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1985-11-22 第103回国会 衆議院 商工委員会 第5号 公式Web版

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  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十二日(金曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 粕谷  茂君    理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君    理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君    理事 後藤  茂君 理事 城地 豊司君    理事 長田 武士君       甘利  明君    尾身 幸次君       奥田 敬和君    加藤 卓二君       梶山 静六君    金子原二郎君       高村 正彦君    椎名 素夫君       戸塚 進也君    額賀福志郎君       野上  徹君    野田  毅君       林  大幹君    原田昇左右君       松野 幸泰君    水野  清君       伊藤 忠治君    奥野 一雄君       上坂  昇君    浜西 鉄雄君       水田  稔君    横江 金夫君       和田 貞夫君    木内 良明君       草野  威君    西中  清君       福岡 康夫君    小沢 貞孝君       横手 文雄君    小沢 和秋君       野間 友一君  出席国務大臣         通商産業大臣  村田敬次郎君  出席政府委員         公正取引委員会         事務局経済部長 厚谷 襄児君         通商産業政務次         官       与謝野 馨君         通商産業大臣官         房長      児玉 幸治君         通商産業大臣官         房総務審議官  鎌田 吉郎君         資源エネルギー         庁長官     野々内 隆君         資源エネルギー         庁石油部長   畠山  襄君  委員外出席者         海上保安庁警備         救難部航行安全         課長      玉置 佑介君         会計検査院事務         総局第五局上席         調査官     大木彌太郎君         商工委員会調査         室長      倉田 雅広君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十一日  辞任        補欠選任   渡辺 嘉藏君    嶋崎 譲君 同日  辞任        補欠選任   嶋崎  譲君    渡辺 嘉藏君 同月二十二日  辞任        補欠選任   奥田 幹生君    金子原二郎君   佐藤 信二君    戸塚 進也君   仲村 正治君    額賀福志郎君   渡辺 嘉藏君    伊藤 忠治君   青山  丘君    小沢 貞孝君   工藤  晃君    小沢 和秋君 同日  辞任        補欠選任   金子原二郎君    奥田 幹生君   戸塚 進也君    佐藤 信二君   額賀福志郎君    仲村 正治君   伊藤 忠治君    渡辺 嘉藏君   小沢 貞孝君    青山  丘君   小沢 和秋君    工藤  晃君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  特定石油製品輸入暫定措置法案内閣提出第四号)      ――――◇―――――
  2. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 これより会議を開きます。  内閣提出特定石油製品輸入暫定措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野一雄君。
  3. 奥野(一)委員(奥野一雄)

    奥野(一)委員 一昨日から石油製品輸入に関する法律案審議が行われておるわけでありまして、私も各委員皆さん方質疑をずっと聞いておったわけでありますけれども、どうもまだ全体像が完全に把握できないというのですか、まだ若干のみ込めない点がございますので、時間がございませんから、以下端的にお尋ねをしていきたいと思っているわけです。  まず最初に、この法律案を提案した目的あるいは背景について、通産大臣の方からるる御説明もございましたし、提案理由なんかを見ましても若干わかるわけでありますけれども、一応暫定ということになっておりまして当面五年間の時限立法になっている。そこのところがちょっと私はぴんとこない点なんですが、暫定にしたということはどう理解をすればいいのか。これは、例えば今の背景とすれば貿易摩擦とか不均衡というようなことがあって、アメリカなど諸外国の方から輸入を拡大してくれという要請があってこの措置をとることになったと思うのであります。  この暫定ということを考えますと、一昨日の石油部長さんの方のお答えをちょっと伺っておりますと、現在、石油需給状況緩和状態にある、そういう中で一応の対応を考えているのであって、将来順調にいけばこの法律は必要なくなるんだ、こういうふうに実は受け取ったわけでありますが、その辺、間違っておったら御指摘いただきたいと思うのです。そうすると、今この暫定措置法石油製品輸入を始める、そして黙っていても輸入ができるという状況になったらこれはやめるということなのか。そこのところがちょっと私、のみ込めないのですね。  これからの貿易ということを考えていけば石油製品輸入というのは未来永劫続くのじゃないか、そういうふうに受け取るわけなんです。ですから、例えば輸入が順調にいったときには、こういう法律をわざわざつくらなくても、もとの法律である石油業法の方をちょっと直せばこれが輸入できるということになっていくのか、その辺のところが私はちょっとうまくのみ込めないものですから、どういう経過になっていくのか、ちょっとその辺のところから御説明いただきたいと思っているわけです。
  4. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 まず、本法を暫定法としてお願いをいたしております理由でございますけれども、この法律ガソリン等特定石油製品輸入という問題が出てきます基本的な背景は、やはり国際的な石油貿易市場特定石油製品が豊富に存在するということがまずあるわけでございます。その国際石油製品貿易市場特定石油製品が豊富に存在する事態というのは、石油需給緩和状況が続いているときになかんずくそうであろうと考えております。  したがいまして、IEA見通しによりますと、少なくとも一九八〇年代は石油需給緩和状況が続いているだろうということでございますから、翻って、石油製品貿易市場に、ここでお願いしております特定石油製品も豊富に存在をするであろうということから、その当面五年間という期間に限ってお願いをいたしているわけでございます。  そこで、今お尋ねの五年後の期限が到来した場合にどうなるかということについて、この前何とお答え申し上げたのかという点でございますけれども、それはまず、石油需給緩和状況がなくなりまして特定石油製品が国際的な貿易市場から姿を消してしまうということになりますと、そもそも輸入とかいう問題が起こってまいらなくなりますから、そういった特定石油製品貿易市場に豊富にあるということを前提としたこの法律の問題も、別途考えなくちゃいけないということになるということでございます。  また、引き続き需給緩和状況が続きまして、国際貿易市場特定石油製品が豊富にあるという状況のもとでは二つのケースが考えられまして、この法律特定石油製品についての輸入を円滑に行おうという目的がこの法律なしでも達成できるような経済実態になる、言いかえてみますると、この法律輸入を推進することになります輸入主体、それによる輸入定着をするという経済実態定着いたしますれば、法律によってわざわざこういう措置を講じないでもよろしいかとも思いますし、また、そういう経済実態定着をしなければ、その段階の判断ではございますが、延長をお願いすることもあり得る、そういうことを申し上げたわけでございます。
  5. 奥野(一)委員(奥野一雄)

    奥野(一)委員 その点はわかりました。  そうすると、一昨日の御答弁の中では、大体一九八〇年代は緩和状態が続くだろう、別の方の報道関係なんかのものを見ますと、九〇年代の前半くらいまではこういう状況が続くのではないか、こういう説も一部にはあるわけなんです。これは的確な見通しを立てるのはなかなか難しいと思うのだけれども、一九八〇年代、九〇年の入り口あたりまでは今のような状況が続くのではないかというのが国の方の見通したと思うのですが、一部の報道を見ますと、今言いましたように、一九九〇年代の大体前半ごろまではこれが続くのではないか。そうすれば五年ではなくなるということにもなると思う。もちろんこれはその時点でまた考えればいいということになおわけですけれども、その見通し根拠というのは大体どんなところにあるわけですか。
  6. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 御指摘のとおり、国際石油需給状況というのはこれからの各産油国生産状況、それから需要国消費動向、それから価格、そういったもの等々ございまして非常に不透明であることは事実でございます。ですから根拠と申しましても、そう確たる世界じゅうのコンセンサスというようなものはないわけでございますけれども、ただ一応、先進石油消費国が集まっております国際エネルギー機関IEAでございますが、IEA需給見通しては一九九〇年代になると需給がタイトになるのではないかということを言っておりますので、それを安全サイドにとりますれば、一九八〇年代は需給が少なくとも緩和しているのじゃないかということでございますものですから、一応先ほどのような判断をいたしておるわけでございます。
  7. 奥野(一)委員(奥野一雄)

    奥野(一)委員 普通でありますと大体石油なんかの埋蔵量とか、ある程度それぞれの国では調査というものはできているのじゃないかという感じがするのですね。例えば日本の場合だって、石炭なんかだったら大体ここには推定何億トンぐらいある、こういうようなことが出てくるわけですね。今北海道で問題になっている幌延なんかのあの地区では大体二億トンくらいの石炭が眠っている、一応こういう推定もあるわけなんですが、例えば石油の場合でも、それぞれの産出国なんかの方ではこれは大体何年くらいまでもっとか、そういうデータや何かがあるのじゃないかという感じがするのですね。そうすればどの程度まで需給安定度が続くのかというようなことなんかわかるのじゃないか、こう思うのですが、そんなようなデータに基づいているということではないのですか、やはりそういうものはある程度参考にされておると思うのだけれども
  8. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 今お尋ねの国際的な産油国埋蔵量でございますけれども、一応確認埋蔵量という範囲で考えまして今七千億バレルあると言われております。それで、年間の生産量で割ってみますと、それは大体三十五年分ということでございます。先ほどのIEAにおきます予測根拠といたしましても、当然こういうことも参酌しながらその予測をつくっているものというふうに考えております。
  9. 奥野(一)委員(奥野一雄)

    奥野(一)委員 その点はいいです。  それで私、一昨日の質疑を聞いていてよくわからなかった点があるわけですが、あと二つ、三つ続けてお尋ねしていきたいと思うのです。  今度の暫定措置法を出されましたけれども、単純に石油製品輸入を図ればいいということだけにはならないと思うのです。それによっていろいろな影響が出てくるわけでありますから、その影響の出てくるもの全般に目配りをしてもらわないと支障が出るということもある。これは今までも随分言われておりました。今でさえ精製設備が約二割くらい過剰だ、こう言われておりますし、実際に稼働率は六〇%くらいだ、こう言われているわけでありますから、輸入ということになるとそれがまたさらに増加するという問題、それから雇用対策ということについても言われておりましたし、そういう影響するものがあるわけですから、そういうものに全般的な目配りが必要だと思うのです。  そこで最初に、これはお答えになったのかどうか、私もちょっと聞き漏らしたのじゃないかと思うのですが、そういうようなほかに与える影響ということを考えていきますと、日本石油業界の運営あるいはまた設備廃棄などに伴う雇用状態とか、あるいは消費者に与える価格の問題とかそういうものを総合的に勘案した場合に、どの程度までならガソリンならガソリンというものは輸入してもいい、適正輸入量とでもいうのでしょうか、そういう目安というものはあると思っておるわけなんですが、その目安があったらひとつお知らせをいただきたい、こう思うわけです。
  10. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 今御指摘のように輸入がございますると、その分の国内ガソリン生産が減るわけでございますから、そういった生産稼働率が若干低減するということは事実でございます。  ただ、この法律の場合は、せんだってもお答え申し上げましたように、第一号で代替供給能力、つまり石油製品輸入がストップいたしました場合には急いで原油を買ってまいりまして国内精製をする、そういう余裕分を持ってなくちゃいけないということになっているものでございますから、したがいまして、製品輸入の増大が直ちに設備の削減というふうにはつながっていかないということになるわけでございます。無論、現在この輸入がなくても設備は過剰の状況でございますので、ですからそういったものを別途処理していくということはこれを離れてあるわけでございますけれども輸入との関係で申し上げればただいま申し上げたような状況であるわけでございます。  そこで、どの程度輸入量であれば雇用面とか設備面とかあるいは価格の面とかそういったことについて悪影響がないのかという御指摘でございますが、これは恐縮でございますけれども、私ども輸入量につきまして数量的な制限的なことはしたくないというふうに考えております。したがいまして、輸入量を算定いたします手続といたしましても、個々の企業輸入計画を。輸入見通しをあらかじめよく聞かせていただきまして、その辺から判断をして、やや事後的にその量が定まっていくということでやっていきたいというふうに考えております。  無論、石油供給計画がございますから、各企業から聞いたものに基づいた数字をそこへ置くことにはなるわけでございますけれども、その手続としては今申し上げたような手順でやっていきたいというふうに考えておりまして、こういった適格な輸入主体による輸入が実施されれば、海外製品を購入することが採算上非常に合うということであればそういうことで輸入をしてまいるでございましょうし、国内精製した方が採算上合うということであれば精製をするでしょうし、そういうことで輸入国内精製との弾力的な組み合わせが可能だと考えられますので、自然に適正なレベルに落ちつくであろうということを私ども期待しておるわけでございます。  また、諸外国におきましても石油製品輸入を行っておりますのはおおむねこういった石油企業でございまして、そういった石油企業も、今申し上げましたような石油製品輸入国内精製との弾力的な組み合わせを行っておるわけでございまして、そういった例に倣っていくことになるのであろうかということを期待いたしておるわけでございます。
  11. 奥野(一)委員(奥野一雄)

