運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1985-11-28 第103回国会 衆議院 社会労働委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十八日(木曜日)    午後一時五十八分開議 出席委員   委員長 戸井田三郎君    理事 稲垣 実男君 理事 小沢 辰男君    理事 丹羽 雄哉君 理事 浜田卓二郎君    理事 池端 清一君 理事 村山 富市君    理事 大橋 敏雄君 理事 塩田  晋君       愛知 和男君    伊吹 文明君       稲村 利幸君    小杉  隆君       古賀  誠君    斉藤滋与史君       自見庄三郎君    谷垣 禎一君       長野 祐也君    西山敬次郎君       野呂 昭彦君    林  大幹君       林  義郎君    箕輪  登君       湯川  宏君    網岡  雄君       河野  正君    多賀谷眞稔君       竹村 泰子君    永井 孝信君       森井 忠良君    沼川 洋一君       橋本 文彦君    森田 景一君       森本 晃司君    木下敬之助君       小渕 正義君    浦井  洋君       小沢 和秋君    阿部 昭吾君       菅  直人君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 増岡 博之君  出席政府委員         厚生省健康政策         局長      竹中 浩治君         厚生省保健医療         局長      仲村 英一君         厚生省薬務局長 小林 功典君         厚生省保険局長 幸田 正孝君  委員外出席者         厚生省生活衛生         局水道環境部長 森下 忠幸君         自治省税務学府         県税課長    志村 哲也君         社会労働委員会         調査室長    石川 正暉君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十二日  辞任         補欠選任   愛知 和男君     奥田 幹生君   古賀  誠君     佐藤 信二君   谷垣 禎一君     仲村 正治君   長野 祐也君     田中 秀征君   西山敬次郎君     大島 理森君   箕輪  登君     山中 貞則君   小沢 和秋君     工藤  晃君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     西山敬次郎君   奥田 幹生君     愛知 和男君   佐藤 信二君     古賀  誠君   田中 秀征君     長野 祐也君   仲村 正治君     谷垣 禎一君   山中 貞則君     箕輪  登君   工藤  晃君     小沢 和秋君 同月二十八日  辞任         補欠選任   田澤 吉郎君     林  大幹君   塚田 延充君     木下敬之助君   菅  直人君     阿部 昭吾君 同日  辞任         補欠選任   林  大幹君     田澤 吉郎君   木下敬之助君     塚田 延充君   阿部 昭吾君     菅  直人君     ――――――――――――― 十一月二十八日  下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案稲垣実男君外四名提出、第百二回国会衆法第三六号) は委員会許可を得て撤回された。 同日  老人医療費患者負担増大反対等に関する請願横山利秋紹介)(第四七六号)  同(山下八洲夫君紹介)(第五〇一号)  同(横山利秋紹介)(第五〇二号)  同(佐藤観樹紹介)(第五五八号)  同(山本政弘紹介)(第五五九号)  同(横山利秋紹介)(第五六〇号)  老人保健制度拠出金増額反対に関する請願小川泰紹介)(第四七七号)  同(鈴木強紹介)(第四七八号)  同(中野寛成紹介)(第四七九号)  同(小林進紹介)(第五〇三号)  同(左近正男紹介)(第五〇四号)  同外一件(小林進紹介)(第五六一号)  合板・製材等木材産業労働者の雇用の安定確保に関する請願上西和郎紹介)(第四九六号)  同(堀昌雄紹介)(第四九七号)  同(井上一成紹介)(第五六六号)  同(竹内猛紹介)(第五六七号)  同(不破哲三紹介)(第五六八号)  同(細谷昭雄紹介)(第五六九号)  同(山本政弘紹介)(第五七〇号)  同(浜西鉄雄紹介)(第六一三号)  同(矢山有作紹介)(第六一四号)  民間保育事業振興に関する請願辻英雄紹介)(第四九八号)  ソ連抑留後遺症シベリア珪肺潜在患者救済等に関する請願村山富市紹介)(第四九九号)  同(稲村利幸紹介)(第五六三号)  同(角屋堅次郎紹介)(第五六四号)  同(古賀誠紹介)(第五六五号)  老人医療への定率自己負担導入反対等に関する請願遠藤和良紹介)(第五〇〇号)  同外一件(山本政弘紹介)(第五五七号)  原爆被爆者援護法制定等に関する請願土井たか子紹介)(第五〇五号)  同(土井たか子紹介)(第五六二号)  同(土井たか子紹介)(第六一二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  医療法の一部を改正する法律案内閣提出、第百一回国会閣法第六七号)  下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案稲垣実男君外四名提出、第百二回国会衆法第三六号)の撤回許可に関する件  厚生関係基本施策に関する件  下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件      ――――◇―――――
  2. 戸井田三郎

    戸井田委員長 これより会議を開きます。  第百一回国会内閣提出医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。網岡雄君。
  3. 網岡雄

    網岡委員 お許しをいただきまして、医療法質問をいたしたいと思います。  日本医療法というのは医療定め法律であるのですけれども、必ずしも医療のすべての分野にわたって定めていないというところが、私どもの目から見て一つ欠陥だと思うのでございます。現に現行法は第一章 総則、第二章 病院診療所及び助産所、第三章では公的医療機関、第四章は医療法人、第五章は医業歯科医薬又は助産婦の業務等の広告、第六章は罰則というふうにすべて医療施設に関することを規定しておるだけでございます。もう一つ側面であります薬物治療医療施設である薬局またはそこで調剤業務を行う薬剤師規定は、病院薬剤師を除きまして現行医療法欠落をいたしておる非常に片手落ちな規定になっておるわけでございます。  医療の国際的な定義は、ILO百三十号条約十三条によりますと、一つは、一般医診療、二番目には、病院におけな入院患者及び通院患者に対する専門医診療並びに病院外での専門医診療、三番目には、医師その他の資格のある者の処方による必要な薬剤の支給、つまり薬の面が三番目にきちっと規定されておるわけでございます。四番口には、必要な場合の入院、五番目には、所定の歯科診療、あとは医学的リハビリテーションというふうに、医療におきますすべてのステージについて規定がされておるわけでございます。そういうところから見ますと、日本医療法というのは非常に限定をして定められておるところに問題があると私は思うのであります。  御案内のように、今回の改正案の大きな課題は、地域医療計画推進というものが入った点で従来の医療法とは性格が非常に変わってきているわけでございます。ところが、依然として前と同じように病院診療所などの点が入っているだけでございまして、医療のもう一つ側面でございます保険調剤医薬品供給を通じて医療の一翼を担っている薬局薬剤師の役割というものが医療法改正医療計画推進の中で位置づけられていないという点は非常に大きな欠陥であると思うのでございます。  こういう観点に立ちまして、次に若干の質問を申し上げたいと思います。  まず一つは、医療法三十条の三の三項の二に、医療計画推進するに当たりまして改正案は「病院及び診療所の相互の機能及び業務連係に関する事項」こういうふうに病院診療所だけしか入っていないわけでございます。さきに、健康保険審議を通じまして厚生省が「二十一世紀をめざして」という「今後の医療政策基本的方向」を示されたのでございますが、従来、厚生省の重要な政策一つとして医薬分業というものが位置づけられてきておるわけでございますが、それを受けてこの基本的方向の中の地域におきます医療供給体制整備の中に医薬分業基盤づくりを促進するということがしっかりと規定づけられているわけでございます。  そういう点からいきますならば、定めている内容医療計画のすべての面をやっていく規定なのでございますから、その計画推進に当たっては、病院診療所だけではなしに、医療のもう一つの歯車であります薬物治療機能を発揮する薬局というものがこの計画の中に入らなければおかしいのじゃないかと私は思う次第でございます。この点について、一体どういうお考えをお持ちになっているのか、お尋ねしたいと思います。
  4. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘の点につきましては、まさに理解できるところもあるわけでございますが、政府といたしましては、慎重な検討を重ねた結果、現在御審議をお願いしておる案を提出したわけでございます。しかしながら、国会で御決定なされました事項につきましては、それに従うことは当然のことと考えております。
  5. 網岡雄

    網岡委員 大臣からはそのことが入っておることは当然だというふうなお答えをいただいたわけでございますが、それであるならば、なぜ薬局がこの中に示されていないのか、この点は私ども大変不満に思っているところでございます。この辺のことを含めて局長からお答えをいただきたいと思います。
  6. 竹中浩治

    竹中政府委員 御承知のように、医療計画におきましては、必ず盛り込んでもらわなければならない事項と任意で盛り込む事項とあるわけでございます。私どもとしては、全体につきましては非常に広い範囲のものを考えておるわけでございまして、調剤薬局あるいは薬剤師等々につきましても医療計画の中に盛り込んでいくように都道府県指導いたしたいと考えております。
  7. 網岡雄

    網岡委員 だといたしますならば、三十条の三の三項の二の片一方の車しか回転しないというような規定というのはおかしいと私は思うのでございます。「病院及び診療所」の後に「薬局」というものが挿入されるべきであると思うところでございますが、そういう観点での医療計画定めなければ、冒頭私が申し上げましたように医療法定める半分の部分しか機能を発揮していない、こういうことになるわけでございます。  もう一つ、同じ意味で三十条の二の六項に「都道府県は、医療計画を作成するに当たっては、他の法律規定による計画であって医療確保に関する事項定めるものとの調和が保たれるようにするとともに、公衆衛生その他医療と密接な関連を有する施策との連係を図るように努めなければならない。」となっておるわけですが、今度の医療法改正の中でもう一つの重要な位置を占めておりますのは、いわゆる中間施設整備というものが時代の要請によって精神衛生の面からいきましても福祉の面からいきましても非常に重要だと言われているわけでございますが、そういう意味からいきますならば、公衆衛生、そして薬事社会福祉というふうにすべてのステージにわたる規定をこの中で示すことが一番適切な医療法定めになるのではないかと思っているわけでございますが、この点についてはどういうお考えをお持ちになっているのでしょうか。
  8. 竹中浩治

    竹中政府委員 今回の改正でお願いいたしております医療計画でございますが、医療法規定するものでございますので、中心的な課題といたしましては、いわゆる狭い意味での医療が中心になろうかと思いますが、今先生からお話がございましたように、医療のすそ野と申しますか関連領域と申しますか、公衆衛生その他、特に老人関係では福祉関係というものも非常に関連をする施策になるわけでございますので、福祉施策も含めましてそれとの連係をとるように努めなければならない、そういうふうに読むべきであろうと思います。  なお、中間施設の御議論でございますが、中間施設につきましては、御承知のように今厚生省内でいろいろ鋭意検討いたしておりますが、まだ法的な位置づけあるいは内容等について煮詰まっておりませんので、その結論を得ました上で、必要があれば医療計画に盛り込むように指導してまいりたいと思っております。
  9. 網岡雄

    網岡委員 局長の御答弁では薬事社会福祉についても含まれている、こういう内容の御答弁があったわけでございますから、そういうことであるとするならば、この六項において明確に特定していくべきであるというふうに思うわけでございまして、そういう意味での法律修正をされるように私は要望しておきます。  それからもう一つは、現行法の十八条のところでは「病院等専属薬剤師」の規定がございます。秋とも、この条文を見ますと非常に奇異に感ずるわけでございます。それは「病院又は医師が常時三人以上勤務する診療所にあっては、開設者は、専属薬剤師を置かなければならない。」こういうふうに前段では規定をしておきながら、ただし書き事項で、知事が認めた場合にはその限りにあらず、こういう内容規定があるわけでございます。  病院とか医師を三人以上抱えているような大きな診療所というのは、そういうところでございますからそれだけに薬を投与していく量はかなり多うございます。これは厚生省自身もお認めになっているところであると思うのでございますが、そういうところに薬剤師がいないということは、薬物性格上非常にリスクが多いことになるのだから、専門家である薬剤師を置くべきだ、こういう点で十八条が規定されているわけでございますが、肝心なところでただし書きがあるために、これが抜けておる、こういう状況になっておるわけでございます。私どもは、少なくとも病院薬剤師必置すべきである、こういうふうに思うわけでございますが、十八条の前段定め精神を踏まえて、一体厚生省はどうお考えになっているのか。
  10. 竹中浩治

    竹中政府委員 十八条でございますが、原則はもちろん「病院又は医師が常時三人以上勤務する診療所」では薬剤師必置であるということでございます。  ただし書きでございますけれどもただし書きの「知事許可」は、眼科あるいは耳鼻咽喉科といった単科の、一つだけの診療科目病院のような場合、こういうケースでは投薬の機会が比較的少ないわけでございますし、また調剤内容が極めて単純なものが多い場合にこの知事許可が与えられるわけでございまして、そういうふうな極めて限定されたところについてただし書きを発動するというふうに運用いたしておるところでございます。
  11. 網岡雄

    網岡委員 単科である場合ということですが、これは病院と名がつく以上はかなりの投薬量でございます。でありますから、これはもう厚生省としてもそろそろ、省の方針である分業を進めていくという点からいきましても、病院の場において薬剤師必置するという原則をきちっと整理していくような方向整備をしていただきたいというふうに思う次第でございます。  次に、これを受けまして、二十一条に、省令定め員数病院における員数規定がございます。そのところに「医師歯科医師看護婦その他の従業者」とありますが、今回の改正法によりまして、たしか医療計画の中で、医療従事者確保に関する事項の中で「医師及び歯科医師並びに薬剤師看護婦」こういうふうに規定がなされておるわけでございます。そのように薬剤師を入れられたということは――薬剤師は、薬剤師法の第一条において「調剤医薬品供給その他薬事衛生をつかさどる」、つまり薬剤師としての最高の独立権限調剤医薬品供給についての権限を持っているということを認めた上での規定であると私ども思っているわけでございます。  そうだとするならば、医師歯科医師薬剤師というのは、それぞれそういう立場での権限を与えられている根拠を持っておるわけでございますから、この二十一条の中に薬剤師を入れるということは当然のことであると私は思うのでございます。この当然のことがいまだに直らぬというのはおかしいと思うのでございますが、この点はどうなっているのでしょうか。
  12. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療法二十一条でございますが、この二十一条では「省令を以て定め員数医師歯科医師看護婦その他の従業者」という規定になっておりまして、省令の十九条におきまして薬剤師必要数規定いたしておるところでございます。
  13. 網岡雄

    網岡委員 省令で八十剤に一人という規定があるということでございますが、私、薬剤師立場からいくならば、先ほど申しましたように、根拠は、薬剤師法の一条でそういう権限が明確に与えられている。にもかかわらず、省令でなければ薬剤師のその規定が出てこないということは極めて不満でございます。したがって、当然のこととして、医師歯科医師薬剤師は一同列に本文規定の中に入るのが至当だと思うのでございまして、そういう意味での改正を私は要求しておきます。  時間がございませんので、はしょってまいります。他の委員からも話がございましたが、三十条の三の九項では、医療計画を進めていく場合に、調剤に関する団体あるいは医業に関する団体からの「意見を聴くものとする。」ということになっているわけでございますが、これは義務条項として、「聴かなければならない。」こういうふうに改めていただくべきではないか、そういうふうにしなければならないのじゃないかと思うのでございますが、この点についてどう思うか。  それから、病院オープン化ということで、せっかく病院の開放が出たわけでございますが、同じ理由薬剤師の研修というものがこれまた欠落をしておるわけでございますが、これらの点について厚生省はどう考えておるのか、簡単にお答えください。
  14. 竹中浩治

