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1985-11-22 第103回国会 衆議院 大蔵委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十二日(金曜日)     午前十時一分開議 出席委員   委員長 越智 伊平君    理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君    理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君    理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君    理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君       尾身 幸次君    加藤 六月君       金子原二郎君    自見庄三郎君       中川 昭一君    長野 祐也君       二階 俊博君    額賀福志郎君       野呂 昭彦君    藤井 勝志君       宮下 創平君    山崎武三郎君       伊藤  茂君    川崎 寛治君       渋沢 利久君    戸田 菊雄君       野口 幸一君    武藤 山治君       古川 雅司君    宮地 正介君       矢追 秀彦君    木下敬之助君       正森 成二君    簑輪 幸代君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 竹下  登君         厚 生 大 臣 増岡 博之君         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委員         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         大蔵政務次官  中村正三郎君         大蔵大臣官房総         務審議官    北村 恭二君         大蔵大臣官房審         議官      門田  實君         大蔵大臣官房審         議官      亀井 敬之君         大蔵省主計局次         長       小粥 正巳君         大蔵省主計局次         長       保田  博君         大蔵省理財局長 窪田  弘君         厚生大臣官房総         務審議官    北郷 勲夫君         厚生大臣官房審         議官      山内 豊徳君         社会保険庁年金         保険部長    長尾 立子君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君  委員外出席者         大蔵省銀行局保         険部長     関   要君         厚生省年金局年         金課長     谷口 正作君         厚生省年金局資         金課長     丸山 晴男君         厚生省年金局数         理課長     坪野 剛司君         日本国有鉄道常         務局長     室賀  実君         日本国有鉄道職         員局長     澄田 信義君         日本国有鉄道共         済事務局管理課         長       藤田 好一君         大蔵委員会調査         室長      矢島錦一郎君     ————————————— 委員の異動 十一月二十二日  辞任          補欠選任   大島 理森君      野呂 昭彦君   田中 秀征君      二階 俊博君   平沼 赳夫君      尾身 幸次君   山中 貞則君      長野 祐也君   玉置 一弥君      木下敬之助君 同日  辞任          補欠選任   尾身 幸次君      平沼 赳夫君   長野 祐也君      山中 貞則君   二階 俊博君      田中 秀征君   野呂 昭彦君      大島 理森君   木下敬之助君      玉置 一弥君     ————————————— 十一月二十日  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対に関する請願岩垂寿喜男紹介)(  第三七二号)  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案反対等に関する請願柴田睦夫紹介)(  第三八六号)  同(浦井洋紹介)(第四三二号)  同(工藤晃紹介)(第四三三号)  同(柴田睦夫紹介)(第四三四号)  同(津川武一紹介)(第四三五号)  同(不破哲三紹介)(第四三六号)  同(藤田スミ紹介)(第四三七号)  同(松本善明紹介)(第四三八号)  同(三浦久紹介)(第四三九号)  共済制度改悪反対に関する請願経塚幸夫君  紹介)(第四〇六号)  共済年金掛金引き上げ反対等に関する請願  (中川利三郎紹介)(第四〇七号)  大型間接税制定反対に関する請願藤木洋子  君紹介)(第四〇八号)  同(斉藤節紹介)(第四四〇号)  共済年金改正反対に関する請願三浦久紹介  )(第四〇九号)  同(斉藤節紹介)(第四四一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案内閣提出、第百二回国会閣法第八一号)      ————◇—————
  2. 越智伊平

    越智委員長 これより会議を開きます。  内閣提出国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審議のため、参考人出頭を求め、意見を聴取することとし、その人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 越智伊平

    越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 越智伊平

    越智委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。
  5. 戸田菊雄

    戸田委員 まず厚生大臣お尋ねをいたしますが、昭和七十年公的年金一元化内容とスケジュールをどのように考えておられるか、お伺いいたします。
  6. 増岡博之

    増岡国務大臣 年金制度につきましては、既に国民年金厚生年金におきまして基礎年金の導入の改正を行っておるわけでございます。共済年金におきましても、昭和六十一年四月から同時実施前提として同じような改正をお願いしておるところであります。したがいまして、昭和六十一年度以降におきましては、以上の措置を踏まえまして、給付負担の両面において制度間の調整を進めながら、昭和七十年度を目途に公的年金全体の一元化を完了したいと考えておるわけでございます。その際、制度間調整をどのように進めるかということ、あるいは年金一元化についてどのような内容を目指すかにつきましては、今後政府部内においても十分検討を尽くしていかなければならないと考えておりますけれども、いずれにしましても、公的年金制度全体といたしまして給付負担公平性が確保され、かつ各年金間に整合性のとれたものとしていく必要があると考えております。
  7. 戸田菊雄

    戸田委員 昭和六十五年共済一元化閣議決定にというようなことがあったんですが、これは消えたわけですね。しかし、七十年までにはやるということですね。
  8. 増岡博之

    増岡国務大臣 閣議決定では触れておりません。
  9. 戸田菊雄

    戸田委員 大蔵大臣、全共済一元化についてはどういう構想をお持ちでしょうか。
  10. 門田實

    門田政府委員 この問題もやはり公的年金一元化全体の問題の一環でございますから、今後のその進展の中で考えていく、こういうことになろうかと思います。
  11. 戸田菊雄

    戸田委員 運輸大臣に、国鉄再建を含めて六十四年までは今までいろんな論争の中において回答いただけるようでありますから、六十五年以降をどう見通し財政再建を含めて国鉄再建検討を行われていきましょうか。
  12. 山下徳夫

    山下国務大臣 国鉄再建が具体化してまいりますと、ただいま御指摘ございましたように、六十五年を待たず、あるいは当初の五カ年の六十四年を待たずに破綻することは御承知のとおりであります。したがって、三共済からの御援助をいただきながらもそういう事態に立ち至るということでございますから、さらに六十五年以降に及んでは、もとよりこれは何らかの方策を講じなければ年金支給ということは不可能であるということでございます。  しからばその方策はどうするかといっただいまの御質問でございますが、このことにつきましては、十九日の連合審査会において内閣総理大臣あるいは官房長官、さらには大蔵大臣から御答弁があったとおりでございます。
  13. 戸田菊雄

    戸田委員 大蔵大臣国鉄現状を申し上げますると、五十五歳になると今大体九〇%以上やめておられるんですね。経過措置がありまして、現在五十六歳から年金支給はやっておるわけですが、これが六十一年の七月二日以降、間もなくですが、五十七歳になるんですね。そうすると、五十五歳でやめて五十七歳ですから、その二年間がブランクで、連動しないということになるわけです。この点は今の国鉄実情からいって十分検討すべき問題ではないだろうか。五十五歳、五十六歳、五十七歳、六十歳までいくわけですけれども、こういう面での打開策、でき得れば私は連動してもらいたいと思うのですが、この点が一つです。  それから、職域加算の排除の問題とみなし従前額保障の問題、船員関係の五十五歳支給年齢の問題等々は十分検討していただきたいと思うのですが、この点についてひとつ……。
  14. 門田實

    門田政府委員 幾つかお尋ねのポイントがございましたが、第一点は、今の退職実情からいいまして、五十六歳から五十七歳等にだんだんと支給年齢が上がっていく、ここのところに問題があるのではないか、こういうお話でございます。  この点につきましては、今後の高齢化社会あるいは雇用の動向、こういったものを考えますと、支給開始年齢は六十歳に引き上げていくというのがやはり筋道であろうと思うわけでございますが、そういう場合に対しまして、経過的には減額年金制度というものが選択的に認められておるわけでございます。ただ、基本に立ち返って考えますと、従来は個々の年金制度だけで年金の問題を考えておった、しかし、今後はもっと横断的に考えていくというふうにならないといけないのではないか、こういう感じがいたします。この共済制度から離脱しましても、被用者としてまた別のサラリーマン年金制度に入っていく、こういうような実態考えますと、従来の考え方を改めまして、やはり六十歳の方へ持っていかざるを得ない、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから、国鉄共済につきまして、職域加算分とみなし従前額制度、これがとられていないではないか、こういうお話でございますが、この点につきましては、率直に申し上げまして、国鉄共済につきまして実は厳しい批判があるわけでございます。従来、負担に対して余りにも給付の方が恵まれ過ぎておったではないか、こういう批判がございます。私どもはこれに対しまして、いわゆる統合法でその水準の是正を図りました、こういうことをるる申し上げておるわけでございます。統合法の際に三万一両損といいますか、国鉄既裁定者につきましても一割程度までスライドを停止していく、国鉄の現職につきましては職域年金部分を設けないことにする、しかしまた、一般公務員等共済掛金負担してまでも国鉄共済を助けていく、こういう措置をとったわけでございまして、こういう背景、状況、そういったことを考えますと、やはり年金安定支給ということが第一でございまして、この点もやむを得ないかな、こういうふうに考えております。
  15. 戸田菊雄

    戸田委員 過去の歴史的ないろいろな事情はあえて言いませんけれども国鉄は確かに共済の設立が古いし、伝統がありますし、進んでおったところはあるでしょう。だから、そういう歴史的経過はありますけれども、必ずしも他共済と比較をして高いというようなことはない。確かに統合時に電電や専売等々と比較しまして八千円かそのくらい高かったかもしれません。そういう経過はありまするけれども、これは仕事の都合や何か、そういう事情がそうさせているものだと思うのです。列車の運行ということの陰には、人が張りついて常に働いているわけですから、一たんけがをすれば、手一本とか足一本とか、そういうことになってしまうのです。そういう危険作業が各所にあって、それを正確に、安全に、快適に、迅速にとにかく輸送してくれるために大いに頑張っておった、こういう経緯があって、そういうものに対して適切な年金査定標準というものをつくりましてやったのだろうと思うのです。それを、これだけ赤字じゃないかと今言っても、しかし赤字といっても、統合時五十八年には少なくとも半分は自助努力でやっているのです。今二〇・四%ですからね。そういう状況の中で、物価スライドを一〇%にされて、なおかつ三〇%ぐらいみなし保障従前額を削られて、対象人員はおおむね二万か三万でしょうが、そういうことで四〇%も減っていくという状況現行の収入よりも極端にダウンする。二十万円の人は四〇%減ったら十二万円でしょう。そういう状況になってしまうのです。これでは生活が成り立たぬじゃないですか。どうですか、もう一回これは大蔵大臣検討に値しませんか。
  16. 門田實

    門田政府委員 先日も大蔵大臣が御答弁申し上げましたように、今回の改正を通じまして今後ずっと完成時の姿まで展望いたしまして、いろいろそういった事柄がございますが、公的年金の大宗であります厚生年金水準までは確保していく、こういうことははっきり出ておるわけでございまして、これ以下にするとかあるいは年金支給が困難になるとか、そういうことは極力避ける、こういうことでまいっておるわけで、厚年水準並みは確保するということでひとつ御了解いただきたいと思います。
  17. 戸田菊雄

    戸田委員 大蔵大臣運輸大臣等々十分検討していただくことを要望しまして、次に移りたいと思います。  次に、厚生年金現状についてちょっとお伺いをいたしますが、まず、現在の厚生年金適用対象者数、これは厚生年金公的年金に占める割合で結構でございますが、それから年金受給者数はどのくらいあって、積立金はどのくらいあるか。それから、国庫負担はどのくらい削減されておるか、前途の見通しについて一九九五年と二〇一〇年と二〇二〇年、この三段階について説明をしていただきたいと思う。
  18. 山内豊徳

    山内政府委員 お答えを申し上げます。  まず厚生年金の被保険者加入者と申しますか、これは二千六百三十六万人という数字が五十九年三月末の数字でございまして、全体の公的年金加入者に占める割合を計算してみますと四五%程度になっております。この厚生年金から老齢年金を受けている人、これは受給権者の数でございますが、やはり同じ時期の統計で二百七十二万九千人、これを全体の年金を受けている人の割合の中で見ますと二一%程度でございますが、今先生お話のように厚生年金加入者に対して老齢年金受給権者がどのくらいかという点で申しますと、五十九年三月末現在で一〇・四%でございます。積み立てにつきましては現時点で四十数兆円になっておりますが、これは今後若干ふえてくることが予想されております。  それから最後にお尋ねの件は、これからの国庫負担額見通しの点ではないかと思いますが、これにつきましては今お示しの年数で申しますと、一九九五年、昭和七十年度が新しい改正法で四兆一千億程度国庫負担、二〇一〇年、昭和八十五年が新しい改正法で五兆七千億円程度国庫負担、それから二〇二〇年、昭和九十五年も新しい改正法で約五兆七千億という国庫負担の額を見通しておるところでございます。
  19. 戸田菊雄

    戸田委員 結局適用対象者数は四〇%を超している、それから年金受給者数はおおむね二一%等々になっているわけですわ。すなわち成熟度が非常に低いという状況だと思うのです。それだけに財政が安定している、こういう状況が今の厚生年金状況じゃないかと思います。  しかし、年金額で見ますと、農林年金を除いて最低の給付ですね。これはそうなっていますでしょう。
  20. 山内豊徳

    山内政府委員 今のお尋ねは、厚生年金老齢年金の額がほかの公的年金に比べてという意味での御質問だと思うのでございますが、私どもの見方では年々退職する方の加入年数が伸びてきておりますので、現時点で、ある同じ加入年数の方を比べますと、確かに全期間の標準報酬をとるための差はございますけれども平均的な年金額としては、四十年代になってからの改正の結果、かなり大きな額にはなってきているというふうに理解しているのでございます。(戸田委員「いや、年金額給付額は低いですよ。一番低いでしょう。」と呼ぶ)失礼しました。成熟度に応じて、給付額に出ていく分が低いかという御質問でございましょうか。その点であれば、先ほど申しましたように成熟度と申しますか受給権者の数が一〇%台でございますので、ほかの制度に比べますと一番低いわけではございませんが、かなり低い方のグループにはなっております。
  21. 戸田菊雄

    戸田委員 これは五十七年度の統計でございますが、国際連合経済社会理事会資料でありますけれども、これを見ますと厚生年金適用者数は二千六百万を超えている。公的年金受給者が当時二百四十五万六千人を超えている。それから通算退職年金が百六十三万三千二百十九名おります。公的年金積立金は三十六兆五千六百二十八億七千四百万円等々、群を抜いているわけです。国民年金は、適用者数ではこれとほぼ同じ数字くらいになっているわけでありますが、結局総体で九〇%を占める、こういうのが今の状況ではないかと思うのであります。  そういう状況で、サラリーマンの皆さんが努力をして、こういう集団積立金その他を取り崩してやっているわけでございますが、それに比して、今回発表がありましたように国庫負担が十年後の一九九五年ですと四兆一千億、約三千億の削減ということになります。二十五年後の二〇一〇年には一兆八千億円の削減、二〇二〇年、三十五年先になりますと二兆五千億、このくらいの減額が行われるわけであります。  これを見ますと、先般の年金改正というものは結局国民年金財政的に枯渇をして厚生年金に寄りかかって財政調整をやった、もう一つ国庫負担を大幅に削減をする、どうもこういうねらいのもとにやったように見えるのでありまするが、大蔵大臣、その辺はどう判断されましょう。
  22. 竹下登

    竹下国務大臣 やはり給付負担を中長期的に見た場合の設計というのを本気で考えなければいかぬ、そういう時期に到達しておるということでございますので、私は、今日、将来の一元化前提に置いた場合は、今の措置というのが妥当ではなかろうかというふうに考えます。
  23. 戸田菊雄

    戸田委員 国民年金は御存じのように自営業者家族従業員で大体やっているわけであります。厚生年金などでは主として民間のサラリーマン等々こういった人たち集団としてやっているわけでありますが、そういったサラリーマン負担をどうもそこに集中的にかぶせるような改正方向になっているのじゃないだろうかと思うのですが、大臣、もう一度どうでしょう。
  24. 門田實

    門田政府委員 厚生省の方が適当かもしれませんが、今回の年金の全体の改正といいますものは、御指摘ございましたように一階の部分基礎年金ということで全国民共通、二階が各職域といいますか各サラリーマン報酬比例部分ということで、国庫負担はこの基礎年金に集中していく、これが一番公平なことである。従来、報酬比例部分まで国庫負担がありますと、たくさん受け取る人にたくさん国庫負担額が入ってくる、こういう批判もございまして、これは基礎年金に集中する、これが公平である、こういうことで組み立ててあるわけでございます。
  25. 戸田菊雄

    戸田委員 給付適正化、実際は削減という方式にいっているのですけれども適正化について若干質問をしてまいりたいと思いますが、今全人口に対する六十五歳以上の人口比率はどのようになっておりましょう。
  26. 山内豊徳

    山内政府委員 昭和六十年の数字として一〇・一%という数字が出ております。
  27. 戸田菊雄

    戸田委員 これは国連の社会経済理事会資料で、すが、それによりますると、四十年後の二〇二五年には一六・九%、六十五年後の二〇五〇年は一七・六%。大体どこの国でも全人口に占める六十五歳以上の割合は一七%前後ですね。確かに今日本高齢者急増はありまするけれども、終着駅はややそういうところに落ちついている。アメリカにおいても、あるいは西ドイツにおいても、フランスにおいても、イギリスにおいても等々、先進資本主義国高齢者急増実態というのは大体そういう状況になっているのですね。日本は今大体一〇%です。今先進国は一三ないし一四%。これが六十五年くらいかかってようやく大体一七%台までいくのです。だから、高齢者に対する対応策は非常に大事でありまするけれども、何か言うところの誇大宣伝のような方向ではない。まさに世界全体を見た先進資本主義社会の常識的な範囲でもって進んでいく、こういうことではないかと思うのですが、こういう状況を一体どうお考えでしょうか。
  28. 山内豊徳

    山内政府委員 ただいま先生お話しのように、現時点で比較いたしますと、我が国が一〇・一%程度、諸外国が十数%ということでございますが、私ども昭和五十六年の将来の人口推計をもとに将来を見通しているわけでございますが、それによりますと、実は一七%台に到達しますのが昭和八十年、約二十年先と見込まれておりますことと、今申しました人口推計ではやはり昭和九十年代あるいは昭和百年代になりますと二一・何%という数字まで、総人口に対する六十五歳以上人口割合が急激に上がってくるという見通しを持っているわけでございます。私ども年金の将来見通しにつきましてもこういった将来人口推計を踏まえて対処してきていることを御理解いただきたいと思います。
  29. 戸田菊雄

    戸田委員 厚生大臣はどうお考えですか。
  30. 増岡博之

    増岡国務大臣 日本の場合には人口高齢化というものが諸外国に比べて非常に速いスピードで行われておるわけでございます。  別な数字で恐縮でありますけれども、七%から一四%に達するまで一番速いアメリカでも八十年でありますけれども日本はそれを三十年くらいで達成するということでございますので、やはり早急に高齢化社会対策というものは考えておかなければならぬというふうに思っております。
  31. 戸田菊雄

    戸田委員 何か文教の方へ厚生大臣出席なさるそうですから、大臣、ありがとうございました。  給付適正化ということについて若干お尋ねをしてまいりたいのですが、厚生年金について、現行法では四十年加入者年金受給者になった場合には平均標準報酬月額二十五万四千円、これはボーナスを除いてですけれども年金月額が二十一万一千円、平均標準報酬の約八三%になる。これでは将来、国庫負担も過重となりますし保険料負担も過重となるというようなことを理由に、現行水準を維持しますということで今回給付削減をやっている。現在、新規に老齢年金受給者となる加入年数はおおむね平均三十二年ですね。平均標準報酬月収が二十五万四千円、これは仮定でありますが、年金月額は十七万三千円、六八%に抑えよう。すなわち、将来四十年加入者年金受給者は現在の三十二年加入者水準にとどめるのだというのが今回の改正の趣旨になっていると思うのでありますが、大蔵大臣、これはどうでしょう。
  32. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  先生のただいまお話のあったとおりでございます。
  33. 戸田菊雄

    戸田委員 それで、報酬比例部分を新厚生年金として現行乗率一%を〇・七五に削減定額部分と妻の加給年金を新国民年金基礎年金に組み入れる、こういう措置で今回改正案を実行しているわけですね。
  34. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  先生お話のありましたとおり、現在、大体平均的には三十二年加入でございますけれども、将来的には四十年加入が一般的になるという考え方で、その際に現行給付水準を維持するという考え方で今回の給付水準適正化考えておるわけでございます。
  35. 戸田菊雄

    戸田委員 結局結論ありきで、最初に三十二年、そして十七万三千円、六八%、こういう絵をかいて、それに積算を寄せてきた、こういう結果になるでしょう。だから、五十九年実勢価格でやりました、こうは言っても、終着駅に合わせるために全部数字合わせをやってきた、こういうのが実態じゃないでしょうか。
  36. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  将来の給付水準の設定をするに当たりましては、もちろん現役の勤労者の方々とのバランスを考えなければならないということで、現行給付水準を維持するということで設定したわけでございますが、その際には五十九年度価格でもって私どもモデル計算をいたしまして、現行給付水準を維持するということで計算をいたしたわけでございます。
  37. 戸田菊雄

    戸田委員 結局、今後五十年なら五十年の中で、賃金の上昇率とかあるいは物価の動向とか経済の動向とか、こういうものは十分加味されていかなくてはいけないと思いますね。しかし、それが勘案されているのは一つだけですね、物価スライド。それで、その補てん策でもって十分均衡のとれた年金の伸長ということになりましょうかね。その辺はどうですか。
  38. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  先ほど先生からもお話ありましたとおり、将来の年金給付水準につきましては五十九年度価格でモデル計算をいたしたわけでございますけれども、今後の給付水準につきましては、先生御案内のように五年ごとに財政再計算というものが行われます。その際に生活水準の変動その他の諸事情を総合的に勘案いたしまして給付水準の見直しを行っていく、そしてそれ以外の年におきましては物価の変動を取り入れましてスライドを行っていくという考え方をとっておるわけでございます。
  39. 戸田菊雄

    戸田委員 もう一つ国民年金適正化の方からちょっと眺めてみたいのですけれども現行給付計算方式は年金単価掛ける保険納付済み期間年数、こういうことですね。それで老齢年金月額、こうなるわけです。そうすると、現行は単価千六百八十円掛けるスライド係数、こういうことですね。現行の物価水準でいくと、政府の発表でも大体二千円に相当する、こう言われている。ところが、実際は改正案でその年金単価を千二百五十円に引き下げて、そして全体基礎年金を三万円減の五万円にしている、こういうことですね。これをずっと夫婦で収入その他でもって積算をしますと大体六万円の減収、それから共稼ぎサラリーマンの場合は六万八千円、これが削減されるようになっているのですね。そして五万円。だからこれは非常に実勢を無視した一つの基礎算定ではないかというふうに考えるのですが、これはどうですか。
  40. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  基礎年金の額についてのお尋ねでございますけれども基礎年金の額、水準につきましては、先生指摘のとおり五万円ということで設定したわけでございますが、この考え方といたしましては、私ども高齢者の方々の消費生活実態等を勘案いたしまして、老後生活の基礎的部分を保障するという考え方に立ちまして五万円、御夫婦の方にとっては十万円でございますけれども、その水準を設定したわけでございます。
  41. 戸田菊雄

    戸田委員 大臣、今のお話のとおりなのですけれども、大分実勢よりは低目に抑えて基礎年金五万円というものを算定をしている、こういうふうに考えるのですが、大臣の見解はどうでございましょう。     〔越智委員長退席、堀之内委員長代理者席〕
  42. 竹下登

    竹下国務大臣 この問題について、各党からの御意見等においてはこれは五万円じゃ安過ぎるのじゃないか、具体的に五万五千円がいいじゃないか、こんな御議論があることも十分承知しておりますが、今厚生省からもお答えがありましたように、あの時点でいろいろ議論した結果、いわばまさに基礎的部分ということになるとこれが適当であるという判断に立ったわけでございます。
  43. 戸田菊雄

    戸田委員 次に、基礎年金の問題点、幾つかあるわけでありますが、若干質問してまいりたいと思うのであります。  国民年金保険料未納者約一七%。滞納者の解決策がやや不備だと私は思うのですが、資格期間が二十年が二十五年に延びた。そういうことによって低所得層あるいは経済的に恵まれない方々が無年金者に結びついていかないかどうかというような心配があるわけですが、これらの対策は十分でしょうか。
  44. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  無年金者対策についてのお尋ねでございますけれども、無年金者の方たちが発生するということは、この国民皆年金の体制の中でまことに問題であるという問題意識は私ども持っているわけでありまして、いろいろな御事情、所得が低いあるいは所得がないという状況年金の保険料の負担ができないという方たちに対して、私ども先生御案内のように免除の制度を設けまして、免除の制度により年金保障に結びつけるというような対応を講じているわけでございます。
  45. 戸田菊雄

