○
伊藤(昌)
委員 私が三月の
予算委員会でソ連寄りのNHKについて質疑をし、文芸春秋にはNHK払い下げ論が国民の一人から出されたのでは、監督官庁
郵政省としてはこれを検討しないわけにはいきません。また、国権の最高機関にいる私としても、これを看過することはできません。まず、やらせのテレビ朝日には厳重なる注意をした。そこで、NHKにも法律違反があれば、厳重なる注意をしなければなりません。
公共放送NHKの反体制なただすには、きょうの私の持ち時間が少な過ぎますし、一問一答では時間が足りません。よって、事前に質問そのままを
郵政省とNHKにお渡ししてありますので、議会の質疑は国民に対してなされるもの、よって国民に理解させる心で御答弁を願いたいのであります。曽野明氏と私の
調査を合わせてただします。
まず、向山主義陣営に属する
日本の
公共放送たるNHKのテレビで、ホルムズ海峡にあるアメリカ軍艦を「招かれざる用心棒」と言った。アメリカのおかげでペルシャ湾は安心しているのに、何というばかなことを言っているのでありましょうか。
大臣、いかがですか。
次、
田中元首相とブレジネフ会談で「未解決の諸問題を解決し」とは、北方領土を指したことは厳然たる事実であるのに、ソ連大使ポリャンスキー氏は、ブレジネフはこれを否定したと欺瞞宣伝を行ったところ、NHKは欺瞞を承知で放映し、ついに外務省のコメントはなかった。これで一体公正と言えるのでありましょうか。ソ連の謀略宣伝に一方的に協力したではありませんか。
次、ソ連のSS20とアメリカのトマホーク双方を非難した長崎市長の反核演説を、午後七時の二ユースではSS20をカットした。それに対しNHKは、正午のニュースは述べたが、七時は要約した。これは要約ではなく、ニュースの改ざんであります。これこそ発言者とニュースの根幹に触れる問題を、よくもまあしゃあしゃあと、私の質問に対する答弁までうそをつく。全くそれではソ連と同じではありませんか。親方日の丸は甚だよくない。いつからNHKはソ連の御用掛になったのでありましょうか。これも
放送法の公正違反。自由民主主義路線を歩む西側陣営の一員として、少しは国益を
考えさせてほしい。
大臣、番組には干渉できないことにはなっているけれ
ども、法律に定めた権限をもってすれば指導できるはず。やらないことはまことに怠慢であります。
次に、五十七年の教科書騒動も、「侵略」から「進出」に書きかえていないものを、NHKは書きかえた書きかえたとうそを大々的に報道し、
政府のへっぴり腰もさることながら、NHKの無責任も重大だ。そのために、今の教科書は全部「侵略」になってしまいました。「侵略」とは人道上の大犯罪であります。
日本人はこんな悪魔性があったと、後世の
日本の子供たちにうそを教え伝えることになるのであります。戦争は双方とも正義の戦いのつもりでやっておるのであります。子供のけんかならどちらが悪いか、手を早く出した方が悪いに決まっているけれ
ども、戦争はそれとは違います。特に大東亜戦争はゾルゲ・尾崎事件が示すように、スターリンの謀略が大いに関与していたではありませんか。NHKはいまだそれを訂正しもしない。これは明らかに法第四条「訂正」、法第四十四条「事実をまげない」に違反しておりますが、
大臣、いかがですか。
ノーボスチ
通信社などの許可を得ないと取材のできないソ連であることは、私は承知をいたしておりますが、それにしてもやらせがひど過ぎます。
まず「シベリア鉄道の旅」について。真実の取材記録は記録の本に書いてあるが、放映はこれと大いに違っております。第一、ソ連にも宗教の自由があるかのように「宗教の都」と説明して、ザゴルスク修道院を紹介した。一体宗教宣伝を認めていないソ連に「宗教の都」などあるはずがない。これもうそを報じました。
次に、バム、シベリア鉄道の建設最前線には、酷寒と闘い路盤をつくっている囚人がほとんどなのに、ナレーションは、鉄道建設の主役は共産青年団と、やらせを使っている。またソ連側が、婦人、子供の役者を三名そろえて一等乗客に仕上げ、食堂車の出前などないのに出前をとらせて、やらせを映している。本のとおり真実を編集すればよいのに、やらせだけを放映した。NHKはソ連に支配、干渉されているのであります。その上、我々から取った受信料でソ連のプロパガンダ
放送代行をやっております。これは悪質過ぎやしませんか、
大臣。法三条、これは干渉違反になります。
私がことしの
予算委員会で「核戦争後の地球」を取り上げ、文芸春秋で「核の冬」を反核の欺瞞、荒唐無稽と罵倒され、反論の紙面まで提供されながら、NHKは反論しなかった。反論できない内容であるからであります。素直に法四条で訂正すればよいのに、それをやらない。また、法四十四条、対立
意見は多角度から論及、これもやらない。国民が知りたがっている権利をも無視をする。
大臣、どうお
考えですか。