    竹中政府委員 「学識経験者団体意見を聴くものとする。」ということで政府案でお願いをいたしておるわけでございます。いろいろ御意見があることは承知をいたしておりますが、慎重に検討の上、こういうことで政府として提案をさせていただいておるわけでございます。今先生お話し二つの点につきまして、国会でいろいろ御決定がございますれば、当然政府としてはそれに従うということであろうかと思います。
  15. 網岡雄

    網岡委員 私どもはそういう修正を要求していきますので、厚生省においても前向きにひとつ考えていただきたいということを要望します。  それから次に、営利法人の問題について御質問申し上げたいと思いますが、医療法の七条の四項に、営利目的とする開設許可申請に対しては許可を与えないこともできる、こういう規定がございます。今これは全国各地で大変問題になっているわけでございますが、この「許可を与えないことができる。」という規定は、行政機関自由裁量にゆだねておりますので、県によってはその自由裁量の判断の結果というものが非常にまちまちになっているわけでございます。例えば千葉と東京とは違うというようなことなどがございまして、非常にアンバラが出てまいります。  そうなりますと、これは全国的に営利目的とする申請というものはたくさん出てくる傾向がこれから出てくるわけでございまして、それを規制していくためには許可を与えてはならない、こういうふうに改正をすべきではないか。もしこの七条の四項というものの改正本文において難しいというならば、現に通達で出しておみえになるわけでございますが、それを七条四項の「できる。」という法文を受けての根拠として省令に昇格をする、こういうことをされる意思はないか、お尋ねをいたします。
  16. 竹中浩治

    竹中政府委員 現行医療法の七条の四項でございますが、営利目的として病院診療所開設することはこの七条四項によって禁止をされているわけでございまして、営利会社による病院診療所経営は認められないわけでございます。  この場合に、営利企業が直接病院診療所経営を行うことはもちろんでございますが、営利企業がその取引関係等を通じまして実質的に病院診療所経営を行うことも認められないわけでございますので、医療機関開設許可に当たりましては、実質的な開設者がだれであるかということをよく判断して許可をするようにということを通達指導いたしておりまして、その趣旨の徹底を今後とも図ってまいりたいと考えております。
  17. 網岡雄

    網岡委員 まあ時間がございませんから、通達による指導を強化するというだけでは私は大変荷が重いと思うのでございますが、ぜひひとつこれは将来省令に格上げすることを含んで、厚生省において検討を進めてもらいたいということを要望して、質問を次に移したいと思います。  二つ目は、配置販売の問題についてお尋ねをいたしますが、まず質問に入ります前に、原則的な確認をしておきたいと思います。  薬局の場合は、店舗による販売のみ、薬事法三十七条の規定によって対面販売が義務づけられているわけでございますが、これは一体どういう理由で、つまり私は恐らく対面販売をするということは、医薬品特質からいって安全性有効性確保するために助言、指導していくということの義務づけとして対面販売というものが出ていると思いますが、それに間違いがないか。それから構造設備規制がある。それから法人薬局の場合には薬剤師員数規制あり、これは薬事法六条の規定によってあるというふうに思いますが、それはそうかということをまず議論をしていく前に確認をしておきたいと思います。  それから配置販売の場合には、薬事法三十七条によって配置による販売のみということになっておりますが、これはもう都道府県知事に届け出をすればどこでもできるわけでございますから、したがって全国各地においてやれる、こういうことになると思いますが、これは間違いなのかどうか。それから構造設備規制はないということ。  それから三つ目には、有資格者が一人いれば配置員は何人でもいい、極端に言えば一万人でも十万人でも百万人でもいい、こういうことになって、しかも地域都道府県知事許可を得ればいいわけですから、全国どこでもやれる、こういう認識に立つことができると思うのでございますが、それで間違いございませんか。
  18. 小林功典

    小林(功)政府委員 薬局につきましては構造設備基準がありますし、人的な要素の要件も決められております。おっしゃるとおりでございます。  ただ、店舗による販売という意味は、これは店舗根拠とした販売という意味でありまして、もちろん対面販売が望ましい姿でございますが、立法趣旨としては、いわゆる行商とか露店とかいうものを禁止する趣旨だ、こういうことで、従来からそういう解釈でございます。  それから配置につきましては、おっしゃるとおり配置による販売しか認められておりませんし、都道府県知事許可を得れば全国どこでも販売できるという点、構造設備基準はないという点、さらに配置員の数に制限はないという点、これはおっしゃるとおりでございます。
  19. 網岡雄

    網岡委員 一つだけ確認をしておきますが、対面販売店舗販売、どっちでもいいのですが、その趣旨というのは、医薬品特質から来る有効性安全性というものをお客に周知徹底することのために店舗における販売ということが義務づけられているのではありませんか。
  20. 小林功典

    小林(功)政府委員 薬局の場合、一般販売でも同じでございますが、薬剤師必置になっているわけでございます。その趣旨は、もちろん薬についての専門家知識経験を生かして、患者について服薬指導でありますとか、そういうことについていろいろサゼスチョンを与えるとか、そういうことを期待しておることは、これは間違いございません。  ただ、店舗による販売という趣旨は、先ほど申しましたように、対面販売が一番望ましい姿であることは間違いございませんけれども、やはりそれは店舗根拠とした販売、つまり何か事故があったような場合にその責任を問えるような、そういうことが立法趣旨でございます。
  21. 網岡雄

    網岡委員 それで大臣にお尋ねをしたいのでございますが、先ほど確認をしましたとおりです。薬局、薬店の場合は一つの免許、資格を持って、しかも店舗という場所でしか販売ができないということになっておるにもかかわりませず、配置員は無資格同然の状況で何人でもいい、地域は無制限、こういう状況になっているわけでございますが、最近の一つの特徴といたしまして、ガソリン、それからプロパン、デパートといったようなお得意さんの名簿を持っているそういう業種が、この配置販売に目をつけまして、例えば北海道とか静岡とか東京といったような大都市を中心にいたしまして配置販売に新規参入しよう、そういう動きがこのごろ非常に顕著になっているわけでございます。  ただでさえさっき言いましたように問題でありますところへ向けて、プロパンでありますとかガソリンでありますとかデパートといったような人たちが、品物の特質上、安全性有効性というものが非常に要求される、医薬品販売に乗り出してくるということは、医薬品を非常に商品化していく、こういう非常に悪い傾向になっていくという心配を私、持つわけでございますが、これらの新規参入による配置販売の問題については、厚生省の最高の責任者である大臣としては、一体どういうお考えをお持ちになっているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
  22. 増岡博之

    増岡国務大臣 ただいまお聞きしておりまして、御指摘のように、医薬品というものは一般の商品とは違ってかなり丁寧に取り扱わなければならぬものでございます。それが一般の商社等、ガソリンスタンド等で扱われておるということは、今お聞きした限りでちょっと不自然なような気がいたしております。しかし、それにどういうふうに対処したらいいのか、今即座に頭には浮かびませんけれども、よく研究をしてみたいというふうに思います。
  23. 網岡雄

    網岡委員 大臣、研究をしたいということでございますが、これは確かに研究していただけばいいわけでございますが、やはり事態はどんどんと進んで、もう現に進出を具体的に考えているところがたくさんあるわけでございます。そうすると、医薬品販売の中で、今までの傾向でございますが、行政が後追いの状況になっているというのが一つの特徴でございます。したがって、こういう状況でございますので、薬事法上問題がある、こういうことになりましたら、大臣としてこれは厳正な規制をやっていただくように、ぜひひとつ要望しておきたいというふうに思うわけでございます。  それでは、具体的に質問に入っていきたいと思うのでございますが、まず、局長の前に医薬品を、配置販売の薬を置いておきましたが、この薬は、見ていただきましたように、トクホンというのは子供でもわかる非常に有名OTCでございます、商品です。そのトクホンと配置販売のトクホンとは、全く同じ色で同じ型式の包装がされております。そして、どこに「配置薬」と書いてあるのかということを探さなければわからないほど小さな表示しかされていない、こういうことになっておるわけでございますが、その表示の面で一つ問題があるということ。  それからもう一つの点は、容量が、オロナインは一般薬局、薬店の場合には、一番小さいのは十グラムになっているわけでございますが、その配置販売薬は二十グラム、こういうことになっておるのでございます。配置販売薬の一つの特徴といいますのは、山間僻地であるとか、あるいは夜間、医者も病院も行けない、あるいは薬局も行けない、薬店へも行けない、こういうときに緊急避難の処置としてその薬を使うというのが配置販売薬の一つの特徴でございますけれども、そういう点からいきますと、薬局や薬店で売っている薬よりも倍の量のものが緊急避難的な性格を持つ配置薬にあるということは、これは私、配置薬を認めた薬事法精神からいって逸脱をしているというふうに思うわけでございます。その同じような内容のものは、そこにも品物を出しておきましたが、トローチとかエキゾリンといったような創業のたぐいのものも、やはり薬局、薬店よりも多い量か売られておるという点で、これは非常に問題が多いというふうに思うわけでございますが、この点について厚生省はどうお考えになりますか。
  24. 小林功典

    小林(功)政府委員 先ほどの御質問にも関連することでございますが、つまり、薬剤師あるいは薬種商と配置販売業者あるいは配置員を比べました場合に、やはりその医薬品に対する知識経験というものは違っております。ですから、そういう点はもちろん配慮しなければいけませんが、我々というか薬事法上は、配置販売業者あるいは配置員でも配置を認めていい薬というものを限定しているわけでございます。先生も十分御案内のとおり、配置販売品目指定基準というのがございまして、その枠内でしか売れない。しかもその中には、例えば薬理作用が緩和であるとか、あるいは経時変化が起こりやすくないとか、あるいは使用方法が簡易であるとか、さらには容器が壊れやすくないとか、いろいろ厳しい条件がついておって、その中で配置販売品目というのが決められたわけでございます。したがいまして、問題は、配置品目としてそれが適当かどうかという観点から議論をすべき筋合いのものだろうと思うのでございます。  そこで、いろいろ御質問の中でありましたように、配置用の表示の問題でございますが、薬事法は、言うまでもなく保健衛生上の見地からやるものでございますから、配置用の表示がないと保健衛生上困るかという点に帰するのだと思うのですが、そこら辺は私どもは、保健衛生上の見地だけから見れば特段問題はないのじゃないかというふうに考えております。むしろこの種の問題というのは、メーカー、製造業者の自主的な判断で行われるべき筋合いのものだろう。現に、ここにもございますが、通常の場合には自主的にメーカーが表示をしております。ですから、これは薬事法の保健衛生上の見地という問題ではないのではないかなという気がいたします。  それから、包装につきましても、配置品目の場合には、その指定要件の一つとしまして、先ほど申しましたように経時変化が起こりやすくないことというのが一本明確に入っているわけでございます。したがいまして、その要件を満たすものを配置品目として指定するわけでありますから、一般的にはその品質の安定なものが配置品目になる、こう考えておりますけれども、仮に個々の医薬品について、例えばその用法、用量等使用の実態から見て品質の安定が損なわれる、そういう危険性があるということであれば、それは個別に是正の指導をしたいと思います。ただ、一般的に、大包装だから即保健衛生上害ありというふうにはなかなか言い切れないのではないかということでございます。
  25. 網岡雄

    網岡委員 これは次の質問一つありますが、掘り下げての質問ができないのが残念でございますけれども、繰り返して申し上げるけれども、やはり緊急避難的な要素を持つ配置薬が、資格を持った薬局や薬店よりも量の多い包装で、しかも有名商品と同じ名前で販売をされていくということは、これは配置販売機能からいって逸脱をしているというふうに私は思います。  したがって厚生省としては、法律的な規制ができないというならば、やはり製造メーカーに対して自粛を要請するというような処置ぐらいはやりませんと、さっき言いましたように、薬局や薬店の場合は、資格を持っても店頭から出ることはできない。ところが配置販売の場合は、無資格状態と同じような者でも、地域は、全国どこでもやれる、あるいは何百万でもやろうと思えばやれる、そういうスタートラインの違いがあるわけですよ。  そうすると、一体何のために薬剤師資格を持ち、何のために薬種商の資格を持って、そして医薬品販売をやるのかということになってしまうわけでございまして、そうなると、医薬品全般の安全性医薬品全般の有効性というものが根底から崩れて、医薬品は単なるほかの商品と全く同じものだ、こういうことになってしまうのではないかというふうな気が私はいたしますけれども、この点についてはどうでしょうか。
  26. 小林功典

    小林(功)政府委員 先生のお言葉を聞いていますと、医薬品全般の問題のように受け取れますけれども、先ほど申しましたように、配置販売業者あるいはその配置員配置販売できるという品目は非常に限定されているわけでございます。いろいろな要件が厳しく決められております。だから、その配置版売業者なり配置員医薬品に対する知識経験というものを考えた上で、今のままでは多過ぎる、広過ぎるということであれば、それは一つ議論になると思いますけれども、現在のところ私どもは、その基準に入っておれば配置品目として認めでいいのではないか。薬局、薬店は、それ以外にも配置が扱えない品目も売れるわけでございますから、そこの区分というのは今のところ一応明確になっている。もちろん、これも発足以来随分改正を重ねまして、今九回ほどにわたって改正しておりますので、もちろんこれは見直しをしていく必要はあると思いますけれども、今のところはそういう問題はないのではないかというふうに考えているわけでございます。
  27. 網岡雄

    網岡委員 いろいろな事例を挙げていきたいと思って実は用意をしたのでございますが、例えば今ライ症候群に対する注意として、厚生省も、薬局、それから薬種商その他販売団体に指示をされているところでございます。このエキゾリンやバファリンといったアスピリンを主成分とする薬に対して、一体配置販売はどういう処置をされておるのでございましょうか。  それから、きょうもあるところに聞きましたけれども厚生省は既に配置販売にも業者団体に連絡をとって、その業界を通じて各販売業者に伝達がされているのだということをおっしゃいましたけれども、私はけさちょっと調査をいたしましたが、私の調査によれば、まだその通知は来ておらないという状況でございます。それはそのはずでございまして、大体配置販売員が来るのは半年に一回、それはまだいい方です。時によれば年一回しか来ておらぬという状況でございます。  現に、スモンの問題に関連いたしまして厚生省指導通達を出されたことがございますね。そのときにも、お得意さんに回っていないところについてはこうこうこうせよという指示をなすっている文書がございます。これは明らかに一年に一回しか行ってないということから起きる問題です。それでもなおかつお得意さんのところから落ちていくという問題があるわけです。そうなると、これは一年に一回どころか二年に一回、三年に一回ぐらいしか行かないということになるわけです。もしその間に六歳以下の幼児が薬を飲んだらどういうことになるのでしょうか。
  28. 小林功典

    小林(功)政府委員 ライ症候群とサリチル酸系薬との関連性でございますが、これは先生も御存じだと思いますが、日本、アメリカで研究されていまして、現段階ではその因果関係はまだ明らかになっていないものですから、現段階では、アメリカもそうでございますが、販売停止という措置までは至ってないわけであります。ただ、冬場を控えましてインフルエンザのシーズンに向かいますので、安全性確保に万全を期すという、念には念をという意味厚生省医薬品情報等で周知徹底を図ったわけでございます。  それから配置につきましては、先生今おっしゃいましたように、いろいろ通達をしているのです。一つは、新たに製造するものにつきましては、製造業者に使用上の注意の改定をしなさいという指導をしております。それから、既に配置済みにつきましては、お話がありましたように、製造業者が販売業者にパンフレットを配付いたしまして、販売業者が使用者に十分にそれを伝えるということに指導しております。  ただ配置の場合には、確かに家庭に置かれる薬でありまして、しかもそうしょっちゅう訪問できるあれではありませんので、実際問題としてはなかなか難しいのでございますが、前段に申しましたような形で、もしこれが本当に販売停止とかいうことまでいけばもっと強い措置を講じなければいかぬと思いますが、現段階では、そこら辺やむを得ないのじゃないかというのが率直な気持ちでございます。
  29. 網岡雄

