○青島幸男君 電気通信の多様化、
高度化、あるいは健全な発展を願うということはだれしも異論のないところでございますし、それは結構なんですよ。しかし、今の
大臣のお言葉にもありましたように、最初は
局長は絶対にこれは株を現物でもってこちらへいただいて、それを原資としてやるんだということをまず打ち出されているわけですよね。しかし、それがどうも見通しが暗くなってきている。
大臣も株の
売却益を向けるというのも一つの手段であると考えるというふうに、もう既に退歩なさっているわけですよ。絶対これは譲らないという最初は御決意のほどがあったやに私も伺っておりますが、現にそういうふうに下がってきているわけでしょう。この
可能性も、私の見るところでは、新聞の
指摘によらず、どうも
一般会計に入ることの方が私は利があるような気がします。
と申しますのは、確かに加入者の御負担と御協力によって
電電の資産が形成されたには違いありませんが、加入者の数も四千万を超えておりますね。そうなりますと一般
国民と同様と考えてもいいくらいに加入者の方々は数が多いわけですね。そうなりますと加入者の方々にだけ利便を与える、あるいは還元するという
方向よりは日本国じゅうにいてもあるいは外国の方でも
電電の世話になる。
電話を使わないで生活ができるという人は恐らく一人もいないでしょう。どなたも恩恵に浴していると思うんですね。だから、
国民の一人一人と加入者とは同一のグループと考えていいという
考え方にどうしてもならざるを得ないでしょう。そうなると、
基本的に全
国民の福祉の増進ということから考えますと、
一般会計に入れて赤字補てんに使おうとどうしようと、その国家的な
考え方が優先するだろうということは理の当然だと私は思います。今さらこういうことを問題にするのもおかしいということを先ほどから申し上げているわけですね。
それともう一つは、このことが一般加入者の方々の中からそういう
意見として、
電電一本やりで独占のやり方でやっては
サービスが行き届かない、これから
高度化、多様化に向かっていくのに競争の原理を導入しなければならない、だからそうしてくださいという声は一言もないですよ、これ。勝手に、知らしむべからず、寄らしむべしといいますかね、我々が上手に考えてやるからあなた方は黙ってついてくればいいんだという
考え方で事が推移してきているわけですよ。しかも急速に展開してきていますね。それは余りと言えば御都合主義ではなかろうかという気がします。
それで、
電電の
考え方にしても、確かに合理化して近代的な
経営に持っていかなければならないところに来ていることは私も認めます。で、総裁のおっしゃるのは五兆円の負債をまず返すところから始める、あるいは加入者に還元するところから始めると考えたいというお考え、お気持ちはわかります。しかし、それならそれで、ふるさとへ
電話かけるのにもやっぱり何千円もかけてかけているわけですよ、乏しい給料の中から。しかもそれは原価に見合った
料金ではないわけですね。世界に類を見ない遠近格差というものの上にあぐらをかいて
料金体系はできているわけでしょう。最も加入者に有利なように、一般の加入者の方々が
料金のことを気にせずに自由に御活用いただけるようにしたいという総裁の願いもありますね。先ほどそうおっしゃられました。そのためには、その錯覚の上に成り立っている遠近格差をまず是正するところから始めるというような
考え方で進めない限り
国民はだれ一人納得しないと私は思います。さんざん人に
利用させておいて、確かに加入者債券は無理やり買わされて
電話は通じて使ってきました。しかし、それはギブ・アンド・テークですよ。どうしても
国民生活の上にあるいは
経済活動の上に
電話が要る、だから債券を買って協力しようじゃないか、そのかわりその利便の供与にあずかろう。確かに一方的に
国民に協力を仰いできたわけではありません。
国民の方もそれを納得して協力してきました。だから相身互いだと言えばそれまでですよ。しかし、そういう
経緯に基づいてでき上がった資産を、
国民の一人一人に了解を求めるということがあって民主主義というのは成り立っているんだと思いますね。結果よければすべてよしだろうと。こっちに任しておけばいい、ちょうど合理化の時期にも来ているから、後々納得してくれるように帳じりを合わせればいいじゃないかというような
考え方でこの計画を進めてこられた
電電、
郵政省並びに大蔵の
考え方も、
政府の全体の動きとして私は承服できないですね、この動き方は。
ここが実は私がこの
法案に当初から
疑念を感じ、反対を申し上げてきた点でございまして、この点は十分に——この
法案が可決することを私は念願してはおりませんが、もうここまで来れば時間の問題かもしれません、大変残念なことですが、しかしそのことだけは銘記しておいていただきたいということを皆さん方にお願いを申し上げまして、私の
質問を終わります。