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1985-11-20 第103回国会 衆議院 大蔵委員会地方行政委員会文教委員会農林水産委員会社会労働委員会運輸委員会連合審査会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十日(水曜日)     午前十時開議 出席委員  大蔵委員会   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       大島 理森君    金子原二郎君       瓦   力君    中川 昭一君       平沼 赳夫君    藤井 勝志君       伊藤  茂君    川崎 寛治君       戸田 菊雄君    野口 幸一君       藤田 高敏君    宮地 正介君       矢追 秀彦君    正森 成二君       簑輪 幸代君  地方行政委員会   委員長 高鳥  修君    理事 糸山英太郎君 理事 臼井日出男君    理事 平林 鴻三君 理事 加藤 万吉君    理事 安田 修三君 理事 柴田  弘君       伊藤 公介君    伊吹 文明君       尾身 幸次君    大村 襄治君       長谷川 峻君    細田 吉藏君       松田 九郎君    綿貫 民輔君       五十嵐広三君    小川 省吾君       細谷 治嘉君    山下洲夫君       宮崎 角治君    吉井 光照君       藤原哲太郎君    経塚 幸夫君  文教委員会   委員長 阿部 文男君    理事 白川 勝彦君 理事 佐藤  誼君    理事 中野 寛成君       青木 正久君    稻葉  修君       臼井日出男君    榎本 和平君       田川 誠一君    中村  靖君       町村 信孝君    中西 績介君       滝沢 幸助君    藤木 洋子君       山原健二郎君    江田 五月君  農林水産委員会   委員長 今井  勇君    理事 衛藤征士郎君 理事 田名部匡省君    理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君    理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君       大石 千八君    鍵田忠三郎君       菊池福治郎君    鈴木 宗男君       田邉 國男君    月原 茂皓君       羽田  孜君    保利 耕輔君       松田 九郎君    三池  信君       上西 和郎君    島田 琢郎君       辻  一彦君    細谷 昭雄君       水谷  弘君    中林 佳子君  社会労働委員会   委員長 戸井田三郎君    理事 稲垣 実男君 理事 丹羽 雄哉君    理事 村山 富市君 理事 大橋 敏雄君    理事 塩田  晋君       伊吹 文明君    野呂 昭彦君       林  義郎君    多賀谷眞稔君       森井 忠良君    沼川 洋一君       橋本 文彦君  運輸委員会   委員長ッ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 吉原 米治君    理事 近江巳記夫君 理事 河村  勝君       関谷 勝嗣君    林  大幹君       福家 俊一君    山村新治郎君       兒玉 末男君    富塚 三夫君       梅田  勝君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         文 部 大 臣 松永  光君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         農林水産大臣  佐藤 守良君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君         労 働 大 臣 山口 敏夫君         自 治 大 臣 古屋  亨君         国 務 大 臣         (内閣官房長官)藤波 孝生君         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 加藤 紘一君  出席政府委員         人事院総裁   内海  倫君         人事院事務総局         給与局長    鹿兒島重治君         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         総務庁恩給局長 佐々木晴夫君         防衛庁人事局長 友藤 一隆君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房審         議官      門田  實君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省主税局長 水野  勝君         大蔵省理財局長 窪田  弘君         大蔵省銀行局長 吉田 正輝君         文部大臣官房総         務審議官    五十嵐耕一君         文部省教育助成         局長      阿部 充夫君         厚生大臣官房総         務審議官    北郷 勲夫君         厚生大臣官房審         議官      山内 豊徳君         厚生省年金局長 吉原 健二君         社会保険庁医療         保険部長    花輪 隆昭君         社会保険庁年金         保険部長    長尾 立子君         農林水産省経済         局長      後藤 康夫君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         労働大臣官房長 岡部 晃三君         労働省労働基準         局長      小粥 義朗君         労働省職業安定         局長      白井晋太郎君         自治省行政局公         務員部長    中島 忠能君         自治省財政局長 花岡 圭三君  委員外出席者         厚生省年金局年         金課長     谷口 正作君         厚生省年金局数         理課長     坪野 剛司君         日本国有鉄道常         務理事     川口 順啓君         地方行政委員会         調査室長    島村 幸雄君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君         文教委員会調査         室長      高木 高明君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君         農林水産委員会         調査室長    門口 良次君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 本日の会議に付した案件  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八一号)  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八四号)  私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する  法律案内閣提出、第百二回国会閣法第八二号  )  農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する  法律案内閣提出、第百二回国会閣法第八三号  )      ————◇—————
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより大蔵委員会地方行政委員会文教委員会農林水産委員会社会労働委員会運輸委員会連合審査会を開会いたします。  内閣提出国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案及び農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。保質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。
  3. 戸田菊雄

    戸田委員 まず冒頭に、きのう我が党の大原委員多賀谷委員質問をいたしまして、最終的には官房長官答弁で、可及的速やかに検討し、その結果を出します、こういうことだったのですが、何かきのうの会議でそれと違った内容をやっているようでありまするから、この点について、この質問時間中に官房長官のお出ましを願ってこの点をただしたいと思うのですが、委員長、その取り計らいをひとつお願いしたい。
  4. 越智伊平

    越智委員長 官房長官については出席要求をしていないのですが、向こうの御都合もあると思いますから聞いてみます。
  5. 戸田菊雄

    戸田委員 それは委員長ゆうべ閣僚懇談会をやったそうですが、そのときの官房長官発言内容がちょっと問題だと思うので、もしここへ来れるなら来ていただいて、そしてそれを確かめる、こういうことにしたいと思うのですが、その手配をお願いしたい。
  6. 越智伊平

    越智委員長 要求をしてみます。しかし、向こう都合もあるでしようから、まだ何も言っていないですから、今から出席要求をしてみます。
  7. 戸田菊雄

    戸田委員 それではそのようにお願いいたします。  初めに、年金財政計算についての疑問について若干お尋ねをしてまいりたいと思います。  今回の各年金改革の引き金になったのは年金財政破綻が最大の理由だ、こういうことを言われております。御存じのように、年金財政計算というものをやるわけでありますが、この再計算に当たってどういう意図が一番問題になるのか、その辺の見解を厚生大臣に伺いたい。
  8. 増岡博之

    増岡国務大臣 まず、年金の各制度の間の公平ということが言われます。それから、それぞれの制度が安定をして将来の高齢化社会に対応できるものでなければならないということ、この二つが大きなあれでございます。そのほか、重複支給を防ぐとか、婦人の年金権確立とか、そのような課題もあるわけでございます。
  9. 戸田菊雄

    戸田委員 殊に、前途の賃金上昇とか経済要因とか動向とか等々の問題ですが、こういうものはどのくらい参酌をされていますか。
  10. 増岡博之

    増岡国務大臣 今お尋ねの趣旨を聞き漏らしましたので、恐れ入りますがもう一度お願いします。
  11. 戸田菊雄

    戸田委員 多くの要因土台にして積算をしてくるわけですけれども、その中で殊に賃金上昇率あるいは経済動向、こういうものについてはどういうような考えていますか。
  12. 坪野剛司

    坪野説明員 お答えいたします。  今回の財政計算で使用したいろいろな基礎率については次のようなものを使用してございます。  まず第一に、脱退率あるいは死亡率のような人口学的要素というものにつきましては、過去三年間の実績参考にしております。  次に、経済的な要素、例えば賃金上昇率とか、物価の上昇率とか、あるいは積立金運用利回りというようなものにつきましては、過去五年間の実績参考にさせていただいております。  それから、被保険者数とかあるいは受給者数の基礎的なデータにつきましては、過去において直近までの実績参考にさせていただいております。  それから、将来の被保険者数等につきましては、厚生省人口問題研究所の将来推計人口、これは五十六年十一月推計でございますけれども、これをもとにして被保険者数なり受給者数推計いたしております。  以上でございます。
  13. 戸田菊雄

    戸田委員 今答弁をした内容等についても当然参酌がされますけれども、殊に問題になるのは成熟度じゃないですか。成熟度はどのように見ていますか。
  14. 坪野剛司

    坪野説明員 先ほど御説明申し上げたと思いますけれども成熟度といいますのは外生変数的に入れたということではございませんで、まず被保険者数推計を出しまして、その推計に当たりましては直近の被保険者の数、それから先ほど申し上げました五十六年十一月の人口問題研究所推計人口、これは中位推計を使っておりますけれども、この数字から将来の被保険者数推計したということでございます。それから受給者数につきましては、各年度の被保険者数から脱退率とか死亡率というようなもので基礎率を使いまして年次別に算出しているわけでございます。  このように将来の成熟度といいますのは、例えば昭和百年に成熱度はどのくらいになるであろうということで推計をしたのではなくて、被保険者数受給者数の結果から出てきたということでございます。
  15. 戸田菊雄

    戸田委員 五十九年に再計算をやって、今の数字は五十九年の再計算土台になっている、それで二〇一〇年まで一応推計値を出した、こういうことになっていますね。そういう中において現行の厚生年金成熟度は十対一だ、これが二〇一〇年にいきますと大体三・八倍になって、すなわち二・六人対一人になる、この推計値が非常に高過ぎるんじゃないか、こう考えるのですが、これはどうですか。
  16. 坪野剛司

    坪野説明員 五十五年の財政計算のときと五十九年の財政計算のときの違いを簡単に申し上げますと、一番の被保険者数の将来見込みといいますのは、先ほども申し上げたと思いますけれども人口問題研究所推計人口というものを使っているわけでございます。したがいまして、前回の再計算では五十一年の人口推計を使っておりますし、今回の財政計算では五十六年の人口推計を使っているわけでございます。その人口推計が五十一年と五十六年におきまして若干の差がございました。これが五十五年の財政計算と五十九年の財政計算成熟度に若干の差が出たということでございまして、先ほど申し上げましたように成熱度外生変数として入れたということではなくて、将来推計人口から被保険者数なり受給者数推計したということでございますので、必ずしも五十九年度の成熟度が意識的に高く出たということはないというふうに思っております。
  17. 戸田菊雄

    戸田委員 厚生大臣、その五十九年再計算時の資料を後で出していただきたいと思いますが、どうですか。
  18. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘資料は、後ほど提出させていただきます。
  19. 戸田菊雄

    戸田委員 高齢化になることは間違いないと思うのですけれども、私は数理的にいろいろ調べてみましたけれども、大体六十五年後の二〇五〇年、これですら日本高齢者割合がようやく一・七%くらいになってくる。確かに出生率が少し低まってくることは間違いないようですけれども、それにしても被保険者受給者割合がこんなに大きく逆転するような状況じゃないのじゃないか、こう思います。きょうは時間がありませんから後でゆっくり大蔵委員会で触れてまいりたいと思いますので、きょうはこのくらいにしておきたいと思います。  各大臣にそれぞれ共済の再計算時の問題について質問しようと思いましたが、時間がありませんから、次の点に絞って質問してまいりたいと思います。  国鉄監理委員会、参っておりますか。今後の国鉄分割民営化について、三島三分割、本州が三分割、六分割だ、こう言われております。しかし、実際は二十四分割になるのじゃないですか。どうですか。
  20. 林淳司

    林政府委員 お答え申し上げます。  今回の私ども意見書によりますと、旅客部門貨物部門を機能的にまず分割するということでございまして、貨物全国一本の株式会社というふうに考えております。  旅客部門につきましては、ただいま先生指摘のように全国分割ということでございます。  さらにバスにつきましては、一応私どもとしては全国十三ブロックに分けてそれぞれ独立さした方がいいのじゃないかという考え方でございますが、これについては旅客会社が一たん引き継いだ上でさらに分離をするものは分離をしていくという考え方でございます。  そのほかに、新幹線保有主体、あるいは旧国鉄、さらに通信部門については全国ネットワークでございますので、別途の経営形態がよかろう。それから研究部門につきましては、鉄道技術研究所あるいは労働科学研究所、こういうものを一本にしまして別の公益法人という形がよかろうというふうなことで、それぞれ機能あるいは地域的に分割案を考えておりまして、御指摘のように二十数分割になる、分割と申しますか、機能的に分離をしていくという考え方をとっているわけでございます。
  21. 越智伊平

    越智委員長 質問者答弁者も簡単明瞭に、全員に聞こえるような声でお願いをいたします。
  22. 戸田菊雄

    戸田委員 六分割旅客鉄道部門については、確かに資産や基金あるいは株保有、そういったものを出されておりますが、その他の問題については全然出てないでしょう。どうですか。
  23. 林淳司

    林政府委員 それぞれの事業主体資産とか引き継ぎ債務というものがどうなるかという御質問かと思いますけれども、この点につきまして考え方を申し上げますと、旅客会社については、これは意見書にも数字が書いてございます。そのほか貨物会社あるいはその他の事業主体についても、それぞれどの程度資産を引き継いでいくか、あるいは債務はどうなるかということについては検討しておりますけれども貨物会社については、これはさらに詳細に十一月中に検討する必要があるということで具体的な数値は意見書の中には書いてないということでございまして、それぞれベースとしてはいろいろな計算は全部してございます。
  24. 戸田菊雄

    戸田委員 委員長、マイクが悪いようですから、ちょっと整備してください。——要員合理化等の問題についてはこの前触れましたから触れませんけれども、時間がないものですからこちらで持っている数字を発表して質問してまいりたいと思っておりますが、各分割されたいわゆる地域職員表ということになりましょうか、北海道の場合は、現在二万八千人おるのです。これが最終的には一万五千ということで、一万三千の過剰。東日本が十一万四千、余剰人員が一万九千、東海が三万人、それに対して三千の余剰、西日本が七万一千、これに対して一万四千、四国が六千に対して一千名、九州が二万七千に対して一万一千、こういうことで、全国的には六万一千名の実余剰人員、こうなっていると思うのですが、これはいいですか。
  25. 林淳司

    林政府委員 ただいま先生の御指摘のとおりでございます。
  26. 戸田菊雄

    戸田委員 それで、なおかつ、今言われました鉄道貨物会社研究所基幹的通信、旧国鉄新幹線保有主体等々にそれぞれ要員を配置にはなっていますけれども、これらに対しては資本金とか資産とかいうものは全然ないですね。運輸大臣、こういうことでは本当に年金財政確立一つとらえてみても審議できないのじゃないですか。どうですか。
  27. 林淳司

    林政府委員 それでは考え方を申し上げますと、旅客鉄道会社につきましては、資産については事業用資産は原則として簿価で引き継ぐ、さらに関連事業用資産とか出資株式というのは時価で引き継ぐ。さらに鉄道貨物会社についても、これは全く同じ考え方でございます。  その引き継ぎ資産に対しましてそれでは債務はどういうふうに引き継ぐかということでございますが、ただいまの資産額から資本金退職給与引当金の額を差し引いた額を債務として引き継ぐ、こういう考え方数字的には整理をしてございます。  それから、それ以外の新幹線保有主体につきましては、資産再調達価格で評価いたしましてそれに見合う債務を引き継いでもらう。ただ、現実の債務としては簿価に見合う債務でございますが、それを引き継いでもらうということで、ほかの事業主体につきましてもそれぞれ考え方整理して、それに見合う資本金とか資産額はすべて計算をして、それに応じて整理をしているということでございます。
  28. 戸田菊雄

    戸田委員 二年間かかって百三十回に及ぶ審議をしてきたと言うけれども、そういう資料は一切未公開でしょう。密室の中でやられている。これは資料出してもらえますか。運輸大臣どうですか。
  29. 林淳司

    林政府委員 必要な資料につきましては、整理をいたしまして、お出しできるものはお出しいたします。
  30. 戸田菊雄

    戸田委員 大蔵大臣、NTTとか専売公社民営化のときには、あらかじめ全部経営主体とか経営形態、それから資本金資産等々全部出しまして、それで審査をしました。今回の場合は、全然それは出ていないんですよね。監理委員会の答申があっただけで、担当大臣運輸大臣の方からも全然出ていない。これは要請としてこれから出してもらいたいと思うのですが、運輸大臣どうですか。
  31. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生指摘になりましたように、これから国鉄民営分割を進めるにつきましては、いろいろな数字的な面というものを詳細に検討して明らかにしなければならないと思っております。ただ、それにつきましては監理委員会から御意見がございまして、それを踏まえまして次期通常国会までに法律案を提出するということでございまして、それまでの間、現在監理委員会等資料もと政府としての考え方についての数字その他の詰めを行っているところでございますので、それらを踏まえました上で通常国会におきまして法律案で御審議をいただきたい、かように思っております。
  32. 戸田菊雄

    戸田委員 それは後で結構ですから、これからまたありますから、ぜひ早期に出してもらいたいと思います。  そこで大蔵大臣お尋ねをしまするけれども、きのう官房長官答弁によって、今次審議中に一定の検討内容というものを出します、こういうことになっておりますが、この国鉄年金赤字体制についてその赤字要因は明確になったと思うんですね。問題は手法だと思うんですよ、六十二年四月以降になるとパンクするのですから。そういうものに対して検討結果を出す、こういうことなんですが、その手法中身はどういうふうに考えておりますか。
  33. 竹下登

    竹下国務大臣 昨日、本委員会が終了いたしました後に閣僚が寄って話したという実績はまだございません。したがって、どういうふうなものを御提示申し上げるかということについては今の段階では全く白紙とでも申しましょうか、そう言わざるを得ないと思います。
  34. 戸田菊雄

    戸田委員 これは、連合審査が終われば個別委員会に帰りましょうから、でき得るだけそういう時期に間に合うようにひとつ努力をしていただきたいと思います。  それで問題になるのは、従前はやめるときに一年の平均、これを積算して土台にしまして年金計算をした。今度の改正では四十年平均のものになっていくわけですから、すなわちその点で給付は相当ダウンをする。これはどのくらいダウンしましようね。
  35. 門田實

    門田政府委員 今回の改正でどういうふうに違いが出るかということでございますが、もちろんこれは人によっていろいろ違ってくるわけでございます。ただ、国鉄共済の方々につきましては、既に既裁定者につきまして一割程度水準まではスライドを停止していく、こういう措置を講じておりまして、そういったいろいろなバランスの上で比較ということもなければならぬと思いますが、一般的には今回の改正は一割程度ダウン、こういうことでございまして、国鉄の場合にも、そういう中であとはケースによって違いが生じてくる、こういうふうに考えております。
  36. 戸田菊雄

    戸田委員 審議官二つあると思うのですよ。国家公務員グループダウン中身と、それから国鉄の関係とちょっと違いますからね。どうなんですか。
  37. 門田實

    門田政府委員 今区分しておっしゃられたとおりでございまして、一般の公務員の場合と国鉄共済組合員ケースと、そういう区別でよろしいのだと思いますが、実際の比較は、国鉄共済組合員の場合ですと、実態に即して考えますと今回の改正によってそれほどの差は生じてまいらないのではないか。所得水準の高い人につきましてはある程度給付水準ダウンということがございましょうが、平均的にはそう生じてまいらない、こういうふうに理解しております。
  38. 戸田菊雄

    戸田委員 私の試算でいくとおおむね、ピーク時がありますけれども、二十年間で調整していくわけですから、そうしますと最終終着駅に参りますと大体三割、二・八割くらいですかね、この程度差がある。ところが、国鉄の場合は職域加算も減るでしょう。適用除外でしょう。みなし従前額保障、これも適用外すでしょう。この二つでそれよりは相当ダウンするわけです。みなし従前額だけ考えて、対象人員がどのくらいになるかわかりませんが、二万人程度としまして積算しますと、スライド一〇%停止、みなし従前額保障を切って、これで約四〇%下がる。だから、同じ国家公務員等グループであって国鉄はそのくらいダウンするわけですね。それはそうなりませんか。
  39. 門田實

    門田政府委員 今お話に出ましたみなし従前額、これは経過的な意味合いだと思います。したがいまして、お話のように長期的な問題を考えます場合には、結局国鉄共済の場合には職域年金部分がついてこない、この面の相違に帰着する、こういうふうに考えております。
  40. 戸田菊雄

    戸田委員 大臣、どうして今回国鉄関係は職域加算を外し、みなし従前額保障を外し、そしてなおかつスライド、これを一〇%停止。このスライド一〇%停止は五十八年統合時かも、これはよくわかります。その二つの問題について、どうして今回そういうふうに適用除外したのでしょうね。
  41. 竹下登

    竹下国務大臣 この国鉄共済年金財政、これは危機的な状況にあって、六十年度以後は年金給付の支払いに支障を来す状況にありますので、同年度以降は財政調整事業を実施して、国共済グループ内の他組合からの財政援助により年金支払い財源を確保する。そこで、財政調整に当たりましては国鉄共済の組合員も高水準の掛金を負担していただくこととしているほか、他組合の組合員も、財政援助に必要な拠出金の費用を負担するため所要の掛金率の引き上げを行った。他方、既裁定の国鉄共済年金受給者についても、他共済に比べて年金水準が一割程度低くなるまで年金額のスライドを行わない、こういうことにいたしたわけでございます。  したがって、国鉄共済について公的年金相当部分の給付の確保とその財政の維持安定を図ることが当面最も重要でございまして、職域年金相当部分の給付を行うことは、国鉄共済財政負担をふやすだけではなくて、財政援助のために別途に特別の費用負担を行っておる他組合の皆さんの理解と納得を得るということになりますと非常に難しい、そうなると財政調整そのものの実施にも支障を来す、こういうことになりますので、財政調整事業を実施する間はいわゆる給付を行わない、こういうことにお願いをせざるを得なかったと理解をいたしております。
  42. 戸田菊雄

    戸田委員 時間もありませんから、後でまたゆっくりやります。  官房長官がお見えでございますからちょっと。  きのうの答弁の後、記者団に対しての発表の段階で、法案通過までの報告は政府見解とは限らない、こういう要旨の発言があったと聞いておりますが、官房長官そうですか。そうだとすれば、きのうの官房長官答弁内容と大分違う。ダウンしている。
  43. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 昨日大原委員から、国鉄共済問題について検討を進めるようにという御質問がございました。大原委員の御趣旨をも踏まえ誠心誠意検討を進めてまいります、こういうことをお答えしたところでございますが、いつまでに検討するのかというお話でございましたので、可及的速やかにとお答えをいたしました。しかし、もっと前向きに誠意を持って検討を進めろというお話でございましたので、誠心誠憲政府といたしまして国鉄共済問題を検討いたしてまいります、その検討いたしました結果を本法案が衆議院を通過するまでに委員会に報告いたします、こういうことをお答え申し上げたところでございまして、それ以外のことはどなたにも一切申し上げておりません。本委員会での御質疑をそのまま記者会見でも申し上げたところでございます。
  44. 戸田菊雄

    戸田委員 わかりました。それではきのうの答弁どおりだということですね。
  45. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 委員会でお答えしたとおりでございます。
  46. 戸田菊雄

    戸田委員 わざわざ多忙なところをありがとうございました。  国鉄共済を中心にしまして、今日まで、約一時間くらいでありましたけれども、いろいろ質問してまいりました。私は決して国鉄だけをどうのこうのと言うのじゃなくて、いずれにしても七十年以降全年金を一元化する、こういうのでありますから−私は公害の基本法をつくったときも関与しましたけれども、あるいは教育基本法、いろいろあります。三種類七制度、こう言われておりますが、これをいずれにしても一本化していくわけでありますから、その土台となる国民の年金基本法というようなもの、こういうものをこの際つくってはどうか、こう考えるのであります。そして、その基本法に基づいて統一、一元化を図る、こういうことでやる。今、国民は年金についていろいろ読んだり勉強しておりますけれども、なかなかわからないことが多い、非常に多いのです。ですから、そういう点からいけば、これを見ればすぐわかるもの、なるほど年金はこうなるのだな、我々の老後の生活が完全に保障されるのだな、安心して生活ができるのだなというような、未来を開くいわゆる年金保障、そういうものの土台をつくる必要があるのじゃないかと考えるのですが、大蔵大臣、どうでしょう。これは各大臣から見解を。
  47. 竹下登

    竹下国務大臣 私も率直に申しまして、年金問題につきましては、朝のテレビで前の山口年金課長さんの話を聞いておったり、いろいろいたしますが、お互い国会議員一人一人でもその練度といいますか、差はかなりある、車ほどさように難しい問題であると思っております。  今の考え方、私も判然と理解をしかねておりますが、例えば年金基本法みたいなものがあってそれに基づいて将来の一元化——一元化の哲学がまず存在して、それに基づいて一元化の作業が行われていくというような発想であるとしたならば傾聴に値する御意見だなという感じは素直に持ったということだけお答えいたします。
  48. 増岡博之

    増岡国務大臣 これから一元化の作業を進めるわけでございますので、制度間の調整をどのようにするか、あるいは負担と給付の公平をどういうふうに図っていくかということがこれからの課題でありますので、今直ちに申し上げかねますけれども、そういうものを整備していく上には一つの有力な御意見として承っておきたいと思います。
  49. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 ただいま厚生大臣答弁したとおりに考えております。
  50. 松永光

    ○松永国務大臣 私は私学共済の方の担当でございますが、先生よく御承知のとおり、私学共済は我が国の私立学校教育の振興のために非常に大きな役割を果たしてきておるわけでありまして、そういったことを踏まえながら、同時に公的年金の一元化については給付と負担の両面において調整を進めていくということになっておりますので、私学共済年金制度の沿革等にも配慮して、私立学校教育の振興に資するというねらいが損なわれることのないよう対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
  51. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。  私は農林年金の担当でございまして、農林年金につきましても、公的一元化の方向を踏まえつつ、農林年金制度の沿革等にも配慮して、農林漁業団体職員の人材確保を図るというねらいが損なわれることのないよう万全を期してまいりたいと考えております。
  52. 戸田菊雄

    戸田委員 若干延びて申しわけありませんでした。
  53. 越智伊平

    越智委員長 沢田広君。
  54. 沢田広

    ○沢田委員 官房長官来ておられますが、臨調答申でもそうですし、この前の大蔵委員会でも述べた恩給の問題とバランスをとる、こういうことで、結論だけ言いますが、バランスをとる意思はありますか。
  55. 佐々木晴夫

    ○佐々木政府委員 お答え申し上げます。  今、いろいろと検討をいたしておる最中でございます。恩給は国家保障ではありますけれども年金という面で公的年金制度と類似することは確かであります。そこで、ただいま鋭意検討いたしておるというところで……(沢田委員「言いわけはいいよ。とるかとらないか聞いているんだよ」と呼ぶ)検討中でございます。
  56. 沢田広

    ○沢田委員 検討中ということでは答弁にならない。この前の委員会でも、検討しておいて次回にはそのことについての回答を求めます、こう言ったはずなのです。だから来ていただいて、忙しいのだから先に帰してほしいと言うから、この問題を一番先に挙げた。  じゃ、併給の問題、八百万円、それから二〇%の停止の問題、あるいは賃金スライドの問題、併給調整の問題等々も含めて、いずれにしても検討課題に踏み込まなければならぬ時期に当たっているわけでしょう。何回もそんなことを言わせないで、検討するならする、する意思がないならする意思がないとはっきり言ってくださいよ。
  57. 佐々木晴夫

    ○佐々木政府委員 おっしゃるように今回の公的年金制度の改革の関連で、例えばスライドの問題につきましては、これをただいま鋭意検討中であります。それから、多額停止の問題につきましても、ただいま種々検討中でございます。  今のところ、私ども最大の検討課題と考えておりますのは、今申し上げた二つでございます。
  58. 沢田広

    ○沢田委員 これは大蔵大臣官房長官に一言言ってもらいたい。これだけ国家公務員やその他が大変な状況になって、それぞれ痛みを分かち合っているというのが現状でしょう。その中にあって、旧来の状態をそのまま継続していくということは、痛みを分かち合うという立場からいって不自然である。しかも、国家公務員は、六百万円を限度として併給調整では百二十万を超えた二分の一。片っ方は八百万円、課税所得金額の中で八百万円ですよ。課税所得金額で八百万円といったら、恐らく一千百万円から一千二百万円の所得の者でなければ併給調整の対象になっていないのですね。そういうのに、一方厚生年金は、八万ぐらいでも十五万五千円でも、それだけで併給調整が発効するようになっているでしょう。そういう状況の中にあって、恩給が八百万円、国家公務員は六百万円、そういう差別がどこから生まれるのですか、言ってみてくださいよ。事務当局の答弁じゃない、これは政治の話なんだから。なぜそういう差別が——あなたは要らないよ、今事務当局の答弁を求めているんじゃないんだから。
  59. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 考え方は、今恩給局長からお答えを申し上げたとおりでございます。各方面の御意見を十二分に参考にさせていただきまして今検討をいたしておるところでございますが、その検討を真剣に急いでまいりたい、このように考えております。
  60. 沢田広

    ○沢田委員 さっき二点だけ言われましたけれども、二点だけの問題ではないだろうということを申し上げ、これは財政、予算で苦しい大蔵大臣、まだまだメスを入れれば入れる余地があるところをそのまま温存しておくということも国民に対する義務を怠ることになるわけでございますから、今言われた二点はもとよりでありますけれども、総体的に大蔵当局も見直していく、こういう気持ちには間違いないかどうか、お答えいただきたいと思います。
  61. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題は臨調答申でも指摘されております。それで、総務庁でひとつ検討してもらおうということになっておりますが、大蔵省は蚊帳の外にあるというような態度で対応するつもりはございません。
  62. 沢田広

    ○沢田委員 官房長官、結構です。  厚生大臣も、同様の趣旨でありますが、年金大臣として当然これに参加をし、同じような調整の中に含めていくべきである、こういうふうに考えますけれども、同様に見直しをする意思はありますかどうか。
  63. 増岡博之

    増岡国務大臣 私の担当の公的年金制度の中には恩給制度は入っておりませんけれども、今、年金を一元化しようという時期でありますから、それとのバランスはうまく調整していただかなければならぬと思っております。
  64. 沢田広

    ○沢田委員 時間の関係で、恩給の問題は厚生大臣大蔵大臣、それから官房長官が約束をしたということで、なるべくこれも審議中に一定のめどを出してもらうことを期待して、次に入ります。  次に、私学年金は、きのう多賀谷委員からも言われた歴史的な経過もありますけれども、果たしてこのまま私学、農林が存続をしていく形態がいいのかどうか、この辺でやはり厚生年金等と統合をしていくことも考えられるのではないかという気もしないではないのであります。それでも細々とやっていくのも一つの道だと思います。しかし、いずれにしてもそういう状況には来てないと思いますけれども、私学の中にも、めちゃくちゃで、入っている大学もあれば入らない大学もあるといったようなことで極めて強制力が弱い。こういうようなことも含めて考えますと、恩讐のかなたにという言葉はありますけれども、歴史はさておき、ともかく当面の年金統一に向けてまず一歩進める段階ではないのかと思いますが、文部並びに農林、お答えをいただきたいと思います。
  65. 松永光

    ○松永国務大臣 私学共済につきましては、先生よく御承知のとおり、我が国の学校教育の中で果たしている私立学校の大きな役割にかんがみまして、私学の教育を振興することが我が国の学校教育を大いに振興することになるわけでありまして、そのためには、私学に働いていらっしゃる職員の処遇を安定的にすることが私学の振興、したがって、我が国の学校教育の振興になるということで、昭和二十九年から制度が発足したわけであります。  そして、この私学共済は、先生御承知のとおり成熟度の極めて若い制度であります。しかし、全体として公的年金の一元化ということが決められておりますので、給付と負担の両面で調整を進めていくわけでありますが、その過程で、私学共済については、そうした全体の方向を踏まえながら、同時に私学共済の果たしておる私立学校教育の振興に極めて大きな貢献をしているというそのねらいを損なうことのないような形で今後検討してまいりたいと考えておるわけであります。
  66. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 沢田先生にお答えいたします。  農林年金は、先生御存じのとおりでございますが、昭和三十四年、厚生年金から分離独立した制度でございます。  実は当時、厚生年金給付水準というのは、公務員共済組合制度給付水準比較しまして相当大幅な差異が生じておりましたため、厚生年金適用の農林漁業団体職員は、同一地域におきまして共済制度が適用されている市町村職員との間に福利厚生面で不利な状況にあり、優秀な人材の確保に支障を生ずるという事情がございました。そこで、農林漁業団体職員につきましては地方公務員と同等の福利厚生面の充実を図ることとして制度創設をしたものでございます。近年におきましては、数次の改善を見まして、地方公務員及び国家公務員共済と全く遜色のない農林年金制度となっております。  このような農林年金制度の発足の経緯及び沿革等から、農林年金の果たす役割は今後ともますます重要なものとなると考えており、公的年金一元化の中で制度間の給付と負担の均衡を図っていく必要はございますが、農林年金制度の育成については一層の努力を尽くしてまいりたいと考えております。
  67. 沢田広

    ○沢田委員 簡単に答えていただきますが、では農林も当面厚生年金等というようなものと一緒になる意思はない——首を縦に振っているからそういうことだ。文部大臣も、成熟度がまだうんと低いから、これもまた当分は一緒になる意思はない、こういう考え方だ。これは文部大臣と農林大臣だけの見解ですか、それとも年金担当大臣厚生大臣も了承された上の話ですか。
  68. 増岡博之

    増岡国務大臣 昭和七十年度に向けて公的年金の一元化を計画いたしておるわけでございまして、さしあたり今回の共済年金法の改正を行いますと、基礎年金が導入されて、一部一元化がされるわけでありますけれども、それができました暁には、もっと突っ込んで給付と負担との公平あるいは制度間の調整等をなすべきことでありまして、先生指摘のことは今後の一つの大きな課題になると思っております。
  69. 沢田広

    ○沢田委員 もう一つ簡単に聞きますが、文部と農林、一緒にならない。それは七十年になっても一緒にならないという意味ですか、それとも七十年になったら一緒になってもいいという意味ですか。それだけちょっとお答えください。
  70. 松永光

    ○松永国務大臣 今回の法案の成立によりまして給付面では一元化されることになるわけでありますが、負担の面での調整をどうするか、その点今後検討を進めてまいらなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。     〔越智委員長退席、戸井田委員長着席〕
  71. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 沢田先生にお答えいたしますが、農林年金につきましては、公的年金一元化の方向を踏まえつつ、農林年金制度の沿革等も配慮して、農林漁業団体職員の人材確保を図るというねらいが損なわれないよう万全を期してまいりたいと考えております。
  72. 沢田広

    ○沢田委員 厚生大臣、今の答弁で七十年には一緒になりそうだと感じましたか、それともそうは問屋が卸しそうもなさそうだと感じましたか、どうですか。
  73. 増岡博之

    増岡国務大臣 それぞれ一定の条件が満たされれば、一緒になろうというお気持ちではないかと思います。
  74. 沢田広

    ○沢田委員 じゃ、それでわかりました。  続いて、これは大蔵大臣と自治大臣にお伺いします。自衛官の五十五歳の支給は、特別の一定の組合員が特別の利益を得る、こういうことになるわけでありますから、当然他の組合員が負担をしていくべき性格ではなくて、大蔵大臣の言葉で言えば全国民的なという言葉になるのかどうかわかりませんが、少なくとも五十五歳から六十歳までの分の費用の負担は国が負うべきものではないのかというふうに思われますが、その点いかがですか。
  75. 門田實

    門田政府委員 ちょっと専門的でございますので、私最初にお答えいたします。  自衛官の問題は、沢田先生指摘のようなところが確かにあるわけでございます。したがいまして、勤務に伴う特殊性から定年が五十歳から五十五歳、こういうことがあります。  そんなことがございまして、今回の改正でも支給年齢は五十五歳、それから減額退職年金制度は存続、こういう特別の措置を講じていますが、その年金収支につきましては、自衛官の場合は自衛官だけでやっておる、こういう状況でございますから、確かに年金制度上は今後の成熱化に伴いましてだんだんと大変になってまいるという問題が基本的にあるわけでございまして、今後、そこのところはそういった自衛官の定年制あるいは定年後の就職の実態、そういうことをいろいろ考えまして、あるいは自衛官の人事制度、そういう側面から考えていかなければいかぬ問題だ、こう考えております。
  76. 沢田広

    ○沢田委員 これは政治の話ですから、事務的な答弁じゃない。一般は六十歳に全部引き上げられました、特定の者は五十五歳から支給されます、その五十五歳から支給される分の損金についてだれが負担をすべきかということの意味なんです。だからそれは六十歳までは国の方で負担をしていくというのが当然の義務ではないのか、それを一般の他の組合に負担をさせるということは妥当性を欠く、こういうことになるのではないかということで、大蔵大臣その点の見解を、担当大臣ではないですが、予算編成の上では大いに影響するわけですから、お答えをいただきたい。
  77. 竹下登

    竹下国務大臣 まずとりあえずは今門田審議官からお答えしたわけでありますが、最終的には、人事制度上の問題という角度からこれは検討しなければならぬ課題だと思っております。したがって、そういう関係者みんなでこれは相談しなければいかぬ課題だという問題意識を持っております。
  78. 沢田広

    ○沢田委員 詰めた話で申しわけありませんが、要すれば、五十五歳という制度政府で決めた。私は五十五歳でなくても、まだ自衛隊の中でも働けると思うのですよ、もしこのままだとすれば。だけれども、もし五十五歳でそれを制度として決める以上は、それはやはり決めた側の責任において処理する、こういう原則は間違いないのだろうと思うのです。大臣、もう一回、再確認でありますが、そういう理解をしてよろしゅうございましょうか。——時間がないですから、次の問題の方に行って、その間考えてもらいますが……。  運輸大臣、きのうまでいろいろ国鉄年金問題が俎上にのりました。一応これからの六十一年三月以降の減員対策、これをとにかく発表していただけませんか、六十四年末までで結構です。
  79. 山下八洲夫

    山下国務大臣 国鉄改革の実現のためには、民鉄並みの生産性を前提とした効率的な要員配置となることが不可欠でございます。したがいまして、国鉄再建監理委員会意見では、これに関しまして昭和六十二年度の頭首における国鉄の在籍職員数を約二十七万六千人と想定をいたし、このうち二万人については新経営形態移行前に希望退職による減員を目指しております。  したがって、昭和六十二年度の頭首における現在員は二十五万六千人となりますが、このうち二十一万五千人は新事業体に移籍し、残る四万一千人は、国鉄の清算業務等を行う旧国鉄において新経営形態移行後三年間を限度として再就職を図る、こういうことにいたしております。このような対策が講ぜられた後における昭和六十五年度頭首における職員数は二十一万五千人となる見込みでございます。  以上のような意見の趣旨を踏まえて、現在具体的な要員計画等の作業を国鉄において行っているところでございます。
  80. 沢田広

    ○沢田委員 そうしますと、来年の二万人の退職者が平均二百万円の年金を受領すると仮定すれば、ここで四百億。これは六十一年末から六十二年、六十三年、六十四年、こういうことで、まあ三年とすれば千二百億が六十四年末まで、言うなら損金的に計上される。それから六十五年に四万一千、大体千二百億と想定される金額が六十五年度に発生をする、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  81. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、まず二万人の希望退職を募集いたしますが、ただ、その二万人の希望退職にっきましては、どの程度の年齢層を対象にするかということはまだ現在作業中でございます。したがいまして、その年齢層によって退職金の額が違いますが、おおよそ平均的に先生が御計算になったのであればそれに人数を掛けた分、おっしゃるようなことだと思います。  さらに、その後、四万一千人、清算機関である旧国鉄で退職をいたしますが、その退職金にっきましても、その年齢層によりますけれども、それに平均額を掛けた額、それは必要な退職金として計上すべきと考えております。
  82. 沢田広

