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1985-11-14 第103回国会 衆議院 地方行政委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月十四日(木曜日)     午前十時四分開議 出席委員   委員長 高鳥  修君    理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君    理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君    理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君    理事 柴田  弘君       伊藤 公介君    工藤  巖君       坂本三十次君    仲村 正治君       長谷川 峻君    細田 吉藏君       松田 九郎君    山岡 謙蔵君       綿貫 民輔君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山下八洲夫君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         自 治 大 臣 古屋  亨君  出席政府委員         大蔵大臣官房審         議官      門田  實君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         厚生大臣官房審         議官      山内 豊徳君         厚生省年金局長 吉原 健二君         社会保険庁年金         保険部長    長尾 立子君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省財政局長 花岡 圭三君         消防庁長官   関根 則之君  委員外出席者         人事院事務総局         給与局研究課長 栗田 久喜君         厚生大臣官房会         計課長     末次  彬君         厚生省年金局年         金課長     谷口 正作君         自治省行政局公         務員部福利課長 松本 英昭君         日本国有鉄道常         務理事     川口 順啓君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君     ————————————— 委員の異動 十一月十三日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     仲村 正治君   山岡 謙蔵君     伊吹 文明君 同月十四日  辞任         補欠選任   伊吹 文明君     山岡 謙蔵君 同日  辞任         補欠選任   山岡 謙蔵君     伊吹 文明君     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八四号)      ————◇—————
  2. 高鳥修

    高鳥委員長 これより会議を開きます。  内閣提出地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加藤万吉君。
  3. 加藤万吉

    加藤(万)委員 前回に引き続きましての質問でありますが、最初委員長に、これはひとつ苦言を呈しておきたいと思うのです。  前回の私の質問で、国鉄共済問題に対する結論が、結果がこういう結果になってきている原因は行政上の責任といいましょうか、国鉄再建計画をどうつくるかということに大変かかわりが多いわけであります。その関係運輸大臣の当委員会への参加を御要請申し上げたのですが、残念ながらきょうは参加できないという御返事がありました。大蔵大臣はお見えいただいたわけですが、これはやはり当委員会でお互いに合意をして、しかもそういう立場のもとにきょうの質疑を行おうという大方の合意でありますから、それが事前にこういう処置になることは極めて委員会審議としては遺憾だ、こう思いますので、最初にそういう扱いになった経過に対する委員長の見解をお伺いしておきたい、私はこう思います。
  4. 高鳥修

    高鳥委員長 きのうの段階までは、委員長といたしましても運輸大臣出席されるものというふうに承知をいたしておりましたが、けさになりまして所用のためどうしても出席できない旨の連絡がございました。加藤委員出席御要請に応じられなかったことは極めて遺憾でございます。加藤委員から運輸大臣に対する質疑ということで、どうしてもということでありますれば、適当な機会を設けて質疑をしていただくなり何なり委員長において善処をしたいと思います。
  5. 加藤万吉

    加藤(万)委員 ぜひ今の委員長発言を、これからもどういう審議経過になるかわかりませんが保証していただきますことを私は冒頭にお願いをしまして、入らしていただきます。  大蔵大臣、どうも大変お忙しいところを当委員会にお越しをいただきましてありがとうございます。大臣も、大蔵委員会でも国鉄に絡まる問題で、共済担当主管大臣であります大蔵大臣への質問あるいは国の予算を扱う、編成をする大蔵大臣としての立場からの質問もそれぞれあったようでもありますから、私は、当委員会でどうして大蔵運輸の両大臣が私の質問を通して必要か、その必要になった経過最初にまずお話ししておいた方がよろしいと思うのです。  第一は、時間がありませんからかいつまんで申し上げますが、職域年金方式というものが、これ以上我が国の年全体制として可能だろうかどうだろうか、その保険料積み立て方式による職域年金方式というものが、国鉄共済の破綻という中で既に行き詰まってしまったのではないか、あるいはこの後、たばこ産業あるいは郵政それぞれに同じような状況が生まれてくるのではないかということになりますと、一体基礎年金を各年金のベースとする新しい制度というものが、そういう状況を解消できるのかどうか、これが第一の問題でありました。  第二の問題は、国鉄年金の救済のために、今国共済が千分の十・六それぞれ負担をしているわけであります。さてそれで、六十四年度まで可能だという三十二万人体制の中での問題が出ましたけれども、御案内のように、六十五年度まで二十一万五千人という新しい体制のもとで国共済でその負担が可能かどうか、国共済によってその応援負担国鉄共済収支可能になるのかどうか、新たな国鉄監理委員会の提案に基づく課題としてさらに新しい条件が加わった中でどうなるのか。世上言われておりますように、そのプールはもっと拡大をして、地方共済まで財源プール制度間の調整を行うべきだという意見に対してはどうなのか。  三つ目には、これは全く我が地方行政委員会でも特殊的なといいましょうか、新しい状況でありますが、今行われつつある国鉄人員削減に伴って地方自治体がこれを背負い込む場合に、国鉄共済赤字の中における我が地方共済負担一体どう変化してくるか。このことをお聞きするには、やはりどうしても国鉄の全体の人員削減計画というものがどうなっていくのかということが明らかにならなければなりませんし、同時にまた後半の問題等含みますと、これは大蔵大臣という立場からも、御意見や私どもに対する回答をお与えをいただかなければならない、こういう視点から実はきょうの会議になったわけであります。  そこで、私は最初にまず国鉄関係大臣にお聞きする予定でありましたが、見えておりませんから、運輸省、これは中島国鉄部長ですか、お聞きをいたしますが、国鉄の今の再建計画というものの進行状況についてひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。再建計画は全般、非常に広いものでありますが、特に限って言いますと、人員削減の問題について、二十一万五千人体制というものが今の監理委員会意見を踏まえて、どういう計画で進められようとしているのか、まずお聞きをしたいと思うのであります。
  6. 中島眞二

    中島(眞)政府委員 国鉄再建計画でございますが、現行計画といたしましては、昭和五十五年に施行になりました国鉄再建促進特別措置法という規定がございまして、その中で昭和六十年度を目途に幹線とそれから一般営業損益での収支の均衡を図るということを中心といたしました再建計画を策定することとなっております。これにつきましては、当初策定しました計画を、その後の客観情勢変化に対応いたしまして昭和五十九年度に改定いたしております。この現行再建計画の中におきます要員計画は、昭和六十年度におきまして、三十二万人体制ということになっております。現在の財政調整事業基礎となっております要員規模の三十二万人は、ここから来ているわけでございます。そこで、一方、国鉄の方では合理化が非常に進捗いたしまして、現在員でございますが、これは六十年度当初におきまして、三十万七千人という実員となっております。  ところで、今申し上げた再建計画によっては、抜本的な再建ができないという観点から、国鉄経営再建の推進に関する臨時措置法という法律昭和五十八年にできまして、これに基づきまして再建監理委員会が発足いたしました。そして、ここにおきまして、二年にわたる審議の結果、去る七月二十六日に「国鉄改革に関する意見」という基本答申が出されたわけでございます。そして分割民営化基本といたしました、そしてまた長期債務処理中心といたしましたこの答申が出されたわけでありますが、その中での要員規模は以下に申し上げることとなっております。  分割民営の実施は六十二年四月一日を目途とするということになっておりまして、この六十二年四月一日におきます現在員は二十七万六千人と見込んでおります。そういたしまして、一方旅客鉄道につきましては、本州を三つ分割いたしまして、ほかに北海道、四国、九州という六つの旅客鉄道会社に移行するということになっております。そのほかに貨物鉄道会社も全国一本の鉄道会社としていくということになっております。そのほかに通信につきましても別会社を設置するとか、あるいは研究所につきましても財団法人という形で別に発足するというような計画がございます。  そうして、これらの必要な要員規模につきましては一応六十二年度初めに二十一万五千人という計画になっております。したがいまして、二十七万六千人とこの二十一万五千人の間の六万一千人という人数があるわけでございますが、この六万一千人につきまして、その中の二万人につきましては六十二年四月一日の分割民営移行前に希望退職によりまして対策を講ずるという考え方でございます。そうしまして残りの四万一千人が特別対策対象者ということになりまして、国鉄の主として清算業務を担当いたします俗に旧国鉄と言っておりますが、そちらに引き継がれまして、就職の場の確保等によりましておおむね三年を目途にその対策を完了する、こういう監理委員会答申が出ております。  現在のところ出ております要員計画は以上のとおりでございます。
  7. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、改めてお聞きするまでもありませんが、今の要員計画は当初三十二万人体制で、六十四年度まで生ずるであろう国鉄共済収支計画が明らかに変わってくる、こういうふうに私は思いますが、今のお話でもありましたように、昭和六十五年度計画に対して、現在ですらもう三十万七千人でありますよね。どうなんですか、六十四年度までの国鉄共済への救援対策拠出金を含めて、この状況は、今の再建委員会答申に基づいて漸次人員削減の方向に持っていく、その経過として国鉄共済収支状況はどういう変化を生じてくるのですか。
  8. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに今運輸省からもお答えがあったわけでございますが、国家公務員等共済組合審議会答申でもこれ以上は今の体制では無理だという答申をいただいております。その前の段階では、今加藤さん御指摘ございましたようにとにかく長い濃密な懇談をいたしました。電電、専売、国家公務員経営側労働者側とも本当に長い濃密なお話し合いをいたしまして、まさにその当時私が感じましたのは労働者連帯とでも申しましょうか、そういう形でまとまりまして四百五十億、こういうことになりましたが、その後の変化からすれば今運輸省からもお答えがあったとおりでございます。  具体的な数字について私が非常に大ざっぱな話をいたしますと、六十年度がら六十四年度まで毎年約四百五十億円の援助を行う、しかし今回の国鉄再建監理委員会意見による国鉄再建計画が具体化されれば、昭和六十年度から昭和六十四年度までの間において今の四百五十億円のほかにさらに一年につき七百ないし八百億円程度の不足が生ずると見込まれております。したがって、国家公務員等の三共済のみの援助では対応困難な事態になることが御指摘のように予測されておる、こういうことであります。
  9. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、今大臣からおっしゃった四百五十億の分は、三十二万人体制の中で国共済の支援を受け何とか処理ができる、できなくとも積立金がまだ四千四百億、使えない金もあるようですけれども、一応財源措置は私はできると思うのですね。しかし、おっしゃるように、六十二年度あるいは六十五年度に向かってこれだけの人員削減合理化を行っていきますと、単年度で七百億、大変ですね。しかも、今大臣がおっしゃいましたように、国共済ではとてもじゃないけれどもその負担はできない。時々大臣労働者連帯でという私どもが使うような言葉をおっしゃるのですが、どこかでもそういう御発言労働者連帯という枠がどうもあなたの場合はだんだんだんだんと拡大をいたしまして、オールジャパン連帯方式に各所で答弁がお見受けできるのです。この問題は少し後に残しますが、いずれにしても、この間に起きる問題は行政上起きている問題ですね。国鉄共済そのものが何らかの障害があって大変な赤字を生じたという問題ではありませんね。明らかに国鉄監理委員会答申を受けて、国の行政上こうやっていきますと共済年金に七百億ないしは八百億近い財政赤字が起きます。国鉄共済年金主管大臣であります大蔵大臣としては、一体これをどう処理されるのですか。
  10. 竹下登

    竹下国務大臣 最初、申しわけありませんが、私が労働者連帯という言葉を使いますのは、まさに審議会皆さんと懇談しておるうちにそういう印象を受けて涙が出るほどうれしかった、こういうことで申し上げておるわけでございますので、それは本当にうれしゅうございました。今でも大変感謝しておりますし、それで使っておる言葉でございますので、まことに真心から使っておる言葉でございます。  したがって、今の問題ということになりますと、御案内のように、いわゆる公的年金一元化の問題が続くわけでございますけれども、それを国年、厚年やってきて、今度の場合は給付一元化、中にはいろんな経過措置もございますが、そういうことをまずはやっていこう、そして今度は、やはり当然のこととして負担一元化というものもそう遠くない将来に議論しなければならぬ問題でございますので、今このような形でやりますということを私から申し上げる立場にも必ずしもなかううと思います。年金担当大臣中心にこれからやっていくわけでありますが、私が少なくとも統合後は国鉄共済に関する所管大臣であることは事実でございますので、今後そういう給付一元化がまずでき、そして国民がこれに対してどのような反応、あるいは世論がどういうふうに構築されるかというようなことをもろもろ考えながら、終局的には政府責任、それまでは年金担当大臣中心にして検討をしていかなければならぬ重要な課題だという問題意識を持っておるというのが今のところの答弁のおおむね限界ではないかな、こんな感じでございます。
  11. 加藤万吉

    加藤(万)委員 持っているだけじゃ、実は大臣困るのですよ。きのうの新聞ごらんになったと思いますが、気象庁が国鉄余剰人員を受け入れてもよろしい、こう言っています。なお、その下には、当委員会で最も関係あります警察庁が、鉄道公安官、約三千人近い人ですが、これを何らかの形で受け入れでもよろしい、こうなっているわけです。先ほど、二万人の希望退職、さらに残った四万一千人のそれぞれ旧国鉄から整理といいましょうか、あるいは各地に引き受けてもらう人を含めての余剰人員対策、来年度からもう起きるのですよ。どうするのですか。  連帯あるいは全体でなければ、いわゆる負担の公平という面であるいは給付基礎年金導入という形で新しい条件としてつくり上げていけば、という希望を持っておりますという大臣の意向はわかりました。しかし、現実には人が動くのです。しかも、もし二万人の中に高齢者があり、希望退職者がその層に非常に厚くなりますと、五十五歳の年金支給、いわゆる特例の中で年金支給をしなければならない事態が六十二年度までに起きるわけですね。大臣がおっしゃいますように、やがて負担一元化ということになります、あるいは給付一元化というのを待ってという、時期的には待つことできませんよ。現実に起きてくるこの国鉄共済年金赤字対策、具体的にどうされるのですか。もう一遍お聞きします。
  12. 竹下登

    竹下国務大臣 今、国鉄共済年金支払いについては昭和六十四年度までの支払い支障が生じないよう政府責任を持って解決策を講じます、こういうところまで私がお答えしておるわけであります。その前の労働者連帯とかあるいは国民連帯とかいうことは統合のときに私が涙が出るほどうれしくて感じ言葉を述べたわけでございますが、まさに今日の段階では昭和六十四年度までの支払い支障が生じないよう政府責任を持って解決策を講じますというのが私がお答えする限界ではなかろうかというふうに考えます。
  13. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、国の責任支払い支障がないように、こうおっしゃいますが、私は責任には二つあると思うのです。一つは、財源をもっと広い財源プール条件をつくって国の責任を解決します、これも一つの方法ですよ。いや、そうではありません、国の責任というのは六十四年度までの間には国庫支出、すなわち国の負担分拡大をしてその責任を埋めていくという、二つあるのですよ。どちらですか。
  14. 竹下登

    竹下国務大臣 よく言われますのは、大蔵大臣はいわば一般財源から支出しないで、——————で、——————は取り消します、これは不穏な言葉でございますから。これに対応していこうと考えておるであろう、他はそう考えていないであろう、こういういろいろな意見が交わされておることも承知しております。そこで私は、この共済の今度の審議のときにいろいろ出てくる問題、これは国民世論のいわば一番の権威ある、しかも一番統合された議論が行われるわけでありますから、まずはこの委員会等議論されるのをみんながよく聞きまして、それらを参考にして、策というものはやはり政府責任でもって考えていかなければならぬだろう、それで皆さん方どうでございましょうかといって折々相談して決めていくべき課題だなと思っております。初めから割り切って、その分はこういう論理の延長のもとにこれは全くそれだけの一般財源支出を伴うべきだとか、あるいはそういうすべての問題まずかくあるべきというのを前提に置いてのお答えをするには、いささか私自身にもそれだけの心の準備がもちろんございませんが、一番国権の最高機関たる、しかもプロの集まりですよね、共済というのは本当にアマとプロとでは理解の度合いが百点と零点くらいございますから、これは百点の人ばかりいらっしゃるところの議論をよく聞きながらこれから検討すべき課題だなというふうに思っております。自己採点をしてみると、自分自身もせいぜい四十点くらいしか本当はわかっちゃいないなという感じを持つのが素直な私の心境でございます。
  15. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、国の策と言いますけれども、先ほど私言いましたように、今おっしゃっていることと私が国の責任には二つありますよと言ったことと全く同意語なんですよ。大臣は今、国の策があります、今は割り切ってこうだああだということじゃなくて、国の策の中でその責任保障体制はとります、こういうことなんですね。問題はそこなんですよ。一体国の策とは何ですかということ、国の責任において年金支払い支障のないようにしますというなら、そしてそれは国の策でやります、その国の策とは何ですかということを私どもは聞かなくちゃならぬのですよ。  自治大臣、きのう自治大臣と私、いろいろやりとりをいたしました。きのうの私とのやりとりの中で、例えば地方自治団体今川崎の市などは国鉄余剰人員を受け入れてもよろしいですよ、こう言っています。あるいは先ほど申し上げましたように、鉄道公安官警察庁の方で受け入れてもよろしいのではないか等の意見があります。もしその状況が起きたときに、共済年金に対する、例えば国鉄職員から引き継いだ、警察官でもいいし、あるいは市の職員でもいいですが、大臣、それに対する財源処置はどうされますか。いわば、なってからの問題はわかりますよ。地方共済ではそれぞれの単位共済で始末しますけれども、なる以前の、いわゆる積立金に相当するものが、本来こちらの会計移管されなければなりませんね、地方共済会計に。その部分についてどうお考えになりますか。
  16. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 国鉄余剰人員というのを地方公務員に受け入れるに当たりまして、地方共済サイドからの問題というものが二つあると思います。  一つは、受け入れるに当たりましてどうするかということなのですが、具体的に申し上げますと、国鉄職員期間というものが地方公務員期間と通算されまして年金が算定されることになりますので、受け入れるに当たりましては、過去の国鉄職員期間に係る積立金というのを地方公務員共済の方に移管してもらいたいということでございます。それは基本的には運輸省との間で合意が成立しております。  受け入れた後の話でございますけれども一つ追加費用というのを旧国鉄ないしはそれに相当するものに持ってもらいたいということでございますが、これは当然のことだと考えております。それ以後どういうことがあるかといいますと、公的負担の話と事業主負担の話がございますが、受け入れた職員というのは地方公務員でございますので、地方公務員として仕事をしていただく限りは、公的負担事業主負担というのは自治省の方で必要な財源措置をする、こういうことになろうかと思います。
  17. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、今公務員部長から答弁ありましたように、国鉄職員期間のあった分は国鉄共済運輸省と協議をしてまいる、そうするように取り決めております。国鉄共済は、御案内のように四兆九千億ですよね。さらにどうですか、今の部分を含めますとどのくらいになるのですか、国鉄共済の実質的な赤字は。というのは、これから本来払わなければならない金は各共済とも積立金でずっとあるわけですね。積立金は四千三百五十億しかありませんね。しかもそのうちで公債と住宅貸し付けを差し引けば、実際的に運用できるお金はまあ二千億あるかどうか。しかもそれも、私は台所を見たわけではありませんから、現金であるのか、いわゆる移管する財源としてあるのかどうかわかりません。今言いましたように、移管する際にはそれだけの財源が必要ですといったときに、その策はどう取られるのですか。ひとつ、これは国鉄共済年金担当大臣であると同時に、今言ったように地方財政に穴のあく分を、まあ大蔵大臣という立場になるのか、予算編成大臣という立場になりますか、わかりませんが、どのようにこの決着をおつけになりますか。
  18. 竹下登

