○
志苫裕君 私は、
日本社会党を
代表して、ただいま議題となりました
昭和五十九年度補正予算三案に反対の討論を行います。
反対の第一は、
政府の経済運営が全くもって無策だということであります。本年度の我が国経済が
政府公約の内需型ではなく、専ら対米依存の成長に終わろうとしていることは既に明らかでありますが、
政府はこれに何ら有効な手段をとっておりません。
五十九年度の貿易黒字は四百億ドルを超える勢いで、さらに六十年度においてもこれを上回ることが必至と見込まれます。そこで再び
日米間を初めとする通商摩擦の危機が広がろうとしておるのであります。にもかかわらず、
中曽根内閣は内需拡大の具体策を持たず、減税要求も無視し、いたずらに
民間活力の導入を叫ぶばかりで、
民間の何をどうするのか、さっぱり明示できておりません。かくていたずらに無策を続ける
中曽根内閣に
国民は何らの信頼をもつなぎ得ないのであります。
反対の第二は、人事院勧告がまたしても値切られたことであります。いかに財政逼迫とはいえ、働く者の生活の糧を、しかも争議権を奪っておいて有無を言わさず切り捨てることは、
政府の
国民に対する収奪と言わざるを得ない。人勧を抑制して既に三年。それが単に公務員のみならず全労働者の低賃金、全
国民の生活切り下げのてことなっている実態は到底看過することができず、
政府の暴挙に強く抗議いたします。
反対の第三は、相も変わらぬ既定経費の節減についての問題であります。
政府は五十九年度予算が成立すると直ちに一割の節減を省庁に命令し、補正の財源づくりを始めました。厳格な査定のもとに必要な最小限の経費を見積もったはずの予算に一律の節減を課し補正財源とする
やり方は、そもそも当初予算が紛飾予算であることを告白するに等しく、
国会を愚弄するも甚しい。紛飾予算の補正もまた紛飾予算と言わざるを得ず、到底容認することはできません。
予備費もまた同様で、その取り崩しは年々ふえ、五十九年度はついに一千八百億円、総額の半分以上が補正財源とされております。近年、常に千億円以上が補正財源とされていることにかんがみ、これは明らかな過大計上と言わざるを得ず、こうした手法は認められません。
一方、歳入について見ると、黒字隠しのために租税の過小見積もりが行われているのではないかという疑念が残ります。五十八年度にマイナス補正をしながら四千五百億円の黒字を出したこと、及び五十八年を上回る五十九年度の景気動向から見て、本補正の数値は過小評価と言わざるを得ません。
政府は財政赤字の軽減のみに目を注いで、必死に働き、生き続ける
国民のために財政を積極的に活用することを忘れているのではないか、五十九年度決算においての発言権を留保しておきます。
最後に、
中曽根内閣の金看板増税なき財政再建についてこの際警告をいたしておきます。
歳出削減による財政再建を公約してきた
中曽根総理が、与党内からの風圧や財界の大型間接税容認発言をいいことにして、税制の抜本改革を口にし、金看板をなし崩し的に塗りかえようとしていることは政治
責任上重大であります。大衆課税に矛先を転ずることは断じて認めることはできません。
審議会を多用して誘導政治をしようとする
総理は、ここでも
政府税調にげたを預けることで
責任逃れをしようとする意図がありありでありまして、もはや同じ手法で
国民の目を逃れることはできないことを強く警告をし、私の反対討論を終わります。(拍手)