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-
-
-
-
○
委員長(
長田裕二君) 御
異議ないと認め、さよう決定いたします。
─────────────
-
-
○
中野鉄造君 私は初めに、通告の質問に入ります前に、極めて今日的な問題ではございますが、
イラン・
イラク戦争の
状況についてお尋ねいたします。
本日の報道によりますと、
現地の生々しい
状況が詳しく報道されております。その中で
現地日本人にも
負傷者が出ているというようなことも言われておりますけれ
ども、このことにかんがみまし
て、
外務大臣並びに
総理はこの
事態をどのように見ておられるか、お尋ねいたします。
-
-
-
○
中野鉄造君 今後の
外交折衝にまつということでございますが、救援の時期というようなことについては今のところ皆目わかりませんか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君)
現地の
テヘランの
在留邦人、さっき五百人と言いましたが、四百人余ということでありますが、この
在留邦人会が緊迫した
事態であるからぜひともひとつ脱出したいということで
日航機の派遣を求めておるわけでございます。これを受けて今、
政府としまして
日航側とも
相談して、ここら辺については大体協議が調ったわけでありますが、しかし
イラン側、
イラク側に安全を求める、その問題が大変大きな
要素でありまして、この点について今
イラン、
イラク両
政府と
調整をしておる。こういうことでございまして、
戦争の今後の行方とも絡みまして、この点についてはやはり急を要する問題でありますから、我々としては早く結論を出して対処しなければならない、こういうふうに思っております。
-
-
○
国務大臣(
竹下登君)
中野さんにお答えをいたします。
中野さんのおっしゃるのは、要するに
補助金等をなるほど減額しておる、しかしそれはいわば
高率補助の
引き下げ、
地方負担の増をもたらすことであるとかいうような
現状糊塗策に終わっておって抜本的な
対策とは言いがたいではないかと、こういう御趣旨だろうと思っております。
私
どももすべての経費についてそれぞれの
制度、
施策の
見直しを行いまして、そして極めて限られた
財政事情のもとでいろいろな
工夫をやった、
工夫のぎりぎりの調和が今日御審議いただいておるところの
予算案だというふうに御理解をいただきたいわけであります。したがって、
補助金の洗い直しにいたしましても、
人件費等の
補助の
見直しとか、
高率補助率の
引き下げまたは廃止、
合理化、そういう
質的量的両面にわたった
整理合理化を積極的に進めて、
補助金の総額にしましては、前年度に引き続いて真にやむを得ない
増加要素を織り込んでなお対前年度比千三百四十四億円の減と、こういうふうに厳しく圧縮をしてきたところでございます。これが
地方と国との
負担区分の
あり方等につきましては、まさに引き続き検討を重ねることによって今後になお対応していかなければならぬ課題が残っておることは事実でございます。
-
○
中野鉄造君 それでは、いま少し具体的に申しますけれ
ども、
政府が毎年提示しています
財政の
中期展望を見ましても、ただ単に現在の
制度や
施策をもとに六十五年度に
特別公債からの脱却を図ろうとすれば、六十一年にはこれだけ、そして六十二年にはこれだけ、六十三年にはこれだけと、こういった各年度の要
調整額が三兆円になりますよとか、五兆円になりますよとか、こういったような
試算を示しているにすぎないわけなんですけれ
ども、そうして盛んに
財政状況の厳しさを訴え
ておりますけれ
ども、また一方、
中期的財政事情の
仮定試算を見ましても、これまた
一般歳出の伸びを〇%、三%、五%、そうした場合の
財政状況を示しているにすぎないのでありますが、そうじゃなくて、どうしたらこの
財政構造を変えていくことによって
財政の
機能を
回復していけるのだといったような、そういう
計画ないしは将来
展望があってしかるべきじゃないかと思いますが、この点についていかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 今の
中野さんの御
意見というのは、私
どもが絶えず念頭に置いていかに対処していくかという
一つのポイントであろうと私は思います。今おっしゃったことを前提に、さらに一歩進めて、このような収支の差額を残したものではなく、それを埋めるために
具体的方策を織り込んだ
試算を示すべきではないか。その
意見で、私も、昨年も国会の議論を踏まえて、何とか半歩でも進んだ、一歩とは言えなくても、進んだものをお示しできないかということを希望を持って省内で種々検討いたしてまいりました。が、結果として、やはり昨年と同様、
中期展望や
仮定計算でお示しするにとどまったわけであります。
しかしながら、六十年度
予算編成におきましては、
歳出歳入両面において
財政改革に向けての懸命の
努力を行いますとともに、税制全般について幅広い角度から検討を行うことが必要との、そういう認識をまず
一つは明らかにいたしました。そして歳出面では
補助金のあり方について抜本的な
見直しを始めることといたしましたし、また国債償還財源の充実に資するための電電株式を国債整理基金へ三分の二帰属させる、そういう方向を示した。だから、そのような具体的なもので定量的なものは示せなかったが、そういう方向だけは、その
試算の裏側とでも申しましょうか、そういうものを示さしていただくことによって、少しでも
予算審議の足がかり、手がかりにしていただこうということを考えたわけでございます。
そこで、結局、今後ともいわゆる要
調整額を埋める具体策、これにつきましては、そういう方向を裏打ちする中で、自然に今度は定性的なものが定量的なものに逐次近づいていく
努力をしなければならぬ。だから、今日の段階ではそういう方向性を示唆いたしましたが、定量的な
試算をするということは困難だという結論に到達したわけであります。
要
調整額の解消のためには
歳出歳入両面にわたる種々の
施策の組み合わせが必要でありまして、それらの中でどのような政策手段の組み合わせを選ぶかは国民の合意と選択によるものでありますが、御指摘のような半歩なり一歩なり進んだものをお示しするためには、もう少し国会の議論、こういうものを交わされる中で、国民の合意が那辺にあるかということをいま少し議論の中で見出していく
努力が必要ではないか。そういう議論の積み重ねというものが濃密になればなるほど、負担するのも国民であるし、そして受益者も国民であるということから、次第にコンセンサスが生まれてくるという手法で、毎年同じものでこの御論議をいただいておるということになろうかと思うわけであります。
-
○
中野鉄造君 今の大蔵大臣の御答弁の中で、ちょっとかいま見るような思いがいたしましたけれ
ども、
財政当局の気持ちの奥底には、六十一年度以降においては電電株の売却によるそういう収入によって、多少なりともそうした繰り越しになる負担の軽減といったようなものがあるんじゃないでしょうか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) これが、
中野さん、非常に難しいところでございまして、確かに国債整理基金へ直入さしていただいて借金返した使わしていただく、こういうことでお願いをしているわけでございますが、実際問題、これをいつ収入として予測することができるか。だから、方向性は示すことができますが、これはそれこそ学識経験者の
意見を聞いたりして、どういう時点で、できるだけ早く民間参加のためにも私は株式は売った方がいいという原則はわかりますけれ
ども、より有利に売るということになると、必ずしも六十一年を予定するわけにもいかぬじゃないか、だから、方向性の明示にとどまったというふうに御理解をいただきたい。おっしゃる意味は私よく理解をするのですが、具体的に、それは
中野さんそうです、六十一年からそれを当て込んでおりますと答えるには少し勇気が要り過ぎるのじゃないかなと、こんな感じです。
-
○
中野鉄造君 では
歳出削減に絞って伺いますが、臨調第一次答申が五十六年七月に提示されまして以来、今日まで四回の本
予算が編成されましたが、そこで臨調答申に基づいてどの程度
予算が
削減されたか、いろいろな見方があると思いますが、五十六年度以来
財政の
中期展望との比較でお尋ねいたします。
中期展望による次年度の
一般歳出予定額、それと実際の
予算編成による
一般歳出との比較をお願いいたします。
-
○
政府委員(吉野良彦君) 数字の問題でございますので、私から御
説明をさしていただきたいと存じます。
お話しの、前年度に
中期展望でお示しした数字と当該年度実際にでき上がりました
予算との比較でございます。
一般歳出で申し上げたいと存じますが、まず五十七年度
予算でございますが、五十七年度
予算、でき上がりました
一般歳出の
予算総額は三十二兆六千二百億でございますが、前年度
中期展望で推計をいたしておりました五十七年度の
一般歳出の総額が三十四兆六千億でございましたので、
中期展望とでき上がりました
予算額との差額は一兆九千八百億ということでございます。以下、同じように五十八年度以降について申し上げます。
五十八年度は
中期展望での推計額が三十五兆二千七百億、でき上がりました
予算額が三十二兆六千百九十五億円でございますので、差し引き二兆六千五百五億円が縮減になっている。それから、五十九年度でございますが、
中期展望の推計額三十四兆三千億に対しまして、実際の成立をいたしました
予算額三十二兆五千八百五十七億円でございますので、差し引き一兆七千百四十三億円の
削減でございます。それから六十年度でございますが、
中期展望での推計額三十四兆二千八百億円に対しまして、現在御審議いただいております
予算における
一般歳出が三十二兆五千八百五十四億円でございますので、差し引き一兆六千九百四十六億円が縮減に相なっているということでございます。
-
○
中野鉄造君 かなり歳出予定額を下回る歳出水準に抑制されていると思いますけれ
ども、これを投資部門と経常部門に分割した場合の
削減状況はいかがでしょうか。
-
○
政府委員(吉野良彦君) 五十七年度以降各年度について申し上げます。
五十七年度は、先ほど申し上げました
削減額が一兆九千八百億でございますが、経常部門におきましては九千四百七十四億円、投資部門におきまして一兆三百二十六億円という内訳になってございます。五十八年度、総額が先ほど申しました二兆六千五百五億円でございますが、内訳、経常部門が一兆六千九百六十一億円、投資部門が九千五百四十四億円でございます。五十九年度、総額一兆七千百四十三億円、うち経常部門一兆二千四百五十億円、投資部門四千六百九十三億円。六十年度、総額一兆六千九百四十六億円、うち経常部門一兆二千五百八十七億円、投資部門四千三百五十九億円という姿になってございます。
-
○
中野鉄造君 今の御答弁のように、問題は二つあると思うのですが、
一つは
歳出削減の中に公共事業等の投資部門がかなりの金額を占めているということじゃないかと思います。この投資部門の要
調整額を毎年はるかに上回る
削減をしている。これは投資部門を削り過ぎていることになるのではないかと思いますが、と同時にまた、言葉をかえれば経常部門での削りにくい部分を投資部門を削ることによって補っている、このように考えてもいいのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) いわゆる概算要求基準を設けます際に、節減額としてやっぱり経常部門で
一〇%とか投資部門では五%とか、そういうことを一応基準として示して各省で御
協力をいただく、こういう手法をとってきておりますが、おっしゃいますように、投資部門ということになりますと、直接景気とかいろいろなことに対する影響がある。したがって、これがウエートが高まれば高まるほど、経済に対する影響等から勘案いたしますならば、いいことじゃないじゃないか、こういうお考えが根底にあろうかと思うんです。そこで、いろいろ
工夫いたしましたのが事業費で、少なくとも補正は別といたしまして五十九年では前年並みを確保しよう、そして六十年は事業費は少なくともふやそう、こういうことで
補助率の問題等でぎりぎりの
工夫をして、いろいろな御
協力をいただいておるというのが現状でございます。
-
○
中野鉄造君 じゃ、これをさらに具体的に申しますと、例えば五十七年度の
中期展望に比べて
予算の
一般歳出が一兆九千八百二十一億円削り込まれておりますけれ
ども、そのうち行革関連特例法その他等で四千四百七十一億円の繰り延べがあっておりますけれ
ども、こういったようなものは先ほどから申し上げておりますように歳出の繰り延べということでございますので、決して本当の
歳出削減にはなっていない、結局将来の負担を軽減させるということにはならないのじゃないかと思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 例えば年金の国庫負担の繰り延べ問題あるいは厚年の国庫負担の四分の一繰り延べとか、そういういろいろな問題というのは、あるいは住宅公庫もそうでございますが、要するにそれらの問題につきましては、結局二つの見方で御理解いただかなければならぬのかなと。
一つは特別会計とかそういう会計間のいわば資金
調整、それからもう
一つは、後年度繰り延べといいますのは言ってみれば後年度にわたっての負担の平準化とでも申しましょうか、余りその都度大きな変化かないような平準化というような角度からこのような措置をとらしていただいておるというふうに御理解をいただきたいと思います。
-
○
中野鉄造君 またちょっと問題を変えてまいりますと、
中期展望で歳出として見込まれながら
削減されたものに、行革関連法等による年金の国庫負担や住宅公庫の
補助金繰り延べがあります。今大臣おっしゃったわけなんですが、この二つで幾らになりますか。
-
○
政府委員(吉野良彦君) 六十年度
予算におきまして、いわゆる行革関連特例法の一年延長という形でお願いをいたしておりますことに伴う国庫負担の減額分、これは六十年度におきまして三千三百十五億円でございます。それから、住宅金融公庫の補給金でございますが、これは別の法律でお願いをしてございますが、この補給金の繰り延べ措置に伴います六十年度における減額分、これは千三十四億円でございます。
-
○
中野鉄造君 この行革関連法は、申し上げるまでもなく本来五十九年度までの措置であったわけですけれ
ども、六十年度も継続する予定、こうなっておりますね。これはいつまで
削減措置を講ずるわけですか。もう本当にこの六十年度限りでしょうか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) このいわゆる年金関係等、新しい法律が予定されておるということになれば、その法律の示すところでこれ限りと、こういう場合もあり得るわけでありますが、今五十九年度と申しましたのは、
一つの切れ目として当時五十九年度赤字公債脱却という
努力目標がございました。それが崩れたわけでございますので、したがって期限が来たらその時点で、今年はぎりぎり考えて一年なら一年ということで法律をお願いをしておるわけですが、本来は一年間かかっていろいろな角度から議論をして、六十一年度以降の問題は六十一年度
予算編成までに部内の考え方をきちんとこれはまとめなければいかぬ課題だというふうな事実認識の上に立っております。したがって、暫定という形でお願いをしておるということでございます。
-
○
中野鉄造君 厚生大臣、この件についてはどういう御見解ですか。
-
○
国務大臣(
増岡博之君) ただいま大蔵大臣がお答えになりましたとおりでございまして、今後の問題についてはいろいろ協議をして本格的な対応策を考えてまいらなければならないということでございます。
-
○
中野鉄造君 大蔵大臣、また重ねてお尋ねいたしますが、今のところはそうだ、しかし今後の協議のいかんによっては必ずしもそうはならない場合もあり得る、こういう含みの御答弁でしょうか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 幾らか舌足らずでございましたが、六十一年度の取り扱いについて現段階で、申し上げましたように、確たることは申し上げられませんが、
財政状況が引き続き極めて厳しいということが予想されます一方、六十一年度から年金
制度改革の実施が予定されておりますので、いわば厚生年金に対する国庫負担の仕組みも基本的に変わるということになります、それがそのとおり進んでまいりましたならば。したがって、現行の行革特例法による繰り延べ措置をさらに延長するということは、それは当たり前だという考えはやっぱり問題があると思います。法律が変わって前提が変わってくるということがございますので、したがって単純にまた来年になったら延長でお願いしますというべきじゃなかろう。
だから、いろいろな角度から議論をしまして、そういうふうに
制度改正された新しい法体系になっていくものはその分野に属するでございましょうし、それから中身でこれ以上の繰り延べ等は難しいという、そういうわけにもまいらぬのも出てくるでございましょうし、可能な限りまた御理解を得て、引き続きこういう状態まではやらしてもらうというようなものも出てくるでございましょう。だから、いずれにしても、やっぱり厳格にお答えできますのは、これからのいわゆる協議に基づいて六十一年度
予算の際に最終的な結論はまた御議論をちょうだいすることになるのじゃなかろうかというふうに考えます。
-
○
中野鉄造君 仮に六十一年度以降、今私がお話し申しておりますようにもとに戻るといたしますと、年金関係の
財政歳出がふえるのは当然ですし、しかもこれまでの金利負担、そういったようなものも含めて支払うことになりますので、当該
予算の歳出に対し国は逆に従来の繰り延べ措置で将来に大きな負担を抱え込むということになるわけですが、これはお認めになりますか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) まさにこの暫定措置がこの暫定の期限で切れたといたしますならば、それは今まで約束申し上げておることには変わりはないわけでございますから、さらに歳出圧力が加わってくるということには結論から言うとなろうかと思っております。
-
○
中野鉄造君 論点を変えてさらに伺いますが、六十年度
予算編成の段階ででも論議を呼びました
高率補助金の一割カットの問題ですが、結果的に六十年度は
地方への高率負担金の一割カットでどの程度
削減したことになりますか。これは政令事項と法律事項に分けてお願いします。
-
○
政府委員(吉野良彦君) 六十年度
予算編成におきまして、いわゆる
高率補助率の
引き下げ措置をお願いをいたしまして、それによります節減額は全体で五千四百八十八億円というふうに考えておりますが、そのうち、現在御審議をお願いいたしておりますいわゆる
補助金整理の一括法、これで法律上措置されるものは、ただいま申しました五千四百八十八億円のうち四千四百八十一億円でございます。残りの千七億円は政令あるいは
予算上で措置されるものでございます。
-
○
中野鉄造君 今の御答弁のように、生活保護等が含まれておる法律事項が圧倒的に圧縮が多いように見受けますけれ
ども、これは先ほどからも論議しておりますように、六十年度単年度限りの措置である、こういうことをもう
一つ確認したいと思います。
-
○
政府委員(吉野良彦君) 現在御審議をお願いしてございます
補助金整理法案はまさしく六十年度の暫定措置としてお願いをしているわけでございます。したがいまして、その限りにおきましては
六十年度限りの暫定措置でございますが、六十一年度以降どうするか、この点につきましては、六十一年度
予算編成までの間に、特に社会保障関係の
補助率の問題につきましては
予算編成過程におきましてもいろいろ経緯もございましたので、六十一年度
予算編成に間に合うように国、
地方の間の
機能分担あるいは費用負担のあり方も含めまして
政府部内で十分な議論を踏まえまして、その結果に従いまして措置をいたそうということになっているわけでございます。
-
○
中野鉄造君 自治大臣は、このことはどのようにとらえておりますか。
-
○
国務大臣(古屋亨君) 自治省といたしましては、これは
予算編成の直前まで大蔵省と自治省とがこの問題で
意見を異にしておったのでございます。最終的には、
地方へ転嫁になる分、これを全部国で見る、措置してもらうということが
一つ。それから、
補助の一律カット、これは一年の問題。特に今お話の社会保障の点につきましては非常に影響が多うございますので、これは大体経常経費二千六百億に当たるわけでございますが、これは私の方は交付税とそれから建設
地方債で対処し、そして同時に一般の投資的経費につきましては建設
地方債で処理する、そして、あと交付税で措置するということで大蔵省と話し合いをまとめたところでございます。
-
○
中野鉄造君 先ほどから大蔵大臣いろいろと御答弁をいただきましたけれ
ども、とにかくこれらが六十年度限りで翌年度はそのままもとに戻る、こういうことになりますと、正確な数字、金額は別といたしまして、六十一年度この
高率補助金に関する限り五千五百億円程度の歳出増になる、そのように私理解いたしますが、それでよろしゅうございますか。
-
○
政府委員(吉野良彦君) 六十一年度
予算の内容がまだいずれにいたしましても全くわからない段階でございますので、計数的に確定的なことは申し上げかねるわけでございますが、大まかな感じといたしましては、六十年度
予算におきまして、先ほど申しましたように五千四百八十八億円の節減になっているわけでございますから、概略いずれにいたしましてもそれに近いものが歳出増という圧力になり得る要因ではあるというふうに考えております。
-
○
中野鉄造君 今まで指摘してまいりましたこの行革関連法の年金国庫負担と住宅公団の補給金、それに
高率補助金の一括
削減分を合計しますと九千八百三十七億円でございます。前に述べました
財政の
中期展望と比較して、
削減された一兆六千九百四十六億円のうち、この約六割に相当するものが単年度だけの効果でありまして、しかも行革関連法関係について申しますならば、逆に将来の支出負担が増加すると、こういうことで、これでは真の
歳出削減、
財政支出の
削減と言えないのじゃないかと思いますが、この件について大蔵大臣、そして
総理の御見解を求めます。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 今御指摘になりましたように暫定措置、そしてそれが一年と、こういうことになっておりますので、その限りにおいては、今
中野さんおっしゃる議論は、それなりに私はいただける議論だと思っておりますが、そこのところにまた背景がございます。
先ほど来申し述べましたように、法律改正が六十一年度から見込めるものは、またそのときに整理しなければなりませんが、そうでないものにいたしましても、例えば御指摘になりました社会保障関係、これこそ
昭和二十一年に、少し話が長くなって申しわけありませんが、ちょうど大蔵省がおよそ生活保護費を二億円予定しておった、そうしたら厚生省の方では何とか八億円だ、当時いわゆるGHQの間接統治下でございますから、ぽこんと三十億と、こういう命令がありまして、その段階から、さて負担をどうするか。戦前の法律を見ますと五分五分になっております。そこで、これだけの
予算があるならばといって八割、二割としたという歴史があるようでございます。それから、独立後、新しい法律ができるときにもいろいろな議論がなされまして、やっぱり憲法の精神からして社会保障は国主体ではないかということから八割、二割というのがこれだけ長い間続いてきたわけです。
だが、たびたびの臨調あるいは
財政審等の指摘によりまして、やっぱりこれらは基本的に国と
地方との役割分担あるいは
財政負担の
あり方等を検討すべきだという御指摘をいただいておる。そこで、その都度議論いたしますが、なかなかまとまらなかった。ことしも今古屋自治大臣からもお答えがございましたように、厚生大臣と自治大臣と私が最終的に合意いたしましたのは、それじゃこれが妥当であるという議論は引き続き一年以内に結論を出そうじゃないか、ことしは、なるほどそれではもろもろの
財政措置をしてくれるならば、このおおむね一割
削減という
方針にされば合意をしよう、こういうことになって、今後にその検討課題は、なかんずく可能な限り一年以内という期限つきの中でこれが残されておるわけでございますので、それを部内で議論をしてそれの結論が出たならば、あるべき姿としての暫定でない
制度に変わっていく可能性を抱合した措置であるというふうに、なかなか苦しい答弁でございますけれ
ども、そういうふうに御理解をいただきたいところであります。
-
-
○
中野鉄造君 大蔵大臣御みずからおっしゃっていますように、なかなか苦しい答弁のように私もお見受けいたします。
次に、本
予算審議の中で、これはもう大きな焦点の
一つになりました大型間接税の導入問題が取り上げられてまいりました。私はこの問題が、
総理が強調しておられる戦後政治の一環としての税制の抜本的な
見直しという
制度論での形ではなくて、むしろ専ら税収増加策による
財政収支の均衡の手段としてのねらいがあるのじゃないかと、このように思いますが、まずそういう観点からこの大型間接税導入、特に
政府が今執着しておりますEC型付加価値税の導入を近い将来において図るべく検討の対象にしているという、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 確かに今日までの国会での議論が、まず今度
総理の方から申しております税制改正とは
財政再建のためではないか、あるいは初めに増収ありきではないかと、こういうような御質問がございましたが、そうではなくて、まずはシャウプ税制以来今日までいろいろなひずみゆがみが生じてきておる、そこでそれを公正、公平、簡素、選択、活力と、そういう五つの観点から税調で抜本的な検討をいただこうじゃないか、で、税調自身が今年度
予算に、異例のことながらとして、抜本的に検討すべき時期に来たという御指摘をいただいておるわけでございますから、まずは公正、公平、簡素、選択、活力ありきであって、まずは増収ありきという考え方で御諮問を申し上げるということではない。したがって、税調の答申にも、直接税、間接税を問わず抜本的に検討しなさいと書いてございますが、あらかじめいわゆるEC型付加価値税について検討してくださいという姿勢はとらないで、まさに公正、公平、簡素、選択、活力という点からの御審議をいただくという姿勢を今日貫いておるところであります。
-
○
中野鉄造君 話はぐんと変わりますけれ
ども、私、昨年の二月二十三日の本
委員会の総括審議におきまして、国債の累増がもたらす意図せざる
財政構造の変化について指摘いたしまして、大蔵大臣もこれをお認めになりました。すなわち所得再分配の役割を果たすべき
財政が今や中小零細企業者あるいはサラリーマンの人たちから徴収した税金で国債を持っている比較的富める人たちに利子を支払うという所得の逆再分配の
機能を持つように変化したと、こういう事実でございます。これは、このまま放任しておけばこの変化はますます鮮明になって進んでいくのじゃないかと推測いたしますが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) これはいわゆる公債政策の持つ基本的なやっぱり問題点であるというふうに私
ども事実認識をいたしております。
昨年
中野さんにお答えしたときはまだ利払い費よりも社会保障費が多かったわけですが、ことしは利払い費の方が社会保障費も超えてしまう。そうすると、今御指摘なさいましたように、
予算というものは税をいただいてそれを道路とかいろいろな普遍的な事業に対して配分すると同時に、困っていらっしゃる方に配分するとなれば、まさに富の再配分の
機能がある。それが初めに利払いありきと、これが一番
予算を組むときにやっぱり心を痛める大前提の問題であります。だから、赤字公債脱却というのを六十五年までにやろう、そして、なかんずくその後は、いわば利払い費が減るというのは、要するに残高が減ればいいわけですから、先ほど来の電電株の話もございましたが、そういう姿の
予算を組まなくていいようにするための
努力を行うということがやっぱり
財政改革そのもののあり方だということは、去年同じ問答をしながら、ことしは社会保障費と利払い費が逆転したという状態の中でさらにその考えを強くしているところでございます。
-
○
中野鉄造君 そこで、経企庁の階層帰属意識調査によりますと、八一・九%が中流意識を持っているということが明らかにされておりまして、ところが最近になって、そうした中流意識を意識している人たちの中にも生活にゆとりのある人と、また片や非常にやりくりに苦労している人ということが徐々に意識されるようになりました。
ところで大蔵大臣、マルビ、マル金という流行語を御存じですか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 例の「金魂巻」でこのマル金、マルビが話題となっておるということは知っております。
-
○
中野鉄造君 今大蔵大臣おっしゃったように、この中流意識にそうした変化が起こってきているということを分析した本がいわゆるベストセラーになって流行語になったわけですけれ
ども、こういう中流を自認してきた国民の圧倒的大多数の人人の中にこうした日常生活の上で近年二極分化が起こっているというこの事実を経企
庁長官はどのように御認識されますか。
-
○
国務大臣(金子一平君) 今御指摘の二極分化の問題でございまするけれ
ども、家計消費の動向なり、あるいは所得分配構造なりから見ますると、必ずしも二極分化が大きく進んでおるとは考えられないんです。所得階層による第一分位から第五分位までございますが、ああいったものを見ましても、ジニ係数から見ましても、大体所得の平均化が進んでおるということははっきり申し上げていいかと思うのでございまするが、今御指摘のような問題が出ておりまするのは、やはり物の豊かさに重点を置く者の割合が年々低下してまいりまして、これに対して、心の豊かさに重点を置く者の割合がむしろふえてきておるのじゃないか。個人的な
意見でございまするけれ
ども、生活水準全体が向上いたしまして多様なニーズが出てくる過程で、御指摘のような階層論が一部に出ておることは、これは事実であろうと思いまするけれ
ども、私
どもやはり政策面では所得の公平というか再配分の適正化を今後進めていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
-
○
中野鉄造君 経企
庁長官はさほど隔たりが多くはないということをおっしゃいましたけれ
ども、私調査したところでは、この第一・四分位、いわゆる低所得者層と逆に第四・四分位、高所得者層と、この両者はさほどその所得の伸びが変わりませんけれ
ども、その中間である第二、第三が非常に以前とは変化してきているという事実を認めるわけでございますが、昨年の九月の厚生省の
国民生活実態調査を見ましても、一世帯当たりの平均所得が、五十八年現在ですが、四百五十七万五千円でございました。その伸び率は、この数年年ごとに鈍化していっております。また、持ち家の世帯というのは全体の六八%ですが、その六八%の中でも四〇%の人たちがローンの返済に追われておる。そして、月々の返済額が六万一千円で、所得に対するパーセントは一二・八%と、これだけがローンの返済に消えていっているということでございまして、今申しますように、ローン返済で苦しんでいる人と親譲りの住宅に住んでいる人との格差が非常に広がってきた。あるいは経営者と勤労者、同じ勤労者の中でも産業別、業種別によってそこに差がありますし、男性と女性とでもまた差がありますし、さらに高校、大学に行っている子供を持っている世帯とそうでない世帯とにも格差が出てきておる。こういった所得格差の
拡大に伴って資産保有の面でもこれは格差が増大してきていることも各種調査で実証されております。
そこで、私昨年と同じことを再びお尋ねいたしますが、国債という金融資産を
政府の名において発行している以上、所得階層別の国債保有の
状況を
政府はどのように把握しておられますか。
〔
委員長退席、理事梶木又三君着席〕
-
○
政府委員(宮本保孝君) 個人が保有いたします国債のかなりの部分は、本券といいますか、現物の形で保有されておりますので、このものは無記名で転々流通するわけでございまして、なかなか国債がどのような所得階層に持たれているかというのは把握しにくいのでございますけれ
ども、ただ、貯蓄増強中央
