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1985-07-10 第102回国会 参議院 農林水産委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年七月十日(水曜日)    午前十時二分開会     —————————————    委員異動  六月二十一日     辞任         補欠選任      高木 正明君     斎藤栄三郎君      谷川 寛三君     宮田  輝君  六月二十二日     辞任         補欠選任      岩崎 純三君     坂野 重信君      斎藤栄三郎君     高木 正明君      竹山  裕君     亀井 久興君      宮田  輝君     谷川 寛三君      最上  進君     成相 善十君 七月九日     辞任         補欠選任      刈田 貞子君     中野 鉄造君      塩出 啓典君     太田 淳夫君     —————————————   委員長異動  六月二十四日北修二委員長辞任につき、その  補欠として成相善十君を議院において委員長に  選任した。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成相 善十君     理事                 浦田  勝君                 北  修二君                 星  長治君                 村沢  牧君                 藤原 房雄君     委 員                 大城 眞順君                 岡部 三郎君                 亀井 久興君                 熊谷太三郎君                 小林 国司君                 坂元 親男君                 高木 正明君                 谷川 寛三君                 初村滝一郎君                 水谷  力君                 稲村 稔夫君                 菅野 久光君                 山田  譲君                 太田 淳夫君                 中野 鉄造君                 下田 京子君                 田渕 哲也君     国務大臣         農林水産大臣  佐藤 守良君     事務局側         常任委員会専門 安達  正君         員     説明員         農林水産政務次 川原新次郎君         官         農林水産大臣官 田中 宏尚君         房長         農林水産大臣官 吉國  隆君         房審議官         農林水産省経済 大坪 敏男君         局統計情報部長         農林水産省構造 井上 喜一君         改善局長         農林水産省農蚕 関谷 俊作君         園芸局長         農林水産省畜産 野明 宏至君         局長         食糧庁次長   山田 岸雄君     —————————————   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○農林水産政策に関する調査  (昭和六十年産米生産者米価に関する件)  (農林水産物の市場開放問題に関する件)     —————————————
  2. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  この際、一言あいさつを申し上げます。  去る六月二十四日の本会議におきまして農林水産委員長選任され、その重責を痛感いたしております。  本委員会運営当たりましては、皆様方の御協力を賜りまして、公正、円滑に行ってまいりたいと存じますので、何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。(拍手)  この際、前委員長北修二君から発言を求められておりますので、これを許します。北君。
  3. 北修二

    北修二君 一言あいさつを申し上げます。  昨年八月、当委員会委員長選任されました。自来、この間、我が国農林水産業を取り巻く環境は、国内的にも国際的にも極めて厳しい状況にありましたことは皆様御承知のとおりでございます。  当委員会におきましても、これらを受けて重要な案件が山積し、とりわけ農林水産業関係する法律案も従来になく厳しい内容を含んだものが多くございましたが、皆様方の御協力を賜りまして円滑な委員会運営が行われ、委員長の職責を全うできましたことにつきまして、厚くお礼を申し上げます。  なお、私も引き続き当委員会に籍を置くことになりましたので、当委員会の円滑な運営が行われますよう努めてまいりたいと存じますので、今後とも皆様方の御指導、御鞭撻をお願い申し上げまして、あいさつにかえさせていただきます。  ありがとうございました。(拍手)     —————————————
  4. 成相善十

    委員長成相善十君) まず、委員異動について御報告いたします。  去る六月二十二日、岩崎純三君、竹山裕君、最上進君が委員辞任され、その補欠として坂野重信君、亀井久興君と私、成相善十が選任されました。  また、昨日、刈田貞子君、塩出啓典君が委員辞任され、その補欠として太田淳夫君及び中野鉄造君が選任されました。     —————————————
  5. 成相善十

    委員長成相善十君) 次に、理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が三名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例によりまして、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議.」と呼ぶ者あり〕
  6. 成相善十

    委員長成相善十君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事浦田勝君、北修二君、星長治君を指名いたします。     —————————————
  7. 成相善十

    委員長成相善十君) 農林水産政策に関する調査のうち、昭和六十年産米生産者米価に関する件及び農林水産物の市場開放問題に関する件を議題といたします。  この際、昭和六十年産米生産者米価について政府から説明を聴取いたします。山田食糧庁次長
  8. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 昭和六十年産米穀政府買い入れ価格につきまして、昨日、米価審議会諮問さしていただきましたので、その諮問内容について御説明さしていただきます。  まず最初に、お手元にお配りさしていただいておりますところの「諮問」及び「諮問についての説明」を朗読さしていただきます。     諮問   昭和六十年産米穀政府買価格について、  米穀需給均衡を図るための対策が行われて  いる需給事情に即応しつつ生産費及び所得を考  慮し、農家経営事情にも配慮して決定するこ  とにつき、米価審議会意見を求める。     昭和六十年七月九日      農林水産大臣 佐藤守良     諮問についての説明   米穀政府買価格は、食糧管理法第三条第  二項の規定により、生産費及び物価その他の経  済事情を参酌し、米穀の再生産の確保を図るこ  とを旨として定めることになっており、その算  定については、昭和三十五年以降生産費及び所  得補償方式により行ってきたところでありま  す。   米穀政府買価格につきましては、近年の  米穀需給事情を考慮して、昭和五十三年産以  降抑制的に定めてきたところであります。ま  た、一方で水田利用再編対策及び米消費拡大対  策を中心とする各種施策を通じて米需給均衡  を回復するための努力が続けられております。   しかしながら、米の需給は、米の消費が依然  として減少傾向にある一方、潜在生産力は高水  準で推移しており、生産調整を行わなければそ  の需給均衡を図れないという状況にありま  す。   また、米管理にかかわる財政負担につきまし  ても、これまでその節減合理化に努めてきまし  たが、今後とも努力していく必要があるものと  考えられます。   今後の米の管理におきましては、以上のよう  な事情を踏まえ、ゆとりある米管理と三度の過  剰の発生の防止との両面に留意しつつ、米の安  定供給を図っていく必要があるものと考えてお  ります。   一方、特に本年においては、昨年は豊作とな  ったものの、農家経済を取り巻く厳しい諸事情  の下で、四年連続不作農家経営意欲に及  ぼしている影響に配慮するとともに、米穀の価  格水準安定性を確保することも必要であると  思われます。   本年産米穀政府買価格につきましては、  現下米穀需給事情に即応しつつ生産費及び  所得補償方式により算定し、これに以上の事情  を総合勘案の上決定することとしてはどうかと  いうことであります。  続きまして、資料の「昭和六十年産米穀政府買価格試算」について御説明いたします。  まず、資料に入る前に、算定の基本的な考え方について説明さしていただきたいと思います。  基本的な考え方として、本年産におきましては、昨年五月の米価審議会において採択されました米価算定に関する米価審議会委員会報告趣旨及び前広米審での御論議をも踏まえまして、基本的には昨年と同様の方法により算定を行っております。  すなわち、算定方法としましては生産費及び所得補償方式によることとし、対象農家平均生産費について物財雇用労働費など実際に支払う費用につきましては生産費調査結果を物価修正するとともに、家族労働費については都市均衡労賃評価がえし、この評価がえ生産費平均単収で除して求める価格算定しております。求める価格につきましては、後ほど資料説明さしていただきます。  具体的な算定につきまして主要な点を申し上げますと、まず、生産費対象農家につきましては、生産調整を行わなければ需給均衡が図れないという現下の米の需給事情米価算定に反映させることとし、生産費対象農家として、農家生産費の低い順に並べて、その累積生産数量比率潜在生産量に対する需要比率になるまでの農家をとっております。この比率は、今年は八三%でございますが、昨年におきましては八二%を適用させていただきました。その場合、この比率を求める際の需要量につきましては、主食糧等生産予定量千九十五万トンをとっております。これが今の比率を求める際の分子に計上される数量でございます。  また、潜在生産量につきましては、第三期対策における潜在生産量千三百七十五万トンから、昨年と同様に、転作が定着したものとして永年性作物等について転作奨励金が支払われなくなった後においても転作面積としてカウントする面積、いわゆる転作カウント面積と呼んでおりますが、こうした面積転作定着性が高いものとして永年性作物、林地、農業生産施設用地等面積相当分を控除しております。さらに、本年は、かんがい施設が既になく、かつ客土によって形状が既に畑状になっているいわゆる転換畑相当分も控除することといたしました。これらの合計は二十七万トンでございます。また、他用途利用米二十七万トンの取り扱いにつきましては、昨年の政府試算と同様に潜在生産量から差し引いております。  以上、三点が分母に当たる数量でありまして、千三百七十五万トンの潜在生産量から先ほど申し上げました定着性の非常に高いものの合計二十七万トンと他用途利用米二十七万トンを潜在生産量から控除いたしまして、千三百二十一万トンとなりますが、これを分母に計上させていただいております。  次に、主な算定要素について御説明しますと、まず家族労働費評価に用います都市均衡労賃とり方でありますが、基本的には五十六年以降のとり方と同様に、常用労働者数五人以上千人未満事業所規模製造業賃金について都道府県別米販売量ウエートにより加重平均した賃金という考え方に立っております。その場合、この賃金をそのままとりますと、本年についても昨年と同様比較的低い伸び率となります。このような労賃の低い伸び率をそのまま米価に反映させますと、農家所得等にも影響を与えますので、これを緩和するため、昨年の場合と同様に、米販売量ウエートとする平均賃金について、労働者数ウエートとする平均賃金上昇率を用いて調整するいわゆる賃率調整と呼んでおりますが、調整するという方法をとっております。前年適用賃金に対しまして、今年は二・四六%のアップになります。  また、自作地地代評価につきましては、昨年と同様、固定資産税評価額元本とする土地資本利子という考え方に立っております。その場合、六十年度は三年ごとに行われます固定資産税評価額の改定時期に当たりますことから、全体の正確な数字は来年にならないとまだわかりませんが、本年の算定では、指定市町村基準円価額の五十七年度に対する六十年度の全国平均上昇率により六十年度評価額を推定し、これを元本として算定しております。  また、適用利率につきましては、昨年と同様十年利付国債応募者利回りによっていますが、最近利回りが低下していることを考慮し、昨年と同率としております。  こうした結果、昨年適用自作地地代は五千七百七円、十アール当たりでありますが、今年は以上の計算によりますと六千二百三十七円となります。  以上のような方式により試算いたしました結果につきましては、「昭和六十年産米穀政府買価格試算」、お手元にお配りしている資料でございますが、に見られますとおりでございます。  資料の一ページ目の「1.」基準価格というのがございますが、それの「(1.」の真ん中辺に数字が並んでおります。それをごらんいただきますと、基準価格は、求める価格、いわばこれは農家庭先価格でございますが、その求める価格運搬費を足しまして基準価格を求めるわけでございますが、その実額は一万七千九百十四円に相なります。昨年の基準価格、これは「(2.」のちょうどその下の方に書いておりますが、一万八千三百九十八円でございまして、額にして四百八十四円低い 数字でございますし、率にいたしますと二・六%ほど下回る数字となっておるわけでございます。私どもといたしましては、昨年は豊作となったものの、農家経済を取り巻く厳しい諸事情のもとで四年連続不作農家経営意欲に及ぼしている影響に配慮するとともに、価格水準安定性を確保することも必要であること等を総合勘案いたしまして、本年の基準価格としましては昨年と同額の一万八千三百九十八円としたところでございます。  この基準価格をもとにいたしまして、資料一ページの「2.」にございますうるち軟質類一等裸価格算定するわけでございますが、この価格は具体的な類、等級の個別の価格を算出する際のベースになっておる価格でございまして、いわゆる私どもへそ価格と呼んでいるものでございます。その算定方法は、基準価格に一−三等の一−五類平均と三類との格差、また、一−三等平均一等との格差歩どまり加算を加除いたしまして計算しておりますが、その結果は一ページの最後段に書いておりますような一万八千五百五円になるわけでございます。これは昨年と全く同額数字でございます。  次に、二ページに移らしていただきまして、「うるち一−五類、一−二等平均包装込み生産者手取予定価格」、これがいわゆる基本米価と呼ばれておるものでございまして、先ほどの「2.」で求めました数字に一−二等の三類と一−五類平均との格差一等と一、二等平均との格差歩どまり加算包装代、こういったものを加除いたしまして一万八千六百六十八円、これも前年と同額でございます。これらの諸計数につきましては、前年と全く同額数字を使わしていただいております。  三ページに「参.」といたしまして「類別等級別政府買価格」を挙げさしていただいております。これはうるち軟質類一等裸価格、いわゆる先ほど申しましたへそ価格類別格差等級別格差で開いたものでございまして、五十九年産米のこれらの数字と、今年の一、二類、また一、二、三、四、五類、一等、二等、三等等の買い入れ価格は昨年と全く同額になっておるわけでございます。  四ページ以降につきましては具体的な計算方式、その要素の取り方について説明しておるわけでございますが、時間がございませんので省略さしていただきたいと思います。  以上、はしょりましたが、きのう諮問いたしました内容につきまして御説明させていただきました。
  9. 成相善十

    委員長成相善十君) 次に、大坪統計情報部長
  10. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) 昭和五十九年産米生産費調査結果を取りまとめましたので、その概要を御報告申し上げます。  関係資料をお手元にお配りしてございますので、ごらんいただきたいと存じます。  まず、十アール当たり生産費でございますが、第一次生産費につきましては十三万五千三百五十七円でございまして、対前年比〇・五%の減でございます。また、この第一次生産費資本利子地代を加えました第二次生産費につきましては十七万四千二円でございまして、対前年比で〇・一二%の減となっております。次に、六十キログラム当たり生産費でございますが、第一次生産費は一万四千九百三十四円でございまして、対前年比一〇・七%の減でございます。また、第二次生産費につきましては一万九千百九十八円でございまして、対前年比で一〇・六%の減、こういうふうになっておるわけでございます。  このように、五十九年産水稲生産費が十アール当たり、また六十キログラム当たりいずれも前年を下回ったわけでございますが、その主たる要因といたしましては、まず従来からの機械化等による省力化の進展に加えまして、昨年は気象条件に恵まれたために稲作の全作業の行程を通じまして作業時間が減少したこと、また次に肥料価格燃油価格が下落する等、資材価格が総じて安定的に推移したこと等が挙げられようかと考えております。さらに、六十キログラム当たり生産費減少率が十アール当たり生産費減少率を大きく上回ったことは、御案内のように昨年過去最高の水準に達しました十アール当たり収量増加によるものでございます。  次に、生産費費目構成主要費目動向について御説明申し上げます。資料の二ページと三ページをごらんいただきたいと存じます。  まず、生産費費目別構成比についてでございますが、労働費が三八・三%と最も高く、次いで農機具費二九・四%、肥料費七・七%、賃借料及び料金六二一%となっておりまして、この四つの費目費用合計の八一・六%を占めております。  次に、十アール当たり生産費主要費目動向でございますが、労働費は五万四千二百十四円で、前年を三・七%下回っております。これは、十アール当たり投下労働時間の減少労働単価上昇を上回ったことによるものでございます。農機具費は四万一千六百円で、前年を一・五%上回っております。これは自説型コンバイン乗用型トラクターなど高性能機械の導入、更新等によるものでございます。肥料費は一万九百十二円でございまして、前年を二%下回っております。これは主として肥料価格の下落によるものでございます。賃借料及び料金は八千七百七十二円で、前年を九・九%上回っております。これは主として十アール当たり収量増加に伴いますライスセンターカントリーエレベーター等利用増加したことによるものでございます。農業薬剤費でございますが、七千百三十三円でございまして、前年を二・四%下回っております。これは田植え期以降気象条件に恵まれ、病虫害の発生が少なかったために殺虫剤使用量減少したことによるものでございます。地代は三万一千八十四円でございまして、前年を〇・四%上回っております。  次に、作付規模別生産費でございますが、十アール当たり第二次生産費作付規模別に見ますと、三十アール未満階層が二十二万四千七百四十円と最も高く、三十アールから五十アール階層二十万一千四百十三円、五十アールから百アール階層十八万三千二百三十六円というふうに作付規模が大きくなるにつれて逓減しておりまして、三百アール以上階層では十四万八千五十四円と、三十アール未満階層の六六%となっております。このような階層間格差は、主として規模の大きい階層ほど農機具効率的利用等が行われ、稲作労働省力化が進み、労働費農機具費賃借料及び料金等費用が低下することによって生じているものでございます。  最後に、水稲作収益性でございますが、昭和五十九年産水稲の十アール当たり収益は十七万、七千九十六円で、前年を一二・二%上回っております。これは十アール当たり収量が前年を大きく上回ったことと価格上昇によるものでございます。また、十アール当たり所得は八万八千五百九十五円でございまして、前年を二五%上回っております。このように所得増加率が粗収益増加率を大きく上回った要因といたしましては、費用つまり物財費雇用労働費増加率が一・七%にとどまり、粗収益増加率を大きく下回ったことによるものでございます。また、一日八時間当たり所得は、労働時間の減少によりまして一万二千八百四十円と前年を三五・六%上回っております。  資料の四ページ以下は統計表でございますので、説明を省略さしていただきます。  以上でございます。
  11. 成相善十

    委員長成相善十君) 以上で説明聴取を終わります。  これより本件に対する質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  12. 村沢牧

    村沢牧君 きょうは、大臣米価審議会等関係で、午前中総体で二時間しか出席できないといっておりますので、私も要領よく質問をいたしますので、主として大臣から簡潔に御答弁をいただきたいと思います。  政府がこの数年間、農畜産物価格を実質据え置き、あるいは引き下げたことによって農家経済は大変厳しくなっています。ことしの生産者米価は何としても、引き上げてもらいたいという農民の切実な要求を無視して、また日本社会党も数回にわたる政府申し入れをしたわけでありますが、これらも軽視して大臣据え置き諮問をした。全くもって容認できないことであります。かかる諮問をした大臣の心境について伺いたい。
  13. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 村沢先生にお答えいたします。  私が今回の米価審議会諮問申し上げました案は、昨年五月に米価審議会米価算定小委員会でおまとめいただきました報告趣旨を踏まえまして適正に算定したものでございます。  また、生産者団体を初め、各方面の御意見も十分お聞きした上で、私としましては農家経済の実情や米価水準安定性にも十分配慮して策定したつもりでございます。
  14. 村沢牧

    村沢牧君 生産者団体意見も聞いたと言うけれども、以下指摘をするように、聞いてないじゃないですか。  生産者米価算定の基礎となる五十九年産米生産費がまだはっきりしないうちから、大蔵省引き下げをPRした。総理みずから、また農水大臣、あなたも引き下げを示唆するような発言を行ってきた。そして算定の結果は二・六%、四百八十四円下がるけれども農家経済の厳しい事情米価安定のために据え置きをするんだ、そしてまた与党も、本来ならば引き下げになるけれども与党努力によって据え置きまで引き上げた、こんなことを聞くわけですけれども最初からこれは仕組んだ茶番劇と言わなければならない。どのように弁解するんですか。
  15. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 今の点についてお答えいたしますと、実は先ほどちょっと言ったことで、米価審議会で、一昨年十月から昨年五月まで米価算定小委員会米価の結論が出て、その方向を踏まえまして昨年の生産費所得補償方式によればということで、少なくとも大蔵省へ行って四%引き下げになる、我が省ではいろんな点を配慮した二・六%という数字を申し上げたということでございまして、引き下げの話をしたことはございません。ただ、昨年と同じような生産費所得補償方式を使えばこういうことになるんだということを申し上げただけでございます。
  16. 村沢牧

    村沢牧君 昨年と同じ形式を使って引き下げたんじゃないですか。つまり私の言うことは、最初据え置きをするんだと、そういうことを想定をして、前提に置いて数字をこれに合わした、いわゆる最初から仕組んだ茶番劇である、そんなことはありませんか。
  17. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほど言ったようなことでございますが、私とすればそれはよくない。少なくとも払いつも言っておりますのは、第一番に再生産を確保すること、それからもう一つは、農家の皆さん方が少なくとも明るい展望を持てるような米価をつくりたい、こんなことで最善の努力をしました結果が据え置き諮問となったわけでございます。御理解のほどをよろしくお願いする次第でございます。
  18. 村沢牧

    村沢牧君 後ほど指摘をしますけれども、決してこの諮問米価据え置き米価農家に明るい展望を持たすものではない、そのことを冒頭申し上げておきます。  そこで、諮問米価生産費所得補償方式によって算定したと言っていますけれども大臣はこの米価が真に生産費及び所得を補償し稲作の再生産を確保することができる米価である、そういう確信をお持ちですか。——大臣ですよ。ちょっと待ってください。私は、先ほど冒頭申し上げたように、大臣の時間がないから事務当局には午後質問しますよ。大臣の見解ですよ。
  19. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほどもお答えしたようなことで、生産費所得補償方式でやった、ただ問題は今の農政をどう見るかということなんです。  私はいつも申しておりますけれども、やはりこれからの農政につきましては、明るい展望を持たすためにはやはり価格政策、構造政策、生産政策、それにやはり私は基本的には技術開発、バイオテクノロジー等加えないとなかなか明るい展望は持てないなということを実は申し上げているわけでございまして、昨年の生産費所得補償方式によればということを申し上げているわけでございます。  それからもう一つは、やはり農家所得を見ておりましても、大体年間二戸平均六百四、五十万、大体農業の所得は百万前後ということ。あるいは岩手県などへ行きますと、例えばこの間も遠野で聞いた岩手県の年収は四百四十万で三割から四割が農業所得と、そんなことで、したがって価格政策のみでは農家は明るい展望を持てないということはいつも申しているとおりでございます。
  20. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、食管法によれば、生産者米価はどのようにして決定するかということがはっきりうたわれておるわけです。そこで、先ほど食糧庁次長説明によっても、今回の諮問米価生産費所得補償方式によって算定した米価でございますという答弁があった。ですから、大臣にお聞きをしていることは、この諮問米価が真に生産費所得を補償し米作の再生産を確保できる米価であるのかどうか、その確信を持っているのかどうか。
  21. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  確信、そのとおりでございます。生産費所得補償方式によるものでございまして、お米の再生産は確保できると思っております。
  22. 村沢牧

    村沢牧君 重ねてお伺いいたしますが、この米価生産費所得を補償するものである、このことは断言しますね。
  23. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) そのとおりでございます。
  24. 村沢牧

    村沢牧君 それではお伺いいたしますが、諮問米価で第二次生産費をカバーできる稲作農家規模、その農家の米づくり農家、米販売農家に占める割合を明らかにしてください。また、何俵以上販売する農家ならこの米価でもって引き合うことができるのか、その農家の販売数量は何%を占めるのか。
  25. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  五十九年産米価による生産費のカバー率を見ますと、第二次生産費で戸数カバー率三一%になっておりますし、販売数量のカバー率で五二%になっております。なお、第一次生産費におきましては、戸数でもって六一%、販売数量でもって八三%をカバーすることとなっております。  なお、今御質問のございました、これらのカバーする際の何俵ぐらいのものであるかというのは、ちょっと今数字を持ち合わせておりませんので、よろしくお願いします。
  26. 村沢牧

    村沢牧君 次長は私が質問しないようなことを、第一次生産費なんて聞いているんじゃないですよ。こういうことを私はきのう通告したんじゃないですか。何のために質問とりに来たんだ。  何俵以上販売すれば今の米価で採算がとれるのか、農水省の資料だってあるんじゃないですか。答えてくださいよ。そして、この稲作農家規模、何ヘクタール以上稲作をやればこの米価で採算がとれるのか、答弁してないじゃないですか。質問をしっかり聞いて答弁してください。
  27. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今の五十九年の一万八千二百二十一円、これは基準価格でございますが、それで見ますと、第二次生産費政府買い入れ価格よりは低いものといたしましては、規模は一・五ヘクタールから二・○ヘクタールの規模のものにおきまして採算がとれておると、こういうふうに見ております。
  28. 村沢牧

    村沢牧君 販売数量。通告したじゃないか。
  29. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今の点、すぐ数字を引き出しますので、後ほど御報告さしていただきます。
  30. 村沢牧

    村沢牧君 質問は保留しますから。休みます。
  31. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 御説明させていただきます。  採算のとれる販売数量といたしましては、一農家平均としまして二百俵以上になるわけでございます。
  32. 村沢牧

    村沢牧君 貴重な時間を、これは私たちに配付した農水省の資料に載っているじゃないですか。こんなことで米審委員の熱心な質問に答弁できますか。大臣、もっとしっかり督励しておいてくださいよ。  六十キロ当たり政府買い入れ価格生産費調査関係を見ると、五十四年から生産者米価は第二次生産費を下回り、年々その格差が拡大し、五十八年には生産費に比べて米価は三千二百円も下回っている。五十九年には、先ほど統計情報部長から報告のあったように、米が豊作であったので第二次生産費は前年対比一〇・六%も低くなったとはいえ、米価生産費との開きはまだ八百円も存在しているんです。そして、今説明のあったように、諮問米価生産費をカバーできる農家は一・五ヘクタール以上米をつくる農家、それから米を販売する戸数にしてそれは三一%、販売数量にして五二%、米を二百俵以上販売する農家でなければこの米価では採算がとれない、そういうことになっているじゃないですか。つまり、米を販売する農家の三分の一しかの補償ができない、この米価では。つまり大臣、これをもって諮問米価生産費をカバーする、こういうことが言えるでしょうか。生産者の三〇%しかカバーできないじゃないですか。大部分の農家生産費はカバーできない。大臣、答弁を願います。
  33. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  結局、基本におきましては、生産者米価における生産費及び所得補償方式稲作に要した費用を補てんずるとともに、家族労働費について都市均衡労賃を補償するものであり、具体的にはどのような稲作農家のどのような水準所得を補償するかがそのときどきの米の需給事情等により異なってくるものと考えております。  現在は、先生御存じのように、多額の財政負担を伴いつつ、米の潜在的な需給均衡を是正するための施策を実施していることにかんがみ、五十七年以降潜在需給ギャップ反映必要量平均生産費方式を採用して米価算定を行っているところでございます。
  34. 村沢牧