    ○沢田委員 そうすると、大体今言った金額は、現在四千三百億か四百億の積立金があって、住宅貸付で千百億、それから債券で大体千百億、これがあるとして、残りの千八百億は、最悪の場合は使うことは可能である、こういうふうに解釈してよろしいですか、運輸大臣
  83. 山下八洲夫

    山下国務大臣 今のお話は年金でございますか、先ほどは退職金でございましたが……(沢田委員「年金」と呼ぶ)年金はそのように御理解いただいて、おっしゃるとおりだと思います。
  84. 沢田広

    ○沢田委員 そうしますと、いわゆる年金積立金四千億の中で、例えば六十五年にはもう新しい財政調整に入ってしまう。そうすると、六十四年までの損金としては、一千百億の債券を例えば大蔵省あたりが肩がわりしたとすると、一番高い金利が九・四ですから、一千億を肩がわりしたとすれば、九十四億分の利子を大蔵省が考えればおおむね年金の支払いには支障はない、こういう状態が生まれるような気もしますが、大臣はどうですか、自信はおありでありますか。(山下国務大臣年金は大蔵省が……」と呼ぶ)では大蔵省、お答えください。
  85. 門田實

    門田政府委員 今沢田先生から、一つのアイデアでお話があったと思います。お話はそういうことであろうかと思いますが、借入金といいますかそういう形でしのぐというようなことが実際に適当かどうかとか、利子相当分を国庫で見ることが適当かどうかとか、そういった問題がございますが、沢田先生の一つのアイデアであろうという感じはいたします。
  86. 沢田広

    ○沢田委員 極めて現実的な対応を迫ったわけでありますが、不十分さは免れませんが、次の問題に行きます。  運輸大臣、公安員の処分は——公安員の処分と言うと悪いんですが、公安員の処遇は、地方警察に移管をするというふうに聞き及んでおりますが、これはそのとおり理解してよろしゅうございますか。
  87. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先生お尋ねは鉄道公安官のことだと存じます。鉄道公安業務につきましては、監理委員会の御意見によりまして警察関係の方に移管をするということで、ただいま関係方面と折衝中でございます。したがいまして、それに伴いまして所要の要員は警察の方に移管していただけないかということで、現在検討中でございます。
  88. 沢田広

    ○沢田委員 では、続いて標準報酬ですが、自治大臣、地方団体は平均率を適用するようになりました。これはどういう理由ですか、ひとつ簡潔にお答えいただきたいのです。
  89. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 今の取り扱いを異にしておるということでございますが、地方公務員共済の場合は、地方団体が三千三百ありまして、その間によりまして手当が区々であるということ、支給状況にも差がある、そのためにそれを年金に反映させると、同種の職務の地方公務員の間で公共団体によって大変違いが出てくるというような結果になるわけでございます。したがいまして、平均給料月額は、給料に公務員平均的な手当の率を勘案した補正率を乗じた額の全期間の平均の額とすることとしております。国家公務員厚生年金と違う点は、今申し上げた理由からでございます。
  90. 沢田広

    ○沢田委員 これは大蔵大臣の方の国家公務員関係も同じなんであります。どこからどこまで違うか、どの程度の違いをもって違うと言うか、これはいろいろ解釈上はあると思うんですね。ですから、片方が標準でいくとすれば、それはまた標準にしたなりの矛盾も出てくるとは思うのです。しかし、今の自治体関係がそういう措置を講じたとすれば、当面は国家公務員関係も同じ方法を採用して、そして全統一というような状況のときにその中身検討するというのが道筋ではないのか、こういうふうに思いますが、まず大蔵大臣から聞いて、厚生大臣にお伺いしたいと思います。
  91. 竹下登

    竹下国務大臣 御案内のとおり、たばこ、電電、これは民間になった。そうすると、方向としては厚年に合わせるということの方が一番近いのじゃないか、こういう判断に基づいたというふうに御理解をいただきたいと思います。
  92. 沢田広

    ○沢田委員 これは大蔵だけの問題でしたら後でまた大蔵委員会でゆっくりやりますが、厚生大臣、どうですか。例えば自治体はそういう方法をとった、国家公務員の方も同じ方法をとるということは、厚生大臣としては望ましいことですか、望ましくないことですか。
  93. 増岡博之

    増岡国務大臣 それぞれの年金制度の過去の歴史、特殊性からそういう問題が発生しておると思います。しかし、将来の年金一元化の方向に向けましては、そういう問題も調整する必要があろうかというふうに思います。
  94. 沢田広

    ○沢田委員 人事院総裁は直接これには関係はないのだと思うのでありますが、手当の問題はどこにも起こり得る問題だろうと思うんですね。それを自治体は一つの割合でいくことにした、国家公務員の方は電電と専売を理屈の中に含めておりますけれども国家公務員の中でも多種多様なんですよね。それを今度は個々にやるということの是非、あなたは、人事院の給与を担当する立場から見て、標準報酬の位置づけはどうあった方が望ましいとお考えになられますか。
  95. 内海倫

    ○内海政府委員 いろいろ申し上げればいろいろな考え方はございますが、簡潔に申し上げますと、やはり現在の公的年金というものの一元化への大きな流れ、それから安定というふうなことを考えますと、国家公務員の場合、厚生年金に歩調を合わせていくということも、私はまあ納得せざるを得ない方向かと考えております。
  96. 沢田広

    ○沢田委員 人事院総裁、明快な御答弁で、次の勧告のときにはきちっとそういうふうな勧告をしていただきたい、こういうふうに願って、次に行きます。  職域年金なんですが、これは、人事院総裁は関係ないというふうにきのうは答弁されたような気がしますが、そういうことですか。
  97. 内海倫

    ○内海政府委員 法案作成自体には直接的な関与がございませんので、法案そのものについては私どもは関与いたしませんが、法案に至るまでのいろいろな、職域年金というものを設けてほしい、あるいはそういうものがぜひ必要である、これは国家公務員の人事管理という側面から、あるいは公務員制度の側面からぜひしてほしいという意味合いでの要望はいたしてきております。したがって、それが実現したことを私どもはやはり非常に納得しておるところであります。
  98. 沢田広

    ○沢田委員 ぼそぼそ言っているものですから、さっきも聞き間違えをしたようでありますが、今度の自治体がとった措置と同じ方向で勧告してほしい、こういったような意味で私は申し述べたつもりです。厚生年金並みというようなことをあなたも言われておったようですが、その点、私が聞き違えでしたら、あなたの考えは間違っている、こういうことを言っておきます。ぼそぼそだったからちょっと聞き漏らした感があったようであります。地方自治体がそうするならば、国家公務員も標準報酬は一律比率でとりあえず適用しておいて、そして一本化のときに一つの方向で処置する、こういうことを大蔵大臣、ひとつ要請しておきます。自分の意に反する、反しないは別です、とにかくこの制度はそういう措置をとってほしい、こういうことであります。  続いて、職域年金の方は、二百万の年金で、大蔵大臣、幾らになると思いますか。月に大体幾らになりますか。
  99. 竹下登

    竹下国務大臣 二十万円として、八%ですから一万六千円、こういうことであります。
  100. 沢田広

    ○沢田委員 この前にも言いましたが、連合審査の中ですから余り細部には触れませんけれども、私の結論を言えば、最低三割はあっていいのではないのか。三十年、四十年、その勤務の間身を引き締め、いろいろな公務員法に縛られて生活をしていった代償として得るのには、若干今のままでは少な過ぎる。答弁はいいです、恐らく食い違うのだろうと思いますから。また簡単に私の言ったとおりにしますともここでは言えないでしょうから。とにかくそういう強い要望があったということをひとつ頭の中に入れておいていただきたい。  次に、国家公務員災害補償法それから労働者災害補償法、それから地方公務員にも災害補償法がありますし、恩給のいわゆる災害基準もある。これは労働大臣ですか、労働基準局長が来ていますが、これをとにかく統一する必要があるということを今言いたいわけです。国家公務員の方の災害補償法、それから恩給でいう等級、同時にまた労災でいう等級が皆まちまちなんです。皆まちまちであったのでは、同じ三等級で免税になる人もいれば課税される人もいる、あるいはひざから上の入る場合もあればひざから下切断も入る場合もあるしということで、極めてまちまちなんです。とにかくこれの統一化に向けて対応していただきたい。どこの省が担当するかわかりませんが、恩給法でいう災害、それから国家公務員災害、労災、こういうものについて御検討いただきたいと思いますが、ひとつ一括してどこかの大臣が責任を持って御答弁をいただきたいと思います。  以上で私の質問を終わります。
  101. 小粥義朗

    ○小粥(義)政府委員 お答えします。  いわゆる災害補償関係の法律に基づく障害等級のずれがある点については、今後ないように努力してまいりたいと思っております。
  102. 沢田広

    ○沢田委員 事務当局の答弁では困ってしまうんで、やはり政府答弁としてもらいたいのです。今の答弁どおりですなら今の答弁どおりですということで、大蔵大臣厚生大臣が責任を持って答えてください。
  103. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的に年金では合わせましたが、ただいまの労働省のお答えがありました分にっきましては、労働省のお答えの線で我々も協力していく。担当でないものですから、大体その辺が答弁の限界かな、こんな感じでございます。
  104. 沢田広

    ○沢田委員 了承したものではないということを念を押して、終わります。
  105. 戸井田三郎

    ○戸井田委員長 加藤万吉君。     〔戸井田委員長退席、越智委員長着席〕
  106. 加藤万吉

    加藤(万)委員 門田審議官、きのうの国鉄共済財政再建計画、やがて、この国会で審議中に出されると言われました。これに対する金、いわゆる不足する財政調整額、おおむね今の国公共済その他からの支援を四百五十億、プラス単年度で七百億ないし八百億、総額で約四千億、これは、先ほど運輸大臣がおっしゃいました二十一万五千人の体制に入る際にそれぞれに必要な退職年金額の不足類、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  107. 門田實

    門田政府委員 国鉄共済年金制度全体の収支の中で現に三共済から補てんを受けているそういう額があるわけですが、なおかつ収支全体の中でそれだけの不足が生ずる、こういう意味でございます。
  108. 加藤万吉

    加藤(万)委員 国鉄全体の共済の収支の中でなおかつそれだけのものが生ずる、これは当然のことですが、二万人の希望退職あるいは四万一千人の配置がえの問題を含め、それに必要な退職年金額として総体として必要だ、こういう理解でいいですね。いま一遍答弁してください。
  109. 門田實

    門田政府委員 国鉄の方が退職されていくという場合に、年金共済上そういうことになるということでございます。
  110. 加藤万吉

    加藤(万)委員 運輸大臣、先ほど、鉄道公安官を警察に移行したい、身分移管をして吸収する、自治大臣は国家公安委員長でもありますから自治大臣にお聞きしますが、もしそういうお話があったときには、自治大臣としては引き受けるといいましょうか、お話に十分乗っていく、こういうお考えでございましょうか。
  111. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 鉄道公安官は、制度そのものは都道府県警察において引き継ぐということになっておりますので、人数全部取れるかどうかというような点については今後関係省との打ち合わせが必要でございます。また、そういう方たちの年金をどういうふうにするかということもいろいろ問題はございますが、私の方としては、鉄道治安を守るために必要な人員は確保したいということで今検討を進めておるところでございます。
  112. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、三千人の人ですね、仮に年額五百万にしまして約百五十億、私もう少しかかると思うのですが、事業主負担がありますから、したがって、仮に六十一年度から鉄道公安官の警察への身分移管ということが起きますと、当然予算上の措置がなされていかなければならぬわけです。  さて、いま一つ、きょうは共済問題ですから共済問題に関連して言いますと、これだけの人が国鉄共済から地方共済に移るわけです。仮に六十一年度に身分移管がありまして、六十二年度に、いろいろな事情があったりして死亡ないしは退職する、こうなりますと、この年金の支払い窓口はどこになりますか。
  113. 門田實

    門田政府委員 地方公務員共済になられた後の話でございますから、これは地方共済組合ということになります。
  114. 加藤万吉

    加藤(万)委員 地方公務員共済が払うわけですよ。例えば勤続四十年としましょうか、地方共済に二年いた、その場合のその人の退職年金は地方共済の会計で払うのです。どうでしょう。先ほど門田審議官は退職時における国鉄共済年金赤字が三千億から四千億、大ざっぱにおっしゃいました。身分移管をして三十八年分のこの共済年金の積立額に相当するものはこの債務額には入っていませんね、門田審議官の話を聞けばそのとおりになるわけです。当分の間、国鉄共済国鉄共済全体、仮に分割になろうと民営になろうと国鉄共済は一本でやる、こういうことが決まっています。しかし、その人の身分が地方共済に移った場合には、一体この間のお金はどこが払うのでしようか。仮にその人の勤続年数が四十年ありまして、二年間は地方共済、三十八年間は国鉄共済、こういった場合、共済を支払う窓口は地方共済の窓口ですから、この積立金はないのです。先ほど我が党の沢田議員から、四千四百億の積み立て残があるからそれを流用すれば二万人の分は利子を加えて足りるじゃないかという話がありましたけれども、これは少しこっちにおきます。おいたにしても積立額もゼロです。一体このお金はどうするのでしょうか。
  115. 竹下登

    竹下国務大臣 積立金は移管をしなければならぬ、それを私どもがこれから検討しなければならぬのは、支給開始時に移管するのかあるいは身分が移ったときに移管するのか、それはこれからの検討課題であるというようなところまでは私の念頭にございます。
  116. 加藤万吉

    加藤(万)委員 農林大臣、農林共済年金厚生年金から農林共済年金に移動しましたね。その際には、農林共済年金に移った人は厚生年金の被保険者だったのですよ。これは積立額はそのまま移動しましたね、どうですか、答弁してください。
  117. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 加藤先生にお答えいたします。  厚生年金から分離する際、昭和三十四年一月現在において農林漁業団体に勤務する者については、昭和三十四年前の厚生年金からすべて農林年金の組合員期間とみなして年金額算定の基礎期間としております。したがって、農林漁業団体の職員が厚生年金に支払った保険料相当額は農林年金に移管しております。
  118. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、今お聞きのとおりです。身分を移管したときには厚生年金は金を払っているのです。大臣何ですか、給付時にやるかあるいは身分移管時にやるかはこれから検討だ、こう言うのです。筋が通らぬじゃないですか。しかも、先ほど言いましたように三千億ないし四千億は退職時における退職年金の必要額、不足額ですよ。プラスの身分移管に伴う国鉄年金積立金の移動というものがこれに含まれなければならぬのですよ。鉄道公安官三千人ですね。気象庁では、最近何か百人ほど引き取るという話です。これは国家公務員共済年金です。きょうの新聞では、後藤田長官が各官庁それぞれ国鉄の人を無試験で採用しなさい、こうやっていますね。川崎の市長などは、地方自治団体でもこれを受け入れでもよろしい、いわば国鉄の救済策というものを、非常に手広く全体で、人の面では考えようとしているわけです。お金の面ではどうなるのですか。どこかの会合で山口労働大臣が大分言われたそうですけれども、地方団体はどうも国鉄の人員の引き取りについて非常に不熱心だ。不熱心じゃないのですよ。裏づけをする財政措置が何らなくして、地方団体が、そうですか、受け入れましょうと言うわけにはまいらぬでしょう。私はまず第一に、昭和六十四年度までにおける国鉄債務額が単年度で七百億から八百億、通年で三千億から四千億、プラスの今言った分が含まれていかなければいけないと思うのです。それをいつ払うかは別ですよ。これは大臣、これからいろいろやりとりしましょう。しかし、その分が含まれて昭和六十四年度までの国鉄共済財政再建計画というものはつくられなければ、これはつじつまが合いませんよ。大蔵大臣、どう思いますか。
  119. 門田實

    門田政府委員 今御指摘をいただいていますのは積立金の問題でございます。先ほど御答弁申し上げましたように、単年度の収支という話と積立金の増減の話と若干次元は違うわけですが、もちろん積立金が減少しますと経理的にも困難を生じる問題でございます。  この問題は、先ほど大臣から答弁がありましたように、移しがえをしていく問題を今後のいろいろな問題を検討する関連で考えていかなくちゃいかぬ、そういう性格のものだと思います。
  120. 加藤万吉

    加藤(万)委員 門田さんはすばらしいベテランの筋の方だと私は思いますよ。ですから、私は最初に念を押したのです、このお金は退職年金に必要額ですか不足額ですか。そうですという答えです。あなたほどの人ならば、身分移管が起きる際にこの積立額の移動というものは当然加味されていかなければならぬということは考えられることじゃないですか。二十一万五千の体制に入るまでにも、もう六十二年度に支払いが起きるかもしれぬのです。あるいは身分移管に伴って、仮に死亡したとすれば地方共済がその分の遺族年金を払わないわけにはいきませんよ。したがって、それは地方共済の窓口で払う。しかし、そのあとの分はどうしてくれるんだという答えが出てこなければ、この二万人、四万一千人をそれぞれの職場へ就職をあっせんしようとしても受け入れ先がちゅうちょするんじゃないでしょうか。どうでしょう大臣。  私はこれ以上この問題だけを詰めませんけれども、これはきのうの官房長官答弁にありました国鉄共済の再建計画というものの中に当然含まれて検討され、この法案が審議をされる間に、一定の結論を、きのうの大原質問に対する答えに含めて私はお答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  121. 竹下登

    竹下国務大臣 積立金の移管の問題は、確かに身分移管のときに持っていくか、あるいはそれが発生したときに、四十年なら二対三十八で案分するか、それはこれからの議論でございますが、今おっしゃいましたのは、国鉄共済の問題について大原さんに答弁をした、本院における審議中にお出ししますと言ったものの中に含めろ、こういうことでございます。検討はさせていただきますが、どこまで実際出るかということは、まだ会合をやっておりません私も本当はこの辺までかなという勘ごろが全くないわけではございませんが、一人で突っ走る話でもないし、今の意見は十分検討させていただきます。
  122. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大臣、おっしゃるように、年齢はどのくらいの人が行くのか、あるいはどのくらいの勤続年数を持った人が行くのか、さまざま内容は違いますから確定したお答えの数字は出ないと私は思うのです。しかし、その問題の処理についてはこういう方向を持ちますよということぐらいは、きのうの大原質問に対する答えとして出てくると思うのです、こういう方向で将来的には処理しますという方向性の問題は。四千億の中にプラスアルファでこういう要素もありますよということを頭に入れて、そのことを含めて将来的な展望はこうなりますよということはぜひ求めておきたいと私は思いますので、念のために申し添えておきたいと思うのです。  さて問題は、それでいきますと、昭和六十四年度までは、例えば具体的に出ている鉄道公安官だとか気象庁への就職だとか転職だとかありますが、六十五年以降です。厚生大臣、きのうからずっと出ておりますように年金一元化の問題ですね。先ほどの答弁にもありました農林年金あるいは私学年金が、厚生年金と、給付の面であるいは基礎年金の面で、基礎年金は共通のレールが敷かれたわけですから、一元化の方向に向かい、そしてやがて掛金でも一元化の方向に向かう。どうですか、六十五年以降、国鉄問題もここに起きますが、同時に郵政、たばこでも、それぞれの共済でそれぞれ限界が来るわけですね。  さて、こうなってまいりますと、七十年の年金一元化という問題は、財政問題を含め、まさにいわゆる公的年金一元化の方向に行くんじゃないでしょうか。そうなりますと、結果的には厚生年金の財源をどうプールをするかという問題にいやが応でも突き当たるのですね。きのうの多賀谷質問で、今厚生年金の積立額約四十九兆円、やがて基礎年金の一私は厚生年金と国民年金の基礎年金の統一問題は、いわば厚生年金側から見れば国民年金側の財政調整。国民年金が御案内のように保険者給付者とのバランスが、相当成熟度が高くなったわけです。しかも、厚生年金の方の成熟度はきのうおっしゃいましたように一一%前後ですから、これを合わせることによって分母を多くし分子を相対的に少なくする。そこで、国民年金財政を調整するという役割を果たしたと思うんですね。しかし、六十四年度以降になりますと、国鉄共済に見られたような形がたばこや郵政の共済の関係で出てくることは明らかですね。だれしもが指摘しているわけです。こうなってきますと、給付と掛金の一元化と同時に、財政一元化という方向をとらざるを得ないんじゃないでしょうか。どうですか、厚生大臣
  123. 増岡博之

    増岡国務大臣 私どもは、今国民年金財政状態がそう悪くなっておると思いませんので、基礎年金を導入いたしましたのは、全公的年金の一元化を図る要素をつくっておこうというわけでございます。  また、御質問積立金の問題につきましては、これが今後各公的年金が統合されるのかあるいは財政調整で終わるのかという結論も出ておりませんので、今にわかには申し上げにくいと思いますけれども、しかし、御指摘の趣旨は、方向としてはそういう方向に行くべきものというふうに考えております。
  124. 加藤万吉

    加藤(万)委員 厚生大臣、正直な答弁だと思うのです。そういう方向に行かざるを得ないだろうという答弁は正直だと思うんですね。  農林大臣それから文部大臣、先ほど厚生年金との統合というのは当分考えていませんということで首を縦に振っていらっしゃいましたね、私どもの沢田さんの質問に対して。それは、報酬比例部分に対しての独自性の給付として残すということなんですよ。しかし、やがては財源まで含め、その報酬比例部分に対する給付額も給付の方法もできる限り厚生年金べースに合わせて、今度の場合もそうですけれども、やがて財源も含めて一元化の方向というものを、厚生大臣がおっしゃいましたように、将来的には見定めなくてはなりません。そういう要素が多分にありますということなんですよ。  さて、そうなりますと、大蔵大臣が、国鉄共済担当大臣としてではなくして、予算編成をされる。やがてはニューリーダーとして大変高い位置につかれるとも新聞に出ていらっしゃる方ですが、その時期において、厚生年金財源にどのように各共済年金がかかわり合いを持つのか。三千万の厚生年金保険者が、あのときにだまされたという印象を持ちながら、もし財源のプールがあるということになりますと大変ですね。  私は、昭和十七年から実は厚生年金に入っておる一人です。私はこう思いましたよ、六十歳で厚生年金をもらえる、こう思いましたら、今度は六十五歳になってしまいました。率直に言って、何か私が持っていた期待感というものが裏切られたような感じです。さらに、厚生年金は、きのう多賀谷議員が申し上げましたように、脱退一時金その他が多くて、結果的には積立額が非常に多くなった。この間の年金を受給できない人もたくさん出てくる可能性もあるわけです。そういうものの結晶としての今の積立額なんですね。それに各共済年金やいわゆる年金統合という合理化、一元化という中で手がつけられていくわけです。そうなってまいりますと、厚生年金の被保険者側からいけば、潜在的な負担、債務負担を今の時期に了承を与えるということになるのですよ。あるいは暗黙のうちにその分まで了解を得るということになる。これは大変なことですね。先ほどの国鉄職員の人の身分が移管になり、同時にそれが共済間の組合員の移動になった場合にも、けじめをきっちりつけませんと、地方共済で受け入れた側がそんなはずではなかったということでは、これは大変なことになるのです。  同じように、七十年の年金統合化の長い視点から見まするならば、このときに、いわゆる公的年金一元化という問題はどういうけじめで給付と掛金と同時に財源の一元化に向かうかということに対する政府の基本的な方針がなければ、国民の中には不信感が増大しますよ、年金に対する期待権あるいは財産権に対する侵害として。もっと言葉をつづめて言えば、政府に対する大変な不信問題が起きてくるのじゃないでしょうか。  私は、実は総理がいらっしゃったときにこの面だけはしかとお聞きしておきたかったのです。しかし、少なくとも国の台所を預かる大蔵大臣ですから、この視点を抜きにしてこれからの一元化という問題を考えられますと大変なことになりますので、財政を扱う大蔵大臣としての見解をこの際求めておきたい、こう思います。
  125. 竹下登

    竹下国務大臣 公的年金のいわゆる給付と負担のほぼ一元化ができる、そうすると、今度はいわば積立金の問題でございますが、理屈から言えば、厚生年金といえども積み立て不足ということが言えると思います。  いずれにしても、成熟すれば後世代への負担転嫁ということになるわけでありますから、したがって、そういう今御指摘なさった問題も十分念頭に置いて今後の検討課題ではなかろうか、こういうふうに考えております。
  126. 加藤万吉

    加藤(万)委員 申し上げるまでもありませんが、大変重要な問題で、私はこの部分を隠ぺいしたまま、公的年金一元化の方向というものを単なる共済法案の審議あるいは一つの年金制度審議に置きかえてはいけないと思うのです。そういうものを求めるとするならば、結果的にではありますけれども、基礎年金という制度をどうするかということにおいて初めてコンセンサスが成り立つ、こう思うのです。三分の一の国庫負担じゃなくて、基礎年金部分は社会保障制度として国の財政の中で見ていきます、そういう基本方針の中に−あるいは税という問題にかかわり合いを持つかもしれません。そういう中で、基礎年金部分を非常に拡大をする中で他の部分に対する財政的な統合という問題が考えられていく、私はこう思うのです。そういうことなしに、先ほどの国鉄共済の破綻のように、次に起きるであろう財政破綻を積み立てされている金の中でコントロールしてやろうという方向では、余りにも施策に欠ける、こう思いますので、改めて注意を喚起をしておきたいと思います。  次に、スライドの停止問題について二、三お聞きをいたしたいと思います。  今回の改正の主要な点は基礎年金の共通なルール、土俵をつくるということと、いま一つは、各共済年金それぞれできる限り厚生年金のシステムといいますか、それに準拠する形をとりながら移行していこう、やがて報酬比例部分については厚生年金計算ないしはそういう方法で一元化しようという方向にある、こう私は見ているわけです。そのほか従来の一般方式を通年方式に変えた計算方式もというような視点その他もありますけれども、大きく言えばその二つではなかろうか、こう思うわけであります。  そこで、厚生大臣、これは事務担当官の方で結構ですが、厚生年金年金額の改定は物価スライドによって行いますね。五年ごとの計算期間におきましては、その物価スライドにそれぞれの賃金上昇、条件等加味して財政計算を行う、こういうふうに私は理解しておりますが、間違いございませんでしょうか。
  127. 吉原米治

    吉原政府委員 原則として各年度物価スライドをするということになっておりまして、五年ごとに財政計算をして五年間の国民生活あるいは賃金水準の変動というものを見て水準の見直しをする、こういうことになっているわけでございます。
  128. 加藤万吉

    加藤(万)委員 年金局長、五十九年に二%、それから六十年度に四・三%、それぞれ年金額の引き上げがございましたね。これはどういう要素ですか。
  129. 吉原米治

    吉原政府委員 従来、各年度ごとの物価スライドといいますのは五%以上物価が上がったときにそれにスライドをして年金額を上げる、こういうことになっておったわけでございます。したがいまして、その原則から申し上げますと物価が五%上がらなかったときは年金額は当然には上がらない、こういうことになっていたわけでございます。五十九年度、それからその前の年もそうでございますけれども、消費者物価の上昇率は五%以下であったわけでございます。したがいまして、法律上は物価スライドの必要性はないわけでございますけれども公務員の給与改定がございましたし、それに見合って共済なり恩給の金額が引き上げられたわけでございます。したがいまして、厚生年金、国民年金についても特例的にそれとバランスをとった引き上げをした、こういうことでございます。
  130. 加藤万吉

    加藤(万)委員 そうなんです。厚生年金もその他の事情によって上げられたのです。物価だけではないということがこれで実証されました。  さて厚生大臣、六十一年度恩給は引き上げられますか。今年度、人事院勧告が五・七四ですか、上がりましたね。恩給はどうですか。
  131. 増岡博之

    増岡国務大臣 恩給は所管外でございますので
  132. 加藤万吉

    加藤(万)委員 六十年度も上げられたわけですから、恩給法の改正がない限り、従来どおりということでいけば恐らく人事院勧告に見合う年金額の改定は行われるというふうに私どもは見るわけであります。  さて、こういう形で年金額の改定が行われるわけでありますが、六十一年の四月一日からは共済年金は御案内のように一般方式を全部通年方式に計算方式を変えまして、その額に至るまでの間は、その間はスライドを停止をする、こういうことであります。  私の計算に間違いないと思いますが、昭和五十年度を起点といたしまして昭和五十九年度までの賃金のアップ分は、五十年度を一〇〇にいたしますと五十九年は一七七、物価は五十年度を一〇〇にすると一五一です。すなわちその差は二六%あります。もし年金スライドが物価のみによって、その物価スライド分だけが上昇して通年方式が漸次年金額が上がって一般方式に到達するにはどれだけかかるか。三十年の勤続で三十五万円の人、これは自治省の資料では七・七%の差があります。さらに三十年勤続した人で四十万円の本俸の人は自治省の計算では一二・四%。私は五十九年度をとりましたから、五十九年度をとりますと、その差は八・九%、三十年で四十万円の本給の人は一二・四七%。いわゆる一般方式から通年方式に変えた場合にはそれだけの差があります。すなわち一二・四七%物価が上がりませんとその人はその間は年金の上昇がストップ、停滞をするわけです。足踏みをするわけです。仮に物価が二%ずつ上がりますと、今言いました四十万円の人は六年間そのまま停止です。仮に三十五万円の人ですと、私の計算では八・九%ですから約四年半このスライドによる停止が行われる、こういうことになるわけです。この計算の仕方、物価の上昇によるスライドでこの年金額に到達するというこの計算の仕方は間違いございませんね。  どなたか、公務員部長でもいいですよ。——公務員部長じゃないですか。共済年金共通の一般方式から通年方式に変えるところですから、どなたでも。
  133. 門田實

    門田政府委員 今回の共済制度改正一般に通ずるお話でございまして、そういう御趣旨だと思います。
  134. 加藤万吉

    加藤(万)委員 各大臣、お聞きのとおりです。  さて、問題はここですよ。これは物価だけです。先ほど言いましたようにその他の事情によって厚生年金は二%ないし四・三%上げました。五年ごとの再計算期にはこの賃金部分も含まれて共済年金の改定額は出る、いわゆる通年方式による改定額は出る。こうなりますと、物価の分プラスその改定の分が含まれてきますから、私は四年半とか六年と言いましたけれども、その部分は縮まりますね。短縮されますね。いかがでしょうか。
  135. 門田實

    門田政府委員 通年方式に裁定がえしました後、通常は物価スライドでございますが、お話しのように再評価といいますか、そういった賃金スライドの問題がございましてその期間が縮まると考えていいと思います。
  136. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、これは国公共済それから地共済全部共通のことですから。今言いましたように、物価だけではないのです。賃金の上昇その他の社会情勢によって五年ごとの再計算時期には改定されるのですよ。ですから物価が私が言いましたように二十何%差があるから、いや、これは十何年間も年金スライド停止だというのではないのです。この辺は政府側の宣伝も悪いですよ。みんなそう思っていますよ。思っていない人は、人事院勧告があったんだからおれは年金改定になるんだ、こう思っていますしね。そこで、今お聞きのとおり、五年ごとの再計算期には物価と賃金とあわせてそれぞれが算定をされて、年金額の改定になります。こういうことになるのです。  今度の共済年金、私は地共済しか見ておりませんから、地共済の法文「年金額の改定」、これは公務員部長お尋ねするところですが、私が読んだ方が早いですから言いますが、第一条の二に「この法律による年金である給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講じられなければならない。」こうなっています。  本当なら官房長官か総理に聞きたいところですが、この中には賃金という文字が入っていないのです。年金額の改定は、今言ったような経過をずっと見てまいりますれば、物価の上昇、賃金、そしてその他の事情、こうあるべきじゃないですか。今回の改正法案になぜこの賃金をカットしたのですか。どなたか責任ある答弁をしてください。
  137. 門田實

    門田政府委員 この条文の解釈といたしましては、私ども条文を広く解釈しておりまして、賃金を含んで解釈いたしております。
  138. 加藤万吉

    加藤(万)委員 どこに賃金を含んでいると書いてあるの、これ。だめですよ、そんなの。厚生年金と同じような給付水準に直そうというのでしよう。厚生年金の改定の段階で御案内のようにここに「賃金」という文字が入ったのでしょう、修正で。あれからもう何カ月たっているのですか。先国会ですよ。提起をされる新しい法案には、当然、物価水準賃金、そしてその他の事情と入るべきじゃないですか。入ってもおかしくないでしょう、今までの経過からずっと見れば。どうですか。総括した答弁をしてください。
  139. 門田實

    門田政府委員 ちょっとその間の事情だけお話しいたしたいと思いますが、私ども改正法案を国会に提出いたしました後におきましてそういう修正が入りましたものですから、そこまで手当てができていない、こういう事情がございます。
  140. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それでは、国家公務員共済法の第一条のところは私はきちっと読んでいませんから言いませんが、大蔵大臣どうですか。もし野党側から、あるいは本委員会で話があれば、もっともである、厚生年金と同じような一元化の方向に持っていくならば厚生年金と同様に変えるべきだ、このようにお思いになりますか、お答えをいただきたいと思います。
  141. 竹下登

    竹下国務大臣 この国家公務員共済組合法も、第一条の二で「この法律による年金である給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、速やかに改定の措置が講じられなければならない。」すなわち、我々が政策改定と、こう呼んでおりまして、その政策改定というものがあれば、スライドの追いつく期間も今おっしゃいましたとおり短縮される、こういうことでありますが、今おっしゃいますのは、私の方は、この「国民の生活水準」というものは、賃金水準動向等は当然読める、こう言っているわけですね。  今加藤先生は、それならやはりちゃんと書いた方がはっきりするじゃないか、それを修正の問題点としておれは気がついている、おまえどう思うか、こういう趣旨に私が勝手に解釈さしてもらうとすれば、それはその辺が恐らく与野党間でいろいろ御議論のある問題点の一つかなという程度の認識は私も持っております。
  142. 加藤万吉

    加藤(万)委員 各大臣お見えですが、各年金恐らく同じ条文だと思うのですね。これはやがてこれからどういう話になりますか、大蔵大臣も、与野党間で話のある一つの材料かなというお話でございました。私は突っ込んで、それならば、そうあるべきかなぐらいまで答えをいただきたいと思うのですけれども、各大臣全部お聞きのとおりですから、やがてこの問題が出たときには、そうかなということを、そうしなければならないという方向に変えていただきたいと思うのです。  とりあえず大蔵大臣、野党間で話が出る話題かなということからいま一歩進めて、そういう「賃金」という字をここに挿入する、そういうこともあり得るかな、こういうようにお思いですか、もう一遍あなたに聞きます。
  143. 竹下登

    竹下国務大臣 問題意識はあると私申したわけでございますが、やはり与野党間の話し合いの中に政府が予見を持って申し上げるというのは、国権の最高機関に対してはむしろ非礼ではないかな、こんな感じでございます。
  144. 加藤万吉

    加藤(万)委員 それでは、各大臣とも篤とひとつお聞きとめを願いたいと思うのです。特に、私は地方行政ですから、自治大臣、今の点はぜひひとつ。私は無理な要求をしているとは思いませんよ。それから、この計算の方式を明らかにすればするほど、これを入れることによって、スライド部分に対して非常な不安感を持っている人々の一つの窓口になりますよ。きっかけになりますよ。与野党間の話も当然あることでしょうから、ひとつぜひ受けて、閣議なりあるいはその他の段階では強力に私ども意見に対して御同調を願いたい、こう思います。  さて、先ほど職域年金の問題が出まして、大蔵大臣がおっしゃいましたように、まあわずかな金ではないかというお話、我が党の沢田さんからは三割ぐらいがというお話等もありました。  厚生大臣、この職域年金部分というのは、私は、年金制度としてこれを懲戒の対象にするというのはまさに制度上間違いだと思うのです。しかし、この議論はいま少し細かいところでやります。  職域年金部分は報酬比例部分の二割をとったというのは、大体厚生年金における七・五に対する二割。一方でいえば企業年金ですね。厚生年金基金、大体三割が最低ですから、それに見合うものとして実は職域年金部分が設定をされた、そういう説明の方が納得がしやすいのです。どうでしょうか。そう思いませんか。
  145. 増岡博之

    増岡国務大臣 官民格差を是正するという意味合いからいいますと、あるいは先生の御指摘のような言い方の方が納得しやすいのではないかと思います。
  146. 加藤万吉

    加藤(万)委員 私の言っている方が妥当性があるという御意見でした。大変御理解が深くてうれしいのですが、厚生大臣、その部分は最低限度三割となっていますね。私は、報酬比例部分に対して二割が少ないか多いかというよりも、今言ったいわゆる民間の年金、企業年金と相対応するものとしては三割、そのくらいの額が必要である、こういう意味で、大臣も大体そういう方向が見方としては正しい、いい、こういう見方をされていますから、そういう意味でひとつお受けとめを願いたいと思うのです。これは沢田さんの先ほどの質問に対して私の要望を含めて御意見を申し上げます。  さて、今度の共済年金の標準給料月額の算定の仕方です。  私は今ここに政令をいただきました。これは大変難しいですね。五年間の過去の賃金、これを出しまして、一定の係数を掛けて出します。それと、五年以前の勤続年数には一定の割り落とし率を掛けて出しまして、そして標準給料月額を出すのです。ここではそんなことを議論する必要はありませんが、どうでしょう厚生省、どなたか年金に詳しい方、細かなことですから、技術的なことですから。私はよく計算の仕方がわかりません。厚生年金は、昭和三十二年度に従来の厚生年金一万円以下を一万円に上げました。さらに、たしか五十二年度だと思いますが、インフレの状況がありまして、一定額を掛けて標準報酬月額を修正しました。この修正のカーブと、今度の五年以前の勤続年数に対する割り戻し率を掛ける率とは同じ算出の方法ですか。同じというか、同じカーブを描いた算出の方法ですか。これは中身はいいです。そういう方法なのかどうであるかということだけ教えてください。——ちょっと意味がおわかりにならないようですが、厚生年金の側から見てという言葉をつけた方がいいかもしれません。厚生年金の側から見て、共済年金の今度の標準給料月額の出し方といいますか、国家公務員の場合には俸給月額ですけれども、名称がいろいろ違いますから。その出し方というものは、厚生年金の、スライドを加えたり、あるいは三十二年のときは一万円以下は一万円に切り上げたりといういろいろな方法がございました。そして今日の標準報酬月額ができています。その経過とこのカーブですね、いわゆる割り落としされるラインは大体同じですか。厚生年金のベテランの方、きっとこの共済年金の割り落とし率ができるときにはああいう方法でやるのか、おれのところの厚生年金の標準報酬月額を決めたのに大体ラインでは沿っているな、そういう検討をされたはずでしょう。ですから私はベテランの方にお聞きしているわけです。
  147. 吉原米治