ことし三月、スペインで姿を消し、亡命したと思われる、KGBのエージェントであると目されているソ連人アレクサンドロフのデータとNHKの「地球凍結」は全く同じであります。NHKはKGBを使ったと言われてもいたし方ありませんぜ。どのような措置を
大臣は講ずべきであるか。
愛知県の米軍超長波
通信施設を画面に出して、これがあるからソ連の核攻撃があり得るのだと連想させ、日米安保条約を危険なりとする反米企画。
また、ストックホルムの
世界平和
研究所の数字は、専門家の間では信用されていない。それを権威ある機関であると紹介をし、ソ連との関係のうわさのある所長バリナビ氏を「核の冬」の番組の司会役にした。当
研究所にはソ連、東欧の
研究員も加わっているので、スウェーデン
国会では、ソ連寄り過ぎるとの理由で補助金打ち切りにまで発展をした。よってNHKは、当
研究所で起きているスパイ事件も含めて
調査をし、権威ある
研究所と言ったのは誤りであると訂正すべきであるが、
大臣はどうお
考えになりますか。
この番組の主要部分のナレーションが対日謀略モスクワ
放送と同一であることを、私は三月に
予算委員会で
指摘をした。対日謀略モスクワ
放送の文言とNHKのこの番組のナレーションの文言が同じとはどういうことですか。これが不偏不党ですか、松本さん。NHKの答弁はうその羅列、偽証であります。
まず、地球の凍結はセーガンの説と答えたが、これはうそで、セーガンが述べた言葉は、データがないから不正確であるが、温度が下がる、しかし海岸部はさほどではない、夏の温度を三十度とすると二十度ぐらいになるかもしれないと言っている。二十度では、
会長、凍らないのです。
また、アメリカの科学アカデミーは、「核の冬」は科学的に予想は不可能と言っているのに、NHKは、科学アカデミーはこれを認めたとうそをつき、また、アメリカ国防総省は「核の冬」の被害と核爆発による被害は同等であると言っているとNHKが間違った答弁をしたが、国防総省が言った本当のことは、被害予測の能力は持ち合わせないと述べたのであります。
また、私が百名以上の科学者の名を資料
要求したのに出してこない。
国会軽視は歴然。
政府も
国会もNHKになめられておるのであります。
大臣、どうお
考えになられますか。
そもそも今の反核運動はソ連の指示であります。
昭和五十九年八月九日のモスクワ
放送は、ソ連の平和擁護
委員会は広島原爆四十周年記念に当たる来年八月六日までに反核運動を始めようという反戦団体のイニシアチブを指示しました。その一カ月後、九月十二日のモスクワ
放送は、
日本の総評はアメリカによる広島、長崎原爆投下から四十周年を迎えることから、全国的に反戦行動を展開するように決めました。その二カ月後、十一月八日のモスクワ
放送は、共産系原水協首脳部の
会議では反核署名運動を行うことを決め、広島、長崎四十周年記念に向けて実施される、と。また、日共宮本議長とチェルネンコ氏との共同声明、社会党石橋氏とゴルバチョフ氏との共同声明も反核運動であります。ソ連の謀略宣伝の先頭に立ったのがNHK「核の冬」番組であります。
「核の冬」
研究は、一九八〇年代初め、ソ連圏から発生をした。それと並行して反核運動を起こし、また、NHKの「核の冬」八一年制作が開始され、モスクワ
放送どおり左翼政党団体が動き出し、共産党が「核の冬」ビデオ販売に力を入れ、NHKは放映の中で、ソ連からも引き合いが来ていると述べた。ソ連でも反核運動をやっているような、事実に反する印象を国民に与えたが、
会長、ソ連には世論がないのです。世論がないから反核運動など起こせません。しかし、
日本では反核運動を起こし、日米を離間させ、ソ連の核の優位性を保たせようとする、これがソ連の謀略でなくて何でありましょうか。
大臣、なぜNHKはこの番組の中で、戦争抑止力としての核の効用に言及しなかったのか。否、逆にバーナビ氏をして、二十一世紀までに核戦争の起きる可能性が四分の一あると語らせた。核問題は高度な戦略問題であって、慎重さと科学性が
要求される。素人の報道機関が軽はずみに取り上げる問題ではありません。
ドラマも、イデオロギーシーンがあらわれて、実に嫌になる。「おしん」における反戦アジ演説、憲兵の脱走兵射殺、お母さんが子供に脱走を勧める。でたらめもいいかげんにしてもらいたい。そんなことが戦前にありましたか。「炎熱商人」だってそうだ。「山河燃ゆ」も、山崎豊子の「二つの祖国」と似ても似つかぬ反米、反日映画にしてしまった。山崎豊子さんの手紙を読みます。「原作から余りにも逸脱したドラマ展開に愕然と致し」云云、「原作無視については不幸な事に私がハワイ大学へ出張しておりました事もあり」云々、「今となっては取り返しのつかぬ結果を生み読者に対する責任を失いました事を汗顔の思いでかみしめて居り」――NHKはお世話になっているのですぜ。お世話になった人をいじめて、他人のつくったものを勝手につくりかえて、作家の命であるところの良心に傷をつけるとは一体どういうことですか。これが
