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1985-11-26 第103回国会 衆議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十六日(火曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 柴田  弘君       伊吹 文明君    尾身 幸次君       大村 襄治君    工藤  巖君       仲村 正治君    長谷川 峻君       細田 吉藏君    松田 九郎君       小川 省吾君    佐藤 敬治君       細谷 治嘉君    山下洲夫君       山中 末治君    小谷 輝二君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         自 治 大 臣 古屋  亨君  出席政府委員         警察庁警務局長 大堀太千男君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省財政局長 花岡 圭三君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局給与第一         課長      小堀紀久生君         大蔵省主計局共         済課長     坂本 導聰君         厚生大臣官房政         策課長     岸本 正裕君         厚生省年金局企         画課長     鏑木 伸一君         厚生省年金局企         画課年金基金指         導室長     和田  勝君         厚生省年金局年         金課長     谷口 正作君         社会保険庁年金         保険部国民年金         課長      植西 常郎君         運輸大臣官房国         有鉄道部財政課         労政室長    渡辺要一郎君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ————————————— 委員の異動 十一月二十六日  辞任         補欠選任   五十嵐広三君     山中 末治君 同日  辞任         補欠選任   山中 末治君     五十嵐広三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八四号)      ————◇—————
  2. 高鳥修

    ○高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山下洲夫君
  3. 山下八洲夫

    山下(八)委員 本日まで、この地行委におきましては地共済また連合審査等いろいろな審議が共済関係で進められているわけでございますが、私は、その間でちょっと気になった点につきまして最初に三、四点お伺いしておきたいと思うわけです。  まず最初に、早速でございますが自治大臣に対しまして一番気になっておりますことを御質問させていただきたいと思います。特に、過日山口労働大臣の大変な発言があったわけでございますが、それに関連しまして若干触れてみたいと思うわけでございます。  と申しますのは、山口発言を振り返ってみますと、自治労国鉄余剰人員受け入れ協力をしない、こんなやわらかい言葉ではないわけですが、大変後向き発言をされ、それに対して自治労は抗議をいたしまして、それに陳謝をしたというところまでは一応確認をいたしております。これに関連しまして、確かに国鉄再建監理委員会答申どおり分割民営化された場合は大変な余剰人員を生んでしまう。同時に、労働省としてはあらゆるところへ受け入れ考えるでしょうし、その一つとして自治省中心といたしました地方自治体への受け入れ要請労働大臣がら自治大臣に対してもかなり来ているのではないか、私はそのことを一つ思うわけです。そういう中で、地方自治体におきましても、地方行革大綱が出されて、どうやって職員適正人員にするか、そういうことで悩んでいることも事実でございます。そういう中で、一つは、労働大臣発言のとおり地方自治体に本当に国鉄余剰人員受け入れる素地があるのか、またゆとりがあるのか。私は、大変厳しい状況ではありますけれども、国鉄職員のことを一つ考えてみますとこれにつきましてもやはり最大限の努力をしないといけないだろう、そのことも当然だと思うのです。  同時に、そういう中で、地共済年金にかかわる問題でございますけれども、例えば国鉄に三十年勤めていた、そして残り十年間をAという地方自治体で働くことになった、そのようにしますと、その職員は少なくとも三十年間は国鉄共済加入しているわけでございますし、あと残された十年間は地方共済になってくる。この場合の年金というのはどのような対応をするのか。やはり退職時に地方自治体に籍がありますと当然地共済退職年金制度適用されていく、このようなことになりますし、そういたしますと、地共済におきましても年金制度というのは大変厳しい環境になっております。その三十年間の国鉄勤務期間保険料というのは当然、言葉は悪いですけれども、ちゃんと持参金を持って地共済に移るべきだ、そうでなければ三十年分は国鉄共済残りの十年分は地共済からの退職年金支給するんだ、このような制度になろうかと思うわけですが、今の国鉄年金状況を見てまいりますとあすにもパンクしそうな状況でございます。そういうような形で持参金を持ってこいと言っても国鉄共済年金からはなかなか厳しいだろうと思うわけです。そういう中で大蔵大臣は、この衆議院を通過するまでにきちっと国の方針を明らかにする、このようなことを答弁いたしております。とにかく国鉄共済制度大蔵大臣がたびたび答弁しているとおりでございますので、少なくとも国の責任においてこの年金の問題もきちっと整理をしていただいてその上で雇用を受け入れる、そういう立場で大蔵大臣自治大臣としての厳しい意見を申し述べていただきたいということを私は申し上げたいわけでございます。そのことにつきましてまずもって自治大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  4. 古屋亨

    古屋国務大臣 今お話しになりました国鉄民営化に伴う余剰人員対策一環として仮に地方公共団体国鉄職員受け入れる、まあきょうの閣議でもそういう話が出たのでございます。いろいろな人からいろいろな意見が出たわけでございますが、山口労働大臣からも自治労との話で、本人の話ですから今先生がおっしゃったような謝ったというようなことは言っておりませんけれども、とにかく地方団体でどうかというようなことを言っておりました。五十九年の地方団体はどのくらい採用しておるか、十一万弱でございます。そのうち七万人は大体職種が指定されておりまして、職種の指定されてない一般というのは約四万人。ラウンドナンバー数字で申し上げて申しわけありません。それで、そのうち男子がどのぐらいあるかというと三万人、そういうふうに考えるわけであります。だから、これを県、市町村等と見ていると、市町村においてお話しのように行革も進めておる、平均三名程度の新規採用というような状況でございますので、国鉄の人数につきましては、国もあるいは民間も地方団体もこれに協力しなければならぬ。また、協力のやり方は別にいたしまして、協力をできるだけ自発的な意思に基づいてしてもらいたいと私は思っておりますけれども、そういう場合に、お話のように国鉄におったのが地方団体につながった、すると国鉄に三十年いた、その金を、先生の話では持参金的に持ってくるのが当然じゃないかとお考えでございますが、地方で払うことは、その分については到底これは、地方共済も大変苦しい状況でございますので不可能だと思っております。  それで、先生大蔵大臣にはっきりそういうことを言ったらどうか、これは大蔵大臣にはしょっちゅう私もそういう事情は話しておりおりますけれども、とにかく自治省としましてはそういう地方団体に新たな負担を課せられるようなことのないように十分措置していきたい。そのためには大蔵大臣にもちろん話すこともそうでございますが、話ばかりじゃだめでございますから、何か政令なりあるいはまたそういうしぐさもきちっとしまして、地方負担がかかるそういう国鉄におられた分について、地方負担がかからぬように私もぜひそうしたい、しなければならぬというふうに考えております。  この前、加藤先生から鉄道公安官についてもお話がございまして、やっぱり同じように私ども考えております。
  5. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今の精神をしっかり生かしていただき、そして地方自治体職員採用ということになれば大変厳しい環境ではございますが、やはり国鉄事情も酌みながら、ぜひ前向きに善処していただきたいと思います。  次に、ちょっと厚生省関係お尋ねしたいと思うわけですが、たしかこの委員会柴田委員質問だったと思うわけでございますが、私もお聞きしておりましたら、特に基礎年金最低生活費かどうかというような質問がございました。それに対しまして厚生省の方は、老後の基礎的な生活部分である、これは衣食住含むのだというようなことが答弁として返ってきた記憶があるわけです。そういう中で、私もお聞きしておりまして五万円が基礎的な部分かというふうに率直にそのときの感想を持ったわけでございますが、本当に基礎的な部分として基礎年金部分が作用するのかどうか、私はその辺について一度厚生省の方へ確認を含めて御答弁をいただきたいと思います。
  6. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  基礎年金の額と申しますか水準についてのお尋ねでございますが、先般もお答え申し上げましたように、基礎年金の額は先生指摘のように老後生活基礎的部分保障するという考え方のもとに設定いたしたものでございますが、基礎的部分といたしましては、私どもこの水準を設定するに当たりまして、それでは六十五歳以上の単身者の老人の方々が月々に消費支出がどのくらいになっているかという点につきまして、総理府の行っております全国消費実態調査、これは今総務庁でございますが、全国消費実態調査が行われています。それをもとにして調べまして、そのうちいわゆる雑費を除きまして、食料費でございますとかあるいは住居費被服費等実態を踏まえるなどとして五万円の水準を設定いたしたものでございます。
  7. 山下八洲夫

    山下(八)委員 まあ総理府統計からということでございますけれども、統計上はそうであろうかと思いますが、実態的な生活からいきますとこれは生活保護費より少ないわけでございますから。生活保護費というのもある面ではそういう意味では最低生活保障でございますが、そこがやはり基礎的な部分だろうと思うわけです。そういうことがございましたのであえて確認意味を含めて質問したわけでございますが、またこの基礎年金部分につきましては後ほど触れたいと思いますので、次へ移っていきたいと思います。  そういう中で、同じようにやはりこの委員会その他で気になっている部分、あと一、二点お尋ねいたしておきたいと思うわけですが、国民年金保険料の推移を見ていきますと、この十年間でも大変なアップをしているわけです。毎年、特に五十年の一月から六十年四月を見ていきますと、千百円でありましたのが毎年高額にアップをしていきまして、現在六千七百四十円になっている。十年で約六・五倍も保険料が上がっているわけです。  そういう中で、私は一つ検認率もどんどん落ちてきているのではないか、そのように思うわけです。この検認率にいたしましても、昭和五十一年九六・四でありましたのが年々少しずつダウンしていきまして、現在九四・一になっている。私は、この検認率にいたしましてもこの保険料が大きく作用をしているというふうに思うわけです。またこれからも際限なくどんどん上がっていって、すぐ一万三千円になってしまう。こうなってきますと、実に自営業者の夫婦の場合だと毎月二万六千円からこの国民年金保険料を支払わないとならない。大変家計的にも負担料が大きくなってくると思うわけです。そういう中で私は、一つはこの保険料が高過ぎて結局は検認率が落ちてくる、結局は保険料を支払う方が年々減ってくるということがこの数字を見ましてもはっきりしていると思うわけです。ですから、あくまでもやはり基礎的な部分でございますから、この保険料というのは最低限に抑えていく、このことが私は国民年金の上でも大変重要なことでありますし、私たち社会党としましては、国民年金の基礎的な部分につきましては保険料なしで、本日はその先までは突っ込みませんけれども、保険料なしで、すべて日本国民として生まれれば六十五歳になれば六万五千円ぐらいの基礎年金は黙っていたっていただけるんだ、これが本当の皆年金制度であろうと思うわけです。  そういう趣旨等を見ながら、また一方では確かに法的の法定免除とかあるいは申請免除があるわけでございますけれども、これに当てはまらない部分での検認率が下がるということは私は大変不幸な事態を起こすと思うわけです。その辺につきまして厚生省のお考えをちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  8. 植西常郎

    植西説明員 お答えいたします。  先ほど先生お話しになりましたように、国民年金検認率も、最近四、五年の検認率を見ますと、五十六年が九五・七、五十七年が九五・二、五十八年が九四・六、五十九年が九一・一というふうに若干ずつ下降ぎみになっておりますが、それよりも非常に大きなのは保険料免除状況でございまして、先ほど先生もおっしゃいましたように、国民年金免除状況につきましては五十九年度末で三百十九万人というふうな数字になっておりまして、一七・四というような免除率になっております。この免除につきましては最近増加傾向にございましたが、五十九年に入りまして若干落ちついてきておりまして、五十八年から五十九年にかけましてこの増加傾向も鈍化してきております。ただ、鈍化はしておりますけれども、この免除を受けておられる方々状況全国的に見ますと、地域間にかなりの格差があるようでございまして、一部には免除というものを安易に受けておられる人がいるのではなかろうか。免除というのは、給付を受ける面で免除期間というのは三分の一というふうに不利な取り扱いになることになっておりますから、免除というのは必ずしも有利にならないというようなこと。それからまた、免除というのは納める努力をしてもなおかつ納められない人が受ける制度というふうな免除制度趣旨を十分徹底し、保険料を納めるように働きかけていきたいと思っております。  それから、先ほどお話がございましたように、また一面保険料は年々上がってきておりまして、確かに納めにくくなったということがございまして、そういうことが免除がふえた一因にもなっているのではなかろうかというふうなことも考えられますので、保険料納付の面で、今までは三カ月ごとに保険料を集めておりましたけれども、これを毎月納付に切りかえていくとか、それから都市部におきましては口座振替を若干ずつやっておりますけれども、他の公租公課に比べまして若干その普及率が低くなっておりますので、こういった口座振替推進普及をさらに進めていくといったようなことで、保険料の納めやすい環境づくりをしていきたいと思っております。そういうようなことによりまして、本当に保険料を納めることが困難な人が免除を受けられるような免除制度にしていきたいというようなことで努力を図っていきたいと思っております。  これから無年金者というものが出てくるケースといたしましては、例えば年金制度加入手続をとっていないとか、加入しても保険料を納めていないといったようなケースの場合にそういうことが起こり得るわけでございますけれども、加入手続をとっておられない方々につきましては、市町村の段階で、市町村の備えつけ公簿によりまして今適用されてない方々の名簿をつくりまして、その方々に個別にはがきを出したり、それから電話で個別勧奨したりしまして加入の勧奨を図っておりますけれども、さらにこれらの措置を続けていきたいと思っておりますし、それからまたその準備ができましたものにつきましては、届け出が出なくても役所の方で一方的に年金手帳を送付するといったような方法で適用推進を図っていきたい。そういうようなことによりまして、適用推進をさらに図っていくように努力を進めていきたいと思っております。  それからまた、保険料の滞納をしておるような方々につきましては、先ほど言いましたように、保険料の納めやすい環境づくりに力を入れていきましてできるだけ保険料を納めていくような努力を図っていきたい、かように思っております。
  9. 山下八洲夫

    山下(八)委員 何か、一つ保険料を納めやすい環境にまだ十分なってないというような御答弁のように受け取れるわけでございますが、私はそれが第一義的な理由ではないと思います。何といいましても、やはり保険料が高いということが一番大きな理由で落ち込んできているのではないか、私はそのように判断をしております。同時に、免除の種類には、先ほど申し上げましたとおり、法定免除申請免除がきちっと決められているわけです。これを見てみましても、法定免除、それから申請免除国民年金法の八十九条と九十条にそれぞれうたわれているわけですが、これを守りますと、この法定免除であれあるいは申請免除であれ、かなり少なくなるのではないか、私はそのように思うわけです。それ以外には、やはり何といいましても毎月毎月支払う保険料が高い、せっかく国民年金加入したけれども、毎年毎年どんどん上がっていく、ここに大きな原因があろうと思うわけです。  そういう意味で、先ほど申し上げましたとおり、やはり基礎年金部分につきましては、特に日本国民として生まれ、日本国民として日本国憲法を守るのであれば、六十五歳になったら国の責任において基礎年金支給をするんだ、そういう精神になっていただきたいということを申し上げまして、次へ移らせていただきたいと思います。  けさになりまして一つだけ急に質問したいことができましたので、ちょっと自治省の方に御迷惑をおかけするかと思いますが、ぜひ御答弁をお願いしたいと思います。  実は私のところへけさ電話で、県会議員を四期、四期ですから十六年経験をした、現在五十九歳である。ただ、兼職をやっておりまして、厚生年金にもずっと入っていた。来年六十歳になるから厚生年金ももらえる資格が出てくる。そういう中で、県会議員を四期、十六年経験しながら、互助年金と申しますか県の共済会から県会議員議員年金の方の年金が一部カットされている、これは大変おかしいではないか。私もこのことにつきまして大変疑問を感じたものですから、ぜひこの機会に自治省の方のお考え、どのようになっておるのか、まず御答弁をいただきたいと思います。
  10. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生よく御存じのように、議員年金というのは互助年金という性格づけがされておりますが、実体的にはその中に公費が入っておるということで、公的年金というふうに最近は考えられるようになっております。  そこで、今先生お話しになりました厚生年金にも入っておるということになりますと、その財源の中に公費が重複して入っておるというので、公費重複分調整するということで、今先生が御指摘になりましたような調整が行われておるわけでございますが、ただ議員年金の場合には他の公的年金から現実年金支給されているかどうかということとかかわりなく公費分について調整されるという法律になっております。そこで先生お話しになるような問題になるわけでございますが、この問題につきましては地方議員互助年金に特有の制度でございますので、国会議員における取り扱い等も参考にいたしまして将来の検討課題にさせていただきたいというふうに考えております。
  11. 山下八洲夫

    山下(八)委員 私も疑問を感じましたのは、この方は六十歳で厚生年金を受給する資格を得るわけでございますけれども、もし六十歳未満で亡くなられますと、この地方議会互助年金だけで、それはカットされてしまうという大変な矛盾を今感じたわけです。少なくとも今問題がありますのは、この議員年金の方は五十五歳から、それから厚生年金の方は六十歳、この五年間のギャップが問題を一つは引き起こしていると思うわけです。だが、現実にはこの五年間というのは互助年金を受給できる資格を持っているわけですから、この間は少なくとも一部カットをしないということでこれからぜひ進めていただきたいと思いますが、その辺につきましてもう一度御答弁いただきたいと思います。
  12. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 現在の法律に基づきまして今先生が御指摘になりますような調整が行われておるわけでございますので、私たちの方ではそういう御指摘というものも踏まえまして、これから先の検討課題というふうにさせていただきたい。そのときに国会議員扱い等も勉強させていただきまして、私たちの方では適切な結論を出したいというふうに考えております。
  13. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それでは地共済本来の方で、これから先に支給開始年齢の問題と消防職員の問題を中心質問させていただきたいと思うわけでございますが、その前に厚生省自治省の方に、後ほどの質問に関連してまいりますので、一つだけお尋ねしておきたいと思います。  退職年金老齢年金の違いを厚生省自治省からそれぞれ御答弁いただきたいと思います。
  14. 谷口正作

    谷口説明員 お答えいたします。  厚生年金老齢年金とそれから共済組合退職年金との違いについてのお尋ねでございますが、先生御案内のように、厚生年金につきましては、老後生活保障のための一般制度であるということで、この老齢年金というのは一定以上の年齢の到達を受給権発生要件といたしておるわけでございます。一方、共済年金につきましては、公務員制度一環としての性格を持ち、いわゆる職域年金としての性格を持つ、退職年金もそういった性格を持つ年金給付であるというふうに理解いたしております。
  15. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 厚生省から御説明があったことで基本的な点は説明されていると思いますが、なおそれにつけ加えて一、二点御説明させていただきます。  地方公務員の場合に退職共済年金というふうにさしていただきまして、退職要件としたということの一つ理由は、共済組合というのが短期給付と長期の給付とを同時に行っておる組織である。したがいまして、在職中は組合員というふうにしておきまして短期給付もやはりできるようにしておいた方がいいだろうということで退職共済年金ということにさしていただいておるということが一つ。もう一つは、地方公務員の場合に高齢者、特に六十五歳以上で在職されている方は通常はやはり特別職の方、比較的給料の高い方が多いというような実態もございまして、退職要件にさしていただいてもいいんじゃないかという二つのことをつけ加えて説明させていただきたいと思います。
  16. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それでは支給開始年齢に関する質問をさしていただきたいと思います。  まず最初自治大臣お尋ねしたいわけでございますが、地方公務員法第四十三条には退職した場合における退職年金制度が規定されているわけでございます。その三項では、前項の退職年金に関する制度は、退職のときの条件を考慮して本人及びその退職当時その者が直接扶養する者のその後における適当な生活の維持を図ることを目的とするものでなければならないとされているわけでございます。その趣旨につきまして大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
  17. 古屋亨

    古屋国務大臣 地方公務員法の四十三条の趣旨をどういうふうに考えるかという問題でございますが、厚生年金保険法におきましては、御承知のように、労働者、その遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とするという規定があります。この厚生年金法の規定と今御指摘になりました地方公務員法四十三条の規定を比べてみますと、地方公務員の規定では退職のときの条件を考慮して適当な生活の維持を図ることを目的とするということを規定しておりますことからいたしまして退職年金としての性格が強調され、かつその目的につきましても厚生年金法よりも具体的な規定となっておるわけでございます。要するに公務員の共済年金が公務の能率的な運営に資するべきものであるという趣旨であると私は考えておりまして、職域的なことを強調している意味だと考えております。
  18. 山下八洲夫

    山下(八)委員 その上に立ちまして、共済年金は、今お話しございましたとおり老齢年金ではなくあくまでも退職年金だと思うわけです。改正案でも報酬比例年金については退職共済年金ということになっているわけでございます。決して老齢年金にはなっていません。ところが、この改正案を読んでみますと、支給開始年齢は本則六十五歳となっているわけです。公務員の定年制は現在六十歳であるわけでございます。退職年金という性格から見てここにまた明らかに五年間という大きなずれがある、矛盾があるわけです。そういうことを考えますと、この矛盾をただしていく、このことが一番正しいのではないか、そのように考えているわけですが、その辺につきまして公務員部長さん、ぜひ御答弁いただきたいと思います。
  19. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 御提出いたしております法案では、今先生お話しになりましたように本則が六十五歳、附則の方で六十歳、こういうことになっております。なぜそういう規定の仕方をしたのかという御指摘だと思いますが、地方公務員共済年金につきましてもこの際基礎年金を導入するという改正案を用意させていただいたわけでございますが、既に基礎年金を導入しております厚生年金におきまして本則六十五歳、附則六十歳という規定の仕方をいたしておりますので、同じように基礎年金を導入する地方公務員共済におきましても規定の仕方といたしまして厚生年金の方と平仄を合わせたということでございます。  先生が御指摘になりますように定年制との関係といいますか雇用との関係というものが当然出てまいりますが、支給開始年齢の六十五歳ということを現在我々が考えているわけじゃございませんし、そういうことを議論するときには雇用との関係というものも十分踏まえて議論しなければ納得というのが得られないだろうと認識しております。
  20. 山下八洲夫

    山下(八)委員 六十歳から六十四歳の間には基礎年金相当額を含めた退職共済年金を特別支給することになっている。しかし本則は六十五歳となっているわけです。そうすると、公務員の定年制を今六十五歳にする考えがあるのか、もし考えがないとすれば、先ほどの質問にいたしましてもやはり本則六十歳が妥当だと思うわけですが、もう近い将来に定年制を六十五歳にする計画があるのか、あるいはあるとすればあるということを教えていただきたいと思いますし、また具体的な何ら検討もなされていないのか、その辺のことにつきましてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  21. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 定年制法案の審議のときにも随分御議論いただいた問題でございますが、現在日本の企業の中で定年制というものを採用しておりますのは八七%くらいです。その中で六十歳以上の定年年齢というものを採用しておるのが、たしか六十年の労働省の調査によりましても二、三%しかなかったと記憶しております。そういたしますと、六十五歳定年というのが公務員の世界でそんなに早く実現できるというふうには考えにくいわけでございますけれども、ただ私が先ほど申し上げましたように、今回の規定の仕方というのは基礎年金を導入した厚生年金との関連というものを考えて規定をさせていただいたわけでございまして、私が繰り返し申し上げますように六十五歳支給ということに持っていくためには雇用の関係、特に定年との関係というものを考えなければ六十五歳支給というものには持っていけないだろう。そういうことでないと国会の承認も得られないでしょうし、国民も第一納得してくれないのじゃないかと考えておりますので、私たちは規定の仕方ということもさることながら六十歳支給というものがここ当分続くのじゃないかというふうには考えております。
  22. 山下八洲夫

    山下(八)委員 確かに今の環境で公務員の六十五歳定年というのは大変難しいと思います。この問題につきまして深く議論をしようと思いませんが、定年の延長の計画は当面、今のお話ではないというふうに理解をさせていただいたわけでございますが、そういたしますと、厚生年金とのバランスというお話がございましたが、支給開始年齢を本則六十五歳にするというのは全く理解ができないわけです。本則を六十歳として、仮に定年制の延長がありましたらその時点において改めて支給開始年齢についての再検討を行って、場合によれば六十五歳にすればいいという格好になるのが手順ではないかと私は考えるわけです。そういう意味で私は今この問題についてお尋ねしているわけでございます。  そういう中で、私は、もう一度お尋ねしたいと思うわけですが、今申し上げましたとおり、六十五歳にするというのは納得できないのですが、もう一度御答弁いただきたいと思います。
  23. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生お話しになりましたことは、先国会の厚生年金法の改正のときにも随分議論されておりましたのを私はそばから聞かせていただきました。私が申し上げたと同じような説明がなされたわけでございますけれども、その厚生年金法というものが国会で承認された現在の段階における私たちの規定の仕方といたしましては、やはり厚生年金と平仄を合わせていただいて、形式面においても公的年金一元化という方向に沿った改正をさせていただいてもいいんじゃないかというふうに考えております。
  24. 山下八洲夫

    山下(八)委員 地方公務員法では、第四十三条の四項で、「国の制度との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。」と書いてあるわけですが、他の公的年金との関係については書いてないわけでございます。国家公務員にももちろんそういうことはございません。他の公的年金とのバランスを考慮しなければならないのは当然でございますけれども、それは先ほど冒頭お聞きいたしました共済年金退職年金という性格まである面では否定してしまうことになるのではないか、そのようにも私は思うわけです。だから、そういう立場から考えても、今回の六十五歳ではなくて、本則六十歳にすべきだ、そのように私はまだ判断をしているわけです。  そういう意味で、六十歳に変える気持ちはないのかどうか、修正する気持ちはないのかどうか、ぜひもう一度重ねて答弁いただきたいと思います。
  25. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 重ね重ねの御指摘、御質問でございますが、私が繰り返し御説明申し上げましたように、基礎年金導入ということの関連におきまして、厚生年金との平仄を合わせていただいたということでございます。そして、実体的にも先生が御心配になられるようなことを考えておりませんので、ぜひ御提案申し上げました規定の仕方で御了解いただきたいというふうにお願い申し上げます。
  26. 山下八洲夫

    山下(八)委員 そうしますと、ちょっと譲っていきたいと思うわけですが、基礎年金支給開始年齢が六十五歳であるといたしましても、従来の共済年金は、一階部分も二階部分も分けずに六十歳支給であったわけです。基礎年金部分も含めて本則は六十歳にするのが当然でございますけれども、まあ百歩か、千歩ぐらいと言った方がいいと思うのですが譲って、例えば退職共済年金はその名のとおり退職年金であるのは先ほどから議論をしている中でも明らかであるわけでございますが、これについては少なくとも六十歳と規定すべきではないか、そのように思うわけですが、そこの部分についてはいかがでしょうか。
  27. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生お尋ねがいわゆる報酬比例部分退職共済年金部分ということの御質問だというふうに承りまして答弁させていただきますが、そのことを含めまして、先ほどから私が申し上げておりますように、厚生年金におきましても報酬比例部分についてそういう規定の仕方がされておりますので、私たちも報酬比例部分について、今先生お尋ねになりましたことについて同様の考えを持っておるわけでございます。
  28. 山下八洲夫

