわる技術開発は、基礎分野あるいは原理分野におきましては、いずれも欧米の種をもとにして花開かせたものが大半でございます。光ファイバー一つとってみましても、依然としてその原理特許はアメリカのコーニング社が持っているということでございまして、NTTの光ファイバーが世界に冠たるものであるといいながらも、まだそういう隘路があることも事実でございます。  したがいまして、そのような点に着目をいたしまして、電電の株式の配当金の一部を財源といたしまして基盤技術研究促進センターというものを設置し、これからの国際化社会における日本電気通信研究開発分野における地位をも考えて、国際研究をもあわせて、こうした欧米基礎的先端的技術分野に追いつくべく、諸施策を進めていくつもりでございます。  具体的なプロジェクトにつきましては、先ほど申し上げました国際電気通信基礎技術研究所の中におきまして、特に基礎的な諸プロジェクトを取り上げる予定にしております。例えば自動翻訳電話にかかわる基礎的な研究、あるいは将来機械人間の知能を代替するような方向にだんだん進んでいっているようでございますが、そうした場合に、人間機械とのかかわり合い、さらにはその基礎となるような素材技術あるいは素子技術等までさかのぼって、当センターから出資を仰ぐ予定基礎技術研究所において試験研究を進めてまいりたいと考えております。
  19. 谷垣禎一

    谷垣委員 今局長から、国際電気通信基礎技術研究所をつくって、自動翻訳電話などの大変魅力的な基礎研究を進める予定だというお話を伺ったわけでありますが、この設立はまだされていないわけですね。その設立に向かっての準備状況と申しますか、検討状況、いつごろ設立ができるのか、その辺はいかがでしょうか。
  20. 奥山雄材

    奥山政府委員 基盤技術研究促進センターから出資を仰ぐことができる対象企業は、いずれも民間活力最大限に活用することが大前提でございますので、まず何よりも民間の方々の発意が先行することが先決でございます。その意味におきまして、国際電気通信基礎技術研究所につきましては、去る十月三十一日に経団連の稲山会長、関経連の日向会長がそれぞれ準備会会長会長代理に就任されまして、民間としての準備体制を整えられたところでございます。  その民間における構想によりますと、諸準備を進めまして、まずマスタープランの作成あるいは建設計画作成から取りかかられました後、来年の一月には準備会から設立発起人会に事務を引き継ぐべく予定しておられるようでございます。しかる後に、今年度いっぱい、具体的には来年三月ごろになると思いますが、来年三月ごろには会社発足にこぎつけ、あわせて研究所設置にもこぎつけたい意向だと伺っておりますので、政府側といたしましても、民間の動きに呼応して、おくれることのないように、私ども行政上の措置を講ずる必要があると考えております。
  21. 谷垣禎一

    谷垣委員 この研究所商法上の株式会社ということでやられると伺っておりますが、センターからの出資民間からの出資を原資とすると伺っているのですが、その資金規模あるいは出資比率はどうなっているのか、あるいは資金確保の見込みはどうなっているのか、その辺ちょっと伺いたいのです。
  22. 奥山雄材

    奥山政府委員 国際電気通信基礎技術研究所と申しますのは、まず関西経済連合会の中に電気通信基礎技術研究所のための設立準備研究会が設けられまして、そこでことしの夏までかかってさまざまな計画を練り上げられたところでございます。その報告書によりますと、総資本規模九百五十億円ということで、昭和七十五年度まで逐次出資規模をふやしていきたいという構想でございまして、そのうち三割を民間から出資をし、残る七割を基盤技術研究促進センターからの出資を仰ぎたいという計画になっております。  このような青写真を受けまして、郵政省といたしましては、六十一年度の予算要求に関連いたしまして、現在産業投資特別会計に対しまして六十一年度分の所要額として五十億円を当研究所への出資分として要求をしているところでございます。最終的に予算政府原案が決まりますまで、その規模あるいは構想がどのようなものになるのかは確たることを申し上げる段階にはございませんけれども、所期の目的が達せられますように私どもとしても最大努力をしたいと思っておりますので、よろしく御指導を賜りたいと思います。
  23. 谷垣禎一

    谷垣委員 この国際電気通信基礎技術研究所でやられようとしておる研究は、基礎的な研究あるいは極めて先端的な研究でございますから、そういったものができ上がれば、広く国民と申しますか、人類の生活向上に資する、そういう意味で極めて公共財的な性格と申しますか、公共投資的な性格を持っている。ということだろうと思うのです。  しかし、それを直ちに公共投資でやろうというのではなくて、この分野でも民間活力活用してやるべきだというところから、商法上の株式会社として、しかもそれをセンターから出資をする、こういう形をとっておられるんだろうと思うんですね。しかし、従来であれば公共財である、国から出資をする、公共投資をするというようなことで推し進められたんでしょうけれども、この民間活力活用していくということになりますと、民間活力活用とその公共面の調和というものが、必ずしも従来の考え方ではずっと乗ってこないような面も出てくるのではないかと思うのです。  それで先ほど、来年度財投要求五十億を郵政省としてしておられるということでございます。これはぜひそのとおり実現していただきたいわけでございますけれども、一体、この産投会計から出ているお金をどういうように使うか、どの部分で使っていくかというようなことに関しましても、公共民間活力活用という観点から、まだいろいろ整理しなければならない問題があるのではないかと思うのですね。  例えば、人件費お金を使っていくのはいいけれども、建物とか土地とかいうようなものに使うのはどうかという議論も、あるいはあるかもしれない。しかし、このセンター出資事業を見ておりますと、これは郵政通産両方が主管されておりますから、いろんな事業考えておられるのですけれども、中には随分細かいもの、大きなもの、いろいろあります。しかしながら、私の考え方を申し上げますと、もともと政府が持っているNTTの株をどうやって運用していくかというところから出ているわけでございまして、これが何か知らない間に細かいところに使われて、どこに使ったのかわからないというようなことでは意味が少ない。やはりあのときに大きな力を挙げて、国が基礎技術に向かって努力をした、しっかりしたものを残して、よい結果を生んだというふうにしていただかなければいけないんじゃないかと私は思うのです。その辺で公共役割民間役割というものを十分に議論していただいて、よい研究所をつくるようにまず努力をしていただきたい、これが私の希望の第一点でございます。  それから、それに関連いたしまして、このような基礎技術をやっていくということになりますと、投資リスクも大変多うございますし、収益を上げるまでに長期間かかる。そうすると、そこに民間資金をお出しいただくというようなことになりますと、なかなか普通では民間資金を出していただきにくいということもあるんではなかろうかと思うのですね。  そうしますと、何かそこに資金を出していただきやすいような呼び水と申しますか、刺激と申しますか、そういうようなものがどうしても必要になってくる。これは内需拡大のために民間活力活用していくという議論、すべてこういう問題が出てくるわけでございますが、この国際電気通信基礎技術研究所に関しましても、そういう何か呼び水としていろいろ税制なんかの措置をお考えだろうと思うのですが、その点につきまして、ひとつ郵政として考えておられること、施策がございましたら、ちょっと伺わせていただきたいと思います。
  24. 奥山雄材

    奥山政府委員 まず前段の、先生が御指摘になりました、株式会社組織ではあるけれども公共財という性格のある点は、まことに私どももそのとおりだと考えておりますので、民と官との調和のよろしきを得て、これの実現に向かって努力をしてまいりたいと思います。  それからお尋ねの、このような民間研究機関に対する支援措置といたしまして、六十一年度の税制改正要望の中に幾つかの項目を織り込んで、今関係方面と折衝をしているところでございます。  具体的には、ただいま御指摘のありました国際電気通信基礎技術研究所といったような、一定の要件を満たすということで郵政大臣が認定いたしました機関に対しまして、民間の方々が出資しやすいように、出資した金額が損金に充てられるような投資損失準備金の制度、あるいは当該研究所が土地を取得した場合に、地方税の軽減措置を受けられるような地方税法上の優遇措置等、若干の諸措置を検討いたしまして、現在税務当局と折衝をしております。  なお、この点につきましては、他の民活関連法案と同様、法律上の裏づけが必要になってまいりますので、実現した暁には、また法案としても当委員会で御審議をお願いしなければならないと考えております。
  25. 谷垣禎一

    谷垣委員 今おっしゃった優遇税制と申しますか、呼び水、インセンティブとしての優遇税制、これはぜひ税務当局ときっちりお打ち合わせをいただいて、こういう基礎技術研究が円滑に進むように御努力をいただきたい、強く要望いたしておきます。  それで、この国際電気通信基礎技術研究所でございますけれども、もう一つぜひ申し上げておきたいことは、これは大臣の地元のことでもございますが、関西で今大変力を入れて推進いたしております関西文化学術研究都市のいわば目玉として、関西が挙げて設立を要望しているものでございまして、こういう大きなプロジェクト基礎的な研究を推し進めることによって関西の活力を高めていこう、そして首都圏、東京圏との情報格差を埋めて関西全体の地盤沈下を防ぐといいますか、活力を高めていこうということで、関西ではまさに朝野を挙げて期待をし、望んでいるものでございますので、大臣、ぜひとも御尽力をいただきまして、早急に確立をしていただきますようにお願いをいたすものでございます。  今ちょっと内需拡大のための民活というようなことに話がいったのですけれども、この内需拡大策としての昭和六十一年度郵政省考えているテレコム税制の改正要望、あるいは財政投融資の概要、もうちょっとお話しをいただけませんでしょうか。
  26. 奥山雄材

    奥山政府委員 内需拡大の税制上あるいは財政上の措置といたしまして、六十一年度に向けて今私ども要求を提出しているものが幾つかございます。  大きく分けまして、一つは投資減税的な効果を持つと予想されるものでございまして、この中には、ただいまお話が出ておりました電気通信基礎技術研究に対する投資を円滑ならしめるための優遇措置、あるいは今後社会のインフラとして非常に大きな電気通信の情報基盤となるところの双方向CATVに対する優遇措置、さらには地方と中央との情報格差を是正する見地から、テレトピアという地方の情報発進拠点に対する事業、それに対する優遇措置といったようなものが挙げられます。  そのほか、別なカテゴリーといたしましては、通信機器市場の活性化という見地から、昨年も一部の機器につきまして耐用年数が決定されましたけれども、さらにことしはディジタルのPBXといったような先端機器について耐用年数の短縮をお願いするといったようなこと、あるいはビデオテックスといった新しいニューメディアに対する機器の物品税の軽減といったようなことを考えております。  そのほか、安全性、信頼性対策の問題等々含めまして、税制上の優遇措置を講ずることによって民間活力を引き出してまいりたいと考えております。  また、財投関係では、主としてニューメディアの振興育成という、昨年、一昨年からお認めいただいている内容をさらに拡充強化いたしまして、総額で約八百億円程度の財投の要求をしております。  そのほかに、それとは別枠で、先ほど来御指摘のあります基盤技術研究促進センターへの出融資の所要額要求しているということでございます。
  27. 谷垣禎一

    谷垣委員 ぜひそういった措置を六十一年度においてとっていただきたいと希望いたします。  次に、放送衛星について伺いたいと思うのです。  BS3の打ち上げが延期になった。それから今回、BS2b中継器の出力不足といった問題が起きてきたわけですが、今後の放送衛計画に対する大臣のお考え方伺いたいと存じます。
  28. 左藤恵

    左藤国務大臣 BS3につきましては、信頼性のより一層の確保を図るために、BS3aにつきましては一年半、それからBS3bにつきましては一年延期いたしまして、昭和六十五年度の夏期、それから昭和六十六年度の夏期にそれぞれ打ち上げるというようなことになったわけであります。  また、BS2bにつきましては、今御指摘のようにB系統中継器の出力が百ワットということにしてあったわけでありますが、これが約九十ワットに低下しているということが判明したものでございますが、衛星放送の実施には支障がないということで、予定どおり本年度の冬期に、すなわち昭和六十年度二月期でございますが、打ち上げに向けて計画を進めるということにいたしたところでございます。  我が国放送衛計画は、難視聴解消を基本として進めてきたわけでありますけれども、新しい放送サービスの可能性を有した、将来性に富むメディアということでも、国民の皆さんの大きな期待がかけられている問題でもございますし、我が国は早くからその実現に努力してきたものでありますので、こうしたものにつきまして、今後ともこれまでの経験を十分踏まえて、信頼性を第一にいたしまして、関係機関が一致協力して計画を進めることができますように指導してまいりたい、このように考えておるところでございます。
  29. 谷垣禎一

    谷垣委員 BS2bの中継器の出力不足、百ワットのところが九十ワットしか出なかったということなのですが、これは打ち上げ計画は本年度の冬期、昭和六十一年一、二月ですか、予定であるというふうに聞いているのですが、この出力不足はこの打ち上げ計画に支障がないのかどうか、そこを伺いたいと思います。
  30. 奥山雄材

    奥山政府委員 BS2bにつきましては、2aにおいて生じました故障の経験を踏まえまして、諸措置を講じた上で試験に入ったわけでございますけれども、ただいま御指摘ございましたように、ことしの五月以降の最終試験段階に、受け入れ試験段階におきまして、進行波管の出力が百ワットであるべきところ、九十ワットであるという事実が秋になって判明いたしております。したがって、これが今後のBS2bの打ち上げにどのような影響を及ぼすかということにつきまして、NASDA初め関係機関、NHK、私どももちろん含めてでございますが、慎重にたびたび議論をし、検討をしたところでございます。  その結果、出力が十ワット低下していることは事実でございますが、その後、その状況は極めて安定しており、それ以上の劣化は認められないということと、さらにアンテナの利得がその出力不足を補って余りがあるという事実が判明いたしましたので、衛星全体といたしましては、総合性能として所定の規格を十分満たしているという結論に達しましたので、関係機関では、来年の二月ころ予定どおり打ち上げることで意見が一致したところでございます。
  31. 谷垣禎一

    谷垣委員 予定には支障がないというお話を伺って、そのとおりであれば結構だ、こういうふうに思いますが、現在世界の衛星保険市場というものが大変難しくなっている、いろいろ打ち上げの失敗が相次いで、保険というものがなかなか難しくなっているということでございますので、このBS2bは来年打ち上げられる予定ですけれども、その保険の交渉というものは一体どうなっているのか、伺いたいと存じます。
  32. 奥山雄材

    奥山政府委員 先生指摘のとおり、世界の人工衛星保険市場は現在大変困難な状況に陥っております。一九六七年に衛星保険というものが世界でスタートしたわけでございますが、その後しばらくの間は比較的順調でございましたけれども、昨年の二月のスペースシャトルの失敗以降事故が相次ぎまして、スペースシャトルからアトラス・セントール、さらにはヨーロッパのアリアンロケットまで失敗をするというような事故がことしに継続をして起きました結果、現在の世界の人工衛星保険市場は、保険収入が約三億ドルに対しまして、その損害が八億六千八百万ドルという、損害率二九〇%、三倍に近い逆ざやということになっておりますので、世界の、ロンドン及びニューヨークを中心とした人工衛星保険市場は、現在ほとんど閉鎖状況になっております。しかしながら、今後日本を初め各国で衛星の打ち上げの予定がありますので、逐次各関係機関では、世界の保険会社を相手に交渉を始めているところでございまして、日本におきましても、つい今月に入りまして、BS2bの打ち上げ保険の交渉を開始すべく、関係者がロンドンに今赴いているところでございます。  いずれにいたしましても、見通しとしては非常に厳しいということと、仮に保険がつけられた場合でも、保険料率は従来に比べて相当高くはね上がるであろうということは予想されるところでございます。
  33. 谷垣禎一

    谷垣委員 難しい状況であることはよくわかりましたが、この交渉に向けては、関係者は最善の努力を払っていただきたいと思います。  電気通信に関連して、最後にちょっと、アメリカでの電気通信関連の保護主義法案に対する郵政省考え方を伺っておきたいと思うのです。  最近アメリカで、保護主義法案がたくさん用意されているわけですけれども、相当な部分がこの電気通信分野に関連をしておりまして、これがどんどん実施をされるということになると、世界の自由貿易の上におきましても、日米間の問題としても大変大きな影響が出てくるわけでございます。郵政省のお考え方、それから対応というようなものを伺いたいと存じます。
  34. 左藤恵

    左藤国務大臣 現在、米国の議会におきましては、もう三百を超えますような多数の保護主義的な法案が提出されておりまして、その中には、いわゆるダンフォース法案、これは一九八五年電気通信貿易法案というものでございますが、これなど電気通信分野だけのものもあるわけでございまして、郵政省としては、こういった法案が通過した場合に、その運用が恣意的に行われたり何かする心配がございますし、また、こうした保護主義的な動きが世界の貿易に及ぼす影響、貿易を縮小してしまう、そういったことも懸念をいたしております。  いずれにいたしましても、内外を問わず、良質で低廉なサービス、それから機器が提供されるということが、利用者であります国民にとりまして利益になる、そういう立場からも、郵政省としては今後も、内外無差別、簡素、透明、それから市場開放の原則を貫きまして、そういったことで努力を続けていかなければならない、このように考えております。  そうしたことで、あらゆる機会を通じまして、今後も米国に対して、今申しました我が国の貿易に対します姿勢、それから電気通信制度あるいは郵政省考え方といったものにつきまして正しい理解を求めていくような努力をしていかなければならない、このように思いますし、また米国側にも相応の市場参入への努力をしていただきたい、こういうことを求めていきたい、このように考えておるわけでございます。
  35. 谷垣禎一

    谷垣委員 この問題につきましては、大臣初め郵政省の皆さんも大変な御苦労をいただいているところでございます。御努力には敬意を表するものでございますが、今大臣のおっしゃった御努力をさらに精力的にお続けをいただきたいと思います。  次に、貯金関係について伺いたいと思うのです。郵便貯金の分野で六十一年度いろいろな制度改善を考えておられると思いますが、予算においでどのような要求をなされているのか、伺いたいと思います。
  36. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 今の我が国の社会経済状況の特徴をどういうふうにとらえるかというのは、いろいろな見方があると思いますけれども、私ども郵便貯金を経営する立場からいたしますと、二つあるのではないか。その一つは、人口の高齢化に伴う長寿社会ということ。それから郵便貯金を含めまして、金融全体が国際的な状況の中で動くということ、あるいは国の債券であります国債が大量に発行されて、規制金利でない実際の市場のプライスで動く、そういった意味での金融自由化といいますか、この二つが大きな特徴であると言っていいのじゃないかと思います。そういうわけで、私ども郵便貯金といたしまして、こういう状況を踏まえまして、昭和六十一年度予算重要施策といたしまして、今申し上げました長寿社会と金利自由化への積極的対応という二つの大きな柱によって制度改善要求を行っているところでございます。  具体的施策として申し上げますと、まず長寿社会への対応といたしまして、早いうちから老後に備えて蓄えることを目的とした郵便貯金について、三十歳から年間百万円を限度として一千万円まで預入できるシルバープラン貯金を創設すること。第二に、昭和四十八年以来掘え置かれております一般の預入限度額を、現行三百万円から五百万円に引き上げること。第三に、郵便局の窓口において昭和二十六年まで行われていた国債の販売を再開すること。第四に、住宅積立郵便貯金の総額制限額を現行の五十万円から百万円に引き上げることでございます。  それから、金利自由化への対応といたしましては、市場金利を反映したよい商品の提供や財投資金の確保を図るために、市場金利による資金運用制度を創設いたしまして、郵便貯金資金による国債、地方債等の運用を行えるようにすることを要求しておりまして、現在これらの実現に向けて関係の向きと鋭意折衝しているところでございます。
  37. 谷垣禎一

    谷垣委員 具体的な施策をいろいろ挙げていただきまして、いずれもおっしゃった長寿社会への対応あるいは金利自由化への対応という点から見て極めて重要かつ必要な施策じゃないかと思います。一つ一つ議論させていただきたいのですが、時間がありませんので、市場金利による資金運用制度の創設ですけれども、金利自由化が急速に進展してまいりましたし、特に小口の方はまだなかなか進んでおりませんけれども、これは恐らく進み出したらだあっと進んでいくのじゃないかと思います。公的金融も健全な事業運営をしていくためには、こういった制度をどうしてもつくっていかないと、これからうまくいかないだろうと思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。  それから、国債販売の再開ということを今言われましたが、実は私もこの間新聞を読んでおりましたら、これは私の地元の新聞、京都新聞でございますけれども、共同通信社の世論調査に関して十一月二十日付で載せておりまして、今後国債を貯蓄の対象として考えたいという人が全体の三二・五%いる。三人に一人いる。それから国債を買いやすくする方法としては、六〇・五%の人が、銀行や証券会社だけじゃなしに、手近な郵便局や農協で販売してもらったら買いやすいのじゃないかということを望んでいるんだ、こういう世論調査の記事を読んだわけでございまして、えらくタイミングよくこういう記事が出だなと思いながら読ませていただいたわけですが、こういう要求をされた理由を伺いたいと思います。
  38. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お答えいたします。  先生今御指摘の記事を私どもも読ませていただきまして、そういうニーズがあるんだなということについて大変心強く感じたわけでございます。  私どもが六十一年度要求の中で国債販売の再開を求めました理由でございますけれども、御承知のとおり、現在百二十兆円を超す国債残高を擁しておりまして、借換債を含めますと、これからも毎年二十兆円を超す国債の発行が予想されるわけでございまして、国債の安定的消化が国家的課題になっているのではないかと考えるわけでございます。私どもせっかく全国津々浦々二万の郵便局ネットワークを持っているわけでございますから、ここで売って、国債の安定消化のお役に立ちたいと考えたわけでございます。  もう一つ、今の新聞のアンケート調査にもありますように、資産選択が多様化しておりまして、貯金だけではなくて、安定的で、しかも利回りのよい債券を買おうというニーズも高まっているようでございますので、そういったところに郵便局としてもこたえていきたい。そういう理由で、実は二十六年に取り扱いを廃止するまで、約半世紀にわたって私ども国債販売を手がけていた実績もありますので、そういった実績も背景にお役に立ちたいと考えた次第でございます。
  39. 谷垣禎一

    谷垣委員 今の国債販売、国民の中に強い要求もありますし、まさに言われたように、長寿社会の中で公的年金というようなものがすべてを覆っていくというわけになかなかいきませんので、それぞれがどういう形で資産運用していくかということは、やはりこれから真剣に考えていかなければいけない。そういう意味からも、こういう要望が強く出てきているのだろうと思うのです。それから、国の立場からいっても、個人でもう少し国債を消化していただきたいということがあるわけですから、証券会社、銀行というだけではなかなか近づきにくい。国債を個人で持っている人は現実には必ずしも多くないわけですから、ぜひとも手の届きやすいところでやっていただく、これは大変重要なことだと思います。積極的にお進めをいただきたいと思います。  それから、時間がございませんので国債販売についてはそのくらいにいたしまして、非課税貯蓄制度についてぜひ大臣の所信を伺っておきたいわけでございます。  最近、六十一年度の税制改正に当たって、非課税貯蓄制度をもう一回見直すという動きがあるわけでございます。もちろんこの問題につきましては、当委員会でもさんざん過去に議論を繰り返してまいりまして、非課税貯蓄というものが国民の間に果たす役割は極めて大きいし、貯蓄過剰だというようなことも、これは正しい考え方ではない、正しい批判ではないが、そういうような議論がさんざんあったわけでありますので、ここではもう繰り返すことは避けさせていただきますけれども、このいろんな議論の中で、昨年暮れに一応この問題は決着がついている。そして限度管理を強化するという方向で、今郵政省もいろいろ窓口の指導をしていただいている。そのために、もう相当な予算も使われているのじゃないかと思うのですね。私のところにも、一体郵便貯金はどうなるんだと心配されている方々、まあいろんなことを言ってこられます。要するに、グリーンカード以来どうなるのかわからない、ここに安定してお金を預けておいて大丈夫なのかどうか、こういうような疑問を国民が持っていることは事実だと思います。  ですから、今の時点で非課税貯蓄制度を見直すなんというのは、昨年暮れにこういうことを決めて、まさに来年から新しい制度でやっていこうというこの時期でございますから、見直すなんということをすれば、これは猫の目行政だ、朝令暮改だということになるのは、私は火を見るより明らかだろうと思うのです。だから、何としても非課税貯蓄制度は堅持するということでなければいけないと思うのですが、この点について大臣の所信を伺いたいと思います。
  40. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のとおり、そもそも郵便貯金というのは創業以来国民の中に定着したものであります。昨年いろいろ問題はございましたが、国民各界各層の広範な御議論をいただいた結果、非課税制度を堅持していく。その際に、限度額を管理するという問題が出てまいりました。そうしたことで、国民の皆さんに正しい郵便貯金の利用という立場から、一つの方法として、本人確認手続を行うことを定めました所得税法というものがあるわけでありますが、この施行を目前にいたしまして、今先生指摘のような非課税貯蓄を廃止するというようなこと、あるいは課税を導入しようというような形は、これは法の安定性を阻害するだけじゃなく、国民の皆さんに対して朝令暮改といいますか、国に対します国民の皆さんの信頼を裏切るということになるわけでありまして、まことに遺憾なことである。断固こうしたことにつきましては拒否をいたし、そして郵便貯金の非課税制度は、これを堅持していかなければならない、このように考えておるところでございます。
  41. 谷垣禎一

    谷垣委員 私ども大臣の全面的なバックアップをいたしたいと思っておりますので、よろしく御健聞いただきたいと思います。  大分時間がなくなりまして、簡易保険の関係についてもいろいろ伺いたいわけでございますが、時間の関係で一つだけ伺わしていただきたいと思います。  それは、懸案であります簡易保険の加入限度額の引き上げ。これは、もう九年間も据え置きになっているわけでありますから、ぜひともことしは引き上げを実現していただかなければならないんじゃないかと思います。先ほどから長寿社会の対応ということが何回も言われておりますけれども、やはり公的年金というものの限界というものもあるわけですから、いろいろな老後の立て方というものをそれぞれが選択をしていく、いろいろな選択肢があって、その中で競争していくということでなければならないと思うのですが、一千万円というような限度額では、どうもその役割に十分こたえられないのじゃないかと私は思いますので、郵政省の御方針を伺いたいと思います。
  42. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のとおり、簡易保険の限度額は五十二年以来一千万円ということになっておるわけでございまして、毎年そういうことを要求いたしておりまして、昨年の予算編成の段階におきましても、これは大蔵大臣と私の間でいろいろ最後の折衝をして本年に持ち込んだ問題でございます。何とかこの問題については、ことしはどうしても決着をつけなければならない、このように考えております。今お話がございましたように、一千万円では老後の問題、また万一の場合の国民生活を安定させるという見地から、これが十分であるとは到底考えられませんので、何といたしましても、我々の要求いたしました線に持っていくように大蔵省とも十分折衝いたしまして、この実現を図らなければならないと決意をしておるところでございます。
  43. 谷垣禎一

    谷垣委員 よろしくお願いをいたします。  最後に、放送行政の分野で、最近問題になりましたテレビ朝日のやらせ事件について伺いたいと思うのです。  最近、報道の姿勢が問題になるような事案がいろいろございまして、私ども地元に帰りましても、かなり視聴者の関心といいますか、いろいろな面での放送のあり方を問題にされる方々がふえてきているような感じがいたします。しかし、そうは申しましても、こういった報道の分野では、報道の自由と申しますか、表現の自由ということがございますから、我々立法府として、あるいは行政としてとり得る手法というのはそう多くはないわけでございますけれども、今回のテレビ朝日のいわゆるやらせ事件について、事実経過の概要と、それに対しておとりになった郵政省の対応といいますか、それについて伺いたいと思います。
  44. 森島展一

    ○森島政府委員 いわゆるテレビ朝日のやらせ事件につきましては、去る十月八日及び九日に事実、事件関係が明らかになりましたので、私どもは任意の聴取を行いました。それから十月十五日には、テレビ朝日の社長が郵政大臣のところに陳謝に参りました。それから翌十六日には、テレビ朝日から、今後こういう方策をとって事件の再発を防ぎたいということが文書で提出されました。  これらを受けまして、十一月一日に放送局の再免許ということがあったわけでございますが、これにつきましては、テレビ朝日を含めて、電波監理審議会に諮問いたしまして、十一月一日にはテレビ朝日の社長に対しまして、今回の事件は言論報道機関としての責任という点で極めて遺憾であり、今後こういったことの再発は絶対に防いでもらいたいということを強く要望した上で再免許をいたしたわけでございます。  また、同日付で、全民放の社長、それから全民放社の放送番組審議委員長等に、放送番組の充実向上等について要望を行っております。  したがいまして、この件につきましては、テレビ朝日に対しまして厳重注意ということで、テレビ朝日の今後の対応を十分見守っていきたい、こういうことでございます。
  45. 谷垣禎一

    谷垣委員 報道の自由というのは極めて大切なものであるということ、これは論をまたないわけでありますけれども、報道の自由が認められているのも、やはり正しく事実を報道する、それによって正しく国民の意思形成が行われるのだというところに眼目があるわけでございますから、その自由を乱用して、やらせでもって事実を曲げたものを報道するというようなことは、逸脱も甚だしいと私は思います。特にテレビというものは、貴重な公共電波というものを割り当てられて使っているわけでございますから、そこでの報道というのは公器であるという認識をもう少し強く持っていただかなければいけないのではないかと私は思います。  もっとも、やらせに関しては、いろいろ取材したものをそのまま出したのではなかなか真実を伝えられないというような反論も、あるいは放送する側の方の中にはあるやに聞いております。その辺はそういう事実もあるであろう、編集というものもあるのだろうけれども、そこにはやはり限界があるのじゃないか。青少年を使嗾して暴力を振るわせて、これをあたかも青少年の実態であるかのごとき報道をするのは、これはもう限界を超えたものであろうというふうに私は思います。  最近出ました通信白書を見ましても、テレビ離れの現象が起きているというような記述がございます。テレビの情報供給量はふえているけれども情報消費量は減っている。このテレビ離れの原因はいろいろあろうかと思いますけれども、やはりその中の一つに、報道の姿勢と申しますか、放送する側の姿勢というものもあるのではないか、私はこのように思います。今、再免許に当たって郵政省としては厳重注意をされたということでございますけれども、今後もこの点については適切な指導をしていっていただきたい、このように要望して、時間が参りましたので、私の質問を終わらせていただきます。
  46. 渡辺紘三