委員会が毎年アンケート調査をいたしておりまして、これを発表いたしておるわけでございますが、その中で保有貯蓄の種類ということを所得階層別に調査しておりまして、保有貯蓄の一種といたしまして国債についても調査を行っているわけでございます。
この調査は、それぞれの階層がどの程度の金額の国債を保有しているかにつきましては明らかにしておりませんけれ
ども、金額のいかんを問わず多少なりとも国債を保有いたしております世帯の割合を所得階層別に調べたものでございます。これによりますと、五十九年の調査でございますが、二百万円未満の世帯が三・八%、二百万から三百万未満の世帯が二・四%、三百万から四百方未満が四・六%、四百万から五百万までが四・一%、五百万から七百万までが七・三%、七百万円以上が一六・八%となっておりまして、一般的には所得の高い階層の方が保有割合も高くなっているわけでございますけれ
ども、階層間でも逆転が見られる
状況も見られるわけでございます。
-
○
中野鉄造君 次に、大蔵大臣にお伺いいたしますが、過日の本
委員会の集中審議において大臣は、アメリカの税制
改革の中での税率平準化の問題に対しまして、非常にドラスチックな提言としながらも、極めて深い興味を持っている旨の御発言がございました。一方、
我が国では五十九年度に所得税の最高税率を五%
引き下げたわけですが、今後も近い将来にこれを
引き下げるお考えはありますか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) この問題こそ、先ほ
ども申し上げましたように、まさに、まずは税調の審議ありきというところから始まる問題でございますが、五十九年度の本格的な所得税減税の実施の際、今
中野さんおっしゃいました五%下げたときでございますが、「所得水準の平準化の動向等にかんがみ、中堅所得階層の負担の緩和にも配慮しつつ、全体として、若干なだらかな累進構造とする方向で
見直しを行うことが適当である。」という税調の答申もそうでございましたので、そういう方向に沿って今動いておる税制がそうなったわけでありますが、この考え方というのは絶えず引き続き検討すべき課題として税調からも指摘されておるところでございます。したがいまして、一般論で言いますならば、そういう問題は絶えず税調の審議の
一つの重要なポイントとなる課題であろうということが言えるわけでございます。
アメリカの場合のこの間のリーガン財務
長官が大統領にお示ししましたいわゆるフラット税制というようなものにつきましては確かに興味のある問題ではございますが、あの税制もアメリカの国会でどのように受けとめられるか、私も予断する立場にはございませんけれ
ども、結果として中堅層に対して客観的に見て優遇されるという状態は、やはり従来の税調の答申等とも符合するところもございますので、非常に興味ある課題ではあるというふうに私も事実認識をいたしております。
-
○
中野鉄造君 私の質問に明確にお答えいただい
ていないのですが、いわゆるさらにこれを
引き下げる考えがあるかないかどうか。それと、もう
一つは現行のこの十五段階を今後維持されるのかどうかということをお尋ねしたいのです。
-
○
国務大臣(
竹下登君) これこそ、おっしゃいますように十九を十五にしてことし一年やったばかりでございます。したがって、簡素という角度から言えば、それは刻みは小さいほどいいということも言えるでございましょうが、やっぱり今
政府がこのような考え方を持っていますというお答えする段階ではなく、税制全般の
見直しで、それこそまさに税調等で国会の問答等を正確に報告した上で議論していただく問題じゃなかろうかというふうに考えております。
-
○
中野鉄造君 私よく耳にすることですが、現行の最高税率七〇%が高過ぎるというようなことをときどき聞きますけれ
ども、この七〇%の最高税率適用者、どのくらいいらっしゃいますか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 五十九年の確定申告は先週終わったばかりでございますが、五十八年の実績から見ますと、およそ四千人ぐらいの数字になろうかと思います。
-
○
中野鉄造君 では次に、五十九年度の経済見通しのうち消費支出の伸びが、当初四・一%であったのが、経企庁の改定で御承知のように三・六%に下方修正になりました。そして、実績見込みでは結局三・一と再度の下方修正を行ったわけですけれ
ども、五十九年度は八千七百億円の所得減税を行ったにもかかわらず、当初見通しを大幅に下回った理由について、経企
庁長官の御見解いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(金子一平君) お答えいたします。
五十九年度は景気
回復の二年目ですから、しかも大幅な減税がありましたから、最近にない、もっと消費が伸びると我々は見ておったのでございますが、予想外に伸びが鈍い。その
一つの原因は、所得の動向を見ますと、雇用所得の伸びが最初の見通しを下回る見込みになりました関係が
一つございます。それからもう
一つは、いつも申し上げることでございまするけれ
ども、今回の景気
回復の過程にありましては輸出が非常に好調だったと、あるいは設備投資がそれに基づいてどんどん伸びた。生産も伸び、収益も上がってきたという
状況にあるにもかかわらず、企業部門に始まった景気
回復の効果が、家計部門に波及するまでのタイムラグと申しますか、半年なりあるいはその前後の伸びが案外長期間にわたって時間がかかったものですから、五十九年度に入りましてからの民間消費支出が比較的緩やかな伸びになっておるということであろうかと思うのでございます。
しかし、その背景にありますものは、やはり先ほ
ども御指摘のございました住宅ローンや生命保険料の支払いがあるとか、あるいは直接的には教育費の将来の問題を考えなければいかぬ。特に、御承知のとおりの高齢化社会を迎えますから、そういった時期に備えて貯蓄をしっかりしなければいかぬと。しかも、高利回りの有利な金融商品がたくさん出ておりまするから、結局そういう方面へ流れてしまって、消費に対する財布のひもがかたくなったと、こういうふうに考えておる次第でございまするけれ
ども、年末からことしの初めにかけての各種の消費支出の
状況を見ますと、だんだんとそれは
回復過程にきておるように私
どもは考えております。
以上でございます。
〔理事梶木又三君退席、
委員長着席〕
-
○
中野鉄造君 私、
我が国の
財政のあるべき
機能の
回復がほとんど今や麻痺しているという現状をお話しするためにいろいろな角度から申し上げてきましたけれ
ども、すなわちこうした所得の再分配の
機能が逆進しつつあるということ、それともう
一つは、資源の適正配分でも、公共事業等がもう五十五年度以来ほとんどゼロに抑え込まれて、これまたその
機能が果たされていないといったようなこと、それにまたもってきて、もし大型間接税でも導入が行われるというようなことになれば、その逆進性のゆえに
財政の歳入面からの所得再分配の
機能が今よりもさらに減退するのじゃないのか。加えて、もし税率の平準化でも実施されることになれば、
財政に課せられた三つの原則的
機能がほとんど働かなくなってしまうのじゃないかと、こういう点から危惧いたしますので今いろいろお聞きしたわけですけれ
ども、この三つの
機能の中でも特に三番目の景気の
調整に関係の深い消費支出につきましても、現在のように所得格差が
拡大している、その結果、資産保有の格差も
拡大すると、こうなりますと、今のお話にもちょっとありましたように、心情的な同質化が進んでいる
我が国の国民性といたしましては、少々生活が苦しくても及ばずながら貯蓄に励むと、こういうことになりますと、とてもじゃないがもう消費が伸びるどころではありません。このような消費の二極分化が進んでまいりますと、資産家は高級品を買う、ローンの支払いに追われている一般大衆は徳用品を買いあさる、こういったような階層分化型消費がさらに進むのじゃないかと、このように思うわけです。
それで、そういうことがあるにもかかわらず、これをこのままに放置したままで幾ら戦後政治の総決算ということを唱えてみても、景気浮揚や
財政再建に腐心してみても、これはもう画餅に等しいんじゃないかと、こういう私の結論でございますが、私の主張する
財政の
機能回復を目指す
財政改革が必要だと思われるのか、それとも冒頭申し上げましたように、それを無視してでも
財政収支均衡が必要だと思われるのか、大蔵大臣の御答弁をお願いします。
-
○
国務大臣(
竹下登君) まず、
中野さんの御指摘の中で、二つの点からの御指摘がございます。
一つは、税制がいわば逆進性に働く場合という問題と、それからもう
一つは、いわば
日本人の貯蓄等の問題に対する
意見を交えての御提言というふうにでも受けとめてみましょう。
いわゆる大型間接税の導入は逆進性を持つと、こういうことはいろいろな角度からよく議論をされております。それで、確かに間接税というのは、そもそもどのような所得の人がその物を求めましても、同じ税額でございますから、したがってその意味においての逆進性は、これはまあ否定できないところでありますが、今度税調から御指摘を受けておりますのは、しょせん税というのは、消費の段階なのか、資産の段階なのか、所得の段階なのか、この三つしか担税力を求めるところはない、したがって、それらの問題も総合して検討しなさいよと、こう言われておるわけであります。
それで、「広く消費に着目する間接税については、税負担配分の逆進性や物価に対する影響等の観点からの批判があることは事実である」と。しかしこれに対しては、「広く消費に着目する間接税は、個別消費税のように、価格機構への介入が特定の産業に偏ることがなく、経済に対して中立的であること、また、消費が均質化、多様化している最近の
状況の下において、消費の実態に応じてより公平な負担を求めることが可能となること等、評価すべき性格を備えている」というのが、これは五十五年税制調査会の両者のいろいろ比較に対する
一つの御
意見があるから紹介しただけでございます。したがって、しょせんは組み合わせになるのじゃなかろうかと。所得の段階に担税力を求める、消費の段階に担税力を求める、それらがどういうふうな組み合わせが一番いいか、こういうことがより現実的に沿った議論として、今のような御議論も忠実に紹介した上で税調等で御検討いただく課題ではなかろうかというふうに考えております。
それから所得税の問題につきましても、おっしゃいますように、いわば仮に大変にフラットであったといたしましても、多ければ多いほど税を余計納めることになるわけでございますが、さらにある程度の刻みがあることによって余計所得の再配分
機能というのは果たせるじゃないか、その議論も確かにございますが、一定の段階に行った場合、
努力と報酬の一致という限界を、個人個人多少の意識の相違はありますけれ
ども、超えた場合にいわば勤労意欲というものに対してついたての
役割を果たしてしまうと、そういう点もまた考えて、これらもせっかく今十五段階に直していただいたばっかりでございますが、あるべき姿について基本的な御検討をいただいていくということになろうかと思うわけであります。
それからもう
一つは、
中野さんの御
意見の中で、いわゆる消費の問題につきまして、貯蓄に行っている面が確かにそれはございます。世界に冠たる貯蓄国家とでも申しましょう。これはいいことであったとも言えます、それがゆえに公債発行もとにかくできたわけでございますから。あの第一石油ショックも二次ショックもそれによって切り抜け得ることができたということも言えると思うわけでございますが、まあこの二極分化の方向というのは、先ほど来お示しになりましたマル金とマルビでございますね。あれも、これはあるいは失礼に当たるかもわかりませんが、一面的な理解というのは、まあマル金とは最初読んだとき金丸信さんのことかと思いましたが、(笑声)これはまさに金持ちという意味であるし、マルビというのは貧乏という意味でございますが、昔はマル金とかマルビという言葉がベストセラーにならなかったというのは、見ればすぐマル金とマルビがわかったからだと思います。今は非常に中流化しておりますから、マル金、マルビというものをもう一遍見直さなければならぬ。そこで、あの本読んでみましても、こんにちはと言って会ったときに、ああ君、太り過ぎているねと、こう言ったら、太っていると君はどういう病気になるか知らぬよというようなことを言う人がマルビであって、ああ、元気なだけが取り柄だよと言うのがマル金になる素質があると。したがって、二極分化というのが非常にわかりにくくなったからああいうマル金、マルビという言葉が小説の中に出てくるようになったというのも、かなり私寄りの解釈ではございますが、一面そういう評価もできるのじゃないかということでございますので、私は基本的に二極分化する経済体制を考えちゃいかぬと思いますが、マル金、マルビという言葉が出るようになったのは二極分化がより少なくなったから、昔は本当に金持ちと貧乏人は見ればすぐわかったわけでございますが、わからなくなったという
一つの証左でもあろうなという、これは勝手な解釈でございますが、今おっしゃった基本的な
財政改革に対する理念は考え方を等しくしております。
-
-
-
○
中野鉄造君 では次に、
財政の弾力的運用が幾らかありますけれ
ども、まず第一に私は
政府保証債務の弾力限度についてお尋ねいたします。
一般会計予算総則に公庫、公団、事業団等の
政府保証債弾力限度額が規定されておりますが、この
昭和六十年度の場合、これが総額一兆七千五百二十四億円になっておりますけれ
ども、これは何のための弾力条項でしょうか。
-
○
政府委員(宮本保孝君) 今御指摘の数字は中小公庫とか公営公庫、そのほか道路公団等、いわゆる借金をしていろいろ事業をいたしております
政府系の事業体でございますけれ
ども、この事業体が資金を調達いたしますときに、大体
予算で決められました額の五割を限度にいたしまして弾力的に増加させることができるという規定でございます。
-
○
中野鉄造君 五十六年度以降、
政府保証の弾力限度総額と発動総額をお願いいたします。
-
○
政府委員(宮本保孝君) 五十六年度におきましては、限度額が八千三百二十六億円でございます。それに対しまして発動額は千五十億円でございます。それから、五十七年度につきましては、一兆三千百七十八億円に対しまして三百九十億円。それから、五十八年度が一兆六千五百六十億円に対しまして三百五十四億円でございます。それから、五十九年度は一兆七千三百七十一億円でございます。現在までのところ発動額はございません。
-
○
中野鉄造君 かなりの差があると見受けますけれ
ども、総枠だけの比較では議論がありますので、個別の機関の限度額と発動額を比較してみたいと思いますが、五十六年度以降、限度額に近い
政府保証の発動をした機関、それを年度別にお願いいたします。
-
○
政府委員(宮本保孝君) 五十六年度につきましては、石油公団が限度額千七百五十六億円に対しまして発動額が千五十億円でございます。それから、五十七年度につきましては、本四連絡橋公団が百億円の限度に対しまして百億円発動いたしております。それから、五十八年度につきましては、同じく本四連絡橋公団でございますが、三百五十億円に対しまして百二十八億円の発動がございます。
-
○
中野鉄造君 この本四連絡橋公団の場合は、これはもうほとんど例外じゃないかと思いますが、過去十年間に
政府保証の弾力化措置というものがこれはほとんど発動していない。いわばこの十年間、惰性で毎年毎年このように出されてきているというふうに思いますが、いかがですか。
-
○
政府委員(宮本保孝君) 過去十年間を見てみますと、例えば五十年度におきましては、住宅公団百億円の限度に対しまして百億円の発動。
日本道路公団二百十二億円の限度に対しまして百億円の発動。それから、五十一年度につきましては、同じく住宅公団が百億円の限度に対しまして発動額が百億円。それから、道路公団につきましては、百五十一億円の限度に対しまして百億円の発動。それから、五十二年度につきましては、道路公団二百四十億円に対しまして丸々二百四十億円。それから、五十三年度につきましては、限度額三百七十六億円に対しまして二百六十億円の発動と、こういうふうな
状況になっておりまして、機関によりましては一〇〇%の発動がなされておるというふうな
状況でございます。
-
○
中野鉄造君 一〇〇%発動している機関を強調されておりますけれ
ども、総体的に見まして、何といってもこれは実績が物語っているわけでして、一年や二年であるならばとにかく、もう三年も五年も引き続き一回の発動もしないと、そういう機関が相当数あるわけなんです。この際、やはりこの十年間にわたってみて、三年以上発動をしないと、そういう機関についてはこの際見直すべきじゃないか、そう思いますし、また発動の額につきましても、発行額にしても二分の一という、こういう決め方も、これもいかがなものかと思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 今、御指摘になりましたように、どちらかというと、いわば当初予測していなくても景気
対策、すなわち公共事業的な機関に対する発動の実績が多うございます。そうでない機関との差異はそれはございます。だからといってそれぞれを、いわば限度額をアンバランスにしておくというのがいいのか、しかし、発動がこれだけないじゃないかということも事実でございますから、私
どもとしていま一度勉強をさせていただくという限度できょうのお答えはお許しをいただきたいと思います。何といいますか、その趣旨に沿って直ちに検討に入りますと言うには少し私もちゅうちょを感ずるものでございますから、いろんなことを予測して、中小企業の機関とか、あるいは石油とか一時的な問題が起こるとかいうことになりますと、それぞれの機関によって限度額を変えていくというのもにわかにそうしましょうと言うだけの私に心の準備もございませんので、今のような御
意見を体して
政府部内でまずは勉強の段階に入らせていたたくというお答えで御容赦をいただきたいと思います。
-
○
中野鉄造君 この問題につきましてはこればかりではございませんで、同様のことがほかの弾力措置数点にもこれは言えるわけでございます。
きょうは時間がございませんので詳しくは申し述べませんけれ
ども、例えば災害等を勘案して設置された使途未定国庫債務負担行為の発動
状況、これなんかについて見ましても非常にひどいものです。また、
昭和六十年度予備費でも一般会計が一千億円、八つの特別会計で八百億円、こう書かれておりますけれ
ども、この特別会計に至っては
もうさらにひどいわけでして、わずかこの十年間に五十二年に空港整備特別会計に九千八百万円使われただけなんですね。もう本当にそれこそ惰性であるとしか言いようがない。もうまるで毎年毎年性懲りもなく同じことをよくもこうやって出してこれたものだなと思うような気がいたします。これは言い過ぎかもしれませんけれ
ども、どうせ
予算書なんというものは国会議員は余りろくすっぽ見やしないだろうから、もう使っても使わなくても、出せるものは出しておけと、こういうような感じじゃないのかなとさえ思えるのですけれ
ども、ひとつ今、大蔵大臣もおっしゃったように、この際やっぱり検討して見直すべきだと私思いますが、再度お尋ねいたします。
-
○
政府委員(吉野良彦君) ただいまいわゆる使途未定の国庫債務負担行為についてお話がございましたが、おっしゃいますように六十年度の
予算におきましても一般会計では千億、それから特別会計全体で八百億の不特定国庫債務負担行為をお願いしてございます。これは先生御承知のとおりかと存じますが、これは
財政法第十五条第二項の規定に基づいてお願いしているわけでございますが、お願いしております理由は、災害復旧その他緊急の必要がある場合においてこれを発動する必要があるということによるものでございますが、いわばそういう意味では歳入歳出
予算の場合におきましては予備費に準ずるような性格を持っているわけでございます。特に現在のように一般会計で千億お願いをするようになりましたのは、御記憶かと存じますが五十三年度からでございます。五十三年度におきましては、いわゆる国際的な全世界的な規模での景気
回復が急がれているということもございまして、
我が国がいわゆる七%成長を目指した年でございます。したがいまして、公共事業等につきましても前年度に比べまして二割、三割というふうに伸ばした年でございます。そういうふうに
予算に組みましてもなお年度の途中の経済
情勢の推移いかんによっては緊急に公共事業あるいは一部の施設費につきまして国庫債務負担行為を活用いたしまして契約をして、景気の
回復を急ぐという必要があろうということで千億というふうに増額をした経緯がございます。それ以後この千億というのをいわばずっと固定をしてまいっているわけでございます。
その後、年度途中にこの国庫債務負担行為を活用して大規模な公共事業等の追加をするような
事態には幸いにしてならなかったわけでございますが、いずれにいたしましても、各年度当初
予算を編成いたします場合には、その年度途中にそういった緊急の
対策の必要が生じた場合に備えて、そういった国庫債務負担行為というものをリザーブをいたしまして、それに備える必要はあるわけでございます。大変失礼でございますが、考えようによりましてはこの国庫債務負担行為が活用されないで済んだということの方が、むしろ結果的には幸いであったとも考えられるわけでございます。したがいまして、私
どもといたしましては、やはりこういった程度の規模の国庫債務負担行為を不測の
事態に備えて当初
予算で措置をさしておいていただくというのはある意味で妥当な措置ではないかというふうに考えておりますので、ぜひその点は御理解を賜りたいと存じます。
-
-
○
中野鉄造君 今のお答えは特に一般会計に関しての強調をされたような気がいたしますが、特に先ほど私申し上げましたように、八つの特別会計に関する限り、再度申し上げますけれ
ども十年間にたった一回きりですよ。こういうものを今後もこのままにしておくのかと、こういうことなんです。そういったような意味で、言葉を変えますならば、
財政執行権について行政裁量の取り過ぎじゃないかということを私は申し上げたいわけなんですが、いかがですか。
-
○
政府委員(吉野良彦君) 先ほど申し上げましたような御趣旨でお願いをしているわけでございますが、国会の御審議との関係におきましては、まさしく非特定の国庫債務負担行為ということで
予算上御審議をいただいているわけでございます。それからまた、この国庫債務負担行為に基づきまして債務負担をして、それが現金として支出をされる段階におきましては、それはまた歳入歳出
予算、歳出
予算の一部として御審議を改めていただくことになるわけでございますので、国会の御審議との関係におきましては特段の問題はないのではないかと、こういうふうに考えている次第でございます。
-
○
中野鉄造君 時間がありますといま少しこれ詰めてみたいと思いますが、同様のことですが、資金運用部資金についても言えるのじゃないかと思いますが、運用対象機関に対する五〇%増額運用ということが言われております。しかも、
昭和六十年度はこうして原資の郵貯等が窮屈になっているのにもかかわらず三十五の運用対象機関を年度途中で増額させる、こういうことが言われておりますけれ
ども、こんなことが果たしてできるでしょうか。
-
○
政府委員(宮本保孝君) この
政府保証債務につきまして、あるいは借入金につきまして弾力条項が認められておりますのは当初
計画編成の段階では予見し得なかったような経済事情の変動とか、あるいは災害の発生、その他内外の政治経済事情等の変化によりまして財投の追加を必要とする特別の事由が生じた場合に、それに臨機に即応し得るようにしているわけでございます。そういう意味もございまして財投といいますのは特に一般会計とは違いまして弾力的な運用が必要とされていることでございます。そのために従来から財投機関におきまして借入金等の増額限度が五〇%であるということのバランスをとりまして、
政府保証あるいは
政府借り入れの限度額も五〇%の範囲内で認められているわけでございます。ただ、個々の金融機関につきましていろいろとそのアンバランスはございますけれ
ども、これにつきまして一律としておりますのは、あらかじめ個々に異なった割合の限度を定めるのは極めて困難であるというふうな事情にもよるわけでございまして、いずれにいたしましても五〇%の限度額の中で財投
計画の弾力的、機動的な運営を果たさしていただきたいと、こういうふうに考えているわけでございます。
-
○
中野鉄造君 大蔵大臣、最後にお尋ねいたしますが、六十一年度はこれは
見直しますか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 先ほ
ども申しましたように、これはやっぱり長い歴史がありまして、一概に私は各機関ごとにばらつきのある限度額を設定するということに対する問題になりますと、にわかにそれは
中野さんおっしゃるとおりです、
見直しましょうと言うだけの私にお答えする勇気かない。ですから、今のような議論を踏まえてこの部内の勉強から始めさしていただくということで御理解をいただきたいと思います。
-
-
○太田淳夫君
総理、
政府関係金融機関の
一つでありますところの輸銀法の改正、これに絡みましてロッキード事件が起きた、そのロッキード事件の反省から、その再発
防止のために会計検査院法の改正ということが必要であるということで、これはもう国会で決議を何回となくしているわけでございますが、またこの本
予算委員会でも峯山
委員を初めとして、同僚議員が何回となく質疑を行ってまいりました。この検査院法の改正について、
政府としては本気で取り組むべきだと、このように思いますが、その点、どうでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 検査院法の改正につきましては公明党、特に峯山さんから累次にわたって御質問をいただきました。
政府といたしましても昨年の国会終了後、何らかの措置を至急やる必要があると。そういうことで、
官房長官を中心にして各省庁の事務の
調整をやらせまして、会計検査院とも御
相談をして、とりあえず法律によらないで行政措置によってこれこれのことをやろう。いわゆる肩越し検査につきまして、これを認める方向で行政指導をさせることにいたしまして、その通達も指示もいたしまし
た。会計検査院の方でも、当分これでまいりましょうと、そういうことで納得していただいたということでございます。
-
○太田淳夫君 ただいま
総理のお話の中に、肩越し検査につきまして通達を発送したと、こういうお話ございましたけれ
ども、その内容はどのような内容ですか。
-
○
国務大臣(藤波孝生君) いわゆる肩越し検査の実施という問題につきましては、従来から、いわゆる翁通達によりまして、監督官庁を通じて各機関に対し
協力方の指導をしているところでございますが、今般、さらに各機関が肩越し検査に応ずる場合の具体的要件を明確化するとともに、主務官庁が肩越し検査の円滑な実施のために必要な指導を行うことを盛り込んだ通達を内閣から主務官庁に対して発出したところでございます。
特に、この具体的要件としてどういうことが定められているかということを少しつけ加えたいと思いますが、融資の当事者が犯罪に関与したとされた場合に、融資が貸付目的に違反して使用されたと疑われる場合、あるいはまた多額の滞納がある場合、こういった場合を考えまして機関側の書類では疑義が解明されないということを考えた場合に、具体的な要件としてこれをとらえて実施をしていくと、こういうふうな内容を含んでおるものでございます。
総理から強い御指示もございまして、会計検査院ともよく御
相談を申し上げて、そして国会でたびたび御指摘をいただいてきた御意思に沿うようにということで、中身といたしましてはそのことを十分盛り込んで段取りをしたつもりでございます。
-
○太田淳夫君 一歩前進をされたということでございますけれ
ども、会計検査院としてはどうでしょうか、この官房副
長官通達につきましてどのような御見解をお持ちなのか。あるいはこの通達によりまして実質的な効果というものは院法改正と同じようにあるのかどうか、あるいは今後の院法改正についてどのような考えでいられるのか、検査院長にお聞きしたいと思いますが。
-
○
会計検査院長(鎌田英夫君) お答え申し上げます。
まず、御質問の順序をちょっと逆にお答え申し上げますが、会計検査院といたしましては院法改正問題、これは
昭和五十二年以来数次にわたって国会の御決議があったわけでございます。また五十三年には当時の福田
総理からも検査院の案を出せというような御指示もございまして五十四年に案を出したわけでございますが、完全な融資先の検査をするという必要性あるいは国会の御決議という趣旨を体しますと、検査院の態度は現在も変わっていないということでございます。
しかし反面、内閣におきましては現段階では院法改正ということについては困難であると、こういう御判断があったわけでございます。これにつきましてはそのかわりいわゆる肩越し検査というもので十分
協力しようじゃないかと、こういう趣旨もございまして、
昭和五十六年には翁通達というものがございました。しかし、翁通達につきましては検査を受ける場合に受ける方がその是非を判断するということでございまして、我々としては非常に不満であるという趣旨を去年三月でしたか、当
予算委員会で申し上げた次第でございます。またその節、
官房長官からなおよく検査院の
意見を聞いて改むべき点は改めていきたいと、
協力の度合いを強めていきたいという御趣旨がありまして、自後内閣官房と大蔵省と検査院というところでいろいろ協議をいたしまして、この二月に通達を出していただいたわけでございます。この内容は先ほど
官房長官がお話しになりましたとおりでございまして、私
どもはこれは翁通達と比べましてかなり前進していて評価できると、こういうふうに考えております。ただ、実行の面でいかなる効果が出るか、これを私
どもは現段階では期待しているわけでございまして、今後何か問題がありました場合も監督官庁とも太いパイプができております。いろいろ御協議しながらやっていくということでございまして、なお実際の個々の問題に当たっての対応を見きわめていきたいと、こういうのが現在会計検査院の立場でございます。
-
○太田淳夫君 我々としましても、これはロッキード事件の再発
防止のために国会決議のもとに進められたことでございますし、今一歩前進ということでございますが、この通達がどれほどの実効を上げるか、これからも見守ってまいりたいと、このように思っておりますが、やはりこの通達にありますように「大蔵事務次官殿」あてになっておりますけれ
ども、やはりそうしてみますと今回のこの通達の対象となりますのは大蔵省の所管の金融機関であるところの輸銀あるいは開銀あるいは北東公庫、こういうところの誠実な実行がこれから確保されませんと、その実効がどれだけ上がるか、前進をできたかどうかということが評価されるわけでございますが、大蔵大臣としましてはこれらの金融機関に対しましてどのような決意で指導監督に当たられていくつもりなのか、その点お聞きしたいと思います。
-
○
国務大臣(
竹下登君) おっしゃいますとおり、
昭和六十年二月十三日に内閣官房副
長官から大蔵事務次官あてにこの「会計検査院のいわゆる肩越し検査に対する
協力について」ということで通達が来ております。この通達を受けまして、私
どもといたしましては、今度は二月の十八日に、銀行
局長名で
日本輸出入銀行総裁及び
日本開発銀行総裁に対してその内容を通知したところでございます。したがって、大蔵省としても本通達に沿って会計検査に対する一層の
協力をしていこう、こういう考え方でございます。
-
○
中野鉄造君 厚生大臣にお尋ねいたしますが、中国残留孤児の血液鑑定に関する厚生大臣の発言についてお尋ねいたします。
大臣は、中国残留孤児の
日本人肉親の血液鑑定に関しては自己負担をするのが筋である、こういったお答えをなさっておりますが、その真意をお尋ねいたします。
-
○
国務大臣(
増岡博之君) お答えいたします。
従来から孤児側の費用は一切国が持つことになっております。肉親の場合には自己負担でやっていただいておるところでございますけれ
ども、それに関連しましていろいろお尋ねがございましたときに、私は、これはよほど厚生省としては考えなければいかぬ、今後善処する方策を探らなければいかぬということを申し上げておるわけでございます。
そこで、それじゃどういうふうに
制度をつくるかといいますと、肉親の方がどういう立場で、どういう階層の方がおいでになるか、どういう地域にお住まいかということは、まだ全く予測のつかないことでございますから、私は今のところでは、厚生省が肉親と孤児と面接調査をいたしますときに立ち会いますので、そういう場面場面で適宜それに対応して、血液検査ができないから肉親であるかどうかということがあいまいなまま孤児を中国に帰すことは避けたい、絶対にそのようなことのないようにしよう、そういう気持ちでおります。
