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1985-04-03 第102回国会 参議院 農林水産委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年四月三日(水曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  四月二日     辞任         補欠選任      村沢  牧君     糸久八重子君      山田  譲君     稲村 稔夫君  四月三日     辞任         補欠選任      大木 正吾君     松本 英一君      糸久八重子君     村沢  牧君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         北  修二君     理 事                 高木 正明君                 谷川 寛三君                 最上  進君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 岩崎 純三君                 浦田  勝君                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 熊谷太三郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 竹山  裕君                 初村滝一郎君                 星  長治君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 菅野 久光君                 刈田 貞子君                 塩出 啓典君                 下田 京子君                 田渕 哲也君                 喜屋武眞榮君    国務大臣        農林水産大臣   佐藤 守良君    政府委員        農林水産大臣官        房長       田中 宏尚君        農林水産大臣官        房審議官     吉國  隆君        農林水産大臣官        房予算課長    鶴岡 俊彦君        農林水産省経済        局長       後藤 康夫君        農林水産省農蚕        園芸局長     関谷 俊作君        農林水産省畜産        局長       野明 宏至君        農林水産省食品        流通局長     塚田  実君        農林水産技術会        議事務局長    櫛渕 欽也君        食糧庁長官    石川  弘君        林野庁長官    田中 恒寿君        水産庁次長    斉藤 達夫君    事務局側        常任委員会専門        員        安達  正君    説明員        農林水産省構造        改善局次長    須藤良太郎君        気象庁観測部産        業気象課長    村上 律雄君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○昭和六十年度一般会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十年度特別会計予算内閣提出衆議院送付)、昭和六十年度政府関係機関予算内閣提出衆議院送付)について  (農林水産省所管及び農林漁業金融公庫) ○理事補欠選任の件     ─────────────
  2. 北修二

    委員長北修二君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨二日、山田譲君及び村沢牧君が委員辞任され、その補欠として稲村稔夫君及び糸久八重子君が選任されました。  また、本日、大木正吾君が委員辞任され、その補欠として松本英一君が選任されました。     ─────────────
  3. 北修二

    委員長北修二君) 昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管農林漁業金融公庫を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 菅野久光

    菅野久光君 漁業関係でございますけれども、けさの新聞を見ますと、まだ日ソ漁業協力協定改定交渉決着を見ないというようなことで、漁期を控えて大変な状況だというふうに思いますが、その点についてどのような状況になっているのか、新聞のとおりなのかどうなのか、これからの見通し、そういったようなものを含めてひとつお答えをいただきたいというふうに思います。
  5. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 現在、担当部長がソビエトに行っておりまして、期限ぎりぎりまで最後の努力をしているわけでございますけれども、現在時点でまだ決着を見てないことは非常に我々としても残念なことだというふうに思っております。
  6. 菅野久光

    菅野久光君 具体的なことで私ちょっとこれから聞こうと思っているんですが、水産庁来ているんですか。
  7. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 大変申しわけありません。私がお答えいたします。  実は日ソ日米とも協議が難航しておりまして、日ソの問題につきましては、サケマス漁業につきまして、実は基本協定協議を今モスコーで第六回目をやっておりますが、実はなかなか難航しておりまして、二日の日に約一週間延ばすことにつきまして、もう一週間延ばすということで最善の努力を続けておるところでございます。  また、日米につきましては、捕鯨等の問題につきましては、実は斉藤次長が帰ってきたんですが、やはりということで、私が水産庁長官をアメリカに派遣いたしまして、ボールドリッジ長官等と話をし、きょう夕方東京に帰ってくるという予定でございます。その結果によりまして対策を練りたい、このように思っております。  また、カニツブエビについては民間漁業協定でございますがこの問題は、実はこの間サケマス交渉のためにモスコーに行くときに、私がカメンツェフ漁業大臣親書を言づけました。そのあいさつに行ったときに、カニツブエビにつきましてはカメンツェフ漁業大臣が、いや、それはわかった、早速やらせるようにしようというようなことで、その早速というのが遅くなりまして、この月の十五日からカニツブエビにつきましては民間協議に入る、向こう漁業公団との交渉に入るということが決まったという連絡を受けておりますのが、現在の状況でございます。
  8. 菅野久光

    菅野久光君 水産庁、来ていないようなんですが、具体的な問題でやっていいんですか、そうでなければ何かこう非常にまずい状況……
  9. 北修二

    委員長北修二君) 速記をとめて。    〔午前十時四分速記中止〕    〔午前十時十四分速記開始
  10. 北修二

    委員長北修二君) 速記を起こしてください。  質疑を続けます。
  11. 菅野久光

    菅野久光君 ちょっと水を差されたような格好になってしまったわけでありますが、日ソ交渉にかかわるカニツブエビの問題でありますが、さきの日ソ地先沖合漁業交渉民間協議に移行させられたカニツブエビ交渉についてお尋ねをいたしたいと思います。  私は、二月の二十六日の当委員会で、日ソ双方の意見が大きく食い違ったまま一向に妥結見通しが全く立っていないこの交渉について政府の見解をただしました。そのとき長官は、交渉側面から援助していくと約束されました。しかし、一カ月以上たった今もなおこの事態は変わらないままであります。政府は、この一カ月余りの間に交渉促進のためにどんな手だてを打ったのか、それをひとつ明らかにしていただきたい、このように思います。
  12. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) 初めに、おくれましたことをおわび申し上げます。  御指摘のありましたカニツブエビ交渉につきましては、前回の日ソ漁業委員会協議の結果、大日本水産会ソ連側のソブルイブフロート、全ソ漁業船舶公団との間の協議にゆだねられることになったわけでございます。  御指摘のとおり、早期開始につきまして、政府としましては外交ルートを通じて、あるいはまた現在日ソ漁業協力協定交渉に行っております中島海洋漁業部長を通じまして、農林水産大臣からの親書カメンツェフ大臣に渡しまして早期開始を申し入れました結果、実は昨日、四月十五日から協議を開始するという連絡が届いたところでございます。
  13. 菅野久光

    菅野久光君 漁期の問題もあるわけでありますから、民間協議ということですが、これはもう準政府間協議というようなつもりでやってくれということを前々から申し上げてありますので、ひとつ今後ともこの交渉状況に重大な関心を持ちながら早期交渉が決まるような、政府としての関心を持った手だてをひとつお願いをいたしたいというふうに思います。  モスクワで先月の二十一日から開かれている日ソ漁業協力協定締結交渉業界顧問団の一人として出席されました佐々木大日本水産会副会長が、二十一日に全ソ漁業船舶公団ジガロフ総裁らとこの問題について協議したようでありますが、総裁入漁料としてツブも含んだ平均価格としてトン当たり千三百ドルを要求したというふうに伝えられております。仮に実績値である一万二千トンを漁獲したとすると、トン当たり千三百ドルなら、実に三十八億円ぐらいのお金を支払わなければならなくなるわけであります。四万トンとっているサケマスの昨年の協力費が四十二億五千万円、百十万トン超の割り当て枠のあった昨年の米国海域への入漁料が、オブザーバー費用を含めて約百億円の見込みであることなどから見ても、魚価の違いはあるにしても、いかにもこの金額というのは非現実的かつ法外なものではないかというふうに思います。  日本側さき公団に示した入漁料は、漁獲量一万五千トン以上を前提トン当たり百ドル以下としております。日ソの差は実に十三倍に達しております。しかし、この百ドルさえ、これまで全く支払わないことによってカニツブエビ経営が維持されてきた、そういう零細規模業界にとっては、その存立さえ危ぶまれるほどの額を今度は要求されているわけでありますが、政府はこのソ連側要求額についてどう考えているのか、ひとつお答えいただきたい。
  14. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) ソ連側から非公式にトン当たり千三百米ドル協力費要求するという旨の情報を私どもは承知しておりますが、この千三百米ドルといいますのは、昨年のカニ協力費に相当するものでございます。  御指摘のとおり、今後の協議におきまして、この協力費額そのものが非常に重要な中心課題になるというふうに認識しておりまして、私どもといたしましてはソ連側に我が国の漁業経営実態等について十分説明を行いまして、できる限りこの協力費が低くなるように協議当事者を指導してまいりたいと存じております。
  15. 菅野久光

    菅野久光君 千三百ドルというのは私も法外な額ではないかというふうに言っておるわけですけれども、その点については政府側さきに言った百ドルぐらいというところに落ちつかせたいという意向なのかどうなのか、その辺の見通しといいますか、政府としての考え方があれば、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
  16. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) どこの国との入漁料の折衝でもそうでございますが、やはりできるだけ低いところに下げてくるということで、当初我が方が提案しますところと実際に落ちつくところが必ずしも、相手のあることでございますから希望どおりにならないということもあり得るというふうに認識しております。
  17. 菅野久光

    菅野久光君 ソ連側は、日本側入漁料の単価を変更しない限り正式な交渉には入れないとしているというふうに伝えられておりますが、それは事実でしょうか。
  18. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) そのような情報は聞いておりません。現に、四月十五日から始めるということを向こうから言ってきております。
  19. 菅野久光

    菅野久光君 この交渉を始める前提といいますか、そういったようなものについての何か向こうの方の考え方というものの中に、こういったようなことが入っているというようなことは当面考えられないということですか。
  20. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) おっしゃるとおりでございます。
  21. 菅野久光

    菅野久光君 先ほども言いましたけれども民間交渉とは言いながら、これはもう準政府間交渉ということで、これに対する単なる側面援助などというものではなくて、まさに政府そのものがこの交渉に当たるようなつもりでひとつ今後の交渉に当たってもらいたいということを、強く要望をいたしておきたいというふうに思います。  日本側の申し出た入漁料妥結するように、政府がみずから本当に前面に立って交渉に当たってほしい。これは私もそう思いますが、これはもう漁民の方々はそのことを本当にひたすら願っているというふうに思います。この漁業ソ連の都合で民間協議に移行した。それでやっとあの交渉妥結をしたというようなものでありますから、先ほど申し上げましたように、本当に政府間交渉だという意識だけはひとつ失わないで早期妥結に向けて、しかも入漁料の問題なんかも先ほど申し上げましたように本当に零細業界でございますから、大変な状況になっていくというふうに思いますので、その点についてあくまでも日本漁業を守る、漁民を守るという立場でやってもらいたいというふうに思います。  特に、入漁料の問題でありますが、経営規模が非常に零細だということで、昨年までは入漁料を払わないで経営をしていた。それが今度は入漁料を払って経営するということになれば、経営が成り立っていかないのではないかというふうに思うわけで、そういったようなことを考えていきますと、入漁料全額国庫負担ということは当然のことではないかというふうに思いますが、その辺、ぜひこれは大臣責任でやってもらいたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。
  22. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 菅野先生にお答えいたします。  カニツブエビにつきましては、実は先般、私モスコーへ参りましたときに、何とか政府間の協定にしたいと努力したんですが、どうしてもソ連側の意思によりまして民間協定にした。そんなことで、向こう船舶公団等によくお願いして、あるいはカメンツェフ漁業大臣にお願いしてまいったということでございまして、今、先生が御指摘のようなことで、政府間と同じような扱いということの気持ち民間交渉を支援しておる、こういうように御理解願いたいと思うわけでございます。  今、先生がおっしゃった入漁料の問題、実はこれは今回の協議というのはやっぱりコマーシャルベースである、したがって本件入漁料経営上のコストとしてやっぱり考えるべきではないか、こう思っております。そんなことで、このような入漁料につきましては助成の対象とすることは問題があるものと考えております。そんなことで、先ほど先生指摘ございましたように、政府といたしましては、民間協議におきまして極力その入漁料の抑制を図るべく協議当事者を指導してまいりたいと考えております。
  23. 菅野久光

    菅野久光君 これはコマーシャルベースということで、それもコストの中にというようなことが原則になるということについてはある程度私はわかるんですけれども、昨年までは全くこの入漁料というものを払わないでやっていたわけですね。しかも、エビなんかの輸入というのは年々ふえてきていますね。そういう中で魚価は上がらない、魚価は上がらないのにコストが高くなれば、当然ここで営業するということにはならないというふうに私は思うわけです。ならないからそれじゃやめろ、そういうお考えなのかどうか、その辺も端的にひとつお答えいただきたいと思います。
  24. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今、先生にお答えしたとおりでございますけれども、一応経営上のコストということで考えておるわけでございます。そんなことで、結果を見て考えたい。私の記憶では、大体一万トンで漁船百隻だったと思うんです。昨年六十億で百隻という理解をしておるわけです。そんなことですが、一応まだ交渉の途中でございますし、私どもとしてはできるだけ入漁料を低く抑えるような努力をしたい、こう思っております。
  25. 菅野久光

    菅野久光君 入漁料を低く抑えることはこれはもう当然そういう形でやってもらわなければならないわけですが、先ほどからも言っておりますように、昨年までは入漁料を払わないで、いわば細々と漁を続けていたわけですよね。だけれど、ことしは入漁料を払わなきゃならないんですよ。しかも、エビ輸入なんかはどんどんふえてきている。魚価は上がらない。それで果たしてこのまま続けていくことができるのかどうかということが、この業界人たちの大変な問題なわけですよ。ですから、せめて入漁料だけは政府が負担してやるべきではないか。しかも、この交渉のいわばいけにえという言葉は適当ではないにしても、そういうような形で政府間交渉から切り離された魚種ですね。それで、私はそのことを指摘をしながら、政府としてそのぐらいはやっぱり持つべきではないか、そういうことで言っているわけであります。  交渉の途中だということですから、いろんな状況を見てということでありますが、状況を見てというのは、一たん出てしまって、そしてやった。さあそれじゃ赤字になった。赤字になったというのを見て、その赤字をしっかり政府が見るということになるのかどうか。その辺、赤字になったから、それはおまえたち責任だから仕方がないじゃないかということで切り捨ててしまおうとするのか、その辺のところなんですよ。これは本当に生きるか死ぬかの、生活していけるかどうかの大変大事なところだというふうに思うんですが、そこのところはいかがですか。
  26. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  先ほど申し上げましたとおりに今交渉の途中でございますし、また実はあくまでも一応入漁料経営コストとして考える、こう御理解願いたいと思うわけでございます。
  27. 菅野久光

    菅野久光君 これは経営コストということだけでいくということになれば、先ほどから私が言っているように、入漁料を払わないでやっと細々やってきたものを、入漁料を払って私はやれるという状況になっていかぬのではないかというふうに思うんですよ。私の指摘したようなことが今後どういう形で起こるか、その起こった時点考えるということでは、私は手を打つのが遅いんじゃないかというふうな気がするわけでありますから、先に目に見えているそういう状況を何とかしなきゃいかぬ、何とかする責任政府にあるんじゃないのか、それが政治というものじゃないのかということで私は申し上げているわけです。それは国の財政事情とかいろんなことはありますよ。しかし、そういうことで、言えば外交交渉のいけにえになったところはそのまま切り捨てられていくというような、そういう形にならないように何としてもしていかなきゃならぬ、そういう思いで私は今質問しているわけです。  これに伴って、もう今のままじゃ、先ほど百隻ぐらい行っているということですが、このままじゃとてもやっていくことはできないということで、これは一部減船をしなきゃならないというようなことであります。この減船についても、これは業界として生き延びるためにはもうやむを得ないことだ、しかも、このことは自分たちのやり方によってこういうことが生まれてきたのではなくて、あくまでもこれは政府間の交渉の結果として減船することになったわけでありますから、そういう意味から言えば、五十二年の二百海里のときと全く同じ状況というふうに思うわけです。それで、減船についても当然五十二年当時と同じような措置を私はするべきだ、しなきゃならない、そういうものだと思いますけれども、その辺はいかがでしょうか。
  28. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 菅野先生にひとつ御理解願いたいことがあるんですけれども、実は私はモスコーに参りましたときも、日本材料は全部モスコーに入っているんです。モスコー材料一つも入らないんです。そんなことが、非常に交渉をやりにくくしている点でございます。そんなことで、実は仮に今いろんな話が若干出た場合に、すぐモスコーに伝わると見なければいけません。そうしたら今のカニツブエビ交渉はもっと厳しくなることもあり得るということを御理解願いたいと思います。  そんなことで、実は今の減船の問題も、カニツブエビの操業にどのような影響を及ぼすかにつきましてその協議の結果いかんによるものと考えております。そんなことで協議状況を十分見きわめてまいりたい、こういうふうに考えております。
  29. 菅野久光

    菅野久光君 これはカニツブエビ減船、それから底びき、これも減船北転船関係減船、これから漁業の問題はもう外交交渉とのいろんなかかわりでそういうことが出てくるわけですね。そうしなきゃ業界自体が生き残れない。じゃ五十二年のときと全く同じじゃないか。同じ条件で同じことが起こったのに、それに対応する仕方が違う対応でいいのかどうか、これは一般論としていかがでしょうか。
  30. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 実は先生の御質問の意味はよく理解できるんですが、今私が答弁できることは、先ほど言ったようなことで協議状況を十分見きわめながら考えてまいりたい、こういうことでございます。
  31. 菅野久光

    菅野久光君 そのときの状況を見てということでありますが、既に業界としてはもう減船をしなきゃ生きていけないということで減船するということを決めているわけですよ。ですから、これはもう状況じゃないんですよ。そういうことを業界自体が決定をして水産庁の方にも要請に来ているはずです。来ているんですよ。そういうことについて、状況を見てということに私はならぬのではないか。それは国の財政が厳しいことは私はわかりますよ。国の財政が幾ら厳しくても、同じ国民あるいは同じ業界が同じ条件で一定の状況が出てきたときに、政府として同じ対応をするというのはこれは公平の原則からいって当然ではないですか。そのことをやっぱりきちっとやらなけりゃ、政治における公平さというものを欠きますし、また同時に国に対する、あるいは政府に対する国民の信頼というものを失わせることになるんではないかというふうに思うんです。これは財政が厳しいとか厳しくないとかということと、私はかかわりのないことではないかというふうに思うんですよ。その点の基本的な認識、考えというものをしっかり持ってもらわなきゃ困ると思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
  32. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今、先生のおっしゃる気持ちはよくわかるんですが、ただ四月十五日からカニツブエビ交渉が再開されます。そんなことでございまして、その協議の結果いかんによるものと考えております。そして協議状況を十分見きわめてひとつ考えたい、こう思っておりますので、特にその点、御理解願いたいと思うわけでございます。
  33. 菅野久光