    奥野(一)委員 その辺のところになると、ちょっと私、ぴんとのみ込めないのですよね。確かにどの程度輸入はオーケーという数字を示されないという点はわかりそうな気もするわけなんですけれども、そうすると海外の方では、日本がこういう措置さえとれば数量なんかは別にどうということはない、問題は、そういう姿勢を見せるということが海外貿易摩擦だとか不均衡ということを和らげるということになるのか、こう思わせられるのですね。それで、こういう法律案を出さなければならなくなったその背景とか大臣提案理由説明なんかを聞いておりますと、やはり相当海外からのそういう声が大きいからこうなったんだろう、こう私は理解するのですね。  そうしたときに、いや、その輸入をするのは登録された業者の眉山だ、こうなってくると、報道されているところによりますと、石油業界なんかの方でもそう大量には買えませんよなんということを言っておられますし、そうかと思うと、石油連盟の会長であり日石の社長である方は、そう大量には買えないよと言うけれども、自分のところでは一月から三月までの間には五万キロリットルくらいは買おう、こう言われているのです。法案はつくった、しかし効果ゼロということになっては困るわけでしょう。海外の方からは相当な量を買ってくれという要請があるのじゃないかと思われるということが一つです。  日本とすれば無差別に、野方図に買うというわけにもいかないだろうと思うわけですね。石油需給計画をある程度立てる。原油で入ってくるものもあるだろうし、こういうふうに今度は製品で入ってくるものもある。ところが、ある程度製品で入ってくるということになれば、若干の量の場合には精製設備に与える影響というものは出ないかもしれないけれども、ある一定の量を超えれば、日本国内精製設備を休ませなければならないということだって出てくると思う。そうした場合にはどの程度までが限度なのかということを、企業任せでやるというのも一つの方法かもしれませんけれども石油全体の需給計画という立場からすれば、大体この程度くらいまでだったらいいのではないかという目安がなければならないような気がするのですね。  そうでなくて企業任せということになりますと、一昨日あたりからも随分議論されておりますように、これからさらに今までの過剰設備廃棄処分をどうするのかということだって出てくるのだし、このことによってもしそういう影響が起きるということになればまたそれに対する対応も考えなければならない、こういうことになってきそうな気がするので、全く許容量を考えてないということになった場合には、法律案関係からするとどうも矛盾するのではないかという気がするのですけれども、その辺、どうなんでしょうか。
  12. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 まず、海外が、日本がある程度の量を輸入しないと納得しないのじゃないか、量的な要請があるのではないかという点に関連してでございますけれども、この間のIEA閣僚理事会で決まりましたのも、市場メカニズムにのっとって輸入を拡大することが必要だという合意でございます。したがいまして、市場メカニズムにさえのっとっておれば量的なことは結論としてはそうとやかく言わないという感覚で私どもはとらえております。  そこで、しかしながら市場メカニズムにのっとってもっとたくさんの輸入が行われてしまって雇用面等に甚大な影響が出るのじゃないかという点の御指摘でございますが、確かに御指摘のような懸念は、全く無秩序に輸入を行うことにいたしまするとそういうことになろうかと思うのでございますけれども、この法案は一応精製装置などを持った――結果的に精製装置を持った適格な輸入主体というものが輸入をいたすことになりまするので、おのずからその企業の自主的な判断の中で市場メカニズムにのっとって適正な輸入量というものが決められていくのだろうというふうに考えておりまして、そういう面では、雇用面その他に対する懸念も一応このような形をとらせていただけば非常に減ずることができるし、また運用面としましても、その辺に問題がないよう十分努力してまいりたいと思っておるところでございます。
  13. 奥野(一)委員(奥野一雄)

    奥野(一)委員 私は、今の精製設備能力あるいは貯蔵能力品質管理能力、こういう三つの条件を持った業者にやらせるということについては、是非は別にしてもわかるのですね。だけれども、今言われておるように市場メカニズムというものに沿ってくれれば量はそんなに大きな問題にならないのだ、仮にそういう前提だとすれば、そういうことは国内精製設備がさらに余るということに対する影響がないということにだってつながっていくことだとも思うのですよ。そうすれば、業者を絞るということだって矛盾が出てくるのじゃないかという気がするのですね。  私はこういうふうに理解している。ある程度国内業者の安全も守らなきゃならない、それから安定供給ということについても消費者立場から守らなきゃならない、そういう可能性があるからある程度条件つき自由化ということにするのだろうと思うのですね。そうすれば、可能性としてはそういう影響があるのだということでしょう。国内精製設備がさらに過剰になるのじゃないかという可能性がある、それに伴って雇用している方々にも影響を及ぼす、そういうものがあるからそれをある程度抑えるための措置ということで業者もある程度絞っていく、こういうことだろうと思うのですね。  そうすれば、当然その中からは万が一最悪の場合にはそれはどうしますという一つ計画というものは出てきていなければならないのじゃないかと思うのですね。そのときそのときという対応の仕方もそれはありますけれども、やはりあらかじめこういうことについてはこうやるのだ、そういう対策だって当然立てておかなければならない。一昨日の質疑を聞いておりましても、その対策が必ずしも万全の態勢になっていないのじゃないかなという気がしてならないわけですね。  例えば精製設備なんかの関係についても二割くらい過剰で、しかもその中でも今大体六〇%くらいの稼働率だ、こうなっておる。そうすると、幾らか輸入をしてくれる、輸入して、それが直接精製設備の方に影響しないというのは、先ほどお答えもありましたけれども、そんなことはないと思うのですね。自社でもって精製能力がもう満杯だというところは別だと思いますよ。だけれども、そうでないところだったらさらに製品輸入することによっては設備が遊ぶということに当然なるわけですから、そうすればそれに対する影響も出てくる。これが五年で済めばいいけれども、あるいは十年くらいも先まで延びるということになりますと、これは設備というものについても遊ばせておくわけにはいかないということになりますから、そうすれば何らかの手だてを講じなければならない。  そういう場合にはどうしてやるのか。それからそれに伴って雇用関係についてはどうしてやるのか。こういうことをあらかじめ想定をして対策を立てておくということをやらなければ、万が一大変なことになったときに手おくれだということでは困るのではないかという感じがするわけです。  雇用対策なんかについても随分議論をされてきておりますけれども、国の都合だということじゃないかもしれませんけれども、我々から見ればそういうことのように映るわけですね。国の都合だ。それは国際的な圧力があるにしても何にしても。そういうものでやるときに、今までの例では、企業ということについては大変全面的に考えてもらえるのだけれども、そこに働く人たち状態ということになるとどうも二の次になってしまっているという感じがしてならないわけですね。  今まで政府が手をかけたもので雇用対策相当力を入れているなと思うのは、効果があるかどうかは別にして、今の国鉄の再建問題。これは政府の方にも対策本部をつくる。これはまあ人間が多いということもあると思います、対象になるのが十二万人くらいですから。しかし、人間が多かろうが少なかろうが影響を受ける労働者にしてみれば同じことなんです。  私の地元のすぐ隣の町でも、前回設備廃棄ということでやられまして、そこに働いておった人々はみんなどこかへ行ってしまった、こういう状態なんかがあるわけですから、そういうものもある程度想定をしながら、それじゃどう対応していくか。これは企業だけで考えればいいとかということにはならないと思うんですよ。そういうような対策ということだって考えなければだめだ。そうすればある限界というものはどうしても想定しておかなければならないと思うんですよ。  数量的にどのくらい入れたらいいのか。これ以上入れたらもう日本石油業界が大分危なくなる、そういう数値というものがある程度あるんじゃないかと思うんですね。発表できないなら発表できなくてもいいのだけれども、例えばそういうものを想定して考えておられるということであれば私はそれで理解はするわけですが、そういうものが全くないんだということになると何となく危なっかしいような感じがするものですから、その辺のところはどうなんでしょう。
  14. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 設備処理などをいたしますということ、そういった構造改善を進めますことが、御指摘のようにその地元の地域経済とか雇用とかそういったものに大きな影響を与えることは事実でございます。  そこで、そのこと自体につきましては、無論企業としても雇用の問題について十分の努力を払っていただくと同時に、私ども政府といたしましても従前からのそういった雇用の問題が生じたときの措置を講じていくことはもちろん、この石油につきましても今回新たに六十一年度の予算といたしまして、今の問題とは直接関係いたしませんけれども、例えば技術開発を通じて石油の需要の高度化を図っていく、そういったところでまた雇用の確保もしていくという予算も要求いたしておりますし、また製油所の跡地利用という面でも、そこで跡地が利用されますればおのずからまた雇用が確保されていくわけでございますので、そういった面でも予算を要求いたしているところでございます。
  15. 奥野(一)委員(奥野一雄)

    奥野(一)委員 ちょっともう時間が余りありませんので、この点だけ強く申し上げておかなければいけないと思うのですけれども企業の場合には、もちろん経営者にしてみますと自分の企業を何とか守ろう、こうなりますね。それは雇用されている労働者もいるわけですから、そう大っぴらに労働者に圧迫をかけるということはなかなか難しいと思うのですが、こんなことを理由にして、いや、政府の方針に従って石油製品輸入をやるんだ、やらなければならないんだ、だから一定の量の輸入をやる、そのことによって設備が過剰になったとか、今過剰のものにさらにプラスされて過剰になる、だからある程度また人も減らさなければならないとか、働く条件を例えば下げなければならないとか、そうならなければ企業自体がもたないんだ、そんなような理由に転嫁をされてくるおそれを私も感じているわけなんですよ。  今までのこういうやり方を見ていると、企業なんかの場合にはそういうのが非常に強い場合がある。こういうことを理由に持ち出されてきたのでは、働いている人にしてみたらたまったものじゃない。だからそういう意味でも、万全の対策はきちっとやっていますよ、雇用上不安は与えませんよ、そういうことを今はっきり示してやらないと、今までずっと御答弁ありましたように石油見通し自体が不透明なんだ、そうなってくればますます不安感を持つわけでありますから、政府の方でこういう法案を出す以上は、一番最初に申し上げましたように石油製品輸入ということだけに目を向けるのでなくて、それにつれていろいろ影響をするところにも目配りをして体制をつくってもらわなければ困る、これが私がきょう特に主張したかったことでございます。  時間の関係がありますので、あと一、二お尋ねをさしてもらいたいと思います。  価格の問題ですが、これも随分譲論されてまいりました。一般的に言ったら、安いのが入ってくれば価格は下がるということは当然だと思うのですね。だから消費者皆さん方だって当然そう考えておられると思うのだけれども、実態はそうはいかない。そう簡単に価格が下がるというような状況でないと思うのだけれども、逆に今石油業界ではガソリン値上げについて指導しているというのですか、そういうことをやられているようなことが言われておりますね。今ガソリンが乱売になってきているというのだけれども、そういうスタンドなんかに対して幾らか値上げをして売れ、報道だと大体七円くらい上げてほしいんだというような動きがある。これはおかしいのではないかという指摘もあるわけですが、この価格について、一体どういうふうになるのか。せんだっての電力の社債の議論のときには、一円の円高が続きますと九電力で年間大体百二十億ですか、ある。石油なんかの場合には一年間続けば一円で四百五十億ぐらいですか、そのくらいの円高差益が出る、こうなっているわけです。だから、価格の問題についての見通しは、やはり一般論として下がるという見方をするのが当然なのが下がらないということになるのか。  あとのものもちょっと続けますけれども、そういうことがはっきりしないと、この法律をつくって、一体国民にとっては何がメリットになっていくのかということが何も出てこないのですよ。例えば業界も余りうまくいかない、それから働いている労働者にも余りいい点がない、一般の国民、消費者に対しても、価格も下がっていかないんだどなると、一体この法律案は何だ、単に外国の圧力だけによって、渋々政府がこの法律案をつくったというだけのことよりPRされていかないのではないかというおそれを持つわけですけれども、その辺含めてどうでしょう。
  16. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 この法律を制定することに伴う消費者の方なりあるいは雇用の面、それから石油企業の面、そういった各方面のメリットはどういうものなのかというお尋ねであろうかと思いますけれども、総括的に申し上げまして、この法律が成立いたしますれば、特定石油製品輸入というのは、一般的には不安定になりがちで途絶えたり何かするわけでございますけれども、そういった数量面での安定供給が保障される、それから品質面での不安定性も除去されるということで、国民経済的にメリットが発揮されるものだと考えております。  やや具体的に申し上げますと、まず石油産業でございますけれども、これは経済性のある輸入の実現ということで、長期的にはコストダウンの余地を生むわけでございます。また、他方一層の国際化というものを通じて産業体質を強化していく、そういうメリットが考えられるわけでございます。  それから、雇用の面でございますが、これは確かに、御指摘のように無秩序な輸入を行いますと雇用の不安の発生ということになるわけでございますが、結果的に緒製業者輸入をするという本法案の内容になっておりますので、したがいまして、そういった雇用不安はとりあえず発生を防止できるということが一つ。それから、先ほど申しましたように、産業の体質改善が進みますれば、これは長期的に見れば雇用の長期的な安定につながるということでもございます。また、別な話ではございますけれども輸入業務というのも、適格な輸入主体によって実施されるわけでございますから、そういったところでも雇用ということも期待されるということがあろうかと思います。  また、消費者でございますが、この適格な輸入主体による輸入が実現いたしますると、品質面での保証が確保されるということでもございますし、先ほど申しましたような量的な不安定性も除去される、さらに長期的にはコストダウンの余地の発生ということでございますので、価格の安定化ということにも寄与するわけでございますから、そういったメリットも享受できるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  17. 奥野(一)委員(奥野一雄)

