○板垣正君 今外務
大臣のおっしゃったことは、私も全く同感であります。私はソ連の世界戦略はアメリカを孤立化させること、また、海洋を支配すること、これを根本にしているというふうに考えております。そうした一貫した政策を取り続けておる。ゴルバチョフ書記長は五十四歳、若いと言われますけれ
ども、あの亡くなったブレジネフが書記長になったのは五十七歳であります。そうして十七年間ブレジネフ時代が続いたわけでありますが、このブレジネフ時代というのは一言で言ってみれば大軍拡の時代であります。継続の時代。アメリカに追いつき追い越せ、しかもそれをなし遂げた。そして内には反体制を抑圧をして、
国民の経済的犠牲のもとであの大軍拡をなし遂げたのがブレジネフ時代であった。ゴルバチョフ書記長も五十四歳と言われておりますけれ
ども、この長期政権もそうした方向にいかないとは言えない。
いずれにいたしましても軍事
専門家の見るところ一致しているのは、ソ連が自由化するとか簡単に変わるとか、あるいは経済的に行き詰まって崩れるとか、そうした期待は全く幻想である。二十年でも三十年でもこの軍拡を続けられる、そういう体質であり、国の本質を持っておる。そういう点においてまさに外務
大臣おっしゃるとおりに、粘り強く、息長く進めざるを得ない。それにしましてもグロムイコ外務
大臣が来るとか来ないとか、余りグロムイコ、グロムイコと、向こうが来るのが当然であって、来ることを何かいかにも歓迎をする、向こうが来てやるんだというふうな雰囲気というものは私は非常に危険であろうと思う。そういう点で、これは
要望でありますが、今おっしゃったとおり毅然として国益を貫く、そういう方向をとっていただきたいと思うのであります。
そうして、これに対応する西側の防衛戦略でございますが、特徴的なことは、最近特に通常戦力の
評価が改めてなされているのではないか。あくまでアメリカに依存するだけではなく、いわゆる徹底的な戦争抑止をする、そのために十分な抑止力の維持を図っていくというのが西側陣営の一致した方向であろう。そういう中で核に依存をしない、核に対する敷居を高くする、そういう面でこの通常戦力の増強が改めて
評価されているし、そうした
努力がなされているのではなかろうか。あわせて紛争の早期解決なり、そうした国際機能あるいは情報の把握、軍備管理の交渉等も進めていく、あるいは自由主義社会の安定、南北問題の解決、こういう中で粘り強く頑張っていくほかない。
その中でソ連の変わるのを期待するよりも、
一つの方向として戦略を根本的に変える、いわゆるSDI、防衛戦略構想であります。これは従来の恐怖の均衡という双方の戦略思想を根本的に変えて、いわゆる防衛戦略、そうした今までの先端技術の発展の中で新しい画期的な構想が生み出されつつある。まだまだこれは研究
段階でありますが、これをなし遂げることができるならば、これは自由世界こそなし遂げられる。ソ連のような全体主義、言論統制のところでは、到底こうした先端技術においては及ばない。そうであるならば、ソ連が変わるのを待つよりは、こうしたSDIに表現されるような新しい戦略構想を西側陣営一致して進めていくということは画期的な意義のあることではないか、我が国としても積極的に取り組むべきではないか、この点について外務
大臣、見解をお聞きします。