    竹下国務大臣 この国鉄改革に伴って、これもまた法律が出ておるわけでもございませんが、国鉄職員の方が地方公務員となられた場合に、これに伴う共済年金積立金移管を行わなければならないこととされておりますが、さて具体的にどの程度が必要な積立金として移管するのか、また積立金移管の時期をどうするのかという問題については、まさに今後の検討課題であろうというふうに思っております。
  19. 加藤万吉

    加藤(万)委員 きのう山口労働大臣が東京のある会合で国鉄余剰人員問題についていろいろ話をされたようです。  けさ新聞によりますと、国鉄余剰人員を国会議員も一人ぐらい秘書として抱え込んだらどうかというようなことも新聞の囲みの記事には載っています。その際に一番問題になったのは、なぜそれが地方自治団体で受け入れられないのだろうか、民間の私鉄やその他はそれぞれ受け入れるという条件をいろいろつくっているにもかかわらず、地方自治団体が受け入れ態勢が非常に弱いのではないかという御指摘があったという新聞が報道されておるわけであります。  大臣がおっしゃったように、基本的にはそれは移管した場合には財政的には面倒を見ますよ。しかし、具体的にはどうなるのかこうなるのかわかりませんのでというところが、大臣の先ほどおっしゃった次の余剰人員に対する策があって、その策をいろいろ検討して、そしてやりますよ、二万人の希望退職あるいは四万一千人の転職先をこれからいろいろ探しても始末をしますよ。その策がもしも地方共済との共同の負担だ、あるいは地方共済までその枠を広げ、いわゆる共済の全的な制度上の調整あるいは財源上の調整を行って受け入れるんだということになったら、これは大変ですね。地方共済答申には、きのうも自治大臣から御答弁をいただきましたけれども、とてもではないけれども、国の責任を明らかにしない限り地方共済の中ではこれを受け入れることはできない、こう答申を受けていますよ。これは改めて自治大臣にもお聞きをしますけれども、そういう条件だろうと思うのですよ。  とすれば、一体その策は何なのですか。地方共済で今度は再び財源的なプールを行って、そしてその分として人員移管に伴う地方共済の穴埋めをされるというのですか。それも一つの策ですよ。それとも、本来この国鉄人員削減という問題は国の責任で起きたのであるから、結果的には国が財政的な全部の始末をつけて、そして移管条件をつくります、こう言うのか、そこは答弁として明らかにしていただかなければなりませんね。どうですか。
  20. 竹下登

    竹下国務大臣 今の問題は、やはり国鉄改革の関連で全体的に検討していかなければならぬ課題だと思っております。  私も再建監理委員会お答えを見ながら感じました一つは、国鉄共済ということになると、一つの方向を国鉄監理委員会でお出しになるというのは、なるほどそれはわかるな。しかし、その先、どう構築していくかということになると、それは政府で、しかも今御指摘ありましたように、それぞれの審議会、我々として尊敬に値する審議会意見の背景を踏まえながら私どもがその範疇の中で考えていかなければならぬ、こういうことになりますと、まさに、それこそ総合的に考えざるを得ないではなかろうか。いわばこれ以上は面倒見切れませんよというのが今いわゆる国家公務員等共済答申で、私が尊重しなければならぬ立場にあります。  それから、今の地方公務員のその審議会答申というのは、まさに所管される自治大臣としてその範疇の中で物事を決していかなければいかぬ。だから、これらいろいろ考えてみますと、これは本当に一つ一つ抱えている答申、それらも含めて総合的にどこかで検討をしていかなければならぬ課題だな、こういう考え方に立ってこれからその策、解決策と申しましたが、解決策を考えていかなければならぬのだな、今のところこういう認識の上に立っておるわけでございます。  それは加藤さん、百も承知の上で御意見をちょうだいしているわけでございますが、最初からすべて身ぎれいにするのは、いわば大蔵大臣としての別の立場財政支出において身ぎれいにした上でお話し合いをいたしますというようなことは、これはなかなか言える問題じゃないな。やはり国鉄改革全体の組み合わせの中で、総合的に判断しながら解決策を講じていかなければならぬ。その解決策を講じるためには、今のような御意見をちょうだいするようなのがすべて参考になって、審議するに当たっての貴重な御意見になるものではないかな。そうのんびりして考えておるわけではございませんけれども、こんな対応ではないかと思っております。
  21. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、前の委員会ではお見えになりませんでしたから。私は今度の共済四法の改正、これは国民年金、厚生年金と連動した一連の改正だ。しかも、この基礎年金導入というのは、いわば年金改革の大きな、従来の制度とは違った制度として今度は配置をされ、法の改正が行われる、こう実は見ておるわけです。このことは大体どなたも御異存のないところであります。  そこで、国鉄再建は今度、先ほどもお話がありましたように民営分割ですね。民営分割民営になった場合、民営ですからいつの時期にかこれは厚生年金ですね。この答申案では、当分の間国鉄共済一本でいろいろな処理をすると出ていますよ。しかし、いつの日かは、これは民営ですから厚生年金です。厚生年金の三分の一の負担は国庫ですね。国鉄は、今の状況でいきますと公経済負担ですね。国鉄財源負担をしているわけです。今度民営化になりますと、三分の一の公経済負担は国庫負担になりますね。そこに一つはねらいがあるのじゃないですか、長期的に見れば。国鉄財政から今まで出した分が今度は国庫負担になるわけですから、それだけ軽くなるわけでしょう。当分の間というのは、一体六十四年のことを言っているのか七十年のことを言っているのか、私は一度大臣に聞きたいと思っているのです。国鉄共済の運営は、当分の間国鉄共済一本でやります、その実質支払い業務もやります、こう書いてあります。  六十二年、六十五年、そして年金統合が七十年、こうなっていますね、公的年金一元化は。もし民営化が進み、厚生年金の方に国鉄移管すると、これは電電もそうです、あるいは専売もそうです、公経済負担はなくなりますよ。国鉄民営化された分ですから、どこの会社がということになるのでしょうけれども、それだけその負担は楽になりますね。支出としてはないわけですから。そういうねらいがこの中にあるのじゃないですか、今度の場合。  ですから、大臣がおっしゃった、六十四年度までは国が責任を持ちます、それまではいろいろな策があります、六十五年以降は民営化になって厚生年金に譲れば、今度は厚生年金は六十五年、私はどのくらい財源が残っているのかわかりませんけれども、少なくとも六十一年度で六十二、三兆残がありますね、積み立てが。財源プールになるのですよ、今度は、  私は、民間の出身ですから厚生年金の該当者です。私は六十歳になったら厚生年金がもらえると思って頑張っていましたよ。昭和十七年から会社に入ったのです。ちょうど十七年が御案内のようにこの年金制度ができたときです。十八年は厚生年金という制度になりました。積み上げて積み上げてきて、六十歳になったら厚生年金がもらえるだろうと思って頑張って掛けてきましたよ。ゴールが六十五歳まで先に行ってしまいました。私も一〇〇%もらいたいですよね、戦前から掛けてきたお金を。  しかし、六十五に延びても、六十何兆円の蓄積があるのだからこれで私は年金が完全にもらえるだろう、こう思っておりましたら、今度は法改正でダウンです。厚生年金の被保険者から見れば、大変な年全体制に対する不信感ですよ。私は説明のしようがないと思うのですよ。私は、言葉が悪いかもしれませんが詐欺だというのです。私たちの悔しい気持ちを文章では表現できませんよ。ここまでに落ち込んだ国の責任、これは国鉄共済とは言いません。ほかの共済もやがてそうなるでしょう。そして、大臣がおっしゃるように、オールジャパンでこれを負担するなんということになったら、まさにそれは厚生年金財源にどう手をつけるかということになるじゃありませんか。そんな政策をおとりになるその端緒のところが国鉄共済なんですよ。それだけに私も真剣なんです、そういう意味では。  そういうことを見てまいりますと、先ほど六十四年度まではいろいろな策を弄します、その策の中に、今言ったとりあえずは六十五年度までに御承知のように共済統合をやろうというのは自民党の調査会でも出ましたよ。これは事実上御破算になりました。御破算というよりも、それではもうできないという方向になったのでしょうよ。そうしますと、あとは七十年度における公的年金一元化制度上の調整財源プールを行ってやるという方向の中での六十五年以降の処理しかないじゃありませんか。しかも、それは大臣がおっしゃったように、そういう総合的なことをどこかで、こうおっしゃいました。大蔵大臣ないしは国鉄共済主管大臣としてはこれ以上答えられない。どこかでその先のことを決めてもらわなければ、私は安心してこの四法の法案審議はできませんよ。どうですか。いま一遍大蔵大臣国鉄共済の救済あるいは年金支給が安定的にできる条件として六十四年度までも、さらにその策を六十五年度以降七十年度の公的年金統合までの間どういう基本的な方針をお持ちですか。六十四年度までは具体的に、六十五年度以降は基本的な方向性をひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。
  22. 竹下登

    竹下国務大臣 六十四年度まで責任を持って解決策を講ずるということは、現在の国鉄共済財政調整計画の期間、すなわち六十年から六十四年というものを展望してお話をしておるわけでありますが、まさにその間の具体的な措置の方法を答えろ、こうおっしゃいますと、先ほど来申しておりますように、わがままな表現をさせてもらうとすれば、これからまさに給付一元化を図る流れの中で、本法律案を通してもらったら今度はこの負担の問題になるから早急に対応していかなければならぬ課題だなというふうなところが限界じゃないかなというふうに思っております。  それから、その後の問題ということになりますと、それは基礎年金構想の際の議論、いわば目的税議論というのも確かにございましたし、答申も出ていますが、目的税議論というのも今「増税なき財政再建」、そしてまた一方、今税制調査会で抜本的な審議をしておるときにそういう議論をするわけにも、それは率直に言ってできない問題でございますが、その点につきましては、まさに年金担当大臣が毎度お答えしておるということに尽きるのではなかろうかな、どうも私から六十五年度後の問題を余り堂々と答える立場にもないのかな、こんな感じでございます。
  23. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうだろうと思うのです、その先は。  そこで、年金担当大臣である厚生大臣は、きのう私の質問に対して、基本的な方向性をおっしゃいました。これは申し上げるまでもありませんけれども公的年金一元化に向けて給付負担の公平化を図っていきます、あるいはやがて迎えるであろう高齢化社会に向かって、あるいは産業構造の変化に向かっていく各種年金の行き詰まり、打開あるいはそういうものを制度的にも基礎年金導入という形で見直しをしながら安定的な長期的な給付ができるようにします、いわば抽象的なことをおっしゃったのです。  しかし、私は先ほどの厚生年金財源問題を含め、やがて国鉄の延長、そうなるでしょうというお話をいたしましたように、そうではないでしょう、そうならば厚生年金国民年金基礎年金の導入の過程を含めて、もっと違った案があってしかるべきだ。例えば年金で最低生活を保障し得る条件として、月々五万円、年間六十万円がいいかどうなのかという話から始まりまして、国庫負担のあり方がどうあるべきかという、今大臣がいみじくもおっしゃいました、我が党の税方式による云々という問題も含めて本来そういう改革があるべきですよ。しかし、今度の改正案はそういう立場ではなくして、むしろ後半述べました、国鉄共済にかかわる問題として申し上げましたように、給付削減を行って同時に次は負担拡大をして、それもいわゆる共済に合わせるような形で厚生年金負担拡大を行って、同時に財政調整という名の財源プールを厚生年金まで含めて行って、そういうことが本法の改正のねらいではないか。だから、各所にお互いの意見が食い違うのですよ、こういうことを実は私は申し上げたわけです。  そこで大臣、私は、先ほど大臣がおっしゃいましたけれども、いわばその基本的な年金制度のあり方の食い違いの問題は、今おっしゃいましたように六十五年度以降国鉄共済をどうするかという問題を含めていろいろなことをあらゆる観点から考えてみなければなりません。それは、今言ったように大臣はしばしば各所で御答弁されているようですけれども年金財源オールジャパン方式ですね、これも一つの方法でしょうよ。私は、それがいい悪いはこれから議論があればやりますけれども、これは時間がありませんからやりません。しかし、それをするならば、国鉄共済をどうするかということが国民の目の前に明らかになるような始末をしませんと、そういう方向はとれませんよ。先ほど言いましたように、私のような厚生年金の被保険者でありました者にとってみては、文章では書けないほどの、おれの懐に手を突っ込むのかという気持ちですよ。これは少しこちらにおきます。  いずれにしても、その間の策を考えなければならぬということになりますと、一国鉄共済主管大臣である大蔵大臣では、率直に言ってその先の答弁ができないと私は思うのです。しばしばきょうもおっしゃられています、私の答弁としてはここが限界です、年金制度のあり方としてはどうあるべきかということは主管大臣である厚生大臣がおっしゃることで、私としては、こういう話が出てきます。さらに、国鉄の今言ったような六十四年度までのその責任の策においても、国の責任において国鉄年金受給者については支障のないようになるかもしれませんけれども、それを共同で負担をするということが地共済の分野にもし及ぶとするならば、これは大変なことですね。大臣のおっしゃっているのは、支障のないようにというのは恐らく給付の面で支障がないようにということだろうと思うのです。給付財源を確保するために地共済の分野まで財源プールが行われます、こうなったら、これは大変なことですね。自治大臣もきのうも答弁されておりました。やはりその辺の国の責任を明らかにする中で地共済をどうするべきかということを考えるべきであって、今直ちに地共済財源プールに対して私どもはいいという言葉は言えません、こうおっしゃいました。私は、そうだと思うのです。どうですか、私の見解に間違いがないかどうか、国鉄共済主管大臣としてひとつ御答弁いただきたいと思います。
  24. 竹下登

    竹下国務大臣 加藤さんのおっしゃっている指摘は、政府側それぞれの担当大臣が尊敬する審議会等からいただいておる答申というものを背景にしておる今日の時点で私は間違っていないと思っております。私は、国鉄共済、移りまして担当しておるわけでございますから、これ以上負担はできませんという答申というものが私にお答えの一定の限界を与えておるわけでございます。それぞれそういうふうに限界を持っておるからこそ総合的な判断をして、それこそ国会等の議論を聞きながら策を政府責任でつくらなければならぬのだな、そういう感じで先生の御意見を含めた御質問を拝聴しておる、こういうことであります。
  25. 加藤万吉

    加藤(万)委員 委員長、お聞きのとおりです。政府責任でこれ以上の先のことはやらなければならないというのは、大蔵大臣の、主管大臣としての最終答弁です。恐らく私は自治大臣にお聞きしてもその部分については同じ答えだろうと思うのです。政府責任でという以上は、これは総理ですよ。総理大臣が、一体この国鉄共済を含め、再建計画を含めあるいは将来の長期的な厚生年金の積立額に手が届くような方向をとるのかとらないのかという問題も含めて、私は最高責任者である総理が御答弁いただかなければならない問題だろうと思うのです。委員長、どうでしょう、私は総理と話し合いができる場をこの際求めますよ。委員長、ひとつどのように取り計らうか……。
  26. 高鳥修

    高鳥委員長 理事会において協議いたします。(「答弁できないなら所管大臣でいいよ、所管大臣を呼べ」と呼ぶ者あり)
  27. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それなら呼ぶまで待ちましょうか。では、今の不規則発言所管大臣を呼べということですから、私が当初お話し申し上げましたように運輸大臣が見えてないのですからここで中断をせざるを得ないのですよ。しかし委員長、これは不規則発言に対する私のお答えですから、議事録から削除してもらって結構です。  委員長、問題はやはりそこなんです。きのうからも申し上げていますように、これに対する最終的な判断は政府の最高責任者である総理が何らかの形で閣議の決定をしなければ、あるいは政府責任としての発言がなければ、私はこれ以上残念ながらこの間の審議を進めるわけにはまいりません。そこで、今委員長理事会でというお話がありましたから、私も持ち時間まだあるようですけれども、直ちに理事会を御招集をいただいて、この扱いについて審議をしていただきたい、こう思います。
  28. 高鳥修

    高鳥委員長 ちょっと速記をとめてください。     〔速記中止〕
  29. 高鳥修

    高鳥委員長 それでは速記をつけてください。  この際、暫時休憩いたします。二時二十六分再開いたします。     午前十一時六分休憩      ————◇—————     午後二時二十六分開議
  30. 高鳥修

