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1984-12-04 第102回国会 参議院 逓信委員会 第2号
公式Web版
会議録情報
0
昭和五十九年十二月四日(火曜日) 午前十時二分開会 ─────────────
委員
の異動 十二月四日 辞任
補欠選任
新谷寅三郎
君
出口
廣光
君 ─────────────
出席者
は左のとおり。
委員長
松前
達郎
君 理 事
成相
善十君
長谷川
信君
片山
甚市君
委 員
岡野
裕君 沖 外夫君 長田 裕二君 志村 愛子君
出口
廣光
君 山内 一郎君
大森
昭君
中野
明君
服部
信吾君
佐藤
昭夫君
中村
鋭一君 田 英夫君 国務大臣 郵 政 大 臣
左藤
恵君
政府委員
郵政大臣官房長
二木 實君
郵政省郵務局長
塩谷 稔君
郵政省通信政策
局長
奥山
雄材
君
郵政省電気通信
局長
澤田 茂生君
郵政省放送行政
局長
徳田 修造君
事務局側
常任委員会専門
員 酒井 繁次君
説明員
総務庁行政管理
局管理官
松井 稔君
総務庁行政管理
局管理官
藤澤 建一君
大蔵省主計局主
計官 日高
壮平
君
大蔵省主税局税
制第二
課長
小川 是君
通商産業省機械
情報産業局電子
政策課長
牧野 力君
日本電信電話公
社総裁
真藤 恒君
日本電信電話公
社総務理事
寺島
角夫君
日本電信電話公
社総務理事
福富禮治郎
君
日本電信電話公
社総務理事
岩下 健君
日本電信電話公
社営業局長
草加 英資君
日本電信電話公
社業務管理局長
神林 留雄君 ───────────── 本日の会議に付した
案件
○
派遣委員
の
報告
○
日本電信電話株式会社法案
(第百一回
国会内閣提出
、
衆議院送付
)(
継続案件
) ○
電気通信事業法案
(第百一回
国会内閣提出
、
衆議院送付
)(
継続案件
) ○
日本電信電話株式会社法
及び
電気通信事業法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
(第百一回
国会内閣提出
、
衆議院送付
)(
継続案件
) ─────────────
松前達郎
1
○
委員長
(
松前達郎
君) ただいまから
逓信委員会
を開会いたします。
日本電信電話株式会社法案
、
電気通信事業法案
、
日本電信電話株式会社法
及び
電気通信事業法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
、
郵政事業
及び
電気通信事業
の
運営
並びに電波に関する
調査
を議題とし、
派遣委員
の
報告
を聴取いたします。 まず、
札幌班
について
委員長
から御
報告
をいたします。
日本電信電話株式会社法案
、
電気通信事業法案
並びに
日本電信電話株式会社法
及び
電気通信事業法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
についての
札幌
市における
地方公聴会
及び
北海道地方
における
逓信関係業務
の
実情調査
を行ったので、御
報告
申し上げます。
派遣委員
は、私の外、
岡野
、
長谷川
、
大森
、
服部
の各
委員
、
現地参加
の
佐藤委員
であります。
札幌
市における
地方公聴会
は、十月二十四日午後一時三十分から
札幌郵便貯金会館
において開かれ、四名の
公述人
から一人十五分
程度忌憚
のない
意見
が述べられた後、
派遣委員
から
質疑
が行われ、滞りなく
議事
を終了いたしました。 以下、各
公述人
の
意見
の
概要
について申し上げます。 まず、
拓豊開発株式会社社長岡田武保公述人
からは、
明治創業
以来百
有余年
にわたる
電気通信事業
の
歴史的経緯
、特に
電電公社
の果たしてきた
役割
に触れられた後、今日の
電電公社
の
資産
は
国民
の
負担金
や
料金
を通じて形成されたものであり、この
意味
で
国民
の
共有財産
であるとしております。また、
電気通信事業等
の
公共事業
は
経営形態
のいかんを問わず、
利潤追求
ではなく、良質低廉な
サービス
の
提供
にその本質があるとしております。そして、これらの
立場
から今回の
法案
を眺めると全面的に賛成できないが、
社会経済
の
発展
、新
技術
の
開発
の側面から、
事業
の
見直し
は必要であると判断される。しかも、
衆議院
において
法案
が修正され、
附帯決議
を付して通過している
現状
にかんがみ、参議院の
審議
において次の点について特段の
考慮
を望まれる旨の
意見
が述べられました。 すなわち、
競争原理
の
導入
によって、
東名阪等
の高
収益地域
に
新規参入
が行われるため、これらの
地域
からの
収入
が減ることによって新
電電会社
の
経営
が悪化し、ひいては
利用者
に
料金値上げ
としてはね返るおそれがあるので、そうしたことのないよう十分対処されたい。仮に今後
分割
が行われた場合、
北海道地域
は今でも二百六十二億円の
赤字
となっていることから
料金値上げ
が行われ、
料金
の
地域格差
が生ずるので、
会社法
、
事業法
の
見直し
に際しては新
電電会社
が
分割
されないよう期待する。
電電公社
が
国民
の
共有財産
であることから、
国民
に開かれた
経営
が行われるよう
設立委員
、
監査役
の
選任
については
国民
が直接関与できるよう
要望
する。
競争原理
が
導入
されることから、
新規参入者
と十分太刀打ちできるよう新
電電会社
の
自主性
を最大限保証し、
事業
の
活性化
が図られるとともに
労働者
の働きがいある職場となるよう強く要請する。そのほか、
電報事業
を新
電電会社
の
基本的業務
として明確に位置づけること。新
電電会社
の
株式処分
に当たっては、開かれた場でこれを処分し、
利権
の
対象
とならぬようにするべきであること等の
発言
がありました。 次に、
北海道拓殖銀行常務取締役石黒直文公述
人からは、
電電改革
三
法案
の
早期成立
が
要望
されました。その
理由
として、今回の
電気通信制度
の
改革
によって
電気通信事業
の
効率化
、
活性化
を図ることは、今日厳しい
国際競争
にさらされている
我が国
の
産業界
や
地域的発展
を目指す
北海道
にとって重要な意義を持つだけでなく、中長期的には
日常生活
はおける
利便
の
向上
を通じて
社会
全体の
発展
に大きな
役割
を果たすことになるが、
法律
の
成立
がおくれることは
高度化
、
多様化
する
国民
の
ニーズ
に積極的に対応しようとする動きに水を差すことになるとしております。 さらに、新
電電会社
の
株式
の
売却益等
の使途については、
電電公社
の
資産形成
の
経緯
にかんがみ、
電気通信技術
の
研究開発
、
電気通信事業
の
育成
、
振興
、
地域
における
情報通信システム
の構築など直接に
電気通信
の
普及発展
のために使用することによって
電気通信利用者
への還元を図るべきである旨の
見解
が述べられました。 また、新
電電会社
の
業務範囲
や
投資活動
については、民業を圧迫することにならぬよう、新
会社
においては
社会的責務
に立脚し、慎重な判断が行われることを期待するとともに、もし問題が生じた場合、
政府
において適切な
措置
を行うよう
要望
しております。 さらに、
電電改革
三
法案
の
成立
による
電気通信分野
への
競争原理
の
導入効果
として、
料金
の値下げ、
通話料
の
遠近格差是正
及び
サービス
の
向上
が行われることを期待するとともに、
回線利用
及び
端末機器
の
自由化
が行われることを高く評価する旨の
発言
がありました。
最後
に、距離と時間を克服する
電気通信
は
地域振興
の
見地
からも必要であり、特に今回の
一元的体制
から
多元的体制
への
改革
を評価するが、
新規参入
の促進に資するため単に開放するだけではなく税制、
金融面
を初め国の積極的な
支援策
を
要望
しております。 次に、
北海道商工団体連合会事務局次長佐々木光彦公述人
からは、
電電公社
の
民営分割化
に反対するとの
立場
から、その
理由
が述べられました。 まず、
電電公社
は
民営化
を見越して本年四月より
工事料
を二倍ないし八倍に
値上げ
をしたため、
ホームテレホン
や
ボタン電話
の新増設が減少し、
宅内工事
が激減している一方、
下請業者
への
工事単価
が引き下げられたため、
零細下請業者
はダブルパンチを浴びている
現状
を指摘するとともに、
民営化
された場合、
公社職員
には
国家資格試験
の
免除
が認められようとしているのに対し、
下請業者
には
試験
が課せられることから、
営業
と
生活
の基盤を失うことになる旨の
発言
がありました。 こうした
観点
を踏まえて、
電電公社
の
民営化
は、
公共
の
福祉
の
増進
、
国民
の
利便
の
確保
、
通信
の秘密の保持などの
立場
に立って行うべき
電気通信事業
を大
企業
の
もうけ本位
の
営利事業
へ変質させるものであり、
電気通信
の
公共性
を
確保
すべき国の
責任
を放棄し、
労働者
や
下請業者
に多大な犠牲を強いるものであるとしております。また、
VAN等
の
ニューメディア
の
利用
が、このままでは大
企業
の
中小企業支配
を一層強化し、
系列化
を促進し、大
企業
による
地域支配
を強めることになると述べ、
地域経済
と
中小企業
振側の
対応策
の
要望
をしております。 さらに、
法案
の解明されていない
問題点
として、第二種
事業
への
米国系企業
の
参入
によって日本の
通信主権
が侵されること、
料金法定制
の撤廃により
料金値上げ
が自由に行われること、
地域別料金格差
が発生すること、
情報通信システム
の
安全性
、
信頼性
を初め
プライバシー保護
が確立されていないこと、
民営化
によって
電気通信技術
が軍事に
利用
される
危険性
が増大したこと、新たな
企業
の
合理化
によって
労働者
の首切り、
労働強化
が行われること等の
発言
がありました。 そして、このような重要な
通信事業
に対する
国会
の
議決権
、
審議権
を外して、その
運営
を
私企業
にゆだねることは絶対に容認できない旨の
意見
が述べられました。
最後
に、
室蘭工業大学名誉教授前野良久公述人
からは、
電電
三
法案
は
高度情報化社会
に向かって避け得ないものと認識するが、その影響するところは非常に大きなことから、拙速ではなく、あらゆる点にわたって具体的な
問題点
を掘り下げて慎重に対応していただきたいとし、次のような
意見
が述べられました。 すなわち、
電電
三
法案
については
人間中心
の豊かな
高度情報化社会
を目指すべきものであるとの
基本的立場
に立って対処されたいとし、具体的には
電電公社
が
民営化
された後も、
電電公社
の果たしてきた
公共性
、
公益性
を堅持しつつ、
株式
の
売却収入等
が
国民
に還元されるよう、
データ通信需要
の増大、
OA化
、
科学技術データベース等
の
電気通信技術
の
飛躍的開発等
に使用してほしいとしております。 また、
電気通信システム
の進展により、
人間社会
の
思考パターン
の変化、
利用者
の
精神衛生
に与える
影響等
が
報告
されていることから、
高度情報化社会
に適応していくため、
教育体系
、
事前評価
、
精神医学
、
心理学等
の
見地
から
人間中心
の
研究体制
を整えてもらいたい、特に個人の
プライバシー保護
については、
技術面
のみならず、
制度面
の
整備
が必要であるとしております。 さらに、
ニューメディア
は
国民
の
情報ニーズ
の
高度化
、
多様化
に対応する
サービス
の
提供
を可能とするもので、
高度情報化社会
において大きな
役割
を果たすものと期待されているが、今後、
国民
の
ニーズ
、
地域性
を把握した上で
導入
するとともに、
法制面
の
整備
を行ってほしい。また
ニューメディア
の
導入
により、さまざまな
分野
で
サービス
の競合や摩擦が生ずる
可能性
があるが、このため
利用者
の
立場
に立脚した
電気通信システム
の
長期計画
の樹立が必要であるとしております。 以上の
意見
が述べられました後、
派遣委員
から各
公述人
に対し
質疑応答
が行われ、特に次のような
発言
がありました。
石黒公述人
からは、
電気通信
の
自由化
によって、
電気通信設備
が道路と
同様インフラストラクチャー
として
整備
されれば、農業や
商業等
の
産業
に変革をもたらし、特に広
地域
で
中央
から離れている
北海道
にとっては
地域振興
に大きなインパクトを与えるものと期待されること。
クリームスキミング
については、当面
新規参入者
の非
採算地域
への
参入
はないものの、宅急便が
全国ネット化
を目指していると同様、
第二電電等
も
全国ネット化
を展開していく
可能性
があること。なお、
クリームスキミング
による
電話料金
の
地域格差
については、その
危険性
が全くないとはいえないとしながらも、
北海道
における
電気通信
の
生産性
から判断して、その
心配
がないこと。
郵政省
の
電気通信振興機構
の構想については賛意を示しながらも、人や金のかさむ
機構
では問題であり、
機構
の
スリム化
が当然必要であること。 次に、
岡田公述人
からは、今回の
法案
の中には、現在の
電気通信
を
運営
するための
基本
である
公共
の
福祉
の
増進
、
国民
の
利便
の
確保
、あまねく公平という
公共性
が消えてしまっているが、
電気通信事業
の生い立ちからすればこの点を明確にする必要があること。
電報事業
の
赤字
の
根本的原因
として
郵政委託料
の割高な点を指摘し、その
見直し
を強調されたこと。
大型VAN等
の特別第二種
事業
については、
法案作成過程
における外国からの
要望
を例にとりながら、金を出せば口も出してくるおそれがあり、
通信主権
を守る上から
必要最小限
の規制は必要であること。 次に、
前野公述人
からは、現在のまま
情報化
が進めば、
東京
など大
都市
に
情報
がますます集中し、
北海道
の
孤立化
が進む
心配
があり、
情報
のバランスがとれるような
措置
が望まれること。
高度情報化社会
と
効率化
との
関係
については、今後目指している
高度情報化社会
は
人間
とのかかわりが深い
社会
であって、
人間的要素
が含まれない
効率化社会
とは異なり、
従業員
の働きがい、
人権
、
プライバシー保護等
が重視されなければならないこと。
電気通信主任技術者試験
については、単なる
技術試験
にとどまらず、
教育面
、
精神心理医学面
など
人間性
にも
考慮
された
試験
であることが望ましいこと。
最後
に、
佐々木公述人
からは、
北海道
の
中小企業
における
OA
の稼働が約三〇%にすぎないとの
調査
結果から、
科学技術
の
発展
があまねく
国民
に享受されていないとし、今回の
改革
については
民営化
の前に
中小零細企業
などの底辺が恩恵にあずかることを
基本
に据えるべきであると強調されたこと。
北海道
における約三十万の
季節労働者
の出稼ぎの実態から、必要不可欠な
家族等
との
通信
の
負担
が軽減される
電話料金
が望まれること。
コンピューター化
、
自由競争化
の進む中で
情報格差
が広がり、
中小企業
は一層不利となる、この点について
アクセス権等
さらに掘り下げる必要があること等でありました。 なお、
北海道地方
における
逓信関係業務
の
実情調査
については、
札幌市外電話局
、
札幌統制無線中継所
及び
札幌中央郵便局
を視察いたしました。 以上でございます。 次に、
福岡
及び
大阪班
の御
報告
を願います。
片山甚市君
。
片山甚市
2
○
片山甚市君
日本電信電話株式会社法案
、
電気通信事業法案
並びに
日本電信電話株式会社法
及び
電気通信事業法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
についての
福岡
市及び
大阪
市における
地方公聴会並び
に
九州地方
及び
近畿地方
における
逓信関係業務
の
実情調査
を行ったので、その
概要
を御
報告
申し上げます。
派遣委員
は、私を初め、
成相理事
、沖、中野、佐藤の各
委員
、このほか
大阪
市における
地方公聴会
については
中村委員
が参加しました。
福岡
市における
地方公聴会
は、十一月十四日午後一時三十分から
福岡
県
労働福祉会館
で開かれ、六名の
公述人
から一人十分程度、忌憚のない
意見
が述べられた後、
派遣委員
から質疑が行われ、滞りなく議事を終了いたしました。 以下、各
公述人
の
意見
の
概要
について申し上げます。 まず、
全国電気通信労働組合九州地方本部執行委員長園田俊夫公述人
からは、今日の
電電公社
の
資産
は
利用者国民
の
負担金
や
料金等
を通じて形成されたものであって、まさに
国民
の
共有財産
であることから、
電電事業
の
改革
にあたっては、誰もがどこでも同じ
料金
で使える
サービス
が受けられる
国民
のための
情報通信
の確立を
基本
として
改革
されるべきである。しかし、今日既に
衆議院
において
法案
が一部修正され、
附帯決議
を付して通過している
現状
にかんがみ、今後の
国会審議
に当たっては次の点について特段の考慮を払われたい旨の
意見
が述べられました。 すなわち、
競争原理
の
導入
によって高
収益地域
のみ
新規参入
が行われる結果、
サービス
及び
料金面
で
地域間格差
が生じ、特に
過疎地域
や離島の多い
九州
において、そのしわ寄せが惹起されることが強く懸念されるので、そうしたことのないよう対処されたい。
法案
では顕在化していないものの、新
電電会社
の
分割
は、
東京
、
近畿等
の
特定地域
を除けば
総合収支
は
赤字
であり、
九州地方
においても今でも百八十六億円の
赤字
となっていることから、
料金値上げ
につながることは明らかであり、今後の
見直し
に際しても新
電電会社
が
分割
されないよう
要望
する。
電電公社
が
国民共有
の財産であるとの
立場
に立って、新
電電会社
が今後より一層
国民
に開かれ、
国民
の声が反映できる体制をとってほしい、当面
設立委員
、
監査役
について与野党の話し合いの中で民主的に選出されることが望まれる。新
電電会社
の
事業活動
を
活性化
するため、
経営
の
自主性
を
確保
するとともに
労働基本権
に制約を加えないよう要請する。電報は現在なお有効な
通信手段
であるので、今後とも新
電電会社
の
基本的業務
として継続されたい。
プライバシー保護
を
基本
とする
情報基本法
の
早期制定
を図られたい。新
電電会社
の
株式処分
に当たっては利権の対象とならぬよう適切な処置が望まれる等の
発言
がありました。 次に、
安川情報システム株式会社社長森本伊三男公述人
からは、
電電改革
三
法案
に賛成する
立場
からの
意見
が述べられました。 まず、
明治創業
以来
一元的運営
によって行われてきた
電気通信事業
に
競争原理
と民間の活力を
導入
する今回の
改革案
が具現化すれば、二十一世紀に向かって
高度情報社会
が実現され、豊かな
国民生活
、
産業経済
の
活性化
、
地域
の
発展
に寄与することが期待されるとして、
法案
の
早期成立
を強く
要望
されました。 また、今後の
情報通信
を
発展
させるためには、第二種
電気通信事業
の果たす
役割
は大きく、これに制限を加えることは成長の芽を摘むことになるので、
回線利用
の
自由化
に十分配慮されたい旨の
要望
がありました。 次に、第二種
事業
は第一種
事業
の回線を
利用
することから、
料金等提供条件
の
適正化
が必要であり、この要件を満たせば、第二種
事業
の
成長発展
が行われ、ひいては第一種
事業
の
トラフィック増
につながり、第一種
事業
と第二種
事業
の
相互補完
による協調と
競争
が期待されるとしながらも、第一種と第二種の
兼業企業
と第二種の
専業企業
間の
公正競争
を
確保
する観点から新
電電会社
の
データ通信部門
の
業務分離
について特段の配慮を望む旨の
見解
が述べられました。 また、新
電電会社
の
分割
については、
我が国
の
電気通信
の健全な発達の上からも、
会社法案
の
見直し
の趣旨にのっとって十分な検討をされるよう要請されました。 さらに、新
電電会社
の
株式
の
売却益
については、
電電公社
の
資産形成
の経緯にかんがみ、
電気通信
の
基礎的先端的技術
の
研究開発
、
電気通信事業
の
育成振興
、
地方
の
情報通信システム
の
高度化等長期
にわたり多額の資金を要することから、これらに使用することは理にかなっている旨の
見解
が述べられました。
最後
に、
東京
、
大阪地域
と
九州地方
の
情報
、文化の
格差是正
を図る
意味
から、
電話料金
の
遠近格差
の縮小と
九州地方
における
テレトピアモデル都市
の
複数指定
を
要望
されました。 次に、
宮崎大学助教授中川義朗公述人
からは、今回の
改革
は単に
経営形態
の変更だけでなく、
情報文化
の
あり方
に直接
関係
するものであり、この
意味
から安直かつ性急な
民営化
には
十分国民
の理解を得られないとして、
国鉄再建監理委員会
のごとく、
国民
の
意見
をベースにした慎重な
改革手続
が必要であると述べられました。 その
理由
として、新
電電会社
の
経営
が適正かつ効率的に行われることが優先し、
国民
にあまねく
情報
を
提供
するという
公共性
が第二次的になっていることから、結局、
市場原理
が優先し、
過疎地域
の切り捨て、
サービス
の低下、
市内通話料金
の
地域格差
をもたらすことは必至であること。
会社法附則
による五年以内の
見直し
は新
会社
の
地域分割
への道を開くものであり、
地域分割
は
情報
の不
均等的サービス
をもたらし、
料金
の
地域格差
を招くことになり、公平な
住民サービス
を受ける権利が損なわれることから、
地域分割
の歯どめが必要であること。
電電公社
の
民営化
後は本店に
情報管理機能
が集中し、
地域住民
の
意見
が
会社運営
に十分反映しにくくなる
危険性
があること。
高度情報化社会
に向けて
国民
の
人権保障
という
立場
から、
国民
の知る権利を保障する
情報公開
及び
プライバシー保護法
の制定に早急に着手すべきこと。第一種
電気通信事業
の
許可等
については
電気通信審議会
への
諮問等
、形式的には
国民各層
の
意見
が
電気通信行政
に反映される仕組みになっているが、実質上
国民
の多様な
意見
が公正に反映されるよう
審議会
の構成、
運営等
に十分配慮すべきであること。新
会社
の
自主性
、
当事者能力
を高める
意味
からすれば
行政的統制
は可能な限り縮小するべきであり、特に新
会社
の役員の
選解任
についての
郵政大臣
の認可については極力限定すべきであること。
電気通信事業法案
には
政省令
への
委任事項
が非常に多く、こうした
法的枠組み
では、
国会
が国権の
最高機関
として十分に行政府をコントロールすることができなくなるおそれがあること。
労働基本権
については
公共性
の責務を帯びるとはいえ、
私企業
として発足する以上、憲法第二十八条に保障されている
勤労者
の権利がより一層明確になり、
労働基本権
が完全に保障されるべきであること等の
発言
がありました。 次に
東雲電気通信工業株式会社社長浮乗清公述人
からは、
電気通信
の
効率化
、
活性化
を図るため、
電電公社
を
民営化
し
電気通信事業
を
自由化
す ることは、
社会
、経済を
活性化
させ、
人間生活
をより豊かで効率的な方向へ導くものとして期待している旨の
発言
が行われた後、
電気通信
の
宅内工事業者
並びに一
利用者
としての
立場
から次のような
意見
が述べられました。
電電公社
の
民営化
に伴い、
下請業者
への
工事発注量
が削減されるのではないかと危惧されるので、現行の
外注委託量
を維持するとともに、
中小企業
への発注の
確保
を一段と強めてほしい。今日まで
電電公社
の
指導教育
を受けて従事してきた
下請作業員
については、
工事担任者試験
の
免除措置
が行われるよう配慮されたい。
工事担任者
の資格を有したとしても今後自由に
電話端末工事
の
受注施工
ができるのか
法律
上明確でないので、
工事担任者資格
を有する業者を新
電電会社
の
登録業者
として認定してほしい。来年四月一日より本電話機の開放が行われるが、
利用者
の
立場
から、新
電電会社
の
保守責任
の範囲を明確にするとともに、
利用者
が新
電電会社
以外から
端末機器
を購入して取りつけた場合で、
当該会社
が倒産したときには、新
電電会社
によってその保守ができるようにしてほしい。新しい
競争体制
のもとでの
料金体系
の
あり方
が現在
電気通信審議会
で検討されていると聞くが、その具体的な認可に当たっては、
公聴会
を開催し、広く
利用者
である
国民
の声を聞き、新しい
料金体系
を確立されたいとの
意見
が述べられました。 なお、
電気通信制度改革
の成否が今後
我が国
の将来の
発展
を大きく左右するものであるとし、その推進に当たっては、既存の
中小企業等
に十分配慮するとともに、幅広く
国民各層
の
意見
を吸収するなど、
国民合意
のもとに実現されることを強く望む旨の
発言
がありました。 次に、
福岡
県
勤労者教育協会理事天野順二公述人
からは、
電電公社
の
民営化
に反対する
立場
から、次のような
意見
が述べられました。 まず、今回の
法案
は現行法の
公共
の
福祉
増進を目的とする規定が削除され、
電気通信事業
の合理的
運営
及び健全な発達によって
利用者
の利益保護を期待するとの形になっており、民営の指導原理である利潤の極限追求を
基本
とし、
公共性
を全く否定するものであるとしております。また、現行の
電電公社
の収益性から見て民間資金を
導入
する必要がないこと、行政当局も民間でなければできない
サービス
があるわけでもないことを認めていること、
電電公社
による高速コンピューターの
開発
など、民間が公的な資金や施設に依存している
現状
から見て、高度
情報通信システム
の
整備
のために民間
技術
を
導入
する特別な必要がないこと等を挙げ、
民営化
する根拠は全くないと強調されました。 また、今後高度
情報通信システム
を
整備
していく必要性は否定しないが、
利用
度の低い家庭にまで光ファイバー網を広げるとすれば、
利潤追求
を目指す民営
企業
では
導入
不可能な高負担となり、高度
情報通信
が一般
国民
にまでその恩恵が及ぶとは到底考えられないとの
見解
を述べました。 さらに、
競争原理
の
導入
によって
料金
値下げ等の効果があると喧伝されているが、
特定地域
、特定
企業
に
料金
値下げのメリットが及ぶのみで、一般家庭においては
料金
引き下げの効果が期待できないばかりか、これらの
地域
からの収入が減ることによって新
電電会社
の
経営
が悪化し、ひいては
料金値上げ
としてはね返ることが予想されるとしております。このほか、プライバシー侵害の
危険性
、外国
企業
の
参入
がもたらす
通信主権
の侵害、
電気通信分野
における軍事
利用
の促進等を含め多方面にわたる論議を行い、伝えられるような第百二回
国会
冒頭
成立
ということではなく、一層徹底した慎重な
審議
の必要が強調されました。 次いで、
地域経済
と
中小企業
の
振興
策として、
東京
、
大阪
の大都市と
九州地方
及び大
企業
と
中小企業
における
情報格差
を縮小するため市場
情報
や製品
ニーズ
の相互交流等公的データベースの充実等が
要望
されました。
最後
に、北
九州
テレックス協会事務
局長
桑畑実男
公述人
からは、
電電改革
法案
に賛成の
立場
から
意見
が述べられました。 まず、
事業
の
公共性
は官業、民業を問わずすべての産業や
企業
に求められているものであり、官業でなければ
公共性
が保てないとするのは誤りであるとして、特に
公共性
が強い電力
事業
を例にとりながら民間
事業
でも何ら支障なく遂行されており、結局はその
事業
の目的とモラル、そしてその職務を全うしようとする職員の熱意、意欲の問題であり、
電気通信事業
における
公共性
は
民営化
されても十分に
確保
できる旨の
発言
がありました。 また、今日の世界的な
電気通信事業
の変貌と二十一世紀に向けた
高度情報社会
への展望から考えた場合、
電電公社
を
民営化
し、自由な
経営
と責任ある体制の確立を図ることによって、より安く、全国均一で、手軽で便利な
サービス
の
提供
が期待できるものと確信していると述べられました。 次に、現行公社制度下においても
生産性
の向上や
合理化
努力がかなり行われてきているものの、予算統制を初めとする各種制約によって、これにも限度があり、いわゆる親方日の丸と言われる発想と行動様式の
改革
は不可能であるとして、公社制度を
民営化
することが唯一の解決方法であるとしております。 さらに、
生産性
の向上とその成果の三者配分はいかなる
社会
体制のもとでも不可欠な原則であるが、現行制度では
生産性
の向上が労働条件の改善につながらないことから、
経営
の安定性を欠くおそれがあるとして、これが実行可能な
経営形態
に改めるべきであると強調されました。このほか、行政的制約を
必要最小限
度にとどめること、
電電改革
が利権絡みとならないこと、新発足までの準備期間を一日でも多く
確保
するため
早期成立
を図ること等が
要望
されました。 以上の
意見
が述べられました後、
派遣委員
から各
公述人
に対し
質疑応答
が行われ、さらに次のような補足的
意見
が陳述されました。 園田
公述人
からは、
電電公社
の
経営形態
の変更に当たっては、
基本
的には
電電公社
が
国民
の
共有財産
である観点から、加入者と政府の出資による混合出資法人が望ましいこと。新
電電会社
の
株式
売却益
については、現在五兆六千億円に上る電信電話債券の償還に充て、新
会社
が身軽になって新たな出発を図る必要があること。
電電公社
の
民営化
に当たっては、米国におけるATTの
分割
に際し
労働者
が削減されていることにかんがみ、
公社職員
を初め関連下請
企業
の
労働者
に雇用不安を惹起させないよう十分配慮する必要があること。 森本
公述人
からは、国鉄や道路公団のような公的機関が第一種
電気通信事業
に
新規参入
することは民間活力を
導入
するという
法案
の趣旨から見ても問題があるとして、これらの公的機関は
電気通信
施設の敷設にとどめ、その
運営
は民間に行わせる必要があること。今後の
電気通信
の
振興
を図るためには基礎的、先端的
研究開発
、
地方
における
情報
システムの
高度化
等多額の資金が必要なことから、
株式
売却益
の二分の一程度をこうした
振興
に充当することが至当であること。
電気通信
の研究機関が首都圏に集中するなど
情報通信
が中央志向型になっているので、これを是正する
意味
からも
九州地方
への研究機関の設置につき特段の配慮を願いたいこと。 中川
公述人
からは、全国にあまねく平等に
電気通信
サービス
を
提供
するという
基本
的精神に立って、
国会
、
国民
、
地域住民
が監視していく以外にその
公共性
を維持していくのは困難であり、この
意味
からも
公共
の
福祉
の増進を法文上明確にする必要があることを強調されたこと。
電気通信
料金
の決定に当たっては、
国民
の声を十分反映できるよう、
電気通信審議会
委員
に学識経験者や
利用者
を加えるとともに
地方公聴会
を開催することが必要であること。テレトピア構想の推進に当たっては、
九州
に一
地域
を指定するのみではなく、
地方
の時代にふさわしいよう、こうした
サービス
を
九州
全域に浸透することが望まれること。 浮乗
公述人
からは、昭和五十二、三年を境に工事量が減少してきているのに
民営化
によってさらに発注量が減少すれば、下請
中小企業
者は二重苦を背負うことになるので特段の配慮が望まれること。
工事担任者
の資格
試験
については、これまで の
電電公社
の監督のもとに実施してきた
下請業者
の実績を評価し、経験者に
試験
免除を強く
要望
されたこと。 天野
公述人
からは、現在
電電公社
の全国ネットワークが、核戦争に巻き込まれる
危険性
がある在日米軍基地の
通信
