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1985-11-21 第103回国会 衆議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十一日(木曜日)     午前十時二分開議 出席委員   委員長 戸井田三郎君    理事 稲垣 実男君 理事 小沢 辰男君    理事 丹羽 雄哉君 理事 浜田卓二郎君    理事 池端 清一君 理事 村山 富市君    理事 大橋 敏雄君 理事 塩田  晋君       伊吹 文明君    小杉  隆君       古賀  誠君    自見庄三郎君       谷垣 禎一君    長野 祐也君       西山敬次郎君    野呂 昭彦君       林  義郎君    網岡  雄君       河野  正君    多賀谷眞稔君       竹村 泰子君    森井 忠良君       沼川 洋一君    橋本 文彦君       森田 景一君    森本 晃司君       浦井  洋君    小沢 和秋君       菅  直人君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 増岡 博之君  出席政府委員         厚生大臣官房総         務審議官    北郷 勲夫君         厚生大臣官房審         議官      内藤  洌君         厚生省健康政策         局長      竹中 浩治君         厚生省保健医療         局長      仲村 英一君         厚生省保健医療         局老人保健部長 黒木 武弘君         厚生省薬務局長 小林 功典君         厚生省保険局長 幸田 正孝君         社会保険庁医療         保険部長    花輪 隆昭君  委員外出席者         法務省人権擁護         局調査課長   永井 敬一君         文部省初等中等         教育局中学校課         長       林田 英樹君         厚生省保健医療         局精神保健課長 小林 秀資君         自治省税務学府          県税課長    志村 哲也君         社会労働委員会          調査室長    石川 正暉君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月十五日  辞任        補欠選任   菅  直人君    江田 五月君 同日  辞任        補欠選任   江田 五月君    菅  直人君 同月二十日  辞任        補欠選任   小沢 和秋君    工藤  晃君 同日  辞任        補欠選任   工藤  晃君    小沢 和秋君     ――――――――――――― 十一月二十日  被爆者等援護法制定に関する請願横山利秋君  紹介)(第三二五号)  保育行政推進等に関する請願井上一成岩紹  介)(第三二六号)  老人医療への定率自己負担導入反対等に関する  請願多賀谷眞稔紹介)(第三二七号)  同外一件(三浦久紹介)(第三八七号)  同外一件(河野正紹介)(第四四四号)  同(上坂昇紹介)(第四五九号)  老人医療費患者負担増大反対等に関する請願  (横山利秋紹介)(第三二八号)  同(横山利秋紹介)(第三三五号)  同(小渕正義紹介)(第三五七号)  同(辻一彦紹介)(第三五八号)  同(経塚幸夫紹介)(第三八八号)  同(柴田睦夫紹介)(第三八九号)  同(岡崎万寿秀紹介)(第四一三号)  同外一件(網岡雄紹介)(第四四六号)  同(簔輪幸代紹介)(第四四七号)  老人保健制度拠出金増額反対に関する請願  (左近正男紹介)(第三二九号)  同(伊藤茂紹介)(第三三七号)  同(左近正男紹介)(第三三八号)  同(中村正男紹介)(第三三九号)  同(横江金夫紹介)(第三四〇号)  同(佐藤観樹紹介)(第三五九号)  同(和田貞夫紹介)(第四四八号)  同(上田卓三紹介)(第四六〇号)  同外一件(左近正男紹介)(第四六一号)  健康保険本人の十割給付復活等に関する請願  (伊藤茂紹介)(第三三六号)  原爆被爆者援護法制定等に関する請願外二件  (土井たか子紹介)(第三五六号)  同外一件(土井たか子紹介)(第四四九号)  健康保険本人十割給付復活等に関する請願  (梅田勝紹介)(第三九〇号)  同(東中光雄紹介)(第三九一号)  老人医療無料化制度復活等に関する請願(経  塚幸夫紹介)(第三九二号)  同(田中美智子紹介)(第三九三号)  原爆被害者援護法制定に関する請願中林佳子  君紹介)(第四一〇号)  老人保健法改悪反対等に関する請願東中光雄  君紹介)(第四一一号)  生活協同組合の規制立法反対に関する請願(藤  田スミ紹介)(第四一二号)  医療保険制度改善に関する請願岡崎万寿秀君  紹介)(第四一四号)  看護婦夜勤日数制限等に関する請願菅直人  君紹介)(第四四五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  医療法の一部を改正する法律案内閣提出、第  百一回国会閣法第六七号)      ――――◇―――――
  2. 戸井田三郎

    戸井田委員長 これより会議を開きます。  第百一回国会内閣提出医療法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。竹村泰子君。
  3. 竹村泰子

    竹村委員 医療法改正案についてお伺いをいたします。  医療法改正案にはいろいろ問題点があるわけですけれども、たくさん御質問したいことがありますけれども、私はまず大臣にお答えいただく三点をすらすらと申し上げますので、まとめてお願いを申し上げたいと思います。  まず、都道府県地域医療計画策定義務づけたのに、国の医療計画に関する規定がないのですね。例えば、医療従事者計画的な養成などというのは国の計画が不可欠です。これは責任をどうとられますでしょうか。  次に、医療圏の線引きや必要病床数などの設定につきましては、計画策定義務を負わされている都道府県の裁量と権限にゆだねるべきではないかと思うのですけれども、これを厚生省令標準をつくろうとしておりますね。これはいわば義務のあるところに権限ありの立法の原則に反するのではないでしょうか。  三番目に、都道府県は、地域医療計画について医療審議会に諮問する前に三師会意見を聞かなければならないということにしているわけですけれども、これは医療審議会メンバーの一部を特別扱いすることになり、公的機関の運営としてはあるまじきことではないかと思うわけです。三師会は同審議会メンバーであることは特に法定されていなくても常識であると思いますけれども、この三点について大臣どうお考えになりますか。
  4. 増岡博之

    増岡国務大臣 まず第一点でございますけれども、我が国の医療供給体制は、地域特性によっていろいろ異なっておる面がありますので、国が医療計画を定めてその実態に即して地域医療供給体制整備を行っていくという手法はその実態にそぐわないものが多いのではないかと考えられるわけであります。むしろ国としては、地域の実情を反映し得るような都道府県医療計画の適正円滑な策定をお手伝いをする、推進をするという観点から標準指針を示すとともに、区域を越えたもっと広域的な見地から必要とされる医療確保については国が努力をすることにいたしておるわけでございます。  二番目のお尋ねでございますけれども、今回の医療法改正の目的は、体系的な医療供給体制整備を図ることによって医療施設の不均衡な配置を是正して国民がひとしく医療を享受できるようにすることにあるわけでございますので、そのような観点から、医療圏設定必要病床数の算定の方法等につきまして基本的な内容が各都道府県ごとに区々にわならないよう必要な範囲で標準省令ガイドラインを示すことにしたものであります。この標準省令は、医療圏設定でありますとか必要病床数とかになると考えられまして、そのほかの面につきましてはガイドラインによって医療審議会意見をあらかじめ聞きまして、その内容についても、医療計画策定に当たっては各地域特性を十分反映することといたしたいと思うわけでございます。  第三点でございますけれども、具体的な医療計画区域設定につきましては、まず専門的科学的な知見が必要とされるわけでありまして、都道府県医師会等によりまして、現実に日々診療調剤を行っておられる方々を構成員として地域医療を実際に担っておられる立場から、その地域現状でありますとか計画策定に不可欠な情報でありますとか資料というものを持っておられると思いますので、それらの団体の意見を聞くことといたしたわけでございます。  これに対しまして、都道府県医療審議会はもっと高い立場から、そういう現状情報資料に基づいて政策判断として医療計画そのものをあるべき姿に適切に対応できるようなものにしていただくために医療制度に関する学識経験者の広い視野からの意見を聴取することであります。したがいまして、最初現状についての情報資料の提供と最終的な医療審議会判断とは一見重複するようでありますけれども内容的には異なった立場で、屋上屋を重ねるものではないことを御理解いただきたいと思います。
  5. 竹村泰子

    竹村委員 大臣、大変元気がないように思いますけれども、よく聞き取れなかったのですが、地域医療計画策定を余り情熱的に考えていらっしゃらないのじゃないかという気がしますけれども、そうではなくて、やはりこれは力を入れてやっていただかなければ、大変大事な地域医療の問題ですので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、次に、私は札幌蒔田病院の問題を取り上げさせていただきたいと思います。札幌病院ですけれども蒔田病院について厚生省かなり詳しく報告を受けていらっしゃると思いますが、時間の関係で一々報告をお聞きしませんけれども、質問をしてまいりたいと思います。  蒔田病院というのは札幌市北区にあります病院ですけれども、ここではまず問題点が本当にたくさんあるのです。すべての悪がここにあると言ってもいいくらいこの病院にはあるわけなのです。  まず申し上げますと、レントゲンの無資格撮影エックス線技師はいたことがない。診療放射線技師法二十四条、医師法十七条、それぞれ違反でありますね。それから、薬剤の無資格調剤薬剤師が全くいない期間がありました。五十九年の七月から十月まで、五十九年の十一月から六十年の三月まで一人おりました。先に申し上げた方は全く不在であります。これは薬剤師法十九条、医師法十七条などに違反しますね。薬剤師のいない期間はだれが調剤をしていたかといいますと、院長夫人看護婦夫人の妹などがやっていたわけであります。  それから、点滴などの水増し請求があります。これも、しない点滴をしたということでそういうふうにした。院長が一カ月分まとめて点滴の欄に記入をしていた。温度板には一カ月分あらかじめ記入してあったというふうなまことに恐るべき事情があります。  それから、今回の問題になりました第一番の点はオーバーヘッドです。定床過剰ですね。これは許可ベッドは百二十七床なのです。それが五十九年五月以来常にオーバーしていた。ことしの八月末には百七十九、一番多かったのは二百三床あった。保健所がこの間十一回立ち入り指導をしているわけですけれども、この保健所の忠告は全く無視をした。  看護婦は二十四人必要だけれども十四人しかいない。医師は三人必要だけれども院長一人だった。ある女性患者は一度も院長の顔を見ずに退院したという証言もあります。布団が重なるほど入っていたけれども警察からの患者は断らないという、大変警察を回って患者をかき集められた院長さんでございます。  それから、問題点の第五、医療内容なんですけれども、これも数々、私でたらめを申し上げているのじゃなくて、証言をきちんととっておりますので、どうぞお聞きください。監査の前に二百枚のカルテを書きなぐるそうであります。監査を予告いたしますから、十分その時間があるわけです。そしてこの院長さんは、その中の、病院内の職員のこれは証言なのですけれども、検査結果が全く読めない。心電図も読めない。回診のときカルテを持たない。勧めたらどなられた。院長回診は月一回とか、ひどいときは二カ月もやらない。入院の際に院長が直接診断したことはほとんどなく、病名は看護士看護婦さんがつけていた。処置はパターン化してあってカルテ記入自分たちがやったと職員の方は言っておられます。  それから、この立入検査に入った保健所のある方は、十回の立ち入りのうち九回は保護室に三、四人詰め込んでいるのを見た、こういう証言をしておられます。  それから、後ほどもっと大変な院長異常性を申し上げますけれども、少し院長異常性を申し上げておきますと、安定剤をいつもポケットにばらにして入れていて、お菓子のようにボリボリと食べていた。分裂症の薬を飲んでいるという、これはうわさです。それから千鳥足で歩く。倒れそうで倒れない。一日じゅうぽうっとしている。院長患者に暴行をして周りがとめた。患者収客やくざ出身患者を同行した。足元がふらつき、目がおかしい。電話を壁に投げつけるらしく、清掃婦さんがそう言っている、壁は傷だらけである。こういうふうに、枚挙にいとまがないほど大変な院長さんが今この病院現実に経営しておられるわけです。  こういう医師現行医療法では社会に送り出されてしまうわけですよね。堂々と病院を経営できる。医師国家試験というのも今はペーパーテストのみ、一定の成績をおさめれば得られるわけですね、口頭試問はないと思いますけれども。  こういう院長は何もこの院長一人ではないと思うのですね。こういう例が、堂々と病院を経営できるということはほかにも例があるのじゃないかと思うと大変恐ろしい気がいたしますけれども、これをお聞きになって今後の改善方法を何かお聞かせいただきたいと思います。
  6. 竹中浩治

    竹中政府委員 先生お話し蒔田病院でございますが、今回こういうことで国民医療に対する信頼を損なったという点からもまことに遺憾なことであると考えておるわけでございます。  先生お話をいろいろいただいたわけでございますが、患者超過収容かなり期間あったということ、あるいは医師の数が不足である、それから看護婦につきまして一時期やはり不足であったというようなことが確認をされておるわけでございますが、本年の九月の末と十月の初めに道が立入調査をいたしました際には、患者収容はまだ二十一人超過をしておった。医師につきまして、標準数三人に対しまして実質二人ということで一人不足であった。看護婦につきましては、この時点では標準数二十四人が満たされていた。それから薬剤師につきましても、一時期非常勤であったと聞いておりますが、この時点では標準数一人に対して現員が一人ということでございました。  道は、こういった事実に対しまして、本年十月二十九日に文書をもちまして蒔田病院改善勧告、今申し上げました以外に、例えば備品庫娯楽室に使っておるとか、あるいはまた診療録記載が十分でないとか等々がございましたので、それらを含めまして十月二十九日に改善勧告文書を出しておるわけでございます。  十一月の半ばになりまして、病院から改善計画書が提出されております。患者超過収容につきましては、十一月十二日現在で、百二十七床の定床に対しまして百三十六名ということで超過収容を解消した。それから、その他の指摘事項についてもきちっとやってまいります。ただ医師の数につきましては、この改善計画書が出された時点でもなお一名不足でございまして、現在いろいろの方法で、例えば北海道医報に募集の掲載をするとかいろいろの方法を使って、できるだけ早くさらに一名常勤医師確保に努めるというようなことが改善計画書内容でございまして、したがいまして、現時点におきましては医師が一人足りないということが当面の問題であろうかと考えております。
  7. 竹村泰子

    竹村委員 当たり前です。私は今のことを聞いているのじゃないんです。そういう事実でずっと二年間経営を続けてきたわけです。後で申しますけれども医療監視を予告するわけですから、十分それに対応できるような余裕があるわけです。患者は、オーバーヘッドだったら急いで退院させればいいのです。今そうなっているのはよくわかっております。私も改善計画書を持っておりますけれども、この改善計画書大臣どうお思いになりますか。これだけの問題を起こして世間を騒がせて、人の命を預かる病院が、改善計画書というこの一枚のガリ刷り、大変お粗末な改善計画書です。そして、今後「許可定数超過しないように努めます。」「努力します。」「目的どおり使用します。」こんなもの、だれでも書けますよ。小学生でも書けます。こういうお粗末な改善計画書を出して、これでいいのですか。もちろん直轄の監督署は道ですけれども厚生省としてはどうお思いになりますか。
  8. 竹中浩治

    竹中政府委員 先生指摘のように、特に患者超過収容等につきましては、かなり期間そういう事態があったわけでございます。その間、札幌市の保健所あるいは道庁も何度も調査に参り、また行政指導を続けてまいったわけでございます。  改善計画書――現時点におきましては先ほど申し上げましたようなことで医師数がなお残されておるわけでございますけれども、この改善計画書どおりに今後問題になるような事柄が起こらないように道あるいは札幌市にお願いをいたしまして、引き続き指導をしてまいりたいと考えておるわけでございます。
  9. 竹村泰子

    竹村委員 それを受けた道の改善計画についてという書類もあるのです。これによりますと、医師を獲得するために「努力が足りない旨指摘した。」「院長自身が専門医の確保に真剣に努力するよう指導した。」「院長医師として、病院管理者として研修を積むことに努力するよう指導した。」こういうふうになっているのです。特に最後の「医師として、病院管理者として研修を積むことに努力するよう指導した。」こんなこと許されていいのですか。開業して人の命を何百人も預かってから研修されたのでは患者はたまったものじゃありません。こういうことをお願いするとかじゃなくて、厚生省としてはきちんと行政指導していただきたいと思います。  それから、全く院長の顔も見ずに退院した例がある。これは無診療医師法二十条違反じゃないですか。大臣、どうですか。
  10. 竹中浩治

    竹中政府委員 院長の顔を見ないで退院というお話でございますが、その他常勤医師が二人いることでございますし、医師診察が当然あったと私どもは理解をいたしております。全く医師診察なしに入院期間が過ぎたという点につきましては、道からはそういう報告は受けておらないところでございます。
  11. 竹村泰子

    竹村委員 私はこれは証言によって得ておりますので、必ずこれを聞いて調査していただきたいと思います。  それから、医療監視方法体制をお聞きしたいと思います。チェックポイントあるいはその他のこと、時間がありませんので、チェックポイントを全部読み上げていただかなくて結構ですから、どういう方法医療監視をしておられますか。
  12. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療監視でございますが、これは御承知のように各都道府県、それからいわゆる政令市、保健所を設置する市でございますが、これが実施をいたしておるわけでございます。  実際に参ります医療監視体制病院規模等によっていろいろ異なりますが、通常は四、五人あるいは四、五人以上のチームを組みまして、医師薬剤師エックス線放射線技師、栄養士、事務員等々でチームをつくりまして実施をいたしておるわけでございます。  チェックのポイントでございますけれども、これは医療施設構造設備、それからいろいろの職種の人員配置、これが法令に適合しておるかどうか、それからまたカルテを初め各種の帳簿、書類が適正に記載、保管されているかどうか、この三つが中心的なチェックポイントでございます。
  13. 竹村泰子

    竹村委員 事前予告は何日前にされますか。
  14. 竹中浩治

    竹中政府委員 全部の都道府県につきまして通告をどういう時期でやっておるかということにつきまして現段階では私ども把握をしておりませんけれども、従来から、普通の医療監視の場合には、一つは、患者さんに迷惑をかけてはいけない、あるいはまた医療機関の業務に支障を生じさせてはいけないというような点を考慮いたしまして事前通告をしておるのが通例でございます。  札幌市の場合におきましては、大体十日ぐらい前に事前通告、通知をしておるということでございます。
  15. 竹村泰子

    竹村委員 十日もあれば十分に準備ができるわけですね。定床オーバーであれば減らせばいいのだし、カルテが書いてなかったら、この院長さんのように二百枚も急いで書けばいいのだし、いろいろ準備ができてしまうわけですね。それで本当の医療監視ができるとお思いですか。
  16. 竹中浩治

    竹中政府委員 先ほどから申し上げておりますように、通常医療機関に対して通常医療監視を行う場合にはいろいろそういった事情を考慮いたしまして事前通告をするということでございます。非常に特殊な例で非常に問題があるということが相当高い確度で把握できておるような場合には必ずしも事前通告をしないで行く場合があろうかと思います。
  17. 竹村泰子

    竹村委員 そのほかに、この院長さんにはもう一つ大変な事件があるわけなんです。  名前は申し上げられませんけれども、五名の女性患者に対して破廉恥な行いをしておられるのです。一人の方を申し上げますと、この方は、Aさんと言っておきますけれども、一番最初、お昼間一階の診察室へ来いと言われた。雑談をしているうちにズボンを下げて性行為を強制しようとした。二回目は抵抗できなかった。三回目はベッドに寝かされて無理やりに性行為をさせられてしまった。これは強姦ですよね。四回目は夜中に懐中電灯を持って病室へ来て手を引っ張っていっていたずらをした。このAさんという方は、十八歳で入院して、シンナー、薬物で入っていた方です。朝、昼、晩と寝るとき安定剤を飲まされ、保護室では一週間点滴を受けた、こういう方なのです。  Aさんのほかに四人の被害者がおります。私、会ってきました。決して精神病の方だからいいかげんなことを言っているわけではありません。この人たち証言が全部一致します。中には被害の状況の程度がいろいろ違いますけれども、こんなに口裏を合わせられるものではありません。この院長さん、白昼堂々とこういうことまでやっておられるのです。こういう院長はほっておけないじゃないですか。どうですか。私は非常に怒りを覚えております。現行行政の中ではこれはチェックできないでしょう。これができない限り、患者人権は守れないのです。大臣、どう思われますか。
  18. 竹中浩治

    竹中政府委員 先生お話しのような行為院長にあったかどうかということにつきましては、私どもとしては現在把握をしておらないわけでございます。ただ、現行制度で、例えば医師精神病者であるということがはっきりした場合あるいは罰金以上の刑に処せられた場合あるいは医事に関し犯罪または不正の行為があったという者につきましては、免許の取り消しあるいは医業停止処分というのができることになっております。  先生指摘のような事柄が事実として明らかになりまして、それが今申し上げましたような医師法に定められました事由に該当する場合になりますれば、当然のことといたしまして医道審議会に諮りましてしかるべき処分を行うことになろうかと思います。
  19. 竹村泰子

    竹村委員 もし事実であれば医道審議会にかけてきちんと罰していただけますか。約束していただけますか。
  20. 竹中浩治

    竹中政府委員 これは、医師資格につきましてそういった厳重な処分を行うわけでございますから、私どもといたしましては事実が間違いなくはっきりするという場合につきましては医道審議会に語るという手続をとることになろうかと思います。
  21. 竹村泰子

    竹村委員 わかりました。もし私に言っていただければ喜んで証人を御紹介いたしますので、どうぞお申し出ください。  お約束をいただきましたので、次に移ります。  今出ましたけれども、この医道審議会というのは罰金以上の刑が確定したときにのみ今かけられるのですよね。裁判にかかって罰金以上の刑がつけられなければ審議会にかけられない。これは道なのじゃないですか。裁判にかかってもしも不起訴になったり無罪になったりしたら、どんなに悪い医者でも医道審議会にはかけられないというのはちょっとおかしいのじゃないかと思いますけれども、どうですか。
  22. 竹中浩治

    竹中政府委員 お話しのように、医道審議会におきましては罰金以上の刑に処せられた者につきまして審議の対象としておるわけでございます。先ほども申し上げましたように、医業停止とか免許取り消しとかいう非常に重要な処分をするわけでございますので、明確な事実の確認が必要である。そういう意味で、判決があってそれに服したということでございますれば明確な事実の確認ができるということでございますので、現在は主としてそういう方法で運用をしておるということで御理解を賜りたいわけでございます。
  23. 竹村泰子

    竹村委員 こういうふうに蒔田病院のことをいろいろ調べできますと、言い過ぎかもしれませんけれども院長通常の精神状態ではないのではないか。こんなことが普通の人間にできますか。精神鑑定の必要があると思いますけれども、もしそうだとしますとどこがしますか。  精神衛生法二十九条の二にはこういう項があります。精神衛生法の改正を私どもも一生懸命願っておりますけれども現行法二十九条の二に「都道府県知事は、前条第一項の要件に該当すると認められる精神障害者又はその疑いのある者について、急速を要し、前三条の規定による手続をとることができない場合において、精神衛生鑑定医をして診察をさせた結果、その者が精神障害者であり、かつ、直ちに入院させなければその精神障害のために自身を傷つけ又は他人を害するおそれが著しいと認めたときは、その者を」「入院させることができる。」という項がありますね。これは該当しませんか。どうですか。
  24. 仲村英一

    ○仲村政府委員 ただいま二十九条の二について御指摘がございましたけれども、措置入院の該当者は、ただいまおっしゃられましたように、その精神障害のために自身を傷つけ、または他人に害を及ぼすおそれがあると認めたときということでございまして、他人を傷つけるということの解釈によりまして今お尋ねのケースは変わってくるのではないかと思いますので、こういうケースが精神鑑定の必要があるかどうかにつきましてはにわかに断定できないのではないかと考えております。
  25. 竹村泰子

    竹村委員 人の命を何百人も預かってこれだけの違反――法律違反ですよ。医師法違反薬剤師法違反、その他たくさんの違反を重ねて、おまけに五人もの女性患者に破廉恥事件まで起こして、これが他人に害を及ぼさないですか。そうお思いになるのですか、厚生省は。
  26. 仲村英一

    ○仲村政府委員 法律上の違反行為と自傷他害の関係はいろいろあろうかと思いますが、なお事実を確認した上で、必要とあらばそのような手続をとることも考えられるのではないかと思います。
  27. 竹村泰子

    竹村委員 点滴やレントゲンや全く診ない、それから薬剤師の無資格、こういうのは命にかかわりますよ。「他人を害するおそれ」どころではない、命にかかわる問題です。そして、女性の患者さんたちだってこれからの将来のある人です。こういうことをされて、もしかしたら自殺する人だってあるかもしれない。それを他人に害を及ぼすおそれがあるかどうかということがなどと言われては、本当にたまったものじゃないですね。蒔田病院調査を総合的にもう一度厚生省の責任で初めからやり直していただきたい。どうですか。
  28. 竹中浩治

    竹中政府委員 先生御承知のように、蒔田病院につきましては、札幌市、それから北海道庁も二回立入検査を行っていろいろ指導いたしておるわけでございまして、今後とも北海道庁あるいは札幌市と十分連絡をしながら、その改善の状況等につき適時立入検査を実施するよう道に言ってまいりたいと思っております。
  29. 竹村泰子

    竹村委員 適時立入検査じゃだめなのですよ、適時立入検査は十一回もやっているわけですから。保健所が十一回、道が二回入っているわけです。ですから、緊急に根本的な調査をしていただきたい、それは厚生省の責任で。どうですか。
  30. 竹中浩治

    竹中政府委員 御承知のように、医療機関に対します指導あるいは医療監視等々につきましては、都道府県あるいは政令市が主体になってやっていただくということにいたしておりますので、本件につきましてもいろいろの面で道や札幌市を指導あるいは協力をいたしますけれども、やはり北海道が中心になりまして今後引き続き厳重な指導をしていくようにいたしてまいりたいと思っております。
  31. 竹村泰子

    竹村委員 道あるいは札幌市に対して十分に行政指導をしてくださるわけですね。よろしいのですね。
  32. 竹中浩治

    竹中政府委員 大変重要な事件でございますので、私どもも道庁に対しまして責任を持って十分指導してまいるつもりでございます。
  33. 竹村泰子

    竹村委員 ありがとうございました。医療監視ということを本当の意味でもっと徹底してやっていただかないと、こういうことが続々起きますよ。精神病院で幾つ問題が起きているか、十分御存じでしょう。  次に移ります。  精神病院の問題を続けていたしたいと思いますけれども精神病院は子供が入院することを想定してつくられたものではないと思いますけれども、どうですか。登校拒否児や自閉症児がどんどん入れられている。今新しい状況に入っていると思いますけれども、このことにどう対処されますか。
  34. 仲村英一

    ○仲村政府委員 お尋ねの精神衛生法でございますけれども現行の精神衛生法は昭和二十五年に公布、施行されておりまして、かなり日時がたっているのは御指摘のとおりでございます。当時は、精神障害者が放置されたり、または私宅に監置されたりしておるという現状を速やかに解放して医療サービスを与えるということで法の精神がうたわれておりますので、そこが主眼になっておりまして、今お尋ねのように、年少者、子供たちの入院医療に対して、法の条項で特段の配慮がされているとは言いがたいと考えておる次第でございます。
  35. 竹村泰子

    竹村委員 配慮されているとは思っていらっしゃらないわけですね。  登校拒否とか家庭内暴力とかは、いわゆる精神病ですか。
  36. 仲村英一

    ○仲村政府委員 一部の方に精神障害があると私ども聞いております。
  37. 竹村泰子

    竹村委員 一部の人に精神障害があるかもしれないけれども、全体的に精神病であるかどうか診断する基準は確立していないですよね。すべて医師の裁量で決まるわけでしょう。そこで、子供を懲罰のために、懲らしめのために精神病院に入院させるというケースも起こり得るわけです。病気でないのに入院させられた例を、私も北海道でたくさん知っております。  例えば、ある一人の女の子は、中学二年生の子ですけれども、シンナーを二、三回吸った、そしてうちに帰ってこなかった。お母さんが学校の校長と相談をして、どうも監督がし切れない、だから入院させてしまおうということで精神病院に入れてしまった。入ったら二カ月暗い部屋に入れられ、医師の顔も二、三回、薬も飲まされた。二カ月間は、親が行っても全然会わせてくれなかった、こういう体験を二度繰り返しております。  二カ月してお母さんが行ったら、薬は毎日飲まされている。顔色も青いし、目はとろんとしてしどろもどろ、御飯もちゃんと食べられない。何の薬かと聞いたら、看護婦さんが強い薬だからかげんして飲みなさいと言ったと言う。シンナーを二、三回吸ったぐらいでこういう目に遭っている子が、今、日本じゅうに山といるのです。この事実をどう思われますか。
  38. 仲村英一

    ○仲村政府委員 近年登校拒否その他学校の問題が数字的にも多くなったというのは聞いておりますけれども、仮に精神障害でない子供を行動の制限を加えるための目的で精神病院に入院させるということがあれば、これはまことに遺憾なことだと考えております。
  39. 竹村泰子