    高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。柴田弘君。
  31. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 共済年金改正に際しまして、国鉄年金の救済につきまして非常に大きな問題になっているわけでありますが、やはり私どもといたしましても、この国鉄共済年金の救済を含めまして七十年度までに政府一体いかに年金一元化を行っていくのか、そのプロセスを明確にすべきである、こういった考え方を持っておるわけであります。そしてその中において、今回の地方公務員共済年金の改正が一体どこにそのねらいがあるのか、あるいはまた一元化の中で一体どのような位置づけがあるのか、やはりこの点を明確にしていただきたい、こういうふうに私は考えているわけであります。  それで、基本的にまず自治大臣にお伺いをしておきますが、今回のこの提案をされました地方公務員共済組合法の大改正案に対する批評、批判が関係各方面から出されている。労働側からは公務員の特殊性を無視する改悪である、あるいはまた経済界からは官民格差を承認し固定化するものではないか、あるいは社会保障制度審議会意見は、恩給そのものを見直すべきである、あるいは国際的な視点で見てまいりますとILO百二十八号条約があり、その条約で定める年金の最低水準が確保されているかどうか、いろいろ関係各方面から指摘をされているわけでありますが、この点を含めて、一体年金一元化の中で今回の改正案というものはどこにねらいがあり、どんな位置づけを持つものなのか、まず基本的に大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  32. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今回の改革は、御承知のように最近の非常な高齢化社会の到来等社会経済の変化に対応いたしまして公的年金制度全体の長期的安定、それから整合性ある発達を図りますために、地方公務員共済年金制度につきましてもさきに国民年金法の一部改正をする法律によりましてつくられました国民共通の基礎年金を導入しますと同時に将来の給付水準の適正化を図るなどの措置を講じますほかに、現行公的年金制度間の制度の内容、相違が生じている等種々の議論にもこたえることができるということを主たる目的とするものであります。  このような改革のねらいを達成いたしますと同時に、もう一つ、公務員の共済年金制度は公務員制度の一環として位置づけられておりますので、基本的には公務の能率的運営ということも一方において必要であるという考えてこの法案を提出したわけでございます。
  33. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこでさらにお尋ねしますが、昭和五十九年二月二十四日、「公的年金制度の改革について」の閣議決定がなされております。政府公的年金一元化のスケジュールが一応示されているわけでありますが、その内容は極めて不明確である。今回の一連の大改正案は、国民の老後の生活を守る立場から提案されたものではなくて、何か財政調整的な考えが前面に押し出されている、共済年金と公務員との関連や共済年金の位置づけといったものについて関係機関、労働側あるいは地方団体等々の協議、検討が不十分なままに提案をされた、こういうふうに私は考えるわけでありますが、この点はどうですか。
  34. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 ただいまも申し上げましたように、今回の公的年金の改革は、人口構造の高齢化、社会経済の環境の変化等によりまして年金制度の基盤に重大な変化が生じてきておるのでありますが、年金制度国民の老後の生活をこれから支えていく主柱でございましてへ我が国社会が高齢化のピークを迎える二十一世紀におきましても健全で安定した年金制度の運営が図られますよう、公的年金制度の長期的安定性と整合性のある発展を図る見地から国民共通の基礎年金を導入いたしますと同時に、給付負担の均衡を長期的に確保するという措置を講じたものでございます。基礎年金制度は、かねてから各方面において主張されておりました国民共通の基礎的な年金制度を確立するものとして創設されるものでありまして、本格的な高齢化社会の到来に備えまして年金制度面から一層の福祉の充実を図るものと考えております。地方公務員共済年金もやはり公的年金の改革と軌を一にするということは、言うまでもなく基礎年金の導入等が図られるべきものであります。しかし、先ほども申し上げましたとおり、地方公務員共済制度地方公務員制度の一環でありまして、公務員の関係機関の意見を十分尊重すべきことは常に私どもも考えておるところであります。  今回の改正案を作成するに当たりまして、公的年金制度改革検討委員会でたたき台を検討する段階におきまして人事院の職員など公務員の年金制度に詳しい学識経験者にも参加してもらっておるところでありまして、地方公務員共済組合審議会におきましても懇談会の形式で何度も御説明もし、数回にわたる御検討をいただきますとともに、関係者のいろいろの御意見もできるだけ伺ったものでございまして、御指摘にもございましたが、私どもはできるだけ多くの方の意見を聞いてこの案を出したというふうな経過でございます。
  35. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 できるだけ多くの関係者の意見を聞いて法案を作成して提案をしたということでありますが、私から言わせれば、それは政府の都合のいい部分だけをつまみ食いをして出したというふうに私は感ずるわけであります。  御案内のように、本年四月八日に答申をされました地方公務員共済組合審議会ではいろいろな意見があった。委員の中からは、この基礎年金については定額支給や全額国庫負担方式をとるべきである、当面公的負担を増額して対応すべきである、基礎年金の水準は政府案よりも改善する必要がある、その費用負担については、職域年金相当部分でありますが、組合員三〇%、自治体七〇%の負担とすることを目標とすべきである、あるいは特定消防職員の支給開始年齢の特例の廃止のためには、勤務体制の改善、人事交流制度の確立など六十歳までの勤務を可能とする条件の整備が必要である、年金のスライドについては、公務員給与の引き上げに連動したスライドをとるべきである、処分等による給付制限は設けるべきではない、既裁定者については現行制度を適用すべきである等々の強い反対の意見があったわけでありますが、今回の改正案にこういった意見が反映されてない。私は残念でならない。到底こうした意見が尊重されているとは思えない、私はこういうふうに感ずるわけでありますが、この点はどうでございますか。
  36. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 今大臣からお答え申し上げましたように、公的年金制度改革検討委員会という組織をつくりまして、いろいろな専門家に集まっていただいて議論をしてたたき台をつくったわけでございますけれども、そのたたき台をつくる過程におきましても共済年金制度関係者、関係団体に何回も説明をいたしましたし、その説明をいたす過程においていろいろ意見を聴取いたしまして、その意見に基づいて修正した部分もございます。また、その検討委員会のたたき台ができましてから、我々の方では今大臣が申し上げましたように地方公務員共済組合審議会を懇談会の形式で開きましてそこにいろいろ御説明いたしますとともに、そこで出てきた意見に基づいてまた私たちの方は意見を取り入れて修正した部分もございます。できるだけそういう努力を重ねながら今回の法案をつくったわけでございますが、先生が御指摘になられました部分について最後まで私たちの方で取り入れることができなかったのはまことに遺憾でございます。残念でございますけれども、私たちといたしましてはその過程におきましてできるだけ広く多くの方々の意見をちょうだいいたしまして、それを取り入れる努力をしながら今日の法案ができた、その過程というものを先生御理解いただきたいと思います。
  37. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 せっかくですが、理解をすることができません。残念ですがという話が今公務員部長の方からありましたが、少なくとも私は、当事者である公務員の皆さん方意見は十分に取り入れられてない、そういったことを無視して提案されたというところに大きな問題がある、これを指摘したいと思います。  これは私ども意見でもあり、またそういった方たちの意見でもありますが、今回の改正は、高齢化社会が進みつつある今日に我が国の社会保障制度の確立、なかんずく安心して暮らせる年金給付は将来の問題ではなくて緊急を要する問題である、しかし政府高齢者の生活を守るどころか、財政難を理由にして負担給付のバランス論を繰り広げ、福祉切り捨ての攻撃を強めている、改革の基調はあくまで国庫負担削減公的年金制度間による財政調整、この上に立って給付水準の切り下げと負担の引き上げを行うものである。これは、公務員制度の一環とおっしゃいましたが、その一環である公務員共済年金制度を根本から破壊するものではないかという強い疑問を私は持っておるわけであります。そして、今回の年金改正に当たって、社会保障制度のあり方とか公的年金割度の基本的な考え方が十分検討されたものではない、これを私ははっきり申し上げたいわけであります。  しかも、公務員の場合には労働基本権の制限、兼職禁止、中立公正の確保、守秘義務等、制度上の公務員としての特殊性があるわけであります。こういったことからも独自の職域年金がつくられてきたわけでありますが、こうしたものを無視したような形で一元化を強行するということは許されないと思いますし、やはり生活できる年金、格差のない年金というものを前提として年金制度を改革していくことが極めて重要である。政府の姿勢というものは全くこれに逆行しているということを私は声を大にして御指摘を申し上げたい、こういうふうに思いますが、これについての御意見があればお聞かせをいただきたい。いかがですか。
  38. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 公的年金の水準というものを私たちが考えます場合に、二つの要素を考えなければならないのじゃないかというふうに思いますし、その二つの要素の間で私たちは常に悩みながら作業をしてきたわけでございます。その一つの要素というのは、今先生が強調されましたように、公的年金によりまして退職後の生活というものをできるだけ豊かにできるようにするように私たちは努めてまいらなければならないと思います。そういう一つの要素がありますとともに、もう一つは、やはりその公的年金を支える現役の職員、その職員負担というものがどういうふうになるんだろうかという要素というものも考えながら年金水準というものを考えていかなければならないということでございます。  私たちはこの二つの要素の間で絶えず悩みながら作業をしてきたわけでございますが、また後ほどいろいろ御議論いただくことになると思いますけれども、結局それを数字的ににらみながら今回の法案をつくらしていただきました。その結果、今先生から厳しい御批判というものがあるわけでございますけれども、今までの年金制度をめぐる議論というものを私たちが静かに振り返った場合に、どちらかというと給付の充実ということに主として重点が置かれて議論がされてまいりましたけれども、やはりこれからは、先ほど大臣が申し上げましたように、高齢化社会というものを迎えまして、そして年金というものを安定的に運営していくためには、負担をする側のこともやはり考えて制度をつくっていかなければならないのじゃないかというふうに私たちは考えるに至ったわけでございます。その結果の今回の案についていろいろな方から厳しい御批判もございますし、私たち自身も百点満点だとは思っていませんけれども、やはりこの案というものが今つくり得るベストの案じゃないかというふうに思って提案したわけでございます。先生からの御批判というものもいろいろまた聞かしていただきまして、勉強はさしていただきたいというふうに思います。
  39. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私どもは、やはり安心して暮らせる年金制度の確立、公的年金の信頼性というもの、安定的な年金制度の確立を図っていくということはあなたたちと意見を一にしているわけですね。ところが問題は内容ですよね。今回基礎年金を導入したということについても、既に私たちは昭和五十一年に発表いたしました福祉トータルプランで主張しているわけであります。大枠としては我が党の主張する国民基本年金の構想として一致をできる、いや、しかしその中身が問題である。これはまた後でいろいろ御指摘を申し上げますが、先ほど大臣から公務員制度の一環として今回のこの共済年金というものは位置づけられている、こういう御答弁があった。であるならば、やはり現行公務員制度の中で公務員の年金水準のあり方、こういったものについて人事院、その他公務員の処遇問題全般にわたり権威ある公的機関の意見を十分聞くべきではなかったか、これは先ほど御指摘申し上げたところであります。大方の意見を聞いたということでありますが、十分に聞くべきではないか。私は、十分それらの機関からの意見を聞いていない、こういうふうに思うわけであります。こういった意見を徴することなく改革を進めるということは、公務員の共済制度というものが公務員制度の一環として組み入れられているということから適当ではない、こういうふうに思うわけであります。  端的にお聞きいたしますが、公務員自身の理解を得ていると思っていますか、思っていないでしょう。
  40. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 案をつくります過程におきまして、いろいろな方の意見を聞いて案をつくらせていただいたわけでございますけれども国家公務員法に基づきまして国家公務員共済組合法の改正案をつくる過程におきましては人事院の方から意見の申し出というのがございました。私たちもその意見というものをよく見せていただきまして案をつくったわけでございます。先生がおっしゃいますように、公務員の方がいろいろな御意見をお持ちだということも私たちよく承知をいたしております。ただ、私たちといたしましてはやはり公的年金制度全体というものの将来の展望に立って今回の改革をする必要があるというふうに考えておりますので、そういう考え方に基づきましてこれからも辛抱強く関係者の方々に御理解を求めていきたい、そういう努力を積み重ねていきたいというふうに考えております。
  41. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 いずれにしても公務員の皆さんの理解は得ていない、これははっきりしているわけであります。  私はなぜこういった疑問を投げかけるかといえば、今回の改正案の内容というものが、先ほど来申しておりますように公務員の十分な理解をするところになっていない。そして国鉄年金財政問題を含め、今後の共済年金のあり方、公的年金制度の再編成の過程を明確にすべきである。政府はこういった公務員の諸君の不安というものを解消させる努力を行って、人事院制度その他に関して公務員の信頼というものを確保して、その上で提案をしてもよかったのではないか、私はこういった私なりの意見を持っているわけであります。重ねて大臣にお伺いいたしますが、どうですか、私の考えは間違っていますか。
  42. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 先生の御議論、私も傾聴に値するものと思いまして、高く敬意を表しております。ただ、高齢人口増加のスピードが大変速いというような日本の特殊事情等もございまして、また、公務員制度の特別な地位というものもありますので、この負担給付調整をいかにやるかということにつきましては今日までいろいろ検討しておったのでありますが、今回御提案申し上げました法案はそういう意味で、お話しのように、先生のお話を聞くといろいろまだ検討すべき点はあると思っております。そういう点は今後御審議の間におきまして私ども十分御意見を承りながら、同時にいろいろまた地方の第一線の公務員の方の御意見もございます、そういう点も今まで相当手を尽くしたと言っておりますけれども、水も漏れたり、いろいろのそういうことに穴が落ちておるかと私は考えておりますので、そういう点も含めましてとにかく今度の地方公務員共済制度年金の改正を御提案申し上げたところでございますが、御審議の過程におきましてお話のような点につきましては十分私どもも真っすぐに検討してまいるつもりでございます。
  43. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで大臣、よくわかっていただいて答弁をしていただいたので私も了といたしますが、いずれ改めて、きょうじゃありませんが、私どもも大幅な修正要求をしたい、こういうふうに思っております。どうぞひとつ覚悟をしていただきまして対応していただきたい、こう思っておりますが、その内容はきょうは申しません。大臣、どうですか、あなたの腹は。受ける気があるのですか。
  44. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今申し上げましたように、これはいろいろの御意見もあり、また、その中でも今の法案が提案いたしますときには一番いいものだ、ベターという考えのもとにやったのでございますが、御意見を承りながら、やはりそういう点、足らぬ点もそれは出てくると思います、そういう点は私は直していくのはやぶさかではないというような気持ちを持っておりますので、大いに弾力性を持って御意見を承りながら進めてまいりたいと思います。
  45. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 わかりました。そういうことなら結構でございます。また今後我が党議員からいろいろな修正案なりまた諸問題について議論させていただきます。  人事院にお聞きしたいのですけれども国家公務員法の百八条、「人事院は、前条の年金制度に関し調査研究を行い、必要な意見を国会及び内閣に申し出ることができる。」こうあるのですね。ところが、国家公務員を含めまして今回のこの年金改正について、どうも人事院の方は何か意見を申し出ているのか、私もちょっとその辺不勉強であるわけですが、申し出ているとすれば、一体どういうふうに今回のこの改正案について考えるか。特にあなたの方は、本年の一月十四日に大蔵省にいわゆる口頭で申し入れた、これは改正案が出る前ですか、「年金制度の改正に際しては特に職域年金の在り方を中心として公務員制度の一環として機能し得るよう十分な配慮を必要とするもの」である、職域年金は千分の一・五、報酬比例部分の二〇%、こうなっているわけでありますが、果たしてこの二〇%が定性的、定量的に妥当なものかどうか、あるいは他の民間の企業年金と比較して定量的にも妥当なものか、あるいは公務の特殊性からいって定性的にいって妥当なものか、どうもその辺を私は疑問に思っている。今回のこの改正案について何か意見を申し出られましたか。出られないとすればそれはなぜか。どうですか。
  46. 栗田久喜

    ○栗田説明員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、人事院は国家公務員法百八条に基づきまして、国会と内閣に対して年金制度の改正について必要な意見の申し出をするという権限があるわけでございます。それで、今回の場合はどうだったかと申しますと、現実にはまだやっておらないわけでございますが、実は事務レベルといいますか局長レベルで国家公務員共済法の所管庁である大蔵省に対しまして意見の申し入れというのを行っておりまして、それが先ほど先生がお読み上げになりましたメモでございます。  それで、今回の改正に当たっては、高齢化社会の到来とかあるいは将来の年金制度の長期的安定あるいは整合性ある発展という基本的な趣旨は、私どもとしても十分理解しております。また官民格差の是正というようなこともその趣旨の一つと聞いております。そういうこともございまして、まだ現在は百八条に基づく意見の申し出というものはやっておりませんが、今後の国会審議の動向その他をよく見きわめまして、必要とあれば私どもはその百八条を援用した意見の申し出を内閣及び国会に対してやらしていただきたいという意向は、これは人事院総裁の本会議での答弁もそういう趣旨で述べさせていただいておるわけでございます。  それで、私ども大蔵省に申し入れました趣旨というのは、公務員の年金制度というのは、これは国家公務員法の百七条に基礎を置いておるものでございますけれども、やはり社会保障年金、一般の被用者年金の性格とともに公務独自の領域というものが当然あるべきでありまして、これは先進諸国を見ましても、公務員の公務員年金というものは非常に手厚い扱いになっております。特にイギリスとか西ドイツにおきましては全額国庫負担というような形で運用されておりまして、そういう諸先進国との比較におきましても、今回設けられ良した職域年金部分というものにつきましてできるだけの配慮をしていただきたい、公務員の特殊性、非常に厳しい服務上の制約その他のものを考慮に入れまして、これをできるだけ手厚いものにしてもらいたいというのが大蔵省に対して申し入れました趣旨でございまして、今回の場合、それがどのような形で決着がつくのか、それは国会の先生方の御審議その他によってこれから動く可能性もあると私どもは聞いておりますので、今後の動向を十分に見きわめまして、人事院としても必要な対応をやってまいりたいというふうに考えております。
  47. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 これは私のひとりよがりか素人的な考え方かもしらぬが、今の人事院の答弁というのは納得できない。百八条で意見を申し述べる権限があるわけです。     〔委員長退席、平林委員長代理着席〕 むしろ裏返して言えば義務なんだ。なるほど改正案提出の前には職域年金中心にしてずっと意見を申し入れておみえになった。ところが、今回のこの改正案について、これは妥当なものかどうか。しかも、公務員制度の一環として位置づけられている今回の改正案でありますから、やはりそれは人事院の怠慢であるということを指摘せざるを得ないわけです。国会の審議を聞いてやるなんと言ったって、国会に対しても意見を申し述べることができるわけですが、私はちょっとも聞いていない。どうなっているのだと言っていろいろ調査しましたら、いや、まだ人事院はやっていませんよと言うのだ。  後で聞こうと思ったのですが、せっかくの機会ですから聞きますが、二〇%の職域年金相当部分、千分の一・五、私どもはこれは千分の三にすべきだという考え方を持っていますが、この千分の一・五、今のお話だと、これは国会の意見を聞いて何か引き上げる、そういう話があったが、これは正直に言ってどうなんですか、この職域年金。妥当性、定性的、定量的に納得できるようにひとつ聞かしてください。どうですか。
  48. 栗田久喜

