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説明員(小堺英雄君) 先生御指摘のように、ダンプカーによる交通事故の防止対策につきましては、
昭和四十一年の
愛知県猿投町において発生しました園児死亡事故をきっかけといたしまして、
昭和四十二年八月に、このような悲惨な事故の再発を防止するために、土砂等を運搬する大型自動車による交通事故の防止等に関する特別
措置法、いわゆるダンプカー規制法が制定されました。翌四十三年二月に
施行されております。それ以後、既に十七年が
経過しているわけでございます。
この
法律の目的を一口で申しますと、土砂等の運搬の用に供する大型自動車の使用について必要な規制を行うとともに、土砂等の運搬に関する事業の協業化等を図ることなどによりまして、土砂等の輸送に関する秩序を確立し、もって道路交通の安全に寄与するということであります。
具体的には、土砂等の運搬の用に供する大型自動車、その大部分がダンプカーであるわけですけれども、それを使用する者に対する
措置といたしまして、まず運輸
大臣、実際には陸運支局ということになりますけれども、運輸
大臣に対する土砂等の運搬の用に供する大型自動車の届け出義務、それからこの届け出を受けた車両に対する運輸
大臣による表示番号の指定及びこの指定を受けた表示番号の表示義務、それから
当該車両における自重計の取りつけ義務、それから悪質な交通違反によって交通事故を起こし人を死傷させた場合などにおける運輸
大臣による
当該自動車の使用者に対する六カ月以内の期間を定めた車両使用の制限または禁止
処分などの諸
規定が定められておりますとともに、土砂等を運搬する事業者の経営の改善、交通安全活動の充実等の観点から事業者の協業化などの促進、交通事故の防止に関する事業を行うことを主たる目的として組織する団体、すなわちダンプカー協会のことですが、それの内閣総理
大臣または
都道府県知事に対する届け出義務、それからこの届け出をしたダンプカー協会に対する国及び
地方公共団体による
指導及び育成などについて定めているところであります。また、こういう諸
規定によりまして、各種の対策が国及び
地方公共団体において
実施されることになったところでございます。
それで、その結果どのような効果をもたらしたかということでございますけれども、ダンプカーによる交通事故は著しく減少しておりまして、
昭和四十三年には発生件数一万九百二十九件、死者数七百八十六人、負傷者数一万三千五百二十六人にも達していたものが、
昭和五十九年には発生件数三千百四十六件、死者数百七十八人、負傷者数三千九百八十四人と、約三分の一以下となっております。また、同じ時期におけるダンプカー一万台当たりの事故発生件数も八百三十件から二百十四件と著しく減少しております。特にダンプカー規制法の主要施策の一つとして、各地においてダンプカー協会の設立を促進し、この協会による自主的な交通安全活動の推進を図ってきたわけでありますけれども、そのダンプカー協会加入車両の交通事故発生率というものは、五十九年において一万台当たり百十九件となっておりまして、協会未加入車両の二百五十四件に比べまして二分の一以下となっております。
ダンプカー規制法の制定及び
施行がダンプカーによる交通事故防止に果たした役割はこのように大きなものがあると考えております。しかしながら、ダンプカー一万台当たりの事故発生件数二百十四件というのは、全車種平均の七十六件と比較いたしますと依然としてダンプカーの方が約二・八倍と高い率となっておりますので、今後とも関係省庁と密接な連携体制をとりながら、ダンプカー規制法などに基づいて具体策を推進していく必要があると考えております。
それから、
質問がダンプカー協会の結成
状況といったことでございますので、それにつきましてあわせてお答えいたしますと、先生御指摘のように、このダンプカー協会の設立
状況は、早いところはダンプカー規制法
施行時点、つまり
昭和四十三年二月でございますけれども、当時既に任意団体として発足していた新潟県ダンプカー協会が最初に公益法人として設立されまして、引き続き同年十月に
愛知県ダンプカー協会が設立されたのを皮切りにして、その後全国各地の
都道府県においてダンプカー協会が逐次設立されてまいったわけでありまして、現時点では三十六
都道府県において設立されている
状況でございます。したがって、まだ十一府県においてダンプカー協会は設立されていないという
状況でございます。
そこで、ダンプカー協会がカバーしている範囲、これを大型ダンプカーの車両数で見ますと、
昭和五十九年三月末における全国三十六協会の加入率の平均は設立
都道府県における届け出台数の三六・一%となっております。未設立府県を含めました全国の届け出台数との比率で見ますと三〇・七%ということになっております。
それから、ダンプカー協会にはダンプカー規制法の届け出義務がある大型ダンプカーのほかに小型ダンプカー、ミキサー車等が協会に相当数加入しておりまして、
昭和五十九年三月における全国の加入車両台数が七万一千六百五台となっておりまして、そのうち約六四%は大型ダンプカーということになっております。
それで、これも先生御指摘のように、ダンプカー協会の全国的な組織でございますけれども、これは既に
昭和五十二年以降任意団体といたしましては全国ダンプカー協会連絡協議会が設立されてまいったわけでございますけれども、これが母体となりまして、昨年六月二十六日付で社団法人全国ダンプカー協会が設立され、ダンプカー協会の全国的な活動というものが軌道に乗る体制ができてきたわけであります。
そこで、ダンプカー協会がまだ十一府県にできていない
理由と申しますか、何でそう全国に行き渡らないのかというのも御
質問の中にありましたので、それについてもちょっと触れさしていただきますと、ダンプカー協会の性格でございますけれども、ダンプカー規制法第十二条に
規定されておりますとおり、ダンプカーによる交通事故の防止を図ることを主目的として、しかもそれを自主的な交通安全活動を行うということで果たそうという団体でございます。企業の経済的な団体ではなくて交通安全団体というところが特徴でございますので、直接的な経済的なメリットに乏しいという面がございますので、そのためダンプカー協会の設立の意義が理解されにくい。そのために設立に向けて働くリーダーシップが備わらないと協会設立が実現しないという側面があるのではないかと思っております。
しかしながら、十四万七千台にも及ぶダンプカーによる交通事故防止対策は国や
地方公共団体の努力だけでは十分な成果を上げることは困難でございますので、ダンプカー協会による自主的な交通安全活動の充実がそれに必要不可欠であると考えております。そのため、今後ともダンプカー協会の設立促進及び加入率の向上対策は一層推進すべきものと考えておりますので、当庁といたしましては今後とも任意設立の十一府県については関係部局、全国ダンプカー協会、砂利採石等の関係業界団体に対しダンプカー協会の設立の
指導や働きかけを行うことによりその設立の促進を図っていきたいと考えておりますし、また既に設立されている三十六
都道府県につきましても同様の手法で協会加入率の向上を図ってまいりたいと考えております。
それから、車両台数などについての御
質問がございましたけれども、その点につきましては運輸省の方にお願いしたいと存じます。