    菅野久光君 交渉は確かにこれからなんですけれども、クォータの関係やらいろいろ含めて、減船しなかったらもう業界自体が生き残れないということで減船を既に決めたんですよ、方針として。決めて、国にそのことに対する交付金要請だとかいろんな共補償に係る問題、そういうことについての要請が来ているわけですよ。ですから、沖合底びき網の減船の問題、北転船減船の問題、各業界が今それぞれ大変な思いをしながら減船というものを決めていっている。だから、そういう中で状況を見てじゃなくて、減船を決めたそのことについて、状況としては全く五十二年と私は同じだと思うんですが、五十二年の状況とそれでは同じだというふうに御認識なさるのかなさらないのか、その辺をひとつお答えいただきたい。
  34. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) ただいまカニツブエビに関しましては交渉の結果を見るということで大臣の御答弁どおりかと思いますが、菅野先生お触れになりました沖合底びき網の減船につきましては、先日水産庁に対しまして関係漁業者から、先日の日ソソ日漁業交渉の結果といたしまして十二隻ほどの減船要求が出てきております。  これにつきましては現在水産庁で検討しているところでございますけれども、多少五十二年のときの状況と違うところがあるかと思われますのは、一つには、北海道で今回の交渉の結果とは関係なく経営構造の改善ということで減船計画が考えられていたということ、それからまた一つには、この海域でのクォータというのが確かに減ったわけでございますけれども、沖底船全体としましては二十七万三千五百トンということになっておりまして、ソ連水域におきます沖合底びき船の過去の平均漁獲量が二十二万トンでありますというような事実、それから他方、もちろん操業します上に漁場との距離等の実態上の問題等がございます。これらの点を勘案しまして現在検討中でございまして、その結果いかんによりましてどういう形の対策を講ずるかということになろうかと存じます。  以上でございます。
  35. 菅野久光

    菅野久光君 それじゃ、沖合底びき網漁業のことについてちょっとお伺いをいたしたいというふうに思います。この問題についても去る二月二十六日に私は質問いたしましたが、業界が深刻な状況を迎えているために、再度責任当局のお考えを承りたいというふうに思います。  このたびの日ソ交渉で最も影響を受けたのはカニツブエビ業界ですね。それを除くと、今度は沖合底びき網漁業だというふうに私は思います。特に日本海側については従来の七区、いわゆる沿海州水域が閉鎖されて、新しく樺太西海岸の狭い水域が割り当てられまして、漁獲割り当て量が大幅に減るなど極めて大きな打撃を受けたようであります。  そこで、まず漁場がどのくらい狭くなったか、従来の漁獲割り当て量及び漁獲実績に比べて本年の割り当て量がどのくらい減っているか、関係漁船は一体何隻入っているのか、それをひとつ御説明いただきたいと思います。
  36. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) 日本海におきます操業区域は、面積で比較いたしますと、昨年まで操業実績のありました水域に比べまして約六三%になっております。  それから、漁獲割り当て量につきましては前年の五万四千四百トンに対しまして、本年は一万四千八百トンということで、二七%に減っております。  また、関係漁船隻数は小樽、稚内等を中心として九十隻でございます。
  37. 菅野久光

    菅野久光君 それじゃ、本年の二月中旬から新しい水域で操業が開始されたというふうに聞いておりますが、その漁獲実績はどうでしょう。
  38. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) 二月の中旬から三月中旬までの約一カ月間の漁獲量が約九百四十トンでございまして、これは前年同時期、これは漁場が違ったわけでございますけれども、前年同時期と比べますと約三分の一ぐらいということでございます。
  39. 菅野久光

    菅野久光君 前回、私が漁獲割り当ての減少にどう対処するのか長官にお尋ねしたところ、長官は沿海州水域に限って見ると割り当て量は大幅削減されているので、九十隻はそのままの数で沿海州水域で操業できないであろう。しかし、沖合底びき全体ではソ連水域全体でクォータが二十七万三千五百トンだが、漁獲実績は約二十二万トンなので全体としてはやっていける。また、沿海州水域で操業している沖合底びき船は他のソ連水域でも操業もできることになっているので、出漁隻数を再配分して振りかえていけば実質的な影響はよほど小さくできるのではないかと考えているので、道庁や関係業界と出漁隻数の再配分について十分検討していくのがまず先決ではないかと答えておられました。  そこで、道庁や関係業界との話し合いはどうなったのか、出漁隻数を再配分することで沿海州水域出漁船九十隻の操業継続は可能になったかどうか、その点をお尋ねいたします。
  40. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) 関係者間の検討状況につきましては、去る三月十八日に地元の関係漁業者から要望を聞き、これを踏まえまして現在水産庁としては北海道庁、それから関係業界協議検討を進めているところでございます。現状のままでの操業継続の可能性につきましては、関係業界及び北海道庁とも現状の体制のままでは操業継続は不可能であり、さらにまた出漁隻数の再配分も不可能であるということで十二隻の減船を要望しております。水産庁といたしましても、従来どおりの操業継続は不可能であるということは十分承知しているわけでございますけれども、したがいまして何らかの操業体制の変換が必要であると考えておるわけでございます。  さき長官の答弁を御引用なされましたが、出漁隻数の再配分等調整の可能性につきましては、一つには、先ほど私申し上げました従前から進められておりました北海道の漁船漁業再編整備計画との関連、それからまた、先ほど指摘のありました全体としてのソ連水域でのクォータが二十七万五千トンでありまして、それに対して平均漁獲実績というのが二十二万トンであるので、少しでも漁をすることによって操業が続けられるものがあれば、それはやはりそうさせた方がいいということもございます。他方、日本海岸でございますから、漁場との距離というようなことで操業上のいろいろな不都合もあろうかと思います。こういった点を総合的に勘案いたしまして、水産庁として現在検討を進めておるところでございます。
  41. 菅野久光

    菅野久光君 先ごろ私の質問に対する長官の御答弁のような状況にはなかなかなっていかない、端的に言ってみればですね。そういうふうに今の答弁でも私は受けとめるわけで、道庁もこのままじゃだめだ、こういうことになっているわけですね。  それで、私が承知している限りでは、道機船連では三月の七日に、減船をしなければ共倒れになるということで関係組合会議を開いて協議した結果、減船することで正式に決定をした。今お話のように、関係漁船九十隻のうち十二隻、一三・三%を減船することになった。そうせざるを得なかったのは、全体として調整を図ろうとしても既にもう各海域ごとにぎりぎりの操業体制が組まれて全く余裕がない、そういう中に、ソ連水域のあれもだめだからこちらの方へ回れなんというようなことで他管内船を入れるなんということは不可能な実態であるからだというふうに私は聞いております。また、単に底びき同士の調整だけではなくて、当然底びきの関係については沿岸との操業調整が必要だとも私は聞いております。当然そうだというふうに思います。この点について、本当に底びきの関係日ソとの関係で大変な状況になっているわけですが、水産庁としてその点をどうお考えですか。
  42. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) 底びき漁業、特に道周辺の底びき漁業につきましては、従前からソ連との関係だけではなく、沿岸の漁船漁業との関係、それからまた底びき漁業そのものの経営改善ということで、道全体としての漁船漁業の構造改善計画というのが進められてきたわけでございまして、そこにまた、今度新しいこの問題が生じてきたわけでございます。したがいまして、これらとの関連をどうするかというようなことも、全体の底びき漁業の今後の操業計画あるいは経営構造を考えていく上に土台としてやはり考えてかからなければいかぬ問題だというふうに認識しております。
  43. 菅野久光

    菅野久光君 先ほどもお答えをいただきましたように、新しい海域で同じ時期に比べて三分の一しか漁獲高がない。そういうような中で、このままの状態ではもう沿岸関係だけではなくてこれは生き残っていけないということでこの十二隻の減船を決めた、そして水産庁の方には、先ほどもちょっとお話がありましたが、五十二年の交付金を下回らない減船補償額の交付、それから残存者による相互補償にかかわる長期低利資金の融資、減船による離職乗組員の再就職等の救済、それから四つ目が減船者に対する税制上の優遇措置、代替資産取得期間の四年間の特例措置ですね。五つ目が減船による余剰漁船の適切な処分、最後に減船により影響を受ける関連産業の救済措置、この六点について要望しております。私はもっともなことだというふうに思うわけであります。  特に、そこで一番やっぱり金額的にも大きいのが交付金の問題なんですね。先ほどから大臣に何回かこのことで言っても、今の段階では、あくまでもこれからの状況を見てということでありますが、もう大変な苦しみの中で、そして全体で話し合って減船ということ自体も大変な状況の中でやっぱり決めていった、そういう漁民の方々の苦悩あるいは経営自体もどん底の状況にあるというような漁業者のためにも、何らかの少し元気の出るようなそういう答弁を大臣にお願いをしたいというふうに思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  44. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生にお答えします。  先ほどカニツブエビにつきましての御質問だったわけですが、このたびは先ほど沖合底びき漁船の問題でございます。減船十二隻、これは私も聞いております。六項目につきまして国としてしかるべき援助をしてほしいとの要請を受けているのも承知しております。  我が省としましては、現在、道庁及び業界の意見を聞いておりますが、これについては十分対応を検討し何らかの措置を講じたい、こう考えています。
  45. 菅野久光

    菅野久光君 ひとつ本当に温かい、ここに政治があったというような形でこの問題に対処してもらうように、私も特段のひとつお願いをしたいというふうに思います。  ところで、新規水域である樺太西水域においてはタラバガニあるいはケガニ等の甲殻類やニシンの混獲が予測されております。ソ連は混獲については実に厳しい取り締まりを行っているので、業界では大変心配しております。当局としてはソ連当局と話し合って、十分先方の理解を得ておいて、実際の操業に支障を来さないように対応してもらいたいというふうに思うわけですが、その点はいかがでしょうか。
  46. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) ソ連水域におきましてはニシン、オヒョウ、それから遡河性魚種、それから海産哺乳類等の漁獲が禁止されておりまして、これらの禁止魚種が偶然に混獲された場合には、速やかに最小限の損傷で海中に戻すということになっております。また、スケソウダラ、カレイ等につきましては漁獲のサイズの制限がございまして、非漁獲サイズと言うんですか、アンダーサイズの魚がとれますと、その混獲数量が漁獲量の八%というふうに制限が定められております。これらの措置は、ソ連が国内法上とっているわけで、日本はまた協定上これらを遵守すべき義務を負っております。実際に禁止魚種の漁獲等が操業に支障を来すというような場合には、機会をとらえてソ連側に要望してまいりたいと思っております。  また、特にこれは混獲ではございませんけれども、非常に漁獲枠の少ない魚種等のクォータが達成されてしまいますことによって主対象魚種がとれなくなるというような事態が生ずるようであれば、その微小クォータの魚種の枠の拡大を要望してまいりたいと思っておるわけでございます。
  47. 菅野久光

    菅野久光君 実際にいろんな状況が出てくると思いますので、その点はひとつ漁民の方々の率直な声を聞いて、そしてその漁民人たちのやっぱり要望にこたえるようなことで、政府としてもソ連側との今後の細かいこれは問題になっていくわけでありますけれども、非常に現場に行っている船としては重要な問題でありますので、今後の一層の漁民の側に立った取り組みをお願いいたしたいと思います。  真偽のほどは定かではありませんけれども、多分風評によるものだというふうに思いますが、関係者の間に樺太西水域は本年度限りではないかと心配する声があります。そこで当局から、それは杞憂なのかどうなのか、その点はいかがでしょうか。
  48. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) 御指摘の樺太西水域につきましては、沿海州水域の縮小の代替として新たに本年から漁獲が認められるようになったところでございます。明年以降につきまして本水域の取り扱いがどうなるかについて言及いたしますことは、先ほど大臣の御指摘の点もあり控えさしていただきますが、水産庁としては今後ともこの水域の確保に努めてまいりたいと存じております。
  49. 菅野久光

    菅野久光君 次に、外交交渉でいつも言われるのは日本の漁船の違反の問題なんですね。私も、ここでそういう違反の問題を取り上げるのは極めて残念ですし、できればそうでないようにというふうに思いますが、違反をしなければ食っていけないような何というか魚価の問題などを含めていろいろあるわけですね。そんなことで、いろいろ本当に苦しい中で漁業経営をしていく。それで魚価がさっぱり上がらない。そして違反をすれば今度はそれに対する罰金ですね。そういうことで、踏んだりけったりという言葉がどうかは別にしても、本当に違反しなければ営業できない、そういったような水産関係の苦しみ、それはわかりますが、しかし、だからといって違反をしてもいいということにはこれはならないんで、違反をしないということがこれからの外交交渉の上でも非常に有利に持っていけるというか、我が国の立場というものをやっぱりしっかり踏まえた交渉ができていくということになるわけで、そういう点で食っていける、そういったような状況にこの水産業の問題を持っていく場合には、何といっても減船の問題というのが非常に大事ではないか。ある程度の隻数でやれば食っていけるという状況、それをしっかり見きわめてそういう業界に対する指導というものを私はやってもらいたいと思います。  私の予定時間が来ましたので、あと最後に一点だけお願いいたしますが、それにしても、韓国船の対策なのです。私は毎回この委員会指摘をいたしますが、これだけ日本の国内の漁民人たちが、やれ減船だ、やれ何だということで大変苦労をして沿岸の資源を守りながらやっている。そういう中で、韓国船だけは悠々としてやってきて、自分たちが船も入れないで守っている資源をとっていってしまう。これは何とも言えないやりきれない気持ちになるのではないでしょうか。そんなことがあの羽幌沖の投石事件なんかにもやはり発展していくことになっていくわけで、韓国に対してもやはり減船要求というものを我が国の立場に立って私はすべきだと思いますし、また韓国船のスケソウのすり身、これを韓国から輸入している。そのことによってスケソウダラの価格が十年ぐらい全然上がらないわけですね。  ですから、漁獲量はだんだん減ってくる、魚価は上がらない、そういう中で韓国船だけはどんどんどんどん日本の沿岸へ来てとっていって、そしてこの韓国船のすり身を日本輸入する。何ともこれは悪循環。こんな中で、本当に漁民があすの生活への希望を持っていくということにはならないわけでありますが、韓国船に対する二百海里適用の声というのは、かつては北海道だけだったのですが、今はもう日本海全域皆そういったようなことで歩調をそろえているのですが、この問題についてやはり政府はしっかり取り組んでいってもらわなければ我が国の漁業を守ることができないというふうに私は思うのですけれども、その辺のことについてのひとつ政府としての決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
  50. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生にお答えします。  先生の御質問の意味はよく理解できるわけですが、ただ問題は、韓国に対する二百海里制度を適用することにつきましては三つの点において慎重に対処したいと思うのです。それは一つは、韓国周辺水域に出漁している我が国漁業への影響、それから現存の日韓漁業秩序との関連、さらには日韓関係全般にわたる影響の問題等を実は考え、こういう点を踏まえて引き続き慎重に検討してまいりたい、こう考えております。
  51. 菅野久光