    渡辺委員長 武部文君。
  47. 武部文

    武部委員 私は、時間の関係で最初に、今お話がございましたテレビ朝日の問題を質問をいたしたいと思います。  今度の事件は、私ども逓信委員会がテレビの内容について、長い間いろいろ参考人等を呼んで質問をしたり論争をしたりしたケースと大変違うのであります。そういう面で私どもも非常に関心を持っておるわけでありまして、郵政省の見解をぜひこの機会にお承りをいたしたいのであります。  まず、今答弁を聞いておりますと、再免許に当たってどのようなことをやったかという質問に対するお答えの中に、この件について電波監理審議会に諮問をして意見を聞いて云々、こういう答弁がございました。電波法の第七十六条の無線局の免許の取り消し、これに該当すると私は思っているわけですが、今回の事件について、電波監理審議会に諮問をして、その意見を聞いて態度を決定した、これは事実でありますか。
  48. 森島展一

    ○森島政府委員 先生おっしゃいますとおり、今回のテレビ朝日の事件に関係いたしまして、再免許については電波監理審議会に諮問をいたして、その答申を得た上で再免許をいたしたわけでございますが、その際、電波監理審議会に対しても、免許に当たって厳重に注意という形で今後のテレビ朝日の再発を防ぐ対応を求める、こういうことを御説明した上で答申をいただいております。
  49. 武部文

    武部委員 これはまた後に譲りましょう。  そこで、当委員会でいろいろやりました問題は、今までは低俗番組、俗悪番組あるいは子供番組のコマーシャルの行き過ぎ、こういうことが主として論議をされてきたわけであります。その背後に視聴率というものがあったということも、やりとりの中でいろいろ出てきたわけであります。しかし、今回はちょっと内容が違うのであります。今も同僚議員からお話がございましたように、放送法第三条の放送の番組編集の自由、このことは侵すことはできないわけでありますから、こういう点がいつも論議の際に問題になりました。しかし、今回の問題は放送法第四十四条の第三項の三「報道は事実をまげないですること。」これに違反をしておる、抵触をしておる、それが余りにもひどい、こういうことから私は、事件が非常に大きくなって、ついにディレクターの逮捕、刑事事件に発展をして、罰金刑、こういう事態にまで発展をした、このように理解しておるわけであります。  したがって、これに対して郵政省電波法七十六条に該当する、あるいは該当するかもしらぬ、こういうことで行政処分を検討したということが報道されているわけであります。この事件が起きてディレクターが逮捕され、罰金刑が確定をする、世論は大変沸いた、こういうことで行政処分を検討したと報道されておりますが、どういう行政処分を検討されたか、それをお聞きしたい。
  50. 森島展一

    ○森島政府委員 今回の場合、テレビ朝日は訂正放送をいたしておりますので、確かに放送法の第四十四条に違反する疑いが大きいというふうに考えております。しかし、テレビ朝日としては、このような事案が再発することを万全の措置をとって防ぐということを文書で確約しておりますし、放送法令及び番組基準を遵守するという決意も披瀝されておりますので、これらを総合的に勘案した結果、今回テレビ朝日に対して電波法七十六条に基づく停波といった行政処分をあえて行うことはせず、厳重注意ということでとどめたものでございます。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
  51. 武部文

    武部委員 東京法務局長はテレビ朝日の社長に対して、これは専門語のようでありますけれども、このリンチ事件について説示という文書を出しておるようでありますね。この中にその内容が詳細に書いてありますが、東京法務局の局長は人権問題としてこれを取り上げておるのであります。「未成年の子女の人権を侵害するものであり、基本的人権を尊び社会の信頼にこたえる放送機関として極めて遺憾なことと言わざるを得ない。」こういう文書がテレビ朝日の社長に出されておる。これもいまだかつてなかったことであります。こういう事件が起きておるので、基本的人権の問題であります。これに対して郵政省は、今回の放送免許の再免許に当たって、今おっしゃったような程度のことで再免許を与えたということについて、私は納得できないのであります。  ちょっとお伺いしますが、放送法、電波法が施行されてから今日まで、放送の再免許について、免許をしなかったり、あるいは何日間か停止したり、そういうことが過去にありますか。
  52. 森島展一

    ○森島政府委員 今お尋ねのような放送局の再免許に当たり、免許を停止するとか何日間かとめるといったような例はございません。
  53. 武部文

    武部委員 免許停止はただの一局も、どんなことがあっても――あったのかどうかわかりませんが、なかった。すべて再免許をしておる、こういうことですね。それならば、外国で同じような例で再免許を停止した、そういう例を郵政省は御存じでしょうか。
  54. 森島展一

    ○森島政府委員 外国の例につきましては必ずしも十分に調査はしておりませんけれども、例えば英国においてはIBA、インディペンデント・ブロードキャスティング・オーソリティーという、これはBBCが公共放送機関でございますが、このIBAも番組制作会社から委託を受けて放送する、そういう独立した放送協会でございます。このIBAが番組制作会社との契約は更新せず、新たな会社と契約したという事例があるということは承知しておりますが、これはいわゆる免許の停止というものとは異なるものと考えております。
  55. 武部文

    武部委員 イギリスの放送体系は我が国とよく似ておるのであります。したがって、私どもが先般電電の法案が提出される直前に、民営化されるイギリスの事情を調査に参りましたときに、放送の問題についてイギリスの各機関の皆さんとお話し合いをいたしました。そのときに、イギリスでは全部再免許ということはない、何局かは免許停止、こういうことを私どもはイギリスから聞いて実はびっくりしたのであります。我が国においては、今御答弁がございましたように、いまだかつて再免許をしなかった例はない、そのように私ども理解しておったわけですから、イギリスで再免許をしなかった例があるということを聞いて実はびっくりしました。しかし、私ども調査の目的は電電の問題でございましたから、何日間停止したのやら、どういう格好でやったのやら、そのことについてそれ以上突っ込んだ詳細な調査をすることはできませんでした。しかし、現実にイギリスはそういうことをやっておるということを私どもは聞いておったので、今回の問題について大変参考になったのであります。  したがって、ここでやりとりしてもいけませんから、私はちょっと要望しておきますが、イギリスの放送に対する再免許停止がどういう形で事実あったのかなかったのか、私どもも私どもなりに調査をしてみますが、一体何日間どういう形で、どういう理由で再免許がされなかったのか、こういう点は今度のこうした問題について大変参考になるし、特におっしゃったようにBBCの問題もございまして、日本とよく似ておるというふうに私どもは見ておりますから、ぜひ郵政省の方で調査をしていただきたいと思いますが、いかがですか。
  56. 森島展一

    ○森島政府委員 私どもの存じておる限りでは、イギリスではBBCも、国王の免許といいますか特許が十年くらいで更新されるということはあるようでございますが、これが更新されなかったということはございませんし、それからBBCと並んでもう一つ先ほど申し上げましたIBAという放送協会がございます。このIBAは番組制作会社からの番組を受けて放送するというハードを管理する協会と聞いておりますが、この協会も電波を停止されたというようなことは聞いておりません。先生おっしゃるような事例は、恐らく先ほど申し上げましたように、このIBAが番組制作会社との契約更新の際に契約更新をしなかったという例ではないかと思いますが、さらに私どももこういった例を十分調査してみたいと思っております。
  57. 武部文

    武部委員 その点はぜひお願いしておきたいと思います。  そこで、最初に申し上げましたように、今回の再免許に当たって、いまだかつてこういう事例はなかった。番組編集の自由の問題でも何でもない、放送法第四十四条三項の三に該当する、こういう論議をここでやるというのは初めてのことなんです。その背景は一体何だろうか、これをまた考えてみなければならぬと思うのです。  しかし、その前健、今回の措置は余りにも手ぬるいと私は思うのです。確かにこの電波法七十六条に基づく取り消し等の処分というのは、「三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」これは全部放送停止でありますから、企業にとっては大変なことだと思うのです。しかしこれは「三箇月以内」であります。一日だって半日だって可能であります。  そういうことを考えると、今回のような事件は、企業にとっては酷かもしれないけれども、一罰百戒ということできちんとした処置を、今後の放送業界の正常な運営のためにやるべきではなかっただろうか、こう思うのですが、郵政大臣は私の意見についてどうお考えでしょうか。
  58. 左藤恵

    左藤国務大臣 先生のお考え方も一つのお考えだと私は思います。そういうことで、省内でも慎重に検討した結果、先ほど局長からお答えしたようなことにしたわけであります。  番組の中身の問題につきましては我々がとやかく言うことではないと思いますけれども公共電波を今先生指摘のような形で使って、国民の皆さんに対してそうしたサービスをしております放送事業者には、やはり大きな社会的責任というものはあるわけでありますから、会社自身がそういうことを本当に自覚して、今後どう行動していくのか、今回は猶予してそういうものを見守っていきたい、こういうことで、今御指摘のような形の手段を講じた、このように考えていただきたいと思います。
  59. 武部文

    武部委員 先ほど私は、この事件の背景に視聴率競争があるということを申しました。これは何も今に始まったことではないのであります。昭和四十六年ごろに低俗番組、破廉恥番組ということで大変なことになって、当委員会の中に放送に関する小委員会を設けたわけです。そして、各民放テレビの責任者に参考人としてここへ来ていただきました。番組そのもの、どんずばりのやりとりをした詳細な議事録がございます。私も当時この委員会におって、そのことを今でもよく覚えているのであります。そのときにも、視聴率競争でこういうことがあってはならぬじゃないか、それが番組をとんでもない方向に持っていく、低俗番組や俗悪番組をふやす原因だというやりとりをいたしましたが、今日また同じことが起きておる。  四十六年ですから相当古い話ですけれども、当時私どもはここに女優の高峰秀子さんを参考人として呼んだのです。当時の委員が三人か四人ここにおられるようでありますが、そのときに、芸能人として視聴率をどう見ておるかという質問に彼女が答えたことは、私は今でも大変印象に残っておるのです。それで議事録をここへ取り出してきました。高峰さんはこういう説明をいたしました。  視聴率なんていうばかばかしいものがありまして、あれたった五百台のテレビでやっているらしいんです。ネコが見ていてもそのときにスイッチが入っていればいいっていうことで全く当てにならない。あんなものを一番にしたければ、カステラかなんか持って五百軒回れば、すぐ一番になっちゃうと思うんです、極端に言えばね。  我々はそのときに、なるほど視聴率というのはそういうことをやっておるのかと思って、いろいろ調べてみました。確かに視聴率の算出根拠というのはそういうことで、関東は当時、テレビのある世帯は七百四十万世帯でございました。そのときに機械を備えつけて調べた世帯数はわずかに四百三十世帯、こういう答弁がございました。七百四十万世帯の中の四百三十世帯にこの機械を備えつけて調査をしたのが視聴率となってあらわれておる。それを高峰さんは言っておるのです。こんなばかばかしいものが視聴率となって競争に使われておる、こういう発言でございました。  調べてみますと、今もどうやら同じことがやられておるようであります。こういう視聴率競争が今申し上げたようなことにつながってくる。この点についてはやはり民放各局も十分反省をしていかなければならぬと私は思うのです。視聴率競争という言葉に対して、郵政省はどのようにお考えですか。
  60. 森島展一

    ○森島政府委員 確かに先生おっしゃいますように、視聴率競争に走るということが非常にこの問題の根源にあるというふうに私ども考えますが、今回のテレビ朝日の事件に関しましては、テレビ朝日会社自身が非常に反省しておりまして、去る十月十六日に文書で、こういった事態の再発を防ぐということで、こういう措置をとりたいということを提出されました中にも、いたずらな視聴率競争に走ってセンセーショナルな報道番組の取り上げ方をしないというようなことを言っておりますので、民放としてもこういった点はこれから大いに反省して、番組の充実向上という点を図っていただけるものというふうに期待しておるわけでございます。
  61. 武部文

    武部委員 この「アフタヌーンショー」という番組は古いのです。私は酒の免許のことで「アフタヌーンショー」に三遍ほど呼び出されまして出たことがありますからよく知っておるのですが、当時は桂小金治がやっておって、こういう番組ではなかったのです。非常にいい番組として好評でしたが、だんだんだんだん変わってきて今日こういうことになった。それはやはり視聴率の問題がこの背景にあるなということは私は直観して考えました。ですが、時間もございませんからもうこれ以上のことは言いません、小委員会を設けていただくことになりましたから。  この間も予算委員会で深夜番組が取り上げられましたね。深夜番組が余りにもひどいという具体的な例が、同僚議員の中から出ておるのであります。やはり、民放の現在の番組の中には見逃すことのできない問題点があるように思います。ですから、放送に関する小委員会がせっかくきょう設けられましたから、改めて民放の皆さんにも来ていただいて、先ほど同僚議員からもお話があったような、これは国民のための電波ですから、国民のものですから、そういう意味ではやはり私どもとしてはこれを看過するわけにいかない。そういう立場で、いずれ改めてもう少し具体的に質疑をさせていただきたいと思いまして、この問題はこれで終わりたいと思います。  そこで、次に郵政関係の問題についてお伺いをいたします。これも先ほど同僚議員からも触れられた問題でございますが、昨年の暮れ、予算編成の際に、非課税貯蓄問題のことが大変大きな問題になりました。大臣以下非常に御努力をいただいて、幸いにしてあのような結果になったわけであります。そのときに与党の五役調停というのが出まして、その第一項目に、非課税貯蓄の限度額管理についてはこれを厳正に行う、こういうことが決められたのであります。マスコミも、これによって非課税貯蓄制度をめぐる利子課税の論争は終止符を打った、こういうふうに報道いたしましたし、私どももそのように思いました。  そこで、この限度額管理を来年の一月一日から実施する。さっきお話があったような所得税法の問題等に関連をする措置だと思いますが、一体郵政省としては、この限度額の厳正な管理をする、こういう措置を末端の、第一線の現場にどういうような指導、あるいは何を今指示しておるのか、これをひとつお伺いしたい。
  62. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 お尋ねの件でありますが、おっしゃるとおり所得税法令の改正に伴いまして、来年一月から郵便貯金の預入の際に、健康保険証など本人確認のための公的証明書類の提示が必要となったわけでございます。  この本人確認事務の円滑な導入を図るために、関係職員に対しましては、制度の改正内容、それから事務処理手続につきまして、全郵便局を対象に法令講習会及び業務研究会を開催いたしまして、その徹底を図ったところでございます。  それから、十一月以降でございますが、これは利用される向きに周知徹底を図るという意味で、制度の改正内容をポスター、チラシ等に盛りまして、宣伝、周知施策を実施しているところでございます。  こういう限度額管理の強化、これは非課税貯蓄制度の存続を前提に行っているものでございまして、私ども、この徹底によって窓口で混乱が起きないように努めている次第でございます。
  63. 武部文

    武部委員 これは、昨年の暮れの郵政大臣と大蔵大臣との話し合い、さらにはそれが五役調停になってこのような結果を得た。したがって、今申し上げたように、郵政省としては来年の一月一日から限度管理を厳格に、厳正に行っていく、これで一件落着、このように我々も理解をしておったわけでありますが、これまたおかしな話がまたぞろ出てきて、再びこの少額貯蓄に対する課税問題が浮上するということは、全く納得できないのであります。  郵政大臣は、この当事者でありまして、去年の暮れにそういうことをお決めになったわけであります。同時に、来年度予算の編成に当たっては現大臣がやるということになっておるようでありますから、こういう問題については絶対に前回のこの申し合わせは守ってもらわなければならぬ、こう思うのですが、いかがですか。
  64. 左藤恵

    左藤国務大臣 全く先生指摘のように、そうしたことでこういったことが再浮上してくること自体が遺憾なことである、私はこのように思いますし、先ほども申しましたとおり、国民の皆さんに対する信頼を裏切る、そういう点で非常に遺憾だと思います。何といたしましても、先生指摘のような、そういった心配のことが起こらないように、この非課税制度は死守してまいりたい、堅持してまいりたい、このように考えております。
  65. 武部文

    武部委員 大臣はぜひその決意で臨んでいただきたいのであります。  そこで、何代も前の郵政大臣からずっと引き続いて打ち上げられたまま実行されておらないシルバー貯金の問題であります。これはお年寄りにとっては非常に期待されておる新しい商品でありまして、いつも大臣就任のときはぶち上げられるが、いつの間にやら消えてしまう、こういうことでございました。六十一年度の新しい郵政省の方針として、このシルバー貯金という点についてはどういう見解を持っておられるか、お伺いしたい。
  66. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 先生おっしゃいますとおり、過去、シルバー貯金ということで構想を打ち上げておりました。これは、現に例えば五十五歳なら五十五歳以上の比較的高齢にある方を対象にして、その方が例えば退職などによって一時金が入ったときに、それをそっくりといいますか、できるだけ高額そのままお預けいただく。したがいまして、郵便貯金が例えば三百万なら三百万という限度額でありますと、そういう退職金をお預かりするには窮屈でございますので、それとは別枠で例えば一千万なら一千万をシルバー貯金ということでお預けいただく。これは貯金の種類としては定額貯金などを考えておりますけれども、そういったことでなるべく利子ともども老後の生活設計にお役に立ちたいということで構想を立てたわけでございます。  ところが、いろいろ考えまするに、現に高齢にある方だけではなくて、こういう人生八十年という高齢化社会になりますと、やはりいずれはそういう時期が来るんだなということで、比較的若い時代からそういうことを心がけるのも必要なんではないか。統計の示すところによりますと、あるアンケート調査では、三十代になるとそろそろ老後のことも考え始めるということも示されておりますので、例えば三十歳以降でございますか、年間積み立てをして、それでちょうど五十五を過ぎたら一千万くらいたまっているというような格好にしてもいいじゃないか。そういうことで、枠といいますか時間的な幅を広げて、シルバープラン貯金という名目で、私ども昭和六十一年度予算要求に提出しているところでございます。いろいろ算定いたしまして、夫婦合わせて三千万円程度あれば、公的年金の不足を利子でカバーできるという推定計算もありますので、お二人そろって一千万すっ二千万。私ども三百万を五百万にという郵便貯金の枠拡大を要求しているんですが、この五百万が仮に実現すれば五百、五百、合わせて一千万、合わせて三千万で大体公的年金の不足を利子でカバーできるんではないか、こういうような計算も立てて、シルバープラン貯金一千万別枠でということで制度要求をしている次第でございます。
  67. 武部文

    武部委員 わかりました。  それじゃちょっと保険について。この限度額の問題というのは、毎年の逓信委員会なりで問題になり、予算編成のときにはいつも私ども郵政大臣に限度額の引き上げを要求してきたわけですが、一向に実現をしないまま九年目に、入りました。先ほど大臣の決意をお述べになっておったようでございますが、これまた昨年の大蔵大臣との折衝におきまして、最終的には両省で鋭意検討する、こういうことで終わったということになっているわけですが、この大臣折衝に当たられた郵政大臣がこれまた次の予算編成の前の担当者ですから、この問題については前の約束をどういう決意でどのように実行されようとしておるのか、これを述べていただきたい。
  68. 左藤恵

    左藤国務大臣 昨年末に大蔵大臣と私との間で大臣折衝をいたしました段階で、この問題につきましては、今までと違いまして、成案を得べく両省間で鋭意検討する、こういうことで話し合いをしたわけでございます。そうしたことで、ことしはどうしても結論を出さなければならない、そういうことが昨年の交渉の段階で、大蔵大臣との間で話し合ったことでもございますので、ことしは何としてもやらなきゃいかぬ。しかも、予算編成の最終段階じゃなくてそれ以前にやりたいということで、現在事務的な折衝を大蔵省に申し入れて、大蔵省もこれに応ずるような形で話し合いを開始したところでございます。何としてでも先生指摘のような形でことしは決着をさせなければならない、このように決意をしておるところでございます。
  69. 武部文

    武部委員 結構でありますが、実は民間生命保険は、郵政省の簡易保険の限度額引き上げ絶対反対、こういう立場で大変な運動をし始めておるというのが現状の姿であります。私どもは、例えば簡易保険の一千万円が九年間も抑えられておる、これはもう時代の流れから見たって、だれが見てもばかげたことであって、当然改定されなければならぬ、こう思うのですが、民間生保がそういう運動を執拗にやっておるようでありますし、我々のところにもそういう要請が民間生保から来る、こういう状況であります。これは理解に苦しむんですが、それだけに、去年の申し合わせに従って、ことしはぜひ大臣にも努力いただいて、この限度額の問題が解決できるようにひとつ最大努力をお願いをしたい、このことを申し上げておきたいと思います。  そこで次に、簡易保険局長にお伺いいたします。私どももずっと事業を見てきたわけですが、急激な長寿社会の到来という状況あるいは国際経済の問題、こういう点を考えますと、今後の簡易保険や郵便年金について、新しい方向を考えなきゃならぬではないかというようにも考えるわけです。簡保事業の責任者として、局長はこの簡保、郵便年金の将来の方向についてどのように考えておられるか、述べてもらいたいと思います。
  70. 二木實

    ○二木政府委員 お答え申し上げます。  先生指摘のように、日本の長寿社会は非常に急速な歩みでございまして、その一方、公的保障というものにつきましてはおのずから限度があるわけでございますので、国民一人一人が自分の力で老後の豊かな生活の保障に努めなきゃならぬということが言われているわけであります。一方、金融の自由化、そしてまた国際化という中で、生命保険事業界におきましても、いろんな新しい商品開発等が急がれておるわけでございます。  そういう中におきまして、私ども、簡易保険、郵便年金について、まさにそういった社会経済の変化に即応した体制をとらなきゃいかぬと思っておるわけでございますが、先ほど大臣からもお話ございましたように、加入限度額の引き上げを行いまして、生活保障の充実を図らなきゃならぬと思っておる次第でございます。  一方、加入者の皆様方からお預かりしました資金の運用につきましても、十二分に考えていかなきゃならぬと思っております。運用利回りを向上させまして、加入者の実質的な保険料の負担を軽減させる、そのためにもより一層効率的な運用を行わなきゃなりませんし、また当然のことながら、資金運用制度の改善も図っていかなきゃならぬわけでございまして、その点につきましても来年度の予算要求をしておるわけでございます。  そういったことをやりながら、先ほども申しましたように、新しい時代を考えまして、より国民のニーズにこたえ得る新しい商品、新しいサービスというものと取り組んでまいらなきゃならぬわけでございまして、そういったものを早く開発しながら、国民の自助努力を積極的に支援、促進してまいりたいと思っておる次第でございます。
  71. 武部文

    武部委員 わかりました。それじゃもう一点、最後に労使関係についてお伺いをしたい。  その前に郵便ですが、郵便は三事業の中の一つとして、今までいろんな施策がおくれておった、このように私どもも見ておったし、郵政省もそのことは認めておったわけですが、近来非常に目をみはるように郵便関係が改善されつつある。これは大変結構なことだと思います。その中で特に小包の増加が急激に伸びておる。これは、私ども地方を回ってみてもそのように感じます。大体郵便局の小包というのは、値段は高いわ、配達は遅いわ、壊されるわ、この三つが郵便局の小包の代表的な評判でした。高くて遅くて壊される、これじゃ話にならぬ。それで今改善されて、小包の格好も非常によくなったし、郵袋に入れなくたって運べるようになったし、ワインだって運べるんですから、この点は非常によくなったと思うのです。こういう点で、郵便事業は大変おくれておったけれども。急激に改善されてきた。結構なことだと思うのです。職員もその気になって、注文をとりに出たり、いろんな格好をしておるわけです。  そこで労使関係についてお伺いしたいのは、先般、画期的な労務対策の変更という決定が郵政省でなされて、これが地方に徐々に浸透していっておるというふうに思うのですが、これについても私どもは評価できると思います。  問題は、事業ですから、職員が協力しなきゃ事業は伸びぬわけであります。そういう面では、せっかく画期的な労務対策の変更がされたわけですから、一日も早く末端の管理者に至るまでこれが周知されるようにやってもらわなきゃいかぬ。ましてや年末首がもう目の前に来ているわけですから、この年末首をうまく乗り切るためにも、早く管理者の段階にまでこれをおろしてもらわなきゃいかぬ、こう思います。  同時に、労使の関係がこれによってまた急激に変わってくるだろうと思いますし、そういう意味では労働組合の協力もなければならぬ。また、今日見ておっても、そういう人たちが率先してこの郵便事業の改変に協力しておるということを私どもはよく見るわけであります。したがって、労働組合とはそういう面でよく話し合いをして、労使が十分な話し合いの上でこの労務対策の変更の精神が十分職場に、しかも一日も早く浸透し行き渡るように努力をしてもらいたい、こう思いますが、郵政省の見解を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  72. 左藤恵

    左藤国務大臣 今御指摘のありますような厳しい環境下にあります郵政事業でございますが、利用者国民の皆さんの御期待にこたえて健全に発展していくためには、今御指摘のように、職員が生き生きとして働けるような明るい環境の職場をつくることが何よりも基本である、このように考えます。そういうことで、今お話しのように、全管理者が共通して認識すべきものとして、今日管理者がどのように考え、行動すべきであるかということを先般示したようなところでございます。  また、労使が事業に対します共通の認識を深めて、安定した労使関係のもとで一体になって事業の改善に向けて努力を行っていくということが何よりも肝要である、このように思います。そうしたことで労使が率直に意見の交換を行って、相互の信頼関係というものを一層深めることに努力いたしまして、そうした事業の改善にともに努力をしていくべきである、このように考えておるところでございます。
  73. 武部文

    武部委員 終わります。
  74. 関谷勝嗣

    関谷委員長代理 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時十二分休憩      ――――◇―――――     午後一時七分開議
  75. 渡辺紘三

    渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  逓信行政に関する件について質疑を続行いたします。鈴木強君。
  76. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私は、最初にFM放送のチャンネル問題でお伺いをいたします。  御承知のように、昭和五十七年の十一月の第四次チャンネルプランで、郵政省は全国二十二地区にチャンネルの割り当てを行ったのですが、現在までに何局が開局し、本放送を行っておりますか、そのことをひとつ答えてください。
  77. 森島展一

    ○森島政府委員 民放のFMの周波数につきましては、昭和四十三年の第一次プラン以来、現在までに五次にわたりまして合計四土地区、都道府県にしまして四十一について割り当てを行いまして、さらに本年の九月には、第六次プランとして東京及び大阪地区に一波目のFMの割り当てを行ったところでございます。  このうち二土地区につきましては既に開局しております。さらに、今月の二十日にはもう一局開局する予定でございます。残り十九地区のうち一地区は予備免許を付与済みでございまして、明年十月の開局に向けてこの一地区も準備を進めておりますので、したがって、これらを除きますと、開局していない地区は十八地区、それと先般申請の受け付けを締め切った東京及び大阪の二地区、こういうことになっております。
  78. 鈴木強

    鈴木(強)委員 質問に正確に答えてください。一次、二次、三次なんということじゃないのです。第四次の五十七年十一月に、郵政省が二十二地区に対してチャンネルの割り当てをいたしたでしょう。その中で現在までに何局開局したかということを聞いているのです。本放送は幾つしているか。
  79. 森島展一

    ○森島政府委員 失礼いたしました。  第四次の二十二地区の中では、十一地区が開局しております。
  80. 鈴木強

    鈴木(強)委員 そうしますと、半分がまだ開局ができないで、せっかく割り当てられた宝が持ち腐れの状態になっているわけでございますね。雑音のない良質の音質の出るFMラジオの受信を期待している聴取者に対して、こういう状態ではまことに申しわけないのではないでしょうか。なぜこういうような状態になっているのか、具体的に促進対策というのはどのようにやられたか、その点を説明してください。
  81. 森島展一

    ○森島政府委員 まだ開局に至っていない地区につきましても、地域の実情に応じまして調整を行う等、鋭意免許事務の促進を図っておりまして、民放FM放送の早期開局という国民の御要望にこたえていきたいというふうに考えております。
  82. 鈴木強

    鈴木(強)委員 こたえていくように努力しているというのだが、もう三年もたって半分が開局してないということでは、これは全く宝の持ち腐れではないですか。だから、じゃ具体的にどういうふうなものが原因で延びているのか、それに対して郵政省は積極的にどういう対策を持って臨んでおるのかということを聞いているのです。
  83. 森島展一

    ○森島政府委員 私ども、できる限り早くFMの開局にこぎつけていただきたいということでお願いしておりますが、地元の事情が非常にケース・バイ・ケースで、たくさんの申請が出ているものにつきまして、調整というような点で難しい点もございますが、知事に御依頼しているものもありますし、あるいは地元で話し合いが行われているというものもございます。これらにつきましては、私どもとしても、早く地元で調整がつく方向で、話し合いが行われている場合にはそれを促進していただきたいということで、努力をいたしておるところでございます。
  84. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣にお願いしておきますが、今お聞きのような状態でございますので、せっかく割り当てられたチャンネルがこういう状態になっておることは非常に残念でございますから、大臣も一生懸命やっていただいていると思います、特に電波については専門的な大臣でもございますし、よくわかっておりますが、なお一層ひとつ積極的に促進策を一何かいいものがあるんじゃないでしょうかね、考えていただいて、そして推進していただくようにお願いをいたしますが、ちょっと……。
  85. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話しのように、地域の皆さん方の待望のことでもございますので、地域の皆さんの中でそうした調整が進められるように、特に中心として例えば知事さんが動いておられるというところにつきましては、なお省としてはお願いするわけでございます。これは例えばマスコミの集中排除だとか、そういういろいろな一定の条件というものはあるわけでありますが、それ以上に郵政省が、だれがどうあるべきだとか、そういうようなことを申し上げるべき筋ではございませんけれども、今そうした地域の皆さんの御要望が非常に大きいものであるし、郵政省としてもそれを期待して地域に周波数を割り当てておるんだということについての趣旨を十分御説明申し上げて推進をお願いしていきたい、このように考えておるところでございます。
  86. 鈴木強

    鈴木(強)委員 では、ひとつよろしくお願いいたします。  次に、同僚議員からも質疑がございましたが、本年八月二十日放映されたテレビ朝日の「アフタヌーンショー」「激写!中学女番長!!セックスリンチ全告白」という、この事件についてお伺いをいたします。  私は、きょうは時間の関係で郵政省と警察当局に対して質問をいたし、改めて当事者であるテレビ朝日等関係者の御出席をいただいて質疑をいたしたいと思っておりますので、きょうは郵政、警察当局のみに限って質疑をいたします。  電波放送事業は、国民の利益と公共の福祉と健全な民主主義の発展に資するために存在するものであって、単なる営利追求のためのみの事業でないことは、電波放送の持つ特性から当然のことであって、このことは電波法、放送法の目的の中に明らかに規定されています。  ことしは我が国テレビ放送が開始されて三十二年目に当たりますが、このときに、今回のようなテレビ放送の中で最も重要な放送番組制作の中で全くあってはならない、また、考えることのできない驚くべき異常なやらせ番組がつくられ、放映されたことは、我が国テレビ放送界に一大汚点を残したこととなり、まことにざんきにたえません。この事件は社会全般に極めて大きな悪影響を与え、多くの視聴者にぬぐいがたい衝撃を与え、テレビもここまで堕落したのかという不信感と憤激を与えているのでございます。  私は、今日まで二十七年間国会にあって、我が国のテレビ、ラジオ放送事業が、電波放送両法に定められた目的を果たし、その使命を完全に遂行されるよう心から願い、一方において、放送事業の限りなき発展のため、ともに努力をさせていただいてまいった者の一人でございます。したがって、今回のごとき全く弁解の余地のない事件の発生を契機にして、テレビ朝日は、放送事業の持つ重要性を再認識され、今後再びかくのごとき問題が絶対に発生することのないようにするため、万全の対策を樹立していただきたいことを念願しつつ、質問をいたす次第でございます。  まず、大臣にお伺いをいたしますが、担当する大臣として、今回のやらせ事件の発生に対して、たまたま再免許の時期とも重なっておりましたので、大変心をお痛めになられたことと存じます。しかし、けさほど来の質疑を聞いておりますと、再免許がなされております。また、この点につきましては、武部委員に続いて私はもう少しお話を進めて、大臣意見伺いたいと思いますが、まず最初に、この事件に対する大臣の御所信を承りたいと思います。
  87. 左藤恵

