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1985-11-08 第103回国会 衆議院 建設委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和六十年十月十四日)(月曜日 )(午前零時現在)における本委員は、次のとお りである。   委員長 保岡 興治君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 桜井  新君 理事 中島  衛君    理事 井上  泉君 理事 木間  章君    理事 新井 彬之君 理事 小沢 貞孝君       池田 行彦君    榎本 和平君       金子原二郎君    唐沢俊二郎君       國場 幸昌君    東家 嘉幸君       野中 広務君    浜田 幸一君       東   力君    村岡 兼造君       森田  一君    上野 建一君       清水  勇君    関  晴正君       前川  旦君    山中 末治君       坂井 弘一君    伏木 和雄君       伊藤 英成君    瀬崎 博義君       中島 武敏君     ――――――――――――― 昭和六十年十一月八日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 保岡 興治君    理事 亀井 静香君 理事 北口  博君    理事 中島  衛君 理事 井上  泉君    理事 木間  章君 理事 新井 彬之君       池田 行彦君    榎本 和平君       大島 理森君    金子原二郎君       唐沢俊二郎君    東家 嘉幸君       中川 昭一君    仲村 正治君       野中 広務君    浜田 幸一君       東   力君    森田  一君       上野 建一君    清水  勇君       新村 勝雄君    関  晴正君       辻  一彦君    山中 末治君       伏木 和雄君    薮仲 義彦君       伊藤 英成君    瀬崎 博義君  出席国務大臣         建 設 大 臣 木部 佳昭君  出席政府委員         国土庁土地局長 末吉 興一君         国土庁大都市圏         整備局長    山本 重三君         建設大臣官房長 高橋  進君         建設省建設経済         局長      清水 達雄君         建設省都市局長 牧野  徹君         建設省河川局長 井上 章平君         建設省道路局長 萩原  浩君         建設省住宅局長 渡辺  尚君  委員外出席者         経済企画庁調整         局調整課長   吉川  淳君         経済企画庁調整         局財政金融課長 大塚  功君         法務省人権擁護         局調査課長   永井 敬一君         大蔵大臣官房参         事官      塩田 薫範君         大蔵省主計局主         計企画官    田谷 廣明君         自治省財政局調         整室長     鶴岡 啓一君         住宅金融公庫総         裁       河野 正三君         住宅金融公庫理         事       川上 幸郎君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     高橋国一郎君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     戸谷 是公君         参  考  人         (住宅都市整         備公団総裁)  丸山 良仁君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  吉田 公二君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  倉茂 周明君         参  考  人         (住宅都市整         備公団理事)  京須  實君         建設委員会調査         室長      佐藤 毅三君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月八日  辞任         補欠選任   國場 幸昌君     仲村 正治君   東   力君     大島 理森君   村岡 兼造君     中川 昭一君   上野 建一君     新村 勝雄君   前川  旦君     辻  一彦君   坂井 弘一君     薮仲 義彦君 同日  辞任         補欠選任   大島 理森君     東   力君   中川 昭一君     村岡 兼造君   仲村 正治君     國場 幸昌君   新村 勝雄君     上野 建一君   辻  一彦君     前川  旦君   薮仲 義彦君     坂井 弘一君     ――――――――――――― 十月十四日  住宅基本法案新井彬之君外二名提出、第百二  回国会衆法第二四号) 十一月七日  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進  法の一部を改正する法律案内閣提出第三号) 十月三十日  農業用水から占用料徴収反対に関する請願(津  川武一紹介)(第一四四号)  同(中林佳子紹介)(第一四五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  参考人出頭要求に関する件  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進  法の一部を改正する法律案内閣提出第三号)      ――――◇―――――
  2. 保岡興治

    保岡委員長 これより会議を開きます。  まず、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  建設行政基本施策に関する事項  都市計画に関する事項  河川に関する事項  道路に関する事項  住宅に関する事項  建築に関する事項  国土行政基本施策に関する事項以上の各事項について、本会期中国政に関する調査を進めたいと存じます。  つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――
  4. 保岡興治

    保岡委員長 次に、内閣提出住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案議題といたします。  趣旨説明を聴取いたします。木部建設大臣。     ―――――――――――――  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進   法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――
  5. 木部佳昭

    木部国務大臣 ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  住宅金融公庫は、昭和二十五年に設立されて以来、国民大衆住宅建設に必要な資金等を融通することにより、国民住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったところでありますが、今後なお一層国民の良質な住宅の取得の促進と良好な居住環境の確保を図っていくためには、現下の財政状況を考慮しつつ、改善措置を講ずることが必要であると考えられます。  この法律案は、以上のような観点から、昭和六十年十月十五日に決定された政府の「内需拡大に関する対策」の中で、当面早急に実施する対策一つとされている住宅金融公庫特別割り増し貸付制度実施に関し、住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法について所要の改正を行おうとするものであります。  次にその要旨を申し上げます。  この法律案は、内需拡大のための緊急かつ時限的措置として、この法律の施行の日から昭和六十一年度末までの期間に限り、みずから居住するため住宅を必要とする者に対し、通常住宅資金貸し付けに加えて政令で定める金額の割り増し貸し付けを行うこととし、割り増し貸付分利率は、政令で定めることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
  6. 保岡興治

    保岡委員長 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。     ―――――――――――――
  7. 保岡興治

    保岡委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中末治君。
  8. 山中末治

    山中(末)委員 私は、ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案につきまして御質問申し上げたい、このように思います。  この法律の一部改正を受けて実施をされる側のお考えをまずお聞きしたいと思うわけでありますが、今回、ただいまの大臣趣旨説明によりまして、内需拡大のための緊急かつ時限的措置、こういうことで提案がありましたが、住宅金融公庫総裁として、これを施行される側としてまずひとつ所信をお伺いいたしたい、このように存じます。
  9. 河野正三

    河野説明員 大変財政事情の厳しい中で、当面とるべき措置といたしましては最大限内容を持つ今回の特別措置政府としてお決めいただいたわけでございます。  住宅金融公庫といたしましては、今国会におきまして改正法の成立が図られました暁におきましては、皆々様の御期待に沿うべく、国民皆々様にこの特別措置内容等につきまして周知徹底を図りまして、住宅建設促進に鋭意努力をしてまいる所存でございます。
  10. 山中末治

    山中(末)委員 内需拡大ということについてはいろいろな手を打たなければならないということで大きな世論となっているところでありますが、今総裁からお話がありましたように、この措置をすることによって多少とも内需拡大に資していきたい、こういうことでございます。  この措置は、先ほど大臣から提案がございましたように、緊急かつ時限的な措置として六十一年度いっぱいまでこれを実施していくということでありますが、内需拡大に大きな影響を及ぼしていこうということになりますと、これは緊急措置ではなしに本格的な措置考えていく必要もあるのではないか、私はこのように考えまして、いわゆる貸付限度枠、それから対象住宅の規模、こういうものについても、この緊急措置の途中もしくはその後で考えられるべきではないか、このように思いますが、建設省の方のお考えをお聞かせいただければまことにありがたいと思います。
  11. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 お答え申し上げます。  先ほど大臣から御説明申し上げたわけでございますけれども、今回の「内需拡大に関する対策」におきましては、緊急ということで、予算あるいは税制措置を伴うものにつきましては今後の予算編成あるいは税制改正の過程で検討するということを前提として成り立っているというふうに理解しております。したがいまして、御指摘のような点は、今後の、暮れにかけての税制改正あるいは予算編成段階で鋭意いろいろ努力してまいりたいというふうに考えております。
  12. 山中末治

    山中(末)委員 今後の課題として税制も含めて考えていきたいという局長お話でございますが、この措置にちょっと目を通しますと、通常貸し付け利率利息の問題、これと今度の緊急の措置利率の問題が違うわけです。これは財投資金を活用願っているわけですから、財投貸付利子、それと通常貸し付け利息とのさやといいますか差額を利子補給しておられるわけですね。この利子補給制度というのがあって初めて、私はこの法律内容が充実しているというふうに理解しているわけですが、今度の緊急的な臨時措置については、利子通常貸し付けよりも多少高い。今の場合、緊急措置としてはやむを得ないなと思いますけれども、これが一般化することがあったら大変だな、だから利子補給も将来変えないでやっていくということを私は期待するわけですが、その点については、くどいようですけれどももう一回お願い申し上げたいと思います。
  13. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 先ほど申し上げましたような前提条件緊急措置として今回の措置を行うわけでございまして、非常に厳しい財政事情もございまして、また先ほど申しましたような前提条件ということで、今回の特別割り増し貸し付けにつきましては財投並み金利によって特別の貸し付けを行おうというものでございます。  お説のような通常金利口、つまり例えば五・五%でありますとかそういった貸付限度額引き上げにつきましては、先ほども申し上げましたように六十一年度の概算要求においてやっておるわけでございますが、例えば貸付限度額引き上げにつきましては、建築費につきましては三十万円、土地費につきましては五十万円、合計八十万円の引き上げ要求しているところでございます。したがって、そういうものにつきましては予算編成段階で鋭意努力いたしたいと考えております。
  14. 山中末治

    山中(末)委員 それでは確認をしたいわけですが、そういう御要望をなさっているということで通常貸付枠がふえるとしますね、その場合、この緊急措置はなおその上に積み上げる、こういう理解でよろしゅうございますか。
  15. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 先ほどから出ておりますように、この緊急措置は六十一年度末までとなっております。したがって、この暮れの予算編成で仮にプラスになったとしますと、それは当然六十一年度におきましてはそれに加えてこの緊急措置が乗ることになります。
  16. 山中末治

    山中(末)委員 ありがとうございました。ひとつ要望額全額を確保するように一層の御努力要望いたしておきます。  それから、住宅建設等については内需拡大のために非常に大きな期待が持たれているわけですが、この機会建設大臣に御質問申し上げたいのです。住宅建設、特に大住宅団地等建設につきましてはその所在市町村財政負担が非常に大きいわけでございますが、過去随分時間をかけて、この地方財政負担を軽減する意味も含めて設けられたいわゆる五省協定というのがあります。この五省協定は今日までも一定役割を果たしてきて、また現在も果たしつつあるわけですが、社会経済事情等大分変化をしてきております。このいわゆる五省協定内容についてより改善をするものが出てきていないのか、これが一つです。  それからもう一つは、この五名協定というのは改善はできないけれども今のままでいくんだということになるのか、これが二つ目。ひとつ御質問申し上げたいと思います。
  17. 清水達雄

    清水(達)政府委員 「宅地開発又は住宅建設に関連する利便施設建設及び公共施設整備に関する了解事項」、これが五省協定でございますが、これにつきましては、四十二年に締結いたしまして以来、必要に応じて、例えば償還期間延長でありますとか対象施設拡大とか、今までも随分改善が図られてきております。しかしながら、今後とも宅地開発等の実情を踏まえまして必要に応じて改善は検討してまいりたいと思っております。  現在のところ改善を要すべき点があるかということでございますが、今のところは対象施設相当充実をしてまいりまして、公団とか公庫とかからも、もっとこういう点を改善しろという要望も今はないという状況でございます。
  18. 山中末治

    山中(末)委員 大臣に御質問申し上げたのですが、具体的なこともありますので清水局長から御答弁ありましたが、今の局長答弁内容で踏襲をしていかれるかどうか、大臣、ひとつお願いいたします。
  19. 清水達雄

    清水(達)政府委員 先ほど申し上げましたように、今、具体的にこういう点をというところはございませんが、今後改善すべき問題点が出てまいりますれば検討して対処してまいりたいというふうに思っております。
  20. 木部佳昭

    木部国務大臣 今局長から答弁申し上げましたことを踏まえまして、私ども努力さしていただきたいと思います。
  21. 山中末治

    山中(末)委員 実は私は京都の方におりますので、せんだっても木部大臣わざわざ現地へ来ていただきましたが、京阪奈丘陵の大きなプロジェクトの問題がありまして、先日ようやく区画整理事業が着工することになりました。期間は九年間だとお聞きしておるわけですが、この五省協定内容期待するところが非常に多いと思います。今、清水局長を初め大臣の方もそういう方向でいくという決意をお聞かせいただきましたので、今後の改善策等も含めて御尽力を賜りたい、このように要望申し上げておきます。  それともう一つは、国土庁の方へお聞きしたいのですが、この住宅等建設も含めて、今、首都圏近畿圏及び中部圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律というのがございます。これは今日まで本当に現場において重要な役割を果たしてきた法律でございます。この法律による措置必要性というのは国土庁におかれても非常に高いというふうに認めておられるのじゃないかと私は推察しますが、国土庁の方ではこの法律に対してどのようなお考えを持っておられるか、お聞かせいただきたいと思います。
  22. 山本重三

    山本(重)政府委員 御案内のように、首都圏近畿圏中部圏近郊整備地帯あるいは都市開発区域等につきましては、過去に過度の人口産業の集中が行われたために圏域全体として人口産業を適正に配置して均衡ある整備を図っていくために、それぞれ事業計画整備計画あるいは建設計画等を定めてまいったわけですが、やはりそれにはそれに対応した財源措置が必要であるということで、御案内のように昭和四十一年にいわゆる財特法が制定されて、その後、二年間二回にわたって延長されて、これの期限がちょうど六十年度で終わるということに相なっております。  この間がないの起債額かさ上げとか利子補給等がなされてまいって、相当の実績を見てまいっておるわけですが、しかしながら、その後の人口の増加あるいは工業等集積等状況から見て、まだまだ住宅その他の社会基盤施設整備状況が全国の平均水準よりも下回るところがかなりあるという現状でございます。それに加えて、我々としても今後とも均衡ある整備発展を図っていくための整備計画なり建設計画の決定、推進を図る必要性がございますし、特に過去の社会増でふえました人口が今後自然増の問題として大きく上がってくると思います。そういう意味で我々としては、そのための社会基盤施設整備というものについてはさらに一層進めなければならぬ。それには当然お金がかかることでございますから、財源措置についてもやはり特段の措置が必要であると考えております。  そういう意味で私どもは、六十年度で切れますこの措置をさらに延長させるべく関係省庁とも十分協議しながら、現在その必要性を十分痛感し検討を進めているところでございます。
  23. 山中末治

    山中(末)委員 今国土庁山本局長さんの方から積極的な考え答弁がありました。私も全くそのように考えています。  ところでこの機会に、所管の省であります自治省の方のお考えもあわせてお聞かせいただきたい、このように思います。
  24. 鶴岡啓一

    鶴岡説明員 お答え申し上げます。  首都圏等大都市圏域整備するための財政上の特別措置法につきましては、ただいま国土庁局長から御答弁がありましたように六十年度末で期限切れになることになっております。私どもとしましては、国土庁お話にもありましたように、引き続きこの財政上の特別措置は必要だということで、現在財政当局に対しまして延長の要請といいますか要求をしているところであります。  ところで、御案内のように国の財政事情が非常に厳しい状況になりまして、過去の延長時と今回とは随分さま変わりになっている点がございます。御案内のように昨年は公共事業あるいは生活保護等含めまして補助率の一律引き下げという大変な問題がありまして、それが暫定的な措置として一年とられて、ことしの六十一年度予算編成までに結論を出すということで現在政府部内で議論を重ねているわけですが、そういう議論との関連もありまして、地域的な財政上の特別措置について、財政当局の方はこの際思い切った整理をしたいという強い意向が伝えられております。  私どもとしてはこの財特法延長はぜひやりたいと思っておりますが、情勢は極めて厳しいというふうに考えておりまして、最大限努力をこれから重ねていきたいというふうに思っております。
  25. 山中末治

    山中(末)委員 国土庁の方に引き続いて所管自治省の方も積極的なお考えを持っておられるということを聞いて安心したのですが、後の方の説明答弁の中で、状況等が変わってきているので財政当局は何とかこれを内容を変えていきたいという御意向があるように聞きましたが、実は先ほども申し上げましたように、これは大きなプロジェクト等を抱えているところとしては非常に大きな期待があるわけなんです。これは時限的な立法でございますので、六十年度いっぱいでしまいだと言えばそれっきりのものでありますが、それまでにやってきた、プロジェクト実施してきた地域とその横の印とこの扱いで非常に差ができるということになりますと、行政上も含めて財政的に混乱が起きる、このように実は心配いたしておりますので、この点につきましてはひとつ建設省の方も含めて御尽力を賜りたい、このように考えるわけであります。  それからもう一つは、住宅等建設の、いわゆる住宅基盤整備の根幹的な事業一つであります下水道事業についてお伺いを申し上げたいと思うのです。  これもお聞きいたしますと、ことしは第五次五カ年計画最終年度に当たりまして、今年度末では下水道普及率が三六%になる、こういうことを聞いておるわけです。西欧先進国等と比べますと、この点は非常におくれているんじゃないかということを私は非常に心配をしています。既成市街地に新しく公共下水道あるいはパイピングする場合等にも非常に困難があります。これを逐次やってもらっているわけですが、新しく住宅団地をつくる場合、これは早く入れてしまわぬと、後でまた舗装をめくったりするような場合が起こってはお金むだ遣いになります。そういう既成市街地と新しい住宅地二つの使い分けというものがかなり要ってくるわけであります。  そういうことを含めて第六次五カ年計画を遂行していかれるということになると、これも今後五カ年間で一二%程度のアップで四八%ぐらいに達成するんじゃないか。これでもまだ五〇%以下でございまして、それでその予算が十四兆とも十四兆一千億とも漏れ聞いておるわけですが、これはちょっと少ないのじゃないかというふうに実は私自身は考えています。ですからこの下水道の布設、進捗というものについては、ほかの事業の面で民間活力の導入ということで国費がそう伸びずに、あるいは少し減って、そしてその他の資金がそこへ加えられて事業量をアップして事業を遂行していく、どういう中で国費が始末できたものを何とか下水道の方へ振り向けられぬか、素人の考えなんですが、そういうふうに実は考えているわけです。下水道だけじゃありませんが、下水道というのはやはり国並びに地方公共団体がみずから行うべき性格の事業でございまして、これをなおざりにするわけにいかないのじゃないかということをつくづくと感じているわけです。  一つ例を挙げて申し上げてみたいと思うのですが、例えばある一定のところで面の開発を予定している。それにはやはり公共下水道を導入していかなければならない。毎年公共下水道事業が進んでいっているわけですが、余り長くほうっておくと、この面で開発される部分、そこが待ち切れなくなってしまう。そうすると、臨時処理場をそこでつくらなくてはならない、あるいはまた遊水地のようなものをそこにつくっていかなくちゃならない、こういうことが起こりがちです。そうすると、これは民間にしろどこにしろ、その開発をしていくところが仮処理場をつくったり遊水地をつくったりしてむだ金を使わなければならない。そして半年か一年たって後で予算がつけば、そこまでパイピングが伸びる。そうすると、今の仮処理場遊水地はつぶして、そうしてまた宅地にしていかなければならない。非常に手間と資金とが多くかかる。そしてそのかかった資金住宅のコストに乗っていく、こういうおそれが非常に大きい。建設省が一生懸命に家賃の安い、あるいは購入しやすい住宅をつくらなければならぬということで新しい施策の中でも考えておられるように聞きますけれども、現実にはそういう問題が出てくる。  そうすると、これはやはり下水道予算の重点配分にもなるけれども、重点配分というだけでは済まし切れない量の問題があると思います。そういう意味で、私は、この下水道の進捗を願って第六次五カ年計画を設定して意欲的に取り組んでいこうというふうに思っておられますので、その内容を特に充実していただきたい、このように思いますが、私は素人で一例を申し上げたにすぎませんけれども建設省の方の下水道促進についてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 牧野徹

    ○牧野政府委員 今先生からいろいろお話しいただいたわけですが、我が国の下水道の総人口普及率が現在三四、今年度末で三六ということで、先進国に比べてまだまだ低いということは残念ながら事実でございます。こういうものに対して私どもも今後もっともっと普及率を上げるということに最大限努力したいと思っております。ただ、いろいろな情勢がございますので、それを踏まえて計画的かつ着実に整備を進めるというのが基本的なスタンスだと思います。  そこでお話の第六次五カ年計画をつくる際にも、今後の下水道整備はいかにあるべきかということで建設大臣から都市計画中央審議会に御諮問申し上げ、八月に答申をいただいたわけでございます。その際に御答申の重要な中身として二つございます。一つは、二十一世紀初頭までに総人口に対して九〇%の普及率を目指すべきである。二つ目に、そういうことを長期目標として六十年代半ばまでには国民のおおむね二人に一人が下水道を使用できるよう整備されるようなテンポで進めるべきだという御答申をいただいております。そういうことを踏まえまして、ただいまお話もございましたように私どもは、いろいろ積み上げますので端数がつきますが、おおむね二人に一人ということで四八%まで六十五年度末に普及率引き上げてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  ただ、今お話のございましたように、もしデベロッパーの方が簡易処理場をつくって私ども予算で半年後に完全にパイプがつながるというようなところは、今までもそうですが今後とも総合調整してそんなむだなことがないようにすべきだと私は思います。また、そんなに短いのはないのじゃないかと思いますが、確かに今申し上げたように非常に普及率が低いものですから、各地からの御要望は非常に強いものがございます。そこで、私どもも地元の方の御意見を十分に聞いたり、あるいは限られた財政でございますから、諸般の情勢からプライオリティーをつけて整備を進めておりますが、その際にやはりいろいろなそういう総合された情勢、パイプが延びていく状況とはちょっとかけ離れていろいろな事情で両開発が行われる、この場合にはやはり若干、簡易処理場をつくっていただいてやがて私どもがお迎えにいく、こういうことになろうかと思っております。  そういうことで、重点配分ないしそういう効率的な整備にも気をつけるというお話でございますが、ごもっともでございます。私どもも今後十分そういう点は注意してまいりたいと思います。
  27. 山中末治

