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1985-11-22 第103回国会 衆議院 建設委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十二日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 保岡 興治君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 中島  衛君 理事 木間  章君    理事 小沢 貞孝君       池田 行彦君    榎本 和平君       金子原二郎君    唐沢俊二郎君       東家 嘉幸君    野中 広務君       浜田 幸一君    東   力君       村岡 兼造君    上野 建一君       関  晴正君    前川  旦君       山中 末治君    坂井 弘一君       薮仲 義彦君    安倍 基雄君       瀬崎 博義君  出席国務大臣         建 設 大 臣 木部 佳昭君         国 務 大 臣         (国土庁長官) 河本嘉久蔵君  出席政府委員         国土庁長官官房         長       吉居 時哉君         国土庁計画・調         整局長     星野 進保君         国土庁土地局長 末吉 興一君         国土庁地方振興         局長      田中  暁君         国土庁防災局長 杉岡  浩君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設大臣官房総         務審議官    佐藤 和男君         建設省建設経済         局長      清水 達雄君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 萩原  浩君         建設省住宅局長 渡辺  尚君  委員外出席者         防衛庁経理局施         課長      松木  明君         外務大臣官房外         務参事官    川上 隆朗君         外務省中南米局         中南米第二課長 赤沢 正人君         大蔵大臣官房参         事官      塩田 薫範君         大蔵省主計局主         計企画官    田谷 廣明君         大蔵省主計局主         計官      涌井 洋治君         厚生省生活衛生         局水道環境部水         道整備課長   小林 康彦君         厚生省社会局老         人福祉課長   阿部 正俊君         通商産業省立地         公害局鉱山課長 黒田 克祐君         運輸省港湾局計         画課長     坂井 順行君         気象庁地震火山         部地震火山業務         課長      鈴置 哲朗君         消防庁防災課長 石橋 忠雄君         消防庁救急救助         室長      篠田 伸夫君         会計検査院事務         総局第三局審議         官       安部  彪君         日本国有鉄道施         設局長     神谷 牧夫君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ————————————— 委員の異動 十一月十五日  辞任         補欠選任   池田 行彦君     梶山 静六君   榎本 和平君     松野 幸泰君   清水  勇君     渡辺 嘉藏君   伊藤 英成君     青山  丘君 同日  辞任         補欠選任   梶山 静六君     池田 行彦君   松野 幸泰君     榎本 和平君   渡辺 嘉藏君     清水  勇君   青山  丘君     伊藤 英成君 同月二十二日  辞任         補欠選任   伏木 和雄君     薮仲 義彦君   伊藤 英成君     安倍 基雄君 同日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君     伏木 和雄君   安倍 基雄君     伊藤 英成君     ————————————— 十一月十一日  町村の公共下水道整備推進に関する請願(平泉渉君紹介)(第一五〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  建設行政基本施策に関する件  国土行政基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 保岡興治

    保岡委員長 これより会議を開きます。  この際、連合審査会開会申し入れに関する件についてお諮りいたします。  内閣委員会において審査中の内閣提出、許可、認可等民間活動に係る規制の整理及び合理化に関する法律案について、同委員会に対し連合審査会開会申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会は来る十一月二十五日月曜日午前十時二十分から開会予定でありますので、御了承ください。      ————◇—————
  4. 保岡興治

    保岡委員長 次に、建設行政基本施策に関する件及び国土行政基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
  5. 関晴正

    関委員 やっと一般質問の席につけることになったわけであります。  私は、四月二十六日に行われました閣議口頭了解の中に、いわゆるむつ小川原開発計画の中に核燃サイクル基地を挿入する、こういうことで事が進められたわけなんですが、この閣議口頭了解という問題について、この問題を運んだのは官房長官でありますので、官房長官にもぜひお尋ねをしたい、こう思います。  主管大臣国土庁長官にもこれは御質問申し上げますが、主管大臣一つ提案者であります。閣議口頭了解の全体の責任というのは閣議であるわけですから、いわば総理大臣に出てもらってこの問題についてのお考えを受けるのが相当だろう、こう思うのです。だが、今にわかに総理大臣といっても都合もつかないでしょうから、せめて官房長官には出てもらわなければならない、こう思いますので、ぜひ官房長官の方にも伝えて、即刻出席していただくように委員長の方から要請していただきたい、こう思います。よろしゅうございますが。
  6. 保岡興治

    保岡委員長 関委員からの今の申し出の件についてはあらかじめ承っておりましたので、昨日来いろいろ出席方要請をするなど努力いたしてみましたけれども官房長官においては外交案件等の日程などいろいろ都合がありまして、きょうの出席は難しいということでございましたので、御了承をいただきたいと思います。
  7. 関晴正

    関委員 そんなお答えで御了承してくれと言っても、何忙しいかに忙しいと言っているかもしれませんけれども、私は、忙しい時間を割くなら割いても官房長官との質疑の時間はとって、きょうのうちでもいい、何時なら何時、その時間だけ設定してくれれば、私の時間を縮めてそのように対処してもいいわけですから、ただ都合が悪いとかということで、わかりましたなんということでは安易過ぎると思うのです。  また、官房長官というのは閣議決定事項についての責任者だと私は思っておるのです、総理にかわって。そういう意味で、国土庁長官の答える分野はそれでいいのだけれども、それを越える部面についても私は伺っておきたいと思っておるわけですから、ひとつこの際重ねて要請してください、きょう一日いっぱい委員会があるのですから。それで、その時間を特別設定していただけるなら設定していただくように、これは理事会を開いてでもいいですから、決めてくれればいいし、委員長がいや大丈夫お話をしておくということであればそれでもいいですから。これはぜひきょうお願いしたいと思うのです。  この国会で、今やらなきゃもう臨時国会で無理ですから、通常国会になってしまうし、年を越してしまうと思うのです。越しても悪いとは思いません。悪いとは思いませんけれども、この四月に決められたことについての問題を今開きたいと言っているわけですから、ひとつ委員長、これは重ねて要請していただけませんか。
  8. 保岡興治

    保岡委員長 関委員に重ねて申し上げますけれども今関委員お話をされたような趣旨も踏まえて交渉した結果でございますので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
  9. 関晴正

    関委員 これはそういう勝手なことをさせてはならないのじゃないでしょうか、委員長委員長個人で、また委員長として折衝したかもしれませんけれども、私の聞きたいのは閣議口頭了解を運んだときの言うなれば実態、そうして背景、問題点、これらのことがそちらさんからお話しできればそれでもいいんですけれどもさき委員会で私これは聞いているわけです。だけれども、なかなか意見の一致を得られないままでおりますし、はっきりしないままで終わっていますから、ぜひひとつ長官を呼ぶように理事会にかけてください。かけてやっておりますか。お願いしておきます。
  10. 保岡興治

    保岡委員長 関委員、その点については今後理事会等、また先生の御意見もよく承って検討もしたいと思いますので、きょうのところは質疑をしていただければありがたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  11. 関晴正

    関委員 とにかくきょうのうちに官房長官に来ていただいて、質疑の時間だけは設けるようにお願いしておきます。十分前に終わればその十分で結構ですし、私の時間内でやってしまえばこれは終わりだけれども、私、当てておきますから、そういうことでやっておいてください。とにかく理事会を開いて、質問のさなかにでもやっておいてください。お願いしておきます。
  12. 保岡興治

    保岡委員長 関委員、それじゃ後刻理事皆さんにちょっと相談をしていただくなどして検討しますので、質問を続けていただければと思います。
  13. 関晴正

    関委員 それじゃ、何か時間の都合河川局長を早く参議院の方に回してくれないかという仲間からの要請もありますので、ちょっと順序からいけばうまくないんだけれども、この際、しょっぱな河川局長の方の仕事むつ小川原開発にかかわる部面のところをちょっと聞いておきたい、こう思います。  それは、今むつ小川原開発において淡水化事業というのを行っていますよね。この淡水化事業というのはいつまでに完了する、そして現在の進捗度というのはどの程度であって、今後どの程度の金をかけてこれを完成する、そういう予定がありましたらお聞きしたいと思います。
  14. 井上章平

    井上(章)政府委員 小川原湖総合開発事業は、昭和五十三年度より建設事業着手いたしておりますが、今日まで工事実施のための測量地質調査用地調査等調査を主体に進めております。工事としては、現在までに湖周辺洪水防御を図るための湖岸堤の一部約四・七キロメートルを施行している程度でございまして、まだ緒についたばかりという状態でございます。  それで、全体の事業費でございますが、内容はもう先生承知と思いますが、事業費で申し上げますと、これは昭和五十三年度計画を策定したときに算定したものでございますが、五百八十九億円ということでございまして、今日までに六十億円程度、ただいま申し上げましたような内容で使っております。  いつまでかということにつきましては、まだこの事業そのものがそういう年限を定めたものではございませんので、いつまでにどうということはちょっと申し上げかねる次第でございます。
  15. 関晴正

    関委員 淡水化事業を行う、そういう事業決定をされて、そうしていつまでに終えるかということが定かじゃない、そして現在のところ一%の進捗状況、こういう御説明のようであります。  この淡水化事業を進めるとなりますというと、あそこの小川原湖漁業者漁業補償というのが当然問題になろうと思うのですが、漁業補償交渉はもう完了されて、漁業補償額の算定も終えられているのでしょうか。
  16. 井上章平

    井上(章)政府委員 漁業補償につきましては、昭和五十四年度以来逐次漁業実態調査漁業影響予測調査等を行ってきておりまして、本年度もこれらについての一部追加調査を行っているところでございます。これは漁協が三つございますが、これらの方々に対してそういった漁業補償についての正式な交渉をまだ持っているという段階ではございません。
  17. 関晴正

    関委員 少なくとも、この淡水化事業というものは、一つ前提があって始めた事業であります。その前提というのは、むつ小川原開発というまさに巨大開発であります。この巨大開発というのは、石油精製であり石油化学であり火力発電のいわゆる三つの大事業。この三つの大事業のために工業用水道を供給しなければならない、そのためには塩分を含んでおるこの水ではうまくない、こういうことで淡水化仕事が必要となった、こう聞くわけですが、今進捗率がわずかに一%という状態だというと、目標としていつまでにつくり上げるかというようなことが何もない。  私は、いっそのこと、これはもうむつ小川原開発の中から、開発目標とした一つの条件というものが失われているわけだから、この仕事そのものも必然的に消滅していくことになってしまうんじゃないだろうか、こう思うわけなので、この点で一建設大臣、聞いていますか。あなたの出席を求めたのは、耳に私の話を聞いてもらいたいためにお願いしているのですよ。そうでなければ来なくてもいいのだからね。大臣、これは大事なものなんですよ。今局長言ったでしょう、いつできるかわからないって。建設大臣、この問題についてどうですか。この淡水化事業建設大臣、どう踏まえておりますか。大臣からお答えいただきたいと思うのですよ。     〔委員長退席亀井委員長代理着席
  18. 木部佳昭

    木部国務大臣 むつ小川原のこの淡水化事業につきましては、昭和五十三年度から建設省事業着手をいたし、工事を現在実施中でございますが、実施のための測量であるとか地質調査、そういうようなものを進めておるわけでございますが、湖の周辺洪水防除を図るために、いろいろ今約四キロ以上のものについてこれを施行をいたしておるという現状でございまして、我々といたしましても鋭意努力をして事業進捗を進めてまいりたい、こう考えております。
  19. 関晴正

    関委員 これは大臣大臣むつ小川原開発閣議口頭了解に賛成した一大臣ですから、むつ小川原開発というものがどんな内容であるかも知らないで賛成しているわけはないと思うのです。ところが、今この仕事に取りかかるといっても——洪水の問題、災害防止の問題、これは別です、これはむつ小川原と違いますから。これは災害対策仕事ですから、むつ小川原開発とはまた違います。その点、認識をきちんとしておいてください。むつ小川原開発というのは、ここの水を工業用水に使うために淡水化事業をやろう、ここの水を飲料水に使うために上水道のために仕事をしようということが一つあります。  ところが、目標とする産業石油精製にしても石油化学にしても、淡水化された工業用水道というのは、これに必要とする水なんです。ところがこの品物、この物件がいつ来るかわからぬわけですよ。いつ来るかわからないのだけれども、いつか来るかもしれないだろうということでやった。ところが、あなた方が今度予定していたところの石油精製工場予定地原料タンク置き場所、これは大石平弥栄平というところです。この二つの地区で六百五十ヘクタールの場所をそっくり、今度は核燃サイクル施設建設場所にしようというわけですよ。そうしますと、この工場はどこへ行くんですか。行き先が不明なんです。行き先が不明ということは、これはなくなってもいいんだということなんですよ。そういう物の考え方なんです。必要だというならば、別な場所に、ここにしましたということでなければならない。  ですから、むつ小川原開発計画という計画が重大な変更を来したのです。予定した産業というものについて、必要とする水というものについてもう用がないようなところに来ちゃっているわけですよ。となるというと、考えざるを得ないんじゃないだろうか。しかも漁民に対する漁業補償なんというものは、これから計算して出すといったらまた大変な金ですよ。事業費用と同じくらいの漁業補償が必要となるのじゃないかと思うのです。  そう考えると、ここで大臣あと任期一カ月しかないと思って、どうでもいいとは思っていないでしょうけれども、少なくともこの任期において、閣議口頭了解に参加した大臣として、この問題についてどう持っていったらいいかということぐらいは考えていなければならない。あくまでもこれを成功させるために進めなければならない、こう思っておられるか、それともこれはここで検討しなければならない時点に来たんじゃないかと思っておられるか、どっちです。
  20. 木部佳昭

    木部国務大臣 私も、不勉強でございますが、ちょうど経済企画庁の政務次官をやらせていただいた昭和四十七年ごろ、日本で最後に残された工業立地であるむつ小川原開発以外にはない、実はそういうふうなことで、当時の総合開発局や何かが中心になりまして、東北開発株式会社、それから東北六県の地方自治団体、そういうところが中心になっていろいろ開発の構想を練り、そして残された唯一の立地的な整備をし、きょうに及んでいる、そういう認識だけは、私も大体大筋の経緯は理解しておるつもりでございます。そういう意味で、先般来閣議の旧頭了解事項になっていることも承知をいたしておるわけでございまして、それからまた、今の洪水対策だけではございませんで、全体的な総合的な開発責任は我々建設省が受け持っておるということにつきましても認識を持っておるものでございます。  したがって、これからいろいろ、当初の計画核燃料その他の問題で多少変化があるようでございますが、しかし、私どもといたしましては法で許された範囲内のできる限りの努力をして、地元との調整をしながら、我々としての使命を果たすために努力させていただきたい、かように考えております。
  21. 関晴正

    関委員 それでは重ねて大臣、この淡水化事業はいつまでに完成させたいと思っておりますか。
  22. 井上章平

    井上(章)政府委員 高瀬川総合開発事業の中にこの淡水化事業が含まれておるわけでありますが、この事業そのもの湖周辺洪水、高潮の防除、塩害の防止という目的を持っておりますし、また十和田市等二市五町二村の水道用水湖周辺工業用水確保相坂川左岸及び小川原湖西部かんがい用水の補給という非常に多目的事業目的を持った事業でございますので、これらにつきましては今後とも積極的に進めてまいりたいと思う次第でございます。     〔亀井委員長代理退席委員長着席〕  なお、この淡水化事業の中で先生が御指摘になりました工業用水につきましては、これは現在のところ、青森県におきまして、なお当初開発水量として計画されました日量六十万立方メーター、これにつきましては全量確保の方針を堅持したいということでございますので、私どもといたしましてもこの県の意向を尊重してまいりたいと思っておるところでございます。
  23. 関晴正

    関委員 形式的な答弁で、この問題に本質的にかかわって物を考えているような姿勢でないと私は見ます。でも、この論をこれ以上続けることは避けますので、局長、どうぞ参議院の方へ行ってください。それから、あと建設大臣の方にもう少し聞きたいことがありますので、その後終わりましたら、大臣もおられなくても結構です。  かねがね私から申し上げておりました国道四号線、六号線、それぞれあるわけですが、青森県の場合は七号線です。この七号線は、六車線国道であるのにもかかわらず四車線の橋しかない。これはどうしてくれるんだということで、私は三年前に取り上げました。青森市にある古川跨線橋であります。これについて、道路局長さきに、速急に調査をし検討し、そうして対処いたします。おかげさまで都市計画決定まで運びました。後はこの決定を受けてそれに従って事業を進めていくというところにあるわけですが、これはとにかく日本において取り残されている、いわゆる東北、北海道にはただ一つの橋です。  国道が六車線、橋は四車線。そして北国で、雪が降れば道路が広がるんじゃありません。雪が降れば道路がまた狭められます。こういうようなところが都市のど真ん中にあるわけで、そういう意味において、これは大臣あと一カ月で去るにしても、次の大臣にこれだけひとつ取り次いで速急に片づける。緊急避難というのはこういうものを指すものだと私は思っています。近ごろ避難しなくてもいいのに緊急避難なんていう言葉がはやっておりますけれども。  まさに青森県というところは政治的にいつも投げられているところです。田中角栄がここにおったら、とうに六車線になったろうとみんなが言っていますよ。また、建設のメンバーの皆さんだって、県庁所在地都市のど真ん中でそんなところがあるのか。私、この間沖縄へ行ってきましたよ。沖縄でもちゃんと六車線に合わせて六車線の橋が完成しています。今完成しましたと言ってきましたよ。あれは何も雪の降るところでもありませんよ。雪が降れば狭められるような都市の重要な幹線の橋が、今もって着工するところまで至っていない。  おかげさまで、ようやく周辺都市計画を決めた上で進めようということになりました。計画だけ決められても、工事着手ということの促進がなされないと、またこれも意味がないわけですから、せめてこれは三年以内に完成するくらいの意気込みでやってもらえないかと私は思うので、大臣からひとつお答えがいただければ、あるいは担当局長でもどちらでもいいです、これは。
  24. 萩原浩

    萩原政府委員 お答えいたします。  先生指摘古川跨線橋、これにつきましては、五十五年度より調査を鋭意進めてまいりました。もう御存じのとおり、この付近には非常に人家が連檐をいたしておりますことと、東北本線並びに奥羽本線の上をまたいでおるものですから、家屋の移転あるいは施工時の安全確保、重交通の処理対策等非常に多くの難問がございました。これにつきまして、昨年の十二月から協議会を設置させていただきまして、やっとある程度調整が図られまして、今月の二十五日に開催の青森県の都市計画地方審議会におきまして審議されるという見通しを承っております。この都市計画変更がなされますれば、できるだけ速やかに事業着手するように考えておる次第でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
  25. 関晴正

    関委員 そこのできるだけ速やかにの言葉をもう少し、三年ぐらいとか四年ぐらいとかというところまでお答えできないでしょうか。
  26. 萩原浩

    萩原政府委員 ただいま申し上げましたようにかなり難しい工事でございますので、できる限り工期も縮め、努力いたしたいということでございますので、どうぞ御理解をいただきたいと存じます。
  27. 関晴正

    関委員 我が国の工業技術相当に進んでおりますから、古い時代における物の考え方と、ただ見てたまげたというだけで長くかかるなんということになっても困りますので、この点については技術の粋を生かして、今お答えになったとにかく可及的速やかに、このことをお忘れにならないで当たっていただきたいし、この点、大臣からもしかと御答弁いただければと思います。
  28. 木部佳昭

    木部国務大臣 今局長答弁のように、我々も全力を挙げてこの努力をさせていただきたいと思っています。
  29. 関晴正

    関委員 それじゃ、建設関係の方はその程度にしておきますので、あと残りの時間は国土庁長官、それから官房長官がちょっとでもおいでになるかと思ったらどうしてもお逃げになるそうですから、この次にまた場を持てればお願いしたいと思います。
  30. 保岡興治

    保岡委員長 わかりました。
  31. 関晴正

    関委員 国土庁長官、あなたはむつ小川原開発の言うなれば責任者であります。あなたの責任において青森県のむつ小川原開発のあの計画にいわゆる核燃サイクル基地を挿入する、こういうことを打ち出しました。じゃ、あの場所予定していた工場配置計画というのがあるわけですよ。この工場配置計画というのは先ほど申し上げたように石油精製工場、それから原料のタンクの置き場、これはどこへつくるんです。もうこの問題を決めてから七カ月もたちますよ。この計画はどこへ移すことになったんですか、お答えいただきます。
  32. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 この前の委員会でも先生に御説明申し上げましたとおり、従来の計画があって今度の核燃料計画が上に乗ったじゃないか、どうするんだという矛盾を指摘されたわけでございますが、私の答弁では、新しい計画が優先するというお答えをしておったわけでありますが、そういうふうに御理解を願いたいということでございます。その後どうするかということにつきましては別問題でございますので、その点もあわせて御理解願いたいと思います。
  33. 関晴正

    関委員 こんな話をするから官房長官を呼びたいわけです。どこへ行くかは別問題だと言うんだ、今。新しく重ねたものが優先して、下敷きになったものはどこへ行くかわからない。少なくとも開発計画でしょう。計画というものは、どこへ行ったらいいかわからないというようなことでは計画じゃないでしょう。つまり、これは計画がなくなったというならなったでいいですよ。どうなんです。なくなったんですか。宙に浮かんだんですか。見えなくなったんですか。持ってくるんですか。よみがえらせるんですか。どうなんです。
  34. 田中暁

    田中(暁)政府委員 毎度同じようなことを申し上げて恐縮でございますが、石油シリーズを今後引き続き粘り強く段階的に立地を進めるということは、まだ維持しておるわけでございまして、その場合にそれをどこに持っていくかというのは、今の段階ではまだはっきりしてない、つまり、そこまで具体的な結果を出すほど検討が進んでいないということでございます。  ただ面積的には、先生の方がよく御存じですが、まだまだ核燃料サイクル施設が参りましても広大な工業用地は残っておるわけでございますので、もう少し熟度が進んだ段階においては、そういった点もはっきりさせていきたいと考えておるわけでございます。
  35. 関晴正