    網岡委員 局長自身が認められておりますように、緊急なというか敏速な対応ができない機能配置販売がなっている。これは認められているわけでございます。医薬品というのは情報の集まりみたいなものでございまして、きょう大丈夫だと思っていた薬があしたいけないということになるかもしれないのでございます。そういうのが医薬品の特徴でございまして、したがって、そういうものであるからこそ、きちっとした資格を持った人がきちっとした設備の中で医薬品販売をするということが大事な要件であると私どもは思うわけでございます。  一つ質問したいのですが、厚生省の調査によると、自己治療の目的薬局などで購入した医薬品の使用に関する副作用と疑われる事例というものの調査がございます。これを見ますと、例えば五十五年の例でいきますと、副作用と疑われる例が千百八十件あると言われております。これは薬局、薬店、薬種商、それから配置販売も含まれていると思うのでございますが、かなりの副作用の実例が出ているわけでございます。  そうすると、副作用のリスクの可能性は、先ほど局長自身もお認めになっているように、緊急な対応というものが配置販売の場合には非常に難しい機構になっているわけでございます。でありますから、副作用の発生率は非常に高いのじゃないか。例えば、薬を置いていくだけですから、きちっとした指導も助言もできないわけでございます。そういうことからいって、副作用の事故が非常に多いと思われるわけでございますが、そういうことに対する副作用の情報収集、あるいは副作用が起きたことに対する指導監督として厚生省は一体どういうことをやってきたのか。  それから、私の調査によりますと、現に副作用があって、医薬品副作用被害救済基金に二つの例が出ておるわけでございます。五十五年十二月に全身性中毒疹、それから五十七年一月に同じ薬疹があるということで医薬品副作用被害救済基金に申請をされた案件がございます。ところが、途中でメーカーが介入をいたしまして、被害者との間に話し合いをいたしまして示談を取りつけ、取り下げをしているという事案が二件ございます。このことからいいましても、示談をやったということでございますから、メーカー側に非があったことは間違いない事実でございまして、配置販売の副作用というものは、実際には、これは二例でございますが、氷山の一角でございます。そして、先ほどの厚生省の調査による千三百七十一件という事例にいたしましても、これは一部の数字であって、もっと多い数字があるのではないかと私どもは推測をいたします。副作用の危険性が非常に多い配置販売に対する指導監督を今後厚生省は一体どうやっていかれるのか、この辺についての考え方をお聞きしたいと思います。
  30. 小林功典

    小林(功)政府委員 最初に副作用に関する厚生省の取り組み方という御質問でございましたが、副作用につきましてはモニタリングシステムを今施行しておりまして、医療機関あるいは薬局等から副作用が起こった場合には報告してもらう、それを専門家検討した結果、もしそのような副作用の危険があるという判断になりますと、例えば医療機関にドクターレターを発するとか、あるいはメーカーに指示をしまして、使用上の注意を直すとか、そういう措置を講ずるとともに、各医療機関とか薬局にその副作用の情報をフィードバックして戻すということでやっているわけでございます。  もしそういう副作用が非常に頻発する可能性がある場合でございますと、配置のケースでいいますと、配置品目の見直しということもあり得るかと思います。したがって、先ほどから申しておりますように、配置販売業者あるいは配置員の場合には緊急な対応が普通の場合に比べて非常に難しいという問題、それから従事する者が薬についての知識経験が違うという点から見まして、品目の選定に当たっては慎重の上にも慎重を期していきたいと考えております。
  31. 網岡雄

    網岡委員 最後に、今局長の御答弁がございましたので、私は一つ提起をしておきたいと思うのでございますが、配置販売医薬品というものは、先ほどの御答弁もあったように、本来は非常に安定性のあるものに限定しております。しかし実際は一般薬局と同じ、準用ということになっているので、指定をされたものは含量も用法も一般医薬品と全然違っておりません。したがって、そういうことによる副作用の出る可能性は非常に高いわけでございますから、今後配置医薬品基準を中央薬事審議会で再検討していただいて、配置販売に対する指定品目については、副作用も出ているという事例などがあるわけでございますから、ぜひ見直しをしていただくように私は要請したいと思うのでございますが、これについて厚生省はどうでしょうか。
  32. 小林功典

    小林(功)政府委員 配置品目になってない品目もたくさんあるわけでありまして、例えばスイッチOTC、それから一部を除いた漢方製剤、それから承認基準医薬品、こういったものがすべて配置品目になってないわけであります。したがって、そこでは厳然たる区別があるわけであります。ただ、先ほど申しましたように、配置の特性にかんがみまして、配置品目には非常に慎重に対応しなければいかぬという気持ちは持っております。副作用情報等注意深く見守りながら検討してまいりたいと思います。
  33. 網岡雄

    網岡委員 ぜひ見直しの方向でやっていただきたいということを要望しておきます。  あと、混注の問題について五分ほど時間をいただいて質問していきたいと思うのでございます。本当はきょう、調剤の問題で私、質問をしたいと思っておりましたが、これをやったらかなり時間がかかりますから、混合注射の実態について二つほど問題がありますので、これはぜひ厚生省でプロジェクトチームを組んで対処していただきたいということを要請する意味質問したいと思います。  今非常に繁用されつつあります抗悪性腫瘍剤の中に抗生物質を配合いたしまして治療するという混合注射の方法がとられておるわけでございますが、最近ある研究者の調査によりますと、一つは抗悪性腫瘍剤であるシスプラチンにベータラクタム系の抗生剤を入れますと、これはシスプラチンが分解いたしまして含量が低下する、こういう事実がございます。もう一つは、今新しい制がん剤でございますインターフェロンに対してやはり同じようにベータラクタム系の抗生剤を入れますと瞬間的に大体四〇%近く力価が下がる、こういうデータがある研究者によって発表されております。  それからもう一つは、ベータラクタム系の抗生剤にアミノ糖系の抗生剤を配合いたしましても同じように力価が下がる、こういう調査が明らかになっているところでございます。今厚生省が非常に力を入れて医療費の節減という方向で努力をなさっておるわけでございますが、せっかく高価なこういう薬を入れましても、機構上といいますか物理的、化学的な変化に基づいて貴重な薬の薬効が下がってしまう。こういうところからいきますと、保険財政上からも問題でございますし、医療費のむだということになるのではないかと思うのでございます。これらの点につきまして一番大きな問題点は、臨床の現場におきまして薬剤師が中心になってこれらの機構をきちっと整備をしてプログラムを組んでいくことが必要だと思うのでございますが、その点についてどうかということ。  それからもう一つは、最近の報告によって明らかになったところでございますが、ヘルシンキの職業病研究所の調査によりますと、抗悪性腫瘍剤を扱っている看護婦薬剤師の尿に変異原性が発見された、それから染色体異常が発見されたという報告があります。最近、八三年でいきますと、アメリカの国立がん研究所と臨床センター薬局が共同して研究をいたしました結果、やはり同じように看護婦薬剤師にそういう知見があらわれているということが発表されているところでございます。  この症状といいますのは、まず皮膚、目、粘膜に刺激作用が出る、それから潰瘍が出る、組織の壊死が起こる、こういうことが報告されておるわけでございます。そして、抗悪性腫瘍剤の調製、投与によって接触または注射のアンプルを切ったときに液が飛散しますね、そのエアゾル化によってそれを吸う、あるいはそれにさわることによって細胞毒性の現象があらわれてくるということがこれらの研究によって明らかになっているところでございます。予防の処置といたしましては、吸い取り紙を敷いて作業をするとかディスポのガウンを着用するとかゴム手袋をはめるとかいうような処置を既にアメリカではやっておるわけでございますが、聞くところによりますと、混合注射の使用量は日本はアメリカを抜いておると言われておるぐらいでございます。  こういうことが病院の場においてこれからどんどん進行していくということになりますと、ゆゆしき問題であると思うわけでございます。特に国立病院、大病院の作業現場におきます薬剤師なり特に看護婦だと思うのでございますが、被害を受ける可能性が非常に多うございます。これは緊急的な措置として厚生省としてプロジェクトチームを組んで対策を講ずる必要があると思うのでございますが、この点についてどうでございましょうか。
  34. 増岡博之

    増岡国務大臣 医薬品に関しましてその知識を深めるという御提案には傾聴すべきものがあると思います。今後も病院内における薬剤師のあり方等について十分検討してまいりたいと思います。
  35. 網岡雄

    網岡委員 細胞毒性の問題についての対応についてはどうですか。大問題ですよ。被害者が出てからでは遅いですよ。
  36. 竹中浩治

    竹中政府委員 先生からいろいろ詳細な御指摘があったわけでございますが、がんの専門病院、例えばがんセンターでございますとか、そういったがんを専門に扱っておられる病院におきましては、今お話しのようにアンプルを切ったときに飛散をする、そのゾル化したものを吸い込むことがないように、そのもののシステムを変えまして飛散して吸わないような仕掛けでがんセンター等においてはやっておるということでございます。
  37. 網岡雄

    網岡委員 防毒マスクをかけるとか、何か処置を考えなければいかぬですよ。そんなことをやっていたら息をとめなければいかぬですよ。
  38. 竹中浩治

    竹中政府委員 先生御指摘の点につきまして、病院の実態等も見ながら検討いたしたいと思いますので、御理解を賜りたいと思います。
  39. 網岡雄

    網岡委員 終わります。
  40. 戸井田三郎

    戸井田委員長 河野正君。
  41. 河野正

    ○河野(正)委員 時間がございませんので、単刀直入に御質問いたします。いろいろ聞きたいことはございますけれども、私の方から申し上げますので、それらを含めてお答えを願いたい。  そこで、今度の医療法改正につきましては、御案内のように二つの柱がある。一つは、医療計画についてであります。いま一つは、医療法人の運営の適正化を確保するための指導監督の規定といいますか、監督の強化、この二点でございます。でございますから、私ども医療法人の監督強化が行われるということについては、実は今日医療法人が三千七百十六の医療機関なんですね。これは七月一日現在ですから、今日ではもう少しふえておるのではなかろうかと思うのです。そして、精神病院がその中でどれだけ法人格を持っておるかといいますと、実は六百六十四ですね。精神病院の中の約七割近くが法人格を持っておるわけです。  そこで、私がどうしてここを取り上げたかといいますと、これほど多くの法人格を持っておる精神病院に対して、今度医療に対しまする監督強化をなされるわけでありますから、そこを私どもは重要視をしておるわけです。悪いことをしたものについて信賞必罰は結構です。でございますけれども、それがむちゃくちゃな運営をされますると、これは非常に大きな問題を残すことになるわけです。  そこで、私は先般、二十一日の委員会前に、ガイドラインが作成されて都道府県に回っておるわけですから、ひとつこの医療法の審査に関連をしてガイドラインに対する検討をしたい、ぜひ資料を提出をしなさいと言ったけれども、残念ながら資料の提出はなかった。だから、二十一日の委員会に対して、大臣に対しても、これでは全く政府国会に対する協力の度合いというものがないじゃないか、こういうことを御指摘申し上げたとおりです。ところが、大臣はそれに対する遺憾の意を表せられた。これは御存じのとおりです。  時間がございませんからはしょって申し上げますと、大臣は、既にそのガイドラインがここにあるんだから、これをもとに審議を続行してほしい。しかし、そう簡単にできるものではないですね。我々は、そういう資料に検討を加えて質疑をやるわけですから、ここにあるから、さあやりなさいと言ったってできるものじゃない。国会審議というものは、そういう不見識なものじゃないと思うのですよ。ところが、議事進行ということもございまして、ぜひひとつ進行してもらいたいという要請等ございましたから、あえて進行いたしました。  ところが、残念ながら、きのうに至るまでこの資料の提出がないのです。きのうは私が、とにかく本日の委員会でこの問題に対してもう一遍触れるという通告をしたわけです。そうしたら、何ときのうの午後三時半に私の部屋に、きのうちょうど中国の残留孤児の見舞いに行っておりましたら、その留守にこの資料だけが置いてあった。これでは全く、私どもが再三再四国会に要求して、大臣もそうしますとおっしゃっておるにもかかわらず、こういうことでは私は国会審議を冒涜しておると思うのですよ。私はこの言葉は余り使いたくない。使いたくありません。けれども、現実の問題として、国会から要求されれば、たとえ社会労働委員会であろうがなかろうが、当然審議の資料として提出しなければならぬ。しかも、それは速やかにしなければならぬ。これは当然の理だと思うのです。それが残念ながら二十一日も出てこない。そして一週間たって、きょうまたこれをやるぞと言ったら、これも言葉は悪いけれども、泥縄式にきのうの午後やっとこの資料が私のところに提出された。  そうはいっても、今度はそれぞれ理事の間でこの議事進行についていろいろ話があっておりますからやむを得ませんけれども、大臣、この態度は改めてもらわぬと我々は今後政府の法案審議に対して協力できませんよ。大臣、どうですか。
  42. 増岡博之

    増岡国務大臣 先日、先生から御指摘をいただいたにもかかわらずまた資料提供が遅くなりましたことにつきましては、まことに遺憾千万でございますので、今後二度とそのようなことのないようにできる限りの資料提供をさせたい、こういうふうに思います。
  43. 仲村正治

    仲村政府委員 まことに御無礼なことをいたしまして、おわび申し上げる次第でございますが、二度の思い込み違いもございまして、確かに先生のところへ私どもから資料をお届けしたのはきのうの午後三時でございます。まことに申しわけございませんでした。
  44. 河野正

    ○河野(正)委員 あと三分ですから、時間の限り責任を明らかにしていきたいと思うわけですが、私どもがお互いにやりとりする、その中で国民に対してはっきり、どういうことがやられておるかということを示していきたい。そういう意味では、お互いに、資料も出すが、我々も資料に対する意見も言って、それを委員会審議に今日まで乗せておるわけですね。ところが、今申し上げましたように、委員に対して資料の提出がない。そのために今後審議の円滑を欠けば、当然政府の責任になるわけですからね。もちろんこういうことは絶対慎んでもらわぬと、私は今後の法案審議に非常に大きな影響を持つと思うのです。これはある意味においては委員会を冒涜しておると思うのですよ。  でございますから、ひとつ今後はそういうことが絶対ないように、どうぞ大臣、改めてもう一度お答えいただいて、終わりたいと思います。
  45. 増岡博之

