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1985-11-26 第103回国会 衆議院 運輸委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年十一月二十六日(火曜日)     午前十時開議 出席委員   委員長 三ツ林弥太郎君    理事 鹿野 道彦君 理事 久間 章生君    理事 津島 雄二君 理事 小林 恒人君    理事 吉原 米治君 理事 近江巳記夫君    理事 河村  勝君       関谷 勝嗣君    田中 直紀君       近岡理一郎君    林  大幹君       福家 俊一君    堀内 光雄君       山村新治郎君    兒玉 末男君       左近 正男君    関山 信之君       田並 胤明君    薮仲 義彦君       中村 正雄君    梅田  勝君       辻  第一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 山下 徳夫君  出席政府委員         内閣審議官   平井  清君         日本国有鉄道再         建監理委員会事         務局次長    林  淳司君         運輸大臣官房国         有鉄道再建総括         審議官     棚橋  泰君         運輸大臣官房国         有鉄道部長   中島 眞二君         運輸省国際運         輸・観光局長  仲田豊一郎君         運輸省地域交通         局長      服部 経治君         運輸省航空局長 西村 康雄君         運輸省航空局技         術部長     大島 士郎君  委員外出席者         労働大臣官房審         議官      田淵 孝輔君         自治省税務局固         定資産税課長  佐野 徹治君         日本国有鉄道総         裁       杉浦 喬也君         日本国有鉄道常         務理事     須田  寛君         日本国有鉄道常         務理事     室賀  実君         日本国有鉄道常         務理事     岡田 昌久君         日本国有鉄道運         転局長     日吉 政和君         参  考  人         (日本国有鉄道         再建管理委員会         委員長)    亀井 正夫君         運輸委員会調査         室長      荻生 敬一君     ————————————— 委員の異動 十一月二十一日  辞任         補欠選任   関山 信之君     山本 政弘君 同日  辞任         補欠選任   山本 政弘君     関山 信之君 同月二十二日  辞任         補欠選任   薮仲 義彦君     伏木 和雄君 同日  辞任         補欠選任   伏木 和雄君     薮仲 義彦君     ————————————— 十一月二十日  国鉄分割民営化反対等に関する請願梅田  勝君紹介)(第三九六号)  同(瀬崎博義紹介)(第三九七号)  同(辻第一君紹介)(第三九八号)  同(三浦久紹介)(第三九九号)  国鉄分割反対等に関する請願津川武一君紹  介)(第四一五号)  同(辻第一君紹介)(第四一六号)  同(中川利三郎紹介)(第四一七号)  国鉄分割民営化反対に関する請願津川武  一君紹介)(第四一八号)  同(斉藤節紹介)(第四五一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  日本国有鉄道経営に関する件      ————◇—————
  2. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 これより会議を開きます。  日本国有鉄道経営に関する件について調査を進めます。  この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  本件について、本日、参考人として日本国有鉄道再建監理委員会委員長亀井正夫君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  4. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、一言ごあいさつを申し上げます。  亀井参考人には、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。  なお、御意見質疑応答の形式でお聞きすることにいたしたいと存じますので、さよう御了承願いたいと存じます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。左近正男君。
  5. 左近正男

    左近委員 亀井委員長、御苦労さんでございます。  きょう私は監理委員会がまとめられた「国鉄改革に関する意見」について若干御質問をさしていただきたいと思います。  まず、この意見書基本認識、触れられておりますように、「望ましい交通体系の形成は、各交通機関競争利用者の自由な選択が反映されることを原則」とする、こういうことを前提に、これからの国鉄乗客需要について想定をされておるわけです。資料にも出ておりますように、五十八年では国鉄が二三・五%、自動車が五六・五%、六十五年は二〇・一%、自動車が六〇・二%、七十五年では国鉄が一八・四%、自動車は六二・四%、こういうことで想定をいたしますと、例えば五十八年では、今バスが二十三万台、自動車は二千三百三十九万台、これだけの台数で五十八年では五六・五%のシェアを占めておるわけです。これを基準にして六十五年、七十五年を想定しますと、まずバスは大体横ばいだろうと私は思います。そうしますと、乗用車がどれくらいふえるか、六十五年では六〇・二%のシェアでございますので、三千十一万台になるということであります。これは五十八年の対比にいたしまして六百七十二万台も車がふえるわけです。七十五年では六二・四%のシェアでありますので、車は三千三百七十七万台、これは五十八年対比にいたしまして一千三十八万台も車がふえる。これは大変な数字であります。私は大体そのように監理委員会データを基礎にして想定をいたしておりますが、これは間違いございませんか。
  6. 亀井正夫

    亀井参考人 お答えいたします。  やはりモータリゼーション進展というのは、今後もさらに進んでいくであろうという想定でございまして、十年先の台数が幾らになるか、本当の確定した数字というのは自信を持ってお答えをできませんけれども、今までのトレンドを延ばして、大体そのくらいであろうという想定のもとに私どもは考えた、そういうことでございます。
  7. 左近正男

    左近委員 このような自動車社会というものを狭い日本の中でつくっていいものかどうか、現在でもあらゆる車種を含めますと四千六百万台の車があるわけです。エネルギー問題をとらえても、鉄道に比べて自動車は六・八倍です。また今大変な公害問題が、都市公害基本は大体これはもう自動車のNOx、これが一つ原因になっておる、こういうような状況であります。交通事故に至っては、自動車死傷者は五十八年統計で六十六万人、鉄道では私鉄も含めて千三百六十五人です。これはまさに四百八十六倍、自動車がこれだけの死傷者を出しておる。  私は、交通というのは国民生活にとってなくてはならない機関でありまして、そういうような交通問題を、公共交通という観点を全くなくしてしまって、私の、マイカー中心とした交通体系、こういうものに移行させてしまう、これは大きな問題があると思うのです。したがって、この自由な選択というのは、ある程度政策的に国としてもアプローチしていかなければ、日本交通体系というのはめちゃくちゃになってしまうのではないか、私はこのことを大変危惧しておるわけです。  今、国鉄監理委員会意見書は、この狭い国土の中で自動車をはんらんさせるような交通体系をつくってしまう、このように私は大変心配をしておりますが、委員長はいかがですか。
  8. 亀井正夫

    亀井参考人 そういう先生の御心配を私どもも同様に持っておるわけでございます。願わくば、総合交通体系で車、鉄道航空機というものがそれぞれの特性を発揮して国民の足として活用されるというのが一番望ましい。それの青写真ということになると、総合交通体系ということになろうかと思いますが、これはなかなか難しい問題だということでございまして、まだ本当意味の、政府においても学者においても定説がないということでございますし、それからマイカーを今先生のように抑えるということが、今の日本の政治なり社会の中で可能かどうかということも問題がございますし、十数年前にドイツにおいてはレーバー・プランというので、トラックというものを非常に抑制するという政策を出したら、これは一年で世論によって葬られてしまった、こういう状況がございます。  私どもの願いは、今先生のように、やはり鉄道に適するところはできるだけ国民の方が鉄道を利用する、こういう格好になるのが望ましい。そういう意味においては、現在の鉄道というものがマイカーにいくのは、やはり鉄道にいろいろな欠陥なり反省すべき点があるんじゃないだろうか。そういう面を我々としては再建プランとして活性化をする、民営化をする、あるいは地域密着型の運営をする、こういうことで、やはり鉄道にもう一遍国民の目を向け、これを活用されることが望ましい。そういう方策という面から私どもはこの基本答申というものをこしらえた、こういうことでございます。
  9. 左近正男

    左近委員 私、多くの意見がございます。大臣は今の私の質問に対してどういう見解ですか。
  10. 山下徳夫

    山下国務大臣 おっしゃるとおり、この自動車の驚異的な発達、それに対して何か道路その他が後追い行政になっている面は確かに私ども感じます。  しかし、基本的には、監理委員会からの答申にもございますように、利用者の自由な選択、これがやはり基本である。これはもうやむを得ないことだと私も思っております。特に五十六年七月の運輸政策審議会答申もそのとおりの答申内容になっておりますし、また五十八年八月の「一九八〇年代経済社会の展望と指針」、この閣議決定の趣旨とも全く考え方が一致しているということでございますから、やはり基本的には利用者の自由な選択ということをまず第一義的に考えざるを得ない、このように理解するものでございます。
  11. 左近正男

    左近委員 私は、利用者の自由な選択ということに任じておったら、これはもう大変なことになる、このことだけ申し上げて、きょうは時間がございませんので、次にいきます。  亀井委員長国鉄は大変多くの問題を抱えていることは、これは事実であります。しかし、現在一日二万本以上の列車が分単位できっちりダイヤが守られておるのですね。これは私はもう世界一だと思うのですが、監理委員長、どう思われますか。
  12. 亀井正夫

    亀井参考人 現在国鉄が時間どおり正確に運営されておるということは、これは世界一というのは確かにそうでございますけれども、単に国鉄だけではなくて、私鉄においてもやはり時間どおりやられておる。これはやはり日本人の非常にきちょうめんな、先生も御同意だと思いますが、きちょうめんに正確に物をやるという国民性に根づいてやられておるものであって、国鉄だけが時間どおりやっておるからとうといというわけにはいかない、そういうふうに思います。
  13. 左近正男

    左近委員 これは全国的なネットワークでやっておるわけですから、私鉄のローカル的なものとはもう全く違うと思うのですね。こういうように国鉄全国的にネットを張って分単位ダイヤをきっちり守っておる、こういうことができるのは、国鉄職員も、あるいはまた国鉄事業体管理者も総体としてそう間違ったことをやっておらないという確信を私は持っておるのですが、監理委員長、どうですか。
  14. 亀井正夫

    亀井参考人 私は、国鉄経営幹部あるいは職員というのは非常に素質がいい、だからこういう成果を出しておる。しかしその反面に、大きな赤字という経営体質。これは国鉄というものは独立採算制公共企業体ということがちゃんと法律にもうたわれておるわけでございまして、その点においてやはり欠くるところがあるというふうに存じておる次第でございます。
  15. 左近正男

    左近委員 大臣、どうですか。——大臣、勉強してないようだったらよろしいです。時間がありませんから、次に行きます。  私は、ダイヤをきっちり守り、やっておるというのは、やはり赤字原因は、職員や全体的な管理者仕事としては、これが原因ではないのではないかと思うのですが、それはまた別の機会にやらしていただくとして、監理委員会が、今日の国鉄経営が行き詰まっておるのは、公社という経営形態全国一元の巨大組織にある、この二つの問題で言っておられるわけですね。この点についてきょうは少し聞きたいと思います。  国鉄というのは百年の歴史がございまして、これは国鉄ができてから事業区域全国でございましたし、また組織も巨大でございました。例えば近年では、昭和三十五年には四十四万八千三百九十人、これだけの職員を抱えて黒字経営をやっておったのです。今、電電会社、NTTも三十一万人の職員を抱えてうまくやっております。世界ではGMが七十五万人の従業員を抱えてうまくやっておるのです。したがって、今の国鉄が行き詰まっておるのは、この三十万人を超える職員を抱えておるからうまくいかないということではないと私は思うのですね。また経営形態についても、経営管理の面では問題があったけれども経営形態そのものに今日の行き詰まっている原因があるとは私は思わないのです。監理委員会が特に巨大組織を強調されておられますが、このことと国鉄経営の行き詰まりとは直接関係ないと私は思いますが、いかがですか。
  16. 亀井正夫

    亀井参考人 先生の御指摘は、ある静止状態においての議論としては正しいと思います。ところが、先ほど先生指摘のございましたように、モータリゼーションというものがどんどん進展をしていく、また遠距離は航空機が伸展していく。いわゆる四十万体制で黒字を出したときには、国鉄長距離輸送においてほぼ独占であった。ところがその独占性を喪失して、現在は旅客流動において二三%、貨物に至っては五%という小さいことになってしまった。そうすると、そこに新しい状況変化に合う組織というものを考える必要が出てきた、こういうふうに私どもは考えております。
  17. 左近正男

    左近委員 そこで監理委員会は、「まさに適切な経営管理限界を超えたものとなっている。」こういう指摘をされておるわけですね。国鉄の場合のこの「適切な経営管理限界」とは、具体的に職員数はどの程度を考えておられるのか。監理委員会のこの六分割案職員数に関しては大変アンバランスがあるわけですね。したがって、この「適切な経営管理」と職員数というのは、私は直接関係ないんじゃないかと思うのですが、いかがですか。
  18. 亀井正夫

    亀井参考人 国鉄仕事は、御承知のように非常に労働集約型でございます。電電仕事は非常に装置産業技術集約型である。労働集約型産業という場合には、やはり適正な人員規模というものがある。そういう面から考えまして、地域密着労働集約ということでいえば、できるだけ小さい人数の方が望ましい。しかし一方、経営基盤安定化とか、あるいはある地域旅客流動ができるだけそこで完結する度合い、そういうことを勘案して六つという形に分けてございまして、いろいろな条件の最大公約数として、六分割で、人数で言えば、一番多いところで八万人、一番少ないところでは四国で五千人でございますが、その辺のところが労働集約あるいは地域密着あるいは経営基盤の確立ということでは適正であろうと判断をした次第でございます。
  19. 左近正男

    左近委員 五千と八万ではものすごい差がありますね。「適切な経営管理限界」というものは、人数できっちり割り切れるものではないでしょう。どうですか。
  20. 亀井正夫

    亀井参考人 そのとおりです。そこで見合う仕事の量とか性格とかいうことによって判断されるものでございます。ですから、きっちりは割り切れない。しかし、何といったって北海道から鹿児島まで三十万を一人なり少数のトップでやるということは、明らかにスパン・オブ・コントロールを逸脱しておる、こういうふうな判断をした次第でございます。
  21. 左近正男

    左近委員 国鉄は確かに人的集約産業かもわかりませんね。しかし電電も、ソフトの面も含めていろいろやれば、人的集約産業の一種類がもわかりません、営業面も入れれば。だから私は、この三十万の組織は「適切な経営管理限界」を超えておる、八万や九万であればいいとかいう問題じゃないと思うのですけれども、再度いかがですか。
  22. 亀井正夫

    亀井参考人 三十万と八万を比べれば、やはり四分の一、ということは、経営管理の面からいうと四倍の目が届く、きめ細かい管理ができるというふうに私は考えております。
  23. 左近正男

    左近委員 世界では七十五万の会社があるのですよ。これはうまくやっているところがあるのですよ。だから「適切な経営管理」というのは、国鉄が今行き詰まっているから委員長のような発想が出るわけでございまして、うまくいっておれば、黒字を出しておればそういうことを言われないですわね。  次へ行きます。  今、亀井委員長も、地域交通事情を踏まえた運営をすべきであるということを特に強調されておられるわけですね。私もこのことについては賛成でございます。私は現行経営形態でも十分そのことが可能ではないかと思うのですね。今は国鉄は、委員長関西でございますが、私も関西で見てみますと、関西エリアでいろいろユニークな取り組み、企画をやっておられるわけですね。だから私はずうたいが大きいから地域事情が加味できないということにはならないと思うのです。今の形態でも管理局中心にしながら地域事情に十分マッチした交通企画ができる、全国的なネットワーク基本にしながらそういうことは加味できる、私はこのように思っておりますが、いかがですか。
  24. 亀井正夫

    亀井参考人 ちょっとさっきの先生の御質問にも触れて、同様のことでございますが、GMが七十万とかIBMが三十万、これは確かにIBMとかGM全体の組織においてはそうでございますけれども、それぞれイギリスGMとか日本IBMとか、全部を独立会社にして、総合して一つGM組織とかということになっておるということで、やはりそこの社長には社長らしい権限を与えて効果を上げておるということでございまして、私は日本においては分権によっては決してうまくはいかないと考えておるわけでございます。そういう意味で、地域密着型をやる場合に、全体でやった場合には、どうしても全体の振り合いとか、ある場所でやったらこっちもやった、収拾がつかないということで、現在のダイヤの組み方というふうなものがどうしても硬直的なものになってくるということで、やはりこれからの競争に耐え、地域密着をやる場合には、できるだけきめ細かい単位ということでやる方が望ましい、こういうふうに私どもは考えております。
  25. 左近正男

    左近委員 実際、六分割案でも、これは何も余り地域に密着してないじゃないですか。東日本会社であればかなり広い、東北まで一体ですよ。北海道は別として、私は何も地域に密着しているとは思わないのですね。今いみじくも言われたGMのように国鉄をしたらどうですか。地方分権をぴっしり、独立採算的なものを法的にもやりながら、そういうような形はいかがですか。今、委員長言われたが、いい案ですね。
  26. 亀井正夫

    亀井参考人 分権というものをずっと極度に進めた分割ということになるわけですね、経営組織でいくと。理想的な分権というのは私は分割だと思うのです。ですから、国鉄という一つ体系の中で完全な分権化ということをやろうとしたら分割ということだと思う。日本でなぜ事業部制とか分権がうまくいかないかという点に、やはり根本的な問題があると私は思うのです。といいますのは、例えば一つ企業が大きな借金をする場合に、代表権のある会長社長でないと銀行は相手にしてくれない。あるいは大きな設備投資支社長に勝手にやらせるかというと、やはり社長というもののところに権限が集約される。あるいは人事問題についてもそういうことになる。それから日本国民性といいますか、やはり何でも一番上の社長がいるなら社長を出せというのが大体の権限で、本当意味権限は譲れない。これは私ども事業をやっておりましても、事業部長に全部権限を与えてやっているはずだと言っても、やはりここは大きな得意だから社長なり会長が行ってあいさつせぬとだめですよ、こういうのが日本の国情なんですね。その辺を踏まえて御判断をいただきたいというふうに思います。
  27. 左近正男

    左近委員 亀井委員長は、二十一世紀を見詰めながら国鉄改革に取り組みながら、そういうものの論議はかなり旧態依然なことを基準にして判断されていますね。これは、どうもいただけません。  そこで、地域事情というものを特に監理委員会の検討の中ではいろいろ重視をされて検討された。ところが、例えば分割会社のいろいろな給与の問題あるいは営業収支の問題を算定される場合、具体的にどう反映されてきたのかということをお聞きしたいわけですが、例えば北海道会社について、北海道では私鉄が全くないわけですね。鉄軌道私鉄、ございませんね。(亀井参考人一つある。札幌地下鉄」と呼ぶ)いやいや、これは地下鉄のことは別にして、私はよく知っていますから。  今回の北海道会社の例えば要員なり給与等前提については、私鉄六十社の生産性前提にして算出されておられるわけですね。また営業収入についても、線区別需要実績前提需要量想定されておられる。これは余りにも機械的ではないですか。北海道という地域に基づいて要員の問題あるいは職員給与の問題、乗客需要想定の問題、ここら全部、全国的な平均値であなたの方では作業をされておるわけですね。これは大変矛盾があると思われませんか。分割分割地域事情地域事情と強調しながら、基本的なデータについては、私鉄六十社の平均というような平均値に基づいて全国的なもので線を引いておられる。これは言われていることと実際行っていることが矛盾していると私は思いますが、いかがですか。
  28. 亀井正夫

    亀井参考人 いろいろ北海道特殊事情もあろうかと思います。しかし、例えば運転手のハンドル時間というふうなものは、やはり本州と北海道とでそう違いがあるはずがない。雪がたくさん降るとか過疎地帯でそこを無人化するとか、いろいろそういうことの特殊事情も若干は入れてやっておりまして、矛盾をしておるとは考えておりません。
  29. 左近正男

    左近委員 実際問題、地域事情とかいうことを言いながら、今御指摘のように、全国的な一つ基準で物を判断できるということです。それでは何も、今、委員長言われた答弁を裏返しすれば、殊さら地域事情地域事情ということで分割をする必要はないじゃないか、一本のネットワークで十分可能ではないか、私はそう申し上げたいわけです。  そこで、「不合理な依存関係」が特に指摘をされておるわけですね。現在の国鉄経理というのは、客貨別あるいは線区別管理局別、こういうように区分経理がされておるわけです。経営実情掌握というのは大変ぎっしり今の国鉄経理関係はされておると私は判断しております。今この「不合理な依存関係」ということを特に指摘されておりますが、それでは、そういうものをやめていくということであれば、例えばこれからの運賃決定というのは、会社的コストでやるのか線区別コストでやるのか。例えば東日本会社であれば、山手線というのはもう営業係数は四四ですよ。料金を半分に引き下げてもいいわけですね。東北の方のこれはかなり高くなるでしょう。これを一緒にやるというのは、また依存関係ではないですか。だからその辺はどうなるのか。例えば料金決定原則というのは、会社的なコストでやっていくのか、もうかっているところは料金値下げも可能なのか、ここらはどうなんですか。
  30. 亀井正夫

    亀井参考人 これからのコスト計算会社別ということになっていくと思います。
  31. 左近正男

    左近委員 それなら結局、山手線、大阪では環状線でかなりもうかっておる、それをもうかっておらないところへおすそ分けするというのは依存関係ではないですか、どうですか。
  32. 亀井正夫

    亀井参考人 地域ごとの一つ会社において、これは例えば私鉄においてもやはり採算線と不採算線がございます。しかし、その地域の公益事業としての責任から全体で頑張って、できるだけある地域ネットワークを維持しようという努力が私鉄において、例えば名鉄とかあるいは近鉄とかいろいろなところでそういう努力をやって、やはり地域交通の足としての公益性を考える。例えば名鉄においては三割しか採算路線はない。七割は赤字だ。しかしその赤字路線が黒字路線のフィーダー効果ということもやっておる。あるいは地域に対する信頼性というものをそれで与えるという効果もあるということでございますから、国鉄はずうたいが大きいですから、六分割という格好でそういうことが当然可能である、我々はこういうふうに考えております。
  33. 左近正男

    左近委員 それを全国的なネットワークでしてなぜ悪いのですか。依存関係をずっとやっておられるわけですよね。
  34. 亀井正夫

    亀井参考人 全国ネットワークとおっしゃいますけれどもネットワークを維持するという、私どもはレールを切ると言っておるわけではないわけです。レールはつながっておるわけです。運営地域ごとにきめ細かくやって、そうして国民の足としてサービスを今よりよくする格好にしたいというのが私どもの考えでございます。
  35. 左近正男

    左近委員 この依存関係では、「地域ごとの受益と負担の関係が明確とならない結果、」「地方公共団体や地域住民の正しい理解と協力が得難い」、こういうことを言っておられるわけですね。これは東日本会社であればかなり広いエリアなんです。こういうことは国鉄分割しても、北海道は別ですよ、一県ですからね、その他の地域はかなり何県にもわたるわけでありまして、依存関係というものは当然ついて回るわけですよ。これは現在の国鉄状況は一緒じゃないですか。どうですか。
  36. 亀井正夫