    ○栗田説明員 お答えします。  ただいま先生の御指摘ございました職域年金部分の厚みの問題でございますが、千分の一・五というのは、今案の中であらわれておるわけでございますが、これは企業年金の動向とかそういうものも多少参考にしておりますが、基本的には先ほどから自治大臣その他公務員部長の御発言にもありますように、世代間のバランスとか将来の負担限界といいますかそういうものをあれして大体定められておるというふうに聞いております。  それでは、一番そのもとになります公務の特殊性というもの、これを定性的、定量的にとらえてということなんでございますが、はっきり申しまして、公務の特殊性を定量的にとらえるということは非常に難しいかと思います。ただ、定性的には、これも先生も最初の方で御指摘なされまして、いろいろな労働基本権の制限とか服務上のいろいろな制約というものがございまして、そういったものに見合って、しかも現役の公務員が退職してからの退職生活というものを頭に描いてモラールを持って職務に精励してもらうことができるようにということで、職域年金部分というものを厚生年金相当部分の上、いわば三階建てというような形でつくっていただいておりますので、この点につきましては私どもとしても一応、公務員制度の一環としての機能、そういうものを配慮した上での結果であるというふうに考えておるわけでございます。
  49. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 定性的、定量的に言って、確かにあなたがおっしゃるように、なかなかそれは難しい質問かもわからない。私の聞いているのは、この二〇%が妥当かどうか、人事院の意見はどうだ。もし、それが妥当と言うならば御質問したいのですが、一体どういう根拠があったのか。今の企業年金基金の実態はどうなっているか、あるいは退職金はどうなっておるか、その原資は。要するに、民間との比較ということもきちっとなされたものでなければならないわけであります。  ところが、どうもそういったものがなくて、自治省にこんなことを言っては申しわけないが、いろいろ聞いていると、将来の負担の問題、別に柴田先生、これは意味があるわけじゃないのです、三〇%以上の保険料になってくるとちょっと困るので、やはり負担限界というものがありますから、その限界論から二〇%で出しますよ、こういった話なんだ。これはけしからぬ。それは負担ということも大事だけれども、先ほどから私が話しているように、老後の安定的ないわゆる生活保障である、そういった年金である以上、将来の負担ということも大事だが、やはり給付ということも大事だ。しかも、後でまた指摘しますが、今回の年金改正のねらいは、要するに、国庫負担の減額ということに大きな一つの問題があるわけなんです。だから私は聞いているのだが、はっきり答弁してもらいたいのだが、自治省言っちゃって申しわけないのだが、要するに自治省はそう言っているのだ。二〇%は妥当ですか、妥当でないですか。定性的に言って、定量的に言ってどうなんですか、はっきりしてください。今まで何の意見も出されていなかったということも問題だが、そういったいろいろな問題があって、やはり意見が出せないでおったのじゃないですか。そこら辺の裏話までは聞きませんが、ひとつはっきり答えてください。
  50. 栗田久喜

    ○栗田説明員 職域年金部分の厚みの問題、千分の一・五という現在の案でございますが、これにつきましては公務の特殊性ということが第一義的に考慮されているわけでございます。しかしながら、一方におきまして企業年金におきます動向といいますか、そういうものも配慮されておるわけでございますが、先生もよく御存じのように民間におきましては退職金の年金化傾向というのは非常に著しゅうございます。本当に年金として機能している部分というのは非常に少ないわけでございまして、実質的には退職金としての機能を行っているということがございます。私どももその退職金の民間の実態につきましてはみずから調査いたしておるわけでございますが、その企業年金の実態というものにつきましては、これはまだ非常に区々でございまして、普及率も五〇%をちょっと過ぎたところという感じでございまして、それを根拠にして職域年金部分の厚みを決定するというのは非常に難しい状況にございます。それで、企業年金がだんだんと増加する傾向にあるかと思いますが、私どもとしては、今だけじゃなしに今後の公務員年金のあり方、厚みのあり方につきまして、企業年金の動向を十分踏まえまして意見の申し出の必要があればさしていただきたいというふうに考えておりますが、現状では先ほど申し上げました理由によりまして先生の御質問にはっきりとお答えすることはできないような状況でございまして、その点は御勘弁いただきたいと思います。
  51. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 御勘弁をいただきたい、そういうことなんですよね。勘弁できませんね。ここでストップしたらどうなるか、まあストップはしないわけでありますけれども……。  大臣負担という問題もありますけれども、後から申し上げますけれども、民間の企業年金も、先回もいろいろと私の方で調査しましたら全企業で三〇%から四〇%、中には三〇〇%を超えるというのもあるわけなんですね。退職金の方も、どうなっているかというと、その原資というのは使用者負担ということで企業が随分出している。だからそういった実態をきちっとして、整合性のあるものをして定量的に、それじゃ二〇%が妥当であるというものを出してください、こう私は言っているのだけれどもなかなか出さない。ところが、そういった状況を考えますと、千分の一・五でなくて千分の三というのは公務員の皆さん方の要求でもあるわけだし妥当な線であるということで、これは私どもも将来修正の一項目に加えていきたいと思っているのです。その点もひとつ含んでいっていただきたいと思いますが、どうですか。
  52. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 大臣から後ほどお答えいただきますが、最初に私から少し説明させていただきたいと思います。  先生よく御存じで余り説明する必要もないかと思いますけれども、この職域年金部分というものをどのように構成するかということでございますけれども、先ほど人事院の方から説明がございましたように、民間の企業年金というものを調査して、それに基づいて何らかの幅の目安が出てくるかということでございますが、やはりそれは非常に難しいということになります。そこで私たちの方では、一つはやはり現役の労働者負担というものがどうなんだろうかということを考えざるを得ないわけでございます。またいろいろな方から御意見が出て御説明させていただく機会もあるかと思いますけれども、現在の改正案、これだけの給付の適正化を行った改正案によりましても、一番高い時点における組合員の掛金率というのは一七・二五%にならざるを得ない。標準報酬でいきますと一四%を少し切るぐらいでございますけれども、それくらいの掛金率にならざるを得ない。そこで、これだけの負担というのは現役の労働者にとっては大変な負担だということに私たちは思いをいたすわけでございますから、その負担をさらに重くするような考え方は、私たち年金をいただく立場でございますのでできるだけ多い方がいいわけでございますけれども、現役の労働者のことを考えるとやはりそれはできるだけ避けた方がいいだろうという気持ちが一つ非常に強く働きました。  もう一つは、現役の労働者の賃金水準との関係はどうだろうかということでございますが、モデル的に計算いたしますと労働者の賃金水準に対しまして四十年間勤めた場合にはどうなるだろうかということで改正前と改正後を比較して検討いたしますと、改正前、現在の制度でいきますと現役の労働者の賃金水準に対しまして大体八〇%を超えるだろう、しかし改正をすることによりまして七四%ぐらいになるだろうと思います。そこで、その七四%というのをさらに高めるということになりますと、これは厚生年金のときにもいろいろ議論が出てきましたけれども、厚生年金の場合には現役の労働者の六九%ぐらいだという年金水準になっておりますので、七四%でも少し高いじゃないか、それをさらに高くするような改正案というものが果たして国民の納得が得られるだろうかという心配も一つしたわけでございます。  あれやこれや心配いたしまして千分の一・五という案をお出ししたわけでございますけれども、この案につきましては今先生が御指摘なさいましたようにいろいろな批判があることはよく承知いたしております。ただ、私たちといたしましては、今御説明申し上げましたような観点からやはりこれ以外にないのじゃないだろうかということで提案させていただいたわけでございます。
  53. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣、確かにこの負担というのはわかりますよ。三四・五の半分の一七・二五%ですか、それが限度である、これは理解できる。また後で問題を出しますが、国庫負担がどれだけ減額するかという資料をいただいておりますが、昭和九十年までに二兆三千五百億円も国庫負担減になるのです。ここら辺が、先ほど来私が指摘しておりますように、国の財政難、いわゆる財政優先主義的な今回の年金改正であるということです。     〔平林委員長代理退席、委員長着席〕  あと昭和百年までのあなたの方の収支計画を見させていただいたのです。そうしたら、驚くなかれ昭和百年におきましては積立金が一年の支出の三倍以上あるわけですよ。四十九兆一千六百九十五億。昭和百年の支出が一年間十五兆六千六百六十億。厚生年金収支と比べて果たしてこんな三倍もの積立金が要るのか。私はやはりこの間において一七・二五%の掛金率負担というものも当然見直していける一つのデータでないかと思っている。だから、国庫負担をある程度ふやし、そしてこういった負担給付関係において積立金の将来というものも展望して——やはり昭和百年以降はこの改正案のままでいくと相当な積立金になって年金財政にゆとりが出てくるような気がするわけですよ、まだそこまでは推計していらっしゃらないだろうと思うがね。そういう点も勘案して、あの千分の一・五を千分の三にするというのはそう至難のわざじゃないと考えているのですよ。こういった意見大臣どうですか、尊重していただけませんか。大臣、さっきから御意見を伺って修正すると言っているのだから。
  54. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 この積立金昭和百年には支出の三倍ぐらいになるから、そう上げる必要はないのじゃないかというお話でございます。これは数字の計算でございますので、私どもも一応そういう点は考えたのでございますが、やはり保険率の問題につきましては私どももうちょっと数字的にきちんとしたものをつくらぬと、妥当性を欠くようなものでは申しわけないわけでありますから、こういう数字の問題につきましては、昭和百年度においては積立金支出に対して三・一倍となるような見込みとしたのでありますが、やはりこれは料率の問題と関連して大変難しい問題でございますから、ひとつ公務員部長からもうちょっと事務的なお話をして私が意見を……
  55. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 まあいいや。私の言っておるのはこの数字が正確かどうかという話じゃないのだからね。こういう事実もありますよと。公務員部長、わかるでしょう、私の言っていること。だからやっぱりこれが絶対のものであるということでなくて、あと負担の問題も申し上げようと思ったのですが、その引き上げの問題とか、それから今の給付の問題はやっぱり考える余地があるのですよということを御指摘申し上げている。この辺、わかってくださいよ。いいですね。うなずいてみえますからこれ以上申しませんが、また改めて修正の要求をいたします。  そこでこの給付の問題。今回の改正案は、給付水準は厚生年金保険制度と異なって、給付水準の見直しと年金算定基礎額の変更とで二重の給付の引き下げになっている。一方では負担の増大等から、組合員や年金受給者等の生活設計への影響が大き過ぎるのではないか、こう私は思っておるわけなんです。給付現行給付と比べて改正案では一体どの程度カットするのか。その辺ひとつ具体的な数字を伺っておきたい。
  56. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 現在、地方公務員の平均在職年数というのはおおむね三十二年でございます。その三十二年を勤めた地方公務員年金をどれだけいただいておるかということなんですが、現職の公務員の平均給与月額に対しまして大体六八%ということでございます。これは現職の公務員でございますから、いろいろな経歴の方もいらっしゃいますし、いろいろな客観情勢が異なりますのでそういう数字になりますが、これをモデル計算で行いますと、大体現職の公務員の七一%ぐらいになるという計算でございます。  そこで、先生、三十二年ということを申し上げましたけれども、六十歳定年というものが施行されましてこれからだんだん公務員の在職年というのが長くなっていくだろう。私たちはこの改正案を検討いたします場合に、四十年在職ということを頭に置いて計算させていただいております。そういたしますと、四十年在職ということで計算するとどうなるだろうかということなんですが、現在の制度をそのまま置いておきますと、現職の公務員の平均給与に対しまして八五%ぐらいになるだろうということでございます。この八五%というのは大変な額でございまして、現職の公務員の方は月給から、生活費というものがございますし、社会保険料もあるいは税金も引かれるということでございますので、八五%という実際は可処分所得というものを手にすることができないわけですから、八五%の水準というのはいかにも高過ぎるじゃないかというので、今度の改正案でそれをもう一つ適正化しようじゃないかということで適正化したのが、先ほど申し上げました現職の公務員に対する平均給与額に対する七四%という額でございます。  そういうことで今度の改正案をつくらせていただきましたので、先生が非常に厳しい御批判をされまして、給付の引き下げだということで厳しい御批判をいただいておりますけれども、三十二年というものをお勤めになっておる方が今度四十年間お勤めになる。八年間余分にお勤めになるけれども、現職の公務員に対する給与の率からいいますと六八%ないし七一%から七四%にしか上がらないんだ、勤務年数の長くなるに対しまして上がる率が非常に少ないんじゃないかという、そういう見方もできるんじゃないかというふうに思います。私たちのひとりよがりかもわかりませんけれども、そういう観点からもひとつ評価もしていただけないだろうかということでございます。
  57. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 いずれにいたしましても詳しくはこちらから申しませんが、やっぱり給付が切り下がる、これはもう事実であります。この点を一点指摘をいたしまして、時間の関係もありますから次の質問に移りたいと思います。  今回、基礎年金制度が導入をされております。そこで、端的にお伺いをしておきますが、私どもは、公的年金制度の問題をいろいろ議論するときに、こういった基礎年金制度の導入については、かねがね国民基本年金構想ということで先ほど申しましたように異議がありません。しかし、中身に問題がある。やはり今回のこの改正、公務員の共済組合側の意見を十分に聞いた上で取り入れたものとは言えない、こういうように私は思っているわけですが、端的にどうですか。
  58. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 基礎年金の水準につきましては、先般国会で国民年金法と厚生年金法の改正案が審議されましたときにも非常に議論がございました。私も社会労働委員会にできるだけ傍聴に行って話を聞かせていただきましたけれども、公明党の先生からもいろいろな御指摘があったことはよく承知いたしております。そういう御指摘の結果、国民年金法の改正法の附則で、この基礎年金の水準とかあるいは保険料のあり方とかそういうものを、社会経済情勢の推移を見ながら、言葉はよく覚えておりませんけれども検討する機会というものを持とうじゃないかという修正が行われたように私は記憶をいたしておりますけれども、そういうような修正が行われたということでこの問題については一応国会としては一つの結論が出たんじゃないかというふうに私たち受け取って今回の作業をさせていただいたわけでございます。  いずれにいたしましても、基礎年金の問題というのは自治省の所管というよりもどちらかというと厚生省の所管ということになりますので、その水準のあり方につきましては、私たち先般の国会で一応の結論が出されたというふうに思っていますので、それをそのままちょうだいして今回の改正案をつくらしていただいたということでございます。
  59. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それをそのままうのみにしてちょうだいして、いただいたというところに問題があるわけだ。要するにこの五万円が本当に共済年金基礎年金で妥当かどうか、まあこれは横並びということですけれども、それ以上申しませんが……。  じゃこれは厚生省でもいいわけでありますが、地共済審議会は、基礎年金については定額支給、全額国庫負担方式をとるべきである、こういうことをおっしゃっている委員もあるわけですね、先ほど来言っているように。当面はこの公的負担を私は増額をして対応すべきである、こう考えております。増額。そしてこの基礎年金の水準を引き上げる必要があると考えておるわけでありますが、この基礎年金五万円の根拠というのは一体どこから出たか、改めて御答弁をいただきたい。
  60. 谷口正作

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  今回の基礎年金の水準の設定に当たりましては、老後生活の基礎的な部分を保障するという考え方に立ちまして、高齢者の方々の現実の生活費等を総合的に勘案いたしまして、月額五万円、これは御夫婦で十万円ということでございますけれども、そういう考え方に立ちまして設定したものでございます。
  61. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 老後生活の最低保障、五万円でできますかね。私どもは、この基礎年金というのは生活できるぎりぎりの生活というものが維持できる年金額として保障されてしかるべきであるという根本的な考え方を持っております。そのためにはやっぱり生活保障水準というものをクリアしたものでなければいけない。政府の五万円の水準の考え方というのは生活保障年金であるにもかかわらずに余りにも低い。現在の生活保護費、これは二級地で単身六万八千七百四円、夫婦で十万七千五百四十三円。生活保護よりも低い生活保障年金、これは一体どうなんですかね。やっぱり私はこの点が大問題だ、こう思います。総務庁の全国消費実態調査によっても、単身高齢者で月に七万七千七百五十九円かかる、こう発表しているわけでありますね。先ほどの御説明では不満足であります。一体、生活保障というのであれば、生活保護よりも低いこの基礎年金、これはやっぱり大問題があると思いますが、この生活保護との関係一体どう考えていらっしゃいますか。
  62. 谷口正作

    ○谷口説明員 基礎年金の水準とそれから生活保護の扶助基準につきましての御質問でございますけれども、先ほどもお答え申し上げましたように私どもといたしましては、老後生活の基礎部分、これは基礎部分と申し上げますと、老後生活において最も基本的な衣食住の部分中心となるわけでございますけれども、そういった部分基本的に保障するということで、この水準の設定に当たりましてはいろいろな考え方があるわけでございますけれども、生活保護の場合は、先生御案内のように資産なり収入の道の途絶えた方々に最低生活を保障するということでございます。これは先ほど来の御議論にいろいろございますように、実際問題といたしまして、年金は世代と世代の助け合いということでその負担は現役勤労者の方々がその年金を支えるわけでございます。そういたしますと、やはりそこに現役勤労者の方の負担との関係ということも配慮いたさねばならぬということで、先ほど来申し上げておりますように、基礎的な部分を保障するという考え方に立って、これは消費生活実態調査等のデータを用いまして、私ども、五万円という水準を設定したものでございます。
  63. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 どうも納得できません。政府の考え方というのは、老人の一カ月の消費支出額が四万七千六百一円であるという数字が根拠になっている。この中には、食料費が一万九千百九十七円、住居費が一万一千三十一円、光熱費が三千七百十五円、被服費が六千七百四十二円、果たしてこの金額で老後を安心して暮らせるか。単に消費支出が四万七千六百一円だからというのではなくて、これ以外に、老人の生活の中には保健医療費もあれば交通・通信費も必要じゃないかと思う。これが入っていませんでしょう。老人になれば医療費は必要でない、だんだん一部負担がふえてくる、それからどこも出かけるな、交通・通信費、電話もかけるな、こういうようなことなんですか。そういうふうに私どもは断ぜざるを得ない。  そういうものを計算してまいりますと、先ほど来申しておりますように、この生活保護費、なるほど財産のない人たち、無拠出の生活保護費水準さえ下回るというのであれば、やはり国民は納得できないだろう、こう思います。私ども公明党の試算では五万五千円、夫婦合わせて十一万円、これは生活保護より上回るわけでありますが、こういった基礎年金というものを考えているわけでございます。議論が平行線をたどるかもしれませんが、自治大臣、どうでしょうか。
  64. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 やはり基礎年金というのは全部に通ずる——一応五万円で十分かどうかというのは別問題で、恐らく十分ではないと思います、全般にわたる問題でありますので、これはこの制度ができて将来の問題として、もしこの制度をお認め願えれば、次の段階において今のような検討は考えるべきではないかというふうに私は考えております。
  65. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 自治大臣ですからそれ以上申しませんが、これはもう近き将来の問題として、私どもは本国会で修正案を提案しようということで今検討しておりますけれども、いずれにいたしましても五万五千円、ここでぴしっと修正を要求させていただきたい、こういうふうに思います。大臣は将来の問題だとおっしゃいましたが、私どもは今改正案の中でこれを声を高くして主張申し上げたい、こう思いますので、ひとつよろしくお願いいたします。  時間もだんだん過ぎてまいりまして、年金改革の今回のねらいは一体どこにあるか、こういうことをいろいろお尋ねしたいわけでありますが、先ほど来御答弁がありましたように、今回の年金改革によって給付水準が引き下げになった、それに対応して組合員の負担が引き下げられるかといえばそうではないわけであります。厚生年金の場合も、給付水準の引き下げがあったにもかかわらず保険料率は現行の一二・四%から二八・九%にまで上がり、約二・三倍になる、こういうことでありました。一方、地方公務員共済は厚生年金と同率で引き上げるという試算があるわけでありますが、厚生年金と同様に引き上がることとされておるわけであります。それで、やはり給与手取りの大幅ダウンは必至である、この辺の見通しは一体どうなっているか、お聞かせをいただきたいわけであります。
  66. 松本英昭