    山下(八)委員 先ほどからのまた繰り返しになるかわかりませんが、厚生年金共済年金は、老齢年金退職年金の違いがあるわけです。特に共済の場合は、六十五歳であっても、先ほどの御答弁では大変高給者が多いということでございましたが、これは併給禁止、併給と言ったらおかしいですけれども、とにかく公務員であれば退職年金支給されないというふうになっておりますけれども、厚生年金の方は、支給されるわけでございます。そういうところの矛盾はあるわけでございますけれども、あるからこそまた一方では退職年金となっている、退職した時点から年金支給されるという形であろうと思うわけです。  そういうことを考え、振り返っていきますと、本則が六十五歳になっておりますのは六十歳の特別支給をなくすためではないか。六十歳の特別支給をなくするためには本則の六十五歳の法律を改正しなければならないと理解したいと思いますが、この考えでよいのかどうか。あるいはまた、特別支給をやめ六十五歳支給開始年齢に繰り延べていく計画があるのかどうか。その辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  29. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 六十五歳へ支給開始年齢を引き延ばすという考えは現在持っておりませんし、そういうことを前提にして、今御提案申し上げている法律のどこをどういうふうに改正するのかということも考えたことすらございません。
  30. 山下八洲夫

    山下(八)委員 厚生省にちょっとお尋ねしたいのですが、厚生省の方は、厚生年金の特別支給をやめて六十五歳支給にする計画があるのかどうか。特に、昭和七十三年に六十一歳に繰り延べて、三年に一歳刻みで繰り延べて八十五年に六十五歳にするというようなことがあっちこっちから聞こえてくるわけでございますが、それはどういうふうな性格のものか、またこれはあくまでもうわさなのか、その辺を含めて御答弁いただきたいと思います。
  31. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 年金支給開始年齢の問題は、今後の高齢化社会を展望いたしますと避けて通れない課題ではあろうかと思いますけれども、現時点での雇用の動向等を勘案いたしますと、引き上げは時期尚早という御意見があるわけでございます。そういうことで、今回の改正では、厚生年金保険の支給開始年齢は従来どおりといたしたわけでございます。したがいまして、厚生省は、現在、御指摘のような計画を持っておりません。  それから、試算、これまで公表したものがあるではないかという御指摘でございましたが、これはあくまでも仮に支給開始年齢を六十五歳にしたらどうなるかという仮定の計算を公表したものでございます。
  32. 山下八洲夫

    山下(八)委員 この問題ばかりやっておりますと先に進まなくなりますから、ちょっと大臣お尋ねしたいと思います。  私も同じ選挙区の隣町の大臣に一年間おつき合いさせていただきましたし、またこれからも長く長く大臣としておつき合いをさせていただきたいなというふうに思っているわけですが、そういう中で、あと何回自治大臣に対しての質問ができるかわかりませんので、できればひとつ、祝儀答弁というのもありますので、ぜひ前向きの答弁をいただきたいと思います。  実は、今特に中島務員部長さんとやりとりをしていたわけでございますが、一歩も前に出てくださらないので、ぜひ大臣の方に一歩前に出ていただきたい、それを期待してもう一度重ねてこの問題について質問したいと思います。  共済年金退職年金という性格から、あくまでも定年制の変更がない限り実質六十歳支給という制度を絶対変えていかないということを明らかにしていただきたいと思うのです。できれば本則も六十歳にしていただくということを明らかにしていただきたいわけでございますが、そこまでは申し上げませんので、実質六十歳支給という制度を変えることはあり得ないというようなことをぜひ御答弁いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  33. 古屋亨

    古屋国務大臣 支給開始年齢の問題につきましては、先ほどから公務員部長が言いましたように、共済年金制度への基礎年金の導入等にかんがみまして、厚生年金と同様の規定をしたものでございます。つまり、厚生年金に合わしたということでございます。  それから、支給開始年齢につきましては、定年制との関連も含めまして今後の雇用情勢の動向に十分配意して検討していかなければならない問題であるという認識を持っております。
  34. 山下八洲夫

    山下(八)委員 それでは次に、ちょっと変えまして、特別支給の期間の公的負担についてお尋ねしたいわけでございます。  六十歳から六十四歳の間は公的負担が全くないわけでございますけれども、それはどういうことでないのですか。
  35. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 公的年金制度に対する公的負担ということにつきましてはもうかねがね議論がございまして、それぞれの年金制度で公的負担の割合が違うじゃないかといういろいろな御指摘がございました。そこで、今回の年金制度の改革というものを契機にいたしましてすべての年金制度基礎年金を導入していこうということを考えまして、その基礎年金の方に拠出する額の三分の一を公的負担にするということですべての公的年金制度を通じて公的負担を公平にしていこうじゃないか、こういうことで統一を図らしていただいて御提案申し上げておるわけでございます。  そこで、六十歳から六十四歳までの間の特別支給について公的負担ということになりますと、公務員の世界にのみ特別な公的負担ということになりますので、やはりそれは国民の納得を得られないのじゃないかというふうに考えまして、その部分についての公的負担を遠慮させていただいた、そういうことでございます。
  36. 山下八洲夫

    山下(八)委員 また定年制がぶり返したり、また退職年金制度がぶり返したりするわけでございますが、定年制が変更されない限り共済年金支給開始年齢を六十歳とするのは、先ほどから何回か私も申し上げておるとおり当然でございます。ところが、特別支給期間の公的負担ゼロは結局は年金財政をうんと逼迫させまして財政危機をつくり出して、最終的には六十五歳支給に追い込もうとする意図があるのではないか、これを心配するわけです。このようなことはないですね。
  37. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生お話しになりましたほど私も人が悪くございません。そういうふうなことを考えてまで私たちは公的負担というものを六十歳から六十四歳の間に入れないということを考えているわけじゃございませんで、先ほど御説明申し上げましたように、すべての公的年金制度について公的負担を等しくしていこうという考え方でございますので、どうぞ私が御説明申し上げますように御理解いただければというふうにお願い申し上げます。
  38. 山下八洲夫

    山下(八)委員 これは自治省からいただいた資料でございますけれども、「公的負担額の将来見通し」、五十九年度価格で六十一年、六十五年、七十年、七十五年、八十年、八十五年、九十年と五年刻みで現行制度の公的負担額と改正後の公的負担額を見ていきますと、六十一年度につきましてはマイナス百億になるわけでございますが、六十五年度で百億、七十年度で二百億、七十五年度で七百億、八十年度で千億、八十五年で千六百億、九十年度で千八百億と大変な負担額の差が現行制度と改正後でいきますと出てくるわけです。それだけ共済年金が逼迫をするんでないかという心配もして私は今申し上げたわけでございますが、ぜひそのようなことがないようにしていただき、できれば本来なら公的負担をぜひ処置していただきたいと思うわけでございますが、時間がありませんので、ちょっと次へ移らしていただきたいと思います。  消防職員の方の関係についてお尋ねしていきたいと思います。  消防職員の五十五歳支給の特例廃止に踏み切られたわけでございますが、その理由はどのような理由で踏み切られたのでしょうか。
  39. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 消防職員につきましてもことしの三月三十一日から定年制が施行されまして六十歳まで定年が延びたわけでございます。そのことが一つと、現在のように五十五歳の特別支給制度というものをなお維持しておきますと、やはり一般の公務員に比べて掛金率がそれだけ高くなるということもございまして、消防職員の間から支給開始年齢についても一般職員並みにしてもらいたいというような要望があったこと、それらを踏まえまして私たちの方では消防庁と十分協議をいたしまして、今回の提案をさしていただいたということでございます。
  40. 山下八洲夫

    山下(八)委員 消防庁と協議をなさったということですが、特に年金の対象者というのは現場職員が一番目を向けていかなければならない部分だと思うわけです。その消防庁のお話ではなくて、現場の職員の話なんかはお聞きになられたのでしょうか。どのような状況でしょうか。
  41. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 私たちは消防庁の方とよく意見を交換いたしましたが、消防庁の方では現場の方の意見を吸収して私たちの方に六十歳支給ということで改正案をつくってほしいという返事をいただいておりますので、現場との接触といいますか、現場の意見の吸収については消防庁の方から御答弁をいただいた方がいいんじゃないかというふうに思います。
  42. 関根則之

    ○関根政府委員 消防職員共済制度、特に特例廃止の問題につきましては消防関係者としても大変関心が深い問題でございますし、相当長い期間にわたって議論がなされてきたわけでございます。私どもといたしましては、消防職員の意向を酌みますために消防長さんたちが組織いたしております全国消防長会に意見の取りまとめをお願いいたしまして集約をしていただいたわけでございます。  消防長は、当然のことながら部下の消防士を指揮監督し、その勤務条件等について配慮すべき立場にあるわけでございます。一番現場をよく知っている消防長であるわけでございますので、それらの意見集約をすることによりまして全体の消防職員の意向というものが集約されたものというふうに考えておるところでございます。
  43. 山下八洲夫

    山下(八)委員 消防長が現場を一番掌握している、当然のことでございますが、これにつきまして現場の職員はあっちこっちからなかなか我々の意見は聞いてくれないというようなことが、私のところにも届いているわけですが、そのことにつきましては後ほど触れていきたいと思います。  昨年の前半は特例存続の意向であったと思うわけです。私の手元に、これは昨年の八月の全国消防長会の連絡会議用の消防庁の部内資料だと思われるのですが、この資料を見ていきますと、日付がきちっと書いていないからあれですが、六月ごろのものではないかというのがあるわけです。これを見ますと、特例措置を維持されるべきだというふうに書いてあるわけです。これは多分消防庁の資料にまず間違いないというふうに私は理解して、きょうお持ちしたわけですけれども、「自治省消防庁消防課における現在の意向」ということで、「1、特定消防職員年齢退職者の状況」、このことは後ほど触れたいと思います。  それで、「2、特定消防職員退職年金支給開始年齢の特例について」ということが書いてあるわけです。時間の関係上、全部読みませんが、そのうちの(1)に「消防の業務は災害発生という悪条件の下、長時間にわたり勤務が必要となる場合があり、消防職員にはある一定水準以上の体力が要請される等地の職種には見られない職務の特殊性があり」云々ということが書いてありまして、(4)の方に「したがって、特定消防職員については、引き続き退職年金支給開始年齢の特例措置が維持されるべきものであると考える。」そのほか(2)、(3)、(5)といろいろと詳しく書いてあるわけですが、このように書いてあるわけです。そのことで行きますと、突然変わったような気が私はするわけです。この日付を見ていきますと、その中の別の書類に五十九年六月十八日というふうに書いてありますから、その近所に出た消防庁消防課の資料ではないかというふうには私は思っているわけですが、そこには明確に特例措置を残すべきだというふうに言っているわけですが、その辺についてはいかがですか。
  44. 関根則之

    ○関根政府委員 年金支給開始年齢消防職員についてどうするかという問題は、職務の内容とも関連をいたしますし、また掛金の問題等もあるわけでございます。また同様な職務と通常考えられております警察職員につきましてどういう方針で臨むのか、そういったこととの関連もやはり考えながら、長い時間をかけまして議論をしてきたわけでございます。当然それは消防庁の内部におきましても議論をいたしましたし、また全国市町村の消防長さんたちの中、あるいはそれぞれの消防署の中でも議論がなされたものというふうに考えます。  その議論の過程におきましては、特例を引き続き存続した方がいいのだという議論がある、一方、もうそろそろ定年も六十歳になったのだから、一般職員と同じようにやるべきではないか、体力の問題ももちろんありますけれども、体力というのは、大体中高年層につきましての体力向上というのが、最近は目覚ましく改善されてきている、そういう背景もあるわけでございまして、そういった議論の過程で賛否両論、いろいろあった。ある断面をとれば賛成、ある断面をとりますと反対ということが出てくるのは、これは議論の過程におきましては当然のことではなかったかと思います。しかし、いずれにしろ最終的な集約といたしましては、現在の特例は廃止して通常の一般職員と同じような取り扱いにしていただきたい、こういう形に集約されたものと考えておるわけでございます。
  45. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今保険料の掛金率が高いというようなこともお話があったわけでございますが、この(5)の中に、ちょっと読みますけれども、「なお、現在、退職年金支給開始年齢については、一般職員と特定消防職員とで一歳しか違わないので、高い掛金を支払う程のメリットが余りないという意見があるが、これは、一般職員支給開始年齢については、三年毎に一歳ずつ引上げてゆくという経過措置がとられているためであり、今後両者の支給開始年齢には徐々に開きが出てくるものであり、特例措置のメリットはあると考える。」このように書いてあるのです。「また、共済組合の長期給付に要する費用についての財政再計算は、現在自治省公務員部で進められている。公務員部ではこの財政再計算の結果を踏まえて本年十二月一日に共済組合の定款を変更する予定である。公務員部の非公式の話では、」「非公式」と書いてあります、「の話では、財政再計算の結果、消防職員一般職員との掛金率の差は縮まるのではないかとみているようである。」このようにわざわざ書いてあるのです。掛金率はだんだん縮まってくると書いてあるわけです。ですから、私は、急遽変わったというのはもう一つ納得できないわけですが、御答弁いただきたいと思います。
  46. 関根則之

    ○関根政府委員 内部的にもいろいろな意見があったわけでございまして、検討の過程におきましてあるいは今お読みいただきましたような議論があったのかもしれないというふうに考えております。しかし、これはある日突然に何かの契機でぼんと変わったというものではありませんで、甲論乙駁といいますか、賛否両論を長いこと時間をかけて各方面で議論をしていただきまして、最終的に特例廃止の結論が出たということでございます。
  47. 山下八洲夫

    山下(八)委員 じゃあ、先ほど答弁をいただいてお聞きしなかった、全国のそれぞれの消防長の皆さんが現場の意見をいろいろと集約してこのような制度にされたという御答弁があったわけですけれども、消防には御案内のとおり団結権はございません。任意団体のように消防職員協議会があるわけですけれども、本年の四月から五月ごろにかけて消防当局と消防職員協議会が話し合いをしたらしいのです。その結果、昨年の九月の段階ではまだ現場には全く相談がなかった、そのようにお話があったそうでございます。また、全国消防長会が廃止の方向を固めました九月以降ことしの二月の地共審諮問に至る間も、現場にはそれぞれ現場の消防長あたりからの具体的な相談は何もなかったということを現場は言っているということを消防職員協議会はかなりまとめているわけでございます。先ほどは何か現場の意見を消防長が中心になりましてお聞きし、それを反映さして全国消防長会でこの方向を決められたんだという御答弁もあったわけでございますが、かなりの現場とのずれがあると思うわけですが、その辺についてはいかがでしょうか。
  48. 関根則之

    ○関根政府委員 全国の消防長さんたちが集まりまして全国消防長会というものをつくっております。これはいろいろな意味におきまして消防全般にわたって専門的な委員会などもこしらえながらいろいろ勉強もし、情報交換もしているところであるわけでございます。私どもこの共済制度につきまして我々の考え方を決めるに当たりまして、消防の職員等の御意見を参考にしたいということで、一番適当な組織といいますか団体として消防長会の御意見をお聞きすることにしたわけでございます。消防長会におきましては、大体昨年の夏ごろから具体的な討議に入ったと私どもは聞いておりまして、その間、民主的な手続が行われたと私は考えております。したがって、もちろん消防署によりましては濃淡の差はあろうかと思いますけれども、全国消防長会のしかるべき手続に従いまして、広く意見の集約を行うための作業が行われたと考えておるところでございます。     〔委員長退席、平林委員長代理着席〕
  49. 山下八洲夫

    山下(八)委員 この問題だけではなくて、特に今触れましたとおり消防につきましてはまだ日本の場合団結権が認められていないわけですから、もっともっと懇切丁寧にやはり現場職員意見をしっかりと聞いていく、そういうルールを確立していただきたいと思います。  ちょっと先に急ぎたいと思います。特にこの改正案につきましては、私は消防職員の重大な勤務条件の変更と考えるわけです。今までなぜそのような特例措置があったか、やはり消防職員の勤務条件があったからこそ、あるいはまた警察も今回消防と同じようになるわけでございますが、やはり勤務条件の関係から来ていると思うわけです。そのように考えますと、勤務条件の変更も今後考えられるのかどうか、そのことについて確認をしておきたいと思います。
  50. 関根則之

    ○関根政府委員 勤務条件という言葉は、一般的な日本語としては非常に幅の広い、意味の広い概念だと思いますけれども、法律上勤務条件というのが今議論をいただいている問題との関連で直接出てまいりますのは、多分地方公務員法の二十四条あたりに出てくる問題だろうと思います。二十四条の六項で使われております勤務条件というのは、条例で定めなければいけないということが規定してありますけれども、そういうところで使っております勤務条件にはこの共済制度というものは当てはまらないと私は理解をいたしております。消防職員についての共済制度というのは、法律によって直接規定をされ、国会によって議決をいただいた法律に基づいてストレートに制度ができ上がっているというものでございますので、地方公務員法で言う勤務条件には該当しないのではないかと考えております。
  51. 山下八洲夫

    山下(八)委員 だけれども、昭和五十四年の地方公務員共済組合法改正の際に特例として制度化されたものですね。そのときに制度化した理由は、ある程度これにも関連があるわけでございますけれども、やはりそれなりの理由があったと思うわけです。五十四年から今昭和六十年ですから五年ちょっとしかたっていないわけです。それで大きく変わろうとしているわけですが、そこにはやはり今申し上げました定年が六十歳になった、なった理由はなった理由としていろんな理由があるわけでございますけれども、ただ定年が六十歳になったから共済を六十歳にして特例措置をなくするという単純なものではないと思うわけです。そこには制度化に対します大きな理由があったと思うわけですが、その辺についてはいかがでしょうか。
  52. 関根則之

    ○関根政府委員 五十四年から数えてまだ六年しかたっていないということで、その間に考え方が変わるのは早過ぎるというお話でございますが、制度というのは一たんこしらえたものをいつまでも守っているが能ではないと考えます。そのときどきの社会情勢なり、いろいろな人間の物の考え方の推移に応じてやはり考えていかなければいけない、必要な改正を加えていかなければいけないものと理解をいたしております。特に定年制等につきましては、ここ数年来定年延長への要望といいますかそういうものが非常に強くなり、それを受けまして政府全体としても積極的に定年延長の取り組みをいたしているわけでございます。  消防職員につきましても、定年制度を導入する際に何歳にすべきかという議論がここ数年来行われたわけでございます。結果的にはことしから一般職員と同じように六十歳ということで警察職員消防職員も、勤務の特殊性はありますけれども、できるだけいろいろな配慮をすることによって、あるいは工夫を凝らすことによってできるだけ能力と意思とがある間は長く公務についていただきたい、そういう願望を込めまして消防職員につきましても六十歳定年をとっていただいたわけでございます。  共済支給年齢とは直接関係はないといえばないかもしれませんが、私は共済支給開始年齢というのは定年制というものを後ろから実質的に支えるものである、その決め方いかんによりましては定年制を有名無実にしてしまうおそれもなきにしもあらずというような感じを持っておるわけでございます。  事実、特例年齢を設定いたしておきますと、先ほどから申し上げておりますように掛金率は高くなるわけでございます。一方、定年をできるだけ六十歳に近づけて実質的にも六十歳になってやめるというふうに持っていきますと、高い掛金を払いましても結果的には同じこと、退職をし、六十歳過ぎてから年金をもらう、しかし過去振り返ってみますと自分たちの納めていた掛金は高いということになるわけでございまして、その間にやはり割り切れない、おかしいではないかという消防職員の御意見等もあるわけでございます。そういったものを勘案をいたしまして、この際一般職員と同じように六十歳定年、六十歳から年金支給を開始する、そういう制度に変えようという決意をしたわけでございます。
  53. 山下八洲夫

    山下(八)委員 消防職員年齢退職者数を消防庁からいただいたわけでございますけれども、これを見てまいりましても——私が手元に持ってまいったのとちょっと数字が違うものですから、この消防庁でいただいたのでちょっとお話ししたいと思うわけです。昭和五十七年度消防職員退職者数が五十五歳五百四十三、五十六歳が二百四、五十七歳が四百三十八、そして昭和五十八年度が五十五歳四百八十八、五十六歳三百九、五十七歳三百九十六と、特に五十五歳から五十七歳ぐらいに集中をしているわけです。     〔平林委員長代理退席、委員長着席〕  それから一般職と比べたらどうかといいますと、一般職の退職者数は全体的に一番多いのは五十八歳がパーセントとして出てきているわけです。そうしますと、消防職員はこの推移から見ても一般職の皆さんよりは若干早目に退職をされる、そのように理解できるわけです。それは何がといいますと、一つは激職である、高年齢になればなかなかつらいという面があるからだろうと思うわけです。それだけに早いと思います。そこで私は、この五十五歳の特例措置がなくなるということは、早く退職をされた方が結局は退職年金がありながら退職年金を受給することができない、そうしますと退職年金制度自身にも大きな矛盾があると思うわけです。そこで私は、特例措置を残した方がいいのではないかというふうにも考えているわけですが、この推移から見た場合、いかがなお考えでしょうか。
  54. 関根則之

    ○関根政府委員 退職年齢の実情につきましては、私どもも先生指摘をいただきましたような数字を大体把握いたしております。ただ、全体の傾向を見ますと、最近ここ数年間、五十六年度ごろからの数字によりますと、退職年齢というのは年々上がってきている傾向が読み取れるわけでございます。  例えば五十七歳以上の退職者の数は、ウエートにいたしまして、昭和五十六年度で四七・七%でありましたものが、五十八年度では五三%に上昇いたしておるわけでございます。また昭和五十六年度には、その年に五十五歳でやめた人が五百九十一人おりますが、退職者全体の中に占める割合が三六・七%ということで、三分の一強が五十五歳でやめていたわけです。ところが、ごく最近の数字といたしまして、母数はちょっと少のうございますけれども、昭和六十年四月一日から九月三十日まで、すなわち今年度に入りましての前半の状況を見ますと、全体でやめた方が百六十四人おりますけれども、そのうち五十八歳で退職された方が四十六人でございまして、これがトップになっているわけでございます。五十六年度では五十五歳でやめる人が一番多かったわけですけれども、六十年度の前半におきましては五十八歳でやめる人が一番多いということで、そういう数字を見ましても、消防職員退職年齢というものはここへ来て急速に上がっているものというふうに考えております。  また、ことしから制度が開始されました定年制につきましても、既に九〇%に当たる消防本部におきまして六十歳定年というものを条例で決めでおります。六十歳以下の低い年齢で定年を暫定的に決めることができるようでございますけれども、そういった暫定年齢を設定している消防本部はわずか一〇%程度しかないということからも、これからしばらくの間に消防職員退職年齢というのは急激に上がってくる、一般職員と余り差のないような状況が実現してくるのではないか、そういう方向に急速に向かっていくのではないかというふうに私どもは考えております。
  55. 山下八洲夫

    山下(八)委員 自治大臣お尋ねしたいわけです。  今いろいろと議論をしているわけでございますけれども、私のところへ手紙も来ているわけですが、特に現場の消防職員には特例を残してほしいという声が比較的高くあるわけであります。それはなぜかといいますと、また後ほど質問で触れていきたいと思いますが、ある面では、特例を残してほしいということはやはり激職である、そのように思うわけです。特に自治大臣は消防に対しましては大変に御理解の深い大臣でございますので、ぜひその辺のことを含めて、退職状況から見ても少なくとも特例措置は残してほしい、今回廃止をすべきではない、本当ならこれも修正したい、私は職員のことを思えばそう思うわけでございますが、自治大臣はどのようにお考えでしょうか。
  56. 古屋亨

    古屋国務大臣 消防職員についていろいろの御意見を伺ったのでありますが、私どもとしては、消防長の組織であります全国消防長会の意見では、御承知のように六十歳定年が実施された、あるいは特例措置を存続すれば一般職員よりも掛金率が高くなってくる、警察職員においてもこの特例措置を廃止しようとしていること等によりまして、特例措置を段階的に廃止されたいという意見を受けたところであります。もちろん、消防について消防職員意見というものも大事でありますが、そういうものを管理監督しております消防長の意見というものも考えるべきでございまして、私としては、消防庁としてこれを受けまして支給開始年齢の特例を段階的に引き上げていくことにしたものと考えております。
  57. 山下八洲夫

    山下(八)委員 段階的に廃止だということですけれども、消防庁の方にお尋ねしたいと思うわけですが、そうしますと六十歳まで勤務可能な条件整備もかなりでき上がってきた、そのように理解をしていいわけですか。その方はその方で別のものだよ、差し当たってこの特例存続だけはやめていくのだ、切り離して考えているのだということで進めているのでしょうか、どちらでしょうか。
  58. 関根則之

    ○関根政府委員 六十歳の年金支給開始につきまして、これとこれとこれをやらなければそれができない、そういう絶対的な前提条件があるという性格のものではないと私は思います。先ほどから説明申し上げておりますように、最近の中高年齢者の体力の向上はなかなか目覚ましいものがございます。また、消防職員といいましても常に火災の現場に出ていくばかりの仕事ではないわけでございまして、予防業務もございますし、いろいろな内部的な事務もあるわけでございます。もちろん救急業務その他もその中に入ってくるわけでございまして、いろいろある業務をうまく配慮をするということも当然考えていかなければいけませんし、また市町村長の部局との交流その他の問題も考えていくこともできると思います。そういったことを任命権者におきましていろいろとこれからも努力を続けていかなければいけないと思っております。既に条件ができ上がって、それだからこれも一緒にということではなくて、両々相まってできるだけ長い期間消防職員にも一般職員と同じように六十歳程度まで働いていただける、そういう制度をつくっていくことが必要なものと考えているところでございます。
  59. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今、条件整備の問題がかなり具体的に出てきたわけでございますけれども、私は特に消防の場合充足率が大変悪いと思っているわけです。時間がありませんから深く入りませんけれども、例えば機械にいたしましてもあるいは消防職員にいたしましても、特に職員の方は大変充足率が悪いわけです。そういう中で、職場環境は六十歳まで対応できる、また人事異動が速やかにできるというような環境は全くないと言っていいと私は思うわけです。また、市町村に対しましての交流は、口ではやさしいかもわかりませんが、組合消防なんかどうやって交流するのか。組合消防の場合はまた別であるわけでございます。組合消防と消防の生まれ育った環境も違うわけです。一方は昭和二十二、三年ごろからどんどんできてきた、組合消防の場合は昭和四十年代から急速にできてきた。職員配置も、組合消防の場合はある一定の年齢層が固まっているとかいろいろな矛盾があるわけです。そういうことを考えますと、私は今の御答弁ではさっぱり理解できないわけですけれども、このことは御答弁をいただくより、時間がありませんので、もう一つぜひお聞きしておきたいことを先に進めていきたいと思うわけでございます。  特に特定消防職員については、五十五歳支給の特例との関係で財源率が一般職員より高くなっているわけです。特定消防職員本人の掛金は、昭和五十五年七月からが一般が千分の五十一、消防が五十五、五十九年の十二月が一般が六十九、消防が千分の八十一・五になっているわけですが、この掛金からいきまして、特に昭和五十四年の制度化以降の過払い分についてはどうするのか。私のあれでは、粗い数字でございますけれども、多分六万円ぐらい余分に過払いをしているのではないか、この過払い措置に該当しない昭和十五年四月二日以降に生まれた方についてはどうするのか、この辺のことが一つあるわけですが、その辺について先にちょっとお聞かせいただきたいと思います。
  60. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 一般職員につきましては、今回の制度改正で退職時あるいは生年月日によりまして、昭和七十年に六十歳に持っていこうという経過措置を設けておるわけですが、消防職員の場合には、昭和七十五年度に六十歳支給ということを考えております。その間に五年間のずれがございますが、その五年間のずれによりまして、今先生が御指摘一般職員と異なった掛金で支払った分が解消されるというかつじつまが合う、そういうことでございます。
  61. 山下八洲夫

