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1985-06-06 第102回国会 参議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和六十年六月六日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  五月二十八日     辞任         補欠選任      出口 廣光君     安田 隆明君  五月二十九日     辞任         補欠選任      宮島  滉君     上田  稔君      安田 隆明君     出口 廣光君      野田  哲君     志苫  裕君  五月三十日     辞任         補欠選任      出口 廣光君     田中 正巳君  五月三十一日     辞任         補欠選任      田中 正巳君     出口 廣光君  六月六日     辞任         補欠選任      上田  稔君     藤田  栄君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         金丸 三郎君     理 事                 岩上 二郎君                 松浦  功君                 上野 雄文君                 三治 重信君     委 員                 井上  孝君                大河原太一郎君                 上條 勝久君                 古賀雷四郎君                 出口 廣光君                 藤田  栄君                 吉川 芳男君                 佐藤 三吾君                 志苫  裕君                 丸谷 金保君                 中野  明君                 峯山 昭範君                 神谷信之助君    衆議院議員        地方行政委員長        代理       愛知 和男君    国務大臣        自 治 大 臣        国 務 大 臣        (国家公安委員        会委員長)    古屋  亨君    政府委員        警察庁長官    鈴木 貞敏君        警察庁長官官房        長        鈴木 良一君        警察庁刑事局長  金澤 昭雄君        警察庁刑事局保        安部長      中山 好雄君        警察庁交通局長  太田 壽郎君        警察庁警備局長  柴田 善憲君        自治大臣官房長  津田  正君        自治大臣官房審        議官       土田 栄作君        自治省行政局長  大林 勝臣君        自治省税務局長  矢野浩一郎君        消防庁長官    関根 則之君    事務局側        常任委員会専門        員        高池 忠和君    説明員        警察庁交通局交        通企画課長    安藤 忠夫君        総務庁長官官房        参事官      戸田 正之君        総務庁長官官房        参事官      小堺 英雄君        大蔵省主計局主        計官       吉本 修二君        運輸省地域交通        局陸上技術安全        部長       神戸  勉君        運輸省貨物流通        局陸上貨物課長  植村 武雄君        郵政省貯金局第        二業務課長    戸沢 真也君        郵政省電気通信        局電波部監視監        理課長      長谷川 徹君        労働省労働基準        局監督課長    菊地 好司君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○行政書士法の一部を改正する法律案衆議院提出) ○住居表示に関する法律の一部を改正する法律案衆議院提出) ○道路交通法の一部を改正する法律案内閣提出衆議院送付)     ─────────────
  2. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  五月二十九日、野田哲君、宮島滉君が委員辞任され、その補欠として志苫裕君、上田稔君がそれぞれ選任されました。  また、本日、上田稔君が委員辞任され、その補欠として藤田栄君が選任されました。     ─────────────
  3. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) 行政書士法の一部を改正する法律案及び住居表示に関する法律の一部を改正する法律案を便宜一括して議題といたします。  まず、提出者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院地方行政委員長代理愛知和男君。
  4. 愛知和男

    衆議院議員愛知和男君) ただいま議題となりました行政書士法の一部を改正する法律案及び住居表示に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及び内容を御説明申し上げます。  まず、行政書士法の一部を改正する法律案について申し上げます。  御承知のように、昭和二十六年第十回国会における行政書士法の制定により、行政書士の地位は確立されたのでありますが、その後、国民に直接関連する行政分野多様化高度化等に伴い、行政書士の果たすべき役割は著しく増大しております。  これに対応して行政書士法改正も幾たびか行われてきたところでありますが、最近の行政書士法施行状況を見ますと、行政書士業務のより適正な運営に資するためには、登録事務の一元化、登録拒否及び取り消し資格審査会設置行政書士の受ける報酬自治大臣援助等について速やかに法改正を行う必要があると考えられるのであります。  これが、本案提出いたしました理由であります。  次に、本案内容について御説明申し上げます。  第一は、昭和五十七年第九十七回国会改正で、行政書士試験国家試験に改められたことにかんがみ、行政書士となる資格の認定の全国的な統一を図る等のため、現行法では、都道府県行政書士会が行っている行政書士名簿登録を、日本行政書士会連合会が一元的に行うこととし、これに伴い、所要規定を整備することとしております。  第二は、行政書士に対する社会的信用の確保に資するため、行政書士登録の申請をした者が心身の故障により行政書士業務を行うことができない者または行政書士の職責に照らし行政書士としての適格性を欠く者であるときは、登録拒否しなければならないこととしております。また、あわせて、行政書士登録を受けた者が偽りその他不正の手段により登録を受けたことが判明したときは、当該登録を取り消さなければならないこととし、登録取り消しを受けた者は、当該処分を受けた日から二年間は行政書士となる資格を有しないこととしております。  第三は、登録に関する処分の公正を確保するため、日本行政書士会連合会に会長及び委員四名をもって組織する資格審査会を置き、登録拒否取り消しまたは抹消について必要な審査を行わせることとしております。  第四は、現行法では行政書士の受ける報酬は、行政書士会の会則で定める額を超えてはならないとされておりますが、行政書士制度の成熟した今日においては、このような規制を存置することは適当でなく、また、類似の制度との均衡も考慮して、これを削除することとしております。  第五は、行政書士の資質の向上を図るため、自治大臣は、講習会の開催、資料の提供その他必要な援助を行うよう努めることとする規定を設けることとしております。  このほか、本法施行に伴う経過措置等所要規定を整備することとしております。  次に、住居表示に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。  御承知のように、住居表示に関する法律は、昭和三十七年の第四十回国会で制定されましたが、当初におきましては、住居表示実施に当たり、その合理化を追求する余り、従来の町の区域を全面的に改編したり、また町名を全面的に変更したりしたため、由緒ある町名が消滅し、批判を招くような事例が少なくない状況でありました。  このような事態を改善するため、昭和四十二年の第五十五回国会において、住居表示実施に当たっては、できるだけ従来の町または字の区域及び名称を尊重するとともに、住民の意思を尊重しつつ慎重に行うよう手続を整備する改正が行われたのであります。  しかしながら、その後の住居表示実施状況を見ましても、なお一部の市町村におきましては、町名について従来の名称と縁もゆかりもない名称をつける等必ずしも適正とは言いがたい事例も見受けられるところであります。  そこで、本案は、このような状況を踏まえ、町名等はそれ自体地域の歴史、伝統、文化を承継するものであることにかんがみ、住居表示実施に当たって旧来町名等がより一層尊重されるよう、町名等を定めるときは従来の名称に準拠することを基本とするとともに、住居表示実施に伴い変更された由緒ある町名等継承のための措置を講じようとするものであります。  これが、本案提出いたしました理由であります。  次に、本案内容について御説明申し上げます。  第一は、街区方式による住居表示実施する場合において、町または字の名称を新たに定めるときは、できるだけ従来の名称に準拠するとともに、読みやすく、かつ、簡明なものにしなければならないとしている現行第五条後段の規定を削除し、同条に第二項を設け、まず、新たな町または字の区域を定めた場合には、当該町または字の名称は、できるだけ従来の名称に準拠して定めなければならないことを基本とし、これによりがたいときに限って、できるだけ読みやすく、かつ、簡明なものにしなければならないこととしております。  第二は、由緒ある町または字の名称で、住居表示実施に伴い変更されたものについて、その継承を図るため、市町村標識設置資料収集その他必要な措置を講ずるように努めなければならないこととするとともに、その事務について、自治大臣または都道府県知事は、市町村に対し、報告を求め、または技術的な援助若しくは助言をすることができることとしております。  このほか、本法施行に伴う経過措置等所要規定を整備することとしております。  以上が両案の提案理由及び内容であります。  これらの両案は、衆議院地方行政委員会におきまして、自由民主党・新自由国民連合日本社会党護憲共同公明党国民会議民社党国民連合及び日本共産党革新共同の五党の合意に基づき、委員会提出法律案とすることに決定され、衆議院で可決されたものであります。  何とぞ御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。  なお、衆議院地方行政委員会において、政府旧来町名等をできる限り消失せしめないよう、市町村に対して指導すること等、町名等保存及び継承に関し決議が行われたことを申し添えます。
  5. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。  これより両案に対し質疑に入ります。  質疑のある方は御発言を願います。——別に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。  それでは、両案についてこれより討論に入ります。——別に御発言もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより直ちに採決に入ります。  まず、行政書士法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  6. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、住居表示に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  7. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  上野君から発言を求められておりますので、これを許します。上野君。
  8. 上野雄文

    上野雄文君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党自由国民会議日本社会党公明党国民会議日本共産党民社党国民連合の各会派共同提案による附帯決議案提出いたします。  案文を朗読いたします。     住居表示に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)    政府は、町名等保存及び継承に関し、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。   一 将来にわたって、旧来町名等をできる限り消失せしめないように、市町村に対して適切な指導をすること。   二 既に消失した町名等の復活については、これが社会的、経済的に大きな影響を与えることにかんがみ、その安定性を確保する必要があるが、市町村において総合的に勘案の上、旧町名等を復活させようとする場合には、地方自治法第二百六十条の規定によって可能であるので、その旨の周知を図ること。   三 市町村が由緒ある旧町名等継承を図るため、標識設置資料収集その他必要な措置を講じた場合においては、当該市町村に対する適切な財政措置について配慮すること。    右決議する。  以上であります。  何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げます。
  9. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) ただいま上野君から提出されました附帯決議案議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手
  10. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) 全会一致と認めます。よって、上野提出附帯決議案全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、古屋自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古屋自治大臣
  11. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
  12. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  14. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) 道路交通法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、今回提案された道交法改正案について質疑に入ります前に、今問題になっておる問題で、指紋押捺処理について一言お聞きしておきたいと思います。  御案内のとおりに、先ほどの十四日ですか、法務省の新通達閣議決定によりまして、事態は新たな問題として、窓口である自治体で深刻な情勢になっております。私も、あすは北九州の現場に入っていろいろこの問題の処理について実情を調査する予定をしておるのでありますが、各自治体は、先般の私の質問の際にも申し上げましたように、当該外国人のいらっしゃる自治体についてはほとんどと言っていいぐらいにこの撤回もしくは改善を決議なさっておるという経緯からかんがみても、今度の新通達に基づいてどう対応しようかということで苦慮しておるのが実情でございます。したがって、この問題につきましては、これは単に法務省の問題ではございませんで、まさに自治体を所管する自治省の重大な課題であろうと思うのでございますが、この点についてどのように対応しておるのか、まずお聞きしたいと思います。
  16. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) この外国人登録業務の問題につきまして先般来いろいろ御議論も伺っており、また地方団体からの御意見も私ども拝聴をいたしておるところであります。  自治省といたしましては、こういった問題で市町村窓口が混乱するということを大変憂慮いたしておるわけでありまして、ことしに入りましても数回の次官クラスの会合あるいは担当課長会議におきまして、その都度制度改正あるいは運用指導におきまして市町村窓口が混乱しないように十分に法務省として責任を持って考えていただくように申し入れてきたわけであります。今回の通達につきましても、なお地方の側からもいろいろ御意見が出ておるようでありまして、今後さらに法務省当局に対しまして適切な指導を重ねてお願いをしたい、こういうつもりでございます。
  17. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 適切な指導とおっしゃいますが、法務省はもう既にあれで終わったと。(「こういう状況じゃだめだよ。審議するなよ。一般調査なら別だが、法案審査だったら協力しないよ。」と呼ぶ者あり)これは委員長においてひとつ。どうかね。
  18. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) すぐ督促します。
  19. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは、委員長の督促をするということを信じて、やります。  そこで自治省、適切な指導というけれども、法務省は既に終わったという見解を明らかにしておるんです。もうこれを動かす考えはないと、こういう事態で、自治体の側は率直に言って、現実として新通達では対応できないと言っておる。しかも、指紋の問題については、登録事務を扱う現場実務者皆さんの声は、事実上更新の際には写真と照合したり、そういうことを含めて指紋まで確認する、そういう実態はない、こう言っておる。事実上、そういう意味ではこの指紋というのは実務的には無意味内容になっておる。こういうことを考えたときに、自治省として適切なということは一体どういう指導なのか、いかがですか。
  20. 大林勝臣

    政府委員大林勝臣君) 問題は、この運用面におきまして地方窓口法務省の考え方にかなりそごがあるというところから出発をしておるところであります。御案内のように、この制度自体のあり方をどうするかという問題になりますと、これは法務省機関委任事務ということで、自治省といたしましてこの制度をこうあるべしと、制度内容、建前、そういう問題についてまでいろいろ注文をする立場にはないわけでありますので、結局は市町村窓口が混乱しないように、地方意見を聞きながら十分に地方窓口が納得するような指導をやってほしい、こう言い続けておるわけであります。
  21. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは当該自治省として僕は適切な方法じゃないと思う。この件については先般の質問の中で大臣に、直ちに法務省とその適切な指導をめぐって所管大臣として処理すべきであると私は要求したのでありますけれども、経過はいかがですか。
  22. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) この前佐藤先生からそういう話がありまして、閣議の前におきまして、佐藤先生からこういう意見があったということをお伝えしますのでひとつ善処方をお考えいただきたいということを閣議の直前に、法務大臣に私は直接お話ししたところでございます。
  23. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 お話ししただけではこれはどうもならぬわけです。現場は七月一日をめぐって深刻な状態になっておるわけです。その認識が私は不足しておるのではないかと思う。警察庁長官見えておりますから、ちょっと別な面からお聞きしますが、先般、大阪のこの取り締まり担当をやっておる富田外事課長の五月十日のテレビの発言ですね、言うならば、指紋が嫌ならば本国に帰ればいいじゃないか、もし永住したいというなら帰化すればいいじゃないか、こういう発言をめぐって現地では非常に大きな問題になっておりますし、これは現地だけでございません。関係の国民皆さんからもひんしゅくを買っておるわけですが、これに対して黒瀬警備部長が、「思ってもみない発言で遺憾である。」という談話を発表しているわけですけれども、聞きますと、昨日現在私が確認したところによりますと、本人は一回もこの問題について陳謝も釈明もしていない、こういう事実なんです。したがって、現場では連日今抗議が続けられておるようでございます。これに対して警察庁はどのような指導をし、対処しておるのか。それは当然の発言だと是認しておるのか。長官からひとつお伺いをしたいと思います。
  24. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) ただいま御質疑の件につきましては、富田外事課長でございますが、これは全く個人的な発言である、その真意は、日本には日本法律がある、そういうことであるからこれを守っていただきたい、こういうふうな真意であった、こういうふうに聞いております。しかし、その意が十分にあらわされていない、言葉足らず、こういうふうな発言であったと私も思います。
  25. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは不十分で、どういう指導をなさっておるんですか。
  26. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 先ほど黒瀬警備部長というお話もありましたが、警備部長からも十分発言について注意するように本人に示達しております。
  27. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 特に永住の朝鮮人というのは、御案内のとおりに本人の意図で日本に来たわけじゃない、ほとんど戦前に日本国民として強制的に連れてこられたという経緯がある。そうして、敗戦によって国籍を移籍した、こういう経緯を考えますと、これはもうまことに私は不謹慎な発言だと思うのです。今あなたがおっしゃったように、日本法律を守ってもらいたいというのが真意で云云というふうには、あの発言を見ると、到底とることはできぬです。あなたはそれが真意だと言いますけれども、内容としては決してそんなものじゃない。これは当然責任をきらっとして、そうしてこの発言そごがあったなら謝罪して、きちっと始末をつけるべきじゃないですか。それがやはり長官としての適切な指導じゃないですか。いかがですか。
  28. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 個人的発言とはいえ、やはりそれからもたらす影響その他も十分考えなくちゃいかぬわけでございますが、ともかく言葉足らずであったということについては認めるところでございまして、直属上司である警備部長、これが注意をいたしまして適切に指導しておりますので、御了承願いたいと思います。
  29. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは注意に値するような問題じゃなくて、当該該当者皆さんから見ると、もうまことに不遜極まる発言と言わざるを得ないと思うのです。私は、これは恐らく外交問題までに発展しかねないような内容を含んでおると思うのであって、それだけに、そういうありきたりの注意だけでは済まされない。現にこの人がその取り締まり担当課長をまだやめていないのだ。その本人がまだ発言取り消してもいない、謝罪もしていない、この事実に対してどうするのか、こういうことを聞いておるわけです。いかがでしょう。
  30. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) お答えしましたように、この発言は全く個人的になされたものである、言葉足らずである、そういう点を受けまして、直属上司である黒瀬警備部長としても本人注意をした、本人としましても、こういった点につきまして今後とも誤解を招くことのないように十分注意していく、こういうことでございますので、そのポストにあって上司から注意を受けた、その意を受けて今後適正に仕事はやっていく、こういうふうに思います。
  31. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 長官、今現場では連日抗議があれから続いておるわけです。ですから、そういう意味では、もうこれ以上時間ございませんから言いませんが、私はひとつ適切な措置を早急にとってほしい。そうして、今あなたがおっしゃったように言葉足らずじゃなくて、言葉が余っているわけだ。余り過ぎている。余計なことを言っちゃった。まあその余計なのが本心なのかわかりませんけれども、そういうふうにとられておるわけですから、これは私はひとつ指導をきちっとして、当該その人が今取り締まり責任者ですから、それだけに問題があると思いますから、そこも含めてひとつ十分適切な措置をとっていただきたいということを要請しておきます。これは答弁要りません。  それから、大臣、あなたが新通達決定後の記者会見で言った、北朝鮮の密入国者日本を舞台に韓国をかき回すので指紋押捺が必要だ、こういう発言をなさっていることについて、先般の私のあれについて釈明はしましたけれども、取り消してないですね。これは今でもそう思っておるんです
  32. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私はこの前先生に話しましたように、昨年の夏、日韓議員連盟の日本側の在日韓国人問題特別委員会委員長といたしまして、指紋の問題について日本は現在韓国と協力していかなければならない立場にある、ところがこの十年間に百五十件ぐらいの密入国が北鮮からあって、そういう人の調べた暗号機とか、そういう中には……
  33. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いろいろ言われないで、どうなんですか、私が聞いておるのは。
  34. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) そういうことで私、韓国の間でそういう事実があるということを申し上げておることは事実でございまして、私もそういう事実があったことは私として承知をしております。
  35. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 まずかったと思っておるのです
  36. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) そういう事実があったということを申し上げたのでございます。
  37. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 しかし、現実にはさっき私が申し上げたようなふうに国民には伝わっておるわけです。これについてはあなたは真意ですか、取り消すんですか、そこをきちっとしてください。
  38. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私がそういうことを言ったのは、韓国議員連盟の間でも、協議会で韓国の議員さんにこういうことがありますよということを申し上げたのでありまして、そういうことを申し上げたということをそのときに話した、これが真相でございます。
  39. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それは、大臣指紋押捺の新通達直後の閣議国家公安委員長としての見解を新聞社は求めた、それに対してあなたはさっき言ったような発言をしておるわけです。取り消しをするのかしないのか、きちっとしてください。
  40. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 私はそういう事実があるということを申し上げたのでありまして、別に私はそれが違反であるとか、そういうことは正直に申し上げた次第でありまして、他意はございません。
  41. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 取り消さないというのなら取り消さないで結構です。またそれはそれで今後追及していきたいと思います。しかし、いずれにしてもその姿勢がさっきの大阪府警の発言にもあらわれておる。警察全体の中にそういう姿勢が出てまいりますと、これはどんなに自治省の立場から適正適正と言ってみても混乱を拡大するもの以外にはならないと私は思います。だから、そこら辺はひとつ今後とも十分配慮してやっていただきたいということを、きょうは時間がございませんから、申し上げておきます。  そこで、次の質問に入るんですが、これは委員長、どういうことですか。
  42. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) 今また督促しております。
  43. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 法案の審議に入るのだから、少しきちっとしてください。
  44. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) 今、連絡をとっておりますから。
  45. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 理事と相談してください。休憩してください。私の審議時間使われたのじゃかなわない。理事にちゃんと言って休憩してください。
  46. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) それじゃ、暫時休憩いたします。    午前十時三十二分休憩      ─────・─────    午前十時四十四分開会
  47. 金丸三郎