    村沢牧君 大臣の答弁もなっておらないんですが、先ほど統計情報部長が第二次生産費はこれだけかかりますよということをはっきり言っているんです。これはかかった費用なんですよ。これだけかかったけれども、今の米価では先ほど申しましたように生産費を補償してないんです、補償できないんですから。わかりませんか。わからなければもう一回言いますが。——おわかりになりますね。つまり、米を二百俵以上売る人でなくちゃ採算がとれない。一・五ヘクタール以上米をつくらなければ採算がとれないんですよ。これでもって大部分の農家生産費がカバーできますか。大臣、もう一回御答弁願います。
  35. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 米作農家の全部はカバーしておりませんが、ある一定部分はカバーしている。生産費所得補償方式を採用しているということで理解しております。
  36. 村沢牧

    村沢牧君 ある一定の部分はカバーしていると。じゃ、一定の部分はどのくらいですか。何%ですか、一定の部分というのは。先ほど私が言っている一定の部分は、わずかに三割しかないじゃないですか。それでいいんですか。
  37. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほどもちょっと次長が答弁したことでございますが、生産費カバー、戸数で六一%、販売数量で八三%ということでございます。
  38. 村沢牧

    村沢牧君 違うよ。それは違う。
  39. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 二次では、生産費については戸数で三一%、販売数量で五二%カバーしている、こういうことでございます。
  40. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、三〇%のカバーで生産費をカバーしたと言えるんですか。それでいいんですか、食管法に照らしてもう一回答弁してください。
  41. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 需給事情あるいは財政事情等を考慮してやむを得ないと考えております。
  42. 村沢牧

    村沢牧君 需給事情は後ほどやりましょう。つまり財政事情からやむを得ないということですね。はっきりそうですね。
  43. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) そうでございます。
  44. 村沢牧

    村沢牧君 わかりました。かバーできないけれども、財政事情からやむを得ない。食管法の規定に照らしてどうですか。なるほど食管法には財政状態その他の経済状況を勘案して決めるということになっていますが、これだけしかカバーできなくて、それでもって食管法に抵触しないということが言えますか。
  45. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 食管法に書いてある生産費、それから物価その他の事情等を考慮して、再生産を旨としてということでございまして、(「考慮してないじゃないです.」と呼ぶ者あり)私はこれで配慮してあると考えております。
  46. 村沢牧

    村沢牧君 大臣がそうおっしゃるなら、それは残して後からまた議論いたしましょう。  しかし、申し上げておきますけれども大臣考え方は違っていますよ。与党の皆さん方だって、傍聴に来ていらっしゃる皆さん方だって、大臣の言うことを、なるほどそうか、大臣はもっともなことをおっしゃるなんて考えている人は一人もないですよ。大臣だってそういうふうに思ってないでしょう。  それで、生産費所得補償方式を、もう一つの基本である所得についてはどうか。五十二年から五十九年度まで生産者米価はわずかに八・三%上がったにすぎないが、他産業の賃金は四七%、消費者物価指数は三〇・二%、生産資材は一九%も上がっているんです。この結果、稲作収益性は著しく悪化して、豊作によって前年に比べて二五%も所得が上がったという昨年ですら、五十二年に比較して十アール当たり二千五百円も低いんです。家族労働費は製造賃金よりもはるかに低い。大臣、このような現行米価すなわち据え置き諮問米価でもって所得を補償した米価であると言えるんですか。
  47. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  先ほどもちょっと言ったわけですが、生産者米価におきます生産費及び所得補償方式は、稲作に要した費用を補てんずるとともに、家族労働費について都市均衡労賃を補償するものであり、具体的などのような稲作農家のどのような水準所得を補償するかがそのときどきの米の需給事情等により異なってくるものと考えております。
  48. 村沢牧

    村沢牧君 大臣の見解と私の見解は違うんですけれども、そういう大臣の見解のもとでこの米価は、私はさっき数字を申し上げたんですけれども、それらを勘案して所得を補償した米価である、そういう確信をお持ちですか。
  49. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほどお答え申し上げましたようなことで、第二次生産費については戸数で三一%、数量で五二%カバーしていると、このように考えております。
  50. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ、三一%以外のカバーできない人の所得はどうなんですか。所得も補償した米価じゃないじゃないですか。
  51. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  一定規模農家家族労働費は補償していると考えております。
  52. 村沢牧

    村沢牧君 くどいようですけれども、一・五ヘクタール以上の稲作農家、二百俵以上米を販売する農家、それは所得が補償されているかわかりません。それ以外の農家は補償されておらないんじゃないですか。それ以外の農家の米は要らないということですか、農水省としては。
  53. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  実は先生の御指摘のような一・五ヘクタール、二ヘクタールにつきましては、生産費所得補償方式で補償してあるわけです。いわゆる小規模な方につきましては、お米をつくっていただいております。そんなことの中で、いろいろの問題点はあるわけでございますが、そのときの作況とか需給事情によりまして若干違ってくるわけですが、そういう一・五ヘクタール以上の方については、先ほども言ったようなことで家族労働費は補償してあると、このように理解しておるわけでございます。
  54. 村沢牧

    村沢牧君 それも答弁になっていないけれども、それじゃ一・五ヘクタール以上の農家稲作農家に占めるパーセント、数字だけで結構です。
  55. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 御説明させていただきます。  五十八年の数字でございますが、一・五ヘクタール以上の農家の販売戸数でシェアを見ますと一一%になりますし、販売数量で見ますと四〇%に相なっております。
  56. 村沢牧

    村沢牧君 ですから、一一%だけの農家の補償ができるということですね。あとの八十何%ですか、九〇%近くのものは補償はされておらないんです。大臣、そうですね。
  57. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  五十八年の数字ではそういうことになっております。
  58. 村沢牧

    村沢牧君 そうですか。じゃ五十九年はどうですか。
  59. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 五十九年につきましては、作柄はよかったわけでございますが、今、統計数字としてまだはっきりさせられないような状態でございますので、御説明することができないわけでございます。
  60. 村沢牧

    村沢牧君 五十九年だって大した違いはないですよ、一・五ヘクタールの面積によるんですからね。じゃ、五十九年度になったら二〇%、三〇%になりますか。ならないでしょう。そんなぐらいの数字は皆さん検討しておいてくださいよ。  じゃ、次に移ります。  政府米価算定方式は誤っている。昨年、潜在需給ギャップ反映必要量平均生産費方式及び一ヘクタール以上の農家平均生産費方式総合勘案した方式なんという舌をかむようなわけのわからない方式を出して、そして米価算定対象農家生産費の低いものから八二%をとった。本年度もこのわけのわからない方式を踏襲してことしは八三%とした。その基礎となる潜在生産量の千三百七十五万トンは、転作なかりせば、今転作をやめれば千三百七十五万トンという生産が確実に保障されるものではない。これは転作面積及び転作奨励金を出す前提としての数字である。このことは、昨年当委員会で私の質問に対して、小島前農蚕園芸局長、そして関谷現局長も認めているところでありますが、このことは否定しませんね。否定するかしないか、そのくらいのことでいいです。
  61. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 潜在生産量につきましては、先生の御指摘のような考え方でやっております。
  62. 村沢牧

    村沢牧君 つまり、千三百七十五万トンという数字は架空の数字である。架空の数字を基本として、本年はそこから永年作物等に転換性が高いというものの面積二十七万トンを差し引き、さらに他用途利用米二十七万トンを差し引いたものを分母として八三%という数字を出した。この転作定着二十七万トンという数字も、農水省が正確に把握している数字じゃないと思う。もし反論があるなら、ここで農政局別、府県別の資料を示してください。したがって、こんな架空な数字を使って米価算定対象農家をとることは誤りである。大臣、どうですか、大臣の答弁を求めます。
  63. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) では、事務的な問題だけ先に御説明申し上げます。  二十七万トンに見合います面積は、大体約五万六千ヘクタールでございます。これは五十九年度までのこういう関係の数値から推定した面積数値でございまして、六十年の五万六千ヘクタールについては御指摘のような地方農政局別の数字は現時点ではございません。ただ、その前提になります数値のうち、四十九年度はこれが四万九千九百ヘクタールでございまして、これの地方農政局別内訳については把握しておりますので、御必要がございますれば別途御提示申し上げたいと思います。
  64. 村沢牧

    村沢牧君 いずれにしても、千三百七十五万トンであろうが、そこから差し引く二十七万トンであろうが、これは架空の数字なんですよ。皆さん方がはっきりつかんでいる数字じゃないじゃないですか。こんな数字をもって米価算定の基礎なんて、とんでもないですよ。昨年も私はこの問題については何回もあなたたちと議論したんですよ。あなたたちも認めているじゃないですか。大臣、おわかりになりますか。千三百七十五万トン潜在生産量があるというけれども、それだけあるということを農水省がつかんでいるわけじゃない。これは千三百七十五万トン潜在生産量があるから減反面積をどれだけにしなきゃいけませんよ、そして補助金を大蔵省からどれだけとらなきゃいけないという数字じゃないですか。そんな数字に自信がないでしょう、実際はこれだけとれるかどうか。大臣どう思われますか、大臣もお話を聞いておわかりになっていただいたと思うんですが。
  65. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  現実にはその面積はありませんが、推計としては正しいのではないかと考えております。
  66. 村沢牧

    村沢牧君 大事な米価算定するのに、推定なんというのは幾らでもできるでしょう。千五百万トンといえば、それも推定になりますな。千百万トンといえばなるんですが、そんな無責任なことで米価算定できるんですか。もう一回答弁してください。
  67. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) これはもう先生御存じと思いますが、昨年の算定委員会考え方の中の需給ギャップを反映させることは妥当であると考えております。  それからもう一つは、今の推計につきましても根拠のある推計と、このように考えております。
  68. 村沢牧

    村沢牧君 大臣、これは根拠のある数字ではないということを前の局長も今の局長も国会で答弁しているじゃないですか。大臣、根拠があったら示してください。
  69. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 私は根拠がない、架空というふうにお答えしたつもりはございませんで、今、大臣お答え申し上げましたように、従来の実績に基づく推計でございます。  例えば、面積について申し上げますと、五十七年度の実際の水稲の作付面積転作奨励補助金の交付対象となる転作等の実施面積を加える、これからその後の壊廃面積の推計値を引く、この面積二百八十五万ヘクタールに推計単収四百八十一キロを乗じているわけでございまして、いずれにしても潜在生産量でございますから、現実に生産がどのくらいあるかというよりは、そのまま考えますとどのくらいの生産量があるか、これを転作の対象として考えるかと、こういうようなことでございますので、今、大臣からもお答え申し上げましたように、従来の実績、単収その他の傾向から推計しましたまさに根拠のある推計と、こういうことで申し上げているわけでございます。
  70. 村沢牧

    村沢牧君 根拠のある推定というのは、この数字をもとにして転作をして、転作奨励金大蔵省から取ってくる、皆さんが交付する、そのための根拠なんです。これは潜在生産量が千三百七十五万トンあるというふうにつかんだ数字じゃないじゃないですか。その問題について議論をすると時間がなくなりますから次に行きますが、これは局長、去年の会議録に載っていますから局長も否定しないというふうに思いますが、局長も持っていますから否定できませんね。
  71. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) ここにもございます。
  72. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、もう一つの面で、大臣は潜在需給ギャップと言うけれども需給ギャップに相当する数字稲作農家の理解と協力によって、すなわち減反によって埋められている。需要に必要な米以外は生産をされておらないはずなんです。もしおるとしたらおかしい話です。したがって、米価算定においてはいわれのない需給ギャップを米価に反映させるのは理不尽である。これは大きな誤りである。大臣どうですか。
  73. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  米の需給ギャップは依然として相当大きいものがあり、それによって多額の財政負担を伴いつつ転作を今行っている状況でございます。そんなことで、私は米価算定当たりましては、生産費対象農家とり方に呼応した米の潜在的な需給のギャップを反映することは妥当であると考えております。
  74. 村沢牧

    村沢牧君 需給ギャップがあったから減反をしているんですよ。減反をして需給ギャップがなくなるようにしているんじゃないですか。それが農水省の方針であり、水田利用第三期対策の基本的な考え方じゃないですか。あれだけ減反したけれども、まだうんとあるんですか。それはどのくらいの数字なんですか、はっきり言ってください。
  75. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) まさに今の転作政策は、千三百七十五万トンという潜在生産量と実際の推定需要量との差を転作の対象とするということでございまして、その面積が現実の生産調整の対象としてあるわけでございまして、これがまさに転作政策の仕組みとして従来からとっておるところでございます。
  76. 村沢牧

    村沢牧君 だから、そういう仕組みでやっているから需給ギャップを埋めているじゃないですか。埋めている需給ギャップをまた米価算定の基礎数字にするなんてことは、全くもって理不尽だ。つじつまが合わないじゃないですか。これは私の理論の方が正しいと思いますから、きょうは時間がないからまたゆっくり後日にでも論議いたしましょう。  そこで、大臣はこのような算定方法を改め、今私が指摘をしたように潜在生産量も架空だ、ここから差し引く二十七万トン、これも架空の数字、それから生産費所得も補償しておらない、こんな算定方式によってつくり出した米価は誤りである。したがって大臣、今まで大臣あるいは農水省幹部が的確な答弁ができなかったような状態でありますから、こんな諮問は撤回して正しく算定して再計算をする、そのことを強く要求します。
  77. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) このたびの諮問米価につきましては、実はいろんな角度から十分検討して最善の努力をいたした結果でございますゆえ、御理解いただきたいと思っておるわけでございます。
  78. 村沢牧

    村沢牧君 検討したといったって、皆さんの答弁が私どもが納得するようにはね返ってこないじゃないですか。基礎数字が間違っているんだよ。生産費所得も補償していないんだよ。こんな米価はだめじゃないですか。だから再検討する必要がある。もう一回答弁をいただきたい。
  79. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  このたびの米価算定につきましては、要素とり方等につきましても実はいろんな方から十分意見を聞き、米の需給事情消費者の理解、財政負担等に十分配慮する必要があったわけでございます。そんなことで、本年の米価算定に当たってはこのような観点を踏まえ試算を行ったところでありまして、米価審議会において十分御論議をいただいた上で適切に決定いたしたい、こう考えております。
  80. 村沢牧

    村沢牧君 幅広く意見を聞いたと言うけれども、それでは一番生産者米価関係をする農民、農業者団体はこれで結構ですと言っているんですか。不満だ、これではのめないと言っているじゃないですか。大事なところの意見も聞かなくて、大蔵省意見ばかり聞いて米価算定したってだめですよ、これは。そういう態度だから農水省はいろんな施策に対して活力がないと言わざるを得ないんです。  そこで、今、大臣が言われたように、米価の最終決定は政府が行うんだと、今までの答弁を聞いておっても据え置き諮問の根拠は極めて薄い。大臣米審意見や、特に米審における生産者側の意見、当委員会意見、今まで述べた私の主張にも耳をかして、政府の責任で基本米価を引き上げるべきであるが、この決意はありますか。
  81. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほど言ったようなことでございますが、本年の米価算定当たりましてはいろんな人の、米の需給事情とか消費者の理解とか財政負担等に十分配慮しながら、米価審議会においての御議論をいただいた上で適切に決定したい、こう思っております。
  82. 村沢牧

    村沢牧君 だから、それもあいまいな答弁ですが、大臣は政治加算ということを何かお考えになっていますか。
  83. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 米価審議会で十分論議をいただいて、その意見を聞きまして適切に決定したいと考えております。
  84. 村沢牧

    村沢牧君 適切に決定をするということは、私は今申しました政治加算という言葉があるかどうか知らないけれども、どういうことであるかわからないけれども、そういうことも考えて決定するということですか。
  85. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  現在、米価審議会で、きょうも御審議いただいておる状況でございまして、その御意見を聞きまして適切に決定したい、こう考えております。
  86. 村沢牧

    村沢牧君 適切に決定するのは当然だけれども、私が指摘をしたように算定方法を誤っているんだから、米価審議会意見を聞いて引き上げる方向で決定をするように強く要請をしておきます。後ほど私たちの態度は決意をもって申し上げます。  そこで、自主流通米についてでありますが、自主流通米は昭和五十六年の食管法改正によって法定化されたが、その当時私の質問に答えて亀岡農相は、自主流通米は法定化するのであるから、この補助金は将来にわたって後退をさせない、こういう言明をしております。また松本食糧庁長官は、政府米と自主流通米の比率は現在三二%であり、この比率は今後大幅に変えることのないよう基本計画を策定するという答弁をしております。このことを承知しておりますね。
  87. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今、御指摘の点につきましては、私どもも承知しております。
  88. 村沢牧

    村沢牧君 そういうことを承知をしながら、政府は五十八年には自主流通米の流通促進奨励金をカットした。そして自主流通米の流通量は政府の不手際によって、当時三二%であったけれども今は四五%以上になり、政府米に匹敵するような数字になってきた。大臣、このようにすべて国会答弁、公約違反を農水省は犯しているんです。今回、自主流通米補助金を削減して、再び公約違反をするようなことはよもやあるまいと思われますが、大臣はどのような見解をお持ちですか。
  89. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  自主流通米の良質米奨励金は、五十一年から結局生産拡大、消費者ニーズにこたえるためということで良質米を生産するために実はできた制度でございます。したがって、今日まで良質米の供給増には大きな役割を果たしてきたと考えております。また、消費者の根強い良質米嗜好を考慮すれば、良質米生産の奨励が今後とも必要であることは変わりないと考えております。  ただ、近年、自主流通米における生産者手取り額は着実に増加しております。またその一方で、流通量も増大しているという状況にあります。特に昨年、五十九年産におきましては、作柄がよかった等の理由から需給環境が大きく変化し、先生御存じのように、一部荷もたれの状況が生じております。  このような実情を踏まえまして、自主流通米については需要に見合った供給を安定的に維持していく観点に立って、また実は臨調からの御指摘の趣旨にも沿いまして、良質米奨励金について合理化を図るため今回の見直しを行っているところでございます。  また、今回の良質米奨励金見直し検討は、自主流通制度の健全な発展を図る立場を堅持しつつ、生産者のみならず消費者の立場にも配慮して行っているものでございますので、合理化を打ってもそれが自主流通助成の趣旨を損なうようなものにはならないと考えております。
  90. 村沢牧

    村沢牧君 私が聞いたのは、自主流通米の奨励金を減らすのか減らさぬのか、その一言でいいんですよ。どうなんですか。一言でいい。内容はわかっていますから、大臣の決意だけ聞けばいいんです。
  91. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほど言ったようなことでございまして、昨年の経緯を踏まえまして今検討をしておる最中でございます。
  92. 村沢牧

    村沢牧君 そこで、昨年の米価決定の際、自主流通米助成の良質米奨励金については、本年度、つまり昨年は現行どおりにするが、来年度において縮減合理化について検討を行う、こういう大臣の談話を発表していますが、これは政府与党・自民党との申し合わせ事項、つまり約束ですか。
  93. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  与党を含めてでございます。
  94. 村沢牧

    村沢牧君 政府与党で昨年こういう約束をしておった。したがって、検討するということは、本年度良質米奨励金を削減するというふうな理解で検討するわけですね。
  95. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先ほどちょっと言いましたことで、昨年、米価決定の経緯の中で、自主流通米制度の健全な発展を図る立場を堅持しながら、実はその縮減合理化を検討する、こういうふうに理解しております。
  96. 村沢牧

    村沢牧君 縮減ですね。
  97. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) はい。
  98. 村沢牧

    村沢牧君 つまり、政府与党は昨年、良質米奨励金を縮減するという申し合わせができておる。全くけしからぬことだ。そのような約束をしておきながら、与党の諸君は農民の前では良質米奨励金の削減はさせないという演説を盛んにぶっている。これは農民を愚弄することじゃないですか。もし大臣の言うように、政府与党の約束ができておって、それに基づいて削減をする、私の言うのが筋だと思ったら大臣にその言葉を撤回してもらいたいし、与党の質問もあるし、与党の責任でもって良質米奨励金は確保する、大臣ああいうふうに言っているんですから、これは与党が後質問がありますから、与党の方でただしてください。
  99. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  ちょっと村沢先生の言葉に誤解があると思います。基本的に、最初言いましたけれども、自主流通米制度の健全な発展を図るという立場を堅持しながらということでございまして、検討すると、約束ではございません、検討するということでございますから。
  100. 村沢牧

    村沢牧君 それじゃ、検討した結果、下がることもあるわけですね。ですから、私は自主流通米制度の役割については申し上げません、時間がありませんから。しかし、この自主流通米奨励金を削減するということは大きな問題がある。検討するのは結構だけれども、しかし、あなたたちは米価算定するのに最初に答えを出して算式をつけるんですから、この際も自主流通米、良質米奨励金は削減しない、そういう結論を出して、後はどうでも理屈をくっつけてください。強く要請しておきますよ。  次に、食管制度についてですが、大臣は食管制度を守るというふうに言っているんですが、売買逆ざやは一・九%となって実質売買逆ざやはこれで解消したんだ、これ以上逆ざや解消に食い込むんですか。
  101. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  本年二月の米穀政府売り渡し価格の引き上げによりまして売買逆ざやは一・九%というようにおおむね解消の域に達しましたが、なお金利とかあるいは保管料等、米の流通に必要な管理経費については政府が負担しているので、米の流通に悪影響を及ぼすことは少ないと考えております。  ただ、狭い範囲での、あるいは小口の不正規流通が増加するおそれなしとしないので、流通業者により一層活発な活動が期待されておるところでございますが、このため今後とも流通業者がより活発な活動を行えるよう食管制度の弾力的な運用に努めてまいりたいと考えております。
  102. 村沢牧

    村沢牧君 食管制度の弾力的な運用と食管制度を堅持するということは違うんですよ。そこで、コスト逆ざやについてはどういうふうに考えますか。
  103. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  コスト逆ざやに踏み込むのは、非常に難しいことだと思っております。
  104. 村沢牧

    村沢牧君 コスト逆ざやの解消には農水省はそうした方向を示さない、そのことはここで確認しておきましょう。  そこで大臣、食管会計は年々縮減をされてきたが、六十年度の調整費勘定繰入金は三千四百七十一億円、ことしの政府予算は五十二兆五千億、一般会計から見ればわずかに一%以下、〇・六%にすぎないじゃないですか。国民の主食を確保するためにこの程度のものをさらに削減をしようとする、こういう政治姿勢で食糧の安全保障の責任が持てますか。
  105. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  食糧管理制度の基本というのは、先生御存じのとおり、国民の主食でございますお米を政府が責任を持って管理することによりまして、国民が必要とするお米を消費者に対して安定的に供給するということでございます。今後とも食管制度をめぐる諸事情の変化に即応して、必要な運営面での改善を図りつつこれを堅持していくこととしております。
  106. 村沢牧

    村沢牧君 ですから一般会計、国の予算から見ればわずかなものですよ。売買逆ざやといい、良質米奨励金といい、管理費といい、こんな程度のものまでも切り込んでいく。ほかにもっとやることが政府はあるじゃないですか。大臣、もっとしっかりしてくださいね。  次は、時間がぼつぼつ参りますので、最後の質問で、市場開放について伺ってまいります。  私は、五月二十四日、本院本会議で中曽根総理に対して、農林水産物は市場開放行動計画の例外にすべきであるという質問をした際、総理は農林水産物についてはその特殊性を考慮して対処するという答弁があった。また、当委員会は、農産物の市場開放が我が国農業に及ぼす影響の大きいことを憂慮して、去る五月三十日には市場開放問題に関する決議を私が提案さしてもらいまして、全会一致で採択をしている。ところが、その舌の根も乾かないうちに、また当委員会の決議も軽視して、政府は六月二十五日には農林水産物二百品目に達する大幅な関税引き下げ方針を決定し、昨七月九日には基準・認証制度の見直し、輸入制限緩和措置を決めた。このような市場開放政策は、我が国農業の将来に重大な影響を及ぼすことは必至であります。  大臣、中曽根内閣は、農業を必要としない国づくりをするんですか。国会決議だとか国会答弁を大臣はどのように受けとめているんですか。今までの市場開放措置についてどのように考えるのか、大臣の責任ある答弁を求めます。
  107. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  関税問題につきましては、我が国農林水産業の置かれています厳しい実情を踏まえますとともに、五月三十日の本委員会の決議の趣旨にのっとり、我が国農林水産業に多大の悪影響を及ぼさないよう、ぎりぎりの対応を行ったところでございます。  また、基準・認証、輸入プロセスにつきましては、農林水産省関係の制度は、国民の健康はもとより農業生産の安定、食品の品質向上等、農林水産業の健全な発展を図る上で極めて重要な役割を果たしておりますので、これら制度の基本は堅持しつつ、手続の簡素化等制度の趣旨が損なわれない範囲で所要の見直しを行うこととしたところでございます。
  108. 村沢牧

    村沢牧君 大臣はそういう答弁ですけれども、関税引き下げにしても、あるいはまた基準・認証見直しにしても、日本農業の将来に及ぼす影響は大きいんです。そこで大臣は、農産物の市場開放計画は、今お話しがあった関税引き下げ、あるいは基準・認証の見直し、輸入手続の緩和措置でほとんど終了した、こういうふうに理解してよろしいですか。
  109. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  市場アクセスの改善に関する行動計画については六月二十五日に関税について骨格が、さらに昨日、基準・認証、輸入プロセスについて大綱が決定されたとこであります。  行動計画の検討項目としては輸入制限、サービス等が残っており、今後七月末までに検討が行われることになると思われます。が、農林水産業にとって特に問題となるのは輸入制限でございます。我が国の食糧の安全保障の確保や環境の保全、さらに雇用の維持等を通じまして地域経済社会の維持、存立を図る上で極めて重要な役割を果たしております輸入制限品目を自由化することは、我が国農林水産業に多大な打撃を与えることになります。また牛肉、かんきつ等輸入制限品目の多くは二国間の約束がなされ、現在その実施の途上にございます。これらはいずれも行動計画の期限内に再交渉の時期が来るので、その際対応するのが筋であると考えます。  いずれにしましても、農林水産物の市場開放問題については、本委員会の決議を十分踏まえ、我が国農林水産業の健全な発展に支障のないよう慎重に対応してまいりたいと考えております。
  110. 村沢牧