網の基幹部分になっており、さらに
民営化
によって野放しになるおそれがあること。
中小企業
者にとって市場
情報
、
技術
情報
等のデータベースを初め
情報
の普及システム、施設の
導入
が困難であることから、公的な誘導によって
中小企業
の
振興
を図る必要があるとしていること。 桑畑
公述人
からは、新
電電会社
の
株式
の
売却益
については、国の
赤字
国債の償還にとどめず、
電気通信事業
の基盤
整備
や基礎的
研究開発
など計画的に使用されること等でありました。 次に、
大阪
市における
地方公聴会
は、十一月十六日午前九時三十分から
大阪
商工会議所で開かれ、六名の
公述人
から一人十分程度、忌憚のない
意見
が述べられました後、
派遣委員
から質疑が行われ、滞りなく議事を終了いたしました。 以下、各
公述人
の
意見
の
概要
について申し上げます。 まず、日本労働組合総評議会
大阪
地方
評議会議長岡本知明
公述人
からは、今回の
電電公社
の
民営化
を含む
電気通信
秩序の
改革
については、現段階では反対であり、参議院での
審議
を通じて次の点について
法案
の修正、不明確な部分の解明を期待したいとしております。 すなわち、
電気通信
が
利用者国民
は深く浸透していることから、合理的な
料金
であまねく公平に
提供
され、
公共
の
福祉
を増進させるものでなければならないとする
公共性
の重視を要請する。
電電公社
を
民営化
しながら労調法の附則を改正して新たに争議行為を規制することは全く理解できないので撤廃すべきである。労働組合法の適用を受けている特殊法人に対して政府が労働条件の決定に介入する例が見られるので、新
電電会社
佐については政府による労働条件への不介入を明確にし、さらに
労働者
の
意見
を
経営
に積極的に取り入れていく労使
関係
や
経営
上のシステムを確立することが望まれる。今回の
改革
は
電電公社
の下請など周辺
労働者
の雇用と労働条件にも相当の変革をもたらすので、
関係
省庁はもとより
電電公社
において慎重な配慮を
要望
する。
電気通信
の大規模
利用者
が効率的な先進
技術
で低廉なシステムを選択できる一方、代替性のない小規模
利用者
にとって市内電話料の
値上げ
や
地域
間における
サービス
格差の発生が危惧されること、現在なお
社会
的
役割
を持つ電報が
赤字
ゆえに安楽死させられるおそれがあること等の疑問について
国会
は責任ある解決策を講じてもらいたい。新
電電会社
の
株式処分
益の使途については国の財政
赤字
の補てんに使用するべきではなく、現在五兆六千億円に上る電信電話債券の債務償還を最優先として使用するとともに、
株式
の処分をめぐって利権が絡むことのないよう
要望
する。新
電電会社
を
地方
分権的で民主的な
事業
運営
に切りかえるほか、
地方
自治体等の
意見
を十分聞き、市民的、
社会
的に必要な
電気通信
の
開発
に力を注ぐべきである。
情報通信
の首都圏集中型をこれ以上増大させないよう配慮するとともに、関西
地域
にソフト
関係
を中心とした
電気通信
研究所の設立が望まれる。
電電公社
を初め
情報通信
に携わる
事業
体は、
我が国
の
通信主権
を共同して
確保
し、広く
国民
のための
情報通信
を確立し、
利用者
保護が優先される公益
事業
本来の目的が達成されるよう切望する等の
発言
がありました。 次に、住友電気工業
株式
会社
社長川上哲郎
公述人
からは、
電電改革
三
法案
の
早期成立
が
要望
されました。その
理由
として、現行の
電電公社
によって
国民
の念願であった全国自動ダイヤル化や電話の積滞解消を達成されたことを高く評価するが、今日
我が国
は工業化
社会
から
高度情報社会
へ向けて大きな時代の転換期を迎えており、こうした中で今後
電気通信
がその基盤的
役割
を担って
国民
へのきめ細かな
サービス
を求められている
現状
にかんがみ、今回の
改革
はまさに時宜にかなったものである。 次に、
新規参入
の
あり方
としては民間主導が望ましいこと。また、新
電電会社
の
株式
の
売却益等
の使途については、国の財政再建の一助として一般会計に充てるだけでなく、その一部を
電電公社
の
資産形成
の経緯にかんがみ、二十一世紀に向けての
電気通信
の
発展
のために、産官学の三者による
電気通信
の基礎的研究に使用すべき旨の
見解
が述べられた後、そのための研究所については京阪
地域
に設置されることを
要望
しておりました。 さらに、新
電電会社
の
業務範囲
については、
中小企業
への圧迫を初め
端末機器
の製造、不動産部門への投資等を慎むことを期待するとともに、政府においても適切な措置を講ずるよう
要望
する。つまり、新
電電会社
は民間では手がつけられない新
技術
を
研究開発
し、その成果を
国民
に
提供
することなど本来業務の分野で民間と公正な
競争
を展開すべきことを強調しておりました。
最後
に、
公共
投資、
社会
投資等各般にわたり首都圏に集中し、近畿圏がおくれをとっており、加えて
情報化
においても格差が生じるならば、
我が国
の経済、
社会
の健全な
発展
を損なう恐れがあるとして、
電気通信分野
の
研究開発
機関の
近畿地方
への設置、テレトピア計画のモデル都市指定を強く
要望
されました。 次に桃山学院大学
経営
学部教授後藤邦夫
公述人
からは、
電電改革
三
法案
について次の二点から疑義がある旨の
発言
がありました。 すなわち、現在
電気通信
の新
技術
に対して、明るい展望が語られていると同時に、
人間性
に対する危機を恐れる声もあるなど対立的な
見解
が存在している段階において、
国民
的な論議を尽くすべきであるのに、国家財政上の
理由
から
経営形態
の変更を性急に図るのは著しく慎重さを欠き、将来に悔いを残すおそれがある。また市場における
競争原理
は、民間活力によって
事業
の拡大、
技術
革新の
導入
を促すことは確かであるが、一つのイデオロギーに基づく過激な
改革
が短期間に行われることは、
通信
の秘密、
プライバシー保護
など個人の人権への侵害、市場経済の原理による新たな
地域
、階層間の格差の拡大、特定
企業
による
情報
支配や
情報
の誤用、
情報
分野における
安全性
の侵害などの危険があることから、
公共
システムを中心とした今日の体制から漸進的に市場的要素を注入していくという慎重な方策がとられるべきであると述べられました。 しかし、
国会審議
の実情から見て、その実現の
可能性
がないので、次の点について特段の考慮を望む旨の要請がありました。すなわち、「
通信事業
の
公共性
」、「公正にして平等な
サービス
提供
の義務」を法文上に明記すること。
通信
の秘密やプライバシー侵害に対しては厳正なる措置をとり、被害者の救済を行うこと。
我が国
の
情報
主権の侵害を招来せしめぬよう必要な措置をとるとともに公正な国際
情報
秩序の形成は努めること。米国においてATTの
地域分割
がさまざまな混乱を招いていることにかんがみ、そのような混乱を防ぎ、
地域
的な
情報
不平等を防ぐ上で新
電電会社
の
地域分割
は今後とも行わないこと。政府が保有する新
電電会社
の
株式
売却益
については国の財政
赤字
の補てんに充てず、電信電話債券の債務償還に充てること。
自由化
される
端末機器
については
安全性
、
公共性
の観点から、公正な第三者的検査体制を機能させるべきこと等が挙げられました。 次に、同志社大学教授杉江雅彦
公述人
からは、
電電改革
三
法案
に対し賛成する
立場
から
意見
が述べられました。その
理由
として、
電気通信分野
における
技術
革新は、
高度情報社会
の実現への道を開くが、
電気通信事業
の国家による独占は、これに対する制約要因の一つであり、民営
事業
による
競争
がぜひとも必要であると述べられました。 また、
法案
審議
に対する
要望
として、政府保有の新
電電会社
の
株式
の売却方法とその使途については、事前に方向を示さず、
法案
成立
後に決めることは無用の混乱を招くので、
法案
審議
の過程において何らかの形で法文に盛り込まれるよう
法案
を修正するとともに、新
電電会社
の
経営
計画の方向性を事前に示すべきことを挙げました。 そして、
株式
売却の具体策として、電話加入者 に優先割り当てを行い、加入者利益の保護を最優先とすること、
従業員
持ち株制については安定株主、
従業員
のインセンティブ等の観点から民間で広く普及しているが、新
会社
は特殊法人であり純民営ではないので加入者への割り当てに比べ優先順位は低くなること、民営
企業
の
株式
公開方法をそのままの形で適用することには問題があり、しかも公開
株式
の取得合戦を避けるためにも公開価格を若干高くしてプレミアムを抑制すべきこと等の
見解
が述べられました。また
株式
の
売却益
の使途については、すべてを一般会計の財源とするのではなく、その一部を
電気通信技術
の
開発
、
電気通信事業
の
振興
等の分野に使用するのが望ましいとしております。さらに、新
電電会社
の
経営
計画については、例えば
電報事業
における
郵政委託料
の
適正化
等
経営
の
合理化
計画を策定するほか、
民営化
後も大きな利益が期待されることから、配当を制限して内部留保に回し、新
会社
独自の基礎研究の
開発
等
研究開発
費に充当する等事前に
国会
、
利用者
に示すことが必要であるとの
意見
が述べられました。 次に、
通信
産業労働組合本部執行
委員長
草川昭
公述人
からは、
電電改革
三
法案
は
我が国
の
電気通信事業
体系を抜本的に転換する歴史的にも重要問題であり、真に
国民
的な合意が得られなければ、
成立
させるべきものではなく、第百二回
国会
冒頭
成立
の動きは非常に遺憾であると強調された後、
法案
は
国民
の
共有財産
を大
企業
に売り渡すとともに、将来にわたって大
企業
の利益追及の
事業
体に変えるものであり、いま
国民
が求めているのは
電電公社
の
民営化
ではなく、現行公社の
運営
の民主化であると確信するとの
基本
的
見解
が述べられました。 また、
国民
が期待している
電気通信
の
発展
は、
電電公社
の高度な
技術
と設備、ノーハウを活用してこそ高度、多様な
ニーズ
にこたえ得るものであり、政府も、公社ではできず、民営でなければできないという絶対的な
サービス
はないと答弁していることから明らかなように、
利用者国民
の
立場
からすれば
民営化
する
理由
は全く見当たらない旨の
意見
が述べられました。 さらに、
法案
審議
の前提として、
我が国
の主権の一部である
通信主権
を法制的に確立すること。
国民
の合意に基づく
プライバシー保護法
を制定すること。米国の核戦略に
我が国
の
電気通信
施設を組み込むこと及び軍事目的とした
通信
の
研究開発
を禁止すること。
料金法定制
を存続させるとともに
電話料金
の
遠近格差
の縮小を
理由
とした市内
電話料金
の
値上げ
は行わないこと。新
電電会社
への移行時及び移行後における要員配置計画、出向、配転、退職勧告などの計画やそれに伴う条件等について
国会
と各労働組合に明らかにすること。ストライキ権については
経営形態
にかかわらず、速やかに無条件に回復させること等実効ある具体的措置を講じるべきである旨の
要望
がありました。 さらに、
電気通信事業
は、真の
国民
参加のもとで
国民
本位に
発展
させるべきものであって、これを
私企業
にゆだねるべきものではなく、一層公的な
事業
体として、公的コントロールのもとに置かれるべきである旨の
意見
が述べられました。
最後
に、
大阪
地方
同盟副会長森蔭八郎
公述人
からは、行政
改革
と
高度情報社会
の実現という二本の柱を踏まえ、
電電改革
三
法案
について
基本
的に賛成する
立場
から
意見
が述べられました。その
理由
として、現行の公社制度には多くの規制があるため、今後到来する
高度情報社会
に十分即応できないこと。しかも、「
競争
のないところに進歩
発展
はない」という原則に沿って、
競争原理
を
導入
することは時宜にかなっており、また
電電
労使双方が新時代に適応し、
国民
の
ニーズ
にこたえられるようにするためには、
電電公社
を
民営化
し
経営
の
自主性
を与えるほか、
経営
に対する制約を可能な限り取り払うことが絶対必要である。この
意味
において
電電改革
三
法案
の
基本
的方向は妥当なものである旨の
発言
がありました。 また、
法案
の
問題点
として、まず新
電電会社
の
労働者
に対し、労働
関係
調整法の本則を適用するほか、新たに附則を改正して必要以上のスト規制を行っているが、
衆議院
段階での
法案
修正によって、三年後の
見直し
に際してはこの特例措置を廃止する方向で検討することになっているものの、
基本
的には
労働基本権
を付与する方向で対処されたい旨の
要望
がありました。次に、今後における
我が国
の産業、経済、
社会
等の
発展
に影響を与える
電気通信
の果たす
役割
が増大するとともに、
電気通信分野
の
国際競争
も激化する方向にあることにかんがみ、政府が保有する新
電電会社
の
株式
の
売却益
については、
電気通信
の基礎、先端
技術
の
研究開発
、
電気通信
の
安全性
、
信頼性
の
確保
、
情報通信
生涯教育の充実、
地域格差
の是正等にその資金を充当することによって、加入者はもちろん、
国民
全般に配分されるよう要請されました。 なお、
電電改革
三
法案
は時代の要請であるとして、その
早期成立
を期待している旨の
発言
がありました。 以上の
意見
が述べられました後、
派遣委員
から各
公述人
に対し
質疑応答
が行われ、さらに次のような補足的
意見
が陳述されました。 岡本
公述人
からは、民間では現在減量
経営
の名のもとに
労働者
の首切りがなされており、電報業務、保守業務を中心とした
電電公社
職員を初めとする周辺下請
労働者
においても
民営化
による雇用不安を危惧していることから、これらの
労働者
の雇用保障が望まれること。新
電電会社
の
株式
売却については、持ち株制限を行い、より多くの
国民
に新
電電会社
の株を
資産
株として持たせるほか、
地方
自治体にも株を割り当て、新
会社
の
経営
に参画させ得るような施策が必要であること。
株式
の
売却益
の使途については、今後の新
会社
の
経営
基盤を安定させる
意味
からも、電信電話債券の債務償還に充てることを特に強調されたこと。 川上
公述人
からは、
公共性
の意義は時代とともに変わり、今後は良質な
サービス
を低廉かつ公平に
国民
に
提供
することであり、
経営形態
いかんの問題ではない。また、
競争原理
が働いた方がこれに十分に対応できることは経験上からも言えるとしていること。
電電公社
の
研究開発
費は、IBMの五分の一、ATTの四分の一の規模にすぎないことから、今後は従来以上に力を注ぐことが必要であり、そのため産官学による研究所を
近畿地方
に誘致されたいこと。より多くの
国民
が新
電電会社
の株を
資産
株として持つことは、新
会社
への監視の目が届くことになり、
国民
からも歓迎されることが期待できるとしていること。 後藤
公述人
からは、
電電公社
が
民営化
されても当分は新
電電会社
の巨大性が続くので
公共性
はある程度
確保
されようが、将来的には
新規参入
が本格化した以後、
電気通信
サービス
の
地域格差
、所得格差が発生する
可能性
があることから、
法案
に
公共性
条項を明記する必要があること。原子力については原子力
基本
法、原子力
委員
会設置法等による原子力
開発
利用
の三原則のもとに電力
会社
等が
利用
していることにかんがみ、
電気通信
においても同様な措置が望まれること。電報は現在なお
社会
的
通信手段
として機能を果たしており、今後も継続、
発展
させる
意味
からも電報を新
会社
の責務に位置づけることが必要であること。 杉江
公述人
からは、加入者への
株式
割り当てについては、現在
電話料金
の請求が遅滞なく行われており、また民営
企業
でも増資の払い込みが全国の銀行等を通じて行われていることから、その事務処理はさほど大変ではないとしていること。現在、民営
企業
で一般的に行われている
株式
公開方法では、政府、新
会社
がその
株式
配分に参画できないので、新
会社
の性格から別の方法によることが望ましく、その場合は直接加入者に優先的に割り当てられることが必要であると特に強調されたこと。
株式
の
売却益
を電信電話債券の債務償還に充てることは、新
電電会社
の高収益性から見て、その必要性はなく、今後の収益から償還するのが望ましいこと。 草川
公述人
からは、
通信主権
については国際
電気通信
条約で各国に
通信主権
があることを明確に定めていることから、各国の
通信主権
が互恵平等に尊重されるよう
我が国
の
通信主権
を法制的に確立することを特に強調されたこと。民営は利潤追 求が
基本
原理であり、
電気通信
のように高度の
公共性
を持つ
事業
は
公共
の
福祉
の増進を目的とする
公共
企業
体の方が望ましいとしていること。現行の公企体の制度下では職員の雇用は
確保
されているが、
民営化
になれば減量
経営
のもとに人減らしが行われることが予想され、職員の中に雇用不安があること。 森蔭
公述人
からは、新
電電会社
のスト規制に対する三年後の
見直し
に際し、撤廃させることを明確にすることが望ましいが、必ずしもそれに固執しないこと等でありました。 なお、
逓信関係業務
の
実情調査
については、
九州地方
では
九州
電力中央給電指令所、博多郵便局を、また
近畿地方
では
大阪
福島電話局をそれぞれ視察しました。 以上でございます。
松前達郎
3
○
委員長
(
松前達郎
君) これをもちまして
派遣委員
の
報告
は終了いたしました。 速記をとめてください。 〔速記中止〕
松前達郎
4
○
委員長
(
松前達郎
君) 速記を起こしてください。 これより
日本電信電話株式会社法案
、
電気通信事業法案
並びに
日本電信電話株式会社法
及び
電気通信事業法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
、以上三案について
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
を願います。
片山甚市
5
○
片山甚市君
私は、去る百一特別
国会
で継続となりました三
法案
の
審議
を本通常
国会
で再開するに当たりまして、着任早々である大臣並びに
電電公社
総裁に所信を承りたいと存じております。 報道によると大臣は、就任後いろいろな機会に三
法案
早期成立
を強く期待する旨の
発言
をされていますが、多忙なことであるかもわかりませんが、今日までの
審議
過程で示されているさまざまな
問題点
や具体的な提案に対して極めて消極的だという感じを受けます。聞く耳を持たないような印象を受けるんですが、今後我々の
質疑
に対してどのような態度をとられるのか、大臣の決意を聞きたいと思います。
左藤恵
6
○国務大臣(
左藤
恵君) お話しのとおり、三
法案
につきましてはさきの第百一
国会
におきまして
成立
するに至らず、継続
審議
になったわけでございます。この三
法案
は、
日本電信電話公
社の
民営化
あるいは
競争原理
の
導入
というようなことを目的といたしまして、これによって
電気通信事業
の
効率化
、
活性化
を図る、これからの
高度情報社会
の基礎を築いていこう、こういうことで、そういった
意味
におきまして、我々だけでなくて各界からその
早期成立
が切望されておるところでございます。今御指摘のようないろんな点につきまして、我々はこの参議院におきます御
審議
におきましても、先生方の御
意見
というものを十分お伺いをいたしまして、そしてこの新しい
電気通信
体制
の実施に向けてそうしたことが可能になりますように速やかな御
審議
、そしてこの
法案
の
成立
をお願いいたしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
片山甚市
7
○
片山甚市君
総裁にお聞きしますが、第百一
国会
の閉会後、業界誌の記事などによれば、総裁はインタビューにおいて、継続審査とはなったが新
電電
四月発足に何の影響もないとか、今まではお客様を意識していなかったが、これからはあなた——記者に対してもお客様だから態度は変えますよなどと
発言
しておりますが、総裁の気持ちがよく見えてそれなりの
意味
があるが、極めて問題
発言
だと考えます。 総裁は、本
委員
会の
審議
で具体的に示される新しい提案に対してどのようにこたえていくつもりか。今後の
審議
日程をどのように推しはかって四月発足を楽観視されたのか。特に
電電
三法が
成立
することによって、きのうの
利用者
はきょうはお客様というように態度を変えられるというのはどういうことですか。公社の
サービス
というものは、公社
経営
のトップが口にする以上、現場で顧客を相手にしておる人たちにとって大変気になることであります。総裁みずからがその
責任
を明らかにしてもらいたい。特に世田谷局ケーブル火災事故の問題もあって、それは後で触れることにしますが、公社であったからああいうことになったのか、公社でなければああいうことにならないのかということについてお聞きしたい。新しい
事業
体の
経営
責任
をだれが引き受けようと、当面の最高
責任
者であるところの真藤総裁、この夏、山の中で頭を冷やされた結果、今までの
利用者
を、
法案
が通ればお客様にするんですか。私はこのようなことについて、雑誌の上で聞くんですから、きょうは明確に真藤総裁の考え方を開陳してもらいたい。 以上です。
真藤恒
8
○
説明員
(真藤恒君) お答え申し上げます。
国会
の私どものこの
法案
についての御
審議
の
あり方
ということに対しては、こういう異例なスケジュールを今日
国会
でつくってまで私どもの
法案
を御
審議
を進めていただきつつある。特に
国会
の休会中にもかかわらず
地方公聴会
を開催していただく等、異例なことをやっていただいておるということに対して、深く感謝いたしております。したがいまして、この
法案
は
国会
において特別慎重な御
審議
をなさりながら事を進めていただけるというふうに受けとめている次第でございます。 それから、第二の御質問のお客様という言葉についての御質問でございますが、私は
電電
に参りましてすぐお客様という言葉を使いました。それまで
電電
にはお客様という言葉は、あらゆる書類にも言葉の上にもございませんでした。加入者という言葉で統一されておりました。就任以来二、三カ月たってすぐそれに気がつきまして、そのときからお客様という言葉を意識的に会議なり書類なりに入れるようにいたしたことははっきり申し上げます。 それからもう一つの、この間の世田谷の災害についてでございますが、この間
衆議院
の
逓信委員会
でも申し述べましたし、参議院の理事懇談会でも申し述べましたけれども、ああいう洞道の構造というものの性質上、また洞道の中のいろんな作業の
技術
的な
あり方
ということから、洞道の中で火気を使うということは必要でございまして、洞道の中の作業で火気を使うということをやめることは現在の
技術
レベルではできません。したがいまして、洞道の中では火災が起こる
可能性
があるということは、はっきり私ども
責任
者の
立場
にある者としては、意識して洞道の設計なり洞道の
保守
なりそういうものをやるべきでございまして、万一火災というものが起こりましてもできるだけ限定された
範囲
内の被害にとどめ得る、それも洞道の中に人を入れて消火作業をやるというような危険なことをやらせずに、限定された
範囲
内の被害で食いとめることができるような
技術
的配慮、設備というものがあるべきであるというふうに私は
技術
者の常識として考えておりますが、それが完全に丸焼けになってしまった結果といたしまして、その点を深く残念に思い、また当事者の
責任
者として深くおわびを申し上げた次第でございます。したがいまして、今後早急にその対策を実施いたしますということを申し述べましたが、この機会をおかり申しまして同じことをまた繰り返しておきたいと思います。
片山甚市
9
○
片山甚市君
世田谷の問題は改めてお聞きしますと言ってありますから、また今のは冒頭のごあいさつと思って聞いておきます。
利用者
が、
法案
が通ればお客様になるんだという言い方をしておるから、そういう手のひらを返すようなことはあり得ないんじゃないか、あなた個人は別です。そう言ったんですが、答えられないで間違ったことを言っています。それ以上聞きません。時間がないんです。 大臣、そこで質問の
観点
を変えまして重要なことから入っていきたい。時間が十分あると思ったら、なかなかなさそうな感じがするので、質問の要点を変更して聞きますからお答え願いたい。大臣がお答えできなければ
局長
でよろしゅうございますから。わからぬのにわかったような顔をせずに答えてもらいたい。
事業法
及び
会社法
の目的と
責務
についてでありますが、今日までの
質疑
、討議によって、
公共性
の
確保
は法改正の規範であり、公衆法並びに公社法の目的が正しく継続される当然の原則であることが明らかにされておるのですが、そのとおりですか。
澤田茂生
10
○
政府委員
(澤田茂生君) 新しい
法律
におきましても、
公共
の
福祉
の
増進
、それから
国民
の
利便
の
確保
ということは非常に重要なことであるということで、そういう認識のもとに
法案
を策定いたしております。
片山甚市
11
○
片山甚市君
そういう
立場
から、目的及び
責務
について、私たちとしては従来から
公共
の
福祉
の
増進
と
国民
の
利便
の
確保
の問題、
会社
においてはいろいろ都合があるけれども、あまねく公平な
サービス
を
提供
するような姿勢をもって新
電電
は日本の
国民
の電話を守ってもらう、こういうことを申し上げておるのですが、その趣旨は御理解がいただけますか、大臣にお答え願いたい。
左藤恵
12
○国務大臣(
左藤
恵君) お話しのとおり、
基本
的な最も大切なことである、このように考えております。
片山甚市
13
○
片山甚市君
電話は高度
情報化
時代に入っても多様な
情報通信
手段の基盤であると思います。ミニマムだと思います。最低基準として電話が必要でなきゃならぬと思っておるのですが、そこでしたがって公平性は当然担保されなきゃならぬ。電話の場合は特に
公共性
の
立場
からいったら公平なものが担保されなきゃならぬと思いますが、いかがですか。
澤田茂生
14
○
政府委員
(澤田茂生君) あまねく公平にというような条件で、
国民生活
に不可欠な電話の
サービス
というものは
提供
されなければならないし、現在の御提出を申し上げております
法案
の中でも、「適切な条件で」というようなこと、あるいは「あまねく日本全国における安定的な供給の
確保
に寄与する」というようなことを明定をいたしておるところでございますし、なお
電気通信事業法
の七条の中におきましても
利用
の公平とかいうことについて規定をいたしておりまして、両
法案
を通じましてそういう趣旨は十分明定をしているつもりでございます。
片山甚市
15
○
片山甚市君
それでは、
会社法
の中にありますところの
電報事業
ですが、新
電電
及び国際
電電
の役務として、附則に「当分の間」となっておりますが、「この
事業法
の附則第五条に言う「当分の間」ということは、新たに
法律
でこの仕事をやめるということに修正しない限り存続するものとして理解をしてよろしいか。といいますのは、
電電公社
の方がもうちょっとしんどいから取りやめたいという、
経営
者の能力、考えでやめることができないものであるというように理解してよろしゅうございますか。
澤田茂生
16
○
政府委員
(澤田茂生君) 先生御指摘のとおりでございまして、現在
電電公社
あるいは国際
電電
に独占を保証しようという形になっている限りにおきましては、何らかの法的
措置
というものを講じなければ、そういうものをやめるというわけにはまいらないだろうと思います。
片山甚市
17
○
片山甚市君
総裁にお伺いしますが、今の
政府
の答弁は
電電公社
として今
法案
を
審議
する途中で、当然
電報
が
電電
の新しい仕事として含まれる、国際
電電
の場合はまた国際
電電
に含まれるという理解をしてよろしゅうございますか。
真藤恒
18
○
説明員
(真藤恒君)
電報
につきましては、今までの
衆議院
、参議院の
逓信委員会
で、御質問の際、お答えした覚えがございますが、
政府
からなり何からなり国の方からの何かの御指示がない限り、これは私どもが勝手にやめるというふうなことは考えておりません。
片山甚市
19
○
片山甚市君
そこで、附帯業務についてですが、この
関係
することは省政令のことについてお聞きをするときに具体的にもっと話すんですが、
衆議院
から修正され、送付された内容については当然のこととして、国際
電電
にも
関係
する部分があります。同様の修正をされることと思いますが、国際
電電
の場合、いつどういう手続で対処をされるんですか。
澤田茂生
20
○
政府委員
(澤田茂生君)
衆議院
におきます
電電改革
三
法案
の修正の
経緯
にかんがみまして、KDD法についても今通常
国会
におきまして所要の
措置
が講ぜられるよう、現在鋭意検討をいたしているところでございます。
片山甚市
21
○
片山甚市君
それでは、必要な事項は省令で定めることになっておるんでありますが、
公正競争
を前提としつつも、新
事業
体の
自主性
を損うものであってはならないと、小山
局長
が
法案
審議
のときに言われておるんですが、法修正の趣旨からいっても事前は審査をすることではない、業務を開始するときは遅滞なく
報告
か届け出があったらよろしいとの
発言
がありました。それを再確認しておきたいのですが、どうでしょうか。このことは今日まで
郵政省
の許
認可
の姿勢が
事業
者に対して全く配慮に欠けて、意図的に、これでもかこれでもかということでなかなか許可をしないということがありましたから
心配
するんでありますが、こういう
国会
では約束したけれども、いざやるようになったら、だれもうんもすんも言わないということにならないでしょうか。はっきり答えていただけますか。
澤田茂生
22
○
政府委員
(澤田茂生君) 附帯業務に関する省令につきましては、修正の御趣旨に沿って策定をしていくということでございます。その趣旨と申しますところが、収支相償うというのが一つの大きな原則でございまして、そういう当該業務に係る収支というものを明確にした上で収支相償うということがわかるようなこと、そういうことのために届け出を私どもはいただきたいということでございまして、これは事前のチェックをするというものではございません。
片山甚市
23
○
片山甚市君
このことについては、また別途
郵政省
に対して質問をし、詰めていきたいと思いますから、一応の御答弁をいただいたことにして残します。 そこで、次に労調法の附則のことでございますけれども、第四条です。 中曽根総理大臣は、本会議の趣旨説明の際に、本
措置
は三年後に廃止を含め見直すと答弁されたのでありますが、本音がよくわからないのであります。労使の
自主性
の尊重を言うのならば、また、国際
電電
を初め他の第一種
事業
とのバランスからしても、明確に三年後廃止を言うべきではないでしょうか。所管大臣としてこの、
法律案
は廃止される方向は持っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
左藤恵
24
○国務大臣(
左藤
恵君)
衆議院
で御修正をいただきました点、今の御指摘のとおり、「三年後に、その
施行
後の諸事情の変化を勘案して、同条の規定について
見直し
を行うものとする。」と、こういうふうな御修正をいただいております。このことにつきましては、我々は、今お話がございましたように、廃止されるような方向で処理されることを願望いたしております。
片山甚市
25
○
片山甚市君
大臣、
電電公社
は、
株式
会社
として曲がりなりにでも
経営
の自主権を回復する、
当事者能力
を持つ。相方になる労働組合にもそれ相応のきちんとしたものが必要だと思いますし、願望ということじゃなくて、期待してよろしゅうございますか。
左藤恵
26
○国務大臣(
左藤
恵君) お話しのとおり、三年間は良好な労使
関係
を続けることによってそうしたことを我々は期待いたしております。強く期待しておる、このように御理解いただきたいと思います。