    ○松本説明員 御説明申し上げます。  保険料負担の見通してございますが、これはただいま先生も御指摘のように厚生年金と同じような水準で将来の見通しを立てているわけでございますが、現在、掛金率が対給料比にいたしまして六・九、それが昭和百年の段階では一七・二五になるだろうという見通してございます。これが改革後でございます。  現行制度でいきますと、これが掛金率で六・九、そうして昭和百年には掛金率で二一・七七になる。すなわち、昭和百年の見通しの二一・七七と改革後の一七・二五で約二割の差がございます。給付の方も大体同様の二割程度の水準、同じ組合員期間を持つ人を比較いたしますと大体二割程度の差が出てくる、こういう関係に相なっておるわけでございます。
  67. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 では、国庫負担、いわゆる公的負担ということを言うわけでありますが、これは地方自治体が負担をするわけでありますが、改正案によれば厚生年金の二〇%と同じく一五・八五%の公的負担は廃止をされる、こういうことですね。そして公的負担基礎年金に集中をされるということになります。それで厚生年金国民年金の国庫負担の将来見通しというものは、改正前の法律によりますと昭和百年で八兆三千億あったものが、改正法では昭和九十年で五兆八千億に減る。これはいずれもピーク時であります。約十年のずれはありますが、この段階で二兆五千億の軽減になっている。  お尋ねいたしますが、地共済公的負担の将来見通し、一体どうなるのですか。合計で結構ですから教えてください。
  68. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 現行制度のままでいきますと、公的負担というのが昭和六十一年度点七百億円、七十年度で申しますと千五百億円、八十年度で申しますと二千七百億円、九十年度で四千億円という額に予定されております。  一方、今回の改正案というもので計算いたしますと、六十一年度が八百億円、七十年度が千三百億円、八十年度が千七百億円、九十年度が二千二百億円。九十年度で申し上げますと改正前が四千億円ですから、その間に一千八百億円の差がある、こういう状況でございます。
  69. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 昭和九十年までのトータルは。——時間がありませんからこちらで言います。  あなたの方の資料をもらうと、六十一年、六十二年は差し引きをいたしまして百億ずつふえるのですよ。ところが六十三年から九百億、一千億、一千三百億、一千四百億、ずっと減って、昭和八十年代に入ると毎年二千億程度になる。そして昭和九十年には千八百億減りまして、昭和六十一年から九十年までの三十年間で合計二兆三千五百億円の国庫負担現行制度に比べて減るということになりますね。  だから私が申し上げたいのは、財政優先主義的な今回の改正ですよ、こういうことであって、今回の改正案のねらいが一つは国庫負担を減らしていくということ、それから二つ目には、後から申しますが、国民年金の救済措置ではなかったか。三つ目には、国鉄共済の救済へのワンステップじゃないか。この三つが、私は今回の年金改革の真のねらいであったと考えます。国庫負担の軽減をされるのは事実であるわけでありますが、公的負担といいますけれども、これを保険料の引き上げを幾らかでも引き下げる方向に使用できないかどうか。そうでなければ、今回のこの年金改革の本当のねらいは、高齢者の増加、年金対象者の増加に伴う公的負担の増加というものを老齢世代の給付水準の引き下げ、あるいは先ほど来お話がありましたように現役世代の負担の引き上げによって回避しようとしたところにあると言わざるを得ないわけなのです。一体この二兆三千五百億円の公的負担の減というものを何に使うか。どうなのですか。これは一遍はっきりと答弁してもらいたい。やはり公的負担の軽減に一つの目的があった、そうだと思いますけれども、ひとつしっかりと答弁していただきたい。
  70. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 公的負担につきましては、今御説明させていただきましたし、先生の方から御指摘がございましたように、現行制度のままいくに比べますと確かに減になってきます。それと同じように、ただいま福利課長から御説明させていただきましたが、組合員の掛金負担というのも現行制度に比べたら減になっていくという状況でございます。  ただ、この公的負担について私たちが考えましたのは、この公的負担というのが改正させていただきましても年を追ってふえていく。例えていいますと、六十一年度は八百億だ、七十年度になると千三百億だ、八十年度になると千七百億だ、九十年度になると二千二百億だ、改正させていただいてもこういうような額にふえていくわけでございます。この公的負担がどこから出てきているんだということになりますと、しょせん国民の税金から出てくるんだということにならざるを得ないわけですが、この国民の税金に対する比率というのが、この改正案によったときにどういう比率になるのだろうかという全く違った観点からも眺めてみる必要があるのじゃないかと思います。社会労働委員会でも、先生が今お挙げになりましたようにいろいろ議論されました。私もその委員会議論を聞いておりますと、やはり税収の観点からもこれを眺めてみる必要があるのじゃないかという議論がございまして、村税収のパーセントもこの改正案によってもふえていくということでございます。そうしますと、仮に今の歳出構造が変わらないことを前提といたしますと、国民の税負担の増につながっていくのじゃないかという見方もできるわけでございます。そういうことで、この改正案というものによりましても、この公的負担というのは先生から厳しい御指摘でございますし、そういう御指摘というものを私たちは謙虚に受けとめて仕事をしていかなければならないと思いますし、そういう観点からも考えてみたらどうだろうかという気持ちが現在いたしております。これからいろいろ国会で御議論されまして、私たちが教えていただく点も多々あろうかと思いますけれども、私たちの現在の気持ちはそういうところでございます。  それと、もう一点。この公的負担というものにつきましては、現在の各公的年金制度の間においてもいろいろ議論がございます。Aという制度ではBという制度よりも公的負担が有利じゃないかというような議論がございまして、その議論にもこたえていかなければならないというので、今度各公的年金制度に共通する基礎年金拠出金、その三分の一ということで、各公的年金制度間において公的負担を公平ならしめようという配慮でこういう制度にさせていただいたわけでありますけれども、あれやこれや考えまして、今度の改革案というものを眺めた場合に、先生からの厳しい御批判ではございますけれども、それなりに一つの筋が立っているのじゃないかと現在私たちは考えております。
  71. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 厚生大臣がお見えになりましたので、次の問題です。  今回共済年金法が改正されまして、先ほどは公的負担が改正前よりも減る。昭和九十年には二兆三千五百億円の累計になりますよ、現行制度に比べまして。それで今回は国民年金の救済ではないかと思うのです、違うとおっしゃるかもしれませんが。今後この免除者の増加がどんどん国民年金では見込まれるのじゃないか。社会保険庁等もこの辺の対策に苦慮しておるわけでありますが、国庫負担の増加を抑えるのに国民年金給付水準を引き下げ、そして全国民共通の基礎年金に変質をさせる、厚生、共済等の他の被用者保険の拠出を投入することになるのじゃないかという疑問を持っているのです。また、被用者保険の国庫負担公的負担もこれに集中することが必要とされたのではないかと思っておるわけです。  結論から言いますと、今回の年金改革はこのような基礎年金制度を創設して国民年金制度を救済しようとするものであり、また共済もその一環ではないかと私は考えておるわけでありますが、厚生大臣答弁自治大臣答弁か知りませんが、そういった一つの見方もあるのじゃないかと考えておりますが、どうなんでしょうか。これは御説明を承りたい。
  72. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 私ども国民年金は今健全に運営されておると思っておりますので、それを救済しようという考え方は毛頭持っていないところでございます。  ちなみに、基礎年金につきましては、どの年金制度も公平に国民全部で負担をして、より安定したものにさせようということでございますので、御理解をいただきたいと思います。
  73. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで、退職者医療制度とこの問題を関連して考えてまいりますと、今回の改革は、どうも私が疑心暗鬼になっているのかもしれませんが、退職者医療制度を設けて他の被用者保険の拠出金を投入することによって国保財政の健全化と国庫負担の軽減を図ろうとしていることに類似をしている、このように思うわけであります。この国民年金保険料の免除者は近年増加する一方である。社会保険庁の調査によりましても対象者は一七・四%に達している。そして、不加入者が五%と言われている、こういうことであります。この原因は、免除者の増加は近年の国民年金保険料の急激な引き上げの結果と言われておりますが、どうでしょうか。また、所得の大小に比例しない定額の保険料に問題があるのではないかというふうに言われておりますが、その辺の考えと、そしてこの対策一体どう講じていくのか。そして、その上に立って、今国民年金財政収支はいいとおっしゃいましたが、そういった収支見通しを絡めてこういった実態をどうフォローして収支見通しを立てておるのか、この四点を簡単にお伺いしたい。
  74. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答え申し上げます。  先生御指摘のように、国民年金保険料の免除者の動向でございますが、五十九年の実績におきまして一七・四%という率になっております。この免除の動向を見ますと、確かに先生御指摘のように、保険料が非常に上がりました時期から免除の率が高くなっていることは事実でございます。しかしながら、五十八年から五十九年の動向を見ますと、実際に免除されました実数の増加率自体は鈍化をいたしております。一方、国民年金の強制加入の被保険者でございますが、この方々は就業構造の変化によりまして減少いたしておりますので、その分、率がこういった形で上昇しているというような状況にあるわけでございます。  保険料の免除を受けますと、この方々につきましては基礎年金におきましては三分の一の給付というふうに給付が下がってしまいまして、いわば国庫負担分給付しかお受けになれないということでございます。したがいまして、私どもとしては保険料の免除を申請される方につきまして保険料の免除がどういったことなのかということについての説明を十分申し上げたいということを考えておるわけでございます。  もう一方の点といたしまして、保険料が高くなったので、これを納めにくいのではないかということでございますが、現在、国民年金保険料は三月をまとめて納付していただくという仕組みをとっておるわけでございますが、自営業者の方の場合、御夫婦両方三月をまとめますとある程度の金額になってしまうという実態がございます。こういうことから、毎月納付にしていくこと、それから口座振替というような納めやすい環境づくりということに努めてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。  将来の国民年金財政ということでございますが、今回改正をいたします際に、保険料の免除者等をいわば今の状態の水準で見込みまして財政収支を、将来の設計を立てているわけでございまして、お願いいたしております保険料の計算の上ではこういった要素を組み込んで算定をいたしておるわけでございます。
  75. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 大臣の時間がありますので、この問題はまた後でやらさせていただくことにいたしまして、今度は国鉄共済の救済問題でお伺いしておきます。  国鉄当局にお伺いしておきますが、三十二万人体制財政調整五カ年計画というのはもう破綻をした。しからば、昭和六十年度以降、昭和六十年度首においては、三十二万人体制から一万三千人減って、三十万七千人体制だと言われますが、今四千数百億の積立金がある。それは鉄道債券と住宅貸付だ、こうなってくる。赤字積立金不足、収支というのは一体どうなんですか。その辺の数字、六十四年度まで。そして、六十五年度以降毎年二、三千億の赤字が出る、こういうことが言われておりますが、その辺の数字的なものをお伺いしたい。  それからもう一つは、もう昭和六十四年度までもちません、六十二年までですよ、こういうことが言われておりますが、その辺どうなんでしょうか。
  76. 川口順啓

    ○川口説明員 お答えいたします。  監理委員会意見によりまして国鉄経営改革を実施してまいりました場合、先生先ほど御指摘いただきましたように、現在の財政調整五カ年計画で前提にしております職員数よりも、昭和六十四年度までの間におきまして十万人以上の要員の減少が見込まれるわけでございます。これによりまして、今後の国鉄共済年金収支は悪化してまいるわけでございます。ただ、職員の退職の見込み、その内容でございますが、これはいろんな形がございます。いつ、どのような規模の要員が転退職していくか、またそれらの約十万人の転退職者がどのような年齢層の者から構成されるか、そういったいろいろの要素が現在時点では定かではございませんので、今後の年金収支に与える影響の額と申しますのは数字的にはなかなか正確には算定しにくいわけでございます。ただ、六十四年度までの間におきまして、大まかな数字としてどれくらいか。これは非常に大まかな数字でございますけれども、六十四年度までの間におきますれば、一年につき七、八百億円の不足額が生ずるのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。  また、先生、六十五年度以降のことにつきましてもお尋ねがございましたけれども、六十五年度以降につきましては、現在の財政調整五カ年計画が六十四年度まででございまして、六十五年度以降についてはその間の状況がいかに変遷してまいるかということは今見通しが立っておらないわけでございまして、六十五年度以降の正確な数字あるいは大まかな数字というのも私どもとしてはちょっと見当がつきにくいというのが現状でございます。
  77. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 自治大臣、先般の委員会において、加藤先生に対する答弁で、国鉄救済については審議会意見を尊重する、現在の段階では地共済がカバーすることはできないとおっしゃったですね。国や国鉄がどうするかを見なければ参加することができないとおっしゃった。これを聞いていまして、裏返して言えば、国や国鉄が、特に国でありますが、どうすれば参加してもよいと考えているのかあるいは審議会意見どおり将来にわたっても参加しないのか、この辺しっかりとお答えいただきたい。
  78. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 この問題は先般他の先生のときにも申し上げましたけれども地方共済といたしましては連合会の御意見というものを尊重していかなければならない。その御意見の趣旨をできるだけ実現していただく。そして、大蔵大臣の言われます統一見解に協力申し上げたい。つまりその前提としてといいますか、条件と言うとまたいろいろ問題があるかと思いますけれども共済の連合会の答申の趣旨を尊重していく。そうしないと、地方共済の中にもいろいろの赤字の分野もございます。それでまとめておるのでございますので、そういうところへ私どもが直ちに我々は入ろうと思うがどうかというようなことはとても言えないというのが私の感じでございます。  要するに、この前お話ししましたことは、国鉄の問題につきましては共済連合会の私どもに対する答申の趣旨を実現していただく。そうして、それによりまして話し合いの余地が出てくるのではないか。それがまず前提といいますか、とにかくそういうことを私どもは考えておるということでございます。
  79. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 答申の趣旨を尊重する、連合会の意見を尊重するということでありますが、この間の答弁を聞いていまして、国や国鉄がきちっとしてくれば参加もあり得るというふうに私は理解したのですよね。これは私の理解が間違っているかどうかわかりませんが、どうですか、もう一回重ねて聞きますが、これは大事なところなんですよ。
  80. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 はっきり申し上げますが、国鉄共済年金の問題につきましては、公的年金制度立場から考える場合、何よりも関係者の理解や国民合意が得られるということが重要であると考えております。このような観点から、これまでの経過を踏まえまして、地方公務員共済組合審議会答申の趣旨に沿った政府解決策が講ぜられましたときには、私ども関係者と相談できるというような考え方でございます。
  81. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 わかりました。要はきちっとした段階で相談するわけなんですね。参加してもいいということが出てくればそれもあり得る、こういうふうに理解できるわけですね。
  82. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 絶対に参加はしないということではなくて、答申の趣旨がはっきりして、そういうように進んでいければ地方の組合とも話ができますということを申し上げておきます。
  83. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 わかりました。  それで、厚生大臣、今自治大臣からそういう答弁をいただきました。先回の厚生大臣答弁は、全公的年金の問題として考える、国民合意を得なければいかぬ、こうおっしゃいましたね。時期も早まった、六十四年でなくて六十二年、それで検討に入りたい、こういうことをおっしゃっておりましたね。そういうことになりますと、全公的年金制度の問題として考えるということであれば、厚生年金の参加もきちっとした段階ではお考えになっているだろうと思うのですが、どうなんですか。はっきりとお答えください。
  84. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 全公的年金の問題として解決をしなければならない。その際、国民の御理解をいただけるような方策でなければならない。この点は先ほど自治大臣からいろんな条件を云々とおっしゃいましたことと同じような理屈であろうと思います。したがって、そういう問題が全部解決されるのには相当な年月を要すると思いますけれども、ともかく公的年金制度全体で支えるということでございますから、一定の条件が整えば厚生年金も参加せざるを得ないかな、これは参加するということを決めたわけではございませんけれども、そういう感触を持っております。
  85. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 地共済の参加もあり得るだろうし、それから厚年の参加もあり得る、こういうふうに私は理解しました。  そこで大蔵大臣、あなたは先ほどの御答弁で、六十四年度までに支障のないように政府責任で対処する、こうおっしゃいました。この中身は何でしょうか。どういうふうに政府責任で対応されるのか、これをちょっと明確にしていただきたい、こう思うのですが、どうでしょうか。
  86. 竹下登

