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政府委員(
後藤康夫君) 今回の胎児及び子牛を共済の中に取り込みます場合に、この価額をどのように評価をするかということにつきまして、私
ども胎児、子牛とも母畜価額の二割というふうにしたいと考えているわけでございますが、これは御案内の、もう当然のことでございますが、胎児は
通常売買をされませんので市場価格も形成をされないということから、何らかの形で推定をしなければいかぬわけでございます。これを子牛の例えば出荷月齢別の子牛の価額を母牛の価額との比率でとりまして、趨勢線を引いて、そして月齢がゼロのところで見ると大体どのくらいかというふうなことで推定をいたしましたり、あるいはまた出荷子牛の体重と価額との相関
関係をつくりまして、生まれたばかりの子牛というのは大体三十キロぐらいということでございますので、それに三十キロぐらいの子牛の場合の価額を推定するというようなことをやりますと、大体母牛の価額の二割
程度になるということがございますし、家畜伝染病予防法の五十八条によりまして、予防接種などをやりまして牛が死にました場合の手当金の交付という
仕組みがございますが、これに対しまして、胎児価額の評価というのは母畜価額の二割を基礎とするようにというふうなことで現在指導されているということがございます。
また、四十一年に一度廃止されました旧
生産共済におきましても、胎児の価額を母畜の価額の二割と見ていた。今、喜屋武
先生一六%とおっしゃいましたのは、付保
割合が八割で、その二割ということで、掛けて一六%ということでございまして、母牛の価額のやはり二割ということでやっておりました。そんなことを総合勘案いたしまして、二割ということが適当ではないかと思っておるわけでございます。
それから、旧
生産共済では、成長に応じて
共済金額が
増加していたじゃないかというお話でございますが、この点は、旧
生産共済が実施されていました当時の家畜
共済制度と申しますのは、まだ飼養規模も小さかった、今のように多頭飼育というような
状況でございませんでしたので、
加入方式も一頭ごとの個別
加入方式であったわけでございまして、共済金の算出に用います
事故家畜の価額も、
事故の原因
発生直前の価額というものを用いるということで、子牛の
共済金額も成長に応じて
増加をさせておったわけでございます。
ところが、その後、飼養規模の拡大などに伴いまして、
農家の飼養家畜を全頭
加入させるという包括共済
加入方式に移行をいたしまして、もちろん種雄牛とか種雄馬というふうなものは個別共済がまだございますけれ
ども、その他のものにつきましては包括共済
加入方式に移行をいたしまして、それまでの
事故直前の家畜の価額による評価方式というのは事務的に非常に煩瑣でございますし、適正な評価を統一的な
基準で実施することもなかなか難しいというような理由から、
現行の家畜
共済制度におきましては、家畜の価額と申しますのは、原則的には
最初の
共済掛金期間開始時における価額と、そしてまた次の
掛金期間が始まりますときに、その時点でもって評価を見直す、同じ
掛金期間の中では固定をするということで
制度が変わっておるわけでございます。そういったことで、旧
生産共済とは
家畜共済そのものの
制度が変わっておりますので、この中に新しく今度子牛なり胎児を取り込みます場合に、今の
家畜共済のそういった
制度に合わせてやはり取り込む必要がありますので、二割ということで、かつ
一つの
共済掛金期間においては固定をする、しかし、また次の
掛金期間には当然評価を変えるということは可能なわけでございます。
それから、こういったことでどの
程度農家の要望にこたえられるかということでございますが、この点は、かつての旧
生産共済というのは四十一年にうまくいかないで一度廃止をしたわけでございますが、その後、今申し上げましたように、包括共済というふうに
制度の
仕組みも変わってきておりますから、今度のような
仕組みであれば
制度としてもうまく回るだろうと思っておりますし、
関係団体からも、特にこの
昭和四十年代の後半に非常に牛の異常産——流産でありますとか早産、死産というふうなものが多発をいたしましたのを契機にいたしまして、それまで
割合低かった肉牛の飼養
農家の
保険需要、
保険意識が非常に高まってきているというようなことがございますので、もちろんこれは
制度を実施いたしてみませんと、また実施をした段階で追加的な御要望が出てまいることもあり得ないことではないと思っておりますけれ
ども、こういった
仕組みにつきましても、共済団体といろいろ打ち合わせをしながら
制度を仕組んでおりますので、
現時点での
関係農家の御要望にはこたえられる
仕組みと言えるんではないかというふうに私
ども考えておるわけでございます。