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1985-12-10 第103回国会 衆議院 商工委員会流通問題小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    小委員会昭和六十年十一月十三日(水曜日) 委員会において、設置することに決した。 十一月十三日  本小委員委員長指名で、次のとおり選任さ  れた。       浦野 烋興君    尾身 幸次君       奥田 敬和君    奥田 幹生君       加藤 卓二君    高村 正彦君       田原  隆君    野上  徹君       野田  毅君    水野  清君       上坂  昇君    城地 豊司君       浜西 鉄雄君    和田 貞夫君       渡辺 嘉藏君    長田 武士君       草野  威君    福岡 康夫君       横手 文雄君    野間 友一君 十一月十三日  上坂昇君が委員長指名で、小委員長選任さ  れた。 ――――――――――――――――――――― 昭和六十年十二月十日(火曜日)     午前十時開議 出席小委員   小委員長 上坂  昇君        浦野 烋興君   尾身 幸次君        奥田 幹生君   加藤 卓二君        高村 正彦君   田原  隆君        城地 豊司君   浜西 鉄雄君        横江 金夫君   和田 貞夫君        長田 武士君   福岡 康夫君        横手 文雄君   藤田 スミ君  出席政府委員         通商産業大臣官         房審議官    松尾 邦彦君  小委員外出席者         商工委員長   粕谷  茂君         商 工 委 員 後藤  茂君         公正取引委員会         事務局取引部取         引課長     佐藤 一雄君         警察庁警務局人         事課長     安藤 忠夫君         警察庁刑事局捜         査第二課長   国松 孝次君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第一課長   里田 武臣君         経済企画庁国民         生活局消費者行         政第二課長   河出 英治君         通商産業省産業         政策局商政課長 山下 弘文君         自治省行政局選         挙部政治資金課         長       中地  洌君         参  考  人         (悪徳商法被害         社対策委員会会         長)      堺  次夫君         参  考  人         (ジャパンライ         フ被害者会代         表)      宮脇  敬君         参  考  人         (東京大学法学         部教授)    竹内 昭夫君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ――――――――――――― 十二月十日  小委員福岡康夫君十一月十四日委員辞任につ  き、その補欠として福岡康夫君が委員長指名  で小委員選任された。 同日  小委員尾身幸次君、野上徹君及び渡辺嘉藏君十  一月十五日委員辞任につき、その補欠として尾  身幸次君、野上徹君及び横江金夫君が委員長の  指名で小委員選任された。 同日  小委員奥田幹生君十一月二十二日委員辞任につ  き、その補欠として奥田幹生君が委員長指名  で小委員選任された。 同日  小委員横江金夫君同日小委員辞任につき、その  補欠として渡辺嘉藏君が委員長指名で小委員  に選任された。 同日  小委員野間友一君同日委員辞任につき、その補  欠として藤田スミ君が委員長指名で小委員に  選任された。 同日  小委員藤田スミ君同日委員辞任につき、その補  欠として野間友一君が委員長指名で小委員に  選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  流通問題に関する件(マルチ商法現状とその対策に関する問題)      ――――◇―――――
  2. 上坂昇

    上坂委員長 これより商工委員会流通問題小委員会を開会いたします。  この際、二言ごあいさつを申し上げます。  今国会も引き続き、私が小委員会の小委員長選任されました。小委員各位の格別の御協力をお願いいたします。  流通問題に関する件、特にマルチ商法現状とその対策に関する問題について調査を進めます。  本日は、参考人として悪徳商法被害者対策委員会会長堀次夫君、ジャパンライフ被害者会代秦宮脇敬君及び東京大学法学部教授竹内昭夫君に御出席を願っております。  この際、参考人に一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  近年、資産形成に対する消費者の関心が高まってきております中で、現物まがい商法マルチまがい商法等に見られるような、現行法制盲点を突いた悪質な商法が横行し、高齢者主婦学生等を巻き込んで多くの被害者を出し、深刻な社会問題となっていることは御承知のとおりであります。  当流通問題小委員会におきましては、従来からこれらの問題を積極的かつ集中的に取り上げてまいりまして調査を進めてきたところでありますが、悪質な商法をめぐる消費者トラブルは依然として後を絶たない状況にあります。  そこで、本日は、これらの悪質商法の中でも特に最近トラブルの増加が懸念されておりますいわゆるマルチ商法ないしはマルチまがい商法に焦点を当てまして、参考人の方から御意見の開陳をいただき、その実態について認識を深めるとともに、その対策のあり方について検討を行うことといたしました。したがいまして、参考人各位には忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の調査参考にいたしたいと存じます。  なお、議事の順序でございますが、堺参考人宮脇参考人竹内参考人の順でそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、次に、小委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  それでは、まず堺参考人にお願いをいたします。
  3. 堺次夫

    堺参考人 悪徳商法被害者対策委員会会長の堺でございます。  庶民えじきにする悪徳商法撲滅運動に携わりまして十二年目になります。実は、四十九年十月以来、私がこの国会関係委員会におきまして悪徳商法問題につきまして意見を述べさせてもらうことがこれで八回目になります。うち六回がマルチ商法ネズミ講問題に絡んでおりまして、これは果たして名誉なことであろうかということを考えるわけでありますが、決して名誉なことではなくて、むしろ残念至極な限りでございます。  六月四日の本委員会におきまして、私は豊田商事問題とともに、世上マルチまがい商法と呼ばれておりますが、その問題につきまして、被害現状と、対策を急いでもらいたいということを申し上げました。  世上マルチまがい商法と呼ばれているものは、訪問販売等に関する法律に定められた第十一条の定義を微妙に脱法しただけのものであり、脱法連鎖販売取引と呼ばれるべきものであって、それを脱法してしまえば印マルチ商法ではないということではない。訪販法趣旨からいえば、マルチまがい商法と呼ばれるものは、これは明らかに庶民えじきにする悪徳商法一つであり、訪販法の枠を広げてこれを取り締まるということ、それが正常な形ではないかということを考えるわけであります。  また、ベルギーダイヤモンドの例を取り上げまして、これをネズミ講禁止法違反で摘発すべきであるということも申し上げました。その後、六月に愛知県警ネズミ講禁止法違反容疑ベルギーダイヤモンド社家宅捜索に入りまして、計十四の警察本部ネズミ講禁止法違反で後に続いておったわけでございますが、これが強制捜査に至らずにいわば書類送検だけで終わってしまったということがありました。これは極めて悪影響を残しておりまして、きょうはまずそのことから訴えたいと思うのであります。  警察がやはり社会的に不健全なものだと考え、そしてネズミ講禁止法違反容疑があると考えたからこそ捜査に入ったわけでありまして、漏れ聞くところによりますと、法務省構成要件に当たらないということで強制捜査に待ったをかけたということを伺うわけでありますが、これまたネズミ講禁止法をつくったときの立法趣旨あるいはその立法論議から見れば、ベルギーダイヤモンド社商法は、明らかにダイヤ売買というものを媒介にした金銭配当組織であって、ネズミ講そのものであるということを私は述べたいと思うのであります。ベルギーダイヤモンド社は崩壊をしてしまいましたが、強制捜査に至らなかったことで、このベルギーダイヤモンド社の幹部が分離独立いたしまして、同じようなシステムで新たなマルチまがいシステムを今展開しております。  また、ベルギーダイヤモンド社とくっついておりましたジャパンファイナンスというクレジット会社が、信用供与を受けた契約者に対して今執拗な支払いの督促をしてきておるといったことが行われております。あるいはまた、民事訴訟の中でも、これはマルチではない、ネズミ講でもないということを居直って申している現状にあります。これはおかしいのではないかということを考えます。法律にもし積極説消極説とがあるのであれば、むしろ裁判という土俵に上げていただき、法律最終解釈権裁判所にあるわけですから、裁判所判断をしてもらうのが筋であると思いますのに、どうもそういう方向にいきそうにないということは極めて遺憾であります。  お手元に御案内のようにネズミ講禁止法超党派議員立法でつくっていただいたときに国会審議がありました。五十三年十月十一日、衆議院物価問題等に関する特別委員会連鎖販売ネズミ講等調査小委員会におきまして、各党の先生方政府との間でマルチ商法ネズミ講との区別は実態に着目して判断をするということで通産省法務省がそのように述べておられます。そして、通産省はまたそのときに、交通整理はできているということでありまして、私どもはマルチ商法ネズミ講ともこれですべて今後被害はなくなるということを考え、大いに喜んだものであります。  しかし、現在出てきておりますマルチまがい商法あるいはネズミ講まがい、もどきといいますものは、微妙にその法律の一点のみを外れているだけのものでありまして、例えば訪販法連鎖販売取引定義でございますけれども、物品の販売の事業であること、再販売する者を勧誘すること、特定利益を収受し得ることをもって勧誘すること、特定負担をすることが取引条件となっていることでございますけれども、この中の「再販売をする者」というところをいじくりまして、次のページの下段①のように、名目上は委託販売にしながら実質的には商品返品に応じないといったことで逃げる方法と、それからベルギーダイヤモンドのように、無店舗個人顧客紹介組織がピラミッド型に存在して紹介料を連鎖的に配っていくというような形に逃げております。  これがどちらも訪販法及びネズミ講禁止法で摘発できないということになりますと、社会的に極めて広く害を及ぼすことは必至でありまして、何としても訪販法の枠を拡大する、あるいはネズミ講禁止法をもっと広く解釈して発動してこの種の悪を摘発してもらうということを強く訴えたい次第でございます。  また、マルチ商法が日本に入ってまいりました昭和四十年代後半から五十年代初めに、まだ訪販法というものがなかったころに公正取引委員会は敢然と独占禁止法第十九条を発動いたしまして、ホリデイ・マジック社エー・ピー・オー・ジャパン社というところを摘発し、これは勧告審決で確定をしておるわけでございますからその解釈は今でも生きているはずでございまして、なぜ公正取引委員会がこの種のマルチまがいシステムネズミ講まがいシステムに対して動こうとされないのか、極めて遺憾に思う次第であります。かつてのあの燃える公正取引委員会はどこに行ったのかということを考えるわけであります。  現在、マルチまがい被害というものは大変に広がっておりまして、この八月に経済企画庁がその実態調査を発表し、また十一月の消費者保護会議において五十五社の実態調査を来年度から進めていくということを発表されたわけでございますが、中央よりもむしろ各都道府県単位の方に被害訴えはたくさんございまして、マルチまがい商法被害に御注意というPRは昨年度だけでも十六の都道府県が行っているわけてあります。その被害は、いつものことながら主婦若年者、お年寄りといったところに集中する傾向がありまして、当然のことながら社会的に弱者でありますから、被害が単にお金だけの被害で済まない。そしてまたマルチネズミの一番怖いところは、被害者加害者になっていくところにありまして、そのために人間関係が壊れる、あるいはその地域に住んでいられなくなるといったような社会破壊が行われる次第であります。  これほど人間社会を冒涜した反社会性、反倫理性の最たるものはほかにないと私は考えるわけでありまして、マルチ商法というように商法という名前をつけることがそもそもおかしいのではないか。これは明らかに庶民をだまくらかす詐欺形態一つではないかと考えるわけであります。もし詐欺ということになれば、これは行政当局が手をつないで摘発することは当然の理でありまして、通産省当局では、訪販法の枠を拡大し発動できる条件を広げようとすることに対しては、過剰規制になるのではないかということを言っておられますけれども、悪徳商法詐欺形態一つということで考えれば、これは決してそういうことはないと考えます。  また最近、このマルチまがい商法、これを私は新マルチ商法と呼んでいるのでありますが、これが広がっている背後の要件一つに、いとも簡単にこの種の悪徳業者信用供与するクレジット業界の存在がありまして、これは厳しく糾弾されなければならないと考えます。これは竹内先生の御専門にはなりますけれども、いわば脱法されてしまう、また法律の網をかぶせる、またそれをくぐられるという繰り返しになるような気配もあるわけでございますが、それを防ぐ意味で、アメリカにあるような詐欺的取引慣行法という商取引一般原則を定めるような法律、こういったものもあわせて立法の御検討をいただけないかということを考えます。  豊田商事問題で悪徳商法問題が大変にクローズアップされましたが、豊田商事問題を見てみましても、行政の立ちおくれは極めて明らかでありまして、四年前から問題になっていながら、あるいは行政当局はその本質を知りながら何の手も打たれなかった。国会では三年前から問題になっていた。マルチまがい問題についても、豊田商事のように同じ道を歩んではならないと考えます。被害者がこれ以上ふえないように何としても行政府の一刻も早い対応と、それから行政府が動かぬ場合は、国権の最高機関である立法府におきまして、この種の悪徳商法を根絶するための立法、改正についてひとつ御尽力賜ればということを考える次第であります。  ネズミ講禁止法超党派議員立法ででき上がっておりまして、そのときに脱法行為が随分心配されました。それが先ほど申しました五十三年十月十一日の審議でございますけれども、その中で、当時の片岡清一委員長は、もし脱法行為が出てきて、法律でもってこれに対応できないようになればすぐ次の対応を考えますということを与野党の場あるいは政府のいらっしゃる場で確認をなさっている経緯がございます。ひとつこの問題を、もうけ話に乗った欲深な連中がわあわあ騒いでいるといったことではなくて、やはり社会的には公正な取引と不公正な取引があるんだ、不公正な取引は許さないということを国の方で示してもらいたいと思う次第でございます。  以上でございます。
  4. 上坂昇

    上坂委員長 ありがとうございました。  次に、宮脇参考人にお願いいたします。
  5. 宮脇敬

    宮脇参考人 ジャパンライフ被害者の会を代表いたしましてやってまいりました宮脇と申します。  ここで質問する先生方も答える政府の方も、無限連鎖講防止法マルチ商法の条例、訪問販売法について答えられる人はいないでしょう。やっている私たちもどうなるのかわからない次第ですから、実際に自分自身のことを例に挙げてお話ししたいと思います。  私自身は東京の大学を出ましてから、普通のサラリーマンはやりませんでしたけれども、水商売の世界に入りまして、その後俳優をやっていました。そんなごく一般生活をしていた私のところに、ある日突然友人から電話がかかってまいりました。その友人ヘルスカウンセラーと言われる人、二人で私のうちを訪問してきまして、健康相談をした後、ヘルスローラーをかけていただき、二人に勧められました。その商品は、テレビ、マスコミなどで派手な宣伝をしており、私自身知っておりましたので、友人信用してその商品を買いました。  使ってみましたら非常によく、肩凝りなどもなくなり、体が楽になりました。商品もよかったので、その後誘われて会場に行きました。その会場なんですけれども、何というのですか、行ってみなければわからないと思うのですけれども、最初会場では実に見事なプログラムに組み込まれておりまして、わずか三時間後にはすっかり自分自身を見失い、その気になっておりました。  六人の紹介をして次の段階に行くということなので、六人の紹介を終えまして、トレーニングに二回出て、そしてヘルスカウンセラーとなったわけですけれども、その後次々といろいろな大会に誘われて出ました。山口会長ともこういう一流ホテルで開かれた大きな大会で初めて会ったわけなんですけれども、山口会長の話は非常にうまく、すばらしいビジネスだというふうに徐々に私たちを洗脳してきますし、実際そのように洗脳されてきました。各大きな大会にはいつも著名人がゲストとして来賓し、もとジェッカーチェーンのときのうわさも耳にはしていましたけれども、山口会長を褒めたたえる言葉を聞き、山口会長を全く信じてしまいました。著名人方々マスコミ方々も、疑惑商法だということは知っていても、そこまで利用されていたとは知らなかったのでしょう。  このビジネスは、山口会長によって仕組まれているビジネスだと思います。言われたとおりやればやるほど赤字がかさみ、気づいたときには借金が残り、在庫も残り、信用を失い、以前の仕事にももう戻れず、親、兄弟、友人をも巻き込んでいました。中には自殺をする人や行方不明になった人、離婚する人、一家離散する人が現実にたくさんいらっしゃいます。  覚めてみて、はっと我に返り、これではいけないと思い、顔見知りの代理店及び販売員人たち自分の思っていることを話はしてみたのですが、何せ催眠商法にかかった皆さんはだれ一人私の言うことを信用せず、逆に白い目で見られました。ある心ある販社だけが話を聞いてくれ、そして真実の話をしてくれたのです。こういうふうになっていきます催眠商法というものは絶対にやめさせるべきだと思います。  山口会長が考えたビジネスというのは一委託と称して委託ではなかったのです。数字のマジックによるコミッションの先取り、これは山口会長が考えた全く新しい方法だと思います。催眠商法をかけておいて、そして疑わせないでおいて、それから商品をはめ込んでいく、仕組まれた商法だと思います。特に、トップの販売会社ですらがもうからないでいるシステムである、ただ山口会長個人だけがもうかるようにでき上がっているシステムだとも思います。その個人資産というのは百億とも二百億とも言われてはおりますけれども、一体そのお金はどこに行ったのでしょうか。これは、役員をおりたからといって許される問題ではないと私は思います。  私自身最初被害者であったけれども、今にして思えば、信じて一生懸命やっているときは加害者を演じていたのです。高速道路での玉突き事故というのを思い浮かべてください。最初にぶつけられた人は前の車に、そしてその車はまだその前の車にというように、高速道路での玉突き事故というのは数十台にも及んでいきます。では一体だれが悪いのでしょう。それぞれが被害者であり、加害者なのです。問題は、一番最初にぶつける者がいなかったら、こういう事故は起こらないはずなのですけれども、山口会長によって仕組まれたビジネスの中では、これからもたくさんの人々が被害者となっていくでしょう。  その人たちを救うためには、また在庫を引き取ってもらうためには、私自身が一人で声を大にして幾ら言ってもだめだと思い、同じ考え、同じ被害、そういうものを持った仲間十名で、十一月五日に被害者の会というものが産声を上げました。その被害者の会も、今では全国に約五百名ぐらいの人が集まってまいりました。その結果、被害者の会を窓口にメーカーと折衝した結果、我々はジャパンライフ相川社長さんには誠意を感じました。  まず第一に、山口会長を退陣させたこと、第二に、薬事法違反と疑われるヘルスカウンセラーと称しての売り方をやめたこと、第三に、ヘルスローラーの使用をやめたこと、第四に、システム販売そのものをやめたこと、第五に、週刊サンケイの記事の中で謝罪ととっていいという文章を公に載せたこと、第六に、我々の仲間返品、返金問題も徐々に解決されているという事実があります。大変ありがたいと思っております。  けれども、この元凶をつくり出した山口会長個人は絶対に許すことができません。本日も、ジャパンライフ及びジャパンライフ代理店会方々が、再建のため会議を必死になって開いております。それなのに、全く反省の色とか謝るということも一つもせず、現在も山口会長は、多くの被害者をつくるべく、第二の流通経済研究所なるものをつくり、先日から何回もの会合全国で行われております。当然、この流通経済研究所の中には、山口会長名前は表には出ておりません。会合が持たれた場所の近くに、山口会長が控えているそうです。その会合には、再建途上ジャパンライフ代理店販売員を逆にまたもぎ取ろうとして、子飼いの小杉、島村、この二人が山口会長の手足となって働きかけて動いているそうです。そういう代理店から販社は百万円のお金を集め、販売員からは一万円ずつ取り、まだまだ搾り取ろうとしております。  現在も、山口会長に洗脳されて被害者の会すら知らないような人も全国にはまだたくさんおります。特に、北海道とか九州、地方に行けば行くほど、山口会長実態をも知らず、会場での本当にそういう一部分しか知らない山口会長に洗脳された信者みたいな方がまだたくさんおります。きのうも、残念なことに、横浜で自殺者の方が出ました。一番心配していたことが時期的にも実際に起こってしまいました。この現実を見ながらにして、きのうも仙台で新しい流通経済研究所会合が持たれていたそうです。  我々は、山口会長がこれからも第二、第三の会社をつくろうとも、徹底的に闘っていきたいと思います。  山口会長のやり方は、当初、弁護士を使い、法の盲点を突いてきている商法ですので、当然法的には山口会長を罰することはできないでしょう。しかし、世間法は国法よりも強いのです。我々が被害者の会をつくってからずっと今まで、いたずらとかおどしの電話が夜の夜中までたくさんありました。金沢田崎さんの家には、小杉さんからの脅迫電話も実際にありました。この電話は、金沢警察の方も実際に聞いております。きのうも京都の方からファックスで脅迫状が届いたそうですし、文書になって郵便で届いてもいるそうです。ただいま田崎さんは小杉のことを法的に訴える手続を進めている段階です。  私たちは、どんな嫌がらせやおどしがあっても全然怖くありません。徹底的に闘っていきたいと思います。今、一生懸命自分生活を守ろうとして頑張っている代理店会方々、何とか前向きに頑張っていただきたい。そしてジャパンライフがこのままもしつぶれるようなことがあると、かえって路頭に迷う何万人という販売員人たちがいることも事実です。ですから、相川社長以下代理店会会長さん、副会長さん、この方たちが血のにじむ思いで何とかしなければと今現在頑張っている最中です。  今お手元の方に配付していただきました資料にちょっと目を通していただきたいのですけれども、十二月六日付で「ジャパンライフビジネスだけを前向きにやっている代理店社長」ということで、ファックスで流れたもののコピーがございます。これは主催が「ジャパンライフビジネスに全力投球をする全国J・L特約販社社長会」となっております。そしてもう一枚の流通経済研究所が出しております「経営者セミナー参加申込書」、この「取次店 愛用者」の右の欄にスリーピングシステム、これは今販売しております健康布団セットのことをこういう呼び方をしております。それと、「A・C」というのはアメリカンシェフェットというなべです。「ソレアージュ」というのは毛皮です。これらを取り扱っている人たちを集めてセミナーを開こうとしております。もう一枚の方は「代理店各位」ということで十二月七日付でファクシミリで流れておりますけれども、全国JL代理店会というのが正式の会でありまして、追伸としまして、「各種類似団体は、ジャパンライフ(株)及び全国JL代理店会とは一切関係ありません。」とうたっているにもかかわらず紛らわしい文書を流し、いまだに地方の情報の遅い方たちからお金を集めて、同じことを繰り返そうとしていますので、こういう方々にも本当にいち早く気づいていただきたいと思っております。  とにかく、素人をにわか商人にまで仕立て上げて法的に商取引という形にまで持っていく、大変仕組まれた商法だったと思います。本当の商人が商売としてとるものと違いまして、素人を対象にした、本当に話術で持っていく商法には私ども懲りましたし、今後こういうことがないようにしていただきたいとも思います。  以上で話を終わらせていただきます。
  6. 上坂昇

