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国務大臣(
竹下登君) そこで、その六月二十六日に
委員長から、「ただいまの決議に対し、
竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。」、私が立ち上がりまして、「御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。」とお述べして、「なお、第一の事項につきましては、具体的な歳出削減計画とか、増税計画といったものを策定してお示しすることは無理だと思われますが、目標達成に至るいろいろな道筋についてどのようなものができるか、今後工夫してまいりたいと存じます。」と
お答えしたこと、今御指摘のとおりでございます。
したがって、結果的には、そう言いながら穐山さんのお気持ちの中では、中期展望をもって財政運営を考えていくことが必要であると考えておる、そのような観点から、このたび
国会に基本的な
考え方と、そして財政の中期展望や機械的手法による仮定計算例を出して御審議の参考に供しているところだと。これでは全く去年と同じじゃないかと、こういうことがあろうかと思うのであります。先読みをするようでございますが、本当にそうであろうと思います。
そこで、今回提出した試算は昨年と同じ手法であります。いわゆる歳出と歳入の差額を要調整額という形でお示ししております。これも確かに中期的に見た財政事情を示す
一つのわかりやすい試算でありましょうが、これをもとにさまざまな角度から検討していただくためのたたき台となる基礎的な資料であるという考えは、今日もそのとおりでございます。
私も考えましたのは、何かそれでも一歩でも半歩でも進んだものが出てこないかということを随分議論をいたしてみました。結局、さはさりながら、この手法で増税をもって幾らに充てます、歳出削減をもってこの用に充てますということを、なかなかこれを将来にわたって試算するのは困難でございます。そこで、言ってみれば、その中期展望の裏側にある
一つの施策というものを読み取っていただきますならば、昨年から申しますならば、いわゆる医療制度の
改革というものが、昨年に比したものから見れば、今年度はそれが試算の中に変わった形で出てきております。そしてまた、歳出面におきましては、いま
一つは、これも今
国会でお願いしておりますいわゆる
補助金の
あり方の問題で、高率補助等々の削減問題を法案の形でお願いをしております。これが、言ってみればそういう要調整額を苦心した裏側の作業としてこれを読み取っていただきたい。
それから、先ほど御質問の中で出ました、いわゆる国債償還
財源の充実に資するための電電株式を国債整理基金へ三分の二帰属させる等の方向、これもまだことし売るわけじゃございませんので、数字としては出てこないわけでありますが、数字の裏側にある
一つの施策の
あり方としてこの
国会で御論議をいただいておるということでございます。したがって、そういうものを
前提に定量的な試算をするのは確かに難しゅうございますけれ
ども、やっぱり今日の段階は結局、私も一歩でも二歩でもと思っていろいろなことを考えましたが、そういう要調整額をいかにしてやるかという問答をしておる中に、賢い
国民でございますし、具体的に
国民のコンセンサスが那辺にあるかということが見出されていって、それが年々の試算の裏側に、あるいは試算の中身の中に変化していくべき性格のものではなかろうか、そんな感じがいたしております。
あえてもう
一つつけ加えるとしますならば、かく増税し、かく削減するとかいうような問題を、おれについてこい式で言う時代じゃないのじゃないか。
国民の方が賢いわけでございますから、
国民に問いかけておる間にコンセンサスを見出していくというのも新しい時代における
一つのリーダーシップの
あり方かなと、我と我が身に言い聞かせながら時々反省をし、また時には自己満足もしながら
対応しておるというのが偽らざる私の心境でございます。