    山下(八)委員 経過措置に該当しない、年齢的には四十五歳以下といいますか、昭和十五年四月二日以降の方と言った方がいいと思うわけですが、結局は、今消防職員の場合は、一般職員と違って保険料率が高いわけですね。消防職員全員そうですけれども、そういう中で、昭和十五年四月二日以降に生まれた方は、今度新しい共済制度になりますと、その経過措置の中にも入れませんし、そういう意味では余分に保険料を支払っているわけです。それが平均でざっと六万円ぐらいになるのじゃないかと思うわけですが、その分についてはどのようにされるかということなんです。
  62. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 公的年金制度性格の問題だと思うのですが、積み立て的な私保険と異なりまして、公的年金制度というものは世代間の扶養のシステムでございますので、自分が納めたものは自分が損をしないように受給するんだ、そういう考え方にお立ちになることではなくて、世代間の扶養のシステムだという考え方で、全体としてバランスがとれているかどうかという観点から評価をしていただきたいというふうに思います。
  63. 山下八洲夫

    山下(八)委員 今の御答弁共済あるいは年金一般に通用する部分ではあるわけですけれども、やはり当事者としましては多分なかなか腹に落ちない面があるのではないかと思ったりするわけです。例えば、百六十五・五分の百七十三というふうに読みかえたりして、厚生年金には坑内夫のような四分の五ですかの支給制度等があるわけでございますから、あのような読みかえはできないのか、できればぜひしていただきたい、それがせめてもの親心ではないかというふうに思ったりします。もう時間がありませんので、そこは御答弁はいいといたします。  最後に。先ほど支給開始年齢の問題でいろいろとお尋ねしました。そういう中で、できれば本則六十五歳を六十歳にしてほしい、このことを強く申し上げました。また、この消防の問題につきましては、特に特例措置の廃止の問題を中心質問させていただきました。これもできれば、私の希望としては修正をして残してほしい、これが消防一般の多くの職員の本当の声であろうというふうに、私は思います。そういう意味でその趣旨を、この法案が今後審議される中でぜひ前進させていただきたい、そのように私は訴えるわけです。そのことにつきまして最後に自治大臣の決意のほどをお聞きいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
  64. 古屋亨

    古屋国務大臣 特例措置の廃止の問題につきましては、先ほどから私もいろいろ述べております。消防職員の大多数の——大多数とはおっしゃいませんが、消防職員の声であるという山下先生の御意見でございますが、私どももそういう意見がどういうふうに動いているか、こういう点も私どももひとつ検討させてもらいまして、慎重に措置してまいりたいと思います。
  65. 山下八洲夫

    山下(八)委員 どうもありがとうございました。
  66. 高鳥修

    ○高鳥委員長 安田修三君。
  67. 安田修三

    ○安田委員 それでは、初めに自治省の方に公的負担の将来の推移について、先般来委員会でもいろいろな数字等が出ておりますが、もう一度ひとつお聞かせいただきたいと思っております。
  68. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 一定の前提条件を置きましてかねがね御説明させていただいておるわけでございますが、もう一度数字を申し上げますと、現行制度のままの公的負担額でございますが、昭和六十一年度が七百億円、七十年度が千五百億円、八十年度が二千七百億円、九十年度が四千億円、改正後の公的負担でございますが、六十一年度は八百億円、七十年度は千三百億円、八十年度は千七百億円、九十年度が二千二百億円、そういう数字でございます。
  69. 安田修三

    ○安田委員 さて、公的負担が削減されてくるわけでありますが、その結果保険料率に占める公的負担の割合というのは、これまた将来的にどのように推移していくか、この点ひとつお伺いいたします。
  70. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 一定の前提条件を置いて申し上げますが、特にその中で財源率というのが、昭和六十五年度に厚生年金の将来見通しにおける保険料水準に段階的に合わせるという前提で計算させていただきますと、六十一年度では保険料収入の中で公的負担額が占めるパーセントは一一%、七十年度では一一・九%、八十年度では一三・一%、九十年度で一四・九%という数字でございます。
  71. 安田修三

    ○安田委員 私は、そこで、これに関連して大臣に先にお聞きしておきたいと思うのですが、これは大臣、この地方行政委員会で二十一日におっしゃっていることです。実は、国庫負担削減を何でも交付税というわけにはいかない、これはうちの加藤委員質問に答えられたわけであります。国庫負担の削減をどうするか、こういう質問について、どういう手当てをするかということについて、何でも交付税で見るというわけにはいかないぞ、これは私の将来の課題だ、こういうこともおっしゃっておったわけであります。  そこで、今度の仕組みはなかなかややこしいところがございますので、国庫負担共済に表向きは入っていない。ところが、今度の特別支給、六十歳から六十四歳の特別支給、この間にいわゆる公的負担というものがなくなってしまった。これは共済から給付が出るわけでありますから当然その負担問題というのは従来と違ったかかり方がしてくる。そういう点で大臣がそれをどのように見るかということからこのようにおっしゃったことだと存じますが、これをもう一遍大臣にちょっと聞いておきたいわけです、大臣はかなり自信を持った御答弁のようでしたので。
  72. 古屋亨

    古屋国務大臣 私が言っておりますのは、足りなくなったから何でも地方交付税で補えと言われましても、地方交付税の総額というものは決まっておりますから、それを、例えば補助金カットによりまして、一般的例を申しますと、地方負担、そのときに交付税をふやしてもらわなければそういう負担分に応ぜられないことが相当多いという考え方でございました。交付税の方の財源というのは法律で決まっておりますけれども、これを何でもほかの交付税で補え、これは特別の交付税でもふやしてもらうとかそういうことがなければなかなか無理であるということを申し上げたわけです。
  73. 安田修三

    ○安田委員 どうも大臣済みませんでした。質問の通告の中に入っておりませんで、大臣が先日お答えになっておったものだから、今ちょっと先にと思って聞いたのです。  そこで、これは後ほど厚生省の方も聞きますが、自治省の方に、基礎額の再検討という問題、これは国民年金法等の改正法の附則に入っている問題ですが、中島部長さんはこれまた先般の委員会で、こういう基礎額の再検討をどうするかという問題について、これからも議論していきたい、こういう考えを述べておられるわけです。そこで、これから議論をしていきたいということは、財政再計算を五年後に控えているわけですので、役所内部としては段取りとしては早くしていかなければならぬということなんですが、部長さんは単にそう思って感じで述べられたのか、それとも、ひとつそれぞれのしかじかの方法ということも考えながらおっしゃったのか、この点ちょっとお聞きしておきたいと思います。
  74. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 基礎年金のあり方につきましては、先般の国会におきまして国民年金法の附則が改正されまして、その水準とか財源につきましては、社会経済情勢の推移とかあるいは世帯の類型等を踏まえて今後検討されるべきものだという修正がされましたので、基礎年金を所管しておられる厚生省におきまして検討されると思いますが、委員会でいろいろ御議論いただきましたので、そういうことを厚生省にお伝えしながら私たちも関心を持っていろいろ検討してまいりたい、そういうことでございます。
  75. 安田修三

    ○安田委員 厚生省の方にお伺いしますが、今言ったような問題、厚生省の方がこれは基本でございますので、基礎額の再検討、附則に盛られたこれをどのように今検討課題として考えておられるか、お聞きしたいと思います。
  76. 谷口正作

    谷口説明員 基礎年金水準についてのお尋ねでございます。  基礎年金の月額、現在五万円ということで設定しておりまして、この水準につきましては、今後私どもといたしましても、当然年金給付水準考える際には保険料負担というのが伴うわけで、それとのバランスも考慮しなければなりませんけれども、国会での御論議の経緯、修正の趣旨等踏まえまして、国民生活水準あるいは社会経済情勢の推移等を勘案いたしまして財政再計算期に見直しをいたしたいというように考えております。
  77. 安田修三

    ○安田委員 財政再計算期に見直すのはわかっているのですが、例えば今、中島部長さんの方は厚生省の方にも要望したいと言う。厚生省、皆さんの方で見直すのに大体どういう方法によって行うのか。例えば検討委員会あるいはまた単なる内部だけで見直すとか、あるいはそれぞれ共済関係等から成る各省庁間の連絡会議等を持ちながらやるのか、やはり何らかの方法がなければならぬわけですけれども、そういう点はどういうぐあいに考えておられるでしょう。
  78. 谷口正作

    谷口説明員 基礎年金水準についての見直しを具体的にどうやって行うのかというお尋ねでございますが、これにつきましては、私ども、先ほども申し上げましたように生活水準の変動あるいは社会経済情勢の推移を見ながら、もちろん事務当局といたしましても検討いたしますと同時に、関係の審議会等の意見も承りながら見直しを行っていきたい、いくことになろうかというふうに考えております。
  79. 安田修三

    ○安田委員 年金基礎額の中に拠出する八千百九十八円の三分の一、二千七百三十三円を交付税で見るということなんでありますが、さて公営企業については、これは前回も、いやそれは国の関係公営企業に見習って交付しないという話なんですが、これはかなり不合理ということに見ざるを得ないと思うのです。公営企業そのものは営利法人ではないわけですから、したがってこの点、同じ自治体間あるいは同列のそういう関係機関の中に不合理が出てくる。例えば不交付団体の場合にもそれは該当しない、こういうことなんですが、そういう点ではどのように皆さんの方でそれは不合理でないという判断ですか。
  80. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 基礎年金制度の導入に伴いまして、公営企業関係職員の公的負担部分について一般会計で負担すべきではないかという御意見があることは十分承知いたしております。同時に、この共済制度発足当時から、公営企業関係職員につきましては国の公営企業関係職員と同様の取り扱いをしてきたわけでございます。今回新しい制度になったわけでございますけれども、やはり今後の国の四現業の取り扱い等を参考にしてまいらなければならない、新しい考え方との調和点をどのように見出すかということはこれから十分検討してまいらなければならないと存じております。  なお、不交付団体につきましては、地方負担部分というものは御承知のように基準財政需要額に算入をいたしておりまして、その上でなお不交付団体になっておるものでございますので、この点御了解願いたいと思います。
  81. 安田修三

    ○安田委員 国の関係企業という問題がよく出るのですけれども、地方の場合と国の場合と規模が全然違うのじゃないですか。言うなれば、国の方を大企業とすれば、地方の公営企業というのは規模的には中小零細に属する、中身としてはそんな比較にならぬかもしれませんが。だから、いわゆる負担の負荷といいましょうか、そういう点からしますと全然中身は違うのじゃないでしょうか。そういう点で、一緒くたに見えるということ自身問題が出るのじゃないだろうか。  もう一つは、もしそうなった場合、国の場合は国民全体が平等に負担するという問題、これは当然営利法人じゃないですから、もしコストに原価主義で算入されているとすれば、当然国の場合は全国民負担、それから地方の場合はその一部の受益者の負担だけに終わって、いわゆる不平等性が出てくる。そういう点は、国のこういう企業と地方の企業とは全然性格が違う。そういう点で皆さんの方にそういう不平等感というのはないでしょうか。
  82. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 私ども、国とこの考え方をいろいろ議論いたしますときには、やはり企業の性格ということに着目して議論しなければならないと思うわけでございまして、企業の大小という点もございましょうけれども、国の現業の中でも造幣というものはさほど大きなものでもないという点もございますし、そういった点の性格をどういうふうに見るか、料金の中にコストとして織り込んでいくのかどうかという点においては同じではなかろうかと考えております。  国の場合に全国民からということでございますけれども、これは公営企業といたしまして、国の場合におきましてもそれぞれの企業のコストの中にそれを織り込むわけでございますから、その点においても特に変わりはない。ただ、新しい制度というものが今までと考え方が違って出てきておるわけでございますから、それと、公営企業のそういったコストの中に織り込むかどうかという問題について議論をしなければならない。その場合に、国との考え方の整合性もある程度踏まえて検討しなければならないというふうに考えておるところでございます。
  83. 安田修三

    ○安田委員 自治省、これはちょっと腰が弱いと私は思うのですね。地方のことを考えたらこういう点は政府部内でもう少しきっちり言うべきじゃないかと思う。  これに関連して、例えば基礎額の問題の場合もそうなのですが、こういう年金制度が七十年で一元化される、その前提としてこうして新しい制度に変えていく。そうしたときに、基礎年金制度に全部一元化されていくのにもかかわらず、地方の場合には国がそこで全然持たないということ自身がおかしい。ですから、この場合でも、地方のそれぞれの公営企業なりそういうものがどのような役割を果たしているかというものを見たときに、国とは仕事の中身、例えば交通事業等ではよく似たものもあるけれども、ほかは全部国とは全然性格の違った仕事をやっているし、しかもそれらは、従来、経済的には営利法人等がやりがたいという過疎地その他でも、最近は特に財政的にだんだん公営企業でカバーしなければならぬ、地域振興のためにやらなければならぬという生活部門のものも出てきておるわけですから、自治省はそういう点をもう少しぴっしり主張すべきものは主張して、なるべく地方負担をかけないということをやるべきじゃないか。その点、局長の方でもう少し考えてやっていただきたいし、大臣ももうちょっと気合いをかけてやっていただきたい、こう思うんですね。  さて、次の問題ですが、先ほど山下委員が一生懸命皆さんにこの点をお聞きしておったわけでございますが、六十五歳問題です。中島部長はそういうことは絶対にあり得ない、こういうお話なのですが、当然そうであるべきです。  ただ、私、厚生省の方に先に一つお聞きしたいのですが、国民年金法等改正案の審議の際に、参考案として、厚生年金男子について、一九九八年、いわゆる昭和七十三年から三年ごとに一歳刻みで繰り延べて、二〇一〇年に六十五歳にするという試算された案が示されておるわけです。これはもちろん法律事項ではございません。ですから、法律事項として規定はされておりません。しかし、公的年金一元化の段階で具体化する可能性は当然あるものと見なければなりません。そうでなければ、昨年二月の閣議決定の一元化の方向というものは全然狂ってくるわけですから。そういう点で、厚生省の方でここら辺は内部検討されてないということは聞いておりますが、こういうぐあいに一つの参考案は示されておるわけですから、皆さんの方に何かこういう動きがあるのか、お聞きしたいと思います。
  84. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 先ほど山下先生の御質問にお答えしたことと重複するわけでございますけれども、私どもも年金支給開始年齢の問題は、今後の高齢化社会というものを考えますと、どうも負担との関係も避けて通れない問題であろう、このような認識は持っておるわけでございます。ただ、現時点におきます雇用の状況等を勘案いたしますと、関係の審議会等におきましても、引き上げは時期尚早という御意見もございます。こういったところを踏まえまして、今回の改正では、厚生年金保険の支給開始年齢を従来どおりにいたしたところでございます。したがいまして、厚生省として現在、御指摘ございましたような引き上げの作業をやっているということはないわけでございます。  ただ、重ねてのことになりますけれども、この問題は、今後の高齢者雇用の動向を踏まえながら総合的に検討していきたい、このように考えております。
  85. 安田修三

    ○安田委員 そこで中島部長にお尋ねいたしますが、厚生省の方は、内部的にはまだ検討してないが、そのときに検討していきたいという話なんです。これはあのときは、審議段階でああいうことにはなっておりますが、政府の腹は当然六十五歳にしたい。全体の財政関係から見てもそういう立て方になっているわけですね。ですから、きょうの山下委員に対するいろいろな御答弁でも、雇用の関係を無視して六十五歳にすることはないとか、それから先般来の委員会の質疑でも、共済年金財政の悪化を招いた場合でも六十五歳支給にするようなことはないということで私は聞いているわけです。ただ、今言ったように厚生年金との整合性、厚生年金はもちろん今計画はないということだが、しかし、既にいろいろな参考案で示された試案からしますと、当然そういうものが起き得る可能性があると思うのです。  そこで、特に私非常に不審に思いますのは、例えば七九年十二月、昭和五十四年十二月の共済年金法の改正で、段階的に年齢の繰り延べがあって現在五十六歳だ。ところが、共済年金制度改革検討委員会の「共済年金制度改革の方向」で、今までの経過措置を昭和七十年を目途に短縮して六十歳に引き上げる、こういう方向を出されたことから今回の六十歳問題が出て、今までの段階で繰り延べをやっていたのが早まってきたのがございます。御存じのように、今やっているのは退職年月日の特例と年齢の特例の二つで段階的に繰り延べておりますが、そのうち前者の退職年月日の特例の方は十五年、後者の特例の方は二十年、これが実は早まって七十年にということになっております。  そうしますと、皆さんの方でそれはやりません、そういうことはありませんとおっしゃっておりましても、どうも四、五年たちますとさてどのようになるやら、こういうのが従来の通例のようでもございます。それは部長さんの立場からしますとそういうことはございませんと言わなければ大変な役目でございますから、腹の中ではそこは余り、わかっておるわというようなことかもしれませんけれども、とにかく今現になっている制度上のものでも実はそういうことに変えられた。ですから、厚生省の方は早晩この一元化に向かっての作業が始まる。その場合、自治省としてここまで中島部長は答弁していらっしゃったのですから、絶対雇用と年金の接続がなければやりません、自治省全体を挙げて絶対抵抗いたします、こういうことになりますか。
  86. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 山下先生と同じようにまたこの問題について御質問いただくわけですが、七十五年に六十歳支給にしようじゃないかという経過措置を今回七十年というふうにする案をつくりまして御提案申し上げているわけです。  どうしてそういうふうになったかと申しますと、一つは公的年金制度間に制度間格差がある。通常言われる官民格差という言葉なのですけれども、その制度間格差の一つとして支給開始年齢の問題が取り上げられている。それにやはりこたえていかなければならぬだろう。いつまでもそのことについて七十五年ということで国民の納得が得られるだろうか、合理化できるだろうかということになりますと、やはり七十年ぐらいには繰り上げていこうじゃないかということと、もう一つは、一応七十年を目途に公的年金の一元化ということを考えておりますので、七十年には厚生年金と同じように六十歳支給にしておこうということで繰り上げる案をつくらせていただいたわけでございます。そのことが六十五歳支給に結びつくのかという話になりますと、これは先ほども申し上げましたように、やはり雇用との関係というものを考えなければ、そういう案をつくって国会に提案いたしましても、国会の方で御議論いただいて御議決いただけないのじゃないかというふうに考えておりますので、私が何か腹の底に黒いものを持っておって、先生方に本当のことを言わないんじゃないかという話を先ほどからいただいておりますけれども、私ほどの正直な男がそういうことをするはずはございません。
  87. 安田修三

    ○安田委員 正直であることはよく承知しております。  そこで大臣、これは大臣にこのようなことを確認しても、これもしゃばの推移によってわかりませんけれども、さっき山下委員が言うように、それだったら——特別支給は既に六十歳からやるわけですが、基礎年金との関係があってということでございましたが、基礎年金は六十五歳だから、これは特別支給六十歳でということなんだけれども、しかし本来は本則六十歳にしなければ整合性がとれない。共済退職年金だから、そういう点では何も世間にとやかく言われる筋合いのものではないわけですから、そういう点では非常におかしい。  しかも今度の場合は、すべての関係にわたって厚生年金と横並びをしようという試みが随所にあるわけです。そういう点で例えば在職中の、これはきょうは時間がありませんので、私あさっての続きの質問のときにまた言いますけれども、在職中の特例年金支給という問題も今度出てきたわけですし、いろんな意味で横並びしょうという試みがある。そういう中で特徴を出そうということになれば、こういう退職年金としての特徴が、本来は本則六十歳であらわれなければならぬ。それがないという、これが非常に不思議なわけですね。ですから大臣、これはやはり皆さんの方で柔軟に話し合いに応じてもらえるという構えがあってもいいんじゃないかと思うのですよ。どうでしょうか。
  88. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 大臣から後ほど御説明をいただくことになると思いますけれども、事務的に御説明させていただきますと、私が繰り返し御説明申し上げておりますように、雇用との関係というものを考え支給開始年齢というものを設定していかなければならないという考え方でございますので、先生が本則と附則との関係に非常に御心配なされましてたびたび強い御指摘がございますけれども、そういう御心配というのは、私たちの方にとりましては余り御心配いただかなくてもいいんじゃないかというふうに思います。
  89. 古屋亨

    古屋国務大臣 先ほどこの問題については山下委員に御説明、御回答したように、厚生年金と歩調を合わせたという点で六十五歳としたものでございまして、ただ支給開始の年齢の問題につきましては、やはり雇用問題と切っても切れないという意味において、私どもは今後十分検討していかなければならぬと思っております。
  90. 安田修三

    ○安田委員 時間が参りましたので終わります。
  91. 高鳥修

    ○高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時三十三分開議
  92. 平林鴻三

    ○平林委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。宮崎角治君。
  93. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 今回の法案審議に先立ちまして、非常に重大な問題が横たわっております現実の各種共済、なかんずく国鉄共済の問題が横に大きく立ちふさがっておるわけでございます。この問題を先送りして云々ということは、非常に重大な問題でございますので、先般連合審査のときに大蔵大臣また総理大臣がそれぞれ野党の皆様方の質問に対しまして、今回の衆議院の審議終了までに必ずやこの救済策の問題については結果報告をするということと、さらにはまた、我が党の柴田委員が話し合いをする場の設定、これについてもそうなのか、こうただしたのに対しまして、大蔵大臣等々の答弁はそれも含めてという、方向づけにつきましてはそうキャッチしたわけでありますが、まずこの点につきまして、きょうは大蔵、運輸そしてまた厚生、それぞれの所管からもおいでいただいておりますがゆえに定かにしていきたいと思うわけでございます。  百三臨時国会の重大な議案の一つであります共済年金改革四法案審議の中で、なかんずく申し上げております国鉄共済についての文言と総理大臣の話録といいましょうか、そういったものをずっとひもといてみますと、国鉄の再建計画が進むと国鉄年金財政はさらに厳しくなるので、共済年金改革法案の成立後将来も年金支給を維持できるような方途を検討するようにしたい、六十四年度までの年金支払いについては支障が生じないように政治の措置を講ずるとの政府見解がなされたようでございます。この法案の当事者の一人であります自治大臣あるいはまた大蔵、運輸、厚生、その所管の皆様方に対して、今申し上げました政府見解の文言に差異はないか、この辺について、共通の理解をしておきたいと思うわけでございますので、答弁を求める次第でございます。
  94. 古屋亨

    古屋国務大臣 宮崎委員指摘国鉄共済組合の問題につきまして、統一見解が示されて、その作業が進められていると私は考えておりますが、自治省といたしましては、地方公務員共済組合審議会の答申の趣旨を踏まえまして、まず国の責任分野を明らかにするのでなければ関係者の理解や国民の合意を得ることができないのではないかと考えておりまして、そういう立場で努力しているところでございます。なお、政府においては、統一見解においてその作業を進められておるものと私は確信しております。
  95. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 国の責任分担を明確にするという、これは今回の審議会の答申の中にもあるわけでございますが、同じように今の問題につきまして大蔵、運輸、厚生の所管の答弁を求めるわけでございますので、よろしくお願いします。
  96. 坂本導聰

    ○坂本説明員 お答えいたします。  ただいま委員指摘のように、さきには大蔵大臣が、国鉄共済年金の支払いについては昭和六十四年度までの支払いに支障が生じないよう政府が責任を持って解決策を講ずると答弁しているところでございます。さらに御指摘のございましたように、先般の連合審査におきまして官房長官が、共済年金改正法案が衆議院を通過するまでに検討の結果を報告すると御答弁申し上げているところでございます。大蔵省といたしましては、こうした答弁趣旨に沿いまして現在鋭意作業を進めているところでございます。
  97. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 非常に前向きの、そしてまたハイペースで検討を進めているというような御答弁でございますが、あれから本日でちょうど一週間たったわけで、具体的にどのように密度高い検討をなされているのか、その辺についてもひとつ定かに答弁を求めるものであります。
  98. 坂本導聰

    ○坂本説明員 お尋ねの問題は、これは先刻御案内のとおり、非常に複雑多岐、広範な分野にわたる問題でございまして、鋭意検討しているところでございますが、まだ結論を得るに至っていないという段階でございます。
  99. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 結論を急がねばならない問題がまだまだ遅々として進んでいないわけでありますが、大体これは、今答弁があったように、また大臣の政府見解の答弁がありましたように、衆議院通過、これに大きなポイント、視点を持っているわけでありますが、いつごろをめどに進めていくのか。国民はこの点についての進捗状況について非常に不安と、また疑念と、そしてまたその結果をひねもす見ているわけでありまして、その辺についての今後の感触、結果報告の感触、あるいはまた密度高い会合を具体的にどのように、いつどういう形で、いつごろそれを発表されるということになるのか。衆議院通過という大義名分があり、その大きい視点があるわけでありますが、それに固執しているような感じがするわけでありますけれども、そうすると今日まで非常に鋭意進めていると言うが、余り聞いていないわけですよね。何回会合をやっているのか、どういう形でやっているのか、その辺についてひとつ定かにしておきたいことが一つ。  それから、こういった問題の発端になったのが二年前の答申であったと私は思うわけであります。例えば、五十八年の三月十日の地方公務員共済組合審議会の答申というのが出ております。こういった数多くの今日までの答申の中で、それぞれこういった答申とか非常に厳しい申し入れみたいなのがあるわけでありますが、古屋大臣、この答申をどれぐらい尊重されているのか、それが一つですね。  五十八年の三月のこの答申の中に、「単に国鉄共済組合の救済を目的とする共済組合の統合に地方公務員共済組合を参加させる構想があるとすれば、それには反対である。」というのがあったわけですね。今回、二年後は、冒頭に大臣お話しになったように、六十年四月八日の地方公務員共済組合審議会の答申、「なお、国鉄共済組合に対する救済は、国の責任分担を明確にすることが先決であると考える。」こういったくだりがあるわけでありますが、この答申に対する自治大臣の御決意なりその方向づけなりをひとつまず最初にお聞きしたいと思うわけでございます。
  100. 古屋亨