    戸田委員 結局私たち心配するのは、後からまた婦人年金で触れますけれども、やはり今の制度上ではそういう無年金者が出る、どうもこういう要素を多分に包蔵していると思うのですね。ですから、全国民を対象とした個人単位の基本年金、そういうものを設定をして、雇用と結合させるというようなものを土台として決着をさせませんと、私は、こういう心配がいつまでも出てくるのではないか、こういうように考えるのですが、その見解はどうですか。
  46. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  無年金者対策に関連してのお尋ねでございますけれども、今回の基礎年金につきましては、社会保険方式、これは従来から我が国の各種の年金制度が維持してきた方式でございますけれども、今後国民に共通した基礎年金を導入するに当たっても、やはり我が国に定着している社会保険制度に従うのが一番妥当ではないかということで社会保険方式をとったわけでございます。  社会保険方式をとる限り、先生御案内のように、拠出が、その年金を受けられるかどうか、あるいは年金額の計算にリンクしていくという格好になるわけでございますけれども、その場合には確かに先生からお話がありましたように無年金者という心配があるわけでございまして、その際には、先ほども申し上げましたように、私どもも保険料の免除制度の活用などによりまして対応いたしまして、年金保障に欠くるところのないようにということで対応いたしているわけでございます。
  47. 戸田菊雄

    戸田委員 課長、制度説明としてはそういうことになるだろうと私は思うのですが、政治的にもう少し判断をして総体的に、やはり経済的に恵まれないそういったいろいろな方がいっぱいいるわけですから、こういうものを一体どう底上げして一人も落ちこぼれのないようにしていくかということが私は大事だと思うのですね。そういう意味合いで、必ずしも正確でかつ完全なものではない。今後さらにその点は検討していただきたい。  それから次に、基礎的年金は私は定額にすべきだと思いますが、これは大蔵大臣どうでしょう。
  48. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  基礎年金についてのお尋ねでございますけれども基礎年金につきましては先ほど先生からもお話がありましたように月額五万円、夫婦で十万円という定額になっているわけでございます。これも先ほど先生からお話ありましたように、あるいは実際に保険料を支払われた期間が短い際にはその五万円が減額になるケースもございますけれども、しかし原則として国民となたについてもお一人につき五万円、そして御夫婦で十万円、こういう水準に相なっているわけでございます。
  49. 戸田菊雄

    戸田委員 建前はそういうことでしょうけれども加入期間によって計算されていくわけですから、給付において差が出てきましょう。出ませんか。結局、この基礎的年金というのは高齢者に対する最低生活の保障ですからね。だから、そういうものが加入計算によって給付に格差が出てくるというようなことがあっては一定の保障にならぬじゃないか。
  50. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  先生指摘ありましたように、確かに基礎年金につきましては、先ほども申し上げましたように社会保険方式をとっておるということで、過去にどのくらい保険料を拠出されたかということが年金に結びつく、そして年金額の計算に当たりましても反映されてくるという仕組みになっておるわけでございます。  しかし、私ども今回の改正法におきましては、例えば過去において国民年金に任意加入をされなかったサラリーマンの奥様たちにつきましては非常に期間が短いということで、年金額が低くなるという点に着目をいたしまして、その点については経過的な加算措置をとる等の措置を講じましてできる限り年金保障に支障のないような措置も講じているところでございますので、御理解いただきたいと存じます。
  51. 戸田菊雄

    戸田委員 大臣が都合で帰られましたから説明だけは聞いておきましょう。  それからもう一つは、単身者、これは四十年加入で五万円ですね。今回の改正によっておおむね四八%年金額が低くなります。結局生活保護対象者よりも低いということになってくるのですね。今生活保護者の老人単身世帯一級地は六万二十円です。老齢加算、住宅扶助、これを含めますると十一万七千百二十円。これよりはるかに低くなっている。例えば厚生年金共済年金定額部分、これは基礎年金に移行するわけでありますけれども、それが四八%低くなっている。現行定額部分でいくと二千四百円掛ける四百八十カ月割る十二でもって九万六千円。これが改正でいきますと基礎年金が一千二百五十円掛ける四百八十カ月割る十二でずばり五万円。これだけ安くなるわけですね。四万六千円見当安くして四八%ダウンをさせて生活保護対象者より低い、こういうことになっていますね。これは何とか検討しなければいけないのじゃないでしょうか。どうでしょう。
  52. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  基礎年金水準についてのお尋ねでございますけれども基礎年金水準考える際に当たりましては、保険料の負担面の方もあわせて考えていかなければならない、これは当然のことでございますけれども、そういうことでございまして現在の五万円の水準、これは先ほど申し上げましたように老後生活の基礎的な部分を保障するということで私ども考えておるわけでございます。この五万円の水準を維持するに当たりましても、将来成熟度合いがピークに達したときには、これは五十九年度価格でございますけれども、月につき一万三千円の保険料負担を将来の現役の被保険者の方にしていただかなければならないというところがございまして、やはり将来の実際に保険料を拠出して老齢世代を支えていただく方たちの負担能力の限界等々考え合わせますと、私ども、この五万円の額につきましては、これをさらに引き上げることはなかなか難しいというように考えでございます。
  53. 戸田菊雄

    戸田委員 私は、この点について三点要望しておきたいと思うのです。  その一点は、まず何といっても生活保護を下回らない、こういうことで確保してもらいたい。それから単身者には加給年金、これを設立してもらいたい。それから自営業者現行任意加入の被扶養配偶者、これには基本年金の上に地域年金等を加味して、そういう制度で今後検討していただきたい。三点を要望しておきます。  時間がなくなってきましたから、次に、本則の六十五歳支給開始年齢、これはいつから実行しましょう。     〔堀之内委員長代理退席、熊川委員長代理着席〕
  54. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  年金支給開始年齢についてのお尋ねでございます。  今回の法改正におきましては、御案内のように老齢基礎年金につきましては六十五歳からの支給にいたしたわけでございますが、厚生年金の特別支給年金である老齢厚生年金につきましては現行どおり六十歳からの支給にいたしたわけでございます。  今後の高齢化の進捗等を考えますと、やはり支給開始年齢の引き上げの問題、これは避けて通れない問題だと私ども存じております。しかし、その際には、高齢者雇用の状況あるいは社会、経済情勢等々を総合的に勘案して検討いたさねばならない、かように存じております。
  55. 戸田菊雄

    戸田委員 厚生年金共済年金基礎年金部分は六十歳から特別支給される、こういうことになってはおりますね。しかし、支給開始年齢が六十五歳になった場合、定年が六十だということになると雇用と年金が連動しないのですね。私はそれは連動させるべきだ、こう考えるわけです。  それから、夫が六十歳で定年でやめた。そうすると、妻は基礎年金の六十五歳、こういうことになると、夫は当面六十歳で、妻は六十五歳までもらえないのですね。これも少し不平等じゃないかという気がしますね。
  56. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  二点お尋ねがあったように存じます。一点目につきましては、年金支給開始と雇用との関係でございます。この点につきましては、先ほども申し上げましたように、支給開始年齢については私どものこの改正法案を審議していただきました関係審議会におきましてもいろいろな御議論があったわけでございますけれども、現在の雇用の情勢を勘案いたしますと、今の六十歳という支給開始年齢をさらに引き上げることは時期尚早であるという御意見がございまして、先ほども申し上げましたように、六十歳から老齢厚生年金支給するという仕組みを維持したものでございます。  それから二点目は、老齢基礎年金支給開始年齢についてのお尋ねでございますけれども、御案内のように老齢基礎年金は全国民共通の仕組みということにいたしまして、全国民お一人お一人がこの老齢基礎年金を受けられるということで、私どもとしましては例外なく六十五歳、これは一般的に就労活動から引退する年齢と考えられる年齢でありますので、六十五歳からの支給ということで給付面における公平性をその点で確保いたそうという考え方で設定いたしたものでございます。
  57. 戸田菊雄

    戸田委員 次に、婦人年金権について。  表面は、年金権をつくったことは私も大歓迎ですよ。しかし、その中身にはまだまだ夫唱婦随というか夫に従属するような一つ内容ではないかというような気がいたします。すなわち現行法では任意加入の婦人が自分で保険料を納付、年金権の形成を確認できる。これは今できます。しかし、今度改正になりますと、夫の厚生年金なり被用者年金保険と合わせて徴収することになりますね。そういうことになりますと厚生年金から国民年金に拠出して、そして夫が果たして保険料を納めたかどうか、確認の方法がないのじゃないでしょうか。こういう不備がありませんか。  それから、二十歳から六十歳までの間、昭和十六年四月二日以降生まれ、ですから、昭和六十一年四月現在で四十五歳未満、この人は四十年丸々保険料を納付していなければ六十五歳から月五万円の年金支給されない、こういうことですね。国民年金への加入年数四十年にならなければ、その分一年につき千二百五十円削られる。例えば二十五年加入者は五万円マイナス一万八千七百五十円、結果的に三万一千二百五十円の年金しか支給できない、こういうことになる。ただし、昭和十六年四月一日以前生まれの人には生年月日に応じて三十九年から二十五年までの間短縮の経過措置がやられている。昭和三十六年四月の国民年金実施当時から加入六十歳になるまで全期間保険料を納入しなければ五万円年金は入らない。保険料納付年数が生年月日に応ずる所定年数より短ければ、不足一年につき千二百八十円ないし二千円が削られる。そして、昭和二年四月一日生まれの人で、国民年金実施の年ですが三十六年四月一日に三十五歳で加入、六十一年三月まで二十五年間保険料の納入者が、六十六年四月、六十五歳で辛うじて五万円支給される。二十五年未満の人は、加入しても五万円の年金は入らない、こういうことになる。  法体系をずっと拾い上げてまいりますとこういう結果になるのですね。そして最初に言ったような確認ができない、こういう婦人年金じゃないでしょうか。だから、ともすると今までの宣伝でオールマイティー、加入すれば全部五万円基礎年金はもらえるのだ、こういう印象を持っておったけれども、中身は大方違う。どうですか。
  58. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  二点のお尋ねでございました。  まず最初に基礎年金の拠出金の仕組みについてのお尋ねでございますが、先生お話がありましたようにサラリーマンの被扶養配偶者、専業主婦の方たちということになりましょうが、そういう方たちの保険料につきましては、個別に保険料を負担していただく納付ではなくて、その分もまとめて、例えば厚生年金の場合でしたら厚生年金が拠出金という形で拠出をしていくという格好になるわけでございます。それぞれサラリーマンの被扶養配偶者の方たちも今回国民年金の強制被保険者ということにいたしまして、そして将来的にはその奥様の名義の老齢基礎年金が受けられるような形にするということが今回の法改正、婦人の年金権の確立ということで大きな目玉であったわけでございますけれども、その際、夫の保険料がどういうふうに支払われているか確認できないというお話でございましたけれども、それにつきましては、だんなさんの保険料そして厚生年金のほかの加入者の方々全体で、頭割りで公平にこの基礎年金給付に要する費用を負担するという格好になっております。  それから二点目につきまして、今回の基礎年金導入に際しましての経過措置につきましていろいろお話がございました。この基本的な考え方といたしましては、今度明年の十月から基礎年金を導入するわけでございますから、年齢によっては本則でありますところの二十歳から六十歳までの四十年間加入できないという方たちもいらっしゃるわけでございますので、そういう方たちにつきましては、六十歳に達するまでいわば目いっぱい加入していただいた場合には五万円の年金を差し上げようという基本的な考え方に立ちまして、制度をそういうふうに仕組んでおるわけでございます。そこら辺が経過措置の基本的なところでございます。
  59. 戸田菊雄

    戸田委員 今大臣がいませんから政治的な問題、政策的な問題はやめますが、トラブル発生、いろいろと離婚率が多い、そういう状況にあるわけですね。だから少なくとも夫婦間でそういう事態の際にトラブル発生がないような防止策を配慮して、一応検討していただきたいと思うのですね。私はこれでは不十分だと思う。  それで、婦人年金の確立に対する私の考えを申し上げて、ひとつ検討していただきたいと思います。  年間九十万円超の収入のある妻のパート等の期間は国民年金保険料納入者となりますが、この期間の負担が、九十万円を超える妻については十五万六千円納入、年収八十九万円はゼロ。若干不均衡じゃないかと思うんですが、この解消策を図ってもらいたい。  それから未婚、離婚の女性、夫が被用者年金加入の妻は国民年金保険料一万三千円、これを長期に納入していかなければいけないのですね。別れた、あるいは未婚だ、そういうことで非常に経済力の弱い人ですね。こういう状況がありますから何らかの経過措置を設ける必要があるのじゃないか。これを検討していただきたい。  それから被扶養配偶者の基礎年金、これはまさに夫に従属した年金であると思いますから、どうでしょう、この際、婦人の年金権を確立するというなら別れた場合であっても半分ぐらいないし四割ぐらい妻にもこれは支給をする、そういうことにすれば文字どおり女性の年金権というものが確立されるのではないだろうか、思い切ってそういう制度をやってもらいたい、これは要望しておきます、  次に大蔵大臣にちょっとお伺いいたします。  懲戒処分の支給制限があるわけでありますが、職域年金部分、千分の一・五が処分で支給停止、これはまさに年金が労務管理に使用される極めて理解のできない中身ではないか、こう考えるわけでありますが、いかがでしょう。
  60. 竹下登

    竹下国務大臣 やはりその勤務の持つ特殊性ということを考えますと、これは労務管理という問題とは必ずしも同一の次元で考えるべき問題ではないではなかろうか、こういうふうに私は理解しております。
  61. 戸田菊雄

    戸田委員 この処分者は全部保険料を納めているのですね、労使折半ですけれども納めている。そして一たんそういう、例えば停職であるとか減俸であるとか等々の処分を受けますと、職場では既に処分済みなんですね。そしてなおかつ年金にも処分ということになると、これは二重処分ですね。この間人事院総裁が言っておりましたけれども、禁錮刑とか何かの罰を受けた者については一定の罰はやっておりますよ、こう言っておりました。しかし、それは初犯の場合であって社会的に制裁を加えられておる。一回ですね。ところが、これは二重処分になっているのですね。これは私は極めて不合理ではないだろうかという気がいたしますが、どうでしょう。
  62. 門田實

    門田政府委員 この問題は、公務員の身分上の問題、勤務の特殊性ということにかんがみましてこの職域年金部分を設けた、こういう大きな趣旨が一つございますので、そういうことから考えまして、公務の能率的運営に資するというような目的と相入れない法令違反行為というようなものがあった場合には、その部分についてはそういう制限を受けるという仕組みになっておるわけでございます。従来は、給付年金額全体についてそういう制約があった。しかし、今回は考え方をすっきりしたわけでございますから、そういう特殊性のある部分だけに限ってそういった制限をするという考え方をとっておるわけでございます。
  63. 戸田菊雄

    戸田委員 どうも納得できないのです。今後私も法的にいろいろ検討いたしますが、少し検討していただきたいと思うのです。大臣、これはお願いをしておきます。  報酬比例年金について若干質問いたします。  これは厚生年金にも共通であると思うのですが、今回、年金額が単身者で三六・六%、夫婦世帯で一四・五%切り下げられます。それから退職時賃金三十二万三千円、全期間平均月収は二十五万九千円、加入期間四十年、この場合ですと現行法で二十二万六千百円、改正法で十九万三千二百四十円。ざっと三万二千八百六十円ダウンということになる。  厚生年金との比較でいきますと、これはさらに切り下げ幅が大きいです。厚生年金モデル標準報酬月額二十五万四千円、四十年加入、この場合ですと、現行法十八万五千六百円定額。それからA"で二十万六百円、これは加給年金、配偶者一万五千円プラス、こういうことになります。  これでまいりますと、単身者の場合で共済年金六三・三五%、厚生年金六八%、格差四・六五%を生じます。夫婦世帯で八五・四七%、厚生年金八七・八四%、二・三七%差が出てまいる、こういう状況になるのですね。単身者、夫婦世帯ともにこのくらいダウンする。これをどう考えますか。
  64. 門田實

    門田政府委員 ただいまお話がございましたいろいろな数値でございますが、先生の言われました前提で計算された場合そういう数値が出てまいると思います。  私どもが現在の実際の退職者の状況に着目いたしまして計算してみますと、標準的には現在三十五年勤務というときに受け取るような額を大体四十年勤務して受け取る、こういう推移になるわけでございまして、完成時夫婦二人で最終的には一割程度水準が下がるかな、こういうふうに思っております。  単身者につきましてそこのところがきついというお話がございましたが、これはそういう傾向がございます。これは、結局は基礎年金のところで、現在の年金は世帯年金として年金額給付しておりますが、今回の改正は、基礎年金年金部分は個人個人の年金という設計になっておりますので、そこのところがきつく出てくる傾向はどうしてもある、こういうふうに受けとめております。
  65. 戸田菊雄

    戸田委員 そこで大蔵大臣、これはぜひ検討していただきたいと思うのですが、一階に全国民対象の基礎年金を置いて二階に職域に応じた被用者年金を積み上げる、二階建て年金で将来何とかこの制度そのものを確立したらどうかという考えを持っているわけです。  もう一つ職域加算です。これは報酬比例部分の二〇%ということなのですが、基礎年金報酬比例部分の合計の二〇%にすべきじゃないかという気がいたしますが、この辺の見解。  それから、算定基礎は本俸を基本に諸手当を一本化した手当率いわゆる補正率、これを乗じて算定基礎に組むべきではないか、こういう考えを持っているのですが、この三点についていかがでしょう。
  66. 門田實

    門田政府委員 最初にお尋ねのございました職域年金の方の話でございますが、私ども、これは国家公務員法あるいは共済組合法に基づきまして当然設定しなければならぬということで組み立ててあるわけでございますが、問題のその水準でございます。  これにつきましては、民間におきます企業年金等々の実態も調査いたしましたが、これは非常にさまざまでございまして、必ずしもそこから一義的なものが出てこない。結局公務員制度等の一環として設けるという趣旨に立ち戻りまして、そうなりますとやはり年金受給者と費用負担者とのバランス、OBと現役の負担のバランス、特にこれからの若い世代の負担の限界ということを考えますとおのずからそこに限界があるとどうしても見ざるを得ない、こういうことでございまして、現在のような全体につきまして八%強というような水準の設定をいたしたわけでございます。  もう一点お尋ねのございました算定基礎として標準報酬をとるのがいいのか、それとも本俸プラス諸手当掛ける補正率というような考えがいいのか、あるいは従来のような本俸がいいのか、こういう議論でございますが、これにつきましても、国家公務員共済としましてはできるだけ厚生年金に合わせていく、整合性を持たせていくという点と、共済組合として電信電話あるいはたばこ産業等々といったものも含んでおるというようなこと、いろいろな点を考えまして、将来の方向考えますと標準報酬が適当ではないかということでそういう設計をいたしたわけでございます。
  67. 戸田菊雄

    戸田委員 大蔵大臣、見解はどうでしょう。
  68. 竹下登

    竹下国務大臣 今標準報酬方式というもの、これは地方公務員の場合とは違っておりますが、厚生年金を基礎に置き、そして既に民営化された電電、専売ということを基礎に置くと、国家公務員等共済組合は今お願いしておることが妥当ではなかろうかという感じがいたしております。諸手当をいろいろな見方で、地方公務員の場合は非常にばらばらでございますのを調整して何か一定の基準を設けるというのも大変に難しい作業じゃないかな、こんな印象を私自身は持っておるわけでございます。したがって、現段階において御議論いただくとすれば、今提案し御審議を賜っておるのが最も適切なものじゃないか、私どもとしてはこういう考えで御審議をお願いしておるわけでございます。
  69. 戸田菊雄

    戸田委員 次に、NTT、たばこ関係について一点だけお願いをしておきたいのです。  これは民営企業になったわけでありますから、公務員の特殊性は全くなくなったと思うのです。だから、この面に対しての自由設計、こういう道を開いてはどうかという考えを持つのですが、これは大臣、見解はどうでしょう。
  70. 竹下登

    竹下国務大臣 これも原案作成に至りますまでの間に、今回というよりもむしろ統合法案の際にいろいろな議論をしてきたところでございますが、公的年金部分のほかに職域年金相当部分を含む統一的かつ各組合共通の年金制度ということで設計したわけでございますので、これはやはり同一の法律の適用を受けておる。いろいろな経過を経ながら同一の法律の適用を受けるということにしたわけですから、やはり職域部分をつけないというわけにはまいらない。  ただ、共済年金のほかに、その上に乗りますいわゆる自社年金でございますとかまた税制適格年金というようなものをつくるということは、これはもとより法律上は可能なことであるというふうに私ども考えております。
  71. 戸田菊雄

    戸田委員 これは私は、五十八年にも本会議の代表討論でそういうふうに提言をいたしておるわけであります。あの当時も単なる国鉄財政調整、こういうことで終わっているわけですね。ですから、本来そういった一つ制度統合をやっていくためには、今後七十年に向けてどうしても統一、一元化というのは避けられない課題だ、このように私は考えておるわけです。その場合、制度として、負担給付積立金の共同管理等々、こういうものの統合化の促進をやっていくべきじゃないかという気がするのでありますが、この辺の見解はどうでしょう。
  72. 竹下登

    竹下国務大臣 七十年という一つの目標があるわけでございますが、その際財布を一つにしろ、私は方向としてはそういう方向を模索すべきものであるというふうに思っております。ただ、何分生い立ちが違いますので、はてさて、さればどういうことをすれば完全に一つの財布になるのかな、こういうことになりますと、これからそれぞれの立場から検討を重ねていかなければならぬ問題だ。方向として、おっしゃっていることは私も十分問題意識としては持っております。
  73. 戸田菊雄

    戸田委員 これは、あるサラリーマンの経済通信で載せておった記事でありますが、それを参考にいたしまして、今回の改正によって組合員の負担、それから給付、この減少、いかにそういう状態があるかということを端的に言っているようでありまするから利用させてもらいたいと思うのです。  現在、保険料は月給の五・三%、女子の場合は四・六五%、改正後になりますと、これは六・二%になりますね。サラリーマン標準報酬月額が二十五万四千円という仮定を持ってまいりますと、今二十歳の人が六十歳まで四十年間、保険料を一体どのくらい掛けるのか。単純計算ですけれども、七百五十五万九千四十円になる、こういうわけです。金利を七%として複利計算でまいりますと、六十歳定年時で平均四千三十六万七千円となります。それに事業主負担が加わりますから、六十歳時の平均で総計八千七十三万四千円、このくらいの保険料を総体で納めることになる。  ところが給付額にいきますと、改正後で、老齢厚生年金である報酬比例部分、老齢基礎年金である定額部分は、老齢厚生年金部分でもって九十一万四千四百円、基礎年金定額部分で六十万円、合計百五十一万四千四百円、これが年金額ですね。この額を定年から七十四歳まで、これは男子の場合の平均寿命ですが、これで十五年間支給ということになりますると、二千二百七十一万六千円、分割払い評価損は千四百七十五万八千円、保険料と給付額をずっと追っていってみるとこのくらいの違いがある、こう言うのですね。もちろん一介の労働者の今の生涯賃金の平均はおおむね一億五千万見当でしょう、いろいろ含めまして。だから、今回の改正の結果こういう状態が出てくるということなんですね。これについて大臣、見解はどうでしょう。     〔熊川委員長代理退席、堀之内委員長代理着席〕
  74. 谷口正作

    谷口説明員 お答え申し上げます。  今いろいろ数値を挙げての御質問でございましたけれども先生案内のように、年金制度は世代と世代の助け合いと申しますか、世代間扶養、社会連帯の仕組みでございまして、先生お話にありました数値につきましては個人貯蓄的な観点からは私ども理解できるわけでございますが、基本的に、現役の勤労者の方がそのとき引退した方々を支えるという年金制度の仕組みにありましては、私ども結局のところ、現在もそして将来も世代と世代の助け合いというこの年金制度の仕組みにのっとった場合には、お話のありました点につきましては年金は世代間の助け合いということで御理解をいただきたいというように存じます。
  75. 戸田菊雄

    戸田委員 今の話を聞いて、大臣の感想を伺って、時間ですから終わりたいと思います。
  76. 竹下登

    竹下国務大臣 これは少し粗っぽい議論でございますが、ヨーロッパの諸君とよく話をしますと、国民負担率が五五%にもなった、そうしてそれを年金とかそういうもので計算してみるといかにも損したような気がする、したがって元を取らなければ損だというので、できるだけ元を稼ぐ方向に指向したところにいわゆる勤労意欲が下がっていったという評価をする人もございます。  それで、共済制度そのものは、要するに世代間のまさに共済でございますから、そういう面が出てくるというのは社会保険方式ということが十分理解されたならば納得をしていただける問題じゃなかろうかな、こういう感じを私も深くしております。  例えば個人的に考えても、いわゆる我々の互助年金でも戸田さんや僕は恐らく元が取れぬような設計になっておるわけですから、それがまさに共済じゃないかな。本当に雑な所感を申し述べましたが、そんな感じでございます。
  77. 戸田菊雄

    戸田委員 ありがとうございました。終わります。     〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
  78. 越智伊平

    越智委員長 正森成二君。
  79. 正森成二

    ○正森委員 前回私が年金の収支試算について質問をいたしましたところ、答弁がやや食い違うというか、納得がまいりませんで留保させていただきましたが、その点について答弁の整理ができましたら大蔵省の方からでも御答弁をお願い申し上げます。
  80. 門田實