    上坂委員長 ありがとうございました。  次に、竹内参考人にお願いいたします。
  7. 竹内昭夫

    竹内参考人 東京大学に勤めております竹内でございます。  御承知のとおり、訪問販売法におきます連鎖販売業の定義は、物品販売業であって、その再販売をする者を特定利益を収受し得ることをもって誘引し、特定負担をすることを条件とするその商品販売に係る取引をすることであります。そして、この再販売という言葉は、訪問販売法の十一条一項の括弧の中で「販売の相手方が商品を買い受けて販売することをいう。」つまり一たん仕入れをした上で他の者に売ることだというふうに定義をしております。そこで、最近行われているいわゆるマルチまがいはここに目をつけまして、参加者は仕入れをして再販売をするのではなしに、委託販売または販売の媒介をすることとしているわけであります。  訪問販売法を制定した際にも、参加者に販売委託をするという方式のマルチもあり得るということは意識されていなかったわけではございません。現に、私が書きました訪問販売法の解説書の中でも触れておりますように、「取引方法も、理論的に考えれば売買に限定されるわけではなく、販売委託でもよいわけであるけれども、実際問題として、マルチが売買以外の方法で行われることはないと考えられる」こと、そういうことから再販売というふうに限ったわけであります、そういうふうに述べております。それからもう一つ考えられますのは、当時のマルチの典型的被害が、売れもしない洗剤などを大量に仕入れてしまって泣いているという類型の被害でありましたために、商品を仕入れて再販売するということを要件として押さえればマルチはまず根絶できるであろうというふうに考えたということであります。  しかし、その裏をかきまして販売委託、媒介という方法マルチまがいが行われるようになったわけでございます。もっともこのマルチまがいが本当のマルチまがいなのか本物のマルチなのか、これはまだ裁判所判断しておりませんから、本物のマルチだと判断される可能性もあり得るとは思いますけれども、しかしながらこのように現に被害が出ている以上は、裁判所判断が固まるのを待たないで法律を改正することが適当であろうというふうに考えております。  と申しますのは、訪販法マルチについては御承知のとおり実質禁止という趣旨を貫く立法をしたわけでございますけれども、しかしそれは真性のマルチ、つまり本物マルチは禁止する、しかし疑似マルチマルチまがいは野放しにするということを考えたわけでは毛頭ないわけであります。不当な被害を生ぜしめるような取引方法であれば、真性マルチであろうと疑似マルチであろうと規制しなければならないのは申し上げるまでもありません。それは、国民に対して重大な健康上の被害を生ぜしめるようなものであれば、それが真性コレラであれ疑似コレラであれ国としてその防止、防疫に努めなければならないのは当然のことというのと同じことであります。  そこで、それでは次に法律を改正するとすればどういう改正が考えられるかということになります。まずしなければならないのは、訪問販売法十一条一項の連鎖販売業及び連鎖販売取引、これに関係してまいりますが、この第一項の連鎖販売業の定義規定の改正でございましょう。そこで「再販売」という言葉を、先ほど読みましたように「販売の相手方が商品を買い受けて販売することをいう。」と定義しております。それを改めまして、販売の相手方が商品を買い受けて販売することのほか、委託に基づく販売販売の媒介を含むというような旨を明らかにすべきであろうと思います。もちろん、それとの関連で改正を要する点もありましょう。それは技術的に十分慎重に詰めなければならないと思いますけれども、中心的な改正点は十一条一項の定義規定の中における括弧内の文言の改正ではないかというふうに考えるわけでございます。  もちろん、このような改正をいたしましてもまたその脱法行為が出てくるかもしれない。だまされる者が後を絶たないのだから一々法律で追っかけていっても仕方がないという意見もあるかもしれません。しかし、人間の病気を治す薬も、一つ一つの病気に効くような薬を苦心して追っかけているわけであります。昔から風邪薬を発明すればノーベル賞は間違いないということが言われておりますけれども、一つの病気に効く薬の発明は人類に対する偉大な貢献であります。それと同じようにマルチを押さえ込んだことは、私をして率直に言わしめれば、一年おくれたという感じがいたしますけれども、その点を別にすれば、訪問販売法の偉大な功績であったと評価すべきではなかろうかと思います。  そこで、次の改正でマルチまがいを押さえ込めば、これもまた大きな貢献でありましょう。もちろん、そうやりましても次にマルチまがいまがいというのが出てくる可能性は否定できませんけれども、それは出てきたときにまたそれを押さえ込む改正をすればよいことでありまして、考え得るあらゆる脱法行為をすべて押さえ込んでしまって、しかも正常健全な取引に一切の支障を生ぜしめないような、そういう意味で万能薬ではあるけれども副作用一切なし、そういう法律を今すぐつくれというのは無理難題ではなかろうかと思うわけであります。現に被害があるところを一歩ずつ着実に追っかけるということでもって、それがおくれなければ十分な功績と評価すべきであろうと私は思います。  その意味で私は、訪販法の改正を検討すべきである。このように現に被害が出てきている以上はそれが当然であろうと思いますけれども、だからといって、改正しなければ現在のマルチまがいに対して法律上何にも手を打てないというふうに考えるべきでは決してないと思います。その意味で、先ほど堺さんが言われたように法律解釈というものは最終的には裁判所がするものだ。とすれば、警察の権限の発動を期待するということもさりながら、被害者もまたみずから裁判所に訴えて、自己の主張を力強く展開するように努めるべきでありましょう。また、有能な弁護士であれば現行法を活用してその被害の救済、防止にどこまで役立てることができるかという点について十分な努力をしてくれるはずです。かなりの成果が上がるような法律構成を見つけ出し得るのではないかと考えておるわけであります。  一、二申し上げますと、第一は、既に大阪地方裁判所昭和五十五年二月二十九日の判決で、マルチは公序良俗に反する違法行為であるというように判示しております。そしていわゆるマルチまがいも組織の自己増殖性とリクルートの有限性、平たく申しますと無限に新規加入者が続かない限りはもはや勧誘の相手がいなくなって、自分は他人を勧誘するつもりで入ったけれどもだれも勧誘できないという人間が大量に出ておしまいになる、そういう構造的な欺瞞性を持っている点はマルチと全く同じでありますから、したがって公序良俗に違反するというふうに裁判所判断してくる可能性は十分あろうと思います。公序良俗違反ということになれば、その行為は無効ということになりましょうから、受け取った商品等の返還と引きかえに、支払った金銭の返還を求めるということも考え得るわけであります。  それから第二に、委託販売であるということであれば、受け取った委託商品を返還し得るのは当然のことでありまして、それは買い入れたのではなく預かっているにすぎないはずだからであります。  第三に、もしその商品の引き取りに応じられない、それは参加者は買ったんだから、したがって引き取りに応じられないというのなら、それはマルチまがいではなくてマルチそのものだということになります。それは再販売をする相手方、会員が再販売をするために相手方に売ったんだ、だから自分は引き取れないということになれば、これはマルチまがいではなくて訪販法上の連鎖販売業そのものだということになってしまうはずであります。そうだとすれば、クーリングオフができる旨を告げられてから二週間内は、無店舗販売をする個人であれば、今でもクーリングオフが可能なはずでありますから、訪販法に基づいて、無店舗の個人であれば解除権を行使するという旨を相手方に意思表示して商品の引き取りを求めるということも可能であろうと思います。  もちろん、個々の事案についてここで私は意見を申し上げるつもりはございません。個々の事案の解決の仕方は、弁護士がそれぞれの事案の特殊性について十分実情を調べ、いわば病気を診断した上で処方せんを書くことでありまして、それぞれのケースにふさわしい法律構成が何かということを工夫するのは弁護士の仕事になります。  私は、ただここで申し上げたかったのは、マルチまがいが仮に現在の訪販法の適用外であるというふうに裁判所において解釈されたとしても、しかし、現在のマルチまがいを、それにひっかかった人が救済を受ける法律上の手段が絶無というわけでは決してないということを申し上げたかったわけでございます。取りあえず、これだけ意見を申し上げておきます。
  8. 上坂昇

    上坂委員長 ありがとうございました。  以上をもちまして参考人方々の御意見の開陳は終わりました。     ―――――――――――――
  9. 上坂昇

    上坂委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  なお、念のために参考人に申し上げますが、発言の際は小委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は小委員に対して質疑をすることはできないことになっております。また、時間の制約がございますので、お答えはなるべく簡潔にお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高村正彦君。
  10. 高村正彦

    高村委員 参考人のお三方におかれましては、お忙しいところを御出席いただきまして貴重な意見を聞かせていただきまして本当にありがとうございました。  すぐ質疑に入らせていただきたいと思うわけでございますが、まず堺参考人にお尋ねいたします。  マルチ商法は、訪問販売法に基つぐ連鎖販売取引として法規制の対象になっているわけでありますが、それにもかかわらず、まだ生き残っている組織があるのかどうかという実態をひとつ教えていただきたいということと、その盲点をついたマルチまがいの商法としてベルギーダイヤモンドジャパンライフ名前を聞いているわけでありますし、先ほどベルギーダイヤモンドの残党がまだ残っているというような話もありましたけれども、それ以外に相当数の企業があるのかどうか、そういった実態を教えていただきたいと思います。
  11. 堺次夫

    堺参考人 通産省訪販法の第十一条に定義された連鎖販売取引業者として現在認めている組織が一つございます。通産省はこれを公表しております。MBCという川崎にある自動車用品を扱う会社でございまして、これはかつて昭和五十年ごろ三大マルチと言われたエー・ピー・オー・ジャパンの残党組織でございます。  ちなみに、通産省は、訪販法が制定される際に、本法が施行された後は悪質なマルチ商法組織の残存する余地は全くなくなるということを当時の天谷審議官がおっしゃっているわけでございますから、現在この組織が残っていること自体が私はおかしいと思っております。  それから、マルチまがい業者は、経済企画庁は五十五社ほどあるということを公表されていらっしゃいますけれども、私どもの方にもたくさんきておりまして、大体音大問題になってマルチ商法から分派あるいはその流れを引くものが多いわけでございます。問題になったものだけでも取り上げてみますと、人工宝石を扱っております東京都内にありますジャパン・ビルドとかソシエテ・エレガンス・コンチネンタル・ド・フランス、通称SECと言いますが、それとか、マインド・ダイナミックスとか、京都の方で訴訟になっております例では、リトグラフを扱いましたグルーテムとかセレカ、エス・マインド、福岡の方に行きますと日本健康増進研究会、多数ございます。
  12. 高村正彦

    高村委員 マルチそのものもまだあるし、マルチまがいに至ってはたくさんあるということを伺ったわけですが、先ほど主婦若年者、お年寄り、そういう弱者が非常に被害者になっておるのだというお話がありましたけれども、相談を持ち込んでくる内容並びにそういうことにどういう指導をしておられるのか、そういうことについてお尋ねしたいと思います。
  13. 堺次夫

    堺参考人 主な相談内容は、もうかると言われてその気になって、そのときは口コミで勧誘があり、握手、拍手、照明、映画、音楽、話術、小道具等を活用いたしました集団催眠勧誘会で説明を受けるわけでございますので、本当にもうかると思い込みまして、借金をして商品を抱え込んだりあるいはクレジット契約で高い物を買わされてしまったりするケースが大半でございます。かつては商品を抱え込んでそれが売れないといったこと知多かったわけですが、最近では不要不急の商品もうけ話によって高値でつかまされ、毎月毎月、本来アルバイトのつもりであったのにクレジットの借金を払うためにまたアルバイトをしなければならないといったような被害の訴えがございます。  それからまた、信じ込んでこの組織に入ったがために、自分友人、知人を誘ってしまい、その結果、その友人、知人から、あなたを信用してこの組織に入ったのだからあなたが私の被害を何とかしてくれ、商品を引き取ってくれといったようなことで訴えがあるといいますか、人間関係が壊れているといったものもございます。  こういったものに対しましては、直接会社と交渉させる方法を教えましたりあるいは私どもが介入をして、仲介をして交渉に入ったりあるいは私どもの弁護団が交渉しあるいはまた訴訟を起こしたりしている事例が多数ございます。
  14. 高村正彦

    高村委員 先ほど被害防止のために法律の整備をしろというお話もあったわけでございますが、法律の整備以外に何か対策がありましたら、堺参考人竹内参考人に教えていただきたいと思います。
  15. 堺次夫

    堺参考人 既に政府の方ではマルチまがい商法及びマルチ商法に御注意という消費者啓発をやっていらっしゃるわけでございますが、なかなかこの啓発が行き届かないところに問題がございます。かつて、昭和五十二年ごろには通産省は大変頑張っていらっしゃいまして、そのときはスーパーマーケットの店頭にそのような注意事項を張り出してもらったり、深夜放送で若者向けにこのようなものがあるから注意しなさいというようなことを取り上げてもらったり、そういったようなきめ、細かい消費者啓発がまず必要かと思います。  ただ、啓発というのは限界があることは豊田商事の例を見るまでもなくこれは明らかでございまして、やはり摘発にまさる啓発はないのではないか、私はむしろ警察当局に頑張ってほしい。例えば残存マルチのMBCなどは、これは明らかに訪販法第十二条違反があります。訪販法第十三条違反もございます。そうすれば警察庁とか通産省の出番ではないかというふうに考えます。
  16. 竹内昭夫

    竹内参考人 やはり若いうちから消費者教育のようなものをやりまして、世間にはオオカミがいっぱいいるわけだし、そういう連中のうまいもうけ話、楽をしてぬれ手でアワ式にもうかるようなもうけ話というのは常に毒があるんだということを子供のうちから頭にたたき込むということが必要あるいは有益なのではなかろうか。急場の間に合わせのために、いろいろ政府消費者啓発のために予算をお使いになるのはやむを得ないこととはいいながら、予算不足の折から、もう少し経済的なやり方というものが国全体として考えられるようになれば幸せなことだ。そのためには法律の整備も必要であるし、学校教育、社会教育の機会を生かしてそういう趣旨を徹底していくべきであろう、かように思います。
  17. 高村正彦

    高村委員 ジャパンライフは、従来の販売方式を変更する旨宣言しているわけでございますが、これについて宮脇参考人そして堺参考人、どう思われるかお尋ねしたいと思います。
  18. 宮脇敬

    宮脇参考人 私の聞いている範囲では、メーカーに徹して卸に販売形態をとっていく、そのように伺っております。ただ、今までは売り方というものがあり、それに皆さんが右へ倣えして売ってきたわけなんですけれども、はっきりとした売り方がもうないわけですから、今後売っていく販売員方々は大変だと思います。  ただ、私が思っているのは、これから特に高齢化社会でもありますし、健康で家族に世話のやけない自立した老人がふえることは望ましいことですし、そういうためには予防の意味で必要ないい商品だと思っております。ただ、こういう問題が起こりまして、これは商品よりも販売の中でのマルチまがい商法というレッテルが張られつつあるわけですけれども、商品は決して悪いわけじゃありませんから、ユーザーの方、こういう商法には気をつけなさいということは十分頭に入れていただいても、商品に関してはそう思わないで、販売員の人もそこを、それがあるのですから頑張って売っていただきたいと思いますし、ジャパンライフの方としましても、メーカーに徹したからといって、過去やってきたことはメーカーじゃなかったわけですから、それに対する、以前の持っている在庫もしくは販売員が抱えた負債などいろいろな問題に対しては誠意を持って対応して今後もいっていただきたい、そう思っております。
  19. 堺次夫

    堺参考人 通常の筒形態に変わるということは、それはそれで結構だと思います。ただ、マルチ組織のこれはもう宿命と申しますか、現在マルチまがいを展開している幹部が、ほとんどかつてのマルチ商法大問題のときの業者の残党であったり流れをくんでいる人間であることからしまして、またこのジャパンライフで覚えたそのような、人を扇動するようなインチキ勧誘法をもちまして新たなマルチができはしないかといったことを懸念しております。  それから、ジャパンライフ被害というのは私は三つあると考えておりまして、一つ宮脇さんがおっしゃいましたけれども、もうかると言われて多数在庫を抱え込んでこれを引き取ってくれないということが一つ。それから二つ目は、末端におきまして、ジャパンライフ商品については厚生省の認可がありますけれども、これは装着部位の凝りと血行によいということだけしか言ってはいけないことになっておりますが、実際には冷え症、便秘が治る、肝臓病が治るとか、あるいは花粉症が治るとか言われてそれを買って使っているけれども効果はないし、かえって神経痛がひどくなったというような訴えもあるわけでございまして、こういった人はほとんどクレジットを今払っておりますので、この辺についても会社側は誠意を持って赤伝票を切っていただきたいと思います。  それからまた、学生等がもうかると言われまして商品を買わされましてクレジットをやはり払っているというケースもございますので、この辺につきましても社会一般の道徳というものを考えて会社側で処理をしてもらえばと思っております。
  20. 高村正彦

    高村委員 先ほど竹内参考人からは、法規制を強化すべきだという意見を非常に明快にわかりやすく述べていただいたわけでございますけれども、そのとき竹内参考人も述べておられた二つの問題点の指摘、一つマルチまがいを規制してもまがいまがいが出てくるのではないか。これについては竹内参考人のおっしゃるとおり、出てくればまたそれを規制する、追っかけていくということでいいんだろうと私は思うわけでございますが、もう一つは副作用の方の問題、これはやはりかなり慎重に考えるところもあるのではないかという気がするわけであります。過剰規制ということになって、何か統制国家みたいなことになっても困るという、あるいはデレギュレーションというようなことも言われている中で、もう一度この点について竹内参考人のお考えを詳しく述べていただきたいと思うわけでございます。
  21. 竹内昭夫

    竹内参考人 御趣旨まことにごもっともでございますが、私はマルチとかマルチまがいというものの根本的なあるいは中心的な害悪というのは、会員の自己増殖による利益、自分が勧誘して引っ張り込んだ連中がまた勧誘して引っ張り込んで、またそれが引っ張り込むという層をなしていくと、自分が直接勧誘して引っ張り込んだ者から利益が得られるだけじゃなしに、それが引っ張り込んできた場合にもまた利益が得られる、そのまた孫が引っ張り込んできたときにはまた利益が得られる、こういうぬれ手でアワ式の利益が得られるということを一番のうたい文句にしている、それが組織の最も中心的な弊害ではなかろうか。  そうだといたしますと、その点がマルチマルチまがいも共通して認められる限りにおいては共通して抑えるべきでありましょうし、そしてその限りにおいては、商品販売が仕入れをして売るという場合だけではなしに、委託販売あるいは媒介という形にまで拡張したからといって、とりわけて過剰規制の弊害というものはまずないんじゃなかろうか、かように考えております。  具体的に、訪問販売法を改正しましたときにも、サブフランチャイズとかメーカーの特約店なんかの場合も、場合によってこれにひっかかってくるんじゃないかという懸念があったわけでございますけれども、しかし無店舗の個人を中心として規制の保護を与えるという法律体系になっておりますから、したがってそういう弊害はまずないだろうというふうに通産省の方でも考えて訪販法を改正したわけでございます。そうだといたしますと、今度はその委託販売や媒介という点にまで拡張したからといって特にその点の弊害は懸念する必要はないんじゃなかろうか、かように考えておりますが、なお取引実態等について詳細なデータを握っておられる通産省等に対しても、その点十分お確かめいただければと思っております。
  22. 高村正彦

    高村委員 マルチまがい商法に対する諸外国の対応あるいは立法例、そういったことについてお聞かせいただきたいと思うわけであります。  アメリカのワシントン地区ですか、消費者保護法で規制している例もあるというふうに聞いているわけでございますけれども、その点と絡めて日本における立法化の可能性等についてお聞かせいただきたいと思います。
  23. 竹内昭夫