    山中(末)委員 具体的にお話があったわけですが、二十一世紀で九〇%ということでございますね。そうすると、今、二十一世紀まであと十五年あるのです。先のことですからできるだけ普及を進めていく努力をしていかぬと、日本の国というのは割合いろいろな技術が盛んですぐれていて、ほかの国よりはいい面が大分出てきているのですね。しかし、事下水道に関してはちょっとおくれているもおくれているも、おくれ過ぎなのですね。だから、国の施策としてそういうおくれ過ぎのところを特に重点的に予算を投入して進めていくという姿勢をぜひとも持っていただきたい、このように私は実は思うわけです。  特にこの公共下水道というのは、これが布設になりますと、分流式にしてもやはり周辺が非常にきれいになります。ですから、処理技術の向上、これもあわせて非常に必要なことなのですが、まず雨水と汚水とをきちっと分けて処理をしていくということになると、雨水なんかの場合非常にきれいな水が至るところに流れてくるという現象になります。特に、ヨーロッパへ行ってもどこへ行っても日本人が恥ずかしくないような状況というものを、ひとつ建設省の方でお願いしたいというふうに思います。  これは、大臣の所感をお聞きしても今局長のおっしゃったことと同じだと思いますので、大臣はそれを受けていただいてひとつ力の限り頑張っていただきたい、このように要望いたしておきたいと思います。  それで次の問題に移らせていただきますが、最近いろいろ漏れ承るところによりますと、法律改正とかあるいはまた省令あるいは通達等によりまして、行革審の答申二百五十八事項について見直しといいますか規制緩和といいますか、いろいろなことが考えられているようであります。内容はまだ私もはっきりわかっておりませんけれども、これは建設省だけじゃございませんが、そういうことが盛んに行われて、本来国や地方公共団体がやらなければならないようなものがなおざりになっていくのじゃないだろうかということを私は心配しておる者の一人であります。  例えて申し上げますと、建築確認申請なら建築確認申請ということを考えてみますと、建築基準法の一条には、もう私が申し上げるまでもなく、「目的」に、「建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。」こううたわれています。  この法律の目的を達成するためにいろいろな規定があるわけですが、この中で建築確認ということを取り上げてみますと、建築確認事務を行わなければならない人に建築主事という方がある。この資格もはっきりしている。そして個人が住宅を建てる場合、人が自分の住宅を建てるということはその人の一生で一回あればいいところじゃないか。そうすると、一生に一回の自分の住宅を建てる、あるいはまた購入をする、こういう行為がありますが、住宅を新しく建てる場合、これは資金も要るわけですから一生の中で非常に重大な行為なんですね。それをうまく建設ができるように、できた住宅が良好な住環境といいますか、そういう機能を持つようなものであるように、こういうことで建築主事の人が届け出を受け、許可をし、建築確認をし、そして後で検査をしていく、こういうことになっています。  この検査が十分やられているかどうか、その辺の建築確認の手続が法令に基づくようにやられているかどうか、そして、この基準法で決まっています竣工検査の届け出をすれば建築主事がそこを検査に行く、そういうことがきちっと行われているかどうか、そのあたりを私は非常に心配するのです。これがきちっと行われなければ、この五条の二の三項ですか、違反工事はこれをすることができないというふうに書いてございますが、その前提となる建築確認行為、それから竣工の検査、これがきちっとできなければ、違反工事はすることができないと法令に書いてあってもしり抜けになってしまう、私は実はそのように思うわけです。  ですから、先ほど言いましたように、法律改正とか通達とか省令とかそういうものを出される予定らしいですが、それとは別に、国や地方公共団体国民住宅を守っていかなければならぬ、住環境をよくしていかなければならぬということで、最低必要なものは、守るべきじゃないか、このように思いますので、まずこの点について建設省のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
  28. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 いろいろ御説明いただきまして、まことにごもっともな点があると思います。先ほど先生もおっしゃいましたように、建築主というのは建築工事が完了いたしましてから四日以内にその旨を建築主事に届ける、これは基準法の七条でございますけれども、その建築主事はその届け出を受理してから七日以内に完了した建物につきまして検査して、それが法令等に適合していれば検査済証を交付する、こういう手続になっているわけでございます。  しかしながら、今先生が御懸念を示されましたけれども、工事完了届が提出されていない建築物というのが、非常に遺憾でございますけれどもかなり存在しているというのも事実でございます。今後は、まさに先生のおっしゃったような趣旨を踏まえまして、工事完了届の提出を励行させ、それから完了検査を確実に実施するために国民に対して基準法の周知徹底を図るということ、あるいは建築確認の際にも、これは建築確認につきましてはもうほとんど漏れがないという問題がございますけれども、その際にも必要な指導を行っていくように努力してまいりたいと思っております。
  29. 山中末治

    山中(末)委員 積極的な御答弁をいただきましたが、実は一例を挙げてみます。私が体験した一例です。  建築確認を出した。それをもらった。それは建築現場のよく見えるところに表示しておかなければならない。そのとおりやった。そしてそのときには、私の記憶では二回ぐらい建築主事が見えたように思うのですが、竣工のときに、竣工検査に出す所定のはがきがありますね。あれではがきを出した。そうしたら来てくれた。ちょうどその地域は準防地域でして、それで検査された。そうしたら、まず二階のガラス、それから下のガラス、これは普通のガラスではいけません、網入りガラスにしなさい、こういう指摘がありました。そのほかにも二、三あったのですが。そうすると、建築した工務店側はその日のうちに網入りのガラスとかえた。それはもちろん無料ですね。  それで、私はそういう経験が実はありましたので、これはさっき申し上げた法律の目的がうまく達成できるように、建築主事という人は相当強い権限といいますか、それを持っている。ところが工務店側は、検査されるのが要るのかどうかという判断をしますと、うちが引き受けてやっておるのだから違法なことはありませんよ、だから届けなんかもういいですよというような気分になっていないかどうか。  本来なら建築する側が、これはこういう届け出をしなければいけませんよ、それで竣工すれば竣工届を出して、そして検査を受けて、私も立ち会いをしますからということになるのが、教えるのが本当なんです。ところが、施主側は、先ほど言いましたように一生に一回ぐらい自分の家を建築するということですから、わからぬわけですね。そうすると、建築を請け負った側が教えてやるか、もしくは法律で書いてありますようにいわゆる設計者ですか、そういう方に設計を見てもらって、その方の設計監理、その書類もつけて建築確認を出さぬとこれは受け付けられませんね。  ところが、これが名前だけになってしまっている場合が非常に多いのではないか。受け付けられぬから、何がしかのお金を払って、そして判こをついてもらう。その限りにおいてはその設計書は間違いのない設計書なんですね、責任を持ってやっていますから。あと検査とかそういうときにはやって来ない。そこまで施主は知らない。ということがあって、せっかく法令等で規定されているのにこれは空文化してしまっている。こういう例に実は私も行き当たったことがあるのです。  ですから、この問題については今局長がおっしゃったように無届けが多い。これは届け出しなさいよ、これは建てる方の利益を守るためにやるんですよということ。それから建築する側にも、こういう届け出を知っていますから、これを徹底する。これが野放しになると不法建築がだんだん出てきますから。不法建築というのは一回建ってしまうとなかなか取り壊しは難しいようですね。今度さわるときにはちょっと道から引っ込めろよとか何かそういうことでしかりながら、始末書をとりながら、おさめていかざるを得ないというのが全国各地にいろいろある。  そういうものがだんだん出てくる。大変だと思いますので、私はお願いしたいのですが、なるべく早く各都道府県等に対して、あるいはまた業界といいますか設計者等に対して、そのような指導の文書とかそういうものを出していただきたいと思います。繰り返しますが、もう一回御答弁いただきたい。
  30. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 まことにごもっともな御指摘だと思います。ただ、例えば施主、確かに一生に一回というようなことでなかなか御存じないということがあると思いますが、これは四十七年度からずっとそういう週間を設定しましてPRに努めておるわけでございますが、さらにそういうものを強力に進めていきたいと思います。  それから先生のおっしゃっていた点に関連しまして、恐らく中間検査という問題が出てくるのではないかと思います。中間検査につきましては、基準法上性義務づけられてはおりません。しかしながら、違法のおそれがある場合など必要な場合には施工状況などを報告させたりあるいは立入検査を行うということができることになっております。したがいまして、こういった制度を活用しまして、適正な工事施工あるいは工事監理といったようなものが行われるように指導してまいっているところでございますが、御指摘の点、今後とも一層強力に指導してまいりたいと思っております。
  31. 山中末治

    山中(末)委員 局長、どうもありがとうございました。ひとつ徹底していただきたいと思います。  私は、きょうは住宅の法案でございますので住宅だけに絞って申し上げたのです。ですから、建築基準法ということになりましたけれども、そのほかにも国や地方公共団体がぜひともやらなければならないことが随分あると思うのです。今申し上げた趣旨は、何か規制緩和とか人減らしとか予算減らしとかそういうことがかねや太鼓でどんどんやられるけれども、その裏にある、法律で決められた仕事はきちっとやるということが一般的に忘れられがちになっている。これに対して何とかこういうものがございますから十分ひとつよろしくお願いしますよということが、実は申し上げた趣旨なんです。ですから、余り緩める緩めるということで何でもかんでも緩める方向に行って、検査をしたり、ぜひともやらなければならないことがそれにくっついていって、もういいだろうということになってきたら大変だと思いますので、建築基準法だけに焦点を絞って申し上げましたが、まだほかにもこういう例が、しなければならないというものが法令の中にたくさんあると思うのです。そういう点で、建設省の方も都道府県、市町村の方も、余り人減らしをしてそれに対応できないようになってしまったら今度はそれの裏が出てくる、そういうことを特に強く要望を申し上げておきたいと思います。  時間が少々残っておりますけれども、積極的な御答弁をいただきましたので、私の質問はこれで終わらしていただきます。ありがとうございました。
  32. 保岡興治

    保岡委員長 午後一時より委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十時四十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時開議
  33. 保岡興治

    保岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本案審査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁高橋国一郎君、理事戸谷是公君、住宅都市整備公団総裁丸山良仁君、理事吉田公二君、理事倉茂周明君及び理事京須實君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――
  35. 保岡興治

    保岡委員長 質疑を続行いたします。上野建一君。
  36. 上野建一

    上野委員 本委員会にかけられております住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案、これについて質問をいたしたいと思います。  まず、先ほど答弁がありましたけれども、今度のこの金融公庫法外一件に関する関係では、いわゆる内需拡大ということが一つの大きな前提になっておると思います。ほかのことも内需拡大に全体としてあるようですけれども、しかし一番内需拡大にとって重要なのはやはり住宅であり、あるいは下水道関係が一番中心にならなければならぬ、私どもはそう思っております。そこで、今度のこの計画ではわずか二万戸にすぎない。やらないよりはいい。我々も最初からもっとこの枠の拡大を今年度の当初予算でも強く求めてきたわけでありますから、それ自体については結構なことだと思います。しかし、内需拡大というのは、どちらかというと外圧によって内政を左右するというような姿勢というのは私は余りいいことではない、やるなら最初からやるべきじゃないのか、こう思います。  そういう意味で、第一に質問したいのは、一体これは内需拡大というご士についてはどの程度の効果があるのか、甚だ疑問でありますので、まずその点からお聞きいたしたい、こう思います。  それから、この当初予算でやれば、この拡大の分の利子も安く五・五%でいくはずなんだけれども、今度のは利子が高い、こういうことになるわけなんですけれども、そこでこの内需拡大という観点でいくならこの利子もやはり下げなければいかぬじゃないのか、今間に合わないというなら来年度予算でこれは何とかできないのか、こういうふうに思われますが、この点についても一つお伺いいたしたい。  それから三つ目は、住宅をつくるということ、これは内需拡大にとって非常に大きな役割を果たすと私思います。ただ、うちを建てる人にこの程度の金を貸しただけではどうにもならぬので、本当に拡大しようと思ったら宅地を何とかしなければいかぬと思うのです。宅地もないのにうちを建てるわけにいかぬのですよ、空中にうちを建てるわけにいかぬのですから。今一番困っているのは土地の問題なんです。ですから、その土地をどう安く提供できるか、もう民間では無理な状態があるわけですから、それはやはり公的な立場で、住宅を建てるために土地を確保しなければいかぬのじゃないか、そういう点についてはいかなる施策を用意されているのか、この点を三つ目としてお伺いいたします。
  37. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 まず私から、お尋ねの一点目と二点目についてお答え申し上げます。  第一点目の効果でございますけれども、今回お願いしております法律によりまして特別の割り増し貸し付けを行うわけでございます。  それで金利が六・八五%ということでございます。もしその同額の民間ローンを借りますと金利が七・三八%でございまして、それに比べて全体の効果として、五・五%でも借ります、そういったようなものを含めて全体で、つまり公庫融資を含めました借入金全体の金利が〇・二%下がるというふうに計算をしておるわけでございます。  そこで、実質可処分所得でありますとかあるいは建築費の指数でありますとか、そういったいろいろな要素から成っております着工戸数の推計式がございますが、そこにこの〇・二という金利の低下というのを入れていろいろ計算いたしますと、二万戸という数字が出てくるということでございます。これはいわば経験則によった数字であるということでございます。  それから、ただいまのは戸数の増加でございますけれども、これはなるべく法律を早く通していただいて施行したいと考えておるわけですが、それは一つには六十年度の下期に既に住宅建設計画されておられる方もおるわけでございまして、もしこの特別割り増し措置がそういう方々に適用されるということになりますと、それを活用して住宅の質の向上が行われるのではないかということを期待しておるわけでございます。  したがいまして、こういった戸数の増加効果あるいは質の向上効果ということから、下期におきます公庫の申し込み受け付けベースということで計算いたしますと、四千九百億円、約五千億という効果というふうに考えておるわけでございます。  それから二点目の金利を下げるべきではないか。確かに御指摘のような点があるわけでございますが、先ほど午前中の委員会でも申し上げましたように、予算については年末にやるというような前提がございましてこういうことになったわけでございまして、我々は六十一年度の概算要求において例えば五・五%分の八十万円の引き上げというような概算要求を出しているわけでございまして、そういったものを鋭意その実現に努力いたしたいというふうに考えております。
  38. 清水達雄

    清水(達)政府委員 宅地供給の促進策でございますけれども、やはり公的も民間もそれぞれ事業促進を図っていかなければならないというふうに考えているわけでございます。  最近の状況といたしまして、まとまった素地の取得が非常に困難になっているということ、それから住宅地の地価の上昇がとまっているというようなこともありまして、事業の採算が悪化している、それから一部の公共団体におきまして開発抑制策がとられているというふうなことで、非常に今宅地開発が停滞しているわけでございますが、これらに対しましては、建設省としては従来から、公的宅地開発の推進、それから公庫融資による民間宅地開発の推進、それから関連公共公益施設整備の推進、これにつきましては昭和六十年度では苦しい財政状況ではございますが促進費の国費を一千億から一千五十億にふやしたというようなことをやっております。  それから宅地開発の舞台であります線引きの見直し、それから開発許可の適切な運用あるいは都市再開発による土地の高度利用、土地税制改善といった総合的な施策を進めているわけでございますけれども、特に今後は宅地開発等指導要綱の行き過ぎ是正、これは五十八年八月に事務次官通達で具体的な施設整備水準など示して行き過ぎ是正をやっておりますけれども、これをさらに徹底し、それから開発許可事務が非常に長期を要するというふうな御批判もありますが、これにつきまして具体的な事務処理手続のマニュアルなどをつくりまして、一層の簡素化、迅速化を図るといった、こういうことで宅地開発コストを低減していきたいというところに力を入れていきたい。  それから、最近公共団体におきましては、単にベッドタウンじゃ困るということで、複合的な町づくりを求めているわけでございます。そこで主としてこれは公的宅地開発事業の制度につきまして複合的な機能を備えたニュータウン開発ができるような制度改善、これを目下検討中でございます。  それからさらに、何といいましても、市街化区域内の土地の有効利用を進めるということが一番大事でございますが、これにつきましては、区画整理事業につきまして、民間デベロッパーが組合施行であっても業務代行をやって、大いにできるようにというような促進策をやっておりますが、さらに法制審議会で検討が開始されております借地法の改正問題、これは非常に大きな問題であろうと思います。それから、信託制度の活用といったふうなところに力点を置いて、供給の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  39. 上野建一

    上野委員 余り効果的な施策というのはあらわれないようですけれども、これはもうぜひやってもらわなければならぬことがあります。  少し要望も含めますけれども一つは来年度予算説明を聞きますと、来年度予算要求の中で既に今年度よりプラスというのがないんですよね。住宅にしても下水道にしても、いわゆる内需拡大になるようなものは、やり方によって多少ふやしているところもあるようだけれども、ほとんど変わりないと考えていいようです。そうなると、内需拡大は五千億の効果がある、こういうふうに言われていましたけれども、続かないんだよね、実際は続いていない。ことしよりも来年がさらにそうならなければいかぬはずなのに、実際はなっていない。こういうことなどを含めて考えると、やはりもっと建設省が積極的にやらないといかぬのじゃないだろうか。  特に、いろいろな今までの規制の解除を次々と考えているようですけれども、規制だけ外すということになると、結局何かというと民間のデベロッパーに利益になるような形しか残らないので、もっと積極的に県がやれるように、あるいは市もやれるように、やはり予算をもっと獲得しないといかぬだろう、こういうふうに思います。  住宅について今聞きましたが、下水道についてもそうなんですね。下水道こそ内需拡大に非常に大きな役割を果たすんじゃないか。しかもそれが貿易摩擦にはね返っていかない意味でも、産業基盤の整備をやればまたはね返っていくわけですから、そういうのじゃなくて、住宅とか下水道とかというものにもっと力を入れるべきだ。  それから、河川局長にもお願いしておきたいのですけれども、やはり中小河川などの改修をもっとスピードを上げでやってもらいたい、こう思います。ですから、そこら辺のところは、やはり内需拡大に向けて総合的に公共事業をやらなければいかぬのじゃないかと思うのですけれども、これは大臣が帰ってきてからちょっと聞きますが、そこら辺の大きな点を含めてやらないと効果がないと思います。  そこで、一つだけ例として挙げて、やるべきだと思っているのは、実は市営住宅の場合、これはやはり依然として要求があるわけです。市営住宅は低所得者を含めて大変要求がある。ところが、市営住宅の場合に、調整区域に建てられないようになっているんですね。しかし、それを何とかしろということで、これは検討しますということになっているんですが、なかなか進まない。  例えば東京の近郊都市の場合には土地が高くて手に入らぬのです。そこで調整区域なら何とかなるということになるのだけれども、今ある市営住宅、そのわきにも建てていかぬというのですね。それじゃどう考えてもおかしいので、払いつかの委員会で申し上げたら、それは検討しましてやりますというのだけれども。まださっぱりあらわれてないのです。だから、これはひとつ具体的に検討してもらって、今ある市営住宅のわきに建てられるぐらいのことはやるべきじゃないか、こう思うのだけれども、それについて積極的にやる気があるかどうか、これは局長に聞いておきたいと思います。  それから大臣、実は今度の法案を見ましてもほんのわずかなんですね、内需拡大といったって。そうすると、下水道住宅、それから河川の改修など、建設省の公共的な事業をもっと拡大しないとだめだと思うのです。それからまた、そういう要求も非常に強いわけです。ところが、今度の予算要求を見るとそれが数字になってあらわれてないのですよ、要求の中にすら。だから建設大臣、これについてもうちょっと何か方法を考えているのですか。それの何か積極策があるなら、この際聞かしてもらいたいと思うのですが……。
  40. 高橋進

    高橋(進)政府委員 数字等について私からお答えさせていただきたいと思います。  今先生のおっしゃいますように、来年度の概算要求内需振興のために十分かどうかという御懸念がございましたけれども、御承知のとおりの現下の財政事情等によりまして厳しい概算要求基準というものが定められております。その結果、建設省としては国費四兆三千二百八十二億円ということで対前年度二%マイナスということになっています。ただ、事業費ベースといたしましては、基本的に社会資本の充実ということを計画的にやらなきゃいかぬということもございますし、また内需振興という今おっしゃったような観点もございまして、いろいろ工夫いたしまして、一般公共事業費の事業費ベースで申し上げますと対前年度七%増の要求をいたしております。国費の有効活用、財政投融資資金の活用、民間活力の積極的活用、いろいろな工夫を要求段階でして、そういった事業費の確保ということにつきましてはそれなりのものを要求しているということでございまして、十分かどうかという点にはいろいろ議論があろうかと思いますが、今後はこの要求の実現に向けて最大限努力を払って、できるだけ内需の振興にも資するようにしたいと考えております。
  41. 木部佳昭

    木部国務大臣 今上野先生から御指摘いただきましたように、私どもといたしましても、こういう内需拡大というような非常に大事なときでございますから、もう少し総合的に、こういう機会にこそ社会資本の充実に前向きで努力をしたいというふうな気持ちは実は十分認識をいたしておるところでございます。しかしまた一方では、御承知のとおり建設国債を発行して大いにあれした方がいいだろうというような考えもございます。しかしまた一方では、財政がこれ以上膨れ上がってしまって、これ以上建設国債を出すということになるとさまざまな問題が派生的に出てくるというような、そういう問題も実はございますし、また財政再建というような、我々が何としても半ばにして挫折することができないような、そういう問題もあるわけです。  そういう中にありまして、今官房長から六十一年度の予算編成に関する数字のことにつきましては御答弁申し上げたようなことでございますが、私ども、例えば公共事業のうちで下水道、公園その他の五カ年計画につきましてももちろん六十一年度の予算要求に出しておりますが、一方では道路財源の確保も図っていかなきゃなりませんし、また治山治水の環境を充実するために流水占用料制度の創設の問題なんかも一応お願いをいたしておるわけです。  そういうふうなことで、また都市の再開発、それから東京湾の横断道路の大型プロジェクトの推進の問題、そういう問題等につきましても民間活力の活用ということによって事業の推進を図るような、そういう努力もいたしたい、こういうふうなことでいろいろそうした問題につきましての基本的なあり方を今一生懸命研究し検討しているさなかでございます。
  42. 上野建一

    上野委員 さっきの市営住宅の問題は、推進してもらえればいいです。こういう時期ですから、建てられるようにもっと積極的に指導してもらいたい。時間がありませんから、答弁の方は後でゆっくり聞きます。  そこで、今大臣も大きなプロジェクトとして東京湾横断道の問題を挙げられましたが、実は内需拡大、そして民間活力という中曽根内閣の表看板、これとの関連でこれからも建設行政でいろいろな問題が出てくると思います。そこできょうは、東京湾横断道と内需、それから民活の関連で若干質問をしておきたいと思います。  それで、こういう財政困難な中で東京湾横断道という一兆円事業をやる、こういうことを決意されているようで、「昭和六十一年度道路関係予算概算要求概要」というものにも「東京湾横断道路建設に着手する。」こう明確にされています。私は、「着手する。」と書かれていること、それから建設省が決意されていること、これに少し疑問があるのでその観点からもお伺いしたいと思うのですが、特に最初に、着手するからには調査なりいろいろな対策なり、そういうものが明確でなければいかぬと思うのです。ところが、まだ事業主体も決まっていない、それから調査報告も中間報告。中間報告だってかなり詳しくちゃんと書いてあればいいけれども、大体今まで出たことをまとめてあるような感じ、そして大事なところは後ろにあるのでしょうけれども出てこない、そういう状態。そういう準備不足な中で進められているわけで、大変疑問があります。  そこで、順次お伺いしますが、道路公団の高橋総裁、きょうは参考人として御苦労さんですが、あなたのところでこの調査、中間報告をまとめられたわけですね。「東京湾横断道路調査(中間報告)」、ことしの九月に出されているわけですけれども、もう着手すると言っているのにあなたのところはまだ中間報告なんですね。これは一体どう考えられますか。着手するというのはちょっと無理じゃないでしょうかね。あなたのところは中間報告で、まだ検討しなければならぬということが随所に出てきますよ。それはどうでしょう。
  43. 高橋国一郎

    高橋参考人 東京湾横断道路調査につきましては、先生御承知と思いますけれども昭和四十一年に建設省調査に着手しまして、その後日本道路公団で五十一年からこの調査を引き続き行っております。現段階ではほとんどその調査の主要部分が終わりまして、あとわずかに残っておりますが、これも年度内には完全に調査が終わると私ども考えております。したがいまして、来年度、六十一年度には工事にかかることができると判断したわけでございます。
  44. 上野建一