    増岡国務大臣 このようなことは二度といたさないように厳重に注意をいたします。
  46. 戸井田三郎

    戸井田委員長 この際、暫時休憩いたします。     午後三時七分休憩      ――――◇―――――     午後三時二十三分開議
  47. 戸井田三郎

    戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。村山富市君。
  48. 村山富市

    村山(富)委員 時間も限られておりますから、端的にお尋ねをしたいと思うのですが、この医療法の一部改正について大臣の提案説明を見ますと、まことにいい説明、いい提案をしているわけです。  例えば「人口の高齢化、医学医術の進歩、疾病構造の変化に対応して、国民に対し適正な医療をあまねく確保していくものでなければならないと考えます。そのためには、病院診療所のあり方等を含め、医療制度について見直しを行い、時代に即応した制度の改革を図っていくことが必要であります。」これは、もうまことに異議はなく賛成でありますが、ただ問題は、こういう考え方で医療制度を変えていこうとするこの計画が具体的に本当に住民や利用者のためになるかどうかということが私は一番問題じゃないかと思います。  そこで、そういう観点に立ってこれから幾つかの点について具体的にお尋ねをしたいと思うのですが、まずこの計画を作成する手続についてであります。  厚生省が「地域医療計画の策定」という図案みたいなものを出していますけれども、この厚生省の策定した図案を見ますと、大臣が都道府県にガイドラインを示します。そのガイドラインの中では、まず関係都道府県が各種の調査を行う。原案作成の段階で診療調剤学識経験者団体都道府県三師会)の意見を聞く。それから次に市町村の意見を聞く。都道府県医療審議会の意見を聞く。こういう段取りになっているわけです。  当然、この都道府県医療審議会にはそれぞれ関係の三師会の代表も入られると思うし、こういう医療計画を策定する際に専門である三師会の意見を聞くのはもちろん当然だし、そういう方々の御協力がなければなかなか計画がスムーズにいかないということもわかるわけであります。ただ、原案作成の段階からこの三師会だけ特別に意見を聞かなければならぬというふうにするのは、若干、県民全体の立場から考えた場合に公平を欠くのではないかというふうに思うのですが、そういう点はいかがでしょうか。
  49. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療計画の策定に当たりまして、例えば医療需要の把握でございますとか具体的な医療計画の区域の設定等々につきまして、専門的かつ科学的な知見が必要とされるわけでございます。都道府県医師会等は現実に毎日診療調剤を行っておられる方々によって構成されております代表的な団体でございますので、地域医療の実際を担っておられる立場からの、計画策定に不可欠な情報をお持ちであるということでございますので、これらの団体の御意見を聞くものとするということにいたしたものでございます。
  50. 村山富市

    村山(富)委員 いや、その計画作成の段階から特別にそういう方々の意見だけ聞かなければならぬという扱い方をするのは、やはり住民全体の立場からすれば公平を欠くのではないか。医療というのは供給する側と受ける側があるわけですから、この供給する側と受ける側との利害関係が必ずしも対立するとは思いませんよ。対立するとは思わぬけれども、しかし、医療は国民のものですから、地域住民のものですから、そういう点から申し上げますと、作成段階からいろいろな方々の意見を聞く必要があるというのなら、何も三師会だけに限らずにいろいろな関係者の意見を聞いて立派な案をつくるということもまた当然ではないか、こういうふうに思うのですがね。  特に、もう時間がないから私は続いて申しますけれども都道府県保健医療計画策定状況調査というのがありますね。この調査資料を見ますと、県が各種の調査を行いますね、都道府県がその調査を行う際に、その調査を県医師会あるいは歯科医師会に委託をしているというようなところも大分あるわけです、この資料を見ますと。  そうしますと、調査の段階からもう三師会に委託をする。それでしかも原案作成の段階から三師会だけ意見を聞かなければならぬ。そして最後の審議会に意見を聞く場合に、その審議会の中心にもやはりそういう方々がなられると私は思うのですね。そうしますと、全くそこらがもうかなめになり、中心になって医療計画がつくられるということになるのではないかということを心配するわけですが、どうですか。
  51. 竹中浩治

    竹中政府委員 都道府県医療計画を策定するに当たりましては、広範にわたる資料を準備する必要があろうかと考えております。例えば住民の健康状況あるいは受療状況、それから、そのほか場合によれば住民のニーズについての調査、そういったことも都道府県としては実施をしなければならない場合もあろうかと考えております。そういった広範な資料に基づいて医療計画を策定するわけでございますが、その一つといたしまして、先ほど申し上げましたような医師会等の専門的な団体から、現実に毎日診療しておられるそういう立場での資料の提供をお願いをいたしたり、あるいはまた、健康に関します専門的な問題について、あるいは統計的な問題について、場合によれば県の医師会等に一部委託をして調査をお願いをするというような場合もあろうかと考えております。  ただし、こういう医師会等に委託をする場合におきましても、医療計画というものは都道府県の責任のもとで作成をしていただくわけでございますので、その範囲内で医師会等にもお願いをする場合があるということでございます。
  52. 村山富市

    村山(富)委員 説明をさせればいろいろ答弁はされると思うのですけれども、現実にこういう事例がありますね。これは私も調査に行きましたけれども、長崎県では今条例制定の署名活動がなされているわけです。話を聞きますと、六十万から署名が集まっている、こういう状況にあるらしいんですけれども、この一連の経過をたどってみますと、いいですか、これは大臣聞いておいてくださいよ。  長崎県の佐々というところに県立佐々療養所というのがあるんですけれども、この療養所の問題をめぐって八〇年の五月に県と県の職員組合の間で、八四年九月、佐々療養所を再編整備、着工することを確認をするというので、これは確認しているわけです。そして八一年の十月に、再編整備計画を二年早め、八二年下期着工することを確認をした。そして八二年の一月、ちょうどたまたま知事選挙があったわけです。その知事選挙に今当選をされておる知事が、この佐々の役場の前で、新病院は必ずつくりますと言って公約をしておるわけです。そういう経過があるにもかかわらず、八二年の十二月に、県議会の行財政特別委員会で佐々療養所廃止を決議しているわけです。  そして、八三年の一月に北松地区県立医療施設建設促進協を結成して請願活動が起こったわけですね。これは廃止決定したものですから。そしてこの請願が県議会に出たわけです。その請願は八四年の六月に、これは継続審査になって持ち越されるわけです。そして八升四年の九月に、いろいろ圧力があったんだと思うのですけれども、佐々の町長がその請願書を取り下げておる。そして八四年の十一月に保健医療対策協議会というものが県に設置をされて、そしてこの協議会が北松に県立病院を必要なし、こういう答申を出しているわけです。この答申が出たために、住民がこれじゃあいかぬというので組織を結成して、そして条例制定の署名活動を始めて、現在六十万から集まっておる、こういう経過になっているわけですね。  この協議会のメンバーを見ますと、行政当局、大学の医学部、三師会の代表、学識経験者、議会代表、こういう方々でもって構成されている。こういう協議会には請願をした住民の声なんというものは全く無視されて、反映されておらない。したがって、こういう結果になっておるというような事例があるんですね。こういう事例から考えてまいりますと、私はこれから本当に地域住民のためになるような、あるいは市町村段階、広域圏あるいは県段階、それぞれに対応して医療計画をつくっていこうというような段階に、やっぱり各層の意見が公平に反映されるような仕組みを考えていくというのが当然だと思うのですよ。どうですか。
  53. 竹中浩治

    竹中政府委員 今先生、長崎県の例をお挙げになったわけでございますが、私ども医療計画審議する都道府県医療審議会でございますが、現在ございます国の医療審議会の例に倣いまして三者構成、保健医療を提供する者、それから医療を受ける立場にある者、学識経験者、そういう三者構成でいっていただくというふうに考えております。委員の選定に当たりましては、お話しございましたように、各界各層の意見が公平に反映されるよう都道府県に対しまして適切な指導をしてまいりたいと考えております。
  54. 村山富市

    村山(富)委員 私は何も三師会の意見を聞くことが悪いと言うのじゃないですよ。できるだけ関係者の意見を公平に聞きながら、全体のためになるような医療計画をつくっていくというのが当然ではないか。現に長崎ではこういう事例があるじゃないですかということを私は申し上げているわけです。これから各県段階に審議会をつくられるわけですが、最終的にはその審議会の意見も聞かなければならぬ、こうなっておるわけです。これは県がつくる審議会ですから、国がとやかく言うことはできませんけれども、可能な限り県民各層の意見が反映されるようにすることが当然だと私は思うのですが、大臣、どうでしょうか。
  55. 増岡博之

    増岡国務大臣 先ほど局長から御説明申し上げましたように、都道府県医療審議会の組織につきましては、三師会という保健医療を提供する側と医療を受ける立場学識経験者の三者構成とするわけでありまして、その委員の選定に当たりましては、先ほども各界各層の意見が公平に反映されるよう処理いたしますという御説明を申し上げましたが、特に都道府県に対して適切な指導を行ってまいりたいと思います。
  56. 村山富市

    村山(富)委員 それじゃ次に移ります。  この医療計画のガイドラインを見ますと、具体的な中身につきましては、標準なんかはほとんど省令で決まるわけですね。この「地域医療計画の策定」という図案を見ますと、省令で決められる中身は、第一に医療計画の単位となる区域、医療圏の設定に関する標準、それから二番目が必要病床数に関する標準、それから三番目が高度または特殊な医療、こういうふうになっていますね。  この改正案審議するには、省令で決まるこの標準の中身が明確にならないと、どういう計画がつくられるのかという構想さえわからぬわけですね。これはもう相当以前から各県を指導しているわけですから、その程度のものはそちらの方ではわかっていると思うのですが、一体この標準の中身はどういうものなのか明らかにしてもらいたい。同時に「高度又は特殊な医療」とありますけれども、高度とはあるいは特殊な医療とは何を指すのかということについてもこの際御説明を聞いておきたいと思うのです。
  57. 竹中浩治

    竹中政府委員 御指摘の省令でございますけれども、これは医療審議会の意見を聞いて定めるということでございまして、その内容につきましては次のように考えておるわけでございます。  まず一番目の医療圏の設定でございますが、これは三十条の三の二項の一号の区域でございます。普通、二次医療圏と言われております。これにつきましては、日常生活圏として地理的条件、交通事情、患者医療施設での受療状況等から見て一体性があると認められる地域を標準とするというふうに考えておりますが、おおむね広域市町村圏に該当するものであろうかと考えております。  それから二号の区域、つまり三次医療圏でございますが、これは先ほどの二次医療圏の幾つか、数個から構成されるものでございまして、おおむね一都道府県の圏域を標準とする。ある県の全体の区域を三次医療圏、二号の区域というふうに考えておるわけでございます。ただし、これは都道府県の状況によりまして一つ都道府県内に複数の三次医療圏を設定することももちろん差し支えがないわけでございます。  それから二番目に必要病床数でございますが、これはその地域の性別・年齢階級別の人口、それから入院受療率等を考慮した算定式に基づいて算出をすることになると考えておりますが、それぞれの地域におきます性・年齢階級別の人口に、その県を含みます地方ブロックの性・年齢階級別入院受療率を掛け合わせまして、それに病床利用率の逆数を掛け、さらに地域特性に応じて補正をする、そういうことで必要病床数を算定することになろうかと思っております。  それから高度または特殊な医療でございますが、高度先進的な医療あるいは特殊な医療機器の使用を必要とする医療、発生頻度が低い特殊疾病に関する医療、専門性の高い救急医療、こういったものが高度または特殊な医療に該当するのではなかろうかと考えております。
  58. 村山富市

    村山(富)委員 そこでお尋ねしますけれども、今度の医療計画を策定する中に診療所は含まれていませんね。そういうことになっていますね。そうなりますと、やはり診療所診療所として医療行為の中で一定の役割を果たしているわけですが、診療所を除外した、含めないのは一体どういう理由によるのかということについてお尋ねしたいと思うのです。
  59. 竹中浩治

    竹中政府委員 診療所病院の有機的な連係を保つといったような意味で、診療所もまた非常に重要な医療資源であることはもちろんでございまますけれども診療所そのものにつきましては、現在の段階で特段に医療計画の中に書き込んでいくという必要性は必ずしもないのじゃないか。ただ、僻地でございますとか、そういう特別な地域については必要があろうかと考えております。
  60. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、地域によって必要性を認めるところもあれば認めないところもある、医療計画をつくる際にそういうことになるわけですか。
  61. 竹中浩治

    竹中政府委員 一つは、ベッドの問題につきまして診療所、つまり有床診療所のベッドについてどう考えるのかということがあろうかと思いますが、有床診療所のベッドは、先生も御承知のように、患者を長期収容するということは予定しておらないわけでございまして、病院の病床と機能が非常に違いますので、病床規制の対象には有床診療所のベッドは加えないというふうに考えております。
  62. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、例えば第二次医療圏を想定して考える場合に、その第二次医療圏の中には病院もあれば診療所もある。そうすると、その診療所の持っておるベッドについては必要ベッド数という範囲内には入れない、こうなるわけですか。
  63. 竹中浩治

    竹中政府委員 そのとおりでございます。
  64. 村山富市

    村山(富)委員 私は、やはりその圏域の中における病院診療所、それぞれ機能を果たして総合的な役割を持っているわけですから、総合的な機能を果たす中からその地域医療が生まれていくということになると思いますから、当然診療所も含めるべきではないかと思うけれども、これは見解の違いですから、私の意見だけ申し上げておきます。  そこで、どんどん時間がたつだけですから次に移りますけれども、こういう計画をつくる前提として、今の病床数は適正にあるというふうに判断をされておるのか、あるいはまだ足りないと判断をされておるのか、あるいは多いというふうに考えておられるのか、どうですか。
  65. 竹中浩治

    竹中政府委員 病床数を含めまして我が国の医療供給体制の現状でございますが、量の面におきましてマクロ的に全体で見れば相当の水準に達しておるということが言えようかと思いますが、地域別に見ますと、過剰な地域もございますし、あるいは一方で非常に不足な地域もある。ですから、そういった地域偏在というものがあるというふうに認識をいたしております。
  66. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、今の病床数はある程度の水準に達しておる、地域によって多い地区もあれば少ない地区もある。ということは、大変偏在しているということですね。そうすると、今度の医療計画を策定するということは、その偏在をできるだけ是正していこうということにねらいがあるのですね。どうですか。
  67. 竹中浩治

    竹中政府委員 今回提案させていただいております医療計画の中では、そういった病床の地域的な偏在の是正がやはり一つの大きな柱でございます。それを含めまして、必要な医療機能の体系的整備を図っていきたい、こういうふうに考えております。
  68. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、この計画が仮にできた場合に、第一次医療圏は市町村単位で今回の法改正とは関係なしに県に任せる。第二次医療圏、第三次医療圏を設定して、その圏域内における必要な病床数は何ぼかということの標準を示す。そうでしょう。そうすると、その標準を示すだけであって、具体的に医療機関が偏在している、その偏在を是正することがこの計画の中でできるのですか。
  69. 竹中浩治

    竹中政府委員 現在お願いしております改正案医療計画を策定いたしまして、ある医療圏につきまして病床が過剰であるという判断をされた場合には、その地域に例えば新たに病院開設しますとか、あるいは既設の病院が増床するとか、あるいは病床の種別を変更するとか、そういった場合に、必要に応じまして都道府県知事が勧告をする、つまり医療機関の新設については中止をするよう勧告をする、そういうことを予定いたしておるわけでございます。それから一方で、医療計画を策定いたしまして、その地域が病床不足地域である、あるいは特別のタイプの医療機関が足りない地域であるというようなことでございましたら、そういったものを整備拡充していくように都道府県が努力していくということでございます。
  70. 村山富市

    村山(富)委員 私が聞いているのは、AならAという第二次医療圏を想定しますね。都市部に医療が集中している、そして周辺部は非常に医療が少ない、こういう地域があると仮定します。しかし、その第二次医療圏全体から見た場合に、病床数はもう足りている、標準を足りている。そういう場合に、都市に集中している、中心部に集中している、ここは少し過剰だからもっと周辺部に移りなさいといってするのか、それとももうこれ以上ここでつくることはいけませんよ、しかし周辺部はまだ足りないんだから、そこではつくってよろしいから、つくってください。そうすると、この医療圏全体をトータルすると、これは標準を上回るわけですからね。現実に上回っておる、しかし非常に偏在しておる、したがって少ない地域にはこれから増設することは認めます、しかし多い地区は認めませんよといって、少ない地区にふえれば、全体のトータルから見れば標準を超してふえるわけです。  そういうことを想定した場合に、言われるように、偏在を是正してまんべんなく医療が提供されるような供給体制の整備が実際にできるかどうかということを私は聞いているのですが、できますか。
  71. 竹中浩治