    竹下国務大臣 ちょっとその前に背景を申し上げますと、本当はいろいろな審議会答申というのは、各省それぞれいただいておるのです。私ども国家公務員等共済組合審議会答申の中で、六十四年度までが限度だよ、したがってそれ以後については、すべての被用者年金制度による調整など緊急の対策が不可欠であることは本年二月、財政調整事業に関する答申で本審議会指摘したとおりである。この対策は、年金制度一元化の流れの中で抜本的に検討されなければならず、政府はその具体策を検討する場を早急に設けるべきであるというふうな答申、ことしの四月でございますが、ちょうだいをしております。  そこで、従来の国家公務員等共済組合法の改正案がまとまりましたときのことで、私が労働者連帯とかあるいは国民連帯とか、そんなことを申し上げてきたわけでございますが、今柴田さんが御指摘なさいましたように、私がお答え申し上げることは、昭和六十四年度までの支払い支障が生じないよう、政府責任を持って解決策を講ずるということを申し上げておるわけであります。その解決策とは何ぞや、こういうことになりますと、それこそできるだけ早い機会にその検討に着手しなければならぬというふうにお答えするのが現段階における限界ではないかな、こういうふうに思っております。
  87. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私も本当はここで統一見解を出してもらいたい。今ここでせっかく共済年金の改正をやっても、全年金制度の問題として考えるということであれば、やはり負担給付というものが変わってくるかもわからないわけですね。それはきちっとする、こうおっしゃるかもしれませんが……。  そこで自治大臣に確約していただきたいのですが、この改正後、これは改正案が通るかどうか知りませんが、国鉄救済に参加をすることもあり得るかもしれませんね。参加するかどうかは今後の議論になりますが、少なくとも負担給付関係で、負担を切り上げたり給付を切り下げないできちっとしてやっていく、また改正の改正はしない、こういうふうに確約をしていただけますか。この辺がちょっと大事なことなのですが。
  88. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 後ほど大臣答弁していただきますが、大臣言葉をかりますと、地方公務員共済組合審議会答申の趣旨というものが満たされるならば関係者と相談したいということでございますから、関係者と相談する、その結果仮に参加をしようじゃないか、こういうことになりますと、財源率の引き上げといいますか、各組合員にとっては組合員の掛金の引き上げというのが議論になってくるだろう、こういうふうに御理解いただいていいんじゃないかと思います。
  89. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 議論になってくるのですよ。大臣、どうなんですか、それを約束していただけますか。
  90. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 何回も申し上げますが、やはり私どもといたしましては、地方公務員共済国鉄の救済のために入れるというようなことは、さっきの連合会の答申の趣旨をやってもらわぬと簡単には——条件といいますか、条件ではないかもしれませんが、ともかく国鉄の問題が先決である、それを解決するということが前提でございますので、連合会の答申の趣旨が達せられるというならば、私どもも地方の共済組合あるいは地方団体のところへ、こういう問題がありますからひとつお考えくださいということは言えると思うのでありますが、何にもしないでただ入れ、入るというようなことは到底考えられないと思います。
  91. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 私の質問の趣旨をもっと的確にとらえて答弁してもらいたいのだが、影響を及ぼさないかということを確認をしているわけです。今公務員部長がそういう議論になると言ったのですが、そうでしょう。もう時間がなくなってきてしまったが、ひとつはっきりしてください、大臣
  92. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 私が申し上げましたように、掛金率の引き上げというのが議論になってくるだろう、そして掛金率を引き上げて参加をするというのが通常の姿だろう、このように御理解いただいてもいいと思います。
  93. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それはもう大問題ですよ。どうなんですか、もう一遍きちっと言ってください。
  94. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 具体的問題としまして共済組合の掛金率の引き上げ、これは運営審議会で承認されなければ絶対できない問題でございます。したがいまして、運営審議会委員の半分は組合員を代表する者で構成されることになっておりますから、自治大臣といたしましては掛金率の引き上げに直接の権限を持っていないということをひとつ御了解願いまして、そういう組合に引き上げをされるかどうかということは、やはり審議会答申条件といいますか趣旨が実現されなければ、私たちとしてはそういうことを申し入れることは難しい、こういうことでございます。
  95. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それはもう本当に大問題になってくると思います。これは私は答弁を納得できません。国鉄共済の救済をどうするのか、国の責任を明確化せよというふうに審議会答申も言っているわけなんですよ。だから、口ではそうおっしゃっているが、やはり将来、そういった大きな問題が出てくるわけでありますから、これは私は承服できません。  時間がだんだんなくなってきましたから、大蔵大臣にもお尋ねします。  先ほど御答弁がありましたが、かなり以前から問題になっていた。これは新たに、昭和五十八年三月二十九日の社会保障制度審議会答申で、今もあなたおっしゃった、これで解決策を講ずべきであると繰り返し指摘をした、それにもかかわらず今日まで国の責任にも触れた具体案が提示されていないというのはまことに遺憾だ、「さらに国としての格段の配慮が望まれる。」こういうことも言っておられるわけだ。もう遅いわけだ。政府がどうするかということをきちっと決めない。国会の質問の中でそれを追及されて渋々答弁をしている、こういうことであります。  それから、国公共済審議会の本年四月八日の答申では、やはり政府はその具体策を検討する場を早急に設けるべきである。もう四月に答申されている。今なおその検討の場が設けられていない。ましてや、どういった救済策をとるかという統一見解も示されていない。でありますから、少なくとも私は早急に検討の場を設け、そして早急に国の責任を明確化したいわゆる対応策というのを講ずべきである、こう考えているわけでありますが、この検討の場、そしていつまでにきちっとした統一見解を出すのか。我々のいわゆる辛抱できる範囲内で出すのか、少なくともこの共済年金審議をしている段階において出してもらいたい、私はこういうふうに思っていますが、その辺はどうなんでしょうか。何かお考えはありますか。
  96. 竹下登

    竹下国務大臣 今御指摘がありましたように、ことしの四月八日の答申にもございます。おっしゃったとおり「政府は、その具体策を検討する場を早急に設けるべきである。」旨申し述べられております。  そこで、政府としては、このような国鉄共済年金の問題について、現在国会に提出しておりますところの共済法案の成立後、私の理解ではいわば給付一元化をお願いするこの法律案の成立後におきまして、検討体制の問題も含めてできるだけ速やかに検討に着手して結論を得たいと考えて、今日お願いをしておるという状況であります。
  97. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 それでは遅いのですよ。再三繰り返しておりますように、今自治大臣公務員部長から答弁があったように、国鉄救済をどう図っていくかという問題の中で、やはり地方公務員共済にも将来大きな影響を持ってくることは事実なんです。でありますから、審議の前提として本当にきちっとした国の責任を明確化したものを政府の統一見解として出して共済年金というものを法案審議していくのが筋だと私は思っているのです。そこが問題なんです。この改正が終わった後に、法案通してもらったらやるなんといったら私は承服できません。何のために我々は一生懸命この法案を審議しているかということになるわけであります。もう一回、どうなんですか。
  98. 竹下登

    竹下国務大臣 これは私一人でお答えするのはいかがかなと本当は前から思っているところであります。場を設けなければならぬということも答申にございます。その後いわゆる国鉄監理委員会お答えが出された、そういう現時点におきまして、今御審議いただいている問題につきましては、何回も申し上げるようですが、いわば給付一元化、こういうことである。そうすると、年金制度一体の中においてということになると、その後具体的な対応をしていかなければならぬ、今のところ私はその線でお願いをしておる。  それで、検討の場等の具体的な内容ということになりますと、私の方へ移ったわけですから、現在、大蔵大臣国鉄共済を担当しております。としても、私が単独でこのような検討の場という状態には、いささか私の能力の及ぶところではない、こんな感じです。
  99. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 竹下大蔵大臣答弁はそれなりに私も理解できるわけでありますけれども、再三緊急の対策が不可決であると言われているわけだ。怠慢なんですよ。私はそれを声を大にして言いたいわけでありますし、繰り返し言っておりますように、必ずこれは厚生年金にも影響してまいりましょうし、地共済にも影響してくるわけです。だから、はっきりせよというわけなんですね。検討の場も余り考えていない。  厚生大臣検討の場を設けるとおっしゃっているのですが、あなたは年金担当大臣として何か腹案があるわけですか、どうなんですか。そして、早急に、可及的速やかに救済策を講じたい、こうおっしゃっているのですが、いつまでに結論を出されるのですか。
  100. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 国鉄共済の問題は、担当が大蔵省でございますから、第一義的には今の救済グループの中での財政調整計画のあり方についていろいろ再検討していただかなければならないと思います。しかし、それのみで解決できる問題ではないと思いますので、公的年金制度全体の問題として関係者の理解や合意を得なければならないということになりますと、大蔵省がまず中心になっていただきまして、影響するところもあろうかと思いますので、関係省庁が一緒になって相談すべき問題だと思います。
  101. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 委員長、もう時間が参りましたから私はここでやめますが、先ほど来の御答弁をお聞きのように、これは大問題だと思います。これは地共済に絶対影響してまいります。それが前提になって審議を我々は本当に真剣にやるべきだと思うのです。大蔵大臣も奇しくも答弁されましたが、これ以上の答弁は私の答弁できる範囲の外にある、それももっともだと思うのです。  私は要求いたしますが、一つは、総理の出席を求めて統一見解を聞くということ、もう一つは、早急にその結論、統一見解を出してもらう、また連合審査等も要求して真剣な議論を積み上げていく必要があると思いますが、委員長お答えをお聞きしたい。それまで、私はこの問題については質問を留保させていただきたいと思います。
  102. 高鳥修

    高鳥委員長 ただいまの総理の出席等につきましては、理事会において協議をいたしているところであります。また、連合審査等につきましても、他の委員会と十分打ち合わせの上、対処してまいりたいと存じます。御趣旨に沿うように協議をいたします。  藤原哲太郎君。
  103. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 きょうは特別に厚生大臣大蔵大臣出席を求めまして限られた時間の中での質疑でございますので、そういう立場から質問をいたしたいと思うわけでございます。  まず、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。  ただいまも国鉄共済年金処理の問題についての御議論がございました。私ども率直にこの議論を承っておりましても、政府として統一見解を出して地共済共済年金を含めます審議を促進する、そういう立場が当然に政府立場ではなかろうかと思うわけであります。そういうものがはっきりしないでこのまま審議ということになりますと、結論を得ることが不可能な状況に立ち至るわけであります。  したがいまして、私は大蔵大臣にお願いしたいのでありますが、国鉄共済年金担当大臣として、台所を預かる大臣といたしまして責任ある政府の統一見解を早急にお示しいただく、このことを本委員会で明確にしていただきたいと私は思います。もちろん、今までの答弁を承りまして困難であるということも了解するのでありますけれども、しかし、このままではおけないという状況もどうぞ大蔵大臣も十分考えていただきまして、この問題についての御答弁をまず願っておきたいと思います。
  104. 竹下登

    竹下国務大臣 藤原さん今おっしゃっていただきましたように、私いつでも悩みますことが幾つかございます。長くなって申しわけありませんが、一つは仲裁裁定なんというのが出ましたときに国庫大臣としての立場、いま一つはかってなら専売、今でも印刷、造幣の経営側責任者としての立場ということで非常に悩みを感ずることがございます。この問題につきましても確かに、労働者連帯という言葉は余りたびたび使ってもいけませんが、そういうことで当時の専売、電電、国家公務員さんが本当に濃密な話し合いをした結果一応一段階の話がついた。そして、私が所管するようになったわけですね。そして一方、私は国庫大臣としての立場も依然としてございます。そういう矛盾を感じながらも、みずからの課せられた仕事でございますから精いっぱいこれに対応していかなければならぬ。しかも、この審議会からは早急に検討の場を求めてということを言っていらっしゃる。それに対応していかなければならない。私なりにそうは思いつつも、だが、この問題は国鉄共済という立場だけから自分で判断を下すわけにもいかぬ。だから、給付一元化法律がまず、官民格差等いろいろ言われておりますものを成立さしていただいて早急に検討にかからなければならぬ課題だなという問題意識は持っておりましたが、本委員会等のたびたびの御議論の中で、それじゃおまえさん、少しのんびりし過ぎている、もっと緊迫感を持って対応すべきだ、こういう大方の御議論でございますので、私の責任だけで申し上げるには少し能力の限界を超すような気がいたしますが、私なりにも御趣旨に沿うような努力はこれからも、まずは部内へ帰って検討を重ねていかなければならぬなという意を強くいたしたということであります。
  105. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 現時点で大蔵大臣から確たる答弁をいただくということは判断としてどうも不可能なような気がいたします。したがいまして、ひとつ早急な政府統一見解を出していただくという条件で本日は大蔵大臣に対する質問は私は終わりたいと思いますので、どうぞお引き取りをいただきとう存じます。御苦労さまでございました。  それでは、せっかく厚生大臣に御出席をちょうだいをいたしておりまするので、この機会に厚生大臣に対しまして質問をいたしたいと思います。  去る五十九年の二月二十四日の閣議決定におきましては、いわゆる「七十年を目途公的年金制度全体の一元化を完了させる。」ということになっておるわけでございます。一元化の形態といたしまして、各制度の完全統合あるいは各制度間の財政調整が未定である現状におきまして、地共済年金算定の基礎を厚生年金とも国民年金とも違っている中で、年金一元化を進めるに当たってこれは相当の支障が来るというように私どもは考えるわけでありまするけれども年金担当大臣といたしまして、これらを踏まえまして公的年金制度全体の一元化というものを、いわゆる高齢化社会あるいは民間と官民の格差の問題等々を含めましてどう処理をしていくおつもりか、この機会にお伺いをいたしておきたいと思います。
  106. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 昭和七十年度におきまして確立しようといたしておりますことは、各制度間の給付負担の面での公平を図ろうということ、それから、それぞれの年金制度が安定をするということ、ほかにもございますけれども、この二つを大きな目的といたしておるわけでございます。そのために基礎年金制度というものを導入いたしましてお互いに共通項、土俵をつくっておこうということでございますので、この制度が発足をいたしません場合には公的年金制度一元化ということについては大きな難点を残していくようになると思います。
  107. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今、厚生大臣から基礎年金の問題についてのお言葉がありましたけれども、いわゆる基礎年金の水準、このことについて将来どういうようなことが一番望ましいかということの考え方、それから基礎年金財源について将来どういうように考えておられるか。現在社会保険方式では金持ちほど社会保険の料、控除の恩典が厚い、こういうようなことで、これをずっと進めていきますといわゆる逆進性、逆の立場のものが拡大をされる、こういう嫌いがあるわけでありますけれども、この辺については厚生大臣はどうお考えになっておられるのでございましょうか。
  108. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 基礎年金の水準につきましては国民の老後の生活の基本となるべき部分を補てんをできる程度ということで一応五万円といたしておるわけでございますけれども、なお物価スライドもございますし、五年ごとに経済情勢、賃金、その他の事情を勘案して水準を見直すことにいたしておるわけでございます。  私から申し上げることは以上で、その他のことは政府委員から答弁させます。
  109. 吉原健二

    ○吉原政府委員 基礎年金財源をどういう形で負担をするのがいいかということでございますけれども、これにつきましてはいろいろ御議論があったわけでございますが、私どもの考え方といたしましては、あくまでもこれまでの国民年金制度がそうでございましたように社会保険方式でいく、つまり保険料財源として、納付した保険料に応じて給付をしていく、基礎年金を支給していくという考え方をとったわけでございます。これからの年金制度の将来の安定性あるいは発展性を考えましたときに、税方式よりか社会保険方式の方が適切であるということ。それから、これまで国民年金が既に二十数年間の歴史を持っているわけでございますけれども、社会保険方式で来たわけでございます。それとの連続性等を考えますと今後ともやはり社会保険方式でいくのが望ましいということがございます。  それから、税方式に変えますと大変な新しい国民負担を税の形でお願いせざるを得なくなる。そういったことが今の時点で果たして可能かどうかということを考えますと、税方式というのは一つの方式ではございますけれども現実的にはなかなか難しいめではないか、困難ではないかという考え方に立っているわけでございます。
  110. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 社会保障制度審議会ではその財源として新たな付加価値税の創設を提言しておるわけでございますが、この提言に対しましては厚生省としてはどう受けとめられておりますか。
  111. 吉原健二

    ○吉原政府委員 社会保障制度審議会の考え方は、基本年金というふうに社会保障制度審議会では呼んでおられますけれども、今おっしゃいましたように新たな付加価値税を財源として基本年金を支給する、こういうことでございますけれども、付加価値税ということではございますが、それはやはり本質的には税でございまして、今申し上げましたように基本年金あるいは基礎年金というものを税方式でやることについてはいろいろ問題が多い、また現実性も少ないということが最大の理由でございます。  それから同時に、やや税の議論に入りますけれども、社会保障制度審議会の付加価値税というのはいわば所得型の付加価値税でございまして、付加価値税についていろいろな議論が間接税との関連で行われておりますけれども、果たして所得型の付加価値税というものを日本の税制度、税体系の中に導入することがいいかどうかというもう一つの非常に難しい大きな問題があるわけでございます。また、それを財源にして年金制度というものをつくり上げていくことが果たしていいのかというもう一つの問題がございます。そういったいろいろ大きな問題を抱えておりますので、そういったことについての国民合意を得ることはなかなか難しいし、現実的にも問題が多過ぎるのではないかというのが私ども検討の結論でございます。
  112. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 次に、六十一年度予算編成に当たりまして国庫負担の四分の一カットを続けることを前提とした概算要求が出されておるわけでございまするけれども、先国会の国民年金法の改正では三分の一の国庫負担を決めておるわけでありまして、それを四分の一カットするということはどうも納得がいかないし、おかしいのではないか、かように考えるわけでございますが、このことについてはどういう考え方を持っておられますか。
  113. 末次彬

    ○末次説明員 六十一年度の厚生省の概算要求におきましては、とりあえず厚生年金の国庫負担の要求額を一応減額するという形で対処しておるわけでございますが、その具体的な取り扱いにつきましては今後予算編成時までに財政当局と十分協議して結論を得たいと考えております。  具体的な要求内容といたしましては、ただいま御質問にもございました基礎年金拠出金に対する三分の一の国庫負担のほかに、三十六年四月前の期間の保険給付費に係るもの、それから六十一年三月以前の従来分というようなものもございまして、そのどれをどういうふうにするかということはこれから検討していきたいと考えておりますが、いずれにいたしましても考え方としては基礎年金拠出金に係る国庫負担分について減額するということは今のところ考えておりません。
  114. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今の御答弁で承知をいたしておりますが、この辺何か、三分の一の国庫負担ということを決めておりながら実際は四分の一、こういうようなことになりますると非常に矛盾があると考えますので、今主張点を厚生省としては大いに頑張って、概算要求をかえるといいますかそのような努力をしてもらいたいというふうに考えます。  それから時間の関係で最後になりますが、これは大臣に伺っておきたいと思うわけでございます。  近年企業年金ということが大体大企業を中心に行われておるわけでございますが、しかし今の日本の経済の状況から言って、中小企業等におきましても産業基盤を確立したりあるいは従業員の生活安定等々を考えた場合には、やはりこれは厚生年金基金であるとか税制適格年金であるとかといったようなものの活用を図りながら、いわゆる企業年金というものを推し進めていく。そういうことを徹底をするというか普及をしていくということは、これからの社会経済状態の中で、特に中小企業の育成強化ということを考えた場合必要なことであるというように私は考えておるわけでありますけれども、厚生大臣としてはこのことについてどのようなお考えを持っておられるか、この機会にお伺いをいたしておきたいと思います。
  115. 増岡博之

    ○増岡国務大臣 御指摘のように、中小企業の従業員にも生活の安定を考えてあげなければならないわけでございます。幸いにしまして、最近中小企業を母体とした厚生年金基金、すなわち同業同種の方が集まって加入されます総合基金というものが順次設立されつつあるわけでございまして、今後高齢化社会の到来を迎えるわけでございますので、今度の改革に伴いましても、公的年金制度を補完するものとして企業年金の役割は一層高まるものと考えておるわけでございます。  御指摘のとおり、中小企業も含め、できるだけ多くの事業所に普及できるような設立条件の改善あるいは加入員のニーズに応じた給付設計等の多様化、弾力化など総合的な育成普及対策を進めてまいりたいと考えております。
  116. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今厚生大臣から御答弁をいただきましたが、どうぞひとつ今の点の施策を進めていただきますように希望いたしまして、厚生大臣大蔵大臣に対する質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
  117. 高鳥修