    関委員 だから言っておるわけですよ。むつ小川原開発計画というものがあって、その計画変更なしに核燃サイクル基地計画を入れたわけです。挿入——挿入というのは加わることですよ。今まであるものを排除していますよね。場所的に排除したでしょう。排除してどこへ行くかということがないままにある計画というのは、欠陥計画ではありませんか。  欠陥計画であるものをそのままにして、閣議口頭了解でうのみにしたのでしょう。あなた方は提案者です。うのみにしたのは閣議です。だから私は、閣議責任者である藤波さんに来いと言っているのだ。大臣が間違って提案したら、それをチェックするのが官房長官なり総理大臣仕事だ。それを任せているからといって何のチェックもしない。だから、官房長官というのは何のためにあるのか、お答えをいただきたいのです。  少なくともむつ小川原開発計画というものがあって、その計画変更がないままに今度同じ場所核燃サイクル基地を置きます、その同じ場所というのは石油精製工場でしょう。それをどこへ持っていくかということを明示しないで、少なくとも土地があるからいいだろうという話では、これは計画になりませんよね。二千八百ヘクタールもあるんだからいいだろう、あったって置けるかどうか別でしょう。  なぜこれをここそこへ置きますという計画を立てられないのですか。立てられないということは差し迫った事情にないからだ、こういうことなんでしょう。だとするならば、この際見直しをするしかないのじゃないですか。私は、むつ小川原開発計画というのは、今や欠陥計画だと思います。大臣、そう思いませんか。つぶされたまま黙っているからいいと思っているのでしょうけれども計画だとすれば、それはもうどこかに置かなければならない。新しいものが優先するということで失われたならば、この部分はなくなった計画でございますというのが現状なんです。これがなくなったら、むつ小川原開発計画は、もう計画そのものがなくなったのと同じではありませんか、どうです。
  36. 田中暁

    田中(暁)政府委員 先生は欠陥計画であるという御指摘でございますが、石油シリーズの立地場所が具体的な土地利用という形でおろされていない、その部分についてはいわばペンディングになっている計画であるというように認識をいたしておるわけでございます。その背景は、何度も申し上げておりますように、経済情勢の変化から、当初予定した規模、それから時期をもって石油シリーズをあそこで立地させるのは大変厳しい情勢になっている、しからばそれを具体的にどのように修正すべきかという結論は、今の段階では出しがたいということを各省庁が認識いたしまして、いわばその部分をペンディングにした計画として修正を行ったということでございますので、その辺は御理解をいただきたいと思います。
  37. 関晴正

    関委員 あなた方そんなことを言ったって、むつ小川原開発計画計画書は何にも変更されていませんからね。したがって、先のものはどこに行くか現在わからない状態であります、追って位置づけます、こう言うならば、こういうふうに計画を直してやるべきではないかと思うのです。圧殺されたままでむつ小川原開発計画があるようにしておくのは、ごまかしてはありませんか。大臣、どうです。
  38. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 理論的には先生のおっしゃるとおりだと私も思いますが、具体的には県が関係各省庁と調整を図りながら、石油の精製基地につきましては、どこに行くんだということはちょっと今の段階では決定的ではございませんが、先ほど局長お答えしましたとおり非常に膨大な土地がございますので、県及び関係省庁とよく調整を図っていきたいというのが現在の考えでございます。
  39. 関晴正

    関委員 土地の広さがあればそれでいいだろうということでは、お話にならない。土地の形態があります。これは南北に長い面積ですから、自由におさめられるような場所状態でもありません。一番格好のいいところに石油精製工場を置くことになって、原料タンクも置くことになって、適当な勾配もあってタンクから流れていって仕事がしやすいようにつくったものなんです。そういう場所が今度なくなるわけです。隣の石油備蓄基地の方にこれを持っていけるかといったって、持っていけるものじゃありません。  三点セット、言うならば放射能の危険物の場所石油精製工場と並列して置くことが適当だと思う人はだれもいないのです。国土庁長官はそう思っているかもしれません。知らない人はそう思うことも御自由でしょう。だが、まじめに考えれば、ここがそういうものに取ってかわったならば今までのものはどこに落ちつけるか、そういう落ちつける先をどう検討したのか。そういう検討もしない。  そして、この石油コンビナートの計画はこれから生き延びられる計画であるかどうかの検討をした上で、その計画をきちんと直した上に三点セットを置きますというならば、これは閣議口頭了解として権威あるものになるでしょう。青森県が言ってきたからそれに従ってやるまでだということであれば、何の国の権威です。閣議口頭了解というのは権威のあるものなんですか、ないものなんですか。  私は、閣議口頭了解というものは一体どういう性格だろうと思っております。県が持ってくればそれでよろしい。そうじゃなくて、これは国の責任で新全総から三全総にかけて打ち立てられた一つの大きな柱なんです。この柱が今根底から崩れかけているわけです。補強する力もありませんよ。我が国の石油化学であれ石油産業は、これから発展する産業じゃありません。変わっていく産業です。その意味においてエネルギー政策も変わってきているわけです。そう考えると、このむつ小川原開発計画は、やはりここできちんとした変更をすべき内容を持っているんじゃないか。  県が願ってきたからやる、こんな指導性のない、権威のない国の態度ではいかぬのではないかと思います。ですから、七カ月もたったら、少なくとも言われることがないように、この計画はこうしましたよと図で示すだけでも、ここに持ってきて曲がりなりにも計画が成り立つようなことで我々を説得するというならばわかりますよ。それができますか。
  40. 田中暁

    田中(暁)政府委員 繰り返しになって恐縮でございますが、現在はその石油シリーズの具体的な土地利用計画を立てる段階にはないということでございます。
  41. 関晴正

    関委員 はっきりしました。これまでの計画は少なくとも変わったものである、新しくする予定はないのだ、こういうお答えでありますから、変わったものとして認識して質問しておきます。  それでは大臣、先ほどの建設省答弁でおわかりになったとおり、今淡水化事業を図っていますね。もう一つ飲料水の水道事業を今やろうとしていますね。あの水を飲料水に持っていくということでこの計画があるのですが、この飲料水の上水道事業計画はどの程度まで進んでいますか。
  42. 小林康彦

    ○小林説明員 小川原湖広域水道企業団といたしまして、水道用水供給事業を行うということで進めておるわけでございますが、ダムの負担金を含めまして、五十九年度まで一・九%の進捗率でございます。
  43. 関晴正

    関委員 全体の金額はどのくらいですか。
  44. 小林康彦

    ○小林説明員 総事業費三百六十四億八千五百万円を予定しております。
  45. 関晴正

    関委員 この仕事をする主体はどこです。そして、この主体はいつ認可されたのですか。
  46. 小林康彦

    ○小林説明員 事業主体は、小川原湖広域水道企業団でございまして、設立は、昭和五十六年二月、県知事の認可によりまして設立されております。
  47. 関晴正

    関委員 水道事業の認可はいつですか。
  48. 小林康彦

    ○小林説明員 水道事業の認可は、昭和五十七年六月二十九日付で厚生大臣が認可をしております。
  49. 関晴正

    関委員 認可前に補助金を出したのはどういうことですか。
  50. 小林康彦

    ○小林説明員 この水道用水供給事業の水源といたしまして小川原湖予定しておりまして、小川原湖の総合開発進捗状況を見まして、この水道用水供給事業の水源として必要であるという判断から補助をしたところでございます。
  51. 関晴正

    関委員 私の聞いておるのは、この事業が水道事業を行うことにおいて認可を受けているのが五十七年六月二十九日、その認可以前に五十六年度において補助金なり起債なり、それぞれこれに認めて出されているのはどういうわけかと言うのです。
  52. 小林康彦

    ○小林説明員 水源開発は、通常相当の長期間を要しますこと、また将来にわたって安定供給を確保する上で、水導事業の認可を前提として、認可前に先行的に水源手当てを行うことが必要な場合がございます。今回の場合、既に企業団が設立をされておりますこと、それから事業実施が確実であるということを判断いたしまして、事業体の経費負担をできるだけ軽減する目的で、認可以前に水源費補助の交付を行ったものでございます。
  53. 関晴正

    関委員 これは適正ですか。
  54. 小林康彦

    ○小林説明員 私ども適正と考えております。
  55. 関晴正

    関委員 どうして適正ですか。水道事業の申請者が申請の過程にあり、まだ認可もされない、それ以前に認可されたと同様の面倒を見る。これがどうして適正ですか。また、どうしてそれが緊急性がありましたか。
  56. 小林康彦

    ○小林説明員 水道水源の補助につきましては、事業の認可を前提とした制度ということにはなっておりません。通常、事業の確実性あるいは経済性の点から、認可をしました後に補助をするというのが通例でございますが、水源開発が先行いたします場合、特に共同事業という形で参加をいたします場合に、一人だけ負担をおくらせるということも適切でないという状況もございますので、そのような場合には、認可以前に事業の確実性、その事業主体の意向というものを確認しました上で補助をする、こういうことも可能というふうに考えております。
  57. 関晴正

    関委員 あなたは何の課長さんですか。
  58. 小林康彦

    ○小林説明員 厚生省生活衛生局水道環境部水道整備課長でございます。
  59. 関晴正

    関委員 水道事業の認可がされていなければならないのに、してもいいというのは、確実だと思ったとき、また共同の仕事を受け持ったとき、そういう理由があってやったのだ、何が悪いかとあなたはおっしゃいます。私は、あなたの仕事は、水道事業を行うのにこの水が適切であるかどうかということが先だと思うのです。この水は適切でありましたか。これ、毒水でしょう。
  60. 小林康彦

    ○小林説明員 水質につきましては、それまで県の行ってまいりました調査、それから私どももその水質の調査をし予測をしておりますので、水道水源として十分利用ができるという判断をした上での補助金の交付でございます。
  61. 関晴正

    関委員 あなた方は、どういうことでこの水の性質が適性だと判断しましたか。この水質が立派な水質だとあなた方の方では言っておりませんよ。念には念を入れて、条件をつけてやっています。その条件がどの程度今進んでいますか。何にもやられてないじゃありませんか。それでもあなた方のやっていることが正しいことだと思っているのですか。
  62. 小林康彦

    ○小林説明員 お尋ねのございます水道用水供給事業の水源としましては、小川原湖予定いたしまして、各種の調査が行われているところでございます。  その調査結果から見ますと、重金属につきましては、現状におきまして環境基準を達成しておるレベルでございますし、将来ともそれがふえる心配はないという判断をしております。塩分濃度につきましては、現状では水道水の水源として不適当なものでございますが、淡水化によりまして、水道水の水質基準二百ミリグラム・パー・リットル以下におさまるものというふうに見ております。このほか過マンガン酸カリウム消費量、蒸発残留物あるいは大腸菌群等水質基準を超える項目はございますが、これは水道の浄水処理で処理可能なものでございます。  湖沼で最も心配されますのが栄養塩類によります富栄養化によるにおいあるいは味の問題でございますが、これは淡水化事業が完了いたしますまでに適切な水質保全対策が講じられることによりまして、水道水源として支障を生ずることなく利用できる。それから、水道といたしましても、オゾン処理あるいは活性炭処理等の入念な処理を行いますことによりまして、利用可能と判断したところでございます。
  63. 関晴正

    関委員 五十五年の十二月十一日の水質の調査に当たった内容において疑問があり、これはおかしいじゃないかということを、私はこの席上でも取り上げてお尋ねをしておきました。十メートル下の水の温度なんと言っても、その場所は二、三十センチしかないところですよ。二、三十センチの深さしかないところで、どうして十メートル下の水温がはかれますか。びっくりしまして、いや、岸から百何十メートルと言いましたけれども間違っておりました、二百メートル以上でございました、こう言って距離の訂正をした。それでもはかった結果が、気温が四度で、そうして水温が十メートル下が一度だ、こういうことであなた方の方は平気で答えておった。  しかし、あの小川原湖では、十二月に十メートル下の水温が摂氏一度なんということは一度もない。平均で六度なんです。そうして、この調査はもう確実性のある調査。ですから、たまたまその気温が四度で、十メートル下が一度であったということでの御報告に接して、我々はこの水の採取はでたらめな採取じゃないか、どんな方法で採取をしたか、こうさらにお尋ねしたところ、この日にゴムボートに乗っていって、ゴムボートでとってきた水であります、こういうお答えがあった。これまでの調査は全部ゴムボートに乗って採水した、そういう採水の検査の結果なんですか。その点どうです。
  64. 小林康彦

    ○小林説明員 お尋ねの五十五年十月十三日の測定値につきましては、先生から御指摘がございまして、距離につきましてはもう一度確認いたしましたところ、当時目測で百メートルというふうに踏んだところ、実際もう一度確かめたところ百八十メートルということで、訂正をさしていただいたところでございます。水深につきましては実際に測定をしておりますので、水深については実測値でございます。水温につきましても、湖から採水器によりまして水をくみ上げましてその水温をはかっておりますので、温度計の読みでございますので大きく読み違えることはないだろうというふうに考えております。  この十二月十一日の採水につきましては、ゴムボートで採水をし、その水を検査をしたということを確かめております。あとは、現在のところ、すべてがゴムボートであったか別の形の船を使ったかにつきましては、ちょっと確信を持って答えられる状況に今のところございません。
  65. 関晴正

    関委員 とにかくゴムボートに乗っていって、そして距離を間違って、そして今のようなデータで水をとってきて検査したと言っても、あそこの地域において四十三年から五、六年の間にとった一つの統計があります。この統計によるというと、十二月に小川原湖の水が一度になったという例は、ただの一度もありません。ならして六度、平均して六度です。ですから、この水の採取そのものが、全くこれは行われなかったものを行ったことにしてやってきたんじゃないか、この疑いがある。  大体、ここだけじゃありません、水をとって実験している場所は。ところが、ここだけに限ってゴムボートに乗っていかなければならなかったのか。全部ゴムボートに乗ってやっておったとすれば迷うはずがない。迷うはずがないものに距離を間違ったり目測でやったり、十メートル下なんてないのに、勝手にそのデータを出して持ってきておる。ですから、この水質そのものが、その場所の水として認定するのに非常に疑問があるわけです。私は、その疑問は今これ以上追及しようとは思いませんけれども、少なくともごまかしの仕事でとった水で、よろしゅうございますなんということでは、これはお話にならない。  それで、もう一つ重要な問題があります。それは、この小川原湖の野口という場所で三沢が環境整備のために水質の調査を県の公害センターにお願いしている。そのときに、驚くなかれ四ppmのカドミウムが出ておる。話にも何にもならない。これについては厚生省、御存じですか。それでも水質はいいというのですか。
  66. 小林康彦

    ○小林説明員 小川原湖のカワツルモのカドミウム含有量が高いという調査データがあるということは承知をしております。その他の調査及び水道の立場での調査では、カドミウムにつきましても低い値でございますので、水道水源として支障がないという考えをまとめたところでございます。
  67. 関晴正

    関委員 何です、今の話。今から二年ほど前に調査をして、そうして今申し上げた小川原湖の野口という場所で採取した水、あわせてカワツルモという植物がありますよね、このカワツルモから四ppmのカドミウムが検出されておる。カドミウムは水に溶けないであろうと思っておったところが、植物から検出された。御存じですか。人ごとだから知らないというのですか。
  68. 小林康彦

    ○小林説明員 先生指摘のただいまのお話内容までは、私どもまだ承知をしておりません。
  69. 関晴正

    関委員 もしその事実を知ったら、これは水質として適性ですか。
  70. 小林康彦

    ○小林説明員 内容を詳細に検討させていただきませんと、今のお話内容では、私ども何とも申し上げかねます。
  71. 関晴正

    関委員 あなた、植物からカドミウムが四ppmも検出されたという事実があれば、それでも水質として適性だとあなたはおっしゃいますか。そこだけ聞いているのです。それでもいいんですか。
  72. 小林康彦

    ○小林説明員 植物にはカドミウムを濃縮する機能がございますので、その水質及び植物での蓄積状況を検討した上でないと、適切かどうかの判断がつかないと考えております。
  73. 関晴正

    関委員 カドミウムはこの小川原湖の水には溶けないからいいだろうという一つの判断がありましたよね。水に溶けなければ、植物にも溶けませんよね。植物に、検出されたということは、水にも溶けていたということになりませんか、どうですか。
  74. 小林康彦

    ○小林説明員 イタイイタイ病等の調査はかなりございますが、極めて微量の水の中のカドミウムも植物の中で濃縮され、植物、特に種の部分に濃厚に検出されるというデータはたくさんございますので、水の中の微量ということと植物で検出されたということと、直接つなげて考えるわけにはいかないというふうに思っております。
  75. 関晴正

    関委員 この人、ひどい人ですね。黒を白と言いくるめてこの場を逃れようとしておる。少なくとも水道の課長ならば課長らしく、これは大変な水質だなといって検査をするとか、その点について検討するとかと言うのが答えでなければならない。でも、この人、今の答えから見れば真実知っていますね、相当相当に癒着していますね。初めて聞いたのであれば、もっと率直に驚いて答えますよ。そういうこともあった場合にはどうするかという用意、できていますね。ひどいです。相当に癒着です。  私は、とにかくこの水質をめぐって——あそこには上北鉱山という鉱山の鉱毒の汚水がじゃんじゃん流れたところなんです。流れたところだけれども、塩分があるから、塩分はまだそれを幾らか抑える力があるだろうということで、若干是認をされてきております。今度は淡水化されてきますよね。よみがえってきますよ。淡水化されなくても、今この野口という場所でカドミウムがそういうカワツルモの中に検出されたものだから、これは大変だ。こういうことからいけば、水道事業を認可するに当たっては水質の検査がいかに重要であるかということは、水道法の規定しているところなんです。  ですから、水道法にのっとって水道事業を許可する場合に、一番大事なのは水質なんです。この水質の検査において疑問があるようなことがあってはならない。厚生省も指導しているわけですよ、いろんな疑問があるから。だけれども、政治的圧力もまた強いのです。なたをかまに曲げても何とか切り抜けようというのが、大体権力政治の特徴ですよね。今みたいに閣議口頭了解もいいかげんなことをやって、多数だからいいだろう、権力がやっているからおまえ何しゃべったっていいんだ、こう言わんばかりの姿勢があるわけですよ、至るところに。  私は、このことを考え、そうして今この水が適切でないということを思えば思うほど、そうして先ほど局長が言いました石油の三点セット、石油化学石油精製火力発電、こっちはわきへ置かれて、核燃の三点セットだけが今そこのけそこのけお馬が通ると言わんばかりにやっているわけです。前提が崩れていれば、その前提を基本として工業用水道計画もあり飲料水計画もあった。飲料水計画というのは、あの地域における十八万がやがて三十三万ぐらいになるだろうという人口の想定のもとに考えたものなのだが、それも石油三点セットが来れば幾らか見積もられる人口予定、これが見込みがない。そうしますと、この計画というものはもうとてもじゃないけれどもこのままでは持てないものになったから、早晩、四全総の計画を出すときにはキャンセルされるか見直しされるか、そういうところにいかざるを得ないだろうと思う。  あわせて、港湾計画があります。この港湾計画も十万トンのバースをつくる、五万トンのバースをつくる、大変な計画です。それも石油の三点セットが来れば、荷物を出さなければならない、原料を入れなければならないという用があるからです。ところが、今核燃の三点セットですよ。核燃のセットだと、フランスからの廃棄物の品物が来るときにこれを受け入れるだけのこと、あるいは原発から発生されるところの使用済み燃料を運べばいいもの、三千トンクラスでいいわけです。  三千トンクラスでいいところの港湾の計画に、十万トンなんて必要ない。象のおりに犬を置くようなものでしょう。象は来ない。前の話は、トラのところにライオンを持ってきて、ライガーでもやるのかという話で皆さんの記憶にとどめておきましたが、きょうは、三千トンクラスの岸壁があれば済む核燃の三点セットの港湾を、今の石油の三点セットを予定しての五万トン、十万トンのバース、岸壁の計画というものは、当然破産せざるを得ないであろう。こういうことから見ますと、港湾の方においてもまた検討せざるを得ないところに来た。  そういう意味で、港湾関係者の方からのお考えを出していただいて、最後に国土庁長官から、四全総を仕上げるに当たって、この巨大開発をここ十五年掲げてやってきたけれども、これはもうからっきし物にならないで表れをとどめざるを得ないものになってしまうのじゃないだろうか、そういう点についてのお考えを示してもらって、あと時間がないようですから、乱後の現実的な問題は上野君に譲って、私の質問は終わりたいと思います。
  76. 坂井順行

    坂井説明員 先生承知のように、むつ小川原湖の港湾計画というのは、五十二年八月に口頭了解された第二次基本計画に基づいてやっております。したがいまして、これの目標年次はおおむね六十三年ということでございますが、現在の港湾の進捗状況建設状況は、尾駮地区の船だまりの整備あるいは新納屋地区の作業基地の概成、それから現在東防波堤の建設というようなことを進めております。したがいまして、港湾の建設というのはむつ小川原開発に先導的な縦割を果たすというふうにも考えております。現段階では、五十二年に決めた計画を着実に進めてまいるという考えでございます。
  77. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 四全総の策定に当たりましては、このような膨大な大規模工業基地につきましては、経済社会情勢の推移や産業発展の長期的な方向を見きわめながら、関係方面の意向も十分踏まえてその位置づけを検討してまいりたいと考えております。
  78. 関晴正

