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1985-12-06 第103回国会 衆議院 運輸委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十二月六日(金曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 三ツ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 津島 雄二君 理事 小林 恒人君    理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君    理事 河村  勝君       関谷 勝嗣君    田中 直紀君       近岡理一郎君    林  大幹君       福家 俊一君    堀内 光雄君       山村新治郎君    若林 正俊君       兒玉 末男君    左近 正男君       関  晴正君    関山 信之君       田並 胤明君    富塚 三夫君       薮仲 義彦君    梅田  勝君       辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委員         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         運輸大臣官房審         議官      熊代  健君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         運輸省運輸政策         局長      栗林 貞一君         運輸省航空局長 西村 康雄君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君  委員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   中野 公義君         警察庁警備局公         安第三課長   鏡山 昭典君         警察庁警備局警         備課長     井上 幸彦君         運輸省地域交通         局次長     松村 義弘君         労働省労働基準         局監督課長   菊地 好司君         建設省道路局高         速国道課長   小林 芳夫君         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     岡田  宏君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     長谷川 忍君         参  考  人         (日本国有鉄道         再建監理委員会         委員長代理)  加藤  寛君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ――――――――――――― 委員の異動 十一月二十九日  辞任         補欠選任   林  大幹君     中川 秀直君   田並 胤明君     山下洲夫君 同日  辞任         補欠選任   中川 秀直君     林  大幹君   山下洲夫君     田並 胤明君 十二月六日  辞任         補欠選任   富塚 三夫君     関  晴正君 同日  辞任         補欠選任   関  晴正君     富塚 三夫君     ――――――――――――― 十二月二日  日本国有鉄道経営再建促進特別措置法の一部を  改正する法律案小柳勇君外三名提出参法第  一号)(予) 十一月二十八日  国鉄分割民営化反対等に関する請願梅田  勝君紹介)(第五八九号)  同(辻第一君紹介)(第五九〇号) 十二月二日  国鉄分割民営化反対等に関する請願(経塚  幸夫君紹介)(第六五九号)  同(東中光雄紹介)(第六六〇号) 同月四日  国鉄分割民営化反対に関する請願矢山有  作君紹介)(第八二一号)  同(辻第一君紹介)(第九七一号) 同月五日  国鉄線維持存続に関する請願串原義直君紹  介)(第一〇三〇号)  同(清水勇紹介)(第一〇三一号)  同(中村茂紹介)(第一〇三二号)  国鉄輸送力増強に関する請願串原義直君紹  介)(第一〇三三号)  同(清水勇紹介)(第一〇三四号)  同(中村茂紹介)(第一〇三五号)  運転代行業タクシー類似行為撲滅に関する請  願(瓦力紹介)(第一一八〇号)  国鉄分割民営化反対等に関する請願藤木  洋子君紹介)(第一一八一号)  国鉄分割民営化反対に関する請願藤木洋  子君紹介)(第一一八二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 十二月六日  国鉄再建合理化に関する陳情書外十四件  (第八六  号)  国鉄分割民営化反対等に関する陳情書外七  件  (第八七号)  国鉄鍛冶屋線存続等に関する陳情書  (第八八号)  四国地域鉄道網整備に関する陳情書外一件  (第八九号)  九州新幹線早期着工に関する陳情書外一件  (第九〇号)  路線バス許認可事務に関する陳情書  (第九一号)  地方バス生活路線維持確保に関する陳情書  (第九二  号)  地方空港整備促進に関する陳情書外一件  (第九三号)  新広島空港建設促進に関する陳情書  (第九四号)  新高松空港等早期整備に関する陳情書  (第九五号)  近距離航空システム整備促進に関する陳情書  外一件  (第九六号)  第一豊漁丸当て逃げ事件に関する陳情書外一件  (第  九七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ――――◇―――――
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  陸運、海運、航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。
  3. 兒玉末男

    兒玉委員 この際、警察庁担当者にまずお伺いしたいと存じます。  前もって断っておきますけれども、今回の十一月二十九日の東京都を中心としたゲリラ活動については、国鉄労働組合動力車労働組合は全く関知していないということを冒頭申し上げておきたいと存じます。  そこで、警察庁にお伺いしたいことは、全く前代未聞ともいえる首都圏全面交通麻痺、あるいは関西地区におけるところの大変な非常事態が発生しました。並びにこのことは、来年五月の東京サミットをめぐっても、交通通信網等にもこういう被害が及びかねないという、交通保安上、安全上極めて重大な問題でございますが、これについて警察庁当局見解をまずお伺いしたいと存じます。
  4. 井上幸彦

    井上説明員 十二月二十九日のゲリラ事件につきましては、全国八都府県三十四カ所で同時ゲリラの形で発生を見ました。特に首都圏中心とします列車の運行が不能になるというような事態に相なったわけでありますが、関係警察では、直ちにこれに対応いたしまして、特に警視庁におきましては、中核派全学連委員長、副委員長あるいは非公然活動家等を含めまして合計四十八名の者を現行犯逮捕いたしたところであります。  ただいまお話がございましたように、来年は東京サミットも予定されておるということでありまして、特に最近の極左暴力集団の動きを見ました場合、ことし四月十二日にあらわれました爆発物を発射する装置を使ってのゲリラ事犯、あるいは十月二十日の成田現地におきますいわゆる街頭武装闘争の展開、さらには十一月二十九日の交通網を麻痺させた同時ゲリラということを考え合わせてみますと、来年のサミットをめぐりまする情勢は大変厳しいものがあろうというふうに我々も認識いたしております。  しかし我々は、サミットにつきましては、参加各国首脳の身辺の絶対安全の確保会議の円滑なる開催というものの確保を第一義に、特に事前の段階におきまして、ただいま御指摘のございました交通関係あるいは空の足の関係、これらにつきましても関係当局と十分に連携を密にいたしまして、事前対策を十二分に着実に推進し、同時にまた、全国警察の総力を挙げて万全の構えで警備をやっていく所存でございます。
  5. 兒玉末男

    兒玉委員 今、警備課長が答弁されたように、これは非常に我々の想像を絶する事態が十分考慮されますので、援善の努力お願い申し上げます。  次に、運輸大臣にお尋ねしますが、今回のこの一連のゲリラ事件というのは、運輸省としても、かなり綿密な体制と今後の万全の体制に十分の注意が必要かと存じます。  そこで、今回の事件の経過を踏まえて、運輸省としてはどういう措置をとろうとするのか。  第二の問題としては、今国鉄が抱えておるところの余剰人員対策というものは極めて深刻な問題でございまして、これから九万三千人というたくさんの余剰人員一体どう対処しようとするのか。  この二点について大臣見解をお伺いしたい。
  6. 山下八洲夫

    山下国務大臣 今回の事件は、帝都の交通を麻痺させる等まことに遺憾のきわみであると存じておりますが、従来から空港とか鉄道施設につきましての防備体制はかねがね指示をいたしてきたところでございます。しかし、今回の事件にかんがみ、さらにこれではいけないなということを深く反省をいたしております。今後は、特に警察と密接な連絡をとりながら、ただ警備ということではなくて、こういう施設に近寄らせない方策をとっていかなければならぬ。そういう意味から、そのための防護措置であるとか、あるいはまた自主的なパトロールであるとか、あるいはそれに必要な予算措置であるとか、そんな万全の体制をとってまいりたい。特に、御案内のとおり、来年は東京サミットがございますので、私といたしましては、国鉄等私の所管に関するそういった施設について十分の体制をとってまいりたいと思っております。  なお、今御指摘がございました、いわゆる国鉄再建問題についての関連でございますけれども、私は、今回の事件の中に国鉄職員が含まれていたということは、国鉄自体がやはり末端において、この国鉄再建重要性をまだ認識していない者があったという点を十分私どもも反省しながら、さらに国鉄当局とそれらの周知徹底について十分協議をしてまいりたいと思っております。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣に申し上げますが、先ほど申し上げたように、今回の十一月二十九日のゲリラ活動については、一部の職員が参加したということが載っておりますが、これは組織である国鉄労働組合やあるいは動力車労働組合とは全く無縁のものだということだけは明確に確認しておいていただきたいと存じます。  それから、今回、第三次の地交線問題が提起されるような状況でございますけれども、このことは、社会党が今回、国鉄再建法の一部改正において、地交線対策を五年間延期しなさい、この旨の法的準備を整えまして、十口に提案する段取りが終わっております。こういう点等を考えますならば、少なくとも第二次線においても、約五つ路線が二千名を超えるということで、これは協議中断となっております。さらにまた予想される第三次線においても、約五つが二千名以上の乗車人員があるわけでございますが、こういうことから、やはり社会党の提案する法案をもとにして、少なくとも第三次関係についてはこれを、五年間の時限がございますが、その間保留するということについて、大臣見解を承りたいと存じます。
  8. 山下八洲夫

    山下国務大臣 特定地方交通線につきましては、基本的には十月十一日の閣議決定国鉄改革のための基本的方針」、これに基づいて、監理委員会の「意見」の趣旨に沿って施策を引き続き推進していくことといたしておりますが、今お話がございました協議中断あるいはまた今後の三次線につきましては、これからまた国鉄において十分具体的な調査等をなされまして決定すべき問題だと存じております。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣余剰人員について触れられていないので、御見解を承りたいと存じます。
  10. 山下八洲夫

    山下国務大臣 余剰人員対策は、国鉄事業再建の成否にかかる極めて重要な問題であることは御承知のとおりでございます。このような余剰人員対策を推進するに際しまして、職員に不安を抱かせることのないようにということがまず第一の問題であろうかと存じております。  このような観点から、政府におきましても、当事者である国鉄最大限努力を前提に強力な支援措置を講ずることとし、去る十月十一日、先ほど申し上げました「国鉄改革のための基本的方針」において、その旨も閣議の中で決定いたしておるわけでございます。この方針に沿いまして、現在、内閣に設けられました国鉄余剰人員雇用対策本部、これは異例の総理大臣本部長を務めるということでございまして、これを中心に所要の対策について検討を進めてまいることといたしております。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 六十二年四月というタイムリミットがあるわけでございますが、今の大臣の答弁では、一体この余剰人員についてどのような受け入れ態勢なり、後で総裁にもお伺いしますけれども、どういうようなことを具体的に考えておるのか。これは単に国鉄の問題としてではなくして、監理委員会も、路頭に迷うことのないように十分な対応をするということを申しておるわけでございますが、担当運輸省としては、いま少しきめの細かい対応がぜひ必要ではなかろうか、このように感ずるわけでございます。  先般も貨物問題の一社体制ということを資料としていただきましたが、内容は極めて不備であります。これにおいても、相当数貨物関係職員を減らす、減量経営するということなどもございますが、こういうふうに部門別にあるいはそれぞれの機関別にまだまだ詰め方についても極めて大ざっぱではないかと思うわけであります。これらについて、法的な措置なりあるいは具体的な大方配分等の問題については、運輸省としては立法過程を通じまして大方の結論が出ているのじゃないかということについて再度見解を承りたいと存じます。
  12. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 大臣からお答え申し上げましたように、余剰人員対策、これからの国鉄改革を進める上で最も重要な問題だと思っております。先生指摘のございましたように、この問題は、やはり具体的に中身を明確にしていかなければならないぺそうでなければ職員皆様方に大変不安な気持ちを抱かせるということでございます。そのような観点から、現在、政府にございます雇用対策本部事務局中心に、政府部内におきまして具体的な国家公務員等への受け入れないしは希望退職条件等について詰めておるところでございます。  それから、立法措置につきましても、先生指摘のございましたように、具体的な中身立法の中で明らかにしていくことが必要だということで、現在、法律としては一応二本の法律というものを予定いたしております。  一本は、六十一年度に二万人の希望退職を募りますが、その二万人の希望退職される方に対する退職についての割り増し給付金中心といたします希望退職への対応策立法でございまして、これは六十一年度予算の中で明確にいたしまして、予算関係法案として次期通常国会提出をいたしたいと考えております。  それから、もう一本の予定をいたしております法律は、全部で六万一千人になります余剰人員受け入れにつきましての基本的な考え方を中心といたしまして、基本計画とか国、地方公共団体等の責務、さらには希望退職の具体的な受け入れ計画等の策定、さらにはそれらを受け入れます際の促進に対するインセンティブと申しますか、そういうようなもの、さらに清算法人でございます旧国鉄に残ります方々に対する職業訓練、再就職のためのあっせん措置というようなものを盛り込みました基本的な法律をさらにもう一つ法律として次期通常国会提出をして促進を図っていきたい、かように考えておるところでございます。
  13. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣にお伺いしますけれども、この前、社会労働委員会多賀谷議員労働大臣に対して、炭鉱離職時の問題点をるるとお話がありましたが、実に関係者の血みどろな闘いで、前後して十年近い長い年月を経ております。事国鉄の問題については、やはり仕事柄それぞれの分野において受け持つ対応が個々まちまちであります。こういうことを考える場合に、二年や三年の短時日で他への転職ということは極めて困難ではないか、私はこのように判断をするわけでございますが、こういう多方面にわたるところの多種の職員の転換、転職等について、私はいま少し長期の展望に立ったところの対応をするのが妥当ではないかと考えますが、大臣の御所見を承りたいと存じます。
  14. 山下八洲夫

    山下国務大臣 炭鉱離職者対策の当時のことを私もある程度、私のところも産炭地帯でございますから、承知をいたしておりまして、皆さん方の非常な御努力によって一応決着がついたと申しましょうか、御不満ながらもとにかく離職者対策は一応遂行されたということでございます。  今回の場合は、特に公務員でございますから、これはもっと国の組織を挙げて、ある面において私は対処がしやすい面もあるかと思っております。しかも、炭鉱離職者の場合と違いまして、全国的に、鹿児島から北海道まで普遍性があるというような点も考えながら、特に地方公務員等受け入れ等についても常々私ども関係大臣等にもお願いをしておるわけでございます。  そういう観点から、今度は、そういった一つ公務員である、準公務員と申しましょうか、ということからして、まず国鉄自体の御努力お願いし、しかる後にまた、同じ仲間でございます国家公務員受け入れについて、各省庁に格段の御努力をいただく、さらにまた地方公務員、しかる後に労働省労働大臣等からいろいろごあっせんをいただいて、経団連その他にお願いして、民間にもその受け入れについて格段の御努力を願うという万全の体制を図らなければ、一定の期間内にこれが実現することは容易なことではない、私どもはそんな非常に重大な、私自身が問題であると受けとめて、限られた期限内にひとつやってまいりたいと思っておる次第でございます。
  15. 兒玉末男

    兒玉委員 大臣の今後の一層の御健闘を祈念いたします。  次に、杉浦総裁にお伺いします。  今、国鉄職員の中には、一体おれたちの将来はどうなるんだ、こういうふうな雇用不安、労働不安というのが全国職員の中に渦巻いているわけであります。こういう中において、やはり国鉄当局の確たる対応が極めて大事ではなかろうかと存ずるわけでございます。このことについて総裁としての見解をまず一点お伺いしたい。  同時に、十一月二十九日、一部の職員もあったということでございますが、先ほど申し上げたようなことで、国労も勤労も最善努力を尽くして、その復旧のために全力を挙げだということは総裁もお認めのことだと思いますが、このことについてはいかがでございますか。  第三点としては、やはりこの際、余剰人員をめぐる問題を中心に、関係関連事業についてもかなり押しつけがましいような方向等も聞いておりまするが、関連事業にしても、これまた重大な関係でございまして、その受け入れについては、やはりお互いの十分な合意形成が必要ではないかというふうに感ずるわけでございますが、右三点について、総裁見解をまずお伺いしたいと存じます。
  16. 杉浦喬也

    杉浦説明員 余剰人員対策の一環としていろいろと国鉄内部施策を実施しておりますが、基本的に、やはり職員の将来の雇用確保あるいは生活の安定ということが、今後の国鉄改革に当たりまして最も重要な課題一つであるというふうな認識のもとに、私も現場へ参りまして、現場皆様方と話をいたしておりますが、そうした点で我々幹部は最大の努力をいたしますということを申し上げ、現場の諸君もどうぞ我々を信頼していただきまして、日常の業務に支障のないようにということをるるお話を申し上げているところでございます。しかし、先生指摘のように、将来の雇用の問題について、現在なお個々の職員には非常に不安があるということも事実でございまして、私どもは、これから政府のお力も得ながらできるだけのこと、雇用の場の拡大ということにつきまして最大限努力をし、今後とも決して不安が生じないようにということで一生懸命やっていきたいというふうに思っておるところでございます。  先般のゲリラ活動によりまして大変大きな一般の市民、国民に対する交通障害という思わざる結果が出たことはまことに遺憾でございまして、当日私ども大変ショックを受けましたが、何といいましても、その直後におきます速やかなダイヤ復旧ということが何よりも大事であるというふうに思いまして、私ども中央におきまする対策本部におきましては、できる限り早くダイヤ復旧するようにということを指令したところでございます。現場関係職員の大変な努力によりまして、かなりスピーディーにダイヤ復旧できだということは、現場を預かる私どもといたしましては、事故事故といたしまして、次善の措置といたしまして非常によくやったというふうに思っておるところでございます。今後ともこうしたことが二度と起こらぬように、なかなか難しい課題ではございますが、これから万全の措置を講ずるように目下検討を重ねているところでございます。  それから、関連企業の問題でございますが、長年にわたりまして国鉄の本来の事業と非常に密接な形で、いわば親子兄弟のような形の中で関連企業は商売をそれぞれやってきた経緯がございます。今、親元である国鉄が大変な状態であるということも関連企業皆様方には十分御認識いただきたいということを申し上げ、また御認識いただいておるというふうに思っておるわけでございますが、余剰人員の問題につきましても、ぜひとも関連企業皆様の御理解と御協力を得まして、一体となりまして、これを解決していただきたいというふうにお願いを申し上げておるところでございます。それぞれの企業合理化なり経営努力をそれぞれしておるところでございますから、私ども要請に対しましていろいろな問題が出てくるであろうことは重々わかるわけでございますけれども、そうした中で、将来の余剰人員雇用確保につきまして、一体となってひとつ頑張ってくださいということ、これもるる要請を申し上げておるところでございますし、また各管理局とそれぞれの企業の間で個別に十分のお話し合いをしながら余剰人員受け入れについて具体化お願いしておるところでございまして、少し普通どおりではない形での要請というふうに思ってはおりますけれども、しかしこうした点で円満にこれが実行できるように、十分に今後とも話をしてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
  17. 兒玉末男

    兒玉委員 後で吉原委員との関連がございますので、あと一問だけお伺いしたいと存じます。  総裁も御承知のとおり、国鉄労働組合山崎委員長名で今回この事態対応するために重大な声明を出しておるわけでございます。そういうことから今後の労使間の問題は、何といいましても、やはり相互信頼ということが欠くことのできない問題でございます。多少の問題があったにしましても、ここでやはり大同について、ぜひこれからひとつ特定組合に対して差別をするとか相互不信とかそういうことのないように、労使間の相互信頼ということに最善努力をされることを私は心から希望してやまない次第でございます。そのことについて再度総裁の御意見を伺って、私の質問を終わらせていただきます。
  18. 杉浦喬也

    杉浦説明員 おっしゃるように、これからの難しい問題をやる場合に、各組合とも労使それぞれが相互信頼関係に立つということが大変重要なことであるというふうに私ども認識をしておるところでございます。  雇用安定協約の問題につきましては、過去いろいろな経緯がございました。この際、やはり相互信頼関係に立つということをしっかり確立したいという気持ちを持ちまして、十分な話をしょうやというふうに呼びかけをしておるところでございます。遺憾ながら期限が切れてはおりますが、なおそうした基盤が確立されまして、一刻も早く正常な形になることを私ども期待をしておるところでございます。
  19. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは、吉原委員関連しますので……。
  20. 三ツ林弥太郎

  21. 吉原米治

    吉原委員 兒玉委員との関連という御発言がございましたが、関連でなくて、実は、航空局長お見えになっておりますね、急に質問を通告した関係で、きょうは日航の社長を参考人に呼びたかったのですが呼べませんで、航空局長で知っていらっしゃる限りお答え願いたいと思います。  五十六年三月に日航法の改正がなされました。そのときに当時の松井航空局長、日航は朝田社長でございましたが、ここで私が取り上げたのはHSSTの問題を取り上げたわけでございまして、随分日航ともなればむだ金を使うのだなという観点から、いつ実用化されるかわからないこのHSSTに対して、国も研究開発のための委託費を単年度ではございましたが、出していらっしゃるし、日航自体も実は研究開発に五十億を超える投資をしておるわけでございますが、今年十月八日にHSSTの株式会社を発足させて、これに対して一億二千万でHSSTの施設を売却したという情報を、新聞にも載っておりましたけれども、知りました。  私が質問した当初は、技術組合というふうなものを今後設立をして、そこで引き続き研究開発に努める、実は当時の松井局長はこういう答えをしておるわけでございますが、いきなり株式会社をつくって、そこに五十億以上の投資をした施設をそのままそっくりわずか一億二千万で売り飛ばす。政府は少なくとも三十数%まだ株式を持っておる、いわば筆頭株主の立場であるはずであります。少なくとも運輸省に相談はあったのかどうなのか。相談があったとすれば、それをどういう観点承知されたのか。私どもは、日航法十一条の精神からいって「重要な施設」だ、このように理解をしております。したがって、大臣の承認事項ではないかというふうにさえも考えておるわけでございますが、こういうことを当運輸委員会に一言も説明もなく突然売り飛ばすなんというようなことは甚だもって合点がいかない、このことが一つでございます。  また、この会社ができ上がったといたしましても、実用化にはまだまだほど遠い感じがいたしております。けさの日経でも、国鉄のリニアモーターの方はかなり技術が進展をしておるようでございますが、日航の持っておるHSSTの——過般の筑波博で私も試乗しておりますけれども、まだ実用化にはほど遠い。しかも、株式会社をつくって発足をしてみても、この会社は収入は一体どうなるのか。全然実用化できないようなものを依然として会社でもって——一体どういう収支見通しを持っておる会社なのか、まことにもって不可解千万でございます。したがって、実用化に向けて技術組合を設立してというあの五十六年当初の方針一体どこにいったのか。やろうとしたけれども、だめになったのならだめだったと、この株式会社をつくった経過についてここで長々とお答えしていただく時間がございませんので、後ほど細かい資料を添えてひとつ説明をしていただきたい、こう思いますが、航空局長、いかがですか。
  22. 西村康雄

    ○西村政府委員 ただいまの御質問の趣旨につきまして簡単に申し上げまして、詳細につきましてはまた別途御説明をさせていただきたいと思います。  今お話しのように、昭和五十六年当時鉱工業技術研究組合によりましてHSSTの開発をしようというふうに考えていたところでございます。この際には、日本の各界の研究者、技術者が集まりまして、その可能性について検討いたしましたが、何せ研究開発には非常に金がかかるということ、そしてまたその段階で具体的な開発プロジェクトがないということもございまして、一応の技術の水準は関係者が認めたにもかかわらず、研究組合としてこの開発をやっていくということには意見の一致を見ませんで、結局HSSTはなおその後も引き続き日本航空の手において開発を進めるという形になったわけでございます。  そういうことでございますが、今回HSSTを新会社に移譲するということになりましたのは、今後非常に多額の開発費が要るということで、日本航空としては自分がその負担をするのはどうも適当でないということで、新しい会社をつくろうという者がいましたので、そこに譲渡して、日本航空自身は言ってみれば身軽になるということで今回の措置をとったものと聞いております。これは日本航空措置をしてから私ども報告を受けた結果でございます。  なお、先ほどお尋ねの日航法十一条の「重要な施設」ではないかということでございますが、日航法十一条の「重要な施設」は、航空機のほか、建物、施設及び土地等で一億円以上のもの、こういうことになっておりまして、今回の場合は、この建物、土地にも当たりませんので、そういう意味では「重要な施設」の運輸大臣認可という形には及びませんでした。  今後どんなふうにこの会社を運営していくかということでございますが、その点は、会社はまた新たな研究開発のためのパートナーを探して、そこで開発を具体的に進めていくというように聞いております。
  23. 吉原米治

    吉原委員 私は五分間ということで、質問を終わりますが、今の航空局長の御答弁で、納得のいかない不可解な会社設立ということに私は思っておりますので、詳細にわたって日航側から調査をしていただいた資料をもとに御説明を後ほどまたしていただく、このことだけを御要請申し上げて、次の質問者にかわります。
  24. 三ツ林弥太郎

  25. 関晴正

    ○関委員 運輸大臣にお尋ねいたします。  昨年の三月、私は前運輸大臣の細田氏に盛岡以北の新幹線は六十年には着工するかとの質問をしました際に、六十年度には着工せざるを得ないであろう、こういう御答弁をちょうだいいたしました。その後、経過を見ておりますというと、昨年の十二月二十八日には、運輸大臣を初めとし、大蔵大臣、それから総務庁長官、さらに藤波官房長官、みんなで、六十年度の予算編成に当たって東北新幹線をどうするか。「昭和六十年度から建設に着手する。」ということが第一でありました。第二においては、「六十年度予算においては、とりあえず、国鉄及び鉄建公団に事業費を五十億円ずつ計上する。」三番目は、「着手に当たっては、所要の立法措置を講じて並行在来線の廃止を決定するとともに、政府及び党において国及び地域負担(建設費の一〇%)等事業実施方式のあり方、国鉄再建監理委員会の答申との関連等について調整を進め、その結論をまって六十年八月を目途にこれを行う。」これを考えるじゃありません。「六十年八月を目途にこれを行う。」であります。そして、八月になりまして、あなた方はこの取り扱い方針というものをすっかり棚上げしてしまったじゃないですか。これはどういうわけですか。これが第一。  第二は、私どもの青森県の知事はこれをすっかり信頼してしまいまして、県民の嫌がるところの核燃料の放射性物質のごみの捨て場に青森県がなるのもやむを得まい、こういうことで返事をされていたわけであります。まさに国が約束して嫌がる青森県民に核燃のサイクルのごみ捨て場を引き受けさせ、そしてやってくれるかと思ったら、ちっともやってくれない。少なくとも大臣ともが寄り集まって文書にまで判こを押して、昭和六十年度には着工する、八月をめどにやる。めどじゃなくて面倒にしてしまったじゃないですか。しかも、この中にうたわれているところの並行在来線の廃止の立法措置などというものはただごとでできる仕事ではないでしょう。どれだけ努力されましたか。少しの努力もなくてじんぜん八カ月を暮らして、申しわけないが終わりでございます、一体これが政治のあり方でしょうか。政権政党だと威張っておる自民党と政府がすっかり百六十万青森県民をだまし込んだ重大な責任を感じませんか。  あと幾ばくもなくしてあなたは大臣の席を去るでありましょう。しかしあなたは青森県に来て何とおっしゃいましたか。わしが大臣の在職中には着工する。そのためにあなた方の方は選挙のためにどれほど稼いだかわかりません。そのために我々の方はどれだけの被害を受けたかわかりません。いやしくも大臣ともが文書で判ごまで押して約束したことが弊履のごとく顧みられない。何ということです。こんな政治不信がありますか。これほどの運輸行政の不信がありますか。大臣は何と心得て新幹線の仕事をやろうと思っておられるのですか。これはむだ遣いだからやる必要がないと考えておるのですか。盛岡以北の人々は国民でないと思っておられるのですか。中央の国民だけが国民で、雪国の国民は国民のうちから外しているのですか。私はここに、去るに当たっていかなる感懐を持っておられるか、またいかなる責任を感じておられるか、明確にお答えいただきたいと思います。
  26. 山下八洲夫