-
○
中野鉄造君 中国孤児の方々について、決して肉親が中国に自分の子供を好きこのんで置き去りにしてきたといったようなことはあり得ないと私は思いますし、そうであるならば、肉親の血液鑑定の費用については
日本国
政府として責任を持ってこれを負担するというのは当然ではなかろうかと思いますが、厚生大臣、この点について再度お尋ねいたします。
-
○
国務大臣(
増岡博之君) 先ほど申し上げましたような
制度になっておりますので、私はそれを変えたいと思っております。御趣旨を踏まえてよく協議をしてまいりたいと思います。
-
○
中野鉄造君
総理、中国残留孤児は
戦争の犠牲者である、こういう親子離れ離れの最悪の
状況をつくり出したことを強く感じて、これから血液鑑定もさることながら、いろいろな面で
日本国としての対応を考えていかなくちゃいけないと思うのですが、いかがでしょうか。
-
-
○
中野鉄造君 中国残留孤児と肉親の対面のために
日本に来られる方々の旅費、宿泊にかかわる費用は、これはこれからも全面負担する、こういうことについてはいかがでしょうか。
-
○
政府委員(入江慧君) 中国から参ります残留孤児につきましては全部負担しておるわけでございますが、こちらにいる肉親について負担したらどうかというお尋ねかと思いますけれ
ども、こちらは御存じのように一人の孤児に対しまして何組もの肉親がおられることもありますし、一組の肉親につきましても、通常五人とか十人とかいう方々がおられるわけでございます。私
どもとしましては、実際に旅費がないとか、あるいはお父さんが病気で寝たきりだというようなときには、孤児の方を実際にその肉親のおられるところに厚生省の担当官を同伴で派遣してそこで調査をするということで対処しております。
-
○
中野鉄造君 もう時間がありませんので、最後の質問になりますが、経済安全保障の立場から、レアメタル資源
対策にかかわる問題を一、二質問いたします。
このレアメタルの生産、
我が国の海外依存
状況、そういったようなことについて質問いたしますが、いかがになっていますか。
-
○
国務大臣(
村田敬次郎君) ニッケル、クロム等のレアメタルは、これは各産業、
国民生活において重要な役割を担っておりますが、供給構造が、
委員も御承知のように、特定の少数の国に偏っております。特に例えばニッケルはソ連、カナダ、あるいはクロムは南アフリカ、ソ連、タングステンは中国、ソ連、コバルトはザイールといったように非常に偏っておりまして、そういった国々から供給を受けておるという現状でございます。
-
○
中野鉄造君 これはもう五年ほど前になりますが、西ドイツのシュミット首相が、ボン報告という報告を出させまして、その結果の中にありますけれ
ども、クロム、マンガン等わずか五種類の鉱物資源が突然ストップしただけで西ドイツでほぼ二千万人の雇用が奪われる、あるいはクロムの年間輸入量が三〇%減少しただけで国民総生産が二五%下落する、こういう影響が出るということが報告されておりますけれ
ども、
我が国としては、こういう影響について分析したことがありますか。
-
○
国務大臣(
村田敬次郎君) レアメタルにつきましては先ほど申し上げたような事情でございまして、今
委員御指摘の西独の
状況もよく承知をしております。したがって、経済安全保障という観点から、五十八年度から七鉱種のレアメタルについて六十日を目標に備蓄の推進を図っておるということでございまして、これはそういった分析に基づく
日本の国策として推進をしておるものでございます。
-
○
中野鉄造君 現在七品目について絞られている備蓄品目に今後追加する御予定はありますか。
-
○
国務大臣(
村田敬次郎君) 現在七品目に絞って、そういった備蓄、それからレアメタル海外探鉱成功払い融資
制度等をしておりますが、それをさらに
拡大することにつきましては現在検討中でございます。当面七品目を中心にやっていく予定でございます。
-
○
中野鉄造君 ともあれ、七〇年代というのは世界経済が中東の石油に振り回されてまいりましたけれ
ども、八〇年代後半から二十一世紀にかけて、これにレアメタルが加わるということは極めて強いと思います。しかしながら、このレアメタル
対策はまだ緒についたばかりで、今御答弁にもありましたような
状況でございますが、そのためには膨大な
予算を要するわけです。
そこで、石油だとかあるいは食糧等のように特別会計を設置して、抜本的な
財政措置を講ずべきではないかと考えますが、最後に
総理のお考えをお尋ねいたします。
-
-
○
国務大臣(
村田敬次郎君)
委員御指摘の抜本的な
施策という意味はよくわかります。これは国家安全保障の意味で特別会計等も設置すべきであるという考え方もありますが、目下は国家備蓄、そして金属鉱業事業団に対して
政府が三分の二の借入金利の利子補給をする等々の方向で進んでおりますので、今
委員御指摘になった問題は将来の問題として検討をさせていただきたいと存じます。
-
-
○
委員長(
長田裕二君) 以上で
中野君の質疑は終了いたしました。
午前の質疑はこれまでとし、午後一時
委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。
午前十一時四十九分休憩
─────・─────
午後一時二分開会
-
-
○
和田静夫君 二月十二日の補正の審議の際に積み残した分から少し入りたいと思うんですが、まず生体腎、既に調査を終わったと思うんですが、売りたいという人、大阪、東京主要病院、各腎バンク。
-
○
国務大臣(
増岡博之君) お答えいたします。
お尋ねのことにつきましては、各機関で正確な数字を計算といいますか記録をいたしておるわけでございませんので、正確な数字は把握しておりませんけれ
ども、各機関におきまして電話等による申し出があるとのことでありました。これらについては、各いわゆる生体腎の売買の申し入れについてはお断りをしておるところでございまして、実際にはそのようなことはないと思うわけでございます。私
どもも臓器が売買されるということはあってはならないことだと思っておりますので、今後ともそのような立場から対処してまいりたいと思います。
-
-
○
政府委員(大池眞澄君)
日本移植学会の調査によりますと、
昭和三十年から五十八年末までの間に行われました生体腎移植の件数は総数で二千百八十八回でございます。そのうちで、血族間移植が二千百十九回、配偶者等の血族以外のものが五十三回ございまして、その他不詳のものが十六回でございます。なお、不明の十六回につきましては、移植学会の調査において医療機関の記載がなかったための不明ということでございます。
-
○
和田静夫君 東京の腎バンクでは一日二、三件の提供申し入れがある。大阪では一日に一件程度ある。阪大では週に一件。厚生大臣、これは潜在的にはかなりの生体腎取引、需要がある、そういうように思わなきゃならぬのですが、どうでしょう。
-
○
国務大臣(
増岡博之君) 腎を欲しいという患者の方は切実なお気持ちであろうと思います。しかし、この数字を見まして私
ども感じますのは、生体腎そのものに対するいわば倫理的な感覚と申しますか、そういうものを深く考えないで飛びついておるというようなところもあるのではないかというふうに思うわけでありますが、少なくとも生体腎であれ、死体腎であれ、腎臓の需要というものはかなりのものがあることはよく承知いたしております。
-
○
和田静夫君 移植学会の調べによるとという御
説明でありまして、生体腎の移植を行った件数の中で血族以外が五十三回あって、提供者不明が十六回、これをどういうふうに大臣、コメントしたらいいんですかね。
-
○
国務大臣(
増岡博之君) 移植学会の調査によりまして提供者と患者との間の関係が不明というのが十六回ございますけれ
ども、これは私
ども考えますのに単なる医療機関の記載を忘れておったというようなことで、いずれも問題がないものと思っておりますけれ
ども、しかし、御指摘のように万全を期さなければならぬと思いますので、なお、
日本移植学会に確認を求めておるところでございます。
-
○
和田静夫君 大臣、先日の私に対する御答弁で
特段新しい法律を制定するのはいかがなものかとおっしゃったわけです。若干答弁に間違いがあって民法などというようなことまで言われましたが、こういう今指摘をしました実態を踏まえてみますと、私は行政として新たな対応が必要ではないかという思いを強くしているわけです。
そこで、最低限、腎臓移植の実態を学会に頼るのではなくて、行政としてきちんと把握する必要がある。第二に、生体腎提供者の氏名、住所、それから被移植者との関係を行政機関に報告させることを義務づける。また、腎バンクに特別の
委員会を設け、事前に審査する。第三に、生体腎輸入禁止措置というものを講じなきゃならぬのじゃないだろうか、そういう対応が私は求められていると考えるのですが、いかがでしょう。
-
○
国務大臣(
増岡博之君) 御指摘のように、将来の問題としてはそういう法律その他の体系的な
対策を考えていかなければならぬと思うわけでありますけれ
ども、しかし、当面の問題としましてはやはり現行法で許される範囲内、これもお医者さん側に限られるわけでありますけれ
ども、仲介業者に直接の網をかぶせる法律はございませんけれ
ども、ともかくあらゆる
努力をしてそういう
事態を防いでいかなければならないと思います。
-
○
和田静夫君 将来必要とあらば新たな立法の措置を検討することもやっぱり必要であろう、そうとらえてよろしいですか。
-
○
国務大臣(
増岡博之君) 今後の推移を見ながら、必要とあればその時点で検討さしていただきたいと思います。
-
○
和田静夫君
総理、午前中イ・イ
戦争について関係国にも働きかける、また、国連の
機能も云々という御答弁があったのでありますが、具体的には今はどういうような提言をされ行動されるのでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君)
外務大臣に補足してもらいますが、今も
イランの
外務次官が参りまして、ムサビ首相の親書を持って、休憩時間に会いました。私はまず第一に、
戦争の
拡大については非常に優慮しておる、それで速やかに停戦、そして戦線の縮小、そして平和な状態に返るように
両国の善処を望んでおる、
我が国は既に三条件を提示しておる、実は午前中お話がありましたように、
一つは
都市、非戦闘住民に対する
攻撃をやめる、それから
化学兵器の使用をやめる、それから海上交通の安全、港も含む、こういう提起をしておるので、これをぜひ守るように貴国もひとつ考えてもらいたい、
イラクに対しても我々はやっておる、そういうことも言い、さらに
在留邦人の安全については万全の措置を希望する、もし万一退去を必要とする場合についてもいろいろな便宜供与をお願いする、そのことも言っておきました。
両国ともいろいろ原因もあり、理由もあり、大義もあるであろうけれ
ども、こういう問題は国際的な常識の線で解決しないと解決できないものだ、したがってそういう線で解決できるように両方とも妥協することを望む、我々はそういう線で
努力するつもりである、そういうことを申し述べてきました。
それから、
国際連合につきましては、
イラクが安全保障理事会に提訴をしたようでございます。したがって、これらに関する措置は行われるのではないかと思われております。我々は関係国と提携いたしまして、まず第一に
拡大を防ぐということ、特に
民間航空機に対する
攻撃というのは図らざる災害をもたらすものでありまして、そういう点については慎重なる態度を我々は要請したいと思っておるわけであります。
関係各国とも
協力して、
事態収拾の方向に今後とも
努力するつもりでおります。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 今
総理がお述べになりましたように、
特使を
日本に派遣いたしまして、私も会いましたし
総理にも会っていただきました。これは
イランが
日本を非常に重視しておる証拠でございますし、また
イランはやはり
日本に期待をかけているということにもつながっておるわけでございます。今、
日本も
協力して、国連からの強力な
拡大防止への働きかけ、あるいはまた
日本から直接の
イラン、
イラクへの
自制に対する働きかけ等、ますます戦況が厳しくなってきましたので、これは
全力を挙げてやらなければならない、こういうふうに思っておるわけでございます。
-
○
和田静夫君
外務大臣就任以来、行動する
外務大臣として非常に多くの行動範囲を世界に持っていらっしゃるわけですが、私はこの機会に一遍関係諸国にあなた自身が飛んで、少なくとも今
都市攻撃ぐらいは即座にやめさせるぐらいの行動を起こされたらいかがでしょう。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 私もそれぐらいのことをやらしていただければ、ぜひ飛んでいきたいぐらいの気持ちでございます。幸いにいたしまして、
イラン、
イラクとは外交関係で幅広いパイプを持つことができましたし、近いうちにまた
イラクの
外務大臣も
日本に来るというふうな感触も得ておるわけでございますから、
関係各国に対しましても積極的にこれから働きかけていきたいと思いますし、国連の事務総長も
日本に期待するところが非常に大きいということを国連の黒田大使にも言っておるわけでありますから、
日本の
戦争の
拡大防止における役割が私はあるのじゃないかと思いますし、そうした役割を果たすことが
日本が国際責任を果たしていく、国際的に平和に貢献していく
日本の
一つの道であろう、こういうふうに考えて
全力をひとつ尽くしていきたいと思います。
-
○
和田静夫君 非核三原則について伺いますが、きょうお昼のニュース、ワシントン発十八日共同電が伝えられていました。ウルフォウィッツ米国務次官補は、十八日、下院外交
委員会アジア・太平洋小
委員会で、米艦船に核兵器を積載しているかどうかについてロンギ・ニュージーランド首相に、同盟国に内密でも通告できないと述べた、同次官補はまた、この種の
情報、核の有無は我々のほかには公開しないことになっていると述べたという報道がありました。この発言は、従来の米軍の
方針を踏襲したものですが、したがって事前協議などというのは空文なのだということが明らかになってきていますが、どうお考えですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これはアメリカが核の有無を明らかにしないというのがアメリカの基本原則でありますし、アメリカが核の有無を明らかにすれば事前協議なんか必要ないわけで、我々としては安保条約で核の持ち込みに対しましては
日本の非核三原則でこれは認めないという姿勢でございますから、おのずから結論は明らかでありますが、核の有無を明らかにしない、こういうアメリカの基本原則がございますので、その点については事前協議というものでチェックができるのじゃないか。やはり核を持ち込む場合にはアメリカとしては事前協議にかけなければならぬわけですから、ここで、私は事前協議でチェックができる、こういうふうに思っております。
-
○
和田静夫君 全然論理が私は支離滅裂だと思うんですが、ともあれ、この報道につきまして米国に外交ルートを通じて照会をされて、本
委員会、
予算委員会開会中でありますから、報告を求めたいと思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 今、私も詳細に見ておりませんので、公聴会等における発言であったならば、早速米国に照会をいたしまして詳細を求めまして
説明いたします。
-
○
和田静夫君 大臣、もう一問尋ねますが、この核積載可能な米艦船の
日本寄港の事実、これは認められますか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 核積載可能な艦船の
日本への寄港あるいは領海通過はこれまでもあったし、これからもあるだろう、こういうふうに思います。
-
○
和田静夫君 そうすると、これまでの全リストを提出できますか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは果たしてどの船が核積載可能艦船であるかどうかということにつきまして、
日本が
日本の今の知識でもって判断できるかどうかというところには問題があると思いますが、米艦船の
日本寄港についてはこれは明
らかでございますので、そうした資料はこれは集めましてできるだけ提出するようにいたします。
-
○
和田静夫君 ちょっと
外務大臣、もう少し時間を続けますが、経済
協力です。
フィリピンのスービック、一九七六年から円借款をつけて造船所をつくった。このスービック造船所は米第七艦隊の軍港のすぐ隣にある。当初からいずれは米海軍の艦船修理に使われるのではないかと指摘されてきた。そのため
政府は、いかなる軍事上の目的にも使用しない旨フィリピン
政府と文書を交わした。このいかなる軍事上の目的にも使用しないという文書は、米海軍の艦船及びその用務については一切の船舶修理に使わない、こういうことであると伊東
外務大臣は明確に衆議院で答弁されていますが、そこで、ことしの一月二十九日に
外務省が
日本社会党の田邊書記長に提出したスービック造船所の八四年外国船修理実績、これを見てみたんです。わからないところがたくさんある。
三月十八日から四月八日のUSLの押し船、八月三十一日から九月二十五日のセントラルガルフ、USAのはしけ、十一月九日から十一月十七日のUSAの押し船、十月二十七日から十一月二十二日のセントラルガルフ、USAのはしけ、これらは六十五トンから二百六トンの小さい船ですからスービック湾内で活動している船だと思われるんですが、それらの用途をまず
説明してください。
-
○
政府委員(
藤田公郎君) ただいまの御質問のセントラルガルフラインズの押し船及び押し船の用途でございますけれ
ども、これはばら積みにかわりますコンテナ的なはしけにいろいろな物資を積裁いたしまして、それをプッシュボートというもので押すという種類のものであるというふうに私
どもは理解しております。
-
○
和田静夫君 十一月九日から十一月十七日に修理された押し船の所有者USAとは何ですか。
-
○
政府委員(
藤田公郎君) その部分はミスプリントでございまして、後ほど修正を申し上げたかと思いますけれ
ども、セントラルガルフラインズ、USAで、セントラルガルフラインズといものがミスプリで抜けてしまいまして、それでUSAということだけが残った次第でございます。
-
○
和田静夫君 これは少なくとも我が党の書記長に提出をされた資料、私が質問を用意をして、USAとはUSアーミーではないかと言ったら、これはミスプリントでしたと、こういうことで通ると思いますか。
-
○
政府委員(
藤田公郎君) まず、ミスプリントをきちんと精査いたしませんで提出いたしましたことについてはおわび申し上げます。ただ、この資料自体は、一言御
説明させていただきますと、現在フィリピンで活動しておりますフィルセコ造船所の受注
状況を、合弁企業の一方の当事者でございます会社から資料をいただきまして、それをそのまま提出いたしましたものでございますから、その点私
どもの手落ちがありましたことをおわび申し上げます。
-
○
和田静夫君 大臣、私はケアレスミスがあるということを信じられないんですよ。田邊書記長がこれ
予算委員会でやるつもりだった。時間がなくなったからいろいろ打ち合わせさせてもらったんですが、もしそうということを言われるなら原資料を出してもらいたい。
-
○
政府委員(
藤田公郎君) 原資料とおっしゃいましたのが、今お手元にお持ちのものでございますならばそれが原資料で、若干
日本語で
説明をつけ加えてございますけれ
ども、それ自体を入手して提出いたした次第でございます。
-
○
和田静夫君 船名だとか、
日本語で書いてあったものですか。
-
○
政府委員(
藤田公郎君) 私
どもの方でつけ加えましたのは、番号、それからタイプということで船の種類を記してあるかと思いますけれ
ども、そういう点をつけ加えました。
-
○
和田静夫君 向こうが資料を持ってきたんでしょう。向こうの資料でしょう。今ラインズを除いたのは、おたくですか。向こうでもともと抜けていたんですか。
-
-
○
和田静夫君 大臣、これちょっと私はもともと抜けていたんなら、その原資料と照合させてください。
-
-
○
政府委員(
藤田公郎君) 当初抜けておりましたものと、それから、その後もう一度確かめまして正確なところがこういうものであったという二種類を後ほど提出さしていただきます。
-
○
和田静夫君 とにかく有能な
日本の外務官僚が私が指摘するまで抜けていたことがわからぬというのはちょっとわからぬのですが、まあ後で照合してからにしましょう。
総理、衆議院の定数是正について一問だけ伺っておきたいんですが、与党の中で
政府の選挙
制度審議会に諮るべきだという
意見が出ているようですね。この方式だと大変時間を食ってしまうということになって、最高裁を初めとして国民の期待に沿わぬ結果になると思うんですが、いかがお考えでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) これは国会の、あるいは政党間のグラウンドルールに関することでございますから、よく各党で話し合うというのが適当であると思いますが、今回の
事態は急を要する、なるたけ早く国会へ提出して最高裁の判決にこたえなければならぬという、そういう時点でもありますので、いろいろな考えはおありでしょうけれ
ども、政党間で早く決めた方がいい。また、いろいろそういう審議会があった場合でも、実際問題としては各党の折衝でこれは最終的には決まらざるを得ない。そういう意味からも、なるたけ本番で各党が折衝するという形の方が効率的ではないかと私個人は思っております。
-
○
和田静夫君
総理に
情報公開で
一つだけ質問しますが、四年前の
予算委員会で私に対して、
情報公開はスピードを速めて実行したいとおっしゃいました。ところが全然進展してない。このことをどう受けとめられておられるのか。第二に、
総理は知る権利、これは憲法に基づく権利としてお認めになりますか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君)
情報公開が法律としておくれているということは、甚だ残念でございます。ただ、各省の連絡協議会を開きまして、文書の公開につきまして、あるいは
情報の公開につきまして、いろいろ法律によらざる限度において国民の皆さんの便宜供与を促進するように、そういうことは随時今もやっております。また、法律制定するということもこれは
一つの重大な検討課題でありますが、神奈川県とか、あるいは市町村におきましては山形県の金山町でございましたか、各地でやっている例がありまして、それらが今どういう反応を呼んでいるか、その実施の経過を今トレースしておりまして、そしてこちらの検討の資にしておる、そういう
状況でございます。
-
○
和田静夫君 大蔵大臣、本論に入る前に
日本債券信用銀行の福島交通及び福島交通関係会社への融資ですが、これは昨年の
委員会で大分問題にしました。大変疑惑のある融資であります。今日なお融資残高が六百五十四億円に達しているという状態、これは大蔵省からいただいた資料です。大臣、こういうような融資のしぶりというのは、前にも申し上げましたが、差し入れ担保の評価が極めてあいまい、恐らく値打ちが全体としてはないんじゃないかと思われるんです。そこで、不動産担保融資、普通の銀行であればああいうやり方というのは、責任者の背任絡みの責任問題に発展するのはこれは必定です。そこで、日債銀の責任者処分問題というのは一体どういうふうに推移しているんですか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 日債銀としましては、現在債権の回収に
全力を挙げて取り組んでおるところであります。経営責任の問題は、本件の処理がある程度進んだ段階で、融資の経緯とかあるいは債権回収の実績等を踏まえて、まずは銀行自身が
判断すべき問題というふうに原則的には考えております。
-
○
和田静夫君 そうすると大臣としては、やっぱりこの推移によっては当然責任はとるべきものであるというふうに大臣個人はお考えになっているか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 初めに責任問題が存在しておるという前提の上では必ずしも考えておりません。あくまでもやっぱり処理の進みぐあいによって、その経緯とか、そして結果とかいうことが判明するでございましょうから、その時点でまずは銀行自身がお考えになっていくという課題ではなかろうかということであります。
-
○
和田静夫君 これは今まで銀行行政の中でずっとやってきたことを照合してみますと、私が述べていることには無理はないと思っておりますので、十分にお含みおきを願いたいと思います。
休眠公益法人の質問に入るんですが、財団法人の有隣協会を舞台にした詐欺まがいの事件が発生をしたというような報道がありまして、自治省、この有隣協会には五十五年と五十七年の二回、是正命令が出された。一向に改善されてこなかった。五十七年の命令は期限づきの命令であった。ところが、期限を過ぎても放置されてきた。行政としてもっときちんとした対応をとるべきでしょう。大臣どういうふうにお考えでしょう。
-
○
国務大臣(古屋亨君) 事実上休眠状態にある法人があって、これまで設立目的に従った活動を行うことを内容とする是正命令を出すことなどの措置を講じてきておりますが、その後、理事の更迭が続くなどのため是正命令を実施しがたいような事情であります。当省としては、この法人の理事に変動があった直後でありますので、法人内部におきまして今後のあり方について早急に結論を出すように指導しておるところでございます。
-
○
和田静夫君 大臣、私は今度のあれは解散の勧告ぐらい自治省やるべきだと思うのですが、いかがお考えですか。
-
○
国務大臣(古屋亨君) 今申し上げたような事情でございまして、先生のおっしゃるような
事態にもならぬとは限らないと思っておりますが、いましばらく検討さしていただきたいと思っております。
-
○
和田静夫君 自主的に解散をされるような方向というものを、自治大臣としては、それじゃ今のところは期待をされておるということでしょうか。
-
○
国務大臣(古屋亨君) そういうようにも私考えておりましたが、そういう時期をいろいろこちらから催促するというわけにいきませんので、向こうが自主的に出される、恐らくそういうような
情報もないではないのでございますので、そういうことを期待しておるのでございます。
-
○
和田静夫君 私は、これちょっと認可そのものが非常に無理だった、基本財産が見せ金同様だった、自治省、この認可の基準が甘かったのじゃないんですか。
-
○
政府委員(津田正君) お答えいたします。
この法人につきましては、認可当時は確かに資金等ございましたけれ
ども、その後出されて、さらに大臣から答弁ございましたように役員の交代が続いたと、こういうような事情でございます。
-
○
和田静夫君 今の答弁は、今後は厳正に認可の審査というものについては対処するというふうに承っておいてよろしいですか。
-
○
政府委員(津田正君) この種の財団法人の認可に当たりましては、今後とも十分注意してまいりたいと、かように存じます。
-
○
和田静夫君 休眠法人を抱えているのは実は自治省だけじゃないんですね。私の調査では九省庁七十五団体の休眠法人がある。中には自民党の非常な長老が代表者になっている法人もある、元
総理といわれる方。それからM資金問題などでしばしば名前が出てくる人物が代表者になっている法人もある。通産省、建設省、私に提出した資料は代表者氏名が不明の法人だけですけれ
ども、実質的に休眠状態になっている法人はこれ以外にもありますね。
-
○
政府委員(福川伸次君) 通商産業省におきましては、今休眠法人といわれますものが財団法人で一件、社団法人が四件でございます。代表者が不明であるということでございますが、現在対象となっております、話し合いの対象にいたしております人物はそれなりに把握はいたしておりますが、それが最近においての総会等との手続で明確であるかどうかという点がはっきりいたしませんでしたので、不明と申し上げた次第でございます。
-
○
政府委員(豊蔵一君) お答えいたします。
建設省関係でいわゆる休眠といいますか、活動を休止しております法人は三件でございまして、内訳は財団法人で二件、社団法人で一件でございます。このうち
一つの法人は創立者であります理事が昨年亡くなりまして、その後当法人を代表する責任者が選任されておらないというようなことでございます。ほかの二件につきましては、現在登記をされております理事が十分その法人を代表し得る責任を持ち得るかどうか等につきまして問題がございますので、実情調査しながらその対応策を考えてまいりたいと思っておりますが、私
どもの把握しております
状況では以上三件に相なっております。
〔
委員長退席、理事梶木又三君着席〕
-
○
和田静夫君 代表者不明法人というのは、これは直ちに設立許可の取り消しの作業を開始すべきだと思うのですがいかがです。
-
○
政府委員(福川伸次君) 先ほど申しました点、もう少し敷衍して申しますと、私
どもとしては例えば二年以上報告がなされていない、あるいはまた定款または寄附行為上有効な総会、理事会において選出されていないというような点で、確認ができない意味で代表者が不明ということを申し上げてあるわけでありますが、私
どもとしてはこの休眠法人の取り扱いにつきましては、現在までも
昭和四十六年十二月の行政管理庁の勧告を踏まえまして、鋭意その解散の指導を強力に行ってきたところでございまして、先ほど申しましたように数も五件ということになっておるわけであります。今後私
どもとしてもこの理事の確認等の実態調査を行いますとともに、また法務省と十分御
相談も申し上げまして、関係者に対しましてそのような休眠状態にありますものについては引き続き解散するように指導を行ってまいる所存でございます。
-
○
政府委員(豊蔵一君) 建設省関係の休眠法人につきましてはいろいろの対応がございますが、
一つには自発的に解散させる方向で指導したいというのがございますし、それからもう
一つは事業
計画書等を提出する動きがありますので、そういったものをよく調べまして、本当に当初の目的に沿った事業活動ができるかどうかを判断の上、どのような措置を講ずるかを考えたい。もう
一つの件につきましては、私
どもの現状ではどうもなかなか実態が伴っておらないように思いますので、民法第七十一条の規定に基づきまして取り消しをする方向で現在検討を進めております。
-
○
和田静夫君 文部省、資料には三十五法人しかなかったんですが、戦前の内務省から引き継いだ休眠法人が入っていません。この全リストは出ましょうか。
-
○
政府委員(西崎清久君) 現在文部省所管の法人につきまして、私
どもで休眠として把握しているものは御指摘のとおり三十五法人でございます。先生ただいま御指摘の、戦後の混乱の時期で全く把握困難な法人が帳簿上のものとしてあることは事実でございまして、その点につきましては資料として後刻提出させていただきたいと思います。
-
○
和田静夫君
官房長官、これ取りまとめて五十五年民法改正以降の取り消し件数、幾らですか。
-
○
国務大臣(藤波孝生君) 今ここではちょっと数を持っておりません。
-
-
○
政府委員(吉野良彦君)
総理府の管理室で把握をしているのではないかと想像いたしますが、ただいま管理室の職員が参っておりませんので、今至急連絡をいたしまして、御
説明ができるように
いたしたいと思います。
-
○
政府委員(
藤田康夫君) ただいま大蔵省の方から、
総理府の管理室で把握しているのじゃないか、こういうお話でございましたけれ
ども、私のところは
総理府の公益法人について管理監督をしておるだけでございまして、その件数については現在私のところでは把握をいたしておりません。
以上でございます。
-
○
政府委員(吉野良彦君) 私の想像で申し上げて大変申しわけございませんでした。
-
○
国務大臣(藤波孝生君)
政府といたしましては、公益法人の監督事務につきましては、連絡協議会を設けまして、それぞれ各省庁と連絡をとってその指導に当たってきておるところでございます。
今、