    関委員 終わります。
  79. 保岡興治

    保岡委員長 上野建一君。
  80. 上野建一

    ○上野委員 最近いろいろな公共事業について民間活力の活用が盛んに言われています。そこで、この際ただしておきたいのは、公共事業の場合、建設省は民間活力の活用というのをどのような形で考えているのか、まずこの点をイロハからお願いしたい。だからといって長く答弁されては困りますので、簡潔に要点をお願いしたいのです。  例えば公共性と民間のやり得る仕事、ここにはもちろん共通点はないとは言いませんが、かなりの点で相反する点もある。いわば公共事業でなければできない仕事があるわけで、ある意味では採算を無視してかからなければならぬ場合もある。ところが、民間の場合は採算がとれなければ手は出さないし、やらない。やったら自分がつぶれますから、これはやらないのが当然だろうと思うのです。ところが、今回の民間活力という場合にはこれを一つのものとして統一しようとしておるわけで、そこに大きな矛盾がいろいろこれからも出てくるし、現在でもいろいろな心配があるわけです。したがって、そこら辺のところから考えて、公共事業における民活には限度があると思う。限度があると思うけれども、それじゃ今建設省などが盛んに言っている、あるいは中曽根内閣がいろいろ言っている点では一体どうこれを整理し、どう考えておられるのか、この点からまずお伺いします。
  81. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 いわゆる公共事業一般の中で当然国ないし地方公共団体のみが責任を持たざるを得ないパートがあることは先生指摘のとおりでございます。  ただ、建設省の所管の行政の中で、従来のいろいろな考え方を整理しつつ、民間活力を活用できるパートとして、例えばまず一つは、事業主体が民間で、資金の相当部分を民間で実施できる部分があるのではないか。もう一方は、事業主体が公共機関でありながら、資金において民間資金を活用できる事業があるのではないか。それから、総合的なプロジェクトを構成する複数の事業で、官と民がそれぞれの役割分担に即して事業実施するパートもあるのではないか。大まかに言って三つの柱があると考えております。
  82. 上野建一

    ○上野委員 そういう考え方でやられているとすると、本四橋、本州と四国の明石海峡大橋について事業主体が本州四国連絡橋公団がやることになったと言われているけれども、この場合は民間活力というのは縁故債に重点を置いているようです。そうすると、この縁故債二千億という数字も出ておるようですが、この縁故債というのは利子は幾らで、それから縁故債というのは今までもいろんな形で出ておるのですが、特に本四橋の場合の縁故債が民活というのはどういうことなのか。  しかもその次の問題として、出資金については、それとの関連で県とか自治体にどうも出資金を出させる、このように言われておるのだけれども、出資金などは民活に入らぬと思うのです。むしろ負担金みたいなもので、これは自治体にとっては大変なことだろうと思うのですが、ここら辺のところはどうなっておるか、お伺いいたします。
  83. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の事実はけさほどの新聞に報道されたものでございますが、私どもがいろいろ現在詰めております、事務的にいろいろな案で検討いたしておりますが、その案とはどうもよく合わないような気が私どもいたしておりまして、今その報道の趣旨につきまして問い合わせをしておるところでございます。さて、明石海峡大橋につきましては、御承知のとおり今年六月に大鳴門橋が完成をいたしまして、この大鳴門橋と一体となって初めて効果の上がる橋でございます。しかし、かねて臨時行政調査会におきまして一ルート四橋に限るという縛りがございましたものですから、この際いろいろな観点から何とか凍結を解いていただいて着工させていただけないかということで私どもが御要望申し上げております。ただし、このように財政が緊迫した時代でございますので何とか民間活力を活用してこの明石海峡大橋を着工できないかということで、いろいろな案を現在詰めているところでございます。  縁故債は従来のところやはり利子率がどうしても上回ってまいります。七%以上のようなことになっております。低利の縁故債が調達できないかというような問題が一つ横たわっておりまして、この問題について現在鋭意検討しているというところでございます。そういうことで何とか民間の力を利用して着工にこぎつけたいということでございます。  また、先生指摘の地方の出資金というものは、もちろんのこと民活という概念には入らないものでございます。
  84. 上野建一

    ○上野委員 そうすると、本四橋、それから東京湾横断道、こういう場合はどうなんですか。出資金を地方自治体に出させるのですか、出させないのですか。私は出資金を地方自治体に出させるというのはどう考えてもおかしいと思うのだけれども、出させるのか、出させないのか。  それから、けさの新聞報道を全面的に否定されていますが、全部否定して大丈夫ですか。
  85. 萩原浩

    萩原政府委員 本州一四国の架橋につきましては、従来から例えば国の出資金を二というふうにいたしますと、一が地方の出資金で出していただいております。二対一の割合で、国が二、地方が一という形で出資金を出していただいておりますので、地方の出資金をいただくことにつきましては既に本四架橋については制度化されているものでございます。  それから、先ほど先生指摘の、全面的に否定していいのかということでございますけれども、縁故債を何とか活用できないかというよう梅ことでいろいろ検討していることは事実でございますので、全面的ということではございませんで、例えばあの二千億という数字であるとかそういうものについて私どもはちょっとまだ承知をしておらないということで、御理解いただきたいと思います。
  86. 上野建一

    ○上野委員 それじゃもうちょっとはっきりさせていただきたいのですが、出資金を本四橋でも一部ストップを食っているのは国が金を出すからでしょう。そうだとすれば、制度になっていると言うのだけれども、今やっておる仕事は制度になっているかもしれないけれども、これからの話は制度になっているわけじゃないでしょう。そういうことでは困るので、これからの、この場合、本四橋の明石海峡大橋については県とか自治体に出資をさせる気なのか。させるとすれば今までと何も変わりがないじゃないですか。それから、東京湾横断道の場合はどうなんですか。そういうことは考えているのか、それは考えないのか、そこのところです。  例えば二対一で出資金を国が出すということになれば、これは今までと変わりないわけでしょう。これは民活でも何でもないでしょう。だから、そういう形でなくて考えているとするならば、例えばこの新聞報道によれば、国は出資をしないで金は自治体だけに出させる、こういうふうになっているというのですね。それは違うと言うから、そうだとすれば、この地方自治体について具体的に聞くけれども、どうなんだと言っているわけです。  東京湾横断道の場合は一体どうなんだ、そのことをまず聞きます。端的に答えてくれませんか。
  87. 萩原浩

    萩原政府委員 本四橋の従来の出資金の割合は、国が二に対して一でございます。これに対しまして、先生おっしゃいますように国の財政が非常に不如意の折から国の出資金を減らせないかということを財政当局におかれまして現在検討しておられます。いろいろな試案と我々の試案とで検討を繰り返しているということでございますので、この明石海峡大橋がどういう形になるかということにつきましては現在検討中でございます。したがいまして、従来の方式と明石海峡大橋の方式が異なるということはあり得ることであろうと存じます。  それから、東京湾横断道路につきまして出資金など、特に地方の出資金などをどう考えておるかということでございますが、これは東京湾横断道路のいわゆる資金調達の全体のあり方ということの中で検討をすることでございまして、現在鋭意検討しておるところでございます。現在の段階でどうなるかということを予想的に申し上げるような段階ではございませんので、御了承をお願いいたしたいと存じます。
  88. 上野建一

    ○上野委員 道路局長、あなたこの前の答弁からさらに後退しているじゃないですか。あなたの話はだんだん後退していく。この前はこういう幾つかのケースがあるのだ、第三セクターの場合はこうだという話が出たでしょう。それをおおよそ認めているわけですよ、こういう場合もあり得ると。今度は何もわからないような話をしているじゃないですか。  しかも本四橋の場合は、今までのやり方ではだめだから新しい民活の方式なら可能性があると言っているわけでしょう、着工するのに。しかももう来年度予算については決まるのに一カ月ないじゃないですか。それを何だかまだ全然わからないような話じゃ納得できませんよ。こういうケースとこういうケースについて最終的な段階に来ている、それは二つか三つあるけれども、これはこの辺まで来ているのだという話をもっとしなければ、これは検討にならぬでしょう。いきなり予算を決めて、我々には何も知らせない、ばかっとあとやってしまうというのですか。そんなことはないでしょう。みんなで討議しなければいかぬでしょう。  前に建設大臣が、大きい工事であればあるほど国民全体で討議できるようなそういうことでなければうまくいかないということを言っていますよ。ましてやこれは民活だとかなんとかいろいろ言っていながら、やっていることは全然知らせないじゃないですか。来月にも決めなければならぬというのに、もう十一月のぎりぎりに来ているのに、今みたいな答弁じゃ納得いかないですね。もうちょっと明確にしてください、どういう形でやろうとしているのか。
  89. 萩原浩

    萩原政府委員 前回の委員会におきまして先生からの御指摘に、私は、公団でやるといたしますと資金コストは約六%前後で何とか採算に乗るだろう、それから会社方式でやるといたしますれば配当その他の問題もございますので六%の資金コストではちょっと無理であろう、もうちょっと低い資金コストでなければだめであろうということを申し上げたつもりでございます。  それで、その従来の公団方式とそれから会社方式という二つの大きな流れがございますが、その中間的な考え方も当然ございますので、そのいろいろなケースにつきまして検討しておるというところでございまして、先日より後退というような状況ではございません。鋭意検討を続けているということでございます。
  90. 上野建一

    ○上野委員 それじゃあなたの方は後にして、大蔵省にお聞きしましょう。  大蔵省にまずお聞きしたいのは、従来のやり方ではだめだというのは、例えば本四橋の場合には国や地方自治体に金を出させるのではだめだということに通ずると思うのですね。どう考えても、民活というのは、財政的に国が苦しいからその肩がわりを民間にまず頼もう、これが一番大きい点だろうと思うのです。そうだとすれば、出資金についても、あるいはそのほかの事業費についても、国がなるべく出さないようにしようというのが建前であり、またそれが目標だろうと思うのです。  そこで、その点について、これから本四橋の明石大橋、東京湾横断道などについて国が出資をしたり、あるいはまた地方自治体に金を出させるというのは、どうも言ってきたことと方向が違うと思うのですけれども、その点はまずどう考えておられるか。  それから、今度の東京湾横断道の中に免税債というのが民間から提起をされておりますが、これについて大蔵省はどう考えておられるか。その二点をまずお伺いいたします。
  91. 塩田薫範

    ○塩田説明員 先生質問の点、二つございまして、順序が逆になるかと思いますけれども、私の方から免税債の関係について私ども考え方を申し上げたいと思います。  大規模公共事業に対しまして減収を伴う税制上の特別措置を講ずることにつきましては、財政負担を伴わずに事業執行を行うという民活の趣旨にそぐわないという点がそもそも問題であるというふうに考えておりますけれども、特に事業体に免税債の発行を認めることにつきましては、次のような理由から適当でないというふうに考えております。  第一点は、利子配当課税のあり方を含めて所得税制の抜本的な見直しが要請され、今その検討が行われているところでございますけれども、マル優を初めとする非課税貯蓄への課税のあり方が議論されております。そういう中で新たに非課税利子所得を認めることは、今後の議論の大きな障害になるということでございます。  第二点は、事業体ではなくて、免税債を購入する、投資する法人に過度のメリットを与えるということでございます。法人が借金で免税債を買いますと、その場合には借金の利子部分が法人の利益から引かれて税金が安くなるということ、それから、受け取った利子につきまして法人税免税になるということでございます。こういうのはいかにもおかしいということでございます。また、借金をしないで買った法人につきましても過大なメリットが生ずる、こういうことでございます。  それから三番目に、免税債という形での財政援助につきましては、一度免税債が発行され、例えばその償還期間十年という免税債が発行されますと、事業体の経営状況がよくなったというようなこともあり得ると思いますが、事業体の経営状況に応じて財政援助の度合いを弾力的に調整する、そういうことができないという問題がございます。  それから、このような免税債の発行は発行市場あるいは流通市場に対して攪乱的な要因になるのではないかということでございます。
  92. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  御指摘の第一点でございますが、民活と一口に申しましても、それぞれの事業内容あるいは事業主体によりまして個別に検討されるべき問題が多多あるわけでございまして、一般論として申し上げることは困難なわけでございますが、いずれにいたしましても、民間活力の活用は、民間の自主努力あるいは創意工夫といったものを活用いたしまして社会の活性化、安定的成長等を図ってまいろうとするものでございます。私どもといたしましては、このような考え方そもそもから申し上げまして、なるべく財政に依存しない形で民間活力の活用方策を検討していくことが肝要ではないかというふうに考えております。  それから、御指摘のございました個別の問題につきましては、いずれにいたしましても、今後の予算編成の過程で関係省庁と御相談しながら適切な対応策を図っていきたいというふうに考えております。  以上でございます。
  93. 上野建一

    ○上野委員 そこで、これは大臣にお伺いしますが、東京湾横断道の場合ですけれども、今第三セクターとして民活でやろうという案が出されて、それは民間の資金をかなり活用する。先ほど言われましたように、民間から金を出させると、採算をとって、そしてそれを株の形なり、あるいは返済することも含めてなんですけれども、そうするには五%台の資金でなければだめだ。この点をこの前はっきりさせましたね。  そこで、それをやるには免税債でなければちょっと無理だ、こういう案も出されているわけですね。ところが、免税債については今お聞きのとおり否定をされている。この根拠は私ももっともだと思うのです。これは国民はだれだってそう思うと思うのですね。銀行は例えば五%台にしてももうけがあるわけですから、それにさらにもうけさせるような形とか、それは銀行は銀行の言い分があるかもしれませんが、決して無利子ではない、ちゃんと利子をつけているのにさらにそれをカバーするように税金をまけてやるなんてとんでもない話であって、そういう意味では大蔵省の言い分の方が正しいと思う。  そこで、そういう意味で、民間、第三セクターの考え方、これは事実問題否定されているのですね。そうすると、東京湾横断道というのは結局従来の道路公団のやり方しかない、こうなるわけですね。ところが、それは大臣なり中曽根総理大臣はだめだと言っている、民活でやれと言っている。この矛盾は、しかし解けないんじゃないですか。やるなら道路公団でやるしかないということになります、しかし道路公団でやるには今財政上困難だ、こうなりますと、東京湾横断道路を来年度予算から始めるというのはやはり時期尚早じゃないですか。  しかも予算編成まで一カ月ないのにまだその方向すら決まってない。こうだとすれば、ちょっと焦り過ぎというか、急ぎ過ぎというか、調査報告だってまだ十分じゃないし、そういう意味ではまさに行き詰まっている段階だと私は感ずるのですけれども、それでもなお来年度からやろうとするのか。来年度からやろうとするなら、もっと明確な方向が出なければいかぬと思うのですね。ですからその点、大臣に明確な御答弁をいただきたいと思います。——私は大臣に聞いているんだがね。
  94. 佐藤和男

    佐藤(和)政府委員 ちょっと事前に免税債のことで……。  今ほど免税債を主とした民間活力活用の場合の財政援助についてのお尋ねがあったわけでございますが、まず基本的に、公共事業分野は本来的に採算に乗りにくいものでございまして、この分野への民間投資を促進するためには、採算性の確保なりリスクの軽減のため財政、税制上の措置を講ずることが必要だと私は思って、財政当局にいろいろお話し申し上げている次第でございます。  今ほど先生はやや具体に、免税債に関して国民一般がそう思っているのじゃないかというお話があった。理由は幾つか述べられたわけでございまして、それぞれ政府部内でこれから議論を詰めることだと思いますが、ただ、手続的に利子配当課税のいろいろな見直しの過程でこの問題を取り上げることの可否に関しては、私どもは、この事業が基本的に緊急に着手、遂行すべきものであるということから、その問題と切り離して御議論願えるのではないかと思っておりますし、税の公平の観点からの幾つかの御議論があろうと思います。  そのことについては、仮に免税債が市場で流通することを前提とすれば、それぞれの購入主体に対して過度のメリットを与えるということには相ならないのではないかというように考えております。  財政援助一般のあり方については当初お答えしたとおりでございまして、基本的に私どもは民間活力の活用を、大規模な場合に、東京湾横断道路がその例だと思いますが、免税債を利用する形というのが非常にすぐれた方法だというふうに考えております。
  95. 木部佳昭

    木部国務大臣 民間活力の導入の問題につきましては、私ども第一番に、御承知のとおり経済の持続的な維持をしなければならない。それから最近は御承知のとおり非常に円が高くなりまして、中小企業その他に対して与える影響等も考えてみなければならぬと思いますし、また同時に、今まで公共事業が五年も六年間も抑制されておる。やはり社会資本を充実するためには、余り落ち込ましてしまってはいざ回復力を持つというときになってもなかなか困難でございますし、私ども建設行政の基本である国土の均衡ある発展、それから同時にまた社会資本のおくれております、例えば道路にしてもそうでございましょうし、土地の再開発の問題とか、それから公園の問題とか下水道とか、そういうふうな特におくれている面につきまして、非常に厳しい中でございますがこれをもう少し前進するためにも、御承知のとおり中曽根内閣の大きな政治的課題といいますか公約は、行革の推進であり財政再建ということであります。  そういう意味で、そうした厳しい条件の中にあって、今申し上げますように私どもは均衡のとれた国土の発展、それから高齢化社会を迎えるとかそれからまた技術革新の時代であるとか、また国際化の時代であるとかというようなことに大きくまた国民のニーズも変化しております。そういうようなものに対して、限られた期間でございまして、弾力的に今申し上げるような社会資本の充実を図るというために、まあ言えば緊急避難的なもので取り上げて考えていかなければならない、基本的にはそういうように思っておるわけです。  そこで、民間の知恵なり民間の経済的支援なり、または民間の思い切った技術的な参加とか、それからまた地域の住民の方々のニーズにこたえるために地方公共団体なんかの参加や協力も得るとかというようなことが基本的な考え方で、私どもはこれから活力のある、申し上げれば社会資本を充実するために、今申し上げましたような基本的な考え方で、民間活力を導入することによって、安全で快適でしかも潤いのある均衡のとれた国土の発展のために寄与するために、先ほど来申し上げました皆さん方の知恵なりまたは経済的支援なりまた技術的な援助なり、また住民の皆さん方の参加をいただいて、一緒に手づくりで、そういうようなものの立ちおくれを挽回するために努力をしてまいろう、そういう基本的な考え方でおるわけでございます。
  96. 上野建一

    ○上野委員 ちょっとだんだんわからなくなってくるんですけれども……。  大蔵省にもう一度聞きますが、これは田谷さんの方に聞いた方がいいと思うのですが、財政上の問題、特に税金とのかかわりですから、例えば明石海峡大橋についてはこれは民活でなければだめだ、こういう行革の方の方針になっているわけですね。あれはむしろストップを食ったわけですね。それを再開するためには民活でやろうということであるわけですが、そうするとその場合に、民活で仕事をやる場合の条件と言ってもいいと思うのですけれども、まず一つは、国が出資をしないことじゃないですか。国が金を出さないということじゃないですか。それから、そのほかにいろいろな利子補給とかそういうことも含めて国はもう出さないと明言した方がいいぐらい出さないで、それでなお民間の出資あるいは民間の縁故債その他を含めてやれるならやりたい、そういうふうに私は最近の動きから思うのですけれども、そういうふうに判断してよろしいですか。まず大蔵省にお伺いしましょう。
  97. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  先ほども答弁申し上げましたが、いわゆる民活と一口で申し上げましてもさまざまなものがあるわけでございまして、その民活の中身につきましては、それぞれの事業内容でございますとかあるいはその事業主体の差に応じまして個別に検討されるべき問題が多々あろうかと存じますが、ただ、私どもの立場から一般論として申し上げますれば、平たく申し上げますれば、いわばお金がないときに知恵を出そうということでございますので、財政当局としましては、財政に依存をしない形で民間活力の活用方策を検討していただくことが肝要ではないかというふうに考えている次第でございます。
  98. 上野建一

    ○上野委員 それはそうだと思うのですね。そうすると、建設省はどうも考え方がおかしいのですよね。建設省は、大臣も含めてとにかく民活だと言っておきながら、税金をまげるような形で民活だと言っている。免税債なんていうのはまず問題外でしょう。免税債が簡単に出せるなら何も苦労しないのじゃないですか。安い資金がどんどん集まりますよ、免税債を出せるなら。しかも免税債なんていうのは、今までの歴史を見たってそう出しているわけじゃないでしょう。特別な事情でなければ出していませんよ、それだって批判があるのですから。それなのにあなたの方はまだ、大蔵省があれだけ明確に答弁しているのに免税債に希望をつないでいるような話をしている。だから、これは橋は無理でしょうと言っているのです。  それならゆっくりやったらいいじゃないですか、そういうことも含めて。そしてもっと下水道なり住宅などに力を入れたらいいでしょう、それこそもっと低利の金を集めることを考えて。そういうことについてはちょっと無理があるんじゃないですかね。この間の民間から出された第三セクターの考え方は、どう考えても免税債がなければ無理な案ですよ。八千億の工事費、そして最終的には一兆一千億の金になる、したがってその中で大部分の多くの金を集めるためには免税債を出さなければいかぬ、こういう考え方でしょう。だから、第三セクター案というのはもう破産してしまっているのですよ。それについてなおあなたの方が主張している根拠というのは何ですか。
  99. 木部佳昭