    奥野(一)委員 時間になりましたので、最後にちょっと大臣の方からお答えをいただきたいと思うのですが、今数量的な安定供給というあれだけれども、ここが私わからないのですよ。どの程度輸入していいのかという数量的なものは何も出ないわけですから、各石油業界の方に任せるわけですから、それはわからないわけですよね。事後的な措置だ、こういうふうに先ほど言われているのであって、果たして本当に数量的な安定供給になるのかどうかということについては、これではちょっとわからない。  だから、先ほどから言っているように、本来であれば、今百なら百の原油日本輸入して、そこでいろいろな製品をつくっている。今度は、例えばそのうちの一割の、十なら十ぐらいまでは製品輸入してきても設備雇用、労働にも影響を与えないし、ある程度までは価格の引き下げにもつながるとかという全体像が出て、国民の皆さん方に、こういう状況もありますから、この法律案でもって、条件つき自由化だけれどもやらせていただきますよということなら、透明でわかるのですよ。非常に国民にはわかりやすいということになる。  ところが、これだけでは、さあ先行きどうなっていくのかが、一般の国民はつかめないのではないですか。あるいは働いている労働者だって、そのことによって自分たちにどういう影響が来るのかわからない。石油業界の方だってやってみなければわからないとか、消費者も、入ってきてみて実際に買ってみなければわからないということだけでは、やはりこの法案は、ただ外国からの圧力だけで出されたものなのか、日本はもっと積極的な姿勢になっていないのかという感じがするだろうと思うのです。そういう面も含めて、大臣としての所信をひとつお聞かせいただきたいと思います。
  18. 野々内政府委員(野々内隆)

    ○野々内政府委員 実は、御指摘の点、私ども輸入を開始するということを考えたときに一番心配した点でございますが、一つ考えられますのは、政府が一定のめどをつけて輸入の量を決めるという方法が当然考えられるわけですけれども、これは、私ども、国際的な自由化あるいは日本国内における制限の緩和ということを考えますと余り好ましくないし、例えば今アメリカの場合はガソリン輸入シェアが四%でございまして、最近急増しているということで輸入制限運動が起こっておりますが、四%を超えたからといって輸入制限をしなければならぬかどうかという判断をするだけの証拠も私ども今持っていないわけです。  そこで、最もいい方法というのは、現在国内に対して安定供給義務を実際上負っている石油精製会社、これに判断をさせてはどうかということにしたいと思ったわけです。そこで、国内精製会社が自分の会社の設備の利用率あるいは需要家、それから雇用、いろいろなことを考えまして、この程度輸入すれば最も会社として効率がいいというものを計画をつくり、それを我々に提出をいたしまして、通産省が各社からヒアリングをし、すべての会社のものをトータルしてみまして、その上で、通産省がつくっている石油供給計画との整合性を調整をして、そして輸入を行わせる、これによって全体としての石油製品安定供給が確保され、また、それぞれの石油会社における効率性あるいは雇用が事実上配慮される、こういうようなことを考えましてこの法案を提案申し上げたわけでございまして、これによりまして輸入が行われ、かつ安定供給、その他の問題についての対処が可能ではないかと思っております。  もちろん、今回初めてこういうことをいたしますので、いろいろな不安要因もございますが、これにつきましては、徐々に、実際上解決をしていきたい、かように考えております。
  19. 村田国務大臣(村田敬次郎)

    ○村田国務大臣 奥野委員お答えいたします。  先ほど来の御質疑によりまして、この法案についての奥野さんの疑問、そしてまたこれはどういうメリットがあるのかというような立脚点は、私は非常によく理解することができます。非常に正しい見方であると思います。  本来、国民にとってプラスになる法律案でなければ制定する意味はないのでありますし、そしてまた、そのために、いかなる観点から見ていくかということは重要でございます。個別の問題は、長官あるいは石油部長から非常に詳細にお答えがありましたから、これでほぼ尽くされておるような気がいたしますが、まず、これによって国際石油市場に対する日本対応の姿勢が非常にはっきりするわけです。このままでおったのではいけないわけでありますから。これはもう先日来の御質疑で御承知のように、国際石油情勢が日本にとって非常に厳しいということから、まず、これで製品輸入の道をしっかり開くということであります。そして世界の中における石油供給のあり方という意味で、安定供給が確保される。そしてまた、これは制度でありますから、法律そのものの中に数量その他が入らないのは当然でありますが、そういった実態は、今長官が申し上げたような方法によって進めていくならば、これは消費者、つまり国民にとっても必ず中長期的にプラスになる。  そういった意味で、まず制度を開き、世界の中で、石油外国からの供給に専ら頼らなければならない我が国としての姿勢を明示するとともに、それによって石油業界の国際的な競争の中におけるあり方というものも規定をし、そして国民そのものにもプラスであるということであればこの法律案は国民にとって非常に役に立つ、いい法律案になるであろう、こういうことになると思います。  ただ、暫定法という建前でありますから、五年間の暫定期間の間に、今後の石油、その他あるいは国際情勢を見きわめながら判断をしていく、このこともひとつぜひ御理解をいただきたいところでございます。
  20. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 これにて奥野一雄君の質疑は終わりました。  引き続いて、小沢和秋君の質疑に入ります。小沢君。
  21. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 久しぶりに商工委員会で質問させていただきますので、よろしくお願いします。  まず最初に、総論的なことを、主に大臣お尋ねをしたいと思います。  先日、この法案が提案されましたときに、大臣提案理由を述べておられるわけであります。その中で、「特に、中東における輸出用製油所の完成等により中東産油国からの輸出は今後増大するものと予測されております。これをいかに円滑に輸入するかは現在石油消費国各国共通の課題となっており、特に我が国に対する輸出圧力は近年とみに強くなってきております。」ということが述べられているわけですね。  お尋ねをしたいのは、法律をつくるというのは、私は、国民の立場から見て必要な法律をつくるということでなければならないと思うのですが、輸出圧力が非常に強くなってきたということがこの法案をつくる契機になったとすれば、私はこれは日本の国の自主性にかかわるような重大な問題じゃないかと思うのです。果たして日本の国にとって国民にとってこの法律というのが必要であったからつくられたのか、輸出圧力にどうしてもこたえなければならないといういわば外圧でこの法律が必要になってつくられるようになったのか、この辺明確にお答えください。
  22. 村田国務大臣(村田敬次郎)

    ○村田国務大臣 お答え申し上げます。  この法律案を提出するということにつきましては、国際石油情勢の緩和だとか石油製品貿易の拡大傾向等を背景として、一つの頂点になったのはことしの七月のIEA閣僚理事会でありますが、あの際に、欧米あるいはオーストラリア等を含めて各国の意向が、ぜひ日本石油製品の拡大を要請するということであった。それを受けて石油審議会による検討を経て今回の法律案ということになったわけでございますが、その意味においては動機はまさに国際的な石油事情だと思います。  しかし、このままに放置していたならば石油安定供給を図ることができない、国際国家日本としての責任が果たせないという意味においては、これはまさに日本国にとっての大事な課題だということでありまして、それと同時に、石油安定供給を図ることができ、また石油供給体制というものをしっかり確立することができれば、それは石油という製品は産業あるいは国民生活にとってなくてならないものでありますから国民のためにもプラスになる。つまり、国際的にもプラスであり国内的にもプラスである、こういうことだと思います。
  23. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 私は、石油を供給するのは中東であるとかその他産油国だと思うのですよ。産油国の方から、自分のところでこういう製油所ができて製品を大量に輸出しなければならないようになったから日本が引き取ってくれというような要請が来ているのであれば、今後もそういう産油国と円滑に貿易を続けていくために配慮をしなければならぬというようなことならまだ話がわかるのですが、どうも今も欧米、オーストラリアなどというようなお話で、アメリカあたり石油が出ないことはないですけれども、これは普通産油国とはちょっと言わないでしょう。だから、私はそういう意味ではこれは大変納得のできない話ではないかと思うのですが。
  24. 村田国務大臣(村田敬次郎)

    ○村田国務大臣 その見方もわからないことはないのですが、しかし現在の石油というものの世界の経済に与える大きな力ということからいえば、今委員の言われた見方は非常に短絡的な見方であって、もっと国際的な広い立場から見るのが本当の考え方だろうと私は思うのです。  というのは、この取引は産油国日本との取引ということではなくて、石油の国際的な需要供給の事情というものを背景にするものでありますから、したがってそれは例えば中東地域における石油製品の増大ということが一つの引き金になったかもしれませんが、回り回って世界各国に非常に大きな石油安定供給体制についての決定を迫ってくる一つの要因である。そういう意味で私は、IEA理事会が一つの頂点になって日本がこういう決定に至ったことは、単に産油国日本関係ということのみではなしに、世界的な石油事情等の日本に与える影響、そして世界各国と日本との関係、そういうことが基本であると思っております。
  25. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 今大臣は、世界的な石油情勢が日本に与える影響というようなことをおっしゃったのですが、この世界的な石油情勢というので今のように製品の供給過剰をつくり出したのは果たしてだれなのか。私が承知しておりますのでは、あの中東の今問題になっている輸出用の製油所というのも大体欧米のメジャーが現地と合弁をしてつくっているようです。世界的に今輸出をしなければならぬということで迫られている製油所は、ほとんど大体そうでしょう。  そうすると、自分たちのもうかるという思惑で、今世界的には石油需要が非常に停滞をしているというふうに言われている時期に、わざわざそういうような製油所を自分の思惑でどんどん勝手につくってそれがあふれるようになった。さあ世界的なあふれる中で、自分たちがつくったからということで欧米の諸国だけで引き取っておったのではとても間に合わないから、日本という市場も大きいから日本も引き取れ。これは私は全く向こうの勝手な理屈ではないかというふうに思えてならないのですが、いかがですか。
  26. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 御指摘のように、中東の輸出専門の製油所が、今おっしゃった外資というかメジャーとの合弁によってできていることは事実でございますが、他方、中東の輸出専門製油所というものは、中東の石油の付加価値をできるだけ高くしたいという中東諸国の願いによっても生まれているわけでございます。したがいまして、メジャーだけがあふれさせたということではなくて、中東諸国もそれを製品として売りたいという要請があったことは一つ補足させていただきたいと思います。  また、この措置に対する中東諸国の評価でございますが、公式な論評は寄せてきておりませんけれども、私ども非公式に接触している段階では非常に高い関心を持ち、評価もいたしておるところであるというふうに考えております。
  27. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 今そういうふうに言われても私は納得できないのですよ。確かに産油国も、もっと製品にして高く売れるようになりたいという要求は私もそうだろうと思う。しかし、今世界的に非常に供給過剰の状況にあるときに、こういうものを世界各地でつくったら大変なことになるということは、それこそメジャーなど世界的な規模で商売しているのですから、一番よくわかる。だから、そういうようなところはその段階でそういう産油国などともよく相談して、今日のような状態をつくらないようにしたら、私は今のような問題は起こらなかったと思うのです。だからその点では、私はこれは日本に対してしりぬぐいを押しつけてきているとしか思えないのです。  それでこの問題について、ことしの九月二十二日付の毎日新聞が大変注目すべき記事を載せております。これはワシントン発なんですけれども、「通産省はガソリン輸入自由化について米政府との間で非公式に協議を続けてきたが、米側は、石油精製業者だけにガソリン輸入を認めるという条件付きの自由化方針を了承したため大筋で決着することになった。この合意は二十日ワシントンで開かれた日米エネルギー作業部会で確認された。しかしスタートの時期は、日本側が来年四月からを予定していたのに対して米側は今年十一月からの繰り上げ実施を迫っている。」こういう記事です。  私は、これを読んで非常に不愉快な気分になったのです。日本がどうするかということについて、一々アメリカとこういうような作業部会というのを持ち、そして石油精製業者だけにガソリン輸入を認めるというような手法で法律をつくるからひとつ了解してくれ。これはもう全く主権を持った独立国家が自分の国の政策を決める態度ではないのではないかと私は思うのです。大臣どう思いますか。
  28. 村田国務大臣(村田敬次郎)

