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国務大臣(
中曽根康弘君) その前に、きのうは
会談が長時間になりまして
日本の新聞記者と会見する時間がほとんどございません。締め切りあと五分ぐらいという時間でございましたので、新聞の皆さんにも余り
内容を申し上げる
機会がありませんでしたから、私がどういう
発言をしたかということをこの
機会を通じて国民の
皆様方に申し上げてみたいた思います。
冒頭、私から
弔意を重ねて表明いたしまして、
日本国民よりの、
日本政府及び
日本の天皇陛下からの深甚なる
弔意を表明をいたしましたが、
先方は非常に厚くお礼を言っておりました。そして先ほど申し上げましたように長期的安定を望む、そして
対話を促進していきたいという話、それから
日本の世界的役割、位置というものについて一定の
評価を考えておることを出発点としておる、そういうような話がありました。
それで、私からは、ともかく
日本はまず第一に平和と軍縮を一番強く望んでおる国家である、特に核軍縮、核の廃絶というものについては原爆の惨害を受けた地上唯一の国として全国民を挙げてその熱望を持っておる、政府はもとよりそうである、幸いにしてジュネーブ
会談というものが開かれておるが、このジュネーブ
会談は核軍縮及び核の廃絶を
目的にして行われておるものであって、これが成功して、そして核の廃絶に向かって進んで世界の国民を安心させてくれるように
ソ連側の積極的な努力を望む、我々も環境をそういう方向に持っていくために我々の立場において努力したいと、そういうことを言いましたら、
先方は、
ソ連側もジュネーブ
会談につきましては建設的な態度をもって臨んでいくつもりである、そういう意思の表明がありました。
それから私は
両国関係について次に申し上げまして、我々は
日ソ関係の
友好親善の促進を望むし現状の打開を切望しておる、そういうような方途について
お互いに知恵を出し合おうではないかと、そういう話をするとともに、それが
基本である、そうして我々の立場はまず第一に領土問題を解決して
平和条約をできるだけ早期に締結して
日ソ関係を長期安定の
関係に導くことが第一であると、こういうことを言って領土問題の解決ということをまず冒頭に強く言うたのであります。
それと同時に、
我が国の
外交防衛政策について
説明したいと。実は新しく
書記長になられた方でアジア
関係には余り今まで
関係がなかったわけでありますから、この最初のときに
我が国の
基本方針、
日本国民の
考え方というものをずばり言って、そしてよく頭の中に入れておいてもらおう、そういう考えがありましたから、少し時間をもらいたい、五、六分ひとつ時間をくれ、自分がまず話すからと。一方的にしゃべりまくられるのでは困りますから、そういう意味で自分が話すからと言ってそういうことでやったのであります。
それで、我々は世界平和、世界の繁栄を
目的にして
外交の
基本としておるし、安全保障については、我々は
憲法もあり、また非核三
原則を堅持して、そうして
日本の
防衛のみを
目的にして
自衛隊、
防衛政策を実行しておる極めて節度のあるやり方であって、他国に
脅威を与えるような武器は持たない、例えば航
空母艦とか長距離爆撃機とか、あるいは長距離ミサイルとか、そのような他国に
脅威を与えるようなものは持たないということを厳に実行しておる国である、そういう節度のある
防衛政策を今後とっていく、しかし
日本列島を
防衛するにはその力はまだ弱い、したがって
アメリカとも安全保障条約を締結して、そして共同で
日本の
防衛については当たっておる、しかし、この日米安保条約というものはあくまで国連憲章の精神にのっとっておる
防衛的なものであって、これはほかの同盟条約とは性格が違う条約で、この点はよく記憶してもらいたいと、そういう
日本の
防衛政策について話をしました。
そして、二国間の問題についてはいろいろな問題がある、しかし例えば文化協定の問題もあり、あるいは租税協定の問題もあり、あるいは経済
協力の問題もあり、あるいは科学技術
協力というようなさまざまな問題がある、これらの問題とさきに私が述べた問題、こういうような諸問題についてこれをどういうふうに処理していくかという
