○
橋本敦君 大変私はきついことを言って申しわけないけれども、不勉強だというように私は言わざるを得ないのですね。
最高裁の
判決というのはまさに
法律判断で、事実
認定そのものについてやり直すようなことはありませんから、その
最高裁の
判決を読んでも事実
認定の核心部分がどこであるかというのはこれは出てきませんよ。ですから
最高裁判決というのは通例極めて簡単なものが多いでしょう。だから、そのベースになった事実関係をしっかりつかむということになれば、高
裁判決の事実
認定、それを読んできていただかないと私の
質問にしっかりお答えいただくということにならぬのですからね。私は自治省の方に
質問通告をした際に、
事件関係その他は
法律判断も出ているから御存じのとおりでしょう、調べておいてくださいと言ってあるのは高
裁判決もしっかり読んでおいてくださいということを私は言ったわけですね。
例えばこの
判決の事実
認定の三十一ページにどう書いているかといいますと、立合人の氏名を蓬田という名前から生田目という名前に書きかえている、そういう投票用紙がある、そしてさらに代理記載者が生田目であるのに不在者投票用外封筒では代理記載者が蓬田となっている、こういうことで蓬田、生田目という二人が書きかえられる、あるいは改ざんされるということで、行ったり来たりになっているややこしい票がいっぱいあるというのですよ。
そこで、
判決はそういう事実を
認定して鑑定の結果書きかえられたという状況も明らかにした上でどう言っているかといいますと、読んでみますと、「これらは、生田目昌幸が不在者投票管
理事務補助執行者として不在者投票管理の執行面の仕事をした事実を隠ぺいすることによって、同人がそれと兼ねて立会人となった投票が無効となるのを避けようとした意図的なものであったと
認められる。」と、はっきり
認定している。今
指摘したとおりです。いいですか。だから明らかにこんなことをやったら選挙無効になるということを知っておってやって、それを今度は隠ぺいするためにそういうことをやったということでありますが、しかも、それをやり始めたのはこの選挙の不正があるということを状況をつかんで、これは許せないということで高橋さんが選挙争訟を提起した後、このような書きかえがやられたという重大な事実がある。これは証拠隠滅に近いですね。
その点を
裁判所はどう
認定しているかといいますと、「すでに、争訟が提起された以後前記のような書き変えが行われたことは、右選挙書類の保管に関する法の
趣旨に反するものであるのみならず、本件の不在者投票全体の適法性について疑惑を生ぜしめるものであり、違法というべきである。」と断定をしていますね。私は極めて当然の
裁判所の
判断だと思いますよ。慌ててそういうようなことをやって書きかえて、選挙無効になるのを防ぐように隠ぺい工作をしたというこのことは、今あなたはこの選挙無効の
意味を極めて単純に選挙事務の補助執行者と立会人が同一であるということで無効になったのだと言われたが、その背景にこういう重大な事実関係があるということを軽く見ておられるという点を私はこれは正当な答弁をいただいたとは思いません。したがって、今
指摘したとおりであります。
そこで、こういうことになりますと、不在者投票の外封筒に立会人の名前も書くわけですから、そういう外封筒というものはその名前を書きかえられたとしましょう。それは選挙管理
委員会に事務執行で一たん保管されて選挙争訟の問題が提起された後で書きかえたということは明らかですが、その外封筒が選挙の書類にとじられて公文書として存在をしておる、それに手を入れて書きかえたということも明らかですから、そういう
意味ではこれは本当に書きかえたということであるならば、公文書に対する重大な刑法犯を成立せしめることはそのこと自体疑いないと思うのですが、この点の
法律解釈は間違いないと思いますが、
法務省いかがですか。