片山甚市
27
○
片山甚市君
これは有権解釈をする
法律
をつくる側から言いますと労働省でありますから、日を改めて労働大臣、総理大臣にお聞きをし、我々としては、
経営
者に
当事者能力
を与える以上は、
労働者
の
当事者能力
であるところの
労働基本権
がきちんと
確保
されなきゃならぬ、こういう
立場
で、この
案件
についても次の
委員
会の日にさらに同僚議員も含めて質問をいたしますから、準備をしていただきたい。 そこで、専用線の再販
事業
についての問題であります。すなわち、第二種
事業
者によるところの電話
事業
の単純再販について
衆議院
でも議論されましたけれども、現行
料金体系
のもとでは新
電電
の
経営
を圧迫することは必至であると思われるの で、したがって、契約約款によって単純再販を禁止することについては、
郵政省
は認める用意があるのか。このことは国際
電電
も同様だと言われておりますが、その手続、方法はどういうようにやられますか。
澤田茂生
28
○
政府委員
(澤田茂生君) 現行の専用線の
料金体系
のもとでは、第二種
電気通信事業
者による専用線の単純再販というものが新
会社
の
経営
に大きな支障を及ぼすというような場合も考えられるわけでありまして、そういう場合には単純再販を禁ずる約款にございます。こういったものについても
郵政省
といたしましては
認可
をするという考えを持っておるということを申し上げておきます。
片山甚市
29
○
片山甚市君
特に、これは
クリームスキミング
の問題があって、もうかるところの電話
回線
だけが、
地域
だけが食い荒らされたならば他の
地域
における
サービス
に影響を及ぼすという、日本国中のあまねく公平の
立場
からやるのでありまして、第二種の人たちをいじめるとか、それを追い込むとかいうつもりはない。
公正競争
をやるんですが、不公正な
競争
にならないように、特に行政当局としては今後注意をしてもらいたい。これは
要望
しておきます。 そこで、
電気通信
関係
の
情報通信
産業
についての
事業
ですが、
政府
は毎年一回
情報通信
概況を
国会
に提出すべきではないかということで聞いております。それは第一種
業者
も含めて概況
報告
を
政府
は
責任
を持って
国会
に出されること。特殊法人、特殊
会社
としての予算
責任
上のものを出すのはこれは別。これは、ょその特殊法人と同じ横並びであって、特別のものはない。日本航空
会社
みたいなものを出すのは新しい
電電
でも同じだけれども、それ以外に日本の
通信事業
はどういうことかという中に、新
電電
の姿をょその第二
電電
の方も全部出るような計画をされることが、
政府
が三分の一以上の株を持っている
立場
で、我々
国会
が判断する資料になると思うんですが、そういう準備はされますか。
澤田茂生
30
○
政府委員
(澤田茂生君) 先生おっしゃいました新
会社
につきましては、財政法による書類を提出する、これは当然でございます。
衆議院
の
附帯決議
におきましても、そういう御要求がなされているところでございまして、私どもといたしましては先生お話しのとおり、そういう資料についての提出をいたしたいと考えておるところでございます。
片山甚市
31
○
片山甚市君
もう一度私から念を押します。
電気通信事業
について
高度情報化社会
という場合にインフラストラクチャーになることは
公聴会
でも明らかになりました。そういう
意味
で
公共性
が非常に高いということですから、最小限度の公的コントロールとして
国会
から
情報通信
事業
の
概要
について
報告
を求められれば、先ほど申しましたように、いわゆる他の第一種
業者
も含めた
通信事業
については非常に困難なこともあるかもわかりませんし、法的命令権はございませんから難しいところでありますが、しかし許可をした以上、第一種
事業
者として、それはどうなっているかということについてきちんと
報告
されることが前提である、新
電電
だけ
報告
せよと、ほかは知らぬぞということにならぬようにされますか。それは
法律
上じゃなくて、
政府
の行政指導上の態度、
法律
を
制定
するに当たってお聞きをする。ぜひともそうしてもらいたいということであります。
澤田茂生
32
○
政府委員
(澤田茂生君) できるだけ御趣旨は沿うようなものとして
報告
をいたしたいと思います。
片山甚市
33
○
片山甚市君
できるだけということはできないこともあるということですか。
澤田茂生
34
○
政府委員
(澤田茂生君) 先生もお触れになられましたように、
法律
上即
報告
をとるという形にならないものもあろうかと思いますので、御趣旨のような
情報通信
概況というようなものができるだけおわかりいただけるようなものとして私どもも努力をいたして提出をいたしたい、こういう趣旨でございます。
片山甚市
35
○
片山甚市君
第二
電電
を
育成
しなければならないとか、
技術
的な付与、基礎研究しなければならぬとかということを言う以上は、今の場合日本電信電話
株式
会社
ができましたら——それはわかっておるんですが、全体の中でどのような状態かということが比較考量されなければならぬと思う。だから、できるだけじゃなくて、それは必要な資料でありまして、
国会
が求めることであります。判断資料です。
意見
を述べるのじゃない、我々が公平な判断をする、適切な
国民
としての判断をするためには
情報
を
提供
されるべき義務がこういう計画をした
立場
からある——第一種
業者
の話ですよ。そうして第二種はどうするのか次の段階に入りますが、とにかくもう一度大臣にお聞きします。 私は、こういうものがきちんと出されて、初めて
情報公開
法の基礎になるのじゃないか。こんなものを出せない、命令権がなければできないというんじゃなくて、お互いにインフラストラクチャーとしての
社会
基盤としての
役割
を明示すべきじゃないか。大臣の答弁を求めますが、いかがでしょうか。
左藤恵
36
○国務大臣(
左藤
恵君) 御趣旨の点十分理解できますので、今の線につきましては出すということで努力をさしていただきたいと思います。 内容につきまして、例えばプライバシー問題とかいろんなことも若干また出てこようかとも思いますけれども、今の先生の御趣旨の線を崩すことなく出すという線で
報告
をさしていただくということにさしていただきたいと思います。
片山甚市
37
○
片山甚市君
次に、
事業
計画ですが、
経営
の
自主性
を最大限尊重する
立場
から、
事業
計画の
認可
の
対象
は
サービス
計画、建設計画とし、収支計画、資金計画は添付資料として提出されるようになりましたけれども、添付資料については大まかなものであるというふうに考えられますが、いかがでしょう。特に、国際
電電
もこの機会にNTTと同じように扱われるものとして理解してよろしいか。
澤田茂生
38
○
政府委員
(澤田茂生君) 先生の御
意見
のとおり、私ども処置してまいりたいと思います。
片山甚市
39
○
片山甚市君
料金
の問題についてですが、最近の報道によると、第二
電電
が電話
サービス
をやることになったようでありますが、その
料金
は新
電電
よりも安くすると公言しているようであります。したがって、常識的にも
競争
関係
にある新
電電
も、当分の間
料金
の
値上げ
はないと考えますが、どうでありましょう。 さらに、世界的な急速かつ大規模な
経済
変動などがない限り、今回の法改正を
理由
とする
料金値上げ
は当分の間ない。前
国会
では大体
電電公社
の
発言
を中心にして、遠距離を下げていく、しかし当分の間近距離を上げる用意を持っておらない旨を
発言
されておりまして、集約的に言えば五年ほどの間は格段のことが起こらなければ
料金
の
値上げ
を用意してない、こういうところについて、この百二
国会
冒頭に百一
国会
のときとは違って別のお答えをするのか、いやそのとおりです、当分の間
料金値上げ
をする用意を持たない。それで、インフレが起こった、世界的な恐慌が起こった、こういうことになれば別でありますが、しかし、今のような状態が続く限り、
経営
の
理由
をもって
値上げ
をするような条件はないということ。ないために
民営化
した、
会社
化したんだと言って威張っておったでしょう。この際、もうそれは威張るのやめた、
料金
を
値上げ
することもあり得るんだというようなことになるのか、それともどうなのか、まず
局長
からお答え願って、
最後
に大臣の方で決意を述べてもらいたいと思います。
澤田茂生
40
○
政府委員
(澤田茂生君) 当分の間
料金値上げ
というものは行うべきではなかろう、また十分それに対応できるであろうと私ども考えているところでございます。ただ、
経済
の状況というものが大変大きな激変が起こった場合、こういう場合はまた新たに検討しなければならないかと思うわけでありますけれども、私どもの
料金値上げ
に対する対処の仕方というのは今申し上げたところでございます。
左藤恵
41
○国務大臣(
左藤
恵君) 今
局長
がお答え申し上げましたように、市内
料金
を含めまして
値上げ
を行 うべきでないと。今五年
程度
というふうなことがございましたけれども、そういった点で激変のない限りはそういうことで行うべきでない、そういうことで十分やっていけると私は考えております。
片山甚市
42
○
片山甚市君
非常に押しつけがましいんですが、
電電公社
の場合、総裁の
立場
として、
国会
で押しつけられるという形でなくて、今までの
発言
からいっておおむね四、五年と言われることになっておるんですが、いかがでしょう。決意のほどを聞きたいんです。
真藤恒
43
○
説明員
(真藤恒君) 今大臣、
局長
から御答弁がありました線で私どもは
経営
を続けていくという
責任
があるというふうに考えておりまして、したがいまして、今御答弁のとおり、
経済
界の激変がない限り、当分の間
値上げ
ということは全く考えずに
経営
を続けていくつもりですべてのことを考えております。
片山甚市
44
○
片山甚市君
大臣、これは私が一方的に言ったんじゃなくて、奥田
郵政大臣
のときに内々、さきの
国会
でもし議了するようなことになればその
案件
をどうしようかという話をしたときに、大体五年ほどの間上げたくない、上げないと言っておりましたから、単なる決意じゃなくて、民営にすれば
値上げ
するじゃないかという一般的な風潮に対して、この
国会
で
電話料金
は五年ほど上げないで頑張ります、こういう決意だというようにとっておきます。今
審議
が始まったところですから、あと何日やるかわからない。その間に心変わりしたら心変わりしたと言ってよ。一事不再議ですから二遍言えないようになっておるけれども、世の中にはうそを言う人もおるから、そのときは言われてもしようがないから議論しましょう。まあ、信用しますから。 そこで、次の問題ですが、日本
政府
は労働問題を治安問題というふうに取り上げることが大好きなために、先ほど申し上げたストライキについても、日本の
国民
が困ってもいいからストライキしたらいいんだというふうなことでああいう規制法をつくってみる。十五日間労働大臣がもてあそんでみたりなどという、子供のおもちゃを取り上げて子供を困らせるようなことをする悪魔がおるんですが、そこでその最たるものとしては、労使問題について
政府
が直接介入してきたことは事実である。いや、今
公共
企業
体でありますから、昨日もそうですが、国家公務員が縮小しておるんだから全体的に年末手当も下げろというようなことで下げてきました。今度NTTは御承知のように
株式
会社
になるとすれば、明確に新
電電
は国際
電電
と同じように賃金を初めとする労働条件等については労使間の自主的交渉の決定にゆだねられるものであって、
政府
がこれからは——今までやってきています——これからは絶対に介入しないことについて明確に表明しておいてもらいたい。
郵政省
が所管でありますから、大蔵省が言うてきても知らぬふりをしていてくださいよ。泥棒みたいに人の物を懐に手を突っ込んでとるのが好きな大蔵省の言うことを聞いては困りますから。まず実質的に言えば税金を納めるのは
株式
会社
です。そこが何をしようと——むちゃくちゃしたらだめですが、そういうことで、その決意のほどを答えてもらいたい。
左藤恵
45
○国務大臣(
左藤
恵君) 今回の
電電公社
の
改革
につきまして
事業
当事者に十分な
自主性
というものを与えるということが一つの目的であるわけでありまして、私はそういった
意味
におきまして労使間の賃金その他の労働条件の自主的な決定について
政府
が介入するというつもりはございません。
片山甚市
46
○
片山甚市君
今まで介入したということは確認しておいてほしい。わかりますか。これからしないという先ほどの総裁のお答えのように、今までは
利用者
とか何とか言ったこともあるが、本当にお客様と言いたいという。割にカリスマ的、ファッショ的な真藤さんですから、おれが言うておるんだからおまえ言えというような感じもします。悪いことでないからお客様と言っているんですが。と同じように介入してきた、だが今度はしない、
法律
的
立場
から言う根拠がない。こういう
意味
も含めて確認するというより私の
意見
を述べておきますから、後で困ったら、あれは
片山
議員が言いよったけれども、おれは大臣として納得しないよと言うんならもう一度言葉を返してもらって結構です。余分なことです、これはまだ残しておきますから。 そこで、
電話料金
は
基本
的な
料金
について御承知のように
認可
制度になることになっております。そのときには
電気通信審議会
にかかることになるんですが、私たちはガスや電気と同じように
法律
で、政令で
公聴会
を必ず開いて
国民
に開かれたものにしてもらいたいと思っておるんですが、今までも手違いがありまして十分に法改正の要求をしておりません。しかし、答弁の中に御承知のように
電気通信審議会
の中に
公聴会
を必ず開くようにしたいというあれだから、それについてどこで明記していただくのか。きょう答えられなかったら、その検討のために、この
国会
が終わるまでの間、これを
成立
をさせるためには、
料金
を決めるときには
公聴会
を必ず開く、開いてガスや電気並みに御相談をしてからやる。やみの中でやらない。
審議会
はいい人が来ておるんだから大丈夫だ——いい人ですから間違ってやるんです。
国民
が入ったらいいも悪いも全部入っているんですから。そういうことで
公聴会
を開いてもらうように制度をつくってもらいたい。これはずっと言うてきたんですが、きょうは答弁としてそういうことによって工夫して最終的に
法案
を上げるときには
審議会
の中のどの項をどのようにする、別に政令をどうする、また省令をどうする、こういうことで
意見
を述べてもらいたい。まず担当者が我々とつき合ってきたんですから、担当者の方が先に——担当者というか、政策
局長
などから言うてもらって、そうして後で大臣からお答え願いたいんです。
二木實
47
○
政府委員
(二木實君) お答え申し上げます。 先生御指摘のように、
審議会
で
料金等
の審査をしていただくわけでございますが、
審議会
の決定につきまして
国民
の声が広く反映できますように
公聴会
等を開くことが有益だろうと思っております。
公聴会
を開くにつきましては
審議会
の規則の中でやるかあるいは省令の中であらかじめそういったものを設けるか検討中でございますが、
料金
の中にもいろいろ種類があるわけでございますので、
審議会
そのものが
公聴会
をこの際には開くか開かぬかという判断をしてもらうことも一法かと思っておるわけでございまして、また同時に、私どもが
料金
を諮問する際に、これについては
公聴会
を開いて
料金等
について御
審議
していただきたいという希望を申し上げることもできるかと思います。いろいろな方法がございまして、現在それにつきまして検討中でございます。
片山甚市
48
○
片山甚市君
二木さんは私の言うことを聞かなかったか、私の
大阪
弁がわかりにくかったかわかりませんが、
国民生活
に影響が大きい
基本
的な
料金
改定などに当たって
基本
的な
認可
料金
になる分ですよ。いわゆるそれは
業者
が決めるんじゃなくて、
政府
が決める分について
基本
的なという
意味
です。当然
基本
的にいえば一度数何円するかという
基本
があります。そういうふうな
基本
電話料金
のようなものを決めるときには当然四千三百万の人が
関係
するんですから、
審議会
でやるべきではない、
国会
でやらないんですから。そうでしょう。共産党の方から、これは法定を外すのはけしからぬじゃないかとおっしゃった、先ほど言いました
公聴会
の
報告
で。我々もそれはありますが、百歩譲って
企業
の
自主性
を保つためには
基本
的な
料金
については
電気通信審議会
で諮るんですから、どれがどうじゃなくて、
基本
的な
料金
については
公聴会
を開いてもらいたいと思いますが、それはできませんか。
二木實
49
○
政府委員
(二木實君) 先生御指摘のとおり、
公聴会
を開くことにいたしたいと思います。
片山甚市
50
○
片山甚市君
そこで、取締役の
選任
のことですが、新
電電
の取締役を
認可
事項とすることについて、代表取締役のみでよいではないかという私たちの
意見
に対して、
衆議院
における
審議
の中では、奥田前
郵政大臣
は再三にわたって、
委員
会全 体の意思であれば与党に伝えるという答弁をしておりますが、取締役について
認可
になるということについてなぜ固執されるのか、お伺いします。
澤田茂生
51
○
政府委員
(澤田茂生君) 新
会社
の規模といいますのが、約十兆円の総
資産
、それから四兆六千億の収益、
従業員
が三十二万人強という大変大きな
事業
でございまして、その
事業
の
公共性
というものあるいは重要性という
観点
から見ましても、取締役の
認可
というものはぜひ必要である、取締役の職責は極めて重要であるというふうに考えているわけでございます。ただ、
認可
といいますのは任命と異なりまして
事業
体の
自主性
というものを尊重するということについて大きな差があるわけでありまして、そういう点をお酌み取りいただき、御了解を賜りたいと思います。
片山甚市
52
○
片山甚市君
もう一度聞きますが、特殊
会社
である限りその
事業
が
政府
の方針に沿ったものでなけりゃならないということで、新
電電
の場合には株主権行使によってその目的が実現できると思います。したがって、取締役の
選解任
については関与は代表取締役
程度
で足りるのではないか、二重に縛りをかけなきゃならぬということについては納得できない、こういう私たちの気持ちがあるんですが、なぜ二重に縛るのでしょうか。
澤田茂生
53
○
政府委員
(澤田茂生君) 先ほどもお答え申し上げましたように、私どもが守らなければならない国の
電気通信
サービス
というものを
確保
するという
観点
からも重要な関心を持たざるを得ないわけでありまして、そういう
意味
で、
責任
を持ってその職責に当たる、役職に当たる方々につきましてはやはり私どもも十分な関心を持ってまいらなければならないということであります。二重の手間とか関与ということではなくして、他の特殊法人の類例を見ましても、むしろ一般の取締役の任命のほかに代表取締役というようなものの任命についても関与をするというようなことがあるわけでありますけれども、私どもの今回の新法におきましては取締役の任命について
認可
をするということにとどめているということでございます。
片山甚市
54
○
片山甚市君
そのことも納得できませんからまた後の
委員
会でもう一度質問をすることになると思いますが、
意見
が違うということだけ申し上げておきます。留保しておきます。 そこで、
料金
決定の原則ですが、
事業法
の
法案
の三十一条の二項には「適正な原価」とされていますが、総括原価方式はうたわれておりません。今日までの
審議
の中で総括原価方式を
政府
も認めているということでありますが、この際それは認められるのかどうか、まずお聞きします。
澤田茂生
55
○
政府委員
(澤田茂生君)
料金
決定原則につきましては
事業法
で定めているところでございますが、原価プラス適正利潤というものを前提にして
料金
というものが公正妥当なものであるかどうかについて判断していこうというのが基準であるわけでございますが、役務ごとの厳格な個別原価主義、もちろん個別の原価に基づいた
料金
というものを基準にして物事は考えなければならないのでありますけれども、総体
収入
の中で総体支出を賄えばよいという総括原価主義というものは現行
法律
の上でもとれるというふうに私どもは理解をいたしているところでございます。ただし、
競争
制限的な内部相互補助というものは、これは認めてはならないというふうに考えております。
片山甚市
56
○
片山甚市君
今お言葉がありましたが、適正利潤率というものがその中に入って総括原価主義でやられるということは理解してよろしゅうございますか。特に、日本国じゅうあまねく公平な
サービス
をする部門と今おっしゃるように
競争原理
が働くところとについては、それぞれ厳しく省政令のところであなたたちと言い合いをしますから、妥協しませんから、あなたのところと。全体的に
電電公社
の
経営
全体は総括原価方式をとられるんですね。個別の問題についてはあなたがおっしゃるようなことはありますが、全体はそうですね。
澤田茂生
57
○
政府委員
(澤田茂生君) 総体としての
収入
の中で総体支出を賄うという考え方が総括原価主義で、こういったものを現行の
法律
は否定をいたしてないということを申し上げているところでございます。
片山甚市
58
○
片山甚市君
そうすると、第一種
事業
者の役務についてお伺いしますが、第一種
事業
者の
責務
はどこまでであるか。これは電話
回線
を通じて言いますが、まず、現在の保安器から保安器までのネットワークは
基本
的な役務であり、それから先は
利用者
の選択によって端末機は買い取りでもレンタルでもよいということになりましょうか、それをお答えください。
澤田茂生
59
○
政府委員
(澤田茂生君)
サービス
の態様といたしまして、現在行われておりますような、言うならば黒電話、本電話機というような形、端末まで
提供
する
サービス
というもの、あるいは端末は各人の選択に任せるということでそこは
事業
体としては
提供
しないという、ローゼットまでというような方式、これは各
事業
体がそれぞれいずれも選択して
提供
することができるし、顧客といたしましても両方をそれぞれ選択をするということができるというのが今回の改正の大きなねらいであろうというふうに私どもは理解をいたしております。
片山甚市
60
○
片山甚市君
私が申し上げたことについて間違いがありますか。私が申し上げたことについて理解ができませんでしたか。反対ですか賛成ですか。
澤田茂生
61
○
政府委員
(澤田茂生君) 賛成でございます。
片山甚市
62
○
片山甚市君
その上に立って、端末機の売買契約については、やり方が同じであれば第一種
事業
者も第二種一般
事業
者も公平の原則に従い全く同じ取り扱いを受ける、そういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
澤田茂生
63
○
政府委員
(澤田茂生君) 端末機の売買というのは、第一種
事業
者あるいは第二種
事業
者であろうと、いずれも販売をすることはできるということでございます。
片山甚市
64
○
片山甚市君
これ以上詰めませんが、なかなか難しい市場の内容になっておるようでありますが、公正な
競争
をやるということであれば、第一種であろうと第二種であろうと、取り扱い上の特別な特権がなければ平等なものだと思う、取り扱いの契約は。そう思っていますから、またこれで終わりになるのではありませんから、もう一遍
心配
だったら私の方に質問してください。私の方はちゃんと考えておるんだから。 そこで、先ほどもお話がありましたところの
電気通信審議会
ですが、
電気通信審議会
の
責任
は今日までよりも一層重くなる、したがってその構成も、さらに幅広い
国民
諸階層から選ばれる必要があると思います。常に
電気通信事業
に対して
国民
の
意見
を反映し得るようにすべきであると思うが、特に
利用者
、消費者の代表を参加させるべきであると思いますが、今までよりもやはりメンバーも内容も変えていく必要である。我々は
国民
の代表を入れるべきだ、
事業
者の代表じゃなく、単なる学者の代表じゃなくて、消費者がたくさん入る。イギリス等を見なさい、株を売ったら二百万人ぐらい買ったという。
電電
の株も売って三百万人も買ったら株主総会も楽しくなるじゃないですか、三分か四分で終わる株主総会じゃなくて。 そういう
意味
で、
電気通信審議会
というところでは本当に
電気通信
の将来についていろんなことが語り合える、相談ができるような場所とするためには、今までのメンバーをよりかえるべきだと思う。そういうことで消費者とか一般の市民も入れるということを言ったんですが、ここで人選を言っておるのではありません。特別の人を入れてもらいたいと言っておるのではなくて、当然諸階層の人が入るようなことにしてもらって、今までのように学者が偉いんだとか
会社
の社長さんが偉いんだとか経験者が偉いんだとか、こんな話は、偉い人はょそで研究会やっておるからやってください。研究じゃないんですよ。
法案
を
審議
する、前提の
法案
をつくるときの
意見
ですから、そういう
意味
で従来と違ってかえてもらえるかどうか、そういうことについてお聞きします。
二木實
65
○
政府委員
(二木實君)
電気通信審議会
の
委員
は学識経験のある者から
郵政大臣
が任命するということになっておりますが、
審議会
の任務そのもの が、先ほども御質問ございましたような
料金
の諮問だけでございませんで、全般の
電気通信
の政策等御
審議
願うわけでございますし、さらには有線放送
関係
のCATVの
認可
等もございます。いろんな
分野
にわたりましての御
審議
を願うわけでございます。しかも、
審議会
のメンバーの数というのは、最近の行政
改革
の一環としまして非常に限られた人数になっております。そういう中で私ども精いっぱい、現在先生の御指摘のような
国民
の声を代表するメンバー構成をとっているというふうに思っておるわけでございます。しかし、これからもいろんな面につきまして御指摘の面、十分意を用いながら
審議会
のメンバーの構成については配意してまいる所存でございます。
片山甚市
66
○
片山甚市君
御答弁はいいんですが、いざ任命してみるととんでもない食わせものだったりする
可能性
がないとは言えない。今まで余り知らぬけれども、年寄りでもう時代済んでおる人が、経験がいいとか何とか大学を出ておるとかということで出てきておるような感じのする人がおります。個人名は言いませんよ、総体の話ですから。おれに言われたんじゃないかと、もし今の
電気通信審議会
の
委員
の人がおるんなら、自分はそうでないけれどもだれかそうだろうと思ってもらって結構ですよ。先ほど出たように、
電気通信
の
料金
を決めるときにはこの人が一つの柱になって政策を決めるときにはなるんでありますから、その点では特に念を押しておきます。 そこで次の問題ですが、この
会社法
ができましたならば
設立委員
ができることになっておりますが、奥田前
郵政大臣
は、だれの目にももっともだと映るわかりやすい透明度の高いものにする、設置場所については
郵政省
でも公社でもないと答弁しておりますが、具体的に
法案
がまだ通っておりませんけれども、
設立委員
についてどういうようなお考えで新大臣はお考えになるか、それが第一。 第二に、
設立委員
は、
国民
の
共有財産
を継承するにふさわしい
事業
体をつくり上げるかなめとなるものでありますから、それの任命に当たっては
国会
の意思が反映し得る各党の諸君の
意見
も出るようにすべきだと思いますが、どうでしょうか。 二つお聞きします。
澤田茂生
67
○
政府委員
(澤田茂生君)
設立委員
といいますのは特殊
会社
の設立事務という大変重要な公的な職務を遂行するわけでございますので、それにふさわしい方々を、各方面の
意見
を伺いつつ
郵政大臣
の
責任
で厳正に人選をしてまいるという所存でございます。また、設置場所等につきましても、公正なまた中立に処理できると、
国民
の目からそういうふうに映るようなふさわしい場所というものを選択をしてまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。
左藤恵
68
○国務大臣(
左藤
恵君) 今
局長
が申しましたように、私は、これからのあるべき方向を示していく大切な仕事をお願いする方々であるわけでありますので、深い経験とあるいは立派な識見をお持ちの方をそういった方々の中から、皆さん方に御理解いただけるような、そういう
設立委員
の選考に当たるべきだと、このように考えております。そういうことで、
法案
が
成立
いたしました段階において、そういった点について十分配慮して選考に当たりたいと、このように考えておるわけであります。
片山甚市
69
○
片山甚市君
大臣、任命に当たって
国会
の意思が反映できるようにしてもらいたいと申し上げたのは、これから
委員
会で各党が話をしますから、そのときにどんな話をしたかということは全部受けとめてもらって
設立委員
のいわゆる選出について大臣としての決断をしてもらいたい。大蔵大臣がどう言ったとか総務庁長官がどう言ったとかいうふうなことはどうでもいい。あんたは新任だといったって
郵政大臣
に違いないんだから。あんたが決めると書いてあるんですよ、内閣総理大臣が決めると書いてないんですから。そうすると、奥田前
郵政大臣
が言われたように透明度の高いものでちゃんとしたいと、こう言われたことについて、透明度が高ければ、そう私たち申し上げることについても、人事の問題ですから名前を言うんではありませんよ、こういうようなこういう段取りをしていきたいということで話をしておるわけで、
委員
会そのものでそんな個別の人事をやるんじゃなくて、考え方を述べておいて、それからあとは各党によく聞いてもらいたいし、それが
国民
の意思を聞くことになるんで、大臣のお考えはいかがでしょうか。
左藤恵
70
○国務大臣(
左藤
恵君) 今お話がございましたように、例えばこの
委員
会の御
審議
の中におきましてこういった人を選んでもらいたいというふうな各党の御意思というものは十分お伺いいたしまして、そしてその公正な人選というものを期していきたいと、このように考えております。
片山甚市
71
○
片山甚市君
午前中の
審議
はもう一点だけ聞いて、私午後に移ります。
監査役
についてですが、新
電電
の
監査役
については、
利用者
の代表及び当該
従業員
の組合などが推薦する者を加えてほしいという私たちの
意見
があります。
経営
が独善に陥らず
利権
に走らず、民主的
経営
を確立させるために必要であるというんですが、これについてはあなたの方が特定の人を今枠をつくるわけにいかない、こうおっしゃっておるんですけれども、我々はチェックをしていく
体制
として、やはり
利用者
の代表というのはまず入れてもらいたいですね。
従業員
から推薦する——
従業員
の組合の代表ではありませんよ、そこの当該の
従業員
などが推薦する人たちを入れてもらいたいということですが、人事にかかわることですから、考え方を大臣から述べていただき、それで終わりたいと思うんですがどうでしょう、大臣。
澤田茂生
72
○
政府委員
(澤田茂生君) 新
会社
の
監査役
というのも非常に重要な役職でございまして、幅広い
観点
から
会社
全般についての
運営
について適正な判断がなされなければならないわけでありまして、幅広く全体的な視野に立ってその職責が全うできるような方というのがふさわしいであろうというふうに思います。したがいまして、初めからこういう枠というものを決めるのはいかがかというふうに考えております。
片山甚市
73
○
片山甚市君
大臣。
左藤恵
74
○国務大臣(
左藤
恵君) 今
局長
から申しましたようなことでございますが、新
会社
の
監査役
というものが今お話しのような非常に幅の広いところから、特に今お話にございましたこの
電気通信
を
利用
するという
国民
の代表というふうな
立場
で、特にこれがだれのどの代表だとかいうふうなことはなかなか特定しにくいだろうと思いますけれども、しかしそうじゃなくて、
選任
するときの考え方としましては、
国民
の代表というような方が十分それがあらわれるような形で