    山下国務大臣 私は就任以来二十一世紀に向けての総合交通体系ということに非常に心をいたしまして、それぞれの交通機関の持つ特性というものをいかに生かしていくべきか、特性とは一体何かということについて、私は私なりに心を砕いてきたつもりでございます。その中にあって、例えば鉄道というものがその部分部分のそろばん勘定だけで決定すべきであるかということについては、私自身が非常な疑問を持っております。先生御案内のとおり、私のところにも長崎新幹線というのが整備線でございます。  そこで、いつも申し上げるのですが、国会の屋上に灯台をつけた場合に、光の届かないところにこそ政治の恩恵を垂れるべきである。したがって、その地域に新幹線を通すことによって、交通が便利になることによって経済も産業も文化も教育も大都市に近づくならば、これも政治の義務であるということを私は言い続けてまいりました。またそういう観点から、私は、新幹線の着手に努力しなければならぬ、また実態も見なければならぬということで、あの盛岡駅まで新幹線で参りまして、在来線にあそこで乗りかえる、十分でも無理かなあ、お年寄りが振り分け荷物みたいなものを持ってよちよちしながら階段を上っておられる姿を見て、これは早く何とかしなければならぬなということを身をもって体験し、見てまいったわけでございます。したがいまして、今おまえ何もやってないじゃないかとおっしゃるのですけれども、私は私なりに今申し上げたようにいろいろと心を痛めながら、関係省庁との話し合い等も進めてきたつもりでございます。  そこで、東北新幹線につきましては、八月二十二日の政府・与党間の申し合わせに基づきまして、環境影響評価の終了とともに、十二月四日に工事実施計画の認可申請がなされまして、ついこのごろでございますが、これを受理した次第でございます。これを受けまして、近々、将来の新幹線と交差する位置にある在来線の駅である新青森駅の建設に着手する、こういう段取りとなっておることをまず御報告申し上げておきたいと思います。
  27. 関晴正

    ○関委員 運輸大臣、私の質問にちっとも答えていませんね。あなたは判こを押したんでしょう、去年の十二月二十八日に。判こを押した責任をどう感じているかと私は聞いているのです。判こというのは押しても押さなくても何も関係ないんだ、こう思っているのですか。青森県の知事は印しわけないといって県議会の本会議で、知事には本当は何の責任もないんですよ、あなたにかわって青森県の知事はおわびしているんですよ。あなたが約束したことを、取り決めに判こを押したその責任を感じておられるのですかと私は聞いているんです。責任を果たしているのですか、あなた。ここだけ先に答えてください。
  28. 山下八洲夫

    山下国務大臣 先ほど来申し上げましたように、私が大臣になりまして、少なくとも幾つかの条件のもとに、これは最終的に与党と私の間で判こを押したわけでございますから、判こを押したこと自体私は一つの進歩であったなとあの時点に思いましたし、さらにその進歩を前進し続けなければならぬという気持ちを持ち続けてまいりましたことは、私が申し上げたとおりでございます。
  29. 関晴正

    ○関委員 あなた、判こを押したのが進歩だと言って、それを棚上げしたことは退歩でしょう。退歩の責任を感じませんか。努力をすればいいのじゃないのですよ、あなた。判こを押したのですよ。考えるじゃないですよ。行う、やります、ですよ。しかも八月をめどにやります、ですよ。八月をめどにやるために、何の努力をされましたか。並行在来線の廃止はどういうことです。立法措置を講ずるなんて、立法措置に手をつけましたか。ことしの五月までの間にその動きがありましたか。何もしないで棚上げで、そしてさようなら。なんです、これ。少なくとも運輸大臣たる者、判こ押したら責任を果たしたらいかがですか。  今お話ありましたね。青森と新城の間に鉄道小屋みたいなものをつくって、これで新幹線の駅舎をつくることになるんだ。これはごまかしですよ。二億か三億使ってやるというのでしょう、レールのそばにまくら木敷いて。これは国鉄、勤労の皆さん方の提言を受けてやっておられることだから、このこと自体何も悪いと思いませんよ。だけれども、これが新幹線の駅舎になって、新幹線工事の着手になって、着工になってという話に伝わっているから、こんな話ってあるものじゃない。なぜきちんと着工する、着手する、こういうことで取り運んでいただけないのですか。  私は、盛岡以北と北陸新幹線はイコールじゃないと思っているのです。あなた方はこれをイコールにしてしまって、北陸新幹線のついでに盛岡以北をやろうという考え方でしょう。合わせますと三兆円ですよ。そんな金は今ない。六千四百億円あればこっちの方はできるんだから、先にこっちの方をおやりになったらいかがですか。全く責任を投げるよりは、少なくとも半分ぐらい責任を果たした方がいいんじゃありませんか。どうしてそのくらいのことがおわかりにならないのだろうかと私は思うわけであります。  とにかく、あなた方が今工事実施計画を受理したと言って胸を張っておるけれども、受理していつ認可するのです。二年後になって認可するかしないかというのでしょう、受理はしたけれども。受理と認可は同じじゃありません、大臣。それでも我々地方の者は、受理したからやるんだろうと思っているのです。なに、受理というのは、文書を預かっておいて、二年後にやるかやらないかを決めるというのです。今まで受理したものは一カ月以内で全部認可でしょう。これだけは受理して、やる格好だけ、ポーズだけとって、それで二年待ってくれ。二年後になって、在来線をどうするか、また難しくなった、財源どうなった、また難しくなった。空手形に終わること必至じゃないかと我々は見ておるわけです。あなた方は、文書で約束したことも、このとおりのざまなんだから、言葉でやりますの、わしの在職中に征してくれの、藤尾政調会長に至っては、わしがやると言ったらやる、こう言って、ばかみたいな話をして、八戸の市長選挙のときに、知らぬ我々をだまして平気なんです。こういう自民党のやり方ですから、青森県民ではもう自民党の言うことを聞く人はいなくなった。ひどいものだ。きょうはそこに津島君もおりますけれども、この方だって運輸の政務次官のときにちゃんとわかっている人だ。  だから私は、とにかくこの問題については、あなた方の考え方は無責任過ぎると思っているのです。何も北陸新幹線と一緒でなければならない必然性は一つもありませんよ。こっちは六千四百億、北陸の方は二兆二千五百億ぐらいでしょう。大きいもののために小さいものが巻き添えを食っておるという手はないじゃないの。去るに当たって、こればかりはやると言ったんだから、やるとお答えになりませんか、大臣
  30. 山下八洲夫

    山下国務大臣 新幹線建設の責任者といたしまして、その促進をこいねがうもの決して私は先生に落ちるものではございません。それだけに今日まで、先ほどから申し上げておるように、関係方面といろいろ折衝をしながら心を砕いてきたつもりでございます。ただ、昨年の十二月二十八日、判を押したあの項目の中に幾つかのものが書いてあることは御承知のとおりでございますが、例えば並行在来線一つ取り上げてみても、実際に各省の間で詰めるとなると非常に難しい問題がある。並行在来線の具体的な範囲についてや財源問題、国鉄分割・民営化後における建設主体、運営主体のあり方等、そういうものとあわせて、先ほど申し上げました昭和六十年八月二十二日、政府・与党申し合わせに基づき設置された新幹線財源問題等の検討委員会に、早く結論を出すべく現在検討お願いしているところでございまして、そういうことで、私は今日なおできるだけの努力をしてきているつもりでございます。
  31. 関晴正

    ○関委員 何の努力をしたか知りませんけれども、日にちのたったことだけは事実でしょう。そうして八カ月の後に、あなた方はこの取り扱いの申し合わせについて何一つ前進がないでしょう。  国鉄に聞きます。大臣でも答えられたら答えてください。  並行在来線の廃止の立法措置を講ずるということになったら、これは短日月でできますか。並行在来線とは何を指していますか。私どもの青森県の八甲田トンネルをくぐっていくこの路線は、在来の東北本線を並行在来線と見ているとすれば、その廃止なんかできっこないでしょう。それをやるつもりなんですか、この文書は。お答えください。
  32. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 並行在来線につきましては、先生ただいま御指摘のように、何が並行在来線であるか、それから具体的にそれについて所要の措置をとるという場合に、どのような影響があるかが非常に重要な問題でございます。御承知のように、貨物列車も走っておりますし、通勤通学列車もございます。そういう中で並行在来線というものをどうするか、これは非常に大きな問題でございます。  ただ反面、今まで開通いたしました諸新幹線について見ますと、やはり新幹線そのものとしては快調な営業を行っておりますけれども、並行する在来線の赤字というものが、従来国鉄の大きな負担になってきたというのもまた事実でございます。したがいまして、新しい新幹線をつくるという場合には、その新幹線を中心とした一つの鉄道交通体系というものを考えていくべきでございまして、そういう意味で並行在来線について所要の措置をとるということは、当然やむを得ないことだというふうに考えております。  ただ、先ほど申し上げましたように、その問題は非常にいろいろな問題を含んでおりますし、重要な問題でもございますので、政府に設けられました検討委員会で具体的な中身を早急に詰めるということで、現在検討委員会がスタートして検討に入っておるところでございます。
  33. 関晴正

    ○関委員 「八月を目途にこれを行う。」というのでしょう。どんなに面倒であったかもしれないけれども、八カ月あればその用も立つつもりで約束したのでしょう。ところが、実際は八月までにこの約束を果たせる内容じゃありません。六月で国会が終わって、どうして立法措置のことが手続としてもやれますか。物理的に不可能でしょう。そういうわかりきった不可能な条件をつけておいて、いかにもやるんだというごまかしを私は特に取り上げたいわけですよ。馬の鼻先にニンジンをぶら下げて、今にもニンジンを食えるように走らせているけれども、馬は一向にニンジンに食いつくわけにいかない。これと同じでしょう。並行在来線の廃止の立法措置を講ずるなんてできますか。今走っている新幹線をまずやったらどうです。つくりもしない新幹線に向かって難題をふっかけておいて、今ある新幹線の在来線の廃止のことについては手も打てないで、そうしてこういう話を重く課題としていじめているのじゃありませんか。  私は、この問題は、あと時間がありませんから長くは申しませんが、前の運輸委員会のときに申し上げました整備新幹線五線、一緒にやろうったって狭い門は横隊では入れないから縦列にしよう、縦隊で入るようにしよう。二列くらいがいいかもしれないと思ったが、もう二列縦隊でもだめだから、事ここに至っては一列縦隊で入るしかないじゃないか。そうなると、まず盛岡以北をやる、こういうことで進めるのが当然のことじゃないでしょうか。なぜ二つ一緒でなければならないと考えるのです。この点は大臣に、そうだと、やれるところから先にやる、やりやすいところから先にやる、このくらいのことはあなた決めて、そうして大臣をおやめになるようにして、お手柄を立てていったらどうですか。そうでなければあんまりですよ、約束したこと〇%じゃ。半分ぐらい約束は果たしていくぐらいに構えていただけませんか。こっちはわずか六千四百億ですよ。防衛五カ年計画は十八兆四千億ですよ、あなた。あなたも防衛庁長官に負けないで、よし、このくらいはやる、こう言って運輸大臣を去っていかれたらいかがです。  もう一つは、今出されているところの工事の認可申請、実施計画の認可の申請、これも早速認可してあげたらどうです、二年後を待つなんて言わないで。これもそうだと。あなたの考えだとすれば、いつ認可してあげようと思っておられますか。このこともお答えください。
  34. 山下八洲夫

    山下国務大臣 先ほど申し上げましたが、私の地域の長崎整備新幹線だって、知事を初め大変な要望をしている。それぞれどこでも強い要望があります。しかし、同じ五線のうちでも、それはおいて、第一順位である東北と北陸だけはまず進めなければならぬ。私は、地元のこともおいて、そっちを先にしなければならぬと思っている。  そこで先生は、その中で東北だけとおっしゃいますけれども、北陸地域では、また国会議員各位がそれぞれ筋の通った御議論でもって強く要請され、先生方に負けない熱意をまた持っておられるわけでございまして、それをおいて東北だけでいいよと言うことについては、私もそれはなかなかできない面があることもまた御賢察いただきたいと思います。  なお、検討委員会の結果、早くやれとおっしゃる。これはだれよりも私がやりたいのですが、それまでには幾つかの解決すべき問題がある。並行在来線につきましても、全部これを取り払う、廃止ということは、レールを外すということではとてもだめだということで、何とかこれをもっといい方向に向ける、解釈するということに努力をしているわけでございまして、そんな条件を私自身が一日も早く解決して、先生がおっしゃるまでもなく、本当のことを言うと、私も在任中にピリオドを打ちたいですよ。そういうことで毎日努力をしておる点をどうぞお認めいただきたいと思います。
  35. 関晴正

    ○関委員 今大臣が、自分のところでもおくらせていると言うけれども、これはあなた、自分のところだから先にやるというのは理由にならないですよ。これはちゃんと筋道を立ててきて、そうして五頭立てで行こうと言ったけれども、五頭はくぐる門がないから二頭にしようって二頭にしたの。その二頭もくぐる門が難しくなったのだから、一頭にするしかないじゃないの。その一頭を通すわけにいかないからといって、なぜ置いていかなければならないんだ。これは何も私が青森の人だから青森のためと言っているのじゃないですよ。東北新幹線というのは札幌までやるのでしょう。これは一つの背骨ですよ。その背骨を、あなた方は新潟の方に、肋骨の方を先にやったでしょう。またもう一つ肋骨をつくろうとしているでしょう。この考え方だってうまくないのです。しかもお金が要るのでしょう。ないならば、あるだけの金で、安い金で、短い線を早くやるというのは道理にかなったことじゃないの。道理にかなったことをしなければ間違いだらけ。この点はひとつ最後まで、任期いっぱい道理に徹して考えてやってください。  終わります。
  36. 三ツ林弥太郎

  37. 近江巳記夫

    ○近江委員 十一月二十九日のゲリラ事件の問題でございますが、首都圏におきましては六百万人、京阪神におきましては五十万人の足がとまったと言われております。非常に社会的な大事件でございまして、国民に大変な衝撃を与えたわけでございます。この十一月二十九日のゲリラ事件につきまして、きょうは警察庁も来ていただいておりますので、まず初めに概況と、それから捜査状況につきましてお伺いしたいと思います。
  38. 鏡山昭典

    ○鏡山説明員 お答えいたします。  ただいまの御質問の十一月二十九日の国鉄線に対するゲリラ事件でございますけれども、これは御承知のように、その前の日の十一月二十八日の正午から勤労千葉が総武線千葉駅以西の全列車をとめるというストライキに突入……(「千葉勤労というのだ、勤労千葉じゃないよ」と呼ぶ者あり)済みません。あれは勤労千葉が略称としては正しゅうございます。正式の名前は千葉動力車労働組合でございますけれども、略称は勤労千葉でございます。この勤労千葉がストライキをやりまして、二十四時間に入ったわけでございますけれども極左暴力集団一つでございます中核派などがこの闘争を全面的に支援したわけでございます。  既に十一月二十八日にも千葉県の習志野市内にあります津川沼公園にも八百人ぐらい集まりました。それから翌二十九日にも津田沼公園に八百人ばかり動員しまして集会、デモをやって気勢を上げましたけれども、これにつきましては、デモの過程で一人を公務執行妨害で検挙したということで、それ以上の大きな混乱はなかったわけでございます。  ところが、十一月二十九日の未明、三時半過ぎからでございますけれども全国八都府県におきまして、国鉄線の信号ケーブルだとか通信ケーブル等あるいは新幹線の変電所等三十三カ所に対するはさみ等による切断あるいは時限式発火物を仕掛けて焼いて壊すというような事件が発生しております。  それともう一つは、東京都内の総武線の浅草橋駅で約七十人前後のゲリラ集団が駅舎内に入りまして、火炎瓶を投げて放火する、こういう事件が発生したわけでございます。この事件によりまして、列車の運行がその日の夕方までとまるというような非常に大きな結果を生んだわけでございます。  これに対しまして、私ども警察といたしましては、前日から関係府県警察全力を挙げて対処したわけでございますけれども、残念ながらこの三十三件の現場における検挙はできなかったわけでございますが、総武線浅草橋駅に対するゲリラ集団につきましては、事前に十三人、事後に三十三人、合計四十六人の中核派を検挙すると同時に、その過程で職務質問によりまして中核派の非公然活動家でございます者を二人検挙するというようなことでございます。  これら事件につきましては、現在、警視庁が四百人体制の特別捜査本部を設置したのを初めとしまして、ほかの七府県警察におきましても捜査本部を設置し、総計千三百人の体制で逮捕被疑者の取り調べ、犯行現場周辺の聞き込み捜査、遺留品の捜査あるいはゲリラをやりました中核派の捜査を強力に推進しているところでございます。  これまでの捜査によりまして、浅草橘駅放火事件で検挙した者の中に、中核派系の全学連の委員長とかあるいは副委員長などが含まれているというようなことを解町しております。  なお、これまでに五つの都府県警察が中核派の拠点などを三十数カ所捜索しておりますが、今後ともさらに強力な捜査を推進しまして、実態解明と被疑者の検挙に努めていきたい、こういうふうに考えております。
  39. 近江巳記夫

    ○近江委員 報道によりますと、公務員も含まれておるということでございますが、どういうメンバーが入っておるのですか。
  40. 鏡山昭典

    ○鏡山説明員 今回の事件で四十八名検挙しておりますが、まだ取り調べ中でございまして、全容が解明されておりません。全部完全黙秘でございますので、全体はわかっておりませんけれども、ただいままで約半数ぐらい人定を終わることができましたが、この中には国家公務員が二人、地方公務員が二人、国鉄職員が二人、そのほか組織専従とか学生などが含まれております。
  41. 近江巳記夫

    ○近江委員 こうした公務員が含まれておるということにつきましては、国民にとって二重のショックであると思うのです。特に国鉄職員が入っておるということにつきましては、非常に残念に思うわけでございますが、総裁はこの点に関してどういう感想をお持ちですか。
  42. 杉浦喬也

    杉浦説明員 今回のゲリラ事件の活動者の中に国鉄職員二名が入っているということが判明をいたしたわけでございまして、私といたしましては大変ショックを感じておるところでございます。国鉄職員でありながらみずからの職場を破壊するということ、また大事なお客様の輸送に当たるべき者がそのお客様に多大な迷惑をかけたということにつきましては、まことに言諸道断であり遺憾のきわみでございます。またそうした点で御迷惑をわかけしました国民、市民の帯様方に心からおわびを申し上げたいと思います。警察当局の調べが進んでおるわけでございますが、その調べを待ちまして、速やかに厳正な処分を行う所存でございます。
  43. 近江巳記夫

    ○近江委員 成田空港のときも、いわゆるそういうストが行われたときにそうしたゲリラ活動というものがあったわけでございまして、今回そういう点は予想はされなかったわけですか。この警備面におきまして、そういう点においてどういう感想をお持ちでございますか。
  44. 鏡山昭典

    ○鏡山説明員 ただいま御質問のいわゆるこういうゲリラ事件が予想されなかったかということでございますけれども極左暴力集団によるゲリラ事件というものは、一般的には、今度は成田空港に突入するとか、今度の国鉄スト支援に際しましては電車を全列車とめるのだ、こういうようなことを機関紙、ビラ等で宣伝しておりますので、ゲリラ等が発生するであろうということは、私どもはそれを通じて理解するわけでございまして、それに対して彼らがどういうようなゲリラをやってくるだろうかということを十分詰めまして、それに対応する警備体制をとるわけでございます。  ただ、ゲリラというのは、警察あるいは関係機関の方々がそういうところを守っておりますと、そこは避けていく。いわゆる警備警察官の動きを事前に十分調査し、自分たちがゲリラをやったら闘争が可能なところ、そういうところをねらっていくわけでございます。そういう意味で、国鉄の場合ですと、国鉄全線にわたってすべてのところに警察官を配置するわけにはなかなかいかない、そういう体制にはございません。そういう意味で、ゲリラというものに対します我々の警備というものがどこかで穴があいて、今度の場合のように現場で検挙できなかったという問題はございますけれども、私どもも今回は一般的にゲリラがあるな、それならひとつ最大の体制で臨もうということで、警視庁初め全国的に体制をとっておったわけでございますけれども、こういう結果を招いたことについては大変申しわけない、こういうように考えております。
  45. 近江巳記夫

    ○近江委員 国鉄当局にお伺いいたしますが、被害の状況はまとまっておりますか。報告できるならば報告してください。
  46. 杉浦喬也

    杉浦説明員 当日のストライキ等も含めまして、首都圏中心とします輸送の停止ということによる旅客収入の得べかりし利益の損害ということにつきましては、目下算定中ではございますが、約十二、三億というふうな数字を予想しておるところでございます。その他、物的な損害というものは相当あるというふうに思っておるところでございますが、詳細は目下検討中でございます。
  47. 近江巳記夫

    ○近江委員 ちょうど昨年の十一月には世田谷の電話線のああいう事件がございました。ちょうどこれが一年になるわけでございますが、高度情報化の中で非常にまた一面のもろさというものが本当に身にしみた今回の事件であったと思います。こうしたケーブルなり何なりを完全に保護した状態で敷設するということはなかなか大変であると思うわけでございますが、そういう点が非常に危惧されるわけでございまして、今後こういう事件に関しまして、ケーブルなり何なりの安全対策をどのようにしていくかということが非常に大きな問題だと思うのです。こういう点、国鉄当局としてどういう対策を考えておられますか。
  48. 杉浦喬也

    杉浦説明員 ケーブルが全線区にわたりまして敷設をされておる関係上、これを徹底的に防護するということにつきましてはなかなか難しい点ではございますが、一つは、普通の在来線におきますケーブルの保護につきまして、全般的にもう少し切断というような緊急事態に対処できるような仕組みはないかということ。それから、その全体の中でいわば最も緊要な箇所というものがございますので、そうしたところで重点的に警備をするという体制を固める必要があるということ。それから、こうした不測の事態に備えまして、いわば代替手段というようなものが設置される必要があるのではないか。しかし、それが可能であるかどうか。こういうような三点につきまして、大変難しい課題ではございますが、今内部におきまして検討を始めたところでございます。
  49. 近江巳記夫

    ○近江委員 大臣に、今回のゲリラ事件に関しまして、こうした公務員も入っておるというようなこともございまして、運輸行政の最高責任者としてどういう感想をお持ちなのか、また今後の決意についてお伺いしたいと思います。
  50. 山下八洲夫

    山下国務大臣 先ほど来総裁からもいろいろと御説明申し上げましたように、とにかくこういった破壊活動によって帝都の一つの秩序を破壊するというような、そんなことに特に公務員等が参加しておったということ、これはまさに言語道断であります。その取り調べについては、警察当局で今鋭意おやりいただいておるところでございますが、この中に国鉄職員が一部入っておったということは、今日の国鉄再建計画の厳しさということを末端の職員の中にまだ認識していない者がいる、これは私は非常に重大な問題だと思っております。したがいまして、今後は各職場の規律の厳正あるいは職員管理等も必要でございますけれども、やはり国鉄再建というものがいかに重大であるかということを全職員がさらに徹底して認識するようなことも、また今後大いに考えていかなければならぬ問題である、このように認識をいたしておる次第でございます。
  51. 近江巳記夫

    ○近江委員 次に、航空機の問題に入りたいと思います。  それでは、警察庁、結構でございます。  日本航空の八月十二日の事件は全世界に極めて大きな衝撃を与えたわけでございますが、それに対しまして運輸省としては、日本航空を初め各航空会社にジャンボ機を中心といたしまして改善勧告等を出され、また各社はそれに対応されておるようでございます。運輸省から出された改善勧告というものを私もちょうだいいたしておるわけでございます。それに対して、日航を初め改善策というものを提出しておるわけでございます。あれ以来、はやきょうは十二月六日ということでございまして、この運輸省の改善勧告、また日本航空の改善策というものが出されておりまして、例えば六十年十一月中旬までにするとかいろいろ出ておりますので、時間のある中でお伺いしていきたいと思います。  まず、ボーイング747SR与圧室構造の総点検につきまして指摘されまして、日本航空からは、六十年十一月中旬までにこれら四機について完了する予定である。この四機というのは、「業務改善勧告に指示されたB747SR四機(JA八一一七、JA八一二〇、JA八一二四、JA八一二六)の胴体与圧構造に対する総点検を、六十年九月九日からJA八一一七について開始しておりますが、六十年十一月中旬までにこれら四機について完了する予定」、「なお、その他の機種についても同様の観点から検討を行い、必要に応じて措置を講ずる」第一点目にこうなっておるのですが、順番に聞いていきたいと思います。これについてはどうなっておりますか。どういう報告を受けておりますか。
  52. 大島士郎

    ○大島政府委員 与圧室構造の総点検につきましては、順調に進んでおりまして、私ども十一月末に、十一月二十二日をもって、これはJAナンバーでございますが、八一一七、八一二〇、八一二六、八一二四の四機について総点検を完了し、これについての結果を現在取りまとめ中でございます、さらに、この結果に基づく今後の点検方法等につきましては、メーカーと協議して近くまとめる、こういう報告を受けております。
  53. 近江巳記夫

    ○近江委員 ボーイング747同系列の機体構造の点検強化につきましては、「第一次の見直しによる強化は六十年十月末までに完了致します。」と約束をしておるのですが、これは完全に完了したのですか。
  54. 大島士郎

    ○大島政府委員 これは第一次見直しという形で完了してございまして、主な項目で申し上げますと、三千時間ごとに行っているC点検における点検項目を幾つか新設いたしております。それから、これまで二〇%のサンプリング率ということで検査していたものにつきまして、重要な項目につきましては一〇〇%、つまり全数検査ということでございますが、このように強化するという方法を講じておりまして、これらにつきましては、社内の必要な規定を改定し、航空局の承認も得たところでございます。
  55. 近江巳記夫

    ○近江委員 このボーイング747系列、これの機体構造の点検強化については六十年十二月末までに完了する。それから「過去において、事故等により機体構造に比較的大きな損傷を受け、修理を行った他機種を含めた六機について、修理部位の緊急検査を実施しましたが、さらに六十年十月末までに検査部位、方法、間隔等を含む長期監視プログラムを設定致します。」要するに、墜落したあれもしりもち事故を起こしておるわけですね。あれからいわゆる隔壁の修理がずさんに行われた。その最終の結論は出てないにしても、そういう方向に、どうも国民の目から見て、あれが破裂して吹っ飛ばしたという感じで見ているわけですが、やはり一たんこう事故を起こしておる飛行機が一番問題なんですね。これについてはどういう報告を受けておりますか。
  56. 大島士郎

    ○大島政府委員 これにつきましては、過去に大きな損傷を受けた機体につきまして、長期監視プログラムを設定し、これを実施に移しているところでございます。  特に大きなものとしましては、昭和五十年にアンかレジで、誘導路に氷が張ってあったところを過って滑落したという、これはボーイングのジャンボでございますが、そういう事故を持った機体がございまして、これについては現在詳細な点検を実施しているところでございます。
  57. 近江巳記夫

    ○近江委員 これも私、いろいろ調査しておりまして、私のところにも資料があるわけでございますが、ボーイング747—200型八一二便ですね、離陸時、強風に遭って誘導路から滑り落ちて機体損傷を受けておる。今報告がありましたように、非常に重大な欠陥がある。再点検させておるわけでございますが、こういう一たん事故を起こしたような飛行機につきましては、こういう日航事件があればこそこういうようなことがやはり問題になって浮かび上がってきておる。  これは今、日航を私は取り上げておるのですが、ほかの航空会社にはそういう事故とか損傷を受けた飛行機とか、そういうものはないのですか。報告を受けているものはないのですか。
  58. 大島士郎

    ○大島政府委員 過去に損傷を受けた機体について、特に長期的に監視することが重要であるということを、私どもこの事故の教訓として学びましたので、他の航空会社に対しても同様な通達を出しておりまして、他の航空会社もそれぞれ自社において過去に損傷を受けた機体の監視プログラムを設定中でございます。
  59. 近江巳記夫

