○上野雄文君 最初に指紋押捺問題についてお尋ねしておきたいと思うんです。
実はこんなことを申し上げては大変恐縮ですが、今回の附帯決議で、指紋押捺問題についても
自治体の窓口で扱っているのだから、ひとつこのことも入れてくれということを私の方で申し上げたんですけれ
ども、どうも御返事は、法務省専管事項だからそれはだめだ、こういう話でありまして、私もなるほど、そういうことだな、こう思って附帯決議からは除くことに同意したんです。ただ、考えてみますと、この間参考人をお招きをしましていろいろ御意見を聞いたわけですが、私のところの宇都宮市長が参りまして、私の村おさが来るわけですから私は私なりに彼と事前にいろんな打ち合わせをしたわけですが、そこで市長、た
まには超過負担の問題にも触れてみないかとこう言っておいたんです。そうしましたら、宇都宮市の方でいろいろ調べましたら、宇都宮市で外人登録に関する歳入は七十万円なんです。それで歳出は六百万円なんです。これは財政上から見ますと大変な超過負担でありまして、こんな迷惑な仕事を
自治体の窓口がやっているという現実は、これはもう否定できないことだと思うのであります。ですから、財政面から見ますればそれなりにしかるべき
措置をとってほしい、こう思うのでありますが、そういう立場からですが、この前、佐藤
委員からもいろいろと
大臣に対しての御
質問もありました。
そこで、最近の新聞論調を見ましても、また昨晩は、
質問の
関係もあったものですから少し遅くまで起きておりまして、テレビを見ましたら、深夜番組でしたけれ
ども、ちょうど指紋押捺を特集でやっておられました。
大臣もごらんになられましたですか
——いろんな立場からいろんなことが述べられておったわけですが、私はとりわけきのうの毎日の社説であそこまで書かれているということになれば、やはりきちっとした方向といいますか、そのことが出されてしかるべきなんではないかと思うんです。たしか大阪府警だと思うのでありますが、とりわけその担当の
警察本部のことは書いてありませんでしたけれ
ども、このさなかに
警察の幹部が、指紋を押すのが嫌ならば
日本から出ていったらいいじゃないかということを述べたということが報道されましたし、またそのことが引き合いに出されてきのうの毎日の社説は書かれているわけであります。
だれがどう言ってみましても、あの戦争中に朝鮮から強制連行をして
日本で強制労働に従事をさせたという事実は、これは否定し去ることができない事実なんだろうと思うんです。しかも、たしか一九一〇年だったと思うのでありますけれ
ども、日韓併合という言葉が使われましたが、あれから
日本の支配の歴史が続けられてきて、民族による民族支配ということが行われてきたことも、これも否定し得ないことなんだろうと思うんです。終戦のときに大体四分の三の方々はふるさとへ帰られたけれ
ども、帰るに帰れない方々が残られて、現在残っている人たちはその八〇%が二世、三世だと言われているわけです。
日本で生まれ
日本で育って、中には朝鮮の言葉を使うこともできない人たちもいるというふうに聞かされています。
こういう歴史的な経過があり、しかも人権問題として国際的な論議も呼んでいるときに、この当面を糊塗するような、言うならば小細工に近いようなやり方だけではなくて、私は改めて
日本が抜本的な問題に向けてしっかりした取り組みをしてもらいたいと思うんです。ただ、気になりますのは、あの社説の中で、
外務省と
自治省は前向きに取り組んでいるようだ、法務省と
警察の方はどうももう
一つすっきりしない、特に
国家公安委員長である
古屋委員長の発言が、「「北から密入国して、
日本を舞台に韓国をひっかき回そうという動きもある」との見解すら述べている。」という引き合いに出されているわけなんです。どう言ってみても
自治大臣と
国家公安委員長は同じ方なんでありまして、それが並べられて相反する見解でそれぞれ事務部局を抱えて別な立場をとるなんということは非常に難しい問題なんだろうと思うんですけれ
ども、私は、今日の
状態の中では前段に書かれているような立場を貫いていっていただきたいものだなと思いますし、また
冒頭申し上げましたようなことからいって、実際の
市町村役場の窓口で必要以上の混乱を起こさないようにしていただきたいなというふうに思うんです。
実は、これは場が違いますから別途要求をいたしておりますが、
自治体の
職員に対しては新しい事務取扱要領が出ておりますけれ
ども、私
どもには全くその中身を知らされていないんです。しかし、最近の指導では、三カ月間は説得をしなさい、三カ月の間に月一回ずつ
警察が行って呼び出しをかけるような行動をしていきなさい、こういうことが同時に裏から行われているようであります。
きのうのテレビでは、人権問題として私は指紋押捺に反対なんだけれ
ども、私が
警察に逮捕されたら職を失ってしまう、そこまで行くと大変なジレンマに落ち込みながらも、しかし私はこの人権問題と対決して頑張っていきたいんですと。ある高校生はアメリカへの留学をも断念せざるを得ない、しかしどうしても行きたいと、涙ながらに指紋を押してアメリカ留学を何とか実現をさせたい、帰りの車の中で父親と一緒に泣きましたということを訴えているわけです。そういう実態からぜひひとつ
大臣の前向きの取り組みをお願いいたしたい。
この前、佐藤
委員からも、
大臣の今日までの活動の経験からそれらについて一生懸命取り組んでおられるという話も聞かされましたけれ
ども、改めてその点について
大臣の所信を伺いたい、こう思うんです。