    亀井参考人 私ども旅客流動というものを重点に置いて見たわけでございまして、特に県ごとで、そこで交通が遮断されるかというと、そういうものではないわけですね。県というのは今から百年近く前にできた境であって、いろいろ産業の問題であるとかあるいは交通流動の問題からいうと、やはり県という境はそう今意味がないというふうに私どもは考えております。そういう意味におきまして、やはりその地域の流動実態というものに一番適合するような格好に分けられるということが適当であろうと判断した次第でございます。
  37. 左近正男

    左近委員 私は依存関係問題について先ほどから質問させていただいたのですけれども、実際問題、分割をしてもかなり広い地域を担当していくわけですよね。そうすれば、分割会社の中でも依存関係をやっていかぬと成り立たぬわけでしょう。運賃は会社的コストでやっていくということを明言されたわけですね。そうすれば、山手線や大阪の環状線はもうかっておっても、もうからないとこうへ吐き出していく。これは依存関係でしょう、依存関係でないということじゃないでしょう。依存関係というのはレールの事業をやっている限り当然ついて回る問題なんですよ。だから、何も分割をしたからといって依存関係がなくなるわけではないということを私は強調したいわけですよ。
  38. 亀井正夫

    亀井参考人 私ども指摘しておりますのは「不合理な依存関係」、いわゆる依存関係というものはある程度必要ではあるけれども、範囲を逸脱した、例えば今東京の山手線東北と挙げられました。東北の人は東京へいらして山手線にもたくさん乗っておられるわけですね。しかし、今度は九州の人と北海道の人とか、あるいは中国地方と北海道というのは非常に疎遠になってくる。それではもっと細かく分けるべきじゃないかというのは、先ほど申し上げたいろいろな要因からこう分けざるを得なかったわけでありますけれども、やはり東北地方、関東地方を一体にすれば昔の東の国、それから東海地方というのは、やはり中京を中心にした国、それから関西、上方、こういうふうな地域での地域共同圏という考え方はあるというふうに思っております。
  39. 左近正男

    左近委員 もう時間ですから、最後に一点だけ。結局、この意見書というのは、やはり初めに分割というものを前提にして理論構成されたのじゃないですか。そう思わざるを得ないわけですよね。その点だけを強く申し上げ、私の質問を終わります。
  40. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 小林恒人君。
  41. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 監理委員長におかれましては、既に任務が終了されて、閣議決定も終わっているわけですから、長い年月の間に大変な御勉強もされたようでありますし、御苦労されたことに対しては敬意を表しておきたいと思っております。  ただいまの同僚の左近委員質問の継続になろうかと思いますけれども、いわゆる内部補助体制というものについてのよしあし、これは随分多くの論評があろうかと思いますけれども監理委員会の次元で議論をされた基本は何ですか。
  42. 亀井正夫

    亀井参考人 私どもは、分割ありきというのでやったのではない、一年間勉強した結果、昨年の八月に、分割・民営を念頭に置いてやらざるを得ないということで、政府意見をただし、それでやってくれということでございますから、後一年かけてこの具体化をやったということで、初めからやり直しをしたわけです、臨調の答申から。この点は篤とひとつ御理解をいただきたいというふうに思います。  それから、この依存関係の問題でございますが、これは世に言う国鉄の問題に親方日の丸意識がある、こういうことが通例言われております。それから現在中国においても合い言葉が吃大鍋飯、大なべ飯を食らうな、こういう運動というものがある。そういうことでいいますと、単位というものが大きければ、やはりもたれ合い思想というものがある。ですから、今のは大き過ぎるじゃないか。それよりももたれ合いが小さくなる方が——例えば東北、関東では大きいじゃないかと言うけれども日本全体の面積よりは四分の一になって、そこでやはり中心になって東北、関東の足として守っていこうじゃないか、しっかりやろうじゃないか、こういう意識が出てくる、こういうふうな認識のもとに私どもはやったわけでございます。
  43. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 御高説についてはわかりました。  そこで、いわゆる公共交通としての鉄道が果たさなければならない役割、こういったものを見た場合、特に戦後の国内の交通システムといったものが大きく変化をしてきている、鉄道そのものの独占性がなくなってきた。そんな意味では、理論立てとしては、道路などの完備によって鉄道競争力がなくなってきた、したがって内部補助体制そのものが間違いだ、こういう理論立てをする学者もあるわけです。こういった説についても、私どもは素直な気持ちで新しい交通システムを確立するという意味では傾聴に値する議論がなという気がいたしますけれども、しかし一方で、国の責任において確立をしておかなければいけない分野、こういったことを考えてみた場合、それでは自助努力でペイする体制ができ上がるのか、やはり監理委員会答申の中でも随所に示されているように、公共的な補助体制というものは必要ではないのかという議論が散見をされるわけです。この点についてどのような議論をされたのか、お聞きをしておきたい。
  44. 亀井正夫

    亀井参考人 鉄道の持っておる公共性といいますか、それは確かにございます。しかし、公共性を持っておるから赤字でいいという議論は成り立たない。やはり国鉄の場合は独立採算制ということで公社という仕組みができた。しかも、国鉄法第一条には、能率を増進することによって公共の福祉を増進するということがはっきり書いてあるわけですね。公共性を維持するとともに能率を増進する、その点において現在の公社という仕組みが、三十何年やった結果はまずいことになってきた、こういうふうに私は思っておるわけでございます。  それから、先般ヨーロッパへ行きまして、ドイツ、イギリスの鉄道事情も聞きましたが、イギリスにおいては黒字のブリティッシュテレホンなんかを売って政府のあれをしようとするのに、赤字をなぜプライバチゼーションやるのかという話で、イギリスと比べれば日本はまだ五倍の乗車密度がある、だからやり方によってはペイできるのだ、今のような低能率ではだめだから、プライバチゼーションをやり、そして管理単位を適正にして管理するのだと言うたら、非常によくわかった、ぜひ日本は成功してくれ、こういう祝福を受けて帰った次第でございます。
  45. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 私は決して鉄道の未来がお先真っ暗だとは思っていないのです。ただ、亀井委員長の御説に反論するつもりはございませんけれども、現実問題をシビアに分析してみますと、現実には幹線の利益を地方に配分をしていく、分配をしていく、こういった基本というものは崩れてはいないわけです。しかし、その幹線が現実には赤字に転落をしつつある。そういった状況の中では、今おっしゃられた内容というものはいかがなものかな、こういう気がしてなりません。  それと同時に、この監理委員会の示されたものの中で、どうしても示すことができなかったものの一つとして貨物を挙げなければいけないわけです。貨物については随分多くの理論立てはいたしているようでありますけれども、コンテナ輸送であるとかあるいは車扱い直行輸送の六割を超える列車が複数の旅客鉄道にまたがって運行されるという実態にかんがみて、全国一元の経営体制とするのが適切と考えられる、こう結んでいるわけです。よって、物流事業者等の意見も聞きつつ、専門的、技術的に検討を加えて六十年十一月までに結論を出しなさい、こう示されているわけですけれども、旅客と貨物をこのように分離せざるを得なかった最大のネックは一体何だったのか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。
  46. 亀井正夫

    亀井参考人 旅客と貨物の運輸というのは、旅客の場合は駅まで人間が歩いてきてくれるわけです。貨物の方は集荷をしなければいかぬ。それから旅客流動の場合には、現在北海道から鹿児島あるいは本州の西というのへ鉄道で乗っていく人はほとんどないと言ってもいい。ところが貨物は全国的に流動をしているわけでございます。先般、九州に参りましたが、やはり九州のミカン業者が東京へやるのに貨物が不便にならないような配慮を頼む、いろいろそういうことがございまして、両方の特性が違うわけでございます。そういうことでございますから、特性が違うものは分離をする。旅客の方は地域を分ける方が旅客流動に合致して適当である、貨物の方は全国流動型であるからコンテナを中心にして一本にする方が適当である、こういうことであります。
  47. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 そこで、この十一月三十日が刻々と近づいているのですけれども、この貨物に対する具体案の作成というのは、監理委員会の責任でやられるのでしょうか、それとも運輸省並びに国鉄がやられるのでしょうか。
  48. 亀井正夫

    亀井参考人 私どもは、政府に対して、これは国鉄並びに運輸省において成案を得られたいという要望を申し上げて、現在、国鉄並びに運輸省で鋭意その作業中ということでございます。
  49. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 それでは運輸省並びに国鉄にお伺いをしたいと思いますけれども、その貨物にかかわる方針策定の進捗状況についてお知らせをいただきたいと思います。
  50. 山下徳夫

    山下国務大臣 運輸省といたしましては、今週中に成案を得られるように目下鋭意努力をいたしておるところでございます。
  51. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 今週といいましても、もうきょうは火曜日ですから、何日に案ができ上がりますか。
  52. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 監理委員会からは、十一月に成案を得る、こういうことでございますので、今週中には案をまとめたい、かように考えております。
  53. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 今週中ということは、逆算をいたしますと、きょうの段階でおおよそ方向が出てきていると認識をしてよろしゅうございますか。
  54. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 貨物の問題につきましては、御承知のように、現在コストが収入の倍かかっておるという部門でございます。監理委員会から御指摘のございましたように、これを徹底的に洗い直して、収支採算のとれる民営会社という形で六十二年からスタートさせるということでございまして、この作業は、正直申し上げまして非常に大変な作業でございます。いろいろな試算もいたしましたし、いろいろな議論もいたしまして、現在その最後の段階でございます。ここ数日中に最後の段階を乗り越えて、今週中に案を得たい、こういうことで現在やっておるところでございます。
  55. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 今週中にやりたいやりたいというお考えだけで、中身が言えるのか言えないのかよくわかりませんけれども、現実に鉄道地域分割にするということを想定してみた場合に、北海道、四国、九州は、旅客営業、貨物営業を含めて現行の三島会計を分析をしてみた場合には大変大きな赤字を背負うことになるわけです。その後、国鉄あるいは運輸省が中心になって貨物の経営収支について随分多くの試算をされているようでありますけれども、マクロな意味で、例えば北海道一万三千人のうち、貨物がどういう経営形態になるのか、貨物に必要な要員あるいは貨物にかかわる経費といったものを試算をしてみますると、監理委員会が大綱で示した内容ではやり切れない、したがって、それをもう少し切り込んだ議論をしなくてはいけない、こういうぐあいに仄聞をするわけです。そういったことを考えてみた場合、総体的な要員二十一万五千人、これは余剰人員を若干抱えるという試算でありまするけれども、こことのかかわり合いの中では、余剰人員がさらに拡大する可能性がごく最近の検討の中では強まっていっているのではないだろうか、こういう気がいたしますけれども、いかがですか。
  56. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 御指摘のように、監理委員会からは一万五千人弱という数字で貨物会社を一応想定をされております。ただ、その後、いろいろな検討をいたしておりますけれども要員の数は、御承知のようにどれだけ貨物が確保できるかということとの相関関係でございますから、そういう意味で、貨物の量が十分あればそういうものが可能でございますけれども、現在の作業では、確実に保証される貨物の量についてはかなり厳しく考えなければいけないと考えております。そういう意味で、現在のこの一万五千人弱という数字よりは若干下回った要員数でないと収支採算のとれる会社というのは難しいのではないかと考えております。  それで、その際どのくらいになるかは、今週中の作業でございますので、しばらく御容赦を願いたいのでございますけれども、下回った場合には、その人間がさらに余剰人員としてふえるのではないかという御指摘でございますが、確かにその分につきましては、要員数が少なくて済むわけでございますから、その分は余剰人員ということで若干の変動があろうかと思っております。ただ逆に、また余剰人員の関係の方でも、例えて言えば鉄道公安官の取り扱いとかその他若干出入りのある部分もございますので、その点は最終的にもう少し精査いたしたいと思っております。
  57. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 私ども決して分割・民営を認めているつもりはございませんし、旅客、貨物ともに公的な輸送機関として全国ネットワークを堅持をするという立場からするならば、大変難しい状況が出てきている。監理委員会答申に沿って実施していくということは極めて難しい状況が出つつあるという一つの例を私は取り上げて、実はきょうは議論のやりとりをしたかったわけであります。しかし、残念ながら、今週中と言われる結論を見出すタイムリミットにもかかわらず、その程度のお答えでありますから、この議論はこの程度にとどめておきたいと思います。  ただ、貨物というのは、旅客ももちろんそうでありまするけれども、国内経済の根幹にかかわる重要な輸送機関である、こういった認識があるだけに、慎重の上にも慎重を期して作業を詰めていただきたいことを特に要望しておきたいと思っております。  最後に、既に二十一日の参議院の運輸委員会でも議論をされておりますが、国鉄総裁、今日国鉄労使の間の雇用の安定に関する協約が、複数組合存在をする中で、最大組合の国鉄労働組合との間では協定の目安がついていないと伺っておりますけれども、総裁はどのような御認識でおられますか。
  58. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 雇用安定の協約の問題につきましては、私どもとしましては、各組合ともにこの雇用安定協約が期限切れ十一月三十日、これを無事に通過する、それぞれ将来の雇用に向けまして協約が締結されることを期待をしておるわけでございます。  しかしながら、今までのいろいろな経緯等々から見まして、私どもの労使関係基本でございます信頼関係、これをぜひ築いていきたいというふうに思うわけでございますが、国労との間の問題につきまして、過去の半年間ぐらいの経緯を振り返ってみますと、この雇用安定協約のいわば一つ前提でございます余剰人員対策、これについての労使間の協約がございます。こうした協約について、組合側の対応というものがこの協約の精神の実行をするという仕組みには必ずしもなっていないというふうに私ども認識をしておるわけでございます。  こうした点について、先般中央委員会におきまして、この余剰人員対策の方向について、この制度を認識し、対処する、あるいはこれまでやってきましたいわば一種の妨害行為といいますか、そういうものについては今後やらないというような中央での取り決め、決議が行われたというふうに聞いております。このことは、私ども一応原点に戻ったということで評価をいたすわけではございますが、問題は地方関係の対応というものが今まで非常に問題であったわけでございまして、中央におきます。そうした決定の精神が地方で十分に生かされるということが非常に大事であるというふうに思っておる次第でございます。現在、中央のこうした動きが地方でどのように受けとめられておるのか、この協定を遵守するという仕組みに地方が対応していくのかどうかという点をしっかりと見きわめたいというふうに思っておるところでございます。
  59. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 国鉄本社は、対労働組合の対応は、本社と地方がやるわけではないわけですね。本社と国鉄労働組合本部との間で信頼関係を保ち、団体交渉を行い、そこで調印行為ができる場合には調印をする、こういう仕組みのはずですね。信頼関係が喪失をしているという状況の中で、しかし国鉄労働組合が、私に言わせれば断腸の思いであのような中央委員会決定をされたと思いますよ。にもかかわらず、地方の状況を見なければ本社は決断できないということは、あなた自身のリーダーシップの欠落ではないのですか。どうなんですか。
  60. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 むしろ私は逆だと思います。組合側の中央の地方に対する指導に問題があるのではないかというふうに私は思っております。
  61. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 それは内部干渉というものなんですよ。あなたは、役所が長かった割合には相手側の立場をようわかっておらぬから、そういう口の聞き方ができるのです。私はそれは極めて遺憾な発言だと思いますよ。正確な意味で労使関係を位置づけをしなくてはいけないのじゃないだろうかという気がしますよ。  加えて、昨日付で、雇用の安定に関する協約が締結をされない場合は、配転に関する協定についても、三項と呼ばれる、本人の意に反して免職及び降職は行わないという規定の取り扱いですね、この削除を書面で明らかにいたしましたね。ああいったことは、これから大改革を推し進めていこうと考えている国鉄総裁として、少なくとも、精いっぱい信頼関係を確立をしながら、労使間の努力と国民の理解と納得を求めて作業を進めていくという姿勢ではないと思いますけれども、この点についてはいかがですか。
  62. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 最初に申し上げましたように、これからの大変な問題を解決するに当たりまして、労使間の信頼関係を確立することが極めて重要な課題であると思います。私は、そうした気持ちを終始一貫今後も持ち続けていきまして、たとえ国労がいろいろな問題を起こそうとも、いかなる組合であろうとも、そうした観点に立ちまして、一生懸命努力をしていきたいというふうに思っておるところでございます。  ただいまの配転の問題につきましては、これはいささか事務的な形での期限切れということの結果からするトラブルを防ぐ意味での連絡というふうに御理解をいただきたいと思います。
  63. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 時間がありませんから、これで最後にしたいと思いますけれども、最後に一点だけ要望いたしておきます。  信頼関係をどう確立をするかということは極めて重要なことであり、雇用の安定という意味では、監理委員会答申に示される範囲を通読をしただけでも、これは大変な要員操配を進めていかなくてはいけない、こういう状況なんです。そういう意味では、万遺漏のない施策が刻一刻と進められていくことが大事であって、もちろん、政府に何回も確認をしてきたように、雇用については労働不安を助長させないように精いっぱいの努力をするというのが政府の方針でありますということを春の予算委員会の中でも何回も運輸大臣自身も強調された事柄なんです。その基本になっている労使関係の中での雇用安定協約、とりわけ、この中での取り扱いが将来どうなっていくのかということによっては労使関係がさらに悪化をしていくということも想定をされる。少なくとも、職域における過半数を持っている労働組合との間に超過勤務にかかわる三十六条協定を締結をする、こういう労基法の精神だって現存する中で、七〇%を超える労働組合との間でそういうトラブルが分刻みで行われていくことについては遺憾の意を表明しなければなりません。  可及的速やかに結論を求めていくために、監督官庁としての運輸大臣の見解を求めて、質問を終わりたいと思います。
  64. 山下徳夫

    山下国務大臣 この問題に対しましての私の考え方は、先ほどからお話しのとおり、これはとにかく労使にかかわる問題で、私どもが見ておりましても、何となくお互いが窓を開かないような交渉の実態である、したがって、信頼関係の上に立って、一日も早い円満なる解決が望ましいと思っております。何を申せ、先ほどから御指摘の問題は、国鉄内部の協約の問題でございますので、労使によって円満なる解決が図られることを、これまた私は期待いたしたいと思っております。
  65. 小林恒人

    ○小林(恒)委員 終わります。
  66. 三ツ林弥太郎

  67. 薮仲義彦

    薮仲委員 亀井参考人にはお忙しいところ大変に御苦労様でございます。我々公明党としても、ある意味では亀井委員長と同じように、国民共通の財産である国鉄国民のためにどのような形で残すことが最も理想的なのか、その立場に立って真剣にこの再建については考えておるところでございますけれども、いかんせん野党ということで、私は委員長と数十時間でも協議をしたい点が数多くあるのでございますが、法案成立まであるいはきょうが委員長のお考えを聞く最後の機会かもしれませんので、私は枢要な点を数多くお聞きしたい。お願いしておきたいのは、もしもきょうお答えできないことは、的確な資料をもってお示しいただきたいと私は思うのでございます。  特に、最初にお断り申し上げますけれども委員長に対しまして大変失礼な質問をするやもしれませんが、それはやはり国民のための国鉄をどうするかというまじめな気持ちから本気になって委員長に考えをお伺いいたしますので、冒頭に失礼な点はお許しいただきながら御答弁をいただきたいと思うのでございます。質問に関しましては、要点を申し上げますけれども、我々も少なくとも運輸のことはわかっておりますので、要点を簡潔、明快にお答えいただければある程度理解できますので、よろしくお願いしたいと思うのでございます。  最初に、我々は素朴にお伺いしますけれども、私の周りにも経営者が何人がおります。我々に与えられておるのは、監理委員会のこういう答申と、それから私は何回も委員会質問しておるのですが、いただいた資料は「参考資料」、これだけでございます。これだけで我々が国鉄の再建を推測できるかというと、恐らく通常の経営者であれば、これは困難だということが数多くございます。  その意味で、資料要求と御質問をさせていただきますけれども、我々は国会議員でございますから、こういうものを制作、立案するという責任があるわけでございます。これは亀井委員会で制作なさった政策でございます。今度六十二年なりそれ以降に経営実態が変わってくるわけでございますが、そのときはそれぞれの方が経営者になり従業員の方がいらっしゃるわけです。そこで問われるのが今度は経営責任でございます。いわゆる政策がよくて経営責任が間違っておれば、経営者が責任を問われてもやむを得ないと思います。しかし、政策自体の基本的な計数に誤りがあって、あるのにもかかわらずだれがやっても無理だ、でもそれを押しつけられて経営責任を問われるということは非常に不本意であろうと思います。  そこで、冒頭から大変失礼でございますけれども、この六分割の中で北海道とか九州は経営が非常に困難だなと私は思います。数字の上では黒字の試算が出ておりますが、これはあくまでもペーパー上の試算でございまして、実際どうなるかはこれから御質問いたします。亀井委員長経営者としての立派な実績をお持ちでございます。北海道会社社長、九州会社社長、貨物会社社長、例えばこの三つをおやりになって立派に黒字経営をおやりになれるという自信があってこれをお出しになったと思うのでございますけれども、まず自信のほどを最初にお伺いしたいのです。
  68. 亀井正夫

    亀井参考人 この三社の問題につきましては、それにも書いてございますように、通常では赤が出る、したがって、これに対して基金を設定して、それによって赤字を埋める、こういうことで若干の黒が出るような計算をしたわけでございまして、これで新会社従業員が全社一体となってやる気を起こせば、必ずそのとおりいけるというふうに私は確信を持っておる。企業というものは、やはりそこでやる気があるかやる気がないか、ここが非常に大きな差であるというふうに、私どもは長年の企業経営の経験から体験しておる次第でございます。
  69. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は質問の要点だけお答えいただきたいのですが、委員長社長をやって黒字経営できますね。これだけ、できるかできないか。
  70. 亀井正夫

    亀井参考人 私はできると思っております。
  71. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、次にお伺いいたしますけれども、今、本州の方は三分割されておりますが、なぜ二分割はだめで三分割なのか。要点だけ簡単にお答えください。
  72. 亀井正夫

