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渋沢委員 これはとても
理解のできる話ではないのでありまして、何といいますか、私は、この
諮問には政治的なにおいがまつわりつき過ぎていますよ。選挙のさなかにまさか
税調が
答申を出すということは、どうあってもまずありませんね。まして、国政選挙が予定されている時期が来年あるわけですから、場合によれば選挙の政党間の争点になりかねない課題で
政府税調が選挙中に
答申を出すことはない。
そうすると、この
答申、特に
財源案、つまり
増税案と世間で言われる
部分については、来年の秋ごろまでにという時期設定を特にしておる。ことし出しておいて、しかしこれは来年の秋までに、こう言っておるのです。特にそういうことを言っておるのは、選挙以後、秋ごろというのですから、まあ十月の三十日が総裁の
任期でしょう。まさか自分が
任期が切れた先に期待するはずがありますまいから、常識的には、
任期が来年十月三十日までである中曽根総裁が、来年秋ごろまでにこの
増税案、
財源案を出してくれ、最終
答申を出してくれと言うことは、おおむね九月ごろには出してほしいということを頭に置いて、夏の終わりとは言ってませんから秋ごろと言ってますから、九月ごろ出してくれということを想定しておっしゃっているわけだ。これは
参議院選挙の後ですね。
参議院選挙の後に、御自分の
任期切れに
増税案を含む
財源案をひとつ時期として出してくれ、こういうことを言っているんですね。そして、それより先にまずは
減税部分について出してくれと言っている。これは、
国民とともにまずこの
重圧感を取り除くために——今
大蔵大臣は
国会で
議論があるからと言うが、
国会に転嫁しちゃいけませんよ。それはとにかく、
総理のこの
諮問の
内容は、なるべく早く
国民に
重圧感を取り除けるような問題提起をこの
減税部分について欲しい、こういう
注文をつけているわけです。選挙中に
答申を期待するということはあり得ないとすれば、これは
参議院選挙以前の時期ですね。まず
減税部分について
議論のできるような
状況をつくりたいということは、もうだれが見てもわかるような形で
説明され
諮問され、
予算委員会で
答弁をされている、こういうことだと思うのです。ここまで念の入った
諮問がされる。明らかに、予定されている国政選挙の前に
減税案を
諮問してほしい、それを
国民に投げかけたい、
議論したい、
重圧感を取り除きたい、こう御自身も
税調の
諮問の際の
あいさつでおっしゃっておる、
予算委員会でもまずこの案で
国民に投げかけて
議論したいという
趣旨のことをおっしゃっておるのですね。そして、自分の
任期切れ、
参議院国政選挙の後に
増税を含むところの
財源案をぜひお出しいただきたい、時期まできちっとして出しておられる。これは大変異例な
諮問文、
総理の
あいさつとその後の
総理の態度を見て、何とも異例の
諮問ではなかろうか。
税調というものに対して、しかも増
減税分離論なんという無理なことをやって回答を期待するというような、こんな
諮問はないのじゃないですか、今まで、例のないことじゃないですか。これは少し立ち入り過ぎた
諮問の姿勢ではなかろうか、同時に、余りにも政治的ではないか。
参議院選挙は、もう既にあらかじめ予定された国政選挙なのです。これは衆議院がダブるかもしれないということで、それは困るということでいろいろそれを牽制する
議論もあるわけです。しかし、だれよりもたった一人その権限を持っておられる方がどうもその
意図がおありになるようだから、だからこそみんな、まさに派利派略ですから、そういうことをやらしちゃいかぬ、こういって自民党内のリーダーの皆さんもいろいろ物をおっしゃっておられる。野党もいろいろ言っておるということがある。これはそうですよ。衆議院の選挙を、たまたま
参議院の選挙があるからというスケジュールにのせてやるなどという、そういう性質のものであろうはずがない、本来。どう考えても、だれが見ても、解散によってしかこの課題を乗り越えることができないという
状況の中で、これは本来行使できない性質のものであろうと思う。ここのところ、どうしてもちょっと力入っちゃうけど、しかし、どうもダブル選挙ということが言われるから、それについていろいろ
議論がある。そういう
状況の中で、その国政選挙の前に
税調に対して
減税の案を出してほしい、
国民に投げかけたい、PRしたい、そして
増税を含む
財源案はその後という
区切りをつけたい、これは
大蔵大臣、ちょっと踏み込み過ぎだと私は思うんです。
私はこの
諮問について大変不審に思うというのは、これは
大蔵大臣も御
理解いただけると思う。第一、その形だけじゃなしに、特別
委員をここでにわかに任命された。今まで特別
委員という
税調の
委員はいらっしゃるけれども、特定のこういう
諮問に絡んでこうして大変たくさんの特別
委員をお願いするなんという例も余り聞かない話だ。大変な気負い方の中で、しかも私に言わせれば、こういう先走った
注文をつけて
税調を動かそうとしているとしか見えないわけです。
いろいろ申しましたが、
税調会長として耳ざわりなお話もあったかもしれませんが、今の私の
大蔵大臣とのやりとり、
質問等を通してひとつ
税調会長に
お尋ねしたいのは、どうも例のマル優の限度管理の強化ということで、せっかくの
税調の
答申をひねってみたり、あるいはまたにわかにこれが出てみたり、グリーンカード問題しかりですけれども、まさに党
税調とか政治の頂点に立っておられる人の思惑で
税調というものがいつも手玉にとられて利用されているというふうにしか
国民の側から見えない。
税調が
国民の信頼を欠くようなことになったら、これは日本の
税制を考える上で大変重大なことなんです。政府に対して、これは政党がやっていることですからいろいろ間違いがあり
国民からさまざまな物の見方、
判断はあるにしても、
政府税調というのはやはり政治に対して中立的に、日本の
国民の
税制というものをきちんと追求していくものであってほしいが、どうも最近の政府あるいは党
税調の動きの中に、党高政低などと言われるように、引き回されているという印象を率直に言って私は受けるわけです。今度の
諮問、しかも重大な抜本改正の
諮問に当たって、私はこういう大変臭みのある
総理の
諮問に対して非常に憤慨しておる一人なんでありますが、今後のこの運営についてぜひお考えをお聞かせいただきたいと思います。
それからあわせて、言われるところの分離
答申ですか、
答申と言わなくても
減税部分について何らかのコメント、
中間報告というものを
総理が期待しておることはほぼ明らかなわけですけれども、それをどうお受けとめになっていらっしゃるか、伺っておきたいと思います。