    ○近江委員 それから、この社内体制の強化、これは運輸省から改善勧告を出しておるわけでございますが、それに対して日本航空は、「機体構造の点検票日の見直しによる構造検査実施部門の業務量増に対応するため、成田、羽田両整備工場の検査員を、六十年十一月末までに増員し、検査の充実を図ることと致します。」その他ずっと書いてあるわけです。また「総合安全推進本部の下部機構として設置している航空安全委員会にかえ、新たに航空安全推進委員会を設置し、」やるとか、こういう約束をそのときしておるわけですが、これは完全にできたのですか。これは十一月末までですから、もう既に期日は過ぎておるわけですね。
  60. 大島士郎

    ○大島政府委員 私ども勧告で指摘しました技術あるいは現場関係の要員の増員につきましては、十一月宋に日本航空から報告がございまして、技術部門で七名、それから検査部門で十三名の増員を行ったということでございます。  なお、この増員につきまして、私どもも、増員といってもほかに穴があくのではないかという点をただしましたところでございますが、これにつきましては、とりあえずベテランといいますか、経験のある人間を現場において増員した、そのいわゆる穴のあいた部分につきましては、業務量の調整あるいは臨時に外部からの応援を求める等々でとりあえず対応していきたい、将来的に必要人員については補充していく、こういうような日本航空の回答を受けております。
  61. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、日本航空はそういう一歩前進の体制をとってきておるのですが、他の民間航空会社はどういうように指導され、どういう前進があるのですか。
  62. 大島士郎

    ○大島政府委員 他の航空会社につきましては、私ども、従来から安全性確認検査やその他の機会を通じまして、整備の実施の状況について把握をしているところでございますが、現在のところ整備の業務量と人員とは均衡がとれているというふうに判断しております。
  63. 近江巳記夫

    ○近江委員 では、ひとつ一層フォローしていただきまして、二度とそうした不祥事、事件を起こさないように、安全第一のそうした運航ができるように、日航を初め各航空会社に対しましても、今後なお一層の指導をしていただきたい、これは強く要望いたしておきます。  あと一問だけ、時間ありませんので聞きますが、国鉄がかねて研究しておりますリニアカーですが、これはアメリカのフロリダの高速鉄道計画で採用したいというような話も出ておるのでございますが、どうなっておるか、これを最後に一問お聞きして終わりたいと思います。
  64. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄の磁気浮上リニアモーターカーの研究につきましては、かなり実用化の方向に向けまして最終段階に入っておるわけでございます。これを何とか生かしたいという気持ちは十分あるわけでございますが、なかなか国内需要等も困難な実情でございます。  フロリダ州におきまして高速度鉄道網計画というものが持たれておるようでございまして、こうした鉄道網計画の一環としまして、日本が参加することができればというような観点で、在来の新幹線等も含めまして、今フロリダ州と関係の機関と若干の接触を持っておるところでございます。
  65. 近江巳記夫

    ○近江委員 終わります。
  66. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 河村勝君。
  67. 河村勝

    ○河村委員 先ほどから問題になっております過激派の国鉄に対するゲリラ事件について、国鉄総裁にちょっとお尋ねをいたします。  今度の事件でやはり一番問題なのは、国鉄職員が参加をしているということで、これは非常なショックであると思います。あの経過を見ましても、浅草橘の襲撃の際、信号機器の入っているボックスを破壊しているなんというのは、これは恐らくプロでないとわからぬ場所ですから、当然国鉄の専門家がリードしたであろうと想像しておりましたが、結果、あの二人があらわれてまいりました。  これは国鉄としては、同時多発のゲリラというのは、とても国鉄もまた警察庁も防衛のしようがないので非常に問題の事件ですけれども、これから同時多発がそうたくさん出てくるわけでもなくて、今度は少数でねらい撃ちをしようということもあろうかと思います。  そこで、国鉄職員の二人というのは恐らく中核派グループなんでしょうが、お調べになったと思うんですが、新聞で見るところによると、勝田駅の職員の方は中核派であるとわかっているようですが、新潟運転所の方は、全然そういう兆候はないというふうに新聞では書いてありましたが、国鉄でお調べになったところでは一体どういうふうになっておりますか。
  68. 杉浦喬也

    杉浦説明員 この両名がどこに所属するかというような点につきましての警察調査が進行中でございまして、私ども両名の過去の経歴等も調べてはおるわけでございますが、表面的には非常に普通の状態でございまして、無断欠勤もなく、賞罰も過去において特にない。活動家というかどうかについての点につきまして、目立ったものがないだけに、遺憾ながらこれが把握できなかったというのが実情でございまして、警察の目下の調査を待っておるところでございます。
  69. 河村勝

    ○河村委員 そうすると、新聞で勝田駅の職員の方は中核派に属する者だというように書いてありましたが、そういう事実は国鉄の方ではわかってないんですか。
  70. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  勝田駅の綿引忠男でございますが、これにつきまして、新聞には中核派ではないかという報道がございましたが、残念ながら、私どもの方ではその点つかんでおりませんで、今後はこの点の個別把握につきまして徹底してまいりたい、このように考えております。
  71. 河村勝

    ○河村委員 こういう身上調査というのは行き過ぎると問題も起きるけれども、こういう事態が起きると、ああいう種類の事件を起こすというのは、これはもう今は中核派に限定されると言ってもいいんだろうと思います。同じ過激派でも、革マルの方はどうやら同調する可能性がないようですから、中核派ということになれば、これまでもある程度一般的に、国鉄の中ではこれは大体中核派の系統というのは把握していたんではないかと思いますが、そこまでの調べというのは今まではやってないわけですか。
  72. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  過激派につきまして、できるだけ徹底した把握はぜひしたいということで努力しておったのでございますが、残念ながら、今回の場合におきましては、そこまで調べが行き届かなかったというのが現状でございます。
  73. 河村勝

    ○河村委員 大変難しい問題ですから、要求する方があるいは無理かもしれませんが、しかし防衛上、一般的な防衛がほとんど不可能な事件であるだけに、できることならそういうものを未然に把握をして、こういう場合には警察とも常に連絡をとって防ぐということも試みてみるだけの値打ちのある方法だろうと思いますから、ひとつ御検討いただきたいとお願いをしておきます。  それから、ついこの間、二、三日前に、国鉄の「第八次総点検結果について」というのをちょうだいいたしました。中身を拝見して、回を重ねるごとにだんだんと全体の職場規律の体制が回復しつつあることは喜ばしいことだと思います。  しかし、私がちょっと驚いたのは、やみ手当、マル日付与というのですか、私も中身はわかっておりますが、知らない言葉ですけれども。それからブラ日勤、これは明らかに管理者の責任に帰せられるべき事柄ですね。かつて長いこと国鉄の管理体制が崩壊して、現場の管理者の意欲を失わせるような事態が続いてきた時代があったわけですから、その時期に管理者の責任を追及するのはあるいは無理であるし、そのときはそういう体制にもなかったと思いますが、今日、国鉄再建に向けて非常に厳しい時期になっているにもかかわらず、なおかつ現場の管理者の中でやみ手当その他のことがあるというのは、私にはちょっと信じがたいことなんです。出てきたのは二件とか三件とかいうわずかな数字でありますけれども、これはすべて網羅的に調べたものじゃないでしょうから、そのほかにも当然あると見なければいけない。一体これに対してどういう態度で臨まれるつもりですか。
  74. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 先生指摘のとおり、やみ手当、マル日付与等々につきましては、まさに管理者の責任におきましてきちっとすべきことでございまして、特にやみ手当につきましては、静岡鉄道管理局事件なんでございますが、今まで隠れておりましたものが告発によりまして明らかになりまして、厳しく処断したところでございます。  昨日第八次総点検の結果の発表をしたのでございますが、遺憾ながらまだまだ徹底してない面が残っておるということでございまして、これにつきましては、やはり管理者がリーダーシップをとって職場規律について徹底していく、また先ほど申し上げましたように、職員の個別指導、個別把握というものを徹底していくということが重要かというふうに考えておりまして、今後とも、これにつきましては、国鉄改革を進める中で一番重要なことであるという認識のもとに頑張ってまいりたい、このように考えております。
  75. 河村勝

    ○河村委員 この報告の中身を見ますと、やみ手当だけについては「減給処分」と書いてありますね。しかし、この種の事件を今ごろやっておるというのは、これはもう管理者としての資格がないわけですね。ですから、本当なら減給などではなくて、即刻そのポストを外すということもあってしかるべきだと思うし、そのほかのブラ日勤とかマル日付与、こんなことについても当然処分があってしかるべきだと思うけれども、そっちの方は何も報告には書いてない。それは一体どうお考えですか。
  76. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 お答えいたします。  やみ手当が発生いたしました静岡鉄道管理局事件なんでございますが、直接の責任者でございます当時の保線課長あるいは保線区長等が既に退職をしておりまして、先ほど先生がおっしゃいました減給処分というのは、その上の管理者でございます施設部長等でございます。
  77. 河村勝

    ○河村委員 国鉄内部の規律にかかわることですから、余り私の方から差し出がましいことを言うのは行き過ぎかとも思います。とにかく今大事な時期ですから、これで終わりにせずに、徹底した体制づくりをやってください。余剰人員対策を本当に正常に行うためにも、これは不可欠のことだと私は思います。ひとつなお一層御尽力を希望いたします。  次に、来年度また運賃改定をやるというお話ですが、これは運輸省にお尋ねするのが本当か、国鉄ですか、どっちかわかりませんが、来年度また運賃値上げを計画しているのですか。
  78. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 六十一年度の予算におきましては、いろいろな経費節減その他を行いまして、収入の方も極力増収の見込みを立てておりますが、なお膨大な赤字が発生するということでございますので、若干の運賃改定を行わざるを得ないということで、予算要求の中に組み込んでおるところでございます。
  79. 河村勝

    ○河村委員 何%値上げをして、どのくらいの収入を得るつもりにしているのですか。
  80. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 四・五%でございまして、年度後半から実施いたしますので、七百五十億というものを見込んでおります。
  81. 河村勝

    ○河村委員 四・五%一律に値上げをするのですか。これは貨物はどうするのですか。
  82. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先ほど申し上げましたように、年度後半からの運賃改定でございますので、その具体的中身につきましては、申請までの段階で国鉄運輸省の中において詰めることになっておりますが、一般的に大ざっぱな考え方で申し上げますと、貨物につきましては、御承知のように競争力等も非常に弱いわけでございますので、値上げは旅客を主体に行うということを考えております。
  83. 河村勝

    ○河村委員 旅客主体ということであるから、貨物もやるということですね。六十二年度から民営化という方針が決まっておって、いわば来年だけのことですね。現在でも国鉄の運賃は、貨物は上げることはほとんど意味がない。上げたって実際上げただけの運賃を収受できるかどうかも疑問だ。旅客にしても、もし画一運賃でやるということであれば、主要都市の私鉄と競合する線区などはもうこれ以上上げたら損だけになる。わずか七百五十億程度の、わずかというのは少し言葉は悪いかもしらぬけれども、これも予算のつじつま合わせですね。それを目標にして運賃値上げをするというのは、私は間違いだと思うのですけれども大臣一体どう思いますか。
  84. 山下八洲夫

    山下国務大臣 計数的にどうということは私も判断がつかないのでございますが、現況からすれば、この程度はやむを得ないのではないか、そのように思っておる次第でございます。
  85. 河村勝

    ○河村委員 余り答弁にならない。私の言ったことおわかりになりますか。そうすると、値上げの計画だけはつくったけれども中身はまだ何もないということですか。貨物をやるかどうかも決まらぬ、すべてこれからだということですか。どうなんですか。その辺はっきりしてください。
  86. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 毎度運賃改定のときはそうでございますけれども、来年度予算においてどの程度の増収を見込むかということがまず先行いたしまして、そのための運賃改定ということでございまして、具体的にその中身をどうするかという問題につきましては、申請までの段階において国鉄運輸省で相談をする、こういうことになっております。先ほど申し上げましたように、来年度の運賃改定は年度後半でございますので、その作業にまだ入っていないという段階でございます。  それから、貨物との関係につきましては、私先ほど旅客主体と申し上げましたのは、貨物というのは、先生指摘のように競争力もございませんので、現実にはむしろ割引というような制度で大幅な割引をしておるという実情もございますので、それらを踏まえまして、貨物の運賃はできる限り賃率としての改定はいたしたくないという基本で考えております。
  87. 河村勝

    ○河村委員 もう一つ申し上げた都市部の私鉄との競合区間、こういうところは一体どう考えているのですか。
  88. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 御指摘のように、私鉄との関係につきましては、地方におきましては国鉄の方が安い、しかし大都市にまいりますと国鉄の方が大変高い、こういう状態になっております。そこで昨年度それから本年度の運賃改定におきまして、いずれもこれらの点を考慮いたしまして、しかるべき措置をとったわけでございます。明年度の改定につきまして、さらに引き続き三年続けでそのような措置を大幅に講ずるか、それとも若干の手直しをするか、そこらのところはまだ十分詰め切っておりませんけれども、御指摘のような大都市部におきます私鉄との競争関係というのは、当然のことながら十分配慮した運賃体系というものを考えたいと思っております。
  89. 河村勝

    ○河村委員 全国一本あるいは民営化しても地方交通線というものが一緒になっておりますから、これから一体運賃をどうするかというのは私は非常な問題になると思います。  私の家は小田原ですけれども、この国会議事堂から小田原に行くのに、東京駅に出て東海道線で小田原に行く、それから新宿に出て小田原に行く、二つのルートがあるのです。時間的に国鉄の方が若干早い。だけれども、そう大した違いはない。キロ程もほとんど同じ。運賃はどうなっているかといいますと、国会議事堂から東京駅までが地下鉄で百二十円、それから新宿に行くにも百二十円。国鉄に乗りますと、東京から小田原まで千三百十円、小田急に乗りますと五百五十円だ。千三百十円と五百五十円ですよ。小田急にはロマンスカーという快適な列車がある。あれの特急料金が五百円だから小田急の特急に乗っても千五十円。東海道線を普通列車でとことこ行っても千三百十円、新幹線に乗ればそれに二千円プラスになって三千三百十円だ。これでもまだ多少でも運賃を上げて、運賃体系を崩して、それで新しい旅客会社にそれを引き継いていくのか。私はもうこういう愚劣なことはやめるべきだと思う。  運輸大臣、いかがですか。最後にそれだけ御返事を聞いておきます。
  90. 山下八洲夫

    山下国務大臣 前々から都市内及び都市周辺において、ごく一部を除いて国鉄の方が高いということは、私も承知いたしておりまして、運賃改定の折に、それは十分考慮すべきであるということを私も申し上げてまいりました。今具体的な例をお示しいただいて、なるほどそんなに違うのかなと、まことにうかつな話でございますが、私もその開きというのはよく承知しておりませんでした。これは御指摘のとおりで、これ以上これが開くということは、むしろ客を失うという危険性もないではない、そこらあたりに思いをいたしながら国鉄当局とよく話を詰めてみたいと思います。
  91. 河村勝

    ○河村委員 終わります。
  92. 三ツ林弥太郎

  93. 梅田勝

    梅田委員 十一月二十九日に発生いたしました、にせ左翼暴力集団中核派による鉄道妨害事件は、国民と国鉄に大きな迷惑と損害を与えました。かつ、国鉄の信用を傷つけた反社会的蛮行として絶対に許されるものではございません。私どもも早速浅草橋駅、錦糸町駅も現地調査をいたしまして、つぶさに実態を把握してきたところであります。  そこで、国鉄総裁にお伺いいたしますが、このようなにせ左翼の妨害行為をあらかじめどのように予測されていたのか。特に、中核派の機関紙「前進」に大変なことを書いていたのでありますが、御存じでございましたですか。
  94. 杉浦喬也

    杉浦説明員 今回の千葉勤労のストライキと関連いたしまして、中核派がこれを支援し、過激行動によって鉄道妨害を企てているという警察からの事前の情報は、具体的ではございませんが、全般論としてあったわけでございます。こうした情報を受けまして、国鉄側としましても、公安職員を動員しまして、その他の職員を合わせて約三千名程度の要員で、千葉局だけでなしに東京都地区全域におきまして、駅とか線路とか、そうした施設警備等の警戒態勢を早めに行ってきたところでございます。  スト期間中も警察側と緊密な情報連絡をしたわけでございますが、遺憾ながら、中核派の今回のような活動は非公然組織が行っているところでございまして、事前にどこでいつどのようにするかというような具体的な内容を予知することはとてもできない状態でございました。したがいまして、それに対する的確な予防ということができず、今回のような結果になったわけでございます。  今後とも、警察側の中核派の動向の把握ということについての一層の情報把握をお願いを申し上げたいと思いますが、警察と十分連絡をとりまして、万全の措置を講じていきたいというふうに思っておるところでございます。
  95. 梅田勝

    梅田委員 きょうは与えられた質問時間が十四分しかございませんので、駅へ行きましていろいろ詳細に聞いておりますので、疑問に感ずる点はたくさんありまして、お尋ねしたいこともございますが、先ほど私聞きましたように、私も新聞報道で知ったわけでありますが、十一月十八日付の中核派の機関紙「前進」で、「「首都圏全国を革命的な一大騒乱の渦にたたき込め」「勤労千葉ストは、とうてい収拾できないような、天井しらずの、激烈な物情騒然たる情勢をつくりだすだろう」と”一一・二八〜二九闘争”を予告していました。」こういう報道もあるわけなんですね。  ところが、ストライキが二十九日の正午まで続けられるのに、終電が終わったら警備体制はほとんどないに等しい状態になる。そして朝方やられているわけですね。どう考えても、これだけのことを言っているわけですから、厳重な警戒というものが必要ではないか。昨日も参議院の地行で同僚議員がただしておりますが、国鉄職員が、この辺は危険だということで巡回したところで遭遇して、未然に防止をしているということもございまして、あらかじめわかったわけですから、総裁は、先ほど私、この「前進」の予告記事を読んでおられましたかということを聞いたんですが、これは読んでおられましたですか。
  96. 杉浦喬也

    杉浦説明員 後からそれを入手いたしまして読んでおります。
  97. 梅田勝

    梅田委員 私は、そういう点におきましても、運輸大臣に望んでおきたいのは、国鉄の一番当事者の総裁が後から知るようなことではだめだ。だから、警察当局にも十分にこういう事態だということで警備要請する。また国鉄自身も必要な、余剰人員が今たくさんおるわけですから、浅草橋駅には余剰人員を五人ですか、要請をしたらしいですけれども、私は必要ならばもっと配置もできただろうと思うのです。  ですから、自主防衛も大事でありますが、しかし、治安維持は警察が責任を持っておるわけですから、国鉄を指導監督されております運輸大臣におきましても、今後かかる事態が発生しないように、泳がせではなくて、ああいうものはわかっているわけですから、厳重に取り締まるということを運輸大臣としてもやっていただきたい。その決意をお伺いしたいと思うのです。
  98. 山下八洲夫

    山下国務大臣 国民をこのような不安に陥れないためにも、二度とこういうことがあってはいけない。そういう観点から警察当局に対して、私の方から強くお願いをしてまいりたいと思います。
  99. 梅田勝

    梅田委員 それでは要望いたしまして、次の問題に移りたいと思います。  労働基準局の関係の方、来ておられますか。——まず、お伺いしたいのでありますが、国鉄にマルチプルタイタンパーという、いわゆるマルタイと言われる道床つき固めを行う大型保線機械がございますが、これは労働安全衛生規則第百七条に規定する機械に該当しますか。
  100. 菊地好司

    ○菊地説明員 御指摘のマルチプルタイタンパーは、安衛則の百七条に該当する機械と理解しております。
  101. 梅田勝

    梅田委員 それでは、このような原動力を有する機械の点検整備を実施するときにはエンジンをとめて行うことになっておりますが、マルタイの場合はそれに該当いたしますか。
  102. 菊地好司

    ○菊地説明員 規則に書いてありますのは、「そうじ、給油、検査又は修理の作業を行なう場合において、労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、機械の運転を停止」するということでございまして、エンジンをとめることと運転を停止するということとは別のことだというふうに理解しております。
  103. 梅田勝

    梅田委員 しかし、ここの場合、具体的事例がございまして、ことしの十月十五日でございますが、国鉄の金沢鉄道管理局、金沢保線区で具体的にあった事件でございますが、十月十四日から十五日にかけまして夜間作業をやっているわけであります。この際、常時間定された照明施設のないところで、とにかく仕事の合い間に点検をやれと。しかし、夜間でございまして暗うございますので、エンジンをかけて自力の照明で実施をしたわけであります。これは非常に危険だ。従来、そういうことをしてはならないということを国鉄の当局も指示をしていたわけでありますが、最近、合理化がどんどん進みまして、マルタイが四台から二台に減ったということで、稼働率を高めなければならない、こういう事情でエンジンをかけて自力発電の電気で照明をしながらやったということでございまして、これは非常に危険だということで、労働者の激しい抗議もあったわけでございます。  これは国鉄当局にお伺いいたしますが、そういうことをやらせているのですか。
  104. 岡田宏

    ○岡田説明員 お答え申し上げます。  今先生指摘がございました件につきまして、ちょっと詳細を御説明させていただきたいと思いますけれども……(梅田委員「簡潔にしてください、時間がないのです」と呼ぶ)はい。当日、夜間作業におきましてマルタイの作業をしたわけでございますが、マルタイによるつき固め作業そのものは、列車の間合いで施工いたしますので、この作業時間帯の中でかなり早く終了をいたします。そういたしまして、マルタイを基地まで回送いたしまして、なお作業時間内でございますので、マルタイの仕業検査の作業を引き続いてその基地においていたしたわけでございます。その場合に、夜間でございますので、先生指摘のように暗いということでございますので、ある部分の検査等につきましては、それが労働災害に結びつかないということを十分確認した上で、マルタイのエンジンを始動いたしまして、そのマルタイの発電機による照明で実施をいたしております。しかしながら、これにさらに携帯用の強力ライトを四個持参をいたしておりまして、危険な部分、エンジンを停止した方がよりベターであると考えられる部分、例えば水の点検でございますとか補給でございますとか、そういった部分の点検につきましては、この強力ライトによって施工いたしているわけでございます。  そういったことで、十分法の趣旨は守って、安全の確保ができるという前提のもとに作業をいたしているところでございます。
  105. 梅田勝

    梅田委員 万一機械がそのペダル等に、あるいはスイッチ等に触れて作動するとこれは大変なことになるわけでありまして、従来当局は、そういうことをやる場合は機械をとめてやれと。従来やっていた指導とは違うことをやり出したわけなんですね。幾ら合理化合理化といいましても、あえて危険を冒してまでそういうことをやらせるというのは、私は間脳があると思うのです。  それから、それ以外にでも、ここでは昨年四月十二日にはクレーンが転倒するような事故が発生をいたしております。クレーンでつり上げたわけですけれども、その重みで落ちてしまったわけですね。ところが、起重機のアームがありますから、それが支えになって七十度傾いてとまった。間に人がおったわけでありますから、非常に危険な事態が発生をしております。これは昨年のことでありますが、ことしの二月八日にも、同じようにクレーンのアームが高圧線に接触をして事故を起こしている。これは明確な事故でございます。  こういう事故が発生をしておりますので、労働組合の方も、労働安全衛生委員会で再発防止のための協議をしようと提起をしても取り上げないとか、それから先ほどの転倒の問題につきましては、労働基準監督署に届けていないという問題もございます。  なぜこのようなことが起こるかということで組合意見を聞きますと、朝作業するときに、従来は詳細な職場協議をやっていた、いわゆる現場協議というものをやっていたわけでありますが、最近は一方的指示で余り具体的なあれがない、いろいろ聞くと怒られるという問題があって、要するに、そういう作業をする際の現場における話し合いというものが欠けておるところから、このような事故が起こってきている。現に起こったわけなんですね。  ですから、私は基準監督署にもお願いしたいのでありますが、議論のやりとりを聞いていただいてわかるように、最近、合理化合理化でかかる問題が起こっておるという点で、この金沢の保線区につきましては、特別に立入検査、指導監督をお願いしたいと思うのですが、いかがですか。
  106. 菊地好司

    ○菊地説明員 マルタイの件で申告がございまして、その際に、御指摘の保線区につきましては、全般的な安全面での調査をいたし、所要の措置を講じたところでございます。あとは、自主的な労務管理、安全衛生管理活動を積極的に促進していただきたいということを期待する立場でございます。
  107. 梅田勝

    梅田委員 運輸大臣、時間がもうございませんので、こういうことがしばしば起こりますと問題でございますので、ひとつ指導監督を強化していただきたいと思うのでございますが、いかがですか。
  108. 山下八洲夫

    山下国務大臣 今後とも国鉄を指導してまいりたいと思います。
  109. 梅田勝

    梅田委員 では終わります。
  110. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 午後一時三十分より委員会を再開することとし、休憩いたします。     午後零時七分休憩      ————◇—————     午後一時四十分開議
  111. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件について、本日、参考人として日本国有鉄道再建監理委員会委員長代理加藤寛君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  113. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 加藤参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  なお、御意見は質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願いたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田並胤明君
  114. 田並胤明

    田並委員 参考人の加藤先生には大変御多用のところを御苦労さまでございます。逐次これから御質問申し上げますので、ぜひひとつ簡潔に御答弁のほどをお願いしたいと思います。  その前に、国鉄総裁に一言だけお伺いをしたいのですが、加藤先生の著書の「国鉄再建はこうなる」という本を実は私も興味深く読ましていただきました。その中に、再建をこうしなければならないという理由の中で、国鉄をかなり厳しく指摘をされているところがあるのですが、いっぱいありますが、その中の一つとして、例えば国鉄は現在まで「国民の利用しやすい鉄道でなければならないのに、利用者のニーズを軽視し、不便なダイヤを直しもせず、運賃だけを上昇させていこうとする体質をたださなければ国鉄の再生はできません。」こういう厳しい指摘があります。総裁、こういう加藤先生の著書によって国鉄の現在の体質を厳しく指摘をされているわけでありますが、総裁としてどういうふうにお考えかちょっとお聞かせを願いたいと思うのです。
  115. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄は長い歴史を持っておりまして、戦後におきましても公社制度の仕組みで戦後の輸送に対応してまいったわけでございますが、その中の職員の姿勢としましては、安全、正確というようなところをモットーにしまして、長らく輸送に携わってきた経緯がございます。戦後、いろいろないきさつがあり、従来からのような独占的な形態というものが全く崩壊をしてしまった現在でございますので、やはり漸次そうした考え方というものを変えていかなければならぬ。変えていく基本というものは、やはり一般のお客さん、国民、市民という立場の方々に対しまして良質なサービスを提供するということに徹しなければいけない。本来、公企体の法律の求めておる企業的な能率経営というものはうたわれてはおりますが、現実にはなかなかそれができにくい仕組みでもありますし、またこれをやってこなかったという実績がございます。今後は、あくまで企業というような立場でいかにしてコストを安くし良質のサービスを提供するかということに徹して、また職員全体がそういう気持ちで今後はやっていかなければならぬというふうに思うわけでございます。  そうした意味におきまして、加藤先生の著書に御指摘になりました、今までの国鉄のあり方につきましては大変参考になるわけでございまして、我々もそうした点に十分着目をしましてやっていきたいと思っております。
  116. 田並胤明