    木部国務大臣 私どもは、少なくも私は、建設大臣として免税債という言葉は余り申し上げておりません。といいますのは、過去の免税債の、これは耳学問でございますが、日露戦争の後に一度あったそうでございます。それから関東大震災の復興の後にあった。そういうことは実は耳学問で承っておるわけでございます。  今申し上げますように、私どもはこれから政府原案をまとめるためにいろいろ党の皆さん方と一体になって、政府・与党が十二月末にかけて予算の編成に取り組むわけでございます。それには御承知のとおりいろいろな段階がありまして、概算要求の段階とか、それからスタートをしてずっと練り上げていくわけでございます。その場合に、先ほど申し上げましたように我々は党の方と一体になっていかにして国民生活を豊かにし、そして我々建設省考え方で言えば、社会資本の立ちおくれを厳しい中にも一歩でも半歩でも国民生活の安定向上というためにどういうふうにして充実をしていくかということが我々の使命であります。したがって、やはり何といっても行政なり政策を遂行するためには常に政策の整合性がなければならぬ。  ですから、例えば関西空港その他を考えてみましても、空港本体は民活によって埋め立てをして新空港をつくる。しかし、これに対するいろいろなアクセスの道路の関係であるとか住宅であるとか下水道というようなものは我々建設省の方が当然公共事業によって、厳しい中でございますが、重点的な配慮をしながら一緒になってやっていかないと本当の意味の効果というものは生まれてこないわけです。  そういうふうなことを考えてまいりますと、例えば今上野先生からお話のありました明石の橋なんかにしてもそうで、あれは三本が公団で一緒になってやっているわけです。また東京湾の横断道路につきましても、私どもはとりあえず予算の概算要求の段階でいろいろ協議しまして、例えば東京湾の横断道路の場合には日本道路公団で予算の要求をさせてもらった、それから明石の橋につきましては本四公団の方で実施設計ということで要求させていただいた。これをどういうふうな方向に政府案として位置づけるかということはこれから予算編成の過程にあって最終的な決着をつけるわけであります。したがって、今いろいろ報道もされておりますが、今の事業債的なものもどういう方向で決着をつけていくかという問題については実はこれからの問題でございまして、いろいろな意見が各界各層からあることもよく承知をいたしております。  私、先ほど基本的な考え方を申し上げましたが、現下の厳しい状態や内需の拡大、また円高によって中小企業の受ける影響に対して我々どういうふうに取り組むか、政府なり党と一体になってこれから私どもはこの問題について具体的に実行できる方向を全力を尽くして努力したいというふうに実は考えておるわけであります。各界各層のいろいろな意見なり知恵というものはやはりそれぞれのお立場の見識ある方々の御意見でございますし、私どもは、国の将来のためにも建設行政を推進するためにもこれは正しく受けとめてこれから頑張っていきたいと思っておるわけであります。
  100. 上野建一

    ○上野委員 大分時間がたってまいりましたが、まだ残された問題もありますので、この点についてはまだ改めてやりたいと思います。  ただ、私が絶えず質問をしております一つの理由は、やはり内需の拡大と言っているけれども、東京湾横断道というのは、橋では内需の拡大にならぬということを私は言うわけです。そう思うのです。内需の拡大という形でやるならもっといっぱいあるわけです、国民生活との関連ではやらなければならぬことが。今、橋は国民生活にそれほど特別のあれがないのですよ。今の日本の国の状態で言うなら、とても車の買えないところで車を買うようなものです。それはないよりはあれば便利だろうと思うのです。だけれども、なくたってちゃんと鉄道もあれば通勤通学には心配ないというのに改めて車を買うようなものです。  それからもう一つは、大体、今内需の拡大でやらなければならぬのは中小企業なんですよ。それをもっと揺り動かすようなものがなければいかぬ。例えば下水道にしたって、このところテンポが極めて遅いでしょう。それから、僕が前から言っている河川改修、おかげさまで少しは進歩していますけれども、まだまだやらなければならないところがいっぱいあるわけですよ。そういうことに金を使うことの方が内需の拡大であり、それは貿易摩擦にはね返ってこないのですよ。これはやってみなさい。鉄とかセメントとか大企業だけの仕事になってしまう。そうなるとまた力をつけるわけです。あるいは産業基盤の整備になるわけですから、そうするとまた日本の力がついて貿易摩擦が拡大しますよ。それにアメリカの成長率がずっと下がってきていますから、貿易摩擦は当分消えないですよ、どんな努力をしたって。いろいろ努力されていることはわかりますけれども、むしろこれから貿易摩擦は拡大する、そういう方向がもう出ているのですよ。そういう場合に貿易摩擦にさらにはね返るような大事業は今は避けるべきだ。そのかわり、内需拡大が必要だというなら下水道なり住宅なりあるいは河川の改修なりにもっと力を入れたらいいじゃないですか。あるいはもっと福祉事業に力を入れたらいいじゃないですか。それが問題だと思うのです。  ここで無理して、しかも税金をまけてやるようなことまでやって、民間活力というけれども、民間活力でも何でもないじゃないですか。銀行が金を出しやすいようにするだけじゃないですか。銀行に金が余っているのか知らぬけれども、考えてみるとそれしかないね。何のことはない。民間活力というならもっと知恵をかりたらいいじゃないですか。そして金を出すようにさせたらいいじゃないですか。もうからないところには金を出さないでしょう。全然金を出してないじゃないですか。なぜこんなにもたもたしているのですか。結局金を出すところがないからでしょう。  そういうことなどを含めてこれは急ぐべきじゃないと言っているのです。現にまだ結論も出ていないのに今から間に合うかと言っているのです。来年度から着工なんということを言っていても予算編成はもう一カ月ないじゃないですか。それからまだ準備しなければならぬ点だっていっぱいある。そういう意味でこれは急ぐべきじゃない、そういう観点から特に申し上げておきます。  特にアメリカの景気などは来年度は〇・七%ぐらい成長率が落ちるだろうと言われているのです。どんどん下がってきているでしょう。そういうところとも関連して、貿易摩擦をもっと減らそうというなら、内需についても貿易摩擦にはね返らないような、大事業じゃなくてみんなが喜ぶようなことをやったらどうですか。そのことを申し上げておきたいと思います。  それで、建設省は免税債なんかにいつまでもこだわっているときじゃないでしょう。あれだけはっきり否定されているのに、まさに物欲しそうな態度になっちゃうでしょう。これはやめるべきだ。国民生活の整合性、これを言われましたけれども、全くそのとおりで、国民生活との関連でも免税債なんというのをやることは本当に逆行している形です。そういうことで申し上げておきたいと思います。  そこで防衛庁との関連でございますが、実は五十三年から防衛施設庁に対して、八千代市を中心にして四市で下水道の計画を進めておるわけですが、習志野駐屯地の一部の土地を下水道の遊水地として、大雨の降ったときに一時水をためておく場所としてこれを利用したい、ぜひ御協力をお願いしたい、こう言っているわけなんです。それに対して防衛庁は、落下傘部隊がおりるべきところをはみ出しておりる場合も考えられるのでだめだ、こう言っているのですね。  これはしかし、どう考えてもおかしいじゃないですか。おりる場所は横五百五十メーター、長さにして千百メーター、一キロ百メーターもあるのです。そういうところで端の方を使わせてもらいたいと言っているのにこれを使わせないというのは、ちょっと納得がいかない。しかもそれは四六時中雨がたまっているわけじゃなくて大雨のときだけ、しかも暫定的に、せいぜい長くかかっても五、六年の範囲内に返すからこの下水道計画に賛成してもらいたい、こう言っているのですね。下水道計画は、先ほども言いましたように民需の拡大であり、それから四市が水につかるわけです、これがうまくいかないと。だからそれにはやはり防衛庁は協力すべきじゃないですか。国を守るということは住民を守るということと一緒になりませんか。その点で防衛庁から明確な答弁をいただきたいと思います。
  101. 松木明

    ○松木説明員 お答え申し上げます。  習志野演習場は、陸上自衛隊が空挺団の降下訓練に使用している重要な施設でございます。地元からの要望というのは今先生がおっしゃられたとおり以前から十分承知しておりますが、地元の要望している地域が降下訓練の安全地帯として使用されておりますので、そこに調整池をつくるとかあるいは縮小するということになりますと、降下訓練に及ぼす支障が大きくて防衛庁としては困難と考えております用地元側の事情も十分理解しているところでございますが、地元側においてもみずから用地の確保に努めるなどあらゆる可能性について検討していただいた上で、今後十分な調整を行うようにしてまいりたいと考えております。
  102. 上野建一

    ○上野委員 ここに図面があるのですけれども皆さんにお見せできないのですが、降下安全地帯だといったってこれは一キロ百メーターもあって、しかもそこに落ちたからといって死ぬわけじゃないのですよ。まさか大雨が降っているときに練習やらないでしょう。雨が降ったときは水がたまるというのです。一日二日でさっと引いちゃうんですよ。少し泥みたいなものが残るでしょう。しかしそれはおりる場所でないところにおりた場合は、そういうところにおりたって訓練になるじゃないですか。多少泥の中に入ったっていいじゃないですか。訓練のうちですよ。しかも落下傘部隊なんというのは、今の時代に必要なのかどうかということになるとこれも疑問があるんだけれども、それを言うと大分時間もとりますし余計なことになるかもしれませんから。  防衛庁、これはどう考えたって住民に協力すべきですよ。しかも永久にとろうというのじゃないのですよ。五、六年内には返します、何とか大事な時期だけ頼みますと言っているわけです。一昨年の雨ではこの地域で三百戸も床上に水が上がったりしているのです。それを解消するために頼みますと言っているわけだから、しかも公共事業として四市全部がかわっているわけです、しかも防衛庁の演習場からの雨水もみんな来るのですよ。決して関係ないわけじゃないです。これは本当はあなた方の仕事でもあるのです。これは早急に解決して、協力してやるということになりませんか。協力することができるかどうか、ひとつ。
  103. 松木明

    ○松木説明員 ただいま問題になっている場所は降下場の東側にございますが、降下する場合には保安地区といたしまして各降下場の東西南北の方に約百メートルから二百メートルの保安地域を設けるようになっております。そういう意味で先ほど申し上げたわけでございますが、今後関係公共団体なんかと演習場の中のほかの地域でそういうような遊水地ができないかどうか、そういうことも含めましていろいろ調整を進めてまいりたい、そのように考えております。(上野委員「協力するんですね」と呼ぶ)いろいろ調整を進めてまいりたいと思います。(上野委員「協力するのかと言っているの」と呼ぶ)その協力も含めて今後調整をさせていただきたいと思います。
  104. 上野建一

    ○上野委員 防衛庁、私は現場がよくわかりますからね。それからその降下訓練も見てないわけじゃないからよくわかりますが、決して障害にならない。多少は、たまには泥の中に入るということになるかもしれない。田んぼの中に入るようなもので大したことはないんですよ。そういうことを含めて協力すべきだと思うのです。それからあなたの方の水だって流れてくるんだから。あなたの方の水を自分たちで処理するならいいですよ。そうじゃないんだから、やはり地元と協力し食わなければおかしいでしょう、あれだけ広い用地を持っているんだから。ぜひその点を防衛庁長官ともよく相談してやってください。  次の問題に移ります。  最後になりましたが、今衆議院の内閣委員会あるいは合同で審議をしている中で一括して出されている法案が御承知のとおりあります。許可、認可等民間活動に係る規制の整備及び合理化に関する法律案、これは一括法案として出されている。ところが、この中に地代家賃統制令というのが入っているんですね。これは本来この建設委員会審議すべき内容ですよ。それをなぜ一括法案に入れちゃうのか。許可、認可等民間活動に係る規制、これと直接的には余り関係ないじゃないですか。それはずっと広げれば何か関係が出てくるかもしれないけれども。しかも、この地代家賃統制令というようなものは少なくとも専門の委員会で検討するのが本当でしょう。それをなぜこの委員会で別個に討議することを放棄して一括でやろうとしておるのか。この点について明確にしてもらいたい。建設大臣、これは簡単に放棄しちゃ困りますよ。  これはなぜやらなければいかぬかというと、まず借地借家問題の将来ビジョンについてもいろいろここで検討し、審議をしなければならぬですよ。その一環としてこの統制令をどうするかという話ならわかるんです。ところが、統制令だけ切り離しちゃってやるでしょう。そういうこと自体がこの委員会を軽視してますよ。これは委員長委員会の軽視だよ。これは明らかに軽視している。  しかも、この説明の中には、まず現在こういう統制令に関する住宅、それを借りている人たちに対する調査が全然知らされてない。しかも問題が起こったときに救済措置としてはどうするんだ。これは一番弱い人たちですよ、今なおこういうところに入っているという人たちは。いろいろな事情があってこういうことになっている。そういう人たちに対する救済措置なども明確にされてない。ただもう大きいところで住宅の仕事を進める民間の邪魔になるということで統制令を撤廃するというのは、明らかに間違いだと思うのです。この委員会でこれだけを丁寧にやるというのは何か困ることでもあるのかどうか、そこら辺のところを明確に答弁をいただきたい。
  105. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 今回の一括法案につきましては、時代の変化等に伴いましてその内容あるいは方法、そういったものが現状に照らして不要である、あるいは不合理となっている規制を是正しようとするものでございます。もう御存じだと思いますけれども、地代家賃統制令は戦後の著しい住宅難を背景にして制定されたものでございまして、簡単に申しますと、今日では住宅事情も大幅に改善されている、そういうことで統制の必要性が失われている、また統制対象の住宅が全体の三%という一部の住宅であるということ、それから、統制に服している住宅、それとそれ以外の住宅との間で均衡を失している、そういったような実態があるわけでございます。そういうことを総合的に判断しますと、いわゆる住宅政策の基本に触れるものではないというふうに考えたわけでございまして、今日の一括法案の趣旨、目的に合致するものであるというふうに判断して一括法ということにしたものでございます。  それから居住者の実態でございますが、もし必要ならば申しますが、時間の関係もございますから必要があれば後ほど……。(上野委員「資料を出してください」と呼ぶ)  それから対策でございますけれども、まず前提条件といいますか、基本的考え方といたしまして、先ほど申しましたように対象が一部に限られているということ、あるいは現在対象が百二十四万件ございますが、実際の遵守率といいますか、地域によって差がございますけれども、それによってやっておるのが大体一割から三割程度であるというようなこと、それから対象となる住宅が昭和二十五年七月十日以前ということで、一番新しいものでも既に三十五年を経過しているというようなことから老朽化が著しいということもございます。それからさらに申し上げれば、当事者間の、貸し主、借り主の間の法律関係といいますか、借地・借家法上の地位には何も変更がないというようなことからいって、その影響は比較的小さいというふうに考えておるわけでございます。  しかしながら、こういう統制令を廃止するということになりますといろいろな形でのトラブルも考えられるし、万全を期さなければいけないということがあるわけでございまして、そこで国あるいは公共団体による統制令の廃止に伴う正確な情報を提供する、あるいは借家の経営者団体あるいは仲介業者の団体等に対して国、公共団体からこういった際の便乗値上げを防止するための指導をするということ、それからさらに、個々に入っておられる方々は法律相談であるとか生活相談とかいうものがやはり必要にたってくると思いますので、そういう意味でいろいろな多様な相談に的確に対応するための地方公共団体の住宅相談林個、これを整備してまいるということをまず基本に考えております。  そしてさらにそういった中で、例えば対象住宅に入っておられる人の中で今度の廃止に関連してどうしても外へ出ていく、それが非常にやむを得ないという場合、そして、かつ公営住宅の入居資格をお持ちであるというような場合には、特定目的公営住宅制度というのがございますので、これによって優先入居を図るように措置してまいりたいというふうに考えております。  それからさらに、それでは公営住宅の入暦資格、つまり収入が超えている者があるじゃないかということもあるかと思います。そういう方々に対しては、これは公団、公社にやはり優先入居制度というものがございます。こういうものを活用する。  さらには不良住・宅となって撤去される場合には、これは公営住宅の場合には特定入居制度というのがございます。そういうものの活用も図りたい。  さらに、外へ出ていくんじゃないけれども、要するに何らかの形で、これは仮にでございますけれども、上がった家賃が払えないというような世帯が生じてくるかもしれません。そういうものに対しては生活保護、特にその中の住宅扶助というのがございますが、これが的確に行われるように関係部局との連携を強化してまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  106. 上野建一

    ○上野委員 それじゃ、それぐらい問題をいろいろ持っているなら、なぜこの委員会でやらないのかですよ。ここでやったらいいじゃないですか。何も一括でなくたって、切り離してここにかけたっていいでしょう。ここで審議すること自体がなぜぐあいが悪いのですか。なぜあんな一括みたいな、ろくな審議もできないようなところにやるのですか。それがまず第一の問題ですよ。  それから、あなたの答弁ではいろいろなことを全部やるようなことを言っているけれども、よく聞いていると地方自治体にやらせるというのです。地方自治体であなたの言うとわりにやるかどうか、これは別の問題でしょう。そんなに命令を下せるほどじゃない。しかも地方自治体だって今住宅問題は大変なんですよ。新しい住宅問題がいろいろ出てきている。市営住宅の数だって足りない。それから家賃の問題もあります。  そういうことですから、まずけしからぬのは、当然建設委員会審議を得べきものを内閣委員会の方に一括で持っていってしまった、これが第一にけしからぬと思います。それから、あなたの言われるような問題というのは、実は整備をしてから法律を撤廃すべきなんですよ。それほど十分な対策ができるなら、整備をして、事実上法律が完全に要らなくなった、そのときに廃止をすべき問題です。たとえ少数であっても、生活に困っている人たちあるいは住宅に困っている人たちに対しては強権をもって臨むべきではない、こう思います。したがって、これは本当にけしからぬやり方だ、このことを特に申し上げて、最後の答弁をいただきます。
  107. 木部佳昭

    木部国務大臣 地代家賃統制令の問題につきましては、今上野先生からも御指摘いただきましたが、私どもにとりましても決して軽視をいたしておりません。政治の一番大事な問題は、行政も含めてそうでありますが、国民の皆さん方やそういう方々に不安や心配を与えないということが一番大事だと私は思っているのです。そういう意味で、過去この地代家賃統制令を廃止する法案が四回提案されたわけでございます。三十五年、三十六年の二回にわたっては審議されたようなことでございますが、三十七年、三十八年には審議をされなかったというような経過も承知をいたしております。しかし、今回のこの一括法案につきましては、行革審の答申を受けまして、そして、ある程度までこれは公的規制にかかわる事項である、そういうことで私どもは一括法案に提案させていただいた、こういうことでございます。先ほど局長からも申し上げましたが、最近では統制令の適用の中でそうトラブルもないようでございますし、いえば有名無実といっては大変言葉がどうかと思いますが、そういうふうなことになっていることも事実。しかし、法律がある以上は建設省としてやはり今まで実態の把握とか、そういう問題には今まで以上にきちっとしておかなければならぬものも確かにあったと私は思います。  そういう点で、先ほど局長答弁申し上げましたように、地方自治体の皆さん方の、決して強権じゃありませんで、御協力もいただいたり、また社会福祉的な、現在でも一部の方々に対していろいろ援助の手を差し伸べておるわけでございますから、そうした点等につきまして、私、冒頭申し上げましたように不安やなんかが残らないように、最善の措置を講じて、皆さん方にも協力を願っていきたい、こういうふうに実は考えておるわけでございます。
  108. 上野建一

    ○上野委員 あと、資料を後でもらいますから、よろしく頼みます。  終わります。
  109. 保岡興治

    保岡委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午後零時九分休憩      ————◇—————     午後一時開議
  110. 保岡興治

    保岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。薮仲義彦君。
  111. 薮仲義彦

    薮仲委員 先般の南米コロンビアのネバドデルルイス火山の爆発、この火山が十三日の夜から十四日にかけて噴火を起こしたわけでございます。その溶岩による雪解けに伴う洪水、土石流災害によって、アルメロの町が一瞬にして消えてしまった、二万数千人とも言われるとうとい方の命が失われたわけでございまして、今世紀最悪の大災害でございます。  私は、亡くなられた方の御冥福を祈りながら、防災の観点から何点かをお伺いしたいと思います。特に、日本の国は火山国と言われておりますように、火山の爆発、地震、それに伴う津波あるいは風水害、土石流、ダムの決壊あるいは通産省の鉱滓ダムの破壊等の事故がございますので、こういう火山爆発も決して他人事とは思えません。こういうことを通じまして、日本の国の防災は大丈夫か、そのようなこともあわせてお伺いをしたいと思います。特に本日は、建設大臣国土庁長官、ともに国土防災の枢要な職務を担っておられる大臣でございますので、関係省庁の御意見を伺いたいと思います。  まず最初に、このような大災害が発生しまして、日本の国の政府としてどのような対応がなされたか、お伺いをしたいと思います。
  112. 河本嘉久蔵

    ○河本国務大臣 我が国は、世界でも有数の火山国として知られております。これまでにも幾度となく火山噴火による被害を受けてきた経緯がございますので、今回のコロンビアの火山噴火につきましては大変強い関心を持っております。また、その甚大な被害に対しまして衷心より哀悼の意を表する次第でございます。  国土庁といたしましても、外務省と緊密な連携を保ちながら、協力、援助のできる技術内容につきまして、関係省庁と具体的な検討を行ってまいりたいと思います。  なお、こうした技術援助を通じまして得た教訓を、我が国における今後の火山災害対策に生かしてまいりたいという決意でございます。
  113. 赤沢正人

    ○赤沢説明員 今大臣の方からお話しになりました点について、若干詳細について御説明させていただきます。  まず第一に、日本時間十四日でございますけれども、この大災害が起こったわけでございます。この報に接しましたコロンビアの日本大使館といたしましては、直ちに邦人の緊急連絡網等を通じまして邦人の安否の確認に努めました。幸いにも被災地域には邦人居住者はおりませんので、邦人の被害はない模様でございます。  また、この災害に対しまして、政府といたしましては、災害発生の翌日の十五日でございます、国際協力事業団を通じまして国際救急医療チーム、これは八名でございますけれども、これを派遣し、十六日、翌々日でございますけれども、青年海外協力隊OBチーム、これは四名でございます、これをそれぞれ派遣いたしました。さらに十六日でございますけれども、この日には百二十五万ドルの緊急災害援助の実施と、これとプラスいたしまして、UNDROというのがございますけれども、これは国連の災害救済調整官事務所、これに対する五万ドルの拠出を決定するということで、非常に迅速な対応を行っております。総額百三十万ドルというのは、この種の災害に対しては我が国援助として過去最高額となっております。  このような援助に対しましては、コロンビア政府からは、外務大臣あるいは厚生大臣から深甚なる謝意の念の表明がなされております。  以上でございます。
  114. 薮仲義彦