    ○村田国務大臣 世界が広くなってきておりまして、一つ一つの政策の決定にその経済関係の非常に強い相手国と十分協議をしなければならないという事情が一つ一つ製品について出てきておる時代だと私は思うのです。そういった意味で、日本だけで政策を考え、日本だけで政策を決定するというのは、国際国家であるという立場から言えば、もうそれが非常に難しくなっておる。まして日本は非常に資源が少なくて、その少ない資源を諸外国からの輸入に頼ってそれを加工をして貿易で輸出をしていくという一つの経済体制をとっておりますから、そういうことから言えば、非常に密接な関連を有する相手国との折衝をいろいろ持たなければならないというのは当然でありまして、私はその意味で言えば、今日本政府のとっております対外的な貿易の協議というものは必然的なものであり、また必要なものである、このように考えております。
  29. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 相談をするなということを私は言おうとは思いませんけれども、しかし、相手と協議をしたり相談をしたりしても、日本は自主的に決定すべきことはきちんと決定するということを貫いてもらわなければいけないと思うのですね。私は、最近のいわゆる日米貿易摩擦問題などを見ておっても、日本が非常に言うべきことを言わない、どんどん一方的に譲歩をしているという感じがしてならぬのです。  それでも日米貿易摩擦なら、これは日本が売り過ぎて相手が困るという直接の関係ですからこれはまだしも、今度の場合は、日本は言ってみれば全く関係なかった話のはずなんですよ、直接には。それを、世界的に見て石油製品の不況が非常に深刻になってしまったから日本も何とかしろというわけで、頭ごなしに何とかしろといって圧力かけられて、それでへいこらしておったのでは、これは本当に主権国家としては情けない状態だと私は思うのです。その点については、私はもう一度そのことを強く指摘をしておきたいと思います。  次に、各論的な問題を申し上げたいと思うのですが、一つ輸入見通しの問題であります。  今申し上げたようなことですから、一部の非常に販売力の強い大手などを除くと、大体は石油各社も本心ではこんなものは引き取りたくないというところじゃないかと思うのですね。だから私は、おとといから当局が言われているような、各社をヒアリングをしてその考え方を尊重してこの石油供給計画の中に製品輸入を織り込むという程度の考え方では、これは非常にわずかな数字しか出てこないのじゃないか。そうするとまた、これは新たな摩擦の種になりかねませんね。この辺についてはどういうふうな見通しをお持ちですか。
  30. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 一昨日もお答え申し上げましたように、適格な輸入主体による輸入ということにいたしましても、企業ごとに各種油種の得率に差もございますししますから、第一には生産構成とその販売構成の差を埋める必要性でございますとか、それから季節的な変動をカバーするための必要性でございますとか、それから定期点検なんかもございまして、そういったことをカバーするための必要性でございますとかいうことで、ある程度の量のガソリン輸入されることは、これは間違いないと私どもは考えております。  そういった量のときに、国際的な批判があるのではないかという点でございますが、これは先般のIEAの閣僚会議のコミュニケにおきましても、市場の需給の原則を通じて国際的な製品貿易が行われるようにということが合意されたわけでございまして、したがいまして、一定量を高くても需給原則に基づかないのに輸入をしないと国際的な批判を受けるというような事態にはならないであろうというふうに考えてございます。
  31. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 十一月一日の日刊工業新聞によりますと、「石油精製各社は通産省に対し石油供給計画に基づき半強制的に輸入計画を提出し、実行しなければならなくなっており、」云々というふうに書いてあるんですね。半強制的という言葉がこの中に入っているのですよ。だからさっきも申し上げたように、本心では多くの石油各社は余り入れたくないと思っているけれども、しかし通産省が国際的な圧力がある中でこれは相当のことをやってもらわなければ困りますよということで、かなり、それこそ業界紙が半強制的と書くぐらいですから、相当のことをやっているということじゃないのですか、
  32. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 輸入計画につきましては、各企業の自主性を尊重したいというふうに思っておりまして、強制的とかあるいは半強制的とかいうことでプライスメカニズムに合わない輸入を強制していこうというような考えはございません。  ただ、御提案申し上げておりますように、この法案の中には「特定石油製品輸入業者の努力」という規定がございまして、これは国際的な石油製品市場の動向に応じて円滑な輸入に努めなければならないということでございますので、国際的な石油製品市場の動向に応じている限りにおきましては円滑に輸入に努めていただきたいと思っていますが、それは裏返して申し上げれば、ただいま御説明申し上げましたように、割高なものを無理やりに輸入するように強制するとか半強制するとかいうことを意味しているものではございません。
  33. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 この法律の第十条には、この業者輸入のための努力をわざわざうたっているわけですね。こういう規定も余りないんじゃないかと思うのですが、私は今の話と関連させて言えば、嫌々ながら計画を立てさせた、そしてこれを実行せよということであなた方が迫るためにこの第十条というのを置き、さらに必要があれば勧告もする、こういうような仕組みをつくり上げたんじゃないかというふうに読まざるを得ないのですが、そうじゃないのですか。
  34. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 この御指摘の第十条は「円滑な輸入に努めなければならない。」というふうにございまして、これは無論国際的な石油動向を見ながらプライスメカニズムに合えばできるだけそれを輸入するようにという、そういう意味も含まれておりますが、同時に国内面におきましても、雇用とか需給とかそういったことに大きな摩擦を生むことなくという思いを込めて円滑というふうに書いてあるわけでございまして、したがいまして無理やりに海外の言い分だけを聞いて、そして各企業にどんどんどんどん輸入しなさいと申し上げようということではございません。
  35. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 それからおとといからの議論を聞いておりますと、海外ガソリンは安いということでガソリンが盛んに議論の対象になっているんですが、今回、製品輸入の道を開くという点では灯油、軽油などもあるわけですね。すると製品というのは当然これは連産品ですから、ガソリンだけじゃなくてそういうようなものもいろいろ出てくるということになると、日本はそっちの面でも引き取れという話が出てくると思うのですが、こっちの方はどうでしょう。
  36. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 灯油と軽油につきましては、まず灯油でございますけれども、これはフランクに申し上げて海外の輸出余力が必ずしも明確ではございません。それから、海外で入手し得るものと、我が国での室内で燃焼させるというような使用形態とが異なるということもございまして、海外で今入手できるものを国内用に直しますと、コストがかかるということもありますものですから、かなり輸入の余地は限られてくるのではないかというふうに考えております。  それから、軽油につきましても、ガソリンほど多くなるというようなことはないのじゃないか、海外価格差なんかの問題もありまして、当面輸入が余り多いというようなことはないのではないかなというふうに考えております。
  37. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 では次に、製品輸入国内への影響について少しお尋ねをしたいと思うのです。  これも大分議論にはなっておりましたけれども海外から安いガソリンが入ってくるようになれば、国民は安いガソリンを買うことができるようになるだろうというふうに期待するんじゃないかということが言われたんですが、しかし、輸入業者がこういうふうに限定をされているということになりますと、中間でその業者が大体安くていい部分はとってしまって、実際には末端では余り値が下がってこないんじゃないかということが一つ懸念としてありますね。この辺についてはどういうふうな見通しを持ち、また指導をされ、そして安いものを入れたときは必ず安く出るように流通機構をつくっていくのか、この辺をお尋ねします。
  38. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 御指摘のように、適格な輸入主体による輸入ということに限定をさせていただこうというのが本法案でございますので、安いガソリンが入りましても、直ちにそのまま国内に出回るということはないということでございますが、ただ、安いガソリン、経済性のあるガソリンが入るということは、そういった企業のコストの低下要因になりますので、したがいまして、長期的には価格の安定要因、そういったものになる、また、ならねばならないというふうに考えているところでございます。
  39. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 どうも今の答弁でも、やはり安いガソリン消費者に渡るという保証はないように思うんですね。  次の質問は、ガソリンをもし相当の量輸入するというようになりますと、国内の製油所で得率を調整したりして、ある程度はほかの品種に振り分はたりするということをするにしても、やはり灯油などが生産量が落ちてくるということも考えられる。そうすると、この灯油が今度は値上がりするんではないかという心配も起こってくると思うのですが、この点はいかがですか。
  40. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 この法案は、御指摘の点を踏まえて所要の条件整備を行おうというものでございまして、確かに無秩序に輸入を行おうということにいたしますると、今御指摘のように、輸入に伴って国内ガソリン生産が減り、そしてそれに伴って灯油の生産も減り軽油の生産も減る。減ったままということになり得るわけでございますけれども、本法案では輸入主体を適格な輸入主体に限定をいたしまして、結果的には精製設備を持っていて、そして今申し上げたような場合には得率調整をして、ガソリン国内生産は減るかもしれないけれども、例えば灯油の国内生産は減らないというような状況にすることを期待いたしているわけでございますので、御指摘のような懸念はないものというふうに考えております。
  41. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 いや、あなたが言われるように灯油などについては不足を来さないようにしたいというのであれば、今九月の末に六百七十万キロリットルの備蓄をしなきゃならぬという一つのたががはめてありますね。これを今度は外してしまって切り下げよというような話があるんですけれども、そういうことはしない方が消費者としては安心できるんじゃないですか。これを外してしまえばどうしても生産調整がそこまで踏み込んでできるようになってしまうということで、国内の品薄、灯油の値上がりということが避けられなくなってくるんじゃないでしょうか。
  42. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 去る九月十二日に出されました石油審議会の石油部会の小委員会の中間報告におきまして、御指摘のように灯油の今の六百七十万キロリットルという備蓄の問題につきまして一つの提言が行われたことは事実でございます。ただ、ここでうたわれておりますのは、そういった灯油の在庫か確保していくというその制度自体は、これはやはり堅持していく必要があるということでございまして、その水準につきましては消費者安定供給確保に十分配慮しながらある程度引き下げてもいいのではないかということを言っておるわけでございます。  こう言っております背景といたしましては、国内精製設備の高度化ということがございまして、昔と違って、灯油の不足が生じましたときに弾力的に灯油を生産できるように設備が高度化をしているという状況もあるから、したがってその六百七十万キロリットルという水準をかたくなに守っている必要はないのではないかというふうに言われたものと理解いたしております。  そこで、政府といたしましては、こういう提案もいただいたことを踏まえまして今後どういうふうに判断していくか、慎重に検討いたしてまいりたいと思っております。
  43. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 製油所の精製設備が高度化したから九月の末にこの六百七十万キロリットルという備蓄を持っていなくてもかなりカバーができる、こういうお話だったと思いますけれども、しかし現実に毎年のように消費者との間では、ことしもまた灯油は値上げになるか、品薄かどうかというようなことがしょっちゅう問題になるわけでしょう。そういうことがここ数年全然ありませんでしたというのだったら、私もああそうかなと思いますけれども、やはり毎年そういうようなことをやられているのですよ。だから、今こういうような枠を取り払うというのは、これはガソリンをうんと輸入できるように、そのためには国内で全体として生産を抑えなきゃならないという事態も考えられるので、こういうふうにしたとしか思えないのですね。  今のあなたの最後のお話では、慎重に検討してまいりたいということで、政府としてもこういう方針を決めておるというふうにはまだなってないというふうに聞こえたんですが、そうであれば、私は、政府としては現水準を維持するということで検討していただきたいのですが、もう一遍お尋ねしておきます。
  44. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 ただいまお答え申し上げましたように、中間報告はそういうふうに出ましたけれども政府として態度を決めてないというのは事実でございます。今後、中間報告を踏まえまして慎重に検討をいたしていきたいと思っております。