    竹中政府委員 一号で言っております区域、つまり二次医療圏でございますが、一つの二次医療圏の中の問題でございますと、私どもは、その医療圏の中では例えば西部に多いとか東部に多いというふうな場合でも、その医療圏の中の住民はそれを十分利用できる、つまり二次医療圏の中で東部が多くて西部が少なくても、その西部の人は東部の病床を十分使える、そういう範囲内で二次医療圏というものを考えていくわけでございます。したがいまして、一つの二次医療圏につきましてはそのトータルでもって必要病床数、現在の病床数というものを考えていくということでございます。
  72. 村山富市

    村山(富)委員 そうしますと、あなたのおっしゃる中には偏在しているという視点は全然ないのですね。例えば東部と西部がある、そして東部に医療が集中している、西部はない、無医地区だ。こうした場合に、この無医地区の人は東部にある病院に通えばいいじゃないですか、全体をトータルでもって標準病床数があれば、そこはそれでいい、こういうふうになるのですと、こう言うなら、その言われる偏在というものはあなたの説明の視点の中には全然ないじゃないですか。
  73. 竹中浩治

    竹中政府委員 ちょっと御説明が十分でないのかもしれませんが、二次医療圏というのは、その医療圏の中で十分利用できるという範囲で圏域を設定をする。したがって、同一二次医療圏の中では、先ほど申し上げましたように、どの住民もその医療圏の中の医療機関なら、交通事情とかいろいろ勘案をいたしまして十分利用できるというところで圏域を設定するわけでございます。  偏在と申し上げておりますのは、Aという二次医療圏、Bという二次医療圏がありまして、Aは多い、Bの二次医療圏は少ないという場合には、Aにおける増床は勧告でもってセーブをしていく、B二次医療圏につきましては必要な整備を図る、そういうことを申し上げておるわけでございます。
  74. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、第三次医療圏というのは例えば都道府県単位になる。都道府県単位になった場合に、Aという第二次医療圏がある、Bという第二次医療圏がある、そしてCという第二次医療圏がある。県全体の第三次医療圏で必要な病床数というのも設定されるのでしょう。それはされないのですか。
  75. 竹中浩治

    竹中政府委員 必要病床数と申しますのはそれぞれ二次医療圏ごとにつくるわけでございます。ただ、精神病床につきましては都道府県全体、つまり三次医療圏全体で必要病床数を考えていくというふうに予定しております。したがって、その三次医療圏では、先ほど申しました非常に特殊な、あるいは高度先進的な医療が行われるような医療機関を県全体の立場から整備をしていくということでございます。
  76. 村山富市

    村山(富)委員 そうすると、必要病床数の基準というのは第二次医療圏が基準になるのですね。第三次医療圏というのは高度、特殊医療だけを主体とする、こうなるわけですね。  そこで次にお尋ねしたいのは、私は今のあなた方の説明で納得したわけじゃないのですよ。そういうふうに医療が偏在しておる、その偏在がこれでもって是正されると思えませんから納得していないわけです。ただ、高度な医療や特殊な医療、例えば僻地とか救急とか、そういう医療というのはだれが受け持つことになるのか。それから、いろいろな説明文書を見ますと、医療圏を設定して相互の連係を取り合うとか、あるいはオープンシステムにして、診療所のお医者さんがオープンシステムになっている病院医療機器を使ったり、そういうことができるとか、いろいろ書いてあるわけです。私は、第二次医療圏あるいは第三次医療圏にしても、その医療圏の中核になる柱がなければなかなか計画は難しいのじゃないかというふうに思うのですけれども、そういう中核病院になるような病院の位置づけというものは計画の中にあるのかないのか。
  77. 竹中浩治

    竹中政府委員 今お話がございましたが、救急医療あるいは休日夜間診療、それから病床のオープン化、そしてまたオープン病院等におきます医師等の研修、研究といった問題でございますが、私ども地域の実情によっていろいろではあろうかと思いますけれども、多くの場合、一つの特定の病院がそれを担うということではなしに、当該医療圏の中におきまして幾つかの病院がそれぞれの特徴に応じまして相協力をして今申し上げましたような救急医療とか研修、研究を推進していくということが望ましい、そういう方法をとることが適切であるというような地域が多いのではなかろうかと思っております。
  78. 村山富市

    村山(富)委員 いろいろ想定して問答しますと、いろいろな場面場面が考えられるわけです。ただ、私は、医療圏を計画的に設定をして推進をする場合には、高額な医療器具というものをどこの病院も持っておる必要はないわけですから、中核病院なら中核病院にある、周辺のお医者さんが必要であればそれが全部使えるというようなことにすれば、医療資源も効率的に活用できるわけですから、そういうこともこの説明の中には書いてあります。書いてあれば、その地域の中核になるような医療機関の設定が必要ではないかと思うのですが、これは私、意見として申し上げておきます。  そして、今お話がございましたように、例えば国立病院もあろうし、自治体病院もあろうし、あるいはまた医師会がつくっている病院もあろうし、個人の病院もあるかもしれない。それぞれの病院がそれぞれの機能を果たして、相互に連係し合って地域全体の医療が高められていくようにしてもらうということだと思うのですけれども、それならばこれから医療計画をつくるときに、その第二次医療圏の中で必要な病床数の標準を示して、これから増設するところには、必要がなければ勧告する、必要があれば認めてつくってもらうということになるのでしょう。とするならば、今医療法の第七条の二で公的病院の病床規制がありますね。この第七条の二の公的病院の病床規制というのは必要ないのじゃないですか。
  79. 竹中浩治

    竹中政府委員 公的病院の病床規制でございますけれども、病床過剰地域におきます公的病院開設あるいは増床等を抑制いたしまして、その分の医療資源を病床不足地域あるいは高度、特殊な医療機能に振り向けるということによりまして医療機関の適正配置あるいは地域に必要な医療機能確保を図るということで公的病院の病床規制定められたわけでございまして、今回の医療計画におきましても、今の公的病院の病床規制を含めまして医療計画の中に書き込んでいくということで、公的病院の病床規制規定そのものはなお意味がある、必要であるというふうに考えております。
  80. 村山富市

    村山(富)委員 私は、聞いていますと答弁に無理があるような気がするのですね。これは公的病院があるし、医師会立の病院があるし、あるいは個人の病院がある。そうすると、医師会立の病院や個人の病院は、仮に増設する場合に全体の医療圏の中で、これは必要以上だといえば勧告をすると言っているでしょう。ところが、公的病院規制されるのですよ。扱いが違うのですよ。  なぜ公的病院だけをそんな扱いにする必要があるのか。私はもう時間がないから詳しく申しませんけれども、僻地や救急医療医療の中には現実に不採算医療がありますよ。そういう不採算部門の医療というのはむしろ公的病院が担っていかなければなかなか充足できない、こういう状況もあるのです。したがって、一般の病院では果たし得ない役割を公的病院は担っておるという面もあるわけですから、そういう病院を厳しく規制の対象にしていくというような扱い方をすることは、住民の立場に立って考えた場合に問題があるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
  81. 竹中浩治

    竹中政府委員 病床不足の地域、特に僻地等につきましては、公的病院の果たす役割はもちろん高いわけでございますから、そういった地域での規制ということを医療法は言っておるわけではございません。病床過剰地域における開設、増床等を抑制しようということでございますので、今回の医療法改正によりまして民間病院には必要な勧告を行うことができるということでございますが、公的医療機関の病床に対します規制は今後も必要であると考えております。
  82. 村山富市

    村山(富)委員 何かわかったようなわからないような答弁というのは納得できませんけれども。今現実に国立病院の統廃合が行われていますね。特に自治体の病院、公立の病院なんかについてもそういうことが議論されているのです。  さっきの長崎の事例だって公立病院が廃止になってやられているわけですね。そういう事例を考えた場合に、それは六十万からの県民の条例制定の署名が集まっているというふうに聞いておりますけれども、そういう切実に願う県民の本当の声と実際に進められていく計画とがそごを来すというのでは、提案理由で説明している意味とは結果は反するじゃないですかということを私は言いたいわけですよ。したがって、この計画推進の中で国立病院や公立病院やそういう病院が特別に整理統合の対象になることはありませんね。
  83. 竹中浩治

    竹中政府委員 国立病院、公立病院ももちろん含めまして医療計画はつくられるわけでございます。したがって、その医療計画の中で必要なものは必要なものとしてもちろん残すわけでございますし、また不足するものは整備を図っていくということでございます。
  84. 村山富市

    村山(富)委員 ですから、対等に扱って同じようにするというのなら、これは特別に公的病院だけ病床規制する必要はないのです。これは要らぬものじゃないですかね。ですから、私が今念を押しておるのは、この計画推進の中で特別に国立病院やら公立病院がそのために規制の、整理統合の対象になるというようなことはありませんね、こう聞いているわけです。
  85. 竹中浩治

    竹中政府委員 これも先ほど申しましたように、公的病院というのは文字どおり公的性格が強いわけでございますから、病床過剰地域開設をするとか増床するとかいうことは必要がないわけでございまして、そういった病床が十分足りておる地域では民間の医療機関にゆだねて十分なわけでございますから、そういった地域におきます開設、増床等を規制するということでございまして、そういう点でやはり必要であろうかと思っております。
  86. 村山富市

    村山(富)委員 これはこれから機会あるごとに議論を進めていきますけれども、私ども検討さしてもらいますけれども、やはり皆さん心配しているのですよ、実際問題として。ですから、そういう懸念がないように、本当に地域住民のためになるような医療をどう設定するかということを中心にやはり責任を持って進めていくという態度がなければなりませんから、そのことだけ問題点として申し上げておきますよ。  それから、医療圏が設定をされて必要な病床数の標準が決められる、これはもう地域と受け入れができるわけですから、その次にはそこで働く医療従事者がやはり確保されて適正に配置されるということ、これは必要なことですね。ところが、このガイドラインを見ますと、医療従事者必要数については任意的記載事項になっているんですね。これはやはり当然、必要的記載事項として位置づけて扱うべきではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
  87. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療圏の設定、それから必要病床数、この二つにつきまして必要的記載事項としておるわけでございますが、病院、病床の適正な配置を図りますためにはすべての都道府県が足並みをそろえてもらわなければならない。つまり、ある都道府県は必要病床数をつくる、隣の都道府県はつくらないということでございますと、適正配置が図れないわけでございますので、そういった観点からこの二つを必要的記載事項といたしたわけでございます。  なお、御指摘の医療従事者確保対策でございますが、これも任意的記載事項にはなっておりますけれども、決して軽視してよいものではございません。私どもも大変重要なものと考えておりますので、各都道府県におきまして医療計画に極力盛り込むよう指導してまいりたいと考えております。
  88. 村山富市

    村山(富)委員 これはやはり十分重視して、計画の中ではそういうものを抜かりないようにきちっと入れてもらいたい。  それから次に、もうこれは時間が参りましたからお尋ねしますけれども、今老人保健法で各市町村に保健活動をしてもらうことになっていますね。それから最近話題になっておりますが、これから来年度予算では十カ所ほどのモデルケースをこしらえて指定をしようという例の中間施設ですね。今度の医療計画の中でこうした市町村の保健活動あるいは中間施設等々との関連は一体どういうふうになるのか、位置づけはどうなるのかということについてお尋ねしておきたいと思います。
  89. 竹中浩治

    竹中政府委員 御案内のように、近年包括医療という幅の広い医療ということが言われておるわけでございまして、医療について包括医療の体制の確保が志向されるということでございます。したがって、健康に関します住民サービスの包括化、体系化が要請されているわけでございます。医療計画の策定に当たりまして、各地域の実情を踏まえまして、今御指摘の老人保健法の保健事業その他の市町村の保健活動など医療と密接な関係のあります施策連係を十分図るように努めるべきであるというふうに規定をされておるわけでございまして、その点は十分都道府県指導してまいりたいと思っております。  それから中間施設でございますが、六十一年度モデル実施ということで準備を進めておりますが、現在の段階では、法的な性格を含めましてまだその内容が固まっておらない段階でございますので、現段階におきまして医療計画との関係お答えできるという段階には至っておらないわけであります。
  90. 村山富市

    村山(富)委員 これは、いずれにいたしましても本当の意味で国民の健康を保持して、そして十分な医療をまんべんなく提供できるようにしたい、そのために医療計画をつくるんだというのであれば、やはり保健所の活動とか、あるいは老人保健法に言う市町村のいろいろな保健活動とか、それからこれからつくられる中間施設とか、そういう医療福祉というものはやはり関連が随分ありますから、そういうものを包括的に包んで、そしてその地域医療というものをどういうふうに完備していくんだというような構想が全体としてなければならぬと私は思うのですね。  時間が参りましたから、もうそれ以上の質問は申しませんけれども中間施設は担当が違うんですね。中間施設医療施設とするのか、あるいは福祉施設とするのか、どっちですか。
  91. 竹中浩治

    竹中政府委員 中間施設医療施設とするのか、福祉施設とするのか、あるいは第三のタイプの施設にするのか、そこが実は内容と絡みまして一番議論のあるところでございまして、現在の段階ではまだそこのところが結論が出ておらないということでございます。
  92. 村山富市

    村山(富)委員 仮に医療施設となった場合には、それは医療計画の対象になるわけですか。
  93. 竹中浩治

    竹中政府委員 中間施設性格とその内容医療機関そのもの――中間施設でございますから、医療機関そのものというのはちょっと適当ではないと思います。中間施設ということで、医療福祉の中間の施設ということで議論が行われておるわけでございますから、純粋な医療機関という結論になるのは中間施設ということからどうかと思いますが、いずれにいたしましても、中間施設性格内容病院寄りになるのかあるいは福祉施設寄りになるのか、それによりまして、病院寄りになればなるほど医療計画との関係が深くなる、したがって医療計画に書き込む必要性が高まってくる、逆の場合は薄まってくるということであろうかと思います。
  94. 村山富市

    村山(富)委員 これは、これから法的な性格も明確にしてもらわなければいかぬと思うのですね、今の段階ではなかなかそこまで結論が出ていない、こういうお話ですから。  ただ、やはり地域全体の包括的な医療、保健あるいは福祉、そういう活動を有機的に連係し合えるような形で、そして一番大事なことは予防であって、そして今、日本医療で欠けているのはやはりアフターケア、リハビリテーションと言われていますけれども、そういう部面まで含めて完備できるようなものというのを想定して推し進めていくということが一番大事だと思いますから、そういう点もひとつ十分これから意を注いでやっていただきたいというふうに思うのです。  最後に、これはちょっと問題とは違うのですけれども診療科ですね。今、例えば内科とか整形外科とか外科とかいろいろありますね。これは学術的に必要でつくられている科もあると思うのですね。同時に、患者さんがどこの病院に行ったらいいのかということをやはりわかりやすくするために設けられているという意味もあると思うのですね。例えば内科なら内科に関することについては、これは内科に行けばいいわけです。外科の場合には外科に行けばいいわけです。しかし、この病気は内科にも外科にも整形外科にもいろいろな診療科に関係がある、こうした場合に、患者さんは一体どこに行ったらいいのかというふうに非常にお困りになる場合がある。  とりわけリューマチなんかの場合には、内科から整形外科から皆関係するわけですから、話に聞いてみますと、どこの病院に行っていいかわからない、大変困りますという苦情が大変多いのですよ。そういう患者さんの立場考えた場合に、私はやはりリューマチ科ならリューマチ科というものを掲示すれば、患者さんは安心して病院に行けるわけですし、そこがまた、専門的に研究して医療技術も上がっていくということにもつながっていくと思いますから、そういう点はやはり十分検討する必要があるのではないかというふうに思うのですが、どうでしょうか。
  95. 竹中浩治