    委員長金丸三郎君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行います。
  48. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今回の道交法改正の中で、説明によりますと、衆議院の交通安全対策特別委員会決議にこたえて法改正に踏み切ったと、こういう説明でございます。しかし、その決議をした衆議院の交特委が今度の法案に対してまた附帯決議をつけておるんです。このことは何かといえば、交特委が決議した内容と出された法案が大幅に違いがある。言うならば便乗的に、言葉は悪いのですが、改悪というか取り締まり強化というか、こういうようなことに対して附帯決議をせざるを得なかったというのが私は実態だと思うのですが、そのねらいは一体何ですか。
  49. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 御案内のように、現在の道路交通法は五十三年に大幅な改正がございまして、その後七年間、特に大きな改正というものはないままに推移してきたわけでございます。その間、交通死亡事故等の情勢を見てみますと、五十三年、五十四年以来、またその死亡事故の増加傾向と、その基調はますます強いものになっているという情勢がございます。特に内容的には、例えば二輪の問題とかいろいろ複雑な問題も出てきているその辺の情勢を勘案いたしまして、交通事故対策として道交法の手当ての方をお願いいたしたいということはかねてからいろいろ考えてきていたところでございます。  ただ、座席ベルトの問題につきましては、これは非常に社会的な慣熟度といいますか、社会一般の受け入れ態勢というものが自然に整ってきた時期でないと法律で無理をしてやるべきものではないというような認識も持っておりましたけれども、今御指摘のように、前の通常国会におきまして衆議院の交通特別委員会の方でそういう御決議をされる。さらに、県レベルの議会でございますが、一道二十七県、さらに市町村の議会におきましても千二百七十八の議会におきましてシートベルトの着用推進に関する決議等をいただいているというような、いろいろな背景というものが出てきているわけでございます。  そこで、私どもといたしましては、今の座席ベルトの着用義務化というものについての社会的な慣熟度といいますか、そういうものがかなり高まってきたという認識のもとに道路交通法改正の試案というものをまとめまして、昨年の暮れに新聞等に発表いたしたわけでございますが、主要新聞等の論説等におきましてもかなり好意的といいますか、着用義務化は当然であろうというような趣旨のような論説等が多かったわけでございまして、そういう面からも、この座席ベルトの問題については法制化をお願いするのに適した時期になってきているという判断をいたしたわけでございます。  それから、さっき申し上げましたように、七年間の交通情勢の変化というものに対応して、どうしても法的な対応策を講じさしていただかなければ適切に対応できないという情勢も出てまいりましたので、今回お願いをいたしたというわけでございます。座席ベルトの今の衆議院での御決議等がなければ、あるいは座席ベルトの部分は乗せないで、それ以外の部分についてはこの国会でぜひ道交法改正をお願いしたいという内容のものばかりでございます。
  50. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうしますと、この法改正でもってここ当分は法改正の必要なし、こういうふうに理解していいですか。
  51. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) この座席ベルトの問題等につきましてはそういうふうに御理解いただいてよろしいと思いますが、ただ、今申し上げましたように、交通情勢というのは非常に今激しく変化いたしてきておりますので、やはりそれに適切に対応していくために所要道路交通法改正というものは今後とも頻繁にお願いをしていくべきものではないだろうか。このたびの改正まで七年間改正をせずにまいったわけでございますが、やはり道路交通法の性格からいたしまして、適時適切に対応策がとれるように法律改正をお願いするというのがこの法律に対する我々の方の姿勢であるべきではないかというふうに考えております。
  52. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それでは、衆議院附帯決議がつけられておりますが、私は、いろいろございますけれども、きょうは座席ベルトとヘルメット着用の問題を重点にやりたいと思うのです。  附帯決議の第一項、とりわけ「助手席同乗者の着用義務に対する運転者の責務については弾力的運用を図ること。」、こういうことについてはどのように理解し、受けとめておりますか。
  53. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) まず、座席ベルトの着用義務化につきましては、法律上は高速道路、一般道を含めまして、前の席に座っている人について運転者とそれから助手席に座っている者、これについてはひとしく義務としてはかかるという建前というか、法文になっております。後ろの席の方については、運転者に努力義務という形で義務を課しているということでございます。  そこで、助手席の同乗者の着用義務というものにつきまして、諸外国でやっておりますように、着用しなかった場合の担保の措置といたしまして罰金をつくるということになりますと非常に事は簡単なんでございますが、これはやはり我が国の国情に合わないのではないかということで、行政処分の点数でその担保をやってまいりたいという考え方を持っております。そうなりますと、結局運転者の方に全部の責任がかかってくる。助手席に座った人が座席ベルトをしなかったその場合の責任は運転者が負うという仕組みになっておるわけでございます。  そうなりますと、例えばタクシーの運転手さんの場合に、お客さんを助手席に乗せる、それでそのお客さんがどうしても言うことを聞いてくれないという場合には、その場合にそのタクシーの運転手さんに行政処分の点数を科するというのは、これは酷ではないかということで、そういうような助手席同乗者の着用義務に対しましては運転者の責務というのはおのずからケース・バイ・ケースでいろんな場合がございますけれども、今のタクシーの運転手さんなんかの場合一番典型的な場合でございますが、こういう場合については例えば一声かけて座席ベルトをしてくださいということで、なおそれ以上お客が応じなかった場合には、運転手としては必要な責務を果たしたということでペナルティーを取らないというような考え方をきちっと国会でも答弁申し上げてきておりますが、そんなような趣旨のことがこの「弾力的運用を図ること。」という御決議意味であろうというふうに解釈いたしております。
  54. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今外国の事例も出ましたが、外国の事例でどこの国はどうだと数字をいただいていますが、その結果、違反の実態というのはつかんでおりますか。
  55. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 違反の実態というのは、何件ぐらいこれによって罰金を取っているような事案が出たかというような形の調査はいたしておりません。これは、私どもの方で罰金という制度をとらないということにいたしましたために、そこまで実は調査いたしておりません。
  56. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私の調査というか、調べた内容では、余り罰金の事例が上がってないようです。これはなぜかといえば、そこが外国のお巡りさんの気さくなところかもしれませんが、これはほとんど何というか精神規定、こういうことで実際問題としては適用なさってないようです。しかし、日本の場合は、今の警察の実態からいうとそうはいかない。やっぱり義務違反があれば厳格に適用するのが皆さんの常套手段でございますから、そういうことから考えると、ここに今あなたがおっしゃったように、助手席について弾力的な運用を図ると言うけれども、その弾力的な運用の具体的な基準か何かつくっていかないで、思い思いにそれぞれの全国の警察官が勝手気ままに弾力的な運用を図っていったら、これはここではやられたけれどもこっちではやられてなかったと、まちまちが起こってくるんです。恐らくあなたの方は、その弾力的運用については内規か何か知りませんけれども、こういう基準というのをつくっておるのじゃないかと思うんですが、いかがですか。
  57. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 現在法案を審議していただいている段階でございますので、弾力的運用の中身といたしまして、例えば下位法令の政令とか、その種のものを定める際の基本的な御方針をここで示されたという面が一つございますが、もう一つ今、それからさらに現場での個々の警察官の認定に係る部分というのが確かに多いわけでございまして、その部分についてどうやって対応さしていくかという問題がもう一つあるわけでございます。  具体的なその細かい指導基準といいますか、そういうものはこの国会での御議論等を踏まえまして最終的に決めてまいりたいと思いますけれども、例えば座席ベルトの着用義務違反というようなことになりました場合に、特に一般道路ということに将来行政処分の点数を付与するというようなことになっていった場合には、やはり幹線道路等を中心に最初はやっていくとか、そういうようなことがこの弾力的運用といいますか、そういう中身として、個々の現場での取り扱いについての内容としては出てくるであろうというふうに考えておりますが、さしあたっては、さっき申し上げましたように、高速道路におきます運転者の未着用というか非着用、これに対してのみ点数を付与する。義務は、さっき申し上げましたように一般道路、高速道路を問わず、前の席に座っている人には着用義務というものはかかるわけでございます。もちろん助手席は、さっき申し上げましたように運転者を通じてという格好になりますが、義務はかかる。しかし、それを担保するいわゆるペナルティーといいますか、担保措置の方の行政処分の点数を付与するのは、さしあたって当面は、自動車専用道路を含みますが、高速道路におきます運転者の非着用、これのみに限定をして、それでやっていくという考え方でございます。
  58. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 高速道を当面やっていく、しかし一般についてはそれなりに若干余裕を見るような発言ですが、これは率直に言って、こういう行政処分というのは、十五点で免許とられてしまうわけですから、そういうようなものを口頭で、まさに胸三寸というような言い方では僕はまずいと思うし、全国の警察官がこれに携わってくるわけですから、あなたのところは基準か何かきちっとつくるのじゃないんですか。こうこうしなさいという基準つくるでしょう。それがあるでしょう。あるなら出してください。
  59. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) お手元の方にさっき御了解を得まして「道路交通法施行令の一部を改正する政令案の骨子」という資料をお配りをさしていただいておりますけれども、今の御指摘の部分、こういう中には点数の部分がこの二ページの下の八というところでございますけれども、ここに表にして書いてございますが、こういうものを政令の上ではっきりさしていくということになるわけでございます。
  60. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは「当面、高速道路運転者の非着装のみ」と、こうなっていますが、当面ということはいつからいつまでのことを言うのか。国費職員の身分移管の、ただし当分の間が二十八年間もかかっているわけです。そういう意味ですか。
  61. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 高速道路の運転者の非着用につきましては、その行政処分を科することにつきましてはこの法律が成立した場合には、ことしの秋の全国交通安全運動、その辺に間に合うように施行の手続を進めてまいりたいというふうに考えております。  それから、座席ベルトの効用といいますか、あるいは正しい着用方法、これについての非常に幅広い国民的なPR活動というものを行いまして、それについての認識を深めていただいて着用率の向上を図るという経過を見まして高速道路の助手席、それから一般道路におきましてもそういう座席ベルトの効用というものの認識が深まって、ドライバーが着用をするということがだんだん高まってまいりまして、おおむね五〇%ぐらいになったときに一般道路についても行政処分の点数を付加するということを考えてまいりたいというふうに考えております。
  62. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 どうもはっきりしませんね。  次の問題に移りましょう。  一般道路の着用の問題で「おおむね過半数」と、こうなっておるわけです。これは何の過半数ですか。例えば全国の着用の実態がおおむね過半数になったという意味なのか、もしくは各県ごとに過半数になったらやるのか、一体どうなのか。どういうふうに受けとめていますか。
  63. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 私どもの方では、過去十年近く毎年交通安全運動等の場合に、日時を限りまして全国的に、高速道路あるいは一般道路におきます座席ベルトの着用の実態調査というものを進めてきております。これはもうかなり実績がございまして、大体対象としてとらえる数は八万ぐらいというのが母数になっておりますけれども、それでどういう形で座席ベルトの着用がされておるかという推移を見てきておるわけでございます。例えば五十九年の高速道路の運転者の着用率が二九・三%というような私どもの方の資料を前にお出ししたこともございますけれども、こういう数字は今申し上げたような経過でとらえた数字でございます。この五〇%というのもそういう形で、県によって既に五〇%近く、例えば県といいますか地域、市やなんかのところではそういうところも現にあるようでございますけれども、全国的にならしまして、大きな母数でいろいろプラスマイナス見まして、それで全国的な形で五〇%というのをめどにいたしております。  それから、車というのは各県ごと縦横に動くというような性格もございますので、一応特定の例えば東京都なら東京都だけ五〇%になったところで着用点数を付していくというような形でなくて、全国的な、今申し上げましたような総体の姿から見て五〇%を超えるという段階になりましたときに全国一律という形でお願いをいたしたいというふうに考えております。
  64. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 あなたの説明、ちょっと私はわかりにくいんだけれども、どういうことなんですか。各県が県別に見たときに五〇%着用した、それから着用してないところがある、そうすれば、例えば大分なら大分が八〇%、宮崎が八〇%、東京は二〇%、こういう都会の方は二〇%から一五%、こういう場合もいろいろ出てくると思うんです。どこでとられた数字が過半数になるのか、それを聞いているわけです。
  65. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 今申し上げましたように、大分なら大分で千台とか二千台とかそういうような格好でずっと積み上げてまいりますと、大体八万台以上の母数というのが出てくるわけでございます。そういうものを積み上げますが、二〇%のところもあるいはあるかもしれませんけれども、片一方で八〇%というところもある、しかし母数として八万なり、あるいはもうちょっと多くする必要もあるかもしれませんけれども、一応現在までは八万程度、この母数で見ました場合に、それが全国平均で過半数以上の人が座席ベルトをしているという状態になったときに全国一斉に一律にやりたいというふうに考えております。
  66. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすれば、実際は五〇%とか六〇%という数字じゃなくて、ある一定時期に一定期間を置いて、おたくの統計用の調査をするために調べた数字が逆に言えば一つの基礎になって、そしてそれが全体的に統計を見て五〇%を超えたときと、こういうふうに理解してもいいのか、いかがですか。
  67. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 大筋はそういう御理解で結構でございます。
  68. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 そうすると、これはあなたがそういうふうに受けとめておるなら、やはりまやかしです。なぜかと言えば、ある一定時期に、一定期間に交通取り締まりをやる、着用点検調査をやる。そうなると、恐らくおたくの方は大々的に今検問中、こういうものをずっと出せば、警察官が向こうに見えるということになれば、そのときは皆つけますよ。そんな数字を基礎にして、そうして五〇%を超えたから適用と、これはそういう意味じゃないんですよ。僕はこれを衆議院の方にどういう意味だと、こう聞いてみたら、そんなあいまいなものじゃない。確実なきちっとした調査で全国各県が五〇%を超えたときと、こういう理解だと言うんです。それはもう全然話が違うじゃないですか。
  69. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) さっきも申し上げましたように、夏のシートベルト着用の強調月間とかあるいは交通安全運動の期間とか、とにかくそういう期間に座席ベルトの着用率を調査いたしまして、それでその得た数字を基礎にしたい。  それで、この調査というのはさっきも申し上げましたけれども、過去十年以上そういう実績がございまして、今度こういう附帯決議をいただいたというのでそれに合わせるというようなことで小細工をするというようなことでは、ドライバーの理解と共感を得た形での法律施行というのはできないのは言うまでもないところでございますので、そういうことは毛頭考えておりません。ただ、私どもの方といたしましては、全国的なそういう調査というものを過去にかなりの期間実績を積み上げてきておりますので、そういう延長線上で御理解をいただく。今まで、例えばさっきも申し上げましたけれども、高速道路とか一般道路における着用率云々という数字も全部そういう形で積み上げてきた数字をもとは御議論いただいているわけでございまして、そういう延長線上で御判断をいただくようにしたいということで考えているところでございます。
  70. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これはしかし、ちょっと私はそういう基準では認められぬと思うんです。なぜかというと、さっきあなたも言ったように、これは本来ここまで法が立ち入るべき性格のものじゃないというのが私の持論です。これはやっぱり努力義務で、教育、啓蒙を徹底することによって、その方があなたの命は安全になりますよ、そういう理解がいったときにつける性格のものを今あなたがおっしゃったような方法でいくとすれば、これはトラブルは次々に起こってくるという感じがしてなりません。はっきり、ここは全国各県が五〇%以上、大多数がそういうことで納得した段階から着用義務のいわゆる行政処分の点を付していく、こういうふうにできませんか。
  71. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) この座席ベルトの着用の問題についての基本的な姿勢といいますか、そういう問題について今先生がお話しのようなそういうことがあることは事実でございます。ただ、いわゆる努力義務ということでは各国の実例を見ましてもおのずから限界がある。日本におきましても、御案内のように十数年前から高速道路におきましては座席ベルトの着用の努力義務の規定があるわけでございますが、それでもなおかつ、さっき申し上げました私どもが過去十年積み上げてきた資料で申し上げますと、運転者が五十九年で二九・三%というところで、おのずから限界があるわけでございます。諸外国の例におきましても、大体努力義務なりそういうことでやってこれる限界というのはおのずから三〇%前後といいますか、その程度が限界であるということが定評になっておりまして、そこでやむを得ず努力義務から正式の着用義務、さらに罰金で担保するというところに進んでいるのが各国の実情でございます。しかし、日本におきましては、さっき申し上げましたように、行政処分の点数ということで担保していくという考えでございますが、そのもとになる数字の取り方については母数を従来よりも若干ふやすというようなことは考えていくべきことかというふうに思いますけれども、基本的にはやはり今までずっと積み上げてまいりましたそういう手法で調査をいたしまして、それで五〇%を超えるという事実を確認するようにしたいというふうに思っておるところでございます。
  72. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、この座席ベルトをつけるということを否定したり、もしくはこれをつけた方が身の安全のためにプラスになるということを否定したりするわけじゃないんです。それが一つ。せめて高速道の場合はこれは私はやっぱり義務化もやむを得ないと思います。しかし、一般道の問題については、今言ったように、あなたの方は今度は、後ほどまた議論しますが、除外規定いろいろたくさんつくっておりますね。つくらざるを得ないような実態もあるわけです。それで、この決議の中にありますように、「運転者の利便を考慮し、業務及び日常生活に支障を来さぬよう」と、こういうことになりますと、大変支障を来すわけです。そういう性格のものであるだけに、私はやっぱり本人の自覚が第一。今あなたの説明の中にも、それが第一だと、こう言っておるわけです。ですから、そこまでは大体意思統一ができるわけだから、この際この問題の処理については、一般道に限ってはこの五〇%、いわゆる「過半数」ということは各県が過半数になるまでと、こういうふうにきちっとすべきだ。そうしないとトラブルが起こる、こういう気がしてなりませんので、この辺はひとつ修正をするか、その辺の回答をいただくか、きちっとしていただきたいと思います。
  73. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 交通事故の実態から申し上げますと、御案内のとおり、高速道路におきます自動車の乗車中の死者数というのは、五十九年の例で申し上げますと、自動車乗車中の全死者数の約六%程度でございます。したがいまして、冒頭に申し上げましたような座席ベルトの着用義務化の交通事故防止上の効果といいますか、そういう点も考えあわせますと、やはり一般道路についてこれを及ぼすということがどうしても必要になるという状況にあるわけでございます。ただ、過半数という取り方を各県ごとにというふうにやるか、私がさっき申し上げましたように車というのはいろいろ動き回るので、全国的に八万なりあるいはもう少し多い数の母数で調査して、それで結果を見るか、そこのところの見解の相違といいますか、差があるのだろうと思いますけれども、私どもといたしましては、この座席ベルトの特に一般道路に対する行政処分の点数付与ということが非常に重要な意味を持っているという認識は持っておりますので、たとえ全国的にまとめた数字であっても十分納得がいただけるといいますか、当然であらうという、そういう状況が出てきてもちろん点数付与に踏み切るということでございます。ただ、やはり何かめどがなければいけないということで、そのめどとして過去十年間、十年以上手法としても確立しているそういうやり方をとりたいということで申し上げておるわけでございます。
  74. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 その手法をさっき聞きますと、ある一定の時期に一定期間おたくの方でその特定道路で検証して、そうしてその一つの数字として五〇、六〇という議論になるわけですから、私はやっぱりそういう手法でやる以上は、またそれ以外に方法がないとするならば、それはそういう手法でやらざるを得ぬと思うんですが、そうであればこれは実態とはかけ離れた数字になるのです。そう予測します。ですから、そういうことからいって、この全国の各県が五〇%以上超えたときにこの附帯決議の言う「過半数」という理解に立って、この附帯決議の「過半数」というのはそういう意味での過半数だと、こういう理解にきちっとして、そうしてやるか、少なくともこれから義務規定はつけても点数付与については五年間なら五年間猶予するとか、こういうきちっとしたものがないと、これは私は大変なトラブルが起こるような感じがしますからそう言っておるわけでございますから、これはひとつはっきりしていただきたい。
  75. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) これから私どもこの法案が成立した場合には、さっき申し上げましたように、座席ベルトの効用とそれから正しい着用方法ということについて非常に幅広い、むしろ警察というよりも総務庁初め関係官庁、それから都道府県とか市町村とか、そういう自治体はもちろんですが、民間の各種の団体を初めとして、非常に幅広いいわば国民運動的なPRといいますか、そういうものをお願いしたいというふうに今考えているところでございますが、そういうことになりますと、おのずから座席ベルトについての正しい理解というものも進み、着用率も上がってくるというふうに思うわけでございますが、各県ごとということになりますと、ちょっと区域が狭過ぎるといいますか、やはり車がいろいろ動き回るというような点もございますので、全国的な形でこの衆議院附帯決議の「おおむね過半数に達した段階で」というのはそういう全国的な目で見た着用率ということで私ども解釈をいたしているわけでございますが、そういうことで御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。
  76. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは衆議院決議と警察当局の内容の受けとめ方は全然違いますね。  私は、ベルトの着用そのものは否定しませんけれども、義務化佐伴う点数付与についてはきちっとここで当委員会でも押さえておく必要がある、そう思います。ですから、これは委員長にひとつまた理事会にでも諮って議論していただきたいと思いますが、いずれにしてもこの問題については納得できかねることだけ、これ以上やりとりしてもなかなか進まぬと思いますから、明確にしておきたいと思います。  そこで、次に移りますが、除外対象です。政令案を見せていただきました。これを見ると、「身体が著しく大きく、又は小さい」とあるが、著しくというのは一体何センチなのか、小さいというのは何センチなのか、これも定かじゃない。極めてこういう漠としたものが次々とあって、それから「疾病等のため座席ベルトを装着することが適当でない」というのはどういう状態のことを言うのか、これも定かでない。それから、「三十九条第一項に規定する緊急自動車」というのは、これはパトカーのことですか。一般の庶民の皆さん、タクシーの運転手が言っているんですが、パトカーもつけるんでしょうな、そうしないと官民差別じゃありませんかと、こういう議論を聞きましたが、いや、それはつけるだろう、警察が言う以上、警察官は長官初め皆つけるだろうと、これはそれが前提でなければ、そんな庶民だけ縛るような法律はだめだよと言ったら、そうでしょうね、先生、頑張ってください、こう言っておった。ところが、ちゃんとここに適用除外になっている。そのほかもう一つ、オの段階では「当該業務につき頻繁な乗降が必要」とされる自動車を運転する者、こういうことも言っておる。「当該」とは何のことなのか。それから、「突発事案に備えることをその内容とする公務に従事」する自動車を運転する者、「選挙用自動車を候補者が運転」というのがその後についています。これは私が前に言った内容だと思うんですが、ちょっと具体的にこの内容を説明していただきたいんですが、時間がございませんから、今私が言った問題についてだけでも結構です。
  77. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) まず、イの「身体が著しく大きく、又は小さいため、」と、これは何センチぐらいとか胴回りが何センチ以上とか、あるいは背の高さが何センチ以下とか、ちょっとなかなか具体的な数字で実は申し上げにくいところがございまして、座席ベルト自体というものが通常の大人といいますか、そういうものを対象にして、そういうときに効果が非常に出るというふうに設計をされております。したがいまして、非常に背が高いあるいは低い、あるいはすごく太っているとか、いろいろそういう形になりますと座席ベルトが持っている本来の効用というものが正しく発揮されない、そういうような場合にはもう当然のこととして着用義務を課するのは適当でないという考えでございます。  それから、ウの「疾病等の」というこの疾病というのは、一番典型的な例で申し上げますと皮膚病なんかのことで、そこのところを座席ベルトでこするというようなことになるとぐあいが悪い。それから、この「等」の中には、例えば病気ではございませんけれども、妊婦なんかの場合にどうも座席ベルトをするということが適当でないというふうに思われるような者も当然適用除外。  それから、緊急自動車の問題でございますけれども、これはパトカーとか消防車とかいろいろ緊急自動車がたくさんございますが、これが現に赤灯をつけサイレンを鳴らして緊急自動車として走っている場合、こういうことを考えておるわけでございます。制服のパトカーにつきましては、今御指摘もございましたけれども、これはやはり原則として座席ベルトを締める、これは当然のことだろうと思います。ただ、例えば被疑者を護送している場合とかあるいは警ら活動に従事している、具体的な事件がございまして、それで警戒をしながら走っているというような場合になりますとつけているのがちょっと無理だという場合もございますので、そういう場合は緊急自動車の者が除外されると同じような形で、この場合には除外をするというふうに考えております。  それから、オの方の「短い区間において」云々と、これは具体的には郵便の集配業務をやっている、それからあるいは清掃業務でごみを現に集めるというような業務、それから宅配業務なんかもございます。これも大体宅配業務とか牛乳の配達とか地域を定めまして、それでそこの地域の受け持ちということでその地域に入っていくと頻繁に乗りおりをするというようなことになるいわゆる業種というのがあるわけでございます。こういう人が現に頻繁な乗りおりをする、ごみを現に集めましてそれから遠くのごみ捨て場まで持っていくという段階では座席ベルトをしていただきたいと思うのですけれども、特定の割り当てられた地域で現に各個にごみを集めているというような場合には当然のこととして適用除外。  それから、カの部分の「突発事案に備えることをその内容とする公務に」云々、これは典型的な例としてSPなんかを考えております。それから、選挙用の自動車を候補者の方が選挙運動しながら直接運転される、上の方の選挙では余りないかもしれませんけれども、そういう場合もあり得るのじゃないかということで、運転を直接される場合は当然のこととして適用除外というふうに考えております。
  78. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 結果的に、今聞いてみると、例えばそういう細かい疾病の場合とかいろんな場合でも細かい基準をつくらなきゃいかぬので、これだけではなかなか私は各末端まで徹底しにくいのじゃないかと思うんです。例えば妊産婦などの場合どうするのか。それからタクシーの運転手でも、酔っぱらいも出てくるでしょうし、助手席に乗せるのに、そういうのをつけてくれと、いやおまえの車に乗らないと、お客が逃げてしまう。営業妨害、そういう問題が次々起こってくるような気がるんです。  こういう点を考えると、私は、やっぱりもっと明確に予想されるやつを出すか、大体こういう法律に無理があるわけだから、本来ならベルト着用に点数付与しなきゃいいわけだ。つけなければこ ういう議論はないわけだ。しかし、義務化にすると何かつけなきゃならぬ、こうなるのでしょう。だから、義務化をして義務であるということをつ くるのはいいけれども、しかし点数付与という行政処分が出てくるとこういう問題が起こってくるわけで、この法案はそこにやっぱり無理がある、そういうふうに思いませんか。いろいろ言うと妊婦の例とか事例どんどんありますよ。百ぐらいあるでしょう。そういう場合に一々あなた答えるわけにいかぬでしょう。どうしますか。
  79. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) さっき申し上げましたように、諸外国の例を見ましても罰金で担保するというような非常に強い担保措置がとられているというのも実情でございますが、日本の場合はそういうのは適当でないというので、さっき申し上げたような処分にとどめるというのが適当だろうと思っておりますが、ただ非常に問題になりますケースにつきましては、基本的には政令で、さらにそれの具体的な細かい適用事例といいますか、そういうものは国会におきます御審議等でいろいろ御指摘いただいた点等を踏まえまして、具体的に第一線の方へ徹底をさせるということで、法案が成立いたしました場合にはできるだけ早く全国の交通部長、交通指導課長等を集めまして、その基本的な考え方というのを十二分に徹底させるような手だてというものは考えているところでございます。  なお、タクシーの運転者の場合についてお話が出ましたので、ちょっと補足さしていただきますと、さっきもちょっと申し上げましたけれども、確かにタクシーの運転手さんというのはお客から乗せるように求められた場合、それを拒否できないという義務が一方にあるわけでございます。他方、こういう形での座席ベルトの着用の義務というのがかかってくる、一種の義務の衝突といいますか、そういう形になるわけでございますが、助手席に乗るお客に、今も話がございましたように、酔っぱらいとかいろんな者がいる、そういうものの実態を考えた場合に酷にならないようにということで、さっきもちょっと申し上げましたけれども、一声かけていただく、とにかく助手席に乗った方がいた場合に座席ベルトをしてくださいということを一声かけていただければ、ここでいう座席ベルトの着用義務というものをその運転手さんが果たされたというふうに、これは国会でも何度も答弁申し上げましたし、さっき申し上げましたようなそういう各種の会議で末端まで十分徹底させるということで対応してもらいたいと考えているところでございます。
  80. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 それなら、例えばタクシーで遠方に行く場合、普通は高速道に入る。そうすると、大体お客は六人乗ります。運転手と一緒に前に三人、後ろに三人、真ん中の人は後ろも前もバンドはない。その場合にはどういうふうになるのですか。
  81. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) これは条文の解釈になって恐縮でございますけれども、要するに保安基準に定められたそういう座席ベルトがあるその席に座ったときということになっておりますので、今先生御指摘のように、タクシーだけじゃございませんけれども、普通の乗用車の前の席の真ん中の席というのは、現在の保安基準では座席ベルトの装備が義務づけられてないわけでございます。したがいまして、そこに座った方については、もし座席ベルトが任意でつけた場合であったとしても、この法律によって着用義務はかからないということになるわけでございます。これは保安基準の方の問題でございまして、この問題については運輸省の方ともいろいろ御相談をしているところでございますけれども、少なくとも現在の保安基準上はそれが義務づけられてないということからいたしまして、結果的に、その真ん中の席の方については着用していなくても、当然のこととしてこの法律上の義務はかからないという結果になるわけでございます。
  82. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だから、そのほかに四十五年までの車にはこのベルトはないですよ。それとか、今おたくの調査で車台数を見ると、六%ぐらいというのはない車がございますね。そういう車などはこの義務が課せられないと、こういうことになるわけです。それに点数付与という罰則、行政処分をつけるということは、やっぱりどう考えても私は無理があると思うんですが、どうですか。
  83. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 御案内のように、運転席に二点式の座席ベルトを装備するように保安基準が変わりましたのが昭和四十四年でございます。その後、四十八年には運転席と助手席に二点式のベルトをつける。それから、五十年の四月になりまして、運転席と助手席には三点式、それから後ろの席には二点式の座席ベルトをつけるということになって今日に及んでいるわけでございます。したがいまして、今御指摘のように、確かに四十四年の四月以前に製造されました車につきましては全く座席ベルトがないという結果になるわけでございますが、既に十六年もたっておりまして、実際上、町の中で有効に走っているというのはほとんどないのじゃないかというふうに推測をいたしておりますけれども、保安基準上そういう義務づけられてない車については、法律上この義務の規定は適用にならないということでございます。
  84. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 もう一つ、あなたもそうは言ってないと思うんですが、ベルトをつけたために、衝突したときに例えば首をつって死んだり、それから内臓破裂して死んだり、事例はたくさんあるわけです。ですから、これは絶対のものじゃないんです。これをつけたら絶対大丈夫というものじゃない、そういうもので、しかも今言うように、今走っている車の中でも、あなたはそう言うけれども、最近は、四十五年以前の車は、これができるということでどんどん値上がりしておる。そういうことを考えると、一体ベルト着用というこの法改正が本当に私はあなたが言うような目的とは逆の現象すら起こっていると言ってもいいんです。ですから、これはやっぱり点数付与をやめるか、それから当分、五年間ぐらいはつけないとか、当委員会の審議を通じてそこら辺はきちっと押さえておかないと弊害の方が出てくる、こういう感じがします。  いろいろ聞きたいんですが、そのほかの問題もちょっとございますから、一応この問題はこの程度にして、もう一つ先に進みますが、ヘルメットの着用の問題で一つだけ聞きます。  確かにおたくの統計を見ましても、婦人の皆さんが非常に嫌がっています。しかし、これが完全義務化になりますとつけざるを得ない。ところが、原付というんですか、あれは今千四百万台ぐらいあります。それから、オートバイが三百万台ぐらいある。そのうち、おたくの調査によれば、ヘルメットを六〇%は着用している、二〇%は着用してないけれども持っておる。しかし、残り二〇%といってもこれは分母が大きですから、これは言いかえれば今から買わなきゃならぬと、そういうことになりますから、ヘルメットがどんどんまた値上がりし始めておるんです。こういう現象が起こっておるんですが、私はむしろ原付が九十キロもスピードを出せるというのが問題であって、ここがやっぱり例えば性能として五十キロ以上は出せないような仕組みをきちんとすれば、こういうヘルメットというものも必要なくなってくるのだと思うんですけれども、ここら辺の見解を含めていかがですか。
  85. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) ヘルメットについて非常に幅広い御質問いただいたわけでございますが、確かに女性の一部から、ヘルメットをかぶると髪が乱れるというようなことで、何というか、若干その意見があるということは事実でございますが、原付というのは御案内のように非常に弱い立場で、被害に遭うということになりますと、むき出しになっておりますので、どうしても頭とか顔に傷を残すというようなことにもなりますので、そういう事故がかなり実は多いわけでございまして、その辺については十分PRをして、顔にけがをするよりは、ちょっと髪が乱れるけれども仕方がないというような方向にみんなが納得してもらうように、これは一年間の猶余期間というのをヘルメットの製造の関係から設けておりますので、その間にPRを徹底させてまいりたいというふうに考えております。現に自動二輪の方につきましては、これはもうほとんどヘルメットをかぶっております。原付の方がそういう形でございます。  それから、確かに車の性能は、御案内のように現在の原付というのは時速三十キロしか出してはいけないということが決まっておりますけれども、実際は非常に技術が進みまして、かなりスピードが出るようなことになってきております。ただ、この辺につきましても行政指導で、これは私どもの方ではございませんけれども、行政指導で六十キロ程度までしか出ないようにということで指導が行われているわけでございますけれども、やはりそのくらいのものというのは突発的な事案が起きた場合の瞬間的な回避動作とか、あるいは坂を上る際にかなりスムーズに上るための能力とか、いろんな観点から必要じゃないか。ただ、今先生から御指摘のような点もございますので、運輸当局等とも十分連絡をして対策を検討してまいりたいというふうに考えております。
  86. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今お答えいただきましたが、これは大丈夫ですか、一年ぐらいの施行延期でもって二〇%の充足ができますか。私は、さっきお話しございましたように、五十三年ですか、道交法改正で、高速道で停車した赤い三角板を義務づけました。ところが、あれで業者は一気に十億円の利益が上がったという。私は審議のときには過重載の方に重点を置いておったものですから、そこに気がつかなかったんだけれども、そういうことにはなりませんか。
  87. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 当時のそういう経験等も踏まえまして、今回はヘルメットの問題につきまして関係業界の方の製造能力というようなことにつきましても十分調査はいたしました。  それで、さっきも先生からお話ございましたように、義務化することによって新たに必要になるヘルメットというのは約二百八十万個程度ではないか。ただ、千四百万台の原付といいましても、中にはかなり事実上死蔵しているというか、使われない形のものもあろうかと思いますので、実質的には今申し上げた数字より、必要となるヘルメットの数はもっと少なくなるのではないかと思います。年間大体販売数が二百四十万個ぐらい、それにそういう需要があるということになりますと、五十万個ぐらいは十分製造が可能ということで、約三百万個ぐらいの製造能力もあるというふうなこと。さらに、市場の在庫の推定で約百万個ぐらいはあるというようなことでございまして、今回に関しては、今御指摘いただいたような特別の値上がりとかそういうようなことはなくて、一年間あれば十分であろうというふうに考えております。
  88. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 道交法の問題では、以上の点が私が一番気にかかっておる点ですから申し上げておきます。どうしてもベルトについてはさっき言ったように御答弁を了解するわけにはいきません。これはひとつ後ほどまた機会を見てやりたいと思いますが、何とかひとつこの委員会の中で修正をするか、はっきりした確認をいただくか、その二つがない限り、私は容認するわけにはいきません。  そこでもう一つ、警察がせっかく来ておりますから、消防との関連で聞きたいと思いますが、タンクローリーのあの事故の問題で警察、消防庁が先般調査も行っておるようですが、これはいろいろお聞きしたいんですが、時間がございませんから、きょうは一つだけお聞きしておきたいと思うんです。  あのタンクローリーと同じような危険物搬送車というのが約六万台今全国を走り回っているわけです。その中で今回事故が起こった車両というのは極めて保安基準以上の装備を持った内容であの事故になっておるわけです。ところが、実際見ると六万台の中には、昨年東京消防庁と警視庁が調査した一斉調査の中でも二四%が違反車両、こういう実態にあるんです。そのうち大災害に直結する違反が十一件もあった、こういう事例も出ている。こういうような状態であって、これに対してどのように対処しようとしておるのか。五十四年から五十八年の実績をおたくの方で資料をいただきましたが、それによっても約百五十四件の事故が発生しておる。こういう事例報告されておるわけですけれども、私は、これこそ緊急に措置をとらないと、毎日火薬庫が六万台走っているようなものですから、極めて重大な問題だと思うんですが、これはいかがですか。
  89. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 御指摘がありましたように、私どもといたしましては、保安規程を必ず遵守をいたしますように警察とも協力をいたしまして路上での取り締まりその他の徹底を図っておるところでございますが、残念ながら違反がゼロというような状態にはなっていないわけでございまして、昭和五十九年で移動タンク貯蔵所、いわゆるタンクローリーにつきましては二三%の不適合車があるという状態でございます。こういう不適合車をできるだけ早くなくしていくために最善の努力をするように各消防署を指導をいたしておるところでございますが、実際問題といたしましては、事業所への立ち入り、それから先ほど申し上げました路上での抜き打ち的な調査、そういうものを通じまして、違反車両のないように今後とも最善を尽くしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  90. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 警察はどうですか。
  91. 中山好雄