    田並委員 総裁、きょうは加藤先生が来ているのでそういう答弁をするのでしょうが、具体的には正確なダイヤで、しかもかなり国民のニーズに合ったダイヤ改正なんかもずっとやってきたのではないですか。独占体制が崩れたにもかかわらず、ろくな発想をしなかったからこんな状態になったんだというふうに指摘されているわけですよ。一面によれば、国鉄は果たしてそうだったんだろうか。正確なダイヤを組んで、もちろん幹部から職員に至るまで一生懸命全力を挙げてきたということについては、総裁は——そんなに加藤先生に言われるような弱みというのが国鉄にはあるのですかね。もしそうだとすれば、総裁はかつて鉄監局長もやっていたんだし、運輸事務次官もやっていたのでしょう、国鉄の直接指導の任に当たっていた総裁のそのときの責任は逆に言えばどうなるんだ。鉄監局長や事務次官在任中に総裁はそういう努力をしてこなかったのか。そういう御意見ならば、逆にみずからの非を認めてもらいたいですよ。どうですか。
  117. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄対応というものも、やはり社会の大変な変化というものにそれぞれ対応しまして輸送業務に携わるということが一番望ましいわけでございます。過去の歴史の中で国鉄のやってきたこと、これは今先生おっしゃいましたように、正確無比なダイヤというものによりまして、陸上交通機関としましては独占的な形でしっかりとやってきたということは間違いございません。  しかしながら、社会の変化、それから旅客、荷主の新しい多様なニーズというものが発生をしつつある中で、国鉄自身の考え方というものは、それに対応しましてどんどん変化していかなければならなかったということが言えるかと思います。なかなか大世帯でございまして、かじをとることも容易ではないことは事実でございますが、そうした点においてきめの細かいサービス、大きな意味でのダイヤというような点になりますと、これは全国でやってきたわけでございますからいいのでございますが、きめの細かい、例えばローカルカラーの非常に大事なところにおけるサービスの面におきましては、必ずしもうまく対応してきたということは言えない状態になってきたというのが偽らざる現状がと思います。  私自身長く国鉄問題に携わってまいりまして、そうした面に着目をしてきたつもりではございますが、なお時々刻々の情勢変化というものに対しまして、必ずしもぴったりした把握をしておりませんでした。そういう面で、再建計画を何回もやってうまくいかなかったある面での責任を感じておる次第でございますが、いよいよ新しい意味での新しい鉄道というものを将来築いていかなければならぬということで、現在抜本的な改革検討している次第でございます。
  118. 田並胤明

    田並委員 それでは、問題はかなり残るわけですが、次に移らせてもらいます。  加藤先生にお伺いをしたいのですが、この「国鉄改革に関する意見」の中で、国鉄の破綻の「原因は現行制度に内在する」ということで、「公社制度の問題」として「外部からの干渉」というのがうたわれているわけであります。今度の民営・分割意見書というのは、それによって生ずる新事業体の性格づけなんです。  ということは、今までの国鉄が公社だったために、政府からあるいは国会から、非常にいろいろなところからの外部の圧力があって、経営が今日みたいな状況になってしまった。どうしても外部の干渉というのが現在の国鉄、公社ではあり過ぎて、小回りのきく、地域に密着をした交通体系ができなくなってしまうという御指摘があるわけですが、そうすると、新事業体ができた場合に、政府なり国会の関与というのはほとんどゼロに近い方がいい、こういうお考えなのかどうか。もちろん私企業になった場合に、これはもう国会だとかあるいは政府だとか、今の民鉄並みの関与というのはあるいはあるかもしれませんが、それもなるべくだったら自由にさせて、自由に計画を立て経営の運行を図っていくというのでしょうか、それをやれというふうに言われているのかどうか、その辺をちょっと基本的な問題としてお伺いしたいわけです。
  119. 加藤寛

    ○加藤参考人 お答えいたします。  私は、会社というものはなるべく自立できるようにして、そして外からの干渉はないことが望ましいということは、基本的な考えとして持っております。しかし、それでは今度国鉄が新会社になった場合に、そういったことが全く行われないかといいますと、民鉄の場合には、これは民間会社でございますから、いきなり民鉄並みの方向に持っていくことは難しい、それよりも、やはり特殊会社でございますので、ある意味での政府の規制あるいは政府の誘導ということは当然考える余地があると思っております。しかし、基本としてはなるべく民鉄並みの方向へ持っていくべきだというのが私の考えでございます。
  120. 田並胤明

    田並委員 そうすると、委員会意見書として出した民営というのは、例えば六千億の株式を売却した時点では、もう既に特殊会社ではなくなるわけですね。特殊法人ではなくなると思うのですよ。その時点で完全な私企業というふうに理解してよろしいのでございましょうか。
  121. 加藤寛

    ○加藤参考人 そういうふうになると思います。ただ、念のために申し上げておきますが、私どもはその意見書の中でも「民営化」という言葉を使っておりまして、「民営化」というのは、国有、国営というものの形態を脱却していくという意味で「民営化」という方向をつけた言葉を使っております。したがって、このような状況、つまり「民営化」したものが本当に純粋の民営企業になるのかどうかということについては、将来の課題として考えるべきだと思っております。
  122. 田並胤明

    田並委員 概念というのでしょうか、「民営化」の概念というのは、私にもなかなか理解できない。というのは、先生の著書を見て、今は国鉄は公社だからいろいろ関連事業についての制約がある、しかし民間会社になるのだから、今度は民業圧迫というようなことはなくなって、自由自在に関連企業も、これは先生は例は挙げておりませんが、例えばホテルだとかレジャー施設であるとかデパートであるとか、今民間がやっているものでもうかりそうなものば何でも全部できるんだよ、こういう御指摘先生は本の中でされておるのです。そうなると、それを読む限りでは、民営というのは要するに民間会社、私企業に引き直していくというように私は理解したのですが、その辺はどうなんでしょうか。
  123. 加藤寛

    ○加藤参考人 そういう方向へ向かって進めていこうというその努力を私は示しまして、そしてそこまでいってしまえば、民鉄と同じような行為をすることができる、こういうふうに申し上げたわけです。
  124. 田並胤明

    田並委員 それは大体その時期としては監理委員会はどの程度のことを考えられたのですか。
  125. 加藤寛

    ○加藤参考人 時期ということはなかなか私どもには決められない問題でございまして、株式会社として株式を売るということが実際にどの程度の範囲でできるのか、それともそれが非常に長くかかるのか、この辺は私どもは今それに対する時限というものを明確にすることはできません。しかし、そういう方向へ向かって努力するということが私の申し上げたかった趣旨でございます。
  126. 田並胤明

    田並委員 わかりました。とにかく原則、私企業に持っていきたい、そういう方向でやれ、こういう内容だということで理解してよろしいわけですね。
  127. 加藤寛

    ○加藤参考人 結構でございます。
  128. 田並胤明

    田並委員 次に、加藤先生にお伺いしたいのですが、旧国鉄の非事業用地の売却に関連して、これは委員会が言っている旧国鉄でありますが、旧国鉄が現在の長期債務を返済する一つの方法として、旧国鉄の非事業用地の売却というのがございます。具体的には二千六百ヘクタール、価額五兆八千億円ということでお示しになっているわけでございますが、それに関連していろいろとお聞きしたいと思うのです。  一つは、国鉄の資産総額というのは監理委員会としてどのように御計算をされたのか。これは五十九年度の国鉄の監査報告書を見れば、所有する土地がどのくらいで、具体的な資産総額が幾らで、土地がどのくらいで幾ら、こういう金額は出ているのですが、それ以外に、債務の総額は既に三十何兆というので監理委員会が示しているわけでありますから、債務に対して資産の総額が明らかにならないと、先生方は国鉄はもう破産をしている、こういう言い方をされるわけでありますが、私どもとしては、破産というのは資産総額よりも負債総額が超過をしてしまった場合、会社更生法に基づいて管財人を置いて再建するというのが筋のような感じがするのですよ。ところが、負債総額は出ているのですが、資産総額が、この監査結果の報告では九兆何ぼというのですから、余りにも少な過ぎるのですね。監理委員会としては、こういうことで果たして正確な国鉄再建のための方途が見出し得るのか、こういう感じがします。資産総額について、簿価のものもあるし時価のものもあるし、いろいろあるわけですが、すべてを時価に再評価をして、国鉄の今の全財産がどのくらいあって、その中の負債総額はどのくらいあるんだとバランスシートにかけて、果たしてこれで国鉄はどうなんだろうかという、私どもに言わせれば正しい分析というものをされたのではないかと思うのですが、その辺についてひとつぜひお聞かせをいただきたいと思います。
  129. 加藤寛

    ○加藤参考人 今の問題につきまして、まず総資産でございますが、私どもといたしましては、一応簿価で考えまして十二兆一千億、そして土地だけを考えました場合は六万六千ヘクタール、約九千億円、こういうふうに聞いております。  それでは、それをどうしてもっと再評価をしなかったか、こういう御質問であったかと思いますけれども、再評価をするということは当然売ることが前提でございます。ところが、これから国鉄一つの会社として大いに発展してもらうためには事業をしてもらわなければなりません。そこで、事業用資産についてはこれを売却することは考えられませんで、むしろそれを大いに活用してもらわなければなりません。このようなことから考えまして、このような事業用の資産については再評価をいたしませんで、それを負債総額が出ておりますところへ再評価をいたしますと、バランスシートの上からいってさらにそれは負担として利子を払わなければならない長期負債が大きく増加してしまいまして、新会社としては到底成り立たないということになります。そういうことから考えましても、事業用の場合には資産は再評価しない、しかしながら事業用でない、非事業用資産につきましては売却することを考えなければなりませんので、これについてはある程度の時価で考えるという方法をとったわけでございます。
  130. 田並胤明

    田並委員 確かに今先生言われたように、事業がなくなるのじゃなくて、今の鉄道は継承発展をさせていくというお考えですから、新事業体に移行させる資産については、事業用地については簿価で引き渡すのが一番妥当であるという先生の御発言です。今度は逆に国民の立場からしますと、先ほど先生が言われたように、先生方の考えで言えば最終的には私企業になるわけです。公共企業じゃなくなってしまうわけですよ。そうすると、今の国鉄公社が持っている資産というのは、あくまでも国民共有の財産と言われているわけでしょう。それが新事業体に移行されるまでの間に何ら明らかにされない。これは売る売らないじゃなくて、今国鉄がどのくらいの資産を持っているんだ、これだけのものを持っています、あるいは新事業体に移行される、そちらの考えておる例えば六つなら六つに分割をされた場合に、それぞれの新事業体がどのくらいの資産を持っていくのか、簿価じゃわからないですね。ということは、国民の皆さんに国鉄再建の方法はこれ以外にあるのかないのかということがかなり論議の対象になっているわけですよ。先生方の意見書によると、もうこれしかないんだ。しかし、これしかないのではなくて、まだいろいろな方法があるとすれば、国民の英知を集めて、現在の国鉄再建させる、再生させる、そういう模索をする道を封じてはいけないと思うのです。もっと大胆に今ある国鉄の全容を国民の前に明らかにして、具体的に今言った土地の価額の問題あるいはすべての資産の問題、これらを明確にしながら、国民の皆さんの前に論議をしてもらって、しからばこういう方法があるじゃないか、ああいう方法があるじゃないか、六十二年の四月なんてしりを切らずに、もっともっと国民の皆さんに大きく論議をしてもらって、本当に国民のための鉄道として残る方法というのはあるのかないのか、これをいろいろと論議をする一つの方法として、ありのままの姿というのをぜひ再建監理委員会としては提示してほしかった、このように思うのです。  そういう意味で、そちらの考え方からいえば私企業になってしまうのですからね。これははっきり言って国民の財産ですよ。それを簿価でいってしまって評価をされないでそのままいく。それが鉄道が残る大きな要因なんだから、それでいいんだという理屈は確かに成り立つかもしれませんが、国民の一人として、ただ監査報告に出ている数字だけではとても納得がいかないというふうに考えますので、ちょっと聞いたわけですが、その辺どうでしょうか。
  131. 加藤寛

    ○加藤参考人 実は私ども、売るべきあるいは売ることのできる財産というものがどのくらいあるだろうかということでいろいろと考え、そしてまた、それについて突き詰めてみたのでございますけれども、ここに出てきました意見書の数字が我々としては限度であったという感じでございます。  そこで、どうしてそういうことを我々が考えているかと申しますと、実は御承知のとおり、これはもう先生に御説明する必要はないのですけれども、明治時代に官業払い下げという事件がございました。この官業払い下げのときに大きないろいろな問題が起こったことは御承知のとおりでございますが、どうしてそういうことが起こったのかと申しますと、株式会社にするという考え方が株式市場の設置をやらない以上はできないわけです。したがって、株式市場でもって公開でそれが売られていくということは、一つの、例えば国鉄の株というものが売られるということは、それによりまして、もし含み資産があるならば、その株価は高くなります。含み資産がなければ株価は安くなります。したがって、その株を私どもは旧国鉄が所有しているというふうに考えておりますから、旧国鉄としましては、その株価がもし上がれば、それだけ国民の負担は軽くなるし、そしてもし株価が下がるということになれば、それだけ負担は重くなるわけですけれども、私どもの考えでは、時間をかけて新会社が収支可能な方向で一生懸命努力をしていくと、株価というものについてはだんだんと力が出てきて、それによって旧国鉄としても、国民に負担させなければならぬと言っていたものが少しは軽くて済むようになる。こういう意味で、私どもとしては、私企業になるからといって、決してそれは特殊な人々の利益になるのではなくて、むしろ国民にとって大きな負担の解除になる、こういうふうに考えております。  それから同時にまた、そのようなことをいたしました場合に、譲渡可能なものでそうやるのでありますけれども、非譲渡資産、つまり事業用の用地というものは、これはむしろ先ほど申し上げたように活用しなければなりませんので、この活用すべきものにつきましては、かえって我々としては、そういうようなことでどんどん売ってしまうということになりますとマイナスでございますから、そこで事業用と非事業用とを分けるということで私どもは計算を考えてみた、こういうことでございます。
  132. 田並胤明

    田並委員 ちょっと運輸省の方にもこの再評価の問題で聞きたいと思うのです。これは昭和五十七年の十月五日の日経新聞を参考にしたわけですが、五十七年の十月四日に、当時の運輸事務次官であります今の国鉄総裁杉浦さんを本部長とする国鉄再建緊急対策推進本部というのが第二回の会議を開いて、国鉄再建に向けての緊急対策の具体的な実行方法が検討された。その結果、十項目の中で、特に資産処分の促進などという項目を中心に五項目決めて、省内にプロジェクトチームをつくって、五十七年中に運輸省としてさらに詰めた実行計画をまとめよう、このように決定をされたという新聞報道があるわけであります。  特に、資産処分に関しては、国鉄に詳細な資産活用計画を作成させて、運輸省が管理運用の総点検を実施し、不要の資産の処分を進めることを決めた。国鉄資産の総点検は、国鉄も資産の総点検をする必要があるということで、その理由としては、土地など資産の保有、管理、評価がはっきりしないために洗い直していこう、洗い直す方法として、営業上必要なものと営業上不要で処分すべきものというふうに区分を明確にして増収を図ろうということが決められたというふうになっているわけであります。  この内容を見ると、例えば資産を具体的に総点検をするという段階で、運輸省にしても国鉄にしても、土地の再評価というのをあるいは資産の再評価というのを当然しただろうと思うのですが、またしなければいけないと思うのですが、その辺は運輸省としてはどういう方法でこれを推進したのか、ちょっとお聞かせを願いたいと思うのです。
  133. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 先生指摘の五十七年当時はどういう状況であったかと御説明申し上げますと、国鉄再建策全体についてまだ全体像が明らかになっていない、監理委員会の御検討が始まった段階でございます。その時期におきまして、運輸省といたしましては、国鉄再建について大きく言って二つの面からアプローチをしておりました。  一つは、監理委員会に御協力をして抜本的な改革案、これの立派なものを出していただく、そのために必要な協力をするというのが第一点。  それから、監理委員会の御検討には時間がかかりますので、その間でも国鉄が刻一刻と悪化をしてまいりますので、国鉄財政の悪化を少しでも食いとめるために緊急対策、緊急措置というものを講じるという二つの柱から検討しておったわけでございます。  土地の面につきましては、その際に、緊急措置の中といたしましては、土地を年間に大体千六百億くらいずつ売却をして、できる限り国鉄財政の悪化を食いとめるということをやっておったわけでございまして、その際に、不要な用地というものを洗い出して、その中で最も効果的に売却できるものというようなものを選定して、極力資産売却を図って、そして赤字を食いとめていく、これが一つでございます。  したがいまして、その本部でやりました中の土地の問題としては、一つはこれであったわけでございます。その際には、国鉄は大変たくさん土地を、六億平米も持っておりますので、その土地を事業用と非事業用に洗い画しまして、そして非事業用の中で、また将来有効に活用できるものないしは売却するのが適当なものというふうに仕分けをして、その中から売れるものを順次売っていく、こういう作業が一つあったわけでございます。  それからもう一つは、抜本策といたしまして御検討いただいております監理委員会に対しまして、極力国鉄資産の中身を明確にして、その資料を提供しなければいけない、そういう意味でも土地等の洗い直しをしなければいかぬ、そういうことで、当時国鉄の方でも検討いたしまして、当時たしか不要で売却可能用地、千六百ヘクタールだったと記憶しておりますけれども、そういうものの第一次の洗い直しというのがあったわけでございます。それが先生今御指摘のございました五十七年の運輸省国鉄でやっておりました作業でございます。その際に、その千六百ヘクタールというものについての評価というのは、先ほどの加藤先生お話にございます、いわゆる非事業用地でございまして、事業用地全体について再評価をするとか、そういうようなことを考えたわけではございませんで、売却可能な用地、非事業用地についてどのくらいの価値があるものかというのを順次洗い直す、こういう作業をやったというふうに御理解をいただきたいと思います。
  134. 田並胤明

    田並委員 私としては大変不満な回答ですし、先ほどの加藤先生の話でも、いずれは私企業に持っていくという考え方があるわけですから、結果的に含み資産が出れば出るほど旧国鉄の株式売買のときに、確かに今六千億を予定しているけれども、それ以上になるかもしれぬ、そうすれば、その分だけ国民の負担が軽減するのだからいいじゃないか、こういうお話ですが、逆に例えば旧国鉄が新事業体、これは六つに分割するということを肯定しているのじゃないのですが、例えばの話として、旧国鉄というか、いわゆる国が全部の資産を持っていて新しい事業体に貸すなんという方法だってやり方としては一つできるのですね、方法論でありますけれども。そのことによって、国民の財産が余りあちこち私企業に結果的には渡るような形をとらずに、あくまでも国民の財産なのですから、場合によれば、国が一括資産を保有しておって新しい会社に貸し付ける、貸付料をもらう、こういう方法だって国民の財産を勝手に分けない方法としてあるのではないか。これは論議ですから、いろいろな方法論があみので、国民の皆さんに判断をしてもらう材料として、一つの例として申し上げたわけでありますが、そういういろいろな方法があるにもかかわらず、私企業になる六つの会社に、国民の共有財産と言われている資産を、しかも簿価で引き渡してしまう、そのことが鉄道として将来残る道なんだという断定的な物の言い方についてはどうしても納得できない部分があります。その辺は、またその辺で後ほど論議をすることにして、そういう考え方があるということだけ私は申し上げておきたいと思います。  次に、非事業用地二千六百ヘクタール、五兆八千億、この売却を予定しておりますが、これは単純計算でいくと三・三平米当たり単価が七十三万余ということになると思うのですね。さきの衆議院大蔵委員会政府答弁では、二千六百ヘクタールの売却対象は、例えば首都圏でありますとか、評価倍率の高いところにかなり高いウエートを占めています、こういう答弁を政府側がしたと思うのですよ。例えば首都圏だとか大阪圏であるとか、いわゆる大都市近郊の非常に倍率の高い、売却をしてもかなり値段のよいところが大体中心的に売却用地の予定地としてはなっておる、このような答弁をされておるようです。となりますと、この三・三平米当たりの単価七十三万円というのは、果たして妥当なのかどうか。どういう計算根拠でこうされたのか。場所だとかあるいは面積なども明らかにしていただくことによって、それが妥当なのかどうかということがわかると思いますので、その辺はどのようなお考えで、この二千六百ヘクタールを五兆八千億というふうに計算をしたのか。これらの根拠と、さらに売却予定地の所在地、面積、これらについてひとつお示し願えればお示しをいただきたい、このように思います。
  135. 加藤寛

    ○加藤参考人 計算の仕方につきまして、具体的には公示価格、商業地及び住宅地の公示価格、それから標準価格を基礎といたしまして、さらにまたその地域における地価の動向ということも一応しんしゃくして評価をしております。  それで、この評価の場所あるいはその土地の細目について公表してはどうかというようなお話もございましたけれども、私どもといたしましては、そういうことを本当にやるということになれば、これは公開入札とかそのほかの方法でやらざるを得ないと思いますけれども、しかし、現在の状況では、それを公にすることがかえっていろいろな考え方がそこに出てまいりますし、また別な言い方をいたしますと、そういう土地についても、これからなおこういうところについてはもう少し考えた方がいいとか、線引きの問題などもございます。そういうことを考えますと、今ここではこういう基準でやっておりましたというふうに申し上げることが妥当なのではないか、こんなふうに私は思っております。
  136. 田並胤明

    田並委員 今の答弁に関連をして加藤先生にお伺いをしたいのですが、監理委員会としては、国民の負担をなるべく軽減するということで非事業用地については余すところなく売却をした方がいい、当初国鉄が考えておった面積、額よりも、監理委員会としてはさらにそれを膨らませて五兆八千億という数字を出したんだろうと思うのです。ところが国鉄の非事業用地の中には、駅の周辺ですから、これの再開発のためにぜひ国鉄も加わってもらって、できれば第三セクター的な開発をしたい、そういう地元の自治体だとか経済界だとか、こういうところで要望の強いところについてまで監理委員会が売ってしまえ、こういう指摘をされるのはどういうふうに考えたらいいんだろうか。例えばそういう場所については、必ずいい場所ですから、国鉄も加わって、民間の活力も導入して、第三セクターで一緒にやった方が将来果実を余計に生み出すというところだってなきにしもあらずだと思うのですよ。自治体としてもかなりあちらこちらでそういう御計画を立てているところがあろうと思うのですが、こういうところまで監理委員会は売らなければいかぬというふうに指示をされるわけですか。
  137. 加藤寛

    ○加藤参考人 我々といたしましては、国民の負担をなるべく軽くしていかなければならないという緊急事態である、このような緊急事態をとにかく突破いたしませんと、国鉄のこれからの鉄道としての再建はあり得ない、こういうふうに考えております。したがって、できる限り非事業用資産については売却をしてもらうことを望むのでございますが、しかしながら、今先生おっしゃったように、確かに地元の関係とか都市再開発のことを考えて、もう少しここは計画を全体として考えた方がいいという場所も私はあり得るのではないかと思っております。そのような場所については、これから話し合いを地元としていかなければならぬというふうに思っておりますが、しかしその場合でも、私は適正な価格で売っていただきたい。なぜかと申しますと、これは地元の方から見れば、都市計画に使うのであるから、この土地は当然安く売ったっていいじゃないか、こういうような御意見が地元にはあり得ると思うのです。しかし、そういう御意見はあるでしょうけれども、私たちから見ますと、それは国民から見れば、地元の自治体であろうともあるいは国鉄であろうとも、結果的にはやはり国民の負担の一つでありますから、そういう意味からまいりまして、適正な価格で売ってもらわないと、後でまた国民の負担は逆に増加いたします、こういうふうに考えておりますので、そういうところについて計画のいろいろな練り直しも考えますけれども、しかしながら、基本方針としては、そういう方向で考えていただきたいというのが私どもの考えでございます。
  138. 田並胤明

    田並委員 ちょっと国鉄の方にお伺いをしたいのですが、五兆八千億、二千六百ヘクタールは、今加藤先生言ったように、公表はできない、このような回答ですが、衆議院の大蔵委員会のときに、我が党の上田委員の質問に対して、運輸省国鉄は、五兆八千億、二千六百ヘクタールは監理委員会が計算をして出した、運輸省国鉄としては、この「意見」に沿って現在の国鉄用地を仕分けをして、現実に五兆八千億円の価額で売れるかどうか、また土地を生み出せるかどうか作業中だ、こういう答弁をしておるようですが、これは間違いないですか。
  139. 杉浦喬也

    杉浦説明員 国鉄の売却用地の問題につきましては、事前監理委員会ともすり合わせはいたしておりますが、しかし、個別な形でのすり合わせはなかなか難しくて、基本的なあり方についてのすり合わせ程度にとどまっております。したがいまして、現在、私ども監理委員会のお示しの二千六百ヘクタール、五兆八千億円という数字というものを目標にしながら具体的に内部で線引きを行い、売るべき用地の価格を想定し、全体として幾らになるかということを目下作業中であるということでございます。
  140. 田並胤明

    田並委員 そうなると、国鉄監理委員会に非事業用地の一覧表というのを出しているはずですね。今の総裁の答弁だと、まだ作業中だ、売れるかどうか、また土地を生み出せるかどうか作業中だということなんですが、恐らく非事業用地の一覧というのは、監理委員会の指示によって出しているのじゃないかと私は思うのですね。もし監理委員会に出していないとすれば、監理委員会は何を根拠に、この二千六百ヘクタール、五兆八千億円という数字をはじき出したのか、逆に加藤先生にお伺いをしたいと思うのです。
  141. 林淳司

    ○林政府委員 二千六百ヘクタールの売却対象用地というものについて私どもはどういう調査をしたかということでございますけれども、一部につきましては、いろんな段階で国鉄の方から、これはもう事業の用に供する必要はない土地であるという一覧表等についてはいただいております。さらにそのほか総務庁の行政監察によりますところの調査結果もございます。さらに私ども事務局が独自に調査をした、そういう箇所もございます。そういうものを総合的にすべてを勘案いたしまして、そして私どもの判断として二千六百ヘクタールは売却可能である、こういうふうに判断をしたということでございます。
  142. 田並胤明

    田並委員 国鉄の方はどうなんですか、その辺は。
  143. 岡田宏

    ○岡田説明員 国鉄といたしましても、現在の土地の利用状況を考えまして、例えば貨物駅が廃止になるとか、そういったことで、どういう用地の利用状況になるかという資料につきましては、監理委員会意見書をおまとめになる段階で提出をいたしておりますが、さらに監理委員会の御意見に沿って二千六百ヘクタール、五兆八千億を具体的に確定をする作業というのを今鋭意いたしている段階でございます。
  144. 田並胤明

    田並委員 時間がなくなりましたので、最後に一つだけ質問をしておきたいのですが、六つの新事業体に引き継ぎをする資産の再評価というのは、これはやらずに引き継いでしまうのですか、結果としてはっ
  145. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 新しい事業体に具体的に引き継ぎます資産につきましては、いずれ国鉄の方で承継計画書というものをつくりまして、それを新しい各会社に引き継ぐ、こういうことで資産を明確に引き継いでまいります。」その際に、評価の問題でございますけれども、先ほど加藤先生からお話のございましたように、国鉄事業資産のうち事業用の資産についてこれを再評価するということは考えておりません。これは、一つの考え方といたしましては、大変膨大な線路から駅舎から全部ございます。これを全部再評価するというのは、たしか昭和三十年か三十一年に三年間かけて当時のインフレに合わせた再評価をやったということがあるようでございますけれども、非常に膨大な作業でございます。それが第一点。もう一つは、先ほど加藤先生からお話がございましたように、鉄道の資産というものは、事業用の資産というのは、事業で使っているがゆえにそれなりの場所にあり、それなりの価値のあるものでございますから、それを仮定の上で売却したら幾らになるかというような評価というのはなかなか難しい。鉄道があるがゆえに、駅があるがゆえに、そこの周辺の土地が高いわけでございますから、そういうような意味でこれを再評価するというのは大変難しいということで、そういうものについては一応簿価を原則として引き継ぎたいというふうに考えております。
  146. 田並胤明