    村沢牧君 最後ですが、大臣の今の答弁で、輸入制限品目の輸入枠の拡大、自由化あるいは輸入制限緩和のためにナチュラルチーズだとかチョコレート等のこれからの関税引き下げなどには絶対に手をつけない、このことは佐藤農水大臣が政治生命をかけてこれ以上のことはやらない、そのことを当委員会ではっきり決意を示してもらいたい。
  111. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  私としては、農林水産業に重大な悪影響を及ぼすような一方的な自由化をやらないという気持ちで頑張りたいと考えております。そんなことで、農林水産物の輸入制限については、今回の行動計画において一方的に自由化することには問題があるとの考えに立ち、関係方面の十分な理解を得るよう最善の努力をするつもりでございます。
  112. 村沢牧

    村沢牧君 時間ですから終わりますが、大臣の言葉を聞いておっても極めて抽象的だ。これから七月の行動計画をつくるまでに、何かまたやりそうな気配も見えるわけですね。ですから、これは委員長にも要請しておきますが、私は先ほど理事会でこの問題について当委員会で集中審議を行うということを申し入れてありますので、委員長において十分配慮していただきますように要請しまして、私の質問を終わります。
  113. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 時間が十分ございませんので簡単にお尋ねをいたしますから、簡潔に御理解のある御答弁を承りたいと存じます。  今回、米価の決定に当たりまして良質米奨励金の縮減合理化が取り上げられているようでございますが、第一に、これは時期が妥当を欠いているのではないかというふうに考えます。なるほど、昨年の米価決定時におきまして政府と自民党との間にその検討が論議されたことになったという話は承っておりますが、現在までその結論はもちろん、検討そのものもようやく始まったばかりというような状態にあると思っておりますしかるに農家はその存置を前提として耕作を進め、既に収穫の直前に達しているわけでございます。  したがって、もし良質米奨励金の縮減合理化を取り上げると言われるならば、それは本年度の米価決定後、来年度を目標として耕作以前に結論を出した上で、それに従って農民が自由に自主流通米の耕作をするかしないかを決めて、そしてその上で自分の選択の方向に向かって進むということが筋の通った農政であると考えますが、いかにお考えでございましょうか、簡単に承りたいと思います。
  114. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 熊谷先生にお答えいたします。  自主流通米の助成につきましては、従来から七、八月ごろ検討し改定等を行ってきたところでございます。良質米奨励金につきましては、自主流通米について需要に見合った供給を安定的に維持していく観点に沿って、その合理化を図るため現在見直しを行っているところでございます。可及的速やかに結論を得たいと考えております。  それから、私は特に日本の現在の農政を考えた場合に、この米価算定等につきましても再生産を確保することと、農家の皆さん方に明るい展望を持てるような米価をつくりたいということで全力を尽くしていることを御理解願いたいと思います。
  115. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 今、もう御承知のように、自主流通米が次第に普及してまいりまして、その生産は全国的にも米の全量の四十数%に達し、ほとんど政府米に匹敵するような生産量になったわけでありますが、したがって平均限度数量に対する比率が五〇%以上になっておりますような府県も今や十数県を数えるわけでありますし、中には八〇%あるいは九〇%近くになっている府県もあるわけであります。もし巷間伝えられますように、万一自主流通米の奨励金が合理化などの名で縮減されるようなことになりますと、これはそれらの農家にとりまして米価の切り下げと同じような結果をもたらすわけでありまして、極めて片手落ちといいますか、不合理といいますか、非常に不公平な処置になってくるかと思いますが、これについてはどういうお考えをお持ちでしょうか。
  116. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 熊谷先生にお答えいたします。  良質米奨励金というのは昭和五十一年から交付されたわけでございますが、良質米の供給増への大きな役割を果たしてきたと、こう考えております。特にやはり私は、消費者の根強い良質米志向を考慮すれば、良質米生産の奨励は今後とも必要で大切なものであると考えております。  そういう形で、実は近年自主流通米にかかわる生産者手取り額は着実に増加している一方で、その流通量も増大しているという状況にあり、五十九年産につきましては特に作柄がよかった等の理由から需給環境も大きく変化し、一部荷もたれの状況が生じております。このような事情を踏まえ、自主流通米について需要に見合った供給を安定的に維持していく観点に立って、また臨調からの実は御指摘の趣旨に沿いまして、良質米奨励金について合理化を図るため今回見直しを行っているところでございます。  なお、生産者米価は、国民が必要とする米の再生産の確保を旨として定めることとされております。また一方、良質米奨励金は、良質米の安定的供給を図り、米の消費拡大と良質米を中心とする自主流通米の流通の円滑化に資するため一定額を交付するものでございますので、いずれも農家手取り額を形成するものではありますが、奨励金と価格とは性格が異なるものでありますので、それぞれの事情により扱いが異なることとなっても公平を欠くものではないと考えております。
  117. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 時間が十分ありませんので自主流通米の必要性につきましては重ねて申し上げませんが、以上の二点からだけでも本年は自主流通米の奨励金を据え置き、もし問題があるとしますと、やはり先ほど申し上げましたように、今後その耕作を開始する前に結論を出して選択をさせもということでなければならぬと考えるわけであります。  それから、ただいま奨励金と価格とは別だということを言われましたが、これは形の上ではそうでありましても、実質的には農家の手取りということにおいては全く同様でありまして、九〇%近い耕作をしておりますものが、今回突然そのような万一のことがありますと、それだけ手取りが減少するということははっきりした事実でありますから、その点も十分考慮していただきまして、ひとつ自主流通米の奨励金につきましては、温かい合理的なお考えを貫いていただきますことを強く要請申し上げて、大臣のお言葉をちょうだいして、質問を終わりたいと存じます。
  118. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 熊谷先生にお答えいたします。  私、先ほどちょっと申し上げたようなことで、今度米価決定に当たりましては二つの観点で取り組んでおります。その一つは、再生産の確保を旨とする、もう一つは、農家の皆さん方が明るい展望を持てるような米価にいたしたいということで取り組んでおります。  そんなことで、自主流通米の制度につきまして、良質米奨励金の果たしている役割、その必要性は十分理解しておるつもりでございますので、よろしくお願いしたいと思うわけであります。
  119. 中野鉄造

    中野鉄造君 大臣にお尋ねいたします。  御承知のように、現在我が国農業、とりわけ稲作農業を取り巻く情勢には極めて厳しいものがあるわけでございますが、ちなみに昭和五十八年度の生産農業所得を見てみましても、冷害の影響があったとはいえ四兆四千七十九億円にとどまっております。これは昭和五十年の五兆二千五十四億円に比べて七千九百七十五億円も少なくなっておりまして、物価上昇分を差し引いた実質所得ということになりますと、実に昭和五十年の五八%にしかならない、こういう状況であります。  さらに、稲作の反当たり所得にあっては五十八年は七万八百九十六円となっておりますが、これは昭和五十年の九万一千五百三十四円より実に二万六百三十八円も少なくなっておりまして、実質所得ということになりますと昭和五十年の五四%へ激減しておるわけでございますが、果たして昨日農水大臣が示された据え置き諮問米価は、このような極めて厳しい現状にある稲作農家の実情を考慮したものであると言えるのかどうか。これは、とてもそういうようなことにはならないと私は思うわけでございます。  したがって、これは稲作農家の期待を完全に裏切ったものであると言わざるを得ません。したがって、農水大臣は、それでもなお今回の諮問米価が、稲作農家にとって当面する経営の危機を克服して将来に希望を持てる米価であると確信されるのかどうか。まず、これを先にお尋ねいたします。
  120. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 中野先生にお答えいたします。  本年産米政府買い入れ価格につきましては、昨年同様の方式により試算すれば前年価格を下回ることとなりますが、しかし、私は四つの観点からこの算定をいたしたわけです。  その一つは、米の需給関係でございまして、米の消費は依然として減少傾向にある一方、潜在生産力は高水準で推移しており、生産調整を行わなければその需給均衡を図れないという状況にあることと、それからまた、米管理にかかわる財政負担につきましても、これまでも節減合理化に努めてきましたが、今後とも努力していく必要があるものと実は考えておることも考慮いたしますとともに、特に本年においては、昨年は豊作となったものの農家経済を取り巻く厳しい諸事情のもとで四年連続不作農家経営意欲に及ぼしておる影響にも配慮し、また米穀価格水準安定性を確保することも必要である等、この四つの観点を総合的に勘案し、据え置くことはどうかという諮問をいたしたところでございます。
  121. 中野鉄造

    中野鉄造君 この問題についてはまだ午後お尋ねいたしますが、大臣に対する質問に絞ってお聞きしますが、次に、生産性向上のメリットということについてお尋ねいたします。  御承知のように、昭和四十二年、四十三年、四十四年と三年間について、政府生産性向上によるメリットについてはこれを生産農家へ還元する措置をとったことがありますけれども昭和四十五年以降は全然これを採用しておりません。確かに生産性向上のメリットは消費者へ還元していくという考え方は、これは経済原則に照らしてみると仕方がないということも言えるのではないかと思います。  しかし、現在、稲作経営をめぐる厳しい情勢の中で、生産者団体も単収増や、あるいはコスト低減のための運動に真剣に取り組んでおりますけれども、その努力のかいがあって生産性が向上しても、その生産性向上のメリットが全然還元されない、報われないということであっては、生産者はこれはとてもやり切れないんじゃないかと、こう思うわけです。むしろ現状は、たとえ省力化を図ってコストを低くしても、省力化と同時に規模拡大が進まない限り、中長期的には稲作による総収入は確実に減っていくことになるわけでして、そうした中であっても、ただひたすらにもう単収増やコスト低減のために真剣に取り組んでいる稲作農家努力に報いるためにも、やはりこの際、政府生産性向上のメリットのせめて半分だけでも生産者へ還元していくというような措置をとってはいかがかと思うんですが、いかがでございますか。
  122. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生にお答えいたします。  先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一昨年十月から昨年五月まで米価審議会におきます米価算定小委員会の結論の方向を踏まえまして、実は昨年の生産費所得補償方式によれば米価引き下げになります。約二・六%もしくは四%引き下げになるという状況でございましたが、先ほど申したようなことで、四つの観点、米の需給事情、あるいは米管理財政負担、あるいは昨年の豊作、四年連続不作、あるいは米の価格安定性等を配慮しながら実は据え置き諮問をいたしたということでございまして、先生の御指摘の点、十分配慮しているつもりでございます。
  123. 中野鉄造

    中野鉄造君 それで配慮したと言われるわけですか。私が今聞いておりますように、生産性向上のメリットのせめて半分だけでも生産者へ還元していくという措置をとってはいかがかと、それをお尋ねしているんですが。
  124. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えしますが、その点も配慮して据え置き諮問にいたしたわけでございます。御理解をいただきたいと思うわけでございます。
  125. 中野鉄造

    中野鉄造君 では次に行きますが、先ほども良質米奨励金の件についてお尋ねがあっておりましたけれども、本年の米価決定に当たっては、基本米価動向と合わせて良質米奨励金の現行が確保できるのかどうかということが大きな焦点になっておりますけれども政府は良質米奨励金を削減する場合の一つの根拠として、良質米の量がふえてくると建て値が下がり農家手取りが下がるようでは困る、こういうように一見非常に恩着せがましく聞こえるわけですけれども、そういうようなことを言っております。  しかし、これは逆立ちした議論だと私は思うわけでして、良質米の量がふえてきた理由は、先ほどもちょっと触れられたように、消費者による良質米志向や、あるいは昭和五十五年以降続いた冷害の影響も大きいと思いますけれども、もう一つには、やはり政府基本米価を抑制し続けてきたために、農家もどうしても良質米生産への傾斜を強めてきた、こういうことが指摘されるのではないかと思います。  したがって、稲作農家の厳しい経営実態を考慮するならば、良質米奨励金の削減で対応するのではなくて、基本米価の引き上げを行う、これが一番の正しいやり方じゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  126. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  基本米価の引き上げにつきましては、現在米価審議会でこちらから据え置き案を出して議論を願っている最中でございまして、その結論に基づきまして十分御意見を聞いて米価を適正に決めたい、こう思っております。  また、良質米奨励金につきましては、昭和五十一年から先生御指摘のとおり交付したわけですが、この良質米奨励金の果たした役割は非常に大きく、またそれが国内の消費拡大に役に立っているというようなことでございまして、その必要性と大切さも十分理解しておる、こういうふうに御理解願いたいと思うわけでございます。
  127. 中野鉄造

    中野鉄造君 私は、もう大臣に対する質問はこれで終わりにしますけれども、ここで先ほどからのいろいろな大臣の答弁を聞いておりましてもわかることは、日本農業の将来、あるいは日本の稲作農家の将来への展望は、これは大幅に楽観視したとしてみてもせいぜい横ばい、もう大体おおむね衰微の一途をたどるしかないという感を深くするわけです。農は国の基本であるというような言葉がやがてこれは死語になっていくんじゃないか、こういう危惧をするわけですけれども大臣は日本の稲作農家皆様が将来に本当に希望を抱けると、そういうように確信されますか。
  128. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  私は、先ほども申したように、日本の農業につきましては明るい展望を持っております。それはなぜかといいますと、やはり私はその場合に総合的な配慮をする必要があると思っておりますが、価格政策あるいは構造政策、詳しく言いませんが、それに生産対策とともに技術開発、バイオテクノロジー、こういうものを駆使すれば必ず日本の農業に明るい展望を開けると確信を持っております。
  129. 中野鉄造

    中野鉄造君 しかし、先ほどからお尋ねしているように、いろいろな生産コストを下げれば下げるほどそれが逆効果で今裏目に出てきているというのが実情ではないかと思います。そういうことを踏まえても、こうすればさらにそれに対してはほかの対応でもって農家の頭を抑えていくというようなことばかりやっていかれたのでは、稲作農家としては本当に果たしてこれから意欲を持って米づくりに取り組むというような気持ちになれるのかどうか、そこを私は心配しているんですが、いかがですか。
  130. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えいたします。  やはり米価につきましてはこれは国の基本でございます。そんなこともございまして、生産費とか、あるいは物価その他の事情、特に消費者の問題、あるいはそのときの需給事情、あるいは財政事情を配慮しながら決めるべきではないか、このように考えておるわけでございます。  そんなことで、私は総合的に見れば日本の農業には明るい希望が持てる農業をつくり得る、このように実は考えを持っているわけでございます。
  131. 中野鉄造

    中野鉄造君 終わります。
  132. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 限られた時間でございますので十分に意は尽くせないかもしれませんが、大臣に対する質問として二、三の問題をまずお聞きをしておきたいと思います。  同僚委員からもいろいろお話がございました。私も同感でありまして、このたびの農業団体が要求いたしました要求米価一万九千三百八円というのは、去年の試算米価より七十六円も引き下げたぎりぎりの要求である。農業団体が試算して前年より低い要求米価を出すなんということはこれは今までもなかったことであり、いろんな角度から検討して、やはりこれはぎりぎりこれだけのものをという要求であったろうと私思うんです。先ほど同僚委員からもお話がございましたように、米審が始まる前から引き下げだというようなことがマスコミを通じて宣伝される、こういう地ならしがされて今回諮問された内容を見ますと据え置きと、これは本当に数字的に厳しく試算をしますと引き下げになるのだけれども現下の情勢を勘案しまして据え置きにするのだ、こういう言い方をしておるのですが、大臣、このたびの諮問なさいました米価、これに対してあくまでも大臣としましては自信を持ってこの数値というものを米価審議会に出されておるのか、そこらあたりの大臣の確信、自信、そういうものをひとつ最初に聞いておきたいと思います。
  133. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。  今回の政府買い入れ価格につきましては、昨年同様の方式により試算すれば前年価格を下回ることとなりますが、しかし、私が先ほど言ったようなこと、米の需給状況、あるいは米管理にかかる財政負担の問題、あるいは農家が四年連続不作であるという状況、そういう形の中に米穀価格水準の安定を確保するというようなことで総合的に勘案し、最善の努力をいたした結果、据え置きではどうかという諮問をいたしたわけでございます。
  134. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 先ほど同僚委員からお話がございましたから、同じ数値や同じ問題を出しても時間がありませんのであれですが、しかし大臣、去年と同じ状況、同じ数値、同じ方式試算をして今回の数値を出したわけでは決してない。中身の問題についても、いろいろ手を加えたものがあるわけでありますね。私は本当に、大臣が農水省として去年から今までの生所方式でやろうということは確認をされておるわけですし、前広米審でもこれは確認されているわけですから、現状の数値というものを的確に把握をして計算をしたならば絶対こうなるのだという、これ以外の数値はないぞという自信を持って数値をもし出されたとするならば、それは二%下がろうが三%下がろうが、農水省としてはこれ以外にありませんというそういう自信を持った数値を出されるべきだ。  それから、農業情勢がどうですとかこうですとかと言って、四%ぐらい下がるのだけれども据え置きにしますという、非常にそこには数値の出し方に厳格な試算、もう〇・一も〇・二も動かすことのできないようなことを言いながら、現実は二%も三%も現状を考えて据え置きにしますという非常に弾力性があるというか、幅があるというか、今までも米審でありますといつも議論になることでありますけれども、そんな厳格な数値、厳格な基本的な計算方式によって絶対に動かし得ない、そういう数字ではないということを私は痛感するのですけれども大臣どうですか。
  135. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 算定につきましては、先ほど大臣からもるる御説明さしていただきましたように、昨年の米審算定委員会報告に基づきましていろいろと検討をし、計算をさしていただいているわけでございますが、その結果はマイナスの二・六%、こういうことに相なるわけでございます。  今回ゼロ諮問とさしていただきましたのは、先ほど大臣から御説明していただきましたように四つのいろいろと諸事情もございまして、それを総合的に勘案して諮問さしていただいている次第でございます。
  136. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 その導き出されたマイナス二・六%という数値、そこには算入するそれぞれのエレメントの数値そのものに問題があって、絶対これ以外にはないのだというそれぞれの数字であるかどうかということです。これは今までも米審のときにいろいろ言われていますように、そのときそのときのいろんな状況を見ながら、最初に結論があって、それになぞらえるように数値を操るというのが今まで当委員会でもいろいろ議論になっているところです。  今回も、マイナス二・六なのだけれども据え置きにしましょうというような、何かもう恩着せがましいような感じがしてならない。私はやはり、計算式は計算式といたしましても、もう少し実態に即した形で、米価算定当たりましては厳正に、そしてまた、まだ何点かについては農業団体と意見の食い違っている問題もございますけれども、こういう問題についても十分にひとつ話し合いをして、だれもが納得のいくような形のものを早目に決定をすべきだと、私はそう思うんです。  今回はもう数値をはじき出してしまった今日でありますから、それに対してこれからこうしろ、改めるということは今後のまたいろんな議論の中で進めていきたいと思うんでありますが、これもひとつ提言を申し上げておきます。  御存じのとおり、日本は法治国家ということでありますから、法律を基本にして物を考えていかなきゃならぬ。国会は立法の府であります。先ほどもお話ございましたが、生産費所得補償方式ということで米価は決めることになっておるわけでありますけれども、再生産ができるのか、所得が補償されるのか、再生産可能な価格であるのかどうかということが一つの大きな問題だろうと思います。先ほどいろいろお話ございましたが、皆さん方の、農水省から出ました数値を見ましても、現在の農家戸数で言うと、このたびはじき出された数値では農家戸数の一五%そこそこ、一六%そこそこしか実際は稲作農家生産費をカバーし得ない。米の販売農家の第二次生産費を償う生産数量でいつでも二六・七%、三割そこそこ、販売数量で大体三割程度、このぐらいのところしか第二次生産費を償うことができないというような数値がこれは明らかに出ております。これが果たして再生産可能な数値として是認をすることができるのかどうか。  あくまでも法律にのっとるということであるならば、もっと高い数値でなければならないと私は思うんですけれども、そういうことから、米価算定当たりましての数式そのものについて、いろいろ農業団体のそれぞれの項目についての議論がありますけれども最初に結論があって後に数値があるなんということじゃなくて、どこから考えてみてもこれはきちっとした納得のいくものでなければならない。そういうことから言いますと、このたびのこの政府試算した米価というのは非常に低過ぎるし、巷間言われております結論が先にあったということを言われてもこれはしょうがないことではないか。私は、そういうことからいきまして、このたびの政府試算した米価というのは非常に現実に合わない、即さないものであって、やはり農業団体が要求をいたします米価というものに近づける方向で検討しなきゃならぬ、このように私は痛感をするんでありますけれども、この辺のことについてどのようにお考えでしょうか。
  137. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 私ども先ほども申し上げさしていただいたんでございますが、算定方式なり要素とり方につきましては、一昨年から昨年まで米価審議会の中に小委員会が設けられまして、生産者サイドの方それから消費者サイドの方、いずれも学識経験者でございますが、そうした方々にるる御議論願いまして算定方式についての御意見をいただきまして、その御意見を踏まえまして今回算定さしていただいたような次第でございます。  なお、今回の算定につきましても同じ生産費所得補償方式と、こういう方式をとりながら、要素におきまして現在の米の需給事情の基調をどのように考えるか、また家族労働費評価がえ等においてどのような方法でやるか、こうした点におきまして生産者サイドの団体のお考えと私どもの考えとが異なっておりまして、今、先生御指摘のような数字上の差異も出ておるわけでございます。この点は、立場もございますし利害もありまして、いろいろ御議論は従来からやらしていただいておるんでございますが、何分消費者の立場の御意見もまた考えなければなりませんし、国民的な理解を得るためにはどういうふうな方法でいいか、今後ともそれについては十分検討してまいりたいと思っております。
  138. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 もう大臣とお会いする機会というのはないので、きょう午後から米審の方にいらっしゃるようですし、閉会中でもありますからそうたびたびもございません。貴重な時間でございますので、ここはひとつどうしても触れておかなきゃならない問題がございます。  米価のことにつきましては、今も消費者云々なんということを一生懸命弁解しておりますけれども、食管法にのっとって生産者米価を決めるということでありますから、消費者、消費者という、そっちの方にばかり気を使うようなそういう物の考え方というのはそれはおかしいと思うんです。これだけ一言言っておきます。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕  それで過日、富山県のカドミ米のことについて我が党の刈田委員質疑をいたしました。この問題について食糧庁長官から、かくかくしかじかといういろんな書類が来ているんですけれども、これは新聞やテレビでも大きく報道されておりますから、この事実については十分にお調べになって警察当局もこれは食管法違反の疑いがある、こういうことで動いているということも報じられておりますが、食糧庁でつかんでおります現状について、ちょっと報告していただきたいと思います。
  139. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  富山市農協におきまして、種もみを生産されたもののうち、種もみとして販売されました残りのものにつきまして、それが主食用に回されるおそれがあった。これはカドミの二号地域において生産されたものも含んでおるようでございまして、そうした種もみとして生産されたもののうち、残数量としまして四万一千キログラム、玄米換算で四十一トン程度でございますが、そうしたものが食用等に売られる可能性のあるものとして一部分は精米になっておったようでございますが、なお、それは販売されてはなくて、精米所におきますところの倉庫に保管中であったと、こういうことでございまして、不幸中の幸いと申しましょうか、現在のところ消費者等には流通してないような実態になっております。  これがどういう考え方で、どなたによってこういうふうなことが考えられて現在に至っておるかということにつきましては、富山県の方と現在一緒になりまして、私どもの食糧事務所の方で調査しておるわけでございますが、なお調査中でございまして、それ以上の詳細な点についてははっきりしてないような実態でございます。
  140. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 去年も臭素米で当委員会でも随分問題になりました。また、韓国米のことにつきましても随分問題になった。それらのものと関連しまして、食品の安全性ということについて随分議論があったわけであります。これは刈田委員が今ナイロビの国際婦人年の最終会議ということで行っておるわけでありますから、本来ならば本人が言わなきゃならないことですけれども、いらっしゃらない。大臣もいつも出てきていただけるような機会もないということで、ここで貴重な時間、もう米価を中心にしなきゃならないんだけれども、物の考え方ということで私は指摘しておかなきゃならないと思うんです。  この刈田委員の議事録を見ていただけばおわかりだと思いますが、カドミ汚染米について云々されまして、「私は私なりにそのことを調べてみましたけれども、よくわかりませんのでお伺いをするという次第でございます.」というふうに言って、かくかくしかじか、自分としてはある程度聞いているけれども、    〔理事北修二君退席、委員長着席〕 実態はどうか調べてもらいたいということで言っているんです。しかるに、この婦中町の町長から食糧庁長官に来たやつを、コピーしてぼっとこっちへこうでございますとよこしたこの文面を見ましたか。「婦中町における汚染田 汚染米の取扱につい.」云々とございまして、「標記については、別紙書面にて報告いたします。尚、去る十一月八日参議院農林水産委員会において刈田委員の御指摘のような不適正な米の流通の事実は全くなく心外に感じているところであります.」というんですよ。「心.」、こんなことを言われて一疑いがある、いろいろなことを聞いている、調べてくださいと言うんですよ。それをどういうふうに農水省は言ったのか知りませんけれども、町長が食糧庁長官にこんなことを言って、そしてそれを唯々諾々と認めたのかどうか知りませんが、コピーして刈田先生のところへよこした、このようでございます、「心.」だと、こう言われて、そんなことを黙っていられるかというんだ。  そして、これはまだこういうことが発覚する前ですよ。その後にこういう事実が出たんですよ。これは何も単なるうわさじゃなくて、火のないところに煙は立たず、以前から自家米だとかいろんなことが言われておった。そういう事実がないことを祈るけれども、こういうことはあってはならぬことだし、ぜひひとつ食糧庁で調べてもらいたい、こういう話なのにもかかわらず、町長から「心.」ですなんというこういうものをもらって、こうでございますなんてよこすような食糧庁は一体どういう神経なんですか。はっきり言ってください。
  141. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今、先生御指摘の婦中町の町長さんの御返事でございますが、この点は私どももいただいておりまして、婦中町を担当する課長さんと私どもの方と一緒になりまして、刈田先生のところに参りまして実情を説明さしていただいたように私は聞いております。  なお、この問題につきましては、婦中町の方ではいろいろと富山県の全体の問題としまして良質米の生産なりを熱心にやられておった関係から、今、先生御指摘のような文書になったんではなかろうかと、こうも思うわけでございますが、いずれにいたしましても、私ども安全性につきましては消費者に御迷惑のかからないように、今後とも万全を期してまいりたいと考えております。
  142. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 万全じゃないんだよ。そういう物の考え方が問題なんですよ。起きたことはこれからどうします、それはこれからの対策はしっかりしてもらいたいですよ。しかし、そういう疑いがある、調べていただきたい、そういうことを謙虚 に申し上げているんですよ。こういう事実があってこうだ、何か間違ったことでも言ったんであるまいし、それを一緒に聞いてきたと言うんだったら、「心.」だなんてこんなことを書かれて、こんなものを持ってくるなんて、食糧庁はどういう神経なんですか。委員会委員発言しいろいろ調査をするということは、これはもう我々委員に許された最大の権利でしょう。そういういろんな話を聞いて、そうでないことを祈るけれども、しかしどうもそういう話を聞くのであちこちにいろんな問題があるということで調べてもらいたい、こういう事実があってこうだという、事実でないことを言ったならいざ知らず、調べてもらいたいと言ったことについて「心.」だなんという、こんな文書をにこにこしてもらってきて手渡すなんというのは何事ですか。  これは「農家保有米の交換についてのお願.」というのがございますが、婦中可及び富山市、それから農業協同組合、こういうところで農家の保有米、カドミ汚染米、これは交換することになっています。その文書を見ましても、最近は、   然しながらその後の学問研究が進むなかで、汚染地域内住民に於いてはこれ以上のカドミウム摂取は、健康保持上好ましくないことが強調されています。ことに低年令層に於いても非汚染地区と比較して見るとカドミウム体内含有量が異状に高いことが明らかとなっていることから、県当局に於いても地域内住民の準汚染米の食用は出来るだけ避けるよう強く指導されているところです。   関係機関と致しましても以上のことから、この際農家の保有米についてはできるだけ交換され こういうことに一生懸命努力しているのだけれども、およそ準汚染米というのはどのぐらいあるか、その数量とその交換されたお米の量とが非常にギャップといいますか、交換される率が少ないということもいろいろ言われておる。いろんなこういう事実の中から、刈田さんが消費者の方々やいろんな方々とのお話の中でのうわさを聞くんだということで言っているんですよ。  これはもう当然検査もしないで出したということであれば食管法違反でありますし、当然〇・四から一以上、こういうものを出したということであればこれは食品衛生法違反、いずれにしましても、法を犯している問題として厳重にこれは対処しなきゃならぬだろうと思いますし、カドミの汚染米についてはスウェーデンの学者から日本の基準では危険だということも言われておる。こういう現状から、もう少しきちっとしてもらいたいし、これから何事も我々がこの委員会で提言したことについては真剣にやっぱりこれに取り組んでいただいて、そういう事実のないように、あるならばそれはきちっとしてもらう、こういうことで、当委員会の私ども発言については当局としましても真剣にひとつ受けとめてもらいたい。それを「心.」だなんという、こういう町長の書いたものを持ってきて、そして半年もたたないうちに事実が出てきた。これはたまたま表に出てきたんであって、こういうことは、今までもうわさがされていたということはこれはあったということですよ。表に出ないということでしょう、断定はできないかもしれませんけれども。  もう少ししっかりこういう問題については取り組みをしていただきたいし、真剣に国民の健康にかかわる重要な問題、それと同じように米価につきましてもやはり農民の声、実態、数字だけはじくのではなくて、やっぱり現実の農民の実態というものにもう少し眼を向けて真剣に取り組んでもらいたい。大臣、どうですか。
  143. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 藤原先生にお答えいたします。  実は私、大変これは責任者として遺憾に存ずる次第でございます。実は私はそういう文書等につきましては知りませんで、今初めて私聞いたわけでございますが、これはもっとまじめに真剣に取り組む必要があると思います。  そういうことでございまして、今後の対応につきましては十分誠意を尽くしておこたえしたいと思いますので、よろしくお願いする次第でございます
  144. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 米価はどうするんだ、米価は。
  145. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 米価につきましてお答えしますが、今、米価審議会諮問案につきまして審議を願っておる状況でございまして、その審議を尽くして、御意見を十分聞きまして適切に決定したい、こう考えておりますので、よろしくお願いします。
  146. 下田京子