委員からの御指摘の数をこの場でつかんでおりませんことを大変申しわけないと思いますが、これはあくまでも連絡協議会でございますものですから、各省庁でそれぞれ責任を持ってやっておる、こういうことになっておりまして、一カ所でその数を把握しておりませんことはまことに事務的に申しわけないと思いますが、各省庁でそれぞれ責任を持って進めておると、この事情をぜひ御賢察いただきたいと存じます。数につきましては、大変おくれて申しわけありませんが、各省庁と連絡をとりまして、後刻お知らせを申し上げるようにいたしたいと思います。
-
○
和田静夫君 それじゃ、ここのところは後で待ちます。
国税庁、公益法人を舞台にして脱税を行った事例というのは報告できますか。
-
○
政府委員(冨尾
一郎君) お答えいたします。
公益法人は、本来の業務に関する限りは税法上非課税でございます。ただ、収益事業を営んでおります場合には課税ということに基本的になっておりますので、先生御指摘の脱税云々ということにつきまして、にわかに私
どもとして、その本来の業務での脱税ということではちょっと考えにくいかと思っております。
-
○
和田静夫君 それで私は、いろいろ報道されますから、いわゆる舞台にして、そういうことをと言ったんですよ。
-
○
政府委員(冨尾
一郎君) どうも失礼いたしました。
私
どものいろいろな調査事例の中で、公益法人を介在させるというような形で見せかけの、いわば非課税というような形にして、実は本来課税になるべきものを公益法人を中に入れたりという形で税を免れておった、それが調査の結果判明したという事例はございます。
-
○
和田静夫君 大臣、ちょっとそれ報告をしてもらいたいんですよ。
-
○
政府委員(冨尾
一郎君) 具体的な事例についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。
-
-
○
政府委員(冨尾
一郎君) お答えいたします。
具体的な個別の案件についてお答えすることは、この場におきましては、守秘義務の関係もございますので、差し控えさせていただきたいと思います。
-
○
和田静夫君 この五年間に限って、何件ありましたか。
-
○
政府委員(冨尾
一郎君) 御質問の趣旨がちょっと私
どもすぐにあれでございますけれ
ども、先生御指摘のように、公益法人を介在さしたような形での税務上の申告漏れもしくは脱税、こういうものについて、私
どもとして厳密に統計をとっているわけではございませんので、中にそういうことがあったということは事実として私もはっきり申し上げられますが、この五年間にそのようなケース、それに類似するようなケースというか、公益法人を絡めての脱税のケースというものにつきまして何件あったと、そのような事例として私
ども統計上の数字はございません。
-
○理事(梶木又三君) 速記をとめて。
〔速記中止〕
-
○理事(梶木又三君) 速記を起こして。
-
○
和田静夫君 大臣、やっぱりこれ、その公益法人が持っている適格性の問題の判断の
一つの材料でもありますから、これはぜひ出していただきたいと思うんですけれ
ども、いかがでしょう。
-
○
国務大臣(
竹下登君) どういう事例があるのか、私も定かには承知しておりませんので、いわば資料として提供し得るかどうかを含めて、部内でもう少し検討をさしてくださいませんでしょうか。
-
○理事(梶木又三君) ちょっと速記をとめて。
〔午後一時四十九分速記中止〕
〔理事梶木又三君退席、
委員長着席〕
〔午後二時五分速記開始〕
-
-
○
政府委員(冨尾
一郎君) お答えをいたします。
公益法人を利用いたしまして脱税した事例として、典型的な事例として
一つだけ、これは一例でございますが申し上げさしていただきたいと思いますが、土地取引に絡みまして、あたかも公益法人が買収をし、それを売却したような形に仮装しておったわけでございますが、調査をいたした結果、全くその公益法人の取引ではなくて別の不動産取引業者が単に売買したにすぎないという実態がわかりまして、それについて課税をしたと、こういう事例がございました。
-
○
和田静夫君 件数等の問題については、それじゃ別の機会といたしまして、
官房長官、今お聞きのような形でのケースというのはいろいろ想像もできるわけです。私は、
政府としてきちんとした休眠法人整理の統一
方針というものを示すべきだと思うんですよ。
-
○
国務大臣(藤波孝生君) 休眠法人の取り扱いにつきましては、行政管理庁からの勧告を受けて民法の改正が行われた、このことにつきましては先ほど来も少し話が出ておったところでございます。各主務官庁におきまして、この改正の趣旨に沿いまして休眠法人の整理及び解散指導に努めておるところでございまして、その運用に当たりましては解釈等につきまして法務省とも十分
相談をしながら各省庁で対処している、これが実情でございます。
休眠法人に対する解散指導につきましては、今後とも各主務官庁において法務省と十分連絡をとって民法の規定の趣旨に沿って適正に対処していくべきものと、このように
政府としては考えておるところでございますが、先ほ
ども少し触れさせていただきましたように、公益法人監督指導の連絡協議会といった場も設けられて累次会議も開いてきておるところでございますので、本日の先生の御質疑の御趣旨も踏まえまして、この連絡協議会を中心にいたしましてさらに各省庁が十分連絡をとり合いまして、休眠法人に対する態度につきまして従来よりもやはり前向きにこの問題に対応していくようにしなければなるまい、このように考えておる次第でございまして、少しお時間をいただきますようにお願いを申し上げたいと思う次第でございます。
-
○
和田静夫君 これは突然ですが、たびたび法務省と
相談してという話ですから、法務大臣どうですか、同じ質問ですが、法務大臣の見解。
-
○
国務大臣(嶋崎均君) ただいまの問題でございますが、現行法上、民法の規定による公益法人の設立許可あるいはその監督につきましては御承知のように主務大臣にゆだねられているのが現在の規定になっておるわけでございます。その事務の一層の適正化を図る、あるいは公益法人の活動の適正化を確保することができるかどうかというのは、やはりそれぞれの主務官庁はおいてきちっとした整理をするということがまず第一番目に大切なことではないかというふうに思っております。
これに関連して民法の規定をどういうことにするかというような議論が一部あるわけでございますけれ
ども、具体的な仕事についての監督はそれぞれ主務官庁で適切にやっていただければいいわけで、私は
制度として何か民法上の
制度をここで変えなければならないというような感じは全く持ってないというのが現実でございます。
-
○
和田静夫君 せっかくの法務大臣の答弁ですけ
れ
ども、私は、何というか、まともな法人の協会などの主張の中にも、公益法人基本法をつくるべきだという要請的なそういう主張がございますね。それはやっぱり受けて検討ぐらいはされるべきじゃありませんでしょうか。
-
○
国務大臣(嶋崎均君) ただいま申し上げたところでおよそ御理解になっておられるというふうに思いますけれ
ども、民法の公益法人
制度というのは、公益に関する社団または財団について主務官庁の許可によって法人格を付与することを認める
制度になっておるわけでございます。その社団または財団が行政機関の外郭団体としての性格を有しておるというようなことでいろいろな行政庁からの指導を受けておるわけでございますが、そういう事柄と民法上の
制度というのは直接的には余りかかわりのない事柄でなかろうかと思うのでございます。申請にかかるところの財団が本当に公益を目的とするものであるかどうか、あるいはその当該社団等に法人格を付与することが適当であるかどうかといったような問題については、それぞれ主務官庁の方で的確に処理をしていくということで事柄の整理が進んでいくのではないか、私はそう考えるわけでございます。そういう意味で、先ほど民法上の
制度をストレートに変えていくというようなことには余りならないのじゃないかという判断を申し上げた次第でございます。
-
○
和田静夫君 答弁が一歩も進まぬですけれ
ども、
官房長官、もう
一つだけですが、各省所管の公益法人で、当該省庁の出身者が行って、そしてそこに
補助金、委託費等が出ている、そういう公益法人がどれだけあると掌握されていますか。
-
○
国務大臣(藤波孝生君) 今御指摘のことにつきましては、ここでは資料を持っておりません。これまた早速に調査をいたしたいと思いますが、お許しをいただきたいと思います。
-
○
和田静夫君 それじゃ、その全リストは私にいただきたいと思います。よろしいでしょうか。後で調べられた結果は私にいただけるでしょうか。
-
○
国務大臣(藤波孝生君) なるべく早く調査をいたしまして、
委員のお手元に届けるようにいたします。
-
○
和田静夫君 きょうの本題に入りますが、
財政再建、私はこの二月の補正
予算の審議におきまして、中曽根
総理流の防衛費のみを突出させて他の
一般歳出を
削減する増税なき
財政再建方式は限界に来ていると指摘をいたしました。そこで、きょうは二月の宿題を
一つ一つ解決したいと思うんですが、私の立場をはっきりさせておきます。
一般歳出削減方式の増税なき
財政再建は限界である、
財政再建は第一に不公平税制の是正を軸に据えた税制
改革を行う、第二に歳出の適正化を行う、歳出の不適正の最たるものは私は防衛費であると考えていますが、全般的に歳出の適正化を行う、それで第三に税制
改革と歳出適正化を前提として減債政策を考え直し、大型間接税導入の是非を検討してみる、そういう立場から質問をさせていただきます。
そこで大蔵大臣、まず懸案の増税の定義ですが、どうなりましたか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) いわゆる増税なき
財政再建という問題におきましては、やはり全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たなる措置を基本的にとらない、だから、増税とは税制上の新たなる措置を基本として増収があったものということになろうかと思います。
-
○
和田静夫君
総理、二月の論議の際に私は増税なき再建はさっきも言ったように限界に来ていると指摘したわけですが、
総理は堅持したいとおっしゃったんです。堅持したいという
総理のお気持ちは十分に理解されるんですが、実態としては極めて困難になっているという認識はお持ちだと。
-
-
-
○
国務大臣(
竹下登君) 厳しい道ではございますが、
総理から申されましたように、やはりこのかんぬきを外した途端に歳出圧力に抗し切れなくなる、こんな感じでございます。
-
○
和田静夫君 そういう困難な実態の中で、
総理は仮に税制
改革はよって増収がある場合でも、それを要
調整額を解消する財源としては使わない、他の減税に用いる、つまり財源確保のための税収増を期待しない、増収が出ても減税に回す、そういう姿勢であると承ってよろしいですね。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 必ずしもそうではありません。私は、減税というのは、将来、今の税調に諮問いたしまして、そしてシャウプ以来の税制に対する根本的な
改革を考えていただいて、その答申を受けて
政府が検討して行う、そういう次元のものとしてとらえておるのでございます。いわゆるカレントビジネスとしての
予算編成を毎年やっておりますが、その過程ででこぼこ
調整とか、あるいは不公平税制の是正とか、あるいは自然増収とか、そういうような今までやってきたような形におけるものにつきましては、そのたびごと
予算編成について必要度、重要性を考えて処理していく。前にも減税に回した部分もありますし、国債整理基金の方へ入れた部分もございます。そのように、そのたびごとに検討してまいりたいと思います。
-
○
和田静夫君 この点、大蔵大臣どうでしょうか。五十八年十一月の税調答申では、適切な税収を確保するためにも税制
見直しが必要だというふうにされているんですね、その目的。
-
○
国務大臣(
竹下登君) やっぱり税の議論をしていただきます基本には、今適切な税制という言葉が使われてありましたが、いわゆるその安定的税収ということがいつでも前提にあるということは、増税とか減税とかという論議の以前に、いわゆる安定的な歳入の確保ということはいつも議論の前提に置かれておるというふうに理解しております。
-
○
和田静夫君 具体的な計数で少し議論したいんですが、主税
局長、今仮に税率五%、課税対象、納税義務者、非課税の範囲などをかつての一般消費税(仮称)と同じ条件として前提するEC型付加価値税を導入するとすると、幾らぐらいの税収規模になりますか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 前回申し上げましたけれ
ども、我々といたしましては、そういう新しいタイプの間接税の検討なり税収効果というものの作業を一切行っておりませんが、今
委員がおっしゃいました前提に立ちまして、かつて五十三年当時一般消費税が議論されまして、あのとき税制調査会では一%当たりたしか四千三百億円という計数を出しております。その計数の基礎になりましたのは五十一年の実績でございますので、それから判断いたしますと、まあ判断いたしますと申しますよりは、民間最終消費支出のスケールが大体当時より二倍になっておりますから、したがいまして、一%当たり四千三百億の二倍掛ける五ということになりますと、およそ四兆円強という、機械的な計算としてはそういうことになると思います。
-
○
和田静夫君
局長、この今言われた四兆円強、四兆一千億から四兆三千億を世帯数で割ると、世帯当たりの負担額が出てくるんですが、これは幾らになりましょうか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) そういう計算をいたしていないわけですけれ
ども、
委員が前提に置かれたその四兆円強を現在の三千万強の世帯数で単純に割りますと十万円前後の数字になるんじゃないかと思います。
-
○
和田静夫君 自治大臣、そこで今主税
局長の申しましたことを前提にして、大型間接税、EC型付加価値税が導入されるとする、その一部を
地方財源に回すべしという要求は当然自治体から出ると思われる。自治省はどうしますか。
-
○
国務大臣(古屋亨君) 今後の税制のあり方につきまして、私
どもは国税、
地方税を通じまして、また直接税、間接税を通じまして、全般にわたる抜本的な
見直しの時期に来ておるのではないかと考えておりますが、
地方税の検討に当たりましても、各方面の
意見を伺いながら幅広く検討してまいりたいと思います。具体的な
地方税制のあり方
につきましては、今後税制調査会等を中心として検討されることになり、現段階では白紙でございまして、だから税制の抜本的検討に当たりまして、自治省としては基本的には今後の社会、経済
情勢の推移に対応して、
地方団体が自主性、自律性をもって、適切な行政活動を行えるような
地方税源の充実確保に一生懸命で
努力をしていきたいと思っております。
-
○
和田静夫君 自治大臣、今後税制
改革によって直間比率が結果的には変わる。そうすると、
地方交付税
制度に大きな影響が出てくる。
地方交付税も税制
改革の対象にすべきだと、こういうことでしょう。
-
○
国務大臣(古屋亨君)
地方財源の充実確保のためには、
地方税源の充実強化とあわせまして、
地方交付税の所要額を安定的に確保していく必要があると思っております。そういう意味におきまして、
地方制度調査会等の御
意見を承りながら、
地方財政をめぐる
情勢の推移に即応して、具体的な方策について十分検討してまいりたいと思います。今後の税制改正に伴う
地方交付税等の
地方財源の充実確保につきましての
具体的方策につきましては、税制改正の
あり方等の検討とあわせて、十分に検討させていただくつもりでございます。
-
○
和田静夫君
総理、同じ質問ですが、いかがでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) まだ、いわゆるEC型付加価値税を導入するとかしないとか全く白紙の状態で、税制調査会にいつ諮問するかということもまだ明定はしていないわけです。全く白紙の状態でございますから、今特にここで言明する用意はございません。いずれにせよ、将来根本的税制の大
改革が行われる場合には、中央、
地方ともに一体税源というものをどういうふうに
調整するかというようなことも当然検討さるべき問題であろうと思います。
-
○
和田静夫君
総理のおっしゃる税制
改革とは何でしょうか。いかなる目的で検討されるんでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) これはシャウプ税制以来約三十五年経過いたしまして、
日本の税制、税体系についてもいろいろゆがみ、あるいはひずみ等もできておるので、この際国民の要望に沿って根本的な
改革をやりたいと、そういう念願で課題として受け取っておるものであります。
-
○
和田静夫君 それは第一に
財政再建の財源、要
調整額解消のため、言いかえれば財源確保のために行うのかどうか。第二には直間比率是正のためか。第三には、この第二と関連しますが、直接税減税のためか。あるいは第四には不公平税制是正のためか。四つのうちどれでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 原理は、公平、公正、簡素、それから選択、それに活力、こういうような原理をもってやりたい、それは
財政再建のためとか増収のためではない。今言った原理を通すためにやりたい。そして国民の税に対する不満感をこの際解消したい。第一義的には、やはり国民の大きな要望というものは減税にあると思います。したがいまして、所得税とか法人税の減税というものを第一にぜひやりたいと、そう念願をしておるものであります。これは私の念願であります。
-
○
和田静夫君
総理並びに大蔵大臣、大型間接税についてですが、私はもう
財政再建の財源確保のために、言いかえれば、要
調整額解消のために大型間接税導入するのは最もまずいやり方、まあ
総理もこれ否定される。
なぜまずいかといいますと、私は資料をつくって配付をいたしました。前提として一九八六年に、今主税
局長にお示し願ったEC型付加価値税四兆三千億程度、四兆円強導入されたとしてみたんです。その税収をもって要
調整額を消し、残りを直接減税に回した、そういう前提を置いて、
財政中期展望を代入して、配付資料のような計算をやりました。そうしたら、物の見事に要
調整額が出てきました。
中期展望の計数をそのまま使えば、導入後二年にして一兆六千億円の要
調整額が出る。現行の
地方交付税の税収比を確保しようとすれば、導入後二年目の要
調整額は二兆四千五百億円になってしまう。ちなみに、このケースでは導入時点の
地方交付税は税収の二五%に達していません。税収の二五%を
地方交付税に確保しようとすれば、導入時点で要
調整額が出てしまう。この計算例での直接税減税額はわずかに五千七百億円、国民所得に対する国税負担率は一七%になる。世帯当たりの負担増も十万円、しかもこれはEC型付加価値税を導入した際に生ずるデフレ効果を実は私は勘案をしてないのであります。
そうすると、デフレ効果を考えますと、配付資料の参考欄に
一つの計算例を私は示しましたが、一九八八年度の要
調整額は二兆五千五百億円から三兆円を超える、こういう数字が出てきます。私の前提によって、大臣これでいいですね。
-
○
国務大臣(
竹下登君)
和田さんの
試算で確かにそういう計算となっておりますが、これはいわゆる他の歳出歳入項目について一定の前提を置かれた
一つの
試算であって、だからその計算結果から直ちにその仮定の
一つである税制の問題について何らかの結論を見出すというのは問題が難しい点があろうかと思っておりますが、この
和田さんの
試算からすれば、他にまだ変わっていく
要素の問題はございますけれ
ども、それはその立論は私は成り立ち得る立論だと思います。
-
○
和田静夫君 そこで私は、大蔵大臣、この計算例で私が示唆したのは、国民に世帯当たり十万円の負担増を強いても、大型間接税による
財政再建は困難であるということを実は言いたかったんですよ。したがって大型間接税による増収で要
調整額を賄い、残りの財源で直接税減税を行うという
財政再建方式は国民の怨嗟を招くだけであって、やるべきではないと思う。したがって私が今示したような方式はやらないと明言をされますか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 少なくとも
財政再建あるいは
財政改革のとるべき手法として、初めにEC型間接税ありきという手法はとらない。あくまでも税の問題、今
総理からお答えがありましたように、非常に使い方として難しい言葉は、不公平税制という言葉だけは、主観の問題もありますから、また今現に実行している税制が、国会で決議していただいておる税制が不公正でございますというような、税当局としては言えない言葉でございますけれ
ども、そういう不公平感とかいうようなものに対して、あるいは時代の推移によってそういう価値観の相違してくるものについての手直し等いろいろ抜本的に
見直していこうということであって、あくまでも特定の税目でそれをまず
財政再建の手法としてという考え方から議論をしてもらうという考えはございません。
-
○
和田静夫君 そこで経済企画庁、私が計算しなかった部分、いわゆる
昭和六十一年度に四兆三千億円のEC型付加価値税が導入されたときのデフレ効果はどういうふうにあらわれますか。
-
○
国務大臣(金子一平君) 今この資料を拝見させていただいたばかりでございまして、デフレ効果その他についてこれはこうですと申し上げる自信はまだございません。
-
○
和田静夫君 これもう通告のときに実は関係省庁に聞くということを言ってあって、資料もそのときから回っているんですが、税収にどのようにはね返るかというものの
試算は出ませんか。
〔
委員長退席、理事
亀井久興君着席〕
-
○
政府委員(梅澤節男君) 先ほ
ども申し上げたわけでございますけれ
ども、将来の税制について具体的なプログラムを持っておりません。したがいまして、この種のシミュレーションは一切行っていないわけでございます。
委員がお示しになった前提によりますと、計算上はこういうことになるということはただいま拝聴したわけでございますけれ
ども、この前提に立って税収効果がどれくらいということになりますと、その前提条件をいろいろ詰めさしてもらわなければいけない問題がたくさんございますので、なかなか一義的にお答えしにくいというふうに申し上げざるを得ないと思います。
-
○
和田静夫君 私のこの「増税による
財政展望」というものをもとにしながら、それでは経済企画
庁、デフレ効果を少し計算していただきましょうか。
-
○
政府委員(大竹
宏繁君) 税収のいかんによって経済にどんなインパクトを与えるかという問題につきましては、さまざまなモデルが考えられるわけでございます。先生がお示しになりました計算は、ある
一つの前提、ある
一つのモデルでございます。さまざまな前提があり、モデルがございますので、一義的な計算というのはなかなか難しい問題ではないかと思っておるわけでございます。
-
-
○
政府委員(大竹
宏繁君) 先生の配付なされました資料の数字を拝見いたしますと、先ほどお述べになられましたような増税が仮になされた場合に、たしか日経のNEEDSのモデルで計算をされたように拝承しておるわけでございます。そのモデルで計算をされた成長率へのインパクトはその注書きで拝見をしたものになるということは、それは先生の御計算でいらっしゃいまして、私
どもそういうふうに拝見をしたわけでございます。したがって、そういう前提に立ち、そういうモデルをお使いになられるということであればそういうことでございまして、そこのところは議論の出発点がそういう御議論であれば私
どももそういうふうに拝見をしておるということでございます。
-
○
和田静夫君 その限りにおいては私のこれは間違ってないということですか。
-
○
政府委員(大竹
宏繁君) はい、その限りでは先生の計算は
一つのお考えではないかというふうに思います。
-
○
和田静夫君 全面的に否定をされませんから。
総理、結果として税制
改革によって、大臣答弁ございましたが、増収が出た場合、私が示したような方式、それによって要
調整額を解消して、残りの収入で他の税目の減税を行うという方式はとりません。よろしいでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) これは全くまだ白紙の状態でございまして、毎年毎年の
予算編成に際して歳出のカットあるいは歳入の検討、そういうものをつけ加えてやっていきたいと思っておるのです。それで、この間大蔵省が提出しましたいわゆる
仮定計算例というものは
一つの参考資料として、
一つのメルクマールというような気持ちで、参考として心構えをつくる上の資料として我々はこれを援用しておるわけであります。しかし、現実的にはやはり経済の実体は非常に動いていくものでございますし、また政策的な必要も毎年毎年出てくるわけでございますから、そういうような面からも毎年ごとに考えていこうと、そういう心組みでおります。
いずれ、しかし税の根本的
改革はやりたいと思っておりまして、それにかかりましてその答申等が出てきましたときには、この税というものをどういうふうに扱うか、歳出、歳入構造の中でどういう位置を持たせるか、そういう点は考えていかなければならぬと思いますが、目下のところは白紙でおります。
-
○
和田静夫君 ちょっと脱線しますが、主税
局長、所得税の税収見積もりの中にマル優の名寄せによる増収というのは、これは入っているのですか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 六十年度
予算の一般会計税収の所得税目の税収見込みに当たりまして、ただいま今国会に御
提案申し上げております限度管理の強化による増収分というものは見込んでおりません。計量的にそういう見込みを立てるのは非常に困難という事情によるものでございます。
-
○
和田静夫君 そうすると、大臣、この税収見積もりは
一つの欠陥を持っていることになりますね。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 大臣のお答えの前に、税収見積もりの技術的な問題でございます。欠陥という御指摘が当たってないわけではございませんけれ
ども、そういうものを見積もるということが正確に技術上困難である以上、見積もりの中にそういう不正確なものを見積もるというのはやはり歳入見積もり当局としては避けるべきであるというふうに考えております。
-
-
○
国務大臣(
竹下登君) いや、やっぱり見積もりでございますから、それはいろいろな聞き取り調査したりいたすわけでございますが、現実それはいろいろな聞き取りをしますと、そういうものは我が方にはございませんと、こういう答えも返ってきますと、いわゆるこの基準になるべきものというものが不足してまいりますね。したがって、非常に予測しがたいものをあらかじめ見積もりの中へ入れるということは現実問題としては適切ではない。しかしそれは幾らかあるに違いない、だから、その限りにおいては欠の陥ではないかとおっしゃれば欠の陥であると、こういうふうに言わざるを得ないと思います。
〔理事
亀井久興君退席、
委員長着席〕
-
○
和田静夫君 私は理論的には欠陥を持っていると、こう思うんです。したがって、そういう意識があったから、補正
予算の論議の際にマル優不正利用がどのくらいあるのかということをくどく承ったのはそこにあるんですよ。ここのところがやっぱり今回の措置でどういう程度の増収が見込めるのかわからないということではどうも不安なんですが。
-
○
国務大臣(
竹下登君) ただ、私
どもといたしましては、今回いわゆる本人確認が徹底を図られるとか、それから名寄せについてADP利用による方法を中心に限度管理システムの実効ある案が検討されるということ、それから当面の
対策としては、マル優
制度の適切な運用を確保するために名寄せ及び調査を従来以上に一層充実する、こういうことが私はやっぱり効果はあり得るという判断はしておりますが、効果を金額の上に測定するという基準になるものが余りにも不確定である、こういうふうに御理解いただくしかないのではなかろうかと思います。
-
○
和田静夫君 時間もありませんから、そこはまた論議をさせてもらいますが、
局長、マル優の本人確認は健康保険証、住民票の写し、運転免許証、年金手帳で行う、クレジットカードや会社の身分証明書は認めない、既存の自動継続方式の定期預金については経過措置を設ける、既存のマル優については改めて本人確認をしないというのが名寄せの大筋の方向ですか、これ。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 本人確認の具体的な手段あるいは既往分につきましては、この国会で法案を成立させていただきましたら、直ちに政省令、それから取り扱いの規定を定めるべく、これは来年一月一日からの実施でございますので、ただいま作業進行中でございます。
ただ、基本的な方向としましては、本人確認の書類につきましては今列挙されたようなものを政令なり省令に具体的に決めさせていただくという作業をいたしております。既往分につきましては、基本的な考え方は、本来ですと過去の分を全部洗いかえすべきではございますけれ
ども、やはり貯蓄者の立場を考えますと、来年の一月になりまして過去の分を全部そこで洗いかえするというのも大変迷惑をかける問題でもございますので、新たに店に来られた時点で、その機会をとらまえて過去の分を洗いかえるという方向で、現在金融機関あるいは郵政省と具体的な手順を検討しておる最中でございます。
-
○
和田静夫君 政省令を二十八日に閣議決定するなんという報道、まともですか、これ。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 先ほど申し上げましたように、法律が通りませんと政省令は施行できないわけでございますから、二十八日というものはまだ決めておりません。
-
○
和田静夫君 郵政大臣、今の
局長答弁、どういうふうにすり合わしていますか。
-
○
国務大臣(
左藤恵君) 今お話ございました現在御審議いただいております租税特別措置法及び所得税法の一部改正法案に、郵便貯金といたしましても新たに貯金する際に、住所、氏名、生年月日、こういった記載がある健康保険証等の公的書類によって預金者の本人確認を行うとか、そしてまた本人の確認のない貯金の利子は課税の対象に
する、それから預入限度を超えた場合の超えた貯金の利子についても課税の対象にする、それからもう
一つ、今これらの課税の対象となる貯金を支払ったときは郵政省が税務当局に通知する、こういった改正の内容であるわけでありまして、この点につきましては大蔵省と十分連絡をとりまして、今お話にございましたような、法律が通った段階で政省令が制定されるものと、このように考えております。
-
○
和田静夫君 時期的にはどういうふうに見ていますか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 改正案の実施時期は来年の一月一日でございますけれ
ども、なるべく早く貯蓄者の方にどういう手順になるかということをお示しするということも大事なことでございますので、法律が通りましたら、なるべく早く政省令を整備し、かつ取り扱いの手順等もなるべく早く決めたいというふうに考えております。
-
○
和田静夫君 そこで大臣、これは幾ら税収が見込めると思っているんですか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 先ほ
ども申しましたように、現在の
制度が乱用されておる、それが今回の
制度改善によって新しく課税の分野に入ってくる額が幾らかという問題でございますけれ
ども、これはグリーンカードのときにも同じ議論がございましたけれ
ども、やはりこれは一度
制度を実施してみませんと、実際の計量的な税収効果というのはなかなかとらえにくいということでございまして、現時点で幾ら幾らの増収額が生じる見込みというふうなことを申し上げられないということを先ほどから申し上げておるわけでございます。
-
○
和田静夫君 これでマル優不正利用がなくなるとお考えになっているんだろうか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) もとより今回の所得税法、それから租税特別措置法の改正によりまして現行の不正利用というものがなくなる、改善されるということを目途に
提案をしているわけでございます。私
どもはそれを期待しておるわけでございますけれ
ども、いずれにいたしましてもこれは
制度の実施の
状況を見ながら、かつその過程で名寄せのシステム等について改めるべき点があれば改めるといった方向で、時間をかけてこの
