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江田参考人 総評副
議長の
江田でございます。
時間が十五分でございますから、余りたぐさん述べられませんので、最初に国鉄
年金の救済問題について、事実経過を含めまして述べさせていただきたいと思います。
この国会が始まりまして、
共済法案が
審議に入りまして、政府の救済の具体的統一見解がいまだに出されないということについては私は大変遺憾であるというふうに思います。
なぜかと申し上げますと、事実経過を申し上げますが、二月の六日、ことし最初の産労懇、産業
労働問題懇話会ですが、第一回目には必ず総理が御
出席になりまして一年間の重要課題について所信の表明がございます。そのときに総理みずから、今年の課題は国鉄再建と教育改革それから地方行革である、三十分にわたって力説をされました。私も産労懇のメンバーでございます。総理が大変力を込めて力説されましたので、終わりまして第一番目に私が質問いたしました。ちょうどあたかもそのときには
共済法の
改正の
審議、国鉄財調問題の国共審の
審議の真っただ中でございまして、そういう時期でございますから、総理に対して国鉄
年金の現状と
問題点については総理は御存じでございましょうか、
承知の上で国鉄改革問題を提起される、であるとするならば国鉄
年金の救済についていかような処置をとられるのか、総理の所信をお伺いしたい、こういうふうに私は御質問をいたしました。総理はそれに対してわずか一言で、今
専門家が検討中です、国鉄監理
委員会も発足いたしまして監理
委員会の中で再建計画全体の中で結論を出します、こういう御答弁がございました。総理ですから
年金問題
一つを専門的におやりになるとは思いませんから、さようでございますかということで私も了解をいたしました。
それから、七月に国鉄
再建監理委員会の答申が出まして、総理がお約束になったから、その中に極めて具体的かつ明確に国鉄
年金の再建についての御提言が含まれているというふうに私どもは思いました。私もあれを三回ほど読み直してみましたけれども、あの中に書かれておる国鉄
年金についてはわずか三行、これについては国共審の答申の中で書きました文言を引用いたしまして、そして引き続き政府で検討しろ、こういう趣旨のことしか書いてなかったわけでございます。
またボールを投げ返されたわけでございますが、直ちに私は国共審の船後会長にお願いをし、大蔵省の事務当局に要請をしまして国共審の開催を要求いたしました。そして亀井監理
委員長と国鉄総裁に御
出席をいただくということで国共審が開かれたわけでございますが、その席に、国鉄総裁はお見えになりましたが、監理
委員長は日程の都合で
出席できないというお断りがありまして
出席されませんでした。私は監理
委員長に御質問をしたい、監理
委員会の中で総理に対する負託としてどういう御
議論をされ、どういう
審議をされて国鉄
年金救済についてお考えなのか、監理
委員長に明快な御答弁をいただきたいというために国共審は開いたわけでございますが、御
出席になりませんでした。
その翌月の産労懇で、ちょうど運輸大臣が参りまして再建計画の説明がございました。亀井
委員長も産労懇の
委員でございますから、亀井
委員長と運輸大臣にも質問をいたしまして、監理
委員会の見解をお聞きしたい、したがって国共審に御
出席をいただきたい、こういうふうに申し上げたところ、必ず参りますという亀井
委員長の御答弁でありました。それで大蔵省に連絡いたしまして直ちに再開をお願いしたのですけれども、大蔵事務当局の私に対する連絡では、亀井
委員長は出たくないということでかたくなに
出席を拒まれている、こういうことで大蔵省と運輸省の間で数回となくやりとりがあったけれどもいまだに御
出席がございません。そして十月の産労懇でお会いしましたから、亀井
委員長に公式の産労懇で御
出席を受諾されたのになぜ御
出席いただけないんですか、こう言ったら、国共審で文句を言われるのが嫌だから行きたくない、こういうお話でございました。国共審でいろいろ言われるのが嫌だから行かないという監理
委員長では国鉄再建はできないのではないかと私は思います。
そういう経過を踏まえてまいりまして、国鉄監理