    竹内参考人 これは国によってやはりいろいろやり方があると思います。訪販法を制定する前に、御承知のとおりマルチと申しますのはアメリカ原産の詐欺方法でございまして、アメリカで起きたわけでございますが、アメリカで起きましたときには、先ほど堺参考人もおっしゃいましたように、連邦取引委員会も乗り出しました。そのほかに、日本で申しますと大蔵省の証券局に当たる御承知のSECも乗り出したわけでございます。それから、もちろん各州の立法も行われた。SECやFTCは新しい法律をつくったわけではございませんで、既存の法律、日本で言えばSECの場合には証券取引法を活用したわけでございまして、要するに、もうけ話であるからそれは投資契約である、投資契約を所管するのは証券取引委員会の権限であるということで、マルチをするのであれば、SECに届け出をした上で、株式や社債を発行する場合と同様に、詳細な目論見書を渡した上でやらなければならないという規制をしたわけでございまして、こういう規制の仕方であれば、マルチであろうとマルチまがいであろうと、そんなことは何も関係ないわけであります。およそもうけ話であれば、すべてSECの所管になるということでございますから、極めて包括的な権限を持っておるわけであります。アメリカではSEC、それと各州の立法によってこのような問題は根絶したというふうに言ってよいかと思います。  そのほか、当時、シンガポールやオーストラリア等々でも、日本より先にマルチに対する規制はなされましたけれども、恐らくそこではマルチまがいも社会問題になるようなものはなくなったのであろうと思います。それ以後、私は、それらの国々においてマテルはなくなったけれどもマルチまがいが出てきておるというふうな情報は聞いておりません。
  24. 高村正彦

    高村委員 この種の商法に対して、勧誘段階での規制ということがかなり有効ではないかとも思われるのですが、その可能性と具体的方法があれば、竹内参考人堺参考人にお聞かせいただきたいと思います。
  25. 竹内昭夫

    竹内参考人 御承知のとおり、訪問販売法におきましても、マルチについて勧誘をするときには一定の情報を与えるということを要求しております。広告をする場合でもそうでございます。これは先ほどアメリカのSECがやった基本的な考え方と共通する部面があるわけでございまして、もうけ話等をする場合には、都合のいい情報だけを相手に与えてはいけない、むしろ相手方が警戒しなければならない、相手方にとって不利な点の情報をこそ与えなければならない、これが完全開示、フルディスクロージャーという証券取引法の根本精神でございますが、それと同じように、勧誘をする場合についても、マルチの仕組み、それ自身を正確に相手に伝えるということが必要でございます。  そういたしますと、マルチの場合には、いずれは勧誘する人間がいなくなって、おしまいになるわけでございます。したがって、自分がもうければ、それはすなわち、将来泣く人をそれだけたくさんつくったということでございまして、したがって、勧誘する場合には、このマルチにお入りになりますとあなたがお泣きになるか、それともよりたくさんの人間を泣かせる結果になりますよということをはっきり書面に書いて渡すべきではなかろうか。現在のマルチにおける勧誘書面というものは、そう露骨には書いてございませんけれども、基本的にはそういう考え方でできておるというふうに思います。
  26. 堺次夫

    堺参考人 私は、マルチまがいと呼ばれておるものの半数は、それよりも低い率がもわかりませんけれども、ネズミ講禁止法を発動して摘発は可能ではないかというように考えておりましたし、現在も考えております。ただ、これがベルギーダイヤモンド事件によりまして、どうも法務省当局がいまひとつ難しいとおっしゃるのであれば、法務省当局においてベルギーダイヤモンドを起訴し、維持できるように改正してほしいというように考える次第であります。  ネズミ講禁止法のあの「一定額の金銭を支出する」、この二定額の」というところを「ある種の」というように持っていけばいいのじゃないかというように考えます。それから、訪販法の第十二条の重要事項の開示義務、第十三条の不適正な勧誘の禁止及び十五条の書面の交付等は、これは大変立派な考え方でございまして、それがいわば委託販売あるいは連鎖型の紹介組織に及ぶようにしていただければというように考えます。  それからまた、マルチであろうがマルチまがいであろうがあるいはそれでなかろうが、一般取引において公正取引委員会独占禁止法というものを所轄しておられるわけでありますから、この第十九条の中の一般指定で、その中では「ぎまん的顧客誘引」の禁止とか、「不当な利益による顧客誘引」の禁止とか、あるいは「優越的地位の濫用」の禁止だとか、そういったことを細かく定めていらっしゃるわけでありまして、私は、なぜ公正取引委員会が動こうとされないのか、それが不思議でたまりません。
  27. 高村正彦

    高村委員 宮脇参考人にちょっとジャパンライフの実際の取引の状況についてお尋ねしたいのですが、ジャパンライフ商品の買い取りを強要するというふうに聞いているわけでありますし、一方では代理店の契約書では販売委託、こうなっているわけであります。先ほど竹内参考人もちょっと触れておられましたが、買い取りを強要するのであればマルチそのものでありますし、それから販売委託であれば商品を返せるはずだと思うわけでございますが、そのところは、ジャパンライフはどういう理由で買い取りを求めてきたのか、なぜそれを拒めないのか、なぜ返せないのか、そういうことを含めて、宮脇参考人にその実態についてお尋ねしたいと思います。
  28. 宮脇敬

    宮脇参考人 確かに代理店契約をした契約書の中には委託ということがうたわれております。代理店になりましてから私たち商品を仕入れるわけですけれども、その商品というのは委託のはずなのに、一応仕入れた時点でもう仕入れになっているというのですか、注文した時点で仕入れになっております。そして月末までに仕入れたものに対して翌月十日に決算するわけなんですけれども、商品を計画を立てて仕入れてみるのですけれども、組織というのは生き物でもありますし、当然全部が売れるということだけじゃなくて、売れ残るというケースが当然出てくるわけなんですけれども、その商品を十日の日には決済しなければならないというのが、もう入ったときから周りの人たちは当たり前に思っているのです。それで、そういうふうに言われて、聞かされてきてもおりますし、返品なんというのは当然認めない。  当初私も、委託であるはずなのになぜと思いましたけれども、いつの間にかそれが当たり前の環境の中にいることになっていく。でも、やはり売れなくて決済できなくて、当初のうちは自分が親兄弟に頼んだりしてお金の都合もつけられるのですけれども、お金の都合がつけられなくなった場合には、結局は空クレジットを切るような感じになっていくわけなんです。そのクレジットも切れなくなってくると、いよいよ困ったときにジャパンライフに初めてもうどうしようもないということを言うと、それでしたら翌月に回しましょうという言葉が出てくる。それで、それをやることによってマイナスポイントをジャパンライフの方でやっているみたいです。そうしますと、決済のできない代理店さんには商品は渡せないというふうになってくるわけですね。それが委託であったらそういうことが出てくるはずはないと思うのですけれども、そういうようなやり方で、商品を仕入れさせてもらえない。しかも、だめだとずばり言わずに、いろいろなうまい理由をつけて、結果的には仕入れができないようになっていく。そして、仕入れができないということは商売ができないということですから、会社をやっていれば当然毎月決まった経費も出ていく。それが、売ることができなければ収入がないわけですから、要するにマイナスになってくる。そしてまたお金を借りるようになる。そういうふうになっておりました。  そして、商品の翌月振りかえ、他社振りかえというのができるということは最初から言わないです。また聞かされておりませんでした。それは通常最初に教えるべきだとも僕は思いますけれども、それがべールに包まれたように上の人はだれ一人教えてくれない。そういうことがあって当たり前、仕入れたものに対して支払いをする。委託というのはあくまでも紙の上で書いてあったことであって、実態は仕入れイコール売り上げであり、支払いをしなきゃいけないというふうなことになっております。今でもそうかどうかはわかりませんけれども、私がやっていたときはそういうふうになっておりましたし、みんながそう思ってやっておりました。そういう感じです。
  29. 高村正彦

    高村委員 今わかったような気もするし、ちょっとわからないところもあったわけですが、最終的に抱え込んだ商品委託という契約の文言に基づいて引き取ってくれと言った場合に、ジャパンライフは引き取ってくれるのですか、くれないのですか。
  30. 宮脇敬

    宮脇参考人 当初やめていかれた代理店さんは引き取ってもらったそうです。それで、代理店の契約の調印式のときに山口会長は、やめていくときには商品在庫は引き取る、いろいろな販促資料も引き取るということは言っております。私もそのことは三回聞きました。ところが、やめていかれた方々は、ほとんど自分が仕入れて先に決済して取ってしまったバックマージンを差っ引いた金額は返してもらっていたそうですけれども、ことしの五月、六月過ぎあたりから、自分の取ったマージンよりももっとマイナスでしか引いてくれないというふうになってきたのです。それは以前からあったものではなくて急遽なったみたいで、そういった規程というものは我々には全然伝わってきておりませんでしたし、返品は実際になかなか応じてもらえておりませんでした。ここに来て、今は返品に応じてもらっております。一度にたくさん来ますと処理ができないそうで、順序を追ってやっていくというふうに我々にはおっしゃっておりますし、実際に返品、返金が解決していっております。私の方では、今はそういう状態しかわかりません。
  31. 高村正彦

    高村委員 宮脇参考人がサンデー毎日あるいは東京タイムスで語っておられるものに、月千七百万ぐらいの売り上げがあったということ、それから一年半ぐらいで千六百万の借金を抱えた、こういうようなことを言っておられるのですが、千七百万ぐらいの売り上げがあると、何か私はよくわかりませんけれども、かなりの実質マージンがあったのじゃないかなとも思えますし、一方では結果として千六百万の借金が一年半で出た、その経過をごく簡単に教えていただければ大変ありがたいのですが。
  32. 宮脇敬

    宮脇参考人 結局一つのトリックというのですか、我々は上代で物を言う癖がいまだについております。普通、商売をやっている方に聞きますと、数字というのは仕入れ値、要するに下代で言うものだ。だから、一千万の在庫を持っているというと、それは商品についた価値というか金額であって、実際には仕入れが五〇%だったら半分だというふうにして、決済した商品に対してバックマージンというものをもらいますから、ついうっかり定価どおりの価値があると思い込んでいるのです。ところが、実際その商品というのは、仕入れて、いただいたマージンを引いたものの価値しかないわけなんです。  それで、やっていけばいくほどどうして赤字になっていったかといいますと、一生懸命、本当に寝食を忘れて頑張って言われたとおりやってみたのですけれども、やはり高額商品であることとか、なかなか思うように売れないとか、そういったことで、先ほどもしやべりましたように決済というものに対して非常にお金を借りていく。そして、にわか商人、にわか経営者、にわか法人とされることによって、経営というものに対して無知であるということも一つの理由だと思いますし、とにかくやらなければいけないことがあり過ぎて、そういったことを一つ一つ確認している暇が私の場合はありませんでした。そして、やっている人たちの間で通常言われている言葉、代理店は一年やれば借金は一千万だ、二年やれば二千万だと言われているのですけれども、実際にほぼ当たっております。  なぜかというのを考えてみるのですけれども、どうも経費なり商品代金なりを食っている、現金売り上げを食っているということがやっていてなかなか気づかないのです。なぜかというと、それは自分でもいまだにはっきりわからないのですけれども、先ほど言った上代での癖がついているというのも一つですし、一千七百万売っていたとしても、実際に自分で直接売れるのは、営業所になるまでにはほとんど自分の人脈を使い果たした後ですから、当時三五%をファミリー長さんに支払っていると差額の九%しか入らなかったわけです。一千七百万の九%といっても百数十万で、営業所、会社を経営していれば黙っていても経費だけで一カ月百万から百五十万かかってしまう。そして、これはテリトリー制になっておりませんから、地方の傘下の応援に行けば、例えば北海道へ行けば二、三日行くだけで十万くらいの経費がかかる。これは全部実費なんですね。そういった経費を合わせるとどうしても赤になっちゃうのです。  ただ、赤でもなぜみんなやっていたかといいますと、非常に夢、目標を持たされ続けてきて、それをそのとおり自分で思っているから、今苦しくても販社になったら、皆さん一千万くらいのバックマージンをもらっていますから、こういうものはすぐ返せるというふうに考えが自然となっていくのです。または、三年後には一部上場するとかそういった夢でつられて今の苦しさを、この先続ければ借金がもっとふえることがわかっていながら結局はふやしていってしまった、そういう方が僕は多いんじゃないかなと思います。
  33. 高村正彦

    高村委員 時間が参りましたので、質疑を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  34. 上坂昇

  35. 横江金夫

    横江委員 きょうは、参考人先生方、御苦労さんでございます。  先ほど竹内先生から、現在の法律マルチまがいを野放しにするそのような趣旨ではない、まさに私はそのとおりだと思うのです。また、先ほど現先生からは、五十一年の訪販法が施行された段階では、これから残存するマルチ商法の組織はすべてなくなるであろう、通産のお役人さんからこういうお話がございました。しかし、マルチそのものじゃなしに、マルチまがいで実際に多くの被害者が出ておるという現実があるわけでございます。五十一年にこの法律が施行されました。そして、例えば今お話がありましたベルギーダイヤモンドも、ある意味では再販売そのとおりで事実あるわけでありますが、この再販売の形を若干脱法的に変えているのは、現実に本社とか支店からそれぞれの店、買い主に対して親、子供あるいは孫にそれぞれ販売をしていくという形が脱法的な行為であり、また今ジャパンライフの問題がございましたが、これも委託販売のような形でちょこっといじくって脱法しておるわけです。  五十一年からもう十年もたとうとしておるわけでありますけれども、こんなことは先生方にお尋ねするのはもうおかしいかもわかりませんが、現先生はここでもう八回本当にとうといお話をしていただいたわけであります。なぜ法改正というのか、しっかりとした対応ができないのか非常に歯がゆい感じでございますけれども、その歯がゆさを現先生と竹内先生に、野放しの状態であるけれども実際にはその趣旨ではないという意味から、そこらあたりをちょっと御説明いただきたいと思います。
  36. 堺次夫

    堺参考人 法律というのは何年かたちますとひとり歩きするものではございますが、行政府の方として法律を運用する際に考えていただきたいのは、その立法趣旨なり立法の論議なりといったことに注目してほしいわけであります。例えばマルチ商法の問題にしましても、訪販法ができた直後は通産省当局は大変積極的な行政をやっていらっしゃいますし、警察庁も随分頑張られました。いわば国会におけるいろいろな審議行政にストレートに反映されたように思います。  ところが、何年かたちますとそういったことが忘れられてしまって、法文のみの解釈になってしまう、そういった歯がゆさを強く感じます。特に通産省行政指導というのは世界に名高いわけでございまして、なぜ消費者保護につきましては通産省行政指導は即刻行われないのか、いつも歯がゆく思っておる次第であります。
  37. 竹内昭夫

    竹内参考人 法律を脱法しようとしている、この脱法が成功しているかどうかは裁判所の判決がまだ出ておりませんからわからないということを先ほど私は申し上げたわけでございますが、いずれにしても、脱法しようとしている者かいるのなら、それを追っかけるのが立法というものだろう。それを歯がゆく思わないかと言われれば、私もまた歯がゆく思うと申し上げるほかはないわけであります。  しかし、そういうことを余り国会の皆様方の前で申し上げることは、国会の非能率をこういうところで非難するという結果になりますので、議員の方々がそういう点について十分自覚していただいておれば、私から改めて申し上げるまでもないのではないか、かように思います。自覚していないということであれば、私も野にある一人として、この点を論文等で申さざるを得ないということになろうかと思います。
  38. 横江金夫

    横江委員 竹内先生、確かに裁判所判断がされてない。しかし、大阪の判例等、公序良俗に違反するというようなお話もございました。これから大いにそのような手だてをすべきだ。民事というものは非常に長いわけでございますね。その間にどんどん被害者が出てくるのですね。そこらあたりを、確かに公序良俗に反して違反でありますけれども、長過ぎるということ、それから被害者はなかなかそのような対応をできないという、その意味合いからまいりまして、先生のお説を伺いますと、少なくともこの売買とか委託販売であるというのは必ずしも決定的なポイントじゃない。一番のポイントは、子から孫、孫からひ孫という、先ほど御説明がございましたような、いわゆるそこに勧誘していくという再販売、ここに一番のポイントがあるのですよという御指摘がございました。  私は、まさに今のそのあたりからいきますと、委託という形の中でも、実際には子から孫ということ、それからベルギーにいたしましてもそういう形をとって、先生の言われる決定的な再販売ということで現行でもできないのかなという感じを持つわけでございますけれども、そこらあたりにつきましてはいかがでございましょうか。
  39. 竹内昭夫

    竹内参考人 先ほど言いましたように、再販売というのはマルチ販売業者、ジャパンライフならジャパンライフという会社がその会員に一たん売りまして、会員がそれを仕入れた上でまた孫に売る、あるいは一般消費者に売るというやり方を再販売というふうに定義しておるわけであります。  ところが、今御指摘のように委託とか媒介というやり方をとりますと、法律形式的には直接にジャパンライフあるいはベルギーダイヤモンドと最後の購入者との間に売買契約が締結される。だんだんおりていくわけじゃないという形になっていくわけですね。訪販法の十一条の定義は、再販売、再販売という形でだんだんおりていくということを要件にしているものですから、そこを外して直接行く場合でも、会員が委託を受けて売るとか、あるいは媒介をしてあっせんして売買契約が直接そこで成り立つようなことをした場合にはこのマルチに当たるという改正をするのが妥当であろう。  と申しますのは、いろいろ話を聞いておりますと、委託といいましても実際には返品に応じない、どんどん翌月仕切ってしまう。これは建前は委託であるけれども、実態は再販売そのものじゃないか。それから、さらにその場合に、参加者に最終購入者の債務を連帯保証させるというようなこともあるようでありまして、連帯保証させるということになりますと、これは親元からすれば、まさに会員の資力さえ確認しておけばそれで大丈夫だというわけでございますから、これはまさに再販売と紙一重と申しますか、裁判所へ行けば、これは再販売そのものだというふうに判断される可能性も十分あり得るのではないか。その意味で私は、おっしゃるように民事の訴訟に全部任せるべきだという考え方ではございませんで、被害が拡充しつつある現在、最小限今申しましたような改正をして被害の拡大に歯どめをかけるべきだ。  と同時に、被害者の方も行政なり警察なりに何かやってくれと言うだけじゃなしに、自分の言い分が正しいと思うなら、堂々と裁判所へ出ていって、そこで自分の主張を展開し、自己の権利を自分で守るというような努力をしてほしい。それがこういう悪徳なあるいは悪質な取引をする者に対す令民事的な制裁を加えるゆえんでもあるということを申し上げたわけでございます。
  40. 横江金夫

    横江委員 確かに、今全く微妙な再販売委託現実ジャパンライフの場合に委託、しかも返品に応じないのですね。その返品に応じないところか、例えば販売店から、営業所から、販社――宮脇先生お見えになりますが、そこで実際に在庫を抱え込んでしまう。在庫を抱え込むならば、またこれは売らなくちゃいけないということで、結果的には返品も許さない、在庫を抱え込ませる。結果としてはまさに再販売の、微妙どころかまさに典型的な図式じゃないかと私は思うのですね。  そういう点からいった場合に、現行法だってということを言いたいのですが、それはできないということになりますと、今先生からお話ございました、例えば法改正として委託販売とか媒介について、これを包含するような形の改正をしていかなくちゃいけない、こういう趣旨でございまして、私どもとして怠慢じゃなしに、これは早急に手を打たなくちゃいけないということを強く実は痛感するわけでありますが、いま一度、先ほどの御指摘もありましたけれども紹介販売ということ、アメリカのアリゾナ州で、これは先生御専門でございますけれども、例えば紹介する、百円のものが一人紹介すれば五十円、二人紹介すれば百円、そして自分がそれ以上に利益を上げていく、こういう紹介販売に対する規制というのが、アメリカはやはり先輩ですから、随分厳しくやられているわけでございます。こういうようなマルチまがいのまがいじゃなしに、これですぼっと抑え込むこともできるのじゃないか。私は、日本になじまないのかどうか、ここらも含めてひとつお教えをいただきたいと思うのです。
  41. 竹内昭夫

    竹内参考人 この紹介販売というものも、これも非常に中にはいろいろなものがあり得るだろうと思います。  例えば、私が何かある商品を買いまして、本当に自分でこれはよかったと思った場合に、それを友だちに紹介する、そういう場合まで法律でもって規制するというのは、これは問題だろう。ところが、現在行われている紹介販売というのは、おためごかしに相手方のためを思っているかのように近づきながら、実は金もうけの手段である。私は金もうけの手段としてこういう紹介をしているのですということは決して言わない。あなたのために友人としてというようなことを言いながら近づいて金もうけをする。そこがいけないわけでありまして、そのような紹介販売を効果的に抑えるという立法であれば十分考えていい問題であろうと思います。ただ、その要件をうまく絞ることが、これは技術的になかなか難しい問題であろうとは思っております。
  42. 横江金夫

    横江委員 時間の関係で宮脇参考人にお尋ねいたします。  先ほど、相川社長、非常に誠意があるような、例えば返品に応ずるとか、ヘルスローラーはやめたとか、システム販売はやめたとかというようなお話等がございました。誠意が見えるなんというのは、ちょっと私どもはその言葉の上で何か感ずるわけでございますけれども、そこらあたり御説明いただきたいと思います。
  43. 宮脇敬