選任
をするということに持っていきたいと、このように念願をいたしております。
片山甚市
75
○
片山甚市君
設立委員
と
監査役
については今御答弁を聞いただけでありまして納得できませんから、引き続き私の方の御
意見
を申し上げる機会をつくりたいと思います。どうもこれで。
松前達郎
76
○
委員長
(
松前達郎
君) 午前の
質疑
はこの
程度
にとどめ、午後一時に再開することとし、休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ─────・───── 午後一時四分開会
松前達郎
77
○
委員長
(
松前達郎
君) ただいまから
逓信委員会
を再開いたします。 休憩前に引き続き、
日本電信電話株式会社法案
、
電気通信事業法案
並びに
日本電信電話株式会社法
及び
電気通信事業法
の
施行
に伴う
関係法律
の
整備等
に関する
法律案
、以上三案を便宜一括議題とし、
質疑
を行います。
質疑
のある方は順次御
発言
を願います。
片山甚市
78
○
片山甚市君
私は、今日までの
審議
の過程、特に
衆議院
段階における
質疑
を尊重し、本
委員
会における同僚
委員
の
発言
を踏まえつつも、なお本質的な議論を深めておかなければ、百年余りの
我が国
の
電気通信事業
が将来、政治、
経済
、
文化
、社 会、各般にわたる影響を与えるだけに、禍根を残すことになると思い、質問をしたいと思います。そういう
立場
から、去る七月二十五日、参議院本会議における私の質問に対して、中曽根総理大臣を初め
関係
閣僚の答弁をいただきましたけれども、まことに不十分で納得できておりません。新しい大臣に対し、総理大臣あるいは当時の所管大臣に成りかわって、
左藤
大臣が我々の
質疑
について前向きにお答えを願いたい。 午前中は取り急ぎ申しましたが、今回、午後の討議については個別の問題について
質疑
を行いたいと思います。 まず、冒頭に大蔵省にお伺いします。 新
電電
に対しては、法改正による公租公課の
負担
はどの
程度
になるのか、これをまず
電電公社
、大蔵省からお答えを願いたいと思います。
岩下健
79
○
説明員
(岩下健君) 四月一日以降のいわゆる新
電電
としての税の
負担
でございますけれども、税
負担
の前提となります例えば資本金の金額、その他また政令等で定められるべきものがいまだに決まっていないという点もありますので、現在の時点で課目別に具体的な数字を的確にまだ申し上げる段階ではないんでありますが、おおよそ、例えば五十八年度の収支差額、利益でございますが、この
程度
のものを前提に試算をいたしますと、国税、
地方
税合わせまして約二千億円というふうに推定をしております。
小川是
80
○
説明員
(小川是君) お尋ねでございますが、私どもの方は税制の制度を担当いたしておりますものですから、具体的にどのような税額になるかという点についてはちょっとお答えできる
立場
にございません。
片山甚市
81
○
片山甚市君
それは別の機会にまた大蔵省に聞くことにします。 それで、この新たな税
負担
は
企業
努力で今後継続的に吸収していかねばならないのでありますが、十分
可能性
があるということでありますか、公社について根拠を示してもらいたい。
岩下健
82
○
説明員
(岩下健君) ただいま申し上げました
程度
の税
負担
は十分吸収し得るというふうに考えております。 と申しますのは、例えば
収入
面におきましても、今後販売の努力ということが新しい
会社
の商品の改善によりまして可能でありますし、また新しい
事業
分野
への拡大と申しますか、こういった点につきましても、
収入
、売り上げの増加は十分期待し得ると思っております。また、費用面につきましても、例えば金融費用の圧縮、その他費用全般につきまして、
経営
努力によりまして現在よりもさらに効率的な経費の使用とかいろいろ考えられますので、先ほどの公租公課の
負担
、これは
経営
努力によりまして十分吸収し得るという確信を持っております。
片山甚市
83
○
片山甚市君
それでは、改めて大蔵省に聞きますが、マスコミの報道によると、これはことしの六月三日朝日、七月十六日毎日、読売は七月二十日ですが、電話
利用
税や物品税などを電話課税として大蔵省が検討を始めたということを言われておるんですが、これは事実かどうか。事実であれば重大問題であり、一般消費税の
導入
の口実をつくるものでありますから絶対に納得できない。昭和二十五年に電話機が物品税の課税
対象
から除外された主な
理由
を挙げてみますと、
営業
用に多く使われていることに加え、
生活
必需物資としての性格が強いので課税
対象
から外すということになりました。これを今のときに改めることになるのかどうか大蔵省にお聞きします。
小川是
84
○
説明員
(小川是君) 来年度の税制改正につきましては、税制
調査
会において
審議
が始められたところでございますが、これまでのところ、お尋ねのような電話
利用
税等について検討課題として取り上げられているという状況にはございません。
片山甚市
85
○
片山甚市君
電話機の
社会
的機能は
生活
必需品的な要素があり、当時よりも強まっておるけれども、これを改めなきゃならぬ
理由
は全くない。今回の動きは単なる電話機の課税でないと思いますが、
郵政大臣
は、この課税の構想があるとすれば、それについてどういうお考えを持っていますか。
左藤恵
86
○国務大臣(
左藤
恵君) 電話
利用
税のことについては、前に新聞なんかに載ったということは、私もそういったことだけは存じておりますけれども、しかしこれはいわゆる大衆課税ということでございますし、
電話料金
の引き上げというふうなことにもなりかねないような非常に大変な問題であると思います。そういった
意味
におきまして、我々はこういったことはもしありましても到底納得しがたい性格のものであると、このように考えております。
片山甚市
87
○
片山甚市君
大臣から力強い御
発言
がありましたから、大衆課税になるだけじゃなくて、電話を持っておる者に対する
生活
必需物資としての手段を失うことになりますからぜひとも堅持をしてもらいたい、こう思います。 そこで、私が質問を申し上げるのは、次の段階で、
情報化
社会
における
情報基本法
について総務庁が
関係
いたしますし、
関係
の皆さんからお答え願いたいんですが、先ほど申しましたように
衆議院
の答弁では、「
情報
産業
の
育成
、
電気通信技術
の標準化のための
情報基本法
の
制定
を考える」としておりますが、具体的内容と
制定
のプロセスを示すことが先決ではないか。これは
衆議院
における回答についてのお答えをまず願いたいと思います。
奥山雄材
88
○
政府委員
(奥山
雄材
君) ただいま当
委員
会で御
審議
をいただいておりますいわゆる
電電改革
三
法案
が可決されまして
成立
いたしますと、来年の四月一月から
電気通信事業
分野
に
競争体制
が
導入
されます。そうした新しい
競争原理
に基づくこれからの
高度情報社会
を構築する
見地
から、私ども
電気通信
が果たす中核的、先導的な
役割
にかんがみまして、
電気通信
の
高度化
のための基盤
整備
に関する
法律案
というものを、仮称でございますが、現在省内において検討中でございます。その中身でございますが、これからの
高度情報社会
を構築する上において
電気通信
が果たす
役割
の重要性にかんがみまして、良質で低廉な、そして多様な
電気通信
役務を全国的にはもちろんのこと、各
地域
においてもあまねく均てんせしめるような方途を講ずるための指針を策定したいということが第一点でございます。 また、
高度情報社会
がいや応なしにネットワーク化
社会
であるということにかんがみまして、ネットワークを十全に発揮させるために、互換性の問題、あるいは
安全性
、
信頼性
の問題等につきましても一定の指針をこの
法律
の中でお示ししたいというふうに考えております。その他若干の柱を考えておりますが、いずれにいたしましても、このような幾つかの要素を柱にいたしまして、それらの
郵政省
がといいますか、
政府
が指針として指し示すガイドラインに乗って、
電気通信事業
者等が今後の
電気通信事業
を営まれる場合には、財政的な支援
措置
といたしまして、税制上、財政等のさまざまな
措置
を講じてまいりたい。大体大まかに申しまして以上のような枠組みを考えております。
片山甚市
89
○
片山甚市君
それは全然違うので、
高度化
法でありまして、
情報基本法
というものをどういうふうにつくるか。それじゃ
情報基本法
というのはどんな考え方で考えておるんですか。いわゆる
郵政省
に
情報基本法
がつくれる道理がないんでございますが、その一環としてどういうことになりますか。
奥山雄材
90
○
政府委員
(奥山
雄材
君) ただいま私が申し上げましたのは、
郵政省
が主務官庁といたしまして今通常
国会
に提出を予定しております
法律
の中身でございまして、その趣旨は高度で多彩な
電気通信
サービス
をあまねく行き渡らせることと、
地域
情報通信
格差をなくすることを柱としておりますが、今先生がおっしゃいました、もっと広く
情報
全般にかかわる
基本
法をどうするかという問題につきましては、
情報
というものが持つ
プライバシー保護
の側面あるいはその反面といたしましての表現の自由の問題、さらには
情報公開
制度とのかかわり合い、もっと申し上げますならば、
基本
的
人権
とのかかわり合い等もございますので、これ らにつきましては総務庁が中心になりまして
政府
全般の問題として取り組むということになっております。私どもはもちろん手をこまねいてこれを見ているわけじゃございませんで、総務庁が中心として進めておられます各検討には積極的に協力をしているところでございます。
片山甚市
91
○
片山甚市君
それでは総務庁に来てもらっておるんですが、答えてください。
松井稔
92
○
説明員
(松井稔君) 先生の御質問は
高度情報社会
を構築するための
基本
法を
制定
すべきではないかという御趣旨と存じますが、これは大変重要な問題であり、また多数の省庁に
関係
する問題でございますので慎重に検討する必要があろうかと思います。総務庁といたしましては、その所掌事務が行政機関の
機構
、定員、
運営
の総合調整ということでございます。現段階では
基本
法の具体的内容がまだ固まっていない状況にありますので、その内容がもう少し具体化した段階におきまして、総務庁の所掌事務の中で総合調整機能を十分発揮していくことについて検討してまいりたいと、かように存じております。
片山甚市
93
○
片山甚市君
十年来検討を続けてきて今日
高度情報化社会
になってきた、
電電公社
では間に合わなくなったから
ニューメディア
に対応するように
経営形態
まで変えなきゃならぬと言いながら、日本の国の中では、
情報基本法
の中では
プライバシー保護法
もない。データが外国から来たときにどうなるのか、日本からデータが外国に流れたときにどうなるのかということについて多くの危惧があるし、個人的に言えば、我々としては
情報公開
のいわゆる要求もある、プライバシーを守る要求もある、そうして
情報
について
国民
が参加する
権利
がある、
情報基本法
の三つの柱でありますが、そういうことについて具体的に、
郵政省
は
電気通信
をどのようにうまくやっていくのかという話であって、
国民
のプライバシーの問題、
情報公開
をさせる問題、
国民
がこれにかかわってくるような問題については今のところ何一つないというんですね。ハード面におけるところの話はあるけれども、ソフト面における問題がないということでは非常に残念でありますが、総務庁はそれがいつごろまでにこういうような
基本
法について
制定
する用意があるのか。片一方では御承知のように通産省は基盤法をつくる、
郵政省
は
高度化
法をつくる、そういうことの中で自分たちのエリアの問題については熱心でありますが、
国民
全体を包括するところの仕事をする総務庁、かつての総理府、行管庁などの統一した役所としてそれに対する対策を命じてもらわなけりゃ、
法律
としては公社がなくなって
株式
会社
ができても、それを統括するところがなくなるのできちんと答えてもらいたい。
松井稔
94
○
説明員
(松井稔君) 先ほども申し上げましたとおり、総務庁といたしましては行政機関の
運営等
の総合調整ということでございます。
情報化
社会
に早急に対応するために、実質的な諸施策につきましてはそれぞれの
関係
行政機関でお進めになろうかと思いますが、その内容がもう少し具体化した段階におきまして総務庁の所掌事務の中で調整機能を十分発揮していきたい、かように存じ上げている次第でございます。
片山甚市
95
○
片山甚市君
情報化
社会
における、いわゆる光の当たる部分については皆さんは口をきわめて宣伝をするんですが、前の奥田大臣も言ったように陰の部分について我々はきちんとしていませんが、
情報化
社会
の陰の部分について総務庁は答えてください。
藤澤建一
96
○
説明員
(藤澤建一君) お答え申し上げます。 陰の部分ということで私どもが現在まで
関係
しておりますものといたしましては個人データの保護の問題の御指摘であろうかと思います。それで、個人データの保護対策につきましては、御承知のとおり臨時行政
調査
会答申におきましても、行政
情報
システムの進展、
国民
意識の動向を踏まえつつ諸外国の制度
運営
の実態等を十分把握の上、法的
措置
を含め個人データ保護に係る制度的方策について積極的に対応すべき旨を指摘しておりまして、まさに
高度情報化社会
を迎え、ますます重要な検討課題であるというように考えております。 総務庁といたしましては、従来からデータの漏えい、滅失、棄損等を防止するため各省庁が講ずべき事項の大綱を示しました電子計算機処理データ保護管理準則等を定めるなどしておりますし、また現在は臨調答申を踏まえまして、行政
情報
システム各省庁連絡会議の場等において行政機関の保有する個人データの保護について法的
措置
を含め、制度的方策の具体的検討を進めているところであります。
片山甚市
97
○
片山甚市君
お答えはそれだけですか。
情報
は
情報
を呼ぶということで集中する癖がありまして、その集中管理とコントロールについてどのように考えられるか。コンピューター
社会
における脆弱性ということになればコンピューターに依存することが多いから、災害や事故が起こった場合には、せんだっての世田谷の局九万
回線
ぐらいやっても日本国じゅうにあれだけの影響があるんですから、そういう
意味
で、私たちは陰の部分というのはもっと大きいものがあると思うんですが、いかがでしょうか。
松井稔
98
○
説明員
(松井稔君)
情報化
社会
の陰の部分のうちでセキュリティーの問題は大変重要な問題であると考えております。この問題につきましては、私ども総務庁としては、現在行政
情報
システムの総合調整をやっておりますけれども、各省庁の行政
情報
システム連絡会議等を通じまして行政
情報
のセキュリティー、安全の問題につきまして現在検討しているところでございます。非常に重要な問題だと考えております。
片山甚市
99
○
片山甚市君
検討の段階は——
電電公社
の
会社法
も検討の段階で置いてくれますか。片一方の方は皆さんどんどんどんどん進めていって、
情報基本法
に属するもの、
プライバシー保護
に関すること、セキュリティーに関するものについては今まだ検討中だということについて納得できません。 特にコンピューター犯罪について大変たくさんな発生がありますが、その防止策はどういうようになっておるのか。そうして、そのうちにソフトウェアの
財産
的保護と
情報
データの著作権の問題で、御承知のように
文化
庁と通産省が議論を一致させていないことについて、この
法案
が
成立
するに当たって、データの問題についてソフトの問題はどのようになるか、犯罪が起こらないようにしておるのか、これは明確に答えてください。
松井稔
100
○
説明員
(松井稔君) 行政
情報
システムの問題につきましては現在総務庁で、今先生がおっしゃられましたソフトの問題そのほかさまざまな問題につきまして鋭意研究を進めておりまして、一部ガイドラインをつくる等しておりますけれども、この問題は行政
情報
に限らず広く一般的な問題であろうかと思いますが、一般的な問題につきましてはそれぞれの所管省庁で積極的に対策を講じられておることと私どもは考えております。
片山甚市
101
○
片山甚市君
コンピューター犯罪について防止をする具体的な手だてはどうなっておりますか。
松井稔
102
○
説明員
(松井稔君) コンピューター犯罪につきましては、総務庁の行政
情報
システムの所管ということでは、具体的には現在行政
情報
システムの
範囲
内におきましては検討を進めておりますけれども、一般的な問題につきましては総務庁ではまだ検討を十分に進めているとは申し上げられないと思います。
片山甚市
103
○
片山甚市君
総務庁初め皆さんが熱心でないことだけ明らかになったので、それ以上言ってもだめなんです。 日本の国というのは国際信義を守らないところで、御承知のように、OECD理事会の勧告を採択しておりますけれども、国内法の
整備
ができておらないということでいまだにそれが実施されておらない。これは国際信義に違反しておるんですね。この間ワシントン条約に違反して野生の動物をどんどん入れて、クアラルンプールで非難決議が出ると慌てて総理大臣の名前で、何とかしようじゃないかという泥縄式な、いわゆる紳士面はするけれども、金もうけのためにはどんな手段も選ばない、これは我々のアニマル的なものではない かという自己批判をするところです。 そこで、OECDの勧告に基づくガイドラインをつくって、いわゆる
情報基本法
をどういうようにつくっていくのか、もう一度確かめます。OECDの勧告について、これを尊重するのかしないのか、具体的にやっておるのかやらないのか。やらなきゃやらないと言ってください。
藤澤建一
104
○
説明員
(藤澤建一君) データ保護のお尋ねでございますが、OECDが先年データ保護につきましてもガイドラインを勧告という形でお示しになりました。それで、これにつきましては私ども、先ほど申し上げましたように、
政府
部内におきましていろいろの会議あるいは私ども自身でこの個人データ保護につきまして検討しているわけでございますが、まさにOECD八原則というものは個人データ保護につきましての
基本
的な考え方を示されておるものでございます。私ども、先ほど申し上げましたような制度的に方策を検討するに当たりましては十分に尊重いたしまして、まさにガイドといいますか、手引となるようなものでありますし、大いに参考にいたしまして検討を行っていくものでございます。
片山甚市
105
○
片山甚市君
この際、その
基本
である、先ほど申しました
情報
三原則と言われる知る
権利
——
情報公開
、守る
権利
——プライバシー、さらに参加する
権利
などと、御説明がありましたセキュリティーの問題については多ルート化——多くのルートをつくること、複数構成をすることについて確認してみたいと思うんですが、その上に立って
情報基本法
がつくられなきゃならぬ。どうですか。
松井稔
106
○
説明員
(松井稔君) 先ほど申し上げましたとおり、この問題は大変重要な問題でありまして、また多数の省庁に
関係
する問題であることは先生御指摘のとおりと思います。総務庁といたしましては、
運営等
の総合調整という所掌事務の中で、先ほども申し上げましたとおり、
情報化
社会
に対応いたしまして総合調整機能を十分に発揮していくことについて検討していきたいと、かように存じ上げております。
片山甚市
107
○
片山甚市君
御承知のように、世田谷の事件が起こりますと、多ルート化とか複数化の問題が
関係
の方から言われると同時に、小山事務次官は、
高度化
法の問題、基盤法の問題について反省してみたいなどと殊勝なことを言うようになってきておる。このときだけは事故が起こったから殊勝なことを言うておるんでありまして、「のど元過ぎれば熱さ忘れる」のたぐいで、これはやらないと思うんです。この
法案
を通すということならば、
情報基本法
をどのように
制定
するのか、いつまでにするのかということを明確にこの
国会
の間に検討して答えてもらいたい。幾ら議論してみても、そのことについて、セキュリティーを守るとか、知る
権利
、プライバシーを守るということにならない。 そういうことで、大臣、私の申し上げることは無理でしょうか、きちんと答えてください。
左藤恵
108
○国務大臣(
左藤
恵君) 今お話ございました点については、大変重要な問題でございます。
情報基本法
というものが、先ほどお話がありました
プライバシー保護
とか、それからセキュリティーの問題、いろいろそういうことで
基本
的な
法律
でありますのでかなり時間がかかっておると思いますけれども、しかし、どうしてもこれは、やはり今後、
高度情報社会
を構築していく上におきましても、
国民
の
権利
を守る
見地
から見ましても大切なものでございますので、何としてでもこういったものをつくり上げていかなきゃならない、そのようなものであると、このように私は認識いたしております。
片山甚市
109
○
片山甚市君
そこで、
郵政大臣
の管轄になりますが、
情報通信
に関連して考えてみても、
郵政省
のテレトピア構想、通産省の
ニューメディア
・コミュニティー構想など、既に自治体等において混乱を起こしておりますが、さらに
郵政省
は、
電気通信
高度化
基盤法といいますか、
高度化
法、あるいは通産省の
情報
産業
基盤法など、
政府
部内にそれぞれ確執を持って一向におさまる気配がありません。
国民
不在そのものであります。
高度情報化社会
も、
ニューメディア
の
技術
論や
産業
振興
が優先し、デメリットに対して、陰のものについてメスを入れることを避けておると思います。このような行政の姿勢では、かつての高度
成長
が公害問題を生んだように悔いを後世に残すことになりかねない。本来なら、
情報
社会
に対する
基本
政策があって、その中で
電気通信
の
あり方
が決められるべきであるのに、もうすべてが逆行しておる。 この
意味
において
情報基本法
を速やかに
制定
すべきであり、
法案
がいつ提出されるかということについて、私たちは強く望むところです。大臣、もう一度答えてください。
左藤恵
110
○国務大臣(
左藤
恵君) これを、なるべく早い機会に
国民
の皆さんのために総意を結集してつくるという必要があることは申し上げるまでもございません。何とか、この具体化を急がなければならない、このように思いますが、今のところにおきまして、いつまでにできるということにつきましては、総務庁の方でおまとめになっておられることもございますが、我々としては、なるべく早い機会にということを申し上げるほかはないと、このように考えております。
片山甚市
111
○
片山甚市君
そこで、
プライバシー保護
についてですが、
プライバシー保護
の法制を速やかに
制定
してもらいたいというのは、いつも
政府
が答えるように、検討中であると言いますが、アメリカ、西ドイツ、フランス、カナダなど既に十二カ国が
制定
をしておりまして、OECDの勧告を採択しておるにもかかわらず、日本ではそれができてない、日本だけとさえ言えるのであります。
技術面
、
経済
面では世界最高の水準と豪語しています。外国
企業
に席巻されることはない、アメリカのATTやIBMが来て
通信
をやろうと日本の
通信
はアメリカに負けないなどと言って
国民
経済
についても非常に自信を持っておるんですが、しかしそのような国がなぜ
情報基本法
とか
プライバシー保護法
がつくれないんでしょうか。それは最も弱い部分でありませんでしょうか。私たちは、特別第二種と一般第二種とを区別をして届け出制にしておることについても、あえて内外無差別を打ち出している
政府
として
プライバシー保護
の制度についてなぜできないのか。
プライバシー保護法
もできないような状態で外国の
情報
を無条件に入れられるというようなことはあり得ない。プライバシーを守るという前提でいわゆるこういうふうな国際的な
通信
の問題についての垣根をどうするか議論すべきではないだろうか。私たちの考えですが、いかがでしょうか。
澤田茂生
112
○
政府委員
(澤田茂生君)
プライバシー保護
の問題につきまして私どもが今御
審議
をいただいております
法案
につきましては、検閲の禁止とかあるいは
通信
の秘密の保護、いろいろな規定を設けておるわけでございますが、ただいま先生の方からお話がございました特別第二種に対して外資規制について内外無差別をしたというようなことで
プライバシー保護
というのは万全が期せるのかというお尋ねかと思うわけでございますが、この
通信
の秘密の侵害に対する行為といいますのは、これは外国の
事業
者であると日本の
事業
者であるとを問わないわけでありまして、この点につきましては罰則による担保あるいは
技術
基準の遵守義務とかあるいは
電気通信
主任
技術
者の
選任
義務というようなものを課しまして人的側面あるいは
技術
的側面から万全の
措置
を講じておるというところでございます。
片山甚市
113
○
片山甚市君
そこで、
技術
が大変立派だからそういうものをつくらなくてもまた制度ができるからと言うのですが、
国民
全体の
プライバシー保護
でありまして、そういう
立場
のものは、受け入れ
体制
がなければ、電信電話
事業
とか
電気通信事業
だけの問題ではありません、銀行の問題もありますし、医療の問題もありますし、その他
国民生活
万般に属する問題である、公的データバンクのプライバシーの問題もある、先ほど総務庁がお答えになったように。そういう
意味
で、これを総合させて何としても
プライバシー保護法
をつくるべきだと考えますが、いかがですか。
藤澤建一
114
○
説明員
(藤澤建一君) 先ほども御答弁申し上げ ましたように、先生からもまたOECDの八原則等の御指摘もございました。私どもOECD理事会勧告を受けまして、旧行政管理庁でございますが、五十六年には
プライバシー保護
研究会を開催する等いたしまして、翌年は同研究会の検討結果を取りまとめたところでもあります。また、その後臨時行政
調査
会の答申を踏まえまして、
政府
におかれまして新行革大綱及び五十九行革大綱において公的
措置
を含め
政府
の方策の具体的検討を行う旨閣議決定したところでありまして、現在各省庁の
局長
クラスによって構成される連絡会議の場等において検討を進めているところでございます。 なお、この個人データ保護の問題でございますけれども、この問題は御承知のとおり、
我が国
の現行の諸制度という面から見ますと、非常に新たな
分野
の問題といいますか、制度であります。そして、やはり具体的な侵害の態様であるとか
国民
のデータプライバシーに関する意識の中で広範多岐にわたる現行諸制度との調整、あるいはおっしゃいますような
情報公開
等の
関係
、さらには進展著しい、やむところございませんが、今後の
情報
処理
技術
の
発展
とか費用対効果等について十分な検討を行いまして、おっしゃいますように諸外国の制度運用の状況とかOECD理事会の勧告等も
考慮
しつつ鋭意十分な検討を行って結論を得べき問題でございます。そういうことで現時点においては結論を得る時期をお示しするということは困難な段階でございます。 この問題につきましては、先ほど申し上げましたように臨調答申を受けまして積極的に私どもとしては取り組んできてまいっておりますし、今後も努力していく所存でございますけれども、申しましたように各般にわたり広い視点から多々詰めていくべき問題がございます。そういう
意味
では大作業といいますか何といいますか、そういうような性格のものでございます。そういう点はぜひ御理解を賜りたいと、こう思うわけでございます。 なお、先生がおっしゃっておられました民間部門のお話でございますけれども、この点につきましては、先ほどからも私どもの方から御答弁申し上げておりますように、総務庁としては臨調答申を受けまして行政機関における電子計算機
利用
に伴うプライバシー問題の検討を行っておるわけでございます。これについて努力しているわけでございます。私どもとしましては、民間部門における
プライバシー保護
につきましては、やはり
我が国
の実情といいますか、業種業態によりまして、システムの内容であるとか規模であるとか処理方法等は非常に多種多様でありますし、また所管省庁もおのおの異なるというような現実がございます。したがいまして、それぞれの所管省庁で検討さるべきものというように考えておるわけであります。総務庁といたしましては国の行政
機構
定員及び
運営
というような総合調整という
役割
を担当しております。民間
企業
における個人
情報
の保護の問題については直接所掌する
立場
にはないと考えております。 以上であります。
片山甚市
115
○
片山甚市君
国務大臣である
左藤
郵政大臣
に聞きますが、これらの問題を取り扱う省庁は、それでは統括的にするのは、二つ以上の省にかかわる問題はどこがやるんですか。
奥山雄材
116
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 先ほど総務庁からお話がございましたように、プライバシーの保護全般にかかわります問題は各省庁の所掌事務にかかわる
分野
が大変多うございまして広範多岐にわたる境界領域がございます。そこで、全体的な総括調整は総務庁の方でおやりになっていただいていますが、今総務庁からお話ございましたように、例えば民間
分野
におけるこの問題をどうするかといったような部分につきましては各省庁が取り組んでおります。そこで、現在御
審議
いただいております
電電改革
三
法案
の中の
電気通信事業法案
の中におきましても検閲の禁止あるいは秘密の保持といったような総則的な規定のほかに管理規程なりあるいは
技術
基準についての規定なり、あるいは一定の
資格
審査を求めるなり
資格
要件を求めるなりといったような維持基準、具備基準を設けたりしておりますし、さらに罰則その他の規定によりまして担保も行っているわけでございまして、これらが現在統一的なデータ法ができていない段階では各省庁がやり得るベストの方法だろうということで、今私どもまた御提案申し上げているところでございます。
片山甚市
117
○
片山甚市君
何もしてないのにしておるように言うのはやめてほしいんです。こちらが質問したら答えられなくて、出てきたらさも検討しておるように言うけれども、
法案
があるから仕方なく答えておるだけじゃないですか、総務庁だって
郵政省
だって通産省だって。自分のソフト権をどうするかということになれば
文化
庁と通産省が言い合いをやってみたり、
情報通信
をめぐっての権益としては
郵政省
と通産省と争ってみたりするけれども、本気で
国民
全体のプライバシーを守っていくとか
情報基本法
をつくって住みやすい環境をつくる、いわゆる
情報
の集中管理をされないように、コントロールをされて権力が集中しないようにするためにどうしたらいいかというようなことになっておらない。幾ら聞いてもだめ。 具体的なことを聞きます。 これは
大阪
にある
株式
会社
のダイケイという
会社
ですが、それがNTTの、
日本電信電話公
社の電話番号の
情報
をデータベース化しまして、これによりその他の個人
情報
等を付加して商品化していることについて、いわゆるテレビでも放送されたように、知っておると思います。これはどういうことでやったと思いますか。答えてください。
神林留雄
118
○
説明員
(神林留雄君) 事実
関係
の方は私どもの方からちょっとお話しいたしますが……
片山甚市
119
○
片山甚市君
簡単に。
神林留雄
120
○
説明員
(神林留雄君) ダイケイという
会社
がございまして、私どもの電話番号帳を主として使いましてその
情報
をコンピューターに入力して、それをもとにどういうやり方をしますか、例えば
地域
別に、ある
地域
に住んでいる人を出してくれとか、そういうような商売をしようとしておるということは私ども把握してございます。現実に商売ができておるかどうか、要するにお客がついておるかどうかという事実
関係
については、ちょっと私どもとしては把握しておりません。
片山甚市
121
○
片山甚市君
それだけですか。——電話番号
情報
とは、もともと通話を相互に行うための
利便