    古屋国務大臣 五十八年の答申は今お話しになりました三月十日でありますが、前文がありまして、後段におきまして、「単に国鉄共済組合の救済を目的とする共済組合の統合に地方公務員共済組合を参加させる構想があるとすれば、それには反対である。」ということでございます。私は当委員会において再三申し上げておりますように、地共審の先般の答申であります「国鉄共済組合に対する救済は、国の責任分担を明確にすることが先決である」ということは、自治大臣としてこれを尊重してまいるつもりであります。  なお、五十八年の答申に関連してでございますが、これは「単に国鉄共済組合の救済を目的とする共済組合の統合に地方公務員共済組合を参加させる構想があるとすれば、それには反対である。」ということでございますが、現時点におきましては共済組合の統合の具体的構想があるわけではございません。七十年の一元化、統合化に向かってこれからどんどん検討してまいることになりますので、現時点においてはそういう統合の具体的構想は現実においてはございませんということを申し上げなければならぬと思いまして、私どもとしては地共審の答申は最大限度これを尊重するという建前には何ら変わりはないということでございます。
  101. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それでは、運輸省の方にお尋ねしたいのですが、またさかのぼりまして、この国鉄共済の、あるいはまたこれからの組合員の推移等々の表からいきますと、非常に国鉄共済の財政的な赤字というのが加速度的にきているのではないか。国が示しているその推移については、いわゆる三十二万人体制から進みまして、そしていよいよそれが六十二年度に今度は民営化ということになりますと、非常に組合員の人数もダウンしてくるし、やがては六十五年あたりは十八万三千人という体制にでもきておれば、これこそ加速度的に国鉄共済の赤字というのは目に見えて大きくなるわけでございます。そういうことで今日このようになったという国の責任、また直接所管であったであろう運輸省の助言、アドバイス、の責任については、確かに国の失政による状況が今日こうきたんじゃないかと思うわけでございますが、この辺についての運輸省の所見をひとつ承りたい。  大臣は現在においては統合という問題についてはいささかも考えていない。それではこの法案の推移を見て、あるいはまた衆議院の通過後においてその問題は大きい議題となっていくとお考えなのかどうなのか、その辺をひとつ大臣と運輸省にお尋ねしたいと思うわけであります。     〔平林委員長代理退席、委員長着席〕
  102. 渡辺要一郎

    ○渡辺説明員 お答えいたします。  国鉄共済年金の財政事情が非常に悪化してきたというのが顕在化してまいりましたのは昭和五十年代に入ってからでございます。こういった事情がどうして急に顕在化してきたかと申し上げますと、国鉄の特有の事情と申しますか、戦時中あるいは戦後に大量に採用した職員、団塊的な年齢層の職員が五十年代に入りまして毎年大量に退職して年金者に移っていった。それから、国鉄自体の輸送事情が変わってまいりまして、輸送、経済事情の変化に対応し切れないという点もございましたが、どんどん職員数を減らすという合理化をしていかなければならなかった、こういったようなことから成熟度が非常に上がってまいった、こういうことが一つ表面的にあらわれた原因でございますが、そのほかにも物価の上昇に伴います年金の改定、それに伴う給付負担関係が適切に対応し得なかったこと。それからさらに基本的に申し上げますと、国鉄共済制度と申しますのはごく小単位の一企業一年金、こういう制度でございまして、国鉄に対して起こったもろもろの事情、これが共済年金制度そのものを直撃した、それを吸収し切れなかった、こういうあたりに根本的な原因があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  これに対する対策といたしまして、五十年度から国鉄部内、運輸省部内でいろいろな検討をしてまいりまして、五十四年十二月に、国鉄再建について「抜本的な共済年金対策について検討を進め、早急に結論を得ることとし、これに基づき所要の措置を講ずる。」こういう閣議了解をいたしまして、その後さらに政府部内の検討を進め、五十七年七月には、類似の制度との統合を図る、こういう内容の臨調の第三次答申をいただきまして、いわゆる共済統合法を五十八年に提案いたしまして、類似の制度である国家公務員の共済組合制度、これとの制度の統合を図ったわけでございます。  この内容といたしましては、まず給付制度が公共企業体の職員共済制度と国家公務員の共済制度に格差がございまして、その給付制度を統一するということとあわせまして、国鉄自身いろいろな自助努力をする、こういう前提で国家公務員、電信電話それからたばこ産業、三共済による財政調整事業、端的に申し上げれば国鉄に対する援助をしていただく、こういう共済統合法が成立いたしまして、五十九年四月に施行されたわけでございます。  この間、国鉄共済自身についてどんなことをやってきたかということでございますけれども、五十年代に入りましてはぼ毎年のように共済保険料率を引き上げてまいりまして、現時点では千分の二百四、職員の掛金で申しますと給料の一〇・二%の掛金率ということで、他共済を上回る保険料率になっております。  それから、追加費用の繰り入れ方式が定率方式から実額方式、さらには繰り入れ不足分の集中的償還、こういったようなことも行い、それから統合法の成立後は、財政調整事業の前提として年金の改定を一〇%程度スライドを停止する、こういうふうなこともやってまいりました。今回の改正法におきましては、国鉄共済につきましては財政調整事業が行われております期間中は職域年金相当額の給付は行わない、あるいはみなし従前額の規定は適用しない、こういう措置をしているわけでございます。運輸省といたしまして、共済統合法以後は大蔵省に所管が移ったわけでございますけれども、これまでも努力はし続けてきたつもりでございます。  それから、もう一点お尋ね国鉄職員の方の状況でございますが、国鉄が民営・分割化されまして鉄道事業を再生するという、国鉄の改革を実現すべく現在準備をしておりますが、これに関しましてことしの七月に出されました国鉄再建監理委員会意見では、現在約三十万七千ほどの職員がおりますが、退職者を見込みまして六十二年度初めの職員数が二十七万六千人になるだろう、こういう予想をしておりまして、二十七万六千のうち二万人程度は希望退職を予定する、残りの二十五万六千のうち二十一万五千人については分割・民営化された新しい事業体に移していく、残りの四万一千につきましては、旧国鉄と言っておりますが、国鉄の清算業務を行います旧国鉄に移しまして、三年間を限度といたしまして公的部門なり民間なりへの再就職措置を図っていく、こういう内容になっております。したがいまして、現在の財政調整計画が前提といたしました、当時ございました国鉄再建計画の前提となっておりました三十二万と比べますと、六十二年度の初めが二十七万六千から二十五万六千、六十五年度の初めには二十一万五千、こういう職員数になるという監理委員会意見でございました。  現在この内容につきまして、具体的に会社別あるいはその内容別に詰めているところでございまして、いずれ国鉄の改革法が提案されますころにはここら辺の数字も詰まってくる、かように考えている次第でございます。
  103. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 詳しく御説明いただきました。  そうしますと、六十二年度に入りましたら実質的にパンク状態になるということは今の説明ではっきりするわけであります。その赤字額、そして独自の救済策については、今データをもとにるるお話しなさったわけでありますが、ここに来た因果、大量退職の問題とか輸送状況の云々とかいう問題が出されたわけでございますけれども、これになるまでのあなたたちの所管としての指導が強力であったのか、私どもは非常に首をかしげる問題がございます。  そこで、六十二年初めに二十七万六千人体制になってくる、そしてそのうち二万人は希望退職するだろう、そしていよいよ二十一万五千人という推移を今お話しなさったわけでございますが、それは、これを救っていくいわゆる適正な人的構成というであいに考えてよろしいのかどうか、これについて再度お尋ねしたい。
  104. 渡辺要一郎

    ○渡辺説明員 国鉄再建監理委員会意見につきましては、政府はその意見趣旨を尊重して、現在国鉄の再建対策について具体的に内容を詰めているところでございまして、現在の状況国鉄再建監理委員会の、職員数が大幅に変わるということは多分ないであろう、かように考えているところでございます。
  105. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ちょっと先ほどの御答弁の中で私引っかかる問題がありまして、所管が大蔵省の方に移った、こういったニュアンスの答弁がございました。この辺で非常に縄張り争いといいましょうか、普通はそういった重大な問題に対しては取り合って、そして取り合うことを縄張り争い、このように思っていたわけでありますが、自分のところではないのだ、もうそれは大蔵の方に移っているのだ、何か押しつけるのも消極的な縄張り争いというのになるのか、マイナスの縄張り争い、そういった感じがしてならないわけであります。  そうすると、金を出す方は大蔵ですから、この問題についてはもう完全にあなたの方の所管から外れて大蔵の方にバトンタッチをして、大蔵の所管としてこの問題の解決に当たってもらう、そういうお考えと解してよろしいのか、どうなのか。
  106. 渡辺要一郎

    ○渡辺説明員 私の説明があるいはまずかったということであればおわびしたいと思いますが、私ども、大蔵省に所管が移りまして、運輸省が全く何も関係しない、こういうことを申し上げたつもりはございませんで、共済統合法が五十九年四月に施行されまして、公共企業体の職員共済組合法は国家公務員共済組合法と一体となったわけでございます。したがいまして、制度は国家公務員と一本になった、それから共済組合の監督も大蔵省に一元化されたということでございまして、それが所管が移った、こう申し上げたわけでございます。  国鉄の改革に伴う共済年金の問題、私ども全く関係がないと申し上げているわけではございませんで、これまでも、大蔵省の方と寄り寄り御相談を申し上げておりますし、今国会でのいろいろな問題についても御相談を申し上げて、私どもとしては、国鉄共済年金問題は全く関係がないから何もしなくていいというつもりで対応しているわけではございませんので、御了解いただきたいと思います。
  107. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 大蔵の方に答弁を煩わせたいと思いますが、今のような状況でございます。さきの旧電電、旧専売といったところはいわゆる公営企業体の中に入って、その所管があなたの方だと思うわけでありますが、「当分の間」という一つの付記があるわけでございますけれども、「当分の間」をいつごろまで見るのか。また、今度は国鉄が六十二年に民営化となった場合にまたそれぞれ抱え込んで「当分の間」それを守っていくという方向なのか。その「当分の間」というのが深い、暗い、長いトンネルに入ってなかなか山道がないような感じがしてならないわけでございますが、大蔵の方、その点についてはどのような御見解がお尋ねしたいと思うわけであります。
  108. 坂本導聰

    ○坂本説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘のございました国鉄共済に絡む問題でございますが、一昨年に成立いたしました共済統合法におきまして、国家公務員と旧電電、旧専売、この三社で国鉄共済に援助を行うという内容になっておりますが、その時点におきましても昭和六十五年以降はこの三共済ではとても国鉄の救済にはたえられない、こういう状況でございました。したがいまして、その時点から政府の閣議決定におきまして昭和七十年を目途に給付負担の一元化を行うという決定がございまして、この線に沿った方向の中で解決をしていこうという考え方でございました。  以上でございます。
  109. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そうすると、七十年度をめどにこの一元化ということが今日までずっとなされてきているわけですが、その七十年においてきちっと自由設計、もう外すんだ、大蔵の所管から外れるんだ、このよう、に解釈してよろしいわけですか。
  110. 坂本導聰

    ○坂本説明員 ただいまの御指摘でございますが、公的年金の一元化の意味は一様ではございませんで、とりようによっては幾つかの考え方がございます。一番極端な例は、すべての年金の財布を一緒にしてしまうというものでございます。もう一方の反対側の例といたしましては、財布は皆別々にしておく。したがって積立金の管理運用も自由に行う、しかしながら給付負担はどの制度においてもおおむね同じである、こういう一元化もございます。政府といたしましては昭和七十年を目途に一元化をすると申しておりますが、その一元化の内容は一体何を指すのかというのは、御指摘のとおりまだ明らかにされておりません。したがって、仮に前者の財布を完全に統合するという意味であれば、どこの省庁が所管するかは別といたしまして一つの役所でまとめて所管をするという形になりましょうし、あるいは財布は別々にしておくということでありますと従来どおりの所管ということが考えられるかもわかりません。  以上でございます。
  111. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 大臣、今のような大蔵省の考え方についてどうなんですか。今の答弁に対しておれば違うぞと思っておられたらまた答弁してください。
  112. 古屋亨

    古屋国務大臣 大蔵省の事務的な答弁を聞きまして、七十年に一元化をするということは閣議で決まっておるわけであります。ただ、どういう形とか、そういうことは全然、一元化というだけで、示されておりません。先ほど私が、五十八年の地共審の答申で、単に国鉄の救済だけでは地共済が云々することは反対だという答申が出ております。その答申というのは、先ほど言いましたように、単に国鉄のあれを国家公務員も組合で応援しておるから地共済がこれをすぐ応援するといいますか手助けをするというには、この前の六十年の先ほどの答申があるわけでありまして、国鉄の問題の解決が先決であるという答申を私どもは尊重しなければなりません。したがいまして、結局今政府で答弁にありましたような線で鋭意検討をしております。それが恐らく、その検討はそう遠い機会ではなくて本委員会において、つまり共済の各委員会における審議の最後の場合には示されなければ済まぬ問題だ、私はそういうふうに考えております。つまり、そういうような意味で、国鉄の救済は大事だけれども、地共済の方も非常につらい財政であるから、国鉄だけの救済のために地共済も応援するということには今言ったような前提が必要でありまして、国の責任分野を解決することが先決であるというのが、その答申を尊重して申し上げているところでございます。
  113. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 ですから、この改正案では、国鉄年金の財政問題等を含めまして、今後の共済年金のあり方と公的年金制度の再編成といいますか、そういったプロセス、過程が明らかでないのです。  そういったところで、七十年という目標はひとまずありますけれども、今の大蔵の御答弁のように、一応作業等ございましょう。しかし懐の問題もあるし、その役所をどこにするのかということもこれからの問題で、大きな問題が横たわっているのは覆いがたい気持ちがいっぱいするわけでございます。  それでは大蔵と運輸の方は、大変どうもありがとうございました。  地方公務員共済組合法の改正案につきまして大臣並びに公務員部長にまたお尋ねしたいと思うわけでございます。  その前に厚生の方にちょっとお尋ねをしたいのですが、今回、年金のいわゆる一元化を目途とした重要なポイントの中に、今日まで数多い質疑を通し御論議を通して感じることは、やはり毎回この委員会や連合審査やあるいはまた参考人質疑の中にもございましたように、基礎年金という問題がございます。まずその基礎年金給付水準についてしっかりとわかりやすく、すかっとした答弁をしてもらわないと、頭の中に相当問題が残るような感じがいたしますので、すかっとさわやかな答弁をひとつ求めたいのでございます。基礎年金給付水準についてまずお尋ねいたします。
  114. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  基礎年金水準についてのお尋ねでございますが、基礎年金水準につきましては高齢者方々老後生活の基礎的な部分保障するという考え方を基本的にとりまして設定したわけでございます。  具体的に申し上げますと、高齢者方々現実の生計費等を私どもいろいろ調べさせていただきまして、それらを総合的に勘案いたしまして月額五万円、御夫婦の方でございますと月額十万円の水準を設定したということでございます。
  115. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 これは今までの答弁一つも変わっていません。一歩も出ない見事なる先月からの答弁であります。その基礎的な部分でございますから、これには相当連合審査のときも出ましたように、本当に御老体の皆様方のその基礎的な部分だけというのですから、それにまつわるいろいろな老後の基本的な、基礎的な問題というのはまだまだ大きなファクターがあるのじゃないかと思うわけでありますが、それを除外したということは那辺にあったのか。こう言うとすぐあなたは、いろいろなデータやまたいろいろなオピニオンをもとにして、そして構築してきたんだ、そして結論的には老人の方の基礎的な、基本的なそこだけである、その金額が五万円なり、このように御論議の中に私どもはキャッチしてきたわけでありますが、性格とそのねらいを、ひとつまたすかっとさわやかな答弁を求めておきたいと思います。
  116. 谷口正作

    谷口説明員 基礎年金水準につきましての重ねてのお尋ねでございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、基礎年金水準につきましては老後生活基礎的部分保障するということでございますが、さらに具体的に申し上げますと、老後生活中心となる食料費でございますとかあるいは住居費でございますとか被服費等実態、これを私ども、総理府、今の総務庁でございますけれども、そこで行っております全国消費実態調査、そういったものを踏まえまして総合的に勘案いたしまして月額五万円の水準を設定いたしたということでございます。
  117. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 四十年加入して月五万ですからね。そうすると、二十五年で三万一千二百五十円でしたか、こうなりますね。私、この間、ちょっと名前をと忘れしましたが、前の部屋で参考人の先生、佐野先生でしたか、ああいったすばらしい専門的な学者の参考の文言を聞いてみますと、やはり支給率、そういったものをアップしなければいかぬのじゃないかというような一言もあったわけでありますが、先ほど大臣は鋭敏にキャッチされて、答申にしても最大の参考にし、そういった答申に対しては絶対的にいいと言わんばかりのことを申されておりましたけれども、後で聞くことにいたしまして、具体的にいろいろな食料費その他も乗っけているわけでございますが、これが四十年で五万、二十五年で半分、三万一千二百五十円、そうすると、そういう給付の切り下げはして、そしていわゆる負担の増大をねらうという、そういった、先般の小川先生意見じゃありませんが、まことに暴挙であり悪法であるというような感じがしてならないわけでございますけれども、この辺、生活保護の二級地、この辺についてのキャッチはしていらっしゃるでしょうか。この基礎年金算定の基礎になるいろいろな要素の中に生活保護のそういった二級地の支給状況についてはキャッチされたかどうか、答弁を求めたいのであります。
  118. 谷口正作

    谷口説明員 基礎年金水準の設定に当たりまして生活保護の基準を勘案したかというお尋ねでございますが、私ども基礎年金の五万円の水準を設定する際には御指摘のように生活保護基準につきましても勘案をいたしました。これにつきましては、五万円の水準というのは五十九年度価格でございますが、その五十九年度時点におきまして、一例を申し上げますと、六十五歳以上の単身世帯の男女の平均の生活扶助基準が五万三千三百六十九円であったという辺も総合的な勘案の中で一つのファクターとして考慮に入れまして五万円の水準を設定いたしたものでございます。
  119. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 それよりも少ないのですよ。もう端数は全部切ってしまっている。そういうやり方をやるからいけないわけですね。それではもうそれはよろしいでしょう。谷口さんの方はお引き取りになってもいいと思います。もうあとなかったと思いますけれども……。ありがとうございました。  公務員部長に公的負担の割合についてお尋ねしたいのです。  元来、公的負担と申しますのはやはり年金財政の安定性とかあるいは所得配分機能の向上とか、また強制加入の代償としてのものであったのですけれども、今回の改正案でいきますと、明らかに公的負担をカットする、削減する方向に改正していくような感じがしてならないのであります。これは公的年金の役割というものを放棄しているのじゃないか、私はこのように極論に近いほど考えているわけでありますが、部長の御答弁を求めたいと思います。
  120. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 公的負担が今後どういうふうに推移するかということにつきましては、現行制度のまま置いておきますと、昭和六十一年度が七百億円だ、そして七十年度になるとおおむねその二倍になる、八十年度になると四倍になる、九十年度になると六倍になるというようなテンポでふえていくことが予想されるわけですが、そういうふうに公的負担がふえていくということは、しょせん公的負担というのが税金をもって財源としなければなりませんので、回り回って結局国民の税負担ということにつながっていくというようなこともございまして、今回公的負担というのを、再三御説明申し上げましたように、六十一年度に八百億円、そして九十年度には二千二百億円、九十年度の比較をいたしますと千八百億ほど減るわけでございますけれども、それでも六十一年度と九十年度を比べますとおおむね二・七倍ほど公的負担がふえるということでございます。  この公的負担というのがこういうふうに改正後においても相当なテンポでふえていくわけですけれども、そのもとになります財源というのがどういうふうになるだろうかということでございますけれども、これは社会労働委員会なんかでもよく議論しておられましたけれども、結局税収の中に占める公的負担というのはそれでもやはり割合が高くなっていくのだというような話がございました。私たちもそのことだけに耳を傾けて公的負担というものを減らすことをよしとしているわけではございませんけれども、やはり国全体の財源配分といいますか、そういうものを考えた場合には、この節これでやむを得ないのじゃないかという気がいたします。  ただ、公的負担を現行制度と比べましてこのように削減いたしますとともに組合員の掛金負担も、それほどではございませんけれども、やはり現行制度に比べてある程度は削減していこうじゃないかということも行いまして、全体として御了解いただけないかということで御提案申し上げているわけでございます。
  121. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 部長も再三申し上げているのでしょうけれども、各委員も再三この問題について言及しているわけでありますが、部長のおっしゃった六十年代七百億、それから七十年代その二倍、八十年代四倍、九十年代は六倍ということでございますが、私はここに地方公務員共済組合連合会の五十九年度価格の「公的負担額の将来見通し」という問題のコピーを持っているわけでありますが、これと一つも変わっていない数字をぴしゃっと暗記しておっしゃったわけです。ところが、六十一年の場合は差し引き百億円が三角なんですね。ところが、六十五年になりますと、今度は百億がプラスになるわけですね。いわゆる百億減って足らなかったのが、五年後には百億がきちっとなって、だんだんと改正後に公的負担のいわゆる減るトータルというのが、今言われた九十年で千八百億、こうなるわけでありますが、そうすると、再三申し上げていない質問一つやってみたいと思うのですが、それは六十一年の三角百億、六十五年のプラス百億、そうすると六十二年、六十三年、六十四年というのは一体どうなってくるのか、その辺の間がちょっと聞いておかないと困る問題があるわけです。ずっと五年ごとに、こうなってきているわけですから、その間の六十二、六十三、六十四はどうなってきているのか、それをひとつ教えてください。
  122. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 六十一年度は先ほど申し上げましたが、六十二年度は現行制度でまいりますと八百億円でございます。改正後は九百億円ということで、ここも三角、百が立ちます。六十三年度は九百億、改正前も改正後も九百億でございます。六十四年度もどちらも一千億、そして六十五年度は今申し上げませんでしたか、現行制度では一千百億円、改正後では一千億円という数字が予定されております。
  123. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 そうすると、地方公務員共済審議会の答申、六十年の四月八日でございますが、これにおいても「基礎年金については、定額支給、全額国庫負担方式をとるべきであって、当面公的負担を増額して対応するべき」などの意見があるわけであります。将来的にどのような対応をしていくのか、今こうしてトータルは出されましたけれども、将来的に部長の頭にある構想。プランというものについてはどのようにお考えなのか、その辺をひとつ定かにしていきたいと思うわけであります。
  124. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 御指摘の地共審の答申の中に、先生が今お話しになりましたようなくだりがございます。そして、私たちもその審議会の傍聴をしておりましたけれども、そういう議論がございました。この基礎年金構想というのは、もう先生お話しするまでもございませんけれども、公明党がいち早く出されました基本年金構想というものと相通ずるものがございますけれども、その財源負担をどうするかということにつきましては、なかなかいろいろな考え方が実はございます。  そこで、この構想というものを厚生省の方でおまとめになるときに、すべての年金制度基礎年金というものを導入するんだ、そして公的負担というものを考えた場合に、全財政的な観点から見た場合に、やはり三分の一ぐらいの公的負担というところが現在許されるところじゃないだろうかということでお考えになったわけでございます。先生があるいはお考えになっているかもわかりませんけれども、その財源をすべて税で賄って、そしてもう少し水準を引き上げたらどうだというような御議論も実は国民年金法の改正案のときにもいろいろあったことを私も承知いたしております。そして例の国民年金法の附則が改正されまして、その水準とかあるいは財源については今後の検討課題ということで政府に宿題を出されたわけでございますけれども、この問題につきましては厚生省中心にこれから政府部内でまた議論していくことになるのだと思いますけれども、いずれにいたしましても、厚生省所管の大問題でございますので、私がここでどうだこうだと、あるいは個人的な考え方としてこういう考え方を持っておるということを申し上げるにはいかにも問題が大き過ぎますので、どうぞそれについては御勘弁をお願い申し上げたいと思います。
  125. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 少し急ぎます。  政府の改正案におきまして既裁定者、この既裁定者にすらスライドを停止するというような暴挙を行おうとしているのですが、この取り扱いにつきまして、国民年金厚生年金等の改正法と同じように現行制度適用しましてスライドを行うべきであると本員は思うわけであります。  また、恩給期間に相当する部分につきましては、恩給受給者との均衡を考慮しまして、従来どおり恩給制度と同様に取り扱っていくべきではないかと考えるのでありますが、この点についての考えがあるか、これこそ修正に値する項目だと思いますがゆえに定かに部長の明快な答弁を求めたいのであります。
  126. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 スライド停止の話でございます。私たちも非常につらい思いでそういうことを御提案申し上げておるわけでございますけれども、結局、年金というものの将来を考えました場合に、将来の現役の負担というものが余り大きくなり過ぎる、そこでこの改正法がもし成立いたしましたら、その後の現役の負担というものをやはりできるだけ抑えていかなければならない。そのためには施行日以後年金が裁定される職員については水準というものをある程度我慢していただかなければならないのじゃないか、こういう考え方で今回の法案を御提出申し上げているわけでございますけれども、施行後、新法が施行されましたら、その後に裁定される方との均衡というものを考えました場合に、やはり既に裁定されておる方も、この施行以後、新法施行後新たに採用される年金の裁定方式に近い裁定方式で裁定がえをいたしまして、そしてその水準で我慢していただくようにお願い申し上げたいわけでございますけれども、それでもやはり現に受けておられる年金額だけは保障していこうじゃないかということで、既得権の尊重といいますか、そういう観点から、現に受けておられる年金額は尊重していこう、しかし、新たなルールで裁定いたしました年金額というものを毎年物価でスライドさせていきまして、その額が保障しておる額を超えるときに新たな額に移っていただこうということで私たち考えさせていただいたわけでございますけれども、先生方からそういう話を聞くたびに私たちも本当につらい思いがするわけでございますけれども、今回の改正というものを、六十一年四月以降の方と、そして既に年金を裁定されておる方との均衡というものを考えますと、私も頭をひれ伏してお願い申し上げたいような気持ちでございます。  なお、既に裁定されておる方の中で恩給期間を持っておる方という話がございましたけれども、恩給期間を持っておられるその方も今度の新法が施行されますとそれ以後はすべて同一の評価にされるわけでございますので、その方につきましても、やはり私が先ほどお願い申し上げましたように、どうかひとつこのスライドの問題については御了解いただけないかという気持ちでございます。
  127. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 まことにつらい思いをされる部長の答弁でありますが、六十一年四月以降の皆さん、私は年々アップしていくのが当然だと思いまして、減らされるのはおかしいんだ、いわゆる既得権とかあるいねまた期待権の侵害ではないか。今、自分たちがつくっている法律は、自分たちがデメリットを受ければそれでいいわけですけれども、いわゆる前にあった、既というものの方々に対してそこまでみじめな思いをし、そこまで冷淡な酷な、そういう態度をするということについてはまことに忍びがたい気持ちがするわけでありますが、これについてまた一考を要する問題ではないかと思うわけでございます。  急ぎますが、年金のスライドの問題につきまして、報酬比例部分年金のスライドにつきまして物価スライドにした理由がちょっと私まだよくのみ込めないのでありますが、ひとつこの辺についての明快な答弁をお願いいたします。
  128. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生御存じのように、基礎年金というものを導入することにさしていただきたいということで改正案を提案申し上げておるわけでございますけれども、先般の国会でその基礎年金につきまして物価スライドということで御承認をいただいたわけでございます。今回の年金の仕組みというのはその基礎年金を土台にいたしまして報酬比例年金というものを二階に積むわけでございます。そこで、基礎年金について物価スライドを御承認いただくということでございますので、その上に積まれる二階部分についても物価スライドということにさせていただいた方が年金の体系というかつくり方としては素直だというふうに考えて物価スライドということにさせていただきたいと思いますが、厚生年金もそういうことで物価スライドになっております。  なお、その物価スライドにいたしました場合に賃金スライドの関係で少し不利になるんじゃないかという御懸念もよく指摘される問題でございますが、五年に一回財源率の再計算という作業をいたしますが、そのときにもしも物価の上昇率と賃金の上昇率との差がございましたら、その賃金の上昇率というものを加味いたしまして賃金補正というものを行いましてそういう御懸念というものを解消いたしたいというふうに考えております。
  129. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 厚生省はもうお帰りになりましたね。——それではこの掛金及び給付の算定の基礎でございますが、その基礎になる給与につきまして二点お伺いしたいのですが、地方公務員共済におきましては他の共済とは違いまして掛金及び給付の算定基礎を平均給料方式としているのですね。国家公務員共済などでとっております標準報酬方式をとらなかった理由がまた私、定かでないのです。それが一つ。これは、七十年をめどといって盛んに言われておりますが、将来の一元化に当たって大きな障害になりはしないか、このように危惧をするのでありますが、ひとつ明快な答弁を求めたいのであります。
  130. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 標準報酬をとるのか平均給料月額をとるのかという御指摘でございますが、地方団体というのは先生御存じのように全国に三千三百の地方団体がございます。その三千三百の地方団体がそれぞれ手当というものについて種類も異なる手当を出しておるところでございますし、その支給状況につきましても必ずしも一様ではございません。そこで、三千三百の地方団体の手当の支給状況というものをそのまま年金に反映させるということになりますと平均標準報酬の考え方になるわけでございますけれども、同じような仕事をしておる地方公務員の間で年金に差ができるというのはやはりできるだけ避けた方がいいだろうということを考えまして、異なった団体で同じような仕事をしておる地方公務員はできるだけ同じような年金というものを生涯保障した方がいいだろう、このように考えまして、本俸そのものは公務員の給料体系がしっかりしておりますので、どこの地方団体におってもそんなに差異はございませんけれども、手当につきましては公務員の平均的な手当率というものを算出いたしまして、その平均的な手当率というものを本俸に掛けまして今先生お話しになりました年金の算定基礎にしていこうということを私たち考え出したわけでございます。それは、今先生お話しになりましたように、国家公務員の平均標準報酬の考え方とは違った考え方をとっておりますけれども、地方団体というものが非常に数多くある、そしてその中で手当も異なる、また支給状況も異なるということでございますので、その実態考えましてそういう考え方を採用させていただきたい、こういうふうにお願いしておるわけでございます。どうか御了解をお願い申し上げたいというふうに思います。  なお、そのようにしたことによって将来の年金の一元化との関係で妨げにならないか、こういう御心配でございますけれども、先ほど申し上げましたように、手当率というものにつきまして公務員の平均的な手当率というものを出しまして本俸に掛けまして平均給料額を算出するわけでございますので、国家公務員とかあるいは民間の厚生年金で採用されている平均標準報酬との関係では水準というものがほぼ同水準になりますので、将来の一元化のときに妨げになるというふうには考えておりませんし、関係審議会においてもそのように了解されておりますので、どうぞそのように御理解いただきたいと思います。
  131. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 しっかり目を見張って見守っていきたいと思うわけであります。  最後の項目になりますけれども、年金の併給調整につきましてお尋ねしたいのです。  障害年金と遺族年金などの併給を廃止するという問題ですね、厚生年金は前から併給を禁止しているのですが、それが一つと、二つ目は、どちらか多い方をもらうことになるんですけれども、どちらも低い場合などは最低保障的な併給調整が必要ではないか、このように単純に考えるわけであります。一例を挙げますと、今百万円しか出ない、実際は百五十万要るんだ、前は二百万ぐらいもらっていた、そういう場合の差というものがこれからかなり出てくる問題があるんじゃないかと思いますので、その最低の保障的な併給調整というのが必要ではないかと私は思うわけでありますが、これが一つ。もう一つは、平均的な年金の受給額を超える併給というのは禁止されている、そういうことを超える年金の併給を禁止するなどしていわゆる弾力的にこういった問題についての運用をすべきではないか、併給限度額というものの設定をしたらどうか、こういったことで私はこの点大いに修正の余地ありと思いますがゆえにお尋ねしておきたいと思うわけであります。
  132. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 併給調整の問題でございますが、この問題も先生既に御存じのようにいわゆる官民格差の一つとして指摘されておった問題でございます。もともと現在の公的年金制度というのは各制度それぞれに別々に給付設計というものが行われておりますので、同一人が相異なった年金制度から二つの年金を受ける、あるいはまた一つ年金制度から二つの年金を受ける、こういうことでは年金の公平性というのが保たれないのじゃないかという指摘がかねがねございました。そこで今回併給調整というものをさせていただこう、こういうことになったわけでございますけれども、その併給調整を行いました場合に確かに先生が御指摘になるような問題もございます。  そこで、併給調整をさせていただくと同時に、例えて言いますと、今先生お話しになりましたように障害共済年金と遺族共済年金につきましてはできるだけ給付額そのものを改善しようじゃないかということで、組合員期間というものが三百月、二十五年でございますけれども、それに満たない場合にでも三百月として年金額を算定する、そういうようなことを新たに行いますとか、障害共済年金厚生年金相当部分につきまして四十五万円の保障や遺族共済年金のいわゆる中高齢寡婦加算の措置を講ずる、そういうことをいたしまして年金水準が低額にならないようにこの際改善すべきものは改善して、併給調整は併給調整としてやらしていただきましていわゆる官民格差の議論にもこたえさせていただきたいな、こういうふうに考えておるわけでございます。
  133. 宮崎角治