    竹村委員 これらのケースについても、病院名についても子供の名前についても、今明らかにすることはできません。後日具体的なケースを御報告すれば、直ちに調査をしてくださいますか。そして、調査の結果、事実となれば是正指導をしてくださいますか、どうですか。
  40. 仲村英一

    ○仲村政府委員 先ほど申し上げましたように、医師が診断をしてその該当者が精神障害者である場合は、当然医療の範囲でございますので、精神病院に入院するその他医療内容について私ども立ち入ることはできませんけれども、精神障害でない子供について行動を制限するための目的で精神病院に入院させるということがあれば、この場合にどの機関が調べるべきかということは非常に問題があろうかと思いますが、一般的には教育委員会でございますとか各関係方面と協議をして、やはり御指摘のような方向で対処していかなくてはいけないと考えております。
  41. 竹村泰子

    竹村委員 精神障害ではない子供たちがこういうふうに精神病院に入れられている例がもし事実として確認できれば、きちんと行政調査をしてくださるんですね。約束してくださいますね。
  42. 仲村英一

    ○仲村政府委員 登校拒否その他の関係で精神病院に入院されている方は同意入院制度をほとんどとっておられると私ども考えておりますので、この適正な運用というのは、私どもも昨年の六月に三局長通知を出しまして指導の強化徹底を図るように都道府県指導したところでございますけれども、同意入院制度につきましては実地審査ということもできるようになっておりますので、その該当でありますればそういう方法で行っていくことも必要ではないかと考えております。
  43. 竹村泰子

    竹村委員 電気けいれん療法というのがありますね。これを懲らしめとか懲罰として用いた例があります。健康保険法に基づく治療指針においては、このような用い方はあり得ないはずですけれども、どうですか。そもそも子供に電気ショックといわれるものを使うことは許されないと思いますけれども、どう思われますか。
  44. 仲村英一

    ○仲村政府委員 お尋ねの電気けいれん療法でございますけれども、一九三〇年代の末にこの療法が創始されておりますが、その後、向精神薬による薬物療法の導入などによりまして現在は精神科の治療方法も非常に変わってきておりますが、それ以前はこの電気けいれん療法が主流であったのは御承知のとおりだと思います。  ただ、ただいま申し上げましたように、薬物療法が非常に進歩してまいりましたので、現在は補助的な療法としてこれにかわる治療法がないときに限って、医学的禁忌を除いて、適用されているわけでございまして、具体的には、内因性のうつ病等で自殺の企図が切迫した状況の場合に、生命の安全を図るため、あるいは拒食でございますとか拒薬、薬を飲まない、さらには、薬物療法が肝障害のためにできない等の場合、あるいは麻薬中毒患者等の離脱状況を速やかに消す必要のある場合等にはこの療法が使われるわけでございます。したがいまして、今お尋ねのように、今申し上げました適用以外に、子供に対して懲らしめだけのためにこれを用いるということは当然あってはならないことだと考えております。  また、ただいま御説明いたしました適用のある場合におきましても、やむを得ないで使う場合もあり得るわけでございますけれども、私どもといたしましては、心身ともに発育途上にあります子供に対してそのような療法を行う場合には、十分に配慮した上で慎重に行われるべきだというふうに考えておるわけでございます。
  45. 竹村泰子

    竹村委員 電気けいれん療法を受けるとどんなふうになるか御存じですか。ベッドの反対側へすっ飛んでいってしまうのですよ。明くる日も頭ががんがんして、目まいがしてとても起きていられない。そういう大変なものを子供に使っている事実があるのです。今の御答弁では満足できません。電気けいれん療法にかかわる治療指針について全面的に見直していただきたいと思います。これはどうでしょう、お約束はできないでしょうけれども、見直していただけますか、どうですか。
  46. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 現在の健康保険精神病に関します治療指針は、三十六年の十一月に制定をされましてかなり年月が経過しておりますし、また非常に記述が簡単である、こういう問題もございます。  今お話のございました電気けいれん療法につきましては、電気ショック療法ということで規定をいたしておりますけれども、御質問の趣旨を踏まえまして、関係学会と見直しについて協議をいたしたいと思っております。ただ、どの程度の期間をかけてこの問題について結論が得られるかどうか、今の段階では私としてまだお答えをする状況にはございませんが、いずれにいたしましても、御趣旨を踏まえたような格好で見直しをするように努めてまいりたいと思います。
  47. 竹村泰子

    竹村委員 子供たちのために、ぜひ速やかに検討していただけますようにお願いいたします。  私がきのう見学しましたある精神病院では、二百二十四人の入院患者のうち、十五歳から十八歳の間の児童が十三人おりました。そのすべてが閉鎖病棟に拘禁されておりました。かぎのかかるところです。しかも大人たちと同じ病棟、同じ病室に雑居しておりました。これを明確に区分するように指導していただけないでしょうか。  つまり、大人と子供が雑居しているということは、いろいろなことが起きてくるわけです。私たちの想像もつかないようなことが、例えば女の子が入浴、トイレなどのときにのぞかれたり、もっとひどい例は成人男女のセックスの目撃をしてしまうとか、あるいはやくざの方たちと一緒のお部屋にいるとか、そういうことが起きてしまうのですね。考えられないことですけれども、しかし現実にあり得る、これをどうお考えになりますか。
  48. 仲村英一

    ○仲村政府委員 御指摘のように、一部の病院に子供と大人が混在して入院しているという状況があるのは知っておるわけでございますが、先ほど冒頭に申し上げましたように二十五年に制定されました法律でございまして、現在の精神障害の実態とややそごを来しておる面もあるわけでございます。特に、今御指摘の思春期の精神医療につきましては、私どもも問題意識を持っておりましたわけですが、昭和五十八年に思春期精神保健懇談会というものを設置いたしまして、今後の方向を検討いただいたわけでございまして、ことし六十年の八月に同懇談会で検討結果を御報告を受けておるところでございます。  その報告書によりますと「思春期における精神的、身体的な発達の特殊性を理解した治療を行うための専門的な体制整備する必要がある。」という御指摘をいただいておりますので、厚生省といたしましても今後この意見を十分に参考にいたしまして、具体的な問題の対応に関してさらに検討を進めてまいりたいと思います。  精神衛生法全体の見直しも、私ども作業として日程に入れておりますので、当然のことながらこの部分につきましても十分対応を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。
  49. 竹村泰子

    竹村委員 精神病院の閉鎖病棟に子供が拘禁されているということは、人権面から非常に多くの問題があります。  例えば、こんな例があるんです。ある精神病院に入院した方の証言ですけれども、ここの病院には十代から二十代の思春期病棟があって、そこに入ると聞いていたのですが、大人の精神病者たちと一緒のところに入れられてしまった。それでショックを受けて、こんなところからすぐに出なければならないと思って看護婦さんに担当医に会わせてくれと頼んだんですけれども、取り合ってもらえなかった。そこでまた暴れてしまった。そうしたら注射を打たれて縄でいすに手足を縛られ、六時間ぐらい身動きができませんでした。私は絶望的になりました。暴れたら縛られるし何もできない、そういうふうに言っておられるんですね。なぜ自分はここにいなければならないのか、早く出たい、頭がおかしくなりそうだ、そういうふうに言っています。一週間で思春期病棟というところに移してもらったそうですけれども。  今、一部の病院でとおっしゃいましたけれども、一部どころじゃないのですね。一部の病院では別になっているかもしれませんけれども、余りにも実情を知らな過ぎるんじゃありませんか、調査してください。どうですか。
  50. 仲村英一

    ○仲村政府委員 小児専門の精神病院というのは非常に数が少ないのは御指摘のとおりでございますし、小児病棟がある病院、正確な数字は現在把握しておりませんが、小児専門の病棟のある病院というのは余り多くないというふうに考えております。
  51. 竹村泰子

    竹村委員 法務省が来ておられると思いますけれども、法務省はどうお思いになりますか、このこと。
  52. 永井敬一

    ○永井説明員 私どもの方でもいじめの問題につきまして啓発活動を重点的に行っておりますが、その中で関連いたしまして、登校拒否なりその治療のために精神科に通院し、あるいは入院する事例も見られておるところでございます。  これらの児童の対応につきまして、立ち直りという観点から申しますれば、学園生活への復帰ということで最も適切な方法をとられるべきものと考えております。したがいまして、精神病でない者を治療という名目から安易に精神病院に入院させるようなことがあってはならないということは言うまでもないと考えております。
  53. 竹村泰子

    竹村委員 それはもちろんですよね、言うまでもないことですけれども、このことについて法務省はこういう事実を御存じてしたか。精神病院にたくさん子供たちが今はうり込まれている、こういう事実を十分把握しておられますか。
  54. 永井敬一

    ○永井説明員 一般的な事象としては、新聞情報その他で承知してございますけれども、現在、人権侵犯事件という形でそういう問題が提起されている事例はございません。
  55. 竹村泰子

    竹村委員 法務省の人権擁護局でいらっしゃいますよね、永井さんは。人権を守る方でいらっしゃいますよね。私たち国民は、それを信頼しているわけですけれども、子供たちの人権がこんなに侵されている、こういう事実をやはりきちんと調査して把握していただかないと、そしてそれに対して対策を立てるのが法務省の人権擁護局じゃないんですか。
  56. 永井敬一

    ○永井説明員 人権擁護機関は啓発機関でございまして、児童と人権、特に児童の人権がどういうふうに守られるかということにつきましては、重点的な啓発活動をこの一、二年の間行っております。また、今後ともこういう問題につきましてはできるだけ情報を集め、児童の人権の尊重の観点からの啓発活動を推進してまいりたいと思っております。
  57. 竹村泰子

    竹村委員 日弁連なども子供の人権に照準を合わせて、校則の実態調査や「子ども人権一一〇番」などを始めましたね。法務省は今後十分具体的に取り組みをしていっていただきたいと強く希望するわけでありますけれども、よろしいですね。
  58. 永井敬一

    ○永井説明員 私どもは、いじめの問題につきまして人権問題であるという観点から積極的な取り組みをしておりますが、その一つには、いじめから生ずるこのような登校拒否というような問題が早期に発見されて、登校拒否というような問題が起こらないように努めることも人権擁護機関としては重要な役割であるという認識でおります。  今の先生お話に従いまして、児童の人権につきまして、なお積極的に取り組んでまいりたいと思います。
  59. 竹村泰子

    竹村委員 再び厚生省にお聞きいたしますけれども、登校拒否症の短期入院療法を提唱し実践しておられます筑波大学の稲村博先生という方がおられますね。この先生によりますと、精神病院に短期入院させるケースとしては三つの基準を挙げておられます。これは一九八五年に出された「思春期学」という本なのですけれども、それによりますと、三つの基準といいますのは、一つは「殺傷事件や、自殺に至る危険性があり、家庭におけないもの、」二つ目は「欠席日数のリミットが近づき、留年や除籍の危険性が迫っているもの、」三番目には「すでに経過が長く、慢性化して外来治療では十分な改善が期待できないものの、いずれかである。」と書いてあります。一番と三番はなるほど医学医術プロパーの問題だからわかりますけれども、二番「欠席日数のリミットが近づき、留年や除籍の危険性が迫っているもの」というのは、これは精神障害とは無縁でしょう。留年や除籍の危険性が迫るということで、なぜ精神病院へ入れる必要があるのでしょうかね。厚生省はどう思われますか。
  60. 仲村英一

    ○仲村政府委員 これは、ただいま先生がおっしゃいました稲村先生の研究報告に述べられている三つのカテゴリーだと理解いたしますが、お尋ねの、二番目の欠席日数が多いということだけで入院治療を勧めておられるのではないと私は理解しておるわけでございまして、欠席日数が多いということによって社会的に不適合であるというふうなことから、精神障害のカテゴリーに入る場合には、ということではないかと理解しております。
  61. 竹村泰子

    竹村委員 無縁ですよね、この二番についてはそういうことは関係ありませんね。  私が見ました稲村先生指導を受けております精神病院、幾つかの病院があるようですけれども、子供の場合、入院後二週間は面会も通信も遮断してしまう、こういう療法をとっておられるのです。厚生省はさきに通達を出されまして、入院患者の通信、面会の自由を確保するよう指導されましたね。入院後二週間を遮断期と位置づける方針、この筑波大学の稲村博先生の理論はこれに矛盾するんじゃありませんか、どう思われますか。
  62. 仲村英一

    ○仲村政府委員 個々のケースでそれぞれ違ってくる場合もあろうかと考えられますが、一般的に、機械的にそのようなことで治療を行うということはいかがなものかと考えておりますけれども医師患者の関係でございますので、医療上の必要ということがあればそのようなことも起こり得るわけでございましょうけれども、一般的にということでお尋ねになるとすれば、適当ではないように感じます。
  63. 竹村泰子

    竹村委員 ちょっと意味がよくわからないのですけれども厚生省がこの前出されました通信、面会の自由を確保するようにという通達と、稲村先生のやっていちっしゃる方針、この遮断期間というのは「入院直後~入院二週、複数人数の部屋に収容し、厳しい外部との遮断(電話、面会等の禁止)を原則として行う。書物、ラジオなどの持ち込みも止める。」もちろん面会もさせない、そういうふうなすべて外部と遮断する期間を置いていらっしゃるわけですね。これは矛盾しませんか。子供だからいいのですか。
  64. 仲村英一

    ○仲村政府委員 お尋ねの「精神病入院患者の通信・面会に関するガイドラインについて」というのを、御指摘のとおり六十年十月に通知を出して、都道府県指導方の依頼をしたところでございますけれども、その中で「電話及び面会に関しては患者医療又は保護に欠くことのできない限度での制限が行われる場合があるが、これは、病状の悪化を招き、あるいは治療効果を妨げる等、医療又は保護の上で合理的な理由がある場合であって、かつ、合理的な方法及び範囲における制限に限られるものであり、個々の患者医療又は保護の上での必要性を慎重に判断して決定すべきものである。」ということで、「基本的な考え方」の中に述べてあるわけでございます。したがいまして、「個々の患者医療又は保護の上で」ということでございますので、その個々のケースによって状況は異なってくるのではないかと考えております。
  65. 竹村泰子

    竹村委員 現行法では、医師の裁量権ということで、患者は面会、通信の自由すらも確保されないんですね。それほど人権は侵されてしまっているんですね。そのことを厚生省は十分わきまえておられますか。大臣、感想はいかがですか。
  66. 仲村英一

    ○仲村政府委員 精神病院につきまして、人権その他の問題でいろいろの不祥事件があるということで、昨年の六月に私ども、当時の公衆衛生局長、医務局長社会局長局長の連名で、精神病院に対する指導監督の強化ということで文書を出しております。その中では、当然のことながら、入院患者の処遇につきまして、その人権が侵害されることのないようにということで指導をしたところでございまして、申すまでもなく患者人権精神病院で阻害されることがあってはならないと考えております。
  67. 竹村泰子

    竹村委員 あってはならないけれども、事実されているじゃないですか、甚だしく、著しく。私、さっきからるる申し上げているのは、全部人権が阻害されているわけでしょう。だから、こんな通達を出されても、実際には抜け穴だらけ、何の役にも立っていないということですね。  面会、通信の自由なんて、こういうことすら、親でも会わせてもらえないのです。これで人権が侵害されていないですか。通達と矛盾しませんか。
  68. 仲村英一

    ○仲村政府委員 先ほども申し上げましたとおり、「個々の患者医療又は保護の上で」必要性を判断した場合にそのような制限がされるわけでございまして、一般的に通信、面会に関しまして制限されることは好ましいことではないと考えております。
  69. 竹村泰子

    竹村委員 それはわかっています。だから、個々の患者の場合に侵害されていないかとお聞きしているのですけれども、もう何回お聞きしても同じですから、いいです。このように通達が形骸化していて、こういう事実が起きてしまっているということを十分お考えになってください。よろしくお願いいたします。  それでは、文部省にお聞きしたいのですけれども、文部省は五十八年十二月に「生徒の健全育成をめぐる諸問題―登校拒否問題を中心に―」ここういう本を出されました。生徒指導資料を発行されました。  それによりますと、「特に、学校は、教育を専門的につかさどる機関であるので、家庭や関係機関との連携を十分にとり、その教育力を最大限に発揮し、登校拒否を未然に防止するとともに、登校拒否の児童生徒に対する指導に当たることが求められる。」これは「まえがき」にありますね。大変立派なものをお出しになったのですけれども、今、学校ではここに書かれたように実践しているかどうか、お調べになったことがありますか。
  70. 林田英樹

    ○林田説明員 全国の学校の数は非常にたくさんあるわけでございますので、個々の学校におきまして、また教育相談等の機関におきましてどのような指導が行われているかにつきまして、個別の事例の調査をいたしたことはございませんけれども、登校拒否の児童生徒数がどの程度あるかとか、教育相談がどの程度行われているかということにつきまして全体的な調査をいたしますとともに、今先生指摘のございましたような生徒指導資料の発行とか、教員に対しますカウンセリングの研修講座というようなものを通じまして、学校の認識を深め、対応が適切に行われるように努めているところでございます。
  71. 竹村泰子

    竹村委員 例えば、教師が精神病院に入院中の子供にどうかかわっているのでしょうか。義務教育期間の話ですけれども、復学の促進とか人権確保のために、先生方はどのように子供たちにかかわっておられますか。
  72. 林田英樹

    ○林田説明員 この点につきましても、具体的に個々の事例で、こういう形で先生指導しておりますということを個別に申し上げることはちょっと不可能でございますけれども、まず問題といたしまして、登校拒否という問題でございますから、学校へ行けなくなっているという事実があるわけでございまして、私どもとして、子供たち、特に義務教育の子供たちにつきまして学校へ早く復帰できるような措置を教育機関として最大限努力するようにということも申しておるわけでございますし、学校と関係専門機関との連携を十分図るようにという指導をしておるわけでございます。  特に、子供たちが病院に入りました場合に、学校が余り関与しないではないかという御指摘も時々あるわけでございますけれども、先ほど先生の御指摘がございました指導資料などにおきましても、十分適切な連携をとるようにということも指導しておりますし、子供たちがそういう専門機関へ入る場合にも十分教育的な配慮をするようにということと、それから病院等から出てくる場合にも、学校での受け入れ態勢等について十分配慮するようにという指導をしてまいっておるところでございます。
  73. 竹村泰子

    竹村委員 文部省からいただいた資料によりますと、「登校拒否に関する教育相談の件数」というのがありますね。これによりますと、登校拒否の子供に精神障害があるかどうか調べておられるのですね。子供の精神障害の有無について、この調査ではだれが判断したのですか。
  74. 林田英樹

    ○林田説明員 御指摘調査は、それぞれ都道府県の教育センター等の専門機関が受けた教育相談の件数でございますので、それぞれの相談を受けました機関で判断をいたしたものでございます。実際、教育相談等の機関におきましては、教育関係の専門家が相談に当たっておるのが通常でございますけれども、多くの場合には医師等の専門家の協力を得まして判断をするという形をしております。したがいまして、そういう教育センター等におきます相談機関が関係の専門家と御相談いたした上で判定したものと考えておるわけでございます。
  75. 竹村泰子

    竹村委員 その相談機関のどなたが判断したのですか。そこに専門医がおられるのですか。都道府県、指定都市の教育委員会が所管する教育相談機関に専門医がおられるのですか。
  76. 林田英樹

    ○林田説明員 通常の場合には、相談機関そのものに医師等の専門家がいることは少ないと思います。例えば、東京都などでもやっておりますけれども、週二回、心理学の先生、それから精神医学の先生等に専門家としてアドバイスにお見えいただくというシステムをつくっているところもございますし、それから必要に応じまして教育センターから専門機関へ紹介をいたしまして、そちらの方で相談を受けるという体制をとっておるわけでございますので、最終的な今回の調査の分類上ではそれぞれの教育相談機関が判断したことになっておりますけれども、実際の個々の子供の相談、治療に当たります際には、今申しましたような専門家との連携体制をとって判断しているものと思っております。
  77. 竹村泰子

    竹村委員 ここにあります、五十八年度では三百二十人、五十九年度では計四百八人の子供たちは全部きちんと専門医の診断を受けていると考えてよろしいのですね。
  78. 林田英樹

    ○林田説明員 今お話しになりましたものにつきまして逐一の個別の調査をいたしているわけではございませんので、その点につきまして確答は申しかねるわけでございますけれども、今申しましたように、特に精神的な障害があるという判定をいたします場合には、それぞれの相談機関におきましては非常に慎重な対応をいたしておると私ども承知しておりますので、何らかの形でそれぞれの機関の実態に応じた専門家との御相談の上での判定であったと考えておるわけでございます。
  79. 竹村泰子

    竹村委員 もし専門家以外の人が、例えば相談員とかそこの所長さんとか、そういう方が「精神障害による拒否で、精神的な疾患の初期の症状と見なれる型」であるという判断をしているとすれば、これは大変なことですね。ぜひそういうことのないように、今後十分な指導をしていただきたいと思います。  次に移りますけれども、出されました「生徒の健全育成をめぐる諸問題」という立派な本によりますと、親が、子供がおかしい、だめな子供なんだという決めつけが大変ありまして、その後に、親の子育ての失敗、例えばこういうところがあるのです。「父親 父親が社会性に乏しく、無口で内向的であり、男らしさや積極性に欠ける」「母親 母親が不安傾向を持ち、自信欠如、情緒未成熟、依存的、内気である」こういう決めつけが大変あるわけなんですけれども、別にそういう父親や母親じゃなくても登校拒否児は出ているわけでして、文部省がこういう決めつけをするのはおかしいんじゃないでしょうか。学校が悪いんでしょう。登校拒否はいろいろな原因がたくさん重なると思いますけれども、どこが悪いかということをここで今論議している時間がありませんけれども、どうして家庭ばかり悪いところがこういう公のものに指摘されるのですか。
  80. 林田英樹

    ○林田説明員 先生今御指摘ございました登校拒否の原因の問題でございますけれども、この点につきましては、私どもも、今おっしゃいました家庭だけの問題というふうに考えているわけではございません。他の問題行動の場合と同様、家庭、学校、社会、いろいろな要素が絡みまして登校拒否という形の現象があらわれておるのだと思いますし、それぞれの個別の事例によりまして要因にもいろいろな差があるのだろうと思っておるわけでございます。  ちょっと私、今先生指摘のありました箇所をこの中で見出せませんので、個別に反論することも難しいわけでございますけれども、この資料そのものが、具体的にこういう事例があった、こういう事例に対してはこういう指導が効果的であったというふうなことについての参考のために、先生方の御参考に供している資料であるわけでございますので、私どもとしてこの資料の中で、登校拒否の原因が、今おっしゃいましたような家庭のそういう要因で起こっておると決めつけているつもりではないわけでございます。先生指摘のところは多分一番最後のあたりの、個別の事例の指導の具体的な事例を掲げまして先生方の御参考に供したあたりに関連した御指摘かと思うわけでございますけれども、この資料そのものの性格がそういうものでございますので、御理解いただきたいと思います。
  81. 竹村泰子

    竹村委員 全然違います。初めの方なんです。「父親」「母親」というところがありまして、原因や背景、家庭、家庭の人間関係、そういうふうなところ、この本全体にこういう決めつけが大変多いんですね。文部省でこういうものをお出しになるときは十分な――このためにどれだけの親や子供たちが落ち込んでいるかわからないのです。傷つけているんです。そうでなくても、子供が学校に行かないということは親にとっては大変つらいことです。けれども、その上に親が悪い、子育てが悪い、父親が悪い、母親が悪いと言われることは、どんなにこの家庭を不幸に陥れていることか。文部省は十分に配慮してこういうものは出していただかないと困ります。どうですか。
  82. 林田英樹

    ○林田説明員 大変失礼いたしました。私、誤解しておりまして、御説明が不十分であったかと思います。確かに御指摘のこの資料の中の一部で「登校拒否の原因や背景」というものを扱っておるわけでございます。この中では「登校拒否の原因や背景として、生徒やそれを取り巻く家庭、学校、社会についてどのような問題点があるか。」というところで、本人の性格傾向、家庭、学校、社会等につきまして登校拒否に関連いたします要因をいろいろ指摘しておる部分の中で出てきておるところかと思います。  確かに、私どもとしては十分な配慮をした上で書いたつもりでございます。もちろん、ここにもございますように、家庭ばかりではなくて、学校、社会、いろいろな要素があるわけでございますから、こういう点につきまして、先生方が十分な事実の認識を持った上で対応しなければならないということでもございますので、そういう意味で、もちろん個別の事例につきましては、すべての要因が絡んでいるわけではございません。ただ、問題の背景として一般的に指摘される事項につきまして先生方の理解の参考にするという意味があったわけでございますので、今おっしゃいましたような点につきましては配慮して書いたつもりでございますけれども、御指摘の点につきましては、今後さらに注意してまいりたいと思います。
  83. 竹村泰子

    竹村委員 いろいろ配慮をして書かれたとおっしゃいますけれども、「父親が社会性に乏しく、無口で内向的であり、男らしさや積極性に欠け、自信欠如である」「母親が不安傾向を持ち、自信欠如、情緒未成熟、依存的、内気」こういうふうに書き並べられますと、どんな気持ちがしますか。もしあなたが登校拒否児を持っておられたら、あなたはこの父親に値するわけですけれども、こういうことをどうしてお書きになるのですか。この限りではないでしょう。これと違った、自信にあふれた男らしいきちんと物の言える外向的な人だっているでしょう。なぜこういうことを文部省は公のものに書かれるのですか。私は不思議でなりません。おかしいですよ。
  84. 林田英樹

    ○林田説明員 私どもとして、登校拒否が起こっている子供たちについて、すべてこういう背景があるということを書いているわけではございません。登校拒否の問題を解決いたしますためには、先ほども申しましたように、学校、家庭、専門機関、社会、それぞれが問題の事実を認識をいただきまして適切な対応をいただく必要があるわけでございます。そういう意味で、専門機関、学校はもちろん、それぞれの立場で最大限努力をしなければならないわけでございますけれども、反面、家庭にも十分御協力をいただかなければならない面もあるわけでございまして、それは個別の事例で、すべての事例がここに書いてございますすべての要因を含んでいるわけではございません。  その点につきまして誤解があるような書き方になっているとすれば私どもも反省は必要なのかもしれませんけれども、ただ家庭にも御協力をいたたき、御理解をいただき、相協力して解決を図っていくための参考として書いたものでございますので、その点は御理解いただきたいと思います。
  85. 竹村泰子

    竹村委員 全部ではないのだったらどうしてお書きになるのですか。おかしいじゃないですか、決めつけになるじゃないですか。本当にこれは困ります。これは何部お刷りになったのか知りませんけれども、できれば私はこれを撤回していただきたいのです。どういうふうにこれを配付して使っておられますか。
  86. 林田英樹

    ○林田説明員 これは文部省として印刷いたしまして、各教育委員会、学校等に参考のために配付したものでございます。したがいまして、現在ちょっと総部数は把握しておりませんけれども、各都道府県の教育委員会、それから教育相談機関等に配付いたしまして、指導の参考にしていただいておるものでございます。
  87. 竹村泰子

    竹村委員 まだ残部がありますか。これは五十八年十二月にお出しになったのですが、残部があったらそれはぜひ使わないでいただきたい、私はそう思いますけれども、どうですか。
  88. 林田英樹

    ○林田説明員 この点につきましては、先ほどから私御説明申し上げておりますように、家庭、学校、地域社会が登校拒否の問題の原因、背景というものの要素をそれぞれ御理解いただく意味で、私どもとして貴重な資料だと思っておるわけでございます。御指摘のような点につきましては、今後の対応の中ではいろいう考えてまいりたいと思っておりますけれども、この水そのものは私どもとして重要なものだと考えておるわけでございますので、御理解いただきたいと思います。
  89. 竹村泰子

    竹村委員 今余り文部省を追求しても仕方がないかもしれませんが、私の希望としては、これはできるだけ撤回、回収していただきたいと思います。 最後に、三省にお聞きしたいと思いますけれども、子供たちが安易に精神病院に入院させられるのを防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。私は、次の三項目の提案をしたいと思います。  初めに、病院や施設に隔離するよりも、その子と家族の生活のあり方を改善することに骨身を削るチームを組織すること。メンバーとしては担任の教師、自治体が派遣するケースワーカー、小児科医、精神科医その他。設置者は市町村などなどですね。  二番目、精神病入院の可否を判断する機関を設置していただきたい。入退院の決定権は病院長にあるわけですけれども、子供の場合には、この機関の同意を得るようにしていただきたい。メンバーとしては自治体が委嘱する学識経験者、教師、医師、弁護士、ケースワーカーなど。そして設置者としては市町村または家庭裁判所。いわばオンブズマン制度ですね、そういうチェック機関を置いていただきたい。  三番目、子供の自由を奪い人権を著しく侵す恐れのある閉鎖病棟及び保護室の利用に当たっては、その都度前項の判断機関の同意を得なければならないようにしていただきたい。これは子供たちの人権のためなんです。今、子供たちが登校拒否をして非行やシンナーで暴れたとき、連れていくところがないのです。全部精神病院へ入れられてしまうのです。そういう事実を厚生省は責任省庁としてどう思っておられるのか。  以上の三項目提案の必要性、可能性を検討するために厚生省、文部省、法務省三省の協議の場をつくっていただきたい。これを私は強く希望いたします。どうお思いになりますか。大臣の御意見もぜひ聞かせてください。
  90. 仲村英一