    宮脇参考人 直接相川社長とはまだお会いしておりません。相川社長の代理というか、ジャパンライフの方とはお会いしていろいろお話をしました。  それで、結局薬事法違反の疑いがあるということで、ヘルスローラー及びヘルスカウンセラーと称したそういう販売方法をやめるということは、何か原因があったからやめたと思うし、そういうものを実際にすっぱりと、二十日の日の会見で、山口会長もやめていただいて、そういうふうにしますということをマスコミの方を前にして言いました。  私たちは、当初会をつくったときに、もうこれ以上新しい被害者の方をつくりたくないと実際に思ったわけです。そのためにはこういう販売方法なりそういうシステムがなくなればそういう人たちはふえない、そのためには大きな問題にした方がいい。それはある程度達成できましたし、販売内容もそういうことによって変えていただけたということですね。ですから、そういう意味で、私は私なりに誠意が見られたというふうに判断しましたし、自分たちの会の方に来ている方々といろいろな話をしましても、それだったら問題はなかろう、あと残された問題は、現在やっている人たち、または商品を持っている人たち返品、返金さえやってくれればいいじゃないかという声が多かったものですから、先ほどそういう言葉にしてしゃべったわけですけれども、誠意は見られてはいるのですけれども、今後もっと急いで解決に向けていただきたいとは思っております。
  44. 横江金夫

    横江委員 もう一点だけお尋ねしたいと思います。  それと関連をいたしまして、たまたまジャパンライフヘルスカウンセラーの話が先ほどございました。その協会員の福利厚生で互助会があるわけであります。その互助会員の会費が自由国民会議の会費、いわゆる自民党の党友という形で納められている。ここに領収証等もございますけれども、こういう事実は御存じでございましょうか。
  45. 宮脇敬

    宮脇参考人 はい、知っております。
  46. 横江金夫

    横江委員 それと、今ヘルスカウンセラーの方の数は大体どのぐらいでございましょう。
  47. 宮脇敬

    宮脇参考人 三万人と言われていたのですけれども、今は半分から半分以下になっているんじゃないかと思います。
  48. 横江金夫

    横江委員 終わります。
  49. 上坂昇

  50. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 まず、宮脇参考人にお尋ねしたいと思います。  きょうは本当によく出てきていただきました。私は率直に申し上げて、先ほど宮脇参考人のお話をお聞きして、確かに、被害者の立場に立って、そしてジャパンライフが営業システムを変えてきておるということはいいことだということを言われ、あなたのような被害を受けたのは漸次解消されていくことが好ましいことだと言われたのですけれども、まさにそのとおりだと思います。しかし一面、あなた自身もこの間加害者の立場にあった、こういうお立場を十分自覚をしていただいておるのかどうか、ひとつお答え願いたい。
  51. 宮脇敬

    宮脇参考人 ちょっと今の内容でわからない部分があったわけですけれども、今の加害者であったとおっしゃるのは、会をつくってから以降のことでございますか。(和田(貞)小委員「いいえ」と呼ぶ)そうではなくて、ジャパンライフで仕事をしていたときですか。  今思えば非常に恥ずかしいというか、残念だと思っております。ただ、やって夢中になっているときは決してそういうような思いは毛頭なく、実際自分は皆さんにいいことを教えているんだというつもりでやっておりました。これは今だからこそ、加害者であった、恥ずかしいという言葉が出てくるのであって、そういう気持ちは皆さんやめられた方は持っていらっしゃるからこそ、やめた後、大きく声を出して被害者というふうなことをおっしゃらないんだと思うのです、逆に言いますと。  ですから、自分代理店に来た販売員人たち、まして、ことしの三月から本業になれということをはっきり言われて会社をやめた方とかたくさんの方がいらっしゃいますし、自分自身の直接の営業所の傘下じゃない方にも、将来性を語ってみたり、または本業の方が収入も多いとかそういうことを言ってきた手前、また、私の言葉を聞いて何十年勤めた会社や銀行をやめた方も数人いらっしゃいますが、その人たちに対して大変申しわけないという思いが出てきたわけですね。  これで、自分もまた他の方と同じように、そういう加害者をしていたという意識があるものですから、黙って去ればいいのかもしれませんけれども、それができなかったということです。何とかそういう人たちに、お金での力はかせません、現在も借金もありますから、せめてこういう形でお返しができたらという気持ちは非常に強いですし、会をつくったというのはそれも一つはございます。何とかいち早く、現在被害者になっていることを気づかずにいる方々の傷口を小さくしてあげたいと今は思っております。
  52. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 それでひとつ御協力をいただきたいのですが、その催眠戦術の場に買った者が行って、くみされないで、いわば被害者のままで加害者の役を果たしておらない被害者があるわけですね。そういう被害者は、例えば自分の息子の嫁の里の兄弟であるがために、一軒で年寄りが三組毛布団を買わされて泣き寝入りしているという、そういう末端の被害者もある。あるいは、昼から私はやりたいと思いますけれども、事もあろうに、自分の主人が原子力研究所におる、この原子力研究所で十分検査をした結果、これは非常に効果があるんだというようなことで売り込んでいくことによって買わされたというような、そういう被害者もあるのですよ。  そういうようなことですので、ちょっとお尋ねしたいのですが、いわゆる脱法行為として法人にしていくというそのシステムの中で、コピーを一台買いなさい、あるいはファクシミリを一台買いなさい、あるいは小さなところでもいいからオフィスを持ちなさい、最低女子事務員は一人雇いなさい、こういう指導があるわけですね。そういう条件の中で契約をしていくわけですね。そういうことで脱法行為をするのだけれども、その中で、例えばコピー、ファクシミリ、そのことについては、特定のメーカーからそれを買いなさいというように指導をされたのですか。
  53. 宮脇敬

    宮脇参考人 言葉ではっきりは言わないのですけれども、大会資料の中に、そういった推薦するファクシミリだったらファクシミリとかそういうものが入っております。それで、言葉の魔術師というのですか、それをうまくすりかえて、いいような言い方をするのが非常に山口会長はうまかったものですから、我々は本当に信じて、一生懸命やっているときは信じていますから、こういうふうに使った方がいいよ、ジャパンライフは皆さんのためにこちらのメーカーのこれをこういうふうにしたのですよと言われると、ああ自分たちのためにこんなにやってくれているのかという思いだけで結局は買ったりするわけです。  ところがそれはそうじゃなかったということは、今になってお話としていろいろな方から聞いたり、結局はキックバックがあったとかというふうなことは聞いているのですけれども、資料を入れたり言葉でうまい言い方をして、結局はそういうふうなことは言っているわけです。それを素直に皆さん実行したというだけだと思います。
  54. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 それからもう一つお聞きしておきたいのですけれども、いわば、磁気マットの販売員にトーキングする内容が配られていますね。先ほどお聞きしておりますと、御自身も何か効果があるものだ、品物は決して悪くないんだ、こういうことですが、これは先ほど堺参考人が言われた、厚生省の認可のおりておる凝り、血行、それ以外に何か効果があるとお考えですか、また、効果があるようにお勧めになられたことがありますか。
  55. 宮脇敬

    宮脇参考人 私どもは最初、羽生田進先生がヘルスカウンセラー協会の理事長をなさっている、その先生の経歴を聞けば聞くほど、ああ、すばらしいと思ってやってはいたのですけれども、実際にうたっている効果、要するに許可のおりている以外の効果を言ったかどうかということは、事実、言いました。それは、上からそう言えってずっと教えてこられましたから。  それと、いいと思っているかどうかということなんですけれども、私自身はいいとは思っております。
  56. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 そういうように言えと言われたということですが、そのとおりですね。  それからもう一つ宮脇さんにお尋ねしておきたいのですけれども、女の事務員を雇えとかあるいは機械のことを聞きましたけれども、オフィスを陣取れということですが、大体どの程度のオフィスを用意されているのですか。
  57. 宮脇敬

    宮脇参考人 東京を例に挙げますと、代理店クラスになりますと、皆さん、十坪からせいぜい十五坪くらいの事務所だと思います。販社になりますともっと大きいです。
  58. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 ありがとうございます。  堺参考人にお尋ねしますけれども、本当にあなたは長い間御苦労さまでございます。このマルチの温床になっておるクレジットの問題ですが、具体的に今、クレジットで宮脇さんのジャパンライフ以外にもこういうこともあるんだという例がありましたら――どうしてもクレジット、余りにも無責任だ。クレジット会社が無責任だという例がありましたら、一、二、ちょっと簡単に言ってください。
  59. 堺次夫

    堺参考人 学生が、いいアルバイトがあると言われまして説明会に行きまして、その気になりまして商品を買います。これが大体三十万、四十万ぐらいです。三年の三十六回払いにいたしますと少なくとも十五万ぐらいはアップいたします。当然、お金がありませんからクレジット契約を結ぶことになります。しかし、このクレジット業者というのは、ジャパンライフの場合はオリエントファイナンスとセントラルファイナンスが多いわけでありますが、いざ、こうやって事が表ざたといいますか大変問題になってきますと、恐らくクレジット会社の方はそういう商法は知らなかったと言って逃げるのだろうと思います。  現実にセントラルファイナンスは、福井におきまして印鑑の販売を装ったネズミ講にこれはもう結託をいたしまして、いわば加担をしたようなものでございまして、やったような事例もありますが、このように、学生という立場を考えますと当然学業が本分でありまして、そういった人々にアルバイトがあると言って、実はその学生の応分以上のものを負担させる、その金の資金源にクレジット会社がなるということは、これはキャッチセールスなんかでも見られることでありますが、これはちょっと基本的におかしいのではないか。  昨年十二月以来、割賦販売法が改正になって抗弁権の接続が認められておりますけれども、ただ、あれは商品が届かなかったり商品に瑕疵がある場合がメーンでございまして、では商法に問題がある場合はどうなるのか、こういったところに対しまして通産省はもっと厳しく行政指導をすべきではないかというように考えております。
  60. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 このマルチまがい、ネズミ講まがいというのは、行政府がやらなければ立法府としてこの訪販法の改正なりネズミ講禁止法の改正というものは早急にやらなければいかぬ仕事だと私は思います。しかし、このクレジットとの契約についてあなたはどうすれば、ただ行政指導だけではクレジットが悪徳商法に悪乗りすることは規制されないと思うのですが、何かいい案があったらひとつおっしゃってください。
  61. 堺次夫

    堺参考人 割賦販売法の対象に役務も含めること、及び抗弁権の問題については、販売業者とクレジット会社の責任を完全に一体化する、もう一回再改正が必要だと考えます。
  62. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 ありがとうございます。  竹内参考人にひとつお聞かせいただきたいと思います。  先ほどいろいろ御高説をお聞きいたしまして、竹内先生も従来から、よいマルチはない、当然のことながらよいマルチまがいもない、よいマルチまがいまがいもない、こういうことでございますが、当然のことながら最終的には裁判所判断を待たなくちゃならぬけれども、それ以前に何とかやはりこの法をどんどん変えていくべきだ、もっとものことだ、やらなくちやならぬと思うわけであります。  先生御専門のことでございますが、アメリカで統一詐欺的取引慣行法あるいは続統一詐欺的取引慣行法、これによって、悪徳商法については詐欺罪以前にこれを規制するという内容の法律らしいのですが、このアメリカでの慣行法が日本の商慣行の中でなじむことになるかどうか、ひとつお答え願いたいのです。
  63. 竹内昭夫

    竹内参考人 私は、そういう法律もあってもちろん邪魔にならないと思いますし、また入れた場合にはそれなりの役割を果たすということも考えられます。しかし、先ほど来皆様方の御意見の中からも出てまいりましたように、民事裁判で事を決着をつけようとすると非常に時間もかかります。それで日本では被害者自身が訴訟をしたがらないという風土もあるわけです。  そこで、詐欺的慣行法のようないわば一般条項、我が国で言えば公序良俗とか詐欺とかいうような一般条項を使って、それに反するような取引の効力を否定するというような規定を置くことは、私は迅速な対応という点からは甚だ我が国にはなじみにくいのではないかという感じがいたします。もしどうしてもそういう形で我が国の消費者が争いたいと思えば、現在でも公序良俗に反するではないかという形で訴える手段はあるわけであります。  私は、そういう点からすれば、いたずらに新しい法律をつくるというよりは、この際は、御承知のようにマルチなんというのは早いところ手を打たなければいかぬという性質のものですから、そういう意味で迅速に使えるような法律にすることが必要だ。そのために訪販法でも刑事規定というものをかなりリンクさせておるわけでございまして、そのためにまた今度は拡張解釈がしにくいという面もあるわけでございますが、いずれにしても刑事責任というものに結びつけて素早く抜けるような法律にするためには、被害者が民事裁判で争うというのは、もちろん、ないよりはいいけれども、必ずしも適切ではないのではないか、かように考えております。
  64. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 どうもありがとうございました。
  65. 上坂昇

  66. 福岡康夫

    福岡委員 きょうは、三人の参考人の方、年末を控えてお忙しい中を本当にありがとうございました。御苦労さまでございます。  まず私、先ほど堺参考人のお話を聞いておりますと、ホリデイ・マジック事件と、今公正取引委員会が審査中のベルギーダイヤモンドの問題につきまして、いろいろ何か関心がおありのように聞きましたのでお尋ねいたします。  堺参考人、まずこの関連について、被疑事実と法律構成要件の問題であなたが何かすっきりしない面があると、その点はどういう問題点か、ひとつお尋ねしてみたいと思うのです。
  67. 堺次夫

    堺参考人 ホリデイ・マジック事件は御承知のように昭和五十年六月に勧告審決が確定しているわけでございますが、そのときに、これは独占禁止法第十九条の違反ということで確定いたしました。不公正な取引方法の禁止規定でございますが、その中の一般指定の当時は第六項、不当な顧客誘引ということで確定したわけでございます。  その後、独占禁止法が改正されまして、不公正な取引方法一般指定が多少広がっております。いわば細かく解釈がなされておりまして、ベルギーダイヤモンドにつきましては、私どもはこの二月に独占禁止法第十九条違反で申告いたしました。その際に使わせていただいた一般指定の項目は第八項、欺瞞的な顧客誘引の禁止規定、これを使わせてもらったわけであります。  ホリデイ・マジック株式会社に対する勧告審決の事実の中でこういったことが書かれております。「なお、同社は、ゼネラル等が多額の収入を得るためには相当数のディストリビューターを配下に所属させる必要があるところ、ディストリビューターの対象となる者に限りがあり、ディストリビューターとなる時期が遅れれば勧誘が困難となるにもかかわらず、被勧誘者に対する各種講習会において、照明、音楽、映画、話術、握手ぜめ等で会場のふん囲気をもりあげながら、過去にゼネラルと有り多額の収入を取得した事例等を引用して、だれにでも容易に多額の収入が得られるよう暗示を与えている。」これは実はマルチまがい商法にすべて共通することでございますので、私は独占禁止法の発動ができるのではないかというように考えている次第です。
  68. 福岡康夫

    福岡委員 竹内参考人にお尋ねいたしますが、法律の専門家の立場から見まして、もしホリデイ・マジック事件とベルギーダイヤモンドの事件の被疑事実について御存じであって、法律構成要件から御検討いただけるようであれば、御見解をお伺いしたいと思います。
  69. 竹内昭夫

    竹内参考人 十分検討したわけではございませんが、違っているところとすれば、ベルギーダイヤモンドの場合には販売委託販売の媒介という形をとっているのに対し、ホリデイ・マジックの場合にはまさに再販売という形をとっておる、そこが違っているといえば違っているということでございましょうけれども、しかし、システム全体の不公正さという点からすれば、いわばそれはマイナーな小さな違いでありまして、本質的な点については共通であろうというふうに考えております。
  70. 福岡康夫

    福岡委員 続いて堺参考人にお尋ねいたしますが、今いろいろお話を聞いておりますと、結局何か通産当局なり公取当局が委託販売かそれとも売り切り買い切りか、この問題点について文書的契約じゃなくて実態面からこの事実認定をすれば訪販法及び独禁法の適用ができるのじゃないか、こういう点の御指摘があったかのように考えるわけでございますが、その点についてお答えいただきまして、あと竹内参考人からもお伺いしたいと思います。
  71. 堺次夫

    堺参考人 先生のお話のとおりでございまして、実態を突き詰めていただければ、現在、委託販売と称しながら返品を受け付けないものが再販売であった場合は訪販法が発動できると考えます。  ただ、やはり悪徳業者もよく考えておりまして、マルチ商法連鎖販売業であると認定できても、訪販法の第十二条以下が発動できるのは無店舗個人に限られております。その結果、これは現在法務省でも検討中でございますが、今の社会は個人でもいとも簡単に有限会社になれますので、会社側が意図的に簡単に、たとえ四畳半の部屋に住んでいようとも会社にしてしまう、法人にしてしまう。無店舗法人にしておるわけでございます。この結果、動けないといった点はあろうかと思いますが、これはこうなったらこうなったでまた法律を改正してもらえばいいわけであります。ただ、独占禁止法は今でも発動できると私は考えます。
  72. 竹内昭夫

    竹内参考人 まさに実態に即して考えるべきであって、契約の文言上どのように委託販売というふうな言葉が使われておりましても、実態において返品を許さないということであれば、それは再販売と同じことではないかという点から判断していくべきでありましょう。したがって、これは個々のケースについて事実関係を十分検討した上で訪販法の適用があるかないかということを考えなければならない。  そのためには現在、俗に言われているマルチまがいというものの中に本当のマルチというものも含まれている可能性がある。裁判所はそれはマルチまがいにすぎないのであってマルチではないという判断を下したことはないはずだということを申し上げたのはその趣旨でございます。
  73. 福岡康夫

    福岡委員 堺参考人にお尋ねいたしますが、今行政当局に緊急に何をしていただきたいとお考えになっておられるのか、ひとつお教え願いたいと思います。
  74. 堺次夫

    堺参考人 まず通産当局には、通産当局が認められる連鎖販売業者としてMBCという存在が公表されておるわけでありますが、これは訪販法違反が明らかであって、即刻摘発をしていただきたい。これは警察当局にも望むことであります。及び人工宝石を扱うマルチまがい商法業者の中には、昨年十一月に大阪府警がネズミ講禁止法で摘発したと全く同じシステムをとっている業者がございます。東京にあるジャパン・ビルドなどはその例でございまして、これなどはネズミ講禁止法違反で即刻摘発できるのではないか、このように考えます。とともに、法律の改正に消極的であってはならないというように思います。
  75. 福岡康夫

    福岡委員 竹内参考人にお尋ねいたしますが、規制立法に当たっては、憲法の営業の自由との関係もあって構成要件の定め方が厳格になり過ぎております。どうしても法律をくぐり抜ける手口が次から次へと頭を出してくることとなりますが、これを繰り返すことになります。したがって、よいマルチとかよいマルチまがい商法も存在しないように、不公正取引を許さないという決意のもと、構成要件の定め方を緩やかにして、長期的にかつ弾力的運用をもって考えていく現在は時代ではないかと私は考えておるわけでございますが、竹内参考人の御意見をお聞きしたいと思います。
  76. 竹内昭夫

    竹内参考人 そういう業者の損害賠償義務等を定めます民事責任規定であれば、かなり弾力的な解釈を可能にするような立法、先ほど御議論が出ました詐欺的慣行法に倣ったような法律をつくるということも考えてよいかと私は思います。  しかし、事刑事責任につながるような立法の場合には、要件はやはり厳しく定めなければならない。厳しく定めなければならないからこそ、したがって法をくぐる者が出てきた場合には次々と迅速に手を打つべきだということになろうかと思うわけでありまして、過剰規制はもちろん戒めるべきでありますけれども、過小規制ももちろん戒めなければならない。必要最小限度の規制は何かという点から考えるべきであろうと思います。
  77. 福岡康夫

    福岡委員 次に、宮脇参考人にお尋ねいたしますが、先ほど参考人の陳述のときにいろいろお話を聞きましたが、そもそもジャパンライフと関係するに至った動機をひとつ詳しくお話し願いたいと思います。
  78. 宮脇敬

    宮脇参考人 先ほども申したのですけれども、人から人へということで、私の場合は私の友人電話をかけてきたのがまずきっかけになっております。ただ、商品を買ったお客様である方がイコール、会場に来もことによって紹介者になり、そしてその過程の中で環境に染まり、また夢や目標を持たされて、いつの間にか紹介者よりも販売員販売員よりも経営者、そういうふうに変わっていくということです。ですから、人間関係でのつながりで、ある日突然やってくるものですから予期ができないというのですか、そういうふうに変わっていくようなシステムがもうある程度、ロールプレーニングテキストの本もごらんになったと思いますけれども、ああいうものができ上がって組み立てられていると思います。私の場合は、売り方の最初電話からいつの間にか意識を変えられていったというのが現実です。
  79. 福岡康夫

    福岡委員 宮脇参考人にお尋ねいたしますが、参考人は個人でおやりになっておられたのか、有限会社でおやりになっておられたのか。もし有限会社でおやりになっておれば、その法人名、それとなぜ有限会社を設立したのか、またそれはジャパンライフからの要求で法人にしたのか、その点についてお差し支えなければちょっとお示し願いたいかと思っております。
  80. 宮脇敬

    宮脇参考人 代理店に昇格するには法人登記をしなければならないというのは決まっております。そのため、なりたい、要するになれる方は当然事前に会社の法人登記をします。私の場合は有限じゃなくて株式にしました。それは、やはり有限よりも株式の方が会社としてというような上の販社のそういった意見を取り入れまして敬企画という株式会社をつくった。現在もまだ会社はあります。
  81. 福岡康夫