委員会があれほど大胆な国鉄再建計画を提起された以上、少なくともその中に国鉄
年金も大きな
部分を占める。国鉄の職員のいわゆる雇用問題は大変大きな問題になっておりますけれども、雇用とは職を失うかどうかという問題だけでなくして賃金も入りますし勤務条件、
年金を含めて雇用問題というのは存在する。その中の重要な既裁定
年金者、そして
現役の三十万の職員の
老後における
生活設計の問題を含めた重大な
年金問題に監理
委員会は一言も触れずに、これをさらに政府にゆだねるあるいは国共審に突き返すという処置の仕方については、私どもとしては納得できない。これは国共審の席上、公労使三者一体で、監理
委員会のあの答申は国共審を冒涜するものである、書かないなら一字も書いてもらわない方が結構だ、国共審の答申をただ引用するやり方というのは国共審に対する冒涜であるというのが国共審の全員一致の確認でございました。
そういう点で、きょうも亀井
委員長、後でお見えになるようですけれども、私はせっかく参りまして大蔵大臣にも聞いてもらいたかったし亀井さんにも生に聞いていただきたいという期待を持っておりましたが、非常に残念だと思います。
私どもは、少なくとも九十万の
共済グループの組合員は大変な苦痛を
感じながら月平均一万二千円
程度の金額について、きれいな
言葉で言えば
労働者連帯、そういう
意味で国鉄救済のためだけに千分の五・三の
負担をさせられておるわけであります。政府はこの九十万人のそういう国鉄救済に対する善意な協力に対して、それにこたえるためにも速やかに政府の統一見解を出して政府の責任を明らかにされるのが九十万人に対する任務である。そういう誠意が示されないならば、我々としては今の
財政調整については直ちに打ち切ってもらいたい。政府の誠意がない限り我々だけが誠意を見せるというわけにはまいらないわけであって、今の
財政調整については直ちに中止をして組合員の
負担を軽減してもらいたいということを強く要求せざるを得ないわけであります。
以上、事実経過を踏まえまして、私は政府に速やかに政府の責任、政府の
負担を含めて明らかにしてもらいたい。私は、国鉄
共済年金の救済について何が難しいのか、政治的に難しいのか技術論的に難しいのかよくわからない。政府は金は全く一銭も出したくない、あるいはその他の
共済も今の
段階で政府の責任を明らかにしない中で
負担するのは嫌だ、それは当然のことだと私は思います。そういう問題についてやはり的確にこたえていくのが政治の任務である。政治的にどこが難しいのか明らかにしてもらいたいし、技術論的になぜ難しいのか。極論すれば銭金で済むことではないか。銭金をだれも
負担しないで国鉄救済をやれといってもできるはずがない。そういうことに貴重な時間を使って、何十時間使っても国鉄救済についての具体的な筋道は私は出てこないと思います。これが第一であります。
それから
年金法につきましては、
村上先生も一緒に
審議してまいりまして、私は
年金の素人でございます。したがって、中身の問題は別といたしまして、ただここで申し上げておきたいのは、国共審が満場一教の答申ができなかったという事実、これは国共審の答申案をひとつお読みいただきたいと思います。地
共済は大体統一見解、統一した答申案になっておるようでありますが、国共審は国鉄財調問題の
審議等々いろんな問題が絡みまして、内容の
審議が十分尽くされませんでした。政府が法案提出を急ぐ余り、内容の
審議時間というものは非常に制約されたわけであります。そして、
労働側の
意見と主管側の
意見、公益側の
意見が対立したままそれの解明ができなかった、そういう
意味で国共審答申は明確に両論の併記ということで答申が出たという事実、これを御了承いただきたい。そのことは、
労働側は今この
共済法の改悪については反対であるという意思表示であるというふうに申し上げざるを得ないわけであります。
中身について申し上げると時間がございません。総評の
共済対策
委員会も連日開いておりますし、昨日も開いておるようでありますが、今国会においてどうしてもこの法案を
審議完了したいという国会の中での事態であれば、私どもとしては十数項目にわたる
法律案についての修正をお願いをしたい。この修正が実現されないとするならば、我々としては、この