    ○仲村政府委員 登校拒否その他の問題の子供を一律的に精神病院へ入院させているというふうに私ども考えておりませんけれども現実医療の場におきまして、入院に際しまして医師が保護義務者だけでなくて、担当の学校の先生でございますとか関係者の意見を十分に参考にしていただくことは医学的な見地から適切な判断をするためにも望ましいことだと考えております。  御指摘のございましたチームにするのがいいかどうかはまた別な考え方があろうかと思いますけれども、ただいま申し上げましたように、医療の必要性を判断する場合に関係者の意見をいるいろお聞きするということは非常にいいことだと考えております。  第二点の入院の可否を第三者機関で決めたらいかがかという御提言でございますけれども入院判断自体につきましては、先ほども申し上げましたけれども医師が医学的見地から行うべきものと考えておりますので、第三者機関がその医学的見地の枠をはみ出すようなことがあってはいけないと思いますので、必ずしも御提案に賛成いたしかねるのではないかと考えております。  もちろん人権の保護は子供といえども十分配慮しなければいけませんけれども、これも入院の是非と同様に、閉鎖病棟に患者を入れることについては医師の医学的判断によるべきものと考えておるわけでございます。したがって、そのために三省から構成される協議の場を設けるというふうなことで個々に対応するのは非常に難しいのではないかと思うわけでございます。  ただ、先ほどからるるお尋ねのように、閉鎖病棟へ入院することにつきまして、患者人権を制限することを含む措置であるということの重要性でございますとか心身ともに発育途上にある児童という特殊性を医師は当然よく理解して判断をすることが肝要であると同時に、その子供の医療にとっても非常に重要な要素であると考えておるところでございます。
  91. 竹村泰子

    竹村委員 どうしてそんなに難しいのですか。登校拒否児がこんなにふえている。このデータを見ればわかりますけれども、大変な増加をしている。そうして、いじめの問題がこれだけ騒がれている。しかも、少し暴れた子供たち、非行やシンナーの子供たちがほかに行きどころがない。全部とは言いませんけれども精神病院へ入れられているこの事実。子供の人権がこんなに侵されている。未来を担う、それこそ二十一世紀を担う子供たち、その子供たちの人権と健康を守る、命を守ることがどうしてそんなに難しいのですか。厚生、文部、法務三省の協議の場をつくることはそんなに大変なことですか。
  92. 仲村英一

    ○仲村政府委員 私がお答えいたしましたのは、御提案の趣旨を取り間違えておったのかもし机ませんが、個々の子供の入院の当否について中央レベルで協議の場を設けるというのは具体的には難しいのではないかというふうにお答えしたわけでございます。
  93. 竹村泰子

    竹村委員 さっき三点申し上げましたことはわかっていらっしゃるんですね。病院や施設に隔離するよりも、家族と生活のあり方を改善することに骨身を削るチームをつくってほしい。精神病入院の可否を判断する機関を設置してほしい。これですか、今お答えになったのは。それから三番目が、子供の自由を奪い、人権を著しく侵すおそれのある閉鎖病棟や保護室の使用に当たっては、その都度判断機関の同意を得てほしい。そして、以上全部にわたって必要性、可能性を検討する厚生、文部、法務の三省の協議の場をつくってほしい、こうお願いしているんですけれども大臣、答えてください。
  94. 仲村英一

    ○仲村政府委員 登校拒否その他の問題につきまして、必ずしも厚生省が中心というふうに考えるかどうか問題はあろうかと思いますけれども、私どもが精神障害、精神衛生の問題につきまして所管しているということから、そのような問題につきまして文部省、法務省と随時協議することは十分必要だと思いますし、またしていかなくてはいけないと考えておりますが、先ほど申し上げましたのは、個々に患者さんを入院させるあるいは保護室へ入れることが適当かどうかを委員会のようなものを設けて判定するのは、申し上げました医療内容に立ち入る面もあろうかと思いますので難しいということでお答えしたわけでございます。
  95. 竹村泰子

    竹村委員 個々になんという御返事をいただきたかったのじゃないのです。これらのことを総体的に、十分に三省で考えていただいて、子供たちを守るために努力をしていただきたい、そういう場をつくっていただきたいとお願いをしているんです。大臣、一言感想を聞かせてください。
  96. 増岡博之

    増岡国務大臣 先生指摘のことは、精神病院に入れる必要のない子供まで入れてしまっておる事実があるではないか、そういうことであろうかと思います。私も聞いておりまして、そのようなことがあればゆゆしき問題だと思いますので、三省の間でどのように協議するか研究をしてまいりたいと思います。
  97. 竹村泰子

    竹村委員 ありがとうございます。大変いいお返事をいただきまして、うれしく思います。  終わります。
  98. 戸井田三郎

  99. 河野正

    河野(正)委員 今回の医療法の改正は、提案理由に示されておりますように三つの柱がございます。その第一が、目的として、病院診療所の開設及び管理に関し必要な事項を定めるということですね。それから第二が、医療計画ということでございます。地域における各種医療機関の役割を明確にして、地域医療需要に沿った医療体制の確立を目指してやっていく。第三が、非常に大きな問題がございますのは、医療法人の運営の適正を確保するための指導監督規定等の整備についてであります。  大きく言いますと提案理由には三つが述べられておるけれども、第二、第三の、地域におきまする医療体制の確立、これは都道府県知事がやるわけですが、それから医療法人に対しまする監督強化、大体この二つに尽きると私は思うのです。ですから、これをずっと考えてまいりますと、何で医療法の改正を行わなければならなかったのか、現行法でも十分やっていけるのではないか。あえてこういう医療法の改正を行うについては厚生省としては厚生省なりの考え方がございましょうから、まずそこからお尋ねをしておきたいと思います。
  100. 竹中浩治

    竹中政府委員 御承知のように、今高齢化社会が大変急速に進んでおるわけでございまして、それに伴いまして医療需要が量的にもあるいはいろいろ多面化、多様化していくということでございますので、今後国民に適正な医療確保していくという点につきましては、医療供給体制のシステム化を図っていくというのが非常に緊急の課題でございまして、現在その必要性はますます増大をしてきておるわけでございます。そういった意味で第一点の医療計画策定、その実施ということは非常に重要な問題ではなかろうかと思っております。  それから第二番目の医療法人でございますが、今回の改正の一つの契機といたしまして、一部の医療法人におきまして不祥事件があったというようなことがあるわけでございますが、いずれにいたしましても、我が国の医療における私立の病院の重要性、特にその中核になります医療法人立の病院の重要性というようなことを考えますと、医療法人の運営の適正が十分確保されることが必要であるわけでございますので、その点で今回の医療法人につきましての規定の整備、これもまた現在の非常に重要な課題であろうかと思っておるわけでございます。
  101. 河野正

    河野(正)委員 そこで、第二項目ですね、今後どういうふうに医療体制の問題を進めていくか。これは将来ガイドラインができて、それに基づいて体制づくりが行われる。今日はまだガイドラインというものはできてないわけでしょう。
  102. 竹中浩治

    竹中政府委員 ガイドラインにつきましては、部内ではいろいろ議論はいたしておりますけれども、現在の段階で、法律改正が成立いたしました段階で策定をいたしまして医療審議会にかける、そういう運びで進めたいと考えております。
  103. 河野正

    河野(正)委員 ガイドラインの問題が出てまいりましたから、ここで一言苦言を呈したいと思うわけです。精神衛生問題に対しましてはもう既にガイドラインができておる、もう既に都道府県に流れておる、こういうふうに聞いておりまして、したがって、私は、この医療法の改正にかかわってこのガイドラインを十分検討する必要があるから提出をお願いした。今日まで提出がない。これはいかなる理由でしょうか。
  104. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療計画策定に当たりまして、一つは医療圏にかかわる問題、それからまた必要病床数にかかわる問題、この二つにつきましては省令でもって定めることにいたしておるわけでございます。それ以外の、例えば地域医療計画を作成したりあるいはそれを進めていく上でのいろいろの留意事項でございますとか、あるいは策定の手順でありますとか、あるいは策定に当たっての配慮事項でありますとか、そういった点につきまして都道府県が余りばらばらになっても困りますので、私ども、通達でそういったものを示したい、それを俗にガイドラインと称しておるわけでございます。これから作成をする段階でございます。
  105. 河野正

    河野(正)委員 今の医療体制に対するガイドラインというものは、この法律が成立したならばその上に立ってガイドラインをつくっていこう、これは今局長が御答弁になったとおりです。私が言っているのは、精神衛生についてはもう既にガイドラインができておる、各都道府県に対して既に流しておるでしょう。だから、このガイドラインを、私は、医療法改正にまつわって検討する必要があるのでぜひ提出をしてほしいというふうに要請をしたが、今日までガイドラインの提出がないけれども、それは一体どういうことでしょうか、こういうふうにお尋ねしておるわけです。だから、局長じゃないです。
  106. 竹中浩治

    竹中政府委員 今御説明申し上げておりますのは、医療計画を作成する際のガイドラインということでございます。先生からガイドラインについて資料として出すようにという御要望はいただいておりますが、先ほどから申し上げておりますように、ガイドラインについての検討は今いたしておりますけれども資料として御提出申し上げるようなものとしてはまだでき上がっておらないということでございます。
  107. 河野正

    河野(正)委員 私が聞いておるのは、そういうことを聞いておるのじゃないのです。要するに、この医療体制に対するガイドラインというものは今検討中である、法律が成立すれば明らかにしたい、そういう経過は聞いておるのです。ただ、私が聞きたいのは、これは仲村局長に聞きたいわけだが、要するに、あなたの方は精神衛生に対するガイドラインをつくってもう既に都道府県に流しておるわけでしょう。そこで、私はそのガイドラインをめぐって医療法の改正の中でその点もぜひ検討したい。だから、ガイドラインの提出を要求をしておるわけです。きょうからもう医療法の改正の審議が始まっておるわけでしょう。なぜ提出ができないのですか。
  108. 仲村英一

    ○仲村政府委員 失礼いたしました。もし私どもが出しました六十年十月の「精神病入院患者の通信・面会に関するガイドライン」というものを御要求でしたら、ただいますぐに差し上げますけれども、それ以外のお尋ねでございましょうか。
  109. 河野正

    河野(正)委員 あなたの方から精神衛生に対するガイドラインをつくって、既に都道府県に流しておるわけでしょう。そのガイドラインに対して、近く医療法の改正があるから、その改正の中で検討する必要があるからそれまでにぜひ提出をしなさいと言うたにもかかわらず今日まで提出してないが、それは一体どういう意図であるのか、それを聞いておるわけですよ。
  110. 戸井田三郎

    戸井田委員長 質問の趣旨はわかっておるのですか。
  111. 仲村英一

    ○仲村政府委員 ちょっとよくわかりません。確かめます。
  112. 戸井田三郎

    戸井田委員長 では、もう一回聞きなさいよ。
  113. 仲村英一

    ○仲村政府委員 逆にお尋ねで申しわけございませんけれども、「精神病入院患者の通信・面会に関するガイドライン」というのは御存じのとおり十月に各都道府県の知事あてに局長通知を出してございますが、これを御入用ということでございますれば今直ちに差し上げられますけれども、その全体の背景となりましたのは五十九年の六月に出しました公衆衛生局長、医務局長社会局長の三局長連名の通知でございます。これには、その入院患者の処遇の問題でございますとか、手続の問題でございますとか、同意入院制度の適正な運用とかいろいろ事細かに書いてございますけれども、今お尋ねのガイドラインというのがどういうものか、これ以外でございましたらちょっと理解いたしかねますので、お教えいただきたいと思います。
  114. 河野正

    河野(正)委員 理解しがたいとおっしゃるのはどういう意図ですか。私は課長に対して明確に申し上げておるわけでしょう。近く医療法の改正が始まるので、したがって厚生省、今あなたの方から都道府県に出しておる、例えば通信、面会いろいろあるでしょう、そういうガイドラインというものが出ておる。それからまたもう一つ、ジュネーブへ行っていろいろあなたの方で意見を言うたでしょう。そういう問題についても文書化しておるとおっしゃるから、医療法の改正があるから、その改正の際に検討したいからぜひ提出をしてほしい、こう要求したのにかかわらず今日までないわけでしょう。  ということは、私は、今申し上げるように医療法の改正をめぐってその問題を検討したいと言っておるわけですから、きょうまで出てこなければ医療法の改正に対して私どもは審議する必要はないですよ。意味ないでしょう、時間を区切って申し上げておるわけですから。
  115. 仲村英一

    ○仲村政府委員 説明員から説明させます。
  116. 小林秀資

    小林説明員 先生資料要求は、ことしの夏、八月二十一日のジュネーブでの国連の人権差別防止及び少数者保護小委員会における発言の内容と「精神病入院患者の通信・面会に関するガイドライン」をということでお話があったというふうに今先生がおっしゃいましたが、私ちょっと錯覚いたしたのかと思います。今持っておりますので、すぐお渡しいたしたいと思います。まことに申しわけないと思います。
  117. 河野正

    河野(正)委員 冗談じゃないですよ。私、あなたに直接言ったじゃないですか。医療法の改正の審議が始まります、その改正の審議のために必要だから、そのガイドラインたついてぜひ提出を願いたいということだから、きょうまで提出しなければ、今そこに持っておるから今から出しますと言ったって審議はできませんよ。医療法の改正の審議のために必要だと言っているわけですから、この審議の前に提出してもらわなければ医療法の改正に対して私どもは審議に応ずるわけにはいかぬですよ。それのために必要だと言っているでしょう。  ただ出していただきたいというのなら別ですよ。医療法の改正の審議が始まります、ついては医療法の改正の審議に際してその点についても十分検討したいので、それまでに提出してもらいたい、こういうふうに要求したにもかかわらず、今日まで提出がない。ないということは、私は医療法の改正については今後の審議に応ずるわけにはいかぬ、そういうことになるのではございませんか。大臣、ひとつ答えてくださいよ。
  118. 増岡博之

    増岡国務大臣 担当者が先生の御趣旨、御意図を正確に把握しなかった結果そのようなことになったと思うわけであります。大変恐縮でございますが、資料は今手持ちがございますので、それをごらんになりながら御審議をいただきたいと思います。
  119. 河野正

    河野(正)委員 冗談じゃないですよ。課長自身が聞いておるでしょう、私から。中身について私のところ。で話したじゃないですか。だから、この問題も、要するに医療法の改正が近く始まるので、その審議に関連をしてその問題についても検討したいから、ぜひ出してほしい――出しますと言うたじゃないですか、あなたは。約束したじゃないですか。大臣の今の答弁はとんちんかんですよ。  だから、審議に必要だから提出しなさいということは、審議の前に出さなければ、今持っておるから今から見てくださいなんて、そんなばかなことはありますか。そんなばかなことはないですよ。ということは、医療法の改正について私は必要だと言っているわけだから、医療法の改正に対して必要な書類が出てこないということになれば、医療法の改正について私ども審議に応ずるわけにいきませんよ。
  120. 仲村英一

    ○仲村政府委員 まことに申しわけございませんが、担当の方で先生の御趣旨を誤解しておったようでございます。実は先週の一般質疑のときにも先生から御質疑があるかもしれないということで課長を待機させておりましたが、そのときにも結局御質疑の中でこの点にわたらなかったものですから、資料をそういう形で提出しておらなかったことを深くおわびいたします。
  121. 河野正

    河野(正)委員 そんなことじゃないですよ。前回については、私は、エイズについて質問いたします、時間があればそういう経過について、例えばジュネーブでどういうことを言うたのか、わざわざジュネーブにおいでになったわけでしょう、どういうことを言うたのか、そういうことも聞きたいと思うけれども時間がないかもわからぬ。そこで、資料だけは、医療法の改正が近く始まるから十分その資料の検討を加えた上でひとつ医療法の改正に対する審議に応じていきたい、こういうふうに言うたのです。こういうふうに言うた。それが誤解があるとかないとか、子供じゃあるまいし、あなた何で誤解しなきゃならないのですか。
  122. 戸井田三郎

    戸井田委員長 河野君、暫時休憩をいたしまして、その間速記をとめて、行き違いの問題が起こってはいけませんので、速記を入れて一問一答をやっても同じようなことになりますから、ちょっと寄ってそこで話をしてください。  速記をその間とめてください。     (速記中止)
  123. 戸井田三郎

    戸井田委員長 速記を起こしてください。  会議を再開いたします。  小林精神保健課長。
  124. 小林秀資

    小林説明員 河野先生とのお話の際に、私が先入観念を持っていたために先生の御発言の趣旨を誤解をいたしまして、お渡しできなかったことをまことに申しわけないと思っております。
  125. 河野正

    河野(正)委員 局長ひとつ、あなた監督の任にあるわけだから、あなたがその責任をとらなければならぬ。
  126. 仲村英一

    ○仲村政府委員 小林精神保健課長が先生の御発言に対しまして誤解をいたしました結果、多大の御迷惑をおかけいたしましたことについて、私から深くおわびを申し上げます。
  127. 河野正

    河野(正)委員 これは、今うちの方の理事さんの方も、やはり議事を促進する意味においてこれは保留して進行をしてほしいと言うから、進行するにやぶさかではございません。  ただ、私ははっきり言います。少し課長はてんぐになり過ぎておるよ。というのは、私は専門だと、私がいろいろ議論したときに、いや、私の課には精神鑑定医が二人おりますと、いかにも厚生省が何でもかんでも十分承知しておるんだと。それだったら、きょう、先ほど竹村さんの質問もあったけれども、もっと的確なお答えができたろうと思うのですよ。私ども専門家が聞いておったら、きょうのあなたの答弁は全くおかしいですよ。エレクトロショックなんか今だれが医療に使うのか、あなた。それならそのようにはっきり言うたらいいです。それでまた、登校拒否その他については、今専らやっているのは心療内科ですよ。そういう黒白というのか、事実というものを全然認識してない。  これはあなたも悪い。課長も悪いですよ。この姿勢はやめてもらわなければいかぬ。今、議事を促進してほしいという理事さんのお話ですから、議事は促進します。しますけれども、自今、あなたの方ももう少しきちっとやってもらわぬと、いずれまたこの問題が紛糾の種になることを十分承知してやってください。  そこで、議事促進に協力いたしたいと思いますが、私どもは、今度の医療法の改正のねらいがどこにあるかということについて一つの疑問を持っているのです。なぜ疑問を持ったかという点について今から若干申し述べたいと思います。  御承知のように、国立病院・療養所再編成問題等懇談会というのが厚生省にできた。そしていろいろ検討を加えて厚生省に提出をした、そういうことであります。そして、御承知のように行革大綱に基づいて国立病院と療養所の統廃合が行われる、こういう状況でございます。  そこで、基本的に私は、国民医療、特に国の国立病院・療養所は日常的にその地域の住民、国民各層の要求に応ずるものでなければならぬ、国の機関ですから。特に、国立の療養機関というものは、元来、国ですから、営利を目的としてはならぬ。がんであるとか循環器であるとか僻地医療とか難病であるとか、いろいろありましょう。専らそういった、営利を目的としないで、採算は立たない、不採算であるけれども国民のニーズにこたえなければならぬというのが国立病院あるいは国立療養所の大きな任務であろうと私は思うのです。  ところが、これが御承知のように行革大綱によって大幅に削減をされようとしている。ベッド数にいたしまして約五百ぐらい減るであろう、こういうふうに言われておるわけです。そういった思想というものが、よく開業医が算術医、算術医と言われますが、むしろ政府の厚生政策の方が算術じゃなかろうかと私は思うのです。  というのは、今申し上げましたように、国立病院・療養所の統廃合をやって五百もベッドをなくす、減らしていく、こういうことですね。ですから、どうも今度の医療体系を都道府県知事がつくるとおっしゃっておるけれども、それはまあガイドラインができておりませんからどういうことになるかわかりませんが、医療費を抑えていく、そういう意味でこういった策定が行われておるんではなかろうか、こういうふうに、地域医療体制の問題についてはそういう懸念を持つわけですね。それらについてはどうお考えになっているのか、ひとつお尋ねしたいと思います。
  128. 竹中浩治

    竹中政府委員 今回の医療法の改正でございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、地域の体系立った医療供給体制整備を促進する、無秩序な病床の増加等があればそれはコントロールしていく。それからまた、医療施設相互の機能連係等の確保その他の体系的な整備をするということで医療計画を作成をするということでございます。この点につきましては、そういうことで地域医療のシステム化を図っていきたいということでございまして、私ども決して医療費の削減でございますとかあるいは国費の節減でございますとか、そういうことをねらいにして今回の改正をお願いしておるものでは決してございません。
  129. 河野正

    河野(正)委員 国立病院・療養所再編成問題等懇談会、この中で国立病院の統廃合、これこれはこうやるということは、もう既に決定をしておるわけですか。
  130. 仲村英一

    ○仲村政府委員 「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」というものをことしの三月二十八日に閣議で御了承を得ておりまして、方針といたしましては確定しておるわけでございます。
  131. 河野正

    河野(正)委員 御承知のように、国立病院というものが地域医療に与える影響というものは非常に大きいわけですから、したがって、地方自治体でもぜひひとつ国立病院・療養所というものは存続きしてもらいたい、こういうふうな決議が各地方自治体において、地方議会において行なわれておる。全国で二千四百七十九の議会、これはもう全国の七四・六%に相当するわけですが、これがぜひひとつ統廃合をやめて、地域医療に大きな貢献をしておるわけだから、そのニーズに応じて残してもらいたい、こういうふうに要望しております。  まあ、住民の意向を聞こうといったって、具体的には一人一人からアンケートをとって聞くわけにいきませんから、どうしても地方議会の意思を尊重するということでなければならぬわけですが、今申し上げましたように、地方議会の七四・六%がぜひ残してほしい、こういうふうに要望しておるわけですよ。こういう住民の意思、住民の意向というものを一体どういうふうに受けとめになっておるのか。これは国民にとっては非常に重大なことですよ。どうでしょうか。
  132. 仲村英一

    ○仲村政府委員 先生今おっしゃいましたように、国立病院・療養所が、戦後四十年でございますけれども、例えば結核でございますとか、その他重要疾患につきまして果たしてきた役割は非常に大きいわけでございまして、私どもむその点は否定するものではございません。  しかしながら、先ほども申し上げました基本指針にうたいました精神は、地域におきます医療供給体制の中で、基本的、一般的医療の提供は私的医療機関及び地方公共団体等の公的医療機関にゆだねるものといたしまして、国立病院・療養所といたしましては、当然のことながら医療のすそ野として周辺の医療も行うわけでございますけれども、担うべき機能といたしましては、政策的な医療、例えば高度先駆的な医療でございますとか、結核その他歴史的、社会的に要請されておる疾病に対する医療でございますとか、難病等を克服するための医療でございますとか、救急医療でそれを補完するような高度、まあ第三次の医療でございますとか、あるいは研究的な医療でございますとか、その他私ども国立病院が今後二十一世紀へ向かってどのように変わっていくかということで、機能の分担をこのようなねらいにしたわけでございます。  もちろん地域医療確保というのは、今先生もおっしゃいましたように、極めて重要でございます。先ほど健康政策局長からもお答えいたしましたように、地域医療確保する、それをシステム化するということが非常に重要でございます。そのシステムあるいは地域医療の中で、国立病院・療養所が、先ほど申し上げましたような国の担うべき機能、役割を今後計画の中へ当然お加えいただくわけでございますけれども、私どもといたしましては、国立病院・療養所につきましては、今先生おっしゃいましたような高度、政策的なものについて分担をしていきたい、このように考えておるわけでございます。
  133. 河野正

    河野(正)委員 確かに結核は減少しましたね。しかし、がん対策あるいは循環器対策、その他僻地医療とかいろんな役割がある。特に、僻地医療にいたしましても高度医療にいたしましても、なかなか採算が立たぬ。そういうような部面については当然国が実施をしていくべきだ。しかも、今申し上げましたように、全国の地方議会の七四・六%がぜひひとつ存続してほしいと要望しているのです。しかし、今局長からもお答えがあったが、もう既に国立病院を売ろうというような話があちこちで行われておるじゃないですか。今私が申し上げましたように、地方議会でも二千四百七十九の議会、パーセンテージでいえば七四・六%、これがぜひ残してほしいという強い要望がある。であるけれども、もう既にあなたの方は国立病院の売りに変わっておるじゃないですか。これはどういうことですか。  住民の意見も聞かなければならぬが、国会の意思というものも十分聞いて最終判断をすべきじゃないでしょうか。さっき精神保健課長を私は叱正をいたしましたが、今の厚生省行政は、全部が全部と言いませんが、少し独善的な傾向があるんじゃないか。資料を要求しても出さぬ。それは、資料を要求されて出すと、私どもからいろいろ文句を言われるというようなことも恐れてであろうと思うのですが。また、前回の委員会でもそうでしたが、きょうの午前中の竹村さんとのお話を聞いていても、全く支離滅裂な――あれは皆さんが素人やからいいですよ、専門家が聞いたら笑いますよ。もう国立病院を今売りにかかっているのですよ。そうでしょうが。この実態はどうですか。
  134. 仲村英一

    ○仲村政府委員 国立病院・療養所の再編成の趣旨は先ほど申し上げたとおりでございますし、基本指針として閣議において御了承をいただいておるものでございますが、その国立病院・療養所の再編成につきましては、再編成の指標といたしましては、統廃合をするものと経営移譲の対象とするものと大きく二つに分かれるわけでございます。  先ほど申し上げましたように、地域住民の一般的医療確保の役割を果たしているけれども、病床数、診療機能、診療圏等を総合的に勘案いたしまして、国が直営するよりも他の経営主体が経営することが適当と考えられるものについては、経営移譲の対象として今検討しておるということでございまして、国立病院・療養所が再編成された暁には、先ほど先生がおっしゃいましたようながんですとか循環器のナショナルセンターとか、その下に置かれます高度先駆的医療の普及を図るためのブロックの中心機関としての基幹施設でございますとか、高度総合診療施設でございますとか、専門医療施設あるいは総合診療施設ということで機能のレベルアップを図って、国立が各地域におきます中核的な医療機関として機能をレベルアップするということを目的として今検討を進めておるところでございます。
  135. 河野正

    河野(正)委員 検討をなさっておるということは、検討の結果、どこの国立病院をどうするか、既存の病院をどうするか、こういうことになるわけでしょう。しかし、もう既に国立病院は売りにかかっておるでしょう。買ってくれといって厚生省は要請しておるのじゃないですか。だから、検討中じゃないですよ。検討中どここではおっしゃるけれども、もうここの病院は要らぬのだ、だからぜひ買ってもらえぬだろうかというような交渉等があることは知っていますよ。だから、事実は事実として答えたらどうですか。さっきの午前中の答弁でもそうですよ。わけのわからぬようなことをああだこうだ、ああだこうだと答弁をされて、あんな答弁は専門家が聞いておったら笑いますよ。
  136. 仲村英一

    ○仲村政府委員 再編成計画実施に当たりましては、当該地域医療事情等を当然考慮しなくてはいけませんし、関係地方公共団体等とも協議をしてまいらなくてはいけないと考えておりますが、地域医療全体の計画の中で、先ほど申し上げましたような国立医療機関として担うべき機能を位置づけて私ども再編成を計画しておるわけでございます。経営移譲の当該施設が最終的に決定しておりませんけれども計画策定する段階で関係者の意見を聞いておるということはあるわけでございます。
  137. 河野正

    河野(正)委員 そういうごまかしの答弁をしないで、とにかくいろいろ検討してこの病院は要らぬようになった、これは教育施設があるいは民間に払い下げようではないか、それならそれでいいですよ。だけれども、検討中、検討中と言いながら、既にそういう工作が行われておるでしょうが。私は知っているのですよ。そういうごまかしをやらぬで、もう午前中の答弁のようなあんなごまかしを言わぬで、とにかくもう既に検討の結果この施設は不要になる、だから、ひとつ不要な施設というものは何とかしようじゃないか、そういう話し合いを今しておりますというのなら私は話はわかる。現実にやっておるのですから。それをやっているかやっていないか答えてください。
  138. 仲村英一

    ○仲村政府委員 最終的に六十一年度からこの再編計画に着手するわけでございまして、六十一年度につきましては、八カ所につきまして箇所を発表申し上げているわけでございますけれども、それ以降の全体計画につきましてまだ最終的な策定が終了しておりません。ただし、この策定をいたします段階で関係者の御意見を聞くということはやっております。
  139. 河野正