    亀井参考人 二分割よ三二分割が適当と私ども判断したからでございます。
  73. 薮仲義彦

    薮仲委員 その理由は何でございましょう。
  74. 亀井正夫

    亀井参考人 先ほども質問にお答えしましたように、経営単位としては、労働集約地域密着型の経営でいえば、小さい単位の方が望ましいけれども、やはり経営基盤の確立てあるとか旅客流動に対応するとか、そういう要素から可能な限り数多くということで三つにいたした、こういうことでございます。
  75. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは中身をお伺いいたします。  まず、この資料の中で五カ年間の収支の見通し等も出ておりますけれども、人件費、これは会社経営にとっては非常に重要なことでございます。私も民間の会社におりましたけれども、人件費の推移というのは非常に重要でございます。これだけの資料では私は皆目わかりません。人件費というものは大体単価がどのくらいで要員規模はどのくらいでやっているのか。それからこれには昇給率が大体三%、六十三年以降はその地域にある私鉄給与水準に見合って昇給を考えていく、こうございますけれども、この要員数、それから単価。これは六つの会社で結構でございますが、どの程度でごらんになっているのか。昇給率はどういうお考えなのか。これは地域によってばらばらになるということなのか、それともある程度一定の賃金であるのか。その辺をちょっとお答えいただきたい。
  76. 亀井正夫

    亀井参考人 私どもは一応の試算をしておりますが、細かい数字を一々ここで申し上げるのはなんでございますから、そういう資料につきましては、後から提出をさせていただきます。
  77. 薮仲義彦

    薮仲委員 では、その要員規模、給料等については、後ほどいただきたいと思います。  特に、一つ伺っておきたいのは、北海道には貨物会社しかございませんけれども地域私鉄というのは何を基準におやりになったのか、お答えいただきたい。北海道には貨物会社しか私鉄はないのです。旅客会社がないのです。どの私鉄の旅客のいわゆる会社基準にしてお決めになったのかということです。
  78. 亀井正夫

    亀井参考人 その点につきましては、やはり北海道先生御承知のとおりございません。これは私鉄と言えるかどうか知りませんけれども札幌地下鉄がある程度でございます。比較対象がございませんから、全国六十社の私鉄というものから割り出した最大公約数で判断をした、そういうことでございます。
  79. 薮仲義彦

    薮仲委員 地下鉄は公営でございまして、民間ではございませんので、私の質問には正確にお答えいただきたい。またその資料もきちっといただきたい。  それから、これは非常に重要なことでございますけれども、先般一部の新聞に五十九年決算について云々書かれておりますが、それはきょうは私は取り上げません。今後分割される中でその社員の人生は決まるわけでございます。黒字会社に行くか、倒産する会社に行くかというのは人生の決めどころで非常に大事でございます。六分割あるいはバス会社であるとか、いろいろな関連の数十の企業に行くわけでございますが、だれしも、例えばもうかる東海会社へ行きたい、あるいは東日本会社へ行きたいとかいう希望が出てきます。これは国鉄職員の方が自分の望む会社に行くことを大前提として人員配置をお決めになるのですか。それとも一方的に本人の希望なしに配置をお決めになるのですか。お答えください。
  80. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 これからの会社組織職員の配置等につきましてはなかなか難しい問題でございます。職員の過去の経歴、出身地、学校の履歴等々総合的に判断をしまして、また本人の希望等も考えながら適切に配置をしていきたいというふうに思っております。
  81. 薮仲義彦

    薮仲委員 要求しておきますけれども、私が要求しない限りほかの方答弁しないでください。  監理委員長、今言ったように、私が望む会社に行くということを前提としてこの人員配置は考えていらっしゃるのか、要員規模を考えていらっしゃるのか、その点どうお考えか。
  82. 亀井正夫

    亀井参考人 人間というものはいいところへ行きたいというのが本性でございますけれども、いろいろ性がありまして、苦労してでも悪いところをよくしてみようという意気のある人間もあるし、安楽なところへ行きたいという、いろいろ千差万別でございます。そういう意味で、私ども答申の中では、本人の希望も「参酌した上で」、こういうことが書いてあるわけでございます。
  83. 薮仲義彦

    薮仲委員 この辺についてはどうなさるのか、もう少し明確な資料を私の方で要求いたしておきます。  それから物件費、これもさっぱりわかりません。物件費の中に何が含まれるのか、これを今ここでお答えいただかなくても結構ですから、物件費の詳細を、五カ年間の推移について私はいただきたい。  もう一点は、維持更新投資ということをやっております。この中身についても、例えば車両の買いかえ、これは今までのように、本州から九州とか北海道へ古い車両を回すということはできなくなってまいります。あるいは橋梁であるとかレールをかえることも、この表だけではどこに入っているのかわかりません。物件費と維持更新投資、この二つの中身についてきちんとした資料をいただきたいのですが、これはお願いできますか。
  84. 亀井正夫

    亀井参考人 物件費の詳細についての資料については、後ほど御提出をいたします。
  85. 薮仲義彦

    薮仲委員 次に、市町村納付金についてお伺いしたい。これは、特にNTTも公社から民営化されました。それによって今までの納付金という形が固定資産税方式に変わってくるわけでございます。これについては、これには「当分の間」ということが出ております。納付金を固定資産税にするということは非常に重要なことでございまして、これは時間がございませんから、自治省並びに国鉄数字だけ簡単に言ってください。  自治省は、これは全部私の手元にありますけれども、五十一年度の納付金、五十五年度の納付金、六十年度の納付金、この三つを言ってください。それから国鉄は、固定資産税の五十年度の納付金額、それから五十五年度の納付金額、六十年度の推計納付金額、数字だけ言ってください。
  86. 佐野徹治

    ○佐野説明員 国鉄の納付金でございますが、昭和五十一年度は約百七十八億円でございます。昭和五十五年度は約二百四十億円でございます。昭和六十年度は、これは見込みでございますけれども、約三百八十五億円になるのじゃないかと思われます。
  87. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 今手元にちょっと五十九年度しかございませんが、固定資産税が七十二億円でございます。
  88. 薮仲義彦

    薮仲委員 もう少し総裁もしっかり勉強してください、きのうから言っているのですから。これは六十年度の推計、大体八十億になると思いますけれども、違いますか。会計課の方が来ていたら正確に答えてください。——時間がないから急いでください。
  89. 室賀実

    ○室賀説明員 六十年度予算見込みは、固定資産税は八十億と見込んでおります。(薮仲委員「年度別の今の……」と呼ぶ)五十年度三十億でございます。五十五年度が四十七億でございます。
  90. 薮仲義彦

    薮仲委員 国鉄に今の推移をお伺いしますけれども、納付金と固定資産税については、NTTと同じということを前提にしましても、これは年々伸びております。一五%前後ずっと伸びております。今後、例えば六十五年の推計はどのぐらいになるか、おわかりだったらお答えください。
  91. 室賀実

    ○室賀説明員 六十五年の推計については、ただいま六十五年までの固定資産がどうふえていくかということ等の想定がございませんので、想定したものは持ち合わせておりません。
  92. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは亀井委員長にお伺いしますけれども、市町村納付金については現状と同じ推移でいくということになっておりますが、五カ年間の収支見通しの中に、この増額というのは当然見通されていらっしゃると思う。その納付金と固定資産税をどういう形で見込まれたか、詳細な資料をいただきたい。そうしませんと、この計算の規模が合っているかどうかわからない。  それからもう一点、NTTと同じようになさると言っても、NTTの場合は、御承知のように——時間がないから私が言います。これはいわゆる公社から承継した基幹的な電気事業用資産のうちの償却資産だけが認められているのです。ですから、例えば電電公社の場合は土地というものは固定資産としてきっちり払っているわけです。しかし、今度国鉄の場合は用地費、用地が非常に大きいわけです。固定資産の大宗は用地が占めると思っております。しかも、固定資産というのは三年ごとに見直して、徴税状態が変わってまいります。そうなってまいりますと、この資産実態の中にきちんとそういう条件というものを、前提条件をどうしたのかということが明確でない。NTTと同じということは、土地の固定資産はどんどん減るわけでございまして、計算自体が狂ってくるわけで、その辺の資料も私は明確に要求いたします。いただきたいと思いますが、いかがでございますか。
  93. 亀井正夫

    亀井参考人 六十五年度までは、私どもの試算は、現在の納付金水準でいくという想定のもとに計算をしております。それから土地の問題につきましては、私どもはNTTも土地資産を含んだ計算があるというふうに聞いております。そういう点について総合的に政府でひとつ御判断をいただきたいというのが私ども答申の内容でございます。
  94. 薮仲義彦

    薮仲委員 それでは、その納付金の五カ年間の推移について資料をいただきたいと思いますが、いただけますね。(亀井参考人「はい」と呼ぶ)  では、次の問題をお伺いします。  六分割なさった理由の一つにいつも答弁なさるのは、旅客会社地域旅客流動が大体その六分割の中で完結する、その完結度、数字で結構でございますから、事務方のどなたかパーセントだけ言ってください。
  95. 林淳司

    ○林政府委員 事務的な内容でございますので、私からお答えいたします。  各会社旅客流動の完結度でございますが、これは流動人員でございまして、北海道会社が九九%、東日本会社が九九%、東海会社が八三%、西日本会社が九八%、四国会社が九六%、それから九州が九五%でございます。
  96. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは委員長に私は経営者としての立場からお伺いしたいわけでございますけれども、今のは人口で見た完結度でございます。しかし、経営上から見ますと、これは全然違うのです。監理委員会がいろいろなところでおっしゃいますけれども、九九%とか九七%、地域外へ行くのはわずか数%、こういう言い方をなさる。しかし、経営収入においてその数%がどれほど大きいか。また今国鉄が収入を上げるためにどういう努力をしているか。北海道の人を何とか九州まで連れていこう、九州の人を何とか中国とかもっと遠くまで連れていこうといって全国の交流がどれほど旅客収入に影響を及ぼしているか、これは数字の上でちょっとお示しします。これも数字だけ、国鉄の方、ポイントだけ言ってくださいね。  手元に資料がございます。「昭和五九年度旅客輸送量及び収入構造」新幹線と在来線特急、急行、これはいわゆる区域をまたがる足の長い列車でございます。国電とかその他は結構でございます、国電なんというのはその中で回っているだけですから。新幹線、在来線特急、急行の輸送人員の全体の人口に対するパーセント、それから輸送人キロ、新幹線と在来線特急、急行、それから収入のパーセント、それを言ってください。
  97. 須田寛

    ○須田説明員 お答え申し上げます。  五十九年度の数字でございますが、まず、輸送人員で申し上げますと、新幹線の輸送人員の全体に占めますパーセントが二・四%でございます。それから在来線の特急、急行が約二%でございます。  次に、人キロで申し上げます。新幹線が二六・二%でございます。それから在来線の特急、急行が一六・八%になります。  次に、収入で申し上げますが、新幹線が四〇・七%、在来線の特急、急行が二三・九%でございます。
  98. 薮仲義彦

    薮仲委員 今、委員長もお聞き及びいただいたと思います。確かに国鉄の旅客動態というのは、その地域で完結しますけれども、収入に及ぼすものは足の長いほどいいわけです。今ここにあるように、新幹線とか在来線は、輸送人員ではわずか四・四%のものが、収入の段へまいりますと六四・六%、その会社の半分以上はわずか数%のところで賄っている。二%、三%というかもしれませんけれども、旅客の動態がその会社経営基盤を大きく変えるわけでございます。  もう一つ国鉄さんにお伺いしたい。  いろいろな他の輸送手段があるわけでございます。例えば自動車航空機、海運とございますけれども国鉄の輸送特性というのがあるわけです。国鉄の輸送特性の中で国鉄が将来活路を見出せるそのポイントは、五百キロから七百五十キロ、この距離帯は、私は絶対他の輸送手段、航空機にも自動車にも負けない地帯だと思う。三百キロから五百キロでも十分国鉄は値の輸送手段と闘っていけると思う。さらに七百キロから千キロの間、正式に言えば七百五十キロから千キロの間、この地域国鉄が努力をすれば、もっともっと改善の余地があると私は思いますけれども、時間がありませんので、五十八年度の全体の輸送の中で、距離帯別、輸送機関別旅客輸送分担率で言うと国鉄が何%になっているか、数字だけパーセントで言ってください。
  99. 須田寛

    ○須田説明員 五十八年度数値で申し上げますが、三百一キロから五百キロメートル地帯で国鉄シェアは五五・九%でございます。次に五百一キロから七百五十キロメートル地帯で六五・一。%、七百五十一キロから千キロメートルまでの地域で五四・七%でございます。  なお、ちなみに総体のシェアは約二三%でございます。
  100. 薮仲義彦

    薮仲委員 今申し上げましたように、五百一キロから七百五十キロ、この距離帯というのは一体完結度の中におさまるのかどうか。  ちょっと参考までにお伺いしますけれども、東京は東海会社に入るわけでございます。五百キロというと、国鉄さん、どこまで行きますか。
  101. 須田寛

    ○須田説明員 京都が大体五百十キロでございますので、京都の手前のところが大体五百キロ帯に入ると思います。
  102. 薮仲義彦

    薮仲委員 私も資料がございますから、時間がございませんから、ざっと申し上げます。  東京、東海会社からまたがってこれは富海というのですか、そこまでで大体千キロ、それから小郡まで行きますと、これも千二十七キロ、大体小郡あたりで千キロでございますから、この辺までは国鉄が十分けんかのできるところでございます。  では仮に、今度東日本会社、青森から五百キロ、七百キロは大体どの辺ですか。
  103. 須田寛

    ○須田説明員 大体白河付近になろうかと存じます。(薮仲委員「七百キロは」と呼ぶ)七百キロは東京が七百キロ強でございますので、東京のほぼ近くあたりが七百キロ帯になると思います。
  104. 薮仲義彦

    薮仲委員 青森から大体郡山で五百十二・五キロ、大宮で七百八・九キロ、やはりそれだけ一番お金になるところは会社をまたがってくるわけです。下関から五百キロ、七百キロはどのくらいになりますか。千キロも言ってください。
  105. 須田寛

    ○須田説明員 五百キロ帯がおおむね神戸付近でございます。それから七百キロ帯が名古屋、岐阜付近、千キロ帯が横浜付近、大体こういった感じになろうかと存じます。
  106. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは非常に大事なことでございまして、亀井委員長、よく聞いておいてくださいよ。いわゆる最初申し上げた、このわずか数%かもしれませんけれども、その旅客の動態が、足の長い五百キロ、七百キロ、千キロというのが、ある場合には国鉄経営の五割、六割というものを支えなければならない。ですから、先般の五十九年度の決算報告の中にあるけれども、何が言われているか。国鉄離れに歯どめ。一つ航空機事故があった。もう一つはフルムーンパス、こういう企画商品をつくったり、足の距離の長いものをつくって、国鉄が一生懸命努力したから収入というのはふえているんですよ。新幹線とともにこういう企画商品が大事です。団体旅行をさせる、こういう努力によって経営というのは好転するんです。だから、区域内におさまるからいいなんということは、はっきり言って何らの理由じゃないんです。わずか数%の人をどこまで運ぶか、これが経営者にとって経営努力なんです。この点は間違えないでいただきたい。  ここで大事な点で申し上げておきたいのは、では、このような人口動態でまいりますと、やはり国鉄というものはわずか数%のところを努力しなければならない。しかもそれは二つの会社、三つの会社をまたがっていく。そうなってくると、いわゆる運賃の清算というものが会社経営に大きく影響するわけです。現在、国鉄は併算制でございますが、今度分離した場合は併算ですか、通算ですか。
  107. 亀井正夫

    亀井参考人 通算制を前提にして考えております。
  108. 薮仲義彦

    薮仲委員 時間が来たようで非常に残念なんですが、この通算のことも非常に大事なんですよ。先ほど来問題になっておりますけれども、いわゆる東日本会社、東海会社、西日本会社、こう三つになります。それでさっき委員長は、経営努力によって黒字にできる、あるいはふまじめにやれば赤字になるかもしれない。最初は確かに通算制でスタートいたします。でも、例えば五年なり十年たって、経営者も有能な方であり従業員の方も本当にこの会社をよくしようと思って努力なさった。それをどうはね返らすかといえば、例えば旅客の方に——運賃というのは経営の一番中心でございます。運賃、ダイヤ、これが国鉄経営の根本でございます。この収支見通しの中には関連事業が入ってない。国鉄だけです、線路だけです、オンレールだけです。オンレールだけということはダイヤと運賃が経営の死命を制するということです。関連事業の計算はこれには一つも入ってないのです。であるならば、運賃決定について、努力をした会社は、その地域の方にお世話になった、少なくとも他の会社が上げても上げるのはやめよう、あるいは他の関連事業でもうかったから運賃を下げようということがあっても、これは当然だと思います。特に、私鉄の運賃に比べれば国鉄が高い部分もございます。ですから、逆に運賃を下げよう、こういう対応があっても間違いではないと私は思うのです。そのときに通算制をすると一体どういうことが出てくるか。  それは数字だけちょっとお伺いしたいのですが、時間がありませんから、簡単に言ってください。擬制キロ通算制ということをおやりになる。東日本会社、東海会社、西日本会社がありますけれども、仮に東海会社はもうかったから上げません、しかし両側の会社は損じましたから一〇%上げたいとか、こういう試算を出してもらいました。金額だけで結構ですから、収入配分が現行幾ら、上げない会社が幾らになって上げた会社が幾らになるか、数字だけ言ってください。
  109. 林淳司

    ○林政府委員 ただいま先生の御質問によります前提で計算をいたしますと、現行でいった場合、例えば青森−下関間というふうに考えてよろしゅうございましょうか。その区間で考えますと、現行運賃で一万六千六百円でございます。それを各会社に配分いたしますと、東日本会社が七千六百円、東海会社が四千百円、西日本会社が四千九百円。それから今先生おっしゃったように、同じ区間におきまして、東日本会社と西日本会社が現行より一〇%アップ、それから東海会社は現行据え置き、こういう前提で考えますと、トータル額は一万七千四百円。それを各会社に配分いたしますと、東日本会社が八千百円、東海会社が四千円、それから西日本会社が五千三百円ということになります。この場合、東海会社につきまして、現行の場合が四千百円の配分、それから運賃改定をした場合が四千円ということでございますが、これは端数処理の関係というふうに考えられます。
  110. 薮仲義彦

    薮仲委員 亀井委員長、これは重要な問題なんですよ。現行でいくと東日本会社が七千六百円、東海会社が四千百円、西日本会社が四千九百円、こうなるのです。ところが赤字を出した、例えば経営者が無能だと言ったら大変失礼ですけれども経営者の努力むなしく、あるいは従業員の方の努力むなしく赤字であった、そして東日本会社が一〇%運賃を上げたい、西日本会社が運賃を上げたい、こうなると、努力をして上げなくてもいいよという会社は四千百円から四千円に取り分は下がっちゃうのです。努力しない赤字会社というのはどうなるかというと七千六百円から八千百円、四千九百円から五千三百円。だったらばもうかってても——いわゆる通算制でいけば、擬制キロ通算制ということを監理委員会おっしゃるんだったらば、両側の赤字会社と同じように真ん中も上げなければ、従業員としてはまじめに働いたって、これでは何ら報われない、こういうことになります。きょうは時間がないからやめておきますけれども、これは通算制の中で非常に大きな禍根を残す問題でございます。  数多くの質問があるのですが、それではきょうはあと二つだけ、結論だけ監理委員長にお伺いしたい。  特に、国鉄の用地の問題、この売却については五兆八千億とも言われておりますけれども、これが一般の地価に与える影響というのは物すごいものがある。特にこれは公開競争入札。日本国有鉄道法の四十九条に「契約」というところがあるわけでございます。あるいは政令の中で「随意契約」というところがあるわけでございますが、これは委員長も御承知でございますからさておきまして、現在はいわゆる一般公開競争入札としてあるようでございます。これが一般公開競争入札になりますと、まず地域の大きな地価の高騰の原因、引き金にならないかどうか。また国鉄用地というのは駅前の一等地でございます。日本の国が持っているいわゆる国有あるいは公有の財産の中で、駅前の一等地は国鉄が持っているのが最後だと思うのです。最も一等地でございまして、これは建設省を初め関係地方自治体が駅前の顔をつくろう、その中で駅前周辺整備事業をやろう、都市計画あるいは区画整理事業というものにきちっと組み込んでおります。しかし、現在の国有鉄道法でいきますと公開競争入札です。地方自治体に上げれば、これは随契ができます。でも、今中曽根内閣がおやりのように民活でございます。地方自治体だけでそれはやっておりません。第三セクター方式で民間活力を導入して、何とかこの駅前をよくしよう、この地域をよくしようということで努力しております。そうすると、第三セクターというのは随契の対象になっておらぬのです。これは非常に重要である。しかも、この駅前周辺整備事業は、過去五年、十年という長きにわたって都市計画決定をして今日あるわけです。ですから、この土地については各地方自治体の計画あるいは建設省、国土庁の見解等も十分踏まえて——一円でも高く売れば、逆に国民の負担が軽くなるのだから高く売りたい、これはわかります。でも、大きな視野で見るならば、それが地価を高騰させる。公共事業の用地費は都市部においては六割以上です。それでさらに地価を上げるということになれば、財布は同じで、公共事業投資に余計に国民の税金を使わなければならないとなれば、高く売ったけれども、はね返りの方が大きく、かえって住宅建設や公共事業に大きな挫折を来すわけです。そういう意味で、この土地を単に高く売ればいいということではなく、建設省、国土庁、関係地方自治体の経緯の中で、有効に使うべきものは——これは決して国鉄の財産ではありません。百年間国民共有の財産ですから、最も国民が望む、ふさわしい町づくりや地価のあり方について十分配慮すべきであると思いますが、委員長のお考えを聞いて、私の質問を終わります。
  111. 亀井正夫

    亀井参考人 長期債務の処理に関しまして土地売却ということを提案したのでございますが、これは間接に国民負担になりますから、国民負担というものをできるだけ軽減したいということと、それから土地はそういうことで処分をいたしますけれども、これは公開競争入札ですから、衆人環視の中で行われるわけでございまして、私は公正さというものが担保されると考えております。
  112. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  113. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 中村正雄君。
  114. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 破綻に瀕している国鉄を再建するための青写真を長期間かけて答申されました亀井委員長を初め監理委員会職員の方に、冒頭に私は敬意を表します。  亀井さんにお聞きしたい第一点は、法律に基づいて監理委員会が設置され、監理委員会の任務も決められておるわけでございます。したがって、監理委員会にお願いいたしておる点は、国鉄の再建全体をお願いしているわけで、旅客輸送だけをお願いしているわけではないわけでございます。もちろん、貨物輸送についてどのような骨格で新しい会社をつくるかということの答申のできなかったいきさつにつきましては、私は十分知っておりますので、あえて亀井さんにお聞きしようとは思いません。ただ、私が委員長にお聞きしたいのは、先ほど言いましたように、法律に基づいて国鉄全体の経営形態を含めて再建をお願いしたわけでありますから、貨物については全国一社制の貨物会社をつくる、これは十一月中に政府において骨格を決めるべきだという答申になっているわけでございますが、今、政府中心になっておつくりになっていると思いますけれども、しかし、政府が一方的につくるというのでは、監理委員会の責任は果たせないと思います。貨物会社の骨格がどのようなものであるかということについては、私は運輸省と国鉄監理委員会が三位一体になってつくるべきものだと考えております。したがって、貨物会社の内容についても、監理委員会が責任を持って当たらなければならないと私は考えておりますが、監理委員会は責任があるとお考えになっておるか、あるいは答申した以上は、あとは政府任せであって、貨物会社の内容については責任がないとお考えになっておるか、監理委員長の御意見をお伺いしたいと思います。     〔委員長退席、鹿野委員長代理着席〕
  115. 亀井正夫