    門田政府委員 前回の御質問ございました趣旨を整理してみますと、収支見通しの試算に当たって、厚生年金と国共済とで食い違いがあるのではないかという点、それからその場合、国共済の方では物価上昇率はどう見込んでいるのかという点、さらに実質利回りはどうか、こういうことであったと思いますので、その点につきましてお答え申し上げたいと思います。  第一点でございますが、年金水準は、厚生年金の場合長期的に見ますと賃金の上昇率に応じて改定されると仮定しておりまして、この点につきましては国共済もそれに準じております。ただ、実際の収支試算を行う場合に、厚生年金では年金水準の改定は五年ごとであり、その間は物価上昇率による年金改定を行うものとしておりますが、国共済では毎年年金水準の改定を行うものとして計算しておりますために、御指摘のように若干の差を生ずることになります。これによります保険料への影響は、ごく粗いモデルでおおむね四%程度考えられます。  収支試算における年金改定の扱いが今回このように厚生年金と異なった理由でございますが、国共済の場合には限られた期日で改正案による収支見通しを作成する必要がありましたが、財政計算のプログラムよいいますのはかなり膨大、複雑でございまして、新たに作成することは時間的にも困難であったということで、現行のシステムが国共済の方はそういうふうになっておりますので、それをベースとして改正案に組みかえるという簡便法をとったためでございます。改正法が成立いたしまして具体的に保険料率を設定する際には、プログラムを再修正しまして、厚生年金と同一の前提に立った計算を行うこととしております。  それから第二点でございますが、収支計算上、毎年の年金水準の改定率は賃金上昇率と同率の五%を用いているわけでございます。さきの大蔵委員会におきまして物価上昇率は何%かという御質問がありまして、五%とお答えいたしましたが、これは、今回の改正案では政策的な年金水準改定を別として年金改定率は物価上昇率を用いるということになっておりますから、年金改定率である五%でもってお答えをいたしたわけでございます。今後物価上昇率を入れた試算を行う場合には、先ほど申し上げましたようにプログラムの改正を行って、厚生年金と同様三%を用いたい、こう思っております。  それから第三点でございますが、実質利率という場合に、一般的には名目利率と物価上昇率の関係でございますが、年金財政上は、社会保障制度審議会の年金数理部会なんかの報告にもございますように、年金水準の改定率との関係で考えていくことが適当であるということになっております。この場合、実質利率と言わないで、真利率というような用語を使ったりするわけでございます。  長期的に見ますと、収支計算上、国共済厚生年金年金水準は賃金上昇率である年五%で改定されており、また運用利回りはともに年七%ということに仮定しておりますので、年金財政考える場合の実質利率といたしましては一・九%ということになり、厚生年金の場合とおおむね同一である、こういうふうに考えております。
  81. 正森成二

    ○正森委員 今、大蔵省から一応の答弁があったわけでありますが、それを聞いておりますと、結局共済年金の方は、時間的な十分な余裕がなかったので今までのプログラムを利用する関係上簡便な手法をとったということで、実質上一段階省略されていると思うのですね。物価上昇に基づいて変えて、それを政策改定で五年なら五年ごとに変えるというのを、一年の間に全部やってしまうということをやりましたために、私の質問で食い違いを生じだということをお認めになったと思います。  しかしそういうような計算をされますと、今の答弁でも明らかなように、大体四%ほどの差が出てくる。これは保険料率が将来千分の二百九十六になるわけですから、それで四%と見てみますと、ほぼ千分の十一余り、つまり一%の差が出てくることになるわけで、これはやはり非常に大きなことであるというように思われますが、これは今の答弁によりますと暫定的なものであって、法案が成立すれば物価上昇率三%ということで計算をし直すということだから、そういう誤差はあらわれないというように考えてもいいんですか。
  82. 門田實

    門田政府委員 改正法が成立いたしました後は、プログラムを修正して厚生年金と同様の計算をし直すということでございますので、その場合は誤差はあらわれません。
  83. 正森成二

    ○正森委員 大蔵大臣に念のために伺いたいと思います。  先ほどの収支試算によりますと、共済では年金水準の改定率は、賃金上昇率と同率の五%を用いているわけですね。このことは結局、今後も賃金上昇率によって年金水準を改定していくということを予想されているのでしょうか、伺いたいと思います。
  84. 竹下登

    竹下国務大臣 私もこの間の問答を聞いておりまして、後から部内で協議しました。それで従来はこの五%というのは、人事院勧告が五%以上のときにしなければいかぬとか、確かにそういういろんな基礎がございました。それでもって設計しておったことは事実である。それで消費者物価の上昇率ということになれば「展望と指針」からすれば、やはり〇・〇三を用いるのが常識でございます。したがって、その限りにおいて私どもの判断としては、共済の方が今の法律に照らしてみればこれから厚年並みにしよう、厚年並みにしようというのですから、そういう形でこの作業を進めるべきでもあったな、こういう反省もいたしました。が、やはり時期的な問題もあったでございましょうが、後からこれはきちんとしたものがやれるということになれば、今の場合、この計算で大きな乖離は生じないではないか、こういう考え方に立って正直にお話ししようじゃないか、こういうことで今門田審議官からお話ししたわけであります。  したがって、そうなりますと、基本的には今度はこの賃金上昇という問題につきましては、年金額の改定は物価上昇率を基準として改定を行うということにしたわけでございますから、そして第一条の二でございますか、それによってのいわゆる賃金水準の動向等総合的に勘案して政策改定と申しますか、これをやっていこうという考え方に統一をしたということであります。
  85. 正森成二

    ○正森委員 非常に微妙な答弁ですが、そうすると必ずしも賃金上昇率によって改定するんじゃなしに、賃金上昇等はやはり法案の第一条の二のように勘案ということだけですか。そうすると、初めの収支見積もりとはやはり違うわけですね。
  86. 竹下登

    竹下国務大臣 五%を前提にしておりますが、例えば来年のいろいろなことを考えましても、五・七四ということになりますと、あの諸手当の部分を引きますと五・一になりますか二になりますか、そういうようなことにもなるわけでありますから、やはりこの点は、法案の趣旨からいえば今正森さんがまさに御指摘なさったように総合勘案して、こういうことで御理解をいただきたいと思います。
  87. 正森成二

    ○正森委員 門田審議官に念のために聞いておきたいのですが、あなた、真利率という言葉を使われましたね。それで、念のために年金数理部会の五十九年四月二十二日の報告書を見ましたけれども、ここでは真利率というのを多義的に使っているようです。  例えば十五ページに用語の説明がございます。その「真利率」のところを見ますと、「保険料を算定する場合、将来にわたる給付費とか掛金収入を一時点の値に換算するため使用する利率を予定利率と言い、長期的な運用利回りの水準等を考慮して定められねばならない。ベース・アップや年金スライド制度に織り込まれている公的年金財政考える場合は、物価あるいは賃金の上昇率を割り引いた実質利回りを意味し、この実質利回りを真利率と言う。」こうなっています。  そして百十五ページに、「真利率の推移」という表が載っておりますが、それを見ましても、「運用利回り等の賃金上昇率に対する真利率」あるいは「運用利回り等の消費者物価上昇率に対する真利率」というように併用して使われていて、何か真利率と言えば常に賃金上昇率に対する実質的な割合を真利率と言うというようには一元的には言っていないんです。だから真利率と言葉をお変えになったら、それで真利率とは必ず運用利回りと賃金上昇率との実質的な比較をいうものであるとは、一元的にこの報告書では言っていないように思うんですね。ですから、我々は真利率という言葉を使っておりますという一言で、真利率という言葉を使っても実質金利という言葉を使ってもいいのですけれども年金積立金がどういうように実質的に価値がふえるかということを考える場合には、やはり真利率とか実質金利とかいう言葉に惑わされるのじゃなしに、運用利回りが消費者物価上昇なら消費者物価上昇に比べてどれだけ実質価値を維持するか、あるいはふえるかという内容で議論しなければならないのじゃないかというように思います。その点を念のために申し上げておいて、先回の留保した問題については一応終わらせていただきたいと思います。  それでは時間の関係で、次の問題に移らせていただきます。お手元に資料を、この前お配りしたのですが、お持ちでないといけませんので、念のためにもう一回お配りしておきます。  まず、厚生省に伺いたいと思います。えらい失礼ですが、私は、予算委員会質問をいたしましたので、時間の関係もございますので、それを前提にして議論を進めますので、御了承を願いたいと思います。  予算委員会で私が質問をいたしましたときに提出いたしました資料は、来年からの六千八百円の基礎年金の保険料が一万三千円にまで上昇する場合、それから、もう制度が成熟いたしまして一万三千円で推移する場合、両方提出をいたしましたが、今回は簡便にするために、一応六千八百円から出発する場合のみについて御提出しております。そのときに、きょうは来ておられないかもしれませんが、吉原年金局長がお答えになりまして、御提出の資料は物価上昇ゼロ、実質金利三%という、五十年、六十年の先を見ればあり得ない前提に基づいての御議論でございますという趣旨の答弁をされたと思うのです。しかし、仮に基礎年金というものを考える場合に、別の答弁で私の議論に異議を唱えられる場合なら格別、そういうように何年間かにわたって物価上昇をゼロ、実質金利を三%というあり得ない前提に基づいての資料でございますというような答弁は、これは甚だ数学的ではないのではないかというのが、ここに提出をいたしました一枚目の資料でございます。  この一枚目の資料を見ていただきますとわかりますように、念のために物価上昇ゼロの場合だけでなしに、物価上昇が年五%、まあ経済社会の見通しては三%ですけれども、仮に五%といたします。そして、私が予算委員会でも申しましたが、実際上問題になるのは実質金利であるということで、実質金利を三%というようにいたしました。  そうしますとどうなるかといいますと、物価上昇をいたしますから保険料というのはそれに応じて上がっていくわけですね。当然年金もそれに応じて上がっていく。御説明申し上げますと、例えば五%上がりますと、一九八六年、昭和六十一年には六千八百円の保険料は七千百四十円にしなければならない。そのかわり、同様に修正基礎年金で六十万円のものを六十二万円もらうという計算になります。  そういうように、以下順次物価上昇でずっと上げていきますと、これは五%でもえらい天文学的な数字になるので、この方が五十九歳になられたときには保険料を幾ら払わなければならないかというと、一万三千円ではなしに九万一千五百二十円払わなければならない、こういうことになるんですね。そのかわり、もらう方の年金もふえまして、年六十万じゃなしに四百二十二万四千円もらうことになるという計算になるわけであります。  それで、結局納めたものが、実質金利三%で計算して果たして元を取れるであろうかというふうに計算いたしますと、物価上昇ゼロの場合の七十五歳を見ていただきますと七百七十七万円まだ国の方に残っておるという計算になります。それが物価上昇五%の場合はどうなるかというと、年金もべらぼうに上がりまして、六十万円もらうものが、名目では九百二十二万円ももらうことになる。そのかわり、運用されました自分の納めた保険料の方もぐんとはね上がりまして一億一千九百五十五万円まだ残っておるということになります。同様に、八十歳になりますと、もらう年金の方は千百七十六万円にもはね上がりますが、残っている自分の納めた保険料は一億一千四百四十万円ということになります。結局、この人がいつまで生きれば元が取れるのかというと、九十二歳のところを見ていただきますと、九十二歳のときにやっとマイナスになるんですね。これは物価上昇をゼロとした場合も、物価上昇を五%とした場合も、結局保険料がふえればもらう方もふえるという計算になるわけですから、同じ答えが出てくるわけなんですね。  だからそういう意味からいいますと、別の論拠を理由にされるならともかく、吉原年金局長が言われたように、物価上昇ゼロ、実質金利三%というあり得ない前提で物を言っておられるというような反論の仕方というのは、数学的に合致しないのじゃないですか。問題は、結局実質金利が幾らかということが問題になるのです。もしあなた方が、吉原年金局長はあえてお答えになりませんでしたが、実は三十年も五十年も考えれば、実質金利が三%どころか、一%になりゼロになり、あるいは狂乱物価のようにマイナスになる場合もあるんだ、だからそんなことは十分な試算じゃないんだと言いたいなら、それは政府がみずからの「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というものを将来にわたって経済上維持する自信がない、将来大インフレ政策を行って国民に大損害を与える、その場合には正森議員の計算のような結果は出てきませんよということを言うのに等しいのですね。そう言うのですか、一課長が。それならそれで答えてください。そうすればまた質問の仕方が変わってくる。
  88. 坪野剛司

    ○坪野説明員 お答えいたします。  今正森先生の方からお配りになられた資料を説明を受けながらじっと見ていたわけでございます。正直言いまして、数字で若干の勘違いされているところはありますけれども、大勢的には、こういう前提ならばこういう計算になるかと数字を見ましたら見えるわけでございます。  ただ、これでどういうお答えをすればいいか。最初に前提を置かれましたので、数字的にはどうかという御質問でございましたので、この計算は、私が今ちょっと席で概算を出してみますと、今物価上昇率五%、名目利回りでいいますと八・一五ということになって、実質といいますか先ほどから議論になっている真利率というものが三%という前提での計算だと、私たちは今の説明ではこの数字は理解しております。  ただ、先ほどから議論になっておりますように、私たちの財政再計算の数字といいますのは、先生御案内のように、いろいろなケースについてやりました。一つの標準的なケースとして名目利回り七%、それから物価については、物価とか賃金とかというのは表には正式に出ておりませんけれども年金改定率という表現の仕方をしておりますけれども年金改定率は、再計算から再計算の間につきましては三%、それから再計算のときにおきましては、過去の物価と賃金との差を再計算のところで一応吸収するという前提で改定しているということで、それを繰り返しながら収支バランスをとるように計算しているということでございますので、私たちの計算では、わかりやすく申し上げますと名目利回り七、それから年金改定率ほぼ五、したがって一・九で計算をしている。その辺が、数字的には私たちの数字先生数字との間に若干の差があることはそのとおりだと思っております。
  89. 正森成二

    ○正森委員 きょうの課長の御答弁は私も聞いていてよくわかりました。答弁をよく聞きますと、結局、吉原年金局長のやや簡便化した答弁は必ずしも適切でない。私のような前提を置けばこういう数字になるということを一応は数字の上ではお認めになったと思うのです。  次に大蔵省に伺います。これはあくまで仮定でございますが、予算委員会で提出いたしましたのは給与改定率が一%ということで計算しましたが、今度は、あなた方が物価上昇と給与改定が同じと見ておられるようでございますから、そういうように物価以外に給与改定がないということで計算してみますと、自分の払い込んだ保険料も利回り三%ということで計算すると、もらい切らないうちに死んでしまわなければならない。今度の計算でいきますと、同年齢の無職の妻がある場合、これは共済年金にとって一番有利な場合でありますが、その場合でも、七十五歳で二千二百三十四万円年金財政に寄附したまま死んでいかなければならぬ。八十歳でも千三百五十五万円寄附したまま死んでいかなければならない。元が取れるまでには八十七歳まで生きなければならない、こういうことになります。もし独身もしくは共働きの場合はもっと不利でありまして、七十五歳で死んだ場合には三千二百五十二万円年金財政に寄附したまま死んでいく。元を取るまでは、ここには数字が余り長くなって紙に入り切りませんでしたが、百四歳まで生きなければ元が取れない。これは、自民党・政府がいかに善政を施しましても、近い将来達成しない平均寿命なんです。これでは公的年金の名に値しないんじゃないんですか。言い分はいろいろおありだと思いますけれども数字の上ではそういうのが出てくるんです。  そこで、順番に伺いますが、厚生省は、将来成熟した場合には保険料は一万三千円ということになっていますね、これは一号被保険者ですか、についてはどういう根拠で計算しているのですか。
  90. 坪野剛司

    ○坪野説明員 お答えいたします。  まず、財政再計算に当たってどんな根拠といいますか、どういう哲学でそういう収支見通しを立てるかということでございますけれども、これは非常に難しくて、アクチェアリー、年金数理を担当する者として何百人もいますけれども、こういう人たちが完全に一致するという意見ではないかもしれません。しかし、それぞれの制度を受け持っている立場のアクチェアリーが責任を持って、これが一番いいのではないかということで考えたわけでございますけれども、それを簡単に申し上げますと、現在、例えば国民年金でいいますと、現在の被保険者と将来の被保険者との間で実質的な費用負担の大きさに著しい差を生ずることはいけないんじゃないだろうかということが一つ。二番目に、短期間のうちに保険料が急激に上がることは避けなければいかぬのじゃないだろうか。三番目に、給付が実質的に増加している、例えば受給者がふえまして非常にふえる、こういう段階で積立金の取り崩しをすることはできるだけ避けた方がいいのじゃないかということ。それから、かつて狂乱物価の時代もございましたので先生よく御案内のように、保険料と年金スライド改定はタイムラグが一年ございます。保険料の方が一年後になります。そういうこともございますので、経済情勢が短期間のうちに急激に変化した場合でも年金財政が円滑に運営できるようにしなければいかぬのじゃないだろうか。大きく分けますと、そんなことを考えながら保険料率を設定しているわけです。  具体的に五十九年の財政再計算でどういうことをしたかといいますと、例えば、先ほどからたびたび議論になっておりますけれども給付改定率を五%、というのは、五%といいますのは再計算ごとということでございますが、その間物価上昇率三%、それから積立金の運用利回り七%、繰り返すようですけれども、あくまでいろいろなケースの中で標準的なケースという形で今申し上げているわけですが、そういうことをしまして、現在五十九年度価格での六十一年の保険料を六千八百円と設定いたしました。それは、現在の国民年金の保険料を横に見ながら六千八百円と設定し、それ以後五十九年度価格で三百円ずつ毎年上乗せをしていく、そして原則として単年度収支が赤字にならないように、それから積立金も少なくとも半年なり一年以上は確保できるようにという前提で保険料率をどう上げていけば収支バランスがとれるかということをやりましたところ、昭和八十二年に一万三千円という保険料を設定し、以後そのままの推移を保ては一号被保険者の方の国民年金の収支バランスはとれるというふうに決めたわけでごいます。
  91. 正森成二

    ○正森委員 今長々と説明されたのですけれども、もっと端的にずばり言えば、昭和八十二年度ぐらいを考え自営業者等につきましては、将来的な年金受給者に対する加入者割合というのは二・五六人である。五万円のうち国が三分の一負担するのだから、五万円に三分の二を掛けた加入者負担すべき割合というものを考えますと、それを二・五六で割ればほぼ一万三千円だ、それで一年間の収支はとんとんになるという計算じゃないですか。そうするとちょうど一万三千円という数字が出てきますね。  しかし厚生大臣、端的に言って昭和八十二年度は二・五六人で一人前を負担しなければならないということで、一万三千円というものをとりましてもこれは非常に高くて払えない者がどんどん出てくるんじゃないですか。現に、現在でも一七・四%というのは払えないような状況なんでしょう。そうしますと、これは基礎年金財政を内側から掘り崩していくということにならざるを得ないと思うのですね。基礎年金という名前がっく以上、これに対して保険料の免除をされるものが現在でも一七%を超え、将来は二五%になるというような保険料の決め方というのは基礎年金の名前に値しないのではないかというのが、厚生大臣に伺いたい一番大きな点であります。  なぜこういうように言うかといいますと、保険部長来ていますか——厚生大臣大蔵大臣もぜひ聞いていただきたいのです。  ここに私は「新長寿年金」という民間の商品を滞ってきたのです。これを見ますと「かがやき永遠に 美しき人生に喝采を。」というようなきれいな言葉になっておりまして、内容は「豊かな老後をお約束する、ふえるふえる一生涯年金。」こうなっているのです。これを見ますと、ターゲットは奥様なんです。それで、御契約の年齢は典型的なのは、三十五歳から女性はお入りください。保険料払い込みは六十歳までだ。年金支払いは、国のように六十五からではなしに六十からだ。六十になりますと基本年金は国と同じ六十万円で、そのほかに配当による年金というのが毎年毎年ふえていくのですね。六十歳のときは合計が百二十万円。それがずっとふえまして、七十歳になれば百六十四万円、八十歳になれば二百二十七万円というようにふえていくわけなんです。しかもこれの特徴は、早く死んでしまったら掛け捨てになって損だということになってはいけないので、四十五歳のときに死亡した場合には三百四十二万円お払いします、五十五歳で死んだときには六百八十五万円お払いしますということで、掛け捨てにならないようになっているのです。そうして、六十歳まで生きればそういうぐあいに金をお渡しいたします。そのときに、六十二や三で死んだら損するので十年間、つまり七十歳までの分は六十二歳で亡くなろうと六十三歳で亡くなろうと保証します、こういう内容のものになっているのです。保険料は一万九千四百四十円、それはずっとなんです。スライドがないから上がらないのは当然なんです。  そこで、お手元にお配りいたしませんでしたけれども、これをやはりコンピューターに入れて計算してみたのです。そうしたらどういう結果が出るかというと、この場合は物価上昇率を「経済社会の展望と指針」の三%、実質金利を三%として計算いたしますと、毎年毎年物価が上昇しますから、実質の保険料あるいはもらう年金というのは下がっていきますね。ですから、それで計算しますと三十五歳のときの一万九千四百四十円の保険料は翌年には、同じ額払うのだけれども実質価値は一万八千八百七十三円に減るのです。そういうぐあいになってまいりまして、五十九歳の最後ではどうかというと、一万九千四百四十円払うのだけれども、その保険料の実質価値は九千五百六十三円しかありません。  同様に、これで見ますと百二十万円ずつもらうわけですね。これも実質で下げないと不公平ですね。だから、百二十万円はそのとき実質幾らになっているかというと、五十七万三千円しか値打ちがないのです。積立金も名目はずっと多くなっているのですけれども、そのときには実質でどれだけかというと、五百九十七万七千円にまで目減りしているのです。そういう計算でいきますと、もらえる年金はずっとふえていきますから、大体実質の五十七万円を維持することになるのです。そして、七十二歳まで生きると元が取れて有利になる。もし婦人の平均寿命である八十歳まで生きますと、そのときにもらう名目年金はこの商品では二百二十七万円になる。ところがそれはやはり物価上昇で目減りしますから、その分を引きますと大体六十万円あるいは五十九万九千二百十七円というような数字になるのです。そうして、そのときには実質的な価値で五百三十万円もうかったことになるという計算になるのです。  これは会社の名前を言いません。下手にお渡しして、衆議院でも私の方の商品がお得だということがわかったなんて言われるといかぬからこれはお配りしなかったわけです。必要なら非公式にお渡しします。こういうものだけでなしに、別に「悠悠保険」とかいろいろな保険があるのです。あるいは証券会社がやっているのもあります。  そこで、私のところに報告書が来ておりますが、本年、ついこの間、杉並区の高井戸という団地へ民間会社の勧誘員がやって岩で、個人年金の勧誘について奥さん方を集めて、これは国の年金よりも有利ですよと言って説明したら、そこへ行ってきたほとんどの奥さんが入ったというのです。いいですか、大蔵省。恐らく保険部長は国の年金より有利だというようなことを商品の中に書いてはいかぬと言っておると思うのですね。確かにこの印刷の中には書いておりません。けれども、勧誘のときにはこれをずっと説明して、国の年金よりも有利ですよとこう言っているのです。そうしたら、一万九千四百四十円で、国の年金よりもずっと有利で掛け捨てではなしにもらえるわ、将来も大体今の経済政策が続く限り有利だということになれば、そっちの方に行こうかといって奥さんは全部入るのです。厚生大臣大蔵大臣、そんなことでは国が基礎年金について三分の一保障しております、公的年金でございますと言ってみたって、国民の信頼が得られないのは当たり前じゃないですか。  だから、このことは何を意味しているかと言えば、基礎年金について一万三千円も払わすなんというのは、つまり国が五万円の三分の一しか金を出さないなんというのは安過ぎる。だから、国がもう少し出して保険料をもう少し下げる、あるいは給付を上げるということで、民間に比べて公的年金に入っておればインフレがあっても大丈夫で安心なんですよと言わなければ、国民の年金に対する信頼は得られないのじゃないですか。私は会社の名前は言いませんけれども、これは会社の従業員の給料から自分たちの利益から株主への配当から、全部入れたってこれだけできますよ。国の年金より有利ですよと言って宣伝して回っているのですよ。そんなことで公的年金といえますか。何だったら、これごらんください。
  92. 関要

    ○関説明員 ただいま先生から民間保険会社の問題にお触れになりましたので、そのことについてちょっと御説明させていただきたいのですが、民間の年金保険は公的年金を補完するという性格を持っておりますのと、それからまた、公的年金は世代間の扶養とか所得再配分とか、そういう思想でできているのに対しまして、民間の保険はあくまでも一人一人の保険契約者から一定の保険料の積み立てを受けまして、それを運用して一時に払うのではなくて年金の形で支払う、こういう構造になっておるわけでございます。したがいまして、基本的に役割とか仕組みが異なっているということはまず申し上げなければいけないことだと思います。  それからもう一つ、ただいま先生がお示しになりましたパンフレット、いろいろ出ているわけでございますが、これは実はその年金支払い額というのは中が二つに分かれておりまして、基本年金部分はもうこれで確定して、多分、今先生言われました百二十万円というのはその分だと思いますが、これはもうお約束をいたします、いかなる事態があってもお約束をいたします、その他のそれに加わってまいります年金額につきましては今後の配当いかんによって変動するということを、実はパンフレットにも書いてあるはずでございます。したがって、そういう意味で今後の年金の運用次第で変動する額になっているということは御理解いただきたいと思います。
  93. 正森成二