    福岡委員 恐縮でございますが、おっしゃるのがどうも都合が悪ければ結構でございますが、今敬企画とおっしゃった、その敬企画の総売上高とか負債額とか現在の在庫量など被害状況をできるだけ、もしお示し願えるのだったらぜひお願いしたいかと思っております。
  82. 宮脇敬

    宮脇参考人 負債を私が大体一千五百ぐらいと言ったのは、現実に金融関係から借りて残っているものがまだ六百数十万ございます。あと金融関係以外から借りたものが三百から四百ぐらいございます。そして、この仕事を始めるに当たって必要じゃない、以前は必要なかったものを結局買って、その残ったクレジットですか、そういうもの全部で先ほど言った一千五、六百万という金額になるわけです。  在庫は、これはおかしいと思って気づいてから仕入れを少なくして在庫をさばく作業をしておりますので、私の場合は商品にしまして百万円ちょっとぐらいの金額になっております。ただ、気づいてない方は一千万、二千万持っておる方がまだたくさんいらっしゃいます。そして、返品、返金に関しては、私の場合はほぼ完了しておりますけれども、まだ返金などされてない方も残っております。
  83. 福岡康夫

    福岡委員 続いて参考人にお尋ねいたします。  十二月四日の内外タイムスによると、「無理して商品を仕入れたり、親兄弟の名義を借りて架空のクレジットを組まなければやっていけない。ジャパンライフ本社だけが肥えようというシステムなんです。」と宮脇参考人は言っておられますけれども、今後、在庫を抱えた販売員をどのように救済していくのか、これが最大の課題と私は思いますが、宮脇参考人は今後、ジャパンライフ側とどのようにかけ合っていくおつもりか、ひとつお示し願いたいかと思っております。
  84. 宮脇敬

    宮脇参考人 これから本当の被害者が出てくると私は思っております。売れないという事実もありますけれども、その在庫返品には当然応ずるべきだと思います。  ただ、伺ったところによりますと、ジャパンライフ自体というのは会社はやはりお金がないみたいで、もうかっていなかったようだ。ただ、どこに消えたかというと、私が先ほど申したように個人のところに行っておるのじゃないかということをおっしゃる方がたくさんいらっしゃるわけなのですけれども、事実はわかりません。ただ、在庫を持っている人が多いことは事実ですから、これを何とか解決していかなければいけないわけで、私どもの方は今ジャパンライフ代理店会ともこれからいろいろな話し合いをし、ジャパンライフ本社とも話し合いをして、一番スムーズに在庫商品を売れるものは売る、そして引き取るものはいち早く引き取り現金にして返してあげる作業をどうしたらいいかを話し合って進めていきたいと思っております。  ただ、そのためにはジャパンライフ自体が存在していてくれないと困るわけですから、その辺のバランスというのですか、それを、売り上げなどを考えながら一生懸命努めていくことはこれからしていこうと思っております。
  85. 福岡康夫

    福岡委員 続いて参考人にお尋ねいたしますが、具体的にはジャパンライフとの対策をどう練っていかれるおつもりでございますか。おわかりになっている範囲内で結構でございますが、おっしゃっていただきたいと思います。
  86. 宮脇敬

    宮脇参考人 これは私自身もはっきりとしたことはわからないのですけれども、売るのが本当は一番いいとは思うのですけれども、どうしてもやめたいという方も相当いらっしゃると思うのです。その方たちのケースを全部事情聴取、要するに、代理店会もしくは我々の会の方に自分たちの状況などをすべて聞かせてもらった上、ある程度の判断で、やめられる方または先ほど言った若い方とか、そういう方を優先するわけではありませんけれども、そういう方からうまくほかへ転業できるような形をとっていってあげたり、また、もともと商売としてとらえて入った方や事業部制でやる方もいらっしゃいます。こういう多少余裕のある方にはお話しして納得してもらった上で多少待ってもらうなりの話、そういう形でやっていきたいのですけれども、状況がわからないとどうしたらいいかも出てこないので、これからは代理店会もしくは我々ジャパンライフ被害者の会の方に、どんなことでもいいですから相談していただくことが結局解決の早道だとも思っております。そのときに出したいと思います。
  87. 福岡康夫

    福岡委員 続いてお尋ねいたしますが、今の参考人の陳述の中に、個人に渡っておる、こういう御発言をされておりますが、個人というのはどういう人を指しておられるのでございますか。
  88. 宮脇敬

    宮脇参考人 ヘルスカウンセラー販売員販売店、そしてその上のファミリー長さん、要するに有力販売店さんという方はほとんどが素人が多いですし、個人なのです。その上の代理店というところから法人になるように言われますので、事業部制でやっておる方を除くと大半の方が個人なのです。その個人の方がやはり在庫を一千万ぐらい持っている方もいらっしゃいますし、少ない方で五十万、百万、二、三百万という細かい方が人数分たくさん在庫があるわけなのです。その個人というのは、そういう資格で言う代理店以下の方でございます。
  89. 福岡康夫

    福岡委員 先ほどの質問の中で、もう会社自体がお金がない、個人に渡っておるのだ、こういう御発言をされておるわけですが、その個人というのはだれのことを指しておるかということです。
  90. 宮脇敬

    宮脇参考人 これは実質上のオーナーであります山口会長のところに隠し財産があるとか、実際に持っておるのじゃないか。というのは、これはジェッカーチェーンのときから知っていらっしゃる方とか、または相当古くからこのビジネスに参加をして販社をやっている方とか、いろいろな方がおっしゃってはおります。私もそうじゃないかなとは思っております。
  91. 福岡康夫

    福岡委員 時間が参りましたので、以上をもって質問を終わらせていただきます。
  92. 上坂昇

  93. 横手文雄

    横手委員 きょうは参考人先生方には大変御苦労さまでございます。短い時間でございますけれども、以下お伺いをさせていただきたいと存じます。既に多くの方々と語られた後でございますし、多少重複する点があるかもわかりませんが、お許しをいただきたいと存じます。  まず最初に、堺参考人、冒頭、私はここへ立つのが八回目でございます、こういうことであなたの陳述が始まったわけであります。そして、にもかかわらず、私はまたここへ参りました、こういうことで、我々立法府におる者として大変無念な思いをしたわけでございます。  その中であなたは、かつて公取や通産は勢いがあったではないか、今日その勢いがなくなった、こういうこともお述べになりました。被害者対策委員長として全国を走り回り、あるいはお話を聞きますと外国にまで飛んで行かれたということでございました。あなたの悩みが、あるいはお仕事がますます繁盛というのはまことに残念なことだと思うのでございますが、そういった点で、かつて公取や通産は頑張っていてくれたではないか、こういうときに今なぜその腰が重いということを訴えられましたけれども、具体的にどういうことでございますか。
  94. 堺次夫

    堺参考人 私、確かに十二年間この活動をやってきておりますが、私どもの会が本来開店休業になることが一番望ましいわけでございます。現実は大変忙しくなる一方でございまして、極めて遺憾だと思っております。  通産省当局あるいは公正取引委員会当局、警察庁当局、いずれにいたしましても、私、十二年間で感じることは、前半六年間ぐらいはこうやって国会でいろいろ審議がなされますと、遅まきながらでも行政が動いたように思っております。具体的には、通産省当局はかつてマルチ業者二十二社公表といったような思い切った措置をとったこともあります。これは担当課長はその当時随分嫌がらせとか脅迫電話を受けながらもそこまで踏み切ったわけでありまして、その当時の通産省のあの熱気が大変評価できるだけに、今極めて消極的になっていることを残念に思うわけであります。  公正取引委員会も同様でございまして、独占禁止法でホリデイ・マジックを摘発するといったことは、これはアメリカにその先例があるとはいえ、当時は詐欺罪が無理、新立法はまだないころでありまして、しかし被害者が次から次へふえていく、そういった状況の中でそれしかなかったわけでありまして、最初にそこで大きな行動をとられたということについて大変立派だと思っております。  それがなぜか最近は消極的過ぎるのではないか。どうもその根底には、もうけ話に乗る人間が結局はばかじゃないかというように見ておられるのであれば、これはやはり私は否定したいと思います。被害に遭っている人々は、ほんの一部を除きましてはぼすべてがごく普通の平均的な一般人でございます。
  95. 横手文雄

    横手委員 今おっしゃるようなことで感じておられるわけですが、ただ私は、役所の方もそう後ろへ下がったというようなことはあるはずがないと思うのです。ただ考えられるのは、これらのマルチ商法がかつては明々白々であった。したがって、新しい法律で捕まえたら――先ほどあなたもおっしゃいましたように、当時の審議官は以上をもってマルチ商法的なものは終わりとおっしゃったと言われたのですが、そういうところまで法律が来た。したがってそれまではもううんもすんもない、簡単に捕まえられた。  ところが今日の状態では、この法律のすれすれのところまで来たものですから、さあこれは捕まえるべき対象なのかあるいはそうでないものかということで、大変巧妙になってきて、これ以上突っ込めばむしろ過剰規制になりはしないかという懸念を持たれるがゆえに、皆さん方から見られればちょっとなまぬるいじゃないかという感じではないかと思いますが、そんな感じはございませんか、一言で……。
  96. 堺次夫

    堺参考人 消費者保護の分野におきましては、昭和四十三年に制定された消費者保護基本法があるわけでございます。通産省行政指導をやる場合はよく通産省設置法を建前にとられます。こういった二本の法律を考えますと、消費者保護のためには、行政当局法律の枠から半歩外へ踏み出すことは許されるのではないかというように考えるわけでありますが、今の当局の動きは、むしろ法律の一歩後ろで仕事をしているというような印象を持っております。また、こういった悪徳商法蔓延については啓発が大事ではありますが、その啓発がいわば政府広報という、正直言って余り効果がないPRをやっていらっしゃる。どうせやるならばもう少し細かくやってもらいたいものだ。  私は、消費者保護と過剰規制の問題を考えますと、マルチ商法は、商法だと考えるから過剰ということが上がってくるのであって、あれは何といっても消費者をだます詐欺形態一つだ、とあれば、過剰規制という言葉は当てはまらないんじゃないかというように考えます。当局は、通常はこの種の問題に対しましては縄張り争いが激しいくせに、消費者保護問題については責任というボールを投げ合っておるという感じがしてならない、これが今の私の率直な感想です。
  97. 横手文雄

    横手委員 竹内参考人にお伺いいたしたいと思います。  今、堺参考人からこういった話を聞かしていただきました。先ほど先生は、全く副作用のない万能薬というものはありません、こういうことをおっしゃいました。そういうことで法律を強化していけば、むしろ過剰規制ということで一方から非難を受けるのではないかというちゅうちょがありはしないかという気がするわけでございますが、先ほど先生のお話の中で、法改正をして、これらマルチあるいはマルチまがいあるいはマルチまがいまがいまで捕まえてこい、そのためには、例えば再販売なんかの場合に、委託販売等も法律規制の中に入れてしまえばいいじゃないかというような発言もあったように聞いておるわけでございます。  しかし、一方、世の中の活性化が進んでおるのは、商取引の自由が世の中を活性化しているのだという気も私はいたしますし、堺さんに言わせれば、それは商取引であって、これは詐欺だから全く別だということにもなろうかと思いますが、現行法をどう変えることによって、先ほど先生がおっしゃったようなマルチあるいはマルチまがいあるいはマルチまがいまがいまでこの法律で捕まえることができるというぐあいに考えておられますか。
  98. 竹内昭夫

    竹内参考人 私が先ほど、訪販法十」条の再販売定義した括弧の中の言葉を直すことによって押さえることができるであろうと申し上げましたのは、現に行われているマルチまがいまででございます。これについて被害が生じているというのであれば、それは商売の自由を制限するわけじゃなしに、いわば詐欺の自由を制限するだけのことでございますから、これは法律を改正すべきであろう。  しかし、それをさらにくぐるものが何か出てきはしないかといって、今のうちからわあっと陣地を固めてしまうということになっては、これは場合によって過剰規制だという批判を受けるかもしれない。そういうことを余り先走ってじゃんじゃんやることは私も好ましいこととは必ずしも思いませんけれども、現に被害が起きているものをやらないのは、これは法律として、あるいは立法府として望ましいことではない、かように考えております。
  99. 横手文雄

    横手委員 私も福井県の、先ほど話も出ました印章問題に絡んで、被害者の総会にも出させていただきました。堺参考人おっしゃるようにまことに普通の人でございまして、特に御婦人の方々あるいはお年寄りの方がたくさんお見えになっておったわけであります。私も、知った人がおりますから、いろいろな話をいたしましたけれども、上手に言われてひっかかりました、私は判こを買ったのではございません、結果としてシステムを買ったようなことになりました、そこで私にとって悲しいことは、そのときに私にお金がなかった、だから私はこれは無理だと思ったら、クレジットがあった、それで私の署名をした中に、三枚つづりになっていて、それも一緒に仕組まれていた、私はクレジットが憎い、こういうことを言われるわけですね。  そうなってみますと、クレジットそのものを憎まれたのでは、これはどうしようもありませんが、ただ、先ほど堺参考人が言われたクレジットの組み方、商取引に組めばいいけれども、商取引以外の詐欺とはそういったクレジットを組むな、こういう御主張でございますけれども、それをあなたの気持ちから言うとどういうことになりますか。
  100. 堺次夫

    堺参考人 クレジット業者が、いわば販売提携といいますか、信用供与するために契約を結ぶいろいろな商品販売会社等を調べるのは、そのクレジット会社ビジネス上当たり前のことでありまして、その会社が強引な商法をやっている、あるいは社会的に不公正な商法をやっているといったことを調べるのは、これは責務であろうかと思います。それをやらずして消費者にすべての責任を押しつけるということはバランスを欠くのではないか。一般消費者は、その販売会社から商品を買う場合、その販売会社がどういうことをやっているかというのはなかなかわからないものであります。相手はだますプロであって、消費者の側はだまされないプロでは決してないわけであります。  ですから、クレジット業界全部が悪いとは申しません、中にはちゃんと調べてこられまして、ジャパンライフが数多くのクレジット会社と提携をしていたときでも、私どもはこれは組まないようにしたいと思いますと言ってこられるところもありました。であれば、ほかの会社もできるわけでありまして、そのあたりはクレジット業者の自己責任の問題だとは思いますが、しかし、一歩進めて、販売会社クレジット会社の責任は一体ということにした方がいいのではないかというふうに私は考えます。
  101. 横手文雄

    横手委員 もう時間になってしまいましたが、最後に一言、これはちょっと失礼を言い方かもわかりませんが、宮脇参考人にお伺いいたします。  先ほども申し上げましたように、福井県でも被害者の会がございます。私の知人もおります。彼が私のところへ来たことがあります。こういうことで選挙費用にもなるし、一もうけせぬかねということで来ました。私はそのときに、やめておけ、これは判こを売りに来たのではない、私のところにはたまたま時計を売りに来たのですが、あなたは時計を売りに来たのではなくてシステムを売りに来た、一もうけせよという商売があるか、こういうことでこれは必ずあなたはひっかかるからやめなさいということを言ったのですが、その当時、催眠術の効果が効いていた最中でございましょうか、そういうことは絶対ないんだし、この向こうに人類の幸せがあるようなことを言っていかれたわけです。今被害者でございます。  もう何を言ってもどうしようもなかったのでございますが、宮脇さん、まことに失礼なことをお聞きしますが、あなたも、私は催眠術にかかっていたということを先ほど言われました。そういうときに、これは間違いだということをだれが言おうとも、役所が何を言おうとも、ほっといてくれ、私のことじゃないかということでなかなか目覚めぬものでございますか。
  102. 宮脇敬

    宮脇参考人 実際、なかなか目覚めないと思います。それだけ洗脳というのは怖いと思います。ただ、何かのきっかけがあったときに初めて本来の自分に少しずつ戻っていく過程においてはいろいろなことがわかってくるのですけれども、熱中しているときは、なかなか人の言葉は入りません。
  103. 横手文雄

    横手委員 時間でございますので、終わります。ありがとうございました。
  104. 上坂昇

  105. 藤田スミ

    藤田(ス)小委員 日本共産党の藤田スミでございます。  我が党は、マルチまがい商法を禁止するためにぜひとも訪販法の改正を行っていきたいという考えから、目下そういう法改正も含めて検討しているところでございますが、きょうは私は持ち時間が大変制限をされておりますので、特にジャパンライフの特徴的な問題点に絞ってお伺いをしておきたいと思います。  宮脇参考人堺参考人にお伺いをいたします。  ジャパンライフは健康産業政治連盟を設立し、販社だとかその下の販売店、ヘルスカウンセラーから政治献金を集め、中曽根総理大臣を初めとする多くの国会議員に献金をしておりました。また、山口淑子、村上正邦両参議院議員の来年の参議院選挙に向けまして、党友獲得のために、勧誘される本人には事後了解という形でヘルスカウンセラーなどを党友にしていたというふうに聞いております。  他方、政治家の方はどうかといいますと、例えば昨年の六月に開かれましたヘルスカウンセラー協会創立三周年のあの集会に自民党副総裁二階堂進衆議院議員、それから山口敏夫衆議院議員が山口会長に感謝状を贈っておりますし、それから中曽根総理自身も祝電を送っておられる。ことし開かれましたジャパンライフの十周年記念には増岡厚生大臣を初めとして、何と十五人に及ぶ大臣クラスのそうそうたる政治家が競い合うように参加をいたしまして、ジャパンライフ商法やあるいは山口会長を絶賛しているわけであります。そこで、これらの政治家が、まさに先ほどおっしゃった壮大な集団催眠勧誘大会を演出する役割を華麗に果たしたのじゃないか、私はそう考えます。  こういうことは、政治家がちょっと頼まれたから気軽にやったという性質のものでは決してなく、明らかにジャパンライフ商法詐欺商法の柱の一つに政治家が位置づけられ、政治家もまたその役割を果たしていたと思うわけですが、現先生並びに被害者宮脇さん、どういうふうにお考えでしょうか。
  106. 堺次夫

    堺参考人 数多くの政治家の方々ジャパンライフ大会出席して祝辞を述べられるということがジャパンライフのPRに一役買ったことば間違いございません。これは決して好ましいことではない。政治は最高の道徳でなければならないわけであって、一般庶民は政治家の名前はよく知っておりますから、あの先生が加わっていらっしゃれば間違いないというふうに考えて契約した方も多いのじゃないかというふうに考えます。  その点では政治家の方々の責任は大変重いものがある。また、それだけに、政治家の方々は、常日ごろから、そういった種類の者が近づいてきた場合は取捨選別していただくように身を律していただきたいとは強く思うわけでありますが、しかし、これによって行政がその中立性を失うということはない、私はそう信じたいと思っております。
  107. 宮脇敬

    宮脇参考人 私自身も、去年、ことしの武道館などを拝見させていただきまして、当時は非常に感激いたしました。地方から来ていらっしゃる方はなお一層感激して、信じ込んだものと思います。そういうジャパンライフ会場で一役買われる形になったわけですけれども、今現先生がおっしゃったように、これはいろいろなことがあって出席することはあると思いますが、事前調査とかそういうことをもう少しされた方がよかったのじゃないかと思います。ただ、我々やっていたサイドの人間から今思ってみますと、本当に一役買っていた、それを見て信じて入ってきた人が大勢おりました。それは事実です。
  108. 藤田スミ

    藤田(ス)小委員 次に、ジャパンライフにおける元警察出身者の役割についてお伺いをしたいわけです。  御承知のように、ジャパンライフ相川社長マルチなどの悪徳商法を取り締まる警察庁の保安課長を歴任し、取り締まりの手の内を知っている人間であります。そして京都府警察本部長、中部管区警察局長をやって退官をしております。ジャパンライフはその警察官僚にスカウトの的を絞って、関東管区警察学校の教務部長を歴任しました神田修道氏を組織部取締役部長、現在常務になりましたか、それから山形県警本部の副本部長を歴任しました佐藤恒夫氏を代理店指導部長に抜てきをしているわけです。ジャパンライフの言葉をかりますと、このすばらしい人材はジャパンライフの根幹を支える揺るぎない大地の役割を果たした、こういうふうに言っているわけです。  お伺いいたしますが、マルチまがい商法あるいは薬事法違反訪販法違反を行っていたわけですが、このような警察官僚の人たちがトップに並んでいるわけですから、幾らうそ八百を並べてもその商法に一片の疑問も挟むことができないようなそういう重大な役割を果たしたのじゃないかというふうに考えますが、これもお二人にお伺いをいたします。
  109. 堺次夫

    堺参考人 ジャパンライフ社長の相川さんにつきましては、おっしゃるとおりマルチネズミ講を取り締まる側にいらっしゃった方でございます。この方が一転して今度は疑惑の会社に天下りされ、しかもトップということで対外的にその信用度のためにいわば使われている。しかし、これはその個人を見てみますと極めてダイナミックな人生だと思いますが、私はこれも決して好ましいことではないと思います。また、マスコミの中にも編集委員までやった方がああいうところに天下りされて一つの役職を担う、PR対策マスコミ対策をやるといったようなこともあります。どうも世の中全体が金のためには手段を選ばないといったような状況になっていることを極めて憂えるものであります。しかし、これとても警察庁は警察官僚が、かつての上司がその会社のトップにいるからといって捜査に手心を加えるということは絶対ないと確信しております。
  110. 宮脇敬