公共放送でありましょうか。これが人のやることでありましょうか。NHKの傲慢な体質を改めてもらわなければいけません。まるでソ連に似てきたような感じが私はしてならない。
会長はこれに対して一体何とおわびをなされましたのでしょうか。我々でしたら、
民間企業の社長ならば、痛惜の念、土下座して謝りますぜ。そのくらい責任感を持っている。
大臣、
会長、こういう問題をどうお
考えになられますか。戦前の
日本を意図的にうそで暗く描こうとする左翼的報道姿勢であります。ドラマが国民に及ぼす心理的影響が大きいことを承知の上でこのようなことをやるに至っては、まことによくありません。
日本人として許すことはできない。外国人いわく、
日本を悪く言うのは
日本人だ。恥ずかしい言葉じゃありませんか。
教育テレビ「新しいソ連・東欧」は、やらせシーンばかり。このようなシベリアの奥地にも小児病院が完備されているとNHKが紹介する。しかし、肝心な病院の中を映さないで外ばかり映している。外の乳母車や、赤ん坊を抱いたお母さんが色鮮やかな、きれいなオーバーを着ているところだけを長々と映す。しかし、雪解けの泥んこ道をずっと押してきたはずの乳母車はぴかぴかで、泥一つついていない。幼稚園のシーンも、全園児がカラフルな服装をしてお母さんと一緒にいた。ソ連のお母さんは昼間はみんな働きに出ているから、幼稚園にいるわけがない。女子高校生のかばんを男の生徒が持って、ソ連ではレディーファーストが定着しているとのナレーション。また、小学生を夕方まで学校が預かり、ダンスなどをして時間を過ごす。そのダンスもおかしい。普通の子供がバレリーナのような高度なダンスができるわけがない。こうなってくると、NHKはソ連、東欧の宣伝
放送局となってしまう。こんなやらせでつくるのはやめてほしいのであります。
生活協同組合の商品は絶賛。NHKは特定の団体を支援するコマーシャル機関であろうか。十月二十一日の「おはようジャーナル」、六月八日の「くらしの経済セミナー」で、生協はすばらしい、品質がよい、安い。生協は某左翼政党と密接な関係があるではありませんか。松本さん、これが一体不偏不党でありましょうか。不偏不党の法律に明らかに違反をしているじゃありませんか。
十一月十一日「ニュース
センター」で、情報工作などの謀略を担当しているソ連共産党国際部――知っていますか、ソ連共産党国際部の前身は。その第一副部長、ソ連のプロパガンダのチャンスをこの方に与えておる。ソ連を出したらアメリカも出さなければだめであります。
放送法上そうでしょう。これは不公正であります。前には対日謀略の総司令官のコワレンコまでも出しているではありませんか。
大臣、
会長、どうお
考えになりますか、こういう問題を。
日本は自由民主主義の国ですよ。日米安保条約があるから
日本はこれだけ繁栄したんでしょう。日米安保条約があるから外国の侵略を防げたんでしょう。防衛費だってこんなわずかしか組まないでおいて、そしてやりたいほうだい、自由ほうだいじゃありませんか。ソ連とだけ、謀略宣伝用の時間を定期的に与える密約があるんじゃありませんか。ニュース番組等で、ソ連情報謀略担当のソ連共産党国際部などの者を登場させた過去五年間のオールリストを提出してほしい。
委員長、資料として提出してほしい。
大臣、どうお
考えになりますか。
以上、
大臣は国益を損ねるこの
放送法違反にどう対処するか。NHKの無責任を私はただします。魚は頭から腐る。上に立つ人が、
民間企業の経営者のごとく自己責任の確立を図ってほしい、自己責任の確立を。NHKのお偉様は、恐らくテレビなどは見ていないんじゃありませんか。見てないんでしょう。
放送の自由を保障する、すなわち干渉されないかわりにチェック機構がなければだめです。NHK
会長、どうお思いになりますか。チェック機構があるのですか、働いているのですか。チェック機構が無能なら、特定の政治目的を持った制作者に振り回され、それがNHKの体質になってしまうのでありましょう。
「核戦争後の地球」の構成台本をひとつ資料として出してほしい。構成台本を見ればわかります。このように間違った情報によって世論が操作されると、対ソ外交は誤ります、外務省。このように間違った情報によって世論が操作されると対ソ外交は誤る、これが重大であります。戦前、新聞が、アメリカはあすにも攻めてくるごとく報道したため、そうでしょう、先制攻撃しかないと
考えた若手軍人たちが
政府首脳を突き上げ、そして開戦となったのであります。間違った情報は国の根底をひっくり返す。戦前、見てください。情勢は正しく伝えなければいけません。正しく伝えられなかったら、何も語らない、知ったかぶりしない、それがマスコミの良識でなければなりません。NHKは、こんなことをやっていると
日本を戦場にするかもわかりませんぞ。外務省、情報操作の恐ろしさについてどう
考えておられるか。
以上をもって私の質問を終わります。時間がないので一問一答ができませんでしたが、質問通告はそのとおり渡してありますから、一つ一つ御答弁をいただきたい。
大臣。