    ○下田京子君 大臣、五十九年産の米生産費調査によりましても、第二次生産費を償う米販売農家はわずかに三割という状況の中で、四・九五%アップせよという控え目な農業団体の要求をも無視して据え置き諮問を行った。私は大変これは不当だと思います。生産者代表の米審委員も、それから米審会場に詰めておられる全国の農家の方も、また傍聴にお見えの皆さんからも、据え置き諮問の撤回をという要求が出されております。私は当然だと思うのです。  大臣にお尋ねしたいのは、明るい展望の持てる米価、あるいは生産意欲の持てる米価ということを言ってきましたけれども、こういう状況でそれを自信を持って言えるのですか。
  147. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 下田先生にお答えいたします。  本年産米政府買い入れ価格につきましては、昨年同様の方式により試算すれば、前年価格を下回ることになります。しかし、私は米の需給あるいは米管理にかかる財政負担の問題、それからまた、特に本年においては、昨年は豊作でございましたけれども農家経済を取り巻く厳しい諸事情のもとで、四年連続不作農家経営意欲に及ぼしている影響を配慮し、また、米穀価格水準安定性を確保することも必要であると考え、そうした点を総合的に勘案し、据え置くことはどうかという諮問をいたしたところでございまして、この諮問案は最善の努力をした結果であることを御理解願いたいと思います。
  148. 下田京子

    ○下田京子君 私は、明るい展望の持てる米価というふうに言えるかということで聞いたんですよ。昨年は豊作で、昨年同様でやったらば引き下げ諮問だけれども、それを据え置いてやったんだというふうな説明というのは、これはおかしいと思いますよ。  そこでお聞きしますけれども、じゃ不作のときはどうでございましたか。五十五年、作況八七でしたね。翌年の五十六年米価は、五十五年同様で計算したら一一・七%アップするところを〇・五%アップにしかしなかったじゃないですか。つまり、本来なら六十キロ、一俵当たり一万九千七百四十二円になるところを一万七千七百五十六円という格好で値切ったことになります。事実だけ。
  149. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 五十二年二・五%、五十三年のアップ率〇・七%……
  150. 下田京子

    ○下田京子君 私の聞いたところだけ答えてください。
  151. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今、先生御指摘の点は五十六年でございますか。
  152. 下田京子

    ○下田京子君 五十六年。
  153. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) それにつきましては一一・七%のアップ率になっております。
  154. 下田京子

    ○下田京子君 そうなんですよ。事実はそのとおりなんですよ。よく聞いていてください。  ですから、今言ったような一一・七%アップするところを米価は〇・五%しか上げなかった。事実そうですね。だからおかしいじゃないかということを言ったんです。おかしい事実がここで一つわかりました。  つまり、このことがどういう結果になったかと言いますと、五十五年から冷害がずっと続きましたね。これは政府でもおっしゃっていましたけれども、この冷害というのを一つの原因に農家生産意欲が後退しているんだというお話をしていました。冷害時の五十五年方式を採用いたしましてことしの米価計算するとどうなるかといいますと、二万一千八百九十二円になりますよ。それを一万八千六百六十八円に据え置いたんです。その差、つまり三千二百二十四円。ですから、約八百万トンの米販売数量で見ますと、ざっとおよそ四千三百億円値切っているんです。こういうことで農家生産意欲が後退しないと断言できますか、大臣
  155. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  私は米価につきましては、このたびの生産者米価据え置き諮問をいたしたわけですが、基本米価、良質米奨励金、他用途利用米をどうするか、そういう形の中にやはり生産性の問題をどうするか。特に生産対策、これを含めてやっぱり総合的に判断すべきじゃないかと、こう考えております。
  156. 下田京子

    ○下田京子君 あれこれ言われておりますけれども大臣が常々言っている明るい展望の持てる米価とそれから生産意欲の持てる米価、こう言って、それが果たして償われているかということにお答えになっていないじゃないですか。現実どうでしょうか。稲作生産の担い手がどんどん減っておりますよ。基幹男子農業専従者、つまり百五十日以上自家農業に従事している十六歳から六十歳未満の男子のいる、言ってみれば稲作収入に八〇%以上依存している稲作主業の専業農家ですね、主業の農家数は五十二年に幾らでしたか。二十五万八千戸ございましたね。そして、五十八年度はどうなったか、十四万七千戸に減りましたね。何と四三%も減っているんですよ。お米の生産、その占めるシェアもどうかというと、五十二年度には二二%だったのが五十八年一七%に落ち込んでいますでしょう。現実が示しているんです。  中核農家の育成とか担い生育成だとか、いろいろおっしゃっている。しかし、おっしゃっている方向と現実は逆になってきているんです。これでも意欲が持てますか。
  157. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 私は、もちろん農家を取り巻く環境は厳しいことはもう申し上げたとおりです。やはりそういう形の中にいわゆる生産の合理化、機械化その他によりましてかなり生産性は向上しておるということも事実です。  そういう形の中に、実は私はいつも言っておりますが、これからの農業の展望につきまして、価格政策、構造政策、生産政策とともに、やはり私はバイオテクノロジーとかニューメディアというものを駆使することによりまして過去のそういう欠点を補い、明るい農業の展望が開ける、こういうように確信しております。
  158. 下田京子

    ○下田京子君 いろいろ総合的な政策というのは必要だけれども、実際今私が言いましたように、担い生育成と言いながら現実はそうなっていない。そういう状況の中で、さらに米価据え置きということは一体希望が持てるのかと。お答えになっていないじゃないですか。持てないじゃないですか。  しかも、今のような低米価を続けるとどうなるか。生産意欲は後退し、農業の中核的担い手は米づくりから離れていきます。そして、日本の生産性は弱体化させられるでしょう。結局、米不足、そして輸入、こういう道につながりますよ。これこそ中曽根総理とレーガン大統領が今後の指針として評価しております日米諮問委員会で指摘している、土地利用型の米や麦の生産をやめて野菜や果物や草花、小家畜、そういう生産に転換せよという方向に進んでいくことになるんですよ。  そしてまた、構造転換のてことして今日の食管法に基づく米価支持制度を攻撃して、米価の内外格差を縮小せよと、こう迫っておりますね。まさに日米諮問委員会の描くシナリオどおり進んでいくという結果になるんじゃないですか。違うと言えますか。
  159. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) お答えします。  私は、日米諮問委員会とは基本的な見解を異にするということは、何回も答弁したとおりでございます。  それからもう一つは、中曽根総理が農林水産業には特に御理解賜ったと、このことを付言しておきます。そんなことです。  私は、今度の米価につきましては、一昨年十月から昨年五月までの米価審議会の中の算定委員会における結論を踏まえまして、昨年と同じ生産費所得補償方式を使えば非常に引き下げになります。それを少なくとも据え置き諮問に持っていったということにつきまして、かなり農家の皆さん方の評価を得られるんじゃないかと、このように理解しておるわけでございます。
  160. 下田京子

    ○下田京子君 みんな笑っているでしょう。評価なんかしてないんですよ。ですから、据え置き米価を撤回しなさいと言っているんですよ。  それで、今、日米諮問委員会報告とは意見を異にすると、こうおっしゃっていますが、この日米諮問委員会は念入りにこうまで言っているんですね。米価の内外格差縮小を一挙にやると問題があるから、「周到に準備された価格格差の段階的縮小と過渡的なプログラムが立案されるべきであ.」と。ですから、毎年算定方法を改悪し、当然引き上げるべきときに据え置いておいて、ことしのように引き下がるところを据え置いたんだというような格好で、いろいろつじつまを合わせでやってきた。やっている。これこそが周到に準備されたやっぱり価格格差の段階的縮小だ、その道を歩んでいるというふうに指摘せざるを得ないと思うんですよ。  過渡的プログラムに当たるのが一体何かというと、私は、トン当たり七万円の補助金をつけてやっている他用途米の一万八十円のこの制度の導入ですよ。政府米の二分の一でしょう。最初から安い米づくりを我慢するのか輸入か、この比較でやってきているんですからね。ですから、大臣が日米諮問委員会と見解を異にするんだと、こうおっしゃるなら、米価は引き上げるべきです。そして、具体的にお示しすべきだと。  そこでお尋ねしたいのは、財政的に厳しいとおっしゃいますけれども、一%米価引き上げに必要な財源は幾らですか。
  161. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 一%引き上げる財源といたしましては、百三十五億円程度になろうかと計算しております。
  162. 下田京子

    ○下田京子君 そうしますと、財源はありますね。なくないですね。大臣、どうですか。
  163. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今、先生の御趣旨の財源があるかという御質問なんでございますが、その御趣旨は予算との関連であろうかと思うんでございます。この点につきましては、予算は前年同額で一応買い入れ費等は設定さしていただいております。
  164. 下田京子

    ○下田京子君 予算先にありき。農業団体等が要求する四・九五%アップするのに必要な財源約六百七十億円ですね、私の方で正確に計算したら六百七十八億円でした。皆さんのところからもらったのは六百七十億円。財政が厳しいと言いながら、先般骨なし鶏肉等関税引き下げをやりましたね。その関税引き下げによりまして、大蔵省の関税局に確認しましたところ、昨年実績ベースでこのことによって七百億円の収入減、つまり税金をまけるという格好になるそうですよ。七百億円の関税引き下げをしなかったら、もう四・九五%の米価引き上げの財源は生み出されるじゃありませんか。しかも、これはきのうも米審会場等に詰められていた皆さんの中にもありましたけれども、人間を殺す軍事費よりも人間を生かす食糧に回せ、私はこれは当然だと思いますよ。  ですから、約六百七十億円のお金がないのじゃないんですよ。一体、どちらに政策の重点を置くかなんですよ。国民の主食であるお米の再生産を確保して、そして消費者に安いお米も保障するという、そういう政策が今の農政にあるかないか問われている。大臣、どうですか。
  165. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 先生にお答えいたします。  基本的に先生と考え方が違うんです、防衛予算も含めまして。したがって、やはり私は関税の引き下げ、これはできればしない方がいいですけれども、日本の置かれた立場を配慮した場合に、一体日本が自由主義社会でどうして生きていくかという形の中に最低限必要なものでもあった、こう理解しております。  そんなことでございますゆえ、また総合的にやっぱり日本国の行くべき方向をどう判断するかということを踏まえてこういう問題を検討していくほかない、こう考えておりますゆえ、その問題につきましては先生と見解が違うということで御理解願いたいと思います。
  166. 成相善十

    委員長成相善十君) 下田君、時間が参りました。
  167. 下田京子

    ○下田京子君 私の意見だけ申し上げます。  意見が違うということが明確になった。つまり、全体の今の私の質問の中で明らかになったのは、国民の食糧をきちっと責任を持って生産する、そういう農政の立場に立ってないということです。穀物自給率三割でいいというそういう農政であったら、明るい展望は持てないということです。結局、つまるところお米、主食まで外国にゆだねるような農政になる、それはもう大変問題であるということを指摘しまして、やはり現実に立ち返って、本当に暮らしの成り立つ農業と国民の食糧を守る方向での農政の転換を考えるべきだということを申し上げて、質問を終わります。
  168. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 まず、良質米奨励金についてはこれから検討するということでしたけれども、どういう観点から検討されますか。
  169. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 田渕先生にお答えいたします。  良質米につきましては、先ほどから議論をお聞き願ったとおりでございますが、五十一年にこの制度ができまして、やはりお米の消費拡大というようなことでいい米をつくる、それでたくさん食べてもらう、そういう形の中に結局いい米をつくりますと、例えば十俵のうち九俵ぐらいしかできないというようなことで奨励金を交付するということで、これは大変お米の消費拡大に役に立ったと思います。これとともに、今後ともこういう良質米奨励金は必要である、こういうふうに認識しておりますが、昨年の米価決定の推移等踏まえまして、さらに自主流通制度の健全な発展を踏まえながら、どのようにして縮減合理化を図るかという経緯があります。そんなことで現在検討しておるわけでございます。  そんなことで、今私たちの考えは、きょう米価審議会諮問案につきましての多分御答申がいただけると思っておりますが、そうしましたら、明日少なくとも基本米価決定と同じように良質米奨励金を決めたい、このように考えております。
  170. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、良質米奨励金を考えるときに、やっぱり自主流通米についての方針というものをきちんとしておかないといかぬと思うんですね。ことしは恐らく自主流通米が政府管理米を上回るだろうというふうに言われております。それから、今までは自主流通米は質の面、政府管理米は量の面で管理をするということも言われてきたわけでありますけれども、果たしてそれでいいのか。それから、自主流通米が余り大きなウエートを占めると、いわゆるかつて言われたような部分管理に近づいていく、その辺についての基本方針がはっきりしておらないと、良質米奨励金に対する方針も決まらないのではないかと思いますが、いかがですか。
  171. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今、先生御指摘のように、自主流通米制度は確かに良質米の流通を図る、こういうことで消費者の良質米嗜好にこたえるために制度化されたものでございますが、大体そちらの数量も多い、こういうふうな実態にも相なっておるわけでございます。自主流通米制度の中での良質米でございます。ほかに特別自主流通ということで、よりいろいろと多様化された嗜好にこたえるために四、五類を中心とした自主流通米も仕組んでおるわけでございます。  確かに、流通量は自主流通米は多くなっておるわけでございますが、特に過去四年間の不作というふうなこともございまして、その間における良質米嗜好にこたえるために相当大きな数量になってきた、こういう実態もあるわけでございますが、今年あたりにおきましては多少良質米の供給が多過ぎる、こういうふうな流通事情にも相なっておるような次第でございまして、一概に自主流通米のシェアがどの程度がいいか、こういうことにつきましては需給事情等によって変わるわけでございますので、なかなか規定することは困難ではなかろうか、こう思うわけでございますが、いずれにいたしましても政府管理米——政府米でございますが、政府米と自主流通米とは一体的に私ども管理していかなきゃならぬと思っておりますし、自主流通米のまた政府米との相互補完機能等にも十分留意いたしまして、適正かつ円滑な流通を図っていきたいと考えております。
  172. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 生産者米価を決める場合に重要な要素があると思うんです。それを一、二問いておきたいんですけれども、一つは、逆ざやというものについてどう考えるのか。現在、売買逆ざやが一・九%ある。それから、先ほどコスト逆ざやの話も出ましたけれども、これについての基本方針を今後どうするのか。  それから、もう一つは、国際価格との問題。現在、国際価格の五ないし六倍と言われております。今は全く市場が遮断されておりますからもつわけですけれども、果たして貿易摩擦、それから市場開放の圧力が強まる中でこれについて将来どういう基本方針を立てるのか、その二点についてお伺いをしたいと思います。
  173. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今の売買逆ざやの点でございますが、確かに御指摘のように一・九%ぐらい、おおむね解消された段階ではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。  今後の問題といたしましては、売買逆ざやがおおむね解消されたということで、今後の食管の健全な運営というふうなことに十分留意しながら慎重に対応していかなければならないものではなかろうか、こう考えております。  さらに、国際価格との関連でございますが、国際価格も相当大きく変動いたしまして、価格にいたしまして約倍になるような事態もあるわけでございますが、私どもそうした国際価格の国際水準がどのようなものであろうかという点には問題あるわけですが、国際価格と国内価格との関連につきましては、今後できるだけそれが乖離しない方向が望ましいんではなかろうか、こう考えております。
  174. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 田渕さんにお答えします。  基本問題で、お米につきましては、お米は国の主食でございますし、政府とすれば食管法に基づきまして国民へ安定的に供給していく責任を持っておるということで、食糧の安全保障という立場もございまして、価格じゃございません。日本の地理的条件が島国という状態がございまして、どんな状況でも国民に主食たる米は安定供給していくという大きな役目を持っておることで、今の制度を変える予定はございません。今の制度を堅持しながら守っていきたい、このように考えております。
  175. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 私は、逆ざやの問題は、やっぱり米は他のものと違うという、そういう国民のコンセンサスがあることが大事だと思うんです。といいますのは、いわゆる受益者負担か税金で負担するかの問題でありますから、逆ざやというのは。だから国民が、米を食べる人も食べない人も、一様に米は重大だというコンセンサスがあれば私は逆ざやというものがあってもいい。安全保障のために払うコストとしてその税金を納めるということはいいと思いますけれども、ただ最近はやっぱり米離れということが進み、国民の需要の多様化が進んでおる中で、そういうコンセンサスというものは昔に比べたらやっぱり弱まりつつあるのではないか、その辺の問題が一つあると思うんですね。  だから、そういうものとの関連で、例えば売買逆ざやぐらいは解消した方がいいとか、コスト逆ざやについてはある程度は残す必要があるとか、その辺の基本的なものはしっかり踏まえておかないといけないんじゃないかという気がしますね。  それから、国際価格の問題ですが、今はほとんど完全に遮断されておりますから、それほど現実の問題としては大きくならないけれども、しかし、私は将来の問題を考えた場合に、やっぱり自由化圧力というものはまだまだ強まってくるような気がするわけです。米は最も最後まで守るべきとりででありますから、そう簡単にはそういう事態は来ないと思いますけれども、しかし、それを守るためにも、できるだけ国際価格との乖離を少なくしておくことが大事である。これが多ければ多いほど、そういう圧力はやっぱり強まると見なければなりません。  そういう観点から見た場合、私は今まで農林水産省がとってこられた米政策というのは決して満足すべき成果を上げていないと思うんです。年間稲作に使う国家関係の予算を総計しますと一兆四千億円、農業予算の半分を占めておる。稲が大事だから、米が大事だから、たくさんの金をつぎ込むということに反対はしません。金をつぎ込んだらそれだけの効果を上げてほしいと思うんです。どういうふうに効果が上がっていないか。  例えば、つくる側ですね、先ほどからいろいろ論議されておりましたけれども稲作の大体七割ぐらいの農家がコストを貯えない米価である。これでは、たくさんの生産者が不満を持っておられるのは当然だ。それからさらには、減反政策とか、あるいは画一的ないろんな政府の介入とか、そういう面に対して創意工夫を妨げているというような批判も生産者の側からある。それなら、消費者の方は喜んでおるかというと、決して喜んでいない。国際価格に比べたら五倍も高い米だと。それから、しかも政府管理米はまずくて米離れがどんどん進んでいる。こういう点から見た場合、私はたくさんの国の税金をつぎ込んでおる割にだれにも喜ばれていないじゃないか。  私は、やっぱり稲作というもの、米政策というものを基本的に考え直すべきときに来ておるのではないか、こういう気がするんですね。大臣は先ほど、日本の農業の将来は明るい展望を持っておると言われましたけれども、明るい展望が持てるかどうかというのはやっぱり農林水産政策のよしあしによると思うんです。そういう意味で、私は米に対する政策は決して評価できないと思いますけれども、この点について大臣の見解をお伺いしたいと思います。
  176. 佐藤守良

    国務大臣佐藤守良君) 田渕先生にお答えします。  私は、日本農業というのは非常に自然、天候に左右される。そういう形の中に、やっぱりこういう土地柄——約七割が山で三割が平野ということで、経営規模も小さく資源としても乏しい、こんなことがあるわけです。そんなことで、私はいつも言っておりますけれども、これから価格政策あるいは構造政策あるいは生産政策を含めどうするかという中に、やはり私はバイオテクノロジー、そういうものを十分駆使しながら生産性を高める、そういう形の中でやっぱりコストを下げていく。実はこれは、例えばお米などでも、青森などでは一反当たり千キロぐらいのお米ができておるわけです。  そんなことで、生産性を高めるということで、例えば国際比較が、日本はトン当たり三十万、外国では七万から八万でございますけれども、やはり私はコストを下げる努力はします。けれども、基本的には、農業の特殊性を考えた場合に、やはり日本の農業を守る立場から、特にお米の問題は、主食で、食糧安全保障という立場もございますし、これは堅持して守りたい。そして価格を安くする努力はしますけれども、その大もとは堅持して守りたい、このように考えておるわけでございます。
  177. 田渕哲也