    高鳥委員長 それでは、再度柴田君の質問を行います。柴田弘君。
  118. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 簡単に何点かにわたって質問したいと思います。  先ほど、今回の年金改革というのは、国年財政国民年金保険料の引き上げや国庫負担の増加によって支えることが困難になったために、このように国民年金基礎年金変化をさせ、被用者保険の基礎年金拠出金によって国民年金財政の救済を図るというところに真のねらいがある、私はこういうことを御指摘申し上げた。厚生大臣からは、いや国民年金財政はいいですよとおっしゃったが、だんだん農業従事者や自営業者も減ってきておるわけですね。それから積立金の推移を見ても横ばいの状態であるということらしいのでございますが、私が懸念しますのは、ちょうどそれは国民保険に退職者医療制度を設けまして他の被用者保険の拠出金を投入することによって国保財政の健全化と国庫負担の軽減を図ろうとしたことに非常に類似しているのではないか。しかもこの退職者医療制度については、これへの加入者の見積もりの過大からいわゆる国保会計負担増加を招き、ひいては国保税の引き上げとなって自営業者等の負担を招いている、こういうことでありまして、今回のこの制度改革がこのようにならないかということを非常に心配をいたしているわけであります。一七・四%の免除者、それから不加入者が五%、こういうことでありますが、厚生省としてこれは将来どう見ていらっしゃるのか、これはふえていくのかどうか。その辺と、厚生省の方としては社会保険庁が中心になりまして免除の適用審査を厳しくしていくという方針でありますけれども、この方針は国民生活や国民保険料負担能力の低さを度外視した、単に数字の抑え込みをねらったもののように思えてなりませんが、改めまして重ねて今後の推移とこの対策をきちっと一遍御説明をいただきたい、こう思います。
  119. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  先生の御質問の免除率の推移、今後どういうふうになるだろうかということが第一点かと思います。  昭和三十六年に国民年金制度の創設を見たわけでございますが、この間の二十数年間の経緯を見ますと、当初始まりました段階では、保険料はそれほど高くなかったわけでございますが、免除率は実は割合高かったわけでございます。一二・八というような数字が三十八年度の数字としてあるわけでございますが、それが年金制度国民の皆様への御理解が深まるにつれまして、四十年代からこれが下がっておりまして、五十年になりますまで免除率が非常に下がったという傾向がございます。これは先生先ほど御指摘があったわけでございますが、五十年代に入りまして以来、保険料の非常な上昇もございまして免除率が上がってきたという傾向がございます。特に、五十四年度以降一〇%を超えるというような状況になっておるわけでございます。  それで、この免除率の推移でございますが、先ほどの五十九年度の実績で一七・四になったわけでございます。これは率といたしましては確かに一番高い率になったわけでございますけれども、免除の実数のいわば対前年の増加状況を見ますと、従来に比べまして非常に鈍化をいたしておるわけでございます。いわばこのような急激な免除率の増加傾向が今後も続くということはないのではないかというふうに思っております。  しかしながら、それでは保険料の免除がかつてのように八%台まで下がり得るであろうかということにつきましては、国民年金の被保険者の皆様は、無職の方、収入のない方も確かに一〇%前後はおありになるというような被保険者の実態であろうと思われますので、ある程度の免除率というものは今後もあるのではないかと思うのでございますが、現在の、五十九年度の実績を大幅に上回るような形にはならないというふうに考えておるわけでございます。  もう一つは、この免除基準そのものについて何か厳しくするというような考えを持っているかという御質問でございます。  現在の免除基準は、法定免除、申請免除の二種類がございますが、法定免除の場合は、生活保護を受けておられる方々につきましてこれは法定免除ということで法律上定まっております。  問題は申請免除でございますが、申請免除の考え方は、御本人及びその世帯員の方に所得税を納めておられる方がありますと、これは免除をしない。それから、御本人及びその世帯の全員の方が市町村民税非課税であればこれは免除として考えていくという考え方をとっております。この中間にいろいろな層の方があるわけでございますが、これは一定の基準を設けまして、その点数をもちまして評価をいたしておるわけでございます。しかし現実には、この中間届というのは相当に接近をしているということが実態でございます。それで、私どもといたしましては、先ほどちょっと御説明を申し上げましたけれども、免除をお受けになりますと御本人に給付の上で不利な取り扱いになってまいりますので、この点を十分御説明いたしまして御本人に納得をいただくということがまず重要ではないかと思っておりまして、そういうような指導を市町村に対していたしておるわけでございます。さしあたり今の基準の考え方、所得税の課税された方は免除の対象としない、市町村民税の非課税、これはその世帯の全員の方を含めてでございますが、これを免除として考えていくという基本線につきましては、ほぼ皆様の納得をいただける筋ではないかと思っておるわけでございまして、実際の市町村に対します指導の適正化ということを図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  120. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 そこで、先ほど法定免除、申請免除というお話があったわけでありますが、昭和五十年、法定免除が七十万人、申請免除が九十一万人で合計百六十一万人でありましたね。免除率は八%。今回の調査によりますと、法定免除が八十七万人、二四・三%の増である。そして申請の方が二百三十一万人、一五三・八%増。合計三百十八万人。この十年間に約倍も増加をしている、こういうことであります。  こうした国民年金保険料というのは、定額保険料であるということで低所得者ほど相対的、実質的に負担が重いわけであります。いわゆる逆累進性があるわけであります。でありますから、低所得者が申請免除へと移行していくというのは、やはり経済的な階層分化が進み、底辺層において可処分所得が底をついているということを示しているわけでございまして、そういった実態というものを知らなきゃならない。  でありますから、私ども公明党といたしまして、こういった事態というのは当初から予測をされていたわけでありまして、やはり負担ができないような保険料を設定して負担できない人には年金を支給しない、あるいは給付枠を削る、そういったやり方というのは公的年金にはふさわしくないじゃないか、こういうことで、均等割、所得割という組み合わせの負担方式というものを提案してまいりました。さきの百二国会でこういった主張が反映をされまして、国民年金改正案には、保険料は「国民年金の費用負担、所得比例制等との関連を考慮のうえ、今後、総合的に検討が加えられ、必要な措置が講ぜられるものとする。」という附則第三条が挿入された、こういうふうに聞いております。やはりこういったものが早急に実施が望まれるのではないかというふうに考えているわけでございますが、この辺についてはどのようなお考えでありましょうか、お伺いいたします。
  121. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答え申し上げます。  先ほども申し上げましたように、確かに国民年金の被保険者層は所得の低い方がおられますので、保険料の納入が困難な事態にあるということはもう御指摘のとおりでございます。したがいまして、御指摘のように、保険料を納めるのがそれほど困難でないように、例えば所得比例というようなことを検討してはどうかということで、法律上今後検討させていただくということになっておるわけでございますが、現実問題といたしまして所得の把握ということが、国民年金の被保険者層はいろいろな就業状況におられますのでなかなかに難しい実態があるということでございます。  私どもといたしましては、一時期保険料をお納めになれなかった方につきましてはその後保険料を追納していただくというような形の制度現行制度にもございますし、改正案にもあるわけでございますが、こういった形で追納していただいている方がある程度ございます。現在のところ、これほど免除率が高くなったことは過去ではございませんのでやや共通な比較はできにくいかと思いますが、保険料を追納されました上である程度給付をお受け取りになっている方というのが、国民年金の受給者の実態からある程度うかがえるところでございます。こういった追納というようなものもお考えをいただけないだろうかと思っております。  それから、免除の仕方といたしまして、全期間を納めることはできないけれども、例えば五月までは何とか頑張ったけれどもこれから後は免除というような形で一年間のうちの一部の期間を限りまして免除をするような形のことも運用上はやっておるわけでございまして、できる限り保険料を納めていただくような工夫はさせていただきたいと思っております。
  122. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 せっかく修正をされたわけでございますので、どうかひとつそういった均等割、所得割というものを勘案して対応していただきたい、要望してまいります。  今度、自治省の方にこの問題に関連してお尋ねをしてまいりますが、いわゆる地共済保険料の引き上げという問題であります。  厚生年金の資料を見てまいりますと、基礎年金拠出金の一人当たりの金額は昭和六十一年度で月額八千百九十八円から出発いたします。そして急激に上昇いたします。そして、免除者が現在見込み以上に増加をすればさらにこれは増加をする。この場合、国民年金の被保険者の一人当たりの拠出金額を引き上げるとその保険料の引き上げをもたらし、また免除者が増加する。これは悪循環であるから、やがては共済を含めての被用者保険からの拠出金だけを引き上げざるを得ないことにはならないかということであります。この場合、被用者保険では免除という制度がないから、拠出金の引き上げがその保険料の引き上げにはね返っても被用者保険自体が崩れるというおそれはないわけであります。しかし、現在の厚生年金共済年金の将来の収支見通しが崩れることであるわけであります。つまり保険料の現在見込み以上の引き上げが予想され、それに耐えられなくなる場合には給付水準の引き下げもせざるを得なくなるわけでありまして、厚生年金共済年金に影響が出てくることが十分心配をされるわけであります。やはりこの点は自治省側としては一体どういうふうに考えていらっしゃるか、お聞きをしたい。
  123. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生が御心配になられるようなことも、私たちは頭の中に置いて仕事をしていかなければならないと思いますが、そういうことがないように努めていきたいと思います。
  124. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 今自治省から答弁がありましたのですが、厚生省はどうなんですか。
  125. 長尾立子

    ○長尾政府委員 私どもも同じように考えております。
  126. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 厚生省、結構でございます。  次は、自治省に定年制の問題で、六十歳定年制が地方公務員、本年の三月三十一日から施行されているわけであります。一方、年金の支給開始年齢、これが六十五歳以上と定められて、当分の間は六十歳かもしれませんが、この雇用の保障と受給年齢とのリンク、これは一体どういうふうに考えていらっしゃるわけでしょうか。ちょっと、わかりやすくひとつ説明をしていただきたい、支障がないのかどうか。
  127. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生がおっしゃっておりますのは、恐らく本則で六十五歳となっておって附則で当分の間六十歳となっておるじゃないかということを指摘をしておられるのだろうと思います。  私たちがそういうような法案をつくりましたのは、よく御存じのように基礎年金というものを公務員に導入する、その基礎年金が六十五歳から支給される、そしてその基礎年金というものを導入いたしました厚生年金も六十五歳ということを予定しております。  したがいまして、それとの関係で現在のような法案になっておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても公的年金の支給開始年齢というのは雇用情勢との関係というものをよく考えていかなければならないというふうに思います。したがいまして、雇用とのリンクというものを念頭に置いて考えていきたいというふうに思います。
  128. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 自治大臣は同じ考えでしょうか。
  129. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 公務員部長が大体話したとおりでありますが、雇用情勢というものを十分考えていかなければならない。今のように大体六十五歳というような年齢というものは、自分のことを言っちゃ恐縮ですが、まだ私は若いつもりでおりますが、そういう意味で一般的な、やはり法律で六十になっておるけれども基礎年金関係現実には六十五。ところが、雇用関係の情勢はやはり考えていかなければ、大体私は、今後六十五というのは一つの雇用といたしましてはもっと将来においては年齢が上がってくるのではないだろうかと考えておりますが、私としましてはやはり今の基礎年金関係で六十五というようなことが適切ではないかと思っております。
  130. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 まあいいです。  それで、消防庁長官にお尋ねしますが、今度警察職員とか消防職員五十五歳支給の特例措置が廃止をされるわけです。この点についてどう認識をされていらっしゃるか、この辺どうぞお聞かせください。
  131. 関根則之

    ○関根政府委員 消防職員の職務というのは火事場での大変体を使っての激務が多いわけでございますので、従来から若いうちが中心になって考えられてきたという経緯を持っているわけでございます。しかし、官民を通じまして働く期間をできるだけ長くしていこう、働く意思と能力のある限りにおきましては定年延長をしていこうという空気の中で、私ども消防職員につきましてもそういう能力のある人たちにつきましての雇用期間、いわば定年というのは一般の職員と同じようにしていきたいというふうに考えているわけでございます。そういう考え方の上でことしから一般職と同じように六十歳定年というものが原則として考えられてきているわけでございます。そういう中にありまして、現実に消防職員の退職をいたします年齢も、ここ数年来大分高くなってきております。年齢別に退職者の割合をとってみましても、現在では、最近の数字では五十八歳でやめる方が一番多くなってきております。この傾向はだんだんと上へ上がってくるだろうというふうに私どもは見込んでいるところでございます。  現実にそうなりますと、現在五十五歳の特例がございますと、いわゆる掛金の方もどうしても特例的に高くなってきてしまいます。仮に五十八歳で消防職員がやめると、一般職員が五十八歳でやめましても、例の経過措置によりまして同じように給付が五十八歳から始まるということになっておりますので、給付開始が消防職員、一般職員同じであって掛金だけが消防職員が高くなる、こういう問題が生じております。それらを背景にいたしまして、消防職員の中からもこの際ひとつ共済制度の改正に絡みまして特例を撤廃していただきたい、こういう要望も非常に強く出てまいりました。実際問題、そういう経過を背景といたしまして、この際共済法の改正の中に特例撤廃というものが盛り込まれたものというふうに考えております。この改正そのものは、消防庁といたしましては消防職員の実態を踏まえまして結構なことではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
  132. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 結構なことではなかろうかということでありますが、私どもの方へ全国消防職員協議会というところから「特例措置(五十五歳支給)存続の要請」というのが来ている。これは、中身を読んでまいりますと、「消防職員は一定水準以上の体力が要請され、また組織の能率的運営を確保するために一人的構成の新陳代謝を図る必要など、消防の職務の特殊性から、類似する警察職員とともに、」ずっと今日まで「五十五歳支給開始の特例措置がとられてきました。」こういうことを前置きといたしまして、今回の「この特例措置の廃止は六十歳定年制実施にともなって、六十歳まで勤務可能な消防職場の諸条件が確立されていない今日の状況では、きわめて過酷な法案であり、地方の現場にあっては、今後の職員管理等、混乱を招くことは明らかであります。」こう言っているわけです。  首をひねっていらっしゃるけれども、やはりこういった意見もよく尊重しなければいかぬ。やってくれというところもあったかもわからない。やはり私もなるほどなと思っておるわけでありますが、こういう点をもう一回よく意見を聞いていただいて職場の実態等も把握していただいて、職場の環境整備をきちっとしていただくと同時に、その整備がきちっとするまではこのように五十五歳の特例措置を存続してはいかがかと私も思っているわけなんです。だから、この辺のところも今後の私ども一つの考え方としてよく御承知おきいただいて、さらに実態調査もしていただきたい。重ねて消防庁に伺います。
  133. 関根則之

    ○関根政府委員 この特例措置をどうするかといいますか、特例措置の撤廃問題につきまして、消防職員を初めといたしまして消防サイドの意見を取りまとめます過程におきましてはいろいろな議論がございました。相当長い期間にわたりまして甲論乙駁がありまして、現場の各消防本部にももちろん話がおりまして、消防長さんたちが消防職員と話をしたり下の意見を聞いたりしまして、全国消防長会でいろいろな会合を踏まえまして何遍も会合をしたのですが、なかなか結論が出なかったという経緯がございます。しかし、昨年の秋ごろになりまして、全国消防長会といたしましてはやはり撤廃の方向でお願いしようということで大体意思統一を見るに至ったわけでございます。  もちろんその過程におきまして、今先生御指摘いただきましたように、存続してくれという意見があったことは確かにございます。相当強いものがあったことはあったわけですが、一方掛金との兼ね合いの問題、それから今後向かうべき消防職員の定年のあり方あるいは職務のいろいろな配置のあり方、長い目で見たときの消防職員の定年問題というものはどっちへ向いていくべきかということから考えまして、この際警察と歩調を合わせて撤廃をした方がよろしいのではないか。私どもといたしましては、いろいろな異論はありますけれども、これが全体としての消防界のまとまった意見ではなかろうかというふうに受けとめているわけでございます。  御指摘のありましたような職場環境の整備の問題でありますとかあるいは体力錬成の問題、新陳代謝の問題、そういうものにつきましては、人事管理上これから十分工夫をこらし、それぞれの職場におきましてその実態に応じた努力をしていかなければいかぬと思います。私どもとしてはそういうための努力は惜しまないつもりでございます。そういった条件を整備しながら、制度としてはこの際警察と一緒に五十五歳定年という特例は廃止していただきたいというのが我々の考え方でもあるわけでございます。
  134. 柴田弘