    田並委員 時間が来たようですから……。  私が再三再四資産再評価をして国民の前に明らかにしろと言うのは、先ほども加藤先生から言われたように、最終的には私企業になっていくような方向を出したのだ。しかし、私企業になると国民の監視の目だとかなにかというのは行き届かないわけですよ、はっきり申し上げて。国民の共有財産ですよ、今のところは国鉄ですから。それが今度は六つの新しい事業体に分かれて株式会社になってしまうわけですから、そこへなぜこれだけの再評価をした資産が行ったのだ、こういうことを国民の前に明らかにしないのか。どうやっても、それは今国鉄が動いている、今度できる六つも国鉄だ。仮にですよ、六つも国鉄なんだということなら、これは国民の財産がそういうふうになっただけですから別に関係ないのでありますが、そうじゃないわけですね、完全に私企業になっていくわけですから。株主と経営者、それぞれがその会社を代表したり、あるいは具体的な運行だとか経営をするわけですから、そうすると、国だとかあるいは国会だとかいうのは、分割されて私企業になれば、その財産がどのように処分されようと何されようと、もう一切合財関係なくなってしまうわけですね。国民の財産をそう簡単にやられては困るよというのが一つ私の考えとしてあるということと、それともう一つは、これはどういう意味なのか私もちょっとわからないのですが、毎日新聞の六十年十月十二日付、「九州会社を優遇 国鉄分割民営化 百六十七億円の用地供与」、住田監理委員さんが熊本市内で開かれた一日行革審であいさつをして、その中で、本州の三会社は駅ビル、ホテルの関連事業用地を時価で買い取ってもらうけれども、九州は時価百六十七億と見積もられる用地を無償供与するんだ、これはどういう意味なんですか。
  147. 林淳司

    ○林政府委員 北海道、四国、九州の三島の場合には、いわゆる簿価で引き継いで、それに見合う負債というものをしょわしたという形でいきますと、大変な赤字が出るわけでございます。そこで三島につきましては、まず負債は一切免除する、減価償却費が立つだけの資産は無償で譲渡いたしますが、これは無償で譲渡するということで、それに見合う負債は免除をするということでございます。さらにそれでもなお営業損益で赤字が出ますので、必要な基金を設定するということでございまして、したがって、貸借対照表をつくりますと、左側の資産の部、これにつきましては必要な資産額が立つ、さらにその上に基金が資産として立つわけでございます。右側の方の負債の部におきましては、資本金と退職給与引当金というものを除いた部分については、これは負債がございませんので、全額資本準備金、資本剰余金という形になるわけでございます。したがって、貸借対照表上は、その会社はある意味では通常の会社の財務諸表で言いますと、非常に優良な会社の財務諸表と同じ形になるということを申し上げたということでございます。
  148. 田並胤明

    田並委員 それはとても意味がわかりませんね。いずれにしても、きょうは資産問題についてお伺いをしたわけでありますが、ぜひひとつ監理委員会運輸省国鉄は、国民の共有財産であるこの資産を正当に評価をして、国民の前に明らかにして、具体的な再生、再建の方法というものをもっともっと公の場で論議をするような機会をつくるべきだ、このことを強く主張して私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
  149. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 関山信之君。
  150. 関山信之

    ○関山委員 加藤先生には御苦労さまです。  引き続き、私は主として分割会社の、とりわけ三島の会社の収支見通しなどについて伺うのですが、冒頭、きょう余り議論をしておれないものですから、一言、二言基本的なことをお尋ねをしてみたいのですけれども、私も可能な限り先生の出版物やら御発言を拝見をさせていただきました。少々失礼を言い方かもしれませんけれども、印象の一つは、分割・民営。化に対する先生の思い入れというものは大変なものだということだけは実によくわかりましたし、いささか何かそれが先行しているのじゃないかという感じさえございます。それからもう一つは、そのことのためにというよりは、先生の大変な御才能なのかもしれませんが、レトリックに大変だけていらっしゃるということが印象であります。先生の御主張に従えば、国鉄は過去に幾たびか再建、再生の機会を持ったけれども、どれ一つとして成功しなかった、だから分割一つとっても、分権化でもいいじゃないかという議論もあるが、まあしかし、これも一遍経験をしてみてだめだった。民営化という言葉の概念も先生は非常に幅広く使っていらっしゃるので、どこをつかまえて議論をしていいか、これ一つでやっていても一日ぐらいかかるのじゃないかという感じがしますが、これもいずれにしても過去の経験の中でそういう手法が生かされなかった。今はただまさに創造的解体で国鉄改革するほかないというような御主張のように受け取れるのですが、そこでは何か理屈よりも、ロジックよりも、まず分割、そして民営化、やってみて、そこで国鉄再建のプログラムはおのずと開かれていくのだということにもなりかねないのです、トータルで印象を言いますと。私どもからすれば、原因の究明もなさっていらっしゃらないとは言いませんが、長期債務を累増させた責任の所在だとか、あるいは国鉄の総合交通体系における位置づけ、あるいはそのことに従って公共性、これはあるいは公益性と言ってもいいのかもしれません、これもまた幅のある言葉ですから。いずれにしても、そういうものに対する基本認識が余り明らかでない。加えて、きょう後段の御質問にもかかわるのですけれども、将来に向けての国鉄再建に対する一国鉄再建というのでしょうか、鉄道会社という形になるわけでありますが、具体的な裏づけも極めて不確かだという印象をどうしてもぬぐえません。冒頭申し上げましたように、残念ながら、この問題についての基本論議を交わす時間的な余裕もございませんし、また既に意見書は閣議決定をされて政府の手に渡っておりますから、今余りそのことで議論をしても意味がないのかもしれません。  ただ、この機会に二つお尋ねをしておきたいのですが、一つは、この秋口に行われました世論調査の結果でも、国民の七割は分割に難色を示しているのですね。この国民の世論調査の動向というものについてどうお考えなのかが一つ。それからもう一つは、こうしたいわばまさに創造的解体というこの事業について、これは今までの国鉄再建でもどこに責任があるのかが明らかにならないままずるずる来ているのですが、今回のことについて言えば、第二臨調以来先生の果たしてきた役割というのは大変なものがあると思うのですが、この際、後世に責任をお持ちになれるのか、この委員会の議事録に残しておきたいと思いますので、ひとつその二つの点についてまずお伺いいたします。
  151. 加藤寛

    ○加藤参考人 今御質問のございました点でございますけれども、まず最初の方の出だしのところで私ちょっと残念だと思いますのは、分割・民営化ということに対する何か私の執念みたいなものがあるというふうにお読みいただいたわけでございますが、これは私の書き方が悪かったためで大変申しわけないと思います。しかし、私は何度も実はいろいろなところで申し上げているのですけれども分割・民営化ということに対して、そこまでやらなくても何とか国鉄をよくできないかというのが私の当初からの考え方だったのです。しかし、やっていくにつれてだんだんとこれではどうにもならぬということが次第に表に出てまいりまして、私自身、そういう意味では、これはやはり分割・民営化をせざるを得ないんだというふうに考えたのでございまして、決して私はそれを執念として申し上げているのではないし、またそれを考えるよりは、むしろ国鉄を鉄道として再生させるためにはどうしたらいいのかということがむしろ私の執念でございまして、分割・民営というのは一つの手段でございます。私はそういうふうに考えておりますので、私自身がレトリックであるとおっしゃられると、大変私も困るのですけれども、しかし私は決してレトリックで申し上げているのではなくて、何とか私の考えていることを伝えたい、そしてわかっていただきたいというような気持ちがございまして、それがあるいはレトリックというふうに映るということになれば、これは私の責任でございますので、お許しをいただきますが、私自身の考えはそういうふうに考えております。  ところで、今の二つの点でございますが、世論調査でございますね。それについて私ちょっと手元に持っておりませんので、どういう世論調査かわかりませんが、恐らく国民世論協会か何かの調査だと思いますが、実は私、それを読みまして、ちょっと意外な気がいたしましたのは、分割に反対している人とそれから条件づきで分割反対と一緒にしてしまいまして、分割に異論、こういうふうに出てしまっているのですが、私の方から見ますと逆でございまして、分割に賛成している人がたしか二一%ぐらいいると思う。二七%でしたか、おりますね。そこに今度は条件づきで分割に異論を持っておる方を合わせるとむしろ逆になる。つまり世論調査というのは、御承知のとおり解釈の仕方によって違ってまいります。したがって、私は異論を持っている方々に御納得のいただけるようなことを考えていくのが監理委員会の仕事だと思って、今日までそのいろいろな異論があることに対して、どうこれにこたえたらいいか、あるいはどういうふうにその困難を乗り越えたらいいかということでもって進めてきたつもりでございます。  それから、二番目の問題は、これは大変難しい問題、いや難しいんじゃないです。私自身の今考えております心境から申し上げれば、これで鉄道は生き残れると思っております。これ以外の方法でもし生き残れる方法があるならば、私は逆に教えていただきたいというふうに思っているくらいでございまして、もちろん運営のいかん、会社がよくなるかどうかという運営は経営者の一つの力でございますから、うまくいく企業もあるだろうしうまくいかない企業もございます。しかし私は、少なくとも今我々の計算によってやっている限りにおいては十分これは成り立つはずであり、またそれだけの自信がない人たちが経営者になっては困るんだというような気持ちさえ持っておりますが、しかし経営というものは非常に波がございまして、伸びるはずである産業であっても伸びない場合がございます。そういうときにそれを弾力的に対応できることこそが民営企業の最大の力である、私はこういうふうに考えております。
  152. 関山信之

    ○関山委員 お断りしましたように議論はいたしません。どうも私は、だんだんそう思い込みなさったところからのものだけを読んだのかもしれませんけれども、あえてこの点については議論は避けておきます。     〔委員長退席、津島委員長代理着席〕  そこで分割会社、とりわけ三島会社のことなんですが、今回の処理を見ておって、長期債務の処理の問題、余剰人員の問題あるいは今議論がありました資産評価の問題、前提いろいろあるのですけれども、しかし総じて言えば、今回の長期債務の処理の問題などを見ましても、まあ言ってみれば十六兆七千億というのは、五兆三千億の棚上げ分あるいは四兆九千億の年金あるいは五兆二千億の鉄建公団及び本四条橘の問題、余剰人員の九千億などを加えれば、もともと国がやるべきことをやらなかったというものについて決まりをつけたというだけの話なんですね。本来やるべきことを今やったというだけなんです。  問題は、こうなって身軽になった国鉄の財産を本州三社と三島に分けますと、今の資産の問題一つとってみても、本州三社には八八・三%ですから三脇は一一・七%。一手にしわ寄せを受けることになるんじゃないかという心配がございまして、そこは加藤先生流にともかく働き度で、知恵を働かせてということになるのかもしれませんが、そこはさすがに監理委員会の方もいろいろ心配はされておるようなんですけれども、しかしどうもこじつけというんでしょうか、数字のつじつま合わせみたいなところがございまして、幾つかお尋ねをしたいんですけれども一つは営業収入の見通してあります。  いただきました資料の二つの経営見通しの数字を見ておりますと、五カ年間の旅客部門の経営見通していくと、四国の場合は六十二年から六十三年八・九%、五年間で二〇・四%、北海道が一四・一%で二六・七%。これは先生が山崎国労委員長との議論では、丸めた数字で二年後に三%足らずの増収しか見込んでいないのですよ。これは丸めた数字ではそうなるのですが、しかし明らかに三島ではやっぱり大変な値上げをしていかざるを得なくなるのではないか。あるいは増収を見込んでいるとおっしゃっても、これは具体的にこの間の四国のトンキロの伸び率を見ましても、あるいは運輸取り扱い収入の指数を見ましても、トンキロの方は漸減でありますし、収入の方は横ばいということですから、とてもこんな数字は見込めない。  それから、五十八年対比の方の三島旅客会社の経営見通しの方で、五十八年対比六十二年が二百八十五億から三百八億。どうも監理委員会のお出しになる数字は大変不親切で、申しわけないのですが、私どもに不明確な部分がたくさんあるのですけれども、これは私が整理いたしますと、六十二年、この運賃収入が二百四十五億。五年間見通しの方で出てくる数字に合わせて、こちらの方の数字を国鉄から実績の五十八年の数字を入れてみますと、二十億ぐらいふえる勘定になっている。これは地元に聞きましたら、とてもこんなにふえるわけがない、こう言うんですね。ですから私は、いずれにいたしましても、この営業収入の見通しの数字というのはつじつま合わせではないか。あるいは大変な運賃の値上げを招くということにならざるを得ない、こう思うのですけれども、これは端的にひとつ御答弁は短くお願い申し上げたいと存じます。
  153. 加藤寛

    ○加藤参考人 今の御質問でございますけれども、三島の独立ということを我々が主張いたしましたのは、それは三島というものが必ず黒字になるからと考えたのではなくて、むしろ努力をしてもらって、しかしどうしても、幾らやっても、残る赤字はあるかもしらぬ、その点については、これは基金という形でもってそれを支えていきましょう、しかしながら、それだけの努力をしてくれなければ困りますということがこの三島に対する私の考えなんです。そのようなことから参りまして、三島は、今営業収入のお話がございましたけれども、営業収入はおっしゃるとおりもうふえない。お客様がふえないということを前提にして考えた場合、これは運賃を上げていくことになります。しかし、その運賃がそれでは相当上がって物すごく高くなるのかというとそうではなくて、私鉄並みの運賃の値上げに応じてやはり上がるということでございまして、しかもそのような上がり方は、ちょっと今私の記憶がはっきりしませんが、過去の国鉄の値上げが平均して十年間ぐらい五・六%ぐらいでしたかね。これと比べると、それよりも低い値上げ率ということになっております。こういうことで、私どもは十分に入り得る収入であるというふうに考えているわけです。
  154. 関山信之

    ○関山委員 そこで、今基金の話がございましたけれども、まずは大体収支のつじつま合わせをする、つじつま合わせといいましょうか調整をするということをなさっていらっしゃるのですが、この問題について二つばかりお尋ねをしておきたいのです。  一つは、十一月六日に、これは亀井監理委員長ですけれども、高松で、基金の増額については、今後の検討事項になると思うというような御発言がある。また北海道でもちょっとそんな御発言があったように思います。この時点でなおそういう御発言をなさっていらっしゃるのは、この時点でもなお三島については大変な心配が残るということの証拠じゃないか、こう思うのですが、これはいかがでしょうか。  それからもう一つは、発足時の一兆円の基金ですね。これは全体の十六兆七千億をどうするかという問題もありますけれども、そこのところはとりあえずおいたとしても、この一兆円を、先生の御本を拝見しますと、新幹線のリース会社が収益を上げて、それでためてというような書き方をされておるのですけれども、こんなことでは間に合わないわけですから、初年度から一兆円とこかでなければならないわけですが、これはどうなさるおつもりなんですか。
  155. 加藤寛

    ○加藤参考人 最初の方の問題でございますが、基金につきましては、我々の考えといたしましては、実は、御承知と思いますけれども、西ドイツが何とか国鉄の赤字を立て直さなければいかぬということになりまして、西ドイツが最近とりました方法は、基金を、赤字になったからといって全部お金を渡してしまうのは間違いである、赤字の分を埋めてということをやっていてはだめだ、そこで最初に、まずこれだけのお金を上げます、しかしあとは、赤字になるところがあれば、それは自分たちの責任で解決しなさい、こういうやり方を西ドイツはとったわけです。このようなやり方を我々も考えまして、やはり赤字になったから、垂れ流したらば幾らでも援助しますよということになっていると、どうしても効率を上げることができない。そこで、効率を上げていくためには、私どもとしてはこれだけしかお金は出ません、あとは自分の努力でもって埋めてください、こういうふうにやりますと、非常にそこでやる気が出てくる、こういうような考え方が基金制度の考え方でございます。このようなことで、基金につきましては、意見書の中にも「今後とりまとめられる数値等を織り込むと多少異動することがあり得る。」性格のものである、こういうふうに既に付記されております。このことを恐らく亀井委員長は言われたのではないかというふうに私は思っているわけでございまして、基金の額というものが今後の数字によりまして若干変更されることがあるということは当然のことだと思っております。それは五十八年のときの計算でやっておりますから、六十二年になると少し違うかもしれない、こういうことになります。しかし、基本的には変わらないというふうに思っているわけです。  それから、二番目の問題でございますけれども、基金というものが最初に一兆円ないと、それだけのお金が三島に出ないじゃないか、こういう御意見でございますが、実はこれは分割払いでございますから、したがって、いきなり最初になくてもよろしいわけでございます。最初に少しずつたまっていって、そこに何年なら何年かの利息を織り込んで計算しておりますから、したがって、このような利息も含めた形で数字で出しておりますから、最初から一兆円なくても、これは運営することができる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
  156. 関山信之

    ○関山委員 よくわからないのです。前段の方も、その辺が先生お上手なので、ここまで来ますとそういうことだけでは済まないわけで、つまり一兆円に積み増しがあると言えば積み増しに期待しますよ。三島について言えば、あらかじめある前提のもとでこれからやっていくわけでしょう。もしそういうことになれば、これは地方の人たちも一緒になって考えていかざるを得ないのです。  それから、一兆円最初になくてもというのは、それもよくわかりませんが、しかし、七分五厘で七百五十億でしょう。大体これは三島一年間七百五十億で六十二年のけつは押さえるわけでしょう。そうすると、六十二年の当初には一兆円なければだめだということにならないのでしょうか。
  157. 加藤寛

    ○加藤参考人 この問題につきまして私が今申し上げたことは、私なりの説明の仕方なんですが、これでは非常に理解しにくいというお言葉でございますので、林次長に……。
  158. 林淳司

    ○林政府委員 私どもが六十二年度の債務としまして三十七兆三千億というのを計上しておりますけれども、これについてはいろいろな債務がございますし、またその払い方もいろいろございます。例えば二十五兆四千億の長期債務でございますと、それはそれぞれの約定に従って償還をしていく。さらにただいまの三島基金の場合には、これは六十二年度の現価で申しますと一兆円でございますけれども、実際に支払われるのは、それから何年かかけて分割払いがされるわけでありまして、当然それには利子も上乗せして払っていくということでありまして、あくまで六十二年度の年度首におきますところの債務に換算した現価というものが一兆円であって、実際に支払われる額は、利子を含めた額がその後数年かけて支払われていく、こういう計算をいたしておるわけでございます。
  159. 関山信之

    ○関山委員 いずれこれは法案の段階での議論にもなることでしょうから、お考えだけ記録に残させておいていただきます。  今、営収と基金についてお伺いしました。次は、維持更新の投資の問題です。  これもいろいろなところで新聞発表があるわけですけれども、四国について言えば、ディーゼル機関車、DC三百七十両中二百二十五両が六十二年四月で耐用期限を切るというような問題、あるいは九州においては、これはディーゼルだけではありませんが、一千七百九十両市、今後十年間に取りかえを要するものが六五%というようなことがありまして、いずれも、松山では加藤先生、あるいは十一月十一日には本社で総裁が御答弁になっていらっしゃって、六十二年四月までには、この辺のものはきちんとしてあげますよ、こう言っているのです。この辺のところは、意見書には、維持更新については心配ないようにというようなことを言葉として書いてあるのですけれども、しかし、将来の経営基盤の確立という意味からいえば、いわゆる体質改善投資なども含めて、これは六十二年新設までにどの程度片づけて渡すのですよということになっていらっしゃるのか、監理委員会の方の考え方を聞きたい。そして総裁の方からは、この新規車両の投資は六十年度、六十一年度、これはいろいろな新聞情報があるのですけれども、具体的にどういう形で処理をなさるのか、お尋ねをしたい。
  160. 加藤寛

    ○加藤参考人 今の松山での話というのは、恐らく私が答弁のときに比喩的な形でお話しをしたことだと思いますが、これは誤解があってはいけないということもございますので、あえてそのときのことを申し上げさせていただきますと、松山、つまり四国は今まで電化率はゼロでございますね。こういう中で、しかも複線がわずかしかないというような状況の中で、一体四国はもう将来は見通しがなくなるのか、こういうような話がございました。それに対して私がお答えしたことは、比喩的な例でございますけれども、実は四国というのは、国鉄全国一本でやっているとどうしても四男坊のような感じになる。四男坊のような感じになりますから、長男のお古が来てしまって、四国の方には申しわけないけれども、車体も古くなるということも起こっている。しかし、これがもし遺産相続ということになれば、もちろん今の憲法でいけば平等に遺産相続をするのであるから、そのことに対しては、我々としては極力努力をしなければならぬと思っている、したがって、この本四架橋ができましたときには、なるべく電化を高松ぐらいまでは入るようにしたいと思いますし、車体についても新しいものをなるべく使っていきたい、こういう気持ちのことを申し上げました。そういうことについて国鉄側がこれから六十一年予算の間にどんなふうにその努力をしてくださるかわかりませんが、私どもとしては、その気持ちをお伝えしたわけです。  それからさらに維持更新費、それからさっきおっしゃいました車両更新とか複線とかそういうこともございますが、維持更新費の方は我々の計算の中に所要額を見込んで計算してございます。したがって、維持更新は今までどおりやっていくことができる、こういう計算になっているわけでございます。
  161. 杉浦喬也

    杉浦説明員 新しい会社の発足に際しまして、いろいろな意味で移行のためのお金がかかりますし、また工事等もやっていきたい。いわば全国並みの平均耐用年数、老朽化の度合いというようなものなどを考えながら、現在老朽化が進んでいるところは、そこに重点的に投資をし、あるいは車両が悪いところ、こういうようなところは今年度、来年度にかけましてできるだけ投資をしていきたいと考えておるところでございまして、特に四国の問題につきましては、四国は電化をされておらない地域でございまして、こうした非電化地域の将来性というものは非常に問題があるという認識をしておりますので、四国については一部分、移行までにぜひとも電化をしていきたいと考えておるところでございます。  ただ、その具体的な中身は、目下検討中、詰めをしておる段階でございますが、六十二年四月までに全部をし終えるということは、やや無理ではないかと思うわけでございますが、できるだけ本年度、来年度にかけまして四国の電化の問題を解決していきたいと思っておるところでございます。
  162. 関山信之

    ○関山委員 ちょっと総裁、車両の方はいかがですか。
  163. 杉浦喬也

    杉浦説明員 車両の計画につきましても、先ほど申しました問題全体の一環としまして、特に車両、電車がないわけでございますが、その電車をどういうふうに充当していくかということにつきまして、これも本年度、来年度の計画を現在がなり大詰めに詰めつつあるというところでございます。
  164. 関山信之

    ○関山委員 どうも外側へ行かれますと、皆さん、随分気楽にいろいろなことをおっしゃるのだが、こういうところへ来ると途端に口がお固くなってしまうんですよ。  加藤先生、維持更新投資が見込まれているのは、私ども資料をもらっていますからわかります。ただここへ来て、こういう問題でいろいろ注文が出て、皆さん方が出先へ行ってはいろいろなことをおっしゃっている。ということは、逆に言えば、そういうものを当然見込んでおいていただかなければ、三島、なかなかやれませんよということで皆さん方対応せざるを得なくなっておるだろうと思うものですから、ここで伺っておるわけでありまして、今のような御答弁をいただいても、地元もなかなか納得せぬだろうし、私どもも納得できないのですけれども、時間がだんだんなくなってしまいますので、もう一つの要因を伺っておきたいと思うのです。  四番目の要因は地交線であります。これも同じく正確な議事録じゃありませんけれども、北海道へ行って保留四線の、これも協議開始になっておりますが、それぞれ事情を調べた上で政府に対して意見を述べるといったような亀井委員長の御発言があります。私どもの立場からは結構な話なのでありますから、ぜひそうしていただきたいと思うのです。そこで、この保留四線の問題での亀井委員長の御発言について、きょうは代理でおいでいただいておりますから、監理委員会としてどうお考えになっているのか、きちっと御返事をいただきたい。  もう一つは、今第二次線協議を進めておるわけですが、そのほとんどの部分が、これは法律的に言えば、六十二年四月以降に繰り込んでも協議を続けていい状況にあるわけですね。もちろん、その前に片づいていけばいいでしょうけれども。そうしますと、ここで出されている経営見通しは、地交線についてはゼロゼロでやっているわけですから、明らかに狂ってこなければならない、そういう問題もあるわけですね。今の問題と絡んだりして、これは不確定な要因がたくさんある。これはどうなさるおつもりですか。
  165. 加藤寛

    ○加藤参考人 今のにお答えする前に、先ほどのことにちょっと触れさせていただきます。  地方でも、北海道だけではなく四国でも、先ほど申し上げましたけれども、いろいろ御質問がございました。そういう御質問に対して、実は意見書にそのことが書いてあるのですが、意見書というのはどうしても厚さに限りがございます。限りがあるというか、そんなに細かく書けませんので、その大綱が書いてございますので、それぞれの地域の地元に行きますと、必ずしも具体的にわかっていない場合があるわけです。それを我々が話しまして、地方懇談会でそういうことを説明いたしますと、地方の方々は非常によくわかったと言ってくださるのがほとんどでございまして、そういう意味ではだんだんとわかってくださるのではないか、これは私どもの方の気持ちから申し上げているのかもしれませんが、そういうことでございます。  そこで、さらに今の御質問にまいりますと、亀井委員長がおっしゃったことでございますが、これは我々と考えは変わっておりませんで、要するに地方交通線、第一次、第二次、これは政府が既に決定して、やろうということでもってバス転換をやっているわけでございます。それにつきまして、私どもとしては、そのようにやっていただくよう期待するしかない。新しい会社に移っていきますときには、どうしても会社に対する負担を軽くしなければいけませんから、そういう意味では軽くなった方が望ましいわけです。しかし、そういうことをやっておりましても、地方によってはなかなか難しくて、例えば北海道の場合にも、ここで亀井委員長が言われたように、ちょっと考えなければならぬことがあるかもしれぬというようなことがございます。そういう場合について、私どもとしては、新会社の負担にならぬということを一つの大前提にしておりますので、そのことを考えながら政府においていろいろと適切な経過措置を講じてもらわなければならぬというような考え方で恐らく亀井委員長が言われたのではないか。こんなようなことで、亀井委員長の真意は、そういうことを十分に考えまして、各地の事情を考慮した上で、さらにそれを運輸省あるいは国鉄などにその意見を伝えていきたい、こういうことを申されたのではないかと私は理解しております。
  166. 関山信之