    政府委員(中山好雄君) 危険物を運搬する車両、これはガソリンとかいったものあるいは高圧ガスなど、そういったものがございます。これらにつきましては、警察といたしましてもその事故を防止しなければならないということで積極的に指導取り締まりを行っておるところでございます。  昨年中の危険物にかかわる違反の検挙が全体で千五百八十九件でございまして、そのうち、輸送車両の違反検挙というのは六百八十四件という数字になっております。違反の内容としましては、危険物の運搬車両であることを表示する警戒標識をつけるのを怠ったり、危険物の取扱者が同乗をしなかったり、免状を携帯しなかったりといったような形式的、手続的な違反がその大半を占めるわけでございますが、中には静電気を除去するためのアース線が壊れているとか、あるいは積載容器の転落防止を完全にしていないなどの事故につながる違反も見られました。運搬関係者に安全のための規則を厳守させる、そういう意識を高めるためにも、警察といたしましては今後とも、たとえ形式的な違反でも取り締まりを進めてまいりたいというふうに考えております。
  92. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 今度事故起こした車は違反車じゃないんですね。むしろ保安基準以上の堅牢な設備を誇った車です。それすら横転してああいうふうになれば大変な事故になる。ましていわんや、今あなたがおっしゃったような違反の車が突っ走っておるというような現状、こういったところに、消防庁長官が言うように立ち入り検査、抜き打ち検査、こういうことで対応できるものじゃないと私は思うんです。ですから、むしろタンクローリーを含めたこういう移動火薬庫みたいなものはできるだけ走らせない。もっと言えば、こういうのが経営をやっていっても採算が成り立たぬという方向に追い込んでいかなきゃ、誘導しなきゃいかぬと私は思うんです。  ですから、高速道であるとかこれらについて私はこれこそやっぱり禁止する。もし例えば東名高速道路のトンネルの中でああいうタンクローリー車が突っ込んでおったら大変な事故になる。こういうことを考えると、長距離についてはできるだけ列車に移しかえていく、こういう政策をとるべきじゃないか。そうして、同時に、こういう一般道を走る場合には、今度も五十キロのスピードで事故を起こしたわけで、そういう意味ではやっぱりもっと制限をして、そして絶対安全運転をさせていく。こういうような所要措置がとられていかないと、私は今以上の大惨事が起こってくるような気がしてならぬのです。そこら辺いかがですか。それを簡単にひとつ御説明をいただきたい。
  93. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 現在の根本的な運輸体系といいますか、そういう基本的な問題にかかわることで、私どもの方の所管から若干はみ出るような感じもあるわけでございますが、御案内のように、最近は鉄道によります精製品の輸送は行われておりますけれども、原油というのはほとんどがいわゆる精製基地に陸揚げをされる、それで精製基地から中継基地までトラックの方で運ぶというような形になっているわけでございます。確かに、そういうことになりますと、今回の事故のようにかなり長距離を走るというようなことにもなるわけでございますが、原油の輸送というものが、今先生がお話しのような国鉄に大きく振りかわるということは大きな解決策の一つだろうと思いますが、現実問題といたしまして、今申し上げましたような輸送実態というものに既に変化してきているわけでございます。  そこで、特にその危険なそういう車について走行実態に即した形での交通規制というようなものについての必要性が出てくるわけでございますが、これまでもこの種の車は大体いわゆる大型車になっておりますので、大型車の通行規制ということで、例えば東京都内におきましては、裏通り等については五十八年度末で約五百八十キロ、二千六百十八区間につきまして道路からの締め出しをしているというのが情勢でございます。ただ、今回の事故が起きました、いわゆる環七みたいなああいう幹線道路になりますと、こういうふうに締め出しをしていった場合でもかなり最後の方にまで残ってくる道路になるのじゃないかというところが非常に問題であろう。今回事故が起きました環七につきましても、最高速度は四十キロ規制、駐車禁止とか歩行者横断禁止、交差点の転回禁止、右折禁止等々の交通規制を幅広く可能な限り行っておりますが、交通規制の面からそういうのを完全に締め出すというのはなかなか難しい状況にあるというふうに考えております。
  94. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 いずれにしましても、私は抜本的に緊急に対応しないと第二、第三が起こってくるし、今、現に六万台が全国を走っておるわけですから、ここら辺こそベルトに力む力をそっちの方に向けて庶民の安全を守る、こういうひとつ努力を消防庁、警察ともに強く要請しておきます。  次に、先般私が質問して、どうしてもここだけはきちっとしておきたいと思いましたが、時間が足らずに残りましたので、消防庁、労働省にお聞きしておきたいと思うんです。  私は、消防職員の勤務時間の問題で先般やりました際に、昨年調査やっただろうと、こう指摘したんですが、長官、どうしても調査をやってない、実態わからない、こういうことだったのですが、結果的にこれはやったわけですね。
  95. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 勤務時間の調査につきましては、公式に外部に発表を意図いたしまして、統一的に実は私どもの公務員部の方で調査をいたしております。そのほかに私ども消防庁の中の内部的な資料を得ますために、公表するという前提でなしに調査はいたしているわけでございます。私が先日申し上げましたのは、したがって公表できるような調査資料、まとめたものはない、こういう御答弁を申し上げたつもりでございます。
  96. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 私は、公表できるできぬは問わなかったつもりなんです。やっただろうと。あなたは、やってないと、こう言ったんですが、それはいいでしょう。もしやっておるなら、その状況をひとつ提出していただきたいということが一つ。  それから、時間がございませんから先へいきますが、同じ時期に全国消防長会が調査をやっていますね。それを見ますと、九百二十七消防本部の実態が出されておりますが、これはあなたもごらんになったでしょう。五十九年十月一日、調査やっています。「59年消防現勢調 全国消防長会」、これを見ますと、九百二十七本部の中で、二交代制が八百七十六、三交代制が三十四、一部三交代制が十七、こういう分布になっています。この中で、勤務時間の実態が出ておりますが、毎日勤務、いわゆる日勤の皆さんの中では三十二消防本部が四十時間未満になっておる。これはどういうところなのか。それから、四十から四十四時間三十分というのが八百八十八になっている。  交代勤務になりますとがらっと変わりまして、四十時間未満が十四、四十から四十四時間が二百三十、四十四時間から四十八時間が三百八十一、労働基準法に違反する四十八時間以上が二百六十八消防本部になっている。そのうち、五十五時間から六十時間を現在やっておるのが五の消防本部がやっておる。これはどこですか。  それから、三交代の場合には、ほとんど四十八時間未満にいっています。  それからもう一つ、四週五休制を見ると、これは未実施がある。実施してないのが二百八十消防本部、こういうふうに出ています。いかがですか。
  97. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 御指摘の「59年消防現勢調」というのが全国消防長会の方から印刷物として公表されているということにつきましては御指摘のとおりでございますし、また、その中の勤務時間等の数値につきましても、先生お話のありましたような数字が出ておるようでございます。ただ、この内容等につきましては、私ども責任を持ってと申しますか、内容についてはこれがこういうことであるということは承知をしていないところでございます。  ただ問題は、労働基準法との兼ね合いで問題があると思われます週四十八時間以上の勤務時間制度をとっているところが相当数あるという数字についてでございますが、私の方は別途、組合消防を含めまして内々の調査をいたしておりまして、その結果によりますと、条例等の改正が適時適切に行われていないために四十八時間以上の基準をいまだ条例上持っているところが一本部あるようでございます。しかし、実態につきましては、規則で四十八時間以内にいたしておりますし、実際の職務の割り振りを見ますと、実行上四十八時間をオーバーしているところというのはないようでございますので、今先生がお話しになりました四十八時間以上の正規の労働時間をとっているところが相当数あるということについては、私どもはそういうことにはなっていないというふうに考えておるところでございます。
  98. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 この本の資料の十四ページの中を見ていただけばわかるんですが、十四ページと十五ページ、こういうふうに原簿はなっておるんです、ところが、これに上に張っておるわけです。今実態を私が言ったところに、あなたが答弁したその答弁のやつをここは張っておるわけです。十五ページもちゃんと実態出ておるんです、こういうふうに。(資料を示す)ところが、その上にまたこれを張っておるわけだ。張っておるけれども、はげば元が出るわけだ。僕は、はいだから元がちゃんと出ているわけです。しかし、なかなか苦慮したと思うんですよ。これを張りかえたものを見ると、四十八時間以上書くわけにいかぬものだから、実際今あなたがおっしゃったように、五十五時間から六十時間が、東北が一消防本部、東近畿が一消防本部、中国が一消防本部、九州が二。五消防本部がそうだと出ておる。それから、四十八時間から四十九時間を超えておるのが、北海道が十二、関東が九十二、東海が十七、東近畿が四十四、それから近畿が三、中国は三十七、四国は二十三、九州が三十六、合計二百六十四、こうなっておる。それを今度新しい張っておるものを見ると全部、四十一時間から四十二時間、四十二時間から四十三時間と、こうランクをつくっておるのが、たった一つ一番最後に四十八時間と書いて、そして同じ数字が出ておる。二百六十四がこう出ておる。だから、これはもう明らかに隠しようがないからこう出したと思うんです。出したけれども、ちゃんとしっぽは出しているわけです。だから、こういう実態はあなたが何ぼ否定しても、これは全国消防長会ですから、私は事実として認定せざるを得ない。時間ございませんけれども、この問題についてそんなあなたのような見解じゃ認めるわけにいかない。これは直ちに勤務の実態を調査して、そして当委員会にこれをひとつ報告してもらいたい。いかがですか。
  99. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 確かにこの資料につきまして多少私どもが問題があるのじゃないかと思われるようなデータが入っておることは間違いございません。消防長会で張っておりますので、その辺の状況も消防長会にただしてみたいと思いますし、私どもといたしましては今まで外に公表できるような形での組合消防を含む勤務時間等の調査がなされていないというわけでございますが、御指摘もございますし、消防職員の勤務条件の改善を図っていくというのは、これまた私どもの責任でもあるわけでございますから、この際、消防職員の勤務条件の実態、特に勤務時間等につきましてできるだけ的確な現況の調査ができますように検討をしていきたいというふうに思っております。
  100. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 労働省、こういう明らかに労働基準法違反が横行しておる。それをやはり正していくのが労働省じゃないですか、基準局じゃないんですか。ところが労働省は、基準法が五十六年に改正になりまして、こういう特殊業務についているところでも本則に基づいて四十八時間以内、そうしてそれが消防については五十八年の四月一日からは、これはもう完全に二年間の猶余期間を終えて施行になっておる。そういう中にもかかわらずこういう事例が生まれてきておる、この点についてあなたのところからすると、必ず地方公務員法で監督業務は、例えば公務員の場合には人事委員会、人事委員会がおらないところについては任命権者というところに委任されておるからどうしようもありませんというのがあなた方の今までの例、しかし任命権者がこれをやっているわけだ。監督業務の委任を受けた監督署長にあるべき任命権者がこういう違反行為をやっている。これに対して、だから仕方がありませんでは私は済まされない。この点、一体どういう見解を持っているのか、それが一つ。    〔委員長退席、理事岩上二郎君着席〕  もう一つの問題は、警察の場合にはそのことを予測しながら事前に四十一年から四十四年にかけて三交代制に、一万七千人の増員を含めて、切りかえてやっておるけれども、消防はさっき申し上げたようにやられていない現実。ところが、いわゆるこの規則二十六条から九条が削除された意味が消防職員の場合はは完全に適用されていない。二交代制変わってないという前提の中で、そうして基準法違反が横行している、こういう状況にもあるわけです。これは私はやはり労働省の怠慢の一つではないかと思う。法が確かに委任しておるということは何かといえば、少なくとも地方自治体の長は法律施行するところだから、まさか法律違反をするはずがないという前提があるからこういう法の措置がとられておると思うんです。しかし、あくまで労働基準法を全国の労働者に適用して、それを適正にしていくのは労働省なんだから、同じ役所といえどもそういうことがあれば、僕は当然きちっと指導すべきじゃないかと思う。いかがですか。
  101. 菊地好司

    説明員(菊地好司君) 労働省といたしましては、労働基準法全体を所管している立場から、御指摘の点、労働者の労働条件にかかわる問題でございますので、御指摘の趣旨を踏まえまして、消防庁当局と十分話し合って、適正な時間管理が図られますよう努めてまいりたいと思っております。
  102. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 消防庁は労働省の協議があったらどうしますか。それでも二交代制を堅持して、そして基準法違反を引き続きやっていく、そういうことですか。
  103. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 勤務時間につきまして労働基準法違反があるというふうには私ども考えていません。しかし、御指摘もありますので、そういうお話があるのであれば調査もいたしましょうということを先ほどから申し上げているところでございます。仮に労働省の方から何か違反事項があるということでお話がありますれば、消防庁といたしましても、法律を守るということは当然のことでございますので、違反の事項のないようにしていきたいというふうに考えておるところでございます。
  104. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 だとすれば、消防の勤務体制は三交代制に、一部日勤を含んで切りかえていかざるを得ないと私は思うんです。なぜかといえば、規則三十三条によって、消防職員についてはいわゆる一般の労働者に与えられている休憩の一斉使用、自由利用ができないという仕組みになっている。その中で拘束時間を延ばしたり縮めたりするような、そういう発想のことでは、私はいつまでたっても解消しない、三交代制に踏み切る指導を強める、そのことによって労働基準法違反をなくしていく、こういうふうに受けとめていいですか。
  105. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 私どもは、現在多くの消防本部で実施をいたしております二交代制でも、労働基準法で定めております勤務時間の規制の範囲内でやれる方法がちゃんとあるというふうに考えているわけでございます。二交代制をとると直ちに労働基準法違反になるというものではないというふうに考えているわけでございますので、労働基準法をもし仮に守っていないところがあればそれは正していきたいと思いますということは、直ちに二交代制をどんどんやめていく、二交代制について一切容認しないということまで申し上げているわけではないわけでございます。二交代制というのは実際問題として、田舎の小さな消防本部等では実際の勤務の組み立て方として必要なところが多いわけでございますので、二交代制をとらざるを得ない。しかし、そういう中におきましても労働基準法の要件を十分満たすような形で勤務時間の割り振りを組んでいくように指導をしていきたいと思っております。
  106. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 これは労働省にも言っておきますが、協議をするに当たって、二交代制、しかも規則三十三条で休憩時間の自由と一斉利用を阻まれておる労働者の場合のいわゆる四十八時間以内の勤務ということになりますと、どうしても三交代制以外にないと私は思うんです。そこら辺は今長官と若干違いますが、そこら辺も含めて私は指導なり協議でやってほしいと思うんです。これは普通の労働者と違うわけですから、そこら辺はひとつ見解があればいただきたいんですが、見解がなければ、私はそういう方向での指導をぜひお願いしておきたいと思いますが、よろしいですね。
  107. 菊地好司

    説明員(菊地好司君) 御指摘の規則三十三条は、職務の特殊性、公共性から統一的な休憩時間に関する基準の適用を外しているわけでございまして、消防職員についてもその公共性、特殊性があるということで現行法ができているというふうに承知しております。いずれにしろ、先生から指摘ありましたように、監督権限を直接持っておりませんので、消防庁当局と十分事情を話し合って、改める点があるとすればお願いしてまいりたい、かように考えております。
  108. 佐藤三吾

    佐藤三吾君 時間がありませんからもう一つ聞いておきます。給与です。  消防庁の説明によると、いうなら公安職給料表が適当である、こういうことを言って、それができない場合は、行政職にはいわゆるそれに見合うだけのプラスアルファをつけた方がいい、具体的に一口で言えばそういう指導をやっていますね。ところが、公安職給料表は百九十六で行政職給料表は七百二十六の実態にある。私はそんな指導は、消防職員の現状から見れば無理な指導だと思うんです。なぜかと言えば、市町村から全部出向しておる部類もおるわけですから、したがって、やはり行政職給料表にならざるを得ないと私は思うんですよ。この点はあくまで公安職給料表を完全適用に持っていく決意なのか、その実態はともかくとして、そういう指導なのか、そこら辺が一つ。  それとも、行政職に持っていくとすれば、具体的な優遇策は一体どういうことなのか。例えばこれはあなたの主張によると、危険が多い職場であるとか、いろいろ特殊な勤務態様を求められる職場であるからという理由づけをしていますが、そうなるとすれば、やっぱり危険補償なりそういうものを例えば恩給の二〇%とか三〇%とか、こういう補償をすれば足りることなんです。そこら辺を考えておるのか、どっちなのか、その点をひとつまず聞いておきたいのが第二番目の問題です。それから三つ目に、あなたは、こういう勤務態様でいいのだという、拘束時間の中でいいのだという現実を給与問題に置きかえておるようにこの説明書は書いていますけれども、これは私は大変な間違いだと思う。例えば消防職員といえども、本庁勤務の者とかもしくは一般日勤の者もこれは消防の給料表適用を受けておるわけでしょう。それだけを区別するわけじゃないでしょう。その者と交代勤務の者とが一緒に使っておる給料表でもって、交代勤務の特殊性を補償をする給与制度という論理は、これは通りません。ですから、そういう意味で、そういう無理な解釈をせずに素直に、消防職員は警察との関連があるというなら、警察職員そのものがもう三交代に完全に移行しておるわけだから、やはり消防もそういう勤務形態にして、そうして給与については今言ったように調整給をつけるとか、そういう所要措置をとるとか、できない相談の方向じゃなくてできる方向での改善措置をとる、こういう姿勢で私は臨むべきだと思いますから、その点をひとつお答えを聞いて質問を終わりたいと思います。
  109. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 私どもは、消防職員の給与のあり方ないしは給料表のつくり方につきましては、一応統一的な地方公務員全体の給料表のつくり方等についての公務員部の指導をもとにして具体的な消防職員の指導をしているわけでございます。  当然、地方公務員の給与というのは職務の責任と実質的な困難性なり職務の実態というものに即したものでなければならないという原則があるわけでございますので、そういうことから考えますと、消防職員の、特に現場での消防職員の職務の実態というのは警察と非常によく似ているのではないか、ほかの事務職員に比べまして現場の警察官とよく似ているのではないか、たまたま警察官には公安職の俸給表というのがあるわけでございますから、そういう者については公安職の俸給表をお使いになるのが一番いいのではなかろうか、こういう考え方を基本に持っております。  ただ、しかし問題は、職員数が非常に少ないようなところで、わざわざ公安職の給料表をわずか十人か二十人ないしは三十人程度の消防職員につくるということは、人事交流その他の面から考えましても必ずしも適切ではないという考え方もございますので、そういったところの消防本部におきましては行政職の俸給表を使って、ただ行政職の一般の職員と勤務形態なり勤務時間なり、あるいは危険の内容その他が違うところがあるわけでございますから、その分の調整をいたしますために、必要に応じて特殊勤務手当を支給するなり、あるいは号俸の格付を多少変えていくなり、そういうことで実態に応じた調整をすべきではなかろうか、こういう指導をしているわけでございまして、何が何でもすべて公安職等俸給表をとっていく、それに全部の消防職員を当てはめていくという考え方は持っていないところでございます。  いずれにいたしましても、実態に応じて適切な給与のあり方というものにつきましてこれからも指導をしていきたいと考えております。
  110. 岩上二郎

    ○理事(岩上二郎君) 午後一時十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時十五分休憩      ─────・─────    午後一時十二分開会    〔理事岩上二郎君委員長席に着く〕
  111. 岩上二郎

