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政府委員(
後藤康夫君)
金融の自由化と申しますのは、大きく分けまして金利の自由化と
金融業務の自由化と、二つの面があるわけでございますけれ
ども、昨年、この
金融の自由化につきましての方針が打ち出されまして、現在そういう
方向に各般にわたりまして状況が推移をしていると、こういう状況にあるわけでございます。
農協系統信用事業にとってみますと、やはり
一つは
金融自由化、中でも預金金利の自由化、これは大口からだんだん小口へということで、漸進的にということではございますが、これが小口まで及んでまいりますと、調達コストのアップあるいはまた、利ざやの縮小というようなことを通じまして
金融機関に影響を及ぼしてくる。特に系統
金融事業におきましては小口預金が中心でございますけれ
ども、おいおい小口預金まで金利が自由化されてまいりますと、現在総合農協でいろいろな事業をやっておりますが、何と申しましても、その収益構造を見ますと、信用事業なり、あるいは農協が行っております共済事業といったような部門に非常に大きく依存しておりますので、
金融の自由化が農協の経営基盤を脅かしてくる可能性があるということで、私
どももこの問題、大きな問題として受けとめているわけでございます。
農林水産省といたしましては、この系統信用事業が
金融の自由化に円滑に対応して今後も健全な事業展開が図られますように、実は昨年の夏から
行政関係団体の実務者レベルによりまして検討会を設置いたしまして、
金融の自由化と今後の経営環境の変化に即した系統農協の取り組み方につきまして調査検討を進めております。また、この問題は信用事業だけではございませんで、農協全体の事業運営にもいろいろ響いてまいるものでございます。三年に一度全国の農協が農協大会という形で集まりまして、その後の三年間の農協の運動なり事業運営の
基本方向について方針を議論をし打ち出すということをやっておるわけでございますが、ことしの十月がその農協大会にも当たるということで、系統の内部におきましても今この問題についていろいろ議論が行われております。そういうものと私
どもと一緒になりながら、適切な対応をしてまいりたいというふうに思っております。
基本的には、
一つは、やはり他の
金融機関に劣らないような
金融機能というものを身につけていく。そういう意味では、やはり新商品の開発
一つにしましても、
機械化というようなものと密接に結びついている面がございますので、そういったことへの対応、あるいはまた、昨年の八月に全国銀行内国為替
制度に加入をいたしましたが、こういうことによりまして振替とか振り込みというようなものにも広く対応できるようになってきております。しかし、それだけではなくて、やはり系統農協の
特質を生かした今後の事業展開ということを
考えていかなければいけないわけでございまして、この点になりますと、本当に今後の農協の事業全体のあり方をどうするかという点にも関連をしてくる問題だというふうに思っております。