    左藤国務大臣 十月十五日にテレビ朝日の田代社長が郵政省に来られまして、今回の事件の事実経過と、そして同社として今後どういう措置をとるべきかということについてお話があったわけであります。こうした事件を起こしたことについて社長として責任を感じられて、陳謝がありました。  また、翌日の十六日には、テレビ朝日といたしまして今後とるべき具体的な措置が、文書で郵政省に提出されたところでございます。これによりますと、同社は、このような不祥事を二度と繰り返さない、そのための社員教育の徹底、センセーショナルな報道の防止、それから番組審議会の機能強化といったような措置をとることが表明されて、今後これらに真摯に取り組んでいきたい、こういう確固たる決意が示されたわけでございます。  こうした一連のことがございまして、それで、これを電波監理審議会に対して、ちょうど十一月一日の放送局の一斉再免許の時期でもありますので、テレビ朝日を含めまして再免許をするという形で諮問を申し上げ、その答申をいただいた上で、ちょうどその再免許の時期に際しまして、テレビ朝日の社長に対しまして私から、今回の事態は言論報道機関である放送事業者の社会的責任にかんがみて極めて遺憾なことであり、今後このようなことのないように厳重注意を申し上げて、そして再免許をいたしたわけでございます。  なお、やはり同じ日付に全民放の社長、それから全民放の番組審議会の委員長、この方々にあてまして、放送番組の適正化等の要望を申し上げたわけでございます。そういった意味におきまして、この事件の重大性にかんがみて、放送事業者自身が社会に対します責任を十分感じて、その対策を考えていただきたいということを念を押したのが、この事件に対します私の考え方であった、このように思うわけでございます。
  88. 鈴木強

    鈴木(強)委員 先ほど武部委員からも質問がありましてそのような答弁がございましたが、私はもう一歩進んで、この事件は放送法に違反しているかどうかという問題が一つあると思います。  放送法第四十四条の三項というのはNHKの条項の中に定められている条文でありますが、しかし、この条文は五十一条によりまして一般放送事業者にも準用されることになっております。一つは、「公安及び善良な風俗を害しないこと。」二つ目には、「政治的に公平であること。」三つ目には、「報道は事実をまげないですること。」四つ目には、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らにすること。」放送において一番大事なことは、いわゆる公序良俗を守るということですね。ですから、これは少なくとも事実を曲げた放送ではなかったかと私は思うのです。そうなると放送法違反ということにならないのですか。後ほどまたお伺いしますが、一方では担当ディレクターが逮捕され、そして結果的には罰金十万円の略式命令が出ておる。これでも放送法上から見て違反しているというふうに郵政省はおとりにならなかったのですか。その理由はどういうわけですか。
  89. 森島展一

    ○森島政府委員 今回のテレビ朝日の事件に関しましては、テレビ朝日社自体が、ディレクターが逮捕され、それから略式命令で罰金ということが確定した時点で、事実に反する報道を行ったということで訂正放送もやっております。したがいまして、八月二十日に行われた番組は事実を曲げたものであるということをテレビ朝日自身も認めておるわけでございます。放送法の四十四条の三項に掲げられておる条文に、そういう点で明らかに、抵触すると思いますが、放送法違反ということで別の行政処分に発展することにつきましては、非常に慎重に考えなければならないと思っております。
  90. 鈴木強

    鈴木(強)委員 これは、この四十四条には違反をしているわけですね。そうなれば当然に処分が出てくると思うのです。それでなくとも、四十四条三項の三の、事実を曲げた報道であるということが明らかになったならば、電波法第七十六条における処分という措置が当然できるわけですね。ですから、四十四条三項の三に抵触しているのになぜこの七十六条を発動できなかったか、そのことが何としてもよくわからない。
  91. 森島展一

    ○森島政府委員 先生おっしゃいますように、電波法七十六条では、電波法、放送法に違反する場合には期間を定めて無線局の運用を停止することができるというような条文になっておりますが、放送法に違反するということから行政処分につながります場合、この放送法違反が放送番組にかかわるというケースにつきましては、この放送法の趣旨からいたしまして非常に慎重にしなければならないと考えておるわけでございます。  今回のテレビ朝日の問題につきましては、こういった極めて遺憾な事件ではございますが、テレビ朝日自体が大変深く反省し、こういったことの再発がないようにという強い決意を披瀝し、また私どもとしても、先ほど大臣から申し上げましたように、再免許に際して厳重な注意を行ったということで、今後の同社の対応を見守っていきたい、こういうことで行政処分は行っておらないわけでございます。
  92. 鈴木強

    鈴木(強)委員 ここには、「岡内放送放送番組の編集に当っては、」とはっきり書いてあって、そして報道は事実を曲げてはいけませんよと。これは、曲げたことはちゃんと認めたわけだ、抵触しているということは。認めたんだが、深く反省をして、再びそういうことのないようにやるという誓約書ですかが出てきた。  それでは、過去そういったことがあっても、再びやらぬからといって過去の罪が全部消えるのですか。過去やったことはもうそれでいいというふうになるのですか。法律論的に少しロジックが合わないのです。これは、「三箇月以内の期間を定めて無線局の運用の停止を命じ、又は期間を定めて運用許容時間、周波数若しくは空中線電力を制限することができる。」ですから、そういう事実があったとすれば、少なくともこの中の最小限の措置でもやるのが当然のことじゃないでしょうか。それが何か穏便にというようなことで、しかも過去のことを深く反省したからしなかったんだということは、郵政行政、電波行政の中における我々国民に納得できない点の一つだと思います。だから、もう少しはっきりした、我々に納得できるような答弁があればいいんだけれども、それでなかったら納得できないですよ。
  93. 森島展一

    ○森島政府委員 今回の事件につきまして、電波法七十六条に基づく行政処分をすべきかどうか、これは私どもも十分慎重に検討いたしました。その結果、今回放送法四十四条に違反するということが明らかになったといたしましても、繰り返しになりますが、直ちに行政処分をするということは大変慎重な取り扱いを要するのではないか。テレビ朝日が今後再発はもう絶対に防ぎ、あらゆる措置をとります、こういうふうに約束していることが守られないような事態が起きれば、これはまた考えなければならないことと思いますが、私ども慎重に検討いたしました結果、十一月一日の時点で厳重に注意し、テレビ朝日自身の努力によって今後こういうことの再発を防ぐ、こういうことを見守っていくということにいたしたわけでございます。
  94. 鈴木強

    鈴木(強)委員 何遍言っても全然話にならぬ。違反しておるにかかわらずその処分をしなかったということの理由がはっきりしない。ただ、再びやらぬと言ったからということでしょう。ですから、こんなんでは法律があったって何にもならぬです。法律に違反した場合にはそれに対する処分をちゃんとして、再びそういうことのないように、それこそやらすべきですよ。そうでしょう。法律は何のためにあるのですか。そんなばかな話は、私は聞くわけにいかぬ。  そこで、一応事実関係をもう少し知りたいために、警察庁からおいでいただいておりますので、ちょっとお伺いします。  十月十六日にテレビ朝日の担当ディレクターが逮捕され、警視庁少年第二課と福生の警察署の取り調べを受けたと承知していますが、事件の概要と結末はどうなったのか、ひとつ明らかにしていただきたいのであります。
  95. 根本芳雄

    ○根本説明員 いわゆるやらせリンチ事件の概要と処理結果というお尋ねでございますので、若干長くなりますが、御説明申し上げます。  事案は、六十年、ことしの九月四日に、八月二十日の「アフタヌーンショー」で福生市内の中学生がリンチを受けているシーンが放映されたけれども、警察でも事実関係を調査してほしい、こういうふうな申告が警視庁の福生警察署になされたわけでございます。そういうことでこの事案を認知いたしまして、同署で被害の児童やあるいは関係者から事情聴取をずっとしたところ、六十年、ことしですが、八月三日の夜に福生市内の多摩川の河川敷でバーベキュー会が開かれて、この場で無職の少女二人が女子中学生五人に対してリンチを加えた、こういう事実を確認いたしました。そういうことで、この実行行為者二人を十月一日に暴力行為容疑で逮捕いたしました。  それを徐々に調べて実態の解明に努めましたところ、このテレビ会社では女子中学生の非行をテーマとした番組を六月ごろから企画していた。その中で七月下旬に、この逮捕した少女らに出演を依頼したりして番組を進めていたわけですが、放映された部分、女子中学生五人に対するリンチ事件は、この番組を制作いたしましたテレビ局のディレクターとこれに協力いたしました成人二人が、バーベキュー大会が開かれている現場で少女二人を教唆してやらせた、こういう事案であることがわかったわけです。そういうことで、今申し上げましたテレビのディレクターと協力した成人の三人を、十月七日以降に暴力行為の教唆容疑で逮捕いたしまして、この事案を解明、検挙した、こういうことでございます。この過程で、番組制作に関してテレビ局のディレクターから、制作に協力した成人一人に対して現金十四万円が謝礼として渡されていることもわかっております。  本事件につきましては、十月二十六日に、ディレクターに対して罰金十万円、制作に協力した成人の二人に対して罰金五万円、こういう言い渡しがされております。
  96. 鈴木強

    鈴木(強)委員 今の御説明を伺いますと、これは明らかに計画的、意図的な番組の制作であったと私は思います。しかも、これが警察の取り調べによって明確になり、ディレクター十万円、それから教唆した二人の成人に対して五万円の罰金が科せられておる刑事事件であったわけでございます。こういうことが日本放送界の中で行われたということは、世界的立場に立ってみても、私は実に残念でたまりません。  今や三千万世帯を超す家庭にテレビがございます。そして、その人たちがテレビを通じてみずからの教養を高め、国家の繁栄のためにも協力していく。自分の幸せのためにもと思って、教養を高めるためにもなくてはならないテレビになっておるわけです。それが今お話しのような形で謝礼を出してやらせたリンチだというようなことになりますと、これはもう我々としても恥ずかしくて、世界に向かってどうにも話もできない。  私は、テレビの発展というものが国の繁栄につながる、個人の幸せにつながることを願ってきておるわけであります。そういう立場に立つ一どきに、本当に残念でたまりませんが、一方郵政省の態度を見ていると、実になまぬるい。もう少し厳格な態度を打ち立てることによって、日本放送における番組というものはよくなっていくでしょう。やはり法律は法律ですから、法律に違反したときにはちゃんとした処分をし、結末をつけておかなければ、何のために法律があるのかと疑わざるを得ない。私たちはもちろん、今後テレビ朝日の皆さんを初め日本放送界全体が本当に国民の幸せのためになるテレビ、ラジオ等の放送をしていただきたいと願っておるわけですが、そういう中にあってこういう事件が起きたことは本当に残念で残念でたまりません。  大臣、物にはもう少しけじめをつけなきゃいけない。もちろん、放送には言論、放送、表現の自由というものが憲法によって保障されております。しかし、保障されている中でも、番組をつくるときにはこういうふうにしなければいけませんよ、番組審議会をつくり、それぞれの番組審議会の委員の人たちが集まって番組に対する制作の倫理ともいうべき規定がどこの放送局にもある。それをはっきり守り、そして、そこに携わる職員が放送とは何たるものかということを自覚しておれば、私はこんなことは出てこないはずだと思うのです。  最近は、何か番組をつくるのがだんだん下請の方に行って、自社でつくる番組というものが少ないように聞いているのですが、下請の人たちが番組をつくるときに、果たして放送とはどういうものか、放送法や電波法の精神を知ってやっているかどうかなんということは、我々から見ると大変心配になるところです。そういうようなこともあるでしょう。  いずれにしても大臣、今度の御措置については少し甘さがあったのではないかと私は思うのです。過去の、もう免許したことでございますから、私は今ここでそれをもう一回取り消してというふうな意見を申し上げる気持ちはありませんが、少なくとも今回の措置は非常に遺憾であった、国民は納得しておらないということだけは明らかでございますから、そういう点を踏まえてこれから――言論、放送、表現の自由等に介入する意図は毛頭ありません。その点がどうも頭の中にひっかかって物が言いにくいということも過去にはあったと思います。しかし、こういう機会を契機にして本当にみんなが反省をしていく、みんなが考え直して、よりよい放送、国民のためになる放送をというところに心を一つにして、そして再びこういうことの起きないように、どうしたらいいか、これを真剣に考えるほかないと私は思います。大臣、どうでしょうか。
  97. 左藤恵

    左藤国務大臣 お話のように、確かにいろいろの見方があるだろうと思います。しかし、当該放送事業者がこうしたことについて深く反省して、新しい体制でこれから番組のことにつきましては十分慎重にやっていくというふうな決意を示されたことでもありますので、言ってみれば、放送法上のいろいろな問題につきましては、そうしたことを期待して起訴猶予と申すのでしょうか、そういうふうな考え方でやって、そうした番組に対しますテレビ朝日のこれからの努力というものに期待をいたしておきたい、このように考えておるところでございます。
  98. 鈴木強

    鈴木(強)委員 私は、電波監理審議会の皆さんにも一度おいでをいただいて、免許の際のいきさつについても伺いたいと思っております。電波監理審議会の委員の皆さんの中にも、この問題に対して非常に慎重な御意見があったということも伺っておりますが、これはいずれ改めてにいたします。  しかし、もう一度大臣に確認をしておきたいのでありますが、テレビ朝日の社長がみずから「アフタヌーンショー」に出演をして陳謝をした、これも前代未聞のことでございます。大臣に陳謝をした、そして免許に対しては誓約書を入れて、再びこういうことはいたしません、こういう誓いもしておるようでございます。  問題は、こういうことが起きてくるのは、さっきからもお話がありますように、どうも視聴率というものを気にし過ぎる、スポンサーの方も、そのことによってスポンサー料というものが高くもなり、安くもなるという仕掛けに民放はなっているわけです。要するにスポンサーの代金によって運営しているのが民放であります。NHKは我々の出す聴視料によって経営しているわけでありますから、勢い民放の方の経営というものは、公共的な立場に立ってやらなければならないということは念頭にありましても、どうかすると営利の方向に一歩踏み込んでいくということもあり得ることだと私は思うのです。そのこと自体が経営である以上、営業である以上はやはり利益を得なければならぬことは当然ですから、そのことを悪いと言うのではありません。ただ、放送事業であるということにかんがみて、番組制作等についてはより十分な配慮を払ってもらわないと、また間違いが起きるのではないかと心配するものですから言うのであります。  いずれにしても、テレビ朝日が深く反省をしてきたので一応免許を付与した、こういうのが大臣のお答えでございますが、私は、依然として今度の措置は非常になまぬるかった、放送法、電波法に基づいたきちっとした措置をしてほしかった。そして今後全体の放送業界を含めまして、さっき申し上げましたようなよりよい放送、みんなに誇れる放送、みんなが喜んでくれる放送、こういうものをつくるために頑張っていくように、私たちもまた一緒になってやっていきたい、こう思っております。特に大臣は最高の責任者でございますから、これからもひとつ十分そういう点を配慮して、テレビ朝日の社長が示されたことが本当に厳重に守られているかどうか、ある程度監視をしつつやっていただきたいと思います。  これ以上お答えを求めてもちょっと無理だと思いますから、私は以上でこの件については終わります。  次に、大蔵省の方にちょっとお伺いをしたいのでございますが、電電公社が四月一日から会社に移行いたしまして、NTTと銘打って今活発に企業活動を行っております。法律の議了が非常におくれたために、私は大変心配をいたしておりましたが、三カ月ちょっとの期間で見事に準備を進め、本来の法律に基づく国民のための電報電話、二十一世紀に向けてのニューメディアの開発、こういうことを目標にいたしまして今前進されていることについては非常に敬意を表し、この間郵政省も大変だったと思いますが、諸事万端いろいろと御苦労いただいたことに対して感謝をいたす次第でございます。  そこで、大蔵省の前に郵政省に一つだけ聞いておきたいのでありますが、第一種の電気通信事業者は、聞くところによりますと既に五つが認可をされているようでございまして、もう一つ申請中とも聞いております。これらの地上三、宇宙二、もう一つの会社が申請しておりますが、五つの会社は大体いつごろから業務開始をされるような調子になっておるのでしょうか。それから、業務開始当初やられる営業というものはどういうものか、その点をちょっと説明してもらいたい。
  99. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 第一種電気通信事業分野への新規参入者のうち第二電電株式会社日本テレコム株式会社日本高速通信株式会社と言われるいわゆる地上系三社につきましては、主として東京―名古屋―大阪間の沿線都府県というものを業務区域といたしまして、事業開始につきましては、第二電電株式会社が六十一年の十二月から専用サービス、六十二年の十月から電話サービス、日本テレコム株式会社が六十一年十月から専用サービス、六十二年十月から電話サービス、日本高速通信株式会社が六十一年十一月から専用サービス、六十二年九月から電話サービスを開始するということで計画をいたしております。  また、衛星系の二社でございますが、日本通信衛星株式会社と宇宙通信株式会社でございますが、全国を対象に専用サービスを日本通信衛星株式会社が六十三年の二月、宇宙通信株式会社の方が六十三年四月から開始するという計画で、いろいろ取り組んでいるところでございます。
  100. 鈴木強

    鈴木(強)委員 今局長がごらんになって、準備は着々と進んでいると思いますが、予定どおりの開局は間違いない、こういうふうにこの場所で言明できますか。
  101. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 地上系につきましては、工事を既にいろいろ開始いたしておりまして、おおむねそういう時期に営業開始という運びになるだろうと思います。衛星系につきましては、一つの方は既に衛星の発注をいたしておりまして、二つの衛星につきましても、それぞれ電気通信連合のIFRBへの通知というような手続もいたしております。順調に衛星購入、打ち上げということが進めば、申請のとおりの状況で営業開始ができるであろう、こういうふうに考えております。
  102. 鈴木強

    鈴木(強)委員 発注したのはどこですか。
  103. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 日本通信衛星株式会社の方でございます。
  104. 鈴木強

    鈴木(強)委員 それで、自由競争原理の中にいよいよ入っていくわけですが、新しい会社は、何といってもいろいろな面において未経験なこともあると思うのです。出発に当たって、スタートするまでの間にはいろいろな苦労もあると思いますが、郵政省最大限の配慮をしてやっていただいて、それぞれの会社が滞りなくスタートできるようになり、そして今度は、NTTも含めて本当の意味における自由競争原理の中で、国民がよりよい電話、よりよい電報、そして正しい情報を使うことができるように、格別の御配慮をお願いしておきます。  それから、最後になりましてあれですが、二十九日にNTTの中間決算が出たようでございますが、この際大蔵省にお伺いしたいのは、かねて我我が法案審議の際に主張してまいりました電電株式の処分の問題でございます。たしかこの前の国会に一度電気通信に関する小委員会を持ちまして、皆さんの方の準備のぐあいとか考え方伺いましたが、まだそのときは研究会をつくって検討していきたいというようなお答えしかいただけなかったのでございますが、来年度の予算の編成の時期でもありますし、新聞等によりますと、六十一年度に電電株式の売却がなされるのではないかというような記事も散見されますので、現状、電電株式売却問題についてはどこまで研究が進んでいっているのか。それからもう一つは、本当に六十一年度の予算の中にこの売却益、これは国会の議決を得て幾ら、何株ということは決めるわけですけれども、そうなりますと、今度は売り出しの値段をどうするとかいろいろ問題が出てくるわけでございますが、大体どんなところまで進んでおりますか、ちょっと説明してください。
  105. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  ただいま御質問にございました日本電信電話株式会社、いわゆる電電株式の三分の二につきましては、国債償還財源の充実に資するために国債整理基金特別会計に帰属させるということになっております。御承知のように、電電公社の民営化は、将来の高度情報社会に向けまして、事業公共性に留意しつつ民間活力を導入し、事業経営の一層の活性化を図ることを目的としたものでございまして、この趣旨からいたしまして、政府がいつまでも全株式を保有するということは望ましくないので、政府としても漸次株式売却を行ってまいりたいというふうに考えております。  御質問にございました株式売却の具体的なスケジュールでございますが、この問題につきましては、会社の運営、株式市場との関連といった問題につきまして、現在種々の角度から慎重に検討を行っているところでございまして、現段階では確たることを申し上げることは困難であるということを御理解いただきたいと存じます。
  106. 松川隆志

    ○松川説明員 売却問題の方でございますけれども、前の国会でも御議論がありましたように、電電株式につきましては国民共有の資産であるということでございまして、売却に際して十分慎重に行うようにという御議論があったわけでございます。  大蔵省といたしましては、こうした考えから、売却に当たりまして厳正かつ公正な方法でやっていこうというふうに考えております。このため、この問題を検討するために、大蔵大臣研究会といたしまして、各界の民間有識者から成る電電株式売却問題研究会というものを設けておりまして、九月二十四日に第一回の会合を開いて、それ以後五回会合を開催していろいろとヒアリング等を行ってきているところでございます。今後、研究会では来年四月ごろまでに報告書をまとめまして、これを参考にいたしまして、大蔵省としては国有財産中央審議会という国有財産の処分に関する審議会がございますが、これに諮問いたしまして答申をいただく、こういう予定でいるわけでございます。  具体的な、今度の予算においてどうするかこうするかという問題につきましては、今田谷企画官の方から説明のあったとおりでございます。
  107. 鈴木強

    鈴木(強)委員 いずれにしても、政府保有の三分の二については法律の手続を経て一般に公開されていくわけでございますので、その時期等について今ここでお伺いしてもなかなか適切なお答えができないと思いますが、来年度、六十一年度の予算に何株かの売却を考えているやの新聞記事等がありましたものですから、その点について参事官の皆さんのレベルでは答えられませんか。
  108. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  先ほどもお答え申しましたとおり、今予算編成を控えているという微妙な時期でございますので、この段階で確たることを申し上げることはできないということを申し上げたわけでございまして、その点は御理解いただきたいと思います。
  109. 鈴木強

    鈴木(強)委員 大臣、大蔵省から来ていただくのは、大臣局長もなかなか難しいのですが、我々は、当然商法にのっとって、六十年度の決算が明らかになります来年の五月か六月ごろ、そういう時期に、民営になりました一年間のNTTの経営実態をよく知った上で放出をやった方がいいのじゃないか、こういうふうに考えているわけなんです。そういう点は委員会審議のときにも申し上げでありますが、我々は二、三年間ちょっと置いたらどうかというようなことも言いましたけれども、今日の非常に窮屈な国家財政の中では、また早くしたいということもお考えになっていると思いますから、そういう点も含めて、六十一年度にのせることはちょっと無理だ、私はこういうように思っておるものですから、その点を含んで、大蔵大臣等とも国務大臣の立場で御折衝をいただくようにお願いをしたいと思いますが、どうでしょうか。
  110. 左藤恵

    左藤国務大臣 電電公社が新しい会社になったという経緯もございますので、郵政省としても当然この問題については、大蔵省のいろいろな運びをされることにつきまして十分関心を持ってやっていかなければならない、このように考えております。
  111. 鈴木強

    鈴木(強)委員 時間が過ぎましてどうも済みません。終わります。
  112. 渡辺紘三

  113. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 けさほどから同僚委員の各位が取り上げておりますテレビ朝日の「アフタヌーンショー」取材事件に関して、できるだけ重複を省いて若干お伺いさせていただきます。  まず、放送法第三条によりまして、放送事業者に放送番組編集の自由というものが認められております。言論報道機関として、最近の傾向は非常に残念なものがございます。例えば今回の女子中学生リンチ事件、それから豊田商事のあの会長の刺殺事件、あるいはまたロス疑惑などのマスコミの過熱報道、そういう中で報道と真実、それから報道と人権、こういったものがマスコミ全体にとって、また我が国にとりまして重要な課題でございます。  そこで、郵政省にお伺いしたいわけでございますが、今回のテレビ朝日の「アフタヌーンショー」取材事件について、まず今までの経過、そういったものはわかりましたが、その背景というものも踏まえて、どういうものがあったのか、どのように認識しておるのか、そういった面もあわせて御答弁いただければありがたいと思います。
  114. 森島展一

    ○森島政府委員 今回のテレビ朝日事件の背景につきましては種々の角度からの御議論がありますが、一般論といたしましては、民放のいわゆる視聴率至上主強によるものではないか、そういったことでセンセーショナルな番組制作への志向が生んだ問題であるというようなこと、あるいは言論報道機関としての自覚が欠如しているのではないかというようなことか言われております。  さらにその背景を見てみますと、放送局の社内のチェック体制、考査体制、それから放送番組の審議会、これが十分に機能していないというような現状があるのではないかという御指摘もかなり多いところでございます。
  115. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、この事件に関しましては、つくられたものである、先ほど警察庁からも暴力の教唆、こういった形で取り上げられました。本来、報道というものは事実、真実を報道するわけでございます。もしこれがつくられたものでないとすると、今度は、その場に居合わせて、本当にそこでリンチ、暴力が行われているのに、報道関係者、マスコミが平然とそれを撮り続けるということが問題になります。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕  これは例といたしましては、今申し上げました豊田商事のあの会長の刺殺事件、その場で殺人が行われておる、マスコミ関係といたしましてはそれを取材する。もちろん取材の自由、あらゆるものはございます。そういう中でそういったものが真実と報道、報道と人権ということになってきますと、私どもにとりまして非常に衝撃的なものとして受け取られてまいりました。今後こういうような問題が高度情報社会の中でいろいろと起きてくると思うわけでございます。  そこで、郵政大臣にお伺いしておきたいわけでございますけれども、今の背景、そういったものも踏まえて、今回の事件に関して郵政大臣としてどういう御所見を持っておるのか、まず最初にここでお述べいただきたいと思います。
  116. 左藤恵

    左藤国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、やはり言論報道機関としての自覚が欠けておったのではないか、そういう社会的な責任というものについての十分な認識が欠けていたということがこうした結果を引き起こしたのではないか、このように思うわけであります。  先ほどもお答え申し上げましたように、テレビ朝日当局としまして、とにかくそうしたことで社内の考査体制と申しますか、あるいは番組審議会が十分機能していないというふうな点についての反省もありまして、いろいろな対策を考えておられるわけでありますが、そうしたことに我々は期待して、今申しましたようなことで社会的な責任を十分果たしていただけるような体制をそれぞれの社が持っていただくということが大切であろう、このように考えておるところでございます。
  117. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それぞれの放送局、各社がそれなりの自覚を持って対処していかなければならない。そういうことに、なりますと、先ほど局長からも御答弁がございました視聴率競争と番組内容、そこにはおのずと言論報道機関として、社会に与える影響等のチェック機関といたしまして放送番組審議会というものがございますね。NHK並びに各民放局に設置されておりますが、一般的にこの番組審議会の機能というものはどういうように認識しておるのか、お伺いしたいと思います。
  118. 森島展一

    ○森島政府委員 放送法におきましては、放送事業者に番組編集の自由ということを第三条で保障しておりますが、その一方、放送番組の自主的なチェック機関として放送番組審議会というものを設置するということを義務づけております。  郵政省といたしましては、このような法制下におきまして放送番組の適正化を図るという上では、この放送番組審議会の機能を十分に発揮することによってこの番組編集の自由ということを確保していただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  119. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 番組の適正化を図るということは、一体具体的にはどういうことになりますか。
  120. 森島展一

    ○森島政府委員 これは放送法の四十四条で放送番組編集の原則が示されておりますが、それに基づいた放送番組を編集していただきたいということが、適正化を図るということになろうかと思います。
  121. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 その具体的な中身を言ってください。
  122. 森島展一

    ○森島政府委員 放送法の四十四条の三項でございますが、「国内放送放送番組の編集に当っては、左の各号の定めるところによらなければならない。」ということで四つございまして、一番目が「公安及び善良な風俗を害しないこと。」二番目が「政治的に公平であること。」三番目が「報道は事実をまげないですること。」四番目が「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」ということでございます。
  123. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 それでは、今回のこのテレビ朝日の「アフタヌーンショー」取材事件の場合は、今の四つの条件が欠けておった、こういった形になりますね。そうすると、番組審議会としての機能はなかったのですか。
  124. 森島展一

    ○森島政府委員 この番組審議会は、放送局の番組について自主的なチェックを行うという機能を果たすべきものでございますけれども、このテレビ朝日の場合につきまして事情を聞いてみますと、事前にはその番組審議会でのそういうチェック機能というのは働いていなかったと思います。事後におきまして番組審議会が、十月に入りましてからこの問題が明るみに出た後におきまして審議をいたしたというふうに聞いておりまして、これからはそういう番組審議会の意見放送番組の制作に十分反映されることを期待しているものでございます。
  125. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 今の事後の話はともかくとしましても、「アフタヌーンショー」というものはもうかなり長くからのものではないかと思います。そうすると、これに対して、もちろん放送の番組すべてにわたっての今の四つの条件、それを満たすために番組審議会で当然いろいろと審議が行われて、そして「アフタヌーンショー」に関してはいろいろと意見もあっただろうと思いますが、その前後の、例えばこの事件の前はどんなような審議が行われたのか、事件後開いた審議会は、今行われた日付を説きましたが、その中身はどうだったのか、それもあわせて御答弁ください。
  126. 森島展一

    ○森島政府委員 今回のテレビ朝日の事件に関しまして、確かに事前におきまして番組審議会の機能が十分果たされていなかったということは言えると思います。  放送局におきます番組の自主的なチェックの体制といたしまして放送法で決められておりますのは、この番狂審議会というシステムでございますが、放送局内におきまして、放送法の趣旨にのっとった番組がつくられるということについての社員教育の徹底とか番組の考査体制、こういったことが問題になろうかと思います。そういった社内体制の充実ということにつきましては、番組審議会が放送法によります自主的なチェック機関として存在しています以上、そういう審議会の意見が社内体制の充実強化ということにも十分反映しなければならないと私ども考えまして、そういった点は今後も十分指導していきたいと思っております。
  127. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 番組審議会の十分な機能が果たせていなかったのではないか、こういうように局長は認識しておりますが、では他の民放あるいはNHK、そういったものと比較して、テレビ朝日の番組審議会が著しく差があったのですか。私はそうは考えません。恐らくどちらも努力をされておると思います。そういうことになってきますと、この番組審議会の機能というものが、報道というものに関して民放各社あるいはNHKにおいて果たされておるかどうかということが疑問になってきます。  そこで、この番組審議会の対応の中で本来の機能を果たせるのかどうか、それはどうしたらできるか、郵政省としてはどのように考えておりますか。
  128. 森島展一

