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政府委員(関谷俊作君)
繭糸価格安定法及び
蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を
改正する
法律案につきまして、その提案
理由を補足して御
説明申し上げます。
この
法律案を提案いたしました
理由につきましては、既に提案
理由にて申し述べましたので、以下その
内容につき若干補足させていただきます。
第一は、繭及び生糸の価格安定措置の
改善についてであります。
この
法律案におきましては、異常変動防止措置を廃止し、中間安定措置をもととした安定価格帯を設け、そのもとで
事業団が生糸の買い入れ、売り渡し等を行い、繭糸価格の安定を図る仕組みとすることとしております。
すなわち、蚕糸砂糖類価格安定
事業団は、生糸の価格が安定基準価格を下って低落し、または安定上位価格を超えて騰貴することを防止するため、出資者である製糸業者から一定の数量の範囲内で生糸を買い入れ、その買い入れに係る生糸を、相手方の請求に応じて売り戻すとともに、生糸の価格が安定上位価格を超えて騰貴しまたは騰貴するおそれがあると認められる場合には売り渡すこととしております。
この場合、標準生糸についての安定基準価格及び安定上位価格は、生糸の生産
条件及び需給事情その他の経済事情から見て適正と認められる水準に生糸の価格を安定させることを旨として、
農林水産大臣が毎年五月までに定めることとし、標準生糸についての
事業団の買い入れの価格は、標準生糸の安定基準価格を基準とし、売り戻しを行う期間に係る保管に要する費用の額を考慮して、
農林水産大臣の認可を受けて、
事業団が定めることとしております。
また、
事業団は、製糸業者が基準繭価に達しない価格で繭を買い入れる等の場合には、生糸の買い入れをしないこととしており、基準繭価は、繭の生産
条件及び需給事情その他の経済事情から見て適正と認められる繭価水準の実現を図ることを旨とし、生糸の安定基準価格を参酌して、
農林水産大臣が定めることとしております。
第二は、
事業団の在庫生糸の処理の円滑化等についてであります。
事業団が在庫生糸を長期間にわたって保有することは、その保管経費の増大等により
事業団財政を悪化させるほか、生糸在庫の大量の累積を通じて生糸の市況を圧迫する要因にもなりかねず、かえって生糸価格の安定という制度の
目的の達成を困難にするものであります。このため、一定の期間を超えて
事業団が保有する生糸につきましては、
農林水産大臣の承認を受けて、生糸の時価に悪影響を及ぼさない方法によって売り渡すことができることとしております。
また、これまでの
事業団の大量の在庫生糸及び借入金の処理に関する経理につきましては、特別勘定を設けてこれを整理することとしております。
昭和六十年度予算において計上されております蚕糸砂糖類価格安定
事業団在庫生糸特別処分損失補てん交付金四十四億八千八百万円は、この特別勘定に繰り入れることとしております。
第三は、蚕糸業
振興資金の拡充についてであります。
事業団は、蚕糸業
振興資金を財源として、生糸の需要の増進を初め蚕糸業の
振興に関する
各種助成
事業を
実施しているところでありますが、異常変動防止措置が廃止され、同措置に係る勘定も廃止されることに伴い、この勘定の積立金相当額の一部二十五億五千二百万円は、蚕糸業
振興資金に充てることとしております。
また、臨時行政調査会の答申を踏まえて、
事業団の理事及び監事の任期を二年とするほか、
事業団の財務諸表を
事業団の各事務所に備え置かなければならないものとすることとしております。
以上のほか、
繭糸価格安定法及び
蚕糸砂糖類価格安定事業団法の
目的規定につきまして、最近における生糸の需給事情及び繭糸価格安定措置に関する
改正内容を踏まえて所要の
改正を行うこととしておりますとともに、施行期日につきまして、公布の日から起算して一月を超えない範囲内において政令で定める日としております。
以上をもちまして、
繭糸価格安定法及び
蚕糸砂糖類価格安定事業団法の一部を
改正する
法律案の提案
理由の補足
説明を終わります。