    ○宮崎(角)委員 いろいろと修正の余地ある部分もたくさんあるわけでありますが、今回の法改正についての大きい構想であります基礎年金、これは先ほども部長が御答弁になりましたように、我が党も五十一年の段階で基本年金という構想を持って進めてきた。要は一口に言って十人のうち九人までが旅行に出発したんだ、出おくれた一人もまた既に追うように言われているのですけれども、負担金ばかりふえて報われるところが少ない旅だとわかっているだけに二の足を踏む、共済はこんな立場に置かれているのではないかと私は思います。  先般、同僚議員の質問の中にもありましたが、部長の比喩、例えの言葉が非常に私は頭から離れないのです。今こういった法の改正については、あらゆる分野でいろんなファクトをもとにしてこのロジックを構築してきた。しかし洗濯機に今入ったばかりだと言うのです。まだクリーニングしてない。私はこれは非常に重大な比喩だと思うのでございますけれども、洗濯機に入っていてまだクリーニングしていないという、そのように非常に重大な問題を内包している。とすれば、洗濯機に入れた洗濯物、まだクリーニングしていない、回転しない、もし入れたその中の水が非常に濁ってへんちくりんだったら、またそれは再洗濯しなくちゃいけないという問題が出てくると私は思いますがゆえに、いろんな面で問題を提起しながら、初めから将来のマスタープラン、これから先の方向について十分コンセンサスを高め、なかんずく国民の一人一人が合意に達するようなすばらしいプランの組み立てをさらに与野党が合意を形成して、二度と洗うことをしなくしてもいいような作品や整理や結果というものが出ることを心から願って、私は質問を終わりたいと思います。
  134. 高鳥修

    ○高鳥委員長 藤原哲太郎君。
  135. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 大変どうも御苦労さまでございます。質問事項も重複する部分がございまして恐縮に存じますが、総括的なおさらいという意味でひとつ御答弁をいただきたいと思います。  まず、職域年金についての質問をいたしたいと思います。  今回の制度の中で職域年金制度を設けた理由はどこにありますか。まず伺っておきたいと思います。
  136. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生よく御存じのように、公務員に係る共済年金というのは、厚生年金と同じように公的年金としての性格とともに公務員制度一環としての性格も実は持っておるわけでございます。公務員制度一環としての性格というのはどういうことなんだということですが、もう少し砕いて申し上げますと、公務員というのは一つは公益といいますか住民あるいは国民全体の利益にのみ勤務をしなければならないように要請されているという性格を見ておるのだと思います。そしてもう一つは、この性格との関連がございますけれども、非常に厳しい服務規律のもとで仕事をしておる、営利企業に従事してはならないとか、あるいはまた労働基本権が制約されておるとか、守秘義務が課せられでおるとか、そういうような厳しい服務規律のもとで仕事をしておるわけでございます。そういう要請とそういう厳しい規律のもとで仕事をしておる公務員であるから、退職後においてもできるだけ安心して老後が過ごせるようにとこういう願いも込めまして、ある程度の職域年金部分というものを国民の皆さん方の御了解のもとに設定さしていただいたらどうだろうかということの今度のお願いでございます。そういうことで職域年金部分というのが今度の年金の中に設定されておるわけでございます。
  137. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいまのお話で、いわゆる職域年金制度を設けたのは公務員の特殊性、公益性であるとかその服務についての規制であるとかいろいろなことの条件ということで三階建て部分を認めようということで、この職域年金制度を設けたということでございました。そういたしますると、公務員の特殊性に起因しておるということでございますれば、遺族共済年金支給において職域年金部分支給しないというのはおかしいのではないか。本人の公務への献身度は当然遺族に及ぶと考えることがどうも妥当ではないかというように思うのですが、この辺はどうお考えでございましょうか。
  138. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 公務員が、公務員といいますか共済年金の受給権者が禁錮以上の刑に処せられた場合あるいは懲戒処分を受けて退職した場合においては、職域年金部分について給付制限がなされます。その給付制限がされておる方が死亡された場合に、果たして遺族にその給付制限が及ぶのかというと、それは及びません。その点はひとつ誤解のないようにお願いを申し上げたいと思います。  ただ、遺族の方が遺族共済年金を受けるわけでございますけれども、その遺族の方が禁錮以上の刑に処せられた場合にはやはり給付制限が及ぶ。それはどういうことかといいますと、先ほど申し上げましたような性格共済年金でございますので、そういう性格共済年金を受けるにふさわしくないようなことをなさった場合、具体的には禁錮以上の刑に処せられるようなことをなさった場合においては、本人であってもあるいはまた遺族であっても同じように職域年金部分については遠慮していただこう、そういうような考え方でございます。
  139. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今の御説明でわかるわけですが、それでは、職域年金部分について禁錮刑あるいは懲戒免職などにより支給停止あるいは一部支給停止となっているわけでございますけれども、他に公的年金制度の中でこのような支給停止の事項があるのかないのか、いわゆる民間にはこういう制度はないわけでございますけれども、この辺のことについて見解を伺っておきたいと思います。
  140. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 他の公的年金制度、国家公務員等共済組合及び私学共済におきましては、禁錮以上の刑に処せられた場合あるいは懲戒処分等によって退職した場合においては、地方公務員共済の今度の案と同じような給付制限が行われますが、農林漁業団体関係共済年金におきましては、禁錮以上の刑に処せられた場合においては給付制限がなされる、懲戒処分の場合についてはそういう制度がないようでございます。なお、先生が今お話しになりましたように国民年金とか厚生年金についてはそういう制度はございません。
  141. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 そういう場合、禁錮刑だとか懲戒免職などで職域年金部分支給停止を本人の掛け分全部までに含める根拠は一体どこにあるだろうか。少なくとも、私ども常識的に考えまして、本人の掛け部分については支給停止を行わないようにしてあげることも考慮すべきではないかというような感じを受けるのですけれども、この辺はどういう御見解でしょうか。
  142. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 今先生お話しになりましたのは、職域年金部分というのは労使折半じゃないか、したがって職域年金部分全部の支給停止というのはどうだ、疑問があるじゃないか、こういうお話だと思います。その職域年金部分というのは、先ほど申し上げましたような考え方で設立させていただこうということでございます。そこで、その職域年金部分というものを受けるにふさわしくないような背信行為が行われた場合には遠慮していただこうじゃないかということでございます。  少し変わった観点から御説明させていただきますと、現在の給付制限というのはおおむね年金全体の二〇%が給付制限の対象になっておるわけですが、今度の職域年金部分、仮に全部を支給停止いたしましても一〇%ということに相なるわけですから、そういう観点から見ても、支給停止をすべきじゃないという先生方からごらんになりますと少しは前進した内容になっておるわけでございますけれども、さらにそれを本人の掛金部分というものは支給したらどうだ、こういうお話は、それなりに私も実は正直なところ感覚的にわからないわけではございません。ただ、その部分というものを全体として支給停止することも、よくよく御説明すれば納得いただけるんじゃないかという感じを持っておりますので、私は、先生なんかにもよくお話し申し上げまして今度の案というのは御了解いただける案じゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  143. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 この点は、最低限この辺のところは面倒を見てもよいんじゃないかという感じがいたしておるところでございます。  それから次は、職域年金について加入期間の二十五年未満について二分の一支給という制度があるわけでございます。厚生年金にない制度であるわけでございますけれども、今回このように改定したのはどのような理由によるのか、お伺いをいたしたいと思います。
  144. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 職域年金部分につきましては、二十五年間公務員として公務にお努めになったときに丸々千分の一・五を出そう、こういう考え方でございます。そこで、どうしてそういう考え方をとったかと申しますと、やはり先ほども触れさせていただきましたけれども、公務員として非常に厳しい規律のもとに公益のために能率的に、かつ公平に仕事をされてきた方、それが相当期間にわたったときに初めてこの職域部分というものを支給するに値するんじゃないか、むしろそういうことをしてこそ国民というのがこの職域年金部分というものを、民間にないこのものを設けることについて御了解いただけるんじゃないだろうか、こういうふうに考えて二十五年という期間を設けさせていただいたわけです。  それがなぜ二十五年かといいますと、今回の改正案で二十五年というのが共済年金の受給資格期間、こういうことになっておりますので二十五年をとらせていただいたわけでございますけれども、ただ現在資格期間が二十年でございますので、この二十年から二十五年に移るに当たりましても相当な経過期間というものを、経過措置をつくって二十五年に移っていく必要があるだろう、こういうふうに考えておるわけでございます。
  145. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 経過はわかりました。加入期間が二十五年以下で二分の一支給ということはいかにも不合理だという点が指摘できます。加入期間が仮に二十四年でやむを得ず退職した者が、加入をしてから一、二年でやめた者と同一扱いをされることに対する疑問でございます。したがって、職域年金部分については二十五年未満一律二分の一支給を改めて、加入年数、一年とか二年とかという短い人とあるいは二十三年とか二十四年とかという長い期間と同じようにすることは少し問題があるのではないか、その辺では加入年数に応じたところの支給というように改めるあるいは修正するということの方が妥当性があるのではないかというように考えるのですけれども、この辺の御意見をひとつ伺っておきたいと思います。
  146. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生のおっしゃることはよくわかります。ただ、制度をつくりますときにいつも迷うというかぶち当たる問題でございますけれども、資格期間制度というものをとりますと、どうしてもそのボーダーラインに近い方は先生がおっしゃるような取り扱いを受けることになるわけでございますけれども、その場合に、先生が今御提案になられましたように加入期間に応じて考え直したらどうかということも一つの御提案だと思いますけれども、ただ、そういうふうにいたしましたときに職域年金部分というものの性格が少しぼやけてきやしないだろうかというような懸念もございます。実は千分の一・五というのも、制度を施行いたします初年度におきましては千分の〇・五、それを二十年かけて千分の一・五というふうに徐々にふやしていくわけでございますけれども、そのことと今先生が御提案になりましたことをあわせて考えますと、実務的にもいかにも複雑になる制度というものをつくることになるんだなというようなことも考えたりします。そこで、基本に返りまして、こういう資格期間というものを設定して一つ制度をつくりますときには、そこのボーダーラインの方の扱いというものについては割り切って制度というものをつくらしていただかなければならないのかなというふうに思います。先生のおっしゃる御提案というものは実感的には非常によくわかるのですけれども、制度をつくる人間といたしましては、どうも賛成というわけにはちょっといかないのじゃないかという感じがしているわけでございます。
  147. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今の御説明で私自身もわかるところもあるのでありますが、しかし納めた側の者にしてみれば同じようだということについては何か不公平というか妥当性がないんじゃないかという感じもするのではないかというように思うので、いま少し手続やいろいろな細かい事務的なことでは細かく段階をやるということは、手数はかかるかもしれませんけれども、しかし手数はかかってもその辺のところのきめ細かさというものも私は必要ではなかろうか、かように考えておりまするので考え方のみ申し上げておきます。  それから、次に質問をいたしたいと存じます。  職域年金退職金との関係についてでございます。  共済年金職域年金の創設の理由一つといたしまして、民間企業における企業年金支給実態というものも考慮されておるというお話も伺っておるわけでございますが、この点について、再度の質問になりまするけれども、どのようなことを考慮されてこの共済年金の職域年金制度の創設をしたか、このことについて考え方を伺っておきたいと思います。
  148. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 今回、職域年金部分というものを設定するに当たりまして、今先生お話しになりました民間企業のいわゆる企業年金につきましてもできるだけ資料を集めていろいろ勉強はいたしました。いたしましたけれども、職域年金部分水準等について企業年金実態を参考にし得たかというと、正直なところ企業年金というものの実態はさまざまでございまして、なかなか民間における企業年金実態がこうだ、したがって職域年金部分を設定するに当たってこういう基準で参考になるというものは得られませんでした。そこで、私たち職域年金部分を設定するに当たりまして民間に企業年金があるということを頭の片隅に置いたことは事実でございますけれども、その頭の片隅に置かれた企業年金というものがこの職域年金部分の設定をするに当たっての水準等について基準になり得たかというと、先ほども申し上げましたようにやはり基準にはなり得なかったというのが正直なところの経過の報告でございます。
  149. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 どうも正直なお話をされてしまいましたが……。  それでは、厚生省の方、いらっしゃいますか。——厚生省にお伺いをいたしたいと思いますが、民間企業におきます企業年金制度の採用状況というものはどのようになっておるか、その実態についてこの機会に御報告をいただきとう存じます。
  150. 和田勝

    ○和田説明員 御説明申し上げます。  企業年金制度には、厚生年金給付の一部を代行するとともにそれに基金独自のプラスアルファを積み増して行います厚生年金基金制度、それから社内に資金を積み立てるなどの一定の要件に該当しますものにつきまして税制上の優遇を行っていく適格退職年金、税制上の適格退職年金でございますが、それと、それらの要件に該当いたしません自社年金という、大きく分けて三つがございます。  まず厚生年金基金でございますけれども、本年三月末の時点で基金数一千六十三、加入員数六百八十万人、これは同じ時点での厚生年金の被保険者数が二千六百七十六万人でございますので、約二五%強ということになります。適用の事業所数が約八万四千事業所でございます。それから適格退職年金でありますが、同じ本年三月末で実施企業数が六万六千八百四十一、その加入者数が七百二十四万ということで厚生年金被保険者の約二七%でございます。この企業年金中心をなします厚生年金基金と適格退職年金合わせて厚生年金被保険者の約五割がカバーされているという実態でございます。
  151. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 どうもありがとうございました。その中で大企業と中小企業の割合につきましてもこの機会にちょっと御報告をいただきたいと思いますが、引き続いて厚生省お尋ねをいたしたいと存じます。  企業年金の場合、退職一時金という支給をしておるところとそれから年金という形で長期に支給する形とがあるわけでございますけれども、その割合は一体どうなっておるのか、それから支給額は老齢厚生年金の何%くらいになっておるのか、年金支給している場合においては期間は大体どのくらいになるのか、この辺の御調査がしてありましたら伺っておきたいと思います。
  152. 和田勝

    ○和田説明員 まず初めのお尋ねの企業規模に応じての加入状況でございますが、上場企業一千七百四十八社中何らかの形で企業年金を実施しております企業が八一%でございます。そのうち厚生年金基金を設立しているものが五百十四社、適格年金を実施しているところが一千四十七社、それぞれ三割、六割、重複して実施しているところもございますので、そういった数字になってございます。別の調査でございますけれども、何らかの形で自社年金を実施しているところは企業の約一割程度でございます。  それから企業年金についての一時金の支給年金支給の割合についてのお尋ねでございますけれども、厚生年金基金は終身年金給付を原則といたしておりますが、上乗せ部分の一部を一時金で選択する選択一時金制度というものを設けてございます。五十八年度中に新規に裁定されました年金受給者のうち、選択一時金を選択した者の割合は約一五%でございます。それ以外は年金給付を何らかの形でとっておるということでございます。それから適格退職年金の場合には九七%が一時金の選択になってございまして、年金の受給は三%ということで非常に少のうございます。  それから最後のお尋ねでございますが、企業年金年金として受給している場合の支給額が厚生年金老齢年金の場合の何%くらいに当たるかというお尋ねでございますけれども、まず厚生年金基金制度について見ますと、昭和四十一年度から昭和六十年度までの二十年間、制度が創設されて以来二十年間ずっと基金制度加入していたという場合を想定してみた場合でありますが、この場合の基金独自の上乗せ金額は約十九万円というモデル額になります。この期間に対応します厚生年金老齢年金の額が百十七万円でございますので、その割合は一六%ということになります。  それから厚生年金基金の場合でありますが、これは先ほど申し上げましたように支給期間は終身を原則といたしております。これに対しまして税制上の適格退職年金でございますが、これは比較的短い有期年金の割合がもともと多いということもございまして、年金額そのものは厚生年金基金の場合に比べてやや高い、五十九年度末で約五十万円になってございます。一方、五十九年度末の厚生年金老齢年金の平均年金額が約百四十万円でございますので、その割合は三六%になるということでございます。  以上でございます。
  153. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 どうもありがとうございました。  次に、人事院いらっしゃいましょうか。——お尋ねを申し上げたいと思いますが、企業年金制度においてはただいま御報告がございましたように細かくは九七%、九割以上が退職一時金という形で支給されているのが実態でございます。人事院は退職金の官民比較を五年ごとに調査を行っておられるわけでございまするけれども、民間の退職金の中にはこの企業年金制に基づく退職金も含まれておるのか、あるいはその額というものは退職金全体の何割程度を占めておるか、その辺の実態について調査が行われておりましたらデータをお示しをいただきたいと思います。
  154. 小堀紀久生

    ○小堀説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘のように人事院では公務員の退職手当の検討の参考といたしますために民間企業の退職金の実態調査を行っておりますけれども、この企業年金はその原資が退職一時金を振りかえたものが多いということ、それから支給形態もしたがいまして選択一時金として支給されるものが多い等、そういう事情がございますので、現在のところは、大勢としてやはり退職一時金として機能しているというふうに判断をいたしまして、厚生年金の上積み分として厚生年金と不可分的に設計されているようなもの以外の企業年金につきましては事業主負担部分の企業年金現価を退職金の一部として調査対象としております。その額でございますが、企業年金現価の退職金全体に占める割合、これは約四分の一となっております。
  155. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今まで厚生省なり人事院にもお伺いをしてまいったわけですが、企業年金退職一時金が民間の退職金の中に含まれ、それをもとにいたしまして公務員の退職金との比較がなされ退職金の官民格差の是正が図られているとすれば、民間の企業年金支給実態をもとに職域年金を設けるということは、俗に言う新たな官民格差をつくり上げておるというような感じを持つわけでございまするけれども、先ほど公務員部長さんは、そういう点ではなかなか水準等について対比をする状況までは立ち入らなかったという率直な話があったのでございまするけれども、この辺の批判に対してどのようなお考えを持っておられるか、お伺いしておきたいと思います。これは自治省
  156. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先ほどお答え申し上げたとおりでございますが、先生の御心配は、公務員の場合は退職金は退職金として取っておきながら、また企業年金というものを基準に置いて職域年金部分というものを設けるとそれは新たな官民格差だぞ、恐らくこういうような御心配だと思います。また、実はそういう御心配に基づく新聞に対する投書というものも私は時々見たことがございます。  そこで、この際よくよく御理解いただきたいのですが、今回私たちが御提案申し上げております職域年金部分というのは、民間の企業年金というものの水準とパラレルに置きまして考えたというよりも、先ほど申し上げたように公務員の勤務の特殊性、そしてその特殊な規制のもとにおいて公平、公正かつ能率的に仕事をしなければならないという公務員の特殊性というものに着眼した職域年金部分でございますので、これを設けたからといって新たな官民格差というものがそこで議論されなければならないというふうには実は私たち考えておりません。これはこれでよく国民の皆さん方に御説明して、民間の厚生年金にはない職域年金部分というものをこういう理由で設けさせてくださいということは、これからも国民の方のよき理解を求めていかなければならない問題だなというふうに考えております。
  157. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ありがとうございました。  引き続いて人事院に伺いますが、先ほどの報告の中では余り明確じゃございませんでしたが、関連をしてちょっと伺っておきたいと思います。  職域年金の導入が妥当であるとするならば、退職金の官民比較を行うに当たっては、企業年金退職一時金相当分、つまり退職金額、一時金をもらった分の中にも退職金が含まれて勘定の中に入ってくるわけでありまするから、金額の約二五%程度を差し引いた民間の退職金との比較で行うことの方がより正確ではないかというように思うわけでありまするけれども、今後こういう調査を行うに当たって、今私が申し上げたような点を配慮することによって官民格差の現状というものを的確に掌握することができると思うのですけれども、人事院の考え方をこの機会に伺っておきたいと思います。
  158. 小堀紀久生

    ○小堀説明員 今回の改正案の職域年金部分につきましては、先ほど自治省の方から御説明がございましたように、公務の能率的運営に資するという観点から、公務員の身分上の制約等の特殊性等を総合的に勘案して設定されたものというふうに私どもも承知しております。一方、退職手当の検討の基礎となります人事院の民間企業退職金調査でございますけれども、これも先ほどお話いたしましたとおりでございまして、現在までのところはやはり退職金としての機能、役割を果たしているものというふうに私どもは判断をいたしておりまして、退職金としてつかまえてきた方がいいのではないかというふうに考えております。したがいまして、このような企業年金の機能、役割あるいは今回、職域年金設定の考え方等からいたしましても、退職金の官民比較の基礎とすべきそういう民間退職金調査としては、現在の方法が妥当なのではないかと思っております。  ただ、先生指摘のように、このような企業年金の役割、機能というものにつきましては、定年延長だとかあるいは民間企業従業員の高齢化等の状況が変化しておりますので、そのような動向につきまして、今後とも十分な注意を払って見守っていきたい、そういうふうに考えております。
  159. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 これはちょっと意見が一致はいたしておりませんけれども、これで議論しておりますと時間がかかりますので、一応次の機会にまたお尋ねを申し上げたいと思います。  今まで議論をしてまいりましたように、地方公務員退職金が、地方公務員の中でも高いところと低いところといろいろありまするけれども、世論から見れば高い、批判のあるところでございます。この高い退職金を是正しないでさらに職域年金を設けるということは、俗に言う役人天国だという批判もあるところでありまして、そういうようなことをも考え合わせながら、これからの官民格差という面から言えば、少なくとも企業年金制に基づく退職一次金の額を除いた民間の退職金との格差是正を速やかに図るべきであるというように思うわけでありまするが、どのようなスケジュールで、どのような方向を考えておられるか、この機会に伺っておきたいと思います。
  160. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 高額退職金の問題につきましては、かねがね厳しい批判がございました。私たちの方でも、実は既に早くからこの問題について一般的に、地方団体に呼びかけまして、その是正をするように指導してきましたけれども、その指導に応じまして是正をされたところもございますし、なお高い退職金をそのまま維持しておられるところもございます。この問題は毎年毎年国会でも議論されますし、私たちも新聞社の方からもっと厳しく指導したらどうだというような話も聞きます。  そこで、今回、私たちの方の事務能力の限界というものもございますけれども、退職金の支給率の高いところ、上からおおむね二百団体ばかりを選びまして個別指導団体ということにいたしまして、退職金の是正に取り組んでいただいておるわけでございます。それぞれの地方団体におきましては、関係方面とよく意見を交換されまして、退職金の是正に、できるだけ関係者の納得を得た上で是正されるように、私たちも辛抱強く、そしてまた強力に指導をしてまいりたいというふうに考えております。
  161. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 大臣、公務員として規制なり特殊な服務規律のもとに本当に一生懸命でやっておられる方々に対するものということよりも、今中島務員部長お話をされましたように、国民が見て、不当な高額の退職金等々について厳粛な批判があることは、私は事実だと思うのですね。そういうことも、こういうものを審議する上で、いかにも官民格差があるのじゃないかとか国民の印象の中に深く根差しているのじゃないでしょうか。一般に働いている人がこの年金の問題でもそれほど高いわけでもないし、長い間それを楽しみに何とか三十年なり四十年なり働いて、そして共済年金老後が安定できるような状態できちっともらえるのだ、それを楽しみいちずに働いている人と、あるいは高額にもらって世の批判を受けるというような、こういう矛盾がいろいろの批判にもつながっておるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけですね。したがいまして、今中島務員部長もそういう団体に対する指導というのを相当強化しておられるというお話でございますけれども、大臣としてもこの際、こういう問題についての大臣の決意をこの機会に伺っておきたいというように思います。
  162. 古屋亨

