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政府委員(大友昭雄君) 加入限度額の引き上げにつきましては、十分御
理解いただいておりますように、五十二年に現行の一千万円の限度額に引き上げられまして、以来八年間を
経過するわけでございます。過去四度にわたりまして経済情勢の変動というようなものをもとにしながら、あるいは国民生活の
改善ということをベースに置いて要求を重ねてまいりましたが、いずれの場合にも実現に至っていないわけでございます。当
委員会におかれまして、つとに限度額の引き上げにつきましての附帯決議というものもいただいております。五十九年におきましても、六十年
予算編成に当たりまして、引き上げにつきまして省の
重点施策として取り組んだところでございます。さまざまな経緯はございましたが、甚だ残念なことでございますけれ
ども、合意に至りませんで、昨年末の
予算編成の最終
段階において、
簡易保険事業の実情を踏まえ、成案を得べく両省間で鋭意検討をするということになったわけでございます。
予算要求をする都度反対理由として出されております主なものは、
一つは、官業は民業の補完に徹すべきであって、
簡易保険の限度額の引き上げが民業の圧迫につながるという点がございます。二番目に、
簡易保険の加入の
状況、新規加入一件平均保険金額が二百万円ほどであるという加入の実績からして引き上げの必要性が見当たらないという主張がございます。三番目に、
簡易保険が無
審査であるということから、無
審査保険の限度をこれ以上引き上げることについては生命保険
事業としての
事業の健全性を損なうおそれがあるという主張。そのほかにもさまざまな論点はございますけれ
ども、大きな論点として以上三点が挙げられるわけでございます。
私
どもといたしましては、
簡易保険のシェアにつきましては、
昭和三十五年以来の全生保業界のシェアというものを見た限りにおきましても、件数におきましても、保険金額におきましても、さらに保有資金量につきましても、
長期的に低落の傾向にございまして、この間九回の限度額の引き上げを行っておりますけれ
ども、限度額の引き上げ
いかんにかかわらずシェアが増大してきた、あるいは結果的には民業を圧迫してきたという事実はないんだということを申し上げてきたわけでございます。
さらに、第二点の加入の
状況、新契約一件二百万円であるということにつきましては、ある年における新契約一件二百万円ということは、
簡易保険の限度額が
加入者お一人についてのすべての契約を合算しての金額であるということからすれば、一件二百万円ということは名寄せを忘れた議論であるというふうに申し上げてきたわけでございます。
また、万一の場合の遺族の当座の生活費としてどの程度のものが期待されるか、その中で保険にどの程度のものを金額で期待したいかというような調査をいたしたものからいたしましても、大体一千八百万円ぐらいのものが保険として欲しいというふうな調査結果もございますし、現に
加入者の方々からも強い要望が出されてきているという
経過もございまして、そういったことからしても限度額の引き上げというものはどうしても必要であるというふうに主張してまいりました。
最後に、無
審査保険ということで限度額の引き上げが
事業の健全性を損なうという点につきましては、無
審査ということではございますけれ
ども、書類上で健康
状態というようなものについても御質問をし、お客様からの告知を受けて、さらにそれを後方にあります事務センターで書類
審査をして加入の可否を最終決定しているという手続は経ておるわけでございまして、そういった手続を経てきているということ。さらには、保険につきましての加入に当たっての外務員の面接というようなものの
経過もありますので、現在の
簡易保険の実際の保険事故でお支払いする実際死亡率というものにつきましては、国民の死亡率よりも低いというような形になっておりまして、
事業の健全性は過去の引き上げの過程の中においても、また現在一千万を一千八百万に引き上げましても健全性が損なわれるということにはつながらないという主張を重ねてきたところでございますが、るる
意見調整は重ねましたけれ
ども、先ほど申し上げましたように最終的に合意に至らなかったということでございます。この引き上げにつきましては、来るべき高齢化社会への対応というようなことだけをとりましても緊急の
課題であるというふうな認識をいたしておりまして、私
ども早期に実現をできますように全力を挙げて
努力してまいりたいと考えておるところでございます。