○
神谷信之助君 今の
自治大臣の見解というのは
我々と全く一致するんです。ただ、この間の特別委員会で私自身も厚生
大臣に追及しましたし、各委員もそれぞれこの問題でやりましたが、厚生
大臣の答弁はそうはっきり言わないんです。憲法の原則に基づいて、その水準はこれは絶対下げるわけにはいかぬということは一生懸命おっしゃるけれ
ども、国がやっぱり八割持つのは当然の責任だということは一言も、どう言うても言わぬ。これは二十九
年度のときに半々にしようという動きがあったときに、当時の山縣厚生
大臣でしたか、立った立場ともうころっと違うんです。
だから、昨年の概算要求の段階で一割
カットオーケーということをここで言うてしもうて、もうそこから以後というのは
財政負担については物が言えなくなっているでしょう。だから、これからの協議は非常にそういう
意味で心配で、このラインが抜けていきますと、次は義務教育の国庫
負担の二分の一の問題も、これも
財政、ないそでは振れぬやないかという理屈がまかり通ったら、もうこれもいかれることになる。
あと公共
事業の分は先ほど言いましたようにふえたり減ったりしてきているわけです。我々はふやせということでいって、特に社会資本の立ちおくれについては、急ぐために国がもっと責任上出すべきだと言った。あるいはミニマムも国がやっぱり確保する責任があるという論でやっていますけれ
ども、これはある
意味でいうと、ないそでは振れぬという論理になると、原則的な問題ではないから、妥協の余地というか押し切られる危険はありますけれ
ども、それとは違うものですから、私はこの点はひとつ特に
大臣がそう言って強調されましたから、期待をしたいと思います。
しかし、あの特別委員会の
議論を聞いていても、さすが
大蔵大臣の方はこれはやばいと思われたかしらぬが、
財政の担当だけれ
どもそこから先言わぬ。憲法の原則をちゃんと守って、
国務大臣だから全体のことを考えますということはおっしゃっているけれ
ども、中曽根総理はそこまでは言わなかったですね。中曽根総理はフリーハンド制、軍配をどっちでも出せるように答弁を非常に慎重にされているので、より一層危機感を覚えたわけですが、この点はひとつ十分お考えいただきたいと思います。
そこで、もう一つ次の問題は、この間特別委員会でもちょっと
指摘をいたしましたけれ
ども、それからまたきのう佐藤参考人も
指摘をしたのだけれ
ども、
交付税率が三二%を維持しているというようになっているけれ
ども、実質そうではなくなってきているのではないかという問題です。
これはもう改めて私が言うまでもなく、既に去年から利子分が
負担をさせられています。従来の
自治省の態度は、国税三税の三二%というのは実際に全部一円残らず配分をする金であって、利子を払うような金はありませんという態度できたけれ
ども、とうとう利子を先に天引きされてしまうという状態になってしまったわけでしょう。だから、これで去年は実質三一・七%、ことしは三一・二%ぐらいになってしまったわけです。その上に財対債なり減収補てん債の償還が
交付税に算入されるという
状況になってきましたから、五十九
年度で九千七百七十四億円、こうなりますと実質は二七・七%ぐらいになっているわけです。
六十
年度では財対債の償還費だけで一兆五千百二十七億円とおっしゃっている。減収補てん債の方はどうかというたら、これは区別ができぬ、計算不能だとおっしゃるのですが、財対債だけで見ましても一兆五千百二十七億円、これは地財
計画ベースです。これの八〇%ないし一〇〇%が算入されるということになりますが、仮に八〇%の計算でいっても約一兆二千億円、こうなります。したがって、六十
年度の借入金の利子充当分三千六百九十四億円、それにこれをさらに引きますと、実質の
交付税率というのは二七・五%になる、こうなります。だから、利子分は天引きされて、それからその次の約一兆二千億は、これは使途決まっているわけで、ほかの金に使うわけにいかぬでしょう。各団体は
借金はもう払いませんというわけにいかぬわけでしょう。だから、これは使途決まっている。だから、いわば本当の
意味の
交付税はないわけです。本当の
意味の
交付税が二七・五%ということになります。
その中で義務的
経費、今の
生活保護が一割
カットされたり、あるいは教材費と旅費、これは
交付税で算入どおり各
自治体が
予算化しているようには見えません、大体、私の見たところが。だから、これは恐らくPTA
負担なり、何なりになっている部分が相当あります。しかし、その他の義務的
経費の部分は、これはもう
交付税で見られたとおり出さなきゃならぬ。しかも、先ほ
ども議論がありましたように、
生活保護関係はぴったりと実態に合ったような計算にはならないわけで、二百億の
補助金で穴埋めをしてもらうということになりますが、これは本当にしっかり穴埋めができるのかどうか、この辺にも疑問があります。
だから、それらの分は自由に使えない金になっています。それから人件費、これも動かない。そうなると、
地方税はそれぞれありますから、それとやってくる
交付税財源というもので、本当にどれだけ自由に使える金が残るかというと大変なことになる。三割
自治じゃない、一割
自治だというように言われておるし、事務次官の石原さんも、私が
地方に出ていって本当に一割
自治だということを痛感をしたという体験談を話されたこともありますけれ
ども、その一割
自治さえも欠けるような状態になってきているのではないか。
だから、国の責任で
借金をさせたんだから、その
借金を払う財源は別に三二%の外に出してもらって、そして今の、何といいますか、内需の拡大やら言われているときに自主財源をうんとふやして
地方の社会環境をよくする、そういう公共
事業や単独
事業をふやす、そういうようなものをどんどんやれるような活力のある
地方財政の構造というものをつくらにゃいかぬ。そうして初めて改善の方向に向かっていると言うことができるのだけれ
ども、単に何%だということだけでは改善の方向になっておらぬと思うんです。この辺について見解いかがですか。