    上野委員 調査を終わるとすぐかかれるものじゃないでしょう。調査をもとにして検討しなければならぬでしょう。あなたのところは調査を出せば仕事ができるわけじゃないのです、あなたのところでやる気かどうか知らぬけれども。それは調査が終われば事務的にはできますよ。できるけれども、さらにそれから検討しなければいかぬでしょう。あなたのところでやったものが全部万全かどうかも含めてやらなければならぬ。ところが、年度内にはできると言ったって、もう年度が終わればすぐ予算がついて、やるという構えになっているわけですね。  調査が大分進んでいると聞きますが、あなた方自体がなぜ、終わっているなら調査の過程でもっと中間報告をどんどん出さないのですか。そして、もう少ししか残っていませんよというような調査をなぜ出さないのですか。調査費だけで百十七億四千万、これだけ使われている。あなたのところに移ってからだけでももう来年で十年ですね。そういうことから考えてどうもおかしいじゃないか。あるいはわかっているのに我々をつんぼ桟敷に置いて、やることだけどんどん進めようとするのか。そこら辺のところを総裁は一体どう考えているのか。  それから、具体的に一つだけお伺いしますが、この中で一番大事なのは、ある意味では工法その他も大事ですけれども資金計画じゃないですか。これはどういう事業としてやるのか、どういう資金計画で、そしてその資金はどういうふうに集めて、しかも事業主体はどこでやるのか、これが明確でないといかぬと思うのです。そしてさらに、この中でも明らかでないのですが、四車線、将来六車線にするのだけれども四車線でとりあえずやるということの中で、八千億のお金予算としてある。ところが内訳が全然わからない。その内訳を明らかにしていただけますか。それから前に質問した点、重ねてお願いします。
  45. 高橋国一郎

    高橋参考人 最初の資金計画等が調査に載ってないというふうな御指摘でございましたが、御承知のように、どこでこの工事を行うか、つまり事業主体が現在まだ決定しておりません。これは、政府御当局でもって現在検討中というふうに聞いております。したがいまして、そういう段階で、私ども政府と相談の上、私どもの一般有料道路一つとして予算要求をさせていただいた次第でございます。  今度の中間報告の中には事業の採算性とか資金計画等が載ってないということでございますが、中間報告は、これまで行ってきました経済調査、環境調査あるいは船舶航行調査、技術調査、漁業調査等につきまして調査が既に終わっておりますので、これらを取りまとめたものでございますが、採算性とか資金計画等というのは事業主体が決まらないと計画をつくれるものじゃございません。したがいまして、現段階において資金計画とかそういうものについて、私ども道路公団として調査すべき対象じゃないというふうに考えておりますので、触れておりません。  それから、八千億の内訳は、八千億のうち工費が七千億になっております。その工費のうちトンネルに要する費用が約三千億、途中にできます人工島がございますが、人工島に要する費用が約二千六百億、それから木更津側にできます橋梁の方の費用が千百億、その他関連の施設等が三百億、合わせて工費が七千億でございます。その他に一千億という数字がございますが、これは測量費、試験費、用地補償費その他一切が含まれて一応一千億というふうに計上したわけでございます。
  46. 上野建一

    上野委員 公団総裁事業主体が決まってないから資金計画ができない、こう言うんだけれども、あなたのところでは一般有料道路として予算要求しているわけでしょう。これは一体どういうことですか。まだどこでやるかも決まらないのになぜ予算要求するのですか。こんなばかなことがありますか。
  47. 高橋国一郎

    高橋参考人 今ほど申し上げましたように、政府との相談の結果、とりあえず日本道路公団で来年の予算要求をするようにという御指示がございまして、そのため、日本道路公団としてもし取り上げるならば一般有料道路でございますので、一般有料道路として計上させてもらったわけでございます。
  48. 上野建一

    上野委員 そうすると政府の方に聞かなければだめですね。  これは大臣、今申し上げたとおりで、決まってない。決まってないのに予算としては六十億、そのうち五十五億が実際の要求予算で、あとの五億はまだ調査費として合計六十億ですね。これは一体どういうことですかね。事業主体も決まらないのに道路公団に予算要求さしている。しかも先ほど言いましたように、まだ準備と呼ばれるのが我我から見ると整ってない。事業主体も含めて準備だと私は思うのです。  そういうことですから、例えば第三セクターでやるならこの予算要求はまだ変わってくるわけで、そういうこともあるし、これはおかしい予算要求の仕方じゃないかと思うし、それから、まだ十分な議論もされてないうちに、調査も終わってない、そして議論すべき材料が全部そろってないという段階で、なぜこんなに焦らなきゃならぬのか、急がなきゃならぬのか。前の閣議決定も六十二年度までに着手すればいいということになっている。来年は六十一年度ですよね。閣議決定の趣旨からいっても、六十二年度までですから、まだゆとりがあるのですよね。そういう意味ではどう考えればいいのか、大臣の御意見をお聞きしたい。
  49. 萩原浩

    ○萩原政府委員 数字のことについて私から御説明さしていただきます。  ただいま先生御指摘の五十五億あるいは五億というお話がございましたけれども、五十五億は着工のための実際の工費といいますか準備費でございます。それから五億は調査費でございますが、先ほど先生御指摘の、六十年度中に調査が終わったのに、後何をやるのかというような御指摘でございましたけれども、これは事業主体が決まりました後、今度は実際に環境アセスメントその他の業務をやらなければなりません。これは事業主体がやることになっております。そしてこの環境アセスメントその他の手続が終わりまして、完全に事業オーケーということになりまして初めて事業費が使えるということでございますから、その環境アセスメントその他の経費はその調査費ということで使わしていただきたいということで要求を申し上げているものでございます。  なお横断道路につきましては、首都圏の広域幹線道路網の形成の上で極めて重要なものであるということで、私どもはできるだけ早くこの事業に着手をいたしたいということを考えておりまして、できたら六十二年度までには何とかしたいということを考えておりましたけれども先ほどのように調査もある程度進みましたし、この作業に何とか着工さしていただけないかということで予算要求さしていただいたものでございます。  それに対しまして、御指摘のように、資金構成であるとか事業主体というものについては引き続き検討するということで要求をさしていただいておりまして、これが検討が終わりまして、もし要求内容が変わるということになりますれば改要求をさせていただきたい、私どもは事務的に考えておるものでございます。
  50. 上野建一

    上野委員 この五十五億の中身は何ですか。実際具体的には何を考えていますか。
  51. 萩原浩

    ○萩原政府委員 五十五億につきましては測量試験費と私ども称しているものでございまして、具体的に詳しい測量、現在測量もある程度終わっておりますが、詳しい測量をやったり、あるいはさらに詳しい図面をつくりまして施行計画を立てて、その次に例えば用地買収に入る準備をしていく、こういうものでございます。
  52. 木部佳昭

    木部国務大臣 この東京湾の横断道路調査につきましては、もう二十年近くも公団が中心になっていろいろ調査を進めてまいったところであります。大体、約百二十億近い資金を投入していろいろ調査を進めておったわけでございます。  私どもといたしましては、先ほど私申し上げましたように、この東京湾の横断道路につきましては、東京湾全体のネットワークの形成、それから防災とか、そういう問題等を非常に加味した実は大変広範な道路整備計画であるというふうに理解をいたしております。したがいまして、昭和六十一年度の予算概算要求に、今も道路局長から申し上げましたようなことで予算要求をさせていただいたわけでございます。  で、今御指摘いただきました事業主体その他につきましては、第三セクターの方式を含めて幅広くこれから私どもは鋭意検討していこう、そういうふうな考え方で基本的にはおるわけでございます。
  53. 上野建一

    上野委員 それではもうちょっと突っ込んで聞きたいと思うのですけれども事業主体が決まらない原因というのはなぜなのか、片方でどんどん予算要求までして急いでいるのに、しかも道路公団から予算要求が出ているのに、道路公団にはやらせないでほかのところにやらせようとしているのか、そこのところをもうちょっと明確にしてもらいたいと思うのです。  それで、民活ということでやるとなると、その第三セクターというのが出てくるんだろうと思うのですが、この第三セクターの問題、事業主体の問題は、道路公団では一切検討してないわけですね。これはもう建設省ですね。  そこで、建設省に専らお聞きしますが、これは具体的な問題の方がいいと思います。十一月の六日に帝国ホテルでいわゆるこの横断道の期成同盟、新日鉄の会長が代表幹事のようでありますけれども、ここでこの会議が行われて第三セクターが練られた。これは一部新聞に報道されておりますけれども、そこに沓掛技監と佐藤総務審議官が出ておる、こういうことのようですが、これによりますと、資本金は六百億、まあ関西空港より少し多いですが六百億、工事費として利子などを入れると一兆一千億になる、こういうことのようで、しかも、その際に強く要求されているのは免税債、これを約八千億発行したい、こういう内容のようであります。  この免税債というのも問題があるのですけれども一つずつ聞きますと、この事業主体と期成同盟の第三セクターの関係は一体どうなのか。わざわざ建設省から最高幹部のお二人が出られた、こういうことですから、これは第三セクターでやる気かなというふうに我々は受けとめるのですけれども、実際にできるのかどうか。それから免税債については大蔵省が強く反対している、こう聞いておるのですけれども建設大臣はこれを押し切る覚悟あるいは見通し、そういうものがあるのかどうか。答弁を明確にひとつお願いしたいと思います。
  54. 高橋進

    高橋(進)政府委員 先生今の御指摘の、民間の学識経験者を中心にしての研究会がございますことはそのとおりでございます。それに学識経験者といたしまして建設省の技監と総務審議官も参加しているというものでございますが、これにつきましては主として民間サイド、それから学者の先生方が参加して東京湾横断道路についていろいろな観点からの検討を加えているものでございます。  これにつきましては現在大分議論は進んでおるようでございますが、現在のところまだ正式に最終的な報告書がまとまってはいないようでございまして、最終段階にきておるようでございますけれども、最終の正式なものはまだいただいておりません。そういった民間の学識経験者を中心にしての御意見が報告として出れば、これはまたいろいろの観点から参考にしてまいりたいと思っております。  なお、事業主体がまだ固まっておりませんけれども、仮に第三セクターというようなことになったらそれとの関係でどうかということでございますが、直接にその研究会とかかわりがあるというふうには承知しておりません。
  55. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほども申し上げましたように、事業主体につきましては第三セクターを含めて幅広く私どもはお願いをしたい、こういうふうに考えておるわけです。今、予算概算要求段階でございますから、できれば政府予算案が決まるまでの間にそういう方向も決着をつけたい、そういう考え方で実はおるわけでございます。  それから、民間活力の導入の方策としまして、答えになるかどうかわかりませんが、やはり一番大事な問題は、皆さん方に、技術的な協力ももちろんでございますが、もし第三セクターでやる場合には、経済的にも、また技術的にも、資金的にも幅広い協力を得なければならぬと私は思っておるわけです。  私も、実はこれは耳学問でありますが、日露戦争が終わった後免税債を出したこともあるし、それから関東の大震災の後、復興のために何かそういう制度に近いものを発行したこともあるということを承っておるわけです。それとは、その時代、またそのときの経済的要件、その他社会全体も全然対象にはなりませんけれども、今私が申し上げましたように、幅広い技術的な御協力や、また資金的、資本的なそういう御協力をいただくという場合には、民活の理念というものは、先生も御指摘になりましたが、やはり何といっても広く皆さん方の御支援をいただくということが大事であろう、そういうふうにこれからお願いをしたいという考え方であります。
  56. 上野建一

    上野委員 どうもさっぱりはっきりしないのですが、予算編成の時期といったってもうすぐなんですよ。すぐなんだから、それでいろいろ検討しておるということだろうと思うのですけれども、免税債一つとっても、どうなんですか、大臣は免税債を要求しているのですか、財政当局とかけ合っているのですか、それともこれはだめだとあきらめているのですか。
  57. 木部佳昭

    木部国務大臣 私どもといたしましては、六十一年度の税制の中にお願いをして、案は項目にも入れて要求をいたしておる次第であります。
  58. 上野建一

    上野委員 それでは、免税債を要求しているんだがら、免税債が通れば第三セクターでやりたい、こういうことでしょうね、民活との関連では。そう受けとめてお聞きしたいのですが……。  そこで問題は、民活、民活と言うけれども、性急に民活を活用したり、それから民需の拡大だと称していろいろなことをやると、結果的には、いろいろなことをやるんだけれども、公的資金が結局は後始末に使われる、こういう可能性が強いんじゃないだろうか。特に、横断道の場合はどうも採算がとれないのですね。いろいろ僕らも我々なりに検討してみるのですけれども、三十年かかっても採算はどうも無理だ。もちろん利子が非常に安いものをやればいいんだけれども、しかしそれをやるには、今の免税債じゃないけれども、税金が入らないようになっている、税金をストップしてやるということになりますから。簡単に言えば、これは税金をまけてやるやつですから税金は入らない、こうなりますが、それに、やったとしてもどうも採算が合わない。  そこで、例えば国鉄と民鉄を考えた場合、民鉄がなぜやっているのかと言えば、鉄道自体でもうけているわけじゃないのですね。駅をつくろうという周辺とかそのあたりの開発の土地を買い占めておいて、そこで鉄道を敷いて、その土地を売ったりなんかして不動産でもうけている、それが民間鉄道で、国鉄はそのまねはできませんから赤字だ。これは上越新幹線を見てもそのとおりで、そうなるわけです。  ところが今度の場合も、橋だけではこれはどう考えても採算がとれない、とれないからいろいろなことをやらなければならぬことになりますが、結局は何かと言えば、公共的な国の財産が使われる。あるいは第三セクターにしても、地方自治体にも結局金を出させるわけでしょう、県とか市に。そういうことになりますね。だから、そこら辺のことを考えますと、どうもこの採算の見通しというものはよくわからなくなるし、非常に無理じゃないだろうか、こう思われる。  そこへ、何か出発だけはあたかもうまくいくような、それで資本金として六百億集める。関西空港の場合には四百八十億ですか、集まったそうですけれども、しかし、空港の場合はいろいろな商売があるのですね、仕事がいっぱいあるわけです。ところが、車を通す道路の場合には余り商売というのはないのです。空港にはそば屋まであるわけですけれども、橋には、十五キロで十五分くらいで行ってしまうところにそば屋はないですね。そうなりますと、商売としてもない。だからそういう意味では、これはいわゆる第三セクターということ自体も非常に疑問になってくるのです。  そこで、そこら辺のところをどう考えるのか、採算が合って第三セクターなのか、採算が合わないから第三セクターにしようとするのか、これをひとつ明確に答えていただけませんか。  それから、私は前に、去年の五月十八日、この委員会で質問をいたしまして、どうもこの東京湾横断道の関係で千葉県内の土地が買い占められている、そういうことが専らなんだけれども国土庁は調べたか、それから、そういうことはどうなんだと聞いたら、稻村国土庁長官から、そういうことは調べましたけれどもありません、こういう答弁があった。ところが、ことしになってから千葉県議会で千葉県知事も、大変多くの土地を新日鉄の系統の関係で買い占められている、こういうことを認めたのです。  だからこれは、国土庁長官はやあてしまったけれども、しかし国土庁長官は国土庁を代表して発言したわけですから、今国土庁長官がいなければそれにかわる人が、一体これはどう考えるのか、それから、その国土庁調査というのは一体どういう調査なのか、この際明らかにしてもらいたい。この委員会答弁したことが一年もたたぬうちに違ったというのはけしからぬ話で、この点もひとつ国土庁の方から答弁をいただきたい、こう思います。
  59. 末吉興一

    ○末吉政府委員 昨年の長官の御答弁でございますが、上野先生の御質問に対しまして、東京湾横断道路の千葉県側である木更津周辺におきましては、千葉県側に調査をお願いいたしまして、いわゆる投機目的による買い占めとかそれによる価格の上昇という事実はありませんという報告を受けましたので、その旨答弁申し上げたところでございます。お尋ねに対しまして私の方の長官からは、今申し上げましたように、投機目的による買い占めとかそれによりまして土地の値段が上がったことはないということを申し上げたものでございます。  それで、今回再度お尋ねがございましたので千葉県の方に改めて照会をいたしたところでございますが、投機的な土地取引はございませんし、七月に行いました地価調査におきましても地価は非常に安定しておる状況でございます。  この問題につきまして千葉県議会においてもいろいろ御議論がなされたということも聞き及んでおりますが、これは去る十月の県議会におきましても千葉県知事は、新日鉄関連会社が土地を取得しているということは聞いておりますが、その実態は把握してない旨の答弁もなされているということはお伺いをいたしました。  私ども調査はどういう調査かというお尋ねでございますが、これは千葉県の方を通じまして調査しておるということでございます。
  60. 萩原浩

    ○萩原政府委員 先ほど官房長からお答え申し上げましたように、懇談会でいろいろな議論をされましてその最終報告に近いものが十一月六日に御討議されたと私ども承っております。しかしまだ最終的なものではございませんので、私どももそのものを受け取ってはございませんけれども、もしそれを受け取りましたら十分検討させていただきたいと思っております。  そのときに御討議されました案では、第三セクターでやればこういう形でうまくいく、あるいは道路公団ではこういう形だったらどうだろうかというケーススタディーをいろいろやっておられるということでございます。その結果、こういうことならば十分採算に合うということの結論的なものを一応その案ではお示しになっているというふうに聞いておりまして、私どもはそれらを全部勘案いたしまして、事業主体なり資金調達の方法について最終結論を出しまして、もし必要とあれば先ほど申し上げましたように改要求をさせていただきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  61. 上野建一

    上野委員 道路局長、そういう答弁じゃ困るのですよ。外部の研究会でしょう。外部の研究会よりも、あなたのところは一体どうしようとしておるのか。第三セクターでやる気なのか、あるいは道路公団でやったらどうなるのか、それはあなたが主体的に答弁したらいいじゃないですか。  私は一つの例として、こういうように外部から言われているじゃないですかと。今の話を聞くと、この結論が最終的にまとまったら検討してと言うが、では検討してこのとおりやるのですか。そんなばかな話はないでしょう。事業主体はあなたのところが考えるのですよ。そのあなたのところで考え事業主体は、どういう場合には一体どうなるかということはもう検討されているでしょう。だって、概算要求が決まるころ、予算政府案が決まるころまでというのだからもう来月だよ。もう一カ月しかないのにあなたは何を言っているのですか、今ごろ。もっとはっきりしなさいよ。こういう場合はこうだ、道路公団でやるにはこういうマイナスがある、金の面ではこういう不足がある、第三セクターでやればこういうプラスがあるのだからこういうふうに傾いているとか、何かもうちょっとはっきりしなさいよ。はっきりしなければもう質問できないじゃないですか。
  62. 萩原浩

    ○萩原政府委員 事業主体並びに資金調達の方法につきましては最終的にいろいろな検討をして決めたいと考えております。それで、そのいろいろなケースの場合には、例えば今御指摘がございました免税債というようなものもございますし、そのほか減価償却の方法であるとかいろいろなバリエーションがございますので、そのおのおのについて今鋭意検討しているところでございます。もちろん、あと二カ月弱でございますけれども、その間もなお検討を続けて、最終ぎりぎりまで検討を続けていくつもりでございます。
  63. 上野建一

    上野委員 その検討の内容を明らかにしなさいよ。第三セクターの場合はどうなの、それから道路公団ではどうなんですか。
  64. 萩原浩

    ○萩原政府委員 道路公団で従来方式でやります場合には、やはり資金コストを六%前後ぐらいには抑えませんと先生おっしゃいます採算性がとれません。利子が非常に高くなりますと料金を値上げしてもとても採算がとれなくなるわけでございますが、大体六%前後で採算がとれるであろうというふうに……(上野委員「それは何年後に」と呼ぶ)三十年後でございます。大体そういうことであれしておりますが、その資金コストを六%に下げるのに、現在の市中金利では七%を上回っておりますので、それをどうやって下げるかという問題がございます。  それで従来道路公団では、国から出資金を出す、あるいは国から利子補給を出すというような形でこの金利を埋めておったわけでございますけれども、今回、八千億、あるいは金利を全部含めますと一兆円になるような大プロジェクトでございますから、そのような出資金並びに利子補給というものが財政的に可能であるかという問題がございます。  一方におきまして、第三セクターでやりました場合には、当然のことながら金利の高いお金を使わざるを得ない。それから当然何らかの配当は必要になるでございましょう。当面は配当は必要ないと思いますが、いつかは配当が必要ということに相なりましょう。そこら辺を考えますと、六%ではちょっと採算に合わない、もう少し金利コストを下げなければ採算に合わないというような問題がございます。  そこら辺を全部いろいろなケースで検討いたしまして、現在の財政状況その他の中でどれが最適なものかということを最終的に決断することが必要であるということを先ほどから申し上げさしていただいているわけでございます。大変説明が悪くて申しわけございませんでした。
  65. 上野建一

    上野委員 いろいろ検討されている、その話は去年、おととしから聞いているのです。一年も二年もかかってまだ結論が出ないというばかなことはないのですよ。だから我々から見ると、そういう結論も出せないのに着手だけ先に急ぐというのは一体どういうことなのかということなんです。これはどう考えても、さっきの土地の問題もそうなんだけれども、利権絡みのことが先に立ってどうしようもないのですね。  例えば研究会と称するものだって、いわゆる橋をかけることによって自分のところの生産品――研究会は鉄とかセメントとか大きな建設業とか、そういうところがみんな集まっているのですね。JAPICなんというのはまさにそうでしょう。そういうところでいろいろ案を出して、それを待っていろいろ検討しているという。そうすると建設省の主体性なんてないじゃないですか。局長の言っているいろいろというのは、このいろいろな研究会の話なんでしょう。だから、そこら辺のところはもっと積極的に……。  それじゃもう一つ聞きますが、結論はいつ出すのですか。それから、予算要求をしているんだから、この予算要求道路公団で通ったら、後の手続を一体どうするのですか、それを聞きます。
  66. 萩原浩

    ○萩原政府委員 今の懇談会の報告も一つの参考にしたいということで私は申し上げたのでございまして、それを含めて幅広く検討さしていただいて最終案を決定するということでございます。  最終案をいつ決定するかということでございますが。これは政府予算原案の確定までにいたしたいということでございまして、まだいつというふうな日時を申し上げられる状況ではございません。(上野委員「いつといったって限度があるでしょう」と呼ぶ)政府予算原案の確定まででございます。
  67. 保岡興治

    保岡委員長 上野委員、発言を求めて質問してください。
  68. 上野建一

    上野委員 だから、いつが限度かと言っているのですよ。大臣に聞きましょう。
  69. 木部佳昭

    木部国務大臣 御承知のとおり予算編成は、例年のあれで申し上げれば年内に決着するということが原則で予算編成の案をつくるわけでございます。したがって、先ほど上野先生の方からいろいろ研究会その他の御意見もございましたが、私どもはこれだけ大きなまた重要な問題と取り組むわけでございますから、ぎりぎりのところまで幅広く皆さん方の意見を聞いて、そして一日も早くこれが建設され、また同時に国民のいろいろな経済的利便その他に対してもこたえられるようなすばらしいものをつくり、またそうした経済効果、採算の問題、あらゆる面で、これだけの大きな問題でございますから今一生懸命検討しておる。関西空港その他につきましても、これは一つのモデルでございますが、そういう対比なんかもいろいろ研究してやっておるわけです。  したがって、政府案が決定するまでには、もちろんこれは先ほど私が申し上げましたように第三セクターを含めどういう方向でするかということを決着をつけたい、こういうふうに思っております。
  70. 上野建一