    吉原政府委員 共済の方の今度の標準報酬の計算の仕方が厚生年金と比べてどうかというのは、私どもからちょっとお答えしにくい問題でございますので、共済担当者の方からお答えしていただきます。
  148. 加藤万吉

    加藤(万)委員 なぜ私がこれに固執するかというと、厚生大臣、意地悪な質問かもしれませんけれども厚生年金と報酬比例部分については大体一元化しようと何回も言われているんですよ。一元化されるならば、標準報酬月額の出し方も大体一元化しないとおかしいじゃないですか。例えば、国鉄の場合には退職時における俸給をもって云々がありました。地方公務員共済は前一年間の平均賃金をもって云々がありました。今度は五年間でこれをやりましよう。ただし先ほど言いましたように、掛ける一・二五については国家公務員と地方公務員とは違います。この違いは私は認めます。しかし、それ以前の算定の仕方は、それ以前の割り落としの係数は、おおむね厚生年金と同一のカーブで描いていかなければおかしいじゃないですかというところが私の言いたいところなんですよ。恐らく共済関係の責任者から言えば、それはちゃんと横っちょを見まして今度の政令をつくりましたとおっしゃるに違いないわけです。どうですか。それじゃ今度は共済年金、どなたか専門の方、ちょっとお答えください。
  149. 門田實

    門田政府委員 お話しの点でございますが、厚生年金との比較の議論におきまして、将来に向かいましては、完全にそろえておるわけでございます。過去につきましては、実は私どもなかなか十分の資料がございませんので、これは現在資料が整備できる法施行前五年間というものにさかのぼりまして、この五年間につきましてただいまお話のありましたようなところをやっておるわけでございますが、いずれにしましても現在価値に引き戻すという考え方で、そうして本俸と報酬との標準的な比率を基礎にしまして、勤続年数ごとにお話しのように算定した補正率を乗じておる、こういうことでございます。
  150. 加藤万吉

    加藤(万)委員 技術的なことはここでいろいろお話をしてもしょうがない。過去五年間の平均はわかりました。それ以前の勤続年数の割り落とし率については、厚生年金の上昇してきたものを横っちょで見ながら、横へ置きながら計算された基礎として今度の政令が出ていますか、改めてお聞きします。共済年金の担当の方、どの省の方でもいいです。
  151. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生のお話を伺っておりますと、どうも厚生年金の再評価率の方が有利じゃないかということが背景にあるようでございますが、今大蔵省の審議官から答弁がありましたように、法施行後のことについては合わせていこう、法施行前についてはどうなんだ、こういう話だと思いますから、厚生年金の方の再評価率が出ました段階で、必要がありましたら御趣旨を踏まえまして関係省庁の間で協議を詰めてみたいと思います。
  152. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、なぜ私がこんな専門的なお話をしているかといいますと、実は〇・一違いますと年金額が物すごく違ってくるのです、割り落とし率を何%、それこそ〇・〇何%の差で。厚生年金が今度ダウンになりますね。給付率が全体としてはダウンになるわけです。そのダウンする率と共済年金ダウンする傘とが一致するのです。この割り落とし率をどのようにとるかによって変わってくるのです。ですから大事なんですよ。これは政令の部分で隠れちゃっているのです。ですから私は政令を下さい、政令を下さいと言ったのです。政令をもらえませんと、基礎になるべき標準報酬月額、これが出てこないのですよ。出てこないXという数字に幾ら掛けたって年金額は幾らになるのですかということはわからないのです。モデルで出たものを逆算してみて、ああ三十五年だったら〇・六五四で割り落としをしているのかなということがわかるだけなんです。わかりませんでしたから政令を出してもらいました。しかし、こうなるともう専門家でないからわかりません。  そこで私が言いたいのは、これが〇・一変わるか変わらないかによって年金額の差が物すごく出ること、今度は掛ける数字が多くなるのですから。掛ける数字が大きいのは、次から次に掛けていくわけですから。したがって、ここの部分は、今公務員部長から話がありましたが、ぜひ調整してほしいと思うのです。施行前も施行後も一体どういう割り落とし率をとるのか。今政令では一応地方共済の政令として出ておりますけれども、ひとつ検討材料として申し上げておきたい。また、検討していただきたい、こう思うわけであります。  さて、時間がありませんから、最後に国庫負担についてひとつお伺いをします。  今度の国庫負担は、もう御案内のように、基礎年金に対する三分の一国庫負担であります。文部大臣にお聞きしますが、学校の教職員は御案内のように二分の一国庫負担行為であります。今までは国庫負担は一五・八五。それぞれの拠出額に対して一五・八五をまず国庫負担で引きまして、それを地方自治体と掛金側とで分けます。したがって国庫負担は、国の方は、さらに地方自治体と国で負担しますから、二分の一ずつになるわけです、総体でいきますと四分の一いわゆる義務教育の国庫負担分として支出をしてまいります。今度は六十五歳以上ですから、しかも三分の一の基礎年金に対する給付額に対しての割り返しをして、その負担の三分の一を今度は地方自治体と国とで二分の一ずつ分けるわけです。私は、額とかそういうことはこの際問いません、時間がありませんから。そうじゃなくて、今までのような同じようなシステムで、使用者として義務教育費国庫負担法に基づき国が負担している分は、三分の一の基礎年金に対する国庫負担分としても国は見ます、こういうようになると思うのです。従来の方式と時点はいろいろ違いますよ。一五・八五だとか三分の一、今までは六十歳以上で年金受給者全体に対する一五・八五でしたが、今度は六十五歳以上になりますから、そういう時点は違いますけれども、二分の一国庫負担を行っているものとしての国の負担はそのまま続けます、私は当然そうあるべきだと思いますが、改めて大臣の御意見を聞きたいと思います。
  153. 松永光

    ○松永国務大臣 現在御審議いただいている法案においては、基礎年金拠出金を含めて、長期給付に要する費用について都道府県が負担する経費の二分の一を国の方で負担するということにいたしております。
  154. 加藤万吉

    加藤(万)委員 その制度は新制度になっても当然そのまま続くわけですね。今、「現在」とおっしゃいましたが、新制度になりましても同じことを続けるのですね。改めて聞きます。
  155. 松永光

    ○松永国務大臣 現在御審議を願っておる法案においてそういうふうにいたしております。
  156. 加藤万吉

    加藤(万)委員 わかりました。そうあってほしいと思うのです。この六十五歳以上、基礎年金部分のことについては、我が党はいろいろ意見を持っています。しかし、制度としては、学校教職員に対する、国が二分の一国庫負担をしているそういうものに対してはそのまま続けます、いわゆる制度としてはそのままの形で新制度でも持ち込んでいきます、こういうことですから、ぜひ続けてほしいと思う。  大臣、なぜ私はこれを御質問したかといいますと、先々国会でしょうか、例の一括法案が出ましたときに、学校の教材費が交付金制度に変わりましたね。いわゆる国の負担分を地方団体に変えたのです。その以前に、予算の詰めの段階で、共済年金の国の負担分を地方で負担してはどうかという話があったという話を実は聞いているのです。あるいは学校教職員、特に職員あるいは栄養士、さらには不交付固体の教員に対する国庫負担分の一〇%程度を地方団体が持てないかというような話があった等々の話を実は聞いておりました。そこで、大臣がいらっしゃった委員会でありましたけれども、例の特別委員会で、そういうことはございませんかと。話はありましたけれども、今はそういうことは考えていませんという御答弁をその当時はいただいたのです。  今度の制度によりまして、本来大蔵省がねらっておった一五・八五の国庫負担分、当初、六十一年度は同じような負担額になるかもしれませんが、やがてだんだん減っていきます。改めて申し上げませんけれども、国庫負担分が年を追うごとに小さくなっていくことは間違いない。自治省の資料でも、地方公務員共済に対する国の負担分がこういう形で変化しますよというので、やがては半分ぐらいになるという数字までいただいております。そういうことがありますがゆえに、この制度はいじらないでほしい、いじっては困りますよ。同時に、松永文部大臣からおっしゃったように、ぜひそうしてほしい、そういう形でなければならない、こう改めてお尋ねし、確認をしたところなんです。  さて、そこでどうでしょうか、今地方団体が持っているわけですね、国庫負担に相当する分を。公営企業は公営企業会計で公経済負担しているのです。きのうの大原質問から延びるわけですが、そもそも基礎年金制度というのは、公的年金制度に国の財政を投入して、最低社会保障的年金制度として樹立されるものであります。今まで地共済がありました。国共済がありました。その定額部分がすべて国民年金の基礎年金部分に移管されたわけです。いわばこの部分に対しては制度としては全然別のものになったわけです。別のものになりまして、厚生年金につきましても国民年金につきましてもその三分の一は国の税金で負担しましょう、こうなったわけです。地方自治体は自治体が負担するのですよ。公営企業は公営企業会計から出すのですよ。私は国鉄共済が破綻をした一つの原因はそこにあったと思うのですよ。国鉄でも電電でもそうですが、本来国が負担をすべきものを、厚生年金でも国庫負担がついてはおりましたが、公経済負担で全部企業が負担していましたね。これはまあいいでしょう、国鉄とかは公共企業体共済組合事業、単独のシステムですから。今度はやがて基礎年金を中心として、日本年金制度が大きく変化するのです。国の負担は、その被保険者に対してはあまねく及ぼされるべきであります。にもかかわらず、今度の場合は、公経済の部分は同じく公営企業で負担をしなさい、地方団体は地方団体でその分は持ちなさい、これでは筋が通らぬのではないですか。私は年金制度の基本的なあり方がどうだという方向を示す大きな視点だと思うのです。  そうか、そういう基礎年金を中心にした日本の新しい年金制度ができるのか——その間に高齢化社会を迎え、産業構造の変化を迎えて、いわゆる現役の労働者が少なくなるのですから、財政的には人頭割が難しくなる、やがてはそれが税によるか何かによって国庫負担が拡大する、そういう方向に行くということが国民の目の前に明らかになって初めてこの基礎年金制度を中心とした年金改革に合意が得られるのですよ。その一番のとっぱしが国庫負担をどの分野まで及ぼすかということ、これだと思うのです。公営企業についてはどうして国の負担を公営企業会計から出さなければならぬのですか、御答弁をいただきたいと思います。
  157. 花岡圭三

    ○花岡政府委員 今回の制度改正によりまして地方公務員にも基礎年金制度が導入されることになったわけでございますが、御指摘のように従前共済年金一本であった時代にも、地方団体の負担には、雇用者としての負担部分とそれから公経済の主体としての負担部分とがあったわけでございます。この公経済の負担部分につきましては、厚生年金の場合に国庫が負担する、地方公務員につきましては共済制度の発足時に地方団体が負担するということになったわけでございます。この際公営企業につきましても国の経営する企業関係職員と同じような扱いをするということで公営企業会計の負担となったわけでございます。したがいまして、今後この改正が行われましたときに、この新制度発足後の公営企業職員の取り扱いにつきましては、こういった経緯を踏まえまして、また、国の四現業の取り扱いの問題もございますので、こういった点も検討しなければなりません。これらもあわせまして新しい制度とその発足の意義というものを考えながら検討していかなければならないというふうに考えているところでございます。
  158. 加藤万吉

    加藤(万)委員 運輸大臣国鉄もやがて民営になりますね、いつの年度になるかわかりませんけれども。電電、専売は、民間会社ですね。いつかは厚生年金になりませんか。その場合には、国鉄は公経済負担じゃないのですよ。基礎年金の三分の一は国庫負担ですよ。そうでしょう。今公経済負担をしている会社が昭和六十二年度には民営になるのです。私は、先ほども言いましたように、国鉄共済を一本でやると言うものですから、ああなるほど国鉄は随分金が余っているんだな、民間に持ってくればその分だけ国庫負担が入るのに、こう思いましたよ。運輸大臣、どうですか、私の見解は間違いないでしょう。いつか民間になった場合に、共済に残るか厚生年金に移るか。まさか国家公務員共済に移るわけにはいかないでしよう。その場合には国庫負担が三分の一つくのですよ。そうでしょう。
  159. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先生指摘のようにいずれ国鉄が民営になりますけれども、民営になりました後は一般の民間並みで、公経済負担については国鉄の会社の負担にならない、かように考えております。
  160. 加藤万吉

    加藤(万)委員 大蔵大臣、矛盾はありませんか。大変な矛盾なんですよ。先ほど自治省の方が、四現業もそうだから地方公営企業も合わせましたといみじくもおっしゃいましたよ。私は、本当言うと、過渡的にはあるかもしれぬと思っているのですよ。しかし、やがては公営企業あるいは地方団体も含めてこの制度から外れるのです。基礎年金部分というものは全部外れたのですよ。公務員共済の中に取り込んだのじゃないのです。これはこっちへ出して、特別勘定にするかどうか別にしまして——私は基礎年金部分は特別勘定にした方がいいと思っているのですけれども、そこに国庫の金が入ってくるのです。厚生年金も国民年金も国庫の金が入るにもかかわらず、地方団体が一緒に負担をして出すのです。その中にある公営企業は出すのですよ。  そう言いましたら、ある人が、加藤君、公営企業は税金を払ってない、こう言うのです。しかも、いわゆる公営企業、公の企業だ。それじゃ日銀どうですか。道路公団どうですか。全部厚生年金の国庫負担分は受けているわけでしょう。それじゃこの国庫負担のあり方はどこから見ても合わぬですよ。  公営企業、地方団体も含めて本来あるべき基礎年金を中心にした日本の新しい社会保障年金制度というものを確立されるならば、その方向に向かって一歩進めるべきですよ。当面は今までの経過があります。そのための財政もこんなに大変です。しかし、昭和六十五年度を越えた後なんかに国鉄共済がパンクをする、その他のことを含めていくと、基礎年金の中に国家財政というものをどのように投入するか、同時に、私どもが言っているようにそこに税というものがどう介在をしていくかという問題を含めて検討しなければならない問題ですよ。  今のことを、今も矛盾があるからその辺はどう解決されるのですかということ、さらに将来に向かってはそういう年金制度のあり方というものを国民の目の前に示す方向性を出して初めてこの共済年金四法案が、全体としてなるほど日本年金制度はこういう形で一段ロケットを発射し、二段ロケットを発射し、線路の上に積み残された大石の国鉄共済というものを取り除いて、やがて向こう方には、大蔵大臣のお国の方じゃございませんけれども、トンネルの向こうには白い雪が見えるということになるのですよ。  そこで、当面の措置はどう考えられるか。そして、将来的にそういう年金制度のあり方という問題についてどうお考えになりますか。この将来的な問題については、本来ならば総理のお答えでしようけれども担当大臣としては厚生大臣でしょうから、厚生大臣からお聞きしたいと思うのです。
  161. 竹下登

    竹下国務大臣 私からお答えします問題は、今御指摘がありましたように、既にたばこ、NTTは民営化されております。日本国有鉄道は今の状態である限りにおいては今のままでありますが、将来民営等になりました場合のことは、電電、専売を扱ったときと同じような措置ということになるのでございましょう。  それから、今おっしゃいましたことで私なりに感じましたのは、私もかつてそういう考え方に立ったことがありますのは、年金一元化の一つのビジョンが先にあって、それに向かって一歩一歩進んでいく。ところがこれほど歴史的な生い立ちが違いますと、結局は、七十年ということはございますけれども、まずは親戚同士から、そして次には給付の一元化、負担の一元化という中で今のようないろいろな問題点が指摘されてくる、それらを整理しながらたどり着くというふうな手法を今とっておるわけであります。したがって、おっしゃる議論は私なりにも理解をいたしますが、現在のところ、郵政なんかもちゃんとあれで払っていただいておるわけでございますので、地方団体の公営企業部門はそれに倣っていらっしゃるというふうに私は理解をいたしておりますが、問題の御指摘なさっていることは私なりには理解しております。  ただ、日本銀行は株式会社には違いないのでありますが、納付金等はちゃんとちょうだいをしておるということだから必ずしも日本銀行が例になるかどうかは別といたしまして、租税権の問題もございますし、にわかに今、出発時点でこれを変えようという考えは残念ながらとっておりません。
  162. 増岡博之

    増岡国務大臣 この問題は、従来からのそれぞれの年金制度の歴史、経緯から生じておる問題でありまして、地方公共団体等が国に準ずるものとして負担をしておられるわけであります。先生の御意見も傾聴に値する面がありますので承っておきますけれども、どうしてもそこまでやらなければならぬかどうかということについては、今後の研究課題にさしていただきたいと思います。
  163. 加藤万吉

    加藤(万)委員 終わります。
  164. 越智伊平

    越智委員長 午後一時二十分から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時二十七分休憩      ————◇—————     午後一時二十二分開譲
  165. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。村山富市君。
  166. 村山富市

    ○村山(富)委員 きのうからきょうにかけての質疑の中で、問題点やら矛盾やらいろいろ露呈をしているわけですが、私は今国民年金厚生年金を主体にした「わかりやすい年金」という本をつくっているわけです。その本をつくる過程でいろいろ検討した結果、これは「わかりやすい年金」というよりも「わかりにくい年金」という題名をつけた方がいいのではないかというふうに思ったくらいに、日本年金はわかりにくいのです。入っている被保険者が、自分の年金が幾らになるかという計算ができない。こういう年金制度というものは改めるべきではないか、それでわかりやすい年金にするということが大事ではないかというように思いますから、このことを冒頭に申し上げておきたいと思うのです。  そこで、時間もございませんから質問に入りますけれども、余計なことは言わずにできるだけかいつまんで要点だけ申し上げますので、そういう意味で御答弁をいただきたいと思うのです。  一つは、きょうも質問ございましたけれども、恩給と共済の関係についてであります。特にスライドに関連する問題についてお尋ねしたいと思うのですが、恩給は、先ほども話がありましたように、今度の改正案とは全然関係がないわけです。共済年金厚生年金等だけが改正されるわけですね。  そこで具体的に申し上げますと、恩給だけをもらっている方は関係なしにスライドするわけです。仮に今、既裁定年金共済年金をもらっている人の例を申し上げますと、例えば恩給期間が三十九年ある、共済の期間が一年間ある、四十年間でもって共済年金をもらっている、これは極端な例ですが、こういう人の場合には、三十九年間入っておった恩給期間のスライドは全然ないのです。スライドされないわけです。わずか一年か二年共済年金にかかっているだけでスライドされない。これはやはり均衡を欠くのではないかというように思いますが、この点はいかがでしょうか。
  167. 門田實

    門田政府委員 御指摘のように、一たん共済年金制度の方に入った方につきましては、あくまで共済年金受給者ということで取り扱いをいたしておるわけでございます。先ほど来御議論ございましたように、所得の高い人で一般方式の人を今回通年方式に裁定がえしました場合にも、その水準に達しました後はもちろんスライドはあるわけでございますが、恩給との間でいろいろ相違があるということは事実でございます。
  168. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは、私はそう議論する必要はないと思うのですね。今申しましたように、恩給だけをもらっている人はスライドしていく。共済期間だけで年金をもらっている人、この人は、また後で若干申し上げますけれども、まあともかくとして、これは一般方式と通年方式とありますから、一般方式で計算されておるものが今度の改正計算をされて差が出れば、その差がなくなるまでスライドをとめる。そうでなくて、恩給と共済との関連の中で、今申しましたように、極端に申し上げますと、恩給期間が三十九年ある、共済期間が一年間しかない、そして共済年金をもらっておる、こういう人は、三十九年間分の恩給のスライドが全然なくなるわけですね。これは余りにも不均衡ではないか。やはり何らかの方法を考えて手だてをする必要があるのではないかというように思うのですが、大臣、いかがでしょう。今答弁があったとおりですからね。
  169. 竹下登

    竹下国務大臣 恐らく極端な例といえば、昭和三十四年にやめられた人がそんなことになるのかな、こんな感じがいたしますが、お答えは今、門田審議官が申し上げたとおりでございます。
  170. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、申し上げたとおりだけれども、これはどうもしないのですか。何らかの改善の措置を講ずるのですか、しないのですか。  ——不均衡があることは認めますね。どうですか、その点は。
  171. 竹下登

    竹下国務大臣 したがって、退職時の給与の高い人は、いわゆる通年方式でやられ、スライドがとまって、しかし将来追っかけていくわけでございますから、概念的な不均衡はあっても実体の不均衡というのは極端に生じないような気がするのですが、いささか専門的知識が欠如しておることは事実でございます。
  172. 門田實

    門田政府委員 結局、共済と恩給とを区別して扱っておる、そこのところの理由になると思うのでございますが、今日共済組合法では、現行法施行以後の期間と恩給公務員期間につきましては一体のものとして取り扱っておる。それから共済年金の場合には、一般方式と通年方式の有利な方の選択を認めまして、恩給よりも共済年金の通年方式が有利な人は、恩給部分がある人につきましてですが、それの選択ができる。そういったことでありますとか、それからもう一つ、これは古い話になりますが、恩給制度から現行共済制度へ移行しました際に、実は退職手当の増額措置というような措置を講じてバランスをとった、こんなことがございまして、まあそこはやはり別の取り扱いをする、こういうことでまいっておるものですから、今回も引き続いてこういうことで臨んだ、こういうことでございます。
  173. 村山富市

    ○村山(富)委員 いろいろな経過があることは当然でしょう。それから、今大蔵大臣が言われるように、もらっている年金額を計算しますといろいろばらつきはあるかもしれませんよ。しかし、制度として恩給だけをもらっている方はスライドするのです。いいですか、スライドするんですよ。そうして今、既裁定年金者で恩給部分を大部分が占めているという方、わずかに共済年金の期間は一年しかないという方についての大部分の恩給期間については全然スライドがないわけですから、制度としての不均衡があるということは、どうですか、認めませんか。
  174. 門田實

    門田政府委員 取り扱いに違いがあり、それによって各人それぞれの所得水準に応じまして有利、不利があることは、そのとおりでございます。
  175. 村山富市

    ○村山(富)委員 これはここで突き詰めていってもしようがない話ですが、一応不均衡があることをお認めになるのなら、これを今後の課題として十分検討してもらいたいということを申し上げておきます。  次に、きょうも若干御質問がありましたけれども、国庫負担の扱いについて若干お尋ねしたいと思うのです。  現状は、厚生年金はこれまでは給付費に対して二〇%国庫負担があったわけですね。それから共済の場合に、国公の場合には六十年の四月から給付時に変わったわけですけれども一五・八五%、それまでは拠出額に対してそれだけの負担があったわけですね。それから地公の場合には今でも拠出時に対する負担ですね。制度の違いがあるわけです。この違いを踏まえた上でこれから一体どうなるのかということを考えてみますと、既裁定年金者に対する国庫負担分についてはどういうことになるわけですか、厚生年金はどうなりますかあるいは共済年金はどうなりますか、ちょっと答えてください。
  176. 谷口正作

    ○谷口説明員 お答え申し上げます、  厚生年金の既裁定年金についてのお尋ねでございますが、既裁定年金の基礎年金相当部分につきまして、その三分の一を国庫負担するということに相なっております。
  177. 村山富市

    ○村山(富)委員 共済は。
  178. 門田實

    門田政府委員 共済年金の扱いも全く同様でございます。
  179. 村山富市

    ○村山(富)委員 そうしますと、国民年金ができましたのは三十六年四月からですね。三十六年四月以前のものについてはどうなるのですか。今までは、さっき申しましたように給付費に対して二〇%厚生年金は国庫負担があったのです。今度は改正されまして基礎年金部分に対する三分の一の国庫負担になりましたから、したがって、これまでの既裁定年金者の分についてはどうなりますかと聞きましたら、基礎年金に相当する部分については三分の一負担をします、こういうことですね。それから共済年金も同じだ、こういうことですね。国民年金ができましたのは三十六年四月ですから、それ以前の期間の扱いについてはどうなりますか、こう聞いている。
  180. 谷口正作

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  三十六年四月一日前期間についての国庫負担についてのお尋ねでございますが、それにつきましては従前どおり二〇%の国庫負担ということに相なっております。
  181. 村山富市

    ○村山(富)委員 共済は。
  182. 門田實

    門田政府委員 この点も同様でございまして、三十六年以前は従前どおりの一五・八五%という国庫負担でございます。ただし共済の発足は三十四年でございますから、それが該当しますのは三十四年から三十六年ということになります。
  183. 村山富市

    ○村山(富)委員 その既裁定年金者の基礎年金に相当する部分というのがどういう計算をされるのかはちょっとわかりませんけれども、私がこれから質問したいのは、今度の改正で、厚生年金は基礎年金と同様に六十五歳から本則は支給になるわけです。これはいつから施行されるかは別ですよ、まだ決まっていませんから。しかし、本則はそうなっておるわけです。  そこで、六十歳から六十四歳までの期間は厚生年金が独自給付として特別支給をするわけですね。それから共済年金の場合も同じように——これは年齢に若干の差がありますよ、七十年までに六十歳にするとなっていますから。ことしは五十六歳、若干の違いがありますけれども、いずれにいたしましても六十四歳までは共済厚生年金もそれぞれ特別支給をすることになっておるわけです。この特別支給をされる期間の国庫負担というのはどうなるのですか。
  184. 谷口正作

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  六十歳から六十四歳までの厚生年金の特別支給の国庫負担についてのお尋ねでございますが、その部分につきましては国庫負担は行われておらないということでございます。
  185. 村山富市

    ○村山(富)委員 共済はどうですか。
  186. 門田實

    門田政府委員 この点も厚生年金と全く同様でございます。
  187. 村山富市

    ○村山(富)委員 これはもう今度は政策判断の問題ですから大臣お尋ねしますけれども、今それぞれ御答弁がありましたように、既裁定年金者は基礎年金に相当する部分に対して三分の一の国庫負担がつきます。それは厚生年金の場合は六十四年四月以降ですね。それから六十四年四月以前のものについては二〇%負担をします、こうなっているわけですね。それから今度の改正で、国民年金の基礎年金は六十五歳から支給ですから、本則は六十五歳から支給する。ただし現状は、厚生年金は六十歳から、共済もそれぞれ違いますから、六十五歳になるまでの期間は年金を上げぬわけにいきませんから、したがって、六十五歳になるまでの当分の間、いつかはわかりませんよ、法律改正しなければできませんからわかりませんけれども、その間は特別支給を行いますと言って特別支給されるわけです。なぜ既裁定年金者の年金と特別支給をされる年金と国庫負担の違いがあるのですか。その理由は一体何ですか。意味はわかるでしょう。
  188. 竹下登

    竹下国務大臣 要するに、国民ひとしくと申しますか、公平感、平等感の中で基礎年金部分にすべてを集中した、こういう思想からであります。
  189. 村山富市

    ○村山(富)委員 基礎年金部分に集中するという物の考え方からこういう扱いをしたのなら、既裁定年金者に対する国庫負担と特別支給に対する国庫負担と分けた理由は一体どこにあるのですか。
  190. 吉原米治

    吉原政府委員 基礎年金先生御案内のとおり六十五歳から支給されるわけでありますので、基礎年金部分に集中するということは六十五歳以降の基礎年金の三分の一に国庫負担を集中するということでございまして、六十歳から六十五歳までの特別支給というのは、基礎年金相当部分というのが年齢的に六十歳から六十四歳までの年金でございますので、国庫負担の対象にはしない、あくまでも六十五歳以降の基礎年金相当部分についての三分の一の国庫負担に集中をした、こういうことでございます。
  191. 村山富市

    ○村山(富)委員 いや、その内容はわかっているのですよ。だけれども、物の考え方として、大蔵大臣は基礎年金に国庫負担を集中するという考え方からこうなりました、こう言うのですね。それじゃ既裁定年金者と特別支給の者と区別をした理由はどこにあるのですか。既裁定年金者は、従来の計算でもって定額部分と報酬比例部分と合わして年金をもらっておるわけでしょう。特別支給も定額部分と報酬比例部分とを合わして年金をもらうわけでしょう。これは同じです。既裁定年金者の場合には基礎年金相当部分の三分の一負担をして、特別支給の者については、同じ計算をして同じ扱いをするにもかかわらず国庫負担がないのは一体なぜか、こう聞いているわけですよ。これは政策的な問題だから、やはり大臣から答えてもらった方がいいのじゃないですか。
  192. 吉原米治

    吉原政府委員 先生の御疑問にお答えする意味で先ほど申し上げたのですが、あくまでも今度の新しい制度における国庫負担というのは、六十五歳以降の年金に国庫負担を集中する、その六十五歳以降の年金でも全部ではなしに基礎年金部分、国民年金が基礎年金になるわけでございますが、その国民年金相当の基礎年金部分に集中をしたということでございまして、その既裁定年金と六十歳—六十四歳の年金というのは本質的に、本質的というとあるいはちょっと語弊があるかもしれませんが、六十五歳以前にもらう年金と六十五歳以降にもらう年金というのはやはり区別して考えるというのが私どもの新しい制度における考え方でございます。
  193. 村山富市

    ○村山(富)委員 計算をしようとすればできぬことはないわけですね。それは既裁定年金者も基礎年金に相当する部分というのは出るわけです。特別支給の部分についても基礎年金に相当する部分というのは出るわけですからね。ですから、扱い方としては一応区切りをつけて、従来のものと改正後のものと扱い方を変えるという意味でそういう扱い方をしたのじゃないかと僕は思うのですよ。思うけれども、流れとしてはやはり問題があるのではないかというように思いますから、この点もひとつ十分検討をしてください。これは時間がないから詰められぬわけです。  そこでもう一つ重ねてお尋ねしておきますけれども、基礎年金部分について年金額は五万円、それから掛金は六十一年四月から六千八百円ですね。この五万円とか六千八百円とかあるいは特別支給の定額部分の千二百五十円とかというような額は五十九年価格ですね。その五十九年価格というのは五十八年四月一日から五十九年三月三十一日までですね。そうですね。そうすると、六十一年四月から施行される額というのはどういう計算になるわけですか。
  194. 吉原米治

    吉原政府委員 五万円といいますのは今おっしゃいましたように五十九年度価格でございますから、六十一年からの基礎年金の額というのは、五十九年度の物価上昇率と六十年の十二月まで、ことしの十二月までの物価上昇率を五万円に掛けました金額、これはどれくらいな物価上昇率になるかまだわかりませんけれども、三%程度になろうかと思いますが、その程度を五万円に掛けた金額が六十一年四月以降の基礎年金の額になる、こういうことでございます。
  195. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは六十一年四月から発効するわけでしよう。それなのに自分の掛金が何ぼぐらいになるのか、もらう年金が何ぼになるのか、こんなことが皆目わからないようなことでは、なかなか審議のしようがないと私は思うのです。五十九年価格で計算をした額ですね、今話がありましたように。そうすると五十九年四月一日から六十年三月三十一日まで、これは一つの期間ですね。そうでしょう。そして六十年四月一日から六十年十二月三十一日までを一つの区切りにする、これを基礎にして六十一年四月から発足する、計算としてはこういうわけでしょう。そうすると五十九年四月一日から六十年三月三十一日まではわかりませんか。——これはもうこれできようは質問しませんけれども、政令、省令事項というのが全然明らかにされておらぬわけですよ。きょうの午前中の質問でも、これから検討しますという問題が大変あるわけです。そういう検討しますという問題があったら、この法案をいろいろ審議するのにまだ不明な点がたくさんあったりすると、これは本当を言いまして審議になりませんよ。まして六十一年四月から国民年金厚生年金は施行するわけですから、自分の掛金が何ぼぐらいになるのか、もらう年金がどれだけの計算になるのか。本来ならば、今申しましたように五十九年四月一日から六十年三月三十一日までぐらいのものはわかるはずですから、したがって、これから先のものはどの程度のプラスアルファになりますというようなことまで若干示して、そして議論をしていくというようなことにならないと私は問題があると思いますから、この点はひとつ問題点だけを指摘しておきます。  その次に、これは前回の特例法案の審議をする際にも質問をしておりますから、またここで質問するのは極めて遺憾であり残念に思うのですが、例の四分の一カットの問題です。これは今まで議論されておりましたように、四月一日から制度が変わるわけですから、私は、この際やはりけじめをつけるべきではないか、こういうふうに思うのです。このカット分に対する扱い方について、大蔵大臣の見解を聞いておきたいと思うのです。
  196. 竹下登

    竹下国務大臣 基本的にできるだけ速やかに繰り入れに着手しなくてはならぬという考え方はございますが、この問題はやはり財政状況等を勘案する必要がございますので、今日の時点で明らかにするということはできない。一方、国の財政改革をさらに一層強力に推進するということがございます。したがって、積立金運用収入の減額分を含む年金国庫負担の減額分の可能な限り速やかな繰り入れに着手するという基本線以上に今日お答えができないということであります。
  197. 村山富市

    ○村山(富)委員 ちょっと確認しておきますけれども 厚生年金の四分の一カット分のこれまでの累計はどういうふうになっていますか。それから、これは共済もあるわけですから、国公の場合はどの程度か、地方共済の場合はどの程度か、今までのカット分の累積額を示してもらいたいと思うのです。
  198. 長尾立子

    ○長尾政府委員 厚生年金の行革関連特例法に基づく繰り延べ状況を御説明申し上げます。  昭和五十七年度から昭和六十年度までの減額分の累計額は九千四百七十億円でございます。これにつきまして、一定の前提を置きまして資金運用部に預託した場合に得られるであろう運用収入相当分を試算いたしますと、それが千三百五億円になりますので、元利合計といたしまして一兆七百七十五億円というふうに考えております。
  199. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 地方公務員共済の場合ですが、五十七年度から六十年度まで利子を入れまして二千二百億円でございます。
  200. 門田實

    門田政府委員 国共済の方でございますが、累計で三百七十八億円、利子を入れますと四百二十億円でございます。
  201. 村山富市

    ○村山(富)委員 これは返す方法はいろいろそれぞれ共済で違うと思うのですけれども厚生年金の場合には、これはさっき答弁がありましたように、速やかに利子をつけて返します。それから共済の場合には、それぞれの共済、地方公務員の場合には地方公務員共済組合連合会に返すということになるのでしょうね。これは間違いありませんか。どうですか。
  202. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 それぞれの共済組合に返すということでございます。
  203. 村山富市

    ○村山(富)委員 そこで、これは残念ながら毎回質問しても答弁が同じなんですね。これでは僕はおかしいと思うのです。五十七年から五十九年までの三カ年間の特例法をつくったときはもっと歯切れのいい答弁をしたのです、絶対心配要りませんと。特例法が経過後速やかに利子をつけて返します、こう言ったのです。その次の答弁は、国の財政事情を勘案しというのがついたのです。そしてだんだんだんだん歯切れが悪くなってくる。だけれども、私は、ずっと経過がそのまま続いていくのならともかくとして、しかし、制度が変わるのですから、いずれにしてもここで一遍けじめをつけて、その後の扱いについて検討するというぐらいのことはすべきではないか。そうでなければ、一体厚生年金財政がどうなっていくのか、共済年金積立金がどうなっていくのか、そんなことがわからずにこの改正法案の審議ができますか。そのけじめは明確にしなければいかぬですよ。
  204. 竹下登

    竹下国務大臣 今までも何度がお答えしてきましたが、制度改正になる、この法律は別にいたしましても。先国会、先々国会ですか、厚年、国年やらしていただいて、その際、制度が変わるというのは一つの切れ目だという認識は私どもも持っておる。しかし一方、財政事情を勘案しなければなりませんから、六十一年はとてもじゃないがことしよりもっと厳しくなるだろうという前提の上に立って、予算編成の過程においてこれは答えを出すべきものだというふうに考えております。
  205. 村山富市

    ○村山(富)委員 予算編成の過程において結論を出すべきものだという答弁です。ただ、考え方としては、これはもうあなたの前回の私の質問に対する答弁も、一年間の延長にしたということは、制度が変わるということを前提に踏まえて、いろいろ意見はあったけれども一年間ということにしたのだ、こういう答弁がありました。ですから、やはり一年間を区切りにする。考え方としては、この区切りをめどに当然一遍返済をして、そして次の扱い方についてはなお検討していくということならわかりますよ。そういう考え方がありますか、ありませんか。
  206. 竹下登

    竹下国務大臣 あの際お答えしたのは、私も覚えておりますが、制度が変わるのだから、やはり一つの切れ目であるという問題意識は僕もありました。したがって、これから予算編成の過程を通じながら、予算編成といっても常識的に申しますならば十二月末ということになりますから、それまでの間に答えを出さなければいかぬという考え方はございます。
  207. 村山富市

    ○村山(富)委員 時間が参りましたからこれでやめますけれども、これは共済の場合も厚年の場合も同じですが、やはり積立金というのは被保険者のものですから、そうでしょう、それを借りているわけですから、のんべんだらりといつ返すかわからぬようなことでこれは済まされない問題ですよ。しかも制度が変わるのですから、やはりその制度が変わる時期にめどをつけてもらうということで、これは共済も、厚生年金厚生大臣もきちっとした姿勢で決着をつけるということを強く要請して、私は終わります。
  208. 越智伊平

    越智委員長 政府委員にお願いいたします。きょうもこの後十名の方の質疑がありますので、よく質疑の要旨を聞いてすり合わせをして、すぐ答弁ができるようにお願いをいたします。  上西和郎君。
  209. 上西和郎

    ○上西委員 まず私は、今次国会にかかっております共済年金四法案に基本的に反対の立場から順次御質問申し上げていきたいと思います。  まず第一に、厚生大臣お尋ねいたします。  来年四月一日年金統合法案が施行されますが、この施行によって、本年三月末既に四十五兆円を超えている厚生年金の累積剰余積立金はいかなる変貌を遂げていくのか、どこまで財政的な推移をたどるのか、まず数字を明らかにしていただきたいと思います。
  210. 増岡博之

    増岡国務大臣 厚生年金積立金につきましては、この積立金と運用益が将来の給付の原資になるわけでありますし、またピーク時における負担の緩和剤にもなるわけでございますから、これまでと同様にこの運用方につきましては、今、昭和六十一年度において自主運用をやらせてほしいという申し入れをいたしておるわけでございますので、その線に沿ってやらせていただきたいと思います。
  211. 上西和郎

    ○上西委員 いや、金額がどのような推移をたどるのか。昨年八月一日、社会労働委員会吉原年金局長は、四十年先に二百十二兆円残る、こう明快にお答えになっている。それがこの年金改定の統合法案によってどのように変貌を遂げるのか。明らかに変わるはずです。厚生年金加入者の犠牲の上に財投に運用されているこの累積剰余積立金数字の変貌は明確にできないのですか、お答えいただきたいと思います。
  212. 吉原米治

    吉原政府委員 将来の厚生年金、国民年金積立金の見通しでございますけれども、名目で申し上げますと、昭和六十五年度末には厚生年金が八十三兆二千億円、国民年金が五兆九千億円でございます。昭和七十五年度末におきましては、厚生年金は百三十三兆八千億円、国民年金は十三兆六千億円でございます。昭和百年度末、厚生年金は百七十一兆七千億円、国民年金は四十九兆九千億円でございます。いずれも大変大きな金額になっておりますけれども、これは名目で申し上げたわけでございまして、賃金なり標準報酬が五%毎年伸びていくという前提での数字でございます。
  213. 上西和郎

