○渡辺
説明員 お答えいたします。
国鉄の
共済年金の財政
事情が非常に悪化してきたというのが顕在化してまいりましたのは
昭和五十年代に入ってからでございます。こういった
事情がどうして急に顕在化してきたかと申し上げますと、
国鉄の特有の
事情と申しますか、戦時中あるいは戦後に大量に採用した
職員、団塊的な
年齢層の
職員が五十年代に入りまして毎年大量に
退職して
年金者に移っていった。それから、
国鉄自体の輸送
事情が変わってまいりまして、輸送、経済
事情の変化に対応し切れないという点もございましたが、どんどん
職員数を減らすという合理化をしていかなければならなかった、こういったようなことから成熟度が非常に上がってまいった、こういうことが
一つ表面的にあらわれた原因でございますが、そのほかにも物価の上昇に伴います
年金の改定、それに伴う
給付と
負担の
関係が適切に対応し得なかったこと。それからさらに基本的に申し上げますと、
国鉄の
共済制度と申しますのはごく小単位の一企業一
年金、こういう
制度でございまして、
国鉄に対して起こったもろもろの
事情、これが
共済年金制度そのものを直撃した、それを吸収し切れなかった、こういうあたりに根本的な原因があるのではないか、こういうふうに
考えておるわけでございます。
これに対する対策といたしまして、五十年度から
国鉄部内、運輸省部内でいろいろな検討をしてまいりまして、五十四年十二月に、
国鉄再建について「抜本的な
共済年金対策について検討を進め、早急に結論を得ることとし、これに基づき所要の措置を講ずる。」こういう閣議了解をいたしまして、その後さらに政府部内の検討を進め、五十七年七月には、類似の
制度との統合を図る、こういう内容の臨調の第三次答申をいただきまして、いわゆる
共済統合法を五十八年に提案いたしまして、類似の
制度である国家公務員の
共済組合制度、これとの
制度の統合を図ったわけでございます。
この内容といたしましては、まず
給付の
制度が公共企業体の
職員の
共済制度と国家公務員の
共済制度に格差がございまして、その
給付の
制度を統一するということとあわせまして、
国鉄自身いろいろな自助
努力をする、こういう前提で国家公務員、電信
電話それからたばこ産業、三
共済による財政
調整事業、端的に申し上げれば
国鉄に対する援助をしていただく、こういう
共済統合法が成立いたしまして、五十九年四月に施行されたわけでございます。
この間、
国鉄共済自身についてどんなことをやってきたかということでございますけれども、五十年代に入りましてはぼ毎年のように
共済の
保険料率を引き上げてまいりまして、現時点では千分の二百四、
職員の掛金で申しますと給料の一〇・二%の掛金率ということで、他
共済を上回る
保険料率になっております。
それから、追加費用の繰り入れ方式が定率方式から実額方式、さらには繰り入れ不足分の集中的償還、こういったようなことも行い、それから統合法の成立後は、財政
調整事業の前提として
年金の改定を一〇%程度スライドを停止する、こういうふうなこともやってまいりました。今回の改正法におきましては、
国鉄共済につきましては財政
調整事業が行われております期間中は
職域年金相当額の
給付は行わない、あるいはみなし従前額の規定は
適用しない、こういう措置をしているわけでございます。運輸省といたしまして、
共済統合法以後は大蔵省に所管が移ったわけでございますけれども、これまでも
努力はし続けてきたつもりでございます。
それから、もう一点
お尋ねの
国鉄の
職員の方の
状況でございますが、
国鉄が民営・分割化されまして鉄道事業を再生するという、
国鉄の改革を実現すべく現在準備をしておりますが、これに関しましてことしの七月に出されました
国鉄再建監理委員会の
意見では、現在約三十万七千ほどの
職員がおりますが、
退職者を見込みまして六十二年度初めの
職員数が二十七万六千人になるだろう、こういう予想をしておりまして、二十七万六千のうち二万人程度は希望
退職を予定する、
残りの二十五万六千のうち二十一万五千人については分割・
民営化された新しい事業体に移していく、
残りの四万一千につきましては、旧
国鉄と言っておりますが、
国鉄の清算業務を行います旧
国鉄に移しまして、三年間を限度といたしまして公的部門なり民間なりへの再就職措置を図っていく、こういう内容になっております。したがいまして、現在の財政
調整計画が前提といたしました、当時ございました
国鉄再建計画の前提となっておりました三十二万と比べますと、六十二年度の初めが二十七万六千から二十五万六千、六十五年度の初めには二十一万五千、こういう
職員数になるという監理
委員会の
意見でございました。
現在この内容につきまして、具体的に会社別あるいはその内容別に詰めているところでございまして、いずれ
国鉄の改革法が提案されますころにはここら辺の
数字も詰まってくる、かように
考えている次第でございます。