    菅野久光君 いつまでも慎重じゃだめだな。早くやってくださいよね。
  52. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 私は、今の大臣の御答弁を伺っていて、本当に最後のところはもう少し積極的なお答えをいただけるのではないかという期待を菅野委員ともどもしていたのでありますけれども、何か慎重にという御答弁でありますが、私は小さな中でやはり責任ある立場をやっていたことがありまして、そのときに慎重にという答弁というのはいろいろと意味深長なところ、それこそ意味深長なところでありまして、この使い方はなかなかうまく使えばうまく使えるものでもありますし、そういう疑いの方もまた出てまいりますので、大臣そうじゃないと思いますけれども、本当にどうぞ前向きにひとつ積極的な姿勢で御検討をいただきたいということを、菅野委員が言いたかったのだと思うのですけれども、時間がなかったようでありますので、私がかわりましてまたお願いを申し上げます。  さてそこで、私、きのうは浦田委員の方からも出されたようでありますけれども、最近のやみ米の問題について象徴的な事件が起こって、それに対して食糧庁が一つの結論を出したということを新聞等でも伺っているわけであります。  そこで、この山形県食糧の問題についてお伺いをしたいと思うわけであります。一応業者の処分をされたということでありますから、私はほぼ結論が出たのだというふうにとったわけでありますが、ではなぜこうした事件が起こったのか、この辺のところを私は食糧庁の方でも、これらのことは山形県食糧だけの問題ということに限らないだろうというふうにも思いますし、この事件の持っている内容というのはかなり根深いんではないかというふうにも思いますし、それだけにいろいろな角度から検討をされたんだと思いますので、この事件がそもそもどうして起こったのか、その辺のところをどうとらえておられるのか、そこをまずお聞きをしたいと思います。
  53. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 御承知のように、五十六年の食管法改正におきまして、それまで米を物理的に動かすことまで含めました非常に厳しい制限をしておりましたものを、業として集荷をするとか業として販売することを押さえて、例えば農家が自分の息子さんにお米を送るとか、そういう非商業的行為のところでは外しまして、業としての集荷、業としての販売を、集荷につきましては農林水産大臣の指定、それから販売につきましては卸、小売ともいわば都道府県知事の許可制にしたわけでございます。  したがいまして、私どもは今回の問題もそうでございますが、業として反復継続してお米を集荷するなり、あるいは販売するという行為については、正規に指定なり許可を持っていらっしゃる方の適切な商業活動を通じてお米が流れるようにするというのが基本であったわけでございます。その場合に、売る方があるから集めるのだというのか集めたから売るんだというのか、まあ卵と鶏みたいなことがあるわけですが、いずれの面にしましても、そういう集荷体制、正規の集荷体制というものにある意味の弱さが出てきていたのではないか。  これは御承知のように、現在集荷で申しますと農協系で約四千五百、商業系で二千弱の正規の集荷業者がいるわけでございますが、集荷の実態を見てまいりますと、正規の集荷業者の活動はほぼ十二月程度で終わっております。その後も若干の集荷はありますが、ほぼ全国集荷の非常に多くの部分は十二月中に終わるわけでございますが、いわば特定米穀、まあ世にくず米と言っておりますものの集荷を見ますと、その後におきましても、さらに一月、二月、三月、四月、五月というようなぐあいに特定米穀の集荷が行われている。そういう集荷の中で、特定米穀に限らず、本来正規の米として流れる米も集荷がされてきているというのが実態としてございます。  私ども、正規の集荷業者につきましては、数は四千五百対二千弱でございますけれども、量で申しますと九五%は実は農協系が集荷をしております。そういう集荷の、例えば限度数量達成後とか、あるいは十二月以降みたいな時期についてもより積極的な集荷活動をいたしませんと、農家の立場といたしますと、実はよく御承知のように、いろんな時期に現金を手に入れたいというようなことから、そのもの自身は少ない数量でございますけれども、それを不正規の業者に渡すというようなことも起こり得るわけでございます。私ども、そういう面では、集荷体制というものをより競争的にと申しますか、より積極的にできるような体制づくりがどうしても必要ではないかと考えておるわけでございます。  それから、販売面でございますが、御承知のように販売につきましては、五十六年改正に基づきます新法施行の際に、小売店の店舗数につきましては、販売所も含めまして約二割程度の増加をさせております。したがいまして、販売の小売店の店舗につきましては、例えば人口がふえている地域だとか非常に米の売り上げが上がるというようなところについては、そういう新規の販売店というもの、あるいは販売所というようなものをつくることによりまして、かなり需要にこたえてきているんではないかなと思うわけでございますが、卸につきましては、御承知のように三百数社の卸があるわけでございますが、これは三十数万トン扱います非常に巨大なものから、ほとんど小売の共同仕入れ機構として、物によっては数百トンというような規模のものまで千差万別でございまして、三年間の期間を経ながら卸の力をつけてまいったわけでございますが、一つの問題としては卸間の競争、これは小売との結びつきということをやっておりますが、小売店は卸が気に入らなければこれを他の卸にかえることはできるわけでございますが、常に一つのルートだけで流れるというような問題がございまして、このあたりに、より競争的な原理を入れることがもっと米の販売等にっいて競争的な条件をつけることになるんではないかというようなことでいろいろ検討もいたしておりますが、そういう面で販売活動により活発化をさせるような要因が必要ではなかろうかと思っております。  それからもう一つは、真ん中にあります政府のいろんな米の操作の仕方でございますが、御承知のように五十六年改正の際におきまして、単なる数量的な割り当てにとどまらず、品質に応じた需給操作をしていくということで発足をしたわけでございますが、実は残念ながらここ数年のいわば不作の影響下でなかなかそれほど、いわば弾力的操作ということができないという状況もあったわけでございます。  私ども、幸いそういうようなことが可能なような条件がつくられつつあるわけでございますので、そういうような条件も整えながら、したがいまして、昔のように何か農家の人が米をどこか親戚へ持っていったのがいかぬとか、そういう話じゃございませんで、業として反復継続されますような行為が正規のものとして十分活動しておりますれば、御承知のようにそんなにおかしなルートがはびこるということにならないわけでございますので、今言いました集荷、販売あるいは政府の操作、そういうこと全般を含めまして、ちょうどことしの六月が一斉更新の時期でございますので、そういうことを一つのめどといたしまして集荷、販売の弾力化なり、政府操作につきましても需要に応じた品質別の需給というようなものも含んだ操作をすることによって、こういう事態が起こらないようにしていきたいと思っております。
  54. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 今、長官の御答弁で私も同感の部分もありますけれども、同時にまた、どうもよくわからぬと思う点もあるわけであります。  そこで、そういたしますと、一つは、昨年は大変米の需給が厳しかったわけでありますが、この米の需給の大変厳しかったときに、かなりくず米混入であるとか、あるいは業務用米を特に欲しがるという傾向が、私どもが調査をした段階でもございました。言ってみれば、こうした傾向の中でかなり不正規米も流通をしたんではないかというふうに思われるわけであります。  足りないときは当然そういうふうになるわけでありますが、しかし、ことしは一応史上最高というふうに統計上は言っておられるようでありますが、それだけの豊作であった。豊作であったときにこうした大量の不正規米流通が起こるということは、大変私は不思議な現象だ。普通の商行為による流通という、それこそ自由経済の市場で考えれば不思議なことだというふうに思うわけです。だが、それが事実起こったわけであります。なぜ起こったのかというのは、そこの辺のところもどういうふうにお考えですか。
  55. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 需給が逼迫します際は、いわば商売としておもしろみのあると申しますか、そういうやみが起こりやすい環境ということは、これはおっしゃるとおりだと思います。ところが、豊作になりました際にというお話は、農家の立場にいたしますと、それだけ自分でお米の手持ちを余計なさっている可能性があるわけでございます。  そういう場合に、私どもは、御承知のように限度は設けておりますけれども、限度を超えたお米につきましても正規に流していただく。これは自主流通の形をとるわけでございますが、ほぼ政府米の手取り水準に匹敵する価格になるように、政府の米の操作等もやりながら超過米を集めていただいているわけでございますが、この超過米という状況になりますと、先ほど言いましたように、どうも集荷業者の集荷が超過米になる段階からだんだん落ちてくる、農家の方も限度数量を出したんだからもういいでしょうというような形になって、米を持っておりましてそれを適当なといいますか現金を得たい時期に出していく、農家側の心理としましてよく言われますように、余り公にならないような形で現金を取るというような可能性もあるわけでございます。  私どもも今度の事案の中でいろいろ調べておりますが、いろんな報道等では、何かやみに流した方が有利だからやるんだというような発言もありますけれども、これは需給がタイトになるときはそういう条件もつくり得るわけでございますが、逆にそうでない条件だと、むしろ正規に超過米で集荷をした方が手取りが多いはずだと私ども思うわけでございますが、現金であるということとか、人知れず収入があるというようなことで、そういうことも捨てがたいんだというようなことも記事にも出ておりますし、そういう心理もあろうかと思います。しかし、そういうことが重なりまして、要は、そういうものが出ましても正規の集荷業者を通じて集荷され販売されますれば、それは何ら問題もないわけでございますが、それを不正規という形でおやりになると、問題は何と申しますか、要するに政府あるいは自主流通米の操作の外側でいろんなことが行われるわけでございます。それから消費者の方々に対してもまことに問題だと思いますのは、そういう米というのは往々にして今、先生指摘のような特定米穀なんかと一緒に流されて一緒に使われるというようなことになりますと、品質上も大変問題だ。  私ども、そういう意味で、今御指摘のありました豊作時もそういうことの流れる可能性は十分あるということでございますので、豊作時におきましては特に超過米が出てきますような環境のもとで、今言った農協なり商人系の正規の集荷業者が、不正規軍といいますか正規の許可を得てない業者の方といいますか、そういう人に負けないような集荷活動がぜひ豊作のときにも必要だと考えております。
  56. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 確かに長官の言われるような面あると思いますけれども、しかし、どうも私がまだ納得できないのは、今度のそうすると業者に対する処分について、これも矢萩商店が二週間、それから山形県食糧が四週間というようなことのようでありますけれども一つは処分としては極めて軽いんではないだろうか。やみ米を扱ったという事実があるんですからね。その事実に基づいて処分をするのに、さっきもお話ありましたけれども、大体十二月ぐらいまで主力のものは出てしまうということで、それが四月から二週間なり四週間なりというような形、程度の処分だったら、それは全然こたえないとは言いませんけれども、こたえ方というのは大したことないのじゃないか。もう少し違う言い方をすれば、非常に悪い表現で恐縮ですけれども、この程度の処分で済むんだったら、また何か機会があればというような気持ちを起こさぬとも限らぬ、こんな感じがするのであります。これが一つです。  それからもう一つは、処分とのかかわりでいきますと、これは武蔵糧穀と言いましたか、そこの方からずっとたどっていかれたみたいな形なんですけれども、これは新聞等を見ますと、武蔵糧穀というのは、丸正という東京の大きなスーパーのチェーンに不正規米をかなり流しておるというようなことが書かれておるわけでありますけれども、そうすると、私はその辺のところをきちんとしなければ、消費者の手に渡るところでも不正なことが行われないように、そこのところをきちんとしなかったら、もとの方だけ幾らちょこちょこといじってみても、しかもそのちょこちょこいじったのがこの程度ということになったんではということを懸念するんですけれども、その辺はいかがですか。
  57. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 先ほども申し上げましたように、特定米穀といいますものは周年集荷を実はいたしておりまして、先ほど私が申し上げました十二月中にほとんど集荷が終わると言っておりますのは、正規の米の世界でございます。山形の場合も、特認処分に先立ちましてそういうような御議論もあり得るという前提で調べておりますが、昨年でも四月以降にほぼ一割のものが特定米穀として集荷をされております。したがいまして、集荷を停止するということは経営にとってはきちっとした処分になるはずでございます。  それから販売につきましては、もちろんこれは周年にわたって販売するものでございますから、集荷、販売を四週間停止するというのはきちっとした処分だと私は考えております。  それから、今もおっしゃいました小売あるいは中間におりました無許可業者の問題でございますが、これにつきましては、御承知のようにそもそも許可がない業者でございますから、要するに許可行為に基づく行政処分の対象にするわけにはいかないわけでございます。これにつきましては、食管法にあります無許可の営業というようなことで、刑事事件という形で処理をすべき性質のものでございます。  こういう食糧管理にわたる問題について、行政的な処分と刑事的な処分をどのようにやるかということにつきましては私ども司法当局とも連絡をいたしておりまして、第一義的には極力行政処分で実施をするけれども、その実効が確保されない場合には刑事的な訴追による処分をやろうということで合意をいたしております。ただ、これをやりますためには、それだけのはっきりした具体的な証拠というものを持ちましてやらなければいけないわけでございます。たまたま今回の事案といいますのは、武蔵糧穀に運び込まれました米、これは結果的にはその時点で発見しましたものは特定米穀であったわけでございますけれども、それをたどっていきまして、いわば源の方の出口について書類その他によって事実を確認し認めさせて処分をしたことでございます。  今後におきましても、私ども特に反復継続して行っておりますような無許可の業者につきましては監視の目を厳しくしておりますので、そういう事態の中で必要に応じて特に悪質なものについて刑事的な訴追をすることは十分考えております。
  58. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 今の特定米穀はこれは矢萩商店の方でしょう。山形県食糧の方はこれはどういう形になりますか。
  59. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 今回処分をいたしましたのはいずれも特定米穀の集荷、販売の指定あるいは許可を持っておりますが、事案として扱ったのは特定米穀ではなくて、売ったものを正規の米であるということを確認して処分したものでございます。したがいまして、一番最初に運び込んできて事件の端緒になったものは、たまたま現物を確認したところ特定米穀であったということを申し上げたわけでございます。
  60. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 いずれにしましても、まずは消費者のところに不正規流通米がかなり大量に流れている、こういうことが新聞等でも報ぜられ、そしてまた御調査になったその中でも、いろいろと察知をされるという側面があったのではないかと思うんです。ということになりますと、私は少なくとも法治国なんでありますから、そういう不正規なものを大量に流していたというようなものについては、やはり毅然とした態度でもって臨んでもらわなきゃならない。今のお話では、消費者の方に直接売った部分をどうするかというのは、これはまだお決めになっていないようでありますけれども、私はまずその辺のところもきちんとしていただかなければならないんだと思います。  それから第二に、地元での取り扱いについて、私はやはり法律を犯した行為をやった場合には、それこそ本当に重大な反省をしてもらわなければならない、そういう対応ができなければならぬのだと思います。先ほどの御答弁の中を伺っていると、昨年度で大体一割程度というようなお話がありました、年を越してからでしょうか。そうすると一割程度の米を扱っていく中の、さらに四月の二週間とか四週間とかというこういう範囲のことで、私はこたえ方が強いか弱いかというようなことでいろいろと議論しても、それは程度の差で、判断はいろいろとあるかもしれませんけれども、少なくとも私は処分の程度としては軽いのではないか、そんなふうに思うわけであります。そしてまた、さらにこの問題を一つの契機にして、むしろ積極的に今後こういうことが起こらないようにする対応考えなければならない、そう思うんでありまして、長官の御答弁をいろいろと伺っている中で、やはり制度的な問題点もいろいろあるんじゃないだろうか、こういうふうに私には受け取れたんでありますけれども、どういうふうにお考えになっていますか。
  61. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 処分につきましては、集荷、販売というものをとめるわけでございますし、今回の事案等につきまして関係者、大変多くの方々からのいろいろな御批判がいっぱいあるわけでございまして、実は私は今までの処分の中で一番重い処分をしたつもりでございます。  それから、おっしゃいました制度的云々といいますのは、法律の根っこから直して制度的云々というようなことは私ども考えておりませんけれども先ほども申し上げましたように集荷については特に農協系、商系の集荷の競争ということではなくて、むしろ正規の集荷の業者が、こういう不正規で集めてくるのに対応してどうしてもっとよく集荷をするかというための弾力化の話、それから販売につきましては、例えば結びつき問題も含めたそういう販売をもっと効率的に、かつ競争的にやれるような条件づくり、そういうことにつきましてはこの問題と直接関連するということだけではございませんで、もっと広範な問題がございますけれども、やはりこういう問題の解決のためにも一歩踏み出していく必要があろうかと思っておりまして、これの具体化につきましては既に相当程度の検討を進めておりますので、六月の更新等の機会を踏まえ、あるいはその後におきましても集荷、販売の弾力化につきましては前進をさせるつもりでございます。
  62. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 長官長官の姿勢としてはわからぬわけではありませんけれども、昨年もかなり不正規米がいろいろと出回っておるんじゃないかということで、本委員会でも心配した質問がいろいろと出て、それに食糧庁としては精いっぱいいろいろと調査をしていますというようなお話もありましたけれども、だが現実はなかなかそう簡単になくなってないということだと思うんです。それこそ、うわさだとかなんとかということになってくればもう数限りなくあると言っていいわけでございまして、それだけに、こういうことをなくすための対応というのは大変な努力が要ると思うんです。今までも努力をしておられると思うけれども、しかし、やはり私は、山形県食糧で起こった問題というのは本当に氷山の一角でしかない。  このことは、例えばこの山形県食糧というのは全糧連の幹部をしておられる方が、それこそ大幹部をしておられる方がそもそも出身であり、その同族会社であるということなども、やっぱり我々としては疑いの目でもって見ざるを得ないということになります。その辺のところは、当然食糧庁としても疑ってかかっていかれるのが当然だろうと思うんです。普通、我々ちょっとしたほかの犯罪を犯しても、何かちょっと関連がありそうだったらとことん根掘り葉掘り追及をされますし、もし少しでもにおいがあったらそれこそ重大な対応策をされなければならぬ、こういう問題ではないかと思うんですけれども、その辺のところは御調査になったんですか。
  63. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 今回の事案もたまたま最近大きく出ておるわけでございますが、端緒は昨年の十二月、かねがねそういうルートがあると言われておりますものにつきまして、実は食糧庁の職員が早朝六時にそういうトラックの到着するのを見つけて事案にしたわけでございます。そういうことはいろんなところでやっております、どこでやっているということは申し上げられませんけれども。私どもやはり事案としましてはある程度そういうことが現にあるわけでございますので、それについてはこういうような形で厳正に処分をするということ、これは五十六年の改正のときに業として正規にやっていただく人にはそれなりの責任を持っていただくということで、やった際からこういうことをやってきたわけでございます。  御承知のように、改正時点以前では、例えば小売だとか、あるいは卸的なものにしてもかなり多くの無許可営業があったわけでございますが、いろいろと詰めてまいりまして、あの改正時点から比べますと、はるかにそういうルートというものは小さくなってきたはずだと思います。  ただ問題は、それでは完全になくなるかといいますと、これはかつての強制的な何と申しますか、いわば強権発動的な集荷といいますか、そういう時点においてもどうしてもそういうものが根絶できなかったということも事実でございます。私どもはやはり米というものはこれは第一義的には生産農家がつくっていらっしゃる、そこから出てくるものでございまして、その段階で少なくとも業として流してくるようなそういうルートに流れないようにどうしてやるか、したがいまして、かつてのように、五十六年以前は移動禁止までかけてまいって……
  64. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 過去のことはいいですよ。
  65. 石川弘

    政府委員(石川弘君) そういうことでは問題があるというので、業という高さのところでとらえるようにしたわけでございますので、今後もこれはこれで終わるということじゃございませんで、私どもそういうおかしな流れがあるということでございますれば、今後とも重点的に、こういう不正規流通は摘発もいたしますし、それから流通面で改善をすべき点は改善するというのが私たち気持ちでございます。
  66. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 関係は調べたんですか。その点はどうなんです。その全糧連の大幹部をしておられる方の同族会社ですと。だから、そうすると、そこで私どもはいろいろとそこには疑義が生まれてきます。当然、食糧庁も疑問をお持ちになったはずですが、そういうことはお調べになりましたか。
  67. 石川弘

    政府委員(石川弘君) この会社は、全糧連の会長がかつて創設した会社でございます。現状を申し上げますと、取締役も辞任して相談役、これは去年ぐらいから相談役でございますから、いわば会社を支配する権能は持っておりません。株式も一切持っておりません。
  68. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 そうすると、その全糧連の会長が、この会社の今回の事件というものに何らかの関係はあったと疑われますか。その点は調べられましたか。
  69. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 事件が起こりました後、私のところに謝罪と申しますか遺憾の意を表しに来られました際に、自分の関係のあった会社であって申しわけないということをおっしゃいましたが、あの会社の業務にはタッチをなさっていないということでございます。
  70. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 その点は公式にいろいろとお調べになりましたか。選挙違反でも極端な場合、我々が選挙違反の話をして申しわけないけれども、選挙違反などということをやったときには、それこそちょっとでも疑いがあれば、つながりのある人は徹底的に調べられるというのはこれは当然なんですよ、法律に違反するという行為があったときには。ですから、当然そういうことは、選挙違反と同じようにとは言いませんけれども考えられたんだと思いますけれども、お調べになりましたか。
  71. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 取り調べるということでございますと、山形食糧事務所は、これはかなり何度も回数を重ねまして書類その他を点検をしたわけでございます。したがいまして、山形県食糧株式会社の社長、専務、そういう者については厳正に取り調べをいたしております。
  72. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 それは商経アドバイスという新聞にもいろいろと記事が載っておりますし、朝日新聞の三月十四日の記事にも載っていることなんでありますけれども、かなりいろいろと工作をされたんではないかというふうに疑われる面もあります。私は当然こういう情報がいろいろと出てくれば、当事者の言い分というだけではなくて、言ってみればいろいろと傍証も固めながら事実関係というのを明らかにしていくということは非常に大事なことだと思うんですよ。その辺はどの程度やられましたか。
  73. 石川弘