    亀井参考人 貨物については、特殊事情あるいは非常に専門的分野があるものでございますから、国鉄当局と運輸省とで私どもの粗筋の線においてつくっていただきたいということをお願いいたしましたので、これが出てきましたら私どもも検討させていただきまして、先生指摘のとおり三者一体で責任を負うものである、こういうふうに考えております。
  116. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 貨物会社の骨格についてはいまだ発表になっておりませんし、検討中だと思いますが、亀井さんの御意見を聞きたいと思います第二点は、貨物会社全国一社にする、これは一つの方法でございますから、私はとかくは申しません。ただ、新しくできる貨物会社が従来の国鉄と同じ考えの基盤に立ってつくちれる貨物会社であれば、今までの国鉄と同じような運命をたどると思います。言いかえますならば、貨物輸送の今までの赤字というものは、国鉄全体の赤字に吸収されておりますから、分析の結果ははっきりいたしておりますけれども、新しくできる貨物会社は、赤字になった場合何らの補てん措置はございません、民間会社でございますから。したがって、やはりつくる貨物会社も将来性ある、活性化ある貨物会社でなければならない。例えば、従来のようにトラック業者、通運業者あるいは臨海鉄道等のすべての権益をそのままにして経営規模を縮小するというような考え方、もっと専門的に言えば、貨物輸送、配車を中心にした新しい貨物会社であれば、従来の国鉄の再建計画と同じように瓦解すると思います。したがって、これからつくろうとする貨物会社は、新しい発想に立ってつくらなければならないと私は考えます。  もっと端的に言えば、一般の通運業者や運送業者と新しくできる貨物会社の違う点は、道路の上をトラックで輸送するか、レールの上を貨車で輸送するか、その違いだけであって、あとはすべて民間の運送会社と同じ形のものでなければ将来性を期待することはできないと思います。従来の国鉄再建計画の手法によります貨物会社であれば、断言することは経済界の動向でできませんけれども、私は活性化ある貨物会社にならないと思います。したがって、新しい貨物会社というものは、白紙の上に立って、今までのような国鉄専門用語である配車中心でなくして営業中心にする、いかにして荷物を集めることができるかという営業中心の貨物会社でなければ採算がとれないと私は思います。  そういう点について、亀井委員長の御意見がおありになれば聞かせていただきたいと思います。
  117. 亀井正夫

    亀井参考人 先生指摘のとおりでございまして、貨物につきましても、現在極めて経営責任が不明確という点がございますし、それから近代化あるいは情勢の変化に立ちおくれておる、こういう要因が非常に大きいと思います。現実に輸送というものは、片道満杯でも片道空であればコストは倍かかるような計算になるわけでございます。先生のお話のように、これから集荷能力を充実するということも必要でございましょうし、それから今、トラックによる輸送というものが特に大阪、東京においては既に超飽和状態ということでございますから、本当国民の輸送機関として鉄道というものがもう一遍再見直しされる時期が来ておる、そういう面におきまして、貨物については、やり方によってはまだまだこれから繁栄できる要素が非常に大きい、こういうふうに私は考えております。
  118. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 幸い運輸大臣が御出席でありますので、運輸大臣の御意見も聞きたいと思うわけなんです。  貨物会社の骨格については、一応主務大臣である運輸大臣中心で構想をつくらなければならないわけです。ただ、私の見る目では、今考えられておるような貨物会社は、従来の貨物輸送と同じような考えで、他の業者の既得権も全然侵害しないというような枠の中で貨物会社をつくったのでは、私は見込みがないと思います。したがって、今、亀井委員長もおっしゃっておりましたように、新しい貨物会社というものは、極端に言えば、今までのトラック業者や通運業者あるいは臨海鉄道その他いろいろな権益の枠の中で再建しようと思ったらできない。そういうものを御破算にして、運輸省としては貨物会社一つの運送会社として将来立ち行くような考え方で再建構想をつくらなくてはならない。ただ、今各業界等のいろいろな圧力もあると思いますけれども、これはやはり国民のための貨物会社をつくるのであれば、政治的に英断を振るって、だれが考えても、努力さえすれば、民間の運送会社として国鉄の特性を生かして十分発展できる、活性化のある企業にするように考えてもらわなければならないと思いますが、運輸大臣の御意見を伺いたいと思います。
  119. 山下徳夫

    山下国務大臣 基本的には、内閣といたしましても監理委員会の「意見」を最大限に尊重するという立場から、しかも監理委員会の「意見」にもございますように、十一月いっぱいに成案を得るものとするという時限的なものも十分配慮して、今週中には結論を出したいということでございます。  その内容は、今申し上げたとおり、最大限に尊重するという立場にまず立っているということでございますが、あわせてやはり鉄道貨物の持つ特性というものは十分発揮しなければならぬし、これからまた民間会社としてやる以上は、先生指摘のとおり、やはり利潤ということを十分追求していかなければならない。そういう観点から、また監理委員会の「意見」等もあわせてそこに肉づけをしていく、これが基本的な方針ではなかろうかと思います。
  120. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 事務的な点について亀井委員長にお伺いしたいと思うのですが、今おっしゃいましたように、内面的には監理委員会も貨物会社の骨格についてそれぞれ相談を受けていらっしゃると思いますが、事務的な面で考えると、国鉄と運輸省でいろいろ協議して、こういう貨物会社をつくろうということで監理委員会の御意見を聞いて政府案を決定するのか、あるいは政府自身が決定するのか、この点については運輸大臣、どういうふうな手続になっているわけですか。
  121. 棚橋泰

    ○棚橋(泰)政府委員 先ほど大臣が申し上げましたように、今週中には運輸省としての考え方、成案を得たいと思っております。その上で監理委員会には御説明を、もちろん事務的にはいろいろお話ししておりますけれども、その上で改めて監理委員会には事務的にこれを御説明申し上げ、またその御意見を聞いて最終的に法案の段階の中にまとめてまいりたい、かように思っております。     〔鹿野委員長代理退席、委員長着席〕
  122. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 大事なことでありますので、これは委員長としての亀井さんにお聞きするわけでございますが、一応運輸省として最終案ができる、そうして形式的といいますか、事務的に監理委員会の御意見を聞く、こういう段階になって政府は最終案を決めると思います。その際に、今まで検討されました監理委員会として、政府が示された案について監理委員会の考えと大体において一致すれば結構でございますけれども基本的な構想において監理委員会としては承服できない、これでは今後の貨物会社の将来について監理委員会としては責任が持てない、こういう段階になれば、監理委員会の「意見」と政府案と対立することになると思います。したがって、その場合、政府がどう処置するかは別にして、幸いにして政府案について監理委員会がこれで大体いけるだろうと了承されて、国鉄、運輸省、監理委員会と大体において意見の一致する貨物会社であれば結構でございますが、基本的にこのような会社であれば、監理委員会としては将来見込みがないというようなお考えになった場合は、監理委員会としては何らかの意思表示をなさる意思がおありになるかどうか、亀井さんにお聞きしたいと思います。
  123. 亀井正夫

    亀井参考人 まだ成案を伺っておりませんので、これは仮定の質問で甚だデリケートなお答えになるかと思いますが、私どもは、国鉄というもの全体、また貨物というものを再建させようという基本線でございますから、その点につきまして、あるいは政府に現状以上に過大な負担ということはどうかとか、いろいろな観点から検討いたしまして、もしいい御意見があれば、率直に国鉄当局あるいは運輸省に申し上げて、三者が先ほど申し上げたように責任の持てる案をつくることが私どもの責任である、こういうふうに考えております。
  124. 中村正雄

    ○中村(正雄)委員 最後に、要望だけ亀井委員長と運輸大臣に申し上げたいと思います。  旅客会社についても相当努力をしなければ監理委員会答申どおりの黒字は出ないと思います。これは亀井委員長もおっしゃっているように、企業は人でありますから、一応枠組みはできているわけでございますが、やはり最大の努力をする。ところ、貨物会社について、一部巷間伝えられるところによりますと、一応つくって、どうにもできなかったらつぶして、あと旅客会社に合併したらいいんだ、こういうような一部の話もあるわけでありますが、そのようなものであってはならない。したがって、貨物会社も旅客会社と同じように、従業員職員が努力をすれば、将来性の持てる貨物会社、こういう骨格につくってもらいたいということを亀井委員長なり運輸大臣に要望して、私は質問を終わります。
  125. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 辻第一君。
  126. 辻第一

    ○辻(第)委員 私は長期債務の問題について亀井参考人質問をいたします。  国鉄を再建するに当たって、膨大な長期債務をどうするかという問題は、最も重要な課題の一つでありまして、亀井委員長御自身も国会でしばしば答弁をされてまいりました。  例えば昨年六月二十八日の参議院運輸委員会では、「長期債務の問題につきまして私どもが非常につらい点は、国家財政というものにゆとりがあればいろいろの処理のしようがある。ところが、残念ながらそちらも借金でやらなきゃいかぬ。そういう中に、さらに政府財政に負担をどういう形でやり得るかということについて苦慮をしておる」、このように答弁をされておりました。  ところが監理委員会意見書では、この長期債務について、分割民営化される新会社、それから新幹線保有主体、旧国鉄への振り分けをやっただけで、旧国鉄に残される十六兆七千億の長期債務の財源対策については回答を出さずに、政府において処理方針を検討、確立すべきであるとしまして、政府にげたを預けてしまいました。  そこで、二点について質問をいたします。  第一に、いわゆる国鉄監理委員会設置法の国会審議では、長期債務の財源措置についても監理委員会で検討し、適切な結論を出していくと政府は明確に答弁していました。例えば五十八年の四月十二日の当委員会で、我が党の四ツ谷議員の質問に対しまして、現在監理委員会務局次長であります、当時内閣審議官として国会答弁の先頭に立っていた林さんは次のように答えておりました。ちょっと読んでみます。  ○四ツ谷委員 国鉄に残された債務の財源措置の検討はだれがするのかと言えば、監理委員会がする、必ず実行が可能という財源のことまで監理委員会が検討をする、こういうことなんですか。  ○林(淳)政府委員 財源の問題、これは大変むずかしい問題であることは事実でございます。ただ、実効性のある再建対策というものをつくろうとすれば、やはりこの財源の問題まで踏み込んで検討せざるを得ないだろう、こう考えておるわけです。  ○四ツ谷委員 長期債務をどうするかというのは、監理委員会で検討してもらうんだ。しかも、その監理委員会は国全体の財政の問題も考えてもらわなければいかぬ。こういうふうな権限までこの監理委員会が持っているのかどうか。  ○林(淳)政府委員 この財源の問題は、これは非常にむずかしい大変な問題だと思いますが、 ただ、監理委員会が勝手に何か決めてもしようがないじゃないかということは、これはもうおっしゃるとおりでございまして、 結局は関係する所管省庁と十分密接に連携をとりながらその辺の検討を進めていくということになろうかと思います。 こういう答弁でありました。しかし、結果はまさに意見書のとおりでありました。政府の答弁は全く実行されなかったということだと思うわけであります。  そして、意見書提出後の亀井委員長の記者会見の報道によりますと、長期債務等の財源について「総合的な対策をとれば財源は確保できる。税の直間比率を洗い直したり、徴収もれになっている部分への査察を強化するなど、増税をしなくても税負担の公平化、公正化で対応できるのではないか。」と言っておられました。これらの措置が増税であるかないかの評価は別におくといたしまして、このことをなぜ意見書に書いて、その是非を広く国民に問わなかったのか。監理委員会にはそこまで書ける権限がないというのであれば、監理委員会設置法の審議の際に、政府は国会を欺いたことになりますし、そうでないというのならば、監理委員会は無責任にも法律で定められた任務を放棄し、言うなら白紙の答案を出したということになるのであります。どちらなのか、はっきりとお答えをいただきたいと思います。
  127. 亀井正夫

    亀井参考人 長期債務というのは、現在、三月末で二十二兆弱ということになっておりますが、いろいろな関係を、この際新しい組織体に返す場合には、清算しなければならないものが三十七兆三千億ということになったということは答申に書いたとおりでございます。その中で、新事業体及び新幹線保有主体で返すべきもの、それから土地を処分して返すべきもの、それから株を処分してやるものということで、これで二十兆六千億というものが整理ができる。これは一つ適切な対策として私は出した。そのあと十六兆七千億というものは、これは処理のしようがありませんから、政府において御検討をいただきたい。これは「国は」と書いてありますが、政府及び国会において対策を御検討いただきたい。その点につきましては、結局そういう莫大な金額というものについて、簡単にここに財源がありますよということでなく、財源は今の土地の処分とか株とか新会社が返すとか、それは処理の一つの方策の一部分で、残りのしようがないものはお考えをいただきたい。しかし、こういうものは、やはり政府機関において、財政審議会であるとか税制調査会とか、それぞれ専門的にそういうものを長期的に検討する機関がありますので、そういうもので政府及び員会において真剣に検討して、国民的な合意の上、長期的視野で御解決をいただきたい。こういうので、私どもは長期債務処理についてあえて適切な方策を出したというふうに確信をしております。
  128. 辻第一

    ○辻(第)委員 やはり十六兆七千億という膨大な金額、これの財源対策を明らかにしていないということは問題ですね。本来、これは政府の責任でやるべきものであり、監理委員会権限ではないもの、そういうものを政府監理委員会にゆだねたということになるのか。どうなんですか、それは。委員長、いかがですか。
  129. 林淳司

    ○林政府委員 ただいま先生から御質問のあったところでございますが、これは前に監理委員会の設置の根拠となっておる現在の臨時措置法というものを御審議いただいた際に御答弁申し上げたとおりでございまして、私ども監理委員会といたしましては、ただいま監理委員長からお答え申し上げましたように、三十七兆三千億の債務について、一部については事業体あるいは土地の売却あるいは株の売却というふうなことで財源を見つけ出す、それからさらに最終的に残る十六兆七千億については、最終的には国民に負担を求めざるを得ない、こういうことでその方向を出し、ただしかし、それは公債に安易に依存するということは避けるべきであるという考え方、あるいは財源を最終的に具体的に確定するに当たっては、国は長期的観点に立った総合的かつ全国民的な処理方策というものを念頭に置いて具体的な内容を確定してもらいたい、こういういわば財源についての基本的な考え方というものをお出ししたわけでございまして、あとは財政の極めて専門的事項に属しますので、具体的な内容については政府の方で御検討いただく、こういう考え方でお出ししたということでございます。
  130. 辻第一

    ○辻(第)委員 それは林さん、あなたも国会で答弁されたわけですけれども、あのときの答弁の内容と大きく違っておりますね。十六兆七千億というような膨大な財源対策を政府にげたを預けたままで、言うなら白紙回答ですね。こういうことで、今のような説明ではとても納得ができない。厳しくその点を指摘をしておきたいと思います。  時間がありませんので、次へ移ります。  二番目に、結局この財源措置については、去る十月十一日の閣議決定で、「意見」の趣旨に沿って、長期的観点に立った総合的かつ全国民的な処理方策を検討・確立する。」ということになって、再び振り出しに戻ったということですね。  そこで、関連をしてお聞きをいたしますが、意見書は、確かに長期債務の振り分けまではされました。しかし、先ほど申しました旧国鉄の十六兆七千億という長期債務の財源対策、この措置はなしのままということであります。そういう状態の中で、六十二年四月の分割・民営会社の発足と長期債務の財源措置の確立は同時に処理されるのかどうかという問題が起こってまいります。もしも旧国鉄に残された長期債務の財源措置が先送りされるようなことになりますと、また借りかえ、借りかえでその場をしのぎ、赤字が雪だるまのようにふえることは、これは火を見るよりも明らかだと思うわけであります。これでは今の国鉄と何ら変わりなく、再建どころではないと言わざるを得ないのであります。  意見書では、このような事態を引き起こさないためのはっきりとした歯どめをかけているのかどうか。かけていない、そういうことだと思うのであります。分割と民営はあくまでも同時発車でなければならないという記載はありますが、経営形態の変更と長期債務の処理も同時発車という記述はどこにもありません。財源措置は国の財政状況等を見ながらおいおいやればよいということなのか。いかがなんですか。そこの点をお答えをいただきたいと思うわけであります。事は法案準備作業の根本にかかわることであります。重大な問題でありますので、明快な御答弁をいただきたいと思います。
  131. 亀井正夫

    亀井参考人 国鉄の再建につきましては、効率的な経営形態の確立と長期債務の処理というのは、今のような大きな負担を背負ってはどんな企業体もいけないから、これは同時と言い、それから余剰人員の処理の問題、これは三位一体で初めてできる問題でございます。そういう意味では、はっきり書いてないとおっしゃいますが、あれを読めば、文脈上当然三位一体であるということで私どもはつくり上げております。  それから、債務の処理につきましては、あの中に書いてある十六兆七千億というものについて、三十年均等償還であれば年六千五百億という負担になりますよ、ここもサゼスチョンとして出してありまして、その負担について、やはり財政当局、財政審議会とか税制調査会、そういうところでつぶさに、どういうふうにすればできるかというのを専門的分野から御検討いただきたいということで、私どもは「意見」を出したということでございます。
  132. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう一度お尋ねをいたしますが、財源措置は国の財政状況を見ながらおいおいやればよいということですか、結局のところ。
  133. 亀井正夫

    亀井参考人 少なくとも、その六十二年四月発足時までにはめどがついて、新事業体については、私どもの課した、新事業体で言えば十四兆二千億でございますが、それは長年時間をかけて返していくという、それだけの負担をしなさい、あとの負担はしない、こういう前提でできておるわけでございます。
  134. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは今の発言は、当然政府に尊重義務を求める、そういう性質のものですか。いかがですか。
  135. 亀井正夫

    亀井参考人 私どもの「意見」では、国がこれの方策を検討、確立をしていただきたいということで、政府並びに国会という意味ということは再三こういう場で申し上げております。
  136. 辻第一

    ○辻(第)委員 最後に、このような膨大な借金、赤字、先ほど申しました十六兆七千億については何ら解決の方策を示さないで、再建はこれしかないと言ってこられた国鉄再建監理委員会、私はこの問題は重大な問題だということを厳しく指摘して、質問を終わります。
  137. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 この際、参考人に一言お礼を申し上げます。  亀井参考人には、御多用中のところ御出席いただき、まことにありがとうございました。  午後一時三十分より委員会を再開することとし、休憩いたします。     午後零時一分休憩      ————◇—————     午後一時三十四分開議
  138. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  陸運、海運、航空及び日本国有鉄道経営に関する件等について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関山信之君。
  139. 関山信之

    関山委員 最初に、まず総裁にちょっとお尋ねをいたしますが、実はこの春のことなのですけれども、私の地元の新潟日報という新聞がございまして、そこに四段抜きで「国鉄職員相次ぎ自殺」という記事が出ました。それ以来私の記憶の片隅にこの問題が絶えずひっかかっておったわけなのですけれども、実はきょう余剰人員問題を」御質問申し上げるに当たって、この隣どうなっているのだろうかと思いまして、昨週末に急速調べてみました。総裁、今、国鉄職員の中でこの一年間にどの程度自殺者がいるかを御存じでしょうか、お調べになったことがございますか。
  140. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 そういう例があるということは前から私も聞いておりますし、事態の深刻さというものについて十分認識をしておるわけでございますが、ちょっと今全体の数字はつかんでおりません。
  141. 関山信之

    関山委員 これはあらかじめ申し上げておいたわけじゃありませんから、数字がわからなくても結構なのですけれども、実は週末からけさにかけて急速調べまして、全国で三十三名おりました。中身を申し上げますと、札幌で四名、青函で一名、秋田で一名、東京で六名、静岡で三名、名古屋で四名、南紀で三名、福知山で一名、岡山で一名、広島で二名、門司で一名、大分で一名、熊本で一名、長野で一名、新潟は三名であります。しかも、この三十三名の自殺者の中で極めて特徴的なことは、四十歳台という働き盛りの人が一番多くて十三名です。その次が三十歳台、五十歳台がそれぞれ八名ずつです。この事態は極めて異常な事態じゃないか。  加えて、これも新聞で大々的に報道されておりますけれども、先ごろ神戸で出向の国鉄マンが妻子を殺害した事件があったのは御記憶にあると思います。この種の事件も一件きりかと思いましたら、追っかけて九月二十七日に石川県の河北郡で同じく父親が三児を殺害しているという国鉄職員の方の事件が起きている。私も思いついて調べてみて、今まで心の片隅にこびりついていたものの正体を見る思いがいたしたわけでありますけれども、改めてこの数字をお聞きになって、いかがですか。
  142. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 全体の数字は大変多いということでございまして、こうした事態がどうして起こってきておるのかという点も、これから私どももちょっと調査をさせていただきたい。全体の中の職員の心の動揺、不安、そうしたようなものがこうした数字に反映をしておるのではないかというふうにも思いますので、今後一層注意をし、職員に対するいろいろな意味での、広い視野での対応というものを考えていきたいというふうに今思っておるところでございます。
  143. 関山信之

    関山委員 私の調べも極めて短時日の間でありますし、数字そのものも、これ以上まだ出てくる可能性があります。新潟の場合、三名と申し上げましたけれども四名という説もございまして、定かでない部分もたくさんあるようであります。  加えて、自殺の原因などについては、これまた大変難しい問題なんでありますけれども、今、総裁からもお話がありましたように、一件だけ、明らかに国鉄の職場に希望を失ったという走り書きを残して亡くなっている職員の方もいらっしゃいます。  私は、こうした事態はまだ入り口なのじゃないかと思うのですね。余剰人員九万三千人。今三十万七千人国鉄職員がいらっしゃるわけですけれども、そのうちの九万三千人だけがそういう状態に置かれているということにはならないわけですね。いつ自分が九万三千人のうちの一人になるのか、あるいはそのうちの四万一千人の中に入るのか、二万人の中に入るのかという意味でいえば、まさに三十万七千人の人たちがそうした心理的な不安の中にいるということ、監理委員会の皆さん方がお書きになった机上のプランとは別に、このことの裏腹でこういう事態が進んでいるということも私たちは忘れてはならないんじゃないかという気がいたします。  そこで、この点については総裁からお答えもございましたが、大臣からも、この際事実関係調査していただきまして、こうした問題に対するしかるべき対処の方針をお持ちいただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  144. 山下徳夫