    古屋国務大臣 藤原委員の御指摘の点は私も同感でございます。この間もマスコミ等の記事を見ますと、鎌倉の市長の選挙で新たな人が当選された。それは退職金の問題が中心で、六千万円とかそういう退職金が出ておる。全国に余りそういうところはないというような、これは町の批判の声が私はそういう結果に響いたものであるというふうに考えております。  そういうことから考えましても、自治省でこの夏から個別指導団体といたしまして退職金の多い、上の方から二百ぐらいを指定町村といたしまして、今個別指導を始めておるところでございまして、やはり給与の問題なんかでも個別指導を前にいたしましたが、相当やはり効果がございます。それで住民の方からも大変好意を持って受け取られておることもあることでありますので、私ども今後も今の御趣旨の線を外しまして、高額の退職金等についての地方団体については本当にこれを急速に是正されるように一層指導に万全を期してまいりたいと思っております。
  163. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ひとつ、今大臣から言われましたように、そういう個別指導を強化されまして国民の厳粛な批判にこたえていただきたいというように思います。  次は、年金のいわゆる世の中で言われる官民格差があるのではないかという、そういう批判にこたえての問題点についてこの機会に御質問をいたしたいというように思います。  従来から共済年金についてはその給付水準が民間の厚生年金よりも高いという、いわゆる官民格差があるという批判があるわけであります。今回の改正でもこのような官民格差の是正もその一つとされておるわけでございまするけれども、自治省としてはそのような批判についてどのような是正というか考慮をされておるか、このことについて伺っておきたいと思います。
  164. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 いわゆる官民格差の問題、制度間格差の問題でございますが、せっかくの機会でございますのでよく御説明をさせていただきたいのですが、世間では公務員の年金というのがよ過ぎる、そこに官民格差がある、こういうふうによく言われるわけでございますけれども、実は先ほども少し先生から御指摘がございましたけれども、公務員の年金には本質的にやはり公務員としての特殊性というものを考えなければならない分野があるということを国民の皆さん方にも理解していただかなければならないだろう。そしてもう一つは、我が国の年金制度というのはそれぞれ違った歴史があり伝統があり、そしてそれぞれの職域ごとに発展してきたものでございますからやはりそこに違ったものがあるわけでございますが、それらが混然としておりまして、ただ年金水準を比べて高いからそこに官民格差があるんだという議論が現在行われておるわけでございますけれども、やはりそこは少し整理して物事を考えていかなければ、批判する方の納得は得られても今度は公務員の方の納得が得られないんじゃないかという気がいたします。したがって、そこはよくよく落ちついて考えてみなければならない問題だというふうに思います。  そこで、いわゆる制度間格差の問題として従来言われておりました第一番目は、年金の算定方式の問題でございます。厚生年金の場合には算定方式が一つでございますが、公務員の場合には報酬比例に基づく基本ルールというのと、もう一つ厚生年金と同じように定額と報酬比例の通年ルールという二つがございまして、そして有利な方を選択できる。年金額を計算してみて多い方の方式を選択できるという制度がございました。そこで、これは公務員についていつまでもそういう選択制というものを認めておくわけにいかぬじゃないかというので、今回は厚生年金の算定方式と同一の算定方式にさせていただいて、その面についての批判にこたえていこうじゃないかというのがまず第一番目でございます。  それから第二番目は算定基礎でございますけれども、公務員の場合には退職前一年間の給料というものの平均額をとって算定基礎にしておりましたけれども、厚生年金の場合には勤務いたしました全期間の平均標準報酬ということでございますから、そこにおのずと相当な開きがございます。算定基礎にそういう開きがございますので、どうしても公務員の方に有利になるというような批判がございましたので、その点につきましても、やはりこの際全期間の平均給料月額というものを算定基礎にしていこうじゃないかということが第二番目でございます。  それから第三番目といたしまして支給開始年齢の話がございます。民間の場合には、厚生年金の場合には既に支給開始年齢が六十歳になっておるのに公務員の場合には昭和七十五年に初めて六十歳になる。そういうことでは少し差が大き過ぎるじゃないかというような批判がございましたので、昭和七十年に六十歳になるようにひとつ経過措置というものを、五年間短縮していこうじゃないかということを考えたわけでございます。  それから第四番目でございますけれども、年金を受けながら高額の所得がある場合においても年金支給制限というのが緩いじゃないかという批判がございましたので、それにつきましても、所得による支給制限というものを厳しくしていこうということを考えております。  まあそういうことを考えまして、それ以外に、先ほどから御説明させていただいておりますように職域年金部分というものを新たに設けまして、公務員としての特殊な年金共済年金だということをはっきり性格づけまして、今までの制度間格差の議論というものにもこたえていったらどうだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  165. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 合格差の問題点について御指摘がございましたが、この機会に一つずつの問題について伺ってみたいというように思います。  組合員資格について厚生年金は六十五歳未満であるのに対して共済年金では年齢制限がなくしたがって六十五歳以上であっても職員である限り組合員として保険給付をしなければならないことになっているわけでございまするけれども、その理由はどこにあるのでございましょうか。
  166. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 厚生年金の場合には老齢年金ということで退職支給要件にされてないわけでございますが、公務員の場合には退職支給要件にされております。これは現在の地方公務員法あるいはまた地方公務員共済組合法におきましても退職ということが規定されておりますので、それを受けて制度がつくられておるわけですが、なぜ公務員の場合に退職になっておるかということでございます。  やはりこの共済年金制度というのが、公務員が退職した後の生活というもの、福祉の向上というものに資していこうという性格を本来的に持っておるから退職共済年金というふうになっておるわけでございますが、それ以外にも、技術的といいますか非常に事務的な話でございますが、一つ共済組合というものが年金とともに医療給付も行っておる。したがって、六十五歳になりましたら共済組合員でないという取り扱いをすると医療給付はどうなるのだというような問題もございますので、やはりそこは組合員として存続させていただいた方がいいんじゃないかという問題とか、あるいはまた地方公務員の場合には六十五歳以上になりまして年金を受ける、在職中でも年金を受けるということにした場合に、やはり果たしてどういうことになるだろうか。高齢になったら直ちに給料が下がるというような実態も、そういう給料制度にもなっておりませんし、六十五歳以上の方は主として特別職の方が多いわけですから、そこは退職共済年金というふうにさせていただいても不都合は生じないじゃないかと考えまして、現在のような厚生年金との違いというものがそこに生じておるわけでございます。
  167. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 次に、特別支給の減額支給について、厚生年金ではこれがないにもかかわらず共済年金ではこれがあるのはどういう理由によるものでございましょうか。
  168. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 減額支給制度というのは、実は私たち厚生年金と同じように行く行くは廃止していった方がいいと考えております。なぜかと申しますと、早くから年金を受給されますと、本当に年金が必要になる老後にはそれだけ減額率が高くなりまして年金額が少なくなるわけですから、減額支給制度というものは廃止していった方がいいと考えております。ただ、現在、支給開始年齢の経過措置を設けて、その経過期間中でございますので、一気に減額支給制度を廃止するというのは、組合員それぞれの方の生活設計といいますか、現在の予定というものもございましょうから、それを一気に廃止するのはいかがなものかというので、経過措置を設けながらこの減額支給制度というものを廃止していって、高齢者になられたときに年金を満額もらえるようにしてあげた方がいいのじゃないか。また、厚生年金とそこで平仄を合わせていただいた方がいいのではないかということでございます。
  169. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 わかりました。経過措置として現在は存続した方がベターである、将来は廃止する方向であるということでございますので、そういうことについて了承いたします。  次は、障害年金の受給資格について、厚生年金では障害基礎年金の受給資格保険料納付済み期間が加入期間の三分の二以上を満たしていることが必要なのに対しまして、共済年金にはその要件がないというのはどういう理由によるものでございましょうか。
  170. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 厚生年金の場合には、今先生お話しになりましたように、国民年金保険料納付済み期間が三分の二以上ということで初めて障害基礎年金と障害厚生年金がセットになって支給されるということでございますが、共済年金の場合には実はそこをリンクさせておりません。他の制度保険料納付済みの状況によって左右されるということではなくして、公務員共済というかそういうものの相互救済制度ということから考えて、国民年金保険料納付状況のいかんにかかわらず公務員の場合には障害共済年金というものを支給する制度にした方がいいのじゃないか、それが公務員共済の相互救済制度趣旨になじむのではないかということでそういう制度をつくらせていただこうと考えておるわけでございます。
  171. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 次の質問をいたしたいと存じます。  公務上の災害により障害をこうむった場合に、共済年金の場合は障害年金が増額されることになっておりますが、民間の場合、厚生年金の場合やその他の制度の場合にはそれがないわけでございます。そうなると制度上不公平ではないかというような感じを受けるのでありますが、このことについての見解を承っておきたいと思います。     〔委員長退席、平林委員長代理着席〕
  172. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 公務員の共済年金の目的の一つに、公務の能率的な運営に資するという性格が付与されております。そこで、公務員が公務によって障害を受けた場合には、民間の場合と異なりまして、それだけの上積みを年金の上でもしてあげる必要があるのじゃないか。そういうことによって公務員が安心して公務に従事することができるだろうということで、今先生が御指摘になりました民間の業務上の障害年金と異なりまして、公務による障害年金の場合には公務による上積み分というのが制度としてでき上がっておるわけでございます。
  173. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 遺族年金の遺族の範囲についてでありますけれども、厚生年金では二十歳未満で一級、二級の障害のある子または孫であるのに対しまして、共済年金では二十歳未満という要件を除いておる理由はどの辺にあるのでありましょうか。
  174. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 遺族の範囲についてでございますけれども、障害のある子及び孫に年齢制限を設けておりません。それは、その子または孫が二十歳に達したときに障害基礎年金支給されることになりますけれども、この場合厚生年金のように、一方的にというと言葉は悪いですけれども、制度として障害基礎年金のみを支給するんだという制度のつくり方も一つはあろうかと思います。ただ、公務員共済の場合には、その障害基礎年金を受けるのが有利なのか、それとも遺族共済年金を受けるのが有利なのかという選択を、どちらを選択するかという選択をさせてあげるような制度をつくっておいた方が本人には有利じゃないだろうかということで今先生が御指摘になりましたような年齢の違いがあるわけでございます。
  175. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 以上で厚生年金共済年金との間で種々の制度上の相違点のあることがおわかりいただいたというように思います。しかし、私ども考えてみまするに、この間公聴会でもお話が一部されたように記憶いたしておりますけれども、これから年金の将来の一元化に向けて考えた場合、こういった違いが一元化に何か障害というか一元化を進めていく上で一つの問題になるような気がするのでありますが、それをどういうように克服するのか。あるいは共済年金制度というものは、国民の中に理解を深めながら一つの別建でのような形の中で考えるのか、あるいは一元化の方向に今もう既に入っておって、その中で公務員の特殊性というような考え方で今後も進んでいくのか。この辺が率直に言って私どもどうもよくわからないところでございます。もしこのことについての考え方をお示しいただけるならありがたいと思いますが、今後どういうような方向でいくかということについて大臣どうでしょうか。
  176. 古屋亨

    古屋国務大臣 先ほど公務員部長から厚生年金共済年金の違いの点、いろいろ数項目を先生の御質問によってお答えしたのでありますが、こういう相違点につきましては、それぞれの制度の立場からそれぞれの理由があるものでありますが、今後一元化の観点から調整の必要なものが出てくると思います。その場合において、調整の必要なものにつきましては今後の課題として十分検討してまいりたいと思います。
  177. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 それ以上申し上げましてもその問題では多分結論は出ないと思いますので、了承いたしたいと思います。  次に、年金額の算定基礎につきましての御質問をいたしたいと思いますが、このことにつきましても今まで議論のあったところでございますが、改めての部分もございますが、どうぞお答えをいただきたいと思います。  厚生年金や他の共済年金と異なり、地方公務員共済の場合は全期間の平均給料月額に公務員の諸手当の平均的な割合を勘案した補正率を掛ける額となっております。従来の年金制度の一元化を考えた場合、地方公務員共済のみが算定の基礎が異なるということになりますとどうもこの辺が大きな障害になるのではないかというように考えるのですけれども、改めてこのことについての見解を伺っておきたいと思います。
  178. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 平均的な手当の率というものを掛けまして平均給料月額を出すわけですけれども、そのときの対象になる手当につきましては、国家公務員が平均標準報酬を出します前に、対象になる手当、調整手当とか超過勤務手当とか扶養手当とかいろいろございますけれども、そういう手当というものを、同じ範囲の手当というものを取り上げまして、それで平均的な率を出して算定の基礎となる平均給料月額を出していこうということでございますので、水準といたしましては、地方公務員年金額の算定の基礎になる平均給料月額と国家公務員の年金の算定の基礎になる平均標準報酬月額というものは全体としてバランスがとれておる。したがって、一元化というものの妨げになることはないというふうに考えております。
  179. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今、中島務員部長さんはいろいろのことを考えてくればそれほどの障害はないというお話してございました。しかし、将来年金制度の統合、一元化を考えた場合には、地共済ベースの考え方でずっと統一をするようにした方がよいのか、それとも今までの年金のように諸手当のみで標準報酬月額でいくべきであるかということについて二つの流れがあるわけでありますが、このことについて、どちらでいくべきかと考えておるかということについて自治と厚生、それぞれにちょっと伺っておきたいと思います。
  180. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 地方団体サイドには、地方団体サイドのお家の事情といいますか家庭内の事情がございまして、先ほど申し上げましたように、地方団体の数が非常に多い。そして、その数が多い地方団体で手当の種類も若干異なっておるし、その支給額も異なっておる、そういう状況というものを考えた場合に、同じような仕事をしておる地方公務員がAという団体とBという団体におるときに年金額に差があるというのはやはりまずいだろうというお家の事情というものを勘案いたしまして、平均給料月額というものをもとに年金額を算定させていただいたらどうだろうかということでございます。片一方、国家公務員等共済組合の場合には電電とか専売、たばこ産業というものを抱えておりまして、そちらはそちらなりの特別なお家の事情があるということで、電電とかたばこ産業の方をにらみながら平均標準報酬という制度をとらしていただいたらどうだろうというのが国家公務員サイドの考え方だろうと思います。そこで、それぞれ異なったお家の事情というものがあり、それはそれで了解すべきお家の事情であるならば、私が先ほど御説明させていただきましたように、結果的に年金の一元化の妨げにならないような工夫というものを凝らしながら、片一方は平均給料月額だ、片一方は平均標準報酬月額だというふうにさせていただいて、お家の事情を尊重させていただいたらどうだろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  181. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 厚生省厚生省なりの主張があると思いますけれども、これはひとつ省略をして、次に進ませていただきます。  民間企業においては地方団体以上にいわゆる諸手当の支給はばらばらであります。したがって各自治体で行われている特殊勤務手当というものもいろいろさまざまでございまして、乱れておるという批判もある実態もあるわけでございまして、そういう点からいえば標準報酬の算定化については、いわゆる本俸ベースで統一すべきではないかという有力な意見があるのでございますけれども、このことについては自治省はどう考えておられますか。
  182. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 特殊勤務手当の問題につきましては年金の算定基礎をどちらにするかという問題と関係なく、かねがね特殊勤務手当の状況につきましては国会でも御指摘いただいておりますし、その他いろいろな方から私たちは問題提起されております。  したがいまして、この問題はこの問題として適正な特殊勤務手当というものを地方団体支給するように指導していかなければならないと考えておりますので、この問題と標準報酬月額あるいは平均給料月額のいずれがいいのかという問題をひっかけて議論されますと問題が少し混乱してまいりますので、適正な特殊勤務手当の支給というものにつきまして私たちも指導してまいりたいと思いますので、適正な特殊勤務手当が支給されておるという前提で、いずれの算定基礎がそれぞれの団体に似合うのかということをお考えいただけないかなというふうに思います。
  183. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今の点は地方自治体、三千三百ある団体の中で一律的でないわけでありますので、その辺は適正など今言われましたけれども、そのような指導をしていく必要があるのではないかと感じておるところでございまして、指導の強化を願っておきたいと思います。  ところで、じゃ地方公務員共済の場合は平均給料月額に掛ける補正率は大体どの程度を想定されておるのか、またその根拠についてお示しをいただきたいと思います。
  184. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先ほど少し御説明させていただきましたが、国家公務員等共済組合が平均標準報酬を算出するときに対象になる手当というものを地方公務員の場合にも対象にいたしまして、その手当総額と給料総額をプラスしたものを給料総額で割りますとおおむね一・二五になるだろうと考えております。したがいまして補正率は現在一・二五程度じゃないだろうかと考えております。
  185. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいま補正率は大体一・二五、いま少し上になるのじゃないかと予測される面もありますが、補正率の算定の根拠に含まれている手当の範囲というのはどのように考えておられますか。
  186. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 公務員にはいろいろな手当が支給されておりますが、その手当の中で現在除くことが議論されておりますのは期末・勤勉手当、寒冷地手当、そして育児休業給、その四つでございます。毎月決まって支給される手当以外の手当というふうにお考えいただいていいのじゃないかと考えております。
  187. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 わかりました。  それでは次に、地方公務員の五二%は調整手当が支給されない地域におるわけでございますが、これに一律一・二五とか二割とかという調整率を掛けるということは、一律に掛けるということについておかしいのじゃないか、やはり地域差を設ける必要があるのではないかというように考えられるのですけれども、この辺のお考えはどうでございましょう。
  188. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 そういう議論もあるのだろうと思います。ただ、そういうふうに考えてまいりますと、例えて言いますと、通勤手当が出ている職員と出ていない職員、あるいは扶養手当が出ている職員と出ていない職員がいるとか扶養手当の額に違いがあるとか、あるいはまた団体によって超過勤務手当が違うとか、地方団体が数が多いわけでございますから、実はいろいろ千差万別でございます。したがいまして、私たちの処理の仕方としては、公務員の平均的な手当の率ということで一律に扱わしていただいた方が——実はいろいろな条件を考えますと、この団体ではこの手当がある、ない、この団体では少ないということをやっておりますと、もうとても、私たちの方の事務手続の上からいっても参ってしまいますので、平均的な手当の率というものを使わしていただいて皆さんに納得していただくようにお願いしていかなければならないのじゃないかと思います。
  189. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 また、新制度の施行日前の組合員期間に係る平均給料月額については、当該の全期間の給料を把握することが困難であるために、施行日前五年間における掛金の標準となった給料の合計額を当該五カ年間の月数で割った額に、当該施行日まで引き続く組合員期間の年数に応じて政令で定める補正率を掛けることによって算出するというようなことになっておるわけでございますけれども、いわゆる政令で定める補正率を掛けるというこの補正率とは一体どの程度のことを想定されておるのでございましょうか。
  190. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 過去の期間の平均給料月額の出し方につきましては、先生が今おっしゃったとおりのやり方をやるわけですけれども、具体的に申し上げますと、六十年現在の給料表に基づきまして今先生お話しになりました補正率というものを算定していくということになるわけでございます。施行日前五年間の六十年水準に直した給料の平均額そのものをまず出しまして、それから二十年ある方については二十年の補正率、二十五年ある方については二十五年の補正率、それを現在の給料表に基づいて算出して全期間の平均給料月額を出していく、そういう算定方式を現在考えておるわけでございます。
  191. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 この率そのもの、もし差し支えなかったらお示ししていただきたい。
  192. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 現在まだ手元にその数字はつくり上げていないようでございます。
  193. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 多分準備はもうされておるというように思いますので、この辺のところも可及的速やかに、補正率等が明確になりましたらお知らせをいただきたいと思います。  それから次に、質問を行っていきたいと思いますが、現行の減額退職年金制度は廃止されるということになっておるわけでございますが、その理由はどの辺にあるのでございましょうか。存続をしてやるべきではないかというような意見もあるところでございますが、どういうわけでこの制度を廃止するかということについての見解を承っておきたいと思います。
  194. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先ほども少し御説明をさせていただいたと思いますが、減額退職年金制度というものを存続させておきますと、高齢者になりまして本当に年金が必要になったときに年金額が少なくなる。現在減額率というのが一年について百分の四でございますけれども、理論計算をそのとおり行いますと、減額率というのがもう少し高くなってまいります。そうしますと、本当に年金が必要なときに受けることができる年金というのが少なくなりますので、やはりこの制度は、ある程度の経過措置を講じながら厚生年金と同じように廃止させていただいた方がいいのじゃないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  195. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 次に、厚生省にちょっと伺っておきたいと思います。  これは各委員とも話があったところでございますが、基礎年金の額の問題でございます。四十年間保険料を払って最高五万円ということになれば、いわゆる生活保護費を下回るような現状の中で、果たして基礎的な生活をすることを保障するに足る金額であるかどうかということがよく議論をされるところでございます。国民生活実態なり生活水準がどの程度のところまでいくかといったような問題をも含めておると思うのでございますけれども、この基礎年金の額について、経済や生活面の問題あるいは物価等、そういう各般にわたる状況考えたときにやはりこの五万円というものについては問題があるのではなかろうか。生活保護で二級地で単身者が六万八千七百四円というのに比べますと、それをも下回るというようなところにはやや国民の納得のできないものがあるというように私も感じておるのでありますけれども、再度の質問になって恐縮ですが、何かこれはひとつ厚生省としても前向きに検討する必要があるのではないか、かように考えますが、いかがでございましょうか。
  196. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 お答えいたします。  基礎年金の月額五万円でございますけれども、これは御承知のとおり高齢者の実際の生計費等を総合的に勘案いたしまして、老後生活の基礎的な部分を確保するということで、私どもは妥当な水準だと思っているところでございます。これにはどうしても負担との兼ね合いというものも考慮しなければなりません。また、公的年金の役割というのはどういうところにあるのか、公的年金、特に基礎年金でございますが、基礎年金だけで生活のすべてを賄う、こういうことではなかろうと思うのです。そこら辺は、これからだんだん進んでまいると思われます企業年金でございますとか個人年金でございますとか、そういった各種の制度、公的、民間のもの、すべて総合いたしまして老後の生演設計に役立てていく、こういうことでなかろうかと思っております。
  197. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 もう一点厚生省に伺いたいのですけれども、このごろの我が国の年金水準の問題でございますが、経済の水準も世界第二位というようなところまで高まっておる、そういうようなことをも考え合わせながら、高度福祉社会をつくり上げる道程の中の一つの基本が年金による暮らしづくりだというように思うわけなんです。そういう点で、欧州各国と比べて、あるいは先進国と比べて、言い方や調査なり見方によって違うかもしれませんけれども、日本の水準は高いんだという宣伝をする方もあれば、まだまだ日本は低いんだという見方のデータ等もまた出ておるわけなんですが、この辺について厚生省はどういうような評価をしているのか。
  198. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 厚生年金につきまして諸外国の一般的な被用者年金と比較してみますと、日本の場合全受給者の平均、一九八四年三月時点でございますが、これが十一万三千円、それからそのときの平均賃金の月額、ボーナスを含みますけれども、約二十八万円ぐらい、そうしますと、その比率が四〇・五%ということになります。これに対しまして、同じ時点で同じような制度を持っております西ドイツを見てみますと、西ドイツの場合ブルーカラーの労働者の場合、それからホワイトカラーの職員の場合というのは分かれておるようでございますが、三三・五%から四八・九%と幅がございますけれども、こういったことになっております。それから、アメリカの場合が四三・四%という数字がございます。こういったところから見ていきますと、我が国の年金水準は欧米の先進諸国の水準に比較しまして遜色のないものになっておるという評価ができるのではないかと思っております。
  199. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 これはそういう見方もありまするでしょうし、実際の生活実感から来る感じとしては低いのではないかということもございましょう。この辺は全体の国の財政なり国の経済力なり全体の施策の中で高める努力が必要だというように感じておるところでございます。  ところで、最後になりまするけれども、退職共済年金及び基礎年金支給年齢は六十五歳とされておるわけでございます。六十歳から六十五歳の間の特別支給はありますが、このことは将来展望を考えた場合、年金支給開始年齢を、もちろん年金と雇用、退職してから年金をもらうまで、そういう年金と雇用との関係は当然起きてまいりますけれども、将来の高齢化社会を考え、あるいは年金の長期的な財政運営を考え、国の方向づけとしては六十五歳支給の方向に持っていきたいということを頭の中に想定して考えておられるのかどうなのか、このことにつきましてはまず自治省から伺っておきたいと思います。
  200. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先ほどの御質問にもお答え申し上げたんですが、そういう規定の仕方をしておりますのは、基礎年金制度を導入することに共済年金制度も今回踏み切ろうじゃないか、そうしますと、既に基礎年金を導入しております厚生年金とのバランスといいますか、そのことを考えまして、厚生年金と同じ規定の仕方をさしていただこうということでございまして、今先生お話しになりましたように六十五歳支給ということを考えておるかと言われますと、そういうことを現在考えているわけではございません。
  201. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 厚生省はどう考えているでしょう。
  202. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 今回の制度改正に当たりまして審議会等でこの問題はかなり議論されたわけでございますが、支給開始年齢の引き上げにつきましては時期尚早という意見がございました。こういったことを考慮いたしまして、厚生年金保険の男子六十歳の支給開始年齢につきましては現状を維持するということにいたしたわけでございます。  なお、六十五歳支給を本則で規定しているということがございますけれども、今回国民に共通の基礎年金を導入いたしまして、厚生年金基礎年金の上乗せ給付としていわば二階部分を受け持つ、こういう制度に整理したわけでございますが、こういったことに伴う措置でありますので、御理解いただきたいと思います。
  203. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 以上で質問は終わります。
  204. 平林鴻三