    ○関山委員 監理委員会の御意見最大限尊重するのが建前ですから、ひとつ大いにきちっと伝えていただきたいと思います。  いずれにいたしましても、この四つの問題、営収の問題、基金の問題、設備更新、体質改善投資の問題、地交線の問題、これは細かく議論すれば、一つ一つが議論の対象になるのだろうと思いますが、この三島に関しては、こういった問題がきちっとしないと、なかなかきちっとした見通しが立っていかぬのじゃないかという問題が残っておりまして、きょうは監理委員会としてどのようにお考えかを確かめさせていただきました。  なお、最後に、監理委員会とここ二、三日やりとりをしていて、数字の問題では、先生まさにその辺がレトリックと申しましょうか、お言葉が大変巧妙でいらっしゃるから、ふらっとごまかされちゃうのだけれども、それは意見書の厚さの問題じゃありませんよ。もっと丁寧な説明資料でもくっつけたらいかがですか。  きょう午前中に説明に来ると言ったのですが、例の長期債務の始末の仕方で一兆四千億ほど、あれを幾ら読んだって出てこないのです。旧国鉄はまあわかっているのですが、新事業体の本州三社と新幹線保有主体とが持つ借金の額と全体が持つ借金の数字との間に、一兆四千億という行き場所のない数字がある。これは、一つは貨物会社に持っていくという理屈があるのですが、一兆四千億なんというのは貨物会社がしょい切れるような数字じゃないです。  これは聞いたら、コンピューターが三週間もかかるというのです。そんなばかな話はありませんよ。今どき、時代の先端を行っているのに、こんな基本的な数字——あるいは発足新会社のバランスシートを出せというと、これも三週間かかる。これではこの委員会で丁寧な議論ができませんので、きょうはどこのコンピューター会社か聞きたいと思っていたのですが、時間がなくなりましたので、どうぞコンピューター会社をお調べになって、三週間もかからなければ基礎的なデータさえも出てこないようなコンピューター会社なんか取りかえていただいたらどうか。ぜひ先生から一声かけていただきたい。これからもみんなあそこの数字を使うのに、三週間たったら法案が通ってしまう。よろしくお願いします。  加藤先生、ありがとうございました。  最後に、ちょっと別の問題で総裁に御質問しなければなりません。  嫌な問題なんですが、しかし、きょうもいろいろ議論もございましたし、今までも、相変わらず国鉄職員の規律がきちっとしてないとかなんとかということがいろいろ出てきたのですが、先般の委員会で、我が党の高塚委員が広告汚職の問題について質問をいたしております。これに対しまして総裁も、事態をできるだけ調査をしながら、事実関係が判明いたしました時点で厳正に対処したいとお答えになっていらっしゃるわけなんです。  その後、実は同僚議員の調査によりますと、この委員会でも高塚議員も若干触れておられたわけですが、国鉄のまさに総裁に次ぐ現職幹部の皆さんやあるいは前幹部が、既に釈放されているそうですけれども、日本交通文化協会の滝さんとともに、この春ごろから、具体的には何月何日という数字もありますが、あるいは銀座の一流のすし屋、あるいは新宿の料亭、具体的には名前もわかっていますが、そういったところで酒食をともにした、そういう容疑が把握をされておりまして、この問題については、その後の御調査はどうなっているのか、こういう事実が総裁の手でしかとつかまれているのかどうか、この際、お尋ねをしたいと思います。
  167. 杉浦喬也

    杉浦説明員 副総裁から、ごく最近の時点におきまして、過去においてそのようなこともあった、ただ、外でやや報道されそうな時期におきまして、そうした中身と自分の行動とはかなり食い違っておりますというような意味での話は、事前に私は聞いておるところでございます。
  168. 関山信之

    ○関山委員 私が申し上げたような事例について、酒食のもてなしを受けたという事実があるということなんですね。私は、そこでそれが直ちに供応であるとか贈収賄につながると申し上げているわけではないのですから、そこはお間違いのないように。  今のお答えをもう一遍確かめたいわけなんですけれども、疑惑を持たれている業者と酒食をともにした事実はあるということですね。
  169. 杉浦喬也

    杉浦説明員 この事態がそのままでございますとなかなか大変な問題でございますので、副総裁から再度いろいろと確かめておりますが、一緒に食事をしたという事実はある、しかし、本人の話でございますと、その会合の趣旨がいずれも親しい人の集まりであり、自分の還暦の祝いであり、あるいは送別会というような場でありまして、回数も二回と私は聞いております。また会費制でやったというようなことも聞いておりますので、一部本日報道されているような意味での会合ではないと考えられ、日常交際の範囲内ではないかと私も思っているところでございます。  しかし、いずれにいたしましても、こうした面での報道がなされ、一般の国民の皆様方に何らかの疑問、疑惑が起こるような行為はまことによくないことでございまして、今までもそうした点について、綱紀の粛正といいますか厳正な対応につきましては、私は何遍も申し上げているところではありますが、そうした行動は慎重、厳正になされるべきであると考えておりますので、私どもは下部に向かいまして、そうした趣旨を一層徹底していきたいと思うところでございます。
  170. 関山信之

    ○関山委員 時間もなくなりましたので、これ以上申し上げることもできないのですが、今お話のありましたように、会費制だとかそれ以外の理由でとおっしゃられても、こういう問題が発生いたしますと、綱紀の粛正の面から、これはまさに大変な問題ということになるわけですし、時期が時期でありますだけに、事実関係だけはきちっとお調べをいただいて対処をいただきたいと思うのです。  もう一つ、これも前回、「容疑を持たれました広告会社との今後の新規契約は一切いたしません。また現在契約しているものにつきましては、解約するというつもりでございます。」という業者に対する厳しい姿勢を述べられておりますが、この辺の御方針についてもお変わりはございませんね。
  171. 杉浦喬也

    杉浦説明員 前回申し上げましたとおりでございますが、ただ、既に広告主が決定もしくは定まっておるというようなものにつきましては、第三者への損害を考えますと、そうした点は避けなければいかぬ。それ以外のものにつきましては、厳正に対処したいと思っております。
  172. 関山信之

    ○関山委員 それは従来の契約高のどの程度のものでございましょうか。これは総裁でおわかりにならなければ事務方でも結構です。
  173. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 これは推定値でございますが、三月までの契約高の大体七千万程度と聞いております。
  174. 関山信之

    ○関山委員 既契約高全体のどの程度の割合になるのですか。
  175. 長谷川忍

    ○長谷川説明員 おおむね五%程度ということでございます。
  176. 関山信之

    ○関山委員 こういう時期でありますから、総裁がおっしゃったことが、そうは言ったが、従来の契約高はそのままにして、新規の契約は認めないみたいな問題のすりかえをおやりになって、後々に問題を残さぬようにということだけ、この際、念のために申し上げて、終わりたいと思います。ありがとうございました。
  177. 津島雄二

    ○津島委員長代理 薮仲義彦君。     〔津島委員長代理退席、委員長着席〕
  178. 薮仲義彦

    薮仲委員 加藤先生には大変お忙しいところを当委員会に御出席いただきましてありがとうございます。  私は、亀井委員長を初め加藤先生や私事務局次長中心とする監理委員会の皆さんが困難な中をこのように再建のための一つの骨格をつくられた作業に対しては、大変な敬意を表しております。我々も政治の場におりますけれども日本国民固有の共有の財産でありますこの国鉄が、国民のために将来どう存続するかという重要な段階でございますので、その将来については真剣に検討もし、最もよりいい方向での国鉄再建を実現していかなければならないと思っております。そういう意味で、我が党はこの民営的な手法については基本的に合意いたしております。ただ分割等について幾つか問題点がございます。きょうは、先生にその点、基本的なことについてお伺いして理解を深めさせていただきたい。日ごろ先生が教えていらっしゃる優秀な生徒あるいは先生のゼミの中の優秀な生徒とは違って、きょうはできの悪いのが大変失礼なことをお伺いするかもしれませんけれども、できが悪いのでございますので、どうかその点は十分お含みの上、我々がよく納得できるような方法でのお話をしていただきたいと思うのでございます。  お伺いしたいことは、きょうは旅客に始まりまして貨物からバス、関連事業あるいは国鉄の将来と多岐にわたってまいりますので、御答弁は要点を簡潔にとお願いしながら、たくさんのことを先生に質問させていただきたいと思っております。  まず最初に、先生に基本的な問題で確認させていただきたいのは、我々の手元にありますのはこの資料しかないわけで、先生方がどういうお考えを持っておるかというのは、ここに出た活字の上ででしかわかりません。ここでこういうことを言われているわけです。「全国一元的組織の問題」の三番目の「不合理な依存関係」と四番目の「競争意識が働かないこと」だから分割・民営の方向は大事なんだという結論を導かれておるわけでございます。一部を読ませていただきますと、「第四の問題は、現在の国鉄が鉄道事業者として他に比類するもののない全国組織事業者であり、同種企業間における競争意識が働かないものとなっていることである。このため、経営責任の不明確さとあいまって交通市場の中での対応力に欠け、危機的状況を招く結果となっている。全国一元的組織運営を改め、これを適正な事業規模に分割すれば、電気事業再編成後の電力会社や大手私鉄相互間にその例を見るように、常に比較の対象とされる同種企業が存在することとなり、相互に競争意識が働くこととなる。その結果、全国一元的組織運営では実現され難い一層の経営効率化を図ることができるものと考えられる。」という原理原則がうたわれているのです。私はこの点が、先般も亀井委員長にお伺いしたのですが、どうしても納得できない。「不合理な依存関係」、国鉄用語でクロサブと言いますが、これを廃止する。貨物を分離するのも不合理な依存関係である、経営責任と赤字の原因がはっきりしないから分離してしまえ、これはわかります。これは後ほどお伺いしますけれども。特に、前回の質問でもいたしましたけれども、では、なぜ六分割がというと、人の動態、流動動態が六つの会社に当てはまる。大体下は八三%から上は九九%の動態の中におさまる、これで六分割をなさった。私はそれは正しいと思うのです。しかし、大変失礼ですが、一つ一つ確認をしてまいりますけれども、人と収入とは違うと思うのです。収入の諸元は何かというと人キロだと思うのですけれども、この点いかがですか。
  179. 加藤寛

    ○加藤参考人 そのとおりだと思います。
  180. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、一つ一つ確認させていただきますけれども、これは前にも質問したので、これは先生に基本的なことを御理解いただくために、説明資料でございますけれども国鉄からもらっている「昭和五九年度旅客輸送量及び収入構造」というのがございます。これはもう数字だけこちらで読み上げます、時間がございませんから。  新幹線は、総輸送人員の中のパーセントで言えばわずか二・四%です。それから在来線の特急、急行、いわゆる長い特急、急行ですね、シャトルスタイルじゃないやつです。これは二・〇%です。この二%から二・四%という数値の上でいけば、これは人の流れですから、監理委員会先生がおっしゃるように、その島の中で、九州は九州の中でおさまります、これは正しいと思うのです。ただし、ではこれを輸送人キロに直しますとどうなるかというと、例えば新幹線のわずか二・四%というものはぐっとパーセントがふえまして、これは二六・二%に人キロではふえてくるわけです。しかも特急、急行は、これは一六・八%とぐっとふえてまいります。これは人キロです。では収入に与える影響はどうなってくるかというと、両方でわずか四・四%のものが国鉄の全収入の六四・六%なんです。ということは、ここでもう一つ先生に確認したいのは、ではこれから六つの会社が、今の私の基礎データをもとにして増収を図れといったらどういうことが一番大事とお考えですか。
  181. 加藤寛

    ○加藤参考人 増収を図るということになりますと、もちろん、まず運賃をどのように設定するかが重要になります。そして同時に、その人キロということで、今私どもは新幹線の場合はリース方式をとっておりますから、したがって、それは全国のバランスをある程度考えだということが基礎になっております。したがって、そのような意味では、今私はただ運賃というふうに申し上げたわけでございますが、実際はそういったことを考慮して決めている、こういうことでございます。
  182. 薮仲義彦

    薮仲委員 当然こういうものですからあれだと思いますが、確かに運賃ですね。それからやはりこういう列車について一番基本的にはダイヤだと思うのですね。最もニーズの濃いところへダイヤを組んでいく。例えばシャトルスタイルで十五分間隔で列車の本数をふやせばお客が戻ってきたとか、いろいろなケースがございますが、ダイヤと運賃というのは一つあれでありましょうし、先生がおっしゃったリース料もそうかもしれません。  しかし、私がここで言いたいのは何かといいますと、いわゆる人キロで言いますと、その島の中で九九%おさまっておったのでは収入は大したことはない。営業の努力というのは何か。北海道のお客を九州へ持っていく、あるいは東日本会社の人を東海を越えて西日本へ持っていく、そのわずか数%の、わずか二%か三%かもしれませんが、そのまたがる人の一人の人がどれだけ長い距離乗るかによって国鉄の収入を支えているという一つの資料だと私は思うのです。一人の人が圏内でおさまらないで、圏をまたいで遠くの方まで行っていただくと国鉄収入というのはぐんとふえてくる。いわゆる経営を支えるものは、経営努力というものは、今のフルムーンであるとかいろいろな形で国鉄がアイデアの商品を売っておりますけれども、一人の人を何キロ飛ばすか、わずか数%と言うかもしれませんけれども、この人たちをたくさん乗せることがどれほど収入に反映するか。このまたがりという、四国の人をどこまで引っ張っていくか、観光旅行でも何でも、北海道まで引っ張っていけば相当の収入がそこに見込まれてくる。ですから、やはりまたがりという問題が非常に大事である。ここに私は監理委員会先生方と考え方が——やはり数%かもしれないけれども、増収するためには、営業努力というのは、どういう良質な商品をつくって多くの人を国内を流動させるか、そのキロ程を長くするということがまず大事である。  これはそれまでにしておきますけれども、そこで先生にこれも確認させていただきたいのは、いわゆる今の国鉄は併算制です。今度はいわゆる遠距離逓減という原理は守ります、国民に不利益を与えないために通算制を用います、この通算制の原則は変わりませんね。
  183. 加藤寛

    ○加藤参考人 通算制の原理は変えないということになっております。  なお、今ちょっと余計なことを申し上げるようですけれども、今のお考えの中に、私ちょっと納得のいかない点がございます。それは私どもの考えでは遠距離というものは飛行機が中心になってしまう、そして近距離は自動車だ。そうすると、鉄道というものが二十一世紀に最も大きな力を果たすとすれば、それは中距離しかあり得ない。そこで中距離というものに重点を置かなければ鉄道は成り立たないと私たちは考えています。したがって、中距離ということからまいりますと、今区域のまたがりということをおっしゃいましたけれども、私どもはその中距離の分割から考えて、実は本州ならば三分割が中距離として最もふさわしい、こういうふうに判断しています。そういうことでございますので、北海道の人が九州へ行くということだけを考えるというのではないということでございます。
  184. 薮仲義彦

    薮仲委員 これはこの間も論議したのです。今国鉄がどの距離帯で一番他の飛行機であるとか自動車であるとかいう輸送手段と競争できるかということは、この間の委員会でやったんですけれども国鉄さん、ちょっと言ってください。七百一キロかる千キロとか五百キロから七百キロの間、どこが一番国鉄が能力あるか、ちょっと言ってください。
  185. 須田寛

    ○須田説明員 先般もお答え申し上げましたけれども、五百キロから七百五十キロメートル帯の国鉄のシェアが六六・七%でございます。それから三百から五百のキロ帯の国鉄のシェアが四九・五%。大体このようなところが非常にシェアの高い地域になっておるかと存じます。
  186. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、もう一つ聞きますけれども、五百キロというと下関からどこまでですか。あるいは東京から五百キロ、七百キロ、両方から言ってください。どのぐらいになるか。会社をまたぐかまたがないか。
  187. 須田寛

    ○須田説明員 東京から五百キロと申しますと、大体京都の手前の大津付近でございます。それから下関から五百キロと申しますと、大体神戸付近までが五百キロ帯になります。そのような感じでございます。
  188. 薮仲義彦

    薮仲委員 会社をまたがっているでしょう。言ってください。
  189. 須田寛

    ○須田説明員 今度の場合は新幹線は一つの会社というふうになされておりますので、新幹線を利用いたします限りは、会社はまたがらずに旅行できるような格好になろうかと思います。
  190. 薮仲義彦

    薮仲委員 七百キロば。
  191. 須田寛

    ○須田説明員 七百キロでございますと、東京から大体姫路あたりになろうかと思います。それから下関からでございますと名古屋付近、岐阜付近になろうかと思います。その場合には会社はまたがっておりますけれども、列車はもちろん直通運転を予定いたしておりますし、運賃も通算を考えておりますので、お客様の御利用にはさほど御迷惑のかからないような措置がとれるかと存じます。
  192. 薮仲義彦

    薮仲委員 今私の言いたいのは、新幹線もそうです、七百キロになるとまたがってくる。あるいは在来線でいけば三つの会社をまたがる。これは出ているわけです。  そこで、最後に質問しますけれども、今私は、新幹線のスピードを上げたら東京—大阪、飛行機に勝てないかということをもっと研究しろと言いたいのです。この間の日航機の事故じゃないですけれども、最近新幹線にまた戻ってきた。だったら今の東京—大阪間のスピードを上げたらどうなるか。そうなってまいりますと、東京—大阪で飛行機に負けるかどうか。決して私は輸送手段として新幹線のあれは負けないと思う。そうなってくると、新幹線の増収ということも十分考えられますが、きょうはやめておきます。今言ったように、またがりというのは七百キロ—千キロ、これは今新幹線でお答えになりましたけれども、ここにある先ほどの五十九年のは新幹線だけじゃないのです。在来特急のこのキロ程で一六・八%、収入で二三・九%あるんです。これは在来線がそれだけの収益をきちっと確保しているわけです。この会社をまたぐということは非常に大事なことであって、そこで先生が今通算制を堅持なさるとおっしゃった。この通算制をやると、監理委員会は擬制キロ通算制ということを採用なさる。今青森から下関、これもこの間も私はやった。どうしても納得できない。やむを得ないでは済ませない問題ですから、もう一度先生と論議しておきたい。  この青森−下関間はキロ程でいって千八百四十・一キロです。これを、では今の賃率、もう一度これは先生にちょっと確認しておきたいのですが、今遠距離逓減、一キロから三百キロまでは十五円三十銭、三百一キロから六百キロまでは十二円十五銭、六百キロから以上は六円六十五銭というふうに遠距離逓減がかかっています。分割・民営にしても、この逓減率で国民の得ている利益というのは変えませんね。
  193. 加藤寛

    ○加藤参考人 これはすべて新会社のそれぞれの経営者の判断でございますが、しかしながら、私はそういうふうにしてほしいという気持ちは持っております。
  194. 薮仲義彦

    薮仲委員 もしもそういうあいまいなことですと、五年間の収支見通しが狂ってくるんですよ。この賃率を堅持するということでいかないと、全く狂ってきますよ。そうすると、国民は被害をこうむりますよ。損じますよ。賃率は堅持すべきじゃないですか。
  195. 加藤寛

    ○加藤参考人 それを前提として計算しております。したがって、堅持しているという言葉が私にはひっかかるのでありまして、堅持というのは私が言うことではなくて、新会社の人たちが堅持することでありまして、むしろ私はその言葉にひっかかったので、そう申し上げたのでございます。
  196. 薮仲義彦

    薮仲委員 それではお伺いしましょう。これはよく聞いておいてください。  これは前にも試算してもらいました。今の下関−青森間の収入配分を東日本会社、東海会社、西日本会社、現行で配分するとどうなるか。これは先生に言うより林さんが答えていいですよ。先生に初めて言うのに失礼だ。  それから、例えば東日本会社は一〇%上げる、東海会社は上げない、西日本会社は一〇%上げる、これで収入がどう変わるか、ちょっと言ってください。数字だけで結構です。
  197. 林淳司

    ○林政府委員 前提条件としまして、六十二年四月一日の運賃ということで考えますと、今先生がおっしゃいました下関−青森間が一万六千四百八十一円ということになります。これを東日本、東海、西日本と各会社に配分いたしますと、東日本が七千五百五十八円、東海会社が四千四十六円、西日本会社が四千八百七十七円ということになります。それから仮に賃率がそれぞれ変わってきた、東日本と西日本が一〇%アップ、東海会社は現行据え置き、こういう前提で計算をしますと、運賃の総額が一万七千三百八十六円、それの各会社に対する配分は、東日本が八千百五十二円、東海が三千九百七十四円それから西日本が五千二百六十円、こういう数字になります。
  198. 薮仲義彦

    薮仲委員 加藤先生、ちょっと数字をごらんいただきたいと思うのでございますけれども、これをわかりやすくざっとならしますと、今の下関−青森を一万六千六百円、これを近似値で、東日本会社が七千六百円、東海会社が四千百円、西日本会社が四千九百円、通算制ですから、こういうふうに会社にいくわけです。ところが、今いみじくも先生は、運賃というものは、各会社、経営者が努力なさるんだ、私の前の委員の御答弁でも、黒字にするかしないかは経営者の努力だとおっしゃった。例えばこの三つの会社、東日本、東海、西日本。東海会社は優秀な経営者で、社員も一生懸命頑張った。経営が黒字になった。鉄道会社というのは黒字になれば旅客に何をサービスするか、料金を据え置くとか、あるいは逆に下げましょうということがあったって、これがサービス。今度の監理委員会の答申というものは何かというと、これはオンレールしか書いてないのですよ。関連会社や何かの収益は入ってない。だったら、もしも利益が上がったならば、何で返すかといったら、運賃を据え置くなり安くしましょうということが正しいと思う。ただし、今申し上げたように、東海会社はよかった、運賃は据え置いた。東日本会社と西日本会社は経営者が無能だった、勤労意欲もなくて赤字だった。では運賃を改定して上げなければならない。こういう仮定を立てた場合に、例えば東日本会社は一〇%、東海会社は上げない、西日本会社は一〇%上げた。おっしゃる擬制キロ通算制でいきますと、怠け者の会社が現在は七千六百円、今度運賃を一〇%値上げして、もらうのは八千百円、かえって収入が多くなる。東海会社は、お客様のサービスのために値上げするのはやめましょうということで、従来どおりやると、今まで四千百円が四千円に減ってくる。西日本会社は無能な経営者で、経営努力なしに運賃を上げなければならない。一〇%上げた。四千九百円が五千三百円に収入がふえてくる。  これを見ますと、先生がおっしゃった、競争原理を導入して、いかにお客様にサービスするかという最も基本となる哲学が、競争をやれば、さっき言った「不合理な依存関係」、東海会社のもうけが、擬制キロ通算でいきますから、東日本会社か西日本会社へ少しずついっている。まず不合理なこの依存関係である。また競争すればするほど、お客様にサービスしようと思えば思うほど会社に入ってくる収入は少なくなってくる。ここにどう考えても、この運賃の清算——先ほど私申し上げた、ここには国鉄しか書いてないのです。オンレールしか書いてない。オンレールで増収するとすれば、いかに高品質のダイヤをつくってお客様にサービスをして、そして料金を他の競争手段よりも安く提供するか、これしかないのです。上げないと損する、こういうことは、ここでおっしゃっている基本的な哲学である不合理な依存をやめ、競争関係を維持しよう、他の会社との競争とおっしゃるけれども、これは競争すればするほど、合理化すればするほど収入が少なくなってくるという論理的な矛盾がある。これは監理委員会が私に試算してくださった表ですから間違いないと思う。これを亀井委員長国鉄総裁もやむを得ないとおっしゃった。やむを得ないということでは済まない問題だ。この根本的な哲学が間違っておると思う。その点いかがですか。
  199. 加藤寛

    ○加藤参考人 それは哲学が間違っているのではなくて、会社というものが今の全国一本の国鉄でやっていた場合には、それが今もあらわれているわけでございます。例えば、先ほど既に出ましたように、四国はどうしてこんなに鉄道がおくれてしまったのか。それは全国一本でやっているために起こったことでございますね。そういうことで、私どもはそれをなくするために分割をしていかなきゃならぬ。その分割をすることによって、それぞれの地域の人々が努力をすればやれるんだ、そういう方向へ持っていくのが、これが分割・民営化でございます。したがって、私どもから言わせれば、分割・民営化ということによって、例えば電力会社をごらんいただいてもわかりますように、それぞれ経営者というものが努力をすることによって自分の会社をよくしようというふうに努力をしています。こういうことをやらせることが大切なんでありまして、今のように怠け者の会社ができるというふうに初めからお考えになるのは、私の考えでは、ないというふうに思っております。
  200. 薮仲義彦

    薮仲委員 余計な概念は結構ですから。私は今怠け者の会社を前提にしているのじゃないのですよ。例として、経営者が三人とも努力した、しかし——私がなぜこれを言うかというと、政策責任と経営責任をはっきりしておきたいからなんです。先生方はこれをおつくりになった、やってみろ。五カ年間全部黒字にペーパーの上ではお出しになった。だから私は亀井委員長に言った。あなたは北海道会社や九州会社の社長をやるんでしょうなと。やりますとおっしゃった。もしも赤字になったら、あなた方が責任を持って北海道会社、九州会社をおやりなさいと私は言った。それはなぜか。政策責任というものがあるわけです。こういう政策をつくって、ではあなたやれと。もともと幾ら努力をしても赤字になるような政策をつくっておいて、幾らむちうったって社員がかわいそうであり、社長だって、これは引受手がなくなってきます。だから、政策責任の上で私は指摘しておきたい。もしこの原理原則でいったら、だれが努力しても、通算制を堅持する限り運賃を上げなければ損することになってしまう。ではボーナスを上げてやろうというためには、もうかってても運賃を自動的に他の会社と同じように上げていかなければならない。この点を私は言っているのです。しかも、これは最も国鉄が嫌っているクロサブじゃないですか。他に依存しているのじゃないですか。クロサブを排除する、「不合理な依存関係」をやめなさいというのはこれですよ。しかし、今監理委員会がおつくりになった擬制キロ通算制をやれば、明らかに理論的に矛盾じゃないですか。これはどうなさるのですか。
  201. 林淳司

    ○林政府委員 先生にお出しいたしましたデータに基づくことでございますので、私から御答弁を申し上げます。  先ほど私が申し上げました数字によりますと、運賃を据え置いた東海会社、これは取り分が百円ほど低くなるということになるわけでございますが、これは運賃を据え置いた東海会社を基準として、ほかの東日本と西日本の両社について擬制キロを適用した場合でございます。それから今度は逆に、東日本会社と西日本会社を基準にいたしまして、東海会社の方を擬制キロで計算する、こういう計算をいたしますと、東海会社は、わずか数十円でございますが、逆に取り分がふえます。ということでありまして、要するに、これはいずれも基準の取り方、あるいは擬制キロを使った場合の遠距離逓減の三百キロ、六百キロ帯というものの取り方、こういうテクニックの問題でございまして、その辺は今後新会社間で十分調整して、公平な取り分になるような、そういう計算方法というものは十分設定できる、このように考えております。
  202. 薮仲義彦

