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木本平八郎君 一々それについては私なりに相当反駁できるんですけれ
ども、これをやっておりますと時間がないものですから、私、きょうは問題提起だけにしておきたいんです。
それで、これは私なりの話を進めさせていただきますと、要するに、従来、例えば通産省の産業構造審議会ですか、出されている土地債券方式があるわけですね。ああいう方式でもいいんですけれ
ども、実際、地主としてはむしろ今一億円で売って、そして七%の複利でずっと利殖していった方が得に決まっているんです。公示価格の値上がりというのはありますけれ
ども、今、土地、三%ぐらいしか上がりませんから。
しかし、やっぱり基本的には、一たん売ってしまうともうそこで全部終わってしまう。所有権、所有意欲がそこで断たれるというのは、何としてもやっぱり嫌なわけですね。感情的な問題だと思うんですけれ
ども。それからもう
一つは、将来値上がりということについての楽しみがなくなるわけですね、実際に上がるかどうかは別にして。それから、債券方式だと、現在の価格で、その値段の評価は別にして、先ほど言ったように売ってしまうということ。それから、将来のインフレに弱いというふうなことがあってなかなか放出できないんじゃないか。それで、これは先ほど午前中も大分皮肉がありましたけれ
ども、
大蔵省の
官僚の
人たちは皆頭がいいから、ついつい計算でもって、こうやれば地主が出すはずであると言うんですけれ
ども、一番忘れている点は、持っている人の感情ですね、気持ちの問題をそんたくしていないというところにあると思うんです。
そういうことで私はこれを提案しているんです。具体的に私が
考えた農家におけるメリット、こういう方式を採用されたときのですね。今梅澤さんから
お答えがありましたけれ
ども、将来の好きなときに時価で換金できる、これは公示価格でやるわけです。自分が金が欲しいかどうかによって決めるわけです。
それで、
一つは、公示価格がべらぼうに上がるということはあり得るわけです。ところが、私がここで提案しているのは、
一つは、公示価格が上がるというのは、やっぱり
政府の失政の結果ですね。インフレとかなんとかを起こしちゃうわけだから。ところが、これがあると
政府としてはインフレを起こせないんで、必死になってインフレを抑えてくれるだろうという、国民の方には
一つの歯どめがあるわけです。
それから二番目は、仮にデベロップされると、素地、これが仮に十万円としても、ここが開発されますと、道路がつき、下水道ができ、駅がつき、バスが来るということになると、一遍に値段がばんと上がっちゃうわけですね、三十万円ぐらいに。公示価格というのはだんだん、ほとんど、それなわけですね。
その利益が不当利益じゃないかということなんですけれ
ども、確かにそれがあると思いますけれ
ども、これはやはりその差額は二十年なら二十年、五%ずつずっと毎年上げていって、そこへ近づけていく。それで、その間、早く売れば都市計画税なんかでばんと取っちゃうというふうな方式もあって、それで二十年間だと、これは七%で
政府が回転していますと四倍ぐらいになるわけですね、価値が。十年で七%、大体二倍ですから、二十年だと四倍ぐらいになるわけです。そうしますと、十分にやれるんじゃないか。
それから、先ほどのように、小さい単位で切り売りできるというメリットですね。それで、だから所得税は余りこういう土地に対しては大きくかかってこないようですけれ
ども、仮に十年に割って十分の一ずつ売れば、十分の十乗というふうなことも理論的には
考えられるわけですね。それから相続のときの評価がえの問題とか、それから維持管理費がもう要らなくなるわけですね。
それで、私は、何よりも大事なことは、こういう都市の真ん中にある農地を持っている農家は、農業をやりたくないということなんですね。これは非常に断定的な言い方ですけれ
ども。しかしこれも、やっていないと宅地並み課税をされるし大変だから、無理してやっている。例えば、子供とか、ほかの後継者もほとんどないという