    ○森島政府委員 確かに先生おっしゃいますように、番組のチェック機能が十分果たされていないということはテレビ朝日だけの問題にとどまらないと思いますので、全民放の社長、各社の番組審議会の委員長あてに、再免許機会に番組の充実強化、それからチェック機能を十分果たしていただきたいという要望を申し上げたところでございます。  その際、特にこの要望の中に、番組審議会の機能が十分に果たせるような措置を強く求めております。それの具体的な方法をどういうふうにとるかということにつきましては、民放連においても委員会の中で検討した結果、いろいろな強化策をとるということをごく最近聞いておりますが、郵政省といたしましても、この番組審議会の機能を果たすために、開催回数が十分であるかとか、あるいは審議にかける議題が適当であるかとか、そういう番組審議会のシステムにつきまして指導してまいりたいと思います。
  129. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 私はその中身を具体的に聞いているわけです。まず、番組審議会のメンバー構成というのはどういうことになっているのですか。
  130. 森島展一

    ○森島政府委員 番組審議会の委員の構成につきましては、放送法で定めるところによりまして、民放の場合は七人以上、地域に密着した委員を選んでいただくことになっております。
  131. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 NHKの場合はどうなっていますか。
  132. 森島展一

    ○森島政府委員 NHKにつきましては、中央の番組審議会と各地区の審議会がございまして、各地区の場合は七名でございます。中央の場合は十五名だったと思いますが……。
  133. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、テレビ朝日さんの場合は何人の構成メンバーですか。
  134. 森島展一

    ○森島政府委員 手元に資料がございませんが、たしか十名内外だったと思います。
  135. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 番組審議会を開いたときに、十名内外がいつも全員出席ということは恐らくないと思います。いつも大体何人ぐらい出席でございますか。
  136. 森島展一

    ○森島政府委員 これも手元に正確な資料を持ち合わせておりませんが、番組審議会の開催回数、委員出席の状況につきましては報告を受けておりまして、八割ぐらいの出席はあるように記憶しております。
  137. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 定期的には月に何回あるいは週に何回とか、どういうような回数で行われておりますか。
  138. 森島展一

    ○森島政府委員 これは大体定期的に月に一回というところが多いわけでございます。  今テレビ朝日の番組審議会に関します資料が出てまいりましたが、委員は十五名でございます。それで、出席数が、最近の例でいきますと一番多いときで十四名、一番少ないときでも九名ということで、十人あるいは十一人、そういうところが平均かと思います。
  139. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 月に一回。そしてほとんど一日二十時間以上放送が行われておりますね。そういったものをこの十五人のメンバーで物理的にも果たしてチェックできるのかどうか。私考えるのですが、例えば一日ずっとそのことにかかり打っておっても、数時間以上のものを、これをみんなで、十五人で一つずつ手分けしていたのでは、自分一つの意見しか出ないわけですから、恐らく二、三人なり数人でその一つの番組を見て、あるいは事前にチェックして、そういうようなことをやると思うわけでございますけれども、果たしてこれは物理的に可能ですか。そうお考えですか。
  140. 森島展一

    ○森島政府委員 先生おっしゃいますように、審議会の委員があらゆる番組をチェックする、見るというようなことはできないと思いますが、問題になりそうな番組につきましては、なるべく審議会の委員が実際にそういうのを見てそれを批判し、放送局の番組編集のチェックに生かす、こういうことが必要かと思いまして、そういった点では、例えば視聴者からの意見が多い番組につきましては審議会に積極的に議題として取り上げるとか、そういう工夫をしなければならないものと思っております。
  141. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 このテレビ朝日の事件後の番組審議会の中身に関して、委員からも物理的に難しいじゃないか、こういう意見が出ておったやに私も伺いますが、その点は承知しておりますか。
  142. 森島展一

    ○森島政府委員 おっしゃいますような意見が出たということは聞いております。
  143. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで大臣、お伺いしておきたいのですが、七人以上、一日二十時間以上、これを例えば一月分ぐらい一応網羅しておかなければならない。そうなってくると、私は非常に――ましてや、審議会のメンバーは他の職業を持った人がほとんどでございますね。これは、人数をふやす必要があると思うし、また回数のチェック、今の四条件を入れていくということは非常に重要な問題ではないかというように私は思いますが、法律で七人以上、こう決めておりますけれども大臣としてこういったものを検討するお考えはございませんか。
  144. 左藤恵

    左藤国務大臣 現在の放送番組審議会が形骸化している、あるいはマンネリ化しているというような御批判も確かにあろうと思います。そしてまた、そうしたことがこうした事件にもなったという一つの警告といたしまして、今御指摘のようなことで、番組審議会がいかにすれば活性化し、いかにすればその目的を達成することができるかということについて検討すべき段階に来ている、このように考えます。
  145. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 郵政省にお伺いしておきますが、この問題は一テレビ朝日だけの問題ではない、こういうように考えますが、他局におきましてこういうやらせというようなものあるいはそれに類似したものがあったのかどうなのか、その辺の状況はどのようにつかんでおるか、御答弁ください。
  146. 森島展一

    ○森島政府委員 先生おっしゃいますやらせというような問題につきましては、テレビ朝日に限らず、ほかにもあるのではないかというような話もよく聞くわけでございますが、番組の制作過程にかかわりますようなことにつきましては、放送法に基づいて郵政省が報告をとるということになっておりませんので、そういう実態は把握しておりません。
  147. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 テレビ番組編成権、放送の自由――放送法によって民間放送事業者に自主編成権が与えられておりますから、こういったものは当然守っていかなければならない、こういうように考えますし、民放局全体の問題として、今後はあらゆる面で真剣に取り組んでいかなければならない重要な問題が、今まで論議された中にも含まれておる。  そこで、現在国会で検討中の国家機密法案、いわゆる国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案、このものに関しましては、これは実質的なマスコミ規制につながるような条文もあるやに私は伺っております。この機会に乗じて国の権限強化の状況をつくっては絶対にならないと私は思います。したがって、民放各社の番組審議会あるいは局側の自主的な言論報道機関としての報道の真実性、報道と人権という問題をいかに確保できるか、こういったものに取り組んでもらいたいわけです。その意味で、今回のテレビ朝日の「アフタヌーンショー」取材事件について、今後の対応は、テレビ朝日として、また民放連として、どのように具体的に対応がなされたのか。例えば業務の組織がこういうように改編されたとか、どのようなことが行われたのか報告を受けておりますか。
  148. 森島展一

    ○森島政府委員 テレビ朝日からは、十月十六日付の文書で、今後、放送法令及び番組の編集基準を厳しく遵守していくということが表明されておりまして、具体的には次に申しますような五点の措置をとるという報告を受けております。  一つが社員教育の徹底でございます。二番目がセンセーショナルな報道の自粛。三番目が番組審議会の機能の強化。四番目が、特にワイドショーというのが問題になりますので、ワイドショー企画審議会というものを社内に設置する。五番目に、「アフタヌーンショー」自体の番組をやめて新しい番組に変更する、こういったことをテレビ朝日は表明しております。さらに、社内体制の改善ということにつきましては、その事後もまた報告を受けております。  それから民放連につきましては、十一月二十一日に理事会が開かれまして、そこで番組審査機能の活性化ということの申し合わせを採択、決定したということを聞いておりまして、その内容は、民放各局の中の放送考査体制の整備、それから視聴者センターの充実、番組審議会の機能拡充、こういうことを積極的に各社において推進するということを申し合わせたというふうに聞いております。
  149. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 次の問題に移ります。  けさほども質問がございましたが、これもまた重複を省いてできるだけ簡潔に御答弁をお願いしたいと思います。  まず、関西文化学術研究都市に官民共同出資設立される株式会社国際電気通信基礎技術研究所、略称ATR、この設立準備会が十月三十一日に正式に発足いたしました。そして来年三月には会社を設立する予定。そしてこの学研都市の中においては、その位置づけとして、国際電気通信基礎技術研究所は中核施設として期待しているほか、世界に開かれた電気通信分野基礎研究を行う我が国の代表的な施設として、早くも産業界から関心が集まっております。  そこでお伺いしますが、この研究所には、当然、本年十月一日に東京において発足した基盤技術研究促進センターから出資されると伺っておりますが、もう一度その点の事実を確認しておきたいと思います。
  150. 奥山雄材

    奥山政府委員 基盤技術研究促進センターは、前国会でお認めいただきました基盤技術研究円滑化法に基づきまして、無事十月一日、通産、郵政両省の共管のもとに発足いたしました。  このセンター自身の目的といたしまして、電気通信あるいは鉱工業に関する基盤技術の試験研究リスクマネーを供給するということでございますので、私どもは来年度に向かいまして、このセンター事業資金となります出資、融資の財源といたしまして、産業投資特別会計に所要の資金要求しているところでございます。それらのプロジェクトの中で出資対象となる案件といたしまして、郵政省からは、ただいま先生が御指摘になりましたいわゆるATR、国際電気通信基礎技術研究所にかかわる出資分といたしまして五十億円を要求しておるところでございます。これらは他のプロジェクト同様産投会計への出資要求でございますので、最終的には、政府予算原案が決まる段階で確定的になるということで、現在は概算要求の時点であるというふうにおとらえいただきたいと思います。
  151. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 このような研究所というものは、関西にできる以外に、全国におきましてはどういうようなところを考えておるのか、お伺いしたいと思います。
  152. 奥山雄材

    奥山政府委員 電気通信基礎技術に関する研究所といたしまして新たに設置構想しておりますのは、関西の学研都市におけるいわゆるATR一カ所でございまして、他の出資プロジェクトはいずれも二社以上の企業に対する資金供給にはなるわけですけれども、このような研究所という一つの施設をつくって、それに対して出資を行うというようなものは想定しておりません。  ただし、その前提といたしましては、これまでの電気通信にかかわる研究所が、NTT研究所に典型的に見られるとおり、ほとんど関東に偏在しているという反省から、関西にこのような構想民間の発意によって生まれたものであるというふうに私どもは理解しているところでございます。
  153. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 まずこの予算に関してお伺いしておきたいと思いますが、関西にできる国際電気通信基礎技術研究所、ATR、これに関しての予算はどうな保っておるのですか。
  154. 奥山雄材

    奥山政府委員 基盤技術研究促進センターからの出資を仰ぐためには、民間資金最大限に活用してということが円滑化法の精神でございますので、民間先導型でまず計画が進められることが大前提でございます。そうした見地から、関西の経済連合会の中に電気通信基礎技術研究所のための設立研究会を設けられまして、この八月まで非常に詳細なスタディーを続けてこられたところでございます。  その結果、この八月に報告書が出されたところでございますが、その報告書によりますと、総額九百五十億円の出資規模によりまして向こう十六年間、昭和六十年から起算いたしまして昭和七十五年まで出資を継続していくというような構想になっております。その間、センターからの出資を七〇%、六百六十五億円、それから民間からの出資を三〇%ということで二百八十五億円を予定しておられます。このような関経連がつくられました青写真をもとに、現在これが一種のナショナルプロジェクトとして、経団連の稲山会長のところで国際電気通信基礎技術研究所の具体化構想としてさまざまな諸準備が進められております。  政府といたしましては、先ほど申し上げました六十一年度の財投要求といたしまして、産投会計に当該相当分として五十億円を要求しているところでございますので、この資金の確保に現在全力を挙げているところでございます。  なお、会社自体は、来年の一月に発起人会に引き継いで、三月中には会社として発足させたいというのが現在の準備会の意向であるというふうに承知しております。
  155. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 三〇%の民間からの出資予定は、主なところはどういうところでございますか。
  156. 奥山雄材

    奥山政府委員 この点につきましては、現在、国際電気通信基礎技術研究所設立準備会の中の委員会において鋭意検討されておるところでございまして、民間出資分について、どの企業にどういう形で割り当てていくかということはこれからの話し合いになるというふうに伺っております。
  157. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 そこで、大蔵省来ていただいておりますのでお伺いしておきますが、このATRへの出資に対しては結局基盤技術研究促進センター、ここへ産投会計から、こういった形で出ていくわけでございますけれども政府としてはどういうようなお考えを持っておるのか、御説明いただきたいと思います。
  158. 石坂匡身

    ○石坂説明員 ただいま郵政省の方から御答弁申し上げたところと重複するわけでございますけれども、関西財界を中心といたしました設立準備会、それに基づきました構想によりまして郵政省の方でいろいろ検討をされておられるところでございますが、六十年度のセンター予算の実行といたしましては五億円、それから六十一年度のセンターへの産投からの出資要求の積算といたしまして五十億円という金額が要求されているというふうに承知をしております。  ただいま、センターが発足いたしまして、業務方法書の制定でございますとか事業計画の策定でございますとか、そういった準備作業が鋭意進められておるところでございますけれども、この出資の問題につきましても、こうした準備の手順を踏まえまして、今後十分に検討をさせていただきたいというふうに考えております。
  159. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 六十一年度ですからね、もう検討されておると思いますが、これの財源としましては、例のNTTの株の配当、そういったものを考えておるのかどうなのか。おるとすれば、先ほども質問がございましたが、NTTの株というものに関しての売り出しの状況など、概略で結構でございますけれども、いつもここへ来たら何もわかっていない、そんなこと言ったってしようがないですから、ここまで具体的になってきた、五十億円が産投から出ていく、それの財源の話でございますから、ぜひもうちょっと突っ込んで答弁してください。
  160. 石坂匡身

    ○石坂説明員 ただいまの御質問の財源の点でございますけれども産投会計には電電株の三分の一が所属させられておるわけでございまして、その配当金が年々出てまいります。この配当金は、先般の国会での御議論の中でも、技術開発等に活用するというふうなことでございまして、技術開発とかあるいは中小企業とか、そういったことに活用させていただくということになってまいるわけでございますが、そうした配当金をこうした技術開発等に充当させていっていただきたいというふうに考えてございます。  今株式売却の話が御質問の中でございましたけれども、実はこれは国債整理基金特別会計の方に所属させられております部分につきまして、今後の国債償還等の財源に充当するということのために帰属させられておるわけでございますが、これはただいま大蔵省の中に研究会が設けられまして、どういった価格で、いつどういうふうに販売していくか、鋭意検討を進めておるところでございます。
  161. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 その研究会の大体の状況、大体どれくらいで研究会も答えが出るとか、そういう点を言ってください。これはもう何回も聞いているのだから。
  162. 石坂匡身

    ○石坂説明員 ちょっと私、その担当者じゃないものですからあれなんでございますけれども、来年中にはもちろんそういった検討が終了するものというふうに承知しております。
  163. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 ここで基盤技術研究促進センター性格について確認しておきたいわけでございますが、NTTの会社法と電気通信事業法ができるときに国会附帯決議をつけました。そこにもございますとおり、「政府は、高度情報社会に向けて情報通信の果たす役割重要性にかんがみ、情報通信産業育成振興を図るため、情報通信基盤整備のための法制度を早期に確立すること。」そういったものを踏まえてこういう形になってきたわけでございます。  そこで、国の持つNTTの株、それから配当金の利用、こういったものは電気通信基礎研究に当たっても非常に重要でございます。その意味で、国際電気通信基礎技術研究所を関西につくるのは、これも先ほどもございましたとおり、あらゆる研究所が関東に集中しておる、そういったものを考えますと、国土の均衡ある発展、こういった意味で非常に重要でございます。そこで、できるだけ産官学一体で発展のあるものをつくっていくことが必要でございます。本来ならば二十一世紀への高度情報時代をつくる基本となるものでございますから、国が全面的な出資をしてもいいくらいの性格のものでございます。しかし、民間活力を生かして、こういうことでございますので、ぜひ今御答弁いただいたような形で実りあるものに持っていっていただきたいと思います。  大臣に最後にお伺いしておきたいと思います。  今までの附帯決議、あるいは国会の、きょうも午前中から審議もございましたとおり、そういったものを十分に考慮に入れて、予算といったものも、関西の発展、それから国土の均衡ある発展、電気通信基礎的なものも踏まえてのあらゆるものの発展、そういったものを考慮に入れて、大臣の御所見を最後にお伺いしておきたいと思います。     〔関谷委員長代理退席、委員長着席〕
  164. 左藤恵

    左藤国務大臣 今お話がございました国際電気通信基礎技術研究所は、従来我が国では不十分であった電気通信分野におきます基礎的な研究推進するという基本的な問題に取り組むというわけでございますが、具体的には、光通信基礎研究とか、先ほどお話がございましたが、自動翻訳電話システムの基礎研究とかいろいろなものを、複数のテーマを一カ所で総合的に推進するということで、研究の効率化とかあるいは研究成果の蓄積、そういうものを図ることによって成果を上げていきたい。研究所における研究成果は、二十一世紀に向けての高度情報社会の実現のために、電気通信の発展にも大きく寄与するものだ、このように期待をいたしておるものでございます。  そしてまた、今お話がございましたように、これを関西の方に持っていくということにつきましても、国土の均衡ある発展とか、また、そうした技術がいろいろな面で一カ所に集中することを排除して、全体的な発展というものを期待する意味におきましても、私は、そうした研究所設置というものに大いに期待をかけておるところでございます。
  165. 竹内勝彦

    竹内(勝)委員 終わります。
  166. 渡辺紘三

  167. 永江一仁

    永江委員 郵政省にお尋ねいたします。  この十月に官房人事部から、「活力ある郵便局づくり」ということで全国各地の管理者に、共通認識ということで、いわゆる活郵指針と言われておりますけれども、こういうものが出されまして、郵政省が全逓を中心とした労働組合との和解というか、そういうことで、その後新聞等で大きく取り上げられたわけでございます。私自身、そのこと自体は大いに結構なことだと思いますが、それが飛躍いたしまして、全逓、全郵政という路線の違う労働組合の合同というようなことまで新聞報道された、こういう経緯があるわけでございますけれども、まず、この時点においてこのようなものを郵政省が通達として出されたその背景なり経緯、そのことについて、どういう経緯であったのか、お答えいただきたいと思います。
  168. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 お答え申し上げます。  先般十月に、先生おっしゃいました「活力ある郵便局づくりをめざして」という、私の名前の公用私信をお出しをいたしました。その考え方の基本的な部分は、今日、厳しい社会環境がございます。また、公務部門に対して非常に厳しい目が注がれておるというような国民世論の動向がございます。そうした面を考慮いたしまして、郵政事業の経営に当たりましても、より真剣な、また積極的な経営態度を求められるというふうに私ども考えたわけでございます。  こういったいろいろな環境の変化というようなものに積極的に対応していくためには、まず何よりも管理者が自分自身のそういう変化に対応する意識というものをきちっと持ってもらうことが大事だ、そのことによって時代の要請にこたえられる郵便局づくりというものが実現できるというふうに考えた次第でございます。  また一方、最近、労働組合のいろいろなこういった変化に対応する積極的な対応の仕方というものも現に見られておるわけでありまして、そのことによりまして職場が比較的平穏になってきておるというようなところもございます。そのことによって、管理者の諸君がいわば事なかれ主義というようなものに陥る懸念はないかというようなことも考えまして、この際、労務管理の必要性といったものを十分認識してもらう、そのよすがに、この「活力ある郵便局づくり」という指針を素材にして、それぞれの意識の改革というものを進めてもらいたい、こういう希望を持ちまして全国の管理者にああいった指針を出させていただいた次第でございます。
  169. 永江一仁

    永江委員 今の部長の御答弁では、全国的に職場が非常によくなった、また一方、郵政行政を取り巻く情勢が非常に厳しい、こういうことの中でそういう指針を出したということでございます。  そのことは私もよくわかるのでございますが、ただ、職場の中が非常によくなった、こういうお答えでございますけれども、何かそういうような裏づけ、違法ストが非常に減ったとか、そういうようなことは何となく感ぜられないわけではございませんが、本当に職場の中が、部長がおっしゃるように、かつての荒廃に比べればよくなったということかと思いますけれども、その点についてはもう少し根拠のあるお答えをいただきたいのでございます。
  170. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 子細にわたって完全に把握しておるという状況ではございませんけれども、普通局で一体今職場がどうなっておるかといったものを、私ども調査をさせていただきました。  その結果によりますと、職場の雰囲気が以前に比べて明るくなり活気が出てきたというのは、八〇%の局の管理者がそういうふうに答えてくれております。また、業績も向上しているというふうに答えてくれたのも、また八〇%の職場でそういう答えを出してくれております。さらに、郵便の営業活動について、積極的に職員が参加してくれているというような答えを出してくれているのも七〇%に及んでいるという状況でございます。  しかし中には、以前よりも悪くなったというようなところも、これはないわけではございませんで、私ども、「活力ある郵便局づくり」という指針を出しましたが、この基本は、やはり職場が秩序を持って整然と運営され、そしてまたそこにいる職員が積極的に事業の将来を考えて行動してもらえる、そういう職員づくりというものを目指しておるわけであります。したがいまして、この数字に漏れている部分については、我々は今後ますます努力を傾注していかなければならぬ、こういうふうに考えている次第でございます。
  171. 永江一仁

    永江委員 お答えのように、組合運動の健全化というような中で職場が明るくなる、これはまことに結構なことでございます。ただ、今おっしゃいましたように、いろいろ子細に地域へ入ってみますと、もう当局の言うことはもちろん組合の言うことも聞かないという、一部はね上がりというか、そういう職場がまだまだある。組合と当局さえうまくいけばうまくいくということでなくて、時代がそれだけ多様化したとも言えますけれども、非常にいびつなところもあるわけですね。  実は、私の地元の神戸の東灘郵便局、このことについては少し詳しくお聞きしたいと思いますけれども、いわゆる頸腕障害と言われる患者グループが二十一人ぐらいいらっしゃって、ここ十年間にわたって、自分は仕事ができないんだということでほとんど仕事らしい仕事についていない。それで本当にまじめに働いておるそこの職場の労働者に、ずっと全部しわ寄せが来ておる。こういうことがずっと放置されてきておるという事実があるわけですけれども、その点について、本省としてはどの程度掌握しておられるか、お答えいただきたいと思います。
  172. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 お答え申し上げます。  東灘局の実態について調査をいたしました。昭和四十九年ごろから頸肩腕障害に罹患した職員が二十名ばかり出ておりまして、通院治療を行っている状況でございます。現在のその数は、最終的には二十一名ということに。なってございます。  この二十一名の職員、勤務の態様等、診断書などきちっと提出をいたしておりますが、その提出の態様等いろいろ問題があるというふうには思っておりますが、東灘局の全体の職員の中で八%を占める職員が、目下そういう頸肩腕の障害で通院治療を行っているという状態でございます。
  173. 永江一仁

    永江委員 質問通告もいたしましたからそれなりにお調べになったと思いますが、おっしゃるように職員数二百三十八名、長期病欠者が二名いるから二百三十六名、そのうちの二十一名ということは、約八%とおっしゃいますけれども、一割近いものが、しかも十年間にわたってほとんど業務につかない。その分はアルバイトを雇って、この局だけでも大体年間六千万円アルバイト費用を使っておるということでございます。そういうことが十年近くも放置されてきておるということについて、これは職業病ということであれば、日本じゅうに一割近い頸肩腕障害者が出ても理屈としては合うわけですが、ここだけですね、二十一名、約一割近いものがそういう患者グループとして存在しておる。  しかも、一日一時間は体操時間を持たなければいかぬという診断書をもらってやっておる。しかし一方では、昼休みにはソフトボールもやるわ、夏になったら水泳も行くわ、冬になったらスキーも行くわと、これは職場の人間みんな見ておるわけですね。そういうことで、そういった仕事のしわ寄せは全部まじめに働いておる者に来ておる。こういうことが十年以上も放置されておるということ、これはやはり非常に大きな管理責任だと思いますね。現在の局長性、去年以来このことに取り組んで、非常に頑張っておられることは私もよく承知しておるのです。しかしながら、頑張れば頑張ったでまた騒動が起こる。  お聞きになっておるかもわかりませんが、先般、九月十八日ですか、騒動が起こって警察まで入っておるわけですね。しかも、それは何も局が呼んだとかなんとかじゃなくて、その郵便局の中で大騒ぎしておるから近所の者が一一〇番して、何事かということで警察官が飛んできたというようなことが現実に起こっておるわけなんです。  こういうふうに、そういうものをきちっとけじめをつけようとすれば、反発力が大きくなってこういう騒ぎになる。しかしながら、これはやはり一遍越えなければいかぬわけです。今までそれをずっと放置してきたから、十一年間も約一割近い人がそうやって、まあ勤務には来ておるけれども仕事はしないという状態が続いておるわけです。このことについては今まで全然関知してなかったのかどうか、お尋ねいたします。
  174. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 私、就任をいたしましてまだ半年になりませんので、当時の事情は詳しくは存じておりません。また、今先生おっしゃった九月十八日の事件も、率直に申し上げて存じておりません。遺憾なことだと思っております。  しかし、東灘郵便局における職員のこの罹患者の勤務の扱いについては、やはり当分の間治療を要する、こういった形の診断書が出ておることもまた事実でございまして、こうしたものと職場の業務の運営とをどのように調和させていくかということは大変重要な問題だと思っておりますので、今後とも東灘局の業務の運営あるいはこうした職員の病気回復への手助け、そうしたものについては積極的に進めてまいりたい、こういうように思っております。
  175. 永江一仁

    永江委員 九月十八日に警察までが入ったということは、部長御存じなかったということですから、少し説明――大臣もよく聞いておいていただきたいのでございます。  今まではとにかく放置してきたけれども、これではいかぬということで、一日一時間の体操時間を、今後とりあえず九月、十月段階では三十分に減らす、そしてことしの暮れまでに十五分に減らして、来年の二月か三月一日からはとにかく休暇時間をゼロにするということを組合とも話し合いをして、そして通告をした。ところが大騒ぎをする、反対する、反発する。そしてついには、現在の局長の自宅の周りにいろいろビラを張られまして、その中には、金を返せとか体をもどのようにせいという名指しのビラを張られて、その局長の家族は、まるでうちのお父さんは女の子でも手をかけたのかと近所の人から見られると言って、実際悲劇に泣いておるわけなんですね。そういうようなことが最近も起こっておるわけです。こういうことで職場の中は、まじめな職員は全部それを苦々しく見ておるわけですけれども、こういったもののしわ寄せを一方的に受けるということは何とかならぬのかということでございます。  しかも、今部長も、私が聞いたのでは昭和四十八年以来ですけれども、四十九年とおっしゃった。十年以上にわたってそういうことが行われておる。これが本当に職業病として、この局だけで八%あれば、全国の数とすれば大変なことになると思うのですね。この局だけにそういう人が存在する。しかも、確かに診断書はとっておるけれども、それは特定の医師、特定の病院の診断書であって、公的医療機関に一遍診てもらえということを何度言っても、絶対行かないという事実があるわけなんですね。これは現場の局長だけではなかなか抑え切れる問題ではない、あるいは正せる問題でないわけなんです。こういう点について、ひとつ郵政省全体としても真剣に考えていただかなければいけないと思うのですけれども、部長、いかがですか。
  176. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 東灘郵便局の現在の取り組みの状況は、今先生おっしゃったとおり、一日の勤務の一時間、健康体操をやっていたという事実もございます。また、通院に要する時間も二時間かかるということで、通院にもそれぞれ、毎日行く者、区々でございます。一週間に一回あるいは二週間に一回、こういった形になってございます。  現在、当該局で取り組んでおる問題点は、一つは、先ほど先生指摘いただきましたように、健康体操については職場の勤務時間内にやることは適当でない、したがってこれは最終的にはやめていただく。ただし、当分の間は十五分に限って認めていこう。また、通院問題につきましても、一回の診断書で当分の間という診断書をもらってきて、そのまま継続して何年も通院を続けるというのも必ずしも適当ではない。むしろ折の節目、一般的には六カ月あるいは三カ月というような時間を区切って、病気がどう回復しているか、そうしたことを確認しながら治療に励むような体制をとるべきだということで、現在取り組んでおるところでございます。またそのことについては、関係労働組合とも相談をしながら、協力を得ながら是正をしていくというような取り組みを現在進めていっておるところでございます。  私どもといたしまして、基本的に病気であるという職員については、本来的に三十万を超える職員を抱え、そして人力に依存する度合いが極めて高い事業所でございますから、職員が健康を保持しながら勤務に精励するという状態を何とか確保したいということで、いろいろな形でその健康管理については意を注いでおるところでございます。さはさりながら、病気休暇といったものをとるその態様、そうしたものと事業との兼ね合いというものも十分考えながら、休暇の取得については適正に行われることが望ましいというふうに思いますので、そうした面についてのきちっとした職員側の対応ができるような管理者の教育指導の徹底をこれからも積極的に進めていきたいし、またそれに取り組んでおる管理者に対しては積極的なサポートをしてまいりたい、このように考えております。
  177. 永江一仁

    永江委員 くれぐれも申し上げますが、現在の局長が放置しておるというのではないのです。逆に、真剣に取り組めば取り組むほどこういうことが表ざたになってくる、こういう一面があるということはひとつ肝に銘じていただきたい。何となく臭い物にふたをして見えなければいいという問題ではないということを、十分腹に入れていただきたいのです。  同時に、今言いましたように、上では見えなくても、職場の中は皆見ておるわけであります。もちろん、その病人はきちっと早く治してもらうにこしたことはないのです。休むなら休む、そういうことで治療はちゃんと受けるべきです。そしてまた、受けさせなければならないと私も思います。しかしながら、十年近くもそういっただらだらした状態が続いておるというのは、どう考えても異常だ。しかも、先ほど言いましたように、職場の中では、そういう毎日通院しなければいけない、あるいは一日に一時間は体操の時間をとらぬとやっていけぬという人が、卓球したり、ソフトボールしたり、水泳したり、あるいは冬になったらちゃんとスキーにも行っておるということを皆見ておるわけですね。こうなると、職場の中はこれでもいいのかという、そういうところから職場荒廃が起こっていくということでありますから、ぜひともこのことは十分局長をサポートするということで頑張っていただきたいと思うのであります。  あわせまして、今私が申し上げたいことは、最近労働組合の方も非常に話がよくわかっていただいて、いろいろ交渉はできるのですけれども、中にそういうはね上がりというか、小さなグループとしての問題点が逆に起こっておるのではないかと思うのです。  そこで、心配しておることの一つは、先般も十一月二十九日に例の首都圏の国鉄が、ああいった中核派の騒ぎの中で電車がとまりまして、国民が大変迷惑を受けたわけですけれども、この逮捕者四十数名の中に郵政省の職員が入っておるのではないかとまことに心配なんですが、いかがですか。
  178. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 まことに残念なことではございますが、二名入っておるようであります。そういうふうに聞いております。
  179. 永江一仁