制度の適正な運用を図ってまいるということになろうかと思います。
-
○
和田静夫君 大蔵大臣、それじゃ、名寄せのシステムがはっきりした段階で幾ら税収があるのかということを明らかにしてもらえますか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) その基本は、現在どれだけ不正利用があるかという実態がつかめないわけでございますね。したがいまして、先ほ
ども申し上げましたように、
制度を実際に運用いたしまして、ある程度の時間経過を見て増収効果がどれくらいあったかということを、あるいはその時点で申し上げられるようなステージがあるかもわかりませんけれ
ども、完全な名寄せの場合に幾ら増収があるかということは、そもそも根っこの計数がわからないということを申し上げているわけでございます。
-
○
和田静夫君 私はくどいようだけれ
ども、どうもよくわからぬのですが、名寄せのシステムがはっきりした段階で幾ら税収があるかというのはわかるでしょう。
-
○
政府委員(梅澤節男君) それは理屈から申し上げますと、現在不正利用が幾らあるかということがわかっておれば、完全な名寄せになればそれが課税になるわけでございますが、その数字がわからない、やってみないとわからないというふうに申し上げているわけでございます。
-
○
和田静夫君 そうだから、私はやってみた結果における税収というのはお出し願えますねと、こう言っている。
-
○
政府委員(梅澤節男君) これは先ほ
ども申し上げましたように、御指摘のとおりある程度の
制度の運用をした段階で、そういうものが出せるステージがあるいはあるかもわからないというふうに申し上げているわけでございます。
-
○
和田静夫君 大蔵大臣、この税制
改革の手順ですが、
昭和六十一年度税制に反映されるようなスケジュールでおやりになりますか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) この税制全般にわたる
見直しでございますから、いわば国会でひとつ議論してもらった問題を、それこそ予断を与えない形で報告して、さあいつから始めるか、こういうことになりますね。それについては可能な限り早くという気持ちはありますが、いま少し私は議論の推移を見て諮問の時期をひとつ考えたいというのがございます。
それからもう
一つ、普通の場合三年に一遍、任期がございますから中期答申を大体ちょうだいしておりますが、これはいわゆる以心伝心でちょうだいしておるわけでして、中期答申を出してくれと言ってお願いしているわけじゃございませんが、今度は
総理とも協議しまして、やはり諮問をして、そして出していただく、こういうことにしようということになっております。そうなりますと、いわゆるその年度ごとの六十一年度税制のあり方についてというのはこれは必ず毎年出していただけるわけですが、それと必ずしも一致するとも初めから言えませんし、そこのところは六十一年度税制を念頭に置いておりますとも私は言えないのじゃないかというふうに考えます。
-
○
和田静夫君
総理、政局が今後どういうふうに推移するか私にも予想ができませんが、
竹下さんがおなりになるのかもしれませんけれ
ども、あるいはそこにお並びのどなたかかもわかりませんが、今のところ
総理が税制に手をつける機会というのは六十一年度税制の改正だけということに常識的には思うんですが、それは非常識だと言われればそれまでですが、おれはもう一遍党則改正するんだと言われればそれまでですが、税制
改革というのは六十一年度税制に反映されるのでしょう。中曽根内閣としてはそう思っているんでしょう。
-
-
○
和田静夫君 そこで、
総理に要望しておきますが、この議論、私のここでの議論を含めて、国会の論議が税調の検討に反映される、そういう配慮というのは当然行っていただけると思いますが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) これは今行われておるセッションの
政府税調でも、あるいは将来つくられるセッションの
政府税調でも、いずれもこの国会で行われました論議は大蔵大臣経由で忠実に税調にお伝えすることにいたします。
-
○
和田静夫君 そこで大臣、私は税調の審議内容の公開をやっぱり求めたいんですが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) これは極めて長い時間かかってさまざまな議論がなされていくわけでございますので、やっぱり分厚い答申書そのものが結果でございますから、中間の議論を公開するとか、あるいは会議そのものを公開するとかいう性格には極めてなじみにくい調査会じゃなかろうかというふうに私は理解をいたしております。
-
○
和田静夫君 大臣、そう言われますけれ
ども、例えばあの論議でたくさんの権威ある方々が論議されるわけですから、税に関する学問的な価値というものが討議の中にあるでしょうし、あるいは将来の政治、行政に向かっての示唆的なものもそこにあるでしょう。そういうのはやっぱり私たち国民に明らかにするのが至当じゃありませんか。結論だけというのは大変無愛想じゃないですか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) しかし、その結論がまた相当な部数になるわけでございますから、そうして今のような議論が行われてきますと、それに基づいて、審議の経過も、だれがいつの時点でどう言ったということは別といたしまして、私は浮き彫りになってくる性格のものではなかろうか、そうしてまた、御要請に応じまして先生方一人一人、いろいろな資料の提供とかいうお手伝いは我我がするわけでございますから、そうすると、国会で議論したときに求められておるような資料も、確かに同じような資料の要求もございますし、私はやっぱり公開という感じのものではないじゃなかろうかと。ときに、その先生、別にノー
ともおっしゃいませんでしょうし、お許しをいただいてその先生の展開された税の学問的な系統などは披露しても、それは別に差し支えないと思いますけれ
ども、公開という形のものではなかろうというふうに考えます。
-
○
和田静夫君 まあ論議の内容についてアバウトに外に知らせることには
異議がないというふうに言われましたから、そこのところをまず少し尊重しておきたいと思います。
そこで、増税なき
財政再建の、増税の定義に戻りたいのですが、大蔵大臣、でこぼこ
調整というのは一体何ですか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) このでこぼこ
調整というのは、私がいわゆる比喩的に使った言葉だとまず理解をしていただきまして、それで具体的に申しますと、税負担の公平化、適正化の推進をする見地から行う既存の税制の
見直しが
一つございましょう。そして例えば社会経済
情勢の変化に対応して行う租税特別措置の
整理合理化等の政策税制の
見直しとか、実態に即して行われる引当金の法定繰り入れ率等の
見直しなどがこれは具体的なものとして挙げられるだろうと。それからなお、近いところでは
昭和五十九年度改正のように、一方で所得税減税を行って、他方でその財源を確保する見地から法人税と酒税と物品税についての税率引き上げを行ったというのも、ある意味におけるでこぼこ
調整、だから、でこぼこ
調整という言葉は比喩的に使った言葉だというふうにこれは御理解をいただきたいと思います。どれがでこでどれがぼこだと、こういうふうになるとなかなか難しい問題でございます。
-
○
和田静夫君 労働大臣、ゆっくりお休みになったのですが、賃金のでこぼこ
調整というのはどんなことでしょうか。
-
○
国務大臣(山口
敏夫君) ちょっと失礼いたしました。
先生の御指摘は賃金のでこぼこ
調整、税の面におけるでこぼこ
調整の問題の御指摘でございますか。——賃金のでこぼことは、在職年数でございますとか、いろいろ職場における企業の業種別の問題でございますとか、そうした問題の中で、生活給としてそれぞれに応じて支払われるということであろうというふうに思います。
-
○
和田静夫君 大変回転のいい労働大臣でも、やっぱりお休みになっているときはなかなか回転しないことがわかりました。
総理、昨年三月十四日に私の質問に答えられて増税の定義を言われたんですが、再開陳願いたいと思います。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 臨調答申におきまする増税なき
財政再建という意味につきましては、臨調答申におきまして、国民所得に対する租税負担率というものを新たなる税目を起こすということなく、これを増加させないと、そういうような意味のことであったと思います。
-
○
和田静夫君 昨年、
総理、新たな税目を起こさないとおっしゃった。今もおっしゃった。しからば新たな税目とは何でしょうか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 現行の税制で各税法で税目が定められておりますが、新たな税目というのは、文字どおりいきますと、新たな租税法を提起して新たな税目をつくるということになろうかと思います。
-
-
○
国務大臣(
竹下登君) 新たな税目というのは、今主税
局長が申しましたのがやっぱり的確でございましょう。観念的には、課税ベースが広がった場合も、受けとめ方によっては新たなるという受けとめ方はあるかもしれませんが、やはり厳密に言えば、まさに今税法上に書かれてありますものに新たに加える税目と、こういうことでございましょう。
-
○
和田静夫君 主税
局長、珍しく主税
局長らしからぬ答弁をしたんだけれ
ども、税目とは税の仕組みに基づく名称でしょう。そうすると、現行の税目以外に新たな税目を起こさないということであれば、大型間接税なる税は、これは導入できない。いいですね。これは大蔵大臣。
-
○
国務大臣(
竹下登君) いわば課税ベースの、そのまた今度は大型間接税とは何ぞやという議論がまたもう
一つございますので、整理して、いわば課税ベースの広いと、こういう整理の仕方をいたしておるわけでございますが、それもいわゆる全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たなる措置を基本的にはとらないと。したがいまして、言ってみれば、それが単独で上へ乗っかって、既存税制そのままで、そして租税負担率が上がっていく場合、あるいは他に減の
要素があって上がっていく場合ということも私はあり得ると思いますので、厳密に言っていわゆる税の仕組みと、もう
一つはどこに担税力を求めるかということが税目にはあるわけでございますから、そこのところをきちんと、いわば今書いてあるもの以外はすべてだめよという議論には必ずしも結びつかないだろうと思います。
-
○
和田静夫君 いや、どうもやっぱり混乱されていると思うんです。私はもうこれ一年間にわたってやっていることですから、新たな税目を起こさないということと大型間接税を検討することではつながりますか。新たな税目を起こさないということは、現行の税目以外の税は導入できないということでしょう。つまり税制
改革は既存税目の手直しの範囲内でしかできない。
-
○
国務大臣(
竹下登君) その問題は、全体として租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たなる措置を基本的にとらないということでございますから、もとより我々は既存税制の手直しと申しましょうか、抜本的
見直しということに着目をしておるわけでございますけれ
ども、この言葉そのものが、いわゆる先ほどおっしゃいますところの新たなる既存の税目以外の税目というのはすべて検討の対象にならないという性格ではないというふうに考えます。
-
○
和田静夫君
委員長、これはどうしても了承できません。答弁がずっと変わってきますからね。新たな税目を起こさないと言ってきたんだから。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 今、
委員が提起されておる問題は、臨調答申にしばしば引かれます増税の定義がございます。租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置ということでございまして、その税制上の新たな措置というのは必ずしも新しい税目を含意しないというふうに考えるべきではないか。ただ
政府といたしまして、あるいは税制当局といたしまして、今新たな税目を検討しておるということを申し上げておるわけではございませんけれ
ども、字句の解釈としてはそういうことであろうと思います。
-
○
委員長(
長田裕二君) 速記をとめて。
〔午後三時三分速記中止〕
〔午後三時十四分速記開始〕
-
-
○
和田静夫君 それでは、ちょっと質問をまず一、二変えて、そしてもう一遍確認しますが、
総理がやりたくないEC型付加価値税というものがどういうものであるかというのは私はよくわからないわけで、私は今
一つの例示をずっとしてきたんですが、インボイスを伴う多段階、前段階税額控除方式、小規模零細事業者を対象外とし、食料品を原則非課税とするEC型付加価値税、税率五%で四兆円強というこの税は、
総理のやりたくない大型間接税に入りますね。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 私は専門家じゃありませんので細かいそういう定義はよくわかりません。いずれ
政府税調あるいは党の税調等で専門家論議をやっていただきたいと思っております。私が申し上げているのは、ここで累次にわたって御答弁申し上げたていのものなのであります。
-
○
和田静夫君 もう
一つだけ。
総理、そう言われますけれ
ども、EC型にもいろいろの態様があると私に昨年もおっしゃった。私の認識では、いずれも多段階、包括的、網羅的でかつ普遍的、大規模です。税率や免税対象品目ないし軽減税率対象品目、免税点などは国によって多少は違いますが、基本的性格はいずれも多段階であり、包括的であり、網羅的であり、かつ普遍的、そして大規模なんです。そういうような態様があるとおっし
ゃるのならその態様のすべてをやっぱり示されるべきなんです。そして一年前もう少し検討させてくださいと言われて、一年たって
総理、またここで、これから税調に行ってから私は専門家じゃないからと言われても、これはうんと言えないですな。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) それこそ専門家の論議を要するのでございまして、税の公平論であるとか、さまざまな税理論があるわけでございます。そういうもので税体系というのは組み立てられておるのであります。特に間接税の場合は逆進性とか生活の問題であるとか、さまざまな問題が絡んでまいります。そういう意味におきまして、それに政策論が加味してくるというと非常にデリケートな難しい
要素が入ってまいりまして、私のような素人が軽々に申し上げるのは、慎重にした方がいいと考えております。
-
○
和田静夫君 そこで先ほどのところに戻りますが、大蔵大臣、結果的には
総理が御答弁になったことを大蔵大臣は否定をされていない、そういうように承ってよろしいのですか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) これは
総理と私との時にニュアンスの相違というようなこともたびたび追及されますと、その都度整理いたしまして答えていただいておりますし、私が答えたこともございますので、全く一体でございます。
-
○
和田静夫君 いや、それはちょっとあれですよ、整理されていると言うなら整理されている——整理されていないんだな。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 整理はされておるのであります。いろいろな経緯もございまして、
政府としての統一見解を述べよと、そういうので、衆議院段階におきましても、またそれを援用しましてこちらでも申し上げておるのは、云々いろいろ前提を申し上げましたが、税制調査会の答申について現段階で予見を持つべきでないと思います。ただ、私がただいま申し上げたとおり、EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられますが、多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を、投網をかけるようなやり方はやらないという立場でございますので、これに該当すると考えられるようなものは中曽根内閣としてはとりたくないと考えておりますと、こう申し上げて、それで一致しておるわけであります。
-
○
和田静夫君 そこのところはわかりました。
そこで、
総理と大蔵大臣はどうしても私は違うと思うんです。また、違わせようと大蔵当局はされていると思うんです。
総理の答弁は明確なんです。昨年三月十四日、この席上で私に対して、租税負担率を「GNP比におきまして変えない、」「基本的にそれを維持しつつ、新しい税目を起こしたり新しい措置を行わない範囲内においていろいろ措置することは認められる」、これが継続をしながら
志苫さんへの答弁になり安恒さんへの答弁になり、
総理の答弁は一貫しているんです。ところが、大蔵大臣並びに主税
局長の答弁はそこのところがちゃんと違っているのです。
-
○
国務大臣(
竹下登君)
総理発言で統一して述べたのを朗読いたします。
いわゆる大型間接税については、厳密な税制上の用語ではなく、したがって、学問的定義も必ずしも定かではありませんが、この問題をめぐり私がかねてから申し上げてきたことについては、その内容を整理の上、去る二月六日、矢野
委員の質疑に対しまして答弁したところであります。
この答弁について、二月十四日に大内
委員から改めて御質問があり、お答えしたことにつきまして、この際、その内容を敷衍して申し上げたいと思います。
私は、矢野
委員に「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方はとらないという立場でございますので、これに該当すると考えられるようなものは、中曽根内閣としてはとりたくないと考えております。」と申し上げたところでありますが、この点については、単段階、多段階の別に国会で御
説明した課税ベースの広い間接税の諸類型のうち、
昭和五十四年十二月の国会決議により
財政再建の手法としてとらないこととされたいわゆる一般消費税(仮称)、及び戦後一時期
我が国で実施された旧取引高税といったものを念頭に置いて申し上げたものであります。
なお、矢野
委員に申し上げたとおり、EC型付加価値税は多段階のものでありますが、EC型付加価値税といってもいろいろの態様が考えられますので、多段階という理由だけでこのような消費税をすべて否定する趣旨のものではございません。
あえて字義に即して申し上げれば、「多段階」とは取引の各段階を通じて課税する方式をいい、「包括的」、「網羅的」、「普遍的」あるいは「投網をかけるようなやり方」というのは、いずれも、製造から小売に至る各段階の縦横すべての取引をカバーし尽くすといった意味合いのことを、私の素直な感じとして申し上げたものでありますので、包括といい、大規模といいましても、事前に定量的で厳密な定義があるという性格のものではないことを御理解いただきたいと思います。
いずれにいたしましても、この問題については、税制調査会において広範な御論議をいただき、答申をいただいた段階において、全体としてこれらの諸点に該当するものかどうかを、国民世論の動向等をも踏まえて、慎重に判断してまいりたいと考えております。
これが一番最後の分といいますか、衆議院段階における最後に整理した
一つの類型でございます。
それから、今いろいろ御議論がありましたのは、大体私が言っていることと違っていないような今印象を受けて見ましたが、大蔵省が私に別に
総理とのニュアンスを変えるようにひそかに指導しておるわけでもございませんし、言っている意味は
総理のおっしゃっている意味と大体きちんと一致しておるというふうに私は理解をいたしておるところでございます。
-
○
委員長(
長田裕二君) 速記をとめて。
〔午後三時二十四分速記中止〕
〔午後三時四十分速記開始〕
-
-
○
国務大臣(
竹下登君)
和田さんが臨調答申で言う増税なき
財政再建についての増税なきの定義をお述べになりました。そこで整理をいたしまして、全体として租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置、すなわち租税負担率の上昇をもたらすような新たな税目を設けることはしないということをこの意味として定義づけるわけであります。
-
○
和田静夫君 したがって、臨調路線を守る中曽根
総理とされては、新しい税金はつくらないし、つくらないということを今大蔵大臣を含んで再確認をされた。よろしいですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 先ほど申し上げましたように、臨調答申のいわゆる「「増税なき
財政再建」とは、」の定義に従って今のように解釈しております。
-
○
和田静夫君 それで、私はやはり新しい税金、税目がつくれないということになりますと、それが確認されたわけですから、一般消費税やその他の大型間接税は当然つくれない。これいいんじゃないですか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) 最初にお断りさせていただきたいわけですけれ
ども、税制当局として具体的な税目あるいは将来の税制についての具体的な検討をしている段階ではございませんので、
総理が先ほどおっしゃっておりますように全く白紙の状態でございますが、字句の解釈としては、先ほど大蔵大臣の御答弁にありましたように、「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置」と、臨調答申を文字どおり理解すべきであろうと考えております。
-
○
和田静夫君 既に自由民主党の政調が始まっている段階でありますから、私は非常にここをこだわるのは、どうしてもここを確認してもらわなければ、今の抽象的な文言だけではいけませんので
具体的なことを言っている。したがって、大蔵大臣が述べられた統一的な見解、それに基づけば、私が言ったように一般消費税やその他の大型間接税は当然つくれないということになるじゃありませんか。
-
○
政府委員(梅澤節男君) その新たな税目が、今
委員がおっしゃるような新しい間接税であるかどうかは別にいたしまして、仮に新たな税目が設定され、しかし片方におきまして既存税制について例えば改廃が行われる、結果として租税負担率が上がらないというケースも理論的には考えられるということでございます。しかし、必ずしも新しい間接税を今税制当局が具体的に検討しておるということを申し上げているわけじゃございません。
-
○
和田静夫君 やりとりになりますが、新たなる税目を起こさないと明確にされているのですから、今のような
局長答弁はのむわけにいきません。これ
総理大臣、内閣の責任において答えてもらいましょう、もう技術的な問題じゃありませんから。
-
○
国務大臣(
竹下登君) これは再度お答えします。
全体として租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たなる措置、それは即ち租税負担率の上昇をもたらすような新たな税目を設けるということはしないというふうに、この増税なき
財政再建における増税の意味はそういうものであります。
-
○
和田静夫君 したがって、一般消費税やその他の大型間接税は当然つくれない。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 一般消費税(仮称)は、これは国会決議で、国民の理解を得られるに至らなかったので
財政再建の手法としてはこれはとらない、とるべきでない、こういう決議がある限りにおいてはこの手法はとれません。大型間接税ということになりますと、また大型とは何ぞやと。今の自動車にしても酒にしても、考えようによれば消費税として、間接税としては大型じゃないかという御議論もございますので、大型間接税という表現は
政府側の答弁の中では適切な言葉ではございませんので、その表現そのものを使うわけにはいかないというふうに答えざるを得ません。
-
○
和田静夫君
委員長、こうなりますと、私はさきの補正審議の際に、
昭和五十四年度の一般消費税に関する国会決議は内容的にEC型付加価値税を含み得る。なぜならばあれは亜型であったから、ECの。そういうことを申しまして、仕組み、構造等が基本的に同じである。その仕組み、構造等につき十分国民の理解を得られなかった一般消費税(仮称)は、EC型付加価値税にも適用できる。その解釈を理事会に求めました。結論は。
-
○
委員長(
長田裕二君)
委員長からお答えいたします。
去る二月十二
日本委員会において、
和田君から提起されました
財政再建に関する決議の解釈について、
委員長といたしましては理事会にお諮りいたしましたところ、本決議は院の決議でもあり、本件は議院運営
委員会でお取り扱いいただくことが適当であろうとのことでございましたので、去る十五日、私が議院運営
委員長にお会いいたし、お願いをいたしてまいりました。
以上の次第でございますので御了承願います。
-
○
和田静夫君 一カ月以上経過をいたしましたので、その議運の結論を報告を願います。
-
○
委員長(
長田裕二君) 議運の方に照会をいたします。その結果が明らかになりましたら、何らかの形でお伝えをいたします。
-
○
和田静夫君 それじゃ議運
委員会の結論をお待ちいたしましょう。
-
○
委員長(
長田裕二君) 去る十五日に議運の方に私から持ってまいりましたので。
速記とめて。
〔速記中止〕
-
○
委員長(
長田裕二君) 速記起こして。
和田君の残余の質疑は後日に行うことといたします。(拍手)
─────────────
-
-
○穐山篤君 監理
委員長がまだ見えませんので、国鉄当局にその他の問題で先に伺います。
国鉄の旧品川駅構内を興和不動産に売却をしたわけでありますが、この契約はどういうふうになっているでしょうか。
-
○
説明員(仁杉巖君) お答えいたします。
一般競争入札で公募をいたしまして入札をいたしまして、その結果興和不動産に落札いたしまして、そのまま売却の登記をしたということでございます。
-
○穐山篤君 その際の契約としてこの興和不動産が将来他に転売をする、そういう点についての契約はどういうことになっていますか。
-
○
説明員(岡田宏君) お答え申し上げます。
本件につきましては、いわゆる公開競争入札でございますので、ほかに対する転売の条件とかその他の条件については一切付しておりません。
-
○穐山篤君 登記はなるほど品川区北品川一の百八十四、港区港南二の十の三の土地を分筆したわけでありますが、その後転売をしたというふうなうわさを聞いているわけですが、その点はどうでしょう。
-
○
説明員(岡田宏君) この件の土地につきましては四万六千平方メートルを売却いたしたわけでございますが、これを二期に分けて売却をするという
計画で、とりあえず第一期分の用地につきましては五十九年度内に売却を終わっておりまして、五十九年三月三十一日に登記を完了いたしております。その転売をしたかどうかというこの部分につきまして、転売をしたかどうかということについて調査をいたしましたけれ
ども、三月十八日現在登記簿上の移転は行われておりませんし、私
どもそういう転売の事実ということについては何もお伺いをしていない
状況でございます。
なお、残りの約半分の土地につきましての引き渡しは、六十年度末ということで予定をいたしております。
-
○穐山篤君 監理
委員長お見えになりましたのでお伺いしますが、ことしの一月十日、国鉄側が「経営
改革のための基本方策」というものを監理
委員会は提出したわけですが、その際、従来の再建策の延長だということで好ましくないという態度を表明されたわけですが、どういうものを期待されていたのでしょうか。
-
-
○穐山篤君 そこで、今の土地の問題についての
総理の見解をお伺いしますが、一般競争入札で興和不動産が二期に分けて一千億円で購入をするということは明らかなんですが、その後の使用上の問題あるいは転売の問題については、当然一般競争入札ですから契約がないわけですが、うわさによりますと転売をする、価格も相当上昇するのではないか、こういうふうなうわさが飛んでいるわけです。
総理のかねてからの主張から言いますと問題ありというふうに思いますが、その点、
総理はどういうふうにお考えでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 私は、その事実に関する勉強、調査を全然しておりませんので、よく調べた上で検討をしたいと思いますが、いずれにせよ、公正にして妥当な方法で物事はすべて処理されなければいけないと思います。
-
○穐山篤君 去年の一月から十二月まで国鉄側の売却した物件の資料があります。この中で個人あるいは
地方公共団体というものに分けられておりますが、その個人に売却する場合の値段と
地方自治体に売却する値段との間には何らかの基準、ルールというものを国鉄側は設定しているのでしょうか。
-
○
説明員(岡田宏君) 個人に売却いたしましたケースは、すべて公開競争入札によるものでございます。その場合におきましても、あるいは随意契約で公共団体にお譲りする場合におきましても、私
ども予定価額を作成いたしますが、その予定価額の作成上の基本的な考え方は何ら変わるところはございません。
-
○穐山篤君 臨理
委員長には、たびたびどうも恐縮です。
一月の十日の日に国鉄側が監理
委員会に基本政策を提出されたわけですが、その際、この再建方策というのは従来の延長線ではないか、非常に評判の悪いものだというふうに言われたわけですが、当時、監理
委員会としては何を期待して国鉄側に
計画を求めたんでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) お答え申し上げます。
私
どもが期待をいたしましたのは、前回にも申し上げましたように、昨年の八月に第二次の緊急答申を
総理のお手元に提出いたしまして、一年間勉強した結果、国鉄の現状においては抜本的な改正が必要である、それには分割民営化ということを基本に置いて具体案をつくりたい、こういう趣旨の提言を申し上げたわけでございまして、国鉄当局におかれてはそれを取り上げて具体案をつくられると思いましたのでございますけれ
ども、内容は先生御承知のとおりでございまして、分割あるいは民営化というものでも極めて不徹底であり、従来数回失敗をした改善
計画の延長線上のものにしかすぎない。そういう意味で非常に私
どもとしては不満の意を表した次第でございます。
-
○穐山篤君 監理
委員会としては、将来の国鉄について公共性とか、あるいは企業性という問題についてどういうイメージをお持ちなんでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 国鉄といいますものは国民の足としまして非常に交通体系上重要な位置づけがあるわけでございますが、そういう意味において公共性がございますが、同時に国鉄というものは公共企業体として独立採算制という企業性を持つべきだということに現在の法体系上なっておるわけでございまして、その両者を調和する。そういう意味におきまして、この
日本国有鉄道法の第一条におきましても、能率を増進することによって公共の福祉に寄与する、こういうことが書いてあるわけでございます。その点の、能率を増進というこの公共性の点が非常に欠けておったのではないか、こういうふうに存じておる次第でございます。
-
○穐山篤君 そうしますと、監理
委員会は分割民営化というものが前提条件になっているのでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) これは昨年の八月におきまして、分割民営化を念頭に置いて具体的作業に入るということで私
どもの
方針といたしまして明確にしたと存じておる次第でございます。
-
○穐山篤君 民営というのと民営化というのではどういうふうに違うイメージでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) これは言葉のニュアンスと思いますが、ちょっとデリケートな問題でございまして、純粋に民営という場合には民間資本が非常に大きいウエートを持つ株式会社というのが純民営であろうかと思いますが、現在の国鉄の現状を分けましても、当初電電公社のように株価が非常に上がって皆さんが買いたいという状態になるかどうかは自信ございません。そういう意味におきまして、やはり国有から脱していくという形態あるいは純国営でない形態、こういう意味におきまして、とにかくこの国有、国営という形から離れた、だんだんと自由化の体制というものをとり得ることを私
