○
国務大臣(
竹下登君) まず、私に対する御
質問の第一、第二は、
財政再建に対する
基本認識、そして昨年の
大蔵委員会等での野党の追及に対しての
認識。これにつきましては
総理からもお答えがございましたが、いずれにせよ
歳出面においては、
政府と民間の役割分担並びに国と
地方の機能分担及び費用
負担の
あり方、これを見直すなどをして、連年の
努力を踏まえて
節減合理化に今後とも積極的に取り組んでまいらなければならぬと
考えます。そして一方、
歳入面においては、
税制調査会等からの指摘、そして本国会等での御議論を踏まえまして、
税制調査会で今後御
検討をしていただきつつ、
税制全般にわたる広範な角度からの議論と
検討を今後とも進めていくべき課題だと思います。そういう
考え方の上に立って、最終的には
国民の
選択がどのようなものであるか、これを国会の議論等を伺いながら、幅広い角度から
検討を進めていくべきであると
考えます。
昭和六十五
年度までに
特例公債依存
体質から
脱却する、この
努力目標達成には容易ならざるものがございます。しかし、今後とも各方面にわたって最大限の
努力を払って、
財政改革を強力に進めていかなければならないと意識しております。
次は、前国会の批判に対してでございますが、私の脳裏にも強烈に焼きついております。御承知のとおり、
我が国の
財政事情は中期的に見ても極めて厳しい
状況に置かれておりまして、こうした
財政事情のもとで今後六十五
年度脱却を目指して
財政改革を具体的に進めていく、そうなると
特例公債についても、当面、四条
公債と同様、借換債の
発行を行わざるを得ないということから、御指摘なさいましたように
政策転換を行ったわけであります。しかし、あくまでも
特例公債は、本来その
残高をできるだけ速やかに減少させることに努めるべきものであります。おっしゃいましたとおり、六十年間にわたって今後、子や孫やひ孫の時代にツケを回すという、そういう
考え方を何とかぬぐい去っていくぎりぎりの
努力を払って
早期償還に努めてまいる所存であります。
それから
財確法の
附帯決議でございます。
このときに私は
大蔵委員会で正確にお答えをしております。「具体的な
歳出削減計画とか、
増税計画といったものを策定してお示しすることは無理だと思われますが、
目標達成に至るいろいろな道筋についてどのようなものができるか、今後工夫してまいりたいと存じます。」、このようにお答えをしたわけであります。したがって、その
附帯決議に沿いましていろいろ
考えてみました。結果として、
財政改革を進めるに当たっての
基本的な
考え方、そして中期展望、これらを引き続き国会にお示しするということになったわけであります。
しかし、新たに加わったこととして、
税制全般についての幅広い角度からの今後の
検討、補助金の
あり方についての抜本
見直し、そして
国債償還財源の
充実に資するために
電電株式を
国債整理基金へ三分の二帰属させる、そういう将来の方向というものを少しでも明らかにしようという精いっぱいの
努力が今次の
法律案となって御
審議いただく
段階に至ったわけであります。そしてこの問題につきまして、さらに
国債整理基金特別会計への
繰り入れの
あり方につきましては、これまた本
附帯決議を踏まえ、
財政制度審議会において御
審議、御報告をいただいたところであります。
政府としてもその御
趣旨等を踏まえて対処してまいる所存であります。
それから次が税の問題でありました。
クロヨンという言葉に象徴されるような
不公平感や不満感があることや、
税務調査事績等を見ますと過少申告を行う不誠実な納税者がいることも事実であります。しかし、大多数の納税者は誠実に申告しているものという
基本認識に立っております。したがって、私どもといたしましては、課税の公平
確保は税務行政における最も重要な課題だ、こういう
認識の上に立ちまして、
税務調査の
充実、執行面における納税
環境の整備、
地方税当局並びに税理士会やら関係民間団体等との協力関係の
確保、そして内部体制の整備、これらにできる限りの
努力を重ね、実調率等も上げることによって重ねて
努力を進めてまいりたいと
考えます。
それから
我が国の
税制改革の
基本方針、これは先般のレーガン提案と比較しての御意見を交えての御
質問でありました。
この問題につきましては、まさに既存
税制の部分的な手直しにとどまらず、今こそ
国民各層における広範な
論議を踏まえつつ、幅広い視野に立って、直接税、間接税を通じた
税制全般にわたる本格的な
改革を
検討すべき時期に来ている、この異例の指摘をまずいただいた。そこで、国会の議論等を踏まえまして、公平、公正、簡素、
選択並びに
活力という
基本的
考え方をお示ししておるわけでございますが、単なる増収を
目的とするということではなく、まさに社会
経済情勢の変化に即応する
税制の
あり方を
国民的課題として取り上げていこう、こういう
考え方で対応してまいりたいと思います。
政府として、現
段階で、したがって
税体系の具体的な
あり方について予断を与えるような
論議をすることは差し控えております。
レーガン大統領の
税制改正構想についての御意見がございましたが、これは現
段階ではまだ詳細には承知していない点もございますものの、また今後の
アメリカの議会での
論議等の推移を見なければならないことでございますけれども、昨年十一月の財務省が提出しました