  45. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 もう一つ国内で今度の措置が大きな影響を与えると思いますのは、企業間格差が石油各社の間でこれを契機にして急速に拡大するんじゃないか。生産力よりも販売力の方がすぐれている各社が、いわゆる業転物じゃなくて海外の安いものをこの機会にどんどん入れようということで、現にもう動き出しておりますね。そうすると、そういうようなところはそれでますますシェアを拡大していく、ところがそういう業転物で今までやりくりしていたようなところはそれもできないということで非常に行き詰まってくる、そしてまたそれが契機になって乱売合戦でスタンドもつぶれていく、最後には製油所があっちこっちでつぶれる、こういうような事態になるのではないかということがこの措置の帰結として我々は一番心配になるわけです。そういうふうになりませんか。
  46. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 国内の適格な輸入主体による製品輸入ということを本法案としては目的といたしておりますので、ただいま御指摘のような事態を招かないように、生産計画その他の運用につきまして遺漏なきを期してまいりたいと思っております。
  47. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 招かないようにと言っても、おとといから議論になっているように今でも七十万から百万バレル分ぐらいは製油能力が余っている。だから、これをつぶしていかなければいけないということが今でも問題になっているわけでしょう。これにさらに外国からの製品を上乗せしなければならぬということになったら、そういう事態というのはますます進行せざるを得ないと私は思うのです。今までは休止ぐらいでしのいでいても、今度は恐らく製油所ごと廃止というような深刻な事態を予想しなければならないのじゃないですか。一つの製油所がつぶれると、それは規模にもよりましょうけれども、およそどれぐらいの労働者とその家族が失業することになりますか。
  48. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 規模にもよりますので一概に申し上げられませんけれども国内石油精製業の雇用というのは、石油精製業に限ってでございますが、今おおむね二万人ぐらいでございます。それで精製業の数が三十ぐらいでございますので、単純平均いたしますれば二万を三十で割った数、そういうことになろうかと思います。
  49. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 いや、あなたが今育っておられるのは直接本工として雇っている人たちの一数でしょう。構内で直接働いている下請関連の労働者もいる。それから、構外で、もっと広い意味で間接的にしろそこに依存している人たちもいる。こういうような人たちも合わせたらどれぐらいになりますか。
  50. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 恐縮でございますが、元売の販売の関係とかを合わせますと四万ぐらいになると思いますけれども、ただ、今御指摘の下請とか関連地域企業とかといったものを含めてというのは、下請企業の契約関係でございますとかそういった定義がはっきりしないこともございまして、私ども数字としてはっきりしたものは把握いたしてございません。
  51. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 実際には一つの製油所がつぶれれば、直接間接を含め、家族を含めたら、私は、どう少なく見たって四千、五千、あるいは一方に近いくらいの労働者と家族に失業というような深刻な事態をもたらすのじゃないかと思うのです。そうだとすれば、私はそういうような事態だけは何としても招かないような努力をしてもらいたい。また、そういう事態になった場合の対策も、あなた方は七十万から百方今でも余っているというわけですから、どうしても真剣に講じていただかなければならないわけですが、その対策はどういうふうになっておりますか。
  52. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 雇用面での不安を惹起しないための対策でございますけれども、まず、当該企業におきまして雇用面に遺漏がないように万全の配慮を払うということが大原則でございます。また政府としましても、雇用面に問題が生じないようにできるだけ所要の支援を行っていくということにいたしております。  例えば製油所を仮に閉鎖いたしましても、その跡地の利用の面で雇用がつながっていくように跡地利用のための支援措置を講じていきますとか、あるいは退職が生じました際にそこで十分の手当てが行われるようにしかるべき助成を行っていきますとか、そういったもろもろの対策を準備しているところでございます。
  53. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 もろもろの対策というふうに言われたけれども、実際には今伺ってみても極めて抽象的。私は、その程度対策でもし製油所がつぶれるというような状況があっちこっちで起こったら、もう大変なことになると思うのですね。こういう押しつけ輸入というものは最初に申し上げたように我々として納得できませんけれども、とりわけそういう事態が万が一起こったときの対策については、もっともっと真剣に今から取り組んでいただくことを望んでおきたいと思います。  それで、法案に関連して私がこの機会にもう一つお尋ねしたいと思いますのは、石油備蓄の問題であります。石油備蓄が現在国と民間と両方で進められていあわけでありますが、これまでにどれぐらいのお金を使って、どれぐらい蓄積をしているのか、今後幾らくらい使って、最終的にはどういうことにしようと思っているのか、現状と展望についてごく簡単に、御説明ください。
  54. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 石油の備蓄で今まで使った資金をごく簡単に申し上げますと、国家備蓄と民間備蓄とあるというお話でございましたが、まず国家備蓄でございますが、六十年度までで一・四兆円ぐらいであろうかと思います。民間備蓄につきましては、数え方がいろいろ難しゅうございますけれども、国の助成による資金融資額という単位で考えますと一兆円ということであろうかと思います。  それから、今後の資金の投入見通しいかんということでございますが、国の備蓄計画で考えてまいりますと、原油価格の動向とか為替レートの変更とかそういった変更要因もございますので一概に申し上げられませんけれども、一・三兆円程度というふうに考えられます。民間につきましては、いつまでの計画ということがございませんので、年々これからある程度の額が支出されていく、こういうことでございます。
  55. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 今何日分ぐらいにそれが当たるか、そして今後の見通し、何日分ぐらいまで積むと考えているのかということもさっきお尋ねしたのですが。
  56. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 民間備蓄は九月末現在で九十二日分存在いたしておりまして、国家備蓄につきましては製品換算で千七百四十万キロリットルということでございます。千七百四十万キロリットルというのは現在の消費ベースで計算をいたしますと三十一日分ぐらいかということでございますので、両者合計いたしますと百二十三日分という感じでございます。  それから、今後どこまで行くのかという点でございますが、民間備蓄につきましては九十日備蓄というのが目標でございますので、この九十二日という水準がさほど変化をしないであろう、これを維持するということでございまして、同家備蓄につきましては目標が三千万キロリットルということになっておりますので、それを達成していきたいということでございます。
  57. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 IEAが備蓄の目標としているのはたしか九十日だというふうに聞いているのです。だから、それから見ると既にかなりに我が国としてもその水準を上回るほど備蓄をしていると思います。  それでお尋ねをしたいと思いますのは、これは全く石油輸入が途絶をしたとしてこれだけの日数は持ちこたえることができるという想定で計算されているものですよね。現実には、例えば中東などで紛争が起こって中東が全部とまったとしても、ほかのところから入ってくれば、それはそれでかなりまだまだ百二十三日などと言わないで、相当にこれは持ちこたえていくことができるという意味を持っていると思うのですね。実際に中東などが全部とまるということはあり得ないと思いますけれども、中東が全部とまったとしてもほかのところから入ってくるとすれば、これでどれくらい持ちこたえられるものですか。
  58. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 確かに御指摘のとおり、この何日分、百二十三日分とか申し上げましたのは、全面的に原油の供給がストップした場合の数字でございます。  中東がストップした場合どうかということでございますが、中東は、しかしながら我が国への供給の割合が六割を占めておりますので、その六割で百二十三日を割り返した数字ということになりますので、二百日分くらいもつかなということであろうかと思います。
  59. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 実際には今申し上げたように、イラン・イラク戦争がこれだけ激化をしてきている真っただ中にあっても、イランやイラクでもゼロにはなってないわけですね、ある一定の量日本に入ってきている。まして周辺ではむしろふやして、日本はこの間イラン・イラク戦争にもかかわらずほぼ順調に石油を確保してぐることができた。  だから私は、この間のこういう実績などを考えてみますと、日本産油国全体と絶えず平等互恵の精神に基づいて仲よく貿易を発展させていくということに努力をしていくならば、少なくともこの程度の備蓄を持ったということになるなら、備蓄というのは非常にお金もかかる仕事なんですね、先ほどお伺いしたように今後の計画も含めたら四兆円くらいの事業でしょう。私はもう再検討してもいい時期に来ているんじゃないかというふうに考えるのですが、いかがですか。
  60. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 まずお答えいたします前に、先ほどの二百日という数字でございますけれども、非常に大ざっぱな単純計算をいたしましたけれども、九十日の民間備蓄の中には四十五日分のランニングストックの分がございますので、これはちょっと除外して考えますとすると、二百日ではなくて百三十日くらいということになることを補足させていただきたいと思います。  それから、今の備蓄政策を見直すべきではないかという御指摘の点でございますが、石油需給が二、三年前から緩和基調になってまいりまして、そのときから再三そういう御意見が各方面からございましたものですから、私ども総合エネルギー調査会にお願いをして検討をしていただいたわけでございますけれども、五十八年の八月に、我が国のエネルギー供給の脆弱性、そういったものによって考えれば、やはり現在の備蓄目標であるところの民間備蓄九十日、それから国家備蓄三千万キロリットルという目標はぜひ達成すべきであるという御答申をいただいているわけでございまして、それを受けて備蓄政策を推進しているわけでございます。  また、これを推進しております背景といたしましては、原油の、石油の世界第一の輸入大国であるという我が国の国際的な責任というものも観点に入れながら推進させていただいているわけでございます。
  61. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 この問題については大臣にも見解をお尋ねしたいところであります。  今も申し上げたように、実際に一番石油輸入が大丈夫かということで心配をされるような事態がここ数年続いた中でも、結局のところ、それは心配するような事態に至らなかったというこの現実、それからまた私が申し上げたいと思いますのは、今需給が非常に緩んできて、もう当面、ここ十年や十五年は心配なかろうというような話まで今出てきている、しかも、我が国の財政状態も一方で非常に厳しくなってきている、こういうような状況を考えてみると、私はこの石油備蓄政策についても再検討をすべき時期じゃないかと思うのです。  大臣も御存じでしょうけれども、アメリカでも、今年度の予算になりますか、戦略備蓄をこの水準でもうとめようということを政府が提案しているわけですね。議会でそのことはもめてはいるようですけれども。しかし私は、アメリカの政府自身がそういうようなことを考えるようになっているということも我々としての一つの参考になるのじゃないかと思うのです。大臣、いかがお考えですか。――大臣に聞いているんですよ、私は。
  62. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 大臣お答えいただきます前に、ちょっと今アメリカのお話がございましたものですから、アメリカの備蓄政策の現状についてだけお答えさせていただきたいと思います。  アメリカは現在戦略備蓄、日本で言えば国家備蓄でございますが、それを四・九億バレル、七千八百万キロリットル保有いたしておるわけでございます。これは輸入量でのベースで比較いたしますと、国家備蓄だけで百日分に該当するわけでございます。  それで、今御指摘のように、アメリカも財政不如意ということで国家備蓄を今度の予算案におきまして積み増しをやめよう、停止しようという提案をいたしたことは事実でございますが、これが議会でいろいろな意見がございまして、結局約二百万キロリットルは積み増しをしようという調整がついて、現在そういう線で進んでおるということでございます。(小沢(和)委員「それも最終的にはまだ決まってないんだろうが」と呼ぶ)
  63. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 不規則発言はちょっと慎んでください。
  64. 村田国務大臣(村田敬次郎)