を目的としたものであるし、電話番号案内簿は案内局で適当なときに新規加入の者とやめた者を差しかえるのであります。一般の電話帳は一年半ですけれども、今電話帳じゃなく電話番号案内簿でありまして、更新をしておるわけです。一番最新のデータをだれが持っていたのか知らぬけれども、それを売っておるわけですね。そのときの話は十万円ぐらいで買ったとか言っておるんですが、そのことは別にしておきます。そこで、そのことに限定して個人が了承を与えて電話番号簿をつくったと思います。それを他の目的に使用することを、それも組織的、集中的に、さらに特定の者の利益行為に供することについては
プライバシー保護
上納得できないと思いますから、澤田
局長
答えてください。
澤田茂生
122
○
政府委員
(澤田茂生君) ただいまの先生御指摘のダイケイというあれでございましょうか。——その事実
関係
につきましては私どもも現時点においては詳細には承知をいたしてないわけでありますが、今お話を伺いまして、電話番号簿のもとになるような番号簿というようなお話もございましたが、その点については私どももよく承知をいたしていないんですが、一般的に言われる電話番号簿というものは、これはある
意味
では不特定の人に電話番号を知らせるということが目的になっているわけでありまして、そういう
利用
の仕方ということ自体は
プライバシー保護
という
観点
から問題はないわけでありますけれども、ただそういうものであったといたしましても、いろいろな目的によっての編集の仕方等によりましてプライバシーとのかかわりというものが出てくる場合があるであろうということは私どもも想定できるわけで ございますが、具体的な事実というものはちょっとつまびらかでございませんので、それ以上のコメントは差し控えさしていただきたいと思います。
片山甚市
123
○
片山甚市君
現状
どうなっておるか公社に確かめてありませんが、電話番号案内というのは加入者が一年間に二百五十万ぐらい異動するその分を適切な時期に、一カ月か二カ月ごとに集計をして案内局で差しかえておるわけです。だから、皆さんが電話局が変わっても、電話番号が変わっても答えられるようになっておる。その最新のやつがデータベースに入るようになっておるんですよ。 さて、OECD勧告による
プライバシー保護
の八原則のうち、
利用
制限の原則、目的明確化の原則に反しているので許せない。公社に電話帳掲載を了承した個人が他の目的使用を拒否する異議申し立てをすれば、公社あるいは
郵政省
はそれを取り上げてちゃんと個人の
権利
を保護してくれますか。これは目的以外に使われています。電話帳にそんなこと書いてもらうようになっていません。こういうふうになったときに保護するようになっていますか。なっておらないでしょう。なっていますか。
神林留雄
124
○
説明員
(神林留雄君) 最初にちょっと事実
関係
を申し上げておきますけれども、先生御指摘のいわゆる電話番号案内簿、これは
電電公社
の中で一〇四の交換手が使うものでございますが、これは私どもとしてそういったダイケイを含むあらゆる
会社
に譲渡したり貸与したりしていることはございません。ただ、ことしの春、テレビの番組の中で、ダイケイと思われるところが、こういうものがあるんだよという話をしておりました。どこかから一部が流れたことは事実だと思います。現在私ども相当管理を強化しておりますので、現時点で、電話帳といったものは世の中どこにでもあるわけですから、これは手に入れることはできるわけですけれども、一〇四番で使っております電話番号案内簿はまずダイケイには流れていないと、こういうふうに考えております。 それから二点目の方ですが、これは私ども
法律
解釈する
立場
でないので、今事実としてということなのでございますけれども、現実に電話帳の内容に盛られている、これは公表されているものでございますが、この辺のことを第三者というか一般の方が、あの中に
情報
がいっぱいあるわけですけれども、例えば成城一丁目の方を調べたいという格好であの中から抜いていくというような行為自体、これは恐らく現行法からも
プライバシー保護法
は当然ないわけですけれども、今の枠の中では特にこれをいいとか悪いという格好のことで規制していくような形のことは非常に難しいのではないか。また私どもも、それは絶対に悪いというふうには今のところ公社としては考えておらないということでございます。
片山甚市
125
○
片山甚市君
問題は、先ほど言うように他の目的に使うことを本人の了承を得ずにやるというようなことはやむを得ないのじゃないか、しかも案内簿は一部である、全部でないから知らぬ、こういうふうに皆さんが言うておる。それは公社の体質をあらわしておると思う。先ほど総裁は大きい顔して、お客様と言っておる。お客様ならお客様らしく、そのお客様が電話帳だけ使うために登録しておるのだから、それ以外に使ってもらっては困る。それは当然消費者の
権利
を守ろうじゃないかという姿勢はない。
郵政省
もお答えがない。もし異議申し立てがあれば救済
措置
をとりますか。私が、電話番号帳につけてくださいと言ったのに、それ以外の目的に使われておるのはけしからぬと言ったら、ああそうですか、それは勝手にしなさい、私知りませんという態度ですね。そういうことがOECD八原則を守らないという、今八原則二つとも知らぬと言ったですね。公社も、おれは
関係
ない、そんなことは
電電公社
は知っちゃいない、こう答えた。これ以上答えなくていいですよ。
電電公社
いかに厚かましいかということがわかった。
郵政省
も同じようにそういうように厚かましい考えだったら厚かましいように言うてください、澤田さん。
澤田茂生
126
○
政府委員
(澤田茂生君) いろいろ事実
関係
というものを踏まえてお話をしなければならない事案ではないかなという気もするわけでございます。公社が外部に出していないと言われているものが出て、それがいろいろな形で使われておる。本来の目的以外に使われておって、そこでプライバシーの侵害があったということになりますれば、これはある
意味
では公社と
利用者
との
関係
ということで、その
プライバシー保護
についての契約
関係
と申しましょうか、そういったものにはね返る問題というものは当然あろうかと思うわけでありますが、端的な電話番号簿からこれを何らかの形で資料を収集してつくったということになりますれば、一般的な話として申し上げますれば、電話番号簿というもの自体は、本人の希望によってはこれは登載を拒否するということもあり得るわけでございますので、その辺のところをどういう形でつくった場合に
プライバシー保護
というもののかかわりが出るかということは一概的には申し上げにくいわけでありますけれども、その辺のところの管理というのは実際問題として非常に難しいのではなかろうかという気がするわけでございます。ただ、だからといってそういうものが世間に横行していくということは決して望ましいことじゃございません。何らかの対策は必要であろうかと思っております。
片山甚市
127
○
片山甚市君
情報基本法
をつくれる見込みがない。それで各省庁の縄張りがあって縄張りごとにやってもらいたい。
プライバシー保護法
については御承知のようにパブリックの公的データについては今総務庁が何とか考えておるけれども、民間のデータはどうなろうと
関係
はない。そのかわりコンピューターだけは日本国じゅう民間も官業も一緒に使って集中管理をする、集積をする、データベースをつくる。それは金もうけだからいいのだということを言ったというように思いますから、金のためにはどんなことでもするということを、この
法案
を
成立
させる仲間たちが、
政府
及び
関係
者が思っておるということで、この分はこれで終わります。あなたたちは恥も外聞もなく、金もうけのためだったらどんなことでもするということだけ言うておる。私はそう言っておるのではないですよ。
プライバシー保護法
をつくりなさい。どんなことがあってもこれは
高度情報化社会
になれば私たちにとっては大変なことになるからやりなさい。
情報基本法
をつくってください。
情報
の公開やいわゆる知る
権利
や参加する
権利
を確立してください。受け入れるだけでなくて我々は拒否することができるようにしてください。自分が出した資料以外は、目的に出した以外は使わないでくださいということを言えない。どう使おうと本人が一遍電話帳に出したのだから出した方が悪いのだ、どう使おうといいのだと、言論、表現の自由かもわかりませんが、私たちはその調整のために
プライバシー保護法
とか
情報基本法
を求めてきましたけれども、私たちが言ったことについて納得してもらっていないことは明らかです。 そこで次の問題に移ります。
通信主権
の
確保
ですが、本会議の質問でも指摘したとおり、
通信主権
の認識については極めて低いと言わざるを得ません。外国性の規制について、アメリカ
通信
法についても明定されておるんですが、ITU条約の前文にはどういうふうに書いてありますか。
通信主権
はどういうふうに守るということになっていますか。
澤田茂生
128
○
政府委員
(澤田茂生君) 国際
電気通信
条約の第一部
基本
規定の前文でございます。 締約
政府
の全権
委員
は、各国に対しその
電気通信
を規律する主権を十分に承認して、
電気通信
の良好な運用により諸
国民
の間の
関係
及び協力を円滑にする目的をもつて、国際
電気通信
連合の
基本
的文書であるこの条約を締結することを合意した。 こういうことでございます。
片山甚市
129
○
片山甚市君
そこで、今のところ、鉱業、航空、船舶、放送等について外国性の規制をしておるんですが、同じ規制をそれらについてはしないという
理由
はどういうことですか。今回の第一 種、第二種のいわゆる外資規制を外しておることです。
澤田茂生
130
○
政府委員
(澤田茂生君) 第一種につきましては、現在御提出をいたしております
法律
によりましては外資規制というのは三分の一というところまで外国性の排除ということでございます。第二種につきましては、先生御指摘のように外資規制というものを排除をいたしまして、取っ払っておりまして、これは内外無差別という形でやっているところでございます。
通信主権
とのかかわりということで考えてみますれば、国の
経済
あるいは政治、
国民生活
に大変かかわりの深い
電気通信
という
分野
につきまして国がその主権を持ってこれを守っていくということはこれはどこの国でも大前提であるわけでありまして、私どももその点についての認識は十分持っているわけでありまして、そのためにまずはインフラストラクチャーとしての
通信
の基盤としての最も最たるものとして新
電電
あるいは国際
電気通信
株式
会社
というものについては、これは外国規制というものな一切排除をいたして、そういう
観点
からの
確保
というものを制度的に図っておるということが一点言えるわけであります。 なお、一般の第一種、これから出てまいります第一種
事業
というものにつきましてもそういう
観点
から
必要最小限
度の規制ということで対応をしているということでございますが、第二種につきましてはこれは外国との
競争
関係
、
競争
市場で
競争
を行うという状態の中で考えてみますると、切磋琢磨することによって、なお全体としての
通信
のメリットというものが上がるであろう。なお、日本の
企業
の従来からの状況というようなもの、これからの今後の取り組みいかんというようなことによれば、外国
企業
に対しても決してこれが席巻されるというようなことではなくして、ある
意味
では
活性化
のとれた健全な市場というものが形成されていくんではないかというようなこと等からいたしまして、また第一種
事業
というものの実態が、ある
意味
では、
我が国
においての場合を考えてみましても、諸外国と違った商慣習取引というようなものが、直ちにはなかなか外国から入ってきてもそれに対応し切れない難しい問題もあろうというようなことから考えまして、極端な外国規制ということではなくして、オープンにしていくことによってより多くのメリットが
確保
されるんではないか、そして
基本
的な
通信主権
というものにつきましては先ほど冒頭に申しましたようにがっちりした形でこれを
確保
していくというのが今日の
体制
であるということでございます。
片山甚市
131
○
片山甚市君
ハードウエアについての考え方はわかりましたが、ソフトウエア、データベースについて日本とアメリカとの
関係
、特に第二種はソフトウエアを中心とする
利用
の問題でありますから、それは結局日本の
技術
が高いと思っておられるのなら、先ほどの
公聴会
でもありましたように、アメリカのATTに比べて五分の一、IBMに比べて四分の一しか研究費がないなどという寝言をお互いに言わなくて済むはずでありますし、あなたの方は何か基礎的研究をしなければ日本の国はあしたにでもつぶれるように言う、こんな御
心配
のあるのに何で大丈夫ですか。
電電公社
だけで今まで十分にやってこれた。その
電電公社
がアメリカと太刀打ちできると。アメリカの五分の一、四分の一の研究費しか使わないで
電電公社
は対応できると言ってきた。今度金をどこへ都合するか別としても、勝手に研究したいとこう言っている。我々は研究するだけじゃなくて、今始めたら十年たっても二十年たっても本当に研究などというものは金があってもできるかどうかわからないのですよ。つくったら明くる日から何か知恵が出るように思っていますが、相当のむだ遣いというか、会計監査みたいなものに言わせたらむだ遣いみたいにしなければできない、しみったれにはできないです、これは。という
意味
で、大きな気持ちで効果があらわれるまで待つよと、捨て身になってもこれは生きるんだよと思わなければならぬ。小役人みたいな考えでもって研究所つくったって、何したって、はいそれ、はいそれ、すぐに研究の成果出せると言うでしょう。これは大変なんです。ですから、今言われたように言葉の上でハードウエアについては、それぞれ機器メーカーおるから、そういうふうに思うのはよろしいです。それも全部
日本電信電話公
社の研究所がつくった研究を土台にしてそこから出てきたのであって、民間からできたのじゃありませんよ。私はそれをけしからぬと言っているのじゃないですよ。にかかわらずあなたは主権を守れると言うなら、具体的にハードウエアの問題わかったからソフトウエアで守れると言い切っておいてください。後日それを強化しなければならぬとか、アメリカと
競争
しなければならぬなどと言っては困る。
競争
に負けへんと言ったんでしょう。それを
電電公社
が今から独占を解体するのじゃありませんと。独占というか、大
企業
の形をとるのじゃなくて、
電電公社
の研究機関が今四つありますが、それが中心になってやらざるを得ない、それで間に合うと言ったんです。四月一日から研究所できませんよ。そうするとどうなりますか。あなたたち少し勝手なことを言うておるのじゃないですか。答えてください。
澤田茂生
132
○
政府委員
(澤田茂生君) 第二種
電気通信事業
というもの自体が新しい未開拓の
分野
であるということでございます。と同時に広くこの
電気通信
の状況というものを眺めてみた場合に、まさにこれから花咲こうというのが今日の
電気通信
の
現状
ではなかろうか、これはただほうっておけばそれでひとりでに花が咲いていくということでもないわけでありまして、各国におきましてもそれぞれ相当な力を入れて、これからの
電気通信
振興
、そしてそれを中核にした新しい
電気通信
社会
というものを形成していこうということに努力をしていることは間違いのないことでありまして、この点につきまして
我が国
だけがひとり放置しておればよいということにはこれはならないわけでありまして、それぞれこの
電気通信
三法というもの自体が民間活力を活用して新しい
体制
づくりというものに活力を与えていこうということは
基本
でございますけれども、それだけで済まない部分、民間だけではやり切れない部分、
政府
自体としてやらなければならない
分野
についてはやはりこれは全力投球をしてやっていくということによって、円滑な形での高度
電気通信
社会
というものが構築をされていくであろうということでございます。そういう
観点
から、私どもといたしましては、基礎的な研究
分野
あるいはその他の
地域
開発
あるいは国際協力
分野
というものについて
電気通信
の
振興
を中心とした形のものをぜひ重要課題として取り組んでいかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
片山甚市
133
○
片山甚市君
それは詭弁ですよ。
電電公社
を売った金で今度は民間を誘っておるということは民間活力じゃないんじゃないですか。おびき寄せることができるような状態にしたい。私は反対賛成を言うておるんじゃないですよ、あなたの言うておることについて。民間活力というのは、民間が本当に金を出して、民間が本当に損得なしにやれるようになっておるんですか、人の金を当てにしてやっておることないんですか。私はそれ以上言いませんが、きょうは本題でないから。とにかくあなたたちの言い方はつじつまが合わないですよ。ハードについてはわかったけれども、ソフトについては日本の国はアメリカと太刀打ちができるようになっていない。だから、衛星の問題を通じて言えば、アメリカに依存せざるを得ない。日本は外国のものをまねすることや応用することは非常に上手だけれども、日本の国は基礎研究が足りないということはわかっておるんですね。それは、これからの問題でもなかなか、マラソンのような闘いですから、にわかに
参入
しても勝てないと思います。 そこでもう一度聞きますが、
電気通信設備
の
技術
基準を定めるときに、
電気通信審議会
にアメリカ
政府
として参加したいと言われていたんですよ。これはことしの七月十一日です。この間、産構審でもそうですが、
技術
問題があってアメリカとの輸出の
関係
があるから、
産業
構造
審議会
にア メリカの人が入って
意見
を述べさせてくれと言ったけれども、
電気通信事業
について
電気通信審議会
にアメリカの人が
技術
問題に入ってこなきゃならぬようになっておるんですか。入ってくるということになればお断りするんですか。先ほど
電気通信審議会
のメンバーを広い形で選んでくださいと言いましたけれども、そういうことについて取り組んだことはありませんか。七月十日ごろです。
奥山雄材
134
○
政府委員
(奥山
雄材
君) これは
電気通信審議会
のみならず各種
審議会
に対する
政府
の統一方針でございますが、
政府
の諮問機関としての各種
審議会
は国家意思の形成に参画させるものであるということでございますので、国家意思の形成に参画させる形での
審議会
委員
の任命は、外国人が排除されております。したがいまして、本
委員
はもちろんですが、臨時
委員
も
審議会
委員
として任命することはできません。ただし、部会等の、意思決定に参加しない形で随時
意見
を求めたりするようなことは今後あり得ようかと思います。
片山甚市
135
○
片山甚市君
傍聴はさせる、話は聞かせるが
意見
は述べさせないということで参加させるということのようですが、私たちとしてはこのあたりから
通信主権
の問題は大きい分かれ道になると思うんですね。これは日本の国が
自由化
するということですからそういうようなことよろしいけれども、それぞれ
通信主権
を守って国境があるところではそんな簡単なことにならない。これは私の
意見
ですが、申し上げておきます。 そこで、第一種と第二種
事業
の区分ですが、
郵政省
は、アメリカ型の高度
サービス
、
基本
サービス
というのでは
技術
進歩、
発展
が激しいときに錯綜するので問題解決にならないとして、今度設備を有するか否かで第一種、二種を決めたようでありますが、第一種が持つ設備は何か、具体的に列挙してもらいたい。
澤田茂生
136
○
政府委員
(澤田茂生君)
回線
と交換機、それから端末と、そういう構成になろうかと思います。
片山甚市
137
○
片山甚市君
そこで、第一種と第二種の違いは、伝送路を所有するかどうかであるのかどうか。
澤田茂生
138
○
政府委員
(澤田茂生君)
回線
設備の有無ということに着目して第一種と第二種というものを分けてございます。
片山甚市
139
○
片山甚市君
第二種が所有するコンピューター——交換機能を持つものですが——を使ってシステムや
サービス
を
提供
した場合、第一種、第二種の区分けは何に基づいて行いますか。
澤田茂生
140
○
政府委員
(澤田茂生君) 第一種と第二種の区分けの仕方といいますのは、ただいま申し上げましたように、
回線
設備を持っているかどうかということでございまして、第二種が交換設備を持っておったからということで第一種になるというものではございません。
片山甚市
141
○
片山甚市君
第一種と第二種の区分けについては、交換機能を持っておるという以外の分け方はないんですか。
澤田茂生
142
○
政府委員
(澤田茂生君)
回線
を持っているかどうかという一点でございます。
片山甚市
143
○
片山甚市君
そうすると、この場合、第一種のみを外資規制をするということで効果はどこまであるんですか。
澤田茂生
144
○
政府委員
(澤田茂生君) 第一種
電気通信事業
と申しますのは、これは
我が国
の政治、
経済
、
社会
、
文化
等あらゆる
分野
における重要な
情報
伝達手段ということで、
国民
経済
、
国民生活
を支える中枢神経的な機能を有する
基本
的なインフラストラクチャー、こういうふうに私どもは把握をいたしておりまして、そういう
回線
網というものを建設し運用する基幹的な
電気通信事業
として第一種
事業
というものをとらえているわけでありまして、こういった第一種
電気通信事業
というものが外国に支配されるということになりますと国のあらゆる活動がその制約を受ける、あるいはひいては国の独立、
自主性
というものが損なわれるおそれがあるということで、諸外国の例でも当然でございますけれども、制限をしているということでございまして、今回
我が国
におきましても三分の一未満に限定をして、
我が国
の基幹的な
電気通信事業
が外国に支配されることのないように
措置
をするという趣旨でございます。
片山甚市
145
○
片山甚市君
ハードの面における区分はわかりましたが、ソフトのウエートが大きくなる
情報通信
分野
で、これから第二種の
事業
が花咲くことによっていわゆる
回線
を持っておる人たちの利益が上がる、こういう形になっておりますから、私たちとしては境界線がわからなくなる。どちらの方が主になるのかというと、これからは第二種の方が
通信事業
としては主なるものになるんでしょうか。
澤田茂生
146
○
政府委員
(澤田茂生君) 第一種と第二種という
関係
になりますと、やはり第一種というものも第二種が行おうとするような
サービス
提供
というもの自体もできるわけでございますけれども、そういった中で、
競争
場裏というものを踏まえて、第一種が行うよりもさらにきめ細かな
ニーズ
に対応できていくような
サービス
というものを
提供
するというのがこの第二種というものの存在価値といいましょうか、活動
分野
になるであろうと思うわけでありまして、そういう
意味
から見ましても、特に第二種というのは第一種というものを前提にした
サービス
提供
であるということでございますので、やはりどちらが基幹かと言えば第一種というものが
通信
サービス
全体の中においては基幹的なネットワークを持っておる、構成しておるということになろうかと思います。いずれにいたしましても、両々相まって全体としての
電気通信
サービス
の
向上
というものが図られるのが望ましいというふうに思っています。
片山甚市
147
○
片山甚市君
そこで需給調整の場合、第一種
業者
が第二種を兼業しておる場合、それは第一種
事業
と第二種
事業
を区別して調整を行うんですか、それとも総合的に第一種
事業
者として第二種
事業
も含めて需給調整の
対象
になるんですか。
澤田茂生
148
○
政府委員
(澤田茂生君) ただいま申し上げましたように、第一種というのは
電気通信
回線
設備をみずから設置するという
事業
者でございまして、これは大変莫大な設備投資というものを必要とするわけでありまして、そうしてすべての
電気通信
役務を
提供
するということで、これは基盤となる
事業
であろうということでございまして、こういう第一種
事業
の設備
産業
としての特性に着目をいたしまして、
電気通信
回線
設備の供給能力というものが過当な
競争
によって行き過ぎが生ずるというようなことになりますと共倒れというようなことも
心配
されるわけでありまして、そういうことになりますれば
サービス
自体の停廃というものを生ずる、あるいは過剰な設備投資ということによりまして
利用者
に多大な
負担
を課するということにもなるわけであります。こういった過剰設備ということを避けるために、そういう過剰設備になるであろうというようなことが予見される場合には、これを防止する行政上の担保として、ただいま先生お話しございました需給調整的な機能を果たしていこうということでございまして、したがいまして
電気通信
回線
設備の供給状況ということに着目した取り扱いでございますので、第二種というものについてはこれはそういうものを持っていないということで、第一種と第二種との間でそういう調整というものを必要とするということはないわけでございます。
片山甚市
149
○
片山甚市君
そこで、私たちの手元に、第一種
事業
と第二種
事業
との間に
分野
調整をしてほしいという、
公聴会
でも話があったんですが、
分野
調整をする用意があるんですか。独禁法の
関係
がありますが、どういうことでしょう。
澤田茂生
150
○
政府委員
(澤田茂生君) 第一種
事業
も第二種
事業
も同様に、
回線
提供
という以外の多彩な
サービス
というものを
提供
できるようになっているわけでありまして、そういう
分野
調整というものは今回の
法律
の前提とはいたしておりませんので、それぞれが創意工夫を凝らして、多彩な、よりきめの細かい
ニーズ
に合った
サービス
というものを
提供
していただくということが今回の
法案
の、制度のねらいであるということでございます。
片山甚市
151
○
片山甚市君
そうしますと、一種
事業
者は
回線
貸し業だけでなくて第二種の仕事もやることになり、また第二種の皆さんは、多彩な
通信
サービス
をやることによって繁栄をする、共存共栄できるということで
分野
調整ということは考えてない、こういうふうにお答えを願ったと思って結構ですか。
澤田茂生
152
○
政府委員
(澤田茂生君) おおむねそういう趣旨でございます。
片山甚市
153
○
片山甚市君
今までの
政府
答弁では、結局、アメリカ
企業
の実力は日本と大差なく、
心配
はないということのみであります。しかし、外資系
企業
が
情報通信
産業
分野
は他の
分野
と決定的に違ったものがあります。それは、水が土にしみ込むようにじわじわ浸透することがいずれ大規模な山津波を起こすような影響を及ぼさないと保証できません。皆さんは裸でオオカミの胸に入っていって、
最後
は食われることになるだろうと私は思います、
最後
はね。どう食われるかは別ですよ。納得して食われるか、もがき苦しんで食われるかは知らぬけれども、と思いますから御用心を賜りたい。 将来の
我が国
の
産業
や
経済
、
国民生活
に与える影響を考えるとき、単に外圧はないとの弁明に終始するのでなく、
我が国
の
通信主権
を具体的にどう守るかということをこの際明確にするのが行政の
責任
であろう。国内における基盤の強化をしなければならぬ。十年も先にアメリカはデータ
通信
を始め、非常に先進的な
役割
、いつ行っても大変な力です。財力の投入も違います。国の力も違います。また、それをしておるNASAを中心とする軍の力も、
開発
費が違います。IBMとかATTの金ではなく、アメリカの航空宇宙局が使っておる金は大変なものです。それらが全部
通信
機器に対して集中してきておる。ですから、それを見逃して我々は今度の
通信
法をつくるわけにはいかぬ。これからさらにこの問題について詰めていかなければならないと思いますが、大臣、私の
心配
することは起こらないと裸でオオカミの胸に真っ裸で入っていくようなことはやめてほしい。もっと用心深く、仲よく、それでかまれぬように、食われぬようにちゃんとしなければいかぬと思いますが、いかがでしょうか。
左藤恵
154
○国務大臣(
左藤
恵君) 御趣旨は、内外無差別のことで一体
通信主権
は守れるのかというふうな御趣旨かとも思います。 そういうことで、今いろいろございましたけれども、
我が国
の
企業
の
技術
的な状況、また
我が国
のその
分野
におきます
企業
の取引の実態とか商慣習とかいろんなことがございまして、外国
企業
がそういうことで中へ入ってきて内外無差別の原則で自由闊達な
競争
をやっても、そういった今の先生のおっしゃったような
心配
はないかと、こういうことだと思いますけれども、私は、その辺につきましては、外国
企業
に席巻されるようなことはないというふうに判断をいたしますし、そうしたことがあって初めて
我が国
の
企業
自体もいよいよ努力をしていただけるということになっていくんじゃないかと、このように思います。そして、そういうことの中におきまして
通信
というものが
確保
されていくんではないかと、このように判断をいたしておるところでございます。
片山甚市
155
○
片山甚市君
これは判断の違いですからこれ以上言いませんが、ゆめゆめ油断をせずに考えていただきたい。日本の国はちょっとよくなると世界一だと思いたがるけれども、世界一は日本だけではなくて、ソビエトの人も言うしアメリカの人も言うし、おれが先に発明したと言うし、なかなか根拠はわからないわけです。ですから、その点で注意を喚起しておきます。 それからCATVのことについて、CATVは放送というジャンルで、有線テレビジョン法の範疇であると思いますが、双方向性CATVについてはどういう
範囲
に入りますか。
澤田茂生
156
○
政府委員
(澤田茂生君) 伝送容量の大きいCATV施設というものを
利用
しまして、放送のほかに電話だとか、もっと広くなりますとテレビ電話、ホームセキュリティー、あるいはテレメーターといったような多彩な
通信
サービス
を
提供
するという、いわゆる双方向CATVというものが今後
発展
をしていくであろうというふうに期待をされているわけであります。こういうようにCATV施設というものを
利用
して行う
通信
サービス
というものは、単に同一番組を不特定多数の視聴者に同時に送出する、いわゆる従来型の有線テレビジョン放送というものとは異なりまして、そういう双方向の
電気通信
自体を、まあ
サービス
といいましょうか、そういうものを行うということになりますれば、
電気通信事業法
上の
電気通信事業
者ということになるわけでございます。
片山甚市
157
○
片山甚市君
その場合の種別は第一種になると思うんですが、いかがでしょう。CATV間の相互接続、CATV—基幹
回線
—CATV、またCATVから公衆網というようにつなぐ
可能性
が出てまいりますが、そのときにはこの
事業法
で律し切れるのかどうか、
事業法
見直し
の必要はないか。
澤田茂生
158
○
政府委員
(澤田茂生君) まずは、今申し上げましたような双方向CATVというものにつきましては、
事業法
上は第一種
事業
者ということになるわけでありまして、CATV施設というものを
電気通信事業
を営むために接続するという場合には、その
事業
者は
事業法
上第一種
電気通信事業
者ということで、第一種
通信事業
者同士の相互接続ということになるわけでありまして、これにつきましては、相互接続につきましては
認可
を要するとか、あるいはそのほかに第一種
電気通信事業
者としてCATV施設全体に
事業法
上の
技術
基準が適用されるというような法の適用という形になっているわけでございます。また、CATV
事業
者というものが第一種
業者
の
回線
を
利用
して放送番組をただ送受するというような場合は、
事業法
上はCATV
事業
者は
電気通信事業
者の一
利用者
という形になってまいりまして、まあ端末的にそのCATV施設というものを接続する、この間の
事業法
上の概念でまいりますれば、自営
電気通信設備
の接続ということになるわけでありまして、この場合は接続点というものをとらえて
事業法
の
技術
基準というものが適用になる。そのほかCATV施設につきましては、さきの第一種としてのCATVがこの
事業法
の規制を受けるということとは異なりまして、テレビジョン放送法の
技術
基準の
対象
になるということでございまして、格段の法的な改正
措置
というものは必要がないというふうに考えております。
片山甚市
159
○
片山甚市君