    ○理事(岩上二郎君) 地方行政委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  112. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 質問に入ります前に、与党の議員である私にこのたび百分という異例な長時間を割り当てていただきましたことに対しまして、委員長並びに理事の皆さんに深甚なる謝意を表するものであります。  まず、この道路交通法の一部改正の件につきまして、もう既に衆議院では審議が終わっているわけでございますが、議事録を拝見いたしますと、古屋自治大臣は交通安全に対しまして並み並みならぬ思い入れといいますか、意気込みといいますか、所信をお持ちのようでございまして、いま一遍参議院のこの委員会の席でひとつ御開陳願いたいと思うのでございます。
  113. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) 率直に申しまして、私は、交通の問題、特に交通安全という問題は国民の暮らしの上で、どうしても生活の安全確保の上では欠くべからざるものだという認識を前提としておるのであります。  と申しますのは、私も大変恥ずかしいことでございますが、警察におりまして交通というものは直接担当したことはございませんが、二十九年の終わりに私の母が交通事故で亡くなりました。無免許スクーターにぶつけられまして一時間で亡くなりました。私警視庁におりまして、飛んで田舎へ帰りましたが、そのときに私の周囲の兄弟その他の女子の方の泣き叫ぶ状況を見まして、私は何とかして交通に対する政府の関与と申しますか、もっと大蔵省に金を出してもらうということが一番必要だと自分で認識したような次第でございます。  その後三十四年、五年の安保時代にアメリカへ行くことを命じられまして行きましたときも、ロサンゼルスの警察におきましてはいろいろ企画が非常に多いところでございますが、今日本の警察でやっております、昨日の死者、負傷者というのを各警察署のロスの管内だけそういうふうに出しておりました。これは日本でも考えなきゃならないのではないかというような認識を持ちましたのと、学校のそばで国道その他が走っておりますときはどうしてもいろいろの歩道橋なり信号なり、あるいはそういう施設が必要でございますが、それがその当時は大蔵省が三分の一の補助でございました。とてもそれでは達成できないということで国会に出していただきました際に、真っ先に私は安全教育といいますか、学校から五百メートル以内のそういう道路、学校のそばの五百メートル以内の国道その他につきましては必ずそういう施設をし、二分の一の国庫補助をしなきゃならぬという案を議員立法で出していただきまして、二年間という限定された期間でありましたが、そういうような施設をすることができたのでございます。  その後交通事故は一時減りましたが、現在もこの数年来九千名以上のものでございますし、考え方によっては、自動車は普通の市民の敵とおっしゃる方もありますが、こういう現代の時代におきましてモータリゼーションが進んでおる場合には、どうしてもそういうことは言えないのでありますから、何とかして交通の事故を減らすための施設というものを一生懸命にやらなければならぬという私は考え方でありまして、今も私はその母の亡くなったときの周囲の方々の泣き叫ぶ声を覚えておりますが、そういうことを頭に置きまして、私はこういうような泣き叫ぶ不幸な方が一人でも少なくなるように努力すべきではなかろうかということで、率直に申しまして交通問題の重要性ということをみずから認識したような次第でございます。  まことに自分のことで恐縮でございますが、私は警視庁で刑事部長とかあるいは保安部長とかやりましたが、交通関係はその当時はそれほど重要性があると思っておりませんでしたが、母の死亡によりまして私の認識が全く変わりました。私の恥を申して恐縮でございますが、交通に対する私の、何としても交通事故を少なくさせなければならない、またそういう意味で、先ほども御質問にタンクローリーの話がありましたが、あれも構造上の問題、それからまた一般の自動車でもスピードが出ないようにある程度までチェックすることができないだろうか、そういうことも私今いろいろ検討しておりますが、高速道路と普通の道路とはスピードが違うからといわれておりますが、高速道路でも百二十以上は出しておりませんので、私はとにかく乗り物については違反スピードは出ないような、そういう構造的な要因というものも考えたらどうかというような気も私はしておるのであります。  タンクローリーの問題なんかを見ましても、これは今原因その他を検討しておりますが、やはり時間的な通行制限とか、あるいはそういう構造を何とかして改めていくとか、そういうことを根本的にやらなければ、ただ繰り返さない、繰り返さないといっても必ずそういう事故が再発しておりますので、今消防庁、警察庁でその原因の探求に当たっておりますし、そういう資料を得まして、今のような構造上の制限の問題、街路の通行の制限の問題その他庶民の交通安全という見地からいろいろ検討したいと思っております。  まことに私率直に申しまして失礼でございますが、そういう感じでおります。
  114. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 今ほどは御母堂を交通事故で亡くされるという体験をばねに交通事故の絶滅、交通安全についての大変その後の御活躍ぶりについての一端を承ったわけでございますが、大臣がみずから申されたのにしり馬に乗って私言うわけじゃないんですが、私も過去、県会の二十年間、傍ら地域の交通安全の協会の支部長として、またダンプや生コン車を使う経営者の一人といたしまして交通安全のことについては実践してまいった者でございますが、そんなことはともかくとしまして、共通の目的に向かっていかにすれば達成できるかという思いは募るものでございます。  さて、本論に入りますが、配付されましたこの道路交通法改正資料によりますと、交通事故の死者の推移、昭和五十年から五十九年までのグラフがありますが、これを見ますと、五十年から五十一年、五十二年、五十三年、五十四年と急激に減りまして、五十年には一万七百九十二人あったのが五十四年には八千四百六十六人に下がっておるわけでございますが、その後反騰しておる、五十五年、五十六年、五十七年、五十八年、五十九年とふえておるという理由が那辺にあるのか。この後の「交通関係指標の推移」というところを見ますと、過去十年の間に運転免許者がまず五千万の大台にも伸びた、五一%もふえた。それから、自動車も六千四百万台と、六六・二%もふえているという統計も付されておりまするけれども、警察当局は、これは免許者もふえ、自動車もふえたのだからやむを得ないというふうには見ていないと思うのでございますが。ふえた理由と、どうすれば減すことができるかというまず所見を承りたいのでございます。
  115. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 御質疑の交通事故死亡者の増加、そういったものの原因、対策というふうな点でございますけれども、私も長い間の警察経験におきまして、戦後、昭和二十年代、三十年代、四十年代、五十年代と振り返ってみますと、まことに車社会あるいは交通戦争というふうな言葉が使われたりいたしまして、交通警察の比重が年々大変重くなっておりまして、一線の署長等の仕事の内容を見ましても、交通事故をとにかく減らそうという日々の努力、これが年々やはり負担がふえておるということを痛切に感ずる次第であります。  仰せのとおり、交通事故死者が昭和五十四年、これが八千四百六十六人であったわけでございますが、これが底でございます。最も事故死者の多かったのは昭和四十五年でございまして、このときは一万六千七百六十五人、こういうことでございまして、五十四年にはほぼ半減を目前にするような状況であったわけでございますが、残念ながらその後、反転現象を起こしてきておるというのは御指摘のとおりでございます。  その原因は何であるかということでございますが、これはまさに交通事故を減らすというのは国民行政といいますか、やはり警察だけ幾ら一生懸命やってもこれは減らされないわけでございまして、国民的な広がりの中でやらなくちゃならぬというふうな要素があるわけでございますが、いろいろの点からのアプローチは可能と思いますけれども、総論的に言えば、従来いろいろやってきた対策、すなわち交通安全施設の問題、それから交通指導取り締まりの問題、あるいはまた交通安全教育の問題、この施設と取り締まりと教育、これが大きな三つの柱になろうと思いますけれども、こういういろいろの対策が急激な車社会の進展に追いつけなくなっているということが総論的なこととして言えるのじゃなかろうかと、こう思います。  一方、各論的に言えば、最近の死亡事故の傾向を見ますると、二輪車に係る事故、これが非常にふえておるというのが特徴でございます。例えば昭和五十四年当時の二輪車乗車中の死者が一千五百三十八人であったわけでございますが、これが五十九年度中が二千三百二十二人になっておる。実に五一%、七百八十四人の増加、こういうふうな状況でございます。昭和五十四年と昨年の交通死亡者の差、これが七百九十六人になっておりますけれども、この数字はまさにこの二輪事故が交通事故死亡者を押し上げている、こう言ってもよかろうかと思うわけでございます。  こういったような現状でございますので、今回のお願いしておりまする法改正におきましても、この原付の右折方法の変更であるとかあるいは初心者の自動二輪車の二人乗りの禁止、こういった諸対策を盛り込んでいるわけでございます。その他、二輪車専用レーンの設定であるとかあるいは二段停止線の設置であるとか、あるいはまた原付安全技能講習、あるいはまた自動二輪免許収得時の講習というふうなことで、二輪車対策につきましてはいろいろの手だてを尽くして努力しておるというふうな状況でございます。  今後とも交通社会の進展はどんどん続いていくわけでございますので、警察庁といたしましてもそれに対応した施策を講じまして、よりよい交通社会を築くように努力してまいりたいと、こう思うわけでございます。
  116. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 大蔵省の方いらっしゃいますね。  今お聞きのとおりで、警察庁長官から、交通安全をするためには安全施設と取り締まりと安全教育が必要だと、こういうふうに総論を述べられた上に、各論の一部として、二輪車の急増があるということがお話があったわけでございますが、私はこの質問をするためにちょっと担当官にお聞きしますと、どうも安全施設というか、信号機、それから標識、管制センター等いろいろあるわけでございますが、そういうものとかあるいは道路そのものの伸びが非常に鈍い。自動車が六六%もふえているのに、この期間十年間では道路はわずか一〇%しか伸びてない。また、警察官の取り締まりはもうマキシマムに来ている、一千四百万件一年間に処理をしている、二十万人の警察官ではもう限界に来ているという嘆きといいますか、それにも近いような訴えもあったわけでございます。  それに対して、それじゃ大いにその必要性と予算化を要望すればいいじゃないですか、こうやりますと、これが大蔵省のゼロシーリング、マイナスシーリング、こういうことで頭打ちされている。大蔵省の皆さん方は、すべてに聖域がないと、こう言われるけれども、これは、人の命は地球よりも重たいという言葉をどのようにかみしめておられるのか、こういう交通安全に対して、また警察の要求に対していささか無慈悲な対応をしているのじゃないか。もう少し交通事故をなくするのに、直接ではないかもしれないけれども、お金の面で大いに使ってくださいというような気持ちにおなりになれないかどうか。ひとつその辺お聞かせ願いたいと思います。
  117. 吉本修二

    説明員(吉本修二君) 私どもも、交通事故をできるだけ減らして平和な安全な交通ができるような、そういうことが重要であるということは十分認識しておる次第でございます。先ほど大臣警察庁長官からもお話がございましたように、政府の中では限られた財源の中で効率的な行政を目指しながら、できるだけの配慮を行いながら総合的にやってきておるというのが現状でございます。特に交通安全関係では、例えば道路の歩道の設置であるとか信号機の問題も含めまして、どうしても必要なぎりぎりのところはできるだけの配慮はしなければならないということで、建設省、警察庁一体となっていろいろの施策を講じられてきておる。そういう中で、私どもとしても必要にして十分であると言えるかどうかという御指摘はあろうかと思いますが、限られた財源の中でできるだけの、少なくともこれだけあれば何とかなるというところの線で配慮していろいろやってまいったということでございます。全体の財政状況については既に御承知のとおりでございますので、そういう中で限られた財源を効率的に特に重要なところへ配分しながらやっていただくということで、今後とも御協力をお願いしたいと思います。
  118. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 模範答弁とでもいいますか、大変抽象論に過ぎているわけでございますが、今そのことについてやりとりする場席でもございませんので、今後ともひとつ大いに交通安全は世界の願いであるということも認識されて、ただ財政は切り込めばいいというような考え方ではなくて、ひとつやってもらいたいことを要望して先に進みます。  次のシートベルトを聞く前に警察の方にも一言言いたいのは、どうも交通の部門が非常に伸びている。交通部、どこの県でも交通部というふうに独立させていますが、昔は警ら交通課という名前で、パトロールと交通とは一緒にやっていたのですが、最近はこれを分けたために、パトロール、警らの方は違反や問題のあるような乗り方を見ても余り注意をなさらぬ。それは交通の方がやるのだからというような形で、いわゆる専門分化がいささか過ぎているのではないか。違法な行為や駐車違反その他見たら、そういうパトロールの警察官でも、何をするというようなふうにもっと積極的にかかわり合いを持つ、目を向けるというようにすべきじゃないかなというふうに思いますが、それは質問の主体でございませんから、次の答弁のときにまとめて答弁くださって結構です。  次に、シートベルトの装着の問題でございます。  先ほどもお話が出てましたように、高速道路においては義務づけをする、それから一般道路についてはしばらくの間努力規定にとどめておく、また罰則はなくて減点方式であるというお話も承ったわけでございます。また、助手席の義務化でございますが、先ほども体の大きい人、小さい人というような話も出ましたけれども、子供のような場合はどうなるのか、そういう場合の規定がないようでございますし、それから中にはやむを得ないでやっているのでしょうけれども、赤ちゃんをおぶっているような奥さんもたまに見かけることがあるのですけれども、こういうような場合はどういうふうに考えたらいいのか。煩雑に乗りおりが必要な場合、ごみの収集車というようなお話も承りましたけれども、非常に先ほどの議論でも、区分というか見方といいますか、そういうものが難しくなっておりますけれども、一線の警察官にはどういうふうな指導をなさっていくのか聞かしていただきたいと思います。  それとあわせて、この資料をもらったときに、三菱総合研究所に、シートベルトを着用することによってどれだけ死亡事故がなくなるのかということをお聞きしましたところが、大体この死亡事故の資料のグラフにもありますように、シートベルトを装着していれば効果があったと推定される人間は、してないために死んだ三千二百五十八人のうち二千五十八人が死なぬで済んだだろう、その比率は六二%だ、こういうお話が資料にあります。それで話の中に、向こう五年とか十年後にはこれまた何千人とか死なないで済むだろう、その資料の調査は三菱総研によってなされているというふうなお話を聞いていますけれども、私は、この問題について全く真剣に考え、対策を練っておる警察庁がみずからの責任と予想においてやれないことではないと想うんです。何もシートベルトの装着の効果についてょそにお願いしなければ権威づけられないというようなことでは、自信を持った私は行政ではないと思うんですが、ひとつ警察のこれに対しての考え方を承りたいと思うんです。
  119. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) まず、警ら係も含めての交通取り締まりに対する姿勢の問題でございますが、先ほど先生からもお話ちょっとございましたけれども、道路交通法の違反というのは昨年約千三百八十万件余り検挙いたしております。この数字は、昭和四十五年の数字を一〇〇といたしますと約二五七ということでございますが、この間、この十年間に警察官の増員というのは御案内のように約二三%ばかりふえてはおりますけれども、交通の今の取り締まり件数というようなものの二五七というふうな指数から見ますと非常に低い増員にとどまっているということでございます。したがいまして、交通の取り締まりにつきまして単に交通係だけでなくて、警ら係がかつて警ら交通課と言っていました時代と同じように全面的にこれに当たってもらっているという実情が第一線においてはあるわけでございます。  それで、特に警ら係が現認した明白な違反というものにつきましては今後ともその場で厳重に注意する、また悪質な事案についてはやはり反則金なり何なり、違反事件としての処理をするということで、今後とも警ら係と力を合わせてこの問題に対応してまいりたいというふうにまず考えております。  それから、法案の方の座席ベルトの着用の問題でございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、いわゆる着用の義務といいますのは、この法律規定によりまして一般道路、高速道路を区別せずに、すべて運転者及び助手席に座る人についてはかかるということでございます。ただ、これを担保するための手段といたしまして諸外国ではほとんど罰金という制度を採用いたしておりますけれども、我が国の国情からいたしましてこれは不適当であろう、そこで行政処分の点数一点を付与するということにいたしたいというふうに考えておりますが、この行政処分の点数一点を付与するのはまず高速道路における非着用の運転者から始めるということで、先ほどもちょっと御議論ございましたけれども、一般道路の方につきましてはその着用率がおおむね五〇%を超える段階に至って初めて行政処分の点数を付与するという方向に進めたいということで考えておるところでございます。  それで、子供の場合には、確かに現在の備えつけられております座席ベルトをいたしました場合にはかえって弊害が起きるような場合もあるわけでございます。このお手元にお配りをさせていただきました政令案の骨子の一ページ目の一番下のところにございますように、今御指摘がありました5の(1)のイの身体が著しく小さいためというようなのは、これは子供のことではございませんで、成人のことでございますけれども、子供の場合は当然のこととして、座席ベルトをやったのではかえって緊急時に首に巻きつくようなことも起きないではない、非常に危険であるということでこの対象の外になるわけでございます。  子供につきましては、子供用のいわゆる装置というものが開発をされているわけでございまして、一部幼児用の幼児拘束装置という非常にいかめしい名前でございますが、昭和五十八年にJISでその規格が定められております。ただ、この問題につきましては、まだそれほど普及もしていない、それから保安基準に定められていない、いろいろな理由がございますので、今回、この幼児用のそういう座席ベルトあるいはそれにかわるべきものの着用の問題については、この法案には織り込んでないという状況でございます。  それから、適用除外の問題等についてどうしても政令案というような形になりますと、ある程度抽象的な面が出るのはやむを得ない面もあるわけでございますが、私どもといたしましてはこの委員会での御議論その他を踏まえまして、さらに細かい実施通達といいますか、そういうものを定めまして第一線の方に徹底をさせる。それで、法案が成立いたしました場合には早速にも全国の交通部長とか交通指導課長というような責任者を集めまして、まず基本的なそういう細かい点についての指導をいたしまして、それを第一線の方に持ち帰って、さらに個々の第一線の警察官の末端に至るまで徹底をさせるということでやってまいりたいということで考えております。  それから、将来におきます座席ベルトの効用といいますか、そういう問題でございますが、お話がございました三菱総研の方で予測をしておられますものは、これは総務庁の方で調査をされた結果でございまして、私どもも、自画自賛といってはあれでございますが、自分のところで数字から一つの推計というものはもちろん可能なわけでございますけれども、それよりも総務庁の方でなさった調査結果というものをこういう公式の場等では使わせていただいているというような状況でございます。この内容等につきましては総務庁の方からお答えをさせていただきたいと思います。
  120. 戸田正之

    説明員(戸田正之君) ただいま先生の方から、三菱総合研究所に委託しまして調査をやるというのはちょっと問題ではないかという御指摘ございましたけれども、ただいま警察庁の方から御答弁ございましたように、これは私どもが五年に一回交通安全の基本的な方向を決めます基本計画というものをつくる、関係省庁と御相談してつくるわけでございますが、その基礎資料、さらにはただいまいろいろシートベルト関係の御審議をお願いしておるわけでございますが、そのときのいろいろな御判断をいただく等、いろいろな効用と申しますか、そういうものがあるわけでございまして、ただその際には、今御答弁ございましたように、やはりいろいろな対外的に非常に説得力のあるものでなければいけない、こういうことなわけでございます。かつ、それがすぐれて専門的な色彩がある分野でございますので、したがいまして私ども、専門の機関にお願いしまして、そこで学識経験者初め、具体的には東大の教授でございますが、各先生方から成る委員会を設けまして、そこには私ども、さらには警察庁初め関係省庁入っておりますが、そこでもって調査研究をやったものでございまして、その結果等につきましては極めて妥当なものと申しますか、いろいろな御審議等にたえ得るもの、こういうふうに考えております。
  121. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 今私は三菱総研にそういう効果がどの程度出るものかということを調べてもらうことがいかぬなんて言っているのじゃないのでして、警察にもちゃんとこのように五十九年の統計によれば三千二百五十八人の人が非装着者で亡くなっている。しかし、これがもしシートベルトを装着していればおおむねその六〇%の二千人の方が助かったのではないかということで、車外へ放出されたとか、あるいはハンドルにぶつかったとか、あるいはウインドーガラスに頭をぶつけたとか計器周りにぶつけた、天井に突き当たったというようなふうにちゃんと調べているんですが、しからば三菱総研はどのようなシートベルトの効果があったというふうに見ているのか。何か五年後とか十年後には当然五、六千人ぐらい死ぬ場合に二千人助かるそうだとか三千人助かるとかというふうなシミュレーションで示しているようですが、そういう数字があったら聞かしてください。
  122. 戸田正之

    説明員(戸田正之君) お答え申し上げます。  先生御指摘のシートベルトの効果の関係でございますが、いろいろな前提を設けてやっておるのでございますけれども、その調査研究によりますと、着用率が仮に五〇%に向上した場合でございますけれども、その際は死者が約一千名程度減少するであろう。それで、ほとんどの方が装着しまして仮に九〇%まで着用率が向上したといたしますと約二千名減少する、こういう予測がなされております。
  123. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 えらい識者の割合にはラフな数字でございますな。まあ起こさない方がいいのですから、結構でしょう。  ダンプ問題が後に控えていますので、はしょってあとお聞きしたいと思いますが、今回の改正の中にバイクの二段階右折という制度がありますが、これは片道三車線の道路のみというふうになっているわけでございます。そうすると、片道二車線の道路あるいは二車線もとれないような道路の場合は今までどおり交差点に近づくと中心線に寄って右回りということで、同じバイクで回り方が二つの方法になるのですが、そうなった場合に違反はどういうことになるのかということが一つ。道路によって回り方を変えるのだと言えばそれまでですけれども、そこらを聞きたいと思います。  それから、騒音問題なんですが、発進に当たって空吹かしをして他人に迷惑をかけるな、こういうことになっておりますが、これは減点をする、ペナルティーを科するという場合には当然警察官の取り締まりによるものだと思うのでございますが、なかなかこれは警察官とやった人間との間に非常に口論になることが予想されるんです。そういう場合、一体何をもって立証したりペナルティー、減点を科する基準になさるのか。例えば、これは七十一条に挿入することになるんですが、七十一条には、ぬかるみだとか水たまり、こういうのに乗り込んで他人に迷惑かけちゃならぬ、これはそういうふうに泥をかければ跡は残っていますけれども、音は一瞬のうちに消えてしまうというようなことですから、どういうふうになさるのかお聞かせ願いたいと思うんです。
  124. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) ただいま御指摘のように、現在では原付はすべて自動車と同じような右折の方法、すなわち交差点の中心点に寄りまして、それで右折をするという曲がり方を規定しております。これはかつては自転車と同じような曲がり方をするという規定になっておりましたけれども、御案内のとおり、道路交通に関する条約に加盟をするという関係で現在のような規定に変わったわけでございます。ところが、四輪車と二輪車が込み入って、しかも非常に多数走り回っている日本の道路状況ということから申しますと、右折の際の事故、しかも原付は非常に弱い立場にございますので、その事故が非常に多くなってきているということで、条約上の問題をいろいろ検討いたしましたが、今、原案にございますような片側三車線以上のような非常に幅の広い道路におきましては例外的な措置を決めても条約に違反するものではないという解釈に到達いたしましたので、例外的なといいますか、そういう形でこの原案というか、改正案をまとめているわけでございます。  ただ、二車線のような道路におきましても非常に交通の状況が特別な条件があるというところにつきましては、個別的に標識をもって二段階の右折をするというような形の措置もできるように規定をしているわけでございます。  それから、逆に今度は片側三車線以上ございましても、二段階をする場合に滞留をする場所がどうしてもうまくとれないというような特別な交差点なんかもあり得るわけでございまして、そういうところにつきましては逆に標識をもちまして、この交差点では片側三車線以上の道路なんだけれども、ここは通常というか、現行法で決められているような右折をするというような措置もできるようにこの法文の体裁はなっているわけでございます。  そういうことで、確かにいろいろなれるまで若干込み入ってくるということもあろうかと思いますけれども、一応原則は、三車線以上のところは自転車と同じ二段階右折、それから、それ以下のところは現行法と同じ右折の仕方というので、あとは個別に標識に従って対応をしていただくということになるわけでございまして、違反があった場合どうかということでございますが、当面はやはりそういう新しい交通ルールといいますか、そういうものをよく知っていただく、なじんでいただくということで、講習その他の機会もとらえまして、十分原付の免許を持っている方に徹底をしてまいりたいというふうに考えておりますけれども、ある時期たちますと、決められた右折方法によらないで右折をされた場合には違反ということで、一応現在その種の違反について対応していると同じような対応ということになろうかと存じます。  それから、騒音の問題がございまして、今お話が出ておるわけでございますけれども、これは確かに今御指摘のような非常に立証上難しい点があるわけでございます。したがいまして、これにつきましては、いわゆる罰則をつけるということはなじまないのではないかということで罰則の対象にはいたしておりません。それで、いわゆる保安基準というものがございまして、騒音に対するハードの面からの対応策というのができておるわけでございますが、その保安基準に合格しているようなそういう車でございましても、この改正法の七十一条の五の三に書いてございますような、著しく他人に迷惑を及ぼすこととなるような騒音を生じさせるような方法で急発進あるいは急加速あるいは空吹かしということをいたしますと、保安基準に適合しているような車であってもやはり非常に迷惑な騒音を生じさせる、そういうことが可能になるわけでございまして、そういうものをとらえて対応していく。この問題につきましては、いわゆる暴走族あるいはこれに準ずるようなものの乱暴な運転というものを主として念頭に置いてこの種の騒音に対する規制を行いたいという考え方でございまして、いわゆる外見上今申し上げたような明白なもの、すなわち急発進、急加速あるいは空吹かしという、そういう外見上明白な形態のものに限って取り締まりを行っていくということになるわけでございます。  その場合でも、立証方法としては保安基準の違反なんかと違いまして、騒音計を持っていって何ホン以上なければいけないとか、そういう形のものと違いますので、いわゆる騒音計なんかではかれる内容の騒音とはいささか違うわけでございます。そこには正常な社会通念といいますか、そういうものに照らして判断をする。具体的には、やはり近くからそういう苦情があったその直後のそういう騒音であるとか、あるいは警察官が現認する場合でもできるだけ客観性が保てるような形で、必要に応じて複数にするとか、いろいろやり方はあろうかと思いますけれども、そういうことで、一応行政処分の点数の対象とするということになるからには、やはり相手の言い分といいますか、そういうものについても十分間いた上で対応していくということになろうと思っております。  今お話しのように、無用のトラブルが起こることのないように、十分第一線の方に指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
  125. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 私は、交通安全の立場から、いわゆるダンプ規制法の問題について若干質問もしたいものですから、当面の問題についてはこの程度にさしていただきます。  そこで、ダンプ規制法の成立のいきさつというものについて、大分前になるものですから、少しかいつまんで申し上げさしていただきますと、これは昭和四十一年十二月十五日、愛知県猿役町において、朝八時五十分ごろ、登園の保育園児の列へダンプカーが突っ込んで、一瞬のうちに十人が即死、十八人が重軽傷を負うという痛ましい惨事が起きたわけでございまして、このことをいち早く警察庁はとらまえて、その日の十二時には直ちにダンプを取り締まれという異例の緊急通達を出しておるわけでございます。国民の感情も非常に高まりまして、翌四十二年に議員立法によりまして、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法、これがいわゆるダンプ規制法と言われておるものでございますが、成立を見たわけでございます。  この法律趣旨というものは、私から今さら申し上げるまでもございませんが、たまたま逐条解説のこの「提案理由説明の要旨」によりますと、「建設工事は年々増大の一途をたどっており、」「これらの建設工事に必要な土砂等を運搬するダンプカー等の大型自動車の交通量の著しい増大をもたらしております。ところで、これらの土砂等の運搬に関する事業を行う者は、その大部分が零細規模の事業者であるため、自動車の安全運転管理等が十分に行なわれておらず、また、これらの零細事業者の過当競争は、土砂等の取引価格または輸送料金の低落を招き、その結果、これらの事業者の使用する大型自動車によるスピード違反、過労運転、積載制限違反等の交通違反が増加しているのが実情であります。」、こういう実態をとらまえて、「これらの土砂等を運搬する大型自動車による交通事故を防止することは、今日の社会における急務である」と考えるということでこの法律ができたわけでございます。  そこで、四十二年の七月からことしまで十八年間たっているわけでございますが、しからばこの法律で期待をしておる各県ごとのダンプ協会というものがどれだけできたかといいますれば、三十六県にできておりますが、いまだ全国を網羅するまでになっていない。十一県がまだ未結成である。そしてまた、この全国協会というのもようやく昨年できたというようなものでありまして、甚だどうも、ダンプのスピードから見ると、これは牛の歩みのように遅いと言わざるを得ないと思うのであります。  そこで、どうしてこんなにも遅くなっているのかということが第一点。それから、この法律は全条で二十三条になっておりますが、この法の目的はどの程度達成されていると見ているかということが第二点。それから、ダンプカー、大型自動車の中で統計上どのくらい現在位置を占めているといいますか、台数があるか。また、これらの業者は一人一車とかあるいは代車と言われているようになっているんですが、非常に零細業者でありますが、所有の形態は現在どうなっておるかという、この四点についてそれぞれの所管の方から承りたいと思うんであります。
  126. 小堺英雄