どもはおぼろげに想定しておるという次第でございます。
-
○穐山篤君 もう一度伺いますが、このいわゆる民営化のイメージですね。今の御答弁だけではこのイメージをつくろうと思っても非常に難しいのですが、どういうものを考えられていますか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 民営化という場合には、やはり経営責任が非常に明確である体制ということが絶対必要であるのではないだろうか。現在の国鉄におきましては経営責任というものが果たせて、とられるかどうか。例えば労働基本権を制約することによって給与というものが公共企業体等労働
委員会で決定をされて責任のないところで決められてしまう、こういう体制でございます。民間経営におきましては、やはり労使ぎりぎりの折衝をして、その経営が成り立つか、限界においてまじめに討論をしていって従業員の生活の安定向上を図っていくという精神でやっておるのでございますが、これが全くよそのところで決まってしまう。あるいは、これは甚だ失礼でございますが、年間の事業
計画、国鉄では
予算と申しておりますが、これが一応国鉄はつくられますけれ
ども、運輸大臣、大蔵大臣のいろいろ御検討を経て国会の先生方で承認をされる。普通の民間会社におきましては、社長あるいは代表取締役が責任を持って経営
計画を立て、そしてその結果を株主総会で責任を問われる、こういう格好になっておると思います。
運賃の問題は現在幾分改正されましたけれ
ども、これは製品価格の決定というのは本来の会社においては非常に大きな経営の
要素でございますから、この運賃の決定においてもかつては法定主義であった、現在は認可主義でございまして、必ずしもいろいろな関係でスムーズにいかない。こういう面におきまして、そういう点の自由度を持つだけに経営責任がその点明確にされる、こういう体制にすることが必要ではないか、こう考えておる次第でございます。
-
○穐山篤君
昭和二十四年に公共企業体になる際に私
どもが
説明を受けましたコーポレーションというのは、政治から独立をする、あるいは人事についても政治から独立をする、そういうふうに
説明をされてコーポレーションに変わったわけですね。本来、イギリスのロブソン博士が言っておりますような、議会の審査の対象にしない、国鉄が独自で
予算あるいは決算、運営ができる、それが本来の企業体である、そういうふうに
説明を受けて法律の改正が行われたわけですが、その意味で言いますと、今の日鉄法というのは本来のコーポレーションの性格に合っていないというふうに考えますけれ
ども、いかがでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 立法当初あるいは出発当初の理想は非常に高いものであったというふうに思うのでございますけれ
ども、その後三十年にわたる運営の経過において、いろいろ社会
情勢の変化なり、あるいは政治
情勢からの影響なり、いろいろのことで、公共性と企業性というものを両立させる、そこに理想をやるのに実際上のいろいろな矛盾が生じてきた。その矛盾の結果が現在の国鉄の現状ということに帰するとすれば、やはり抜本的にこの際その矛盾を明快に解決するということが国鉄再建の非常に大きなテーマではないかというふうに存じておる次第でございます。
-
○穐山篤君
総理、本来のパブリックコーポレーションが
日本で十分育たない、そういう原因はどこはあるのでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) これはいろいろ理由があると思うのです。
日本的特性と申しますか、割合に集団主義で固まると力を発揮しますけれ
ども、しかしまた親方日の丸主義という形になって、集団に入るというと自分の無責任さというものはそれが隠ぺいされるというか、名目にされるというような、そういう性格も
日本人の中にはある。そういういろいろな面から見て、結局は国民の税金、あるいは国家の最終的庇護のもとに生きていけるのだというような無責任さというものが、経営にもあるいは労使両方にも生まれるという危険性はなきにしもあらずであったし、また、しかし一面においては、満州やその他から引き揚げてきた方を収容した、そういうような国鉄に帰すべからざる理由による雇用問題を解決したというような、そういう面もありましょうし、また運賃決定がいろんな理由で国会で難航して通らなかった、そのために機動的な経営ができなかった、そういう面もありましょうし、あるいは労使間の問題で紛争が長引いて、そのために経営効率が悪くなった、そういういろいろな面がございましょう。
日本的特性という面もあったのじゃないかと思います。
-
○穐山篤君 分割をしなければ再建ができないという理由は何でしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 前回にも先生にお答えをいたしましたと思いますが、現在の国鉄というものは余りにも巨大組織であり、臨機の的確なる敏
速なる行動というものがとりにくい体質にあるということ。しかも、鉄道というものは、かつては独占でございましたけれ
ども、交通手段といたしまして航空機、モータリゼーションが発達した場合におきまして、結局、地域密着性ということを相当やはりこれからは重視していかなければいかぬ。それから、国鉄の場合には電電公社と違いまして極めて労働集約的な産業でございます。そうしますと、やはりそこにおのずから適正規模というものがあるというふうに存じます。一人の総裁が三十数万の人間を掌握し、そして北は北海道から南は鹿児島までの運営を考えるということは非常に無理であって、むしろ労働集約産業であり、交通体系の中では地域密着型という面からいいますと、やはり一人の社長のもとでコントロールできる単位にやるということの方が経営責任も明確になりますし、また国民のためになると、こういうふうに私
どもは存じておる次第でございます。
-
○穐山篤君 郵政大臣、今の監理
委員会の
説明はどういうふうに受けられましたか。
-
○
国務大臣(
左藤恵君) 電電公社が四月一日から新しく会社になるということに関連しての御質問だろうと思いますが、電電公社自体におきましてもやはり
一つの公共性といいますか、そういう面につきましての必要最小限度の責任としての、例えば申し込んですぐつく電話、それから全国自動即時化というようなものを一応達成したわけであります。そうしますと、やはりさらに高度
情報社会というものをつくり上げていく上において、もっと、今お話がございましたような機動性とか、いろいろな問題を検討したときには、新しい会社に持っていった方がいいのじゃないかと、こういうふうなことにおきまして、国鉄との関係がどうだという御質問かもわかりませんけれ
ども、国鉄にいたしましても
一つの公社形態をとっておったわけでありますが、電電の場合も今まで公社形態をとっていたのを思い切ってこの際そういった新しい立場で会社に変えていこうと、こういうことで法律を御審議いただき通過させていただいて、四月一日から実施することになっておるわけでございます。
-
○穐山篤君 電電公社が株式会社になりますが、これも巨大な組織ですね。それから要員もほぼ国鉄と同様程度であります。電電株式会社では全国一社制が適切だと、こういうふうに言われたわけでありますが、その立場から見て国鉄をどういうふうに客観的に評価されましょうか。
-
○
国務大臣(
左藤恵君) 今回の改正におきまして、とりあえず民営化していくということについての
方針をお決めいただいたわけでございますが、五年後にはこのことにつきましての
見直しというふうな条項も入っておりまして、これが通信の特殊性というようなものもあろうかとも思いますけれ
ども、とりあえずは全国で
一つの形として、会社として出発させるという形になったのじゃないかと、このように考えております。
-
○穐山篤君 分割民営化を図れば再建ができる、こういうふうにしきりに言われるわけですが、その条件というのは何を考えられているのですか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) いろいろ、条件という抽象的な御質問で非常に難しいわけでございますが、
一つは、私
ども答申で指摘しておりますように、民鉄並みの生産性、私鉄並みの生産性に上げるということでございますね。現在の国鉄の生産性というものは極めて低い、そういうところがございます。それから現在、累積債務あるいは特定人件費というものが非常に大きな重荷になっております。こういうものはやはり荷を軽くしなければ新しい企業形態というものも立ち行かないと思いますが、これをやるのには、前から御
説明しておりますように、会社更生法的な発想によりまして、新しいところは堅実な経営責任が明確であり、そして
政府の援助を当てにしない体制にします。しかし、過去のものは何かの形でこれを処理をする、そういうことによりまして、旧会社、新会社構想によってやっていくと、こういうことで、しかし一番の根本は、新しい会社のトップから従業員が本当に国民のための、あるいは国民の足としてのやる気を持ってやるというところ、あるいはまた額に汗した、流した労働に対してはそれだけは報いられるということが確保できる、こういうことは私は一番基本ではないか、こういうふうに考えております。
-
○穐山篤君 分割をした場合のメリットは何でしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) これは先ほ
ども申し上げましたように、やはり
一つの企業体というのはスパン・オブ・コントロールという範囲がございまして、そういう中でやはり
一つの同じかまの飯を食うという一家意識、これがやはり小集団であるほど結合しやすいという面のメリットがあるというふうに存じております。
それから、これは余談でございますが、それでは電電公社の場合はどうかと郵政大臣に御質問ございましたけれ
ども、電電公社と国鉄の違う点は、電電公社はこれは技術的な集団でございます。そして、北海道の人が鹿児島の人と直通に電話をする。ところが国鉄の方は、現在において北海道の人が鹿児島まで汽車に乗っていくことはないということでございまして、むしろ現在の交通体系上は地域密着という格好で鉄道の特性を生かしていく、こういうことの方がこれから二十一世紀へ向けての交通体系上の鉄道の特性というものが発揮できることになるんではないか、こういうふうに考えております。
-
○穐山篤君 分割をした場合のデメリットは何でしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 分割をした場合に、まあ技術的ないろいろな問題が指摘をされております。例えば相互乗り入れの問題であるとか、運賃計算をどうするのかとか、いろいろそういうことがございますが、これは現在いろいろ技術的に進めておりますけれ
ども、現在コンピューターとかいろいろなものが発達をし、それから相互乗り入れというものも、東京都内においても各地において実行されておりますので、そう大きなデメリットというものは考えられない、むしろメリットの方が非常に大きいと、こういうふうに考えております。
-
○穐山篤君 じゃ、具体的にお伺いしますが、長距離列車だとか寝台列車、そういうものについてのダイヤ編成の主導権は分割した場合にはどこでお持ちになりますか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) これはいろいろ現在検討しておりますが、
一つの
調整機関というふうなものが場合によっては必要ではないかと思っておりますけれ
ども、しかしヨーロッパあたりでは、オリエント・エクスプレスというようなものは、十カ国からこれを何十年もやっておって全然問題が起こってないということでございますから、国内における夜行列車とか特急というふうなものの技術的な問題というものは、それと比べればはるかに容易であってデメリットもないと、こういうふうに考えております。
-
○穐山篤君 新たな機構が必要だというふうなお話ですが、今本社がやっているようなものですね。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 現在の本社はこれは統制機構でございます。ところが、私
どもが今言いました何かの機構といいますのは、いわゆる
調整機構というふうに、
調整機関というふうにお考えいただいたらいいと思います。電力会社が、発送電が九分割された場合に、やはり中央の電気事業連合会というふうなものが大きな問題の調節作業に当たっておる。こういう組織もございますから、これは現在の分割のパターンによりましてどういう形が最も適正であるかということをこれから詰めていきたい、こういうふうに思っております。
-
○穐山篤君 運賃の設定はどういうふうにお考えですか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 運賃の設定につきましては、現在の運賃というものを基本に置きまして、これは原価を償うものであるということは、これは私鉄、国鉄を問わず
一つの原則になっておりますので、そういう趣旨からいきますが、やはり私
どもは、現在都会においては国鉄が高くてそして私
鉄が安い、そして
地方においては国鉄が非常に安くて私鉄は高い、こういうふうなところはある定規を引き、そうして国民各位の理解を得ながらそれを修正していくということが必要ではないか、こういうふうに思っております。
-
○穐山篤君 分割になりますと、それぞれの局は自分のところで収益を上げたいということで、ある意味ではいろいろな
工夫をしますね。今の運賃で遠距離逓減制というのは、分割になった場合は採用は非常に困難だ、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) そういう運賃の方は穐山先生の方が御専門だと思いますけれ
ども、これはやはり、通し運賃とかいろんな方法で今まで持っておったメリットというものを生かしていくというような
工夫は当然できるのではないかというふうに思います。
-
○穐山篤君 分割になりますと、世間が一番注目をしますのは、おくれた場合に払い戻しがあるわけですが、払い戻す側が非常に問題になるわけですね。一時間おくれ、二時間おくれた場合にどこの局が支払いの責任者になるのか。払う側では非常に、今度は分割になれば各局が自分のところで負いたくないという気持ちが出るわけですね。そういうものの節目は、物差しはどこに置くのでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) そういう細部までは私
どもは詰めておりませんけれ
ども、そういうケースにつきましては、またおのずからそこにそれぞれの部局担当の知恵者がいて、明快な、皆さんの納得のいく解決法というのが出てくるのではないかというふうに思っております。
-
○穐山篤君 私は、分割民営を皆さんが先に決めているから、決めればあとは何とかなるだろうという話ですよね、そのお話では。ところが、作業というものは、下から積み上げていって結果として分割にした方がいいとか、民営にした方がいいという理屈にならなければうそだと思うのですが、どうでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) その辺は考え方の相違といいますか、いろいろになると思いますが、人間の病気を治す場合に、一々末端の現象を治さなければ治らぬというのじゃなくて、やはり病因になる病気の一番根幹のところをいかにして治すか、それによって出てきた副作用は、その副作用に対してどういう対症療法をするかということではないかというふうに私
どもは考えておりますので、やはりその大きな方から
方針を決めていきたい、こういうふうに考えております。
-
○穐山篤君 分割になった場合の事故だとか災害、これは輸送の安全あるいは復旧という意味からいいますと、非常に国鉄の場合には重視をしなければならぬわけですが、分割になった場合、この事故だとかあるいは災害の問題についての対応をどういうふうにお考えですか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) これは交通のみならずあらゆる産業におきまして、安全問題というものは一番重要な問題でございますので、分割になったから安全がなおざりになるということは私はないと思います。現在の民鉄においてもやはりセーフティーファーストということで実際にやっておられますし、そう大きな事故も聞きませんから、そういう場合にはやはりその場合の対処の方法というのはおのずから出てくると思いますけれ
ども、恐らく、経営責任が明確になれば、それぞれの経営者というのは安全
対策に非常な重点を置かれるということに私
どもは期待をしております。
-
○穐山篤君 それは、民鉄の場合は自分の所属のところだけですから
全力投球するわけですね。しかし、長距離列車の場合には、分割になれば三つも四つものところを通り抜けるわけです。そうでしょう。そうなった場合に果たしてこの復旧とか、あるいはダイヤの
調整というものの責任がどこに置かれるかということが不明確になる、その点どうでしょう。
-
○
参考人(
亀井正夫君) そういう責任はそれぞれ、これは線路で区分されておりますから、おのずからその責任分担というものは、共同でやる問題あるいは個々の責任になる問題ということが出てくると思います。
しかし、もっと大事なのは、現在巨大組織であるために末端までの管理が抜けている。例えばこういうところで申し上げにくいわけでございますが、飲酒運転とかこういうようなことは、私は私鉄においては恐らくないのではないかいうふうに信じております。
-
○穐山篤君
地方交通線についてはどういうふうな考え方をお持ちでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君)
地方交通線といいましても、現在、非常に大まかに申し上げますと、一次二次を除きますと九十線残るわけでございます。九十線のうち国鉄の基本方策案では七十線を分離して、そしてこれはある意味では国の援助で何とかやっていけ、こういう考え方でございますけれ
ども、私
どもといたしましては、せっかく国鉄の先輩あるいは国民の希望でこしらえてきたものを
昭和の初めの形に戻してしまう、これはマスコミでも批評しましたが、その七十路線を切るというのではなくて、二十だけを国鉄に置くといいますが、私
どもは、できましたら、この九十路線というものを活性化することによってできる限り残して、国民の期待にこたえるような分割案あるいは再建案をこしらえたい、こういうふうに思っております。
-
○穐山篤君 監理
委員会の思想としては、ここの分野では公共性をできるだけ発揮しよう、そういう意味だろうと思うのですが、結果として、相当
努力をしましても赤字が出るのは必然だと思うんですね。それについてはどういうふうにお考えですか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 赤字といいますか、分割の形によりまして、やはり幹線部門に枝によってお客を集約するようなところはある程度内部
補助的なことも必要でありましょう。しかし、根本は、生産性を民鉄並みというところまで上げることによって相当浮かび上がってくる路線もある。また、やり方を変えまして、例えば三陸鉄道の運営方式あるいは樽見鉄道のようなレールバスということに変えまして、今の、お客ではなくて、地域の人が本当にその鉄道を自分たちで愛していて、乗ってやろうじゃないか、今両者とも期待以上に乗客がふえつつあります。そういうことによって活性化をして残していくことが可能ではないか。できるだけやはり赤字
補助ということは避ける。自立精神を持ってそのところもやってもらうような形態ということを考えておる次第でございます。
-
○穐山篤君 生産性を上げてできるだけ赤字にしないということはよくわかるわけですが、赤字になることは必然だと私は思うわけです。そういうことについて監理
委員会は見通しをされていないのですか。それを分割をした会社に全部持たせる、そういう考え方ですか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) できるだけやはり新しい会社がその
地方交通線九十線についてはそれぞれ抱きかかえていくという形を前提に、ただしその場合に、そのそれぞれの交通線も私鉄並みの生産性を上げ、地域に愛される形にして活性化することによって抱えると、こういうことを考えております。
-
○穐山篤君 整備新幹線の問題について、監理
委員会ではどういうふうなお考えでしょう。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 整備新幹線につきましては、昨年の答申におきましても、私
どもの立場は当面見合わせるということを書いております。といいますのは、現在の国鉄には残念ながら、現在の固有の国鉄でも大赤字で持てないのでありますから、新しい負担というものはとてもできっこがないと、こういう意味で考えております。しかし、整備新幹線というものが国民の要望であり、やるとすれば、これはひとつ現在の国鉄再建の問題の枠外の問題として私
どもは考えていきたいと、こういうふうに思っております。
-
○穐山篤君 要員の問題について、新聞などでは路頭に迷うようなことはさしたくないと、こういうふうに書かれているわけですが、これはどうい
うことを意味しているのでしょう。
-
○
参考人(
亀井正夫君) どれぐらいの人が余剰人員になるかということは、これからのつぶさな経営形態とのにらみ合わせでございますけれ
ども、新しくできた会社は民鉄並みの生産性によって適正人員を配置をする。そういう場合に、国鉄さんの案では、
昭和六十五年には十八万八千でいいと、こういう数字が出ております。また、三塚先生の本には、現在の三十万が二十万ぐらいでやれるのじゃないかという案も出ておりますが、私
どものところは、何人ということまでは出ておりませんけれ
ども、現在国鉄が余剰人員としております二万四千五百人の数倍に及ぶ、まあ仮に七、八万から十万ぐらいという場合に、そういう方々が路頭に迷うということがあってはならない。これは大きな社会問題になります。
しかし、鉄道に現在のように余剰の人を置いておくわけにはいかない。そうすると、そういう人人を国民経済的立場から活用し、本人も生きがいある職場に行くと。そういう面で、私
どもは極めて、まだ抽象的でございますけれ
ども、
一つは、現在の国鉄が公共企業体なるがゆえに、事業範囲というものを非常に制限をされておるわけでございます。これを事業範囲をもっと民鉄並みに活発化することによって収容する人々が出てくるのではないだろうか。
それから第二には、みずから他へ転換をしたいというようなお考えの方という方もおられると思います。しかし、それでも救えないのは、これは全国民的課題といたしまして、やはり
政府、
地方自治体、民間一体になってそういう人々の進路をお世話をする。そして、生きがいのある職につける。そのために、残念ながら現在雇用保険というものはつけておりませんので、石炭の場合には炭鉱は全部雇用保険をつけておりました。このファンドがやはり
一つの種になって、それにもちろん特別立法によりまして転換資金とかいろいろ出たわけでございますが、そういうような立法によりまして、とにかくそういう人々に鉄道事業からは離れるかもしらぬけれ
ども、新たなる職業で生計が立てられると、そういう道に十全の
対策を、これは単に監理
委員会のものではなくて、むしろ
政府あるいは
地方自治体あるいは国民、全体が真剣になって取り上げて考えるべき問題であると、こういうふうに私
どもは考えております。
-
○穐山篤君 運輸大臣、要員の問題について何らかの立法が必要だと、こういうふうに言われた、本院でも言われたわけですが、その内容というのはどういうことをお考えでしょう。
-
○
国務大臣(山下徳夫君) 要員ということでございますれば、二種類に分けることができると思いますが、当面、今年度整理しなければならないという観点からしますと、御承知のとおり三つの柱でもっていろいろとお願いをいたしております。これは当面国鉄と組合の間で精力的に円満に交渉を進めていただきたいと強くお願いをいたしております。
それから、今おっしゃるのは今監理
委員長からもお話がございましたいわゆる余剰人員のことかと、今回の国鉄の
改革に伴う余剰人員かと思いますが、このことにつきましては、これも監理
委員長から極めて適切に、的確に御
説明があった、御答弁があったと思いますが、基本的には私
どもも全く同感でございます。これは監理
委員会がことしの夏ごろまでには答申をいただきますので、その答申を受けた後に私
どもとしては対処してまいりたいと、かように思っておる次第でございます。
-
○穐山篤君 労働大臣、いかがですか。
-
○
国務大臣(山口
敏夫君) 国鉄再建の最大のかぎは、やはり余剰人員問題をいかに円滑に措置していくかということだと思います。そういう意味で、今
亀井委員長からもいろいろ再建
委員会の立場の見解がございましたけれ
ども、これはまあ国鉄の労使当局、それからまた運輸省、その他いろいろな機関でそれぞれ考えておるところでございますが、公共企業体でもございます。労働省も
政府の労働問題を預かる立場として、そうした余剰人員問題が国民経済やまた国鉄に働く労働者の方方の生活に不便を来さないように、ひとつ最善、最大の
努力、検討をしなければならないというふうに考えております。
-
○穐山篤君 監理
委員長、長期債務についてはどういうふうなことをしなければならぬというふうに考えられているのでしょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 長期債務の問題は、前回もお答えをしたと思いますが、金額にいたしまして、現在において表面に出たのが二十二兆、六十二年を新スタートといたしますと、これから二年間ございますから、まあ恐らく二十五、六兆になる。それから年金と退職金の負担がございます。これも約束したものでございますから、払えないというわけにいかないと思いますね。そうすると、これはやはり潜在的な債務といたしまして、組織が変わるときにはそれの処理をしなければいかぬ。これが恐らく合計八兆円ぐらいになると思います。それから、青函トンネルと本四架橋の資本費負担、これが合計して一兆七、八千億になると言われておりますが、こういう三十五、六兆というものがあるわけでございます。これをそのまま新しい企業体に、幾つに分かれるかはまだ決まっておりませんが、分けたものに皆背負わしたら、もうその重荷でへばってしまうわけでございますから、これは荷を軽くしてやらなければいかぬ。しかしその場合に、やはり新しい会社が持っておる設備投資、償却済みの簿価に見合う分の設備投資というものは新しい会社がこれは背負うべきではないだろうか。これが国鉄の基本方策におきましてはそれを九兆六千億、そして土地を三兆売って六兆円ぐらいを持ちますという案になっておりますけれ
ども、とにかくそういうことで新会社が負担する債務分というものがあるのではないだろうか。
それから、第二には遊休資産、土地が相当ございます。これは約一億坪というものが遊休ということになっておりますから、まあこれが幾らになりますか知りませんが、これと、それから新生の会社が、これは現在国か旧国鉄というものが持つことになった場合に、株が配当ができ、株が売れるようになってくれば、そういうような遊休資産と株の処分によって埋める。
しかし、残った分は、これは埋めようがないわけです。これはやはり
日本国有鉄道というのは国民の財産である。現在の新幹線とかいろいろな財産であると同時に、マイナスの借金もやはり国民の財産であると考えれば、何らかの形で国民に究極は御負担を願うという形を考究せねばならぬのではないかと、こういうふうに考えております。
-
○穐山篤君
総理にお伺いをしますが、今お話のあったようなことは、
総理は全部御報告を受けているのでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 去年の八月の中間答申と申しますか、それは受けております。それ以後のことは監理
委員会で独自に研究なすったことで、今ここでお聞きする次第であります。
-
○穐山篤君 閣僚の皆さんも初めて聞く話が多いと思うんです。監理
委員会が答申をすれば
政府は尊重の義務が法律上課せられているわけです。
そこで監理
委員会と
政府に伺いますが、今言われたような問題点がたくさんあるということを当事者はよく知っていますけれ
ども、国民は何にも知らないんです。今まで公式に監理
委員会が発表したものは答申以外は何にもないんですね。新聞だけが書いているわけです。そこで、こういうものを今審議しております、こういう問題点がありますということを答申の前に国民の前に明らかにすることが必要だと、こう思いますが、いかがですか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) もちろん内容、腹が固まりますれば何らかの形でいろいろな閣議の御
意見を問うということは必要かと存じておりますが、今までも公式には二次の答申でございます。しかし、現在百回を超す私
どもは会議を重ねてきておりますが、その都度私
どもには監理
委員会詰めあるいは運輸省詰めの記者諸君がおりますから、その方々にきょうの論点は何であったと、こういう
ことが問題になったというようなところは随時随所でブリーフィングをいたしまして、それが新聞の形で報道をされておる。その場合に残念ながら正確に報道される場合もございますし、あるいは記者諸君の勉強の結果か憶測によりましていろいろ出る場合もありまして、物議を醸した場合もございますけれ
ども、でき得る限りやはり世論を反映しながら動いていきたい、こういうふうに思っております。
-
○穐山篤君 運輸大臣、前広に問題点を国民の前に明らかにした方がいいと、こういうふうに思いますが、その点どうでしょう。
-
○
国務大臣(山下徳夫君) 国鉄の再建は国政上にとっても最大の課題であることは皆様御承知のとおりでございますし、重要問題につきましては緊急提言等の形によって私
どももこれを受け取っておりまして、それに対応してまいったわけでございます。その後中間答申等いろいろな形において適宜私
どもも重要部分については承知をいたしております。これに対しまして私
どもは監理
委員会から答申が出た上で私
どもと突き合わせるということよりも適宜私
どもも御
意見を申し上げて、監理
委員会の作業に
協力するという形で現在進行いたしております。
-
○穐山篤君 私の言うのは、答申が出てしまえばそれで終わりなんですよ。国民が前広に議論をする場所が全然ないわけです。与えられていないんです。その点をどう保証してくれますかと聞いているんです。
-
○
国務大臣(山下徳夫君) 先ほど申し上げましたように重要な問題については提言あるいは中間答申としていただいておりますし、また、その他の問題については適宜ブリーフィングの形において申し上げているということは監理
委員長御自身からお答えがありましたとおりであります。
-
○穐山篤君 それは納得できないですね。そんなばかな話はないですよ。これは答弁になってないよ。これは
委員長、納得できないですよ、私は。
-
○
国務大臣(山下徳夫君) 再度同じような答弁になって恐縮でございますが、監理
委員長から今御答弁がございましたように、その都度中間答申その他の形において御報告をいただき、これはそのまま新聞その他を通じて国民に明らかになっておりますし、その他ブリーフィングを通じて等々によって明らかにしておるということは今監理
委員長が御答弁なさったとおりでございますから、重ねて同じことを私の方からまた御報告申し上げることはないかと、かように存じてまいったわけでございます。
-
○穐山篤君
政府はどうするかと聞いているんですよ。
-
○
国務大臣(山下徳夫君) これも先ほどから申し上げましたように、答申がことしの中ごろ出ますけれ
ども、その答申を待ってその後に私
どもがいろいろ申し上げるということよりも、その作業の過程において御
協力というのでしょうか、私
どもの方も御
意見を十分申し上げて、そして作業のお手伝いというと言葉は適当ではないかもしれませんが、作業の中に私
どもの
意見も十分盛り込んでもらう、こういう形で今日まできておるわけでございます。
-
○穐山篤君 納得できませんが、もう
一つ監理