    竹中政府委員 診療科目の標榜につきまして今お話しのような意見があることは私ども承知をしておるわけでございます。  診療科目の追加、それから見直しに関しましては、従来それが独自の診療分野を形成しているかどうか、あるいは国民の医療を受ける利便を図る上で妥当かどうかなどを基準として検討をいたしておるところでございます。しかし、近年、標榜科目に関係をいたしましていろいろ広範な御議論、場合によれば非常に基本に立ち返ったような御議論がございますので、私ども標榜科目全般につきましてそのあり方を見直す必要が出てまいってきておるのではなかろうか、今後至急に検討すべき課題であると考えております。
  96. 村山富市

    村山(富)委員 一般論として言えば、それは今答弁があったようなことになると思うのですね。しかし、具体的に、例えばリューマチならリューマチというものを例に挙げた場合に、リューマチの患者さんが、これはもうさっき言いましたように、内科にも整形外科にもいろいろ関連がある、どこの病院に行ったらいいのか迷う、わからない、非常にお困りになっている、こういう現状は認めますか。
  97. 竹中浩治

    竹中政府委員 リューマチについて多数の診療科が関係があるということは仰せのとおりでございます。ただ、そういったものは果たしてリューマチだけであろうかというような問題もございますし、先ほど申しましたように、診療科目の標榜についてはもう少し基本的な問題、つまり標榜科目にかかわる専門的な知識あるいは技術の有無といった関係も十分議論する必要があるという御意見もございますので、それらを含めまして至急に検討をさせていただきたいということでございます。
  98. 村山富市

    村山(富)委員 一般論で解釈するのではなくて、やはり現実に六十万から患者さんがおるというふうに僕は聞いていますけれども、そういう患者さんが選択にお困りになっておる、そういう現状というものがもし認められるとするならば、私はやはり患者さんのために、それじゃひとつリューマチ科というのを設けてあげようというようなことをするのは何も不都合はないじゃないですか。これによって不都合があるというのなら別ですよ。それは今答弁がありましたように、いろいろな要請がありますというのなら、その要請を聞いて必要と思われるものは設けてやればいいじゃないですか。ほかにもありますから、これもできませんというのは理屈にならぬじゃないですか。そうでしょう。どうですか、大臣。
  99. 竹中浩治

    竹中政府委員 仰せの御議論は私どもも十分理解できるわけでございますけれども、先ほど申し上げましたようなことで、基本にかかわる問題やら、あるいはその他の要望等も似たような要望もございますので、全体としてこの際ひとつ検討させていただきたいということでございます。
  100. 村山富市

    村山(富)委員 今の問題も含めて、先ほど来議論をしてまいりました経緯というものは大臣も十分お聞きになっていると思うのです。私はやはり医療というのは国民のためにあるわけですから、国民のためになるような医療をつくっていくためには何が必要かという視点で物を考えていただくことが大事だ。したがって、これからつくられる計画については、できるだけ公平に各層の意見が反映されていくことは当然だし、特にやはり専門的である三師会なら三師会の皆さんの意見もお聞きいただいて、反映していただいて、そして協力してもらわなければできぬことも十分承知していますよ。しかし、それであるだけに、なお一層この関係者の意見も聞いて、そして公平な計画ができるように、そのことが結果的には住民の期待に十分こたえるということもまたできるわけでありますから、そういう方向で頑張ってもらう必要があると思うのですが、最後に大臣の見解を聞いて、ちょうど時間になりましたから、終わります。
  101. 増岡博之

    増岡国務大臣 御指摘の中には数々傾聴に値することがあろうかと思います。そのもろもろの点につきまして、先生意見を尊重しながら進行させていただきたいと思います。
  102. 村山富市

    村山(富)委員 終わります。
  103. 戸井田三郎

    戸井田委員長 森田景一君。
  104. 森田景一

    ○森田(景)委員 前回時間切れになりましたので、引き続いて質問したいと思いますが、きょうも持ち時間十分ということでございますので、最初にお聞きしたいことをみんな申し上げますので、ひとつ答弁漏れのないようにお願いしたいと思います。  今回の改正では、「医療法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。」このように第四十六条の二で決められているわけでございます。この理事資格といいますか要件といいますか、これについてはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、これが一つです。  それから「理事三人以上及び監事一人以上置かなければならない。」こうなっておりますが、このようにした理由について御説明をいただきたいと思います。これが第二点です。  第三点は、一人法人を認めよ、こういう動きがあるわけでございますが、これに対してはどのようにお考えになっていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。  それから第四十六条の三関係では、「理事のうち一人は、理事長とし、定款又は寄附行為の定めるところにより、医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。」となっているわけでございます。このただし書きの「都道府県知事の認可を受けた場合」というところは、どういう条件があれば都道府県知事の認可を受けられるのか、認可の条件ですね、これについてお答えいただきたいと思います。  前回の答弁では、現在医師でない理事長の医療法人については、この法律を施行後二年間はそのまま認めるという答弁であったと思います。これは非常に薄情なやり方ではないかと私は思っているわけです。少なくとも福祉推進しようという厚生省がとる態度ではないんではないか、このように考えているわけでございますが、なぜ理事長は医師でなければならないのか、その辺について明快なお答えをいただきたいと思います。  私が考えますに、今回の医療法改正のきっかけになったのが富士見産婦人科病院の乱診乱療事件だったと聞いておりますけれども、ここは確かに理事長はお医者さんではありませんでした。また、十全会グループの株買い占め事件も、この十全会グループについては理事長はお医者さんではありませんでした。お医者さんでない理事長がいろいろと目的外の事業に走る、こういうことは非常に残念なことでございますが、それではお医者さんが理事長なら大丈夫かといいますと、そうとも言い切れない事例があるわけです。これは例えば北九州病院グループの問題、こういうこともあります。  私が、厚生省は非情ではないか、こう申し上げましたのは、例えば運転免許証というのがあります。あれはたびたび改正になりました。長い期間に改正になってきまして、改正のたびに免許証を持っている人たちはかなり優遇されてきた経過があるわけです。例えば、昔は小型、普通、大型、こういう免許証がありました。それが改正になりまして普通と大型になったときには、小型は普通免許に含まれるようになった。それから、自動二輪車も運転できるようになった。こういう温情のある措置が講ぜられております。また、一種、二種の制度ができましたときに、今まで一種の免許を持っていた人は試験もしないでそのまま二種の免許を持てるようになった。こういうやり方が本当に温情のあるやり方だと思うのです。  そういう点から考えますと、医師でない理事長は二年間だけはそのまま認めるけれども、その後はわからない、いきなりこういうことでは非常に不親切だ、厚生省は非情な省ではないか、こういうことになりかねないと思っているわけでございます。少なくとも、現在あるお医者さんでない理事長でいらっしゃる医療法人も、これは特別の問題を起こさない限り将来とも認めていっていいんじゃないか、その辺のところの決断をなさってもよろしいんじゃないか、このように考えているわけでございます。  以上、まとめて質問いたしましたので、答弁の間に時間が切れる可能性がありますから、答弁漏れのないようにお願いしたいと思います。
  105. 竹中浩治

    竹中政府委員 まず、医療法人理事資格でございますが、理事長につきましては医師または歯科医師に限ることを原則とするということでございますけれども、その他の理事につきましてはそのような制限を設けておるわけではございませんで、禁治産者でございますとか、医事に関する法令に違反をして罰金以上の刑に処せられた者、そういった欠格事由に該当しない限り、これは医師歯科医師でなくても理事になることができるということでございます。  それから、今回の改正案におきまして理事を三人以上、監事を一人以上必ず置かなければならないということにした理由は何かということでございますが、従来は、理事は一人以上で、そして監事は任意設置ということになっておったわけでございます。今回、医療法人業務運営の適正を期しますために、監事も必置機関にする、それから、役員の最低定数を理事三人以上とする、そして監事は一人以上にするというふうに定めたわけでございます。  なお、社会福祉法人におきましても、今申し上げました理事三人以上、監事一人以上ということに定められておるわけでございます。  それから、いわゆる一人法人の問題でございますが、他の委員からもこの問題につきましてはいろいろ御指摘があったわけでございまして、その際にお答え申し上げたとおり、国会がこうした方向で御決定をされた場合には、政府としてこれに従うことは当然であると考えておるわけでございます。  その次に、理事長は原則として医師または歯科医師でなければならないというふうにした理由でございます。  申すまでもなく、医療施設の運営に当たりましては、医師または歯科医師としての自覚、倫理にまつところが大きいわけでございます。医療供給する側が営利追求の手段とした場合には、その弊害は非常に大きいわけでございます。医療法人は専ら医療を遂行するための非営利的な法人というわけでございまして、従来、その運営、組織の構成について制約がなかったわけでございますが、これまで起こりましたいろいろの案件、事件を考えてみますと、その医療法人において医学的な知識が欠落をしておって、それによって問題が起こったというような場合が多いわけでございます。そういった点を勘案をいたしまして、今後の医療の適正な提供を確保するために、医療法人の管理運営をつかさどる責任者である理事長は原則として医師歯科医師から選出をするというふうにいたしたわけでございます。  なお、その場合に、既存の医療法人についてどうするのかということでございますが、一応二年間の経過期間を置きまして、その間にできるだけ医師または歯科医師理事長にかわっていただくという行政指導をいたしたいと考えておりますが、二年間経過期間が済みました後に、なお医師でない方が引き続きその医療法人理事長をしておられるというような場合には、それはそれで認めることにいたしたいと考えております。  以上でございます。
  106. 森田景一

    ○森田(景)委員 答弁漏れです。知事の認可の条件。
  107. 竹中浩治

    竹中政府委員 医師歯科医師以外の人を理事長にしてもよいということで都道府県が認可をするわけでございますが、その場合に、非常に抽象的で恐縮でございますが、その人を理事長としても十分運営が適正に行われるというふうに判断した場合には都道府県知事が認可を与えるということでございまして、その範囲は厚生省通達で示すという予定にいたしております。この点につきましては、私どももこれから関係の方々の御意見を十分伺いまして、このことによりましていろいろ問題が生ずるというようなことがないように、また、制度の適正な運営が図られるという方向で具体的な内容については検討を進めてまいりたいと考えております。  なお、そのうちの一つの例として申し上げましたのが、先ほどのあの既存法人の二年間経過後の場合でございます。
  108. 森田景一

    ○森田(景)委員 時間が参りましたので、終わります。
  109. 戸井田三郎

    戸井田委員長 塩田晋君。
  110. 塩田晋

    ○塩田委員 医療法の一部を改正する法律案につきまして、私たち民社党は、さきの国会におきまして、また今国会におきましても、過去二回にわたりまして細部にわたり御質問をし、また提言をしてきたところでございます。民社党といたしまして、衆議院の社会労働委員会における最終締めくくりの質問並びに要望をさせていただきますので、大臣及び関係局長から御答弁をお願いいたします。  まず第一点は、今回の法案修正によりまして一人法人が認められるということはよいことだと思っておりますが、そのかわりに、見返りとして医師の社会保険診療報酬に対する事業税の非課税措置を撤廃する方針を固められたということが報道されておりますけれども、厚生大臣はこの事業税非課税措置を存続する意思はおありかどうか、このことをお伺いいたします。  第二点、地域医療計画の策定に当たりましては、そのガイドラインをあらかじめ明確にすべきであると思いますが、厚生省はどのようにお考えでございますか。  第三点、地域医療計画の策定者は各都道府県知事でございますが、医療圏を二都府県以上にまたがりまして設定することが適当な場合には、当該地域計画が円滑に推進できるようにぜひとも配慮されませんと、策定者はそれぞれ対等の地位ですから、この調整はいろいろと問題が起こることはさきにも指摘したところでございますが、これはぜひとも適切な御配慮をしていただきたい。このことを要望いたします。  第四点、高度先進医療につきまして、歯科で現在普遍的に行われております技術、器材につきまして被保険者の立場から積極的に保険診療に取り入れるべきであると思いますが、どのようにお考えでございますか。  第五点、今後包括的な医療体制を推進するに当たりまして、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士等たくさん同種のものがございますけれども、その必要人員等を医療法において明確にすべきではないかと思いますが、いかがお考えでございますか。  第六点、医療施設を二十ベッドという病床数で病院診療所と区分しておりますが、現状からいいまして現行制度を早急に見直すことが必要ではないかと思いますが、いかがでございますか。  第七点、地方公共団体の行う健康診断等の事業につきまして医師歯科医師等の無料奉仕が行われております。これは、地域医療計画策定及び運営につきまして安易に無料奉仕に頼ることのないように指導していただきたいと思います。特段の御配慮をお願いいたします。  第八点、医療法人理事長を医師または歯科医師原則とする規定につきましては、医療法人の実態を考慮した適切かつ十分に弾力的な運用を行いまして、種々の不都合が起こることのないよう努めていただきたいと思います。  以上、質問と御要望を申し上げまして私の質問を終わりますので、簡潔に御答弁をお願いいたします。
  111. 増岡博之

    増岡国務大臣 まず一番の一人法人の事業税のことで申し上げます。  この医療法改正によりまして地域医療計画策定あるいは医療法人に対する指導監督規定整備をするわけでございまして、公共性はより一層高まるわけでございます。また、いわゆる一人法人についても、国会でこれを認める方向の御決定が行われました場合におきまして、これも当然のことながら営利目的とするわけではございませんし、医療法人として今回の改正された都道府県知事の監督下に入るわけでございまして、こうしたことを勘案しますと、一人法人の見返りとして事業税の非課税措置を廃止するという考え方には合理的な理由がございませんので、今後とも非課税措置の存続を強く働きかけてまいりたいと思います。  残余は担当から……。
  112. 竹中浩治