    説明員(小堺英雄君) 先生御指摘のように、ダンプカーによる交通事故の防止対策につきましては、昭和四十一年の愛知県猿投町において発生しました園児死亡事故をきっかけといたしまして、昭和四十二年八月に、このような悲惨な事故の再発を防止するために、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別措置法、いわゆるダンプカー規制法が制定されました。翌四十三年二月に施行されております。それ以後、既に十七年が経過しているわけでございます。  この法律の目的を一口で申しますと、土砂等の運搬の用に供する大型自動車の使用について必要な規制を行うとともに、土砂等の運搬に関する事業の協業化等を図ることなどによりまして、土砂等の輸送に関する秩序を確立し、もって道路交通の安全に寄与するということであります。  具体的には、土砂等の運搬の用に供する大型自動車、その大部分がダンプカーであるわけですけれども、それを使用する者に対する措置といたしまして、まず運輸大臣、実際には陸運支局ということになりますけれども、運輸大臣に対する土砂等の運搬の用に供する大型自動車の届け出義務、それからこの届け出を受けた車両に対する運輸大臣による表示番号の指定及びこの指定を受けた表示番号の表示義務、それから当該車両における自重計の取りつけ義務、それから悪質な交通違反によって交通事故を起こし人を死傷させた場合などにおける運輸大臣による当該自動車の使用者に対する六カ月以内の期間を定めた車両使用の制限または禁止処分などの諸規定が定められておりますとともに、土砂等を運搬する事業者の経営の改善、交通安全活動の充実等の観点から事業者の協業化などの促進、交通事故の防止に関する事業を行うことを主たる目的として組織する団体、すなわちダンプカー協会のことですが、それの内閣総理大臣または都道府県知事に対する届け出義務、それからこの届け出をしたダンプカー協会に対する国及び地方公共団体による指導及び育成などについて定めているところであります。また、こういう諸規定によりまして、各種の対策が国及び地方公共団体において実施されることになったところでございます。  それで、その結果どのような効果をもたらしたかということでございますけれども、ダンプカーによる交通事故は著しく減少しておりまして、昭和四十三年には発生件数一万九百二十九件、死者数七百八十六人、負傷者数一万三千五百二十六人にも達していたものが、昭和五十九年には発生件数三千百四十六件、死者数百七十八人、負傷者数三千九百八十四人と、約三分の一以下となっております。また、同じ時期におけるダンプカー一万台当たりの事故発生件数も八百三十件から二百十四件と著しく減少しております。特にダンプカー規制法の主要施策の一つとして、各地においてダンプカー協会の設立を促進し、この協会による自主的な交通安全活動の推進を図ってきたわけでありますけれども、そのダンプカー協会加入車両の交通事故発生率というものは、五十九年において一万台当たり百十九件となっておりまして、協会未加入車両の二百五十四件に比べまして二分の一以下となっております。  ダンプカー規制法の制定及び施行がダンプカーによる交通事故防止に果たした役割はこのように大きなものがあると考えております。しかしながら、ダンプカー一万台当たりの事故発生件数二百十四件というのは、全車種平均の七十六件と比較いたしますと依然としてダンプカーの方が約二・八倍と高い率となっておりますので、今後とも関係省庁と密接な連携体制をとりながら、ダンプカー規制法などに基づいて具体策を推進していく必要があると考えております。  それから、質問がダンプカー協会の結成状況といったことでございますので、それにつきましてあわせてお答えいたしますと、先生御指摘のように、このダンプカー協会の設立状況は、早いところはダンプカー規制法施行時点、つまり昭和四十三年二月でございますけれども、当時既に任意団体として発足していた新潟県ダンプカー協会が最初に公益法人として設立されまして、引き続き同年十月に愛知県ダンプカー協会が設立されたのを皮切りにして、その後全国各地の都道府県においてダンプカー協会が逐次設立されてまいったわけでありまして、現時点では三十六都道府県において設立されている状況でございます。したがって、まだ十一府県においてダンプカー協会は設立されていないという状況でございます。  そこで、ダンプカー協会がカバーしている範囲、これを大型ダンプカーの車両数で見ますと、昭和五十九年三月末における全国三十六協会の加入率の平均は設立都道府県における届け出台数の三六・一%となっております。未設立府県を含めました全国の届け出台数との比率で見ますと三〇・七%ということになっております。  それから、ダンプカー協会にはダンプカー規制法の届け出義務がある大型ダンプカーのほかに小型ダンプカー、ミキサー車等が協会に相当数加入しておりまして、昭和五十九年三月における全国の加入車両台数が七万一千六百五台となっておりまして、そのうち約六四%は大型ダンプカーということになっております。  それで、これも先生御指摘のように、ダンプカー協会の全国的な組織でございますけれども、これは既に昭和五十二年以降任意団体といたしましては全国ダンプカー協会連絡協議会が設立されてまいったわけでございますけれども、これが母体となりまして、昨年六月二十六日付で社団法人全国ダンプカー協会が設立され、ダンプカー協会の全国的な活動というものが軌道に乗る体制ができてきたわけであります。  そこで、ダンプカー協会がまだ十一府県にできていない理由と申しますか、何でそう全国に行き渡らないのかというのも御質問の中にありましたので、それについてもちょっと触れさしていただきますと、ダンプカー協会の性格でございますけれども、ダンプカー規制法第十二条に規定されておりますとおり、ダンプカーによる交通事故の防止を図ることを主目的として、しかもそれを自主的な交通安全活動を行うということで果たそうという団体でございます。企業の経済的な団体ではなくて交通安全団体というところが特徴でございますので、直接的な経済的なメリットに乏しいという面がございますので、そのためダンプカー協会の設立の意義が理解されにくい。そのために設立に向けて働くリーダーシップが備わらないと協会設立が実現しないという側面があるのではないかと思っております。  しかしながら、十四万七千台にも及ぶダンプカーによる交通事故防止対策は国や地方公共団体の努力だけでは十分な成果を上げることは困難でございますので、ダンプカー協会による自主的な交通安全活動の充実がそれに必要不可欠であると考えております。そのため、今後ともダンプカー協会の設立促進及び加入率の向上対策は一層推進すべきものと考えておりますので、当庁といたしましては今後とも任意設立の十一府県については関係部局、全国ダンプカー協会、砂利採石等の関係業界団体に対しダンプカー協会の設立の指導や働きかけを行うことによりその設立の促進を図っていきたいと考えておりますし、また既に設立されている三十六都道府県につきましても同様の手法で協会加入率の向上を図ってまいりたいと考えております。  それから、車両台数などについての御質問がございましたけれども、その点につきましては運輸省の方にお願いしたいと存じます。
  127. 植村武雄

    説明員(植村武雄君) お答えいたします。  私どもの方に届け出が出ておりますダンプカーの台数でございますけれども、営業用、自家用合わせまして、合計で十四万七千二百八十六両でございます。  それから、その所有の形態と申しましょうか、規模でちょっと申し上げますと、使用者数としましては八万二千十八者でございます。八万二千十八者のうち五万八千九百二十七者は所有台数が一台、つまり一人一車の形の使用者でございます。概略そういうところでございます。
  128. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 今、総務庁の方から取りまとめて長々説明いただきましたけれども、私はこれ限られた時間ですから、各条項にわたって満足すべき段階かどうかということを聞くには時間がございませんから、かいつまんでピックアップして申し上げますと、第六条に自重計の取りつけということが義務づけられております。ところがこれは、正確度はプラスに一五%、マイナスに二五%ぶれてもいいと、つまりプラマイ足すと四〇%はあやふやでもいいのだと、こういうものなんで、これは時計でもしそういうことができたら時計じゃない、おどけいだと、こう言われるのじゃないかと思うんですが、そういうものを義務づけて一個七万円ぐらい、そして毎年の車検のとき、これが正確に動くかどうかということの認定を受けなきゃならぬ、この認定料金が七千円、これ一台にすると大したことないじゃないかというけれども、十五万台に七万円かけると軽く百億の金になるんです。こんなのつけなくてもやっている人間が一番よくわかるんです。十トンダンプカーならボディーは六立米、そして土砂の比重は一・六を前後にして大体〇・一ともぶれない、一・五から一・七ぐらいにみんなおさまるでしょう。そうすれば、いわゆる水平積み運動を確実に守らせればこのむだな金は何にも必要ない。  私がきょう質問するためかどうかわかりませんが、きょうの東京新聞には「違法ダンプ検挙日光街道で特別取り締まり」と、過積載を十八台つかまえた、それから今度は電波法で三十三台。言うなれば、取り締まりしているぞと言えば無線機を持っているからみんな横道に逃れると、こういうわけでございますから、こういうのを三十三台無線機を取り外させた、こういうわけでございます。その中で、まだこんなことが行われているのかと私が驚いたのは、重量オーバーは十トン車に最高三十トン積んでいるという自動車があるそうですよ。何県から運んでいるということを申し上げるとその県の人に御迷惑になると思いますが、岩波新書の「ああダンプ街道」、これは大体千葉県から運んで、その他関東では栃木からも運ぶのもありましょう。  そういう中で、何県のだれとかは言いませんけれども、四十トンも積んでいると、自分の目方入れて五十トンです。しかし、こういうのは一発屋といいまして、距離が片道百五、六十キロを往復で一回勝負。だから、取り締まりや人の目につく昼間は走らない。夜中から早朝にかけて走ると、こういうことになっているのでして、まだこんなものの取りつけを義務づけているのか、警察だってこういう違反車見つけたら、おい、おまえの自重計でもっておまえの荷物はかってみろと、警察はこう言ってはいないのでありまして、みんな台貫ばかりのところへ連行して行かなければ正確な目方は出ないはずです。  そういうわけで、いわゆる水平積みの励行とか、あるいはさし枠を取りはずさせるとか、また明らかにもう積載オーバーをしてきているという業者から、ただ安いから買うというような生コンの会社やあるいは砂利の方にもう少し目を向ければ、こういう前近代的な、まだこんなことが行われているのかなと思うことが私は行われなくて済むのでないかと思いますが、こういうことについて所轄官庁であるのは運輸省ですか。  大体このダンプ規制法というものそのものが、総務庁が取りまとめだけれども、六省庁にまたがって、一体だれが本当の責任をとるのかどうかということが定かでない。ちなみにどれだけの省庁にまたがっているかというと、総務庁、これは昔は総理府、今は総務庁、それから運輸省、通産省、警察庁、それから労働省、建設省、こうなっているわけでございますが、こういう問題についてはどなたが答弁されても結構ですが、ひとつ答えられる方があったらお願いします。
  129. 植村武雄

    説明員(植村武雄君) 私ども運輸省の方では、貨物輸送の円滑化というようなこと、あるいはそれに伴います交通安全、こういったことを中心に行政を進めておりまして、ダンプ規制法の関係につきましては、いわば先ほど数字でお示ししましたように、非常に一人一車というような零細な方が多い。したがいまして、私どもの運送という立場から言いますならば、そういった方にはできるだけ協業化を進めていただいて営業用の免許を取っていただいて、いわば荷主に対しても交渉力をつけていただいて過積みの防止等に力をつけていただくというのが私どもの行政の主眼である、こんなふうに考えております。  以上でございます。
  130. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 大分私も意気込んで申し上げた割合にはあっけなく肩透かしを食ったわけでございますが、どうもそれほど余り寄りつきたがらないといいますか、さわりたがらない業種になっているようです。もう少し親身になって、今交渉力をつけてまともな業界、業者として取り扱われるようにという要望があるなら、それではどうしたらそういう力のある業界になれるのかということについて、もう少し前向きに答弁してもらいたいものです。    〔理事岩上二郎君退席、委員長着席〕  ちなみに、この法律の第十二条によりますと、こういう団体ができたときは内閣総理大臣または都道府県知事に届けなきゃならぬ。内閣総理大臣に届ける団体なんというのは、これはめったにない団体ですね。これはいかにあのときの事故の悲惨さから、議員の皆さん方も、これは大変だ、この団体はどうしてもつくってやって、そして届け出は内閣総理大臣様にしてやれ、内閣総理大臣に頼めば、それこそ各省にまたがるものをすべて調整してうまくやってくれるのではないかという願いがあったのかどうかわかりませんけれども、どうも各省庁の実態は、大体ダンプ規制法を所管しておりまする総務庁の交通安全対策室のお方も、それぞれ運輸省とかあるいは建設省とか警察庁から出向されたお方で、何か聞いてもみんな実家のことが気になって、所轄の省庁はこれをどう考えるのだろうということが、どうも後ろ髪引かれるようで、すかすかしたお返事がいただけないのが非常に残念なんですけれども、そういう団体ができたら、この第十四条には指導及び規制をせよと書いてあるんです。  この十四条にはどう書いてあるかというと、「国及び地方公共団体は、第十二条第一項の規定による届出をした団体の指導及び育成に努めるものとする。」というふうに明文されておりまして、この法の逐条解説の中には、「土砂等の運搬に関する事業者は零細事業者が多数であるため、また関係行政機関も区々に分かれているため交通事故防止についての行政指導も徹底できない実情にある。そこでこれら零細事業者を組織化し、その団体を育成強化し、その団体を強力なものとして実効ある指導を行い、土砂等運搬大型自動車による交通事故の防止の徹底を図ろうとするものである。」、大変これは解説にはありがたい立派なことを書いてあるんです。  しかし、それでは今、運輸省の係官殿が協業化をせよ、こういうお話がありましたけれども、協業化はこれはまた事例というものが非常に少ないわけでございまして、私が今回いろいろいただきました資料によりましても、こんな程度のものかなと、まことにどうも残念といいますか、慨嘆にたえないところなんでございます。  それで協業化は、それじゃいろいろせよと言ってもできない理由というものは那辺にあるか、まずひとつお答え願いたいと思うんです。
  131. 植村武雄

    説明員(植村武雄君) 私が先ほど申し上げました協業化というのはいわゆる運送の関係の協業化でございまして、ちょっと実績を申し上げますと、私どもが地方の出先の機関に協業化の促進について通達を五十四年の暮れに出しておりますけれども、それ以来、ことしの三月三十一日までで八十五件、七百八十八両の実績がございます。  また現在、申請が既に出ているもの、そして処理を進めたいと思っておりますものが七件ある。こういった状態で、私どもとしては出先機関を指導しまして、その協業化の促進に努力しておるつもりでございます。  協業化がなかなか進まない理由ということでございますけれども、やはりこういう協業化の作業というのは、当然でございますけれども、まずは当事者間といいましょうか、当事者にそういった気が起こらなければいけないわけなんで、私どもとしましては、協業化をし、営業用の免許を取れば税制面でもこういった有利な点がある、また車両の効率的な利用という意味でもメリットがありますよといったようなことで御指導は申し上げておるのでございますけれども、必ずしも十分な御理解を得られなくて進まない場合も多い。いずれにしましても、当事者の協業化に対する意欲というものが出るように今後とも努力してまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
  132. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 十五万台もある中から七百八十両が協業化に成功した、こう言われましても、まことにどうも大きいところから、大海の中の一滴とでもいいますか、非常なわずかな例を挙げられて、もうどうもありがたいものだなというふうに考えるわけにいかないと思うのです。  ただ、そういう法律がねらっておりながらなかなか実効が上がらぬということに対して、いら立ちとでもいいますか、こういうことではいかぬというお気持ちだけはさすがに各省でもあられるものとみえまして、私は努力していないと言わないんで、努力した跡をひとつちょっと御披露申し上げますと、まず交通安全対策室におかれましては、五十二年十二月にダンプ協会は大いにその促進に努力してくれという通達を出されておるわけでございます。しかも、その中にはダンプカー協会の加入者の優先使用を公共事業だけでなくて民間工事にまで及ぼすようにやってもらいたいというようなこともうたっております。これを受けまして五十三年の四月五日付で建設政務次官から「公共工事の発注部局は、大規模な工事の発注の際に、ダンプカー協会の設立状況を踏まえ、同協会への加入の促進について必要な指導を行うこと。」というようなことや、あるいは「河川管理者等は、砂利等の採取の許可又は許可を行う場合には、事業者に対しダンプカー協会の設立等の状況を踏まえ、同協会への加入の促進について必要な指導を行うこと。」というようなありがたい通達もいただいているわけでございます。  しかし、どうもこういうものにつきましても全国をカバーしていればもっと強い行政指導もできるのでありましょうけれども、各県の中に、してない県も十一県もあるじゃないか、こういうことになりますと、なかなか手が回らないとでもいいますか、実効が期されてないというふうになっているわけでございますが、この一つだけでもできるならば相当加入が促進されると思うのでございますが、こういうことについて、建設省さんおられなかったら総務庁からでもお答え願います。
  133. 小堺英雄

    説明員(小堺英雄君) 先生ただいま御指摘いただきましたように、公共工事の優先発注につきましてはこれは再三にわたりまして関係省庁間で申し合わせを行う、また当時は総理府交通安全対策室から関係省庁へその要請をし、それでその関係省庁はそれぞれの関係出先機関それから関連団体などに通達を出すというという格好でこの優先使用が徹底されるようにということで努力してまいったわけでございます。  ただ、必ずしもそれが十分でないという御指摘もまたそのとおりでございまして、その場合に徹底しない理由の大きなものといたしまして、これもやはり先生の御指摘ございましたように、ダンプカー協会が全国にまだ行き渡ってない、十一府県では設立されていないということ、それからダンプカー協会が設立されているところでも加入率が相当低いところがございまして、そういうところですとダンプカー協会の加入車両だけでは仕事をこなし切れないといったような面もございますので、その辺が優先使用が徹底しない理由の一つになっているという面は確かにございますので、総務庁といたしましては何よりもダンプカー協会が設立されていない十一府県につきましては早急にダンプカー協会を設立できるように、これは地元の府県でございますとか、それから関係官庁それから地元における関連団体など、また全国ダンプカー協会ができましたので全国ダンプカー協会を通じても、その実現方に向かって大いに活動していただくように指導し要請してまいりたいと存じます。また同様に、ダンプカー協会設立済みの都道府県におきましても協会加入率の向上ということが重要でございますので、そういった方にも今後とも努力していきたいというように考えております。
  134. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 今後ともひとつ懲りずに大いに促進といいますか、お願いをするところでございます。  それから、協会に対しての育成もせよと法律にはっきり明示されておりながら、金銭的なというと、どうもちょっとさもしくとられるかもしれませんけれども、経済的な応援、育成がなされてないというふうに私は思うのでございます。  ちなみに申しますと、各県ごとのダンプ協会ができたときの補助金は、新潟県なんかは最も模範だというふうに冒頭申されましたけれども、この新潟県でさえも年間に国からは二百万程度のものしか出てないのでありまして、そしてそれと同額が県から出ておるという程度でございます。ところが、昭和五十一年に軽油引取税が一挙に三〇%上がったということに対しまして運送事業者は、これは困る、ぜひひとつ割り返しをくれ、補助してくれということで、どういういきさつか知りませんけれども、運輸事業振興助成交付金制度というものができたわけでございまして、このお金は昭和五十一年から時限立法として発足したわけでございますが、その後延長もありまして、当面は昭和六十二年までこの制度は続くということになっているわけでございます。  そして、私の資料では五十八年の予算に属するものをいただいているわけでございますが、私はたまたまこれを見て驚きましたですな。随分手厚い補助をしてくださっている。都道府県から各県単位のバス協会、トラック協会に出ておるお金は、五十八年の予算ではバス協会に総額二十二億円ということでございまして、これは大きいものです。それから、トラック協会には百四十四億円出ているんです。合計百七十億円。この中から頭はねしているというのはちょっと語弊がありますが、上納金が出されている。日本バス協会に六億六千万円、全日本トラック協会には四十三億四千万円ということで、どういう事業をやっておるのかといえば、それぞれ立派なお仕事をしておられるようでございますが、これほど手厚くこれらの業界にはしている。しかし、同じ軽油を使い、そして土砂を運んでいるが、土砂はこれはむやみやたらに欲しくて買う者なんてないのでして、これはみんな公共事業につながっているんです。しかも、この土砂等をダンプが認可料金で運送したなら建設資材は一挙に倍になるだろう。これは私は別に誇張して言っているんじゃないんです。はっきりした根拠があるのですが、そういう細かいことは言いませんけれども、それほど重要な仕事をしている。  しかし、軽油税の値上げによって非常に物価に与える影響があるからという理由で、バス協会やトラック協会にはこれだけの多額の助成をしており、中には保養所までつくっておるんです。新潟県とは言いませんが、ある温泉場に立派な保養所をつくっている。ところが、バスあるいはトラック協会の従業員は余り行かない、閑古鳥が鳴いている。だから今度一般の人もどうぞいらっしゃい、いらっしゃいで商売している。そのために民間業者も圧迫しているじゃないか、こういう苦情まである中で、ダンプ協会は届け出を総理大臣にしなさい、六省庁でもって面倒見ますが、ふたあけてみたら一県で二百万。しかも国から出ているお金の二分の一は強制賠償保険の益金から出ているんです。一般会計から出ているのじゃないんです。  強制賠償保険の問題にしても、私はこの春一挙に五割も値上げするという話を自民党の政調会で承りまして、そんな膨大な値上げあるかということでお聞きしましたら、昨年の参議院のある委員会で竹下大蔵大臣に向かって強制賠償保険はこのままでいっていいのかということに対しまして、単年度は赤字であるけれども、累積黒字があるから当分上げなくても済むという答弁を大蔵大臣はしているのです。ところが、一年もたたないうちに五割も上げなきゃならぬということなら、これは補佐している官庁が大蔵大臣に食言させていると同じじゃないか、私は言いまして、どうしてそれじゃそんなに財政が悪くなったのかと言ったら、国の本予算が組めない、自賠責保険は随分もうけているそうだから半分よこせということで、五千億のうち二千五、六百億貸したというんです。どういう形で貸したと言ったら、三年据え置きで四年で貸した、利息はもらいません、およそこんな会計間のやりとりがあるものかなと私は驚いたわけでございますが、そういうふうに自由自在にお貸しできる金があるならば、ぜひひとつダンプ協会に貸してやるような方法はないのかと私は言いたいぐらいなんですが、そこまでいくと所管外になりますから申しませんが、これはどうも法律がねらっておるところと実際やっていることとは大分違うんじゃないかと思うんですが、これに対してひとつ御所見なり御答弁があったら聞かしてください。
  135. 小堺英雄

    説明員(小堺英雄君) 私の方ではダンプカー規制法第十四条で言っております「指導及び育成」の関係について御答弁申し上げます。  これは先生も御指摘のとおりなんでございますけれども、ダンプカー協会の設立、加入の促進及び事業の充実強化を図るための対策の一環でございまして、具体的には、国からダンプカー協会に対する補助金を出しているということでございます。これは昭和四十九年度から始まったわけでございまして、当初はダンプカー協会の行う交通安全指導事業に要する経費ということで、その一部を補助しておりました。さらに、昭和五十四年度からはダンプカー協会が行う協業化指導事業につきましても補助対象を広げるという形でやってきております。そして、この補助金は昭和六十年度の国の予算額といたしましては、一般会計と自賠責特会合わせまして五千二百二十五万円となっておりまして、その内訳は一般会計と自賠責特会、ほぼ半々ということになっております。それで、そのほかにダンプカー協会所在地の都道府県から、あわせまして大体同額の補助がされてきているということがございます。  したがいまして、こういった金額、三十六の協会で分けますと個々に相当小さい金額になっておりまして、これでは足りないのじゃないかという御指摘もまた当然のことと存じますけれども、現在の厳しい国の財政事情のもとで精いっぱい補助金を確保できるよう今後とも努力してまいりたいというふうに考えております。
  136. 吉川芳男

    ○吉川芳男君 もう時間が来ましたので、最後に申し上げておきますが、実はこのダンプカーの業界をどうしたらいいのかということについては、五十三年にダンプカーによる交通事故防止対策懇談会、座長に宮崎清文氏になっていただきまして、何回か寄り寄り相談して提言をなされております。その中にこういう文句があるのです。  難しい原因、「その最大の原因のひとつは、おそらくこの業界に特有な存在であるいわゆる一人一車の法的位置付けがあいまいのまま放置されているということにあるのではないかと思われます。 法的位置付けがあいまいのままでは、それぞれの行政分野でこれを的確にその対象としてとらえることはむずかしいでしょうし、また、それ故にこそ、一人一車の問題は、これまでそれぞれの行政の手の届かないいわば谷間にとり残されてきたのだともいえると思います。」というふうに指摘しているわけでございます。  私は正直言って、ダンプ規制法ができたおかげで、労働基準法にもつかまらない非常に一人一車の業者がふえているんです。なぜかならば、雇用関係を結べば、これは休日に関する協定あるいは時間外に対する一年間百五十時間以上は残業さしちゃならぬと、いろいろ難しい労働基準法での締めつけがありますから、それならもう雇用関係を切って、そして君たちにその車を月賦で買わせるから一人一車になれ、そして運賃だけもらうようにしてやれというように実態はなってきているので、これは大変皮肉な現象でございます。法律がねらっているところと逆な方向に行っている。つまり、決してやゆするのでございませんけれども、ダンプ規制法は逆に一匹オオカミ助長法という名前をつけた方が的確じゃないかと思うような実態になっているということを私は指摘申し上げたいんです。  しかも、建設省でも二十八の業種に分けているわけでございますが、そのどれにも属さない、とびや土工、大工のような職種にも当てはまらない。国勢調査をすれば、二百八十五項目も調査分類がありながら、こういう業界は自動車の運転者ということで十把一からげになっている。  余談でございますが、ちょっと私は国勢調査にはどういう職業区分というものがあるものか、政治家という区分はあるのかと聞いたら、これはないのでして、何か中央、地方の課長以上職の人というような区分があるそうでございますが、官吏的公務員という区分があるそうですが、これが十四万二千人いらっしゃるそうです。それから、弁護士さんなんかはどうなっているのかといったら、これは裁判官、検察官、弁護士を含めて二万五千九百人いる。それじゃ、音楽家というのはどうなっているのかといったら、やっぱり九万四千人ちゃんといるというふうに国調では示されているんです。  だから、この提言にありますとおり、一体法的にどこの省ががっちり受けとめてくれるかということになりますと、まさにどうも谷間の中に呻吟しているというふうに言わざるを得ないと思うのでございます。  唐突に、限られた間で申し上げたので意を尽くしませんし、聞いていらっしゃる議員の皆さんも実態についてまだ詳しい御認識もいただかないうちに、どうも言い過ぎた点もございますけれども、最後に、こういう谷間にある業界の人たちに対して、どなたかひとつ締めくくって、こうすればよくなるぞというお話が承れたらお聞かせいただきまして、終わりたいと思います。
  137. 小堺英雄

    説明員(小堺英雄君) ダンプカー運転者の法的位置づけということでございますけれども、ダンプカー規制法の上では、交通安全の観点から、ダンプカーの運行という断面で共通的にとらえております。それで、運送業者であっても自家用であっても、共通的に土砂等の運搬に関する事業ということでとらえておりまして、通常、私どもはダンプカー事業者というように言いあらわしております。  しかしながら、その営業上の事業区分とは異なりますので、一人一車のいわゆる代車業者などがどういう形の営業区分で存在しているかということについてちょっとだけお話しいたしますと、ダンプカー規制法による届け出制度がございますので、その届け出の中で営業の区分といったものが出てまいります。それを集計いたしますと、大別してみますと、使用者数、いわば事業者数の比率でいいますと、運送業者は五・七%、それで自家用使用者が九四・三%ということになっておりまして、事業者の数でいうと、ほとんど大部分が自家用使用者ということでございます。それで、この自家用使用者の内訳を見てまいりますと、その中では一番多いのは砂利販売業ということで五六〇、それから建設業が二四・八%ということになっております。そのほか砂利採取業、砕石業など各種の業態区分で出てまいっているわけでございまして、いわゆる一人一車の代車業者も事業区分としてはこういった各種事業種のいずれかに包含される形となっております。  それから、運転者の中で実質的に雇用関係にあると認められる方につきましては、これは当然労働基準法等の適用を受けることになると思いますし、また協業化して運送業の免許を取得するという方もいるわけでございます。  いずれにしましても、ダンプカーの事業者と申しますか、また実際にダンプカーを運転しておられる方々は大変厳しい労働の中で日本の建設産業を支える役割を担っているわけでございまして、そういう方たちの状況ができるだけ改善されるように、総務庁といたしましては関係省庁と密接な連携体制をとりながら今後とも努力してまいりたいというように存じております。
  138. 中野明