基本的方針、
原則というものをまず話し合ってみたらどうか、先般、去年日ソ円卓
会議というのが行われた、相当数の
両国の文化人、経済人、政治家等が集まって
両国関係を話し合った、あの日ソ円卓
会議の共同コミュニケについては自分は満足しておる、あの精神の線に沿って、あれは
ソ連側も同意したのであるから、あの線に沿って
両国の基礎的な問題、
基本的
原則、こういう問題についていかに打開するか話し合う話をやったらどうか、それには、より高級な
レベルの間の話し合い、そういうすべての問題を包括的に話すということが妥当ではないだろうかと、そういう話を私からはしたのです。
先方からは、
日本の問題については
ソ連側はいろいろ提起しておる、例えば環境醸成、安全のための、安全保障のための環境醸成であるとか、あるいは経済の長期
協力協定の問題であるとか、文化協定の問題であるとか、そういうような積極的な提起を
ソ連はしておるが、これに対するあなたの考えはどうかと、こういう質問もありました。私は、環境醸成については相当な人的交流が行われている、特にここ一年以来いろいろな上級の立派な人
たちの交流がさまざまな分野で行われて、非常にこれを歓迎している、こういう形をさらに促進
強化して、そしてよき環境を醸成するようにするのがいいだろう、それから経済の長期
協力協定については、これはケース・バイ・ケースで経済
協力も話し合おう、また将来の見通しについて話し合うことも結構である、ただし、ここで長期経済
協力協定を結ぶ考えはない、文化協定については話し合いを再開しようではないか、そしてできるだけ両方が努力してこれが締結に向かって努力することがいいと、そういうことを言いました。
それから、
先方が先ほど御質問のあったことで言ったのは、NATO等の
関係で
日本の
政策は前より違った傾向が出てきているのではないかとか、沖縄に核があるのではないか、そういうあれがあるとか、
防衛政策について
疑念があるとか、そういうような
内容の話があったわけです。
私は、我々は世界の平和と安全保障というものは地球的規模でそれは達成されるものであると思う、言いかえれば、前から私が主張しておりますように、SS20等の問題についてアジアの犠牲や
日本の犠牲においてこれが解決されてはならない、そういう趣旨のことを頭に置いて地球的規模において世界的
協力でこれは解決すべきものである、NATOというものについて我々は軍事的には全然介入もしていないし、コミットしているわけではない、その心配は要らない、それから
日本の安全と
防衛政策については節度のある
防衛をやっており、国民がこれを支持しているので、何らそういう言われる筋のものではない、
日本に核兵器があるなんということは全く事実無根であって、それは重大なる誤解である、そういうものは断じてありませんと、そういう話もしておいたのでございます。
それで、グロムイコ氏の来日につきましては、もうその潮どきが来ておる、したがって、なるたけ早く促進してもらった方が結構だろうと思う、それから、万博について
ソ連館のオープンデーがあるけれども、そのときにも相当な大物を派遣してもらったら結構である、我々は歓迎しましょうと、そういうことを言いました。それで、グロムイコ氏の来日については、肯定的にこれに対処いたしますと、そういう話がありまして、おいでになれば歓迎いたしましょう、そうして、いろいろな実りのある話をする、以上のようないろいろな問題について話をする、グロムイコ氏が
日本に来られれば、
日ソ関係というものはより
友好親善な
関係に強く前進するのじゃないですかねと、そういうことを私言っておきました。
それで、
最後に、そのほかいろいろな話はありましたが、極めてあなたと話し合ってみて有意義であったと思う、会えてよかったと、そういう話で、私も、向こうは有意義という言葉でしたが、私は非常に意味があったと思うと。これは立ち上がって握手したときの話であります。それで、これは座っておった
最後のときの話でありますが、向こうから将来また話し合おうと、そういうことを言いまして、また将来も話し合うということを
双方で確認した、そういうのが現状でございます。
そこで御質問でございますが、どういう御質問ですか。もう一回お願いしたいと思います。