    竹中政府委員 二番目のガイドラインでございますが、この内容につきましては医療審議会に諮った上で定めるということでございまして、現段階ではまだお示しをするところまで至っておりません。できるだけ早く厚生省としての素案を作成し、お示しをしたいと考えております。  それから三番目の、二県以上、複数県にまたがる医療圏の問題でございまして、これは最終的に形の上でそれぞれのAとBという両県にまたがります場合には、A県に属する部分はA県で、B県に属する部分はB県で策定をするということに相なるわけでございますが、その間におきまして両県間で十分な協議をしていただく、それからまた必要がある場合には厚生省として調整に乗り出すということを考えておりますので、スムーズに作成されるよう十分配慮をしてまいりたいと考えております。  それから五番目の、PT、OT等あるいは臨床検査技師等につきましてその必要人員などを医療法において明確にすべきでないかという御指摘、それから病院診療所をベッド二十床で分けるのは現在の段階で適切なのかという御指摘でございます。  いずれの問題につきましても、病院診療所機能のあり方とも関連をする問題でございまして、これらの点につきましては、現在も医療法改正をお願いしておりますが、それ以降に総合的な見直しの一環として検討を進めたいと考えております。  それから七番目の、健診事業等につきまして医師歯科医師に大変御協力をいただいておるわけでございます。地域の保健事業のために大変御献身をいただいておるということは十分承知をいたしております。医療計画等を策定する場合にまたいろいろとお願いをしなければならないかと思いますが、無理な事態を生じないように配慮してまいりたいと思っております。  それから、理事長は原則として医師である、原則以外の場合は都道府県知事の認可によるということでございます。御指摘のように、実態を十分踏まえまして支障の起こらないよう弾力的に考えてまいりたいと思っております。
  113. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 第四番目の、歯科領域で普遍的に行われる技術の問題についてでありますが、保険診療におきましては、必要にして適切な医療はこれを確保するという観点から、歯科領域におきましても適正に評価の上、保険導入を図るのが基本的に私ども考え方であります。  ただ、一般的に行われております歯科技術のうちでも、主として審美性を追求するものあるいはより快適性を求めるもの等もありますので、こういった問題についてどういう取り扱いをするか、現在、中医協で審議が始められたところであります。私どもといたしましては、そのような技術につきましては審議の状況を見守りながら対処してまいる考えであります。
  114. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。
  115. 戸井田三郎

    戸井田委員長 浦井洋君。     〔委員長退席、丹羽(雄)委員長代理着席〕
  116. 浦井洋

    ○浦井委員 前回に引き続いて質問をいたします。  現行の医療法第五条の二で「国及び地方公共団体は、病院又は診療所が不足している地域について、計画的に病院又は診療所整備するように努めなければならない。」ところが、今度の改正案なるものを見てみますと、それを三十条の五に移して「整備その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。」  私は法律専門家でないから、この辺の区別がよくわかりませんけれども、どうも国の直接的な責任が軽くなっておるのではないか、国の責任が後退しておるというような印象をこの条文を見て感ずるわけでありますが、現行の精神と変わりがないのかどうか、端的にお答えいただきたい。
  117. 竹中浩治

    竹中政府委員 従来の「努めなければならない。」それが「ものとする。」そういう御指摘でございますが、「努めなければならない。」これは都道府県知事の義務ということでございますが、それを「ものとする。」といたしましても、これは実際上は内容は変わらないというふうに私ども考えております。
  118. 浦井洋

    ○浦井委員 それが、法が実施されると変わってくるのですよね。実際上は変わらないと今は言っておるけれども。  それで具体的にお尋ねいたしますけれども厚生省がことしじゅうに廃止しようとしておる群馬県吾妻町の長寿園ですね、これは廃止したら病院または診療所が不足している地域になってしまって、実際上変わらないという改正案の三十条の五にこれはもとるのと違いますか。
  119. 仲村正治

    仲村政府委員 お尋ねの長寿園の関係でございますが、ただいま健康政策局長からお答えになりましたように、「その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。」ということが規定されておるわけでございますけれども、園または地方公共団体がみずから病院等開設、運営することを義務づけたものではなくて、病院等整備することの中には、他の者による病院等開設が促進されるよう種々の助成措置を講ずることも含まれると私ども考えておる次第でございます。
  120. 浦井洋

    ○浦井委員 仲村さん、もうちょっとはっきり言っていただきたいのですが、要するに現行法改正案とは変わるわけでしょう。それで長寿園は廃止をしようとしておるわけでしょう。その長寿園を診療所にしようというわけでしょう。どこが主体になるのですか、運営の主体は決まっておるのですか。
  121. 仲村正治

    仲村政府委員 長寿園の統合後の後医療確保につきましては、無医地区とならないようにすることは重要なことでございますので、吾妻町、群馬県とも今話し合いをしておりまして、診療所を設置することにしておりますが、設置主体についてはまだ決定を見ておりません。
  122. 浦井洋

    ○浦井委員 こういう文書があるのですよ。あなた方が一つの方法として考えておられる、西群馬病院に統合しようということだけれども、全医労という労働組合と西群馬病院の院長との確認書の中に「長寿園が現地で果している役割を踏襲することはできない。」院長がはっきり言っておるわけです。「西群馬病院の六十年度整備は、機能強化を計るものであり、長寿園を受け入れるためのものではない。」三番目に「六十年度整備にともなう必要な人員はその実現に最大限努力する。」こういうことを言っておるわけです。だから、西群馬病院は引き受ける気はないのですよ。どうするのですか。
  123. 仲村正治

    仲村政府委員 長寿園が担当しております現在の結核、脳血管障害等の老人慢性疾患の医療につきましては、私どもといたしましては西群馬病院が同じ診療機能を有しておると考えておりますので、西群馬病院で対応できるというふうに考えておる次第でございます。
  124. 浦井洋

    ○浦井委員 ところが、ことしの十月八日に西群馬病院長がはっきりそういうふうに言っておるわけです。もう一遍違った言葉を言いましょうか。西群馬病院長は「長寿園が現地で果たしている役割は西群馬病院で踏襲することはできない。」「西群馬の六十年度整備は、肺ガン・肝臓ガン等の機能強化を計るものであり、長寿園を受け入れるためのものではない。」こう言っているのです。これは一体どうなっているのですか。  私はここで一問一答を繰り返しませんけれども、国立病院・療養所統廃合のための基本指針の特徴というのは、国立病院・療養所が地域医療一般医療、基本医療から後退をして高度専門医療に限定しようとしておる、そこに特徴があると思う。だから、国立医療の総合性とか地域性がなくなる、あなた方が考えていることがストレートにいかないだろうけれども、もしいったとすれば、ますます国立病院・療養所というのは地域住民との間の敷居が高くなるというふうに私は憂えざるを得ないわけなんです。  私はやはり国立の医療機関というのは差別診療をやらない、差額診療もやらない、不採算医療もきちんとやっていく、その地域に欠けているものを積極的にやっていく、国民も地域医療に密着したそういうものを望んでおられるわけですから、今あなた方が出されているような国立病院・療養所の統廃合というのではなしに、むしろ充実をしなければいけない。地域医療の規範的施設として発展させて、そこで余力があれば高度専門医療をその上につけ加えるべきではないか、そういうように私は思うのですが、どうですか。
  125. 仲村正治

    仲村政府委員 私ども考え方といたしましては、現在医療内容が御承知のように高度化、多様化しておりますし、公私の医療機関整備状況の推移等いろいろの情勢の変化を踏まえまして今後国立病院・療養所がどのような機能をその地域で果たすべきかということを考え直しまして、高度専門医療を初めとする政策医療と国立医療機関にふさわしい役割と機能を果たすことが適切かつ効率的であるということから今回の再編成の考え方を基本方針で打ち出したわけでございます。もとよりこの医療法内容でうたわれております地域医療計画が適切に樹立され運用されることが重要だと考えておりますけれども、国立が担うべき機能、役割分担というのは先ほど申し上げたようなことで私ども考えておるところでございます。
  126. 浦井洋

    ○浦井委員 そこが違うところですよ。地域医療を基本にして、その上に高度医療あるいは特殊医療、不採算医療、こういうものをやっていくべきだ。そこのところが違うわけなんです。そこを仲村さん、再考してください、私はもう答えは要らぬですから。  そこで、理事会で修正案が配られたようでありますけれども、そこに資産要件というのがありますね。従来、厚生省としては、資産要件は具体的な数字は特定してなかったわけですね。今度は省令定めるというような格好になっておるわけなんですけれども、言いかえれば自己資本率ですね。今までそういう自己資本率を特段の定めをしなかったのはなぜかという問題です。
  127. 竹中浩治

    竹中政府委員 現在、医療法人の資産要件は、現行医療法におきまして「その開設する病院若しくは診療所に必要な施設又はこれに要する資金を有しなければならない。」ということになっておるわけでございます。その具体的な基準は特に定めておらないわけでございます。医療法人開設いたします施設の規模等によって非常に異なってまいるわけでございますので、現在の段階では原則として統一的な基準を設けることはしておらないわけでございます。
  128. 浦井洋

    ○浦井委員 それで、これは立法府の問題であるのです。これから省令定める、多分こうなるわけですよね。多分と言うたらおかしいのですけれども。その場合に、やはり各都道府県によって一人当たりのベッド数が違うわけでしょう。だから、厚生省として全国一律に高い自己資本率を定めるようなことをすべきではないというふうに私は思うのですが、その点についての厚生省の見解をお伺いしたい。
  129. 竹中浩治

    竹中政府委員 今回、医療法人の資産要件の明確化ということで修正事項として御検討をされておるということは私ども承知しておるわけでございます。そういうことで、国会の場でそういう決定をされました場合には、私どもはもちろんそれに基づいて実施をしていくということになろうかと思いますが、現在の段階では、内容をどのようにするかというのは全く白紙でございまして、そういう御修正がありました場合には、今後関係者の御意見等よく伺いながら現状を十分踏まえて定めるということにいたしたいと思っております。
  130. 浦井洋

    ○浦井委員 それだったら私の質問に答えてないわけですね。だから、全国一律に高い自己資本率を数字として定めるべきではない。例えば二〇とか五〇とかというような数字が出ておりますけれども、それは現実には高いわけですよ。だから、厚生省の意向を聞いているわけなんです。
  131. 竹中浩治

    竹中政府委員 先ほども申しましたように、現在の段階で厚生省としての考え方をお示しするという用意はまだできておりませんで、今の先生の御意見考え、あるいはその他の関係者の御意見もよく伺った上で定めていきたいということでございます。
  132. 浦井洋

    ○浦井委員 なかなか慎重なお答えでありますが、何遍も繰り返しますけれども全国一律で高い自己資本率にするとだめなんだということを私は要求しておきたいと思うのです。自治省、来ておられますか――厚生大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、もう再々答えておられるのですが、一人法人が成立をした場合、きのうの日経ですが、これは内容を読みませんが見出しだけ、「事業税「一人法人」実現で 医師非課税撤廃へ」こういう格好になっていますね。厚生大臣としては、こういう医師非課税撤廃というようなことは考えておられないわけですね。
  133. 増岡博之

    増岡国務大臣 私どもは事業税の非課税を堅持いたしたいと思っております。それは、この医療法改正によりまして医療の公共性が一層高まるわけでありまして、いわゆる一人法人について仮に国会でお決めいただきましても、この一人法人も営利目的とすることは当然できないわけでありまして、運営面についても整備された都道府県知事の監督下に入るなど公共性が極めて高いので、非課税措置を堅持いたしたいと思っております。
  134. 浦井洋

    ○浦井委員 自治省、どうですか。     〔丹羽(雄)委員長代理退席、稲垣委員長代理着席〕
  135. 志村哲也

    ○志村説明員 お尋ねのございました事業税に係る社会保険診療報酬の特例措置の問題についてでございますけれども、この問題はこれから税制調査会において御審議をいただく事項でございますので、私どもとしては税制調査会の御審議を承りながら検討してまいりたい、かように存じております。
  136. 浦井洋

    ○浦井委員 はっきりせぬわけですが、とにかく厚生大臣に要望しておきたいと思います。非課税措置は存続をするということで、これは頑張っていただきたいということを要望しておきたいと思います。  それから、保険局長さん、この間非常に重要な発言をされたわけですが、勧告に従わない場合に保険医療機関としては指定しないというようなニュアンスの答弁をされたわけですよね。もしそういうふうにやるとすれば、現在の健康保険法で規定できるわけですか。
  137. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 医療法におきまして定めます医療計画は、都道府県知事が所定のルールに従いまして都道府県医療審議会等に諮りまして地域の合意を得て定められるものであります。こういった一定のルールに従って定められました地域医療計画に反するということで病院開設あるいは増床について都道府県知事から勧告がなされまして、この勧告に従わないような病院について都道府県知事が保険医療機関として指定を行わないという考え方が成り立ち得るということは、先般の当委員会でも私が御答弁申し上げたとおりであります。  いずれにいたしましても、地域でいろいろな手続を経て地域の合意としてこの病院開設は望ましくないということで勧告がなされ、その勧告に従わない、こういう事態を頭に置きまして、しかもそういった場合に考え方として保険医療機関として指定を行わないということもあり得る、すべてについて指定を行わないということではありませんで、そういうこともあり得るということを申し上げたのであります。     〔稲垣委員長代理退席、委員長着席〕
  138. 浦井洋

    ○浦井委員 だから、私が聞いているのは、その場合に現行の健康保険法をとこか改正するのか、それとも現行健康保険法でやれるのかということを聞いているわけです。
  139. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 いずれにいたしましても、保険医療機関の指定を拒みます場合には「地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ル」こういうことになっておりますので、地域の実情と具体的な事例に即して判断するべきものと考えております。
  140. 浦井洋

    ○浦井委員 そうすると、地域医療協でやれるという解釈ですか。
  141. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 現在の健康保険法におきましては、四十三条ノ三の第二項で「保険医療機関」「トシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキハ其ノ指定ヲ拒ムコトヲ得」こういうことになっております。そういったケースに該当するようなものについては指定を拒み得るものと考えております。
  142. 浦井洋

    ○浦井委員 しつこいようですが、そうすると、健康保険法は四十二条ノ三ですね、「其ノ他」こういうところにも含み得るわけですか。「其ノ他」があるでしょう。
  143. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 第四十三条ノ三でありますけれども、条文を読み上げますと、「都道府県知事保険医療機関」「ノ指定ノ申請アリタル場合二於テ当該病院」「ガ本法ノ規定ニ依リ保険医療機関」「ノ承認ヲ取消サレ二年ヲ経過セサルモノナルトキ」「其ノ他保険医療機関」「トシテ著シク不適当ト認ムルモノナルトキハ其ノ指定ヲ拒ムコトヲ得」こういうのが二項でございます。  今お話しの三項は、「都道府県知事保険医療機関」「ノ指定ヲ拒ムニハ地方社会保険医療協議会ノ議ニ依ルコトヲ要ス」こういうことであります。
  144. 浦井洋

    ○浦井委員 それでもう一つ、今日本医療機関の中で保険医の指定を受けておるものはどれくらいあるのですか。逆に言えば、受けていないのはどれくらいなんですか。
  145. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 今手元にありますのは病院の数字でありますけれども医療施設調査で本年の四月、病院の数が九千五百八十でありますけれども、同月におきまして、そのうち保険医療機関の指定を受けておりますのは九千五百三十三であります。四十七病院が保険医療機関の指定を受けておりません。
  146. 浦井洋