    永江委員 これは今回に始まったことではありませんで、昭和五十三年三月の例の成田空港管制塔襲撃のときも、逮捕者の一五%が公務員もしくは公共企業体の人であった。また、去る十月二十日の成田空港反対集会の逮捕者の一割が公務員。国家公務員五人のうち郵政省の職員が三人入っておるわけですね。  こういうことで、国民から見ましたならば、民間で働いておる人々なんかから見れば、まことに考えられぬことでありまして、国のこういう重要な施設なりそういうものについては一番よく知っておるわけなんですけれども、本当は守らなければならない立場の公務員が、こういった一部はね上がりの中で国民に迷惑をかけておるということは、まことに許しがたい行為だと言わざるを得ません。そういうことで、十月二十日の成田空港の逮捕者三人については、その後郵政省としてはどのような措置をとられたのか、お答えいただきたいと思います。
  180. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 三名が成田空港事件で逮捕され、一名が起訴されたという状況でございます。  私ども郵政事業を預かる立場の責任者といたしまして、まことに遺憾なことだというふうにその責任を痛感いたしております。平素は、職員に対しましては、法律の忠実な執行に当たり、国民の皆さん方によりよい事業サービスを提供すべき郵便局の職員が、法秩序を無視する反社会的な行動、こういったものを行うことについては絶対にあってはならない、こういうことで指導教育をしておるところでございます。今回の事件を教訓にしまして、今後こういった違法な行為を再現することのないよう、我々としては指導の徹底を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。  また、逮捕されました三名の者については、現在違法行為の事実確認もおおむね終了するに至ったというふうに聞いておりますので、そうした調査結果を踏まえまして、早急に厳正な措置を講ずるよう、私たちはこの問題には対処したいというふうに考えております。
  181. 永江一仁

    永江委員 そこで大臣、お尋ねいたしますけれども、今の経緯のように、それは三十万を超える職員ということになれば、いろいろな方がいるというのはやむを得ないことかもわかりません。しかしながら、まだまだ職場の中にはこういう風潮、体質があるということでございます。格別今のお話のように、先般の首都圏をとめたあの逮捕者の中にも二名の郵政省職員がおるということ、私は実はこれはおるんじゃないかという推測で御質問したら、二名というお答えが返ってきたのでございますけれども大臣はこのことはもう御存じでございましたでしょうか。また、これに対してどうお考えでございますか。
  182. 左藤恵

    左藤国務大臣 二名おったということの報告は、逮捕されましたその事実がわかった段階で警察の方から連絡があったので、私も伺ったわけでございます。そういうことではまことに申しわけないことであります。公務員としての責務を果たさなければならないと同時に、郵政事業の職員は、国民の皆さんに対するサービスといいますか、そういう御利用をいただくいろいろなサービスを提供する、そういった立場にもあるわけであります。そういうことにつきましては、職場の中にそういった人間がいないように、徹底的にやはり措置もしなければなりませんし、また職場を明るくするためにも、そうした人間を排除しなければならない、このように私は考えております。
  183. 永江一仁

    永江委員 これは普通の民間企業でございましたならば、なかなかこういうことは起こり得ないことでございまして、やはりそこに管理責任のルーズさというか非常な無関心さ、一人の人間が一週間も十日も休んでも、何となくそれで済んでしまうというようなことがあるから、こういうことが現実に起こってくると思うのです。人間関係が密であれば、三日も四日も会社へ出てこなければ、病気でもしたのかということで電話もするとか、そういう人間関係があれば、そういった極端な行動にはね上がる時間的な余裕とか心理的な脱落ということはないと私は思うのです。  しかしながら、こういう事件が起こるたびに大勢の、まあ学生は暇人でやっておるのかもわかりませんが、少なくとも公務員がこういう中で一つの主役を演ずるということ、そうして必ず郵政省の職員がおるということはゆゆしき問題でありまして、冒頭申しましたように、この活郵指針というものそれ自体は私は否定するものではございませんけれども、その中にまだまだたくさんの問題があるということを認識しておるのかどうか。何となく、最近は職場も明るくなったらしいというようなことだけでやっておったのでは、逆に――確かに労働組合の運動も少しずつ変化してきておることは私たちも評価するにやぶさかではございませんし、それはそれでいいことでございます。しかしながら、その組合の中からもはみ出していく一部の過激派というか、そういう職員がおるということですね。このことをどうつないでいくか。これは本当に重要な問題だと思うのでございますが、最後に大臣なり部長からもう一度そのことについての、ただでき上がった労働組合との対話だけでなくて、そこからはみ出そうとしておる、あるいははみ出しかけておる一部の分子に対して、そのことが職場を荒廃させておるということ、このことに対してどう対策するか、お答えいただきたいと思います。
  184. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 お答え申し上げます。  活郵指針を出しました趣旨は冒頭申し上げたとおりでございまして、この活郵指針ができ上がってきた背景は、やはり職場が比較的穏やかになってきたということも大きにあずかって力があるわけでございます。したがいまして、従来の職場の状況でありますと、そうした対応が大きな動きの中で隠れておるというようなことがあり得たわけでございますが、職場が平穏化するに従って、そうしたものが目についてくるという現象も現にございます。  私どもがあの活郵指針の中で強く求めておりますのは、郵便局の管理者諸公は、言ってみれば経営責任を担っており、との責任はだれにも譲ることのできない、みずからが負わなければならぬ責任だ、この責任を自覚し、そのことによって郵便局が活力ある職場になっていく、そういうことのために今は行動すべきだ、こういうことを訴えかけておるわけでございまして、その基礎になるのはやはり何と申しましても整然とした、かつその中でもまた活力のある郵便局、こういうものが基本になっておりますので、そうした面の今後まずまずの徹底を図るよう、私どもとしては積極的に努力をしてまいりたい、このように考えております。よろしくお願いをいたします。
  185. 永江一仁

    永江委員 時間がほとんど尽きましたので、それでは最後に一点だけ。  サービスということでこの十一月二十日から切手売りさばき所が小包を受け付けるということになったようでございますけれども、職場あるいは地域で見てみますと十分対応ができていない。しかも、私の聞いたところによると、一週間ほど前に文書で、こういうことで切手売りさばき所においても小包を扱うということで来ただけだということで、現場はかなり混乱しておるように思うのですけれども、現状あるいは今後の見通しはいかがでございますか。
  186. 高橋幸男

    ○高橋(幸)政府委員 十一月二十日から切手売りさばき所におきまして小包の取り次ぎをするという施策を実施したわけでございますが、この問題につきましては、いつから実施するかということを抜きまして、その内容等につきましては、私ども、六月の末から八月にかけましていろいろ具体的な内容を地方に通知し、連絡を保ってきたところでございます。しかし、この問題につきましては、御承知のとおり関係組合とも意思疎通を図らねばいかぬということがございまして、最終的な意思疎通を図ることができましたのは十月の末でございました。そういうことで、私ども即日地方へ連絡したわけでございますが、これは取り次ぎの問題だけでなしにほかのサービス改善も入っておりまして、一部の地区におきまして今御指摘のような取り扱い上の問題が若干あったやに聞いております。  私どもは今後いろいろなサービスを展開していきたいと考えておるわけでございますが、それに必要な実施までの間の準備期間あるいは周知期間、またその関係の向きとの協議、そういうものに必要な期間を十分確保しながら進めていきたいというふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。
  187. 永江一仁

    永江委員 このサービスの問題につきましてはまたの機会に質問させていただいて、きょうはこれで終わりたいと思いますが、ひとつ最後に大臣先ほどからお話しさせていただきましたように、まだまだたくさんの問題を職場の中には抱えておりますので、ぜひとも大臣も陣頭指揮に当たっていただきまして、本当に職場を明るくしていく。  同時に、そこで管理者として職場の規律なり何なりにけじめをつけていこうと思えば思うほどいろいろな反発も確かにあって、騒ぎが起こる。何にもなしでやっておれば、実は先ほど申しました局長の家の近所に嫌なビラも張られずに済んでおるわけなんです。まじめに取り組もうとすればするほど、この指針に基づいてやればやるほど反発を食っておる。そうすると何となく、あの局はごたごたともめておる、局長が悪いのじゃないかという逆の見方をされることも考えられるわけであります。こういう点で本当に何が正しく対処しておるかということを十分見きわめていただく、それがやはり上に立つ者の仕事であろうと私は思います。最高の責任者としての大臣の答えを聞いて質問を終わりたいと思います。
  188. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のとおり、郵便局の中にいろいろなそうした問題があろうかと思います。中にはそれをなるべく知られないで、自分のところだけで処理しようというようなことで、今先生指摘のようなかえって根の深い問題を生じておるところもあるのじゃないかと思います。そうした問題につきましては、やはり本省も郵政局も、そしてまた現場も一体になって、そうした問題については積極的に解決していかなければならないという姿勢を貫いていかなければならない、このように考えておるところでございます。
  189. 永江一仁

    永江委員 終わります。
  190. 渡辺紘三

  191. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 委員長、質問に入る前に委員長にお伺いしておきたいのですが、この委員会成立しておりますか。――国会法による定数を満たしておるかどうか。成立委員長が宣言したからしておると思うのです。しかし、今この時点でどうかということは問題だと思うのですが、それをとかくあげつらう気はありませんけれども、やはり私は国会委員会の権威として、これは委員長だけじゃありません、お互いの責任でやはり委員会をもう少し権威あるものにすべきだという期待を持っておりますので、申し上げておきたいと思います。  質問に入ってようございますか。
  192. 渡辺紘三

    渡辺委員長 はい。
  193. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣にお伺いしますが、今同僚の質問を聞きながら、なお今日郵政の職場の中に、一部ではあっても、御質問になったような事態があるのかと寂しい気持ちがいたしました。しかし、全体的には、先般来報道されておりますように、労使関係については非常に明るい報道が行われておりますし、何よりだと私どもも思っております。  今年度もいよいよ一番忙しい年末首の繁忙の時期を迎えました。郵政事業全体の流れは心配がないのか、とりわけ年賀郵便の配送等については心配のない状態かどうか、大臣に伺っておきたいと思います。
  194. 高橋幸男

    ○高橋(幸)政府委員 郵便の最大の難関でございます年末首を迎えたわけでございます。私ども、この年末首の業務運行に当たりましては、要員の手当てその他施設の面につきましても、関係労働組合とも十分意思疎通を図りまして、万全な体制をとって臨みたい、また臨むだけの方策なり何なりをとっているということを申し上げたいと思います。
  195. 左藤恵

    左藤国務大臣 いろいろ御協力いただき、労働組合の方も深い御理解をいただきまして、十一月いっぱいの段階におきまして、これからの年末首の業務処理に当たる体制というものが確立されたと私は考えております。
  196. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まことに結構なことで、一層の御努力をお願いしたいと思います。  ところで、この郵便事業分野でも、最近は非常に新しいサービスの提供が行われておるようでございます。例えば電子郵便あるいは超特急郵便、いろいろあるようでございますが、この状況は非常にスムーズに移行しておりますか。
  197. 高橋幸男

    ○高橋(幸)政府委員 郵便事業を取り巻く環境は非常に厳しいわけでございまして、私どもこれに対処いたしますために、各種のサービスを展開しているところでございます。  最近実施いたしました主なサービス改善施策の実施状況、取り扱い状況というものの概況を簡単に御説明申し上げたいと思うわけでございますが、今話題になっておりますふるさと小包におきましては、五十九年度、品目にいたしまして大体一千品目、取扱数が百万個。六十年度、今年度を見ますと、半年でございますが、取扱品目におきまして二千三百、個数にいたしまして百二十七万個と、昨年一年分を半年で取り扱っている。この調子でいきますと、目標を大体二百五十万個に置いておりますので、この目標は突破できるのではなかろうかという展望を持っております。  また、超特急郵便の取り扱い状況でございますが、これは今年の七月から東京におきまして、また十月から大阪において実施いたしました。東京につきましては、当初私どもの想定としては百五十くらいじゃなかろうかと見ておったのでございますが、出足はちょっと鈍かったのでございますが、最近の取り扱い状況を見ますと一日約二百通の取り扱いをしている。大阪におきましても、東京の例から見ましても最初ちょっと出足が鈍いということもございまして、七十ぐらいを予想しておったのでございますが、現在六十ということで、これも旬日を出ずして予想の数に及ぶのではなかろうかと考えております。  また、電子郵便の取り扱い状況でございますが、これにつきましては、ことしの四月から十月までの数字で申し上げますと、累計で百三十一万通、一日に七千四百通ということで、これも私どもが当初想定いたしておりました数を上回っているということで、私どもいろいろなサービスを提供したわけでございますが、いずれも順調な形で推移していると考えております。
  198. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まことに結構でございます。一層の御努力をお願いいたします。  ところで大臣、大分県内の過疎地域で、町当局それから局長さん、全逓の組合員の三者で触れ合い郵便という制度をつくりまして、大分県内では大変な人気を呼んでおるのですが、大臣御存じですか。
  199. 左藤恵

    左藤国務大臣 私は存じませんでしたが、今度こうしたことで御質問の御通告がありましたので、どういったものかを急選勉強いたしまして、大体のことにつきましてお伺いをしたところでございます。
  200. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私が聞くところ、新聞報道などによりますと、郵便の新しい利用を開拓するために地方自治体とタイアップして、地方自治体がホームヘルパーの足らない部分について毎週、寝たきり老人とか独居老人等に対して郵便を出す、社会福祉の必要のある者について。それを届けたときに郵便局の職員が、いろいろな用件があればそれを聞いてあげて、それを町当局、地方自治体に知らせてあげる。それによって地方自治体が対応を図っていく。これは郵便事業としても新しい事業開発になっておりますし、町当局も非常に喜んでおられるようで、評判もいいようでございますが、こういう制度についてどうお考えですか。
  201. 高橋幸男

    ○高橋(幸)政府委員 御質問の触れ合い郵便につきまして、ただいまお話がございましたように、町役場から差し出されたひとり暮らしの老人あての郵便物を配達する際に、郵便局の職員が声をかけるというふうなことをする内容のものと承っております。御存じのとおり、私ども郵便事業を通じまして、地域住民あるいは地域社会の活性化に役立つサービスについては常に心がけているところでございます。ただいまお話しになりました触れ合い郵便につきましても、地域住民と親しく触れ合うということにおきまして非常に意味があるのじゃないかというふうに受けとめております。  ただ、御承知のとおり、郵便局の本来の業務もございますので、郵便局のサービスとして、そういう業務に支障を来さない限度といいますか、おのずから限界があるのじゃなかろうかという認識を持っていることを御理解願いたいと思うわけでございます。
  202. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 その最後のくだりが問題になるのです。それは全然何の犠牲といいますかサービスの提供もせずに、郵便だけ出してくれと言って歩いたって出っこないのです。したがって、町が郵便を毎週出す、そのことを一つ開発をする。そのかわりにいろいろな意見があれば、独居老人から承って帰りましょう。私は非常にいい発想だと思っておるのです。  ところが、今いみじくも局長お話しになったように、そういうことについて公用私信が出されております。前文は省略しますが、こういうことが書いてあるのです。   ところで、最近、別添新聞記事のとおり、九  州管内の一部の地域において〝触れ合い郵便〟  と称して地方自治体、郵便局長、全逓支部の三  者間で協定が交わされている模様です。   〝触れ合い郵便〟の具体的内容等については、  必ずしも明確でありませんが、郵便サービスの  在り方、職務専念義務、郵便局長の職務権限、  あるいは勤務時間中の組合活動等、種々の問題  もあり整理すべき点を包含しているところであ  ります。   従って、このような動きがあった場合は直ち  に趣旨、内容等を把握し郵政局に連絡の上対処  してください。こう書かれておるのです。これでは、第一線でせっかく局長やそこの職員が一緒になって何かやろうとしても、意欲をそがれてしまいます。  お役所の仕事です。文書によって郵政局に報告をする。郵政局は、職務専念の義務はどうか、局長権限はどうかといって検討しておれば、半年ぐらいかかります。そこで結論が出ない。本省に上げる。本省からまた文書がおりてくる。まず優に一年近くかかるでしょう、この種の問題は。これでは間に合わないし、やる気が全然なくなってきます。だから、悪かったら、それは悪いぞととめればいいのです。せっかく現地の第一線の局長や職員が一生懸命やろうとしておることに水を差すような、おれ様にお伺いを立てた上でやりなさいという式のものは、今のこの時代の郵政事業としては手おくれになるおそれがあると私は思うのです。大臣の見解はどうですか。
  203. 左藤恵

    左藤国務大臣 郵政事業というのは、やはり郵便を配達する、そして国民の皆さんにサービスをするということが本来業務でございます。しかし、今先生指摘のような問題につきましては、地域との一体性といいますか、地域があって郵政、郵便局の仕事も理解していただける。そういう意味におきまして、地域の皆さんと触れ合いを持つということにつきましては、私は、その業務の解釈の問題もいろいろあろうとは思いますけれども、そういった気持ちでやっていただくことについては、郵政事業にとってプラスじゃなかろうか、また国民の皆さんに対してそうした郵政事業が責任を果たす一つの手段ではないか、このように考えます。
  204. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 郵務局長にもお願いしておきたいことは、この種の新しい発想で新しい開拓、地域との触れ合い、そういうものの芽が出たときは、こういう形で摘み取ることなく、伸ばしてやるような配慮をお願いしておきたいと思います。  時間が少ないから、次の質問に移ります。  次に、放送チャンネルの問題についてお伺いしたいのです。郵政省は十一月二十二日、テレビジョン放送周波数割り当て計画の修正なるものを発表いたしましたが、その趣旨は、全国各地域における受信者の受信機会の平等を実現するというのが目的で、内容は、一般放送事業者、いわゆる民放を最低四局設置をすることを目標としておるようです。現在民放二局の体制の県が十七県あると聞いておりますが、今回、その中の七県だけに新設を認可するという方針を出されたのはどういう理由によるものか、お聞かせ願いたいと思います。
  205. 森島展一

    ○森島政府委員 民放のテレビジョン放送につきましては、先生合おっしゃいましたように、全国各地域の受信者の受信機会の平等ということの実現をめどに、いろいろやってまいっておりますが、今回、十一月二十二日に電波監理審議会に予備説明いたしました内容につきましては、特に現在民放テレビジョン放送が二つのチャンネルしか見られない地区につきまして、これをさしあたりは三つ見られるような措置をとり得る地区七県につきまして、周波数を割り当てていきたいということでございまして、その理由といたしましては、全国の世帯数の八〇%が既に民放テレビジョンの四つのチャンネルを視聴できるように周波数を割り当てでございます。  こういったことから、受信機会の平等ということにつきましては、最終的には四つの民放のチャンネルが見られるようにすることが目標であるべきだろうと思いますが、これは漸次そういう方向に進めるということで、周波数の事情、放送事業存立の基盤となる経済力、それからその地域の放送需要、こういったことを考えまして、今回は七つの県につきまして二つのチャンネルを三つのチャンネルにふやす、こういう考え方電波監理審議会に予備説明したところでございます。
  206. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 新聞によると、角抜きの電波戦争だとかなんとかいろいろ出ておるようでございますが、そのことは私は触れません。それは触れませんが、今おっしゃったような趣旨であるとするならば、大臣が新聞発表されたときに、東京の五局を六局にふやす、こういうふうに新聞発表されたということを聞いておるんですが、その後取りやめになった、こうまた発表されております。もし新聞報道が本当であるとするならば、東京の五局を六局にするということは、今おっしゃった平等を実現するという趣旨からするならばむしろ逆行することになると思うのですが、ああいうことがあったのですか、なかったのですか、大臣
  207. 左藤恵

    左藤国務大臣 いろいろ検討をしていただくということにつきまして、事務当局で検討はいたしております。しかし、今局長から御説明申し上げましたのは、とにかく地方のことを少しでも格差を是正するという方向をまず第一にやるべきだということで、現段階先ほど局長が御説明したようなことで、電波監理審議会に予備説明申し上げたのは、その二局のところを三つにするという問題を提起したわけでございます。
  208. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 それじゃ局長、そういう東京の五局を六局にしようかというような議論があったわけですか。
  209. 森島展一

    ○森島政府委員 東京の都城につきましては、ローカルの民放の局というのはないわけでございまして、全国のほかの府県につきましては民放のローカルの局が現実に存在するか、あるいは周波数の割り当ては全部してございます。そういった点で、東京都の方からもローカルの放送が欲しい、そういう知事からの要望もございますが、そういったことを踏まえて、ただいま大臣が申し上げたように検討をしている段階でございます。
  210. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 経済力、いろいろな問題があるにしても、十七の県でまだ民放二つしか局のないところがあるわけでしょう。今回、仮に七つを免許しても、まだ十の地区では二つしかないのです。そこに東京だけをまたさらに一局ふやすということは、ここに言う平等を実現するという趣旨からいうとまことに矛盾する理論であって、そういうことになってくると、新聞報道の角抜き戦争というようなことが、あるいは本当かなというような疑いを持たざるを得ないのですよ。趣旨一貫していない。二チャンネルのところを何とか三チャンネルにするように努力しましょうというなら話はわかるが、一方、五チャンネルのところを六にすればますます差は開いてくるでしょう。趣旨がまことに一貫してないのはどういうわけですか。
  211. 森島展一

    ○森島政府委員 受信機会の平等と申しましても、すべてのところが全く一線のチャンネル数である方がいいということにはならないと思いますが、先ほど申し上げましたのは、最低四つ見られるというところ、既に八〇%の視聴者の地域にそういう手当てが周波数でしてあるということからして、四までを目標にするのがいいということを申し上げたのでございますが、チャンネルが五あるいは六見える、こういう地域も、経済力等に応じて既にそういう手当てがしてございますので、そういった点をこれからいわば底を上げていくのに対して、その上の方はどうなんだというようなことは検討しておる段階でございます。
  212. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 あなたのおっしゃるのは、チャンネルの数が大体全国同じようになることが好ましい、それが受信機会の平等だというものではなくて、その地域の経済力等に応じてたくさんテレビ局があってもいいではないか、こういう理論になるなら、何も受信機会の平等などということを言う必要はないのであって、その地域に経済力がなければ二つだっていいじゃないですか。なぜそれを三つ、四つにふやさなければならぬのですか。  平等という以上は、私は全国どこでも大体同じ数のチャンネルが見られる、それが原則として平等で、その上に立って経済力等を勘案して三つにするのは無理であるとか四つにするのは無理であるという結論が出たとしても、原則としては全国、日本の国民ならばどこでも四つなら四つ、五つなら五つのチャンネルが見られる、これが受信機会の平等であって、地域の状況によって初めから違うのだとおっしゃるなら、何も二つを三つにするとか三つを四つにするとか、五つを六つにするなんというときに、受信機会の均等という言葉を使う理由はないですよ。どうですか。
  213. 森島展一

    ○森島政府委員 おっしゃいますように、確かに全国が均一な状況にあれば、これは平等とだれもが思うわけでございますが、その地区の経済力等に応じて必ずしも完全に一線でなくてもいい、それでは下の方は二でいいか、こういうふうなことでございますと、現在二つしか民放のテレビが見られない地区の、こういった点の視聴者の、もっとチャンネルが見たいという要望は非常に強いものがあるというふうに私どもは聞いておりますので、その点底上げと申しますか、最低のチャンネルは二ではいけないのではないか、三なり四なり、こういう目標を掲げるのがいいのではないか、こういうふうに思うわけでございます。
  214. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 趣旨が不徹底ですが、あなたの一つの理論は、経済力さえあれば幾つあったっていいじゃないか、これが一つの理論でしょう。十あったって二十あったって、経済力があってやれるのならばそれでいいではないか、やれぬところはやれなくて仕方がない。だからそれで平等なんだ。ただしかし、底上げたけはしてあげましょう、それが二つ目の理論ですね。底上げとは一体何なのか。二つなら悪くて三つならいいという理論が成り立つのかどうか。  平等という理論がある限り、日本国民どこにおっても同じチャンネルが見られるという条件がなければならない。その中で経済力等によって差がついてきても、それは結果的にやむを得ないと言えても、初めから経済力があるなら幾つあったっていいじゃないかという理屈があるなら、底上げも何も必要ないですよ。経済力がないところはないなりに、あるところはあるなりにやればいいのであって、ここに言う受信機会の平等などというのはつけ足りにしかすぎぬじゃないですか。免許をするためのつけ足りの言葉だと疑惑を持たれますよ、あなたその言い方をすると。  どっちが本当ですか。経済力があれば幾つあってもいいというのが本心ですか。どうなんです、平等に見せてやりたいという基本がある、しかしその上に立って経済力のないところはある程度やむを得ないではないか、こうなるのか、どっちですか。
  215. 森島展一

    ○森島政府委員 これは受信機会の平等ということが原則でございまして、この原則を実現する上で、周波数の事情とか経済力の基盤、こういったことが出てくるわけでございます。
  216. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 余り長く議論している時間がありませんが、ただ、あなたのおっしゃっておることは、受信機会の平等を期するという意味からいうならば、経済力のあるところなら幾つつくってもいいじゃないかという別の理論は、まことにおかしな理論になるんですよ。やはり平等と言う以上は、上を抑えて下を上げなければ平等にならないんです。そうでしょう。上を抑えて下を上げぬ限り、平等にはならぬですよ。ところがあなたは、経済力のあるところは幾つつくったっていいじゃないか、こう言うのです。下だけは底上げしてやろう、底上げするだけが平等ではないのです。平等とは、上を抑えて下を上げなければ平等にはならないんですよ。  あなたの理論は矛盾しておるから、もうちょっとこれは――大臣電波審議会にかけるんでしょう。その前にもうちょっと検討してもらいたい。というのは、二チャンネルでいいか悪いか。それはチャンネルは多いほどいいでしょう。しかし、経済力とおっしゃるが、経済力とは、早く言えば、結局その放送局が企業として成り立つかどうかなんですよ。そこに無法な競争原理を押し込んできたら、無法な競争原理によって視聴率を高めなければならない。視聴率を高めるために、あのテレビ朝日のやらせみたいなああいう番組がどんどんできてくる。そのことが視聴者にとって幸福なのかどうか、これはやはり問題があるんですよ。だから、経済力がないならないなりに、成り立つように考えてやらなければならぬ。そういうことも一つのファクターとして考えないと、ただチャンネルはふえさえすればいいという理屈も成り立たない。同時に、経済力があるなら何ぼでもつくっていい、そういう暴論も成り立たない。もう少し慎重に扱うべき内容のものだと私は思うのです。  これについて、大臣、民放連の方の意見を聞きましたか。
  217. 左藤恵

    左藤国務大臣 今回、先ほども申しました二つのところを三つにするという問題につきましては、民放連の御意見は十分聴取いたしました。  後のことにつきましては、まだ民放連は、何かそういうふうなことがあるんじゃないかということで、一応の御意見はあるようでございますけれども、私は、そういうことで、正式にお伺いしているというようなものではございません。そして、今いろいろな面でこれは検討を進めている段階でございまして、これからどういうふうになるか、その検討の結果はまだわかりません。
  218. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、結論として、経済力のないところにそんなに無理をしてチャンネルの割り当てをして、免許を急ぐ必要もないし、経済力があるからといって、そんなにテレビのチャンネルが、十も二十もなければならぬという理屈はないんです。もうアメリカあたりを見ればわかるように、欲しければCATVでも何でもどんどんできるのですから、何も免許して新しくつくってやらなくてもいいと私は思うのです。したがって、電波審議会に諮問するに当たっては、そういう点を十分考慮しながら、本当にいい番組を視聴者に提供できるような、そういう観点に立って免許のことを考えてもらいたい。ただ数が多ければいいものでもないし、番組内容等が非常に大きい問題になるはずなのですから、そういう点を監督官庁としては考えてもらいたい。これは要望として申し上げておきます。  さて、最後の問題に入りますが、NHKの川原会長、どうも御苦労でございます。実は、川原会長は十一月六日の記者会見で、BS2bの打ち上げについて、契約条件に達していない部分がある、すなわち進行波管の出力が不足しているというふうな点を指摘をされて、スケジュールにはとらわれずに納得のいく説明を求めるのだ、こういうふうに記者発表をされておるやに伺っておりますが、その後納得のいく説明があったわけでございますか。
  219. 川原正人

    ○川原参考人 その後2bにつきまして、私どもがこの衛星の製作、打ち上げ等を最終的に委託しております宇宙開発事業団にいろいろ文書等をもって照会しましたところ、この2bの進行波管の一本が、確かに出力が契約の条項に達してはいないけれども、全体の最終的なアンテナから出る力は予定の力を出しておりますし、それから、出力が足りないながらも非常に安定した状態にある、打ち上げて、これで十分安定した機能を発揮すると判断する、こういう回答をいただきましたので、正直育って、全く一〇〇%懸念がないとは申しませんけれども、そこまで開発事業団の御返事でございますので、かつまた片一方で、この衛星のいわば心臓部にも相当する、最終的に静止軌道に乗せますアポジモーターというものの保証期限の問題等もございますので、ここで最終的な一つの選択として、これで打ち上げに向かって一歩進めようという判断をいたしたわけでございます。
  220. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 私は、経過からして時間的にかなり切迫した状況にあったということについて、理解ができないわけではございません。しかし、やはりBS2bを上げるに当たっては、2aの失敗、その反省の上に立って対策が立てられなければならないと思うのです。  BS2aは何の関係で失敗したかということを考えてみますと、一つは、進行波管の一系統には故障があるが、あとの二系統は大丈夫だと言われたことを信頼した、これが一つ失敗のもとです。  二点目の失敗は、当然掛けなければならない寿命保険。寿命保険を掛けておけば、こういう事態が起こっても、その損害についてある程度のてん補はできたはずなのです。その寿命保険に入れないままに始めた、これが二つ目の失敗だと私は思うのです。  そういう失敗を繰り返さないためにはやはり慎重に、もう故障が起きないのかどうかということを十分に、徹底的な調査をする。二点目には、付保できるかどうか。これは付保できるかもわからぬが、べらぼうな保険料では困りますから、その辺は折衝がありましょうけれども、いわゆる故障が起きた場合の視聴者に与える負担を最小限のものに食いとめなければならない。ところが、今考えてみると、その二つの反省が全然ないように思うのです。  一つは、今会長がいみじくもおっしゃったけれども、いや、これはアンテナ能力が何か非常にいいから、出力は落ちても合わせて大体いいんだと言う。しかし、これは保証ではなくて、単なる事業団の説明なのです。前の、進行波管の一系統は悪くても、あとの一系統がいいから大丈夫と言うたこととこれは変わらないのです。アンテナ能力がいいから大丈夫なんだと言う。どこにも保証はないです。  二つ目には、この前失敗した寿命保険等について、何ら付保できるという見通しがない。そういう中で打ち上げるということは、aの失敗を全然反省していない、そうなると思うのですが、にもかかわらず会長がこれに同意されたということは、私はどうも納得ができないのですが、今の御説明では、前の失敗について少しも反省しておられぬ。どうすれば前の失敗を繰り返さなくて済むかということについての配慮が足らないように思うのです。  これは説明に来たのは郵政省さんですが、郵政省が十四日に「BS―2bについて」という文書を持って説明に見えましたが、郵政省の方で、この間の責任が持てる経過があったのならば説明をしてもらいたいと思います。
  221. 奥山雄材