    ○上西委員 どういう表現をおとりになろうと、少なくとも厚生年金、国民年金が今次年金統合法案の実施によって微動だにしない財政規模が確立することは明らかだ、このように確認をしながら順次質問を進めていきたいと思います。  第二点、年金担保の貸付制度に非常に微妙なといいましょうか、現象が起きているのであります。一年半分を貸す、最高百九十万円だ、喜んで六・八%で厚生年金、国民年金の加入者が借りにいく。そうすると、冷酷非情な厚生省のやり方は、年金福祉事業団に次の年金給付額から返済額に利子を含めて到達するまで一切お召し上げになっている。したがって、何も知らない善意の借入申込者は、借りたために年金が一円も手に入らなくなり、私の知っている例では生活保護申請をしている、こういうことまであるのです。まさにサラ金以上のやり方です。  こういうことについて、少なくとも年金統合法案で改悪をやられるのですから、年金担保貸付制度については、四年なら四年の範囲があるんだから、せめて年金の半額程度を返済に充てるとか、あるいは据置期間をつくるとか、何らか改善、緩和をするお考えありや否や、まず見解を承りたいと思います。
  214. 吉原米治

    吉原政府委員 年金担保の貸付制度でございますが、基本的にこの制度に対する私ども考え方を申し上げますと、年金を担保としてお金が借りられる制度というのが必ずしもいいものかどうかという感じも実は持っているわけでございます。年金はあくまでも社会保障といいますか、その方の老後の生活を公的に保障するという制度でございますから、それを元にしてお金を借りるというような制度を設けていいかどうか、いろいろ議論があるところでございますけれども、既に恩給制度におきましては、恩給を担保とした貸付制度があったわけでございます。それに合わせて、年金につきましてもやはりそういった制度をつくってほしいという御要望を踏まえまして昭和五十年度からやっているわけでございますが、そのやり方につきましては恩給を参考にしながらやっているわけでございまして、一たんお金を借りますと、その期間は、そのお金を返すまでは年金を財源にしてお金を返すということになっているわけでございます。恩給も、借りている期間は恩給が全額手元に参りませんで返済に充てられる、こういうことになっているわけでございます。  そういうことになってございますので、これをさらに先生おっしゃいますように、拡充するといいますか、あるいは緩めるといいますか、そういうことにするのがいいかどうか、私どもとしてはよくよく慎重に考えなければならない問題ではないかと思います。
  215. 上西和郎

    ○上西委員 少なくとも年金貸付制度の中には償還期間は四年以内と明記してある。連帯保証人も一名とる、こうなっているのですから、今お話がありましたけれども、あなた方どういうお考えになってつくったか知らぬ。しかし、年金受給者にとっては福音だったわけです、この制度は。それを活用しようとする方々にやはり温かみのある行政をやるためには、少なくとも現状の貸付制度を改善、緩和する、このことを強く要望しておきたいと思います。  第三点は、五年年金の問題であります。  四十六年と四十八年に十年年金の特例中の特例で五年年金をおつくりになった。ところが、これは言うならば、昔流に言うと私生子だ。認知できない。だから他の公的年金に加入している期間があっても通算を認めない。私のところに言ってきますが、五年年金受給者すべて七十歳を超えております。戦時中に海軍工廠にいた、あるいは軍需工場で働いていた。三年おった。泣いて持ってくる。しかし、社会保険庁の壁が厚く、頑として受け付けてもらえない。こんなばかなことがあるか。国民年金財政には一円も響かない。共済年金厚生年金に響くわけでしよう。それをなぜお認めにならないのか。これは大臣、明確にお答えいただいて、せめて罪滅ぼしに五年年金に単独通算権を付与する、こういうお答えをいただけないものですか。
  216. 吉原米治

    吉原政府委員 大臣がお答えする前に、その制度ができたときの事情をちょっと申し上げさせていただきますと、通算制度というのは、あくまでも一つ一つの制度で一定の期間を満たさないが合計すれば二十年あるいは二十五年になったときに、年金をそれぞれの期間に応じて出そうという制度でございまして、そのときに一つの制度でもう既に受給期間を満たして、またほかの制度に一年なり二年入っていた方にもあわせてその一年分、二年分の年金を出す。いずれにしてもあくまでも一定の期間を満たしている。二十年といいますか、二十五年といいますか、そういう長期の老齢年金あるいは退職年金の期間を満たしているということがいわば基本的な要件、絶対的な原則といいますか、そういうふうに考えられていたわけでございます。いわば一人前の年金といいますか、老齢年金の資格期間を一つの制度で満たしているという場合に、国民年金ではどこまでの年金をそういった要件を満たしている年金と見るか、いろいろ議論があったわけでございますが、国民年金ができたときの事情から申し上げまして、国民年金はもう御案内のとおり本来二十五年でございますけれども、それを一定の年齢に応じて十年から二十四年に短縮したわけでございます。ですから、国民年金の側からいいますと、あくまでも十年年金以上が本来の年金なのでございます。  私生子というようなお言葉ございましたけれども、私どもは別にそういうふうに考えておりません。国民年金ができました後に、五年でもいいから二足の期間拠出した、六十五歳から受けられるような拠出年金を設けてほしいという御要望があったがゆえに、五年年金という、非常に議論があったわけでございましたけれども、そういう制度を設けたわけでございます。やはり制度ができたときの事情からいいますと、十年以上の年金についてだけ通算が認められている、これはそのときの事情から申し上げますと、私は理由があったのじゃないかと思います。  そういうことで、今さかのぼってまたそれも含めて通算の対象ということになりますと、相当昔にさかのぼってどうこうという問題も生じますので、大変難しいのじゃないかというふうに思います。
  217. 上西和郎

    ○上西委員 発足当初のことを言えば私だって言い分があるのですよ。十年年金のことについて市町村の隅々まで周知徹底が本当にできていたのか。いなかったからおれたちは知らなかった。知らなかった人たちのために二回にわたって、厚生省はその非を認めたから五年をつくったわけでしょう、極端に言えば。僕たちはそう見ていますよ、実際野にあってそういう相談を受けたのだから。我々も進めて、やっとの思いでつくってあげた。だから、つくったときのことを言うなら、あなた方、大変な改悪をしようとしているじゃないですか。厚生年金を悪くするでしょう、四月一日から。共済年金に至ってはべらぼうだ。つくったときの期待権も何も裏切って悪いことをやろうとしているのは今のあなた方じゃないですか。それなのにこの五年年金に限ってはできたときのことをこうだと言うなら、「そりゃ聞こえませぬ伝兵衛さん」と僕は申し上げたい。だから局長、そんな答弁じゃ困りますよ、悪いことを既に厚生省はやったんだから。罪滅ぼしに五年年金くらいは認知しなさいよ。認知しないとフランク永井だ、認知すれば春日八郎だと言いたいよ。  だから、そういったところで、やはり五年年金については明快に、大臣、あなたが善処するとおっしゃってくださいませんか。そのお答え、できませんか。
  218. 増岡博之

    増岡国務大臣 先ほど局長から説明しましたように、国民年金の独自の施策として特例的に設けたものでございますから、やはりほかの年金と同じような通算取り扱いをすることはいかがなものかと思います。
  219. 上西和郎

    ○上西委員 これ以上時間もありませんから、重ねて要望しておきます。  特に古いこと云々とおっしゃったが、軍人恩給は、僕は三年前に昭和十三年の徐州作戦の負傷兵を傷病増加恩給をもらうことに成功しましたよ。一年半かかった。同じ日本政府が持っている軍人恩給、公的年金、どんなに方かろうと国家の責任においてそれは保障されているんだ、吉原さんはそんなことおっしゃったけれども。見つかった方々はどんなにさかのぼったって昭和十六年からこっちでしよう、厚生年金は。それをつないであげる、そうした温かみがなければ−竹下大蔵大臣だって総理・総裁におなりになろうとすれば、あなたはそういうことを助言し、閣僚をリードしてほしい、こういうことを私は強くお願いをしておきたいと思います。  第四点、女子と坑内労働者並びに船員の方々が、来年、六十一年一年間に限って言いましょう。三月三十一日までに満五十五歳になると、現行方式で年金の受給をする。四月二日以降になって、年度が変わって満五十五歳になって年金を受給しようとすると、もろに落差が来る。これは厚生省、社会保険庁、篤と御承知のはずだ。共済年金には、六月十八日、私の本会議の代表質問にお答えいただいたように、激変緩和措置を設けた。厚年には何もない。二十年、最低加入であっても、年金額が十四、五万は違ってくるのです。このことについては改善、緩和のお考えありや否や、このことについて明度にお答えください。
  220. 谷口正作

    ○谷口説明員 お答え申し上げます。  先生お話しありましたように、厚生年金におきましては今回改正におきまして、先生御案内のように施行日におきまして六十歳以上の方、そして既裁定、既に年金を受給されている方につきましては、その既得権を保障するという観点で従来どおりの乗率単価を適用することにいたしたわけでございますが、お話しございましたように、女子、坑内員等につきましては老齢年金の支給開始年齢が五十五歳とされているということで、これらの方々の既得権もまた保護しなければならぬということで、その両方の要請を満たすための仕組みをつくりました結果、結果的には先生指摘のように施行日に五十五歳前であるかあるいは以後であるか、また既に年金の裁定を受けているかどうかという点で年金額に違いが生じておるということは事実だと思っております。  しかしながら、この取り扱いにつきましては、私ども期待権の保護あるいは既裁定の方たちの保護という観点から仕組みました仕組みで、先生のお話にありましたようなことで女子、坑内員についてのみ特別な措置を講ずるといいますと、またほかの点でなかなか公平が保てないということで、私どもとしましては先生のおっしゃった点は事実ではございますけれどもなかなか難しいのではないか、いかがかというふうに存じております。
  221. 上西和郎

    ○上西委員 難しいことはわかるのです。しかし、国家公務員の方々は日本国のため、国民のためにお仕事をなさっている。共済年金で激変緩和措置、これは年齢未達でも二十年以上加入している方はみんなやられるわけでしょう。来年三月三十一日の年金を保障していくんだ。ところが、厚年に限っては、年金権がついていようと何しようと五十五歳未達か到達がてがた落ちになる。このことに、やはり厚生大臣以下局長、課長、胸に良心の苛責を覚えてくださいよ。そして英知を絞って、せめて共済年金並みの緩和措置を設ける、こういう方向に御努力をいただきたいとお願いをして、次の質問に移ります。  第五点は、地方議員の年金厚生年金の関係です。  私、党内で市民相談の担当をさせられておるのですが、私のところの相談にこういうのがありました。都道府県会議員の方が五十六歳で議員をおやめになって、五十六歳になったから年金をもらおうとして申請をされた。そうしたら、あなた何か年金がついているか。正直に、民間企業におられたので、僕は厚生年金もついていも。ああそうですかと、ばさっと地方議員の退職年金、互助年金ですね、これは削られて今給付を受けている。大変な問題になっているのです。私も百歩譲って、六十歳になってその方が厚生年金を受給しているのなら、併給調整があってもまだ認められると思うのです。年金権がついて一円ももらっていない、六十までもらえない、それを議員年金の方、地方議員の年金だけは削られる、こうしたことを自治省は看過されているのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  222. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 地方議会の議員の公的年金期間を有する者に対して併給調整を行っておりますが、その年金の支給が開始される以前から議員年金の併給調整を行うことはおかしいじゃないか、こういう御質問だと思っております。  議員年金は、御承知のように互助年金的な性格でございまして、つまり公的年金加入期間と重複することはございますが、その機能は公的被用者年金と同様のものがあることや公的資金が年金原資となっておることから、議員年金のサイドにおいてのみその重複期間分を四分の一削除することにしておるわけでございます。したがいまして、一般の併給調整とは異なりまして、他の被用者年金給付を現に受けているかどうかということは関係なし、制度の上において考慮しないことにしておりますので、その点は御了解いただきたいと思います。
  223. 上西和郎

    ○上西委員 大臣のお答えはそれなりにわかるのです。しかし、地方公務員共済組合法の第十一章に「地方議会議員の年金制度」さらに第百五十一条に「地方議会議共済会」という項が設けられている。地方公務員共済としてその中に明記されておるのですね。それはおっしゃるとおりかもしれません。しかし、保険料、掛金は一緒なんでしょう、歳費に見合って。平等に取られている。そして厚生年金がついている。六十まで絶対もらえない。これは厚生大臣以下百も承知のこと。にもかかわらずなぜ削るのか。これくらいのことは大臣、あなたが在任中にああいいことをなさったということで一つや二つは残してくださいよ。地方自治、戦後の民主政治の本当に底辺を担っている地方議員の方々にこんなむごいことをやっていて、あなた自治大臣として何のかんばせあってそこにお座りかとまで私は申し上げたい。これくらいはあなたのツルの一声でやめようとおっしゃってくださいよ。
  224. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 御指摘の問題でございますが、将来国会議員の互助年金制度の問題がありまして、実はこの問題とも関連しておりますので、私どもも今のままでいいとは思っておりませんが、ひとつ研究課題とさせていただくことを……。
  225. 上西和郎

    ○上西委員 私、自治大臣のお人柄を本当に信頼申し上げておりますので、検討結果がよく出るように御期待を申し上げ、次に進ませていただきます。  農林年金に移らしていただきますが、もともとこの共済年金、四つとも一緒ですけれども、極端に言えば採用時の労働条件の大改悪なんですね。期待権も全部裏切ってしまう、大変なことをおやりになっているので、おそろいになっている大臣の方々それぞれ、大なり小なり今眠れない夜が続いているのではなかろうか、こう私は心配申し上げるのであります。そうした観点から、これだけの改悪をされるのならせめてこれくらいは改善をしていこう、こういうことでまず農林大臣お尋ねしたいのですが、農林年金、私学共済年金には兵役期間が通算されない、国公、地公だけだ。このことについては、私は厚年も国年も言いたいのでありますが、せめて二つ共済年金、とりわけ所管である農林年金について兵役期間くらい通算する、こういうことについては明快にお答えいただけませんか。
  226. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 上西先生にお答えいたします。  兵役期間は恩給期間であるので公務員共済年金制度においてはそれぞれの制度の期間に算入することとしておりますが、なお、その負担につきましては恩給期間であることから全額国庫で負担するようになっております。国民年金を初め厚生年金、私学共済及び農林年金は、その対象が民間であり、各グループ、被用者全体の保険料や掛金に応じた給付を行う制度でございますので、これに恩給兵役期間を通算することは仕組みとして無理があると考えております。
  227. 上西和郎

    ○上西委員 戦時中、赤紙一枚で大日本帝国陸海軍に兵役召集をされた方々は公務員だけだったのですかと僕は尋ねたい。職業のいかんを問わず、年齢を問わず、お国のためにといって引っ張り出された方々が、帰ってきてからついた職業によってその兵役期間が何ら通算、加算をされない、こういう矛盾と不平等を残したまま五九中業に血道を上げている中曽根さんと言いたいのだけれども、きょうはおられないのでそこは申し上げません。本当に戦後の処理を全うしようと思うならばこの兵役期間をすべての年金に通算をする、そしてその部分については軍恩予算からひねり出す、これが今政治を担当されている皆さん方の本当の責任ではないかと私はあえて申し上げたいのです。このことなくして日本の戦後は終わらない、私はあえてこう申し上げたいのであります。したがいまして、このことについて今後一層の御努力をお願いしておきたいと思います。  次は、では佐藤大臣、それができないのであるならば、障害年金を在職中完全に給付するということについては踏み切りができないのでありますか。
  228. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 お答え申し上げます。  農林年金制度は、農林漁業団体職員の職域における共済年金として発足をした経緯がございますので、従来はこの職域を離れた方々に年金給付するということにいたしておったわけでございます。こういった基本的な枠組みからいたしますと、障害年金でありましても、同じ職域で給与を受けてなお年金を支給するということは、他の組合員との均衡からもなかなか難しい問題がある。しかし、今回の制度改正に当たりましては、公的年金制度の整合性をできるだけとっていく、そしてまた恵まれない方々についての給付の重点化を図るというのが大きな視点の一つになっておりますので、障害年金につきましては、特に障害者であることによって年金が要るという必要性等もございますので、在職中であっても給与が低い方については一定の年金額を給付するということで、私どもとしましては今までの制度に対しまして一歩前進を図ったというつもりでおるわけでございます。
  229. 上西和郎

    ○上西委員 一歩前進は私もわかるのです。ただ、年金計算方式も完全に厚生年金並み、そうして兵役期間もつながらない、国公、地公だけですよ。給付開始年齢の経過措置はあるが、五十五から六十までの間若干いいというだけしか農林年金、私学共済はいいところが残らない。それなら障害年金を厚年並みに全額在職中から給付したって何が悪いのですか。とりわけ農林年金に加入している農林漁業団体の給与その他の実態を知るがゆえにあえて私は佐藤大臣にこのことをお願いしたいのですよ。国家公務員や地方公務員は給与法その他で一応保障されている。農林漁業団体の職員共済組合の加入団体の実態はあなたが一番よく御承知のはずだ。そうした実情にある方々が不幸にして障害の状態になった、このことについてあなたがここで踏み切って、さすがはあのときの佐藤農水大臣は名大臣だったと後世に名が残る大臣になっていただきたいと思うがゆえに御決断をお願いしたいのであります。
  230. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 上西先生にお答えします。  各共済年金共通の問題でございまして、農林年金だけでやるのはどうかと考えております。
  231. 上西和郎

    ○上西委員 せめて他の大臣に私の方から呼びかけて在職中からやるというお答えを期待したのでありますが、いずれまた、それは農林水産委員会で厳しくお願いをする、こういうことにいたしまして、あと二、王お尋ねをしたいのであります。  それは、ざっくばらんに申し上げて、激変緩和措置は設けられます。しかし、来年の四月一日以降加入を続ける者は、共済年金厚生年金を問わず、個人の退職年金、老齢年金に限って言うならば掛け捨てになるのが大部分ですね。私は昭和一けただ。例えば、私が今三十五年厚生年金に入っています。満六十まであと六年ちょっと掛け続けてもらう年金は、今やめて現行方式でやった方が高いのです。これは明確なのですよ。もちろん仕組みその他のことは別ですよ、年金自体でいけば。だから、竹下大蔵大臣が本会議でお答えになったように、激変緩和措置をお設けになる。しかし、激変緩和措置が設けられたということは、これを超えないわけです、来年、再来年勤めていかれても。保険料は差し引かれている。納付している。極端にわかりやすく言うならば掛け捨てではないか。こんなことをあなた方は全部の共済加入者に、あるいは厚年加入者にやろうとされているのです。この掛け捨て部分についての配慮というか、そうした温かい措置というものは何もお考えになっていないのか、まずここでお尋ねしておきたいと思います。
  232. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 確かに期待権の保障という措置をとっておりまして、その場合に従前年金額の適用を受けた方につきましては施行日以後の組合員期間は給付に直接反映されないということは事実でございますけれども従前年金額の保障措置と申しますのは、年金の期待権を尊重する趣旨からの特別の措置として講じたものでございまして、その点を御理解いただきたいと思うわけでございます。  また、こういった方でありましても、組合員であります限りはその間に生じました不慮の障害を受けられるということになりますれば、例えば三百カ月、二十五年保障される、こういったことがあるわけでございますので、施行日以後の掛金が全く掛け捨てになるというわけではないと考えておりますし、現行制度におきましても、御案内のとおり共済方式におきまして百分の七十という頭打ちがございます。ですから、これも四十五年、五十年というふうにお勤めになった方はそこから先は一種の掛け捨てになるわけでございますけれども、これは世代間または世代の中で比較的恵まれている方と恵まれていない方の相互扶助という制度で成り立っているということでございますので、そういうことも含めて御理解いただきたいと思うわけでございます。
  233. 上西和郎

    ○上西委員 あなたのおっしゃるのはわかる。障害年金の保障なんというのは昔からある。遺族年金しかりですよ。そうでしょう、最低保障があるのだから。あるいは、百分の七十とおっしゃったけれども、百分の七十は現在退職直前の一カ年の給与という基礎がちゃんとあるわけですね。四十五年勤めたら四十五年目の給与が基礎になるのだ。今度は全期間中の平均になるわけでしょう、そんな改正をやっているのですから。そうぬけぬけとおっしゃると僕も言いたくなるわけです。  そのことはあなたのお答えで譲るとして、既裁定者へのスライドストップ、このことについてあなた、お答えになりますか。私のように年金相談を三十有余年やりまして、スライドを受けている、このことだけがたった一つの楽しみ、スライドが来たというだけでお年寄りの方々は寿命が延びていくのですよ。去年五百円のスライドが届いたために随喜の涙を流した農村の年寄りを何人も見ている。中曽根内閣のせめてもの善根だ。それすら今度は取り上げようというのだから、全く冷酷非情としか言いようがないですよ。だから、これだけの有力閣僚の皆さん方に私は申し上げたいのです。せめて既裁定者へのスライドを、全額といかなくても何らかの改善措置で幾分がなりと認めていって、お年寄りの皆さん御苦労でした、どうか長生きをして極楽へ行ってください、それくらいやっていいのじゃありませんか。そのことについてお答え願いたい。
  234. 後藤康夫

    ○後藤(康)政府委員 既裁定年金従前額保障の問題でございますが、農林年金年金受給者の今の実態を見ますと、八二・四%は通年方式の年金額が算定をされておりまして、今度の制度改正によりまして共済方式から通年方式に裁定がえになる対象者は一七・六%ということでそれほど多くはないということをまず申し上げたいと存じます。  あと、年金額について新方式で計算するまでスライドをいわば足踏みするということでございますけれども、今先生の御質問のお気持もは私もわからないわけではないわけでございますが、施行日以後におきます年金受給者と現役組合員との給付と負担の均衡、あるいはまた施行日以後に新たに年金を受ける方と既に年金を受けている方との給付のバランスというような問題、またさらにはスライドを実施いたすということになりますと、その実施の仕方にもよろうかと思いますが、給付費の増大が現役の組合員の負担を大きくするというようなことがございますし、これは共済年金全体を通じてこういうスライド停止という措置を決定いたしたわけでございます。
  235. 上西和郎

    ○上西委員 この点についてお答えばもう結構ですけれども、私が先ほど五百円と言ったのは去年の老齢福祉年金スライド額ですよ。今、局長あんなお答えをなさいますけれども、通年方式でやっている方々でも現在は退職直前一カ年の本俸でしょう。今度はこれが全期間中になるのです。しかも、今の千分の十が来年は九・八六になっていく。既裁定者を含めてもろにかぶっていくわけですよ。そのことについて胸に痛みを覚えてくださいと僕は申し上げている。  ざっくばらんに申し上げて、ここにいらっしゃる方々を含めて私が接した国家公務員の優秀な方々がみんなおっしゃる。こんな法律が通ったら優秀な人材は国家公務員にならない。おっしゃっている方はみんな自分が優秀だと自覚なさっておっしゃっている。     〔越智委員長退席、堀之内委員長代理着席〕 こんなことになったらいい人が来ない。日本の前途を憂えている。そういった方々が各省庁の中にたくさんおられる。このことを大臣、あなた方もよくお考えいただいて、少なくとも既裁定者に対するスライドが実質生かされるような方途について英知を絞っていただきたい、それが中曽根内閣の連帯責任だと私はあえて申し上げたいのであります。  最後に、佐藤大臣、あなたの先般の農林水産委員会での我が党の島田委員に対する国鉄共済年金に関するお答えと昨日の我が党の大原委員に対するお答えとでは、若干の食い違いがあったと私は受けとめております。いずれが本音か、ここで明確にお答えいただきたいと思います。
  236. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 国鉄共済問題につきましては、政府の統一方針がございます。これは先生御存じのとおりでございます。国鉄共済問題については、国鉄改革の重要な一環として、国鉄改革の具体化に応じまして、これまでの経緯を踏まえつつ、財政調整計画のあり方、それぞれの役割等について検討すると同時に、年金一元化の観点から所要の検討を行い、関係者の理解や国民的合意を得ることができる適切なものとしたいというのが政府統一方針でございます。  私が、十一月十三日の衆議院農水委員会での私の答弁の結びで関係者の意向なり理解に配慮しつつ対処したいと述べたのは、この政府の方針と同趣旨のものであることを御理解願いたいと思います。
  237. 上西和郎

    ○上西委員 最後に私は申し上げておきたいのです。  国鉄共済年金赤字だ、高齢化社会がやってくる。まるでオオカミが来た、オオカミが来たと言った少年と同じようなやり方で、年金財政の実態、発足以来の各年金が努力してきた自助努力、そうしたことについては一切耳も目も傾けようとせずに、ひたすら年金制度の改悪を強行されようとしている中曽根内閣並びに関係閣僚の皆さん方に一大警告を発して、私の質問を終わらせていただきます。
  238. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 富塚三夫君。
  239. 富塚三夫

    ○富塚委員 限られた短い時間ですから、国鉄の雇用と年金について主として御質問いたしたいと思います。  まず最初に、三重県でしたと思いますが、大蔵大臣が記者会見で、国鉄の再建法案は通常国会の準備が間に合わないだろう、秋の臨時国会になるかもしれない、そこで延びる間は十一月過ぎても中曽根さんにやってもらうことになるかもしれない、こう言った。そうしたら中曽根さんは、臨時国会でなくて特別国会じゃないかと言われたとか次の日の新聞にいろいろ出ていましたけれども国鉄再建監理委員会の答申を受けて不退転の決意でやりたい、しばしば政府も申されておりますが、本当の腹は通常国会に間に合わせることができるのかどうか。どうも累積債務の処理の問題あるいは組織機構など全般的な問題について成案を得るのにかなり無理があるんじゃないかと見られますが、いずれにいたしましても大蔵省のウエートは非常に大きいのでありまして、竹下実力大蔵大臣は、新聞を見ますと、また閣内にとどまってやられるようなお話ですけれども大蔵大臣の本当の腹をひとつ聞かしていただきたい。
  240. 竹下登

    竹下国務大臣 私がどこかの記者会見で申し上げましたことは、これは私の多年の勘でございまして、余り言わなければよかったなと思って本当は反省しておりますが、国会運営の仮にプロならプロという立場で申しますと、予算関連法案でないものは大体三月の第三金曜日ぐらいかな、そんな感じを持っておりました。そうすると、その後それの審議に入りましても、つまらぬ話をして申しわけありませんが、恐らく相当本会議マターになるだろう。趣旨説明から要求があるじゃないか。そうなると、本格審議が始まるのがいつごろになるか。そうすると、七月七日が参議院議員の任期でございますから、通常に考えれば六月二十九日ないし六月二十二日が参議院選挙かな、その後の臨時国会というのは院の構成のために開かれる、そんなことを考えるとみんな上がらないじゃないか、そんな感じで申し上げましたので、国務大臣としてはいささか不見識であったかもしれません。仲間みたいな立場でそんな話を申し上げたわけでありますが、いずれにしても、いつ法律を出すかということになりますと、これは運輸省当局の意見等を十分に調整しなければならない課題でございますので、今のところは関係方面と相談しながら、それも提出の時期も含めて検討しますという以上のことはちょっと私からは言えないんじゃないかという感じでございます。
  241. 富塚三夫

    ○富塚委員 財政問題の処理、累積債務の処理の問題など、あるいは年金の財源措置なども含めて、やはりお金の問題が一番焦点になるだろう、こう見ているのですが、来年度の予算編成とはかかわりなく、答申を受けてのあの処理の問題を大蔵省としては考えられる予定、つもりなんでしょうか。
  242. 竹下登

    竹下国務大臣 これは時間がかかるかと思いますが、いわばタイムリミットが六十一年度予算であるという立場には必ずしもないと思いますので、それこそ各方面との濃密な相談をしていかなければならぬじゃないか。今でも時々問題提起の形で私の方へたくさんの方がいらっしゃいますので、作業とまでいきません、まだ私の頭の中でいろいろな考え方が回転しておる、こういう程度でございます。
  243. 富塚三夫

    ○富塚委員 国鉄共済年金のことについて、きのう来の審査を通じましてこの四法案の議決前に政府案を示したいと言われているのですが、運輸大臣、どのような政府案が望ましいと考えられるのか。  私が質問したいのは、監理委員会の答申では、国家公務員等共済組合審議会の答申を受けて、国家公務員や電電、専売などの三共済による救済措置はもう事実上困難だ、こう明記しているわけですね。そうすると、新たな負担増の処理をどういうふうに考えるか、あるいは制度審の四月十日の答申にも、国鉄年金の解決抜きにして年金制度改正はできないだろう、そういう指摘もあるわけです。国庫助成を基本とする国鉄年金の救済措置を考えるしかないのではないかと思うのですが、所管の運輸大臣としてどうお考えでしょうか。
  244. 山下八洲夫

    山下国務大臣 国鉄の再建計画が具体化してまいりますと、当初の三共済からの援助だけでは足りなくなるのは当然でございます。したがいまして、それに伴って、何としても共済年金の支給に事欠かないだけの措置をとらなければなりませんが、その手順、具体的な方策につきましては、きのう総理あるいは官房長官並びに大蔵大臣から御答弁があったとおりでございます。
  245. 富塚三夫

    ○富塚委員 いや運輸大臣、あなたは国鉄改革の所管の大臣ですから、きのう来、国鉄年金をどうするかでほとんどの時間、審議をされているわけです。政府は、統一見解を出したい、政府案を出したい、こういうふうに言われているのですが、常識的に見て、監理委員会の答申でも他の共済からの救済では無理だということも言っていますし、六月の国会の本会議のときに中曽根総理大臣は、厚生年金みたいなことをちらっと、そちらの援助も受けたいみたいなことを申されているのですけれども、基本はやはり国の助成によって解決するという筋をあなたは所管運輸大臣として、輪郭として考えてしかるべきだと思うのですが、その点いかがですか。
  246. 山下八洲夫

    山下国務大臣 この問題につきましては、今私が答弁申しました前に大蔵大臣から統一見解として、とにかく資金に支障のないような方策について政府が責任を持って立てるというふうにお答えになっております。私もそのとおりだと理解いたしております。  私の方としましては、あなたのおっしゃるように国鉄の主管大臣でございますから、何とかひとつ滞りのないようにお願いしたいという立場でございます。それに対して大蔵大臣から、政府としてはこのようにやりたいということをおっしゃっておりますので、その線に沿ってお願いしたいと思っております。
  247. 富塚三夫

    ○富塚委員 中曽根総理大臣は、臨調、行革審に見られるように諮問機関を非常に尊重されるという意味でいろいろ話題を呼んでいるわけですが、監理委員会の答申を最大限尊重すると言われているし、厚生大臣制度審あるいは国公、地公共済年金審議会などが指摘している問題をどのように受けとめているのか。私は、今運輸大臣は必ずしも明確な回答になっていませんけれども国鉄を救うのはもう国の助成しかないのじゃないか、基本的にそう考えますが、あなたは共済年金担当大臣としてはどうお考えになりますか。
  248. 増岡博之

    増岡国務大臣 この問題につきましては、今国家公務員を初め救済グループ財政計画を立てておやりになっておるわけでありますから、その見直しをやっていただかなければならぬと思います。ただ、それだけで全部が解決するかどうかということは問題が残ると思いますので、それは公的年金一元化の過程の中でこなしていかなければならない問題であろうと思いますが、このことにつきましては、それぞれ関係各立場の方々の意見の調整を行いながら、そうしてまた理解を得ながら、国民の理解するような方法でなければならぬというふうに思っております。
  249. 富塚三夫

    ○富塚委員 きのう来の審議を踏まえて、我が党の大原委員以下申し上げましたように、私はやはり真剣に国の助成を基本にして考えるということにならざるを得ないと思うし、大蔵大臣、ぜひその点は頭の中に置いてやっていただきたいということを申し上げておきます。  国鉄労働者の雇用と年金問題ですが、雇用問題だけ先行して、二万一千人を関連企業にやるとか四万人をどうするとか、あるいは地方自治体に転出をさせるとかいろいろなことを言っているのですが、雇用と年金というものは一体的に解決されなければならない性格のものだ、私はそういうふうに実は考えます。したがって、雇用問題だけをなぜ先行させなければならないのか、その点について運輸大臣と労働大臣お尋ねいたします。
  250. 山下八洲夫

    山下国務大臣 国鉄改革における民営・分割は、これは至上課題でございまして、何としても私どもはこの意見に沿ってやり遂げなければならぬ。そこで、そのためにこれを六十二年の四月一日から実施できるように目下法律案の作成を急いでおるわけでございますが、この民営・分割をやるためには、どうしてもここに余剰人員というのが出てくるわけでございまして、その余剰人員対策、これもまた私どもが避けて通れない問題でございます。このことにつきましては、政府におきましても既に十月十一日の閣議決定においてこの問題に触れておりますし、また国鉄余剰人員雇用対策本部におきましても、特にこの問題については、異例の総理大臣が本部長になってこの雇用については万全を期していくという態勢をとって進めておるところでございます。
  251. 山口敏夫

    ○山口国務大臣 運輸大臣から御答弁がございましたけれども、私も分割・民営であれ、あるいは現状の経営形態であれ、余剰人員という言葉が適当だとは思いませんが、国鉄の人員が大変多過ぎるということが国鉄経営の大変大きな問題になっている、こういう立場から、できるだけ能力のある方の再就職、再雇用の場を提供しなければならないということでございますし、特に六十二年以降の経済情勢、雇用情勢なども考えますと、希望の離職者などにつきましては、できるだけ早くから再就職の場所を提供する状況をつくることが雇用官庁としての労働省としての務めではないかということで、政府の雇用対策本部と同時に労働省の中にも国鉄余剰人員対策本部を設置いたしまして、鋭意その再就職の場の提供のために、特に民間を中心としていろいろ今取り組みの調整を図っている、こういうところでございます。
  252. 富塚三夫

    ○富塚委員 既に要員の減員計画を着々と進めているわけですね。若年退職を想定をしているわけです。  五十五歳年金の支給というのは九〇%台になって、一年上がるごとに四%ぐらいずつ減らされていく。やめていく人たちは、転職する人たちは、年金が一体どうなるかということが基本的に頭の中にあるわけですよね。そのことの解決なしに余剰人員対策を考えるといったってそれは十分に成果を上げるとは考えられないし、年金と雇用というものはやはり一体的なものにして解決をされなければならないという点では全く年金の方はおくれたまま四法案の提案。三十二万人のときと監理委員会答申を受けてそれを尊重してやりますというのと、一体これをどうするつもりなのかということは、結局年金問題を解決しなければ雇用問題の解決に入れないというふうに私は考えるわけです。その点で片手落ちなのではないか。分割だ、民営だ、そちらの方の組織とか機能、そういうものばかり先行さしておいて、具体的に一体どういうふうにその雇用の裏づけとなる年金問題を考えるかということになると、そこのところの問題はやはり速やかに解決をするような手だてをとらないといけない、そういうふうに思いますが、その点では全く不誠意きわまる政府の態度である。きのう来政府の案を考えると言っていますが……。  そこで労働大臣国鉄余剰人員対策の問題について、内閣に設置された対策本部を初めとしてそれぞれ関係機関が対策委員会などをつくってやっているのですが、労働省は何かアウトサイダーで、よそから眺めておるみたいな感じがするわけですね。本来なら雇用政策というのは労働省が、そのために労働省というのはあるし、山口さんはそれで労働大臣になったのだと思うのですがね。だからその点、あなたは国鉄の問題について蚊帳の外に置かれているような感じがするのですが、一体雇用政策についてどういうふうにお考えですか。
  253. 山口敏夫

    ○山口国務大臣 もちろん国鉄の職員の雇用の問題でございますから、直接の使用者側である国鉄当局が真剣にお取り組みをいただかなければならない、また、運輸省が監督官庁という立場でもございます。しかし、政府としましては、国鉄余剰人員雇用対策本部ということで中曽根総理が本部長、運輸大臣や労働大臣も副本部長ということで、雇用問題につきましては労働省も責任持ってこれに取り組まなければならない、こういうことでございまして、今富塚先生からの御指摘でございますけれども、労働省が多年の経験あるいは過去の経過などを踏まえまして、この余剰人員対策につきましては、政府部内におきましてもいろいろ人も出し、いろいろな意味で積極的に取り組んでおるということでございまして、その点は御理解いただ。きたいと思うわけでございます。  同時に、やはり民間の労働市場の方がはるかに多いわけでございまして、公的部門は全勤労国民の三%ということでございますから、国、地方、そういう公的機関よりは、むしろ民間の部門において国鉄の優秀な職員の方々の能力を再度生かしていただける場所はないかということで、全風の職業安定機関あるいは労働基準機関等の幹部を集めた異例の地方労働機関の合同会議ども開きまして、その法案とは別に今から雇用の受け入れ状況を打診して回っておるということでございまして、労働省としては、完全雇用を目指して、この問題については最重点的な一つの問題として取り組んでおる、こういうことでございますので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げたいわけでございます。
  254. 富塚三夫

    ○富塚委員 かつて三十年代前半のエネルギー転換のときにも、労働省が一生懸命やりましたよね。構造不況産業の第一次オイルショックの後も労働省一生懸命やったのです。国鉄問題、全然一生懸命やってないんだよね。それで山口さん、あっちこっちでいろんなことを吹いているんだけれども、やはりもう少し本当に、幾ら内閣の中にあっても、雇用問題をどうするか、労働省がイニシアチブをとっていくということがないと、本来何のために労働省があるのか。ぜひ山口さんにまた続いて労働大臣をやってもらいたいと思うのですけれども、そこのところをもっとイニシアチブをとるための具体的な施策について、ひとつ検討してもらいたいというふうに思います。  最後に大蔵大臣年金に対する課税強化のことですけれども、六月十八日の法案提案の際に質問したときの答弁では、五十八年十一月の中期答申を踏まえて将来の検討課題とするが、今は考えていないというふうな趣旨を言われたんですが、そのままで現在でもいいわけですか。年金に対する新たな課税強化をする問題、見直しの問題はそのように考えていいんでしょうか。
  255. 竹下登

    竹下国務大臣 今、五十八年にちょうだいいたしました中期答申というのが一応我々の手がかりのバイブルみたいになっておるわけです。そこで今度は抜本改正の諮問をしたわけでございますから、多くの委員の方々も継続して在任しておられるわけでございますので、やはりあの五十八年の基本的な物の考え方から継続した検討が行われるんじゃないかなというふうに思っておるところでございますので、今のところ、それを抜き出してそれだけ何か措置するという考え方にないということでございます。
  256. 富塚三夫