    政府委員(石川弘君) それは食糧事務所が、先ほども申しましたように数回、これはたしかかなりの回数でありますが、いろんな事実を調査をしまして私どもに報告をしてもらっております。したがいまして、こちらも行政処分をいたしますからには確信がなければできませんから、きちっとした調査をし、最終的には向こう側の事実確認を得た上で処分をしているわけでございますから、確かに調べまして、あの会社がそのような行為をやったということを我が方が確認した上で処分をしたわけでございます。
  74. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ほかのこともいろいろと伺いたいんでありまして、この問題だけで時間をとっていられないのに、もう時間が随分経過してしまいました。私としては要望を申し上げておきたいと思うんです。  それは、一つには、やはり新聞等で報ぜられている事実関係というものの中にはかなり問題な点が幾つかあります。ただいま申し上げた全糧連の会長さんが創立された会社ということの中で起こったというその事実にも随分ショックを受けているわけでありますが、さらに先ほど触れましたような武蔵糧穀を通じて都内の無許可販売、これはかなり大量にやられているということのわけでありますから、これについても早急に適正な対処をしていただかなきゃならない。そして、そういうものをきちんとすると同時に、先ほど長官も触れられましたけれども、やはりこういう問題が起こってくる原因の一つの中に、集荷、卸、それの中で農協という生産者団体の組織というのは、これはそれなりに大衆組織としていろいろな形で体制がつくられているという面もあるわけでありますが、しかし商系の場合のやはり適正な競争という、これは非常に重要な問題だというふうにも思うわけであります。  したがいまして、そうした競争の原理というものを、小売りという段階だけではなしに、卸の段階でも競争の原理というものをかなり合理的に積極的に考えていただくということが必要なんではないか。そうしたいろいろ御検討その他、今後こういうことが起こらないようにするための、我々がある程度納得できるような結論を一応いただきたい。いろいろと御検討いただきたい。御検討いただいた結果をお聞きするまで、一応留保させていただきたいというふうに思うんです。検討していただけますか。
  75. 石川弘

    政府委員(石川弘君) 今も最初に御説明しましたように、運用問題について私ども既に検討を行っております。したがいまして、早急に結論を得て、これは農協も含めましてやはり競争原理の導入ということは十分考えていかなきゃいかぬと思っております。
  76. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 それでは、私はこの点についてはその結論を見てまたいろいろと審議をさせていただきたい、こんなふうに思いますので、それまでの間、この問題はまたとっておきたいと、こんなふうに思います。いずれにしても、こうしたことが今後絶対に起こらないようにということを積極的に進めていただきたいというふうに思います。  次に、もう時間がなくなりましたので、実は私は簡単に農薬の問題についてお聞きをしておきたいというふうに思います。  これは、過日カネミの油症事件などでも、農林水産省の対応ということでかなり厳しく糾弾をされたと言ってもいい、そういう事件だったと思うんであります。そこで、私は農薬の安全性対策、そのチェックの問題について、これは何回も本委員会で私は伺ってきていることなんでありますけれども、同じことを繰り返して聞かなければならないということを大変残念に思います。そして、その同じことを聞かなければならない原因の一つに、私はやはり農林水産省の農薬の安全性に対する考え方というものに問題があるんではないだろうか、こんなふうに思うわけなんです。  ということは、実はこの間、私はたまたまインドのボパールの毒ガスが大きな被害を与えた事件、爆発事故で与えた事件について市民団体の皆さんが大変心配をして、我が国のこれからの対応策ということを心配をして、農林水産省も含めて政府各省庁の関係者皆さんに来ていただいていろいろと話をする、その場に立ち会わせていただきました。このときに大変残念なことが一つありましたのは、農林水産省の対応が一番悪かったんですよ。ということは、まことに私は残念なんですけれども、出席をしていただいた担当者のところで、農蚕園芸局から出された通達について聞かれて、その通達の内容を御存じないというような、これは担当者にとっては、極めてそこへ出た方にはお気の毒な話でありますけれども、しかしわからないという答弁をしておりました。  私は、いずれにしても、農薬を扱っていく場合に、それが人間の命と健康にどう影響するか、このことがいつでも重大な問題として腹に置いてもらわなければならないことというふうに思うんですよ。それに対して極めて何か事務的な扱いが、そのときにうまく通ってしまえばいい、極端な言い方で恐縮ですけれども、そういうものがあるんじゃないでしょうか。カネミの事件だってそうでしょう。本来、人間の命というものを本当に大事だというふうに考えていたら、あの大量なへい死事件というのは、直ちにこれがもし人間に影響があるようなことがあったら大変だと気がついて対応するのが当たり前のことです。それができなかったというところ、されてなかったというところ、やっぱり私はそうした基本姿勢のところに問題があるのではないだろうかというふうに思うんです。これは特に担当の局長ですね、今の体制というか、その辺のところが少し緩んでいるんではないだろうかということを私は心配をいたしますので、どういうふうに受け取っておられて、今後どういうふうに対処をしようとしておられるか、その基本姿勢だけちょっと伺いたいと思います。
  77. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 農薬の安全性につきましての御指摘でございますが、この登録の段階では、御承知のように、現在の学問の水準に応じました残留試験成績等をもとに、農薬検査所の検査、資材審議会の学識経験者による評価、そういうことで確認をしておりますし、また厚生省、それから特に残留性の問題については保留基準の設定について環境庁、密接な連絡を通じてやっておるわけでございますが、ただ先生の御指摘ございましたように、農薬のような、あるいは飼料、えさも同じでございますが、一般にこういう農業生産資材の対策というのは、もともとは生産者に対する資材品質確保ということでございまして……
  78. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 ちょっと待って。そういう言いわけの方はもういいから、基本姿勢として聞きたいんだよ。
  79. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 姿勢の問題については、確かに先生の御指摘のように、消費者と申しますか、人命に対する影響については、制度はできておりますし慎重に運用しているつもりでございますが、これからも基本姿勢については御指摘の趣旨も踏まえまして十分留意してまいるつもりでございます。
  80. 稲村稔夫