    ○柴田(弘)委員 これ以上の質問はまた後刻に譲らせていただきまして、時間が参りましたので、これで私の質問は終わります。
  135. 高鳥修

    高鳥委員長 再度、藤原哲太郎君の質疑を行います。藤原哲太郎君。
  136. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 公的年金一元化ということについて五問ほど伺っておきたいと思います。  今回のこの地方公務員共済年金法は、既に成立いたしております厚生年金法あるいは国民年金法とともに公的年金一元化をどのようなスケジュールで行っていくお考えか、この機会に大臣から伺っておきたいと思います。
  137. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 公的年金制度につきましては、全体の長期的な安定と整合性のある発展を図るべく見直しを進めていくことといたしました。この一環として、さきに国民年金、厚生年金及び船員保険につきまして基礎年金の導入を図る等の改正が行われまして、今回共済年金につきましてもこれと同じ趣旨に沿いました制度改正を行うための法案の審議をお願いしているところであります。これによりまして制度一元化に向かいましては大きな前進が図られることとなると考えております。  その後の一元化に向けての具体的な内容、手順につきましては、昭和六十一年までの措置を踏まえて検討されていくことになると思いますが、いずれにしましても公的年金制度全体としての長期的安定と整合性のある発展を図る見地からいたしまして、各制度を通じて所要の調整等を進めて、昭和七十年度を目標に一元化を完了したいというようなところでございます。
  138. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 大臣、どうもありがとうございました。  次に、公的年金一元化の中で共済グループについてはどのようなスケジュールで一元化を進めていくのか、また財政的にはどのような問題が生じてくるか。現在検討をされておられます範囲のことをこの機会にお知らせいただきたいと思います。
  139. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 今、大臣からお答え申し上げましたように、公的年金制度一元化に向かって大きな歩みが始まろうとしておるわけでございますが、その公的年金制度一元化の意義というものをよくわきまえまして、地方公務員共済につきましてもそれと歩調を合わせて進んでいかなければならないなというふうに考えております。これからもしこの法案を通していただけますならば、今までの状態を踏まえまして六十一年以降の負担給付につきましての所要の調整を進めていかなければならないと考えておりますが、とりあえず地方公務員共済の世界におきましては警察共済と学校共済を連合会に加入させなきゃならないというか加入していただかなきゃならない、そういう仕事がまず最初にあるのじゃないかというふうに考えております。
  140. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 将来共済グループの一元化を図る中で、今回の法案は国共済、地共済の間で標準報酬月額の求め方が異なっておるわけでございますが、一元化を図る上で障害とならないか。また、国の共済が厚生年金方式をとる理由、それから地共済がこの方式をとらない理由は何によるか。この機会に明らかにしていただきたいと思います。
  141. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生の御指摘は、国家公務員等共済組合においては年金の裁定基礎を平均標準報酬に置いているじゃないか、一方、地方公務員共済においては平均給料月額に置いているじゃないか、そのことが何か今後の差しさわりになるのじゃないかという御指摘とその理由をお尋ねになっておられるのだと思います。  国家公務員等共済組合が平均標準報酬をとりましたその理由というのを私たちが伝え聞いておりますのは、国家公務員等共済組合の中には国鉄とかあるいはまた民営化されました電電とかたばこ産業等がございます。特に、民営化されました電電とかたばこ産業というのはその給料体系が公務員の給料体系と異なっておりまして、かねがね厚生年金において採用されております平均標準報酬をとった方が年金裁定事務が公平に行えるという背景がございます。そこで、国家公務員等共済におきましてはその民営化されました電電とか専売にどちらかというと歩調を合わせる形で平均標準報酬をとったというふうに私たちは聞いております。  さて、地方公務員の場合ですが、では地方公務員に平均標準報酬をとれないのかという話になると思うのですが、平均標準報酬というのは先生御存じのように一部の手当を除きまして手当が年金の裁定基礎に入ってくるわけでございますけれども、地方公共団体三千三百ございまして、それぞれ手当が区々でございます。そこで、手当が区々のものを、それぞれの手当をそのまま前提といたしまして年金を裁定いたしますと、同種の職務を行っておる地方公務員の間で年金額に差が出てくる。それでは不公平じゃないかというので、手当の平均的な率というものを使って給料月額を補正していこうじゃないか、そうすることによりまして国家公務員等共済組合の年金の裁定基礎というものと水準を合わせていこうということを考えたわけでございます。そういうふうにいたしますので、先生が御心配になられました国家公務員等共済組合を含む他の年金制度との間の今後の一元化というものに差しさわりというものは出てこないというふうに私たちは考えておりますし、他の関係省庁も同一の意見でございます。
  142. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 将来公的年金一元化を図る中で、厚生年金グループと地共済グループと、今もちょっとお話がありましたけれども、算定方式が違った場合やはり何らかの障害が生ずるおそれがあるように感じられるわけでございまするけれども、その辺はどう今後対処していくつもりか、この機会に伺っておきたいと思います。
  143. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 今御説明申し上げましたように、平均手当率で補正いたしまして地方公務員の場合には年金裁定の基礎に使いますので、国家公務員の場合と同一水準になるということでございますので、これからそれが一元化に向けての妨げになるとかあるいは心配の種になるとかいうことはございませんので、また大蔵省もそのように考えておりますので、先生ひとつ御安心いただきたいと思います。
  144. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 前回改正されました厚生年金法と若干相違点があるように思われる中で、一つ給付におけるところの所得制限であり、一つは在職中の老齢年金の支給についてでございます。これらの相違点はなぜ生じ、今後の公的年金一元化の中でどのように整理をされていこうとしておられるのか。公的年金一元化はまず給付の統一から始めなければならないと思うわけでありまするが、この点についてのお考えを伺っておきたいと思います。
  145. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 二つ御質問があったと思います。  一つは、公務員共済におきましては、地方公務員国家公務員も同じでございますけれども、今回所得による給付制限というのをより厳しくしているじゃないか、にもかかわらず厚生年金の方においてはそういう措置がとられていないのじゃないかという御指摘だと思います。今回国家公務員等共済組合法の附則におきまして厚生年金給付制限についても検討を進めるということになっておりますので、これからの厚生省の方の検討課題になっておるということでございます。かねがね申し上げております六十一年以降の給付調整一つ課題じゃないかというふうに思います。  それから、もう一つ質問がございました在職中の年金支給の話でございますが、たしか先生がおっしゃいますように、厚生年金におきましては六十五歳以上の方であっても在職中の六十五歳以上の方に年金が支給される、そういう仕組みになっております。ところが地方公務員の場合には、退職された方に年金を支給するという原則になっておりまして、その点違いがございますけれども、なぜ地方公務員の場合にこういう制度をとったかといいますと、これは地方公務員あるいは国家公務員も同じでございますけれども、その基礎国家公務員法あるいは地方公務員法、そして地共済法というものに根拠がございますが、そのすべてに明らかにされておりますように、退職後の生活の安定と福祉の向上ということを公務員共済の場合には大きなねらいにしております。そこで退職というものを要件にする年金制度をとることになるわけでございますけれども、もう少し具体的にわかりやすい点を一、二申し上げますと、一つは、公務員共済の場合には短期と長期というものが同一の共済組合で支給される仕組みになっております。そこで、やはり短期と長期というものが同一の仕組みになっておるということを考えますと、厚生年金と同じような仕組みというものをとることに不都合があるということと、もう一つは、六十五歳以上の方で在職しておられる、その方に年金を支給するという場合にどういうことが起こってくるかといいますと、六十五歳以上の方で在職しておられるというのはほとんど特別職の方でございます、知事さんとか市町村長さんとか。そういう方に年金を支給するというのはやはり若干私たちの方では踏み切れないものがあるということで、公務員共済の場合には退職を要件とする年金制度を採用したということでございます。
  146. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 費用負担について四点伺っておきたいと思います。  今回の地共済の法案の中で公の経済負担基礎年金部分の三分の一ということになっておるわけでございまするけれども、従来公の経済負担というのは一五・八五%ということでございました。今後公のこういった負担というものの推移はどのようになっていくのか、特に従来の一五・八五%の公経済負担と比べ年度ごとにどのような推移でいくのか、この機会に伺っておきたいと思います。
  147. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 公経済負担の話でございますが、現在公経済負担というのは拠出時負担ということで一五・八五%が採用されております。今回の改正案では、先ほども御説明さしていただきましたが、基礎年金拠出金の三分の一というのを公経済負担にしているわけでございますけれども、そういうふうにいたしましたのは、かねがね公経済負担につきまして、各年金制度の間で差があるじゃないか、公平でないじゃないかという話がございました。その公平にするという観点から基礎年金拠出金の三分の一ということで公平化を図ったわけでございます。  さて、その推移でございますが、現行制度公的負担額、給付時の一五・八五%ということで計算さしていただきますと、昭和六十一年度が七百億円、六十五年度が千百億円、七十年度が千五百億円、そして八十年度が二千七百億円、九十年度が四千億円ということでございますが、改正後の公的負担は、六十一年度が八百億円、改正後の方がこの年度に限り百億円多くなっておりますけれども、七十年度になりますと改正前が千五百億円に対しまして改正後は千三百億円、二百億円の減になっております。八十年度は改正前が二千七百億円に対しまして改正後が千七百億円で、千億円の差がございます。九十年度になりますと改正前が四千億円で改正後は二千二百億円、千八百億円の差ということでございます。
  148. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今後、改正後の被保険者の負担はどのように推移していくのか、伺いたいと思います。  厚年グループの被保険者と比べると、地共済は今後どのような違いが出てくるか、計数を明示していただきたいと思います。
  149. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 改正後の組合員の負担でございますけれども、御存じのように今回の改正案というのは、急激に給付水準を適正化していくということを避けるという意味におきまして、二十年間の期間をかけて給付水準というものを適正化していくわけでございます。そういうこともございまして、今後の制度の成熟化とかあるいは組合員期間というものが長くなっていくということをあわせ考えますと、負担の増加が抑制されるというような効果はあろうというふうに思います。  具体的に申し上げますと、一つの前提を置きまして、組合員数というのは一定だ、そして給与と年金の改定率が年五%だ、そして長期積立金の運用利率が七%だということで地方公務員共済組合連合会の一般組合員について計算いたしますと、昭和九十二年度から単年度収支というのがマイナスになるだろう、しかし九十五年度にまた財源率を引き上げますので、収支は安定いたしまして、昭和百年になりますと、積立金はその年度の支出に対しまして三倍程度積立金というものが得られまして、大体収支が安定するのじゃないかと思います。そして、このときにおける組合員の掛金率でございますけれども、千分の百七十二・五ということでございます。現在の掛金率の大体二・五倍になろうかと思います。ただ、制度をもし改正しなかったら組合員の掛金はどの程度になるだろうかということでございますが、千分の百七十二・五に対しまして千分の二百十七・七というふうになりまして、大体二割程度の掛金の引き下げというのが可能じゃないかというふうに計算しております。
  150. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 今日まで各公的年金が分立していた経緯の中で、共済年金と厚生年金との関係保険料率の歴史的な違いはどうなっておるか伺いたいと思います。  例えば共済年金ですと給付を上げよという主張がございましたし、それから厚生年金については保険料率を下げよという主張が従来行われておったわけですが、この辺の経過についてお知らせをいただきたいと思います。
  151. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 地方公務員共済の場合も平均標準報酬に対する率——厚生年金が平均標準報酬に対する率で計算されておりますので、地方公務員の場合もそれに換算いたしまして御説明いたしますと、地方公務員共済が発足いたしました当初におきましては、厚生年金が千分の十七・五という率でございましたが、地方公務員共済の場合には三十五・二ということでほぼ倍の率でございます。それから、今度昭和四十五年ごろの数字でございますが、昭和四十五年四月一日にどうかということでございますが、厚生年金が千分の三十一、公務員共済が千分の三十六ということで、この年度まで、このあたりまでは公務員共済の方が高くなっておりますけれども、今度、昭和五十年一月、昭和五十年四月でも同じでございますけれども、どうかといいますと、厚生年金の方が千分の三十八、公務員共済が千分の三十七・六ということで、このあたりから厚生年金の方が高くなっております。現在は厚生年金の方が千分の六十二、地方公務員共済の方が千分の五十五・二ということでございまして、最近は地方公務員共済の方が厚生年金に対して低くなっておるというような状況でございます。
  152. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 ただいま中島部長からそれぞれの費用の分担のことについてお話がありましたから費用分担については終わりたいと思います。  給付についてもお伺いをいたしたいと存じます。  今回のこの地共済法によっていわゆる老齢年金額を計算した場合、施行時が五十九歳、四十歳、二十歳のそれぞれについて配偶者が今日まで国民年金に任意加入した場合と未加入の場合の配偶者六十五歳以上となった場合のそれぞれの退職共済年金の受給額についてお伺いいたしたいと思います。
  153. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 標準的な公務員、勤務年数が四十年で平均給料月額、年金の算定基礎になるものでございますが、それが二十五万九千円、夫婦とも同一年齢ということで改正案に基づいて計算さしていただきますと、夫婦の年金額は夫の退職共済年金と老齢基礎年金、それにプラスいたしまして妻の老齢基礎年金ということになるわけでございますが、昭和五十九年度の価格で申し上げます。  先生の設定が二つございました。まず第一番目の、配偶者が国民年金に加入できるすべての期間任意加入していたという前提でございますけれども、施行時に五十九歳の方は年金月額が二十六万円になります。そして施行時に四十歳の方は年金月額が二十二万六千円、そして施行時に二十歳の方は十九万三千円という額でございます。  今度、配偶者が国民年金に任意加入していなかった場合、第二番目の問題ですが、施行時に五十九歳の方は年金月額が二十一万円、そして施行時に四十歳の方は同じく十七万六千円、施行時に二十歳の方は十九万三千円という額でございます。
  154. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 施行時に四十歳を中心として施行時二十歳の人の完成時における水準を下回る現象があるのでありますけれども、このことは経過措置に問題があると思われるわけでございます。このことについて別個な形で救済措置が可能かどうか、この辺のところを含めてお考えを伺っておきたいと思います。
  155. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 今回の年金制度の改正の中で給料比例部分につきましては、先生御存じのように二十年かけまして給付乗率というものを逓減さしていくということでございますので、二十年のところで給付乗率が千分の七・五ということになるわけでございます。したがいまして、その底で給料比例部分は一番低くなるわけでございますが、一方、基礎年金の方は四十年掛けて五万円ということでございます。四十年後に完成する姿になりますので、二十年のところでは給料比例部分というのが今申し上げましたようにボトムになりますので、年金額というのはどうしてもそのときに一番低くなります。しかし、それ以後二十年経過いたしまして四十年に至る過程におきまして基礎年金というものが完成する姿になりますので、四十年になりますとやや持ち直すということでございます。  そういうのが今度の改正案の内容でございますが、この改正案の内容につきましては、先般国会で御議決いただきました厚生年金の改正案と同じ仕組みになっておりますので、ここでその内容につきまして私たちの方に少し考え直せ、こういうふうに言われますと、ちょっと私たちの方も対応に苦慮せざるを得ないのではないかという感じがいたします。
  156. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 わかりました。  共済年金の配偶者で国民年金に任意加入している割合はどの程度になっておりますか。
  157. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 実はその問題は、大変恐縮でございますけれども、所管といたしましては厚生省の方の所管でございまして、国民年金サイドの問題でございますので、私たちの方には資料を持ち合わせておりません。
  158. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 既に裁定者になっている方についてでございますけれども制度の切りかえが行われる中で、配偶者死亡時あるいは単身者の場合の年金額はどういうようになるか。この差額等の意味でございますが。
  159. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 既に年金が裁定されておる方の中で基本ルールに基づいて裁定されておる方につきましては、今回の改正法が成立いたしましたら年金裁定というものを予定しておりますが、そのときの裁定の方法というのは現在とられております通年ルールで裁定がえするということになりますので、先生が今御心配になられました単身者の場合とかあるいは配偶者が死亡しておる場合というのは別段何の差しさわりもないというか、同じように裁定がえされるということでございまして、そのことによって特別不利になるということはございません。
  160. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 これは差額が出てくるのではないかと言われていますが、不利になるようなことはないのですか。
  161. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 私たちの方で現在先生から御質問の通告をいただきましていろいろ考えましたときにはそういうようなことはないというふうに考えておりますが、なお先生の方でこういう場合はどうかという具体的なケースといいますか、そういうものがもしございましたら教えていただきましたら、ひとつ私たちの方で調べてみたいというふうに思います。
  162. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 わかりました。それでは、その問題については後刻尋ねてまいりたいと思います。  先に進んでまいります。  職域年金について四点ほど伺っておきたいと思います。  これまでの共済年金も今回の改正法案の職域部分についても、禁錮刑、懲戒免職などにより支給停止あるいは一部支給停止となっているが、これも公務の特殊性からくるのか明らかにされたい。それとともに、他の公的年金、無拠出の福祉年金を除く年金制度の中でこのような支給停止事項があるかどうか明らかにされたい。
  163. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 現在の年金制度におきましても、あるいは今回予定しております改正法案におきましても、組合員あるいは年金受給権者というものが禁錮以上の刑に処せられた場合あるいは懲戒処分を受けて退職した場合には、先生がお話しになられましたように年金の全部または一部の支給停止というのがございます。先生がおっしゃいましたように、これは公務の特殊性といいますか、そういうことから理論づけられている問題でございます。こういう制度が他にあるのかということでございますが、国家公務員等共済組合とか私立学校共済組合というものにおいてはそういう制度があるやに聞いております。まあ国家公務員共済においては間違いなくございますが、私立学校共済組合においてもあると聞いております。なお、民間の厚生年金においてはそういうことが行われていないというふうに承知しております。
  164. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 この支給停止は今回遺族の禁錮刑についても同様な措置がとられるが、これは従来はどのようになっていたのか、また、遺族についても公務の特殊性は及ぶものなのかどうか、この機会に明らかにしていただきとう存じます。
  165. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 現在の制度におきましても、遺族給付というものを受ける権利を有する者が禁錮以上の刑に処せられたときには、その者には遺族給付の一部というものを行わないことができるというふうにされております。改正案に基づきます遺族共済年金あるいはまた現行制度の遺族年金の受給者というものが禁錮以上の刑に処せられたときにつきまして、このように給付制限というものを行うとしているのは、組合員本人あるいはまた退職共済年金の受給権者、障害共済年金の受給権者というものが禁錮以上の刑に処せられたときの給付制限というものと均衡がとれるということでそういう制度が設けられておるというふうに理解していただきたいと思います。
  166. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 この支給停止の理由の中に、加入期間二十五年未満の者について二分の一支給というものがあるわけでございますが、この措置は労使折半という社会保障の原則から考えてどういう根拠があるのか、この機会に明示をしていただきたいと思います。  それと、従来、共済年金の受給資格は二十年以上の加入であり、今回の改正でも経過措置が設けられて二十五年以上の加入期間となっておるわけでございますけれども、これとの関係はどうなっているか明らかにされたいと思います。
  167. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 職域年金部分というものを千分の一・五支給するというのは、相当期間公務員として勤務した実績があるというときに丸々千分の一・五を支給するということでございまして、その相当期間というものをどのようにとるかということでございますが、退職共済年金の受給資格期間である二十五年というものをやはり基準に考えるべきじゃないかということで、二十五年ということで千分の一・五、それ未満の場合には本人の掛金相当部分であるその半分の千分の〇・七五というふうにしたわけでございます。
  168. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 このような支給停止事項がある中で他の社会保険制度と同じ費用の労使折半の原則が貫かれておるわけですけれども、その根拠はどの辺に置いておられるのか明らかにされたいと思います。  また、職域年金部分の水準は何を根拠にされておるのか、この機会に明らかにしてほしいと思います。
  169. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 職域年金部分というものを含みまして厚生年金相当部分というもの、まあ二階部分と三階部分ということになるわけですが、これを一体としてとらえまして給料比例部分というふうに通常考えるべきじゃないか。ただ、職域年金部分というのは、そういうものを特に考えなければならない。今先生がお話しになりましたように、懲戒処分等による給付制限の場合とか、あるいはまた所得による給付制限とか、そういう場合には意識して職域年金部分というものを考えなければなりませんが、それ以外の場合にはやはり給料比例部分として一体としてとらえてもいいのじゃないか、とらえるのが素直じゃないかというふうに考えております。  そして、これを千分の一・五としたのはどういう理由なのかということについては、これはいろいろな議論があると思います。あると思いますけれども、私たちの方では、やはりこれは一つは、現役の労働者負担限界というものを考えなければならないのじゃないかというふうに思います。先ほども御説明させていただきましたけれども、掛金率が一番高くなるときには千分の百七十二・五、一七・二五%という掛金率になるという状況でございますので、やはりこれをさらに押し上げるようなものというのはできるだけ避けたいな、私たちは公務員で年金をもらう身分でございますから、できるだけ千分の一・五よりも千分の二とか千分の三の方がいいわけでございますけれども、やはり十年後、二十年後の職員のことを考えると、そこは掛金というものを余り引き上げる要素というものを持たない方がいいのじゃないかということと、もう一つは、この改正案によりましても、平均的に申し上げますと、退職年金の額というのは現役の公務員の平均賃金の七四%ぐらいになるということでございますが、厚生年金の場合には六九%だ、こういうふうに言われております。だから、相変わらず官民格差論ということで厳しい意見を言われる方もおられますけれども、この七四%というのをさらに引き上げるというのが果たして国民合意を得られるのだろうかというふうに考えまして、千分の一・五ぐらいならば御勘弁いただけるかな、国民の御了承がいただけるかなということで提案させていただいたということでございます。
  170. 藤原哲太郎

    ○藤原委員 以上で質問は終わります。どうもありがとうございました。
  171. 高鳥修

    高鳥委員長 次回は、来る十九日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時三十分散会