    ○平林委員長代理 経塚幸夫君。
  205. 経塚幸夫

    ○経塚委員 まず最初厚生省の方へお尋ねをしたいわけでありますが、社会保障費の国民総所得に占める負担割合の問題であります。これは現行はどれぐらいの率になっておるのですか。
  206. 岸本正裕

    ○岸本説明員 昭和六十年度で社会保障負担、租税負担の対国民所得比はそれぞれ一〇・八%と二五・二%で合計三六%になる見通してございます。
  207. 経塚幸夫

    ○経塚委員 社会保障負担率について厚生省の見解としてはどれぐらいが妥当だと考えておられるのですか。
  208. 岸本正裕

    ○岸本説明員 今後人口の高齢化等によりまして社会保障のための国民負担の増加は避けられないわけでございますけれども、臨調答申とか「一九八〇年代経済社会の展望と指針」におきましては、将来の租税と社会保障負担を合わせた国民負担、対国民所得比につきましては、現在のヨーロッパ諸国の水準、これを大体五〇%前後と置いておるわけでございますけれども、そういうヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低い水準にとどめるべきであるという方向が示されているわけでございまして、私どもといたしましてもこの方向で努力をしていきたい、こういうふうに考えているところでございます。
  209. 経塚幸夫

    ○経塚委員 かなり低い水準ということで、数字はどれくらい考えているんですか。
  210. 岸本正裕

    ○岸本説明員 これは五〇%前後よりはかなり低い水準という目安が示されているわけでございまして、具体的な数値というものははっきりしないわけでございますけれども、かなり低い水準ということでございますから、四五%前後かなというのが大方の御理解ではないかというふうに考えているところでございます。
  211. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そのかなり低い水準、五〇%から見てかなり低い水準、三〇%台くらいじゃないかとは思われるのですが、かなり低いということになれば。大方の見方が四五%前後だということでありますが、ところが今回の改定案で仮に計算をしてみた場合、九十年から九十五年が、各制度とも負担率が一応の最短距離での数値としては比較的高い年度に当たってくると思うのですが、国年が仮に一万三千円、厚生が二六・三%、それから地公が一七・二%、国公等が一七ないし一九・二%。この年度で推計をすると、五十九ないし六十年度価格で見て負担率はどれくらいになるのですか。
  212. 岸本正裕

    ○岸本説明員 ちょっと先に申し上げますけれども、現在が六十年度で三六%の見通しということを申し上げまして、五〇%よりかなり低い水準にとどめるべきであるという御意見は、はっきりはしませんけれども四五%前後というところを考えられているのではなかろうかという感じを申し上げたわけでございまして、三〇%というのは、今もう既にそれを超えているわけでございます。  それから将来の社会保障負担率が具体的にどういう数字になるのか、現行の制度をもとにしてというお話でございましたけれども、医療等につきまして経済情勢等非常に不確定な要素も多く、予測することは非常に困難でございます。しかしながら、大ざっぱに申し上げますと、今般の年金改革による効果を織り込みまして、また仮に今後医療費の伸びが国民所得の伸びの範囲内にとどまるというように考えました場合に、社会保障負担率は、高齢化がピークを迎える大体昭和百年ごろでございますけれども一七%程度になるというふうに推計されるわけでございます。
  213. 経塚幸夫

    ○経塚委員 僕がお尋ねしましたのは、今審議をしております改定案を基準にパーセンテージを計算をした場合に大体九十年から九十五年にかけていわゆる保険料負担率が一応のピークに達せられると推定されるのが先ほど申し上げた数字でありますが、それを適用した場合に、社会保障関係負担率がどれくらいの負担率になってくるのか、それをお尋ねしているのです。それは出してないのですか。
  214. 岸本正裕

    ○岸本説明員 今申し上げましたのは、社会保障負担は六十年度の見通しては一〇・八%でございますけれども、今御審議いただいております年金の改革を織り込んで、しかもまだ医療保障等につきましては国民所得の伸びの範囲内程度の伸びにとどまるというように考えました場合に一〇・八%が昭和百年には一七%程度に推計されるということを申し上げたわけでございます。
  215. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、医療費の伸びは国民所得の伸びと同じ数値で計算をしてということになるわけですね。  そこで、今度は国民所得に占める社会保障給付費でありますが、これは一番新しい数字ではどれぐらいの率になっておりますか。
  216. 岸本正裕

    ○岸本説明員 昭和五十八年度の数字でございますが、社会保障給付費は対国民所得比一四・五%でございます。
  217. 経塚幸夫

    ○経塚委員 今後国民所得に占める社会保障給付費の比率は厚生省としては何%ぐらいが最も妥当な線であるというふうに考えておられるのですか。
  218. 岸本正裕

    ○岸本説明員 将来どのくらいの水準が妥当かということにつきましては、社会保障に対するニードの動向でございますとか経済情勢、それから給付負担水準に関する国民の意識等々によりまして変動するものと考えられまして、長期の推計においてどの程度の水準が妥当かというのはなかなかお答えしにくい問題だというふうに考えております。
  219. 経塚幸夫

    ○経塚委員 国民所得の中で占める社会保障給付費の線をどの程度で引くかという点は、これは今厚生省は持っておられないということですが、ちょっと納得いきませんね。負担率の方は四〇%ないし四五%とかいろいろ数字的に論議をされ、およそのところは行革審の方でも四五%前後にとどめるというような意見も出しておるわけでありますが、一方、給付費について諸外国と比べてみて、日本の場合は一体どういう状況にあるのか、負担率の問題と同時に給付率についても今後どうすべきかという何カ年か先の推計については当然持った上に立って今度の改定案が論議をされたものだと私は考えていたのですが、その物差しはないわけですか。負担率についてはいろいろ論議されておるけれども、一体社会保障給付費については、今の御答弁ですと一四・五%ということでありますが、国際的に見ますと、社会保障給付費の対国民所得比は西ドイツで二八・七%でしょう。日本は一四・五%でしょう。スウェーデンは、これは負担率も高いわけでありますが、しかし、それにしても三六・二%でしょう。負担率はアメリカと日本はほぼ変わらないわけでありますが、アメリカの場合は、いずれも申し上げているのは一九七七年の数字でありますが、それで今から八年前で一七%でしょう。これは私どもの勝手な資料じゃございませんよ。おたくの方の厚生省年金局監修「目で見る年金」五十九年版ですよ。これに基づいてもこんなに違うわけですね。一九七七年の数字でいけば日本は一〇・四%ですね。こういう状況でいいのかどうなのか、将来はどの水準まで国民所得に比べて給付費の比率を引き上げていくべきなのか、これは本当に論議されてないのですか。論議されずにこれだけ大がかりな何千万の国民にも影響するような大改革案を提案したということになれば、私はちょっとこれは問題だと思いますが、それは本当に持ってないのですか。
  220. 岸本正裕

    ○岸本説明員 将来の推計については非常に難しい要因がございますけれども、先ほどの負担率を推計したのと同様の考え方を持ってごく大ざっぱな推計をいたしますと、昭和百年度にはおおむね二〇%台の前半程度に達するのではないかというふうに考えられるところでございます。
  221. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私がお尋ねしておりますのは、達するのではないかというようなことではなしに、今回の改革案を論議されるに当たって諸外国の水準も検討されて、この辺が大体妥当な線だというものを持っておられるのかどうなのかということを聞いておるのです。それは社会保障全般にかかわる問題でありますから、租税との関係負担率の場合はあるでしょうし、負担給付との関係を総合的に見なければならぬということもありますから、これは私は一省庁でもって決められるべき筋合いのものではない、もちろん閣議の方針として検討されるべき性格のものだと思うのですが、どうなんですか。政府の方針としてはそれは持っておらぬわけですか。
  222. 岸本正裕

    ○岸本説明員 先ほども申し上げましたように、将来どの程度の水準が妥当かどうかにつきましては、いろいろ国民のニードの動向でございますとか経済情勢によりますとか、それから給付負担関係につきましてどういうふうに国民考えられるかというようないろいろな要素によって決められるべきものでございますので、難しい要素はあるわけでございます。  ただ、私が先ほど申し上げましたように、二〇%台の前半程度になるというのは、今の年金の改革を前提にしているわけでございまして、この改革というものは将来に向かって給付負担関係考え、安定した制度とするために現在妥当なものだというふうに考えて御審議をお願いしているものだというふうに思います。
  223. 経塚幸夫

    ○経塚委員 昭和百年で二〇%ということであれば、これはまた国際的には随分おくれてくると思いますね。昭和百年といえば四十年先でしょう。二〇%の線をちょっとそちらの資料で見ますと、八年前イギリスが一九・九%ですからね。これから四十年先になるとこの数値がどういうふうになっていくのかということも考えてみなければならぬわけでありますから、今直ちに二〇%ということであれば、これはある程度国際的にも近い数字にはなってくる可能性はありますが、四十年先の話でありますから、国際的に見ましてもこれは随分低い、こう言わざるを得ないわけであります。  そこで、負担率の問題につきまして具体的な質問に入っていきたいと思います。  厚生省の方、もう一問お尋ねしたいことがありますのでもうしばらくおつき合いをいただきたいと思うわけでありますが、公務員部長、この前の続きであります。この保険料本人負担にかかる分ですが、この前のあなたの答弁では、今厚生省から答弁がございましたけれども、租税も社会保障関係負担率も含めて五〇%をできるだけ低く、こういう御答弁だったのですが、これはもう私の質問とあなたの答弁とはすれ違いのまま来ておりますので関係資料もよく見ておいていただきたい、こう申し上げて、この点についてはきょうまで保留をしてきましたのでもう一度お尋ねをするわけでありますが、将来収支の見通し、改正試案でいきますと、財源率は七十年が二百二十ですね、それから八十年が二百七十、九十五年が三百四十五、保険料にすると七十年が千分の百十、八十年が千分の百三十五、九十五年が千分の百七十二、あなたの方の資料でこうなるわけでありますが、これをそのまま保険料として徴収するのですか。
  224. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 今度の改正案というものに基づきまして、仮に昭和六十五年に厚生年金保険料水準に合わせるということで仮定いたしました収支計算というものをお示ししたわけでございます。
  225. 経塚幸夫

    ○経塚委員 仮定のものをお示ししただけで取るか取らぬかわからぬ、こういうことですが、示したのだからその時点でそういう状況であればそれだけは徴収いたします、こういうことなんですか。それを聞いているのです。
  226. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 そういう仮定に基づいて収支計算をお示しした、その収支計算に基づいてどれだけの保険料を徴収してそれぞれの共済組合が運営されるかということにつきましての決定は、それぞれの共済組合の運営審議会の承認を経て決められるものであるというふうに心得ております。
  227. 経塚幸夫

    ○経塚委員 端的に答えておくんなはれ。これは取るのかと聞いておるのだ。こんなのは仮定の数字だからどこへどう転がっていくかわからぬということなのか。出した以上は取ると考えられるけれども、どっちなんですか。どっちへでも転ぶ数字なんですか。そういう状況が生まれれば取るという数字なんですか。それはどないですか。
  228. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 お示ししましたような保険料率で徴収いたしますと、そういうような収支の差し引き状況になり積立金の状況になるということでございます。
  229. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうすると、やはり取るという前提でこれは示されたわけですね、こういう状況が続いていけば。取らざるを得ぬ、こういうことなんですね。ほかに何かいい知恵はあるのですか。千分の百七十二・五というような数字は別に横に置いておいて、数字が変わってきて、例えば千分百二十とか百三十とかというようなことになり得るということになるのですか。そうじゃないでしょう。これはやはり取るという前提なんでしょう。そうでしょう。その上での試算なんでしょう。くどいようなんですが、これは大事なところなんですから。本当に千分の百七十二・五というようなことを取ると考えでおるのか。いやそれは単なる仮定の計算であって取るとはっきり出したものではございませんということなのか。それぞれ将来の生活設計もありますから、ここはしかと聞いておきませんと。
  230. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 お示ししましたような保険料率で仮に徴収いたしますと、昭和百年の積立金が四十九兆円くらいになりますよということをお示ししたわけでございます。
  231. 経塚幸夫

    ○経塚委員 積立金がどうなると一つも聞いておりはしまへんがな。保険料率、本人負担が千分の百七十二・五になると書いてあるから、本気にこれだけ取るということで出した数字なのか、そうでないのかということを聞いておるのですよ。取るという前提で出した数字なんでしょう。それでは、千分の百七十二・五というのは数字として出してあるけれども、そんなものはとても徴収できるものではあまへん、だから心配要りまへん、書いてあるだけですよという程度のものなんですか。
  232. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 現実にどういう保険料率になるかはそのときの積立金の状況とか収支の状況を見て実際には決まっていく問題だろうと思いますが、一つの姿を示したと……。
  233. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大変な姿を示したものだと思うのですけれども、徴収の可能性もあるという前提で考えてみましょう。千分の百七十二・五というような保険料本人から徴収するということになれば、公務員部長、これは本当に大変でしょう。  これは私が調べた一つの資料でありますけれども、中学校の教員で五十四歳でありますが、家族は妻と子供が高校生、大学生、幸いに一九八〇年以降すっと家計簿をつけておりましたので、これをちょっと見せてもらったのですが、一九八〇年五月と一九八五年の五月を比較してみますと、こういう結果になっているんですね。この先生の収入は一九八〇年五月、五年前四十一万三千八百六十三円、これが四十七万八千二百五十九円、伸びは一一五、一五%ですね。消費支出は三十四万三千三百四十二円であったのが三十五万六千八百三十三円でありますから、これはわずかに一〇四、四%の伸びですね。その原因は何かといいますと、この五年間で非消費支出が大変膨れ上がったわけですね。例えばどういう状況になったのかというのを見てみますと、収入に対する非消費支出、租税と共済短期、長期などの掛金でありますが、これが二〇・四七%から実に二九・四六%ですから約三〇%近くへ、非消費支出が五割近くふえているんですよ。それで租税と共済の比較をしてみますと、中でも共済がふえているんですね。税の方は一〇・七三%から一一・五九%でありますが、共済の長期、短期が六・九四%から八・八八%にふえておるわけですね。これが仮にあなたがおっしゃった数値、改定案の一七・二%を当てはめますとどうなりますか。これは短期、長期等々合わせまして、税を含めますと、支出の額にいたしますと、実に十四万円伸びるということになるわけですね。これは現役にとりましては大変な負担だと思うのですよ。こんなことを本当にやれるのですか。だから事実上、非消費支出がうんとふえることになりますから、内容から見ますと消費支出の率がうんと減ることになるのですね。そういうことになるんですよ。実際、こんなこと考えられるのですか。ちょっとお尋ねしたいのですが、どうですか。
  234. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 これから先の社会をどういうふうに想定するかという話でございますが、先ほどから先生厚生省課長との間でいろいろなやりとりがございます。租税負担がどういうふうに上がっていくか、あるいはまた社会保障負担がどういうふうに上がっていくかという問題をそれぞれ考えまして、全体として負担の方をどの程度に抑えていくかということを考えると同時に、それによって支えられておる給付というものをどういうふうに適正化していくかということの相関関係で議論していかなければならない問題でございますが、仮に今先生がおっしゃったようなことで計算してまいりますと、それは将来のそれぞれの国民にとりまして大変な負担だということは私も同感でございます。
  235. 経塚幸夫

    ○経塚委員 さっきの数字、ちょっと訂正しておきます。  非消費支出が、八〇年と比べてみると、八〇年の二〇・四七%は一七・六七%に、これが一七%になった場合に二九・四%、三〇%近くになるということですね。部長も大変な負担増になるということはもう認めざるを得ないと思うわけでありますが、そこで、別の角度からちょっとお尋ねをしたいわけであります。  この前お示しいたしました研究会の負担の限界ライン、これは部長ごらんになりましたか。間違いありませんね。その点はどうですか。
  236. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 研究会の資料編、参考資料ですか、その「資料8」として千分の二百から二百五十の間に真っ黒い斜線が引っ張ってあるということはおっしゃるとおりだと思います。
  237. 経塚幸夫

    ○経塚委員 斜線を引っ張ってあるというのは保険料率二百から二百五十、これが負担の限界領域である、基本問題研究会ではこう述べておるわけですね。これは基本問題研究会の公式見解だと私は思うのですが、部長はこれをどう受けとめましたか。
  238. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 実はそこはなかなか読み取り方が難しいと思いながら読みました。というのは、本文の方で「負担の限界」という言葉が二、三使ってありますが、そのときに通常、「別添資料8」というふうに書くのが普通でございますが、そのことが書いてないというところが少し微妙だなということと、もう一つは、その資料の中に挙がっておりますいろいろな図表とかそういうものを見ますと、その研究会の意見で作成したものというよりも研究会に他の機関から提出されたものがそのまま挙がっている資料が非常に多いということから考えて、先生がおっしゃるようにそれが研究会の正式の意見であるというふうに結論づけるには少し微妙だなという感じを持って読んだわけでございます。
  239. 経塚幸夫

    ○経塚委員 部長は研究会の公式意見として負担の限界を資料という形で示したものなのかどうなのかは若干疑問に思う、と。この研究会の性格それから研究会が出したこのいわゆる意見書なるものの持つ意義、こういう点について、大蔵省、場合によっては内閣、政府関係の見解を公務員部長答弁が当たっておるのかどうなのか、私は確かめてみたいと思います。  といいますのは、この研究会はどうしてつくられたか、部長御存じですか。
  240. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 存じております。
  241. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、この研究会がどうしてつくられたのかということを部長が御存じならば、この研究会が提示した例えば負担の限界の問題についても、これは軽々に扱うべき筋合いのものじゃないと思いますよ。この研究会が設置されましたのは五十五年の六月でしょう。何でつくられたかといいますと、閣僚懇の申し合わせ事項として研究会が設置されたわけでしょう。閣僚懇がなぜ設置されたかということにつきましては、それ以前に経違があるわけでありますが、公的年金に関する関係閣僚懇談会ということで発足を見て、そうしてその決定において研究会が発足されて、二年かけて論議をしてこういう結論が出てきたわけでしょう。  おまけに、この間私は紹介をいたしましたけれども、この研究会の意見書を当時の大蔵省の課長が公の席上で説明をされた中に、この負担率の限界についての説明がされておるわけでしょう。パンフレットごらんになりましたか。あなたはどうも持ってなかったようでありますが、私の部屋へちょっと見せてくれぬかと言ってどなたかお越しになったようであります。ごらんになったと思いますが、これを見れば、単なる恣意的な、一個人がこの意見書の中につけた参考資料にすぎないものなのか、あるいは研究会の公式の意見としてこのような見解を持っておった内容なのか、これはもう明々白々でしょう。重ねて申し上げておきますけれども、「その研究会意見書の具体的な内容について申し上げてみますが、」と、こう前置きをして課長説明しておるわけですね。そうして「現役組合員個人の負担の限界は千分の二百から二百五十の間としております。」こう言っているのですがな。これは明らかに研究会の公式意見ということになりますがな。  なお、もう一つ説明をしておきましょうか。この野尻さんという課長退職をされて外郭団体に行っておるようでありますが、こういうふうに述べておりますよ。「この図は、数年前に、大蔵省に置かれた「共済年金制度研究会」の報告書の中で使われたものですが、現在でも殆んど修正する必要がないものと思われます。」一九八五年七月「共済年金改革の背景と要点」、これはごらんになりましたか。うなずいておられますが、これはどう感じられますか。
  242. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 おっしゃるように野尻課長が講演した話の内容が紹介されたわけでございますけれども、今先生お話しになりましたように「思われます。」というような言葉がそこで使われておるように今承りましたけれども、研究会の正式の意見ということを断言するためには、私が先ほど申し上げましたようにもう少し研究会の文言の中ではっきり書いてある方が我々にとっても疑いなく受け取れる。私が申し上げましたのは、研究会の正式の意見として受け取るには若干微妙だなということを申し上げたわけでございます。
  243. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それでは改めてお尋ねしますが、負担の限界率、あなたはどれくらいが妥当だと考えておられますか。
  244. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 この前も申し上げましたように、負担の限界ということを年金について申し上げるためには、そのときの所得の水準とかあるいはまた租税負担状況とかその他社会保険料状況というものを考えて議論しなければならない問題でございますので、こういう場で軽々に申し上げるほど私は有能ではございませんということをこの前申し上げたわけでございますが、その立場は現在も変わっておりません。
  245. 経塚幸夫

    ○経塚委員 申し上げるほど私は有能でございませんと謙遜をされましたが、なかなかどうしてどうして有能なものだとは思っております。言わないところが有能だと思うのでありますけれども、それじゃ別の問題をちょっと関連してお尋ねをしておきたいと思います。  六十五歳支給開始年齢の問題でありますが、これはもうきょうはこの問題がなり論議をされたわけでありますが、公務員部長はそんなことは考えておらぬ、ゆめゆめとは申してはおりませんが、受け取りようによってはそんな大それたことはゆめゆめ考えておらぬというふうにも受けとれたわけでありますが、厚生省の方にお伺いをしたいわけでありますが、厚生省答弁考えておらないとはおっしゃっておらない。負担との関係考えると避けて通れない問題だと、こうおっしゃっている。ただし雇用の問題があるので時期はなお早い、時期尚早だ、こういうふうな御答弁があったわけでありますが、公務員部長の方は考えておらぬと言う。厚生省の方はこれこそちょっと違うでしょう。負担との関係考えると避けて通れない問題だ。しかしここは一緒ですが、雇用の問題があるので今その時期ではない。  そこで厚生省お尋ねしますが、負担との関係で避けて通れない問題だと言いますが、負担との関係で見ればどの時点が避けて通れない時期になるのですか。
  246. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 いつごろが一番厳しいときかという御質問でございますが、これも一概に——いろんな要素がございます。今回財政再計算で行った試算ございますけれども、これはあくまでも試算でございまして、いつごろが一番厳しいかというのはなかなか申し上げるのは難しいかと思います。
  247. 経塚幸夫

    ○経塚委員 いや、いつごろが避けて通れない時期か大変難しい、こうおっしゃいますが、数字的には予測できるんじゃないですか、数字的には。それは全く予測はもう立てておらないのですか。どっちなんですか。全く数字的にこの時期は、もう支給開始年齢を六十五歳に引き上げなければ動きがとれぬ、それは公務員部長答弁じゃございませんが、さほど有能でなくても推計ができる数字だと思いますよ。そうでなければ、厚生省の方、避けて通れない問題だというような答弁が出るはずないです。避けて通れないという答弁が出る以上は、避けて通れない理由がいつかの時期に生ずるわけでありますから避けて通れない問題だ、こういう答弁が出てきたわけでしょう。こんなものはもう全く必要のない問題だったら、六十五歳支給開始年齢の問題は避けて通れない、負担との関係で、そんな答弁出てこないはずです。出てきた以上は一定の根拠があるはずなんです。いつごろだとお考えですか。
  248. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 それはまさに高齢者雇用というものはどういうことになっていくかということも一つ大きな要因であろうかと思います。そういったことにつきましてはまだ将来の展望が必ずしも明らかではないわけでございますが、一定の仮定計算を私どもがしたものをベースにいたしますと、これはある時期にはそういう事態になる、こういうことは言えるかと思いますが、具体的な時点がいついつかというのは、ほかの要素が多々ございますので、一概には申し上げられないと思います。
  249. 経塚幸夫

    ○経塚委員 ある時期にはそういう事態になる。それが五十年先か百年先か二百年先か、ある時期と言えば何ぼでもその数字が出てくるわけでありますが、全くおよそ、そういう雲かかすみか夢みたいな話で御答弁をされたわけですか。どうなんですか、その点は。
  250. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 一つ、客観的な見通しといたしまして人口推計があるわけでございますが、生産年齢人口と、それによって支えられます高齢者の人口、こういった割合というものは一つ参考になろうかと思いますが、こういったものを見てみますと、昭和七十五年から八十五年あるいは九十年といったところが一つ大きなカーブのあるところではございます。ただ、これは人口推計に基づく特徴をお示しした程度でございます。  なお、「避けて通れない」という表現につきまして先生が何度がおっしゃっておられるわけでございますけれども、これは私どもが今回の制度改正を行います際に社会保険審議会にお諮りしたわけでございますが、そこの厚生年金保険部会からの意見書が提出されておりまして、それをちょっと朗読したいと思います。「老齢年金支給開始年齢の問題は、今後の高齢化社会を展望するとき、避けて通れない問題であるが、定年の動向、高齢者の雇用実態等に着目すると、現時点における引上げは時期尚早であるとの意見もあることから、当部会において引き続き検討することとする。」こういうような表現になっております。
  251. 経塚幸夫

    ○経塚委員 後の方はともかくといたしまして、最初の御答弁——そうしますと、一応のピークと予測されるのが八十五年ないし九十年。いわゆる高齢化社会を迎えて、それを支える力量なりを考えてみますと、財源率との関係でも大体八十五年から九十五年にかけて急速に保険料率を引き上げなければならぬという状況が生まれてきておることは数字上もわかるわけでありますが、およそ推計をしますと、ピークと言われるのは八十五年ないし九十年前後に一応の山が来る、こういう感触として受け取ってよろしいか。
  252. 鏑木伸一