    薮仲委員 我々が国会で審議するのはこの委員会しかないのですよ。ですから、私は前にも資料を出せと。監理委員会からほとんど資料が出てこない。三週間かかります、そんなコンピューターで三週間もかかるようなことで国会議員が審議できるか。百年間の国鉄経営というものを民営化しよう、我々も責任を感じている。ですから、これが全くだめだと言うのじゃないのです。どうすればいいのか。今のような御答弁じゃだめなんです。監理委員会は私のところに、通算制にします、その原則は何だ、擬制キロ通算制です、ほかの算式は持ってきていないのです。今ここでうまいことをおっしゃったって、擬制キロ通算制以外にどういう原理でこの運賃を分けるのか。会社がまたがればまたがるほど清算の仕方というものが経営に影響するのです。しかも、ここの中では利益は一%じゃないですか。一%の利益率しか見てなくて、ほんのわずか一%、百分の一の経営の間違いたって赤字になるのですよ。だったならば、今国鉄の中で、オンレールの中で何が大事か。ダイヤの編成と運賃の設定と清算ですよ。これがきちんとできなければ、果たしてこの考え方でいいかどうかは納得できない。きょうはこのぐらいにしましょう。たくさんですよ。先生と初めてお会いして余りこんなことをやると印象が悪くなりますから、この辺でやめておきます。  貨物の問題、これも私は疑問があるのです。運輸省国鉄さんというのは相当頭のいい人がそろっていらっしゃると思う。私はどうしてもわからない。この間、月末までに出せと言っていただいた六十年十一月「新しい貨物鉄道会社のあり方について」、これはどう考えても、私はこれだけのペーパーをもらってもわからなかった。ですから、これは運輸省国鉄さんがおつくりになったそうですから、ちょっとお伺いします。  貨物は八千百十四億の赤字があるんですね、六十年現在の我々国会議員がもらっている資料によると。この八千百十四億が、この間国鉄運輸省さんから出てきた「新しい貨物鉄道会社のあり方について」ですと、にわかに十六億円の黒字になるのです。この積算根拠をちょっと教えてくれませんか。
  203. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 国鉄の貨物の収支を出す諸元というものは非常に難しいと思うのでございますけれども先生八千億という数字、いろいろな数字がございますけれども、御承知のように、今回の民営・分割化に伴いましては、例えば年金の追加費用、それから資産につきましては、簿価で引き継ぐ以外のものはすべて旧国鉄等に持っていって資本費の処理をいたします。そういうことをいたしますので、まず基本的に現在の現価とは変わるということを御理解いただきたいと思います。  そういう意味で、今回の貨物の計算をいたしましたときに、新しい民営・分割会社、旅客会社と同じような考え方に従って貨物というものを仕分けしたときに、それがどのくらいの赤字になるかということがまず必要でございます。それは計算いたしましたが、それによりますと、貨物部門で約二千億の赤というふうに考えられます。  そこで、次にこの二千億の赤がどうやって十六億になったか、こういうことでございます。これにつきましては、先生指摘のように、二千億という膨大な赤字の会社を黒字にするという作業は大変なことでございまして、いろいろな意味での詳細な積み上げとか約四カ月かけて検討いたしましたが、大まかに申し上げまして、まず第一は、現在の輸送形態の変更でございます。現在貨物は三つの輸送形態を持っております。コンテナ、それからいわゆる専貨と申します専用貨物、それから車扱い両行、三つの形態を持っておりますが、この中で最も大きな赤字を生んでおりますのが車扱い直行という部分でございます。したがいまして、まず車扱い直行の部分を原則として専貨ないしはコンテナに吸収する方法がないかということで、いわゆる集配列車というものを全廃いたしまして、そこでまず赤字の原因をある程度防いだ。それからもう一つは、販売方法でございます。従来はコンテナ単位というような形を主力で販売をいたしておりますけれども、今回の検討におきましては、通運会社等ともいろいろ協議をいたしまして、往復の列車単位販売というようなもので、いわゆる往復のギャランティーをするというような販売体制をとる、これが一つです。それから三番目は、徹底的な合理化と申しますか、従来の貨物の積みおろしないしは営業等にかかっておりますものを、監理委員会からお示しのあった旅客会社と同様な考え方に基づきまして、徹底的な合理化をいたしました上に、さらに旅客会社との間で最も効率的な事務配分というものをいたしました。その結果、先ほど先生おっしゃいましたように、非常に厳しい積算をしてみまして、一応現在の試算で、わずかではございますけれども、十六億程度の黒字が出るのではないか、かような計算に至った次第でございます。
  204. 薮仲義彦

    薮仲委員 そういう説明は聞いても私にとってはもう何の意味もない。私の聞いたのは、これは現在の貨物の東京−長崎間のダイヤですが、では例えばこの中でどのダイヤを削ったんだ。これだけ十六億の積算をおやりになるのなら、私も運輸の関係は十年間やっている。列車本数は千三百六十六本から七百本にします、ではどれだけどの列車を切ったんだ。取扱駅を四百二十二駅から三百駅余りにします、輸送量を七千四百九十三万トンから五千五百万トンにします、これではどの列車を切ったのかわからない。今おっしゃったコンテナとか物資別専用列車とか車扱いとか、そんなものは我々はわかっているのです。どの列車を切ったことによってどういう物流の変化ができて、どういう収入の変化が出てくるか、それがわからなかったら全然わからない。だから、その積算の根拠を数字でお示しいただきたいと思いますが、資料をいただけますね。いただけるのかいただけないのか。
  205. 棚橋泰

    棚橋(泰)政府委員 今回の貨物の作業は、先ほど申し上げましたような作業をいたしまして、その結果、具体的なダイヤを明年の十一月に設定したい、そしてそのダイヤのまま民営・分割、新会社に移行したい、かように考えております。したがいまして、先ほど申し上げました試算というのは、現在の段階での一応の試算でございまして、具体的にはこれから、二月ごろになると思いますけれども、それまでの間、荷主さんとか地元とかそういう方々との間で荷物のギャランティーとかそういうことが現実にできるかどうかというようなことを一つ一つ積み上げまして、列車ダイヤを決めていきたい。したがいまして、どの列車とどの列車、どの駅とどの駅という具体的なものが出るにはもうしばらくお時間をいただきたい、かように思っております。
  206. 薮仲義彦

    薮仲委員 ということは、あの数字は単なる机上の空論ですね。単にコンピューターか何かで推計値を出されておやりになったのであって、具体的にあれを切れるかというと、そんな簡単に切れませんよ、今から申し上げますけれども。列車本数もただ推計ですね。取扱駅をどこの駅にするかも決まっていない。ということは、どこの駅からどういう荷物が入ってくるかは、これはダイヤを見れば決まっているわけですが、これも全然決まっていない。輸送量もアバウトでお出しになった。どういう物資を他へ転換なさるのか。  では、ちょっとお伺いしますけれども、二千万トン物流がかわりますね、貨物から他へ転換されなければならない。この二千万トンという物流が他のどういう輸送手段に行くと考えているのですか。
  207. 栗林貞一

    ○栗林政府委員 国鉄の貨物の問題につきまして、これからのことを申し上げる前に、まず、最近の国内貨物の輸送トン数は五十六年度以降全般的に微減傾向を示しているわけでございますが……(薮仲委員「時間がないから質問の要点だけ言ってください」と呼ぶ)要点だけ申し上げますと、この二、三年の実績などを見てみますと、国鉄貨物の減少に対しまして営業用トラックの伸びが相当大きゅうございます。自家用はやや減少傾向ですが、営業用トラックの伸びが大きゅうございます。それから内航海運が五十七年度あたりから横ばいないし微増でございまして、全体としては減っているということでございます。  それで、これからのことを考えてみますと、今までの傾向その他を見まして、恐らく大部分は営業用トラックに移転し、ごく一部の貨物は、種別、それから距離や立地条件も関係してくると思いますが、そういったものは内航海運に移っていくであろうというふうに考えております。
  208. 薮仲義彦

    薮仲委員 では台数で言ってください。今の二千万トンというのは四トン車にすると何台、十トン車にすると何台ふえるのか。——それもわからないで、二千万トンの物流が他のトラックとかに行きますなんと言うのじゃだめですよ。例えば四トントラックだったら五百万台です。十トンだったら二百万台です。二百万台が後二年間でふえてくるのだということをよく考えておいてください、これから質問しますけれども。  それから、これは亀井委員長の御答弁の中にあったことでございますが、貨物を再生させるために必要なことというと高品質のダイヤを組まなければだめだということをお答えになっているのです。先生、その高品質のダイヤというのはどういうことですか。
  209. 加藤寛

    ○加藤参考人 それは需要者に的確に対応できるダイヤであり、しかも特にコンテナそしてまた専貨というものを中心にしていくという意味だと思います。
  210. 薮仲義彦

    薮仲委員 私も先生のおっしゃったとおりだと思います。  そこで、特にこれは今おっしゃったように、この中で亀井委員長はこういうふうにおっしゃっているのです。「国鉄貨物輸送の現状を見た場合、ダイヤ等においても必ずしも荷主が望むとおりなものとなっておらず、積載効率が低い列車も多く見受けられるところであります。今後、鉄道貨物輸送の利用を一層促進するためには、ダイヤ自体の高品質化に努め、昨今のような競争の激しい買い手市場においても十分売れるものを提供することが重要であると考えております。」今先生がおっしゃられたように、お客様のニーズにこたえるということが確かに高品質のダイヤであり、やり方だと私は思うのですね。  そうすると、我々もいろいろな業界の方に会うわけですが、物を頼むとき何が一番大事かといいますと、時間ですね、いわゆる時間と料金です。決められた時間に、この会社は朝六時に品物をとりに来てほしいうちの会社は四時に来てほしい、それで相手様には何時に着けてくれというこの納品に対する責任、時間を守るということ。しかも料金が適正であるということが荷主にとっては必要です。こういうことが一番大事なんです。  そこで私は、今度集配、荷物を切ります、こう簡単におっしゃっているが、では例を持ってきてほしいということで例を持ってきていただいた。この中で、私の方に例を持ってきていただいたのは、例えば列車の中でこういう列車を集約いたしますよという例を下さった。ここにあります三五六三列車、郡山−秋田間の集配列車について整理しますという表を下さっているわけですが、私は今この原則からいいますと、ではどうするのですか、将来の集約の仕方は。というのは、荷物の発生に合わせて集約して本数を少なくします、そこで所定の郡山なら郡山へ持ってまいりますということでおっしゃるわけですが、しかし、今先生がおっしゃられたように、お客様のニーズというのは、この荷物を何時までにお得意先に届けてくださいねというと、集荷の時間等もおのずとお客様に合わさなければならない。今棚橋さんは、集配列車をカットすればいいと簡単におっしゃるけれども、この列車を設定して荷物を載せるためには、お客様との長い商慣習の中で、この荷物は何時にできます、この荷物は何崎に集配に来てくださいということでできている集配の列車だと思うのです。これを簡単に集約すればいい、では集約するのは何を集約するんだ。コンテナと物資別専用列車は残します、集荷の万は整理いたしますとおっしゃいますけれども、これは私、お客様のニーズといいますか、得意先のニーズということをもっと重要視して考えていただきたい。これは要望をいたしておきます。  それと、貨物の中で私がお伺いしたいのは、今二百万台なり五百万台を他の輸送手段というとほとんどトラックですということになってまいります。私はやはり運輸省が考えなきゃならないのは総合交通体系だと思うのです。確かに貨物は集約して合理化して、赤字を減らすために物流を他のものに移せばいい、これは確かだと思うのです。しかし、それを引き受けるものはトラックですといいますと道路ですね。では日本の道路がそれほど今道路整備が進捗するか。これは運輸大臣だって御承知のように、公共事業は今進捗はマイナスもしくはゼロシーリングです。そうしますと、五カ年計画で道路をつくっておりますけれども、果たして貨物の集約というのは、単なる貨物の利益だけではなくして、他の輸送手段によく事情を相談しないと大変なことになるんじゃないかということでちょっと申し上げます。  きょうは警察庁と建設省にお見えいただいていると思いますので、東名あるいは名神、一号、二号、三号、これは日本の国の主要幹線でございますが、警察庁の方には、渋滞時間が大体五十五年当時と現在時点ではどのぐらいふえているかという数字を一号、二号、三号、まあ東名高速おわかりになれば、高速道路もちょっとお願いしたいのですが、警察庁、お見えでございましたら、ちょっと数字だけお答えいただきたいのです。
  211. 中野公義

    ○中野説明員 お答えいたします。  今御指摘の主要国道一号線から三号線等の渋滞の状況でございますが、私どもの方で管制センターを通じて集計をいたしております渋滞の時間でございますが、一号、二号、三号等で大変渋滞が激しいところの交差点等の地点をピックアップいたしまして御説明いたします。  一つは国道一号、これは東京から大阪でございますが、横浜市の三ツ沢上町交差点、これは現在一年間で七千六百七十七時間の渋滞時間でございます。五年前の五十五年では六千八百八十一時間でございましたので約一・一倍。続きまして、静岡の南安倍交差点では二千七百四十八時間でございましたものが二千九百二十時間で約一・一倍、こういうことでございます。あと名古屋市の鳴海町交差点では二・六倍。京都の久世橋交差点でございますが、ここが二・五倍。  それから、国道二号に移りまして、大阪市の桜橋交差点では二・四倍。それから兵庫県の神戸市商大筋交差点では一・三倍。  次いで、三号線に移りまして、福岡市の比恵交差点では一・九倍。それから熊本市の浄行寺交差点では一・二倍。鹿児島市の平田橘交差点では三・七倍ということで、全般的に渋滞時間というものが延びてきておりまして、その分、道路交通の渋滞状況というものは厳しいものになってきておるということでございます。  続きまして、東名及び名神の高速道路でございますが、これは私どもの方の高速道路管理官室が日本道路公団の方からいただきましたデータでございます。東名、名神につきまして渋滞が大変頻繁に発生いたしておりますのは、東名では横浜インター付近でございます。それから名神に入りますと、上りでございますが、梶原トンネル付近、下りの天王山トンネル付近ということでございます。  この地点におきます交通量は、昭和五十年を一〇〇といたしますと、東名の横浜インターでは昭和五十五年が一二〇、五十九年で一三三ということ、同じく名神、梶原及び天王山トンネル付近では昭和五十五年一二一、五十九年が一三五、いずれも交通量が増加しているという実情でございます。
  212. 薮仲義彦

    薮仲委員 建設省にお答えいただく前に、ちょっと時間がないもので、建設省さんにまとめてお答えいただきたいのです。  建設省から資料をいただいておるのですが、これは加藤先生、ちょっとお心にとどめていただきたいと思いまして申し上げます。  高速道路というのは、インター閉鎖すれば多少渋滞はおさまるということでございますが、困るのはいわゆる平場の一般国道です。一号、二号、三号。これは建設省の資料でいきますと、今の警察庁とはちょっと違いますが、混雑度、十二時間平均の混雑度でとっております。国道一号全体で今下一四でございます。それから国道二号が一・一七、一般国道三号が一・〇五でございます。これは先生承知のように、一を超えますと、設計の車両台数を超えておるわけでございます。ですから、一を超えた部分は非常に込んでいるということになるわけでございまして、しかも、きょうはもっと貨物をしっかりやりたかったのですが、貨物をずっと過去十年以上集約してまいっております。列車本数から営業キロからトンキロまで、どんどん集約して拠点間の輸送にかえてきていらっしゃいます。  ですから、今国鉄の貨物も相当経営努力をしていらっしゃるなということは我々も知っているわけです。ここからさらに今切り込んでいくということになってまいりますと——もうある程度大事なラインが残されてきたわけです。ということは、今私はわざと込んでいるところを言ったわけではございません。込むというのは人が密集している、産業が張りついているということで、一号線全部が込んでいるわけではございませんで、人家の密集している都市部あるいは産業の密集しているところにトラックが集約してくるのは理の当然でございます。そのように一部極端にそういう渋滞度がふえてくるということは、貨物を集約したときに、一般道路はもちろんのこと、幹線道路に大量の貨物がだあっと押し寄せてくる。あと二年間でそれが出てくるわけです。ちょうど先生もおやりになったように、地方交通線をいろいろ検討していく中で、代替するバス輸送ができないと、もう一度残しましょうという列車もできてきております。  このように、貨物というものを考えていただく場合に、やはり必要なのは、貨物だけの合理化と同時に、今道路の事情で一番御苦労なさっている建設省、あるいは安全で御苦労なさっている警察庁とかいろいろ御専門の立場での御意見もあると思いますので、運輸省並びに国鉄は建設省や関係の省庁の意見を聞いてほしい、こう思うのです。  これは国鉄総裁に私はお願いをしておきたいのですが、建設省の道路事情、五カ年計画と見合っての集約、それから荷物を乗せるときにここはとても無理だというようなことは、総裁、十分配慮していただきたい。お願いしておきます。  建設省には、今二百万、五百万台乗ったときにどの程度困るか、簡単にそれだけ言っていただいて、総裁の御答弁をいただきたいと思います。
  213. 小林芳夫

    小林説明員 新貨物会社の成立に伴って減少すると予定されております貨物の輸送量が二千万トンというふうに聞いておるのですが、これは五十九年度の道路輸送量のトンキロベースで考えまして、大体三%ぐらいに相当する数字ではないかというふうに私ども考えております。  それの影響でございますが、具体的な内容というようなものをまだ承知しておるわけではございませんものですから、はっきりしたことは申し上げられませんが、先生今御指摘のように、既に混雑が相当激しい幹線道路ですとか、今まで国鉄に依存している度合いが非常に強い地域の道路だとか、そういうようなところには影響が出てくる場合も考えられます。そのような場合には、道路サイドとしても対策というようなものを考えていかなければならない、こんなふうに考えております。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕
  214. 杉浦喬也

    杉浦説明員 貨物のあり方の問題につきまして、今後鋭意具体的に詰めるわけでございますが、そうした列車の問題の外に、自動車の問題、トラック輸送の問題というようなものが発生するであろうということは十分に予想がつくわけでございますが、そうした面を私の国鉄のサイドからどうしてほしいというような形でなかなか申しにくい点もございます。よく建設省、運輸省と御相談を申し上げながら、全体の貨物輸送の円滑な実行ができるように今後とも考えていきたいと思っております。
  215. 薮仲義彦

    薮仲委員 では終わりますが、加藤先生には大変失礼なことを申し上げまして申しわけありませんでした。  先生に貨物で一つお願いしたいことがございます。私は前にも指摘したのですが、現在の国鉄は、オンレールだけではなくして、オフレールの通運の部分の合理化は、この中に一つもございません。しかし、オフレールの合理化についても十分御検討いただきたい。お願いして終わります。
  216. 久間章生

    ○久間委員長代理 河村勝君。
  217. 河村勝

    ○河村委員 加藤先生、御苦労さまです。  私どもは、基本的に再建監理委員会の今回の答申の内容を支持をして、大筋その線に沿って、国鉄再建、本当に立派なものをつくりたい、そう考えてこれからもやっていくつもりでございます。ただ、加藤先生もさっきおっしゃったように、民営・分割というのは、これはあくまでも再建の手段であって目的ではないわけですね。ですから、監理委員会としても、この具体的な個々の問題については十分に弾力的に対応さるべきだと考えておるのです。  それで、私も拝見して勉強してみて、幾つか監理委員会の内容について疑問の点がありますので、きょうは時間は大してありませんが、その二つ、三つについて、加藤先生に主としてお尋ねをしたいと思っております。  第一は、地方交通線の取り扱いです。再建監理委員会がスタートしてから、第一次、第二次提言、それから最後の答申、そこへ至るまでの過程をずっと見ておりまして、一番変わってしまったのがこの問題なんです。ほとんど君子豹変というか、そういう感じがいたします。  第一次提言、これは五十八年の八月に出た第一次答申ですね。この場合には一特定地方交通線は別です。これは一貫しておりますから、それはよろしいのですけれども特定地方交通線以外の地方交通線七千キロ、これについては、第一次提言では、特定地方交通線以外のものについても、「昭和五十六年度において約三千六百億円の赤字を計上する」、これは現在はもっと大きいはずです。これが「国鉄経営にとって大きな負担となっていることにかんがみ、私鉄への譲渡、第三セクター化等民営化を積極的に推進すべきである。」さらに「地方交通線以外の路線であっても、例えば国鉄の下では赤字であるが、これを独立させること等によって収支改善が可能となるような地域輸送主体の路線については、国鉄からの分離について検討する必要がある。」こう言っておるわけですね。  さらに第二次提言、これは五十九年の八月ですね。これにおきましても、「上記のようにバスヘの転換等が予定されている路線以外の約七千キロメートル弱の地方交通線についても、第一次提言の方向に沿って国鉄からの分離を積極的に推進すべきであり、このため、例えば分離の実現可能性の高いと見られる路線をモデル線区として選定し、具体的に譲渡又は貸付条件の検討を行うとともに、地元地方公共団体、関係交通事業者等と協議し実現を図るなどその推進の端緒を早急に開くべきである。」ここまで言っているのですね。  ところが、本答申、一年たちましたら、今度はこの七千キロの一般の地方交通線については何ら触れるところがない。このぐらい激変した理由というのは私どもには理解ができないのですが、いかなる理由に基づくものですか。
  218. 加藤寛

    ○加藤参考人 今の問題は、当初、特定地交線以外の地方交通線については分離をしていくべきだ、こういうことを緊急提言、第一次提言、第二次提言ですが、それで言っておきながら、それが「意見」ではなぜ残すということになったかというふうにまとめて私は理解をさせていただきましたが、実は私ども、最初はそういう新しい会社をつくっていく場合に負担になることがあってはならないということを考えましたので、そういう方向でやはり分離をしたりあるいは独立させたりということを考えていく、あるいはバス転換をすることについて特定地交線などは考える、こういう方向が一つの考え方として基本的にあったことはございます。しかしながら、私どもといたしましては、その後の特定地交線の状態を、進行状況を見ても、あるいはこれからの国鉄を鉄道としてどうやって再生していくかということを考えましても、これはやはりよいことであれば、私どもとしてはそういうことで残していく方が望ましいかもしらぬというふうに考えがなりました。これは御承知のとおり、今実は河村先生からどうしてかというふうにおっしゃられたのでございますけれども、私どもとしてはむしろその意味では非常に弾力的に考えているわけでございまして、国鉄の将来、鉄道の将来にとってプラスになることならば、これは我々が初めから先見的にこうでなければならぬというふうに考えていたわけじゃないわけです。したがって、いろいろと具体的な条件を考えながらやっていきますと、特定地交線の問題などはかなりいろいろと問題もあるけれども、これはいけるかもしらぬ。しかし地方線となりますと、これはかなりそれぞれの地域でもって重要性も考えなければならぬというようなことでございますので、我々といたしましては地方交通線を分離するということは非現実的であると判断いたしました。  それからまた、新会社につきましては、私鉄並みの生産性を確保することがもちろんできるということで考えてまいりますから、そうなりますと、新会社の負担としてとても成り立たぬのではないかと思っていたものが、実は成り立つかもしれぬ、あるいは成り立つ可能性が強い、そしてさらには計算をしてみると成り立ったということになりましたので、そこで地方線については引き継ぐことでもって我々は考えてみた、こういうことでございます。むしろこれは鉄道の将来にとってプラスになるというふうに考えましたので、河村先生からむしろお褒めをいただくのじゃないかと理解しておりました。
  219. 河村勝

    ○河村委員 評価の問題は抜きにしまして、余りにもひどい変わり方だから、これは専ら政治的な理由に基づくものであろうか、そう思ったのです。しかし、その問題は一応別にいたしまして、なぜ地方交通線を分離しなければならぬかというその理由は、これは監理委員会の本答申にも触れてありますように、「画一的な運営」による弊害ですね。その中に二つありまして、一つは、鉄道事業は本来地域性という側面を強く有するにかかわらず、国鉄においては運賃や賃金水準等の経営の基本となるべき事項が中央で画一的に決定されて、地域経済の実態と整合性がないということですね。それからもう一つは、合理的な範囲を超えた内部補助による弊害と二つを挙げておるわけですね。地方交通線をそういう理由によって分離をされようとした。そうすると、今私が申し上げた二つの弊害は消え去った、そうお考えになっているのですか。
  220. 加藤寛

    ○加藤参考人 私が内部補助ということを考えますときには、効率性を上げることによって公共的な福祉に貢献することだと考えています。これにつきましては、もう三公社ともそうでございますけれども日本国有鉄道法にも第一条にそれを規定しております。能率を上げて公共の福祉に貢献するということでございますから、効率を上げられない、つまり効率の足を引っ張るようなものについては、これは不合理でございます。それで、むしろ効率を上げることに役立つような、効率性を上げて公共の福祉になるようなものであれば、これは合理的と考えなければなりません。したがって、地方線の場合には、新会社が効率を上げることによって、それを使うことができる、さらにそれを存続させることができる、こういうふうになるわけでございますから、これは合理的な内部補助の範囲であると私どもは考えております。
  221. 河村勝

    ○河村委員 もう一つ、賃金、運賃が画一的に決められるという弊害、これは依然として残るのではないのですか。
  222. 加藤寛

    ○加藤参考人 これは新会社になりまして、当然経営者としてはそれぞれの地域でもってふさわしい賃金とか運賃を考えることになります。その場合に、運賃の場合でございますけれども、高くなると考えるかどうか。それは今のままの国鉄でいけばもっと高くなるだろうと私は考えておりますが、新会社になることによって、効率を上げ、コストを下げれば、その分だけ高くなることをある程度の水準で抑えることができる、しかも民鉄並みにすることが可能である、こういうふうに考えておりますし、賃金の場合、給料の場合には、やはりそれぞれの地域にふさわしい給料ということがあり得ます。これをもし全国一本でやっておりました場合には、どうしても全国の考え方から一本化しようという考え方になりますので、なかなかそれに地域的な差を考えることはできません。しかしながら、これから新会社になりますと、恐らくそういう問題についてはそれぞれの地域の実情にふさわしい形で展開されていく、こういうふうに私は考えております。
  223. 河村勝

    ○河村委員 本当にそうだろうかということなんですね。全国一本であっても、六分割であっても、かなり広範囲な地域ですね。どっちにしても一つの会社の中で現実に賃金水準を変えるということができるとお思いですか。
  224. 加藤寛

    ○加藤参考人 会社が経営の自主性を持てばできるわけであります。これは会社が経営の自主性を持たない場合は不可能でありますから、したがって、分割をしないで支社制度というような形あるいは分権制というような形でありましたらそれはできない、こういうふうに私は考えます。
  225. 河村勝

    ○河村委員 委員長、電力会社がよく例に引かれますけれども、九分割された電力会社が賃金水準は常に同じだということを御存じですか。いわんや一つ一つの会社の中で賃金水準を変えられるというのは空論であって、それは地域給その他の調整はできますよ。ですけれども一つの会社になれば賃金水準は変えることができないというのが今の労使関係の実態であるということをあなたは御存じないんじゃないですか。
  226. 加藤寛

    ○加藤参考人 今ちょっと早合点をしておりまして、会社ごとというのを会社の中と考えないで、むしろ六つの会社という意味で考えておったのです。しかし、今御質問を伺いまして、なるほど一つの会社のことでございましたら、六つの会社の一つの会社、その中で賃金を変えることはできません。大体同じになるのはあたりまえでございますね。そしてそれが六つの地域になれば、それぞれの六つの地域にふさわしい賃金を考えることはできる、こういう意味でございます。
  227. 河村勝

    ○河村委員 ですから、私が地方交通線の問題を取り上げたのは、一つの会社の中のことですよね。ですけれども、今ついでですから申し上げますけれども、六つの会社それぞれ別の賃金水準ということも、現実の労使関係の中ではできていないのです。現在、電力会社でも基本賃金の水準は同じです。もう何十年やっているかもしれませんけれども、同じです。いわんや会社の中で地域の賃金水準を変えることはできないのです、大きく変えることは。地域給等の調整だけです。  それからもう一つ、これはむしろ運輸省に伺った方がいいかもしれませんが、現在でも差別運賃ということを多少やっておりますが、これはわずかなものですね。これを地方交通線について地方の私鉄と同じ水準の運賃にし、都市は都市私鉄の運賃水準に合わせる、運輸省としてそういう明確な区別をできますか、それをもし新しい会社が申請したら。
  228. 加藤寛

    ○加藤参考人 今のことでございますけれども、私の考えでは、電力会社は基本給は同じでございますが、それぞれの地域によって、収益によってやはり差はついております。これはどんな場合でも私企業の場合はそうなるわけでございます。これは私個人の場合でもそうでございますが、それぞれの大学が別々にございますと、ある程度の基本的な点においては同じような方向をたどりますけれども、しかしやはりそれぞれの学校によって差はつくことは当然でございます。そういう意味で私は申し上げておったのでございます。  大手の私鉄と中小の私鉄というようなところでもって大きな差がついておりますが、このような大きな差がつかぬように、むしろ我々は分割・民営会社がそれぞれ頑張ってやれるような基本的な水準というものを考えながら分割・民営をしている、こういうようにお考えいただければよろしいと思います。
  229. 河村勝

    ○河村委員 どうですか、運輸省。その運賃の問題で、ローカルの私鉄と都市の私鉄との双方それぞれ合わせるという運賃の決め方はできますか。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
  230. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 旅客鉄道につきまして六つの会社に分割した場合のその同じ会社の中で、地域によって別の賃率の運賃が設定できるかという御質問と理解いたしますが、一つの会社に狂った場合に、現在の私鉄の場合でも、原則としては一律の運賃というのが実情がと思いますけれども、部分的には違った賃率が設定されておる場合もございますし、監理委員会の今度の答申の中にもございますように、地域の実情に合った運賃あるいは経営ということであれば、地域に応じてそういう別の賃率を設定するということも可能だと思います。
  231. 河村勝