    宮脇参考人 先ほどと同じように、やはりそういう方が、相川社長が社長職についていらっしゃるということも我々ちょっと心の不安は持っても、それを取り払う役目は十分果たしました。そういう取り締まっていた方がなぜ社長になられたかというのは私自身わかりません。これは本人に聞いてみないとわからないと思うのですけれども、逆に言いかえますと、相川社長、佐藤さん、神田さんですか、こういう方たちを社内の幹部職に引き込むことを実際にやってのけた。逆に言いますと、みんながだまされていたというとり方をしますと、それぐらい巧妙につくり上げてきた。どちらが本当かわかりませんけれども、我々にとっては非常に信用を植えつけるための役は買っておられました。
  111. 藤田スミ

    藤田(ス)小委員 私の時間はもう終わりでありますので、最後にもう一問だけ現先生にお伺いをしておきたいわけです。  ジャパンライフ全国に消費生活センター訪問活動係というのを置きまして、そうして消費生活センターにジャパンライフの問題で苦情が持ち込まれておりませんかということを積極的に聞いては持ち帰っていたというふうに聞いておりますが、それがどういう役割を果たしたと思われるか、そのことを最後にお伺いをしておきたいわけであります。
  112. 堺次夫

    堺参考人 各地の消費生活センターにおきましては、現在行革のあおりで予算を削られ、人員削減の中でいろいろな悪徳商法の相談件数はふえる一方でありまして、しかもそれが年々複雑なものになっております。そのために消費生活センターの相談員の方々にしてみますと、被害の訴えに対して簡単に話を処理してもらえるということを提示されますと、この会社は間違いないのじゃなかろうか、ほかの悪徳業者が目立つ中でそういうことがありますために余計に考えるわけであります。いわばそういった消費生活センターサイドでも問題はないのじゃないかというようなイメージがつくられていたのではないかというように考えます。  それからいま一つは、末端で消費者被害を受けた場合、すぐ生活センターに訴えると何らかの処理がなされるということは、被害意識を持った人々のエネルギーといいますか、そういったものがたまりません。つまり業者側から見れば、火がぼっとおこってもすぐ火を消して回れるといった効用はあったかというように考えます。
  113. 藤田スミ

    藤田(ス)小委員 もう時間が参りましたので、竹内参考人にはせっかくのところお尋ねする時間がなくなりましたが、先生のきょうの御発言は大いに参考にして頑張っていきたいと思います。ありがとうございました。
  114. 上坂昇

    上坂委員長 以上で、参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、お忙しい中を長時間にわたり御出席を賜り、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。小委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。  午後一時三十分から小委員会を再開することとして、この際、休憩いたします。     午後零時三十七分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十分開議
  115. 上坂昇

    上坂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  流通問題に関する件について調査を続行します。  これより政府に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横江金夫君。
  116. 横江金夫

    横江委員 きょうの午前中の参考人の皆さんの御意見の中で、マルチまがいの解決をするには現行の法律ではどうしても解決ができない、結果として訪販法の改正をすべきだ。その訪販法の改正については、訪販法の十一条一項、連鎖販売定義規定の改正が必要なんだ。今問題になっています委託販売あるいは媒介等々の方法、これをすべて包含をしてこそ、まず一応マルチまがいは解決ができると思う。しかも今までこのようにおくれたことは行政に対して非常に不満のような御発言等も実はあったわけでありますけれども、今大変な被害がある中で、この際訪販法の改正についてどのような取り組みをしておみえになるのか。そして、いつまでにこれを改正されるのか。その改正の骨子も含めて御答弁をいただきたいと思います。
  117. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先生御指摘のマルチまがい商法訪問販売法の規制の対象にすることにすべきではないかという御意見でございますけれども、私どもかねて申し上げていることでございますけれども、確かにいろいろなケースがマルチまがい商法と言われているものの中にはございますけれども、総じて申しますと、販売員が大量の在庫を抱えることにならないという点で、マルチ商法そのものと異なった性質を持っていると思われますし、また、マルチまがい商法ということでいろいろくくってみますということになりますと、正常な商活動でもマルチまがい商法と類似の行為が幾つか、限界領域においてはいろいろあるわけでございます。  そこで、正常な商活動との間に明確な線を引くということは、これは法的にもなかなか難しい点がございまして、私どもも、御指摘ではございますが、直ちに訪販法の規制対象としてこの法律を改正してまいるというわけにはなかなかまいらないわけでございます。  しかし、私どもといたしましては、どのような商法であるかを問いませず、消費者保護の観点から、トラブルに巻き込まれた消費者からの相談につきましては、一つ一つ間に入りまして、所要のアドバイスあるいはあっせん等を行いまして、無用の消費者への被害が発生することのなきよう、対策を今後とも誠意を持って講じてまいることにいたしたいと考えております。
  118. 横江金夫

    横江委員 相談とかあっせんぐらいで片づくものであるならば、例えばジャパンライフにいたしましても、その他のマルチまがいにしても、このような大きな社会問題になってきてないと私は思うのです。現実にはそのような手法では解決できないから、いろいろな問題が今出てくるわけでありますから、当面は改正という気持ちがないということでありますが、私は早急に改正される気持ちになるように、ぜひ強く要求をしてまいりたいというように考えているわけであります。  次に、私がこの一般質問で特に取り上げてまいりたいのは、みずからの福利厚生のための互助会費が、本人が全く知らないうちに自民党系の政治団体、自由国民会議の会費、いわゆる自民党の党友という形でその会費が納入されている。まさにこのことは、互助会への納入が本人が知らないうちに自民党の党友という形になっておるという奇々怪々な事実があるわけでございます。  理解していただくために少し読み上げさせていただきたいと思いますが、この六十年、ことしの四月からジャパンライフの日本ヘルスカウンセラー協会の方から、ヘルスカウンセラー協会員の福利厚生のために及び保険などもにも入るためにという名目で、各会員に互助会加入の申し入れがあったのであります。六十年四月に互助会が制度として生まれたわけであります。半年に二万五千円を互助会費として払うコースと、半年に五万円を互助会費として払うコースの二通りがありますが、その違いは保険金の掛金の違いであるわけであります。この被害者は、互助会に入らないとカウンセラー協会から外されるという、こんなニュアンスの申し入れがありましたから互助会に加入したわけでありますが、このときには、先ほど申し上げました自由国民会議という名前は一遍も、一言も触れられてないのであります。四月のときに半年分の互助会費として二万五千円を支払っていますので、その中から一万円も自由国民会議の会費、いわゆる党友の会費としてジャパンライフ側が自動的に支払っているということで、最近、この自由国民会議の会員証と領収証が来ておるのであります。  まず、この事実を承知しておみえになるのか。自治省そして警察庁は、互助会の金が化けて自民党の党友という形で領収証が来る、横領、流用というのでしょうか、そこらあたりについてもお答えをいただいてまいりたいと考えているわけであります。
  119. 中地洌

    ○中地説明員 お答え申し上げます。  自治省といたしましては実質的な調査権がないということでございますので、お尋ねの件についてどういう状況か、例えば互助会の目的、どういう形で金を集め、どういうふうにしたかということについては調べる立場にもなく、お答えできないのでございますけれども、ただ一般的に、先生御指摘の件が、もしも他人の名義で政治献金を行ったということになりますと、政治資金規正法第二十二条の六に、何人も本人名義以外の名義で政治活動に関する寄附をしてはならないという規定がございます。
  120. 国松孝次

    ○国松説明員 お答えを申し上げます。  私どもといたしましても、事実の内容につきましてつまびらかにしているところではございませんので、先生が今御発言の中身だけでいろいろと御答弁申し上げることは、ちょっと今のところできない状況でございます。ただ、もう少し具体的な事実について後ほどでもお示しをいただけますれば、事実の調査をすることにつきましては、もちろんやぶさかではございません。
  121. 横江金夫

    横江委員 先ほど申し上げました互助会には加入は事実しているわけですね。ところが、自由国民会議もあるいは自分が党友だということも互助会に入るときは全く話もないし、自分自身は全然知らない。国民会議があることすらも知らない。ここにしっかりと領収証もあるわけです。だから、事実がはっきりしないと言うけれども、これは事実がはっきりしているのですよ。こんな事実がはっきりしているものを、事実を知らないなんて言い方は、私はどういうような姿勢がと疑いたくなるのです。事実はしっかり見ていただきます。今まで、例えば会社ぐるみの企業献金とか、随分いろいろな問題が云々された時期もありました。しかも、社会的に今問題になっているジャパンライフです。本人が知らぬうちに、しかも自分の思想も信条もまさに無視をされて自民党の党友になる。そして党友になって、この裏の中には「自由民主党の総裁公選規程にもとづき総裁候補決定選挙の選挙権が与えられます。」ここまで親切に書いてあって、実は本人はびっくりしているわけでございます。もう自民党の総裁選挙が始まったかしらん、我々はそんな気持ちがしますし、あるいはまた巷間伝えられている比例区の順位の問題等で、本人が全然知らない会社の企業献金じゃなしに、会社のかかわる、ここの場合でございますとヘルスカウンセラー、先ほど私は宮脇参考人に伺いましたら、今では一万五、六千人だ、しかし前は三万人だ、一万円で三億円なんです。本人が知らない。これは事実がわからないという言葉よりか、今これを見ていただけばはっきりしているのです。名前もちゃんと書いてありますし、個人あてなんです。自治省、警察の方は当然調査をして、そしてそれなりに法に照らした厳しい対応をするということは明確だと私は思うのです。これはひとつ見てもらいましょう。いいでしょう、委員長
  122. 上坂昇

    上坂委員長 どうぞ。よく見て答えなければだめだ。
  123. 中地洌

    ○中地説明員 先生御指摘のように、政治資金規正法上は、互助会名で寄附していれば問題はないわけでございますが、本人が知らないうちに他人名義ということになりますと、政治資金規正法第二十二条の六第一項に「何人も、本人の名義以外の名義又は匿名で、政治活動に関する寄附をしてはならない。」という規定がございます。
  124. 国松孝次

    ○国松説明員 申すまでもないことでございますが、私どもの警察の活動と申しますのは、究極的には何らかの犯罪があるかどうかということについて行われるものであるわけでございます。  そこで、ここに書類を見せていただいておりますけれども、今先生御指摘のこういった行為が犯罪になるかどうか、例えば今政治資金規正法違反のことにつきまして自治省から御答弁がございました。先ほど先生のお話で、流用という点に横領であるとかそういう事実があるのではないかというふうにも受け取れる御趣旨の御発言があったわけでございますが、そういうものにもなるかどうかということにつきましては、私どもの方として、もう少し具体的な事実がわかりませんと何とも判断をいたしかねるということを申し上げたわけでございます。この件につきまして犯罪の構成要件に該当するような事実があるのかどうかということは、もう少し事実の調査をしてみないことには何ともわからない、その結果犯罪があるかどうかということがわかってくるであろう、今の段階ではその辺、何罪に該当する行為があるのではないかということについてはちょっとお答えいたしかねるということを申し上げたわけでございます。
  125. 横江金夫

    横江委員 今調査をするというお言葉がございましたが、四月に互助会費を納めたのです。そして領収証が、そこへ渡しておるように今来ておるのです。ところが、金を納めてしまった後から「日本ヘルスカウンセラー協会互助会の皆様へ」ということで、七月にジャパンライフ株式会社取締役社表相川社長から、「つきましては、日本ヘルスカウンセラー協会互助会の会員の中より、貴方様を自由国民会議の党友に推薦し、併せて入会していただきましたので、ご了解いただきますようお願い申し上げます。」こんな趣意書を領収証とともに送ってくるのです。これも見てください。金を払う前の話じゃないのですよ。払ってしまった後から七月にこんなものが来るのですよ。  今自治省お話しのように政治資金規正法の問題等も含めて、先ほど私は横領の点も含めてあるいは政治献金の関係も含めて指摘をいたしましたが、事実関係を調査して構成要件に当てはまるならばというような御答弁をいただきましたから、それを子として、ぜひ調査を早急にしていただきたい、このことだけ明確にお答えいただきたいと思います。
  126. 国松孝次

    ○国松説明員 先生御指摘の点に基づきまして、私どもといたしましてももう少し事実を調査いたしてみたいと思っております。
  127. 横江金夫

    横江委員 経営形態をジャパンライフが変えたということで、あたかも被害が少なくなったような感じなんですけれども、実際にはそうじゃない。きょうも横浜で自殺者が出た、あるいは返品とかいろいろな関係で事を起こしたということで宮脇参考人も言っていましたけれども、脅迫電話やらおどしやら、おまえさんは生命保険がかかっているだろう、だったらそれを担保にして金を払えとか、こんな厳しい脅迫電話を受けて、警察からここにおっては身の危険を感ずるから郷里を離れなさいということまで、きょう田崎という被害者の話が出ました。私は、警察は当然この田崎さんのような人をたくさん承知してみえると思いますが、そこらあたりにつきましてはどうなんでしょうか、実際にそのような相談、この場所におっては危ないから逃げなさい、郷里を離れなさいというようなのは田崎さん以外にもたくさんあるのじゃないですか。
  128. 国松孝次

    ○国松説明員 ただいまの件につきましては、私はちょっと詳しい事情を存じておりません。
  129. 横江金夫

    横江委員 これは警察でわからないと、どこで聞くといいんでしょうかね。
  130. 国松孝次

    ○国松説明員 そういう事実につきましては、もちろん私どもの主管課において承知していることと思いますが、私自身ただいまお答えできる立場にございません。
  131. 横江金夫

    横江委員 それでは、主管課の方からこの質問に基づいてその結果を私の方へ出していただきたい、このことをお願いしておきます。  そこで私は、もう時間も若干しかございませんが、ジャパンライフがパラオ島へ大型ホテルを建設する準備を進めておる、これについてお伺いしたいと思います。  パラオ群島の最北端にカヤンゲルという島があります。ジャパンライフはここで大型ホテル建設の準備を着々と進めているわけでありますが、この島は原住民が五十人か六十人ぐらいしか住んでおりませんし、酒が飲めない禁酒の島であるわけであります。現地の政府は、特産のサンゴ環礁の島だということで当然観光開発は無謀だという言い方をしておるわけでございますが、ジャパンライフはいろいろな意味で、手をかえ品をかえてこのホテル建設の許可を受けようということで、先ほども政治家云々という話がございましたが、強力な政治家をも使いながら働きかけを実はしているわけであります。もちろん業者も、契約をこのジャパンライフと終わり決まっているわけでありますが、当然許可がおり次第着工するということになっているわけであります。  このパラオと聞きますと、豊田商事の発電所の計画だとか、いつも何か日本で問題の起こるような会社がパラオヘ進出をするというようなことでございまして、非常に私は異常な感じを実は受けておるわけであります。  このままこのジャパンライフのホテルが、そのような本当に全く五十人か六十人しかいないような、そんな島へ進出をするというようなことに相なってまいりますと、これは大きな国際問題になってくるんじゃないかというふうに私は考えるわけでありますが、この関係等については、主務官庁はどのようなお考え方をなさってみえるのか。  そしてもう一つは、十一月の二十九日に私質問をいたしましたこのパラオ島の関係につきましては、中曽根総理自身が二十万坪ジャパンライフから土地を贈られておるといううわさを内部告発資料で実は私は指摘をいたしたわけでございますが、もう十日以上もたっているわけでございますので、この調査結果につきましてもぜひ答弁をしていただきたい、かように考えるわけでございます。
  132. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 私ども、ジャパンライフがパラオ島におきまして何か投資事業を行っているということは仄聞しておりましたけれども、具体的にどういう事業内容になっているかということについては、従来詳細に聞いて把握していることはございませんので、この点につきましては会社から実情を一度聞いてみたいと思っております。  それから、先般の商工委員会で先生から、中曽根総理に二十万坪の土地を贈呈したのではないかといううわさがあるということにつきましては、早速会社の社長にその旨尋ねましたところ、そういう事実はないと理解しておるという御返事がございましたので、御報告さしていただきます。
  133. 横江金夫

    横江委員 一言だけ申し上げたいと思いますが、調査というのは、会社の社長から伺うことを調査というふうに御理解しておみえになりますか。私は調査というのは、これは問題の会社のことを調べてくださいと言っていますので、問題の会社のトップに聞けば今のようなお答えが返ってくるのは至極これは当たり前じゃないかと思うのです。調査というのは自主的にあなたの手元でおやりになる、これが私は調査だと思いますが、その辺につきましても私はしっかりと明確にしていただきたい。時間もございませんので、そこだけはっきりしていただきたいと思います。
  134. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 土地の問題につきましては、前回の委員会でもお答え申し上げましたが、私ども自身に特別の権限を有している事項にかかわるものではございませんものですから、会社の幹部に伺いましてその様子を御報告したい、かように申し上げたつもりでございまして、私どもの省におきまして、特別具体的な権限を持ってこの件について調査をするような立場にはないのでございますので、会社の幹部から事情を聞くということに方法論としては制約を受けざるを得ない点、御了承賜りたいと思います。
  135. 横江金夫

    横江委員 時間が来ましたので、終わります。
  136. 上坂昇

  137. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 時間が制約されておりますので、常任委員会一般質問がこれからの日程がまだあることだと思いますので、そこで十分する時間もあろうかと思いますが、午前中の参考人からいろいろとお聞きした中で、行政の方にこの機会に聞いておかなければならない点だけを聞いておきたいと思うわけであります。  私の部屋に三重県、千葉県、もう一つどこかの県だったと思いますけれども、いわゆる脅迫電話、きょう朝から参加しておられた宮脇参考人とは打って変わって、いまだに加害者の役割を果たしておってなぜ悪いのだというような物の言い方の電話です。そういうものがまだ現存しておる。姿としては、山口会長自分の保有する七〇%の株式を相川社長に行使権をゆだねたということでございますけれども、しかし、株式の名義が変わってないのですから、依然としてオーナーとしての役割は今も果たしておるんじゃないかと思うのであります。  被害者の一人からこういう手紙が来ております。かいつまんで読み上げますと、「私の母は日立に住んでおります。六十八歳、一人暮らしです。年金と少しの蓄えで細々と生活を送っております。近所の婦人に体がよくなるからとジャパンライフの磁気布団を二十五万円で買ってしまいました。体は全くよくならないのに、ローンだけ残り、毎日悔み言を言って暮らしております。」  この婦人の訴えとしては、年金暮らしの老人を標的にしてこういうものを売りに来て、そして平然と、一組売れば五万円もらえるので売っているんやということを言っておるわけであります。しかも、その売りに来た御婦人の亭主というのは東海村の原子力研究所の研究員である。その婦人ははっきりと、原子力研究所でも磁気布団は健康によく、病気が治ると学問的にも証明しておるんだ、こういうふうにうそぶいて売っておる。しかも、自民党の政治家が後ろについておるから、そんなものひっかかることないんじゃ、こういうことを豪語しておるわけであります。全く、形式的にはジャパンライフシステムが変わったようには見せかけておりますが、現実的には同じことがまだ続いておるというように言わなくてはならないと思うのであります。  そこで、先ほど午前中の宮脇参考人からお聞きいたしますと、一つは、取引条件として脱法行為のために法人格を持たせる、そのときにコピーとファクシミリを買いなさい、そのコピーとファクシミリはリコーのものを買いなさい、こういうように具体に指図をしておるわけであります。そういうことがあったというように宮脇参考人も裏づけしておられるわけです。  公正取引委員会にお聞きしたいわけでございますが、まさにそのような行為は、禁止をされておる優越的地位利用の乱用であると私は思うわけでありますが、そういうことがあっても公正取引委員会、朝から堺参考人が言っておられましたけれども、最近公正取引委員会は一体何をしておるのやというようなそしりもあるわけでありますが、これだけ具体な問題があれば、この機会に対処するという考え方があるのかないのか、お答え願いたいと思います。
  138. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 公正取引委員会といたしましては、午前中も出ておりましたように、ホリデイ・マジック事件とかああいう事件につきましても勧告審決を行ったところでございますし、独占禁止法上の不公正な取引方法に該当するということで、規制し得るものについては従来から規制してまいったところでございますけれども、そういうような姿勢としては変わっているものでは全くございませんで、今後とも同じように独禁法で規制し得る範囲のものにつきましては厳正に対処していくという姿勢でございます。
  139. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 そんな抽象的な答えをしていると時間がないです。具体的に私が言っておるでしょう。質問した内容に答えてもらいたい。特定のメーカーの、ジャパンライフが取り扱っておる品物以外の、具体的にコピーとそれからファクシミリ、これはリコーのものを買いなさいということを言っていることは、まさに優越的地位の乱用ではないか、こういうふうに私は尋ねておるのですよ。そういう具体的なことについてあなたの方は動かないのかどうかということを答えてもらったらいいのです。
  140. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 先生が御指摘になりましたような、ジャパンライフが指定した商品を買わせるということについては、一般論としては、いわゆる合理的な理由を超えた過剰な指示ということになるのであれば問題だと思いますが、現在ただいまのところではその事実関係を詳しく承知しておりませんので、きょうのところはまだこれでどうであるということは、この席ではちょっと申し上げかねます。
  141. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 あなた、朝聞いておったでしょう。午前中、宮脇参考人がそういうことがあっだということを言っておるじゃないですか。一人が裏づけしてこれをすぐに取り上げることができなければ、こういうことはやっておるんだから、進んで調査をして積極的に乗り出しなさい。  時間がありませんので、次に移ります。  厚生省、来ておられましたかね。――これも朝宮脇参考人の方から裏づけ的にお述べになったわけでございますが、いわゆる厚生省が認可をしておる凝りと血行、それ以外の認可を受けておられない内容、冷え症が治るとか、便秘が治るとか、貧血が治るとか、腰痛が治るとか、そういうようなことを言いなさいというように言われたから、やはりそういうことを宮脇参考人自体も過去に言ったことがあると言っておられるのですね。これはまさに薬事法の違反だということの裏づけじゃないかと思うのですが、厚生省、どうですか。
  142. 上坂昇