共済法の成立については断固反対せざるを得ないということを申し上げておきたいと思います。
その中で特に一、二申し上げますと、
年金の一元化、一元化という
言葉が使われておりますが、七十年一元化というのは大綱として政府の閣議決定にもなっておりますが、一元化というのは何なのか。国共審でも大蔵事務当局にお聞きしても、なかなかそこのところはまだ決まってないんだ。
給付と
負担の一元化を一元化というのか、あるいは
法律の一本化を一元化というのか、
財政運営、
財政の一本化を含めてそれを一元化というのか、どの場でお決めになったのか、その一元化の中身についてはいまだに明らかになっていない。大蔵省の事務当局も、御質問してもそこのところは定かではないというのが答弁であったと記憶いたします。したがって、七十年一元化という問題だけがひとり歩きをしている。どういうふうな中身で一元化なのか、一元化とは何なのかということについてまず前提条件を明らかにされてしかるべきである。同時に、一元化のプロセスについても私は必ずしも明確になっているとは思いません。そこの
部分が第一の、
一つの問題だと思います。
それから、
官民格差論が言われますし、
村上先生からも大変理解のある説明が今ございました。しかし私どもは、
公務員共済年金というのはやっぱり、
公務員という
特殊性の中で存在をすると思います。
共済組合法等にも、公務の民主的、そして能率化というような、
公務員制度の一環としての
年金制度だというふうに少なくともうたわれておるし、強調されていると思います。いわば戦前の
恩給法から
共済年金法に変わりまして、そして
共済年金法になりましても、
厚生年金法との間には大変異質なものが
法律上にも存在していると私は思います。その中にも、例えば我々
公務員が懲罰を受けたり刑罰を受けたり懲戒処分を受けたり、そういうものについては
給付制限なり
給付の停となりもろもろの条項が入っておりますが、これらについては
厚生年金にはございません。かつての三公社の場合にも、三公社のそれぞれの
共済法はばらばらで、あるものもあったし、ないものもあった。一本化したために、三公社の中に非現業
公務員のこれらの
制度が逆に持ち込まれて不利益をこうむっておるという事態もありまして、そういうものは何なのか。やっぱり公務の
特殊性においてそういう問題が
共済法の中に入れられてきたんじゃないか。そういう問題を抜きに
官民格差論だけが言われるということについて私は納得がいかないわけでございます。
今賃金問題も含めまして、七年間凍結、値切り、その他
公務員は何か人権が無視されっ放しの状況の中で
年金法だけがひとり歩きする。しかも、
国民年金財源なり国鉄
年金財源の破綻の中で、それを国庫
負担をせずに
労働者に転嫁するだけの改悪法案じゃないか。それで
給付は下げられる、
負担は大きくなる、こういうむちゃくちゃな
改正はないじゃないかというのが組合員の率直な、素朴な気持ちでございまして、どうしても納得いかないというふうに思います。
そういう点で、やはり
共済年金の持つ性格をどちらかに明確にされる必要もあるだろうと思います。
公務員共済年金というのは、
老後の社会
保障としての
老齢年金なのかあるいは
公務員としての
職域年金なのかあるいは相互保険なのか。政府の説明は、その都度そのそれぞれをうまくつまみ食いして、あっちの場合にはこっちだ、こっちの場合にはあっちだ、こういう答弁で常に逃げられるわけでございます。けれども、
年金の一元化という問題と含めまして、
共済年金の性格づけはどちらなのか、何なのか、それを決めてもらわないことには私どももどちらに沿って物を言っていいのかもわからなくなる。つまみ食いされるだけで、先ほど申し上げた
給付制限その他欠格条項は
民間にないものが入ってくる。都合のいいときには、厚年との並びで
給付と
負担の一元化あるいは
財政調整等による
年金の一元化とか、
負担だけが公平だ、こういうような言い方で逃げられることについては納得がいかない。私どもは十数項目にわたりまして修正要求をまとめてありますので、社会党の方を通じましてお出しいただきたいと思っておりますが、全野党の皆さん方と自民党の方もひとつ満場一致で御賛成をいただいて、この法案が円満に上がりますことを期待いたしまして、私の
意見陳述にかえます。