    ○中野明君 だんだんに御質問がございますので、できるだけ重複を避けてと思っておりますが、気になることがありますからお尋ねしていきます。  まず、先ほども出ておりましたが、原付の二段階の右折ですが、非常に今回の改正でややこしくなって、原付に乗っている人に果たして徹底できるだろうかという気がするわけです。同じ改正をなさるのならば、全部一緒にしてあげた方が親切じゃないかという感じがしないでもないんですが、その辺はどういうふうにお考えになっておるかということです。それが一点と、また今回の正のようなやり方をすると、ラッシュのときにはかえって渋滞が激しくならぬか。後ろで待っている直進車がいらいらしてきはせぬかというような点を含めてちょっと心配になるのですが、その辺二点だけ最初に。
  139. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 今回の二段階右折の問題は、先ほどちょっと別な委員の方からの御質問にお答え申し上げましたけれども、かつては原付も全部今の自転車と同じような曲がり方をしていたわけでございます。ただ、道路交通に関する条約に加盟する関係で、自動車と同じような右折方法をするということに実は変わったわけでございまして、その条約の効力というのはいまだにあるわけでございます。ただ、最近の交通情勢というのを見ますと、このままでは放置できないということで、条約に抵触しないいわば例外的な措置として今回のこの二段階右折ということに踏み切ったという形でございます。したがいまして、本当は全部かつてのように、あるいは自転車と同じ右折方法の方がわかりやすいわけでございますが、その辺の問題がございますので、非常に問題が多発しております広幅員の交通量の多い交差点、それから広幅員ではないけれども非常に二輪車、四輪車の混合率が高くてそういう事故の発生が予見される可能性の高い交差点、こういうようなところについて例外的な措置として二段階の右折をお願いをするという形に実はなったわけでございます。  ただ、御指摘のようなこともございますので、さしあたっては片側三車線以上の道路について、これはもう走っている方でしたらどなたでもおわかりになる非常に明瞭な区分でございますので、その道路について二段階右折をやっていく。それで、さっきちょっと申し上げましたような二車線のところの二段階右折というものは、そういうものについての知識というものが十分広まった段階で広げていくという考え方を持っておるわけでございます。  それから、二段階右折ということにいたしますと渋滞なんかがかえって広がるおそれがあるのじゃないかという御指摘でございますが、これは現在は非常に車の多いところを縫うようにして交差点の中心部に寄っていくわけでございまして、この際に非常に危険性がある。そういう面からの危険性というものからは四輪の運転者は解放されるわけでございますが、今度は真っすぐ行く場合に、二輪が突き当たったところの交差点で滞留をいたしまして、それで直進をする四輪車の邪魔にならないかどうかという問題だろうと思います。この辺の問題は、実は原付が非常に多い場合には全くないとは言えないと思いますけれども、個別にそういう交差点については若干の滞留場所を設けてもらうというように、道路管理者との連携を十分にとりまして、そういう措置もとっていくように今考えているところでございます。  したがいまして、今お話しのような、この措置によってかえって非常な渋滞を生ずるというようなことにならないように、個々の現場の問題でございますが、道路管理者と十分協議をしながら対応してまいりたいというふうに考えております。
  140. 中野明

    ○中野明君 今のお話にもありましたように、規則を変えたりなんかするときは、なるたけわかりやすくするのが親切じゃないか、こう思うわけです。ところが、今回の改正で三車線のところは全部やるということになっておるのですが、今のお話しでは、ちょっと都合の悪いところはやらぬかもしれない、二車線でも将来は標識を掲げてやるところもできてくるということになりますと、ますますややこしいなという感じを受けておるものですから申し上げておるわけです。しかも、この原付に乗っておる人というのは相当な数に上りますし、特に女性も多い、そういうようなことから考えますと、よほどこれは徹底しないと混乱をして、かえって事故のもとになるのじゃないだろうか、そういう心配をして申し上げているわけです。  それで、けさほどの答弁にもありましたが、これでは行政処分が、原付の右折を違反したときには行政処分が一点と反則金が二千円と、こうなっておるのですが、これはどうなんでしょう。反則金というのは、今回のシートベルトの場合は反則金は全然なしということになっておりますが、原付の二段階右折の場合は二千円の反則金と行政処分が一点。何かえらい厳しいような気もするのですが、その辺はどうなんでしょう。
  141. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) これは右折方法一般に関しまして指定された右折の仕方をしなかった場合ということで、交差点におきます事故が非常に多いという実情にかんがみまして、現行法で定められているものでございます。  それで、今の右折のやり方が一部交差点によって変わるということで、当初やはり特に原付の方方が十分その辺を御理解いただけずに若干戸惑いといいますか、そういうことにならないとは言えないと思いますので、当初は十分指導を中心にやってまいりたい。しかし、ある程度時期がたちまして、そういう交差点における右折方法というものについての認識が深まった段階でこれまでの扱いといいますか、そういうことに順次移行していくということを考えております。
  142. 中野明

    ○中野明君 その次の問題ですが、今の考え方は私も一応了解できますが、なるだけ指導を重点に、点数を減らしたり、反則金を取るのが原則のような形でやられると、数が多いだけに非常に問題があるのじゃないかという気がいたしますので、指導を中心にお願いしたいと思っております。  それから、これは吉川委員もおっしゃっておりましたが、騒音を生ずる行為等のところで、いただいた資料では、行政処分が一点で検討中と、こうなっております。もちろん反則金はなしと、こうなっておるのですが、これはやはり検討中となさっているところを見ると、この騒音を生じたというこの立証といいますか、なかなかこれが難しいのじゃないかということで検討中になっているのじゃないかと思われますが、この騒音を生じる行為というのは、確かに私もそう感じておりますが、これは車を特別に改造したりして、もう暴走族のように自動的に大きな音が出る、こういうふうなものだけに限るというような考え方はないんですか。
  143. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 暴走族のように車を特に改造いたしまして保安基準の違反になるということになりますと、これは現行法でも一応取り締まりの対象になるということでやっているわけでございますが、保安基準の上で若干問題がございますので、その点は運輸省の方にも御検討をお願いしておりますけれども、いずれにいたしましても、そういう場合には対応ができるわけでございますが、ただ、保安基準上全く問題がない車であっても使い方によって非常に暴走音を発するというものについて何らかの対応をいたしたい。この種の苦情というのが実は非常に多数、警察の第一線の窓口といいますか、一一〇番を含めまして、寄せられておりますのが実情でございますので、これに対して何とか対応してまいりたいということでお願いしているわけでございます。  行政処分の点数を付与する問題につきましては、先ほどからいろいろ御議論もございますように、私どもとしては行政処分の一点を付与するという形で今検討いたしておりますが、法律上の種種の問題もございますので、お手元に御配付さしていただきました資料では、検討中ということで、若干余裕を持たさしていただいているという状況でございます。
  144. 中野明

    ○中野明君 これは先ほども議論がありましたように、確かにこれは警察官がそばにおるときにそんな大きな音をするというのなら話がわかるんですが、おらぬときに苦情が出てきて、それから被害者と加害者の口論になって、そこへ警察官が来てトラブルが起こるというような気がしてならぬのです。ですから、その点行政処分にするからそういうことが起こるのじゃないかという感じがするので、やはりこれも指導といいますか、勧告といいますか、注意のようなことでやった方でいいのじゃないかという感じがするのですが、検討中となっておりますけれども、これはやっぱり行政処分の点数を一点取るということで検討中ですか。それとも、なしというか、どっちの方なんですか。
  145. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 私どもといたしましては、行政処分の点数を一点つけたいという方向で検討いたしているところでございます。ただ、御指摘のように、非常に感じ方によっていろいろ変わる面というのがございますものですから、私どもといたしましては、この運用に当たりましては、主としていわゆる暴走族とかあるいはそれに準ずるような、そういう人たちのこの種の行為というものに重点を置いて対応していく必要があるというふうに考えております。
  146. 中野明

    ○中野明君 ですから、ちょっとここでトラブルが起こるのはやはり点数を取るからだろうというふうに思いますが、この辺にしておきます。  それから次の問題は、けさほども話がありましたが、助手席に、運転手の横に二人乗れるという車があるわけですが、最近は乗用車ではだんだん減ってきているのじゃないかという感じがするのですが、今回のこのシートベルトを義務づけるということから考えて、二人乗れる車との関係といいますか、運輸省で何かお考えになっているのかなという気もするんですが、前に二人乗れたら、真ん中の人は結局これをつけられないわけですから、完全に無防備ということになりますね。そうすると、最近は乗用車も運転手と前助手席一人というような車が多いように思うんですが、トラックとかダンプは別にして、乗用車で助手席に二人乗れるというのは、今でもそういう車をつくっているんですか。運輸省の方、どうでしょうか。
  147. 神戸勉

    説明員(神戸勉君) お答えいたします。  現在のところ乗用車に義務づけしているシートベルトは先生御指摘のとおりでございますけれども、今回の道交法改正によりまして、シートベルトの着用率の向上も、また使用者にとってシートベルトが身近なものになるということも予想されますので、現在装備の対象となっていない乗用車の中央座席等につきましても対象とする方向で作業を進めているところでございます。
  148. 中野明

    ○中野明君 ちょっと聞き取りにくかったのですが、将来助手席に二人乗れるような車は、この法律ができたことによって、助手席は一人乗れるようなそういう車の様式になっていくんですか、その辺なんです。
  149. 神戸勉

    説明員(神戸勉君) 乗用車につきましては乗用定員そのものに見合ったシートベルトを装着する方向で検討を進めております。
  150. 中野明

    ○中野明君 わかりました。  それでは、違法駐車ですか、駐車違反の問題について入っていきます。  私どももよく町へ出るわけですが、両側に違法駐車をしているというので結局、幅員が広いのに道路がもう半分以下でしか使えない、飛び出し事故もあったり、それから交通渋滞の元凶になっているような気がするのですが、駐車違反というのは一体警察の方で検挙した数は全国でどれぐらいになるんですか。
  151. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 五十九年中の駐停車の、停車もちょっと入れてございますが、駐停車違反の検挙状況でございますけれども、二百二十九万八千五百四十四件ということでございまして、これは五年前の昭和五十五年に比べまして、件数で約五十七万件、三三%の増というふうになっております。今の数字は駐停車違反の両方を含めておりますが、その中で特にいわゆるレッカー車等によります移動保管をいたしました件数、これは駐車違反ばかりでございますが、この件数を申し上げますと、昭和五十九年中は四十九万四千七百八十九件、これも五年前に比べまして約九万件、二一%の贈というふうになっております。
  152. 中野明

    ○中野明君 だから、二百二十九万八千台というのは駐停車ですね。それで、今レッカーで持っていった数が四十九万ですか、これは駐車違反がどんどんふえるということは運転手のマナーの問題なんでしょう。  それで、レッカーで連れていくのに、どういうのですか、レッカー車が足らぬのか人手が足らぬのか、あるいは駐車場がないのでレッカーで持っていっても置くところがないのか、その辺はどうなんでしょう。どうも私、清水谷の宿舎におるんですが、宿舎の前の通りはもうひどいものでして、両側駐車、もうそれこそ二十四時間じゅう、夜中もやっているみたいなんです。それで、立て看板はもう三メートルか五メートル置きにずっと立て看板を書いて、客待ちもいけませんというふうに立て看板も出ているんですが、どうも一向に減りそうにもないし、ああいうところはどうなんでしょう、本当に取り締っておられるのかどうか、ちょっと気になるのですが、その辺も含めて御答弁いただきたいと思います。
  153. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) レッカーで移動しております全国の件数は今申し上げたような状況でございますが、今御指摘が具体的な場所についてございましたけれども、確かに必ずしも十分でないところが多々あるわけでございます。  ただ、現在のレッカーの問題につきましては、これは道交法の五十一条の規定によりまして移動しているわけでございますけれども、これはあくまでも警察が主体となって行っているわけでございますが、事実行為の方は装備資機材の関係あるいは体制の問題等もございまして民間に委託をして行っているというのが実態でございます。  例えば警視庁の例で申し上げますと、レッカーの業者は四輪車の業者が十八業者で、レッカー車自体が百十九台、これが九十四署の管内のいわゆるレッカーの全体の体制でございます。そのほかに、二輪車用のレッカーを引っ張る業者が一業者一台ということで、二輪の関係についてはこの業者と三十九の警察署が契約をしている。それで、確かにレッカー車自体の数の不足あるいは、やはり取り締まりをする主体は警察官ということになりますものですから、この警察官の配置の問題、いろいろ実は隘路といいますか、そういうのがあるわけでございまして、一概にどこがどうということはなかなか申し上げかねるわけでございます。総体的には現在の体制のもとでかなり目いっぱいやっているという状況はあるわけでございます。それから、先ほど御指摘いただきました場所についてはちょっと今承知いたしておりませんけれども、よく調べておくようにいたします。
  154. 中野明

    ○中野明君 レッカーで持っていくばかりが能じゃないと思います。それよりも、やはり取り締まりをして、それで違法駐車なら、ときどき見かけますけれども、札を張って、そして後から呼び出しをするとか、そういう取り締まりをきちっとなさったらもっと減るのじゃないかなという感じがしておったのですが、だんだんふえてきているということですから、厄介なことだなと思っております。  特に、この間見ておりまして皮肉な感じを受けたのですけれども、日産自動車が「THE NISSAN GUIDE」という本を出して、東京の名所旧跡を外国人に紹介している本があるのですけれども、この本によりますと、東京の渋滞がまことにひどいので、自動車よりも地下鉄や国電に乗って回りなさいよ、こういう案内になってるんです。自動車会社が出しているにしてはなかなか振るった雑誌だなと思って見ているのですけれども、それほど東京の都心の渋滞というのはひどいということです。ですから、この渋滞を解消するには、これはもうこれから先ますますひどくなるだろうということしか我々は想像できないんですが、その中の一つに、駐車違反なんかが渋滞の一つの大きな要素になっているのじゃないかと、そういう感じを受けてあえて申し上げてるわけですが、どうもこういう日本案内するガイドブックにこういうことを書かれるということ自体非常に日本としても恥ずかしい話だなという感じで、どこの国でも大都会は大抵渋滞はしておりますが、それなりの対策を講じてやってきているように思うんですが、どうなんでしょう、渋滞の解消ということを根本的はどうお考えになりますか。何か方法、取り締まるだけじゃなしに、ほかに考えておられることがあるんですか。
  155. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 確かに今御指摘のように、これは都市構造に起因するようなかなり大きな問題が背後にあるわけでございますが、私どもその中で今御指摘をいただきました現実に駐車違反をしているものの秩序の回復といいますか、そういうことを受け持っているわけでございますが、これのもとになりますのは、やはり必要な駐車場といいますか、そういうものの整備というものも非常に大事な問題ではないかというふうに考えております。  駐車場の方の問題につきましては、これは駐車場法等によりまして地方公共団体が設置するものとか、あるいは民間が設置される駐車場、さらにはかなり大きな面積の建物を建てる場合の付置義務駐車場とかというような、いろんなものが実はあるわけでございます。例えば東京都内で申し上げますと、大体そういうものを全部ひっくるめますと約二十四万台程度の現在駐車可能台数があると言われておりますが、一方、警視庁が昭和五十七年に、昼間のある時期をとらえました瞬間の違法駐車台数というものを調査したことがございますが、ちょっと三年ばかり前になりますが、約十七万台という数字が報告されております。今の駐車場の利用率を半分ぐらいと見ますと、約数万台ちょっと不足をするというような形になるわけでございます。この駐車場の地域のばらつきというようなものもございますので、実感といたしましては、特に大都市部におきましては駐車需要に見合った駐車場の整備というのは必ずしも十分ではない、その辺の問題が一つの大きな問題ということで、警察の方といたしましては、そういうときに交通環境がそれほど大きな支障を受けないという状況が確保されるならば、短時間の回転が可能になるような措置といたしましてパーキングメーターの設置ということでそれなりの駐車需要というものを満たす努力をしておるわけでございます。これは現在全国で約一万四千基ございまして、東京が約七千六百、大阪が千六百という程度でございますけれども、警察の方としては今の駐車取り締まりあるいは駐車需要にこたえるという意味でのパーキングメーター等の対策というようなことを直接的にはやっておりますが、関係官庁とも十分連絡をとりながらこの種の対応をさらに進めてまいりたいというふうに考えております。
  156. 中野明

    ○中野明君 それで、もう一つやはり渋滞のもとになっているのに、前も私申し上げましたが、駐輪場なんかも大分つくってきたようですけれども、駅前の自転車の違法駐輪というのですか駐車というんですか、先日も駅前まで車で行ったのですが、入っていったらだんだん自転車が両方に出てきて、しまいにはそこでもう行かれぬようになりまして、それでバックするのに、後ろから車は来ているわ、えらい大騒ぎになって、結局自転車を動かして前へ抜けたという経験があるんですが、そういう状況ということが市民生活にも大変な悪影響を与えていると思います。だんだんに地方公共団体で対策を講じて駐輪場なんかもつくっているところもあるようですが、まだまだ不徹底といいますか、ひどかったものですから、この点について自治省と警察の方に、この対応策、どういうふうに手を打っておられるかお聞きしたいんです。
  157. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 駅の周辺等のいわゆる放置自転車問題でございますが、これを根本的に解決するためには、今も御指摘がございましたけれども、設備を有します自転車の駐輪場、これを十分設置するということが必要になるわけでございます。警察といたしましても関係機関、特に地元の地方公共団体等と十分協議をしながら、そういう団体においてこの種の駐輪場が設置されることをお願いをしているという状況であります。  ただ、そういうことで徐々には駐輪場というものも整備をされてきている面も見受けられるわけでございますが、やはり自転車の保有台数というのも年々ふえるという傾向もございまして、駐輪場の整備というのがこれに十分追いつかないという面があるのは事実でございます。  警察といたしましては、自転車利用者の法秩序に対する遵法意識の向上ということを指導的な立場から主眼において行っておりますけれども、相当期間はわたり放置された自転車につきましては、自治体において制定されております条例等に基づいて自治体で撤去されるということになるわけでございまして、警察もこれに協力をしていく。現場的な措置といたしまして、道交法に基づきまして、どうにもならない場合にはそういう自転車について五十メートルの範囲内ぐらいで動かすとか撤去する権限はあるわけでございますけれども、大体、いわゆる四輪車の違法駐車なんかと異なりまして、トラックで警察自体が遠くまで運んでいくというまでの必要性というのは現場状況からなかなか出てきにくい。とりあえず五十メートルぐらい動かす権限がございますので、その範囲で動かせばとりあえずのことはできるということになりますので、自治体が中心になりまして根本的な対策ということから取り組んでいただいて、警察はこれにいろんな形で協力をしているというのが実情でございます。
  158. 土田栄作

    政府委員(土田栄作君) 自転車の放置問題、駐輪場の問題についてでございますけれども、この問題につきましては、今まで主として市町村におきまして自転車の駐車場の整備を中心に対策を進めてきているところでございまして、ただいま委員御指摘のありましたように、まだまだ進んでいないところもあれば、かなり整備の進んでいるところもあるというふうに承知いたしております。そういうふうなことで、自転車の駐車場の整備のほかに、放置自転車の撤去整理、それから民間施設に対します、駐車場付近に自転車の駐車場をつくりますといったようなことでの協力の要請、それから自転車の放置問題の啓発等の施策を関係機関と連絡しながら実施しているところでございます。  それから、御案内のように現在、国の方では議員立法によりまして自転車の安全利用の促進及び自転車駐車場の整備に関する法律というものを御制定いただきまして、これに基づきまして整備それからいろんな施策を進めているわけでございますけれども、そのほか独自に自転車の駐車関係の条例を設定して、それぞれの市町村で独自にさらに上乗せして実施するという団体もふえているわけでございまして、六十年の一月現在では、条例を制定している団体が八十三あるということになっております。  いずれにいたしましても、まだまだ整備する必要がございます。この整備のための財源といたしましては、一つは公共事業の裏負担に対しますものにつきましては地方債を充てる、それから単独事業で実施いたしますものにつきましても地方債を充当する、それから、さらには交通犯則金、交通安全対策等特別交付金もこれに充てることができる、こういうことになっておりますので、これらの財源を活用いたしまして、整備のおくれておりますところはこれから整備を進めてもらいたいと思いますし、私どもとしても、整備状況のおくれているところについては整備の促進方というものを関係省庁協議しながら指導してまいりたい、このように考えております。
  159. 中野明

    ○中野明君 それで、先ほど私が申し上げました道路へはみ出して、五十メートルぐらいは移動できるようになっているのですか。何かそういう措置でもなさらぬと、実際に自分が体験してみて、車で入っていったら行けぬようになってしまって、それで後ろから車は来るわ、前へは進めぬわということで、おりて自転車を少し動かして、やっとこさ向こうへ抜けたんですが、そういう事例があるということになると、これは本当に地域の人たちも大変迷惑な話で、車に乗っていってもとんでもないところでおりなければ駅へ行けないというようなことにもなるわけでして、そういうのは、近所には交番もあるでしょうし、絶えずパトロールして整理をされるというところまで手が届いてないんでしょうか、どうなんでしょう。
  160. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) これは非常に数が多いという問題もございまして、適当な駐輪場なり何なりが近くに設けられているというような条件の整備がどうなっているかとか、いろんなことで実は違うわけでございますけれども、道交法の五十一条の三項等で、今申し上げましたような必要やむを得ない場合に警察官は当該車両が駐車している場所からの距離が五十メートルを超えない範囲内の道路上の場所に当該車両を移転することができるという、そういう規定があるわけでございます。しかし、何百台もずっとこうなっていますと、片っ端から押せ押せにずっと寄せていくというだけでは、ちょっと車が少し入りやすくなるというだけにとどまってしまう程度で、なかなかやはり根本的な解決にならない。必要な駐輪場というものがつくられて、それでその自治体が中心になられてその駐輪場にそういうものを移していかれるというようなことになりませんと、警察の方でなかなかパトロールのたびにそういうものをといっても、現実問題としてはなかなか難しいのではないかというふうに考えております。
  161. 中野明

    ○中野明君 自転車には罰則はないわけですな。
  162. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 厳密に言いますと、罰則がかかる場合もあると思いますけれども、ただ罰則でどうこうということにはなかなかなじみにくいのじゃないか。やはり現実に自転車で通勤なり通学をする必要性、現在の住宅事情とかそういうもの、それからそれを受け入れる駐輪場というものに対する行政なり何なりの手だてとか、いろんなものがやはり総合的に勘案されて罰則の適用ということの条件が煮詰まってくるわけでございます。片っ端から反則切符を切ったらいいのだというわけにはなかなかまいらない、やはりみんなの納得を得られる取り締まりのあり方ということを我々常に追求しておりますので、そういう点を考えて対応していかなければいけない問題だというふうに考えております。
  163. 中野明

    ○中野明君 それで、先ほどもちょっと触れましたが、交通反則金の徴収なんですが、これは銀行とか郵便局というふうになっているんですが、そのほかに払い込むところはあるのですか。
  164. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 今御指摘のような道路交通法施行令の第五十二条にも規定がございまして、日本銀行本支店、代理店または歳入代理店、まあ一般のいわゆる市中銀行は全部これに入るわけでございます。それから、あと郵便局、ただこの郵便局の中でいわゆる簡易郵便局というのは含まれません。そういうところで、日本銀行とその代理店の窓口と、簡易郵便局を除いた郵便局の窓口ということで、そこに納めていただくということになっております。
  165. 中野明

    ○中野明君 それで、私時々そういう苦情を聞くわけですが、何か通知をもらったらその通知に銀行と郵便局とに納付しろと、こうなっているわけです。ところが、今おっしゃったように簡易郵便局では取り扱えないように現在はなっているようです。そうすると、郵便局と書いているものですから、よく間違って簡易郵便局へ納付に行く人がおるようです。ところが、うちはそれは扱えぬのですということで、そのために期限がおくれたとかそういう苦情を時々聞くんですが、郵政省の方はどういうわけで簡易郵便局はこれを取り扱えないんですか。
  166. 戸沢真也

    説明員(戸沢真也君) 簡易郵便局で交通反則金の収納を扱っていない、そのとおりでございますけれども、先生御承知のように、簡易郵便局というのは普通の郵便局と違いまして、地域の方々の中から適切な方をお願いをいたしまして、できるだけ経済的に郵政事業の窓口サービスをあまねくへんぴな地方にまで広めるというようなことを目的にしてつくっているものでございます。したがいまして、その取扱事務の範囲もできるだけ容易なものに限る、あるいはその事務量につきましてもおおむね一人を標準としておるような事務量にするというふうな考え方でつくっているわけでございます。  したがいまして、交通反則金につきましては、御承知のように非常に納付期限が短い、それから仮納付、本納付といったような違いもございますし、そして納付期限内に納付されない場合はこれは最終的には刑事裁判手続にまで及ぶというようなことで、この取り扱いに当たりましては非常に慎重を要する、あるいは受け付けた後も遅滞なくその事務処理を行う必要があるといったようなことがございますので、できるだけ相互にチェックできるようなシステムが必要になってくるということで、一人を標準にして仕事をしております簡易郵便局でこの仕事をやらせるのはちょっと難しいのではないかと、こういうぐあいに考えております。
  167. 中野明

    ○中野明君 今いろいろ理由を挙げられましたけれども、簡易郵便局法を読んでみますと、郵政大臣の委託で郵政窓口事務を行う者で、まず地方公共団体、それから農協、漁協、それから消費生活協同組合、そして五番目の順位として「十分な社会的信用を有し、かつ、郵政窓口事務を適正に行なうために必要な能力を有する個人」、こうなっているんです。ですから、交通の反則を起こさぬ方がいいに決まってますけども、納付するときに、郵便局とわざわざ書いておって、行ったらうちはあかんのだと、そんなだめな、今のあなたの説明を聞いておったら、そんな能力のない人に郵便局を委託するということは、この法律からいっても、してないはずです。何か国民年金の掛金というんですか、それは扱えるんでしょう。
  168. 戸沢真也