    ○正森委員 保険部長が言いましたが、今後の経済情勢によって変動するんですが、その変動の幅には一定の幅があるんです。私が今計算しました物価上昇が三%ぐらいで実質金利は三%以上になるということであればこの商品はそのとおりいくわけなんで、政府が狂乱物価のような物価上昇がないとすれば大体いきますという内容になっているんですよ。だから、そういう前提で計算したんです。  そういう点を考えてみますと、既に三月段階で、厚生年金国庫負担が今度の改正によればどれくらい減るかという点についての御答弁がありました。また、この間予算委員会で私が国家公務員の共済も今度の改正によればどれぐらい国庫負担が減るかという点について答弁を求めて、いただきました。それが、昭和九十年では国家公務員の場合は八百億ぐらいですね。きのう、地方行政委員会で我が党の経塚委員質問をして全部についてまとめたら、昭和九十年という事態をとれば厚生、国民両年金国庫負担は二兆三千億円減る。国家公務員共済組合は八百億円減る。地方公務員共済は千八百億円、農林共済は四百八十億円、私立学校教職員は二百三十億円、合計二兆六子三百十億円減るのですね、国庫負担が。そういうことをやっておるから、これから高齢化社会になるというのに、民間の年金の商品を売っている会社から公的年金よりもこちらの方がずっと有利ですよというようなことを言われてしまって、信頼がなくなるわけなんですね。  ですから、私は、今度の改正案というのは、国庫負担をこういうぐあいに昭和九十年代には合計で二兆六千億円も減らすということで保険料を決め、給付を決めておるから、こんな民間の保険会社に事実上なめられるような内容になっておるのであるということで、ぜひとも再考して撤回をされるように要望いたしまして、時間だということでございますので、私の質問を終わらせていただきたいと思います。大蔵大臣厚生大臣で御感想がございましたら、それを伺って質問を終わらせていただきます。
  94. 竹下登

    竹下国務大臣 保険数理学というのがありまして、それからいわゆる危険負担という考え方からの保険の設計、従来の生保というのはどちらかといえばそういうことで、いわゆる老齢年金的な性格は当初なかった。それが今や老齢年金的性格になって、さらに、今おっしゃいました、無事戻し制度と普通言うのでありますが、無事戻し制度もその設計の中に入れてということは、私も成り立つと思うのであります。それで、だんだん正森さんの議論を詰めておりますと、もう一つは、これはたまたまでございますけれども、私は卒業論文が保険でございます。それで多少そういう知識があったわけでございますけれども、今の論理を進めますと、いわゆる公的年金基礎年金部分は、言ってみれば目的税を設定して設計するという議論にも持っていきようによっては展開する議論じゃないかという感じも、私は実は持つわけであります。(正森委員「そんなこと言ってませんよ。」と呼ぶ)いや、もちろん、おっしゃったわけではございませんが、そういうことは部内において十分議論をして、まさに国民共通部分基礎年金の三分の一ということが最も公平だという考え方で設計したものでございますので、私ども公的年金のPRももちろんしなければなりませんが、商業保険の中でいろいろな設計はございますけれども一つ一つの中に、要するに危険負担、無事戻し、それから特別付加をしなければ障害とかは出てきませんけれども、そういうものを総合的に設計されたものは、これはやはりあくまでも商業保険であって公的年金公的年金としての性格を持つものをきちんと設計していくというのが理屈じゃないかなと、まあ感想とおっしゃいましたので、あえて感想を申し述べました。
  95. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  96. 越智伊平

    越智委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時三分開議
  97. 越智伊平

    越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。上田卓三君。
  98. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 竹下大蔵大臣は、日本列島ふるさと論、こういうことで次期総理・総裁を目指してというのですか、将来大きく飛躍していただかなければならぬわけでございますが、いわゆる老齢化社会に入った、こういうことを言われておるわけですが、老齢化社会に入ったということと老齢化社会であるということは、これは別な概念だと私は考えておるわけであります。  不老長寿といいますかあるいは長生き、これは人間の、古くからの人類の願望というのですか、できるだけ健康で豊かで、そして長生きをしたい、これはもうだれもがこいねがうものであるわけですから、そういう時代になってきたということはもう大変喜ばしいことと言わなければならぬわけであります。  しかし、欧米においても高齢化社会に既に入っておるわけでございます。余りにも老齢化社会に入ったんだということで、何か長生きは迷惑だ、年寄りはもう早く世を去ってほしい、厄介者扱いだというような世評というんですか、そういうものもあるわけでございまして、ぼけ老人とか寝たきり老人とか、非常に老人の自殺というものもあるわけでございまして、そういう点で、やはり日本列島ふるさと論というのはそういう老齢化したお年寄りが本当に豊かで幸せにまた健康で過ごせる、そういう社会であろうというふうに思うわけですが、その点についての大蔵大臣の、老人化社会、老齢化社会についての物の考え方というものをまずお聞かせいただきたい、このように思います。     〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕
  99. 竹下登

    竹下国務大臣 非常に難しい御質問でございますが、私が念頭に描いておる長寿社会というようなものが、幸せでおるためにはお孫さんたちに取り巻かれました一家団らん、夕げのひとときが持てるような社会が望ましい姿だというような、直感的にそんな印象は持っております。  したがいまして、今御指摘がありましたように、あんまり老齢化社会、高齢化社会と言いますと、老人は迷惑だというような印象を与えることは厳に慎まなきゃいかぬ。したがって、長寿社会なんというのもそこから出てきた言葉であろうかな、こういう感じすらいたしておるわけであります。  先日ある人の話を聞いておりましたら、美しく老いるということが一番大事なことである。それには、俗に言うぼけ老人五十万とか寝たきり老人のお万三十万とかそういう状態にないようにしなきゃならぬ。なってからの施策も大事であるが、ないようにしなきゃならぬ。それには足を使って、そして対話を求めなきゃいかぬ。足を使って対話を求めることは選挙運動が一番その必要性を満たしておるので、したがって政治家は割合に長寿だというようなことを言っておる人がおりましたが、やはり可能な限り核家族でなく、そして周囲に囲まれた、美しく老いる社会が必要だなという感じだけは持っております。  非常に難しい質問でございましたので、答えも大変感想みたいなことを申し述べて申しわけありません。
  100. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 大蔵大臣考えでは、お年寄りが豊かで健康で長生きをする、そういう社会を目指す、こういうことだろうと思うのですね。決して、お年寄りはもう早く死ね、迷惑だ、こういうことではなかろうと思うわけであります。  そこで、私の手元に、総務庁の統計局と厚生省人口問題研究所の資料があるわけですが、これを見ますと、日本の六十五歳以上の人口が現在の欧米並みにいくにはまだあと十五年ぐらい余裕があるんですね。こういうことでございまして、特に、西暦二〇〇〇年になりますと六十五歳以上の人が一五・六%。現在は、六十年は一〇・一%。こういうことで、欧米は大体一五、六%ということでありますから、欧米並みにいくにはまだ十五年ほどの余裕がある。ただ、欧米の場合は相当な年月を費やして高齢化社会が進んでおる。例えばアメリカは七十五年、フランスなんというのは百十五年、老齢人口が倍になるにはそれだけの長い年月が費やされておる。我が国の場合は一九七〇年から一九九六年に七%から一四%に入るということで、この間だった二十六年ということで、日本は非常に短い期間に高速に老齢化社会に進んでいる、こういうことではないかというふうに思うんです。  そこで、若い世代が多くのお年寄りを見なければならぬ、それ大変だ、こういうことになるんでしょうが、しかし逆に、それじゃあ十四歳までの子供というんですか、労働しない人口というのを十四歳までとそれから六十五歳以上、こういうふうに分けますと、若い世代、労働人口前の子供の数は減るんですね。ずっと減っていく。六十五歳以上の部分は確かにずっとふえていくんだけれども、十五歳までの、十四歳未満の人口は減っていくということでありまして、例えば十五歳から六十四歳までですか、この労働人口というものを考えたとき、あと十五年たっても今の比率が変わらないということになるんですね。  例えば労働人口は、昭和六十年で六八・五ですね。五十八年で六七・七ですが、あと十五年たって西暦二〇〇〇年ということになりましても六六・八、あるいはその後、昭和八十年になっても六四・五。だから、まだ十五年から二十年の間は労働人口は減らないということでありますから、労働人口が減って非労働人口がふえるということになれば大変だ大変だと言うことはわかるんですけれども、働いている人口はここ当分は減るということはないわけです。高齢化しつつあるんだったらまだわかるんですけれども、何か長生きは迷惑だと言わんばかりで、高齢化社会に来たんだあるいはもう高齢化社会になったんだということを宣伝して、余りにも大変だ大変だということで騒ぎ過ぎるんじゃないかと思うのです。その点、大蔵大臣どうでしょうか。ちょっと騒ぎ過ぎるんじゃないですか。
  101. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘のように、日本高齢化は世界に類のないスピードで進むわけでございます。今現在、おっしゃるように欧米の高齢者人口の比率に達したわけではございませんけれども、いずれ近いうちに外国よりも速いスピードで高齢化されるわけでありますから、年金その他の制度につきましてはその改善に長年月を要するということから考えまして、また欧米よりもスピードが速いということから考えましても、今その対策をスタートさせるべきだということには変わりはないというふうに思います。
  102. 竹下登

    竹下国務大臣 いわゆる稼得能力のある世代が、確かに対比率というのでは少人数で多くの方を抱えなきゃいかぬということにはなろうかと思いますが、いま一つおっしゃいましたように、全体の人口の中から見ますと今若年層の問題をどう見るかというのは、私どもサミットに参りますと、ヨーロッパから出てくる議題の中に必ず若年失業者対策をどうするかというのがあります。ところが、日本の場合、十八歳までみんな高等学校へ就職しているような感じがしますので、全くその議論に溶け込むまでに時間がかかったような気が私自身したことがございます。したがって、十四歳というよりはあるいは十八歳ととった方がいいかもしれませんが、そういう比率からいいますと余り変わらないなという感じは私も持っております。  ただ、上の方に向かっての、すなわち長寿社会へ向かっての設計は今からきちんとしておきませんと、むしろそのときになって御老人の方が大変不幸な状態になりはしないか、こういう感じは持っております。それから、十四歳にするか十八歳にするかは別として、年齢的にそれ以下の世代というのは、確かにいろいろな出費がかかります、教育費でございますとかいろいろなものにかかりますが、その辺のバランスをどのようにして見ていくかというのも、政治課題としては問題意識としては持っていなきゃならぬという気持ちは私にもございます。
  103. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 私は政府の資料に基づいて申し上げているのですが、この資料は人口を三区分しているんですよ。ゼロ歳から十四歳、それから十五歳から六十四歳、それから六十五歳以上と、こういう三区分をしているということは、十五歳から六十四歳は働く労働人口、恐らくこうとらえているんじゃないかと思うのです。そうすると、ヨーロッパ並みの老齢人口比の一五、六%までいくには日本はまだ十五年かかる、まだ余裕があるんですよ。十五年先になって初めて欧米並みということになるわけです。しかし、それは確かにふえるんだけれども、非労働部分である若年層、まだ働かない子供たちの分は逆に減るということで、真ん中にあるところの労働人口はあと十五年たっても決して減らない、今のままであるということだから、大変だ大変だと言うのはおかしい。働く人口が少なくなって働かない人口がふえるんなら大変だ大変だと言うのはわかるんだけれども、資料は大変立派なものを出しているんだけれども、その点でキャンペーンというのが、何か働く労働人口に対して脅迫して、またお年寄りにはもう早くくたばってしまえと言わんばかり、迷惑だ、こういうような印象を与えているので非常に残念である、こういうことを申し上げておきます。厚生大臣はずっとおられるのですけれども大蔵大臣は途中で退席されるということでありますので、この分野については後でまた厚生大臣にお伺いします。  この共済四法案の審議の中で特に大きな問題になっておるのは、国鉄共済がこのままではもうパンクしてしまう、国鉄共済がパンクすれば公的年金全体が破産する、こういうことで、この国鉄共済をどう救済するか。やはり国が責任を持って解決策を講ずる、六十四年度までの支払いについてはそういうことになっているが、どうも解決策の中身があいまいである。やはり政府の負担というものを明確にしていかなければならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。  財政調整五カ年計画は、国鉄の労働者の人数が三十二万体制ということが前提であって、それを再建監理委員会でさらに切り込んで、将来は十九万とも十八万体制ともなるということになれば、一段ロケットと言われた国鉄共済自身が早々とお先真っ暗、こういうことになるわけであります。  そこで、こういう状況になってきたのは、国鉄の分割・民営、そして人員の削減、そういうことから国鉄共済が破産するということでありますから、いずれ国鉄民営・分割法案というものが恐らく出されて議論されるものだと思いますが、この問題についての若干の議論を抜きにして年金問題は語れないだろう、こういうふうに思いますので、運輸大臣がおられる間にこの問題をひとつ明らかにしていただきたいと思いますし、きょう国鉄総裁に出席いただくようにお願いしておったのですけれども、出席でないということを聞きましたので、いずれ後日この問題を追及したいというふうに思っておるわけでございます。  国鉄再建監理委員会の方にお聞きいたしますが、昭和六十二年、一九八七年で長期債務が三十七兆三千億、こういうことを述べられておるわけでありますが、その三十七兆三千億の内訳というのですか、どういう長期債務の中身になっておるのか、まず明らかにしていただきたい、このように思います。
  104. 林淳司

    ○林政府委員 三十七兆三千億を国鉄の改革に際して処理すべき長期債務等ということで整理したわけでございます。  その中身でございますが、一番大きなのは、国鉄が現在借入金等の形で抱えております長期債務が二十五兆四千億でございます。それからそのほかに、この際国鉄に関連する債務として一括整理を要するということで整理をしたものがございまして、一つ年金負担、これは主として追加費用でございますけれども、この年金負担の関係の債務が四兆九千億。そのほかに、鉄建公団でありますとかあるいは本四公団というような国鉄に関連するいろいろな主体におきまして、過去建設をされあるいは現在建設をされつつある施設に係るもの、これが鉄建公団の関係で四兆六千億、それから本四公団の関係で六千億。そのほかに、私どもは三島を分割するという前提考えておりますので、この三島の会社の基金が九千億。さらに余剰人員に対する対策費といたしまして九千億。これらの債務を合計して三十七兆三千億、こういうふうに整理をしたわけでございます。
  105. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 国鉄の五十九年度の決算を見ますと、国鉄の長期債務は二十一兆八千億円ということになっておるのに、国鉄監理委員会の発表によるといつの間にか三十七兆円近くになっておるということで、六十二年度ということになりますから利子の負担もかさむとはいうものの、十五兆円もなぜ急にふえるのかということで不思議に思っておったわけですが、今聞きますとそれもそのはず、本来の国鉄の長期債務というのは去年度で二十一兆八千億、それが六十二年度になりますと二十五兆四千億ということですね。それは当然利子が加算されるからそうなるのは当たり前だと思うのですが、要するに二十五兆四千億でいいのじゃないですか。それを何か国鉄の長期債務と全然関係のない本四架橋とかあるいは鉄建公団、これは別の法人、会社じゃないのですか。国鉄の民営・分割化ということで、そこへよその赤字の分までひっつけてしまうというのは余りにも無謀じゃないですか。あるいは三島会社の基金の一兆円、これは民営・分割化されるときに赤字部門の会社ができる、その部分を何とか穴埋めしなければならぬということであって、現在の国鉄の長期債務の中に入れるというのはどうもおかしいのじゃないですか。お答えください。
  106. 林淳司

    ○林政府委員 ただいま三十七兆三千億の内訳を申し上げたわけでございますが、そのうち二十五兆四千億、大宗を占めるのはこれでございますけれども、これは国鉄が過去の経営によりまして借入金というふうな形で、あるいは鉄道債券という形で現実に借金としてしよっておるもの、これが二十五兆四千億でございます。  それ以外のその差でございますけれども、例えば年金負担、これは借金という形で現在あるわけではございませんが、この年金負担のうちの追加費用というのは、これまで国鉄が企業体として負担をしてきたものでございまして、今後も引き続き国鉄共済組合に対してだれかがこれの費用負担をしていかなければならぬというものでございます。それを六十二年度に債務換算すると四兆九千億になる、こういうことでございます。  それから、鉄建公団とか本四公団でございますが、これも現在の制度の仕組みとしまして、国鉄が将来運営するということを予定して現在建設されているものでございますので、したがってこれについてもこの隣どう処理するか。これは必ずしも新事業体が負担するということではございませんが、そういう債務はほうっておきますと宙に浮いてしまいますので、国鉄が分割・民営化されるこの機会に、この際それをどういうふうに処理したらいいかということで関連して全部整理しておく必要がある、こういうことで計上したわけでございます。
  107. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 大蔵大臣、お聞きのように鉄建公団、青函トンネル、これは将来どうなるのかわからないのでしょう。新しい会社が引き継ぐのかどうかもわからぬのに、関連だということで国鉄の長期債務の中にぶち込んでしまうということは余りにも無謀じゃないですか。本四架橋、これは鉄道と全然関係ないじゃないですか。これを国鉄の長期債務の中に入れるということ自身がもう根本的に間違っておるということです。  それから国鉄共済年金負担、追加費用、これについても国鉄当局がだんだん合理化、人減らしをしてきたということ。あるいは三十万ほどの国鉄職員が、四十七万ぐらいになっているんじゃないですか、そういう年金受給者を抱えている。これは異常な状況ですね。しかし、これは国鉄の歴史の中の特殊性というのですか、戦後満鉄から引き揚げてきたとかいろいろ戦後復興の中で、失業対策という言い方はおかしいと思いますけれども、産業復興のために吸収してきたものですから、これはこの間も多賀谷先生から話があったように、こういう部分については欧米では全部国庫負担にしているということでありますから、この年金負担分の四兆九千億も長期債務の中に入れることは間違っているんじゃないですか。これは大蔵大臣、一言お答えいただきたい。
  108. 竹下登

    竹下国務大臣 国鉄の長期債務というもの、これはやはりどこかに区分しなければ宙に浮いてしまいますので、これは国鉄に関する長期債務ではあるというように私は考えます。  ただ、それをどう処理するか、こういう問題になりますと、もとより今後の検討課題であろうという問題意識は持っておりますが、まるっきり宙に浮いた存在に置く性格のものではないというふうに考えております。(上田(卓)委員「本四と鉄建は」と呼ぶ)これは私がお答えするのが適切かどうかわかりませんが、本四はいわば鉄道がお使いになるという前提の上に設計されておる、その負担分ではないかというふうに思います。鉄建公団で施工いたしますものも、当時の考え方でいずれ国鉄でお使いになるという前提で進められた工事費等の債務ではなかろうかというふうに思います。
  109. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 いずれにしましても、本四架橋は国鉄と全然別個の国家プロジェクトですから全然問題にならぬ。それから鉄建公団のものも別ですね。これはもうめどが立たないのですから、国鉄が新しい会社に引き継ぐかどうかもわからないで採算も全然とれないということでありますから、我々はこれの政治責任も追及しなければならないわけですが、これも国鉄とは直接関係がない。それから三島会社基金の一兆円、これも民営・分割化された場合に要る金であって、これも前提で突っ込んでしまうことは大きな問題があるのではないか、こういうふうに思います。  そこで、例えば二十一日の読売新聞にも出ておりましたが、京葉線の貨物海底トンネルです。これは四百四十億円の予算をつぎ込んでおるのですが、凍結である。利子だけでも一年間五十億円ということですが、これはどうなるのですか。総額で七千億、いやこれは青函トンネルですから別です。海底トンネルの十四年以上の工期で四百四十億円のケースについては、だれがいつどこで責任をとるのですか。
  110. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生お尋ねの件は京葉線、京葉線は御承知のように千葉の南の蘇我というところから工事をしております。新砂町から東京駅に入ることになっておりますが、新砂町までは旅客線ということに使うということで工事をいたしております。先生指摘の点は、新砂町から大井埠頭までの以南の部分だと思いますが、これにつきましては、国鉄が計画いたしまして鉄道建設公団が建設に入りましたのはかなり前で、いわゆるオイルショック以前でございまして、国鉄貨物が非常に隆盛だった時代でございます。その上で将来の貨物の需要というのを見込んで鉄道建設公団が建設に着手したわけでございますが、御承知のようにその後オペルショックを挟みまして国鉄の貨物に対するシェアというのは急速に低下をいたしまして、貨物部門というのは大幅に縮小せざるを得ない事態になりました。したがいまして、新砂町から以南の部分というものにつきましては工事を凍結しておる、こういう状態でございます。  この債務につきましては、今回の再建監理委員会の御意見では国鉄から分離をいたしまして凍結するという観点で、これを清算機関である旧国鉄に移して一般の債務と一緒に何らかの形で最終的に処理をすること、こういう御意見をいただいております。その線に沿って私ども考えていきたいと考えております。
  111. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 何を言いたいのかよくわからないのですが、いずれにしても工事は凍結しているのでしょう。四百四十億円、毎年五十億円利子を渡さなければならない。これはだれが責任とるのですか。運輸大臣あるいは歴代の運輸大臣大蔵大臣も含めてこれは大きな政治責任じゃないですか。  それだけでなしに青函トンネル、先ほど私ちょっと数字を出しましたが、これも予定は全部で七千億じゃないですか。もう既に五十九年度までに五千二百億がつぎ込まれておる。それで国鉄の利用のめどは立っていない。それだけでも大きな問題じゃないですか。  鉄建公団なんかが非常に不正、腐敗があるということも言われているじゃないですか。大型プロジェクトで大手の業者とか銀行やそんなのはもうけるだけもうけておいて、めども立たないのに国鉄を倒産会社に仕立ててそのツケを全部回すということはもってのほかじゃないか。この政治責任をどうとるのですか。運輸大臣、答えてください。
  112. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 まず事実関係から申し上げますが、お尋ねの青函トンネルにつきましては、先生おっしゃるように総工費約七千億でございまして、そのとおりでございます。これは使用のめどが立っていないという御質問でございますけれども、完成後は当面在来線の列車をそこに運行するということで計画をして現在工事を進めております。国民的な資産でございますので、それを有効に活用するという問題につきましては、さらに政府におきまして、もっと一層有効に使いたいということで現在検討を進めておる段階でございます。  それから、それらの債務につきましてそれを国鉄に押しつけるという御質問でございますけれども、私ども考えといたしましては、今回の監理委員会の御意見は決して国鉄にその債務を押しつけるということではなく、それをむしろ国鉄の分割会社である新しい会社に負わせては新しい会社が成り立たないので、それから切り離して清算会社であるところの旧国鉄に残して、新しい会社すなわち国鉄の承継体の負担にしないように政府の責任において処理をしろ、こういう御提言でございまして、私どもといたしましても、国鉄にしよわせない、そういう感覚では大変ありがたい御意見だというふうに考えております。
  113. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 在来線を走らせる、これは赤字が出るんでしょう。黒字になるんですか。長期的な見通しも含めて聞かしてください。
  114. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 青函トンネルは大きな資本費がかかっておりますから、それをそのまま新しい運行会社に負わせました場合には膨大な赤字になります。したがいましてその債務は切り離しまして、資本費は切り離してこれを清算会社である旧国鉄に移して、新しい会社については赤字の幅が大きく出ないように処理をしたい。現在、青函連絡船というのがございますが、その青函連絡船で生じております赤字よりも、新しいトンネルを資本費を負担しないで運行いたしました場合には、むしろ逆に新しい会社にとってはメリットになる、こういう計算になっております。
  115. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 黒字か赤字か答えてないですよ。赤字になるんでしょう。
  116. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、青函トンネルは、資本費は旧国鉄というところに移して処理をいたしますから、新しい会社は資本費なしでこれを運行いたします。その場合には、通常の運賃で計算をいたしますと現在の青函連絡船で生じておる赤字よりは赤字の幅が少なくなる。したがいまして、その意味ではプラスになるというふうに考えております。
  117. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 いずれにしても赤字であることは間違いないわけですからね。これは大変なことですよ。運輸大臣、この政治責任をどうとるのですか。今の答弁で国民は納得しないですよ。
  118. 山下徳夫

