○堀
委員 私が大変失礼なような
お尋ねをしましたのは、これから私どもが取り組まなければならない
定数是正の問題というのは主体が
国民の側にあって私ども
国会議員の側にないということをまず前段で確認をいたしたいと思ったから、こういう
お尋ねをしたわけであります。
そういたしますと、主体が
国民にあるということは、例えば
自由民主党が六・六案というのを作業をお始めになって、森さんのお話では二年ぐらいかかったとかというお話がございましたけれども、大変な時間がかかって、前
国会のもう終わり直前にようやく提案されるということが起きたわけですね。これはなぜそういうことが起きるのかといいますと、私たちの仲間内で自分たちの仲間の
議員としてのある
意味での生存権について大きな制約を与えることを決めるということは、本来が大変難しいことなんです。
ところが、現実には、実はさっき御質問の方もおっしゃいましたけれども、アメリカも西ドイツもイギリスも、皆先進国はそういうことはきちんとした第三者
委員会に任せて、そこで瑕疵なく処理が行われるシステムが確立しているわけなんですね。残念ながら我が国においてはそういうシステムが全然確立していなかった。そうすると、内部の処理をしようとすれはこれは大変で、特に今六・六案という問題を
自由民主党が非常に固執しておられるのは、依然として今
自由民主党の中にもこれに
反対の
意見がありますね。きょう
坂本さんのお話を聞いておりまして、
自由民主党が全員賛成ということにはなっていないが、それにしてもいわゆる被害者を多くしないためにはこの方がいいのだという、これは何の論理でしょう。
国民の論理でしょうか。そうじゃないのです。要するに、
政党と
議員同士という仲間内の論理が優先して、六・六案を早く通して、もし十二月二十四日以後になったら十増・十減になるぞ、それなら被害が少ない方がいいではないか、まさに
議員の論理、選ばれる側の論理で物が動いているというところが現在のこの問題の非常に大きな
問題点ではないのかということを私は率直に感じておるわけであります。
ですから、そういう
意味では、今のこの問題は実は重要な問題でありますけれども、ここまで
意見の
対立があるものをこの残された会期の中に何がなんでも無理やりにやることが
最高裁判所が求めておる
定数是正ということに適応するものかどうかということについて、私は疑問を実は率直に言うと持っておるわけであります。ですから、この
選挙法の問題、大正十四年に実は
選挙法が今の
制度につくられ、二十二年でしたかにまた改めてなったわけでありますが、一遍原点に返って物を
考えてみるということもこの際大変重要ではないか、こういう感じがいたすわけでございます。
そこで、実はこの間公聴会が行われまして、その公聴会に兵庫県の副知事が出席をいたしまして、こういう発言をしたわけでございます。兵庫県というのは
人口が現在五百十四万四千という大きな県でございまして、五十五年
国勢調査によりますと、全国で実は七番目に大きな県なのであります。現在の
衆議院議員定数二十名でございますが、たまたまこの
選挙区の中に五区という過疎の地帯があるために、ここを二名区にして十九名にしろということに今六・六案ではなっておりますが、副知事は、新しい
国勢調査の結果によれば現在の七番目が五番目になるかもしれない、そういうときにどうして兵庫県の全部の二十名を十九名に減らさなければいけないのでしょうか、実はこういう
意見を公述人として述べられました。
これは非常に重要な問題でございまして、大正十四年にこの
制度が最初にできましたときには、
国勢調査に基づく各府県の
人口を当時の
議員一人当たりの大体
基準数値である十二万で割りまして、各府県の
定数の
配分をまず決めまして、この
定数に基づいて三名、四名、五名区に分配したのが現在の中
選挙区の歴史的な経過でございます。これは戦後に参議院の地方区をつくりましたときも、同じように大体
選挙区
定数というのは府県が単位となってそこにまず
定数を割り当てて、それを今の
人口比に応じて三、四、五名区で今のような形にするというのが基本
ルールでございます。
そこで、ちょっと私の方から申し上げますと、現在の全国平均の
議員一人
当たり人口は二十二万九千八十一人です。この二十二万九千八十一人で、ちょうど大正十四年に行ったときと同じように現在の都道府県の
人口をこれで割りますと、本来最初に行われたと同じような格好で
