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国務大臣(
竹下登君) 我が国の税制そのものに対してシャウプ勧告以来、シャウプ勧告というのは読んでみますと私は
それなりにきちんとしたものだと思います。それが長い間かかっている間にむしろゆがみ、ひずみが生じたということと、それから
所得の捕捉が必ずしも、私の方からクロヨンがございますとかトーゴーサンがございますとかは言えませんけれども、結果としてそういう言葉が出るような不公平感というものがそれぞれに存在しておる。したがって、この際、
国会の
議論等を正確に報告して
政府税調で抜本的な
議論をやってもらおうじゃないか、こういう
考え方に立っておるわけであります。したがって私は、今日はそういういろいろな不公平感の問題等が
国会の
議論等で出てまいりますものを土台として、それこそ総理の言葉をかりますならば、公平、公正、簡素、選択、活力という
税体系というものが論ぜられ、つくられていくことを期待しておる、こういうふうなところがまず原点にございます。
それから今度は不公平感とは別に
所得税の問題で申しますと、もとより
所得税減税をすればこれは
それなりに消費の拡大につながる、これは原則的に私もそう思います。なかんずく、今日物価が超安定でございますからそれはそうなろうと思います。ただ、この
議論をしますときにいつも矛盾を感じますのは、先進国の我々のグループの会をしますと、されば
所得税
負担率が一番低いのは日本じゃないか、それで財政赤字、財政赤字生言わないでもっと
増税してちゃんと財政赤字を埋めた方がいいんではないか、こういうお互いの仲間の中ではそういうディスカッションも率直に起こってまいります。しかし、それはそれとして、我が国が
国民負担率も、今ヨーロッパもところによっては五五%、我が国は三五%でございますから、それは将来は高くなるであろうと、
高齢化社会が来るに従ってとは言われようとも、ヨーロッパよりかなり低いところでこれを抑えていくための
努力はこれからもしていかなきゃなりません。
そして税の問題というのは今三つ問題があると思います。
一つは、今申しました抜本改正をやろうということになっておる。それからもう
一つは、与野党の幹事長・書記長会談で
議論しておられるという舞台がもう
一つあると思うんです。それからもう
一つは、内需拡大のためのということだけを念頭に置かれたところのいわゆる対外経済問題諮問
委員会の
答申というのが
政策提言でございます。報告書でございまして、「内需
中心の持続的成長に役立つ税制の
見直しが重要である。基本的には貯蓄・消費・投資のバランスを図る観点から検討を行う必要がある。」という、この三つあるわけです、そういう今世間に浮き彫りにされておる要素が。それをどういうふうに
調整をしながら進めていくかというのが
政策選択の
課題だなというふうに私は考えて、今日時点でそういう考えをしております。そこで、私の場合はまさに税当局そのものでございますから、したがってあらゆる予見を挟まないようにできもだけお答えをしておるわけでございますけれども、その三つをどういう形で
調整してこの検討を進めていくかということは、そう投げっぱなしにしておくわけにはいかぬ
課題だというふうな問題意識は持っております。