    河野(正)委員 そういう回りくどいような答弁ではなくて、八カ所は六十一年から廃止するのです、統廃合するのです、だから不要になった施設は売却するのです、そういうふうな段取りになっておるでしょう。私はその事実を知っておるわけだから。  私が言いたいのは、我々の示した方針というものはすべてが正しいんだ、そういう姿勢であなたの方が行政を進めていかれる、そのことに対して私は反発しておるわけです。だから、そういう国立病院というものは、もう民間にあるいは教育施設に売却するのですと、買ってくれますかと。地方自治体とかそういうのじゃないですよ。そういう話が既に進められておるが、それでは民意というものが反映されないじゃないですか、国民のニーズというものに応ずるわけにはいかぬじゃないか、こう言っているわけですよ。だから、もう既にこの病院は要らぬから買ってくれぬか、そういう話をしているか、していないか、そのことを答えなさいと言っているのです。
  140. 仲村英一

    ○仲村政府委員 六十一年度に統廃合を行います八カ所につきましては、御承知のように箇所を発表しておりまして、その医療機関につきましての話し合いを進めておることは事実でございます。
  141. 河野正

    河野(正)委員 そうおっしゃったらいいのですよ、そのとおりですから。買ってくれぬかと言われるところから、私は話を聞いているわけですから。だから、最初からそうおっしゃれば何にも質問を繰り返す必要はない。あなたもせっかく局長になられたわけだから非常に優秀な頭脳の持ち主であろうと思うけれども、それならそれなりにもう少し能力を発揮して答弁してもらわなければ困る。  これで国立病院・療養所の廃止に伴って一つ非常に大きな問題になりますのは、最近では病院、開業医の倒産が急テンポで進んできつつある。民間信用調査機関帝国データバンクの最近の調査によりましても、大型の倒産を含めて史上最高の倒産を示しておる、こういうように言われておるわけです。こういう大型倒産、史上最高ですが、この状況はどういう状況なんだか、ひとつ御報告いただきたい。
  142. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療機関の倒産の状況でございますが、民間の調査機関によりますと、負債額一千万以上の倒産の件数と負債総額は、過去三カ年の経過を申し上げますと、昭和五十七年が四十二件、百六十六億円、昭和五十八年が四十七件、四百五十七億円、昭和五十九年が五十九件、二百七十二億円という状況でございます。
  143. 河野正

    河野(正)委員 そこで、なぜそういうような大型倒産が起こってくるのか。これはやはり地域医療体系を策定されるについても重大な関係を持ってくるでしょう。それから、大型倒産ですから、かなり大きな病院ですから、そういう意味では、地域医療にとっては国立病院あるいは療養所の統廃合とも若干関係がないわけではない。その倒産の原因は一体どういうものであるのか、これをひとつお答えいただきたい。
  144. 竹中浩治

    竹中政府委員 倒産の原因といたしましては、放漫経営、機器、設備の過剰投資、それから医療事業以外への投資、無計画な事業拡大等々が考えられるわけでございまして、ごく一部でございますが、例えば昭和五十九年度で倒産件数九件につきまして見ますと、放漫経営が二件、過剰投資が二件、放漫経営と過剰投資が重なったものが二件、それから無計画な事業拡大と申しますか、経営計画の失敗が二件、他の事業への資金の投入が一件、合計九件、こういうような資料がございます。
  145. 河野正

    河野(正)委員 これは現在の厚生省の吉村次官が講演をなさっている内容ですが、病院の倒産についての講演があるのです。それにどういうふうに言われておるかといいますと、「診療報酬だけでなく、税金や補助など経営対策を講じる必要がある。良い医療を真面目に行っている病院がつぶれるようでは、日本の医療政策はダメだ。」私はそう考える。それなら今申し上げますような放漫経営、これは問題にならぬですね。それならば過剰設備についてはいろいろ議論があるところでしょう。医学医術が進歩しますから、医療機器も非常に進歩する。それに今高いですね。でございますが、今吉村次官が講演をされておるように、診療報酬、税金、補助、こういったものを行う必要がある。この点については、大臣、どうですか。
  146. 竹中浩治

    竹中政府委員 倒産の原因、いろいろあるわけでございますが、いずれにいたしましても医療機関の経営基盤の安定化、それから業務の円滑な継続というものが国民医療確保に非常に重要であるわけでございまして、私どももそういう点に非常に関心を持っておるわけでございます。実はこのため昭和六十一年度、来年度の予算要求でございますが、医業経営の近代化・安定化に関する検討費というものを要求をいたしておりまして、この問題に関しまして関係の専門家等から成る懇談会を設置をいたしまして、必要な措置に関する結論を生み出していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  147. 河野正

    河野(正)委員 そこで、吉村次官がおっしゃっておる――今の検討委員会ができて云々とおっしゃるが、その中で税金問題、特に今問題になっているのは事業税の問題がありますね。自治省からおいでいただいておると思いますが、診療報酬に対する事業税の問題も今いろいろ取りざたされておるわけです。  それから補助。吉村次官、どういう意味でおっしゃったかわかりませんが、補助もやらなければいかぬ、それでなければ本当の医療政策にならぬ、こうおっしゃっておるのです。  今から検討するとおっしゃっておるが、検討の材料として税金の問題、これは自治省もお答えいただきたいし、厚生省もそういうことがあったら大変だという面もございますから、その辺も含めてお答えいただきたい。  それから補助、これは経営対策を講ずるために必要である、こういうふうにおっしゃっておる。これまたどういう形でやっていただけるのか、その三つの点、診療報酬、税金、補助、これらについて厚生省と自治省の方からひとつお答えをいただきたい。
  148. 竹中浩治

    竹中政府委員 医師医療機関に対する税金の問題、特に事業税の問題でございます。私どもといたしましては、医療機関は営利を追求してはならないということでございますし、特に社会保険診療報酬の場合は公益性が極めて高いわけでございますので、厚生省といたしましては事業税は現行どおりかけないということでいってもらいたいと考えておるわけでございます。  それから補助金でございますが、現在、公的病院を中心にいたしまして不採算医療とか、あるいはその他の僻地の関係でございますとか、特別の、例えば小児医療施設、がん診療施設、救急関係、そういったことにつきまして整備費を計上いたしておるところでございます。
  149. 志村哲也

    ○志村説明員 お尋ねのございました社会保険診療報酬の問題についてお答えを申し上げたいと存じます。  事業税の社会保険診療報酬の特例措置につきましては、御案内のように昭和二十七年に創設をされたわけでございますけれども、創設をされて以来今日まで長期間経過をしておりまして、また昭和五十四年度には国税の所得税及び法人税におきまして課税の特例の見直しが行われたところでもございまして、政府の税制調査会の答申におきましても、これまで数回にわたり「所得税及び法人税における課税の特例に準じた取扱いとなるよう改めるべきである」との答申が行われているところでもありまして、その趣旨を踏まえて私どもといたしましては見直しを行うべきものと考えておるところでございます。  しかしながら、この特例措置の廃止の問題につきましては、医業の法人化等の制約など他の事業に見られない種々の特殊性を考慮すべきではないかという意見でございますとか、保険医療に係る諸政策との関連において総合的に検討すべきではないかというようなさまざまな意見等もございます。したがいまして、事業税の社会保険診療報酬の特例措置の見直しにつきましては、税制調査会等の御意見をも賜りながら、その答申の趣旨に沿った方向で引き続き私どもといたしましては検討してまいりたい、かように存じているところでございます。
  150. 河野正

    河野(正)委員 御承知のように、医療というものは公共性があるということですから、特に医療法人のごときは医療法の五十四条で配当を禁止されておるわけです。私も当時、この問題についていろいろやりました。その相手は山下元利さんですが、今は偉くなってしまったのですけれども、やったような経験があります。  それからまた、地方自治体に対しては、予防接種であるとか乳幼児健診であるとか、いろいろな面で貢献をしておるわけです。でございますから、先ほどから申し上げますように、放漫経営その他いろいろな理由はあるけれども、大部分のまじめな医業経営者も今非常に苦しんでおるという状況でございますから、今自治省からもお答えがあったように、答申はあったろうけれども、諸般の事情を勘案しながらひとつ十分配慮をしてもらいたい。  地方自治体は今財政が苦しいものですから、やはり何とかしてほしいということであろうと思う。しかし、実際には医療というものは公共性がある。それは医療法の五十四条で公共性があるから配当をしてはならぬぞという規定もあるわけです。それから地方自治体に対しては予防注射をしたり乳幼児健診をしたり、いろいろな面で貢献をしておるわけですね。そういった意味で、自治省の方では、答申等もあろうけれども、今の特殊性というものを十分お考えいただいて今後ともひとつ善処されるように期待をいたします。自治省、よろしゅうございますね。
  151. 志村哲也

    ○志村説明員 お答えを申し上げます。  私どもといたしましては、この特例措置の見直しにつきましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、税制調査会等の御意見を承りながらその答申の趣旨に沿った方向で検討してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  152. 河野正

    河野(正)委員 答申の趣旨に沿ってということはどういうことですか。
  153. 志村哲也

    ○志村説明員 これまでも税制調査会におきましては数回にわたりましてこの問題については答申、指摘をいただいているところでございます。また、明年度におきましても、税制調査会等の場でこの問題について御意見、御審議を賜りながら、私どもとしては答申をいただいた方向で検討をしてまいる、こういうことでございます。
  154. 河野正

    河野(正)委員 そんなふうに回りくどくおっしゃらぬで、答申がそうだからそれを実行するのですと、そういう意味ですか。
  155. 志村哲也

    ○志村説明員 お答えを申し上げます。  私どもとしては、基本的には税制調査会の答申において指摘をされたような方向で検討をしてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  156. 河野正

    河野(正)委員 とてもじゃないが、そういう議論をしておったっていつまでも平行線であれですから……。  ただ、私が申し上げておきたいのは、医業経営というのは非常に厳しくなった。だから、厚生省の吉村次官も、講演の中で、まじめな人の医療については何とか助成しなければならぬ、こういうふうにおっしゃっておる。その中に税金問題もあるのです。また一方におきまして、医療というものは公共性が強いものだから、今申し上げましたように、医療法の五十四条で配当その他をやっちゃいかぬぞ、こういう規定もある。それからまた、これは地方税ですから、地方自治体に対しては乳児健診とか予防注射とかいろいろな面で貢献を果たしつつある、こういう事情があるわけです。答申は答申として、そういう事情があることもここで特に強調しておきますから、それだけは頭に入れてお帰りをいただきたい、こういうふうに思います。  保健医療局の不手際によってむだな時間が過ぎましたので、時間がなくなりました。それで、あとは箇条的になるかわからぬけれども、さらさらとやってまいりたい、こういうふうに思います。  そこで、今回の医療法の改正の中で特に私ども強く痛感しますのは、先ほど申し上げましたように、提案理由の中に三つ書いてあるけれども実質的には二つですよ。その後段の、医療法人に対する監督強化、これが大きな柱になっているわけですね。何で医療法人だけがそういう監督強化の対象になっておるのか。とにかく悪いことをすれば政府としてもいろいろ行政指導しなければならぬ、あるいは処罰しなければならぬこともあるかわからぬ。ですけれども、なぜ医療法人に絞られておるのか、その辺が私どもはちょっと納得がいかぬのですよ。これはどういう意味でしょうか。
  157. 竹中浩治

    竹中政府委員 我が国の医療で非常に重要な役割を担っていただいておる私立の病院の中で、その中核になるのはやはり医療法人立の病院でございます。したがいまして、医療法人につきましての現行の規定をいろいろ検討いたしまして、一つは医療法人の内容整備、特に役員に関する部分でございますが、内容整備をしていただきたいということ、それからもう一つが指導監督規定の整備、この二本でございまして、繰り返しになりますが、医療法人の重要性にかんがみましてそういう規定の整備を考えたわけでございます。
  158. 河野正

    河野(正)委員 医療法人の重要性にかんがみるなら、もっと助成すべきじゃないかと私は思うのですよ。ところが今度の医療法の改正の中では、立入検査あるいは業務停止あるいは役員の解任、こういう極めて厳しい制裁というものが医療法人に関して行われておる。しかし現状でも、例えば北九州病院もそうでしょう、あるいは宇都宮だってそうでしょう、そういうふうに現行法でもそれ相応の制裁が行われておるのですよ。だから、今、局長がおっしゃったように、医療法人というものが医療の中で果たす役割が大きい、だから、そういう整備をするためにやったのだとおっしゃるならば、私は、むしろ育成する方に力を注がれなければならぬのじゃないか、こういうふうに思うのですよ。  ところが、とてもじゃないが、警察権を発動するようなやり方でしょう、これは。立入検査をする、立入検査しなくたって監査その他で指導できるわけですから。そういうような医療法人に絞ってそういう制裁措置というものが非常に厳しくなるということについては、正直言って私どもは理解しがたい。それは医療法人に限らず病院というものはほかにもあるのですよ。医療法人を名のっておる病院もあるが、一般の病院もあるわけです。ところが、なぜ医療法人だけに絞ってそういう措置が行われるのか、これはどうでしょう。
  159. 竹中浩治

    竹中政府委員 御承知のように、現行法におきまして、医療施設に対する、つまり病院に対する立入検査はできる規定になっております。したがって、個人立の病院の場合には現行の規定によりまして医療施設への立入検査ができる。ところが医療法人につきましては、医療法人が運営しております医療施設には立ち入りができるわけでございますが、医療法人そのものの業務、会計につきましては報告徴収のみでございまして、医療法人の事務所に対する立入検査は認められておらない、そういう点がございますので、これは従来一部に不動産の買い占めとかあるいは株式投機とか、そういった医療以外の、つまり病院の運営以外の事業で問題を起こした医療法人もあるわけでございますので、今回、医療施設のほかに医療法人につきましても立入検査ができるように改正をお願いをしているところでございます。
  160. 河野正

    河野(正)委員 しかし、そうおっしゃるけれども、北九州病院でもそうですが、宇都宮もそうですね、ちゃんと警察がやっておるじゃないですか。それにかわって今度は厚生省がやろう、こういう意図だというならば、私は厚生省指導行政と思ったが、それじゃ全く権力行政じゃないですか。  しかも、医療法人が設定をされた当時の法の精神というものは、従来の国立病院その他の施設が荒廃をした、だから個人病院に対して法人格を与えて、国ないし地方公共団体の施設が老朽化しておるから、それにかわって法人格を与えることによって代行してもらおう、これが医療法人の創設の精神でしょう。ところが、今やとにかくそういう精神を忘れて、そして全く監督行政警察と同じようにそういうような措置をやる。それはもともとの医療法人という精神にもとるじゃないですか。  そしてまた今度は、私ども聞くところによりますと、一人法人ができるという話もありますね。日本医師会あたりから一人法人がよろしいという要望があって、自民党が賛成なさったという話も、実はうわさですが聞いております。そうしますと、この一人法人も同じことですが、とにかく警察官みたいな強権発動をする枠内にはめ込んでしまう、そういうことにもなりかねぬと私は思うのですよ。ですから、そういう意味では何も一人法人ができたからといって日本医師会も跳び上がって喜ぶようなことはないと思うのですよ、むしろ監督強化されるのだから。だから、今後の指導方針については、一体どういう精神で指導をなさるのか、それはひとつ大臣がお答えいただきたい。
  161. 増岡博之

    増岡国務大臣 適正な指導監督あるいは勧告ということでありまして、度を外れたようなことが行われないように厳に留意しておかなければならないと思います。適正な医療が行われる範囲においては、むだなそういう監督は発動しないようにいたしたいと思っております。
  162. 河野正

    河野(正)委員 病院の不祥事件が後を絶たないですね。私ども非常に残念に思いますよ。ですから、そういう意味では信賞必罰ではないけれども悪いところは徹底的に指導してもらう、そういうことが必要だと思いますよ。  そうかといって、大部分の開業医師というものはやはり良心的にやっておるわけでしょう。今どこに聞いても経営が大変だ、薬価基準は下がるし、医療費はいろいろ抑制されるし大変だ、こういうことを我々は伝え聞いております。その上に今度のような状態が起こってきますれば、今大臣がおっしゃったように、できるだけひとつ、法はそうなるけれども運用面においては十分配慮していきたいというお答えがあったわけですから、それはそれなりに私ども納得することはやぶさかではございません。  が、やはりこの監督強化を行う。これはもう警察が一挙に家宅捜査をするというようなことじゃなくて、ある意味においては十分事前に、協会等団体があるわけですから、団体とも十分相談をされながら、大部分の医療法人というのは医療法人協会に参加しておるわけですから、そこと十分相談をしながら、これはこうだから残念であるけれども、監督強化のための強権という言葉は悪いけれども発動しなきゃならぬというような段取りにならないようにしないと、とにかく正直言って、今大部分のまじめな医療法人はだまされたと言っているんですよ。  御承知のように、医療法人ができるときに、国あるいは地方自治団体の施設が老朽化した、これじゃとてもじゃないが今の国民のニーズに応ずることはできない、だから個人病院にも法人格を与えて、そして国あるいは地方団体の施設にかわって仕事をやってもらおう、こういう考え方で医療法人というものが創設された。ところが、今にして思えば医療法人になったばっかりに強権を発動される、だまされた、厚生省けしからぬ、こういう声が非常に強い。まじめな人はそうですよね。  ですから、ひとつ大臣も先ほど言われましたように、法の運用に当たってはこの問題に対して十分慎重に配慮をする。まず指導、それからまた、これは医療法人協会等もあるわけですから、その辺の意見も十分徴しながらひとつこの問題に対応をしてもらいたい。  私はそれがやはり一番民主的な方法だと思うのですね。何でもかんでもそういう団体に相談すれば行政が十分うまくいかないということもありましょうから、それは別としても、ひとつできるだけ民主的にこの法の対応というものは図っていかなければ、正直言ってみんな、今残念でございますけれども医療法人の連中はもう意欲なくしてますよ。こんなことなら医療法人にならなければよかった、今度の医療法の改正をめぐってそういう声が非常に強いということは、ひとつ大臣も篤と頭に入れておいていただきたい、こういうふうに思います。それについては大臣、一言お答えを願いたい。
  163. 増岡博之

    増岡国務大臣 法律の中身について、私どもの考えでおるところを、いわば過大に権限を振るうのではないかと思っておられる、そういう誤解がありますとすれば大変残念なことでございますので、そのようなことがないようによく認識をして、お互いに自重自戒をしてやっていくようにいたしたいと思います。
  164. 河野正

    河野(正)委員 そこで、これは前段に戻りますけれども地域医療計画、これが今後地方医療審議会等々の意見を聞いて、そしていろいろ地域医療体制というものが確立をされていくと思うのです。ところが、民間が中心ですから、御承知のように日本の医療というものは民間医療が支えているのですよ。ですから、民間の医療機関意見というものが当然中心にならなければならぬ。たびたび言いますけれども、保健医療局のように独善的に――独善的だよ、あなたのところは。いろいろ言うたらおれのところは専門家がおるんだ、鑑定医が二人、そういうことまでおっしゃるような医療局ですから、そういうふうに一方的に地域医療体制が確立されるということについては問題がある。だから、やはり民間が中心であるならば、民間の管理者が主たる役割を果たせる、そういうような審議会体制というものをつくってもらわなければならぬのじゃないか、こう思います。これについてはどうでしょうか。
  165. 竹中浩治

    竹中政府委員 今回お願いをいたしております改正の中身でございますが、医療計画策定に当たりましては、都道府県医療審議会意見を聞くに先立ちまして、地域医療を実際に担っておられる立場からの計画策定についてのいろいろ不可欠な情報があるわけでございます。そういった点につきまして、診療または調剤に関する学識経験者意見を聞くということにいたしております。  また、都道府県医療審議会医療計画がかかるわけでございますが、その際も、診療を提供する側の学識経験者が当然参加をされるわけでございます。  また、国の段階におきましても、ガイドライン策定あるいは必要病床数医療圏設定等の省令事項に関しまして、国の段階では国の医療審議会にかけるわけでございます。その審議会にも医師、歯科医師診療を提供する側の学識経験者が参加をされるということでございますので、医療計画策定実施に当たりまして実際に医療に携わっておられる方々の意見が十分反映されるものと私どもは考えておるわけでございます。
  166. 河野正

    河野(正)委員 問題は、その学識経験者ですがね。その学識経験者に、やはり民間医療というものが地域医療を支えておるわけですから、したがって、そういった民間医療関係の方々が審議会に多く参加する、そしてその人たち意見によって地方医療体制づくりが行われる、こういうことを私は希望したわけです。それを単なる学識経験者や――これはペーパープランじゃないけれども、ペーパープランに終わる。  ですから、さっきから何遍も言って仲村局長気の毒だけれども、とにかく役人だから何でもおれらが言うことが正しいんだ、おれらの言うことに従え、そういう姿勢が今の厚生省の最も悪い点だと私は思うのですよ。何遍もあなたに言って悪いけれどもね。これは篤と頭に入れて帰ってくださいよ、きょうは。  そこで、時間がございませんので、一つは、地域医療計画というものがどうも病院施設を抑制していこうということに利用されはせぬかという心配がある。というのは、先ほど申し上げましたように、国立病院あるいは療養所が整理をされて五百ベッド減る。あるいはまた、これは既に厚生省の方じゃないけれどもかつて医務局長をなさった佐分利君、彼があるところで、一般病床というものは百万床でよろしい、こういう講演をしておられるのです。今百五十万を超しておるでしょう。こういうことを厚生省の役人の方たちは、OBですよということかもしらぬけれども、それでは私どもが恐れておるように、どうも地域医療体制というものが、審議会でやりますけれども、とにかく病院をできるだけ抑えて医療費をできるだけ抑えていこう、そういうねらいではないかという疑惑が非常に強い。本会議で時間がございませんからこれ以上は申し上げませんが、厚生省のかつての責任者ですよ、こういう方が今申し上げますように、百万床でよろしいんだ、こういう演説をする、こういう実態もある。今は百五十万床を超しておるでしょう、それが百万でよろしい、そういうことをおっしゃれば、我々はやはり今度の医療計画というものをできるだけ抑え込む、そうすれば医療費はかさばらぬでしょうというねらいではないか、こういうことを私どもは強く恐れるわけであります。  もう時間がございませんから、これが最後でございますが、この点はひとつ大臣からお答えいただきたい、こう思います。
  167. 増岡博之

    増岡国務大臣 医療の供給体制につきましては、やはり関係各方面の意見を聞きながら、特に今度は医療法の改正をお願いしておるわけでございますから、そういう計画を担当する方々の意向というものを当然酌むべきでありまして、一個人の判断によってなさるべきものではないというふうに思います。
  168. 戸井田三郎

    戸井田委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時五十二分休憩      ――――◇―――――     午後二時一分開議
  169. 戸井田三郎

    戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。沼川洋一君。
  170. 沼川洋一

    ○沼川委員 いよいよ本日から医療法の審議が始まったわけでございますけれども、今回の改正案を見ますと、一つの大きな柱として地域医療計画がうたわれております。また、もう一つの柱として医療法人の監査ということがうたわれておるわけでございますが、特にこの地域医療計画の中では、一つには地域医療システム化をする、もう一つには包括医療推進、すなわち病院整備あるいは診療所と病院の連係を強化するなどがいろいろうたわれておるようでございます。また一方の、医療法人の監査等につきましては、過去に大きな問題になりました富士見産婦人科病院事件等を一つの参考として出てきているように思うわけでございます。     〔委員長退席、稲垣委員長代理着席〕  ただ、私もこの医療法の改正案をずっと読ませていただきまして感じますのは、言ってみれば、医療というものを供給面、需要面に分けて考えました場合に、医療保険がいわば需要側、供給側すなわち医療法、こういうふうにとらえることができるのではないかと思うわけです。  そこで、昨年健康保険の改正がございまして、随分長きにわたっていろいろと論議がございました。言ってみれば、昨年の健康保険の改正は、二十一世紀を目指す改正とはいうものの、その根底では、やはり臨調答申等かう指摘されました国庫削減がいわば至上命令となった改革ではなかったか、こういうふうに思うわけでございます。需要面といいましても、幾ら削減といったって限度がございますし、特にこの健康保険法と医療法をある意味で表裏一体のものとしてとらえた場合に、今回の医療法も、やはり医療の供給面における国庫削減というのが一番のねらいではないだろうか、そういうふうに思うわけでございます。こういう点について大臣の率直なお考えをまずお聞かせいただきたいと思います。
  171. 増岡博之

    増岡国務大臣 今回の医療法改正の中での地域医療計画につきましては、地域医療供給体制の体系づけをした上での整備推進するためでございます。したがって、医療施設相互の機能の連係あるいは体系的整備、また無秩序な病床の増加のコントロール等を目的としておる地域医療計画策定することを中心としておるわけでございまして、御指摘のように医療供給面での国庫負担削減を目的とするものではございません。
  172. 沼川洋一

    ○沼川委員 私が以上のことを申し上げました一つの背景としましては、今厚生省がやっていらっしゃる医療費の抑制策というものを考えてみますと、マイナスにするということは一回もおっしゃっておりませんし、目安として国民所得の伸び以内におさめたい、そういう方針でやってこられていると思っております。  それでも、今後、経済の成長が名目で六%続くと仮定しましても、現在約十五兆でございますので、ざっと年間九千億も伸びる。こんな九千億から一兆円も伸び続ける市場というのはそうざらにあるものじゃないと私は思います。ところが、行政がとってこられた抑制策というのは、どうも総額を抑えるのじゃなくて、公的支出を抑える、国庫支出をなるべく抑える、総量では幾らふえても構わないというような、そういう流れを感じるわけでございます。  ですから、医療費が今後ともどんどんふえていくでしょうし、逆に、今度は国庫負担がどんどん減っていく。個人負担がまた出てくるだろうと思いますし、それでも足りないところは、最近のいろいろなそういう疾病等の保険が出ております。どうもそういうので補いなさいというような感じを受けてならないわけでございます。ですから、医療市場がどんどん伸びていくものですから、当然これからはまた新たな医療産業がどんどん進出してくると思いますし、医薬品産業あるいは医療機器産業、そういうものがこういう市場に非常に流れてくると思うわけです。こういう点について、さらに大臣にお伺いして恐縮でございますけれども、そういう背景をどういうふうにお考えになっていらっしゃるか、よければ大臣、一言御答弁いただきたいと思います。
  173. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療費の伸びでございますが、仰せのように、今後国民所得の伸び程度はなおかつ伸びていくのではなかろうか。私どものサイドでは、医療法改正お願いをいたしまして、医療供給体制整備ということでございますので、先ほど大臣が申し上げましたように、経費の面あるいは国の負担の面について特に考えておるわけではございません。
  174. 沼川洋一

    ○沼川委員 この問題を幾ら論議しても始まりませんので、ただ私どもも、国の財政難、これはやはり非常に重要な問題でございますし、それに協力するということは当然でありますけれども、ただ、どんどん国庫が減っていくという、それだけが底流になった、中心になった改革ではどこかにまた問題が出てくるのではないか、そういう点を心配しておりますので、あえて申し上げたわけでございます。  そこで、質問の中身に入りたいと思いますが、一つは、今回この医療法について政府でガイドラインをおつくりになる。また都道府県が、いわば都道府県知事を中心として医療計画をつくる、こういう流れになっていくわけでございますが、心配されますのは、このガイドラインによって都道府県医療計画を縛るのではないか、こういう面での心配が非常にございます。言葉が悪いですけれども、いわば官僚統制みたいな形になっていくのではないか、こういう心配があるわけですが、この点についてと、さらに、現在既に地域医療計画策定済みの都道府県が、私の調べでは約十県ございます。御承知かと思いますが、北海道、岩手、秋田、福島、神奈川、山梨、京都、島根、広島、愛媛がもう既に策定済みのところだと聞いております。今回新たにガイドラインができますと、そういうところとのいろいろな問題が出てまいるわけでございますけれども、先ほど私がちょっとこういう心配があるということで申し上げた、そういう点についてどのようにお考えになっているか、お聞かせいただきたいと思います。
  175. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療計画でございますが、各都道府県におきまして、地域の実情を十分配慮いたしまして、各方面のコンセンサスを得ながら作成をするということでございます。体系的な医療供給体制整備あるいは医療施設の不均衡な配置の是正、そういった点が中心になるわけでございますが、医療計画の基本的な内容が各都道府県でまちまちであるということでございますと非常に困るわけでございますので、必要な範囲に限りまして、標準省令あるいはガイドラインをつくるということを考えておるわけでございまして、都道府県に統制をかけるというような気持ちでは全くございません。また、あらかじめ医療審議会ガイドライン等についての御審議もいただくわけでございますので、そういう点もございますので、決して中央統制というふうなことには、御心配のようなことにはならないと思っております。
  176. 沼川洋一