    ○富塚委員 年金問題、給付を減らして負担を多くする、高齢化社会が来る、一つのバランスを考えたい、こう言っているのですけれども、本来年金というのは社会保障制度の一環であって、高齢化社会が来る、だから給付と負担のバランスをとる、加えて国の財政援助を少なくしたい、そんなばかな年金制度改正というのはない。高齢化社会がやってくる、それならまさに年金制度を充実をさせていく、そういう姿勢があっていいのではないか。  また、国鉄問題を見ますと、何かこう解決をおくらせることによって、次の参議院選挙とかあるいは予定をされる総選挙なんかのえさにして、同じ共済組合法の中の労働者の反目とか対立をあおるようなことを意識的にやっているように思われるのですが、大蔵大臣、そういうことはないのでしょうか。
  257. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、国共済等の統合の際に、あんなに各組合の労働側も経営側も労働者連帯というので夜を徹してお話しいただける、これは大事にしなけりゃならぬなという気持ちが私には継続をいたしておりまして、相反目させるなどということは毛頭考えたことはございません。
  258. 富塚三夫

    ○富塚委員 政府が速やかに立派な案を出してくれると官房長官が重ねて答弁しておりますから、大いに御期待いたしまして、私の質問を終わることにいたします。
  259. 堀之内久男

    ○堀之内委員長代理 宮地正介君。
  260. 宮地正介

    ○宮地委員 初めに、私は、今回の共済年金の改革の問題といわゆる定年制の問題について御質問をさせていただきたいと思います。  労働大臣の時間の都合もあるようでございますのでまず労働大臣に。いわゆる共済年金の改革、この法案が通りますと、来年の四月一日から公的年金が、基礎年金導入ということで、ある意味で一つのスタート台に入るわけですね。こうなってまいりますと、いわゆる受給年齢がほぼ六十五歳というところに一つの到達地点ができるわけであります。  本年三月に六十歳定年制ということが、これからの高齢化社会への対応、時代の趨勢、こういうもので一応出発したわけでございますが、六十歳の定年制と六十五歳の受給年齢との間に五年間のギャップができてくるわけですね。まあいろいろ各種年金には歴史もあるし経過措置もあるわけでございますが、基本的にはこのギャップを埋めていくというこの定年制と年金改革という問題のリンク、これはこれからの高齢化社会にとってまず非常に重要な課題ではないか。この点について、今後六十五歳定年延長の雇用環境づくり、こういうものに労働大臣としてはどのように取り組んでいかれるのか、その点についてまずお話を伺いたいと思います。
  261. 山口敏夫

    ○山口国務大臣 宮地先生の御指摘のとおりでございまして、やはり雇用の期間と年金が相リンクするという形が一番肝要なことだと思いますし、こうした点から、年金の支給開始年齢の引き上げにつきましては、今後の定年制の延長、雇用の延長の進展等、高年齢者の雇用動向に十分配慮した総合的な施策が必要である、かように考えます。  そうした立場から、国会におきましても社労委などを中心に大変長い間御論議をいただいておりました定年制の延長の問題は、雇用審議会でこの十月に最終答申を出していただきまして、今、労働省としましては、次の国会に六十歳までの定年制の延長の法制化の問題、さらに、六十五歳までの同一企業あるいは同一企業グループなどを中心とした継続雇用の推進、また、再就職を希望する高年齢者のための早期再就職の促進などの施策の充実強化を図っていかなければならない、そういうものをまとめまして、次の国会に高齢者の方の定年制の延長と六十五歳代までの雇用の延長の問題を含む法律をまとめて御審議をいただきたい、かように考えております。
  262. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣も御存じのとおり、労働省の政策調査部の産業労働調査課が雇用管理調査というものをことしの六月二十九日にやっておるんですね。この調査の結果を拝見いたしますと、やはり一つの時代の流れとして定年制はもう六十歳から六十五歳に各企業とも非常に移行してきているんですね。例えば規模別に見ましても、五千人以上の企業の場合は、前年比で一四・九ポイントも増加してきているんですね。千人から五千人未満、このくらいのクラスにつきましても八・二ポイントの増加、さらに百人から二百九十九人、この辺でも、最低でも三・九ポイントの増加。昔は五十五年定年、こう言っていましたが、ここのところで急速にもう六十歳の定年から六十五歳、こういうふうに人生八十年時代ということで、そうした定年制に対しても社会が非常に速いピッチで進んでいるわけですね。まして、今回の公的年金の一元化は、御存じのように七十年、あと十年後には公的年金をすべて一元化をして今後の高齢化社会に対応しよう、こういう政府の方針で今進めてきているわけですね。ですから、そういうことを考えましたときに、六十五歳定年制という問題と公的年金一元化という問題、これは切っても切れない関係でございますから、やはり少しピッチを速めてこの問題に取り組むべきではないか。この辺について大臣の御決意なり今後の取り組みの姿勢についてお伺いしておきたいと思います。
  263. 山口敏夫

    ○山口国務大臣 雇用審議会で数年間、長い間御論議いただいておったわけでございまして、高齢化時代に向けて定年の延長というものの必然性があるわけでございますけれども、企業内において、ボランティアというわけにいかないものですから、なかなか強い反対意見もございましたけれども年金の御審議もございますし、審議会の再開を何とかお願いをしまして、先ほど御答弁申し上げたような一つの答申も得たわけでございます。  先生指摘のように、人生八十年時代がやがては一世紀時代、こういう超高齢化時代も十分考えられるわけでございますから、やはりこの高齢者の労働の分野における役割というものは非常に大切でございまして、生きがい対策にもなろうと思います。西欧では、失業の絡みでむしろ雇用期間を短縮して、若い人の失業に仕事を振りかえるというような苦労もしておるようでございますが、幸い我が国は、労使関係の御努力で今まで労働省も行政指導を進めておりまして、六割近くが六十歳の定年までようやく大体整備されたわけでございますので、ここで法制化をさせていただき、今宮地先生指摘のような六十五歳代までの雇用期間の延長というものを引き続き法律プラス行政指導という形で何とか労働関係において定着をさせたい、かように考えておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思うわけでございます。
  264. 宮地正介

    ○宮地委員 大臣、くどいようですけれども、公的年金の一元化のスタートが来年の四月から始まる。そしていろいろ検討され、改正して、十年後の昭和七十年には今度は集結してスタートをさせて、本格的な高齢化社会への対応をやるわけですね。そのときは、いただく方は受給年齢がほとんど六十五歳なんですね。ですから、遅くともそのときには定年制も六十五歳にきちっと延長して、同時進行で七十年代から高齢化社会への本格的な対応に入っていく、こういう姿が必要ではないか。そういう意味で、まだ労働省の方には、具体的な、遅くとも七十年には突入するぞ、こういうものが今ないわけですね。大臣、ぜひそのところは遅くともそこにはきちっとしますぞと明確にしておいて、その過程においては、いろいろ雇用審議会等の御意見を聞きながら、まず六十歳、それから六十五歳、こうあると思うのですが、政府としては、年金の一元化という問題と定年制の六十五歳というものは両輪の輪で解決していく、私は、この基本の計画が必要だと思うのです。そういう点で、公的年金一元化には一つの計画目標ができていますけれども、定年制延長にはその目標が今の段階ではないわけです。まだ漠然としているわけです。ここのところをぜひ同時進行で決着をつけられるような大臣の御決意を伺っておきたいと私は思うのです。
  265. 山口敏夫

    ○山口国務大臣 私もその御指摘は非常に大事なことだと思いますから、先ほども答弁申し上げましたように。まず次の国会で六十歳の定年制の延長の法制化の御審議をお願いいたしまして、それを台として六十五歳代までの雇用の場の確保というものを引き続き行政指導を通じて進めていく。いま一つは、厚生省と労働省で今二省間協議を進めておりまして、人生八十年時代における社会保障分野における役割と労働の分野における役割との継続的な運用というものの協議を今進めさせていただいておりますので、その政策の継続の中に、高齢者の方々の安心でき得るライフサイクルといいますか、ライフワークを整えていきたい、かように考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
  266. 宮地正介

    ○宮地委員 特に、公的年金の一元化については、既に自民党の中でも一つのスケジュールができているのですね。今申し上げましたように、現在の共済年金の改革四つが来年の四月一日からスタートする。一応公的年金厚生年金、国民年金、船員保険などの一つのスタート台の基礎ができるわけですね。これが進んでまいりまして、昭和六十四年には、今度は具体的に国家公務員共済や公企体の共済あるいは地方公務員共済の法改正整理をやっていこう。そしてその次、その法改正をやったら、昭和六十五年にはそれを実施して、さらに今度は、六十九年には国民年金あるいは船員保険、厚生年金、農林年金、私学共済、地方共済、公企体共済国家公務員共済、この関係の公的年金の統合の法改正を既に計画として検討しているわけです。そしていよいよ七十年には公的年金の一元化でどんとスタートしよう。こういうように、年金改革においてはある程度のスケジュールが政府・与党内の、自民党の中のいわゆる公的年金研究会の中でできていて、五十八年十一月ごろにそういうことを明確にして、今回の改革法案もそのスケジュールに乗ってきているわけですね。ですから労働大臣の方も十分御理解をいただいているものと私は理解しているわけです。  今ここでは明確には御答弁できないかもしれませんが、年金改革と定年制の同時進行の計画目的というものについて真剣に取り組んでいただきまして、年金改革の七十年スタートのときに定年制がまだ六十歳だったというようなことのないように、六十五歳の定年制延長がきちっと法的に整理されて、そして本当に高齢化社会に対する同時進行の出発が七十年代からできる、この準備にぜひ取り組んでいただきたいと強く要望しておきますので、簡単で結構ですから、この点についての御決意をお願いしたいと思います。
  267. 山口敏夫

    ○山口国務大臣 民間の企業などには六十歳定年の法制化にもいろいろな大変厳しい御意見もございます。しかし、今先生指摘のように、年金が六十五歳からの支給、特に七十年度からはそういう制度になる、こういうことでもございますし、高齢化時代を迎えて、労働の分野においても年金受給までの雇用の継続というものは政府の一つの大きな責任であろうと思います。民間の企業、経営者、使用者団体の方とも十分御理解を深めていただきまして、定年制の延長が六十五歳までの雇用の継続というものから一歩進んだ状況に、政府としても労働政策としてもそういう対応が必要であるという認識の上に立って労働行政を進めていく必要を十分痛感しておりますので、そうした認識を持って今後の高齢者雇用の問題を考えていきたい、かように考える次第でございます。
  268. 宮地正介

    ○宮地委員 では労働大臣、お忙しいようですから、どうぞお引き取りいただいて結構でございます。  次に、国鉄の救済対策の問題について、官房長官にきょうは再びお越しいただいたわけでございますが、昨日の当委員会におきまして官房長官は、国鉄の救済策につきましては、国家公務員共済など四つの法案の衆議院通過までに検討結果を国会に報告する、こういうふうにお話しいただいたわけでございます。具体的にこの検討結果を報告するということは、ある程度財源措置をも含めた国鉄救済策を報告できるものか、検討した結果をただ報告する、単なる関係省庁の統一見解を政府として発表する、こういうものなのかどうか。きのうは急の急でしたから、国会審議都合もあってああいうふうにおっしゃったともとれるのですが、我々としては中身がやはり大事でありまして、国鉄共済を救済する以上は、財源対策なくして語れないと思うのです。その点について官房長官、その真意のほどをもう一度伺っておきたいと思います。
  269. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 昨日来いろいろ御質疑をいただいてきておるところでございますが、御指摘をいただいておりますように、国鉄共済の問題は非常に大きな問題である。国鉄改革という視点から見ましても、また一連の年金問題をどういうふうに持っていくかという視点からいたしましても、非常に重要な課題である、このように認識をいたしておるところでございます。  政府といたしましても鋭意この検討を進めていかなければならぬと考えてきておるところでございますが、何分にもそれぞれ負担、今お話しのように、まさに財源をどうするかということが中心になって検討されなければならぬ課題であろうというふうには思っておるわけでございますけれども、例えば国庫から負担するという話になった場合に、これは大蔵大臣がそれでいいというふうに考えたということで結論が出るということではなくて、広く国民の合意、納税者の合意が要ることだろうというふうに当然思うわけでございます。また、御負担をいただく向きを広げていくということになりますと、それぞれの仕組みにそれぞれ該当される方々があって、この問題をどのようにお考えになるかということについて当然いろいろな御相談、また合意が得られないと仕組みは動いていかない、こういうことになるかと思うのでございます。そういうことも含めまして、昨日この問題は相当時間のかかる課題だろうと思いますということを申し上げたところでございますが、とにかくめどを立てろ、こういうお話もございましたので、とにかく誠心誠意検討を進めまして、この法案が衆議院を通過するまでに精力的に検討をいたしまして、その結果を国会に御報告をいたします、こういうふうに申し上げたところでございます。  検討に入ったところでございますので、その内容がどういうふうなことになりますかというところまで申し上げる段階に今まだ至っておりません。事柄の重要性をよく認識をいたしまして誠心誠意検討を進めてまいりたい、このように考えておる次第でございます。
  270. 宮地正介

    ○宮地委員 財源対策として考えられる道というのはそうたくさんの例はないと思うのです。今、官房長官おっしゃいましたように、一つは国庫補助、国が負担をするかどうか、あるいは現在の電電やたばこや国家公務員共済のみならずもっと関係の年金制度に広げてそれでお願いするのか、あるいはその両方の折衷案になるのか、いろいろとやはりあると思うのですね。  今、官房長官がおっしゃったように、衆議院の通過といいましてもタイムリミットというのはあるわけですね。そういう意味では、なかなかそう簡単には結論が出ないと思うのです。ということは、検討のアイ・エヌ・ジー段階においてもある程度の報告をされるのか、要するに中間報告的にこういう検討をしましたということで出るのか、あるいは政府としては財源対策についてはこういう方向で検討を進めておりますという中間報告をされるのか、この辺がポイントだと思うのです。  というのは、実はこの法案については、最終的に衆議院を通過する段階において恐らくこの法案の修正問題が出てくると思うのです。厚生年金や国民年金の統合のときにも、衆議院で修正、参議院でも修正いたしました。今回の共済のこの四つの改革法案についてもこのまますんなり衆議院を通過するということは到底考えられない。そういう点で、政府としても修正を当然用意されなければならないと思うのです。その問題を含めて、官房長官、きのうのお話をどういうふうに受けとめられておるのか、お伺いしておきたいと思います。     〔堀之内委員長代理退席、越智委員長着席〕
  271. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 こういうところに問題があると思うと御指摘いただきましたことは、まさにそういうところに問題があろうかというふうに考えておる次第でございますが、とにかく検討に入りましたばかりでございますので、誠心誠意この委員会におきますいろいろな御意見ども十分参考にさせていただいて検討を進めさせていただきまして、そして、その結果を委員会に御報告をするということにいたしたいと思っておりまして、またどのような内容でどういう形で御報告できるかというところまで考えがまとまっておるわけではありません。とにかく誠意を持って検討していきたいというふうに考えて作業を進めてまいりますので、しばらく時間の御猶予をいただきましてお見守りをいただくようにぜひお願いを申し上げたいと思うわけでございます。  修正問題についての御指摘がございましたが、高齢化社会の到来に対応いたしまして、また、公的年金の一元化を展望しつつ、安定をした公平な年金制度に持っていきたいということで作業を進めてまいりまして、既に国民年金厚生年金改正につきまして御審議をちょうだいをいたし、成立をいたしまして、四月一日からの実施ということで対応していくことにいたしておるところでございます。同じく共済年金関係につきまして、準備の関係もございますので前の国会でぜひ成立をお願いしたいと考えてまいりましたが、いろいろ御審議の御都合等もございまして今臨時国会で御審議をお願いしてきておるところでございます。政府といたしましては、いろいろな角度から慎重に検討をいたしまして今回の改正案をまとめた次第でございますので、修正のお話でございますけれども、ぜひ政府案で成立をさせていただきますように、御審議を深めていただきまして、御理解を賜り成立に向かってぜひお力添えを賜りますようにお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
  272. 宮地正介

    ○宮地委員 官房長官、そんなことを言っていたらこの法案通らなくなっちゃいますよ。国庫負担の水準の問題あるいは標準方式の問題、職域年金の問題、個々に詰めてまいりますと具体的にはやはり修正をしなければならない問題が多々あるわけなんです。これはまた大蔵委員会で二時間ぐらい議論がありますから具体的な細かいことは詰めていきたいと思いますけれども官房長官、本当に国民の立場に立って修正すべきものは修正すべきである。皆さんがいろいろ検討して努力をされて法案を出された、これは敬意を表しますけれども厚生年金にしたって、国民年金の統合問題にしたって、あれだけ修正に応じて通過をさせたわけですね。今回の共済四法案が無修正のままいくなんということはだれも考えていないわけです。そういうかたくなな姿勢では困るわけです。ですから、与野党で修正点について議論をして、本当に一致してここは修正すべきである、こういうふうに出てきた問題については、政府としては前向きに応じるのは当然ではないかと思うのですが、もう一度この点について伺いたいと思います。
  273. 藤波孝生

    ○藤波国務大臣 政府といたしましては、最善の案を準備して提出をし御審議を願っている、こういう考え方で御審議をお願いをしてきておるところでございます。ただ、それぞれ四つの委員会で御審議をお願いをしてきておりまして、それぞれの委員会でいろいろ具体的な御検討、御審議もあろうか、こんなふうに思いますが、その際にはそれぞれ担当の閣僚からお答えを申し上げる、こういう考え方で来ておるところでございまして、政府といたしましては、ぜひ政府案の成立を期してお願いを申し上げたい、こういうふうに考えておりますことをお答えを申し上げたいと存じます。
  274. 宮地正介

    ○宮地委員 大蔵大臣、きょうは時間が限られていますのでたくさん質問できないのですが、例えば基礎年金の部分、ここは政府案によりますと国庫負担が三分の一ですよね。基礎年金の導入という一つの概念、理念といいますか、ここについては、大変厳しい財政事情でありますけれども、国庫負担を私どもは四〇%ぐらいまでにすべきではないか、こういうように考えているのです。この点について、これからも恐らく修正問題等が出てきたときの議論になると思うのですが、基礎年金という性格から見てもう少し財政的にも国が応分の負担というものを考えてもいいのではないか、こう思っておるのですが、この点については大臣の所見を伺っておきたいと思います。
  275. 竹下登

    竹下国務大臣 結局、今度の改正、私の方で申しますならば国家公務員等共済年金法案ということになりますが、要するにいろいろな角度から検討した結果国民年金に合わす、こういう考え方で最も広くかつ公平な点ということになると、基礎年金部分に対する三分の一というのが妥当ではないか、そうして、現在の財政のたえ得る限界でもないか、こういうことで審議をお願いしておるという実情でございます。
  276. 宮地正介

    ○宮地委員 大変に財政の事情が厳しいということで国民年金に並列化していく、これはある程度わかるわけでございますが、基礎年金の導入の一つの理念というか概念、ここはある程度国が応分の負担をしていっても当然ではないか。その上の報酬比例部分あるいは既得権の部分については、これはある程度年金加入者などの応分の負担というものも十分検討できますが、皆年金制の基礎の部分については、国民に対しての対応でございますので、今後、財政事情が許せばこれは引き上げていく方向でやっていかなくてはならないのではないか。今回は国民年金との並列化ということで、共済年金だけ特別にというわけにはいかないのは、これは十分理解できますが、今後の取り組みとしては、この基礎年金の国庫負担部分については、時代の一つの経済環境、財政事情というものが許すならば、もう少し応分の負担をしていくべきではないか、こう思っておるのですが、基本的にそうした考え方大臣としてどういうふうに思っていらっしゃるのか、伺っておきたいと思います。
  277. 竹下登

    竹下国務大臣 審議会で、国家公務員等共済組合の審議会ではございませんでしたが、いわば所得付加税みたいなものを原資とする目的税制度はどうか、こういうような答申もあったことがあります。あるいは、あなたを含む専門家の皆さんから、ときどき目的税問題とかいうような議論も出ております。それらは、今の場合税制の問題は別途に税制調査会でやっておりますし、また従来とってきた物の考え方というのはやはり社会保険方式であって、目的税は必ずしも趣旨に合わない、こういうような答弁もしてきております。したがって、現段階においては御理解をいただけるものと思いますのは国民年金との並列、こういう物の考え方。将来のあり方につきましては、各方面でそのような議論が行われておるということは、私も目的税議論までが行われておるわけでございますから承知をいたしております。それはやはり将来の課題の一つではあろうと思いますが、にわかに私が判断する環境にはいまだない、こういうことでございます。
  278. 宮地正介

    ○宮地委員 先ほどからいろいろ出ておりましたが、もう一つは各共済の中においての積立金の自主運用、この問題については非常に大蔵省はかたくなにガードを固めているんですね。各年金の歴史あるいは今回のこうした公的年金の一元化の方向という一つの時代の流れというものを考えてきたとき、いつまでも大蔵省の枠の中でこの積立金を運用するというのではなくして、もっと効率的に運用できるように、特に、専売、いわゆる日本たばこ産業のたばこだとか電電だとか、民間に移行されたこうした会社などにおいては、やはりそういう点では非常に要望が強いですね。私は、この積立金の自主運用の問題については、もっと弾力的に運用できるように検討すべきときが来ているんじゃないか、こう思っているのですが、この点についての大蔵大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
  279. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題につきましては、私も今問題を指摘された意味は十分理解いたしておりますが、要するに年金財政という角度からの一つの議論とそれから財政投融資計画というものの持つ側面からの議論、それを整理してかからないといかぬ問題だ。従来は、私どもは財投原資としての意義というものを尊重し、公の信頼と責任において集めたものはやはり運用を一元化すべきだ、こういう主張を今日まで続けておるわけであります。  今度厚生大臣から、概算要求の際、これらの自主運用と申しましょうか、運用の拡大と申した方が適切であろうかと思いますが、それらの要求が出ております。これは年末までの予算編成を通じてお話し合いをしなければならぬ課題だというふうに受けとめております。
  280. 宮地正介

    ○宮地委員 きょうは農林水産大臣も来ていただいておりますので伺いますが、農業共済ですね、これも決して油断ができない状態に今あるのではないか、こう思うのです。だんだん会員が減ってきている、こういうような状況で、このままほっておきますと第二の国鉄になるかもしれない、こういう心配が十分あるわけですね。そういう点で、それに対する対応として、農林水産の関係の業界における基盤整備は当然やっていかなければいけないと思うのです。そういう点についての対応、これは今どういうふうに取り組んでおられるのか、ちょっと伺っておきたいと思うのです。
  281. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 宮地先生にお答えいたしますが、基本的には、農林漁業団体というのは、農林漁業者の自主的協同組織として、我が国農林漁業の発展と農林漁業者の経済的、社会的地位の向上に大きな役割を果たしてきたと考えておりますが、近年における農林漁業を取り巻く、先生指摘のとおり厳しい諸情勢のもとで、これからの農林漁業団体の果たすべき役割、期待が一層増大しております。一方、農山漁村の混住化、兼業化の進行等、その組織基盤の変化の中で、農林漁業者の自主的協同組織としての本来の使命を再確認し、常にその業務運営のあり方を見直し、組合員のニーズにこたえた事業活動と経費節減等による経営合理化の推進が必要と考えており、農林水産省としても必要に応じて適切な指導を行っていきたいと考えております。
  282. 宮地正介

    ○宮地委員 最後に厚生大臣に伺っておきたいと思います。  今回の共済四法案の改革というものは、将来の高齢化社会に対応するための公的年金一元化の一つのスタート台に乗る、こういうふうに私は理解しておるのです。公的一元化あるいは基礎年金導入、二階建て年金制度、こういった問題については我が党も従前から非常に主張してまいりました。高齢化社会への対応にいち早く手を打つべきだ、こういう強調もしてまいりました。しかし、今回のこの一連のいわゆる改革、それから一つの計画目標を見てまいりますと、何といっても一つは財源の問題ですね。この財源問題をどうするかということと、それから将来果たしてこの年金改革というものは、一応公的年金の一元化という計画目標がありますけれども給付の面あるいは受給の面いろいろな負担の問題、本当に基本的に今の状況ではまさにこれは改悪になってしまうと思うのです。私は、その中でやはり明確に今後の方向性、財源対策についてはどうするんだ、もっと詰めるなら、日本のこれからの高齢化社会においてこの年金改革をやっていく基本的考えとして高福祉高負担の姿勢でいくのか、あるいはその点について低福祉高負担、低福祉低負担、こういう何か一つのターゲットはできているけれども、その基本的な理念といいますか考え方、その一番の財源的な問題、それから受ける高齢者の皆さんの恩恵の問題、ここのところがいまという感じを受けるわけですね。厚生大臣年金担当大臣ですから、そこのところを果たしてどういう考え方を持って担当されているのか、明確にしていただければありがたいと思うのです。
  283. 増岡博之

    増岡国務大臣 福祉と負担の問題につきましては、臨調におきましてヨーロッパの高水準並みより相当低いレベルでということでございますので、そういう観点から見ますと、いわば上手を言いますと適切なレベルということになりますけれども、私としてはやはり高福祉高負担ではあり得ないというふうに思います。したがって、中程度、適切な程度の負担で最低の保障をしていこうということが中心になってくるのではないかというふうに思います。また、その際財政がどれだけ手伝っていただけるかということの問題もあるわけでございますけれども、現在では大変厳しい制約を受けておるわけでございますが、将来の問題としてはこの点につきましても検討課題ではなかろうかというふうに思っております。要領を得ませんけれども、その間の適切をレベルでの負担と給付というふうに考えておるわけでございます。
  284. 宮地正介

    ○宮地委員 どうも歯に何か物が挟まったような答弁で、負担については中くらい、福祉については最低限度守る、こんな中途半端な姿勢、対応でこれからの日本高齢化社会は迎えられないと思うのです。やはりそういう点は本当に日本のこれから二十一世紀を迎える、そうした高齢化社会に対応するきちっとした理念というものをつくって、そして勇気を持って取り組むときは取り組んでいただきたい、強く要望して終わりにしたいと思います。
  285. 越智伊平

    越智委員長 大橋敏雄君。
  286. 大橋敏雄

    ○大橋委員 年金改革につきましていろいろと論議が尽くされているわけでございますけれども公務員等の共済年金につきましても基礎年金を導入していこうということについては我が党はかねてから主張してきたところでございまして、また世論の大勢であろうかと思っているわけです。したがいまして、私は改革の大枠につきましては十分理解できますし、反対するところではございませんけれども、その問題点の第一というのは、肝心の基礎年金そのものが、給付も負担も基礎年金本来の趣旨、理念が十分に反映されていないというところに重大な問題が残されているわけでございます。この点につきましては、基礎年金審議の段階で厳しく指摘をし、また是正、改善を迫ってきたところでございます。今後とも是正、改善の方針を変える気持ちは毛頭ございませんけれども、この基礎年金に関する法律が前国会で可決成立しましていよいよ六十一年四月一日から実施の運びとなっている現実の立場を踏まえまして、今回の審議につきましては、四法案、つまり四共済年金の改革の問題点を指摘して、今も話がありましたように修正項目を今まとめつつあるわけでございます。そういうものを含めました気持ちの上から、基本的な問題点について質問をしたいと思うのでございます。  今回の改正点、改革案のポイントを簡単に申し上げますならば、共済年金厚生年金並みに合わせていこう、ただし、共済年金というものは公務員制度の一環であるから公務員の特殊性を配慮してこれに若干プラスアルファする、つまり職域部分を設けるのだ、こうなっていると思うのですね。すなわち、基礎年金、報酬比例部分、そして職域年金といういわゆる三階建ての構想になっていると思うのですけれども、この点につきましても我が公明党が主張してきたものと合っているわけでございますが、共済年金厚生年金、現行法をぴたっと合わせますと、確かに厚生年金よりもずっと上乗せされている立場にある共済年金がはっきり見えるわけです。しかしながら、同じ共済年金でありながら厚生年金を下回っている部分も見えてくるわけですね。  そういうことから、私は今回の改正案の方針を見てみますときに、共済の既得権、期待権、そういうものにこだわらずにとにかく出っ張っているものは厚生年金並みに抑えていこう、そして改革していくのだといういわゆる抑制策ともなっていることだと思うわけでございますが、それならばそれのようにこの際に、厚生年金よりも下回っている、不利になっている共済関係者については引き上げる改善措置を講ずべきだ、実はこう思っているわけでございます。そうでなければ、上の方は抑えた、下はそのままだということになるとこれは片手落ちだ、公平を欠く、不合理であると私は思うのでございますが、まず初めに、基本的な物の考え方について大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
  287. 竹下登

    竹下国務大臣 設計の仕方、その基本的考え方、これは大橋さんかねて御主張のものを基本にして積み上げてきた、私もそういうコンセンサスがあったというふうに思っております。その中にあって既得権と期待権、法律に言う期待権というようなものの解釈は非常に難しいにいたしましても、そういうものを最大限に尊重しながら設計をした、そしておっしゃるとおり厚生年金にいわば可能な限り合わすようにした。しかし、元来厚年よりも共済の方が不利な問題、それの是正を図った点も幾ばくかございます。しかし、これはこれでスタートさせていただいたということに相なりますと、その後の将来の問題として、私はまだ出てくる問題はあるであろうという問題意識は持っております。
  288. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今、共済の既得権、期待権を最大限に守ったとおっしゃいますけれども、それは全然間違いです。今回は当然もらえる額、一応その額は守られましたけれども、裁定がえしまして見直しをされた額との幅については足踏みさせられるわけですね。これは期待権を最大限に守ったということにはならぬ。ある程度守ったということならわかりますよ。最大限に守ったことではないということですね。  そこで、今、ある程度そういう不合理な問題は今回の改正案で是正した、解消してきたとおっしゃることについては、多少なりと理解できる部分はあるのですけれども、私が今一番言いたいことは、厚生年金水準というのは社会保障よりも下回る人が現にいるということに対して、これは引き上げなきゃいけませんよと、こう言っているわけです。  その前にまず、私は厚生大臣に、非常に恐縮でございますが、基本的なことといいますか、常識的なことでございますが非常に大事な問題ですからお聞きしたいと思うのですけれども厚生年金の性格というものは、一般勤労者に対する社会保障年金であるということですね。原則的に、勤労者には厚生年金給付水準が保障されるものであるということ、それから国民の基本的権利の一つであると考えられるということ、したがって、厚生年金は受給要件さえ満たしたならば服役中でも全額支給されているという事実がある、こういうものだと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  289. 増岡博之

    増岡国務大臣 厚生年金は、加入者が負担をせられたものに対して、老後の生活の安定と福祉の向上のために給付を行うことを目的としておる社会保障制度の一環であります。そういう建前でございますから、当然先生が御指摘のような場合にもその給付を受けることは制度的に認められておる権利だと思います。
  290. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今大臣おっしゃったことは、いわゆる厚生年金は社会保障の年金である、国民の社会保障に対する権利の一つである、このようにお答えになったと思うのでございますが、共済の場合は、現行法においてでございますけれども公務員の特殊性から懲戒処分等を受けると一部または全額が支給停止になりますね。  そういうことを前提に私は、今回の年金改革に当たりましては、あるいは統合再編とも申しましょうか、こういう点につきましては厚生年金水準を下回ることのないようにきめ細かい配慮がまず必要である、下回っている状況を放置するということは社会保障の精神、理念から法のもとの平等に違反する、こう言わざるを得ないと思うのでございまして、この際、下回っている部分についてはぜひとも改善の措置をとっていただきたい、このように思うのでございます。もう一度大蔵大臣にこの点をお尋ねします。
  291. 竹下登

    竹下国務大臣 例えば懲戒処分を受けたときなどの問題は、職域年金部分に限定するというようなことでお願いをしておるわけであります。これは公務員の職務の特殊性からでございましよう。  そして、大橋さん専門家でございますから、過去にいろいろな不利というような問題は私もあろうかと思いますが、過去の問題を洗い出すというのは事実上難しいのじゃなかろうか。したがって、将来にわたっての問題としてこれは仕組みを考えていかなければならぬではないかなと、私は非常に単純な理解で、意を尽くしませんけれども、そのような感じで受けとめております。
  292. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今、過去の問題を掌握するのは難しいんじゃないか。簡単ではないけれども、これは必ず掌握できます。  そこで大臣お尋ねしますが、現行法において、厚生年金に加入しているならば遺族年金や障害年金の受給対象となるのに、共済であるがゆえに受給できないというケース、全く無年金者がいるんですよ。いるということを御存じかどうかということですが、お答え願いたいと思います。
  293. 門田實

    門田政府委員 御指摘ございましたように、これまで制度の仕組みが違いましたために、共済の場合には遺族年金、障害年金につきまして一年というような支給要件がございました。これは厚生年金の場合には六カ月以上というようなことで相違があったわけでございますが、今回この要件は撤廃しておりますので、将来に向かってはこの辺は平仄が合った、こういうふうに考えております。
  294. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今の答弁で、その相違があったことは事実だが、今回の改正案からはそれはなくなる。それは私もわかります。  しかし、過去の人について私がなぜここまでしつこく言うかと申しますと、共済年金厚生年金に合わせようというわけでしよう。上の方は抑えるんだ、したがって今度は下の部分も引き上げなければ、先ほど言いました社会保障的年金である厚生年金を下回るということは重大な欠陥になるわけですから、これはやはり引き上げるべきだと言うんですよ。それも、そういう対象者を探し出すのは困難だとおっしゃるかもしれませんが、公務員がいつ退職したか、あるいはいつ亡くなったかはきちっと掌握されていなければならぬはずでしよう。これはどうでしようか。
  295. 竹下登

    竹下国務大臣 たしか、過去は一年在職してないと対象にならなかったというのを今度は外した。だから、過去においてはそれらの方々はいらっしゃると思いますが、将来に向かっては善処したといたしましても、過去にさかのぼって探すというのは、今大橋さんはそれは把握できるはずだと。私はこれは非常に難しいだろうと思うのでありますが、正確な知識は私、持ち合わせておりませんので、その点に限りましては事務当局からお答えすることをお許しいただきたいと思います。
  296. 門田實

    門田政府委員 今の一年の問題もございますし、それから障害年金になりますと障害の程度あるいはその後の状況、こういったようなことがなかなか、過去にさかのぼっては事実関係の把握が難しいというのが率直なところなんでございます。
  297. 大橋敏雄

    ○大橋委員 人事院の方が来ていらっしゃると思うのですけれども公務員の障害だとかあるいは死亡だとかという問題について人事院の方では掌握なさっていると思うのですけれども、いかがですか。
  298. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 公務員の障害、死亡等の状況につきましては、私どもの職員局の方で把握しております。
  299. 大橋敏雄

    ○大橋委員 把握されていると理解していいですね。
  300. 内海倫

    ○内海政府委員 今直ちに私、御返事を申し上げかねますが、この審議中に、すぐ調べまして御返事を申し上げたいと思います。
  301. 大橋敏雄

    ○大橋委員 いや、これは審議中に云々じゃなくて、掌握されていなきゃならぬ問題で、当然のことだと思うんですよ。それで大蔵大臣、私は過去の人を探して、過去にさかのぼって、遡及して補償しなさいと言うんじゃないんですよ。現に、過去に厚生年金ならばもらったであろう遺族年金あるいは障害年金者が、共済であるがゆえにゼロなんですよ。これはやっぱり、今回発足する上においては助けなきゃならぬじゃないですかと言っているのです。これはまことに常識的な質問だと思うんですけれども、いかがでしょうか。
  302. 門田實

    門田政府委員 御指摘のところは、私どもも気持ちとしては本当にそういうことであろう、こう思うわけでございますが、障害のみならず遺族の方も事実関係の把握は難しいという面があるということを事務の方では言っておるのを聞いておるわけでございます。
  303. 大橋敏雄

    ○大橋委員 公務員が死亡することの把握が難しいなどと言っていたら話にならぬですよね。こんなことは問題になりません。  そこで大蔵大臣、従来、今度の改正の施行前におけるいわゆる官民逆格差になっている問題として、今の障害年金あるいは遺族年金、もう一つは通年方式による退職年金関係者ですけれども、これなどは、共済の方は厚生年金よりもずっと高い掛金をまず払ってきております。それで厚生年金よりも低い国庫負担であります。厚生年金よりも少ない年金を受けているわけですが、あるいは今言ったように全く無年金となっている人すらもいるわけですね。  それから、先ほども言ったように、懲戒処分等によって給付制限を受けているために、社会保障年金水準以下になっている人もいるという事実をまず承知してください。よろしいですか。  じゃ、時間がないですからもう一つ。  改正後における官民逆格差もあるんですよ。改正後もですよ。ちょっと大臣聞いておってくださいよ。厚生年金は、この前の改正で六十五歳以上は在職していても年金が全額もらえるようになりました。よろしいですね。そのかわりに、厚生年金の場合には六十五歳を超すと被保険者ではなくなりますけれども、働きながら全額もらえるようになったのです。ところが共済の場合は、二割、五割、八割という減額支給となっておりますね。これは官民逆格差になったわけですよ。障害年金受給者も、在職中においても厚年の場合は全額支給ですよ。ところが共済の場合は二割、五割、八割と減額支給ですから、これも逆格差になっておるわけですよ。ということで、共済年金厚生年金に準ずる方式に改めるに当たっては、従前の支給要件や給付水準厚生年金より下回る部分、不利になっているものについては厚年並みに改めるべきだと私は思うのです。  また、既裁定者につきましても、過去にさかのぼって補償せよとは言ってはおりません。つまり、施行後の段階からでいいからその下回っている部分は厚生年金並みにしてください、こう言っているわけです。よろしくお願いします。
  304. 竹下登

    竹下国務大臣 おっしゃる意味はよくわかります。私もまことに素人でございますけれども、一般的に国家公務員等は六十歳で定年に達することによって退職しておりますから、六十五歳以上の方々ということになりますと、裁判官の方とかあるいは学長さんとかあるいは公企体の総裁さんとか、そんな方になっていくんじゃないかな。そうすると、この方々は相当に高所得の方じゃないかというふうに理解をいたしておりますので、勘で申し上げて非常に失礼でございますけれども、この点は大体いいじゃないかなと私は思います。  それから、いま一つの問題につきましては、私も今内海人事院総裁のお話を聞いておりましたが、実態調査というのはなかなか難しいんじゃないかなという程度の認識で、かくかくしかじかで難しゅうございますと言うだけの資料を持ってお答えしているわけじゃございませんが、なかなか難しいんじゃないかな、こんな感じでございます。
  305. 大橋敏雄

    ○大橋委員 それは簡単じゃないですよ。大変な資料が必要になってくるわけですけれども、これは掌握されていなきゃならない事柄だということ空言っているのです。  それからもう一つ、今六十五歳以上の問題を取り上げましたのは、その対象者がどうだとかこうだとかじゃなくて、厚生年金はそうなっていますよということは、国家公務員法の第百七条、これは社会保障年金にプラスアルファしていくべき精神をうたっているわけでしょう。ですから、あくまでも社会保障である厚生年金が一応基準になるわけですから、それよりも下回っている、逆格差になっているものは改めるべきじゃないですか、こう言っているわけです。対象者がどうであれこうであれ、そういうことを言っているわけじゃないですよ。もしそれが問題だということであるならば、それはそれなりにまた将来論議しなければならぬ問題だと思うのです。時間の関係もありますので次に進みますが、私はこの点は今後具体的に修正要求として詰めていきたいと思っております。  そこで、官民格差あるいは官官格差、官民逆差等さまざまな問題が実は表面化しているわけでございますが、改正案ではそれなりに解消努力の跡は認められますものの、基本的に言えることは、公務員制度の一環として組み込まれている共済年金という重要な趣旨が十分尊重された改正案とはなっていないということです。共済年金水準のあり方につきましては、当然公務員等に十分理解が得られるいわゆる筋の通った内容としなければならぬと思うのでございます。先ほど申しましたように、国家公務員法百七条ですね、これは公務員年金は社会保障水準に若干プラスアルファする趣旨だと私は理解しているのです。これを確認したいのですが、いかがですか。
  306. 竹下登