    ○鏑木説明員 今は人口高齢化の動向を申し上げました。そのあたりが非常に変動の激しいときであるということを申し上げたわけでございます。
  253. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これはもう数字上も試算にはっきり出ておるわけでありますから厚生省としても否定はできないだろうと思いますし、これは地公の連合会の資料でもそうですね。この指標によりますと、八十年が財源率二百七十、二分の一として千分の百三十五、八十五年が財源率二百九十五で千分の百四十七・五、こうなっていますね。九十年にまいりますとこれが千分の百六十、こうなっていくわけでありますが、これは確かに一つの山ですね。  そこで、公務員部長はそんなにわしは人が悪いことはないとあなたはおっしゃいますけれども、どう考えてみてもこれは合ってくるんですね、六十五歳支給開始年齢の引き上げが。引き合いに出されましたけれども、国年等の改正案の参考案としては、昭和七十三年から三年に一歳ずつ支給開始年齢を繰り延べていくんでしょう、そして八十五年六十五歳でしょう。そして一方、共済の方は、七十五年を七十年に短縮をして、七十年で六十歳にするということでしょう、そして同じように三年に一歳ずつ支給開始年齢を繰り延べていけば八十五年度から支給開始年齢六十五歳への引き上げ、うまいこと合ってくるんですね。これは勘ぐる方が腹が黒いんですか、それとも隠している方が腹が黒いんですか。  もう一つ、参考までに申し上げておきましょう。さっきの野尻さんの話であります。「残された問題点」「第一は、今回の改革によっても、将来の保険料率は千分の三百近い水準に達すると見込まれていること。先に示した負担の限界は、千分の二百五十以内、できれば千分の二百程度に抑えるのが望ましいので、更にもう一段総給付費用の節減のための改革が必要ではないかと思われるのです。そのための有力な方法の一つは、支給開始年齢を六十五歳に引き上げること」である、その前提で保険料率の負担の限界の表を出した、こう言っているのですよ。これは野尻さんも赤裸々に研究会での論議の実態を余すところなく言っておると私は思うのです。つまり、八十五年ごろ六十五歳支給開始年齢の引き上げの道を選ぶか、そうでなければ保険料負担率は何と給与に対してあなた方は一七・二%にもなりますよ、いずれを選択されますか。こういう前提で、保険料率の負担の最高限度は一二・五%を超えてはならない、いいところ一〇%ないし一二%前後だ、それを超えれば生活が破壊されてしまう、そんなことはできることではない、こういって線を引いた。そして、もう一つ来るものは六十五歳の支給開始年齢の引き上げなんですよ。はっきり言ったらどうですか。公務員部長は何もかも大蔵省と厚生省の方でよう書いてきておるのだからそこまでうがった論議には参加してなかったと言えばそれで済むかもわかりませんけれども、やはり言うべきことは堂々と論を張ったらどうなんですか。そうでなければ、もう何回も論議されておりますように、本則六十五歳というのを何で入れるんだ。いや、基礎年金関係だと言ったって、そんなものは答弁としてはつじつまが合っていませんよ。あなたは合っていると思って答弁されているかもわかりませんけれども。これは明白なんですよ。もう一段階これは改定がある。それは恐らく八十五年をめどにするだろう。七十年の一元化の時期に恐らくこれを打ち出すだろう。いや絶対にそれはやりません、六十五年ごろ次の段階の改革が予定される、七十年度最終の一元化ということでありますが、絶対に私が今言っているような六十五歳を八十年とか八十五年とかにやるようなことはありません、安心してくださいと言い切れますか。言い切れるのでしたら言ってください。
  254. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 なかなか経塚先生雄弁でございますから、ぼちぼち公務員部長も疲れているからここいらでやっつけてやろうと思って熱弁を振るわれたのだと思いますが、この問題につきまして、社会労働委員会で厚生大臣がこういう質問についてこういうふうに答えていますから、少しこれを読んでみます。  少なくとも定年制と年金支給開始年齢は必ずドッキングをしていく、こういう考えだということについて、大臣のお考えを聞かしてください。 こういう質問です。厚生大臣は   私も御指摘の点は、基本的には同じようなことを考えております。したがいまして、今回も一応六十五歳ということを掲げておりますけれども、実際にはそのことには手をつけないことにいたしておるわけでございます。  今後も、今おっしゃいました雇用の動向等を勘案しながら、十分その点を見きわめて総合的に判断をいたしたいと思います。 というふうにお答えになっておりますので、その答弁を引用させていただきましてただいまの経塚先生の御質問にお答えしたということにさせていただきたいと思います。
  255. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それは答弁になっておりませんね。私がお尋ねしましたのは、八十年、八十五年になっても絶対に六十五歳に支給開始年齢を引き上げないとあなたは断言できるかと聞いたのです。今の読み上げた答弁でも、総合的な勘案、いろいろな諸情勢、雇用の条件——雇用の条件と言うたかて今好転する見込みはありゃしません。これは後でまた資料を出しますけれども、雇用が中高年者——実年者の雇用がそんなに好転するというようなことは将来の見通しとしては見通しは立ちませんよ。だから、あなたが負担の上限率を明言されないことは、負担の上限率を研究会の資料のとおり一〇ないし一二%ということで線を引くならば、一方で八十年ないし八十五年ごろに支給開始年齢を六十五歳に引き上げないことにはこれはまたパンクしてしまうのです。しかし、今ここで八十五年前後に六十五歳に支給開始年齢を引き上げるということを明言すれば、これは大問題になってしまいます。それだけで今度の改定案は大きな山に乗り上げてしまう危険もあるわけであります。だから、あなたは両方とも言えないのです。厚生省も言えないのです。大蔵省も言えないのです。六十五歳に支給開始年齢を引き上げるか、保険料率を一五%を超える負担の限界率を超えてまで徴収することを明言するか、どっちか言わなければならぬわけでありますが、どっちを言うたかて今度の改定案の審議は山に上がってしまうことはわかっておるわけでありますから、そこまで言うたら勘ぐり過ぎだとおっしゃるかもわかりませんけれども、これは当たっていますよ。見ておってごらんなさい。昭和八十五年に公務員部長はおらぬと思いますけれども、これは必ずやりますよ。だから、本則でうたっているし、さっき言いましたように厚年などの改正案の参考資料として出されましたのも、それから、七十年を七十五年に繰り上げて調整をしていっているのも、ぴったり符牒が合うわけであります。これは私はこれ以上突きませんけれども、そういう意思は明白であることを申し上げておきたいと思うのです。  次に、年金額の問題についてお尋ねをしたいわけであります。  夫婦六十歳以上、現行の給料が月額三十二万三千円、四十年勤続、これは現行の年金額は二十二万六千円になるわけでありますが、施行日年齢が五十歳、四十歳、二十歳、それぞれどうなりますか。
  256. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 施行日年齢五十歳では十八万円、四十歳では十六万四千円、二十歳では十六万二千円という金額でございます。
  257. 経塚幸夫

    ○経塚委員 実態調査をされたわけでありますが、平均生活費それから平均の年金額はどうなっておりますか。
  258. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 平均年金月額十七万三千円、世帯主である者の平均年金月額は十七万八千円、それから生活費は、世帯主である者の平均生活費月額二十一万六千円という結果が出ております。
  259. 経塚幸夫

    ○経塚委員 同じく実態調査についてお尋ねをしたいわけであります。  出されました資料によりますと、就業しておる者が三五%となっております。これで見ますと、就業しておらない者が六五%となっております。その理由について、実態調査の調査票を見ますと「働く必要がない」、二つ目には「病気がちで働けない」、三つ目には「適当な仕事がない」、こういう項目に分かれて調査をされておりますが、その結果はパーセンテージにしてそれぞれどういうふうになっておりますか。
  260. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 「働く必要がない」と答えた人間は一五・九%、「病気がちで働けない」と答えた方が三一%、「適当な仕事がない」と答えた方が三〇・七%という結果でございました。
  261. 経塚幸夫

    ○経塚委員 現在の年金の平均額が実態調査では十七万三千円、平均生活費が二十一万六千円、これは現在の制度の受給額でも平均の生活費にはなお足らないわけですね。これが改定ということになりますと、施行日五十歳の人で十八万、これはマイナス二〇・四%になります。二十歳の人だと十六万二千円ですからマイナス二八・三%になるわけでありますが、これで一体老後の暮らしが守れるとお考えになっているのですか。
  262. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 年金老後生活費が完全に賄えるということは私たちも非常に努力しなければならない目標だとは思いますけれども、なかなかそこまでの年金支給できないというのが実情だと思います。  この問題につきましては、いろいろ私たちも専門家の御意見を聞いたり各種審議会あるいは研究会の議論を聞いたりしておりますけれども、年金というのは老後生活の重要な柱でなければならないがそれがすべての生活費を満たすものでなければならないというふうには一般的には考えられていないようでございます。蓄えというものもございましょうし、あるいは家族からの援助というものもございますし、その他本人が働かれて収入を得るということもございますので、年金だけですべての生活費を賄わなければならないというふうに御判断なさいまして我々の改革案を批判なさるのは、私たちにとっては少しつらいなという感じがいたします。     〔平林委員長代理退席、委員長着席〕
  263. 経塚幸夫

    ○経塚委員 年金だけで生活するという考え方はあたかも間違いであるかのような御指摘でありますが、仮にそれじゃ足らぬから働きにいこうと思いましても、実態調査の今報告いただいた数字でも明らかでしょう。働いておらぬ人が六五%というから働く必要がないから働いておらないのかと思うと、「働く必要がない」というのはたった一五・九%じゃないですか。「働きたくても病気がちで働けない」というのは三一%、「働きたくても適当な仕事がない」というのは三〇・七%、実に六一・七%は、労働の意思はあるけれども、また働かなければならないけれども働けぬということでしょう。そうなんでしょう。これ、どないしまんのや。年金だけで生活しようとは考えておらなくても、実態は六一・七%の人は生活年金に頼らざるを得ぬということになっておるわけでしょう。年金受給者の実情がどうであるかということを知るために実態調査をされたのではないですか。  大臣にお伺いいたしますが、そう簡単には就職できないわけです。これは労働省の「職業安定業務統計」一九八四年でありますけれども、男子の場合、女子はもっとひどいわけですが、五十歳から五十四歳で仕事にありつけるのは二人に一人でありますが、六十歳から六十四歳は何と十人に一人です。それで、年がいったら生活費が少なくて済むという意見もあろうかと思いますが、これも実態調査では逆です。総務庁統計局の去年の統計でありますが、家計調査によりますと、六十歳から六十四歳は実支出が三十万六千百六十九円、消費支出が二十四万九千四百六円、六十五歳になった場合どうなるかといいますと、実支出が六十歳から六十四歳の三十万六千円に対して二十九万六千円、消費支出は六十歳から六十四歳が二十四万九千円に対して二十五万六千円です。これは実年になればなるほどつき合いの範囲が広くなるとかいうようなこともいろいろあって、生活費は下がらないところが時と場合によってはふえることもあり得るということになっておるのです。実態調査の実際の生活に要する費用から見ますと、今でも年金受給額が足らないのに、今度の改定案では、先ほど申し上げましたように二〇%から三〇%前後のダウンになる。しかも他に職を求めて収入を補おうと思っても、今申し上げたような実情で、年金受給者の六一%近くが働く意思があっても仕事がない、他に収入を得る道がない、こういう実態に置かれているわけですね。これは大臣どうお考えになりますか。
  264. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 大臣がお答えになる前に少し事務的な説明をさせていただきます。  先生もあるいはごらんになったかと思いますけれども、実態調査の結果、先生が大分御紹介くださいましたが、それ以外に、他の年金を受給しておるという人間が三六%ございました。また、その配偶者が何らかの年金をもらっているというのも二七・三%ございました。そういうことを勘案いたしますと、先生からいろいろ厳しい御批判がございますけれども、少しは御批判の程度が和らぐかなという気がいたします。  それともう一つ、就業していない理由について病気がちであるとか、あるいはまた働きたいけれども適当な仕事がないとかというようなことがございましたけれども、私たち地方に出ていろいろ話を聞きますと、やはり日本人というのは生活費に困らなくても働きたいんだ、非常に勤勉思想というのが昔から植えつけられておりますから、生活費との関係がなくても働きたいという方がこの中に少しは含まれているのじゃないかという気もいたしますので、すべて先生が私たちをまるっきり丸ごと批判するという態度ではなくて、少しは御理解を示していただきたいと思います。
  265. 古屋亨

    古屋国務大臣 私ども、公式にお答えしますと、老後生活保障の重要な柱だ、ただこれだけでできるかといいますと、やはりいろいろの要素も加味してくるのでありますから、これのみによって受給者のすべての生活が充足されると考えるべきではないということで、私は審議会の答申、建議に出ておりますようなそういう感じがしております。  現実基礎年金五万円もらって生活できるかといいますと、まあ最低限度の生活ならできるとおっしゃる方もありますし、いや、それじゃとても無理だ、こうおっしゃる方もあるかと思いますが、現行の年金制度を少なくとも最小限度に確立していくためには、私、現在のところはやむを得ない。将来の問題については、私どもいろいろな面で努力をしていかなければならぬと思いますが、大変難しい質問でございますので、私の答弁もどうもはっきりしませんけれども、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  266. 経塚幸夫

    ○経塚委員 大変難しい問題だと大臣も真情を吐露されたわけでありますが、確かに今度の改定で二〇ないし三〇%も下がるということになりますとこれは大変ですよ。六十五歳への支給開始年齢の引き上げ問題、雇用の条件問題が解決されなければ、そう簡単に国会の了承も得られない、国民の支持も得られない、こう言っておりますけれども、現在の年金受給者の再就職というのは大変なんですね。それは公務員部長は反論されましたけれども、それはそういう人もおるでしょう。それはおるでしょう。しかし大勢としては、大きな一つの流れとしては、総務庁の消費支出に必要な金額と実際の年金の受給額とを比べてみればそこに数万の差があるわけですから、それは現在の生活が満たされておっても日本人性格として労働意欲が旺盛だから働きたいという気持ちをみんな持っておられるでしょう。そういう面もあるでしょう。しかし、実際に六一・七%という人は、その中身は病気がちで働けないというのが三一%で適当な仕事がないというのが三〇・七%、多くの人は、実際にもらっておる年金額では生活が満たされないから働きに行かざるを得ぬ、しかし働きたいけれども仕事が思うように見つからない、これが心情でしょう。  あなた、もうちょっと思いやりのある答弁をしてやりなさいよ。あなたも犠牲者でしょうがな。いやわしはもう心配要らぬ、二割くらい削られたって働かぬでも左うちわでいける、こういうことにはなかなかならぬでしょう。あなただって退職したらどうしようかといろいろ考えておられると思いますけれども、やはりもうちょっと今の年金受給者だとか、これから退職していく人たちの立場に立って物を考えてやりなさいよ。提案した以上は意地でも納得してもらわぬと困るという立場で御答弁をされる心情はよくわかりますけれども、もう少し真情のある、心を込めた答弁が願いたいものだ、かように考えております。いずれにいたしましても、これからの年金受給者はもとよりでありますが、現在の年金受給者にとりましてもこれは大変な犠牲を強いる結果になることは明白であります。  そこで、引き続いてお尋ねをいたしますが、よく世代間の均衡論、現役と年金受給者とのいわゆる均衡論ということを今回もいろいろと言われております。地方公務員共済組合連合会の資料によりますと、平均給料月額が、諸手当を含まないで二十万八千七百三十三円だ、五十八年新規裁定年金額が十七万五千七百二十八円だ、だから新規裁定の年金額を見た場合に現役の給与に対して八四・二%にもなる、こう言われておるわけであります。そこでお尋ねをしたいのですが、一つの目安はあるのですか。現役の給与に対して年金の受給額の率は何割くらいが最も妥当だ、このめどはお持ちなんですか。
  267. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 よく先生数字で言え言えとすぐ迫られますけれども、数字を申し上げるというのは非常に難しいと思います。年金受給者と現役とのバランスというときに何が議論されるかといいますと、現役というのは、その名目賃金から、先ほどから議論されております租税も引かれる、社会保険料も引かれる、あるいはまた生活するためのそれぞれのいろいろな経費が必要だというようなことがございまして、そういうものを引いた後の額との対比ということになるんだと思いますが、租税負担とか社会保険料負担というものが現役の場合いろいろ変動いたしますので、それとの関係において議論していくべきもので、先生がおっしゃいますように何%ならどうだこうだということを一律に申し上げるというのは非常に難しいのじゃないかというふうに思います。
  268. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうすると、現役の給与に対して七〇%になるとか八四%になるとかいうのを数字で引き合いに出す必要はなにもないじゃおまへんか。私は数字を好んでいるから数字で答えてくれと言っているのじゃない。あなた方の方が数字を引き合いに出して何%になるとおっしゃっているから、これが高いと言うんなら、それじゃこれくらいが普通なんだという数字をお持ちじゃないかと思って尋ねたんですよ。私の方から数字での論争を吹っかけているわけじゃない、そちらから言ってきておるんですがな。そやから基準というものが、線というものがおありなんですかと聞いているんです。それは全然おまへんのか。
  269. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 同じ数字でも、先生がとにかく答弁しろというふうに迫られる数字と今申し上げました数字とは、相当意味が違います。先生が迫られる数字というものを申し上げるというのは非常に難しいと思います。
  270. 経塚幸夫

    ○経塚委員 あなた、おかしなことを言いなはるね。例えば、平熱は三十六度五分だ。三十八度になったら高いな、こうなるのですよ。三十五度の人は、いやあんた低いね、こうなるのですよ。あなたの方で高い高いと言っているんだから、高くない数字は平均としてどれくらいをお考えなのか聞くのは当たり前でしょう。これも、先ほどの負担率と同じように答弁するとぐあいの悪いことになるのですか。それとも、そういう標準、平熱は何度ということは全くなしで高い高いと言っているのですか。
  271. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 平熱というのははかりたいと思いますけれども、先ほども申し上げましたが、四十年勤務して現役の方の平均給与月額の八五%程度になるとやはり高いなということの感じを持っておるわけでございますけれども、それならば何%ならいいんだ、何%以上はだめなんだという線を一律に出せ、こういうふうに言われると、それはなかなか出しにくい。ただ、八五%程度になってくると少し高いな、こういうふうに言えるのじゃないだろうか、こういうことでございます。
  272. 経塚幸夫

    ○経塚委員 依然として平熱が何度かちょっとわからぬわけでありますが、平熱が何度かわからぬようでは診断のしようがないわけです、本当を言えば。  そこでお尋ねをいたしますが、この連合会のモデル計算から見まして、期末・勤勉手当を含めると平均給料月額二十万八千七百三十三円というのは幾らの金額になりますか。
  273. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 私たちの方で計算をしてみましたのが、国家公務員の勤続三十二年の場合のモデル試算というのを行ったわけでございますけれども、給料が二十九万九千四百円、そして今先生がおっしゃいました期末・勤勉手当その他の手当すべてを含めますと一月当たりの給与総額というのは五十万七千円、そういう額になるのじゃないかと思います。
  274. 経塚幸夫

    ○経塚委員 この基準に二十万八千七百三十三円という平均給与を出しておって、どうして期末・勤勉手当を含めないのですか。期末・勤勉手当を含めていきますと五十万七千円ですか、そうしますと五十八年度の新規裁定者十七万五千七百二十八円というのは八四%じゃなしに、これは率にしますと幾らになるのですか。三十数%ですね。そうなりますね。現役の給与を物差しにされる以上は、当然これは期末・勤勉手当などを含めるべきじゃないですか。それに比べて年金受給者の金額が高いのか低いのか見るべきじゃないですか。何のために期末・勤勉手当を外してしもうて、そして諸手当も含まないものを物差しの基準に据えているのですか。これは合点がいきませんね。理由はどういうことですか。
  275. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 厚生年金の場合におきましてそういう比較の方式をしておるわけでございますが、なぜ厚生年金の場合に期末・勤勉手当を入れないかということの理由を伺ってみますと、やはり期末・勤勉手当というのは民間会社の場合には非常に変動が大きいということで入れないということを私は聞いたことがございますが、その厚生年金との横並びで、一般的に公務員共済の場合にも平均給与月額というのは期末・勤勉手当を入れない額を用いて比較をしておるという、そういう技術的な理由だと思います。
  276. 経塚幸夫

    ○経塚委員 だからそれは基準にはならないというのですよ。現役の給与、生活実態年金受給者の受給額、受給実態とを比較するならば、当然期末・勤勉手当も含めて、それに比べて年金の受給額が何%くらいになるのかという数字を出すべきですよ。これ、悪徳不動産業社の誇大宣伝に聞こえできますがな、これだったら。期末・勤勉手当も一切含めずに、おまけにきのう役所に就職した人の給与も含めて平均給与だ、それに比べて年金受給者の額は八〇%にも八四%にもなるという。知らぬ人が聞いたら、いやあえらいもろとりまんねんな、こうだれでも思いまっせ。もうちょっと正確な基準を何で示さなかったのか。それで、これはもう大々的に宣伝されているわけでしょう。連合会の大きな冊子をつくりまして、それでモデル計算でやっているわけですがな。これ、意図的じゃないですか。年金受給者もらい過ぎだということの意図的宣伝になるのじゃないですか。  もう一つ聞いておきますけれども、それじゃ新規裁定者の場合、組合員期間が三十一・八年、こういうことになっておりますが、大体三十年から三十五年くらいの平均給与はどれくらいになるのですか。
  277. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 最初の御質問の五十八年度に実際に裁定いたしました年金額の平均、それは勤務年数三十二年、十七万五千円ということでございます。  それから、三十二年勤めた方の給料でございますけれども、先ほど申し上げましたけれども、高校卒業したモデル年金で計算いたしますと、二十九万九千四百円という額でございます。
  278. 経塚幸夫

    ○経塚委員 これは期末・勤勉手当を含めますとどうなりますか。
  279. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先ほど申し上げましたけれども、期末・勤勉手当その他すべての手当を入れまして十二で割りますと、五十万七千円ということでございます。
  280. 経塚幸夫

    ○経塚委員 そうしますと、これも七〇%とか八〇%ということにはならぬわけでしょう。新規裁定者の年金額が現役に対して高いのか低いのかということを算定する場合には、当然今の数字のように三十二年前後勤務した者の現役の給与を基準にして年金額の比較を出すべきじゃないのですか。その点はどうですか。
  281. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 三十二年というのは現在の平均勤務年数でございますが、公務員の平均的な勤務年数というのはこのところ年を追うごとに長くなっておりますし、六十歳定年というものがしかれましたので、これからもう少し長くなるだろう、仮に四十年ということで計算いたしますと、年金額の平均は二十一万九千円くらいになるだろうというふうに考えております。
  282. 経塚幸夫

    ○経塚委員 それからもう一つの問題はいわゆる官民格差の問題でありますが、これもいろいろ論議をされましたけれども、給付額について部長の方は、同一条件で厚生年金とそれから地方共済と比較をしてみて、給付額、これは大きな差があると考えておりますか。
  283. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 勤務年数の長さによって違うだろうというふうに思います。大体三十年の勤務年数を超えますと公務員共済年金の方が高くなりまして、たしか、私の記憶でございますが、四十年勤務いたしますと公務員共済年金が一六%ぐらい高くなったというふうに記憶しております。
  284. 経塚幸夫

    ○経塚委員 公務員の場合は平均が三十一・八年でありますから、それで計算をしてみたらどうなりますか。
  285. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生がおっしゃいます三十二年勤続、最終給料額というのが大体三十五万くらいで計算してみますと、公務員の基本ルールで計算しますと年金が二十万三千円、そして厚生年金の方式で計算しますと十八万九千円、六・六%の差があるという数字が出てきます。
  286. 経塚幸夫

    ○経塚委員 私は大きな差があるかとお尋ねをしたわけでありますが、この程度だとこれはもうほとんど差がない。特に公務員の特殊性というものを考慮に入れるなら、給付額においては言われておるほど官民格差と言われるような状況はない、こう判断ができるわけでありますが、部長はどういうふうに判断されておりますか。
  287. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 非常に難しい問題だと思います。先ほどもお答えいたしましたけれども、官民格差というか制度間格差の議論というのは、いろいろな立場の方がいろいろ議論しておられますけれども、一つは、やはり公務員の共済年金というものには今度の改正案でいう職域年金部分という公務員に特別な部分があるのだということをよく理解していただく必要があると思いますし、また昔からの制度の歴史というもの、由来というものがございますので、そこらというものをよく踏みしめた上でこの制度間格差の議論をしていただかなければなりません。  六・六%の差というのが大きいのか小さいのか、こういうふうに言われますと、民間の一般の方はそれでもけしからぬとおっしゃる方もいらっしゃるでしょうし、公務員の立場に立ては、それくらいは許してもらってもいいじゃないかという立場の方もいらっしゃいます。私たちは公務員でもありますけれども、一応制度というものの改正の端っぱを手伝っておるわけでございますので、公平な立場で見て、その六・六%の差というものは、まあ無視はできない差じゃないかという感じがいたします。
  288. 経塚幸夫

    ○経塚委員 あなた、自治省だから全国地方公務員を預かる立場にいわばあるわけでありますから、それはやはり公務員の立場から見て、これは言われるほどの大きな官民格差というような筋合いのものじゃないですよ、六・六%ぐらいでは。むしろこれはないに等しいと判断できるわけであります。  時間がもう参ったようでありますので、最後に大臣お尋ねをしたいわけであります。  いろいろとお尋ねをしてまいりました。なお、私はこの大蔵省の研究会の見解につきましても公式に大蔵省の見解をたださなければならぬというふうにも考えておりますし、閣僚懇談会の経過を経て出てきた、これは研究会のいわゆる意見書でもあります。大臣、この基本問題研究会ができました経緯を、これはもう大臣もよく御承知だと思いますが、五十四年の春に厚生省支給開始年齢六十五歳というのを示したわけでしょう。そうすると、これが大変全国的に問題になった。それで、自治省の側から見ても、その当時五十五歳というのを六十歳からにという案を検討して、ほぼ煮詰まって出すという時期に差しかかってきておった。そういうときに厚生年金が六十五歳から支給開始年齢とは一体どうなるんだ、地方公務員関係との調整はどうするんだというような問題が出てまいりまして、一たん出したこの案を厚生省が引っ込めて、それじゃ閣僚懇談会を設置して、そして六十五歳支給年齢引き上げについては調整をしようじゃないかということが主になって閣僚懇談会が設置され、そのもとに大蔵大臣のいわゆる調査研究機関として基本問題研究会が発足したわけでしょう。だから五十四年当時に話をさかのぼれば、六十五歳に支給開始年齢を引き上げるということがもともと引き金になって基本問題研究会の設置にまできたわけです。これが中に入っているわけです。そうしてこれが五十八年の閣議となり、そして五十九年の閣議方針となって一元化の方向へずっと発展をしてきたという経過をたどってきておるわけですね。だからそういう経過を見ますと、これは六十五歳支給開始年齢の引き上げというのは明々白々なんですよ。  ただ、先ほど申し上げましたように、この問題、今表に出せば大変なことになるということで、一時期玉虫色の答弁ということに相なってきておると思うのですが、やはり明確にすべきものは明確にすべきだ、かように私は考えております。あいまいもことした状況の中でこれはこれ以上の審議は続けられない。国鉄問題も極めて重大でありますけれども、この負担率とそれから支給開始年齢六十五歳にいつの時期に引き上げることを考えているのか、これは極めて重大な問題だと思うのです。だから、これはこの審議期間中に明確にすべき重要な問題だと考えております。  それからもう一つの問題は、いろいろとお尋ねをしてまいりましたが、これは世代間の公正とか制度間の公正とか言われておりますけれども、結局は給付が二割ないし三割引き下げられる、そうして一方保険料の方は最高二・五倍近くにも引き上げられてくる、そういう状況であるにもかかわらず国庫負担公費負担は大幅に削減をされる、こういう内容のものでありますから、私は、これは撤回をして案を練り直すべきだ、かように考えておりますが、最初に申し上げました点と二つ目の点、その点最後に大臣にお伺いをいたしたいと思います。
  289. 古屋亨

    古屋国務大臣 研究会あるいは閣僚懇談会等の経緯につきましては、私も一部につきましてはきょう初めてお伺いしたような点もあることは、私も自分で勉強は足らなかったと思っておりますが、何といっても老齢化というものの非常なスピードの中でこういうような年金の問題をいかにして確保するかということでございますので、一人でもそういうことが欠ける人がないように私どもは努力していかなければならぬ、そういう意味で私どもも十分勉強してまいるつもりでありますので、今いろいろ例を挙げた先生の方におかれましてもまた御指導、御鞭撻を賜るようにお願いをいたします。
  290. 経塚幸夫

    ○経塚委員 終わります。
  291. 高鳥修

    ○高鳥委員長 次回は来る二十八日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十八分散会