○国務大臣(嶋崎均君) 御承知のように、この
登記の問題につきましては、今
民事局長からも十分お話がありましたように、何か調べてみますと明治十九年ですか、
法律の第一号で
登記法というのはできたのだそうでございますが、それから
ブックシステムによってもう百年やってきたわけでございます。ところが、戦後日本の経済というのは非常に充実した姿になり、またそういう経済自体じゃなしに、その中で核家族化が進み、また住宅その他の取得につきましても、御承知のようにアパートその他をお買いになる、あるいは建物を建てられる場合でも、ほとんど借入金で建てられる。したがって抵当に入る。いろいろな複雑な姿になってきておるわけでございまして、乙号
事件だけで見ましても御承知のようにもう一年に千六百五十万件ずつふえる。ちょうど愛知県一県分ずつ年々ふえる量があるということでございますから、そういうことに対応しまして、この
登記の仕事の立て方についてはいろいろな意味で御不評をこうむっておるというのが実態であるわけでございます。
したがいまして、私たちもこういうことを抜本的に解決していく道をいろいろ
考えなければいかぬと思いますが、
一つは、やはり
登記事務を
コンピューター化によりましてスピードを上げた
処理をするだけじゃなしに、それが積滞しているためにある意味で非常に
事務処理が遅滞をしていたり複雑化している、そういうこともきちっと整理をしなければならぬような
状況を迎えておると思うんです。
そこで、今御審議願っておる
法案はもちろんのことでございますが、あわせて
登記の特別会計というものを設置いたしまして、いっときにこの問題の解決はできないかもしれませんけれ
ども、先ほど来お話がありましたように、四十七年からいろいろな勉強を積み重ねてきました。特にワードプロセッサーが入ることによって難しい漢字の
処理も何とか
処理ができるという
段階を迎えて、そして
基礎的な
状況というのがそこでできたわけでございますから、これをもう
全国的にひとつ組織的にやっていくということをやらなければいかぬということを念願にしまして、六十年度予算、ある意味で百年に一度の画期的な
改正をやっていただくということに相なっておるのだと私は思っておるわけでございます。
しかし、これも御承知のように
全国的な
システムに動かしていくためにはいっときにできるわけじゃありませんし、後から御説明もあると思うし御質問もあると思うんですけれ
ども、この
登記法の
改正をやるときには二年後ぐらいのときに正式にまた御審議を願って、そしてこれを定着させていくというような方向で
論議をいただかなければならないわけでございますが、それまでの
状況を
考えてみましても、人員その他についてはやはり時期的なずれもあるわけでございますから、十二分な配慮をしてその確保に努めていかなければならぬと思います。
それとともに、この
登記の特別会計を設置することによりまして、ことしは余り宣伝はしておりませんけれ
ども、
法務省の例えばいろいろな施設
関係の費用、
一般会計では一億七千万ぐらい減っておると思います。しかし特別会計では、資料ごらんになればよくわかりますが、ともかく三十億の施設費がのっておるというような
状況になっておるわけでございまして、そういう意味でも非常にこの
登記の特別会計をつくることによって苦心をしておることだけは御察しいただけるのではないかと私は思っておるわけでございます。
これは発足の当初でございますから、今後やっぱりそれを
基礎にいたしまして、今の
登記の仕事を見ますと、内部的な
事務処理の問題のみではなしに、御来庁いただく皆さん方に大変待ち時間をつくったり、非常にサービスの悪い
状況というものもあるわけでございましょうから、そういうことにも十分配慮をしまして、少しでもサービスが向上になる。かつまた
ブックシステムによって、長い将来を
考えてみますといろいろな、何というか、不祥事が起きたときの間違いというものも出てくるでしょう。それを分散化することによりまして、その保全も兼ねていけるというようなことを
考えてこの
法案を御審議願っておるというのが実態でございます。
したがいまして、私は、御
指摘のところでございますけれ
ども、今後ともやっぱり特別会計を通じまして、これらの
システムが充実をしていくように精いっぱいの努力を積み重ねていかなければならぬ。また十五年というような日限で事柄を
考えておりますが、私はできるだけ早期にそれを達成できるような気持ちで少なくともこれは対応していかなければならないのではないかというふうに思っておるような次第でございます。そういう意味で、皆さん方の御賛同を得まして、ぜひこの国会でこの
法案及び特別会計の成立を期していただく、我々自身もそういう時期をひとつの契機といたしまして、今後ともその充実のために精いっぱいの努力を積み重ねてまいりたいと思っておる次第でございます。