    稲村稔夫君 済みません、大臣一つだけ。  時間超過で申しわけありませんが、私は実を言うとこれは大臣にぜひ聞いておいていただきたいと思うんでありますが、今私どもの新潟では、雪国で雪害でもって大変厳しい状況にあって、果樹、山林もうひどい状況であります。これに対してはいろいろと御配慮をいただいてきておりますし、これからも積極的にいろいろとお願いをしたいというふうに考えております。ただ私は、こうした被害が起こるたびに思うわけでありますが、大臣ということで大変な任務についておられるんですけれども、やはり百聞は一見にしかず、いろいろなあれはありましょう。農業、林業、漁業も含まれるわけでありますけれども、何か大きなあれが起こりましたときには現実にその目で見ていただいて、そうして大臣のお考えをきちっと決めていただく、こういうことをぜひやっていただきたい。これは私のところの新潟に来てくださいという意味で申し上げるのではありません。そういう事実というものを、特にこういう災害などということが起こったときにはぜひそういうことを心がけていただきたい、こんなふうに思うんですけれども、これは要望として申し上げます。
  81. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 きょうは、予算委員会の委嘱ということで農林水産関係の問題についてお話をするわけでありますが、その前に、農林水産につきましては現在対外経済政策といいますか、対外経済問題の大きな諸問題が横たわっておりますので、最初にその問題についてお伺いをしておきたいと思います。  先日、予算委員会でも大臣にお尋ねをいたしたところでございますが、やっぱりこれは日に日に状況が報じられておりまして、私どもも公の場では、昨日もお話があったようでありますけれども、毎日毎日この問題が大きく取り上げられておりますので、また法案審議とは違って、きょうは各般の問題について論議をするわけでございますので、再びこの問題について大臣のお考えをお聞きをしておきたいと思うんでありますが、木材製品の関税引き下げ問題です。この前の予算委員会のときには総理も理解を示してくれている、私どもと認識は同じだというお話があったんでありますが、しかし最近報じられるところによりますと、三年をめどに国内産業に対する対策を講じてとか、そういうことがいろいろ言われております。  国有林を初めといたします林業経営の危機的状況というのはここ十数年いろいろ論じられているところであります。また、その体質強化ということも、ほかの加工産業と違って二年や三年でそう急激に構造が強化されるというそういうものでもないだろうと思います。総理が緑を大事にするというお話もあるんですけれども、しかし、これはそれとともに日本が誇ります緑豊かな、そして最近どんどん失われつつある緑、また過疎地としてだんだん林業に手を加える人がいなくなるというこういう深刻さ、また製材関係につきまして合板を初めとする加工関係につきましても非常にもう危機的状況にある。  こういうことを考えますと、大臣も私の立場ではというお話のようでありますが、しかし、たとえ三年をめどとか、新聞報道ですからどういうお話をしたかは確実にはわかりませんが、報道によりますとこういうお話がございますが、そんな二年や三年で体質が強化されるようなものでもないと私どもは非常に厳しく見ておるんですけれども、木材製品の関税引き下げの問題につきまして、何度も同じ質問をして申しわけないんでありますが、現在のひとつ大臣の御決意といいますか、お考えを率直にお述べいただきたいと思います。
  82. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。  我が国の林産業をめぐる厳しい状況についてはもう既に御存じのことでございますし、また森林の持つ公益的機能については御存じのところと思いますので申し上げませんが、木材資源の対外問題につきましては前から申しておりますようなことで、関係国との友好関係に留意しつつ我が国林業を生かすとの観点に立ち、その健全な発展との調和を図って対応することが基本的に大切だと考えております。  そんなことで、現在の森林、林業の置かれている厳しい現状を見ますと、先ほど先生も御指摘ございましたことで、関税問題の対応に先立ちまして、単に合板業界の体質改善のみならず、中長期の視点に立って木材産業及び林業を通じた対策を進める必要があると考えております。そんなことで、私は関税問題は林業、木材産業が活力を取り戻した後に対処すべき問題であると考えております。
  83. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 ぜひひとつ大臣のその決意、これは単に木材業界というだけではなくして、日本の国土保全という日本にかかわるこれは重大な問題でありますから、山紫水明と言われてまいりました日本のこの緑がどんどん失われつつあるという広範な問題点を抱えておるということで、大臣が今お話しになったことはぜひひとつその方針を貫いていただきたい。また、私が前にも申し上げたように、二期も三期も本当に大臣がかわらずに農林水産省を担当していただく、その精神はひとつ貫き通していただきたいと思いますが、そういうことを強く要望しておきます。  ただ、今四月九日を目指しまして対外経済問題についての、中曽根さんがアメリカへ行って約束してきたことを中心としまして、四部門についての話がいろいろ煮詰まりつつある。国内的には大臣の立場としては今お話しのような強い決意であることは間違いないだろうと思うんでありますが、しかし対外的な問題ということになりますと、もっと高い政治的な判断のもとに、四月九日になるのかいつになるのか知りませんが、ばさっとそれが政治的な決着を見るようなことがあっては相ならぬというのが、我々の非常に危惧する点であります。  これは大臣が、そういうことについては中曽根総理とも何度かお話をしておるということですから信頼する以外にはないんでありますけれども、今日までも各委員からいろいろお話がありましたし、また国民の大多数の方々も、最近の緑に対する関心の深さということの中から、これを急激に方向転換するようなことがあってはならぬ、こういうことで非常に注目をしていることだろうと思うのでありますが、ぜひひとつ、高いレベルとか政治決着とかそんなことで、この大事な日本の国土の保全という見地からも、また先祖伝来守り通してまいりました山紫水明のこの日本の緑を守るという上からも、そういうことで外圧のためにゆがめられることのないような強いひとつ決意で臨んでいただきたい。これは同じことを何度も言って申しわけないのでありますが、大臣のひとつ決意のほどをお聞きをしておきたいと思います。
  84. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 私は、これらの問題につきましては河本長官が担当長官で、話しております。それで、中曽根総理とは直に話しておりません。ただ、私の理解では、中曽根総理の考え方も私の考えと同じと理解しております。
  85. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 この前、一般質問で総理がいないで特命相の話でも同じようなことを言っておりましたが、ぜひひとつこれは私どもの杞憂ということでありますように、また諸条件の問題についてはひとつ農林水産省としても全力を尽くしてやっていただきたいと思います。  もう一つは、今問題になっておりますのは、タイから要請されております骨なし鶏肉の問題でありますけれども、これは現在の輸入状況からいたしまして、関税が輸入一つの大きな障壁になっているとは言えないんですが、これはアメリカとのバランスといいますか、関係のことから出てくるんだろうと思います。そういうことで、これもまた日本の国の養鶏に大きな影響を及ぼすということで予算委員会でもお話を申し上げましたが、日に日にいろんな問題点が浮き彫りになってきておるわけでございますので、再度この点についても大臣の決意といいますか見解といいますか、お聞きをしておきたいと思います。
  86. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生にお答えします。  骨なし鶏肉につきましては、かつて私が詳しくお話したとおりでございます。日本では生産過剰、価格の低迷ということで大変困っております。しかも、骨なし鶏肉の問題というのは、また農林水産業の施設利用型産業の優等生ということでございまして、価格の維持等も業界がお互い知恵と金を出し合ってやっておる、そんなことがございます。  そんなことで、実はタイにつきましては、この間からタイの副首相が参ったり、あるいは経団連が東南アジアを回ったとき、いろんな要望があるわけですが、私が今言っておりますのは、まず第一番に総合的施策をやってほしい。それから実はタイとの輸出入を見ておりますと、大体タイから日本に約十億ドルぐらい物を買っておりますが、そのうちの八億ドルが第一次産品で、鶏肉は六千万トンぐらい年間買っておる、これが現状。しかも、タイに実は仮に同じような骨なし鶏肉を輸出する場合は六〇%の関税がかかるわけです。そういう形の中に一番大きな問題は実は日米合弁企業、すなわち日本が直接タイに投資した金額約四億ドルでございまして、この売り上げにつきましては数千億、これが皆実はタイでつくったものについては日本に輸出しないという特約条項を持っておるという、そんなこともございまして、その辺を含めて総合的に検討してもらいたいということを実は私は現在要望しております。また、国内におきましては雇用の問題、特に鹿児島、宮崎あるいは岩手などにおきましては大きな産業の一つ、例えば岩手県などにおきましては農林水産物の生産が千百億のうち実は骨なし鶏肉は三百数十億、しかも大きな雇用の場になっておる、こんなことを含めまして総合的にひとつ今までどおり頑張っていきたい、このように考えております。
  87. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 今、大臣いろいろお話しになりましたが、私どももそういう現場を見ているからいろいろ危惧をして申し上げるんでありますが、これは御存じのとおり、合板問題や骨なし鶏肉の問題をお話申し上げるのは、外国からのこういう要請、外圧ということと、国内的にもいろいろな動きのあることはもう御存じのとおりだと思います。  特に、対外経済問題諮問委員会ですか、この報告書なんか見ますと、やはり摩擦回避へ犠牲も辞さないなんという、こんな大きな見出しが出るような報道がされておる。そういう中で農業にも厳しくという、こういう表題が出た、大来さんが中心になって。一国の農業というものについてはそれなりの見識を持っていらっしゃる方だと思いますけれども、農業に対しても非常に厳しい見方をしているわけであります。  こういう中で、鶏肉問題や合板問題、こういう関税引き下げに踏み込んだ考え方というのは当然出てくる。現在二十二品目ですか、残存輸入品目、こういう問題についても厳しく手が入れられるだろう。今日までも当委員会でもいろいろお話してまいりましたけれども、これは体質強化ということについても農水省も一生懸命努力をしてきたと思いますし、それぞれ農家の方々も御努力をしていらっしゃったと思いますが、何せ加工業のように急激にはいきません。そういう中である時間というものは必要だろう、こういうことでありますが、しかし外国の要請というのは非常に急を要する強い厳しい要請である。そういうことで、国内的にもこういう対外経済問題諮問委員会等の報告書の中にも農業に対して非常に厳しく見ておる、こういうことに対しまして農水省としても当然それなりの対応というか、そういうお考えがあるのだろうと思うのでありますが、この点はどのように見ていらっしゃるのか、御見解を伺っておきたいと思います。
  88. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生にお答えします。  対外経済問題諮問委員会は、対外経済問題関係閣僚会議の要請に応じまして二つの点を現在作業をしております。  その一つは、対外経済対策に関する経済対策閣僚会議決定事項の実施状況。もう一つは、我が国経済の一層の国際化を進めるに当たっての中期的課題について審議を行っていると承知しております。この諮問委員会の答申の報告は四月九日に行われる予定とのことでありますが、詳細は十分承知しておりません。  いずれにいたしましても、農林水産物の市場開放問題については、私としては従来から申し上げておりますように、関係国との友好関係に留意しつつ国内の需給動向等を踏まえ、我が国農林水産業を生かすとの観点に立ち、その健全な発展との調和を図って慎重に対応していくことが大切であると考えております。
  89. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それはまた後から申し上げますが、関係国との関係、また日本の国の農林漁業の現状、そういう常日ごろの協議または話し合いというのは大事なことなんだろうと思います。  いずれにしましても、国内でもこういう問題について取り組んで長期的な展望に立って長期、中期に見ていかなければならないという時代でありますから、それなりに農水省としてもきちんとひとつガードを固めるといいますか、対応策というものを十分に考えていかなければいかぬ。今まで見てまいりますと、問題が起きてそれに対してどう対応するかという後追い後追い、その場その場ということで今日まで来ました。しかし、もうそういうことでは対応し切れない諸問題が噴出をしておるというのが現状だと思います。そういう中で、やはりどこまで抗し切れるかということでありますが、まあそれなりに中期、長期的な展望の上に立ってやはりきちんとした対応策、そういうものを理解せしめるということも必要なことだろうと思うんであります。  この問題については以上にしまして、次は漁業のことについていろいろお話をしたいと思うんでありますが、まず漁業の問題については、先ほど同僚委員からもお話ございましたようにいろいろな問題がございまして、まず一つは、差し迫ったいろんなことがあるんですが、捕鯨問題ですね。これも国際捕鯨委員会が本年の秋ごろの商業捕鯨について全面禁止を決議したことに対する異議の申し立てをしておるわけでありますが、これに対してアメリカが異議の申し立てを撤回せよ、そういうことで昨年の十一月からいろいろ協議をし、八月一日だと思いましたけれども、それまでに撤回をすれば六年、七年の二年間については沿岸の捕鯨はやらせましょう、これに言うことを聞かなければアメリカの二百海里水域の漁業にしても締め出すぞというような、恫喝漁業外交とも言うべきこういうことが取りざたされております。しかし、当初の話し合いには次長もいらっしゃったはずでありますが、その後ずっと音信不通というか、内容的には全然我々の手の届かない状況になっているんですけれども、この捕鯨問題、アメリカとの交渉、話し合いはどういう状況になっているのか、この点ひとつお聞きをしておきたいと思います。
  90. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) 商業捕鯨モラトリアム問題につきましては、三月二十三日から私が参りまして、その後、長官と現地で交代いたしまして米側関係者と協議を行ってきたところでございます。  しかしながら、米国は、昨年十一月提案以上の譲歩は困難であるということで強硬な態度に終始しておりまして、事実上、四月一日を過ぎました現在に至りましても決着を見るに至っておりません。この問題につきましては、引き続き関係業界とも協議し、また本委員会の御決議、それから国民の世論等にかんがみ、細心の注意を払って対処してまいりたいと存じます。  現在、なお協議が継続中でございますので、協議の内容については交渉の機微に触れることもありますので、コメントを差し控えさしていただきたいと存じます。
  91. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 外交問題ですから公にできることとできないことはあるだろうと思うんですが、報道ではいろんなことが論じられておりますけれども、四月一日という一つの期限があって、まだ協議を続けているということでありますから、この問題についてはまだ協議中ということで話の決着はついていない、こういうふうに理解してよろしいんですか。
  92. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) 御指摘のとおりでございます。
  93. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 日ソも非常に厳しい状況にありますが、特に友好国という名前が前の方につくと、何か非常に易しく話がつくみたいな感じなんだけれど、漁業に関する限りは、友好の二文字はどこかに飛んでしまって非常に厳しい。私もこれは何度か申し上げておるわけでありますが、しかし、ボールドリッジ書簡の中に、異議申し立てを撤回すれば二年間の捕鯨は延長を認めるぞと、こういうことがあっての話し合いだろうということなんですが、今後どういうように推移するかということはこれは難しいことなんですが、しかし、これは日本の伝統的な捕鯨を守るという上で、また過日、当委員会におきましても決議をいたしまして、国民の世論として非常に強い意思を持っておるということで、強い交渉に当たっていただかなきゃならぬ、こう思うんであります。この交渉の経過、そしてまたその後のことについて、いろんな問題点がこれは後にまた尾を引くことになるんですが、おおよそ話し合いというのは、どうしようもないところにぶつかっていて進みようがないのか、いつごろが決着を見るような状況なのか、話し合いは大分進んでいるのか、その辺の感触といいますか受けとめ方はどうなんでしょう、農林水産省として。
  94. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) まことに申しわけないんでございますが、協議交渉の内容につきましては、極めて機微に触れるところがございますので、差し控えさしていただきたいと存じます。
  95. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 差し控える差し控えるじゃ、何も進まないのであれなんですが、しかし大臣、当委員会でも法案審議のありました後に、軽々しくこれは決着してはならぬぞということで、国民の代表として集まっております当委員会として、この委員会の名において強い決議をしたわけでありますが、友好国というこの三つの字がつくアメリカとの交渉、今のお話ですと非常に厳しいお話のようで、新聞にもにおいもかがれないほど何にも文字が出てこない、こういうことです。ということは、非常に難航しており、こちらの方の意思がなかなか通らないというふうに推察する以外にないんですけれども大臣もいろんな状況等についてはお聞き及びだろう。政治家としてこの問題についてひとつ強力な、農林水産省としての交渉というよりも、日本としての長い伝統、文化、いろんなことから鯨とのかかわり合いはあるわけでありますけれども、強いひとつバックアップをして、この決着を見るように推し進めていただきたいと思いますが、どうでしょう。
  96. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今、斉藤次長が話したとおりでございますが、商業捕鯨モラトリアム問題に関しましては、昨年十一月の日米捕鯨協議の際、米側から一定の提案がありましたが、その後、反捕鯨団体が米国政府を相手として起こした訴訟との関連で、その有効性について疑念が生じました。このため、実は決議等の趣旨を踏まえましてワシントンに水産庁長官を派遣し、米側提案の取り扱いについて協議を行わせているところでございますが、一番基本的問題は、先生も御存じのように、鯨に対する認識が全く違うというところで非常に困っているのが現状です。そして米国政府が強硬な態度を崩しておりません。  そんなことで、きょう長官が帰りましたら、早速実は打ち合わせしまして、その後の経過を聞きながら、できるだけ我が国の捕鯨について米側に理解を求め、何らかの形で捕鯨が存続できるよう最善の努力をしたい、このように考えております。
  97. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それ以上聞いても何も出てこないでしょうからあれですが、とにかく当委員会で決議したという、今まで余り例を見ない、そういう強いみんなの意思の集約がなされたと、そういう背景もこれあり、ひとつ関係業界の方々の危惧される問題にも強い態度で取り組んでいただきたい。また、日本人としては、アメリカ人の生活、文化と違う面もありますが、長い歴史もあることであり、今までのアメリカの言い分やまた国際捕鯨のいろんなことを見ますと、やはり日本の国に長く根差した技術とか、また伝統的なものというのを消失させるようなことがあってはならぬという関係者の方々の大変な危惧があります。アメリカはそんなことは知っちゃいないということなのかもしれませんが、やっぱり日本の立場というものはしっかりとひとつ訴え続け、それは農林水産省だけじゃなくて内閣としても厳しく対処するように、政治佐藤先生の御活躍をひとっ心からお願いをしなきゃならぬと思うんです。  次に、日米漁業問題ですけれども、これもさっき申し上げたように、当初の漁業割り当てというのは三十三万六千トンですか、これは前年に比べますと三〇%ぐらいの減になっているし、また年間の割り当て量というのは三回かに分けてあれするんですけれども、およそ九十万トンということになると、二二%ぐらいの減ということで、その一方ではアメリカからの水産物の輸入というものがだんだんふえておる。これは、これからの時代的な推移ということになるのか、これも同僚委員からお話ございましたように、長い間漁場の開拓ということとともに、今日まで携わってきた方々がいらっしゃるわけでありまして、アメリカとの漁業交渉につきましてもいろんなことが危惧をされております。今後の見通し等も含めまして、交渉問題について概括ひとつお聞きをしておきたいと思います。
  98. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) 先生指摘のとおり、米国は一年間の漁獲割り当てを年三回に分けて、一月と四月と七月に行うということになっておりまして、その割り当てを行う都度、対米協力の度合いを勘案するということで、日本に対しまして洋上買い付けとか、あるいは米国水産物の買い付け等あるいはその他の技術協力等の実施を迫っておりまして、これが実施されない場合には対日漁獲割り当てを削減するというようなことを示唆してまいっておるわけでございます。  他方、米国自体の水産業も、近年は活発に発展をしているということもありまして、本年の対日当初割り当ては、先生指摘のとおり、約三割方削減ということで三十三万六千トンという厳しいものでございました。年間通しては九十万トンに何とかしてやろうということは言っておりますけれども、これも今後の協力いかんにかかるというような状態でございます。  我が国としましては、米国に対しましていろいろな協力要請はあるわけでございますけれども、可能な協力しかできないわけでございまして、可能な協力は行う。ただし、その条件は、日本に対して安定的な操業のための割り当てを行うということであるという態度で、鋭意折衝を重ねてまいりたいと思うわけでございます。
  99. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 次に、日ソ漁業問題について、日ソサケマス協定交渉の問題でありますが、これもさき日ソ地先沖合漁業協定に見られるように、それも等量主義という、こういう考え方の上に立って非常に厳しい条件がいろいろ付されている。しかしながら、この交渉については、例年五月一日に失効するということですから、そのうちに話を決めればいいということじゃなくて、やはり漁業関係者にとりましては期日のあることでもありますから、これを積極的にお話し合いを進めていただかなきゃならぬということでありますが、この日ソ漁業交渉等、サケマスの問題については現在どういう状況でしょうか。
  100. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) 本件につきましては、去る三月二十一日から六回目の交渉がモスクワで行われております。これまでのところ、母川国にサケマスに関する第一義的利益及び責任があるということ、それから日本漁船によるサケマスの公海漁獲が実態的に認められるという二つの大筋については合意はあるわけでございますけれども、具体的に協定の中に海洋法条約をどう盛り込むか。さらに詳しく申し上げますと、日本漁船が公海漁獲を行う場合にその操業条件等をだれが決めるかというような問題、それから取り締まり等をだれがどうやってやるかといったようないろいろ難しい問題がまだ残っておるわけでございます。特に今回の交渉におきましては、先生指摘のとおり漁期も迫っております。双方とも今回の交渉で何とかして妥結をしたいということで、具体的な条文の決着を目指して臨んでおるわけでございますが、今のところ交渉の成り行きには予断を許さないものがあるわけでございます。  私どもとしましては、我が国の北洋サケマス漁業には、漁業従事者のみならず流通加工業者等多くの関係者がおりまして、これに依存をして生計を立てておるということでございますので、今回の協力協定交渉及びそれに引き続く実態交渉が本漁業の安定的継続を可能にするように、最大限努力を傾けていきたいと思っております。
  101. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣、今アメリカとの漁業交渉、それからソ連との漁業交渉、また国際的な鯨の問題、それがアメリカとの解決ということになっているわけでありますが、こういうことで漁業外交というものを重視しなきゃならぬということは、これはもう機会あるごとに私ども叫んできたことでもあり、また農林水産省として重要なこととして今日までお取り組みになったことだと思います。  アメリカと日本とは国情も違い、政治形態、いろんな面で違いもありますが、やはり大使館等参りましてお話を聞きますと、現場とワシントン、こういう間での話し合いというのもなかなか複雑といいますか、情報というものはなかなか取りづらいというこういうことで、さっきは大臣もお話ししておりましたが、この情報収集というのは非常に何かおくれているみたいなお話がさっきもございましたが、日本も、去年の畜産問題のときでもそうですが、やはり常日ごろの協議とかお話し合いとか、日本の実態とかというものが非常に知られていないという、またその情報収集が非常に弱い、私どもアメリカに行っていろんな方々とお話をするとそういうことを痛感するんです。最近、随分変わってきたようですけれども、それでもまだまだです。  それで、外務関係の職員は、職員といいますか、在外の公務員はふやそうということで、情報収集等もこれは弱いぞという、こういうことで数年前からやっているようでありますけれども、その矢面に立たされて、今いろんな問題が起きているのは農林水産省、在外公館にもそれぞれ主要なところには派遣になっていらっしゃるんだろうと思いますが、それはそれとして、ひとつもっと的確な情報、事前のいろんな問題、火を吹き出してからあわてふためいて対処するというようなこんなことではならぬのじゃないか。そういうことと、いろんな交渉に当たりますには、関係団体の方々も一緒にいらっしゃるんだろうと思いますけれども関係団体の方々もいろんな交渉に向かう。それに伴いまして農林水産省の方々も一緒に行く場合もあるだろうし、いろんな機会を通じてPRといいますか話し合い、協議、またその実情というものを知らせることが大事だと思うんですよ。これは漁業関係のやつは、やっぱり外交というのは非常に大きな重みを持つ。  それで、ちょっと詳しい実態把握をするわけにもいきませんので、水産庁からいただきました一般会計歳出予算各目明細書、これをずっと見ました。水産庁のところをちょっと見ますと、水産庁の予算というのは二千五十一億七千九百六十九万八千円という予算が出ておりますが、この中で、国際漁業対策に必要な経費二億九千二百九十二万一千円、この中で目の区分の中の職員旅費というのは三百三十万。私、驚いたんですけれども、役所の予算ですから何もこのとおりということじゃなくて、いろんな流用とかなんかあるかもしれません。また、旅費の算定につきましては、いろんな規程がありますからあれですけれども、北太平洋漁業条約実施旅費というのは十五万五千円、北太平洋漁業条約実施旅費十五万で何ができるのかなという、だれが行ってどうするのか。海洋法会議等対策旅費が三十二万四千円、国際漁業条約改正準備旅費十七万四千円、底魚漁業調査団同行旅費が三万五千円というんですね。捕鯨国際監視員制度実施旅費が百二万一千円、使節団派遣準備国内旅費が八十四万一千円、日ソ漁業協力協定実施旅費七十五万、これは一人ちょっと行ったらもうすぐ足が出てしまうのじゃないかと思うんです。  あとは漁業調査費とかなんかいろいろあって、時間ありませんから一々申し上げません。これはこの予算の中にあるんですから間違いないですけれども、これはちょっと単位が違うんじゃないかという、これは過去の推移とかなんかずっと見ていませんから、このことしいただいたやつをちょっと見ただけなんですけれども漁業外交とか、漁業だけじゃないんですけれども、今漁業のことを中心に話していますからあれですが、漁業外交とかなんとかいろんなことを言って、つながりを深くしなきゃいかぬ。それは何も役所の方がいらっしゃるだけでは決してないんですけれども、あらゆる団体の方々がいらっしゃるときに、やっぱりそこに一緒に行ってお話しすることも、それから情報収集とか、これは外務省に任せればいいのかもしれませんが、そうでなくて、やっぱり農林水産省として独自の調査、情報収集ということもこれあり、こういうのを見ますと、これはこのとおりということじゃないのかもしれませんし、私も役所にいましたからあらあらわかりますけれども、しかし本当にこれは心もとない。非常に予算が厳しい中でのことですからあれかもしれませんけれども、これでは非常に国際的に今矢面に立たされている農林水産省としての対応としては、特に漁業の問題としましては少し問題じゃないかと私は思うんですよ。これをぜひひとつ大臣、弁解しているんじゃなくて、こういう問題は改善をし手を入れて、よくひとつ見て、大臣が、これに対する対処を今後の、現在農林水産省が置かれている、漁業全体が置かれているこういう中でこれでいいのかということでひとつメスを入れていただきたい。弁解なんか長々しいお話、もう時間ありませんから結構ですから、ひとつどうでしょう。
  102. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今の予算の点については、次長から後お話しします。  実は、今おっしゃった点で一番問題は、漁業外交といいますが、基本的にこれは先生も御指摘ございましたことですが、経済水域二百海里が恒久化したこと、これが一番大きな問題。それともう一つは、アメリカにいたしましても、例えばかまぼこの原料はスケトウダラ、これのすり身ですが、このスケトウダラにしてもすり身にして買ってもらいたい、付加価値を高くして買ってもらいたい、こんな要望が非常に強くなってきたということでございまして、そんなことで友好国との関係は非常に難しいのですが、アメリカに対して日本は、先生御存じだと思いますが、年間三百七、八十億ドルの経常黒字を持っているというふうなこと、そんなこともございまして、いろいろな点で苦労している。  それから、情報という点につきまして、実は相手の情報をとるところがございません。逆に日本人がよくしゃべるんですね。いろんな方がいろんなことをしゃべって、結構それがモスコーに行っている。だから、私は情報をとることよりか、むしろ日本人がもっとしゃべらないようにしてもらいたい。これが非常に困るんです。そんなことを含めて、ひとつ先生の御指摘の点もありますが、そういった特に御理解賜りまして、これからも粘り強い漁業外交に御支援を賜るようお願いしたいと思います。  また、予算については、次長から簡単にちょっと申し上げさしていただきます。
  103. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) ただいま先生から御指摘がありました旅費といいますのは、実は我々漁業交渉等に使います一般的な旅費につきましては農林水産省全体の枠の中で手当てされておりまして、それに加えまして例えば日ソ漁業の場合ですと許可証を取りにいかなきゃいかぬとか、あるいは底びきの共同調査に向こうの船に乗船をするとか、そういった個別的なものが計上されておる部分を御指摘になったものと承知いたします。
  104. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 そういう話も聞いていますし知ってはいるんですけれども、それにしましても三万五千とか三十二万とか十五万とかというこういうことでは、別途ひとつ大臣、こういう漁業外交、二百海里時代ということでもう時代が変わったんですから、同じ発想で同じ物の考え方ではいかぬということで、ぜひひとつこの点御検討いただきたいと思います。  そういうことから、沿岸漁業というのはどんなに重要かということが指摘されるわけでありますが、時間もありませんからあれですが、一つだけ申し上げておきます。農水省、水産庁もいろんな研究機関で物事をやっているんですけれども、私、宮城県の本吉町というところ、前からちょいちょい行っておるんですけれども、前に台湾坊主で大変な被害を受けた、四十六年か七年。その後、養殖のいかだをつるいかだのいかりを時々、一年に一遍ロープを取りかえたり何かするわけですけれども、ブロックにアワビがついておったり、それからウニがついておったりなんかしまして、砂浜、砂地はそういう養殖はできないんだという物の考え方で今日までずっと来ておったんですけれども、最近、水産庁の方もいろいろ実験なさって、そうじゃないぞということのようなんですが、そういうことがあったものですから、四十七、八年ごろこれは砂浜でもできるぞということで、地元としてはさらに生産をふやすためにいろいろ工夫をしておる。しかし、数年の間はなかなかそういうものも認めてくれない。そういうことで、独自でやらなきゃならぬということで、大谷漁協ではこの問題を町とそれから漁業組合でやっているようであります。  こういう問題も、素直に現状というものをお聞きいただいて、やっぱりそういう実態の、漁師は自分たちの投資したものがどうなのかということでやるわけでありますから、いいかげんな発想でもうつくるわけじゃないはずです。そういうものはやっぱり謙虚に見ていただいて、自分のところで実験しなければ納得しないとか、自分のところでやらなければだめなんだというようなことじゃなくて、自分のところがモデル地区で実施したものでなければだめだというんじゃなくて、やっぱり実態がそうであったらそれはやっぱり率直にひとつ事実は事実として認めて、そういう事業等についてはバックアップするような姿勢というのが必要じゃないかということを私、今痛感をしておるんですけれども、これは事業も進めることになっておるんですが、こういう問題についてぜひひとつ要望しておきます。これは国としても積極的にひとつ進めていただきたい。沿岸漁業のいろんな事業があるんですけれども漁民漁民の知恵の中でいろいろ採用している、こういうものについてもっとひとつ強力に積極的に取り組んでいただきたい、こういうふうに思うんですが、どうでしょうか。
  105. 斉藤達夫

    政府委員斉藤達夫君) ただいま御指摘のありました宮城県本吉町の大谷漁協につきましては、五十五年度に組合が試験的にアワビのえさとなる海藻を繁茂させるためにブロックを入れまして、その後アワビの増殖に効果的であるということがわかってきていると承知しております。  水産庁といたしましても、アワビの餌料藻場造成のための増殖場造成事業等は従来から推進してきておるわけでございますが、この水域におきましても五十九年度に約五千万円の事業、国費三千万円になりますが、沿整事業のうちの小規模増殖場造成事業ということで実施をいたしました。沿岸漁業の振興を図るために、今後とも漁場の整備開発を推進する必要がありますので、整備開発手法等技術の確立を図りつつ積極的な事業の展開を図ってまいりたいと思います。
  106. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 それは小規模の事業というやつは外の方であって、砂地の方じゃないんですよ。これは自分のところで漁協と町でやるんですよ。それはいいですよ、そういうことですから。私見てきたんだから一番よくわかっているので、そういうこともよく、砂地じゃだめだというそういうことに固執しないで、ぜひ大臣、沿岸漁業をしっかりひとつお願いします。一言、まだ時間ありますから。
  107. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今、先生おっしゃったとおりで、経済水域二百海里で大変厳しくなってきますので、当然沿岸漁業を整備し、そして我が国のやっぱり沿岸を高度に利用しなければいかぬと思っておるわけでございまして、その趣旨を踏まえてしっかりやります。
  108. 北修二