    ○村田国務大臣 小沢委員お答えを申し上げます。  石油備蓄政策につきましては、今までもいろいろな議論があったわけでございます。基本的には、我が国が石油を全くと言っていいぐらい産出をしない、そして全エネルギーの六割を石油に依存をしておる、いわゆるエネルギー供給における脆弱性というものから考えてみますと、やはり相当程度石油の備蓄というのは必要であるということがあり、IEAの考え方にも従って石油備蓄政策をとっておるところでございますが、今小沢委員の触れられた米国の問題は鳥山部長からもお答えを申し上げたとおりでございますが、八六年度以降も引き続いて国家備蓄の積み増しを行うという予算決議が成立したと承知をしております。アメリカは相当量の石油の産出量があり、またメジャーにも関係をしており、エネルギーについてはもう日本とは比較にならないぐらい強いわけでございますが、そのアメリカにおいてしかりでございまして、日本においてもエネルギー備蓄政策は今後も続けていく必要がある、このように考えております。
  65. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 さっき私が言いましたように、一番心配される事態が現に起こっておっても、石油は確保できたんですよ。これ以上心配される事態というのは、私はもうそれこそ世界じゅうが核戦争か何かになってしまうというような事態以外考えられないと思うのですね。そのときはもうそれこそ石油を備蓄しておろうがどうしておろうが、そんなことは問題にならないような事態だと思うのですね。だから私は、そういう意味ではあくまで今再検討すべき時期に来たということをもう一度申し上げておきたいと思うのです。  そういう再検討をしていただきたいことの一つとして、私の地元北九州市の若松に、白鳥の石油備蓄基地というのを国家プロジェクトとして今つくっているわけです。海岸から八キロも離れた外海、ここは冬場は物すごく荒れるということでは有名なところで、そして台風銀座と言われるところで、台風もしょっちゅう来ます。こういうような外海に堤防みたいなものをちょっとつくって、その中に七十万トンも入れることができる鉄のタンクの船を八隻も並べるというような施設をつくるということは、これは世界的にも第一、洋上タンクというのはかってなかったそうです。それを初めてつくるところへもってきて、そういう荒海のど真ん中につくる。どう考えたって無理なんですね。  だから、私たちは、そういう安全性という立場から見てこれまでもずっと反対してきたのです。国際的に見ても石油の備蓄政策を再検討するべき時期に来たというように私は言っているけれども、そうだとすると真っ先にこれはやめてもらいたいという気持ちがあって今まで申し上げたのですが、特に今言うような条件の中にこれをつくるということは、これはどう見ても私は心配でならないのです。まだ基礎工事をやっている程度の時期ですから、今からでも遅くはない、やめてもらいたいというように私は考えますが、安全性の面で特にどうですか。
  66. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 白島の国家石油備蓄基地建設及び運営に関しましては、各分野の専門家によりましてまずフィージビリティースタディーを慎重に行いましてその安全性の検討を行いましたし、また、事業の実施につきましては関係各省庁、これは運輸省とか消防庁とかという関係官庁でございますけれども、十分な審査を経まして、そしてその許可を得ておりまして、安全性は特に問題がないというふうに考えております。
  67. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 特に問題がないというようなことでいいのですか。七十万トンの石油船がもし台風などで壊れて油が流出するというような事態になったら、日本海から東シナ海から一体どういうことになりますか。それも一隻ではないのですね。五百六十万キロリットルですよ。だから、一応問題がないなどというような生易しい返事では地元の人たちは絶対了解できないと私は思うのですよ。あなたは、絶対これは責任を持てるというふうにここで断言できますか。
  68. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 安全性につきましては、関係官庁の認可を得ておりますので、問題がないものと考えております。
  69. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 私は心配でならぬのです。地元の人たちもその安全性という点では、もうそれこそ超党派でみんな心配していると思うのですね。だから、万が一のことが起こったときには、では、石油備蓄会社の責任だなんということは言わない、政府自身が全責任を負うということをここで政治的にも確約してください。
  70. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 ちょっと御質問とずれるかもしれませんけれども、あそこは、御案内のように、確かに外海の波浪というのが問題があるわけでございますけれども、これは貯蔵船泊地内を静かに保つために、外側を非常に高い、十一メートルも水面に出るような防波堤でまず囲うことにいたしておりまして、(小沢(和)委員「そんなことは知っている。だから、もうずばり言ってください」と呼ぶ)それで、そういう十分な措置も講じておりますし、そして北防波堤につきましては、前面を波を消すブロックでまたカバーをするということもいたしまして、安全対策上十分な配慮を払っているところでございます。
  71. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 私が聞いているのは、万が一のときは政府が責任を負ってくれるということを、今の段階でもう一遍ここで保証しておいてくれと言っているのですよ。
  72. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 万が一の事態になりませんように、十分な安全対策に意を用いているところでございます。
  73. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 それは私は全く無責任だと思うのですよ。本当に自信があるのだったら、ここで保証すると断言できるはずなんですよ。しかし、ほかの質問もしたいから、一応そのことだけ指摘しておきます。  この自高石油備蓄基地の建設計画につきましては、初めから疑惑に包まれておったわけであります。日立造船が造船不況を乗り切るために計画をしたものが、いつの間にか国のプロジェクトということになった。もう当時から、これは日立に発注するということが既定の事実かのようにいつも言われ続けてきているわけであります。そして、この国家プロジェクトにするために、政財界で二十五億から三十億ぐらいの金が動いたんじゃないかということが当時から何遍も新聞でも報道されるような不明朗ないきさつがあるプロジェクトなんですね。  こういうような安全の問題、疑惑の問題などで地元を納得させるために当時一番言われたことは、北九州は非常に深刻な不況だけれども、しかし、これが発注されたらうんと地元にも仕事が来て景気がよくなるんだということだったのです。しかし、もう既に動き出してから一年以上になりますけれども、実際にはその点でも全く失望感が広がっているというのが現実です。  どういう状況かということを簡単に申しますと、地元に直接発注された部分というのは、今現在で、市がやる工事、それから石油備蓄会社がやる工事両方合わせて九・六%、会社が発注する分だけでいったらわずか〇・三%なんですね。ほとんど地元に落ちていないのですよ。  それから、域外に発注した分について下請というような形で入っているんじゃないかというようなことも言われるでしょうけれども、確かにそれはある程度入っておりますけれども、ここで大問題なのは、ピンはねが非常に激しい。元請の会社が下請に落とす場合には実に三〇%も抜いているということが市議会でも問題になりましたし、それから地元ではRKBというテレビで、これは全国放映されてTBSでも扱われたというふうに聞いておりますけれども、大手は下請価格について元請価格の三〇%引きを提示し、もめたあげく二二%に落ちついたというようなことがテレビでも放映されているのですよ。  そして、こういうように非常にピンはね率が高い背景として、先ほども申し上げた立地調査から政界工作まで三十億円と言われる政治資金が動いた、これらの金を企業グループが回収するために、今下請に対する締めつけ、ピンはねを行っていると伝えられているというふうに、このテレビでは放映の中で言われているのですね。  さらに、資材の購入の点ではどうかというと、これについては暴力団が介入をしているということも大問題になっているのです。地元では大体捨て石どかあるいはセメントなどの購入というのが大きいのですけれども、これが大きな利権の材料になるということで、暴力団が利権争いをやって、その結果、地元から取られるはずだった石が佐賀県とかあるいは山口県あたりから入るというようなことにもなっているという話も出ているのです。私は、このことについては直接石油公団にお尋ねをしてみたいと思ったのですが、きょうは参考人の出席は遠慮させてくれという話があっているので、通産省はこの点について御存じか、そしてもし御存じであればこれは重大な問題として徹底的にメスを入れていただきたいということを私はお願いしたい。  それから、きょうは会計検査院にも御出席を願っておりますので、会計検査院としてもこの点についてどういう見解をお持ちかということをお尋ねいたします。  時間がもう来たようですから最後にもう一つだけお尋ねをつけ加えさせていただきたいのですが、この七十万トンのタンクは熊本県にあります日立有明造船所から若松に曳航してくることになっているのですね。こんな巨大なタンクを果たして安全に曳航してくることができるかということがまた大問題になっているわけであります。これについては海難防止協会などに検討を依頼している、最近中間報告が出たというようにも聞いているわけですけれども、海上保安庁としても、これがもしだめだということになったらこの計画自体がだめになってしまうのですが、今これについてどういうように指導をしておられるか、またそういうようなことについてどうするお考えか、この点もお尋ねをして、質問を終わりたいと思います。
  74. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 向島のプロジェクトに関しますいろいろな問題点の指摘みたいなことが地元のテレビに流れましたことは存じております。これは御指摘のように石油公団を通じて監督をいたしているわけでございますが、石油公団の報告によりますと、まず第一に元請がピンはねしているかどうかという点でございますが、石油公団が相手にしております国備会社は、元請企業に発注するに当たりまして建設業法、下請代金支払遅延等防止法の道守等請負契約の適正化に努めるよう文書をもって注意喚起しているところでございまして、国備会社からの報告によりますと、いずれにしても元請のところでいわゆるピンはねの事実はないということでございます。  それから暴力団等の御指摘もございましたけれども、工事の発注の方法は、先ほどの大型タンクといったものは非常に高度な、総合的な技術を駆使するものでございますので、そういった技術を十分持っております企業を工事共同企業体として組織をいたしております。したがいまして、御指摘のようなことが入り込む余地はないと考えておりますし、また、国備会社からその他の企業に発注いたします際も社内の契約規程に基づきまして厳正に行われているということを石油公団から報告として聞いているところでございます。  それから貯蔵船の曳航の安全性につきましては、石油公団が実施しましたフィージビリティースタディーの中で基本的に問題がないということで、そういう前提ではございますけれども、海域が静穏な時期を選んで曳航することが必要であるとされておりますので、国備会社もこれを受けまして具体的な曳航時期、曳航方法それから各種安全対策等の曳航に関する基本的な事項につきまして海難防止協会に委託をいたしまして、学識経験者で慎重な検討を行っているところでございます。今後この結果を踏まえまして、関係行政機関の指導のもとに御指摘の曳航の安全を確保していきたいと考えております。
  75. 大木会計検査院説明員(大木彌太郎)