そうすると、CATVは将来は放送であるのか
通信
なのかというと、この融合点において考えると第一種の
通信
と理解してよろしゅうございますか、双方向性。
澤田茂生
160
○
政府委員
(澤田茂生君)
通信事業
という形で、第一種
事業
者というとらえ方は必要だと思います。
片山甚市
161
○
片山甚市君
そうすると、第一種とすれば第十条の許可を得ればいいということであるとすれば法の
見直し
が必要でないかと思うんですが、
事業法
の
見直し
はしなくてよろしいか。
澤田茂生
162
○
政府委員
(澤田茂生君)
事業法
上、今おっしゃいました第一種の許可を受けるということが必要でございまして、法の改正というものを行わなくても、御提案を申し上げております法の体系の中で処理できるというふうに私どもは考えております。
片山甚市
163
○
片山甚市君
完全双方向性を展望した場合の放送系、
通信
系というジャンルをどう総合的に律するのかが不明確な
事業
について、法体系としては結局第一種の
通信
として最終的に認めるのですか。
澤田茂生
164
○
政府委員
(澤田茂生君) 第一種
事業
という形の
電気通信事業
、端的に言えばそのCATV施設を使って双方向の電話
サービス
というものを
提供
するということになりますれば、これは第一種
事業
の許可を必要とするということでございます。
片山甚市
165
○
片山甚市君
そうすると、現在CATVは有線テレビ放送で、放送というジャンルであるけれども、将来は完全双方向性が実現すれば、今言ったように第一種の
事業
者となって電信電話、データ
通信
等の
サービス
が可能になる、そういうときに は法十条によって
認可
を大至急受けていくから問題はない、こういうふうにもう一度要約するとそういうことですか。
澤田茂生
166
○
政府委員
(澤田茂生君) そのとおりでございます。
片山甚市
167
○
片山甚市君
そこで、国際
通信
における第一種
業者
の
あり方
ですが、インテルサット
体制
の維持ですが、いわゆる
事業法
案第五条によれば国際条約を守るべしとしていますが、そのことはインテルサット
体制
を維持するということか、いかがでしょう。
澤田茂生
168
○
政府委員
(澤田茂生君) 国際
電気通信事業
を円滑に遂行するためには、これは相手国を初め国際的な協調というものが大切でございまして、その
意味
からしまして、これまで確立してまいりました国際的な
通信
の秩序、慣行というものは十分に尊重していく必要がある、このような趣旨から
電気通信事業法案
第五条において条約を優先すべき旨の規定を設けているわけでありまして、御指摘の
体制
についても今後とも維持していくべきものというふうに考えております。
片山甚市
169
○
片山甚市君
そこで、米国の
事業
者が申請している大西洋衛星のごとき計画に対しては、インテルサット締約国総会などが御承知のように抗議をしていますが、この事実に対して
我が国
の
立場
はどういう態度でありますか。
奥山雄材
170
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 御指摘の、大西洋におけるインテルサットとは独立した国際公衆衛星
通信
系の設立にきましては現在オライオン社ほか五社がFCCに申請を出しております。先般の大統領選後の大統領の決定によりましてある一定の条件のもとにゴーサインが出されたようでございますが、なおその大統領の決定を受けてFCCにおいてこれから審査に入るというふうに伺っております。 大統領が下した際の条件でございますが、インテルサット協定十四条(d)項という調整条項がございます。その調整条項によって締約国間の調整がつくことといったようなこと、そのほか二つ、三つの条件がついております。 一番問題のインテルサット協定十四条(d)項に基づく
措置
でございますが、インテルサットの現在の
運営
に
経済
的に著しい損害を与えないこと、インテルサットと
技術
的両立性があること、並びにインテルサットによる直通の
通信
回線
の設定を阻害しないことという三つの条件がございますので、これらの三つの条件がいずれ締約国の総会の場で論議されると思います。日本も締約国の総会でこの問題が取り上げられる際には日本国
政府
としての意思を決定いたしましてこの総会に臨むことにいたしております。
片山甚市
171
○
片山甚市君
そこで本音が出たと思うんですが、日米両国間のみの非インテルサットルートに加担することになるのか、これまでのインテルサット
体制
の国際信義に反する
立場
をとるのか、そのような計画を発足させるのについて手をかすつもりで協力するのか、これがこの間からドーガンなど国務省の人が来ておる
役割
なのか、四月一日になったらアメリカと手を結んで、国際条約は無視して頑張るということなんですか、お答えください。
奥山雄材
172
○
政府委員
(奥山
雄材
君) では、まず冒頭に、国際条約はもちろん忠実に遵守するつもりでございます。なお、現在申請が出ておりますのは、大西洋
地域
におけるオライオン、シグナス、パンナム等、六社の申請でございまして、今のところ太平洋
地域
についての動きはございません。これは、一つには世界の国際
電気通信
の業務量、トラフィック量の三分の二が大西洋、残りの三分の一の三分の二がインド洋で、三分の二の残りの三分の一が太平洋ということでございますので、世界的に見ると一三%
程度
のシェアしかないということで、今直ちに太平洋
地域
についてこのような動きがあるようには私ども伺っておりません。
片山甚市
173
○
片山甚市君
日本の国が非インテルサットに協力をしてアメリカに手をかす準備をしておるということはないということでよろしゅうございますか。
奥山雄材
174
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 現行の法制並びに国際条約は忠実に遵守しております。
片山甚市
175
○
片山甚市君
そこで、国内
通信
衛星についての問題ですが、
通信
衛星の軌道位置、周波数の
現状
を明らかにし、その有限性がどのぐらいの数になっておるか示してもらいたい。
澤田茂生
176
○
政府委員
(澤田茂生君) 静止衛星軌道というのは、赤道上空の三万六千キロメートルの位置、軌道はこの一つしかないわけでございまして、複数個の静止衛星では、同じ周波数を使用する場合は、相互の混信を防ぐために衛星相互間に一定の間隔を保たなければならないということでございまして、より高い周波数の使用とかあるいは衛星及び地球局アンテナの大きさを大きくしていくということによりましてこの間隔を狭くするというような努力はいたしているわけであります。この点につきまして、やはり非常に貴重なポイントであるというふうに私どもは理解をいたしているわけでありますが、この点についてのどういうふうな形で使用していくかということは人類共通の課題ということで、明年あるいは一九八八年に世界無線
通信
主管庁会議というものでいろいろ議論されていくということになっているわけでございます。
片山甚市
177
○
片山甚市君
そこで、赤道の上にある国々が、いわゆる領空の
範囲
を定めて、それについて
意見
を述べておることは御承知のとおりです。私たちは、これまで
通信
衛星の
開発
利用
は、宇宙
開発
政策と
通信
放送衛星
機構
とにより国として一元的に行ってきたところですが、その
理由
を今変更することができますか、するつもりはありますか。
奥山雄材
178
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 先生が御指摘になりましたいわゆるボゴタ宣言に基づく赤道直下の国々のアーク権の主張と直接かかわり合いがないかと存じますけれども、澤田
局長
が答弁いたしましたように、これまでの日本の宇宙
開発
政策は国ないしは
政府
において一元的に所管してきております。これはやはり今
局長
から答弁ありましたように、軌道周波数の有限性という問題から来ております。このことは将来どのような事態になろうとも変わらないわけでございますので、今後とも宇宙
開発
委員
会が中心になって策定いたします宇宙
開発
政策大綱、これは閣議にも諮られますので、その線に基づいて私どもは処理してまいるつもりでございます。
片山甚市
179
○
片山甚市君
そこで、もし民間
事業
者による打ち上げが行われる、また外国への打ち上げ委託をする場合に、宇宙条約等
関係
条約を遵守するための国内法の
整備
が先決でないかと思いますが、どうでしょうか。
奥山雄材
180
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 先生がおっしゃいますとおり、民間の
企業
が衛星を打ち上げるといったような場合につきましては、昨年宇宙
関係
条約を批准する際に、既に閣議で
報告
が行われておりますように、その法自体が来るまでの間に所要の行政上、立法上の
措置
の要否を含めて検討するということになっておりますので、もし民間の
企業
がみずからの権限、みずからの
責任
において衛星を打ち上げるような事態になりますまでの間に所要の
措置
を講じてまいるつもりでございます。
片山甚市
181
○
片山甚市君
そこで、
公聴会
でも話がありました
電報
の
サービス
についてでありますが、現在
電報
の
利用
通数は四千三百万
程度
あると思います。最近の傾向としては定着しておると同時に漸増しておるのではないかと思うんですが、
現状
はどうでしょうか、公社。
寺島角夫
182
○
説明員
(寺島
角夫君
)
電報
通数の
現状
でございますが、先生御指摘ございましたように、五十八年度で大体の通数が四千四百五十万通でございます。これは御案内のとおり、かつては例えば三十八年という時期には九千五百万通近い通数があったわけでございますけれども、これが年々減少してまいりまして、どこまで減るかということを私どもも実はいろいろ
心配
をしておったわけでございますけれども、五十年代の半ばごろから下げどまりと申しますか、横ばいないしこのところは二、三%でございますけれども微増という形で推移をしておる状況でございます。 なお、慶弔の比率でございますけれども、これも年々増加をしておりまして、五十八年度におきましては七七%でございます。ちなみに、五十年度の数字を申し上げますと六四%と、こういうことになっております。
片山甚市
183
○
片山甚市君
そこで、
電報
は主として慶弔信であるということで、今日的に言えば、電話の普及の中においても全く質の違う
通信手段
として、私の言葉で言えば、日本的
文化
の態様、年賀はがき、暑中見舞いよりも切実に冠婚葬祭に直結しておると思います。他方、
情報通信
の原点であるコミュニケーションの手段としては定着しているのではないか、そういうことを思うんですが、
電電公社
はどう思っていますか。
寺島角夫
184
○
説明員
(寺島
角夫君
) お話ございましたように、確かに、かつて
電報
というものが最も緊急時にスピードの速い
通信手段
として
役割
を持っておったことは事実だと思うわけでございますが、それが
電気通信
の発達によりまして電話の方が、もし持っておればその方がより速いという形に変わりまして、そういうことがこういう通数の変化にもあらわれておるわけでございますし、またそのことがただいまお話のありました慶弔の比率の変化ということにも出てきておるわけでございまして、
電報
の
役割
そのものが、かつての緊急
通信
ということから一つのこういう記録性を持ったメディアだという
役割
が高まってきておるということは御指摘のとおりだと思っております。
片山甚市
185
○
片山甚市君
情報通信
の原点であるコミュニケーションの手段として定着をしておる。形の変わったものとして、記録
通信
に
発展
するでしょうけれども、あるというように認識しておるんですが、間違いないですね。
神林留雄
186
○
説明員
(神林留雄君)
電報
といったものはかつては緊急
通信手段
のほとんど唯一のものであったということはお話のとおりでございますが、今でも緊急
通信
というものはあることはあるわけですけれども、ただいまの先生の御指摘のとおり、慶弔信といったようなものが主体になりまして、一般の
電報
の中でも俗に言う借金の督促、サラ金
電報
といいますか、そういったものが大変ふえておりまして、緊急信といったものは大変ウエートは減ってまいりました。事実
関係
はそういうことでございますが、
電報
といったものは現在社交性を帯びたものが中心ではございますけれども、いろんな形で使われておるということは先生御指摘のとおり間違いないことかと思います。
片山甚市
187
○
片山甚市君
言いにくそうに言うのは
赤字
であるからでしょうけれども、本質的に言えば、冠婚葬祭と言えば
人間
の最大の分かれ目、けじめをつけるときであります。そういうときに役に立っておることは事実です。それは
国会
議員だけだろうなどと言う人がおったらそれは情けのない人で、情け深い人は、
北海道
におりましてだれそれが亡くなっても、ちゃんと
電報
を打つということをやっておるんで、私は、そういう
意味
で
電報
の位置づけについてはさらに議論しなければ、
電電公社
の神林さんの話を聞いてみてもわからない。 そこで、電子郵便と
電報
の違いについて
郵政省
にお聞きします。
澤田茂生
188
○
政府委員
(澤田茂生君) 電子郵便というのは送達の部分的な手段として
電気通信設備
を用いる郵便というふうに概念をいたしております。
電気通信設備
の部分のみに着目をいたしますと、当該
電気通信設備
を他人の
通信
の用に供するという形態でございまして、
事業法
で言う
電気通信
役務というものに該当するという形になるわけでございますけれども、電子郵便の役務の内容とか
提供
条件、こういったものについてはすべて郵便法で規律をしておるということでございまして、役務全体が郵便
事業
として位置づけられているというものでございます。 一方、
電報
につきましては、
電気通信
役務と配達が一体となっている役務ということでございまして、これは
現状
では
競争
を
導入
するということになじまないということで、
電気通信事業法
の附則の第五条で、
電報事業
、配達の業務を含めて第一種
電気通信事業
とみなしておりまして、現行公衆
電気通信
法下と同じく、新
電電
と国際
電電
の独占的
提供
分野
ということにしているわけでございます。 こういうふうに、法制度といたしましては、電子郵便は郵便法が適用される、
電報
は
電気通信事業法
の適用を受けるということでございまして、
電気通信
役務プラス配達という形態上の類似性というものはございますけれども、ある一つの
事業
に同一趣旨の法を重複して適用するということにはしていないというものでございます。実態的にも、
電報
というものは、即時的な配達のほかに電話による送達というものも可能でございまして、口頭で
通信
文を伝える、タイプにより配達されるということから、簡便性とかあるいは様式性に特質があるというものに対しまして、電子郵便の方は、手書き文だとかあるいは図面というようなものをおおむねそのままの形で送信して配達をするという特質があるわけでございまして、両方ともそれぞれの特徴を持っておるということが言えるわけでございまして、
利用者
もそれぞれの特徴に応じた御
利用
をしていただくということでございまして、当面は併存して
利用
されていくものであるというふうに考えているところでございます。
片山甚市
189
○
片山甚市君
少し失礼なんですが、押しつけがましくお聞きしますと、電子郵便は米国のメールグラム
サービス
と同様の
サービス
であり、
事業法
に言う第二種
事業
に当たるのではないかと私は思います。とすれば、画一的でなく、多様な方法で
提供
していくべきではないか。今お答えのあるように、電子郵便が
郵政事業
の独占としていることについて、昭和五十七年五月二十四日の省令に書いてありますから、
競争原理
導入
の必要性を言われる
郵政省
の主張とは矛盾するのではないか。郵便の場合、電子郵便は独占的にやることになっていますが、第二種の仕事とすれば
電報
ではありませんね。第二種のアメリカのメール
サービス
、郵便
サービス
だと考えたら矛盾しませんか。少し考え方を聞きます。
塩谷稔
190
○
政府委員
(塩谷稔君) お尋ねの件でありますが、電子郵便というのは、その郵便の運送の経路にたまたま
電気通信
手段を使うということでありまして、引き受けの部分とそれから配達ということは、これは通常の郵便と同様の形態で引き受け、配達がされておるわけでありまして、全体として郵便というふうに観念しております
関係
上、米国のメールグラムがどういう形態でなされているか、ちょっと私つまびらかにしないんでありますけれども、
我が国
の電子郵便の場合は全体として郵便として観念すべきではないかというふうに考えております。
片山甚市
191
○
片山甚市君
郵政省
としては矛盾をしないでやっていける、共存共栄ができるし、質の違う
サービス
である、こういうことですから、それ以上問いません。しかし、
電気通信事業法
でいえばアメリカのメールグラム
サービス
と同じような形態でありますからお聞きしただけです。 そこで、アメリカのWUT、MCIメールなどでは、多様な形で
提供
して、
サービス
を通じてやっていますが、それをどう受けとめられていますか。アメリカの電子郵便について、成功しておる例がありますが、それについてはどういうふうに受けとめられていますか。
塩谷稔
192
○
政府委員
(塩谷稔君) アメリカの場合でございますけれども、私ども把握している限りで申し上げますと、現在、USPSがテレタイプ型の電子郵便、これはメールグラムと称しています。それから、コンピューター発信型電子郵便、これはECOMと言っておりますが、この二種の電子郵便
サービス
を実施しておりまして、いずれも将来にわたって
育成
発展
させる考えであるというふうに承知しております。
片山甚市
193
○
片山甚市君
ところが、アメリカ郵便公社が二年前から実施している電子郵便、ECOMについては、
赤字
のためにことしの七月六日に廃止を決定した。ウエスタンユニオンテレグラフのメールグラムが四千万通の
利用
があるということを聞いておるんですが、それを他山の石として考えることはありませんか。
塩谷稔
194
○
政府委員
(塩谷稔君) 今先生おっしゃったECOM型の電子郵便の状況でございますが、私どもが承知している限りでは、現在USPSが所有しておりますこのECOM型のコンピューターシステムの部分を売却あるいはリースして、
電気通信
部分を民間
企業
が
運営
すると。それで、ハードコピーの配達、これはUSPSが行うこととするように
運営
形態を変えたいという意向のようでございます。こういった新しい型の郵便ということについては、実際にその
サービス
をやって、需要の動向などを見きわめながら適宜そういう運用の形態も手直しをするというような一つの実例ということで、私どももいわば他山の石としてこれからも参考にしたいというふうに考えております。
片山甚市
195
○
片山甚市君
そこで、
電報
の問題ですが、
電報
は今日慶弔信として定着している事実はお認め願ったと思います。これは
社会
的慣習に基づくコミュニケーションの手段という必要性があるかと思いますが、そこで多角的な
立場
から
電報
を
見直し
てまいり、確認をしてまいる。その上に
技術
進歩の面ではディジタル化の進行に対応する
あり方
を検討し、多様な
ニーズ
にこたえていくべき方法をとるべきだとこの際考えます。 そういう
意味
で、総括原価主義と内部相互補助の必要性は、この種
公共
役務について欠かせないものとしてこの際明確にしたいのですが、どうでしょう。
澤田茂生
196
○
政府委員
(澤田茂生君)
電報
の今日的な
意味
合いというものは、先ほどから先生がおっしゃられているとおりだろうというふうに私どもも理解をいたしておるところでございます。
電報
の
料金
ということで、今後の問題になるわけでございますが、
事業法
で適正原価主義というのを一応明確にはいたしているわけでございますが、しかし、そのこと自体、先ほど申し上げましたが、総括原価主義というものを否定しているものでもございません。したがいまして、
認可
基準の運用に関しましては、今後いろいろ検討をしていかなければならないわけでございますけれども、総体の
収入
で総体の支出を賄うという総括原価主義を
基本
としていく。 ただ、内部相互補助というような問題が起こりますのは、他の
企業
との競合
関係
という点に着目しての問題でございますが、
電報
のように、
社会
的妥当性というものが考えられる
料金
につきましては、原価を下回る場合については、総括原価主義のもとにおいてこれを処理するということは許されるべきものであろうというふうに考えております。
片山甚市
197
○
片山甚市君
枝術進歩の面では、ディジタル化の進行に対応する
あり方
を検討し、多様な
ニーズ
にこたえていくべきだと。今の
電報
をそのまま後生大事に持ってもらいたいと思っておりませんから誤解のないように。 ただし、葬式を出してしまって、
電報
は要らないということを言わないということで確認していますから、今までの答弁から
電報事業
は日本電信電話
株式
会社
及び国際電信電話
株式
会社
の役務として存続するということは当然であり、新たな
法律
による修正がない限り存続するという午前中のお話でよろしゅうございますか。
澤田茂生
198
○
政府委員
(澤田茂生君) そのとおりでございます。
片山甚市
199
○
片山甚市君
先ほど話をしていた国際
通信
に対する再販禁止の問題であります。CCITT第七回総会、一九八〇年に採択されたD—一勧告によれば、私用賃貸
回線
、これは専用
回線
は顧客の本来の業務に
関係
する
通信
を交換するためにしか使用ができない、これは勧告の一—7です。その次、顧客の活動が、第三者に
通信
業務を
提供
することにより、主管庁、すなわち国際
電電
の果たすべき業務の
範囲
を侵害すると見られるときには、
提供
を拒否するためあらゆる手段を講じなきゃならない、勧告一—10とされておりますが、それについてはどう思っておられますか。
奥山雄材
200
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 先生が御指摘になりましたCCITTの勧告でございますが、御承知のとおり勧告というものの性格は、条約のようなあるいは協定のような拘束力はございませんが、電信電話規則におきまして、協約に定めのない事項については勧告の定めるところによるという規定がございまして、私どもが国際
電気通信
業務を諸外国と協調のもとに円滑に
運営
するためにはこれを遵守することが欠かせない前提になっておりますので、このD—一勧告を含めまして、その他の勧告をも総体といたしまして私どもは尊重するつもりでございます。
片山甚市
201
○
片山甚市君
念を押しますが、
郵政省
としては、条約、勧告、決議等について国際的合意を得たものについては、国際
通信
の建前からいって各国の主権がありますから、尊重するという
立場
で、実施については常に配慮する、それを守っていくような考えだというように今奥山さんからお答えになったと思うんですが、いかがでしょう。
奥山雄材
202
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 条約、協定はもちろんでございますが、それらを補完する
意味
での勧告につきましても、私どもは国際
社会
の一員として、その総体を遵守してまいるつもりでございます。
片山甚市
203
○
片山甚市君
そうおっしゃるんですが、あなたの方で、どういうことになるか、国際VANを認めているのは、とりあえず制度的に開く道をつくっておくと。それで、国際VANを正式にするためにはCCITT勧告を、米国と手を結んで、認められるようにする努力をすることを、紆余曲折はあるけれども、やるべきだと思う。
郵政省
としては、いわゆる賛同できる国と手を結んで、世界的に国際VANを認められるように運動していきたいというように思っておるようでありますが、そのようなことについてどう具体的に進めておるんですか、今の話とは全然違う話ですよ。
奥山雄材
204
○
政府委員
(奥山
雄材
君) 今先生がお示しになりました、あるいはお読み上げになりました資料は、ちょっと私不確かでございますが、現在
郵政省
に置かれております国際
通信
政策に関する懇談会の中で論議をされている部分の一部かと存じます。もし間違っていたら訂正させていただきたいんですが、この国際
通信
政策懇談会の中で今論議しておりますのは、国内法制が自由
競争体制
、つまり
競争原理
の
導入
が、
法案
が
成立
いたしましたならば確実に幕が開くわけでございます。そのことは少なくとも国際
通信
においても
競争原理
が
導入
されるという、国内法制上はそういうことになります。 しかしながら、現在御
審議
いただいております
法案
の中にもございますように、国際
関係
には条約の遵守その他さまざまな規定があり、また相手国との協定その他の合意事項等もございますので、国内の
電気通信事業
体制
が複数化されることが非常に近い将来に予見されるに至った今日、いずれ将来国際的な
電気通信
の態様がどうあるべきかということについて幅広く検討する必要があるということで、予断を抱かないであらゆる角度から多角的に検討するということで、現在、大臣の私的諮問機関として検討しているところでございまして、ある一定の方向を持って、あるいは偏見と予断を持ってこの問題を取り上げているという事実は全くございません。
片山甚市
205
○
片山甚市君
電話料金
などの不払いについてですが、これは国際
通話料
が不払いになった場合、従来の公衆法では決め手があったんですが、今度は約款でやってもらいたいということですが、この約款の内容はどういう形で
電電公社
を受け継ぐことができるんですか、それとも国際
電電
との間にどのような約束事でできるんでしょうか、お答えを願いたいと思います。
草加英資
206
○
説明員
(草加英資君) お答えいたします。 現在、公衆法の中でKDDの
料金
が不払いになった場合、私どもに依頼がございまして、通話停止を行うという規定がございます。 今回、
事業法
が
成立
した場合には、これらの規定は当然契約約款の中に織り込む性質のものでございます。 現在、私どもといたしまして、KDDの
料金
の不払いに当たりまして、
会社
の電話を通話停止いたすという方向で契約約款をつくるべく検討を進 めているところでございます。
片山甚市
207
○
片山甚市君
その結果、従来と余り変わりがない
程度
の約款になりますか。
草加英資
208
○
説明員
(草加英資君) 具体的には契約約款、
郵政省
の御指導を得ながら
認可
を受けるわけでございますので、最終的にはまだ固めておりませんが、大きな考えといたしましては大体現在の方向で行きたいと、このように思っております。
片山甚市
209
○
片山甚市君
郵政省
は、国際
電電
の
料金
不払いについて相当
電電
株式
会社
も協力する用意を持っているということでありますが、これについての助言はどういうことなのか。
澤田茂生
210
○
政府委員
(澤田茂生君)
料金
の収納というものを確実に行うということは大変重要な課題でございまして、今
電電公社
の方からも御答弁ございましたように、新しい
体制
になりますれば新
会社
とKDDとの定める約款によるということになるわけでございまして、
電電公社
の方もそういう従来の形を踏襲してまいりたいというお話でございます。いずれもKDD、新
会社
ともに特殊
会社
という形で今後も相協力して
公共性
の高い
サービス
というものを
確保
していくという
観点
からも両者がそういう形で継続的にそれを引き継いでいくということが望ましいというふうに考えております。
片山甚市
211
○
片山甚市君
時間が来ましたからもう一問だけお聞きします。 本電話機の廃止に伴って関連する問題ですが、端末機を開放するということでおのずから本電話機制度が廃止されることになりました。
電気通信事業
者による
電気通信
を役務として
提供
するというこれまでの
責務
を変更することは大いに必要だろうと思います。
事業
者は役務的にはあくまでもゲート・ツー・ゲート、いわゆる保安器から保安器ということに
責任
を持つということで先ほどお聞きしましたが、
責任
分界点については、それから先は
事業
者といわゆるユーザー、
利用者
との間の
責任
範囲
になる、こういう理解をしてよろしゅうございますか。
澤田茂生
212
○
政府委員
(澤田茂生君) 第一種
電気通信事業
者の役務の
範囲
といいますのは、保安器あるいはローゼットまでにとどまる、いわば先生今おっしゃられましたゲート・ツー・ゲートというのも、また端末設備部門まで含んだものというものもございまして、これらのうちどのような役務を
提供
するかということは
事業
者の判断にゆだねられているわけでございまして、
責任
分野
というのもその
サービス
を
提供
した部分までがそれぞれの
事業
者の
責任
分野
ということになるわけでございます。
片山甚市
213
○
片山甚市君
そこでもう一度聞きますが、
電電
株式
会社
、また
電電公社
が今まで
責任
を持ってきました
回線
の端末のところ、一番しまいのところは、最低は保安器のところまでは第一種
業者
が
責任
を持つんですか。それともそれから先が、保安器から先が契約事項で変わる、ユーザーの形で変わるということなんですか。それを明確にしてください。
澤田茂生
214
○
政府委員
(澤田茂生君) そのとおりでございます。
片山甚市
215
○
片山甚市君
終わります。 ─────────────
松前達郎
216
○
委員長
(
松前達郎
君) この際、
委員
の異動について御
報告
いたします。 本日、
新谷寅三郎
君が
委員
を辞任され、その補欠として
出口
廣光
君が
選任
されました。 ─────────────
松前達郎
217
○
委員長
(
松前達郎
君)
質疑
を続けます。
中野明
218
○
中野
明君 前
国会
で継続
審議
になりましてから既に四カ月を経過して本日
審議
に入ったわけですが、最初に私、前
国会
でも申し上げましたが、最近の
法案
を出される傾向が、いわゆる政令、省令
委任事項
が非常に多い。そういうことで、我々としては
審議
をするのに
責任
が持てないというような嫌いも出ております。そういうことで、四カ月たったわけですからかなり
政省令
も煮詰まってきたと思われますので、逐次お尋ねをしてまいりたいと思います。 先立ちまして、今回の
電電
三法について、だれしもが一番関心を持っておりますのは、まず
株式
の問題です。株を一体だれが持つのだろう、あるいは発行額とそれから額面、そしていわゆる売却の価格はどれぐらいになるんだろうか。第二点は、公社が民営に移行して一体
料金
はどうなるだろう、市内
料金
が上がらないだろうか、あるいは
地域
の格差が出てこないだろうか、特に国鉄に見られるようにいわゆる
赤字
路線に対しては特別
料金
というようなことになるんじゃないか、こういう
心配
がやはり電話を持っている人たちの間に非常に強いわけです。それから第三点としては、新しい
電電
が当然
競争
に乗り出すわけですから、今までの
下請業者
あるいは関連
産業
が巨大な新
電電
に押しつぶされはしないだろうか、我々の仕事が減るんじゃないか、公正な
競争
が保たれないんではないか、こういう
心配
が随分と出ております。それから、先ほど同僚
委員
からも話が出ておりますように、会計検査院も指摘しておりますが、公社の要員の配置が非常に不適切じゃないかというような指摘もあります。そうなりますと、当然
民営化
によっての雇用の不安ということが現在働いている方々の上にも大きな問題として出てくるだろう。そういうことをいろいろ考えますと、今私が申し上げたほかに細々した問題はありますが、大きくこういうことが問題になっておりますので、最初に、大蔵省も来てくれていると思いますが、
株式
の発行額と売却価格というものはどのようにお考えになっているかお答えをいただきたいと思います。
日高壮平
219
○
説明員
(日高
壮平
君) 先生御承知のように、現在御
審議
をお願いしておりますこの
会社法案
を
成立
さしていただきますと、その後、実は
設立委員
が任命され、その
設立委員
の間で資本金等が決められるという手順になっております。したがいまして、その
株式