    奥山政府委員 BS2b問題につきましては、当委員会におきまして阿部先生初め諸先生からたびたび御懇篤な御指導をいただいたことを厚く御礼申し上げ、また、私どものこれまでの過程の中でいろいろと先生方に御迷惑をおかけしたことを率直におわび申し上げたいと思います。  十一月十四日に私が先生のところに御説明に上がりましたときの経過でございますが、ただいま阿部先生から御指摘ございましたように、BS2bにつきまして、一系統の進行波管に出力の低下が見られるという現象を、ことしの秋ごろ私どもも承知するに至ったところでございます。  BS2bにつきましては、たびたび当委員会で御指摘をいただきました点を踏まえまして、2aに生じた故障が二度と再現することがないように、宇宙開発委員会放送衛星対策特別委員会で検討していただきました成果を十分に踏まえまして最大限の措置をし、また対策を講じた上で、私どもは、BS2bの開発を関係機関とともに進めておりましたため、正直に言いまして、再びこの出力低下が起きたこと自体につきまして非常に深刻に受けとめたところでございます。そこで、早速関係機関それぞれの責任においてその分析検討をいたしまして、また郵政省といたしましても、それらの関係機関を招集いたしまして、これらの事態にどう対処すべきかということを真剣に検討したところでございます。  その結果、先ほど川原会長から御説明がございましたように、確かに出力低下は見られるけれども、その出力低下は不安定な状況にあるものではなくて、安定した状態で推移をしているということ、さらに、アンテナの利得が出力の低下を補って余りがあり、衛星全体としては十分性能を満たしているという判断に私どもといたしても達したわけでございますので、十一月十三日に急遽関係機関のトップの方々に御参集いただきまして、最終的なお打ち合わせをさせていただきました。その結果、私ども、NHKそれからNASDA、機構含めまして所定の措置がとられ、また現在のNASDAにおける分析が私どもとしても納得し得る判断であるという結論に達したところでございます。  しかしながら、これにつきましては、ただ無条件で関係機関がすべて了解というわけにはまいらないということでございまして、今後の2bの打ち上げにつきましては、郵政省といたしまして行政の立場から若干の調整を行ったところでございます。  その一点が、先ほど先生がおっしゃいました保険の点でございまして、打ち上げ保険並びに寿命保険につきましては、NASDAはNASDAとしての立場からこれが付保できるように最大限の協力をするということが第一点。もう一点は、2bについてはこれで万全だという心証を私ども持っておりますけれども、万が一にも出力低下が引き金となってBチャンネルに故障が生じて、NHKに損害が生ずるようなことになった場合には、結局その損害のてん補はNHKにかかってくるという現実の姿にかんがみまして、合理的な方法によるてん補の方法をNASDAにおいて考えていただくという郵政省としての調整案を出しまして、関係者で合意を見たところでございます。
  222. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 まず第一点私が疑問に思うのは、会長が記者会見されたのは十一月六日ですね。この記者会見で会長は非常に心配して、納得のいく説明がなければスケジュールが延びても構わない、とらわれないよとおっしゃった。その日のうちにNASDAの方では、いやこの程度の故障は放送上支障はないと発表していますね。だからこの時点で既に意見は食い違っておったんですね。会長は心配されておる、NASDAは心配することないとおっしゃっておったのです。今局長の話を聞きますと、いろいろ調整をした結果というお話ですけれども、この時点で既にNASDAは、この程度の故障ならば放送上支障はありません、こう言ったのです。会長は、心配である、こうおっしゃったのです。ここでもう既に食い違っておる。したがってその後会長は、納得がいく説明を受けたという理屈にはならない。この時点で既に両者の意見は違っておった、これが一点です。  だから私は、悪い言葉だけれども、結局は時間の切迫でNHK、いわゆるユーザーが、委託したNASDAから、二月中に打ち上げるぞということを押しつけられたと見なければならないと思うのです。さっきのお話を聞いていても、会長の腹の中にちょっとそういうニュアンスがあるのですよ。一〇〇%大丈夫とは思いませんというのが会長の腹の中にあるように思われるのです。ここで会長が押しつけられましたとはなかなか言いにくいでしょう。言いにくいでしょうが、どうも私はそういう感じがしてならない。その点はひとつ私の意見として申し上げておきます。  二点目。今局長から説明がありましたけれども、NHKがBS2bの故障で損害をこうむった場合に、進行波管の出力不足に起因する場合は合理的方法によって事業団がてん補をするとあります。もう一つは、打ち上げ保険、寿命保険の付保について努力する、こういう二項目があります。しかし、まずは一つの打ち上げ保険、寿命保険について、これはNASDAが努力したからといって、今の保険状況から見て付保できる状況にはないと私は見ていますよ。恐らく、努力はしました、しかし保険は入れませんでしたというのが一つでしょう。  二点目。合理的方法によって事業団がてん補するというが、どういう合理的な方法でてん補ができるのか、もし事故が起きた場合に。どういう合理的な方法でどういう内容のてん補をするという約束に、中に立った郵政省は理解しておるのですか。
  223. 奥山雄材

    奥山政府委員 私どもが関係者の方々にお示しいたしました一種の調整案でございますが、その中で申し述べました「合理的な方法による填補」の意味でございますけれども、少なくとも関係者間現時点では、かりそめにも2bについて故障が生ずることはないという心証が一致しているわけでございます。しかしながら、万が一にも生じた場合のことを考えまして、その際にはNASDAにおいて合理的な方法によるてん補の措置をとっていただこうということでございまして、現時点では損害が生ずるか生じないかということが把握できない、また損害の額が幾らになるといったようなことも予見しがたいものでございますので、今日以降関係者の間で事態の推移に応じて合理的な方法を見出すことにしたいというのが私どもの趣旨でございます。
  224. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 実は忙しい中、NASDAからも御出席いただいておるのですが、合理的な方法によって事業価がてん補するという文言の内容をNASDAはどう理解しておるのか、NASDAの御意見を聞きたいと思います。
  225. 園山重道

    ○園山参考人 お答えいたします。  放送衛星につきましていろいろ御心配をおかけいたしまして、まことに申しわけなく思っております。  ただいまの郵政省局長の御説明のとおりに私ども思っておりますが、具体的にどうかということにつきまして、今局長からお話がございましたように、私ども現時点で具体的な方法を考え詰めて持っておるということではございません。先生から先ほどお話がございましたが、まず保険の付保ということにつきまして今私ども全力を挙げているところでございまして、既に先週末から総務契約担当の理事をロンドン、ワシントン、ニューヨークに派遣いたしまして、今折衝をやらせておるところでございます。  これは、御承知のように、衛星の打ち上げ事故が大変続きましたために、私どもは本来十月ごろに保険交渉を始めようと思っておったのでございますが、九月にアメリカのシャトルによるリーサットの打ち上げ失敗事故、それから同じく九月にヨーロッパのアリアンによる、これは二つの衛星同時打ち上げでございますので、二個の衛星が同時に失敗してしまったということで保険業界が非常に厳しい状況になりましたので、その時期に交渉いたしましても、先生おっしゃるとおり、絶対に保険もかからぬだろう、あるいは非常に法外な料率になるということを考えまして、私どもは若干保険市場の緊張が緩みますのを待っておったわけでございます。幸いに先週、御承知のように、スペースシャトルで上げました三つの衛星が今の段階では順調に行っております。その中の一つのSATCOMは、そういう事情で保険がかからないまま打ち上げております。こういったことで、今楽観は許せませんけれども、現地に行っております担当理事のところからの報告では、必ずしも絶望ということではないように思っております。  したがいまして、かかるかかからないかというのは、先生おっしゃるように、料率の問題が一つございます。それから、かかりました場合に、料率を別といたしましても、今度は条件がいろいろございます、どこまでを成功条件とするかということでございますが。また、先ほどございましたように、打ち上げ保険と寿命保険との関係と申しますか、打ち上げ保険後に寿命保険をどうするかというようなことがございます。こういったことがどういう条件でかかって、掛けることができるかという見通しをまず得たい。その上で、今御指摘がございましたように、百ワットが九十ワットになったことに起因する事故がこの保険の中でどう扱われていくかということも一つの問題でございますので、この辺を見きわめました上で、NHKさん初めよく御相談をいたしまして、その具体的方策を詰めていこうと思っているところでございます。
  226. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 関係機関で協議したこの文書の内容から見ると、それは非常におかしくなるのですよ。まずNHKが進行波管で損害をこうむった場合に、そのこうむった額について、全額とは書いてないが、てん補する。そのてん補する中で、保険によっててん補された分は控除すると書いてあるから、そうすると保険以外のものが必ず出てくるはずなんです。そのでん補はどういう方法でおやりになるのだろうか。それは全然考えていない、そういう今のお話です。したがって、保険だけではない、保険以外のてん補がある。総額てん補する中で、保険でてん補した分は引き去りますよ、約束はそうなっているのです。そう理解していいわけでしょう。  わかるように読み上げてみましょうか。「この場合において、保険によりカバーされる部分についてはこの措置の中に含めるものとする。」保険でもらえた分はこの措置の中に含めます、もらえなかった損害については、これは合理的な方法でてん補する、こうなっておるから、その合理的な方法とは一体何なのか。合理的な方法でてん補をする、その中に、その一部として保険が仮に付保できれば充当されるのであって、全体から考えるとおかしいのです。ところが、いみじくも先般私のところに来て説明してくれた方に聞いたら、いや、それは保険でやるんだと言うんですよ、保険でやるんだと。ところが、保険は付保できるかできないかという状況なんですよ。  この文章は関係機関で協議してつくったとおっしゃいますが、全然認識が違うんですよ。私は非常に心配なんです。そういう点ももっと詰めて、もし事故が起こった場合にはこういう方法で、こういう割合でてん補するんだ、こういうことでなきゃならないし、保険付保できない場合はこうだ、付保できた場合はこうなりますよと、その辺までユーザーとして詰められないことはないはずですよ。ユーザーが委託しておってそういうお話し合いもできぬのなら、契約取り消してしまいなさいよ、ユーザーとしてそのくらいの約束はできるはずですから。  それから、もう一つ一緒に伺っておきますが、あたかも打ち上げ保険は事業団がやって、寿命保険はNHKがやるというふうに書いてありますが、打ち上げ保険は事業団だけが金を出すというのじゃなくて、NHKも金を出すはずですよ。両方で出すはずです。ところが、寿命保険の方は、事業団の持ち分については事業団は保険を放棄しておる。この前もそういう方針だった。今度も恐らくそういう方針でしょう。持ち前の六〇%をNHKが付保して、事業団の持ち分の四〇%については保険を掛けない。これが大体事業団の方針でしょう、違いますか。
  227. 園山重道

    ○園山参考人 お答えいたします。  ただいま先生おっしゃったとおりでございます。私どもは、先生御承知のとおり、放送衛計画、いわゆる実用と開発両方の目的を持ってやっておるものでございまして、私ども開発という立場から申し上げますと、寿命を完全に維持するということよりも、いかにいいものをつくり、万一そこにいろいろなトラブルが起こりました場合には、これを完全に解明いたしまして技術の蓄積に役立てていくというようなことが、いわゆる開発側の主な目的になるかと思います。  寿命保険の場合は、これは確かにユーザーとしてのNHKさんとしては、それが途中で故障を生じて使えなくなるというときには、まさに放送事業のために損害をこうむるわけでございますから、そういう意味で寿命保険を掛けられるということでございますので、私どもの立場とNHKさんの立場は、いわゆる開発と実用という点で若干違いがあると思っておるわけでございます。したがいまして、私どもの立場で寿命保険を掛けるというのは、余り妥当なこととしてお認めいただけることではないのではないか、こう考えておるところでございます。
  228. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 事業団は打ち上げてやるんだからという考えのようですけれども、打ち上げをNHKは通信放送衛星機構に委託をした。そして、通信放送衛星機構はさらにそれをNASDAに委託をした。したがって、打ち上げの責任は私はNASDAにあると思うんですよ。その割合がどうだとか、NASDAが金出しておるとか出しておらぬということは別にして、契約の形態からいくならば、打ち上げの責任はNASDAにある。ならば、打ち上げはNASDAが全部責任を持って保険を掛ける、ここまでは。そのかわり、受け取った後の寿命保険はNHKが掛ける、これならだれが聞いてもなるほどとわかるのですよ。ところが、打ち上げの方の委託をされておるNASDAが、打ち上げの方の保険についてもNHKに金を一部負担しなさい、こうなっておるんですよ。それならば、寿命保険についても四割の持ち前があるんだから、NASDAの方も掛けるべきだ、これは理の当然ですよ。打ち上げの方は割って両方出しましょう、寿命保険の方はあなた方勝手にやりなさい、私は知りません、それが今のNASDAの言い分になっておるわけでしょう。これ、違いますか。
  229. 園山重道

    ○園山参考人 打ち上げ保険、寿命保険、確かに先生指摘のような面もあるかと思いますが、これはフェーズで分けておると申しますか、つまりロケットに点火いたしましてからある一定の期間を打ち上げ保険と申しておりまして、これはいわゆる打ち上げロケットだけではございません。もちろん、ロケットも衛星も含めての話でございます。それが軌道上でチェックが終わりまして、機能が十分果たせるということでユーザーさんにお引き渡しをする。その段階から後が寿命保険になるわけでございまして、そういう意味で、この計画におきましては当初から、いろいろ計画段階から御相談をいたしまして、そういう打ち上げフェーズの打ち上げ保険につきましては、これはお互いに半々持って掛けようということのお約束で進んできたものでございます。  それで、寿命保険につきましては、先ほど申し上げましたように、打ち上げまして軌道上でのチェックをいたしまして、一定の期間を経て満足に機能が発揮できるというところまで参りますと、そこで私ども開発の目的も全部終わった、一〇〇%終わりということはございませんけれども、主な部分がそこで一つの区切りを持つということでございますので、その後のものにつきまして開発の立場から寿命保険を掛けるというのは適当でない。これは私ども、すべて予算お金をいただいてやっておりますので、そういう中でこういう開発の立場から寿命保険を掛けるということは、妥当なものとしてお認めいただけることではないじゃないか、こう思っておるところでございます。
  230. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 国が出資する、国が金を出すということと事業団の仕事というものをあなたは一緒に考えておられるけれども、ユーザーから見れば、国がそこに出資をし、金を出しておろうとおるまいと、ユーザーの立場から見れば打ち上げまでを委託したわけです。間違いなく委託した、打ち上げまでを。ところが、あなた方、おれのところで四割金を出しておるんだからという思い上がりがあるからそういうことを言うけれども、ユーザーから見れば、国が金を出しておろうとおるまいと、委託したことに間違いがない。だから、立派に上がったならば引き継ぎを受けるということになるんだ、ちゃんと、これは。両方が初めから共同の責任でやっておるのではないのです。打ち上げを委託しておるのですよ、ちゃんと。そのかわり、引き取ってから後は、たとえ故障があっても、これはNHKの、ユーザーの方が持たなければならぬことになる。そういうことになっておる以上、委託をされたNASDAとしては打ち上げまでの責任を持つことは当然であって、その打ち上げの中にまでNHKに保険の金を出させるのはおかしいじゃないか。  しかし、そういう約束をしたと言うなら、今度は打ち上げ後の事故についてもNASDAも一部の責任を負って、せっかく四割付保できる割合があるわけですから、その四割を付保することによって、言いかえれば、打ち上げ前の失敗の場合にはNHKが、保険料は出しただけかぶりましょう、そのかわり打ち上げ後については、四割についてNASDAさんの方でも面倒を見てくださいよ、これが大体常識的な、委託をした場合の契約にならなければならない。  ところが、今お聞きすると、そういう契約にはなっておりません。なっておりませんということは、NASDAが四割の負担をしてやる、補助をしてやるんだから、おまえの方は言うことを聞けと言って、あらゆる分野においてユーザーが抑えつけられた形になっておる。  私は、NHKの会長が何と言ったって、そんなことはちっとも構わないのですよ。私が心配するのは、失敗したときはそのツケを国民、視聴者が全部がぶらなければならぬ。三百六十億といえば、NHKの予算の中で約一〇%ですよ。膨大な予算なんです、これは。それを受信料で賄う以外に方法がないのですよ。だから私は視聴者を代表して、NHKとしてはそういう契約については慎重を期して、しかもBS2aの失敗を繰り返さないように今度はやってもらいたいと思うのは、これは視聴者全体の気持ちなんですよ。それを酌んで、恐らく会長はあの時点でああいう発言をされた、記者会見をされたと思うのです。結果的には、せっかく物を言ったけれども押しつけられてしまった。そういう結果にしかなっていないわけでしょう。  だから、郵政省が中に立って話をしたならしたで結構だけれども、今の、合理的な方法でてん補する、合理的な方法とは何かといったら、それは事故が起こってみなければわからない。そんなばかな話がありますか。合理的な方法とはこうです、もしもあったときは、何割はこう持って、何割はこう持つ、その中で付保できておる分はこうなります、それが合理的な解決の方法であって、何もわからぬものを、言葉だけ合理的な方法でてん補すると言ったって、僕ら信用するわけにいきませんよ。これは会長、やっぱりあなたがおっしゃったように、最大限の努力をして、視聴者に納得してもらえる状況が出るまで、例えば保険の付保の問題、例えば事故、故障が起きた場合の責任の持ち方、いわゆる負担の割合、そういうようなものまで明確にしてしまった上で打ち上げをやることにしてもらいたいと思いますが、どうですか。
  231. 川原正人

    ○川原参考人 御指摘のとおり、私の気持ちとしては、すべての条件を詰めに詰め切って、保険の問題も最終的な交渉をして、そして判断をするのが一番望ましいとは考えましたけれども先ほど申し上げましたように、保険の方は、変な言い方ですが相手がありまして、相手の保険業界が非常に逡巡をしている。これの交渉も非常に時間がかかるであろう。その結果を待って云々するのでは、逆に今度は先ほど申しましたいろいろな、今つくりつつある衛星のある種の保険、アポジモーターと言っておりますが、こういうものに対する保証期限の問題等が期限が切られておる。あるいはロケットの準備等には相当の期間を要する、いわばその辺の時間のスケジュールのデッドラインとの中で、私先ほど一〇〇%とはいかなかったけれどもと申しましたのは、詰め切れないままに、しかし少なくともこの衛星は安定した性能を発揮するという、私どもが委託をお願いしました事業団の言葉を信頼しまして、ここはひとつ先へ進めよう。  ただ、保険の交渉はぎりぎりまで私ども最大努力をいたします。そして、最終的にどのような条件のもとに保険が成立するのか、その辺の問題については打ち上げの直前に至るまで私はぎりぎりの努力をいたしまして、そこでいま一つの判断の問題が出てくるかと思っております。
  232. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 大臣、お聞きになって大体わかったと思うのですが、やはり最初に打ち上げありきで、打ち上げをやらなければならぬということを前提にして詰めてきたから、詰まらないままにこういう状況になっておる。私の希望としては、当初会長がおっしゃったようにスケジュールにとらわれることなく、本当に納得のいくところまで詰め上げた上で打ち上げをやってもらいたい、そういう期待を持っております。おっしゃったような時間的な制約があれば、私はこれ以上は申しませんけれども、ぜひ大臣、中に立った郵政省が、さっきからお話ししておりますように、合理的なでん補の方法とはどうかと言ったら、それは事故が起こってから考えるということではどうにもならないので、そのときにはこうなるんですよというぐらいは国民の、視聴者の皆さんに説明できるように、これからひとつ詰めを急いでいただきたい。  もう一つ、通信放送衛星機構ですが、これは今度は一遍途中で委託されただけで何もしていないのです。また、こういうときこそ機構が力を発揮して、行く行くは結局たくさんのユーザーをまとめて機構がNASDAといろいろ話し合いをせんならぬ。そういう使命を持っている機構であるだけに、この問題についても機構がかなり前に出て、郵政省と話し合いながら措置をしてもらいたかったけれども、今回の場合は機構は全く役に立っておらぬ。ただトンネルで委託を受けただけのような気がするのです。だから、機構が要らないというのじゃないですよ、これは将来要るでしょう。いろいろなもので要るでしょうけれども、機構ももう少し中に入って、汗をかいてもらいたいという希望を申し上げまして、大臣の所感を聞かしてもらって終わりたいと思います。
  233. 左藤恵

    左藤国務大臣 確かにBS2bの問題につきましては、先生指摘のようないろいろな時間的な問題との関連もありまして、そういった点でもっと詰めなければならないし、また、打ち上げまでにもまだ努力をしなければならない問題があると思いますが、これは今の2aが非常にへんぱな形になっておることに対しますカバーという意味もございますので、時期的な問題もあろうと思いますが、先生の御趣旨につきましては、次のBS3については今から相当慎重に、今のそういった問題を全部洗いざらい考え直しましてやらなければならない、このように考えておるところであります。
  234. 奥山雄材

    奥山政府委員 大変恐縮でございますが、通信放送衛星機構のために一言弁じさせていただきたいと思います。  先ほど先生から通信放送衛星機構についての御叱正がございましたけれども、私ども行政の立場から拝見しておりまして、今回の事故が生じました後、通信放送衛星機構開発と利用の接点に立つ非常に難しい立場の中で、日夜を分かたず調整に苦労されたところでありますし、また先生御承知のとおり、BS3問題が生じましたときには、さらに民放の日本衛星放送会社も絡んでおりましたため、それらの中に立って大変苦労してまとめられたということでございますので、ひとつその存在意義についてはよろしく御理解のほどを賜りたいと思います。
  235. 阿部未喜男

    阿部(未)委員 終わります。
  236. 渡辺紘三

  237. 森中守義

    森中委員 非常に短い時間でございますので、できるだけ要領よくお尋ねしますから、大臣におかれてもできるだけ簡潔に、明確にお答えいただきたいと思います。  まず第一点は、信越並びに北陸電気通信監理局の統廃合の問題でございます。これは昨年の一月二十五日に、六十年度末までに具体的結論を得る、こういうように閣議決定が行われたようでございますが、もういよいよ年度末が近まってまいりました。しかもこの間において労使間の団体交渉で、当局側から、そういうことは絶対にさせない、郵政省も一体となって存置のために骨を折ろう、こういう言明をしばしば得て、一応鎮静化しておったようでございますが、いよいよ年度末が切迫するにつれて、現地サイドでは、一体どうなるのかという不安と焦燥、それと関係の業界や自治体等においても不安が非常に高まってまいりまして、今連日のように私どもの手元に、はがきや議決書などを送ってまいっております。当局においても同様だろうと思いますが、六十年度の予算の中で、この在来の二局に関する予算は概計として要求されておるのかどうなのか、及び総務庁はこのことについてその後どういう見解を示しておるのか、まずこの点を明らかにしていただきたいと思います。
  238. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 お答えいたします。  北陸並びに信越電気通信監理局の統廃合の問題につきましては、先ほど先生指摘のとおり、五十九年の行革大綱によりまして、政府としては六十年度末までに具体的結論を得るという決定がなされているわけでございます。  私どもとしましては、これから高度情報社会の構築に向けて、郵政省役割もますます重大になってまいりますし、これはひとり本省だけの仕事ではございませんで、地方電気通信監理局におきましても同様の重要性が高まってまいっている現状でございますから、その地方電気通信監理局の機能が阻害されることのないように、今日の情勢を踏まえて、総務庁と現在折衝を行っているところでございます。  予算上におきましては特に統廃合の問題には触れておりませんで、従来どおりの形で六十一年度の予算要求をいたしているところでございます。
  239. 森中守義

    森中委員 大臣、これは予算要求を従来どおり出しているということですからいいと思いますが、なお閣議で後藤田さんと渡り合ってでも、今日のように情報社会という全く特異な時代でもありますから、この二局が絶対に存置できるように、閣議の中でも大臣のお骨折りを切に要望しておきたいと思います。
  240. 左藤恵

    左藤国務大臣 お話のとおり、高度情報社会への移行過程にありまして、電気通信行政というものの重要性が日に日に加わってきておる。そうしたときに、こうした問題につきましていろいろ御心配をおかけしているわけでありますけれども、省として非常に重要な問題として、何としてでもこのことについて存置の線で対処していかなければならない、努力しなければならない、このように考えておるところでございます。
  241. 森中守義

    森中委員 十一月一日に民間テレビが一斉に再免になったようでございます。今日はどちらかというと民放が乱立の状況で、非常に過当競争にある。しかも景気の動向あるいは広告税の見直し、こういう状態の中において、各社ともペイラインに乗っておるかどうか、あるいは認可条件に抵触するようなものはなかったのか、この辺を森島放送行政局長にお答えいただきたい。
  242. 森島展一

    ○森島政府委員 本年十一月一日の放送局の再免許の時点で民放の経営状況につきまして審査した結果、五十九年度単年度で欠損を計上している社が二十社、それから五十九年度決算におきまして累積赤字を計上した社が二十九社でございました。  これらの民放各社の今後の事業計画、それから経営改善の方策等について審査いたしましたが、各社とも収支改善の見込みがあり、財政的基礎はおおむねあるというふうに認めたところでございます。
  243. 森中守義

    森中委員 各社とも番組審議会は認可条件のように機能しておりますか。
  244. 森島展一

    ○森島政府委員 各社とも番組審議会を設置しなければならないことは放送法で義務づけられております。ただ、この番組審議会が十分に機能を果たしていないのではないかという批判もよく聞くところでございますので、再免許に際しまして、民放各社の社長それから番組審議会の委員長等に対しまして、審議会の機能が十分発揮できるような措置をとるように要望したところでございます。
  245. 森中守義

    森中委員 同僚諸君からもそれぞれ意見がありましたが、10チャンネルのやらせ問題について、新聞報道では大臣放送行政局長が関係の責任者にかなり厳しい警告を出された、こういう記事が出ておりました。これは呼ばれたのですか、来たのですか、どちらですか。
  246. 森島展一

    ○森島政府委員 いわゆるテレビ朝日事件が起きました段階で、私どももその事実につきまして任意聴取は行いましたが、十月十五日にテレビ朝日の社長が郵政大臣のところに参りましたのは、自発的に陳謝に参ったものでございます。
  247. 森中守義

    森中委員 自発的に陳謝ということであれば大いに結構です。これは非常に重要な問題で、いやしくも公権力が放送法にもどって放送、言論の自由に介入する、しかも特定の社の特定の番組でやるということは全く適当でない。したがって、そういうことであれば了承いたします。  次に、ごく最近、ある友人が奇怪な論文があるよというわけで、私に持ってきて見せた。「NHK 分割払下げのすすめ」という一文であります。大臣、これはごらんになりましたか。
  248. 左藤恵

    左藤国務大臣 たしか文芸春秋に載っておったのではないかと思いますが、私、一読いたしました。
  249. 森中守義

    森中委員 NHKの川原会長、ごらんになりましたか。
  250. 川原正人

    ○川原参考人 読みました。
  251. 森中守義

    森中委員 感想を聞く前に私から申しますが、私はこれを読んでまことに不愉快千万、一体何が裏にあるのかとずっと注目しておったのです。これからいくと、日本放送協会は反米親ソのイデオロギー集団であって、言うことすること甚だもってまことにけしからぬ、速やかにNHKを解体せよ、こういう言い方であって、こういうものについては放送法にも触れておりますから、これは逓信委員会として黙って放置するわけにいきません。本来であればNHKもこういうことについて一言あってしかるべきだと思うのですが、何か措置をおとりになりましたか。
  252. 松本幸夫

    ○松本参考人 お答えいたします。  私ども事業を運営してまいります上に、国民各層の方々から意見を十分に承って、事業の運営に誤りのないように期してまいっている次第でございます。そういった立場でございますけれども、私どもとして、その種の論文につきましては基本的に考えているところで違う部分がある、立場において違う部分があるというふうに考えております。そういう意味では、我々としては、この論文を掲載なさいました文芸春秋社の編集責任者に対しまして遺憾の意を表明すると同時に、我々の基本的な立場を明らかにしてまいった次第でございます。  基本的な立場と申しますのは、この自由民主主義の社会の中で、不偏不党の立場を堅持せよ、表現の自由を守れということが社会から我々に基本的に求められているところであるというふうに私は理解しております。それがまた我々として最も大事な基本であろうと考えております。そういったことの上に立ちまして、我々の番組に携わる姿勢について立場を明らかにした次第でございます。
  253. 森中守義

    森中委員 大いに結構です。  ただ、ずっとこの背景は何かなとあれしていたところが、その直後に朝日ジャーナルが出た。その中で非常におもしろいことがある。筑波大学の福田という学長を中心にした原理運動というのがあるようです。そして、これを書いた人がこの原理運動の参加者の一人であるということがわかった。しかもその書いた人が原理運動のどこかの講演の中で、今直ちに日本はソビエトに対して国交断絶すべきである、こういう演説までやっている。  結局これは、今日の臨調行革に便乗して、国鉄、専売、NTT、そして次に来るものはNHKだ、NHKももう解体して民間に移せということだ。それで議論を吹っかけておけば必ずNHKは何か言ってくる、言ってきた際にそこから議論を巻き起こしていこうじゃないかということのようでございますから、今松本理事の言われたようなことで、これに全然触れていないというのは非常に賢明であったと思う。これは原理運動の中核派的なウルトラ右翼団体です。これからこういうものにかかわらないように、NHKもひとつよくよく心して取り組んでいただきたい。この締めくくりに解体の方法まで言っている。  郵政大臣、幾ら民間活力、競争原理の時代といっても、まさかNHKまで中曽根内閣が解体して民間に移行しようというお考え、お持ちでないでしょうね。
  254. 左藤恵