    ○河村委員 中小私鉄の田舎の方は田舎だけでやっておって、それで例えば東武とか名古屋鉄道等田舎の方を若干持つところは多分運賃は同じだと思いますね。ですから、会社が分かれていれば別だけれども、本当にきちんと分けるということは不可能だろうと私は思っておるのです。だから基礎的な条件というのは変わらないのですよ。最初認識されたとおりです。一つの会社であれば運賃、賃金は大体同一水準なんです。ですから、その論理を貫けば、地方交通線について全然放てきしてしまって何にも言わないというのは、私は変節だと思いますよ。ですから、旅客鉄道会社ができ上がってからだんだんテーブルの上の計算では黒字がでるようになっておりますけれども、これだってやってみなければわからないはずですね。ですから、合理化を進めていく形で地域の地方交通線は、これはバスにするとかなんとかいうことじゃありませんよ。また第三セクターでなくてもいいのです。だけれども、独立会社にしてやって、それでそれに適合した会社にしていくという方がより妥当性があるはずだと思う。だから少なくともそういう方向を、その前に監理委員会としては、これだけ強烈に地方交通線分離独立を叫んでいたのに、何にも言わないでほっておくというのではなくて、将来の方向ぐらい示唆するのが本当は正しいやり方じゃなかったかと私は思いますが、あなたはそう思いませんか。
  232. 加藤寛

    ○加藤参考人 どうも私、耳が少しよくないせいか、たびたび聞き違えておりまして、賃金だと思いましたら賃率だそうで、勘違いしておりました。  その賃率ということからまいりましたら、現在の国鉄でもやはり地域によって差をつけていることはございます。したがって、絶対不可能だということではございません。  さらにまた、今地方交通線についてお伺いでございましたけれども、ちょっと私が錯覚をしておるかもしれませんが、私どもの考え方でまいりますと、地方線、地方交通線でございますが、地方線の場合には、これは分離してしまって独立させてやればいいではないか、そうすれば、本体の方も身軽になるじゃないか、こういうお話がございました。しかし私からまいりますと、いや、それは実は難しいのであって、かえって本体というものの効率を上げることを地方交通線にもやってもらわなければならぬのだ。地方交通線にそれをやってもらうためには、人件費も減らしてもらい、物件費も減らしてもらい、そしてまたそれぞれ効率を上げるような関連事業もやってもらわなければなりません。ということになりますと、それは今の状況のままでもって分離をいたしました場合には、本体の方にすべて負担がかかる形になりまして、地方線がプラスになったとしても、かえって本体の方のマイナスになります。そこで、これを考えますと、ブロックごとに考えて、それぞれがお互いに効率を上げることをやって、そこから出てきた力によって支えていくことが地元の人たちにとっても非常にプラスになる、私はこういう考え方でございます。
  233. 河村勝

    ○河村委員 どうも議論がかみ合わないようですね。耳がお悪いのじゃなくて、私はさっき運賃水準と賃金の水準も両方とも言ったのです。ですから間違いではないのです。現実の問題としてそんなに分けることはできないのですよ。ですから、決して第一次提言、第二次提言のお考えになったのは間違いじゃなかったのですよ。あえて困難を避けられたのだろうと思うから、これ以上追及しません。しかし、そういう問題があるということを頭に置いていただきたいと思う。  こればかり議論している間に時間がほとんどなくなってしまって、大変残念でございますが、本当は私は、新幹線リース方式、これについてもっと伺いたかったのです。  一体なぜこういう無理なやり方、せっかく民営、自立させるといいながら、事と次第によっては経営介入のおそれの生ずるようなものを採用することをお考えになったのか。それを簡潔にひとつお聞かせください、残り時間が余りありませんから。
  234. 加藤寛

    ○加藤参考人 大変大きな問題を簡潔にというのは難しいですけれども、しかしあえて誤解をお許しいただきながら申し上げます。  リース方式にいたしました第一の理由は、新幹線が将来の日本の二十一世紀を支える鉄道網であるということに対する認識がございます。そのような認識に立ちまして新幹線を見ますと、非常に早くできました東海道新幹線、それから最近になってできました東北新幹線、上越新幹線とは建設コストが非常に違います。その建設コストが非常に違うということは、それぞれの地域のバランスある発展を一応考えようとしたことに対してはむしろマイナスでございます。そこで、そのような建設費用をむしろ新幹線保有会社が所有することによって、それを何年かの間にそれぞれの会社がそれを使いながらリース料を払って返済していく、こういうやり方をいたしますと、それぞれの新幹線が経営上非常にやりやすくなる、こういう考え方でリース方式を採用しています。しかし、これは非常にむちゃなというお言葉がございましたけれども、実はリース方式というのは、現在の上越新幹線でもこれをやっているのでございまして、それをやることに対して決して無理な方法ではないということを私どもは考えたわけでございます。
  235. 河村勝

    ○河村委員 上越新幹線というのは、要は業者と業者の間で契約をして、それで年賦で払うという契約ですね。ところが新幹線リース方式というのは、新幹線保有主体という役所に準ずるところが持って、事実上これは運輸省が権限を持つのでしょう。そこでリース料を決めて、それは法令の根拠に基づいてやるとはいっても、上げ下げすることによって経営に介入することが可能なんですよ。そういうことをなぜやらなければならなかったかということです。
  236. 加藤寛

    ○加藤参考人 これは確かにそういうような新幹線保有主体が役所のようなといいますか、上部機関のような形でもって君臨をいたしますと問題になりますが、私どもはそこを非常に心配いたしましたので、そういうものではないのだ、新幹線保有会社は監督権、コントロール権を持つのではなくて、それはむしろ新幹線の建設費を負担して楽にしていく形の方法なんだというふうに規定しているわけです。しかし、それでもなお河村先生がおっしゃるように、それがリース料をコントロールしておどかしをするんじゃないかというようなことがあり得てはならないわけです。そのようなことがあってはならないから、我々はそこに客観的な基準というものをやはり考えなければなりません。したがって、新幹線の利用の度合いなどにつきまして、法令で定められるように、これを客観的基準として設定しております。したがって、その客観的基準というものが認められます限りにおいては、そういうコントロールということが起こることはないというふうに考えてもよろしいかと思います。  それからさらに、新幹線のリース料の総額というのは、新幹線を再調達するときの価額ということでもって客観的に考えておりますので、それをさらにコントロールしていろいろと手を下すというようなことが起こり得ないようなそういう工夫を我々としてはしたつもりでございまして、さらにそういった点については、これから実際にそれを行うときにはまたいろいろな工夫というものもあり得るかというふうに思っております。
  237. 河村勝

    ○河村委員 本当にさっきおっしゃったように、上越新幹線を割賦払いにすると同じようなやり方だとお考えになるのであるならば、これをリース方式なんということをやらないで、個別に各旅客会社に債務として一あなたがリース料と言いましても、要するに債務償還の変形ですから。そうでしょう。それで資本費の負担の平準化とかなんとかいっても、実際は尽きるところは目的が収益調整でしょう。収益調整ですよ。三つに分けたら余り収益がアンバランスなものだから、何とか収益を調整しなければならぬというところからスタートしたわけでしょう。それなら逆に収益の度合いに応じて、債務をそれぞれその収益力に相応して分けたらいいのですよ。こういう法令の基準とかなんとかで決めるから大丈夫だといいましても、失礼だけれども、役所というものは、私もおったことがあるからわかりますが、権限を持ちますと、やはり使いたいものですよ。ですから、法令の基準といったって、どうしても動かしがたい機械的なものになるはずはないですよね、これからの問題ですけれども。そんなにきちんとしたものなら、初めから債務の負担を分けたらいいのですよ。東海会社に余計持たせ、東、西を軽減するというふうにして。そうすれば、それで済むはずじゃないですか。何もリース料でやる必要は毛頭ないでしょう。
  238. 加藤寛

    ○加藤参考人 確かに民間企業の場合には、そういうように会社更生いたしますときには収益を調整するために資産の再評価というのを行ったりいたします。しかし、国鉄のように巨大な企業になりますと、これを単にやるということになりますと、例えば六十二年度の時点でもって将来の収益予測をするというようなことを考えなければなりませんから、そういうことになりますと、これはかえって非常に不確実性が増す、こういうふうに私どもは考えております。したがって、そういう意味でリース方式の方が客観性という意味ではむしろ難点が少ないあるいは危険度が少ない、こういうふうに私どもは考えております。さらにその資産の再評価をやろうといたしますと、また会社間でもって収益格差が非常に大きくなります。その収益格差が大きくなるということから考えまして、資産を分けますときにかえって不自然な形になる。こういう意味で、私どもとしては、収益調整ということから考えると、これはかえって非常に客観性が増しますし、それからそういった方向で考えれば、今までの上部機関の監督権というものについてそれほど心配しなくてもいいのじゃないかというような考え方でございます。
  239. 河村勝

    ○河村委員 ですけれども、リース料の配分をおやりになるのなら同じことじゃありませんか。新幹線の借金は合計すれば八・五兆円ですわね、そうでしょう。五・七兆円に二・八兆円の調達価額との差額を加えれば八・五兆円でしょう。大体リース料の支払いを逆に計算すれば総額が出るようなものでしょう。あなたが上越新幹線の支払いと同じだとおっしゃるなら、それによって債務の多寡が決まるでしょう。ですから、どっちみち収益力がどれだけあるかというのは、神様じゃない限り本当のところはわからない。本来、そういうものを前提にして、この分割会社の収益というのははじかれているわけですよね。ですから、大体の見当でもって債務を分配して、後は企業努力に任せたらいいじゃないですか。新幹線のリース料で収益をこれからなお調整可能なようにするなんと言えば危なくてしようがないですよ。そんなにきっかりしたものなら債務として残したらよろしいのだし、あやふやなものならなおさら途中でもってリース料をあれこれ動かされては新設会社はたまったものじゃないですよ。そういう当でもない手によって、自分以外の手によって収益があるいは経費が左右されるというぐらい不安なものはないのです。もう割り振られれば、それを前提にして覚悟していかようにも努力してやるでしょうけれども、経費の方が他人によって左右されるなんて、そんな会社だったら本当の民営自立じゃないでしょう。私はそう思いますけれども、いかがですか。
  240. 加藤寛

    ○加藤参考人 これはやはり比較の問題でございまして、私どもといたしましては、不確実性が増すようなことを考えるよりは、むしろ少しは客観的であるというふうに考えているわけです。その少しはという意味は、私どもといたしましては、総額がわかるし、また努力をすればそれだけ自分のところに入る収益もふえますから、その意味でそれぞれが努力する意欲を持てる。そしてまた、これから新幹線運営会社に払っていく費用というものも、これはそれぞれ各地のバランスある発展を考えた形で配分してまいりますから、そういう意味ではそういう不当なことが起こることは決してないと私どもは考えております。
  241. 河村勝

    ○河村委員 私は非常に疑わしいと思っておりますよ。きょうはこれ以上は水かけ論ですからやめますけれども、これからの論議に残したいと思います。  質問時間が終わりましたからやめます。御苦労さまでした。
  242. 三ツ林弥太郎

  243. 梅田勝

    梅田委員 国鉄分割・民営化問題の本論に入ります前に、一つだけお尋ねしたいことがございます。  先月二十九日のにせ左翼暴力集団、中核派によります国鉄妨害事件でございますが、当日の夕刊を見ますと、国鉄再建監理委員会委員長代理としての加藤参考人のお話が出ておりますが、あのとおりでございますか。
  244. 加藤寛

    ○加藤参考人 そのとおりでございます。
  245. 梅田勝

    梅田委員 私、これを見まして非常に遺憾だと思いますのは、「こんなことをしているから分割、民営化が必要だ」このように言われているのですね。これは国鉄がいわゆる国有企業だからああいうことが起こったというように理解されるのですよ。あのような反社会的な行為は民間であろうと国有企業であろうと絶対に許されるべきものじゃない。去年の九月にやはり中核派によります自民党本部放火事件というものがございました。自民党政治のよしあしにかかわらず、あのような放火という反社会的な行為というものは厳しく糾弾されなきゃならぬわけでございまして、今回の中核派による攻撃というものは、経営形態のいかんにかかわらず絶対許されるべき問題ではないのだ、むしろ今いろいろ議論がありまして、分割・民営に反対だと言っている人たちを逆に国民から遊離させるような作用をあの行為はなしているとも言われておるわけであります。  かつて国鉄の大量首切りのときに、下山、三鷹、松川の各事件が起こった、これが謀略的な事件であったということは、今日常識になっておるわけであります。我々は、あのような事件が起こるということはまことに遺憾だ、絶対にあれば取り締まって、今後かかることが起こらないようにしたい。国鉄の真の再建のためにもそのことは望まれるわけですよ。今後いかような形態で再建されるにしても、現実に浅草橋駅なんかは放火されてしまって、先日私も視察に行きましたけれども、大変な被害ですよ。みどりの窓口のマルスの機械も全部取りかえねばならぬ、何億円かわからぬ、こういう被害でしょう。  まず、その問題について憂える、そういうお話がないと、いろいろ議論されていますように、加藤参考人は初めに分割・民営化ありき、こういう前提で何事もやっているのじゃないかということで、あの談話は、国鉄再建監理委員会委員長代理としての、公人としてのお話としては、いささか短絡的で軽率ではないかと私は思うのでありますが、いかがでございますか。
  246. 加藤寛

    ○加藤参考人 御質問の趣旨がよくわかりました。  私はあのときに、こういうことを起こすことはまことに反社会的な行動であってけしからぬ、しかし、そのけしからぬということも、さらに我々は考えていくと、やはり国鉄経営形態の中には働こうとする意欲がどうしても出てこない場合があり得る、不満を持つ人もまたいる、こういうことを早く直さなければいけない、国鉄を生きがいのある職場にするということになれば、そういうことはだんだんと気持ちの上でおさまってくるのだ、こういうことを私は申し上げたのですが、新聞の並びからまいりまして、まず最初に、反社会的な行動は、これはもうみんなが言っておるものですから、みんなの言っていることは載せない、これが大体新聞の談話のとり方で、したがって私の言いたいことだけがぱっと出ている、こういうことでそういう意図になったわけですが、しかし私が申し上げた意味は、今先生のおっしゃったとおりのことを申し上げております。
  247. 梅田勝

    梅田委員 意欲の問題じゃないですよ。あれは泳がせ政策によって発生してきている現象であって、問題の本質をきちっと見てもらわぬと困りますね。グリコ・森永事件でもそうなんだから。ああいう行為は許されないのです。そこのところをきちっとしておきたいと思います。  さて、本論でございますが、監理委員会の答申で、国鉄経営破綻の原因をいわゆる公社制度と巨大組織全国一元的な運営にあるとして、公社制度の問題の一つとしては、外部からの干渉を第一に挙げておられます。しかし問題は、だれが国鉄経営を決定的破綻に導くような干渉をしたのかということを明確にして責任を問うことがなされませんと、何か国鉄あるいは国鉄労働者の責任が非常に大きいように、あなたのおっしゃったように、意欲がないんだからというように、そこへ責任が転嫁されてしまう、そういう危険性があるわけであります。  答申が出ましたときに、各社説が出ておりますが、その中できょうは朝日と東京新聞の社説を取り上げたいと思うわけでありますが、例えば朝日の七月二十七日の社説の中に、  巨額の債務を累積させた大きな責任は政府にある。政治や行政が国鉄に何かを求める場合、財政的な補償をすべきだった。西欧諸国と違って、毎年度の赤字をきちんと補てんせず、借入金でやりくりしてきたことが債務をふくらませ、国鉄の責任をあいまいにして、今日の経営破たんを招いた。   監理委の意見はこの点にふれていないが、政府はその責任を明確にしたうえで、具体的な財源計画を示し、国民の理解を求めるべきだろう。 こう言っているのです。朝日新聞は答申についての意見を書いておりますが、全体として分割・民営はやむを得ないという立場ですよね。私どもはそれに同調するものではございませんが、そのような立場の新聞社でも、社説の中で監理委員会の答申にはいささか不満があるという意味のことが書かれている。  東京新聞でも、   監理委の意見を読んで、もう一つ、大きな疑問がある。それは、国鉄経営の破たんをもたらした政府の責任について、厳しい指摘がないことである。  なぜ、国鉄が昭和六十年度宋に二十三兆六千億円という巨額の借金残高を背負い込むことになったのか。監理委もあげている「公社制度による政治の介入」を別の言葉でいえば、初めから採算のとれない路線を政治的に作らされ、しかも、これらの資金をほとんど借金で賄わされてきたためといってよい。  こうした観点からみると、国鉄だけでは負担しきれない長期債務などを政府の責任で処理するのは当然といえる。しかし、国民に新たな負担を求める以上、大切なことは、これまでの政治の責任をただし、今後、政治的な赤字要因を極力出さないために、政府に厳しく注文することだったはずである。この点で監理委の意見は、整備新幹線の建設問題、新幹線保有会社との関係、さらには鉄道建設公団と鉄建審議会の在り方について、いずれも明確な言及を避けるなど、政治的な妥協が過ぎるといわなければならない。 こういうように非常に厳しい批判をしているわけであります。  極めて的を射ているのではないかと思うわけでございますが、先ほど来議論にもなったところでありますが、最近また整備新幹線を北へ延ばしていくということについて確たる財源手当もなしに事が進められようとしている。ここらあたりを明確にしないと、本当の国鉄再建というものはできないのではないか。いかがでございますか。
  248. 加藤寛

    ○加藤参考人 国鉄をこのようにしてしまった責任はどこにあるかというお話でございますが、私から言わせますと、答えは明確に述べておるのでございまして、「公社」という言葉でございます。この公社というのは人間ではないということで、恐らくこれは政府の責任とかいうふうに言うべきではないかとお考えになるかと思いますけれども、確かに公社をつくった責任は政府にあったのかもしれませんが、公社というものが日本のこの状況の中で必ずしも有効な働きをしなかった。  この公社ということにつきましては、戦争直後に公社という形にしようということでなされたのでございますけれども、公社というものが明確に存在していくためには、何といっても大事についての自主性、財政における自主性、そして政策決定におけ各自主性、経営の自主性が明確になければ公社というものはその能率を発揮することができないということは、これはもう一般的な一つの結論として申し上げてよろしいかと思います。このようなことで、日本の場合にはそうしたことがどうも行われてなかった。それで公社というものが本来の役割を果たすことができていない。ということになりますと、それはやはり公社というものを直さないとどうしようもない、こういうことになります。  大変恐縮でございますけれども、比喩的な言い方をいたしますと、船が沈んでしまったときに、その沈んだ責任は船長であったか、あるいは運転をした人であったか、あるいはあらしのせいであったかとかいうことを言うよりも先に、沈まないような船にするためにはどうすべきであったかを考えるべきだと思いますので、その船というのは公社でございますから、その公社を直した上できちんとやっていかないと、これからの国鉄の再生、鉄道の再生はないという考え方で国鉄に対する提言をしているわけでございます。  そういう意味で、ヨーロッパの場合は、御承知と思いますけれども、今ここにお読みいただきましたように、この新聞の論説を見ますと、毎年毎年赤字をきちんと補てんしてきたから、したがって、ヨーロッパの場合は問題がなかった、こういうふうに書いてございますけれども、実はヨーロッパの場合は今でも悩んでおりまして、我々がヨーロッパに行きましたときにも、彼らはもう本当に日本がどうやって解決するかということを関心を持って見ている。このようなことから私たちはヨーロッパがこれでもってうまくいっているというふうに考えることは違うのではないかと考えているわけでございます。
  249. 梅田勝

    梅田委員 ヨーロッパの事情は我々も見てきて知っているわけです。しかし、いささか日本のやり方とは違う。うんと熱心にやっていることは事実ですから。  そこで、あなた、非常に卑俗的な例を挙げて、沈没の問題を言われましたけれども、それなら我々もちょっと卑俗的な例になりますが、普通のおうちに強盗が来た、たまたま戸締まりをしてなかったので強盗が入った、そして物を持っていった。警察はどうしますか。どっちを逮捕しますか。おまえ戸締まりしておらぬからけしからぬと言って、被害者を逮捕しますか。やはり入り込んだ強盗なり泥棒を警察は逮捕するでしょう。そういうものですよ。  だれが公社形態の中で——公社形態にいろいろ弱点があることを我々も知っていますよ。それは正すべきものは正さなければならぬ。しかし、だれが介入したか。国鉄がルーズな経営をしている、それはきちっと正せ、投資は行き過ぎているよ。かつて再建会議意見書が、投資の規模はこういうふうにしなさいよ。そういうことは、国鉄を健全な経営にする場合にしかるべき助言というか指導というか、極端に言えば外部からの干渉ということがあるかもしれない。しかし、その場合は被害は起こらぬ。逆に被害を防ぐためにやるわけです。ところが、そうしてはならぬというのを、財界からの圧力を受けて、大規模な工事をどんどんやれ。列島改造論じゃないけれども、そんなことではもう道路がいっぱいになるよと言って、貨物鉄道でどんどんやらした。再建計画を何遍も立てたけれども、我々が黙っておったら国会全体の責任になるかもしれぬけれども、野党の我々はあの再建計画が議論になりましたときに、もう十数年前になりますが、こんな計画、十年先に借金が三倍になるような計画ではどうもならぬじゃないか、それで再建計画と言えるかと言って私もただしたのだが、まだこれでも投資が足らぬぐらいだということで、投資は計画どおりいって、収入の方が追いつかなんだというのが現実の、実際にやってきた結果ですよ。これは議論の余地はないわけだ。  そうしたら、そこまで国鉄経営を悪化させた政府や、あるいは政府と言っても自民党政府は、その背後に財界、大企業が控えているわけで、その利益を代表してやっているわけですから、全体として自民党政府と財界、大企業の責任をただし、彼らの責任で問題を解決するということを国民としては当然求めるのではないですか。あなたは今沈没沈没と言うけれども国鉄は財政的には大変でございますが、今のところ再建計画を我々も議論して、走っているわけですから、この間妨害事件があってたった一日とまっても大騒ぎになるのですから、まだ公共的役割としては立派に果たしている。財政的手当てをどうするかということが問題なんでしょう。これは時間がうんとあれば議論したいところであります。  さらに、もう一つだけ聞いておきたいのですが、今度の答申によりますと、特定地方交通線は新会社に引き継がないとされておるわけでございますが、我々はこれは納得がいかないのですね。現在の地方の中小私鉄はどうなっているかお調べ願いたいと申しておきましたので、調査ができていると思いますが、公営、第三セクター等を除きました地方の中小私鉄の輸送密度別、路線別の四千人以上の輸送密度のところ、四千人以下の輸送密度のところをお示し願いたいと思います。
  250. 松村義弘

    ○松村説明員 手元にございます一番新しい五十八年度の実績で御報告いたします。  中小私鉄の事業者は全体で六十八ございます。その路線数は七十九、営業キロで千九百三十七・一キロでございます。そのうち輸送密度四千人未満のものを申しますと、三十五社、路線にしまして三十七路線、九百十八・九営業キロでございます。
  251. 梅田勝

    梅田委員 加藤参考人、今お聞きになりましたように、地方の中小私鉄は、輸送密度が四千人以下でありましても、もちろん政府、自治体の援助はいただいておりますよ。しかしながら、非常に苦しい経営をやりながらも路線を維持していくという姿勢でやっているわけです。ところが、国鉄の方は今度もうそれは切り捨てだ、こういうことでは、あなたはしょっちゅう私鉄並みの経営とおっしゃっておられるわけだが、答申で引き継がないとされたのはいささか問題があるのじゃないですか。
  252. 加藤寛

    ○加藤参考人 特定地交線の問題につきましては、これは地方の私鉄の場合も、四千人未満の場合非常に苦労して、そして赤字経営になり、経常的にも赤字であり、そしてまた政府の援助を得ている場合もございます。そういう意味では、それぞれの地域にふさわしい交通体系に変えていくということがやはり議題として俎上に上っている、こう言わなければなりません。  そういうことを考えますと、私どもといたしましては、第一次、第二次の特定地交線につきましては、これは既に政府方針でございまして、決定方針でございますから、それは実行していただかなければなりません。そしてまた同時に、私どもといたしましては、そこから先の、国鉄を鉄道としていかに再建できるかということについて考えている、こういうことでございます。  それから、先ほどの、犯人を、経営責任を追及せよということでございましたが、これは私どもといたしましては、委員会というのは効率ある経営形態はどうするか、こういうことに答えているわけでございますから、その意味で、犯人をここでもって議論したのではなかったということでございます。
  253. 梅田勝

    梅田委員 いや、だれが経営が破綻するまで介入したかという責任を明らかにして、そして解決のときにきちっと手当てをするというように「意見」を出すことは何ら差し支えない。  あなたにきょうはいろいろ言いたいことがあるのだけれども、時間がないので困るのですが、「国鉄再生とう目指す」という新聞記事に、現在の国鉄の借金総額は三十六、七兆になったということが言われておりますが、「現在、国鉄に対する政府の年間助成金は六千億円強に上るので、新たに年間八千五百億円を助成すれば、約三十年で債務は返済できる。」といとも簡単におっしゃっているわけだ。今でも年々助成を減らしてくる。これは両方合計しますと、一兆四千五百億円になるわけですね。簡単にいかないわけですよ。  それを全部国民に頭割りに負担させるのか、それとも、財界、大企業が主として原動力になっていたという点で、新たな視点で国の財政全体を見直して、あなたのおっしゃるような総合的な交通体系を見通して出すのか、非常に違ってくるわけです。だから、あなたは非常に簡単に言っているけれども、これはどうですか、あなたがおっしゃったときに、大蔵省ときちっとお詰めになって、約束をとった上で言われているのですか。
  254. 加藤寛

    ○加藤参考人 それは個人的な見解でございますから、そのことについて私が今ここでお答えするのは私の個人的な見解になります。  しかし、私が申し上げたいのは、今の国鉄は、ここで分割・民営をやれば、もうこれ以上赤字は出なくなる、そしてその赤字が出ない中でもって、今までの国鉄の累積債務をかなりの程度一生懸命努力して返すことができる、そういう状況の中で初めて私どもとしては、国鉄を助けなければいかぬ、こういう国民的な合意が得られるのだ、こういうふうに考えております。したがって、私は簡単に申し上げたのではなくて、そういうことも考えるくらいにやっていかないと本当に国民は援助をしてくれません、国鉄を助けてくれません、そういうことが私の言いたかった意味でございます。
  255. 梅田勝

    梅田委員 残念ながら時間がないのですが、あなたがお書きになった本もかなり読ませていただきまして、きょうも「現代日本の公企業」というのも持ってきて、引用したかったのでございますが、「現在の国鉄はきわめて能率の高い働きをしているのであって、能率が悪いということで国鉄を批判するのは誤っているという主張がなされていることは、必ずしも間違いではない。」ということを言われて、答申自身も、ヨーロッパの鉄道と比較して、「ヨーロッパ諸国の鉄道の輸送密度が五千人前後であるのに比べて、国鉄は二万五千人とかなり高い水準にある。」うまくやれば鉄道事業として再生する余地がある、こういうように述べておるわけで、問題は、借金に依存した経営をどうするかということでしょう。
  256. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 時間が参りましたので、結論を……。
  257. 梅田勝

    梅田委員 ですから、最高時、年間一兆五千億もどんどん投資してやってきた、そして今、借金返済や減価償却に追われておる、そういうサラ金地獄とも言うべきものをどうするかということを真剣に結論を出すということが大事であって、どうも時間がないのでこれ以上やりとりはできませんが、私はきちっとその点を押さえてやっていただきたいということを要望しておきます。何か一言ありましたら言ってください。
  258. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 加藤参考人には、本日、長時間にわたり御出席いただき、ありがとうございました。  次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時五十分散会