    上野委員 時間が来ましたので端的に最後の質問をいたします。  一つ国土庁、これはきょう長官いないから次の機会でもいいのですけれども、せっかくきょう答弁しているのですから、私はその買い占めがあるかないかということを明確にしろということを言って、これに対してそういうことはないと言っているのだから、これはもう本当はけしからぬ話ですから許せないのですけれども、この際言っておくのは、新たに調査をしてもらいたい。そして投機のための買い占めかどうか、そういうことは後で判断すればいいことで、実際はどうなんだ、どの程度の土地がどこの会社によって買い占められているのか。これは重大なことですよ、この橋をかけるについては。それを国土庁は責任を持って調査し明確にしてもらいたい。千葉県なんかに任せないで、千葉県と一緒になってやってもらうのは結構だけれども、主体を持ってやってもらえるかどうか、これをひとつ明確にしてもらいたい。  それから大臣には要望しておきますが、これはまた一般質問もあるでしょうからその際また申し上げますけれども、この事業主体の問題についてはやはり早急に結論を出す必要があるだろうと思うのです。それもやらないで、ただ橋をかけますかけますでは、大体地方自治体にどれだけの負担をかけるのか、あるいは関連する事業はどうなるのか、これはいろいろ問題があるわけですね。それから料金だってそうでしょう。三千円と言っているけれども、三千円というのは五十七年の計算なんですね。それからもう何年かたっているわけだから、一体今の値段で幾らでやれるのか、そんなことも含めてもうそろそろ明確にしなければ、やると言ってもやる方がおかしいですよ、これだけの調査で。  それから道路公団の総裁に申し上げておきますが、こんな程度の調査で着工というのはどう考えてもおかしいです。それから、この調査が済んでいるなら一日も早く最終報告を出しなさいよ。総裁、これはいつまでに出せますか。最終報告は予算の編成のもっと前に出さなければだめでしょう。その点を最後にお聞きします。
  71. 保岡興治

    保岡委員長 きょう理事会で、時間内で質疑することを厳守しようという申し合わせがあります。既に時間が来ておりますので答弁は簡単明瞭にお願いします。
  72. 末吉興一

    ○末吉政府委員 国土利用計画法は、御存じのように投機目的の土地取引のチェックをするためでございまして、企業がどれくらい土地を保有しているかという見地からではございませんので、お尋ねの件につきましては、千葉県を通じまして私ども実情を把握する以外の点につきましては、国土利用計画法上からはなかなか困難でございます。
  73. 高橋国一郎

    高橋参考人 調査は、先ほど申し上げましたが若干残っているのです。今年度の調査費が残っておりますので、年度末を目指して最終的な取りまとめを急ぎたいと思います。若干新年度にかかるかもしれませんが、とりあえず急いでさせたいと思っております。
  74. 上野建一

    上野委員 それでは終わります。
  75. 保岡興治

    保岡委員長 井上泉君。
  76. 井上泉

    井上(泉)委員 住宅とか食糧とかいうものは人間が生きるための基本的な必須条件です。その点で私は法務省の人権擁護局の永井調査課長においでを願っておるわけですが、きょう質問の時間を省略する意味において大蔵住宅に関する差別事件、これは福岡で発生した問題ですが、これについての資料をコピーでお渡しをしたわけです。これをごらんになってどうお考えになったのか、その点……。
  77. 永井敬一

    ○永井説明員 御指摘の大蔵住宅事件につきましては資料をいただいております。この事案につきましては部落差別を助長する悪質な人権侵犯事件として東京法務局及び福岡法務局において調査及び啓発をしているところでありますが、当該ビラを配布している者は法務局職員の再三の啓発にもかかわらずいまだこれに応じておらず、同人は日常の生活を切り詰めてもこのビラの配布を続けると言っておるところでございます。  人権擁護機関といたしましては、今後も同人に対する啓発を続けていく所存ではございますが、これは余り期待できない面もございますので、むしろこのような差別を生む土壌をなくすための啓発に重点を置いて今後とも啓発活動を続けていきたいと考えております。
  78. 井上泉

    井上(泉)委員 課長が明確に差別問題だ、こう指摘されて、しかもこれは人権問題であるし、執拗にやっておるけれども、なかなか中村某なる者が承知をしないということで苦労なさっておる、こういうことであります。こういうようなことに対して、これだけ明らかに差別事件である、差別行為であるということであって、これには何ら取り締まる法律というようなものは別にないわけですが、これは今課長が言われるように総合的に差別意識の根源をなくするような対策が必要であるということは確かにそのとおりですが、差別をなくするものとしてはどういうものをお考えになっておるのか、人権擁護局として御検討もなさっておると思うので、なくするためにはどういうふうなことが行政の手に残されておるのか、ひとつお答えを願いたいと思います。
  79. 永井敬一

    ○永井説明員 人権擁護局といたしましては、これはその機関の性質自体が啓発機関でございまして、法的に強制するという要素はございません。したがいまして、私どもの方ではとにかく粘り強い啓発活動を今後とも続けていく、それによって差別を解消していくという方向を考えでございます。
  80. 井上泉

    井上(泉)委員 そういう非常に良心的なお考え方であるわけですから、なおその点については十分ひとつ関係機関とも連絡をとって啓発をしていただきたいと思うわけです。  これは大臣に、質問通告の内容の中にはなかったわけですけれども、こういうふうな住宅の問題でも、せっかく買うたその土地が同和地区だということによって住宅を買うことをやめたというようなことでトラブルを起こし、しかも部落ということを隠して人に住宅を売った、その大蔵住宅は不都合だと言って、その中身のものを福岡市内に全市域的にビラを配布しておるわけです。そういう差別を拡大していくようなやり方を現在の法的な面からは取り締まるものがない、こういうことを言われておるわけでありますが、それでは、なければそれをつくらなければいかぬ。  そういう点からも部落解放基本法というようなものが今問題として提起をされておるわけですが、こういうものをつくってでもやはりこういう差別行為の絶滅を期するということが必要であるかないか、ひとつ大臣の御見解を承っておきたいと思います。
  81. 木部佳昭

    木部国務大臣 人権が侵害されたりまた差別が行われるということは、もう民主主義の根幹に関する問題でございますので、そういうことがあってはなりませんし、また法があってもなくても、行政的には我々といたしましては行政を進める意味でいやしくもそうした問題の起こらないような最善の努力をしなければならぬ、こう考えております。
  82. 井上泉

    井上(泉)委員 もう一歩突っ込んでそういうことをするためにも、必要とあらば今問題になっておる基本法をつくるとか、あるいは同和問題に対する特別な立法を考えるとかというようなことも必要ではないかと思うわけですが、そういう点について考えは至らないですか。
  83. 木部佳昭

    木部国務大臣 検討させていただきたい、こういうふうに思っております。
  84. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣はまじめですから、検討をしたいというこの場限りの話ではなしに、建設省には随分私どももいろいろ同和に関連することで交渉もしておるわけですから、ひとつ部落解放基本法の制定に向けての運動の中身というものも検討していただきたいと思います。  そこで、きょう私は次に住宅金融公庫法改正に関連して申し上げるわけですが、この措置というものは今年度から来年度へかけての措置であるということから、来年度においても五・五%の金利はそのまま継続するということは間違いないでしょう。
  85. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 今度の時限的かつ緊急的措置ということで割り増し貸し付けということを行うようにお願いしておるわけでございますけれども、五・五%口のものにつきましては従来どおりでございます。また、来年度予算につきましてはその改善予算要求しているところでございまして、予算の時期に頑張りたいというふうに考えておるところでございます。
  86. 井上泉

    井上(泉)委員 現在の五・五%の金額だけではなしに、むしろこのたび増額になった分の利子もやはり従前どおりの五・五%にする努力をするというお気持ちでの今の答弁であったのでしょうか、どっちだったのでしょうか。
  87. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 今度の特別貸付枠は、従来の五・五%の貸付額というものが平均的な一定建設費の八割までについて貸す、その八割に加えてお貸しするというものでございまして、いわば従来の五・五%の貸し付けとは性質を異にするものであるということで、我々といたしましては、この臨時措置ではなくて本来的な五・五%のところの改善というものを求めていきたいというふうに考えております。
  88. 井上泉

    井上(泉)委員 五・五%の改善ということは、五・五%をもっと下げる要求をするということですか。
  89. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 言葉が足りませんで大変申しわけございません。五・五%について、例えば現行におきましては大都市地域木造住宅六百三十万円ということで、これは貸付限度額でございますが、これに対して土地費も含めますと八十万円増額するという要求概算要求でいたしておるところでございます。
  90. 井上泉

    井上(泉)委員 大臣、ひとつ五・五%の現行の金利は来年度も、この法律そのものも六十一年度にまたがっての住宅資金貸し付けに関する法律であるから、五・五%を堅持するということはもう大臣としては当然のことだと思うわけですが、それについての御意思を確認しておきたいと思います。
  91. 木部佳昭

    木部国務大臣 全力を挙げてこの維持のために頑張りたいと思っております。
  92. 井上泉

    井上(泉)委員 全力を挙げないときはないでしょう、いつでも全力を挙げてやっておるのだから。全力を挙げて五・五%の利子は、たとえ大蔵がどう言おうと国民の今日の住宅事情から考えてどうしても守らなければならぬ、こういう決意で臨んでいただきたいと私は思うわけであります。  そこで、内需拡大ということが今度の法律提案の大きなかなめになっておるわけですが、内需拡大ということでいろいろな面から考えまして、この法律によってではなしに、住宅を一万戸建設するという場合にはどれだけの需要、いわゆる必要資材、そういうようなものが金額的に今日の経済単価で必要でしょうか。
  93. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 木造住宅について申し上げたいと思いますが、御存じのとおり住宅は非常にすそ野の広い産業でございますので、例えば木材でありますとかセメント、砂利、砂、鉄鋼製品、ガラス等々が資材として必要なわけでございます。全体の住宅建設費に占める割合を見ますと、木材は約二六%強、それからセメント、砂利、砂、鉄鋼製品等、こういったものは約二九%ぐらい、労務費も四四%というような内訳になっております。  そこで、お尋ねの平均的な規模の木造住宅、これは例えば百二十五平米というものをとってみますと千四百万円、それぞれ今の割合に単価を掛けて足していきますと千四百万円になるということでございます。  なお、木材についてちょっと申し上げますと、木材使用量は十平方メートル当たりでございますとおおむね二立方メートル使うわけでございまして、先ほど申しました平均的な百二十五平米の住宅でございますと二十五立方メートルの木材が必要ということになるというふうに計算しております。
  94. 井上泉

    井上(泉)委員 今日本の住宅で木材を使用しておる中身というものは、国産材が三五%、外材が六五%。これは供給量もそうですけれども、使用量も大体が一般的にそういう状態になっておる。そういうふうな状態であるから、いわゆる日本の固有の資源である木材が売れなくて非常に困っておるわけです。そういう点からも山村への需要を拡大するためにも木材の使用を、せっかくこれだけの住宅の融資の法案を出しておるのですから、木材の需要を喚起するような政策をやはりこれと連動して行うということが当然の政策ではなかろうかと思うわけです。その点で、住宅局長、新しく来られて早々でありまするからまだそこまでの抱負を得ておるかどうかは知りませんけれども、少なくとも国産材を住宅建設の中で今の三五%を五〇%に引き上げるとかいうような形で国産材の使用が促進されるような、そういう行政的な対応というものはできないものかどうか。
  95. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 木造住宅は我が国の気候風土に非常に適しておることは私が今さら申し上げる必要もないわけでございます。しかも、国民が非常に愛着を持っておるということでニーズが強いわけでございます。したがいまして、そういう背景を踏まえながら建設省といたしましてもその振興に力を入れているところでございます。  したがって、このため、従来から木造公営住宅のパーセントが少しずつでありますが上がってきておりますが、例えば木造公営住宅建設を推進する「いえづくり’85プロジェクト」というものがございます。これは良質、低廉な木造在来工法住宅というものを促進するといいますか推進するためにコストダウン技術等の開発を行うプロジェクト、これはコンペ方式を使うプロジェクトでございますけれども、そういったもの等々によりまして木造住宅に関する技術の開発の施策を講じているところでございます。  昭和六十年度におきましては、金融公庫の融資につきまして特に国産材の使用を推進するという観点からも木造住宅の多い地域の融資限度額の引き上げを行っております。また、新たに地域木造住宅生産供給促進事業というものを実施しておりまして、地域の林業あるいは木材産業、そういったものとリンクして地域に適した木造住宅の供給促進を図るなど、各般の木造住宅の振興策を講じているところでございます。
  96. 井上泉

    井上(泉)委員 そういうことをやっておられるということでありますが、その中身は現実にどうなっておるか。その点はきょうここで論議する時間がありませんから省略しますが、次に、例えば高知県の青年林材協会で、いわゆる林業関係の若い者が集まって木材の需要を喚起するためにいろいろと研究をし、その中で六十五平方メートルの住宅をいわゆる杉、ヒノキ、こういう一等材というので五百八十万円で建設をしている。五百八十万といえば一平方メートルが八万五千円にしかならぬ。一坪が二十五、六万で仕上がる。こういうふうな非常に安くて立派なものができ上がっておるわけですが、これに対して高知県は、これはひとつ試験的だからということで四百万円の県の単独補助をこれに出してやっておる。そしてこれを普及したい。  大体、材を売っても、杉というのは下の方の材は非常に値がするけれども、上へいけばいくほど値が安い。値が安いだけではなしに、需要がないので山でそのまま腐らすという状態なのに着目をして、それを資源として、間伐材も含めて住宅を建てておるわけです。住宅局長、この住宅の話は聞いておりますか。
  97. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 大変勉強不足でございますが、今初めて先生から伺った次第でございます。
  98. 井上泉

    井上(泉)委員 私は、これは今後国産材を住宅の中に大量に使用していくための非常によい実験だ、こう思うわけです。  そこで、大臣にお伺いし、御意見を承りたいのですが、やはり日本の国は山というものを大事にしなければいかぬ。山というものは、それは岩があっても山といいますけれども木があるから山であって、その木が生産される。その木が十分な手入れがなされないがために、土石流とかいろいろなことで大災害を起こすというようなことで、この山の維持管理ということは非常に大事なことだ。だから、そこでこの山の維持管理をする上においても、そういう材を使用するようなことを行政は積極的に展開をせにゃいかぬと思うわけです。  そうした点は農林省との間においても十分連絡をとり、打ち合わせをされて、例えば高知県のこういう青年林材協会の若い者がその創意工夫を凝らして五百八十万で、写真もきょうは持ってきておりませんけれども、非常に立派な建物ができ上がっておるわけですから、住宅局にも忙しいでしょうけれども職員もたくさんおるようですから、それをひとつ職員を派遣をして、その状態を調査をするとかいうようなことをなされてはどうでしょうか。
  99. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 大臣答弁なさる前にちょっと私から申し上げたいと思います。  先ほど「いえづくり’85プロジェクト」ということを申し上げましたが、実は高知県のグループ杉の家というのがございまして、それが提案いたしまして、地場産材、木材でございますが、それを活用した杉の家というのが特別優秀提案というものに選ばれておりまして、五十九年度、六十年度、国が技術開発をそのグループに委託しているという事実がございますので、申し上げておきます。  それから、今御指摘のございました林野庁、農水省との関係でございますけれども建設省と農水省、林野庁でございますが、そこでは従来から担当課長による連絡会議を持っております。住宅建設等による木材需要の拡大につきましてお互いに協力しながら推進を図っていこうということで、いろいろ連絡をとり合っております。今後とも両省で十分協議をしながらその推進に努めてまいりたいと考えております。
  100. 井上泉

    井上(泉)委員 今、杉の何とか言いましたけれども、これは人が住めるような、いわゆる公庫の融資の対象になる住宅かどうか私知りませんけれども、今度この高知県青年林材協会の若い者がやったのは非常にすばらしく、これは本当に若い者が、そしてまた家族が四人、五人になっても十分住めるような立派な住宅であるし、こういうふうな住宅が現につくられておる。それをつくるための資材は幾らでも山にある。こんな資材からつくったものは、坪が二十四、五万でできる。こういうことであるので、こういうものをひとつ大臣も積極的に調査させて、それを政策の上に反映さす。  それから、そういうのは県が五百万も四百万も補助するというようなことだけではなしに、例えば来年度建設省で賃貸住宅建設費補助、三分の一を補助するというような新しい制度を検討されておる。これは自治体を通じてですけれども、やはりこういう国産材をもって建設するものに対しては、これに類するような何らかの補助制度を設けるとか、何らか税制の面において考えるとかいうようなことを政策として打ち出していただかなくてはならないと思うので、現地調査を含めて大臣から御答弁を承って、私の質問を終わります。
  101. 木部佳昭

    木部国務大臣 今井上先生から青年の有志の皆さん方がいろいろ研究をされて開発されておる、私は非常に感銘を受けたわけであります。そういう意味で、森林を発展させるということは、申し上げるまでもございません、水源の涵養林であるとか、また災害を防止するために非常に大事な役柄を果たしておるわけでございます。そういう点を私どもは再認識をしながら、先ほど局長からも、林野庁、農林省その他といろいろ協議をしておるようでございますが、ただ協議をするだけじゃいけませんから、こういう重要性を再認識して、具体的に進められるようなものはもう少し推進するために詰めるような努力をしたい、こういうふうに考えております。  なお先ほどの、青年の有志のいろいろ貴重な研究といいますか、そういう問題につきましては、できましたら現地の皆さん方といろいろ意見交換したり、また調査をさしていただく、そういうことはお約束さしていただきたいと思います。
  102. 井上泉

    井上(泉)委員 終わります。
  103. 保岡興治

  104. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、ただいま議題となっております住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、大臣がこの法案の趣旨説明の中でも申されておりますように、建設省の施策の中でも特に重要な「国民住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいった」「今後なお一層国民の良質な住宅の取得の促進と良好な居住環境の確保を図っていく」という中でのこの法案の一部改正でございます。さらにしかも、政府内需拡大に積極的に取り組んでいく、このようなお話があったわけでございますが、この建設省の施策の中で重要な事柄は数多くあるわけでございます。きょうは時間が限られておりますので、この住宅金融公庫法に関連する住宅の主要な課題につきまして数多くの問題点をお伺いしたいわけでございますが、許された時間の範囲内で質問をさせていただきたいと思います。大臣の御所見並びに関係の局長の御意見などを承ってまいりたいと思います。  まず最初にお伺いしたいのは、現在時点で、本年度で四期五計の最終年度に差しかかっておるわけでございます。昭和五十六年度から始まりました四期五計がいよいよその最後の一年を今終わろうとしているわけでございますが、この四期五計の住宅建設の目標は、もう御承知のように昭和六十年までに最低居住水準を何とかすべての世帯がクリアするようにしよう、また、半数は平均居住水準を上回る、このような目標を立てておやりになった、公営、公庫、公団等の各住宅の目標をお立てになって今日まで進んできたわけでございますが、その進捗は、御承知のように公営住宅は七四・一、改良住宅は五五・〇、公団住宅は五五・〇、公庫住宅は一一二・〇、これが当初の目標に対する、推計値を含めた、いずれにしましてもここまではいくのじゃなかろうかという結果が出ておるわけでございます。しかし、トータルいたしますと、いずれにしましても目標は達成できなかった。  この四期五計の五年間、この計画を踏まえてみましてどのような評価あるいは反省点を持っていらっしゃるか、最初にお伺いしたいのです。
  105. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 第四期住宅建設五カ年計画におきましては、先生先ほどお示しのように、昭和六十年をめどにすべての世帯が確保すべき目標として設定した最低居住水準というものをクリアするようにということであったわけでございますが、五十八年の住宅統計調査によりますと、まだ三百九十五万世帯、比率にいたしますと二・四%のそういった世帯があるということが一つございます。それも、特に大都市の借家世帯を中心にあるということでございます。  このようになってしまった理由といいますか原因といいますか、これを振り返ってみますと、この五年間で見ますと住宅建設がかなり低い水準で推移しているということが一つ挙げられると思います。それから二番目には、住みかえとか増改築が、これもまた伸び悩んでいるということでございます。それから三番目には、賃貸住宅についてでございますけれども大都市を中心にしまして四人とか五人とか、そういった世帯向け以上の住宅が依然として不足しているといったような状況考えられるわけでございます。  進捗状況につきましては、先ほど先生お示しのとおりでございますが、全体としてそうなった原因というのを、これも反省してみますと、やはり適正な立地、規模あるいは価格、こういったものを可能にするような用地の取得が非常に難しくなっているということが一つあると思います。それから二つ目には、御存じのとおり、新規開発にはどうしても関連公共公益施設の整備というのが必要になるわけでございますけれども、そういったものの整備費自体の問題もありますし、また地元との調整のおくれといった問題もあるかと思います。また、周辺市街地の居住環境整備とか保全などに関します。辺住民との調整の難航、そういったいわば住宅建設をめぐるいろいろな条件が非常に厳しくなってきているということが原因だというふうに考えております。
  106. 薮仲義彦

    薮仲委員 五期五計はまだ案でございまして、来年の三月ごろですか閣議決定されると思うのでございますが、今この新しい五カ年のスタートに当たって、住宅建設の将来構想いかんによっては、五年後の日本の住宅事情が非常に大きく変わってくるわけでございます。私は、その点に思いをいたして質問をしたいわけでございます。  今度の五期五計の中では、最低居住水準、さらには誘導居住水準という目標を掲げていらっしゃいます。この案を策定していらっしゃるわけでございますが、今述べられたような反省の上に立たれまして、六十一年からスタートします五期五計の中で、建設省としては特にこれだけはという目標はどこに置かれたのですか。
  107. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 やはりまず最低居住水準未満世帯の解消。これは四期五計で達成できなかったものですから、これをなるべく、できる限り早期にすべての世帯が最低居住水準を確保するようにという目標を掲げております。  そのために、公共賃貸住宅の的確な供給でありますとか民間賃貸住宅建設促進、そういったような各般の施策を総合的に推進してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  次に、公共住宅の進捗のおくれにつきましては、その的確な供給を図るために、非常に古くなった、あるいは狭い、そういったストック、こういったものの建てかえを促進したい。これは用地そのものはそこにあるわけですから、住んでいる方々の御了承さえ得られれば、協力さえ得られれば進めることができるわけでございますが、そういった促進。あるいは市街地住宅供給促進事業といったようなものの推進、さらには住宅宅地関連公共施設整備促進事業、こういったものの促進を図ってまいりたいというふうに考えております。  なお、またこれは構想の段階、案の段階でございますけれども、第五期住宅建設五カ年計画におきましては、公営住宅は二十七万五千戸あるいは公団住宅十四万戸というふうに、第四期五計の実績見込みを上回る数値を設定して、それに努力したいということでございます。
  108. 薮仲義彦

    薮仲委員 重ねてお伺いしますけれども、「新しい住宅事情に対応する住宅宅地政策の基本的体系についての答申」として、これは住宅宅地審議会が六十年の六月に答申を出して、建設省はいただいているわけでございますが、この五期五計の中でこの答申の趣旨を取り入れている、こう考えてよろしいのですか。
  109. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  110. 薮仲義彦

    薮仲委員 この中で、特に重要な項目は数多くあるわけでございますが、最初にお伺いしたいのは、今後急速に到来するだろう高齢化社会の問題をここでやはり重要な課題として取り上げておりますが、高齢化社会に対応する施策というのは五期五計の中で取り入れであるかないか、どうですか。
  111. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 去る六月十二日にいただきましたお示しの答申の中に「高齢化の進展への対応」ということがうたってございまして、「特に、急速に増加する高齢者の居住の安定を図る」、実際はいろいろ細かく書いてございますけれども、そういったものを受けた計画としているつもりでございます。
  112. 薮仲義彦