    山下国務大臣 今、数字を伺いまして、一瞬私もびっくりいたしたのでございますが、それぞれどういうことが原因でお亡くなりになったのか、まことにどうもお気の毒であるということは私もよくわかるのでございますが、さらに私の方でも実態を調査してみたいと思います。
  145. 関山信之

    関山委員 それでは、この問題はその程度にとどめておいて、先へ進ませていただきます。  二番目の問題は、先ごろ国鉄労働組合が公労委に救済を申請いたしました人事調書の問題についてお尋ねをしたいわけです。  この問題をめぐっては、新聞でもいろいろとやりとりが報じられておりましたけれども分割民営化が法的に定まらないうちに、それを前提とした人事調書をとるということは大変けしからぬことだということで、議院運営委員会でも指摘がございまして、官房長官の談話なども出されておるわけでございますけれども、この人事調書の問題について、事実関係はどうなっているのか一側説明をいただきたいと思います。
  146. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 この国鉄改革の問題は、既に政府の方で閣議決定によりましてその基本方針が決定をされている内容でございます。当事者である私どもといたしましては、もう余り日にちがございません。懸命な努力をしながらその準備をする必要があると思って作業をしておる過程でございますが、私、総裁になりまして非常に気になりますことは、こうした改革の問題につきまして職員がそれぞれどういう気持ちを持っておるのか。先ほど自殺のお話がございましたが、お一人お一人がどういう気持ちを持っておるのか、未来をどのように描いておるのか、あるいはまた不安、絶望を感じておるのか。いろいろな意味職員一人一人の気持ち、考え方につきまして、これを何とか知りたい、今後の改革に当たっても、これらをぜひ参考に織り込みながら適切な手を打っていきたいというふうに思っておったところでございます。  たまたま人事調書は、主要な職員の一部について従来からも行っておる人事調書を今回実施しようということであったわけでございますが、せっかくの機会でございますので、この際、今最も問題となっておる国鉄改革につきまして、どうぞ遠慮なく意見を言ってください、どんなことでも結構ですという意味で、今回項目に加えたわけでございます。私どもはそうした意見を十分に、先ほど申しましたように、頭にあるいは腹にしまい込みながら、今後の改革に取り組んでまいりたいということでございまして、決してこの内容自体を本人の将来の人事管理に即座に使うとか、あるいは思想調査を行うというような目的を持ってはおりません。全然そういう意図ではございませんので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
  147. 関山信之

    関山委員 簡単にお答えいただきたいと思いますけれども国鉄当局によると、この日の記事では、組合員らに記入、提出を強制しているわけではなく、今話がありましたように、出さなかったからといって何の不利益を受けるものでもない、これはこのとおりですか。
  148. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 せっかくの調書でございますから、ぜひとも全員出していただきたいと思いますけれども、強制力はございません。あくまで我々の参考にしたいということでございます。
  149. 関山信之

    関山委員 しかし、おたくの方の「人事調書記入要領」によりますと、これは明らかに「国鉄改革に関する意見」については、「この欄は必ず記入すること。」となっているのですね。そういう指示のもとにこの調書がとられている。しかも、お話ございましたように、今回は、従来のこの調書の対象の枠組みを広げて、一般組合員の方にもおやりになっていらっしゃるわけですね。  そこで、どうなんでしょうか。ねらいは総裁からの御答弁できれいごととしてはわかりますが、しかし、これは明らかに踏み絵になりますよ。先ほど申し上げましたように、三十万七千をどう仕分けをするかということについて、これが参考にならないわけはないでしょう。その点では、この官房長官の談話では、厳重に当局に対して指導するという談話が出ているのですが、総裁、お読みになっていますか。この官房長官の表明に基づけば、総裁の方から出された通達の、「必ず記入すること。」というこの項に関しては、撤回をされなければならぬと思うのですが、その後いかなる処置をなされておりますか。
  150. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 この調書の趣旨が先ほど申し上げたとおりでございますのでかこの際撤回の必要はないというふうに思います。
  151. 関山信之

    関山委員 あなたの主観的な意思がどうであれ、こういうことが強制されて一人一人からとられるということは、心理的なプレッシャーにならないとでも言うのですか。しかも、官房長官表明は、政府から厳重に注意をする。官房長官から注意がありましたかどうか、あったとすれば、どういう注意に基づいて、この問題についてどう対応を変えようとなさっておるのか。
  152. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 官房長官の談話等の御趣旨につきましては、私ども十分に理解をしているところでございますが、先ほど申し上げましたように、国鉄改革案そのものは、監理委員会答申を受けまして政府で既に大綱を決定いたしております。そうした決定に沿いまして我々は準備を進めるということの必要性があるというふうに思います。そうした一連の準備の行動につきましては問題はなかろうというふうに思いますし、先ほど申しましたように、国鉄改革についての職員の気持ち、これは私非常に大事だというふうに思いますので、ぜひとも改革についての意見を聞きたいというふうに思っております。
  153. 関山信之

    関山委員 意見はいろいろな場所で聞くことは可能なんでありまして、人事調書というようなもので記入を強制をして、この国鉄改革に賛成か反対かというようなことを聞くこと自体は、人権侵害とでも言わざるを得ない。私はその答弁では納得できませんね。  では、御趣旨わかったという官房長官の表明は何を意味しているのですか。
  154. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 その間のそごといいますか、そういうものは私はないと思います。
  155. 関山信之

    関山委員 何を言っているんだかわかりませんけれども国鉄職員といえども、あるいは電電会社、NTTの職員といえども、一人の国民として、国の施策について自由な意見を持つのは当然でしょう。国鉄職員の中に国鉄改革に反対の人がいたって当然でしょう。どうですか。
  156. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 別に私どもは賛成しろといって記入を必ずせよと言っているつもりは毛頭ありません。反対で結構でございます。いわゆる各個人個人の気持ちを十分に把握したいという趣旨でございますので、中身を問うものではございません。
  157. 関山信之

    関山委員 ですから私も、この問題だけを取り上げれば、そういうやりとりに終わるだろうと思いまして、実は自殺の例をふと思い出したのですよ。そういうことが心理的なプレッシャーにならないとでも言うのですか。こんなことをやりとりして時間を使うわけにもいきませんけれども、もう少し人間らしいやり方をしていかなければ、国鉄改革なんかできないのではないですか。議論のやりとりの問題ではありませんよ。ここの委員会の中での言葉のやりとりで何とか時間を、この問題を通り越せばいいという問題ではないと思うのです。国鉄改革に賛成か反対か、反対でもいいから、反対なら反対で書け。三十万七千人をこれから区別しようと言っているわけですよ。希望退職になるのか、新会社に行くのか、あるいは旧国鉄に残るのか。そのことを前にして、国鉄職員がこの問題について自由に物が言えるとでも思っているのですか。
  158. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 そのことを将来のふるい分けの基準にするとか、あるいは人事管理の参考、基準にするとかいうつもりではありません。先ほどから繰り返し申し上げておりますように、改革という大変な問題につきまして、国鉄職員一人一人がどういう気持ちかということを私は知りたいというだけでございます。
  159. 関山信之

    関山委員 この問題だけにかかわるわけにいきませんけれども、私はこの答えには納得するわけにいきません。留保して、後ほどまた時間を見て答弁を求めたいと思います。いずれにしても、公労委に仲裁も申し立てている段階でありますから、そういうところで事が決まるよりも、国鉄総裁自身の判断としてこのことは決まりをつけるという方がいいと私は思ったので、この時期に取り上げておるわけですけれども、少なくとも記入要領の「この欄は必ず記入すること。」といったこと、そしてこの人事調書の項目は削除をされることを強く強く要求しておきます。  それから、次の問題ですけれども、受け入れ対策。政府はいろいろな機関をつくって、いろいろと御尽力をいただいておるようであります。一つは内閣、労働省、国鉄、それぞれに対策本部があるわけですが、それぞれの役割分担について、雇用対策本部、私はこれが一番中心に座るべきものだと思っておるものですから、そこから簡単にひとつ御説明をいただきたいと思います。
  160. 平井清

    ○平井政府委員 国鉄余剰人員雇用対策本部の事務局長をいたしておりますので、その立場からお答えをいたします。  先生指摘のとおり、余剰人員問題の解決は、国鉄改革を円滑に推進するための最重要課題の一つでございます。この問題の解決には、まず国鉄自身が努力をすることは当然でございますけれども、それのみで解決ができる問題ではございません。したがいまして、政府は既に内閣に雇用対策本部を設置いたしまして、この本部を中心政府部内が一体となって、雇用の場の確保その他総合的な雇用対策の確立に努めておるところでございます。  なお、運輸省及び労働省にも、それぞれ国鉄改革推進本部及び国鉄余剰人員対策推進本部が設置されております。また総務庁、自治省を初め関係各省庁においても具体的な検討を行うなど、それぞれの立場において対策の推進を図っておりますが、各省庁とも内閣の雇用対策本部との緊密な連絡のもとに、余剰人員対策を進めるというような仕組みになっております。
  161. 関山信之

    関山委員 平井さん、私もあの席にいましたから、二十二日の日にお邪魔をいたしまして、国鉄関連企業の余剰人員の受け入れ問題をめぐって申し上げた事項については、ここでは繰り返しません。しかし、いずれにいたしましても、国鉄がみずから努力をしなければならない国鉄関連の余剰人員の受け入れの問題をめぐって、関連事業の労使の間で十分協議をしながら、これが円滑に進められるようにということで、そのあっせん方窓口を開いていただくようにお願いに上がったのだけれども、あなたからは窓口でシャットアウトをされた経過があるのです。きょう改めてお伺いしますけれども、あなたの立場から、どこがどうこの問題を扱うのが妥当だと考えますか。
  162. 平井清

    ○平井政府委員 これは国鉄自身といたしまして、みずからの余剰人員の雇用対策ということで関連企業への再就職という仕事を進めておるわけでございます。私どもは、政府の立場から、国鉄の及ばざるところにつきまして、例えば国への受け入れとか地方公共団体への受け入れ、一般産業界への受け入れ、こういうものにつきましてバックアップ態勢をしくということで本部をつくっておるわけでございますので、陳情のございました関連企業への受け入れそのものの問題につきましては、国鉄において円滑に責任を持って実施していかれるべきことであろうというふうに考えておるわけでございます。
  163. 関山信之

    関山委員 労働省から田淵さんにおいでいただいておりますが、労働省へも国関労の皆さんおいでになりまして、同趣旨の陳情をいたしておるわけでありますけれども、労働省の方は、この新聞報道によれば、大変前向きな御回答をいただいておるようであります。当事者から事情聴取など実態調査をして、労使合意のもとで受け入れのできるよう指導していきたい。これは労働省としては当然かもしれませんけれども、その立場にお変わりないか、この際、確認をしておきたいと存じます。
  164. 田淵孝輔

    ○田淵説明員 まず初めに、先ほどちょっとお尋ねのございました、労働省にも余剰人員対策推進本部を設置していることにつきましては、労働省は民間の雇用関係の責任者でございますので、民間部門について、労働省内でもまた職業安定局あるいは能力開発局、いろいろ関係の部門がございますので、省内を取りまとめて、そして内閣の対策本部と緊密な連携をとって、その一環としてまとめていこうという立場で現在いろいろな作業を進めているところでございます。御理解をいただきたいと思います。  それから、今お尋ねの関連企業への受け入れの問題につきましては、国鉄の余剰人員問題の解決のためには国鉄自身の努力、特に関連企業を初めとしていろいろな民間部門への受け入れについていろいろ推進していかなければいけない、取り組んでいただかなければいけないというふうに思っております。このためには、この問題について国鉄と関連企業等がよく話し合っていただくとともに、関連企業の中においても労使間の意思疎通が図られることが必要だろう、労働省としてはその考えに変わりはございません。  ただ、私も陳情を受けまして申し上げたのでございますが、国鉄の中の労働者の方で五十五歳あるいはそれ以前に職を失う方がおられる、それからまた関連企業の中には六十歳を超えても働く場を持っておられる方がある、そういう中でも、やはり労働者同士の連帯といいますか、お互いによく立場を理解し合って、この問題を円滑な話し合いのもとに進めていくのが望ましいのではないかというようなことも申し上げた次第でございます。
  165. 関山信之

    関山委員 田淵さんがおっしゃったように、これだけの大変な事態です。私どもは、余剰人員そのものについて、こういう大量の余剰人員が発生することを認めておるわけではございませんけれども、事態はどんどん進んでいくわけですから、そのことの前提で御議論申し上げているのですが、職場の開拓も、今、政府がおやりになっているように、国や自治体、それだっていろいろな問題は派生じます。しかし、国鉄の自助努力と言いますが、国鉄がおやりになっていらっしゃる八百六十五社全部じゃないでしょうけれども、これはまさに力関係が極めて作用するわけでありまして、この際、国鉄関連の八百六十五社、出資会社百二十六、出資会社の子会社百六十五、上記以外の会社で業務委託している会社百七十五、その他の会社三百九十九。この区分けに従って二万一千、こう言われておるのですけれども、一体どういう数字が割り当てられているのか。  それから、この問題をめぐっては、十一月末をもって返事をせい、これはまさかそんなことはないとは思いますけれども、しかし、現実にそういうアピールがあるのです。仮に十一月までに回答がなければ、国鉄みずからがその事業に直接乗り出していきますよといったような一種の恫喝めいたことまでも、個々のケースの中では出てきているという話がありまして、これは、この際、そんなことがあっては困るわけでありますけれども、その辺の実態についても御答弁をいただきたいと思います。
  166. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 まず、国鉄が自分自身で余剰人員の行き先につきまして最大限の努力をし、開拓をしなければいかぬ、そうでないと、ほかの方にお願いをいたしましてもどうにもならないということでございますので、私ども国鉄関連企業、今まで国鉄と非常に縁の深いそういう企業につきましては、まず一緒になって苦楽をともにしてくださいという意味合いにおきまして、余剰人員の受け入れ方につきまして、先般来総枠を定め、現在個別的に各企業と相談を進めているところでございます。  八百六十五社の受け入れ可能数の一応の数字といたしましては、出資会社百二十六社に対しまして六千四百名、出資会社の子会社百六十五社に対しましては四千二百名、業務委託会社百七十五社に対しまして八千名、その他三百九十九社に対しまして二千四百名、合計二万一千名でございます。
  167. 関山信之

    関山委員 これはどういう目安で割り当てていらっしゃるのですか。受け入れ企業従業員数の何%といったようなそういう目安で割り当てられているのですか。何か基準みたいなものがあるのですか。
  168. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 毎年のやめていかれる数、その数を結局補充されるわけでございます。そこにはいろいろ合理化問題等もあろうかと思いますが、そうした点も加味しながら、毎年補充をすべき人数調査をさせていただいたわけでございます。その補充すべき人数につきまして、私どもの関連会社国鉄とのいわば親密度合いに応じまして、その全員を国鉄OBでお願いします、あるいは五〇%をお願いします等々の一応の基準をつくりまして、各会社八百六十五社をランクづけいたしまして、それぞれの数字を決めてきた、こういうことでございます。
  169. 関山信之

    関山委員 あとの問題もありますので、最後に大臣にお願いをしておきたいと思うのですが、例えばレストラン東京なんという会社があるのですけれども、ここは社員二百五十人、パート三百人。これが六十年以降五年間で、来年度二十名から始まって百四名までふやしていけ。二百五十人の社員ですから半分まで打っちゃうのです。事実上国鉄が乗っ取っちゃうというようなこともあったりして、労使問題というのが各関連の企業の中では大変大きな問題になりますので、これは絶対だめだと言っているわけではないのでありますから、それだけにここでも、先般雇用対策本部にも申し上げたことでありますけれども、当該労使の合意のもとに受け入れが決定されていくように十分御指導を賜りたいと思いますが、いかがでございますか。
  170. 山下徳夫

    山下国務大臣 余剰人員対策は国鉄再建の一番大切な問題でございます。したがいまして、国におきましても、これに対策本部を設置し、いろいろと対策を講じておるわけでございますが、何といっても国鉄自身の最大限の努力の前提に立って、そして私どもも国や地方自治体、あるいはそれでも不十分であるために、また民間企業にもお願いするということでございますから、そういう趣旨からしますれば、国鉄と密接な関係にある関連会社で御協力いただくのは、私はむしろ当然かと思っております。  ただし、今御議論がございましたように、関連企業といえどもたくさんの人が働いていらっしゃるのでございますから、そういう立場からするならば、やはり関連企業の理解を十分得られた上で進められていくべきである、かように考えております。
  171. 関山信之

    関山委員 ありがとうございました。ぜひひとつそういう方向で御処理をいただきたいと思います。  それでは、海の方の問題に移らせていただきます。仲田さんには本当に恐縮なんですけれども、やはりちょっと決まりをつけておきたいという気もするものでありますからお尋ねをしたいのです。  先般の十四日の運輸委員会で、三光汽船の問題について民社党の河村先生とのやりとりがございましたものを、私も拝見をさせていただきました。それを拝見してなお疑問が残るものですからお尋ねをしたいのですけれども、ここでは三光汽船の経営困難というのはハンディバルカーの大量建造に原因があったとは考えない。これは直接それだけが原因であったとは思いませんから、それはいいのです。しかし、この時期百二十五隻の大量建造というものを許したことは、これは判断に間違いはなかった、こうおっしゃっているわけです。そこから二つ問題があるのです。  あなたの御答弁を聞いておりますと、このハンディバルカーについていえば、同じような形のバルカーで既に十年を超えた老朽船がそのほとんどであったというのが一つですね。だとするならば、老朽船のスクラップ化についてどのような御指導をなすったのかという問題が当然出てきます。時間がありませんので、まとめてお伺いをしていかなければならないのですが、いずれにしても、この百二十五隻が引き金になって、追随する大量の建造発注があった。そうしてその三光の「船腹量の何倍かに当たるような新造船、しかも同じ型の新造船が出るということを予測していなかったということは事実でございます。」こうおっしゃっているわけです。  この言葉の意味には二通りあると思うのですけれども一つ明らかに間違っている点は、この年の運輸省の新造船建造の許可実績というものは百二十五隻ではないわけです。全体でいえば六百三十三隻、貨物船だけでいえば五百四十八隻にも上っているわけです。つまりは仕組み船とか便宜置籍船とか呼ばれている事実上の日本の船主あるいは商社、リース会社、そういったたぐいの船舶金融が大変に動いて、日本の船台で船ができているのではないですか。これはあなたの管轄をしていらっしゃる臨時船舶建造調整法を経由して許可されているのではないですか。だとすれば、この御答弁はいただけないわけです。もちろんそれだけではない。外側でつくっている部分もありますが、その数字は一々議論はいたしません。少なくとも三光の船を許可したのは妥当だったけれども、わからぬところで船が余計つくられたという理屈は通らない。この二つの問題についてお尋ねします。
  172. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 お答えいたします。  百二十五隻が昭和五十八年の半ばごろ申請がございまして、その夏ごろにほとんどが許可をされているわけでございます。当時の状況は、先生も私の答弁を御引用なさったように、一つは十年以上の老朽船が多かった。通常のコマーシャルベースでいけば、これが代替されるであろうということは、商業上の一つ判断として決しておかしくないというふうに考えたわけでございます。それから一般的なマーケットの情勢、この前はそういうような御答弁をいたしませんでしたが、マーケットの情勢から見まして、当時やはり過剰ぎみであったというのは、このハンディバルカーではなくて、もう少し上の八万トンクラスまでのパナマックス型、それからそれよりさらに大型のバルカー、この二つの形の船に過剰ぎみな傾向がございまして、その中でも、バルカーの中では、この小さなハンディバルカーのサイズが、マーケットの状況からいくと決して足りないという状態ではございませんでしたが、まあまあの需給関係にあったということをつけ加えることができると思います。スクラップの指導をしたかという御質問でございますが、スクラップの指導は、今申し上げたように、特にやっておりませんので、通常民間のベースでございますと、スクラップが急速に促進されるであろうという見込みのもとに我々の判断を下したということでございます。  二番目でございますが、これから確かに追随をいたしまして、世界全体といたしましては五百隻ばかりのハンディバルカーが結局は受注され、竣工されつつあるということになるわけでございますが、もちろん追随されたものの中では日本の造船所でつくられたものもございます。しかしながら、追随型の建造はほとんどは外国の造船所において追随されたということでございまして、我々まだはっきり数字を調べておりませんが、うちの許可実績を見ますと、およそ二百隻余りぐらいがトータルのバルカーの建造としてこの当時に許可されたのではないかと考えております。したがいまして、結果からこれを考えるということはどうかと思うのですが、確かに現在ではこのサイズが過剰であることは事実でございますが、マーケットのレベルということ、運賃市況ということから考えますと、当時の運賃市況、この形の三万トンクラスのハンディバルカーの運賃マーケットというのは、これが建造された当時から徐々に上がっておりまして、最近またちょっと下がっておりますけれども、決してその当時から大量建造のために著しく下がったというような事実はないということは言うことができると思います。  大体そのような事実関係と考えます。
  173. 関山信之