    委員長北修二君) 本件に対する午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十七分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  109. 北修二

    委員長北修二君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  ただいま糸久八重子君が委員辞任され、その補欠として村沢牧君が選任されました。     ─────────────
  110. 北修二

    委員長北修二君) 休憩前に引き続き、昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  111. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、当面焦点になっております木材の関税引き下げ問題でまずお尋ねしたいわけなんですが、大臣は今まで何度か委員会などで現在の木材産業というのが大変厳しい状況にある。その理由には、木材需要が五十五年比で二割ぐらい落ち込んでいる、また価格が五十五年比で三割も落ち込んでいる、そして、しかも倒産が毎年一千件から一千百件もあるんだ、負債総額が二千百億円にもなっている、こういう結果から見まして森林の公益的機能にも大変悪影響が出ている、しかも合板については百四十社ぐらいの中で一社も黒字会社がないんだ、だからもう木材の関税引き下げは断固反対だ、一切応じられない、こう言われてきたと思うんです。この姿勢というのは、現在もお変わりではないと思いますが、どうですか。
  112. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。  今、林業の不況の状況先生の言われたとおりでございます。そんなことで、私は木材製品の対外問題につきましては、関係国との友好関係に留意しつつ、我が国林業を生かすとの観点に立ち、その健全な発展との調和を図って対応していくことが基本的に大切であると、こう考えております。そんなことで、関税問題は林業、木材産業が活力を取り戻した後に対処すべき問題であると考えています。
  113. 下田京子

    ○下田京子君 活性化が先決だというふうに受けとめます。ということは、今回の関税引き下げには応じないというふうに理解してよろしいですね。
  114. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 活性化対策が優先する、先であると、このように理解しております。
  115. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、この九日にまとめます市場開放策、この中には木材関係は入らないというふうに理解してもよろしいですか。
  116. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今その点につきましては、総合対策につきましていろいろ案をつくっておる現状でございまして、その案ができるかどうかということだと思います。
  117. 下田京子

    ○下田京子君 関税引き下げには断固反対だ、一切応じない、その姿勢は変わってない。しかし、九日にまとめ上げるアメリカ向けの市場開放策の中に木材関係が入らないというふうには今明快な答弁はできないわけですね。
  118. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほど先生に申したとおりでございまして、私は関税問題というのは単に合板業界の体質改善のみならず、中長期の視点にわたって木材産業及び林業を通じた対策を進める必要がある、このように考えておるわけでございます。
  119. 下田京子

    ○下田京子君 つまり活性化をした、その活性化とはどの程度の活性化なのか。一定の期間を置いて、関税引き下げの前提という格好で活性化対策みたいなのを持ち出してきてアメリカに約束をしようというふうに私は理解するわけなんですが、なかなかこれは、今までもそうだったんですけれども日米交渉問題というのは、今は譲らない、しかしまた何日かたってとか何とかという格好でやられてきたわけですね。特にこの木材関税の引き下げというものは、アメリカが執拗に要求してきているその背景に一体何があるのかということが大事だと思うんです。  三月二十八日付の農業新聞によりますと、アメリカで最大の大手であります木材製品輸出業者、対日輸出の六割を握っております独占企業のウェアハウザー社はレーガン大統領の有力な政治基盤である、木材製品の市場開放要求は同社を中心とした業界全体のあらわれだ、この業界に対してレーガン大統領が昨年四月、このウェアハウザー社のあるワシントンのタコマ市というところで、木材業者の集まりのその席上で「日本に合板などの関税引き下げを働きかけるので期待してほしい」、こういう公約をしたというふうに報じているわけなんですね。しかも、読売新聞の一月二十六日付には「大統領選に際し、大手製材会社が巨額の選挙資金を共和党に提供した」、このようにも報じておるわけなんです。こういった事実は当然御承知だと思うんですけれども、いかがでございましよう。
  120. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 昨年の四月にレーガン大統領がタコマで、日本の林産物の関税引き下げにつきまして発言をしたということは聞いておるところでございます。  このような発言が行われました背景を考えますに、ワシントン州、オレゴン州等の北西部の諸州の林業、林産業が大変苦況にある。これは米国の南部におきます林業、林産業が今急速に伸びております。さらにカナダ産の木材製品が大変流入をいたしておりまして、そういうふうなことのために北西部の林業、林産業家が国内の販路を失いまして、我が国への輸出進出に大きな期待をかけているという事情からだと思っておりますが、ただいまの読売新聞の報道につきましては、新聞について見ただけでございまして、さらにその背景までは確かめてもございません。タコマでの発言は承知しておるところでございます。
  121. 下田京子

    ○下田京子君 このたびの木材関税の引き下げがなぜ執拗に迫られているかという、そういう政治的背景と経済的背景とレーガン大統領の選挙公約絡みであるというようなことも御承知のようでございますが、念のために改めて申し上げたいのは、昨年九月に出しております日本貿易振興会、ジェトロですね、「米国の木材需給及び価格動向」、これはもうお読みになっていると思うんですけれども、この中にも、今、長官が言われたようなことが詳しく述べられております。  特にその中で、かなり圧力団体になって政治家工作等やられているんですね。そのくだりをちょっと御紹介しますと、「林産会社は、米国の政治家に林産物貿易に関するこの問題に力を注ぐように圧力をかけており、同様な圧力はウイリアム・ブロック米国通商代表にもかけている。」、こういうふうに述べられております、これは十四ページなんですけれども。この林産会社の実態というものがどういうものなのかということを私改めて御紹介したいんですけれども、多国籍企業化しておりますいわゆる森林メジャーであるということなんです。これはお配りしてあります資料等見ていただければわかると思います。  特に、アメリカの西海岸の主要合板会社の実態なんですが、六社ほど述べております。詳しくはこの「資料1」を見ていただければおわかりだと思うんですが、先ほど御紹介いたしましたウェアハウザー社、これは米国最大の用材生産会社でございまして、八二年の売り上げ総額が四十二億ドル、日本円で約一兆五百億円ですね。森林所有地が二百三十六万ヘクタール、日本の全森林の約一割、こういう状況。総資産が五十九億ドル、日本円にして一兆四千七百五十億円、しかも関連会社は八つの鉄道とそれから電力、船会社、それで海外取引会社が十八社ございまして、その中にはマレーシアで三つの広葉樹製品の生産をしている会社もある。これは備考に書いておきました。そのほかインターナショナル・ペーパー・カンパニーというこの会社も世界最大の製紙会社で、最大の民間土地所有者でもございます。またジョージア・パシフィック・コーポレーション、これは世界最大の針葉樹の合板生産会社である。以下ごらんいただければわかると思うんですけれども、こうした森林メジャーが背後にありまして市場開放がいろいろと画策されているということなんです。  林野庁は、森林メジャーの主力会員である全米の林産物協会の国際通商部長をしておりますジョン・V・ワードさんという方が、八十三年四月以降日本に乗り込んでいろいろ輸入拡大の説明をして回っておられるわけですが、お会いしているはずなんですね。一体だれがいつ会ってどんなお話をされたのか、ちょっとお聞きしたいわけです。
  122. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) ただいまお話のありましたジョン・ワード、最近はこの三月二十二日に参っておりまして、農林水産省におきましては事務次官と私と会いまして、いろいろ意見交換、話をいたしております。関税問題などもいろいろ中心になったわけでございますけれども、私どもとしましては日本のアメリカと大変異なった森林、林業の立地条件、特に山村振興が日本にとって大事である、そのためには林業経営がどうしても必要であるというような最も基礎的なところからの話などをいたしまして、基本的な理解を深めてもらうような、そういうふうな話し合いをいたしております。
  123. 下田京子

    ○下田京子君 日本の森林あるいは木材産業の大変な苦況の実態を説明されているということなんですけれども、それでもなおかつ執拗にまた迫ってくる、この辺が大変問題だと思うんです。  今、三月二十二日お会いになったというお話がありましたが、皆さん政府関係筋だけでなくて、このジョン・V・ワードさんという方は自民党の主要な方々にもお会いになっているんですね。私どもの調査によりますと、国際経済調査会長をしております江崎真澄さん、あるいは元総合農政調査会長で現国対委員長をしております江藤隆美さん、あるいは元税制調査会長の倉成正さん、そして元農林部会長であり現防衛庁長官の加藤紘一さん、また林政調査会長の羽田孜さん、こういう人たちに会われております。ワード氏は、加工林産物の関税撤廃をすることは日本にとって対米通商摩擦を減少させる絶好の機会なんだというふうに説明して歩いていると聞いているんです。長官がお会いになったときもそういうことを言われたと思うんですね、きっと。  そういうあたりをもうちょっと詳しく言っていただきたいことと、それから大臣にこれはお聞きしたいんですけれども、自民党のそれぞれの関係する方々が、大臣常々言っておりますように日本の今の林業、木材関係のあれが大変なんだというような立場をきちっと説明されているんだろうか、恐らく私はやってはいると思うんですけれども、その辺の経過をちょっとお知らせください。
  124. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 向こう側の言い分といたしましては、関税を引き下げることが日本国民にとって大変な利益になる。特に日本のような立地条件の国においては自然の保護にもつながるだろうし、もしそれによって日本の木を切らないで済むということは大変に環境保全にも資することであるというふうなお話がありまして、ちょうどそれをこちらから申せば、逆にいろいろと論破、論証できるんでございまして、そういう基礎的なところでの理解が行き届いていないということは大変いけないことでもありますので、本当の根っこのところからのお話などをいたしておるところでございます。
  125. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  今、名前が挙がった江崎先生、江藤先生、倉成先生、加藤先生、羽田先生ともに合板事業の現在の状況あるいは林産業界の現在の不況の状況をよく理解していただいております。
  126. 下田京子

    ○下田京子君 長官も、それから大臣も、理解してくれているというお話があったんですが、明確にアメリカがそう言っている、ワードさんがこう言っている、だけれどもこうこうこういう点でこうなんだという日本の森林、木材の厳しい状況とか、本当に三分の二も輸入に頼っているような実態とか、その辺はきちっと説明されているんでしょうね。
  127. 田中恒寿

    政府委員田中恒寿君) 御案内のことと思いますけれども、木材関係はもう完全に自由化されておりますし、かつて一〇〇%近い自給率でありましたのが現在三五に落ちておるということとか、輸入関係にしましてもアメリカからは十一億ドル入っておりますけれども日本から輸出しているのは三千万ドルぐらいである、あるいはアメリカ自身がカナダに対して二〇%の関税障壁を設けておるとか、いろいろあらゆるデータにつきましては話し合いの中で出しまして論議をしておるところでございます。
  128. 下田京子

    ○下田京子君 それでも向こうが納得をしないで執拗にやっぱり関税引き下げを迫ってくる最大の問題は、私はやはり中曽根総理の姿勢にあるんじゃないでしょうか、こう思うんです。  なぜかといいますと、ことしの一月、レーガン大統領と総理は会いましたね。その際に四項目の問題が示されて、なぜ木材はだめだと、他がいいということは私は言っていませんが、その木材の実態をきちっと説明しておったなら、トップレベルでの話ですからやはり決着というものはついたんではないだろうか。暗に検討をするというようなことを申してきたところにやっぱり問題があるのじゃないかと思うんですが、大臣、いかがですか。
  129. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 総理は本年一月のレーガン大統領との会談の際、米側に対しては合板の関税引き下げの約束はしていないと聞いております。
  130. 下田京子

    ○下田京子君 木材の方は。
  131. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) すべて含めて聞いております。  一月二日、ロサンゼルスにおいて首脳会談に先だちまして行われた安倍・シュルツ会談の際、安倍外務大臣は、木材については国内需要等が上向かないことには解決は難しいというような趣旨を述べられております。また、ついさっき訪日したシグール特使に対しても、三月三十一日、木材製品について米国の要求に沿うのは難しいと述べられたと聞いております。
  132. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、断固それは無理である、応じられないんだ、厳しいんだということを話しているということになるわけですから、当然今度の九日までの結論もそういう方向でまとまるんではなかろうかというふうに思いたいんですが、これは三月三十日付の新聞の中で、朝日新聞の「天声人語」が見事に象徴的に言っていますのでちょっと御紹介したいんですけれども、「レーガン大統領との会見で、中曽根首相はそとずらがよすぎたのではなかったか。」、「首相は「私自身が目配りする」と答えた」、「会談後、米高官は「あれほど首相がいうのなら、きっと約束をはたすだろう」といったそうだ。」と、こういうふうに言われているんです。ですから、今大臣が言われたように、それならきちっとした日本の事情をレーガン大統領に言われたというふうにはどうも理解しがたい。ここのところが私は一番大事だと思うんです。  今でさえ合板も大変な状態であるし山元も大変だ、森林自体も大変だ、そこに働く労働者も大変と、ましてや山林の荒廃の中で災害が続発するとか大変問題にもなっているわけですから、そういう全体的なことを認識されて、大臣はもう断固この木材の関税引き下げは応じられないと、こうおっしゃったわけですけれども、総理自身のそういった姿勢をきちっとやはり相手側に伝えていけるようにすべきではないか、その旨、総理にきちっと私は申し上げるべきだと思います。
  133. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 私「天声人語」をよく読んでおりませんが、いろいろな面からの材料だと思っております。私は中曽根総理大臣は非常に立派な人でうそをつく人ではない、こう思っております。
  134. 下田京子

    ○下田京子君 そのうそが、レーガン大統領に対してはうそをつかなかったということにならないように、私は申し上げておきます。そして、国民に対して大変な被害を与えていくというようなことを大変心配しています。  次に移りたいと思います。アフリカの飢餓問題なんです。  実を言いますと、三月の二十五日から三十日、約一週間、アフリカのトーゴ、ロメというところで、国際的な議会人の集まりであります列国議会同盟というものが開かれました。私もそこに参加いたしました。テーマは軍縮問題、特に核軍縮あるいは中東問題等が一つ。それから国際債務問題でありました。ところが、急遽アフリカの飢餓救済というものが追加議題に入りまして、それで万場一致でアフリカの飢餓、砂漠化、干ばつ化を救おうという決議もなされました。その決議は、主に食糧援助の現物支給の促進を強調しております。同時に、アフリカの食糧、農業部門の復興と再建の分野での適切な援助拡大をせよ、こういう呼びかけもしております。  この点では、大臣も所信の中でお述べになっておりますとおりでありまして、特にアフリカの農業の自助努力というもの、そういう点で中長期的観点から援助を強化しなきゃならないとおっしゃっていた、この点は全くそのとおりなんですが、ただその援助のあり方がどうなのかという点で見逃してならないこと、特別に設けられた委員会でも大変議論になりましたのが、植民地支配の影響が独立後も受け継がれているという問題なんです。特に、それがまた干ばつ、飢餓にも深刻さを増してきている。その典型がモノカルチャー的農業と言われる、つまりコーヒー、ココア、落花生、綿花などですね、特定農産物を国内消費のためではなくて、売らんがために、輸出向けに生産していくというこの農業構造ですね。これを脱却しない限り、どうしても中長期的に見て飢餓救済には結びつかない、こういうことが大変議論になったわけです。  この点で、大臣のお考えももちろん私は変わらないと思うんですけれども、このモノカルチャー的農業からの脱却という点での、つまり中長期的食糧援助というか、農業援助という点でお考えがあると思いますけれども、再度お聞かせくださいませ。
  135. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) お話ございましたように、アフリカの食糧不足、直接の引き金といたしまして、干ばつが連続しているというような自然的な条件ということがございますけれども、その背後には人口の増加圧力でありますとか、砂漠化の進行等々、お話ございましたような、かつて植民地時代に宗主国との間の補完関係というようなことで形づくられたいろいろな経済社会的な要因も含めて、国によって違いますけれども、構造的な要因が非常に絡み合って飢餓の背後にあるという認識を持っておりますし、そういう意味で、狭い意味での農業技術の問題だけじゃなくて、その国の食糧政策あるいはマクロ的な経済運営というようなことにもかかわってくる問題だというふうに考えております。
  136. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、いかがですか。
  137. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 私は前に申したとおりでございますが、アフリカ諸国の食糧不足に対処するためには、当面は食糧援助が必要である。基本的には、それぞれの国が自助努力によりまして農業を振興し食糧自給力を高めていくことが大切であります。このような自助努力に対しまして国際的な支援を行うとの立場から、我が国としても中長期的視点に立った農業協力を推進していきたいと考えております。
  138. 下田京子

    ○下田京子君 そこで、外務省からおいでいただいているんですが、時間がなくて恐縮でございます。お帰りいただいてよろしいです。いろいろ決議の問題なんかでお聞きしようと思ったんですけれども、まだIPUに行った団長も戻ってないんですよ。だから、また改めてお聞きします。  続けて農水省の方にお尋ねしたいんですけれども、今言ったような観点から中長期的にその国に合った自助自立の農業ができる方向で援助が必要だと。全くそうだと思うんですけれども、言葉と実態がまたなかなか一致してないという点でいろいろ問題があります。  その一つの問題としてお尋ねしたいんですけれども、最近アフリカ農業・農村開発検討委員会というものが設けられて研究が進められていると聞いております。その中間的な基本方針としては、砂漠化を防止し、かんがいに効果のあるかんがい整備に開発協力の重点を置いて、しかも当面は需要コストが低く、そして即効性のある小規模かんがい開発を推進したい、対象作物に稲を中心とするんだと、これは新聞等にも報道されておりますが、この点で、私今回ロメに行って農政の担当者に会ってきたんです。この方は四、五月ごろ日本に来るというお話をしておりましたが、お米というのは大変高価で、一般の国民にはとても口に入らないと、こう言っていました。当面の飢餓の救済という点では、国民的な食糧をどうしていくかということにあると思ったんです。また、お米をまず例にしましても、ガンビアという国の場合は水稲よりも陸稲の方が、七五年以降ですけれども、かんがい向け投資のわずか四%で二十六倍もの増産を実現しているというふうな報告も、エコノミストの八四年版に出ているんですけれどもね。  こういうことをいろいろ総合的に判断いたしますと、緊急の食糧増産のための投資というのは一体何が有効なのかということを考える際に、やはりその国の実態に即応した、現地の人たちが求められる、現地住民の飢餓救済に役に立つ、そういうものであるべきではないか、こう思うんです。
  139. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 私どももそのように思っておりまして、アフリカ諸国、それぞれ農業条件なり営農状況も国によりましても随分違うわけでございます。一口にアフリカと申しましても、いろいろな条件の差がございますので、やっぱり現地の実情に即して、そしてまたまさに飢餓の問題というのは、現地の人々が伝統的に食べているものが供給がふえることが一番望ましいわけでございますし、実情に即して協力をしていかなければいけない。今お話のございましたようなかんがい整備とか稲作というのも、それぞれそういった条件から見て適当であるというような場合にということであろうかと思っております。
  140. 下田京子