    ○沼川委員 もちろんこれは局長もよく御存じと思いますが、こういう計画を画一的に当てはめてみてもそれぞれの地方に特質がありますし、そういう面を大いに生かした形のものをどうかつくり上げていっていただきたい、こう要望するわけでございます。  次に進みますが、今回の改正案では医療法人の理事長を医師に限る、しかもその理事長に代表権が集中する、そういう形になっております。今回の法改正の契機となった富士見産婦人科事件等こういった事件を見ますと、たまたま理事長が医者でなかった、こういう背景もあるのじゃなかろうかと思うわけでございますが、ある意味から考えますと、こういう形をとるのは時代逆行ではないか、そういう感じもするわけでございます。現在、アメリカあたりの例を聞いておりますと、理事長はあくまでも病院経営に専念する、医療におけるそういった治療等につきましては病院院長が全責任を持ってやる、お互いの立場を尊重し合いながらやっていく、そういったことが近代化していく上でむしろ一つの時代の流れではなかろうか、こういう感じを持つわけでございます。  これはある病院先生から伺った話でございますけれども、自分のところでは事務長を理事長にして経営の方は一切任して、自分は専ら病院のいわば医療従事者といろいろ医療の面だけで懇談している、お互いの立場を尊重し合いながらやっていくということで、随分思い切って医療に打ち込める。したがって、逆に経営にまで責任があるという立場になりますと、その辺があやふやになってかえって医療の近代化に逆行するのではないか、こういう意見を言われた方があるわけでございます。  現在、厚生省でも医業経営の近代化・安定化に関する懇談会等を近々設置されるやに聞いておりますけれども、外国のそういう流れ、これからの時代の流れから見て、過去の事件がそうであったからということで医師に限るというふうに限定づけることはちょっと時代逆行ではないか、こういう気がしますけれどもいかがでしょうか。
  177. 竹中浩治

    竹中政府委員 今回の改正でお願いいたしております医療法人の理事長は、原則として医師または歯科医師がなるという内容のものでお願いいたしておるわけでございますが、医療施設の運営につきましては、医師または歯科医師としての自覚なり倫理なりといった点にまつところが大変大きいわけでございまして、医療を供給する側が医療を営利追求の手段とした場合には、いろいろ弊害があり問題があるというのは御承知のとおりでございます。したがいまして、医業経営に当たりましては医学的知識とともに医療のあり方についての深い理解が必要であるということから、理事長は医師等に限ることを原則としたものでございます。こういったものを基盤にいたしました上で医業経営の近代化なり安定化を考えていくべき筋合いのものではなかろうかと考えております。
  178. 沼川洋一

    ○沼川委員 また、今の問題に関連しまして、特にこういった医療法人の監視といいますか監査といいますかそういう問題でございますけれども、過去にもあの富士見病院で事件があったときにこの委員会でいろいろと論議がございまして、いろいろ御指摘がありました。現在、医療法に基づく医療監視につきましては、局長も御案内のように、例えば病院構造設備あるいは医療関係の従事者が必要数確保されているかどうか、また診療記録等の書類が正確に記入されているかどうか、こういう問題だけをいわば監視する、こうなっております。  したがいまして、例の富士見病院のとき、この病院が明らかにいろいろと問題があるという投書もあったと聞きましたし、いろいろと騒がれておる真っ最中に結局何を監視し、どういう指摘をしたかといいますと、看護婦、助産婦が不足をしているという点では確かに厚生省として指摘があったわけです。また、職員の定期健康診断が実施されていないという点も指摘があったわけでございます。そういう面では確かに改善されておるわけです。ところが肝心かなめな医療の内部に踏み込めないで、結局問題が大きくなってから厚生省が後追いするというような格好になったわけです。そういう反省が今回の医療法の改正の中にもあらわれているんじゃないかと思いますけれども医療法人の監査、監視といいますか、こういう問題に対して改正案と現行法ではどのように変わって前進しているのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  179. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療機関あるいは医療法人等に対する指導監督でございますが、今回お願いいたしておりますのは、医療法人に対します監督規定の整備等でございまして、従来からやっております医療監視あるいはまた保険の関係の監査等もございますけれども、こういうものはできるだけ内容を充実させながら今の医療法人に対する監督規定の整備とあわせて進めてまいりたいと思っておるわけでございます。今回の法律改正によりまして医療監査が大きく変わるということは予定はいたしておらないところでございます。
  180. 沼川洋一

    ○沼川委員 これは行政として非常に難しい問題でございまして、健康保険法改正のときも、健康保険法における監査指導というものは、この法律自体が医師性善説、お医者さんには悪い人がいない、こういうことが前提でできておるものですから、監査という問題になってきますと行政としてどうしても壁がある、こういうことを感じたわけですが、この医療法も言ってみれば根底に医師性善説ということでできている法律だ、こう解釈してよろしゅうございますか。
  181. 竹中浩治

    竹中政府委員 医師性善説というお話でございますけれども、もちろん医療機関あるいは医療法人の運営等につきましては医師の資質なり倫理の問題、そういうものが非常に重要であることは申し上げるまでもないことでございます。そういった点を前提にしながら、私どもとして医療機関なり医療法人の運営が的確にまいるように今回のような改正をお願いをいたしておるところでございます。
  182. 沼川洋一

    ○沼川委員 局長もご承知のように、その後、ついこの前北九州病院等でもいろいろ問題が起こっております。もちろんこれは医師会等でも自浄作用ということでそういう問題は厳しく指導されていることは私もよく承知しております。しかしながら、こういう問題が後を絶たないということになってまいりますと、健康保険のときも論議しましたけれども、そういった問題が本当にある場合は、医療の内部に踏み込んでいろいろと監査指導ができる、こういう体制もやはりもっと考えるべきではないかと思うわけですが、いかがでしょう。
  183. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療の質あるいは医療内容の問題でございますけれども、御承知のように、この点につきましては、個々の患者の状態によっていろいろ変わるわけでございます。非常に個別、具体的な内容になるわけでございますし、同時に、こういったものについての指導あるいは監視という、医療の質につきましての指導あるいは監視といったような点につきましては、これはまた極めて高度な専門的な知識が要るわけでございまして、実際の面につきましては大変難しい点が多々あるわけでございます。  しかしながら、私ども医療の質の問題について看過するというわけにはまいらないわけでございまして、実は、当面それぞれの病院が自分みずからの医療の質を検討する、そして病院医療の向上を図るということの基盤にいたしますために、現在、病院機能評価に関する研究会というものも設けまして、病院評価の指標でございますとかあるいは病院評価の方法でございますとか、そういったことを現在この研究会で鋭意検討をしていただいているところでございます。
  184. 沼川洋一

    ○沼川委員 一つの今後の検討課題としてぜひそういう面も御検討いただきたい。  次に進みたいと思います。  今回、病院診療所の機能連係がうたわれておるわけでございます。ただ問題は、先日も局長おっしゃっておりましたけれども、その医療という概念といいますか内容といいますか、定義が時代とともにどんどんどんどん変わっていく。まして、地域医療ということになってきますと、いわばキュアからケアという非常に広い範囲になっていく、もうそういう時代になっておることも事実でございます。  したがいまして、病院診療所の連係、これは当然のことでありますけれども、問題は、こういう中に福祉面をどう加味していくかということがこれからの地域医療の中で非常に重要な問題になってくるのではないかと思うわけです。言ってみれば、今厚生省がいろいろと御検討なさっております中間施設ですね。プロジェクトチーム等をつくって随分検討が進んでおると思いますけれども、やはりこの地域医療計画をつくる中にそういう中間施設との連係という問題ももっと具体的に検討されていいのじゃないかと思いますけれども、この点についてはどのようにお考えになっておりますか。
  185. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療法に基づく医療計画は、事柄の性質といたしまして狭い意味での医療を中心とする計画になるわけでございます。しかしながら、包括医療体制あるいは高齢化社会におきます住民サービスの包括化、体系化といったような要請があるわけでございますので、医療計画の作成に当たりましては、「医療と密接な関連を有する施策との連係を図るように努めなければならない。」とされておりまして、例えば、今お話しの福祉対策、老人福祉対策等々につきましても、連係を図っていくという必要があると考えておるわけでございます。  次に、中間施設でございますが、この中間施設の法的な位置づけ、内容等につきましては、現在省内で鋭意検討を続けておりますが、まだ結論が出ない段階でございます。したがって、中間施設そのものにつきまして医療計画の中にどう扱うかという点につきましては、中間施設の今の位置づけを明らかにした上で、必要があれば医療計画の中に取り込んでいくというような考え方で現在おるところでございます。
  186. 沼川洋一

    ○沼川委員 特に、今中間施設の法的な位置づけを検討中だということでございますけれども、これは大分前からいろいろ問題になっておりまして、随分何か結論が出るのが遅いような気がするわけです。もちろん、これは難しい問題でございますだけに、御検討される中でも大変な問題だと思うのですが、その検討した結果必要であるならばそういう位置づけをするということですが、私はこれは絶対必要でなないかと思いますよ。  結局、今、日本の医療の根本的欠陥といいますか、これは何かと言われると、やはり福祉の医療化ということが長いこと行われてきたということじゃないかと私は思うわけです。本来ならば、当然これは福祉で見るべきものを医療で賄っている。老人病院なんかがその典型的な一つの例でございますけれども最初からナーシングホームや中間施設をつくって、病気が重くない老人はそこできちっと生活介助していけばよかったのに、ちょっとした病気があるともう病院に入れて、そのまま二年でも三年でも入院している御老人が少なくなかったということも事実じゃないかと思います。本来福祉で賄うべきものを医療で賄っていた、そう思われるケースが今まで非常に多かったのじゃないか。  そういう意味から考えますと、ぜひ、地域診療所、病院と福祉の連係という問題になりますと、こういう中間施設みたいなものとの連係も当然これはもう必要なものである、私はそう思うわけですけれども、いかがでしょうか。
  187. 竹中浩治

    竹中政府委員 中間施設、特に収容型、入所型の中間施設でございますが、今申し上げましたようなことで、まだその内容がどの辺に落ちつくかというのが結論が出ておらないわけでございます。仮定といたしまして、例えば非常に病院寄りの中身、病院寄りの位置づけということになりますれば、これは当然医療計画の中で考えていかなきゃなりませんし、逆に福祉サイドに近いような位置づけ、内容でございますと、その点は少し医療計画との関係は遠くなっていくというふうなことになろうかと思います。
  188. 沼川洋一

    ○沼川委員 さらに、ちょっと関連してお尋ねしたいと思いますが、今回の医療法の改正はどうもベッドの規制がねらいじゃないか、そういう声をいろいろ聞きます。今のこの問題は別にして、要するに日本の場合、ヨーロッパとかアメリカ等と比べまして、ベッド数においては断然世界一じゃないか、そういう気がいたします。  ここにいただいたデータがございますけれども、五十九年度で、病院が百四十六万七千床、診療所が二十八万三千、合わせますと百七十五万あるわけです。私、いろいろ聞くところによりますと、大体アメリカと病院ベッド数が同じだ、こう聞いているのです。御案内のように、アメリカは人口が日本の二倍です。その二倍の国と同じということは、そういう対比をしただけでも、いかに日本がベッド数が多いかというこれは一つの証明だと思うわけですが、さらにアメリカには約百万床ぐらいのいわばナーシングホームがある、こういうことも聞いております。  そういう点で、極端な言い方ですが、日本の病院ベッドの半分はもうむしろ中間施設にかえていけばアメリカと同じようなスタイルになるわけです。もちろんこれは、医療保険の中身とかいろいろ国によっての違いがありますので、そういった極端な対比はできませんが、いずれにしましても、前回のデータで見ていきますと、大体年間三万から四万ぐらいベッドが急増していくわけですね。これは普通の医療の需要という面で見ますと、需要があるから供給があるというのが当たり前なんですけれども、逆に、ベッドがどんどんどんどんふえていって需要を呼んでいる。これがまた非常に医療費を大きくする要因になっている。こういう一面も確かにございますが、こういう問題はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
  189. 竹中浩治

    竹中政府委員 まず、我が国の病床数が外国に比べて異常に多いのではないかというお話でございます。確かに、お話がございましたように、米国と比較をいたしますと、人口一万対ということで比較をいたしましても、アメリカは日本の約半分である。これは昭和五十八年の数字でございますけれども、日本の場合人口一万対で百二十一、それに対しましてアメリカが五十九ということでございますが、他の国について見ますと、フランス、西ドイツ、スウェーデン等々と比較いたしてみますと、例えばフランスは百七、西ドイツは百十五、スウェーデンは百四十八ということでございまして、必ずしも日本が極端に多いということにはならないのではなかろうか。アメリカの場合はナーシングホームというものが非常に多いという特殊事情がございますので、その辺との関連ではなかろうかと思っております。  しかし、いずれにいたしましても、病床数が特に地域的にある場所で無秩序にふえるというようなことがございますと非常に問題でございますので、今回お願いを申し上げておりますような、それぞれの地域におきまして体系的な医療供給体制の確立をするということ、そういう医療計画、その点の改正を現在お願いいたしておりまして、医療計画がきちっとできてまいりますと、そういった問題にもいろいろと効果があるのではなかろうかと考えております。
  190. 沼川洋一

    ○沼川委員 この問題はそれだけにしまして、次に行きたいと思います。  いろいろと問題になっております家庭医の問題なんですが、厚生省としても懇談会をつくり、いろいろ検討を進めていらっしゃるということはよく承知しております。確かに地域医療関係者の相互協力によって、地域の実情に即したシステム的な医療の提供を確保するための地域医療計画、この策定というのを急ぐ必要があると私は思うわけです。  ただ問題は、その中で家庭医制度の確立ということは極めて重要な柱になるのじゃなかろうか、このように私は思っております。現在いろいろな家庭医像というのが求められておるわけでございますけれども、一つには、地域において初期、二次、高度医療への適正な振り分けができるということ、それから二番目に、医療の専門化が進展して、家庭全体の医療ニーズが継続的に把握しづらくなっていることから、家庭で通常起こり得るところの疾病、要するに子供の病気から老人に至るまで、こういったものに対して診療、治療能力のある医師が必要とされるわけです。したがいまして、家庭医につきましては、これは関係団体の協力を得て、一定の高い専門能力を有する医師について標榜を認め、診療報酬体系の中で特別の配慮をすべきではないか、このようにも思うわけです。  家庭医が幅広い診療科を持つことで、健康管理あるいは疾病予防に目が届きますし、治療の一貫性あるいは包括性が可能となるわけでもございます。プライマリーケアの充実にもつながる。さらに、こういったものができますと、家庭と医師というものが太いパイプで結ばれるということで、いつも今まで問題となってまいりました医師患者のいわば信頼関係が確立する、そういう効果が期待できるということも大きいのじゃないかと思いますが、いずれにしましても、地域医療の中で家庭医制度について厚生省としてどのようにお考えになっておるか、お聞かせいただきたいと思います。
  191. 竹中浩治

    竹中政府委員 家庭医につきましては、御承知のように、現在学識経験者等によります家庭医に関する懇談会というものをつくりまして御検討をお願いいたしております。現在のところ、私ども、いろいろ関連する部分もございますので、今年度、来年度と二年かけまして適切な御結論をいただこうということでお願いをいたしておるわけでございます。  今いろいろお話がございましたように、家庭医として考えておるものが地域における中核的な医療の担い手になるということが期待されておるわけでございますし、プライマリーケアの推進の具体策の大きな一つであろうと考えておるわけでございまして、地域医療の中に占める位置というのは非常に重要になると考えております。ただ、この問題につきましては、今申しましたように、来年度末ぐらいまで検討の時間がかかりますので、その上で医療計画との関係あるいは制度的にどうするのかというような問題、その点につきましては、その結論が出た上で検討いたしたいと考えております。
  192. 沼川洋一

    ○沼川委員 今いろいろと検討なさっている段階ということで、これ以上は聞きません。  さらに、地域医療の中で高額医療機器の共同利用という問題について厚生省でもいろいろと考えていらっしゃると聞いておるわけですが、やはりこれは単なるデスクワークだけじゃ不十分じゃないかと私は思います。共同利用型病院をつくるというような話も聞いておりますけれども、それはそれとして結構なことだと思いますが、全体の数量の適正規模、これは国なり県あたりが曲がりなりに指示ができましても、具体的な配置になりますとやはり地元の医師会を中心とした医療関係の方の意見を聞かなければ、そういう実態というものはなかなかよくわからないんじゃないかと思います。いずれにしましても、こういう問題に対してはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お聞かせください。
  193. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療資源の有効利用を図るという観点からいたしまして、高額医療機器の効率的な利用方法を考えていくということは非常に重要な問題であるわけでございまして、その一つとして、高額医療機器の共同利用というものにつきましても現在いろいろと促進策を講じておるところでございます。今回お願いいたしております各都道府県地域医療計画策定の際にも、高額医療機器の共同利用というようなことを十分考えて組み込んでいただきたいというふうに考えておるわけでございます。     〔稲垣委員長代理退席、丹羽(雄)委員長代理着席〕
  194. 沼川洋一

    ○沼川委員 時間が余りございませんので、次に薬剤師に関する問題について、前回もお尋ねしましたけれども、再度質問いたしたいと思います。  まず、改正案の第三十条の三の九項には「都道府県は、医療に関する専門的科学的知見に基づいて医療計画の案を作成するため、診療又は調剤に関する学識経験者の団体の意見を聴くものとする。」とあります。ところが十項には「都道府県は、医療計画を定め、又は変更しようとするときは、あらかじめ、都道府県医療審議会及び市町村の意見を聴かなければならない。」いずれにしましても、地域医療計画をつくる場合に医療関係者の意見を聞きなさい、こういうことがこの改正案の中にうたわれておるわけですが、言葉ですからどういうふうに受けとめていいのかちょっとわかりませんが、十項の方は「聴かなければならない。」となっているのです。九項の方は「聴くものとする。」となっているわけですね。  法律用語ですから、片方が絶対義務的なものを感じますが、悪く言うと「聴くものとする。」というのは、聞かないときもあったっていいみたいに、そういうふうに思える節もあるわけです。これは同じものなのか違うのか。あえてこういう違いを設けたのはどういうわけなのか、この辺をひとつ御説明いただきたいと思います。
  195. 竹中浩治

    竹中政府委員 「都道府県医療審議会及び市町村の意見を聴かなければならない。」これは字義どおりでございまして、聞くことを都道府県知事に義務づけておるものでございます。それから「聴くものとする。」というのは、これは都道府県知事の方針を示すものでございます。  したがいまして、若干の違いはございますが、実質的な点で申しますと、「聴くものとする。」ということでございましても、これは都道府県を拘束するわけでございますから、「聴かなければならない。」といった場合も「聴くものとする。」といった場合も実質的な差異はないというふうに私どもは考えております。
  196. 沼川洋一

    ○沼川委員 実質的に差異がなかったら、専門家の方が見なくたってよくわかるように、どちらも「聴かなければならない。」と、文章はぜひひとつそういうふうにすぱっと改めていただきたい、このことを要望しておきます。  それから、やはり改正案の中に、医師、歯科医師医療従事者確保、そういう問題が出てまいります。これは三十条の三の三項三号ですが、「医師及び歯科医師並びに薬剤師看護婦その他の医療従事者確保に関する事項」で「確保」ということがうたわれておりますけれども、これから二十一世紀に向かっての医師、歯科医師薬剤師その他の医療従事者等の育成についてはこの中では全然うたわれておりません。こういう問題についてはどのようにお考えになっておりますか。
  197. 竹中浩治

    竹中政府委員 医師、歯科医師初め医療関係者の養成なり確保という問題は、医療の面で基盤になる非常に重要な問題でございます。したがいまして、医療計画の作成に当たりましても、今お話のございましたような医療従事者確保に関する事項も定めることができるといたしておるところでございます。  また、医師、歯科医師につきましての国全体の養成、確保の問題も非常に重要な問題でございますので、医師の数について検討会でいろいろ検討していただきまして、御承知のように、医師につきましては一〇%、歯科医師につきましては二〇%削減することが今後の問題として必要だという御意見も賜っておりまして、私ども、それらを踏まえながら、医師、歯科医師等の医療従事者の養成、確保に当たってまいりたいと考えておるわけでございます。
  198. 沼川洋一

    ○沼川委員 こういう養成計画という問題になりますと、今も御答弁にありましたように、医師、歯科医師は必ず出てくるわけですが、いつも必ず薬剤師ということは全然おっしゃらぬわけですね。一方ではよく三師会と言う。そういうときは薬剤師が入っておるわけですが、こういう問題になってくると、健康保険のときもそうでしたけれども薬剤師の問題というのが余り重要な問題として取り上げられていないようです。  先日も質問しましたときに、今回の「医療を提供する体制確保」の「医療」の中に処方せん応需業務が入るとおっしゃいました。それから「体制」の中に医薬分業が入る。特に病院診療所で薬を扱う、薬物治療をするわけです。ここに薬剤師が非常に重要な役割を持ってくる。もちろん医師が中心でありますけれども薬剤師を除いては地域医療というものは充実したものにはならないのじゃないか、こう思うわけでございます。  恐らく局長も御承知かと思いますけれども、現在我が国の薬剤師数というのは米国に次いで世界第二位でございます。人口十万当たり薬剤師数が九十九・一人、このようになっておりまして、世界主要国において第一位である。その数は、厚生省に届け出た薬剤師数で十二万四千三百九十人。これは五十七年の資料によるものでございますが、実際には五十七年には約十九万の薬剤師がおる、このように推定されておるわけでございます。そのうち届け出実数薬剤師数が十万二千九百十三人ということになっておりまして、その他未届けのまま就職しておる者が約五千人いる、そういう推計でございます。これは五十七年度でございますけれども薬剤師会等で調べたところによりますと、現時点で大体八万人くらいが未就職だ、こういう問題もあります。  医師とか歯科医師の場合は、一たん免許を取ったら一生涯自分の仕事としてなさっておる。ところが薬剤師の場合は、ほかの仕事をやっていたり、結婚して全然免許も使わない、こういう方もいらっしゃるということで、何かいつも特別な扱いを受けるのじゃなかろうかと心配するわけですが、これから二十一世紀に向かってやはり現在の薬科大学の定員数がそのまま続くと仮定して将来の薬剤師増を予測しますと、これは昭和七十五年には全体の数で二十六万四千五百人となるわけです。さらに八十五年には三十二万二千人、このように大体推計されるわけでございます。したがいまして、当然、この薬剤師の養成、そういった将来計画等についてもこれはぜひひとつ国の方で、厚生省の方できちっとした対応をお願いしたい、  このように思うわけでございます。  現在これを具体的に検討する窓口がないんじゃないかというくらい、全然この問題が進展いたしておりません。あとの医師については、これはたしか健康政策局の医事課でそういう養成計画を検討されていると聞いておりますし、それから歯科医師についても、これは歯科衛生課でやっていらっしゃいます。看護婦については看護課でなさっていると聞いております。この薬剤師の養成計画という問題になりますと、恐らく業務局の企画課の範囲じゃないかと思うわけですけれども、企画課もいろいろな仕事をなさっておりますが、企画課でこういう養成計画等について今までどうなさってこられているのか。また、今後こういう問題を当然やはり扱うべきじゃないかと思いますけれども、その点、業務局長見えていますので御答弁いただきたいと思います。
  199. 小林功典

    小林(功)政府委員 薬剤師養成の窓口、これはございます。今おっしゃいましたように業務局企画課の担当でございます。  そこで、薬剤師の養成問題、大変重要な問題だと思いますが、その場合には、やはり質と量の両面を考えなければならないということは当然でございます。  そこで、まず質の問題でございますが、近年の医学、薬学の進歩などによりまして、薬学教育、そして薬剤師の質的向上ということの必要性は年々高まってきている、私はこういう認識を持っております。  それからもう一つ、量的な問題でございますが、ただいまも先生お話にございましたように、薬剤師という職種の方は病院、薬局等で調剤に従事するほかに、例えば医薬品の製造、販売等々、非常に広い範囲で活動されておるわけでありまして、そういうことを考えますと、現在の段階で考える限り、特に量的に過剰であるというふうに言い切れるということではないだろうという気持ちを持っております。ただ、おっしゃるように、これから先二十一世紀ということを考えますと、薬剤師養成計画というのは大変重要な問題だと思います。そしてその計画を考えます場合には、資質の向上とともに、将来の需給バランスというものをどうしても見通して考えなければならないことになります。そこで、これらにつきましては関係者とも十分連携をとりながら検討を進めることにいたしております。  それから、これは質の方のお話になりますが、厚生省におきましては、薬剤師の養成、特に試験制度のあり方について検討するために薬剤師国家試験制度改善検討委員会というものを設けまして、いろいろ検討をしていただいておるわけでありまして、それに対応しながら必要な措置を順次とってまいりたい、このように考えております。
  200. 沼川洋一

    ○沼川委員 窓口の問題ですけれども、要するに、こういう養成計画、将来計画等については担当課というのが直接はないようですけれども、先ほど申し上げましたように、あえて業務局の企画課でお扱いになる、そこで検討される、こう認識してよろしいんでしょうか。
  201. 小林功典

    小林(功)政府委員 そのとおりでございます。
  202. 沼川洋一

    ○沼川委員 それではぜひ――医師、歯科医師の問題はいろいろと先ほども、一〇%削減あるいは二〇%削減と、具体的に非常に問題が検討されて二十一世紀に向かって進んでおります。薬剤師の問題というのは、そこまで掘り下げた検討は恐らく今までやってないのじゃないかと思いますが、企画課で扱っていただくということでございますので、その中でぜひともひとつ御検討方をお願い申し上げたいと思います。  さらに薬剤師の問題で再度お尋ねしておきたいと思います。  確かに調剤を行う薬局における薬剤師の処方せん応需というものが医療法で言うところの医療の中に入ってまいります。地域医療の中のこういった体制の中に医薬分業という問題が入ってまいります。当然これらの調剤業務というのは薬剤師としては、まず診療医と薬剤師が十分理解した上で処方せんの解読あるいは調剤設計、服薬指導、服用管理あるいは医薬品情報活動などをするということが大事なことじゃなかろうかと思うわけです。したがいまして、地域内で病院における医療というものについて研修をすることが当然必要になってまいりますし、地域薬剤師地域医師また病院とこういった研修を行う実例が既に分業が非常に進んでおる地区においてはございます。  しかし、今度の改正案の第三十条の六にございますように、医療施設研修利用の対象の中にはこれが入れられておりません。ですから、非常に自発的に行われている地域はありますけれども、やはり制度上明記していただかないとなかなかこういうことが実現しないわけでございます。そういう点を心配するわけでございますが、ともに研修をするということについてどのようにお考えになっているのか、またそういった中に薬剤師を含むということを入れるべきではないか、このように考えますけれども局長の率直なお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  203. 竹中浩治

    竹中政府委員 改正案の三十条の六のところで病院のオープン化によって医師または歯科医師の研究または研修に利用してもらう、そういうふうに努めるようにという規定があるわけでございます。  ただいま先生から薬剤師の問題につきまして御質問、お話があったわけでございますが、私どもとして御指摘の点につきまして理解できる点もあるわけでございますけれども、政府といたしましては、いろいろと慎重に検討を重ねました結果、現在御審議をお願いしている案を国会に提案をさせていただいておるということでございます。
  204. 沼川洋一

    ○沼川委員 最後がどうもはっきりしないわけですね。現在の案を審議していただきたい。この前の答弁も、もし国会で御決議があればそれに従いますと、局長、非常に主体性がないのですね。私は局長がこういう問題に対してどうお考えになっているかと聞いておるわけですから、お考えをお聞かせください。
  205. 竹中浩治

    竹中政府委員 薬剤師の方々がいろいろな面で研究または研修を行われるということは非常に必要なことでございます。ただ、今回の医療法の改正案におきましては、病院のオープンによります研究、研修については医師または歯科医師が利用できるようにするということで一応いいのではないかということが私どもの慎重な検討の結果だということでございます。
  206. 沼川洋一