    関山委員 いつもこういう調子で終わってしまうものですから、もう一遍やらざるを得ませんが、あなたが言っていることは全部違うんだよ。市況についても私もそれなりにいろいろ勉強させてもうっているんだが、市況がそんなにまあまあだったなんという事情状況はございません。海運白書を引っ張り直して見てください。あるいは各郵船会社調査室が出している資料なんかも、私もちょっと素人なりに眺めてみても、そんな状況はありません。  それから、ハンディバルカーだって、これは八三年の発注状況は、三百九十六隻のうち二百九十九隻が実に日本の船主系統で発注されているのですよ。世界のハンディバルカーの発注状況のうち、三百九十六のうち二百九十九。それは外側で三百九十六引く二百九十九ぐらいはつくられているでしょうけれども、そのウエートの大きさというのを無視されたんではやはり誤ると私は思うのです。  私はなぜこの問題についてこだわるのかといいますと、私から申し上げるまでもなく、そういう状況認識が造船政策なり海運政策政策判断の基礎になると思うものですからね。しかも一方で、ではこうやって大量建造して造船の方は景気よかったのかといえば、これはまるっきり景気対策にもなっていないわけだ。このことも御存じのとおりです。いずれにしろ、私が言いたいことは、臨時船舶建造調整法というものが正しく機能していないということを指摘をせざるを得ないのです。  最後に、時間がなくなってしまいましたので、御見解を承っておきたいのは、臨時船舶建造調整法というのは、近海船にはSB方式などで取り入れられているようですけれども、外航船舶には一遍も機能したことがないですね。ここに言う「船腹の需給状況からみて著しく過剰」というのは、一体どういうときに著しく過剰という状況が実現をするのか、どういう状況を指してこの法律を運用なさるのか、あなたの方としてはどういう状況を考えていらっしゃるのか、どういう状況ならこの条項が発動をして、いわば造船、海運を通じた整合性のある政策誘導というものが行われるのか、このことを最後にお尋ねをして、時間がなくなりましたので、質問を終わります。
  174. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 臨時船舶建造調整法に書いてございます許可基準の「船腹の需給状況からみて著しく過剰となるおそれのないこと。」ということがございます。これは非常に抽象的なことで、我々もこの判定に非常に苦慮しているところでありますが、先ほど御指摘のございましたような近海船で適用されたことがあるというようなことで、一つの航路別とか船型とか船主とか、そういうものの需要状況を将来にわたって一応考えながら、それに、そういう状況を踏まえて建造されようとする特定の船が、それを攪乱するような要因になるかどうかということを判定することであろうかと思います。そこには数字的な基準というものはなかなかつくりようがないというのが実際でございます。  それから、海運と造船との政策の整合性ということは、御指摘のとおり、我々がこの法律を運用していく上で事実上非常に難しい問題でございます。運用に当たって非常に慎重に配慮をしているところでございますが、残念ながら日本世界じゅうのすべての船をつくっているという状態でもございませんし、また日本の海運が世界じゅうにある唯一の海運でもございませんので、なかなかその調整ということが、有効性がうまく機能していかないという面があるのは否定できないのでございますが、これからの政策といたしましては、国外、国内、それから海運、造船というものの状況判断のバランスをとって誤りなきを期したいというふうに考えております。
  175. 関山信之

    関山委員 最後に、一言だけ申し上げておきます。  この数字を見ても、一九七三年あるいは一九八三年、これがいわばここ十数年来の船腹発注量のピークになっていることは御存じのとおりですが、ここらでこの法律が機能しなかったら、この法律を持っている意味がなくなってしまうことにもなってしまうわけです。私は意味がないと言っているのではないのです。ある法律を十分に活用していただくこと、これも政策官庁として脱皮をされた運輸省の新しい課題でもございましょうから、全体に規制緩和の流れがありますだけに、この種の問題は、いずれの業界も不況のさなかにありますだけに、十分御検討をいただいて対処をお願いしておきたいと思います。  終わります。
  176. 三ツ林弥太郎

  177. 左近正男

    左近委員 まず、MKタクシーの運賃訴訟について、大阪高裁は職権による和解勧告をして、国もそれに同意されたということが報道されておりますが、これは事実ですか。
  178. 服部経治

    ○服部政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの先生の御指摘でございますが、必ずしも正しくございませんで、ちょっと説明させていただいてよろしゅうございましょうか。  先般十一月十四日に大阪高裁におきまして第三回の控訴審における口頭弁論があったわけでありますが、その際、裁判所から非常に強い和解に向けての御指導がございました。それは事実でございます。その結果どうなったかということでございますが、私どもとしましては、そういった裁判所の強い御指導を踏まえまして、今後裁判の審理と並行いたしまして、MK側との間で事実上の和解が一体できるものなのかどうなのかということを次回以降話し合う用意があるということを裁判所に申し上げたというのが事実でございます。
  179. 左近正男

    左近委員 それでは、裁判と並行して国としては和解のテーブルには着くという理解でよろしいですか。
  180. 服部経治

    ○服部政府委員 言い方が大変難しいのでございますが、和解のためのテーブルに着くという考えはございませんで、まず和解が一体我々の立場としてできるものなのかどうかということをMK側との間で議論してみたいと思っております。
  181. 左近正男

    左近委員 和解のテーブルに着くことが可能かどうかをMK側と協議をするということですが、そういう理解ですね。その場合、国として曲げてはならない方針というのがあるわけですが、この点はどういう考え方ですか。
  182. 服部経治

    ○服部政府委員 これは御説明するまでもないことでございますけれども、先般大阪の地方裁判所から出されました判決につきましては、その判決がいわゆる同一地域同一運賃の原則について十分な評価をしていないということがまずございますし、その他、事実認定あるいは法令解釈の点で、いずれも私ども大変不服でございますので、現在、大阪高裁に控訴いたしまして争っておるわけでございます。あの判決をそのままにしておきますと、今後のタクシーに関します私どもの行政に及ぼす影響は極めて大きいという認識を持っておりまして、その点を避けるために上級審の判断を仰ぎたいというふうに思っておるものでございますから、率直に申し上げて、私ども、国としてMK側との間で和解を行うことは困難である、ぜひとも上級審の判断を仰ぎたいというふうに基本的に考えておるところでございます。
  183. 左近正男

    左近委員 もしMK側と和解のテーブルに着くことが可能だったとしても、国としては従来掲げておる同一地域同一運賃という基本的な原則、これを崩す考え方は全くないという理解でよろしいで丈か。
  184. 服部経治

    ○服部政府委員 ただいま先生が御指摘のとおりでございます。
  185. 左近正男

    左近委員 よくわかりました。  次に、この関西に起きておるタクシーの割引回数券問題、これは業界も関係組合も大変反対をしておるわけです。今日の状況はどうなっておるのか、また運輸省としては今後どういうような考え方で対応されるのか、お聞きをいたします。
  186. 服部経治

    ○服部政府委員 お答え申し上げます。  MKから申請が出ておりますタクシー運賃の割引クーポン券の扱いでございますが、この問題につきましては、現在所管をいたしております近畿の運輸局におきまして、これまで随分と長い時間をかけまして、あるいはタクシー事業者あるいはタクシーの関係の労働組合の方々から出されております意見を十分踏まえながら、その導入の功罪について慎重に検討してまいってきておるところでございますけれども、ただ、これは先生も御承知のように、鉄道あるいはバスといった他の交通機関にも古くから導入、普及しております制度に近い実態も持っておりますし、私どもとしては、慎重な検討は必要でありますけれども、頭からこれを否定してかかるということも当を得ないんではないかというような感じを現在持っております。
  187. 左近正男

    左近委員 詳しいことはきょう時間もありませんので申し上げませんが、私は基本的にこれは反対であります。業界なり関係者の意見も十分聞いていただいて、慎重に対応してもらいたいと思いますが、よろしいですか。
  188. 服部経治

    ○服部政府委員 私どもなお慎重に検討いたしたいと思っております。
  189. 左近正男

    左近委員 服部局長、もう結構です。  次に、国鉄監理委員会の「意見」では、帝都高速度交通営団に対する国鉄の出資の取り扱いについては政府において検討することになっておるわけですが、大臣としては、これはどのような見解を持っておられますか、お聞きをいたします。
  190. 山下徳夫

    山下国務大臣 結論から申し上げますと、一体になるのは好ましくないと思っております。(左近委員「いや出資の問題」と呼ぶ)ちょっと私の答弁が飛躍してしまいまして……。  では、今の御質問に素直にお答えいたします。  地下鉄の建設につきましては、巨額の投資が必要でございまして、その資金調達が非常に問題である、また資本費の重圧と路線の熟成に時間を要すること、これらの問題から、長期間にわたって収支が相償わない状態が続くと予想されるということから、地下鉄の事業化は困難であるため、首都圏における地下鉄建設促進を図る必要性の高い現状において、地下鉄の建設は公的主体によることが必要である。つまりこれはなかなか私企業でできるものじゃないということでございますので、だれかやらなきゃならぬこの問題を、いわゆる公的な企業でやる。そういう意味から、国鉄の営団への出資分については、何らかの形で公的機関にこれを持たせる必要があると考えておりますので、そういう点から、その方策として、例えば清算法人として位置づけられております旧国鉄に一時的にこれを持ってもらうということでございます。営団の設立趣旨からして、将来にわたってその果たすべき役割等も十分勘案の上、その取り扱いを検討することといたしたいと思っております。
  191. 左近正男

    左近委員 大臣、えらい親切に答弁していただくのはいいのですけれども国鉄が持っておる二百九十億円ですか、これの営団に対する出資、これについてずばり、国鉄はそのまま持っておるのか、今いろいろ東京都の問題も出ておる、あるいはまた第三者の民間の方へ渡すのか、その辺もひとつずばり答弁してくださいよ。いろいろ要りませんよ。
  192. 服部経治

    ○服部政府委員 お答え申し上げます。  私どもといたしましては、現在最も急がれる問題というのは、この東京圏におきまして地下鉄の建設を促進することであるというふうに思っております。そうした観点から申し上げまして、営団というのは、そうした建設の必要性がある間は公益的見地から経営方針が決定されるような仕組みというものを存続する必要があるわけでございます。したがって(国鉄の持ち分につきましては、公的な主体にこれを持たせるということを基本にして、今後その扱いを検討していくべきであるというふうに考えておるところでございまして、そのためには、大臣がただいま申し上げましたように、旧国鉄に一時仮置きながら、時間をかけてその正しいあり方というのを勉強してまいりたいということでございまして、決して都に渡すとかいうようなことは一切考えておりません。
  193. 左近正男

    左近委員 よくわかりました。  国鉄総裁はどうですか。どんな見解を持っておられますか。
  194. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 東京を中心とする首都圏の交通の中で、国鉄山手線等の運行それから営団地下鉄とのかかわり合い、こういうものは非常に密接なものがございまして、都民の有力な交通手段として相互に補完し合いあるいは連携し合って今まできたわけでございます。そういう意味におきまして、国鉄からも出資という形で長年にわたりまして相互の関係をつけてきたわけでございますが、今後もそうした首都圏における鉄道輸送の相互連携ということは、経営形態がどう変わろうと、その意味合いは全く変わらないというふうにも思っておりますので、これは政府で御検討の結果お決めいただくわけではございますが、例えば今後できます新しい旅客会社がこれを引き継ぐというようなことも一つの案がなというふうに思っておるところでございます。
  195. 左近正男

    左近委員 今、一元化の問題も出たわけですが、最近新聞でも営団と都営地下鉄経営の一元化問題が報道されておるわけですが、大臣としてはこのことについてどんな見解をお持ちですか。
  196. 山下徳夫

    山下国務大臣 この二つはそれぞれ建設当初の経緯を異にいたしておりますので、少なくともそういった経緯を異にしている二つの事業体が一緒になるというのであれば、それ相当の深い理由がなければならぬと私は思うのでございます。  しからば、そういう理由があるかという点で検討してまいりますと、まず第一番に、都営の累積赤字が既に二千四百億に達している、これに対して営団は健全経営の域に達しているという大きな相違があるということでございます。次に、そういうことでどちらかというと都営の方が成績が悪いということから、料金その他についても都営が高こうございまして、これが一緒になりますと、結局弱い方に引きずられると申しますか、そういう見地から利用者の負担が高くなるであろうということから、これもいかがなものかということでございます。さらに、現在地下鉄に対しては、建設費に莫大な費用が必要でございますし、二つの形態で建設を進めておりますから、それぞれ出資源が違うわけでございますけれども、それが一体化しますと、そういった資金の出資面においてもかなり窮屈になる。ということは、とりもなおさず、これからの地下鉄の建設の促進を阻害するおそれがあるという点から、これは現在一体化することは好ましくない、こう理解しておるものでございます。
  197. 左近正男

    左近委員 それはそういう理解で了解いたしましたが、国鉄監理委員会の方では、営団の取り扱いも含め、長期債務の問題も含め、二十二の項目にわたって政府としてこれから検討しなさいということが言われているわけですね、貨物の問題は十一月末ということで期限が切られておりますが。この二十二の政府として検討しなければならない課題について、今後どんな手順でやっていかれようとするのか。一括して一定の時期に考え方を示されるのか、法案の提出までに順次考え方をまとめられるのか、この点の手順はどうなるのか、お聞きしておきたいと思います。
  198. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 七月二十六日の再建監理委員会の「意見」を受けまして、十月十一日に政府といたしまして、国鉄改革のための基本的方向ということにつきまして閣議決定をいたしたところでございます。現在、その線に沿いまして、その具体的な内容についての詰めを行っております。そうして次期通常国会を目途に分割・民営を実現するための関係法律を提出したいと考えておるわけでございます。その中で明らかになってくるものもございましょうし、それからその法案成立後に、最終的には再建監理委員会答申指摘されておりますように、六十二年四月一日に分割・民営を実現するというスケジュールになっておりまして、具体的な新事業体への引き継ぎというようなことについては、承継計画書というものを国鉄が作成いたしまして、運輸大臣の承認を得るという手続を経ることになると思いますので、例えば財産の区分とかいうものにつきましては、その中で具体的に明らかになるというようなことでございまして、それぞれの項目に応じまして、今言った全体のスケジュールの中でそれぞれ明らかになっていくものと考えております。
  199. 左近正男

    左近委員 例えば営団に国鉄から出資している問題は、今、運輸大臣の見解が出ましたが、これはいつごろこういうことやということが決まるのですか。
  200. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 国鉄が現在営団地下鉄に対して出資をしているわけでございますので、この出資金の取り扱いにつきまして政府の方において検討いたしまして方向づけを行いますが、最終的には、国鉄の持っております財産についてそれぞれ行き先を明らかにいたします。先ほど申し上げた承継計画書の中で明らかにしていくということになります。
  201. 左近正男

    左近委員 どうなるかわからぬけれども、法律が通ってからということですか。
  202. 中島眞二

    ○中島(眞)政府委員 そのとおりでございます。
  203. 左近正男

    左近委員 大臣国鉄問題で午前中も亀井委員長からいろいろ御見解を聞いたわけですが、実際問題、全国一体のネットワークというものを六分割だけではなしに二十四の会社分割、細切れにしてしまうわけですね。こういうことをやって、政府として国として、国鉄がうまく運営できると大臣は思っておられるのかどうか、私は非常に心配しておるわけです。監理委員会の「意見」は「意見」として、政府としてどうですか、大臣はどういう見解をお持ちですか。
  204. 山下徳夫

    山下国務大臣 国鉄再建監理委員会の「意見」にもございますように、この二十四が相互にそれぞれ関連を保ちながら、便宜を図り合いながらやっていくならば、私は「意見」のとおりにやっていける。例えば九州なら九州にいたしましても、精いっぱいの努力をし、特に九州とか三つの島におきましては、非常に成績が悪い、いい結果が見込まれないというところから、負債は持たせない、あるいは基金をつくるといったような、それぞれ二十四のこれからの経営の実態に即して新しくそういう負担とか資産とかを仕分けしながら、それぞれ二十四の経営の健全化を図るような仕組みになっておるわけでございますから、さらに相互に十分連携を保ちながらいくならば、従来の一本化された国鉄と同じような能力を発揮し、かつまたそれぞれが健全に運営していける、このように私は思っております。
  205. 左近正男

    左近委員 私はこれは大変困難なことだと思います。大臣、九州はうまくいくとえらい太鼓判を押されましたけれども、どうですかね。  いずれにしても、国鉄総裁にもお聞きをしたいわけですが、これから国会の中で国鉄関連の百を超える法案をいろいろ審議しなければならぬわけです。ところが、監理委員会意見書が出、政府閣議決定、その方向で努力をしていくということでございますが、六十二年四月一日に分割民営化されるということを前提に、特に国鉄当局は作業に全力を上げておられる。私はあなたが国鉄のことを大変愛しておられることはよく知っておりますが、何かあなたは、再建監理委員会の「意見」というかそういうものを踏まえてやるんだということが総裁の使命みたいに思っておられますが、その辺どうですか。
  206. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 再建監理委員会の「意見」をいただく前にも、国鉄の立場から、短い期間ではございましたけれども、いろいろと意見を申し上げました。また「意見」をいただいた限りにおきましては、政府全体が最大限尊重するということであり、先般も基本的な骨格を既に閣議決定しておるわけでございます。国鉄はその当事者でございます。これから法案を作成するに当たりましても、いろいろな意味での政府へのお手伝いということが急がれておるわけでございまして、国鉄の日常の業務を遂行することはもちろんではございますが、改革の問題は大変いろいろな問題を含んでおりますので、そうした面につきまして一生懸命解明をしながら、政府と一緒にいずれ出てくるであろう法案作成に邁進をしたいというふうに思っておるところでございます。
  207. 左近正男

    左近委員 この国会での法律審議やそういうものを抜きにして、六十二年四月一日のために具体的に外堀をどんどん埋めて、その体制づくりを国の方も国鉄当局もされているわけです。国会の法的な審議というのはどうなるのですか、大臣
  208. 山下徳夫

    山下国務大臣 御審議いただく時期等についてはまだはっきりいたしておりませんが、少なくとも来年の三月をめどに、今、法案の作成を急いでいるわけでございます。いずれ百二十本に上る法案を御審議いただくわけでございまして、その時点でまた皆さん方の御意見を十分に承りたいと思っております。
  209. 左近正男

    左近委員 今の大臣の答弁と国鉄当局が現になさっていることと全く違いますね。総裁は分割・民営を前提条件にして内部で具体的な仕事をなさっておられるでしょう。その辺矛盾があるのじゃないですか。準備というよりも実行に移されてるでしょう。その点いかがですか。
  210. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 現在は日本国有鉄道法というのがございまして、それに基づく諸作業を毎日遂行するわけでございます。私が今、一面でそういうことがございますが、一面で一生懸命やっておりますのは、先ほど申し良したように、いずれ答申の実現というような面におきまして、法案の作成に向かいいろいろな意味での準備が必要である、そういう準備のための諸作業が大変でございます。それを一生懸命やっている、こういうことだけでございます。
  211. 左近正男

    左近委員 実際問題、六十二年四月一日スタートというようなことで、例えば先ほど同僚議員の関山議員が言われましたように、余剰人員の問題についてもしかりですよ。そのレールに乗って今具体的に作業をされておるでしょう。  現在、国鉄は何人要員がおって、今年度はどれくらい具体的に派遣されたり出向されたりいろいろされていますか。ちょっと説明してください。
  212. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 この余剰人員の問題は、もちろん将来の改革というものと非常に密接ではございますけれども、そういう前提が仮にないといたしましても、国鉄自身で合理化をどんどんやっていくということでございますので、先般も組合に提示をいたしました合理化案によりますと、これは相当な数の余剰人員が発生をいたします。したがいまして、いずれにいたしましても、我々としましては、現実の迫ってくる問題といたしまして余剰人員対策を真剣になってやっていかなきゃならぬというふうに思っておるところでございます。  現況といたしましては、昭和六十年度、今年度のスタート時点におきます現在人員が三十万七千人、その時点におきます余剰人員が二万五千五百人ということでございます。  そうした余剰人員に対して現在国鉄としてとっております対策でございますが、全体の二万五千五百人をいろいろな意味で活用したりあるいは調整を行っておりますが、まずいろいろな会社に派遣をお願いをしております。これが七千六百九十人、これはことしの十月一日現在の数。以下その時点でございますが、派遣者が七千六百九十人、それから退職の前提で休職をしている人が七千二百七十三人、それから復職を前提とした休職者が千六百五十九人、こういうようなことで調整を行っておりますし、その他いろいろな面での活用策、これも一生懸命やっておるところでございます。
  213. 左近正男

    左近委員 それではさらにその上に二万一千五百人を関連会社に派遣する、そういうことですか。
  214. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 関連会社にお願いをいたしております二万一千人というのは、これは関連会社に採用をお願いをしているということでございまして、これから五年間、六十一年から六十五年度までの五年間にわたりまして二万一千人を逐次採用をしてくださいということでございまして、今申し上げました二万五千五百人の余剰人員対策は、一部それは含まれておりますけれども、若干数字的には違った内容でございます。
  215. 左近正男

    左近委員 それはよくわかっております。  そこで、今当面実施されておる二年間か三年間か、派遣ですね、七千六百九十人ですか、これらの派遣のあり方について本人の適性なり、本人の同意またはこの研修体制、派遣に行く場合の事前の国鉄内部での研修体制、そういうものはきっちりなさっていますか。
  216. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 派遣は本人と十分に話をいたしまして、どういうところに行くかということについての事前の打ち合わせをやっております。  それから、本人がそれで適性があるかどうか。その場合の研修体制は学園等におきましても実行いたしておりますので、派遣される本人が全く不向きであるというようなことを絶対避けたいというふうに配慮をしておるところでございます。
  217. 左近正男

    左近委員 民間会社、例えば自動車会社へ何人がやっておられますね。その場合も事前に国鉄内部で研修されていますか、今言われるようにやっているというのは。
  218. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 会社によりまして、そうした研修が可能なところとそうでないところがあると思いますが、今の自動車メーカー等の場合の流れ作業に従事するような場合に、研修が事前に行われているかどうか、ちょっと私は存じておりませんが、多分、具体的には研修はしていないんじゃないかと思います。
  219. 左近正男

    左近委員 実際、大変なことなんですね。新しい職場へ、全く違った職場へ派遣されるわけでして、私は、この際国鉄内部で、新しい職場に転換される場合、きっちりとした研修体制、そういうものをとっていただきたいと思いますが、総裁、どうですか。
  220. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 先生おっしゃるとおり、派遣あるいはこれからの雇用の新しい場へ向かいます全体をとらえて、できるだけ内部での学園を活用した研修は幅広くやっていきたいというふうに思っております。
  221. 左近正男

    左近委員 少し料金問題で質問したいと思います。  私は、分割をされれば、これはもう乗客料金に対する負担増になるということは明らかだと思うのですよ。今現在、国鉄の場合は遠距離逓減制というものをとっておられる。これは三百キロまでは十四円五十銭、三百一キロから六百キロまでは十一円五十五銭、これはもう二〇%引きですね。六百一キロ以上は六円三十銭、五六・六%引きだ。こういうような遠距離逓減制というものがしかれているわけです。  例えば東京から西鹿児島まで行く場合、監理委員会の「意見」に基づいて料金を算定すればどれぐらいになりますか。現行よりもどれぐらいの値上げになりますか。
  222. 須田寛

    ○須田説明員 東京−西鹿児島間の現在の運賃でございますが、一万四千二百円でございます。もちろん私どもはまだ検討中ではございますが、分割会社が発足いたしました場合には、通算方式で運賃を計算したいと思っておりますので、運賃水準が同じならば、この運賃で御利用いただくことになると考えますけれども、仮に先生がおっしゃいますように、監理委員会の御意見書によりまして、会社ごとに運賃を打ち切って計算したと仮定いたしますと、熱海、米原、下関、この三区間で運賃を打ち切りました場合には二万一千二百円、それから新幹線を御利用になりました場合で、大阪と博多で打ち切りまして計算をいたしました場合には二万七百円ということに計算上はなってまいります。
  223. 左近正男