    ○下田京子君 適当であればということを前提にしてお話されたから、当然だと思うんですけれども、真のやはりその国の食糧の需給に役に立つような方向ということを前提にすべきだと思いますが、問題なのは、このアフリカ農業・農村開発検討委員会のあり方だと思うんです。「資料2」を見ていただければわかると思うんですけれども、私的といいながらこの委員会がどういうものかといいますと、日本農業土木総合研究所、財団法人なんだと、こう言っているんですけれども委員長が農水省の農業土木試験場の中原さんですね、委員のメンバーもごらんいただければわかるように、農水省関係、それに政府関係、それに今度は民間企業の大手コンサルタント、しかもこの大手コンサルタントの中にはかなりの農水省から退官された皆さん方、俗に言う天下りと言われておりますが、そういう方々が大変いらっしゃるんです。こういう開発協力のあり方というものは一体どうなんだろうか。やはり政府がきちっと責任を持ってやるべきではないんだろうかと思うわけなんです。構造改善局長、いかがですか。
  141. 須藤良太郎

    説明員須藤良太郎君) 先生指摘の点でございますけれども日本農業土木総合研究所が自主研究事業として昨年の十一月にこの検討委員会を始めたわけでございます。これはアフリカを取り巻く今お述べになりましたような緊急の情勢にかんがみまして、国内及び海外における農業土木に関する調査研究を実施し、その成果の普及啓発を行うことを目的として始めたものでございます。これは三月末に中間報告を出す予定でございましたけれども、おくれておりまして、まだ正式には報告書は出されておりません。
  142. 下田京子

    ○下田京子君 私が言ったのは、そういうやり方でなくて、政府がもっときちっと責任を持ってやれないのかと、こういうことを言ったんですよね。農業新聞にも報道されておりますけれども、「官・産・学が共同して開発協力戦略を打ち出すのは異例のこと。」、こういう見出しまでついて報道されております。私どもが調べたところ、これらの検討会議に参加しているコンサルタント会社の中に、さっきも言ったようにたくさんのOB、農水省をおやめになったOBがいらっしゃるんですよね。ですから一言ってみれば農水省とOBの検討委員会みたいなものですよ。大臣、本当にやっぱり今まで言っていたような格好で、中長期的に見てアフリカのそれぞれの国の自立的な農業という点で、新植民地的な支配につながらないような開発援助というものをやろうと思うなら、ちゃんと責任を持った対応というものを政府の部内でやるべきじゃないでしょうか。
  143. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 大臣のお答えの前にちょっと。  これは私どもの局に関連をしている委員会ではございませんけれども、こういった農業協力を進めてまいります場合に、今、天下りというようなお話がございましたけれども、鉱工業分野と違いまして農業の場合はどうしても官の側に、かなり技術が公的な機関にございます。そういう方々のやはり技術というものを退職された後も生かしていくということも、これはあながち否定すべきことではないのではないだろうか。  それから、一般に言われております我が国の国際協力の弱点という中に、一つは言語の関係で、海外に出て自由に活動できる技術の専門家というのが非常に限られているということと同時に、先進諸国に比べますと海外協力の歴史が少ないために、コンサルタント会社といいますか、そういうものも非常に弱い。そういうところをもっと充実をして企画あるいは調査といった機能を高めないと予算をふやしても有効な援助ができない、そういうふうな点も言われておりますことを、ちょっと申し上げたいと思います。
  144. 下田京子

    ○下田京子君 いろいろ弁解されていますけれども、私は民間や何かが勝手に研究するとかなんとかということを全部否定するとか、そういうことではないんですよ。ただ、これはもう農水省が責任を持ってやらなきゃいけないんじゃないかと、それを言っているんですよ。しかも、こういうメンバーがあるのに、やれ何だかんだと言ってメンバーだってお知らせしないなんというのはけしからぬですし、内容についてだって、これは私的諮問だから我々に関係ないみたいなことをしきりに言われるようでは困る。責任を持って対応すべきだということを申し上げておきます。  最後になりますが、農薬の安全性のことでお尋ねします。  アメリカの環境保護局でありますEPAの農薬再評価、規制強化の動きについて農水省としては独自に調査検討して対応も進めているというふうに聞いておりますが、具体的に今アメリカで問題となっている農薬のうち、ケルセンについてまずお尋ねいたします。  このケルセンというのは、果樹のハダニ類の殺虫剤として使用されるものでありまして、五十八年度で乳剤百二十二キロリットル、水和剤が八キロリットル、それから粉剤が二五・三キロリットルで、合計百五十五キロリットル生産されているんです。このケルセンが、アメリカのケミカル・レギュレーション・レポーターという専門誌によりますと、次のような形で報告されているんです。これは一九八四年十月十二日号なんですけれども、ケルセン、つまりジコホルと言われていますけれども、ジコホルについての認可取り消し公告ということで、ジコホルを含有する殺虫剤の認可を取り消す公告が十月十日米環境保護局によって行われた。本件を公告するについて、EPAは綿それからかんきつ類にたかるダニを退治するのに用いられる殺虫剤はDDTまたは関係毒物が混入しており、野生生物、特に絶滅の危険にさらされている生物に対し重大な脅威を与えているというふうに述べております。  ここに本文もございますけれども、こういうふうに言われている中で、日本としてもこのケルセンの中のDDTの含有等を分析していると思うのです、当然。製造、販売のストップも私は必要ではないかと思うんですけれども、これはどうですか。
  145. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) アメリカの環境保護局におきまして、農薬の安全性について見直し作業を進めていることは承知しております。  御指摘のケルセンについてでございますが、今お尋ねの中にございましたように、中間的な取りまとめを公表しまして登録取り消しを提案するという段階には来ておるわけでございますが、EPAの手続はこれで終結したわけではございませんで、この案に対しまして意見提出等が求められ最終結論が出ると、こういう運びになっております。  私ども、現段階の措置としましては、こういう動向は十分注意をして見ているわけでございまして、まだ結論が出た段階ではございませんので、今のところ特別の措置をとる考えはございません。  ただ、いろいろ実態においてはよく調べるべきことがございまして、例えばこの原体が、我が国で使われておりますものはアメリカで使われているものと異なりまして、DDT、類縁体の含有量も少ない、こういうこともございますし、またハダニ類の防除のためにはこれにかわる有効な薬剤が少ない、こんな事情、少し異なった事情もございます。  いずれにしましても、現状はそういうことでございまして、今後この動向をよく見きわめると同時に、日本でつくっておりますケルセンとの関係等につきまして、よく検討しました上で、必要がございますれば関係の措置をとることにいたしたいと考えております。
  146. 下田京子

    ○下田京子君 今は検討してないけれども、そのDDTの含有分析などは必要だというふうに理解して、今やっているというふうに理解してよろしいですか。それが一点。  もう一つ、今の御答弁の中にありましたが、このダニ殺虫という点で、これは抵抗性が出てくるんですね。ですから、数種類の殺虫剤をローテーションを組んで使用しているというふうにも言われています。ですから、このケルセンが使えないとなれば、今御答弁のように新たな農薬の開発ということも必要なんですね。ですから、米環境保護局がどういうふうになるかなんということを見守るだけじゃなくて、きちっとした対応を今からやるべきだ。分析の問題と新たな代替農薬、それを急ぎなさいということを申し上げたいのです。
  147. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) この点につきましては日本のケルセンとの比較もございますし、その使用目的等もございますので、これは今お尋ねになりましたような点も含めまして、EPAの動向も見きわめ、それから日本に対するこの措置の必要性、こういう点も含めまして、私どもとしては十分早目に対応する考えで検討をいたす所存でございます。
  148. 下田京子

    ○下田京子君 次に、カラセンというものについて聞きたいんです。これは花卉類あるいは桑のウドンコ病に使用されている殺菌剤なんです。DPC剤と言われておりますけれども、これは米政府の官報に載っておりまして、ここに原文もあるんですけれども、その訳の一部をお知らせいたしますと、「EPAはディノキャップを含有するあらゆる殺虫剤を再調査し」、ディノキャップというのはカラセンのことですね、「その結果ディノキャップは実験用動物に奇形作用をもたらすと断定した。ディノキャップは四〇CFR一六二・一一で述べた危険基準を満たすか、超過しているのである。また、ディノキャップを肌に触れさせたり、吸い込むことによって妊産婦に奇形児出産という重大な危険を及ぼすとEPAは決定した。」、こういうふうに米政府の官報に掲載されているんです。  ですから、米国のメーカーでありますローム・アンド・ハース社は販売を中止しておりまして、米国側の方は問題ないんですが、ハース社から輸入し販売していた三洋貿易が実際に今どのようにしているのか、その辺の実態。
  149. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) カラセンの方でございますが、先生の御引用になりましたEPAというかアメリカ政府の告示は、これは先ほどのケルセンよりもう一度前の段階の安全性の見直し作業を開始する。その場合に、まず催奇形性の疑いがあるということでスペシャルレビューを開始するんだという告示をしたわけでございます。そういう段階でございますが、今、先生のお尋ねにもございましたように、アメリカの製造メーカーが自主的にその販売を停止したということでございまして、こういう情報に基づきまして日本においても本剤の登録業者が自主的にその販売を停止しているところでございます。
  150. 下田京子

    ○下田京子君 全然使われてないというふうに理解してよろしいんでしょうか。在庫がどうなっているのか、カラセンというのは、水和剤の場合、今言いました三共だけでなくて武田薬品なんかでも製造されていまして、マンゼブという農薬と混合されましてマンゼブ・DPC水和剤ということでもって主にリンゴに使用されているんですね。これは代替剤があるんですけれども、これはどうなっていますか。
  151. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) 今のカラセンにつきまして、カラセンの関係の製剤につきましては去年から自主的に販売を停止しておりますので、在庫の有無については確認をいたしておりませんが、現状までには恐らく使い切っておるというふうに考えております。
  152. 下田京子

    ○下田京子君 恐らく使い切っているというふうに考えるなんていうようなあいまいなことではだめでございます。きちっとやっぱり調査をすべきである。それから同時に、EPAの再評価の動きがどうのこうのという向こう待ちの姿勢もよくない、そのことを指摘しておきます。  最後になりますが、この「資料3」を見ていただきたいんです。アメリカから輸入された種子トウモロコシの袋に表示されているものなんですが、ヘプタクロールという殺虫剤、これは種子用のトウモロコシですからピンクなんかに染まっていて、区別はつくんですけれども、この英訳を見ますと、   注意 毒性・劇物 飲み込むと生命の危険あり。蒸気を含んだほこりや噴霧を吸ってはならない。皮膚に付着させてはならない。もし、接触した場合には、すぐに石けん水で洗い落す。 云々というふうに書いてあるんですね。この輸入の実態はつかんでおりますか。実は私どもが聞いているところでは、これを仕分けした労働者が炎症を起こすなんという事例も報告されているんです。
  153. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) ヘプタクロールの消毒につきましては、今お尋ねにございましたようにアメリカのトウモロコシの種子等の消毒に使ってこれが輸入されているという実態があるということでございますので、これは御指摘のような非常に劇物でもございますし、大変こういう事態はよろしくないということで、去る四月一日でございますが、野菜の種子、牧草の種子の輸入をいたしております関係団体につきまして、ヘプタクロールによる種子消毒を輸出地で行わないように、そういうものは簡単には入れないように、こういう指導をしたところでございます。
  154. 下田京子

    ○下田京子君 輸入業者にきちっと実態もつかんだ上で指導されたんですね、四月一日というと最近ですから。もう種子だからいいということではなくて、やはりこういう危険なものが日本で登録されてないんですよね。それが消毒されて入ってくるということですから、なかなかやっぱり農薬行政というか、安全性問題というのは大変問題があるなと思っておるわけであります。  もう時間になりますから、大臣に最後に御答弁いただきたいんですけれども、やはり国内にあって食糧の自給というものをいかに真剣に考えなければならないか、同時に、安全で安定的にそれがいかに効力を持つものなのかという点なんかも御認識された上で、今るる申し上げました点、特に農薬安全性、その基準問題見直し等について手をつけていただけるように、決意をお聞きして終わります。
  155. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 我が国においても米国EPAなど国際的な動向を見守るとともに、これらの農薬の安全性について得られた新たな治験の収集を図るとともに、必要があれば主要な措置を検討してまいりたいと思っております。
  156. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私は、最初に農業関係予算の面からお尋ねいたします。  農業関係予算が最近年々減額されておるという傾向については非常に不満が私も含めていっぱいあるわけですが、最近における政府の諸政策が国際競争力の強化を念頭に置いた構造政策の推進に焦点を合わせておるというその中で、その構造政策関連予算までも切り込まれておるということに対してはどうしても納得がいかないのであります。  例えば農業基盤整備費五十九年度が八千九百十九億、六十年度が八千七百八十九億、百三十億の落ち込みがあるわけなんですね。ところが、日本の現在及び将来の見通しというものは、諸外国からますます市場開放の抑圧といいますか、圧力がかかってくることに対して耐えていこう、こういう気構えを持っておられることは申すまでもありませんが、ところがこういう対内、対外的な情勢に備えていくためにはどうしてもびほう策ではなくて、いわゆるミクロ的な物の考え、政策ではなく、構造政策の推進に思い切った予算を注ぎ込むことが大事であると思うんですが、大臣いかがでしょうか。
  157. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 喜屋武先生にお答えいたします。  農林水産関係予算というのは、国民生活にとりまして食糧の安定供給に係る重要な予算でございます。そんなことで、従来から農林水産行政の推進上必要な予算についてはこれを確保すべく最大限の努力をしております。  そんなことで、この厳しい財政事情のもとで残念ながら先生指摘のように減額となっておりますが、内容面においては、農林水産業をめぐる厳しい諸情勢に対処して、生産性が高く土台のしっかりした農林水産業の実現あるいは活力ある村づくりを図るため、限られた財源の中ではございますが、予算の重点的かつ効率的な配分により各施策の質的充実を図っているところでございます。今後とも農林水産行政を円滑に推進してまいるために、必要な予算につきましてはこれを確保してまいる所存でございます。
  158. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 私が特に申し上げたいことは、いわゆる後始末をするという姿勢ではなく、常に先見性を持って五年先、十年先、そして国際情勢の変化、そういうことを見詰めて常に手を打ってもらわなければ、結局生きた人間、国民あるいは人類という生きる立場からの諸要望が、要求が一番身近に来るわけでありますから、そういった点、私は建前と本音が一致するような、こういうことにならなければ追いつかないんじゃないか。  次に、農業関係予算の拡充について問いたいのですが、日本の農業関係予算は諸外国に比較しても決してその位置づけが、いわゆるその国の総予算に対する農業関係予算の比率が、決していい調和がいっておるとは私は思いません。国際比較から見ても決して満足すべきものではない。例えば一九七七年度の比較によりまして、国の予算に占める農業予算割合は、日本の場合は七・九%、西ドイツは六・四%、西ドイツよりは少しいいということになっておりますが、ところがフランスに比較しますと、フランスは一〇・五%ですね。こういう先進国、類似国に比較しましても決して満足すべきものではない、こう言えるわけでありますが、こういった予算の状態の中で食糧生産の方向が、この前も申し上げたつもりでありますが、いわゆる諸外国は生産、自給力が上昇の方向に行きつつある。  ところが、我が国は、大事な主食物がだんだん下降の方向に行きつつある。こういうことと思い合わせて、国民生活の本当の安全を確保して、そしてよく大臣も農業並びに農村の活性化を図るということを強調しておられますが、私は、そういった方向への積極的な推進を予算の裏づけによって進めていかなければ、これは単なるアドバルーンにしかならぬじゃないか、こう思うわけでありますが、その点については大臣いかがでしょうか。
  159. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) いろいろと御指摘ございましたけれども、農林水産省予算のまずは枠の確保の必要性ということは我々も重々承知しているわけでございますけれども、こういう全体の厳しい中で、先ほど大臣から答弁ありましたように、残念ながらことしの予算はトータルとしては減ったわけでございますけれども、あくまでも内容の充実、それから先生から御指摘ありました将来を見通しましての先手先手と打っていけるような新しい仕事というものも若干は計上しておりますし、これからもそういうつもりで対処してまいりたいと考えております。
  160. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、特に日本は経済大国だ大国だと、こう彼も我も内外に向かっても言うわけでありますが、そういったことの認識の上に立って国際協力の推進という面から尋ねたいと思います。  六十年度予算を大きくはしょってとらえた場合に、私は大きな特徴は防衛費の突出とそれから国際協力費が大幅に伸びておることであると、こういうことが目につきます。防衛費の問題についてはきょうは触れません。国際協力費について伸びておることは大変いいことでありますので、その点からさらに強調いたしたいと思うのでありますが、この五十九年度予算では約五十六億計上されておりました。それが六十年度予算には六十億になった、プラス四億、率で六・五%アップということになっております。ところが、このことと、農林水産予算の総額が対前年比当初予算で九五・四%に落ち込んでおる、すなわち四・六%の落ち込みがあるわけなんですね。この状態の中で国際協力事業費が六・五%アップしたということは、これは大変いいことだと思うわけであります。  そこで、私は経済大国と言われておる我が国の国民の生活の中から、よく最近日本人は飽食、言葉をかえて言いますれば、いわゆる満腹の悲哀という言葉をよく言うのであります。私もそういう経験を持つ一人でありますが、満腹の悲哀。ところが、その悲哀は健康と生命につながる悲哀であり、満腹であるならばこれはいいとしまして、その飽食が、満腹が日本人の身体も精神もいわゆる体格も、特に青少年の骨格のもろさとか、あるいは筋肉の強靭性の減退だとか精神的には忍耐力の減退だとか、これは精神的な心理的な面ということもありますけれども、この身体的な条件からくる影響が大きいということを私はいつも言うわけでありますが、こういうことからも私は、大臣もいつも強調しておられます日本型食生活の定着という面ともにらみ合わせて、この日本人の飽食を本当に日本国民の健康と生命のプラスになる方向に向けていくということと、さらにはこの地上から、申し上げるまでもありませんが、特に開発途上国には飢えがある、餓死がある。その飢餓を追放するという責任が、経済大国である日本国、日本政府も大きな責任を感じなければいけない。そこで、日本の進んだ技術と経済力をもっともっと動員をして、積極的に国際協力を推進すべきであると私は思うのであります。  そこで、その点からお尋ねしたいんですが、この六十年度予算の中にFAO関係費以外に、さっき申し上げた以外にアフリカ地域食糧農業事情緊急実態調査という費目と、それからアジア農業生産性向上事業協力という新規事業が組まれておりますね。その概要と今後の見通し、どのように拡充していくかという方針を承りたいと思います。
  161. 後藤康夫