    山下国務大臣 いろいろ御意見、御質問等ございまして、おっしゃる点はよくわかるわけでございますけれども、例えば京葉線の問題にいたしましても、当時の推定としてはかくかぐしかじかでこれは十分採算が成り立つということでやったのですが、その後輸送構造の変化と申しましょうか、そういうものがあって今日こういう事態に至っているということでございますから、その点は御了承いただきたいと思います。  また、青函トンネルの問題につきましても、例えば四十カ年元利均等払いずれは毎年八百九十億円から払っていかなければならぬ。推定すると、これを通るたびに三万八千円くらいの通行料をちょうだいしなければペイできない。したがってこんな金をとても国鉄に持たせるわけにいかぬということで、十六兆七千億円の何らかの形において国民に負担すべき総計の中で今後考えていくということにしている、こういうことでございます。
  119. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 全然責任を感じてないというんですか、問題の解決にならぬ、こういうふうに考えざるを得ない、このように思います。先ほどの、老齢化社会が来たのだということでもう過大に宣伝して、みんなを恫喝するようなやり方と同じ手法じゃないか。国鉄の本来の長期債務のほかに、全然関係のないものをぶち込んでおるというそのこと自身、別であったら別で国鉄問題と完全に切り離さなきゃならぬ、こういうふうに思うのですね。そういうことを篤と申し上げておきたい、こういうふうに思います。全然回答になっていないので全く不満であります。  そこで、二十五兆四千億の国鉄本来の長期債務といいますか、なぜそういう長期債務になったのか、その原因、何を使われたのか、その内容について報告していただけませんか。
  120. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 国鉄の長期債務の原因というのはいろいろ複数でございまして、決して一つの原因ではなかったというふうに考えております。その中には、いわゆる通常の経営が効率的に行われないために生じた赤字のために借り入れました資金の累積、さらには設備投資のために投下いたしました資本費のための資金の累積、そういうようなものが複数競合してこのような大きな赤字になったというふうに理解をいたしております。
  121. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 長期債務の主なものは、やはり無計画というのですか、先ほどの鉄建公団、本四架橋にも見られるような無計画な、また膨大な設備投資による借金、それと利子じゃないんですか。通常の在来線というのですか、そういう国鉄本来の日々の運営の中で出てきた赤字というよりも、そういう東海道新幹線とかあるいは東北とか上越とか、それ以外にもたくさんありますが、そういう当分、五年、十年の間は赤字である、赤字覚悟で設備投資をしたその借金と利子じゃないんですか。大体、ヨーロッパなどでは単年度決算といって、そんな長期負債というのはないんじゃないですか。累積しない仕組みになっているんですね。ところが我が国の場合の国鉄だけは——本来国が設備投資をしなければならぬ、そして設備投資をして、その利子を国が渡して、ある程度採算とれるようになってから国鉄に引き渡すべきじゃないんですか。運輸大臣、どうですか。
  122. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 ごく大ざっぱに申し上げまして、国鉄の約二十二兆円の累積債務のうち、先生ただいま御指摘のような設備投資に伴いますものが約十四兆、それからランニングコストの赤字の補てんのためのものが約八兆、大体こういうふうに理解をいたしております。  おっしゃるように、鉄道の設備投資というのは大変膨大なものでございますので、設備投資をしました直後にこれをペイするように回収するというのは大変難しいことでございます。ただ、鉄道というのは非常に長い期間かけて収支の採算をとっていくというものでございまして、俗に懐妊期間が非常に長いという言葉を使っております。したがいまして、その間の資本費というものがある意味では赤字になってくるということは御指摘のとおりたと思います、たた それに対しましては、将来的には鉄道敷設というものは投下した資本を長期的には回収できる、こういうふうに考えております。  これを単年度で始末をするという考え方でいくのか、長期的に借りかえ等で始末をいたしまして、それに対する利子とか、そういうものについて何らかの手当てをとっていくかということは、これは一つの国の財政の政策だというふうに思っております。御指摘のように、欧州諸国におきましては単年度で始末をしている国が非常に多いというふうに聞いておりますが、ただ監理委員会等の御調査でも、単年度で始末をしていくということが非常に限界に達しておって、日本のようなやり方にならざるを得ないのではないかというふうな考えをお持ちの国もあるというふうに聞いておりますが、これは財政政策の是非の問題でございます。確かにそういう考え方もございますが、我が国といたしましては、それを有償の資金で、建設費は長期間をかけてペイをする、そのために何らかの施策をとるという考え方で今日まで来ておるわけでございます。
  123. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 今欧米が短期決済というのですか、そういうことが多いということは、それだけの合理性があるんだろうと思うのですね。ただ、今おっしゃるように日本はそういう方式をとらない。またそれはそれの合理性というものもあるのじゃないかと思うのですが、そういうことになれば、長期の設備投資をする、そのことで赤字が累積する、これは国鉄の責任じゃないですね。運輸大臣、どうですか。これは国鉄の責任ですか。これは国鉄の人が来られているから、国鉄の意思でやったのか。  これは恐らく政府全体が、あるいは与党の先生方もそうだろうし、財界の方とかいろいろの全体の背景があって、そして国鉄に押しつけているというか、後から面倒を見てやるんだからということじゃないんですか。だから、これは政府が責任を持つべきであって、国鉄に当然赤字が出るようにしておいて、出たからいかぬというのはおかしいじゃないですか。
  124. 山下徳夫

    山下国務大臣 先ほどから私なり政府委員から御答弁申し上げておりますように、国鉄の再建監理委員会の答申もございますように、長期にわたって返済すべきものの中で国鉄に帰すべきものとそうでないものと区分けしてございまして、例えば青函連絡船だとかあるいは本四架橋の問題であるとかいうものは、これは国鉄自体が返済すべきものではない。そこに仕分けをしてあるということは御説明申し上げたとおりでございます。
  125. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 いや大臣、そのことを聞いているんじゃないんですよ。要するに、二十五兆四千億の、青函トンネルとか本四架橋を除いた長期債務の中身は何かといえば、やはりそういう新幹線であるとかその他の、本来国鉄のものだけれども、それは非常に長期的には採算がとれることにはなるんだろうけれども、短期的にというのですか、それも短期といっても一年、二年というのではなしに、非常に赤字となって、そして利子がかさむ、この問題については、これは国鉄が勝手に計画してそういうことを進めたのじゃなしに、これは国会でも審議されて国の責任でやった問題じゃないのですか。この点について国鉄当局はどう考えているのですか、
  126. 室賀実

    ○室賀説明員 長期債務の中で建設投資に使われた債務が十四兆ほどございますが、そのうち減価償却費に充てられるべきと考えられるものは約五兆ほどございます。そのようなものは施設を増強、改良してきたものでございますが、こういったものの中には東北新幹線あるいは東海道・山陽新幹線といったように、私どもにとりましても長期的に見ると個々におきまして大変経営効果の上がるべきものというふうに判断して進めたものが大部分でございます。  償却費のようなものにつきましては、これは本来経営費の中で捻出して、これに対応した自己資金で行ってくるということでございますが、先ほど来政府からの御答弁にもありましたように、鉄道需要そのものが当初見込まれたものよりもここ十数年かなり大幅に変動してまいりましたので、所期どおりの収益を上げることができないということで、借入金が、そのために赤字補てんのための借入金ということをせざるを得ないという形で推移してきたわけでございます。
  127. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 長期的には採算がとれる云々ということを今お話あったのですが、それじゃ上越新幹線はいつごろ採算がとれるのですか。国鉄当局に。
  128. 室賀実

    ○室賀説明員 正確な年度というものはこれは今後の需要その他でございますが、十数年から二十年前後ということで一応計画が立てられたものと考えております。
  129. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 十年以上ということは大体わからぬという意味に近いのではないですか。十年一昔というのだから、もう五年で一昔ですよ。だから、それは人をばかにするようなことじゃないですか。これは政府の命令でやったんでしょう。国鉄の単独の意思でやったんですか。恐らく国鉄だけでそういうことは決められるものじゃないと思うのですよ。これは監理委員会どうですか。この問題についてはどう思っていますか。
  130. 林淳司

    ○林政府委員 東北新幹線あるいは上越新幹線というのは、おっしゃるように長期的に見れば採算がかなりとれるプロジェクトだというふうに思いますけれども、短期的には非常に大きな経営負担になってくるというふうに考えておるわけでございます。  ただ、これらの線区については、法律上は新幹線整備法に基づいて建設されるものでございまして、そのバックとしましては、やはり地域住民の非常に強い要望というものを受けてこういうものが建設されてきておる。これについて当面経営が非常に苦しいという問題はあろうかと思います。そこら辺のところを考慮いたしまして、私ども今度お出しした意見におきましては、そういう東北、上越新幹線のように当面非常に経営が苦しいもの、あるいは東海道・山陽新幹線のように既に償却が大幅に進みまして経営的には非常に黒字がたくさん出ておるもの、こういうものを一括して、一括保有方式という形で負担調整を図る、こういうふうなことで、今度意見をお出ししたということでございます。     〔熊谷委員長代理退席、委員長着席〕
  131. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 この上越新幹線、十年から二十年というのは、そうするとその間ずっとどれくらいの累積赤字なんですか、その分だけで。どうなるのですか。十年か二十年たったら何とかなるだろうというだけの話でしょう。ならない場合もあるのでしょう。確かな数字的な根拠を持っているのですか。どうぞ、国鉄
  132. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 上越新幹線は、本来鉄道建設公団が建設いたしまして、四十年元利均等償還という形で国鉄に貸し付けるという形で現在行っております。  単年度の赤字が、資本費を入れますと五十九年度決算で約九百億だったというふうに記憶いたしております。資本費を除きますと黒字になりますが、資本費を入れますとおっしゃるように赤字になるわけでございます。  ただ、長期的には先ほど室賀常務がお答え申し上げましたように大体二十年ぐらいで黒字に転換するんじゃないかということでございます。したがいまして、その間今申し上げましたようにだんだん減ってまいります。御承知のように上越新幹線は上野開業以来非常に好調でございまして、対前年度四割から五割増しのお客さんに御利用いただいております。したがいまして、単年度赤字の幅が逐次収縮していくというふうに考えております。  そういうことでございますから、その累積は幾らになるかは、今後のお客さんの御利用状況、それから運賃水準をどの程度に設定するかということで違ってくると思いますけれども、そういう意味で当分の間は資本費の分が先生指摘のようにかなりの大きな赤字になって累積していくということは事実でございます。  したがいまして、先ほどから申し上げておりますように、そういう意味で巨大な資本費をかけましたものの、国鉄というものがそれの赤字を負っていくということに対して、すべてこれを国鉄に負わせてはいけないのではないかという先生の御意見に対して私も決して強い異論を持っているものではございません。そういう考えは確かにあろうかと思います。私ども、これを構造的問題というふうに指摘をしております。  ただ問題は、その構造的問題について政府として何もやってこなかったのではないかというふうにお受け取りいただきますと若干心外でございますので、これにつきましてはそれなりに従来から利息の補てん、巨大な投資に対しましては、例えば東北新幹線のようなものに対しましては国鉄の借り入れます金利の三・五%超とか、鉄道建設公団は四十年にならす際の四・五%超とか、そういうような金利を毎年毎年助成をいたしておりますし、また、御承知のように、過去に立てられました再建計画ではそういう構造的問題に対するいろいろな対策というものも講じてきたわけでございますけれども、結果的にはなかなか国鉄が黒字にならなかった。その原因はいろいろあろうかと思いますけれども、そういう諸点をすべて踏まえて今回の再建監理委員会の御意見というものが出たと理解しております。  その中におきましては、先生おっしゃるようなものをすべて今後将来の国鉄にしょわせるということは好ましくないという観点から、これはすべて清算機関である旧国鉄というところにこれを移して、そしてこれをしかるべく処理をし、新しい経営主体であるところ、国鉄を引き継ぎます新しい経営主体にはこういうものはしょわせない、リーズナブルな債務しかしょわせない、こういう形で先ほどの三十七兆三千億という考えが出ておるわけでございます。私は、これをもし新しい国鉄にしょわせるということでございましたら、先生おっしゃるように確かにこういうものをすべて国鉄にしょわせるのは問題ではないかという御指摘があろうかと思いますけれども、したがって、そういう観点からこれを新しい経営主体にはしょわせないというのが三十七兆三千億でございますので、そういう点をぜひひとつ御理解をいただきまして、御判断をいただきたい、かように思っております。
  133. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 理解できません。上越新幹線とか東北新幹線、そういう形で十年、二十年たてば採算がとれるようになるということですけれども、その分は在来線が赤字になっているのでしょう。そうじゃないですか。それを説明してください。
  134. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 確かに先生おっしゃいますように、新幹線の採算を見ますときには新幹線だけで見るということは必ずしも適当ではない。在来線の分も考えなければいけないということは御指摘のとおりだと思います。ただ、その全部、在来線の赤字がすべて新幹線のゆえであるかというと、それは必ずしもそうではないわけでございます。やはりそういう意味では総合的な判断というものが要ろうかと思います。ただ、そういう意味で、在来線の赤字というものについても、そういう部分があるということは御指摘のとおりだと思います。
  135. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 在来線の赤字の分は全部それから来ているということではない、イコールでないということだけれども、大方は関連していることは事実でありますから、それは言いわけにすぎない、私はそういうふうに思うのです。  そこで、もう少し詰めた話ですが、国鉄の長期債務のそれが過大な設備投資あるいは利子が累積するということはもう明らかであるわけでございますが、どこから長期債務を借りておるのか。幾つか大口があると思うのですが、お答えいただけませんか。
  136. 室賀実

    ○室賀説明員 五十九年度末の国鉄の長期債務は二十一兆八千二百六十九億円になります。その主要な内訳でございますが、資金運用部からの借入金が十一兆一千五百六十八億円でございます。簡易保険局からの借入金が七千三百五十八億円でございます。一般会計からの借入金が三千四百二十五億円でございます。そのほか、民間の金融機関等を主体といたしました借入金及び鉄道債券、こういったものが九兆五千九百十八億円ございます。これが五十九年度末の国鉄長期債務の主要な内訳でございます。
  137. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 国労の方の試算でも今言われたような数字が出ております。例えば大企業とか銀行、そういうところで約九兆六千億の鉄道債を引き受けている、こういうことです。それで年間七千億の利子収入があるようですね。  国鉄が累積赤字でもうやっていけない。分割・民営、普通の会社で言ったら会社更生法ということになるのでしょうね。そうすると、再建するときにはいろいろ債権者会議をやって、ないじゃないかということで、あなたのところは遠慮してもらおう、どこは遠慮してもらおう、どこは仕方がないから半分まけてもらおうとか、大体そういう話になるのじゃないですか、普通の民間の考え方でいくと。我々は分割・民営は反対ですが、仮に分割・民営するということになれば、債権者会議をやって、みんな御遠慮願う、あるいは利子とか支払い状況とかいろいろ猶予するということがあってしかるべきじゃないのですか。その点はどうなんですか。
  138. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 国鉄の経営形態の変更に際しまして従来の長期債務をどういうふうに処理するかというのは非常に大きな問題でございまして、ただいま検討中でございますが、いずれにいたしましても通常の会社と国鉄と違いますことは、国鉄はやはり国でございます。したがいまして、お貸しになっている方々というのは、国の機関である国鉄にお貸しになっているということでございます。そういう意味で、通常の会社が倒産した場合の債務の処理というものとはやはり趣を異にするのが当然であろうというふうに孝えております。
  139. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 確かにそうですね。一般会計から出ている三千億にしても、あるいは資金運用部の十一兆円、その他民間の借入金、鉄道債、これらについても、棒引きにしていいということにはならぬけれども、世間では一般的にそういう方法をとっているということでありますから、支払い条件であるとか利子の負担等について、相手は国鉄なんですから、民間じゃないのですから、逆にまたそれだけ応分の対応があってしかるべきではないかという意味で私は申し上げているので、その点ひとつ誤解のないようにしていただきたい、こういうように思います。  そこで、時間の関係もありますが、幾ら赤字赤字と言ってみても、こんな言い方はおかしいのですけれども、今ある赤字というのは、老齢化社会の問題と同じように何か騒ぎ過ぎているんじゃないのか。本当に長期債務の額と純資産、国鉄の資産を合わせた場合に、民間の倒産会社に見られるようなケースではなしに、十分やっていけるのではなかろうか、こういうように思うのです。  新事業体に移管していく部門と、非事業部門の土地を売却するというような話も出ておるようでございます。国鉄監理委員会では非事業用地は時価にして約五兆八千億ぐらいで売却するのだ云々ということが言われておるわけですが、この場所、もう既に利権のうわさが絶え間ないわけです。私の選挙区にも国鉄の用地がたくさんあるわけですが、いずれにしても何平米と具体的な特定はできなくても、だれかだけが知っていてみんな知らないということの方が問題であって、やはり売却予定の場所、地域はどこだということを国民に明らかにする方がかえって疑惑を招かなくなるのではないか、やみからやみへということ自身が国民の疑惑を生み出すことになりはしないか、こういうふうに思うのです。  そういう点で、非事業用地の売却五兆八千億ということですが、これは簿価というのですか、帳簿価格はどのくらいになっておるのですか仁
  140. 林淳司

    ○林政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、私ども、二千六百ヘクタール程度、大体五兆八千億、この程度の土地は国民負担軽減という見地から売却対象とすべきであるというふうに意見を出したわけでございます。  ただ、これにつきましては、私ども個別、具体的に検討したわけでございますが、それぞれについて売却するとすればどのくらいの価格で売れるだろうかということで推計をして五兆八千億というふうに積み上げたわけでございまして、それぞれについての簿価、これは把握をいたしておりません。
  141. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 監理委員会は簿価がわからない。それではどこがわかるのですか。国鉄当局はわかりますか。非事業用地、売却する部分、それと売却しないが新会社に行く部分とありますね、それの簿価。それから非事業部門のように売却すれば五兆八千億ぐらいという試算が出ているということは、新事業体に行く資産の時価、簿価も明らかにしなければならないのじゃないですか、どうですか。
  142. 室賀実

    ○室賀説明員 監理委員会の御意見にあります二千六百ヘクタール、五兆八千億、この売却対象用地がどのような部分が出てくるかということにつきましては、意見に合わせてただいま全社挙げて作業中でございますので、そういったものが固まりませんと簿価そのものも出てこないということでございます。
  143. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 おかしいですね。簿価というのは買ったときの値段でしょう。記録してないのですか。何年何月に何ぼで買ったという値段でしょう。どうなんですか。
  144. 室賀実

    ○室賀説明員 五兆八千億の具体的な内容につきまして、どういう部分からどう出していくかということをただいま作業中でございますが、どういう部分が出てくるかによって特定していかなければならないわけでございますので、現在の段階ではそういったものは特定化されてないということでございます。
  145. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 特定できないと言ったって時価にしたときには五兆八千億、二千六百ヘクタール、それが出ているのでしょう。だから売却予定地を買ったときの値段というのはわかるのじゃないですか。なぜ調べてみなければわからぬとわかっているのだけれども発表できないという意味ですか。それではいつそれを我々に明らかにしていただけるのですか。
  146. 林淳司

    ○林政府委員 私ども限られた時間の中で非常に膨大な作業をいたしまして、その場合、必要な作業だけに絞って作業をしたわけでございます。  そこで、ただいまの資産の評価の問題につきましては、六分割会社というものに引き継ぐ資産、このうちにはいわゆる事業用資産、これが大部分を占めるわけでございますけれども、事業用資産は簿価で引き継ぐということで、これはきちっと把握をしたわけでございます。さらに関連事業用資産がございます。例えば駅ビルの底地でありますとか、出資株式でありますとか、こういうものについては譲渡可能なものでございまして、これは時価で引き継ぐということでございますので、時価についての再評価をしたわけでございます。さらに、旧国鉄に残して将来売却する資産につきましても、これは将来時価で売却するということは当然でございますので、その時価についての推計作業をそれぞれしたということで、必要な作業に絞って出しておりますので、その他の数字については集計をしていないというのが実態でございます。
  147. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 どうもわかりませんね。いわゆる非事業用地、売却予定用地が二千六百ヘクタール。それでは、非事業用地も含めて、あるいは非事業用地を除く国鉄の全資産、土地は何ヘクタールあるのですか。
  148. 室賀実

    ○室賀説明員 六十年一月現在の時点で約六万六千八百ヘクタールでございます。
  149. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 事業用地だけですか。
  150. 室賀実

    ○室賀説明員 全所有地でございます。
  151. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 そうすると、国鉄の全所有地が約六万六千ヘクタール、そのうち非事業用地、売却予定が二千六百ヘクタール。二千六百ヘクタールは時価にすると五兆八千億ということは大体わかっているのですね。それでは、そのほかの資産も大体わかってくるのじゃないですか。これは後からまた大蔵当局にも聞きたいのですが、民営・分割化をした場合は固定資産税を取らなければいかぬですね。そうした場合、評価しなければならなくなるでしょう。もう取る段取りで評価額というのは大体計算できているのじゃないですか。
  152. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先ほど来国鉄なり再建監理委員会からお答え申し上げておりますことを私どもなりに御説明申し上げます。  国鉄の土地全体というのは、六万六千ヘクタールということでわかっております。そのうちどの用地とどの用地を非事業用地として売却するかということについては、面積としては二千六百ヘクタール、そのうち何用地がどのくらいという程度お話は、監理委員会の中身で明確にされております。  ただ、具体的にどことどこかにつきましては、監理委員会が独自に御計算になりまして、五兆八千億程度の売却が可能であろう、こういうふうなことで御意見をいただいたわけです。現実には、これから私どもはその御意見を踏まえまして、現在ございます国鉄の用地を仕分けして、現実に五兆八千億の価格で売却できる用地が生み出せるかどうか、これは一つ一つ作業しなければならないということでございまして、この作業をいたしまして監理委員会の線の五兆八千億という非事業用地というものを区分したい、その作業をやっているということを国鉄がお答え申し上げたわけです。  それじゃ、いつの時点で中身が明らかになるかということでございますけれども、現実には、分割・民営化いたしますとそれぞれの会社に現在の国鉄から資産を引き継ぎます。引き継ぎ書というものを作成いたします。その引き継ぎ書という段階においては、現実にどの用地を事業用地として引き継ぐか、逆に言うと、残りました土地が非事業用地として売却等の対象になるわけでございます。そういう形はその段階までに全部詰めて明らかにしたい、かように思っております。
  153. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 いずれにしても、非事業用地、売却予定地はある程度特定できるから五兆八千億の数字が出ているのじゃないですか、平米数も出ているのですから。  監理委員会に聞きたいのだけれども国鉄を民営・分割する、その前提として破産状況であるというのだけれども、それは負債の部分を整理する、そして、本来国鉄が支払うべきか国が肩代わりすべきか、あるいは今国鉄が支払えないので何らかの形をとるか、あるいは全然お先真っ暗か。というのは、同時に資産状況も明らかにしなければならぬのじゃないですか。資産状況と債務の状況、いわゆる貸借対照表、バランスがとれていればいいわけですから。民間の場合借金なんか怖くないですよ。これも資産のうちということで、資産があればいいわけです、借金もかい性のうちという言葉もあるように。そういう意味じゃ国鉄はちゃんと資産があるじゃないですか。それをなぜ明らかにしないのですか。まず明らかにして、そして貸借対照表をつくって、それでどこを整理したらいいのか、あるいは最終的にどうするのかということが出るのじゃないですか。先に結論が出過ぎているのじゃないですか。
  154. 林淳司

    ○林政府委員 先ほど申し上げましたように、私ども国鉄の事業再建法をつくるに当たりまして、もちろんいろいろな収支計算をしたわけでございますが、一体資産がどれぐらいあるか、こういうことが当然その前提になるわけでございます。ただその場合、関連事業用の資産、例えば駅ビルの底地あるいは出資株式、そういう本来譲渡可能なものは時価で引き継ぐ、それから資産のほとんど大宗を占めます事業用資産、線路とか駅舎、これはあくまで保有いたしまして事業の用に供するというものでありますので、これは原則として簿価で引き継ぐということでありまして、それ以外の売却資産は当然売却するときには時価で売却するわけですから時価で評価する、こういうふうに仕分けをいたしまして、それを前提にあるいは貸借対照表をつくりましていろいろな採算を検討した、こういうことでございます。
  155. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 新事業体に引き継ぐときは簿価、売却のときは時価、それはそれでいいようにも見えますが、新会社で株式を発行するということになってきますと、そこの資産がどれだけの資産になるのかということ、これは電電の場合でも一緒だと思うのです。だから、いずれにしても非事業用地は時価がわかっているのですから、簿価は当然わかっていなければいかぬはずですよ。それから事業用地は、引き継ぐものは簿価で引き継ぐ。それじゃ、簿価はわかっているはずでしょう。それを時価に換算するのに時間がかかるというのはわかりますけれども、簿価はわかっているのじゃないですか。国鉄当局、どうですか。簿価で六十兆ぐらいですか、僕はよくわかりませんけれども、そんな数字もあるのですか。買い値がわからぬというのはおかしい。
  156. 室賀実

    ○室賀説明員 国鉄の全資産は十二兆一千億でございまして、そのうち固定資産は九兆九千百七十一億円でございます。
  157. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 この十二兆というのは、非事業用地も含めて全資産のことですか。
  158. 室賀実

    ○室賀説明員 先ほど、五十九年度末における貸借対照表上の全資産が幾らであるかということでございましたので、十二兆一千億ということでございます。
  159. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 それは簿価ですね。
  160. 室賀実

    ○室賀委員 それは簿価でございます。
  161. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 それを時価で評価しなければならぬですね。簿価というのは昔の土地、安い土地なのだから、それは実態をあらわしていませんね。  私がなぜ言うかというと、二千六百ヘクタールの土地を時価で売ると五兆八千億だ、そうすると、簿価が幾らで五兆八千億に売れるのだということになってきて、それじゃ簿価が全体で、全資産が十二兆円であれば、大体何掛すれば国鉄全体の時価が出てくるのじゃないか、一応、おおよそですよ、そういう意味で私聞いているのですよ。片方でわかっているものが片方でわからない、片方がわからなくて片方がわかっている、何からぐはぐになっているのじゃないですか。
  162. 林淳司

