○三治重信君 小売売上税は、それは確かに今おっしゃるように、いわゆる納税義務者が非常に多くなるということです。ところが、実際の納税義務者というのは、今ちょっとした勤労者でも所得税を納めている。ところが、ちょっとしたそれよりかいい格好している店や、それから相当な生産をやっている農家というものが税金を全然納めてないというところに非常に問題があろうということなんです。だから、そういう
意味において、売上税というものをやっていくということは、アメリカは州でやっているというけれ
ども、やるなら、私は
地方でいくと県、
市町村なりでやった場合に、ECの付加価値税よりかは非常に日本で僕は受け入れやすいと思う。
どうもECの付加価値税というと売上高に対して全部ぽっと各段階にかかってくるから、これは相当何といいますか、単に税金を払うということ以上に
自分たちの商売の中身が全部わかってしまう。いわゆるサラリーマンの月給のように、商売人も生産者も中間段階も、全部が結局サラリーマンの
給与のようにわかってしまう。これに対する抵抗が非常に強い。それは、そういうようなECの付加価値税でかかってくると、そういう国のようにある程度所得税が低くてこちらの方が主力で払えば、それで所得の課税の公平というものがなっていくから、そういう
意味においてEC型付加価値税的なものをやれれば、今の申告納税
制度よりか、より正確な所得が確保できるだろうと思うのですが、これについてはやはり日本の徴税の何というんですか、納税思想というものが非常に発達をしていないというんですか、そういうことから非常に障害があるような気がする。
例えば付加価値税だというと、
一つの会社が全国に十も二十も支店を持っているとすると、そういうものを一括して全部やらんならぬけれ
ども、小売だというと各店ごとで、またかつ
地域ごとで課税されていくから、全体の売り上げなり何なりというものについての利益なりそういうものについてのつかまれ方が払う方としては十分でないだろうということです。それから、やはり払う方にしてみると、県、市という
地方公共団体がやるというと国の税金とは別だという
考え方がある。そうすると、そこはそれに応じての
対応の仕方でできるということで、全部それをEC型の付加価値税でやられるというと国、
地方を全部統一的にやられる。
これはサラリーマンはやられているわけだから当然いいわけなんだけれ
ども、そこが結局申告所得なり何なりというものが、本当に申告所得者が税金に対して
給与の所得者のように源泉徴収ができる体制ならばいいのだけれ
ども、その源泉徴収ができるような体制にEC型付加価値税というものはしようという格好になるのじゃないかと思うのですが、そういうことについての抵抗というものが非常に強くなるというふうに思うので、小売売上税もやはり間接税としては、EC付加価値税にいく前段としても僕はひとつ検討の余地があるのじゃないか、こういうふうに思っております。
いずれにしても僕は、納税思想というもので、我々
給与所得者は何も納税思想が強いから税金を納めているわけじゃなくて、天引きされているから納めているので、これを申告所得にしたらばどれだけ申告するかわからぬ。ここに日本人の性格的な弱点があるんですね、申告所得というものについて。それでも所得税、法人税は国税の八割になんなんとする。だから非常にアンバランスがある。アンバランスを直していくというと、結局納税思想というものがうまくいかなければ源泉徴収と同じような手段、方策でやっていくことが必要だと、そういう
意味からいくというと、EC付加価値税というのは非常にそういうことを強制的にやらすということで、初めはトラブルが多いかもしれぬけれ
ども、やれば
給与所得者との負担の公平ということについては非常にうまくいく。ただ、それをいわゆる国民が納得するかしないかという問題、結局そこの納税思想の差が問題で、理屈はいかによくても、抵抗の問題だと思うんです。
学者はもうみんなEC付加価値税は理想的だと、こう言っているわけです。理想としてはそのとおりいいんだけれ
ども、これは現実に税金を納める者が非常な抵抗をする。こういう非常に抵抗するということは、そこに脱税をするということになってくるわけなんで、そうすると税務
行政が非常にうまくいかない。そういう徴収
事務の
関係を
考えてやらぬと、僕は間接税そのものが非常にうまくいかない問題があると思う。今の物品税みたいに、主に大企業の生産物で、庫出税的な大企業中心にやって、これは日本の非常な高度成長の結果、物品税というものがもう物品税じゃないじゃないか、これは庫出税じゃないかと、こう言われるもとだと思うんです。
本来の物品税からいけば、生活から離れたぜいたくな品物に税金かけていくというが、ぜいたくだと思われるようなものなら、中小企業のまた工芸製品なんかをみんな対象にしなくちゃならぬけれ
ども、それは中小企業対策からいって、とてもじゃないが物品税としてはふさわしくないということでどんどんやめてきた。これは非常に税金そのものから見れば、税理論から見ればおかしいのだけれ
ども、実際の徴収体系からいくというと、物品税がぜいたく品に対して課するのだという理論はもう空論になってきた。国民の必需品でも、大量生産をして、しかも大企業がつくって税金が取れやすいところからぽっと取る。ここに我々も一般の者も非常な不満がある。税のいわゆる筋が通らない。取れるところから取ろうと、こういうことであるところに今の物品税が理屈に合わぬが、どうも大企業で余計生産しているところからぽっと取って、大衆消費の品物にぽんとかけていく、そうすると庫出税だからぽっと税金が取れる。
間接税というのはどっちかといえば徴収費がかかるものだったものが、今物品税が一番徴税費がかからぬでごそっと入る。しかし、これはどうも税体系からいくと非常におかしい。物品税という名のもとに個別にかけるということにおいて、負担の公平というものが非常にゆがめられた、いわゆる税金を取らんがためだけの物品税という、そういう
意味において物品税が広がるということは、間接税だからますます何といいますか、負担の不公正化をもたらすような、偏在をもたらすような物品税になってしまって、税の改革からいくというと、日本の今のやっているような物品税からいくというとこれは邪道な間接税だと、こう思わざるを得ないわけなんです。
そこで
一つ問題は、何と申しますか、
一つお願いをしておきたいのは、所得税、法人税のことをもう少し
議論しようと思ったが、ほかのところで時間とってしまってだめだったけれ
ども、一年前の所得を対象にして課税するのをやめて、当該年度でやって、そして全部源泉徴収義務者に、もう計算の
事務が非常にコンピューター化してきたわけなんだから、計算の基礎だけきちんと与えて、付加税的にして、徴収義務者が計算をして、当該年度の
地方税をみんなが払えるようにこれはぜひひとつ今度の税制改正までにやり方を
考えてやってもらいたい。そうしないと、定年でやめた明くる年になって、年金生活者になってから税金がやめる前の高い所得に対してかかる。それから、東京に住んでいた者が大阪へ行ったら東京の市民税がかかってくる。これはどうしても取る方としては計算の基礎が確かにして非常にやりいいかもしれぬけれ
ども、納める者にしてみれば実は不便千万この上もないことだ。
それから、
地方税は国税の一六%とかなんとかいうけれ
ども、実際月給から差っ引かれるときを見ると、税金が二〇%も二二、三%も取られるような格好になっているわけです。盆、暮れのボーナスは取られぬが、しかし月給から差っ引かれるときには二〇%も二五%も
地方税が取られるような気になってくる。これだってもう非常に高い感覚を受けるわけだ。そういうものをなくすために、
事務が非常にコンピューター化してきたのだから、全部国税の方のを基礎にして何%ということでぽんとかけられて、年末調整が全部国税も
地方税も同時にやられるようにぜひ
考えてもらいたい。これについて答弁をしていただければこれで終わりましょう。