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小林(進)
委員 外務大臣がそのように理解を持っていただくことはありがたいですけれ
ども、政治を動かす上においてもこういう問題を腹の底に置いて問題を処理していただかないと、やはり本質的な解決になりませんからあえて私は申し上げたので、
注意していただきたいと思います。
まだ私は、この際速
記録をつけて言っておきたいことは、私も実は中国に行った。
外務大臣は十月の十日から十三日まで、私は九月二十四日から十月五日まで、ちょうどあなたがおいでになるちょっと前に私は中国から帰ってきた。というわけで、十二日ばかりずっと中国の
状況、靖国神社以後の
状況を見に行ったわけですけれ
ども、私は行って実に驚いた。私は二十数回行っているけれ
ども、これくらい
日本に対する対日感情が悪化しているとは夢にも考えないで私は行った。全く驚いてまいりました。その具体的な例を申し上げますと、今まで我々に会っても、戦争のことは忘れます、忘れましょうといった言葉がなくなっちゃった。今度は会う人、会う人、ともかく私
どもは戦争のことを忘れろと言ったって忘れられません、中国の首脳部は昔のことを言うな、将来のことを言って指導していますけれ
ども、私
どもは忘れられません、こういうふうに言葉が変わった。
それから第二番目には、
日本人に殺されかかって助かった、そういう被害者、体の傷ついた人たちを出してきて、それで大きな集会場へ行くとその人たちが、こんなぐあいで
日本人に虐殺をされました、痛めつけられました、私の体にはこれほど大きな傷がありますという、公の席で自分の体の傷を、実態を見せながら
日本の残虐なことを話をする、こういう形に変わってきた。
それから御承知のとおり、八月の下旬には北京大学において、靖国神社参拝に公然と抗議する学生のデモが一千数百名、二千名近くで大きなデモ行進が行われて火を噴いた。こういうことが始まったが、これを契機にいたしまして、中国の全国に学生の抗日、反日の運動が火を噴き出してきているという
状況になってきた。私は、この実情を見てきたわけでございます。
なお、八月に入りますと、中国のマスコミが一斉に、抗日戦争勝利四十周年記念論文、回顧録、犠牲者の追悼文など、連続に全部掲載するようになった。これは今まで見たことのない、新しい現象です。それから、党の機関紙人民日報は八月中旬から、抗日戦争、世界ファシズム戦争勝利四十周年の通しタイトルの大型の企画を続けて、全国に
日本の実跡を報道していますね。こうした一連の企画の中で、あなたも行かれる前にお聞きになったか知りませんけれ
ども、八月二十八日、胡喬木政治局員、これはナンバーフォーですかね、ファイブですかね、あなたはお会いになったでしょう、胡喬木。今度はお会いにならないか。実力者だ。彼が四十周年記念学術討論会においてこういう演説をしていますよ。ちょっと一席読み上げますから、聞いてください。
抗日戦争と反ファシズム戦争の歴史的意義を説き、侵略に抵抗した人々をたたえた後で、「かつての侵略者とそのシンパは、手を尽くして極東軍事裁判の厳正な審判を覆し、」これは今
土井さんが言われた極東裁判の問題だな。これを彼ら、中国は言っている。「極東軍事裁判の厳正な審判を覆し、戦争の性質を歪曲し、戦争の罪悪を覆い隠し、中国で行った三光政策」三光政策とは、殺し尽くし、焼き尽くし、奪い尽くすというのが三光政策。この「三光政策や細菌戦、南京大虐殺などの戦犯を民族の英雄として美化し、甚だしくは崇拝さえしようとしている。」こういうことを公式で演説しているんですね。これは、胡喬木氏を通じて中国政府の代表演説ですよ。あなたも北京でこれをお聞きになったでしょう。お聞きになりませんでしたか。これくらい激しく、いわゆる靖国参拝の問題を取り上げて抗議しているんですよ。
それから、時間もありませんから急ぎますけれ
ども、抗日戦争勝利記念キャンペーンは、九月二日、天安門の広場で英雄記念碑の献花式、三日には人民大会堂で記念大会が催されている。これも全部
日本に対する排撃の集会です。
それから今度は、
日本軍の侵略でひどい目に遭った中国とその他のアジア諸国が、戦争四十周年のいわゆる節目を迎えているときに、
日本政府は従来の政策を一歩踏み出して靖国神社に公式参拝をした、これは我々被害
国民に対して顔に泥を塗るような思い上がった行為ではないか、こういうことがこの集会で言われているわけでございますが、この問題はどうですかな。これに対して北京における外国の特派員、特派記者は口をそろえて、いかにも
日本の
内閣総理大臣は国際政治のセンスがないね、こういう批判を一律に出しているというような問題が起きている。いいですか、安倍
外務大臣。あなたも
御存じでしょう。
それからSKD、これは松竹歌劇団。これはこの十月二十一日、中国の河南省の鄭州で開かれる
日本映画祭に
出席する予定ですっかり機材器具を送っていたけれ
ども、それを取りやめにしてくれということが
日本大使館を通じて言われてきたことは
御存じでしょう。その
理由は何ですか。これは中華全国青年連合会から北京の
日本大使館を通じて、今中国では対日感情がよくない、治安に責任を持つことができないからこの公演はやめてくれ。それくらい、今
日本に対してはいわば治安の保障もできないくらい悪化しているという。
いま
一つの例を申し上げますと、あれは九月十三日ですか、北京でマラソンがあった。
日本の家兄弟というのが、アジア国際マラソンに出て一、二位で優勝した。あのとき、中国が一体どういう警戒態勢をとったか
御存じですか。今までは二十メートルずつに警備の警官を配備したのでありますけれ
ども、
日本人が走ると、どこから抗日のデモ隊が
日本人を捕らえるかわからないという心配があって、五メートルごとに警察官を配置してそれに備えた。
日本人に不当な暴行があってはいけないというので備えた。こういうような中国側の配備が行われるくらい事態が悪化している。いいですか。
こういうような空気の中で、胡耀邦総書記が日中友好二十一世紀
委員会において、二十一世紀
委員会の
日本の代表にこういう注文をつけている。日中戦争を引き起こした張本人を許してはならない、これが
一つですよ。これは二十一世紀
委員会の諸君が言ったかもしれませんが。それから、両国の交流の中で問題が発生したとき、今発生しているのです、問題が。
相手側の
国民感情を傷つけてはならない、これが
日本に対する注文です。おわかりになりましょう。中国の
国民の感情を傷つけないでくださいということです。これを胡耀邦総書記が注文をつけている。私は、こういうことをあなた方もよく御了承をしていただきたいと思うのであります。
また、あなたは李鵬副
総理にお会いになったでしょう。その李鵬さんが九月の末日ですか、中南海に北京大学と清華大学の代表の学生を四百人呼んで、そしてこの問題についてこれ以上問題を悪化させないようにという、大きな鎮圧の工作をしたことは
御存じでしょう。そういうこともやっております。
それから十月二十七日、中国共産党中央書記局が、中曽根
首相の靖国神社公式参拝に対して噴き出した学生の反日感情を重視して対策検討
会議を開いた、中国共産党の首脳部が。これはお聞きになっていますか。
御存じですか。そして、各地方党
委員会の指導者も学生との対話集会を開いております。対日問題の感情の高まりを鎮静せよと言って、各地方の共産党の首脳部に全部指令を出している。こういう実情なんだ。
では、この辺でやめまして、残りは午後の部にいたします。