    ○林政府委員 私ども、二千六百ヘクタール、五兆八千億というもの、これは時価で評価したものでございます。これについては、具体的に個別の土地につきましてそれぞれ検討した結果でございます。  ただ、先ほど申しましたように時間の制約等がありまして、同じ土地でありましても、ある場所の土地を全部というわけじゃなくて、例えばそのうちのこの部分は売れる、これは売れないというふうなことがあるわけですね。そういう場合には、帳簿上は全体で簿価が出ておる。ところが、売らない土地と売る土地について簿価をさらに仕分けしていくというふうな作業というものは、私どもとしてはそこまでやる必要はないのじゃないか。それは、いわゆる売却対象資産については、実際の時価として幾らで売れるかということを推計することが私どもの目的でございますので、それに沿って作業をしたということでございます。  さらに、現在それじゃその箇所については最終的に、具体的にどういうふうに仕分けをするかという作業は、改めて今政府及び国鉄において行われているわけでございまして、その作業が全部終われば当然それについての時価、そのほか簿価についても明らかになると思います。  ただ、この二千六百ヘクタール、五兆八千億という売却対象の土地というのは、例えば首都圏でありますとかそういう評価倍率の非常に高いところがかなり大きなウエートを占めているわけでございまして、簿価と時価との間の評価倍率、二千六百ヘクタールの評価倍率で全体の時価を推計することは恐らく不可能であろうというふうに考えております。
  163. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 詳しくわからぬからということだから、それじゃ大体の比率を掛けたらどうか。本当は、これは個別的に評価すればいいんです。それは、いつまでに作業が終わるのですか。本来ならこれははっきりしておかなければならないのじゃないですか。それこそ、そんなこと言うから親方日の丸的と言われるんじゃないですか。簿価というのは名目なんだから、実体はやはり時価、現価ということになるわけですから、それを売るとか売らないとかいうことは二の次じゃないですか。売る、売らぬの問題、売る土地と売らぬ土地と分けてというよりも、まず全体で簿価が十二兆円ならば——運輸大臣が出られるということですが、大臣、今のこの議論どう思われますか。一回感想を述べてください。話が進み過ぎているんじゃないですか。(発言する者あり)
  164. 山下徳夫

    山下国務大臣 非常に難しい問題でございまして、私も実は率直に申し上げて、問題は事業用地と非事業用地は評価の仕方が違うと思うのです。つまり、レールとかいろいろなものがあって事業用地というものは評価される、問題は非事業用地の問題だ、私はお尋ねの件はそういう問題ではないかと思っておりますが、これはやはり国鉄当局がお答えになるのが一番正しいのではないか。評価の基準については、これは政治問題ではなくて、積算の基礎というものはやはり国鉄お尋ねになるのが一番いいのではないかと思うのです。
  165. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 いや、国鉄にも聞いているんだけれども、なかなか出てこない。  その非事業用地は五兆八千億で二千六百ヘクタール、こういうように特定しているから時価はもう出てきているんでしょう。そしてその簿価は何ぼであるのか。その簿価がわかればある程度、事業用地はまだ売るのじゃないのだけれども、しかし、新会社に移行するとするならば、どのくらいの時価にしたらどれだけの資産になるのかということは、これは大事じゃないですか、運輸大臣。これはどうでもいいんですか。
  166. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先生のおっしゃる御疑問はよくわかります。そこでちょっと私が御説明を申し上げたいと申し上げたのは、大臣が今申し上げましたように、鉄道用地のうち事業で使っております部分というのは、例えて言えば、駅でお考えいただけばわかりますけれども、駅の周辺の地価が高いというのは、鉄道があるがゆえにそこの地価が高いわけでございます。したがって、その鉄道を撤去して売ってしまうとなればまたこの価格は変わってくる、そういうことを大臣は今申し上げたわけでございます。  したがいまして、今回の場合には、鉄道用の事業用地は簿価で引き継ぐということになっておりますから、再建監理委員会が先ほど御答弁申し上げましたように、その部分のところは簿価の評価で当面は足りるのではないか。問題は、先生の御疑問のように、その簿価で引き継ぐ事業用地以外の非事業用地、これはおっしゃるように、時価で幾らであるかということは明確にしなければいけないと考えております。  それで、先ほど来御答弁申し上げておりますように、監理委員会の方ではそれを一応監理委員会なりにお当たりになりまして、その用地のうち売却可能な非事業用地というものは五兆八千億であるというふうに評価をされたわけですけれども、これはあくまでも監理委員会の御評価でございまして、これを受けまして、国鉄と政府におきまして現実にどれだけになるかということを十分精査をいたしまして、新しい会社に引き継ぐまでには明確にいたしたい、かように思っております。
  167. 上田卓三

    ○上田(卓)委員 納得できません。質問できません。大臣が退席されるのなら私は留保します。そして後日、これはこの委員会で聞かせてもらいます。それに答えられないのだから。これは本来なら答えてもらう問題だと思うのですよ。恐らくこれ、あと少しやったって大臣は答えられないんじゃないですか。だから少し時間的猶予を与えますから、私の持ち時間を残します。私の質問はこれで終わります。あと別の機会にします。いいですか、委員長
  168. 越智伊平

    越智委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  169. 越智伊平

    越智委員長 速記を入れて。  上田君の質問は三十三分残しまして、次に繰り越します。  続いて坂口力君にお願いをいたします。坂口力君。
  170. 坂口力

    ○坂口委員 大蔵大臣がもう少しするとお見えになるようでございますので、少し質問が前後いたしますけれどもお許しをいただきたいと思います。  今回提出されました共済年金の法案は、基礎年金部分の導入を行いますとともに報酬比例部分厚生年金並みに整理をして、その上に職域年金を新設する、こういうふうに理解していいと思うわけであります。  そこで、この基礎年金部分は、財政的にも一本化されるわけでありますから、これは本当の一本化でありますが、報酬比例部分は形を、厚生年金共済年金とを同じように整えるというにとどまりまして、財政的にまでこれを一本化するというところまでは至っていないわけでございます。これからだんだんと報酬比例部分を形を整えて、そして民間のサラリーマンであってもあるいは官公庁の職員の皆さんであっても同じ形にするわけでありますが、将来、二階の部分も一本化するおつもりなのですか、それとも二階の部分は、形は整えるけれどもこれは別々のままで進めていくというおつもりなのですか、そこからひとつお聞きしたいと思います。
  171. 増岡博之

    増岡国務大臣 ただいまのお尋ねの問題も含めて、この共済年金法案を通過させていただいた後に、昭和七十年に向けての検討課題になっておるわけでございます。
  172. 坂口力

    ○坂口委員 大蔵省の方はどうですか、それでよろしゅうございますか。
  173. 門田實

    門田政府委員 やはりこれは大きな問題でございまして、今回の給付面での整合性を図った後、七十年に向けてどういうふうに持っていくか、そういう仮定の中での大きな検討課題だ、こう思っております。
  174. 坂口力

    ○坂口委員 門田さん、今お答えになったのは大きなこれからの課題になるというお話ではありましたけれども、大蔵省側としてできるだけそういうふうにしたいとかという意思表示ではないのですよね。なぜ私がこういうことを申し上げるかと申しますと、共済年金の国共済の収支見通しを見せていただきますと、現行のままでいきますと、二〇〇〇年ですか、昭和七十五年に非常に収支が悪化をいたしまして、昭和八十年ぐらいから収支は赤字に転落するわけですね。  今度の新しい、現在のこの法案が通ったと仮定をいたしますと、まあ通るか通らぬかわかりませんけれども、通ったと仮定をいたしますと、昭和八十五年に悪化をして、九十年から赤字に転落をする、新しい制度になりましても、これでは十年ずれるだけの話なんですね。当然のことながら、現行制度よりも改正案の方が、赤字になる率でありますとかその程度というのは決して悪くはありませんけれども、しかし、この収支見通しを見せていただきますと、新しい制度になりますと十年ずれて、十年間赤字になるのが先送りになるというだけでありまして、現在審議されておるこの法案が通ったといたしましても、法律ができ上がったといたしましても、いずれは赤字になる時期がある。それを考えますと、これは早い時期にやはり二階建ての部分一元化をするということに踏み切らないと、国共済そのものが大変になるんじゃないですか。
  175. 門田實

    門田政府委員 ただいま計数を挙げて御指摘がございましたが、御指摘のように、現行のまままいりますと昭和七十五年度ころから赤字になってまいりまして、その後はいわゆる賦課方式、毎年毎年の収支を合わせていく、そういう仕方で保険料率を上げていかざるを得ない、そういう方式へ移行してまいるわけでございます。  それに対しまして改正案によりますと、ただいまお話がありましたように、昭和八十五年度ないし九十年度ごろ一時的に収支差が出てまいりますが、実はこれは現職公務員に非常に職員構成上のこぶがございまして、その山がこの辺にくると受給者としての山になってまいるということでございまして、また昭和百年度ごろからは収支は黒字に戻る、一応こういう試算をいたしておりますが、これはこれの姿といたしまして、やはり一元化方向へという課題は課題である、こう考えております。
  176. 坂口力

    ○坂口委員 課題であるだけではなくて、どうしてもその方向に進まなければ国共済年金がなかなか維持できなくなることは、これはもう火を見るよりも明らかでございます。その意味で、先ほど申しましたように単なる形を整える一元化ではなくて、二階の方も一本化をしていかざるを得ないだろう、そのことを私は申し上げているわけでございます。  この法案が審議され始めました最初から、いわゆる国鉄共済の破綻状態にありますことが取り上げられまして、大きな問題になりました。この国鉄共済をどこが支援をするかということは、繰り返し繰り返しここで議論になりましたので、そのことを私あえてここで申し上げようとは思いませんけれども、この国鉄の問題は、決して国鉄だけの問題ではなくて、共済全体が抱えている問題であり、あるいはまた、年金全体が抱えている問題だということが言えるかもわからないと思うのです。これは国鉄だけにとどまらず、いっかはこの姿が自分たちにも訪れる可能性があるということを示している、そう理解をしてもらわなければならないと思うわけでございます。  そこで、本院の審議の終了までにこの国鉄の問題につきましては一つの決着をつけて発表をいただくということになっておりますが、どう考えましても、六十四年までの問題は別にいたしまして、六十五年以降のことを考えますと、いわゆる共済グループだけでこれを支援していくということは非常に難しい、それをはっきり言うか言わないかは別にいたしまして、これは私は非常に難しいと思う一人でございます。  そういたしますと、これは国の方が国鉄共済につきましては支援をするか、さもなくば厚生年金にお手伝いをいただくかということにならざるを得ないわけであります。あるいはその両方の方向に行かざるを得ないということになるのではないかと思うわけであります。そういたしますと、厚生年金を受けておみえになる民間サラリーマンの皆さん方といたしましては、共済の方は都合のいいときには自分たちでいいところだけつまみ食いをしてきたじゃないか、そして行き詰まったときに我々にそれを手伝えというのは酷ではないかという議論が確かに出るわけでございます。アリとキリギリスに例えるのは失礼でございますけれども、どうも調子のいいときには大盤振る舞いをし過ぎたのではないか、そして困ったときに我々に助けてくれと言うのではないか、こういう議論もあちこちで起こっていることも事実でありまして、そういうことを考えますと、ここで厚生年金に対しまして何らかの手を打たなければならない。大蔵大臣がそれはもう任せろ、国の方で国鉄は全部見ようとぽんと胸をたたかれるのだったらこれはもういいわけでありますが、もしこの厚生年金に手伝いの手を差し伸べてほしいということを、その程度は別にいたしまして言うのでありましたら、私は、厚生年金に対して何らかの手土産が要ると思う。キリギリスがアリに頼みに行きますときには手土産が必要である、こう思うわけでございまして、そういう意味で大蔵大臣から、手土産としてはどんなものがあるかということを、考えられるものがありましたらお答えをいただきたい。
  177. 竹下登

    竹下国務大臣 まだどうするかということが具体化しない前に手土産なんというのを議論するわけにはいかぬじゃなかろうか、こんな感じがいたしております。胸をたたいて、任せておけ、一般会計でちゃんと処置するということになりますと、一般会計そのものはこれまた税というとうとい国民の負担でございます。したがって、いずれにせよ国民の理解が得られるような方法でこれに対応しなければならぬ。ない頭で、今の意見等を十分念頭に置きながら検討させていただきたい、こういう心境でございます。
  178. 坂口力

    ○坂口委員 なかなかはっきりは大蔵大臣からは言いにくいだろうとは思いますが、しかし実際問題として私はそうだろうと思うのです。  そこで、仏の顔も三度という言葉がございますが、きょうは三回目の質問に立たせていただきまして、財投の問題はことしになりましてからこれで四回やらせていただくわけで、どうもやらせていただく方といたしましていささか気が引けるわけでございますが、その手土産と申しますのは実は財投のことでございました。それで、御承知のとおり厚生年金積立金が約五十二兆円に達しようといたしておりますが、この積立金というのは一体これはだれのものですか。厚生大臣は、これはだれのものだと思いますか。国のものですか、それとも被保険者のものですか。
  179. 増岡博之

    増岡国務大臣 それぞれ加入しておられます年金加入者の財産だと思います。
  180. 坂口力

    ○坂口委員 これは大蔵大臣も御異論ないと思うんですね。税金でございますと、それはもちろん国庫に入りましたら国のものということになるのでしょうが、積立金は、貯金のように欲しいときにおろして使うわけにもいかずという面がございます。しかし、一たび出していただきますとそれは自由にはなりません。国のものというのでもないが管理は国がいたします、管理権は国にあるかもしれませんが、しかし、積立金そのものはこれは被保険者のものではないかと思うのでございます。いかがでございますか。
  181. 竹下登

    竹下国務大臣 法律上正確にどういうものかということになると、私、よう答えられませんが、いずれにしても被保険者の方々の拠出金を国がお預かりして管理しておるもの、こういうことではなかろうか。いささか政治論みたいな答弁になりますが、法律的にはどういうものかということになりますと、ちょっと答弁できません。
  182. 坂口力

    ○坂口委員 資金運用部資金法の第一条には、その目的が書いてございますけれども、「積立金及び余裕金を資金運用部資金として統合管理し、その資金を確実且つ有利な方法で運用することにより、公共の利益の増進に寄与せしめることを目的とする。」こう書いてございます。今さら申し上げるまでもなく「確実且つ有利」、こう書いてあるわけでありまして、今までの資金運用部資金の利用の姿を見ておりますと、これは確実でありますことには間違いないと言いたいのですが、しかし中には焦げついたものもかなりございまして、確実であったかどうかということも疑わしい面もあるわけですが、有利ということについては、どう考えましても有利に運用されたとは言いがたい一面がございます。有利というのはどの程度をもって有利とするのか、これもいろいろ議論があると思いますが、共済年金の場合には一部有利運用をされておる。共済年金の一部運用の場合に有利と言われるのは、大体どのくらい有利に運用されておりますか。
  183. 門田實

    門田政府委員 国家公務員共済の場合でございますが、実は資金運用部への預託も一部やっておりまして、また、組合員への貸付金、住宅ローンでありますとかああいう貸付金もやっております。したがいまして、有利運用といいますか、今の二つを除きました比率といたしましては四六%ぐらいのものがいわゆる有利運用的な自主運用、こういうことになっております。
  184. 坂口力

    ○坂口委員 この「国家公務員等共済組合の資金運用実績」を見せていただきますと、「定期預金等」というのとそれから「有価証券」というのがございますが、この辺が有利運用になるのだろうと思います。この二つは、大体運用利回りはどのぐらいになりますか。
  185. 門田實

    門田政府委員 五十九年度の場合に全体の平均運用利回りが六・九%ということになっております。これは先ほどの運用部預託とそれから低利の組合員貸し付けを含んだものでございまして、お尋ねの分類によりますものは今ちょっと調べてまいります。
  186. 坂口力

    ○坂口委員 調べてもらっておる間に話を進めますが、これを見せていただきますと、「国家公務員等共済組合の資金運用実績」というのは、運用利回りとして六・九%、こう書いてあるのですが、これは全部ひっくるめての話だろうと思うのです。いかにも国共済も運用利回りは低いですよと言わんばかりの姿になっておりますけれども、これはどうもおかしいので、二号資産としてとりわけ定期預金や有価証券にされてあるもの、その運用利回りというものはこんなことはないだろう。定期預金と有価証券両方とで大体全体の三分の一ぐらいになりますかね。そのくらいの運用をなさっているわけで、ここは平均いたしますと少なくとも七・五以上ぐらいにはなっているのではないだろうかと思うのです。ちょっとそれを調べていただいて……。  大臣、調べていただいております間に少し議論を戻したいと思いますが、確かに積立金と申しますのは、法律的にはだれのものなのかということの判断は難しいとは思いますが、しかし、これはいわゆる被保険者が出されたものでありまして、それの管理、運用は国に任されている。少なくともこれは被保険者に権限のあるものなんだろう。といいますのは、例えば中小企業の方々が住宅ローンですとかそのほかの事業資金を借りられますのに、恩給担保貸し付けというのがございます。これは一人につきまして百九十万円まででございますけれども、恩給それから共済年金等を担保にいたしまして金を借りることができるわけであります。国民金融公庫の恩給担保貸し付け実績を拝見しますと、五十九年度で二十万三千二百八件、額にいたしまして千三百三十三億七千三百万円、これだけの額に上っております。こういうふうに恩給担保貸し付けというのもあるぐらいでございますから、これは個人、個人と申しますか、被保険者に対する権限が残っているという一つの証拠でもあるだろうと思うわけでございます。そういう金でありますから、これを確実かつ有利に運用しなければならないことは当然でございますが、現在までの財投の物の考え方、資金運用部資金の運用の考え方といいますのは、借りる側に立ちまして、借りる側に非常に低利で、そして確実に使っていただく、こういう立場に立ってきているわけでありますが、資金運用部資金の資金を使いますときに、これを出してもらった人たちの立場と申しますか、被保険者の立場に立ってできるだけ高利にこれを運用するという考え方はその中に非常に少ないわけでございます。そこで、これをもう少し方向転換してもらう必要がある、もう少しこれを出した皆さん方の立場に立って運用するという考え方が導入されてしかるべきではないだろうか、私はそう考える一人でございます。  この資金運用部資金がいろいろの形で使用されまして、そして自主運用という形ではなくて現在の形で、日本財政の中で、あるいはまた社会的な資本を充実させるという意味で、大きな役目を果たしていることは私も率直に認めるものでございます。しかし、これをすべて使い果たしていって果たしていいのであろうか、そういう疑問を強く持ち続けてまいりましたが、厚生年金の方も国民年金の方も新制度になりまして、そして出発はいたしますものの、昭和七十五年から八十年ぐらいになりますと、財政は新しい年金制度におきましてもやはり非常に逼迫をするわけでございます。したがって、どうしてもこれを乗り越えていかなければならない。それを乗り越えていこうと思いますと、やはり自主運用ということが問題になってまいります。厚生省の方は、この前も申しましたように研究会を開いておみえになるわけです。大体毎年二兆円ぐらい自主運用をするとして、ちょうど七年間になっていますが、七年間だんだんふやしていくということになりますとどのぐらいの利息になりますか。試算はございますか。
  187. 丸山晴男

    ○丸山説明員 お答えいたします。  毎年二兆円で七年間、累積でございますか、運用しますと実績は幾らかという御質問でございますが、私ども、来年度の要求をしております高利運用案におきましては、現在の厚生年金基金の運用利回りが平均八・六でございまして、それと資金運用部預託金利の差が一・五%ほどございます。その差一・五%を七年間で複利で運用いたしました場合に、要求額四兆円でございますので単年度六百億、七年間で四兆円でございますと二兆三千億でございますが、先生質問の二兆円になりますと、単年度一・五%掛けますと三百億でございますが、七年間になりますと、複利計算でございますので、ちょっと手元に資料がございませんが、それなりの金額になろうかと思っております。
  188. 坂口力

    ○坂口委員 二兆円を超える大きな額になるということでございまして、それは当然のことだろうと思います。総理府の中に資金運用審議会というのがあるということを、大蔵大臣からことしの春でございましたか御答弁がございまして、そしてきょう実はそのメンバーを見せていただいて、その目標とするところもちょっと拝見したわけでございます。大変立派な先生がずらりと並んでおみえになりますが、この資金運用審議会の方はむしろ資金運用部に入りました資金をいかに運用するかということに対する議論の場でありまして、財投そのもの、そしてその中に含まれる自主運用なら自主運用をどうするかという話には少し向かない審議会のようにも思われるわけでございます。大蔵大臣はその辺のところは十分御存じの上でお答えいただいていると思いますし、先般もここでこの議論をいたしまして、それは財投そのもののあり方の問題だという御指摘がありましたけれども、私もそう思う一人でございます。厚生省の中には自主運用の研究会が生まれ、そして大蔵省の理財局の中にはその研究会が存在する、こういうことでございますが、これ以上になかなか進んでいかないということが、先日も議論の最終の結論でございました。いろいろと資料を見せていただいておりますと、昭和五十四年の十二月に、昭和五十五年の予算編成に際しまして、積立金の運用の改善についていろいろ決定をいたしております。その中に、大蔵省に年金資金懇談会を設置するというのがございますけれども、これは、その後どうなっておりますか。
  189. 窪田弘

    ○窪田政府委員 年金資金懇談会は、開催の回数は少のうございますが、財政投融資の編成のとき、あるいは、先般も実は預託金利を引き下げさせていただきましたが、その節も開いていただきまして、御意見を伺い、資金運用部資金の中に年金資金を預託していただいているという立場からいろいろ御意見をいただいている次第でございます。
  190. 坂口力

    ○坂口委員 そうしますと、これは積立金の運用全般についてつくられたもので、理財局長さんのところにございます研究会とは別ですね。
  191. 窪田弘

    ○窪田政府委員 これは全く別でございまして、先ほど御指摘のような経緯に基づいて年金資金をお預かりしているという立場から御意見を伺っているものでございます。
  192. 坂口力

    ○坂口委員 余り時間もありませんので、ぽつぽつきょうの結論を導き出さなければならないと思うのですが、いつも議論はここまでは来るのですが、ここから先が進まないわけです。大臣が先日、財投全体のあり方、郵便貯金の問題もある、こういうふうに言われました。ただ、私考えますのに、確かに郵便貯金も大事な問題でございますし、郵貯の自主運用という問題も出ていることは事実でございますが、預け入れそれからそれを引き出すということが自由にできる貯金と、一度入れてしまったらもう出すことはでき得ない年金とは若干意味合いが違うとも私は思うわけであります。これを乗り越えていきますのに金融の自由化とあわせてどうしても考えなければならない時期に来ている。金融の自由化、金利の自由化で金利が非常に大きく動きます中で、この五十兆円になんなんとする積立金だけが金利が固定化されて動かないというのは、まことに不自然でもありますし、それはいつまでも許されることではないだろうと思うわけであります。それらも含めてこれはどうされるのか。理財局長さんのところの研究会で済むものなのか。そして大蔵省は大蔵省、厚生省厚生省で別々にやっていて済むものなのか。また、この運用につきましても、一部におきましては国鉄には八兆円を超す貸し出したままの焦げつき、焦けつきというと大変言葉が悪うございますけれども、そういうお金もある。それから、予算が非常に厳しいということもありまして、この財投の使い方につきましては、財投の本来の姿勢からするならばこれは少し行き過ぎではないかと思われるような使い方も見られる。これらのことがあります中でこの問題をどう決着をつけるか、これはどうしても結論を出さなければならない時期に来ておるというふうに思うものですから、あえてここでもう一度私は取り上げさせていただいたわけでございます。この辺で大蔵大臣に腹の中を打ち明けたところをお聞かせいただく以外にないだろうと思います。
  193. 竹下登

    竹下国務大臣 何度か御質問をいただいて、その間もそう進歩したお答えもしていないというのが実態でございますが、資金運用審議会は御指摘のとおりの性格を持っておりますので、いわば財投のあり方についてということになると必ずしも適切であるかどうであるかということについて幾たびか疑念を申し上げているわけです。したがって、まずは部内で勉強してみようというので、理財局長の私的諮問機関としての財投研究会、これには一つ方向が期待できるのではないかというふうに思っております。  その後は、整理してみますと、臨時行政調査会から財投についての指摘を受けて、臨調の延長線上とでも申しますか、それがいわゆる行革審でございます。行革審におきまして今特殊法人のあり方という角度から御検討をいただいておるわけであります。私は一つの適当な場所だなとは思っております。そうすると、行革審から意見として出されますならば、あるいは新しく場所を設けて審議しなさいという意見になりますのかそれは予測できませんけれども、行革審で今やっていただいているのが、私と坂口さんが問答しながらいつも言っておる問題点にはとりあえずは一番適しておるんじゃないかな、こういう感じがしております、ある意味において第三者機関なものでございますから。     〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
  194. 坂口力

