○亀井
久興君 新潟班は、岩本、
志苫両理事と
増岡、志村、
長谷川、高桑の各
委員、それに私亀井の七名で編成。二月二十日、燕市の山崎金属工業株式会社及び新潟県醸造試験場を視察し、翌二十一日、新潟市で地方公聴会を開催いたしました。
公述項目は、国と地方の行財政
改革のあり方、地域経済の動向、単作地帯農業の課題の三項目で、六名の公述人より
意見を聴取した後、
派遣委員から熱心な質疑が行われました。
以下、公述の要旨を簡単に御
報告申し上げます。
まず、国と地方の行財政
改革のあり方につきまして、新潟県知事君健男君、新潟市長若杉元喜君から
意見を聴取いたしました。
君公述人は、飛躍的に発達した交通、通信や事務処理の機械化等を踏まえ、その有効活用を基本に、制度、施策、組織等を継続的、平常的に見直すことを行政
改革の基本にすべきである。臨時に本来行革の対象となるべき人を集めて、
改革案をつくっても
改革の効果は上がらないばかりか、混乱を生じる弊害があるので、間断なき
改革が肝要である。国と地方は相互信頼と協力のもとで、整合性を図って行革を推進すべきであり、特に住民の身近な行政は自治体の手で完結できる
方向での行革を推進すべきである。そのためには、事務権限の再配分、特に機関委任事務、各種の必置義務、職員配置基準等の改正を行う必要がある。同時に自治体財源充実のための財源再配分並びに意欲的に行革を推進している自治体に、財源優遇等の奨励策も考慮すべきである。六十年度予算の高率補助一律カットの施策は、行革理念に従ったというよりも、地方への負担転嫁の嫌いがあり、ぜひ一年限りの臨時措置とすべきで、継続されると行財政運営に支障が大きい等の
意見が述べられました。
若杉公述人は、行財政
改革の基本は長期的な視点に立った、総合的計画的な行政諸施策の具体化に重点を置き、当面の財政収支だけを過大視してはならない。しかし、低成長経済と高齢化
社会への変化を踏まえ、効率のよい行財政運営が必要であるが、その際効率化即行財政サービスの低下とならないよう、行政の質の面に十分な配慮が必要である。自治体にかかわる行革は、住民と行政の協力によって自治体が成立している点を踏まえて、市民意思の反映と市民参加が前提とされる行革でなければならない。そうした観点から、国と地方のあり方は、住民福祉増進の視点に立って、国、県、市町村はこれまでの
権力的ピラミッド型及び下請機関型を排除し、国と地方を協同関係としてとらえ、その上に立った新しい機能分担と財源配分の明確化を図るべきである。特に注意すべきは、臨調行革の実施に伴い、自治体への負担転嫁や国の画一的介入の危険があるが、これは避けなければならない等の
意見が述べられました。
次に、地域経済の動向につきまして、新潟経済
社会リサーチセンター理事長伊奈重熙君、新潟県繊維協会会長今井茂君から
意見を聴取いたしました。
伊奈公述人より、新潟県の景況は、公共投資が低調なほか住宅建設、個人消費も力強さを欠いている。しかし、生産面では、全国水準や近県に比べ低水準ではあるが、最近では前年同期を一割前後上回っているほか、企業の設備投資も拡大傾向が見られ、景気は
回復傾向を持続している。部門別では、窯業、石油製品等が不振であるが、県の積極的な企業誘致により、電子部品関連工場が順次稼働し、生産を伸ばしている。金属洋食器も高水準の生産が続いているが、その反面、地場産業の絹織物、金属ハウスウェアー等は低迷状態にある。本県の鉱工業生産の
状況は、全国水準、東北ブロック六県、さらに北陸三県の水準に比べて大変なタイムラグと格差が生じており、産業構造の転換及び地場産業対策を通じ、この解消の方策を立て、実行していくことが課題である等の公述がありました。
今井公述人からは、本県の繊維産業は、化合繊維物、絹織物、ニット製品等の総合産地として、従業員八万人、出荷額三千二百億円という大変重要な地場産業である。今日の繊維産業の置かれた
状況下で、業界としては設備近代化と構造改善に必死で取り組んでおり、国において税制その他の面で強力な支援をお願いしたい。繊維製品については、秩序ある貿易拡大のため、国際繊維取り決めがあるが、これが輸出のみに適用され、繊維製品輸入は野放しの
状況で、市場の攪乱と韓国、台湾、中国等の追い上げに片務的なものとなっているので、法制度の整備と運用の適正化を期せられたい。なお、最近
注目を集めている大型間接税について、繊維業界は、製造段階が複雑で流通経路が長い等の特殊要因から、本税の導入には反対である等の公述がありました。
最後に、単作地帯農業の課題について、新潟県農業協同組合
中央会会長村山正司君、
日本農民組合新潟県連合会書記長目黒吉之助君より
意見を聴取いたしました。
村山公述人は、十二月から三月まで積雪に埋もれ、収穫期に雨が多く、地下水が浅い等の諸条件が米の単作を強いることになる。幸いコシヒカリといった食味のいい米が栽培され、主産地と食糧基地の役割を担っているが、単作地帯に水稲の減反、転作は大変きつい。昨今の米の需給事情等を勘案し、米を中心にした複合経営を目標に
努力中である。複合経営には土地基盤整備事業の推進が不可欠であるが、現在、汎用可能な農地は五四%足らずで、経営転換にはなお困難が多い。次に、ここ数年良質米奨励補助金削減の圧力が強いが、コシヒカリは栽培しにくい上反当収量が少ない事情を考慮し、農家収入補てんの機能を果たしてきたのに、これが減額されるとアキヒカリ等多収穫品種に転換する危険があるので、良質米奨励金はぜひとも継続すべきである。多用途米及びバイオテクノロジーを利用した多収穫品種等について
政府は一層の
努力をしてほしい等の公述がありました。
目黒公述人は、農基法農政を基本に進めてきた我が国農業が、今日大変深刻な危機的
状況にあることをまず認識し、これを出発点に農政の全面的見直しと再検討が必要である。本県の農業は、米の減反
政策で農家が生産意欲を失い、
回復困難なところまで追い込まれてしまったのを初め、中核農家の育成、米の収益性向上等の失敗、さらに基幹農業従事者不足、転作、休耕による農地荒廃等深刻な問題を抱え、出口が見出せない
状況にある。これまでの農業の近代化、合理化が、農業生産を縮小させる
方向で進められてきたことを厳しく反省し、新たな目標を設定し農業再建の方途を探る必要がある。その際、農産物価格安定のための財政支出の増加、穀物生産、草地造成等の計画的拡大、集落協同化の農家経営等々を柱とすべきである。さらに農業経営を圧迫している海外からの農産物輸入の制限、六十年度生産者米価の引き上げ等について公述が行われました。
以上、御
報告申し上げます。