    ○沼川委員 その辺が、今度の医療法は健康政策局が大体中心になって進めていらっしゃる。その局長がそんなあやふやな考えではちょっと困ると思うのです。前段は非常にいいのですよ。薬剤師も必要だと思います、その先のお答えは大体必要ないのですね。ですから、局長時点でその辺の認識があやふやだと、何かみんながそう言うのだったら入れますというような行政ではちょっと困ると思うのですが、これ以上言いません。  私は、何も、お願いします、入れてくれというような角度でこの質問はしていません。そういう中に薬剤師が当然組み込まれていかなければ地域医療はよくなりませんよ、そういう観点からこれは申し上げておるわけでございますので、ぜひひとつ御検討いただきたいと思います。  時間がもうあと五分になりましたので、さっきの薬剤師のいわば養成計画の問題で、業務局長から既にお答えいただきましたが、最後の締めくくりとしまして……。  この法案の中に、先ほどから言いますように医師、歯科医師等の養成計画、こういうものが入ってないということで、入れるという御意見があるやに聞いております。その場合に、医師、歯科医師薬剤師、さらにその他の医療従事者、こういった幅広い中での養成計画というのを附則なりそういうものにぜひつけ加えていただきたいと思うわけでございますが、いかがでしょうか。
  207. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療需要の動向等を踏まえました医療従事者の養成計画、これは適正な医療供給の観点から不可欠であることは申すまでもないわけでございまして、厚生省といたしましても、これまで医師、歯科医師看護婦あるいはPT、OT、こういった医療関係者の養成のあり方について鋭意検討をいたしてきたところでございます。今後も医療従事者全体の計画的養成に努めてまいりたいと思っております。なお、先生お話し医療従事者の養成について検討する旨を医療法に規定してもよいのではないかという御意見があることは私どもは承知をいたしております。
  208. 沼川洋一

    ○沼川委員 今薬剤師が入っておりましたか。その辺、はっきり言ってください。
  209. 竹中浩治

    竹中政府委員 大変失礼をいたしました。  医師、歯科医師薬剤師看護婦、理学療法士……。
  210. 沼川洋一

    ○沼川委員 ぜひそういう方向で御検討をいただきたいと思います。  時間が参りましたので、以上で終わります。
  211. 丹羽雄哉

    ○丹羽(雄)委員長代理 森田景一君。
  212. 森田景一

    ○森田(景)委員 私は、医療法改正案の質疑につきまして、医療法人の指導監督について、そしてまた医療法人の役員について、三点目は中毒一一〇番の設立について、この三つをお尋ねしたいと思います。時間が非常に限られておりますので、答弁の方は明確にお願いしたいと思っております。  まず、医療法人の指導監督についてでございます。今回の改正案では、法人の業務等について法令違反等の疑いがあるときは、都道府県職員に、医療法人の事務所に立ち入り、業務または会計の状況を検査させることができることになっているわけでございます。これは六十三条関係でございます。この目的といいますか、ねらいといいますか、これは一体どういうことであるのか、まずお尋ねしたいと思います。
  213. 竹中浩治

    竹中政府委員 現行医療法におきましては、病院診療所等の医療施設に対します立入検査はできるわけでございますが、医療法人の業務、会計につきましては、報告徴収ができるだけでございまして、法人の事務所に対する立入検査は認められていないわけでございます。したがって、医療法人が医療以外の事業を行い、法令違反等の問題を起こしているというような場合には十分な対応が困難なわけでございます。そのため、今お話しの六十三条におきまして、医療法人の業務または会計が法令に違反している疑いがあると認められるような場合には、都道府県知事は医療法人の事務所に対する立入検査を行うことができるというふうな改正をお願いしておるわけでございます。
  214. 森田景一

    ○森田(景)委員 これは過去に具体的な例があって、そういうことでぜひこの立入検査をする必要がある、こういう判断をされたんだろうと思うのですけれども、過去の事例を説明していただいて、こういうことがあったのでこのようなことのないようにしていきたいという、その具体的な例を説明いただきたい。
  215. 竹中浩治

    竹中政府委員 例でございますけれども、例えば医療法人が不動産の買い占めとかあるいは株式投資など医療以外の事業を行って、そして法令違反等の問題を起こしておるというような例、あるいは法人の附帯業務、例えば医療関係者の養成でございますとかあるいは再教育等でございますが、そういった法人の附帯業務の継続によって法人本来の病院診療所の運営に支障が認められるというような場合、あるいは放漫経営によりまして病院施設の運営に支障があると認められる場合、そういった場合が例になろうかと思います。
  216. 森田景一

    ○森田(景)委員 法令違反の疑い、こうあるわけですけれども、法令違反の疑いを持たれるその疑いというのは一体どういうことなんでしょう。     〔丹羽(雄)委員長代理退席、稲垣委員長代理着席〕
  217. 竹中浩治

    竹中政府委員 これは医療法人から都道府県知事に対しまして、財産目録、貸借対照表あるいは収支計算書等が提出をされるわけでございますが、その記載内容を吟味いたしました場合に、不適正な点が認められるというような場合がございます。また、医療法人の運営に関しまして、確かな裏づけが認められる不審な点があるというような場合が、今本条で言っております疑いがあるときというのに該当するものと思っておるわけでございます。
  218. 森田景一

    ○森田(景)委員 一般の企業と医療法人の経営活動というのは根本的に違うはずであります。最近一般企業に類似するような、いわゆるチェーン病院といいますか、こういう表現が適切かどうかは別といたしまして、チェーン病院を経営する医療法人が話題をまいているわけでございます。全国の医療法人数は三千四百ぐらいというふうに言われておりまして、うち複数の病院を系列に置くものが二〇%ぐらい、このように伺っておりますけれども、そのいわゆる大型の医療法人、この数はどのぐらいあるのか。具体的な法人名を挙げて御説明いただければ幸いと思います。
  219. 竹中浩治

    竹中政府委員 例えば七つ以上の病院を併用しておる医療法人ということで見ますと、全国に三法人がございまして、具体的に法人の名前を申し上げますと、東京都にございます医療法人財団明理会、同じく東京都にございます医療法人社団明芳会、それから大阪府にございます医療法人徳洲会、この三法人でございます。
  220. 森田景一

    ○森田(景)委員 今大きなところを挙げていただきましたけれども、いわゆるチェーン病院には連鎖倒産、これは医療法人財団小林記念会というのがございまして、連鎖倒産あるいは医師看護婦等の名義の借り貸しあるいは多額の基準看護料の不正受給であるとか診療報酬の不正受給、あるいは今お話のありました医療の目的外事業を行う、こういった危険性が非常に多いのではないかと思うわけでございますけれども、こうしたチェーン病院経営につきまして厚生省はどのように理解していらっしゃるのか、チェーン病院に対する評価についてお尋ねしたいと思います。
  221. 竹中浩治

    竹中政府委員 いわゆるチェーン病院でございますが、こういうものにつきましても適正な経営がなされているものが大多数でございまして、チェーン病院であるから不正経営の危険性があるというふうには一概に言えないのではなかろうかと思います。  ただ、こういうチェーン病院の場合は数県にまたがって病院経営が行われるわけでございますので、そういった医療法人に対する指導につきましては、やはり関係都道府県が緊密な連携をとって指導に当たるということが必要であろうかと思いますので、そういった方向で各都道府県指導してまいりたいと思っております。
  222. 森田景一

    ○森田(景)委員 ただいま答弁にもありましたけれども病院開設や基準看護などの認可は都道府県単位の認可になっているわけでございまして、したがって各県にまたがるチェーン病院につきましては、医師とか看護婦の貸し借りを行っているという話が出ているわけでございます。厚生省はこうした実態把握していらっしゃるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
  223. 竹中浩治

    竹中政府委員 複数の県にまたがって病院を経営しております医療法人でございますが、先ほども申しましたように、従来からも関係都道府県で十分連絡をとっていくようにという指導をいたしておるところでございます。いろいろな問題がありましたので、本年の六月十九日付で、複数医療機関の間での医師等の従事者名簿の照合の励行、そういったものを内容といたします指導通知を出しておるところでございます。
  224. 森田景一

    ○森田(景)委員 私のところへこういう新聞といいますか印刷物が送られてまいりました。これは社労の関係の先生方があるいは全国会議員がわかりませんけれども、恐らく増岡厚生大臣委員長のところへも来ていると思います。御存じかと思いますが、参考のためにコピーしてまいりましたので、大臣委員長に差し上げたいと思います。ちょっとお願いいたします。  この印刷物は発行者が不明でございますので、こうした委員会で取り上げることにつきましてはどうかというふうに私も思案いたしましたけれども内容につきましては非常に重要なものがございます。重要な内容と申しますのは、先ほど局長からもお話がありました目的外事業を行っている、こういうことなので、この真否についてお尋ねしたいと思っております。内容は非常にたくさんあります。  まず、今回の改正案にある、先ほどお話し申し上げました法令違反の疑いがあるときということ。この法令違反の疑いがあるときという問題ですが、こういう内容は法令違反の疑いに該当するものでしょうか、どうですか、お答えいただきたい。
  225. 竹中浩治

    竹中政府委員 先生のお示しの徳洲会の関係のものでございますが、特に徳洲会の医療相談所、私ども鹿児島県を通じましていろいろ調査をいたしたわけでございますが、相談所が五カ所置かれておりますが、そこで選挙運動が行われたというような事実は確認されなかったという報告を受けておりまして、今の段階では、先ほどの疑いがあるときということに直ちには該当しないのではなかろうかと思っております。
  226. 森田景一

    ○森田(景)委員 今はそう直ちには回答できないという話でございますが、十分検討していただきたいと思うのです。  それで、私は、この文書が送られてまいりましたので見まして、先ほど申し上げましたように非常に重大な内容がある、こう思いましたものですから、このグループの関係についていろいろと調べてみました。そうしましたら、やはりいろいろ問題があるわけです。  京都府宇治市にチェーン病院を開設した際に、看護婦の名義借りが行われた、こういうふうに京都府議会で問題になっているわけでございますが、厚生省は御存じでいらっしゃいましょうか。
  227. 竹中浩治

    竹中政府委員 徳洲会グループの宇治に開設をした病院でございます。京都府がこの病院に五十九年十月に立入検査をいたしております。その結果、この宇治徳洲会病院の開設時点は五十四年十二月でございますが、この五十四年十二月の時点では、看護婦の必要数が七十四人であるということに対しまして、約半数不足の事実があったということが確認された、そういう旨京都府から報告を受けております。
  228. 森田景一

    ○森田(景)委員 また、このグループでは五十四年七月に、沖縄県東風平町というところでチェーン病院を開設しておりますが、申請が三百床の同病院に必要な常勤医師は二十二人、こういうことになっております。院長以下二十三人の医師薬剤師七人、看護婦八十一人が届け出をされました。医師薬剤師などの氏名、免許証のコピー、看護婦の氏名などの従業員名簿がつけられておりました。医師のうち八人は大阪府下の同グループ八尾病院から、また七人は同じく岸和田病院から転勤することになっておりましたけれども、この十五人はほぼ全員が名義借りで、また複数の薬剤師、正看護婦、准看護婦も名義借りだったと言われておりますが、この件について沖縄県から厚生省に一どのような報告がなされているでしょうか。
  229. 竹中浩治

    竹中政府委員 今お話しの沖縄徳洲会南部徳洲会病院でございますが、この病院の開設中講時におきます医師等の名義借りがあったかどうかという点につきましては、沖縄県で立入調査をいたしましたら、名義借りの事実は確認されなかったという報告を沖縄県から受けております。
  230. 森田景一

    ○森田(景)委員 どういう調査をしたのか、沖縄県の対応、ちょっと私もよくわかりませんが、もう一つ問題があります。  五十九年九月二十六日付のある日刊紙によりますと、同グループが五十三年七月に大阪府八尾市に系列病院を開院しました。五十四年八月、基準看護一類の指定を受けております。ところが、ここでも看護婦の名義借りが行われていたという記事でございます。同病院は五十六年八月と五十九年九月にそれぞれ監査を受け、いずれもパスをしたと言われておりますけれども、このことは厚生省保険局のコメントもついておりましたので、事実関係の調査をなさったはずだと思うのですが、この結果はどのようなものでしょうか。、
  231. 竹中浩治

    竹中政府委員 今先生お話しの八尾の病院でございますが、これは保険局が医療保険の面での監査を行ったということでございまして、私ども、保険局でやりました監査の結果につきまして現在手元に資料を持ち合わせておりません。恐縮でございます。
  232. 森田景一

    ○森田(景)委員 どうも担当が違うからわからないなんというのじゃ困るわけです。  実はここでも、今お話し申し上げましたような事実があったのですけれども病院の方はいろいろと手配をして、必要な書類あるいは看護婦の応援等をもらって、一応格好だけは監査に合うようにつくったわけです。  そのときの状況を申し上げてみますと、昭和五十六年九月十八日現在の必要正看護婦数は、これは府が立入調査したときですけれども、原則は三十名、例外が二十四名、病院側が提出の病棟勤務正看護婦数というのが三十八名になっておりまして、実際は病棟実働正看護婦数が十五・五名、原則からいいますとマイナス十四・五名、例外でもマイナス八・五名、こういうふうになっております。そういうのは、先ほどの局長の答弁ですと、ありませんでしたと恐らく答弁するのだと思うんですね、担当が違うという話ですけれども。私の方で調べましたら、これは先ほどお話し申し上げましたように、きちんと勤務担当表とか看護婦の氏名の届け出がなされているわけです。それで見ますと、五十六年九月十八日ごろ働いていないという看護婦さんが、さっきの人数ですけれども、随分出ているわけです。  その中のAさんは、五十四年八月から五十四年十一月ごろまで免許証を貸してくれ、こういうことを言われたことがあることはあると言うんですね。だけれども、その当時は西区立の日生病院に勤務していた、そういう看護婦の名前も入っているわけです。  それからBさんは、東大附属の助婦学校に入校しまして、結婚しました。それで、神奈川県で当時生活しておりまして、この病院に働いている。こういう話をしますと随分長くなりますから、まあ一、二の例で申し上げます。実際に勤務していない、看護婦の免許を持っている人を、あたかも働いているかのように申告といいますか書類を提出してやっている、こういう事実があるわけであります。だから、こういうふうに書類でごまかされて、それを見て監査した人たちが、これは基準を充足している、こう判断されたのでは、不正の発見のしようもないわけですね。こういう点についてどうお考えになっていらっしゃいますか。
  233. 竹中浩治

    竹中政府委員 私ども、特に病院の開設許可の際、医療関係者が法令上の必要数を満たしておるかどうか、これにつきましては、従来から医療従事者の名簿あるいは免許証等々によりましてチェックを行っておるわけでございます。できるだけ念入りに調査をする、あるいはまた、開設後の医療監視におきましても、できるだけ出勤簿等をチェックをいたしまして、詳細な調査をするように努めておりますが、今後とも、そういう名義貸しというものがあれば、できるだけそれが発見できるような体制をつくってまいりたいと考えております。
  234. 森田景一

    ○森田(景)委員 私がこのような質問をいたしますのは、何も病院に恨みがあるわけでも何でもありません。先ほど来の質問の中でも、大多数のお医者さん方、そして病院が使命に感じて立派な医療を続けていらっしゃる。そういう現実の中で、ほんの一部の病院なり医師が悪いことをするために病院医師全体の信用を落とす。私、聞きますに、医療というのはお医者さんと患者の信頼関係がなければ本当の治療はできないわけであります。そういう立場から、こういう疑惑を持たれるような、不正を起こすような、そういう医師病院というものはきちんと正していかなければいけないのではないか、こう思って質問したわけでございます。  特に看護婦の名義の貸し借りは、いわゆる基準看護に関連するわけでございます。基準看護にはこの条件を満たさなければなりませんから、そのためには人数をそろえなければいけない。人数がそろわないから名前だけそろえる。そういうことになると大変なことになるわけです。  この基準看護については特一類とか特二類あるいは一類とこうあるわけでございますけれども、こういう基準看護の承認を受けますと看護料の上乗せが行われるわけですね。特二類では一人につき二千七百八十円、特一類では二千百二十円、一類では千二百三十円、入院患者一人についてこれだけの上乗せが一日で行われるわけです。仮に基準看護一類の場合を例にとりますと、毎日二百人の入院患者があったとして計算しますと、二百人に三百六十五日を掛けましてそれに千二百三十円ですから、これは八千九百七十九万円という膨大な基準看護料がもらえるわけです。チェーン病院がこういうことを組織的にやったとしたならば、五つのチェーン病院ならば、これが五倍ですから年間四億四千八百九十万円、十のチェーン病院ならば八億九千七百八十万円と、こうなるわけです。  これは大変な不正受給ということになるわけでして、この例が北九州病院グループだったと思うのです。そういうことが絶対に起こらないようにしなければいけない。また、少なくともこの医療費というのは被保険者の保険料で賄われているわけでございます。この支払いについては国民の信頼にこたえられるような支払いをしてもらわなければいけない、こういうことで質問したわけでございますが、こうした事例に対して今回の法改正で果たして対応できるのかどうか、その辺を最後にお伺いしておきたいと思います。
  235. 竹中浩治

    竹中政府委員 今回のお願いいたしております改正でございますが、これは医療法人に対します監督規定の整備ということで、医療法人の運営面の適正化を図っていこうということでございます。それが結果的には今のお話のような名義借りあるいはその水増し不正請求といったような防止に役立つものと考えております。なお、御指摘のような事例に対しましては、従来からやっております医療監視あるいは保険の監査、こういったものをより徹底をさせていく必要があろうかと思っておりますので、その面の各都道府県に対する指導を強化してまいりたいと考えております。
  236. 森田景一

    ○森田(景)委員 時間がなくなってきましたので、医療法人の役員について一つだけお尋ねしておきます。  といいますのは、今度の改正では医療法人には役員として三人以上の理事、それから監事一人以上、これを置かなければならないとなっているわけです。また、「理事のうち一人は、理事長とし、」「医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。」ものとする、こうなっているわけです。今現在お医者さんでない理事長で経営している病院があるわけですけれども、こういう人はこれから認めないということなのか、あるいはそういう方も特例として今後とも認めていく、こういうことなのか、これをお答えいただきたいと思います。  もう時間がありませんから、一緒に質問していきます。  前国会で私は厚生大臣に中毒一一〇番についてお尋ねしました。増岡厚生大臣は非常に明快に、この秋までには中毒センターをつくります、こういう答弁でございました。もうそろそろ十一月も末になりまして、これが私なのかどうか、その辺のところはちょっとわかりませんけれども、十二月になるといや応なしに年がかわります。そういう点でこの中毒一一〇番のセンターの設立状況、なかなかできない問題点、この点についてお答えいただいて、時間ですから質問を終わりたいと思います。
  237. 竹中浩治

    竹中政府委員 まず医療法人の役員の問題でございます。現在ございます医療法人のうち医師、歯科医師理事長になっておりますのは全体の医療法人の中の約八五%でございます。それから、現在医療法人の理事長が医師でない場合に、今回の法律改正によってどうなるかという問題でございますけれども、現在、原則として医師または歯科医師理事長ということでございまして、医療法人の運営が適正に行われるという前提で都道府県知事が認めた場合には特例として医師、歯科医師でなくてもよいということで弾力的に運用したいと思っておりまして、当面、この改正の施行時におきまして医師でない人が理事長になっております法人につきましては、二年間の経過期間後も従来どおり認めていきたいと思っております。
  238. 増岡博之

    増岡国務大臣 中毒情報センターにつきましては、救急医学会を中心といたしまして財団法人とすべく本年六月に設立準備委員会を発足させていただいたわけでありまして、その組織及び事業計画等を決定しまして現在設立準備委員会が法人の設立及び運営に必要な資金の募金活動を行っておるところであります。その募金状況を見ますところ、本年じゅうには正式に設立認可申請書が提出される見込みでありますので、認可申請書が提出され次第速やかに認可をして事業をスタートさせたいというふうに考えております。
  239. 森田景一

    ○森田(景)委員 終わります。     〔稲垣委員長代理退席、委員長着席〕
  240. 戸井田三郎

    戸井田委員長 塩田晋君。
  241. 塩田晋

    ○塩田委員 私は、まず先日発表されました厚生白書につきまして御質問をいたします。  厚生白書の八十一ページでございますが、医療保険の給付率につきまして「六十年代後半のできるだけ早い時期に給付率を八割程度で統一することが適当と考えられる。」という文言がございます。これをあえてこの時期に出されましたのはどういう御意図が、まずお伺いいたします。
  242. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 厚生白書に発表いたしました内容はただいま先生指摘のとおりでございますが、この問題については昨年の健康保険法の改正案を御審議をいただきました際にいろいろ御議論がございました。私どもも昨年の連休前に今後の医療政策の基本的方向ということでお示しをしたわけでございますが、そのときにも全制度を通じまして給付と負担の公平化措置、すなわち一元化措置を六十年代後半に実施をいたしまして、給付の八割程度への統一及び財源の調整等による負担の公平化ということを述べたものでございます。  その後、国会における御審議の経過を経まして、昨年成立をいたしました健康保険法の改正の附則におきましても、「政府は、新健保法施行後の医療費の動向、国民負担の推移、財政事情等各般の状況を勘案し、健康保険制度の全般に関する検討を行い、その結果に基づいて、社会保険各法に規定する被扶養者及び国民健康保険の被保険者の医療に係る給付の割合を百分の八十とするよう必要な措置を講ずるものとする。」こういう改正の附則で御修正をいただきまして成立をさせていただいた経過はございます。そういった経過を踏まえまして、ことしの厚生白書においてただいま御指摘のようなことを申し述べたものでございます。
  243. 塩田晋

    ○塩田委員 この根拠は、昨年改正されました健康保険法附則第六十三条に基づくものだということを説明されたわけでございます。  この厚生白書を見ますと、「今後は、財源を含め全体としての国民負担の動向等を考慮しつつ、」「できるだけ早い時期に給付率を八割程度で統一することが適当と考えられる。」という結論を出しておるわけですね。附則にあるこの文言は「医療費の動向、国民負担の推移、財政事情等各般の状況を勘案し、健康保険制度の全般に関する検討を行い、その結果に基づいて、」今言われましたように「百分の八十とするよう必要な措置を講ずる」こうあるわけです。  そうしますと、こういった検討を行った結果がどこに出ているのか。どういう結果を出された結果このように考えられたのか、お伺いいたします。
  244. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 今御指摘の問題につきましては、現在私どもなお検討を続けている最中でございますけれども、具体的に申し上げますと、やはり将来の国民負担が過重とならないよう国民医療費負担の水準を適正に維持をしたい、こういうことを考えまして、今後の老齢化社会ということも考えますとやはり八割程度に統一をするのが最も望ましいのではないか、こういうのが私どもの考え方でございます。具体的に計数を挙げましての作業は現在鋭意検討している最中でございます。
  245. 塩田晋

    ○塩田委員 現在鋭意検討しているのに、その結果に基づいて適当であるという判断を出してしまっているというところを私はついているわけです。いかがですか。
  246. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 改正法の附則におきましても、医療給付の割合を「百分の八十とするよう必要な措置を講ずるものとする。」こういうふうに決められているわけでございまして、目標はやはり百分の八十とするということにあることはこの六十三条から明らかであると私ども考えているわけでございまして、そういった方向で現在検討を行っているということでございます。
  247. 塩田晋

    ○塩田委員 附則第六十三条は、検討して、検討したその結果に基づいて、――なるほど百分の八十というのは出ていますけれども、結果に基づかないといかぬ。そして、いつの時期か。それは検討の結果に基づいていつからが適当かという判断をしないといけないのに、まだ検討が続いている段階で厚生白書で、もう六十年代の後半に百分の八十にするのが適当であるという結論を出してしまっている。結果に基づかない、検討中でまだ結論が出ていない、しかるに結論を出してしまっている。判断を加えて、こうするのが適当だということを断定しているところに、これは問題があるのではないですか。
  248. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 私ども医療政策の基本的な方向は、先ほども申し上げましたように昨年この委員会にもお示しをいたしたのでございまして、その際にも六十年代後半には八割程度に給付を統一したいということを当時の渡部厚生大臣からもお答えをいたしましたし、また私どもの基本的方向でもそういった方向で進みたいということを再三御説明を申し上げたのでございます。今回の厚生白書におきましてもその考え方を踏襲をいたしまして、御指摘のような「六十年代後半のできるだけ早い時期」これは渡部厚生大臣が御答弁を申し上げたのと全く同じ文言でございますが、「六十年代後半のできるだけ早い時期に給付率を八割程度で統一することが適当と考えられる。」という私ども厚生省側の考え方を申し述べたものでございます。
  249. 塩田晋

    ○塩田委員 「検討を行い、その結果に基づいてこという附則第六十三条の文言からいうと、これは明らかに、そうあるべぎものをそうしないで、結果に基づかないで結論を出してしまっているところに大きな問題があるということを指摘しておきます。  我々は八〇%で固定するということは考えていない。渡部厚生大臣とのやりとりの中でも、私たちは現在の状況の中でも少し努力すれば大体全部を、オール給付率を九〇%にできるということを強く主張しておったのです。段階的に八〇にして、また九〇ということもいろいろ議論された結果なんですね。ですから、八〇といいますと、現在の水準、オール水準をなべて平均して実施すれば八七%から八%、九%という数字もこれは検討されておったのです。だから、ちょっと努力すれば九〇に到達するのだということも随分議論しておったのです。  その際、大臣からは用心をして、まず八〇%で、六十年代の後半にはまずそこへ行って、こういうなかなか用心をした答弁があった。これも知っております。その上に立って、議論がまだまだあり、検討した結果これこれのこういう理由で財政事情もこうであって見通しはこうだからという、そういう検討がないのに結論を出してしまったところにこれは大きな問題があるということを私は指摘しておるわけです。厚生大臣、この問題はいかがでございますか。
  250. 増岡博之

    増岡国務大臣 健康保険の一元化ということを考えておるわけでございますから、その一元化に向けての作業の中では当然給付率の一元化ということも考えられる、そういう意味で記載したものと思います。
  251. 塩田晋

    ○塩田委員 厚生大臣、もう少し厳密にお考えいただきたいと思うのです。制度の一元化あるいは給付率を一元化していこうということ、これをいろいろ議論されたんですね。ですが、ここに書いているのは一元化というのは幅があると言うんです。これは統一なんですね。きちっと八〇%にしてしまおうと、統一なんです。それは法律では前提があるわけですね。いろいろな事情を考慮して検討した結果に基づいてこうしようというのは法律に出ているんです。ところが白書では、もう既に検討中だということを今局長言われたんですけれども、検討の結果は見てないんです。検討の結果はこうでありますから、こういう判断に立ってこうすることが適当である、しかも六十年代後半という時期も入れて、この時期が八〇%とする適当な時期だということを言っているわけですね。結論を出しちゃっているということです。それを私は今指摘しているわけです。いかがでございますか。
  252. 増岡博之

    増岡国務大臣 統一という言葉がございますのでそのような御認識をいただいたと思うわけでありますが、この文言から考えますと、一元化された場合には、恐らく給付率が八割程度で同じ水準になることが適当であるという意味合いのものではなかろうかというふうに思います。
  253. 塩田晋

    ○塩田委員 これは大臣がお考えになるよりはもっと厳密に、ぴちっと全部を八〇%にするという趣旨なんですね。これは前から議論がありますから。その延長線上では、この白書に書かれている八〇%で統一というのは、全部を一律に八〇%にするという趣旨でございまして、給付率を一元化するとかあるいはできるだけ合わせていくという、そういうものじゃなしに、ぴちっとしたものにしてしまう、こういうことでございます。これは争いの余地のないことなんです。この点を私は非常に問題だということを指摘しておきますので、これは問題として残したいと思います。  それでは次に移ります。  同じく厚生白書では、盛んに自助努力ということを強調しておられます。言うならば、今中曽根内閣の大きな政策の一つであります民間活力の導入、民活ですね、これを従来に増してかなり強調しておられます。厚生省はこの時期に民活あるいは自助努力ということを盛んに言われますが、一部ではこれは社会保障の後退じゃないかという議論も出てきているわけですね。何から何まで社会保障で賄い切れない、財源にも限度がある、こういうところから、できるだけ各人でやってもらいたいということで、社会保障の後退につながるんじゃないか、各個人にもかなり犠牲を強いるんじゃないか、こういう受け取り方があるんですが、この意図は何でございますか。
  254. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 民活とか自助努力というようなことをいろいろ述べておるわけでございますが、その背景は結局国民のニードが非常に多様化しているというようなことでございまして、簡単に申しますと、非常に多様化しているものに対応するのに公的なものだけでは全部賄い切れないと申しますか、対応し切れないというような面がございますので、民間の活動、サービスを利用する方が適切な対応をし得る場合が多くなってきている、こういう背景でございます。
  255. 塩田晋

    ○塩田委員 民間活力なり自助努力と言っておられる場合に、具体的にどの辺の範囲まで考えておられるのか。今までこうであったのをここまでやってもらいたいんだとか、もう少し具体的に説明をしていただけますか。
  256. 北郷勲夫