    説明員(戸沢真也君) 現在簡易局で行っている仕事、郵便、貯金、保険といういわゆる郵政三事業の本来の仕事のほかには、国民年金のこれは支払いでございます。それだけを行っております。
  169. 中野明

    ○中野明君 ですから、国のお金も扱う能力は持ってるわけです。だから、ぜひこれは検討して、郵便の窓口事務の一つとして受け付けられるよううな検討をしてもらいたいと思うんです。現在のこれの書きようは本当に不親切だと思います。今答弁ありましたけども、ここではそういうふうに、簡易郵便局は除きますというふうに答弁なさっていますけれども、書類にはそんなこと書いてないですから、納付の通知をもらった人は郵便局だと思って行く。そうしたら、うちはだめなんですと、非常に不満があるということもお聞きになっていると思います。ですから、どこからでもいい、信用のあるところで手続をして入ってくればいいのじゃないかとこう思うんですが、郵政省はそういう苦情といいますか、要求というのは今までお聞ききなったことはないですか。
  170. 戸沢真也

    説明員(戸沢真也君) この反則金を簡易郵便局でも取り扱うようにしてほしいという要望、従来からも再三ございます。私どももいろいろと内部的な検討は行っておりますけれども、先ほど申し上げましたように、本来簡易郵便局というのが郵便局のないようなへんぴな地方で最低限の郵政サービスを提供するということで、大体一人でやれる程度の仕事ということでその事務の範囲とかいったようなことを考えておりますので、検討はいたしておりますけれども、現状では非常に難しいということでございます。
  171. 中野明

    ○中野明君 それでも、地方公共団体、市役所とかあるいは地方の町村役場、そういうところで受託をしているところもあるわけです。それから農協もあります、漁協もあります。だから、そういうところへでもちゃんと持っていけるようなシステムにしてあげたら親切じゃないかと、そういう気がするんです。何かしゃくし定規で、それだったらもう頭から、そんな能力のない人を任命しているのか、委託しているのかということにも我我反論したくなるわけでして、そういう苦情を私何件か聞いたものですから、それで窓口でもう気の毒で、本人がもう今から行ったら銀行は閉まっているしだめだということで結局納付がおくれて、それで後で文句を言われて困ったというような例があるものですからあえて申し上げているわけですから、ぜひこれは検討事項に入れてさらに検討していただきたいと思うんですが、どうですか。
  172. 戸沢真也

    説明員(戸沢真也君) 先ほど申しましたように、かねがねそういう御要望があることも承知しております。私どもも関係の向きとも相談しながらいろいろと検討はいたしております。ただ、申しましたように、現状での判断としてはちょっと難しいかなということでございますけれども、これは引き続き検討はさしていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事岩上二郎君着席〕
  173. 中野明

    ○中野明君 そうしますと、これはそれができない間は納付の通知書の中にも簡易局は除くとかなんとか書いてあげないと不親切じゃないかという気がするのですが、その辺はどうでしょう。
  174. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 確かに御指摘のとおりだと思いますが、書類の面のことですので事務的に関係省庁とも十分詰めまして、そういう方向で検討してまいりたいというふうに考えております。  それから、先ほどの自転車の駐車違反の際の問題で私ちょっと答弁間違えまして、反則切符が切れるかのごとく申し上げましたけれども、自転車の場合の駐車違反、これは実は、もちろん駐車違反で証拠がそろった場合には事件になり得るわけでございますが、反則切符の手続には乗らない。したがいまして、いわゆる通常の刑事手続に従って立件送致するという形になるものでございます。ちょっと訂正さしていただきたいと思います。
  175. 中野明

    ○中野明君 それでは次の問題に移りたいと思いますが、先ほども吉川委員のダンプの問題でちょっと出ておりましたが、違法無線で非常に電波の障害が起こっているということをときどき私も耳にするのですが、同時にそういう強力な電波で妨害のような形になってくると、警察無線にもやはり影響はあるのじゃないかという感じも受けますし、同時に警察の無線の盗聴の防止という問題についても先日来デジタル化ということでいろいろ努力はなさっているように聞いておりますけれども、まず一点として、妨害電波といいますか、違法無線の障害の状況というものを郵政省はどういうふうにつかんでおられますか。
  176. 長谷川徹

    説明員(長谷川徹君) ただいま御質問の、妨害の状況につきましては我々監視課で把握しておりますよりも、警察御自体で御説明された方が適当だと思うのでございますが、いかがでございましょうか。
  177. 中野明

    ○中野明君 それじゃ警察の方で。
  178. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 最近の警察無線に対します妨害は非常に頻繁でございまして、これは実は妨害につきましては意図的な妨害と混信等がなかなか明確に判別できない場合もございますけれども、五十九年中の妨害回数は年間約一万七千回でございます。これは年々増加しておる状況でございます。
  179. 中野明

    ○中野明君 それで郵政省は、こういう違法の無線機といいますか、それらは電波法は触れるわけでしょうが、その違反の件数というのはどれぐらいあるものですか。
  180. 長谷川徹

    説明員(長谷川徹君) 先生の御質問に対しましてお答えいたしますには、ただいまデータを持っておりませんけれども、警察だけではなくて、全体の不法局のデータといたしましては、我々が確認いたしましたところ、五十九年度では約七千件であるというふうに記憶しております。
  181. 中野明

    ○中野明君 そういうような場合はどうなるのですか。検挙というのか、電波法違反をした場合には免許取り消しとか、おたくの方で何かそういうことに処分はされているんですか。
  182. 長谷川徹

    説明員(長谷川徹君) それはその都度ケース・バイ・ケースで違いますが、もちろん極めて悪質であると思われます不法無線局に対しましては告発等適切な処置を講じております。その他初めて行いましたような違反、または割合に無線の知識がなくて行われるような無線に対しましては指導等で処理いたしております。
  183. 中野明

    ○中野明君 それで、どういうんですか、遠距離を走る大型のダンプというんですかトラックといいますか、そういう中に違法な無線機を備えて走っているものですから、結局なかなかつかまらぬのですね。短時間ですけれども、テレビに妨害が出てくるわけです。そして、すぐ走り過ぎて行ってしまうものですから、どこかでとまってやられるのならすぐわかるわけですけれども、非常にそういう苦情が私の国元でも多いんです。それで、何とか取り締まってほしいという声が随分ありますけれども、これは今私が申し上げましたようにすぐ走り去ってしまうものですから、なかなかこれが犯人だというふうにつかみにくいので困っている面もございますが、ぜひこれは強力に指導もしてもらわないといかぬなという感じを持っております。  それで、警察の方は、この前もお尋ねしましたが、いわゆる盗聴を防止するためにデジタル化ということになっているのですが、これは大体見通しはもうついたのですか。何年先ぐらいになりますか。
  184. 鈴木良一

    政府委員鈴木良一君) 昨年度、五十九年度の予備費で面倒を見ていただきまして、また本年度の予算でもこのデジタル化の整備費を充当していただきまして、現在携帯無線機につきましては本年度予算全部消化いたしますと約六〇%、それからパトカー等の車載通信系、これは受令機を除くわけでございますが、それの整備が約五〇%に達する見込みでございます。あと残りますものにつきましては六十一年度以降の予算折衝を通じて措置を決めてまいるわけでございますが、本年度を含めまして実質二年余で整備をしてまいりたい、かように考えております。
  185. 中野明

    ○中野明君 わかりました。  それじゃ、次にタンクローリーの問題に入りたいと思いますが、けさほどもちょっとお話が出ておりましたが、五月の六日でしたか、環状七号線で大型タンクローリーが横転炎上いたして大事故になったわけですが、これについての原因といいますか、これはいろいろ言われているのですが、これは消防庁でしょうか、運輸省でしょうか、この横転事故の原因はどうつかんでおられますか。
  186. 中山好雄

    政府委員(中山好雄君) ただいま御指摘の五月六日に発生しました事件につきまして、警視庁におきまして発生直後から今日まで数十名の捜査員を動員して、運転者や目撃者からの事情聴取、あるいはガソリン、軽油の流出原因、出火原因などの解明を急いでいるところでございますが、事故の原因も複雑に絡み合っておりまして、専門家による事故車両の鑑定なども必要でございます。したがって、その事故原因、事故の経過等について解明されるまで、まだこれから相当の期間がかかるかと思われます。
  187. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 横転までに至りました経緯につきましては警察の方が専門だろうと思いますが、ひっくり返りましてから火の出た経過等につきましては我が方の領分になるわけでございます。  もちろん消防といたしましても現在調査中でございますので、最終的な結論が出ているわけではございません。できるだけ急いで真の原因究明を進めていきたいというふうに考えておりますが、現象的には、いずれにいたしましてもタンク本体の前の方の鏡板のすぐ近くに十二センチほどのひび割れができておりまして、そこから中に入っておりましたガソリンが漏れておるわけでございます。その漏れたガソリンに何らかの原因で火がついたのではないかというふうに考えて調査を進めているところでございますし、また危険物が七つの部屋に分かれて収納されているわけでございますけれども、六番目の部屋の上部にございます安全装置なりあるいは蒸気回収装置等が横転をいたしましたときに破損しておりまして、その部分から相当程度のガソリンが流れ出した形跡がございます。それにも火がついて延焼拡大がなされたのではないかというふうに考えております。  なお、火源につきましては電気系統のスパークとかあるいは横転時の路面との衝撃火花等が考えられるわけでございまして、これらについて具体的な明確な原因を突きとめるべく現在調査中でございます。
  188. 中野明

    ○中野明君 運輸省、今回のこのタンクローリーの事故は牽引車特有の弱点であるジャックナイフ現象だという説もあるようなんですが、その辺はどう見ておられるんですか。
  189. 神戸勉

    説明員(神戸勉君) お答えいたします。  先ほど警察庁また消防庁の方からお答えがありましたように、関係省庁において事故原因の究明に当たっているわけでございますが、運輸省としましても、事故発生事業者に対しまして法令の遵守状況等の特別監査を実施しますとともに、種々の面から事故の原因の究明中でございまして、今のところその作業中でございます。
  190. 中野明

    ○中野明君 伝えられるところによりますと、消防庁が何かこの問題で安全基準の見直しも含めて検討委員会をつくったということを伝えられているんですが、この辺はどうなんですか、説明してください。
  191. 関根則之

    政府委員(関根則之君) 私どもは、あの事故は危険物の規制行政上、極めて重大な意味を持っているものというふうに受けとめておりまして、事故発生直後直ちに、もちろん消火作業を急いだことは申すまでもございませんが、事後の問題といたしまして、原因究明、それから今までありました安全基準等、またその後の消火活動をどうやったら被害を最小限度に食いとめることができるのかといったことまで含めまして検討をするべく消防関係者、すなわち自治省、消防庁は当然のこと、消火に当たりました東京消防庁その他の主な消防の部隊の代表も加えまして検討会を組織をして、既に三回ほど協議を進めたところでございます。  この検討委員会で直ちに最終的な結論まで出るかどうか、対策の最終仕上げまでできるかどうか、なかなか難しいのではないかと私は考えておりますが、いずれにいたしましても問題点の洗い出し、それからこういう可能性が対策として考えられるのではないかといったような方向づけと申しますか、そういうものをともかく急いでやりたいというふうに考えておるところでございまして、さらにそういう問題点の洗い出しが終わりまして、具体的に例えばタンクの構造部材の強度をさらに増していく必要があるとか、あるいはそのために具体的にどの程度の有効な対応策があるのか、そういったような問題になりますと専門家を入れましたもっと具体的な検討会といいますか、研究会といいますか、そういうものも必要になってくるのではなかろうかと、現在のところ考えております。  いずれにいたしましても、早いところ問題点を洗い出しまして、根本的な対応策というものについて我々としては積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
  192. 中野明

    ○中野明君 運輸省、さっきお答えいただいたんですが、どうですかね、牽引車でやっているわけですから、ここに急ブレーキをかけたりなんかしたときに後ろが前へドンと当たっていってひっくり返るとか、そういう牽引車独特の構造的な欠陥ではないかという点は私も幾らかわかるような気がするんです。素人ですけれどもね。その危険性についてはどう考えておられるんですか。
  193. 神戸勉

    説明員(神戸勉君) お答えいたします。  ただいま先生御質問のように、トレーラーでございますとジャックナイフ現象というのは、そういう構造面から、ある面でそういう現象というのは、後ろの積み荷というのも満載しているとき、空のとき、いろいろな条件がありますので、そういう可能性はあろうかと思います。  ただ、それにしましても、新車のときにそういうようなことについての姿勢の安定性と申しましょうか、そういうようなことについても一応の基準というもので審査をしているわけでございます。ただ、全然そういう現象がないというわけにはいかないというのは事実であろうかと思います。ただいま、先ほどお答えしましたように原因を究明中でございますので、その原因が究明された結果、構造面で必要となれば、我々としてもそういうような措置を講じていくことを検討したいと思っております。
  194. 中野明

    ○中野明君 空のときは大して事故も起こらぬでしょうけれども、そういう牽引車にそういう危険物を引っ張らせるというのは、やはりこれは今後の課題として問題じゃないかという感じがします。二度とこういう事故が起こっては困るわけですけれども、牽引車が危険物を積んで走る、ほかの荷物ならまだある程度わからぬことはないんですけれども、ガソリンとかそういう引火しやすい爆発物を牽引車で引っ張るというのは、以前はなかったようですが、一つの車でタンクを積んで走っておったのがだんだん大きくなってきて牽引車になってきたということでしょうから、その辺が非常に心配だという人がかなりおられるようですので、そういう点も含めてぜひ検討をしてもらいたいなと、こう思います。  次の問題に移りたいと思います。  これは先日、横浜でしたか、警官の制服を使ってということで銀行強盗があって大問題になったわけですが、先日もちょっと新聞を見ていますと、筑波の万博で警官そっくりの制服を着て駐車場が客引きを強引にやっているというような記事が出ておるんですが、これについては何かお調べになったですか。
  195. 中山好雄

    政府委員(中山好雄君) 御指摘の件について調べてみますと、科学万博の会場周辺で、一部の駐車場でございますが、警察官と紛らわしい服装をしている者が自動車の誘導をしているということはあるようでございます。ただ、一般私人が警察官の服装と紛らわしい服装をするというのは決していいことではございません。これに対する規制としましては、軽犯罪法の一条の十五号というのがございます。これは、資格がないのはもかかわらず、法令により定められた制服あるいはこれに似せてつくったものを用いた者、これは拘留または科料に処する、こういう規定がございます。これで問擬するということもあり得るわけでございますが、本件の場合はちょっと色が違うなど、直ちに軽犯罪法違反ということはちょっと即断できない面がございます。しかし、早急に指導して、そのような紛らわしい服を着て車両の誘導等をすることのないようにしてまいりたい、こう存じております。
  196. 中野明

    ○中野明君 先ほども申し上げましたように、横浜では本当のやつを着て事故を起こして、それでもう大変な騒ぎになったわけです。こういうのは何かほかに取り締まる方法というのはないんでしょうか。普通の人にはちょっと紛らわしかったらわかりませんね。何かネズミ色の制服で制帽、交通安全の腕章をつけてライトつきの棒やメガホンや警笛といった小道具なども持って、そしてここへ駐車せい、ここから先へ行ってはいけませんというようなことを言うて客を誘導というんですか、引っ張った、こういうことで、確かに駐車場も倒産したりしているところもあるようで、非常に万博周辺の当て込んだ人が随分損害を受けて大変な騒ぎになっているようですけれども、こういうことを今おっしゃったように何か取り締まる法律というのはないんですか。
  197. 中山好雄

    政府委員(中山好雄君) ただいまも申しましたように、軽犯罪法違反というのが一つございます。それから、いわゆるガードマンにつきましては警備業法によりまして制服と明確に識別することができる服装を用いなければならない、こういうのもございますが、今回の場合のような、一般の業者が自分のところの従業員でという場合には軽犯罪法の適用ができるかどうかという問題でございます。それよりも、その前にそれで問擬することが難しいようなケースもございますので、十分科学万博関係につきましては業者の指導をして、そういうことのないように努めてまいりたいと存じます。
  198. 中野明

    ○中野明君 そうすると、これはもう指導する以外に方法はないということですね。今後そういうのが出てきたときに困るのじゃないかと、そういう気がするわけです。ですから、何かそういうことが紛らわしくて、それによって迷惑をこうむって後で苦情が来るというようなことですから、やはり何か手だてを考えないといかぬのじゃないかという感じがしますが、その辺はどうなんでしょう、難しいですか。
  199. 中山好雄

    政府委員(中山好雄君) 当面はやはり軽犯罪法の適用ということで対処してまいりたいと存じます。
  200. 中野明

    ○中野明君 警察自身が起こしたということになれば、これは警察もある程度反省もしてあれするんですけれども、警察以外の人が警察と間違うようなことをして、そしてそれが警察の不信につながるいうことになったらこれはたまらぬですから、そういう点、何か手だてはないものかなという感じがしておったんですが、それよりほかにこれは手がないんですか。警備会社はきちんとした警備会社の法律でそういうことしちゃいかぬということになっているわけですね。そうですか、難しいものだ。わかりました。  それじゃ、次の問題に移りたいと思います。  交通取り締まりの方法なんですけれども、長官もきょうはおいでになっているんですが、これは取り締まられた方、検挙された方からは非常に評判が悪いんです。というのは、おれだけがやっているのじゃない、ところがたまたまスピード違反とかあるいはルール違反で捕まったと、それは違反した方が悪いんですけれども、逆に反感を持つというようなことで非常に評判が悪いんですが、特に、どういうんですか、交通取り締まりを通常ネズミ取りというような言い方をされて、それが一般的になっているんです。お耳にも入っているのじゃないかと思うんですが、ネズミ取りというような表現をされているわけです。これはどういうことでネズミ取りと言われるのか、取り締まり責任者はどう考えられますか、このネズミ取りという言い方。
  201. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 取り締まり基本的な姿勢といいますか、その問題については長官が申し上げることにいたしまして、今のネズミ取りの部分でございますけれども、私ども特別に承知はいたしておりませんけれども、何というか、違反をしたドライバーをネズミに例えるというようなことは我々も毛頭考えていないことでございまして、どういう理由でそういうふうに言われているか承知いたしておりません。
  202. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 先生の今言われました取り締まられた場合に運が悪かったというふうなお言葉もあったわけでございますが、交通事故というのは交通秩序を乱し交通違反をするから起きるのである、こういうことであろうと思いますが、今こういったような車社会ですべての人が交通というものにかかわっている、こういう社会でございます。そういうことで、先ほど来駐車の問題、そういった自転車の放置の問題、いろいろございました。  要すれば、警察官が見ていなければ違反を承知しながらそれが行われておるという一般的な現象、残念ながらそういう現象が非常にこの車社会の中で多いわけでございます。私たちは、そういう意味でやはり法律がある、したがってそれをすべての人がだれが見ている見ていないにかかわらず守る、こういうふうなものが一つ土台にあれば事故は本当にもっともっと少なくなる、こういうふうに思うわけでございますが、しかしいずれにしましても、そういう中にあって我々の取り締まり基本というのは、午前中来いろいろ論議のありましたように、やはり国民の支持と納得といいますか、そういうものに基づかないといかぬ、やみくもにとにかく全部検挙すればいいという問題でもなかろう、駐車違反の問題であれば、それぞれの地域状況、駐車の実態、そういったものを十分見て悪質なものをやはりやるとかいう、おのずから重点的な問題もあろうと思います。  そういうことで、取り締まりというのはやはり交通事故をなくすための大きなかなめであると私たちも確信しておりますし、それ以外に安全施設の問題であるとか安全教育の問題であるとか、非常に多角的な総合的な手をいろいろ打っていかなくちゃならぬのですが、残念ながら、取り締まりというのもこれは事故防止の本当に今やはり大きな柱になっているということを全国的ないろいろな状況を見て痛感せざるを得ない、こういう実情でございます。しかし、その気持ちとしてはやはり納得性、国民の支持を得られる取り締まり、こういうことで全国警察官心を合わせてやってまいりまして、一人でも死者が少なくなるようにひとつ努力をしていきたい、こういう気持ちでございます。
  203. 中野明

    ○中野明君 今の御答弁にもありましたように、結局事故防止ということ、それからいわゆる国民の納得のいく、これが一番大事な基本だと思うんですが、それが私がさっきから申し上げているようにネズミ取りと言われる一つの理由は、先日もタクシーに乗っておりましたら、タクシーの運転手さんが言うのに、あのお巡りさんは信号の向こう側に立ってするのが本当なのにこっち側におるというのは、違反するのをこっちの方で待っておる、そしてそこで捕まえるんだ、点数稼ぎやっているんだと、こういうようなことをタクシーの運転手が我々に教えるわけです。事故を起こさぬように、そして納得のいくような取り締まりとか指導とかと言うのでしたら、信号の向こう側におって、ここは直進する車はこっちの車線入ったらいけませんよということを教えてあげればいいのに、反対側の信号を越えたところで待っておって、違反してきたのをこりゃと言って、そこで捕まえる。それがネズミとりと言われる理由と違うかなというふうに私は感じたんです。  そういう取り締まりの方法というのはやはり現場に、今長官がおっしゃったような事故を起こさないようにと言うのならば、そっちの手前で、ここの車線へは——東京なんかは地方の人も出てきますから、余りわからぬ人は車線の違うところへ入って、直進しかできないところでほかへ回るところの車線へ入ってしまったというならそこで注意をしてあげればいいのに、行ってしもうてからこりゃと捕まえる、それがネズミとりだと言われている理由じゃないかというふうな感じがするんですが、あるいは隠れておってスピード違反を押さえるとかということのようですが、その辺はどうなんでしょう、どういう基本方針で指導なさっているんでしょうか。
  204. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 交通取り締まり基本的な姿勢としましては、ただいま長官から申し上げましたように、取り締まられる側も含めまして、国民の支持と共感といいますか納得が得られる、そういう姿勢というものをまず堅持することが基本でございます。  ただ、今の肥大化いたしました車社会、五千万人のドライバーがいるという中には、実は非常にいろいろな人がいるわけでございまして、中には警察官の姿が見えなければ相当荒っぽい違反もする、それで結局遵法した運転をしているドライバーに非常な迷惑をかける、ひどい場合には事故を起こすというようないろんな人がいるわけでございまして、したがって取り締まりの態様といたしましても、かなりいろいろな形で多様化した対応というものも必要だろうというふうに考えております。  もちろん、今お話しのように、単にいわゆる件数稼ぎといいますか、そういうようなことのためだけでやるような取り締まりというのはもちろんやらないということにいたしておりますが、警察官の姿がいれば、まずその目の前で違反をするというのはこれこそどうにもならない、そういう者も中にはたまにはいるわけでございますけれども、大体の人は、少なくとも警察官の姿があれば道交法を思い出してそのとおりの運転をしていただくというのが通常でございます。ですから、やはり取り締まりの方も、今の肥大化した車社会というものを最低限秩序立てていくためにはいろんなやり方があるということで考えてはおりますが、単にいたずらに件数稼ぎだけに走っているというような印象を与えるようなことのないようにということを基本に据えながら対応しているところでございます。
  205. 中野明

    ○中野明君 要するに、今おっしゃったように、警官の姿が見えても違反する人で、よほど悪質な人でないとやらぬということですから、なるだけやはり違反をしてしまった終わりの時点に立ってないで、違反をする前のところへ立っているような取り締まりの仕方を徹底された方が、こういう変な言葉がはやってこないのじゃないかという感じがするんです。  これは、確かにそういうことは皆さん方の耳には直接入らぬかもしれませんけれども、一般のドライバーの人は皆そういう言い方をしておりますから、そういうことがやはり反感を持たれることになって理解と納得が得られないということにも通じてくるわけですので、どうぞその辺は留意をしてお願いをしたいと思います。  それから、毎日のように暴力団の抗争、山口組と一和会の抗争で、最近はもう何かダンプでバックして突っ込んだとか、発砲しながらダンプで突っ込んだとか、そういうことで毎日のように事件が報道されているんですが、何か山口組と一和会が分離して一年ですか、一年で兵庫県の方でそういう会合があるということで、警察の方としては道交法を発動してこの対策を講じるとかというようなことが伝えられているんですが、これは道交法を発動してどういうことをされようとしているのか、その辺どうなんでしょうか。
  206. 金澤昭雄

    政府委員(金澤昭雄君) 暴力団の対立抗争につきましてはいつも御説明をしておりますが、きのうまでに一月二十六日以来百十八件の抗争事件が発生をしております。その一番中心となっております山口組ですが、実はきのうが山口組の定例幹部会ということになっております。前回やりましたときには、それをめぐって一和会の方がいろいろ仕掛けてまいりまして、三宮の路上でけん銃の発砲事件があった、こういうケースでございます。  したがいまして、今回、きのう行われますと前回に増して地域住民に非常に危険な状態になる、こういうことで、兵庫県警の方といたしましては強力にこの定例会の中止を勧告をしておったわけでございますが、なかなか勧告に応じないという状況でございました。したがって、会合を強行する場合に警察としてはどういう対応があるかということをいろいろ検討したわけでございますが、その中の一つとして、道路における危険を防止するために公安委員会が交通規制をすることができる、こういう規定がございますので、その道路における危険というのはまさしくこの場合の危険でございますから、その規定を適用して署長権限で交通規制を行う。それをもとにして通行どめ、事務所に立ち入りを禁止する、こういうことでやっていこうという、そういう腹づもりをしまして中止勧告をやりましたところ、二日前になりまして会合を中止する、こういうふうになったわけでございます。  今までも暴力団取り締まりにつきましては、刑法を初めといたしまして各種の法令、例えば道交法にいたしましてもいろいろな機会にこれを適用して検挙を行っておるわけでございますが、今後もあらゆる法令を駆使して取り締まりを強化していきたいというふうに考えておるわけでございます。
  207. 中野明

    ○中野明君 何か私、直観的に道交法を適用して阻止ができるものだろうかというふうに思ったものですから、そんな手ぬるいことでいいのだろうかという感じを受けたものですからお尋ねをしているわけですが、私も前にも申し上げたように、たまに高知へ帰るとまた発砲事件が、先生帰ってこぬ方がいいですよと言われるぐらい帰ったときに起こるんです。それで、大阪や神戸のようなことはないんですけれども、それでもやっぱり忘れたころ——忘れないですね、まだ一月からですからね。それがもう毎月、月に何回か起こっているわけなんです。そういうことで最近はだんだんもう一般市民に影響が出てくるようなやり方になってきているものですから非常に心配をしているわけです。  どうかひとつ、長官も悪質事件には厳重にということで訓示もなさったようですが、ぜひこれはグリコ・森永もそのまままだ犯人の検挙にも至っておりませんし、暴力団の抗争も、それこそ新聞に載らない日はないというぐらい毎日出ているというような状態でありますので、なお一層の取り締まりといいますか、事故の再発防止のために全力を挙げて取り組んでいただきたいと思うんですが、長官としてこの種の問題について再度御所見をお聞きしたいと思います。
  208. 鈴木貞敏