    ○大木会計検査院説明員 お答えいたします。  白島石油備蓄基地の建設工事につきましては、本年六月、会計検査院法第二十三条の規定によりまして本備蓄会社の検査指定が行われましたところでもあり、先生御指摘の点を踏まえまして、適正な価格で契約されているか、また工事の施工面につきましても十分に検査してまいりたいと思っております。
  76. 玉置説明員(玉置佑介)

    ○玉置説明員 七十万キロリットルタンクのような大型タンクを曳航する場合におきましては、海上保安庁といたしましても航行の安全を確保するために関係者を十分に指導していく必要があると考えております。  そこで、白島国家石油備蓄株式会社の曳航計画が今後具体的に提示された場合におきましては、気象、海象の予測、それから連絡通信などの海陸一体となった管理体制、それから曳航船、警戒船などの船団構成、さらには船舶交通、漁業操業状況等に応じました曳航計画の策定、これらの事項について十分な安全対策が確保されるよう関係者を強力に指導してまいりたいと考えております。
  77. 小沢(和)委員(小沢和秋)

    小沢(和)委員 もう終わりますが、さっき通産省の方から、私が指摘した疑惑について、ないという報告を受けたというふうにだけ言われましたから、それは一言だけ言っておきます。私自身のところに、実際三〇%抜かれている、それは出るところに幾らでも出ますということも含めて言ってきているのですよ。そういう事実ももっとよく調べてください。それだけ言っておきます。  終わります。
  78. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 以上をもちまして小沢和秋君の質疑は終わりました。  続きまして、後藤茂君の質疑に入ります。後藤君。
  79. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 この法律の中身に入る前に二、三周辺の質問をしてみたいと思います。  最近の石油の供給構造を見ておりますと、大分スポットの購入が上がってきているようであります。お尋ねいたしたいのは、大体スポットというのはどのくらいの比率が望ましいと考えておられるのか、また最近の状況はどうなっているのか、そのところからまず最初にお伺いいたしまして、逐次質問に入ってみたいと思います。
  80. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 最近、御指摘のように国際的な石油需給の緩和傾向を背景といたしまして、原油取引におきまして政府公式価格、GSPが割高であるという感じが強まっております。したがいまして、GSPでの販売を基本としてきた長期契約離れということが見られるのは御指摘のとおりでございます。そこでスポット比率というものが国際的に高くなってきておりまして、現在我が国もその例外ではございませんで、八四年で二三%、八五年では三五%というようなスポットの比率になってございます。
  81. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 望ましいスポット比率というのはどのくらいを一応考えておられるのか、それからサウジアラビアがその中ではどの程度のウエートを占めているのかをお答えいただきたい。
  82. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 望ましいスポット比率につきましては一概に申し上げられないわけでございますが、御指摘のとおり原油安定供給というのは非常に重要な点でございますので、私ども、この比率についても今後十分注視をしていきたいと考えております。  それからサウジでございますが、我が国に安定的に原油を供給してきました非常に大手の大事な国でございますけれども、先ほどの政府販売価格による価格ということをずっと堅持してまいったものですから、最近サウジからの原油の調達比率が非常に減っております。ピーク時は百万バレルを上回っていたわけでございます。したがいまして、我が国に占めるシェアも三五%というようなことであったわけでございますが、現在ではそれが非常に減ってきておりまして、一-九月の平均では六十七万バレルというようなことに減ってきておる状況でございます。
  83. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 今のお答えを聞いておりまして、特にサウジアラビアというのは公式価格を大変尊重してくれる国だと承っているわけです。ところが、安定供給ということを考えてみますと、安いからすぐに飛びついてスポットがどんどんふえていくというような状況が起こってまいりますと、一方において公定価格を大変大切にしていく国は、そういう安い価格の方に走っていくために比率がどんどん減っていくということになるわけです。  こういうことは、後のこれから御質問するものと関連をするわけですけれども石油安定供給というものは大変大切でありますが、こういった事態に対してどういうふうに考えたらいいのか。ただ安いスポットが出回ればすぐそれは買えばいいじゃないか、この業法に基づいて買っていけばいいじゃないかということになってまいりますと、この後の自由化の問題とも絡んでこれからまた混乱をする要因をもたらすのではないだろうか、そういった点について大臣はどのようにお考えになっているか、所見を伺っておきたいと思います。
  84. 村田国務大臣(村田敬次郎)

    ○村田国務大臣 後藤委員の御指摘になったスポット原油輸入比率の問題は、私は非常に重要な問題点だと思います。先ほど畠山部長からお答えを申し上げましたが、現に輸入比率というのが近年非常に上がってきているわけですね。例えば一九八二年は九%程度であったものが八三年には一七・九%になり、八四年には二二・六%になっておる。そして本年はさらにふえているという状況でございまして、この動向は委員指摘のとおり私が非常に注目をしておるところでございます。ただ、これは国際的な動向でもございまして、我が国の輸入比率というものは、国際的に見た場合には必ずしも高い水準ではない、むしろ低い水準にあるということでございます。  そしてまた、安定した原油供給国でございますサウジアラビアでございますが、私もサウジアラビアの閣僚ともお目にかかったり、いろいろそういう機会を持ってサウジアラビアからの安定供給ということには意を用いておるところでございますが、何といってもこの国は世界一の原油埋蔵量を持っておる産油国でありますし、そして日本に対しては極めて友好的で、過去十年にわたって最大の原油供給国でもあったわけでございまして、委員の御指摘のそういった問題点を含め今後動向を注視してまいりたい、このように考えております。
  85. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 動向の注視だけしているうちに事態はどんどん進んでいくのでしょうけれども、これはまた後で輸入の問題と絡んで申し上げてみたい。  もう一点、この暫定措置法が出てまいります背景に、ことしの春ですか、EC委員会のレポートが出されて、一九九〇年には五千万トンの製品が出てくるということのようであります。私もサウジアラビアのジュベイルには五年ばかり前に行ってまいりました。まだ建設中でありましたが、この調査室が出した資料を見ますと、ことし稼働したのか稼働するのかという状況になっておりまして、全体にも大変大きな、サウジ、クウェート、リビア等での生産能力が現実化してくるわけであります。  こうした五千万トンが、ECレポートでは二千万トンぐらいはヨーロッパで、あとの三千万トンは日米でというような期待も持たれているようでありますけれども、この製品の油種、それから油種別の数量あるいは国際的な受け入れに関する約束なり、さらにはまた我が国の市場と合った品質あるいは価格面でどのように受け入れが可能なのか、こういった点の検討が恐らくこの暫定措置法が提案されていく以上はなされているのだろうと思うわけですけれども、この辺はいかがなっておるかお聞かせをいただきたいと思います。
  86. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 中東産油国の製油所から約五千万トンの石油製品の供給が輸出市場に行われるということをECの委員会が言っておりますことは事実でございます。それで、そのうちEC委員会の、これは自分が買うという意味じゃ必ずしもございませんが、見通しといたしましては、二千万トンぐらいはECの市場で消費されることになるかもしれないと言っていることも事実でございます。ただ、その残りの三千万トンを日米で分担して引き取れという明確な主張をECはいたしたことはないと承知いたしております。  そこで、お尋ねの中東の五千万トンの油種別の内訳でございますけれども、これは必ずしもまだはっきりいたしておりませんが、EC委員会のレポートといたしましては、建設する設備の種類から見て一応重油二六%、それから軽油とかディーゼルとかいうのが三三%、ガソリン一三%、その他が二八%というような予測をしておるわけでございます。無論、プラントの今後の運用稼働状況でございますとか、そこへ入れます原油の種類でございますとか、そういったものでこのパターンは変わり得るわけでございますけれども、一応そういう見方があるわけでございます。  そこで、そういう製品、例えばここで言うガソリンというようなものが日本に輸出される可能性はどうかということでございますが、とりあえずサウジアラビアにモービルとペトロミン、サウジの国営会社でございますけれども、その合弁でやっております製油所とそれからジュベイルとございますが、その二つが稼働状況に達しているわけでございますけれども、このジュベィルの方は余りガソリンに意を用いておりませんので、こちらからはなかなか供給が行われないかもしれない。それでむしろこのモービルがやっておりますヤンブーの分が供給される可能性があるということで、サウジアラビアからの供給の可能性も現在企業において検討中ということでございます。
  87. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 重油で二六%、軽油で三三%、ガソリンで一三%、ナフサ、灯油、LPG等で二八%というような御説明が今あったわけでありますけれども、こうした石油製品が一九九〇年には五千万トン国際市場に出回ってくるわけでございますが、それだけにこの法律の廃止期限ともこれまた絡んでくるのだろうと思うのですね。この暫定措置法の五年というのはちょうどそういうところに絡んでくるのだろうと思うのですけれども、この廃止期限が来ることと関連をいたしましてどのような考え方をお持ちなのでしょうか。
  88. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 石油製品貿易見通しと廃止期限との関連でございますけれども、まず、特定石油製品貿易市場に豊富に存在をしてそれが安定的に供給されるということが、この特定石油製品輸入を論ずる第一の大前提でございます。  そこで、特定石油製品が国際的な貿易市場に豊富に存在をするということは、少なくとも原油需給緩和状況が続いておればそういう期待が保てるということでございます。したがいまして一応IEA見通しては、九〇年代以降になると国際的な石油需給状況がタイトになるかもしれないということを言っておりますものですから、九〇年代になる前の八〇年代を中心といたしまして、五年間は少なくとも国際的な石油需給緩和状況である、したがって国際的な貿易市場特定石油製品が豊富に存在し得るであろうということから、五年という期限でお願いを申し上げておるわけでございます。
  89. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 今の五年の問題等はこの後また少し議論してみたいと思うのです。  大臣のこの法律案に対する提案理由説明の中の「安定供給の基本となる消費地精製方式を基本としつつ、」私ども石油安定供給のことを言う場合に消費地精製主義という言葉をよく使うわけであります。この消費地精製主義というのは私ども安易に使ってきた嫌いかないわけではないのですけれども、一体どこに根拠を置いてこの消費地精製主義というものが言われているのか、その点を大臣、ひとつまずお聞かせいただきたい。
  90. 村田国務大臣(村田敬次郎)

    ○村田国務大臣 石油需給事情は国際的に見て非常に変わってきておるわけでございますが、今回の決定は、先日提案理由でも御説明を申し上げましたように、石油製品がサウジアラビアその他でたくさん精製をされるということになって非常に情勢が変わったと判断しておるわけでございます。しかし、いわゆる消費地精製主義自体は本則でございまして、まさにそういう方針自体、日本石油安定供給は国民サイドから見て消費地精製主義をとることが一番妥当であろうという考え方でございまして、その基本は安定確保ということにあったものと私は考えております。
  91. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 そういう基本であるが、最近は状況が少し変わって、だからこういう暫定法が出てくるわけですけれども、そういう消費地精製主義、原油が市場の大宗をなしておった時代が先ほども申し上げたように今変わり始めてきている。そういう状況の中で、この消費地精製主義といいますか方式というものが安定供給のために大変大切だとすれば、これに対する根拠をやはり法律的に明確にしておく必要があるのではないか。  逆に、最近そういう状況が変わってきた、つまり製品が市場に出回ってくるようになってきた、したがって消費地精製主義というものには若干手直しが必要であるということであるとすれば、今度は石油業法についてこれの見直しということも考えていかなければならぬのじゃないか。大臣提案理由説明を見ますと、先ほども読み上げましたように、「安定供給の基本となる消費地精製方式を基本としつつここうなっていますね。この「基本としつつ、」という消費地精製方式は今後も厳守していくことになっていくのか、それともこれから業法なり、あるいはこの法律は五年で期限が切れるという形でまた見直しに入っていくことになると思いますけれども、それとの関連はどのようにお考えになっているのでしょうか。
  92. 村田国務大臣(村田敬次郎)

    ○村田国務大臣 大変重要なポイントだと思います。いわゆる消費地精製方式をとりましたのは、原油の連産品、こういうものが国民生活にそれぞれ非常に深いかかわり合いがある、したがってそういうものを常に安定的に供給するという建前から、日本はほとんどの石油外国から輸入する、そして精製をして国民に供給していくという建前からとられたわけでございます。  五年間という暫定期間をとりましたのは、先ほど石油部長からも申し上げましたように、五年間は世界的な石油需給動向が大きくは変わらないであろう、その間によくその状態を見きわめながら今後の対応を考えていくということでございまして、したがって、五年経過した段階において消費地精製方式を依然として堅持していくのか、その他の問題についてはその間によく判断をしていくべき問題だと思っております。
  93. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 これは前から私も、ぜひひとつ検討していくべき性格のものではないだろうか、これまでは消費地精製主義というものが大変大きな一つのよりどころになっておったと思うのですけれども、これをなおこれからもきちっと位置づけていくとするならば、それなりにやはり法律の中で明確にしていくべきであろうと思うのです。この根拠になるものはどこにもないわけですよ。  そこと関連いたしまして、今度の暫定法大臣提案理由説明をずっと読ませていただきながら条文を見てまいりますと、一方において昭和三十七年に石油業法がつくられておるわけです。この石油業法に当てはめられない条項がどことどこにあるのかということが私は実際よくわからないわけです。この石油業法の改正の中で読み取れる部分が大変多いのじゃないだろうかという気がいたしてならないわけです。この点については最初に長官あるいは石油部長からまずお答えをいただいた後、また大臣にお聞きしてみたいと思うのです。
  94. 畠山政府委員(畠山襄)