    ○田渕哲也君 終わります。
  178. 成相善十

    委員長成相善十君) この際、村沢君から発言を求められておりますので、これを許します。村沢君。
  179. 村沢牧

    村沢牧君 私は、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党、民社党・国民連合、二院クラブ・革新共闘の五派共同提案による昭和六十年産生産者米価決定に関する決議案を提出いたします。  まず、提案の趣旨について御説明いたします。  政府は昨日、米価審議会に対して、昭和六十年産生産者米価を昨年と同額の一万八千六百六十八円に据え置くという諮問を行いました。  しかしながら、この諮問米価は、昭和五十二年以降五十九年までの間に、他産業賃金が四七%、消費者物価指数が三〇・二%の上昇を示しているもとで、生産者米価が八・三%の上昇という実質的な据え置きに近い状況に抑え込まれ、稲作農家の経営が悪化している実態を無視し、財政事情のみを優先させたものと言わざるを得ず、稲作農家や農業団体等の期待を裏切ったものであり、食糧管理法の精神を逸脱したものと言わざるを得ないのであります。  言うまでもなく、稲作は、我が国農業の基幹作目であり、穀物自給率が三〇%という低位にある中で、米だけが完全自給を達成しているのであり、国民の米の安定供給に対する関心も極めて高く、食糧安全保障の観点からも米に対する期待は極めて強いのであります。  しかるに、今回政府が行った生産者米価据え置き諮問は、長期にわたる減反政策の強行、実質七年間に及ぶ生産者米価据え置き、四年続きの冷害等によってもたらされた稲作農家生産意欲の減退に一層拍車をかける無謀なものと言うほかはないのであります。  政府は、現在の生産者米価水準によっては大半の稲作農家が第二次生産費を償えないという厳しい実態にあることを真摯に受けとめ、農業政策の転換を図るとともに、本年産生産者米価決定に当たっては、諮問米価を見直して農家の要求に沿った価格の実現を図るべきであります。また、良質米奨励金については、その生産・流通の実態を直視し、削減を行うことなく現行水準を維持すべきであります。  我々は、生産者米価の決定に際して、以上の措置を講じ、稲作農家所得と米の再生産を確保し、稲作農業の活性化を図る観点から、本決議案を提出した次第であります。  次に、案文を朗読いたします。     昭和六十年産生産者米価決定に関する決     議(案)   政府は、米価審議会に対し、本年産生産者米  価について据え置き諮問を行った。   この諮問米価は、財政事情を先行させたもの  であり、物財費、労賃生産費上昇を正当に  評価しておらず、食糧管理法第三条第二項の定  める生産者米価の決定理念を逸脱したものであ  って、まことに遺憾である。   稲作は、我が国農業の基幹作目であり、米は  国民の主要な食糧である。   我が国農業の再生を通じ、国民食糧の安定供  給を確保することは、農政の最も重要な課題で  あることは論を待たないところである。   黙るに政府は、米の減反政策を長期にわたっ  て強行し、生産者米価を実質七年間も据え置  き、稲作農家生産意欲を極度に減退させるに  至っている。   よって政府は、農業政策の転換を図り、本年  産生産者米価の決定に当たっては、諮問米価の  見直しを行い、その引き上げを図るとともに、  良質米奨励金については現行水準を維持し、も  って稲作農家所得と米の再生産を確保し、稲  作農業の活性化を図るべきである。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。特に、与党委員各位にも御賛同をいただきまして、本委員会全員一致で御採択をお願いいたします。
  180. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまの村沢君提出の決議案につきましては、その取り扱いを理事会で協議いたします。  午前はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時四十一分休憩      ————◇—————    午後一時四十二分開会
  181. 成相善十

    委員長成相善十君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、農林水産政策に関する調査のうち、昭和六十年産米生産者米価に関する件及び農林水産物の市場開放問題に関する件を議題といたします。     —————————————
  182. 成相善十

    委員長成相善十君) この際、山田食糧庁次長から発言を求められておりますので、これを許します。山田食糧庁次長
  183. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 午前の御審議の際に、村沢先生の御質問の中で第二次生産費、五十九年産米でございますが、生産費で償われるところの農家の販売数量規模はどの程度かと、こういう御質問がございましたが、それに私、二百俵というふうにお答えしたんでございますが、これは間違いでございまして、失礼いたしました。  その規模は百俵ということでございますので、訂正させていただきます。     —————————————
  184. 成相善十

    委員長成相善十君) それでは質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  185. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 ただいま食糧庁次長から、第二次生産費で償われる農家の販売数量訂正の御発言がありました。私、大変残念なんでありますけれども、ちょっと常識的に考えても二百俵というのはすぐおかしいというふうにわかると思うわけなんでありまして、こういう初歩的なミスを答弁の中でされるということについてはまことに遺憾でありまして、特に質問した村沢委員は、質問の言ってみれば体系といいましょうか、その内容にまでずっとかかわってくることになりますので、そうすると午前中の御質問は一体何のためだったんだということにもなりかねません。このような重大な答弁ミスというのは、私は簡単にこれで了解などというふうにはいかない問題ではないか、こんなふうに思うわけであります。  そういたしましても、私がこんなことを特に感じますのは、生産費について生産費割れを起こしている農家に対してどう理解を農林水産省はしているのか、この辺が大変大きな問題になるからであります。午前中の審議の中では第二次生産費を中心にして御議論があったわけでありますけれども、しかし同時に、もう少し私は細かく見ていったときに、第一次生産費物財費と労働費、それで副産物を差し引いたということでありますから、この第二次生産費を割るということになるとこれは本当に大変な事態だと思うんでありますね。  ところが、先ほど午前中に発表がありました生産費調査によっていきますと、その生産費調査そのものにもいろいろと疑義はあるんでありますけれども、そのことは別にいたしましても、それに依拠いたしましても、階層別でずっと見てまいりますと、昭和五十五年以降〇・五ヘクタール以下の農家は毎年、連年生産費割れという価格決定になっていると思うんでありますが、その点についてどのようにお考えになるのか。〇・五ヘクタール以下の農家は米をつくるな、米づくりをやめろ、こういう意味でこういう価格決定をされているのかどうか、その辺のところを御答弁いただきたいと思います。
  186. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  〇・五ヘクタール・以下の生産費につきましては、今、先生御指摘のように、第一次生産費を割っているという事実があるわけでございますが、こうした生産者におかれましても自家保有米を生産する、こういうこともございまして生産していただいておりまして、この方々につきまして米の生産をやめよ、こういうようなことは一切私ども考えておらないわけでございます。
  187. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 自家保有米であれば採算割れになってもいい、こういう議論も私はおかしいと思いますけれども、だが同時に、その階層であっても米販売農家、販売をしている部分がかなりあるわけでしょう。そうすると、〇・五ヘクタール以下の米の販売量というのはどのくらいになりますか。
  188. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  〇・五ヘクタール未満農家米販売量のシェアでございますが、統計は五十八年産でございますけれども、一三%程度の販売量シェアを持っております。
  189. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 具体的に一二%とは何キロくらいですか、何万トンになりますか。——いや数字はあるんですよ。出した統計数字の中にある。
  190. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  〇・五ヘクタール未満農家の販売いたしました数量は約九十万トン程度でございます。
  191. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 潜在生産力を勘案しての需給ギャップ何とか方式と、言ってみればわけのわからない計算というふうに私どもは言いたいんでありますけれども、その需給事情というものを考えていっても、九十万トンの販売農家が販売しなくなったということになったら、これは大変なことになるんじゃないかと思うんですよ。九十万トン不足すると、昨年の需給関係で言って、それが売らなかったとするとどのくらい足りないことになりますか。
  192. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  需給上、約一割ぐらいの供給減になりまして、その点で大体早食い量見合い程度の数量になろうかと思います。
  193. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 大変重大な問題だと思うんですよ。早食いくらいだと言われるけれども、早食いは年によってかなりまたいろいろと違いがあるから、そんな程度で、また数字の違いはあるいはそのときの事情で、ごまかすという言葉は悪いかもしれないけれども数字の違いはそんなところで出てきますということがあるのかもしれませんがね。要は、そうすると五十万トン前後のものが不足をするということになると思うんです。これは最大の豊作だと言われている年におきましても、私はこの全農家が、今の〇・五ヘクタール以下が全部売れないということになると、それだけでもう需給事情の逼迫をもたらす要因になる、数字の上でのいろいろな若干の違いは別にいたしまして。そういう重大な問題だと思うんですよ。にもかかわらず、ここの部分が第一次生産費を割るそういう価格設定というのは、これは私はどうしても納得ができません。第二次生産費が割られることだって、所得の減として重大な問題ですよ。  しかし、第一次生産費を割るということになれば、まさにそれは完全な生産費割れ、こういうことになるわけでありますから、このような価格設定をしてこられた農林水産省の責任、これは昭和五十五年以降ですよ、その前は第二次生産費割れだったんだ、〇・五ヘクタール以下は。しかし、五十五年以降は第一次生産費割れをずっとしているわけでありますからね。五十五年から一体何年経過しているんですか。これは、私はかなり重大な農林水産省の責任ということになると思うんです。  価格の問題一つで議論はいろいろとされないこともあると思いますけれども、少なくとも米生産農家にとっては、こうした零細農切り捨てという言葉は非常にきつくて恐縮でありますけれども、零細農切り捨てという姿がその辺のところに明確に出ているというふうに思うわけであります。時間もございませんから、私はこうした生産費割れを起こすような価格決定には絶対反対でありますので、こうした今回の据え置き諮問というのは撤回をされるように、強く希望をするわけであります。  次に、良質米奨励金について、随分しつこいくらいこの委員会でもいろいろと質問がされております。私もまた大変しつこくて恐縮でありますけれども、良質米奨励金、これは奨励金という言葉そのものに私はまだ問題もあるかと思います。というのは、例えば新潟県でいきますと、去年であっても平均生産量、単収に対して九三%余り程度の水準にしかありません。この単収で同じ生産費として割ってみれば、これは私は、やっぱり第二次生産費割れを起こす、二万三千七百幾らということで売られても生産費割れを起こすという階層が出てくるんでありますから、そういうことでいきますと、むしろこうした良質米奨励金というものの生産地域についての米の価格の一部というふうにきちんと考えるべきである、その方策がきちっとしないうちに圧縮などということが起こっては相ならぬ、そう思うわけであります。  大臣の午前中の答弁ですと、合理化圧縮という言葉がやっぱり中へ入っておりますので大変気にしております。心配をしておりますけれども、その心配はありませんか、どうですか。
  194. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 午前中も大臣から御説明していただきましたように、良質米奨励金につきましては、最近の良質米の流通事情が大きく変化しておるような事情がございますし、また生産者メリットもだんだんと順調に伸びてきておるという事情もございますし、私ども、現在多面的な検討をさしていただいておるような次第でございまして、できるだけ今後自主流通米制度の健全な発展を図るという立場からいかようにすればいいかということで検討をさしていただいておりますが、なお最終的な結論を見ていないような状況でございまして、早急に結論を見て関係方面とも協議をして決定していかなければならない問題だ、こういうふうに考えております。
  195. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 いつ聞いても、まだ結論が出ていない、こう言われるんでありますから、これ以上聞いてもやっぱり同じことの繰り返しなんだと思いますけれども、しかし、もう腹はある程度決まっているんじゃないですか。腹は決まっているんだったら、私はむしろ積極的に、こういうふうにしたいというふうに言っていただく方が審議の上でも非常にいいんではないか、こんなふうにも思うわけであります。が、しかし、どうしても言われないというんでありますから、これは最後に、私は、良質米奨励金については削減合理化だなどという名前で縮減は絶対あってはならぬ、そうしてはもらいたくない、こういうことを強く希望をいたします。  そして最後に、またもとへ戻って恐縮でありますけれども、その〇・五ヘクタール以下層というものについての生産費割れに対しての手当てというものは、何か特別に農林水産省はお考えになっているんでしょうか。
  196. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 具体的に〇・五ヘクタール未満層の農家の方々に対しまして米価等によります手当てというふうなことは考えておりません。    〔委員長退席、理事北修二君着席〕
  197. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 手当ても考えていません、生産費割れは起こしている、それでいて〇・五ヘクタール以下の農家について今後とも米の生産を続けてもらわなければ重大な問題になりますということになる。そうすると、その〇・五ヘクタール以下の農家は踏んだりけったりということになるんですけれども、それは一体どうしてくれるんだ、こうなりますが、そこはどういうふうに考えていますか。
  198. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) こういった農家の方々におかれましては、今後極力生産性を高めるという観点から、協業なり、また機械の共同利用なり生産組織による生産性の向上なり実質的な規模拡大等によりまして生産性を向上さしていただきまして、安定的な供給をしていただくよう期待しておるわけでございます。
  199. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 そういうふうに答えられるから困っちゃうんです。時間がますます足りなくなってくるんですがね。要は、私は言っているんですよ、それじゃその〇・五ヘクタール以下の農家の層に対して特別にそういういろいろな手当てをしてやるんですかと。そういう努力をしていくから、だからしばらくは我慢してもらったらまたそのうちに生産費も償えるようになりますよというような、そういう見通しを立てられるということで言っておられるんだったら、それでも問題ありますけれども、まだ理屈としては成り立ちます。それは一般に農家全体にそれがあるわけでしょう、今言われた政策が。一般的な政策だけでもって、それでこのO・五ヘクタール層に対して手当てをしたということにはならぬでしょう。これは切り捨て以外の何物でもないじゃないですか。
  200. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 御指摘のような農家層をも含めまして、全体として確かに生産性の向上等いろいろの構造政策なり生産対策等は行われておるわけでございますが、この層のみについての政策というよりは、そのほかの規模階層等も含めて総体として生産性の向上政策といいますか、関連政策が展開されているわけでございまして、そういったものに吸収されるといいますか、政策の体系としましては全体の対象として行われておる実態でございますし、そうした各面の政策によって、今後この生産性を向上していただくことを期待しておるわけでございます。
  201. 稲村稔夫

    ○稲村稔夫君 私は、さっきから、生産費割れというものをずっと連年続けてきている、こういう状況に対する責任をどうとってくれるんですか、言ってみればそういうことをお伺いしているんですよ。それを一般論でもって幾らお答えいただいたってこれは答えにならない。この問題については、私は今後とも、これは米の問題だけではなくなるかもしれませんが、特に稲作農家という観点では、私は今後も常に問題にしていきたいと思うんですが、責任を明らかにしていただくまでこの点は私はただしていかざるを得ません。その辺を特に申し添えまして、であるから、またもとへ戻りますけれども、そういう状況の中で引き下げ諮問などはぜひとも撤回してもらいたい。  以上、御要望いたしまして、私の質問を終わります。
  202. 菅野久光

    ○菅野久光君 今も稲村委員の方から零細規模稲作農家の問題についてありましたが、北海道は逆にいえば大規模なんですね。先ほど訂正がありましたけれども、第二次生産費で償われる販売数量が百俵ということでありますが、経営規模の一・五ヘクタール、これは全国的にそういうような平均で言われたんだろうというふうに思いますが、特に北海道というふうに考えた場合も同じというふうに考えていいのかどうか。その辺、どのように食糧庁としては考えておられるか、お答えいただきたいと思います。
  203. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 先ほど御説明さしていただきました販売数量規模別の生産費調査の集計といいますものは、私ども都道府県別というふうなものはまだ持ち合わせておりませんので、特定の都道府県といいますか、北海道においてどの程度かというようにちょっと具体的にはっきりさせることが困難な状態でございます。  なお、北海道の作付規模別生産費につきましてははっきりしております。対象といたしまして三十アールから五十アールというところで二万四千円でございます。それから五十アール以上百アールという階層は該当がございません。百アール以上百五十アールにおきまして一万七千八百四十七円、百五十アール以上二百アールまで、これが一万五千三百五十五円、二百アールから三百アールまで一万六千五百四十二円、三百アール以上で一万五千五百九十一円になっております。
  204. 菅野久光

    ○菅野久光君 いずれの地域でも今回の米価据え置きということで、しかも今までほとんど上げていないと言ってもいいぐらい、わずかに上げた時代もありますけれども、ほとんど上がっていないと言ってもいいようなそういう状況の中で、稲作農家というのはもともとは本当は安定していた作目の農家なんですね。それが今や、安定した水稲栽培というんですか、そういうことができなくなってきているという状況をわかっているでしょうか。例えば北海道の稲作農家の負債状況についてはどのようになっているか、わかっていたらお答えいただきたい。
  205. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) 稲作主業農家の負債状況も含めた農家経済の概況でございます。主業農家と申しますのは、御承知のように、現金収入が八割以上稲作によっている、こういうものでございますが、これは実は五十八年度までの数字しか今整理されておりませんので、この数字で申し上げますと、負債の面で見ますと全国では大体百五十万円ぐらい、この辺が各年度末の負債の残高でございます。ただ、こう申し上げると、五十八年度まではいわゆる四年続きの不作状況影響があらわれている時期でございますが、この間、必ずしも負債は増加する傾向にありませんで、例えば五十八年度末は百四十四万円ぐらい、こういうようなことで従来の年度よりは減っておるということでございます。  一方、北海道でございますが、稲作主業農家について見ますと、負債の状況が五十八年度末で七百四万円、これはこの前の五十五、五十六、五十七という各年度末の残高が、例えば五十七年度末ですと八百七十四万円ぐらいになっておりますが、この四年続きの不作の中で負債だけをとってみますと、必ずしも増加をするという状況ではないというのが、農家経済調査にあらわれました状況でございます。
  206. 菅野久光

    ○菅野久光君 北信連——北海道信用農業協同組合連合会、ここで「農協窓口からみた農家負債の推.」ということで水田地帯の五十七年、五十八年、五十九年のものがあるわけでありますが、五十七年でいくと一戸当たり千二十四万円、五十八年が千七十三万円、五十九年で千七十八万円。これは五十九年というのは豊作の年なわけでありますけれども、前の負債の額がずっとあったために、その年にかなり収入があったけれども、実質的にはわずかではあるけれども負債がふえているというそういう状況にあるわけですよ。  ですから、先ほど言った七百万前後というのは、一般的にそういうような形で言われておりますけれども、これは北信連という信用あるそこの窓口から見た農家負債の推移ということからいくと、三百万からの差があるわけですね。その辺の把握の仕方の問題もいろいろあるのではないかというふうに思うんです。こういう中でまた米価据え置き、これで展望の持てる稲作ということができるのかどうか。これだけの負債を抱えながら、そして毎年毎年利子を含めて大変な額の償還なり返還をしていくわけでありますが、そうした中でこの米価で経営ができるというんであれば、責任のある、こうやればできるんだというものを、何というんですか、農家相談といいますか、そういう中でお示しできますか。
  207. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) ただいま先生の御引用になりました北信連の資料は農協勘定月報の資料であろうかと思いますが、この状況については私ども承知しております。農林水産省の農家経済調査に出ますものといろいろ農家の取り方等でずれがあると思いますし、また、農家経済調査の場合には五十九年度の数字がまだ出ておりません。いずれにしましてもこの辺の状況、私どもも従来に引き続きよく状況を注意したいと思っております。  お尋ねのございました点につきましては、現在の稲作の、先般出ました五十九年度の生産費、五十九年産生産費調査によりましても、作付規模によりましてかなり生産費内容の差異があるわ付でございまして、全体的に平均数値に対しまして規模の小さいものほど大きい、これは一つの規模の経済のあらわれでございますが、その中でも一番規模別の生産費の差異の大きいものが農機具費労働費でございます。ほかの種苗とか肥料費、農薬費、こういうものは、もちろん規模別の差は若干ございますけれども、それほど大きくはない、こういうようなことでございます。  これからの一つの動向として見ますと、やはり機械の導入、その効率利用ということで、例えば北海道でございますれば、従来もやっていただいておりますいろいろな共同利用組織、都府県ではあるいは機械銀行というような農作業の受委託組織、こういうような農機具の導入と効率利用を中心としまして、やはり農機具費労働費を中心にできるだけ効率的な、また合理的な生産方法を導入していく、この辺が恐らくこれからの稲作のやはり中心的な技術課題であり生産性向上の課題である、こういうふうに考えておりまして、私どもも従来に引き続きこの辺の生産性向上、コスト低減、こういう面に焦点を合わせました生産対策を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  208. 菅野久光

    ○菅野久光君 今お答えになった、考えているということだけではいつまでも考えていることになってしまうわけで、具体的にことしはどういうことで例えば農家指導をやっていくとか、そういう一定のめど的なものをやっぱりはっきりしていただかないとそのときそのときで話が終わってしまう、そういうことになっていくのではないかというふうに思うんですよ。幾らここで論議をしても、そのときそのときもう時間が終わってしまえば、風が吹き抜けていけばそれで終わりというようなことではいつまでたったってこの問題は解決できない、毎回毎回米価のたびにやらなければならないということになるのではないかと思うんですが、その辺、もっと具体的にお答えいただけますか。
  209. 関谷俊作

    説明員(関谷俊作君) これは今申し上げました機械導入を中心にしましたコスト低減ということになりますと、一つの消極面の対策としましては、いわゆるむだな導入はしない、あるいは入っている機械は効率的に使うということで私どもも従来からやっておりましたが、これからひとつそういう農業機械の高度利用を促進する、こういう一つの運動というものを展開するというような気持ちで市町村なり農協段階に入りまして、従来もかなり機械銀行等でやっておりましたような施策をもっときめ細かくやらなければならない。これは具体的なもっと目標を掲げるとしますと、例えば農機具費をどれぐらい節減するというような節減目標を掲げるぐらいの気持ちでやらなければならないと、かように思っております。  一方、積極面の仕事としましては、一つは、例えば今課題になっております稲作だけではなくて、麦作とか大豆にも使えるような汎用型のコンバインというような汎用性のある機械を今開発しておりますので、これを実用化して普及をするとか、この辺について具体的に取りかかる。さらに、今までどちらかというと割合農機具等は比較的型式のばらばらなものが多様にたくさん入るというような傾向がございましたので、これは全農あるいはホクレンというような生産者団体を中心にしまして、農機具の型式をもっと集約化していく、こういうことについて、これは毎年具体的にどうやっているかというお尋ねでございますが、これからかなりその辺について農機具の効率利用を中心にしました政策を具体的に仕組みたいと、かように考えておりまして、これは六十一年度予算においてかなりそういう面での施策の具体化を図ろうということで今検討している次第でございます。  この辺は、いずれにしましても市町村、農協等も含めました実際の地域の組織の御協力も得ながら、相当きめ細かく推進していかなければならないことでございますので、この点につきまして私どももっとさらに考え方を具体化しまして御協力をお願いしたいと、かように考えておる次第でございます。
  210. 菅野久光

    ○菅野久光君 これからこれからということでありますから、これから本当に私は今の答弁が具体化されるように、できるだけ早く具体化されるように見守っていきたいというふうに思っております。  それで、四年連続不作の後、去年は豊作だったわけですよね。四年連続不作のときでも、米価というのはほとんど上げないできた。ことしになったら、去年は豊作だったからということでいきなり大蔵省あたりはいろいろ計算でいったら四%どうだと。じゃ、不作のときのやつはどうしてくれるんだ、人勧だって値切ったやつは今度は三年で分割して上乗せしてもとに戻すというようなことをやっているわけですよ。だから、どう考えてみても、不作のときにはそのままにしておいて、まあ去年は大豊作だったわけですけれども豊作になったら途端に今度は下げることで話が進んでいく。全く私はけしからぬ話だというふうに思うんですね。  農家の経営は、先ほども私申し上げましたけれども、去年は豊作だったけれども、しかし農家自体の負債そのものは、わずかだけれども、十二月末ですよ、十二月末で計算したところでもわずかながらふえているんです。それだけ、前の負債が非常に重く農家の中にのしかかっているということをその中で示しているわけなんですよ。にもかかわらず、ことしはやっと据え置いたということは、実際、実質大蔵省は下げるというやつをもとへ戻したんだから上げたのと同じじゃないかなんというようなことを、まさかそんなことは言わないとは思うんですけれども、しかしそういう声もちらほら聞こえてくるわけでありますが、全くもってのほかだというふうに私は思うんです。実際、こういったような状況で、もう農業の将来に、稲作の将来にすら、日本の最も大事な食糧の米、この稲作の将来にすら希望が持てない。そういうことで後継者の問題が、これがまた大きな問題になってくるということなんですよ。それで、本当に日本の国民に米を安定的に供給できるという、そういうことができるのかどうか。先ほどの零細規模の問題もありますが、大規模の問題もまさにこういったような問題を抱えているんですよ。そういう大変な問題なわけですね。まさに国の安全保障。安全保障というのは軍備だけが安全保障じゃない。米も安全保障ですよ。なぜもっとちゃんとやらないのか。  そういう意味で、私は今回のやっぱり米価据え置きということについては農民に全く生産意欲を起こさせない、しかも食管法で言っているそのことにもやっぱり反するということになるんじゃないんですか。「買入ノ価格ハ政令ノ走ムル所二依リ生産費反物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ走.」。再生産ということにならない米価が、どうしてこれが責任ある農林水産省として諮問できるんですか。私は取り下げを要求して、時間がございませんので私の質問を終わります。
  211. 山田譲

    山田譲君 午前中から今まで、いろいろと議論がありまして聞いていたわけでありますけれども、結論的に言いますと、どう考えても今度の諮問はおかしい、そう思わざるを得ないわけであります。  そこで、そういう前提に立って私はまず冒頭に、この諮問はぜひ撤回してもらいたい。そしてやっぱり農民の要求にこたえるような諮問を再びしていただいて、どうかひとつ農民の方々が元気で勇気を出して農業にいそしめるようなそういう適切な米価を決めていただきたい、こういうふうにまず冒頭に要求をしておきたいと思います。  そこで、最初にこれはぜひ政務次官にお伺いしたいことでありますけれども、御承知のとおり、きのうあたりから全国津々浦々から農民が集まって、そして血の出るような叫び声を上げながら何とかいい諮問をしてくれ、そういう要求をしてきているわけです。だてにみんな来ているわけではないんです。そして、しかもことしは従来と違う点は、とりわけ市場開放というふうな問題があって、これまた日本の農業に非常に大きな脅威を与えているわけであります。  ですから、ただでさえ前途の希望がどうもはっきりわからないというふうな農業をやっている方々にとって、ましてこの市場開放の問題というものが出てきたわけですから、とりわけことしの、きのうきょうあたりの農民の方々の気持ちは全然去年とは違うものがあると思うんです。  そういう背景を持ちながら、そういう中で出されました今回の諮問、これについて一体農水省はそういう農民の気持ちを十分に考えてくれたかどうか、そこら辺をまず次官にお伺いしたいと思うんです。
  212. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) 山田委員にお答えをいたします。  生産者、農業団体等からの米価の引き上げ、良質米奨励金の現行維持の要望等については、その御意見を広く承っているところであります。  米価については、その算定に当たって米の需給事情消費者の理解、財政負担等も十分配慮する必要があります。本年の米価算定に当たっては、このような観点も踏まえ、政府としても試算を行ったところであります。米価審議会において十分御議論いただいた上で、適切な決定をしていただきたいと思っております。  次に、良質米奨励金……
  213. 山田譲

    山田譲君 聞く前から答えてもらわなくてもいいわけです。  しかし、次官、残念ですね、次官ともあろう実力者が、一々下っ端の役人が書いたそんなものを読まなきゃ返事ができないんじゃ本当に困るわけですよ、私が今申し上げたことなんか、私も原稿を持たないで言っているわけです。だから、次官も原稿を持たずにもう一遍次官の考え方を聞かしてもらいたい。役人の書いたものじゃなくて、次官の考え方はこうだということを、この際はっきりと示してもらいたいと思うのですよ。答弁お願いします。    〔理事北修二君退席、委員長着席〕
  214. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) おっしゃるとおりでございますが、役人の言う言葉だけで言っているのではございません。ただ、諸般の事情をいろいろ深く聞きまして、そして結論を出すに至っては、大臣を中心にしていろいろ役人ともどもに出したのがあの諮問案でございます。
  215. 山田譲