    ○坂口委員 行革審の中で特殊法人とおっしゃったのですか、特殊法人についての議論をされているというそのことが財投の問題と結びついてくるのかどうか。どうも日本の国の中でアメリカの話をするような気がしてならないわけでありまして、必ずしもそれが適当かどうかということ、ちょっと私もここで意見を言いにくいわけでございます。適切であるかどうかということはちょっと言いがたい。むしろもう単刀直入にこの問題については早急に政府部内で意見統一を図られて、その場をつくられるということでなければ、その場しのぎになる可能性がある。一方においては、もう年金財政に火がついてきている。この資金運用については低利運用だけれども、しかし、その分は国庫負担で補いますよ、こう言うのならそれはいいわけです。けれども国庫負担はこれ以上でき得ませんというのであるならば、そこに少しでも自主運用の道があってしかるべきではないか。また、それがあるかないかということによって国鉄問題も決着できるかできないかということの大きな分かれ目になってくるのではないか、私はそんなふうに思うわけです。  どうも大蔵大臣の今の御答弁では少し物足りない。大分遠慮して申し上げておるわけで、かなり物足りないと本当は思っているわけであります。遠慮して申し上げても少し物足りない気がするわけでございます。これは緊急を要する課題だと思うのです。本院の審議中の最終に国鉄問題だって決着つけてもらわなければならないわけです。そのときに、もう少し知恵を絞っていただいて、具体的なことをある程度言ってもらわなければならない。言ってもらわなければならないということになると、財投の問題もどうしても決着をつけなければならない問題になってくると私は思うのです。この辺を素通りして、何も言わずに、そしてすべてはお願いをしますということを厚生年金に言うわけにはいくまい、私はそう思うのです。その辺のところを私は緊急にお詰めをいただきたいと思いますので、もう一度御答弁をいただいてこの問題は終わりにしたいと思います。
  195. 竹下登

    竹下国務大臣 確かに、今申しました行革審で御審議いただいているのは特殊法人の見直し作業、そうすれば、財投を使う客体が特殊法人でございますから、それは財投運営の中に当然反映されていくであろうということは言えると思います。  もう一つ、今ちょっと私自身気がつきましたのは、資金運用部資金でいわゆる地方債なんかも出しているわけですからこれは余り特殊法人と関係ないなと思ったわけでございます。  それと同時に、御指摘がありました金融の国際化、自由化の問題。年金の有利運用と申しますか、自主運用と申しますか、融資範囲の拡大と申しましょうか、そういう面と、金融の自由化なかんずく金利の自由化が始まっていくという面、そうして今日まで第二の予算として機能しておる財投機関、この三つの面から議論してみなければならぬという問題意識は、議論すればするほど問題意識としてはひとしくしているのではないかな、私もこういう感じがいたします。したがって、どのような形で議論を進めていくか、連年予算編成のときに要求に基づいて運用問題を議論して、結局継続審議になってずっと続いておるということでございますので、その辺今おっしゃったような御意見等を参考にして、もう少し勉強の時間を与えてやってくださいませ。にわかにこれはこういうところでやりますというようなことは、ちょっと私も即断しかねます。
  196. 坂口力

    ○坂口委員 理財局長のところで随分勉強はしていただいているわけでありまして、大体いつまで勉強したらいいのかということも際限のない話でございます。別にゆっくり構えて議論をしておって済む問題ならば、それはよろしいと私も申し上げたいのですが、これは緊急を要する課題であるだけに、そういつまでもゆっくり勉強させてくださいということでは済まない。二年も三年も浪人をしている人が勉強しているような調子にはいかないだろうと思うのです。これは、早々に決着をつけていただかなければならない問題だろうと思います。  そこで、これは委員長に御質問——質問というわけにはいかないからお願いを申し上げますが、この大蔵委員会には金融問題、それから財政問題等の小委員会がございます。政府の方にも財投の問題をいろいろと考えていただく場をつくってほしい、つくるべきだということを要請をいたしておりますけれども、今お聞きのようになかなか遅々として進まない。そこで、大蔵委員会の中に財投問題小委員会というのを次の国会からぜひつくっていただきたい。そして、政府の方が動かないのなら国会がこの問題を動かしていく、ひとつこういうふうな姿勢でいきたいと思いますが、いかがでございますか。
  197. 中川秀直

    中川(秀)委員長代理 私は代理でありますから、委員長とよく相談をいたしまして、また、理事会で各党それぞれ相談をいたしましてこの問題は取り扱いたい、かように存じます。
  198. 坂口力

    ○坂口委員 ひとつそれはよろしくお願いを申し上げたい。  それでは話題を変えますが、もう一つだけお聞きをして終わりにいたしたいと思います。  先ほども高齢社会あるいは高齢化社会お話が出ておりましたが、この高齢社会または高齢化社会を乗り切るために一番大事なことは何か。私もずっと考えておりますが、厚生大臣は担当大臣として、どうしたら高齢社会を乗り切れるのか。先ほどお話がございましたとおり、高齢化する割合が多くなる、高齢化部分が多くなれば、今度は逆に若年層のところが少なくなってきて、そして十五歳から六十四歳までの人口高齢化しておるところと若年層とを足したところとを比較をすると、パーセントはこれからもそう変わらないという議論がいつもございましたし、事実そうだろうとは思うのです。しかし、高齢化してまいりましたここのところは、子供とはまた違ったいろいろの問題を抱えていることも厚生大臣御存じのとおりでございます。これを乗り切るために、一言で言うならどうしたらいいとお考えになりますか。
  199. 増岡博之

    増岡国務大臣 一言でと、大変難しいお尋ねでございますけれども、少なくとも社会的な負担で生きていく人口を減らすということがまず大事ではないかというふうに思います。
  200. 坂口力

    ○坂口委員 名答弁でございまして、批判は差し控えたいと思いますが、私は、六十歳代の人がいかに元気に生き得るかどうかということが高齢化にするかしないかの分かれ目だと思うのです。大蔵大臣厚生大臣はその年代に達しておみえになるかどうか存じませんけれども、いよいよこれから山場に差しかかって大きなことをやろうとなされる方と、六十歳になったら余生を楽しもうと思われる方、いろいろあるわけでございます。これから大詰めの仕事をなさろうという方は気も張っておりまして心身ともにお元気でございますが、しかし、一般的に申しますとそうはいかないわけでございます。六十歳代というのは、医学的には非常にばらつきの多い世代でございます。お元気な方は、五十歳代、四十歳代と余り変わらないお元気さをお持ちになっておる。ところが、非常に老化の早い方は、体力あるいは気力も非常に減退をされるという時代でございます。非常にばらつきの多い時代でございます。でき得る限りこの六十歳代を元気により多くの人が切り抜けるということになり得れば、人口構成から見まして、六十歳代が元気であるならば日本高齢化社会の心配はないわけであります。一にかかりまして、夢の六十歳代にするかそれともミゼラブルな六十歳代にするかによりまして、高齢化社会云々の問題は分かれてくると考えている私は一人でございます。  そこで、年金につきましても、より元気に働く六十歳代というものをつくることにもう少しバックアップをする年金制度であらねばならないのではないだろうか、そんなふうに考えております。厚生年金それから共済年金のいわゆる減額支給部分でございますが、これは何年金と言いますか。一部働いていて——在職老齢年金ですか。この在職老齢年金を見てみますと、共済年金の方は今まで本法の中に在職老齢年金の項目がございましたね。七十七条でございますか、ここにございます。今度の新法と申しますか、今出された改正法案の方は、これは本法になくて政令になっている、こう聞きましたが、そうですか。
  201. 門田實

    門田政府委員 先生お尋ねの七十七条は、他制度へ移りました場合の年金支給を一部停止する、こういう条項でございます。それで、これにつきましては今回もそのような扱いをいたすわけでございますが、その具体的な中身は政令の方で具体的に規定をしてまいります。
  202. 坂口力

    ○坂口委員 減額退職年金は……。
  203. 門田實

    門田政府委員 それは、所得制限に応じた退職年金の一部支給制限と通常言っております。
  204. 坂口力

    ○坂口委員 それは、本法に入るわけですか。
  205. 門田實

    門田政府委員 本法に根拠法がありまして、具体的な支給制限を政令でいたします。
  206. 坂口力

    ○坂口委員 それで、今までの共済年金ですと、給与が六百万を超えなければ年金減額されることはなかったわけですね、現在の共済年金は。これが今後どうなるかよくわかりませんが……。したがいまして、例えば給与が六百万円で年金がもし二百万あったといたしますと、共済年金でありますと年金は百六十万円支給されまして、したがって六百万に百六十万を合計いたしました額が支給される。しかし厚生年金の方でございますと、厚生年金は十五万円までが二割支給ということでございますから、この辺を超えてまいりますと年金はなくなってくるということでございますから、六百万もの給与がございましたら厚生年金は全く支給はされませんで、これは給与だけということになります。  それから、もう少し額を下げまして、では年金を月十五万ずつ、年間百八十万もらっておみえになります方が給与をまた十五万ずつ、年間百八十万で再就職なすった、こう仮定をいたしますと、この厚生年金減額支給で計算をすると、十五万でございますからこれは二割支給でございまして、そうしますと年間百八十万が三十六万になるわけでございます。そして、給与が百八十万でございますと合計いたしまして二百十六万、月十八万ということになるわけであります。ところが、この共済年金の方は、これくらいの額でございますと年金は丸々支給されますから百八十万、そして給与の百八十万を合わせまして三百六十万、月三十万が支給される、現在こういう差があるわけなんです。この辺のところが今後どうなるのかということに一つの興味を持っております。  それは、この年金制度に三階建てができましたように、この辺のところにも若干民間サラリーマンとの差をつけるのか、それとも今後は形を一つにするのですから民間サラリーマン並みにしてしまうのか、それはどういうおつもりであるかということをひとつお聞きしたいと思います。
  207. 門田實

    門田政府委員 ただいま先生からありましたお話で、いろいろな数字はそれでよろしいのですが、一つだけ前提がございまして、公務員の場合は公務員をやめて民間会社等、つまり厚年グループヘ行ったときにそういった所得による支給制限を行う。それから、民間会社の人につきましては、非常に所得の低い人はその会社にいながら年金が一部もらえるという制度がございますが、民間会社の人がその会社をやめましてもし共済年金等の適用を受けるような第二の就職をした場合には、厚生年金は丸々支給される、制度としてはそうなっております。ただ、そういう例は余りありませんで、そこで実際上のバランスをとるということで共済の方だけがそういう制度を現在やっておるわけでございます。  それで、お尋ねの今後どういうふうにするつもりか、こういうお話でございますが、やはり共済組合を離脱しまして他の公的被用者年金制度に入った場合につきまして、全然支給しないということもできない話でございまして、今考えております考え方だけを申し上げますと、現職公務員の平均的な所得は四百数十万円ぐらいでございますが、そのくらいの所得の人は年金額の二分の一の支給停止をする、これを基準にいたしまして、それより所得の高い人には支給停止の割合を高めていく、それから、第二の職場へ行きましてその平均的所得よりも所得が低い人には、支給停止割合を少なくしていく、こういう形で実際的なバランスをとろう、こう思っております。     〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着席〕
  208. 坂口力

    ○坂口委員 私がこのことを質問した一つの理由は、これは厚生年金においても共済年金でも同じでございますが、例えば六十歳なら六十歳で定年を迎えられて再就職された場合に、再就職をしても年金額減額されますために、これは特に六十歳から六十四歳までの間だと思いますか、減額されますために、働く場所はあるのだけれども、働いても総合計をすると決してふえない、ふえても一万か二万しかふえない。例えば先ほどの給与と年金が十五万、十五万の人なんかは三万円しかふえないわけでありまして、それだったらもう遊んでいようかという人も一般には非常に多いわけでございます。  その六十歳を過ぎた人たちが、定年退職をされて、そして仕事を持たずにぶらぶらしておみえになるということは、心身ともに非常に老化を加速させることに結びついてくる。夢の六十歳代をつくり上げようと思いますと、どうしてもこの人たちにより希望を持って働く場所を持っていただく方がよろしいのではないだろうか。そういう意味で、減額は多少あっても働いた方がより夢があるという体制をつくることの方が、一人の人に減額する額は少なくなるかもわかりませんが、全体で見ると年金財政にとってもプラスではないだろうか、私はそんなふうに考えます。  厚生年金の場合も、二割、五割、八割と支給減額割合が大まかなんですね。九万二千円から四万五千円までは八割、十二万六千円から九万八千円までは五割、十五万円から十三万四千円までは二割支給、こういうふうに大まかでございますので、これはもう少し細かな段階にできないだろうか、そして働く人たちが、働けば給与と年金をもらって、やはり働いたなという実感が持てるような感じにならないだろうか。共済年金の方も、これからもし考えられるとするならばその辺のところを生かす形で結論を出していただきたいというのが私のお願いでございます。大蔵大臣並びに厚生大臣に御答弁をいただきまして、終わりにしたいと思います。
  209. 竹下登

    竹下国務大臣 まさしく今おっしゃったような制度考えよう、こういうことであるわけでございますから、御趣旨を十分体して対応してまいります。
  210. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘の問題につきましてはかねてからいろいろ御議論のあるところでありまして、関係審議会におきましてもその基本的な仕組みについて御議論願ったわけでありますが、今回の改正におきましては、現行制度の仕組みを踏襲せざるを得なかったということでございます。  なお、弁解がましゅうございますが、六十五歳に達しましたときには全国民に老齢基礎年金支給することから、厚生年金においても在職のいかんにかかわらず老齢年金を全額支給することにいたしております。  いずれにしても、在職老齢年金の仕組みがより実態に沿った合理的なものになるよう今後とも検討してまいりたいと思います。
  211. 越智伊平

    越智委員長 先ほど答弁のできていなかった分について答弁させます。門田審議官
  212. 門田實

    門田政府委員 先ほどお尋ねのございました国共済の資産運用の中で有価証券等に対する運用利回りでございますが、五十八年度は七・八一%、五十九年度は七・五一%でございます。
  213. 坂口力

    ○坂口委員 これで終わりにさせていただきますが、委員長が先ほどお留守の間に委員長にお願いをした件がございます。ぜひひとつよろしくお取り計らいをいただきますようお願いを申し上げます。
  214. 越智伊平

    越智委員長 わかりました。
  215. 坂口力

    ○坂口委員 どうもありがとうございました。
  216. 越智伊平

    越智委員長 米沢隆君。
  217. 米沢隆

    ○米沢委員 きょうは同僚の玉置君の持ち分の時間を消化するために、私がかわりに質問をさしていただきます。  質問の方は、この前質問いたしました残りの分について若干質疑を続けてみたいと思います。  最初に、職域年金の問題でございますが、御案内のとおり、新法によりますと、共済年金額のうち職域年金については、組合員期間が二十五年未満の者は二分の一しか支給されない、こういうような規定になっておりますけれども、これは一体どういうような発想で出てきた考え方でございましょうか。
  218. 門田實

    門田政府委員 職域年金部分年金設計は、共済年金制度が公務員制度等の一環としての性格を持つということにかんがみまして設けることとしておるわけでございます。したがいまして、それ設計に当たりましては、公務等に長い期間貢献した者に対して手厚く報いるということが制度の趣旨に合致している、こういうふうに考えられますから、長期勤続者、これは公的年金の一般的な資格要件が二十五年でございますので、この二十五年を満たした者に対してより高い年金水準を設定する、こういうことにいたしたわけでございます。  なお、国家公務員法百七条にも「相当年限忠実に勤務」した者に退職年金支給していく、こういう考え方が述べられておりまして、では勤続期間が短い場合支給をしなくてもいいのかという議論もありましょうが、そこは職域部分といえども二分の一見合いは給付を行う、こういうことにいたしたわけでございます。
  219. 米沢隆

    ○米沢委員 今まで年金受給資格は二十年あったらよかったわけですね。それを今度の法律で二十五年に引き延ばす。約三十年かけて二十五年に、五年延ばしていくわけですね。したがって、直近の、今年金をもらい始める人は、大体組合員期間二十年であればもらえる人ですよね。今おっしゃった二十五年というのは三十年先の二十五年でありまして、今からそれこそ五年か十年という人なんかは、二十年共済掛金を払っておればもらえる人ですよ。そういう意味で二十五年未満が実は余りにも先取りなんでございまして、セットするにしても二十年未満ぐらいのところでまずやめるべきだ。同時にまた、加入年数によって減額されていくわけですから、何も今度は二十年とか二十五年なんというけちなことをつくらずに、もしできればこれはみんなお渡しするのが本来筋ではないかな、こう思うのですね。確かに退職金あたりは長期勤続に対して恩恵的、論功的な部分があって、それが加算されるという制度でございますが、これはあくまでも社会保険制度ですからね。それを皆さん方が退職金をやるようなつもりでカットするのは当然だという議論はちょっと行き過ぎた議論ではないのかな、私はそう思うのですよ。  同時にまた、職域年金というのは公務の特殊性から出てきた、こういうことでございますけれども、この公務の特殊性というのは勤続年数によってそんなに変わるものですか。一年でも二年でも、就職されて二年生であっても三年生であっても、これは公務の特殊性を求められるわけですよ。だから、長年働いたら公務の特殊性が強くなって四、五年だったら公務の特殊性は薄いなんて、そんな議論はないでしょう。これも何か論理の一貫性が欠けておるんじゃないかな、こう思うのですがね。あわせて、わかりやすく具体的に答えてもらいたい。
  220. 門田實

    門田政府委員 実態から申し上げますと、現在、公務員で退職される方、年齢的には五十九歳ぐらいというような数値になっておりまして、かなりの期間これは勤務されております。したがいまして、大多数の方はこの二十五年という要件はもうパスされておる方である、こういうふうに考えるわけでございます。  それから、公務の特殊性が別段増すということではないと思いますが、公務員法にもありますように、「相当年限忠実に勤務」した者という考え方もやはり一つ尊重されていいのではなかろうか、こういうふうに考える次第でございます。
  221. 米沢隆

    ○米沢委員 社会保険制度退職金の差は。
  222. 門田實

    門田政府委員 退職金と社会保険との相違ということでございますが、退職金は、長年の勤務に対しまして公務員の場合ですと国の方から、これはいわば全額国費でもってその長年の功労に報いる、こういう思想がはっきりしておるわけでございます。  職域部分は社会保険でございます。社会保険の仕組みをとりながら、しかし、その考え方の根っこにそういった相当年限忠実に公務に従事したということを置いておる。そういう意味ではやや両方の意味が折衷的に入ってきておりまして、全くの社会保険の仕組みで、全くの社会保険として出していく、私どもの設計図でいいますといわゆる二階部分とはやはりそこは若干性格に相違があると考えてもいいのではないか、こう思っております。
  223. 米沢隆

    ○米沢委員 これはもう、二十五年未満は二分の一にするなんということはやめたらどうですか。
  224. 門田實

    門田政府委員 審議会その他いろいろな議論を踏まえて、共済全体として設計したものでございまして、先生のお考えは確かに一つ考えだと思いますが、私どもとしては原案でお願いいたしたい、こう思っております。
  225. 米沢隆

    ○米沢委員 二十年で退職して受給資格を持たれた方が、ちょっと休んでそれからまた公務員グループのところで働く、そして結果的には二十五年以上働いたということになれば、これは職域年金はどういう支給の仕方をされるのですか。
  226. 門田實

    門田政府委員 その場合には、両方通算いたしまして二十五年を超えておれば千分の一・五を支給いたすわけでございます。
  227. 米沢隆

    ○米沢委員 この問題はまた後に議論を残しておきたいと思います。  それから、国鉄共済の問題についてちょっと積み残しの点をお聞かせいただきたいのでございますが、国鉄共済は、御案内のとおり財政調整期間中だということで、職域年金部分支給されないし、みなし従前額保障という制度も適用されない、こういうことになっておるわけであります。今後国鉄改革に伴いまして多くの職員に対して希望退職を募っていかねばならない、そういう状況の中にあるわけで、職域年金もだめ、みなし従前額保障も行わない、こういうような議論は、希望退職を募るなんという事態そのものを逆に非常に難しくしていくのではないのかな、こう思うのですが、これはそういう意味では政府の政策として一貫性がないものだと我々は考えざるを得ないと思います。その件に関しまして大蔵大臣の御見解を聞かしていただきたい。
  228. 竹下登

    竹下国務大臣 今回の改正は、国鉄共済につきましては全く厚生年金と合わすという基本のもとにつくったわけです。  それで、私も若干米沢さんと同じような角度で疑問に思ったことがございますのは、一つは、これを提出いたしますまでの状態、その後出てきたのが国鉄監理委員会の意見でございます。したがって、あくまでもこの法律をお願いした段階におきましては、将来の一元化というものを目指して段階的に進めていくという考え方で、すべてを厚年の方へ合わしていこうという考え方で進めたわけでございますから、今の現象面をとらえた場合に、個々の人によってそれは事情が大変違うでございましょうけれども、私は、米沢さんがおっしゃるとおり希望退職の問題どこの問題は相反するというところまではちょっと不勉強でございます。
  229. 米沢隆

    ○米沢委員 国鉄の方はどうですか。
  230. 澄田信義

    ○澄田説明員 今の希望退職との関連につきましては、私どもの方で目下検討さしていただいております真っ最中でございます。
  231. 米沢隆

    ○米沢委員 真っ最中だと言うが、もう職域年金部分支給しないと決めて、みなし従前額の保障も行わない、そのものが希望退職について何か障害になっていくのではありませんかと聞いておるんですね。こんなものは後から検討されてもどうしようもないんだ。
  232. 藤田好一

    藤田説明員 ただいまの御質問につきましては、実は特に今年度の問題が当面あるのでございますけれども、今年度のうちに退職をする方は、新しい法律が通る前ということで、年金の面で今のような御指摘のいろいろな支給面の不利な点と申しますか、そういった点がございませんので、今年度やめる方が得であるか、あるいは来年度に入って、例えば来年の四月一日付でやめた方が退職金の面で有利になるものですから、その方が得か、その辺の兼ね合わせがございまして、どちらが得かは、実は勤続年数ですとか給料の高い低いというものによって、個人個人によってそれぞれ差がございますものですから、その辺の兼ね合いを今検討中ということでございます。
  233. 米沢隆

    ○米沢委員 職域年金部分については今後支給されない、みなし従前額保障もしない、このことは希望退職を今から募られて一生懸命減量されていこうとする国鉄のこれからの動きに対して阻害要件にならないのかと聞いておるわけです。ならなければならないでいいですよ。そのかわり、そんなのは理由にしないということでどんどんやってもらわなければいけませんからね。
  234. 藤田好一

    藤田説明員 お答えいたします。  その点は特に阻害要件になるものと考えておりません。
  235. 米沢隆

    ○米沢委員 阻害要件にならないそうでございますから、しかと承っておきたいと思います。  それから、国鉄職員は定年制がございませんよね。そういうことからいわゆる肩たたきの勧奨割り増しもないわけでございますが、これからかなり大量の退職をねらっておるという意味からは何か新しい制度をつくる考えがあるのかないのか。
  236. 澄田信義

    ○澄田説明員 国鉄には定年制はございませんが、人事運用の調整を図るために、五十五歳で大多数の職員の退職数を確保すべく退職の勧奨を行っております。この場合、国家公務員等の退職手当法の五条の整理退職を適用いたしておりまして、自己都合の場合に比べますと優遇措置をとっておるという状況でございます。大体三割ないし四割程度かと思われます。  ただ、定年制がございませんので、公務員のような早期退職の割り増し制度の適用はございません。しかしながら、勧奨割り増し制度につきましては、去る十月十一日に行われました「国鉄改革のための基本的方針について」の閣議決定の「退職時の給付の臨時の特例について立法措置を講じる」という趣旨を受けまして、現在関係省庁と折衝を行っている段階でございます。
  237. 米沢隆

    ○米沢委員 次は給付について若干質問をしたいと思います。  この共済年金の配偶者は、厚生年金のグループに比べまして国民年金の任意加入が大変少ないですね。これは一体どういう理由なんでしょうか。それで、今何人くらい任意加入しておるか、これをちょっと教えてください。
  238. 長尾立子

    ○長尾政府委員 お答えを申し上げます。  共済組合の被保険者の方の奥様方がどれくらい国民年金に任意加入されておられるかという数字は実は正確に把握はいたしておりませんが、私ども、一般にはいわゆるサラリーマンの奥様の六割程度国民年金に任意加入をされておられるのではないかというふうに推定をいたしているわけでございます。共済組合の組合員の方の奥様方が特にこの比率よりも少ないというふうには考えておりませんで、おおむね百万から百五十万くらいの方が加入しておられるのではないかというふうに考えております。
  239. 米沢隆

    ○米沢委員 私の聞いておりますところでは、いわゆる一般の厚年グループの被保険者の奥さん方は大体七割からもう八割近く入っておる、こういうふうに聞いておるのですが、トータルで六割といったら共済年金の方がかなり少ないことになりはしませんか。
  240. 長尾立子

    ○長尾政府委員 現在国民年金に任意加入されておられます奥様方は大体七百万人弱というふうに考えておるわけでございます。その中に共済組合の組合員の奥様方も実は入っております。実はこの十一月に、これらの方々につきまして今回の改正によります三号被保険者該当かどうかの届け出をしていただくべく、私どもから御通知を差し上げておるわけでございます。厚生年金の被保険者の奥様方だけを届けていただくという形になっておるわけでございますが、先ほど申し上げましたおおよその数字の推定は、その際私ども数字検討をいたしました際の一つの見込み数字ということでございまして、実は私どもは、いわゆる一般のサラリーマンの奥様方よりも共済組合の組合員の奥様方の方が加入率がやや高いのではないかということは考えております。
  241. 米沢隆