    薮仲委員 今局長がお読みになろうとしたのは四ページのところだと思うのですね。私がかわりに全部読みましょう。   高齢化の進展への対応  我が国においては、平均寿命の伸長や出生率の低下等により、人口構成の高齢化が進行しており、高齢化の状況を六十五歳以上人口比率でみると、五十五年(国勢調査)の九・一%から、西暦二〇〇〇年には、一五・六%(人口問題研究所推計)、戦後ベビーブーム世代が高齢化を迎える西暦二〇二〇年には、二一・八%と実に五人に一人が高齢者となると推計されており、既に高齢社会を迎えている西欧諸国にも経験のない急速でかつ高水準の高齢社会を迎えることが確実となっている。このため、今後、早急に高齢社会への対応体制を整えていくことが必要となっているが、住宅政策においては、特に、急速に増加する高齢者の居住の安定を図ることが重要な課題である。 ここにうたわれているのですね。この趣旨は五期五計に入れてありますね。
  113. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 先ほどお答えしたとおりでございますが、例を申し上げますと、誘導居住水準というものを第四期五計のときとは違って新たに設けております。  これは二つございますけれども、その中に特に、例えば五人の場合で高齢単身を含む場合はどうだ、それから六人の場合で高齢夫婦を含む場合はどうだというような、特別なといいますか、それに配慮した基準を設けているということが一つの例だと思います。
  114. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は、高齢化社会というのを、今の住宅宅地審議会の答申だけではなくて、政府がどのように考えているのかというのを統計調査をもとにちょっと局長と意思の疎通を図っておきたい、共通項を確かめておきたいのですが、まず厚生省――きょう呼んでいませんから心配要りません、厚生行政基礎調査というのを厚生省がやっております。     〔委員長退席、中島(衛)委員長代理着席〕 この厚生行政基礎調査の中で、世帯の中で老人がいる世帯はどういうふうに変わるか、こういう調査をやっております。これは建設省も非常に関心の深いところで、御承知だと思いますけれども、これは昭和五十年から五十九年の数値を出しておりますが、五十年に六十五歳以上の方がいらっしゃる世帯数が七百十一万、ざっと七百万です。これが五十九年現在九百十五万九千と、ここまで約二百万世帯がふえております。さらに、この六十五歳以上の方がいる世帯の中で一ここは大事な点だから局長覚えておいていただきたいのですが、おじいさん、お父さん、お母さん、お孫さん、いわゆる三世代同居の世帯数というのはどのぐらいかというと、ざっと九百万の世帯数の中で四百万はそういう世帯です。これが高齢化世帯の中で何%の比率がというと、三世代の世帯は四六%ですね。ですから、高齢化世帯の中で約半数は三世代という世帯構成になっておる。  さらにまた経済企画庁の調査によりますと、これはまだ正式な経済企画庁というよりも個人的な推計だということだと思いますけれども、「高齢社会への課題と対応」、この中に岡崎さんという方の推計が出ているわけです。今、現時点の昭和六十年を九百万世帯と推計したときに、昭和七十五年、二〇〇〇年にどのぐらいになるかといいますと、高齢者のいる世帯というのは千六百二十万、このような推計値を出しているわけでございます。そうなってまいりますと、この中で同居がどのぐらいいるかなというと、やはり半分ぐらいは三世代同居という方向がありますよ、これは厚生省とか経済企画庁の推計値をちょっと見てみたのです。  まだあるのですね。今度は建設省がおやりになった資料、これは建設省お持ちだと思いますけれども建設省もこういう調査をおやりになっていらっしゃると思います。昭和五十八年住宅需要実態調査、これはお持ちだと思いますが、この中でお伺いしたいのは、いわゆる親と子供はどういう住まいを希望しておるか、これについての簡単な数値で結構でございますけれども、同居したいという数値、現在から将来の推計値が出ておりますけれども、どうなっておりますか。
  115. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 五十八年の同調査によりますと、おっしゃるような同居ということが、現在の状況では二七・二%、それに対しまして将来の希望といたしましては非常に多く、四五・二%という数字になっております。
  116. 薮仲義彦

    薮仲委員 そのとおりですね。  それで、さらにこれをもう少し広げまして、建設省がこれからの住宅政策の中で、同居も大事だ、しかし隣に住むということも大事なんだ、いわゆる生活を余り干渉しないというために隣に住む隣居、それから同じ団地内とかすぐ近くに住むといういわゆる近居ですね、同居、隣居、近居、これが住宅政策の基本にあると思うのです。今の建設省のデータの中で、すぐ近所のところまで入れますと、現在は四〇・三%の人がすぐ近くにいたいな、それから将来推計でいきますと六四・六%の人が近くに親子で住みたいな。これは今建設省もそうですが、いろいろ調査を見ていくと、そういうデータが出てくる。  さらにまだあるのですが、ここに私、局長とはっきりさせるためにいろいろなデータを調べてきたのです。これは昭和五十五年、ちょっと古いのですが、総理府のデータがちょうどありました。この中で「家庭基盤の充実に関する世論調査」というのがございます。家庭基盤というのはどうならねばならないかという、大事だと思います。ここの中で、この総理府のデータでまいりますと、「子供夫婦と同居する」、しかもその同居の仕方の中に、これは大事なんですけれども、「台所、トイレも一緒」、それから「台所、トイレは別」、それから「すぐそばに住む」、それから「同一市町村」というふうにいろいろ条件の分け方は違いますが、これはお持ちにならないと思いますので私の方で読み上げますと、子供と同居したい、トイレが別であったとしても、そこまでの希望は四二%なんです。さらに、近所に住みたいというのも入れますと、この数値では七三%がやはりおじいさん、おばあさんとお孫さんと近くにいたいな、これは素朴な国民感情だと思うのです。  今申し上げた数値は老夫婦お二人とも健康な場合なんです。おじいさん、おばあさんがいらっしゃる、どちらかが亡くなった場合というのは数値がもっとぐっと変わってくるのです。おじいさんかおばあさんかどちらかが亡くなられると、同居したいという方が六九%にふえるのです。さらに、近所まで入れると八八%なんです。  建設省のこれからの政策の中で、高齢化社会と簡単に言いますけれども、一緒に住むか隣に住むか近所に住むかというこの課題が明確に出てきませんと、私は本当の五期五計の高齢化社会に対応したとは言いがたいのですね。  それで、局長ともうちょっと論議を深めたいのですが、住宅宅地審議会の答申の一ページと三ページ、お持ちだと思いますからちょっとごらんいただきたいのです。ここで今国民は持ち家か賃貸かという重大な岐路に立っているわけです。最近は所得の乖離のことがよく言われております。これからのニーズは持ち家志向なのかそれとも賃貸へいくのか、この五期五計の設定のときに非常に重要な課題になっております。  住宅宅地審議会の結論を読んでみますと、「最近の住宅建設の動向を所有関係別にみると、」これはずっと長く書いてありますけれども局長お持ちですから中間略します。着工動向を見ますと、  持家系住宅が総着工戸数に占める割合は、五〇年代前半の七割程度から最近は六割程度へと低下してきている。 持ち家というのはダウンしておりますよというのが一つでございます。それから三ページにこう書いてあります。「住宅需要の変化への対応」というところでございますが、ここをちょっと読みますと、  最近の住宅建設における特色ある動きとして、持家建設が伸び悩んでいる一方、貸家建設が高水準の伸びを示していることが挙げられる。 そして  今後とも持家、借家の選択に関する国民のニーズの方向を十分見極めながら、必要な施策の推進を図る必要がある。 こうなっているのです。これは今後建設省が持ち家にするのかあるいは借家志向なのかという点の重大な数字であろうと思うのですね。  さらに局長、この五期五計にも書いてありますけれども、これも私見ました。十五ページにこう書いてある。   所有関係別建設戸数  国民の持家に対する需要は基本的には根強いものがあると考えるが、今後は、借家を中心とした建替えの増大が見込まれること等から、持家系四、二四〇千戸、借家系二、四六〇千戸と総建設戸数に対する持家系の割合は六三%程度になると見込まれる。 このように、五期五計の中でも持ち家か借家かという岐路に立たされている。この辺までは意見が大体一致していると思うのです。  さらにもうちょっといきますと、建設省住宅需要実態調査の中でいわゆる借家の方が思いいですか、局長。借家の方が今後どういう意向でいるか、住み続けたいと思っているか、もうやめた、住みかえようと思っているか。現在時点において「住み続けたい」という人、「どちらかといえば住み続けたい」という方のパーセントはどのぐらいになっていますか。
  117. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 「住み続けたい」、それと「どちらかといえば住み続けたい」、この二つを足しますと二九・六%でございます。
  118. 薮仲義彦

    薮仲委員 今局長の御答弁のように「住み続けたい」あるいは「どちらかといえば住み続けたい」という方で二九・六、ざっと三割です。  もう一つは「どちらかといえば住み続けたくない」また「住み続けたくない」という嫌な方ですね。この方の合計は三六・四だと思うのですね。「どちらとも言えない」という方が真ん中にあるわけですが、この方が三四%。この数値はいずれも間違いないと思うのです。  私は何を申し上げたいかというと、現時点の国民感情の中で、借家に入っている方も、住み続けようかなと思っていらっしゃる、あるいは住み続けたくないという方も三分の一いらっしゃる、でもどうしようかなという方が三分の一いらっしゃる。これは建設省にとっては重大な政策のターニングポイントであろうかと思うのです。今東京を中心に三大都市圏で戸建ての家を買おうと思うととてもこれは返済しきれないな、ローンの返済が大変だ、だったら借家にしようかなという国民意向がいみじくも建設省の資料の中に出ている。  さらに、建設白書を私もちょっと読んでみました。建設白書の「良好な住宅宅地の供給 現状と課題」というところで「新設住宅着工戸数の推移」、そこだけ読みますと、なぜ年間、いわゆる新設の住宅着工戸数が減っているか、大幅に落ち込んでいるか、この理由は何か。これは、この原因は主として住宅価格と国民住宅取得能力、その乖離にある。これは建設白書ですからそのとおりだと思うのです。これはやはり、国民の間にもう持ち家志向、あるいはこの分譲マンションにしても、大変だなという、気持ちが揺らいできている。ここで今後建設省がどういう施策をとるか、これは非常に大事な点だと思うのです。  そこで私は、さっき民活という話がありましたけれども、公共と民間活力というのは一体どういう役割を分担しなければならないのか。これも私が自分の考えを言うと反対しますから、皆さん方のさっきの住宅宅地審議会の答申の中に書いてある、これをちょっと読みます。五ページです。  「公共と民間の適切な役割分担」のところで  そもそも市場が成立しない場合や適切な供給が難しい場合に、これを補完したり、市場における供給・配分を望ましい方向に誘導・助長するなど適切な政策介入を行うことにあると考えられる。 これが公共の役割。さらには  戸数の絶対的不足が深刻な時代においては、民間による住宅供給力が著しく低かったことから、公的住宅の直接供給が住宅市場における主導的な役割を担ってきた。また、戸数面での充足が達成された後においては、 ここからですよ、  住宅の質の向上というより高次の政策目標実現のために、民間による住宅供給の適切な誘導・助成、民間では供給が不完全な分野における的確な公的直接供給等きめ細かな対策が必要となってきている。 この辺は皆さんの方に出ていることですから御異議はないと思うのです。ないでしょう。このように公共の役割というのは、ある意味では先導的、あるいは民間がとても介入しない、市場が成立しないところに入っていきなさい、こう言っているのです。  もう少し局長局長がどういうことをやっているか調べてみた。これは住宅局長がハウジング・アドバイザー・グループに諮問している、私的諮問があるのです。その中に、住宅局表が諮問したハウジング・アドバイザー・グループの「高齢化社会の到来に。対応する住宅政策のあり方」、これはそのハウジング・グループの答申でございますが、全部読むと長くなります。この中でどういうことを言っているか、私はポイントだけ申し上げますと、何点か非常にいいことを言っているのです。  高齢化社会における住宅政策は、高齢者の方が異なった年代の人たちとともに暮らし、生き生きと生活していけることが望ましい。お年寄りばかり集めるんじゃない、異なった年代の人と混住している、そういう社会。  また、高齢期においては、現役労働からの離脱によって一般的に所得が低下する。だから住居費を高齢者の負担し得る限度内に安定的に保ちなさい。これがこれからの住宅政策で大事ですよ。  それから、高齢化社会というのは、そもそも社会に高齢者のいる世帯が多数あることなんだ、だからそれを前提として高齢化社会の住宅政策を行わなければこれからの住宅政策というのは対応し切れませんよ。こういう指摘がある。  さらに、ここでも同居のことを言っています。 高齢者の住まい方はスペースの確保と経済的援助という二つの側面が大事だ。居住の空間ですね、それと経済的な援助である。具体的には、三世代同居用の公共用の住宅、公的住宅金融の充実、いわゆる公共用によってスペース、それから公的資金によって金融の確保をして同居に適した設備を備えた住宅を供給すべきである。これがこのハウジング・グループの指摘でもあるわけです。  こうなってまいりますと、やはりいずれの提言も高齢化社会の到来に対して避けて通れない重大な課題が数多くございますけれども、言わんとすることは大体局長おわかりいただいたと思うのです。  私は今まで幾つかのファクターを挙げました。整理しますと、高齢化社会というのは急速に来るんだ、もう避けて通れない。高齢化というのは、もう社会の中にお年寄りの世帯というものを考え住宅政策をやらなければだめだ。それからそのお年寄りは、同居もしくは隣近所に住みたいという希望を大半が持っていますよ、所得は低くなりますよ、持ち家か賃貸かの分かれ目ですよ。先ほど申し上げた公共の役割分担という、いろいろなことを申し上げました。建設省がこの五期五計の中で高齢化社会にやらなければならない課題、トータルで私申し上げた。この五期五計の中でどういうことをおやりになろうとしているか、もう少し具体的にお話しいただきたいのですが……。
  119. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 非常に詳細な御提示がございまして、そのとおりだと思います。高齢者対策というのは、例えば御本人を見てみますと、健康である人、あるいは少し何といいますかインペアードといいますか、体に支障のある方、あるいは寝たきり老人、それから住み方自体も三世代同居でありますとか、先ほどからお示しの近居でありますとかあるいは隣居でありますとか、いろいろな組み合わせがあるのだろうと思います。お示しのとおり、同居、いわゆる三世代住宅に住むという同居という希望が非常に多いこともわかっておりますが、やはり中にはその中のいろいろな選択をする人がいるであろう、そういったことを考えながら高齢者対策といいますか、それを進めていかなければならないということをまず基本に申し上げたいと思っております。  今申しましたように、今後の高齢者の住まい方といたしましては、三世代の家族とのいわゆる同居でありますとか、老夫婦とかあるいは老人単身の世帯、さらには近親者といわゆるスープの冷めない距離に生活するいわゆる近居とか隣居というのが考えられるわけです。そういった需要を確かに先生先ほどいろいろ数字を示されましたけれども、その選択の余地を残しながら的確に対応していかなければいかぬだろう。非常に抽象的な言い方で恐縮でございますけれども、基本的にそういうふうに考えておるということでございます。  このためにまず公営住宅におきましては、先ほど所得の問題が出ました。公営住宅の問題が出てくるわけでございますけれども、規模あるいは設備、これは老人用の手すりでありますとか便所でありますとか浴室でありますとか、特殊な設備をしますと非常に便利になるということもあるわけでございますが、そういったものを考慮しました老人対策向け住宅の供給、これは直接供給もございます。それから公団住宅におきましては入居の優遇措置、それから物理的にはそういった一階にお入れするとか、あるいは近居、隣居に便宜を図るとかそういった優遇措置、あるいは金融公庫につきましては老人同居の割り増し貸し付けといったようなことを現在までも行ってきているわけでございますけれども、今後の状況を見ながらさらに的確に対応していきたいというふうに考えております。
  120. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は五年後にもう一度、局長が今申されたことを十分五期五計の中に入れて、そのときは住宅局長じゃないでしょうからできませんけれども、そのときの住宅局長と、あのときの局長はこう言ったぞ、確かにやってくれたかと確認しますからね、覚えておいてくださいよ。  今抽象的におっしゃったと言いますけれども、私は今度具体的な問題で、これは嫌みじゃないのですよ、嫌みじゃないのですけれども、さっき、反省の上に立ってということを申し上げた意味で申し上げるのだからすっきり答えていただきたいのですけれども、この前の四期五計のとき、この四期五計の中でも   公的資金による住宅の供給に当たっては、老  人・母子・障害者等の世帯について特に配慮し  て、その住宅の確保に努めること。こうありましたね。四期五計でうたってある。  じゃ公的住宅において、特定目的の建設の実績はどうですか。四期五計の実績、数字だけ言ってください、資料ありますから。時間がありませんので。
  121. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 ちょっと足した数字、今ちょっと整理しておりませんので大変恐縮でございますけれども、公営でございますと、例えば五十九年でございますと約五百戸、それから公団でございますと、老人同居世帯に対する優遇配分戸数といたしまして、五十九年度で四千八百戸余り、それから公庫で老人同居等の割り増し貸し付け戸数が約八万戸ということになっております。
  122. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうは時間がございませんからとやかく言いませんけれども、これは私建設省からいただいている。「老人同居世帯向け住宅等の実績」、これは建設省の資料ですよ。老人同居世帯、昭和五十六、五十七、五十八、五十九、計と出ております。老人同居世帯向け、五十六年二百二十戸、総世帯の〇・四%、五十七年二百三戸、〇・四%、五十八年二百三十三戸、〇・五%、五十九年百九十四戸、〇・四%、合計八百五十戸、〇・五%。この数値、私いただいていますけれども、これでよろしいですね。とやかく言いませんけれども、この数字、いいか悪いかだけ言ってください。
  123. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 老人同居向けということでの数字で、そのとおりでございます。
  124. 薮仲義彦

    薮仲委員 私が質問したのは、特定目的というのはこれなんですよね。特定目的で言うとこの数値をお答えでいただくわけでございますが、これはいいです。  今申し上げましたように、公営住宅で、四期五計五カ年間で高齢化社会の対策が数字で言うと八百五十戸、〇・五%、私はこれはちょっと十分だったとは思ってないんですよ。局長はどうお考えか、きょうは聞きません。  それから、住宅金融公庫、お見えいただいていると思うのでございますが、今局長お話の中にありましたように、四期五計の中で融資実績を、数字だけで結構でございます、ちょっとお願いしたいんですが。
  125. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  五カ年計画におきまして、公庫の老人向けの住宅融資でございますが、全体で申しますと、本年度の見込みを含めまして三〇%程度、このようになっているわけでございます。各年別に申し上げますと、五十六年度が八万三千戸、五十七年度が九万六千戸、五十八年度が七万二千戸、五十九年度は先ほど申し上げました八万戸でございます。
  126. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は公庫はそれなりに努力をしていらっしゃっていると一応評価いたしておりますけれども、今度五期五計で誘導居住水準が変わるわけですね。御承知だと思いますけれども、今度四LLDKで新都市型でまいりますと、百二十二というふうになってまいります。今高齢世帯用の割り増しのラインが百十平米じゃございませんか。そうすると、今度百二十二になりますとちょっといかがかなと思いますけれども、今度五期五計に当たりまして、やはり公庫融資の割り増しのスペースと金額をふやすようなお気持ちはございますか。
  127. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいま公庫におきましては、百十平米から百六十五平米の住宅に対しまして老人の割り増し融資を行っているわけでございますが、先生御指摘のように、新しく考えております五カ年計画におきましては、いろいろと水準が上がってまいります。したがいまして、公庫におきましても、これに応じまして数字の引き上げといいますものを検討いたしまして、そのように予算要求をいたしておる次第でございます。
  128. 薮仲義彦

    薮仲委員 細かい数字はきょうはやめておきましょう。  それで、公団お見えだと思うのでございますけれども、いわゆる公的な立場というスタンスでちょっと教えていただきたいわけですが、公営が今のように非常に残念な結果であった、少なくとも、今度公団が大型住宅として三LDKもしくは四LDKという考えを持たれて努力をしていらっしゃる、これは私もその努力は歩といたしております。しかし、今度五期五計の中で誘導居住水準等の数値が変わってまいりました、そういうことを含めまして、過去四年間で四LDK以上、賃貸でいきますと、実績をちょっと、数字だけで結構ですからお願いできますか。
  129. 倉茂周明

    倉茂参考人 四LDK以上の大型賃貸住宅でございますが、昭和五十九年度の実績で三百七十四戸、比率にしまして六%でございます。
  130. 薮仲義彦

    薮仲委員 今局長お聞きですね。四LDKの賃貸ですと五十五、五十六はゼロで、五十七が三、五十八が二百四十三、五十九が三百七十四という実績でございます。  これも、もっともっとこれから努力をしていただくわけで、きょうは時間が参りましたので、もっと突っ込んだお話をしたかったのですが、一応ここで終わらせていただきますけれども住宅については私は申し上げたいことがあるわけで、大臣にも最後に御意見を伺いたいわけでございますが、局長、やはりさっきの局長の私的諮問機関の答申の中にこういうことが書いてあるのですよ。   公共住宅において同一共同住宅内または同一団地内で二戸の住宅を親子の一世帯に対しペアで供給することを促進するとともに、親子いずれかの世帯が既に住んでいる共同住宅、団地に残りの世帯を優先入居させる措置 これはどういうことかといいますと、今公団に聞きませんけれども、最近の公団は四LDKですと十一万近いのですよ。もっと高いのもありますよ。そうすると同居で十数万というのが払いにくい。そうなったときに、じゃ今公営住宅の場合は今申し上げたように〇・数%、これを打開するにはどうするかというと、ペアで公営の今後の老人対策として十分考えていただく、入居の仕方や何かで対応ができるんじゃないか。  きょうは公営住宅の入居基準についても質問したかったんですが、これで一たん打ち切っておきますけれども大臣、高齢化社会の住宅対策というのは、今いろいろ余計なことを申し上げましたけれども、やはり建設省としてこれは真剣に御検討いただきたい、そういう立場から大臣の御意見をちょっと伺いたいのですが……。
  131. 木部佳昭

    木部国務大臣 薮仲先生から大変貴重な、体験を交えての御指導をいただきまして非常に感銘をいたしておるわけであります。先ほど来御指摘いただきましたが、高齢化社会を迎えるに当たりましての住宅の対応策というのは、これは大変大きな、またどうしても避けて通れない重要な行政の施策であることはもう私どもも非常に強く受けとめさせていただいております。  先ほど先生から隣居や近居等につきましてのお話もございましたが、欧州なんかでもかなりそういう点が具体的に進んでおるようですね。そういうふうなこと等も考え、また隣居や近居の志向というものが、先ほど先生からも六四%というような具体的な数字もございまして、そういう点等を考えてまいりますと、老人の皆様方のこれからのニーズ、また若い世代の場合でも、賃貸でいくか持ち家でいくかというような、そういう非常に大事な選択を具体的にしていかなきゃならない時期でございますので、私どもといたしましてもそういう点をしっかり把握して、そして間違いのない方向に次期の計画その他を具体化しなきゃならないということでございますので、私どもも全力を挙げて努力をさせていただきますが、今後とも御指導、御鞭撻を心からお願い申し上げたいと思います。ありがとうございました。
  132. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは都市局長になりますか、簡単に一言答えてください。  駐車場法、今度の規制緩和の中で出てまいりますけれども、静岡ではビルの駐車場から車が落ちましてドライバーが亡くなりました。これは大臣もよく御承知でございます。私この問題を委員会で取り上げて早急に対策をと申し上げましたところ、安全についての注意通達をやっていただきましたが、検討委員会もつくっていろいろな施策を検討し、結論を早急に出したい、検討委員会をつくるのだという御答弁をそのときいただいているのでございますが、その検討委員会ができたのか、あるいはまたどのような結論をいつごろまでにいただけるのか、簡単にそれだけいただいて私の質問を終わります。
  133. 牧野徹