の発行額というものも、いまだ資本金等が決まっていない現段階では確たることを申し上げる段階にないと、その点を御理解いただければと思います。 それから、また売却価格につきましては、実際にまず資本金が決まっていないために売るべき
株式
数が総体としてどのくらいになるかという判断も現在できないわけでございますし、それから実際に売る場合には
株式
市場の動向等いろんな要素が絡んでまいりますので、具体的に幾らで売るかという点についても現在お答えすることができない、その点の事情を御理解いただきたいと思います。
中野明
220
○
中野
明君 それで、お尋ねしますけれども、いわゆる現行法では新しく上場する新発行の
株式
の額面というのは決まっているんでしょう、一株の額面の金額は。それは幾らですか。
日高壮平
221
○
説明員
(日高
壮平
君) 私が理解するところにおきましては、新しい商法が
施行
されて後、一株の金額は五万円というふうに理解しております。
中野明
222
○
中野
明君 そうしますと、大体うわさされているところによると十倍とか二十倍のプレミアがつくのじゃないかというようなことを言われております。一株が五万円ということになると、これの十倍ということになると五十万円ですか、二十倍というと百万円になります。とても一般の人たちに株は回ってこないんじゃないか。だから、こういう特殊の状況のときには特例をつくって、額面を既成の株のような低い額面にするという、そういう考え方はございませんか。
澤田茂生
223
○
政府委員
(澤田茂生君) 株の処分の問題等含めまして現在まだいろいろこれから
法案
が通りましてから検討さしていただくということでございまして、どの
程度
の発行数になるのか、そういったことも明確でございません。 また、商法の改正によりまして新しく
会社
が設立されたときに発行する
株式
の額面というのは、ただいま大蔵省の方から答弁ございましたように、五万円以上ということになっておるわけでございまして、その点についてはやはり商法の原則というものを踏まえた形でやるべきではなかろうかというふうは考えております。
中野明
224
○
中野
明君 それでは結局株を持つ人が限定され てきて、大金持ちといいますか、大きなところへ株が片寄ってしまうという
心配
をするから言うているわけでありまして、やはりこういう特殊のときには特例で額面を低くして発行するというのが常識ではないだろうか、こういうふうに思います。 というのは、公社の
資産形成
の
経緯
から見て、私どもはこの株をまず現在の電話加入者に優先的に割り振るべきだ、こういう考え方を持っています。これが一番納得のいく株の売却の方法じゃないか。先ほど申し上げましたように、一体だれが株を持つか、最終的に株の持ち主はどういうことになるか、そしてそれが片寄らないかということ、しかもきのうきょうと報じられておりますように、イギリスの
電電
が株を売り出した、明くる日には倍になっている。たしか百五十円で売り出したのが二百八十八円ですからもう倍ですね。一晩で倍になっている。こういうことを考えますと、これは株の発行高、額面と同時に売り出し価格も、そういうことを見込んでかなり高くしておかないと、これはプレミアがついて
利権
にまつわるおそれがあります。この辺の考え方はどうお考えになっていますか。
日高壮平
225
○
説明員
(日高
壮平
君) 今先生が御指摘になられた点は、具体的に例えば
株式
を売却する場合にどういう売却の方法でやるかということにも当然絡んでくる問題であろうかと思います。私どもとしても今部内でいろいろ勉強はしてはおりますけれども、まだ実際に
株式
を売却する場合にどういうやり方でやるか、例えば
競争
入札でやるのか、あるいは、従来の例に従って例えばシンジケート団を組んで売らせるのか、あるいはその場合にどういう手続をするのかとか、そういった点についてはまだまだ検討をしなければならない問題が種々ございます。私どもとしてはこういった株の売却方法についての当
委員
会におけるいろんな議論も踏まえながら、
法案
が
成立
し、実際に新
会社
が発足した後、例えばいろいろな有識者の
意見
も聞きながら、その辺については十分勉強していかなければならないんじゃないかというふうに考えておりますが、現段階で、まだ
法案
の御
審議
をお願いしている段階でございますので、具体的ほ今どういうことを考えているかという点についてはまだ申し上げる段階にございません。
中野明
226
○
中野
明君 今おっしゃることはわかるんですが、私の言うていることもわかっていただいて、そして将来の重要な参考の一つにしてもらいたいわけです。 大臣、
電電
の株をだれが持つかというのは大関心事なんですが、現在で四千三百万加入者に一応一株ずつというんですか、方法はいろいろありましょうけれども、持たすというこの考え方、大臣の御
意見
はどうでしょうか。
左藤恵
227
○国務大臣(
左藤
恵君) 大変難しい御質問でございますし、また実際これをどういうふうにしてそういうふうなことをするかということにつきましても、これはまだ検討を要しなければなりませんけれども、非常に難しいんじゃないかなという感想的なことで恐縮でございますが、持っております。この
電電公社
の
資産
というものがどういうところから形成されたかという問題と関連はあるわけでございますけれども、公平に公正にやるということにつきまして、その方法とかいろんな問題がありますので、御趣旨の点につきまして、それを実現するということは非常に難しいんじゃないかと、このような感じを持っております。
中野明
228
○
中野
明君 それから、額面の五万円という商法の現在の規定なんですが、これは、こういう特殊のときには、今私も申し上げているように、だれが株を持つかということが非常に大きく関心を集めているときですが、できるだけ幅の広い、そして
国民
全体が納得のいくような株の持ち方をさせるということになれば、五万円というのは余りにも大き過ぎて、庶民の手は届きません。そういうことについて大臣としてのお考えはどうですか。
左藤恵
229
○国務大臣(
左藤
恵君) 額面五万円というのが高いというのは、これは、商法の規定がそういうふうに改正されるわけでありますから、そのこと自体が高いというんじゃなくて、今お話がございましたようにどのくらいプレミアムがつくかとかいうふうなことで、具体的な問題として持ちにくいあるいは持ちやすいという問題はあろうかと思いますけれども、額面そのものが商法の改正された五万円ということは、私は高いとは考えておりません。
中野明
230
○
中野
明君 だから、この際、私は特例をつくるべきじゃないか、そういう考えなんですが、もう一度御
意見
を。
左藤恵
231
○国務大臣(
左藤
恵君) この問題で特例ということは非常ほ難しいんじゃないかと思います。ということは、一体本当にこれは
株式
を売却いたしましたときに、どのぐらいの価格で取引されるかということにかかってくるんじゃないか、こう思います。そういった
意味
におきまして、私は、
法律
の定めるところの五万円でやる以外にないんじゃないか、このように考えます。
中野明
232
○
中野
明君 大臣がそういう考えじゃちょっと困るんですがね。本当に公社の
資産形成
の
経緯
から考えて、
法律
では建前はそうなっています、だけれども、
国民
が今一番関心を示しているのはそこにあります。結果として、大
企業
とか大資本にこの株が牛耳られるんじゃないか、そこにまた
利権
が絡んで不明朗なことが起こっては大変だ、こういうことで、我々もこの点は大変
心配
をしておるところであります。それだけに、どうかひとつ、今現在はそういうお考えでしょうけれども、具体的にやはり大臣としてはかくあってほしいというものをもう少し詰めてもらいたいなと私は思います。 それから、新聞報道によりますと、この株の
売却益
は予算に計上するようになっているんですが、当初予算では大蔵省はもうあきらめたというようなことになっているんですが、その辺はどうなんですか。
日高壮平
233
○
説明員
(日高
壮平
君) いろいろな形で新聞報道がされておりますけれども、私が今お答えできるとすれば、現在予算編成中でございます。したがいまして、大蔵省として六十年度にどうするかということについて何らかの結論を出したということではございません。
中野明
234
○
中野
明君 そうすると、前々からの予定どおりに当初予算には計上する予定ですか。
日高壮平
235
○
説明員
(日高
壮平
君) 前々からの予定ということがどういう御趣旨なのかわかりませんけれども、今申し上げましたとおり、現在予算編成中でございますので、確たることは申し上げる段階にございませんけれども、いずれにしても、
衆議院
の
最後
の採決に当たりまして、大蔵大臣から
政府
の統一
見解
というものをお答えいたしましたが、その中にございますように、
国民共有
の貴重な
財産
だということでございますので、その売却に当たっては、いささかも国益を損なうことのないように慎重に考えていかなければならぬ、そういう
基本
姿勢でいることは事実でございますが、実際にそれではいつごろ売却するのかという点については、まだ申し上げる段階ではございません。 〔
委員長
退席、理事
片山甚市君
着席〕
中野明
236
○
中野
明君 現段階ではこれ以上言うても無理だと思います。いずれ当
委員
会に大蔵大臣も来ていただいて、こういう問題についてもう少し方向性を——やはりある
程度
方向性を示していただかないと、私どもも、ああ、さようでございますか、すべてお任せしますというわけにまいりませんので、それだけは付言をしておきます。じゃ、結構です。 それで、これは
郵政大臣
にお聞きしますが、識者の間でも、また閉会中の
公聴会
で各
公述人
の大多数の人が今回の公社の株の
売却益
はやはり
電気通信事業
の
振興
に充てるべきだ、かなりの有識者も
株式
の
売却益
は明白な目的のために金を使うこと、すっきりさせろと、あるいは
電電公社
の
民営化
に伴う
株式
の
売却益
は長年電話
利用者
が拠出したものが
資産
として形成されたもので、その
経緯
からこれを
電気通信
の助成
振興
措置
の財源に使えという有識者の
意見
も私あちこちから聞いておりますし、この間の
公聴会
では大多数の人がやはり そういう御
意見
でございました。特に世界各国ともこの
通信
分野
の研究というんですか、これはもう先を競って非常に積極的にやっております。ところが、残念ながら
我が国
というのはどっちかといいますと応用研究が中心で、基礎研究というのは大変おくれておる、これは事実であります。それで、この際やはり株の
売却益
というのは一部を基礎研究に充てる。ただ、その中で、いろいろ有識者も言っておりますけれども、どうも日本は役所の縄張り争いが激しくて、そして縄張り争いのために目的がそがれることが多い、こういうことだけはなくしてほしい。 〔理事
片山甚市君
退席、
委員長
着席〕 やはり官僚同士がよく国益というものを考えて、そして有効にやってほしいという
意見
も付言されておりますけれども、大勢として、そういう方向に明確にこれはするべきだ、財政再建のために
電電公社
が民営になるのと違うんだということでございますが、大臣の御
意見
を。
左藤恵
237
○国務大臣(
左藤
恵君) 御説のとおりだと私は考えます。今回の
電電改革
の目的というものが
電気通信
をさらに一層
振興
さしていこう、そして来るべき
高度情報社会
に対応するものにしていこう、こういうことで
法案
の御
審議
をいただいて、また
改革
をしていこうということでございます。そういうことで、それに関連いたしまして生じます
株式
の
売却益
ということにつきましては、やはり私はその目的のために使用し活用していただきたいということでございますので、過般来検討しておる問題といたしまして
電気通信振興機構
のようなものを設立して、そして何かまず第一に今御指摘のとおりの
電気通信
の基礎
技術
の研究ということで、民間のみでは実施が困難な
分野
にそうしたものを重点的に充当していただければありがたい、このようは考えております。
中野明
238
○
中野
明君 大臣の今の答弁にもありましたが、今回のこの
法律
を
成立
させるに当たって、この
会社法
の附則にでもそういうことを私はぜひうたうべきじゃないか、こういうふうに考えております。また、いろいろと今後の
審議
の推移を見守りたいと思っております。 それでは、次の問題に入ります。現在の
電電公社
、それから国際
電電
、これには過去私も何回か議論をしましたが、適正利潤というもの、これの一応数値を挙げて適正利潤はいかほどであるべきかということが今まで論議されてまいりました。今回は
株式
会社
になるといってもこれ特殊法人で、KDDと同じですから、やはり新
電電
の適正利潤ということについて考えておく必要があるんではないか、こう私は思います。 というのは、やはり
料金
の問題も絡んできますし、やたらにもうけ主義でもうけさえしたらいいということで、
料金
をさておいてもうけだけで株主に配当だけいったらいいと、こういうことでは困るんであります。その
事業
の持つ
公共性
、これについてけさほど来同僚議員からも質問がありましたが、私も同
意見
でありまして、適正利潤に答えていただく前に、現在の
日本電信電話公
社法の第一条あるいは公衆
電気通信
法の第一条、そこにうたわれております「
公共
の
福祉
」あるいは「あまねく」「公平に」というような、そういう精神、これは今回の両
事業法
あるいは
会社法
にも脈々と生きているということを確認したいんですが、それはよろしいですか。
澤田茂生
239
○
政府委員
(澤田茂生君) おっしゃるとおりでございまして、
公共
の
福祉
の
増進
、
国民
の
利便
の
確保
というようなことにつきましては、これは今回の
会社法
、
事業法
を
制定
する場合の
基本
理念としてこれを置いているということでございまして、具体的な条文それぞれのところにもそういう規定を明定をしておるということでございます。
中野明
240
○
中野
明君 それじゃ、適正利潤についてどうお考えになっているか御返事願います。
澤田茂生
241
○
政府委員
(澤田茂生君)
電気通信事業法案
の第三十一条第二項一号というもので
料金
決定原則というものを規定しているわけでございます。「
料金
が能率的な
経営
の下はおける適正な原価に照らし公正妥当なものであること。」ということを明記いたしております。その趣旨というのは適正な原価に適正な利潤を加えて公正妥当な
料金
が決定されるということを
意味
しているわけでございます。こういう新
電電
の
料金
についても適正な利潤を前提として設定されるということになるわけでありますが、その適正な利潤の水準、判断基準をどうするかというようなことにつきましては、
事業
に投下された
資産
の適正報酬率というようなものを考えていく、いろいろな考え方があろうと思いますけれども、なお
審議会
等にもお諮りをいたしまして今後詰めてまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
中野明
242
○
中野
明君 現在のKDDと
電電公社
の適正利潤というのはたしかパーセントではじかれておったと思うんですが、どうなっていますか。
澤田茂生
243
○
政府委員
(澤田茂生君) 現在の
電電
、それからKDDにつきましては、
法律
上の
料金
決定原則といたしましては合理的な
料金
ということのみが規定をされております。明確さという点については若干欠けるような気もするわけでございますけれども、今先生おっしゃられましたような適正報酬率というようなことについての具体的な数字というものはございませんで、
電気通信
料金
というのが、
料金
総
収入
が合理的で能率的な電信電話
事業
の
経営
に必要な経費を償うよう、そういう原則のもとではじかれているということでございます。
中野明
244
○
中野
明君 五十八年六月に
電気通信
料金
問題
調査
研究会というところが適正報酬率というんですか、これでは公社が六%前後、国際
電電
が七%前後というふうに一応数字の上ではじいているんですが、これは大体妥当なものですか。
澤田茂生
245
○
政府委員
(澤田茂生君) これは新法の
体制
ということではなしに現行法
体制
の中でどうあるべきかということにつきまして学識の先生方にいろいろ検討していただいた、その結果の一つの目安と申しましょうか、そういうものとして出た数字でございます。 なお、新しい
体制
下においてこれをどうするかということについてはなお一層検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
中野明
246
○
中野
明君 しかし、この考えというのは、
基本
的にこういう考え方は余りとてつもなく変わるということはあり得ないと私は思うんです、国際
電電
もやっているわけですから。ですから、大体こういうことを目安でと私は思っておりますけれども、今申されたように別はこれは
法律
でどうせい、こうせいじゃありませんけれども、やはり大体の節度というものを持っておかないと、特殊法人ですから、民営になったからといって、とにかく営利第一で走りまくられたのでは、後ほど私も問題にしたいと思いますが、関連
業者
との
競争
とかそういうことへ全部はね返ってきて、まともにぶつかり合ったら吹っ飛んでしまうのはわかり切っているということで非常に不安を持っている人も多いんです。そのことについてはいずれまた次の機会にでも申し上げますけれども、そういうことから私は今の適正利潤ということを申し上げておるんでありまして、これは
公共
料金
である電気やガスもやはり適正利潤というものは一応示されているようですので、その辺はひとつ著しく現在と逸脱をするようなことのないように考えてもらいたいなと、こう思うんですが、大臣どうですか。
左藤恵
247
○国務大臣(
左藤
恵君) お話のとおり、新
電電
の
料金
とかそういったものにつきましては、当然にそういった適正水準というものを新しく設定しておかなきゃならないんじゃないかということでございますので、現在検討をしておる段階でございます。
中野明
248
○
中野
明君 それじゃ、先ほども同僚
委員
からお話がありましたが、ちょっと私聞き漏らしたかもしれませんので重複になるかもしれませんが、
設立委員
は大体何人を予定しておられますか。
澤田茂生
249
○
政府委員
(澤田茂生君)
設立委員
の数につきましては、まだ現在のところ具体的な人数を固めるまでには至っていないということでございます。 いずれにいたしましても、
会社法
制定
後任命をすることになるわけでございますが、
委員
の数に つきましては従来の特殊
会社
設立の例というようなものを参考にしながらこの新
電電
の規模等を踏まえて検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
中野明
250
○
中野
明君 やはりこういうことも
法律
が通らぬとだめなんですかな。もう四カ月もたっているんですから大概詰められて、人の名前は私は無理だと思いますが、大体何人ぐらいということぐらいは——四カ月何してたのかということになりますがね。どうなんでしょうね、大臣、人の名前を私は言えと言っているんじゃないんです。だけれども、
設立委員
はこれぐらいでいきたいと思いますということぐらいは返事をしてもらわないと、何のための継続になったのやら、ぐあい悪いですね。四カ月遊んでおったのかということになりますが。どうでしょう、もうそうせぬと間に合いませんよ、こんなぐずぐずしておったら。どうですかな。
左藤恵
251
○国務大臣(
左藤
恵君) お話のとおりでございますが、大体の見当というふうなことで申し上げるということも非常に問題ございますので、しかし例えば今までの特殊
会社
の
設立委員
というものの例がございまして、例えばKDDができましたときは二十七名とか、日本航空が十三名、この間できました関西国際空港
株式
会社
でございますが、これが二十一名、日本たばこ
産業
株式
会社
が十三名と、こういうふうな例もございますので、一つの常識的な線というもので、人数は——それにいたしましても、とにかくこの
法案
が御承認いただけましたらすぐに人数は決定できるんじゃないか、このように考えております。
中野明
252
○
中野
明君 大臣は今常識的にとおっしゃったですから、これらよりもけた外れに大きな
会社
ですから、人数もそれに応じてくるんだろうと思いますが、
設立委員
というものの構成が大変問題になってくるんじゃないかと思いますが、けさほど同僚
委員
からも質問がありましたが、これは非常に大事な
役割
を果たされるものですから、幅広い
意見
を結集して公正な人事が必要になってくるわけですが、この点については私どもも非常に関心も持っておりますし、いやしくも
国民
から変則的な
設立委員
の任命だと言われることのないようなそういう配慮をお願いしたいと思います。 それから、
設立委員
会の設置場所は決められましたか。
澤田茂生
253
○
政府委員
(澤田茂生君) 具体にはまだ、
設立委員
の任命等とあわせて選定をしたいというふうに考えております。 ただ、私どもこの
設立委員
会の事務局の設置場所ということにつきましては、特殊
会社
の設立事務という公的な職務を遂行するにふさわしい、どなたからごらんになられましても公正中立と思われる場所というようなものを選定しなければならないというふうに考えているところでございます。
中野明
254
○
中野
明君 そうすると、これもまだ決まってないんですか。
澤田茂生
255
○
政府委員
(澤田茂生君) そのとおりでございます。
中野明
256
○
中野
明君 何も決まっておらぬのですね。人の問題とかそういうのはぼくはわかるんですけれども、大体こういうことはどこへ事務局を設けて設置したいと、そういうことにしておかないと、これ間は合うんかなという感じがするんですがな。皆さん方は四月一日だと一生懸命おっしゃっているんですが、ほんまほ四月一日に間に合うんかなという
心配
もあります。今
法案
が通らぬのにそんなことを言うたら怒られるということでおっしゃらないのかもしれません。 これ以上言いませんけれども、何だか私が最初に申し上げたように、そういう
政省令
でこっちに任してくれと。それは信用しないんではありませんけれども、往々にして今まで
政省令
にゆだねて後でびっくりして、何でこんなことしたんやというようなことが多いんですよ。最近、特にそういう
法案
の出し方がずるくなってきたといいますか、少なくとも
法案
を出して
国会
の
審議
をする以上は、ある
程度
政省令
の中身は詰めて、そしてもし通ったらこう考えておりますというものを用意してから
法案
を出されるべきじゃないかなと、私はこう思っているわけです。そうしないと、後になって、じゃ皆さん方を信用してこの
法案
を通した、通した後から変なことが次々起こってきたということになると、
国会審議
というのはこれは一体何やと、だまされたじゃないかと、
国会
というところはもう何にもしないじゃないかということになるわけです。だから一つ一つ気になるところを詰めてきたわけなんですが、今の
局長
のお話では何も決まっておらぬということでまことは残念でございます。 では、次は特別第二種なんですが、これも前
国会
で私申し上げましたが、特別第二種と普通の第二種との境界といいますか、これは通産と何か話がなかなか詰まらぬということだったんですが、これはもう詰まりましたかな。
澤田茂生
257
○
政府委員
(澤田茂生君) 特別第二種と一般二種の区分けの問題でございますけれども、「
電気通信設備
を不特定かつ多数の者の
通信
の用に供する第二種
電気通信事業
であって当該設備の規模が
電気通信
回線
の収容能力を基礎として政令で定める基準を超える規模」、こういうようなものを定めているところでございますけれども、政令はこういった法の委託を受けて
電気通信
回線
の収容能力を基礎として算定していくということでございますが、この政令を定めるに当たりましては、現在の
電電公社
とかあるいは民間データ
通信
業者
のネットワークの実態あるいは将来の
発展
動向というようなものを勘案して定めていくと同時に、
関係
省庁とも意思疎通を図っていかなければならないというところでございますが、現在のところまだ
政府
としての政令案というものを決めていない段階でございます。したがいまして、十分な意思疎通というところにまで至っていないというのが
現状
でございます。
中野明
258
○
中野
明君 これもまだ決まってないんですかね。 通産は来ていますかね。——
郵政省
の考えは一応あるようですが、それに対して通産はどうですか。
牧野力
259
○
説明員
(牧野力君) 今
郵政省
からお答えがありましたように、私どもといたしましては、この
法律
、あくまで政令案をおつくりになりますのは
郵政省
でございますので、まだ正式に御協議を受けておりませんので、これに今現在ではお答えをする
立場
にないことを御了承いただきたいと思います。
中野明
260
○
中野
明君 これ
局長
、この
法案
が通らぬとこういうことは相談できないんですか、通産と。これは、やはり特別第二種というのは先ほど議論がありましたように外資規制の問題でも私どもは非常に不服があるんですよ。当初
郵政省
は特別第二種は外資規制も一応考えておったのを途中で撤回して、
心配
ないから納得しましたというようなことで引き下がってしまっているんですよね。そういう
経緯
もありますので、やはりこれはいまだに、四カ月もあって相談もしない、それで
会社
ができてから相談するというてごちゃごちゃ
意見
が違うておったらこれはとてもじゃないが間に合わぬのじゃないかというような気がするんですが、どうですか、
郵政省
の案は決まっているんですか。
澤田茂生
261
○
政府委員
(澤田茂生君) 私どもの一つの考え方といたしまして具体的な数字ということで申し上げますれば、あるいは前
国会
の御
審議
の中でも若干触れたかと思いますけれども、千二百ビット・秒の換算で五百
回線
というようなものも一つの考え方であらうかというふうな考え方は持っているところでございます。
中野明
262
○
中野
明君 早くこれもう決まっていることならば、通産とこういう考えでおりますがと話を進められた方でいいんじゃないかなというふうに思いますが、それはまあ一応
要望
しておきます。 それでは次の問題に入りたいと思います。
郵政省
にお尋ねをしますが、今回の
法律
が通りますと第二
電電
と第一種
電気通信事業
会社
が当然
競争
に名乗りを上げてくるだろうと思うんですが、大体この
法律
が通ったとして、第一種電気通 信
事業
会社
の発足といいますか出発というものはいつごろと推定されていますか。
澤田茂生
263
○
政府委員
(澤田茂生君) 第一種
電気通信事業
への
新規参入
の計画につきましてはいろいろ構想が出ているわけでございますけれども、例えば第二
電電
企画
株式
会社
あるいは日本テレコム
株式
会社
とか日本高速
通信
株式
会社
、こういうような構想がいろいろ出てきておるのは私どもも承知をいたしているところでございます。 お尋ねのいつごろから
サービス
・インするんだろうかということでございますが、現時点において私どもが承知をいたしおります計画といいますのは、早いものでは専用
サービス
については六十一年度ごろから、それから電話
サービス
につきましては六十二年度ごろ
サービス
開始の予定というふうに承知をいたしております。
中野明
264
○
中野
明君 そこで、
電電公社
にお尋ねをするんですが、私個人としましては、大体
遠近格差
といものをなくして、
遠近格差
がなくなったところで民営に持っていくというのが理想だと、私はこう考えておったわけです。だけれども、時代の要求がそれを許さないということで、今ここで
民営化
という
審議
になっていることも理解しております。だけれども、
遠近格差
をなくしてから
民営化
に持っていってもらいたいというのが私の個人的な考えでした。これは前もって申し上げておきまます。 そこで、来年四月発足といたしまして、まだ一、二年あるわけなんですね。電話の
競争
ということになると六十二年ですか。ですから三年ほどあるわけなんですが、その三年ほどの間にいわゆる新規
競争
相手が出てくるまでに公社の
遠近格差
というのはどの
程度
まで縮められるというふうにお考えになっているのか、構想をお示しください。
真藤恒
265
○
説明員
(真藤恒君) 私どもとしましては、
遠近格差
をまず縮めることが当面の
料金
関係
の私どもの
責任
だと思いまして、御存じのように、過去ずいぶんいろいろなことをやりながら収支差額を減らさずに今日まで四回長距離
料金
、中距離
料金
を下げてまいっております。この考え方は一つも変わっておりません。 ですから、先生のおっしゃいますように、できるだけ早く
新規参入
が入ってくるまでの間にさらにこの遠近の格差を縮めたいという強い願望を持っております。ただ、残念ながら現在の公社制度では
遠近格差
を縮めると申しましても、あらゆる問題で動けなくなっておりますので、こういう一元コントロールの組織でございますから、そういう制限があるのはこれは当然でございますけれども、そのしがらみの中ではとてもじゃないが合理的な方法で、職員も納得する方法で、無理なことはできないということだけははっきりいたしております。今度、こういうふうな法改正が通りましてそのしがらみが大分緩くはなりますのでやりやすくはなりますが、とは申しましても、それはそれなりにまた、いわゆる大
企業
なるがゆえのいろんな批判、抵抗ということもあろうかと思います。しかしながら、そういうのは世間の御理解あるいは同じような仕事をやっていこうとする皆さんと協力
体制
のいろんな
事業
を興しながらこの問題をできだけ早くおっしゃる方向へ持っていきたいと思っております。そうしておきませんと、INSと申しましてもなかなか世の中に役立つものができ上がろうとは考えられません。
新規参入
に対する
競争
力という点から申しましても、早くその点はやっていきたいというふうに強く考えております。
中野明
266
○
中野
明君 そうしますと、今の総裁の御返事ですと、現在の公社の制度よりも新
会社
になった方が少しは
遠近格差
の是正がテンポは速くなる、こう理解してよろしいですか。
真藤恒
267
○
説明員
(真藤恒君) そうご理解いただいて結構でございます。
中野明
268
○
中野
明君 それでは次の問題に入りたいと思います。
郵政大臣
、
電気通信審議会
のことです。 奥田
郵政大臣
にも私申し上げたんですが、今回の法改正で
電気通信審議会
というものの
責任
と
役割
というものはもう旧来に倍するというたら、倍するどころじゃないんですね。格段のもう違いが出てくるわけなんです。要するに、現在
電電公社
には
経営
委員
会というのもあります。そして
料金
決定は当たりましてはやはり
国会
での
審議
というものもあったわけです。ところが、今回の法改正によりまして
電電公社
の
経営
委員
会は当然なくなりますし、
国会
の
料金
審議
というものもなくなってくるわけです。それが全部この
電気通信審議会
に肩がわりといいますか、ここへいくわけですからこの
役割
というのはまことに重大ですね。 それで、けさほど来の同僚
委員
もおっしゃっておったように、
料金
決定のときには
地方公聴会
を開きなさいよと、当然だと思いますし、私も賛成ですが、私の前々から主張しているのは、公社の
経営
委員
は
国会
の同意人事、
国会
の承認事項になっております。今回この公社の
経営
委員
会と
国会
の
審議
まで含めたそういう議論をするんで、この
委員
の任命に当たってはやはり
国会
の承認人事にするべきだという私
意見
を述べまして、奥田
郵政大臣
も、確かにおっしゃる
意味
はわかる、検討してみましょうというようなお話でございましたが、
左藤
郵政大臣
はどういう御
見解
をお持ちですか。
左藤恵
269
○国務大臣(
左藤
恵君) 前に先生から御質問がございまして、前大臣がそういうことをお答えしているということは私は承知をいたしております。 確かに、お話ございますように
電電
三法が
成立
いたしますと、
電気通信審議会
の
役割
とかというものが今まで以上に大きいということになることは御指摘のとおりでございまして、そういう
意味
から考えまして、
国民
の意向を代表するにふさわしい、一層ふさわしい有識者に
委員
になっていただかなきゃならないというふうに考えております。 そういうことでございますけれども、また一方で、各省の