    政府委員(後藤康夫君) 農林水産省の対外経済協力関係費、全体農林水産省の予算がマイナスになっております中で、今、喜屋武先生からお話のありましたように伸ばさしていただいていますが、新規事業といたしましてアフリカ地域食糧農業事情緊急実態調査を実施するための予算を新しく計上いたしております。これは先ほどの下田先生の御質問にもございましたように、やはり農業開発協力ということをやります場合には現地のいろいろな自然的、社会的な条件を十分調査をしまして、現地のニーズに合った協力のあり方というものを考えていかなければいけない。率直に申しまして、農業協力の面では、ASEAN諸国あるいはアジア諸国に比べて、また中南米諸国などと比べましても、我が国はアフリカ関係につきましては、率直なところ、今まで経験の蓄積に乏しいというような面もございました。そういったところをできるだけ早く補いながら各国の気象あるいは土壌あるいは農業構造といった食糧増産なり農業開発のための基礎条件を調査をいたしまして、それを踏まえて実際の技術協力なり資金協力の今後の展開に役立てたいというものでございます。  それから、お尋ねの第二点のアジア農業生産性向上事業でございますが、これは農業分野におきますアジア生産性機構の活動を充実をしてまいりたいということで、特にアジア諸国におきましてはやっぱり農業が基幹的な役割を果たしておりますので、各国に今アジア生産性機構が農業分野の活動の強化を働きかけておるわけでございますが、この農業分野の事業といたしましてセミナーを開催をいたしまして、アジア生産性機構の農業分野における活動の強化を図りたいという趣旨の予算でございます。これは今後とも続けてまいりたいと思っております。これも新規でございます。
  162. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 次に、食糧の安全保障のための備蓄政策、こういった点からお尋ねしたいと思います。  昭和五十八年の食料需給表を見ますと、食糧農産物の総合自給率が米の需給均衡を前提とした場合に七一%と示しておりますね。ところで五十七年度と比較した場合に一%ダウンしておる。先ほどもちょっと触れましたが、自給力の向上と備蓄の重要性に引きかえて、実際の実態は下降線をたどっておる。ところが類似国では上昇線をたどっておると、こういうことを先ほども申し上げたわけでありますが、ここに国民のいわゆる戦略物資という立場からの今日の国際情勢ともにらみ合わして非常に国民が不安を持っておることも事実である、こう私は思うんですが、その点は国民としても、国会としてもそれは十分認識しておる証拠に、国会としても五十五年に食糧自給力強化決議を行って食糧自給の維持強化のための政策の拡充を政府に求めてきたいきさつもございますね。  そこで、政府国民に対して食糧の安定的供給、私はこの安定的供給という前提には三つの大事な柱があると、こう思うんですが、第一は、すなわち国内の自給力を高める努力、二つの柱が、いかなる事態に即応しても輸入の確保の努力、第三点が、いかなる場合にも手を上げることのない外国から輸入しなければ間に合わないというような姿勢がない、いわゆる備蓄の完全、この三つがそろうことによって、打ち立てられることによって額面どおり政府国民に食糧の安定的供給が可能であると、こう思うわけであります。そういう観点から国は備蓄対策がどのように推進されておるのか、備蓄対策をどのように推進しておられるのか。と申し上げますのは、六十年度予算の中で例えば飼料用のトウモロコシ、コウリャン、これが三万トン、それから大麦が八万トン、大豆が八万トンを積み上げされておりますね、備蓄の中で。この一体積み上げは究極的な目標、どこまでそれを積み上げていこうと思っておられるのであるか、その積み上げの今申し上げた飼料の三万トンと大麦の八万トン、大豆の八万トンのこの根拠と、さらにその今後の見通し、目標について伺います。
  163. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) ただいま飼料穀物と大豆の備蓄につきまして目標とその考え方の御質問でございますけれども、まず飼料穀物につきましては、これは外国の港湾ストでございますとか、あるいは一時的な輸出規制、そういうようなものに対応しましてどうやって安全に供給できるかということを念頭に置きまして、そういう過去のいろんな変動というものから推計しているわけでございますけれども、飼料穀物につきましては年間需要量の約一カ月分に相当いたします百二十万トンというものを備蓄の目標として掲げているわけでございます。  それから大豆につきましては、同様に短期的な変動に対応するということで、同じく年間需要量の約一カ月分に相当します八万トンというものを目標にしておりますので、現時点で既に大豆につきましては八万トン備蓄しておりますので、この線を何とか今後とも維持してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。  なお、こういう政府がてこ入れをいたしまして特別に備蓄しておるもののほかに、民間での在庫といいますか、そういうものも、それぞれ飼料穀物でございますとか、あるいは大豆、こういうものについてほぼ一カ月程度の民間在庫というものもございますので、これと政府が参画しております備蓄と両々相まちまして安定供給の支えというふうに理解しておるわけでございます。
  164. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 備蓄に関連して一言聞きたいことは、公害との関連において、資料をきょう持ってきておりませんが、その備蓄、これに対して薫蒸をしないというようなことをちょっと見た覚えがありますが、そういった備蓄に対する今度は完全な管理ですね、その点、今の私のお尋ねに関連してお聞きしたいと思います。
  165. 田中宏尚

    政府委員田中宏尚君) 米につきまして、去年いろいろと薫蒸を契機といたしまして問題が起きたわけでございますけれども、一番国民の主食でございます米についてそういう農薬上の問題が起きるということは我々としては何とか避けたいということで、本年度からできるだけ政府保管米につきましては低温倉庫を使いまして保管し、常温でやっておりますとどうしても薫蒸というものが必要になってまいりますので、その薫蒸を要しない低温倉庫というもので備蓄米というものは備蓄してまいりたいというような方針を先般明らかにしたところでございます。
  166. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今日地球は汚れておると、空気も水もすべてですね。こういう状態の中で、公害につながる薬品あるいは薫蒸ということがさらにこれに拍車をかけることにしかならないと思いますので、どうぞひとつお互いが命と健康を養うために、活力を養うために、食べるものがすべて血となり肉となり完全な行動力のエネルギーになるような、こういうことでなければ本当の食糧とは言えないわけでありますので、その点ひとつくれぐれも大事をとっていただきたいと思います。  次に、パインの価格安定策、これは特に沖縄の立場からでございますが、私、先日の果振法審査の際に、沖縄におけるパイナップル生産の現状について政府の見解を伺いながら、最近における生産は収益性の低下、これはもう否めないものがあります。その立場から、やっぱり生産も停滞あるいは減少の傾向にございます。例えば五十八年度の生産量は四万四千三百トン、年々減退しておりますが、全部申し上げる時間がありません。ところが、果振法が六十五年度の生産目標として押さえておる点は、十万トンを押さえておられますね。そうしますと、その半分にも現状は足りない、届かないというのが実情であります。  そこで私はお尋ねしたい、要望したいのは、今回の改正によって「果実の生産及び出荷の安定に関する措置」という項目が創設されることになるわけですが、この指定法人等の行う加工原料用果実価格の安定のための事業の対象という内容の面から、沖縄のパイナップルを加えて生産と経営の安定を図っていただきたいというのが私の願いでありますが、大臣、いかがでしょう。
  167. 関谷俊作

    政府委員(関谷俊作君) お尋ねの加工原料用果実の価格安定対策事業でございますが、これはいわゆる価格保証というよりは価格のいわば補てんの方でございまして、大体果実は豊凶変動が激しいということになりますと、価格が年次別に大変変動いたしますので、常時一定の額を生産者も積み立てていただいて、それと政府の助成等も足しまして一定の価格以下に落ちた場合に価格補てんをする事業でございます。  パイナップルにつきまして見ますと、これは生産事情が比較的安定しておりまして、豊凶の差が小さい。また加工の比率が高いために、生と加工がこれはいわば競合していくというようなことではございませんので、ほとんど加工向けに回りますこともありまして、価格はもちろん、全体的な水準は別としまして、安定をしていると、こういうようなことでございます。そうなりますので、従来からやっておりますこの価格安定事業にはどうもなじまないということで、私どもとしてはやはり生産の対策の面でいろいろ生産施設の整備なり企業関係の設備の近代化、こういうことによりまして生産の安定を図っていくという対策で対応すべきことと考えております。
  168. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 特に私、日本の国土開発という点から沖縄をどう位置づけるかということを先にも申し上げたのでありますが、それは亜熱帯という沖縄の特殊地域というのは日本における唯一の地域であるわけですが、ところが、その地域における基幹作目というのは従来サトウキビとパイナップルであって、最近基盤整備あるいは構造改善諸事業が進みつつある中で、沖縄の農業形態も多様化しつつある傾向にあるわけなんです。ところが、いかに多様化したといいましても、どうしても沖縄の亜熱帯風土というこの立場から、サトウキビとパイナップルは消すわけにはいかないと私は思っております。これは沖縄の立場からということじゃなくて、日本国民の食料補給の生産基地としての特異性から私はそう思っておるわけなんです。  だから、なじまないなじまないとおっしゃらずに、何とかなじめるように引きつけて結びつけてくださる、ここに私は、農業というものと国民の食料というものとそして沖縄というものとの関係。私は、いつも沖縄という位置づけは、日本における一億二千万国民の食料資源の生産地としての農業基地、畜産基地、水産基地ということを強調しておるわけですが、そのことについては大臣もこの前はそのとおりであると共鳴されましたので、そのとおりでありましょうね。大臣、もう一遍確認しておきたいと思います。
  169. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今のパインの問題は局長が答弁したとおりでございまして、先生御存じと思いますが、これは加工原料用果実価格安定対策事業でございまして、果樹経営者の経営の安定を図るということで要件が三つございます。一つは、果実については豊凶の差が激しいということ、それから原料価格の変動が著しいこと、それからもう一つは、原料集荷が不安定であること等が要件になっている。これをパインについて見ますと、実は豊凶の差が非常に小さいんです。それから生産が安定的であり、かつ加工率は極めて高い、こんなことで今局長がなじまないと言ったわけで、沖縄に対する気持ちはちっとも変わっておりません。
  170. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 今のはわかりました。  次に、最近国際的にも日本の立場からも問題、話題になっておりますバイオテクノロジー、バイテクジーンバンクについてお尋ねいたします。  先端技術の開発が大きな課題となっておるということは今さら申し上げるまでもありませんが、六十年度農林関係予算では農林水産業、食品産業等におけるバイオテクノロジー先端技術の開発の推進費、こういう名目で五十九年度は十二億八千万、六十年度が十九億六千万になって、六億八千万、今までの評価からしますと大幅に拡充されておる、こう言ってもいいんじゃないかと思うわけですが、しかし、今日の先端技術の進歩からしますと決して手放しで喜ぶべきことではないんじゃないか、こういう警告も私発したいぐらいでありますが、そういった観点から先進諸外国と比べて日本のこのレベルはどのように評価しておられるか、そして拡充の方向が打ち出された農林水産ジーンバンクにおける現在のストックの実情と今後の計画について承りたいと思います。
  171. 櫛渕欽也

    政府委員櫛渕欽也君) バイオテクノロジーにつきましては、先進諸国におきまして次代の基盤技術ということで位置づけられまして積極的な技術開発が進められている状況でございます。各国のこの関係予算の状況でございますけれども、それぞれ国で予算制度が違っておりましたり、あるいはバイオテクノロジーの範囲と申しますか、領域と申しますか、そういったもののくくり方とか内容等に大変差異がございまして、ただいま先生の御指摘の私ども六十年度十九億六千万のこの予算額に対応するような先進諸国と比較し得るような数値を直接的になかなか把握し切れないのが実態でございます、その点につきましては。とは申しますけれども、欧米の諸国におきましても政府が積極的に研究開発を推進しておることは事実でございますし、特にアメリカでは民間のベンチャービジネス等で大変積極的なバイテク分野の推進、技術開発に取り組んでおるということは重々聞いておるわけでございます。  こういう状況にございますので、先進諸国の非常に厳しい競争状況に対処をする、そういうこととともに、先生の御指摘のような将来の農林水産業や食品産業の飛躍的な発展、こういうことを踏まえましてジーンバンクの整備でありますとか、その他バイテク全体の総合的な推進ということに一層力を入れてまいりたいと考えております。  ジーンバンクにおきます現状と今後の計画でございますけれども、農林水産省におきます農林水産ジーンバンクにつきましては、北海道から沖縄におきます全国各地の試験研究機関におきまして、現在植物を中心にした収集保存を行っておるわけでございますが、現状では植物につきましては約十万点の遺伝資源のストックがございます。微生物の場合には約五千点でございます。このほか動物や水産生物についても研究用ということで保存を続けております。これを今後につきましては、この遺伝資源の活用が非常に重要な時期を迎えるということと同時に、国際的な厳しい種子戦争等の背景、こういった中でこれまで植物中心に考えて対策をとってまいりました遺伝資源の充実につきまして、さらに農林水産生物全体にこれを広げまして、総合的、計画的な遺伝資源の確保を図る、そういうふうな観点からジーンバンクの整備を進めるということにしております。  具体的な計画でございますけれども、当然のことといたしまして国際的なそういった協力を前提にしながら、昭和六十七年度末におきます遺伝資源の確保の目標というものを、植物につきまして約二十三万点に置いてございます。このほか微生物、動物、水産生物等についてもそれぞれ一定の目標を置きながら、こういった確保、保存、利用の方策につきまして、現在各界の専門家の方々にお願いして検討を続けておるという状況でございます。
  172. 喜屋武眞榮

    喜屋武眞榮君 時間も迫ってまいりましたので、二つの問題をまとめてお尋ねします。  まず第一点は、戦後の日本農業の特徴といたしまして施設栽培がふえてきたということが特徴だと思います。沖縄もその例に漏れず施設栽培が盛んであります。この施設栽培と関連して連作障害といいますか、連作障害が出ておる。これは本土でもそのとおりかと聞いておりますが、沖縄でもそうでございます。この施設栽培と連作障害の現状と対策、これは詳しいことは何でしょうが、このことが第一点。  次に第二点は、特に沖縄農業は基盤整備、構造改善、いろんな諸条件が加わりまして、だんだん向上して多様化しつつあることも事実でありますが、ところが、今問題点として提案いたしたいのは、何分夏が暑うございますので、夏野菜が足りないということが欠点でございます。そういったことと関連して、特に最近の日本の農業、漁業、空も海も陸も、気象というものと非常に重大な関係があるわけであります。その気象条件と、特に沖縄に適する夏野菜はどういうものが適当であるかということを研究していただきたい。というのは、これは沖縄はそういった条件としてはよくなりつつあるけれども、技術的にはまだまだ後進性を持っております。そういった技術の指導という面と関連いたしまして、沖縄に夏野菜に特に適するものの研究、気象条件と関連して。  以上、二点質問いたしまして、お答え願って終わりたいと思います。
  173. 塚田実

    政府委員(塚田実君) まず、第一点の連作障害についてお答えいたします。  沖縄県におきましては、御指摘のようにハウスやトンネル栽培が増加しておりまして、野菜の生産の面で連作障害が出てきていることは事実でございます。しかしながら、本土への移出という意味で販売用の野菜の生産の歴史が短いということから、本土ほど連作障害は多くないというようでございます。そこで連作障害対策といたしましては、私どもはいろいろ研究もいたしておりますが、まず夏季におけるビニール被覆の除去なり、それから合理的な連作を行うということなり、それから堆厩肥、有機質の肥料の使用でございますが、そういうこと、それから抵抗性の台木の使用、土壌消毒を行う、連作障害対策は総合対策が必要でございますけれども、そういう対策を現に実施しているところでございます。  次に、第二点の夏季における野菜問題について申し上げます。  確かに沖縄の夏は非常に暑うございまして、例えば九月をとると、沖縄県内野菜の消費のほぼ九割は他府県から来ている状況にございますので、沖縄の夏におきます野菜の県内生産の増強は必要でございます。そういう意味で、私どもも沖縄県の農試なり、私どもの熱帯農研の沖縄支所におきまして夏場に強い野菜の種類の選定、それから耐暑性の品種の育成、それから遮光栽培方式の確立などの技術開発を進めているところでございます。耐暑性の品種につきましては幾つかもう既にその有望な品種ができておるようでありますが、私どもはこれらの技術開発の動向を踏まえながら普及し、また指導にも努めていきたい、このように考えております。
  174. 村上律雄

    説明員(村上律雄君) それでは、沖縄県における農業気象の状況についてお答えいたします。  沖縄気象台におきましては、県内に展開されております二十五カ所の地域気象観測網等の観測成果によりまして県内の気象監視を行うとともに、過去の観測資料を活用しまして沖縄県の雨、風、日照、台風災害等の気候特性を解析しまして、これを解析資料というものの形で取りまとめてございます。現在十二冊になっております。それから、これらの観測成果や資料に基づきまして農業に重要と考えられます情報、電話によります農業気象通報、それから印刷物によります農業気象広報というような形で県農林水産部及び関係農業機関に提供しまして、生産の安定向上、それから災害の防止等、農業の振興に寄与するよう努めているところであります。  また、このような農業気象業務の円滑な推進を図るために沖縄総合開発局との間に沖縄地域農業気象協議会、それから沖縄県との間に沖縄県農業気象協議会をそれぞれ組織しまして、沖縄県農業の実態やそれから農業関係者からの要望等の把握に努めまして農業気象情報の適時適切な提供、それから連絡体制の確立を図っているところです。それで、今後もこのような業務の充実を図っていく所存でございます。
  175. 北修二

    委員長北修二君) 以上をもって昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、農林水産省所管及び農林漁業金融公庫についての委嘱審査は終了いたしました。  なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 北修二

    委員長北修二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  177. 北修二

    委員長北修二君) この際、理事の補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 北修二

    委員長北修二君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事に村沢牧君を指名いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十四分散会