    政府委員鈴木貞敏君) 仰せのとおり、山口組と一和会の抗争事件、連日続いております。死者も多数出ておる。一般の国民の方にも被害が出たケースもありますし警察官も受傷しておる、こういうことでございまして、今の段階で残念ながら、これが収束するというか、いわば手打ち的なもので両者が和解するという模様は見られません。依然として残念ながら続くということでございます。しかも、これが全国的な広がりの中で行われておるということでございます。それぞれ定員の少ない県におきましても、未然防止を含め、一般の県民に被害が出ないような警戒体制その他も日夜を問わずやっているわけでございますが、とにかく、いずれにしろこの暴力団を壊滅するということは我々警察としての非常に大きな重点的な目標でございます。  しかし、残念ながら社会的な存在として非常に根強く存在するという事実でございます。これを壊滅するというのは我々警察の全力投球はもとよりでございますが、何といいましても、大方の国民一般のこれを排除するという強いひとつ決意がなくちゃいかぬということも思っているわけでございまして、そういう意味で、いろいろ公共施設からの排除を含め、国民的な運動の中で彼らをひとつ排除していくという機運がやはり土台にないといけませんので、そういう点も関係省庁ともいろいろ協議しながら一歩一歩いろいろの手を打っているわけでございます。これからも全力でひとつ取り締まりに当たっていくということを申し上げておきます。
  209. 中野明

    ○中野明君 それじゃ、最後になりますけれども、けさほど同僚委員からも指摘がございましたが、シートベルトです。これをつけるのは、高速道路は確かにおっしゃるとおりで私も納得しておるんですが、一般道路にこれを義務づけて、そして行政処分が行われるということになりますと、これはやはりドライバー全体の合意と納得ということが必要でしょうから、よほどこれは慎重にお願いをせなきゃならぬと思っておりますが、最後に大臣、公安委員長でもございますので、この点はただ簡単に、ちょっと資料とってみたらもう半分やっているというような状況で安易に踏み切るということじゃなしに、ある程度、どう言ったらいいでしょうか、状況を当委員会にも報告もしていただいたり、あるいはこういう状況であるという中間的な報告もしていただいて、そして、いつごろからそろそろ一般道路にもしたいというようなことをおっしゃっていただくようなお気持ちはおありですか。
  210. 古屋亨

    国務大臣古屋亨君) こういう交通の問題は国民の協力ということが一番前提だと私は考えております。したがいまして、高速道路はやるといたしましても、一般道路をいつやるかということは、先ほどの御意見もございましたが、ひとつ慎重に私は考えまして、そういう状況につきましても、例えばこれは私の個人的な考えでありますが、今、本院におかれましては風俗営業等の小委員会等も設置されておるやに聞いておりますので、そういう場面も活用さしていただきまして、時々刻々、こういうふうでございますというようなことを御報告しながら、また先生方の御意見を聞きまして、私は慎重に一般道路につきましてはこういう問題を考えていきたい。一般道路にやりまして実行されなきゃもうこれは本当におかしいことで、やっぱり国民皆さんがそういう気持ちになる、それがいつかということは警察だけの判断ではなくて、私は皆さんの御意見を承りながらするということに意義があると思います。そういう点は今のような小委員会等におきまして連絡しながら進めていったらどうだろうというふうに私は考えております。
  211. 神谷信之助

    神谷信之助君 きょうは特に法案に即した質問に集中をいたします。したがいまして、午前中からの同僚議員の質問と重なる面もあろうかと思いますから、できるだけ重複を避けていきたいと思います。  まず最初は原付自転車ですか、これの右折方法の改正問題、三十四条の改正ですが、これ、いわゆる多通行帯道路、三線以上のところ、これはまあ先ほども同僚議員からありましたけれども、ラッシュなんかで何台かつながった場合、向かい側へ渡って方向を変えるわけですね。だから、そこの道路は相当な隅切りやって、何台かがそこに滞留できる状態にならないと非常に危険になるわけでしょう。だから、一台目が行って方向転換しようと、二台目はその後ろへ、三台目はその後ろへとちゃんといきませんね。心理として、重なって横に方向変換して何台かが並ぶという状況が起こる可能性が非常に強いんです。そうすると、今度はその曲がろうとする方の道路がこれも三線以上あって広ければ一定の専用レーンみたいにたまり場所をつくったりすることができるけれども、二線なりあるいは一車線という場合になってきますとその辺が危険になる。だから、後続の直進車に、前へ出過ぎていたらはねられる、接触する危険があるし、今度は右折する方へ青になって行こうとするときに左折する車の陰になるわけでしょう。特にバイクで小型ですから、この辺の危険が非常に感じられるんです。  だから、これは実際に先ほど道路管理者とも十分話をして具体的には決めていきたいということですけれども、その辺のところを相当慎重に十分な措置をしないとかえって危険になる。交差点の中心に向かって寄っていくのは、あれはものすごく危険なんでしょう、僕も危ないなと思うのだ。だから、右折をこういうふうに二段階方式にするのは適切だと思うけれども、その点がちょっと心配なんです。この辺はひとつどういうようにお考えか。
  212. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 確かに御指摘のような問題点があるわけでございますのが、この点につきましてはやや個別の交差点の問題というふうに考えられますけれども、一般論といたしまして、道路管理者と十分連絡をして隅切り等の措置をとる、必要な滞留車両がとまれるような場所を確保するというのが基本でございますけれども、それがどうにもできないという場合には、三車線以上の道路については二段階右折をするということになりますので、逆にその交差点では二段階右折でなくて現行法の右折方式をやるという標識を出して、若干危険はあるのでございますけれども、現行のスタイルで、中心部に寄っていって右折をするという方式にするということを考えておりますが、できる限り道路の改良なり何なり、そういうことで対応してもらいたいというふうに考えております。
  213. 神谷信之助

    神谷信之助君 今の点はひとつ慎重にしてもらいたいと思います。  それからもう一つは、先ほどからの御答弁伺っていると、指定する道路、これはこれから新事例も検討されるようなんだけれども、その場合の指定の基準というのはどういうようにお考えなんでしょうか。
  214. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 法律案によりまして御案内のように、片側三車線以上の道路については原則として全部二段階右折という形になるわけでございますけれども、今申し上げましたような特定のところにつきましてはそれぞれの標識現行法の右折方法に戻すというようなことをやっていく。ただ、三車線ない、要するに二車線以下の道路でありましても場所によりまして二段階右折を標識でやることができるという規定になっておりますが、これにつきましては、まず原則の三車線以上の道路の二段階右折というものが定着いたしましてから、それをよく見きわめた上で二車線以下の道路の標識による二段階右折というものに踏み切ってまいりたいという手順を考えております。
  215. 神谷信之助

    神谷信之助君 手順は先ほど御答弁になったので、その場合に指定する基準ですね、例えばその道路の混雑度といいますか、非常に混雑するところを中央に、右に寄っていくのは危ないですから、そういう混雑度あたりが中心になるのじゃないかというように思うんです。その辺がひとつどういう基準かということ。それで、混雑ということになれば、例えば時間帯をお考えなのかどうなのかという問題がある。例えば夜になった方が交通量がうんと少なくなるというような場合、今までどおりすうっと行く、気持ちとして人間だれしもそうなると、これは違反やと、こう言ってピピーとやられる。それこそ隠れておってぱぱっと押さえられる。だから、その辺も含めてどういうようにお考えなのかということです。
  216. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 具体的な混雑度で、右折車が一日当たり何台程度とかちょっと数字的なものは申し上げにくいわけでございますが、その交差点、交差点の実情に応じまして、右折の需要が非常に多いというところはやはりこの二段階方式という格好になっていくのじゃないかというふうに思いますけれども、ただ、今先生御指摘のように、確かに昼間は非常に直進なり何なりの交通量が多い、夜は割合と閑散な交差点というのも都心のところとかいろいろなところにあり得るわけでございますが、この辺を実はその時間に応じて特別の標識を出してそれで現行の右折方法によるというようなことになりますと、非常にまたそれの標識を出さなきゃいけないとかいうようなことになりまして、私どもどっちかというと標識はなるべく見やすい方向に整理できればしていきたいという基本的な考え方を持っておりますので、実情は今お話しのような点確かにあろうかと思いますけれども、当面はやはり終日ということで踏み切ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  217. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、やっぱり交差点を横断をする場合、あるいはこの場合右折ですが、交差点を右折をする場合の危険度を少しでも少なくするという観点でやる、標識をできるだけ少なくするという点は私も賛成なので、あれは見てもわからぬような標識がよくありますから、あれは整理をしてもらう、そういう意味では、例えば交通規制の時間制限やっていますから、ああいうものででもやられるのかと思ったのだけれども、それを少なくするために終日やると、こうなるけれども、しかし危険性から判断をすれば、例えば交通量の少ないときには二段階やらないでこう行っても、すぐ直ちにピピーと鳴って、減点になって、それから反則金払うというようなことにならぬように。だから、何のためにそういうことをしてもらうのかあるいはさせるのかというやっぱり目的というものを明確にして、それに基づく指導といいますか取り締まり、こういうことに重点を置いてこの問題はひとつやってもらう。特に御婦人が多いわけですから、その点をお願いしておきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
  218. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 特に切りかえ当初はそういうことを重点にやってまいりたいというふうに考えております。
  219. 神谷信之助

    神谷信之助君 切りかえ当初ということだけでなくて、大体先ほど長官も言ったように取り締まりをする目的というものをちゃんと一貫してやっぱりその辺は考える。だから、暴走族とかそういうのが、彼らはバイク乗らぬけれども、とにかく乱暴な運転をやっているというのが明らかなそういう悪質といいますか、そういうのは取り締まらなきゃいかぬ。しかし、別にほかに車がなければ斜めに行くというのは、これは心理が働きますから、その辺はそれぞれのケース・バイ・ケースというか、その条件も十分見て、それでやってもらうということを特に要請をしておきたいと思います。当初だけじゃなしに、構えとしてはそういうことをはっきりしておいてもらいたい。  次の問題に移りますが、シートベルトの装着義務七十一条の関係です。先ほどもこれは出ておりましたので、答弁ありましたからちょっと確認をしておきますが、運輸省の方、今の保安基準でいうと、車の側面に隣接をしている席にベルトをつけるとなっておりますね。だから、問題は真ん中の人の場合です。これについては改正を今検討中だという先ほど答弁がありましたが、その辺はそういうように確認をしてよろしいですか。
  220. 神戸勉

    説明員(神戸勉君) お答えいたします。  先ほどお答えしましたように、当初はシートべルトの着用率も非常に悪く、また座席定員などいっぱいに乗る機会も少なかったというようなこと、またシートベルトを取りつけることが非常に不可能な一部の車もあったというようなことから、中央座席等については装備を義務づけていなかったわけでございますけれども、今回の道交法改正等によりましてシートベルトの着用率の向上も図られると思いますし、使用者にとってシートベルトというのがまた身近なものになろうかと思いますので、現在装備の対象になっておりませんバスの座席だとか、それからタクシー等乗用車の中央座席等につきましても装備の対象とする方向でただいま作業を進めている段階でございます。また、シートベルトそのものにつきましてもさらに使いやすいものにということで検討を進めております。
  221. 神谷信之助

    神谷信之助君 とりあえず高速道路が対象になるわけですけれども、今も運輸省から話がありましたバスですが、今の助手席の中央の人もそうですけれども、もう一つはバスの席の運転手の場合、これは運輸省の方はそれも含めて改正の作業をなさるということですけれども、高速道路は貸し切りバスが行きます。だから、この辺のところをいつまでにそういう改正が運輸省の方でできるのか、あるいは警察庁としてはその点について実際これを施行するまでにやってもらうようなことを望むのか望まないのか、こういった関係について双方にちょっとお願いしたいと思います。
  222. 神戸勉

    説明員(神戸勉君) お答えいたします。  保安基準の改正につきましては現在できるだけ早くということで作業を進めているわけでございますけれども、これはガット通報の関連がございまして、諸外国へ通知し、その意見を聞くことになっておりますので、その所要時間が九週間ということになっておりますので、実施時期というのはそういう事務処理が済んでから実際の施行ということになりますので、相当時間がかかると思っております。
  223. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 今運輸省の方から申し上げましたように、保安基準の改正で新しい基準に基づく制度というのが、原則として保安基準が変わってから後につくられる車から適用されるという形になるわけでございます。御案内のように、座席ベルトをつけるのはそれにふさわしいだけの床なり何なりの強度というものを要求されますので、それがやはり全部整った形で動き出すというのは大分先になるだろうと思いますが、一応私どもの方は保安基準の改正について運輸省の方からお話をいただいて、非常に結構なことだということで今協議をしているところでございます。
  224. 神谷信之助

    神谷信之助君 だから、そういうことであれば、前の席の真ん中と後部も一緒にやっぱりちゃんとつけさせるようにしていく必要があるだろう。まあ後の方は努力義務ですけれども、全体として習慣としてそういうものが身につくようにしていかないと、一つはだめだろうと思うので、この辺はひとつ運輸省、その部分まで何遍も何遍も改正するなんということじゃなしにやってもらわぬと、改正してから新しくできる車になるわけでしょうが、下に桟を入れたりして強度を強めなけりゃいかぬから、その辺のところはひとつ含んでやってもらいたい。その点はよろしいですか。
  225. 神戸勉

    説明員(神戸勉君) 実際の保安基準の改正ができますと、新しい車からということにはなりますけれども、ただ高速バス等につきましても、保安基準上規制しているわけじゃございませんけれど、行政指導によりまして、現在高速道路を走るようなバスにつきましてはシートベルトをつけるように指導して、実績そうなっているわけでございまして、先生の御趣旨を解して我々も指導してまいりたいと思っております。
  226. 神谷信之助

    神谷信之助君 次はこれに関連してですが、衆議院での答弁あるいはきょうの答弁聞いておりましても、タクシーの助手席に座る客の問題ですが、局長の方は、一声かけてもらいたい、後は客の自由にして運転手の責めには帰さないと、こう言うんです。それはいいのだけれども、さて一声かけたのかかけぬのかということでやられると、これ問題になってくるわけです。例えば酔っぱらって、おれ聞いてへんぞと言うたら、おまえ言うとらんやないかと、それで一点と、こうなる。私はやはり一声かけるべきだと思うんです。しかし、その一声をかけたのかかけてないのかということで客に警官が問いただすと、こうなると、これは営業そのものにもひっかかってくるし、うるさいなと、こういうふうにもなってくるので、この辺についての考え方をちょっと聞いておきたいと思います。
  227. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) ややケース・バイ・ケースという面もないことはございませんけれども、基本的にはやはり当該運転者の方に一声かけたかどうかというのを聞くという方向で対処してまいりたいと思います。
  228. 神谷信之助

    神谷信之助君 その点はひとつ確認をしておきたいと思います。  それから、その次は除外例の問題です。政令の基準はきょういただきましたし、これで当面は高速道路ですから問題はないと思うのだけれども、今度一般道路に適用をするということになったときに、実際にタクシーの運転手から意見を聞いたのだけれども、防犯上の問題がある。  京都にもときどきタクシー強盗みたいなのがあって、あれは去年の暮れでしたか正月でしたか、僕の知っている運転手がその事件に遭ったんでけすれども、後ろからがっとやられて、それでどうしようか思って、ちょうど壁があったから壁にバンと車をぶつけて、その衝撃のときにさっと逃げ出して助かったわけです。だから、恐らくこれベルトしておったら飛び出せぬわけでしょう。だから、高速道路の場合はタクシー強盗ちょっとしにくい。したがって、一般道路で深夜というか早朝というか、夜中はそういう事件が起こっても助けを求めにくいようなそういう状況とか、そういう場合は除外をするということ、あるいはタクシーの運転手自身がどうもないと思ったら、不安を思わなきゃベルトしていればいいのだけれども、おかしいぞと思っても必ずしてなきゃならぬということも、事件が起こらなきゃけしからぬということになるかしらんけれども、その辺のところを一体どういうように考えるかという点について見解を聞いておきたいと思います。
  229. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) いわゆるタクシー強盗的なことでございますけれども、最近は非常に発生は少なくなってきておりますけれども、年間百件ちょっとぐらい、態様はいろいろございますけれども、発生を見ているということは事実でございます。確かにそういう際に防犯上支障になるのではないかという、そういう危惧を持たれることは一応理解できるわけでございますけれども、ただ、例えば今先生が御指摘のような、そういう脱出方法なんかとるような場合には、むしろ座席ベルトをしていた方が安全というようなことになろうかと思います。  そういうようなことで、それから防犯上の面からは、かつては運転者席の背後にプラスチック製のボードをつけるというのが非常に一時、はやっていたわけでございますが、最近は若干減っているような感じもいたしますけれども、この防犯の面につきましてはまた関係の業界の方ともよく相談をするという方向でまいりたいと思いますが、基本的には、タクシーの運転手さんというのはやはり現在の車社会の中でのいわゆる一種のリーダーみたいなものでございまして、模範的な立場で一般のドライバーを引っ張っていっていただくというような立場にもございますので、深夜を問わずとにかく常時、運転をされるときには座席ベルトをきちっとしていただく、正しくしていただくということでお願いをしたいというふうに考えております。
  230. 神谷信之助

    神谷信之助君 基本的には、僕もいろいろなタクシーの運転手さんに話を個別に聞いてみましても、プロですからそういうのはちゃんと守ってやらなきゃいかぬと同時に、やっぱり事故を起こさないということが第一なんです。だから、事故を起こした場合の被害をできるだけ少なくするという、ベルトの方はそういう意味ですから、そういう差がありますね。それから、今の局長のは、前のガラスが割れるような衝突したら自分がやられますが、こっちの方は意識的に当たるんだからそんなにきつう当たる必要ないんですよ。相手が、あっと、こうなっている間にさっと逃げ出す。それをベルトしている方が安全やというのはちょっと筋違いだと思いますよ。  それから、これも同僚議員からもずっと出ていましたが、それで行政処分一点、これは私はやっぱりどうかと思うんです。例えば駐車違反は道路を狭くして事故の発生状況を強めるから、そういうのについては行政処分をするとかいうような問題があるでしょう。あるいはスピード違反も事故発生の原因になる、そういう可能性が強い。しかしこれは、シートベルトをつけたことによって事故が発生しないんじゃないでしょう。事故が起こった場合の被害を少なくするということですから、事故の発生と直接関係がないものなんです。一番いいのは事故が発生しないように安全運転をすることが大事なんで、それで何ぼ運転をする方が安全運転を心がけておっても、後ろから追突する車もあれば向こうから暴走してくる車もあるんで、だからそういう点で身の安全を守るためにやるのであって、シートベルトそのものが事故の発生を防ぐということではないんだ。それに行政処分一点というのは、スピード違反とか駐車違反とか、ほかの問題と筋が違うのじゃないか。  だから、これは同僚議員からもあったように、これはやはり自律的に運転者のモラルを確立をしていく、そういう運動にすべきではないのか、そのことが私は今非常に大事になっていると思う。だから、一点という行政処分はひとつ再検討してもらうということ、あるいは少なくともみんなに徹底するまで五年なら五年間は準備期間としてやって、そして一般道路も含めて全体としてそういう習慣になってくるという状態を待った上で必要であれば考える、こういうことでやる必要があると思うんですが、この辺もう一度ちょっと聞きたいと思います。
  231. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) 確かに、座席ベルトの着用義務違反という問題については、今の御指摘のようなスピード違反とかなんとか、そういうものと若干質が異なるという面があることは事実でございます。ただ、現在座席ベルトの着用を義務化して諸外国で罰金をほとんどつけて担保までしているというのは、やはり単に運転者自体の命の問題だけじゃなくて、同乗者あるいは対向の車という関係の当事者の生命の問題とか、それから事故が起きた場合にその運転者なり何なりが車外に放出されるとか、そういうようなことに伴いまして、より大きな事故が生ずるおそれがある。あるいはそれに伴う交通渋滞とか、さらに強いて言いますと、民事上あるいは刑事上等の社会的ないわゆる責任の加重の問題とかいろいろな問題があって、言うなればドライバーとしての社会的な責任というものを十分この車社会の中で果たしていくためには座席ベルトの着用というものがぜひ必要だ、単に個人の命の問題だけじゃないんだという観点から、諸外国においても罰金まで付してその担保というものをしているわけでございます。そういう観点から、現在の行政処分という問題、これはやはり車社会の中で車を運転していくに足るだけの素質なりそういうものを持っているかどうかというのを一つの基準にしているわけでございまして、そういう点から言いますと、やはり行政処分を行う際の一つの資料として最低の一点というものを付する、それだけのやはり座席ベルトの着用ということについてはドライバーの社会的な責任としての重みがあるのじゃないかという判断に立って行政処分の点数一点ということにしたいとしているわけでございます。  それで、そういう観点から申し上げまして、さっきもちょっと申し上げましたけれども、努力義務なり何なりということでは、おのずからドライバーの心構えというものにもどうしても差が出てくる。説得なり努力義務なりという規定では、日本の場合高速道路の現状というのが十何年も前から努力義務の規定があるわけでございますけれども、これは何のペナルティーもないということで、相当やかましく、年に少なくても二回の春、秋の安全運動あるいは夏のシートベルトの着用強化月間とかいろいろなものを設けましてやっておりますけれども、やはり三〇%程度が限界である。諸外国の例を見ましても大体そういう実情でございます。したがいまして、やはり法律によって着用を義務化するということで、ペナルティーのあるなしは別といたしまして、そこに単なる努力義務とは全く質が異なるドライバーの心理的なニュアンスの差というものも出てくるわけでございまして、そういう点で義務化をお願いしたい。  それから、行政処分の点数については、さっきから申し上げておりますような漸進的な形で進めてまいりたいということを考えているところでございます。
  232. 神谷信之助

    神谷信之助君 どうも私は、やっぱり今の交通局長の意見には賛成できぬですね。十年間いろんな運動をやったけれども、ちっともつけないじゃないか、言うことを聞かぬ、だからペナルティーを科して強制をせないかぬということですからね。だから、これは今度はペナルティー一点ですよと言うて、それで先ほどの秋の交通安全運動や何かで宣伝をする。だから、おどしと一緒に強制をしていくという形で、それで一般道路にその状況に応じて拡大をしていくと、こういうことでしょう。その考え方自身がどうにも私はいかぬと思います。  社会的責任という問題をおっしゃる。同乗者の問題もおっしゃる。これは当然なんだから、問題はやっぱり事故を起こさないことでしょう。だけど、先ほども言ったように、運転者自身が事故を起こさないようにしておっても、相手がありますから、その点については、事故が発生をすればその事故の原因について責任を明確にし、それぞれの業務上過失致死とか、いろいろな罪になるわけでしょう。だから、問題は事故を起こさせないために行政処分と反則金の制度でスピード違反や駐車違反その他いろいろやるわけですね。そういうことなんです。  今度のこれは、事故を起こさないことじゃないです。仮にもし不幸にして事故が起こったときに、できるだけ被害を少なくしよう、こういう趣旨ですね。だから、後部座席の方は努力義務にしておりますと。それからシートベルトがまだついていない助手席の真ん中の人は別につけなくてもよろしいよと。だから、つけなくても事故さえなければいい。仮に事故があった場合には、前の席の真ん中に座っている人は場合によったら失明をするかもわからぬ、あるいは大けがをするかもわからぬ、命を失うかもわからぬ。それはそのときしようがない、横の二人はベルトで守ってあげましょう、これは今そんな形になっているんですから、それに行政処分で一点をつける、ここのところは筋通らぬですよ。一点をつけますよ、事ほどさように重大な行為なんですよというのとちょっと違うと思うので、この辺は私は問題だと思います。  いつから一般道路に拡大をするかという点については、先ほど公安委員長が同僚議員の質問に対して、国会の我々の意見も十分聞いて慎重にやっていくということですから、もうこれは繰り返しませんけれども、これはなかなか影響が大きい問題ですからね。それで、我々はやっぱりこれはみずからも、それから一緒に乗せている人の命も預っている責任ですから、自律的に、自覚的にみずからがつけるという習慣をどうつけていくかで、それをしなかったらペナルティー科そうという、そういうことじゃなしに、これは教育的手段をとにかく最高度にやらないかぬ問題ですというように思います。この点はまた先ほど同僚議員も言っていましたように、理事会でよく検討して協議をしてもらいたいというように思うんです。  それから、その次の問題に移ります。次は手数料の問題ですが、今度は「実費を勘案して」ということになって、法定制の緩和をなさったのですけれども、これは去年の百一国会地方公共団体関係手数料に係る規定合理化に関する法律案の審議のときにも申し上げたのだけれども、これはどうなんですか。「実費を勘案して」ということは、実費を限度にするのか、実費を上回るのか、この辺はどういうふうにお考えですか。
  233. 太田壽郎

    政府委員(太田壽郎君) これは実費をまさに勘案するということで、上回るとかそういうことではないと思います。
  234. 神谷信之助

    神谷信之助君 これは去年のときにも大分議論があったんです。一般的に手数料は、事務ないしサービスに対する反対給付ということで実費なんだから、財政収入を上げるということを目的にはしない。ただ、特許の特許料なんかは独占することによって経済的利益を得るから、そういう場合にはそれらを考えて、実費を超えて決めるというのが部分的にあるけれども、一般的には実費なんだということなんですが、この辺は今までなら法律事項ですからそれについて国会で議論ができますが、今度は実費を勘案してそちらでお決めになるわけですから、国会で審議をしたり、チェックをしたり、あるいはストップをしたり、そういうことはできない状況になりますから、その点は実費を超えないものということを確認をしておきたいと思うんですが、その点はよろしいですね。
  235. 安藤忠夫

    説明員(安藤忠夫君) ただいまの実費の問題ですが、実際にかかる費用ということで、厳密には個々具体的な一件一件の事務で費用は変わるかと思いますが、標準的な一件ごとの経費を算定してそれで額を定めるということで、そういう趣旨で「実費を勘案して」定めるというふうにいたしているわけでございます。
  236. 神谷信之助

    神谷信之助君 この辺はひとつ実費ということでやってもらいたいと思います。  そうしたら、もうきょうは時間ですから、これで終わります。
  237. 岩上二郎

    ○理事(岩上二郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、六月十一日午前十時開会することとし、散会いたします。    午後五時三分散会