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上田耕一郎君 ここに私が積み上げましたのは
昭和三十三年から三十八年の五年間に今の陸上自衛隊幹部学校、これは昔の陸大です、ここで使用された教科書で、三十二冊あります。二千七百七十七ページあります。地図など百三十二点入っています。このうち過半数の十七冊が核戦争のための教科書であります。これ一々説明しておりますともう本当に大変なんですけれども、例えばここに「国土防衛作戦」陸上自衛隊幹部学校三十四年六月、「別冊基礎資料」、きょうは時間がありませんのでこの二冊について取り上げます。文書番号四五一八G—4となっておりまして、内容はまことに恐るべきもので、先ほどの
防衛庁長官の
政府方針全くうそだということが明らかであります。もう憲法なんか全く眼中にない。例えば五八年に太平洋防衛条約を締結する。米、日、韓など十三カ国で太平洋軍事同盟をつくる。これは皆さん方に差し上げた資料の十二番、これ皆さん方に差し上げたのはまた抜粋のそのまた抜粋ですが、余り厚くなりますので、十二番見てください。ここには太平洋防衛条約の抜粋まで載っております。
日本自衛隊は在日米軍とともに
日本方面軍をつくります、作戦指揮はシンクパック、これは太平洋防衛総司令部、それによって作戦指揮を受ける。首相も
長官も作戦指揮はできない。ただ統括するだけだそうです。
仮想敵国はないと言われたけれども、相手の侵略国、これは資料十一を見てください。アグレッサー各国、国の名前は「ヤクーツク」です。国土は「エニセー河以東の
ソ連領土」。政治経済、「政治的、社会的、経済的諸条件は現在の
ソ連に準ずる。」と。もう明白に
ソ連を相手に目指しております。例えば、地図も物すごいのがありまして、百何十点あるんですけれども、これは青焼きのためでしょうね、こういうトレーシングペーパーで地図がありますよ。これ、
ソ連、中国、北朝鮮の全部地図があって、陸海空軍部隊の配置図が赤できっちり書かれてあります。このほかにレーダー基地その他の地図もあります。この地図も皆さん方にお配りした資料の三にコピーを載せてあります。それから、これは配置だけじゃなくて攻撃目標の地図もあります。これは皆さん方の資料の四に入れてありますが、これは「海空軍航空攻撃目標」と。千島、樺太にもどういう軍事基地がある、レーダーがあり海軍基地があると。ウラジオだとかコムソモリスクだとかペトロパブロフスクだとか、全部どういう軍事目標があって、そこをどの部隊で攻撃するか、全部印がつけております。
だから、集団自衛権を持てない、仮想敵国は持たない、そういう想定に基づく教育訓練はしないという
答弁、かつてしたことがなかったと言うけれども、しているじゃありませんか。ちょっと首相と
防衛庁長官、これは私が何もつくったのじゃない。確認できますね。(資料を示す)陸上自衛隊幹部学校の教科書。
防衛庁長官、見てごらんなさい。あなた、なりたてだけどね、あなたが指揮している自衛隊というのは
一体何をやっているところか、これは知っている必要がある。(「古いな」と呼ぶ者あり)古いですよ。笑い事じゃないんです、本当に笑い事じゃない。
最も重大なことは、自衛隊の核保有、核使用の教育が体系的に行われているということです。この教科書は、資料をめくっていただくとありますけれども、四AGSの学生に対し、国土防衛上の問題点を研究させるために編集したものです。AGSというのは先ほど言いました一佐から二佐です。師団長候補です。今二十名だ。当時は一年の教育課程だったんですね、今は半年だそうだけど。一佐から二佐の師団長候補を集めて、その師団長に教育する教科書なんです。
「一般状況」という想定があって、それから「特別状況」、その想定があります。「特別状況第一」、これは資料の二十五番を見てください。「全般戦略」と書いてある。極東アグレッサーが侵略してくる。「爾後要すれば、大陸中枢部に進攻の上、これを占領し、敵陣営を瓦解に導く。」大陸侵攻から占領まで書いてある。「当初は、局地制限核戦争とするが、随時全球、無制限核戦争に移行しうる如くする。」「全球」というのは全地球という
意味ですよ。当初制限核戦争だが随時全地球、無制限の核戦争に移行するのだ。下の方に、「地上作戦には小型核兵器を戦術的に使用するか、爾余の核兵器はその使用を準備」とこう書いてある。こういう特別状況を設定して師団長候補に問題を出して研究させるんですよ。答案を書かせるんです。
核戦争の教育はしていない。真っ赤なうそじゃないですか。全面核戦争の準備をしているために、この資料の方の医療のところを見ますと、五十四番見てください。五十四番の左の方、やけど、放射能、血液、延べ十億人分と。これは兵たん見積もりの
一つです。延べ十億人分の放射能、やけどの注射液などを準備すると、そういう計画なんですよ。どうですか、
防衛庁長官。核戦争を想定した研究、訓練、教育、一切やっていない、やっていたじゃありませんか。