議員定数がどうなるのかということを申し上げますと、東京都は現在四十三名でありますが、これで割ると五十一名になります。大阪府は二十六名でありますが、三十七名になります。神奈川県、十九名でありますが、三十名になります。愛知県、二十二名が二十七名。北海道、二十二名が二十四名。埼玉県、十五名が二十四名。兵庫県、二十名が二十二名。多くは申し上げませんが、要するに今のような基本的、抜本的に原点に戻って公正な
配分をやり直すとすれば、兵庫県は実は十九に減らすのではなくて二十二にふやさなければならない、こういうところに該当するわけなのであります。
ですから、そういう
意味ではこれから新しい
国勢調査が出るということを前提といたしますと、少なくともさっき私が前段で確認をいたしました主権が
国民にあるという
立場からしますと、
国民にかわって、これらの
定数配当、さらには区画の
あり方、
定数配分、これらを
国民の
立場に立った
第三者機関が検討をして、これは十分な検討期間が必要でありますから、私はこの
国会では恐らくこの両
法案は
成立は困難だと私なりの判断をしておるわけでありますが、そうなったときには、
通常国会が召集をされましたら直ちにひとつ当
委員会としてこのような作業をしていただいたらどうかという私の個人的な私案をちょっと御紹介をしておきたいと思うのであります。
これは、
衆議院議員定数配分委員会設置
法案要旨ということで、私の堀私案でございますけれども、
一
衆議院議員定数配分委員会(以下「
委員会」という、)を設けるものとすること。
二
委員会は、直近に行われた
国勢調査の結果に基づき、その結果が判明した日から六月以内に、
衆議院議員の
定数配分及び
選挙区画について、
改正の必要があるかどうかの
意見及びその必要があると認める場合におけるその
具体案を
内閣総理大臣に
提出しなければならないものとすること。また、
委員会は、特に必要があると認めるときは、
衆議院議員の
定数配分及び
選挙区画について、
改正の
具体案を
内閣総理大臣に
提出することができるものとすること。
三
内閣総理大臣は、
前項により
意見又は
改正の
具体案の
提出があったときは、遅滞なくこれを
国会に報告するとともに、
改正の
具体案については、その
提出を受けた月から三月以内に、これに基づく
改正法律案を
国会に
提出しなければならないものとすること。
四 両議院は、第二項の
意見及び
改正の
具体案を尊重し、その実現に努めるものとすること。
五
委員会は、
委員七人をもって組織するものとすること。
六
委員は、
学識経験のある者のうちから、両議院の同意を得て、
内閣総理大臣が任命するものとすること。
七
委員の任期、
政党制限等について必要な
規定を設けるものとすること。
これは私の個人的な私案でございますが、そういうものをつくりまして、そうして、
衆議院議員の
定数配分及び
選挙区画の
改正の
具体案の内容は、次の
原則に従わなければならないものとすること。
(一) 各
選挙区の
議員定数は、三人から五人までとすること。
(二) 各
選挙区の
議員一人
当たり人口の最大のものと最小のものとの比率は、
原則として二・五倍を超えないようにすること。また、その比率が三倍を超えたときは、
改正を行わなければならないこと。
(三)
区域変更により設定される各
選挙区の
人口及び将来
人口が
議員定数との関係においてできる限り均衡のとれたものとなるようにすること。
あと、たくさんございますが、最も主要な点は、以上のような
原則に立ってこの第三者の
委員会が早急に設けられて、要するに抜本的な処理が行われるということになりますと同時に、これは自動的に
国勢調査に基づいて処理が行われるということになりますので、二度と
違憲判決というようなものは起きる可能性がないのでありまして、私はまず今一番大事なことは、急いで何かの緊急的措置、
総理のあれにも書いてありますけれども、緊急的措置では困るのですよ。要するに、
国民が求めておりますのは、安心して、これから
定数が
違憲のような
状態にならないように、第三者
委員会、言ってみれば私どもとは別の角度で
国民主権を
代表する
立場で
答申がされたものには、これは
国民主権を尊重すると各
政党代表おっしゃっていることでありますから、同時にそのことは憲法十四条、十五条を満たす要件があるわけでありますから、問題なくこれを尊重して
法律改正が行われる、そういう組織的な対応が今日極めて重要だ、こう
考えておるわけであります。
これについて、森さん以下ちょっと御
意見を伺いたいと思います。