    左近委員 これは七千円の値上げですよ、会社ごとに計算した場合。それを長距離逓減制でやっていくということでございます。まあ疑似料金区間を設けていくわけですが、実際問題、これは料金値上げがなければいいですよ。きょうの午前中の亀井監理委員長指摘では、運賃というのは会社ごとのコストによって設定をしていく、こういう答弁をされているわけです。そうなった場合、これはでこぼこができるわけですね。東京から西鹿児島へ行くのと西鹿児島から東京へ来るのと、料金が違う形が出てくるわけですよ。そういう場合、想定できませんか。
  224. 須田寛

    ○須田説明員 会社が発足いたしました場合に、それぞれの会社経営実態によって、先生のおっしゃいますように、運賃水準が違うことはあり得るかと思います。ただ、その場合もやはり計算の仕方をいろいろ工夫することによりまして、例えば現在幹線系の運賃と地方交通線の運賃とは違った賃率をとっておるのでございますが、これはキロに換算をし直しまして通算で計算ができるようなルールで運賃をちょうだいしております。そのようなことも導入することができると考えられますので、今私が申し上げましたように、やはりお客様の遠距離逓減制を極力害しない範囲でそういった通算運賃をいただくことは、これからのいろいろな制度を立てるときの工夫によりまして可能だというふうに考えております。
  225. 左近正男

    左近委員 これは、あなたは今国鉄一本のところにおるからそういうことが言えるわけで、今後会社ごとに料金が設定されると、その会社はその会社経営に一生懸命になるわけですよ。こんなことは不可能ですよ、将来。私はやられるとしてもかなり修正されると思うのですよ。現行のような長距離逓減制は守れないと思いますよ。  私は、この料金問題で、これは大変な国民の負担になる、こういうことを指摘をしまして、時間ですので、終わります。
  226. 三ツ林弥太郎

  227. 薮仲義彦

    薮仲委員 午前中に引き続きまして、午前中は亀井委員長にお伺いしましたけれども、午後はまた監理委員会の私事務局次長さん中心にお伺いいたします。午前に引き続いて大変御苦労さまでございますが、監理委員会の皆様方の大変御苦労してこの再建の案をつくられたという御労苦に対しては敬意を表しながら質問いたしているわけでございます。いかんせん我々は野党でございますので、この立てられた計画については疑問点を午前中から数多く指摘いたしました。やはり午後も、具体的な問題で何点か林さんからお伺いをしたいと思うわけでございます。     〔委員長退席、久間委員長代理着席〕  まず、冒頭にお伺いしたいのは、午前中私はいろいろ資料を御要求いたしました。この資料は、次の運輸委員会も決まっておりますが、それに間に合うようにというのでは、これは前日や前々日いただいたのでは審議できませんので、少なくとも数日中に、午前中に私が要求した資料をいただきたいと思うのですが、いつごろまでに資料をいただけますか。
  228. 林淳司

    ○林政府委員 ただいまの先生の資料を提出せよというお話でございますけれども、午前中に申し上げましたように、御提出できる資料は極力御提出をしたいということで考えております。  ただ、現在いろんな御要求のデータというのは全部コンピューターの中に入っておりまして、これを御要望に応じて引っ張り出すためのプログラムをつくって、それからそのデータをさらに整理をしていくということでかなり時間を要します。したがいまして、私どもといたしましては、やはり少なくとも三週間程度はかかるのじゃないかというふうに見ておりまして、その程度の期間をいただいて御要望の資料を提出したいというふうに考えております。
  229. 薮仲義彦

    薮仲委員 私は林さんにきょう初めて質問したのじゃないのですよ。前にも質問したのです。その三週間というのはいただけませんので、それを極力縮めて早急にいただきたい、このようにお願いをいたしておきます。  自治省お見えだと思いますので、ちょっと自治省にお伺いしたいのですが、先ほどいわゆる市町村の納付金について質問させていただきました。NTTの場合は、いわゆる激変緩和措置ということでどのような原則になっているか。先ほど私が申しましたけれども、やはり自治省として正確に、激変緩和に対してどのような措置を講じたかお伺いしたい。  それから、電電公社が五十年、五十五年、それから五十九年に納付なさった納付金の額、これはまだ推計かもしれませんが、六十年は巷間一・五倍にもなるんじゃないか、数千億ふえるんじゃないかと言われておりますが、大体見通しとしてはどの程度納入増になるか、わかればお答えいただきたい。
  230. 佐野徹治

    ○佐野説明員 電電公社の関係でございますが、これが株式会社に移行いたしました際に、電電公社が株式会社に出資をいたしましたこの償却資産のうちの一定の基幹的な設備に対しまして、五年間、価格の二分の一とする、そういった課税標準の特例措置を設けておるところでございます。  それから、金額でございますけれども、今手元にございますのは五十八年度の納付金だけでございますので、これについて御説明させていただきたいと思いますが、五十八年度の電電公社の納付金は約五百八十一億円でございます。これが民営化いたしました場合どの程度負担増になるかということにつきましては、現在まだ数字は明らかでございませんけれども、一応この改正をいたしました際の推計といたしましては、大体三百億程度ふえるんじゃなかろうか、こういうような推計をその時点ではいたしております。
  231. 薮仲義彦

    薮仲委員 林さんにお伺いしたいのでございますけれども、五カ年間の収支見通しをお出しになっておられます。これで先ほど私が自治省並びに国鉄から納付金と固定資産税の推移を伺いました。この納付金額が、五十年に百五十一億のものが六十年には三百八十五億、それから固定資産税は三十億のものが八十億、このように国鉄は年々推移いたしております。これは投資規模によって大幅に変わりますけれども、それは当然計算に入っていると思うのです。特に五十年と五十五年で納付金を見ますと一五九%、五十五年から六十年を見ますと一六〇%、納付金はこのように確実にふえております。今後五カ年間も国鉄が従来どおりの投資規模を行うならば、この納付金——固定資産税というものはそう変わらないと思うのでございますが、きょうここでまた資料要求ということをしても、どうせここでお返事はいただけないと思うので……。五カ年間の推計の中に入っていると思う。しかし、この推計を誤りますと相当な金額になってきます。今、電電公社が公社から民営になっただけで三百億の納付増になってまいります。国鉄の場合、これが五年先になりますとどうなるか。今NTTは五年間だけ激変緩和措置が講ぜられておりますけれども、では六年目にどうなるか。国鉄の場合は「当分の間」となってあいまいになっておりますが、この操作によっては利益など簡単に吹っ飛んでしまいます。そういう点で、少なくとも五カ年間の中に推計値を入れていらっしゃると思いますけれども、その資料をいただきたい。いただけるかどうか。
  232. 林淳司

    ○林政府委員 先般お出しいたしました五カ年間の各会社別の収支見通しの中に、御指摘の市町村納付金あるいは固定資産税というものについては計上してございます。これは、現在の資産、それからさらに今後の投資額予定というものをベースにいたしまして、従来ベースの市町村納付金という制度に準じて計算をいたしておりまして、その資料については別途御提出を申し上げたいと思います。
  233. 薮仲義彦

    薮仲委員 中身は大体わかりますから、出してくれるかくれないかだけ御返事していただけませんか。——次に、さっき旅客会社の通算制についていろいろ御質問させていただきました。監理委員会からは、旅客の流動がそれぞれの会社の区域内で完結する完結度を、先ほど御説明のように、大体九九%に近いものから小さいものでは八三%ということでお示ししていただきました。しかし私は、この人口動態だけではなくて、それのわずか数%が収入に及ぼす影響というものを、国鉄の五十九年度の資料に基づいて御説明いたしましたように、わずか二%のものも、この収入の段階になりますと六四・六%と、人キロ、さらに収入に引き延ばせばそのように変わってくる。この数%が経営の実態といいますか、一番根幹にかかわる問題だということをお話しさせていただきました。  この点についてもう少し詳しくお伺いいたしたいのですが、この完結度は六十二年度の完結度でお出しになったかどうか。先ほどのは何年度でやったか、簡単に言ってください。
  234. 林淳司

    ○林政府委員 午前中に答弁申し上げました人員ベースでのまたがり率、完結率というのは、これは六十二年度の姿を想定して申し上げたものでございます。
  235. 薮仲義彦

    薮仲委員 この人口流動の動態というものは非常に大事でございます。これはいろいろな推計値があって困難かもしれませんけれども、やはり経営の一番根幹をなすものでございます。特に、先ほど来申し上げましたように、この国鉄改革はオンレールの改革しか論じておりませんが、この旅客動態というものが五年間の経営に及ぼすことは非常に重要でございますので、やはりこの五カ年間の収支見通しの中にその流動は計算に入れていらっしゃると思う。その推計値も私はいただきたい。  それからもう一つ、数%といっても、四国のお客様が本州、北海道へ行くとかいう長い距離、さっき申し上げたように、五百一キロから七百五十キロ帯、ここはもう国鉄が最も能力を発揮できる輸送帯でございます。この区間にどれだけお客を運び出すか、これが経営手腕でございます。北海道の人をどうやって九州へ持っていくか、これによって各経営基盤というものは大きく変わってまいりますので、その地域からわずか数%とおっしゃる、その数%がどのように域外に出ていくのか、人口動態の中で四国から何名の方が本州へ行かれるか。例えば東日本会社から四国会社あるいは九州会社へ行くのはどれくらいを見込んでいらっしゃるのか。これによって収入は大幅に変わってまいります。その推計値が狂えば五カ年間の収支試算なんというものは紙切れに等しくなってまいります。この推計値はやはりお入れになっていると思うので、その地域から域外に行く資料をお出しいただきたいと思いますが、出していただけますね。
  236. 林淳司

    ○林政府委員 先ほど人員ベースでの数字を申し上げましたけれども先生の今の御質問は人キロベースでの資料を出せということかと思いますが、それについては十分検討いたしまして、お出しできるものはお出しいたしたいというふうに考えます。
  237. 薮仲義彦

    薮仲委員 それから、先ほど通算制になさるということを御答弁いただいておりますが、私が先ほど試算を監理委員会にしていただきましたように、監理委員会は、この通算において擬制キロ通算制という方式をおとりになられるわけでございます。擬制キロ通算制をとりますと、先ほど私事務局次長が御答弁なさいましたように、例えば東海会社経営努力をして上げない、東日本会社と西日本会社は一〇%上げた。そうすると、東日本会社は七千六百円から八千百円にふえる、東海会社は四千百円から四千円に減る、西日本会社は四千九百円から五千三百円にふえる。いわゆる無能な経営者と言うと失礼になりますけれども、努力しないで、怠けて赤字をつくった、だから運賃にはね返らして上げてしまえということになって、運賃を上げた会社の方が取り分が多くなる。経営者も社員の方も一生懸命額に汗を流して経営努力して、経営基盤を充実させあるいは関連企業を何とか開拓しておやりになって利益を上げた。でもその利益を還元するために、やはり運賃は改定しないで旅客の方に、お客様にサービスしよう。こうなってくると、今のこの擬制キロ通算制でいきますと、まじめにやったところが損をする。この擬制キロ通算制の概念が果たして健全な各会社別競争条件、また働く者に、まじめに働いて努力したことが報われる、地域の皆さんからも喜ばれるし、給料も上がるし、ボーナスもふえるということならいいけれども会社の収入が減ってくるのであります。監理委員会が金科玉条のごとく御説明なさる擬制キロ通算制というやり方は、経営上は非常に問題が多いと思うのでございますが、いかがでございますか。御意見を……。
  238. 林淳司

    ○林政府委員 各会社によって賃率が異なった場合には、通算制を実効あらしめるために擬制キロ通算制によらざるを得ないと考えております。ただその場合、午前中も申し上げましたように、例えば先生御指定の条件によりまして計算をいたしました場合、東海会社につきましては、これは端数整理の関係だと思いますが、四千百円に対して四千円ということで百円ほど違うことになるわけでございます、擬制キロ通算制をとった場合に。それでは遠距離逓減制というのは、実キロで三百キロあるいは六百キロで賃率を変えることがいいのかどうか。擬制キロ通算制をとった場合には、別途の計算方法でいわゆる遠距離逓減の境界線の距離帯というものも擬制キロの比率に応じて適当に修正するというふうなことも考えられますし、いろいろな方法によってこれは対処ができるのではないかと考えております。その辺については、これからの具体的な運賃の適用に当たりまして詳細な工夫をして対処するということかと思います。
  239. 薮仲義彦

    薮仲委員 国鉄総裁、あなたも運輸の事務次官をおやりになって鉄道にはお詳しいでしょう。今のような擬制キロ通算制が国民に与える影響をどうお考えですか。
  240. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 各企業の運賃水準というものが次第に変化するであろうというような前提の御指摘は、そうなるであろうと思います。その場合に、恐らく運賃というものが自由自在に上げ下げできるという仕組みではないはずでありまして、やはり最大限の合理化を行い、経営努力を行った結果としまして、どうしても物価動向その他によって上げざるを得ないという場合に必要最小限度上げていくということに相なろうかと思います。したがって、今、先生の、怠けていれば運賃が上がって、それが有利に響くというようなとらえ方よりも、やはり各企業それぞれ最大限の努力をした上で、諸般の事情により上がるべき運賃、これもある程度やむを得ない、必要最小限度のものはしようがないであろう。そうした場合に、通算制の場合の擬制キロ運賃、こういうとり方しか通算制をそれぞれ清算する道がほかに余りありませんので、やはりそうした各社の適正運賃の前提のもとに配分を擬制キロによってやることもやむを得ないというふうに思います。
  241. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは非常に問題があって、申し上げましたように、オンレールの上での経営基盤の一番肝心かなめは何か、ダイヤの編成と料金です。このダイヤの編成と運賃によって会社経営は成り立っているのです。民間企業が血の出るような努力をして、どうやって競合する交通手段に勝っているか、運賃です、ダイヤです。その努力によって、例えば、この次質問しますけれども、貨物も路線や区域の業者の方が懸命に努力して自分の業種というものを守っているのです。この賃率の改定ということは、経営の最も根幹であり、その収益の配分ということが、擬制キロ通算制ということが果たして正しいかどうか、これは私は決して納得はいたしておりません。多くの国民もこれは決して納得できない計算のやり方だと思います。これは問題を後に残しておきます。やむを得ないで済むような問題ではない、このことだけは申し上げておきます。  それから、国鉄用地の問題についてお伺いをいたしますけれども、これは非常に重要でございます。現在の国公有地というものは公開競争入札。さっき亀井監理委員長は、天下周知の中でやるから公開競争入札が公正なんだ、公正だからいいというものでは決してございません。公正ということは当然かもしれませんけれども、地価を高騰させれば何のための民間活力か。日本というのは、国鉄も大事かもしれません、しかし関連する建設省あるいは地方自治体の行政というものは非常に重要でございます。その中には道路行政もある、下水道事業もある、住宅産業もある、それはアセンブリー産業としてすそ野が広いのです。地価というものが一切の諸悪の根源になってくる。民間活力と言うけれども、地価を高騰させて何の民活か。これによってむだな税金が用地取得のために使われれば、国民経済を大きな視点で見るならば、それはむしろマイナス要因です。国鉄を助けるために、日本の国の経済全体がそれによって、かつての列島改造のように地価が暴騰して、それによって経済の活性化が失われたら何のために一国鉄を生かすために国民生活が全部犠牲になる、そんなことは断じて許せる事柄ではございません。  このことに関して、私は建設委員会でも質問をいたしました。このことに関しては当該の建設省も十分に関心を抱いておりますし、国土庁も懸念を表明いたしております。これは運輸大臣も御承知だと思いますけれども、改めて申し上げたい。国鉄総裁も監理委員会もよく聞いておいていただきたい。  例えば紀尾井町というのが国有地の払い下げでございますが、こういうことによって周辺に与える影響ということで、まず国土庁は大蔵省に五月三十一日に周辺地価への配慮を要請しております。また七月二十六日には国土庁は大蔵省に対して土地関連融資に係る指導をお願いいたしております。  これはどういうことかというと、最近一部大都市の都心部において地価の急激な上昇が見られる。この地価の上昇ということは、非常に投機的な土地の取引を誘発したりあるいはまた良質な市街地の形成に非常に問題でございますから、特にここで書いてあることを読みますと、「土地取引に関連する金融についても地価の高騰する地域での著しく適正を欠く価格による土地取引や投機的な土地取引を助長しないよう配慮する必要があると考えるので、貴職におかれては、上記の趣旨を御理解のうえ、金融機関に対し、その趣旨の徹底につきよろしく御指導願いたい。」これは国土庁の土地局長名で要請が出ておるわけです。ということは、土地投機ということがどれほど国民経済に与える影響が大きいか。しかも、これは運輸大臣も御承知のように、七月三十日の国鉄再建関係閣僚会議の席上、特に国土庁長官から、国鉄所有地の売却に際して周辺地価に配慮するようお願いしたい、こういう要請もある。国鉄赤字を解消するために、一般公開競争入札で一円でも高く売ればいいんだ、確かにそうかもしれない。でも、それが与える周辺への影響性ということは十分考えなければだめです。しかも、国鉄は今日まで地域社会の中で根づいて、その町、村、市、県の中ではぐくまれて育ってきた。国鉄の用地は、先ほども申したように、国民共有の財産です。町や村や市が、国鉄は一等地を持っています、この国鉄の持っておる土地を有効に使って市の顔を、町の顔を、住みやすい町をつくろうと、駅周辺の整備事業やあるいは区画整理事業、土地再開発事業に過去から五年、十年という経緯の中で一生懸命やっていらっしゃるのです。このことを何らわきまえずに、国鉄は高ければいいんだというような売却の仕方は断じてあってはならないと私は思います。  また、特に民間活力ということで、先ほども申したように、行政機関は第三セクターによっての都市の再開発、駅前周辺の整備も考えております。先ほども質問申し上げたように、国鉄の契約の法律の中では、地方自治体は随契ができますが、しかし第三セクターは該当しない部類に入るのじゃないか。今日までの歴史的経緯を見て、やはり国鉄としてもその地域社会に根差した、また行政の置かれた立場を十分配慮していただきたないで旅客の方に、お客様にサービスしよう。こうなってくると、今のこの擬制キロ通算制でいきますと、まじめにやったところが損をする。この擬制キロ通算制の概念が果たして健全な各会社別競争条件、また働く者に、まじめに働いて努力したことが報われる、地域の皆さんからも喜ばれるし、給料も上がるし、ボーナスもふえるということならいいけれども会社の収入が減ってくるのであります。監理委員会が金科玉条のごとく御説明なさる擬制キロ通算制というやり方は、経営上は非常に問題が多いと思うのでございますが、いかがでございますか。御意見を……。
  242. 林淳司

    ○林政府委員 各会社によって賃率が異なった場合には、通算制を実効あらしめるために擬制キロ通算制によらざるを得ないと考えております。ただその場合、午前中も申し上げましたように、例えば先生御指定の条件によりまして計算をいたしました場合、東海会社につきましては、これは端数整理の関係だと思いますが、四千百円に対して四千円ということで百円ほど違うことになるわけでございます、擬制キロ通算制をとった場合に。それでは遠距離逓減制というのは、実キロで三百キロあるいは六百キロで賃率を変えることがいいのかどうか。擬制キロ通算制をとった場合には、別途の計算方法でいわゆる遠距離逓減の境界線の距離帯というものも擬制キロの比率に応じて適当に修正するというふうなことも考えられますし、いろいろな方法によってこれは対処ができるのではないかと考えております。その辺については、これからの具体的な運賃の適用に当たりまして詳細な工夫をして対処するということかと思います。
  243. 薮仲義彦

    薮仲委員 国鉄総裁、あなたも運輸の事務次官をおやりになって鉄道にはお詳しいでしょう。今のような擬制キロ通算制が国民に与える影響をどうお考えですか。
  244. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 各企業の運賃水準というものが次窮に変化するであろうというような前提の御指摘は、そうなるであろうと思います。その場合に、恐らく運賃というものが自由自在に上げ下げできるという仕組みではないはずでありまして、やはり最大限の合理化を行い、経営努力を行った結果としまして、どうしても物価動向その他によって上げざるを得ないという場合に必要最小限度上げていくということに相なろうかと思います。したがって、今、先生の、怠けていれば運賃が上がって、それが有利に響くというようなとらえ方よりも、やはり各企業それぞれ最大限の努力をした上で、諸般の事情により上がるべき運賃、これもある程度やむを得ない、必要最小限度のものはしようがないであろう。そうした場合に、通算制の場合の擬制キロ運賃、こういうとり方しか通算制をそれぞれ清算する道がほかに余りありませんので、やはりそうした各社の適正運賃の前提のもとに配分を擬制キロによってやることもやむを得ないというふうに思います。
  245. 薮仲義彦

