○穐山篤君 最近アメリカの上下院のその審議の特徴を見ますと、防衛予算について六十億ドル上院の決議よりも下院の方が削減をしなさいと、こういう決議が行われておる。
日本の衆参両院で言えば、両院協議会にかけなければならぬ、そういう状況が発生したわけですね。従来、防衛力増強のために費用がどんどんふえてきたのが、ことしのアメリカの議会では、政府の要求の予算よりも削減したという
意味では、歯どめと言えるかどうかわかりませんけれ
ども、特徴的な変化だなと、こういうふうに認識をしなければならぬと思います。
それから今回のアメリカの上院の決議でありますが、今総理は、突如とした印象が強いと、こう言われました。一般国民もそうでありましょう。ところが、加藤防衛庁
長官が訪米中にこの決議がなされたというところに一つの
意味があるわけですね。それから二つ目に、突如として出したものだとは言いながら、この内容を少し勉強してみますと、用意周到な準備のもとにこの決議が行われているわけです。三つ目の問題としては、外務省が言いましたように、三つの事柄が
年度ごとに費用の問題まで具体的に決議をされているわけです。勝手な決議だと言えばそれまででありますけれ
ども、この声明にもありますように、鈴木・レーガン会談の日米同盟から事が説き起こされているということを私
ども十分注意しなければならぬというふうに思うんです。当時、鈴木総理大臣は本
会議報告で、この日米同盟の中には軍事の側面は一切入っていないというふうに公式に答弁をされましたが、現実はそうではなく、軍事同盟であるということは依然として明白であります。
そこで、アメリカのこの防衛を考える立場と
日本とでは全く立場が違いますね。アメリカというのは西側のリーダーであるし、常に仮想敵国を持っているし、現実に紛争の当事者の一方であるわけです。我が
日本は憲法もきちっと持っておりますし、仮想敵国も、個人は別にいたしましても、国として持つような状況にはないわけです。アメリカと同じ次元で防衛力の問題を議論することが甚だナンセンスであろうと思うんです。
そこで、私は最後に
意見を申し上げて総理の
考え方をお伺いしたいと思うんですが、私が指摘しましたように、防衛に関する立場、見方、置かれた位置、全く違うわけです。そのことを同じ次元で物を考えるような米国に対して、改めて節度ある注文をつける必要があろう、こういうふうに私は思います。
それから二つ目には、これは明らかに
日本に対します内政干渉であります。それは
日本の国内において、あるいは政党それぞれ
意見の食い違いはありますけれ
ども、アメリカから具体的に期限をつけて予算の割合までも明示されたものを突きつけられたとするならば、これはもう内政干渉であります。
三つ目に言えば、これは
日本国民に対する恫喝というふうに言わなければならぬと思います。
おどかされてまでもアメリカの言うなりにならなきゃならぬかということになりまと、第四の問題として指摘をしたいと思いますのは、せっかく我が党も含めて日米
関係について良好な状態にしたいと思っているやさきにこういうものが出るということは甚だ遺憾であるし、けしからぬというふうに言わざるを得ないと思う。
私
どもの党としては、この今回のアメリカの上院の決議につきまして不満の意を表せざるを得ない。総理は今いみじくも突如とした印象が強いと言っておりますが、私
どもの研究からいうならば、用意周到な準備のもとに行われた、こういうことについても政府は十分に認識してもらわなければ困る、こういうふうに
意見を申し上げ、これらについての総理の
考え方を具体的に明らかにしてもらいたいと思います。