    上坂委員長 厚生省は来ていないのです。
  143. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 厚生省は来ていない……。それでは、まさにこれは薬事法違反であるわけですから、次の機会に追及したいと思います。  それでは、次に通産省に質問いたします。  通産省、今、横江委員の質問に対しまして、訪問販売法の改正をするという考え方は今ないというようにお答えになったように思うのですが、再確認の意味でお答え願いたいと思います。
  144. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほど申し上げましたように、訪問販売法の規制の対象外にございますいわゆるマルチまがい商法につきましては、その態様も多種多様でございますので、一律にマルチまがい商法とくくりまして対応することはなかなか困難でございます。  しかし、総じて申しますと二つの点が申し上げられると思いますけれども、これらマルチまがい商法につきましては、第一に、販売員が大量の在庫を抱え込むことにならないという点でマルチ商法とは異なっているのではないか。第二には、正常な商活動、これはいろいろございますけれども、それとの間に明確な線を引くことが困難であるというような事情がございますので、直ちに訪問販売法の規制対象とすべきであるということは考えていないわけでございます。  しかし、先ほども申し上げましたように、私どもとしては、商法のいかんを問いませず、消費者保護の観点から、いろいろトラブルに巻き込まれた消費者からの相談がございます場合には、今後とも適当なアドバイス、あるいは必要に応じましては会社との間に入ってのあっせん等適切な措置を講じてまいることにいたしたいと考えております。
  145. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 これはしかし、私は問題だと思うのですね。私は率直に申し上げまして、まさに通産省消費者保護という姿勢というのはみじんもない、まことに遺憾であるというように言わなくてはならないと思うのです。  もともと、このマルチの事件が発生して、これを何とかしなくてはならぬということで訪問販売法によって規制をした。朝からも参考人が述べておられたように、当時の天谷審議官が、この法律の施行後にはもうマルチというものは完全になくなるのだと豪語しておる。そして、仮にそういうような脱法行為が出てくるというようなことがあれば、これはまた法の改正によってそういうことを規制しなくてはならないというようにも当時の流通小委員長は言っておられるわけです。にもかかわらず、通産省だけがそれとは別の考え方を持っておるというのは何事ですか。せっかくマルチを規制するための法律ができて、そして脱法的にマルチと同質的なもの、マルチまがいという言葉が横行するわけですが、まさにマルチそのもの、脱法したマルチ行為なんです。これが横行して被害者が出てきておるにもかかわらず、これを法を改正するというようなことはないと言うことばまことにけしからぬ話だと思う。  ネズミマルチと同じことです。ネズミ禁止法ができているところで、あなた方の言ういわゆるネズミまがい、これもやはり脱法行為で本質的にはネズミ。しかも、朝からも言われておったように、現実的にそのネズミが退治されておらない、そういうことであるにもかかわらず法を改正をしないと言っているのは一体何事ですか。  そこが通産省の姿勢としてあらわれている一つの例として、ここに訪販新聞というのがある。この訪販新聞の中に、長たらしいから全部読みませんが、その中の一つを見ますと、ジャパンライフのことについてあなたの方の商放課の課長補佐の井上氏の名前つきで載せておる。「ジャパンライフが、本当に問題のある販売方法であったのかという点について、「ジャパンライフは、法的には、なんら問題はない」という答えが返ってきた。」という記事が載っておるじゃないですか。こんなばかな新聞の記事にされてもあなたの方は平然としておられる、そこが今あなたの、訪問販売法を改正するという考え方がないという、そういう答弁になって返ってきているというふうに思わざるを得ないわけです。まさに消費者の立場というものはみじんもないじゃないですか。それでもなお訪問販売法について改正するという意思がないのかどうか、もう一度お答え願いたい。
  146. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 今御指摘の発言は、私どもの趣旨としておりますところは、ジャパンライフの従来の商法は再販売という形ではなく委託販売という形をとっておると承知しておりますので、訪問販売法における連鎖販売取引、いわゆるマルチ取引に該当しないという趣旨のことを申したものと考えますが、委託販売契約ということにつきましては契約書類の上からもそう明記されているわけでございますので、販売員が売れない商品を本来引き取る義務はないわけでございます。したがいまして、商品の保管中の汚損などがあった場合、当事者間で負担関係を調整する必要があるようなケースもあるかと思います。そういうようなときにつきましては、すぐに返品できないことがあることは私ども理解し得るところなんでございますが、個々の消費者が預かった商品返品ができないというケースがあるのであれば、私どもとしましても実情把握の上、ジャパンライフに適切な対処をするよう従来から指導してまいってきたところでございますし、今後新しい商法におきましても、問題があるような場合には従来同様注意深くそのような対応をいたしたいと思っております。  ただ、御高承のとおりでございますけれども、例えば法人たる代理店の立場を維持するために商品を引き取った企業もあるいはあるかもしれません。それらのものにつきましては、訪問販売法の対象としておりません法人同士の取引ということになりますので、これは商取引の問題として当事者間で処理されることになるというふうに考えておりまして、このようなことからいたしまして、私どもは一つ一つ問題の解決をきめ細かく図っていくことによって対応することが適切であり、通常の健全な商慣行、商活動と区別しにくいようないわゆるマルチまがいの分野を一括して法改正の対象にするということについては現実的ではないと考えておるわけでございます。     〔小委員長退席、城地委員長代理着席〕
  147. 和田貞夫

    和田(貞)小委員 これはもう時間がありませんからまた改めて議論したいと思いますけれども、あなたのような考え方である限り、ここにジャパンライフの企業名を使って法的に触れないとか法的に違反でないとかということが記事に載れば、そこまで悪いことしてもいいということの裏づけになるじゃないですか。それ以上言いません。改めて議論しましょう。  ついでに経企庁、最後にお答え願いたいと思いますが、あなたの方は消費者行政を担当する官庁です。あなたの方は少なくとも通産省よりも、例えば五十四年から五十九年にかけてのマルチ及びマルチまがいの実態調査等をされておるちしいのでありますけれども、その実態調査の結果いろいろな問題が出ておると思うのです。消費者行政担当官庁として、消費者行政についてこの際このマルチの問題についてどういうように考えておるか、お答え願いたいと思います。  時間的な面もございますのでもう一つつけ加えて、どうも行革関連で予算が削られていくわけですが、これだけ大事なときに国民生活センターの予算がばっさり、普及宣伝活動が削られていっておる。そういうことのないように、このような法の裏をかく、脱法的にマルチ商法あるいはネズミ商法がまかり通っておる中で、できるだけ消費者の皆さんに、国民の皆さんに、弱い人たちに親切に啓蒙できるように、来年度予算に当たって予算措置を十分配慮するという考え方があるかないかをひとつお答え願いたいと思います。  最後に、そのお答えを伺って終わりますが、小委員長にこの機会にひとつ申しておきたいと思いますが、こういうような通産省の態度でありますので、さらにこの議論を発展させるために、ジャパンライフ会長山口氏、ジャパンライフ社長の相川氏を、適当な時期に参考人として当小委員会として招致をするという手はずをとってもらいたいということを強く小委員長に要望しておきたいと思います。  お答え願います。
  148. 城地豊司

    城地委員長代理 最後の要望の件につきましては、各党で協議をしていきたいと思います。  経済企画庁里田消費者行政第一課長
  149. 里田武臣

    里田説明員 最近こういうマルチまがいのいろいろなトラブルというのは非常にふえておりまして、私ども大変心配してございます。そのために各種啓発、相談ということに一層力を入れておるわけでございますけれども、このマルチまがい関係につきましては、通産省からも御答弁がありましたように、取引の態様が非常に複雑で多様でございますものですから、私たちもその実態を究明しているところでございます。  それから国民生活センターの予算につきましては、大体一〇%カットという厳しい事情でございますけれども、庁内の予算をやりくりいたしまして、できるだけその幅が減少するようにいろいろ努力しているところでございます。今後とも予算をできるだけ効率的に使いまして、御趣旨に沿ったように啓発に積極的に努めてまいりたいと思います。
  150. 城地豊司

    城地委員長代理 次に、福岡康夫君。
  151. 福岡康夫

    福岡委員 通産省当局と公取当局にお尋ねいたします。  午前中の参考人の陳述の中で、堺参考人竹内参考人が、現行の訪問販売法または独禁法でジャパンライフの問題、またベルギーダイヤモンドの問題は違反の対象として自分たちは考えられる、こういう発言をされておりますが、その点についてそれぞれ通産省当局、その後公取当局、この御見解に対してどういうようにお考えなのか、ひとつ御見解をお示し願いたいと思います。
  152. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 通産省といたしましては、今御指摘のジャパンライフの従来の商法でございますけれども、これにつきましては再販売という形ではなくて委託販売という形で契約されているということにかんがみまして、訪問販売法における連鎖販売取引の概念に該当しないというふうに考えているわけでございます。  それからベルギーダイヤモンドにつきましても、これにつきましては同社が自己の店頭におきまして商品販売を行うものでございますし、また、同社からダイヤモンドを購入した者がほかのダイヤモンドの購入者を紹介した場合に一定の紹介料を取るという、いわば紹介販売というような商法であると承知しております。したがいまして、この商法自体は訪問販売法における連鎖販売取引の概念に該当しないということになるわけでございます。
  153. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 公正取引委員会としては、何度も申し上げるようでございますが、独禁法あるいは景表法で規制し得るものであれば従来からやってきたところでございますし、この姿勢は今後とも変わるものではございません。したがいまして、その法の範囲内でできるものであれば今後とも厳正にやっていくということでございます。
  154. 福岡康夫

    福岡委員 通産省にお尋ねいたします。  今、委託販売だから本件の対象にならない、こういう事実認定をされておりますが、具体的に例えば利害関係人から申告があった場合、その端緒に応じてどういう調査によってその事実認定を行っておるのか、御説明願いたいと思います。
  155. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 私ども、消費者相談の窓口に相談がございましたときには、まず消費者の方から、どのような契約書によって行っているかということも資料の説明を求めますし、またこれを企業の方に話をつないだ方がいい案件につきましては、企業にも同種の連絡をいたしまして、両方の言い分に書面上あるいは口頭において差があるのかないのか確かめた上で判断をして処理いたしているところでございます。
  156. 福岡康夫

    福岡委員 端緒の事実について、申告人と関係人との間の事実関係を役所に呼び出して認定して委託販売と決定しておるのかどうか。先ほどからいろいろお話を聞いておりますと、委託販売の契約書があるので、その文書だけを事実認定して委託販売と認定しておるのかどうか、その点はいかがですか。
  157. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 両当事者から実情の口頭の説明も受けますし、必要に応じて書類の提出を求めまして、書類の解釈も両当事者との間で確認いたしまして処理をいたしているわけでございます。先ほどの御答弁でも申し上げましたけれども、現実には、御相談のありました案件につきましては、返品等はそれぞれ個別ケースに応じまして具体的に行われているのが私どもの相談案件の実情でございます。
  158. 福岡康夫

    福岡委員 午前中の参考人被害者の会の会長の陳述によれば、返品は原則としてなかった。特例があればそれを事実認定するのかどうか。やはり経済というのは一般的な問題でとらえなければいかぬのです。原則論としてそういう販売方法が行われておれば、返品があるとしても委託販売と認めがたいと思います。ただ一つ二つの特例があったからそれで認定するのはおかしいのじゃないかと思います。だから申告人の立場、参考人意見を、その事件じゃなくて一般的な問題でどうなっているのか総合的に把握して、初めて委託販売か売り切りか買い切りか、これを認定するのが当然の姿ではないかと思いますが、いかがですか。
  159. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 御指摘のように、私どももジャパンライフに関する相談の案件については、一部分ではなくして全般を注視して、眺めて処理してまいってきたつもりでございます。具体的には、私どもの本省それから通産局の消費者相談室に寄せられる相談件数というのは毎月数件程度でございます。実はその中のほとんどは、会社や商売の仕方というものはどういうことかという問い合わせが多いのでございますけれども、もちろん返品に関するものもございました。  返品に関するものにつきましては、先ほど申し上げましたように契約書も確認し、委託販売契約である、売れない商品を引き取る義務はないという理解のもとに両当事者の間に立ってお話を仲介しているわけでございますけれども、もちろん無条件というわけにはいかなくて、例えば保管中汚損が生じたというようなことにつきましては、両当事者の間で負担関係を調整する必要がある場合もございます。したがいまして、そのようなことからすぐ返品できないということはありますけれども、一定の条件のもとに返品をするということはいずれのケースにおいても行われてきたところでございます。  ただ問題は、恐らく先生の御指摘の対象になりますのは、訪問販売法が対象にしております個々の消費者の場合ではなくて、法人の形態をとっております代理店の場合に、その立場を維持していくためにみずからの意思で商品を引き取った企業もあるかもしれません。そのような企業の場合には、引き取ったことについて、これは単に委託販売として引き取ったのではなくして実需があるものとして引き取ったものかどうか、その辺については両当事者間での議論があろうかと思います。しかし、これはいずれにいたしましても私どもの訪問販売法の対象外の法人の取引ということでございますので、一般商取引の問題として当事者間で処理されることが基本と考えております。私どもの相談窓口は消費者相談の窓口ということでございますので、そういう意味では、今のような法人の問題については直接かかわっておらないのが実情でございます。
  160. 福岡康夫

    福岡委員 午前中の参考人の質疑の中で、被害者の会の会長ははっきりと、商工委員会で問題になる以前は全く返品はなかったと断定しておりました。その後は今度は返品が出てきた。一切ありませんでしたと言っております。そういう返品という問題がはっきりと否定されておるのに、あなたそういう発言をされておりますが、原則論としておたくの方が申告を端緒した時点において、被疑事実の調査に入った段階において、その事実認定をはっきりとやって、返品は原則としてなかったと認定されておったのですか。
  161. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほども申し上げましたように、訪問販売法の対象といたしております個人の場合につきましては、かねてから返品についての照会がある際にその都度仲介、あっせん等をいたしてまいっておりますが、その際にはいずれも返品が行われてまいってきております。おっしゃいますのは多分法人の場合ではないかというふうに存じますけれども、私どもも必ずしも正確に捕捉しておるわけではございませんが、法人の方々被害をこうむった方が通産省の方に直接この件について申し出があったケースはございませんので、法人のことは先ほど申し上げたように法人同士の商取引の問題として処理されてきたのではないかと考えております。
  162. 福岡康夫

    福岡委員 この問題は法人の場合も個人の問題も一つの流れですから、それを総合的に判断してやらなければ、この委託販売かどうかという問題は事実認定できないのです。先ほどの前任者の質問に対しても、何かおたくの方の課長補佐がはっきりと、委託販売だ、だから問題にならないと言った、こういう御発言をされておりますが、委託販売かそれとも売り切りか買い切りかという事実を集めての認定をするのにはまだ少し証拠不十分じゃないか、かように考えるのですが、その点はいかがでございますか。
  163. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 契約の上では明らかに委託販売契約という書面で行われておりますが、実態はどうかということに関して、先ほども申し上げましたように法人である代理店の場合には委託販売契約を基礎といたしてはおりますけれども、場合によりましては代理店が自己の地位を維持するために現実に引き取った、つまり買い取った場合もあろうかと思います。買い取った後にそれが滞貨となって問題となっているケースについて、恐らく一部の法人の方々が現在問題になさっておられるのかもしれないと思っておりますが、いずれにしましてもそういう法人の方々からは私どもの方には直接お尋ねがありませんので、以上のようなことを私どもとしてはそのように推察をいたしておる次第でございます。  いずれにしても、私ども訪問販売法の対象といたしております消費者に限って申しますと、先ほど来申し上げておりますように、委託販売契約の規定に則し、若干細かい点において調整を要する場合があるにせよ、いずれもジャパンライフとの間においては返品が行われているというのが実情でございます。
  164. 福岡康夫

    福岡委員 返品が行われておるというその事例について、原則論か特例が、どのぐらいあるのか。問題は一件か二件、三件という返品があって、一つの流通の流れがその特例でもってそういう扱いをされるというのはおかしいと思うのですが、そういう点まで通産省当局調査されておるかどうか、いかがでございますか。
  165. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 このジャパンライフに関します消費者からの苦情の件数も、先ほど申し上げましたように、月々数件程度が私どもの窓口に参っております。その他の窓口について伺ってみましても、特に消費者段階におきまして返品ができなかったということで苦情が寄せられ、消費者の意向が通らなかったというケースが出てきているということは私どもは耳にいたしておりませんので、他の窓口に出た場合につきましても同様の処理が行われておるものと考えております。
  166. 福岡康夫

    福岡委員 通産省の今の御答弁、私は何か非常に不見識きわまると思うのですね。そういう発言は本当に筋が通らない。やはり法人だろうが個人だろうが総合的な物の流れから、流通行政を担当している官庁としてその流れを把握して事実認定して、それを法律の条文で適用するのが当たり前なので、総合的事実認定なしで部分的な認定だけで委託販売だと決定するのは早計ではないかと思うのですが、いかがですか。
  167. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほど来申し上げておりますように、訪問販売法消費者を対象にいたしております。したがいまして、法人間の行為につきましては当然のことながら商行為として行われているわけでありますし、商行為として処理されるべきが建前ということで、訪問販売法消費者について保護の対象として取り上げているわけでございます。また、私どもの消費者相談窓口に参りますものも消費者に関する案件が参っているわけでありまして、法人に関する案件については、私どもについてそのような御意見が参っておりません。したがいまして、私どもは、相談窓口にある案件につきましては、法の趣旨にも十分のっとりまして消費者と企業との間の返品についての交渉を円滑にし、あっせん、仲介をするということをいたしておるわけでございます。  一般の商行為に関する限り、これは一般の商行為として、当然世の中に行われている法人間の取引として一般的に律されるべき問題が基本であろうということで、先ほど来区別して申し上げた次第でございます。
  168. 福岡康夫

    福岡委員 審議官、えらく法律的枠内で物をお考えですが、一体通産省は司法官庁なのか行政官庁なのか、まさに産業政策官庁です。行政官庁であって、いいことか悪いことか、悪いことであれば当然その部分まで事情を聞くのは法律の枠内を逸脱しておるからできないというのはおかしいじゃないですか。やはり総合的に、行政官庁としては当然法人の面まで聞いて、個人とのつながり、流通の流れを解明していくのが当然の筋じゃございませんか。いかがですか。
  169. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 ジャパンライフと個人とのつながりにつきましては、個人からも伺っておりますし、会社からも伺っているわけでございます。また、もし法人から私どもに何か照会がございますれば、もとより法人からの照会についても調査をする用意はございますけれども、先ほど申し上げましたように、法人からは特別お申し出がないということでございます。また、仮に法人からあった場合には、基本はやはり法人間の商行為として処理さるべき問題でございましょうが、にもかかわりませず、通産省に特にお話があるようであれば、お話は十分承りたいと思っております。
  170. 福岡康夫

    福岡委員 どうも消極姿勢で私ちょっと同感できないのですけれども、もう時間がないので次に移ります。  次に公正取引委員会にお尋ねいたしますが、独禁法違反のベルギーダイヤモンドの事実の申告があって端緒を受けて、その端緒の処理について事実認定をどのように行ったのか、発表できる範囲内でお話し願いたいと思うのであります。
  171. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 ベルギーダイヤモンドの件につきましては、私ども、公正取引の審査部において申告を受けました後それなりの調査検討をしたと聞いておりますが、その後事実上ベルギーダイヤモンドが倒産状態に陥っているということで、その後の調査が進んでいないというふうに聞いております。
  172. 福岡康夫

    福岡委員 午前中にちょっと独禁法の問題で一般指定の問題が出ておりますが、もし現行の独禁法の十九条の「不公正な取引方法を用いてはならない。」という規定に基づく一般指定が現行の流通体制に不適格であればこの一般指定を見直すお考えはあるのかないのか、この点いかがでございますか。
  173. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 何度も繰り返すようでまことに恐縮でございますが、現在の独禁法に基づく一般指定、これに基づきまして、これに該当し、その範囲内において規制し得るものにつきましては規制していく、そういう姿勢でやってまいりたいと思います。
  174. 福岡康夫