    薮仲委員 重ねて外務省にお伺いしたいのですが、我々は新聞報道で知る限りでございますので正確ではないので確認のためにお伺いしますけれども、マスコミの報道によりますと、コロンビアの赤十字の総裁から、そういう物質的な援助と同時に、地震計とかあるいは地震予知の技術、そういうものについて援助の要請があったやに伺っておりますけれども、やはりすぐれた地震等の科学技術を持っている日本の国にとっては、可能な限りできるものは援助してあげていただきたい、こう考えますけれども、正式な要請があれば政府としてどのような対応をなさるのか、その点をお伺いしたいのです。
  115. 川上隆朗

    ○川上説明員 お答え申し上げます。  先生指摘のコロンビア政府からの地震計等の供与方の援助の話でございますが、早速確認いたしておりましたところ、そのような技術面での協力につきましては、きのうのことでございますけれども、コロンビア政府の国家緊急委員会という災害対策本部みたいなところがございますが、そこの意向として、とりあえず地震観測計等の機材、それから専門家の派遣というものの要請を行いたいという報に接しております。  外務省としましては、さらにコロンビア側から詳細、どういうものが実際に欲しいのかということを確認いたしまして、関係省庁の御協力も得ながらコロンビアへの協力を進める方向で前向きに検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
  116. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、日本の国としてできることは積極的にただいまの御答弁のように関係省庁で力を合わせてできる限り救援をしていただきたい。重ねてお願いいたしておきます。  それから大臣、各紙にこういう報道がなされたのを御存じだと思います。これは、泥の中で三日間、オマイラちゃん、愛に包まれて息絶える、こういう記事がございました。これは大臣もテレビでごらんになって心を痛められたことだと思うのでございます。  この記事の中にこういうことが書いてあります。オマイラちゃんというのは十二歳の少女でございますが、水かさの中で闘いながら、救援隊員たちに「おじさんたちも、少し休んで。それから助けてちょうだい」、こういうけなげなことを言っていた。しかしお母さんが来たときにはもう口もきけなかった。「もう一度、誕生パーティーをやり直して無事のお祝いしましょうね」、そういう中でこのオマイラちゃんはとうとい命を落としていったわけでございますが、また救援隊員も、オマイラちゃんが歌が好きだということで、一晩じゅう歌を歌い続けていた、こういう記事が書かれてございます。  またきのうの朝日の天声人語ですが、これも大臣承知ですが、ここで読みたいと思います。「コロンビアの被災地から、一人の少女の死が伝えられた。泥水の中を何日も生き抜いてきたのに、排水ポンプが間に合わず、命を奪われる結果になったというニュースだった▼人類はいま、何千キロも離れたところにいる市民を皆殺しにできる武器をもっている。だが、目の前に苦しむ一人の少女を手ばやく救うことさえできないでいる、」以下ございますけれども、私はこの記事を読んで、大臣もやりきれないお気持ちになられたと思うし、私も、何とかならないものか、三日間もあったのに、あんなにかわいい女の子が死んでいかなければならない、やりきれない気持ちにとらわれておりました。  しかし先日、長野の戸隠のバードラインの事故現場に行きました。あのとき消防庁のレスキューの方がオレンジ色の服を着て懸命に救援活動をやっていらっしゃいました。ああいうのを見ておりますと、日本の国にもああいうすぐれたレスキュー隊があるならば、ただいま外務省等の御報告のように、海外援助をいろいろやっていらっしゃいますけれども、こういうときに日本のレスキュー隊が出動して、何とかああいうとうとい命を救えないものか、救ってやってほしい、こう考える一人でございますけれども、こういう問題については、自治省、いかがでございますか。
  117. 篠田伸夫

    ○篠田説明員 ただいまの御質問でございますが、実は先般のメキシコの地震、そして今回のコロンビアの噴火災害等の災害に際しましては、医療活動とともに救助活動、レスキューの活動も大変重要であるというふうに言われております。このため、諸外国におきましては、さきの二つの災害につきましても、救助と医療の総合チームということで派遣している例がございます。このような状況から、コロンビアの火山爆発に際しましては、外務省の方からの要請に基づきまして、消防救助隊の派遣準備を具体的に行ってまいったわけでございますが、相手国政府の意向もありまして実現をしなかった経緯がございます。  今後につきましては、このような大災害が外国に発生した場合には、相手国政府の要請によって、我が国の責任において救助隊を派遣してくれということについて外務省から消防庁の方に依頼がありましたら、消防機関の救助隊は十分に対応能力を持っているわけでございますので、積極的に協力していきたいというふうに考えているわけでございます。  より迅速な派遣が行われることが一番重要でございますので、そういうシステムづくりについて現在検討を始めているところでございます。この点につきましては、できるだけ早く消防庁としての考えをまとめまして、外務省あるいは国際協力事業団等の関係機関等に対して協議を行っていきたい、このように考えております。
  118. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、ただいまの消防庁のお話のように、対応はしてくださった、しかし相手側の政府のあれで出動はなかったということでございますが、十分な対応を研究、そして築いてくださったということに対しては敬意を表する次第でございます。  特に、今回の大噴火といいますか、災害を通じて、これは政府に検討といいますか、お願いをしておきたいのは、今度の大災害の中から数多くの教訓があったように私は思うのでございます。予知技術がどうだったのか、また避難体制、伝達方法はどうであったのか、また、ああいう泥流というのは我々が考えるよりも体が締まって助けにくいのかという、その救命救急作業についての問題点もあろうかと思いますし、また、今伝染病が起きないためにいろいろとコロンビア政府が苦労していらっしゃるというような報道もございますし、私たち日本の国にとっては、いついかなる災害が起きないとも限りませんし、ああいう大きな災害の中に日本の国として数多くの教訓があろうと思いますので、今混乱の中に行くのはいかがかと思いますが、折を見て日本の政府として、調査団という形がよろしいのかどうか、ちょっと相手の国の感情もございますので、表現はいかようでありましょうとも、やはり現地で実態を調べられて、日本の国の対応を検討いただきたいと思いますが、この辺はいかがでございましょう。
  119. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 先ほど河本国土庁長官から御答弁申し上げましたように、現在技術援助について具体的にできること、これを関係省庁及び外務省と検討している段階でございます。こういった技術協力を通じまして得た教訓、これを今後、ただいま先生指摘のように我が国は火山国でもございますし、また災害が非常に多い国でございます、こういった教訓を我が国の災害対策に十分生かせるように検討してまいりたいと考えております。
  120. 薮仲義彦

    薮仲委員 木部大臣、国務大臣としてこの問題に対してどういうお考えか、ちょっと大臣のお考えをお聞かせ願いたい。
  121. 木部佳昭

    木部国務大臣 基本的には先ほど国土庁長官が御答弁されたような、私どもは他山の石と考えて、これをよき教訓と受けとめて努力をしていかなきゃならない、そういうふうに実は思っておるわけであります。  建設省といたしましては、メキシコの地震の際もそうでございます、今まだ調査団は帰ってきておりませんが、やはり相手国といいますか、被害を受けた国の事情等を考え、また要請を受けて技術的な援助を申し上げる、こういうふうなことの本制は、今回の場合でも、もういつ要請があっても私ども建設省として対応できるようなそういう体制は、実は整備をし待機中でございます。特に日本の場合には、御指摘になりましたように非常に災害の多い国でありますし、土石流の非常に大きな大災害、長崎を見てもそうでありますし、またある意味では長野もこれに準じておるわけでありますが、そういうふうな災害の多い、特に土石流とか急傾斜の多い国でございますから、恐らく現地のそういうような要請、また現地の様子が多少なりとも落ち着き次第、そういう要請があれば、我々としても教訓を生かすためにもしっかり受けとめなきゃいかぬだろう、基本的にはそういう考えを持っておるわけであります。  それで、過去、昭和四十五年でございますが、インドネシア共和国において火山噴火に伴う泥流発生というようなもので大変大きな被害を受けられまして、その際にもいろいろ技術的な援助なり指導を現地に行きまして実施いたして、インドネシア側からも非常に、日本技術的な協力、援助に対しての感謝の意があったようでございます。昭和五十七年からインドネシアに火山砂防技術センターをインドネシア政府の方がつくりまして、そうした技術的ないろいろな要請技術者の養成等についても建設省として努力をされたようでございます。  実はそんなような経過等がございますので、私どもといたしましても、先ほど来申し上げておりますように、相手の立場に立って最大の努力を尽くすと同時に、やはり日本によき教訓として受けとめて努力をしなきゃならぬ、そういうふうに考えております。  なお、先ほど先生からの新聞報道の少女のことにつきまして、また朝日の天声人語のことにつきましても、私もあれして、実は非常に胸の痛む思いでございました。
  122. 薮仲義彦

    薮仲委員 どういうわけか、大臣が御答弁なさると地震が来たようでございますけれども、両大臣とも泰然自若としていらっしゃるので日本の国は大丈夫だと自信を持って質問を続行させていただきます。  今、火山とか地震とか土石流ということが出ましたから、今度は具体的な問題で、じゃ日本の国は翻って大丈夫かなということで安全をちょっと確認させていただきたいと思いますので、要点を的確に御答弁いただければと思っております。  今お話ししました火山の問題でございますが、日本も世界有数の火山国であることはもう周知の事実でございます。この日本においては火山が七十七、これは気象庁の資料には載っておるわけでございます。私はすばらしいと思うのですが、これは北方領土が入っておるわけですね。北方領土を引きますと実際は六十七でございますが、気象庁の資料は大変結構だと私は思っております。いずれ日本の国に返ってくると期待を込めてつくられだと思うのでございますが、この七十七の火山の観測体制、予知体制というのは現在どうなっているのか、ちょっとお伺いしたい。
  123. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 お答え申し上げます。  今先生がおっしゃいましたように我が国には約七十の活火山がございます。気象庁といたしましては、これらの火山のうち特に火山活動の活発な十七の火山につきましては常時観測を行っております。また、その他の火山につきましては火山機動班による機動観測を行っております。また気象庁とは別に大学等関係機関におきましても幾つかの火山について観測を行っているのが現状でございます。これらの監視、観測により、火山活動に異常があったと認められたような場合には、気象庁といたしましては直ちに火山情報を発表するという体制で対応しております。  それから、もう一つの火山噴火の予知の問題でございますが、これに関しましては気象庁等関係機関が定期的に火山噴火予知連絡会を開催しておりまして、その場において活動状況を判断して、問題がある場合には火山噴火予知連絡会の統一見解を発表して対応しております。  以上でございます。
  124. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは私の手元の資料でございますけれども、今、常時観測体制の十七火山、これは地震計を置いて観測しております。この十七のうち、浅間山、伊豆大島、阿蘇山、桜島の四つの火山には五個前後の地震計がある、残る十三火山には地震計が一つしかない、こういうことが言われておりますし、また地震計が一個の火山の中には、一昨年噴火した三宅島、五十二年に噴火した有珠山、最近活動が活発と言われている十勝岳、草津白根山などがあります。  ルイス火山の例の中で、日本の東大地震研究所の荒牧重雄教授のコメントとして、「今回のような「爆発」を予見するのは超感度の地震計が三ないし四基設置されていれば可能という。感度の良い地震計、たとえば倍率一万のものは一ミリの動きを十メートルに記録でき、」正確に予知ができますよということが書かれてございます。一個しかなくてもさっきのように移動の観測体制でおやりになるということでございますが、この点は大丈夫なのかどうか、大丈夫なら大丈夫というふうにお答えをいただきたいと思います。  また、さっきおっしゃったお話の中で、文部省の測地学審議会から五十八年五月に「第三次火山噴火予知計画の推進について」という建議が出ております。この測地学審議会の建議の中で、重点的な観測を行うべき火山として十二の火山、活動的な火山として二十三の火山が挙げられているわけでございます。そうしますと、この中にはまだ地震計のない火山もあるわけでございますが、その点どうやってカバーしていらっしゃるのか、この二つを要点だけ御答弁いただきたいと思うのです。
  125. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 お答えいたします。  まず地震計のない火山でございますが、先ほども申し上げましたように、これに関しましては機動観測をしてカバーしてございます。  それで、過去の例から見まして、大規模な噴火が起きるときは必ず前兆現象があらわれるという可能性が非常に高いと考えられておりますので、そういう点から見ますと現在いずれの火山においてもそのような異常は報告されていない、ただそれは現状でございますので、今後とも大学等関係機期と連携をより密にいたしまして遅滞なく対処できるようにしていきたいと思っているところでございます。  それから、噴火予知計画でございますが、私どもは建議にのっとった形で計画を進めてまいっております。  以上でございます。
  126. 薮仲義彦

    薮仲委員 地震計のない火山もあるけれども大丈夫だということでございますので、今のお言葉をきょうはそのとおり信用いたします。どうかルイス火山の例に倣いまして、火山の爆発には前兆があるというのであればそれが完全にフォローできるような体制で大災害を未然に防ぐ、爆発するのをとめるわけにいかないわけでございますから、どうやって被害を最小限に食いとめるかが大事でございますので、気象庁としては観測体制は万全を期して、国民に不安を与えない、被害を最小限に食いとめるために万全の対策を立てる、そういうことでよろしいのですか。
  127. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 そのとおりでございます。
  128. 薮仲義彦

    薮仲委員 ではよろしくお願いいたします。  次に、さっき木部大臣も申された泥流、土石流の問題でございますが、これも今度のネバドデルルイス火山の爆発についてこういう記事がございます。「火山泥流は秒速十数メートル、時には秒速数十メートルのスピードで押し寄せる。「黒い巨大な雲のようなものが、すさまじい勢いで接近してきた。雲は地表を走ってきた」と被災者が証言している。」  火山国日本にとっては泥流というのは大変怖い、危険な問題でありますし、火山だけではなくて桜島のように堆積した火山灰が雨によって土石流となってくるということもございます。このように泥流や火山による火砕流あるいは土石流というのは、人命を損なうという非常に危険なケースでございます。過去に日本にこういう例がなかったのかどうか。あのルイス火山も、まさかあの山がと言われるような山でございます。四百年の眠りを覚まして爆発したわけでございますから、今は大丈夫だといっても過去の例というものは貴重な資料として我々は検討を加えておかなければならないと思います。  過去日本の国で多くの人命を損なったような火山爆発等があれば、気象庁、こことここという箇所だけちょっと言ってください。
  129. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 それでは、過去に大きな災害を引き起こしました噴火に伴う泥流について御紹介いたします。  古い方から申し上げますと、約二百年前の一七八三年、これは天明三年でございますが、浅間山の噴火に伴って泥流が出ております。それから約百六十年前の一八二二年、これは文政五年でございますが、北海道有珠山の噴火によって大災害が起きております。それから約百年前の一八八八年、これは明治二十一年でございますが、磐梯山の噴火、さらに約六十年前の一九二六年、大正十五年の十勝岳の大噴火がございます。これらが大きな災害を引き起こした例でございます。
  130. 薮仲義彦

    薮仲委員 今の気象庁のお答えのように、十勝岳、有珠山、磐梯山、浅間山とそれぞれ大爆発を起こしているわけでございますが、いずれも百年あるいは二百年前でございます。では百年、二百年静かであるからもう爆発が起きないのか、これは決してそうではないというのが火山の特性であろうかと思うのでございます。浅間山でも千名以上の方が亡くなっておられる、磐梯山でも四百六十一名の人命がなくなっておる、有珠山では虻田町が全滅してしまった等々、日本には過去に激甚な災害があるわけでございます。やはり火山爆発というものは、過去のことであるかもしれませんけれども現在に大きな教訓を残し、将来に対策を立てていかなければならない課題であろうと私は思うのでございます。  この中で特に国土庁は、三宅島の火山爆発に伴って政府として取り組まなければならぬということで、噴火災害対策の総点検をおやりになったやに伺っております。ルイス火山の例もそうでございますが、私はやはり避難が大事だと思います。避難が大事ということは、日本の国で言えば地域防災計画の中に火山版の避難のマニュアルがきちんと載っているということが大事だと思うのです。もう一つは、被害が起きたときにこういう災害が予想されますという被害想定も大事だと思うのでございます。国土庁は桜島を中心にいろいろと被害想定の研究もなさっておられるように伺いますけれども、危険と言われた先ほどの十七の火山等についてもそれを敷衍して、被害想定、並びに消防庁は地域防災計画の中にしっかりと組み込んでいただきたいと思うのでございますが、それに対するお考えをお伺いしたいと思います。
  131. 杉岡浩

    ○杉岡政府委員 お答えします。  薮仲先生指摘のとおり、五十八年の三宅島の噴火に伴いまして、国土庁といたしまして関係省庁、これは文部、気象それから消防という四省庁でございますが、連絡をとり合いまして総点検をいたしたわけでございます。その総点検の結果、一つは観測体制の強化、それからもう一点は火山情報の的確、迅速な発表、それから三番目は災害の情報の収集、伝達、避難という三点に分けてそれぞれ総点検をいたしたところでございます。その結果、それぞれの省庁においてこの点検の結果を行政に反映して進めておるところでございます。  特に避難体制の問題につきましては、現在国土庁といたしまして消防庁と協力しまして、桜島で噴火想定をいたしまして、それに伴いまして避難をどうするかという噴火の手法を勉強いたしております。  ほかの火山につきましても、過去にいろいろと災害があったわけでございます。そういった過去の災害の実態を踏まえて、必要な防災計画、例えば地域防災計画の火山版をつくるとか、あるいは通信網の整備とか、そういったような火山噴火災害に対する対策、避難体制、こういったものの整備を関係省庁と連絡をとりながら進めていくというふうに現在行っておるところでございます。
  132. 石橋忠雄

    ○石橋説明員 火山対策につきましては、御指摘のように地域防災計画、これは一般の災害について各都道府県、市町村で定められておるわけでございますが、特に噴火災害の特性を踏まえまして、消防庁といたしましては、地域防災計画におきまして火山対策を特別に分けて計画整備するようにという指導を従来からしておるところでございます。三宅島の噴火災害の後、ただいまの国土庁のお話のように各省庁と連携をとりながら地方公共団体を指導しておりますが、漸次地域防災計画の火山対策に関する計画整備率は向上しておるところでございます。  なお、現在その計画をさらに高度化するという意味で、国土庁と協調いたしまして、警戒避難体制のあり方等を含めて、桜島をモデルケースといたしまして地域防災計画のあり方というものをさらに検討しておるところでございまして、その成果を踏まえまして指導を強化してまいりたいと思っております。
  133. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは決して消防庁を責めるということではなくして、今後のためにちょっと具体的な数値をお伺いしておきたいのでございます。  さっきの測地学審議会の建議にありますように、三十五の火山について関心を持って観測体制を高めていくということになっておるわけでございますが、これに関係する町村数、幾つの町村数があって、一つは、地域防災計画の中に火山の計画を組み込んでいる町村数はどのぐらいあるのかということ。それから、やはり同報無線の周知徹底ということが大事でございますが、同報無線が関係する市町村に現在どの程度整備されておるのか、数だけで結構でございますので、ちょっとお知らせください。
  134. 石橋忠雄

    ○石橋説明員 昭和五十九年の三月の調査によりますと、三十五の火山の関係団体は、都道府県で二十都道府県、さらに市町村数で百二十二でございます。これらのうち、その時点で地域防災計画の中に火山対策に関する計画を特別に定めておるのは二十都道府県のうち十三でございます。それから市町村につきましては百二十二市町村ございましたが、そのうち四十四市町村が計画を定めておるところでございます。  それから同報無線の関係でございますが、市町村の防災行政無線、同報系と移動系がございますけれども、百二十二市町村の防災行政無線の整備状況を見ますと、五十九年三月現在で、同報系が三十八団体、それから移動系が七十一団体で整備されておりまして、同報系あるいは移動系の無線いずれかを整備しております団体が七十五団体というような状況でございます。
  135. 薮仲義彦

    薮仲委員 数の上でいきますと、地域防災計画を組み込んでいるのが四十四ということはこれは非常に心配な面もございますので、同報無線の整備率とあわせてこの辺は十分関心を持っていらっしゃると思いますけれども、今後推進方を重ねてお願いをいたしておきます。  気象庁にあと二点お伺いしたいのです。  さっき私、自分の考えを言いましたけれども、やはり日本は現在七十七の火山が先ほどのお話のとおりあるわけでございます。現在活動中のものもあれば、休火山の状態のものもございます。休止状態にあるから今後火山爆発はないということは言えないと思うのですが、その点ないと言えるのか、それともあるということを考えておかなければならないのか、この点が一つ。  もう一つは、先般メキシコの火山爆発のとぎだと思いますけれども、非常に気象条件がおかしくなった。エルチチョン火山ですね。あのときに成層圏まで噴煙が立ち上って、気象条件が変わって寒い夏が来たというようなことも言われております。今度の火山爆発によってやはりその噴煙が成層圏まで行きますと、世界的な気象の異変も来すわけでございますが、その辺まだ正確な資料はないかと思いますけれども、現在わかる範囲でどういうことなのか、お知らせをいただきたいのです。
  136. 鈴置哲朗

    ○鈴置説明員 お答えいたします。  それではまず火山に関する件でございますが、現在活動を休止している、極めて静穏に見える火山、しかし、これは潜在的に爆発能力、活力といいますか、そういうものを持っておりますので、爆発することはあり得るということでございます。それの監視体制に関しましては先ほど申し上げたとおりでございます。  それからもう一つ、気象にかかわる問題でございますが、日本に影響が及ぶような地球規模での気候変動というのは大量の噴出物が成層圏に入らなくてはいけないわけですが、このネバドデルルイス火山は赤道にごく近いところにございますので、成層圏がちょっと高くなっておりまして、およそ十六キロ以上噴煙が上がらないと成層圏には入りません。現在のところですと、噴煙の高さに関する、それに関連する各種の正確な情報というのがまだ入手されておりませんので、極力情報の入手に努めているというのが現状でございます。
  137. 薮仲義彦