    竹下国務大臣 国家公務員法百七条は、私が所管ではございませんけれども、おっしゃるとおりだと私は理解しております。
  307. 大橋敏雄

    ○大橋委員 要するにこれは、国家公務員制度の一環としての重要な共済制度、特に国家公務員年金に対する憲法と言われているところです。それは社会保障プラスアルファの状態にすべきであるということがうたわれているわけです。  そこで、職域部分の厚みですね、今回改正案でとられている厚みというものは、千分の一・五、すなわち比例部分の二〇%の上乗せになっているわけですけれども、これは一体何を根拠に、何を基準にそのようにされたのか。公務員制度の一環として、また企業年金を配慮して、保険料負担もあるのでこの程度が妥当ではないか、こういうふうに考えての内容になっているのかどうか。その点をお尋ねいたします。
  308. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題につきましては、いわゆる共済年金の中に職域年金相当部分として千分の一・五の年金設計を行っております。  職域年金相当部分の年金水準及び費用負担のあり方につきましては、民間における企業年金の態様、水準、費用負担の割合、その実態が千差万別で、しかもその普及状況はまだ五〇%程度だ、そういうようなことと比較をいたしまして一応の結論を——だからそういうことから考えますと、結論を得ることはなかなか困難だというふうに考えるわけであります。  したがって、もう一つ大事なことは、やはり現職者の負担の限界というのを考えなければ世代間アンバランスみたいな感じを強くいたしますので、そういうことから考えますと、今おっしゃいました二割程度、基礎年金を含めた公的年金全体の先ほど来も議論があります八%ということがまずは限界ではないか、こういう考え方でお願いをしておるわけであります。
  309. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今お答えになったのは、公務員制度の一環としての立場から上積みをしょうというのが職域部分である、それは企業年金の状態も配慮してこのような上積みをしたのだ、しかしながら企業年金の実態は千差万別だ、つかみにくい、あるいは普及率は五〇%程度だ、こうおっしゃっているわけでございますが、私はこれはまさに不親切な御答弁だと思うのです。  そこで、まず厚生大臣お尋ねしますけれども、民間の厚生年金の三階部分に当たるのがいわゆる企業年金であり厚生年金基金だ、こういうふうに思うのでございます。よろしいですね。今共済年金は三階部分で職域部分が持たれましたけれども厚生年金の三階部分というのは企業年金あるいは厚生年金基金に当たると思うのです。つまり、厚生年金基金は比例報酬部分の三〇%以上プラスアルファすることが条件になっていると思うのでございますが、いかがでございましょうか。また、厚生年金基金の実態を把握されていれば、どの程度のプラスアルファになっているのか。全体の平均で結構ですが、あわせておっしゃってください。
  310. 吉原米治

    吉原政府委員 厚生年金基金のプラスアルファは、厚生年金の報酬比例部分の代行部分の三〇%以上あることを設立の条件にしているわけでございますが、実際の現在設立をされております全基金の平均は、これは計算の仕方が若干議論があるところでございますけれども、代行部分に対しまして全基金では七三%ということになっております。  ただ、先ほどの共済の場合の比率と比較をする場合には、代行部分だけではなしに  代行部分にはスライドとか再評価の部分が入っておりません。報酬比例部分の全部ではないわけでございます。したがいまして、報酬比例部分全体に対するプラスアルファというものがどのくらいになっているかと申し上げますと、全基金平均では四二%ぐらいになっているわけでございます。
  311. 大橋敏雄

    ○大橋委員 大臣、今お聞きになってわかったと思うのです。つまり、厚生年金のいわゆる三階部分に当たるのが今言われた部分ですけれども、最低三〇%上積みしなさい、しかもその平均をとると、単純平均だけれども、七三%上積みされているわけです。こっちは二〇%といっているのですよ。これはいろいろな要素を差し引けばまだ多少は下がりますよ。だけれども、どんなに下がったといったって三〇%以下にはならぬわけですよ。ということは、企業年金を配慮してということからいくと、ここは非常に理解できないところでございます。  私は、大蔵省といたしましても企業年金の実態は不十分ながらも調査されたと思うのです。したがいまして、さっき企業年金の普及率は千差万別だったとか五〇%だとか言っております。実施率は五〇%程度だと今おっしゃったですね。ところが、人事院がついこの前実施しておりますけれども、人事院の五十九年度の年次報告書を見てみますと、企業規模千人以上を対象に調査をしております。これを見ると、五十三年度では企業年金の実施率が六六%だったのが、五十七年度は八一%になっているのですよ。五〇%なんというものじゃないのですよ。これは人事院の調査です。もし私が言っていることがうそだというんだったらちょっと答弁してもらいたいのですけれども
  312. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 本年の退職手当法の改正の基礎資料としまして、総務庁の求めに応じまして制度の調査と実額の調査をいたしました。今おっしゃったのは制度の調査でございまして、千人以上の企業について調査しましたところ、五十三年が六六%、五十七年が八一%ということになっております。
  313. 大橋敏雄

    ○大橋委員 このように、今企業年金というのはかなり高率で運営されているわけですから、それを配慮した職域部分となると今の姿でいいのだろうか。ただ、これを被用者本人、つまり公務員その人に負担させるから、まあまあこの程度がいいんじゃないかという考えをお持ちのようでございますが、これは必ずしも被用者本人の負担にしなくても、事業主負担で賄ってもおかしくはないのですよ。  企業年金の原資をだれが負担するかについて労働省が調査しております。「昭和五十六年退職金制度調査」というものにそれが示されていると思うのですけれども、それを見てまいりますと、ほとんどが事業主が負担することによって賄われているのです。労働省の方来ていますね。では、今申し上げました「昭和五十六年退職金制度調査」の二十四表と二十五表の内容を簡単で結構ですから示してください。
  314. 岡部晃三

    ○岡部政府委員 お尋ねは、適格年金を有する企業についての労働者負担の有無の表が二十四表でございますが、これによりますと労働者負担がある企業が五・五%、労働者負担がない企業が九四・五%でございます。  それから、二十五表と申しますのは、これは年金の種類別の表でございますが、調整年金についてみますと、労働者負担があるのが三四・〇%、労働者負担がない企業が六六・〇%。それから企業独自年金につきましては、労働者負担がある企業が二〇・六%、労働者負担がない企業が七九・四%でございます。
  315. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今労働省の調査でわかりましたように、「適格年金の拠出制の有無別企業数の割合」を見ますと、労働者に負担させているというのはわずかに五・五%だ、あとは企業が全部拠出して面倒を見ているというのが九四・五%となっているのですよ。それから、千人以上の欄を見てまいりますと、労働者が負担をしているのが一四%で、負担をしてないのが八六%、いわゆる企業の負担で賄っているというのですよ。  それから、今調整年金と企業独自年金内容を示されたのですけれども、適格年金を申し上げますと、労働者が負担していないのが八六%ですよ。負担しているのがわずか一四%。調整年金、企業独自年金は先ほど労働省が発表したとおりでございまして、もうほとんど企業が抱え込んだ姿で上乗せをやっているわけです。しかも企業年金は八十数%の普及率なんですよ。  そういうことを考え合わせていきますと、今回の大蔵省の企業年金に対する調査というものは非常に甘いということ。それから人事院においても同じことが言えるわけでございますけれども、やればできるんだ、今労働省にしろ他の省庁にしろ、その気になればやるわけでしよう。例えば国家公務員の退職金の問題については、総理府の方から人事院に依頼があってやりますね。物すごい調査をやるでしょう。三年前も退職金を引き下げた。そしてついこの前もまた引き下げましたね。そういう引き下げるようなときには民間の状況を把握した上でなさるわけでしよう。  今度は、百七条あるいは百八条という精神に照らせば当然こういう問題を十分に調査検討した上で、実は百七条に照らして国家公務員年金水準というものはかくあるべきですという内容で出てこなければならぬはずですよ。ただ厚生年金に合わせるんだ、しかし公務員だから職域部分を多少上乗せすればいいのじゃないかというものじゃないと思うのですよ。やはりそういう点は納得のいく内容にして改善しなければ、公務員の皆さんは納得しません。全体的な給付を抑えられる分については、将来の長期的、安定的な年金を確立するんだ、あるいは官民格差の是正の一環だということで気持ちを抑えておりますけれども、そういう筋論からいった場合に納得いかぬわけですね。  人事院総裁お尋ねしたいと思うのですけれども、人事院は百八条の趣旨から、公務員年金水準について今申し上げました百七条に照らして適正であるか否かをもっとしっかりした調査の上に、その内容を国会及び内閣に対して速やかに報告すべきだと思うのです。そして、もし適正でないと認めたときはあわせてその是正を勧告すべきだと私は思うのでございますが、いかがですか。
  316. 内海倫

    ○内海政府委員 御高見は私真剣に拝聴をいたします。  今の御質問の件に関しまして、この共済年金法案を策定するに際しましては、ただいま大蔵大臣からるるお述べになっておりますように、諸般の事情を御考慮の上で、例えば公務員制度のサイドからもかなりの考慮を払って公務員における職域年金というものがつくられたわけでございますが、その点におきましては私ども公務員の利益擁護ということが十分とは申しません、と申しますのは今度の改正によって公務員にとってはかなり厳しいわけですから。しかしながら、今後私どもとしましては今いろいろお話もございましたように調査研究も続けまして、もし必要が出てくるとすれば、公式、非公式は別にいたしましても意見というものを出さざるを得ない。その点につきましては、私どもは今後におきましても慎重に真剣に調査研究は続けていきたい、こう思います。
  317. 大橋敏雄

    ○大橋委員 もう一分時間がありますので、もう一つ確認しておきたいのですが、共済年金厚生年金水準より下回ったってやむを得ないという考えはあるのですか、それはまずいんだ、どっちですか。
  318. 内海倫

    ○内海政府委員 こういう年金の性格からいたしまして、そういう格差が生ずるとすればあるいは存在するとすれば、そういうものがなくなるあるいはなくするということが必要ではなかろうかと思います。
  319. 大橋敏雄

    ○大橋委員 今の御答弁は、年金制度厚生年金のいわゆる社会保障年金が基本であって、公務員年金はそれよりも下回るというのはおかしいんだ、百七条の精神に照らせば社会保障年金プラスアルファ、こういう状況になって妥当である、こういうふうにお答えになったと理解してよろしいですね。
  320. 内海倫

    ○内海政府委員 そういう趣旨に御理解願って結構でございます。
  321. 大橋敏雄

    ○大橋委員 終わります。
  322. 越智伊平

    越智委員長 吉井光照君。
  323. 吉井光照

    ○吉井委員 共済四法の質疑も大分煮詰まってまいりましたし、時間にも制約がございますので、私は年金スライドの問題等を中心といたしましてお尋ねをしてみたいと思います。  まず大蔵大臣お尋ねをいたしますが、政府は従来、再三にわたって共済年金の改定は現役公務員の給与改定に準じて行うことが適当である、このように言っておったのですが、今回の改正で、今までの厚生年金と全く同じで物価を基準とする自動スライド方式を導入することになったわけですが、従来の政府答弁をこのように変更する積極的な理由についてまずお尋ねをしたいと思います。     〔越智委員長退席、今井委員長着席〕
  324. 竹下登

    竹下国務大臣 既裁定年金の額の改定の方法につきましては、今もおっしゃいましたとおり現職者の給与を基準とする方法、二番目には物価水準を基準とする方法、三番目にはこの二つをミックスした方法ということであろうと思っております。  今回の改正では、公的年金の大宗を占めます厚年に倣った、すなわち厚年のスライド指標と同様の消費者物価を原則とする、こういうことにしたわけであります。しかしながら、毎年のスライドは消費者物価によりますが、この法律にもうたってありますように、昭和六十一年度以降の年金改定は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には賃金水準動向等を総合的に勘案して政策改定を行うとされておりますので、長期的に見ますと実質価値は維持されていくのではないかというふうに考えております。
  325. 吉井光照

    ○吉井委員 恩給局にお尋ねをいたしますが、従来、共済年金改定は実際には現役の給与改定によって、恩給改定もそれに準じて実施されてきたわけですが、今回の改正共済年金は法律上は物価基準の自動スライドとなるわけですから、恩給とも異なることになるわけです。それとも恩給も六十一年度以降、恩給法に規定はありませんけれども、取り扱い上厚生年金共済と同じく物価基準の自動スライドとするのかどうか。このあたりはいかがでしょう。
  326. 佐々木晴夫

    ○佐々木政府委員 お答え申し上げます。  恩給の年金の実質価値の維持につきましては、ただいま大蔵大臣から言われましたように、物価、賃金等いろいろあるわけでございます。恩給につきましては、昭和四十八年度以降公務員給与の改善を基礎とした年金改定方式を実施してまいったわけであります。厚生年金及びこのたび提案されております共済法の改革によりまして物価スライドをとることとしていることもありまして、実は恩給につきましても公的年金制度とのバランスが必要であるという面も一応あるものですから、ただいまベースアップのあり方につきまして真剣に検討いたしておるわけでございます。  ただ、長い歴史があるものですからなかなか難しい問題がございますけれども、今後とも各方面の御意見を聞きながら、十分に、かつまた真剣に検討してまいりたい、このように考えておるわけであります。
  327. 吉井光照

    ○吉井委員 厚生大臣お尋ねをしますが、厚生年金では法律上物価基準の自動スライド制とされておりますが、昭和五十年代の後半には物価が五%上昇しなかった。さりとて、共済公務員の給与改定があると公務員の給与改定に準じて改定していることとのバランスがとれない。こういうわけで、政策的に毎年共済と同じ改定率で年金の改定が行われてきているわけでございますが、六十一年度以降も法律上は物価基準の自動スライドで変わらないので、物価上昇が五%を超えなくても、従来と同じく民間労働者や公務員の給与改定があればそれに準じて改定することとなると思うわけですが、いかがですか。
  328. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘のように、五%であれば当然法律上改定措置を行うこととなっておるわけでございます。五%未満の場合でも年金額の改定を行ってきましたのは、老人、障害者等に対して社会経済情勢上の動向に対応した適切な配慮をする必要があるということ等から、その前年度の物価上昇の範囲内において特例的に改定措置を講じたものでありまして、今後の取り扱いにつきましては、そのときの社会経済情勢等諸般の事情を見ながら適切に対処してまいりたいと思います。
  329. 吉井光照

    ○吉井委員 では、自治大臣お尋ねをいたします。  自治省の地共済の収支見通し、これによりますと、給与改定率と年金改定率を年五%としておりますね。これは、給与改定があれば同率で年金改定を行うという意味か。つまり自治省は、今回の改正で物価基準の自動スライドとした後も、給与改定と同率の年金改定を毎年行うことを予定しておるのかどうか、この点はいかがですか。
  330. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 お答え申し上げます。  将来見通しの前提条件としての給与改定率、年金改定率は、国家公務員共済の場合と同様に年五%として推計いたしました。ただ、今回の制度改正というものが行われました後におきまして、考え方でございますけれども、後はどの賃金改定の動向等を踏まえまして再評価をすることも議論しておりますので、将来見通しにおける前提条件といたしましては、給与改定率による年金スライドまたは物価上昇率による年金スライドのいずれかを採用するといたしましても、長期的な年金財政の将来見通しにおける収支の状況等には大きな影響を与えないことと考えております。改正後の次の財源率の再計算の際には、改めて将来の収支見通しというものもまた考えてみたいというふうに思います。
  331. 吉井光照

    ○吉井委員 先ほど大蔵大臣からちょっと答弁もいただいたわけでございますが、今後現役公務員の給与改定がどんなに高くなっても、給与改定を基準とした政策スライドを五年に一回のいわゆる財源再計算時を除いてはやらないということなのか、この点もう一度お尋ねしておきたいと思います。
  332. 門田實

    門田政府委員 先ほど来御説明がございましたように、消費者物価上昇率、こういうものでスライドを見ていく、ただし財政計算時というときに賃金スライドで再評価をし直す、こういうことでございます。  御質問は、その期間の間においてそういった政策スライドはあり得ないのか、こういうお尋ねだと思いますが、これはやはり国民の生活水準年金水準との間に著しい乖離が生ずることとなった場合、この判断の問題があるわけでございますが、そういう場合には政策改定の余地があり得る、こういうふうに思います。
  333. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは、どの程度の給与改定があるときに政策スライドを行うのか、その基準ですね。先ほどいろいろの御答弁の中ではちょっと抽象的空言葉に終わったと思うのですが、その基準を明確にしてもらいたいと思うのです。
  334. 門田實

    門田政府委員 これは公的年金制度全体を通じての話でございまして、何といいましても大宗は厚生年金というものもございますし、私どもだけの判断で申し上げる性質のものではないわけでございますが、そこに相当大きな乖離があった場合ということで、その実質判断はやはり今後の積み重ねによるのではないか、こういうふうに思います。
  335. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは大蔵大臣お尋ねするのですが、本年の公務員の給与改定を政府方針どおり七月から五・七四%で実施するとした場合、来年度への人件費のはね返りが六千億とか七千億とも言われておるわけですが、どのくらいになるのですか。
  336. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、国家公務員の給与改定によります六十一年度予算における人件費等の所要額は、予算編成作業中でございますので正確にどの程度かということを申し上げるのは困難でございますが、非常に大ざっぱに一%当たり七百五十億円という計算で五・七四%ということになりますと、イコール四千三百億円程度程度ということで御理解を願いたいと思います。  今吉井さんおっしゃいますのは、恐らくその上に、いわゆる恩給、年金等も含めたものでよく六千億とか七千億とかということが新聞紙上等で散見されることがございますので、それをおっしゃったのではなかろうかと思っておりますが、そこまでいきますと、今のところ正確な所要額を申し上げるというのはちょっと難しいのかなと、こんな感じでございます。五・七四で掛けまして四千三百と申しましたいわゆる国家公務員の給与改定の人件費というものと同じ程度の正確さの度合いで申し上げるというのは、ちょっと難しいのじゃないかなと思っております。
  337. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは恩給局長お尋ねをしますが、本年は、政府方針では七月から人勧どおり五・七四%の給与改定が行われる。これは年間では四・〇七五%に相当する、このように言われておりますが、恩給は六十一年度当然に四・〇七五%の改定がなされると思うわけですが、いかがですか。
  338. 佐々木晴夫

    ○佐々木政府委員 お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、恩給のベースアップにつきましては、先ほども申し上げましたように従来から公務員給与の改善に準拠して行っております。昭和六十年度の公務員給与の取り扱いが先日閣議決定されましたので、厳しい財政事情のもとではありますけれども、これに基づきまして目下作業中でございます。  今回・〇七%という御指摘がございましたけれども、恩給の場合には、実はボーナスはこれはありません。それからまた諸手当もこれはありません。したがいまして、五・七四%という人事院勧告でございますけれども、そのうちで従来から恩給のベースアップの基礎にしておりますのは本俸繰り入れ分だけでありまして、これは月の平均、人事院勧告によりますと大体平均五・二%ということになるのだと思います。  それから実施時期の問題でありますけれども公務員給与の取り扱いにおきましては、七月から実施というお話になっております。恩給の実施時期につきましても、まだやはり相当厳しい線が予想されますけれども、今のところまだ決めるに至っていないというのが今の現状でございます。
  339. 吉井光照

    ○吉井委員 次に、自治大臣お尋ねをいたしますが、今回の改正共済では既裁定年金者のうちいわゆる一般方式をとっている者は通年方式に裁定がえをされて、その裁定後の額に物価スライドをした額が現在の支給額に到達するまでは現支給額に凍結をされて、六十一年度からのスライドは停止されることになっております。俗に足踏みと言われておりますが、この年金は、このスライドがなければ結局物価上昇分だけ目減りをするわけですね。したがって、スライド停止というのは高齢者の方々の生活を非常な困窮の状態に追い込むのではないか、このようにも考えみわけでございますが、地共済ではこれに該当する人が約何人いて、全体の何%を占めることになっておるのか、この点はいかがですか。
  340. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 御質問の点、既裁定者の通年ルール裁定がえの対象となる者は、地方共済グループ全体で昭和五十八年度末で年金受給者の約六四%に当たる四十六万人強となっております。  なお、六十一年度当初における通年ルールへの裁定がえの対象となる既裁定年金受給者予測につきましては、六十年度の年金改定率が確定されていない現時点ではその数値を正確に把握しておりませんが、その割合は大きく余り変化はないと考えております。
  341. 吉井光照

    ○吉井委員 では、先ほどのいわゆる六十一年度から現支給額に凍結される人以外のいわゆる通年方式をとっている人は、本年の現役の給与改定を含めた新年金に裁定がえされるために、来年度に現在の年金支給額との差額が支給をされることになると思うのですが、いかがですか。
  342. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 先生がお話しになりました通年ルールによる年金額の裁定の場合でございますと、昭和六十年度の給与改定は昭和六十一年四月分以降の年金額に反映されますので、先生の御趣旨の線に沿うと思います。
  343. 吉井光照

    ○吉井委員 そこで、一般方式をとっているいわゆる六十一年度から現支給額に凍結される人、これについては、今回の改正がもしなかったならば本年の人勧による給与改定のはね返り分を現金でもらうことができたわけですが、改正によってこれをもらえなくなる、このように聞いておりますが、これでよろしいのですか。
  344. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 通年ルールによりまして裁定がえをされた後の年金額は昭和六十年度の給与改定を考慮したものになりますけれども従前額保障をされる昭和六十一年三月三十一日現在の年金額には六十年度の給与改定が反映しないというのが、現在の取り扱いでございます。  ただ、通年ルールに裁定がえされた額には昭和六十年度の給与改定が反映されますので、それだけ物価スライドが停止される期間が短くなる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
  345. 吉井光照

    ○吉井委員 じゃ人事院にもう一度お尋ねをいたしますが、ことしの人勧五・七四%の中には、昨年までの人勧の不完全実施による積み残し分、いわゆる二・九七%が含まれている、このように言われておるわけですが、そう理解してよろしいでしょうか。
  346. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 昨年の勧告が六・四四%でございまして、実施は三・三七%でございました。そこに差があるわけでございますが、この差は、その後の就職者あるいは退職者等によりましてそのままことしに引き継がれるということではございませんで、ことしは四月時点での官民較差が五・七四ということでございますが、今お話がございましたその昨年のいわゆる積み残しというものは当然にことしの五・七四の中に反映されているものというぐあいに考えております。
  347. 吉井光照

    ○吉井委員 それでは自治大臣大蔵大臣お尋ねをしますが、この人勧の見送り、抑制については、公務員の労働基本権の制約との関連等からさまざまな問題が指摘をされてきたわけですが、特に現役を退いた年金生活者にまでこれを及ぼすことについては大きい批判があったわけでございます。年金生活者はこの人勧の完全実施を一日千秋の思いで待っていたわけです。ところが今回の改正で、先ほどから論議をいたしましたいわゆる六十一年度から現支給額に凍結される人は、そのはね返りを現金でもらうことができなくなってしまう。しかも、その人勧の中には昨年までの積み残し分まで含まれておりまして、もし人勧の見送りや不完全実施がなかったならば、これは既にもらっていたはずのものでございます。したがって、せめて積み残し分ぐらいは六十一年度から現支給額に凍結される人にも現金で支給すべきではないか、このように思うわけですが、この点はいかがでしょう。
  348. 中島忠能

    中島(忠)政府委員 人事院勧告がいろいろな情勢によりまして、非常に残念でございますけれども抑制されたり完全実施されないということで、年金の現に受給者にも大変な御迷惑をかけてきておるわけでございますが、今回の制度改正の機会をとらえまして、そういう方にはそういう迷惑が及ばないようにしたらどうだという御提案でございます。  私たちも、先生のお気持ちというのは非常によくわかりますし、また私たちもそれを尊重していかなければならないと思います。  ただ、これは非常に失礼な言い方でございますけれども、そういう方たちの年金というのはやはり現役の公務員の掛金で賄っておりますし、その現役の公務員の方たちも、これも非常に残念でございますけれども、人事院勧告が完全実施されていないもとで掛金を納めていただいておりますので、先生の御提言あるいはお話というのは痛いほどよくわかりますけれども、非常に残念でございますけれども、なかなかそういうことは難しいのじゃないかと思います。
  349. 吉井光照

    ○吉井委員 最後に、もう一度人事院にお尋ねをしていきます。  十一月十四日の地方行政委員会で我が党の柴田委員に人事院は、職域年金相当部分のあり方について、国家公務員法第百八条により内閣、国会に意見申し出の用意あり、このように答弁をされたわけですが、人勧実施のおくれによるいわゆる六十一年度から現支給額に凍結される人の問題について、公務員OBの利益擁護のためどのように考えていらっしゃるのか、ここらあたりを最後にお尋ねをしておきたいと思います。
  350. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 私どもは、職域年金部分と申しますのはまさに公務員制度としての側面を極めて強く持っているというであいに理解をいたしております。したがいまして、この部分につきましてはできる限りの配慮をするということが筋だろうと思います。その具体的内容につきましては、やはりこれは保険数理によって判断すべき事柄ということで、制度自体は大変高く評価いたしますが、具体的内容につきましてはそれぞれ担当官庁の方において御決定いただくべき事柄だというぐあいに理解しております。
  351. 吉井光照

    ○吉井委員 終わります。
  352. 今井勇

    ○今井委員長 塩田晋君。
  353. 塩田晋

    ○塩田委員 今回の共済年金制度改正は、前国会行われました厚生年金、国民年金の大改正に骨子において合わせるものでございます。国民年金厚生年金改正に当たりましては、その骨組みが我々の年来の主張のものでございましたし、十二点にわたりまして修正を施し、これに賛成し成立を見たところでございます。  この厚生年金、国民年金の改革につきましては、我々としまして、まず第一にこれが世代間にわたる給付と負担の公平を図るものである、それからまた保険料の負担、これが耐えがたいものにならないように給付と負担の適正化を図る、これをもって年金財政の安定化を図り、せっかく納めた保険料が老後の本当に必要なときに生活の安定のために支給される、支払い不能になるようなことのないようにする、こういう観点からのものでございました。また、女子の年金権の確立、障害者に対する年金の増額、こういったものが骨子でございましたし、また昭和六十一年四月一日の一斉施行を目指しまして官民格差の解消を図っていく、こういったことを含みといたしまして大改革が行われたところでございます。  そういった観点から、今回の共済年金法の改正を見ますときに、これはぜひとも来年四月一日を施行日として一斉に発足できるように改革を行うべきものと思います。しかしながら、この中には問題点がいろいろとたくさんございます。その問題点につきまして修正を思い切って施すべきところは施していく、与野党で合意が精力的に努力をして行われることによってこれを修正して成立させるべきものだと我々考えております。  ただ、今回の共済年金法の改正につきましては、これが負担の増大を招くものである、また給付を大幅に切り下げるものである、こういう受け取り方といいますか、声もあることは御承知のとおりでございます。今回の共済年金の改革の担当大臣それぞれの所管しておられますものは、歴史的経緯あるいは制度の仕組み等が若干ずつ変わっております。したがいまして、この給付の切り下げあるいは負担の増大、そのような声に対してどのように対処しておられるか、またそういった声に対してどうこたえておられるか。それぞれの所管の共済につきまして大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  354. 竹下登

    竹下国務大臣 まず、私から国家公務員等共済組合の担当大臣としてのお答えをいたします。  今回の制度改正というのは、高齢化社会の到来等に対応いたしまして、公的年金制度が長期的な安定、整合性のある発展を図るということから、給付と負担の均衡を確保し得るように給付水準の適正化等を図るということでございます。これを通していただけたらまずは給付の一元化がほぼできた、こういうことになろうかと思うのであります。  そこで、具体的に申しますと、現在の共済年金給付水準をこのまま放置いたしますならば、将来の保険料負担は現在の四倍近くにも達しまして負担の限界を超してしまうではないか。したがって、今回の改正によって給付水準を適正化いたしまして、将来の保険料負担の増加をある程度緩和することをねらいとするものでございます。  したがって、改正後の給付内容は、公的年金相互の均衡と整合性を図りますため、厚生年金と同水準のものとして設計をいたしますほか、公務員制度の特殊性からいたしまして、先ほど来議論がございますように職域年金相当部分として二割相当の給付を行う、こういうことでございますので、御理解をいただかなければならないポイントは、単なる給付の切り下げを目的としておるものではなく、それこそ将来にわたっての負担の増加を抑制することを目的とし、しかも、とかく官民格差とか官官格差とかいろいろ言われておりますそれらの公的年金の一元化の方向に即して進んでいこうとするものでありますと、このような御説明を一生懸命PRしておるというのが現状でございます。
  355. 古屋亨

    ○古屋国務大臣 根本は今大蔵大臣が言ったとおりでございますが、地方公務員共済組合制度にっきましても、さきに国民年金法等の一部改正法が成立してつくられました国民共通の基礎年金を導入いたしますと同時に、将来の給付水準の適正化を図るなどの措置を講ずるほか、現行公的年金制度間の制度内容の相違等から生じております種々の議論にもこたえることを主なるねらいとしておるものであります。  給付の切り下げあるいは負担の増大ではないかという御批判がありますことはよく承知しておるのでございまして、組合員期間の伸長などの実態を背景といたしまして給付と負担のバランスを確保し、そうして将来の負担の増大を抑制することを主眼にしておりますので、御理解を願いたいと思います。
  356. 佐藤守良

    佐藤国務大臣 先ほど大蔵大臣の言われたようなことでございますが、我が国の人口構造は今後ますます高齢化社会に移行するものと考えております。そんなことで、農林年金制度についても、このような社会経済情勢の変化に対応するために、三つの点に配慮しつつ対処したいと考えております。  その一つは、公的年金制度全般の整合性を図ること、二番目には、制度の円滑な運営を図るため、適正な給付水準を確保するとともに負担との均衡を図ること、また世代間の公平にも配慮すること、三つ目には、制度財政の長期的安定を図る必要があること等に配慮して対処すべきものと考えております。  具体的には、農林年金の組合員及びその被扶養配偶者についても新しい国民年金法による基礎年金制度を適用し、農林年金給付はこの基礎年金の上乗せの年金として、厚生年金相当部分と、共済グループの独自のものとしての各共済の職域に着目した職域年金相当部分を給付することといたしております。  さらに、各種の給付条件、内容等につき公的年金制度間の整合性を図るための措置を講じております。
  357. 松永光

    ○松永国務大臣 私学共済の関係でございますが、先生も既によく御承知のとおり、高齢化社会の到来に対応して、負担と給付の公平を図って、安定した年金制度の確立を目指すという考え方で今回の法案を提出して御審議願っておるところでございます。  御承知のとおり、今回の法案の成立で給付面では公的年金がほぼ一元化されることになるわけでございますが、負担の面でも、これから検討して公的年金制度全体として整合性のあるものにしていかなければならぬと考えております。  この場合、私学共済はいろいろな今までのいきさつもありますし、特に私学共済制度によって我が国の学校教育の中で私学が非常に大きな役割を果たしておるわけでありますから、そのためには、私学の教職員についてその身分が安定的なものになるような共済の仕組みが必要なのでありまして、そういう私学共済本来の目的に照らしながら負担の方の整合性についても検討を加えてまいりたい、こういうように考えておるわけでございます。
  358. 塩田晋

    ○塩田委員 四大臣から御答弁をいただきました。いずれも共通しておるわけでございますが、文部あるいは農水関係特別の事情についてもお触れいただいたわけであります。その回答にっきましては理解できるわけでございますけれども、特に農水の場合などは農林年金共済につきましてかなり激しい反対といいますか抗議の運動が起こっておるということを感ずるのです。もっともっと理解を求めて説得する努力をされる必要があるのじゃなかろうかと思います。  文部につきましては、私学共済はいろいろな事情から加入者の年齢構成がかなり他と違うと思うのですね。加入者数とか年齢構成は他とどう違うか、それに対してどういう配慮をしておられるか、お伺いいたします。
  359. 松永光

    ○松永国務大臣 私立学校に勤務している先生の場合は、比較的高年齢者が多いということもございまして、他の共済に比べて六十五歳以上の組合員の占める割合が高いことは先生指摘のとおりでございます。  そこで、高齢者の場合についてどうするかという問題でございますが、標準給与が一定額以下の者については在職中であっても年金の一部を支給する制度を設けることといたしておりまして、高齢者が多いということについての対応をすることにいたしておるところでございます。
  360. 塩田晋

    ○塩田委員 今言われました私学における高齢者の問題ですね、給料との関係におきまして減額するとか、そういう問題は各制度を見ていただきますと必ずしも同じじゃないわけです。それを技術的に工夫していただく余地がまだありますから、これは御検討いただきたいと思います。具体的にはいろいろと話し合いが出るかと思いますが、またその際はお願いします。  関係の四大臣ともに、制度間の一元化、調整ということ、それから給付と負担の公平、そして適正化ということを言われたわけでございますが、国民年金厚生年金改正のときには、保険料は改正をしなければ労使合わせまして四〇%近くになってしまう。そして、給付平均賃金の八五%ぐらいになる、場合によっては一〇〇%を超えるケースも出てくる、こういうことであります。これをどういうふうに改正したかといいますと、四〇%の負担は二九%までに抑える、二八・九%に抑えるということに設計をしたのですね。そして給付につきましては、年金額は平均賃金の六八%という現状を維持して、将来もこれが六九%ぐらいになる、こういう設計になるように構想されて改正が行われたわけでございます。  ところが、この共済年金につきましては、各大臣はいろいろとおっしゃいますけれども、腹の底ではというか、実際はこれは給付水準が下がるんだ、負担は相当増額になってしまうんだ、厚生年金よりはやはり悪くなるんだという感じがおありじゃなかろうかと思うのですが、いかがでございましょうか、大蔵大臣
  361. 竹下登

    竹下国務大臣 今御指摘があっておりますように、現在の年金水準は、現役組合員の月収に対し約六九%、将来、加入年数が伸びてもおおむね現在の水準並みとなるよう給付設計を二十年かけて徐々に改め、給付水準の適正化を行う、こういうことにしておるわけでございます。  したがって、いわゆる基礎年金の問題はこのようになりましたとか、そして奥さんの基礎年金もこのようになります、そして新共済年金をその上に積みますとこのような金額になります、こういうようなことをかなり熱心にPRをしなければならぬという問題意識は持っております。とかくそれも、従来と違った人口構造が考えられる中で、安定した共済年金制度というのをもたらすために一生懸命工夫した結果がこうなっておりますということを根気強く御説明申し上げなければいかぬ課題だというふうに私も承知しております。  ただ、私自身がいつも感じますのは、わかりやすい年金といいましても、率直に申しまして、本当は年金というのは私のような素人には何遍説明を聞いてもわからぬことが間々ございます。したがって、自分がわからぬのに国民の皆さん方にPRする能力はないじゃないかという自己反省もしながら、一生懸命に私の能力の範囲内で御説明を申し上げておるというのが偽らざる現状でございます。
  362. 塩田晋

    ○塩田委員 大蔵大臣は非常に正直に真情を吐露されたわけでございますが、そういうことではなかろうかと思います。  そこで、六九%の水準を将来とも維持していくという設計になっているということでございますが、財政調整期間中の国鉄共済につきましては、職域年金部分を支給しないということになっております。これは御承知のとおり、報酬比例部分の二〇%上積みという形で職域年金部分ができているわけです。国鉄にっきましてはこれを削ってしまうというわけですね。ですから水準が横ばいということではない。しかも一〇%を超えるまで物価スライドはしない、こういう二重のパンチを国鉄共済につきましては加えておりますね。これは今言われました水準を維持するということとは違うのじゃなかろうかと思うのですが、いかがですか。大蔵大臣運輸大臣
  363. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに御説の指摘はそのように信じられがち、また実態としてそのようなものであるという認識も、従来の経過と現状の国鉄共済財政事情等を説明して理解を得なければならない問題だというふうに私も考えております。  何しろ、前回御審議をいただきまして、この危機的状況を救済しようということで、年金給付の支払いに支障を来さないように、すなわち財政調整事業を実施して国共済グループ内の他組合からの財政援助ということでこの財源を確保したわけでございます。したがいまして、国鉄共済の組合員も高水準の掛金を負担することとしておりますほか、他の組合の組合員も財政援助に必要な拠出の費用を負担するために所要の掛金率の引き上げを行っておる、こういう状態の中でございますので、公的年金相当部分の給付の確保とその財政の維持安定を図ることが当面大切だ。このためには、既裁定の年金についてスライド停止をお願いして、率直な表現をすれば、ある程度我慢をしてもらおう、こういう考え方で対応をいたしたわけでございます。  しかしながら、横並びで見てみますと、このような措置を講ずることによって国鉄共済年金給付水準は、大宗を占めます厚生年金給付水準とほぼ一緒になるというようなことで御理解をいただくように努めてきておるということでございます。
  364. 山下八洲夫

    山下国務大臣 今、大蔵大臣から御答弁があったとおりでございまして、とにかく国鉄年金はもう破綻の寸前であり、他の共済関係からいろいろ御配慮をちょうだいしているという時期でございますから、せめて財政調整期間中ぐらいは職域年金相当部分を支給停止されるということはやむを得ない、お互いに痛みを分け合うという意味においては、私はこれはやむを得ざることであると思っておる次第でございます。
  365. 塩田晋