税制改正案の
基本的
考え方がおおむね盛り込まれておると思います。そして今度の場合には、要するに
アメリカ政府が、連邦税収の九割を占めております個人
所得税と
法人所得税について、まさにこの
制度の
基本的な仕組みの変更を含む大胆な
改革の方向を示したということは、非常に興味深く受けとめておるところでございます。したがって、今後の
税制議論の中にも、この問題はいろいろな角度から議論が出てくるであろうと予測される課題であると
認識しております。
それから政管健保の
繰り入れの問題でございます。
これは、非常に
一般会計が厳しい
状況のもとで、
一般会計から多額の給付費補助等を受けております政管健保において単
年度収支差が生ずることに着目をいたしまして、いわば
会計間の
繰り入れの
特例という調整
措置としてこのことをお願いしたということでございます。したがって、この問題については、あくまでも
会計間の調整
措置であるという事実
認識に立っております。
次の
定率繰り入れの問題でございますが、まさにやむを得ないと
考えてお願いをしておるところでございますが、やはりこの減債
制度の根幹は将来とも維持すべきものであるというふうに
考えております。したがいまして、この問題、六十一
年度はどうするか。これは御指摘のように
国債整理基金の資金
状況、これを見てみますと、確かに問題をはらんでおります。したがって、この
基本的
考えを踏まえながら、今後ぎりぎりの六十一
年度予算編成に対応して適切な処理を行うべき課題だと思っております。
次が
電電株の
売却問題であります。
売却収入を新
会社の債務の
償還に充てるべきだという意見があることは私も承知しております。一方、私どもとしましては、
国民共有の
資産である
電電株式の
売却収入は
国民共有の負債である
国債の
償還財源とするのが適当であるという結論に立ったわけであります。なお、
電電株式会社法によって既に国に帰属した
株式の
売却収入で
株式会社の
債務償還を行うことは、これは
考え方によれば補助金を交付するということにもなるわけであります。そして一方、新
電電は、債務だけでなく
資産もすべて一括して継承しておりますほか、新規参入する電気通信事業者の方はみずから資金調達を行って設備投資等を行うということになっておるわけであります。したがって、いわば民営にいたしました原点の、競争上の問題のアンバランスというものも生ずるではないか。したがって、ぜひ御議論の上、原案のとおり御議決を賜りたいという気持ちであります。
それから今度は
売却方法、公開の
あり方という問題、御意見を交えた御
質問であります。
電電株式の
売却収入の使途につきましては、国会での御
審議等を踏まえまして、
予算編成過程におきまして
政府部内で
検討を行いまして、先ほど申し上げましたように、
国民共有の
資産を
国民共有の負債へと、こういう判断の上に立って、この
売却可能分を
国債整理基金特別会計に帰属させることにしたわけでありますが、一方、
政府保有の義務づけられている
株式につきましては、
産業投資特別会計に帰属させて、その
配当金を
技術開発等に活用させることとしたところであります。そして、
電電株式の
売却方法、これにつきましては、これは何分初めてのことでございますので、今後、民間有識者の方々の意見等を聞きながら、また国会での議論等を踏まえ、まさに厳正、公正、適切に対応すべき課題であると思っております。
それから
売却の
方法についての
一つの
考え方が述べられました。今回の
電電公社の民営化というのは、将来の高度情報社会に向けて、事業の公共性に留意し、
民間活力を導入して事業経営の一層の活性化を図ることを
目的としておるわけでございますから、その
趣旨から見れば、
政府がいつまでも全
株式を保有するのは望ましいことではないという前提の上に立っております。
さて、具体的な
売却時期はどうか。これは
会社の
運営、
経済の動向等を総合勘案して決定していく必要がありますので、現
段階で確たることを申し述べることはこれはまさに困難でございます。だから、今後こういう点を十分に
検討を加えて、適切な時期を模索していきたいというふうに
考えるわけであります。そして、たびたび申しますように、いささかも
国民に疑惑を抱かせることのないよう、また、いささかも国益を損ずることのないよう、まさに公正かつ適切な
売却方法等について慎重に
検討をしなければならないと
考えておるわけであります。
次が内需問題であります。
我が国の
経済は、設備投資等国内民間需要を中心とする自律的拡大局面に今日ございます。他方で
我が国財政が巨額の
公債残高を拘えておる、そういう厳しい
状況にあります。したがって、内需の拡大に
財政が積極的な役割を果たすという
環境にはないと言わざるを得ません。
総理からもお答えがありましたように、先進国全体の
考え方というものは、ボン・サミットにおきましても示されましたように、インフレなき持続的成長を維持する、そのための節度ある
財政金融
政策を維持強化するということが
日本についても私は必須の課題であると
考えるわけでございます。したがって、いろいろな御議論がございますけれども、それそのものについては慎重に
検討すべき課題であると
考えるわけであります。
以上をもって私のお答えを終わります。(
拍手)
〔
国務大臣増岡博之君
登壇、
拍手〕