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政府委員(内海倫君) ただいまの問題でございますけれ
ども、確かに
社会保障制度審議会におきましては五十一年の答申でこの問題を取り上げられているわけです。その辺のいろいろ
事情を聞いてみますと、例えばここでいろいろ議論になりましたのは、その昔、自衛隊におきまして少年自衛官が、何といいますか、プールに落ち込んで亡くなったというふうな
事例で、これが指揮官の指示あるいは指揮官のそういうものに対する救護態勢というふうなものに大きな
過失があったんじゃないか、こういうことで問題があり、こういうことに対して国の
責任を明らかにしてその
補償に当たるべきであろう。それについては国家賠償法による
措置あるいは民事法上の救済
措置がもとよりあるわけでございますけれ
ども、その当時におきまする議論は、この
公務員にかかる
災害補償制度というものにおいてそういう国の
過失というものを認めてできるだけ早く
措置をすべきではないか、こういう
意見が出たわけでございます。
今回の審議会におきましてもその問題が取り上げられておりますが、このことにつきましては、けさほど来
人事院の
職員局長あるいは総務庁の人事
局長からも御答弁申し上げておりますように、この
公務災害における
補償というものは
無過失責任あるいは無
過失の賠償
責任ということを基本的な考え方にし、そしてそれに対するいわば定型的な
補償をしていくということを建前としております、あるいは基本理念としております。したがいまして、その都度国家の
過失の有無を論じてそれに対応した
措置をとっていくということは、一見非常に合理的なように見えるんですけれ
ども、事実上以上に論理的にもいろいろ問題のあるところでございまして、したがいまして、
人事院におきましても、あるいは政府各
機関におきましても、この問題の検討については国家の場合、国家賠償法あるいは民事法上の賠償請求というふうなことによって満たさるべきではないか。しかしその場合、訴訟を提起していろいろ長時間を要するというふうなことについてはこれは問題が多かろう。そういう意味で国家賠償法なりあるいは民事法上の法的な定めを考えながらできるだけ訴訟等の
措置によらないで国が
措置をしていけるような方途を考えるのが至当なのではないか。こういうふうなことの考えに立っておるわけでございます。
したがいまして、今回もそういうふうな考えをもとにしてこの法
改正に臨んだ次第でございますので、決して審議会の見解を無視しているわけではなく、十分検討もし、またこれの言っておる趣旨を何とか実現できるような方途を運営上考えていこうということにしておるわけでございますので、真意のあるところを御理解いただきたいと思います。