    左藤国務大臣 そんなこと、もちろん考えておるわけでもございませんし、この論文は、視聴者の一個人が放送番組について意見を述べることは自由でありますけれども、我々としては、やはりそういったものはNHKの責任において受けとめられることであって、こうした問題について役所が介入するというようなことはあってはならない、このように考えております。
  255. 森中守義

    森中委員 これはひとつ川原会長も、時代に便乗しようという論説の一つのようですから、下手にこういうものに反論でもしているとまた次から次にエスカレートしていって、どういうことが起きるかわかりませんよ。要するに黒い軍団が後ろにくっついているということをよく警戒しておっていただきたい。個々の編集の内容にも随分介入しておる。しかし、個々の番組に触れることは適当じゃありませんから、私は触れません。  ただ、最近二、三の人の意見をあちこちで聞きますと、このごろNHKは非常に再放送が多い、こういう風潮があるようです。しかし、それはアンコール放送もあるでしょう。いい放送は幾らでも広く、あまねく、再放送であろうと再々放送であろうとやってもらうのがいいのですけれども、ただいたずらにそういうように再放送が多いというような批判が起こらないように、ただ安上がりでいけばいいというものでもないと思いますから、これはひとつ十分心していただきたいと思います。
  256. 川口幹夫

    ○川口参考人 再放送については、私どもはきちんとした考え方を持ってやっております。  一つは、教育テレビの場合と総合テレビの場合とはおのずと違った考え方をしなければいけないということで中ございます。  教育放送は、その基本に、定常的、系統的あるいは継続的に放送するという必要がございます。したがって、これがなるべくたくさんの方に利用していただけるように、例えば午前、午後、夜と三回にわたって時間帯を異にして放送するというのが、教育の立場からすれば適当ではないか。したがって、今教育テレビの場合は全体の四八%ぐらいがそのような格好で、大体講座番組、それから会話の番組、そういうものに使っております。  総合テレビの方はこれと全く違いまして、一つは非常に愛好されている番組、例えばNHK特集でございますとか、地域特集でございますとか、それから大河ドラマ等々については、一遍の時間帯だけではとても見られないという方々一のために、再放送を設けるのが適当ではないか。そのほかは、視聴者の方々から特に再放送の御希望をいただいたものを中心にして放送するというふうなことでやっておりまして、いわゆみ効率化のためとかあるいは経費を節減するためだけで再放送するということは全くないということを申し上げておきたいと思います。
  257. 森中守義

    森中委員 これは民間放送に比べて多いというわけですから、それだけ、逆説的に言えばNHKの番組は非常にすぐれておる、こういう意味にもなりましょうから、ぜひ今の川口さんの御意見でやっていただきたい。  もう時間がありませんからこれで終わりましょうか。もう一つ、ぬくめておった問題がありますから、ちょっと大臣意見を伺っておきます。  十一月十四日、サンケイ新聞に、アメリカが市場開放問題で十一項目の電波法改正や無線局の免許などに注文をつけてきた。これはもう大体日限的に今月いっぱいあるいは来月いっぱいぐらいに相手との決着を図りたい、こういうことのようですが、この十一項目の内容を見ると、まさにアメリカは一方的であって、アメリカが通信覇権ないしは市場開放に名をかりて我が国の国益を失わせようというような問題があります。これに対して、そろそろもう郵政省も結論を急がねばならぬと思っておりますが、内政干渉にわたるような点が非常に多い。  例えば、この十一項目の中で非常に注目すべきは、無線機器の承認の問題であるとか周波数の割り当てまで言及しようとしておる。まさにこういうのは内政干渉ですよ。こんなことをイエス、イエスで何でもかんでもやるような郵政省とは思えないけれども、何かもうこのことに対する一応の対応策、できておりますか。
  258. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 本年の初めの中曽根・レーガン会談を踏まえまして、私ども電気通信分野につきましてもMOSS会合というものが開かれまして、そこで電気通信分野についての市場の開放性、内外無差別、簡素、透明、こういうような原則のもとにいろいろ見直しをしてもらいたいというようなことで会合を進めてまいりました。それで、電気通信分野につきましては、四月、五月の時点で解決と申しましょうか、世界から見ましても開放された体制であるという評価を得るに至っております。  したがいまして、次には電波の方も同じようにやってもらいたいという要望が出てまいりました。それで、有線と同じように無線もということは割合通りやすい言葉ではございますけれども、私どもといたしましては、有線と無線とは違います。基本的に違う点がございます。ネットワークということを見ましても、有線は張られた回線内でございますけれども、無線の場合は、お互いの間の回線というだけではなくして、ほかに影響を与えるということもございますし、また周波数の有効利用という観点もあります。ということで、アメリカ自体でも、有線と無線の規律の仕方というのは違えております。したがいまして、日本の場合とアメリカの場合の規律の違い、制度の違いというものが根本的にございます。そういった中で私どもも、新しい電気通信体制の中で電波というものも大いに有効に利用してもらいましょうという観点からのいろいろな見直しはやりたいと思っております。と同時に、事務の簡素化、合理化というようなものができるならば、その範囲については大いに努力しようというつもりではございます。そういった中でアメリカの方もいろいろ勉強したい。こういうものは非常に技術的、専門的でございますので、専門家レベルでの勉強会というのをずっと続けてきております。  そういった中で、いろいろなことについて向こうも、こういうことはどうなんだろうかというようなところからの話が始まりでございまして、いろいろな観点についての質問あるいはこういうことはできないだろうかというような疑問、こういったことが出てきておりまして、いろいろな点でかなり時間をかけながらやってまいりました。まだ現在の時点において何をどうするという結論が出たものはございません。まだ今月中にももう一度専門家会合でやりたいというような向こうからの要望もございます。  したがいまして、私どもも、今日の日米貿易のインバランスの問題だとかあるいは日本世界市場において占める地位、また日本の地位、位置というようなものを考えた場合に、電気通信分野におきましても、相互の制度の違いは当然考えなければならないわけでありますけれども、その上に立って電波の有効利用それから電波秩序の維持が図れる、そして我が国における利用者のサイドの利用促進手続の簡素合理化というようなものが図れる範囲においてならば、そういう面においての調整はお互い図っていこう、こういう観点でいろいろ相互に、向こうにもこちらの実情を理解してもらうように勉強もしてもらいたいというようなことで話し合いをしているというのが現状でございます。
  259. 森中守義

    森中委員 このMOSSの将来については非常に重大な関心を持ちますが、今、澤田局長の言われるようなことでほぼ理解いたしましたけれども、要するにこれは国益に関する問題ですから、通商、貿易とはいささか質が違っている。だから、アメリカの覇権主義に負けないように国益を守ってもらいたい。これは大臣もひとつ、このことは余り役人任せにしないで、通産大臣や安倍外務大臣ともよく協力して国益を守っていただくように特にお願いしておきたいと思う。
  260. 左藤恵

    左藤国務大臣 これにつきましては、有線とはまた違った電波主権というような問題もございますので、そうした国益を十分守る立場で、しかし理解し、開放すべきものは開放していく、こういうことで話し合いを進めていきたいと考えております。
  261. 森中守義

    森中委員 それじゃこの関係を終わりまして、最後に、さっきどなたからか言われた「活力ある郵便局づくりをめざして」という、この内容について、ちょうど関係者おいでになっているから、二、三お尋ねしておきます。  今までこの種文書は、もう十回ぐらい私は見たことがある。一回だって実ったことがないですね。今度は実現の具体的な可能性があると見ていますか。
  262. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 お答え申し上げます。  我々最大限の努力を払い、活力ある郵便局づくりのためにいろんな施策を展開してまいりたい、こういうふうに思っております。
  263. 森中守義

    森中委員 現場の諸君における慣習、慣行というのは意外に根強いですよ。一片の文書で、はい、わかりましたということはない。特に甚だしいのはこういうのがある。現場の主事や主幹や偉い人が、こんなのはすぐ郵政局に問い合わせよる、こういう通達が来ましたが、これは本当ですかといって。私はある郵便局に行ったら、そんな場面に直面した。なるほどそんなものかな、こう思った。それから、郵政局の人事部の管理課にちょっと寄ってみたところが、すぐ本省にお伺いを立てよる。こういう文書が来ましたが、これは本気ですか、こう言っておる。長年の慣習、慣行がもう根づいてしまって、どうにもならないところまで来ている。こういう意味で、こんな文書だけで本当に直るのかどうなのか、こう聞いておるわけです。  それで全文読んでみて、これに触れるような場合、どういう方法で検証しますか。これはやっぱり検証が必要です。検証の方法を教えてもらいたい。
  264. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 「活力ある郵便局づくり」という指針を出すに当たりまして、私ども郵政局の関係者あるいは本省内部あるいは郵便局に直接かかわる諸君、そうした方々の意見も徴しながら、またそれぞれの郵便局の実態というものを背景に書き上げたつもりでございます。したがいまして、そういった指針の作成過程にもいろんな方々の意見が入っております。また現実にその指針を出しました後、各段階においていろいろ勉強会をやってくれておりまして、徐々に浸透の実は上がってくるものというふうに考えております。また、その指針の内容について、私どもとしても今後徹底を図ってまいるつもりでおりますが、いろんな事情が現実にございますので、問題の発生したその都度、また指導あるいは教育、そうしたものを強化してまいる、そういう考え方でおります。
  265. 森中守義

    森中委員 特に申し上げておきたいのは、私はもともと九州郵政局の非現業の出身ですが、一番のガン、ネックになるのが非現業です。全国的に労働組合の組織率を見た場合に、全部非現業がこれに該当する。まず非現業からたたき直していかなければ、現業はだめですよ。何かそういう方法を考えませんか。
  266. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 活力指針の中に書いてある中身につきましては、一つは厳しい環境の変化というものを訴えておりますし、また、私どもの運営いたしております郵政事業、まさに公共部門であります、これに対する世間の目も厳しい。こういった認識については、郵政局あるいは郵便局の管理者も含めて共通の認識になってきております。また労働組合の諸君におかれましても、そうした共通の認識というものは今非常に広がってきておるというふうに思っております。  そういう観点からいたしますれば、むしろ内部の結束を固め、外に向かって営業あるいは積極的に対外的に働きかけていく。そういう方向で、本省といわず郵政局といわず郵便局といわず今動いてぶりますので、その指針の内容は既に実行段階に入っているというようなことも申し上げられる、そういう気持ちでおります。足らざるところはなおこれから大いに補ってまいりたい、このように考えております。
  267. 森中守義

    森中委員 櫻井さん、この中で「なぜ、いま、この指針を出すのか」「事業環境の厳しさ」こうお書きになっている。今塩谷局長も見えているけれども、三事業部門の実際の厳しさというものがこの中には明示されていない。ただ「郵便局づくり」と言うだけである。それで、これまでも保険、貯金、郵便の三事業のこれからの環境の厳しさ、展望というものが刷り物にも出ているから、そういうものをもう少し具体的に書いて、こういうものと一緒にしておかないとわからぬのじゃないですか。
  268. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 先生御承知のとおり、郵便事業につきましては、電気通信との競合関係、さらに具体的に目の前にあらわれてまいっておりますのは宅急便とのかかわり合い、こういったことで私ども、郵便につきましても五十九年の二月に、郵便のスピードアップのための大改革を実施いたしました。当時私は地方におりましたけれども、その際にも、危機を訴えるというような文書、そういったものが出されまして、そうした主事の指導あるいは現状認識というものについてはかなり徹底をいたしております。また私ども、そうしたものについては、十分認識を深めてまいるいろんな手だてを機会あるたびに講じてまいりたい、このように思っております。  また、全体をまとめたそうしたものが必要かどうか。現に今郵政省で書きますものはすべてそういうことにかかわっておるものばかりでございますが、そうしたことについても検討してまいりたいというふうに思っております。
  269. 森中守義

    森中委員 これはむしろ歓迎すべきことであって、問題は具体的にどこまで実行に移していけるのか。あなた方がその気になってやらなければだめですよ。特に非現業を中心にやっていかなければだめですよ。こんなもの本当かと言われて、いや国会がうるさいから、法案があって、こういうものを出さぬとまずいから適当にやっておけなんという返事をしたんじゃ、これは絶対によくならない。今までもそういう例があるわけです。これはもうこれで結構ですが、寝食を忘れてでもこれを実行してもらいたい。  それから塩谷局長、もう新しい年度予算の交渉の時期でもありますが、これまで出された事業の展望というものは、来年度はある程度うまくいけそうな状況にありますか。
  270. 塩谷稔

    ○塩谷政府委員 私ども、今先生おっしゃいました新しい展望という言葉の意味に当たるとも思いますけれども、何といいましても今郵便貯金を取り巻いております金融情勢は、いろいろ流動的な状況にあるわけでございます。例えば金利自由化ということも差し迫っての大きな問題でありまして、郵便貯金もこれに即応していかなければいかぬということで、これから先預金者に対して、金利の変動に応じた、市場金利を反映したような商品も提供するように用意しておく。そういうことが可能になるのは、郵便貯金の資金の運用面でも、市場メカニズムといいますか、市場金利に連動した形で運用されることが必要であろう。  そういった意味合いで、市場金利による郵便貯金資金の運用ということを考えて、例えば今資金運用部一本に預託しております郵便貯金資金を、公共債などに運用したいということで予算要求しております。せんだっての預託率改定のとき以来、大蔵省理財局あたりを中心に鋭意事務的な折衝を重ねておるところでございますが、今後ともなお努力したいと思っております。
  271. 森中守義

    森中委員 郵政大臣、昨今の状況は何でもかんでも民活民活、こう言っておりますし、保険でも貯金でも、下手すると電波と同じように、日本の権益をねらってアメリカの黒い魔手が動いてきます。郵政事業もよほどきちんとして市場を防衛していかないと大変なことになりましょうから、その点はひとつ役人の皆さんを大いに叱咤勉励して……(「大丈夫、大丈夫」と呼ぶ者あり)なかなか大丈夫にいかぬのだ。大丈夫、大丈夫であるようにしっかりやっていただきたい。このことを最後にお願いして、ちょうど時間になりましたから、これで質問を終わります。     〔委員長退席、関谷委員長代理着席〕
  272. 関谷勝嗣

    関谷委員長代理 伊藤昌弘君。
  273. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 私が三月の予算委員会でソ連寄りのNHKについて質疑をし、文芸春秋にはNHK払い下げ論が国民の一人から出されたのでは、監督官庁郵政省としてはこれを検討しないわけにはいきません。また、国権の最高機関にいる私としても、これを看過することはできません。まず、やらせのテレビ朝日には厳重なる注意をした。そこで、NHKにも法律違反があれば、厳重なる注意をしなければなりません。公共放送NHKの反体制なただすには、きょうの私の持ち時間が少な過ぎますし、一問一答では時間が足りません。よって、事前に質問そのままを郵政省とNHKにお渡ししてありますので、議会の質疑は国民に対してなされるもの、よって国民に理解させる心で御答弁を願いたいのであります。曽野明氏と私の調査を合わせてただします。  まず、向山主義陣営に属する日本公共放送たるNHKのテレビで、ホルムズ海峡にあるアメリカ軍艦を「招かれざる用心棒」と言った。アメリカのおかげでペルシャ湾は安心しているのに、何というばかなことを言っているのでありましょうか。大臣、いかがですか。  次、田中元首相とブレジネフ会談で「未解決の諸問題を解決し」とは、北方領土を指したことは厳然たる事実であるのに、ソ連大使ポリャンスキー氏は、ブレジネフはこれを否定したと欺瞞宣伝を行ったところ、NHKは欺瞞を承知で放映し、ついに外務省のコメントはなかった。これで一体公正と言えるのでありましょうか。ソ連の謀略宣伝に一方的に協力したではありませんか。  次、ソ連のSS20とアメリカのトマホーク双方を非難した長崎市長の反核演説を、午後七時の二ユースではSS20をカットした。それに対しNHKは、正午のニュースは述べたが、七時は要約した。これは要約ではなく、ニュースの改ざんであります。これこそ発言者とニュースの根幹に触れる問題を、よくもまあしゃあしゃあと、私の質問に対する答弁までうそをつく。全くそれではソ連と同じではありませんか。親方日の丸は甚だよくない。いつからNHKはソ連の御用掛になったのでありましょうか。これも放送法の公正違反。自由民主主義路線を歩む西側陣営の一員として、少しは国益を考えさせてほしい。大臣、番組には干渉できないことにはなっているけれども、法律に定めた権限をもってすれば指導できるはず。やらないことはまことに怠慢であります。  次に、五十七年の教科書騒動も、「侵略」から「進出」に書きかえていないものを、NHKは書きかえた書きかえたとうそを大々的に報道し、政府のへっぴり腰もさることながら、NHKの無責任も重大だ。そのために、今の教科書は全部「侵略」になってしまいました。「侵略」とは人道上の大犯罪であります。日本人はこんな悪魔性があったと、後世の日本の子供たちにうそを教え伝えることになるのであります。戦争は双方とも正義の戦いのつもりでやっておるのであります。子供のけんかならどちらが悪いか、手を早く出した方が悪いに決まっているけれども、戦争はそれとは違います。特に大東亜戦争はゾルゲ・尾崎事件が示すように、スターリンの謀略が大いに関与していたではありませんか。NHKはいまだそれを訂正しもしない。これは明らかに法第四条「訂正」、法第四十四条「事実をまげない」に違反しておりますが、大臣、いかがですか。  ノーボスチ通信社などの許可を得ないと取材のできないソ連であることは、私は承知をいたしておりますが、それにしてもやらせがひど過ぎます。  まず「シベリア鉄道の旅」について。真実の取材記録は記録の本に書いてあるが、放映はこれと大いに違っております。第一、ソ連にも宗教の自由があるかのように「宗教の都」と説明して、ザゴルスク修道院を紹介した。一体宗教宣伝を認めていないソ連に「宗教の都」などあるはずがない。これもうそを報じました。  次に、バム、シベリア鉄道の建設最前線には、酷寒と闘い路盤をつくっている囚人がほとんどなのに、ナレーションは、鉄道建設の主役は共産青年団と、やらせを使っている。またソ連側が、婦人、子供の役者を三名そろえて一等乗客に仕上げ、食堂車の出前などないのに出前をとらせて、やらせを映している。本のとおり真実を編集すればよいのに、やらせだけを放映した。NHKはソ連に支配、干渉されているのであります。その上、我々から取った受信料でソ連のプロパガンダ放送代行をやっております。これは悪質過ぎやしませんか、大臣。法三条、これは干渉違反になります。  私がことしの予算委員会で「核戦争後の地球」を取り上げ、文芸春秋で「核の冬」を反核の欺瞞、荒唐無稽と罵倒され、反論の紙面まで提供されながら、NHKは反論しなかった。反論できない内容であるからであります。素直に法四条で訂正すればよいのに、それをやらない。また、法四十四条、対立意見は多角度から論及、これもやらない。国民が知りたがっている権利をも無視をする。大臣、どうお考えですか。  ことし三月、スペインで姿を消し、亡命したと思われる、KGBのエージェントであると目されているソ連人アレクサンドロフのデータとNHKの「地球凍結」は全く同じであります。NHKはKGBを使ったと言われてもいたし方ありませんぜ。どのような措置を大臣は講ずべきであるか。  愛知県の米軍超長波通信施設を画面に出して、これがあるからソ連の核攻撃があり得るのだと連想させ、日米安保条約を危険なりとする反米企画。  また、ストックホルムの世界平和研究所の数字は、専門家の間では信用されていない。それを権威ある機関であると紹介をし、ソ連との関係のうわさのある所長バリナビ氏を「核の冬」の番組の司会役にした。当研究所にはソ連、東欧の研究員も加わっているので、スウェーデン国会では、ソ連寄り過ぎるとの理由で補助金打ち切りにまで発展をした。よってNHKは、当研究所で起きているスパイ事件も含めて調査をし、権威ある研究所と言ったのは誤りであると訂正すべきであるが、大臣はどうお考えになりますか。  この番組の主要部分のナレーションが対日謀略モスクワ放送と同一であることを、私は三月に予算委員会指摘をした。対日謀略モスクワ放送の文言とNHKのこの番組のナレーションの文言が同じとはどういうことですか。これが不偏不党ですか、松本さん。NHKの答弁はうその羅列、偽証であります。  まず、地球の凍結はセーガンの説と答えたが、これはうそで、セーガンが述べた言葉は、データがないから不正確であるが、温度が下がる、しかし海岸部はさほどではない、夏の温度を三十度とすると二十度ぐらいになるかもしれないと言っている。二十度では、会長、凍らないのです。  また、アメリカの科学アカデミーは、「核の冬」は科学的に予想は不可能と言っているのに、NHKは、科学アカデミーはこれを認めたとうそをつき、また、アメリカ国防総省は「核の冬」の被害と核爆発による被害は同等であると言っているとNHKが間違った答弁をしたが、国防総省が言った本当のことは、被害予測の能力は持ち合わせないと述べたのであります。  また、私が百名以上の科学者の名を資料要求したのに出してこない。国会軽視は歴然。政府国会もNHKになめられておるのであります。大臣、どうお考えになられますか。  そもそも今の反核運動はソ連の指示であります。昭和五十九年八月九日のモスクワ放送は、ソ連の平和擁護委員会は広島原爆四十周年記念に当たる来年八月六日までに反核運動を始めようという反戦団体のイニシアチブを指示しました。その一カ月後、九月十二日のモスクワ放送は、日本の総評はアメリカによる広島、長崎原爆投下から四十周年を迎えることから、全国的に反戦行動を展開するように決めました。その二カ月後、十一月八日のモスクワ放送は、共産系原水協首脳部の会議では反核署名運動を行うことを決め、広島、長崎四十周年記念に向けて実施される、と。また、日共宮本議長とチェルネンコ氏との共同声明、社会党石橋氏とゴルバチョフ氏との共同声明も反核運動であります。ソ連の謀略宣伝の先頭に立ったのがNHK「核の冬」番組であります。  「核の冬」研究は、一九八〇年代初め、ソ連圏から発生をした。それと並行して反核運動を起こし、また、NHKの「核の冬」八一年制作が開始され、モスクワ放送どおり左翼政党団体が動き出し、共産党が「核の冬」ビデオ販売に力を入れ、NHKは放映の中で、ソ連からも引き合いが来ていると述べた。ソ連でも反核運動をやっているような、事実に反する印象を国民に与えたが、会長、ソ連には世論がないのです。世論がないから反核運動など起こせません。しかし、日本では反核運動を起こし、日米を離間させ、ソ連の核の優位性を保たせようとする、これがソ連の謀略でなくて何でありましょうか。  大臣、なぜNHKはこの番組の中で、戦争抑止力としての核の効用に言及しなかったのか。否、逆にバーナビ氏をして、二十一世紀までに核戦争の起きる可能性が四分の一あると語らせた。核問題は高度な戦略問題であって、慎重さと科学性が要求される。素人の報道機関が軽はずみに取り上げる問題ではありません。  ドラマも、イデオロギーシーンがあらわれて、実に嫌になる。「おしん」における反戦アジ演説、憲兵の脱走兵射殺、お母さんが子供に脱走を勧める。でたらめもいいかげんにしてもらいたい。そんなことが戦前にありましたか。「炎熱商人」だってそうだ。「山河燃ゆ」も、山崎豊子の「二つの祖国」と似ても似つかぬ反米、反日映画にしてしまった。山崎豊子さんの手紙を読みます。「原作から余りにも逸脱したドラマ展開に愕然と致し」云云、「原作無視については不幸な事に私がハワイ大学へ出張しておりました事もあり」云々、「今となっては取り返しのつかぬ結果を生み読者に対する責任を失いました事を汗顔の思いでかみしめて居り」――NHKはお世話になっているのですぜ。お世話になった人をいじめて、他人のつくったものを勝手につくりかえて、作家の命であるところの良心に傷をつけるとは一体どういうことですか。これが公共放送でありましょうか。これが人のやることでありましょうか。NHKの傲慢な体質を改めてもらわなければいけません。まるでソ連に似てきたような感じが私はしてならない。  会長はこれに対して一体何とおわびをなされましたのでしょうか。我々でしたら、民間企業の社長ならば、痛惜の念、土下座して謝りますぜ。そのくらい責任感を持っている。大臣会長、こういう問題をどうお考えになられますか。戦前の日本を意図的にうそで暗く描こうとする左翼的報道姿勢であります。ドラマが国民に及ぼす心理的影響が大きいことを承知の上でこのようなことをやるに至っては、まことによくありません。日本人として許すことはできない。外国人いわく、日本を悪く言うのは日本人だ。恥ずかしい言葉じゃありませんか。  教育テレビ「新しいソ連・東欧」は、やらせシーンばかり。このようなシベリアの奥地にも小児病院が完備されているとNHKが紹介する。しかし、肝心な病院の中を映さないで外ばかり映している。外の乳母車や、赤ん坊を抱いたお母さんが色鮮やかな、きれいなオーバーを着ているところだけを長々と映す。しかし、雪解けの泥んこ道をずっと押してきたはずの乳母車はぴかぴかで、泥一つついていない。幼稚園のシーンも、全園児がカラフルな服装をしてお母さんと一緒にいた。ソ連のお母さんは昼間はみんな働きに出ているから、幼稚園にいるわけがない。女子高校生のかばんを男の生徒が持って、ソ連ではレディーファーストが定着しているとのナレーション。また、小学生を夕方まで学校が預かり、ダンスなどをして時間を過ごす。そのダンスもおかしい。普通の子供がバレリーナのような高度なダンスができるわけがない。こうなってくると、NHKはソ連、東欧の宣伝放送局となってしまう。こんなやらせでつくるのはやめてほしいのであります。  生活協同組合の商品は絶賛。NHKは特定の団体を支援するコマーシャル機関であろうか。十月二十一日の「おはようジャーナル」、六月八日の「くらしの経済セミナー」で、生協はすばらしい、品質がよい、安い。生協は某左翼政党と密接な関係があるではありませんか。松本さん、これが一体不偏不党でありましょうか。不偏不党の法律に明らかに違反をしているじゃありませんか。  十一月十一日「ニュースセンター」で、情報工作などの謀略を担当しているソ連共産党国際部――知っていますか、ソ連共産党国際部の前身は。その第一副部長、ソ連のプロパガンダのチャンスをこの方に与えておる。ソ連を出したらアメリカも出さなければだめであります。放送法上そうでしょう。これは不公正であります。前には対日謀略の総司令官のコワレンコまでも出しているではありませんか。大臣会長、どうお考えになりますか、こういう問題を。日本は自由民主主義の国ですよ。日米安保条約があるから日本はこれだけ繁栄したんでしょう。日米安保条約があるから外国の侵略を防げたんでしょう。防衛費だってこんなわずかしか組まないでおいて、そしてやりたいほうだい、自由ほうだいじゃありませんか。ソ連とだけ、謀略宣伝用の時間を定期的に与える密約があるんじゃありませんか。ニュース番組等で、ソ連情報謀略担当のソ連共産党国際部などの者を登場させた過去五年間のオールリストを提出してほしい。委員長、資料として提出してほしい。大臣、どうお考えになりますか。  以上、大臣は国益を損ねるこの放送法違反にどう対処するか。NHKの無責任を私はただします。魚は頭から腐る。上に立つ人が、民間企業の経営者のごとく自己責任の確立を図ってほしい、自己責任の確立を。NHKのお偉様は、恐らくテレビなどは見ていないんじゃありませんか。見てないんでしょう。放送の自由を保障する、すなわち干渉されないかわりにチェック機構がなければだめです。NHK会長、どうお思いになりますか。チェック機構があるのですか、働いているのですか。チェック機構が無能なら、特定の政治目的を持った制作者に振り回され、それがNHKの体質になってしまうのでありましょう。  「核戦争後の地球」の構成台本をひとつ資料として出してほしい。構成台本を見ればわかります。このように間違った情報によって世論が操作されると、対ソ外交は誤ります、外務省。このように間違った情報によって世論が操作されると対ソ外交は誤る、これが重大であります。戦前、新聞が、アメリカはあすにも攻めてくるごとく報道したため、そうでしょう、先制攻撃しかないと考えた若手軍人たちが政府首脳を突き上げ、そして開戦となったのであります。間違った情報は国の根底をひっくり返す。戦前、見てください。情勢は正しく伝えなければいけません。正しく伝えられなかったら、何も語らない、知ったかぶりしない、それがマスコミの良識でなければなりません。NHKは、こんなことをやっていると日本を戦場にするかもわかりませんぞ。外務省、情報操作の恐ろしさについてどう考えておられるか。  以上をもって私の質問を終わります。時間がないので一問一答ができませんでしたが、質問通告はそのとおり渡してありますから、一つ一つ御答弁をいただきたい。大臣
  274. 左藤恵

    左藤国務大臣 いろいろお話がございましたけれども、個々の番組につきまして、私からこれがどうだこうだということを申し上げることは適当でないと思います。  一般論といたしまして、放送事業者は、先生指摘のように放送番組の編集に当たりましては、放送法の第四十四条の三項の規定にのっとってこれを行っていただかなければなりません。そして、NHKも当然その放送事業者の一つでありますし、国民の皆さんの受信料から成り立っておる放送機構でありますので、そういった点について十分意を用いて正しい報道をしていただきたい、放送をしていただきたい、このことを私は念願するものでございます。
  275. 川原正人

    ○川原参考人 視聴者、国民に対しまして正しい情報を提供するということは、むしろ私どもがその最大の使命としております。私どもは、放送法にも定められてありますとおり、表現の自由を守り、そして不偏不党の放送を堅持して、何人からも介入されずに自主的な立場で番組を編集していく、これが私どもの基本的な立場でございます。  まさに御指摘のとおり、戦前、私もみずからの体験がありますが、十分な情報が伝えられていなかったことが日本を誤らしたと私も思います。であればこそ、私は今、世界的に動いているあらゆる情報を的確に、正しく国民に伝えたい、そのように考えております。したがいまして、たとえ私どもと立場を異にする人の意見であっても、その方の意見が国民にとって必要な情報と判断すれば、私どもは責任を持ってそれをお伝えしますし、また人類の環境なり将来にとってそれが非常に大きな、致命的な問題であるならば、その真実は正確に伝えて国民の人々の判断を求めたい、そういうことが私どもの基本的な立場でございます。
  276. 野村一成

    ○野村説明員 ソ連の報道機関が、党とか政府の決定あるいは方針を一つの世論工作として大衆に徹底させることを使命としているという点におきまして、私ども自由主義社会の報道機関とは基本的に違う役割を担っておるわけだと思います。したがいまして、自分の都合のいい面は非常に詳細に報道しますけれども、そうでないところは曲げたりあるいは一切報道しないという点があるという点につきまして、私、先生の御指摘と基本的には同じ認識を持っております。これを日本の報道機関がどう扱うかということにつきましては、報道機関の良識ある判断にお任せする以外にないと思うわけでございます。  ただ、私、ソ連との二国間の関係をやっておりまして常に感じますことは、ソ連の報道機関の報ずる内容をキャリーする場合に、やはり何らかの注釈と申しますかコメントといいますか、そういうのがあるというのがしかるべきじゃないかなと思うときが時々ございます。他方、私ども、事実関係で非常に極端な間違いとかそういうことがある場合には、随時外交ルートを通じまして先方に注意喚起をいたしておる、そういうふうに認識しております。
  277. 伊藤昌弘