    山田譲君 そういうふうに言っていただけばいいんであって、そんなことを一々役人の書いたものを読まないで言っていただきたいというふうに思うわけですよ。  そこで、さっき役人の書いたものではありますけれども、ちょっと気にかかったのは、関係者からも意見を聞いてというふうに言われましたけれども、ただ聞いているだけじゃだめなんで、それがどの程度反映しましたかということを私は聞きたいわけです。そこのところはどうですか。これはもう役人の書いた原稿でも何でも構いません。
  216. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) 御案内のとおりに、前年の問題と比較して考えると、ことしは下がると思うんです。しかし、従来からの姿に対しまして、今まで農家が非常に苦しい状況下に置かれてきておった数字等から考えてくると、やはりこれは下げるのでなくて、現在の提案申し上げている線で決めていくべきが妥当ではないかというような結論を出しまして諮問をいたしております。
  217. 山田譲

    山田譲君 恐らくそうおっしゃると思ったんですけれども、それは先ほどから言っているように、もともとの米価が低いんですから、だからそれをさらに今回は下げようと思ったけれども、皆さんのことを考えて上げたのだというふうな言い方をされても、それは恐らく実際に米をつくっておる方は納得できないと思うんです。やはり今までがずっと足りなかったということで来ているものですから、だからそういう言い方は非常によくないと私は思うんです。  それはそれとして、次に、そういう自信を持って諮問をされたようですけれども諮問文を見ますと、ことしは今までにない言葉を言っておられるわけです。これは私は非常に重視したいと思うんです。そしてまた、非常にいいことを言われたと思うんです。  諮問文を見ますと、「買入価格について、米穀需給均衡を図るための対策が行われている需給事情に即応しつ.」、これは私は非常にまずい文章だと思うのだけれども、これはずっと過去十年同じ言葉を使っているから使われたと思うんです。そこまでは従来と同じですけれども、その後に「農家経営事情にも配慮して決定することにつき、米価審議会意見を求める.」、こう書いてあって、この言葉は今までの諮問文にはなかったですね、説明文の方にはあったようだけれども。これを特にことし入れたのは何か事情があるのかないのか、その説明をしてもらいたいというふうに思います。
  218. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  私どもといたしましては、四年連続不作の中で、その不作農家経済に及ぼす影響は非常に厳しいものがある、こういう理解もございまして、このような諮問にさせていただいておる次第でございます。
  219. 山田譲

    山田譲君 まず、農家経営事情というものをどういうふうに理解し、非常に困っているというくらいのことは当然の話だけれども、わざわざ書いたからには、もうちょっと根拠があってこういう言葉になったと思うのだけれども、つまり経営事情をどういうふうに理解し、今、隣の委員が言われた農家の借財、借金というような問題もあるでしょう。そういう問題もやっぱりそれぞれ具体的に考慮されて、それで考慮したからこれだけの諮問をするのだと。この諮問の金額の中には、農家事情のこういう点を考慮したのだということを具体的におっしゃっていただきたい、こういうふうに思うわけです。
  220. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 最近におきます農業所得の伸び悩みというふうなことも一つあるわけでございます。農産物価格全体の上昇というふうなものが非常に低迷ぎみに推移しておる中で、生産資材等につきましては、ごく最近では落ちついておるわけでございますが、生産物の価格よりは上昇が上回っておる、こういうこともございますし、また需給というふうなものにつきましても、農家にとって必ずしも農産物全体が有利な方向になかったという実態もございまして、農業所得は伸び悩んでおる、こういう私ども理解をしてまいったわけでございます。  なお、こうした事情につきましては、どのようなところで価格算定上配慮しておるかということでございますが、一つには、家族労働費評価がえにおきまして、私ども昨年もやってまいったわけでございますけれども賃率調整、こういうことをやらせていただいたわけでございます。これは、販売数量ウエートでもちまして評価がえの賃金をはじき出しますと、やはり上昇率が非常に低位にある、こういう実態もございまして、就業者の、労働者数ウエートによりまして伸び率を求め、その伸び率と販売数量ウエートによる伸び率との比率でもって調整しておる、こういう実態もあるわけでございます。  また、地代等の金利の面におきましても、適用金利といたしましては、地代評価がえをする場合にありましては、土地の資本というふうなものにつきましては、元本固定資産税評価額を採用させていただいておるわけでございますが、それに乗じますところの利率につきましては、十年の利付国債比率をとらせていただいておるわけでございますけれども、最近の利率は下がっておりまして、それを採用するというふうなことにつきましていかがなものだろうか、こういうことで、昨年適用させていただきましたそのままの比率計算上使わせていただいておるような次第でございます。こうした点につきましても、私ども試算をするに当たりまして、できるだけ配慮し得るところは配慮することによって対処してまいっております。
  221. 山田譲

    山田譲君 いろいろ言われたけれども、どうも経営事情というものを的確に把握していらっしゃらないんじゃないか、もちろん的確に把握していればこういった諮問は出てこなかったんじゃないかという気がしてなりません。  そこで、もう一つ、この「諮問についての説明」というところでお伺いしたいのは、これはこの前も言っている言葉ですから新しくないんだけれども、初めの方ですが、「近年の米穀需給事情を考慮して、昭和五十三年度以降抑制的に定めてきたところであります.」という、この抑制的に定めてきたところであるというのは一体どういう意味がということを聞きたいわけです。これは正直におっしゃっておられるわけですけれども、この抑制的に決めるというふうなことが果たして食管法上どこに出てくるかということ、勝手に抑制するなんということを言われちゃ困るわけなんですけれども、なぜこういうことを言うのか、そこら辺はどうですか。
  222. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えさせていただきます。  食管法におきましては、生産費、物価その他の経済事情を配慮して再生産の確保を旨として定める、こういうふうに勘案事項といたしまして経済事情等が挙げられておるわけでございまして、最近の米の需給事情につきましては、御案内のように三千億から二千数百億の財政負担を持ちながら生産の調整をしつつ需給均衡させておるような次第でございまして、こうしたことから見まして、米価算定におきましても、それを生産費対象農家を選ぶ際に使わせていただいておるようなことでございます。そういった要素とり方におきまして、今回も御説明させていただきました潜在需給ギャップを織り込んで、対象農家比率を求めるに当たりまして八三%という具体的な比率を使っておるわけでございますが、こうした点におきまして配慮してきた次第でございます。
  223. 山田譲

    山田譲君 そうすると、この抑制的にやったというのは、これはやはりそういう需給事情を勘案してやったのか、それとも国家の財政事情というものを考慮して抑制的にやったのか、どっちなんですか。
  224. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 主たる要因といたしましては需給事情ということになろうかと思うんでございますが、財政事情について全然配慮してない、こういうふうには申し上げられないと思います。もちろん、財政事情につきましても、勘案事項の一つといたしましては頭の中に入れまして算定してまいったわけでございます。
  225. 山田譲

    山田譲君 食管法は、経済事情ということは言っているけれども、財政事情というようなことは言ってないわけですよね。だから、どうして食管法にもないような財政事情というものを勝手に持ってきたのか、食管法でも改正しようということを考えているのかどうか、そこら辺、はっきりしてください。
  226. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 食管法に規定されております「物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌.」という事項の中の「経済事情」といたしましては、非常に広い範囲の事情が入ろうかと思うわけでございます。今申し上げましたような需給事情もございますれば、財政事情、さらには稲作経営の現状だとか今後のあり方、他の農産物価格との関係等、幅広い事情を勘案事項として考えておる次第でございます。
  227. 山田譲

    山田譲君 普通、経済事情と言ったら、それはまあ財政が全然入らないとは言い切れないかもしれないけれども、少なくともこの食管法の趣旨はそんなことじゃないと思いますよ。やっぱりあくまでも再生産ということを考慮してそれでやるんだということを言っているだけであって、国の財政事情によって動かされてもしょうがないというふうなことは食管法の精神ではないと思うんです。だから、例えば公労法なんかでも、仲裁裁定の実施が国の財政上不可能な場合は云々というふうなことをはっきり言っていれば別ですよ。ところが食管法はそんなことは言ってないんであって、あくまでも再生産をするためにどのくらい必要かということを考えてやりなさいということを食管法は言っているんじゃないかと思うんです。だから、あなたみたいに勝手に広く解釈されたら非常に困るわけだけれども、もう一遍答弁してください。
  228. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答え申し上げます。  食管法に規定されております「其ノ他ノ経済事情」につきましては、今申し上げましたように、お米の需給事情とかその他の農産物の価格事情だとか、相対価格関係だとか、こういった事情のほかに、財政事情は全然配慮事項としてはおかしいということではない、そういった事項につきましても一応勘案事項として考えられるというふうに私、理解しておるわけでございます。
  229. 山田譲

    山田譲君 そういった事情も考えてと言うけれども、財政事情だけ考えてやっているんじゃないかという感じがしてしょうがないですね。財政的に考えてもうこれ以上は出せない、だから何だかんだ、へ理屈をつけて逆算していって諮問が決まるというふうな状態であって、残念ながら最近の傾向を見ていると、もう食管法の精神は全然無視されて、ただ財政事情だけでもって米価を決めていこう、こういうことになっているんじゃないかと思うんだけれども、どうですか。
  230. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えを申し上げます。  財政事情だけでということではございませんで、先ほど説明しましたような需給事情等が最優先的には配慮されるべき事項だ、このようには理解するわけでございますが、この需給事情のもとで生産調整をやればそちらに予算が使われる、こういった面もございますし、経済事情との関連で財政の方も動いておるということもございますので、一応関連があって、今、先生御指摘のような財政事情だけと、こういうふうな見方もあろうかと思うんでございますけれども、私どもといたしましてはそれのみということには理解しておらないわけでございまして、御理解いただきたいと思います。
  231. 山田譲

    山田譲君 百歩譲ってそういうことも考えられるにしても、結局、目的の最後は、やっぱり再生産に役立つというふうな米価でなきゃならないというふうに私は思うんですね。  あなたも私も山田という実は名字ですね。これは山の中の田んぼという意味なんですよ。ところが、昔は山の中の田んぼはあったけれども、今は余り山の中の田んぼなんか見られないですよ。例えば群馬なんかに行ってみましても、山の田んぼはみんなつぶされて全然田んぼが田んぼでなくなっているわけです。百姓の人たちはみんな、あんな田んぼに行ってやったってろくな米価でないからもうやめた方がいいやということで、山の田んぼは荒れるに任せられているわけです。もう少し山田を大事にするように考えなければならない。これはお互いさま、二人にとっても大事なことだ。それがどうもちっとも大事にしてない。だからこそ山田がつぶれていったって、もうこれから山の田んぼを耕そうなんて人はいなくなっちゃっている証拠は、群馬の山間部の方でも行って見てくればすぐわかります。ペンペン草が生えちゃって、本当にもったいないと思う。これだけ耕地の少ない日本において、せっかく御先祖が開墾して一生懸命やってつくってくれた山の田んぼがそれこそ見捨てられていってしまう、こういう状況があるわけです。だから、ちっとも再生産に役立っているということにならないと思うんですが、この点どうですか。
  232. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答え申し上げます。  今、先生、山田生産性の、ペンペン草が生えていると、こういうふうな御指摘ございましたんですが、私どもといたしましては、国民の必要とするお米につきましてはその安定的な供給を図っていかなければならないわけでございまして、こうした食糧の安定供給という観点からもぜひ自給するということで、そうするためには生産性を上げつつ安定的な生産ができるような体制を、価格政策はもちろんのことではございますが、その他の関連の施策によっても展開していかなければならない、このように考えております。
  233. 山田譲

    山田譲君 幾ら生産性を上げろといっても、やっぱり限界があるわけです。だから、さっきもお話が出ておりましたように、やはり小農という、小さい田んぼは田んぼらしくそれに対して何らかの手当てをしなければならない、その手当てを全然してないからみんな田んぼを捨てちゃうんです。そしてやめていってしまう。こういう事情があるんで、私はやっぱり今の米価というものは十分にそういう再生産に役立つような米価になってない証拠が、まさしく山田がどんどんつぶれていってしまうというところを見るにつけてもよくわかるんじゃないかというふうに思います。  それから、その次に、食管制度の問題でありますけれども、これもぜひ次官にお伺いしたいと思いますが、まず食管制度の基本的な問題として、食管と逆ざやとの関係をどういうふうに考えていらっしゃるか、これをぜひ一言お伺いしたいと思います。
  234. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) 食糧管理法上、米の政府買い入れ価格については米の再生産を確保することを旨として、政府売り渡し価格については消費者家計の安定を旨としてそれぞれ定めることとされております。その結果として、両米価の間にいわゆる逆ざやを生ずることもありますが、制度として両米価の間に逆ざやが存在しなければならないというものではありません。売買逆ざやは本来価格のあり方として不自然であるばかりでなく、政府負担を必要とするので、その解消に努めているところであります。  なお、全量政府買い入れを行っていた昭和三十五年当時において順ざやのときもあったようでございます。
  235. 山田譲

    山田譲君 それは確かに食管法を見れば逆ざやがあっちゃいけないとか逆ざやでなきゃいけないとか、こういうことは書いてないけれども、これは書いてないのは当たり前の話だから書かなかっただけだと思うんですよ。国が責任を持って国民に安定した食糧を供給しよう、そしてまた、それと同時に農民からはちゃんと国がお米を買いましょうと、そういうふうな制度が食管制度である限りは、やっぱりそれは逆ざやが出るということは当たり前な話じゃないかと思うんです。三十五年以降、順ざやの出た年を教えてください。
  236. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答え申し上げます。  逆ざやの関係につきまして、三十五年が順ざやでございまして、その後三十七年に順ざやということがございます。それ以降の年度につきましては、おおむね逆ざやで推移してきたんではないかという実態になっております。
  237. 山田譲

    山田譲君 おおむねじゃなくて全部逆ざやなんですよ。これはもう理の当然の結果だと思うんです、食管制度というものがあるからには。そうすると、ずっと逆ざやばかりであった時代がおかしいとでも言うのですか。そうじゃないでしょう。順ざやであった年は二年しかないんですよ、三十五年から。そのときはどういう事情だったと思いますか。
  238. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 三十五年から三十七、八年の時代でございますが、生産者米価の方におきまして比較的落ちついた推移を見せておるわけでございますが、また政府の売り渡し価格の方につきましては三十二年も含めますが、三十二年以降すっと据え置きのような格好になっておりましたものが、三十七年の十二月には相当の値上げもございまして、売買が順ざやになっておるという実態になっております。
  239. 山田譲

    山田譲君 そんなことを聞いているんじゃなくて、どういう事情で順ざやになったかということを聞いたわけですけれども、それはそれとして、要するに二年しかない。あとは全部逆ざやになっているわけです。これはさっき言ったとおり、食管制度というものがある限りは私は当たり前のことだというふうに思うんです。  ところが、最近一・九%になってしまった。こういうことで、これは非常に順ざやに近いような状態でありますけれども、あなた方としては盛んに解消、解消ということを言っておられるけれども、この解消をどこまで解消すれば一体解消したと、なるほど解消しましたというときになるのかどうか、それはどうですか。
  240. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  売買逆ざやにつきましては、今、先生御指摘のように、今年二月に政府の売り渡し価格の改定を行いまして、一・九%という平均ではおおむね解消の域に既に達しておる、こう私ども見ております。  ただ、中身といたしまして、二類は既に順ざやになっておるわけでございますが、二類がわずかな逆ざや、三類−五類の間の逆ざやが相当大きいというふうな実態にあるわけでございます。したがいまして、いかようにするかということにつきましては、食管法の今後の運営を健全に行っていくという面からそれに支障があってはならないわけでございますので、慎重に取り扱っていかなければならないと考えております。
  241. 山田譲

    山田譲君 今一・九%ですからね。ですからもし、これは仮定の問題ですけれども、ことし消費価格を上げるとしますと、すると途端にこれは順ざやになってしまう。それは十円や二十円上げるなら知りませんよ。ちょっとまともに上げようとしたら、まともというか、普通に百円単位くらいで上げようとしたら順ざやになりますよ。それでも構わないんですか。やるかやらないかわかりませんけれども、そこのところはどういうふうに考えておられるんですか。
  242. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 消費米価の問題につきましては全く白紙の状態でございまして、それをどうこうするということはまだ決まってないわけでございます。したがいまして、消費米価を上げるということで御説明を仮にさしていただくとしましても、非常に誤解を招くことになろうかと思いますし、その辺は慎重にならざるを得ないわけでございまして、ただ先生今御指摘のように、消費米価を理屈の世界といたしまして上げれば、その上げ方によりまして順ざやということは考えられるわけでございます。
  243. 山田譲

    山田譲君 これはおたくで出しておられる食管月報、六十年の四月の月報ですけれども、これにおたくの方でしょうか、企画課の米価第二係長の河上さんという人が解説文を出しておるわけです。この中で私が非常にひっかかりましたのは、「このような逆ざや関係は物の価格として不自然な姿であるばかりでなく、財政を圧迫する大きな要因ともなり、米穀管理制度を国民の支持と信頼の下に健全に運営していくため、その解消に努めることが必要である.」というふうに書いてあるわけですね。これは要するに、物の値段がこういう逆ざやになるようなことは不自然である、ですからこれを順ざやにしなきゃいけないというふうな言い方になっているわけです。こういう考え方は食糧庁の考え方でもあるわけですか、それはまさかいいかげんなことを言っているとは思えないんだけれども
  244. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 物の値段といたしまして、仕入れの価格よりは売る方の価格が逆になっておるというのは不自然という点につきましては一応私どもも肯定するわけでございますが、しかしながらお米といいますものが、生産価格消費価格は別の考え方で決めるということが食管法にも規定されておるわけでございまして、理論的に常にそういった一般の商品と同じようにいかなければならない、こういうふうには私ども考えておりません。
  245. 山田譲

    山田譲君 非常におかしいですね。自由競争の中にほうり出してそれでお米の値段は勝手に決まれというふうならば、それは当然そういうことになるでしょう。それはまさか買った物よりも安く売るなんということは考えられない。だけれども、そこに食管法の意味があるのであって、食管制度というものはそういうものじゃなくて、そういうふうにしたらやたらに買い占めが行われたり、金持ちだけが飯食って貧乏人は麦食うというようなことになると困るから、だからやっぱりちゃんとお米については政府が買い、そして責任を持って国民に安定的に供給しようというのがまさしく食管法でなきゃならないでしょう。そこにその制度の意味があると思うんですよ。この文章に書いてあるように、これは非常に不自然だと、逆ざやがね。だから全部順ざやにしちゃうとなったら、完全にもうこれは自由競争の中にほうり出すのであって、何も国がそんな面倒を見る必要はなくなるじゃないですか。そこら辺はどう考えているんですか。
  246. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 従来から売買逆ざやが大幅であった場合等のこともございまして、私どもも売買逆ざやは極力解消するように努めていこうということで努力してまいったことは事実でございます。しかしながら、その売買逆ざやがおおむね解消された段階で、コスト逆ざや等につきましてはやはり食管制度の存在意義全体にかかわる問題でもございますし、これは慎重に対処せざるを得ない、こういうふうに私ども考えております。
  247. 山田譲

    山田譲君 慎重に対処するのは当たり前だけれども、食糧庁しっかりしてもらいたいと思うのですね。やっぱり食糧庁もそのくらいのプライドがなきゃしょうがないんじゃないですか。ただ財政的に困ってきたから、とにかく順ざやについてもうかった分は国が要するにもうけ仕事をやろうということになるんですよ、今度は下手をすると。まさかそんなことを食糧庁考えていないと思うのです。やっぱりあくまでもちゃんとお米は国が管理する、そして国民に安定的に食べさせてあげようという、こういうねらいでもって食管制度はできているんだから、逆ざやになったから困った困った、びくびくするなんというのは、およそ食糧庁は自分の義務を放棄したものだと言わざるを得ないと思うのですよ。  ですから、ここで係長の書いたことを、これは食糧庁を大体代表して書いたんだろうと思うのだけれども、こういう現在の逆ざやというものは不自然だ、だからもっともっとこれを直して順ざやにしなきゃいけないと言わんばかりの言い方はやめてもらいたいと私は思うのですよ。次官、どうですか。
  248. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) 食管法という規定がございますことは御承知のとおりでございますので、その食管法の規定に従いまして適切に米価を決定させていただきたいと思っております。
  249. 山田譲

    山田譲君 それだけを考えていただきたいと思うのですよね、逆ざやを解消しようなんて余計なことを考えないで。それは程度問題もあるでしょう。だけれど、例えばさっきも話が出たように、豊作のときには、豊作だったからことしは米価を下げてもいいんだなんていう言い方をしているけれども、試みにずっと今まで見ますと、一番逆ざやの多かった三二・八%という時代がありますね。これは四十九年です。このときの作況は一〇二ですよ。その前の年の四十八年はやっぱり三二%の逆ざやがあるけれども、これはまさしく一〇六%という作況のときですよ。だから、あんた方が言うように、お米が豊作だったから米価を下げていいなんていうことになっちゃいない。逆ざやの一番高いときほど一番これで見る限りは豊作なんですよ、一〇六%、一〇二%というふうなね。  そういうことを考えますときに、豊作だからといったって、さっきも話が出たけれども、凶作のときにじゃ上げているかと言ったら大して上げてないんですから、豊作だから下げるというふうなその考え方自体がやっぱり非常におかしいというふうに思います。  いずれにしても、もう時間になりましたから、言いたいことはまだ山ほどありますけれども、この辺でやめます。しかし、そういうことも考え、あるいは農民の方々の切実な気持ちも考えていただいて、ぜひとも諮問を撤回してもう一遍再検討されるようにお願いをして、私の質問を終わります。
  250. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 今回の米価決定につきまして一言申し上げます。  今回の諮問米価につきましては生産者の方々からはもちろんのこと、関係の各方面にそれぞれ大きな批判がありますことは御承知のところであります。また、これらの批判につきましては、御当局でこれまたいろいろの御説明やいろいろな主張がおありになると承っておりますが、しかし、私どもはそういういろいろなやりとりはやりとりとしまして、結論的に見まして、何とか前年を上回る米価を思い切って決定していただきたいということが私どもの要望であります。  言うまでもありませんが、農業は御承知のように自然条件に左右されます極めて脆弱な企業でありますから、これを保護しなければならぬことは言うまでもありません。殊に米は国民の主食でありますから、これを保護してその供給が確保されますように食管制度が行われているわけでありまして、その建前からいえば、私はやはり政府が買い上げます以上、そこに計算計算としまして、若干の価格の上の温かい配慮が当然必要である、このように考えております。その程度につきましてはいろいろありますが、そのように思っているわけであります。  この際、いろいろな内容は別としまして、行革その他の財務当局からのいろいろな要請もあるようでございますが、まだまだむだな経費の節約ということはほかにたくさんあるわけであります。一般的な考え方としまして、政府の査定します公務員のベースアップも行われ、あるいは他産業のいろいろな勤労者の給与でありますとか、あるいは物価の趨勢などを考えますと、私は政府がせっかくこの食管政策を取り上げて、食糧政策を取り上げまして農業の保護政策をとっておられます。これは極めて結構なことであると思いますが、その趣旨を一歩進められまして、そういう計数にこだわらないで少しでも前年の実績を上回るような米価を設定してもらいたいと思うわけであります。  私は、計算的な先ほど来のいろいろな御議論もありますし、一々それはごもっともであると思いますけれども、しかし大局的に考えまして、土に生き、自然に親しみ、とうとい米づくりに精進されます農業者こそ国民の中堅とも言うべき貴重な階層の人々でありまして、これらの人々に米価を通じて多少の経費が加えられましても、それはもういろいろな意味におきまして決してむだな浪費ではないと考えるわけであります。  したがって、この際、今申しましたことを繰り返して申し上げますが、米価据え置きなどという極めて冷ややかな、干からびたそういう政策ではなしに、温かい配慮のこもった農政を進められて、私は農家の切なる御要請に少しでも耳をかしていただくよう心から要請する次第でございます。  ただ、この問題は、大臣が御不在でございますから、これに対して政務次官なり御当局の、わかったとかわからないとかと言われるようなお話ではないと思いますが、この点につきまして、幸い政務次官が御出席でございますから、こういう私の考えておりますことは決して私一人でなしに、日本の現在の農政を考え、農業を考え、国の前途を心配される方々の私はひとしく胸に抱いておられる考えであるということを痛感しておりますので、ひとつ政務次官から大臣に、このようなことを強く要請していたということをしかとお伝え願いたい、このように考えるわけでございます。したがって、この内容は別としまして、そういう考えをひとつしっかり大臣に伝えておくかどうか、伝えてやるというお答えを一応承りたいと考えるわけでございます。
  251. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) ただいまも御案内のように、米審で審議を続けてもらっております。今夜遅くとも答申がしていただけると思っておりますけれども、それに従いまして、お気持ちは同じだと思っております。私、そのようなことから、慎重検討をいただいた答申をいただいた上で慎重検討をさせていただきたいということを、大臣にもお話のとおり申し伝えておきたいと思います。
  252. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 ありがとうございまするが、検討ではなしに、しかとひとつお伝えしていただきたいと考えるわけでございます。  それから、米価に関しましていま二つお伺いかだがた提唱したいことは、毎年米価決定の時期になりますと、諮問米価をめぐって政府と農業団体とがあたかも仇敵同士のように相争わねばならぬようなそういう状態、私はこのような状態を何とかして避けることができないかということを痛感しているわけであります。それにつきまして、米価算定方式に用いられますいろいろな計数や、あるいは農家規模の取り方あるいは金利あるいは労賃とかさまざまのいろんな要素がありますが、それらの取り上げる対象あるいはその基準等につきましてはあらかじめ政府と農業団体、例えて言えば農協中央会、そういう団体との間に争う余地のない客観的な数値を合意していただいて、そしていよいよ米価算定の時期になったときには、そういう数値に従って大きな争いが生じないような米価算定方式をとることができないかどうか。  今、きょうあすというわけにはいかぬかもしれませんが、毎年このようなトラブルを繰り返しまして、そのために失われる精神的あるいは経費的な損害というものは、国民的損害というものははかり知ることができないと思われるわけであります。したがって、そういうふうな今申し上げたような御提案を考えられる御意思がないかどうか、あるいはそれは非常に難しいことかどうか、一言ひとつ御所見を承りたいと考えます。
  253. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えさせていただきます。  今、先生御指摘のような農業団体とそれから私どもとの間におきまして事前に合意といいましょうか、算定方法その他につきまして合意がなされるかどうか。なされるというふうなことは非常に理想形といたしましては考えられるんでございますが、実態の問題としてはなかなか難しい点があるわけでございます。  私どもも、一昨年から昨年にかけまして米審の下部に価格算定委員会というふうなものを設けまして、そこには生産者団体の方、それから消費者団体の方、学者等学識経験者としてお集まりいただきまして御議論もいただき、算定方式の検討結果の報告米審で採択されまして、私どももそういう報告に基づいて現在それを踏まえて算定しておるわけでございます。この大きな枠組みといいましょうか、算定方式の枠組みは生産費所得補償方式ということでございますし、またそうなれば家族労働費につきましては評価がえを行うとか、それから地代につきましても土地資本利子、これは自作地の地代でございますが、それも土地資本の利子と、こういうことで評価していってはどうかというふうな検討結果が出ておるわけでございまして、こうした点につきましては、農業団体の今回の試算によりましても方法論はといいましょうか、大きな枠組みは大体同じなんでございます。  しかしながら、その枠組みの中で細部に適用されますところの要素数字、これらにつきましてはなかなか両者の間で合意されるようなことに相なってないわけでございまして、これは売りと買いの立場というふうなこともあろうかと思うのでございますが、それぞれの事情につきましてお互いに理解を深めるということで、私ども価格の、こうした米審を迎える以前におきまして農業団体といろいろと意見交換もやっておりますし、大臣にも出ていただいて、そういう意見交換の場も持ってきているような実態でございます。  今後も今、先生御指摘のような点につきましては相互に協議をさせていただきまして、なるべく理解を深めながら米価が決定されることが望ましいと思っておりますし、そうした方向の努力は続けたいと思っております。
  254. 熊谷太三郎