    ○浦井委員 だから、パーセントにしたらほとんどが受けている。四十七病院が受けていない。そうなってきますと、今の保険局長議論は、もう実質的に国民皆保険ができ上がって、保険医療機関、指定医療機関がほとんどであるというようなときに、実際上職業選択の自由を奪うものではないかという考えを私は持っておるわけなんですよ。だから、私はこれからいろいろ議論をしていきたいとは思っているのですが、私はそれを指摘しておきたい。そういう点で、私ども共産党としては今回の医療法改正については反対の意思表示をはっきりとしておきたいと思うのです。  この間私が言いましたように、やはり今回の医療法改正というのは臨調答申に基づく医療費抑制策の一つであって、老人保健法、健康保険法、そういう制度改悪に引き続いて、自民党の一部の議員も賛成しておられるように医療供給体制に手を入れかけてきたのだ、こういうことが明らかであるわけであります。  だから、私が今まで質問してきたように、政府考えておる地域医療計画というのは、必要的記載事項というのは医療圏と必要病床数に限られておる。国民にとって最も必要とする病院整備の目標や医療機関相互の連係、それから福祉施設との連係あるいは救急医療の体制づくりなどは任意的記載事項になる。つくってもつくらなくてもよいものとなっておる。また、住民の意向も十分に反映されないというのも、この前質問したとおりであります。このことは、この法改正目的がやはり病院の病床規制であるということを端的に示しておると思わざるを得ないわけであります。これはもう国民の望む方向と逆であります。私は、国民の望んでおるのは、やはり下からずっと地域計画を本当につくっていくということだと思うわけで、あなた方の考えておられる計画とは似て非なるものであるわけであります。  しかも、地域医療計画に基づく勧告に従わなければ……(「質問しなさい」と呼ぶ者あり)今質問したでしょう。勧告に応じない医療機関に対しては保険医療機関として指定しないというような答弁がきょうもあったわけですよ。だから、これはもう当該地域での開設許可しないというに等しいわけなんです。憲法の話を出しましたけれども、憲法二十二条職業選択の自由あるいは営業の自由に抵触するおそれが濃いわけです。自由開業医制の否定につながりかねないもの、保険医療機関の指定をてこにして医療機関に対する官僚統制に道を開くものと言わなければならぬと私は思うわけであります。  さらに、法律規定しておるのは計画の骨格だけで、その中身は専ら省令とかガイドラインでしょう。それは出てないわけなんです。これではもう審議も十分にできない。私は、まことに遺憾千万であるということなんです。だから、今、長寿園の問題を例にとりましたように、国立病院・療養所の統廃合というのも、まさにこの医療法改正の、医療供給体制のベッド規制の一環であるということが明らかであります。病院の病床を官僚的に規制することを主なねらいとして、医療供給体制の改善拡充に役に立たない今回の医療法改正に我々は反対をせざるを得ないわけであります。  また、修正案に盛り込まれておる医療法人の資産要件も、竹中さん余り明確にお答えがなかったわけでありますけれども、この自己資本率を法定化することによって病院開設を困難にするもの、そういう点で私は反対であります。  それから、医療法人における一人法人の設立認可と引きかえに、今自治省がお答えになったように事業税非課税が撤廃される可能性があるわけですが、そういう事業税非課税撤廃には私は反対せざるを得ないわけであります。  以上のとおりで、私は修正案にも反対をしたいということであります。  だから、そういうことを大臣に要望申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  147. 戸井田三郎

    戸井田委員長 丹羽雄哉君。
  148. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 地域医療計画は僻地の医療体制を充実させるために一日も早く策定されることが望まれておりますが、その一方で、一部に都市部では既存の病院を守るということが出てくるわけでございますし、かえって増床しなければならないときに増床できないという足手まといになるのではないか、あるいは意欲ある青年医師がいざ病院開設しようというとき、できなくなるのではないかと危惧する声が一部にあるというふうに聞いております。本来、医療は官僚統制であってはならないし、自由診療を貫いていくことが高い医療水準を今後とも維持していくことになると思いますが、大臣、こうした一部の不安を解消する答弁をお願いいたしたいと思います。
  149. 増岡博之

    増岡国務大臣 我が国の医療は元来自由開業医制によって支えられてきた伝統があるわけでございます。また、医療の分野において民間の活かを生かしていく観点からは、これを今後も堅持していくことが基本的に必要と考えておるところでございます。したがって、無秩序な病院、病床の増加を図る場合を除き、御指摘のような御懸念の事態は生じないと考えております用意欲のある若い医師の活躍を大いに期待をしておるところでございます。
  150. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 一部の報道によりますると、自治省は、今回の医療法改正でいわゆる一人法人が認められることによって一般法人と税制面で区別して優遇する理由がなくなった、だから事業税の非課税措置を撤廃する方針を固めたと言うが、そういう事実はあるのですか、自治省。
  151. 志村哲也

    ○志村説明員 お答えを申し上げます。  お尋ねのございました報道の件につきましては、自治省としては関知しておりません。また、社会保険診療報酬に対する特例措置の問題は、税制調査会においてこれから御審議をいただく事項でございます。
  152. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 自治省は関知してないということですが、これはもうけしからぬ話でございます。大臣、私は、むしろ今回の医療法改正によって公的な仕組みとして地域医療計画が策定されて、より公共性が高まったと見ておるわけでございます。非営利性を貫くという点から、逆に断固現行制度を守っていくべきであると考えるわけでありますが、もう大分時間もございませんので、最後にこの点について大臣の決意をお聞きしたいと思います。
  153. 増岡博之

    増岡国務大臣 医療は人間の生命や健康にかかわる非常に公共性の高いものであることは御高承のとおりであります。とりわけ診療報酬は、国民皆保険という国の施策に協力して定められておる公的な価格のもとに必要な医療を提供するものであり、極めて高度の公共性を有しておるわけであります。今回の医療法改正案におきましては、特に地域医療計画の策定と医療法人に対する指導監督規定整備によって医療の公共性がより一層高まることとなると考えておるわけでございまして、このような社会保険医療性格を踏まえますと、従来の診療報酬についての税制上の取り扱いは合理的な理由があると考えておりますので、今後ともその存続を強く働きかけてまいりたいと存じております。
  154. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員 まだ時間も余っておりますけれども、議事進行のため、以上をもって質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
  155. 戸井田三郎

    戸井田委員長 以上で本案に対する質疑は終局いたしました。     ―――――――――――――
  156. 戸井田三郎

    戸井田委員長 この際、本案に対し、稲垣実男君外五名から修正案が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。稲垣実男君。     ―――――――――――――  医療法の一部を改正する法律案に対する修正案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  157. 稲垣実男

    稲垣委員 ただいま議題となりました医療法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び社会民主連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。  修正の要旨は、第一に、医療計画については、区域の設定に関し、「高度又は特殊な医療」を「特殊な医療」に改めるとともに、任意的記載事項の例示のうち、病院整備の目標に関する事項は、「病院機能を考慮した整備の目標」を定めるものとすること。  第二に、医療計画定めることができる事項として、僻地医療、休日及び夜間診療等の救急医療確保に関する事項を明記するとともに、機能及び業務連係に関する事項関係施設として薬局その他の関係施設を追加すること。  第三に、都道府県は、医療に関する専門的科学的知見に基づいて医療計画の案を作成するため、診療または調剤に関する学識経験者団体意見を聴くものとされているが、この意見を聴かなければならない旨を法文上明確にすること。  第四に、医療計画の策定に当たって密接な連係を図るよう努めるべき関連施策として、薬事社会福祉に関する施策を例示するとともに、病院開設者等は、当該病院の建物等を、その病院に勤務しない薬剤師の研究または研修のためにも利用させるように努めるものとすること。  第五に、都道府県知事が、医療計画の達成の推進のため、病院開設者等に対して勧告することができる事項は、病院開設または病院の病床数の増加もしくは病床の種別の変更である旨を法文上明確にすること。  第六に、医師または歯科医師が常時一人または二人勤務する診療所についても、医療法人の設立を認めるものとするとともに、医療法人理事について、都道府県知事の認可を受けた場合は、三人未満の理事で足りるものとすること。  第七に、医療法人の資産要件を明確化することとし、資産要件に関し必要な事項は、その開設する医療機関の規模等に応じ、厚生省令で定めるとともに、医療法人の会計年度について、定款または寄附行為で別段の定めをすることができるものとすること。  第八に、都道府県知事医療法人に対し、業務の停止を命じ、役員の解任を勧告し、または設立の認可を取り消すに当たっては、あらかじめ都道府県医療審議会の意見を聴かなければならないものとすること。  第九に、医療法人のうち、二以上の都道府県において、病院または診療所開設しようとするものの設立等に当たっては、厚生大臣の認可を受けなければならないこと等とすること。  第十に、政府は、今後の人口動向、医学医術の進歩の推移等を勘案し、病院及び診療所のあり方を含め、医療を提供する体制に関し、速やかに検討を加え、その結果に基づいて法制の整備その他の必要な措置を講ずるものとすること。  第十一に、政府は、今後の医療の需要に対応した医師歯科医師及び薬剤師の養成のあり方に関し、速やかに検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。  第十二に、政府は、地域における適正な医療確保するために医療機関が果たしている社会的役割の重要性にかんがみ、医業経営基盤の安定及び業務の円滑な継続ができるようにするための必要な措置を講ずるものとすること。  以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。(拍手)
  158. 戸井田三郎

    戸井田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。     ―――――――――――――
  159. 戸井田三郎

    戸井田委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、その申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。  まず、稲垣実男君外五名提出修正案について採決いたします。  本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  160. 戸井田三郎

    戸井田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたしました。  次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除いて、原案について採決いたします。  これに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  161. 戸井田三郎

    戸井田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  162. 戸井田三郎

    戸井田委員長 この際、稲垣実男君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び社会民主連合五派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者から趣旨の説明を求めます。池端清一君。
  163. 池端清一

    ○池端委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護懸共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     医療法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努めるべきである。  一 国民の健康と福祉の向上を図るため、疾病の予防、治療からリハビリテーションに至るまでの包括的な保健医療体制の確立に努めること。また、医療従事者の重要性にかんがみ、その確保に努めること。  二 人口構造の高齢化、医学医術の進歩、疾病構造の変化に即した医療供給構造の確立を図るため、医療施設の区分を含め、所要の法制の整備を行う等医療制度の抜本的な見直しを行うこと。特に病院等における薬剤師を含む職員の配置の在り方については早急に検討を行うこと。  三 早急に中間施設の法的な性格を明らかにすること。  四 医療審議会の構成に当たっては、医療を受ける立場にある者を含め、医療に関する識見を有する者の幅広い意見が反映できるように留意すること。  五 医療の公共性、非営利性を重視した医療法制、税制、金融等の確立に努めること。あわせて医療法人の育成についても積極的な対策を講ずること。  六 医療法人理事長を医師又は歯科医師を原別とする規定については、医療法人の実態を考慮した適切な運用を行うこと。  七 診療科名を含む医業に関する広告の制限については、医療事情の変化、国民意識の動向に即し見直しを行うこと。 以上であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  164. 戸井田三郎

    戸井田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  稲垣実男君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  165. 戸井田三郎

    戸井田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。  この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増岡厚生大臣。
  166. 増岡博之

    増岡国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。     ―――――――――――――
  167. 戸井田三郎

    戸井田委員長 お諮りいたします。  本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 戸井田三郎

    戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――
  169. 戸井田三郎

    戸井田委員長 この際、お諮りいたします。  第百二回国会より継続審査となっております稲垣実男君外四名提出下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 戸井田三郎

    戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  171. 戸井田三郎

    戸井田委員長 次に、厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。  下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来各会派間において御協議いただき、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしてございます。  その起草案の趣旨及び内容について、委員長から簡単に御説明申し上げます。  御承知のとおり、昭和五十年には、一般廃棄物処理業者等が下水道整備等により受ける著しい影響を緩和するため、下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法が制定され今日に至ったわけでありますが、これまでこの法律に基づく合理化事業計画定めた市町村はなく、一部の市町村において、転廃業を余儀なくされる一般廃棄物処理業者等に対し、事実上の措置として、交付金の交付等を行っているという実情にあります。  このため、本案は、市町村におけるこれまでの事実上の措置が、合理化事業計画に基づくものとして、実施しやすくなるよう、同計画定め事項として、業務の縮小または廃止を余儀なくされる一般廃棄物処理業等を行う者に対する資金上の措置に関する事項を加えようとするものであります。  以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。     ―――――――――――――  下水道整備等に伴う一般廃棄物処理薬等の合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  172. 戸井田三郎

    戸井田委員長 本件について発言を求められておりますので、これを許します。池端清一君。
  173. 池端清一

    ○池端委員 本改正案につきましては、我が党も賛成の立場でありますが、その運用に当たりまして二、三の点について確認質問をさせていただきたいと思いますので、厚生省の方からお答えをお願いしたいと思います。  まず第一は、清掃事業は廃棄物処理法により自治体の固有事務となっておりますが、今回の法改正が地方自治の侵害とならないように適正な運用を図る必要があると思いますが、厚生省の運用方針はいかがでありましょうか、お尋ねをしたいと思います。  また、これは新たな民間委託を推進するものではないとお約束できるでありましょうか、その点、大臣の見解をお尋ねしたいと思うのであります。
  174. 増岡博之

    増岡国務大臣 合理化事業計画は、合理化法にも規定されておりますように、あくまで清掃事業の担い手である市町村が地域の状況を踏まえてみずからの発意により定めるものでございまして、厚生省としても地方自治を尊重しつつ適正な法の運用を図ってまいる考えであります。  なお、お尋ねの民間委託の件でございますが、清掃事業の実施体制は、一般廃棄物の処理責任を有する市町村が生活環境の保全上皮陣が生じないように地域の実情に応じて自主的に定めるものでありまして、今回の法改正が特段民間委託の推進に結びつくものとは考えておりません。
  175. 池端清一

    ○池端委員 下水道整備に伴って一般廃棄物処理業務が縮小または廃止されることになりますが、それに伴って最も影響を受けるのは、そこに働いていた従業員の方々でございます。し尿収集の作業は住民生活の上で最も重要な仕事であり、これらの従業員は本当に御苦労をされてきた人たちでありますので、これら従業員に対する十分な配慮が必要ではないか、このように思うのであります。具体的には、交付金等が経営者だけでなくそこに働いている従業員の人たちにも十分配慮されるべきではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
  176. 森下忠幸

    ○森下説明員 お答え申し上げます。  大変ごもっともな御指摘と存じます。日ごろ非幣に苦労の多いし尿処理の仕事を引き受けられまして市町村の清掃行政に貢献しておられましたのは一般廃棄物処理業の経営者でございますが、これと並びまして毎日の仕事に従事される従業員の方々、大変に御苦労されておるわけでございます。これが下水道整備によりまして業務が縮小あるいは廃止を余儀なくされるという場合には、御指摘のとおりこれらの従業員に対しましても十分な配慮を払っていかなければならないと考えております。  したがいまして、厚生省といたしましては、市町村がこの法律に基づく合理化事業計画において資金上の措置を定める際には、従業員に対しましても適切な考慮が払われるよう地方公共団体指導してまいる考えでございます。
  177. 池端清一

    ○池端委員 最後でございますが、それに関連をいたしまして、労働者の皆さん方の再就職等に当たって、職業訓練簿特段の配慮を払うべきではないかと考えるわけでありますが、例か具体的な方策がございましたら、それをお示し願いたいと思います。  以上です。
  178. 森下忠幸

    ○森下説明員 職業訓練に関する一般的な制度といたしましては、職業訓練法に基づく公共職業訓練施設による職業訓練の制度がございます。  このほか廃棄物処理業の事業それ自体の転換及びそこで働いております従業員の職業訓練を容易にするための特別の措置といたしまして、中小企業事業転換対策臨時措置法によります業種指定を受ける方途がございます。でございますので、今後このし尿処理業などを指定業種とすることについて関係省庁、これは通商産業省、労働省でございますが、これらと十分連絡調整を図ってまいりたいと考えております。  また、以上申し上げましたような職業訓練制度の活用などにつきまして、市町村や事業者に対しまして周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
  179. 池端清一

    ○池端委員 終わります。
  180. 戸井田三郎

    戸井田委員長 これより採決いたします。  お手元に配付いたしております下水道整備等に伴う一般廃棄物処理業等合理化に関する特別措置法の一部を改正する法律案の草案を成案とし、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  181. 戸井田三郎

    戸井田委員長 起立総員。よって、さよう決しました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  182. 戸井田三郎

    戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る十二月三日火曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時二十六分散会      ――――◇―――――