状況だろうと思うんです。本当にやりたければ、等価交換で茨城県か何かの農業地区へ行って、何町歩かを交換してもらって、そこで農業をやった方が私は農業をやるにはいいと思うんですね、部会の真ん中でがさがさやるよりも。そういうことなんで、この方式をとれば、相当農地を放出してくるというか、提供してくるんじゃないかと私は思うわけです。
ちょっと時間がないものですから最後までなにしますと、
政府側のメリットとしては、これは住宅政策用に非常にいいということはもちろんなんですけれ
ども、例えば、横浜の山の中に
一つ、多摩ニュータウンみたいなところね、ああいうのを大きく開発するという場合、今一々の地主がなかなかオーケーしてくれないという問題があるわけですね。ところが、これだと
政府が、例えばデベロッパーが、あそこを百万平米欲しいと言った場合に、よろしい、それじゃ自分がかわってこの土地証券でもって百万平米
確保してあげましょうと。地主は、森林みたいなところ、今はもうキツネとタヌキしかいないところが、開発されるとその土地が十万円にもなり百万円にもなっていくかもしれないですね、百万円になるかどうかは別にして。そうすると、今だったら、平米一万円のところを二万円で買ってもらったってちょっと売りたくない。しかしながら、将来、開発されたら十万円になるかもしれぬと思ったら、十分に提供して、ひとつ開発してくださいというふうになるんじゃないかというふうなことで、都会地の中だけでなくても相当利用できるのじゃないか。
それから、補助金特別
委員会で私は言いましたけれ
ども、農地にもこのアイデアというのは相当適用できるのじゃないかと思うわけです。
それから、公示価格というのは今ありますけれ
ども、大体三、四割低いと言われているわけです。こういうものに、やると、権威づけになるというふうな問題もある。それから、土地価格の抑制はもちろんですけれ
ども。
それで、やっぱり一番大きなのは内需拡大の刺激だと思うんですね。今、内需拡大というのはやかましく
政府でも言われていますけれ
ども、これをやることによって相当の内需の刺激効果があるんじゃないか。
それから、先ほどの
売却代金を
政府は、私は少なくとも平均十年間は請求しないと思うんですね、そうすると
低利で十年間活用できる。そうすると、今現在、全国で、大体三大都市で四万ヘクタールぐらいあるんですね。それで、一平米仮に十万円と簡単にしますと、四十兆円ですね。四十兆円を四%の利益で十年間やりますと、単純に言って四〇%ですね。そうすると十六兆円稼げるわけです、
政府は。それで、これは全国で大体二十万ヘクタールぐらいありますから、二十万ヘクタールというと二百兆円になるんですね。二百兆円の資金が入るとこれは相当フリーハンドが、
政府としては大きな武器になるんじゃないかという気がするわけです。
それから、何といっても今のままでは、いろいろなことをやってみても、結果的には農地が供出されないし、活性化できないんじゃないかと思うわけです。
しかし、このアイデア、構想についてはいろいろ問題があると思うんです。私もこういう土地の方、まあ
財政はもちろんですけれ
ども、
専門家じゃないものですから、自分一人で詰められないので、本当はこれは全部何とか勉強会か何かやって詰めなきゃいかぬのでしょうけれ
ども、ただ私としてはこういうことも
考えられるのじゃないか。結論的に申し上げますと、やはり公示価格
制度というのを入れてくるということですね。三割、四割、公示価格というのは時価よりも低いと言われておりますけれ
ども、売る方の農家の方にとってみれば、こういうことであれば十分にその安さというものはカバーできるんじゃないかという気がするわけです。
それから、今のように、所有と使用をはっきり分けておいて、やはりずっと、あそこに大きなマンションが建っているけれ
どもあの土地はおれの土地なんだという気持ちですね。そういうふうなことをやれば私は相当出てくるんじゃないかと思うわけです。
時間も大体なくなってきたので、最後に大臣の御所見を伺って、私の
質問を終わります。