    熊谷太三郎君 いろいろ難しいことはよくわかりますし、さればこそ、今日までこのような大きな弊害がありながら続けられてきたと思わざるを得ないわけであります。  したがって、もう少し思い切ってやはりそういう考え方を取り上げられ、ガラス張りとでも言いましょうか、一般の批判にさらした上で、そうしてだれが考えても一応はそれでやむを得ないというような一つのなにが、一つと言いましょうか、いろいろな取り上げる要素を確定されまして、そしてそれを少なくとも来年の米価でございましたらそれまでの間に、今年じゅうにそういうものを協議しておかれ、そしていよいよ米価の時期が近づけば必要な計数を入れられるということで、私は本当にもう大努力をして、大きな熱意を持って取り組まれればできないことはないと思いますが、ひとつそういう方向にぜひとも一層積極的にお考えを推進していただきたい、かように考えますので、重ねての御答弁は要りませんが、ぜひとも強くその点を御要望いたしておきます。
  255. 中野鉄造

    中野鉄造君 午前に引き続き米価の問題についてお尋ねいたしますが、私はまず最初に、この算定方法についてお尋ねしたいと思います。  昨年と同じ算定方式算定要素に従えば、本年の米価は昨年の米価に比べて四%程度の減少ということになりますけれども、これはあくまでも昨年の米価に比較してのことであります。ところが、この昨年の米価自体が適正なものであるかどうか、それがもう適正なものであれば、今申しますように、本年の米価が四%の減となって算出されることもこれは一面わからないことはないですけれども、しかし、昨年の米価自体に今申しますようにいろいろな問題がある以上、四%の減少ということにはこれはもう納得できないわけでして、そこで農協だとか、あるいは生産者団体は、せめて対象農家とり方、家族労働評価、自作地の地代、自己資本の利子率のあり方等を改善してほしいということを強く要求されているわけですが、これらの要望についてどういうように受けとめられておりますか。まず、この点をお尋ねいたします。
  256. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) まず、計数的な問題につきまして御説明させていただきます。  農業団体と私ども算定方法におきまして、今、先生も御指摘ございましたように、まず生産費とり方において違った点がございます。農業団体の方におきましては、一俵以上販売農家平均生産費と、こういうことで対処されておりますし、しかもその原データは、全中と全国農業会議所で調査なさったものの三年の平均をおとりになっております。私どもの対応といたしましては、けさほど御説明しました潜在需給ギャップ反映必要量平均生産費という方法でやっておるわけでございまして、このことは生産調整をやらなければなお需給均衡しないというふうな実態にもあるわけでございまして、そうした配慮から、一応平均生産費といたしましては、潜在需給の関連とそれから必要量といいましょうか、需要量ということを分子に置きまして八三%という数字を今回用いておるわけでございますが、その八三%の比率でもって農家生産費の低いものから順に並べまして、累積生産数量比率の八三%までの農家をとってその生産費の対象としておるわけでございます。この点が違いとなっております。  それから、家族労働費評価でございますが、この点につきましては、団体の方におかれましては、製造業の五人以上の全規模ということで算定をなさっており、かつウエートにつきましては、都道府県の賃金平均する場合のウエートでございますが、それにつきましては製造業労働者数に求められているわけでございます。私ども家族労働費としての評価におきましては、製造業の従事者数五人から九百九十九人までの事業所の規模を対象としておりますし、その規模都道府県別賃金平均する際のウエートといたしましては、米販売数量ウエートとしてやらせていただいておるような次第でございます。  それから、自己資本利子評価でございますが、この点につきまして農業団体の方では、一年定期の利回り五・六%を適用されておるわけでございます。私どもは、思想といたしましては農協の一年定期の利回りを採用するというふうなことは十分理解し得るわけでございますが、現在の実態を調査してみまするに、借入金の平均利率は五・二九%に相なっておるわけでございまして、借入金の利率が五・二九と、こういうふうなことでございますれば、それを採用させていただくということでないとなかなか国民的な理解が得られないんではないかというふうにも考えられまして、年利率五・二九を採用させていただいている次第でございます。  なお、あと一点大きな問題といたしましては、自作地地代評価の問題がございます。これは方法といたしましては、農業団体の方におかれましても一応土地資本利子と、こういう考え方算定はしていただいておるんでございますけれども、その元本というふうなものにつきましては、正常売買価格を採用なさっておられるわけでございまして、これは一般の土地に対する固定資産税が課税される場合の評価基準でございまして、私ども採用しておりますのは固定資産税の評価額そのものを一応元本としておるわけでございます。これは正常売買価格に掛けますところの〇・五五という指数を掛けまして求められるわけでございますが、農地に対する固定資産税は、この正常売買価格に〇・五五という数字が乗じられたものが評価額になるわけでございます。  この違いといいますのは、一般の土地の正常売買価格と農地の正常売買価格というものにありましては、農地が一般的に経営を可能にするような大きな単位で売買がなされていない、切り売り、切り買いといいましょうか、非常に小さい単位で売買がなされるということもありまして割り高になっているというのが実態でございまして、固定資産税をかける際の評価額といたしましても、土地の収益性等から、先ほど申し上げましたようなO・五五という数字が乗じられておるわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、こうした固定資産税評価額元本にいたしまして、それに対する利率といたしましては先ほど申し上げましたような十年の国債の利回り、しかも今年は低くなりましたので前年採用したものを採用させていただいておる、こういう実態に相なっておるわけでございます。
  257. 中野鉄造

    中野鉄造君 私は、労賃のことを聞いているんですよ。  それで今、次長おっしゃったように、そういうような算定方式をとっているから非常に結果的に低い労賃になっている。ちなみに、現在は都市労賃どころでなく地方労賃とも言うべきもので、例えば製造業五人から三十人未満規模の全国平均賃金水準さえも下回っている、これが現状ではないかと思うんです。この地方労賃という考え方は、政府が意欲的に労賃水準を抑えるために、大都市よりも地方の方が賃金水準が低いという事実に目を向けてこれを巧みに導入しているんじゃないか、こうさえも思えるわけなんですけれども、しかしここで考えるべきことは、大体地方の賃金水準が低いというのは、地方の場合、所得水準の低い農業を主な産業としている地域が多いからでありまして、また農業の所得水準が低いのは、農畜産物の価格が低く抑えられてきているということが大きな一つの要因になっているというふうに私は考えます。  すなわち、地方の労賃水準を低くしているその責任の一端は政府の低農産物価格政策にある、このように言っても私は過言じゃないんじゃないか、こう思うわけですが、こういった意味からも生産者米価における労賃水準は、今大幅に見直すべき時期に来ているんではないかと思うんですが、いかがですか。
  258. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答え申し上げます。  私ども採用させていただいております賃金につきましては、お米の生産とかかわり合いの非常に強いところの米販売量ウエートをとらしていただきまして平均化しておるという点が一つございますし、それの企業規模といたしましては、事業所の規模でございますが、五人から九百九十九人、千人未満ということでございまして、一般の五人以上全部青天というふうなところまで至っていないような実態になっておりますけれども、やはりお米の生産とのかかわり合いが非常に強いところのウエートを使って平均することが、今の需給事情等から見て適切ではないかと考えておる次第でございます。
  259. 中野鉄造

    中野鉄造君 だから、私は先ほどから申しておりますように、現在のこういう現況はもう本当に製造業五人以上三十人未満規模の全国平均をも下回っている、そういう現況から考えましてもこれは見直すべきじゃないかと言っているんです。  それで、なぜかならば、そういうようなやっぱり地域によって違うわけですけれども所得水準の低い農業を主な産業としている地域、そういうところでは農産物価格が低く抑えられているというような現況を洗い直すべきではないか、見直すべきではないかということを言っているんです。今とられているそのシステムはよくわかりますから、そういう改善の時期ではないのか、お考えはいかがかと聞いているんです。
  260. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) お答えいたします。  お米の需給事情生産調整等によって初めて均衡が図られる、こういう実態にもございますので、今の段階で直ちにそれを要素といいましょうか、評価方法を変えるということにつきましては、私どもといたしましてはいろいろと問題があるんではないかと考える次第でございます。
  261. 中野鉄造

    中野鉄造君 これは考えていただきたいですね。そうしないと、ますますこれは農家は抑えられっぱなしということが続くのじゃないかと思うんです。  続いて米価と構造政策との関連性についてお尋ねいたしますけれども、近年、高米価は構造改革の阻害要因となりかねない、こういった論調が非常に高くなってきました。政府としてもこれからは価格政策より構造政策に重点を移す、こういうことを明言しているようでありますけれども、しかし価格がどこまで下がっていけばいいのか、といってもそれにはやはり限界があると思うんです。また下がった場合に、その影響を最もシビアに受けるのはやはり中核的稲作農家であるという現実があります。いわんや、規模拡大を進めようとする場合は、地代負担の能力や資本の蓄積がこれは当然必要になってくるわけでして、したがって構造政策との兼ね合いで考えた場合には、一体米価はどの程度の水準が適正であると考えられるのか、この件について次長のお考えをまずお尋ねいたします。
  262. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 米価水準の構造政策上の展開における適切な水準はどうかと、こういう御質問ではないかと思うんでございますが、価格政策を展開していく際のいろいろのバックグラウンドと申しましょうか、また政策の意図するところの重要性がどこにあるか、こういうようなことによって若干それぞれの価格政策の展開方向も異なってくるんではなかろうか。  例えば、需給事情が非常に過剰状態の場合とか、また先生も今御指摘のような所得確保的な要素を非常に重視した価格政策の展開をする場合とか、いろいろまた需給調整機能を十分に働かせた価格政策を展開するような事態だとか、また価格政策の制度そのものもいろいろと食管におきますような政府買い入れ等を行う場合とか、流通は全部自由に流通させることにいたしまして不足払い制度等によってその農家に損失といいましょうか不足分を補てんする、こういうような制度もあるわけでございまして、私どもそうした面から見まして、いろいろ農産物をめぐる事情なりまた政策の意図なりによりまして、今申し上げますような水準については多少異にするんではなかろうか。したがいまして、一概にその水準がどうというふうなことにつきまして御説明をすることは非常に困難ではないかと思うわけでございます。
  263. 中野鉄造

    中野鉄造君 それでは、現在のこの米価水準は構造政策を推進するという見地に立った場合に低い水準にあるのか、それとも高い水準にあるのか、または適正な水準にあるとお考えですか。
  264. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 難しい御質問でございますが、私ども適正に価格を決定いたしまして食管法を運用していかなければならないわけでございまして、今回の諮問もそういった面に配慮しておるわけでございますし、現在の米価水準といいますものにつきまして、特に生産者米価にありましては、諸般の事情からこの程度が適切ではないかと考えております。
  265. 中野鉄造

    中野鉄造君 明確な根拠はないわけですね。
  266. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) それを明確にかくかくしかじかというふうなことは、非常に説明することは困難ではないかと思います。
  267. 中野鉄造

    中野鉄造君 そういうようなことが明確でないままに、こういう米価が毎年毎年いいかげんにと言ったら言い過ぎかもしれませんけれども、決定されていく。これでは農水省は、世論や財政当局からの攻勢に対していつまでたっても守勢に立ち続けなければいけない、こういうようなことになるんじゃないか。早急に農水省としては整合性ある明確な政策体系を樹立すべきじゃないかと思うんですが、いかがですか。今みたいに毎年毎年明確ではない、その根拠もない、ただいろいろな財政事情に左右されてこういうことの繰り返しを毎年定期的に行っている、こんなことで日本の稲作農家が希望ある将来展望だなんといったって、できるわけないじゃないですか、いかがですか。
  268. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 生産者米価算定当たりましては、一応昨年米価審議会算定委員会の結論結果も得ておるわけでございますし、現在行っている方法が妥当である、こういう評価もいただいておりますので、私どもといたしましては現在の段階におきましては今の方法で行くことが適切ではないか、こう考えておる次第でございます。
  269. 中野鉄造

    中野鉄造君 方法としてはそれがあなた方の立場では適切とお考えになるかもしれないけれども米価そのもの自体が適切であるか否かそれはわからない、その根拠も不明確である、こういうことですね。
  270. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) いや、私の説明が足りなかったかと思うのでございますが、現在のお米をめぐる諸事情の中におきます米価につきましては、一応適正な水準というふうな理解でございます。
  271. 中野鉄造

    中野鉄造君 だから、じゃ適正な水準と思われるのは、また、その根拠は何ですかと聞きたくなるんですよ。
  272. 吉國隆

    説明員吉國隆君) 先生の御質問の御趣旨は、構造政策ということを特に考えた場合にいかなる米価水準であってしかるべきや、またそのことを考えて米価算定をしておるのか、こういうお尋ねであろうかというふうに思うわけでございます。  どのような価格のときにどんな階層農家がどういう影響を受けるかという点については、先ほど食糧庁次長もお答え申し上げましたように、なかなか農家ごとの事情が異なっておりますので一概に決めつけられないという事情があろうと思います。そういった意味で、構造政策と価格水準との関係というのはなかなか判断がしにくい問題でございます。また、そういうことから、現状では御説明申し上げたような算定方法をとっておるわけでございますが、構造政策との結びつけ方につきましては、実は五十五年の農政審答申等におきましては、もう少し構造政策というものを頭に置いた価格運営というものを目指すべきではないかという御指摘もちはうだいをしておるわけでございます。  そういったことから、例えば中核農家に照準を合わせた価格算定というものができないかという御議論が一方にあるわけでございます。また一方におきましては、米の場合は国内自給という考え方に立って必要量の米を安定的に確保していかなきゃいかぬという御議論もあるわけでございまして、そういったところをにらみ合わして、それをいかなる米価水準なり算定方式に具体化をしていくかということになってまいりますと、非常にいろんな立場でいろんな見方がございまして、なかなか簡単に割り切れないという事情があるわけでございます。  そういった意味で、先生の御質問にまともにお答えするような考え方を私どもも現段階で持ち合わせておらないというのが率直なところでございますけれども、現状の米価算定においては、御説明したようなことで政府としての諮問案を御審議いただいておるという状況になるわけでございます。
  273. 中野鉄造

    中野鉄造君 それでは絶対にこれはやっぱり農家の人たちは納得しませんよね、こういうことの毎年の繰り返しなんですから。だけれども、こればかりやっていても時間がたちますから、次へ行きます。  それじゃ次に、農地改良事業を進めることはこれはもう経営体質を強める上で重要なことはわかっているんですが、水田の土地改良事業に伴う農家負担の実情は、米価算定の基礎となる米の生産費調査においてこれは捕捉されていないと思うんですが、山田次長は衆議院における委員会で、昨年の七月の二十四日に我が党の議員の質問に対して、「土地改良事業の借入資金利子につきましては、生産費調査におきましては資本利子の中に計上されておると聞いておりますし、私どもはそのような生産費調査の結果をとっておりますので、資本利子の中に含められておる、このように御理解いただきた.」、こうおっしゃっていますけれども、これは間違いでしょう。
  274. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) 生産費調査につきましては統計情報部におきまして担当、実施いたしておりますので、私からこの点につきまして御説明さしていただきたいと存じます。  まず、土地改良のための事業なり工事には各種のものがあるわけでございますけれども、この事業に伴います負担金なり償還金について生産費調査上どう扱っているかという点についてのお尋ねかと思うわけでございます。  私どもではこの扱いにつきましては、これらの事業の目的なり内容等に応じまして生産費調査上の中の費目に計上していくということでいろいろ約束事を決めている次第でございます。したがってこの約束事、調査手引と申しておりますが、この調査手引に従いまして、それで記帳をしていくという形をとっているわけでございます。  内容的に申し上げますと、まず用排水事業でございますが、これについての負担金なり補助残融資あるいは単独の場合の融資ということになるわけでございますが、融資に関連いたします元利償還金、これらにつきましては毎年の負担金、あるいは元利償還額を調査いたしまして調査票上の水利費に計上いたしております。また土地改良区等が施設の維持管理、補修等を行います際に費用がかかるわけでございまして、この費用を土地改良区の構成員に賦課するわけでございますが、この賦課金につきましても毎年の賦課金を調べまして、これも同じく水利費に計上いたしております。  また、個人ないしは数人共同して客土とか用排水施設等の工事を行う場合もあるわけでございますが、これにつきましてはそれぞれ暗渠とか、かんがい用排水路とか等々によりまして標準耐用年数を決めまして、この耐用年数によって毎年の償却額を決めまして、その毎年の償却額を生産費調査票上の費目でございます建物及び土地改良施設というものに計上いたしております。  なお、区画整理のように土地そのものの価値を高めるとか、あるいはその効果が相当長期にわたるというものにつきましては、むしろこれは地代として見た方が適当だろうというふうに考えておりまして、これ自体につきましては費用生産費調査上は計上いたしませんで、むしろ地代の部分で見るというふうな考え方で対処しているわけでございます。
  275. 中野鉄造

    中野鉄造君 そうしますと、生産費調査においては、ちゃんとそうした農家負担という分は捕捉されているということですか、随分詳しく説明をされましたけれども
  276. 大坪敏男

    説明員大坪敏男君) 先ほど申し上げましたように、正確に把握し、計上し、生産費に算入しているというふうに考えております。
  277. 中野鉄造

    中野鉄造君 この土地改良事業の中でも代表的な県営の圃場整備に例をとって実情を調べてみますと、昭和四十五年度における十アール当たりの事業単価は十五万六千円程度だったと思うんですが、そのうち二七・五%を農家が負担するとなりますと四万三千円、これを六・五%、二十五年償還の公庫資金を据置期間なしで借りて対応したと仮定しますと、年間三千五百円ずつの負担で済んだわけです、これは四十五年当時ですが。しかし、本年六十年度予算における事業単価はこれが何と九十三万三千円で、農家負担額は二十五万六千五百円なんです。農家負担は年間で二万一千円となるわけですけれども、この農家負担額は十五年間で実にちょうど六倍になるわけですね。  事業単価は、今後対象地域が平場から山間地など傾斜地がだんだん多くなっていくというようなことから考えますと、ますますこれは増高していく傾向にありますし、農家負担もますます深刻になっていくと思われますけれども、今でさえも今申しますように高いところは既に百五十万円であるとか、中には二百万円のところもあると、そういう話を聞いております。  ところで、五十八年から始まった第三次土地改良長期計画は、財政事情等もあって既に大きなおくれを来しておりますけれども、果たしてこの事業単価が増高していくことを考えた場合に、百万ヘクタールという六十七年までの整備目標を達成できる確信があるかどうか、その点、お尋ねをいたします。
  278. 井上喜一

    説明員(井上喜一君) ただいま御指摘のように、昭和五十八年に第三次土地改良長期計画を策定いたしまして総額三十二兆八千億円という規模のものを設定したわけでございます。その後の状況を見てまいりますと、昨今の財政事情のもとでなかなか予算が我々が希望するような形ではついてないわけでございまして、六十年度までを含めまして進捗率が一六%と、こういうような状況にとどまっているわけでございます。これからなお七年間残っておるわけでございますけれども、これからの財政状況、あるいは経済の動向等によりまして変わってくるかと思いますが、まだ七年間という残された期間がございますので、この期間のうちに極力この計画が達成できますように私どもとしては最大限の努力をしていきたいと、このように考えておるわけでございます。  御案内のとおり、土地改良事業、とりわけ圃場整備のような事業につきましては生産性向上効果が非常に大きいわけでございますし、水管理その他が非常によくなりまして単収の増にも連なっているわけでございます。そういう事業の重要性からかんがみまして、今後ともこの計画に即して事業が達成できますように努力してまいりたいと、このように考えております。
  279. 中野鉄造

    中野鉄造君 今あと七年間あるから何としてもそれを達成したいというお話ですけれども、これを達成しようとすると、考えられることは三つしかないと思うんです。つまり今後国の補助を高めるのか、それとも生産性向上や汎用化によって農家の負担能力を高めるのか、あるいは米価等を上げて農家の負担能力を高めるか、この三つのうちのいずれかしかないと思うんですが、いかがですか。
  280. 井上喜一

    説明員(井上喜一君) 予定どおり土地改良長期計画に即して事業を進めるといたします場合の基本は、何といってもそれに見合う予算措置をするということだと思います。現在の農家状況から見ますと、これの補助率をさらに下げていくというような状況にないわけでございまして、現行の補助条件を原則的に前提にしながら事業量の確保を図っていくということが基本でなくちゃならないというふうに考えるわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、先ほど先生御指摘になりましたけれども、事業費の単価がだんだん増高していっているわけでございまして、それだけ農家負担が大きくなってきていると、こういう事実がございます。したがいまして、極力そういう単価が上昇しないようなその地域に応じました設計をいたしまして事業を実施する等、事業費が極力増高しないような創意工夫をしていく必要があろうかと思います。そういうことをしながら、当初予定いたしました計画に向かって努力をしていくというのが基本的な考え方であろうというふうに考えております。
  281. 中野鉄造

    中野鉄造君 今おっしゃったように、将来国の補助率を高めるということは今のそれこそ財政事情からなかなか望むべくもないのではないかという気がいたしますけれども、かといって、また汎用化といっても果たして米以外にどういう作物をつくればいいのか、農水省にもこれは明確な展望はないのではないかと私は思うんです。米作だけで今圃場整備をやってそれをカバーできるだけの農家負担ができるのかどうか、そういうことを考えると。じゃ何か別なものをつくらにゃいかぬ、何をつくりゃいいんだ、そういう農水省としての明確な展望というものはないんじゃないかと思うんです。すぐお米が過剰だと、こういうようなことになってきますし、その点はいかがですか。
  282. 井上喜一

    説明員(井上喜一君) 土地改良事業の負担につきましては、土地改良法に基づきまして農家の負担の限度内において負担金を徴収していくと、こういうことになっているわけでございます。事業費については、各地区ごとにそれぞれ違うわけでございます。また、営農形態も各地域ごとに違いまして、例えば水稲単作地帯もあれば、二毛作、三毛作をやっているような地域もあるわけでございます。そういう地域ごとの特性を考えまして、農家の負担の限度内において農家負担を設定していくということになるわけでございます。  どういう作目を導入していくかということにつきましては、やはり需要動向に即しましてその地域に適した作目を導入していくというのが基本でございまして、土地改良事業を実施いたします場合にはそれぞれの地域ごとに導入する作目を想定いたしまして、それを前提に事業を実施していると、こういう状況でございます。
  283. 中野鉄造

    中野鉄造君 圃場整備の目的の一つに、やはり米の単収を高めるということがあると思うんですけれども、しかし、果たして事業単価の増高をカバーできるほど高めることができるのかどうか。米価を引き上げることを抜きにして、結局、水田の圃場整備を促進できる見込みがあるのかどうか。もしないとするならば、それなりに米価を引き上げるべきじゃないかと私は思うんですが、いかがですか。
  284. 井上喜一

    説明員(井上喜一君) 土地改良事業の負担金につきましては、先ほどお答えいたしましたように、農家負担の限度において負担金を徴収するということでございます。逆に言いますれば、それなりの経済効果があるところへ土地改良事業も実施をするということでございますので、原則的に私どもといたしましては土地改良事業、例えば圃場整備を実施しているところについてはそれなりにペイをしている地区でなければ事業を実施していないと、このように考えているわけでございます。  どの程度効果があるかということでございますが、全体的に調査したものは持ってないわけでございますが、事例的に申しますと、圃場整備を実施いたしますと労働生産性が飛躍的に向上するとか、あるいは単位当たりの水稲の生産力が向上するとか、そういった事例が見られるわけでございまして、これらの効果を勘案いたしまして、各地区ごとに事業を実施しているというふうに考えております。
  285. 中野鉄造