    ○塩田委員 国鉄につきましては、現状極めて厳しい情勢にあることはもう国民だれもがわかっていることであります。  ただ、公務員並びに公務員に準ずる方々が共済年金制度をつくって、共済は読んで字のごとくともに救う、ともに助け合う、こういう精神で、恩給法から共済の段階に移って実施されてきておるわけですね。この趣旨を考えますとき、昔になればなるほど、これは公務に専念する、国家のためあるいは地方公共団体、公的な仕事に従事しようという人たちは、それなりの使命を持って、責任感を持ち、国民に対する奉仕者、全体の奉仕者としての自覚の上で日夜の業務に励んでおられる。本当に国のため、地域のために働いておられる。本当に夜を徹して働いておられる方もあるし、また時と場合によっては身を挺して、あるいは命を投げ出してまでやらなければならない、そういう責務を持っておる人たちですね。  国鉄にっきましてはかなり世論は厳しいですけれども、これを一部の団体といいますか、者がはね上がって目につくことがあり、非常に非難されておる、これは否めない事実でございますけれども、大部分の国鉄職員は一生懸命まじめにやっている。だからそう時間がおくれない、厳守たるや世界的に名高い列車の運行がなされておる。こういうことを考えますときに、大部分の職員の皆さん、まじめにやっておられる。少々給料が低くても、あるいは身に危険があっても身を挺してでもやろうという気持ちは、これはかつては恩給、今は共済、これがあって非常に身分が安定をし、そしてまたかなり共済年金給付がいいから、こういうことで就職された方、またそれを考えて一生懸命職務に専念をしておられるという方が大部分なんです。そのことを考えますときに、この国鉄職員だけ、他の共済は手をつけないで国鉄だけ職域年金部分を取っ払ってしまう、当分の間といいましても相当長期間これが削られてしまうということは、これは重大なことだと思います。  これは労働者個人の、働いておる人たち個人の責任じゃないわけです。しかも保険料は他の共済に比べて一番高い、一〇%を超えるものなんですね。それだけのものを納めておって、しかも二〇%、全体から見ると八%程度だそうですが、削られるというのはこれは納得できないことでございます。財政的な問題、いろいろ言われますけれども、これはこれとして処理すべき問題である。個人にとってはこれをはねられては期待権、既得権を奪うものだと思いますので、これはぜひとも再考していただきたいということを強く要請をいたします。いかがでございますか。
  366. 竹下登

    竹下国務大臣 これは国鉄共済が破綻をした原因というようなことを考えてみますと、基本的にはいわゆる保険集団というものが小単位であった。したがって一挙に多くの要員の減少というようなことがあれば、大変な財政的な打撃を受ける、こういうことが基本的にはございましょう。が、私も塩田さんと大体同じぐらいな年配で、本当は私どもの仲間でしょう、満鉄から帰ったりしたのはおおむね。その諸君が大体今退職しておって、したがって私も同年齢でございますのでよくお会いいたしますが、本当にいつも言うようですけれども、終戦直後、あごひもをして軍手をはめて体で押し込むようにして、そうしてまさに国の原動力たる輸送に精励された、今の言葉をかりれば危険を伴いながら。その方々のことを考えると、本当に、私もこの問題に取り組むときに一番そういうものが念頭にあったことは、これは事実でございます。  そこで、さてどうするかということになったときに、国家公務員等共済組合、ほかの組合の方々もいらっしゃいます、これは労働組合の方も、そして経営者の方も。いろいろな議論を長い時間をかけて、審議会というよりもむしろ懇談会というような形式でやって、皆さんがそれじゃ労働者連帯でここまでやろうじゃないかというような感じが出ました。それはおっしゃいますようにブラ勤やポカ休というのは本当に一部の人だと思います。したがって労働者連帯というのがこんなに立派なものかというのを、そのとき私は感じました。それ以来、少し労働者連帯の幅を広げるんじゃないかというような誤解も受けたりいたしましたけれども、今でもその考え方は私は大変とうとい考え方だと思っております。  そういう原点の上に立ってこれに対応してみますと、現在のもろもろの情勢から見ましたときに、私は、ある程度我慢、こういう言葉を使いましたが、それをお願いするのもやむを得ないじゃないか。今いろいろお話がありますように、国鉄共済を所管する大臣であると同時に、私は国庫大臣というまさに二重人格でございますだけに、そういう悩みを感じながら、これがぎりぎりの対応の姿だというふうに理解を得るように、私も日夜努力をいたしておるところであります。
  367. 塩田晋

    ○塩田委員 国鉄共済年金財政が悪化したということで、こういった職域年金部分を支給しないという措置をとったのだという御回答でございますけれども、この財政の悪化については、恩給から共済年金に切りかわるときに、国鉄内容を恩給の方式をそのまま維持してこられた。恩給は共済よりも相当高い水準になりますよね、計算方式その他で。それを維持されたという、そういう経営責任者の非常に無責任な態度、甘い考え方が中にあったと思うのです。まあ昨年直されましたけれども、遅きに失します。年金財政が破綻するということは、もう本当にずっと前から、五十一年からあれですから、もっと前からわかっていたはずです。これに対しての手を適切に打たなかった、これはもう経営者の経営責任だと思います。経営者といいますか、その最高責任者は国鉄総裁であり、運輸大臣であり、大蔵大臣であると私は思います。そのツケをこういう労働者に対する職域年金部分を支給しないということでもって解決しようということ、あるいはまた、他の共済年金に迷惑をかけるということは、あるべき姿じゃないと私は思います。  外地から満鉄その他引揚者を戦後受け入れたから、その方々が今大量に退職されて年金を受けておられる、そのことをよく言われるのですけれども、それは国民一般にわかるのですね。しかしこれらの数を調べてもらってください、非常に少ないです。一時は国鉄職員というのは六十万人、今や三十二万人、そしてやがて二十万人を切るばかりになる、非常な変動があるわけですね。ですから、その六十万人の中で見ますと、そういった外地からの数は非常に少ないと思います。むしろ傾斜生産で日本の戦後の復興のために、炭鉱あるいは鉄綱、国鉄輸送、こういったところへ重点的に資材から人力からを動員をした、その傾斜生産が成功して今日経済が繁栄いたしておるわけですが、戦後国鉄の果たした役割は非常に大きいと思うのです。そのときに大量に人を、復員した方あるいは失業している人たちを国鉄に入れられました。それが大きな要因になっておる、これも言えますね。同じような形と言えば言えるのですが、石炭鉱業、これも今申し上げましたように、戦後、傾斜生産のときに一番力を入れてきた一つですね。そこに労働者は一時は三十万、四十万といました。今はもう十万を切っているわけです。これは厚生年金の中で処理してきておりますから目立たないですけれども、例えば国鉄と同じような独立のものでやっておれば同じような状況が起こっておるだろうと思うのです。それは今の社会保険制度の中で全体的に、それこそ友愛と連帯の精神でやってきて、今日これは非常に危機的な状況として問題になっていない。国鉄が際立ってこうなったということは、やはりそういう仕組みからきておると思うのです。このことを指摘をしておきたいと思います。  そこで、もう一つお伺いしたいのでございますが、NTT共済につきましては、これは民間事業になったわけでございますから、共済組合のこの職域年金部分、これは労使間の話し合いによって一般民間並みの自由設計方式に切りかえるべきだと思うのですが、いかがでございますか。
  368. 竹下登

    竹下国務大臣 NTTの共済等の問題につきましては、統合法案のときからこれは種々議論をいたしまして、今塩田さんがおっしゃったような御議論もございました。最近は、経営者側、組合側両方とも、大筋その考えではない、そういうふうに私は理解をしております。したがって、公的年金部分のほかに、いわゆる職域年金相当部分も含んだ統一的かつ各組合の共通の年金制度として設計されて、同一の法律の適用を受けておるというのが現状でございます。  なお、同一の法律の適用を受けておるわけでございますから、NTT、日本たばこについて、職域部門はやめた、つけないというわけにはまいりません。なおその上に四階建てといいますか、共済年金のほかに自社年金、それから税制適格年金、これをつくることは法律上はもとより可能であるということになっておるわけであります。ただ、ちょうど統合法案をつくります以前と今と、関係者の意見を聞いてみますと、ちょっと変化があったなという感じは、これは私個人でございますけれども、持っております。
  369. 塩田晋

    ○塩田委員 同じ共済年金の法律に基づくものでございますから、そういう性格に注目して大蔵大臣はお答えになったと思うのですが、せっかくNTTも専売も民営化したわけでございますから、民営一般のやっている同じ方式でこれは労使の話し合いが済めば自由設計を許していいのじゃないか、このように考えます。考え方が変わったとおっしゃっておられますが、また変わるかもわからない。種々の状況を見て、そういう状況になったときはひとつこういうことも十分考慮していただきたいと思います。  それから、厚生年金、国民年金積立金の高利運用につきまして、社会労働委員会では厚生大臣お尋ねをいたしまして、種々要望したところでございますが、これについて大蔵大臣、ぜひともこの高利運用を厚生省に認めてもらうということについてお願いをしたいわけでございますが、いかがでございますか。
  370. 竹下登

    竹下国務大臣 古くて新しい問題というよりも、なお、年金財政という観点から最近はこの議論が非常に活発になってきておるということは私も十分承知しております。  今日までの考え方で申し上げますならば、それこそ臨調とか行革審の意見にもございますように、年金資金などのいわゆる公的資金は、国の制度、信用、これを通じて集められたものであるから、まず公共目的に沿った運用が大事だよというのが一つあるわけであります。  それと今度もう一つは、財政金融政策という財投というのが、御案内のとおり第二の予算とも言われるものがございますので、これのいわゆる原資という性格を持っておる。したがって、両面からあると思うのでございます。     〔今井委員長退席、越智委員長着席〕 だからこの両面を勘案した結論を出していかなければならぬというところに、本当はいつ聞かれても歯切れが悪いとか言われる面があることは私も十分承知をいたしておるわけであります。したがって、いわゆる資金運用部による統合運用の仕組み、これを維持していくというのがいわば大蔵省の基本的な考え方。  しかしながらこの問題は、そういう指摘を受けておりますものの、いわゆる概算要求の段階におきまして厚生省から要求の出ておる課題でございますので、予算編成過程を通じて結論を出していかなければならぬ課題だというふうに思っております。
  371. 塩田晋

    ○塩田委員 そういう方向でぜひともよろしくお願いをいたします。五十三兆円の一割に満たないものを厚生省は要求しておられるようでございまして、私、ささやかな要求ではないかと思います。これは年来の懸案事項でございますので、よろしく御処理をお願いします。  続きまして、厚生年金基金の積立金に対する特別法人税の課税につきまして、現在千八十三基金、七百万人が加入いたしまして、厚生年金基金の積立金は現在十一兆に達していると言われております。なお毎年二〇%ぐらいはふえていっているという状況でございますが、国公共済給付水準を基準にして行われております現在の特別法人税の課税はどれぐらいになっているか。  また、共済制度の今回の改正によりまして、これは相当増税になると思われます。従来の課税基準をそのままにいたしますと相当、何百倍にもなるような増税になるわけでございますが、それは困るので、この課税基準を見直しまして、現在の課税水準ぐらいで推移できるように新たな課税基準を設けて措置をすべきだと思いますが、いかがでございますか。
  372. 水野勝

    ○水野政府委員 厚生年金基金積立金に対しまして課税をいたしております趣旨は、既に委員御案内のことかと思いますので申し上げませんが、現在のこの共済組合、国家公務員共済組合の内容の変更に伴いまして、全体の課税水準の変更の問題も上がってくるわけでございます。これを受けまして厚生省から、こうした観点からの御要望が出ておることは私どもも承知いたしておるわけでございまして、現在慎重に検討をいたしておるところでございます。ただ、制度の趣旨からいたしまして、これが増税ということになるのか、あるいは現在の考え方からすれば、これはこういった課税水準になるという考え方もあるわけでございます。  いずれにいたしましても、私ども、この積立金に対して行っております課税の趣旨を踏まえまして慎重に検討をいたしておるところでございますので、どういう課税効果になるかということは現在まだつかみ得ていないところでございますので、御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  373. 塩田晋

    ○塩田委員 現在、私たちの推計によりますと、一億二千万円の税金がかかっている。これが現在の共済年金制度改正によりまして、従来の課税基準でそのままいった場合は一挙に三百億円になるのです。これは諸外国にもない課税でございますから、ぜひともこれは撤廃するか、撤廃できなければその基準を現状で維持できるように見直していただきたい、このことを強く要望いたします。  続きまして、職域年金等標準報酬月額につきまして一気に質問いたしますので、一気に、簡単明瞭にお答えいただきたいと思います。  まず職域年金でございますが、職域年金部分にっきまして、禁錮刑、懲戒免職などによって支給停止あるいは一部支給停止という制度になっておりますけれども公務員制度それから社会保障というものの両面から見て、これはおかしい。他の公的年金制度の中にはこういったものはないわけでございますから、これは直してもらいたい。しかも、公務の特殊性とはいっても、遺族までこれが及ぶのはおかしいですね。これはぜひとも再考していただきたい。  なお、加入期間が二十五年未満につきましては二分の一支給という制度になっておりますね。これも従来の共済年金制度になかったものです。また厚生年金にもこういった制度はございません。なぜこういう制度を持ち込むのか。これはやめてもらいたい。  それから公務に関係のない私学、農林、NTTといったところにも禁錮刑の場合に支給停止の制度がある。これもおかしいじゃないか。一体根拠は何か。  それから職域年金部分は報酬比例部分の二〇%で設計されておる。これはどういう根拠が。  職域年金につきまして、このことをお答えいただきたいと思います。
  374. 門田實

    門田政府委員 御質問の中で、私学、農林に関するものを除きました部分についてお答えを申し上げたいと思います。  この職域年金部分でございますが、お話がございましたように、国家公務員法に基づく年金制度として、公務員制度等の一環としての性格を持つ、こういうものでございますので、やはり国家公務員等の職務の能率的運営に資するという共済法の目的と相入れない法令違反行為等ありました場合には一定の給付を制限する、こういうことになっておるわけでございます。従来は、職域部分という概念が区別されておりませんので全体についてやっておりましたが、今回は明瞭に、先ほどのお話で申しますと三階部分といいますか、そこに限定して行う、こういうことでございます。  それから遺族につきましては、そういった公務員制度の一環として認められておるということの趣旨から、やはり刑事事件等がありました場合に、家族等につきましてそういうことを行うということにいたしておるわけでございます。  それから、二十五年未満の者の給付条件二分の一とされているのがちょっとかわいそうではないか、こういうお話でございますが、実はこの部分は職域年金部分でございますから、やはり公務等に長い間貢献した人に手厚く報いていく、こういうことでございまして、国家公務員法第百七条にも、相当年限忠実に勤務した者というような概念もございますが、そういう方を優先する、そこまで行かない場合には二分の一相当、こういうことで設定したわけでございます。  それから、二〇%の根拠でございますが、これは民間の企業年金等いろいろ参考にはいたしましたが、結局公務員制度の一環であるということ、それから職員の負担の限度、こういうことを考えまして設定したものでございます。
  375. 塩田晋

    ○塩田委員 標準報酬月額につきましてお伺いいたします。  NTTにおきましては、五月六月七月というのは異常な月で、額が非常にふえるのです。そういったところを平均して標準報酬を決定いたしますと非常に問題があるのではないかと思うのです。これに対する配慮が必要ではないかと思います。特に短期給付につきましては、給付にはね返らないわけでございますから、これはぜひとも考慮していただきたいということをお願いします。  それから、公的年金の一元化といいながら、国公共済、地方公務員共済ともに標準報酬の算定方式が違っておるわけです。住宅、通勤手当等、老後の保障に余り関係ないと思われるものが所得として入ってくるのは問題があるのでは。なかろうか。地公共済のように手当の補正率を乗ずるといった方が事務的にも簡素化されていいのではなかろうかと思いますが、いかがでございますか。  それから、給付につきまして、国民年金に妻が、配偶者が任意加入しなかった場合、施行時四十歳周辺の配偶者の基礎年金はかなり低いものになります。これは、特例納付等による救済措置を講じてこれを底上げをしていく考えはないか、お伺いいたします。  最後に、減額退職年金制度でございますが、これは経過措置を設けて、昭和七十年以降廃止するということになっておりますけれども、むしろ雇用と、自分がリタイアして引退する、これとの自由選択を個人に任せた方がいいのではないか。減額率をどう決めるかは問題でございます。これは余り高くなっても低くなってもいけないと思いますが、その辺の率自体は検討するといたしまして、そういった現在ある減額退職年金制度を存続すべきじゃなかろうか。  これは、御承知のとおり厚生年金の場合は繰り下げ制度を実施しているわけです。国民年金は繰り上げも繰り下げもあるわけです。これは繰り上げに該当するわけですね、繰り上げに該当するのは減額退職年金制度ですから。自衛官は、これは置いてあるんですね。自衛官は減額退職年金制度はあるわけです。ですから、これはいい制度だと思うのです。率は問題ですが、これは残すべきだ。その方が制度的には一元化するわけですから、これはぜひとも再考していただきたいということを要望いたします。  以上につきまして御答弁をいただきまして、終わります。
  376. 門田實

    門田政府委員 私どもが関係いたします幾つかの点につきましてお答えを申し上げます。  一つは標準報酬をとる月でございますが、五、六、七月という時期を考えておるわけでございます。先ほどNTT等のケースの御指摘があったわけでございますが、社会保険の大宗を占めます厚生年金それから健康保険、これと同一の基準であるということでこういった時期を考えたわけでございます。  標準報酬につきまして国家公務員共済と地方公務員共済が扱いが違うではないかというところでございますが、結局、私どもの場合にはその共済制度の中に民営化した新電電とかたばこ会社等がございます。それから、地方団体のようにたくさんの団体があって手当がまちまちであるといったような事情もございません。そういったことで、やはりこれも年金一元化の観点から、厚生年金あるいは私学、農林共済等と同じ標準報酬をとることにいたしたわけでございます。  減額退職年金制度についてこれは残すべきではないか、こういう御指摘をちょうだいいたしました。これも大変議論のあったところでございますが、結局この減額退職年金でまいりますと早くから受給できる反面、本当に年金が必要な老後に十分な保障がない、こういうことがございまして、公務員の定年六十歳、それより早い五十代から年金を受給できる制度というのは一般的にはいかがであろうか。今日の長寿社会ということも考えまして、自衛官の場合は特殊でございますが、一般的には経過措置を設けまして七十年で廃止する、こういうことに考えておるわけでございます。
  377. 塩田晋

    ○塩田委員 終わります。
  378. 越智伊平

    越智委員長 米沢隆君。
  379. 米沢隆

    ○米沢委員 余り時間もありませんので、私はこの共済年金制度改正に伴う自衛官の年金問題等についてお尋ねをしたいと思います。  御案内のとおり、自衛官につきましては精強性維持のために一般公務員には例を見ない若年定年制がとられており、大半の自衛官は五十三歳の若年で退職しております。このため自衛官の現行共済年金制度においては、大部分の自衛官の年金額は主として勤務年数が短いことによる低い年金支給率のために、五十五歳からの年金受給の場合でも公安職等一般公務員年金額の約九割と低く、また五十三歳から減額退職年金を受給する場合にもさらに八%減額されて、自衛官の年金は相対的に低くなっておることは御案内のとおりであります。  さらに、現役自衛官の掛金率は、若年定年制によりまして六十歳定年制の一般公務員よりも勤務年数が短く、逆に退職後の期間が長くなるために、一般公務員の千分の七十六・五に対し自衛官のそれは千分の八十八・七と高くなっており、しかもその率の差が今後さらに拡大するという深刻な問題を有しております。  自衛官の年金問題等については防衛庁の職員給与制度等研究調査会で五十三年三月三十日に答申がなされたと聞いておりますけれども、そこで指摘され、また国会においても我が党の同僚議員によりまして何回か指摘をされておりますが、具体的に進展いたしておりません。  今般審議中の共済年金改正法案によりますと、自衛官については若年定年制を考慮して五十五歳退職共済年金支給の特例と、減額年金制度、いわゆる繰り上げ支給は維持されることにはなっておりますが、自衛官の若年定年制及び俸給構造からして自衛官の年金水準はさらに相対的には低下を余儀なくされる。公安職等一般公務員との年金格差が従来にも増して一層拡大することが予想されますが、この点に関して大蔵省、防衛庁長官はどのような事実認識を持っておられるか、まずお答えいただきたい。
  380. 門田實

    門田政府委員 自衛官につきましては、ただいま先生からお話がありましたようにまさにそういうことでございまして、勤務の特殊性といいますか、そういったことから定年が五十歳から五十五歳ということになっております。そんなことを考慮しまして、今回も五十五歳支給開始年齢、それから減額年金制度というものは存置いたしておるわけでございますが、お話のようにこれを年金の問題としてとらえますとやはり負担がますますふえてくる。そうして早い年齢から受給されるわけですから、そこは財政的になかなか大変な問題が出てくるという問題があるわけでございます。  私どもは、これは自衛官の退職後の就労状況でありますとか、あるいは人事制度上の問題というような観点から考えていかれるべき問題ではなかろうか、年金制度としてはなかなか限界のある問題である、こういう感じを持つわけであります。
  381. 加藤紘一

    加藤国務大臣 昭和五十三年のときだったと思いますけれども、防衛庁職員給与制度等の研究調査会、委員ただいま御指摘の調査会での御意見は、御案内のように最終俸給が低いとか勤続年数が短いとか、再就職時の賃金が著しく低くて退職後の生活がかなり厳しいというものでございました。特にあの当時はまだ定年退職がかなり早かったものですから、最終年の一年間の平均の給料となりますとかなりその辺が低いのがきいてきますし、年数掛ける一・五%の部分がかなりきいてきたことも事実だと思います。しかし、それから数年私たち努力しまして定年を大分延ばしてもらいましたので、これによってこの最終俸給が低いという部分と勤続年数の部分はかなり大きな改善にはなったと思います。  しかし、今大蔵省の方からもお話ありましたように、支給開始年齢が五歳ほど早いとなりますとどうしても計算上負担率も高くなってまいりますし、だからといって余り定年をいつまでも延ばすということは自衛隊の精強性等の絡みで非常に問題がございますので、これは単に公的年金制度だけではなくて、もっとほかの、制度的に何かを考えていただかないとこの部分はなかなか解決できないところが残るのではないか、私たちもそう思っております。
  382. 米沢隆

    ○米沢委員 自衛官の給料はいわゆる公安職の一般職の給与とバランスをとる、そういうことで今まで積み上げられてきたというふうに聞いていますが、現在、公安職の給与とのバランスは整合性がとれたまま伸びてきておるのか。それから退職手当の問題について、公安職との関係ではバランスはとれておるのか。この二点について簡単に人事院の方から説明してもらいたい。
  383. 鹿兒島重治

    ○鹿兒島政府委員 自衛官の俸給につきましては私どもの所管外でございますが、私どもが承知しております限りにおいてお答え申し上げたいと思います。  私どもが承知しておりますところによりますと、現在の自衛官の俸給表は、上位の等級は行政職(一)表に大体比準するという形をとっておりますが、その他は主として公安職の(一)表という形でおおむね比準されておるというぐあいに理解しております。  退職手当にっきましては所管外でございますので、答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
  384. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えいたします。  ただいま人事院の方からお話がございましたが、私どもの給与は、一般職の職務の類似した俸給表にリンクをするというような形で、従前からそうでございますが、現在も上位等級は行政職、それから二佐以下については公安職、こういうリンクの仕方で、その辺につきましては一般職との均衡を十分とるように毎年の改定時には配意をいたしておるわけでございます。  それから、退職手当につきましても、根拠法としては同じ法律が適用になっております。  ただ、御案内のとおり、先般の改正におきまして定年制度が設けられましたので、勧奨退職の場合は若干優遇措置が一般職の方でとられましたが、私どもはその点定年退職時期が早うございますので、適用を受ける部分が若干年数が減る部分がございます。この辺につきましては、一般職の支給の実績等を私どもとしては見ながら対応を考えてまいりたいというふうに考えております。
  385. 米沢隆

    ○米沢委員 五十三歳の定年退職自衛官に対する退職手当の優遇措置はないわけですね。三佐以上は五十三歳で退職する場合、年齢差分の優遇措置が適用できる、こういうことになっております。問題は、政令によりまして勧奨退職年齢を階級の定年年齢としたために、最高加算率の適用を受けることは一部の者を除いて大変困難である。したがって、確かに自衛官の場合には、五十三歳で定年だ、こうなったときにそれが勧奨退職年齢になるものですから、結局優遇措置が受けられないという状況になったのでございますが、一般の公務員比較をいたしますと、例えば五十三歳退職の場合、一般公務員の場合一四%上積みされる、ところが自衛隊はできない。五十三歳定年という宿命的なものがあるがゆえに、同じ五十三歳くらいで定年した場合、一般公務員の場合は上積みできる、しかし自衛隊の場合にはできない。このあたりは、やはり特別の問題として政令あたりに何かの特別の控除措置みたいなものをつけ加えることが本当は必要なのではないか、そう思うのです。これは、早急に改善してもらいたいと我々は思うのですが、防衛庁長官どうですか。
  386. 友藤一隆

    友藤政府委員 確かに先生指摘のような事態が想定できるわけでございますが、一般職の勧奨退職の状況等、五十二歳程度で勧奨を受けられる方の数とその割合等にもよりまして、私どもとしてはそれが一般職において相当程度の人数が出てまいるという場合には相当程度格差があるんじゃなかろうかというふうに判断せざるを得ないと思いますが、現在の一般職の方の勧奨退職の実態というものについては、六十歳定年制が発足しましてまだ十分私ども把握いたしておりませんし、特殊な例外措置だけで私どもの方の五十三歳の分に対応するというようなことも、一般職とのバランスから考えていかがなものであろうかという議論も一方ではございますので、私どもとしてはトータル的に見て自衛官の処遇について、全体として一般職との関係でバランスをとりつつ、かつまた不利にならないように検討してまいりたいというふうに考えております。
  387. 米沢隆

    ○米沢委員 一般公務員の場合、五十三歳でやめるという例は確かに少ないかもしれませんけれども、それはトータルとして数はそうかもしれませんが、自衛官の五十三歳の定年、それから一般公務員で五十三歳でやめるというその個人にとりましては、少なくともそういう理屈は余り立たないわけでございまして、やはり個人に着目して平等の原理を適用する、そういう立場から私はぜひこの政令の改正を望みたいと思います。防衛庁長官、再度。
  388. 友藤一隆

    友藤政府委員 先ほども答弁申し上げましたが、この問題については私ども先生指摘のとおりの問題意識を十分持っておりますので、ここしばらく調査をいたしました結果を見て十分検討し、配慮をいたしてまいりたいというふうに考えております。
  389. 米沢隆

    ○米沢委員 それから、先ほど申しましたように、一般の公務員よりも勤務年数が短い、逆に退職後の期間が長いということで掛金率が高いですね。これはますます深刻になるという予想がされておりますが、そのあたりは実態的にはどういう数になっていくか、予想は立てておられますか。
  390. 友藤一隆

    友藤政府委員 お答えします。  現在、非任期制の自衛官の掛金率は千分の八十八・七であったと思いますが、これは一般職員に比べまして相当高率になってきておるわけです。警察予備隊から自衛隊発足当時の格差はそれほどございませんでしたが、先ほどの御指摘のとおり、勤務年数が短い、しかも長い期間年金をもらわざるを得ない、こういうシステムになっております関係上、どうしても掛金率が保険数理等からしまして上がってくるわけでございます。  将来の予測でございますが、これにつきましては、全般的な経理については共済組合の連合会でございますか、そちらの方で所管をいたしておりますので、私どもとしては的確な数字を現在持ち合わせておりませんが、一般職に比べて相当程度上昇するであろうということは確実に言えるというふうに思っております。
  391. 米沢隆

    ○米沢委員 そういう意味では自衛隊の精強性を維持するために定年制という宿命的なものは確かにありますけれども、しかし、なぜ五十三でなければならないのか、五十四でなぜいけないのか、こういう議論をしていきますと、定年延長という問題はまだある程度突っ込んだ議論ができる可能性もあるのではないか。あるいはまた、特に掛金率が高いという、ほかの一般公務員の皆さん方とのバランスを失しておるという部分がありますから、その部分については少なくとも一般公務員と同じぐらいの掛金率にして、若年定年に伴う経費は国が負担すべきである、私らはそう思っておるのでございます。そういう意味で、若年定年に伴って支給が早い部分については公的措置がとれないか検討しておるというのが防衛庁長官のさきの通常国会の予算委員会での答弁であるやに聞いておりますけれども、そのあたりについて私はもっと踏み込んだ御検討を願いたいと思っておるのです。それが第一点です。  それから、先ほど、年金制度ではどうしようもない、だから人事面での何か別建ての議論をしなければならないだろう、こうおっしゃいましたが、そこに逃げるのではなくて、ならばその人事制度上何かあるのか、我々はそのあたりを踏み込んで答弁してもらいたいと思うのですがね。
  392. 加藤紘一

    加藤国務大臣 定年の延長がさらにできないか、そこを考えてもいいではないかという御議論でございます。五十三でなければならない理由はなくて、五十四でもいいのではないかという御議論でございますが、過去数年間、私たちは定年制を延長してまいりましたけれども、これによって隊員の生活の安定、人生設計の安定ができたことは事実でございますが、一方、かなりの駐屯地におきましては隊員が若干高年齢化いたしまして、肉体的にかなり厳しい作業、訓練もいたしますので、ちょっと問題がなくもないという地域が出てきていることも事実でございます。したがって、防衛庁としては定年制の延長をこれ以上やるということはなかなか踏み切れないところでございます。  そうしますと、米沢委員御指摘のとおり掛金率が高くなります。支給開始年齢を五十代で五歳早めたとしたならば、恐らく倍近い掛金率の差になるのではないかというような年金の数理計算があるやにも聞いておりますけれども、それが全部がぶってくるとするならば、我々の制度の成熟に伴って隊員の負担はどうしようもないほど高くなってくると思います。  そこで、やはりここでは年金制度の純粋の理論だけでは割り切れない部分がどうしても出てきて、それをいろいろ私たちも考えますが、財政当局とよく相談しないとこれはうかつに言えないことでございますので、防衛庁としては、希望としてはその問題に踏み込んだ検討をぜひしたいということを防衛庁の立場で申し上げさせていただきたいと思います。  一方ほかの制度で、やり口で何かないかということでございますが、今のところなかなか知恵がなくて、再就職の就職援護の方で精いっぱいの努力をして、得られます減額年金と再就職先での給料で生活の維持がきっちりできるよう精いっぱい我々なりの自助努力をするしか、今のところ知恵のない状況でございます。
  393. 米沢隆

    ○米沢委員 大蔵大臣は、今の若年定年に伴って支給が早い部分について何らかの公的措置をとれ、そういうものに対してもっとまじめに努力をする必要があるとお思いでないですか。
  394. 竹下登

    竹下国務大臣 最終的には人事制度そのものにかかわって話し合いをしなければいかぬ課題だと思っております。今も御指摘がありましたように、毎年予算編成をいたしますときに、去年の暮れも加藤防衛庁長官と、私は共済の立場そしてもう一つは若干財政的な立場から、いわば定年が例えば半数延びたといたしましても退職金の支払いがそれだけ後送りになりますので、そういう点からも議論したことがございます。しかし、これは私が負けました。勝った負けたという表現はおかしいのですが、要するに加藤長官の、私より十六歳年下であるという方の意見が、やはり精鋭であらなければならぬ、竹下さん、老眼鏡かけてあなた鉄砲が撃てますか、こういう議論もございまして私自身が負けました、率直に言って。  しかし、その問題は別の問題でございますけれども、人事制度面に踏み込んでいかなければ最終的には解決のつかない問題であるなという問題意識は十分持っておりますので、これは加藤さんの今の姿勢にこたえまして、大蔵省だけでやることではないかもしれませんけれども、十分踏み込んだ議論をいたします。
  395. 米沢隆

    ○米沢委員 結局今回の改正によりまして自衛官の年金は、公安職等一般公務員年金と大体バランスをとるべきだという議論がずっとなされてきたにもかかわらず、これは現在よりもちょっと格差が大きくなるのです。これは計算してもらったらわかります。時間がないかも細かいことは言えませんけれども、公安職等の一般公務員年金との格差は拡大いたします。今の段階では大体九割ぐらいですが、これが八割五分くらいまでになります。  それから先ほど就職援護等に力を入れていきたいという話もありましたけれども、確かに再就職の道はそう簡単なものではありませんね。そしてまた、再就職された賃金の実態を見ましても余り高いものではありません。その上五十三歳といいますとライフサイクル上は御子弟の教育だとか非常に金の要る時期にちょうど差しかかっておりますから、五十五歳からの年金というよりもどうしても五十三歳からの減額年金を選択される人も多いというふうに聞いておりますね。そうなりますと、今度の改正によりまして、御承知のとおり五十五歳までの間は妻の加給年金月額一万五千円から二万五千円が支給されないということになりますから、特に五十五歳までは現行の減額年金に比べますと約六割ぐらいの水準にまで下がってしまう、そういうこともございます。  そういう意味では、生計維持の面からこれは影響が大きいであろう、そういうふうに考えるわけでございます。いろいろとそのあたりを救済するような手だては考えていらっしゃるかもしれませんけれども、少なくとも五十三歳定年という自衛隊になったばかりに、結局将来のライフサイクル上生計の維持等がうまく組み立てることができない、そういうことはやはり非常に大きな問題ではないかな、こう考えるわけでございます。  確かに今回は高齢化社会に対応して全般の年金制度を洗うわけでありますから、自衛官の年金だけそのままだという議論にはならないかもしれませんが、このようないろいろな事情等を考慮いたしますと、やはり公安職等の一般公務員年金との格差が拡大するということや、あるいは減額年金を選択せざるを得ない、そういう苦しい状況等を眺めておりますと、国の防衛という崇高な任務に身を挺して職務に奉仕しようという皆さん方がこういう状況であれば、新しく自衛官を志す皆さんにとっても、何となく自衛官になったら定年も早いし将来設計も立てられないということで、新たな良質な隊員の確保という面からもいろいろな困難がまた生じてくるのではなかろうか、我々はそこを懸念するわけでございます。そういう意味で、でき得る限り公安職等の一般公務員との均衡のとれた適切な措置がとられるように格段の努力をしてもらいたい、こう思っております。  その点につきまして、最後に大蔵大臣人事院総裁防衛庁長官、御三方から決意のほどを伺って質問を終わりたいと思います。
  396. 竹下登

    竹下国務大臣 御趣旨の点は十分踏まえて、人事制度上の問題も含め検討させていただきます。
  397. 加藤紘一

    加藤国務大臣 自衛隊員に対し、またその定年退職後の生活につきましていろいろ御理解いただきましたことを非常に感謝申し上げます。  精強性の問題からどうしても若年定年にならざるを得ない本質的な問題等から発生する問題でございますので、私たちも今後、年金それからその他の制度のあり方、人事制度も含めましてどうあるべきか真剣に考えていきたいと思いますが、大蔵大臣からも先ほどのような温かい善言葉もいただきましたので、しっかりと話し合ってまいりたい、こう思っております。
  398. 内海倫

    ○内海政府委員 大変恐縮でございますが、自衛隊に関しましては私どもの所管外でございますので、両大臣のように明確な形での答弁はいたしかねますが、我々も人事問題を扱っておりますので、いろいろな面でアドバイスを求められればアドバイスもいたしていきたい、こういうふうに思います。
  399. 米沢隆

    ○米沢委員 終わります。
  400. 越智伊平

    越智委員長 簑輪幸代君。
  401. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 私は婦人の年金権について幾つかお尋ねしたいと思います。  今回の共済年金法案は、国民年金厚生年金制度改正と同様に共済組合の組合員等についても国民年金の基礎年金制度を適用するということになっております。政府はこの間、婦人の年金権がこれで確立するのだというふうに言っておりますけれども、その中身は、これまで私どもが聞いている限りでは被用者の無業の妻にも基礎年金制度が適用されて本人独自の年金受給権ができる、これをもって婦人の年金権が確立すると言われているようですが、このような理解でよろしいのでしようか。
  402. 吉原米治

    吉原政府委員 一番大きな点はおっしゃったことでございます。
  403. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 果たして今回の措置によって婦人の年金権が確立し婦人の年金が改善されるというふうに見られるものかどうか、これは非常に問題だと私は受けとめております。     〔越智委員長退席、高鳥委員長着席〕 被用者の無業の妻は、固有の基礎年金受給権を妻名義で持つことになりいわゆる第二号被保険者の被扶養配偶者だから第三号被保険者だと言われていますけれども、被保険者でありながら本人は保険料を一円も支払わなくてもよいという仕組みになっているわけですね。  そもそも、保険料を一円も支払わない被保険者年金権を持つという仕組みが果たして保険制度というものになじむものかどうか、そして、そのような年金制度を持っている国があるのかどうか、あれば教えていただきたいと思いますし、考えてみますと、このような被用者の無業の妻から保険料を徴収しないというのは一体どのような合理的根拠があるのか、正当な根拠があるのか、これをぜひ聞かしていただきたいというふうに思います。
  404. 吉原米治

    吉原政府委員 社会保険におきましては、保険料を被保険者が納めて一定の給付を受ける、これが原則的といいますか、基本的な考え方であることは確かでございます。  実は、今度の新しい年金制度におきまして、従来非常にあいまいであった、婦人といいますか特にサラリーマンの妻、家庭の妻の年金的な位置づけをしっかりする、年金権を保障する。具体的にどういうやり方が一番いいかということにつきましては、いろんな議論がございましたし、実は一番苦心をした点でございます。従来のように、国民年金に任意加入の道を開いていたその制度を延長させまして、全部国民年金に強制加入、一人一人がみんな保険料を納めて年金を受けられるようにするということも確かに一つの方法でございます。それが最初に申し上げました社会保険の仕組みにおいては、その方が、あるいは先生もそういうことを頭に置いて御質問されているのかもしれませんが、それも一つの方法でございますけれども、果たしてそれで、本当の意味で、実質的な意味で婦人の年金権というものが確立されるかどうか、無年金者の問題が大変議論になっておりますけれども、できるだけ多くのサラリーマンの妻が実際に老後になって年金を受けられるような仕組みとしてその方がいいかどうかということを考えますと、必ずしもそうではないと思うわけでございます。  今度の年金制度におきまして、御主人、つまり夫が保険料を支払う、その中にいわば同時に奥さんの分も支払っているという仕組みをとる方が御婦人の方あるいはサラリーマンの妻に対する年金権の確立の方法としてベターなのではないかという考え方で、従来余りなかった考え方でございますし、諸外国にも例がないような考え方でございますけれども、こういう仕組みをとったわけでございます。
  405. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 別のところで、現在無業の妻の二、三割が国民年金に任意加入していない理由というのは、そういう妻たちが経済的に余裕がないからではないか、したがって、そういうことも考えて夫が妻の分も払う仕組みにするのだという、そんな話もあるやに聞いていますけれども、そういう根拠はあるのでしようか、ないのでしようか。
  406. 吉原米治