    ○北郷政府委員 最近におきます民業の発展というのは非常に目覚ましいものがございまして、従来から言われております年金と医療その他と分けて考えますと、例えば年金で申しますと、いわゆる企業年金でございますとか個人年金、個人年金でございましても、生命保険と預金とを組み合わせた商品が開発されているとか、いろんなタイプのものが出てきております。それから医療の関係で申しますと、これも従来から言われていることでございますが、いわゆる差額ベッド、特別な病室を希望する患者さんが相当数おる、こういったものに対応しまして、医療保険で特約をいたしまして、病気になった場合にその費用を保険の特約で支給する、こういう形の商品が出てきております。それからまたさらに、痴呆老人とか寝たきり老人の介護の費用、こういったものを保険で賄うというような形の商品も出てきておるわけでございます。  それから、もうちょっと範囲を広げて考えますと、いわゆる健康事業と申しますか健康産業と申しますか、こういった面で申しますと、健康機器のリース事業が始まるあるいは健康食品が非常に発達してまいってきております。それから、いわゆるスポーツクラブ、エアロビクス運動の場所ができるとか、こういった健康に関する需要に対して民間の企業的な活動の中で対応していくというような動きがございますし、さらにまた、最近よく出ております有料老人ホームの数が非常にふえてきておるというようなこともあるわけでございます。それから福祉の関係で、従来福祉の分野で行われておりました寝たきり老人の介護につきましても、入浴、おむつ交換というようなものをいわば事業として有料でやるというような動きもございます。それから、これはまたもっと考え方が違うのでございますが、例えば老人の場合、非常に家、土地を持っておる、その場合にそういった財産管理を引き受ける事業、こういったものもあります。  こういうように、老人一つとりましても、生活全般にわたって福祉面で考えなきゃならぬ面が非常にたくさんあるわけでございます。例えば活字の大きい雑誌を出すというのも福祉の観点でとらえようと思えばとらえられるわけでございまして、こういったことすべていわゆる民間的な活動の中で取り込んでいってもらわなければならぬ分野でございます。そういった意味で、非常に幅広い分野で高齢問題に取り組んでいく、その場合に、公的な分野だけじゃなくて、幅広く世の中全部で物事に対処していく必要がある、こういうことでございます。
  257. 塩田晋

    ○塩田委員 具体的に例を挙げてのお答えで、厚生省が考えておられます民間活力というものの範囲のおおよその輪郭がわかりました。その中で、大きい活字で印刷、製本すること、これも福祉になるんだというお考え、そういう考えもあるでしょう。それから健康増進、保持、これは国がやる分野もありますけれども、各人がそれぞれの自助努力でやっていく、それに対応しての供給面が出てくるということは考えられますね。その他にも今例示がありましたような考え方、確かにあります。ですが、医療の面の民活を余り言われますと、有料化の方向にいくと、またそれに向かっての企業化、そうすると社会保険で賄ってきているのはいずれは自由診療の部分がどんどんふえてくるのじゃないか、あるいは保険で賄っていくということになればなおさら拡大していくのじゃなかろうかと思いますね。厚生省は、今後ますますそういう方向を促進しようという政策の態度でおられるのか、どうなんですか。その辺はどのあたりを限度に考えておられますか。
  258. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 医療保険につきましての民間との兼ね合いの問題の御指摘でありますけれども、私どもはやはり必要にして適切な医療医療保険で給付をする、こういう基本的な考え方でございます。  ただ日進月歩の医学医術でございますから、非常に限られた医療機関実施ができるいわゆる高度先進医療というような分野の医療についてどう取り扱っていくかという問題はございますけれども、必要にして適切な医療はすべて医療保険で給付をするというのが私どもの考え方でございます。
  259. 塩田晋

    ○塩田委員 デイケアとかナーシングホーム等のいわゆる中間施設でございますが、高齢化社会を迎え、また急速に高齢化が進んでいる我が国の社会におきまして、中間施設に対する需要は非常に高まってきているし、これを政策的にも進めなければならないという状況があると思います。  厚生省は、中間施設という言葉で概念しておられるものは一体どういうものなのか。一口に中間施設と言いましてもいろいろな種類が考えられるし、それらのいろいろなニードに対してどう対応していくかという問題があると思うのです。一体どういうものを考えておられるのか。  聞くところによると、来年度予算要求しておられるのはわずかに四億円ですか。モデル的、研究的なものの要求であって、本格的には昭和六十二年度からだとおっしゃいますけれども、モデル的、実験的にやるとしても、中間施設というものは一体どういうものかという考えが厚生省の中にないといかぬと思うのです。これはどういうものなのでございますか。
  260. 竹中浩治

    竹中政府委員 中間施設でございますが、高齢化社会の到来に伴いまして、寝たきり等の要介護老人が今後大幅に増加をする、そういう状況に対処していくために中間施設という議論をいたしているわけでございます。  中間施設という名前でございますが、医療施設と福祉施設との中間あるいはこういった施設と家庭の中間といったような二様の意味があろうかと思います。私ども、中間施設に関する懇談会をつくりましていろいろ御検討をいただきまして、ことしの八月に中間報告をいただいておるわけでございます。その中で、中間施設というものは在宅型のものと入所型、収容型のものが考えられる。在宅型のものと申しますのは、在宅の寝たきり老人あるいは病弱老人等々在宅の老人を対象にいたしまして、デイサービスとかショートステイとかリハビリテーションとか、そういった在宅老人の支援型の中間施設というものを考える必要がある。  もう一つは、寝たきり老人のどちらかといいますと長期にわたる収容、つまり入所型の中間施設でございますが、脳卒中等で病院へ入られまして、それからある程度よくなって病院から家庭に帰ります場合に、生活訓練あるいはリハビリテーション、こういったものを中心にいたしまして、家庭に帰ってきちんと生活ができるようにという割合短期間の普通ハーフウエーハウスと言われているような機能、それからまた長期収容の機能、そういったものを含めまして入所型の施設ということが言われておるわけでございます。  この中間報告をいただきまして、現在私どもこの中間施設の内容をどうするかということを鋭意検討いたしておりますが、現在の段階では、その内容の詰めをいたしまして、六十一年度には全国で十カ所程度のモデル実施をする、六十二年度以降に本格的な実施をするということで準備、検討を今進めておる段階でございます。
  261. 塩田晋

    ○塩田委員 今言われました家庭と施設との中間、あるいは在宅型あるいは入所型という説明がございました。それぞれに対応した供給といいますか、そういうニードがあるわけですから、供給をしなければならぬ、対応していかなければならぬという問題の中で、いろいろな所得層がありますし、いろいろな形態の方、重病の方からぴんぴんしておられる方あるいは機能回復中の者とか、いろいろありますね。それに対しまして、先ほど議論しました民活との関係ですけれども、中間施設についての有料化、時には相当高額のものを含めて、有料化ということを考えておられますか。
  262. 竹中浩治

    竹中政府委員 中間施設の入所に要します費用負担の問題でございますが、これも先ほど申し上げました検討課題の中の非常に大きな問題でございまして、今検討しておる段階でございます。しかし、中間施設でございますから生活部分があるわけでございまして、そういった部分につきましてはある程度自己負担をしていただく部分もあるということになろうかと思います。
  263. 塩田晋

    ○塩田委員 来年度予算で十カ所程度要求をしておられます総額四億円といいますと、運営費と施設費を含めて一カ所について四千万円なんです。そうしますと、病院に附属している場合は病院のひさしを延ばしていってつけ足したような施設になりかねないという感じがいたしますね。施設費は二千万円、そう独立した立派なものを建てられるわけにいきませんね。予算上から見まして、そういう観念がまず出てくるわけです。モデル的とはいいながら、それをモデル的にやったら、本格的にやる場合もそういったものを数多くつくるだけになってしまうのではなかろうかという心配があります。  それから有料化の問題ですが、お金のある人はどんどんいいところへ行ける。ない人は中間施設へ入れない。しかも中間施設に入らなければならない人、あるいはまた希望する人、こういう方がデイケアであろうと入所型であろうと出てくる。これはよほど方針をはっきりしておきませんと、どんどん有料化してしまって高いものばかりになってしまう。そういうことではまずいと思いますね。  外国の例を見ましても、低所得の人でもデイケアも受けられるし、入所型の中間施設にも入れる、そういうふうにちゃんと準備していますね。その場合は、州立とか国立とかいった公的な施設であって、片や民活といいますか、民間の資力を活用してどんどんやっているものもある。これは外国の状況です。いずれにしても、病院のひさしをちょっと延ばしたようなそんな中間施設はないのですね。そんなみみっちいものでは我が国における中間施設の発足に当たって余りにもお粗末過ぎる、こう思います。  外国でも大きな病院の十階、二十階の分の半分以上が中間施設になっているというケースもありますね。独立て四、五階の立派な建物の全部が病院附属でない独立した中間施設、これもありますね。そういうものから見ますと、日本のこれからの中間施設は非常に必要だと思うのですよね。必要だと思うのだけれども、発足からいって余りにもお粗末じゃなかろうか。そんなことで発足したのじゃ将来思いやられるというのが私の心配でございますが、いかがでございますか。     〔委員長退席、稲垣委員長代理着席〕
  264. 黒木武弘

    ○黒木政府委員 中間施設につきましての来年度の予算要求絡みでお尋ねでございますけれども、御指摘のように、来年試行的実施ということで十カ所分、設備費、運営費入れまして四億円程度の要求をいたしておるわけでございます。御案内のように、中間施設懇談会の意見の中にも本格実施に当たって試行的な実施の必要性が述べられておるわけでございまして、私どもとしましては、どうしても本格実施をやるに先立ちまして試行的な実施をやりたいということで、一応枠取り的に四億円の予算を要求させていただいているというのが現状でございます。  先ほど健政局長から答弁いたしましたように、今、中間施設の制度をどういうふうに仕組むか、その制度化を鋭意検討中でございまして、その制度をにらみながら私どもの来年度の試行的実施の肉づけをいたしてまいりたいというふうに考えておりますが、いずれにいたしましても、委員指摘のように、これからの老人対策の柱となるべき中間施設でございますから、お尋ねのようなあるいは御指摘のようなちゃちな形でとりあえずということではございません。ただ、予算的な制約もありまして、試行的実施は四億円という形になっておりますが、いろいろ工夫を凝らしまして立派な試行あるいは調査を含めました実験ができますように工夫をしてみたいというふうに考えておる次第でございます。
  265. 塩田晋

    ○塩田委員 その実験的にやられるものは補助金として使われるのですか。それとも施設費なり運営費は独自で一カ所当たり二千万、二千万の合わせて四千万ということなのですか。
  266. 黒木武弘

    ○黒木政府委員 どのような形で実験をやっていただく施設に交付するか、まだこれも未定でございますが、考え方といたしましては、一つは施設整備についての援助を申し上げたい、それから運営費についての援助を申し上げたい、補助金的な性格になろうかと思っております。  それから、さらにいろいろなデータを収集していただくわけでございますので、そういった意味での委託研究費みたいなものも中に入ろうかと思いますが、いずれにしても実験、試行的な実施をしていただく施設に対します財政的な援助を申し上げたいというふうに考えておる次第でございます。     〔稲垣委員長代理退席、委員長着席〕
  267. 塩田晋

    ○塩田委員 私は、最初に六十一年度四億円を中間施設で実験的に要求しておりますということを聞いたときに、これは一カ所四億円だと思っておったのです、補助金としてもですよ。それでも、まだ零細補助金の部類がなと思ったら、十カ所合わせて四億円だと聞いてあきれてしまったわけです。  我が国の予算制度は、単価を最初に四千万でいきますと、これは実験的だなんだといったって本格的になる場合も恐らく単価は変わらないですよ。予算要求というのはそういうものです。箇所数は変わっていきます。だから、単価を最初に二千万、二千万の四千万なんて要求されたら、これは後、本当にみじめなものになって、発展しないと思いますよ。だから、今そんな要求をしておられて、まだどうしようかも考えていないとおっしゃるなら、思い切ってそれは取り下げてしまって、来年度もう十倍か二十倍、百倍というくらいのものをもって、しかも単価はちゃんとしかるべきものにして再要求されて発足された方が、私は将来の中間施設の日本における発展のためにいいんじゃないか、このように思います。  続きまして、同じく厚生白書の中に出ておるのでございますが、老人医療の自己負担、これを外来一カ月四百円を一千円にする、入院一日三百円を五百円にする、しかも、これは期限なしのエンドレスだ、こういうことも同じく白書の八十一ページに出ておりますね。これは非常に困ることだと思うのです。料金で一挙に大体二・五倍ですね。四百円を千円ですから二・五倍。一挙に二・五倍にするといったそんな急激な、大幅な値上げというものは聞いたことがないですね。  それから入院にしましても、これは二カ月を限度にしておったものがエンドレスだ。入院しておる間は出してもらう。こういうふうに出してもらうということは、これも余りにも負担を大きく強いるものではなかろうかと思いますが、これはぜひとも考え直してもらいたい。いかがですか。
  268. 黒木武弘

    ○黒木政府委員 老人保健制度の見直しに関連いたしまして、一部負担の引き上げについてのお尋ねをいただいたわけでございますが、私どもは現在の老人医療費の負担をどうするかということを考えました場合に、現状余りにも世代間の公平が不公平になっているのではなかろうか。現在では老人医療費の一・六%程度だけ老人が負担をいたしておりまして、残りは若い世代ということになっている現状から見て、さらにその費用負担していただきます若い世代の医療費の自己負担も一割程度に引き上げになったということも考え合わせますときに、どうしてもその半分程度はお年寄りにも負担していただかなければ世代間の公平が達せられないじゃないか。ひいては老人医療費に対する制度的な安定も維持できないのではないかというふうに考えております。そこで、御指摘のように、白書にも書いてございますけれども入院につきまして一日五百円、期間の制限を撤廃する、それから外来については一月千円ということでお願いをしようということで概算要求に盛り込んでいるわけでございます。  この一月千円につきましては、月の初めに受診します場合に千円の負担でございますので、現状のお年寄りの所得等の状況から見て無理なく負担願える額ではなかろうか。確かに金額的には二・五倍になっておりますけれども、一月千円程度は負担を願えるのではなかろうか。それから入院につきましても一日五百円、一月にしますと一万五千円になりますけれども、特に在宅療養者等との均衡を考えまして、入院された場合には食事等の生活的な経費も不要になる部面もあるわけでございますから、入院の一万五千円も私どもはぜひ負担をお願いをいたしたいと考えている次第でございます。
  269. 塩田晋

    ○塩田委員 今の御説明は十分納得できないものでございます。入院一日三百円ということを決めた段階は、そう昔じゃないですね。そのときにもいろいろ議論をしてこれくらいはということがあったのですが、一挙に上げて、またエンドレスにやっていくというのは承服できません。  これ、金額は、この値上げによって総額幾らくらい増収になるのですか。どれくらい医療費の充当に役立つのですか。
  270. 黒木武弘

    ○黒木政府委員 負担を引き上げます効果でございますけれども、国庫負担で申し上げまして約八百八十億減になります。
  271. 塩田晋

    ○塩田委員 この問題は来年度老人保健法の改正、また予算が現に出されたところでの議論になりますので、これは引き続き反対の意思表明をいたしておきます。  医薬分業について大臣にお伺いしたいと思います。  医薬分業を推進するという政府の方針は変わってないものと思いますが、その実績がどうなっているのか。そしてまた、その実績の上に立って厚生大臣としてはどのような御決意でこれを推進しようとされるのか、お伺いいたします。
  272. 増岡博之

    増岡国務大臣 医薬分業につきましては、医師薬剤師が相互にその職務を尊重してそれぞれの専門分野から医療の質の向上を図るものであり、極めて重要であるものと認識しております。  その実績でございますけれども、処方せんの発行枚数は、昭和四十九年十月の診療報酬改定を期に漸次増加しておりまして、昭和五十九年度が一億枚を超えております。これは昭和四十九年度の発行枚数の約十四倍となっておるわけでございますけれども実施状況はいまだ全体として見れば十分とは言えませんので、国としても医薬分業をさらに進めるため、関係者の理解と協力を得ながら基盤づくりを行っているところであります。さしあたり、医薬分業推進モデル地区事業などを通じましてその推進を図ってまいりたいと考えております。
  273. 塩田晋

    ○塩田委員 厚生大臣の御決意をお聞きいたしましたので、そのように進めていただきたいと思います。  次に、高額療養費の問題でございます。  これも、予算要求等の中身では現在の月額五万一千円を五万四千円に引き上げる。すなわち、またそれだけ患者の負担がふえるわけでございますが、これは、何もかも上げていくということ、しかもこの五万一千円の据え置きにつきましては、昨年の健康保険法の改正のときに大議論になってこの五万一千円に据え置いたところなのですね。それをまた一年たって出してこられるということはどうも解せないのでございますが、これについてどのようにお考えですか。
  274. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 申し上げるまでもなく、高額療養費制度は高額な医療費が家計に非常に負担になるというものを軽減しようというものでございます。現在の五万一千円というのは昭和五十八年一月から実施されておりまして、それ以前は四万五千円でございましたが、五十七年九月から半年足らずで五万一千円に引き上げられております。今回、明年の四月から高額療養費の限度額を五万四千円に引き上げたいと思っておるわけでございますが、それはこの二年有余の間の物価、賃金の状況等を考えましておおむね妥当な線ではなかろうかということで予算要求をいたしておるものであります。
  275. 塩田晋

    ○塩田委員 この三千円の引き上げをすることによって増加する額は幾らでございますか。
  276. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 給付費ベースで申し上げまして、政府管掌健康保険で十二億七千万円程度、国民健康保険で七十二億程度でございます。
  277. 塩田晋

    ○塩田委員 合わせまして八十四億円ということになりますね。九兆円を抱えておられる厚生省の全予算、社会保障を担当しておられるその予算額からいいまして八十四億というこの額は本当に小さいパーセントですね。ところが、この五万一千円は非常にいい制度で、助かっているわけですね。この五万一千円があるから安心して治療を受けられる、入院できる。この安心感というのは本当に大変なものですね。いいものですよ。いい制度ですね。これが上げられていくということは、患者はもとよりのこと、被保険者全員に対して大変な心理的影響があります。八十四億円であるわけですから、その心理的影響を考えると、これはやめられた方がいいと思いますよ、これぐらいのことで。そのことを御検討いただきたいということを要望いたします。  それから、昨年、健康保険法の高額療養費の問題あるいは自己負担の問題が起こったときに、高額療養費の貸付制度の新設を我々は要望し、これが実現したわけですが、その実績はどうなっておりますか。
  278. 花輪隆昭

    ○花輪政府委員 高額医療費の貸付制度の実績でございますが、政管健保につきましては十一月現在までのところ二千九百二十三件、三千件弱、金額で三・三億というところでございます。制度開始の四月におきましては二十一件、五月に二百八件、十月には五百五十五件というようなことで月ごとに上がってきておりますが、トータルでは今申し上げたような状況でございます。
  279. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 健康保険組合について申し上げますと、現在実施しております健保組合が九百六十四組合、全組合の五六%でありますけれども、本年度内には千六十九組合、全体の六二%程度までに拡大される予定であります。  健保組合の場合には、事業主が社内の融資制度等を設けていることもありますので、私ども、そういう社内の融資制度はできる限りこの高額療養費貸付制度に切りかえるように関係方面の指導に当たっている段階であります。  それから、国民健康保険でありますけれども国民健康保険では全体の保険者のうち二千三百十七の保険者が現在実施しておりまして、実施率は七〇・九%であります。これは昨年に比べまして百五十八保険者が増加しておりまして、率にして四・八%増加しているということでありまして、この問題につきましても関係市町村を現在督励いたしている最中であります。  金額でありますけれども、六十年度の貸付予定でございますが、四十一億円を健康保険組合全体で予定いたしております。それから、国民健康保険につきましては、現在の段階では私ども数字を把握いたしておりません。
  280. 塩田晋

    ○塩田委員 健保組合の関係ではかなり利用されている。これは事柄の性質上、職場なり診療所でPRが行き届いていると思うのですが、国民健保につきましては、窓口は市町村でやっておりますね。余り見かけないし、PRが不足じゃないか。知らない人も多いのですね。知らない人のないように、この辺もっと御検討いただいて普及するように進めていただきたいと思います。  次に、医療報酬の適正化の問題でございますが、診療報酬につきましてはたびたび改定が行われておりますが、まだまだ不十分であるという気持ちが受け取る側、医師の方にも歯科医師の方にもあるわけですね。これについて今後とも適正化に努めていただきたいということを要望いたします。  とともに、高度先進医療について、歯科で、一般診療所でも現在普遍的に行われている、例えばメタルボンドとかあるいはメタルプレートですね。ほかにもたくさんありますが、そういったものが、まだ保険診療に取り入れられてないというものがありますね。こういった高度先進医療の器材につきましてもっと積極的に取り入れていくべきではないかと思いますが、いかがですか。
  281. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 診療報酬の適正化、合理化につきましては、中医協で合理化検討項目を挙げまして検討をお願いしているところであります。私ども、その中でまとまりましたものについては速やかに合理化を図る、適正化を図るという考え方であります。  それから、歯科の問題でありますけれども、インプラント義歯につきましては既に高度先進医療の中に導入いたしました。それで、今御指摘がありましたメタルボンドとメタルプレート、いわゆる金属床の問題につきましては、これらは美しく見せたいという意味での審美性あるいは快適性というものを主として追求をいたすものでありますので、その取り扱いをどうするか、現在中医協で審議が始まったところであります。今月の十二日の中医協でもいろいろ御論議がありましたし、それから二十二日の中医協でも恐らくいろいろ御論議があると思います。そういった中医協の審議の結果を踏まえまして私どもとしては対応してまいりたいと思っております。
  282. 塩田晋

    ○塩田委員 そのように対応していただきたいと思います。私は例えばということで申し上げたので、まだたくさんありますから、そういったものを含めて積極的に取り入れるようにひとつ推進を図っていただきたいと思います。厚生省の姿勢が大事ですから、よろしくお願いします。  あわせまして、特定承認保険医療機関の承認の現状と今後の方針をお伺いいたします。
  283. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 特定承認保険医療機関は、現在までに三十二の病院から申請がありまして、そのうち二十七の病院を承認いたしております。それから、高度先進医療の関係では、六十一件の申請に対しまして現在四十六件を承認済みであります。  特定承認医療機関の考え方は、高度先進医療を支える基盤を質量両面において十分なものに限定をしてとりあえず発足をしたいということでありまして、大学の附属病院ないしはこれに準ずる病院に現在のところ限定をいたしておりますが、この制度自体につきまして二年間をめどに見直しを行うということが中医協の答申で示されております。昨年の十一月から発足をした制度でありますが、二年程度は現状のような考え方で進みまして、その状況を踏まえまして今後の見直しを行っていきたいと思っております。
  284. 塩田晋

    ○塩田委員 ぜひともその点よろしく推進を図っていただきたいと思います。  最後に、税制の問題について二点ばかり要望を交えて御質問いたします。  医療法の改正に伴いまして、都道府県医療計画に基づきまして医療機器を共同利用するといったような場合、病床不足とされた医療圏病院を開設した場合等につきまして税制上の優遇措置を講ずべきではないかと思いますが、いかがでございますか。  続きまして、これは厚生大臣に強く要望いたしましてお考えをいただきたいのですが、医療機関というのは、言うまでもなく、営利を目的とするものではございません。また公定の社会保険の料金、こういった公定のものの中で医療従事者は日夜努力をしておられるわけでございますが、こういった社会保険診療報酬に係る事業税を課税するという動きがございますけれども、これはぜひとも非課税の現行制度をそのまま存続していただきたいということを強く要望いたします。これにつきまして大臣の御決意をお聞きしたいと思います。
  285. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療法改正に伴います医療計画に基づいて医療機器の共同利用をするというような場合、あるいはまた、そのほか病床不足とされた医療圏病院を開設する、そういった例が出てまいろうかと思いますが、これらの税制上の優遇措置につきまして、厚生省といたしまして、昭和六十一年度の税制改正要綱の中におきまして、病床過剰地域から病床不足地域病院を移転したような場合の圧縮記帳、それから病床不足地域病院を開設した場合の特別償却及び不動産取得税の軽減、それから共同利用型医療機器にかかわります特別償却及び固定資産税の軽減につきまして現在要望をいたしておるところでございまして、その実現を図ってまいりたいと思っております。  それから、医療法人の社会保険診療報酬につきましての事業税の非課税措置でございますが、私どもも、先生お話しのように、医療は公共性が非常に高い、また社会保険診療報酬の場合にはさらに一層公共性があるということでございますので、従来の社会保険診療報酬につきましての税制上の取り扱い、つまり非課税措置でございますが、これはそれなりの合理性があると考えておりますので、厚生省といたしましては、その存続につきまして今後とも働きかけてまいりたいと考えております。
  286. 増岡博之

    増岡国務大臣 ただいま担当局長から御説明申し上げましたように、非常に公共性があり、しかも非営利性を求められておる事業でございますので、この点についての非課税措置の存続については力を尽くして努力をするつもりでございます。
  287. 塩田晋

    ○塩田委員 ありがとうございました。
  288. 戸井田三郎

    戸井田委員長 浦井洋君。
  289. 浦井洋

    ○浦井委員 私はこの医療法を見ましたときに、例の病院管理研究所におられた石原信吾さんなんかの御意見でもありますけれども、まず一番初めに、あなた方が医療費の適正化運動のPRを一生懸命やって、それで成果を上げながら、また医療費が高うなるというので、今度は健康保険法、老人保健法の制度改悪をやりました。それでもまだふえそうだということで、今度は医療供給体制、佐分利さんなんかが言われておる百七十万床から百万床に減らす、その手だての第一歩がこの医療法だ。  それで、伝えられるところによりますと、これは前の大谷局長のときにも、大谷さん自身が言っておったですけれども、これは医療供給体制の改正の第一弾であって、二年ごとぐらいに第二弾、第三弾といくんだ、こういうふうに見ておるわけであります。だから、私はそういう考えに立っておるということで、ひとつ質問をしますので、適切、簡潔に答えていただきたいというふうに思います。  そこで、医療法は今まで第一条、目的というところはなかったわけですね。今度出てきたわけです。これは何でつくったわけですか。
  290. 竹中浩治

    竹中政府委員 現行医療法につきましては、お話しのとおり目的規定はございませんが、最近の立法例におきましては目的規定が置かれるのが通例でございます。  今回医療法の改正におきまして、地域医療供給体制計画整備等の基本的な改革を行うということでございますので、最近の立法例等も照らしながら、新たに目的規定を置くことといたしたわけでございます。
  291. 浦井洋

    ○浦井委員 その目的なんですが、その後半ですね。後半に「医療を提供する体制確保を図り、もって国民の健康の保持に寄与することを目的とする。」とこうなっておるでしょう。「もって」というのは、まず医療を提供する体制確保を図って、その結果として国民の健康の保持に役立てはよい、こういうことでしょう。なぜ逆に、国民の健康の保持をするために、それに合わして医療供給体制整備するんだというふうにならないのか。ここにもあなた方の意図があらわれておるんじゃないですかね。  やはり憲法で言われているように健康を守る、「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」国はそれを、簡単に言えば保障する責務があるんだということであれば、当然医療法という重要な法律の第一条の目的の条文は、そういう格好にならないといかぬのと違いますか。
  292. 竹中浩治

    竹中政府委員 第一条の目的でございますが、お読みいただきますように、国民の健康の保持に寄与することが目的であって、それはどういうふうにしてやるのかというのが前段の方の「等により、医療を提供する体制確保を図り」ということでございますので、目的はあくまで国民の健康の保持に寄与するということでございます。
  293. 浦井洋

    ○浦井委員 それはおたくはそういうふうに解釈をされる。そうしたら、もっとはっきりとそういうふうに書いたらどうですか。私は「もって」というのは、その結果として国民の健康が保持されるというふうに理解するわけですよ。これは竹中さんと意見――要するに、目的は国民の健康の保持に寄与するというところにあるわけですね。そういうことで一応理解をしておきます。  それから、いろいろ手続がありますわね、地域医療計画策定について。この策定の中で、先ほどから出ておるように三師会の「意見を聴くものとする。」を「聴かなければならない。」とか、それから「市町村の意見を聴かなければならない。」都道府県医療審議会の「意見を聴かなければならない。」こういうふうになっている。これは全部三つそろえて「聴かなければならない。」というようにした方がよいと思うのですけれども、しかし肝心の国民の声が地域医療計画策定に反映されないような仕組みになってないだろうかという危惧を持っているわけですよね。  きのうも聞いたら、市町村からも出るし、三師会も専門家も出るし、それから学識経験者も出るしということでありますけれども、肝心の住民の生の声が、この計画策定の過程の中で入ってこないおそれが非常に強いと私は思うのですが、これは住民を補充しないですか。
  294. 竹中浩治

    竹中政府委員 まず都道府県医療計画を定める場合に、市町村の意見を聞かなければならないということでございまして、私ども、市町村が十分それぞれの市町村の住民の意向、ニーズを反映して意見が出されるものというふうに考えておりますし、また都道府県医療審議会あるいは国の医療審議会、こういったところで医療計画そのもの、あるいは医療計画ガイドラインといったようなものが検討をされるわけでございますが、その中にも医療を受ける立場にある人が三者構成の一つとして入ることになっておりますので、こういった点を通じまして十分住民の意向、ニーズが反映されるものと考えております。
  295. 浦井洋