    薮仲委員 どうか正確な気象条件等をつかまれまして、わかり次第、教えていただきたいと思います。  次に移りたいと思いますが、今度はダムの災害について、先ほども地震があったわけでございますが、いわれるところの東海大地震、限りなくマグニチュード八に近いという巨大地震でございますが、このような地震が発生したときでもダムは安全か。現在日本の国に設置されております発電用のダムあるいは貯水を兼ねたいわゆる多目的のダムがあるわけでございます。発電用のダムは通産省の所管にあるダムでございますけれども、河川管理省という立場でこれは建設省にお伺いしたいわけでございます。  河川に設置された構造物ということで、やはりその安全には重大な関心をお持ちだと思います。アメリカのアイダホ州のティードンダムの一九七六年の崩壊もございましたし、また近くは、御承知のあのイタリアの北部で、スタバ町というのですか、あそこにあったダムの堰堤が決壊しまして、二十秒で町が消えたとも言われております。このダムの決壊というのは、その災害の規模といいますと、大変怖いといいますか、また非常に速い速度で人家に被害が押し寄せるという危険性もございます。安全係数を十分見たダムの設置だと思いますが、やはり国民の間に大丈夫かなという懸念もございますので、改めてその安全についての御意見を伺いたいわけでございます。  現在日本の河川に設置されております多目的ダムあるいは発電ダムは、あの東海大地震等の発生があっても安全である、このような認識に立ってよろしいかどうか、これが一点。  それからもう一つは、ダムにはどうしても、日本は急峻な山峡にダムをつくっておりますので、堆砂ということは避けて通れません。またコンクリートの経年変化ということもあろうかと思います。特に、重力ダム等については堰堤の重量だけで大丈夫だと言われておりますが、いろいろな方式の砂防ダム等もあるわけでございますので、堆砂についてあるいはそれが大きな被害を及ぼさないのかどうか、この辺の安全は大丈夫であるかどうか、その辺をお伺いしたいのでございます。
  138. 井上章平

    井上(章)政府委員 我が国のダムの設計におきましては、過去の地震の履歴を十分考慮いたしまして耐震設計工法で設計いたしておりますから、東海地震級の地震に対しても十分安全なようにつくられております。  それから、今御指摘ありましたような古いダムでございますが、我が国に近代的なダムがつくられるようになりましたのは明治の後半からでございまして、これらのダムは、関東大震災、これは大正十二年でございますが、また南海地震、これは昭和二十一年に西日本中心に起きた地震でございますが、等々の大規模な地震を経験いたしておりまして、今日まで大きな被害が発生していないというところから見ましても、十分大丈夫であると考えております。また昭和の初めごろからは現在とほぼ同じ耐震設計法が採用されておりますから、これについては私どもは心配いたしておりません。  また、ダムの堆砂による問題でございますが、これについても十分クリアされておるということでございます。
  139. 薮仲義彦

    薮仲委員 ダムの安全ということは、今の局長の御答弁で、大丈夫なんだなと胸をなでおろしておりますけれども、万が一ということもございますので、どうか十分な注意、監視を怠らずにお願いいたしたいと思います。  次に、通産省がお見えだと思いますが、通産省も鉱山のいわゆる堆積場というのがございます。これは、ダムであるとか河州であるとか、関係省庁がただいまの火山のようにいろいろかかわり合っている問題は関係省庁でチェックできるわけでございますが、鉱山の堆積場というのは通産省の鉱山保安法に基づいて、どちらかと言えば他の省庁が余り関係をしておらない堆積場でございます。  では、この堆積場は過去に事故がなかったかと言えば、御承知のように尾去沢で事故がございました。この尾去沢のときには、死傷者が四百四十三名という大変な痛ましい事故を起こしておりますし、もう一件は、木部建設大臣の地元でございます天城湯ケ島町持越鉱山ほおずき沢堆積場が、伊豆大島近海地震、あれは大体マグニチュード七ですか、あれで決壊を起こして駿河湾にシアンが流れ込み、漁場の汚染が大変心配されたような事故がございました。しかもあの持越鉱山は、当時鉱山局から、A級の安全度である、安全審査は十分であるということを我々は聞かされておりました。ところが、いざ地震のときには大きな被害を起こしたわけでございます。  日本の国にああいう大きな堆積場というのは数千カ所あるように聞いておりますけれども、この安全について通産省として責任を持って対応できるかどうか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
  140. 黒田克祐

    ○黒田説明員 先生今御指摘のように、鉱山の堆積場、まあ鉱山関係全部でございますけれども、鉱山保安法に基づきまして、災害それから危害の防止あるいは鉱害の防止というものを一括して見させていただいているわけでございます。  堆積場につきましては、この災害防止につきましては、鉱山保安法に基づきまして、さらにその下に金属鉱山等保安規則という細かい規定がございまして、鉱業権者等の守るべき事項あるいは鉱山労働者の守るべき事項等々を規定しております。堆積場の設置あるいは変更を行う際には、鉱山保安監督局ないしは鉱山保安監督部というのを出先に私どもは持っておりますが、そういうところでの認可、届け出というのを義務づけておりまして、通産省としましては、これらの認可の際には、捨石、鉱さいたい積場建設基準というのを持っておりますが、これにより厳重な審査を行うとともに、建設が開始されました後につきましても定期的な巡回検査等を行いまして、災害防止には万全を期しているところでございます。
  141. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはさっき大臣の言われた土石流の問題をしっかりとこれからやりたかったのでございますが、余り残り時間がございませんので、ちょっと質問を変えさせていただきます。  きょうは国鉄がお見えだと思うのでございますが、これから再建監理委員会の答申に基づいて法案が作成されまして、来国会は重大な課題になると思うのでございます。国鉄に関することで私は国鉄のお考えをお伺いしたいし、建設省、国土庁の御意見を伺っておきたいことがございます。  それは、確かに国鉄再建というのは、長期債務が三十七兆三千億、これは年金であるとか余剰人員であるとか鉄建公団であるとか本四条橘、青函連絡等を含んだ長期債務のトータルでございますが、こういうのを除きますと二十五兆四千億と言われております。この処理の柱としまして、土地を売却して五兆八千億を見込んでおる、こういう問題がございます。  この問題で私は建設省のお考えもお伺いしたいわけでございますが、特に、この国鉄の売却予定地というところは一等地でございます。駅周辺の一等地が大体売却予定になっている。例えば、梅田にあります大阪の鉄道管理局を売ってしまえとか、国鉄本社も売ってしまえとか、こういうことが言われておるわけでございますが、これは具体的になるのは来年でございますけれども、やはり国鉄の持っている土地というのは駅周辺の一等地である。これは地価を形成する上においても非常に重要な土地でございますし、また町づくりにとっても非常に重要な場所でもございます。  確かに、国鉄の再建のためには一円でも高く売ればいいという考えは一方にございます。でも、長期的な視野に立って考えたときに、建設省の住宅政策あるいは都市政策、街路政策において、地価が安定しないということは、用地の取得に物すごい税金をつぎ込まなければならない、そして工事費は実際は圧縮されてくる。これは長いレングスで見たときに国民経済にプラスかマイナスかという、大きな視野での判断に立たなければならない課題でもあろうかと私は思います。  また駅前周辺ということは、御承知のように、駅周辺整備事業あるいは区画整理事業都市の再開発といって、やはりその町の看板でございます。県庁所在地であり、いろいろな意味で駅の周辺というのはその町の最も顔となる町づくりをしていかなければならないと、長年その行政府が、市民が、町民が、県民がこぞってこの町づくりに営々と努力し、その計画をつくってきておるわけでございます。  しかもここで考えていただきたいのは、国鉄というのはできてから百年、国民共有の財産です。決して日本国有鉄道のものでもないし、監理委員会の方の御意見だけが正しいわけではないと私は思う。国民の財産であり、国民の財産を国民経済を発展させ、さらには国民の生活をよりよくするためにどう使うかという大事な視野に立っていろいろな角度から検討されなければならない。しかも、一つの町をつくろうというときに、利害の相対する市民の方を行政府の方が説得し、努力し、何とか移転をしたり代替地を用意したりして駅前というものの整備をやっておる、日本全国どこへ行っても、北は北海道、南は九州、沖縄まで、私はこの問題を抱えていらっしゃると思います。  今、御承知のように、日本国有鉄道法でまいりますと四十九条にいわゆる契約ということがございますが、日本国有鉄道法施行令二十五条第三項、この中に随契ということがございます。国有鉄道としては地方自治体等には随意契約で結構ですよということが認められております。  しかし実際は、現在日本の国の行政全体が民間活力を導入しなさいということになっております。例えば駅前の周辺整備にしても民間活力を導入しよう——市だけでやろう、県だけでやろう、町だけでやろうという硬直した考えではなくて、地域のいろいろな英知を集め、経済力を集めてすばらしい町の再開発をするときには、その主体としては第三セクターという方式が出てまいります。これはどこへ行っても大体そういう第三セクター方式でやってまいります。そうしますと、今の日本国有鉄道法施行令の二十五条第三項の随契というものに第三セクターが当たる、当たらないという問題がございます。  こういうことを考えますと、日本国有鉄道の土地というのは確かに高く売ればそれだけ債務の返済にはいい、でも逆にそれは行政府が買おうとすれば市民の高い税金をつぎ込んで買わなければならない。懐は同じでございます。そういうことを考えますと、公共福祉のためにこの日本国有鉄道の財産はどうあるべきかということは私は慎重にお考えいただきたい。建設大臣にも、監理委員会あるいは運輸省、国鉄にも十分——建設省が一番影響するテリトリーであろうと思います。  また国土庁も、国土法の——さきに司法研修所が法外な高い値段で売られたことはマスコミに報道されております。しかし、我々専門的なこういう建設の場におる者は、十年間転売してはいけないとかあるいは数年以内のうちに工事に着工しなさいとか、たがをはめていることはわかっております。しかし一般国民が見ると、あれは非常に高く売っているのだなと。いわゆる国有財産というのは、基本的には公正を期すために一般公開競争入札。ですから、高い値段ほどいいということになっておりますけれども、それを売れば地価の鎮静に大きなマイナスになってまいります。  等々考えますと、私は、やはり建設省としてはこの問題を十分関心を持たれて関係省庁と協議をしていただきたい。大臣のお考えを最後に聞きたいわけでございますが、最初に事務方のお立場から、どういうお考えでおるのか、建設省、国鉄、それから国土庁の土地局としてはどういうふうに国土法の運用を考えておられるか、それぞれ伺って、最後に両大臣の御意見をお伺いしたいのでございます。
  142. 牧野徹

    ○牧野政府委員 先生ただいまお話しございましたように、鉄道の操車場跡地等はほとんどのものが都市中心部にございます。ただいま都市の顔というようなお話がございましたが、私どもも、今後恐らくは二度と得られないような都市整備上重要な空間資源である、これは今後十分に都市整備上有効活用していかなければならないと考えております。でありますので、今後、操車場跡地等について具体的に地元の公共団体等が利用するあるいは活用するような計画があります場合には、その処分等をする際に公共的利用を優先的に検討するということが良好な町づくりのためには極めて大事だと考えておりますので、国鉄等の一層の御理解、御協力を今後とも得てまいるように努力したいと考えております。
  143. 末吉興一

    ○末吉政府委員 国鉄再建のために今後相当量の国鉄用地が売却されるものと思われますが、国土庁として一番懸念しておりますのは周辺の地価の上昇でございます。御案内のように、今、全国的に見ますと地価は非常に安定期に入っております。ひところに比べますと非常に安定の時期でございます。しかし一部の都心地域の商業地域には、最近地価が高騰しているところもございます。  私ども国土庁といたしましては、その地価の上昇に拍車をかけるようなことについては非常に懸念をしておりまして、さきの国鉄再建関係閣僚会議におきましても、国土庁の意見といたしましては周辺の地価に悪影響を及ぼさないような適切な配慮をとお願いしてまいっておるところでございます。今後ともいろいろな機会をとらえて地価への配慮につき関係者の理解を得るよう努めてまいりたいと思います。  それからもう一点、御指摘の紀尾井町の土地の一般公開入札に伴って、御存じのように国公有地は国土利用計画法の対象外でございますので、これはいかがかというような御意見がございまして、これは国土利用計画法ができて十年になりますので中長期の問題としてただいま検討に着手したところでございます。
  144. 神谷牧夫

    ○神谷説明員 国鉄用地の売却につきましては、先生指摘のとおり国鉄法によりまして公開競争契約による売却が原則とされております。現実の問題といたしまして、先生指摘のように駅周辺の土地というのは、町づくり、都市施設と非常に大きな関連を持っておりますので、建前は建前といたしまして、実態としてほとんど公共目的のために使われるケースが多うございます。例えば五十九年度の実績で見てみますと、売却をいたしました総面積の約八割は、やはり地方公共団体等への随意契約による売却ということになっております。  国鉄といたしましても、監理委員会意見等がございますけれども、そういった従来の経緯もございますし、今後の都市計画都市づくりの観点から十分に対応できていくものだと考えております。
  145. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほど来薮仲先生から大変見識の高い御指摘をいただいたわけですが、基本的には私ども薮仲先生の御指摘の点と一致いたしております。  例えば、今、国土庁、国鉄からも答弁がありましたが、私どもも、もう国民的資産でございますから、そういうものが本当に良好な地域づくり、それからまた地域の発展のために有効活用されることが、価格の問題じゃなしにやはり一番大事だと考えておるものでございます。でありますから、例えば国公有地を払い下げすることによって、もちろん競争入札が原則でしょうが、先ほど土地局長の方から言っておられましたが、周辺の土地の高騰を招くということは、何としてもこれは土地政策として私ども最善の努力を尽くさなければいかぬことである。  したがって、私は事務当局にも命じておりますが、場合によったら、今薮仲先生がおっしゃるとおり、ただ国有財産同士が移動するだけですから、例えば住宅整備公団なんかが適正な価格で借りる、賃貸するというようなことも法で認められているわけでございますから、そういうこと等も大いに検討して、そして、ただ国鉄の財政再建とか、また国も財政再建でございますが、これに寄与するというだけではございませんで、むしろ私は土地の安定と良好な町づくりが政治的にも最優先されなければならぬと実は思っておるわけでございます。  また同時に、国鉄のヤード跡とかそういうものを見てまいりますと、いわば第三者を寄せつけないというようなことで、非常にいいところに物件がございますけれども、しかしそれなりの使命を果たすために周辺との閉鎖をしてあるわけです。でありますから、周辺の地域の環境づくりなんというものはやはり非常に大事にしておかないと、そこだけが一部の人たちによって確かに利益を得ることになるかもしれませんが、やはり全体的な政策として考えた場合に、地域の発展性とか良好な町づくりとかというようなものを考えた場合には、それによって迷惑をかけたり、周辺の交通が渋滞したり、生活環境が破壊されたり、住居環境にいろいろ問題が派生したりというようなことは、やはり私どもはしてはならない。  そのために私ども建設省の行政があり、国土庁との連携をこれからもより一層強化し、綿密な連絡をとりながら、今先生から御指摘いただきましたような点を遂行できるような体制をこれからも鋭意努力をしてまいりたいと考えておる次第であります。
  146. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間が参りました。最後に大臣、私は地元から大臣に特にお願いをしてくれと言われたことがございまして、これは地元の陳情のようなことで大変恐縮で、一言御返事をいただけば結構でございますが、地元といたしましては長年の懸案であります静清バイパス、大谷川の放水路の事業、この二つは我々地元が本当に心を痛めて完成の一日も早からんことを願っております。特に地元に一番お詳しい木部大臣にこの件はくどくは申し上げませんが、何とか来年度の予算におきましても十分な御配慮をお願いしたいということでございますので、この点大臣から静清バイパスと大谷川のことについて御返事いただきたいと思います。  それから道路局長には、補助国道の富士見橋の側道添架、これの完成の見通しをちょっとお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  147. 萩原浩

    萩原政府委員 国道百五十号の富士見橋、延長九戸二メートルというかなり長い橋でございますが、先生指摘のここの歩道橋につきまして五十九年度から着工させていただいております。五十九年度は補正も計上させていただきまして、五十九年度大体下部工が完了いたしました。六十年度現在上部工の架設とそれから橋画工を施工しておりまして、六十年度末すなわち六十一年三月までには完成させる予定で、今鋭意工事を進めております。  なお、後ほど大臣からも御説明があるかもしれませんが、静清バイパスでございます。これは非常に大きなバイパスでございまして、二十四キロございますが、そのうち現在十キロほど開通させていただいております。残りの十四キロのうち六〇%、今年、六十年度末で用地買収を完了の予定でございます。現在事業費八十四億円をもって進めておりますけれども、今後ともこの整備の促進を図ってまいる所存でございます。
  148. 木部佳昭

    木部国務大臣 静清バイパスと大谷川につきましては、私も二回ほど現地を調査させていただきました。  特に静清バイパスは、静岡県の地形が東西に長いところでございまして、一級国道が駅前をそのまま通過しておるというようなことで市民生活や清水、静岡両市にまたがる生活に非常に大きな影響を与えておることもよく承知いたしておりますので、今局長から答弁いたしましたように昭和六十年度は八十四億円ぐらいの予算を計上させていただきましたが、あれは今でも非常に交通渋滞で国民生活に大きな被害を与えております現状を考えて最善の努力を尽くさせていただきたい、かように考えております。  なお、大谷川放水路につきましても、巴川の災害や浸水から守るためにも、これも非常に大事なあれでございまして、恐らく今御指摘のありました二つの静清バイパスと大谷川というものは、静岡県の県政にとっても、また災害対策上からも非常に大きな動脈的なものをなしておるものですから、その辺の認識の上に立って全力を挙げて努力させていただきます。
  149. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。ありがとうございました。
  150. 保岡興治

  151. 安倍基雄

    安倍(基)委員 大臣とは同じ静岡県で、いろいろ事情も御存じと思いますけれども、私、民社党を代表いたしまして御質問したいと思います。  まず第一に、現在内需拡大というのが随分問題になっております。次の予算で建設省として内需拡大についてどういうやり方を考えておるのか、特に最近ちょっとうわさされております、例えば東京湾に横断道路をつくろうというような話もございますけれども、こういったものについてどういう見解を持っておられるか、お聞きしたいと思います。
  152. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 先生今おっしゃったとおり、内需拡大という要素も含めまして、社会資本整備ということが、来年度に対する建設省としての大きな課題になっておるわけでございます。  来年度の予算要求につきましては、一方で着実な計画的な社会資本の整備を行うという意味で、新たな五カ年計画の策定を初めといたします事柄を要求しておるわけでございますが、そのために、道路整備の特定財源の確保でございますとか治水特定財源の創設、財政投融資の活用、都市開発等の民間活力の活用型の事業の推進あるいは住宅金融公庫による融資制度の拡充によります住宅建設の促進などを内容といたしております。  また、今おっしゃった民間活力の活用という観点からも、東京湾横断道路等のいろいろな大規模プロジェクトにつきましての民間活力の活用を図る、また地方の事業につきましてもできるだけ民間活力の活用を図ることができるようないろいろな基盤整備の応援とか、そういったようなことも内容として要求いたしております。  さらにもう一つ、大幅な住宅税制の充実といいますか改善によりまして、住宅税制面からの内需振興も図りたい、かように考えて今最終的な詰めの段階に入っているところでございます。
  153. 安倍基雄

    安倍(基)委員 例えば東京湾の横断道路なんという場合には、これは全部民間でやらせるのか、国がバックアップするわけでございますか。
  154. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の東京湾横断道路につきましては、昭和六十一年度の政府予算原案の作成に当たりまして、要求といたしまして有料道路事業としてとりあえず日本道路公団で着手するということで予算要求はさせていただいてございます。しかし、その節、事業主体並びに資金調達等につきましては引き続き検討していくということになっておりまして、現在政府予算原案の作成に向けまして、いろいろなケースにつきましていろいろな検討をやっているところでございます。  従来の道路公団方式ということでやるといたしますと、かなりの出資金なり利子補給金というものが必要になってまいります。これらが、財政が緊縮状況にある現在どのように対応していただけるかという問題が一方でございます。一方、これが民間で建設されるということになりますとさらに資金、コスト面でいろいろな問題がございますので、その点についてどのような解決策を図るかという問題も含めて検討をいたしておるところでございます。
  155. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私は例としてこの横断道路の問題を取り上げたのでございますけれども、内需拡大というときに、ただ工事をすればいいという問題ではない、経済効果がどうあるかということを十分考えなくてはいかぬ。例えば本四架橋は何本がよかったかという問題がありますけれども、一応四国の経済発展にいろいろ役立つであろうという感じはございます。しかし、東京湾横断道路というのが果たして経済効果としてそれだけの意味を持つのかなという気がしてならない。  私、実は若いころ留学したときに、ある大学でリージョナルサイエンスということで、私の専攻ではなかったのですけれども、非常に偉い教授のいる大学へ行ったのです。それはどういうことかと申しますと、その地区でどういうものをつくっていったら一番いいか、道路計画にしても、いろいろな計画がどういう効果を持つかということをすべて経済的に考えていくという勉強でございますけれども、そういう種類の発想がないと、単に工事を造出するということで内需を拡大するというのは間違いである。  実は私は、メガポリスにもう一遍大き次橋をつくって、ますます人口を拡大していく、果たしてどういう効果があるのだろうという懸念を持っておりまして、よく世上言われる、こういった計画がそれぞれ本当の意味の経済効果をねらって考えられているのかどうか、たまたま東京湾横断道路というのが何をねらってつくろうとしているのかということで非常に大きな疑問を持っているのでございますけれども、この点、事務当局からお考えを聞いて、国土庁の方ももし御意見があれば、最後に大臣から一言御感想を聞きたいという気持ちでございます。いかがでございましょうか。
  156. 萩原浩