    畠山政府委員 今度の暫定措置法石油業法で読み取れない部分という御質問でございますが、まず基本的にこの期間の点であろうかと思います。  石油業法は、附則四条で再検討条項こそございますが、恒久法という位置づけになっておりますけれども、この暫定措置法につきましては、御説明申し上げておりますように、一応臨時措置法的な形で御提案申し上げているということでございまして、これが全体としてかぶりますものですから、輸入の点その他につきましても、確かに石油業法の中に規定もございますけれども、この暫定措置の方は暫定措置として実施させていただきますもので、こちらの方に、暫定措置法の方に入ってくるということでございます。  また個々には、例えば第九条でございますけれども「品質に関する勧告」でございますとか、それから第十条の「特定石油製品輸入業者の努力」義務という点でございますとかというあたり石油業法では読み込めない部分であろうかと考えております。
  95. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 どうも今の答弁は必ずしも明確でないように思うのです。例えば二条に「石油製品」という定義があります。ここに特定石油製品というものを書くと法文としてはなじまないのかどうか。あるいは、今度は特定石油製品輸入主体、それを登録していくわけですが、この石油業法では一応届け出になっているわけですけれども、これを登録に変えたら一体どうなんだろうか。この辺がこの石油業法と今度の暫定措置法をずっと条文を読んでみておりまして、なぜ石油業法の中へこれを取り込まなかったのだろうか。先ほどの部長の答弁ではどうももう一つ歯切れが悪かったように思えてならないわけであります。大臣いかがでしょうか。
  96. 村田国務大臣(村田敬次郎)

    ○村田国務大臣 この点はこの臨時措置法のポイントでございまして、登録に係らしめておる、その登録の基準は、安定供給するための生産設備及び貯蔵施設、それから輸入品の品質を使用者の需要に適合するように、調整する設備ということになっておるのでございまして、そういうことによって輸入をすることのできる輸入業者というのは非常に限られてくる。  これは、こういうことに限定をいたしませんと今までの我が国の石油供給体制の基本的な問題がどうしても崩れてしまうものですから、したがって、こういうことを頭に置きながら七月のIEA会議以降、石油審議会の答申を待ち、そしてアメリカ、EC寺ともよく御相談の上で今回の決定をした次第でございまして、これによっていわゆる特定石油製品輸入をする仕組みをしっかりと開くという考え方でございますので、考え方としてはあくまで基本法である石油業法に対する臨時措置法という考え方で五年間この推移を見守ってから対応する、こういう基本的な考え方を御了解いただきたいと思います。
  97. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 どうも大臣の答弁も実はよくわからない。同僚議員が先般来指摘をしているように、業法の附則第四条では「検討」の項目が入っているわけですね。それから先ほど私が指摘しましたように、登録の項目を起こせばどうなんだろうか、あるいは特定石油製品の定義条文を起こせばどうなんだろうか、それで一体支障があるのかないのかということが実は私には明確ではないわけです。  そこで、与党の方からもう既に保修正案も回ってまいりましたけれども、先ほどの部長の答弁なり大臣の御答弁、あるいは提案理由説明を聞いておりましても、情勢の変化によりまして特定石油製品輸入していかなければならない、私はそのことは十分に理解するわけであります。また、安定供給のためにはそういった輸入主体というものを特定していかなければならぬ、登録していくなり何らかの措置をとっていかなければならぬ、このことも実は私たちは論議をいたしまして、その方向は賛成といいますか、了承をしていっているわけです。  そこで問題は、この五年間を今突如十年に引き延ばしていくことの理由が実はどうも明確ではない。大臣は閣議で決定をされ、その前には内閣法制局なり与党の政調をずっとろ過してきていると思うんですね。その場合に、政府としてはやはり五年にしていくことの積極的な理由づけがあっただろうと思うのです。  一方において、山中通産大臣のときには、川上から川下にかけまして石油にかかわる法律については全面的に見直していくことも本委員会において言明をされているわけであります。ところが、昭和三十七年に石油業法がつくられて、そして若干の改正はございましたけれども、これは技術的改正なんですね。ほとんどそのことに触れられないまま、今日まで行政指導の面で大変厳しいコントロールがなされてきているわけです。  そこへ今度は五年の暫定措置をつくり上げていく。これまた今までの答弁を聞いておりますと、本当に安定供給のための、エネルギーの一番大切な石油の確保について、輸入も含めて、行政の例あるいは政府は一体どう考えているのかということに対して、立法府における論議を避けてと言ったら大変失礼です、しかし、立法府における議論を経過をしていかないで、行政指導の面でどんどん進んでいくのではないだろうかという気がどうも私はいたしてならないわけです。  しかも十年に期限を延ばすということになりますと、この問題に対してますますしっかりと足を踏まえて――第二臨時行政調査会あるいは行革審の答申におきましてもこの問題については見直しを言ってきている。そして附則第四条で見直し条項もある。にもかかわらずこれまで全く手を触れていない。そして避けて、安易に当面を糊塗していくということが安定供給のためにいいのだろうか。そのことについて私どもは大変疑義を持つわけです。  この法律は、「廃止するものとする。」ということになっておるわけですから、五年たつと自動的に消えてなくなる法律じゃないわけです。廃止法案を出していかなければならぬ。ということになりますと、もしこの趣旨が五年間で生かされなかったということになれは、当然私ども安定供給のためにはこれを延長するなりあるいは補強して延長するなりということも考えていく。場合によればこの五年間に抜本的に石油業法を改正していって、そして遺憾なきを期する、安定供給を確保していくということが正しいと私は思うのです。そういう意味で私どもは、これを十年に持っていくというので、またこのまま安易に進んでいって、そして行政指導の面が立法府の議論を越えて行われていきはしないか、そのことは安定供給のために必ずしもプラスにならないのではないだろうかという心配をするわけです。  大臣は、責任を持ってこの五年間の暫定措置法を提案をされている。私どもはそれを了としながら、その趣旨に基づいて私ども同僚議員も、本来ならこの石油業法を見直していくべきだ、これに全部条文を取り込むべきだという考え方を持っておりますけれども、客観情勢のいろいろな動きを勘案しまして、緊急避難というわけじゃないですけれども、この際、特定石油製品に対しては暫定措置もやむを得ないかなという考えで臨んでおったわけであります。  ところが、今申し上げましたような状況になってまいりますと、私どもとしてはせっかく見直し条項も石油業法にある、そして五年というものを政府は責任を持って、確信を持ってお出しになった、これが今十年に変えられるということに対して、大臣は一体どのようなお考えをお持ちになっているのか、お聞かせをいただきたい。
  98. 野々内政府委員(野々内隆)

    ○野々内政府委員 石油業法石油政策は当然表裏一体をなしておりまして、石油業法に基づいて私ども行政をいたしておりますが、御承知のように二度の石油危機にあらわされますように、石油情勢は過去非常に変動を繰り返しておりまして、私どもとしましては石油安定供給ということを念頭に置いて石油行政を行ってまいったわけでございますが、そのときどきの情勢に従って石油審議会等にお願いをして、石油行政について反省をし、そのときの情勢に合ったように変更してきたわけでございます。  その際に、やはり石油業法を改正すべきであるかどうかというのは、そのときどきの答申においていろいろ御議論いただいておりましたが、従来は、業法を改正するまでもなく、その弾力的運用によって対処し得るというのが意見の大勢でございまして、現在まで業法の改正が行われずにまいったわけでございます。  しかし、今回の輸入を開始するという点につきましては、現行の法律では石油安定供給について危惧があるという観点から法律が必要であるということになったわけでございます。その場合、御指摘のように石油業法の一部改正によってできないかどうかというのも当然議論をいたしました。正直申しまして、絶対にできないかと言われれば絶対とは言えないかと思います、しかしながら、どちらが適当であるかということになりますと、私どもとしましては、この法律暫定的に措置をするという中身であるということを考えますと、基本法である石油業法にさわるよりは、むしろ暫定的な法律を制定をし、この法律の運用によって、期限が来たときにこの法律をさらに延長する必要があるかどうか、あるいは、そのときに基本的に石油行政というものを考え直して、石油業法に手をつける必要があるのかどうか、そういうことを絶えず反省をしながら今後石油行政を進めてまいりたい、かように考えております。
  99. 後藤委員(後藤茂)

    ○後藤委員 時間が来ましたので、もう全部おそろいなのに私が長くやったら大変失礼だと思うのですが、大臣、この点だけは、実は私どももこの審議をいたしました、委員会で。先ほども言いましたように、幾つかの問題点がありますけれども、この法律案については賛成をしていこう。しかし、今長官も御答弁になりましたように、五年という期限をつけながら、やはり行政に対しても政府に対しても、五年というものをやることは、今まで二十三年間全くこれに触れていない、これほど石油が、国際的にも国内的にも激動した中で、苦しい状況を生き抜いてきているわけであります。  だから、本来ならばもっと石油業法等をその都度見直していくべき性格のものであろう。それを二十三年間、こういう見直し条項があるにもかかわらず放置しておる。また十年等になっていきますと、ゆっくり構えて、そして行政でそのまま糊塗して、委員会の審議なり立法府の審議というものを越えた安易な方法をとられはしないか、そのことを私どもは心配をしておりますために、私どもも十分に議論をいたしましたが、十年に修正するということに対しては、これは反対をしていくことの方が政府の姿勢を正す上において正しいだろうという観点で、きょうは討論の通告をいたしておりませんので、私からあえてこの考え方を申し上げ、大臣の見解をお聞きいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  100. 村田国務大臣(村田敬次郎)

    ○村田国務大臣 非常に重要なポイントでございますから、一言だけお答えをさせていただきたいと思います。  この法律案を出しますまでの経緯について、IEAの決定が非常に厳しいものである、そしてまた極めて切迫感のあるものであるというところで、実は閣僚会議が終わってすぐに野々内長官、畠山部長に日本に帰ってもらいまして、石油審議会への提案を御相談をしていただいたわけでございます。そして、石油審議会でも、事態の切迫性から非常に早く答申をいただきました。  この法律案を提出する際に、その仕組みについては、私はもう初めからしまいまで、どういう法律案の形態で出すのかというようなことを与党である自民党の幹部とも御相談を申し上げながらきたわけでございますが、石油業法を基本法とし、そしてこの暫定措置法を臨時法とするという体系は非常に正しいものであると私は考えております。  今、後藤委員から真剣な御質問をいただいたところでございまして、五年間で御提案を申し上げたわけでございますが、この期限をどうするかということについては国会の御判断にゆだねたい。そしてまた、趣旨に御賛同いただきますならばぜひ社会党においても御賛同賜りたいと存じます。
  101. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 以上をもちまして後藤茂君の質疑は終わりました。  これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  102. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 この際、特定石油製品輸入暫定措置法案に対し、渡辺秀央君外二名から、自由民主党・新自由国民連合、公明党・国民会議及び民社党・国民連合三派共同提案による修正案が提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を求めます。長田武士君。     ―――――――――――――  特定石油製品輸入暫定措置法案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  103. 長田委員(長田武士)

    ○長田委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提出者を代表してその趣旨を御説明申し上げます。案文については、お手元に配付をいたしてあるとおりであります。  御承知のとおり、本案は、最近における石油製品貿易の拡大傾向に対応し、石油製品輸入の円滑化を図るため、必要な暫定措置を講ずるものでありますが、言うまでもなく石油は、我が国経済社会にとって不可欠の重要物資であり、その安定供給を確保することが、石油政策の最も重要な課題であります。現在、石油需給は緩和基調で推移しておりますが、中長期的な見通しは、本案の審議過程における政府の答弁でも明らかなように、不透明であります。  このような石油政策上の要請石油情勢を勘案いたしますと、本案による石油製品につきましても、秩序ある輸入を確保することが必要であります。また同時に、構造改善の途上にある石油産業が、円滑かつ安定的に石油製品輸入を行うようにすることが必要であり、地域経済や雇用への影響、ひいては産業活動、国民生活全般への影響がないようにすることが必要であります。  このような観点からいたしますと、本法の廃止期限を昭和六十六年三月三十一日とする政府原案では、暫定措置とはいえ短さに過ぎ、石油製品を円滑かつ安定的に輸入し、その供給を確保していくには不十分であります。  このため、本法の廃止期限を五年間延長し、昭和七十一年三月三十一日に改めることが必要であります。  以上が修正の趣旨及び内容であります。  何とぞ、委員各位の御賛同を賜りますようよろしくお願い申し上げます。  以上であります。
  104. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 これにて修正案の趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  105. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 これより原案及び修正案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、渡辺秀央君外二名提出の修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  106. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  107. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 起立多数。よって、本案は、渡辺秀央君外二名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。  この際、お諮りいたします。  ただいま修正議決いたしました本案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  108. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  109. 粕谷委員長(粕谷茂)

    粕谷委員長 次回は、来る二十九日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時三十七分散会      ――――◇―――――