    ○浦井委員 県によって、それは構成する人の職業とか地位とか決まってくるのでしょうけれども、やはり住民の意見を直接聞くというような機会は、今の保守党体制の中で私はむしろできにくいと思いますよ。だから、ぜひ何らかの方法で住民の代表を加えるという方に改めるべきであるということを要求しておきたいと思います。  そこで、地域医療計画策定ですけれども、それはどう決めるのですかね。都道府県ということでありますけれども、その前の第二次ですね。第二次の場合に、今まで医療を受ける住民の行動というのはおのずから決まってきておるわけですよ、おのずからといったら変な表現ですけれども。それを少々の、いろんな係数を出して算定式を出してみたところで、そう簡単に決まるものではないと思う。  よく言われる例ですけれども、埼玉県や千葉県の人、あるいは神奈川県の人が東京で受けるという場合もあるだろうし、私の地元で言えば、例えば福知山線沿線というのは、これはやはり一体化しておる。そうなれば京都府の人も兵庫県へ来るし、兵庫県の人も京都府へ行くというようなこともある。県境を越えた場合云々というようなお話がありますけれども、こういう計画をつくるということは至難のわざだと思うのですけれどもね。これはどうしますか。  下手をすると十割のうち九割までうまいこと計画が立っても、あとの一割がその地域にとって不適合なために計画全体が崩れる。それでかえってそこの住民の受療行動が乱れてしまう、こういう結果を招くことが、もう県単位という格好でやり出したら大変なことになるだろうと私は思うのです。
  296. 竹中浩治

    竹中政府委員 私どもが今考えておりますのは、二次医療圏、それから都道府県を単位といたします三次医療圏、それぞれについて医療計画をつくってもらおう、こういうわけでございます。その場合に他県との関係をどうするか、(浦井委員「他県だけではないですよ」と呼ぶ)複数県にまたがって医療圏が考えられるという場合もあろうかと思います。  そういった場合には、最終的にはその複数県にまたがる医療圏につきまして、それぞれの県でそれぞれの県の部分の計画をつくっていただくわけでございますが、その医療圏が全体として整合性を保つために、それぞれ相手方の県と十分協議をしながらその医療圏医療計画をつくってもらうということでございまして、必要がございますれば、厚生省がそういった複数県にまたがります医療圏にかかる県の医療計画につきまして調整に当たりたいと思っております。  それからなお、都道府県を越えまして全国的な視野で考えなければならない医療機関等もあるわけでございまして、御存じのような、例えばがんセンターでございますとか循環器病センターでございますとか、そういうものがあるわけでございますが、それらにつきましては、国の視野から国の段階で検討いたしまして必要な整備をしていくというふうに考えておるわけでございます。
  297. 浦井洋

    ○浦井委員 私はそういうことを尋ねておるわけではないのです。エコロジカルにどうなのかということを聞いているわけなんです。あなた方が図上に「地域医療計画策定」というような手順だけ書いて、そんなものできるか。現におたくの方から聞いたのですが、昭和五十五年に医療対策協議会をつくり、地域医療計画をつくりなさいという通達が出ているわけでしょう。それから五年たっているわけですよ。現在のところ、できているのは十県しかないわけでしょう。その中でも、これは古くできたところは今はもう無効になっている場合もあるし、うまいこといっているところもあるし、うまいこといっていないところもあるのでしょうけれども、うまいこといっているところを調べますと、例えば秋田県なんかは、食生活が塩分が多いので脳卒中が多い、だから、それを半減するためにということで地域医療計画をつくってやっておるわけです。そういうところはうまいこといっておるわけです。  それをこうやって紙の上だけで、いろいろな手続は経るにしても、果たしてうまいこといきますか。私は、他県とかあるいは複数県とかそういうことを言っているわけじゃないんですよ。どうですか。
  298. 竹中浩治

    竹中政府委員 五十五年に通知を出しまして、現時点におきまして十県が医療計画を作成をしておるわけでございます。もちろん、これはそれぞれの県がそれぞれの考え方でつくられた医療計画でございますので、内容にいたしましても体裁にいたしましても、いろいろ多種多様でございます。これから、現在お願いをいたしております医療法の改正ができますと、私ども標準省令あるいはガイドラインというようなものを、都道府県計画を作成するための参考にしていただくためにそういうものをつくりまして、全国的に調整をとりながら各県で医療計画をつくっていただくということを予定をいたしておるわけでございまして、そういった過程を通じまして各都道府県の適切な医療計画が、これは既につくられましたところも当然二部修正ということになろうかと思いますが、そういうことで進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  299. 浦井洋

    ○浦井委員 それは余り答えにはならぬのですよ。  先へ進みますけれども地域医療計画内容ですけれども、この図表でいきますと、「必要的記載事項」というのは「医療圏設定」と「必要病床数」なんですね。それから「任意的記載事項」が「病院整備の目標」「病院診療所相互の機能・業務の連係」「医療従事者確保」「その他」云々、こう書いてあるわけですね。  私は、これは逆ではないかと思う。やはり必要事項が任意事項であって、任意事項というのはこれは必要事項である。逆ではないか。ここにもあなた方の意図の、要するにベッド規制をやるんだということ、これが必要なんだということがここにはっきり出ているじゃないですか。それが地域医療計画内容ではないかというふうに私は思うわけです。住民にとって大事なのは、むしろあなた方が任意的記載事項として言っておる、私が今列挙しました、ここをもっとしっかりさせてくれ、そうじゃないのですか。
  300. 竹中浩治

    竹中政府委員 医療圏設定必要病床数につきまして、これを必要的記載事項といたしておるわけでございますが、病院、病床の適正な配置を図りますためには、例えばある都道府県必要病床数につきまして医療計画の中に組み込まないというようなことが出てまいりますと、その効果が上がらないわけでございますので、すべての都道府県がこの二つの事項につきましては足並みをそろえて医療計画の中に組み込んでもらいたいということで必要的記載事項といたしたわけでございます。  なお、任意的記載事項でございますが、これも私ども決して軽視をいたしておるわけではございませんで、これはこれとして非常に重要なものと考えておるわけでございまして、各都道府県医療計画におきましては、任意的記載事項につきましても極力組み込んでいく、盛り込んでいくというふうに指導してまいりたいと考えております。
  301. 浦井洋

    ○浦井委員 それも答えにならぬですね。要するに、任意的記載事項はガイドラインでやるんだ、必要的記載事項というのは、簡単に言えば標準省令でやるんだ、こういうこと。私はむしろ逆だと思うのです。本当に住民のためを考えるならば、任意的記載事項のところを必要にして、必要のところを任意にした方が合理的だと思う、今の我が国の実態から言って。それはそうなんですが、それで第一次医療圏が抜けているのはなぜですか。
  302. 竹中浩治

    竹中政府委員 一次医療圏でございますが、身近な主治医によりますプライマリーケアを推進をし、病院機能との連係をうまくしていくということが非常に重要なことではございますけれども、特別に、圏域として必ずしも特定をしなくてもよいというふうに考えまして、法律上は特記することはしないということにいたしておりますが、各都道府県におきましてもし必要だと判断をされるならば、一次につきましての圏域設定等を行っていただいても結構であるというふうに考えておるわけでございます。
  303. 浦井洋

    ○浦井委員 竹中さんはそういうふうに上手に言われるわけですけれども、要するに、第一次医療圏というのは、初めからこの計画の中では有床診療所を除いているわけでしょう。だから、病床規制に関係がないから、第一次医療圏というのはここへわざわざ書かないのと違いますか。問題は、二次医療圏、三次医療圏の中でベッド数を規制するためにこういう地域医療計画内容をつくる。意図が見え見えじゃないですかね。やはり住民の望んでおるのは、一次医療圏で、一体我々が病気になったときにどうなるのだろう、あるいは健康を保持していくためにはどうしたらいいのだろう、そこのところにフットライトを当てなかったらいかぬのと違いますか。
  304. 竹中浩治

    竹中政府委員 先ほど申し上げましたように、一次医療圏につきましても、必要があれば記載をしてもらうということでございますが、必要病床数観点からいたしました場合に、有床診療所は御承知のように四十八時間以内という非常に特別な病床でございますので、私どもとしては、必要病床数の算定等には有床診療所は考えなくてもいいというふうに考えておるわけでございます。  なお、診療所、特に従来から議論がございます家庭医の問題でございますとか、あるいはプライマリーケア全体をどうするかとか、あるいは病院診療所の機能分担をどうするかというような問題が診療所に関連をいたしましていろいろあろうかと思います。これらの点につきましては、今回の医療法の改正は第一次の改正というふうに考えておりまして、今申し上げましたようなこと、その他いろいろ医療に関係します諸問題につきましては、これから鋭意検討をいたしまして、その結論が出た段階でまた医療法の第二次の改正ということもスケジュールにのせたいというふうに考えておるわけでございます。
  305. 浦井洋

    ○浦井委員 極めて官僚的な答弁なのですが、それなら、肝心の二次医療圏必要病床数の算定というのは省令でしょう。それからガイドラインも、これはある程度精神的、一般的、抽象的なものかもわからぬけれども、これはまだ公表されておりませんね。こういうものを出して、この地域ベッド数はこれぐらいになるんだ、この地域の概況はこうなるんだということを我々がここで審議ができぬようでは、こんな医療法なんというのは何のために改正するのかわからぬじゃないですか。どうですか、それは。  例えば、私ここに日本医師会の資料を持っていますけれども、これは手順からいったら、「必要病床数標準については、医療審議会意見を聴いて、厚生省令で定めるが、厚生省が現在考えている算定式の案は、区域における性別・年齢階級別人口に当該区域の属する都道府県を含むブロックの性別・年齢階級別入院受療率を乗じて得た数の総和掛ける全国平均の病床利用率分の一掛ける補正係数 (注1)補正係数―流出入患者数による補正」こう書いてあるわけですね。これは何のことかさっぱりわからぬわけです。それなら具体的に、私の住んでおる神戸は百三十八万ですけれども、二次医療圏でどうなるわけですか。
  306. 竹中浩治

    竹中政府委員 必要病床数の算定につきましては、今先生お話がございましたが、私どもとしてまだ最終的な結論を得たわけではございません。ただ基本的な考え方といたしましては、患者調査等によります年齢階級別の入院受療率、全国ベースあるいは地域ブロックベースのそういったものが基本になろうかと思います。それに対しまして、それぞれの地域で特別に地域の特殊事情があるという場合には地域特性地域の実情による補正を加える、そういうのが必要病床数の算定の基本になろうかと思います。
  307. 浦井洋

    ○浦井委員 神戸でどうなるのか。
  308. 竹中浩治

    竹中政府委員 大変抽象的なお答えで申しわけございませんが、全国ベース、あるいは神戸でございますと近畿地方という、要するにどちらかの年齢階級別の入院受療率というのが一つあるわけでございます。それに神戸市の年齢階級別の人口構成を掛け算するというのが一つのベースになるわけでございます。それに神戸市、あるいは神戸市の場合は大阪府の影響もございましょう、いろいろございましょうから、そういう地域の特殊性を勘案して補正をしていただく。その上で神戸市の必要病床数の算定ができ上がる。若干抽象的で申しわけございませんが、それが基本的な考え方でございます。
  309. 浦井洋

    ○浦井委員 何を聞いておるのか私もよくわからぬのですけれども、要するに、国権の最高機関であるわけですから、そういうことがきちんとここへ出てきて、それから我々が本当に国民立場に立って論議するというふうにしなければ、肝心のことは全部省令だ、ガイドラインだ、法案が通ってからだということでは審議ができぬ。これは一年かけて具体化するという話ですけれども、まさに前の局長も言われたように、スケルトンができ上がって、骸骨ができ上がって、骸骨だけはあるけれども、どんな姿になるかさっぱりわからぬ。こういうものになって、住民としては安心しておられぬということになるわけですね。絵にかいたもちにすぎないと私は思いますよ。  それで、この勧告、知事は医療計画達成のため病院の開設者等に勧告することができることになっていますね。勧告を無視――無視してといったらきついですけれども、勧告に従わなかった場合には一体どうするのですか。
  310. 竹中浩治

    竹中政府委員 三十条の七に、病院の開設その他必要な事項につきまして都道府県知事が勧告をすることができるという規定がございます。私ども、こういった勧告につきましてはぜひとも守っていただきたいと思っておるわけでございますし、また、それは勧告ということに至りますまでに医療審議会等の御審議もございますから、関係者のコンセンサスの結果としてそういうものが勧告されるわけでございまして、そういう点から、勧告ではありますけれども、十分実効の上がるものにすることができると考えております。
  311. 浦井洋

    ○浦井委員 そこで、それでもなおかつ勧告に従わない場合に保険診療ができるのかどうかという問題です。私がなぜ尋ねるかといいますと、ここにこういう資料があるのです。「五十九年度概算要求の考え方」ということで、五十八年九月十二日に開かれた社保審の全員懇談会に厚生省が未定稿の形で提出したものです。これで去年の健保改悪の原型が出ておるわけです。その資料を見ますと、「保険医療機関の著しい過密な地域における保険医療機関の指定および傾向的に過剰と認められる医療費請求を行う保険医療機関の再指定については、そのあり方を見直す。」これは当時大問題になったわけです。こういう考え方がここでまた復活してきやしないのか。だから、勧告を無視したものは今度は保険のサイドから次の再指定の三年ですね、再指定のときにやめるんだ、あるいは初めから、新設の場合には認めないんだ、こういう考えはないでしょうね。
  312. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 保険医療機関の指定は、私どもは契約というふうに考えております。したがいまして、地域医療計画の中で病院の開設に違反して、先ほどの三十条の七に基づく勧告を受けまして、これに従わないような医療機関について保険医療機関の指定をどうするかという問題につきましては、消極的になるのが原則ではないだろうか、端的に申し上げますならば、指定は行わないという原則的な考え方に立つべきではなかろうかと私は考えておりますが、もう少しこの問題については詰めてみたいと思っております。
  313. 浦井洋

    ○浦井委員 これは重大発言です。そうなると、もうでき上がった数字が動かずに、特に人口欄密地域で、なおかつベッドをふやしたい、あるいは病院を新設したいということになれば消極的だということは、保険医療ができない、自由診療しかできないんだと保険局長は言われるわけですか、十分に検討はしたいけれども
  314. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 御指摘のとおりに考えております。
  315. 浦井洋

    ○浦井委員 そういうことであれば、これは大問題であります。まさに医療の官僚統制そのもの、こういうことになってくるわけです。それは本当ですか。
  316. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 私の考え方としてそういうことだということを申し述べております。先ほど来申し上げましたように、保険医療機関の指定というのは契約関係でありますから、特に都道府県知事が医療計画の上で開設の必要がないというふうに勧告をいたしまして、先ほど来健康政策局長が答えておりますように、できる限りの手だてを加えまして、そういった方向でお考えをいただきたいと思っておりますが、なおかつ最終的にそれに従わないものについてどうするかということを考えます場合には、考え方としては、今申し上げましたとおり契約関係でありますから、知事が指定をしないという考え方、消極的だというふうに申し上げたのはそういう意味であります。
  317. 浦井洋

    ○浦井委員 それでしたら、本当に今の医療制度が根本からひっくり返りますよ。自由開業制というものが根本からかなりインパクトを受ける。地域によって保険医療機関の定数制とか定員制みたいなものがしかれるというふうに類推できるわけですね。そういうことも幸田さんは考えておられるわけですか。
  318. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 現状において私どもはそういった施策をとる考え方はありませんけれども、十分将来の検討すべき課題だと考えております。
  319. 浦井洋

    ○浦井委員 今も言いましたけれども、定数制、定員制というものに近づけていく。そうすると、二、三日前に出た厚生白書にもはっきり書いてあるけれども、言ってみたらシビルミニマムみたいなところは保険で賄うんだ、これが社会保障だ、それから先は受益者負担でということで自由診療の方に政策誘導していくわけですか。
  320. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 保険医療機関の指定の問題は、その地域で例えば著しく過剰だ、地域医療計画におきましてこれ以上病床が必要ないではないか、こういった場合に、先ほどの三十条の七が発動されるわけであります。それと健康保険でどの程度の給付を行うかということは別な問題でありまして、私どもは必要にして適切な医療健康保険で給付すべきものだと現在考えております。
  321. 浦井洋

    ○浦井委員 ちょっとしつこいようですけれども、必要にして適切なというのは、林元厚生大臣の言われたようなシビルミニマムみたいなものを指すのか、シビルオプティマムみたいなものを指すのか、どっちなんですか。最低なのか、中間、平均なのか。
  322. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 私、外国語に弱いものでございますから、ちょっとシビルミニマムとか、もう一つおっしゃいましたオプティマムというのはよく意味がわかりませんけれども、いずれにしても、国民生活、国民の健康を維持し増進をしていくという意味合いにおきまして必要にして適切な医療健康保険で給付をする、この原則は変わりません。
  323. 浦井洋

    ○浦井委員 外国語を説明しましょうか。ミニマムとマキシマムでしょう。その真ん中をオプティマムと言うらしいですね、平均だと。だから私は、幸田さんなんかだったら、シビルミニマムを公的保障するんだ、あと、そこから上は受益者負担で、自助努力と相互扶助でやりなさい、それで民間保険もどんどん加入しなさい、そういうことですか。
  324. 幸田正孝

    ○幸田政府委員 そのシビルミニマムという医療がどの範囲のものか私はよくわかりません。いずれにしても、ちょっと議論が違う観点からかもしれませんけれども、必要にして適切な医療はすべて健康保険の給付の対象にする、こう申し上げておるわけであります。  医療の場合にシビルミニマムというのがどの範囲のものなのか、私は概念が非常につかみづらいのでありますけれども、高度先進医療といいますか、日本全体の中で極めて特別な医療機関でしか実施ができない、そういったものについてまで健康保険でやるかどうか。医療の普及性の問題、例えば沖縄なり北海道の方が利用できないような医療まで健康保険で給付をすべきかどうか。あえて申し上げますならば、日本全体の中で一つの医療機関しかできないような新しい高度先進医療が仮にありました場合に、それもすべて健康保険でやるかどうかということになりますと私は疑問であると思います。そういった意味合いで適切にして必要な医療は給付をするということを申し上げておるわけであります。
  325. 浦井洋

    ○浦井委員 その議論は健保の改悪のときに、特定承認保険医療機関のことでやったわけです。それは、私は不満だけれども通ってしまった。それで、現在、私大からたくさん出てきておるということでしょう。  私が言っているのはそういうことではなしに、林元厚生大臣医療標準の概念を言っているわけですよ。かみ合わない。こんなことを言っておっても時間がたつばかりですからあれですけれども、そういうような考え方で、しかもその中でミニマムを目指しているのと違うかという危惧、吉村事務次官や幸田さんというような、そういう点ではまさに制度改悪のベテランがやってしまうのではないか、それを危惧しておるわけです。そんなことせぬようにしてください。  竹中さん、それなら逆にこれでいえば非常に人口稠密地域で、しかもベッドも多いところを規制するのがあなた方の真の意図だということははっきりしたと私は思うのですが、こういうような法律をもしつくって医療の過疎地にベッドができますか。私はそう思うのです。  そこで出てくるのは国の果たすべき役割、こういうことになるのです。国の果たすべき役割というのは一体何なのか。高度医療だとか広域医療だとか、あるいはその中に医療不足地域整備も含まれておるわけでしょう。ところが国立病院・療養所の整備、統廃合の問題を見ますと、これは余り整備というようなことを言ってへんですね。その辺どうなんですか。ベッドのたくさんあるところで減らすなら少ないところでふやすというような積極的施策を講ずるのが当然だと思うのです。多いところは減らすけれども、少ないところはほったらかしにする。国立病院・療養所の地域医療、重要な役割を果たしている医療機関をばんばんつぶしていく、これはどういうことですか。
  326. 竹中浩治

    竹中政府委員 今回の地域医療計画でございますが、先ほどのお話のように、病床過剰地域につきましては都道府県知事の勧告ということで整備をしていきたい。一方で病床不足地区、特に僻地、離島等につきましては逆に医療機関の設置等を考えていかなければならないわけでございます。そういった点で国がどんな措置を講ずるように努めるのかということでございますが、具体的に申しますと、例えば病床不足地域におきます病院または診療所の整備に対して補助をするとか、あるいは救急医療体制整備に対して補助をするとか、あるいは政策医療等にかかわります金融措置を講ずる、そういったことが国の果たす役割、国が行う必要な措置の内容になろうかと思います。
  327. 浦井洋

    ○浦井委員 もう最後ですけれども、この医療法の一部改正の中に現行法の第五条の二のところで「国及び地方公共団体は、病院又は診療所が不足している地域について、計画的に病院又は診療所を整備するように努めなければならない。」ところが、今度の改正案を見ますと、三十条の五に来ておるのです。「整備その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。」こういうふうになっておるのです。非常に弱くなっておるのです。  今の竹中局長の答弁の中にもそういうニュアンスがずっと出てきておる。そうやってどんどん国立病院・療養所を切っていこう、長寿園を先頭にして、こういう考え方じゃないですか。私はそういうことには絶対反対だ。まさに国民の要望に真っ向から刃向かうものである。不遜も甚だしいと私は思うわけです。だから、そのことだけを主張して、私の質問を終わりたいと思います。
  328. 戸井田三郎

  329. 菅直人

    ○菅委員 医療法の質疑に入ったわけでありますけれども、この質疑に入るに当たって、私は、ちょうど五年前、私にとっても国会に出てきた最初の質疑のときに富士見産婦人科の問題を取り上げたことを今思い出しているわけであります。今回の医療法の改正は、五年前の富士見産婦人科における大変な問題を一つの契機にして議論をされ始めて今回出されてきたわけですけれども、どうも今回の改正のスタートになった問題に対して、果たして提案されている医療法というものが的確に対応するようになっているのかどうかという点にいささか疑問を感ずるわけでありますし、また、同時にねらいが何かこう少しずれてきているんではないかという懸念もきょうの質疑などから感じるわけであります。  まずお聞きしたいんですけれども、当時の議論の中で、厚生省では医療に関する国民の信頼を回復するための検討委員会というものを設けて、そしてその検討委員会で幾つかのことを検討させるんだというのが、ちょうど昭和五十五年十月十六日の私などの質問に対する返事の中でも、当時の医務局長の答弁の中にあるわけですけれども、特にその中で富士見産婦人科の場合は、御承知のように実際には病気でもない、悪くない女性の子宮や、そういったものを摘出してしまったということが相次いで、かなり以前からそういうことに対する苦情が警察あるいは保健所に伝えられていたにもかかわらず長年放置をされてきた。  そこで、そういった苦情に対する処理機関と同時に、ある程度の、何といいましょうか信頼性がある苦情があった場合には診療内容にも立ち入った医療監視を行うべきではないか、こういったことを多くの委員が、私も含めて当時主張し、それを先ほど申し上げた検討委員会で検討するということを約束をされているわけですけれども、この約束がどういう形で今回の法案の中にあらわれているのか、まず、その点を説明していただきたいと思います。
  330. 竹中浩治

    竹中政府委員 昭和五十五年の先生の御質問に対しまして、診療内容と申しますか、医療の質と申しますか、そういったものについて検討委員会で検討するという御答弁を当時申し上げておるわけでございます。  医療監視医療内容の適否を含めるかどうかということでこの検討委員会で検討いたしたわけでございますが、医療行為と申しますのは、御承知のように個々の患者の病状についてどういう医療を行うかという極めて個別、具体的なものでございますし、またその医療内容の適否を判断するというのは極めて高度の専門性を有するというようなことでございまして、検討委員会ではいろいろ検討いたしたわけでございますが、医療監視の中に医療内容の適否を含めるのは極めて困難であるという結論でございまして、今回の法改正の中には特に触れてないわけでございます。  ただ、医療の質の問題というのはやはり非常に重要な問題でございますので、当面、病院におきます医療の質あるいは病院におきます医療の向上ということを考えていきますために病院機能評価に関する研究会というのを現在設けておりまして、病院医療の評価の指標あるいは病院医療の評価の方法等について研究をしていただいておるところでございます。
  331. 菅直人

    ○菅委員 今の局長の答弁は、私にとっては大変不満な答弁であります。というのは、今おっしゃったようなことはまさに五年前から十分に議論をされてきて、そういう中で、それはあらゆる医療内容診療内容をチェックしろと言っているのではなくて、何らかの苦情処理機関に上がったものの中でどうもこれは本当に危険性がある、蓋然性がかなりあるといったものについてやるような手だてがないのかということの中で議論がされて、そういうふうなことを前向きに検討したいという当時の園田厚生大臣を含めての答弁だったと思うわけです。もともとそこがある意味では五年前の、この医療法改正の発端になった極めて大きな部分だったと理解をしておるわけですが、検討してみたけれども難しいから含まれていないというのでは、決して十分な手当てではない。  もし医療監視でやるのが難しければ、私が五年前の質問の中で申し上げておりますが、今でも保険の監査という形では実質的に診療内容に立ち入っているわけですから、局が違うとはいっても、医療監査医療監視とをうまく組み合わせることによって実質的に診療内容に立ち入ることができるのではないか、こういうことも提案申し上げているのですけれども、こういったことができないと言われるならなぜできないのか、あるいはそれにかわるべき手当てを何らかの形で講じようとされているのか、いわばこの原点になる問題ですから、もう一度重ねてお尋ねしたいと思います。
  332. 竹中浩治

    竹中政府委員 先ほど御答弁申し上げましたのは、一般的に、言うなれば常に医療監視の際に医療内容の適否を含めて実施をするという問題につきましては非常に難しいということで特に今回の改正に取り入れなかったと申し上げたわけでございますが、今先生お話しの、例えば都道府県の衛生部の窓口に相当高い蓋然性があると思われるような形で苦情が寄せられた、そういった場合には、従来の医療監視の中でそういう個別、特別のケースにつきましては医療内容に多少立ち入ることも可能でございますし、また保険の監査と十分連携を保ちながら医療監視を行うということは従来もやっておるわけでございまして、そういった方法によりまして、極めて特別のケースについては、仰せのとおりの方向で進めてまいりたいと考えているわけでございます。
  333. 菅直人

    ○菅委員 それでは、若干前向きな答弁というふうに理解をしまして、短い時間ですので、もう一つの問題に移りたいと思います。  今回の医療法改正の中で医療法人に対する監督の強化といいましょうか、そういう側面はかなり盛り込まれておりまして、この内容そのものを幾つか検討しなければならないと思っておりますが、いわゆる医療法人ではなくて個人として病院を開設しようとした場合の問題についてであります。  現在の医療法第七条では、医師診療所を開設することを原則としておるようですけれども医師でない者の場合も知事の認可があれば開設ができる。しかし、さらに、営利を目的とした者には許可を与えないことができるというふうな規定になっているわけですが、この問題をめぐって各地である種のトラブルが起きていることは御承知のとおりだと思います。そのトラブルの生じる一つの余地というのが、営利を目的とした者には許可を与えないというその基準なりあるいは手続なりが必ずしも明確にされていない、あるいは明確にされているとしても、それが省令といったような形になっていないようなことが、一つのすき間のようなところになっているのではないか。そういった点で、営利を目的とした者には許可を与えないということについての基準を、例えばその個人がどういう立場の人でどういう資産内容を持っているかなど、資料提出を義務づけるようなことを省令化することを含めてもう少しルールを明確にしたらいいのではないかと考えますが、この点についてはいかがでしょうか。
  334. 竹中浩治

    竹中政府委員 七条四項で、営利を目的としてはならない、こういうことでございます。したがいまして、営利企業あるいは株式会社が直接病院診療所の経営を行う、これはもちろん該当するわけでございますし、また営利企業が取引関係等を通じまして実質的に病院診療所の経営を行うということもやはり営利を目的とするということに該当するわけでございまして、そういったものには許可を与えないということでやってまいっておるわけでございます。したがいまして、医療機関の開設の許可に当たりましては実質的な開設者がだれであるのかという判断を十分するようにということを通達で指導いたしておるわけでございまして、こういった趣旨の徹底を今後とも図ってまいりたいと考えております。
  335. 菅直人

    ○菅委員 その省令化についてはどうですか。
  336. 竹中浩治

    竹中政府委員 この種のものにつきましてはかなり多種多様な形態があろうかと思いますので、私どもとしては、そういった判断の仕方を通知で出すのが適切ではなかろうかと思いますが、省令化という点につきましては、これも検討をさせていただきたいと思います。
  337. 菅直人

    ○菅委員 時間ですのでもう終わりますけれども、本来なら地域医療計画についても幾つか申し上げたかったのです。特に先ほど来議論になっております不足地域の解消という問題がこの医療計画の中で本当に効果を上げることができるのであろうかという点に私も大変疑問を持っているということを最後に申し添えて、質問を終わります。
  338. 戸井田三郎

    戸井田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時二十三分散会