    萩原政府委員 東京湾横断道路は、東京湾岸道路あるいは首都圏中央連絡道路等と一体となりまして、首都圏における広域的幹線道路網を形成する極めて重要な幹線道路であるというふうに私ども認識いたしておりまして、既に昭和四十年以来調査を進めているものでございます。  この東京湾横断道路の社会的、経済的効果といたしましては、東京湾岸地域におきます産業の高度化と新産業軸の形成への貢献、二番目に首都圏における都市圏連合の形成への貢献、三番目に新たなニーズに対応した居住空間あるいはレクリエーション空間の創出への貢献、四番目に東京湾岸地域の一体化への貢献、五番目に東京都市圏の防災機能の強化等々の効果があるというふうに考えております。この東京湾横断道路が完成をいたしますと、首都圏におきます社会経済活動に非常に大きな貢献をするものであるというふうに私どもは考えておる次第でございます。
  157. 星野進保

    ○星野政府委員 ただいま道路局長お答え申しましたことでほとんど尽きるのではないかと思っておりますが、先生御案内のように、私ども今第四次全国総合開発計画というものを策定中でございまして、その中で東京湾の位置づけをどうするかという観点が——恐らくこれから非常に片一方で国際化が進展してまいりますし、他方で一都三県の中に住む住民の数もそれなりにふえてきておるということで、総合的な居住環境という観点から見ましても、東京湾の位置づけをどうするかということが非常に重要になってきております。  その中で、今御指摘の東京湾横断道路というものは、ある意味ではこの圏域全体をつなぐ非常に重要な動脈になるところでございますので、そういう形で、国土審議会その他で今後御審議をいただいていくということを考えておる次第でございます。
  158. 木部佳昭

    木部国務大臣 民間活力の基本的な考え方は、御承知のとおり、今行革ないしは財政再建の大事な時期であり、また同時に、民間の経済的支援なり技術的な御協力なり、それからまた地方自治団体なんかのいろいろな参加をいただいて、一緒になってその地域のことをよく考えながら、将来の広域的な交通体系も考えながら、地域の活性化、同時にまた内需拡大のために貢献できるような、それからまた、御承知のとおり今非常に円高になってまいりまして、中小企業その他に与える影響も非常に大きい大事なときでございますので、民間の皆様方と一緒に、立ちおくれておる社会資本の充実、地域に与える活力、それから地域経済に対する貢献、そういうふうなものを民間活方の導入によって考えておるわけでございます。  そこで、財政再建中でございますし、予算が非常に厳しい状況でございまして、一方では一般の公共事業と、それから片方は民間活力ということで、これが車の両輪で回って、そして安全運転で内需の拡大や地域経済に、また広域的な交通ネットワークというようなものに貢献できる、そういうふうなことで今いろいろ努力をいたしておるわけでございます。  したがって、先ほど局長からも答弁がありましたが、私どもはただ東京湾にトンネルを掘るだけじゃございませんで、やはり川崎なんかの場合でも川崎の縦貫道路を一緒になってやるとか、それからまた房総半島の地域開発その他についても一緒にやっていくとかというようなことで、首都圏における社会経済活動に大きな貢献を果たすために整備が必要である、そういう基本的な認識考え方の上に立っておるわけでございまして、感想ということよりも、また委員の皆様方のいろいろな御鞭撻、御支援を賜りたいものである、かように考えております。
  159. 安倍基雄

    安倍(基)委員 この計画はそれなりの効果はあるのでございましょうけれども、どうも日本の社会はメガポリスに余りいろいろなものが集中し過ぎてしまう気味があるのじゃないかという気がするのでございます。私は税の関係ですが、例えば地方税収入なんていうものも、ほとんどがメガポリスに集中してしまう。もっともっと先にやるべきいろいろなこともあるのじゃないかな。それは確かに横断道路をつくればそれなりの整備はできましょうけれども、メガポリスにすべて集中するのがいいのかどうか。  それと関連しまして、私は過日テクノポリスの指定の前に、小此木通産大臣に予算委員会の分科会で質問したことがございます。その際に、テクノポリスに指定されたところについては公共事業の重点配分をやるというようなお話もございましたけれども、それが果たしてどういうぐあいに実行されているのか。私は別に横断道路ばかりにけちをつけるわけじゃないけれども、これからもっともっといろいろ新しい産業を伸ばすというような地域にそれなりの配慮をすべきではないのか。メガポリスだけに集中する。下手をすれば、東海地方にもあるかもしれませんけれども、また東京あたりに大地震があるかもしれぬ。そういうときに、そういうメガポリス集中的な考え方にはいささか問題があるのじゃないか。テクノポリスに関連してどういう公共投資の重点配分があるのか、その実情を聞きたいと思います。
  160. 清水達雄

    清水(達)政府委員 テクノポリス構想を推進することは、国土の均衡ある利用とか地域振興のために非常に重要である、またこのテクノポリスの実現のためには、おっしゃいますように関連した公共施設の整備が必要であるということは御指摘のとおりでございまして、従来から建設省が御答弁申し上げておりますように、できるだけ公共施設の重点的、効率的な整備に努めたいということで努力をしているわけでございます。実質的に六十年度が初年度というふうなことでございますが、六十年度の予算の執行に当たりましては、申し上げましたような点を十分考慮して実施しているということでございます。
  161. 安倍基雄

    安倍(基)委員 なかなか予算も少ないわけでございますから、テクノポリスに指定されたからといって、昔のようにすぐどっとお金が来ると限らないことは私もよく知っておりますけれども、こういうメガポリス優先主義よりは、そういう新しい産業を伸ばす部門に、建設省としてはもっともっと目を向けていくべきではないかという気がするのでございます。この点の大臣の御感想を聞かせていただきましょうか。
  162. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、私どもは、国土の均衡ある発展というようなもの、それから安全で快適で潤いのある地域づくりということが建設行政の基本だと思います。その中にありまして、経済も発展し、社会情勢も非常に大きな変化をいたしておりますので、ニーズもかなり変化しておる。特に、高齢化社会や情報化社会、それから国際化の時代を迎えておりますので、今御指摘のありましたような点等も、全体的な均衡の上に立って社会資本を充実するために、特に下水道とか公園とか都市の再開発とか、そういう人々の生活環境というようなものは他の先進国と比べて非常に立ちおくれておりますので、そういう点等についても非常にきめの細かい配慮をしながら効率的、効果的な社会資本の充実に努めてまいりたいと考えております。
  163. 安倍基雄

    安倍(基)委員 ちょうど私が言いたいようなことを先に言っていただいたのでございますけれども、例えば下水道なんか、ほかの国と比較して非常に普及率が悪い。特に地方都市なんかはそうである。東京、大阪あたりは八〇%ぐらいいっておりますけれども、通常の一般の市は三〇%前後。これはいろいろ歴史的な背景もあるようでございまして、例えば欧州において下水道が発達している、これは昔からペストとかそういった防疫の面が大きかったというぐあいに聞いております。その点、日本はそういった問題が余りなかったということは言えるわけでございますけれども、特に下水道の面なんというのは目に立ちませんけれども、この辺についてはやはり力を入れていかなければいかぬのじゃないかと考えるのでございます。  この点について建設省はどうお考えになっておられるのか、お聞きしたいと思います。
  164. 牧野徹

    ○牧野政府委員 おっしゃるとおり、下水道の普及率というのは残念ながら先進諸国に比べれば大変低いという状況でございます。六十年度で第五次の五カ年計画が終わりますが、現在の見込みでは多分総人口に対して三六%程度の普及率になると考えております。ただいまもお話ございましたように、欧米諸国では低いところでも七〇%、高いところは九〇%台が多数ございますから、比較してもまだまだ低いし、また絶対的に日本の国内での御希望、御要望に対してもなかなか達成できないので残念だと考えております。  そういうことでございますから、従来から五カ年計画をつくりましてその整備を鋭意図っておるわけでございますが、先ほど言いましたように、五次五カ年が終わることしで三六。そこで、ただいま第六次の五カ年を要求しておりますが、もしこれがそのままお認めいただければ、厳密にこれを積み上げるものですから四八%という数字になりますが、おかげさまでやっと国民二人に一人ぐらいの整備水準になるのではないかと考えております。  それからまた、お話がございましたように、私が今三六とか四八とか申し上げておりますのはオールジャパンの平均の数字でございます。確かに大都市におきましては約八割程度、それから一般の市ですと三二%程度、町村に参りますと三%ということでございますから、大変低いわけでございます。そういう意味で、第六次の五カ年計画以降、もしできれば大都市からだんだんと地方の中小都市へも整備の重点を移してまいりたいと考えておる次第でございます。
  165. 安倍基雄

    安倍(基)委員 私は、そういう横断道路とか、これをやりましたというような何か人に見せるような話よりは、もっと地道な、しかも経済効率に役に立つ——今の経済効率をどう見るかということもございますけれども、需要を造成するということだけで物を考えるべきじゃない。これが将来どういったことに役に立つかということの長い目で見た検討が必要じゃないかと思うのでございまして、たまたま横断道路をやり玉に上げてお話ししましたけれども、やはり産業の発展あるいは生活環境の地方における整備の方にももっともっと目を向けるべきではないかというのが私の第一の論点でございます。  第二の論点は、今しきりと言われております、いわば規制緩和と申しますか、私ども、この前の予算委員会でも我が党の米沢さんがいろいろ質問したわけでございますけれども、地方自治体においていろいろな大型造成をやるときに、やれ道路をたくさんとらなければいかぬとか、やれ公園をつくらなければいかぬと、いろいろな規制をしております。それはそれなりの意味はあるのでございましょうけれども、またそれを審査するのがべらぼうに時間がかかる。となると、最終的にそれを造成して皆に分譲する間に非常にお金がかかってしまって、どうしても地価が高くなる。そういったことが現在非常に問題となっているんじゃないかな。  これは現在のように、公共事業でお金を投入できないときには民間活力を大いに利用せにゃいかぬ。民間活力を利用するために、こういった規制を大幅に見直さなければいかぬのじゃないかという気がいたしますけれども、現在、通常どういう形でそういう規制がなされておるのか。それに対して建設省はどういうお考えであるのか。この二点についてお聞きしたいと思います。
  166. 清水達雄

    清水(達)政府委員 宅地開発等を行うに際しましては、開発許可を受けなければならないということになるわけでございます。開発許可につきましては、御承知のように都市計画法に手続規定があるわけでございますけれども、これにつきまして、一つは非常に時間がかかるということが指摘されております。それから。開発許可に絡めまして、地方公共団体の中には良好な生活環境の整備とかあるいは乱開発防止といったことを目的として宅地開発指導要綱といったものをつくっておりまして、現在千百市町村ほどでそういうものができております。そういうことで開発事業者を指導するということになっておりますが、この指導の内容につきまして、一部にかなり行き過ぎた面があるということでございまして、これが開発者に過重な負担を課しているというふうな状況がしばしば指摘されているわけでございます。  そこで、建設省といたしましては、自治省と協力いたしまして、この指導要綱の行き過ぎ是正に今取り組んでいるところでございまして、五十七年の十月には自治省と共同通達を出しまして、開発協議期間の短縮でありますとか、あるいは関連公共施設の整備水準の適正化、それから寄附金等の収支の明確化とか、あるいは使途の適正化といったことを指導いたしております。また、五十八年八月には宅地開発指導要綱に関する措置方針という事務次官通達を出しまして、施設整備の水準について過大なものを求めないようにということで、例えば道路の幅員でありますとか、公園の面積だとか、あるいはいわゆる調節池の問題とか、いろいろ各般にわたりまして施設整備の水準についての行き過ぎの是正の指導をしているわけでございます。  その結果、約二百ほどの市町村におきまして、寄附金等の額、区画道路の幅員、公園の面積、それから学校施設等の施設用地の問題あるいは公益施設といったものにつきまして見直し、是正が行われておりますが、なお問題があると見られるものが三百ほどあるというふうに私ども認識いたしておりまして、これらにつきまして、今後とも引き続き都道府県を通じて個別にでも指導をして、この通達の徹底を図って、開発者負担の適正化、それによる住宅宅地の円滑な供給が行われるように努力したいというふうに考えております。
  167. 安倍基雄

    安倍(基)委員 大臣、今局長から、現在地方自治体がやっておりますいろいろの基準ですか、規制ですか、そういったものはみんな見直し中であるというお話でございましたけれども、この点について、地方によっては非常に煩雑なことを要求し、過大なことを要求しているという実情があるようでございますので、この点は思い切ってよくその辺をごらんくださって、本当に民間の活力が発揮できるような体制にしていただきたいと思うのでございますけれども、その点についてのお考えをお伺いしたいと思います。
  168. 木部佳昭

    木部国務大臣 ただいま局長からも答弁いたしましたように、私どもは、事務の簡素化を図るとか、それから規制の緩和にもう少し弾力性を持たせることが非常に大事な時期だろうと認識をいたしておるわけであります。したがって、各都道府県その他と、また自治省とも協議いたしまして、そしてもう少し地域の実情に合ったような、そうした問題も具体的に考えていただくという指導を積極的にしてまいりたいというふうに思っております。  といいますのは、やはり民間活力を推進する場合でも、何といっても地域の住民の参加意識といいますか、理解とか御協力がないとなかなかこの目的を果たすことが困難な場合も多いわけでございますから、そうした点等につきまして、個々の問題等もあるかもしれませんが、地方自治体や、また自治省ともいろいろ協議をして、そういう精神に沿えるような努力をしてまいりたいと私は考えております。
  169. 安倍基雄

    安倍(基)委員 大臣の御決意を承ったので、非常に安心いたしました。  それとともに、実はこれはある程度個別的な話ですけれども、規制緩和に関連いたしまして、私は百一国会の予算委員会の分科会で、老人ホームをもっと市街化調整区域につくらせてもいいのではないかということを当時の厚生大臣質問いたしました。厚生大臣が、ではひとつ建設大臣に話しておこうというような話をされました。  その趣旨は、これから高齢化社会になる、そういうときに現在の老人ホームというのは市街化区域にしかできない。となると、どうしても高くつく。相当お金を持った人間でないとなかなか入れない。ところが、老人ホームの場合には、むしろ市街地よりは少し郊外の方がいいのではないか。その方が環境もいいし、しかも地価も安いだろう。そういうところにもっとつくっていけば、これは余り大きなお金を持っていない人でも入れるようになるのではないかという趣旨でございまして、それについて、当時の渡部大臣からも、なかなかいい考えだ、ひとつ建設省にかけ合いますよというお返事を承っていたことがございます。また、その後の大蔵委員会、これはことしたと思いましたけれども、ある法案の最後の総括質問のときに、たまたま総理が来られたものですから、この問題はいかがですかと言ったら、それは検討に値する問題であるというようなお返事も承りました。  この問題、新聞で、何か厚生省が建設省にかけ合っているという報道も一時ございましたけれども、現状はどうなっているのか。それを厚生省、建設省建設省お話で済めばそれでも結構でございますので、一言、その経過、現状をお聞かせ願いたいと思います。
  170. 清水達雄

    清水(達)政府委員 先生からたびたびこの点についての御質問があり、建設省といたしましては、市街化調整区域は原則として市街化を抑制する区域ということになっておりまして、いわゆる社会福祉施設としての養護老人ホームでありますとか特別養護老人ホームとか軽費老人ホームといったふうなものは今でもできるわけでございますが、いわゆる一般的な有料老人ホームにつきましては、マンションと余り区別がつかないといったものもあるというようなこともございますし、また、当初は老人ホームとしてできても、後で何かマンションみたいなものに変わってしまうとかいったふうなことでは非常に困るわけでございます。  そういうふうなこともありまして、老人ホームをいわゆる社会福祉施設としての養護老人ホーム等と同列に扱い得るような手当てが厚生省サイドでできるかどうかというふうなこともございますので、そういう点について厚生省と相談したいというふうな答弁を申し上げておったと承知しているわけでございます。  今、事務的にそういう協議をやっておりまして、聞くところによりますと、厚生省の方でいろいろ基準などもお考えだというふうなことも承っておりますが、そういうものを御提示いただければ、その段階で、都市計画法との関係でいわゆる調整区域での開発が許されるものになるかどうかということを、建設省としても検討したいというふうに考えております。
  171. 阿部正俊

    ○阿部説明員 ただいま建設省の方からお答えになったとおりでございまして、私どもの方では、特に有料老人ホームの中でも、いわゆるマンションに、形式的に医療が受けられますとか、あるいは将来とも心配ございませんというふうなことだけを言って、実体は伴わないというものでは困ると思っておりますので、社会福祉施設に類似したといいましょうか、そういうふうに取り扱う基準の一番重要なポイントといたしまして、将来、五年先、十年先に、仮に例えば寝たきりになるとかあるいは病気になったとしても、それに対応できる体制ができておるかどうか、私どもの方の基準としてはそこを一つの重要なポイントにしたいというふうに思っております。介護面についての物的、人的な、あるいは契約上の条項がはっきりしておるというふうなところを一つのポイントにして、市街化調整区域の建設も認めていただぎますように、建設省さんとさらに協議を重ねていきたい、こんなふうに考えております。
  172. 木部佳昭

    木部国務大臣 高齢化社会の到来ということ、また、高齢化社会に対するいろいろな対応ということにつきましては、安倍先生と私ども、もちろん認識は一致いたしております。  これは、私が二、三伺ったことでございまして、必ずしも当たっておらないかもしれませんが、やはりお年寄りの皆さん方もいろいろニーズが変わってきているような感じに私は受けとめておるのです。といいますのは、余り静かで景観がよくて環境のいいところといいますか、それが理想でございましょうが、お年寄りの皆さん方は何か寂しさを感じたり、もう少し刺激があった方がいいというような考え方もかなりあるようでございます。ですから、私の選挙区のことを申し上げて恐縮でございますが、私の方にもかなり特別施設なんかもございますし、また一般の有料の施設もございますが、一週間に何回か買い物を兼ねてマイクロバスで町の方へ送って町の刺激に当たる、そういうふうなこともやっているようです。  そういう点等を考えてみますと、高齢化社会が到来する、またそれの対応策というものについて、もちろん我々は政治の大きな柱として、これから今まで以上に取り組んでいかなければならぬと思いますが、そういう中にあっても、そうしたお年寄りの方々のニーズというものにも十分対応できるような、そういうものを考えていかなければならぬ。したがって、これは厚生省の所管でございましょうが、我々といたしましてもそうした点を踏まえて、もう少し実態を把握したり、また研究もさせていただきたい、こういうふうに考えております。
  173. 安倍基雄

    安倍(基)委員 特別養護老人ホームというのは、つくるのについても非常に公費を使っているわけですね。しかも運用についてもです。実は寝たきり老人控除の問題について私自身が火つけ役になったのですよ、公明党が出していただきましたけれども。結局一人当て一カ月二十万くらい経費がかかっている。しかも十万人のために三千億かかっている。自宅には四十万人くらいの寝たきり老人がいる。十万人のために三千億経費をかけて、しかも施設費はまた公費が随分かかっている。  そういうことを考えますと、福祉施設はよくて、普通の老人ホームはおかしい。老人ホームそのものは、一種の福祉施設に近い性格を帯びてこざるを得ない実態になっている。このいわゆる規制緩和というのができますと、老人対策にとって非常にいいのではないかと私は思っておりますので、この点ひとつよく厚生省と建設省と御検討くださって、前向きの結論を出していただきたいと思っております。  これとともに、余り時間もなくなりましたからあと一点ですけれども、いわゆる公営住宅というのがございますが、これについて私いろいろ聞いてみますと、場所によってはどうも所得基準が余り高くないから、ちょっと共稼ぎなんかするとすぐ出ていかなくてはいけないというような話でございまして、私は皆さんからいろいろ聞いてみますと決して低過ぎるのではないというお話でもございます。  ただ、全国一律に所得基準を設けている、つまりどのくらいの給与の人は入れる入れないというのが全国一律であるという点がちょっと私はひっかかっているのでございます。地区、地区によって給与水準も違えば生活費も違うという場合に、もう少しさっきの規制緩和、逆に地方にある程度任せてもいい部分があるのではないかという気がするのでございますけれども、この点について御見解をお聞きしたいと思います。
  174. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 公営住宅の入居収入基準でございますけれども、これは公営住宅法の目的にもありますように、住宅に困窮する低額所得者に対して住宅を供給するということから、全体の三分の一、いわゆる所得分位でございますが、下から三分の一をカバーするというところで定めているわけでございます。従来、全国の世帯収入の増加等があるわけでございますが、そういったものを勘案しながら、必要がある場合には適宜改定を行ってきているわけです。  それでいろいろ御意見がございます。現在の収入基準は五十七年の八月に改定したものでございまして、改定後ちょうど三年たっておるわけですが、その間の所得の伸びが低水準であるということもございまして、引き上げはなかなか困難な状況にあるというのが実際のところでございます。  先生のおっしゃいました、地域的に分けたらどうかという点でございますけれども、地域ごとに所得でありますとか住宅の事情等を考慮して収入基準を定めるということは、確かに公共団体からそういう要望があるわけでございますが、やはり公営住宅法の趣旨でございます低所得階層というものを対象にしてどう扱うかという問題でございまして、全国的な統一性を欠くというようなことになる問題もあるかと思います。またさらには、地域的な問題でありますと本当は大都市の家賃が高いわけですから、そこは引き上げられるという問題もあります。  そうしますと、現在でも、大都市の新築にしましても空き家にしましても、公営住宅の応募倍率というのは非常に高い。そういった現実も踏まえなければならないというふうに考えておりまして、なかなか難しい問題であるというふうに考えております。
  175. 安倍基雄

    安倍(基)委員 もう時間もなくなりましたから、これはある程度今後の検討課題ではないかと私は考えております。  最後に、たまたま私の前に立った薮仲議員が静岡の出身で、陳情めいたことを言われたものですから、私もちょっと陳情めいたことを申し上げます。  さっきのテクノポリスの関係で、私ども浜松はテクノポリスに指定されている。ところが天竜川というのがあって、東の側から通勤するのに非常に不便だ。さっきの湾岸道路ではございませんけれども、そういうテクノポリスが発展する上においても、新しい橋が欲しいという意見が大分前からあるわけでございます。私どもは、昔と違って予算はないよということを説いておりますけれども、こういった内需拡大とかあるいはその地域の発展という面で考えますと、その要求も一つのあれではないか。  たまたま木部大臣が静岡ということで、私ども最初この話を持ち出すのはいささかと思っておったのでございますけれども、前の方が言われたこともございまして、一言お願いしたいと思っております。
  176. 萩原浩