    吉原政府委員 余裕がある、ない、正確に言いますとサラリーマンの妻、特に家庭におられる妻というのは、自分の所得としてはないわけでございます。したがいまして、所得のない人に被保険者として直接保険料を納めていただくやり方がいいか。国民年金は所得のない人も対象にしておりますのでそれも一つの方法でございますけれども、そうではなしに、サラリーマンの家庭の妻というのは、御主人が自分の働いた収入を自分名義で受け取られるわけですが、やはり御主人の収入の中には奥さんの貢献分といいますか、いわば実質的には御夫婦の収入として考えていいんじゃないか。そういうことから、御主人の収入の中から一定の保険料率でもって保険料を納めていただく、同時にそれが奥さんの年金権に結びつく、こういう仕組みをとったわけでございます。
  407. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 ただいま年金局長は、所得のない人から保険料を取るということはいかがかという考え方も示されましたが、おっしゃるとおり、自営業者の妻であれば所得がなくても払わなくちゃならないという仕組みになっています。その分を夫の方から拠出するというふうにするのがよろしいのではないかと考えたとおっしゃいますけれども、これはちょっと通らない理屈だと私は思うのですね。  と申しますのは、実際に被用者の無業の妻の集団全体の保険料を、妻のない独身男性や共働きの妻や独身女性を含めて厚生年金共済年金の加入者全員が負担するという仕組みになっているわけです。したがって、被用者の無業の妻の保険料はその夫が拠出している保険料に含まれているという説明をされていましても、具体的には、その妻の保険料分を上乗せして夫が支払うシステムではありませんし、また逆に、単身者についてはその妻分を差し引いて支払うというシステムにもなっていないわけですね。したがって、その加入者は無業の妻があろうとなかろうと同じ保険料率で払わなければならないという仕組みです。  そこで、共働きで苦労している妻とか老後の不安を抱えている独身女性などから見ますと、何で私たちが専業主婦の老後の面倒まで見なくちゃならないのという不満の声が出てきているわけです。働く婦人は、今回こういう改正によって保険料が上がっていく、受給年金は切っ下げられていく、開始年齢は先へ延ばされるというような改悪がある中で、余計納得できない気持ちになるという状況です。  さらに、無業の妻とはいっても、九十万円までは例えばパート収入なんかがあっても、それは被扶養者として保険料は一円も支払わなくてもよいわけですね。そうしてみると、低所得の婦人が第二号被保険者となっている場合には、気持ちの上でますますこれはおさまらないということになるのもわからないわけではありません。自営業者の妻は無業であっても、全く無収入であっても自分で保険料を払わなければならないという仕組みであることを考えてみますと、同じ妻でありながら、夫が被用者であるのか自営業者であるのかによって、強制的に三号被保険者になったり一号被保険者になったり、夫の立場によって変わってしまうという仕組みになっているわけです。結局、妻の年金とはいうものの、独自に確立されているという仕組みではなくて、夫に左右される従属的な年金であるというところからこういう不合理が出てくるのだと私は思うのです。婦人を一人前の人格の持ち主として固有の年金権を確立したものとは到底言えないというふうに私は思いますけれども、この点についての厚生大臣大蔵大臣の御意見を伺いたいと思います。
  408. 増岡博之

    増岡国務大臣 先ほど局長から御説明いたしましたように、御本人の名義の年金になるわけでありますから、したがって、障害の場合、離婚の場合のことを考えますと、これはやはり年金権の確立と考えた方がよろしかろうと思うわけでございます。また、基礎年金はそれぞれ一人ずつに対して給付されるものでありますから、そういう点でも矛盾はないものと考えております。
  409. 竹下登

    竹下国務大臣 これは、担当の増岡大臣意見と一緒でありますとお答えをいたします。
  410. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 何だか余り理解していただけてないような気がしてなりません。  と申しますのは、私が今まで議論してまいりましたように、婦人の年金権を確立したというのならば、その点について夫がどうであるとかこうであるとかということに左右されずにきちんと固有の年金権を確立することでなければ、本当に一人前の人格を認められたものとは言えないではないか、夫の立場によってかなり左右されてしまうこういう年金では、妻というか婦人の年金権が確立していないというふうに私は言いたいわけです。  その上に、今回の措置で婦人の無年金者をこういう状況でできるだけなくしていく、なくなるだろうというふうに言われていますけれども、実際問題としてこの保険料納付が二十五年未満であれば無年金になってしまいますし、四十年未満では五万円年金に達しません。  厚生省の八四年の行政基礎調査では、九万人サンプル調査で、公的年金に加入すべきであるにもかかわらず加入していない者は七・七%だ。四十年後には六十五歳以上の人口は二千七百万人と見込まれて、その七・七%は二百八万人、この二百八万人が無年金者となるのではないかというふうに推計されております。一方、保険料の免除者は八四年で三百十九万人、一七・四%と数字が出ております。  私は、この中で男女別というのを明らかにしてほしいというふうに要求したわけですけれども、男女別統計はないというふうな厚生省のお答えでした。実際問題としていろいろ考えてみますと、当然婦人の比率が極めて高いのではないかと思わざるを得ません。国民年金の三分の二の加入者が婦人ですし、国民年金は月一万三千円の負担となってまいります。ますます支払いが困難で、無年金者となるケースは当然ふえると見込まなければなりません。仮に保険料の免除の適用を受けても、給付は公的負担分だけ、三分の一だけしか受けられない。したがって厚生省の試算では、四十年後には国民年金加入者の四分の一は五万円年金は受けられないというふうに言っているわけですね。かなりの部分、婦人がここに該当するというふうに見込まなければなりません。  で、こうした実態の中で、被用者の妻が国民年金強制加入ということになりますけれども、これまで国民年金に未加入の妻の場合は、だれが被用者の妻であるのか把握するのが非常に困難であるというふうに厚生省が言っておられるようです。そこで、被用者の妻が年金制度が変わったことを知らずに、市町村の届け出を放置したままにしておくと、せっかく三号被保険者に当たっていても、妻の年金受給資格は得られないこともあり得るということが予想されます。妻が六十五歳になって、さて年金をもらおうかと思ったときに、一体何年間被用者の妻であったのかということをどうやって証明することになるのでしょうか。その場合、特に内縁の妻の場合一体どういうことになるのでしようか。二十五年に一カ月でも欠ければ無年金となるだけに、一体いつからいつまで被用者の妻であったということを確定することが大事なことになるやに思われますけれども、どうやって解決していくのでしようか。  年金局長は、これまでの年金の記録は保険料を納めた記録だけをつかまえていればいいのですが、今後はそれだけでは済まない、住所、氏名、年齢のほか、身分関係の変動、雇用関係の変動までつかまえなければサラリーマンの奥さんに対する年金が成立しないのですと述べておられるわけで、ここから考えてみても、かなりの無年金者というのが予想されるわけですが、一体どうやって解決していかれるつもりですか。
  411. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答え申し上げます。  先生の御質問は二点あったかと思います。一点は、現在国民年金に加入をしておられないサラリーマンの奥様方についてどのような把握をするのか、大変に難しい問題なのではないかという点、それから、生涯三十五年なり四十年という長い期間にわたって三号該当であるということについてどのような事務処理をやっていくのかという点であろうかと思います。  ただいま私どもといたしましては、国民年金に任意加入をされておられます方につきまして、お届けを出していただきたいということでお知らせを差し上げておるわけでございますが、未加入の方につきましては、六十一年の四月一日、今度の改正法が施行になります以後に手続をさせていただきたいと思います。  で、未加入の方につきまして三号該当であるかどうかというのを把握するのは技術的に大変難しい点があることは先生指摘のとおりと思います。私どもは市町村におきます住民台帳、国民健康保険の被保険者の台帳等を基礎にいたしまして、できる限り網羅的に対象者を把握できるような方法を検討いたしておりまして、できる限り多くの方々が漏れなく三号被保険者としての届け出をしていただきたいというふうに考えております。  それで、三号被保険者の方の被保険者管理の問題でございますが、これは基本的には、従来の国民年金の被保険者の被保険者管理の手法をもってやりたいと思っております。現在、国民年金の被保険者につきましては、市町村を窓口といたしまして、強制加入であるか任意加入の方であるかという種別ごとに被保険者管理をいたしておりますが、これにつけ加えまして、三号該当という費目を私どもの仕組みの中に新たに設定をいたしまして、今回お届けをいたします方々につきまして、三号被保険者としての登録をいたしまして、今後その上での被保険者管理をいたしていくつもりでございます。  その間におきまして、今先生おっしゃいましたように、離婚をなさるとか、それから収入が相当に多くなられまして、いわゆる被扶養該当ということでない状況になることが予想されるわけでございますが、この場合には、いわば国民年金の被保険者の種別の変更ということになるわけでございます。現在、この種別の変更につきましては、現行法につきましてもまた新しい国民年金法につきましても届け出をしていただくというふうな仕組みになっておりまして、届け出をお願いするということになろうと思います。この届け出の励行をしていただくということが、今先生おっしゃいました三十数年にわたって被保険者の種別を確実に確認していくということの非常に難しい点になろうかと思いますが、この届け出の確認ということにつきましては私どもの方でできる限り努力をさせていただきたいと思っております。
  412. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 内縁の妻の場合はそれをどのように解決していかれるのですか。ちょっと明確じゃないものですから、もう一度お答えいただきたいと思います。
  413. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えをいたします。  三号被保険者、つまり被扶養配偶者であるかということの認定の一つの基準として考えておりますことは、他の社会保険におきまして、例えば健康保険におきまして被扶養者としての登録がされておるということを一つの基準として考えております。それから、現在市町村を窓口にするという形で申し上げておりますが、市町村におきましては住民基本台帳の管理をやっておるわけでございまして、いわば事実上の配偶者であるということ、それから被扶養の状態であることの二点につきましては確認ができるというふうに考えております。したがいまして、いわゆる法律上の届け出をされておられませんが、事実上被扶養配偶者と同様な方につきましてはそういう形で確認をさせていただきたいと思っております。
  414. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 実際問題として届け出というのにかなり左右される。そういうことを考えてみますと、その辺のところが実態とぴったり合った届け出がスムーズに行われるという仕組みになっていない限り、権利のある者がその権利を受けられないとかあるいはまた異なる状況に追い込まれてしまうということがあるわけで、今お聞きした限りにおいても十分把握できるというふうには了解できない状況のように思われます。そのような措置をとって一体どの程度把握できるか、どの程度把握漏れがあるというふうにお考えなのか、わかりましたらお答えいただきたいと思います。
  415. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  現在、国民年金の被保険者につきましては、私どもで機械化を進めておりますいわゆるオンライン計画におきます適用面の完成をいたしております。つまり、被保険者の管理がコンピューターシステムによってできておるわけでございます。したがいまして、今後の仕組みといたしましては、いわゆる配偶者情報、今回届け出によりましてその方の御主人に当たられます方の被保険者番号を登録していただくわけでございますが、そういうような配偶者情報をチェックできるようなシステムをもちまして、いわば先生今御指摘の届け出がおくれたケースにつきまして、即時というのはなかなか無理かと思いますが、今後チェックを考えていきたいと思っております。その場合に、どれくらいの確認が制度としてできるかというのは大変難しい問題であると思いますが、できる限り年金受給に問題のないような数字まで持っていきたいと思っております。
  416. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 届け出によって一号か三号かが変わってくる。その場合に、一号の場合だったらみずから保険料を払わなければならないし、三号だったら払わなくてもいいというようなことから考えますと、この辺のところをきちんとしない限り、本当に公平な年金受給ということは確保できないのではないかということを指摘しておきたいと思いますし、努力はなさいますものの、その辺で完全な把握が困難だということから見ましても、無年金者というのはここでも出てくるということを指摘せざるを得ないと思います。こうした無年金がさまざまな条件のもとで生まれてくるわけですけれども、他方、六十五歳以上は厚生年金共済年金から締め出されるということになって、六十五歳以上の企業の重役とか天下り官僚などは、年金と報酬を両方受けられるという仕組みになっておりまして、これは私は非常に不合理なものではないかというふうに指摘をしておきたいと思います。  そこで、次にお尋ねいたしますが、厚生大臣大蔵大臣、社会保障それから年金の分野において男女平等は確保されなければならない、憲法第十四条は貫かれなければならないと思いますが、お二方の御意見を伺います。
  417. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘のように、男女平等の趣旨は貫かなければならないと思いますけれども、その際におきましても、そのときどきの社会、経済情勢というものも考えてみなければならないと思います。
  418. 竹下登

    竹下国務大臣 憲法十四条はそのとおりであります。
  419. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 憲法十四条の条文がどうなっているかという問題ではございません。憲法十四条に書かれている男女平等が、社会保障の分野、年金の分野に貫かれなければならない、そのように御理解なさっていただけましたでしようか。
  420. 竹下登

    竹下国務大臣 御趣旨の意味でお答えしたわけであります。
  421. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 ところで、遺族年金についてお尋ねするわけですけれども、遺族年金というものは加入者の年金権の一部を構成するものと理解してよろしいのですね。
  422. 吉原米治

    吉原政府委員 そういうことでございます。
  423. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 そこで、この遺族年金を見てみますと、国民年金厚生年金、それから共済年金の規定は、規定の仕方に多少の違いはありますけれども、いずれも加入者が夫の場合と妻の場合では、遺族給付の受給権について異なる要件が書かれております。つまり、夫に死別した妻と妻に死別した夫が平等に扱われていないという現状にございます。同じ加入者でありながら、死んだのが夫であれば遺族給付が行われ、死んだのが妻であれば遺族給付が支給されないというのは、明白な男女差別以外の何物でもないと私は思うのです。したがって、このように法律上明白な男女差別の条文を設けるということはおよそ理解できないところでございますけれども、この遺族給付の男女差別について是正すべきである、平等にすべきであると思いますが、厚生大臣、いかがでしょうか。
  424. 増岡博之

    増岡国務大臣 今回の改正におきましては、遺族年金についてその保障が必要であるかどうかという必要性に着目いたしておるわけでございます。したがって、夫が死亡したときには、子のある妻及び一定以上の年齢に到達していた妻に手厚くするなど、重点化を図ることにしておりますが、その逆の場合の父子状態のものにも支給すべきではないかということにつきましては、一般的に稼得能力を有すると考えられる父に対して所得保障を行う必要は薄いと判断しておりまして、このことは現在我が国の社会通念上合理的かもしれないと考えられまして、男女平等に反するものではないと考えております。ただ、厚生年金に加入している妻が亡くなった場合に、死亡時五十五歳以上の夫、父母、祖父母等に対しては六十歳から遺族厚生年金が支給されるようになっているわけでございます。
  425. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 ただいまの御答弁は全く納得できません。と申しますのは一般通念上これが認められているということをおっしゃいましたけれども、これまで再三にわたってさまざまな問題点が一般通念上ということで男女差別が行われてきたケースがございます。しかし、今日男女平等というのは憲法に規定されている当然のことであるだけでなく、婦人に対するあらゆる差別の撤廃条約が批准されるような状況になりまして、さまざまな分野で見直しも行われ、古い社会通念を排して、新しい今日の実態にマッチした状況に変えられてきているというのが実態です。  遺族年金の場合、結果として支給を受けるのは妻の方が多いとか男の場合は少ないということは実態からいってあり得ることかもしれませんけれども、法律の上で最初から男女を明らかに区別して、差別して規定をし、そして最初から男性には遺族年金を受ける権利が排除されているということは全く許されないことであり、憲法違反であると私は思うのです。  ILOが一九八四年に「二十一世紀へ 社会保障の発展」と題する報告書を出しておりますけれども、そこでは社会保障における男女平等原則確立のために放棄すべき慣行の一つとして、遺族給付の受給権が女性にあって男性にないことを挙げています。これは一見女性が有利で男性が不利なように理解されますけれども、これはそうではなくて、最初に私が確認いたしましたように、遺族給付というのは本人の年金権を構成する一部でございますので、つまりは加入者である妻の権利が損なわれているということになるわけです。  アメリカでは、このような男女差別は明白な憲法違反だということで、さまざまな判決も出ております。特にアメリカの社会保障法は、夫及び父親が死亡した場合に残された妻と養育すべき児童に対する遺族給付について定めていたけれども、逆に妻及び母親が死亡した場合には、未成年の児童にのみ給付が支給され、夫には支給されないと定めていた。裁判所は、この条文は、女性労働者の収入は家族の生活を支えるのに大した寄与をしていないのに、男性労働者のそれは不可欠だということを前提としており、このような区別は古典的で行き過ぎた一般化であり、連邦憲法修正第五条に違反するというふうに、既に一九七五年に判示しております。先ほど私が申し上げましたように、今日男女の古典的役割分担意識を改めなければならない時代に来ておりまして、差別撤廃条約はそれを明記しております。  これまでの年金制度というのは、旧来の伝統的な男女役割分担意識に支えられた社会構造のもとで、子供は結婚以外に生まれないとか、結婚は永続的なものであるとか、正常とは言わないまでも社会的に望ましい女性の役割は、経済的に夫に依存し有償労働に従事しない主婦であり母親であるという伝統的な前提のもとに築かれてきているわけです。先ほど申し上げたとおりです。しかし、これは今日ではもはや妥当なものではないし、伝統的な社会保障制度に対する最も本質的な挑戦は、結婚が一人の男性と一人の女性の永続的な結びつきではなくなったという事実である、これはILOが述べているわけですね。結婚の破綻もふえております。また、有償労働に従事する女性も驚異的に伸びておりますし、今後もさらにふえていきます。これが時代の進展であり、当然のことであり、女性の権利意識も前進してきております。  我が国では、これまでに社会通念だ、当たり前だと言われてきたことがさまざまありましたけれども、この十年の間に幾つか是正してきたことがございます。例えば夫婦共同扶養の被扶養者の認定の問題とか、住民票における世帯主の認定の男女差別の問題とか、生活保護法における保護費の男女差別なども是正されてきております。これらはいずれも昔は当然であった、これは社会通念であったと言われてきたことばかりです。しかし、時代の進展に従って、そして男女差別撤廃条約を批准するという今日の事態に合わせて是正されてきているわけです。  年金はきょうつくってあした変えるというものではありません。二十一世紀に向かってさらにその先まで考えた上で体系をつくっていくということから考えますと、今後の社会のあるべき姿あるいは当然予測される姿を正しく見て、それに適応するものでなければならないというふうに私は思います。したがって、このような遺族年金給付は、ILOに指摘されるまでもなく憲法に違反し、男女差別であると私は思いますので、ぜひとも年金担当大臣、是正をするように強く求めて、御答弁をいただきます。
  426. 増岡博之

    増岡国務大臣 保険制度でございますので、したがいまして、その保険制度の中で遺族に対して給付を行う場合には、やはりその遺族に対して所得保障を行う必要があるかないかということが基本になろうかと思うわけでございます。したがって、女性がお亡くなりになった場合でも、男性がかなり高齢であってそういう稼得能力がないという場合には、先ほど申し上げたように遺族厚生年金が支給されるようになっておるわけでございます。
  427. 簑輪幸代

    ○簑輪委員 全然答弁になってないと思うのですね。必要性というのは何も六十以上でなくたって若いときだってあり得るわけで、現実になければそれは受給しなければよろしいわけですから、制度上それをあらかじめ排除することを不当である、間違っておるというふうに私は申し上げておるわけですから、全然答弁になってないというふうに思いますが、時間が来ましたので終わります。
  428. 高鳥修

    ○高鳥委員長 梅田勝君。
  429. 梅田勝

    ○梅田委員 私は、国鉄共済問題につきまして質問いたしたいと思います。     〔高鳥委員長退席、越智委員長着席〕  国鉄共済年金財政破綻は、国鉄監査委員会の報告書の中におきましても、「その原因は、いわゆる戦中・戦後の大量採用職員が退職時期を迎え、年金受給者が急増している一方、国鉄の経営改善のための職員数が急減しているなど、構造的要因によるものである」ということは、もはや今日ではだれも否定できないところでございます。  そこで、国鉄当局に成熟度の問題につきましてお伺いをいたしますが、五十九年度末におきまして一一七・八となっておりますが、仮に今回、国鉄再建監理委員会意見の中で言っておりますような二十一万五千人体制になった場合にはどのような成熟度になるのか、またその場合に、仮にそれを全部国鉄に負担させるというようになった場合に、国鉄労働者の掛金率は幾らくらいになるか、お答え願いたいと思います。
  430. 川口順啓

    ○川口説明員 お答えをいたします。  国鉄共済組合におきましては、現在組合員数が約三十一万人でございます。また年金受給者が約四十二万人でございまして、その成熟度は一二五程度に達しておるわけでございます。  今後監理委員会意見に基づきまして経営改革が実施された場合の見通しでございますが、これは転退職する職員がどのような時期にどのような人数やめるか、またその転退職者がどのような年齢層の者であるかというようなことが現段階では定かではございませんので、正確な成熟度の予想数字は出にくいわけでございますが、大まかに申しまして、昭和六十五年度になりますと組合員数が約現在より十万人減少いたします。ただ、この約十万人の減少の者がすべてが直ちに年金受給者となるわけではございませんが、これらを総合的に勘案いたしますと、六十五年度時点の成熟度は二〇〇を超えるという予想が成り立つわけでございます。
  431. 梅田勝

    ○梅田委員 要するに成熟度は二〇〇を超えるという重大事態になるわけでございます。そこで掛金率が何ぼになるかというのがなかったわけでございますが、これはもう大変なことになるのだな。  そこで大蔵大臣に聞いていただきたいのですが、私にぜひこれは国会で明らかにしてほしい、訴えてほしいという要望で、給料の明細書を国鉄労働者からいただいたわけでございますが、Kさんという三十五歳の方でございます。六十年の九月給料表によりますと、基本給は十八万九千七百円、それから共済の短期、長期、所得税、市町村民税、これらを入れますと三万九千二十五円、実に二〇・五七%に達しておるわけです。総収入に対しましての比率を出しましても一九・一二%でございます。手取りは十四万七千七百円しかこの方はもらってない。  それからMさんという四十五歳の年配の方でございますが、基本給は二十一万二千六百八十二円、それ以外諸手当がつきますが、先ほど申し上げた共済と税を合わせました控除が五万二千八百九十円、実に二四・八六%に達している。総収入に対しましても二〇・五六%だ。手取りわずかに十四万四千四百三十四円にしかならぬ。これ以上掛金が高くなったらかなわぬということで、負担能力に限界が来ているのじゃないか。  これを何とかしなくてはならぬという点について、まず大蔵大臣、どのようにお考えですか。
  432. 竹下登

    竹下国務大臣 恐らく今の数字はそのとおりであろうと、私もそういう前提で感じたことをお話しいたしますならば、確かに国鉄、商うございます。したがって、いろいろな議論をして、再三申し上げるようでございますが、光電電、元専売、そして国家公務員等が労働者連帯の形でこれが救済策を講じた、こういうことであります。なおしかし、それは三十二万体制のときを前提とした計算でございますので、それが将来仮に法律が通って変わったといたしました際にはそれ以上の問題が起きてくるという問題意識を持って、今までも再三お答えをしておるところであります。
  433. 梅田勝

    ○梅田委員 先ほど来の議論を聞いておりましても、大蔵大臣はたびたび労働者連帯、美しい労働者連帯などと言って、全体で見ていくことが大事であるというようなお考えをお示しのようでありますが、これは結局は国民全体に広く負担を転嫁するものでありまして、統合を考えるということではなくて本当に国全体の連帯を考えるならば、国鉄財政赤字をつくり出したのは、私どもの理解では、財界がいろいろなことを押しつけた、自民党もそれに同調してやった、こういう大きな責任があるわけです。だから、かかる財政危機の問題については毅然として、一般会計からやりくりして出すべきだ。一般会計から出せば、所得再配分の機能を持っているわけですから、これこそ国全体の連帯感で問題を解決するということになりはしませんか。あなたの言うオール日本による解決というのは、結局、当面積立金で、かなり金額を持っている厚生年金で何とかしてもらえないか、せんじ詰めたらそこへくるんじゃないですか、どうですか。
  434. 竹下登

    竹下国務大臣 私が労働者連帯と申した言葉は、実際問題として、共済を統合いたします際の法律の審議をするまでには審議会の答申をいただかなければならぬわけです。その答申をいただくについて、私も、主として懇談会でございますけれども、よく様子を聞かしていただきました。そのときの議論というものがまさに労働者連帯だと私自身が感銘したという感想を述べたわけであります。したがって、今その制度ができたことは間違いございません。さらに、この国民連帯というのは、そのときにそういうことを感じたという意味で申し上げておるわけでございますので、これをどうするかということになりますと、たびたび申し上げておりますいわゆる統一見解というもので御承知おきを賜りたい。  ただ、一般会計という言葉がよく出ます。そしてやりくりという言葉もお出しになりました。それはやりくり大変でございます。が、やりくりの限界に達しておるという感じもいたしますものの、これからもやりくりをしなければなりませんが、安易に一般会計といったのは、こういう場合に、そういう短絡的な物の考え方というのは、一般会計の財源を負担するのもまた国民であるという意味において、よほど慎重にならなければならぬということもかねがね申し上げておるところでおります。
  435. 梅田勝

    ○梅田委員 それでは政府大蔵大臣の責任は逃れない。あなた、国民国民というぐあいに換言をするけれども、もちろん国民主権の国家でありますから、国家の構成の中では国民一人一人が主人公だ。しかし、企業の方はどうか。財界は法人として好き勝手なことをやっているわけだ。税金も安くまけてもらっているし、国家財政に寄生して、いろいろな補助金をもらったり、公共事業だといっていろいろな仕事をやったりして、そして大もうけしているわけだ。国鉄はいろいろなことで食い物にされた典型なわけですよ。  そういう問題で起こった国鉄財政破綻問題をどのように解決をしていくか。再建監理委員会意見を出してきたわけだけれども、あれは全然、長期債務等の問題については解決らしい解決は何もしてないわけだ。きのうから議論をして、共済の出口のところで何とか議論した結論を報告するということを御答弁になったわけでございますが、しかしこれは、すっきりとそれじゃ必ずこの問題は国で責任を持ちますというようなことを約束されたわけじゃないわけだ。あなた、監理委員会が今回の国鉄財政破綻の問題で膨大な三十七兆に達する長期債務等の問題について処理方針を出して、いろいろ明細は時間がないから避けますが、しかしいずれにしても、約十七兆は国民の負担だ、国の方で考えろというようにおっしゃった。それから、この共済の問題でいえば四兆九千億、これは計画以上に人減らしをやって、さしあたり、国鉄共済が破綻しておるという問題の手当てとは別に、長期的に見たいわゆる追加費用あるいは公経済負担、恩給負担金の問題について言っただけでありますが、それについて財政的にどうするか、何ら示されてない。こんなことで、共済問題だけ先にやってくれと私ども言われても信用はできませんよ。これはどうしますか。  運輸大臣監理委員会の設置法が議論されたときに、いろいろ議論がありましたが、ここに五十八年の四月十二日の会議録も持ってまいりましたが、長期債務、これをどうしていくか、「総合的に監理委員会において検討して、そして適切な結論を出していく」というように当時の政府が約束しているわけですよ。ところか、出てきたものはさっぱりわけがわからぬものが出ている。監理委員会が設置されたらもう万事、長期債務等の問題もうまく解決ができるというように世間に思わせておいて、実際出てきたものは、結局は、膨大な金額を国が考えろ、ひいては国民の負担にしろと。一般的に国民に平均化されたらたまったものじゃないですよ。  我々は、原因者負担でやれ、だれがそのように国鉄財政を破綻さしたか、そこのところの追及なしにはこの問題についての国会、委員会における審議というものは進まないと私は思うのですよ。適切な結論を出していくというこの約束を忠実に実行していく気があるなら、まず財源措置を明確にしていただきたい。そして、そのような財源措置が明確に立たぬ、なお引き続き議論をさせてもらいたい、時間をかしてもらいたいとかいうのであれば、答申が出たらあたかも即実行のようにやられておりますが、いろいろ分割民営化の法改正準備というようなものは即刻中止をすべきだと私は思うわけでありますが、運輸大臣、いかがですか。
  436. 山下八洲夫

    山下国務大臣 どうも御質問の趣旨が私にはよくわからないのですけれども、八つ当たり的にいろいろおっしゃいましたけれども国鉄再建監理委員会は、再来年の四月一日いよいよ会社として発足するには三十七兆三千億円の債務を処理しなきゃならぬということで、その内容にっきましては意見でもって十分述べてあります。  ただ、これだけの金額ですから、それぞれどこに割り当てる、そんな簡単なわけにはまいりませんので、その中に、例えば四兆九千億円についてはこれは新しい会社に引き継がしてもとても支払うことは困難だよ、だから旧国鉄に一応置いておいて、そして長期債務と一緒に処理すべきものであるというふうに意見では言ってある。  また、確かにおっしゃるとおり、民営・分割等の国鉄の大改革とともにこれを進めていくためには年金も同時進行させなきゃならぬ、当然のことであります。当然のことでありますから、この問題については、きのうから内閣総理大臣初め、この問題についての統一見解を述べられたじゃありませんか。
  437. 梅田勝

    ○梅田委員 いや、その統一見解、その議論の経過なるものを聞いてみないとどないなるかわからぬじゃないですか。そうじゃなしに、どんどんと審議だけは進行してほしいというのは、そんなのは虫がよ過ぎるというのだよ。  どうも大蔵大臣の御答弁を聞いておっても、結局は広く国民に負担させるというお考えのようでありますが、厚生大臣、もし仮に国鉄共済と今のところ大きな財源を持っている厚生年金とを統合した場合、国の負担はどのように変わってきますか、それから労働者の負担もどのように変わりますか。
  438. 増岡博之

    増岡国務大臣 その問題こそ、この共済年金法を上げていただいて来年の四月一日以降協議をしようということでございますので、現段階では申し上げられないと思います。
  439. 梅田勝

    ○梅田委員 そういう答弁でいつも逃げていかれるのだけれども、厚年に統合していった場合にどうなるか、これは簡単に言えば国の負担はどんどん減っていくのじゃないですか。そして労働者の負担はどんどんふえるということじゃないですか。そうすると、厚生年金積立金というものは今まで営々として労働者と事業者の方で積んできたわけでしょう。それを国鉄が破産したから何とかしてくれと来た場合には、積立金を流用するということになって、法律で定めて流用する場合は合法的流用だ、法律もなしにやったらそれは使い込みだ、そういうことを今あなた方は考えているわけであります。営々として積んできた労働者の財産をそう簡単に料理されたのではたまらぬ。労働者の連帯だ何だかんだと言いながら結局国民全体の負担に転嫁していく、そして国の負担は減らしていく、こういう方向でしょう。国民年金厚生年金が改悪された結果、昭和九十年の計算をしてみたら四兆一千百四十億、昭和九十年という時代があるかどうか疑問でございますが、二〇一五年の時点では国の負担はそれだけに減るわけだ。国公共済の場合で言いますと、昭和九十年になると八百億の国庫負担減になる、六割減ですよ。結局国が負担する分はどんどん減らしていって、その分を全部労働者、国民に転嫁していくというのが今回のやり方じゃないですか、どうですか。
  440. 増岡博之

    増岡国務大臣 国の負担が減ります分は主として給付の適正化によるわけでございまして、その適正化によりまして働く人の保険料も上がるべき部分をかなり縮めておるわけでございますから、私は先生指摘のようなことはないと思います。
  441. 梅田勝

    ○梅田委員 最前から言っているように、掛金をどんどん上げていって労働者をいじめているわけだ。国鉄財政が破綻し、共済年金財政が破綻してきた本当の原因はどこにあるか。計画以上にどんどん人減らしをやってきて五カ年の財政調整すらうまくいなかいということですから、これは主として国の責任で発生した問題ですから、そして何遍も議論になっているように国の責任ですと監査報告ですらそのようなことを指摘しているわけですから、それに対して財政手当てをどうします、このようにしますとすぱっと大蔵大臣言うてもらわなければ解決しませんよ。  あなた、財源がないと言いますが、今こそ軍事費を削って、大企業奉仕の予算を減らして、それを国民の福祉や教育、暮らしの充実のために回せ、この国民の切実な声を実行すべきですよ。軍事費は、この間の計画でGNP一%枠突破の問題で重大なことになりましたが、十八兆四千億。この成長率でどんどんいったらどないなりまんねん。これもいろいろな計算がありますが、昭和七十年になったら軍事費は六兆八千億になる、昭和八十年になったら十四兆三千億になる、とんでもない数になる、名目伸び率が七・九%いったとしたらですよ。私は、日米軍事同盟のもとで軍事費をどんどんふやすということは、国民の平和と安全に脅威こそあれ暮らしには何の役にも立たないという点を考えるならば、ここで大いに発想を転換して、暮らしの充実のためにそういう諸費用は回すべきだと思うわけでございます。  また党は、年金改革の問題につきましては、本当に国民の老後生活が保障できるような、最低の生活ができるような年金制度を充実しるというように提案をしているわけでございますが、この基本的な問題について、大蔵大臣厚生大臣、並びに国鉄再建に重大な責任を持つ運輸大臣の各答弁をお願い申し上げて、私の質問を終わります。
  442. 竹下登

    竹下国務大臣 国鉄昭和三十八年までは黒字でございました。三十九年から赤字になりましたが、それはいろいろな理由がございますので、大企業が国鉄にツケを回したという見方に私は立っておりません。  それから、かなりあちこち飛びましたので、八つ当たりとは申しませんが、八つ当たり的であったかもしれないと思いますけれども、私どもから申しますならば、それこそ監理委員会意見を出されたわけでございますから、その意見を取り上げましてこれから部内で相談して、それでまた法律でお願いして御審議をいただいたり、今のようないろいろな意見もいただくわけでございますから、今確たることを申し上げる段階にはございません。  ただ、私自身が担当しておりますのは国鉄のまさに共済問題であります。この共済も一つの方向を監理委員会意見として出しておられるわけですから、これをどう仕組むかというのはこれからの検討の大きな課題でございます。物をやるに当たりましては、すべてのものを初めからきちんとそろえてやるということは、最終的には国民が理解してくれなければいかぬわけでございますから、順を追いながら、これらの意見を最大限に尊重して、私に与えられておる国鉄共済問題についての解決策を講じていこう、こういう基本的な考え方でございます。
  443. 増岡博之

    増岡国務大臣 年金を充実するにつきましても、やはりその手順として関係者のそれぞれの理解が必要でございますし、国民の合意ができるような方法でやらなければならないと思っております。
  444. 山下八洲夫

    山下国務大臣 御質問の趣旨はよくわかりました。そこで、現職の職員、それから0Bの方々に御不安のないように十分配慮していきたいと思います。
  445. 梅田勝

    ○梅田委員 時間がございませんのでなかなか反論はできませんが、確たるめどもないのに分割・民営をどんどん進めるという今の政府の姿勢はぜひ改めてもらいたい、このことを強く要求して、終わります。
  446. 越智伊平

    越智委員長 江田五月君。
  447. 江田五月

    ○江田委員 共済四法案の連合審査ですが、これは鮮金改革の第三段ロケットですか、第一段、第二弾が既にスタートをしておるということなので、この前の段階の国民年金、基礎年金について大蔵、厚生両大臣に伺っておきたいと思います。  今回のこの一連のプロセスを経た年金改革というのは、確かに非常に重要な年金改革、ある意味で歴史的であるかどうかは別として、歴史的でなければならぬということは確かだと思うし、年金制度の再スタートになっていかなければならないと思います。それは制度の整合性ということだけでなくて、中曽根首相の言い方で言えば、人生五十年から人生八十年という新しい時代にふさわしい年金になっていかなければならぬ。結局高齢者、老年期の生計というものは年金で支えられていくんだという、年金というものが困ったお年寄りに対する福祉の温かい手というのでなくて、もっと年金で暮らしていくということが普通の人生の歩み方なんだという、そういうコンセンサスを得て、この年金制度が新しい時代にふさわしくスタートをしていかなければならぬと思うのですが、さらにまた、世代間連帯ということを達成するためにも、若い世代、生産年齢人口の皆さんに大変な負担をこれからお願いをしていかなければならぬわけですから、その負担をすれば将来はこういう年金をいただけるんだ、そういう夢のある年金になっていかなければいけないと思います。  ところで、今基礎年金しか資格がないいわゆる自営業等の皆さんについては、一人当たり五万円というようなことで、一体そういう意味の年金と言えるのかどうか。大蔵大臣は「日本列島ふるさと論」ということで、これからの展望をひとつ国民に大いに与えていただくという立場をみずから確立されようと今しているわけですが、そういうお立場からして、こういう自営業者の皆さんに対する公的年金のあり方でいいのかどうか。私はやはり、この二階建て部分というものは、これはもう社会保険審議会にしても国民年金審議会にしても、あるいは社会保障制度審議会にしても、それぞれ検討しなきゃならぬということをお答えとしていただいているわけですし、前回の第二段の改正のときでも、附則で、保険料の方に関してですが、報酬比例というものが検討されるべきということが入っているわけで、ぜひこの国民年金にも二階建て部分を早急にビジョンとして提示をされなければいけないのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  448. 竹下登

    竹下国務大臣 まず最初の、いわゆる報酬比例部分を国民年金にも求めたらどうだという御意見でございますが、この問題は多様な業態にわたります国民年金の被保険者の所得をどういうふうにして把握するか、大変難しい問題があると思いますが、基本的にはこれは厚生省において十分検討していただく問題ではなかろうかというふうに考えております。
  449. 江田五月

    ○江田委員 制度の具体的なあり方としては厚生省で検討していただくとして、大蔵大臣の所管の事務がどうかということになりますと、私も困るわけですが、これからいよいよ重要な役割を果たされようという竹下さんに伺いたい。  自営業の皆さんに対して、本当にこの公的年金五万円という、それでいいというふうに言えますかどうですか。
  450. 竹下登

    竹下国務大臣 これから何を果たすかという、それほどの人物であるかどうか、みずから自問自答を毎日いたしておりますので、そういうことでございますけれども、やはり基礎年金制度というのは私は大きな一つの進歩ではなかったかな、公的年金の充実の意味において、こう思っております。  そうすると、それを補完すると申しますか、いわば私的年金というのが企業年金、いろいろな問題が出てまいります。それらは毎度税制調査会等でも指摘されておりますが、世代間バランスの問題等も考慮して、税問題についても検討さるべき課題だというような指摘もいただいておりますので、そういうものと総合的な中で組み立てていかなければならぬものではなかろうかな、まあいささか所管外も出ますけれども、そんな感じでございます。
  451. 江田五月

    ○江田委員 それでは所管の大臣、最初の質問ですが、国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障しなければならぬ厚生省を所管する大臣として、今のこの国民年金受給者に対する基礎年金五万円しかないという、こういうあり方というのは一体どうお考えですか。
  452. 増岡博之

    増岡国務大臣 五万円というのが生活に要する基礎的な、基本的な部分ということで策定いたしておるわけでございまして一御指摘のような比例報酬制度の上乗せその他は、所得の把握が困難であるとかいろいろなことがありますけれども、一応の検討課題でありますので、何らかのいい方法があれば検討をしてまいりたいと思います。
  453. 江田五月

    ○江田委員 いや、何らかのいい方法があれば検討するといったって、それはあるかないかを検討するのが検討であって、いい方法があれば、もうそれは検討にも何もならぬと思うのですが、いずれにしても、年金の問題というのは、これは将来の国民に対してこういう新しい社会の制度をつくっていくのですよ、みんなでひとつ大いに夢を持ち、頑張っていこうじゃないか、そういうことをやはり厚生大臣、国民に語っていただかなければいけないので、何かまことに失礼ですが、今の厚生大臣のそういうお答えぶりからは、何の夢も希望も見出せないということになるのではないかと思いまして、その点はなお聞いてみたいところですが、時間が来ましたので、きょうは両大臣、本当に御苦労さんでした。それから関係の省庁の皆さんあるいは国会職員の皆さん、本当に御苦労さんでした。質問を終わります。
  454. 越智伊平

    越智委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後七時十七分散会