    中野鉄造君 要するに、基本米価の抑制や良質米奨励金の削減、こういった米穀政策に対して合理化を進めようとする政府には、その背景には結局国の財政事情があるということがこれはもう明確でありますけれども、しかし政府は、一方では防衛費等については別枠として依然として優先的に確保している。その陰で農業だけが犠牲になっていく。農業の健全な発展なくして国の健全な発展はないと私は強調いたしたいわけです。総合的安全保障もこれは確保できないわけなんです。  したがって、政府は、我が国農業の基幹作物である米の価格を決めるに当たって、このことを十分にひとつ肝に銘じて将来に悔いを残さない対応をすべきである、私はこのことを強調いたしまして、質問を終わります。
  286. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 午前中も所要の問題についてはお聞きしました。与えられたわずかな時間ですから、二、三問お聞きをいたします。  先ほど与党の熊谷先生がお話をしておりましたが、どなたの目から見ましても、やはり現在の諮問米価というのは現在の再生産を償うということには、ちょっと現実問題として、数字上のはじき方からするといろんなことが出るのかもしれませんけれども、現実の農家経営の実態を見ますとこれでいいのかという、心の中にはだれもがそういうわだかまりというものがあるんだという、その代表的なお話が先ほどあったという感じがします。  それから、毎年毎年米価要求大会ということで、政府試算とそれから農業団体との間に大きな違いがある。大分歩み寄ったということのようでありますけれども、こういうことについても話し合って話しのつかないわけはないだろうというようなお話もございました。私も午前中それらの問題についてお話をしたわけでありますが、毎回米価審議会を前にして行われますこの当委員会では、まず米価審議会というものの形骸化、米価審議会というのでどんなに議論しましても政治加算というやつで、一体米価審議会というのは何だったんだ、こういうことがいつも問題になるわけであります。  それから、今申し上げた数字上の試算する数値、これの入れ方によっていろいろそのときそのときの、先ほどの質問に対する答え、次長のお話ですと、経済情勢を勘案してというその言葉に含まれるのかもしれませんが、余りにもそういう数字を入れる割には経済情勢とか諸情勢、社会情勢、こんなもので振り回されるというようなこういうきらいがある。そういうことがこの委員会でも随分問題になって今日まで来たわけであります。そういうことから、この食管の形骸化、ことしはいろいろ論ぜられるところ、新聞論調とか見ますと、政治加算なんというようなことはないみたいで、米価審議会の形骸化なんというようなことはないだろうと私は思うんでありますけれども、あくまでも米価審議会での議論というものを最重点にすべきである。いささかもそれに余計なものを加えるようなことがあっては相ならぬ。  そういうことになりますと、米価審議会構成メンバーというのが非常に重要なことになるわけでありますが、生産者の少ない、しかし少ないとは言いながら、そこで主張されたものというものは非常に貴重な意見ということで、十分に審議会の意見としてこれは反映させなきゃいかぬ。これはいつも言うことでありますけれども、これは確認ということで政務次官に私の考え方をどう御認識なさっていらっしゃるか、お伺いをしておきたいと思います。
  287. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) 藤原先生にお答えいたします。  米審意見を、先ほども申し上げましたような意見を尊重いたしまして、そして決定をしてまいりたいと思っております。農業団体等だけでなくて、あらゆる階層から構成されているのが米審でございますし、また食管法が形骸化してきているというようなこと等も、これは全然なきにしもあらずという声が一部にはあると思いますけれども、やはり農業団体としましても、また農水省としましても、この食管法というものをやはり守りながら、健全にこれを生かしていくためには、その法の運営が、審議が過ちのないような方向で進めていただきたい、またいくべきであると、このように考える次第でございます。
  288. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 時間があれば今の政務次官の力強いお話、何点がお聞きしたいことがあるんですが、きょうは時間がございません。そういうことで、ぜひひとつこの場の大臣がいなくなってからの議論、これは大臣にひとつ率直にお伝えをいただきたいと思いますし、またそういう今、政務次官のお話になったような考え方で進めていただきたい。  数字上の問題でありますが、試算米価算定するに当たりましていろいろな数値をはじき出すわけですが、算定方式は三年間崩さないといいますか、今あるこの方式をということで今日まで来ているようでありますが、五十八、五十九、六十年、ことしまではこの方式でということで、明年については何にも触れられてないようで、来年の話を一々することはないのかもしれませんけれども、いずれにしましても、やっぱり数値というのは一つの試算をする上において重要なファクターになるわけでありますんで、これまた、先ほど熊谷先生からもお話がありました、やっぱりだれからも信頼されるそういう算定方式、その算定方式で議論を呼ぶなんということがあってはならぬという、あのおとなしい先生がもうきっとして言っておりましたけれども、ここらあたりひとつしっかり定めていただきたい。  同じことを毎年毎年言う方も大変だし、答弁する方も大変だろうと思いますけれども、ぜひこれは一つのルールというものをきちっと定めていただきたい、このことをまず申し上げておきたいと思うんです。  それで、時間がありませんから、食管のことについて、とかく食管も形骸化の方向にあるやに、政務次官もちょっとお話になったようでありますが、これは先ほど逆ざやのこととか、食管の基本精神とか、こういうことについてお話がございました。政務次官、この食管についての基本的な考え方、先ほどもいろいろ出ておりましたけれども、まとめてひとつお考えをお述べいただきたいと思います。
  289. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) お答えいたします。  食管の制度は、国民の主食である米を政府が責任を持って管理することによって、国民の必要とする米を消費者に対し安定的に供給するという重要な役割を果たしており、今後とも本制度については事情の変化に即応しつつ必要な運営面での改善を図りつつこれを堅持してまいる所存である。  なお、食糧管理法上、米の政府買い入れ価格については、米の再生産を確保することを旨とし、政府売り渡し価格については消費者家計の安定を旨としてそれぞれ定めることとされております。その結果として、両米価の間にいわゆる逆ざやを生ずることもありますが、制度として両米価の間に逆ざやが存在しなければならないというものではありません。売買逆ざやは、本来価格のあり方として不自然であるばかりでなく財政負担を必要とするので、その解消に努めており、今日ではほぼ解消の域に達しております。  以上のようなことで、先ほども申し上げましたとおり、この食管法が生まれたゆえん等御存じのとおりでございまして、これによって混乱した日本の国民の食糧の安定的な確保というものは期せられてまいったと思っております。ところが、先ほど形骸化しているということを、私が申し上げるのではなくて、そういうふうな声等もあるのは、これは食管法が生まれた時代とひとつ異なった社会情勢の中で、また食糧の安定供給あるいは入手が容易になるような状態になってきている今日の中では当然かと思いますけれども、そうだからというのでこれを今さら形骸化してしまうということは日本の農業をつぶすことにつながりかねない、こういうふうなこと等から勘案して、なお、さらに国民のいざという場合の安定食糧の供給というものに大いなる災いを来すというようなこと等から考えると、やはりこれは基本的にしっかり守っていかなければならない法律であるということも申し上げておきたいと思います。(「大臣にかわった方がい.」と呼ぶ者あり)
  290. 藤原房雄

    ○藤原房雄君 大臣にかわった方がいいという声もありますよ。  この食管法は、逆ざやということに私は固執するわけじゃないんですけれども、これはやっぱり財政上だけのことについていろいろ先ほどもお話あったし、そういう観点から逆ざや解消をしなきゃならぬという議論がどうしても中心的な話になるんですが、明治、大正、昭和の初め、あの飢饉があったときに、いろいろな制度がありながらなかなか安定した米の供給はできなかった。金持ちがたくさんお米を買い占める。しかしそれをどうすることもできない。いろんな経緯があって、昭和十七年ですか、食管法ができてくる。そして、安定的に供給する道として、そういう中で逆ざやの問題等についても、当時の社会情勢がそうであったと言えばそれまでのことかもしれませんが、今日まで日本の主食である米の取り扱いの過去のいろんな歴史的な経過の中でそういう制度がずっと続けられてきた。  これは社会情勢が変わったんだということで、逆ざやというものを財政のためになくしてしまうということが本当に安定的な米の供給ということ、食管の精神というものを守り得ることになるのかどうか。これは農家の間でもいろんな議論があり、そしてまた、財政主導でこれが引っ張られていく。これは食管の根本精神と言いながら、この逆ざやが完全になくなったときに米の動きというのは一体どうなってくるのか。また、良質米奨励金云々ということにもつながるわけでありますけれども、こういうこと等をこれは今良質米を奨励しようということで進めてきた。ここでもしこれを削減するようなことになりましたら、農家の方々はそのことのためにどういう道を選ぶかというと、これは地域とか規模とか立地条件、それらの農家の方々のより自分の生活を守るためにいろんな動きが出てくる。これは社会が変わったんだから当たり前のこと、自由経済の中にほうり投げてしまうんだというような単純な物の考え方で進めるわけにはいかない非常に重要な問題であるということだけは、私はこれはちょっと提起をしておきたいと思うんです。  与えられた時間がわずかでもう一言しかしゃべる時間がありませんから、この問題についてはまだ後ほど議論するとしまして、重要な問題で、逆ざや、財政再建、こういうことだけでこの問題を処理することのないように農業全体、稲作農家全般の諸問題を勘案してひとつ幅広くこれを見ていっていただきたい。  私はもう時間がありませんから最後になりますが、去る六月二十五日関税問題についての決定があったのですが、そのうち中曽根総理が、ナチュラルチーズそれからチョコレート、このナチュラルチーズの各国からの要望が強いので、この品目についても行動計画の期間中に諸外国に説明のできるように決定してほしいという発言があったと報じられている。これは諸外国にいい格好をしようという総理の心かもしれませんが、酪農を一生懸命やってまいりました北海道を初めとして大規模の酪農家にとりましてはこれは大変な問題であることは重々御存じのことだと思います。今、乳製品は過剰ぎみということで抑制されて、そういう中で今伸びているのはナチュラルチーズだということで、そちらの方にずっとウエートがかかっている。そしてまた、そこに活路を見出そうということでいろいろ工夫、考慮されている。単なる思いつきではないだろうと思うのでありますが、外国にいい格好をするために、農民にせっかく規模拡大そしてまた、安定した酪農経営をということで努力をしつつある最中に、降ってわいたようにこういう話が出てくるというのは一体どういうわけなのか。  これは総理に言わなければならないのだけれども、農水省に言ってもしょうがないかもしれませんが、一体実態はどうなのか、また皆さん方としてはどういう指示を受けているのか。こんなことは絶対に許し得ないことだと私は思うのでありますけれども、また地元の携わる方々も非常に怒り心頭ということでありますけれども、この問題についてきちっとした態度で臨んでいただきたいし、これは関係局長さんにお話しいただき、政務次官にもぜひひとつ御理解をいただいて毅然たる態度でやっていただきませんと、今ようやく活路を見出しつつある大規模農家にとりましては致命的な打撃を受けることになるという、この問題についての御答弁をいただきたいと思います。
  291. 野明宏至

    説明員(野明宏至君) ナチュラルチーズの関税問題につきましては個別の各国からも関心が寄せられておりまして、そういう中で先般六月二十五日の決定におきましては、これを関税引き下げの対象に含めないことといたしたわけでございます。  これは、ただいま先生からもお話ございましたように、酪農は我が国農業にとりまして米に次ぐ基幹作物でございまして、また土地利用型農業の基軸として位置づけられているわけでございます。また、北海道等におきましても、地域の経済にとって重要な産業になっておるわけでございます。それからまた、需要面から見ましても、今後とも需要が増大すると見込まれます酪農の主要度品ということになっておるわけでございまして、今後の酪農発展ということを考えます場合に非常に重要な品目であるわけでございます。他方、欧米諸国におきましても、ナチュラルチーズ等の乳製品につきましては、輸入制度上、手厚い保護のもとに置かれておるわけでございます。こういった中で、関税の引き下げは極めて困難であるということで対象に含めていないわけでございます。  ただ、ただいま先生お話ございましたように、六月二十五日の政府与党対外経済対策推進本部におきまして、総理から、今回関税を引き下げることとしなかったナチュラルチーズにつきまして、チョコレート菓子とともに、農村にとっても大きな問題であるけれども、行動計画の今後三年間の中で将来展望を開く必要がある旨のお話があったというふうに伺っておるわけでございます。  これにつきましては、総理のお話でございますので誠実に検討していかなければならないと考えておるわけでございますが、ただいま申し上げましたような事情にあるわけでございまして、現在のところ、関税の引き下げについての展望が描けるような状況にはないというふうに考えておるわけでございます。
  292. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) 藤原委員のお考えのとおりだと思いますが、日本の酪農は、もう前々からも私も所見を申し上げた記憶がございますけれども、日本の戦後の農業の中で、これは政府みずからが大いなる力を注ぎつつ、農家のしりをたたきながらひとつ育ててきようとした農業の一つの基盤であります。そういうようなものが今まさにどうにか立ち上がってきようとするときに、このようなことが大っぴらになされるとするならば、これはもう何をか言わんやでございます。  また、今日では酪農製品をば、これは牛乳をこういうような需要の伸びるナチュラルチーズ等の加工等に生かしていかなければならないとき等でもあると思いますので、これらは役所といたしまして、農水省といたしましても、最善のそういうような方向への努力をば大臣以下力を結集して当たるべきところに当たっていかなければならない、このように決意をいたしておる次第でございます。
  293. 下田京子

    ○下田京子君 午前中大臣に対して質問いたしました際に、ことしの米価は昨年と同様に算定するとマイナスになるのを据え置いてやったんだと、何か農家経済に特別に配慮したかのような恩着せがましいお話ございました。これに対しまして、では作況八七という大不作の五十五年の翌年の五十六年産米価の際には、前年と同様なら一一・七%アップというところにもかかわらず、〇・五%アップという、算定方法の改悪によって事実上据え置いたというのは一体どういうことなんだと。これは特別説明がありませんでしたけれども、具体的な算定方法をどういうふうに変えたかという点でお聞きしたいのです。  五十六年産米価算定と五十五年の算定の中で大きく変わった点ほどこかと言えば、家族労働費評価がえ賃金とり方だと思いますね。五人以上一千人未満製造業平均賃金という計算を、それを米販売加重平均、つまり米販売量の多い地方の賃金ウエートを置いたというふうなことだと思うんですね。その結果として一一・七上がるところが〇・五の据え置きというような格好になった。そうでございますね。
  294. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 御指摘の点につきましては、最も大きな要因といたしましては御指摘のとおりでございます。
  295. 下田京子

    ○下田京子君 その結果、これも大臣質問の際に指摘しましたが、五十五年の決定米価ですね、時間当たり評価賃金千九十三円四十五銭。どころが、それが五十六年には同じ時間当たり評価賃金が何と九百四十八円八十九銭という格好で、一三%も賃金引き下げという結果になった。ですから、こういう大変問題があるものを五十六年以降すっとことしの米価算定にまで受け継がれている、これは重大だと思うんですよ。  つまり、今回の諮問評価がえ賃金というものがどうかといいますと、千七十四円二十三銭でしょう。ですから、改悪前の五十五年に比べましても、時間当たり千九十三円四十五銭よりも二十円も下回っているんですから、何と五年間、据え置きどころかマイナスですよ。こんなひどいことが果たして許されていいんでしょうか。ことし、家族労働評価賃金を五十五年産と同様の方法計算すると一体幾らになるか。時間当たり男女込み千三百六十八円四銭、間違いないと思うんですが、どうですか。
  296. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今、御指摘いただきました千三百六十八円四銭には間違いございません。
  297. 下田京子

    ○下田京子君 この千三百六十八円四銭の家族労働費を使って六十年産米価試算をいたしますと、基本米価は六十キログラム当たり幾らになりますか。
  298. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 御指摘の方法によりまして基本米価試算してみますと、六十キロ当たり二万百三十九円に相なります。
  299. 下田京子

    ○下田京子君 つまり、稲作労働を適正に評価いたしますと、米価は二万円を超すんですよ。ですから、政府の低米価算定の不当性の最大の問題はどこにあるかというと、この稲作労働評価の値切りなんです。一体どういう理由から、この稲作の自家労働評価を値切っているんですか。
  300. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 御案内のように、五十年の初めから過剰米が累憎いたしまして六百万トンというふうにも相なったわけでございますし、それには多額の財政負担をした上でようやく処理を終わっているような次第でございますし、さらに三千億から二千数百億の財政負担をいたしまして生産調整を実施し需給均衡を図っていかなければならない、こういう実態にもあったわけでございまして、私どもといたしましては、そういったもろもろの事情を勘案いたしまして、今御指摘のような家族労働費算定方法に修正を加えた次第でございます。
  301. 下田京子

    ○下田京子君 お聞きしていますと、家族労働評価がえというのは所得の追加部分みたいな考え方をしておるようですね。需給事情で切り下げても構わないと、そういうことなんでしょうか。そもそも生産費所得補償方式というのは一体何ですか。生産費を償うと同時に、都市と農村の所得均衡を図るという大目的から、農家の自家労賃に対して都市と均衡のとれた労賃を与えることにある、こういうふうになっていると思うんですよ。ですから、家族労働評価というものは生所方式の根幹だと思います。違いますか。
  302. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 御指摘の点でございますが、生産費所得補償方式の中におきまして家族労働費評価するということについてはまさに根幹であるわけでございますが、その家族労働費につきましてはやはり需給事情等も配慮いたしまして、今申し上げましたような需給事情のもとにおきましては評価がえを行わなければならなかった、こういう事情にあることを御理解いただきたいと思います。
  303. 下田京子

    ○下田京子君 今の問題なんですけれども、昨年五月二十五日の米価算定に関する米価審議会委員会報告、「運用の仕.」として、「家族労働費評価生産費及び所得補償方式の根幹をなす部分であるので、具体的なとり方を決めた後は、当面の適用期間中は、原則として変えないことが適.」と、こう指摘されていますね。ですから、生産費所得補償方式の根幹というのはこれは間違いないわけですよ。そうですよね。
  304. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) それは否定しておりません。
  305. 下田京子

    ○下田京子君 そうすると、問題は、その根幹が守られているかどうかということなんで、根幹である家族労働費とり方が五十六年に根本的に改悪された、そして米販売数量による加重平均というふうになったわけですね。そして、結果として、都市均衡労賃の名に値しない地方労賃のような格好で変えられていったと思うんですよ。  そこを具体的に申し上げますと、米販売数量によるウエートということで六十年産の場合に首都東京の製造業賃金は幾らかといいますと、時間当たり二千百二十九円二十二銭になっているんです。ところが、最低がどこかというと青森県なんですね。青森県は八百七十五円です。こういうことで米の販売数量ウエートに置きかえますと、東京一ということに対して青森県の方は約千倍のウエートになるわけなんです。ですから、限りなく青森県の賃金に近い数字になってしまう。この方式でいきますと、都市と農村の所得均衡が図られない、こうなるわけなんです。違いますか。
  306. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 今、先生御指摘の原データでございますが、これは企業規模といたしましては製造業の三十人以上の規模でございますので、私どもがそれを修正しておりますところの五人以上千人未満といった場合の基礎的な数字とは異なる点がございますので、ひとつ御了承いただきたいと思います。  なお、販売数量ウエートをとっておることにつきましては、やはり青森にも都市はあるわけでございますし、また大都市の東京のごとく販売量は少ないようなところもあるわけでして、この東京の賃金ベースを従業者数ウエートをもちまして反映させるということと、青森県とか、また新潟県とか、それとも生産量の多い生産県の賃金事情をお米に反映させるのはどちらがいいか、こういうふうなことに相なろうかと思うんでございますが、現在のようにお米の需給事情といいますものは必ずしも生産調整なくしては均衡しないような情勢にもございますし、また各地方の消費者なり、また労働者の方におかれましても、お米の生産者がすべて東京都の賃金に強く影響されてそういった賃金をベースに米価算定されている、こういうことに相なりますと、いろいろ御理解いただくのが困難な面も考えられるのではないか、こういうことも考えまして、私どもといたしましては、先般来から御説明しておりますような米販売量ウエートに使わしていただきまして算定をしておる次第でございます。
  307. 下田京子

    ○下田京子君 確かに、今の東京の一時間当たり労賃が二千百二十九円二十二銭というのは、それから青森とのあれは三十人以上です。その資料しかいただいてないんですもの。ただ、物の考え方としては、都市均衡労賃のなにということになった場合に、それはできるだけ都市と農村の差を是正していくということで、考え方としては私が言ったようなことで間違いないと思うんです。そうでしょう。確認してください。
  308. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 賃金水準というふうなものができるだけバランスのとれたものになる、こういうことは非常に好ましいことであろうかと思うのでございますが、それぞれ地方の労働市場における需給事情、こういった面等もございまして、これはお米のみならず日本経済全体の問題として考えられるものではなかろうかと思うわけでございます。
  309. 下田京子

    ○下田京子君 今、需給事情の話をいろいろ言っていますけれども、それは後からくっついてきた理屈なんですよ。都市と農村の所得均衡という根本思想がいつから出てきたか。つまり、都市の製造業賃金がきちんと正しく反映されない、そういう評価というのは問題なんだということが出てきたのは生所方式がスタートした三十五年当時、その都市均衡労賃算定の際の政府説明にきちっと述べてあるんですよ。  あえて私から申し上げますけれども、「米価形成の目標がなんらかの形において都市と農村との所得均衡をはかることにあること.」、こう言っていますよ。そして「消費者と同一水準所得が得られるようにすることが妥当であるということから、農家稲作自家労働を都市賃金の代表としての製造業規模平均賃金評価することが行なわれてきた.」。さらに「米価生産者のみでなく消費者も納得することのできるものでなくてはならないが、都市賃金評価均衡という立場においてとらえるとすれば、国民経済的にみて全規模平均をとることが妥当である.」。  つまり、先ほどから消費者云々も言っていますけれども、いつ消費者が米づくりのあれは低くていいよなんということを言っていますか。思想は生所方式の家族労賃とり方、それから都市均衡労賃とり方ということではもうはっきりしているんじゃないですか。違いますか。
  310. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 都市均衡労賃をとると、こういうことは確かに御指摘のとおりでございますが、そのとり方、それから加重平均する場合のウエートとり方、こういったものにつきましてはその年々におきますところの経済事情需給事情、その他諸般の事情があろうかと思うのですが、そういうことを勘案いたしまして決定すべきものではないか、こう考えるわけでございます。
  311. 下田京子

    ○下田京子君 昨年の米価算定小委員会で、この算定要素とり方について、家族労賃評価については米販売数量ウエートによる加重平均という算出でやりなさいというようなことを明記しておりますか。私は明記してないと思いますが、どうですか。
  312. 山田岸雄

    説明員山田岸雄君) 昨年、米価審議会の小委員会におきまして、その検討結果の報告をいただいておりますが、その中に家族労働費につきましては、   家族労働費評価については、都市均衡労賃  を補償するという観点から、従来どおり、国民  経済の基幹的産業であり社会的にも標準的なも  のと考えられる製造業のうちの一定規模のもの  の従事者の賃金評価することが適当である。   その場合、米生産との関連がより適切に反映  されるよう都道府県別の米販売数量ウェイト  により加重平均して算出した賃金によることも  考えられる。以上のとおり書いてあります。
  313. 下田京子

    ○下田京子君 つまり、そのままお読みになりましたけれども、どちらがベターかと言ったら、それは基本的に製造業のうちの一定規模の従事者の全賃金評価しなさい、適当なんだと言っているんですよ。そして、たまたまそういう米販売数量ウエートによる場合もあると。ですから、そうしなきゃならないなんということは一言も書いてないんです。そこだけははっきりさせておきたいと思いますよ。あたかも、何か米販売数量ウエートによって加重平均して算出すべきだなんということに勝手にとらえられたのではとんでもないと思います。  私は、もう時間がないから最後に申し上げたいんですけれども、次長、明確なのは、需給事情とおっしゃいますけれども、今、皆さん減反に協力していますでしょう、それこそ泣きの涙で。その結果、どうですか、米不足になって輸入まで出たじゃないですか。だから、峰歩き的な需給計画見直しだ、ゆとりのある計画をということまで出てきたじゃないですか。その次に、農業所得はどうなんですか。農家所得はいいとおっしゃいますけれども、今のような考え方でいきますから、例えば、地方労賃で青森等大変なところでは、結局は農家所得を埋め合わせるために都市に出稼ぎに行く、こういう結果が生まれているんですよ。つまり、農業だけで暮らしが成り立たなくなってきているんです。  そして、米作農家の場合に、足腰の強い農業とおっしゃりながら、一たん冷害になると負債ばかりふえていってもうどうにもならなくなってきている。基幹男子の従事者もどんどん減ってきている。こういうことじゃだめなんだ。だから政策の転換が必要なんだ。大臣考え方が違うとお答えになったけれども、これは考え方が違うなんてことで済まされる問題じゃないんです。問題ははっきりしているんです。一%アップのために百三十五億あればいいんです。七百億円あれば農協米価はやれるんです。本気になって自給率向上を考えて、日本農業の展望を持てるような方向ということをやっぱり考えるべきですよ。  政務次官、一言お答えいただきましょう。
  314. 川原新次郎

    説明員川原新次郎君) 米の需給事情等をやっぱり反映した米価をば算定することは、もうそうせざるを得ない、このように考えられます。  現在とっている方法生産費所得補償方式の思想を逸脱しているとは言えない。いろいろ言い分はあろうと思いますけれども、やはり現状の中では、このような方法しか得られないんじゃないかということをば御理解願います。
  315. 成相善十

    委員長成相善十君) 本件に対する本日の質疑はこの程度といたします。     —————————————
  316. 成相善十

    委員長成相善十君) この際、御報告いたします。  本日の理事会におきまして、農林水産物の市場開放問題について、去る五月三十日の当委員会の決議を踏まえ、中曽根内閣総理大臣に当委員会として、ただいまより申し入れを行うこととなりましたので、御了承願います。  暫時休憩いたします。    午後四時三十二分休憩    〔休憩後開会に至らなかった〕