    ○米沢委員 もう一回確認しますが、共済年金の被保険者の奥さん方の方が一般の厚年よりも任意加入の率は高い。  ああそうですか。  ところで、施行時五十九歳の方、四十歳の方、二十歳の方それぞれについて、配偶者が国民年金に任意加入していた場合と入っていなかった場合とで、配偶者が六十五歳以上になったときの年金額にかなり給付の差があるように伺っておりますが、この数字は計算してありますね。ちょっと教えてください。
  242. 山内豊徳

    山内政府委員 今それぞれの年代の方が、先生おっしゃった仮定の場合に実際どのくらいの年金が出せるかということだと思いますが、モデル的に計算したものがございます。単純に任意加入していなかった期間といたしております違いのほかに、年齢に応じて経過的な、加給的な年金を設定しておりますので、五万円にはなりませんけれども、それぞれに、四月一日以降国民年金に適正に加入していた場合には、二万円から三万円ぐらいの年金額が保障されるような仕組みになっております。
  243. 米沢隆

    ○米沢委員 そんなのは十分にわかっておる。数字がどうなっておるかと聞いておるんだ。
  244. 山内豊徳

    山内政府委員 失礼いたしました。今申しましたように、六十一年三月までは任意加入を一切されていなかった奥さんの前提で、ただ、施行後に例えば夫が退職なさった場合でも、妻自身の保険料の滞納がないとかあるいは……(米沢委員「そんな前提はいいから、モデルであるでしょう」と呼ぶ)今の前提で申しますと、施行日に五十四歳の妻の場合で、二万九千六百円ばかりの年金が期待できます。それから、年代があれしまして施行時四十四歳ぐらいの方で三万四千円、三十四歳で四万二千円というモデル計算をしております。
  245. 米沢隆

    ○米沢委員 私は今あなたが答えたようなことを全然聞いておりはせぬですよ。施行時五十九歳の方、四十歳の方、二十歳の方——五十九歳といったら今から経過措置を受ける人ですね。二十歳といったら新しい年金に完全に切りかわったところですね。ところが四十歳の方が、経過措置の関係もあって、額という面でかなりレベルダウンするのです。そのあたりを聞くために、私は質問を聞きに来られたときに、この計算ぐらいしておけと言うたのだけれども、大蔵省の試算した表も持っておるのだが、これはどういうふうに伝わっておるのかな。質問の前に政府委員室から聞きに来るのだけれども、あれは何を聞きに来るのかね、本当に。
  246. 坪野剛司

    ○坪野説明員 お答えします。  直接の数字はちょっと違うかもしれません。仮定が入りますので御了承願いたいと思いますけれども、四十年勤続で平均給与二十五万九千円、それから夫婦の年齢が違いますとまた違いますので、夫婦同年齢とした場合はどうだろうかということを計算したのがあるのですけれども、参考までにこれを申し上げたいと思います。  五十九歳ですと、妻が任意加入できる期間を全部加入した場合二十五万八千円、全然加入しなかった場合二十一万円、四十歳の場合、妻が任意加入できる期間全部した場合二十万二千円、加入しなかった場合十七万六千円、それから二十歳の人が、妻が任意加入した場合、しない場合、それぞれ十九万三千円、同額でございます。
  247. 米沢隆

    ○米沢委員 今おっしゃった数字によりますと、五十九歳の方が任意加入していない場合には二十一万ですね。四十歳の方が妻が任意加入していない場合には十七万六千円、二十歳の方は十九万三千円。この四十歳の方が、完成時の、二十歳の任意加入していない妻がもらう十九万三千円に比べまして、ここだけ陥没しておるのですね。みんなが任意加入されておったならば少しずつ減額されていくのでございますが、今回経過措置の関係だと僕は思いますが、四十歳の方だけ、完成時の人の十九万三千円が十七万六千円と逆に減額されておる。これは経過措置に何か問題があるのじゃないかな、こう思うのですが、この点はいかがですか。
  248. 山内豊徳

    山内政府委員 先生の御質問は、共済の適用者についてのモデルでの御質問でもあろうと思いますが、同じことがやはり厚生年金の場合もございますので、私からお答えさせていただきます。  この点は、先生が今おっしゃいましたように、実は経過措置の組み合わせといいますか、妻についての経過措置が四十年間かけて組んだのに対しまして、夫に対する額の組み方がもっと短い、約二十年で経過措置を組んだために、両方の組み合わせの場合に、今数理課長が申したと思いますが、四十代で一つの区切りができてくるという現象でございます。これは経過措置自体に合理性がございますものですから、私どもこれを直すということは技術的にほぼできないんじゃないかということで、いずれもなだらかに二足の額に持っていこうとする場合の措置として御理解いただきたいと思っているところでございます。
  249. 米沢隆

    ○米沢委員 これは厚生年金との関係もありますから、経過措置を全部変えてしまえとか、この分だけ、一部分だけレベルを上げるように何かしろという議論は難しいかもしれませんね。やろうとしたらできるのですよ、しかし、できないと思います。ただ、経過措置のつけ方いかんによって、現在四十歳の方がもし任意加入されてない奥さんを持っておった場合に、奥さんが六十五歳以上になってからの水準も新しい年金にすべて切りかえる皆さんに比べてダウンしておるというのは、これは幾ら経過措置のせいであるとはいえやはり問題があるのではないのかな、経過措置の犠牲者ではないのかな、僕はこう思うのです。  そういう意味で、先ほど言いましたように、経過措置をすべて変えろとかあるいは四十歳のところだけ取り上げて何かレベルアップしろなんという議論は、法体系すべてを変えなければいけませんので、それは無理だということはよくわかりますけれども、しかし、例の国民年金につきまして何回かにわたりまして特例納付制度みたいなものをつくりましたよね。少なくともそういう手法ですくい上げることはできないのか、そのことを一回見解として承っておきたいなと思うのです。
  250. 山内豊徳

    山内政府委員 先生お話は、任意加入していなかった配偶者について、施行時点で過去にさかのぼって追加納付のような特例納付の道が考えられないかということだと思います。確かに国民年金のかつての時代にはこういう措置がとられたわけでございますけれども、今回実は同じような意味で厚生年金グループについても起こることでございますけれども現時点で過去の保険料を特例的に納付するという形で今のような問題を解決することにつきましては、私ども非常に消極的に考えまして、とり得ないのではないかと考えているところでございます。
  251. 米沢隆

    ○米沢委員 となれば、逆に経過措置のつけ方いかんによって現在四十歳の方だけが陥没することは仕方がない、しょうがないことだ、そういうことですか。
  252. 山内豊徳

    山内政府委員 確かに四十代で区切りができるという点はございますが、先生御案内と思いますが、振りかえ加算を施行時の年齢に応じて経過措置として組み合わせだということは、ある意味では全く任意加入しなかった配偶者の方に年金額のかさ上げを行うための経過措置でございますので、私どもとしてはそれが任意加入をしなかった人に対する一つの上積み措置であるというふうに考えておるわけでございます。
  253. 米沢隆

    ○米沢委員 振りかえ加算があることはよく存じておりますが、その振りかえ加算というのはみんなに加算していくわけですからね。問題は、そういう振りかえ加算を行ったとしても現在四十歳の方が一番損をするといいましょうか、これは生きておる限り、もらう限り永久にですから、切りかえによってこの方は損をするといいましょうか、今の二十歳の方よりも減額されたものしかもらえないということですから、何か制度的に救済することが必要ではないのか、こう言っておるのです。振りかえ加算があることは事実ですよ、全部にやるのですから。振りかえ加算をやったとしても四十歳は陥没しておるのだから。仕方がないならそれでいいのですよ。
  254. 山内豊徳

    山内政府委員 今回の改正におきましてそれぞれにかなり時間をかけた経過措置を設けた、繰り返すようで恐縮でございますけれども、振りかえ加算の経過措置の時間のかけ方ともう一つ経過措置のかけ方の組み合わせてできた現象でございますので、そのことを今申しましたように直ちに特例納付という形で解決することについては、やはり私ども踏み切れないものがあるわけでございます。
  255. 米沢隆

    ○米沢委員 だから、犠牲者として仕方がないという見解ですね。この問題もちょっと後に残しておきたいと思います。  それから、既裁定者につきましては、制度の切りかえが行われましたときには従前のもらうであろう額を保障する、こういうことでございますが、新法になりますと、特に単身者の場合これまたがくっと減りますね。これは納得性が得られるようなものだと思っておられますか。  例えば、五十八年度退職者の平均と書いてありますが、現行年金月十九万二千円ですね。これが新法に乗り移った途端に現在五十九歳の方が十七万八千円にがくっと減りますね。これは減り方がかなり鋭角的なんですよ。このあたり、どういうふうに考えておられますか。
  256. 門田實

    門田政府委員 確かに、今回の改正で単身者は影響が大きいわけでございます。これはどこから来ているかといいますと、結局従来の年金は一人に対する年金給付が実は世帯年金であった、それを、今回は基礎年金部分は夫、妻それぞれの年金権ということで基礎年金部分を設計して、その上に報酬比例年金を設計しておるということでございまして、単身者の場合は妻のいわば五万円分というようなものが抜けていくわけでございまして、そこから来る影響だと思います。そこが気の毒ではないかという御指摘なんでございますが、制度の仕組みとして、一人一人の基礎年金ということに踏み切った場合にはやむを得ないかなというふうに私どもは思っております。
  257. 米沢隆

    ○米沢委員 六十一年四月一日以前であれば、既裁定者の方は従前保障ですからね。ところが一日でもひっくり返った後は、単身者についてはがくっと下がりますね。確かに世帯年金から個人年金になった制度の切りかえによって出てくる数字だけれども、この下がり方というのはやはり問題ではないか。ほかのものは経過措置がありますね。なぜこれだけ経過措置がないのかということです。
  258. 門田實

    門田政府委員 今の点は、法施行日、六十一年三月三十一日にみなし従前額という制度を設けておりますので、四月以降になりまして退職しましても三月末で計算して受け取れた額は保障されるということで、経過措置を講じておるわけでございます。
  259. 米沢隆

    ○米沢委員 確かにみなし従前額の保障ということで救われる人はおりますけれども、新法に乗り移ってから奥さんが死んだとか、そのまま独身者の人もおりますけれども、そういう方々は、従来の単身者としてもらっておる額からかなりの、先ほどおっしゃったように世帯主年金から個人年金に変わったためのまさに犠牲者の部分がありますね。この額ががくっと下がっておるのが問題だと言っているんです。こういう人にとっては、何も世帯主から個人なんかに変えてもらわなくてもよかったと思うかもしれませんよ、何のためにそんなことをしてくれたのかと。
  260. 門田實

    門田政府委員 法施行日以降、来年の春とか夏に退職しました人の場合には、単身者でありましてもその三月末で一たん締めて計算したという額が保障されますので、ここ一、二年というような短期間をとりますと大きな変動にはならないわけでございますが、仕組みとしては先生のおっしゃるとおりでございます。
  261. 米沢隆

    ○米沢委員 こうなった理由は僕もよくわかっておるんですよ。だから仕方がないと言うのですか。
  262. 門田實

    門田政府委員 激変緩和をみなし従前額という形でやっておりまして、ずっと年数がたちますとその効果も消えてまいるわけでございますが、そこのところは公的年金全体でこういうことをやりましたわけで、共済の単身者だけというわけでもないわけでございまして、やむを得ないと考えます。
  263. 米沢隆

    ○米沢委員 次は、費用負担の問題について伺っておきたいと思いますが、ことしの四月一日から国庫負担は拠出時負担から給付負担になっておりますね。今回の共済年金改正法によりますと、国庫負担基礎年金の三分の一を負担するということで統一した、こういうことになっておるわけでありますが、そこで、改正前の既裁定者については、この法律が施行された後も従来どおり給付額の一五・八五%は国庫負担を続けていくわけですね。
  264. 門田實

    門田政府委員 考え方といたしまして、今回の基礎年金制度国民年金が発足いたしました昭和三十六年の時点から私ども公務員も国民年金に入っていたというふうに切りかえまして、三十六年以降そういうものとして考えるわけでございますから、その部分につきましては三分の一の国庫負担ということになっております。  三十六年以前につきましては、一五・八五%という国庫負担がついてまいります。ただし、以前といいましても今の共済制度は三十四年の発足でございますから、三十四年から三十六年の二年間がいわゆる従来の国庫負担率、そして三十六年以降はあたかもその時点から国民年金に入っておったというふうにみなしまして国庫負担三分の一、こういうことでございます。
  265. 米沢隆

    ○米沢委員 三十六年から国民年金にすべて入っておったということをみなしてとおっしゃいますけれども、勝手にみなされたら困るのですよ。みなした結果、結局、既裁定者についてはこれはみんな独自の給付になっていくわけでしょう。ここらは国庫負担、余りにサボリ過ぎじゃないですか。改正前の既裁定者ですよ。それは従前どおり一五・八五%国庫負担をやるのが当たり前じゃないですか。三分の一なんというのは実際はずっと先の話ですよ、三分の一皆さんが払うようになるというのは。
  266. 山内豊徳

    山内政府委員 共済についてのお尋ねでございますけれども、このことは基礎年金に相当する部分に対する国庫負担の問題でございますので、私からお答えさせていただきます。  基礎年金部分に三分の一の国庫負担を集中したというのが今回の改正でございます。その場合に、厚生年金の場合で言いますと、三十六年以後の期間につきましては六十五歳からの基礎年金相当部分について国庫負担を集中するということをとっておりますので、厚生年金で申しますと、三十六年前の期間につきましては従来どおりの国庫負担をしておりますが、三十六年以後の期間につきましては六十五歳以上の基礎年金相当部分について国庫負担を集中しておるわけでございます。
  267. 米沢隆

    ○米沢委員 だから、六十五歳以上になって初めて基礎年金をくれるのだから、そのときに三分の一国庫負担しようというわけでしょう。六十五歳未満の方、例えば六十歳から六十五歳の間は、特に既裁定者について国庫負担はどうなるのかということです。
  268. 山内豊徳

    山内政府委員 今の方については、あくまで厚生年金の場合で申しますと、三十六年四月以前の期間に基づく年金部分にしか国庫負担がつかないということになっております。
  269. 米沢隆

    ○米沢委員 それでは、三十六年以後についてはみんな独自の特別支給みたいになるのですか、国庫負担を除いてしまって。
  270. 山内豊徳

    山内政府委員 原則として考え方はそうであると申し上げた方がいいと思いますが、もちろん、実は三十六年以後の期間につきましても、国民年金のかさ上げに相当する部分とかそういうものについての国庫負担を導入するということを国民年金厚生年金を通じてやっておるところでございます。(米沢委員「もう一回言ってください」と呼ぶ)  基本的な考え方は、先生おっしゃいますように、三十六年以後の期間に基づく年金給付は、六十五歳以上に支給される部分に三分の一の国庫負担がつく、しかし、経過といいますか切りかえ時の措置として、国民年金厚生年金で申しますと、三十六年以後の期間であっても国民年金の特別ながさ上げに相当する部分ぐらいは国庫負担をつけるという切りかえ措置がついております。原則は先生のおっしゃるとおりでございます。
  271. 米沢隆

    ○米沢委員 ということは、例えば基礎年金というのは六十五歳からしかもらえませんよね。したがって、加給年金だとか振りかえ加算あたりが出てきましたよね。結局それは、基礎年金が十分でないからその分を補完しようという発想で出てきたものですから、その分については国庫負担はやはり三分の一出すということですか。
  272. 山内豊徳

    山内政府委員 基礎年金は六十五歳から支給されるという原則になっておりまして、その部分でも六十五歳までの部分については国庫負担がつかない仕組みになっております。
  273. 米沢隆

    ○米沢委員 そうおっしゃるように、もう国庫負担はさっさと引き揚げてしまっておるのだな。これは大変な金額になると思うのですがね。  一体これはどんな数字になるのですか。年金給付の将来安定的な財政をつくるとかなんとかきれいごとばかり並べておるけれども、実際これはただ国庫負担から逃げ出したいというだけの法案だね。国民のための共済年金改正だなんてよく言ったものだと思うね。何なの、これは。
  274. 門田實

    門田政府委員 国家公務員共済の場合の国庫負担の変動でございますが、五十九年度価格で、六十一年度は、これは制度切りかえ直後でほとんど変わりませんで、現行でも六百億円、改正案でも六百億円程度でございます。六十五年度になりますと、現行制度では八百億円、改正案では七百億円。七十年度になりますと、現行制度で千百億円、改正案で八百億円。以下、八十年度で、千七百億円に対しまして一千億円、九十年度で、二千億円に対して千二百億円、こういう推移でございます。
  275. 米沢隆

    ○米沢委員 今飛び飛び五年単位ぐらいでお話をいただきましたけれども国庫負担の逃げ方は、これは大したものですね。そのかわり受給者がふえていくというのもカウントされるのでしょう、この数字は。だから、年金受給者が物すごいスピードでふえていく、それをカウントして、その分の国庫負担基礎年金部分の三分の一を出したとしても、これは相当な減り方ですよね、実際。もし給付人員が同じだったらどうなるのですか。もし給付人員が同じだとすればもっとがくがくといくのじゃないですか。だから、三十六年以後は入ったとみなすとかなんとか、自分たち国庫負担を逃げるためにみなし方が多過ぎるよ、こんなの。
  276. 門田實

    門田政府委員 高齢化社会ということで給付人員は今後顕著に増加していくわけでございます。したがいまして、これは現行制度であれ改正案であれ、そういった給付人員の増加を前提にして考えざるを得ないと思います。
  277. 米沢隆

    ○米沢委員 だから、給付人員がどんどんふえていくから、国庫負担もどんどん伸びていくので何とかしてくれ、そういうのなら、受給人員がふえていくのをのみ込んで大体今と同じくらいのところを負担していくというのならわかりますよ。受給人員はどんどんふえていって、それでなくても国庫負担がふえるという前提に立ちながら国庫負担の金額ががっと減っていくということは、これは相当の減らし方だと言わざるを得ないわけですよ。そのことを聞いておるわけですよ。例えば社会保険審議会あたりから、国庫負担基礎年金への集中は妥当な措置だと考える、しかしながら、これによって国庫負担が減少することのないように配慮すべきだというような意見書も出ておるわけですが、そういう意見は全然耳に入らない。自分たちの都合のいいことだけ耳に入っておる。これが問題だと私は言いたいんですね。受給人員がふえていったら、国庫負担を三分の一にしても急激にふえるのでしょう。ふえざるを得ないという観点から、これは国庫負担を三分の一に集中したのでしょう。今の国庫負担の金額が大体横並びにいくとおっしゃるなら、受給人員がふえる分だけまけてもらって現在と同じくらいの国庫負担でやらしてくれと言うのはよくわかる。ところが、受給人員がどんどんふえていくにもかかわらずあなた方の国庫負担額ががっと減っていくのだから、これは二重に減らしておるということだな。こういう法案なんというのは、社会保険審議会の答申なんというものを一体どういうふうにあなた方は耳にしたのですか。年金の有利運用の問題だってそうだけれども、社会保険審議会あたりが数次にわたって答申しても全然一顧だにしない。この話だって全然一顧だにしていない。これはどういうことなんですか。
  278. 門田實

    門田政府委員 これは五十九年度の価格で見ましても、この国庫負担額自体は、絶対額としては伸びていっておるわけでございます。決してそこが急激に落ち込むということではないので、国庫負担額の増加の割合が急テンポで増大するのを穏やかな増大にしていくということはありましょう。それはしかし、国庫負担が目的といいますよりも、先日来御議論になっておりますように、今のままいきますと大変な給付額になる。つまり勤続年数がふえ、その増加した給付額をもらう受給期間がふえ、年金財政としては大変なことになる。だから現職の負担がもう支え切れないということで、現職の負担の限界をにらみながら給付負担のバランスを図っていった、こういうことでございます。
  279. 米沢隆

    ○米沢委員 それなら、六十五年で本来ならば八百億が七百億に下がるとか、百億ぐらいもうかりましたね。七十年で千百億かかるのが八百億に下がるから、これは三百億もうかりましたね。八十年で千七百億要るのが千億だから、七百億もうかりましたね。九十年で二千億が千二百億、八百億もうかりましたよね。今おっしゃったような議論をするならば、何でこんな数字が出てくるの。支えていくのが大変だからといって、あなた、みんな保険料も払うのでしょう。多くするのでしょう。給付も下げるのでしょう。何で国庫だけ逃げるの、これ。この数字はどういう計算をしたの。
  280. 門田實

    門田政府委員 現行でいきますと、先ほど来申し上げましたように大変に給付額がふえていく。そこで、三十五年勤続で現在受給している年金額を勤続四十年ぐらいで同額のようにしていこう、そうしてその場合には現職の公務員の月収に対しましては六九%ぐらいの今の年金水準、これを水準として維持していこう、こういう給付の方の調整を図っておるわけでございます。将来の現職の負担の限度を考えた場合にそういうバランスが必要だ、こういうことでございまして、それとの見合いにおきまして国庫負担の増加もこの程度に何とかとどまる、こういうことになっておるわけでございます。
  281. 米沢隆

    ○米沢委員 だから、国庫負担を下げたということなんでしょう。
  282. 門田實

    門田政府委員 給付水準の急ピッチな増大を調整し、掛金が四〇%ぐらいに上がっていくというのを三〇%未満程度に抑制し、そうしてそういった給付負担調整の中で国庫負担の方もこういう水準になっておる、こういうことだろうと思います。
  283. 米沢隆

    ○米沢委員 申し上げたいのは、給付水準を下げていくから、国家負担も今までのやり方、一五・八五%給付時に負担するのを基礎年金に集中した。制度の切りかえがありますよね。結局、制度の切りかえによって給付の方は下げられた。そして保険者はふえていく。結局、払う方は窮屈になっていくわけですな、そのかわり、国庫だけはどんどん下がっておりますなと言っているわけです、結果的に下がっておるのだから。  だから、少なくとも現在の国庫負担ぐらいのものはこれから先も余り減少しないようにしてくれというそういう意見を全然聞かなかったということですねと言うのですよ。結果的にあなた方は下がった、下がったと言っておるけれども、下げるためにつくったのでしょう、こんなものは。何も三分の一にしてくれとだれも言ってないよ。これは三分の二でもいいんだよ。だから、従前の国庫負担そのものを将来的にも大体維持していこう。維持するにしても、これは受給者がふえていくのだからその分だけ国庫負担割合は減っているわけだから、設計の仕方は何ぼでもできるわけだ、これは。ところが、給付を下げたのだから私どもも下げざるを得ませんでしたという、仕方なく国庫負担が下がっているような言い方はおかしいと思うんだ。
  284. 門田實

    門田政府委員 高齢化社会ということになりますと、こういった社会保障関係の経費というのは非常に増大してまいるわけでございます。年金だけではございませんで、健康保険でありますとかいろいろな面で、有病率の増大でありますとかいろいろございます。あるいは租税負担の方もやはり増加せざるを得ない。よく国民負担率という議論がございますが、これが急ピッチに上がっていくおそれがあるということでございまして、決して全体としての国庫負担を縮減しているということではございませんし、またそれができるわけでもない。国民負担率というのはやはりだんだん上がっていく、こういう趨勢の中でどうやって年金制度の安定を維持していくか、こういう問題でございまして、その中でいろいろと悩みながら一つ整合性ある解決策を求めた、こういうことかと思います。
  285. 米沢隆

    ○米沢委員 門田さんのおっしゃるのも一つの理屈かもしれません。しかし、こういうような改正が積み重なっていきますと、公的年金制度というのは一体何なのということになりますね、給付は下がっていくわ、保険料は上がるわ、国庫の方は逃げていくわ、一体こんなものは何なのさと。これは、中身を見ておりますと、逆に民間の生命保険会社よ早くかわりをやってくれ、そういうような民間の保険会社を激励するような案だと私は思うな、こんなのは。大臣はそう思いませんか。公的年金制度と威張るようなことじゃなくなったな、こんなのは。
  286. 竹下登

    竹下国務大臣 これからの人口構造等を見ながら中長期に安定した給付をやる、こういうことになりますと今のような仕組みたな、その仕組みの中で、基礎的年金部分というのがやはり公的年金の目玉でございます、したがって、それは国民平等にするためにそのところへ三分の一というものを集中してこれに国庫負担をすることにした、こういうことになるわけであります。さればといって、今度国庫負担は三分の一より三分の二がいいとかあるいは四割がいいとかいろいろな議論はそれはあろうかと思うのでありますけれども、そうなっていくと、議論しておると場合によってはいわゆる目的税議論というようなものにまで展開していくようになる。そうすると、税の問題というのは今抜本策をやっているさなかでございますから、その問題は今の議論の中へ入れていくわけにもいかぬということになると、まずは三分の一というところが妥当ではないか、こういうことでございます。
  287. 米沢隆

    ○米沢委員 あと残された時間、玉置君にとっておきまして、終わりたいと思います。
  288. 越智伊平

    越智委員長 次回は、来る二十六日火曜日、午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時二十八分散会