    薮仲委員 これは非常に問題があって、申し上げましたように、オンレールの上での経営基盤の一番肝心かなめは何か、ダイヤの編成と料金です。このダイヤの編成と運賃によって会社経営は成り立っているのです。民間企業が血の出るような努力をして、どうやって競合する交通手段に勝っているか、運賃です、ダイヤです。その努力によって、例えば、この次質問しますけれども、貨物も路線や区域の業者の方が懸命に努力して自分の業種というものを守っているのです。この賃率の改定ということは、経営の最も根幹であり、その収益の配分ということが、擬制キロ通算制ということが果たして正しいかどうか、これは私は決して納得はいたしておりません。多くの国民もこれは決して納得できない計算のやり方だと思います。これは問題を後に残しておきます。やむを得ないで済むような問題ではない、このことだけは申し上げておきます。  それから、国鉄用地の問題についてお伺いをいたしますけれども、これは非常に重要でございます。現在の国公有地というものは公開競争入札。さっき亀井監理委員長は、天下周知の中でやるから公開競争入札が公正なんだ、公正だからいいというものでは決してございません。公正ということは当然かもしれませんけれども、地価を高騰させれば何のための民間活力か。日本というのは、国鉄も大事かもしれません、しかし関連する建設省あるいは地方自治体の行政というものは非常に重要でございます。その中には道路行政もある、下水道事業もある、住宅産業もある、それはアセンブリー産業としてすそ野が広いのです。地価というものが一切の諸悪の根源になってくる。民間活力と言うけれども、地価を高騰させて何の民活か。これによってむだな税金が用地取得のために使われれば、国民経済を大きな視点で見るならば、それはむしろマイナス要因です。国鉄を助けるために、日本の国の経済全体がそれによって、かつての列島改造のように地価が暴騰して、それによって経済の活性化が失われたら何のために一国鉄を生かすために国民生活が全部犠牲になる、そんなことは断じて許せる事柄ではございません。  このことに関して、私は建設委員会でも質問をいたしました。このことに関しては当該の建設省も十分に関心を抱いておりますし、国土庁も懸念を表明いたしております。これは運輸大臣も御承知だと思いますけれども、改めて申し上げたい。国鉄総裁も監理委員会もよく聞いておいていただきたい。  例えば紀尾井町というのが国有地の払い下げでございますが、こういうことによって周辺に与える影響ということで、まず国土庁は大蔵省に五月三十一日に周辺地価への配慮を要請しております。また七月二十六日には国土庁は大蔵省に対して土地関連融資に係る指導をお願いいたしております。  これはどういうことかというと、最近一部大都市の都心部において地価の急激な上昇が見られる。この地価の上昇ということは、非常に投機的な土地の取引を誘発したりあるいはまた良質な市街地の形成に非常に問題でございますから、特にここで書いてあることを読みますと、「土地取引に関連する金融についても地価の高騰する地域での著しく適正を欠く価格による土地取引や投機的な土地取引を助長しないよう配慮する必要があると考えるので、貴職におかれては、上記の趣旨を御理解のうえ、金融機関に対し、その趣旨の徹底につきよろしく御指導願いたい。」これは国土庁の土地局長名で要請が出ておるわけです。ということは、土地投機ということがどれほど国民経済に与える影響が大きいか。しかも、これは運輸大臣も御承知のように、七月三十日の国鉄再建関係閣僚会議の席上、特に国土庁長官から、国鉄所有地の売却に際して周辺地価に配慮するようお願いしたい、こういう要請もある。国鉄赤字を解消するために、一般公開競争入札で一円でも高く売ればいいんだ、確かにそうかもしれない。でも、それが与える周辺への影響性ということは十分考えなければだめです。しかも、国鉄は今日まで地域社会の中で根づいて、その町、村、市、県の中ではぐくまれて育ってきた。国鉄の用地は、先ほども申したように、国民共有の財産です。町や村や市が、国鉄は一等地を持っています、この国鉄の持っておる土地を有効に使って市の顔を、町の顔を、住みやすい町をつくろうと、駅周辺の整備事業やあるいは区画整理事業、土地再開発事業に過去から五年、十年という経緯の中で一生懸命やっていらっしゃるのです。このことを何らわきまえずに、国鉄は高ければいいんだというような売却の仕方は断じてあってはならないと私は思います。  また、特に民間活力ということで、先ほども申したように、行政機関は第三セクターによっての都市の再開発、駅前周辺の整備も考えております。先ほども質問申し上げたように、国鉄の契約の法律の中では、地方自治体は随契ができますが、しかし第三セクターは該当しない部類に入るのじゃないか。今日までの歴史的経緯を見て、やはり国鉄としてもその地域社会に根差した、また行政の置かれた立場を十分配慮していただきたに拡大しまして、貨物全般にわたることは大変難しいと思いますけれども、小さな小荷物程度の物をスピーディーに運ぶということにつきましては、若干発着地点におきます集配等の問題がございますけれども、夢のある仕事としまして、なお十分検討に値するのではないかなというふうに思います。
  246. 薮仲義彦

    薮仲委員 夢を見たから、今度は現実に返りましょう。  なぜ貨物がだめなのかということで、いつもこれを読んでみると、レールの上のことはたくさん書いてあるのです。しかし、私は当選したとき運輸でございました。そのとき貨物の問題をいろいろ勉強させてもらったとき、一番困ったのは通運の問題です。通運と国鉄というものはどうしても一つの問題として考えなければならない。オンレールと、そして荷物を集めてくる集配産業あるいは物流の倉庫業というものが一つになって物流というものが成り立つわけでございますけれども、この通運というものが国鉄の場合はついて回る。通運を考えずして合理化あるいは経営の健全化というのはできないのではないかなと思う。  国鉄さんにちょっとお伺いしたいのですが、現在国鉄で、収入のうち通運の取り分、国鉄の取り分は、大体何対何ですか。
  247. 岡田昌久

    ○岡田説明員 平均で申しますと、国鉄の収入が六、通運料金が四という割合でございます。
  248. 薮仲義彦

    薮仲委員 きょうはもう時間が来ましたから、この通運、いわゆるオンレールとオフレールの問題については後にしますけれども、私は国鉄さんからも資料をもらっておりますし、運輸省からも資料をもらっておりますし、関係業界からいわゆる実勢運賃というのをもらっております。  これでいきますと、国鉄の一番多いコンテナは、いわゆる五トンコンテナでございます。大体コンテナが一番ふえているところ、さっきから五トンが有力なあれであると言いますけれども、確かに五トンがそうでございます。ただ、その五トンを通運が乗せるときには、一個積み、二個積み、どちらのトラックが多いのかというと、一個積みのトラックが千二百六十台、二個積みは百二十台、一割です。  さらに、この通運の料金がどうなっているのか、これは十分検討していかなければならない問題です。例えば駅から十キロ以内の通運料金がここに細かく出ておりますけれども、大変に高い。例えば東京ですと、第一区が九千六百円、これは十キロ以内。二十キロ以内で一万一千九百円。三十キロで一万四千二百円。二千三百円前後の刻みでどんどんふえていくわけでございます。そうなってまいりますと、通運の合理化なくして絶対にだめだ。今国鉄を幾らスリムにしたところで、四割は通運の料金で取られるわけです。  ここに一つの例がございますけれども、五ドンコンテナ二個使って十トンを輸送する場合、鉄道運賃がどうなるかというと東京−大阪で十万八千四百円です。これがタリフ基準運賃、いわゆる運輸省の認可料金ですが、運輸省が基準運賃として認可しているのは東京−大阪で十トンで十一万二千円です。ところがトラック業者の実勢はどうかというと、ゴム製品などは七万円で行くよ。これは国鉄さんからいただいた資料ですから、これでもまだ高いと思う。私ども関係業者に聞いてみますと、鉄とか鉄くずというのは安いのだ。これは十トンというのを適正に積んでいるからだ。過積載をやった場合には、トン当たりで六千円、一番安いのはトン当たりで三千五百円で行くのですよ。これが路線もしくは区域トラック業者がやっている事業です。こういう値段になってまいりますと、まだ全然太刀打ちできないのです。こういう通運との絡みを十分考えながら貨物の再建について検討していかなければならない。  この問題は、きょうは時間がありませんから、これで終わっておきます。  それで、きのうちょっと規制緩和の委員会質問したときに、私、最後に納得できない部分があったので、きょうもう一度運輸省の航空局並びに技術部の方の御意見を伺いたいのですが、結論だけ言います。  私は、どんなに技術革新が進んでも、人間の能力には限界があると思うのですね。どんなにコンピューターが進歩して、コンパクトに運航、航行状態が制御された形で非常に軽減されるといっても、あの小さなコックピットの中で、例えばニューヨークから成田ですと十四時間ぐらい空を飛んでいなければならない、あるいはソ連のハバロフスクから日本ですと七時間とか九時間とか言われておりますけれども、その拘束時間があるわけです。三人乗ったらいいのか二人乗ったらいいかというのは、単なる機械の性能だけではなくして、健康管理上も精神衛生上もどうなのかな。ここにあるように、ヒューマンリダンタンシー、やはり人間の目から見てもゆとりがないと、このコックピットの中の労働環境というのは決してよくないのじゃないか。そういう意味で、この間日航機の操縦士の方が精神的な病いから墜落した事故もございましたし、やはり単に規制緩和だ、あるいは非関税障壁だということではなくして、健康の面からも十分に労働環境というものを考えながら、快適な労働条件のもとで安全な飛行ができるような体制を運輸省に検討していただきたい、私はこう思うのですが、これについての御意見を伺いたい。  もう一つは整備の問題で、エアライン、国際線などの整備は、日常ずっとやっていなければ、たまに検査や何かしてもわからないのだ、安全というのは、日常の積み重ねがあの大きな機体を安全に航行できるのだ、この意見、私わかります。でも、そうであっても、我々は四年に一遍とか三年に一遍とか車検を受けます。そのときにああやはりこうしなければだめだな、ブレーキはどうだ、あるいはタイヤはどうだ、気にかかります。いわゆる検査機関は、例えば今自分で車検もできるわけですけれども、第三者機関にゆだねると緊張します。航空機も、このようにいろいろと問題を起こしたときでございますから、将来にわたって、日常の検査は検査、整備は整備として結構でございますが、例えば耐空時間何万時間、あるいは年に一度とか何年に一度、何が適正か、わかりませんけれども、検査項目も、余り通常やる問題についてはよしとしても、大事な項目については、何件かはきちんとした第三者機関で耐空試験であるとかいろいろな安全の試験を受けるような機関を将来は確立すべきではないかな、こう考えますけれども、この二点について運輸省の見解を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  249. 大島士郎

    ○大島政府委員 お答えいたします。  初めの第一点の、操縦士が長時間乗務するような場合に当然疲労ということが問題になるわけでございますが、現在でも運航規程というもので操縦士の乗務時間等を規制しております。また各会社では、この運航規程の規制の範囲内で、乗務員との話し合いによって、これをさらに上回ると申しますか、疲労においては楽な方向で協定を結んでおります。一定の時間以上乗務をするような路線におきましては交代要員を置く、こういうようなことで、まず勤務条件を協定しておるところでございます。  ただいま先生の御指摘の、将来ともこういった面、乗務員の疲労等について研究なり調査が必要ではないかということでございますが、私どももその点においては十分認識しているところでございまして、例えば運輸省の外郭団体と申しますか、航空医学研究センターという財団法人がございます。そこにおきまして、これはお医者さんが中心になって研究を進めるところでございますが、乗務員の搭乗業務と体の疲労度に関する研究を今後とも積極的に進めてまいりたい、このように考えておるところでございます。  それから第二の点の、航空機の整備と検査の問題でございますが、現在、大型の航空機と申しますのは、日本に輸入される場合に運輸省の検査を受けて耐空証明書というものを取得いたします。その後、一昔前は大型航空機であっても毎年定期的に運輸省の検査を受けるという制度がございました。しかしながら、運用している中において、日々定期路線に就航している飛行機は一年に一遍運輸省の検査を受けるというやり方よりも、むしろ日常の整備をしっかりやっていく、またその整備のやり方を運輸省が厳しく監督する、こういう体制の方が実際的に安全な運航に資するものであるというような考えに至りまして、現在では大型の航空機の場合には、耐空証明書の期限を整備規程による整備をしている期間ということで、我々俗に連続式耐空証明と言っておりますが、そのような形で年一回の定期検査というものを実質上廃止いたしまして、日常の運航整備、これを私どもの立入検査あるいはその他実態の把握の調査等で監督しているところでございます。そういう意味で、ただいま第三者機関というお言葉でございましたが、私ども国もそういう意味では運航者と違った立場で十分厳密に検査しているというふうに考えております。自動車あるいは船のような独立した第三者機関、こういう考え方につきましては、実は航空は大変すそ野がまだ狭いと申しますか、検査対象が非常に限られているものですから、船あるいは自動車のような独立した検査機関をつくるということは、なお長期的な課題として研究をしていきたい、こう考えております。
  250. 薮仲義彦

    薮仲委員 終わります。
  251. 久間章生

    ○久間委員長代理 辻第一君。
  252. 辻第一

    ○辻(第)委員 私はきょうは国鉄の車両事故の問題でお尋ねをいたします。  輸送機関では安全問題というのは何よりも優先させなくてはならない問題だと思うのですが、私は先日来関西線の王寺駅で一〇正系電車のフランジ摩耗による脱線事故の問題について意見を申し上げてきましたが、きょうは今春以来中央線で多発をしております二〇一系電車の車両故障についてお尋ねをいたします。  二〇一系電車の主電動機軸受けの故障が四月から六回も発生しているということでございます。走行中に突然故障して車輪が回転しない、そして運行打ち切りになる、こういうケースがあるというふうに聞いているわけであります。幸いに大きな事故にはなっていないようでありますけれども乗客の方にはいろいろと御心配がありますし、また国鉄労働者の中にも大変な不安があるということであります。  さて、この六件までいかなくても、類似する故障あるいは故障寸前でモーターを取りかえた件数について、電車区別に、何編成で何個が、お尋ねをいたします。
  253. 日吉政和

    ○日吉説明員 ただいま先生からお話のございました二〇一系の電車でございますけれども、一連の故障が起こっておりますが、故障による取りかえの状況につきましては、関係の電車区が四つございます。東京ばかりでございますが、中野、三鷹、武蔵小金井、豊田と四つございます。この中でモーターの取りかえの個数でございますが、中野が三十二個、三鷹六個、武蔵小金井三十六個、豊田五十一個、合計百二十五個となっております。  以上でございます。
  254. 辻第一

    ○辻(第)委員 国鉄からいただいた資料によりますと、対策として主電動機のヨークにアース線を取りつけるということでありますが、いつから修理にかかり、いつ完了するのかということが一点。それから、入場時に軸受けに電食が発生しているものは取りかえるというふうに言っているのですが、入場時というのはいつのことなのか。三番目は、臨時に入場させるのかどうか、お答えをいただきたい。そしてもう一つ、事故に関して電車区や運転士、車掌等に必要な注意を喚起したのかどうか。この四点お尋ねをいたします。できるだけ簡明に答えてください。
  255. 日吉政和

    ○日吉説明員 原因が漏えい電流ではないかということでございますので、先生のおっしゃるように、アースをつけよということで、現在もう取りつけておりまして、年内には完了する予定にいたしております。  それから、入場の関係でございますが、電車の走行キロ、キロによりましていろいろとばらつきがございますけれども、標準を申し上げますと、種類が二つございまして、一つは四十万キロ、もう一つは八十万キロで入ることになろうかというふうに思っております。  それから、臨時に入場するということではなくて、この電車を配置いたしてございます基地で動いておるときにしかわかりませんので、転がしまして様子を見るという形で注意をしてやって、問題があるものについては取りかえるという形をとっております。  それから、乗務員につきましては、異常がございますとユニット表示灯がつくなり加速が悪くなるというようなことでございまして、直ちにわかるということでございますので、特に問題はございません。  以上でございます。
  256. 辻第一

    ○辻(第)委員 それでは、臨時入場というのはないのですか。四十万キロ、八十万キロのときに入場ということなんですか。
  257. 日吉政和

    ○日吉説明員 お答えいたします。  先ほど四十万キロ、八十万キロと申し上げましたのは、検査の種類によりまして定期的に入場するものでございまして、アース線を取りつけるための工事は、工場並びに電車区両方で実施いたすことにしております。特別にこのためだけの入場というのは考えておりません。
  258. 辻第一

    ○辻(第)委員 もう少し尋ねたいのですが、時間がないので、臨時入場がない、その辺がどうもはっきりせぬのです。入場時ということは、要検あるいは全検のときではないか、こういうふうに私は思うのですが、そういうことにしますと、ことしの春の検査周期の延長で台検が廃止され、要検、全検の周期が延びて、こういうような大きな検査は、三年に一個要検、そして六年目が全検ということになると私は理解しております。そういうことになりますと、ふぐあいの発見がおくれるということは当然考えられるわけであります。今回の事故が検査周期の延長と関係があるかどうかはとにかくとして、検査周期の延長が安全性の面からも問題が多いことは、私はこれまで委員会でも指摘をしてまいったところでございます。入場時にチェックして必要に応じて取りかえるのは当然でありますけれども、これは特段の対策ということではないので、臨時入場なり、当面問題の型式であります二〇一系や一〇五系の改造車両については台検を実施するなり、本当に十分な対応策をとるべきであると考えるのですが、いかがですか。     〔久間委員長代理退席、委員長着席〕
  259. 日吉政和

    ○日吉説明員 先生のお話のように、定期の入場は四十万キロ、八十万キロということで基準としてございますけれども、今回の一連の故障につきましては、先ほど申し上げました漏えい電流によるものではないかということでございますので、アースを取りつけるということと、それから漏えい電流そのものがどこからどういうふうに出ているかということに対する究明をやることによって、全体的な回帰キロその他の問題とは別にクリアできると理解いたしております。
  260. 辻第一

    ○辻(第)委員 本当に徹底的な原因究明を急いでやって、十分な安全対策をとっていただきたい。どうも今の状態では不十分だと私は言わざるを得ないと思うわけであります。  さて、総裁にお尋ねいたしますが、日航機事故の問題でも明らかになったと思うのですが、本当に予期せざる事故が起きるのですね。この二〇一系の車両故障の問題も、聞いてみますと予期せざるものが頻発しておる、幸い大事に至っていないけれども、そういうことがたくさんあると思うのですね。ところが、今国鉄が進めておられるのは大変な合理化ですね。既にやられておりますが、台検が廃止され、要検、全検の周期が延びておるということですね。これでは輸送機関というのは何が何でも安全ということを最重点にしなければならない、それがもう実際におろそかにされていると言わざるを得ぬですね。これまで台検というのは一年目にあって、二年目に要検があって、そして三年目に台検があって、四年目に全検ですか、これだったのが、その真ん中が抜けて三年目に要検、六年目に全検ですか、こういうことになるのですね。一年ごとにやったのがもう三年ないのでしょう。真ん中二年抜けるのですね。そしてまた、それから後は二年抜けて六年目。国鉄は新しい車両ばかり使っているわけじゃないでしょう。古い車両も出てくるわけですね。そういうことから見ますと、重大な問題だと私は言わざるを得ぬのです。本当に安全を守るという立場から、検査周期の延長を撤回してもとの台検をやる、また要検は二年目、全検は四年目、こういう検査体制にしていただきたいと思うのです。一言御答弁をいただきたいと思います。
  261. 杉浦喬也

    ○杉浦説明員 安全の確保は、国鉄のみでなく輸送関係の従事者の全職員が常に心がけるべき最大の責務であるというふうに私もいつも全職員にお話をしているところでございます。合理化と安全の関係におきましては、十分その辺も検討に検討を重ねまして、至上命題でございます安全が合理化によって損なわれることは絶対ないという確信のもとに合理化施策を進めておるところでございまして、ただいま先生指摘の御趣旨を十分体しながら今後進めていきたいと思います。
  262. 辻第一

    ○辻(第)委員 総裁、今は合理化最優先、首切り最優先なんですね。本当に安全を守って国民が安心して国鉄に乗れるようにぜひやっていただきたい、重ねて強調をしておきます。  次に、三光汽船の問題でお尋ねをいたします。  三光汽船の倒産については、投機的商法に走った三光汽船の責任がもちろん第一であります。共同して行ってまいりました商社や銀行の責任も当然であります。またこれまで同僚議員が指摘をされました投機的船舶建造に次々と認可を与えてきた政府・運輸省もその責任は免れないということであります。  そこで第一番目に、運輸大臣や仲田局長も、三光の再建に当たり、大量の人員整理、首切りが前提であり、その上に立って転換の対策などの雇用対策で協力する用意があるかのような発言をされております。運輸省の意向や動向が保全管理人の再建策にも大きな影響を与えることは明らかであります。運輸省が大量首切りを前提にして動いているとすれば、事は重大だと言わざるを得ません。全日本海員組合は、照国やジャパンラインの再建に関しても、指名解雇はもちろん希望退職さえ許さなかった事実を持っております。今回の全日本海員組合の決議文でも、二千三百名の船員の雇用を守ることを大前提にして再建を目指していることは御承知のことだと思います。  そこで、首切りを前提にした再建を目指すかのような発言は極めて不謹慎であり、取りやめるべきだ、このように思うのですが、いかがですか。大臣にお答えいただきたいと思います。
  263. 山下徳夫

    山下国務大臣 私たちが首切りを前提とした再建を考えているということはどこからお聞きになったのか、全くそんなことを申し上げたことはありません。今御指摘のように、二千三百人だけではございません、韓国二千人、フィリピン二千人という外国の船員もたくさん乗り組んでいる。そういうことから、この三光汽船の今後の再建策については、これらの国々も重大な関心を持っているということを既に言っておられるということでございます。とにかく今御指摘の二千三百人の問題につきましても、何とかして再建策が講じられることによってはみ出さないように、余剰人員とならないように、つまり首切り等が行われないように、そういう立場から私どもは再建を強く望んでおるわけでございます。そのために今日保全管理人も大変な御努力をいただいておる、私どももまたそれを期待しているということでございますから、どうか思い違いのないようにお願いいたしたいと思います。
  264. 辻第一

    ○辻(第)委員 新聞紙上などに載っていることであります。私は、そのことが事実であれば極めて不謹慎であり、取りやめるべきだと重ねて申し上げたいと思います。  第二番目に、日本人船員の首を切らなければ再建できないというような根拠はどこにもないというふうに思うわけであります。伝えられている百二十六隻の運航体制を仮に前提にしても、四千人近い船員の職場が確保できます。問題は、日本人船員を追い出して外国人船員を乗り組ませるというやり方、いわゆる便宜置籍船を放任をし、推奨する海運政策を見直すかどうかということにあろうと思うのです。目先の利益だけを追い求める仕組み船方式であるとか便宜置籍船方式は、今回の三光汽船の倒産に見られますように、健全な企業体質をつくるどころか、企業を不安定にし、また船員労働者に塗炭の苦しみをもたらしていることはもう御承知のとおりだと思います。  さらに重大なことは、中長期的に見た日本海運のあり方から見ましても、決して政府が容認したり推奨すべき方向ではありません。世界の船員労働者や発展途上国の怨嗟の的であり、また海工事故や公害の元凶とも言われております便宜置籍船が未来永劫続くはずがないということであります。ですから、日本海運の今後の健全な発展のためにも、また当面する三光汽船の再建のためにも、日本人船員の乗った日本商船隊の確立に向けて海運政策を追求すべきではないか、このように考えるわけでありますが、運輸省の御所見をお聞きをしたいと思います。
  265. 仲田豊一郎

    ○仲田政府委員 日本人船員が外国の船員に比べまして非常に技能の面でもすぐれておりますし、また信頼のおける勤勉さを持っておるということは、世界各国の方々が認めるところでございます。私どももその日本人船員の優秀さということははっきりわかっているつもりでございますが、今回の三光の問題につきましては、現在裁判所の手にあるわけでございますが、まずこの企業を再建するということが、これからの雇用を確保するという意味で一番大きな前提でございます。再建される企業というのは、やはり一つ経営体として成り立つ企業でなくではならないということもまた当然でございます。そういう前提の上に立ちまして、できるだけ多くの日本人船員の雇用を図っていくような方向で再建策を考えていただくということを我々も強く期待をしているところでございます。
  266. 辻第一

    ○辻(第)委員 終わります。
  267. 三ツ林弥太郎

    三ツ林委員長 次回は、来る十二月六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時五十三分散会