審議会
というふうなものが内閣におきまして、横並びと言うんでしょうか、何と言うんですか、そういった問題もございますので、なお検討はいたしておりますけれども、これを直ちに
国会
の承認人事とするというような法改正とかいうようなところまでまだ進めることにつきましては検討を続けておる段階でございまして、今それをすぐそういうことでできるということをお約束するわけにはちょっといかないような状態でございます。
中野明
270
○
中野
明君 特に現在の
委員
の中から将来第一種あるいは第二種、特別第二種とか、そういうところの代表者とか、こういう人が出てくると思うんですね。そうすると
認可
をする側にその代表者が入っているということもこれまたおかしなものでしてね、ですから、そういう面の人選も、これ途中でもかえられますか、そういうときには。どうですか。
二木實
271
○
政府委員
(二木實君) この新しい
法律
ができますと
審議会
にかける諮問事項が多岐にわたるわけでございます。中には第一種の
事業
認可
もございますし、また
料金
の諮問もございますし、また
技術
関係
の省令の諮問もございます。大変多岐にわたっておりますので、今の構成も多岐にわたるようなメンバー構成になっておるわけでございます。そういう
意味
で
関係
者は除くという形で今でも部会構成をやっておるわけでございますので、しばらくはそういう形でやらしていただきたいなと。 それで、今大臣が申しましたように、全体のいろんな問題、これから新しい
法律
を踏まえまして出てくる問題を考えながら、次の機会にはいろんな
審議会
の
あり方
そのものにつきましても再検討さしていただきたい、そのように思っておる次第でございます。
中野明
272
○
中野
明君 私はためにして言っているんじゃないんです。ただ、許
認可
をするに当たってそういう新
電電
に対抗して
認可
を受けていこうというような
会社
の代表者とか、そういう人たちがこの中にもしおられるとしたときには、何か
情報
が流れたんじゃないかとか、便宜を図ったんじゃないか とかいろいろ不明朗なことを言われても困るんじゃないかと。だから、この際、新法設立と同時に、そういう気のある人というんですか、そういう気配のある人は一遍やめてもらって、そして全然
関係
のない人を入れるというふうにしたらどうかというのが一つと、それから今官房長から答弁がありましたように、この
法律
も三年後には見直すということになっていますので、見直すときにこれはぜひ私は
国会
の承認にするべきだと。そうしないと、
料金
の問題から許
認可
の問題から全部ここへかかってきますので、そういうふうにしておくということがやはり
国民
の声を聞くという一つの手続になるんじゃないか、こういうふうに思いますので、それも含めて三年後の
見直し
の検討の中に入れてほしい、こういうことです。
左藤恵
273
○国務大臣(
左藤
恵君) 御指摘のとおり、そのようにさせていただきたいと思います。非常に重要な問題になってまいりますので、過渡的に当面の問題をどうするのか、そしてまた三年後の
見直し
のときにどうするのか、そういうことにつきまして、今お話しのような前向きの姿勢で検討をさせていただきたい、このように思います。
中野明
274
○
中野
明君 それじゃ、端末の開放とそれから設備料、使用料、これについては次回に私譲らしていただいて、きょうはもう一点だけどうしても世田谷の問題、これをお尋ねしておかなきゃなりません。
衆議院
でもこの問題について集中
審議
をされたようですが、どうも私納得がいかぬといいますか、不思議でしようがないんですが、先日、十一月の十五日でしたか、
地方公聴会
で
大阪
に行かしてもらいまして、大臣も御承知のとおり、福島報話局の地下の洞道を見せてもらいました。そのときに
局長
さんの案内で入ったんですが、入り口のドアだってキーロックでだれも——二、三人の人しかあげられぬようになっている、非常に公社としてはもう心臓部といいますか、頭脳といいますか、大事なところなんです。これは厳重にしているなということで、私どもも中へ入れてもらいました。それで、あそこで感じましたのは、その明くる日ですから、見せてもらった明くる日に
公聴会
をやっている最中だったと思うんです、世田谷で火事があったというのは。そのときに我々は
公聴会
でそういうことは知りませんでしたが、今考えてみても、私も初めてあそこへ入れてもらったんですが、あそこで火事が起こるということは想像できません。 それで、あのときの
局長
の説明では、
大阪
の大空襲のときもここは燃えませんでした、あの空襲でも火は入らぬし、それから地下ごうですからびくともしませんでした、もう火災も起こりませんでしたということで大変自信満々の説明を受けまして、これだけの五メートルからあったですかな、広いところで燃えるようなものは何もないのですから、そうだろうなと思った。それでケーブルが丸焼けになってしまうというようなことはちょっと私考えにくいのですが、あれを燃やそうとしたらこれはよほど何か作為的にやらないと燃えぬのじゃないか、こういうふうな気もするのです。 総裁、
技術
者もおられるんでしょうが、原因は一体どこにあると思われるのですか。
福富禮治郎
275
○
説明員
(
福富禮治郎
君) 先生のおっしゃいましたように、洞道に入る管理につきましては、出入り口の管理で管理票を出しましてそれに対する許可を得て入るということになっておりまして、世田谷でもそのとおりにしているわけでございます。 ただ、今回の火災の原因そのものの究明につきましては現在警視庁及び
東京
消防庁で
調査
中ということでございまして、私どもも大きな火災を起こして非常に残念に、また申しわけなく思っておるわけでございますが、原因そのものにつきましては警視庁の手にございまして、私どもまだ伺っていないので何とも申し上げられないというのが実情でございます。
中野明
276
○
中野
明君 いや、それは調べるところで調べてもらえばよろしいんですけれども、専門のあなた方がそんな人任せでよろしいんですか。私はちょっとあれ燃えるように思いませんよ。それともあのケーブルの耐火
試験
というのはしたのですか。
福富禮治郎
277
○
説明員
(
福富禮治郎
君) ケーブルそのものにつきましてはアルミの上にポリエチレンを巻いているというのは世界じゅうどこでもそのようなものでございます。確かにポリエチレンというのは火がつけばある
程度
燃えることは知っていたわけでございますが、そう簡単に先生のおっしゃったようにマッチをすったり、たばこの火で火がつくというようなものでもないわけでございます。そういうわけで、私どもも一体何であのような大火災がそのようにすぐ起きたのかというようなことについて非常に残念でございますが、よくわからないというのが実情でございます。
中野明
278
○
中野
明君 耐火
試験
はしたのですかと聞いているのです。
福富禮治郎
279
○
説明員
(
福富禮治郎
君) 前に研究所等での
試験
あるいはかつての事故等ございましたので、
試験
等はしたことがございまして、ちょっとすったぐらいではつかないわけですけれども、かなり火をつけると燃えるということは知っておりました。
中野明
280
○
中野
明君 そうしますと、入り口でそんなに厳重に管理している公社の頭脳とか心臓と言われるところへ入って作業をするのですから、やはりそこで火気を使うということになると、それだけの監督と指導とそして小型の消火器くらいは持って作業させなければいかぬのですが、そういうことはどうなっておったのですか、具体的に。
福富禮治郎
281
○
説明員
(
福富禮治郎
君) 洞道内の作業につきましては、もちろん出入り口に消火器は常備してあり、また入るときにも持って入るということになっておりまして、私も警察の取り調べでどうかわかりませんが、作
業者
は消火器を持って入って、出てくるときに持って出てきたというふうに聞いております。
中野明
282
○
中野
明君 そうしますと、燃えたときにはおらなかったのですかね。その辺はおたくじゃわからぬのですか。
福富禮治郎
283
○
説明員
(
福富禮治郎
君) 作
業者
が昼食をとるために出てきた後だというふうに聞いております。しかし、事実私どもそれらの点につきましては警察の聴取のされている中でございまして、私どもが直接知ったわけじゃございませんので、正確なことを残念ながら知っていないというのが実態でございます。
中野明
284
○
中野
明君 いずれにしても私は、こんな大事なところで仕事をするのに監督もつけないでおるというのは、公社の怠慢じゃないかなと思います。しかも、今になってまだ公社として何で燃えたかようわかりませんのやと、それで消防か警察が調べたからそうでしょうと、そういうようなことじゃ将来また同じようなことが起こる
可能性
は出てくるわけでして、徹底した原因の究明というものは私必要だと思うんですが、それは起こってしまってから言っても始まりませんが、私はこのことによって現地の人にもいろいろ苦情があって、我我も閉口したわけです。 大臣、損害の規定が御案内とおり公社法で、とても古い時代につくったあれで、もう納得できぬということで、えらいお怒りを持っている人がたくさんおられます。それは損害から言うたらもう大変なことでありますが、まず一つは、私、損害の問題で今回の
現状
のままで申し上げたいんですが、五日未満は損害があって電話が通じなくても損害は賠償せぬのですと、こうなっているわけです。で、一番困ったのはやはり最初の四、五日というのが一番困ったわけですね。それで、公社の方も余りやかましく言われるということで、何かせないかぬということで、あれ、取り次ぎ電話というのですか、何かをつけたのが五日目か六日目やったと私は記憶しております。ところがそれがつくまでの間に皆一番困った。その人たち、そのうち徐々に復旧していったですから、五日以内は一切損害は見ませんのやと、こうなっているわけですね、現行法では。これも非常に矛盾じゃないかなと思います。 それからもう一つは、当初は公社の方は復旧す るのに一カ月かかると、こうおっしゃったわけですよね。それで、もう電話がなかったら商売にならぬ、生き死にだという人は少々の金がかかっても構わぬということで、事務所をょそへ借りたり、あるいは臨時電話を引いたり、人を雇うたり、もう大変な費用をかけて対応をしたわけです。ところが結果として、公社のそれこそ昼夜兼行の努力で一週間あるいは十日で直って、これはよかったんです。よかったんですが、当初そういうふうに言われたから、初めは二日や三日で直ると言われたら、そんなことは辛抱しようということになったかもしれませんけれども、一カ月と言われたらもう
会社
がつぶれる、そういうようなことで事務所も構えた、臨時電話も引いた、人も雇うた、こういうふうにみすみすはっきりとお金を使っている人がおることは事実なんです。それは何とか見てやる方法はないのかと。やはり発表したんですから、それに対しての加入者として自衛策で対応を講じるのは当然でしょう。この辺は何か方法はないものかというのが私の気持ちなんですが、五日以内と、それから今の一カ月と、総裁、何か方法はないですか。
真藤恒
285
○
説明員
(真藤恒君) 今の世田谷の洞道の問題で、私
責任
者として非常に残念に思い、また相済まないというふうに思っておりますが、御存じのような構造の中でいろんな作業をやる場合に、火を使わなきゃならぬという仕事は
技術
的に今やめることはできない状態でございます。したがいまして、洞道の中で、外部の人は仮に入らないにいたしましても、作業のために火を使うということがある以上、場合によっては火災が起こるということは当然
可能性
として私ども十分考えて、その対策を
技術
的にきちっとやっておくべきだというのが義務だというふうに心得ております。 今度返す返すも残念なのは、火災が起こって、それをある計画された区画の中で消火することができずに丸焼けになってしまった、ここが私どもが非常に今日強く自責の念に駆られているポイントでございまして、この点につきまして今早急に具体的な対策を、緊急対策と中期の対策を考えまして、緊急対策については直も終着手すべく今早急は結論を出すことにいたしております。これは何も
東京
だけではございませんで、全国的に同じような状態のところがたくさんございます。急いで全国的に安全対策の工事を進めたい、また進める義務があるんだというふうに考えております。
技術
的に考えまして、私が申しますように、計画された
範囲
内でもし火災が起こってもほかに延焼しないということは十分できる
可能性
がございまして、
責任
を持って最短期間の間にその手当てはいたすつもりでおります。 それから、今の補償の問題につきましては、私ども今
法律
で決められている
範囲
のことは自主的に積極的に進めておりますが、それ以上のことにつきましては私どものひとりよがりでとやかく行動するわけにはまいりませんので、
郵政省
の御趣旨を仰ぎながら行動したいというふうに思っております。
中野明
286
○
中野
明君
郵政大臣
、これ何か方法を考えてあげた方がいいんじゃないかな。一種の
都市
災害ですよ。 もう一つは、将来公社が
株式
会社
はなるわけですが、約款になってくるわけですが、この補償の問題は恐らく
競争
相手は災害起こったら絶対補償しますとか言ってやり出すから、かなり充実してくるとは思いますけれども、これは大変な災難です。ですからその点、この金額はわずかでしょう。わずかですけれども迷惑をかけたということで、五日以下はだめです、一カ月のために用意した人も、そんなこと知るか、おまえらの勝手やというようなわけにはいかぬのじゃないかなという気がしてなりません。どうかひとつ一応可能な限り検討をしてもらいたいと思います。 それから、時間がありませんからもうあれですが、総裁のおっしゃったようにこの火災を教訓として、今後の対策は大変です。もう恐らく水とかそういうことについての対策は十分だったでしょうけれども、火の気ということについては遺憾ながら何もなかったという以外にありません。そういうことについてお願いして、大臣の答弁だけいただいて、きょうの私の質問は終わらせてもらいたいと思います。
左藤恵
287
○国務大臣(
左藤
恵君) 世田谷の火災、大変御迷惑をおかけして、私からもおわびを申し上げたいと思います。 今お話ございましたように、確かに補償の問題にいたしましても、
社会
生活
のいろんな
あり方
というふうなもの自体も変わってきておるわけでありますけれども、なかなかこういった問題について法を改正するということにつきましての公平、何がバランスがとれたものであるかということについての検討、いろいろ問題があろうかと思います。御指摘のように、新しく
会社法
を
成立
させていただいたならば当然約款の問題が出てくるわけでございますし、そうした段階におきまして十分検討いたしまして、こういったことについてお話のような、何といいますか、非常に御迷惑をおかけした方々は対する対し方というものを再検討しなければならない、このように考えております。
中村鋭一
288
○
中村
鋭一君 まず新大臣にお尋ねをさしていただきますが、大臣は与党の一員として現に萱任ある行
政府
の長として、今回のいわゆる
電電
三法が上程されるに至った
経緯
、さらにまたさきの一〇一
国会
でどのような経過をもってこれが継続
審議
は至ったか、その間の事情はよく御存じであると思います。我々
委員
も熱心に逐条について
審議
を行ってきたところでございますが、ようやく山でいいますと峠を越えたといいますか、この
法律
の
成立
に努力をしてまいりました会派の一員として大団円を迎えつつあるかのように見受けられますことは御同慶の至りでございます。ここで改めて私は大臣に、今回の
法律案
が上程されるに至りましたその根本のところをどのように理解をしておられるのか、なぜこの
法律案
が各
国会
で
審議
されるに至ったか、その
法律案
の目的、そういった点についてお伺いをさしていただきます。
左藤恵
289
○国務大臣(
左藤
恵君) 御指摘の点につきまして、現在もう峠を越えたとおっしゃいましたが、私はこれから胸突き八丁だと、このように考えておりまして、大変先生方の御熱心な御
審議
をいただいておることに対して感謝を申し上げる次第ででございます。 今お尋ねの点につきまして、これが
電電改革
三法というものを
国会
へ出しますまでの考え方ということのお尋ねでございますが、何をおきましてもやはり
日本電信電話公
社の
民営化
といいますか、組織化とか、そして
競争原理
の
導入
ということをこの
法案
はねらいをつけておるわけでございますが、これによりまして
電気通信事業
の
効率化
、
活性化
というものを図りまして、そして
高度情報社会
の基礎を今築いておかなければならない。
国民
の皆さんの
ニーズ
というものが、今までと違ってそういう
情報
に対します
ニーズ
が非常に
多様化
し変化をしておる、そういうことに対して設備をし
サービス
を
提供
する側も
活性化
されたものとして対応していかなきゃならない。そういったことからこの
法案
を提出さしていただいて、そしてその
成立
をしていただくことによりまして
事業
当事者はもちろん、
国民
の皆さんにより適時適切な
サービス
を
提供
することができるんじゃないか、こういうことを念願しておるものでございます。
中村鋭一
290
○
中村
鋭一君 ということは、まあ一つには、日本は自由主義
社会
でございますから、
株式
会社
というものは同業他社と公正な条件の上で自由に
競争
をして活力ある
営業
を展開していかなければいけない。過保護でありますとか、過度の規制をかけてその活力を阻害することがあってはいけない、それが一つ。当然ながら、行政から見ますと、これはいわゆる行財政
改革
の一端といたしまして、端的に申しますならば、中曽根内閣の行革の目玉商品として本三法が提案されるに至ったということが言えると思います。これは公社の方から見ると、
法律
というものは、民間活力を
導入
して自由な
営業
をするために本
法律案
が提案された以上、余分の規制でありますとか、例えば許
認可
一つをとりましても、そういうものは少なければ少ないほどいい、このように大臣、理解をしておいてよろしいわけですか。
左藤恵
291
○国務大臣(
左藤
恵君) 公正な
立場
で
競争
をしていただくということで、一つのルールというものが私は必要だと思います。また同時に、
国民
の皆さんの
立場
から見て、あまねくそういったものについての
サービス
というものがやはり
確保
されなければならない、そういうことも配慮しなければなりません。それが
電気通信
の持つ特性だろう、私はこのようにも思います。そういう中におきまして、先ほど御指摘いただきました活力ある
経営
というものをやっていただく、フェアな
競争
をやっていただくということができなければならない、このように考えるものでございます。
中村鋭一
292
○
中村
鋭一君 総裁にお尋ねをいたします。 総裁は年来、今回提案されております
法律案
の
成立
にいわば命をかけてこられた、私はそのように理解をしておりますけれども、この
審議
の過程で問題になりました点の一つに、自由な
競争
、すなわち
営業
努力をして売り上げを伸ばす、簡単に言いますと、お金をもうけるその作業と、それから、いわゆる
公共
の
福祉
、あまねく公平な
サービス
を我が日本の津々浦々に至るまで
提供
するということをどのように整合させていくかということが一つの大きな問題になろうかと思います。まず、その点につきましての総裁のお考えをお聞かせ願います。
真藤恒
293
○
説明員
(真藤恒君) まず、私どもがやらなくてはなりませんのは、新しい法体系のもとで第一種
電気通信事業
に直結する全体の費用を合理的に減らしていくということがまず第一でございます。その面につきましては、今度の法体系の中で私どもが世の中とのバランスを壊さずにまじめに行動すればできる
可能性
が、前の公社制度のときよりもはるかに大きいということははっきり申し上げられます。それが第一でございます。 第二は、と同時に、並行して、今おっしゃいましたように、新しい
サービス
を積極的につくっていって、そしてそれを世の中でお使いになれる
料金
で、あまねく全国に普及させるということによって
収入
の絶対額をふやしていくという両方をやらなきゃならぬと思いますが、問題はその過程の中で、さっきいろいろ御質問、お話もございましたが、厳格に
サービス
ごとの原価主義ということを採用されますと、
料金体系
の原則、この目的がなかなか具体的には実現できません。例えば、
電報
というものを、
政府
の方から何かの御指示がない限り私どもはやめる気はありませんと言わざるを得ない
社会
環境にあるわけでございますから、
電報
というああいうやり方のものは絶対にバランスすることがございませんので、そういう問題もございますし、これから新しい
サービス
を広めていきます過程におきまして、どうしても初期段階では収支は償えません。初期段階ではどうしても先行投資の方のコストと
収入
とのバランスがつきませんので、そこにもやはり厳格な
意味
の原価主義と、個別
サービス
ごとのということでは世の中にお使いになれる値段でなかなかうまいぐあいにいかない。いい例が自動車電話でございます、
現状
におきましては。そういうふうなことが御理解ある行政の中でフレキシブルに動けるということをやっていただければ、何とかかんとかやっていけるというふうに考えております。
中村鋭一
294
○
中村
鋭一君 たまたま今、総裁は自動車電話のことをおっしゃいました。私は、この
委員
会の都度、総裁初め公社の皆さんに自動車電話の
料金
をもう少し下げてもらえないかと御陳情を申し上げて、いまだに全く実現の気配もございませんけれども、まさに自動車電話はそれを承知でつけているからいいんですけれども、今総裁のお言葉の中にありました、具体的に申し上げますが、
電報
は、確かに総裁がおっしゃるように、これは原価主義に立ちますとそれは全然
赤字
でどうにもならないというわけでございますが、しかし、今おっしゃいましたように、
国民
の
ニーズ
がそこにある限りは、この
電報
分野
につきましては、大上段に振りかぶって
公共
の
福祉
ということを言わないまでも、要求がある限りは絶対にこれを廃止もしくは縮小することはございませんね。そのことは確認申し上げてよろしゅうございますか。
真藤恒
295
○
説明員
(真藤恒君) さっきもお答え申しましたけれども、そう御確認いただいて結構でございます。
中村鋭一
296
○
中村
鋭一君 お約束をいただきましてありがとうございます。 昔、マンモスがおりまして、余りにも巨大化したためについに絶滅をいたしました。
局長
も午前中おっしゃっておりましたが、社員三十数万、年間売り上げ五兆円に近い世界有数のいわばギネスブックものの巨大な持ち株
会社
が誕生をいたします。これがあのマンモスのように肥大化し過ぎて小回りがきかなくなっては大変だと、こう思います。だからこそ、例えば第二
電電
、こういった
会社
が続々と出現をいたしまして、お互いに刺激をしお互いに切磋琢磨して
国民
に良質の
サービス
を
提供
していく、このことが大切なんだろうと思います。思いますが、総裁、発足を予想される第二
電電
は、これは公社が変わります新
電電
に比べれば問題にならない、小さいんです、象とアリみたいなんですね。ですから、お互いに自由
競争
とかお互いに刺激し合ってと言っても、最初のうちは総裁、やはりお兄さんといいますか、そういう目でいろいろな形で相談に乗ってあげたり、場合によれば大切にしているノーハウでも
提供
してやる、こういう姿勢が大切なんだと思いますけれども、この新しく出現するところの後発の
会社
についての総裁の考え方をお示し願います。
真藤恒
297
○
説明員
(真藤恒君) これは
基本
的に郵政の御指導をいただきながら行動すべき性質でございますが、私どもが今考えておりますのは、
新規参入
の
企業
体の
あり方
あるいはその数というものがいろいろ出てこようかと思いますが、どういうふうな形で何件の
新規参入
が出てまいりましても、私どもと一緒になって郵政の御指導のもとに総合的におのおのの
通信
線をどうつないで最も世の中にお役に立ちやすい姿に持っていくかという、この
技術
的な検討ということがまず一番大事ではなかろうかと思います。その面において、私どもの在来の蓄積しましたノーハウ、それから郵政の行政的な御指導というものと、それから今おっしゃいました私どものスタートの時代における協調、協力というものでどういうふうにこれを展開していくかということは非常に大事な問題だというふうに心得ておりまして、決して小乗的な
競争
精神でというふうには考えておりません。ある
程度
のスケール、ある
程度
の力に
新規参入
の方々がおなりになって、それからまた
競争
を始めても遅くはないというふうに考えております。
中村鋭一
298
○
中村
鋭一君
局長
にお尋ねいたしますが、今総裁は、そういう小乗的な考え方はしないとおっしゃいました。そしてまた、
郵政省
の適切なアドバイスやその指導を受けてやっていきたいと、こういうことでございました。ですから、
郵政省
の仕事は大変だろうと思いますよ。現実に新しく電話
会社
ができますね。そして、これ将来のことですからちょっと私にもよくわからないんですが、あるいはある地区に限っては電話料の値下げ合戦が起こるかもわからないし、またある場所では
値上げ
というようなことが起こるかもわかりませんね。そういう場合に、今一例として電話代のことを申し上げたんですけれども、
郵政省
の指導、助言を仰ぎつつと総裁もおっしゃっているんですから、具体的に
郵政省
としてはどのような指導、助言をしていくおつもりか、その決意といいますか、考え方をお教えください。
澤田茂生
299
○
政府委員
(澤田茂生君) 今回の
電電改革
三法と申しますものが
競争原理
を
電気通信
市場に
導入
をいたしまして、そこで活力ある
競争
というものが実現をして、トータルとしての良質、低廉な
サービス
が
確保
できるということにあるわけでございまして、私どもといたしましても、早くょき
競争
相手というものが出現をいたしまして、切磋琢磨してトータルとしての
ニーズ
に合った良質な
サービス
というものが
提供
できるような形というものが望ましいなと思っているわけでございまして、 したがいまして、ただ
法案
ができて形ができたから、さあお任せよというだけでは済まないだろうと思います。 ただ、考えなければなりませんのは、この三法の
基本
原理というものが民間活力を大いに生かすということにあるということははっきり腹に据えておかなければいけないだろう。したがいまして、要らないおせっかい、口出し、これは慎まなければならない。しかし、国がやらなければならない環境づくり、よりよき
競争
市場というものができる、そこに大きな豊かな
電気通信
社会
というものが構築できる環境づくりというものについては積極的に努力をすべきであろうと思います。 したがいまして、いろいろなケースが考えられるかと思うわけでございますが、それにつきましても、今まで独占形態として
運営
をしてまいりました
電電公社
が、片や
株式
会社
と申しましても特殊
会社
、
公共性
という
役割
を十二分に負いながらも今後の新しい道を歩んでいくわけでございます。これもしっかりした理想の形になってもらうために私どももいろいろな環境づくり、お手伝い、御相談というものには乗っていかなければならないと思うわけでありますけれども、今公
社総裁
御自身のお言葉でも今後に対する新しい
体制
の中における
あり方
というものを御示唆がございました。そういうものを踏まえまして、円滑な形で
電気通信
の
発展
が図られるように微力ながら努力をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
中村鋭一
300
○
中村
鋭一君 しかと承っておきたいと思います。 今この
委員
会の席でございますから総裁も
局長
もそのようにおっしゃいましたけれども、まあ非常に差し出がましい
発言
で恐縮でございますが、例えば仮に真藤総裁が新
会社
の社長に御就任になった場合は、真藤総裁は石播以来名うてのやり手でございます、硬骨の人と。ですから、それは円滑に仲よくと言ってもどこで総裁、豹変されるかこれはわかりません。そういった場合に、あなたあのとき我々の指導、助言を受けると言ったじゃないかと言ってけんかになってはこれつまりませんので、そこのところはこれからもあうんの呼吸といいますか、お互いに仲よく、まず何よりも哲学的には
高度情報化社会
に向けて世の中は動いているという、それから現実的にはまず何よりも
国民
に低廉で最も良質の
利便
を
提供
するんだと、それが大前提であるということを常に念頭に置いて行動をしてくださるようにお願いを申し上げておきたいと思います。 それから総裁、労働組合ですね、全電通労働組合でございますが、この
委員
会に山岸
委員長
にお越しを願いまして御
意見
をお伺いいたしました。そのときに山岸
委員長
は、やはり我々の自立能力といいますか、自助努力といいますか、
当事者能力
といいますか、我々が一生懸命働いてパイを大きくした、そのパイを我々自身が分けられるようにしたいんだと、そのようにおっしゃったと私は覚えておりますけれども、どうでしょう、新
会社
が発足すれば労使
関係
は今まで以上に非常にスムーズにうまくいくと、このような自信をお持ちでございますか。
真藤恒
301
○
説明員
(真藤恒君) 行革の話が出まして、この
法案
の話が始まりまして今日現在この状態にまいりますまでの間、私どもと組合との間はすべて相談し合いながらまいっておりまして、組合の方も私どもの方も相手に同意を得ずに外部に向かって行動はいたしておりません。ということは、今後新しい
企業
形態になりますと、実質上仮に
赤字
になりましてもだれも助けてくれる人はないはずです。公社なら助けていただける
可能性
が多分にございますけれども、今度はそうはまいりません。やはり組合と私どもがお互いに生きていくために緊密な連絡、合意を得ながら事をやっていくよりほかに生きる道はない、民間の
企業
に長い間暮らしてきました私は、根本的にそう信じ込んでおります。その道を歩きたいと思っております。
中村鋭一
302
○
中村
鋭一君 大変うまくいっているようで結構なんですけれども、しかし全電通もレーバーユニオンである以上はやはり
労働者
の
権利
を主張しなければなりません。そのためには伝家の宝刀であるところのストライキという手段に訴えることもまた当然の
権利
であり主張であると、こう思うんでございます。 総裁、例の労調法の附則でございますけれども、これは中曽根総理が三年後の
見直し
、これはまあ廃止を目途とするというふうに我々は理解をしておりますけれども、このように明言をされておいででございます。これはまたあさって以降の当
委員
会の
審議
を通じまして、その点は私もほかの
委員
の皆さんもただしていくと思いますけれども、総裁御自身のこの附則の撤廃につきましてのお考えはいかがでございますか。
真藤恒
303
○
説明員
(真藤恒君) この間から
衆議院
でいろいろ論議をいただき、また総理からああいうお言葉が出たんでございます。私は、個人としても
責任
者としても、あの方向で行かなきゃだめだというふうに確信いたしております。
中村鋭一
304
○
中村
鋭一君
最後
に大臣にお尋ねを申し上げます。 真摯な
質疑
が一〇一から本一〇二
国会
にかけて行われてまいりました。なおこの
委員
会の
審議
が、まさに大臣おっしゃったように、大臣自身はこれから胸突き八丁ということでございますけれども、この
法律案
の
成立
にかける期待といいますか、抱負といいますか、そういうものを
最後
にお伺いいたしまして、私の質問を終わります。
左藤恵
305
○国務大臣(
左藤
恵君) 御指摘のとおり、この
法案
を提出いたしましたときから、先ほど申しましたような趣旨で、何といたしましても次の時代へ向けての
電気通信
というものを
活性化
したものにすることによって、そして
国民
の皆さんに対する
サービス
を
向上
させるということができる、そういう
意味
の使命を持った
法律案
でございますので、何としてでも、御
審議
をいただきまして、この
法案
の
成立
を早い機会にやっていただくことをお願いを申し上げたいと、この気持ちでいっぱいでございます。
中村鋭一
306
○
中村
鋭一君 終わります。
松前達郎
307
○
委員長
(
松前達郎
君) 三案に対する本日の
質疑
はこの
程度
にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十五分散会