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国務大臣(
後藤田正晴君) 私からお答えを申し上げます。
去年の五月の六日でございます、
行革審に私の方から六項目の検討依願を申し上げました。
その一つは、昭和六十年度においても引き続き増税なき財政再建の基本方針を堅持して行財政の改革を進めるという方策について
行革審の御
意見をいま一度承りたい、増税なき財政再建、これは第二
臨調以来の基本の考え方でございますから、そういう
背景のもとに検討を御依頼を申し上げました。二つ目は、
我が国行政において大きなウエートを占めておる地方公共団体の
行政改革を国と同様強力に推進する方策について、いま一歩突っ込んだ具体的な御
意見をちょうだいしたい。三番目は、大
災害あるいはハイジャック、大韓航空機
事件のような
緊急事態ないしは国際的な大
事件の発生に迅速、的確に対処し得る仕組みを整備する方策について突っ込んだ御
意見を承りたい。それから四番目が、先導的科学技術の
研究開発の推進に関する
体制を整備し、
総合調整機能の活性化を図る方策を突っ込んでもう少し御
意見をちょうだいしたい。五番目が、各省の
縦割り行政の弊害除去等
内閣の
総合調整機能を
強化するための仕組みを整備する方策についてさらに突っ込んだ御
意見をちょうだいしたい。六番目が、特殊法人の活性化方策、これについてももう少し具体的な御
意見をちょうだいしたい、こういう六項目の検討依頼をいたしました。
なぜしたかといいますと、第二
臨調の中にこれが全部一応触れられておるんです。第二
臨調の
答申は、
矢田部さん御案内のように、具体的な改革
意見と同時に考え方を述べられたにすぎなくて、これは時間の制約があったんだろうと思います。第二
臨調の
答申そのものが突っ込みが十分でないという面が相当各所にあるわけでございますから、
政府としてはこれらについてもう少し
行革審そのものの
審議会設置の法律の趣旨に照らして、突っ込んだ、進んだ御
意見をちょうだいしたい、こういうお願いをしたわけでございます。それに従って、
行革審としてはそれぞれの
分科会をおつくりになって、できるものから順次御
答申をいただいておるわけでございます。
そこで、今回の問題は、その三番目の問題と五番目の問題、これについての
分科会の
意見が一応まとまって
審議会に御
報告になった
段階でございます。
政府としては、これはいつごろ御
答申いただけるのか、ただいま
行革審の山本次長のお答えでは七月の下旬ごろだと、こういうお話でございますから、その御
答申を受けた上で
行革審の
設置法の趣旨に基づいて
政府としてはこの
意見を尊重して、そして
政府みずからの責任のもとに改革をすべきものはしていこう、こういう考え方に立っておるわけでございます。
ただいまの御質問の中にもございましたが、今まで
緊急事態等でそんなものは
緊急事態でも何でもないじゃないか、こういう趣旨の御
発言がありましたが、私は過去二回
内閣の中で官房副
長官と
官房長官という重職をやらせていただいておりますが、まことに官邸の
機能というものは不十分でございます。これはもう身をもって体験いたしております。
緊急事態等も大韓航空機の
事件であるとか、あるいはミグ25の
事件、これは処理をひとつ誤まれば私は国の大事に至るおそれがあると思います。これらは、
内閣全体として、もう少しきちんとした
総理に対する補佐
機能というものはどうしても国の存立のためには絶対必要だと、私はこういう強い確信を抱いておるような次第でございます。
幸いこういった問題が大事に至らなかったということは非常に私は幸せであったと思うんです。あるいはまた、これはいつそういうことが起きるかわかりませんが、仮に
日本の現状というものを考えて中東地方が戦乱に巻き込まれたといったときに、一体
日本はどう
対応するのだ、エネルギーの
問題等国にとっての大変重大問題になってくるおそれがあるわけでございますが、これらについて平素からマニュアルをつくるとか、対処方針、こういう想定をして一応の国としての勉強をする。そして、
総理に対するそういった
事態の際の補佐を間違えないようにする。これは各省当然やるわけでございますが、各省それぞれが
縦割りでございますからみんな
意見が違う。
これらをどう
政府全体、
内閣全体として調整していくのか、もちろん閣議でやるわけでございますけれ
ども、それからまた別の
立場で
内閣全体の
立場、それは長は
総理大臣でございますから、各省は各省の
立場がある。そこでそれらを調整しながら対処を間違えないようにしていくということが、私は本当に今日のように内外でどんな
緊急事態が起こるかわからぬではないか、それに対する平素からの仕組みあるいは補佐のやり方、こういうものをきちんとしておくことが、今日国の存立を全うするという意味合いにおいて、大変重要な仕事ではないのか、かように考えておるわけでございます。
先ほど外務大臣の御答弁で云々という御
発言がございましたけれ
ども、もちろん私は、外務大臣がどういう御答弁をなさったのか承知しておりません。いないが、今日首脳
外交ということが、これはもう国際
外交の常識になっておるわけでございます。それらを
背景にしながら、二元
外交に絶対になってはいけないという大前提のもとでの、私は
答申の
内容もまだ承知しておりませんから、
答申についてとやかく申し上げる
段階じゃありませんが、それらを頭に、当然の前提としての
行革審での御結論が出されるものというふうに期待をしておるわけでございます。
いずれにいたしましても、
日本の
行政全体の仕組み、
内閣の
機能、これらを見た場合に一番欠けておる面はこういう点ではないのかということでそこに手を、若干
改善の措置を、基本を変えるわけじゃありませんから、入れて改革をやっていけばいいのではないか、こう私は一般的に考えておる。そういう意味合いで
答申をお願いをした。その
答申がまだ出ておりませんから、
答申が出た
段階で
内閣としてはさらに各
方面の
意見をお伺いしながら
政府としての最善の方策を求めながら実現をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。