    ○牧野政府委員 簡単に御答弁申し上げますが、委員会を設置いたしました。それで第一回は十月に開いております。十月まで若干時間がかかっておるじゃないかというお気持ちを持たれるかもしれませんが、実はその前に各般の準備会を五回ほど開催して問題点を詰めた上で発足しております。  さらに、主として自動車そのものとか、あるいはドライバーのこととか、あるいは入る駐車場そのもの、安全対策考える場合に大きく三つぐらいの観点があろうかと思いますが、やはり最後の自走式の駐車場そのものの構造ぐあい、その辺のことにポイントは置きたいと思っております。  なお、結論を得るめどでございますが、早急ということでございますので一応今年度内、すなわち来年三月までと思っております。ただし、もしかしていろいろある場合にも三月までには何か一応の中間取りまとめはしたい、かように考えております。
  134. 薮仲義彦

    薮仲委員 ありがとうございました。
  135. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 新井彬之君。
  136. 新井彬之

    新井委員 私は、住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について若干の質問をいたします。  今回の住宅金融公庫法改正案につきましては先ほど大臣からも提案理由説明があったわけでございますが、その中で国民住生活の安定と社会福祉の増進に寄与してまいったところでありますが、今後なお一層国民の良質な住宅の取得の促進と良好な居住環境の確保を図っていくためには、現下の財政状態を考慮しつつ、改善措置を講ずることが必要であると考えられます。 というのがあります。それで  昭和六十年十月十五日に決定された政府の「内需拡大に関する対策」の中で、当面早急に実施する対策一つとされている というのが今回の提案理由にされているわけでございますが、私は基本的に社会資本の充実――今食べ物の方は世界各国どんな食べ物でも一応食べられるようになっておりますし、着る物も十二分にあるわけでございます。今住宅だけが衣食住からいえば非常におくれているというような現状でございますけれども、そういう社会資本の整備、特に住宅等に関しましては非常に長期間にわたって施策を行っていかないといけない問題であると考えているわけでございます。  先ほども、高齢化社会に向かう、そのために住宅をどうしたらいいか。一回家を建てますと、その方は一生ローンを払ったり自分の給料からも大分お金を払いながら住宅とともに生活する、こういうことでございますので、政策誘導と申しますか、これからの時代はどういう家を建てたらいいだろう、それにはどのようなスペースがあったらいいだろう、このようなことをよく考えて政策誘導しないと、百十平米までは五・五%ですよ、そうしますとどうしても金利が安い百十平米しか借りられない。だけれどもこれがもし百二十平米あったら、これから自分が年がいったときに自分の息子と一緒に住もうじゃないか、こういうようなことを考えていてもなかなかできないことになるわけでございます。  緊急対策で景気浮揚のためにやる、私、この法案については別に反対じゃありませんけれども、そんな緊急で景気対策のために住宅問題を論ずるものじゃないと思いますが、大臣はいかがでございますか。
  137. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほど薮中先生からもいろいろ大変見識のある御意見をいただいたわけでございますが、何といっても政策というものは整合性を持たせながら、それから長期的展望に立つということも非常に大事でございますけれども、やはり具体的に、特に高齢化社会なんかの場合にはもう目前に迫っておるわけでございますから、そうした問題について我々の行政としての担うべき責任、そういうようなものは、もちろん景気対策も必要でございましょうが、それはそれとしてしっかり見きわめながら推進して要望にこたえていく、これが我々の使命でもあると私は考えておるわけであります。
  138. 新井彬之

    新井委員 経企庁と大蔵省、来ていただいておると思いますが、貿易摩擦解消のためには内需拡大をしなければいけない、こういうことでございますけれども、貿易摩擦をなくそうと思うと外国の製品を買う、今回は、アメリカからアラスカの石油を売らないというのを少し分けていただくとかいうようなこともあるようでございますが、やはり外国から製品を買う、そしてどんどんドルを支出するということが一つあります。それから逆に、今度は日本から物を売らない。今、自動車、電気、時計、カメラ、いい製品で非常に安いということでございますからもうどんどん売れるわけでございます。そうしますと、円高にするかそれともコストを上げるか、こういうことになろうかと思いますけれども、今の状況からいきますと物を買うといってもなかなかない。それから、売らないといっても売らないとまた大変なことになる。売れなくなったときに日本の景気が非常に悪くなるわけでございますから、そこで内需拡大を図って日本の経済を安定させなければいけない、こういうことになろうかと思います。  この問題について経企庁と大蔵省は一体どのように考えておられるのか、それをちょっと聞いておきたいと思います。
  139. 吉川淳

    ○吉川説明員 経済摩擦対策につきましては、本年度はことし七月にアクションプログラムというのを決めまして、一応市場開放ということで進めてまいったわけでございます。その後九月に御存じのとおりG5がございまして、為替レートをよりファンダメンタルズが反映した形で誘導していくというふうなことできておるわけでございます。さらに、その後十月に今回内需拡大策を決めさせていただいておりますが、私ども考え方といたしましては、経済摩擦に対応するために一つ対策だけではなかなか十分ではないので、今申しましたような市場開放、為替レートの円高への修正、さらに内需拡大ということで、いわば三位一体となったような格好でその相乗効果が出てくれば日本のいわゆる拡大均衡にも役立ち、それがまたひいては国際的な日本への経済摩擦を中心とする圧力の緩和にもつながるであろう、こういうふうに考えておるところでございます。
  140. 新井彬之

    新井委員 私はこの問題について三つほど問題を提起しておきたいと思うのですけれども、確かに経済問題は言うとまた何時間もかかるあれなんで、きょうは法案が違いますのでこっち側に戻しますが、今回の内需拡大というのは、お金がある方のお金の使い道をみんなのためになるようにどんどん政策誘導してあげるというのが本来ではないか。住宅金融公庫でお借りして住宅を建てるというのは毎年きちっとやらなければいけない問題でございますけれども、別にお金をたくさん持っている方が借りるわけではないわけですね。これを借りると、住宅は取得できますけれども、二十年、二十五年という形で本当に縛られてしまうということですから、本来の景気対策内需拡大策というのはもっと別に柱を設けなければいけない。住宅対策はあくまでももっともっと基本的な、私どもの生活の一番大事な住宅を建てるためにはこうあるべきだということでやっていかなければならない問題だと考えるわけでございます。  そこで、今回はこういうことで出ているわけでございますけれども、もしもそういう形で出すというならば、百十平米までの方は百五十万の特別割り増し貸し付け先ほど局長から答弁がありましたが、これは建設費の八〇%まで、そして限度額がこれだけ、ただし今回は特別でございます、特別でありますから財投資金として六・八五%出します、こう言うんですけれども、やはりそういう方々に、まあ差というものが、百十平米の方、この方はやはりそれしかお金がない、計算して一生懸命建てようとされているわけでございますから、せっかく特別されるならば、これもやはり三段階に分けてやられた方がよかったんじゃないか、こういうぐあいに考えるわけでございますが、いかがでございますか。
  141. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 繰り返して申し上げることになりますけれども、今回の内需拡大対策割り増し貸し付けというものの前提条件が、やはり予算にかかわるものは予算の時期に決着をつけるということになっておりまして、そういうことから、やはり財政事情等を勘案しまして今回のような形になったというふうに理解をしております。
  142. 新井彬之

    新井委員 確かに建設省住宅局も、一生懸命来年度の予算要求に対しましてもいろいろの施策を考えて、予算を削られながらその中で一体どうしたらいいか、非常に小まめな政策をとっていらっしゃる。私も非常に感謝もし、敬意も表しているところでございますけれども、本当は局長考え方あるいは大臣考え方は、いやそのくらいのことをした方がいいのじゃないか。といいますのは、今四十九万戸、毎年百十万戸か二十万戸建つ住宅の中で、全く日本の住宅政策の中では目玉の中の目玉と言っていいくらいのこれは柱じゃないか。そして平米にしたってそんなに大きな平米じゃない。そうすると、それは大蔵省の方はお金がないわけですから、何とか削ってこれは財投だ、こう言うわけですけれども、本当の政策からいけば、そういうことで多分要望されておったんではないか、こういうぐあいに理解をしているわけでございます。  もう一つ、「内需拡大に関する対策」につきましては、経済対策閣僚会議、十月十五日に発表になっているわけでございますが、その下の方で「内需拡大策のうち、予算税制措置を伴う施策については、今後の予算編成税制改正の過程で検討するものとする。」これは今税調にもいろいろ審議をしていただいておるところでございますから、今のところ政府とかあるいは大蔵省が物を言えるような状況じゃないかもわかりませんけれども、やはり方向性としては住宅減税、これが世界各国の例を見ましても非常に大きな柱になっているということでございます。  そこで、アメリカ、イギリス、フランス、西ドイツ、日本、主要な先進国と日本との対比でございますけれども住宅対策費の歳出総額に対する比率というものが、アメリカでは二・五%、イギリス二・五%、フランス四・七%、西ドイツ一・一%、日本が一・五%、こういうことで出ておりますが、今度は住宅関係の減免税額、税金から見るとどうなっているかというと、アメリカが四・一、イギリスが三・七、フランス一・八、西ドイツ三・七、日本は〇・二ということでございます。そして結局、総予算に占める住宅対策費というのは、アメリカが六・六、イギリスは六・二、フランスが六・五、それから西ドイツ四・七、日本が一・七、こういうことでございまして、やはりこの住宅取得等に対する税制というものをどうしても今後やっていかないといけないのではないか、このように思うわけでございますが、建設省の見解を聞いておきたいと思います。
  143. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 非常に粗っぽく申しますと、やはり住宅対策のねらいというのは、貸し家と持ち家がございます、賃貸住宅と持ち家がございますけれども、やはり取得能力と価格の乖離、これをいかに縮めるかということだと思います。  その場合に、価格を抑えることというのが一つございます。これはいろいろ技術開発等をして価格を抑える。高くしないということもありますし、また土地が非常にその割合が高いものですから、土地価格を顕在化しない方法、つまり土地信託でありますとか借地でありますとか、そういう方法も一つある。それともう一つは、やはり取得能力を向上させるということで、先生御指摘のとおり、一つは長期低利の金融でございますし、もう一つはやはり税制改正であるというふうに考えております。  そこで、今お示しのように、日本の場合には、いわゆる先進諸外国に比べて住宅関係の減免税という比率が非常に低いということがございまして、我々といたしましては、来年度の税制改正で抜本的な税制改正をお願いしたいということで、現在要望をしているところでございます。
  144. 新井彬之

    新井委員 それから先ほどからも話がありましたけれども住宅政策、いろいろございます。そういう中で、これからの新しい賃貸住宅対策ですね。例えて言いますと、減税をして住宅を取得する、あるいは住宅金融公庫からお金を借りて取得する。しかし、どうしても住宅が取得できない方方もいらっしゃる。これは第一種、第二種公営住宅に入るわけでございますが、それとは別にもう一つ、また新しい賃貸住宅対策として、公明党は前から、公営住宅では収入基準に合わない、それから公団や民間アパートでは高くて入れない、そういう方々向けにセミパブリックハウジングというような考え方を持っているわけでございます。  やはりそういうものを取り入れていかないと、減税はした、あるいはお金は貸したということに対する不公平というものが出てくると思いますけれども、そういう問題についていかがお考えでございますか。
  145. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 まさに御指摘の点を我々も同様に考えまして、六十一年度の新規要求といたしまして、地域特別賃貸住宅制度というものを要求しているところでございます。これは地域振興等、その地域固有の政策課題があるわけでございますから、そこから生ずる幅広い賃貸住宅需要、これはおっしゃるように、いわゆる二種、一種、さらにその上という形、それからさらにその上になりますと公団住宅もあるわけでございますけれども、そういう需要に対応して良質な賃貸住宅ストックを形成しよう、そうして地域における住生活、これの安定を図ろうということで要求をしているものでございます。  これは、地方公共団体が直接やる、それに対して国が援助をする場合と、良質な民間賃貸住宅一定期間公共賃貸住宅に準じて助成する、そうしてそれを活用するという方式等を考えております。これは年末の予算段階でいろいろ詰めを行わなければいけないと思っておりますけれども、大いに頑張ってまいりたいというふうに考えております。
  146. 新井彬之

    新井委員 では最後に、大臣総裁にお伺いをいたします。  先ほども話が出ましたけれども住宅金融公庫の金利は五・五%からこう三段階あるわけでございますが、やはり国民の皆さんは、現在借りていらっしゃらない方でも、今度自分が家を建てるときはこういう形で建てようじゃないか、今三百万あるいはまた四百万の金がたまった、そうすると、この住宅金融公庫お金を借りて、そうして何年間で払おう。真剣に今多くの方が考えているわけでございます。そういう中で五・五%が今度六%になったとか七・五%になったとか、こういうことになりますと、本当に多くの方々、今期待を持って貯金をされ、努力されている方々が大変がっかりされる、またその実現ができなくなもようなことも考えれるわけでございます。そういうことで、この五・五%、今のままのこのことを今後ともとにかく守っていくというひとつ御決意をお二方にお伺いしますことと、大臣には、税制問題について先ほど局長からもお話がありましたけれども税制問題についての取り組み、その決意を伺って質問を終わりたいと思います。
  147. 河野正三

    河野説明員 政府の特殊金融機関といたしまして住宅建設にお役に立たしていただいている基本は、五・五%という低利融資だと考えております。今後ともこれを拡充改善する方向に努力してまいりたいと思います。
  148. 木部佳昭

    木部国務大臣 新井先生、先ほど来非常に格調の高い御質問をいただいておりまして、私どもも非常に感銘をいたしておるわけでございます。といいますのは、今回のこの措置につきましては、緊急措置的なものでございますので、そういう点もぜひ御理解を賜りたいというふうに考えております。  私どもは、税の問題を含め、ないしはまた今総裁からも答弁がございましたように、五・五%を維持する。これがもし万が一ということになれば、我々が行政の推進ができないということにも通ずるわけでございまして、そういう点等につきまして、特に住宅というものは、土地対策とか、それから税の問題とか、そういう融資の問題とか財投措置とか、そういうものが一元的、有機的に行われていかなければならない。そういう根幹は全力を挙げて維持するために努力をいたしてまいりたいと思っております。今後とも御指導を賜りますようにお願い申し上げたいと思います。
  149. 新井彬之

    新井委員 終わります。
  150. 中島衛

    中島(衛)委員長代理 伊藤英成君。
  151. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について御質問をいたします。  大蔵省はいらっしゃるのですか。――大蔵省の方がほかの委員会の方に回らなければいけないということでありますので、大蔵省に関連する問題を最初にお伺いをしたいと思います。  今も同僚議員から議論になった話でありますけれども、今回の法案によりますと、例えば五十から百十平米の一般個人住宅の場合には、六百三十万円までの通常貸付分は五・五%、そして百五十万円の特別割り増しが六・八五%、こういうふうに二種類の金利が適用されることになるわけでありますけれども、五・五%の堅持という公庫の金利体系が崩れることにはならないんだろうかというような懸念を抱くわけでありますが、絶対にそういうことではないということを、建設省と大蔵省にともにお伺いしたいと思います。
  152. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 私の方から先に御答弁申し上げます。  五・五%口あるいは六・五%口、これは今回は六・四%になっておりますけれども住宅金融公庫通常貸し付け住宅建設に必要な費用の八割、これは木造の場合でございますけれども、耐火、簡易耐火の場合には八割五分の貸付限度内で行われるものでございます。これに対しまして今回の特別割り増しと申しますのは、先ほども申し上げましたように、内需振興のための緊急かつ時限的な措置ということで、貸付限度枠の枠外で特例的に行う貸し付けであるということでございます。したがって、通常の貸付金とは性格を異にするということでございます。  このような通常の貸付金と性格を異にする貸し付けといたしましては、従来から、例えば住宅積立郵便貯金の預金者あるいは住宅宅地債券の積立者、これを対象といたしまして、財投並み金利による割り増し貸し付け通常の貸付限度の枠外で同じように行っているというのがございます。したがいまして、今回の措置通常の貸付金の性格と異なるものでありまして、通常の貸付金の性格を何ら変えるものではないということで、公庫の金利体系を変更するものではないと考えております。  なお、五・五%を基本とする通常の貸付金利体系につきましては、今後ともこれを堅持してまいりたいというふうに考えております。
  153. 田谷廣明

    ○田谷説明員 お答えいたします。  ただいま御質問の点でございますが、先ほど建設省から御答弁がありましたように、私どもといたしましても、従来の規模別金利の体系を今回の特別割り増しの貸付制度によりまして変更しようという考えは持っておりません。  以上でございます。
  154. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 もう一点、大蔵省に関連する質問をさせていただきます。  これまた先ほど議論にはなった話でありますけれども、今後の住宅政策に大きくかかわる問題として、住宅減税の問題でありますけれども、御承知のとおりに、最近の住宅着工件数を見ますと、一時の百五十万程度から現在では年間百二十万程度というふうに非常に低迷をしているわけであります。さらに、来年度から始まります第五期住宅建設五カ年計画の案では、建設戸数が五年間で六百七十万戸となっておりまして、これは年平均では百三十四万戸となっておりまして、先ほどの百二十万戸とは大きな隔たりがあるわけです。そういう中でどうやってこの乖離を埋めるのだろうということになるわけでありますけれども、何といっても今は、住宅建設を進めるためには、結局は所得と住宅の価格との差を埋めるしかないわけでありますね。  そういう意味で、本格的にはどうしても住宅減税をしなければならぬということになるわけでありますけれども、六十一年度の税制改正についてどのように考えるのか、建設省と大蔵省にあわせてお伺いいたします。
  155. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 お示しのように、問題は取得能力と住宅価格との乖離をいかに縮めるか。それで、一つは、先ほど申しましたように長期、低利の融資でありますけれども、もう一つの重要な柱は住宅減税であるというふうに考えております。  そこで、建設省といたしましては、六十一年度の税制改正といたしまして、まず、住宅投資減税というものを要望しております。それは土地費は入りませんけれども、上物の取得費あるいは建築費の一%、これを五年間にわたって税額控除しようというものでございます。これを所得控除にしなかったのは、所得控除にいたしますと、どうしても所得の高い人が税率が高いところで控除が行われますので、不公平になるというようなこともありまして、税額控除というお願いをいたしておるところでございます。  二番目は、いわゆるローン控除という住宅取得控除制度の大幅な改善でございます。幾つかございまして、例えば、年限が現在は三年でございますけれども、これを五年間に延ばしていただく、あるいは、足切りが現在は三十万円でございますけれども、これを二十万円に下げていただく、あるいは、控除率が一八%であるものを大幅に上げて三五%にする。さらに、現在上限は十五万円でございますけれども、これを五十万円に上げていただく。さらに申しますと、現在は所得制限が八百万ということになっておりますけれども、実際を見てみますと、一千万円以上の方というのは低利の公庫融資も借りられないというわけでございまして、統計的に見ましても、民間の借り入れというのがそこで非常に急激にふえておるわけでございまして、そういう意味で、所得制限というものを八百万円から二千万円に上げていただきたいというお願いをしているわけでございます。  それからもう一つ申し上げたいのは、五十九年につくっていただきました生前贈与制度、これの改善でございます。これは、公庫のデータによりますと、六%ぐらいの方、特に一分位あるいは二分位あたりの所得の方につきましては九%程度の高い利用率になっておるわけでございますけれども、その中で、現在は新築住宅にしか適用されないというものでございますが、今後はやはり中古流通というものが非常に日本の住宅政策の中でも比重を占めてくると思います。  ちなみに申しますと、私の持っている統計では、現在、アメリカの中古流通の数に比べまして日本は十七分の一である、また一説によりますと二十六分の一であるというような数字もあるわけで、今後中古流通を進めていかなければいかぬということから、現在は新築住宅にしか適用のないこの制度を中古住宅にも適用していただきたいということと、もう一つは所得制限、現在は五百万円でございますけれども、これを八百万円に上げていただきたいというふうなお願いをしておるところでございます。
  156. 塩田薫範

    ○塩田説明員 御質問の住宅建設関係の住宅減税でございますが、内需拡大に関連して住宅関係の減税の要望がいろいろ出ていることは十分承知しております。さらに、ついさきの経済対策閣僚会議で決定を見ました「内需拡大に関する対策」におきましても、住宅建設、設備投資等に関する施策について今後の予算編成税制改正作業の過程の中で所要の手続を経つつ検討を進めることになっております。  したがいまして、御指摘の問題につきましては、今後の税制調査会における税制改正作業の過程の中で検討されるべき問題であるというふうに考えております。したがいまして、現段階では具体的なことは差し控えたいと思います。なお、現下の厳しい財政事情ということもあわせて念頭に置きながら検討されるべきものだと考えております。
  157. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今、建設省の方から伺いましたそれぞれのお考えにつきましては、細部はまた今後詰める、検討をするといたしまして、何といっても住宅減税の果たす役割というのは莫大なものがある、こういうふうに思います。そういう意味では、これから本当に積極的に推進、促進をしていただきたいし、大蔵省の方もその意義はもちろん十分に認識されているでありましょうけれども、今後積極的にお願いをしたい、このように思います。  基本的な問題にちょっと戻りますけれども、今回の内需拡大策の問題でありますが、経済摩擦、それから対外不均衡という現下の我が国の経済の置かれている状況下において、住宅建設あるいは公共事業内需拡大に積極的な役割を果たすべきである、こういうことでありますけれども、この件に関して大臣の所見をお願いいたします。
  158. 木部佳昭

    木部国務大臣 私ども内需拡大と経済の安定的持続を図ることが社会資本の立ちおくれを回復するための根幹であるということを十二分に認識いたしておるつもりでございます。同時にまた、国土の均衡ある発展と快適で潤いのある住居環境、そういうようなものをつくり上げていくことがまさに二十一世紀に向かっての我々の長期展望でもあるわけでございます。  そういう意味で、当面の対策といたしまして、先ほど来いろいろ御指示をいただき、また御鞭撻賜っておりますが、住宅金融公庫融資の拡充の問題であるとか、公共事業の機動的、有機的な活用、運用の問題であるとか、それからまた民間活力を導入する、そして社会資本の一層の充実に寄与するということでございます。その中にありまして、やはり何といっても先ほど来御指摘のございましたように、税の改革や住宅に対する投資減税の促進、こういうようなものは非常に大事な大きな要素である。高度成長の時代には御承知のとおり百七十万戸ぐらいの住宅建設があったのがずっと下降線をたどってきて百十万ぐらいになりましたが、今やっと百二十万ぐらいに回復しつつある、そういう一つの盛り上がり、回復の兆候が出てきたときでございますので、そういうときに、先ほど来御指示いただきましたように、思い切って住宅の投資減税とか税の改革とか土地の安定供給の問題とか、そういうものを整合性を持って対処してまいりたい、これが私の基本的な考え方でございます。
  159. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 経企庁にお伺いいたしますけれども、今回の「内需拡大に関する対策」で総事業規模三兆一千二百億円、このようになっておりますが、この対策による波及効果をどのくらいと見込んでいるのか、それにつきまして期間と金額で述べていただきたい。それからさらに、今回の内需拡大は対外経済摩擦の解消が第一のねらいとして行われていると思いますが、貿易収支への影響はどのくらいであるか、お知らせ願いたいと思います。
  160. 大塚功