    伊藤(昌)委員 会長の御答弁、そのとおりです。そのとおりやればいいんです。全然そのとおりやってない、このとおり。だから私は指摘をして、反省をしていただきたい。公共放送でありますから反省をしていただきたい。私が今読み上げた内容、恐らく会長は一つとして、伊藤の言うことは間違っておると指摘なされるものはないと思う。あるはずがない。全く非常識なことをやっておるのですから、やはり親方日の丸的な体質を早く改めていただいて、そして、なるほどというものをつくっていただきたいのであります。  すなわち、いいですか、放送法、不偏不党。松本さん、真実、自律を保障。その上に立っての表現の自由ですよ。基礎、その上に立っての表現の自由。何をやっても、どんな場合でも表現の自由をやるものじゃない。常に国益を念頭に置いて報道機関としての使命を果たさなければいかぬです。  次に、民主主義の発展に資する。会長おっしゃったが、会長のお言葉は確かに民主主義の発展に資するお言葉だ。それならそのように番組をちゃんとつくっていかなければいけないと思う。  それから、番組には干渉できない。それはそうなっておるですよ。しかし、法律違反をした番組には干渉しなければ。公共放送ですもの。民間放送なら違いますよ。何をやったっていい。しかしながらお客さんがつかないだけだ。公共放送ですもの。法律違反には監督官庁の郵政省が干渉しなければだめだ。テレビ朝日、干渉したんでしょう。謝らしたでしょう。同じことじゃありませんか。  それから、真実でない場合には訂正が義務づけられている。教科書問題だってそうです。真実でないことを発表したんだから、発表したことは間違ってましたって、何で言わない。あのときはたしか、思い出せば二十六日に、NHKが発表して、中国あたりから抗議が出た。二十七日の午前中、NHKが発表したことは誤りであるということはNHK自身が認めておる。にもかかわらず、それを訂正をしなかった。それでその翌日、「侵略」を「進出」と最初に言っておったやつを、「侵略」を今度「侵入」に直したと、またうそをついている。うそつきNHKだ。訂正をしなさいと法律に書いてある。会長、どうですか、先生方。  次に第四十四条「政治的に公平」。今私が読み上げたのは、これは政治的に公平でしょうか。「事実をまげない」、やらせを使っている、事実を曲げてはかりおるじゃないか。だめですよ、うそをついちゃ。国会でうそをつくんだから、よっぽど国会をなめている。政府がよほどなめられている。長い間の癒着じゃありませんか。癒着の中身は私は幾らでも知っているけれども、そんな次元の低いことは、ここでは申し上げません。  意見対立は多角度から論じて、「核の冬」のようなこんな重大な問題の番組をつくる場合には、反論、両方の意見のものをちゃんと並べてやるならいい。そうでなくて、私がモスクワ放送を読み上げたとおり、あれは全部ソ連の指令じゃありませんか。その先頭に立ったのが、公共放送NHKがつくった「核の冬」という番組なんです。こういうものをつくっちゃいかぬ。まるでどこの国の公共放送かわけがわからない。  こんなお説教めいたことを偉い方々に私はもうしたくない。ですから、どうかひとつ反省をしていただきまして、そして真の公共放送たるものをつくっていただきたい。曽野先生から文芸春秋でこんな指摘をされるようなことのないようにしていただきたい。イデオロギー論争が激しい日本の中で、両方ともうまくやろうなんて思っちゃいかぬですよ。国益を考えなければならない。自由民主主義路線を歩むのは日本なんだ。それを念頭に置いて番組をつくらないでどうするんでしょうかね。マスコミによって、正しいことが間違っておることのように、間違っておることが正しいことのように、どんどん間違った世論が起きておるじゃありませんか。  世論は政策をも左右するんです。だから、自民党、政権政党が正しいことをやろうと思ったって、何か言われるとすぐびくついてしまって、そして引っ込めるという間違った傾向になる。これは間違った世論が政策を左右している証拠であります。こんなことでいったら国は滅びると私は思います。どうかひとつ、一番大切な公共放送たるNHKのお偉様がきょうおいでになっているのですから、よく御検討いただきまして、少々の混乱があったって、間違ったものは切っていく、そういう考え方に立って、これから御願い申し上げたいのであります。  以上をもって質問を終わります。ありがとうございました。
  278. 関谷勝嗣

    関谷委員長代理 佐藤祐弘君。
  279. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私は、十月三十一日に起きたJAL四四一便の航路逸脱問題からお尋ねしていきたいと思いますが、その前に、最初に、ただいま我が党の名前が名指しで出るということがございました。二日だけ申し上げておきたい。  我が党の宮本議長が昨年ソ連に参りまして、共同声明を発表いたしました。それは、人類が絶滅の危機に瀕するような核戦争を阻止して、核兵器を全世界からなくしていこうということで合意をしたものであります。私は、その後のソ連の対外政策などにも若干影響も出てきていると思っておりまして、非常に意義深いものだったと考えております。  また、NHKの「核の冬」につきましても、科学的な根拠が十分にある非常にいいものだというふうに私は思っております。やはり核戦争がどんなに危険かということを知らせることは大事なことです。そういう意味で、これは大変貴重な番組であるというふうに考えているということを冒頭に一言申し上げておきたい、こう思います。  JALの問題でありますが、大臣は、航路逸脱問題が明らかになった後、十一月十二日の記者会見で、自衛隊が緊急周波数の百二十一・五メガヘルツを使ってJAL機に連絡をとろうとしたが、とれなかったということに関連しまして、ジャンボ機が無線機のボリュームを絞っていたとすれば、電波法違反の疑いもあるので調査を始めているというふうにおっしゃいました。それは新聞で、「電波法違反で調査」ということでかなり大きく報道もされたわけであります。逓信委員会では初めてでありますので、最初に、この調査結果はどうなったか、正確にお聞きをしたいと思います。
  280. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 お尋ねの件でございますが、無線局の運用状況、それから飛行航跡等について事実関係の調査をいたしました。その結果でございますが、電波法で聴守をしなければならない義務が課せられているものがございます。そういった電波法上の義務違反というようなものはないというふうに私どもは判断をいたしました。
  281. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 その根拠の一つは、無線局運用規則ですか、にあります長距離洋上飛行に当たらないということだったというふうに聞いておりますが、この長距離洋上飛行とはどういう場合を指すのか、日本海を飛んでいるような場合に、それに当てはまるようなケースはあり得るのかということをお聞きします。
  282. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 長距離洋上飛行といいますのは、緊急着陸に適した陸地から巡航速度で百二十分の距離または四百海里のいずれか短い距離以上離れた洋上をその経路に含む飛行のため現に洋上飛行をすることということでございまして、日本海の航行については、これは該当しないというふうに私たちは理解いたしております。
  283. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 日航の四四一便の乗員がミスで航路逸脱をした。これは非常に重大な問題だというふうに私ども考えております。大臣の記者会見で、電波法違反で調査というようなことが報じられまして、そういう新聞の中には、違反が明らかになった場合は、郵政省としては、「機長らクルーの三カ月以内従事停止」あるいは「当該機の三カ月以内の運航停止」、そういう処分を含めた行政処分を行うことにしているんだというようなことが報道されました。そういうことから、電波法違反がほぼ間違いないというふうな印象が大きくつくられたままになっているというふうに私は思うわけです。しかし、今の答弁では電波法違反はないということであります。こういう点、郵政関係を長らくやってこられた大臣としては、単純な見落としといいますか、ちょっと軽率であったというのですか、という感じを非常に強く持つわけですが、このあたりはどうなんでしょう。
  284. 左藤恵

    左藤国務大臣 このことにつきましては、やはりそうした聴守義務とかいろいろな問題について、電波法違反がないかどうかということの調査はやらなければならない。それから、そのときに、もしその聴守義務違反があったらどういうような処罰があるのかとか、そういう質問がありましたから、これは、電波法施行規則に違反した場合にどうだという規定がございますので、そのことを御説明したわけでありまして、後は報道の方が、いかにも何かすぐに直結するような表現をされたのではあろうと思いますけれども、私の方では、そういう趣旨じゃなしに、ただ調査はする必要がある、そして調査の結果を見た上で判断しなければならない、そういう趣旨で申し上げたわけでございます。
  285. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 大臣の発言というものは非常に影響が大きいわけでして、電波法違反で調査する必要がある、今そういう趣旨で言ったんだとおっしゃいましたが、ちょっとそれは調査不十分といいますか、事故の発生が三十一日ですが、問題が一般に明らかになったのは七日目になりますか、ですから電波法に違反しているかどうかというのは簡単にわかることだと思うのですね。それをあえて違反の疑いが非常に濃いかのような印象で言われたように思うわけです。私もまさかそんなことはなかろうと思うのですが、そういうことから一部関係者の間では、たるみの日航といいますか、そういうことで、巷間話が出ております民営化ですか、そういうものとも結びつけてとっている向きさえあるというふうにも聞いているわけです。そういう点では、記者会見前にそれぐらいのことを調べるのは可能なわけでありまして、いささか軽率であったのじゃないかと思うわけですが、重ねてその点はお聞きしておきたいと思います。
  286. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 私どももいろいろ調査をしている過程でございまして、結果としてのことについて、まだ大臣に御報告を申し上げておりません。めったに起こってはならない事例でもでざいますし、そういうことで私どももいろいろ勉強もし、そして事実関係も聞いて判断をしようという途中でございまして、故意にそういう雰囲気をつくるとかという意図は毛頭ございません。事実関係としてはそういうことであるということを御理解いただきたいと思います。
  287. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 そうしますと、そういう印象が振りまかれているわけですが、それを正すような措置は何かとられたのでしょうか。
  288. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 そういう事実がなかったというようなことについては、報道機関に対しましてもコメントいたしております。
  289. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ただ、実際問題としてはそれが余り報道されていないのですね。ですから、この点ははっきりさせておく必要があると思います。  私は今回の問題で幾つか感じるところがあるわけですが、今回の事件は、まず乗員のミスによる逸脱が起きた、これが一番の問題ですね。これを、そういうことが起きないようにしていくということですが、同時に、その逸脱に地上で気がついて緊急の連絡をしたんだけれども、それが受信されなかったということですね。これは常識的に言いまして非常に不都合に感じるわけです。  そういう点を整理しますと、私は大きく言って二つ問題があるのじゃないかと思います。一つは、ミスが起きないように、繰り返されないようにということです。同時に、その問題では、人間ですから絶対に起きないという保証はないということももう一面あるわけでございます。だからこそいろいろなシステムをつくっていく、カバーするといいますか、そういうことの重要性があるんだと思うのです。そういう問題が一つと、それからもう一つは、地上からのせっかくの連絡が受信されなかったという問題です。こういう二つがある。  それでまず、連絡が受信されなかった問題でお聞きしていきたいのです。  当初の報道では、緊急連絡用の百二十一・五メガヘルツですか、これを飛行機の方で絞っていたためにどうも聞かなかった、受け取れなかったんだというような報道がありました。機長の発言は、よく聞きますと、必ずしも絞っていたとは断言はしていない。ですが、そういう報道があったわけであります。しかし、その後の調査によりますと、例えば日航乗員組合も調査をしているわけですが、自衛隊から百二十一・五メガヘルツで呼びかけがあったとされている当時、乗員はハバロフスクとの連絡をとろうということにかなり神経を注いでいたようです。時間的にそういうふうに努力をしているさなかであったけれども、百二十一・五メガヘルツのボリュームは絞っていなかったということが明らかになっているわけですね。特に、副操縦士と航空機関士は通常の状態では聞こえるようにしていた、九時から十時のところと言われていますけれども、この点は郵政省としても確認はなさっているのではないかと思いますが、いかがですか。
  290. 澤田茂生

    ○澤田政府委員 コースの異常に気がついた時点の前後に、ハバロフスクとVHFで連絡設定に集中するということでやったわけですが、応答がないということで、感度がよくない状態というのもあるかもしれないということで、百二十一・五メガヘルツの電波をやや聞き取れる位置、大体九時と申します。そういう位置にしたというふうに私どもは聞いております。
  291. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 十一月十四日の運輸委員会での答弁では、もう少し詳しく答弁なさっているのです。これは郵政省電波部航空海上課長の答弁ですが、調査して、「現時点での結果でございますけれども、この音量、ボリューム位置は、通常やや聞き取れる九時の位置にセッティングされております。VHF受信機というのは、全体で三台あるわけでございますけれども、九時の位置、それから可聴範囲にございます十時、十一時の位置にセッティングされていたわけでございまして、当時の状況を全体として判断いたしますと、VHF受信機三台のうち一台は可聴し得る状況にあったこういうふうに答弁なさっておられるわけであります。  そこで、防衛庁にお聞きをしたいのですが、自衛隊から緊急周波数を使って連絡をとろうとしたというふうに言われておるわけです。いつ、どこから、どのくらいの出力で、何回連絡をとろうとしたかという点をお答えいただきたい。
  292. 大森敬治

    ○大森説明員 お答えいたします。  航空自衛隊といたしましては、事故の当日ですけれども、十月三十一日十三時四十分過ぎには運輸省の方の札幌のACC、航空交通管制部と連絡をとりまして、さらに四十五分過ぎに、その逸脱が非常に大きくなっておりますので、航空自衛隊のレーダーサイトから緊急周波数を使いまして日航の四四一便とのコンタクトを試みました。実際、数回実施しているわけでございます。  具体的なレーダーサイトの名称その他につきましては、細部の運用にかかわりますので、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  293. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 どこのレーダーサイトからか明らかにできないというのは、私は大変疑問なんです。自衛隊の部隊間の通信内容を明らかにせよとか言っているわけではなくて、こういう事故ですね、国民的に関心が非常に高い問題、しかも百二十一・五メガヘルツという国際的にも認められている周波数による緊急連絡ですね。こういうものがどこから――つまり、問題はこういうことなんです。自衛隊は、発信した、緊急周波数で呼び出したと言っている。しかし日航機の方は、受信してないと言っているわけですね。当初は絞られていたために受信できなかったと言われていたけれども調査してみると絞ってはいなかった、可聴範囲だった。ハバロフスクとの連絡がスムーズについて会話が始まっていれば、聞こえないということはありますよ。そうじゃないんですね。なかなかつかなかった。しかも三台あるわけです。だから、果たして本当に発信されていたのかという疑問さえ生じるという問題があるわけです。  VHFには当然届く範囲という問題もあります。ですから、大方の予想では稚内だろうというふうにも思うわけですけれども、本当に事実関係はどうだったのかということも明らかにする必要があると私は思うのです。そういう意味では、今のように何か秘密、秘密ということで、こういうことさえ公表しないというのは私は大変遺憾だと思うわけですが、その点再度……。
  294. 大森敬治

    ○大森説明員 繰り返しの御答弁になりますけれども、具体的なレーダーサイトの名前につきましては、運用の細部にわたりますので御勘弁いただきたいというふうに思っております。  また、実際その緊急通信がどういう事情で応答がなかったのかということにつきまして、自衛隊としても残念には思うのでございますが、現在運輸当局その他に調査を依頼しているところでございます。先ほどの、四十五分過ぎに自衛隊は緊急通信で信号を送っているわけですが、御指摘のように、その時期にはちょうど機長が航路逸脱に気がつきまして、ハバロフスクの管制部との間の通信設定に、鋭意努力していた時期とほぼぶつかります。このような事情からも、通信を聞き取っていただけなかったのじゃないかというようなことも考えられると思います。私どもといたしましては、一般論といたしまして、レーダーサイトからのVHFによります通信は、レーダーサイトの距離と当日の航空機の位置からいたしまして、距離的には十分届いていたのではないかというふうに考えているわけでございます。
  295. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 明らかにされないのは大変遺憾だということは重ねて申し上げておきます。  運輸省に来ていただいていると思うのでお聞きをしたいのですが、自衛隊から連絡を札幌ACCが受けられた後、どういう措置をとられたか。
  296. 松田政雄

    ○松田説明員 お答えいたします。  当月、航空自衛隊の方から札幌管制部に対して、日本航空の四四一便がコース逸脱をしていると最初に連絡があったのは十三時四十分ごろでございます。それで、実はこの日航四四一便が札幌管制部、日本側の管轄空域なんですが、札幌管制部とハバロフスク管制センターとの責任分担範囲の境界線を過ぎましたのが十三時二十三分でございます。そして、そのときには札幌管制部の方からハバロフスク管制センターに対して位置通報の中継を行っております。それからさらに、日航の四四一便とハバロフスク管制センターの直接交信が設定できないという連絡が入りまして、十三時三十三分ごろ、これに対してソ連領への入域許可を中継しております。そういうことでございまして、ずっと日航機並びにハバロフスク側と交信がありましたので、この航空機は正常に飛んでいるというふうに札幌管制部側は見ておったわけでございます。それで、この時点におきましては航空自衛隊側に対して、特に異常はないはずであるという旨の回答をしております。  続きまして十三時四十七分ごろに、また航空自衛隊から札幌管制部に対しまして、日本航空の四四一便が経路からかなり逸脱しているという連絡があり、かつ、何か連絡設定をする手段はなかろうかということを聞いてきております。そうこうしているうちに十三時五十一分ごろになりまして、当該機は正常のコースの方に戻りつつあるという連絡が入っております。それで、札幌管制部としては、正常のコースに戻りつつあるということで、十三時五十五分ごろにハバロフスクの管制センターに対しまして、当該機と交信が設定されているかということを聞きまして、向こうからは交信を持っているという回答が返ってきております。そういうことが、札幌管制部がとりましたこの航空機に対する措置でございます。
  297. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 今の説明では、運輸省としては落ち度がなかったといいますか、そのときどきで手を打ったというようなことだったと思いますが、私は二つほど問題を感じているのです。  一つは、確かに境界線を越えたということではありますが、その前からかなりずれは始まっているわけですね。その時点では許容範囲であったにしても、傾向としては直線的ですから――直線というよりも、弓なりにちょっと右にそれているような感じですから。だから民間航空機の運航で、その異常をキャッチするのが運輸省ではなくて自衛隊であったという点です。これはいつまでもこういうことでいいのかという問題を一つは感じるわけです。  それから、こういう事態の場合に、今回のような、送った、聞き取れないというようなことが起きないような措置は何かとれないものか。乗員がミスをして航路の逸脱が起きる、そういう場合に早く気づかせるような方途というものについて、やはり検討があっていいんじゃないかと思うのですが、今の点、まずとりあえずちょっとお考えを聞かせてください。
  298. 松田政雄

    ○松田説明員 お答えいたします。  第一点につきましては、札幌管制部の管轄空域からハバロフスク管制センターの管轄空域に入ります通過地点、スキッドというポイントになるわけでございますけれども、そこで航路を逸脱していないかどうかについて確認をするような方策を検討いたしております。  それから第二点につきまして、これはなかなか難しい御質問だとは思いますが、管制機関といたしましては、そういう場合には持っています管制用の周波数すべてを使って連絡を設定するとか、あるいは関係する国内の管制機関に交信設定を依頼する、あるいは隣接の管制センターでありますハバロフスクに通信設定を依頼するとか、そういうふうな手段をとりまして、連絡設定に全力を挙げて、安全確保に万全を図りたい、こういうふうに考えております。
  299. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 私はパイロットの人にもお会いをしていろいろ意見もお聞きしたのですが、セルコールというのがあります。これは緊急の連絡用に使われているようですが、これは緊急に連絡しようとすると、コックピットの中でチャイムがピンポンと鳴って、黄色い光が出るということだそうです。これは主に会社との連絡なんかのときに現状は多く使われているということなんですけれども、こういう事態の際に、緊急周波数を使用して何か連絡しようといった場合、現在使われているようなやり方だけではなくて、何かピンポンと昔が鳴るとか赤いランプが点滅するとか、耳だけじゃなく、部屋におる全員が視覚的にもわかる、そういうことも工夫をしていく必要があるんじゃないか。技術的には大変簡単なことだと思います。  それからまた、この場合、INSモードから切りかえてヘディングでずっと行っていたわけですが、INS、慣性航法装置は八つの機能があると聞きました。つまり風力だとか、いろいろ八つの機能ですね。そこでは正常なコースからどれだけずれているかということは絶えずわかる仕掛けになっているわけです。距離もわかるし、角度もわかるというようなことですね。そうしますと、これはあるパイロットの意見ですが、航路逸脱というのは一番大きな問題になるわけですから、必要なときには、航路から逸脱しているかどうかの表示をできるようにできないものだろうかというのが一つです。  それから、十マイル以上逸脱するという場合には、やはり同様にチャイムが鳴るとか、警告のランプがつくとかいったことでもあれば、パイロットとしては非常にいいというようなことがあったわけです。そういう点、私もぜひ必要なことじゃないかと思うのです。大分次元が違いますが、車でも、四十キロですか、赤いランプがつくとか、百五キロか超えると音が鳴りますよね。ですから、今ある設備だけでなくて、本当に安全を守っていくという観点から、さらにさまざまな人為的なミスをカバーする、そういうものを検討していただきたいということを思うわけですが、いかがでしょう。
  300. 赤尾旺之

    ○赤尾説明員 お答えいたします。  最初の質問のセルコールにつきましては、航空機の中には二台装備されております。通常これはHFの回線に結びつけて飛行をしております。と申しますのは、HFは洋上を飛ぶ場合に使用いたします。使用頻度も比較的少ない。HFを昔は常時聞いておりましたけれども、非常にノイズが入りましたり、耳が非常に痛くなったり、そういった問題もありますし、またHFの通信というのは直接管制官じゃございませんで、管制通信官の仲介を通りまして、そういう緊急度においては一段落置いて、いろいろ管制機関と連絡すれば間に合う、こういうたぐいのものでございます。したがいまして、こういうものにセットをしてございます。先生指摘のとおり、セルコールはHFばかりでなく、VHFにもつなぐことができるように機上の設備はなっております。したがいまして、航空会社はそういったセルコールを持っておりますので、使用することができます。  それでは、なぜ国の管制サイドはこういうものを使わないのかといいますと、管制機関から直接VHFで交信する場合、始終特定の航空機あるいは多数の航空機と同時に常時通信をしますので、必ずそれをモニターをする必要があるし、またVHFはUHFに比べましてノイズも非常に少ないということで、飛行中は常にパイロット及び一部FEの方も聞いておられる、こういう仕組みになっております。  それからINSでございますけれども、飛行機が飛ぶ場合、特に大型定期旅客機はINSを装備して飛んでおります。その中に、オートパイロットにそれを連動しますとINSモード、それからヘディングで飛ぶ場合、ヘディングモードというものがございまして、今回のケースは、INSモードで新潟の先まで飛んでおりましたが、機首方位で飛びませんと雲を避けることができないということで、一時ヘディングモードにしたわけですが、所定のコースに近づいてもそれをINSモードに戻さなかったということに大きな原因がございます。したがいまして、社内の運用規程を改正いたしまして、特にモードを変えた場合にはどのモードにしたかということを呼称して、パイロット同士お互いに確認する、こういう方式をとっております。さらにINSで飛行中は、フライト・モード・アナンシエーターというものが両パイロットの前にございまして、INSで飛んでおります場合、そこに大きなグリーンのバーが出ます。これがオンコースに沿って飛んでいる場合。七一五マイル以上離れますとそれがアンバーに変わります。INSをセットしていない場合にはそれが全然出ません。こういったような関係で、これさえあれば通常は十分であるというように考えております。
  301. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 十分であるという答弁ですが、実際には十分でなかったわけでしょう。だから問題になるわけであります。  この場合も、ヘディングにしてINSにすぐ戻さなかった理由もあったわけです。蛇行が大き過ぎるということで、もうしばらくといううちに忘れてしまったということですね。そういうこともあり得るわけです、INSの改善という問題もあるでしょうし、そういう場合に何らかの方法で気づかせるという、今以上の手段をやはり当然研究してもいいのじゃないかと思うのです。セルコールだけじゃなくて、また違ったそういうものをぜひ検討してもらいたいと思うのですが、どうなんでしょう。現状でいいというだけではちょっと困るのです。
  302. 赤尾旺之

    ○赤尾説明員 先生指摘のとおり、この事件の前は、確かにパイロットが位置の確認はしておりましたが、お互いに声を出してさらに確認するという手段がございませんでしたので、今回の内部規程でそれをつけ加えました。さらにいろいろコース逸脱の問題もございますので、私どもも、またエアラインの方もあわせて研究をしてまいりたいと思います。
  303. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 この問題で最後に大臣にちょっと所見をお伺いしたいのですが、このところ空の安全の問題で、国民的に非常に高い関心が持たれておるわけです。やはりミスが起きないようにしていくということが第一ですが、同時に、今お聞きになったように、いろいろ改善の措置、対策というのがとられていいのだというふうに思うわけです。直接的には運輸省にかかわることが多いわけですけれども通信電波もかかわる問題でありまして、郵政省としても、先日国際線の四社に対しては、ICAOの勧告に基づいて緊急周波数を聴守するようにと勧告をされましたね。私はそれだけでは不十分じゃないかと思っているわけです。その周波数は、今回の場合も別に絞っていたわけじゃないわけですから、電波法上は聞かなくていいところでも聞いていたんだけれども、聞こえなかったということになるわけです、日航機の側から言えば。ですから、それだけにとどめずに、視覚的にもわかる緊急通報の設備だとか電波割り当ての問題も含めて、運輸省とも詰めながらということになると思いますが、郵政省としても努力をしていただきたいと思うのですが、最後に……。
  304. 左藤恵

    左藤国務大臣 御指摘のように、緊急用の周波数百二十一・五メガだけの問題ではなくて、今お話しのように、とにかく長距離を飛ぶ、しかも国際線を飛ぶような飛行機の場合、特に安全性と電波というものの持つ大きな意味を我々考えまして、今の聴守義務の問題だけでなくて、もう少し幅広く、今の点につきまして運輸省とも十分詰めまして、一層の安全対策を考えなければならない、このように思います。
  305. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 次の問題は簡単に聞きます、同僚議員から質問がありましたので。いわゆる信越及び北陸の電気通信監理局の統廃合問題です。  これは、地元ではやはり大問題になっておりまして、長野、新潟、石川、福井、富山の各県議会初め二百四十九自治体、自治体の七割がぜひとも残してもらいたいと決議をしているわけです。それで、両方それぞれに電気通信監理局存置推進協議会というのまでつくられています。いろいろな団体が入っておりまして、北陸自動車無線協会とか漁業無線の方とかアマチュア無線の方とか、全電波労働組合なども一生懸命運動しておられるようです。  また、もともと実情や仕事の中身と関係なく、私たちはそう思ったわけですが、臨調答申などでとにかく八つにせよというふうなのはむちゃな話だと思うのですね。実際の状況にも合わないということで、ぜひ残す方向で頑張ってもらいたいというふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  306. 中村泰三

    中村(泰)政府委員 お答えをいたします。  先生指摘のとおり、地元からも大変強い要望が出てまいっておりますし、私ども電気通信行政を所管する郵政省の立場からいいますと、本省のみならず、地方の電気通信監理局の役割も今後ますます重要になってまいると考えているところでございます。したがいまして、この統廃合の問題につきましては、地方における行政サービスの低下につながることのないように、慎重に検討してまいりたいというふうに考えております。
  307. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 ぜひ残す方向で努力をしていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  最後に、これは四月の参議院の逓信委員会で我が党の佐藤昭夫議員が取り上げた問題でございます。郵政省内に複数の組合があるわけでありまして、その中の郵政産業労働組合、通称郵産労ですね、この各支部の組合事務所問題でございます。大臣は、参議院逓信委員会の答弁で、「どの組合に対しましても正常で安定した労使関係を確立する、誠意を持って対処していかなければならないと考えております。」というふうにおっしゃって、あと組合事務所の具体的な問題にも触れられたわけでありますけれども、四月にそういうことをお聞きしまして、その後余り進展がありませんので、実は十一月の初めに私の方で状況をお尋ねをしたわけです。その後も含めて、基本的な考えばもう大臣がおっしゃっているとおりなので、具体的にどのように進んでいるかという点をお聞きしたい。
  308. 櫻井國臣

    ○櫻井説明員 私どもとしましては、労働組合とのかかわり合いにおきましては、事業を運営していく場合に、労働組合の協力あるいは事業に対する理解というものが不可欠だと思っておりまして、正常な安定した労使関係をお互いに確立をしなければならぬ、そういうふうに思っておるところでございます。四月に大臣の御答弁もありましたが、そうした考え方で対応したいというふうに思っております。  組合事務室の貸与につきましても、こうした考え方に立ちまして、所属長が業務上の支障の有無、さらには局舎事情等を総合的に勘案して許可するということになっておりますので、今申し上げたような考え方で、それぞれ具体的に各郵便局長が貸与できるかどうかということについて検討して、目下のところ局舎事情等のためにそれが大変困難な状況にあるというのが現状でございます。
  309. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 これで最後にしますが、十一月六日に私は、幾つかあるわけですが、特に二点を具体的には提起をしておいたわけです。  一つは、神戸港局なんです。神戸港の場合には、全職員百七十九名のうち七四・三%が郵産労の組合員です。ですから、三六協定その他局長はここと交渉して協定を結んでいっているという関係になっているわけですね。ところが、こちらには組合事務所がまだ貸与されていない。こういうのは早期に解決をしていただきたいというのが一つです。  それからもう一つは、大阪中郵のケースです。ここは逓信委員会でも問題になったことがありますけれども、解放研というのがありまして、いわばこれは同好会的な組織だろうと思いますが、ここには事務室が貸与されているわけです。ところが、正規の交渉団体である郵産労にはまだ事務所が貸与されないというのは、私は大変不都合だと思うわけですね。局舎事情その他という御説明でしたけれども、なかなか解決されないということでありますと、また違った問題になってくると思うのです。ですから、この問題は早期に解決といいますか対処をしていっていただきたいと思うのですが。大きな角度で大臣、最後に答弁してください。
  310. 左藤恵

    左藤国務大臣 先ほど先生が一番当初に言われました、参議院で私がお答え申し上げたような考え方に立つならば、局舎事情いろいろございましょうけれども、そうした問題については早急に解決をさせるような努力をすべきである、このように考えます。
  311. 佐藤祐弘

    佐藤(祐)委員 終わります。
  312. 関谷勝嗣

    関谷委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時七分散会