委員長、分割とか民営とかあるいは借金の始末とか、国民にお願いする問題というのは一挙に答申をするということになりましょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 私
どもの予定しておりますのは、この七月に
総理のお手元に私
どもの本格答申を出すということでございます。その場合にやはり私
どもの与えられた任務は国鉄を再建するということで、効率的な経営形態の確立とその適正な運用の確保と、それから長期債務の処理ということが法律の文言にうたわれておるわけでございます。しかしそれをやる場合に、効率的経営形態という場合に、必然的に余剰人員問題が出てきますから、私
どもは労働問題も一本の柱とする、そうするとやはりそれが三位一体と、一体性を持ったものでなければ案にならないということでございますから、やはりまとめてお出しをして総合的な御判断をいただくと、こういうつもりでおります。
-
○穐山篤君 そこで私がお伺いをしているのは、答申をすればそれでもう終わりなんですよね。ある意味で言えば第二立法府の性格を監理
委員会は持っているわけです。国民全体は監理
委員会に
意見を反映をさせようと思っても、どこにもその場所が保証されていないのですよ。臨教審は公聴会とかあるいはいろんなことを
工夫をし始めましたけれ
ども、事国鉄問題につきましては本当に密室で審議をされている、こういう疑いが非常に強いわけです。
そこで
総理、これだけ大きな課題です。
総理も国鉄行革については非常に関心を持っているわけですが、国民の声を十分に反映をしたものを
政府はいただきたいという気持ちならば、あらかじめどういう点が問題であると監理
委員会としてオープンにして国民の議論を呼んだらいいでしょう。その点いかがですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 監理
委員会が結論を出す前には関係者の
意見をいろいろ聴取してやっているだろうと思います。臨調答申の際にもやはり関係者の
意見をみんな聴取してやっておりました。私は現在の監理
委員会も同じように国鉄当局なり、あるいは運輸省なり、あるいは利用者なり、あるいは私鉄側の
意見なり、そういうさまざまな方々の
意見をいろいろ聴取して、そして総合的判断の上で労務問題をどうするとか、運賃体系をどうするとか、借金の始末はどうするとか、そういう判断を今固められているのだろうと思います。そういうような作業をした上で出てきた結論というものを
政府は尊重したいと思っておりますし、そういうものが出てくる。しかし、その前にやっぱり監理
委員会は監理
委員会独自の責任を法律上持っておりますから、したがいまして、監理
委員会がある最終的結論を出す前には、監理
委員会の主体性においていろいろ
意見を聴取して総合的
調整をやった上で自分の
意見を出すと、そういう形であって、その監理
委員会の
意見を出す前に
意見を聴取するという形でやるのはいいですけれ
ども、これはどうでしょうかというような形でいろいろ
意見を国民の前に聞くという、自分の立場もふらふらしている状態で国民の
意見を聞くというやり方は、一体国民の
意見とは何ぞやと、どこにあるのだと、そういう点でもなかなかわかりませんですね。やっぱり自分のスタンスというものを持たなければ、国民の
意見を聞く、聴取する方法も確立できないと思うのです。でありまするから、その辺は監理
委員会の主体性というものを尊重しつつ、そして十分
意見を聴取しながら
調整してもらいたい、そういうように希望するものであります。
-
○穐山篤君 例えば、分割民営について
参考人を呼ばれましたね。私鉄の経営者であるとか、学者であるとか、そういうみずからやっている人たちが、反対という
意見をほとんど八割以上の方が述べられていることも事実でしょうね。
-
○
参考人(
亀井正夫君) いろいろな方から聞いております。しかし、私
どもは反対が八割というような印象は全然受けておりません。
それから、穐山先生から国民の
意見を聞けと、私も
参考人という立場で国会にもう現在までで十回近く、運輸
委員会とか、決算
委員会とか、いろいろと出まして、各党の立場からの、まあこれは御
意見というのですか、御質問ということを受けまして、各党それぞれのお考えをお持ちである、こういうことも、これは国民の代表としての御
意見として真剣に受けとめ、大局的には私
どもが責任を持って結論をしなければいかぬ。これはもう右から左までいろんな
意見がございます。それを総合して、こんな案もある、こんな案もあるというような答申というものはできないので、やはりこれだということを
一つにまとめて出さざるを得ない、そういうところで現在私
どもは苦しみながら勉強しておるのだということをぜひひとつ御理解いただきたいというふうに思います。
-
○穐山篤君 百何回全部とは言いませんけれ
ども、資料を公開していただけましょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 資料につきまして、また必要とかいろいろございましたら、公開というのはどういう意味か存じませんけれ
ども、いろいろ穐山先生から御希望がありましたら私
どもは御
説明に行くのにやぶさかではございません。
-
○穐山篤君 私は全部とは言いません。分割とか民営という経営形態の問題ですね、それから長期負債のあり方の問題、あるいはローカル線のあり方の問題など国民が非常に関心を持っていて、いずれは諸問題について責任を負わなければならぬ問題もあるわけです。そういう問題について全部、そういう柱についてはお出し願えますか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) そのデータも議論のためのたたき台というような資料がほとんどでございますので、お出しできるものと、これは正確だから間違いないというものを私
どもは取捨選択をいたしまして、先生の御要望ございましたら、この点を知りたいという点については資料を持って事務局から御
説明に参上させるつもりでございます。
-
○穐山篤君 今、
総理はスタンスがきちっとしていないものもあると、だから主体性をきちっとして、それで国民の
意見を聞く方がいいと、常識的にはそうだと思うのです。そのスタンスも既に基本的な部分では、今やりとりがされましたように決まっている、あるいは決まりかけているわけです。そのことについて地域の住民や国民全体が大きな影響を受けるわけです。だから、考え方なり問題点を国民の前に明らかにして、前広に国民全体の
意見を聞く必要があろう、こういうふうに私は申し上げたわけです。
-
-
○穐山篤君 いや、実際はどうされますか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 幅広く国民の
意見を聞けという御
意見でございますけれ
ども、不特定多数の人々をどうやって聞くかということについてはむしろどういう方法がいいのか、先生の御指導も仰ぎたいと思う次第でございます。
-
○穐山篤君 具体的な方法、手っ取り早い方法は、衆参両院に対して大きな柱についての問題を出してもらう、それから同時に報道機関を通してすべて公平に全部に明らかにする、そうすればいろんなところから議論が出ますよ。その必要が私はあると思っている。どうでしょう。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 今までも衆参両院の運輸
委員会あるいは
予算委員会、決算
委員会等に出まして、皆様方の御質問に対しては誠実にお答えをいたしましたし、私
どもの検討があたかも決まったように、先生は決めたような前提でありますが、現在カオスの状態、非常に問題が多くてそれをどう決めるかということに四苦八苦しておる状態ですから。
-
○穐山篤君 分割民営は既に
方針を決めているじゃないですか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 分割民営は昨年の八月にスタンスは決めたと申し上げたですね。それは一年の歳日をかけて、そしてあの第二次答申をお読みいただけば、なぜ分割民営の結論に至らざるを得なかったかということについては、私
どもは明確に私
どもの検討の根拠を書いてある次第でございます。そういうことでございまして、そして問題につきましては適時ここへ出まして皆様方の御質問にお答えをして、現在の段階においては誠実に私
どもは包み隠さず今まで御返答を申し上げてきたということでございます。
-
○穐山篤君 これ以上議論をしても時間がたちますが、例えば分割民営のメリットは皆さんの方から言われるでしょう。しかしデメリットの方を国民は非常に心配をするわけです。そういうことについて何にも今まで資料は提示をしていないのですね、ですから、私は国民が議論しやすいように問題をオープンにしなさい、そう申し上げているのです。
-
-
○穐山篤君 じゃもう一度申し上げますが、分割民営ですね、それからローカル線、長期負債の処理の問題、それから要員、労働問題、こういう問題につきましては資料をオープンにできましょうか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) 資料といいましても、こう決めたという資料は私
どものところには全然ないわけでございます。現在のローカル線の収益率がどうで、あるいは営業キロ数がどうだとか、こういうデータはあるわけでございます。それから長期債務についてもこれこれのこういう借金がありますということはこれは事実でありまして、これは全部今まで先生方の御質問にお答えをしてきたことでございまして、それ以上の資料ということになりますと、どういう意味か私
どもよく理解ができないということでございます。
-
○穐山篤君 例えば、ローカル線を残したい、これはなかなかいい考え方だと思う。しかし結果として、黒字になるように
努力するけれ
ども赤字になる。これをどうするかという話の中で、ある新聞社では、赤字を解消するための基金、
制度をつくろうじゃないかという報道がされたわけですね。そういうことは私
ども少しも聞いていないわけです。これが全部共通して、それが監理
委員会の意思だというならば、国民は議論がしやすいと思うんです。一社だけの資料だけでは単なる
情報にしかすぎないわけです。
そういう意味で、公平な資料というもの、問題点というもの、解決の方向というものについて考え方を明示をしてくれ、こういうことを申し上げているわけです。
-
○
参考人(
亀井正夫君) それも、ただいまあたかも新聞社では決まったようになりましたけれ
ども、私
どもが考えましたのは、これは先生御指摘のようにどうしても人口が過疎地帯である、しかし交通手段としてはやはり鉄道が必要であるというところには、民鉄並みにしても赤字が出るところはもちろんございます、それをどうするか。しかし経営責任を明確にするためには、やはりある一定期間を
補助を出して経営やるか、あるいは当初に頭金のようなものを出すかというような議論を自由にやったわけでございまして、その議論があたかも確定されたように報道されたのは私
どもの責任ではございませんで、確定はしておりません。
ただ、フリーディスカッションをやった、それが見当どれぐらいかなというような話はしたということでございまして、そういう資料はないのでございます。そういうふうに御理解いただきたい。むしろ資料は、この線の現在の利用率が幾らか、民鉄並みにしたらどれぐらいのことになるか、こういうような計算をした結果のフリーディスカッション、こういうふうにお考えをいただきたいというふうに思います。
-
○穐山篤君 私を納得させるような材料にはそれはならないんですよ。国民は、分割民営を監理
委員会が打ち出している、そうなるとおれたちの地域の交通はどうなるだろう、長期負債は将来国民がどういう分野でしょわなきゃならぬだろう、みんな考えますよ。だから、そういうことについて監理
委員会はこういう点を議論しています、こういう点が問題でありますということを公開したらいいじゃないかと言っているわけです。
-
○
参考人(
亀井正夫君) まだ自信を持って公開するような段階まできていないということでございます。
それから、これからの将来の予測値というのは非常に不確定なものもございまして、これは釈迦に説法でございますけれ
ども、白糠線をバス転換をする場合に、地域においても非常な反対がございました。しかし、やった結果においては非常に喜ばれておる、お客もふえたという格好になっておるのでございますから、一番の基本はそこの経営者がやる気を持つかやらないか、これは人間集団の企業体でありますから、そこに大きな
要素があるので、単なる数字の羅列だけのデータで判断できない
要素というものは、私は民間企業経営者として長年体験しておりますので、そういう点があるということを御理解いただきたいと思います。
-
○穐山篤君 これ以上言いますと議論に発展しますけれ
ども、今の答弁では私は納得できないです。私鉄並みの生産性というけれ
ども、東京や大阪だけの私鉄のことを皆さんは考えているわけでしょう。それ以外の私鉄並みの生産性ということをどういうふうに材料として考えたり、持っているのか、そういうことが全然明らかにされていないのです、いかがですか。
-
○
参考人(
亀井正夫君) もちろん東京あるいは関西の私鉄というのは非常によくやっておられます。しかし、
地方において、例えば大井川鉄道であるとかいろいろ
努力をしておられるというところはたくさんございます。そういうところも私
どもは見て、例えば高松の高松琴平電鉄であるとか下津井鉄道であるとか、あるいは九州の鹿児島交通であるとか、いろいろなところへ行ってその現状を経営者の方から経営の御苦心というのを伺ってきておりまして、単に図上だけで判断をしておるのではないということを御理解いただきたいと思います。
-
-
○穐山篤君 もういいです。ありがとうございました。
-
-
○穐山篤君 それでは、民間活力に移りますが、昨日、安恒
委員から新宿西戸山開発株式会社と大蔵省が連名で出しました文書の取り扱いについて時間を欲しいということになっていましたが、検討の結果どういうふうになりましたでしょうか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) きのうも安恒
委員に申し上げましたとおり、必ずしも適切でなかった面もあるのではないかと思われますので、どのような対処ができるか事務当局に検討させているところでございますので、いましばらくの御時間をちょうだいしたいということであります。
-
○穐山篤君 大蔵省にお伺いしますが、公務員宿舎問題研究会というのが設立をされておりますが、これのメンバーはどういうような方々でしょうか。
-
○
政府委員(中田一男君) 公務員宿舎問題研究会のメンバーは、研究会を構成いたしますメンバーが九名、それから専門部会を構成しますメンバーが十二名でございます。一部は両方に参加しておられる方もございます。
-
○穐山篤君 名前を言ってください。
-
○
政府委員(中田一男君) 研究会の九名は、大塩洋
一郎住宅・
都市整備公団総裁、小幡琢也
日本抵当証券株式会社社長、川上秀光東京大学教授、安藤太郎住友不動産株式会社社長、石川六郎鹿島建設株式会社会長、江戸英雄三井不動産株式会社会長、中田乙一三菱地所株式会社会長、野地紀一清水建設株式会社会長、森泰吉郎森ビル株式会社社長、以上九名が研究会のメンバーであります。
専門部会のメンバーは、大塩洋
一郎住宅・
都市整備公団総裁、小幡琢也
日本抵当証券株式会社社長、川上秀光東京大学教授、稲木昂鹿島建設株式会社常務取締役、小林幸雄住友不動産株式会社専務取締役、
田中順
一郎三井不動産株式会社常務取締役、成瀬宗清水建設株式会社常務取締役、野崎清敏三菱地所株式会社副社長、野島吉朗東京興産株式会社社長、長谷部平吉長谷部住建株式会社社長、森稔森ビル株式会社専務取締役、横山修二大京観光株式会社社長、以上十二名が専門部会の
委員でございます。
-
○穐山篤君 研究会、専門部会ともいずれも建設業界と不動産業界だけですが、そういう人選をしたのはどういう根拠でしょうか。
-
○
政府委員(中田一男君) 公務員宿舎問題研究会並びに専門部会の具体的な人選に当たりましては、学識経験者も含まれておりますが、そのほか民間有識者として建設業界、不動産業界において日ごろ
都市再開発問題等に直接携わっておられる方々でこの問題に対する関心が高く、社会的活動をしておられる方々の中から、理財局の幹部が事前に直接にお会いし、
都市再開発、住宅建設に高い見識、ノーハウをお持ちの方々を人物本位で選考し、御就任願うこととしたものでございます。この際、大企業の方々ばかりでなく中堅企業の方方にも参加願うように配慮したものでございます。
-
○穐山篤君 このメンバーの中に西戸山開発株式会社に関係している方はおいでになりますか。
-
○
政府委員(中田一男君) 新宿西戸山開発株式会社は株主の出資者が当初五十六社、現在では六十六社といろいろな業界が挙げて参加しておられますので、関係しているという意味が株主として参加しているという意味でございますれば、業界の方々の
委員の大半は株主の一員として参加しておられる会社の方々でございます。
-
○穐山篤君 取締役以上の役員が中に入っていましょうか。
-
○
政府委員(中田一男君) 取締役以上の役員もおられます。
-
○穐山篤君 それはどなたでしょう。
-
○
政府委員(中田一男君) 新宿西戸山開発株式会社の中田乙一社長、それからあとは非常勤取締役に安藤太郎さん、野島吉朗さん、長谷部平吉さん、森泰吉郎さん、横山修二さんが参加しておられます。
-
○穐山篤君 大蔵大臣ね、今も言われたように、研究会、専門部会の主要な人が西戸山開発株式会社の会長以下取締役になっているのですよ。これは非常に臭いというふうに言われてもしょうがないですね。そこで時間を欲しいと言ったんですけれ
ども、これはもうきちっと整理整とんをした方が問題を後に残さないと思うのですが、どうでしょう。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 現実問題として民間会社がまだいわば許可を得ていない前提において共同で影響評価調査をしたということに対して、違法性というものはないにいたしましても、私は疑いが持たれたとすれば、これは甚だ遺憾なことだという認識は持っております。ただ、そういう書類をそれぞれ区役所とか議会とかに提出しておるようでございますので、その辺の話し合いを一応してみる必要があるなと、こういう感じを私は受けておるわけでございますので、いましばらくの時間をいただきたいと、こういうことでございます。
-
○穐山篤君 それでは
政府の責任とか節度というものがつかないというふうに思いますが、どうでしょう。
-
○
国務大臣(
竹下登君) まあきのうからも
説明しておりましたが、二地区ございまして、いわば民活主体のところと、そして我が役所関係で影響評価をするところと、それぞれ入り組んで評価作業は行っておりますが、それなりにそれが大きく私は評価そのものをねじ曲げるとか、そういうことはないというふうに思っておりますが、やはり両者が並列した形で報告書を出しておるということになっておりますので、その辺について、関係方面もございますからいましばらくの時間をちょうだいしたいと、こう申し上げておるわけであります。
-
○穐山篤君 それは納得できないですよ。
大蔵省が仕事のためにアセスの調査をどこどこに依頼したというなら明確ですよ。しかし、共同で
意見や要望に対して回答書を出すというのは、それは
政府としては絶対にやってはならぬことをやっているわけです。どうでしょう。
-
○
政府委員(中田一男君) この環境影響調査は、もともと新宿西戸山の公務員住宅として一体でありました土地を、公務員宿舎の方は我々B地区と呼んでおりますところに集約をいたしまして、四階から十四階建ての高層の宿舎を建設する。そして戸数を確保いたしまして、残り三分の二近くの土地については民間に開放してそこに良質な住宅、
都市施設を建設する。それを民間企業の活力を活用してやったらよかろうというようなことで、公務員宿舎問題研究会の御
提案をいただいたわけでございまして、その線に沿って作業が進められておるわけでございます。そして、この事業の中で民間の方に開放しまして建てます地域、こ
れを我々A地区と呼んでおります。ここは大体二十五階建ての宿舎を三棟建てようと。したがいまして、いわゆる建築基準法、
都市計画法等の高さ制限等には特例を加えてもらって効率的に使っていこうというので、これ
都市計画事業としてやっていくということで準備が進んでおるわけでございます。
その過程において、
都市計画の準備作業としていろいろ住民の方々に御
説明し、あるいは新宿の区役所なり区議会に
説明する必要があるので、そういうものを建てたらどういう影響が出るかということを調査する、こういう依頼があったわけですが、公務員宿舎の方は実は
都市計画ということには関係なく建てる構想でございましたので、本来ならば、これまで一緒に環境の調査をする必要はないわけでございます。また、両方合わせましても、東京都の条例からいいますと、両方合わせて九百戸ぐらいの団地でございまして、千戸を超えたものはアセスしなければいかぬということなんですけれ
ども、九百戸でも同じようなことをやった方がよかろうということで区の方から要請がございまして、
説明するためには、民間の分だけではなくて、公務員宿舎もすぐ横に十四階建てのものを建てるのだから、これも一緒に複合して影響が出てくる可能性があるので、その影響の複合度がわかるように資料を出していただきたい、こういう要請があったわけでございます。
したがいまして、大蔵省の財務局は財務局で、会社は会社でそれぞれの影響を発注したわけでございますが、区に報告いたしますときは両者の複合の部分もあわせて報告する必要があるということで、いわば区の要請にこたえて報告書を合体をして報告した、こういうのが実情でございます。
-
○穐山篤君 それは納得できないですよ。
研究会や専門部会のメンバーの中で会社がつくられているんですよ。その人が大蔵省と共同で公式な作業を始めているわけです。これは普通ならば問題になるわけですから、できるだけそのメンバーを外したところの業者に、数社に対して
都市計画を考えてくれと、こう言うのが常識ですよね。だから臭いというふうにどうしても言われるわけです。節度もついていないんです。だから私は、それは大蔵省と同列で開発株式会社が作業をすることについては問題ありと、だからあの書類は撤去すべきであると。これは政治責任に発展をする話ではないでしょうか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 重ねて申し上げますように、いましばらく時間をちょうだいしたいと、こういうことでございます。
-
○穐山篤君 西戸山開発株式会社の主要な役員が関係閣僚とゴルフをなされる、これは個人的なことですから結構ですが、政治献金も受けている方方が中に入っているわけです。ですから、けじめがついていないということをきのうも再三警告を発しているわけです。これは直ちに処理をしてもらう。そうでなければ、国会がこういうことを許しているとすればこれは非常に問題が起きると思う。大蔵大臣、どうですか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 昨日来のお話を聞きまして、今穐山さんもいみじくもおっしゃったように、あるいは財務局がその委託をしておるとかいう形式だったらよかったのではないかなとか、あるいはお願いして
協力をしてもらうというような姿勢であったらよかったのではないかなと、こんな感じを素直に私持ったわけでございますが、あれから一日、一晩たったわけでございますけれ
ども、関係方面がございますので、関係方面とは、区から要請を受けたとか、区に書類を既に提出したとか、こういう事実がございますので、いましばらくの時間をちょうだいしたいということでございます。
-
○穐山篤君 それは西戸山開発株式会社を消すという前提ですね。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 事実関係において消す必要が余りないというなら、穐山さん御容赦いただきたい、あるいは安恒さん御容赦いただきたいというアクションも起こしてみようかなあと心の中では思っておりますが、まだそこまで私も調査行き届いておりませんので、いましばらく時間をかしていただきたいということでございます。
-
○穐山篤君 作業の経緯については私も事実関係は理解をしたわけですよ、事実関係は認識したわけです。しかし、こういうふうに色眼鏡で見られている株式会社と大蔵省が一緒になって作業をしていることについて国民は疑惑を持つわけです。その点はどうでしょうか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) したがいまして、今申しましたように、いわゆる西戸山開発株式会社が
都市計画事業の事業施行者として認可されているかのような誤解を与える場合もありますでしょうし、実際まだされていないわけでございますから、したがって、そのことはまことに遺憾なことだなあというふうに思っておるわけでございます。だから、どういう形で措置するか、いわば報告書を提出した先もございますので、それこそいましばらく時間をちょうだいしたいということでございます。
-
○穐山篤君 それで、民活全体の位置づけについてお伺いしますが、これは当面内需の
拡大ということもあるでしょうけれ
ども、これは中長期的に物を考えるべきものだというふうに考えますが、
総理いかがでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 御質問の御趣旨がよくわかりませんが、民活というものは行政
改革の
一つの
施策でもございまして、また一面におきましては、
財政的に非常に厳しい今日の
状況におきまして景気を振興していくという面からも、国家
財政の出動できない部分をできるだけ民力を使ってやろうと、そういう新しい発想に基づいた自民党
政府の
施策でありますから、効果が早く出ればなるたけ早く出したい。そういう意味で東京都内におきましても大蔵省の持っておる、あるいは各省の持っておる国有地について、たしか八ヘクタールと十四ヘクタールでございましたか、ともかく場所を洗って早く処理をする。そして、公務員住宅でぜいたくに使っているところはこれを統合してそこを民間の住宅に充てる。そして、今国民の皆さんが欲しておる民間住宅をどんどん建てる。実際場所を調べてみますと、一戸当たり二、三億円ぐらいに当たるような土地にわずかな住宅しか公務員が使ってないというケースがかなりあるわけです、一番町とか三番町とか五番町とかあの辺のものは。そんなもったいない使い方があるかと指摘されてもおるのであります。そういうところは集約して、そしてもっと高層化するとか、そういうことによって一般の国民の皆さんの住宅に充てるという、これは非常に私は善政であるだろうと思っておるのです。したがって、早くできるものは早くやろうと。新宿西戸山の問題もそれと同じ発想から出まして、公務員住宅がもう二十年もたって老朽化しておる。しかもそれが二階か三階ぐらいで、あんなところへあの程度のものを置いておくのはもったいないというので、それは片隅に整理して高層化して、そして大部分をあかしてそこに民間の住宅をつくって都民の要望を満たそうという発想でやっておるので、これ役所にやらしたらどれぐらい時間がかかるかわからぬし、各省の縄張り争いも出てくる。そういうような形で今のような新しい発想に基づいてやったので、不正なことは一切ないと私は確信しております。しかも、六十社とか七十社とかという方々がコンソーシアムをつくって、そして民間の金を出し合ってそれでやるというやり方で、国家の費用はそれだけ免れておるわけであります。そういう意味の民間資本の活用の
一つの例でもありますので、私は自民党の政策として国民の求めているものだと思っています。現に、衆議院において民社党の塚本書記長が、これは非常にいいアイデアだからもっとどんどんやれ、スピードが遅いじゃないかと私は怒られたぐらいでありまして、民社党の皆さんも非常に積極的に支援してくださっている政策であります。
-
○穐山篤君 民活には、国有地の有効活用という話もありますが、それ以外にはどういう手法があるのでしょうか、
総理。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 大きな問題点は、デ
レギュレーションというものがあります。
政府規制をできるだけ解除して、許可、認可、そういうようなものをできるだけなくして、民間が自由に闊達に事業がやれるようにする、それが非常に大きなポイントでありまして、これは今、行革審において
一つ一つ点検してこれを早く解除しよう、そう思っておるところであります。
-
○穐山篤君 規制を緩和するというのは、それは民活の側面ではないんでしょうか。私はそういうふうに考えますが、その点はいかがでしょう。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 要するに、
政府機構や行政の運用を簡素化して金のかからないものにするし、不必要な人間は整理してほかへ持っていく、そのためには許認可というような、そういう今の時代では不必要と思われるものはどんどんやめていく、そういう意味において行革の理想を達成する。それによって許認可がなくなれば一々官庁へ書類を出したり、頼みに来たりすることも必要はなくなりますし、民間はそれだけ人間が不必要になりますし、そういう意味において民活というものにも大いに役立つだろう、そう思います。
-
○穐山篤君 大蔵大臣、国有地というのは国民の財産ですから、有効に活用するというのは当然だと思うのですが、そうむやみやたらに売り飛ばしてしまうというのは本来の国有財産の管理上はうまくないと思いますが、どうでしょう。
-
○
国務大臣(
竹下登君) これは国有地というのは行政財産、普通財産ございますが、やっぱり国民共有の財産であるという観点から、非常にそれが国民全体のために活用されるようにという観点が
一つございます。そしていま
一つは、いわゆる税外収入源としての位置づけがございます。そのときは一般競争入札を原則といたしまして、何はさておいてもまず関係
地方公共団体、都道府県、市区町村に希望を聞いて、それから
調整を行いながら処分可能と判断したものから速やかに処分していくと、こういう方法をとっておるわけでありますので、いわば随意契約の場合は、公益事業の用に供されるなど随意契約の条件が整っていなければならぬということにしております。
したがいまして、私
どもといたしましては、国有地は国民共有の財産であるというところから、その処分に当たっては適正公正ということを主眼としておりますし、処分をしないで活用のできるものについてはそのような方途を講じてきておるということでございます。
-
○穐山篤君 建設大臣、入札の方法についてはどういう研究を進めておりますか。
-
○
政府委員(松原
青美君) 恐れ入りますが、入札は何の入札でございましょうか。
-
○穐山篤君 国有地の処分の方法です。
-
○
政府委員(松原
青美君) 国有地の処分につきましては、主管官庁が大蔵省でございますので、建設省として一般的な検討をいたしておるわけではございませんが、あるいはおただしの趣旨が住都公団活用による国有地の有効活用の推進ということならば、その検討をいたしております。
-
○穐山篤君 建設省、コンペ方式というのはどういうやり方ですか。
-
○
政府委員(松原
青美君) お答え申し上げます。
一般的に行われておりますコンペ方式は、
計画を募集いたしまして、その場合には
計画の前提になる諸元を示すわけでございますが、その諸元を示しましていい
計画を出していただくと。その中から、審査
委員会のようなものを設けましていい
計画を採用する、そういうものが一般的に行われておるコンペ方式でございます。
-
○穐山篤君 この方式でいって世間でとかく言っておりますトンネルだというふうな御心配はないのでしょうか。
-
○
政府委員(松原
青美君) 昨日新聞に出まして、建設省におきまして住都公団を活用することによる国有地の有効活用の推進ということにつきまして新聞に報道されまして、その中にコンペ方式というのがちょっと出ていたかと思いますが、私
どもがただいま検討、作業中でございます。御承知かと思いますが、
都市内の国有地は、
都市の再開発を進める上でも、市街地住宅の供給を進める上でも非常に貴重な空間でございます。大規模なものにつきましては、その活用、その整備に当たりましては当然周辺との
調整、公共団体との
調整を含めまして公共施設の整備等を伴うものでございます。そういうことで、住都公団が入ることが適当で、よりよい町づくりができる、また、公共団体との折衝も円滑にいく、こういうような見込みのものにつきましては、住都公団を活用することも