    ○大塚説明員 まず内需拡大策の期間の問題でございますけれども、今回の内需拡大策につきましては、当面早急に実施する対策と今後推進すべき対策という二通りに分かれております。  当面早急に実施する対策と申しますのは、今議論になっております住宅公庫の融資の問題、規制緩和、国公有地等の有効活用等によります民間住宅投資、都市開発促進が第一点、第二点は電気事業、ガス事業関係の設備投資、第三が消費者金融とか販売信用の利用等によります個人消費の喚起、四番目が地方債の活用による地方単独事業の追加等公共事業拡大でございます。これは今年度中に直ちに実施に移すということになっております。  それからあと公共的事業分野への民間活力の導入、いわゆる民活でございますが、こういう問題、それから規制緩和、週休二日制の拡大、国公有地等の有効活用、こういった問題につきましては実施に移すのにやや時間がかかるということで、来年度以降実行していく施策というふうになっておるわけでございます。  それから、先ほど来御議論のありました税財政にかかわるような問題につきましては今後の予算編成税制改正作業の中で検討していく、こういうふうになっております。  次に、今回の内需拡大策によります経済効果でございますが、ただいまお話しのございましたように事業規模は約三兆一千二百億円というふうに一定前提を置きまして一応試算をいたしております。この事業が、まずそのもの自体が民間住宅投資あるいは民間設備投資、公的固定資本形成等になるわけでございますが、さらにそういう需要が追加されることによりまして生産が拡大し所得が増大する、それからまた需要が発生するというようなことで効果が波及してまいるわけでございます。そういうことで波及効果も考えますと、これが乗数効果を持ってまいります。それはいろいろな前提を置いた仮の計算でございますけれども、今後GNPベースで約四兆一千百億円というふうに計算をいたしております。このGNPが拡大することによりまして海外に対する輸入がふえるということでございまして、これにつきましてもいろいろ計算がございますが、私どもといたしましては二十億ドル前後輸入がふえるのではないかと考えておる次第でございます。
  161. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 そういたしますと、今回のこの法案によって貿易収支への改善はどのくらいと見込まれておりますか、建設省と経企庁にお伺いいたします。
  162. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 今回の措置によります貿易収支の改善の影響につきましては、経済企画庁といたしましても、これは経済企画庁からお聞きしたわけでございますけれども内需拡大策全体としての効果を定性的にとらえるということで、これがどのくらいの効果があるかということについてはちょっとわかりかねますので、大変申しわけありませんが、御了解いただきたいと思います。
  163. 大塚功

    ○大塚説明員 今回の対策は、先ほど申し上げましたようにいろいろな柱からできておりまして、それにつきまして全体としての事業規模を積算いたしましてカウントし、それに波及効果を乗じて計算をしているということでございまして、その波及効果の計算に当たりましては一定の乗数を使用してやっております。そういうことで一つ一つ取り出してやってはいないわけでございまして、そういう意味住宅公庫のみの効果というものは出しておらないわけでございますが、全体といたしましては、先ほど申し上げましたように約二十億ドル前後の貿易収支の改善効果があるというふうに一応の試算をしているわけでございます。
  164. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 計算をしてないということであればどうしようもないのですが、実は私は、こういう政策決定の仕方にやはり問題があるのではないか、こう思っているわけです。どういうことかといいますと、今回の目的が貿易収支の改善にあるということを考えたときに、そのためにこの政策をやるんだよというふうに考えるならば、それはどういう効果があるんだろうかということを当然つかんでいなければいけない。もしも建設省もそれを知らないとするならば、それがなくてこういう提案ができるのだろうかということだと思うのです。だから、やってないというならば仕方ありませんけれども、これは建設省にしても、あるいは経済企画庁にしても私は怠慢だと思うのですね。     〔中島(衛)委員長代理退席、委員長着席〕 もしも効果が余りないものならばほかのやり方をしてもいいかもしれないというふうに当然考えるべき性格のものだと思うのです。これだけいろいろ計算技術等も発達しているわけでありますからどんなシミュレーションだってできるわけである。だからほかのファクターを置けば、前提条件をそれなりに置けば、これの変化したときにどういうふうに変化するのだろうかという話は当然できる話だと私は思うのです。だからそれなりの予測をぜひやっていただきたい。  これは今後にもいろいろな政策をやらなければいけないわけですが、政策、手段の選び方は当然その効果によって変わってくるはずだ。だからこそこういうものは乗数効果はどうだ、これはどうだとかいう計算を常にしているわけですね。そういう意味で、今回の法案の目的が貿易収支の改善のためにあるんだよ、そのために緊急的にこの法案を提案するんだよというならば、その効果はどれくらいであるかというふうに考えるのが至極当然だと私は思うのですね。そういう意味で、全然ないならばこれはもう仕方ありませんけれども、今後のいろいろな政策を検討するときに経済企画庁もぜひそういう形で進めていただきたい、こういうふうに思います。  次に移りますが、今回のこの法案による措置によって六十年度二千六百億円の住宅投資額を見込んでいるわけでありますけれども、それによって新たな貸し付けが必要になるわけですが、今年度の財源の措置についてどのように考えられているのでありましょうか。
  165. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 今回の「内需拡大に関する対策」を踏まえまして、公庫においては二万戸の貸付枠を今年度下期に追加するということになるわけでございます。既計画分、つまりこれは十八万戸でございますけれども、それが特別割り増し貸し付けの活用をやるであろうということも含めて四千九百億円という事業規模の追加を試算、予定しておるわけでございます。しかしながら、公庫の貸付契約につきましては、例えば個人住宅の場合には申し込みの受理から公共団体による設計審査でありますとか、あるいは金融機関による貸し付けの審査、そういったものを経て契約に至るわけでございまして、一定期間が必要となるわけでございます。このために六十年度内に貸付契約に至るものとしては、先ほど先生がお示しになりました二千六百億円、戸数にして一万戸というものが試算されるわけでございます。  これらの追加に伴いまして公庫の資金交付のために必要な金額というのが出てくるわけでございますが、これは当然契約後一気にできるわけではございませんで、年度末までの工事の進捗状況というのがあるわけでございますが、こういうものを勘案いたしまして契約額の約三〇%、つまり七百八十億円程度というふうに見込んでおるわけでございます。  それで、この財源といたしましては、果たして財投追加が必要かどうかということになるわけでございますけれども、今後の公庫の資金需要の動向等を見ながら検討していく必要があるというふうに考えております。
  166. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 次に移りますが、十月十五日付の先ほど申し上げました内需拡大策には、その中の直接住宅に関係する項目は二つあると思うのです。その一つは、今回の金融公庫の特別割り増し貸付制度等の実施でありますし、もう一つは、増改築等リフォームの促進ということが掲げられておりますが、このリフォームはこの法案の対象となっていないわけですが、どういう理由でしょうか。
  167. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 お示しの増改築等のリフォームの推進につきましては、これはストックの有効活用を図るということで、それによりまして全体の居住水準が向上するということがあるわけでございまして、そのためにも、また内需拡大を図るためにも重要な課題であるという認識は持っておるわけでございます。ただ、住宅改良の平均の工事費といいますのが新築に比べて約三分の一であるということ、それから住宅改良の場合に、資金調達を見てみますと、その特性といたしまして金融公庫以外の借入金に依存するウエートが非常に少ないということ、それから現行の貸付限度枠は三百五十万円でございますけれども、平均的には実質融資率が七〇%近くなっているということでございます。こういったようなことを勘案いたしまして対象としなかったわけでございます。
  168. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 そういたしますと、この「内需拡大に関する対策」の中に述べられていて、「当面早急に実施する対策」として掲げているわけですが、この項目は何を具体的にどういうふうに展開をしょうとされているのでしょうか。
  169. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 増改築等のリフォームにつきましては、かねてから全国各地での例えば増改築フェアの開催でありますとか、あるいは増改築コンクールの実施などを推進してきてまいっておりますが、さらに内需拡大のための対策の決定を踏まえまして消費者が安心してリフォームについて相談を行うことのできる専門家の養成を促進するとともに、増改築推進のためのキャンペーンを集中的に行ってまいりたいというふうに考えております。
  170. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 確認でありますけれども、都市再開発により建設された住宅の購入者にもこの特別割り増し貸し付けはされると考えてよろしいですか。
  171. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 お示しの市街地再開発等の貸し付けによりまして建設されました住宅のうち、みずから居住するための住宅を購入する、そういう場合につきましては今回の対象となっているということでございます。
  172. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 今回の措置では緊急措置ということで六十一年度末まで、こういうふうになっておりますが、マイホームを建てようとしている人たちにとってみるとそれはそれなりに歓迎できるのでありますけれども、六十一年度末までと期限を切ったのはどういう理由であるか、六十二年度以降はどのようになるのか、お伺いします。
  173. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 先ほど来何回も出ておりますけれども、今回の「内需拡大に関する対策」におきましては経済摩擦の解消、対外不均衡の是正というものを目標としておりまして、「当面早急に実施する対策」と「今後推進する対策」というふうに定められておるわけでございます。当面の緊急かつ臨時措置として今回の特別割り増し貸付制度があるわけでございますが、そのうち当面の施策の一環というふうに位置づけをされております。そのことから、その効果の発現ということを図るべき期間として六十一年度末というふうにしたわけでございます。  しかしながら、今後中長期的な観点から二十一世紀に向けて居住水準の向上を図っていくということはぜひやらなければならないわけでございまして、そのために着実に前進するということから、予算を伴う措置を含めまして公庫の貸付条件の改善等、十分な充実を今後努力しながら図っていく必要があるというふうに考えておるところでございます。
  174. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 これは先ほども出ていた話でありますけれども住宅政策なるものが余りくるくる変わっていたのでは、家を建てようとする人は本当に混乱してしまうわけですね。そういう意味で政策の継続性ということも必要でありますし、今局長の言われましたようにどんどんまた前進もさせていかなければならないわけなんで、ぜひそういう観点からまたよろしくお願いをいたします。  それから、この「内需拡大に関する対策」の中でも触れられておりますけれども、下期の受け付け期間拡大することとして効果の十分な発揮を図る、こういうふうにしておりますけれども、具体的にこの下期の受け付けについてどのようにする方針か、それから国民への十分な周知徹底が必要であるわけでありますけれども、具体的にどのように進められるか、お伺いします。
  175. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  住宅金融公庫の個人関係の貸し付けにつきましては、年間に四回、大体一月程度の受け付け期間を設けまして募集を行っておる次第でございます。今年度につきましてはもう既に二回を終わっております。  先生の御指摘がございました下期の受け付けにつきましては、経済対策閣僚会議の決定を踏まえながら、先生がおっしゃいましたようにこの効果が十分に発揮されますように本法案の成立後可及的速やかに受け付けを開始いたしたい、こう考えております。  なお、三月上旬までの間は、年末年始を除きまして受け付けを常時実質的に行えるようにいたしたい、このように考えておりまして、少なくとも下期の受け付け期間と申しますものは五十九年度の場合の一・五倍程度の実質受け付け期間があるようにいたしたいということで検討をしておる次第でございます。  なお、この制度の内容、受け付け期間に関します。知措置でございますが、これはもちろんマスコミ等へ働きかけますと同時に、私ども役員等一体となりまして現地に出向きまして日本じゅうに十分PRいたしたい、それからなお金融機関等につきましても十分周知を図りたい、このように考えておる次第でございます。
  176. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 最初にもちょっと触れましたけれども住宅建設というものは実際にはなかなか進んでいないわけでありますね。その点に関してでありますけれども住宅建設促進のために線引きの見直しを初めとして宅地供給を促進するための対策が必要であるというふうに考えますが、この点についてどういうふうに考えるのか、また、区画整理済みの土地の未利用地におけるビルドアップの促進についてどのような対策を講じておられるか、お聞きいたします。
  177. 清水達雄

    清水(達)政府委員 住宅建設促進のために宅地供給の促進が必要であることは御指摘のとおりでございます。そのために経済対策閣僚会議で先般決められました「内需拡大に関する対策」におきまして、宅地開発の円滑化のための措置といたしまして宅地開発指導要綱の行き過ぎの是正、線引きの適切な見直しの早期完了、市街化調整区域における開発許可の規模要件の引き下げの実施、こういうことにつきまして地方公共団体に必ずしもまだ十分徹底していない点があるのでこれの指導を強化するということが決められたわけでございますが、その点につきまして今後実効のある指導をしてまいりたいということが第一点でございます。  それからそのほかに、市街化区域内の土地の有効利用の促進ということが非常に大事でございますので、今法制審議会で検討に着手いたしております借地法の改正等の借地方式の推進、それから信託方式の推進、こういうことにも積極的に取り組む必要があると思っておりますし、それから最近の団地開発等におきましては、地方公共団体は単にベッドタウンでなくて複合的な機能の町づくりというものを要請しておりますので、公的な宅地開発事業制度につきまして複合的機能を備えたニュータウン開発ができるような制度改善を図るように目下検討中でございます。これらの対策を総合的に講じまして供給の促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
  178. 牧野徹

    ○牧野政府委員 区画整理事業を行った後のいわゆる未利用地のビルドアップのお尋ねでございますが、現在のボリュームとしては、五十九年七月現在で区画整理事業を終わったところで未利用の宅地は全国に二万一千ヘクタールほどございます。宅地が六万一千ヘクタール強でございますから約三分の一程度かと思います。先生お話しのように、現下の状況から見ればこれらの土地を有効活用していくということは大変必要だと思います。ただ、御案内のように、個別の土地所有者の方もついておりますので、強制的に土地利用を転換するというのはなかなか難しいところもございます。ただ、そうではございますが、私どももいろいろ努力はいたしております。  そのうち二、三申し上げますと、一つは、例えば住宅だけが建ってもなかなかその町が熟成しないわけでございますので、中心となる公益利便施設を積極的に導入していくというふうなことを地方公共団体に対して指導していることもございます。それからまた、区画整理で出てきた整地された土地に早く家が建つように、例えば仮換地を指定した後三年以内で一定住宅を建てるというために土地を譲渡した場合のいわゆる課税の特例をする、あるいは買ってお建てになる方につきましても住宅金融公庫の方で土地費の融資の特例をするというふうなことで、いろいろ諸般の手だてを講じているところでございますが、今後ともなお一層努力をしてまいりたいと思っております。
  179. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 最後になりますけれども、この法案とはちょっと離れますけれども、地震対策についてであります。  この間メキシコで大地震がありました。そして、それからすぐ後にこの日本でも幾つかの地震があったりいたしました。御存じのとおり東海大地震の問題でいろいろ対策をとっているわけでありますけれども、あのメキシコの地震の教訓は何としても日本に生かさなければならぬと思うわけですね。それで、特に建物について考えてみましても、この前のメキシコ大地震のときに、例えば九階建てぐらいから十四階建てぐらいの鉄筋コンクリートのいわゆる中層ビルというのが最も被害が大きかったりというようなことがございました。  それで、今建設省としてはこの住宅問題であのメキシコ地震からどのような教訓を酌み取っているのか、そしてそれをこれからどのように生かそうとしているのかということについてお伺いいたします。
  180. 木部佳昭

    木部国務大臣 今回のメキシコ地震というものは、私どももいろいろ教訓として受けとめなければならない問題がたくさんあるのではないか、御指摘のようにそう思っておるわけであります。  それで、ちょうど地震の直後でありますが、建設省建築研究所の所長さんがニューヨークにおられましたので、これを現地へ派遣いたしたわけでございます。その後、建築研究所やその他の、五名でございましたか、現地へ伺った。これは主として日本側としての復興に対する考え方とか、そういうものが主だったろうと私は理解いたしております。現在調査団が約一カ月ぐらいの予定で行っておるわけでございまして、その調査団の皆様方がいろいろ調査をし、また技術的にもしっかり把握してまいると思いますので、そうした調査団が帰国後、我々としても生かすべき教訓はしっかり受けとめて生かしていかなければならない、そう考えておる次第でございます。
  181. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 ありがとうございました。  今の調査結果等を生かしてこれからにということでありますけれども、今も地震対策の基準等をいろいろ整備されたりして、それで実行されてきたりしているのですが、きょうは問題提起までといたしましてあえて質問はいたしませんけれども、基準は、つくればそのとおりに実行されているわけでもないわけですね。つい二、三日前の新聞にも、マンションドクターの一年間のカルテというようなのが出ていたりいたしました。例えばビルでベランダなんかをつくるといたします。そこでも鉄筋が抜けていたりとかいうようなことが現実に起こっていたりしているわけですね。そういう意味で、基準は基準でちゃんとつくらなければいけません。しかしそれが、つくればいいというわけではなくて、ちゃんと守られていなければいけない。  そういう意味で、今のお話でこれからさらに検討をされ、対策をとられていくわけでありますけれども、これは私たちも含めて、地震対策については本当にせっかくの教訓でありますので、それは酌んで対策をとっていただきたい、こう思いますので、よろしくお願いいたします。
  182. 木部佳昭

    木部国務大臣 実は今申し添えるのを落としてしまったのですが、我々自民党の方で、地震の委員長の大石千八君と二、三の委員の方々が一週間にわたって現地の方で調査をされて帰ってまいりました。時間がございませんでしたから、長い、いろいろ詳細な意見といいますか、実は受けておりませんけれども、復興に対する技術、それから特に建築基準の問題とかそういう問題に対しては、メキシコの技術者の皆さん方は日本側に対して、復興計画や、またこれからこの教訓を生かしてどういうふうに新しい都市づくりをするかというふうなことを非常な期待を持って、また現に政府調査団がいろいろあれすることについても非常に感謝の気持ちで受けとめておる、そういう話は承りました。
  183. 伊藤英成

    伊藤(英)委員 質問を終わります。
  184. 保岡興治

  185. 瀬崎博義

    瀬崎委員 まず、十月十五日に出されました「内需拡大に関する対策」、経済対策閣僚会議が決めた「内需拡大に関する対策」の内容について経企庁に伺っておきたいと思うのです。  その中では、「住宅建設はこのところ動きが緩やかである。」と述べているのですが、「動きが緩やかで一ある。」とはどういう状態を指しているのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  186. 大塚功

    ○大塚説明員 住宅投資につきましては昭和四十八年度がピークでございまして、以後伸び悩んでおります。この原因でございますけれども、まず世帯数の増加率や都市への人口流入が鈍化しているということ、それからすべての都道府県での一世帯一住宅が実現したということ、それから近年におきましては住宅の値上がり期待も弱まっている、こういったような事情で伸び悩んでいるわけでございます。  GNP統計で申し上げますと、例えば昭和五十四年度は前年度比がマイナス〇・一%、五十五年度がマイナス一〇%、五十六年度がマイナス一・九%、五十七年度は一・三%のプラスでございます。しかし五十八年度はまたマイナスの八・七%、こういうふうに来たわけでございます。  しかしながら、最近の動向を見てみますと、住宅投資は五十八年の回ないし六月期を底にして緩やかな回復が続いております。五十九年度の実績はプラスに転じまして、二・〇%でございました。また本年度の経済見通しにおきましては三・八%を想定いたしております。  ごく直近の四半期別の動きを見てみましても、一―三月期は一・一%のプラス、四―六月期は〇・六%のプラス、こういうふうになっておるわけでございまして、ようやく住宅投資が回復し、緩やかに増加をしているという実態でございます。
  187. 瀬崎博義

    瀬崎委員 今の経企庁の説明によると、住宅建設の低迷が長く続いている、その要因として国民住宅需要がほぼ満たされてきたこと、一世帯一住宅の実現もできてきたこと、今後建築費の大きな値上がりもそう起こりそうにないという、三つ挙げましたね。  そうだとすると、今回こういう融資の上乗せ措置をとったからといって、さて住宅需要は急に起こってくるのでしょうか。これは全く矛盾すると思うのです。いかがですか。どっちか答えてください。――これは経企庁が答えたことだから、経企庁が責任を持って答えなければいかぬな。
  188. 大塚功

    ○大塚説明員 先ほど申し上げましたように、過去につきましては先ほど申し上げたような事情がございましてやや伸び悩んでいたわけでございますが、最近のところは住宅取得能力の向上といったようなこともありまして徐々に伸びを続けてきているということでございまして、四半期別に見ますと、五十九年の四―六月を底にいたしまして毎四半期ごとに伸びてきておるという状況でございます。そういうことがございますので、先ほど申し上げましたように本年度の政府見通しにおきましても前年度比で三・八%という伸びを見込んでいるわけでございます。
  189. 瀬崎博義

    瀬崎委員 全く経企庁らしい答弁で、全く現象面を、しかも数字からだけ物を見て説明しているわけです。問題は結局、国民住宅を建てたいんだけれどもいろいろな要因で建てられない、つまり潜在的な住宅需要があるのかないのか、ここがポイントだと思うのです。これはどうやら建設省の方が上手(うわて)のようですから、そっちで答えてください。
  190. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 御指摘のように最近百二十万戸というような数字になっておりますが、世帯数の増勢の鈍化、そういうような要因もあるし、所得の伸びの鈍化というような要因もあると思います。しかし、いわゆる建てかえ、住みかえ、世帯増、それから一般的に言われているいわゆる空き家というのではないのですが、流通のための空き家、そういったものの必要性を勘案しますと、これは新しい五カ年計画で出している数字で、まだ構想でございますが六百七十万戸、これは年間に直しますと百三十四万戸になるわけでございまして、我々としてはいろいろなところから見て潜在需要は百三十万戸ぐらいはある。これは統計上、いわゆる着工統計的に言いますと百二十九万戸、いわゆる漏れ率がございますのでそういう数字になるかと思いますが、いずれにしましても現時点において十万戸くらいのギャップがあるというふうに考えているわけです。これをいかにして埋めるかということが今後の住宅政策の一つの課題であるというふうに考えているわけです。
  191. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そこで問題は、年間大体百三十万戸程度の潜在的な住宅需要がありながら、オイルショック後は、五十一年から五十四年まで大体百五十万戸前後を維持したものの、その後は大体百二十万、百十万台というところで、回復を強調されるけれどもせいぜい百二十万ですね。このことはいかに住宅建設低迷の要因が幅広く奥深いものであるかということを物語っていると思うわけです。もろもろの矛盾がそこにはあるわけでしょう。そういうことに対して今回の上乗せ融資措置で果たして期待どおり本当に建設そのものの上乗せができるのかどうかということを我々は危ぶむわけですが、いかがですか。
  192. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 今回の措置によりまして我我は二万戸程度の増がある、貸付枠が必要であるということを考えておるわけです。それは先ほども申し上げましたが六・八五ということでございますけれども民間の都市銀行金利でございますと七・三八ということで、そこに差があります。したがって、今回の割り増し貸し付けを平均的に計算しましても、民間から借りた場合とこの割り増しを利用した場合の差というものは〇・二%の金利差があるというふうに考えられるわけでございまして、これも既に申し上げたところでございますけれども、関数式を使って計算しますと戸数増は二万戸になるという計算が出ているということでございます。
  193. 瀬崎博義