    福岡委員 行政は時代との対話ではないかと思います。経済状況というものが変わってくる、経済行政が変わっていく場合に、その対応はなるべく前向きに取り組んでいくのが筋ではないかと思いますが、いかがでございますか。
  175. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 先生がおっしゃるとおりに、問題が起こった場合にはなるべく問題解決に向かうように努力すべきことをよく承知しておりますが、独占禁止法に基づく一般指定の個々の条文なりなんなりにその具体的問題を当てはめまして十分検討し、いけるものはいける、いけないものはいけない、そういうことで独占禁止法の範囲内の問題としてやれるものであればやっていく、そういうことでまいりたいと思います。
  176. 福岡康夫

    福岡委員 ぜひ前向きに御検討をお願いしたいと思います。  次に、経済企画庁にお尋ねいたしますが、去る十二月四日、東京新宿の朝日生命ホールで開かれた八五年消費者問題国民会議において金子経済企画庁長官は「悪徳商法に対しては、現行法の厳格な運用や、新しい法律を作るなどの方針で対処していく」との方針を明らかにされておりますが、現在この新しい法律の制定のための準備はどのようになっておるのか、関係官庁との法令調整はどうなっておるのか、これらのことについて経済企画庁に御説明をお願いしたいと思います。
  177. 里田武臣

    里田説明員 ただいま御指摘になりました大臣の発言は、十一月に開かれました第十八回消費者保護会議の内容を受けておりまして、この消費者保護会議といいますのは、豊田商事を中心とするそういう悪徳商法に的確に対応していこうということで、一つは、現行法令の厳格な運用にあわせまして法的処置も含めて検討を進めるということになってございます。  御案内のとおり、豊田商事につきましては現在検察庁、警察庁で鋭意捜査中でございますので、一つはそういう推移を期待を持って見守っていかなければいかぬという事実がございます。しかし、万が一にもその適用ができないという場合にも、迅速に適切に対応ができるようにあわせて法令の検討も進めていこう、こういうことでございまして、現在関係省庁間で協議を進めているところでございます。  その一環といたしまして、アメリカにおいてこういう問題がどういう形で対応されているか、その推進体制とか法の運用状況とか、そういったようなものを含めまして、この一月に調査団を派遣したいと思っております。そういう成果を含めまして鋭意検討を進めてまいりたいと思っております。
  178. 福岡康夫

    福岡委員 時間が参りましたので、以上をもちまして質疑を終わらせていただきます。
  179. 城地豊司

    城地委員長代理 次に、横手文雄君。
  180. 横手文雄

    横手委員 私は、通産省、経企庁、公取の各関係者に御質問申し上げたいと存じます。  先ほど来、各議員の皆さん方の話を聞いておりますと、通産省とは大変すれ違いの議論が行われて、水かけ論みたいな、あるいは被害者の皆さん方がもし傍聴しておられると隔靴掻痒といいましょうか、救いがたい何かやるせないものに追い込まれていくのではないか、そんなことを思いながらこのやりとりを聞かしていただいておるところであります。  そこで通産省、けさほど来多くの事実も出されましたし、私自身もこういった商法に関する勧誘を受けたことがあります。ジャパンライフの関係者の方が議員会館にお見えになりまして、最初はまじめな話だと思って聞いていたのであります。そうしたら、だんだんそれが進むにつれて一最初私は本当に健康のためにいいと思ったものですから、どこか健康保険組合でも紹介をしたらどうだろう、こういうことがまじめに頭の中にあったわけです。ところが、羽毛布団つきだからこれは高過ぎます、マットだけ販売したらどうですかと言ったら、それだけは売れません、この布団がみそでございます、こういうことをおっしゃる。だけれどもこれは高過ぎます、だから仮にどこかの健康保険組合がまとめて買うということになると割引がありますか、こういう話をいたしましたら、俄然今度は話が変わりまして、この売り方についてうちは独特のものを持っております、こういうことでとうとうとやられたわけです。私は、それはあなたもう完全にネズミです、だからそんな話ならうちの部屋に入ってくれるな、お帰りくださいということで帰ってもらった。案の定、今日こういうことになっておるわけでございますが、こういった商取引が行われて、そして多くの人たちに迷惑をかけ、被害者が出ておるというこういった商取引そのものについて、通産省はどう考えておられますか。
  181. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 私どもの消費者相談の窓口には、マルチまがいの販売について話があったけれどもどのように対応したらよいのかというお尋ねがある場合がございます。そのような場合について私どもがいつもお答え申し上げておりますのは、この商売のやり方はこういう形である、こういう形であることをよく踏まえて消費者の方で虞重に御判断をなすって対応されるようにということを申し上げておりまして、このような商法がどういうものかということをわからずに、消費者がただいたずらにその仕事に携わることのないような御注意は御質問に応じて申し上げておる次第でございます。
  182. 横手文雄

    横手委員 それでは、そういう品物を売りに行くのじゃなくて、品物を売りに行くふりをしながら、その案もうけ話システムを売りに行くということが行われているわけでございますが、そういった商法そのものを通産省としては正常なものである、あるいはこれは不当なものである、どちらをお考えでございますか。
  183. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 恐らく先生のおっしゃっておられる商法というのは、いわゆるマルチまがい商法のことを指しておられると思います。マルチまがい商法は、先ほど来申し上げておりますように多種多様な形態がございまして、それらをすべて一つの物差しできちんと申し上げることは難しいわけでございますけれども、一般的に申して、この種の商法についてはこういう性格のものであるから、その性格を十分消費者の方が踏まえて慎重に対応されるようにされた方がよろしいという御示唆を申し上げているというのが実情でございます。
  184. 横手文雄

    横手委員 私はそういうことをお伺いをしておるのではございません。先ほど参考人の方もおっしゃいましたけれども、これは商法と名をつけるにはおこがましい、詐欺じゃないか、こういうことをおっしゃったわけであります。被害者の皆さんにしてみれば、まさにそういうことが言いたいことであろうと思います。こういうことがまかり通っておるということを通産省としては、どう指導したとかこう指導とかではなくて、好ましいことでございますか好ましくないことでございますか、そのことをお聞きしているのです。
  185. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほどの繰り返しでまことに失礼でございますけれども、この種の商法は多種多様なやり方がございますので、一義的になかなか申し上げにくいのでございますが、一般的に申しまして、慎重な対応、慎重な配慮が必要な商法であろうということは申し上げられると思います。
  186. 横手文雄

    横手委員 私はこの入り口が大変大事なことだと思うのですよ。したがって、こういうことがまかり通っているということを許さずということでいろいろな法律も出てきたわけでございますし、そしてけさほどかを言われたように、この法律最初にできたときには、これをもってマルチ的な商売はこの世から駆逐することができますと通産省は胸を張られた法律であった。しかし、それのまがいのものが出てきた。ある人はこれを新マルチ法、まがい法じゃなくて新マルチだというふうに呼んでおられる方もあるわけですけれども、そういった商売のやり方はいいことだあるいは悪いことだとお思いになりますかということを聞いておるのです。どう指導されますかを聞いておるのじゃないのです。
  187. 城地豊司

    城地委員長代理 質問に正確に答えてください。
  188. 松尾邦彦

    ○松尾政府委員 先ほど来申し上げておりますように、いろいろな態様がございます。したがいまして、いい悪いということを二言ですべてを申し上げるわけにまいらないわけでございます。先ほども申し上げたことでございますけれども、いわゆるマルチまがい商法は多種多様でございますが、総じて申しますと、販売員が大量の在庫を抱えることになるかならないか、それから正常な商活動との間に明確な線をきちんと引いて、ここからこちらが正常でない、こちらが正常であるということを、複雑多様な商取引のたくさんある中できちんと仕分けすることがなかなか難しいということを申し上げてきたわけでございまして、現実の経済はさようなのが実態なのではないかと思いまして、先ほどのようなことを申し上げてまいったわけでございます。
  189. 横手文雄

    横手委員 公正取引委員会はどう思われますか。
  190. 佐藤一雄

    ○佐藤説明員 公正取引委員会といたしましては、そのシステムそのもの云々というよりも、その具体的事実関係において独禁法で規制し得るものは規制する、無理なものは無理、そういうことで今までもやってまいりましたし、今後もそういう姿勢でやっていくということでございます。
  191. 横手文雄

    横手委員 消費者保護のために第一線で御活躍の経企庁、このような商いが行われて多くの被害者が出ている。そして、おたくが所管しておられる各県民の消費者センター、こういったところには、通産省には幾らも来ていないようでございますけれども、地方の消費者センターにはたくさん行っております。こういうことは好ましいことでございますか、好ましくないと思われますか。
  192. 里田武臣

    里田説明員 最近この種の消費者苦情相談というのは、御指摘のとおり大変ふえております。私ども大変心配しておりまして、そういうことから、啓発にも一層力を入れておりますし、苦情相談にも力を入れております。  ただ、この問題にどういうぐあいに対応するかということにつきましては、通産省も御指摘になられておりますように、取引が非常に複雑でございますので、私どもとしても十分勉強させていただきまして、考えさせていただきたいというぐあいに考えます。
  193. 横手文雄

    横手委員 それでは重ねてお伺いをいたします。  大変憂慮しておられるということであります。しかし、だからといってこれにたちまち入っていくのはいかがなものだろうか、通産省はそう言っておられるからということでございますが、これを野放しにしておいてはならない。難しい問題であるけれども、何とかして、法律をもってでもこの中に切り込んでいかなければ、この種のものはふえてくるし、後で相談に乗るだけでは、これは後追い行政でございますから、その根を絶つためには何かをなさなければならないと思いますが、いかがですか。
  194. 里田武臣

    里田説明員 くどいようでございますけれども、啓発と相談につきましては一層力を入れていきたいと思っておりますけれども、こういう問題も消費者の問題として非常に大きな問題ということでありますと問題でございますので、できるだけ関係省庁と連絡をとりまして対応させていただきたいと思います。
  195. 横手文雄

    横手委員 そういうことをお聞きをしておるのではなくて、関係省庁と連絡をしながら、調整をしながら、難しい問題だということがあるけれども、このまま出てきたものに対して相談をしたり、あるいはこういうものにひっかかってはいけませんよということでは限度がある、その根を絶たなければならない、大変難しい問題であるけれども、各省庁と連携をとりながらこの中に切り込んでいきたいというのが経企庁の姿勢であると理解をしてよろしゅうございますか。
  196. 里田武臣

    里田説明員 私どもは現状を非常に憂慮しておりますけれども、こういう問題に具体的にどういう形で対応するのが一番適切かということにつきましては、いろいろ問題もございますものですから、私どもで十分検討させていただきまして、前向きに対応させていただきたいと思っております。
  197. 横手文雄

    横手委員 くどいようでございますけれども、相談に乗るということも大変大事、こういうものにひっかかるなという啓蒙をすることも大変大事なこと。しかし、この根を絶とうという気はありますか、ありませんか、それだけです。
  198. 里田武臣

    里田説明員 問題があるということについての認識は私どもも持ってございます。ただ、これに対してどういうアプローチがいいのかというのは、やはり正常な商行為の問題とかいろいろあるわけでございますので、ここは十分よく勉強をして、被害のないような形で適切な対応が必要かと思います。そういう意味で、私どもももう少し時間をいただいて、よく勉強をさせていただきたいというふうにお答え申し上げておるわけでございます。
  199. 横手文雄

    横手委員 ほかの人の話を聞いておって歯がゆく思いましたが、自分がやってみてもっと歯がゆくなってきたわけでございますが、つまり、先ほど来申し上げておりますように、通常の物を売りに行くのではないのです、この手のものは。そのシステムを売りに行くわけですよ。あなたは判こが欲しいですか、判こを買いなさいじゃなくて、あなたが買って会員になることによって広げていきなさい、そして子をつくりなさい、孫をつくりなさい、あなたにはかくのごときお金が飛び込んでまいります、この人をごらんなさいということで誘っていくわけですね。その結果、もうける人はほんの一部、ほとんどの方々が同時にクレジットを組みますから、大変な被害者になって、今御指摘があったような形で被害届がどんどん出てくる、苦情が出てくる、あるいは場合によっては、大変悲しいことでございますけれども、みずからの命を絶つというようなことも起こってくる。  こういうことについて、それは通常の商取引とは全然違うということでございますよ、こういった認識に立って、このマルチまがい商法、つまり新マルチ問題に対して各省庁が真剣に前向きに取り組む必要がありはしないか、そして我ら立法府としても、国会としてもこの問題について国民の皆さん方が安心して暮らせるような世の中をつくっていくというのがお互いの責任ではありませんかということを申し上げて、時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
  200. 城地豊司

    城地委員長代理 次に、藤田スミ君。
  201. 藤田スミ

    藤田(ス)小委員 まず最初に、警察庁にお伺いをいたします。  現在問題にされているジャパンライフの社長相川孝氏及び組織部取締役部長神田修道氏、代理店指導部長佐藤恒夫氏は元警察官僚の出身者であると思いますが、いかがですか。簡単で結構です。
  202. 安藤忠夫

    ○安藤説明員 ただいまお示しの三氏につきましては、相川氏は昭和五十五年まで中部管区警察局長、神田氏は五十七年まで北海道警察の旭川方面本部長、佐藤氏は五十八年まで山形県警察本部の警務部長にそれぞれ在職していた事実がございます。
  203. 藤田スミ

    藤田(ス)小委員 社長の相川孝氏は、昭和四十七年から四十九年の間、悪徳商法を取り締まる警察庁保安課長をしておられましたね。そして悪徳商法の取り締まりの手の内を熟知しているわけです。もちろん、三大マルチと言われていたあの大きな被害を出しましたジャパンライフの前身ジェッカーチェーンについても、立場上十分御承知のはずであります。それだけに、私は、今回の問題は警察庁としても本当に真剣に考えてもらわなければならないと思うのです。  相川社長は就任のあいさつの中でどう言いましたか。「幸い私は、三十年余の役人生活と三年の流通業経験の間に、中央、地方にわたる福田元総理、中曽根総理を初め、政財官界はもとより、法曹、マスコミ界等に数多くの先輩知友を得ることができました。私は、この「人脈」というかけがえのない財産をフルに活用して、当社の発展と繁栄のために全力を尽くしたいと考えております。」こういうふうに言っているわけです。そして薬事法違反訪販法違反というような商行為を行って、数多くの被害者を出しました。昨日も進陽商事田中守二社長さんは六千万円という負債を抱えて自殺をされております。きょうの午前中の参考人質疑の中でも、これだけの警察官僚が座っていれば、この企業は絶対に大丈夫だというふうに思わざるを得なかった、そういうふうに言っておられるわけであります。  このように警察官僚が天下り、人脈というかけがえのない財産をフルに活用されることについてどうお考えですか。
  204. 安藤忠夫

    ○安藤説明員 相川氏が警察庁保安課長に在職していたことも事実でございますが、当時、再就職いたしました五十八年ごろにつきましては、お尋ねのジャパンライフにつきましても問題がないという判断で、また、現に問題も生じていなかったように伺っております。
  205. 藤田スミ

    藤田(ス)小委員 大体一介の人ならともかく、山口会長というのがどういう人かということは、少なくともそのポストにおられて仕事をしておられたとしたら、そういうことはすぐに理解できる立場におられた方なんです。しかも、現在言われている悪徳商法はまさに法の裏ばかりかいているでしょう。さっきから通産省の御答弁を聞いていても、非常に苦しい。まさに法の裏をかき、すれすれのところで多くの人々に被害を与えているのです。警察庁はそのことを何よりもよく御存じのはずです。私はそれゆえにこそ、この問題に対する警察庁としての厳しい対応を求めていきたいわけです。現在非常にはっきりしている問題が次々に材料としてあるじゃありませんか。警察の厳しい対応を求めます。  あわせて、警察庁として厳しい天下り規制を行うべきだと思います。そうでないと、警察というのは悪の根をはびこらせるために人を育てているのかという国民の不信をぬぐい去ることはできません。その点いかがですか。二つです。
  206. 安藤忠夫

    ○安藤説明員 法違反の状態が生ずれば、いかなる事情にあれ厳正に対処するのが警察の立場であります。  また、再就職の問題についてでございますが、退職者の就職につきましては、職務柄業種の選定に慎重な配慮をしてまいりましたし、現にそのような適正な指導を行っておりますが、先ほど申し上げましたように、五十八年時点では順調な会社というふうに判断していたわけでございます。     〔城地委員長代理退席、小委員長着席〕
  207. 藤田スミ

    藤田(ス)小委員 この問題にこだわっているほど私の持ち時間がないので本当に残念ですが、弁解しておられるみたいですよ。私は改めて厳しい天下り規制ということを要求しておきたいわけです。  経済企画庁にお伺いいたします。先ほどから、消費者保護の立場から経企庁としてもアドバイスを行っていきたいとか、あるいは啓発、啓蒙に取り組んでいきたいとか、取引対応が非常に複雑なので実態を解明してこれから対応していきたい、こういう御答弁をいただいておりますけれども、私はここに「ジャパンライフの大研究」という本を持っています。これはまさにジャパンライフを売り物にしていく本なんです。この中に「消費者編」、非常に大きな字で見えるでしょう、こういうふうにありまして、大変丁寧に、通産省はどういう仕事をするところで、経企庁は何をするところで、公正取引委員会はどうするところでということをるる書いてあります。  大体ジャパンライフは消費生活センター係というのを全国に置いているわけです。そしてセンターを訪問いたしまして、何か苦情が来ておりませんか、こう言うわけです。そうすると消費生活センターの方は、ジャパンライフの件についてはこんなのが来てますよと言ったら、ありがとうございますと持って帰るわけです。そういうふうにして繰り返し繰り返しやっているうちに、いつの間にか消費生活センターでもこの問題の本当の実態解明ができなくなってしまいました。消費者保護に非常に熱心な企業であるというふうに思わざるを得ない、そういう対応をちゃんとつくっていた。これはけさ方の現先生のお話でありましたが、まさにそのとおりであります。  だから相談件数も、私がさきに物特委で質問しましたときにも、思いがけなく少ないなと思いました。こういうふうなことでは私は経企庁が本当に消費者行政を形骸化させてしまうのじゃないか、そういうふうに思います。まさに法人は消費者ではないので訪販法の対象にはならぬと言われました。しかし、法人は消費者ではないので訪販法の対象にならぬようにからくりをしていたのがジャパンライフ商法なんです。そういう点で、私は経企庁としてこのようなゆゆしい、消費者行政を形骸化させるような消費生活センター、国民生活センターのあり方をここでもう一度真剣に考えてもらわないと、消費者被害の根っこのところをとらえていくことができない、そしてこの問題を解決することができないというふうに考えますが、いかがですか。
  208. 河出英治

    ○河出説明員 消費者苦情につきましては、基本的には、当事者でありますところの消費者と事業者の間の自主交渉によって解決するというのが本来の姿でございますけれども、消費者が自主交渉によりましては十分な解決が図られない場合ですとか、あるいは事業者に対する苦情の申し出先がよくわからない、こういった場合には国民生活センターあるいは地方の消費生活センター、こういった機関によりまして消費者に対する自主交渉のための情報提供を行ったり、必要な場合には間に入りましてあっせん等を行っているわけでございます。こういった観点からいたしますと、一般論として、事業者が消費者相談窓口を設置いたしまして積極的に消費者苦情の解決を行うということ自体は望ましいことであるわけでございます。  それで本件、ジャパンライフの件でございますけれども、今先生おっしゃいましたように、ジャパンライフが各地のセンターに時々あいさつ等ということで訪れておるということは承知しているわけでございますけれども、国民生活センター及び各地のセンターでも、私どもが承知しております限りでは、受け付けた相談というものは処理ということでカウントしておりますので、それをカウントせずにジャパンライフがそのまま持っていってしまって、やみに隠れてしまうということはないというふうに私どもは理解しておる次第でございます。  ただ、いずれにいたしましても、受け付けた相談というものが適正に処理されていくように、国民生活センター等をこれから指導していきたいと考えておる次第でございます。
  209. 藤田スミ

    藤田(ス)小委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、本当にこれからどんどんどんどん新手新手の非常に巧妙なやり方をとってくるのがこれらの商法の筋でありますので、私は消費生活センターがこういう企業と癒着をしているというようなことにならないように今後の厳しい対応を求めたいと思います。  最後に委員長にお願いをいたします。山口会長並びに相川社長については、この場で参考人として私は質疑を求めておきたいと思います。  以上です。
  210. 上坂昇

    上坂委員長 了解しました。  以上で政府に対する質疑は終了いたしました。  この際、小委員長として一言発言させていただきます。  本日、流通問題小委員会を開き、マルチ商法現状とその対策についての参考人までおいでいただき調査審議を行ったのは、マルチ商法等の悪質な商法がまかり通っているためであります。しかるに、通産省等の答弁を聞いておりますと、その状況認識に欠けており、そのために、対応策についても積極的な姿勢が見られなかったことはまことに遺憾であります。  このような当局の姿勢では、マルチ商法のばっこと、それによる被害者の多発の防止について、時宜を得た施策ができないおそれがあると考えられます。よって、通産省及び当局に対し厳重な注意を促すとともに、本日小委員会開催の意義を踏まえ、今後悪質な商法の撲滅に真剣に取り組むよう要望いたします。  なお、先ほど和田委員及び藤田委員から要請がありましたジャパンライフ山口会長相川社長参考人としての出席につきましては、本小委員会において行うかあるいはまた商工常任委員会において行うか、私から商工委員長に申し入れて決めていただくことにいたします。御了承いただきたいと思います。  本日は、これにて散会いたします。     午後三時十一分散会