一つの方式ではないかと考えております。そういう観点から、住都公団がどういう方式で相手方を選定するかということにつきましてはまだ未定でございますが、いわゆるコンペ方式のようなものも
一つの方法かと思っております。それは、よりいい土地の利用、その市街地の改善ということを図るための担保の
一つとして有効なものではないかと考えておりますが、コンペ方式を全部について採用するかどうかを必ずしも決めておるわけではございません。検討中でございます。
-
○穐山篤君 国鉄の四カ所の民間活力の導入の点について、どの程度まで作業が進んでいるでしょうか、国鉄。
-
-
○
説明員(岩瀬
虹兒君) 五十八年六月及び七月に、錦糸町、梅田南、汐留、新宿の四つのプロジェクト
委員会が設置をされております。錦糸町、梅田につきましては、メンバー的には、運輸省、建設省、国土庁、関係
地方公共団体、国鉄でございます。
具体的に申しますと、錦糸町につきましては、東京都の副都心構想、墨田区の基本構想等を踏まえまして、周辺の民有地を含めた約四ヘクタールの開発を対象にいたしまして、交通広場、商業業務施設、公共文化施設、高層住宅等を一体的に整備する案を現在持っておりまして、地元関係の大方の理解を得るべく、現在地元の
意見を取りまとめ中でございます。
それから、梅田南につきましては、大阪市長が諮問をいたしました大阪駅ターミナル問題懇談会の答申に沿い、周辺の民有地を含む約九ヘクタールを開発対象といたしまして、国際文化
情報施設を中核として立地誘導を図ることになっております。このため、
都市計画道路を中心とした基盤整備を組合施行による土地区画整理事業として実施をすることにいたしまして、既に五十九年四月に、関係地権者による土地区画整理組合設立準備
委員会が発足をしており、五十九年十一月に土地区画整理事業の区域及び関連する道路の
都市計画決定がなされており、その事業化のための組合設立の準備が現在進められている段階であります。
それから新宿、汐留につきましては学識経験者、運輸省、建設省、国土庁、住都公団、東京都、区、国鉄をメンバーといたしまして開発整備構想の策定を進めているものでございます。
汐留につきましては、現在都心における重要な貨物の拠点であり稼働中のものでありますので、土地利用に当たりましては貨物、荷物設備の代替
機能の確保が必要であります。特に東京都の築地市場、それから周辺の通運事業、それから新聞、郵便の取り扱い等非常に大きな問題を含んでおりますので、これらの問題の解決をまず第一に考えております。またその解決をした上で当該地の活用を考えるに当たりましては、この十七万平米という非常に都心における広大な貴重な土地でありますので、周辺の
状況等も勘案いたしまして、幹線道路の取りつけ、それから鉄道としての将来
計画との整合性、それから既存旅客ターミナルとの結節、その他数々の問題について現在整理中でございます。
それから新宿につきましては、五十九年二月の貨物取り扱いを廃止して以来約三万平米の用地が発生をしておるわけであります。これにつきましても将来の鉄道
計画との整合性でありますとか、周辺の幹線道路等の
都市施設との整備をどうするかというふうな問題を勘案しながら、土地利用の基本的な構想について検討が行われており、事業化の
計画策定を進めていくことにしております。
-
○穐山篤君 国鉄の用地につきましては日鉄法四
十九条に一応の制約があるわけですが、これについてはどういうふうに考えられていますか。
-
○
説明員(岩瀬
虹兒君) 国鉄法四十九条は、例えば土地の売却にいたしますと、公開競争入札を原則としているものでございます。ただいまの
委員会について申しますと、例えば錦糸町、梅田等につきましては既に開発構想が決まっておるわけでありまして、
委員会はこれを実現するための具体的な活用
計画を策定することまでを行うものでございます。したがいまして、錦糸町の場合には開発の手法といたしましては市街地再開発事業、例えば組合施行等いろいろ方法があるわけでありますが、その時点でこういう具体的な方法を選びまして、これはもちろん関係地権者との合意によるわけでございますが、それによって具体的な進め方をするということになると思います。
梅田につきましては先ほど申し上げましたように、既に地権者をもって区画整理組合を準備中でございますので、その組合がこれを施行するということになります。
-
○穐山篤君 自治大臣にお伺いをしますが、各
地方公共団体が自分の県内に持っている土地、あるいは県外に所有をしております土地、その他財産があるわけですが、民活という立場ではこの点についてどういうふうな御指導をされているのでしょうか。
-
○
国務大臣(古屋亨君) まず第一に行政財産、普通財産、基金で県外に持っているものがあるかどうかということでございますが、全般的な調査は行っておりませんが、
地方公共団体がその都道府県の区域外に土地を保有している例は比較的少ないと考えられます。考えられる例としましては事務所、職員宿泊所施設の敷地、例えば
地方の県が東京の事務所を持っており、あるいはそういう職員の宿泊所を持っておる。それから保養施設等の敷地で、例えば大阪府が和歌山県にそういう施設を持っておるというような例があるわけであります。
それで、今、先生のお尋ねの民間活力の導入につきましては、
政府の
方針等はついてこれまでも会議などを通じまして機会あるごとに
地方公共団体に連絡して指導しております。自治省におきましては、
昭和五十八年度から地域経済の活性化を図るためにそれぞれの地域における人材、技術、
情報、資源等を効果的に活用した地域経済活性化
対策を推進しておりますが、この場合、第三セクターの活用、民間資金の導入など積極的に民間活力の活用を図る
一つの重要な柱としてその推進を図ることにしております。
公有地につきましては、国有地と同様、総合経済
対策におきまして有効活用を一層推進することにしておりまして、この旨を
地方団体にも要請しておるところであります。自治省としましては、今後とも各
地方公共団体が
地方の実情に即して民間活力の導入等を考える、進めるように指導してまいりたいと思っております。
-
○穐山篤君
総理にお伺いしますが、大企業は割合にこの土地の払い下げ、あるいは民活に非常に今力を入れているわけですが、中小企業とか中小の産業の活力を引き出すと、そういう点について
総理何かお考えでしょうか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 今の御質問の趣旨がよくわかりかねますが、中小企業にいたしましても、デレギュレーションを行うことによりまして、法的規制から解除されてかなり自由に活動ができると、そういう分野が開けてくるだろうと思います。
それから、都道府県あるいは国が所有しておる全国の土地につきましても、北海道から鹿児島に至るまで、あるいは沖縄に至るまでの国有地、行政財産も含めまして、これらを民活に利用するように持っていけば、地元の中小土建業者あるいは建設関係の資材納入業者やそのほかも潤ってくるだろうと思うのです。特に今、中小
都市の中小土建業者がかなり経済的にも苦しかったり、倒産が多いわけですから、そういう人たちができるだけ働ける場所をうんとつくってやるという気持ちを
政府は持っておるわけです。公共事業費がそれほどふえませんから、結局はそういうことでできるだけ仕事をふやしてあげたいという気持ちで我々はやっている面もあるのであります。
-
○穐山篤君 農水省に伺いますが、農水省としては、この民活とかあるいは民活関連
施策について今年度どういうものをお考えでしょうか。
-
○
国務大臣(
佐藤守良君) 穐山先生にお答えいたします。
民間活力につきましては先ほど
総理のおっしゃったとおりでございますが、当省としては二つの観点で民間活力をやっております。
その
一つは、バイオテクノロジー等に見られますように、産官学の連携強化によりますバイオテクノロジー、先端技術の開発推進を進めますとともに、もう
一つは、農林漁業に携わる人々の創意
工夫による活力を生み出すと、この二点を中心にやっております。
六十年度におきましては、先生御存じのことでございますが、産官学の連携によります食品産業等の分野におけるバイオテクノロジー、先端技術の開発の推進や、それからまた後者におきましては、農山村ふるさと
情報提供事業等による農山漁村地域の活性化等を中心に
施策の拡充を進めております。もっと具体的に言いますならば、村づくりの推進とか、あるいは
都市住民へのふるさと
情報の提供、こういうものをやっておるわけでございます。
-
○穐山篤君 建設省いかがですか。
-
○
国務大臣(木部佳昭君) 先ほどから
総理もお答えになりましたように、私
ども、基本的な民間活力の導入の理念というものは、何といっても良好な町づくりをするということ、それから、国民のニーズにこたえていくということ、それから、国民が二十一世紀になりますと
都市に七〇%ぐらい集中するだろうと、そういうふうな再開発を中心にして産官学のそういう英知を結集した方向で
都市の再開発に臨んでまいりたいと、そういうふうに思っておるわけでございます。
したがって例えば、
都市計画の
見直しや個々の制限緩和の問題であるとか、優良なプロジェクトに対する容積率の割り増しの適用であるとか、また先ほど来申し上げておりますように、国有地の有効活用による住宅の供給であるとか、一般の
予算で申し上げますと、大川端の再生構想であるとか、これはスーパー堤防を含めてでありますが、そういうふうな問題点等を積極的に進めると同時に、また税の面でも割り増し償却
制度を創設するとかというような、そういう方向でこれからも民間活力の問題に対して最善の
努力を尽くしてまいりたい、こう考えております。
-
○穐山篤君 大蔵大臣、民活とか民活関連
施策についてということで各省庁の
予算を拝見をしますと、かなり便乗している部分があるやに思うわけですね。ある一方の
補助金をつぶして、そのかわり民活、民活ということで全部便乗しているような感が非常に多いんですが、この点はどういうふうに御判断されていますか。
-
○
国務大臣(
竹下登君) 民活の問題については、自由に活動し得る領域を
拡大していくなどによって民間活力を最大限に発揮されていくことが重要でございます。
予算ではどんなものをやったかと、こういうことになりますと、聖域を設けることなく徹底的な節減
合理化を図ってまいりましたので、いわば便乗というような感じでもってとられるようなものが便乗する余地はなかったというふうに私は思っておるところでございます。
具体的に申しますならば、大きいところでは関西空港、そしてどうしても民活の環境整備ということになりますと、
都市再開発、それから国鉄貨物ヤード等を中核とした
都市拠点整備促進というようなものは、
予算を対五十九年度に比しましてそれぞれ増額をいたしておりますし、またいわゆる堤防整備によるところの
都市再開発の促進、そういうことを考えまして、これは新規
施策として取り上げたというようなものがございますので、いわゆる便乗してというようなものは私はないというふうに思っております。
-
○穐山篤君
外務大臣にお伺いしますが、日米の貿易摩擦にかかわる問題ですが、きのう、おとついまでの四品目についての交渉の経緯と結果について明らかにしてもらいたい。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 御指名でございますから一応私がお答えを申し上げさしていただきますが、この四分野についての日米交渉につきましては、これは御承知のように、ことしの初めロサンゼルスにおける日米首脳会談の結果、この四分野についての
両国間の協議が始まったわけでございます。
これは、
一つはテレコミの分野であります。
一つはエレクトロニクスの分野であります。もう
一つは医療器具、医療機器の分野であり、さらに木材製品の分野でございまして、それぞれアメリカの代表団が
日本にやって参りまして、数回にわたりまして協議をいたしました結果、ある程度問題が整理をされ、また解決すべき点は解決をされ、また困難な点等も明らかになったわけでございまして、詳細については
政府委員からも答弁いたしますが、概括すれば、テレコミの分野につきましては二、三の点を残してアメリカ側も評価するような合意が見られたのじゃないかと、こういうふうに見ております。エレクトロニクスの分野につきましては、これまた
日本側の思い切った措置というものは恐らく米側でも評価をいたすのではないかと、こういうふうに考えますし、また医療機器の分野についても相当前進を見ておるわけでございます。木材製品の分野につきましては、いわば入り口でなかなか
意見が合わないということでございまして、この点は一番おくれておるわけですが、それはそれなりに
日本の難しい
情勢もあるわけでございますが、この点についてはさらに話を全体的にしようということになっておるのが今日の実情でございます。
-
○穐山篤君 まとまった話はいいとしまして、何が残って何が対立をしているか、その点、四品目について伺います。
-
○
政府委員(国広道彦君) 個々の分野につきましてはそれぞれの省庁から来ておられますのでまたお願いしたいと思いますが、一口で申しますと、テレコミュニケーションの、つまり電気通信の分野におきましては過去数回にわたって話し合った結果、今のところ我が方で米側の目的としている市場開放の観点から近寄り得る最大限のことを
説明いたしまして、それを米側が今持ち帰りまして閣僚レベルに上げて全体をレビューしてみると、そう言っております。そこで米側が我々の方から出している考え方についてどういう最終的判断をするか、今待っているところでございます。
その中で、ごく概括的に申しますと、いわゆるVANの中で特別第二種につきまして登録
制度というものを法律上設けておりますが、この登録
制度をめぐる彼我の考え方はかなりまだ
調整を要するところがございます。
それからもう
一つの大きな分野は、新しい
制度のもとにおきまする基準認証でございますが、この基準認証に関連する問題もまだ双方でかなり見解の差がありますけれ
ども、こちらの方は事実上の解決策としまして、私
ども日本側から出している種々の考え方をもとにさらに検討しようということになっておりまして、こちらの方がどちらかといいますと距離は接近しているように私には見受けられますが、いずれにしましても、米側は全体としてこれから閣僚レベルで検討した上で
日本側に返事をするということになっております。
とりあえずテレコミュニヶーションについては以上でございます。
-
○穐山篤君 厚生省、どうですか。
-
○
政府委員(小林
功典君) 厚生省関係では医薬品と医療機器でございますが、医薬品、医療機器につきましては三月十二日に、これは初めての会合をいたしました。その結果、今の御質問でございますが、一番問題になっておりますのは外国臨床データの受け入れの問題ですが、これにつきましては、最終決着ではございませんが、人種に関係のない医療機器、それから人種に関係のない体外診断薬、これについてはある程度の理解が得られたということだと思いますが、残りの一般の医薬品についてはなお継続審議という感じでございます。
そのほかに六項目ほどありますが、これはすべて非常に手続面の細かな問題がございまして、これは今後継続的に協議を進めるということになっております。
-
○穐山篤君 農林省、どうですか、木材。
-
○
政府委員(
田中恒寿君) 二月の二十五日に第一回の会合を持ったわけでございますが、この際にも大変率直な
意見の交換をいたしまして、米側といたしましては、日米間の林産物貿易
拡大を阻害している主要な一番大きいものを関税というふうに位置づけまして、まずはこれの撤廃のスケジュールなり段取りをというふうな
意見でございましたが、この問題についての困難性はいろいろな場で我々としても主張しておったことでございますし、したがいまして、この林産物貿易というものは林業、ひいては国土保安の問題にまでかかわる非常に大きい問題でございますので、そういう広範な問題のバランスのとれた論議の中でこの問題についてもということで、第二回の三月十五日の会合におきましては向こう側からたくさん質問が出ておりますので、そういう問題についても十分論議をいたしまして、その基礎に立ちましてさらに次回の会合をするというふうに
事態が進んでおるわけでございます。
-
-
○
梶原敬義君 木材製品に関しまして、当初新聞では日米首脳交渉の中で木材製品ということでずっと報道がされました。しかし、ある時期から木材製品の中に紙パルプが入っている、こういうことになってきたようでありますが、その点について通産省はいつ知ったのか、
外務省は当初からこの件を知っておってこういう報道になったのか、その点について。
-
○
国務大臣(
村田敬次郎君) お答えを申し上げます。
米側が市場開放に特に関心を有している四分野のうちで林産物、いわゆるフォレストプロダクトでありますが、これについて一月二十八日の次官協議全体会合において米国側が紙製品も含まれておるということを表明しておりまして、日米次官協議において木材製品とあわせ紙製品についても例のMOSSアプローチに基づいた幅広い検討を行っておる、こういうことでございます。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 紙製品については木材製品とともに、米国側はかねてから非常な関心を持っておりましたので、この
委員会に含ませて協議の対象にした、こういうことであろうと思います。
-
-
-
○
梶原敬義君 二十八日、そのとき初めて知ったというわけですが、一月の二日にその話は出ているはずですが、なぜそのときにわからなかったのですか。
-
○
国務大臣(
村田敬次郎君) 一月二日に中曽根
総理・レーガン大統領の会談でその詳細はもうすぐ私の方に伝わってまいりましたが、その段階では紙製品というものはまだ入っておるかおらないかわからなかったわけでございます。しかし、いわゆる木材ということになれば入る可能性もあるということで検討いたしておりましたところ、先ほど申しましたように、一月二十八日、次官協議全体会合において米国側から表明されました。そういう経緯でございます。
-
○
梶原敬義君 そうすると、
外務省は一月の二日にもうわかっていたわけですね、紙パルプが入るということは。
-
○
政府委員(国広道彦君)
外務省といたしましても、一月二日の時点ではいわゆるフォレストプロダクトという中に紙製品が入るか入らないかということは必ずしも明らかでない状態でございましたけれ
ども、普通フォレストリープロダクトというのはただ単に材木の製品という以上に広い範囲で使われているという認識はございました。
-
○
梶原敬義君 一月二日にわからないまま持って帰って、それで後から、いやこれは紙パルプが入っているのですよというのはどういうことですか。
-
○
国務大臣(
村田敬次郎君) これは私
日本の方におりまして、中曽根
総理、安倍
外務大臣の方のお会いをしていただいておる
状況を後詰めで承知をしておるのでございますが、この四分野につきましては首脳会談で直ちにその中まで
説明をしておるというものではないと理解しております。したがって、先ほど申し上げましたように、木製品というものの中に入る可能性大いにあるべしということで検討しておりまして、具体的には一月下旬の会合でそれをはっきりと知ったという経緯であります。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) 今の通産大臣の話のとおりですが、首脳会談ではただ木材製品ということで述べられたわけでありますが、この紙製品については私も米国側といろいろと話をそれまでの間に何回もしたことがありますが、これに対して米国側はかねてから関心を持っておったということは承知しておったわけであります。
-
○
梶原敬義君 要するに、検討品目四分野というのは、とにかく一月の二日の日に大体決まってお持ち帰りになったわけでありますね。したがって、そのときに
総理大臣は一応ある程度恐らく木材の中には紙も入るだろう、だけれ
どもこれは大変重いから持って帰ろうと、こういうことになったのではありませんか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) たしかフォレストプロダクトという表現で、中身は余りよくわからないんです。我々の話は大体大ざっぱな話が多いですから、一々定義を定義づけるというようなことは首脳会談ではやりません。ですから、それは専門家に渡してこれは何を意味するかと、そういうわけで後で渡すという形になるわけです。
-
○
梶原敬義君 一方的に新聞によりますとレーガン大統領からこれこれだということで要請があってお持ち帰りになったということですが、これは何でもかんでもトップ同士が話するわけですか。これはいいですよ、これは問題ですよと持って帰る前に、その場で一応の方向づけをしないと、これはやっぱり相手の言いなりじゃないでしょうか、
総理大臣。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは私もおりましたし、そのとき
総理から、木材製品についてはこれはなかなか
我が国の事情からそう簡単にはいきませんよという話をしております。しかし、木材製品に今紙製品が含まれているというところまではそこで詰めておりませんけれ
ども、それは以前から私のいろいろの感触の中で、紙製品もアメリカが関心を持っておるということは私は留意をしておったわけでございます。
-
○
梶原敬義君 いや、先ほど
外務大臣の答弁は木材製品ということで穐山
委員に答えてきましたけれ
ども、これは
日本の中でははっきり木材製品と紙パルプというのは言い方が分かれておりましてね、ですから、そういう意味では、何といいますか、あなたたちはフォレストプロダクトの中には紙まで入っていないと、こう思って一応国内にお持ち帰りになったのじゃないですか、
外務大臣。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) まあ私も具体的に木材製品についてその中身まで話をしたわけではありませんし、この問題は私とシュルツさんとの間でも非常に難しい案件ですよということは特に言っておるわけでございまして、その段階で紙製品というのがその中に入っておるというふうなことまでは詰めておりませんが、しかしアメリカ側がかねてから関心を持っておったということは私も承知しておったということでございます。
-
○
梶原敬義君 通産大臣にお聞きしますが、特にアメリカが関心を持っておりますクラフトライナー、段ボール原紙とクラフト紙につきましては今構造不況でありますね。この
状況を、しかもある程度関税については
引き下げようとして今国会に出しております措置法、こういう関係について現状を報告をしていただきたいと思います。
-
○
国務大臣(
村田敬次郎君) 御指摘になりましたクラフトライナー、段ボール箱の板でございますが、それからミルクカートン、こういったものにつきましては非常に米国からたくさん輸入をしておるんですね。したがって、先般業界の代表者が私の部屋においでになりましてその問題についてるるお述べになったのですが、
我が国生産の一九七九年から八四年までの平均伸び率は一・六%しかないんです。輸入はその期間に一六・六%、特に対米輸入は二八・七%ということになりまして、非常に紙パルプ業界が米国等に比べて大変困っておると、そういう
状況であることは事実でございます。
-
○
梶原敬義君 関税につきましてもOECD、カナダ、これと比べてどうでしょうか。
-
○
国務大臣(
村田敬次郎君) お答え申し上げます。
この関税につきましては
引き下げをいたしておりまして、例えばクラフトライナーにつきましては八五年度、ことしのうちに九・三から八・五%に
引き下げる、来年は七・七%、再来年は七・〇%ということでございまして、ECが今七%でございますから、八七年度になればECと
日本との関税が並ぶということでございます。また、ほかの紙関係にいたしましても、ECに比べて例えばクラフトライナーの三百グラム超はECが七%、
日本が五%でありまして、これより低い。また、クラフト板紙はECが七%、
日本が五%でありまして、ECに比べて
日本の関税は決して高くないし、さらに
引き下げるものもあると、こういうことでございます。
-
○
梶原敬義君 最後になりますが、そういう
状況でありますから、今
総理大臣も、皆さんお聞きですが、そういう非常に厳しい段ボール原紙の
状況、クラフト紙の
状況でありますから、この問題についてはやっぱり国を挙げてちゃんとアメリカには言うべきことは言う、
日本の今のこの業界あるいは雇用を守る、そういう立場に立って頑張ってもらいたい、こう思うんですが、いかがでしょうか。
-
○
国務大臣(
村田敬次郎君) クラフトライナーと米側の関心品目は、
我が国の紙パルプ産業の
状況の一番極めて悪い部分でございまして、したがってMOSS協議、日米次官協議等を通じて今先生の御指摘になられたような米側の理解を得るように
努力をしていく所存でございますし、今後とも慎重かつ適切に対応をしていきたいと思っております。
-
○穐山篤君 アメリカ側の報道によりますと、この四つの分野で百億ドルの赤字解消が可能だと、こういうふうに言われているわけですが、その点についてどういうふうにごらんになっていますか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) これは私が言うのも少しあれかと思いますが、便宜言わしていただきますが、百億ドルというのはボルドリッジ商務
長官が言ったとかいろいろと言われておりますけれ
ども、しかしこれは全く腰だめ的な数字であって、実際にこうした分野で日米間で協議が相整って、そして
日本の市場の自由化がさらに推進されるということになっても、果たしてどれだけのものの輸入が促進されるかということにつきましては、そう正確に把握できる筋合いでは私はないと、こういうふうに思っております。これは根底にはやっぱりアメリカの輸出に対する
努力というのがなければふえないわけでありますし、
日本としてはそれだけ市場を開くわけですから、アメリカの
努力次第によってはある程度の成果は私は上げることができると、こういうふうに思いますが、しかし百億ドルとか五十億ドルとか、そういう目安をつけて判断することはなかなか困難だと思います。
-
○穐山篤君 アメリカの現行通商法でも輸入課徴金を課すことが可能なんですよね。大統領が発動しないというのはどういう背景でしょうか。
-
○
国務大臣(
安倍晋太郎君) アメリカ
政府もやはり自由貿易体制を堅持したいということでこれまで
努力しているわけでありますし、議会が保護的な立法等をいたしておりますが、これの発動につ
きましては非常に慎重であるということでございます。しかし、最近のアメリカの実情を見ますと、アメリカの議会がこれまで自由貿易論者であった議員までが
日本を批判しておると、こういうことでございますので、今後はなかなか予断を許さない。今後の四分野の話し合いがどうなるか、あるいは日米間の貿易の黒字問題がどうなるかということによっては全く予断は許されない、こういう
状況であろうと思いますが、いずれにしても今の段階ではアメリカ
政府は保護的な措置はとらない、こういうことで懸命に
努力をしておるということでございます。
-
○穐山篤君
総理、当面四品目なんですが、これが片がつくと次の段階ではどういう問題がアメリカ側から持ち出されると観測していますか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) アメリカは自由貿易を国是としてレーガン大統領も
努力しております。
日本も同じようにやってますが、やっぱりガットのニューラウンドの推進という点について両方で
協力してやろうと。そのためには発展途上国に対する説得とか、あるいはヨーロッパ諸国に対する説得とか、そういうような面が出てくるだろうと思います。
-
○穐山篤君 農林水産物品、そういうものについての可能性は非常に強いんじゃないかと思いますが、いかがですか。
-
○
国務大臣(
中曽根康弘君) 牛肉、オレンジにつきましては既にある程度の中期的協定ができております。米については
日本は絶対それは承知しないと私らもはっきり言っておるのであります。
そのほかはどういうものがあるか、私らには今予想はつきません。
-
○穐山篤君 その点についての農水大臣の判断はどうでしょうか。
-
○
国務大臣(
佐藤守良君) 穐山先生にお答えいたします。
農林水産物の市場開放問題につきましては、基本的に
日本の置かれておる立場を認識しまして、そして関係国との友好関係に留意しつつ、国内の需給動向等を踏まえ、
我が国農林水産業を生かすとの観点に立ち、その健全な発展なり、調和を図るという立場でやっていきたい、こう思っています。
そんなことで、
我が国の農林水産物については、先生御存じのとおりでございますが、世界最大の輸入国でございまして、現在五十九年度で二百七十八億ドル輸入してございます。アメリカにおきましては、輸入が九十三億ドル、輸出が四億ドルということで、八十九億ドルの輸入超過ということになっておるわけです。そんなことで、そういうことを基本にしまして、これまでの市場開放措置とか、
我が国農林水産業の置かれている厳しい実情等について十分
説明し、理解を得ながら慎重に対処してまいりたいと考えております。
-
○穐山篤君 専売公社にお伺いしますが、アメリカからのたばこの輸入、あるいは原材料の輸入の方式についてこれから四月一日以降どうなされようと考えてますか。
-
○
説明員(
石井忠順君) お答え申し上げます。
十日余りで新しい体制に移りますけれ
ども、アメリカとの関係で現在若干問題が残っておりますのは、米国産葉たばこの輸送の問題でございまして、御案内のように、私
どもは原料配合上、かなりの米国産の葉たばこの買い付けをいたしておりますけれ
ども、産地が東海岸の方に偏っておりますので、従来は東海岸から船でパナマ運河を経由いたしまして
日本へ運んできております。五十七年の三月ごろであったかと存じますが、貿易小
委員会で米国側の方から米船の使用も考えるようにというお話が出たようでございまして、私
ども、運賃なりサービスなりが同じようであればということで現在試験的に試験回漕いたしております。近々その試験回漕が終わりますので、その成果等を踏まえまして将来の取り扱いを検討いたしたいと考えておる次第でございます。
-
○穐山篤君 この専売公社、まあ株式会社あるいは民間の商社でもそうでありますが、輸送の問題を通していわゆる摩擦が生じやすいのではないかと思いますが、その点の懸念はどうでしょうか。
-
○
説明員(
石井忠順君) 葉たばこにつきましては昔はたるで運んでおりまして、現在は段ボールのケースに詰めましてコンテナに詰めて輸送をいたしております。従前は、東海岸に近い南北カロライナ州あたりでできます葉たばこは全部大陸横断をいたしまして西海岸まで運んでまいりまして、西海岸で米船に積みかえて
日本へ持ってくると、現在は東海岸から真っすぐ持ってくる、そういう試験をいたしておるわけでございます。現在のところ運賃等もほぼ同様でございますので、試験の成績を見まして先ほど申し上げましたように商業的なべースの中で考えてまいりたいと、こういうことでございます。
-
○穐山篤君 仄聞するところによりますと、コンテナ輸送、段ボールに入れてコンテナで大陸を輸送して、それから海上輸送になっているようですが、しばしば、しばしばといいますか、過去に非常に不都合な事件が起きたというふうに聞いておりますが、その点、実際の問題としてはどういう
状況でしょうか。
-
○
説明員(
石井忠順君) 三年間で試験をいたしておりまして、最終の船は実はまだ着いておりませんのですけれ
ども、現在までのところで申し上げますと、段ボールが
一つ紛失をしたという事故がございました。
それからわずかでございますけれ
ども、海水で濡損をいたしましたり、あるいは油で汚染をいたしたりといったようなケースがございました。
-
○穐山篤君 ことしの四月半ばで輸送が終わると思うんです。
-
-
○穐山篤君 その後になりますと、秋の段階になると思うんですね。その間に取り決めをするということになりましょうか。
-
○
説明員(
石井忠順君) 御案内のように葉たばこは夏から秋にかけて収穫をされますので、船積みをいたしますのはこの秋以降になろうかと存じます。その際に先ほど申し上げましたようなことで米船使用の問題も考えたいと、こういうことでございます。
-
○
委員長(
長田裕二君) 以上で穐山君の質疑は終了いたしました。(拍手)
明日は午後二時三十分に
委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後六時十六分散会