    瀬崎委員 上乗せ措置というのは百五十万ないし三百万ですね。しかし、実際に借り入れをしなければならない金額は一千四、五百万円を必要とするわけですから、全体にならしてみれば、〇・二%の下げそのものも大したものではないけれども、さらに低いんじゃないかと私は思うのです。  そこで、実は今回も住宅金融公庫としては繰り上げ償還等の増加が見込まれるから新たな財投積み増し措置をとらなくてもよいようなお話なんですが、五十九年度、住宅金融公庫では繰り上げ償還等の増加から千八百三十二億円の財投資金の不用額を出していらっしゃるんじゃないかと思うのです。そういう財投資金を利用する気なら、今回の上乗せ貸し付け特別措置を年度当初から取り入れられてしかるべきではなかったのかと思うのですが、なぜ年度当初からやらなかったかということを伺っておきたいのです。
  194. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 お示しの五十九年度におきましては、同年度内のいわゆる繰り上げ償還の増加に伴いまして既応貸付分の回収金が増加いたしまして、その結果資金に余裕ができたということでございます。  今回の措置は、先ほどからもずっと出ておりますように、十月十五日の閣僚会議での決定を受けて緊急措置、時限措置ということで六十一年度の予算編成に先立って実施しようとするものであります。また、その中にありますように、予算あるいは税制を伴う措置についてはそれぞれの過程でやっていくということになっております。したがいまして、まさにお示しのような制度改善といったものはその時期に一生懸命頑張りたいと思っております。
  195. 瀬崎博義

    瀬崎委員 それで、年度当初でやったことは一体何だったかを振り返ってみたいわけですよ。建設省からいただいた説明資料によりますと、今回の措置財投金利六・八五%で百五十万ないし三百万を利用すれば、そしてステップを利用した場合、五年間の毎月返済額は八千八百五十三円ないし一万七千七百七円となって、金利七・三八%の民間住宅ローンの毎月返済額一万一千九百七十四円ないし二万三千九百四十八円に比べて月額で三千百二十一円ないし六千二百四十一円の軽減になる、年間に直しますと三万七千四百五十二円ないし七万四千八百九十二円の軽減だ、こういう資料が出ているわけですね。これはステップ期間の五年間だけの話ですよ。ところが今年度当初に百二国会住宅金融公庫法改正が行われているわけでしょう。そのときやったことは、新しく四万円の手数料を徴収するという改正であったわけです。百五十万のこの上乗せ利用で民間ローンに比べて軽減される利息というのは先ほど言ったように年間三万七千円ほどなんですね。一方四万円の手数料徴収がことしから行われているわけです。初年度の軽減分はこれでもう吹っ飛んでしまっているわけなんですね。  これは極めて矛盾する措置だ。まさに我々は年度当初からやれるものならこういう上積み制度を導入すべきではないかと考えているぐらいなのに、その時点で政府のやったことは、逆に住宅を建てようとする人々に負担をふやすことであった。これは明らかに矛暦で、今回こういう提案をするのなら当然手数料の徴収も撤廃する、こういうことも同時にやってしかるべきではないかと思うのですが、そう思いませんか。
  196. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 先ほどから申し上げておりますように、今回の措置臨時的かつ緊急的な措置であるということで、いわゆる制度の根幹とは一応違うという形をとっておるわけでございまして、やはり全体の財政事情等々を考慮した結果、こういうおっしゃったような措置をとられ、また今回こういう措置をとるということになるのもやむを得ないのではないかと思います。
  197. 瀬崎博義

    瀬崎委員 臨時臨時を非常に強調されますけれども国民住宅建設するというのはその人にとっては一生に一度の大事なんですね。長期の準備も要りますし、また長期間負担も伴うわけですよ。それだけに、これに対する国の融資制度というものは、国民住宅建設をやろうというときに住宅建設のプランだけではなく生涯の生活のプランも含めて当てにし得るようなものでなかったら、これは国の政策とは言えないと私は思うのですよ。だから、今強調した臨時臨時でいつどう変わるかわからないようなこういう国の政策は、国民から見れば本当に当てにならないということにもなるわけです。だからそういう点では、特に今度の場合が貿易摩擦解消とか景気対策とか政府の都合、もっと言うならば住宅とは関係のない外交上とか経済対策の面から出てきている政策でしょう。それだったら建設省住宅局の存在さえ疑われてくる。やはり住宅に対する対策住宅政策そのものから一定の一貫性を持って打ち出されるものではないかと思うのですが、この点、これは大臣に伺っておきたいですね。いかがです。
  198. 木部佳昭

    木部国務大臣 先ほど局長がお答え申し上げましたように、私どもといたしましてももう少し前向きのあれがあるとありがたいと思っていますけれども、現実は現実として先ほど答弁申し上げておるとおりでございます。したがって、今回の措置というものは緊急措置の問題でございますので、その辺をぜひ御理解いただきたい、かように考えております。  なお、来年のこの予算編成に当たりましての税制改正につきましても、私ども相当広範な税制改正要求し、要望いたしておりますので、そういう点等の実現のために最善の努力を尽くさせていただきたい、かように考えております。
  199. 瀬崎博義

    瀬崎委員 住宅金融公庫の方に伺いたいのですが、今年度から一件当たり四万円の手数料徴収の制度が導入されましたね。これによって、その導入直前、つまり五十九年度の第四回目の申し込み件数を見ますと、対前年比八千九百八十四件増になっているわけです。これはやはり駆け込み的な要素も入っているのじゃないかと思うのです。ところが、この手数料制度が導入された後の今年度第一回目では、対前年比一万七千三百七十二件のマイナスになっている。続いて第二回目でも対前年比九千二百五十件のマイナスになっているわけです。これは明らかに手数料を四万円も徴収されることから手控えが起こってきた、こうみなすべきではないかと私は思うのです。だから先ほど住宅投資をふやさなければならないときに減らすような矛盾した施策を政府はやったじゃないかということを申し上げたのは、こういう事実から私は言っていることなんです。  そこで、既にもう対前年比三万件近い減が上半期において起こっているときに、さて今回のわずかばかりの上乗せ貸し出し措置で予定どおり二万戸増になったとしたところで上半期の落ち込み分をカバーして精いっぱい、私はそれさえも非常に困難な事態になるのじゃないかな、こういう点を憂えたりするわけですけれども、どうでしょうか、公庫の側として、この手数料制度の導入が資金を借りようとする人の非常に重荷になったと思いませんか、また、こういう制度は本来なくした方がよいとはお思いになりませんか。
  200. 河野正三

    河野説明員 手数料の問題につきましては、ことしの春の当委員会におきましてもお答えいたしたところでございますが、公庫の財政を健全化するという一つの立場からやむを得ない措置として採用したものでございます。  なお、個人住宅一件当たり四万円でございますが、この手数料は一回ぼっきりでございまして、三十年間の償還なら償還を考えますと、金利というのは年々の償還額に響きますけれども、四万円は一回ぽっきりでございます。その点ひとつよくお考えのほどをお願いし、御理解を願いたいと思うわけでございます。  なお、今回の臨時措置に関しましては、午前中もお答えいたしましたように、現下の財政事情のもとでは精いっぱいの当面の措置として政府がお決め願ったわけでございます。もちろん先生おっしゃいますように、貸付条件等は安定的であることは望ましい、それは言うまでもないわけでございますが、しかし、臨時応急の措置としてもいい方向に措置をしていただいたわけでございますので、公庫としては今後懸命な努力を払いまして、四十九万戸プラス二万戸の貸し付けの受理に向かって努力をいたす所存でございます。
  201. 瀬崎博義

    瀬崎委員 手数料は一回ぽっきりだ、金利はずっと最後までついて回るものだ、だから手数料四万円の徴収は大したものではないというお話なんですが、そのたった一回の手数料の四万円の導入でさえ現に申し込み件数には大きく響いたではないか、こう私は申し上げているわけです。しかし、今、金利に比べればこんなものは知れたものだというお話だから、そこで今度は金利の方に話を移したいと思うのですね。  民間ローンと比べる場合に、返済期限等同一にして見なければどのくらい軽減になるのか金額で出てきません。例えば、上乗せの百五十万円を借りた場合に今回の措置六・八五%を適用する場合と、それから民間ローンの七・三八%を適用する場合、二十五年間元金を均等に返した場合で比較しますと、私の大ざっぱな計算ですが、全期間を通じて十五万円程度の軽減措置ではないかなと思うのですよ。  そこで、昭和五十七年度の住宅金融公庫法改正段階制金利が導入されていますね。それ以前は全期間を通じて利率五・五%だった。それがその後十年目返済までは五・五、それから十一年目返済からは財投金利、当時は七・三%だったかな、現在は六・八五%ということになります。それで六百三十万円を現在の段階制金利で計算すると、金利は五百九十三万五百六十八円。これは公庫から伺った数字です。二十五年間五・五%適用で計算すると、金利は五百三十万四千六百円。ここでの金利負担増というのは六十二万五千九百六十八円出てくる。当時の七・三%適用だったらもっと大きく、八十万円近いものになったのじゃないかと思いますね。  この五十七年当時の段階制金利導入でどういう事態が起こっていたか。まず、この段階制金利導入直前の五十七年、第二回受け付けでは、駆け込みも加わって対前年比で十一万一千百八十四件ふえているわけです。ところが導入後の第三回受け付けでは、申し込み件数はマイナス六万五百三十二件、続く第四回もマイナス五万二千百六十二件、さらに翌年度、五十八年度の第一回受け付けでも対前年比二万二千六百六十二件、五十八年度第二回でも九万七千三百三件のマイナス、これだけ大きく尾を引いて、段階制金利導入役申し込み件数は落ち込んでいるわけですね。ようやく五十八年度の第三回受け付けでプラスに転じたものの、それ以降は対前年比で見ればほぼ横ばいみたいな状況になっています。だからそういう点から見ても、この段階制金利導入というのは非常に大きな悪影響を及ぼしている。  こういうことを一方でやっておいて、今回、金利軽減だ軽減だということを大いに強調されるけれども、むしろそれならこの段階制金利そのものをもとへ戻す、そういうことを考えるのが原則的な問題ではないか、こういうように思うのですが、いかがですか。
  202. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 さっき大臣からも申し上げましたように、財政状況等々勘案した結果、一番いい形として現在の形になっているというふうに理解しておるところでございます。
  203. 瀬崎博義

    瀬崎委員 結局、これまで年間百三十万戸あるいはそれ以上の潜在的な住宅需要がありながら、これがなかなか顕在化しなかった、むしろ低迷を続けた。この大きな要因には、今の段階制金利だとか手数料の徴収が入っているわけですよ。それをそのままにしておいて、今回の臨時特例のごくごく軽微のカンフル注射は問題解決にならないということを私は言いたいからこういう例を挙げているわけですね。決してこれで百三十万戸に戻ると我々は考えられませんよ。もう一遍一年たったらこの場で議論したいと思いますけれども、私はかつて予算委員会でも三年ほど前に言って、百三十万戸に戻ると言って戻らなかった、そういう例は過去にもあるのですよ。そういう点ではもう一遍、住宅政策として、こういう住宅建設に対する融資の根本はどうあるべきか、過去の改悪が積み重ねられたことについて見直すべき時期に来ているのではないか、私はそのことを申し上げておきたいと思うのです。  さらに、これは大臣要望したいことなのですが、もっと大きく言えば、住宅の落ち込みの背景を見れば、例えばこの間、健康保険制度が改正されて本人一割負担が導入されたでしょう。これで被保険者は年間平均して約一万円負担増になるわけですよ。二十五年間で二十五万円負担増になるわけですから、今回の利息軽減措置というのは、この健保制度の改悪による本人負担分すらカバーし切れないわけなのですね。あるいはまた厚生年金の保険料率引き上げが出てきたわけですね。これで、これまた年間一万八千円ほど負担増になるわけですね。これは今後も年々引き上げられるのですが、ことし一年分の引き上げたけでも今回の金利軽減措置を上回る負担増になってくる。このほか、間接税の今年度の値上げ分を見ても、国民一人当たりには約四千五百円の負担増になってくる。あるいは人事院勧告が値切られてきている。こういうものが積もり積もって、三年間で一人当たり七十五万円程度の減額になっている。  ですから、本当に住宅建設というものを軌道に乗せようと思えば、やはりこういう国の最も根本的な施策になっている社会保障や福祉の切り下げ、こういうものについても、住宅の立場から見ればこれは全く逆行することを今政府でやっている。建設大臣だからそっちの方はお構いなしては済まない。やはり住宅建設の落ち込みをもう一遍盛り返そうと思えば、こういう社会保障や福祉の切り下げはやめてもらいたいんだという主張ぐらいは大いに閣議でやってもらう必要もあるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
  204. 木部佳昭

    木部国務大臣 基本的な私の考え方は先ほど答弁申し上げたとおりでございます。御意見として拝聴させていただきました。
  205. 瀬崎博義

    瀬崎委員 国の住宅政策を担っているもう一つ政府機関が住宅都市整備公団なのですね。ちょっとそちらの方へ話を移したいと思うのです。  住都公団の丸山総裁は十月二十二日付の朝日新聞紙上で、「行革審が取り上げる特殊法人の対象に当公団が入っていることも承知している。が、公団の使命は消えませんよ」、こういう紙上発言をされていますね。それからさらに、「賃貸住宅の分野は民間では無理でしょう。」こういうふうにも言っていらっしゃるわけですね。  そこで伺いたいのは、総裁は住都公団の使命とはどんな使命だと認識されてこれをおっしゃったのか。もう一つは、賃貸住宅民間では無理でしょうと言われた。なぜ無理なのか。まずこの点を伺いたいと思います。
  206. 丸山良仁

    ○丸山参考人 当公団は、御承知のように、政府住宅政策及び都市政策を推進するための実施機関としてつくられましたものでございまして、その使命を達成するために、私、総裁を拝命いたしまして、全力を尽くす考えでございます。  そこで、今のお尋ねでございますが、当公団といたしましては、一つは、今もお話がございましたのですが、今最も不足しております四、五人世帯用の良質な賃貸住宅をつくることに重点を置いてまいりたい、このように考えております。  それから、二番目の問題といたしましては、民間では十分な対応ができない大規模かつ計画的なニュータウンの建設あるいは我が国の都市政策で最もおくれていると言われます都市の再開発、これに重点を注いでまいりたいと思います。  それから、これら都市づくりと関連いたします分譲住宅にも力を注いでまいりたいと考えております。  それから、最後でございますが、当公団は三十年間に六十五万戸の賃貸住宅を持っているわけでございますが、三十年代につくられたものが十七万戸ございますけれども、その大部分が四十平米以下の小さな住宅でございます。これは当時の事情としてはやむを得なかったと思いますが、そろそろ建てかえの時期に来ている、このように考えるわけでございますから、そのような点に重点を置いて公団の運営を図ってまいりたいと考えております。  それから、二番目の問題でございますが、賃貸住宅が無理だと申しますのは、例えば四、五人世帯用の賃貸住宅をつくる場合、今当公団は政府の補給金千四百八十六億をいただきまして、これで金利を薄めまして、三・五%ないし四・五%でコスト計算をしているわけでございます。民間にこれをおやりいただくということは、いかに金利が下がりましてもなかなか困難な問題があるのではないかと考えておりまして、その点で民間で良質な賃貸住宅をおつくりいただくのは無理である、このように申し上げたわけでございます。
  207. 瀬崎博義

    瀬崎委員 すべてに共鳴をするわけにいきませんが、特に良質、低家賃の賃貸住宅の需要がふえており、これは公団でなければできないのだ、これは私も全くそのとおりだと思うのです。ぜひそういう使命達成に努力をいただきたいのです。  そうなると、一方、行革審の方は現在小委員会までつくって、この住宅都市整備公団の縮小とか民営化をさえ論議しようとしているということが伝えられているわけですね。この問題について去る十月三十日に総裁が住都公団の労働組合と話し合いをされておりますね。その「会見要旨」を見ますと、総裁の発言として、   私としては「縮小・民営化」は反対だ。  行革審が公団の事業内容を知らないで勝手な意見を言われては困る。  三十一日のヒアリングは、 これは小委員会だと思いますが、  しょっぱなで重要なので、住宅局長に「ヒアリングでしっかりやれ」と言ってきた。  住宅局長は、「文書をもって公団の「縮小・民営化」には反対だ。現体制がもっとも適正である。」と主張してくれるはずだ。  (今後)必要があれば各委員のところにまわる。  職員をへらす、事業量をへらす、とかは反対だ。 こういうふうにおっしゃっているようなんですが、こういう御発言をまず確認しておきたいと思います。
  208. 丸山良仁

    ○丸山参考人 内部の懇談会でございますからいろいろな発言をしましたが、一部は正しいし、全部そのとおりだとは申し上げません。
  209. 瀬崎博義

    瀬崎委員 私が特に念を押しておきたいのは、この「「縮小・民営化」には反対だ。」こういうのはまさか趣旨を取り違えて書くことはないと思いますね。それから「住宅局長は、「文書をもって公団の「縮小・民営化」には反対だ。現体制がもっとも適正である。」と主張してくれるはずだ。」こういうのも非常に具体的な内容ですから、まさか聞き手が勝手に事実をねじ曲げて我々に伝えるはずはないと思うのですが、まずこの中のポイントとしてこの二点を確認しておきたいのです。
  210. 丸山良仁

    ○丸山参考人 行革審につきましては、御承知のように特殊法人問題等小委員会が設置されまして、現在各省庁を通じまして特殊法人の実態についてヒアリングをしているところでございます。したがいまして、委員の皆様からはまだ当公団をどうするこうするというお話は全く出ていないわけでございます。そういう段階でこういう国会の席で私の意見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
  211. 瀬崎博義

    瀬崎委員 しかし、これは少なくとも全く非公開とかいうことではなくて、事実上相当人数の労働組合の代表とお会いになっているわけですから、これは総裁としての責任ある発言だと我々は受け取らざるを得ないと思うのです。  ですから、こういう発言を大なり小なりされているとすれば、住宅局長にも伺っておかなければならないわけですね。総裁の方は、三十一日のヒアリングでは縮小・民営化反対の方向で主張してくれるはずだという期待感を持っていらっしゃるようなんですが、どういう主張をされたのですか。
  212. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 三十一日のヒアリングにつきましては、これはあくまでも小委員会のヒアリングで、我々は呼ばれましてヒアリングを受けているものですから、その内容等について我々から直ちに申し上げるわけにはいかないと思います。  しかしながら、私といたしましては、先ほど総裁がるる申し上げましたような観点を踏まえまして、特に長期安定的な財政資金の確保であるとかあるいは財政援助であるとか、それから法律に基づくいろいろな権限が付与されている、そういった武器、武器と言ったら言葉は悪いですけれども、そういったようなものを持ちながら強力な住宅都市政策の一翼を担っているという認識は強く持っておりますし、そういう主張をするつもりでございます。
  213. 瀬崎博義

    瀬崎委員 そうだとすれば、これは来年度の予算編成に絡む問題で、大臣に伺っておきたい問題になるのですね。  六十年度以降の管理開始となる賃貸住宅の高家賃抑制のための補給金抑制であるとか、あるいはまた同じく六十年度以降管理開始となる賃貸住宅建設期間中の建設費補助金の抑制であるとか、さらに六十一年度以後新規募集の賃貸住宅の償還コスト引き下げのための利子補給等が一部削減される、建設省自身の要求が大体そういうふうになっていると伺うわけですが、先ほど局長の趣旨を貫いていただくとすれば、本来はこういうことはあってはならない、むしろ逆に補助金、補給金を強化充実する、そういう方向を目指さなければいけないのじゃないかなと思うのですが、いかがでしょうか。
  214. 渡辺尚

    渡辺(尚)政府委員 基本的な考え方は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、全体的な財政事情等の中でいかにあるべきかということを考えていかなければならない、そういうことで公団に対する補給金等が非常に大きくなっていくことはやはり避けねばならないというようなことも考えまして、いろいろ工夫をして、しかし、公団の経営の努力によって解消していく部分もありますし、対応していくということでございます。
  215. 瀬崎博義

    瀬崎委員 時間ですから、重ねて強調しておきたいのですが、住宅都市整備公団、確かにさまざまな問題も抱えておりますし、私どももその問題点を当委員会で指摘したこともあるのですが、しかし、戦後の荒廃の中で国民の衣食住の柱を再建する上で果たした役割は非常に大きいわけですね。また、先ほど総裁も強調されているような、民間ではできない良質、低廉な賃貸住宅建設ということでは他をもってかえることのできない使命を担っている、そういうこともございますね。ですからそういう点では、こういう公団がその使命を今後とも十分果たせるように建設大臣としてもぜひ頑張っていただきたい、このことを要望し、二言御意見を述べていただいて、終わります。
  216. 木部佳昭

    木部国務大臣 私は、この公団が果たしてきた役割というものは大変大きな役割を果たしたというふうに評価をいたしておる一人でございます。  しかし、時代は大きく変わっておりますし、また、先ほど来いろいろ御指摘がありましたように、公団のあり方とか業務のあり方、そういう問題につきまして、時代の要請にこたえてみずからを改革し、そしてより多く国民生活の向上、発展に寄与するという、その使命の上に立って今後とも頑張っていただきたいと考えております。
  217. 瀬崎博義

    瀬崎委員 終わります。
  218. 保岡興治

    保岡委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  219. 保岡興治

    保岡委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  220. 保岡興治

    保岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     ―――――――――――――
  221. 保岡興治

    保岡委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、北口博君外三名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  提出者より趣旨の説明を求めます。北口博君。
  222. 北口博

    北口委員 ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案について、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。  案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位が十分御承知のとおりでございますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。    住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 宅地供給の円滑化を図るため、地方公共団体の自主性に基づく適切な線引きの見直しを促進するとともに交通綱の整備等に配慮すること。  二 公共・民間賃貸住宅建設促進に努めるとともに大幅な住宅減税の実施を図ること。  三 住宅金融公庫財政の健全化と公庫貸付金の根幹的金利の維持及び貸付条件の充実を図るため、同公庫に対する利子補給等の財政援助に特段の配慮をすること。  右決議する。 以上であります。  委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。  終わります。
  223. 保岡興治

    保岡委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。  本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  224. 保岡興治

    保岡委員長 起立総員。よって、北口博君外三名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。  この際、木部建設大臣から発言を求められておりますので、これを許します。木部建設大臣
  225. 木部佳昭

    木部国務大臣 住宅金融公庫法及び北海道防寒住宅建設等促進法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって議決されましたことを深く感謝申し上げます。  審議中における委員各位の御高見につきましては、今後その趣旨を生かすよう努めてまいるとともに、ただいま議決になりました附帯決議につきましても、その趣旨を十分に尊重して努力してまいる所存でございます、  ここにこの法案の審議を終わるに際し、委員長初め委員各位の御指導、御協力に深く感謝の意を表し、ごあいさつといたします。どうもありがとうございました。(拍手)     ―――――――――――――
  226. 保岡興治

    保岡委員長 お諮りいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  227. 保岡興治

    保岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕     ―――――――――――――
  228. 保岡興治

    保岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十九分散会      ――――◇―――――