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国務大臣(
嶋崎均君) 商法五十八条の規定の問題でございますが、その解散をやる場合に今私
ども考えられるのは一号、三号のお話だろうと思うんです。御
承知のように税法その他の
関係もあったのかもしれませんけれ
ども、日本の場合には会社形態のかかわっている姿というものは非常に多いわけでございます。そういうときに我々
検察関係の仕事につきましては御
承知のように
検察庁法十四条の規定があるように、余り政治的にどんどん処理をするということについてのいろいろな意味での判断があるわけです。会社を解散させるというのはやっぱり相当の実は事柄であろうと私は思うのでございます。そうなってきますと、この運用のいかんというのは大変厄介な問題でございまして、私はある程度基本的な民法なり商法なりというような規定があり、それをどうして上手に、治安の落ちついている我が国の場合でございますから、うまく運用していくかということがまず第一番目に必要なことだというふうに思っておるわけでございます。
そういう中で実はこの問題を論議するということを
考えてみますと、実は初めから法に反するような目的で設立しているということを頭から決められるようなものは、登記の手続その他のいろいろなことがありまして、全部回避をされて出てきているわけですね。したがって、形の上でそれを処理するということは、もうほとんど一号に当てはまる場合にぎりぎりに詰めていって結果がわかるようになるとそうかもしれないということはわかるかもしれないけれ
ども、一号に該当するということはほとん
どもう不可能に近いような形だろうと思うのでございます。
そうすると、第三号のところにいくわけでございます。そうなってきますと、御
承知のように警告をする場合でもある程度
犯罪の事実というものが明らかでなければいけない。それを非常に抽象的なことで何でもかんでもやれるかということになりますと、私は非常に心配しているんですが、私のところにも相当押し売り販売に属したような話が来るわけでございますね。しかも
新聞等の
報道によりますと、そういう
ケースに類したようなものは相当あるのではないかというふうにすら思うのでございます。
その
内容を刑罰法規に
違反をするような行為をやっているのかやっていないのかということもよくわからぬままに事柄を処理するというのは、これもまた相当危険なお話だろうと思うんです。そうなりますと、どうしてもやっぱり
警察における
捜査あるいは
検察庁におけるいろいろな
事件の処理というふうなところから連絡をいただいて、そういうものを受けて警告をし、その警告を行った上でなかなか問題が継続的に行われそうだ、どうにもならないから解散だというのがどうもこの法規を運用するときの基本的な事柄ではないかというふうに思うのでございます。
特に解散
命令をやるというようなことになりますと、これはもう最後の手段でございますから、
法務大臣が解散
命令を出す前に民法的ないろいろな手続でこれを破産に追い込むとかなんとかという別の手段もまたあるわけでございます。そういうことになりますと、
法務大臣が出ていってどんどん解散
命令をやるということについてはやっぱりぎりぎりの判断をしなければならないのではないかというふうに思います。
それからもう一つは、こういう禍災、全国的な
事件になりますと、どうもこれを利用すると言うと語弊あるかもしれませんが、これを活用しようとした人
たち、あるいはそういう人
たちにどういう影響というものが及ぶのだろうかということをやっぱり
考えざるを得ないわけでございます。早くそういう
段階でやったらあるいはもう少し被害の範囲が小さくて済んだのかもしれないけれ
ども、結果からそういう場合はあり得ると思うんですけれ
ども、さて、そういうことをやり得るのかどうかということもなかなか難しい問題だろうというふうに思うのでございます。
そういうことを
考えますと、やっぱり今民事
局長からも説明がありましたように、
警察の
捜査なりあるいは
検察庁のいろいろな事柄、ある程度のデータを置いて相当の話でないと動かない。そうすると、先生おっしゃるように、それじゃ、これは動かないからもっとうまくやって、どんどんやれるようにしたらいいじゃないかというときには、最初申し上げましたそういう基本的な問題がありまして、そうどんどん
法務大臣がそういうことをやることが適当であるかどうかについてはよほどの議論を詰めないと私は
整理しにくい問題じゃないか。私は逃げ口上で言っているわけじゃありませんけれ
ども、そういう感覚がするわけでございます。
いずれにしましても、
本件につきましては、いろいろな
情報を早急に入れるというようなことを
考えますけれ
ども、その場合にそういう手段に出るのがいいのかどうか。弁護士会なんかへ来ているところでも、最初はこの解散
命令というお話だったんですが、きのうあたりの話になると、どうも破産申請の方でやったらどうかというようなやっぱり非常に中でも話が動いているように思うのでございます。そういうことをよく踏まえましてこの問題については今後とも検討さしていただき、また
情報収集その他については手落ちであったというような批判だけは受けないように
情報を入れて判断をさしていただきたい、こう思っておるのが実態であるわけでございます。どうも私非常にこの問題について消極的だというような評論がありましたけれ
ども、そうじゃなしに、私はどちらかというと、やっぱり
捜査なり何なりというのは早くやっていただいて、我々がもしそういうことをやらなければならぬということになれば、そういう事実
関係というものを早く把握さしていただきたい、こういう趣旨で言ったわけです。
それから、弁護士の方々が私のところに持ってこられたというのは、私、中を詳細読んでおりませんけれ
ども、いろいろなことが書いてありますけれ
ども、それについて客観的にこういうことだからこうだというようなことが全然ないんですね。抽象的に、まあ抽象的と言うと語弊があるかもしれないけれ
ども、そういう
証拠に基づいた議論にはなっていないんですね。したがって、それにすぐ飛びついて事柄を処理する、処理できるのですかと聞いてみると、向こうもなかなかそこのところは問題がありますねというようなことにやっぱりなっているというのが実態であろうと思いますので、そういうことをひとつ御理解を願いたいと思っておる次第でございます。