    萩原政府委員 先生指摘の天竜川の橋でございますけれども、現在は八百七十七メーターの二車線の橋がかかっておるだけでございます。この橋が時間によりまして非常に渋滞を起こすということでございまして、渋滞対策として新たな橋あるいは拡幅を検討中でございます。六十年度は県が単独事業といたしまして調査中というふうに承っておりますので、今後の事業化につきましては、この調査結果を待ちまして判断させていただきたいというふうに考えております。
  177. 木部佳昭

    木部国務大臣 今安倍委員からお話のありましたのはたしか掛塚橋のことだろう、そういうふうに記憶をいたします。これは県の方でも来年の予算で最重点でお願いをしたいというような要望を私も承っておりますので、前向きで努力をさせていただきたい、かように考えております。
  178. 安倍基雄

    安倍(基)委員 それでは質問を終わります。どうもありがとうございました。
  179. 保岡興治

    保岡委員長 瀬崎博義君。
  180. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 まず、公共事業関係の来年度予算編成問題について質問したいと思います。  「昭和六十一年度建設省関係予算概算要求の要旨」には、「補助率・負担率の取扱いについては、概算要求に当たっては昭和六十年度の特例措置により要求することとするが、予算編成過程で総合的に検討するものとする。」と明記がされておって、現に建設省が出した概算要求はこの内容に沿っているわけですね。この特例措置というのは、言うまでもなく、補助金整理一括法で六十年度における適用と限定されているものであって、現在の法律に従う限り、六十一年度はもともとの法律の補助率が生きているわけですから、それに基づくのは当然だと思うのです。なぜこの六十一年度以後は適用外であるはずの特例措置によって建設省は概算要求をしたのですか。
  181. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 概算要求の内容といたしましては、今瀬崎委員がおっしゃったとおりの概算要求をいたしております。  これは、あくまでとりあえずといいますか、概算要求の段階ではそういうことで要求をするけれども、実際にどういう姿形で六十一年度が行われるかということにつきましては、これは関係各機関、政府部内でのいろいろな意味での総合的な検討の結果をまって行うべきものであろうという性質のものでございまして、とりあえず今年度、六十年度の措置と同様のものをしたというにすぎないものでございます。
  182. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 全くそれはおかしい論理で、とりあえずのものだ、そう言うなら、むしろ法律上は五十九年度以前のもとの補助率でやるべきじゃないですか。  これは大臣に伺いますが、ことしの四月九日、この補助金整理一括法の連合審査におきまして、私も質問いたしました。木部建設大臣は再三、一年限りの措置であることを明言されたわけです。特に私が、この補助金カットの恒久化を考えているのではないかとただしたのに対しても、木部建設大臣は、ここに議事録がありますが、「暫定的に一年であるという原則に立っておるわけでございまして、これは間違っておりません。」ここまで言われているわけですね。しかも、今官房長お答えのように、とりあえずの措置だ。それなら国会に対する大臣答弁からいっても、これはもとの補助率で概算要求をすべきものではないか。そうでなければこれは極めて無責任であり、大臣としては背信行為だ、こう言われてもいたし方ない問題ではないかと思うのですが、大臣、いかがですか。
  183. 木部佳昭

    木部国務大臣 今先生から御質問ありましたように、私だけではございませんで、大蔵大臣も私もまた厚生大臣も、関係のある閣僚が暫定であるということで御答弁を申し上げておるわけでございます。しかも、まだ六十年度という年度は残っておるわけでございますから、そういう意味で今局長からも暫定ということを申し上げたように私は理解をいたしております。私もそういう意味で考えておるものでございます。  したがって、今政府といたしましては、この補助金の問題に対する検討会を設けまして、この検討会で公共事業、非公共事業につきまして検討いたしておる。私どもも六十一年度における公共事業の補助率の取り扱い等につきましては、事態の非常な重要性ということに大きな関心を持っておりますし、これからも、予算編成の過程の中へ入っていくわけでございますが、そういう中にあってそうした主張をし、努力をしてまいりたい、かように考えております。
  184. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 特に大臣はこうも言われているのですね。「社会資本について一律一割カットで影響はないか、こういうことでございますが、」「この法案は御承知のとおり一年限りということに今なっておるわけでございますから、しかも、引き下げに伴う地方自治体の分につきましては元利償還すべてについて自治省が面倒を見る、こういうことでございますから、私どもは支障はない、そういう判断の上に立っております。」こういう話なんですね。  一つは一年限りの措置だから支障がない、一つは元利償還について国がちゃんと裏打ちするから問題はない。この二点から、社会資本の充実に差し支えないとおっしゃっておるのです。これはやはり守ってもらわなければいけませんね。ですから、今とりあえずの措置として、特例法による、カットされる補助金で概算要求しているが、今後ぜひこれをもとへ戻す、そういう努力をするということを一つは約束してほしい。  それからもう一つは、第二の理由とされた元利償還すべてについて自治省が面倒を見るから問題ないということですが、これは全く正しくないんですよ。結局借金に置きかえるだけなんですよ。ですから、六十年度一年だけは資金ショートは自治体において起こらないけれども、結果この借金の返済に伴って自治体の負担というものは急増するわけなんですね。六十年度の補助金カットによる地方の負担増は、投資的経費だけで事業量の増加分を除いても二千六百億円、その財源とした臨時財政特例債の償還金は来年度から毎年百八十四億円、六十四年度から十七年間は毎年二百六十六億円かかってくるわけでしょう。これについて地方交付税上の措置をとることになっているわけですが、一般会計から繰り入れるのは半分だけで、残りは結局地方自治体の負担になるわけなんですよ。  六十一年度も、全くこれは仮定の話ですが、我我は一割カットはもとへ戻してくれと言っているわけですから、六十一年度も六十年と同様の措置をとったとしますと、金利が下がった分を考慮しても、六十二年から六十四年度までは毎年百七十七億円、六十五年度以降は二百六十三億円の償還負担になるわけなんですね。こうした措置を仮に財政再建期間中ずっと続けますと、昭和六十六年にどうなるか。償還額は約千三百億円に達する。国の一般会計から繰り入れる分は半分の六百五十億円、残り六百五十億円は地方自治体の負担になってしまう。大きな額ですよ。  一方、国の方だって、いずれこれは、この補助金カットの分だけについてだってやりくりがつかなくなりますよ。というのは、今言いましたように、六十六年度には一般会計からこの地方交付税特会へ二分の一の六百五十億円繰り入れなければいかぬ。その上六十年度の経常経費カット分のうち建設国債充当千六百億円の中の一千億円は、六十六年度以降交付税に加算することになっているでしょう。その上六十年度に一般会計から交付税特会に繰り入れる予定であった千三百五十五億円は、覚書によって六十六年度以降に繰り延べているわけでしょう。すべて何もかも先送りしている。これは昭和六十六年が来たら何もかもがだんごになって、この負担もまた大きいわけですね。国としてもやりくりが結局はつかなくなる。したがって一年限りと言いながら補助率カットを行い、地方債を充当して元利償還金については交付税上の措置をとる、二分の一は一般会計から繰り入れる、こういうやり方は早晩破綻するんですよ。そうしてとどのつまりは、補助率カットを恒久化し、一般会計からの繰り入れを打ち切り、全額地方負担、こういうことになるのは目に見えていると思うのです。  結局六十年度一年限りの特例措置だという補助金カットは恒久化の布石であるし、また属による裏打ちとかなんとか言いながら、結局地方自治体への負担転嫁にしようというものではなかったかと思うわけなんで、これ以上こういう補助金カットを延ばすということは絶対許されないと思うのですね。今後にまつと大臣言われるわけですから、絶対にこういうものはもとへ戻す、そういう努力をする、このことは明言いただきたいと思いますね、大臣
  185. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 これは正直申しまして建設省限りでどうこうする、判断できるという問題ではございません。そういうこともございまして、政府におきまして現在有識者から成る補助金問題検討会を設けて、政府全般といいますかの立場で検討しておるところでございます。今先生が御指摘になったような今後の地方財政に及ぼす影響、また国の財政との関連がどうなるかというようなことも含めて、総合的な観点から決定されるべき問題だと思っております。今ここで、建設省として直ちに来年度からもとへ戻すとか、あるいはそうしないとかいうことは差し控えさせていただきたいと思います。
  186. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 運輸省はたしかもとの補助率で概算要求していると思いますね。これは大臣大臣国会で、これは一年限りだ、間違いないんだと言われた以上は、大蔵がどう措置してくるかは別問題として、概算要求ぐらいはもとの補助率でやるべきだと私は思いますね。そうでないと、やはり国会での答弁に反することになります。無責任だと言われますよ。いかがでしょう、大臣大臣答弁です。逃げたらいかぬよ。
  187. 高橋進

    ○高橋(進)政府委員 先ほど申し上げましたように、概算要求はとりあえずということでございます。概算要求の中身そのものは国費がどうかということでございまして、それで、事業費ベースに直した場合どういうものにして考えるかというのを、一応六十年度と同様な考え方で便宜行ったというものでございます。したがいまして、これによって、来年度は六十年度を前提として行った、当然のこととして考えてやったというものではございません。この点、御理解いただきたいと思います。
  188. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 何遍ごまかし言ったら気が済むの。あなた方の「昭和六十一年度建設省関係予算概算要求の要旨」には明確に、「補助率・負担率の取扱いについては、概算要求に当たっては昭和六十年度の特例措置により要求することとする」こう書いてあるじゃないか。こうしておいて、いかにも事業費ベースで見ているわけだから、別に補助率カットを前提とした概算要求じゃないんだと言ったって、それは通りませんよ。結局あなた方の矛盾した態度そのものを今暴露していると思いますよ。これは筋を通してほしいと思いますね。概算要求ぐらいは、やはり少なくとも一年限りの措置であることを踏まえて、あるいは国会答弁を踏まえて、もとの補助率で要求してもらうべきだ、このことを重ねて強調したいのです。  大蔵省に伺います。これは大蔵省がどうせ一割カットを押しつけているんでしょうけれども、本当に厚かましいというか、ごく特殊なものを除いて、補助率二分の一以上のもの、公共事業については二分の一に引き下げる、こういう考えを持っていることも伝えられているわけなんですが、本気でそんなことを考えているのですか。
  189. 涌井洋治

    ○涌井説明員 六十一年度以降の補助率のあり方につきましては、国、地方の役割分担、費用負担の見直し等とともに十分検討を進めて、結論を得ることとしておるわけでございます。そういうことで、そういう検討を行う場といたしまして、補助金問題関係閣僚会議及び学識経験者から成る補助金問題検討会を随時開催しているところであり、これを踏まえて、来年度、六十一年度の補助率をどうするか、適切に対処してまいる所存でございます。
  190. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私、何もそんな一般論を聞いているのじゃないですよ。大蔵省は、この公共事業に対する二分の一以上の補助率を二分の一に引き下げる、こういう考えを持っているんですかと聞いているんですから、そのことに端的に、考えを持っているのか持っていないのか答えなさいよ。
  191. 涌井洋治

    ○涌井説明員 補助率のあり方については、いろいろな考え方は当然あろうかと思いますけれども、現在、大蔵省として具体的にこういう案を持っているわけではございません。
  192. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 建設大臣はそういう話を何か聞いていますか。
  193. 木部佳昭

    木部国務大臣 私はまだ伺っておりません。
  194. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 私は一割カットの継続さえ言語道断だと思いますが、二分の一以上の補助率を全部二分の一に引き下げるなんというのは、本当にもってのほかだと思うのですね。こういうことについてはまさか建設大臣もゆめゆめ受け入れる気はないと思いますが、いかがですか。
  195. 木部佳昭

    木部国務大臣 これからの予算編成の大きな問題でございますし、私どもは社会資本を充実するという立場で、大変厳しい財政事情はよくわかりますが、そういうことのないように、私ども考え方を貫くように努力をしてまいりたい、こう考えております。
  196. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 問題の基本は、結局国民生活に不可欠な、身近な公共事業、先ほどもちょっと同僚議員が言っておりましたが、下水道であるとか住宅であるとか、あるいは生活道路、交通安全施設、公園、治山治水、こういう公共事業に対する国の補助水準をあくまで維持していく、このことを優先させるのか、それとも、軍事費の拡大とかあるいは東京湾横断道路、明石海峡大橋などのビッグプロジェクト、こういうものを優先させていくのか、ここの違いなんですね。ですから、少なくとも今のようなこういう財政事情のときには、東京湾横断道路とか明石海峡大橋などというビッグプロジェクトは見合わせるべきだ。そして、何はともあれ国民生活にとって緊急に必要な公共事業の補助金はあくまで確保する、こういうことを最優先にして予算編成に臨まれるべきだと思うのですね。この最も基本的な問題について、大臣に伺っておきたいと思います。
  197. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、社会資本を充実して、そして均衡のある国土、安全で快適で潤いのある生活環境、そういうようなものを築き上げるために建設行政のすべてがあるというふうに私ども認識をし、また、この基本的な考え方を発展させるために、建設省といたしましても努力をいたしておるところでございます。  しかし、政治というものは全体のバランスとか、それから各省庁の調整とか、その時代の国民のニーズとか、そういうようなものはいろいろ現実的な処理は処理としてしっかりしなきゃならぬ、解決しなきゃならぬ、また改革しなきゃならぬものもあると思いますが、今基本的に申し上げましたような考え方で私ども努力してまいりたい、かように考えております。
  198. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最もバランスを欠いているのが軍事費なんですね。いわゆる中期防衛力整備計画で五カ年に十八兆四千億円もの軍事費をつぎ込もう、これほどバランスを欠いたものはない。だから、やはりそういうものは抑制、削減すべきなんですね。  それから、同じ社会資本の充実といっても、今言われましたね、ニーズ、だれのニーズにこたえるか。ビッグプロジェクトを要求している財界のニーズにこたえるか、それとも身近な公共事業整備を要求している国民のニーズにこたえるか、こういう点が大事な問題だということを指摘して、次に、琵琶湖総合開発に伴う琵琶湖観光船不正補償問題に移っていきたいと思います。  まず、大詰めに来ておりますので、私が不当不法と指摘した主な事実関係をまとめておきたいと思います。  第一は、水資源公団が琵琶湖総合開発事業の一環として行っている琵琶湖観光船補償は、京阪グループの琵琶湖汽船や西武グループのオーミマリンなどの所有船十八隻を対象に総額四十六億五千万円の船舶補償を予定しておって、既に十五隻に対して約三十五億円が支払われている。この中には大正時代に建造された老朽船や昭和三十年代建造の木造船に一億数千万円から二億数千万円の補償が出されるなど、全体として過剰である。  それから第二は、旧橋本汽船所有の「ちくぶじま」の代替船として一億六千五百万円の補償金で建造された「なにわ一号」は、大阪水上バスとして淀川などで運航され、補償の目的に反している。ただし、この「なにわ一号」は今年六月に琵琶湖に戻されまして、琵琶湖汽船は七月二日「なにわ一号」を彦根—多長島—彦根など三航路の使用船舶に追加する事業計画変更を近畿運輸局に申請し、八月十三日の認可を受けて九月二十一日から営業運航に入ってます。これは補償の性格から当然の一種の是正措置でありますが、しかし、これによって一年九カ月の間「なにわ一号」を補償の目的外に使用した事実が解消するものではない。当然それに対するペナルティー措置はあってしかるべきだと思います。  それから第三は、岡田海運所有の銀竜丸、松屋高速船所有の湖城の二隻は、十年以上にわたって船舶検査証を国に返納し、船舶検査も受けないまま運航しておらず、また運航できない状態で係船されていたというものであって、これに対して補償すべき根拠は全くない。  それから第四に、昨年四月十二日の建設省の説明文書では、喫水深一・二五メートル以上の船を対象にしたと明記されているのですが、補償対象船には喫水深一・二五メートル未満の船が四隻入っている。  第五に、水資源公団と滋賀県旅客船協会との五十六年三月三十一日付覚書では、旅客船改造の内容は軽合金船として補償額を算定することにしておりますが、ミシガン、「なにわ一号」の二隻は、軽合金船よりは安い鋼船であった。  こうした事実について、会計検査院、調査をされたかどうか、また事実を確認されたかどうか、伺っておきたいと思います。
  199. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 琵琶湖開発事業におきます旅客船に対する補償につきましては、今先生おっしゃられましたように、十八隻を対象として、現在まで補償契約を締結して支払いを行っているものは十五隻でございます。この中には、大正時代に建造されました船舶とか、建造後二十年以上経た木造船が対象にされていることは事実でございます。  それから、補償対象とされました船の代替船として建造されましたものが、先生がおっしゃられましたように淀川等で通勤、観光用として使用されておりまして、本年の七月に琵琶湖に回漕されているということも事実でございます。  それから、補償対象とされました船のうち二隻につきましては、十年以上にわたりまして船舶検査証を国に返還されて係船されていたという点も事実でございます。  それから、喫水深が一・二五メートル未満の船舶は四隻あるわけでございますけれども、公団の説明によりますと、喫水深一メートル以上のものを補償対象にしたというふうに私ども承知いたしております。  それから、材質が鋼船になっているものが二隻あるということにつきましては、先生の御質問のあったとおりでございます。
  200. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 この補償について、建設省、水資源公団は、当初、琵琶湖総合開発事業で水位が低下した場合も船舶の運航機能を確保するため、しかも船舶の運航機能が非常に公益性を持っているために機能補償で行ったんだと説明していたわけですね。国会では一貫して機能補償という説明だった。ところが、その後、水位低下によって船舶運航事業者が受ける損害、つまり水位が下がって船の底がつかえて動けなくなる、営業ができなくなる、そういう損害を事前に賠償する事業損失補償であり、ただ補償額の算定に当たって、旅客船運航の公益性から機能回復を図る費用を補償したものだ、こう説明を変えたわけですね。  こういう説明の根本的な変更自体、補償の正当性の主張の破綻を示すものでありますが、私はあえて、事業損失補償として機能回復まで補償している例として、高速道路や新幹線沿線住宅の防音工事の補償の例を挙げました。これらの補償では補償金、助成金の目的外使用とか現に居住の用に供していない住宅への補償は許されていない、こういうことも指摘いたしました。目的外使用した「なにわ一号」や十年以上も運航の用に供されていない銀竜丸、湖城への補償は、防音補償と比べても行政上極めて公平を欠くものではないか、こうただしてきたわけですね。  会計検査院の方は、こうした比較がこの補償について判断する材料として重要な要素になり得るものと考えてやってこられたのかどうか、伺っておきたいと思います。
  201. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 会計検査院といたしましては、本件の検討に当たりましては、本年六月十二日の建設委員会において先生から御示唆のありました事例等も含めまして、他省庁、他団体の実例、学説、判例等を十分に参考にさせていただき、検討を進めてきているところでございます。
  202. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 会計検査院は去年の七月からずっと検査に入っていらっしゃるわけですね。昨年十二月の検査報告の際には、なお検討に時間を要するということで見送られた。我々も慎重にやられるのは結構だということでそれは子とした。それから一年たった。間もなく、今年末に五十九年度決算検査報告書も出てくるわけですね。五十九年度決算検査報告書に取り入れられる予定になっているのですか、どうですか。
  203. 安部彪

    ○安部会計検査院説明員 会計検査院といたしましては、検査報告に掲記して指摘する事項につきましては、事務総局と検査官会議において検討いたしまして、その結論を得ることになっております。現在本院におきまして、五十九年度決算検査報告につきまして取りまとめ作業を行っているところでございます。  本件につきましては、先生の御指摘を受けまして現在まで鋭意検討してまいったわけでございますが、六月の委員会で御答弁申し上げました時点よりも相当検討が進んでいるわけでございます。私どもとしましては、近く結論を得るべく努力しているところでございます。
  204. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 最後に、これは大臣に申し上げておきたいのですが、確かに会計検査院が検査をしているからその報告待ちということもあるでしょうけれども、私が先ほど申し上げたように、国民的な視野で見れば全く納得のいかない不当な補償ではないかという事実が五点ほどあるわけです、大きいものだけでも。主管官庁である建設省大臣としても、こういう疑惑を招くような補償のあり方については独自に正す、そういう姿勢があってしかるべきではないかと思うのです。いかがでしょうか。
  205. 井上章平

    井上(章)政府委員 この問題につきましては、水資源公団が会計検査院によって検査を受けておるところでございまして、今日までのところまだ検討中と伺っておりますので、しばらくはその推移を見守りたいと思っております。
  206. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 あくまで結論が出た上で建設省の態度は検討する、そういうことですか。
  207. 井上章平

    井上(章)政府委員 国会におきまして私どもの見解を今までも申し述べてきたところでございますが、水資源開発公団と私どもとの間に見解の相違はございません。
  208. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 河川局長は一貫して補償に間違いはないという主張なんです。ただ、大臣は政治的に、政治家として考えられた場合、今我々が指摘して、しかも会計検査院が検査の結果、事実だったと事実関係は確認された、こういう事実を見たときに、これが果たして正しい、間違いないで通るか、国民がそれを許すかという点はよく考えてほしいと思うのです。ですから、そういう点で改めて建設大臣として、こういう莫大な何十億という補償については、国民の不信を招くことのないようなやり方をするということについて、明確にしておいていただきたいと思うのです。答弁を求めて終わります。
  209. 木部佳昭

    木部国務大臣 いやしくも指弾を受けることのないように、やはり厳正に行政を進めるということが私どもの大きな責任であり、使命である、そういう認識の上に立っております。
  210. 瀬崎博義

    ○瀬崎委員 終わります。
  211. 保岡興治

    保岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十分散会